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1974-03-26 第72回国会 参議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十六日(火曜日)    午前十時四十七分開会     —————————————    委員異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      稲嶺 一郎君     増田  盛君      棚辺 四郎君     斎藤 寿夫君  三月二十五日     辞任         補欠選任     久次米健太郎君     片山 正英君      上林繁次郎君     柏原 ヤス君  三月二十六日     辞任         補欠選任      片山 正英君    久次米健太郎君      増田  盛君     斎藤 十朗君      小山邦太郎君     山内 一郎君      安井  謙君     桧垣徳太郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         久保田藤麿君     理 事                 高橋 邦雄君                 原 文兵衛君                 占部 秀男君                 河田 賢治君     委 員                 斎藤 十朗君                 柴立 芳文君                 鍋島 直紹君                 桧垣徳太郎君                 山内 一郎君                 若林 正武君                 松永 忠二君                 宮之原貞光君                 柏原 ヤス君                 藤原 房雄君                 村尾 重雄君    国務大臣        自 治 大 臣  町村 金五君    政府委員        大蔵大臣官房審        議官       岩瀬 義郎君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  住田 正二君        建設省道路局長  菊池 三男君        自治政務次官   古屋  亨君        自治大臣官房長  山本  悟君        自治省行政局長  林  忠雄君        自治省財政局長  松浦  功君        自治省税務局長  首藤  堯君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        公正取引委員会        事務局取引部景        品表示指導課長  利部 脩二君        大蔵大臣官房審        議官       旦  弘昌君        農林大臣官房審        議官       須賀  博君        農林大臣官房審        議官       齋藤  稔君        農林省畜産局畜        産経営課長    白根  亨君        農林省畜産局流        通飼料課長    宮崎 武幸君        農林水産技術会        議事務局技術総        務官       鈴木 章生君        水産庁漁政部沿        岸漁業課長    平井 義徳君        通商産業省生活        産業局繊維製品        課長       田口健次郎君        運輸省海運局参        事官       浜田直太郎君        郵政大臣官房電        気通信参事官   三浦 一郎君        郵政省電波監理        局放送部業務課        長        田代  功君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (昭和四十九年度地方財政計画に関する件) ○地方税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特  別措置法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨三月二十五日、久次米健太郎君及び上林繁次郎君が委員辞任され、その補欠として片山正英君及び柏原ヤス君が選任されました。     —————————————
  3. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 地方行政改革に関する調査のうち、昭和四十九年度地方財政計画に関する件及び地方税法の一部を改正する法律案閣法第四〇号)を一括議題とし、まず、昭和四十九年度地方財政計画に関する件について説明を聴取いたします。町村自治大臣
  4. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 昭和四十九年度地方財政計画概要について御説明申し上げます。  昭和四十九年度地方財政につきましては、最近における物価上昇石油問題等内外経済情勢推移地方財政現状にかんがみ、地方財源確保に配慮を加えつつ、国と同一の基調により、総需要抑制に資するため、公共投資をはじめとする歳出を極力圧縮するとともに、財源重点的配分経費支出効率化につとめ、地域住民生活の安定と福祉充実をはかるための施策を推進することを基本とし、あわせて経済情勢推移に応じて地方財政の機動的、弾力的運用をばかり得るよう措置する必要があります。  昭和四十九年度地方財政計画はこのような考え方基本として策定いたしております。以下、その策定方針及び特徴について申し上げます。  第一は、地方税及び地方譲与税についてであります。  まず、住民負担現状にかんがみ、個人住民税及び事業税小規模住宅用地固定資産税等についてその軽減合理化をはかることとしております。  一方、市町村民税法人税割り税率引き上げ等により地方税源を拡充強化するとともに、自動車取得税税率引き上げ並びに地方道路譲与税及び自動車重量譲与税の増強により地方道路財源確保をはかることといたしております。  第二は、地方交付税についてであります。  地方財政状況等を考慮し、昭和四十九年度特例として交付税及び譲与税配付金特別会計借り入れ金残高に相当する千六百八十億円の減額調整を行なうとともに、引き続き沖縄県及び同県市町村に対して交付すべき地方交付税財源に資するため、臨時沖縄特別交付金三百二十一億円を国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることといたしております。  第三は、総需要抑制見地から地方債発行額を極力圧縮するとともに、地方債資金における政府資金構成比率を高める等、地方債質的改善をはかることといたしております。  第四は、総需要抑制の要請を踏まえつつ、住民生活の安定と住民福祉充実のための施策を重点的に推進することであります。このため、地方交付税地方債国庫補助負担金等を通じて重点的な財源配分を行なうことといたしております。  まず、生活保護児童福祉老人福祉等社会福祉施策充実、教職員の定数及び処遇の改善私学助成拡充等教育振興をはかるとともに、消防救急対策公害対策交通安全対策消費者行政等を推進することといたしております。  次に、上下水道、廃棄物処理施設教育施設社会福祉施設住宅等住民福祉充実をはかるための事業を重点的に進めることとし、また、人口急増地域における教育施設消防施設等整備に対する財政措置を拡充するとともに、過疎及び辺地対策事業債の増額、集落の移転整備僻地医療確保等過疎地域対策を推進することといたしております。  さらに、土地開発基金計上等により、公共用地先行取得及び公有地の拡大に資することとしております。  第五は、地方公営企業経営健全化を積極的に推進し、経営基盤の強化をはかることであります。特に病院事業経営現状にかんがみ、不良債務解消のため新たな助成措置を講ずるとともに、引き続き交通事業経営の再建を推進し、また、地方公営企業に対する地方債重点的配分質的改善をはかることといたしております。  第六は、地方財政健全化及び財政秩序の確立をはかる見地から、国庫補助負担事業にかかる地方団体超過負担解消及び税外負担解消定員管理合理化既定経費の節減について所要措置を講ずるとともに、今後の経済情勢推移に応じて地方財政の弾力的な運用をはかり得るようにするため、新たに財政調整資金を計上することといたしております。  以上の方針のもとに、昭和四十九年度地方財政計画策定いたしました結果、歳入歳出規模は十七兆三千七百五十三億円となり、前年度に対し、二兆八千二百四十三億円、一九・四%の増加となっております。  以上が昭和四十九年度地方財政計画概要であります。
  5. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 次に、地方税法の一部を改正する法律案閣法第四〇号)について趣旨説明を聴取いたします。町村自治大臣
  6. 町村金五

    国務大臣町村金五君) ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  明年度地方税制につきましては、地方税負担地方財政現状にかんがみ、住民負担軽減合理化をはかるため、道府県民税及び市町村民税所得控除の額の引き上げ事業税事業主控除額引き上げ小規模住宅用地等に対する固定資産税課税標準特例の創設、ガス税税率引き下げ等を行ない、また、地方税源充実等をはかるため、市町村民税法人税割り及び自動車取得税税率引き上げる必要があります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  その一は、道府県民税及び市町村民税についてであります。  個人道府県民税及び市町村民税につきましては、住民負担軽減をはかるため、課税最低限引き上げを行なうこととし、基礎控除の額を二万円、配偶者控除の額を三万円及び扶養控除の額を二万円引き上げ老人扶養控除及び配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族にかかる扶養控除の額をそれぞれ二万円引き上げることといたしました。また、障害者控除老年者控除寡婦控除及び勤労学生控除の額についてもそれぞれ一万円引き上げるとともに、特別障害者控除の額を二万円引き上げることといたしました。  なお、障害者未成年者老年者及び寡婦についての非課税範囲を、年所得五十万円までに拡大するとともに、白色申告者専従者控除控除限度額を二十万円に引き上げることといたしております。  法人道府県民税及び市町村民税につきましては、市町村税源充実に資するため、市町村民税法人税割り税率を一二・一%に引き上げるとともに、道府県民税法人税割り税率を五・二%に改めることといたしました。  その二は、事業税についてであります。  個人事業税につきましては、個人事業者負担軽減をはかるため、事業主控除額を大幅に引き上げて百五十万円にするとともに、白色申告者専従者控除控除限度額を二十万円に引き上げることといたしました。  法人事業税につきましては、中小法人に対する負担軽減をはかるため、軽減税率適用所得範囲を拡大することとし、また、保険事業課税標準算定方法合理化をはかるため、生命保険事業課税標準である各事業年度収入金額は各事業年度収入保険料生命保険の区分に応ずる一定率を乗じて得た金額によって算定することに改めるとともに、損害保険事業課税標準である各事業年度収入金額を算定する場合の正味収入保険料に乗ずべき率を改めることといたしました。  その三は、不動産取得税についてであります。  不動産取得税につきましては、新都市基盤整備事業の施行に伴う換地等取得について非課税とするほか、農業委員会のあっせんによる一定の農地の交換分合によって取得する土地等課税標準特例措置適用期限を延長するとともに、心身障害者を多数雇用する事業所において取得する施設については、不動産取得税軽減することといたしております。  その四は、料理飲食等消費税についてであります。  料理飲食等消費税につきましては、大衆負担軽減をはかるため、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食基礎控除の額を千五百円に引き上げることといたしました。  その五は、自動車税軽自動車税及び自動車取得税についてであります。  自動車税及び軽自動車税につきましては、所有権留保自動車等にかかる自動車税及び軽自動車税について、買い主住所等が不明である場合等を除き、その自動車買い主から徴収するようにしなければならないものとすることといたしました。また、自動車取得税につきましては、自動車取得昭和四十九年四月一日から昭和五十一年三月三十一日までの間に行なわれる場合に限り、軽自動車以外の自家用自動車にかかる税率を五%に引き上げるとともに、免税点を三十万円に引き上げることといたしました。  その六は、固定資産税についてであります。  固定資産税につきましては、二百平方メートル以下の小規模住宅用地にかかる固定資産税について、課税標準をその価格の四分の一の額とし、その額が昭和四十八年度課税標準となるべき額をこえるときは、昭和四十九年度及び昭和五十年度昭和四十八年度課税標準額に据え置くこととするとともに、個人の所有する非住宅用地にかかる昭和四十九年度及び昭和五十年度固定資産税額は、原則として前年度課税標準となるべき額の一・五倍の額を限度として算定した税額とすることといたしました。  また、国立公園または国定公園特別保護地区等の区域内の特定の土地について非課税とするほか、流通の合理化、良質の住宅の供給その他国民生活安定向上に直接寄与する機械その他の設備について課税標準特例を設けるとともに、発電所及び重要産業用合理化機械にかかる固定資産税課税標準特例措置を廃止する等、負担軽減合理化をはかることといたしました。  さらに、大規模償却資産にかかる固定資産税市町村課税限度額引き上げるため、市町村人口段階に応ずる課税定額を増額するとともに、資産価額に対する課税最低限度保障額及び基準財政需要額に乗ずべき財源保障率引き上げることといたしました。  なお、上水道または工業用水道の用に供するダムについては固定資産税を課しまたは市町村交付金の対象とすることといたしました。  その七は、電気税及びガス税についてであります。  電気税及びガス税につきましては、現行の電気ガス税電気税及びガス税に分離することとし、住民負担軽減をはかるため、ガス税にかかる税率を五%に引き下げるとともに、電気税にかかる免税点を千二百円に、ガス税にかかる免税点を二千七百円に引き上げることといたしました。  また、保育所において入所者保育のために直接使用する電気及びガス非課税とする等の軽減措置を講ずることといたしました。  その八は、国民健康保険税についてであります。  国民健康保険税につきましては、その課税限度額を十二万円に引き上げることといたしました。  このほか、地方税制合理化をはかるための規定整備等所要規定整備を行なっております。  以上の改正により、昭和四十九年度においては、個人住民税におきまして千七百七十三億円、個人事業税におきまして三百二十二億円、固定資産税におきまして千五億円、ガス税その他におきまして五百六十三億円、合計三千六百六十三億円、平年度四千二百九十億円の減税を行なうこととなりますが、一方、市町村民税法人税割り税率引き上げ等により千八十九億円、自動車取得税税率引き上げにより六百十三億円、固定資産税特例整理縮小その他で二百二十九億円、合計千九百三十一億円の増収が見込まれますので、差し引き千七百三十二億円、平年度一千百三十四億円の減収となります。  以上が、地方税法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御、審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  7. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案閣法第二九号)を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まず、総合的な奄美群島振興開発あり方基本的な考え方につきまして、若干お尋ねをいたしたいと思います。もちろん、この法案にいう振興開発計画原案は、鹿児島県知事が作成をして、政府提出をし、審議会の議を得て決定するということになっておるわけでございますが、現段階におきまして、自治省としては、いまから申し上げますところの基本的な問題についてどうお考えを持っておられるか、お聞きいたしたいのであります。  その一つは、計画目標をどのように考えておられますか、まずお聞かせを願いたいと思います。
  9. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 奄美群島振興開発計画原案鹿児島県において作成することになっておるのでありまして、現在、その計画につきましては県庁において検討中でございますけれども、現在のところ、何と申しましても明るく住みよい地域社会の実現を目ざしまして、地域の特性を生かした産業振興をはかる、あるいは恵まれた自然を基調とする海洋性レクリエーション地帯の形成といったような諸点を基本方向として定めまして、これらの施策を推進することによりまして、本土とのいわゆる所得格差というようなものを極力縮めてまいりますとともに、今後この地域施設されまする施設水準につきましても、国民的水準に達するような整備を進めていくべきであると、かように考えておるところでございます。
  10. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いま御答弁いただきました計画目標なりあるいは振興発展基本的な方向の問題でございますが、御承知のように、復興法はその住民生活到達目標を、おおむね戦前の昭和九年から十一年の本土並み引き上げるということにあったようでございます。さらに、その後の振興特別措置法は、おおむね鹿児島本土水準に近づかせることを目標に総合的な計画を実施をすると、こういうふうに一つ到達目標があったわけでありますが、この法案到達目標は、いま大臣から説明がありましたように、本土との諸格差是正と、文字どおりやっぱりその方向到達をさせるんだということで理解をしてよろしゅうございましょうか、どうでしょうか。
  11. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 前の復興計画及び振興計画のときの目標は、いま先生の御指摘のとおりの目標を掲げたわけでございます。今回の振興開発計画における目標というものは、やはり現在鹿児島県で策定中と申しますか、この計画においてある程度具体的に指示がなされるものと思いますが、現在はまだそれに関しておそらくいろいろな検討がなされ、議論がなされている段階だと思いますので、今日ここで、所得をどこまで上げる、あるいはその公共施設水準をどこまで上げるということを数字的に申し上げることはいまできないわけでございますけれども、これはこの計画がはっきり定まりまして決定される場合においては明らかになるものと考えております。全体の基本的方向といたしまして、いま大臣が御説明いたしました方向に沿って現在県で検討中、さらにわれわれもそれに十分の意見を加えて計画が決定されるような運びになると存じておる次第でございます。
  12. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 先ほど申し上げたように、いわゆる最終的なものはそれは手続が要りましょう。しかし、所管の、責任のある自治省としては、五年ということでもう出されておるわけなんですから、五年後にはどういうところまでもっていくんだという一つの目安がなければ、ぼくはやっぱり所轄庁として、すべて県まかせですというわけにはまいらないと思うのですよ、これは。したがいまして、そこは皆さんとしてはどこらあたりまでもっていきたいんだと、私ば科学的な具体的な数子はお聞きしませんけれども、その意欲のほどと申しますか、ものの考え方をまずお聞かせ願いたい。
  13. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) それらにつきましても検討中なんで、あんまり具体的には申し上げられませんが、気持ちといたしましては、この五年間に所得を倍ぐらいにはぜひ引き上げたい、こういう気持ちで現在おる次第でございます。
  14. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 所得を倍にと言いますと、四十七年の郡民所得国民所得の五三・六%ですか、こういう形になっておりますから、いわゆる文字とおりその本土並みの諸格差是正をやるんだと、その意気込みなんだと、こういうように理解してよろしゅうございますか。
  15. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 最近経済界の変動はたいへん激しいものでございますが、いずれにせよ、逐年着実な伸びを示しておると思いますので、この五年間に本土所得が全然動かぬということはまず考えられないんじゃないかと思いますが、意気込みとして、現在の本土並み所得ぐらいまではぜひいきたいと。おそらく、その間にいろいろこういう経済情勢もありますから、従来のような国全体の経済成長はあるいは望めませんかもしれませんが、本土としてもあるいは鹿児島本土としても、それぞれの経済成長はたぶんあると存じます。それに極力追いついていく、追っかけていくと。復帰当時本土の四分の一であったのが、とにかく鹿児島本土に比べれば現在八七%、九〇%に近いところまで追いついたわけでございますが、さらにその速度を速めまして、追いつくという目標でございますが、完全に五年たったときに本土全体の平均までいくかということにつきましては、いまそこまで望めるかどうかということについて十分な確信はございません。意気込みとしてそれに追いついていく速度を速めたい、こういう気持ちでございます。
  16. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 決意のほどを聞きまして、これはやはりそこまで到達するにはたいへんな決意と馬力が要ると思うんですよね。ぜひともひとつその点は、大臣もおられますから、事務当局ともともどもに、ひとつ、いま表明されたところの線に沿ってがんばっていただきたいと、こう思うんです。  それで、いま一つは、この基本的なあり方の問題で、沖縄との関連の問題でございますが、これは昨年私は予算委員会の席上、奄美問題に対していろいろ当時の担当大臣にお尋ねいたしました。そのときに小坂経済企画庁長官は、新全総の沖縄開発方針の中で、奄美群島についても明記をされておるという意義は、沖縄と見合った形での奄美振興開発を意味しておると理解しておると、こういう筋の答弁があった。また、当時の江崎自治大臣も、この経済企画庁長官発言を肯定をされると同時に、十分沖縄開発整備ということとかね合わせた奄美群島開発整備を推進をしたいと、いわゆる担当相考え方を積極的に表明をされた。当時、また奄美群島審議会も同様の建議をされておったことは皆さん承知のとおりでございます。言うならば奄美振興開発というのは、地理的にも歴史的にも経済的にも、いろんな面でこれはやはり沖縄と見合った形にこの条件があるだけに、沖縄並み開発振興ということは、これは群島民一つの悲願でもあるわけでございますが、おそらく私は、この法案は非常に抽象的に書かれておりますからあれですけれども、事務当局考え方としては、法案は一貫してやはり沖縄並み振興開発、それに比肩し得るところの振興開発という考え方が貫かれておると理解をするわけでございますけれども、いかがでしょう、その点は。
  17. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) まさに事務当局としてはそういう考え方でもって法案をつくり、関係各省と折衝し、ここまで仕上げてまいったわけでございます。現実には、それは補助率等につきまして、沖縄離島の中間あるいは離島並みのものあるいは沖縄並みのものも実はあるわけでございまして、その意味では一切沖縄並みになっておらぬじゃないかというおしかりをあるいは受ける面もあるかと存じますが、まず、この法案をつくります事務当局意気込みと申しますか、考え方としては、この新全国総合開発に書いてありますとおりに、沖縄並みということで折衝を繰り返してまいったわけでございます。現実にこういう形になりましたのは、一方においては沖縄は復帰直後である、奄美の場合はすでに二十年間相当な高率補助をもっていろいろ事業を実施している、その実績もあるという面もかたがたございます。また一方においては、沖縄には適用されない過疎地域の緊急措置法とか、辺地にかかる公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置、これらは奄美市町村が財政力が特に弱いということは、これらの法律による積み上げが大きいという意味にもつながるわけでございますが、こういうこともありまして、それこれあれこれいろいろ引っくるめて、今後とも沖縄並みということを目ざして、これからの計画策定でも、毎年度の予算でも、できるだけそういう気持ちをもって進めてまいりたい、こういうふうに存じておる次第でございます。
  18. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 たてまえは沖縄並みということでやったんだけれども、現実はそうでない。確かに補助率の面を見てみますと、そのことは、いま局長から答弁になったように、言えると思うんです。しかし、私はやはり事務当局としては、こうなったんだからしかたがないんだということではなくして、いま表明をされたところのたてまえの線に沿って、これは今後も最大の努力をしてもらわなければ困ると思うんですね。私から申し上げなくても、それは一番行政局長がおわかりですけれども、奄美町村の財政力指数などば、これは四十七年度で〇・〇五から〇・〇九という、いわゆる〇・一以下が六町村もあるというきわめて貧弱な町村でございますから、これはある程度金をやるから、補助をやるからおまえたち自力でやれと、こう言われても、なかなかその町村でもってやるというわけにはいかないという実態もあるわけですから、そういう点で見れば、補助率を引き上げていくということはきわめて私は大事なやっぱりポイントになると思いますから、この点はひとつ大臣沖縄並みの補助率ということに今後やっぱり努力をしていただきたいと思いますがね。これは私も大臣がそういうお気持ちがあることはわかりますけれども、この機会にひとつ決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  19. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 奄美群島の開発、復興、振興のために、何と申しましても補助率をできるだけ高率なものにしなければならないということで、自治省当局といたしましては、この補助率の決定に際しましては非常な私は努力をいたしたものと、かように考えておるのでございます。結果的には沖縄より若干低いということに終わったわけでございます。現状が、沖縄奄美とを対比して一体どちらが経済的に力があるのかどうかといったような問題等もございますが、それはそれといたしまして、先ほども行政局長からもお答えを申し上げましたように、われわれとしては、奄美群島というものをぜひなるべく早い機会に本土並み振興がはかれるように、結果的には地域住民所得がなるべく本土に近づくようにさせなければならぬ、そういう意気込みで今後も取り組んでまいる考えでございます。いま御指摘になりました補助率等につきましても、私どもは沖縄と大体同様であってしかるべきだ、こういう実は考え方はもとより持っておるわけでございますが、ただ、いま御説明もいたしましたが、すでに沖縄とは復帰の年限がかなり違っておるというようなことで、結果的にはこういうことになったようであります。今後とも、やはり補助率等につきましては、沖縄並みにして、なるべく急速に振興開発をはかるんだという考えでこのことにはひとつ対処してまいりたいと、かように考えております。
  20. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 次は、やはり基本的な今後の振興方策の問題と関連をいたしまして、いわゆる地域の特性を生かしたところの産業振興あり方の問題について一、二お伺いをいたしたいと思いますが、まずこの基本的なあり方の問題ですが、私はこの点、「沖縄振興開発計画」、これは四十七年十二月十八日に策定されておりますね、これを見て感じたわけなんですけれども、沖縄産業振興の開発の基本的な姿勢は、この文章ではこのように明確にされておるのであります。「沖縄の特性を生かしつつ、環境の保全を優先する等新しい時代に即応した」云々と、こう明確に、今後の開発の方向というものはあくまでも環境保全を優先にしながらやるんだという点を、明確にやはり基本的な方向性として打ち出しているのが私は一つの特色だと思うんです。  先ほど来私が申し上げておりますように、沖縄と全くいろんな条件で似ておる。もちろん、今日のアメリカの軍事力、アメリカの基地があるという問題は違いますけれども、やはり振興あり方を通して、あるいはいろんな地域的な条件から見れば同じようなところにもかかわらず、奄美の場合は、私は少なくともこの点がいままで不明確であったと思うのです。不明確であった。まあ去年県が示したところの素案でございますか——あたりは、自然との調和の上に立って云々という、昔使われたようなことばで、いま政府が出されておるところの新全総の計画案にさえもそれはもう姿を消しておるんでございますけれども、そういうくだりのものを書いておるという問題ですね。少なくとも私は、産業開発の基本的なあり方というのは、あくまでもやっぱり環境保全を優先をさせるという立場に立ったところの産業開発というものが行なわれるべきだと、こう思うんでございますけれども、この点が奄美に対するところの振興開発基本的な姿勢としてはどうなのか、その点、大臣にお聞かせ願いたいと思います。
  21. 町村金五

    国務大臣町村金五君) いま宮之原議員から、今後の奄美群島産業振興開発をはかる上において、環境の保全というものを特に優先してやるべきではないか、こういう御指摘でございますが、これは私どもも全く同様に考えておるのでございます。おそらく今後、沖縄県が、先ほど申し上げました振興開発計画を作成するにあたりましても、このことを十分基本として私は計画が進められるものであろう、かように考えるのでございます。  ただ、何と申しましても、奄美群島は、産業的には、いわゆるサトウキビあるいは大島つむぎといったような、昔からの古い伝統を持った産業だけに現在のところはとどまっておる。今後奄美群島が発展をいたしてまいりまするためには、やはりあの地域の特性を生かした種々の産業の開発を進めていかなければ、関係地域住民所得の向上ということも望みがたいことであることは言うまでもございませんので、そういった方向を目ざしながら、なおかつ、いままでのように、ややともいたしますれば自然環境の保全ということを忘れた開発が進められてきたというところに、いま日本が新しいやっかいな困難な問題に当面をいたしておるわけでございますから、そういった過去における失敗は絶対に繰り返さない。が、しかし同時に、特性を生かしましたあらゆる産業の発展につとめなきゃならぬということは、これはもう言うまでもないところでありまして、そういったところ兵今後の奄美群島産業開発の基本方向というものを私は置いて進めてまいるべきものだと、かように考えておるところであります。
  22. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私も、奄美生活水準引き上げて、先ほど、いわゆる今後の到達目標についてほんとうに本土並みに持っていくという意欲の中では、その産業開発の中でも、いわゆる第一次産業やら第三次産業並みだけでは困難だということはよく理解できます。いわゆる生産性と労働自給性の高い第二次産業の誘致ということは私は大きな課題だと思うんですが、問題は、その第二次産業の誘致すべきところの産業の中身をどうするかということが私はやはりこれは大きな問題だと思うんです。したがって、先ほど大臣からお答えがありましたように、その場合にも環境の保全ということを優先をして考えていきたいという点については私も全く同感でございますが、その点を踏まえながら、いかなる第二次産業の誘致というものがあるか、このことについては、積極的にやはり所轄官庁としても、私は県にまかせっきりあるいは地元にまかせっきりということじゃなくて、考えてもらわなければならないと思うんです。  そこで、私は念のために申し上げておきたいわけでございますけれども、御承知のように、また私は昨日の予算委員会でもお聞きしたわけでありますが、いま、いわゆる第二次産業の問題と関連をいたしまして、奄美では、いわゆる枝手久島の石油企業の誘致の可否という問題が大きな問題になっておるわけでございます。したがって、私は、この問題についていま大臣はどう思うかとこういうお尋ねをしても、おそらくまあ慎重なお答えしかはね返ってこないと思いますけれども、その問題についても、あくまでもひとつ環境の保全の優先ということを念頭に置きながら、この問題に対していわゆる自治省として指導してもらいたいと、このように考えておりますが、いかがでございましょうか。
  23. 町村金五

    国務大臣町村金五君) いまもお話がございましたが、地域住民所得の向上をはかるというのには、やはり第二次産業というものが大島つむぎ以外にはほとんど何もないというところに、奄美群島のいわば弱点と申しましょうか、特色があるわけでございまして、どうしてもやっぱり第二次産業の誘致をはからなければならぬということは、これはもう申し上げるまでもございません。しかし、第二次産業というものは、どうしてもある程度自然環境を破壊をするというようなものが多いのでありまして、したがって、第二次産業の誘致にあたりましては、やはりそういった点を十分念頭に置いて、かりに第二次産業の誘致がはかられましても、あのすぐれた自然環境がそこなわれるということのないようにするだけの配慮なり、あるいはそれに必要とするところの施設なりというようなものは、ひとつ十分奄美開発の場合にはこのことを重視をしながら、私は第二次産業の誘致というものの選別をしながらその誘致につとめるということを、ひとつ基本方針として進んでいかなければならないと考えます。  したがって、いま宮之原議員は、そういったことを単に地元だけにまかせておかないでという御指摘もございましたが、そういった点は、今後、一体どういう産業があの地に適しており、しかも第二次産業の企業者が喜んで行ってくれるといったようなものでなければ、無理に希望をいたさないものを連れてまいるということは事実上不可能でございますので、やはり希望される方で、しかもそういった環境保全ということには十分配慮し、それだけの結果を生んでくれるような、そういう態度を持って進む企業の誘致につとめるということを、これからの私は基本的な考えとして進むべきではないか、こう存じております。
  24. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 町村大臣の非常に慎重な、しかも基本的な立場を踏まえての御発言でございますので、私は了解いたしまして、ぜひともいま明らかにされたところの形の問題でこの問題について処置をしてもらいたいと思います。  したがって、次のようなことを申し上げることは、実は大臣には非常に失礼かとは思いますけれども、こういうことがあったんです。昨年の、私ちょっと触れましたように四月二日の本院の予算委員会で、この件について当時の江崎自治大臣にただしましたら、江崎さんは、いわゆる枝手久の石油基地問題については、県に照会したら県はまだ承知をしていないと言っていたとか、あるいは新しい国土総合開発法は現行よりきびしい規制ができるから、しばらくひとつ推移を見ておってくださいと、こう胸をたたいた答弁があったのでありますが、私ば非常にその当時は力強く思っておったんですけれども、どういうわけか、十月の十二日、現地で、視察に行かれた際に記者会見をされた。まあ旅の気やすさもあったんでしょう、これは。今日石油企業には公害の心配は要らない、ない、公害云々と言う人は化学を知らぬ人だと、こういう筋のものを自治大臣が言っちゃって、これは奄美でだいぶ物議をかもしたことがあったんじす。私はいま江崎さんが何かの大臣なら、これはひとつ予算委員会あたりでやらなきゃならぬとこう思っておったんですが、いまはもう大臣、閣僚から去られておるわけでございますから——そういうことが前の大臣の例でございますけれども、ひとつあったものですから、町村大臣は慎重な方ですからそういうことは夢にも考えられませんけれども、こういうようなことでは私はやはり行政の政治の信を問われることになる、失うばかりだとこう思いますので、この点はひとつゆめゆめないとは思いますけれども、一言、あえて要らぬことかもしれませんけれども、前車の轍を踏まさるようにひとつ御配慮をいただきたいと思います。  続きまして、もう一つの観点からお尋ねいたしますが、今後の基本方針の中で、先ほども大臣が触れられましたところの、自然を基調とする海洋レクリエーション地帯の形成という点があるわけでありますが、この基本方向についてお尋ねいたしたいのでございますけれども、本年度の予算案を見てみますと、各省別にこのレクリエーション、福祉関係のいろんな事業がたくさんあるわけでございます。たとえば、厚生省の国民休暇村とか、あるいは労働省の勤労者いこいの家とか、あるいは文部省の青年の家とか、いろいろ枚挙にいとまがないくらいあるわけでありますが、したがいまして、この予算の成立のめどがつく前後に呼応いたしまして、猛烈ないま誘致運動までが展開をされておるわけでございますけれども、奄美は、私ども客観的に見ますれば、非常に私はいわれておるところのこのレクリエーション地帯としては、地理的にも非常にいい条件の地帯にあるということが言えると思うんです。しかしながら、やはりこの問題については、先ほどもちょっと触れましたように、財政の貧困な市町村からは自前でなかなか誘致に乗り出していけない、あるいはたまたまこれはあまり金がかからないということで飛びつけば、それぞれの同じ町村がわれもわれもと争うような形が出てきておるというような等等、ほんとうに大所高所から、日本の海洋レクリエーション地帯をどこに設定をするかという立場に立つならば、奄美ということが私は一番適切だと思うのでございますが、さればといって、この問題は県なり地元にまかすという形では、なかなか私はこの文章がそのまま文章で終わってしまうんじゃないだろうかという危惧を持つものでございます。したがいまして、私はやはりこの問題についても、自治省が積極的にいろんな関係官庁とも話し合いをしていただきまして、積極的に、文字どおりこの方針にありますところの海洋レクリエーション地帯としての使命を生かされるような方向で御指導願いたいと、御協力、御尽力願いたいと、このように考えるわけでございますが、いかがでしょうか、大臣
  25. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) まさに御指摘のような考え方でもって今後計画策定し、さらには次年度以降の予算折衝につきましても、御指摘のような心がまえでやりたいと存じておる次第でございます。つむぎとサトウキビ、これが現在ある産業でございまして、この振興ももちろん大事でございますが、これだけやっておったんではなかなか所得の向上が望めないという、その最も大きな希望をつなげるのがこの観光でございまして、海洋レクリエーション地帯の形成、いまはまだ具体的なこまかい事業その他はきまっておりませんけれども、振興計画策定段階で相当にたくさんの業容も出てき、計画も具体化してまいると思います。それらの線に沿って、いま先生のお示しいただいたような筋で協力を続けてまいるつもりでございます。
  26. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いま一つ基本的な問題では、この法案一つの一番ポイントにもなっておりますところの有効期間の問題ですね、いわゆる五年の問題です。率直に申し上げて、現地ではやはりこの点について不満と不安を持っております、これは。まあ政府説明によりますと、皆さん説明によりますと、復興法振興法それぞれが五年であって、五年ずつ延長してきた、こういう前例もあるじゃないか。あるいは変動の激しい社会に対応するためには、一応五年で一つの見直しをするためには五年が適切なんだ、こういう答弁を、議事録等拝見をいたしますとされておるわけでありますが、私はほんとうにこの点、自治省は腹の底からそう思っておられるかどうか、実は疑問に感ぜざるを得ないんです。なぜかと申しますと、先ほど申し上げたように、五年であの全国水準並みに努力をしたいという意欲なら、ほんとうに、たとえばことしの第一年度の予算、あれがマル一つつくならこれは相当やはり到達したいという意欲があるとわかりますよ。五百九十億とか何百億というんならですね。けれども、去年よりもちょっと毛がはえたようなものですからね、率直に申し上げれば。それだけに、この問題は私は五年にしておくからけしからぬと申し上げるつもりはないんですが、いずれにしても、先ほど局長の言われたところの到達目標に達せさせるためには、相当なやはりこれはいまから予算の面でも馬力がかからなければならぬ。同時に、じゃ五年たってできなければ一体どうなるのか、こういう問題について私はやはり決意のほどをお聞きをいたしたいのです。これは大臣、必ず到達できるんだと、させるんだと、この意欲はわかりますけれども、予算規模から見てなかなか私は言うはやすく実際むずかしいと思いますだけに、最大の努力はしていただきますけれども、もし到達目標に五年後に到達できないとするならば、やはり前例もあることだから、さらに延長という方向を相当やはり考慮に置きながらこの問題について対処したいんだというのが自治省考え方なんだというふうに理解したいと思いますが、いかがでしょう。
  27. 町村金五

    国務大臣町村金五君) この特別措置法を、五年間で私どもも奄美群島の発展が本土並みに進むということは、実は率直に考えて、意気込みはそこに置いてはおりますけれども、なかなか実はそう簡単にいかないというふうに私どもも実際は考えておるところであります。しかし、こういった特別措置法というものが、御承知のように、大部分は五ヵ年計画ということになっており、それを二度も三度も更新をするというようなことが現実のやり方になっておるということは、宮之原委員もよく御承知のところでございます。しかし、あんまり長い計画にしておいてゆっくりやるんだというようなことよりは、やはりひとつ五年間という一つの区切りを置いて、そしてこの間にできるだけの努力をするということが、私はやっぱり、五年というたいへん短い期間ではありますけれども、まあかえってこういう考え方もまた私は適切であるんじゃないかという感じがいたすのであります。したがって、意気込みとしてはひとつ五年間で本土並みに持っていくんだと、しかし、現実の問題としてはなかなかそう簡単にはいかないという場合には、当然私はさらにこれを更新をはかっていくということは、これはもう当然だと、こう考えておるのであります。
  28. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 次には、この開発のあり方の具体的な内容ですね、そういう面について具体的にお伺いをいたしたいと思います。  これは、関係官庁の方も来ておられますですから、その方々を中心にしていろいろお聞きをいたしたいと思いますが、まず、その第一は、御承知のように、奄美が隔絶をしたところの外海離島でありますだけに、それぞれの島内におけるところの道路、港湾、空港、さらには通信網の整備ということはきわめて重要な点だと思うのでございますが、まずその道路の問題でございますけれども、私はやはり五年後には、少なくとも道路網を整備拡充をして、各島々は一時間、あるいは大島本島でも、半日で本島内で行動できるようないわゆる半日行動圏ですね、そこをやはりつくり上げていくぐらいの目標をやはりこの問題については設定すべきだと思う。で、そのもとに、五年間で具体的にどのように道路網を整備していくかというやはり一つ方針が立てられなければ、国の道路五ヵ年計画があるからということで、奄美にはこれだけの予算を配分しようということで、ちょびちょびと、一年に十キロとかあるいは十五キロというような形でされたんじゃ、これは私はほんとうの意味でのいま申し上げましたところの奄美の発展計画が生きてこないと思います。  そういう立場を踏まえながら、一、二道路関係について質問申し上げたいと思いますが、まず、その国道昇格の案件ですが、この件は、もう二年前の西村建設大臣時代から、あるいはまた前の道路局長の高橋さん時代から、いろんな委員会の機会をとらえて、政府考え方をただし、かつまた、その点については次には最優先的に考慮しますということになっておるところの問題でございますが、まあ道路局長の前回の答弁を聞いても、大体その道路審議会というのは五年から七年おきぐらいにあっておると、こういう話ですが、もうそろそろ時期じゃないかと思いますが、この点はいかがでしょう。
  29. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) ただいまの国道昇格の時期の問題でございますが、これは別に何年おきとか五年おきとか七年おきということがきまったわけではございません。ただ、いままでの実績から申しますと、大体五年ないし七年ぐらいの間に、その間に国道がどんどん整備をされるということから、県道からまた国道へ引き上げて、さらに国道としての整備を進めるという意味で、五年ないし七年の周期で行なわれているという実態があるだけでございます。前回は四十四年にやっております。その前が三十七年でございますから、まあ七年たったわけですが、四十四年からその後やっておりませんが、ただ、沖縄が復帰になりましたときに、沖縄県の中についてだけの国道昇格をやっておりますが、一般的にはやっておりません。最近また道路の整備が進みまして、国道のほうの整備もだいぶ進んだということで、また全国的に国道昇格という動きも相当ございますので、まあ七年と言わずに、少し早い機会にやるかどうかというような検討をいまいたしております。
  30. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、事務当局としては、いわゆる従来の観念の七年を待たないで、ことしか来年あたりぐらいにひとつやろうという形で準備を進めつつあると、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか、どうでしょうか。
  31. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) そういうことでいま逐次準備を始めておるというふうに考えていただいてけっこうでございます。
  32. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まあそうなりますと、お約束の最優先にして考えたいと、こういういままでの——やっぱりそれぞれの責任者のことでございますから、まあ私は道路局長もそのことを踏まえてこの問題に対処していただくというふうに考えたいと思いますし、したがいまして、そういう意味では奄美の主要地方道の国道昇格はそう遠くないんだと、間近いんだと、このように理解をしてよろしゅうございますね。
  33. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) まあ事務的にはいまそういうことで進んでおりますけれども、これはまだ審議会等を経てきまる問題でございますので、そういうふうにまだはっきりときめつけるわけにいきませんけれども、そういう考え方で進んでいるということはけっこうでございます。それから同時に私ども、国道にならなくても、現在主要地方道でございますので、主要地方道として整備を進めております。これは全国的に見ますと、この主要地方道は非常に整備率がよくなっております。ただ、舗装が若干おくれておりますけれども、これは舗装を早急に全国並みに取り戻すということでやっておりますので、必ずしも国道に昇格になることだけが道路の整備だという考え方は私ども持っておりませんけれども、お話しのように、これは国道に昇格してほしいというのが長い間の問題でございますので、そういう整備もあわせ進める一方、そういう国道昇格ということも事務的に進めていきたいというふうに考えております。
  34. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは、国道になったからたなごころを返すように急によくなるとは私も思っていませんけれども、これはやはり関係者、地元に与えるところの心理的な影響、あるいは今後、私がまたいろいろお尋ねしたいところの面についても、今後非常に大きな展望を私は切り開いていくことになると思うのです。したがって、やはりこの点については私どもは道路局長のほうから、まあ事務当局考え方がはっきりされましたので、それはそれでいいと思いますが、ぜひその方向で進めていただきたいと思います。  なお、これは昨年十月の十二日ですかね、前の建設大臣の金丸さんが奄美を視察された際に、主要地方道のみならず、主要幹線ですね、奄美本島で申しますと外場にあるところの環状線ですね、環状線についても同時に国道に昇格させるのだと、させたいと、こういう旨の発言をされて、非常にこれはもう現地はまことにけっこうな話だと大喜びなんですよ。したがいまして、私はやはり単に主要地方道を上げるんだということだけでなくて、そういう環状線あるいは徳之島とか永良部とか与論と、それぞれ中央環状線というものが、主要道路があるわけですね。こういう問題についても、その一環として検討をされてしかるべきじゃないかと私は思っておっただけに、金丸さんのこの発言を非常に歓迎しておるんですがね。おそらく建設省の事務当局からも行かれたいと思いますから、もうあれば大臣が変わったんだから、あるいはまた大臣が向こうで気やすくこう言ったんだから、私どもは責任ありませんと、こういうことじゃないと思うんですね。あれは間違いでしたということだったら、素朴な群島民を全くあれするということになりかねませんからね。おそらく事務当局もその方向で進んでおると思うんですがね。その点いかがでしょう。
  35. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) まだ現在のところは、たとえば国道がネットワークとして全国的にどのぐらいであるべきかとか、いろいろ基本的なことをいま検討しておりますので、まだ具体的な路線として、どこからどこまでの路線を昇格させるかというところまで作業はいたしておりません。したがいまして、今度の奄美の場合も、どのルートが国道になるのか、これはちょっとまだ検討段階までいっておりませんが、いずれにいたしましても、これは国道の基準がございます。道路法の五条にきめられております基準から申しますと、これは鹿児島とそれから沖縄を結ぶという国道がございますので、あるいはその国道にこれが乗っていくという考え方もあるわけでございます。しかし、その場合に、やはり一本のものであって、それが環状的に乗れるのかどうか、そこら辺になりますと、あるいはまた、どこで上陸してどこでまた島から出るのかということになりますと、非常に具体的な問題になりますので、これはこれから作業をするところでございます。
  36. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私はあまり、勉強不足ですからわからないのですけれども、国道に格上げをする場合には、これは地方主要道からいくんですか。それとも、一般県道でも、これは審議会で必要と認めた場合は、そのままやっぱり国道に持っていくということができるのですか。そこらあたりどういう仕組みになっておりますか。
  37. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) 国道に指定します場合には、必ずしも主要地方道であることとか県道であることということには、法的には関係ございません。ただ、ネットワークとして考えます場合に、やはり主要地方道というものは地方の幹線道路としての位置づけがございますので、やはり主要地方道が主体に国道に上がるということになるわけで、そのとき一緒に一部一般県道なり——市町村道はあまりありませんけれども、一般県道なりが一緒に上がるという事例はございます。法的条件ではございませんが、やはりほとんどが主要地方道から上がり、しかもその路線の重要性ということをいろいろ客観的に見まして路線を決定をするというやり方をとっております。
  38. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それはわかりました。そうなりますと、やはりただいま申し上げましたところのこの環状線の問題とか、他のこの離島の一番中心的な道路というものはいま一般県道でございますけれども、これをとりあえずはやはり地方主要道という形にさせておくということは、非常に国道問題の審議の場合には一つのやっぱり有利な条件になるということがいまのお話の中から考えられるのですが、これまた教えていただきたいのですが、この場合に、その一般地方主要道の指定というのはどういう手続でやるものですか。
  39. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) これは県のほうから、主要地方道に指定したいということが出まして、建設大臣が認可する形をとっております。けれども、いまお話しのように、たとえば、主要地方道に指定したから国道になるのに有利だというようなことは必ずしも言われないと思います。やはりそこの地区に、ネットワークとしてやはりもう一つのそこにもし国道が一本通るとすれば、そのほかのところは、ネットワークでまた主要地方道のネットワークというものがきまってまいりますし、さらにそれを補完するものに県道があり、それをさらにこまかく補完するものに市町村道があるということでございますので、必ずしも主要地方道だから国道になるし、そのほうが有利だということではございません。また、主要地方道の指定にいたしましても、これは随時やるものではなくて、たとえば国道が昇格になりますと、主要地方道に相当穴があきます。したがいまして、それをまたあとから埋めるという形で、やはりある一定の時期にこの主要地方道の指定も事務的にはやっております。
  40. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まあ、その手続はわかりました。  それで、ここでお聞きしたいのは、予算委員会でも私問題にしたところですが、いわゆる沖縄復帰の際に、那覇とそれから辺土岬まで——国頭村ですね、あすこまで行って、それからずっと海上も続いていって、あの鹿児島の桟橋から県庁のところまでが五十八号線、こうなっておりますね。このとき、これは、私参議院の、その場合に、私は委員会でたびたびお尋ねをしたときに、いわゆる沖縄の五十八号線の決定というのは道路法のどこに基づいてやったんだと、こういう質問に対しまして、皆さんのほうからは、道路法五条の第一項ですか、県庁所在地間を結んだ、したがって鹿児島市と那覇市、したがってその間の海上があるから云々と、こういう説明をされておったわけなんです。そのことは私は間違いないと思いますが、そういう認定のしかたをされておりましたですね。その点は間違いございませんでしょう。
  41. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) そのとおりでございます。
  42. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それで、私はその際にも、それならば鹿児島とこの沖縄の間にずうっと点在をするところの大きな島々ですね、言うならば種子島−屋久島−大島本島−徳之島−永良部−与論という、言うならば一直線上に並んでおるところの島島、しかも幹線道路として整備されつつあるところの島、そのことを考えれば、国頭から、辺土岬から、その島々の一番その島の主要道を通って、幹線道を通って、ずうっとこう結ぶものが点々とあっても、これは国道として指定されてしかるべきじゃないか、これは論理が成り立つと思うのです。また、その方向に、いわゆるこの南西諸島の開発ということ、振興ということを考えれば、これはやっぱり具体的な日程にのぼせなければならないと、こう考えておるものですがね。それを私どもは普通海上国道と、こういう呼び方もしておるわけです。したがって、それぞれのこの島々の幹線道路が国道になって五十八号線になったとしますれば、これはその間は、ちょうど鳴門−淡路島がフェリーで結ばれるように、フェリーでもつけていって結ばせていくという一つの交通網の整備あり方ということも考えられると思うのですが、その問題について検討されたことはございませんですか。
  43. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) まだ国道の昇格の問題としては検討いたしておりません。ただ、沖縄の五十八号線をきめましたときに、鹿児島から沖縄の辺土岬まで海上を通るというときに、あるいは奄美大島を通るという問題点の考え方はございました。ただ、その場合は、沖縄だけについてしかやりませんでしたから、今度のその奄美大島については特にこまかい検討はいたしておりませんけれども、ただいまお話しのように、確かに国道が海上を通っておりますと、奄美群島を通るという考え方考え方としてはございます。ただ、その場合に、やはり国道でという認定をするとすれば、当然交通の流れというものに合わせて認定するのがしかるべきであるというようなことからいきますと、島があれば全部その島をそのまま抜けていくというものが国道であるのか、あるいはやはり大きな、奄美大島というような大きなものだけがその対象になるのか、ここら辺はこれからの問題だろうと思いますが、ただ、従来の考え方からいきますと、やはり国道でございますので、そういう交通の流れということを考えますと、小さい島は、これは県道なりあるいは市町村道、また使い方がそういう使い方でございますので、そういう認定になるのが道路法のたてまえじゃないかというようなことも考えております。まだきめてはおりません。
  44. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まあ、いわゆるこの海上国道問題で、私、先般予算委員会の総括質問の際に総理にお聞きしました。総理はだいぶ大演説をされておりましたですが、つづめて言うならば、大体五十八号線という名前からおかしいと、こう言われるんです。少なくとも、北海道から東京を通ってずうっと沖縄まで、日本のまん中を通っていかなきゃならぬのだから、これは東京から出るところの鹿児島の三号線ですね、三号線の延長として沖縄までこれは行くのがあたりまえだと、何で五十八号線という名前がついておるかぐらいで、ふしぎでたまらない、したがって、その海上国道問題という問題については、それはあんたの質問の言い方は、これは検討にも値すると思うと、こういう形で総理の見解も述べられておるんです。私は、これはもう常識的に考えれば一番そのとおりだと思うのです。いま局長のほうからは、交通の流れと、こういうことが言われましたけれども、確かにそれは交通量からいえば、ここから名瀬を通って、それから那覇に行くという定期船がありますだけに、いまそう困っておりませんよ。先ほど来あなたもお聞きのように、奄美振興開発をどうはかるかということになると、観光資源というものをうんと生かさなきゃならないとするならば、これはやっぱり沖縄と一体的な、この亜熱帯海洋性を生かしたところの高度な視野から立ったところのやはり開発計画というものがなされなければならない。そうなりますと、この島伝いに道路網を整備し、言うならば、いま申し上げたように海上国道というものの考え方でずっと開発をしていくということになれば、自然これは交通の流れもそこに従っていくものですよ。したがって、私は現在あるところの交通の流れに沿って道路網を考えるということじゃなくて、あるべきところの、やはり南西諸島、奄美沖縄含めたところの、要すれば、また種子、屋久を含めたところのここの開発をどうするかという、その観点から私はやはり考えてもらわなければ、ただ事務的に、交通量がどうあるから、こうあるからという形では、これは考えてもらいたくないんです。したがって、ぜひとも私はやはり局長にお願いをしたいのは、いま申し上げたところの観点からこの問題をひとつ検討していただきたい、前向きに。その点を御要請申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  45. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) そういう考え方も確かにあると思います。ただ、それと同時に、やはり国道としてのネットワークの問題もございますので、これは島が非常に近い場合に、まああるいは橋で渡れるというような場合、これは本州、四国の連絡橋の問題でありますけれども、尾道から今治へ参りますルート、あれは全部大体島を橋で渡れるようなものでございますが、そういう場合にはそのまま島の上をどんどん国道という形で認定してやっておくというような実例はございます。ただ、今度の場合は相当間隔も大きいし、交通の流れがどうなるかというようなことも、これは先ほども申しましたように、まだこれから検討するところでございますので、ただいまのお話の趣は十分考えてまいりたいと思います。
  46. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 検討をされるということですから、ぜひ前向きな検討をしてもらいたいと思うんですがね。ただ申し上げておかなければならないのは、ほかの島々はね、これは一つの大きなネットワークの中で支流なんだと、こういう認識では困るんですよ。これはたとえば開発計画の中にも、それぞれの島には一万トンの船が着けるバースをつくろうとやっている、計画は。ですから、船も非常に大型化されて、それぞれの島々を一万トンがずっと着きながら沖縄に行くような仕組みに今後はなっていくんですよ。したがって、当然そういうことになりますと、交通の流れも変わっていくわけですからね。だから現在の立場で、観念で考えられるんじゃなくて、そういうことをもあわせて考えていただいて、ぜひともひとつ検討を願っておきたい、このことをまず申し上げておきたいと思います。  次は、通信情報網の整備の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、本土との格差是正離島化の解消ということには、全国各地と奄美とを結ぶところの、いわゆる通信情報のネットワークをつくり上げていくということがきわめて私大事なことだと思うんです。したがいまして、これは自治大臣もいろいろ理解をしていただきたいんですけれども、先ほど決意がありましたように、五年間でつくり上げていくというからには、この通信情報のネットワークというものは、ほんとうは先行的にでも私は整備していくところの要因があるところの問題だと思うのでありますが、そこでお聞きいたしたいことは、全群島の電話の自動化の問題は、いま電電公社が五ヵ年計画で進めていることは承知をいたしておりますが、私は電話の自動化だけではいかないと思う。少なくとも、やはり通信回線を増幅をして整備をしていく、あるいはデータ通信を整備をしていくということ、あるいは民放の放映を実現をさせていくということなども、これは通信情報網を整備するということにとってはきわめて大事な奄美振興開発一つの側面だと、このように考えておるわけでございますが、その点に郵政省としてはどういうお考えなのか、どういう検討をされているか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  47. 三浦一郎

    説明員(三浦一郎君) ただいま先生のお話しになりましたうち、通信回線の問題でございますけれども、通信の場合は、通信回線は鹿児島から奄美群島へいま電話で二システムございまして、さらになお二システム増設を検討中でございます。したがいまして、電話の自動化の問題、あるいは電話の増設と、この問題とあわせまして、本土とつながる自動化網に電電公社の計画は進んでおるわけでございます。  なお、データ通信の問題でございますけれども、何といっても国民の通信網というものは電話が一番の基本である。それがなおかつ、いま先生御指摘のとおり、まだ全国的についてないところがございます。そのために、電電公社といたしましては、第一次的に電話の積滞の解消をはかっておる、自動化をはかっておると、そういうぐあいでございます。しかしながら、データ通信につきましても、いま逐次整備をいたしておりますので、将来奄美群島におきまして需要ができれば、それにも応ずるということにはなると、そのように考えております。
  48. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 電話をとりあえずやるんだと、それはけっこうですよ。しかし、その電話をまずやってから次は次で考えますじゃ、これは今後のいろんな政策の先取りをしてやっていくという意欲は一つも出てこぬと思うんですよ。あんた、衛星が上がってですよ、宇宙衛星が上がってアメリカのできごともすぐ入ってくる世の中なのに、同じ日本の国内でそういうデータ通信網も整備をしきれぬということでは、ぼくはほんと、どうかと思いますよ。国内はそのままおいてまず外ばかりやるんだということでも、これは話は始まらぬわけですからね。私は検討中なら検討中でいいんですけれども、もう少しやはり具体性を持たせて、今後はどうするんだと、郵政の行政面ではこの問題は私はやっぱり考えてもらわなければならぬと思いますね。  あるいはまた民放の放映の問題にしても、これはNHKだけでしょう、いまはね。それも、見にくいところの個所というのが相当あるんですよ、この聴視が非常に困難なところが。それはNHKに言いますけれども、いわゆる民放も一つのチャンネルの中に入り得るぐらいのいわゆる回線をやはり相当ふやしていく。しかも、それは沖縄との関連の中に当然私は郵政行政事務当局としてはやらなければならぬ仕事だと思うんですよ。まあそれはあんたの所管でないかもしれませんけれどもね。そこのところもこれはぜひともひとつ皆さん検討してもらいたい。ですから、そういう強い要求があったということを、ひとつきょうはお帰りになったら局長にも部長にもちゃんと申し上げて、そしてやっぱり検討してもらいたい。で、次の機会に私はまた答えを求めますから、まだその言われた、何でもありませんということでは困りますから、その点よろしゅうございますね、検討は。
  49. 田代功

    説明員(田代功君) 民放の放映の件について御説明申し上げます。  民放、鹿児島県にある二社のうち、南日本放送につきましては、本年の五月中旬から、種子島から名瀬までの間の中継ルートの検討だとかあるいは電波伝播状況の調査、あるいは置局場所の選定などの調査を行ないまして、その後に具体的な建設計画を定める予定でありますが、いまのところ、昭和五十年度中には名瀬市内においてテレビが見えるようにしたいと、こういう計画を持っております。  もう一方の民放であります鹿児島テレビ放送については、いまの南日本放送が行ないます置局調査にその職員を派遣して、同時に共同で調査を行なうことにしておりますが、具体的な建設計画についてはまだ定まっておりません。いずれにしましても、民放がこの地区で見えますように、私ども郵政省におきましてもふだんから指導いたしておりますが、本日のお話、この両者に伝えまして、今後とも指導してまいりたいと思います。
  50. 三浦一郎

    説明員(三浦一郎君) データ通信サービスにつきましても、一応これは二種類ございまして、データ通信回線サービスとそれからデータ通信設備サービスというのがございます。データ通信回線サービスというものは、これはもう需要があればできるように検討いたしたいと考えておるのでございます。  なお、先生のおっしゃるとおり、いずれにいたしましても、電電公社といたしましては通信サービスを全国的に提供する義務を持っておるところでございますので、将来必ずそのような方向に向かわせる、そういうことで検討いたしたいと考えます。
  51. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 次は、自治省にお尋ねしたいと思いますが、奄美格差是正には、これまた生活環境を早急に整備をしていくということはきわめて大事なことでございます。私は、やはりそういうようにいろんな衛生あるいはその他の面から生活環境を整備をしていくためには、どうしても適正規模の広域の生活圏ということは、これはやはり事奄美に関してはきわめて大事な問題だと思うんです。関係市町村が力を合わせて、いわゆる市町村道路の整備をするとか、あるいは上下水道、屎尿処理、ごみ処理の生活環境の整備をしていくとか、保健医療の充実をしていくとか、社会福祉福祉施設整備をしていくということは、精力的に私は今後やらなきゃならぬと思うんですが、その点、自治省の場合は奄美全体を一広域市町村圏としてこれをやっておられますが、私はこれは実際を見ておって、奄美全体を一つの広域市町村圏として指定をしてやるというやり方は効率的でないし、予算が重点的に配分されておらないという感じがしてならないんです。したがって、これを文字どおり、それを生かすとするならば、奄美を全体とするのじゃなくて、あれを幾つかのブロックに分ける。たとえば大島本島だったら北と南を二つぐらいに区分をするとか、徳之島は徳之島で一つにするというぐらいの、二つ三つぐらいの町村を合わした生活圏をつくらせる。そこにやはり重点的に、先ほど申し上げたところの問題点を注入をしていくやり方のほうが効果的で効率的だと、このように見ておるわけでございますが、その点はいかがでございますか。
  52. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) もちろんその生活環境の整備というのは、市町村と申しますか、基礎的自治体の本来の仕事でございまして、自治省で現在広域市町村圏というのをつくりまして、それによって事務の共同処理をいろいろ進め、あるいは推奨しておりますけれども、この生活環境の整備の仕事をここの広域市町村圏だけでやるのではございませんで、広域市町村圏でも、それぞれの市町村はその市町村の受け持つ範囲でやっておるというわけでございます。そこで、広域市町村圏というのは、生活物資の調達とか、教育、医療、教養、娯楽と、そういう面についての住民の日常の社会生活上の通常の需要がほぼ充足されると申しますと、奄美の場合は、これらがある程度集積している都市としてはいま名瀬しか数え上げるわけにまいりませんので、それぞれの島でそれぞれの日常の、何と申しますか、生活環境の整備は、それぞれの島あるいはそれぞれの市町村でやっておられながら、また奄美全体を、名瀬市を中心としてより高度な、ある意味では都市的施設、都市的機能というものを使っての生活内容の充実というものを考える場合、これは奄美全体を一つの圏域として考えざるを得ないということであったと存じます。具体的には、これは設定するについては、県知事が地元の市町村と御相談をなさって、こうしたいと言ってこられます。奄美の場合、そういうことで、奄美全体ということが知事さんと地元の市町村長さん、市町村との御協議でおきまりになって持っておいでになったし、私のほうも拝見いたしまして、現在そういった都市的施設が名瀬にしかない以上、それを一つとして考えて、むしろその間の交通網をできるだけ早く整備をするというほうに進むことが正しいのではないかと考えまして、その案をそのままとらしていただきましたし、現在でもそれはそれでいいんじゃないかという気がいたしております。  で、それぞれの市町村が、この広域市町村圏にみんな仕事をゆだねてしまって仕事がなくなるんでしたら、これ、話が別でございますが、ああいう特殊な地域につきましては、徳之島、永良部あるいは与論、それぞれで環境整備をしながら、今度は交通網をできるだけ早く整備をして、名瀬市の持っている都市的機能というものもできる限り島民全体に及ぶというような形で、一つとして発展をしてまいるという考え方で進めることがやはり必要なんだろう、こういうふうに考えております。現在でもあれは正しいんじゃないかと考えておる次第でございます。
  53. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 交通網整備ということを非常に前提に置かれていますけれども、しかし、交通網の整備というのは、先ほど道路局長のお話聞いても、あるいはあんたも御存じのように、私ども現地でもって整備状況を見てきましたけれども、本島でさえもなかなかたいへんな交通網事情でしょう。それを交通網の整備が先ですということでは、もう今日現在の生活に私は間に合わぬと思います。したがって、やっぱりある程度区分をして、それは精力的にやりながら交通網の整備をさせていく。ある段階であなたがおっしゃったようなことになって交通網が整備されれば、私は一つのものでもけっこうだと思うんですよ。だから、この点を、いまのものがいいんだということで、実際のやっぱり生活に即したものの考え方というのをもう一回検討しておいてもらいたいと思うんです。  それはおたくのほうとしては、いや、地元から上がってきたんだ、いや、知事からそうあったんだということになれば、それはそういうものの言い方も成り立ちましょうけれども、えてして、地方に行きますと、自治省のものの考え方はこうだし、知事さんのものの考えというのはこうらしいという、それが先行しちゃって、じゃ、しかたないわと、こうなっちゃうというのが政治の実態なんですよ。私は、事少なくとも奄美の場合のこの問題については、もう少しやはり検討しておいてもらいたい、こう思います。  それで、次にまいりたいと思いますが、生活環境を改善をしていく生活圏をつくり上げていくという中でいま一つ大事なことは、奄美を含むところの離島の物価に対して、いわゆる狂乱物価といわれている以上の物価高なんですから、離島は。この物価対策に対してどうするかという問題もきわめて大事なことなんです、これは。自治省は小笠原とそれから奄美を一応所管をしておられるわけでありますから、予算委員会では自治大臣からすうっと答弁をお聞きいたしましたけれども、どういう離島物価対策を自治省としては考えておられるのか。少しそこらあたりお聞かせ願いたいと思います。
  54. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) これは島の方々の生活に直接響く基本的な問題でございます。それで、これに対する対策はいろいろ考えられまして、場合によれば、これが今度の振興開発計画以外にもはみ出した、もっとほかの省の所管に属する基本的な問題もあるいはあるかと存じますけれども、さしあたって、振興開発計画の中で、この物価についての対策と申しますか、物価を引き下げるために効果のある対策といたしまして、まず生活物資の自給度をできるだけ上げていきたいということを考えます。特に野菜とか畜産というものにつきましては、米もそうでございますけれども、現在自給度が非常に低い。したがって、よそから持ってこなければいけないために、運賃がかかって物価が上がる。この自給度を高めれば、それなりの物価の引き下げについて効果があるということで、野菜、畜産、それらの自給度、あるいは水産を振興いたしまして、魚介類についても、できるだけそこでとれたものをそこで消費するということが一つ。  さらにその次には、それでもとても完全に一〇〇%自給するわけにまいりませんので、運賃のコストを安くするということのために、港湾あるいはそういった交通施設整備ということも必要だと存じます。現在港湾整備には力を注いでおりますが、船のほうがどんどん大きくなってまいりまして、いまだに、名瀬を除いてははしけ取りのところが多い。こういうところではやはり輸送の効率が落ちまして、それが物価にはね返ってくるということもございますので、そういう交通施設整備、これも地元の物価に及ぼす効力、効果というものがやはり相当あるのではないか。これにも力を注いでまいりたい。さらに、島内の流通施設整備ということも同じく輸送コストの低減に役に立つと思います。こういうことで振興開発計画では力を注いでまいりたい。  しかし、実はこれだけではなお根本的な解決には至らない面もございますし、この前のこの委員会あるいは衆議院の委員会でも、そのほかに航路補助は考えられないか、あるいは、先ほども出ましたけれども、国鉄の航路というものをつくって、国鉄の運賃並みで運べないかと、いろいろな施策があり得ると存じます。それらについては、それぞれの主管のお役所で十分前向きに検討していただくようこちらも引き続きお願いをしてまいる、これらの施策を全部総合いたしまして、できるだけ地元の物価というものに対する影響力を強めて、これを引き下げてまいるよう努力してまいりたいと、私のほうはこういう考え方で進めてまいる所存でございます。
  55. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは、奄美を含めました離島にとってはきわめて重要な課題でございますし、何も私もこれは自治省ひとりだけでできるとは思っていません。しかしながら、やっぱりそれぞれの島嶼を所管をしておるところの官庁が、所轄庁がやっぱりイニシアをとりながら、いま御答弁があったところの問題について積極的なひとつ御努力を願いたいと、このように考えますが、その点はよろしゅうございますですね、大臣
  56. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 昨今のような時代になりますると、物価の問題は、離島において特に私は顕著に上がっておるというふうに考えられると思います。これはもちろん奄美だけではございません。他の地域にもそういうことが考えられるわけであります。そればかりでなく、従来とても離島に住んでおられる方の生活費がどうしても高くなる——この海上輸送の料金問題というものを、御承知のように、ある程度、いま運輸省あるいは地方団体におきまして若干の補助、助成をやっておるというところもあるようでございますけれども、なかなかこれによりまして本土との物価のバランスがとれるというところまではまだ至っていないことは私どもも大体承知をいたしておりますが、今後は、離島振興発展のためには、やはりそういうことをもっと私は積極的に考えていかなければいけないのではないか。この点は自治省といたしましても、他の関係省庁とよくひとつ協力をいたしまして、地域の発展、地域住民生活の向上の一助にこれは当然相なるわけでありますので、この点はひとつ十分配慮をして努力をしてみたいと、こう存じます。
  57. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ぜひひとつ、御答弁の筋で御努力をお願いをいたしたいと思いますが、いまも、御答弁の中にもありましたように、私は、物価対策のそれぞれの手だてをやる中で、一つのポイントは、何と申し上げましてもやはりこの航路運賃の問題だと思うんです。したがいまして、離島物価の適正化は航路問題の抜本的なやはり改善なくしては不可能だと極言をしたいぐらいの気持ちなんですがね。それで、この間の予算委員会でも申し上げたわけでございますけれども、いわゆる本土は国鉄が、赤字のローカル線でも、これはやはり全体的の中で補われておる。しかし、離島はすべて船にたよらなきゃならない。しかも、物価と一番関係のある貨物は、船の場合には、海上運送法によっていわゆる届け出制でこの運賃がきめられておる、こういう仕組みになっておるんですね。私は、やはりこれについても非常に問題があると思っておる。そこから、こういうことではだめだから、ここをやはり、もうすでに今日の世の中では本四架橋やら青函トンネルもあるんだから、もうひとつ、離島にはその船を国鉄船として回したらどうか、こういうやはり地元の意見が、要望が強い声になってきておるところのゆえんであるわけなんです。したがって、田中総理も、この間は私の質問に対して、やはりもう今後は橋ができたりトンネルができたりすると、宇高船や青函船の国鉄連絡船は要らなくなるんだから、それを回すことも一つの方法だねえという筋の話をされておったぐらいに、総理はだいぶ前向きになっておられるわけなんですがね。したがって、私はやはりこの離島の問題を解決する中で、この国鉄船化という問題については、相当私は担当の運輸省としても考えてもらわなければ、検討してもらわなければならぬ時期に来ておると、このように思うのですが、その点、どのように運輸省当局は検討されておるか、現在のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  58. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 鹿児島奄美の間に国鉄の船を配船したらどうかという御提案でございますが、いろいろ検討はいたしますが、この問題、非常に困難な問題であるということも御理解いただきたいと思います。といいますのは、第一に、国鉄はいま陸上で鉄道事業経営いたしておるわけでございまして、もちろん例外的には連絡船等で海上運送もやっておりますが、本来、海上運送の分野は国鉄の分野ではございませんで、海運業が担当する分野であろうと思います。したがって、かりに国鉄が海上運送をやるという場合には、相当の理由が必要ではないかということが第一点でございます。  それから第二点といたしまして、現在鹿児島奄美の間には、民間の定期運送業者が事業経営いたしておりまして、輸送力等についても十分なものを提供しているように承知いたしております。国鉄が民間の事業と競合して進出するということは非常にむずかしい問題でございまして、これは民業圧迫という問題も起きますので、民間で十分な輸送力を提供している現状で国鉄が進出することはまず困難ではないかというように考えております。  それから第三番目に、かりに輸送力が足りないというようなことで、何らかの公共的な使命を持った機関がその輸送を担当しなければいかぬという場合でも、直ちに国鉄がやらなければいかぬかどうか、きわめて疑問ではないか。むしろ、国と地方公共団体との間でしかるべき機関をつくって、それが海上運送を担当すればいいわけでございまして、本来、国鉄は陸上で仕事をするということが業務でございますので、海上運送に国鉄が当然出ていくということには相当の問題があろうかと存じます。
  59. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 困難な問題があるからいままで私はできなかったと思うのですよ。しかし、やはり事態はそういう事態じゃないでしまう。だって、総理自体、国鉄民営移管論までぶっておるところの世の中なんですからね。これはやっぱり従来のように、民営をどうだこうだということばかり考えておると、私は一歩も出られぬと思いますよ。しかも私どもが言っておるのは、単に貨物船の貨物の運賃だけをそうしなさいと言っておるのではないですよ。これは物価高と直接関係ないけれども、いわゆる船客の輸送という問題についても、やはり離島にとっては大きな問題点なんです。そういうようなものを考えますと、これはいままでの現状の中においてそれは考えられないにしても、今後の離島の発展あるいは沖縄とのずうっとこう一貫したところのものを考えていくとするならば、それくらいやはり大胆に踏み込んでこの問題を解決しなければならない時代に私は来ておると思うのです。したがって、その時代の進展、趨勢、あるいは地域住民の声ということを考えていただいて、なるほど私は現状ではできないという困難性のことはわかります。しかしながら、それを踏み越えた形で、ぜひともやはりこの問題は前向きの検討を願わなければならない。それは県と地方自治団体にまかせればいいのだと、そして何か公社でもおつくりなさいということでは、一体だれの国鉄かというかっこうに私は論争をすればならざるを得ないと思う。ほんとうに国民本位、住民本位という立場になって、困難な問題点があることは承知をし、承知しながらもなおたとえば衆議院で附帯決議が上がる、あるいはいずれきょうでも決議案が上がるのではないだろうかと思いますが、その意のあるところは、そこのところを踏まえてのやはり国会におけるところの要望なんですからね。ぜひともそういう角度からこの問題については対処してもらいたい、これだけをひとつ強く申し上げておきたいと思います。ぜひともひとつ検討願いたいと思いますが、よろしゅうございますか、その点。
  60. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど申し上げましたように、検討は申し上げますけれども、やはり国鉄が海運業に進出できるかどうかということになりますと、国鉄の基本的なあり方の問題に関連することでございますし、また、民業圧迫という問題を避けて通ることもできませんので、まあ非常にむずかしい問題ではないかということも御理解いただきたいと思います。
  61. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まあ午前の時間が切れましたのでこれで終わりますが、これはあなた、そう否定的な立場に立たぬで、総理大臣さえも、この問題については前向きに考えなきゃならぬと国会で答弁されているのですよ。それを肝心かなめの皆さんが今度は逆の方向を向かれたのじゃ、一体政治の姿勢というのはどこにあるかと疑いたくなりますよ。困難な点があることは承知の上で、この問題について検討願いたいと、こう言っているわけですからね。その意向というものが那辺にあるかということは私はやはり謙虚に受け取っていただきたいと、こう思います。したがって、その点は困難だ、困難だということでなくて、困難性を克服して、どういうふうにそれを切り開いていくかと、こういう立場からひとつ御検討をわずらわしたい。そういう点だけを申し上げて午前の質問を終わります。
  62. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 本案に対する午前中の審査はこの程度とし、午後一時半まで休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      —————・—————    午後一時四十分開会
  63. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行ないます。
  64. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 国鉄船化の問題について非常に困難な点があるという答弁でございましたが、なおその問題については検討課題として検討をしてもらうにいたしましても、やはりこの問題が実現をするまで手をこまねいているわけにはまいらないのでございます。したがいまして、とりあえずは、先ほど来申し上げておりますところの、物価高の一つの大きな要因になっているところの貨物のことを考えてみましても、いわゆる貨物、客両面にわたるところの運賃を、せめて当面の間は国鉄運賃並みに輸送費をしてもらいたい、こういう要求が現地には強いわけでございますが、この問題については運輸省当局もお聞き及びかと思いますが、どういう検討がされておるか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  65. 浜田直太郎

    説明員浜田直太郎君) お答えをいたします。  離島におきますところの物価を抑制するということにつきまして、運賃問題に非常に大きい関係があるということは御指摘のとおりだと思います。ただ、先生御案内のように、貨物運賃と申しますのは届け出制ということに相なっておりまして、したがいまして、私どもはその届け出を受け付けるに際しまして、いわゆる行政指導という形で、できるだけこれを低位に安定させるように努力しておる次第でございます。現に奄美鹿児島の運賃につきましても、先般三五%の運賃アップの要請があったわけでございますけれども、これを業者と話し合いの上、二五%にして実施するというようなことをやったわけでございまして、さような手段を通じてやってまいるということが現在の制度下におきますところの私どもの最大の努力のポイントであると、かように考えております。
  66. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私がお聞きしておるのは、現在の制度下ではそうだから、これではぐあいが悪いと、したがって、やはり国鉄の運賃輸送費に同じような形で、いわゆる奄美を含む離島航路の運賃をそういう方向に持っていけないかどうか、いくべきじゃないかと、こういう問題について現在運輸省当局でどういう検討がされておりますかと、このことをお聞きしておるんです。
  67. 浜田直太郎

    説明員浜田直太郎君) 運賃の問題はいろんな角度から考える必要がございまして、特にいま問題になっておりますところの離島の物価関連で運賃を考えます場合には、まずその物価の中に占めるところの流通コストが幾らかと、またその流通コストの中で、運賃はどのようなウエートを占めておるかというようなことを考えなければなりませんし、要するに物価政策一般から考える必要がやはりあるんではないかということが考えられます。  それから第二には、いわゆる国の過疎政策全般におきまして、どのような過疎地域に対してどういうような政策が必要であるかという全般的な問題があろうかと思います。  第三には、私どもの所管でございますが、運賃政策一般の問題がございます。かりに国鉄運賃というものを想定いたしました場合に、その国鉄運賃が現行の運賃よりも高いか低いかという問題はあるにいたしましても、これをある一定水準と考えまして補助をするというようなことをかりに考える場合におきましても、運賃政策上は、さような場合には、先ほど申しましたような運賃の届け出制というものでは矛盾するのではないかと思われます。そういう場合にはやはり運賃制度というものを、内航の貨物運賃というものは一種の認可運賃ないしは免許制度というようなものに近づけて考えなければ、何と申しますか、俗に言いまして歯どめがなくなるというような心配もあろうかと思います。また、離島以外の貨物運賃とのバランスも考慮しなければいけないと思います。  さようないろんな問題を含んでおりますので、先般、離島航路の国営論が出ました際に、私といたしましては、今後、運輸省といたしまして総合交通体系あるいは総合交通対策というものを見直す姿勢にありますので、その段階関係各省とも十分御相談をしながら検討を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  68. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どうも質問と御答弁とかみ合わないようなんですがね。端的に申し上げるならば、奄美のいろんな物資の輸送あるいは客の輸送、そういう面を国鉄運賃並みに持っていけないかどうかと、こういうことなんですよ。その点は御検討願っておるところがありましたらお聞かせ願いたいと、いわゆる一般論ではなくて、そこのところをちょっとお尋ねしたいんですが、いかがでしょうか。
  69. 浜田直太郎

    説明員浜田直太郎君) いわゆる国鉄運賃並みということで現行の運賃制度と比較をいたしました検討はまだやっておりません。ただ、先ほど申しましたように、国鉄運賃がかりに現行の制度よりも低いというような試算が出ました場合に、全国のあらゆる貨物運賃というものをそのようなぐあいに設定し直すという運賃体系の根本論に触れる問題につきましては、非常に問題があると申し上げておるわけでございまして、ある特定の航路につきまして、先ほど申しましたところの国鉄運賃並みというところのものと現在の運賃との差額をどうするかという問題は、これを何らかの政策でもって補助していくということになろうと思いますけれども、その際考えるべきことは、先ほど申しました物価対策全般の問題あるいは過疎対策全般の問題、そしてまた運賃政策の問題と、非常に困難ないろんな問題があると、かように考えておるわけでございます。
  70. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、運賃制度そのものはなかなか総合的にやらなければ問題が早急に結論が出せないと、それならば、とりあえずの問題として、この奄美の物価が高いということは、皆さまは、私が申し上げなくてもおわかりなんです。それを下げさせるというためには、一つの手だてとして、運賃に対するところの補助をどうするかという問題も一つの方法として出てきますわね。それならば、運賃補助という問題についてどうしようかということについてお考えになったことはないんですか。現在の離島航路の補助というのは、これは一航で一つの船会社に限られる。一社一航ですね。したがって、奄美みたいにたくさんの船が通っておるところはなかなかそれは困難だと、そうすれば、輸送コストを下げていくというならば、先ほどの基本的な問題でできないとするならば、とりあえず、じゃ輸送の面についての補助という問題も私は一つの問題点として出てくると思う。それはもちろん運輸省の問題でないと言われるかもしれぬけれども、片一方にはいわゆる離島航路補助というものがありながら、先ほど申し上げましたところの一つのやはり問題点がある。それならば、それを実際的に合わすためにはどうすればいいかという問題もあわせて考えてもらわなきゃなりませんけれども、そういう面について検討されたことございませんか。
  71. 浜田直太郎

    説明員浜田直太郎君) 貨物運賃につきましては、いわゆる届け出制ということでございますので、これに関する補助制度というものを導入するということは、先ほど申しておりますように、非常にむずかしいと思います。  離島航路の補助制度につきましては、先生御案内のように、複数の会社がこれに従事いたしておるという場合には、補助の対象とはいたしておりません。この考え方は、離島航路というものを私どもはいわゆる生活航路と概念いたしておるわけでございまして、離島住民の最低の生活確保するということのために、当該離島航路が唯一の交通手段であるというところから出発したものでございます。したがいまして、離島の状況なりあるいは環境が変わってまいりまして、需要がふえ、あるいはまた離島航路の性格自体が変わってまいるというような場合には、その辺の事情を考慮いたしまして、また別の業者にこれを免許するというようなことがあるわけでございまして、さようなときには、最初に申しました、当該航路が唯一の生活航路であるという面がだいぶ薄らいでまいりますので、これは補助の対象にはしないと、こういう考え方でございます。そこで、奄美の問題にいたしましてもあるいは沖縄の問題にいたしましても、私ども現状は今後改善する余地はもちろん多々ございますけれども、量的なサービスの面におきましては現状で十分ではなかろうか。したがって、これらの航路を運営しておりますところのあらゆる会社に対しまして、何らかの離島航路補助制度の拡充によるところのものを今後適用していくということは考えておりません。
  72. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 しかしあんた、予算委員会のおたくの大臣の答弁とだいぶ違うじゃありませんか。徳永運輸大臣は、いわゆるこの物価対策の問題と関連をして、私の質問に対して、いわゆる航路補助という問題について、あるいは現在のこの離島航路の補助という問題についても検討してみなきゃならないと、こういう答弁をされておるんですよ。参事官のあんたは、もういまで十分ですと、こういう答えでしょう。私は何も、現在の離島航路のこの法律の中でこの問題について何か方法はありませんかと聞いておるんじゃないんですよ。これはあんたが言われぬでも、これは一つの航路に一つの船会社があったときにしか補助しないわけなんでしょう。ここにもうすでに問題があると言うんですよ。ほんとにあんたが言うように生活航路というならば、単に人を運ぶだけが生活航路じゃないでしょう。その離島の住民の生活水準引き上げる、あるいは物価が本土に比して高ければ、それをやっぱり本土並みにさせていく、それが生活上の問題なんでしょう。したがって、生活航路というものをそういう角度で取り上げるとするならば、その問題も私は検討に値しなきゃならぬ問題だと思うんですよ。それを、現在の法律からできませんからできません、できませんでは、これは何にも意味ないし、おたくの、予算委員会におけるところの運輸大臣の答弁と私は違うと思うんです。その点は皆さんどういう検討をされたんですか。
  73. 浜田直太郎

    説明員浜田直太郎君) おそらく大臣は、全般的な過疎対策というものを、今後福祉増進という国の大きな政策に沿って考えていかなければならない事情を踏まえまして、将来、現在の離島なりあるいは辺地のいわゆるナショナルミニマムの水準を高めるということを頭に置きながら答弁をしたものと考えます。当然、私どももさような方向に沿って考えなければならないと存じております。ただ、現状におきましては、離島航路の性格を私どもはさように概念いたしておりますので、非常に近い将来におきまして、先生御指摘のような措置を考えるということはなかなか困難ではなかろうかと、かように申し上げておるわけでございます。
  74. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、離島航路の政策というのは基本的にどういうお考えなんですか。人を運びさえすればいいということなんですか。離島住民の生活というものはやっぱり関連ないんですか、どうなんですか。
  75. 浜田直太郎

    説明員浜田直太郎君) 人を運びさえすればいいというようなことでは決してございません。人とともに生活物資も運び、かつ、その運ぶサービスの内容につきましても、逐次これを改善すべく、できるだけ指導いたしておるつもりでございます。
  76. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それならば、これだけ離島の物価が狂乱以上のやはりたいへんな高物価を招いておるわけなんですから、そうすれば、運輸上の政策の面として、どういうところにメスを入れたらこの物価対策という問題について寄与できるかということを考えるのは、これは運輸行政をあずかる者として当然考えなければならぬ策じゃないですか。そうじゃありませんか。それはもう考慮外とおっしゃるのですか。それはほかの省の仕事だ、こうおっしゃるのですか。
  77. 浜田直太郎

    説明員浜田直太郎君) 御指摘のとおり、運輸省といたしましても当然考えなければならない問題だと思います。ただ、これは先ほどから申しておりますナショナルミニマム、一般の水準の問題その他関連するいろいろな問題がありますので、関係各省ともやはり十分な打ち合わせが必要であろうかと思います。
  78. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それは関係各省と、あんたから言われぬでも、打ち合わせが必要、だということは三つ子だってわかりますよ、それは。けれども、おたくはどういう考えですかと聞いておるんですよ。たとえば先ほど来、午前中おたくもいらっしゃったと思いますけれども、あんたも。問題になっているのは、離島の高物価対策に対してどういう手だてがあるか、こういうことで、自治省自治省なりのものの考え方関係各省として努力をしてやりたい、こうおっしゃった。それならば、運輸省としてはどういう手だてがあるか、こういう私の質問に対して、あんたのいままでの答弁を要約しますと、いわゆる貨物は届け出制ですから、一定の行政指導には限度がありますからどうにもできません、片一方で。今度は離島航路の補助の問題については、これも一社で一航路だけですからどうにもできません。どっち考えてもどうにもできませんでは、どうにもならぬじゃありませんかと言っているんですよ。だから、この二つの問題を考えると、その問題を考えるとするならば、両方の角度からやはりメスを加えていって、何か改善策を編み出さない限り、現状の打破はできないじゃありませんか。それをあんたの先ほど来の答弁は、現行法から一歩も出まいという、それに対するところの言質をとられまいという一言に終始しているじゃありませんか。ほんとうにそういう形で生きた政治というものはできると思うのですか。
  79. 浜田直太郎

    説明員浜田直太郎君) 貨物運賃の届け出を受け付けるに際しまして、できるだけ行政指導の面を通じてそれを低位に押えるということは、いままで以上に一生懸命にやりたいと考えております。また、離島航路補助につきましても、これは全国的な問題でありますので、その補助の内容の引き上げあるいは補助航路の増加という点につきましては、最大の努力を私どもといたしましては傾注いたしたいと存じております。
  80. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そういうものの考え方を初めから出されるならば、それで私は一つ考え方だとわかるんですよ。とにかく何ともできませんという話に終始されるから、つい私も声が大きくなったわけなんですけれども、私はやはりこの問題は、そのままの形ではこの離島航路の問題あるいは離島生活苦という問題は解決できないど思うのです、これは。何もすべて私は海上運賃がネックになっているとは申し上げておらない。しかしながら、離島のこの物価高というものは、何といっても船で運ぶわけですから、この運賃がどうであるか、あるいはまた、それに伴うところの運賃に対するところの、会社に対するところの航路補助というものがどうあるかということが大きなポイントになっているだけに、先ほど来、その善処方をお願い申し上げている。  それでもう少し前に続けますが、先ほど、値上げの問題については三五%を二五%に引き下げるように行政指導した、こういうお話でございますが、これはいつから実施でございましたですかね。
  81. 浜田直太郎

    説明員浜田直太郎君) 本年の三月十日からの実施でございます。
  82. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これはあなたのほうは御存じですかね。三月十日に上げたばかりに対して、また値上げ問題が起きておるんですよ。現地からの連絡によりますと、今回、石油の値段が上がったから、それに見合う以上のものをひとつ引き上げさぜてもらわなければ船会社としては困ると、こういう話がもうすでに現地で出て、大騒ぎしておるんですよ。これはどういうふうにあんた情報を聞いておりますか。あるいはこの問題についてどう対処されようとしておりますか、お聞かせ願いたい。
  83. 浜田直太郎

    説明員浜田直太郎君) 申しわけございませんが、値上げの情報についての詳細は、いまのところ聞いておりません。ただ、今回の、石油の問題に関連いたしますところの運賃の値上げの問題につきましては、これは奄美のみならず、全国的な問題であると考えております。当然、これに対しましては、慎重な態度で臨む必要があろうかと考えております。
  84. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 もうおわかりだと思いますけれども、いわゆる三月十日の二五%の値上げ前に、すでに鹿児島と名瀬市との物価のいろんな状況を対比いたしますれば、鹿児島が一〇〇に対して、名瀬が主食が一〇六、調味料が一四九、野菜類が一六九、燃料が一三九、ただ、わずかに生鮮魚介類だけが九一と低いんですよね。今度の三月十日から二五%上がった——これはまだこの開きが出てきておると思うんです。その上に、いま私が申し上げましたどころのように、また船会社が値上げの意向を見せておるんです。そうなりますと、これはもう離島の住民はたまったものじゃないんです。あなたは東京で生活しておるから、その離島苦というのはおわかりにならぬでしょう。しかし、このように物価がどんどん、どんどん上がっていく、しかもその要因が運ぶところの船の、いわゆる貨物の値上げの問題が非常に大きな影響をしてくるとするならば、これはいまの問題については、行政指導から一歩も出られません、出られませんと、これだけでは済まぬのです、これは政治をあずかるものとしては、行政をあずかるものとしては。それならば、その届け出制について、さらにより強力な行政指導をされるのかどうか。もしされないとするならば、何か片一方でそれを補うところの便法というものは運輸省としてできないのかどうか、そこはどうお考えになりますか。
  85. 浜田直太郎

    説明員浜田直太郎君) 石油関連の運賃のアップという問題は、御指摘のとおり確かにたいへんな問題であろうかと存じます。したがいまして、私どもといたしましては、関係地方海運局を通じ、十分、さような軽い動きによりまして起こるところのものは抑制してまいりたいと考えております。ただ、先ほどから申しておりますように、これはあくまでも行政指導という感じでございますので、その辺、こまかく、海運局の個別的な事情をやはり聞いてみる必要はあろうかと存じております。
  86. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 だから、ほんとうには、まあその届け出制ということ自体にほんとうは問題があるんですよ、これは。いわゆる国鉄の貨物の運賃とか、こういうものは、みんなこれは法律にまで仕込まれる。そして、たまたま自分が離島に住んでおるために、船にたよらなければならないという住民は、一つの民間会社の届け出制によって——それはおたくのほうが行政指導されるにしても、どんどんどんどん上がるわと。同じ国民として、平等な権利、あるいはそれに対するところの国の政策の保障がなけりゃならないとうたわれながら、実際としてはそうなんです。したがって、私は先ほど来申し上げておるように、この届け出制の海上運賃のあり方の問題、さらには、離島航路に対するところの補助のあり方の問題ということについては、これは相当真剣に前向きに検討してもらわなけりゃ、現行法ではどうにもならぬですということだけではすまされぬと、私は先ほど来申し上げておるんですよ。その点は御理解いただけると思いますが、どうですか。そういう問題も含めて御検討願いたいと思いますが、どうですか。
  87. 浜田直太郎

    説明員浜田直太郎君) 届け出制の問題を、将来、認可制その他の別の制度に考え直すかどうかということにつきましては、先ほど来申しておりますような、運賃制度論ないしは運賃政策という上からの非常にむずかしい問題があろうかと思っております。また、何らかの、特定の航路に対しますところの国ないしは地方公共団体の補助の制度というものにつきましても、関連する問題が非常に多うございまして、なかなかむずかしい問題であろうかとは思っております。しかしながら、先生御指摘のとおり、これらの問題は非常に重要な問題でございますので、今後、私どもの諮問機関でありますところの運輸政策審議会でございますとか、あるいはそのほかの各種の審議会の御意見も聞き、十分に勉強し、検討してまいりたいと考えております。
  88. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ぜひひとつ前向きに御検討いただきたいと思います。  次に、自治省にお伺いをしたいと思いますが、これはやはり離島の住民の生活と関連をしての話なんですが、いま奄美地区には、御承知のように国家公務員あり、公社あり、公社職員あり、地方、県費の地方公務員職員あり、あるいは市町村費の地方公務員あり、各界各層の公務員がおるわけでございますが、その中で、御承知のように、市町村職員以外の公務員は、四%から二五%の、それぞれの特地勤務手当というのがついておるわけですね。ただ、市町村職員だけがない。確かにこれはそれなりの理由があることは私はよく承知をいたしております、これは。ただ、しかしながら、同じ地域で、同じ学歴を持ちながらも、たまたま市町村役場につとめておるというところで開きが出てこなければならないという、生活の実態上もこれは矛盾であることは否定できないと思う。そういうことから、現地の関係者からは、自分たちにもこの特地勤務手当というものを、適用の範囲を広げてもらいたいという強い要求があるんです。しかし、この問題は、現行の制度の中で考えますと、あるいはそのたてまえ論から見ますと、私はいろいろ議論があると思うんです。しかし、私は少なくともこの手当という特地勤務手当という名称にはこだわるつもりはないんですけれども、何らかのこれに対するところの方途というものはないのかどうか。もし、自治省検討されたところの経緯があるとするならば、そこらあたりをお聞かせ願いたいと思うんです。
  89. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 先生も御質問の中で言っておられましたけれども、この特地勤務手当というのは、国とか、あるいは県とかが、いわゆる通常の勤務地——というのもおかしいんでございますけれども、県で例をとれば、鹿児島市の県庁所在地、まあその本庁につとめる、その人が転勤命令を受けて奄美大島に行くというと、本来家族を鹿児島に置いておるのが、家族ぐるみ引っ越す、あるいは家族は置いてさらに二世帯張ると。そういう僻地なり、離島なり、そういうところに転勤することによって、通常の、その県の職員に対して生活が著しく不便になる、あるいは精神的に負担を負う、そういうものに対する手当の意味でございますので、まるまる、今度は市町村、名瀬市なら名瀬市が奄美本島にあるというところになじむ手当ではないわけでございます。  ところで、同じ名瀬市において、たとえば地元の中学校を出て、一人は県庁に入った、一人は名瀬の市役所に入った。そうすると、市役所に入った人には特地手当がつかぬが、県庁につとめて名瀬市の県の出先へつとめた人には特地手当がつくということで、一見きわめて不均衡と申しますか、不合理があるように見えるわけでございますけれども実際には、県庁に入った人は、たてまえとして、それはその名瀬市の県の出先だけにつとめるわけではなくて、県庁に入った以上、あるいは今度は垂水にも行くかもしれない、あるいは出水にも行くかもしれないと、そういう体系の中に入ったからの特地手当でありますので、理屈上はそれで実はいいわけでございますけれども、ところが実態は、その県の出先へ入った人も、名瀬市からほとんど転勤をしないということになりますと、おっしゃるような不均衡というのが、これ、目についてまいることは間違いございません。そこで、これに対して、法的、制度的に差しりかえない形で、何とか処置ができないかというのが、御質問の御趣旨だと思いますけれども、それに対して、法的、制度的に問題のないかっこうでこれを見るということになります場合は、まさに名瀬市の市役所の職員のベースの問題、給料表の問題ということで解決せざるを得ないわけであります。  ところで、じゃ名瀬市の職員の給料ベースの問題、給料表の問題といいますと、これは同じところへつとめておる国家公務員なり、県の公務員なりとの均衡ということももちろん考えてしかるべきである。同時に、その名瀬市における民間のいろいろな給料をおもらいになるサラリーマン、その方々との均衡ということ、これはいわゆる地方公務員法にいう、民間の給与、それから他の地方公共団体あるいは国の給与を参照して定めると書いてある、この一般原則にのっとって定めるという形になるわけでございます。その場合は、当然名瀬市自体の財政力というものも考えていくべきことだろうと思いますが、そういう一般原則の中で、それらの差異というものを考えながら条例で給料表を定めていく。その場合に、当然そういう要素を考慮するということはけっこうなことだと思います。したがって、まあまるまる——鹿児島県の職員が名瀬市の場合は何%か、私いまちょっとつまびらかでございませんが、そのまま給料表に上のせするというわけにもまいらないでしょうけれども、さりとて、そういう特地手当のない市町村に比べて何がしか高いというようなことは、そういった地方公務員法の諸原則を考慮した結果出てくるかもしれません。その辺、県内の各市との均衡という問題もあり、これはまあよく県の地方課その他と御相談になって名瀬市の給料表をおきめいただき、その範囲で考慮をなさるということで解決をしていただく、これが筋ではないかと考えておる次第でございます。
  90. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 筋で言えば全くおたくの答弁したとおりなんですよ。しかし、その筋を言っておったんでは、現実の問題として解決つけないから、何とかいろいろのくふうはできないものかどうかということを私はお尋ねしている。それはすべてそうなんだから、けっこうなことだから、ひとつ名瀬の市役所やりなさい、あるいは何々役場やりなさいと突っ放されたんでは、これまた財政の非常に乏しいところではどうにもできない。したがって、そういうものに対するところのあり方の問題、その市町村職員のあり方という本質的な問題を含めて少しいろいろ御検討願いたいと思うんです、これは。いま返事もらおうというんならそういう返事が出るかもしれませんけれども、これはそれで済まされない現実があるわけなんですから、特にまた、人を、それぞれの末端の行政機関に得るということのためにも、私はこのことは非常にいいことなんじゃないか、考慮しなければならぬことじゃないか、こう思いますだけに、この点の問題の、自治省としての内々のひとつ御検討をわずらわしておきたいと思います。検討されることはけっこうでしょう。どうですか。
  91. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) もちろん地方公務員にできるだけの人材を得る、そのためにできるだけの待遇を改善するというのは、これはひとり名瀬市にとどまらず、全地方団体の問題でもございますが、特に名瀬市のような場合、ああいう僻地において人材を得るということには、ほかの団体に見られない努力も払う必要があろうかと存じます。そういうことについて御相談その他あれば、できるだけの知恵をしぼることにやぶさかではございません。
  92. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 次は地域産業振興策について、いろんな具体的な問題でお尋ねをいたしたいと思いますが、まず、奄美の主幹農業でありますところのサトウキビ、この生産対策と申しますか、増産対策ですか、そういう問題に対するところの基本的なものの考え方というものを、関係省からお聞きをいたしたいと思います。
  93. 須賀博

    説明員(須賀博君) サトウキビにつきましては、私ども気象条件からいいまして、奄美地域に非常に適している作物であるというふうに考えておりまして、同地域の基幹作物という重要な地位を占めているというふうに考えております。したがいまして、この地域と熊毛郡を含めまして、甘味資源特別措置法に基づきまして生産振興地域ということで指定をしてまいっております。ただ、最近労力が不足いたしまして、生産が停滞しているという現状でございますが、サトウキビは、ほかの作物に比べまして非常に労力がかかるということが一つのネックになっているわけでございます。したがいまして、その生産振興をはかるためにはそういう省力化をはかるということが一つのポイントになろうかと思います。従来から特にネックになっております、収穫の段階におきまして省力化をはかる、合理化をはかるということで、刈り取り機の導入をはかっておるわけでございますが、四十九年度におきましても、従来は、四十八年度まで四十台程度助成をして導入しているわけでございますが、四十九年度におきましても三十四台程度助成をし、導入してまいりたいというふうに考えております。そういうことにおきまして省力化を促進するということを考えているわけでございます。  それからもう一つのポイントになるのは、この地域では、従来からつくられております品種がNCOの三一〇というのがございます。これはもう十年前から入っている品種でございまして、非常に性質が劣化しているといいますか、退化しているというような現状でございまして、どうしても新しい品種にかえていかなければいかぬということでございまして、四十七年度に新しい品種ができまして、これは種子島に農林省のサトウキビの試験地がございますが、そこで育成された品種がございまして、これはNI−1とか、あるいはL60−14というような新しい品種ができました。そういう優良な品種を早く増植しまして普及するということが、また一つのポイントになろうかと思います。そういうような省力化あるいはまた優良品種を導入するというようなことを通じまして、この地域のサトウキビの生産飼育をはかってまいりたいというふうに考えております。
  94. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 省力化あるいは品質の改良あるいはまた基盤整備ということは、非常に私は基本的な考え方としては重要になってくるというふうに思うわけでございますが、同時に、やはりキビの増産生産対策というものを考える場合には、生産者価格の問題も私はそのまま据え置くわけにはまいらないと思います。去年はいろいろ農林省の皆さんの、あるいは農林大臣の政治的な判断で非常に大幅な値上げができて、それらの現地の関係者においては、相当なやはり増産意欲が出てきているということは否定できません。しかし、先ほど来申し上げておりますように、この物価高という問題が、せっかく上げたものが、上げたとたんにこれだけ物価が上がってどうにもできないというのが、また農家の生活実態でもあるわけなんです。そういうような意味合いからは、ことしのやはり生産者価格をきめますところの十一月には、これまたどうしても上げてもらわなければならないと、こう思っておるわけでありますが、ついては五月以降の最近の農業パリティの傾向がわかっておりましたら、お聞かせ願いたいと思います、その件に関して。
  95. 齋藤稔

    説明員(齋藤稔君) 最近のパリティの指数の傾向でございますが、四十八年の十月をとってみますと、これは対前年比一二二・九一、十一月が一二二・五六、十二月が一二三・九三、四十九年の最近時の一月でございますが、これは対前年同月比一二七・六七という傾向になっておるわけでございます。
  96. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 もうこのパリティの一つの傾向から見ましても、これは相当やはりことしもこの生産者価格の問題のアップというものは積極的に考えていただかなきゃならないと、こう思うんですが、それにしても、その先行をなすものが、来月にきめられますところのビートの価格設定ということが問題になってくるかと思いますが、実はきょうはその問題についてもお尋ねしたいと思っていましたけれども、時間がありませんので、じゃこれはそれぐらいにいたしまして、いずれにしても、サトウキビの生産対策の場合には、いわゆる生産者価格の引き上げということも重要なやはり要素だということをお忘れのないようにして指導していただきたいということだけを申し上げておきたいと思います。  なお、引き続きまして、同じ農業関係でございますが、これは畜産関係になると思いますけれども、奄美の農業を考える場合に、サトウキビだけでは、これはもうどうしてもやっていけない。したがいまして、やっぱりサトウキビプラスアルファーいわゆるアルファということになると、島別によってそれぞれの特色はあると思いますが、いずれにいたしましても、複合農業と申しますか、サトウキビに何かを加えてやるという方式をやらない限り、奄美の農業の発展というものを期待するわけにはまいらないと思うんです。  そこで、まあ私はそれぞれの地域で、ユリあり、あるいは野菜あり、それぞれの対策としてやらなきゃならぬと思いますが、共通して言えることは、畜産をやはりどういうふうにして振興させていくかということも、奄美の農業発展をさせる、ひいては農家の所得引き上げていくという場合にはきわめて大事な要素だと、こう思うんですが、いわゆる農林省としては、この奄美の畜産をどう見ておられるのか。それと同時にまた、その振興策を具体的にどう考えておるのか、まずお聞きかせを願いたいと思います。
  97. 白根亨

    説明員(白根亨君) 先生から御指摘のございましたように、私ども畜産を考えてまいります場合に、各地域地域によりまして、それぞれ事情が異なるところがございます。奄美地区の場合を考えました際に、一つの、非常に特徴だというふうに私どもが考えておりますのは、気候の点から見まして温暖であると。したがいまして、いわゆる草と申しますか、一言で言いまして、それが他の日本の地域に比べまして、比較的その生育が順調であるというような面から、これは大きな特徴だと考えております。  その次に、御指摘のございましたように、やはり既耕地でどういう作物がつくられておるかというような点になるわけでございますと、まさに、御質問のサトウキビをつくりました際、それを一〇〇%フルに有効に利用することはできないかというというような点、この点につきましては、特に梢頭部の問題でございますとか、バガスの問題とか、こういうものがあるわけでございます。こういうものをどういうふうに畜産の関係でうまく取り込んでやっていくかと、まあ、こういうところが非常に問題であるし、今後着目すべきポイントになるんではないだろうかと、こういう基本的な考え方を持っているわけでございます。  そこで、他方、畜産のサイドから申しました場合に、そのような粗飼料と申しますか、これの何かこう手がかりがあるぞというような場合に、考えてみました場合に、今後需要がかなり堅調に伸びていくと思われますのが、私は牛肉ではないだろうかと、こういうふうな感じでおるわけでございます。この結びつきを、まさに先生が御指摘されましたような形でどうやってやっていくかというのが、私どものこの奄美を特に頭に置いた場合の一つの課題であると、こういうふうな考え方でおるわけでございます。  従来も、特に前者につきましては、基盤の整備、あるいは草資源の利用施設整備してまいりますとかというようなこと、あるいは明年あたりも、現地のほうからいろいろと現在御相談を受けている事業があるわけでございますけれども、そういうものをいま検討いたしておる最中でございますけれども、それに加えまして、今後サトウキビの問題につきましても、特に梢頭部の利用というようなことを十分注意をして持っていきたい。  ただ、なお今後課題だというふうに思っておりますのは、生産の時期が一時的に集中化いたしますこと、あるいは非常にその労力が一時的にまた同様に集中するとかというようなこと、ここいら  のところをどういうふうな対応をすれば——たとえば一つの方法としましては、いまいろいろ考えておりますのは、その調整方法とか、貯蔵の方法とかというようなことにいい知恵はないだろうか。まあこの点については鹿児島県の担当の方々ともいろいろ話し合いしておりますが、何か肉牛の振興策として適切な方策はないかというようなことも話し合っておるわけでございます。そういうのを詰めながら、かたがた一方では、先ほど申しました基盤の整備だとか、あるいは家畜の導入事業等をやりまして、事畜産、ことに大家畜になりますと、息長くじわじわじわじわと続けていくということが基本的に大事だと思っておりますので、いま申し上げましたような点に注意しながら、積み上げをこれからじっくり腰を落ちつけてやっていくべきであると思っておりますし、いきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  98. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 畜産の主体を肉牛に置きながらやりたいというお考えですが、その場合に、確かに御指摘されたところの粗飼料としての草——あるいはまあバガスもそれに入りますか、そういう問題を考えてみた場合に、いわゆる奄美のもう一つの特産であるところのサトウキビから出るところのバガス、これをどう活用していくかと、このことが私はやはりきわめて——畜産もあわせて行なうという、言うならば一挙両得的な問題点が私はあると思うんです。したがって、この問題については、相当積極的な検討を農林省としてはしてもらわなきゃならない課題じゃないかと思うんですがね。この件については、私の同僚議員の工藤君が本院の物特でもいろいろただしておりますので、私は重複は避けたいと思いますけれども、そのバガスでいえば、従来沖縄で使われておったところのバガスに糖みつを入れるところの糖みつバガスが、これはやっぱり実験の結果から見れば、有害なリグニンを含んでおって非常に問題があるということがいまや明らかになっている。しかし一方、いわゆるこのバガスあり方の中で、発酵バガスという観点のものが、最近いろいろな実験の結果から見て見直されてきつつある。こういう点では、この発酵バガスを活用してその飼料としてやっていくということについて、早急に私はやっぱり農林省としても結論を出すいま段階にきておると思うのです。これは御案内のように、鹿児島でも一部、大分でも一部、広島でも一部、やはりこれを飼料として使ってみて、試験結果としてはやはり非常にいい点が出ております。また、すでに日本以外の六ヵ国では特許も取っておる。こういう事実等を考えてみれば、このバガスを活用していくということは、奄美にとっては、きわめて畜産を発展をさせるためには重要な要素だと思う。まあ実験結果によりますれば、このバガスを活用するならば少なくとも濃厚飼料の二〇%は削減できると、こういわれておるぐらいのものでございますから、私はぜひとも農林省の関係局の中で早急に結論を出して、この問題に対するところの積極的な姿勢というものを打ち出していただきたいということをこの際申し上げておきたいと思うんです。御承知のように、いまバガスは燃料に使われておりますわ、これは。まだ製糖会社の燃料に使っていますけれども、実は燃料に使って非常に問題が出てきているのです。というのは、これを燃料にするために、いわゆるばい煙公害という問題で、これはすでに大島では具体的に大きな問題になっておりまして、法務局からも再三再四の注意を受けなければならないということになっているんです。したがって、いわゆる製糖工場におけるところのバガスの活用というものよりは、むしろ、飼料として畜産にこいつを活用していくという方向こそ、私は、奄美の畜産なり奄美のサトウキビ生産を増大させるためにも一挙両得的な要素があるんじゃないだろうかと、かねがね考えておるわけでございますので、この際やはりこの問題については早急にひとつ前向きの結論を出すように御努力願いたいと、こう思いますが、いかがでしょう。
  99. 宮崎武幸

    説明員(宮崎武幸君) お尋ねのバガスの件でございますが、最初に発酵バガスについての御意見でございます。御案内のように、糖みつを添加します方法と、それからただいま申されました発酵によります方法と、両方ございます。糖みつを添加します方法のほうが若干企業化的には先行しておるという感じでございまして、沖縄県等でも若干すでに企業化が試みられつつあるところでございます。発酵法によりますほうは、その点まだ少し企業化にはなお検討する余地があるんじゃないかというふうな結論が出ております。この両方の方法等につきましても、従来から、科学技術庁等を中心にいたしましていろいろ調査、研究等が行なわれております。もちろんこれには当省からも参加いたしておるわけでございます。いろいろ牛の嗜好等から見まして、発酵法につきましてはなお検討する余地があるんではないかというふうな答えを私どもいただいておりますので、いずれにしましても、どのような方法にいたしましても先生御指摘のように、廃物でございましたバガスを活用しまして飼料資源に回すということは、非常に有効な、かっ必要なことでございますので、そういった技術的な検討を早急に進めて、バガスの実用化に進みたいというふうに考えておる次第でございます。
  100. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは早急に結論を出して、積極的な姿勢を示してもらいたいと思うんですが、ただ、いまあなたの発言ですけれども、ニュアンスとしては発酵バガスよりも非常に糖みつバガスのほうをあなたは評価しておるみたいなニュアンスですけれども、この間も指摘されたでしょう、科学技術庁のあの資料に、非常に問題があった点は。これは福岡の畜産試験場の結果をあえて隠しておったところに問題があったわけなんです。それだけに、私は何も糖みつはだめだからバガスは発酵にしなさいと、こう言っているわけじゃない。しかしながら、少なくともこの間問題にされておるところの問題なんですからね。その問題点をやっぱり謙虚に受けとめて、ぼくは関係課としてもこれは前向きの検討をしてもらわなければ困ると思いますよ、その点。それだけは申し添えておきますからね。  次に移ります。いま一つは、奄美の基幹産業であるところの大島つむぎの振興策であるわけでございますけれども、これはこの問題と関連をするところの法律案も別の委員会に出されていますから、その機会にやるといたしまして、ここでお聞きして、また関係官庁の御協力をいただかなければならない問題は、水産業振興策についてでございます。奄美ぐらい、水産業振興させるためには、発展させるためには立地条件はよろしい、しかしながら、現実の問題として水産業が発展をしておらない、これはいわゆる七ふしぎの一つにされておるところの問題でございますけれども、この点、水産庁としてはこの原因がどこにある、問題点は何なんだと、こういうことについてどういうふうな見方をされておるか、まずお伺いいたしたいと思います。
  101. 平井義徳

    説明員(平井義徳君) ただいま先生から御指摘のとおり、奄美の海は非常にきれいで、沿岸漁業としては非常に将来性のある漁場というふうに考えております。ただ、なぜそれが発展しないのかということにつきまして、あるいはいろいろなお考えがあろうかと思いますけれども、われわれといたしましては、理由として三つぐらい考えられるのじゃなかろうかと思います。  第一には、離島でございますために、水産物の消費市場までの距離が非常に遠い、そういうことで、流通面で日本の内地と比べまして若干不利な立場にあるということが第一点でございます。  それから第二点は、御案内のように、台風が非常に多うございまして、操業の非常に制約になるという面があるんではなかろうかと思います。  それから第三番目に、本土に比しまして経営規模といいますか、あるいは漁船の規模といいますか、それが非常に零細でございまし、そういう点があろうかと思いますが、そういう原因に対しまして、われわれといたしましては、第一点の市場の問題その他につきましては、流通関係の施設の助成等によって若干の解決があるのではなかろうかと思います。  それから台風とか、あるいは経営規模の問題は、一つには避難をする場合の港の整備をする。それから、あるいは漁船の融資その他によりまして大型化をするというようなことが考えられるのじゃないかと思います。
  102. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 奄美の水産業のふるわない問題点についていろいろ御指摘願ったわけでございますが、この点は、私も御指摘された面は非常に問題点があると見て、早急にやはりこれは予算の面でも生かされていかなければならない課題だと、このように思っておるわけでございますが、そこでもう少しお聞きいたしたいのは、奄美の水産業振興といっても、取ってつけたみたいにいわゆる遠洋漁業をやれといっても、これは無理な話ですから、言うならば沿岸漁業ないし沖合い漁業をどのようにして振興させ、発展させるかということが、やはり火急の問題になってくると思いますがね。そこで、奄美の沿岸漁業を考えてみましても、リーフも多いですし、いろいろ魚礁になるところの場所が多そうに見えておって、なかなかこれが収獲が上がってこない。一体これはどうすればいいのかですね。その漁法を見ても非常にまた旧式なんです。したがって、沿岸漁業という角度からとらえて見た場合に、この振興策ということならば、とりあえずどういう点を一番手直しをしなければならないというようにお考えになっておられますか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  103. 平井義徳

    説明員(平井義徳君) いま御指摘の、沿岸漁業の振興についてはどうやったらよろしいかという御質問でございまして、的確にお答えできるかどうかわかりませんが、われわれといたしましては、たとえば魚礁の設置というようなことがありますが、こういう点につきましては、構造改善事業というのがございまして、漁場の改良造成をやっております。たとえばコンクリートブロックを入れまして、魚の住みかをつくる、そういうような制度がございます。そういうことによって漁場がさらにりっぱなものになってくるというようなことが考えられるのではなかろうかと思います。
  104. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 このいま一つの沖合い漁業の問題ですがね。これはとりあえず船の問題、港の問題など、すぐ頭に浮かぶのですがね。この点はどういうふうに考えておられますか。
  105. 平井義徳

    説明員(平井義徳君) 沖合い漁業といいますと、たとえばカツオ漁業というのがございますが、この問題は、カツオというのは、御存じのように、生きた魚をえさにまきまして、それを食べに上がってきたところをつるという漁法でございまして、この一番大事なえさが、ここでは非常に気候の条件と申しますか、長く生きておれないという弱点があるわけです。で、キビナゴという魚を使うわけですけれども、これが一日ぐらいしかもたない。それから、えさの供給が非常に変動がございまして、安定して供給できないという点がございまして、この漁業はそういう制約のためになかなか発展できないという問題があろうかと思います。したがいまして、カツオ等の沖合い漁業を振興させるには、まず第一に、えさになりますキビナゴの対策を考えないと、発展は困難ではなかろうかと思います。
  106. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 お答えいただいた部面だけが即沖合い漁業の振興策にはならないと思いますが、しかし、大事なところのポイントだろうと思います。それで、やはりこれらの問題について、自治省としても水産庁と十分連携の上、予算の面その他の面でもやはり積極的な手だてを講ずるように関係各庁とお話し合いを進めておいていただきたいと思います。  それで、時間もだいぶたちましたので、最後になりますが、最後に、振興開発基金の問題について二、三お尋ねをしたいと思います。  基金問題につきましては、旧来の振興信用基金を振興開発基金に改めて、かつ同基金の業務内容についても、その機能を拡大するような法改正が加えられておるという点については、私どもも非常に意を強くし、同感の意を示すわけでございますが、なおこの機能を十分発揮させるという面から、二、三ただしてみたい点があるわけであります。  御承知のように、基金は、復帰をした直後に、いわゆる従来ありましたところの奄美群島の信用保証協会から発展をしてきたものでございますが、この面については金融業務と保証業務の面があるわけでございますが、その保証業務の面について申し上げてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  現在、信用基金の保証基金は三億五千万円となっております。これは従来の保証の伸びに対応して、承継債権の回収が、非常に従来までは、いままでは順調に行なわれてまいっておりましただけに、今日まではこの面に対するところの追加出資がなくてもやっていけたのでございます。しかし、いまやその承継債権者は、どちらかというと資金の乏しいもののみが残っておるという形でございまして、今後、従来と同じように回収率がうまくいくのかどうかということについては、非常に率直に言って、私は疑問を感ずるわけであります。非常に無理があるのじゃないか、前と同じように期待することは。したがいまして、このままの形で保証業務の増加に対応したところの保証基金の増勢ということはきわめて困難性が出てくるのではないかと見ておるのでございます。加えて、昨年来の金融の引き締め政策に伴いまして、保証需要がまた急激に上昇をしてきた。それで、保証債権債務残高が、業務方法書に規定をするところの保証基金の額の十倍にも達しようとしているのが現状のようなんです。  そこで、こういう実態を踏まえてお尋ねをし、また前向きの御検討を願わなければならないその一つの点は、いま申し上げたところの問題点を解消するためにも、さしあたり保証倍率の引き上げを行なう必要があるんじゃないだろうかと、このように考えるわけでございます。衆議院の議事録を拝見をいたしますと、行政局長のほうからは、情勢としては明るい情勢がきておるんだという筋の御答弁があったようでございますが、きょうは直接責任の大蔵省からも来ておられるわけでございますので、この問題について、この保証倍率の引き上げという問題について、ぜひともひとつ前進したところの形で解決してもらいたいと思いますが、どのようにこれは見ていらっしゃいますか。あるいはまた、この問題に対するところの考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  107. 岩瀬義郎

    政府委員(岩瀬義郎君) 御指摘の保証倍率のことでございますが、現在は基本財産の十倍ということになっております。保証残高から見ましても、この十倍ではもうほとんど限度一ぱいにきておるという点は御指摘のとおりでございます。ただ、この保証倍率というのを引き上げるにあたりましては、やはり一つ基本財産の問題あるいは事故率の問題等、いろいろ考えてまいらなければならないわけでございますが、幸いにして、鹿児島県と名瀬市の出資の道も開かれたことでございますので、基本財産の増加という点においては一つの道が開かれておる。しかし、それを勘案いたしましても、やはり倍率をある程度いまの十倍から上に伸ばすということについては前向きに検討していかなければならないと考えております。
  108. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 前向きに検討されるというのは、私どももいままで接触した範囲の中から感じ取れるのですが、単刀直入に申し上げて、やはり二十倍とは申し上げられませんけれども、思い切って十五倍ぐらいに引き上げるという御意思はございませんか、どうですか。
  109. 岩瀬義郎

    政府委員(岩瀬義郎君) いま直ちに十五倍ということをお答えする用意はございませんけれども、これは基準といたしましては、大体似通った倍率のところの保証協会——内地でございますが、そういうところの事故率の状況等、あるいは信用基金の事故率の状況とかいうようなものを、いろいろ——これは背景か違いますから、必ずしもすぐ右から左に移すというわけにはまいりませんけれども、そういういろいろな点をやはり検討をする必要があると思っております。したがいまして、いま具体的に十五倍だということにつきまして即答はいたしかねますが、できるだけ前向きに検討してみたいと考えております。
  110. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その御答弁よくわかるのですが、ひとつその前後ぐらいには引き上げるように努力をしたいと、こういうような御意向だと理解してよろしゅうございますね、その点は。いいでしょう、それは。
  111. 岩瀬義郎

    政府委員(岩瀬義郎君) 先生のお気持ちも十分わかりますので、その辺をよく勘案して検討してみたいと思っております。
  112. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 もう一点は、一般的に保証残高の二%程度の代位弁済が行なわれていて、今後保証の伸びに対応して、保証債務を保険に付する必要がもう生じてくるんじゃないだろうかとこう考えられるのですよ。それをどういう形にするかということが、非常に実際問題としては関係業者の悩みの種じゃないだろうかと思うのです。ですから、たとえば方法として、中小企業信用保険公庫を利用して付保を考えられないのかどうか、あるいは同公庫から低利資金の借り入れということができるような処置というものができないものかどうだろうかということを、関係者もいろいろ方法をどうしたらいいだろうかと悩んでおるようでございますが、これらの問題について、何か指導の方向性でもおありでしたら、ひとつお示しいただければ非常にありがたいと、こう思いますけれどもね。
  113. 岩瀬義郎

    政府委員(岩瀬義郎君) 御承知のように、奄美群島の信用基金というものはひとつ独特のものでございまして、保証業務と融資業務をあわせて併営しておるという形になっております。これは発生的にそういうふうになってきたわけでございますが、この基金と、いま御指摘の信用保険公庫というのは、これは保証協会に対する保険を行なうと、融資保証に対する保険を行なうというたてまえになつ七おりますが、その保証協会なるものは、国からの出資は受けておりません。ところが、奄美群島の基金につきましては、これは国からの出資が直ちに直接行なわれておるというところで基本的には違っておりますので、実際には、基金に何かいろいろ保険——通常の観念からいく保険事故が生じるとすれば、それは国が出資しているというたてまえから、国の直接の責任という形になるかと思いますが、保険公庫の場合は、これは民間の融資に対する保証を協会がやっておりますのに対しての保険、その保険公庫に対しては国が出資いたしておりますが、保証協会には国が出資しておりません。したがいまして、もし、この保険公庫を使いまして、奄美群島の信用基金の保証に対する保険をかけるということになりますと、国が、また国の出資している機関に対して保険をかけるという仕組みになりますので、やや問題がございますのと、先ほど申し上げましたように、奄美群島信用基金は、独特のこの地域のためにできた基金でございますので、ちょっと直接に保険、信用保険と結びつけるというのについては難点がいろいろございますので、むずかしいのではないかと考えております。
  114. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 たてまえ論からいってむずかしいということはよくわかるんですがね。さらばといって、今後保証業務がどんどんこう伸びていく。それに対して、その出資の面でも——私が聞き及んでおるのは、県の五百万と名瀬市の百万が新たに出資されたということを聞き及んでおるわけでございますけれども、これがどんどん伸びていくとすれば、一体、出資のほうをふやすことができないとするならば、この保証の債務に対して、何か保証保険的なもので保証させていくという方法を講じない限り、これは実際やるところの連中としても不安が出てくると。それは審議官のお話では、国の直接の責任だからと——国が責任を持って何かいい方法をひとつ編み出してみようというのなら、また話は別でございますけれども、何かこのままでは私はぐあいが悪いと思うんですがね。その点いかがでしょう。
  115. 岩瀬義郎

    政府委員(岩瀬義郎君) やはり基本的には、この奄美群島信用基金の保証業務を遂行していく上におけるいろいろな今後の支障がどのように出てくるかということ。先ほど御指摘の保証倍率の問題もそうでございますが、むちゃくちゃにその倍率をふやすというようなことをやりますと、非常に健全性がそこなわれるというような問題が出てまいります。そこで、やはり事故率を見てまいりましたところで、いま信用基金の事故率というのはそれほど高くないわけでございます。むしろ本土の保証協会の中に、かなりそれより高い事故率のものがございますので、先ほどお答えいたしました保証倍率の問題も、その辺からもう少し上げる余地があるのではないかと考えております。したがいまして、いまの状態で直ちに保険に付保するような機構に結びつける必要があるかどうかについては、これはちょっと非常に複雑な機構でございますので、検討はさせていただく、勉強はさせていただくということが現状ではなかろうかと思っております。
  116. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まあ事故率のないということは非常にけっこうなことですし、また関係職員の努力のたまものだと、こう思います。しかし、いずれにいたしましても、この奄美の財政、各企業の産業の財政事情を考えてみますれば、相当この活用というものも出てまいりますし、そういうことを考えておりましたら、現状のままで、いいからといってそのまま放置するわけにもまいりませんので、この点はぜひともひとつ当局のほうでも考えて検討していただきたいと、こういうふうに思います。  それからもう一点、最後でありますが、これはなおむずかしい問題だろうと思うんですがね。追加出資の問題なんですね。これはまあ保証業務の経営基盤を強化するためには、どうしても、先ほどもありましたように、追加出資の額をふやしていかなきゃならぬけれども、それが、先ほど来話がありますように、地方公共団体では若干出している。しかし、国はこれに対して、もうこれは行なわないという形になっておるわけでございますだけに、国として追加出資という問題の道を開く方途ということを検討しておいてもらいたいと思うんですよ。なるほど、これは私もいろいろ課長さんからお聞きいたしますと、この現在の第十条三の3の、「融資業務に要する資金」は云々といって、法律の面できちっとあるけれども、どうもこの保証業務の面についての出資というものについては何ら触れられておらないんでねというお話も聞きました。確かにそれも一理あると思う。さらばといっていわゆる保証業務に出資してはならないという規定もこれまたないんですよね、この法律の面では。しかも、もともとのこの発展の歴史を振り返ってみますれば、保証業務が本体だったわけですから、最初の発足がね。したがって、やはりそういうところの点を考えていただく。あるいは地方公共団体の出資といたしましても、県がわずか五百万しか出せない、あるいは市町村といっても、名瀬市しか、百万も出し得ないという財政規模でございますから、それらの点では、私は現行の中ではなかなか問題点があると思いますけれども、このままやはり放置をするわけにもまいりませんし、ほんとうにやはりこの振興信用基金から文字どおり振興開発基金と銘を打った以上は、積極的にやはり奄美振興開発にこの基金が役立つと、こういう大前提を踏まえていただいて、御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  117. 岩瀬義郎

    政府委員(岩瀬義郎君) 先ほどから御質問の点で一番私お答えにくい点ではなかろうかと思いますが、この振興基金につきましては、先ほど申し上げましたように、融資業務についてはかなり国も出資もいたしておりますし、それから転貸債等の形で融資もいたしておりまして、この融資業務のほうは、内地の、本土のいろいろな中小金融機関とか、国民公庫、中小公庫等の貸し付けの金利に比べまして、はるかに安い金利で融資をしておるというような特典を持っております。したがいまして、そのほうの融資業務については、かなり国が直接もう現在もやっておるわけでございますが、保証業務のほうは、とりあえず倍率をふやして、まあ保証業務というものを拡大していくという形をとるのが一番いいんではないかと。将来どういうふうな姿になりますかということについて、その段階検討することになるかと思いますけれども、現状では、私どもは倍率の増加ということによってこたえられるのではないかと考えております。
  118. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これで質問やめますがね。まあ保証業務についての倍率をふやしていきたいという、その当面の手だてはもうよく私ども理解し評価するんです。しかし、やはり保証業務の面ですね、将来の展望ということを考えてみた場合に、あの零細な地域におけるところの保証業務の仕事というのは、相当あるわけなんですよ。したがって、やはり基金だけしかたよりにならないという面があるわけです。ほかの、現在ありますところの、いろいろな保証協会ありますけれども、みんな縦割りでしょう。したがって、なかなか奄美の零細な業者がそこにすがっていくという仕組みはなかなか実際上はもう困難な点があるわけなんです。その点をひとつ勘案していただいて、ぜひとも私最後に申し上げたところの点、あるいはまた最後から申し上げた第二点目の点についても、積極的なひとつ大蔵省の御検討をお願いをして、質問を終わりたいと思います。
  119. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 奄美群島振興につきましては、道路、港湾、あるいはサトウキビあるいは物価の問題、また石油企業の誘致の問題、こうした問題がございますが、私は大島つむぎという問題にしぼりましてお聞きしたい点をお尋ねいたします。  まず、通産省にお願いしたいんですが、最近の生産高の概況を御説明いただきたいと思います。
  120. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) お答えいたします。  大体、大島つむぎ産地の概況について御説明申し上げたいと思いますが、大島つむぎは、大島本島それから徳之島、鹿児島県を中心に、その事業者の数約四千企業でございます。織機の台数が約二万四千台を擁するわけでございます。年間総生産高八十四万三千反、生産額で申しますと、二百七十億円。他に産業の少ない奄美群島では非常に重要な産業でございます。いまの生産額の中で、奄美群島の分だけ申し上げますと、二十八万四千反、生産金額のほうが約百二十億円というふうになっております。
  121. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 それは四十七年のですね。
  122. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) さようでございます。
  123. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 四十八年度はどうでしょうか。
  124. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) 恐縮でございますが、まだ正確な数字を把握しておりません。
  125. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 私がちょっと資料をもらいまして調べましたのによりますと、昭和四十八年度は、反数にいたしますと二十六万五千六百反というふうに聞いているわけなんです。それはいかがですか。
  126. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) いま実は私の申し上げました資料は、具体的には鹿児島県の絹織物工業組合調べの数字でございます。そういったことで、出所等の関係で若干数字がうまく突合しない面があるのかどうか、私どもよく調査してみたいと思います。
  127. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 昭和四十七年度よりも四十八年度の生産高が減っているということは御存じでしょうか。
  128. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) 全体といたしまして、特に昨年末から最近にかけまして、消費者の方々も、やはり全体のインフレのせいかと思われますが、やはり和装品に対する消費者の需要が相当減っている。やはり食料その他が上がったせいでしょうか、若干耐久財については需要が落ちているということが一つあるようでございます。  それからもう一つは、全体の金融引き締めの影響で、いわゆる流通部門の仮需と申しますか、中間需要が減っているということで、従来相当生産が伸びてきた大島つむぎについても、最近は不況と申しますか、需要の停滞が見られるというふうに承知しております。
  129. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 この間私も現地へ行ってみまして、つむぎの業者の方たちの深刻な声を聞いて帰ったわけなんですが、いろいろいまそちらでおっしゃったような原因もその原因の一つと思いますが、生産が落ちているという原因ですね。しかし、現地の方たちの意見は、いま問題になっております韓国のつむぎが大量に輸入されている、その影響が非常に強いんだということを言っているわけなんです。そういうことは、通産省の方も現地においでになっていろいろお聞きにもなっているでしょうし、繊維業界どかあるいは織物業界の現状をもう御存じなわけですから、そのことについてはどのようなお考えを持っていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  130. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) まず第一に、韓国の大島つむぎの輸入の状況でございますけれども、これは、通関統計——現在はつむぎという区分がございませんために、具体的に数字をあげてお答えできないわけでございますけれども、これからは輸入統計の整備をいたしたいと思います。  それで、昭和四十八年度におきます韓国からの絹織物全体としての輸入は約八百七十万平方メートル。前年に比べまして約一三%の増ということになっております。そのうち、約八〇%程度がしぼり加工の織物であるというふうに考えられております。業界からの推定では、韓国から大島つむぎとして約二万ないし三万反の輸入が行なわれておるというふうに聞いております。大島つむぎの国内生産高は、先ほど申しましたように八十三万反ということでございます。大体、輸入の現状はそのようでございます。  で、これに対する対策といたしまして、基本的な産業政策の面と、それから貿易面の政策と、二通りになると思うわけでございますけれども、基本的には、現在国会に提出しております特定繊維工業構造改善臨時措置法、それから奄美大島の振興開発措置法といいますか、それから伝統産業振興法といった三法の制定等によりまして、それぞれの法律に適合した……。
  131. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 あなた、私が聞かないことをあまりべらべらしゃべらないでください。それで、そんなに速く言うともうわからないんですよね。  私あなたにお聞きしたのは、現在、大島つむぎの生産が、昭和四十七年から四十八年度を見ると減っていると。減っておりますね。現地も、非常に激減しているということを心配しているわけです。その原因がどこにあるのか。いままでは非常に順調に生産が伸びてきているわけです。ところが、昭和四十七年から四十八年になりますとぐっと減っているわけです。そこに問題があるわけです。これは大島つむぎだけの問題ではなくて、いろいろ業界の問題あるいは節約のブーム、そういうもの、いろいろな経済のしわ寄せというものがそこへきている。それも一つの原因だと、こう思います。それはいま御答弁の中にあったわけですね。ところが、韓国のつむぎが——この大島つむぎの生産が落ちて、そして今後もどんどん落ちていくんじゃないかと。三年たてば大島つむぎはもう維持していけなくて滅亡してしまうんだというようなことを深刻に言っているわけですね。それは奄美大島の業者の人たちなんです。通産省の責任者のあなたはそれをどういうふうに見ていらっしゃるかと、それをお聞きしたいわけなんです。
  132. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) 御指摘のように、先ほど申し上げました国内の景気の後退と、それから韓国からの輸入がふえてきている、今後ますますふえていくんじゃないかといったようなことから、現地におきまして、相当業者の皆さまが将来不安を感じておられるということは全く御指摘のとおりだと思います。基本的には、全体の製造業者、中小企業の皆さまの体質を強くしていくというための政策を推し進めたいと思いますし、それからもう一つは、その輸入の面につきましては、まず、そのつむぎ製品の輸入状況の実態を正確に把握する、そのための統計整備をいたしたいと思います。それから、韓国の中でつむぎの生産がどれだけ行なわれておるか、今後どういう計画があるかといったような生産事情の調査等を実施したい。それから、その関係業界が、大体、原料の糸をわが国から韓国に輸入して、それを加工しておるというという事業か韓国でも大部分のようでございます。一部は一貫生産をやっているところもあるようでございますが、大部分は糸をわが国から出しておるということのようで、関係業界のわが国からの原糸の輸出あるいは韓国からの製品輸入、こういったものにつきましても自粛を要請してまいりたいというふうに考えております。
  133. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 私がお聞きしていることは、この大島のつむぎの業者たちの言っていることがそうだと、もっともだと、そういうふうに思っていらっしゃるのか、それとも奄美大島のつむぎの生産が落ちたのは、韓国のつむぎがどんどん輸入されているという事実にはあまり関係のないことだと、こうお思いになるのか、どちらですかということなんですね。
  134. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) 現在の段階では——まあ私の見解にすぎませんけれども、全体として見れば、国内のさっきの消費需要あるいは中間需要といったところの停滞によるところが非常に強いと思います。しかしながら、その将来を考えてみますと、やはり韓国からのつむぎがふえておりますし、今後非常にふえそうだということが加わって、非常な心理的な不安が強まってきておるというふうに了解しております。
  135. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 そうしますと、通産省としましても、現地の業者の人たちが心配しているようなことに対してはもっともだと、その立場に立って何とか対策をしていこう、方法も考えていこうという、そういう気持ちになっていらっしゃるわけですね。
  136. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) それはできるだけの努力をして御協力していきたいというふうに思っております。
  137. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 それで、この大島のつむぎと称している韓国製品というものがどんどん入ってきている。この輸入状況を——まあさっきお聞きしないのにあなたのほうで何かおっしゃったようですけれど、もう少しゆっくりと、はっきりと、申しわけないんですけれども言い直していただきたい。
  138. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) どうも失礼いたしました。  韓国からの大島つむぎの輸入の状況でございますけれども、実は最近まで統計としてつむぎが分かれておりませんので、具体的な数字をあげてお答えできないのが残念でございます。で、そのつむぎを含む韓国からの絹織物輸入全体といたしますと、昨年約八百七十万平方メートルでございまして……。
  139. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 昨年ですか。
  140. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) はい、四十八年の韓国からの絹織物輸入ということで約八百七十万平方メートル。これ、前年に比べますと約一三%の増加になっております。このうち、約八〇%がしぼり加工の織物であろうと思われます。なお、業界の推定では、大島つむぎといたしまして、韓国から二万ないし三万反程度が昨年入っておるというふうに聞いております。
  141. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 これは衆議院のほうで、やはり韓国つむぎの輸入状況の質問していらっしゃいますけれど、それに対して、絹織物全体は幾ら、その中で韓国のものは幾らというふうに分類してお答えになっていらしゃいますけれども、そのデータといまあなたがおっしゃったのとは、大体同じ統計の上からおっしゃっておるんですね。
  142. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) 大蔵省通関統計でございますから、同じデータから申し上げたつもりでございます。
  143. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 そこで、どのくらい入っているかということについてもう少しお聞きしたいんですけれど、これは商工委員会で保岡委員がお尋ねになっていることに対して、これは大蔵省の方が答えていらっしゃいます。やはりこの数は大体同じところから出てるんですか。
  144. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) 大蔵省の御答弁の数字はいま確認しておりませんけれども、大蔵省通関統計から出ておるはずだと思います。
  145. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 そこで絹織物全体としての統計上の数は掌握されているけれど、奄美大島の大島つむぎに影響を及ぼしている現在、もっと大島つむぎの数量——韓国の大島つむぎというんですか、そういうものの数量というものが的確につかめなきゃならないんじゃないか、特に奄美大島のほうでこういう問題を深刻に考えているときでもございますから、まあそういう体制ができないものかとこういうふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
  146. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) 先生御指摘のとおり、やはりつむぎ類として数字を把握する必要があるというふうに考えますので、ごく近く、そのような分類を設けて、実態把握できるようにいたす準備をしておるところでございます。
  147. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 そうしたら、それをこちらにも資料としていただけますね。
  148. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) まあ統計は大蔵省の関税局でおやりになるわけでございますけれども、これは一般の通関統計でございますから、集計ができましたら御報告できると思います。
  149. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 そこで、大蔵省の方にちょっとお聞きしたいんですが、これは大蔵省の方が答えていらっしゃるものですから。このお答えの中に、韓国から来る大島つむぎをチェックしているわけですね。この韓国から輸入されてくるつむぎというのは具体的にどういう表示をしているのか、それからその表示した反物をどのように処理しているか、で、処理ざれたものがどのぐらいなのか、これをお聞きしたいわけです。これはここでもおっしゃってはいるんですね。「昨年の五月と十二月に税関に指示しまして、まぎらわしい表示につきましては、関税法で輸入を許可しないということになっておりますので、その細目をきびしくいたしまして指示いたしたのでございます。」と、こういうふうにおっしゃっているんです。それで、まぎらわしい表示についてチェックしていると、どういうのがまぎらわしい表示なのか、まあいろいろその実例があると思います。それを細目をきびしく指示したと、どんなふうに指示されたのか、これをわかりやすく、納得するようにおっしゃっていただきたいんですが。
  150. 旦弘昌

    説明員(旦弘昌君) 先般商工委員会で答弁いたしたのは私でございますが、その際御説明いたしましたのは、関税法の七十一条に「(原産地を偽った表示等がされている貨物の輸入)」という規定がございまして、「原産地について直接若しくは間接に偽った表示又は誤認を生じさせる表示がされている外国貨物については、輸入を許可しない。」という規定があるわけでございます。従来、韓国から輸入されておりますつむぎにつきましては、大島つむぎとかあるいは奄美大島つむぎ、村山大島つむぎ等々、十数個の表示がございまして、それだけでは誤認をされるということで、私どもは韓国産であるという表示をそれに加えて表示をしなければならないという扱いでまいったわけでございます。ところが、昨年の春ごろに至りまして、私どもの出先の税関から照会がございまして、反物の一番端のところに韓国産と、それからその一つ奥にたとえば大島つむぎというふうな表示をしてまいったものにつきましては、法律上からいたしますと——韓国産ということがはっきりしておりますので、法律上は一応問題ないかもしれない。しかしながら、輸入されました後に、一番端に韓国産という表示がついておりますと、その部分だけ切りまして市場に出しますと、消費者にとっては、それが韓国産であるかどうかもうわからなくなるというおそれがあるんではないかということを疑問を抱いたわけでございます。そこで、大蔵省で統一的に検討いたしました結果、原産地の表示であります韓国産という表示は、大島つむぎ等の表示の内側に書いてもらうということでなければ通さないということにいたしたのが去年の五月でございます。その後、そういうことで扱っておったわけでございますが、去年の秋ごろになりまして、現地の方々からのお話もございまして、それはそれで切れなくなるということではございますけれども、しかしながら、表示が、先ほど例に申し上げましたように、大島つむぎ、奄美大島つむぎ、本場大島つむぎ、本場奄美大島つむぎ等々、非常に多くの表示がある。それらの表示のうち、たとえば本場奄美大島つむぎというものはほんとうに奄美大島で織られたものだけに限るべきではないかという御意見もあったわけでございます。私どもといたしましては、それらの表示につきましては、公正取引委員会とも協議をいたしまして、たとえば奄美大島つむぎ、本場大島つむぎ、そういうようなものは、よしんば韓国産である表示がそのつむぎの名前の内側に織り込んでありましても、それはやはり不当表示ではないかということで、この七十一条によりまして輸入を許可しないというふうにしぼったのでございます。
  151. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 そうしますと、税関で表示した反物の中で、無事に通過する表示はどういうのが通過しますか。
  152. 旦弘昌

    説明員(旦弘昌君) 公正取引委員会と先ほど申し上げましたように協議いたしました結果、通過するということにいたしましたのは、大島つむぎ、それから特選大島つむぎ、特注大島つむぎ、その三つは通る、内側に韓国産という表示が明確に入りておりますればそれはよろしいということにいたしたわけでございます。
  153. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 そこでまたこのあなたがおっしゃった御説明の中に、そういうふうに細目をきびしくした結果であるかどうかわからないけれど、十二月には一万一千平方メートルになったと、それからことしの一月には三千平方メートルというふうに非常に激減したと、この点はこれは一時的な要因によるものかどうかはわからないと、こういうふうにお答えになっていらっしゃるわけですね。ということは、そういうふうにきびしく表示の点を細目をきめてやったから減ったのか。それとも、買い手がなければ輸入してこないわけですから、買い手が減ったのか。その表示の点をきびしくしたから減ったのかどうかはわからないということですね。それは一月が非常に減っていますから、それで一月だけを見たんではわからないと思います。二月はそれじゃどんなになっているか。これはちょっと時期的に数はおわかりにならないかもしれませんけれども、おわかりになっているんでしたら教えていただきたい。またそれについて、さらに御意見がございましたらおっしゃってください。
  154. 旦弘昌

    説明員(旦弘昌君) 先ほどの御質問でまだお答えしておりませんでした部分がございますので、あわせて答えさしていただきますが、そういうことで、私どもといたしましては、先ほど通産省から御説明ありましたように、この大島つむぎ、つむぎ類の分類にはほかの絹織物も入っているわけでございます。したがいまして、従来は統計が、大島つむぎの分として、あるいは表示のある大島つむぎの分としてどれだけかということは統計上わからなかったわけでございますが、去年の春ごろからいろいろ問題ございましたので、各税関に指示いたしまして、韓国から入ってくる絹織物につきましては、つむぎであろうとどうであろうと、検査をきびしくして、そして大島つむぎであるとか、まぎらわしい表示のあるものについては、一〇〇%十分その現物をチェックするということを指示して、あわせてそのような表示のあったものにつきましての輸入の実績を手集計でとっておるわけでございます。先ほど先生がお触れになりました三千平米という数字は、その手集計の結果のものでございますけれども、それがことしの一月の分でございます。二月の分につきましては、その後手集計で判明いたしましたところ五千五百平米でございます。  これで去年の四月からとっておりますので、その大勢をちょっとながめてみますと、四月から十二月までの問、毎月おおむね一万ないし二万平米台の輸入があったわけでございます。それが一月になりまして、一万平米を大きく割って先ほどの三千三百ということで、二月に五千五百ということになったわけであります。  また、その表示の中で問題がなかった、先ほどの基準に照らしましてフリーパスしてよろしいということの件数この件数と申しますのは申告の件数でございますので、一件の申告について一つと数えておるわけでございますが、その件数の大勢を見てみますと、四月からの数字では、大体十から二十台の問題があったわけでございます。たとえば四月には十七件、五月には二十七件というようなものが問題のなかったものでありますけれども、一月には問題のなかった件数はわずかに二件、それから二月には問題のなかった件数はわずかに一件ということでございます。そのうち、たとえば二月の例で申し上げますと、何らかの措置をとらせたものが、問題がなかったのは一件なのに対しまして、措置をとらせたものが十三件ございました。その十三件のうち、表示の部分を切断さしたものということが十一件ございます。  以上がその後の経過でございます。
  155. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 そこで、表示のないものは関税法上何の規制も受けずに通りますね。それから表示のあるものの中で規制を受けたものはカットされる。そうして無表示になって日本へ入ってくるわけですね。税関を通過することができた反物は、韓国製という、メード・イン・コーリアという字が織り込んである。それは、大島つむぎとか、本場つむぎとかということが書いてあっても一緒に通過してくるわけですね。そういうふうに理解してよろしいですね。
  156. 旦弘昌

    説明員(旦弘昌君) もう少し説明さしていただきますと、いろいろな措置をとりますものの方法がいろいろございまして、先ほど申し上げました、切断するというのも一つの方法でございますし、また関税法によりますと、積み戻しさせる、つまり韓国にまた返してしまうという措置もあります。それからまた表示自体を塗りつぶしてしまう、あるいは表示のまぎらわしいものにつきましては原産地の表示を新たにつけさせるというよらな、いろいろな方法がございます。先ほど申し上げました、二月の措置十三件とりましたうち、切断したものが十一件でございまして、積み戻したものが二件ございます。ですから、いろいろな方法がございますが、切断したのが一番多かったということでございます。
  157. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 そうしますと、そういうものがどんどん入ってきているわけですね。これは大蔵省の方にお聞きするんじゃなくて、公取の方にお聞きするのですけれど、いま聞いていていただいたと思うのですけれども、こういうつむぎがいわば野放しになって入ってくるわけですね。税関のところは通りますけれども、あとは税法上規則に触れたものは処理する、通ったものは通したと、規則の上でこういうふうになってるんだから、大蔵省としてはそのように処置しましたということになって、通った品物は業者の買い手のほうへ渡ってしまう。聞いただけのことですけれど、問屋へそうした反物が来ると、結局表示のところは切ってしまう。税関で切っているみたいにやっぱり切っている。その切ってしまって何にも表示のない、そういう反物が相当入っているということ。それがまた韓国産のものなんです。こういう現状じゃないかと思うのですね。こういうことでは、奄美の大島つむぎというものを保護する上からも、また消費者の選択の上からも、問題があると思うのです。これは、公取としてはこの実情というものをどういうふうに認識していらっしゃるか。
  158. 利部脩二

    説明員(利部脩二君) 御指摘の、表示の点につきましては、奄美の業界の方々、あるいは名瀬の市の方々等から、いままでも非常に御熱心な御要望を公正取引委員会にも何度も寄せられております。不当表示の問題として規制いたしますには、実際上非常にむずかしい点がいろいろあるのでございますが、地元の業界の方々、非常に御熱心に公取に御要望になりましたこともありましたので、私のほうからは、大島つむぎ全体について、業界で適正な表示のルールをつくることを進められたらどうかということを示唆したわけでございます。それに対しまして、業界のほうでも非常に熱心にそういう動きを進めてまいっておるように聞いております。ただ、大島つむぎ全体の問題として考えませんとうまくいきませんので、いまのところは、奄美の業界では非常に熱心に進めておられますが、大島つむぎ業界全体としてはまだそういった雰囲気にはなっておりませんので、目に見えた効果はあがっておりません。そういう経緯でございますが、私のほうでも、奄美のそういう業界の動きを相当関心を持って見ておりまして、必要な助力をするつもりでおりますし、現にそういうことをしております。
  159. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 奄美のほうの業界は熱心だけれど、ほかはあまり熱心じゃない。それはどういうわけですか。また、どこがそういう点について不熱心なんでしょうか。
  160. 利部脩二

    説明員(利部脩二君) 他が不熱心というわけではございませんが、まだこの問題に強い関心を持つに至っていないせいではないかと思います。古来は、大島つむぎと申しますと奄美大島つむぎとほとんど同義語だったようでございますが、いまでは他の地方でも相当大島つむぎが製造され、販売されております。そうではございますけれども、消費者の相当の人方はやはり奄美のつむぎが他よりもすぐれているというふうに感じておられる人が相当あると思いますし、そうでない方も、単に大島つむぎというのは一つの製法なり、商品の特徴なりを示すものであって、地名との結びつきを認識しない消費者もまた相当あるようでございます。そういう状況でございますので、大島つむぎと奄美という地名を結びつけた認識、そういった認識が強くなるような表示のルールというものに対しては、つむぎの業界の中でも必ずしも利害が一致しない面があるからではなかろうか。これは業界から直接聞いたわけではございません。私の憶測でございますが、そういった状況もあるように思います。
  161. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 私も、この韓国産のつむぎというものを見たいものだと思って、いろいろとさがしたりしたわけなんです。さっぱり見当たらないんですね。専門家が見ればわかるのかもしれませんけれども、これはしろうとの悲しさというのですか。そういう点から考えたのですけれど、おそらくやっぱり大島つむぎとして売られているんだということは想像できるわけですね。また、正々堂堂と大島つむぎという表示をつけて売られているのかもしれない、そういうふうに考えます。ちょうど、そういうふうに私だけが考えているのではなくて、事実売られているということを取り上げて、朝日新聞に投書している記事が載っているんですね。これは昭和四十九年二月二十二日の記事ですけれど、ちょっと申し上げますと、「奄美手織りの大島紬(つむぎ)にはラベルに製造者名が入っている。それは容易に入手できないが、それだけに、日ごろ私たちが忘れかけた貴重なロマンとノスタルジアのぬくもりをも伝えてくれる。ところで、日本の代表的商社の一つであるM社が扱った「男物大島紬」に韓国製がある。小売価格も十万円前後だったし、日本各地で「正絹大島なら何でもいい、値段さえ手ごろであれば……」と思って買った人が多いであろう。それはそれでいいと思う。が、悪いのは藍(あい)地に濃紅糸で本場奄美大島紬と織ってあり、ご念にも奄美産まがいのラベルまで、はってあることだ。韓国産ならそれでもよい。なぜ韓国の製造者名を入れさせるようにしないのだろうか。それが奄美の関係者も、隣国の生産者もともに、大切にする方法ではないだろうか。M社が注文してそうさせたのか、あるいは、すでに出来上がっていたものを商っただけなのか、そこのところはよくわからない。けれども複雑な商取引の過程で、基本的な倫理の一線を見失ったのであれば、経済協力という形で、経済侵略が行われているという見方をされても仕方があるまい。M社はその扱った韓国製本場奄美大島紬にも似て少し“イト”に乱れがあるようだ」、こういう投書なんですね。これを見ても、確かに堂々と韓国産のつむぎが奄美大島のつむぎとして、本場大島のつむぎとして売られていると思います。そこで、公正取引委員会としては、原産国の表示についての法律を五月一日から施行するわけですね。その施行する前に、この韓国産つむぎについて実態をはっきり把握する、そうして正しい原産国の表示をさせる上からも、商品の試買検査をする必要があると、こういうふうに私は考えまずけれど、この点いかがでしょうか。
  162. 利部脩二

    説明員(利部脩二君) 現在売られております大島つむぎの相当量を試買するということは、私どもの役所としては非常にむずかしいことのように存じますが、もし問題のある、疑わしいようなものが出回りました場合には、直ちにそういうものを試買いたしまして、流通の経路を追跡いたしまして、効果的な手を打つということはぜひやりたいと思っております。  それから相当量のものが、相当量の韓国産と思われるつむぎが国内で販売されているようにも思われますので、大島つむぎが実際にどのような表示で販売されているかにつきましては、私どものほうの職員、ないしは公正取引委員会で消費者モニターというものを持っておりますが、そういう人方の協力も求めて調査をしてみたいと存じます。
  163. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 韓国産のつむぎが売られているならばとおっしゃいましたけど、売られているわけですよ。税関でチェックした数だけでも相当な数ですね、一月は少し減っておりますけれども、また二月にはふえているし。また、チェックされない、表示が何もついてないものはもうチェックもされないでどんどん入っているわけですね。それで、問屋さん、また小売り屋さんなどに聞いてみますと、韓国産のつむぎが相当出ていると事実言っているわけですね。ですから、出ているならばなんていう、そんな考えでなく、それじゃひとつやってみようと——私は、試買検査をやるべきじゃないかということまで、強く公取の手によってこれをはっきりしていただきたいと申し上げているわけです。大島つむぎといいますと、非常に値段が高いので、それを買うだけの財力はないと、しかし、これは奄美大島の業者の人たちが非常に将来を心配している。それだけじゃなくて、そのほかにやはり同じ織物を扱っている産地では戦々恐々だと、やがて自分たちのほうにもそういうことが起きるだろう。現に村山大島のほうが全然だめになってしまったという、その事実もありますので、そういう点、やはりここで火をふいている奄美大島のつむぎの問題で公取がきちっと私はやるべきじゃないかと、こういうふうに思いますので、いまのお答えが、何となく一部分のできごとだと、こういうようなお考えじゃないのかしらと。着物というとほんとうにぜいたく品だと、実用品ではないようなものになっておりますし、石油の問題だったら大騒ぎするけれども、こうした一部分の問題であったらあまり大騒ぎしないということじゃなくて、やはりそのモラルが悪いと思うんですね。また、将来大きな問題にならない前に、やはりこれを正しくしていくということが私は大事じゃないかと思いますので、火が広がらないうちにもみ消していただきたいと思いますので申し上げたわけなんです。
  164. 利部脩二

    説明員(利部脩二君) 私先ほど申し上げましたこと、若干ことばが足りなかったんでございますが、韓国産のものがあればと申し上げましたのは、表示の面では韓国産か日本産かということはわかりにくいものですから、そのことが頭にありましたので、どういう表示がされているかを的確に把握する必要があるというつもりで申し上げたわけでございます。その他御指摘の点、まことにおっしゃるとおりだと私も思います。確かに、大島つむぎでありながら表示が全然されていないものは、景品表示法での規制はしにくいんでございますが、税関を通り抜けましたものの中でも、若干景表法でも規制可能なものもございます。それは、一つは、あたかも製造業者が付した表示のように思わせてといいますか、要するに反物それ自体とか、反物の中のしんとかに表示されているその表示が全部日本語で書いてあるというものでございますと、消費者のほうは、製品に日本語で書いてあれば、まあ普通ですと日本でつくられたものと思うのでございますから、それがそうでなければ、その商品の原産国を誤認させるおそれがあるということになりますので、そういう場合には景品表示法の不当表示として規制すること可能でございます。  それからもう一つの点は、最初に申し上げました業界の表示適正化のルールとして、奄美なら奄美、あるいは他の産地なら他の産地で、自分のところでつくったものには積極的にこれこれの表示をするということをきめまして、それが普及いたしますと、消費者のほうは、そういう表示がついていないものはそうでないと、何も書いてないけれどもこれは韓国産ないしは——ともかく国産でないものというふうな認識が当然できてくるわけでございますので、そういう業界の表示を進めるように指導してまいりたいと、そういうふうに考えております。
  165. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 この試買検査という点はどうですか、もう一度。まあ無理だと、こういうお答えですね。
  166. 利部脩二

    説明員(利部脩二君) 相当大きな規模の試買検査をすることは、当方としては無理でございます。
  167. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 じゃ、何らかの形でそれではこの問題は公取として取り上げていただけますね。
  168. 利部脩二

    説明員(利部脩二君) 御質問の趣旨に沿うような形で何らかの手を打ちたいと思います。
  169. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 通産省にお聞きしたいんですが、日本の大手商社が、大島つむぎの技術向上、また品質の高級化、また販売面、こういう点についてあらゆる援助を惜しまないと、こう言って韓国の業者を励ましているということなんですが、この韓国製の大島つむぎを日本製とまぎらわしい表示で売るということは、この表示の問題だけではなくて——まあ表示の問題でこれを取り上げれば、単なる現象の上にあらわれた表面的な問題だと思うんです。しかし、よく考えてみると、これはやはり本質的に商法道徳の上からやはり取り上げなければほんとうの解決はできないと思います。韓国製という名前が入っていれば、これはいいものだ、高いものだというふうになれば、これは堂々と韓国製という表示を入れて向こうから売ってくると思うんですね。ところが、韓国製はにせものだ、安ものだというふうに消費者にとられるから、切り落としてでもやめてしまって表示をまぎらわしくしてしまう、まあごまかしてしまう。これじゃ、奄美大島のつむぎ業者に対して非常な疑問を持たせるというか、一つの圧迫になるだけじゃなくて、韓国の国に対してもよくないと思うんですね。まあそういう点で、通産省としてはこれをどういうふうに指導をなさるか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  170. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) 先生おっしゃいましたように、糸でも、幾らでも糸を売る、あるいは何でもその技術を教えると、それで韓国から大島つむぎが幾ら入ってきてもよろしいということだけで済む問題ではないと思います。やはり奄美の方方の生活水準を上げなければいけませんし、伝統的な和装品というものを国内で伸ばしていくということが必要だと思います。そういった観点から、やはりわが国関係業界、特に貿易業界の原糸の輸出、それから韓国製品の輸入といった問題につきまして、強く自粛を要請してまいりたいというふうに考えております。
  171. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 それで、まあ通産省のそのお答えが、ほんとうに何らかの形で実績をあげていただきたい。私が申し上げるまでもなく、この織物の業界とか、まあ着物を扱っている世界というのは、非常に戦後ぜいたく品だとか、特殊な人が着ている、そして古いそうした社会のものが残っているんだというような、ほかとちょっと違うわけですね。そういう点でむずかしい点もあるでしょうし、それだけに、通産省がこれを近代化させていくということにはいろいろな問題もあると思いますけれども、ひとつ、日本の伝統的な一つ産業でもあり、これはいい指導でもって残しておきたい。また、ただそれを伝統の工芸産業として残すだけじゃなくて、もっと近代化して、やはり着物の世界というものも実用化すればこのようにいいもんだというふうにしていくことも、私は新しい産業の開発だと思います。そういう点でひとつしっかりとお願いしたいんです。いかがですか。
  172. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) ただいまの先生おっしゃられました御趣旨に沿いますように、ほんとうに力を入れて、この大島つむぎ業界の振興に努力を傾注していきたいと思います。
  173. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 そこで自治省にお願いしたいんですが、この受身になった奄美大島のつむぎの問題を、やはり受身でなくて積極的に振興させていくということが大事だと思います。そういう点でこれからの振興策、特に振興開発五ヵ年計画というものも今度計画されたわけでございますから、今後の奄美群島振興計画から見た大島つむぎの位置というものをどういうふうにお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
  174. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 現在、何と申しましても大島における二大産業一つがこのつむぎであると考えております。もう一つは、言うまでもなくサトウキビでございます。この二つの産業に関する振興策というのは、これ、まあ復興計画振興計画以来力を入れてまいりましたけれども、今度は特に振興開発というふうに名前も変えまして、もっと積極的に前向きというのは、島の方々の所得を積極的に向上させる施策に力を入れていきたいという場合に、このつむぎに関しては、もう二つの大きな柱の一つというふうに考えております。で、具体的には、県が現在その振興開発計画原案を作成中でございますが、その中にこのつむぎに関する施策もできるだけたくさん織り込んでまいりまして、これを現在、まあ復帰当時三万反だったのが現在約三十万反まで伸びてまいりまして、ここちょっとまた頭打ちだという心配な場面もあるわけでございますけれども、これを乗り越えて、さらにこれが倍増してまいりますようにあらゆる面で力を注いでまいる、そういうつもりでやっております。
  175. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 その位置づけはわかりましたが、それじゃ、今度の計画の中で振興対策をどういうふうに考えていらっしゃるか。
  176. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) まず一つには、この融資の面、長期低利資金を融資するという面で、奄美振興信用基金を通じまして、従来からもこれは設備資金を、短期の運転資金ということで融資の美績がございますが、これを業界の御要望に沿って大きくふやしてまいりたいということが一つ。それから次には、織り子とかあるいは図案師とか、こういう人たちを絶えないように次々と養成していくための養成所と、あるいは共同作業場、あるいは従来はまあ家庭労働的なものが多かったんでございますけれども、生産もふえていきますにしたがいまして生産の規模も大きくなってまいりますので、今度はたとえば従業員の宿舎その他福利施設というようなものも必要になってまいります。そういうものに関する補助というようなもの、あるいは技術を指導するための染色指導所というものに対する充実、こういった面でこの振興計画の中に取り入れて進めてまいりたい、このように考えております。
  177. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 いまお話を伺いますと、非常にあれもこれもという内容でございますけれども、この予算を見ますと、非常に少ないわけですね。大島つむぎ、観光開発と含めてたった二千四百七万八千ですか、こんな少しで何ができるのかしらと思うくらいに私は思います。伺ってみますと、織工の養成所を一ヵ所建てるのだと、それも一千万足らず。それで建物だけ建てればあとは村まかせというのですか。まあ県が監督はするんでしょうけれど、これではたして私は新しい開発、そして特に所得を上げるためのつむぎの振興をやっているという、そのことばと事実とちょっとあまりにも違い過ぎると思うんですね。何といっても、やはり予算をしっかり取っていただくということが一番大事なことだと思うのです。観光開発もこれから大いにやると言っている、それも含めてこういうわずかな予算、この点、まあことしはやむを得ないとしても、来年はもう少しがんばっていただきたいと思うのです。まあ五ヵ年計画だから徐徐にというような考え方じゃなくて、五ヵ年計画だからこそやはり最初にしっかりやって、最初にこれだけの意気込みでやるんだから、五ヵ年計画も相当な効果を上げるだろうというような意気込みでいきませんと、やはり十年たってもこれだけじゃないか、二十年たってもたったこれだけかと、今度の五ヵ年だって大したことないと、こういうような、ことばだけは開発だとかなんとか言っていますけれど、その期待されるものは非常に失望であり、ほんとうにこうした開発のためにやろうという意欲というものは出てこないのじゃないかと思いますね。そういう点、御存じとは思いますけれども、ひとつじゃ来年はもっと奄美の人たちが期待されるようにやるという、そういう御発言をお願いしたいのですけどいかがでしょうか。
  178. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) これがまあ二つの産業の大きな柱だということは先ほど申し上げたとおりでございまして、決してことばだけ飾った意味ではございませんけれども、まあこういうものに関するその対策と申しますか、これは道路をつくって舗装するとかというような、まるまる公費でもって事業をするというものと違いまして、やはりその一つの現地で自立できる産業があると、それに関してそれがまた一人立ちできるように、さらにはその規模がどんどんふくらんでいくようにと、まあ手助けをするというものでございますから、行政的な補助金というものは、確かに御指摘のとおり、四十九年度においては一ヵ所千九百万円ほどでございます。全体の奄美の五十何億からすれば微々たるものだという御指摘は、数字的にはそのとおりでございますけれども、特に金融措置とかいうようなものが、これらの産業をそういうふうに育成していく場合のまあ常道と申しますか、そういうものにおいての力の入れ方は、御指摘のとおりと申しますか、御示唆のとおり十分力を入れてまいるつもりでございます。さらにはこの産業規模がふくらむにしたがって、先ほども申しましたような従来は考えられなかった福利施設というもの、これはまあ補助金というものも考えられると思いますので、そういう面においても同じように力を注いでまいりたい。気持ちとしては、最初申し上げたのに決してうそ偽りがあるわけじゃございませんので、このつむぎを育てていくということが、なお新しい観光、水産業その他の振興ともあわせまして、従来からあったものを育てていくということはぜひ大切なことだと、そういうつもりでがんばってまいりたいと思います。
  179. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 それから資金の点でも、大いに振興対策として考えていくとお話しでございますので、それも非常に期待されている面だと思います。そこで、この資金の中で長期の運転資金、こういうものを融資の中に適用させていくお考えかどうか、そして適用させることができるというならば、そのワクはどのくらいのワクをお考えになっているか、教えていただきたいと思います。
  180. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 従来から、このつむぎに関する資金手当といたしましては、長期のものとしては設備資金、大体これは五年ぐらいのものでございます。それと、それから短期の運転資金は、これはまあ一年以内ということでございますが、大体六ヵ月ということをめどにして実績を持っておるわけでございますけれども、さらにこれに加えまして、やや長期の経営安定のための資金というものも加えてまいりたいということで現在検討中でございます。で、ワクの問題は、ちょっといま数字として申し上げるほど固まっておりませんけれども、まあざっと言えば、四十九年度では一億ぐらいを予定できるかと思っておりますけれども、なおその県で立てます基本計画段階でより詳しく検討し、業界の方々の御要望も十分参酌して、こういうものに対する態度をきめてまいりたいというふうに考えております。
  181. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 最後に、自治省と通産省にお聞きしたいんですが、やはりつむぎ振興のために、もちろん建物や資金のことをいろいろお骨折りいただいているわけですが、織り工の技術、染織の技術、特に意匠の、図案ですね、柄とかデザイン、こういうようなものを向上させていくということがまた一つの大きなこれからの問題だと思うんです。まあ京都が本社で奄美大島が工場だというようなんじゃなくて、あくまでも新しい製品をどんどん出していくという、そうした近代化した奄美大島のつむぎというものが生産ざれなきゃならないと思うのですね。そういう点で、そういうことはお考えになっていらっしゃるかどうか。またもう一つは、大島に染織指導所がございます。この役割りはもっともっと強化されなきゃならないし、積極的に推進していって、むしろほんとうに指導らしい指導のできる人材をここで育てていくということが大切だと思うわけなんですね。しかし、そういうことがはたしていままでできているかどうかというと、いろいろ問題があるんじゃないかと思います。そういう点で、自治省としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、これ、伺っておきたいと思うんです。
  182. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 先生のただいまの御示唆のとおりの考え方でやってまいりたいと思っております。いまちょっと御質問の中でも御示唆されましたような、京都が本社で奄美が工場という、これはまあそういう流通形態になっているということが、そのおもな原因は資金的なものにあるように私たちも聞いておりまして、これは地元で調達できる資金がある程度潤沢になれば、一々京都から注文が出三京都の図案どおり織って、それでもって流通過程での利潤の吸い上げと申しますか、分配は現地に落ちるのが非常に少ないというこの流通形態もある程度改善できる。しかし、またこの流通形態に乗るということが、また現在つむぎを全国的に販売する上においてこれを全くシャットアウトするわけにもいかぬということで、その辺の悩みがたいへん地元の業界にあるようにもよく伺っております。完全なシャットアウトではございませんけれども、地元でもっと自主的に図案もかぎ、地元独得のものをつくり上げるという努力も、全体の生産を伸ばし、売り上げを伸ばすために必要であると思いますので、そういう方面のために、御示唆いただきました染織指導所の機能というものも、従来からありますけれども、なおこれを御示唆のような方向で発展さしていくということがたいへん大切であろうと思います。御示唆のとおりに力を入れてまいりたい所存でございます。
  183. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 通産省に最後にお聞きしたいんですが、やはりこの日本の国にとっても大事なつむぎの産業振興というものを真剣にお考えいただきたいと思うんですが、その点具体的に、こういうふうに協力するということがございましたら——あると思いますので、お聞かせいただきたいと思います。
  184. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) 昭和四十二年から現在までの特定繊維工業構造改善臨時措置法ということで、繊維産業、なかんずく中小企業の構造改善をはかってまいりましたけれども、この法律がことしで一応まあ切れる予定にありますので、現在この特繊法の改正案を提出しております。今後の繊維の、なかんずく中小企業の構造改善方向を考えますと、やはり商品開発、それから技術の向上ということが非常に必要になるんではなかろうかということで、一応予算及び財投計画の中にも繊維の関係の計画が出ておりますけれども、中小企業振興事業団から一応三百二十二億円の融資を中小企業の皆さまにする。これがやはり従来のような設備中心ばかりではございませんで、やはり技術開発、商品開発等に使う、長期の運転資金もその中に含まれるというようなことにもなっております。それから産地の組合に対しまして、特に中小の組合員の技術を向上するための補助金を四十九年度から出すという計画になっておるわけでございます。で、その大島つむぎにつきましても、この法律に適合したいい計画が出てくるように私どももお力添えしたいと思いますけれども、その計画が出てまいりますれば、できるだけ積極的に協力してまいりたいというふうに考えます。     —————————————
  185. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 委員異動について御報告いたします。  本日、片山正英君、増田盛君、小山邦太郎君及び安井謙君が委員辞任され、その補欠として久次米健太郎君、斎藤十朗君、山内一郎君及び桧垣徳太郎君が選任されました。     —————————————
  186. 河田賢治

    ○河田賢治君 きょうは宮之原委員、それからまた柏原委員がだいぶ総論各論にわたって質問されましたので、きわめて限定した問題について質問したいと思うんです。  第一に自治省ですが、今度五ヵ年の計画が、ずっと続けられるわけですが、御承知のように、奄美群島の県民所得——郡民所得と申しますか、これは非常に低くて、日本でも一番低い鹿児島県民所得、その平均に対しても八七%にとどまっている。国の平均所得に対して実に四九%、これは四十六年ですが、非常に低いわけですね。半分以下だ、こういう状態なんです。これまで、いろいろな法律の範囲内で、道路だとか港湾あるいは学校その他公共建築、環境改善施設等々が行なわれましたけれども、まだ各個人の——一次、二次、三次産業などについても十分な発展を遂げておりませんし、したがってまた所得が低い。ですから、これらのやはり産業従事者の所得をふやし、あるいは経営改善するとかいうようなことも今後五カ年の間に相当急ピッチでやらないと、特に先ほど来から問題になっておりますように、一般のところよりも離島は何といっても不便ですし、また、いろいろ経済的にも負担がかかるというような状態なので、これを急速にこの五ヵ年の中でやりあげる必要があると思うんですが、大体自治省は、この五ヵ年計画でどのくらいの県民所得の差をなくすとか、あるいは国民所得に対する格差をなくすとかいうような、大まかな——きちんとしたものはなかなか出ないと思いますけれども、しかし、五ヵ年間でどのくらいの目標でひとつおやりになるか、これは県自身がかなりこの問題については突っ込んで立てるわけでありましょうけれども、しかし、そこを指導するの、か自治省でもありますので、その辺のところをひとつ聞いておきたいと思うんです。
  187. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 振興開発計画原案は現在鹿児島県においていろいろ作成と申しますか、検討中でございまして、この大きなワク組み、フレーム等について着々ときまりつつある段階でございます。そこで、おそらくいま先生御指摘の大きな目標というのはきめられることと存じますので、現在まだ数字的には申し上げる段階にはないんでございますが、けさほど宮之原先生の御質問でも同じような御趣旨が出まして、一体ざっと考えてどのぐらいのことを考えているんだと、こういうお話でございますが、これに対して、大体この五年でひとつの意気込みと申しますか、ほんの目安でございますけれども、郡民所得を現在の二倍程度にはできるのではあるまいか、ないしはぜぜひしたいと、そんな心がけのもとで計画を定めてまいりたい、現在としてはこの程度の考え方でおります。
  188. 河田賢治

    ○河田賢治君 ところで、産業の中でも、サトウキビなどと、それから名瀬の大島つむぎを中心にした産業でありますが、ほかの島はまた農業が中心だと思うんですが、この農業について、かなり内地から卵から野菜まで入れていると。もちろん野菜も、いろいろ季節の関係や土地の自然条件でできるものもあると思うんですね。けれども、卵ぐらいはちょっとぐらいやればたいていえさもできるでしょうし、それからお年寄りが多くて、非常に社会保障の問題で困っているといわれているんです。しかし、鶏を飼うぐらいのことは年寄りでもできるわけですね、そんなに大規模にやらなければ。この辺の、つまり農産物の移入状況をひとつお聞かせ願いたいと思うんですが、これは農林省でもけっこうですし、自治省でもけっこうです。
  189. 白根亨

    説明員(白根亨君) 卵の状況につきまして御説明申し上げます。  卵につきまして、一番新しい時点というようなことで四十八年を参考にとってみますと、島内で大体生産される量が約千百五十トン程度ではないかというふうに見ております。それから大体おもに鹿児島県から——鹿児島県からと言うとちょっと語弊がございますが、本土のほうから移入しております数字が約二千百トン強というような状況になっておりまして、合計してみました中で、島内で生産しているものの割合は大体三五%程度ではないだろうか。このところ、島内で供給している割合は逐次高まりつつあるようではございますが、現在は大体三分の一というようなところではないかというふうな見方をいたしております。
  190. 河田賢治

    ○河田賢治君 鹿児島の、いろんな奄美大島における一応形は農業試験場の大島支場には総員二十四人おられるとか、徳之島の糖業——まあこれは砂糖のほうですから別ですけれども十三名、名瀬の農業改良普及所十一名、瀬戸内農業改良普及所八名、徳之島の農業改良普及所十一名、沖永良部支所で九名とか、あとは繭とか蚕業、畜産等々でありますが、水産試験場の大島支場は三人ですね。あと、大島の染色指導所、こういうようなもので、その中には研究員の方もおられますが、相当人はおられるわけなんですけれどもね。これだけ小さな島で十人とか十一人の改良普及所があって、そうしてこのごろ観光客も多いですから、三十万とか三十何万とか、それらの人の野菜とか卵なんかも相当ふえることにはなりましょうけれども、私ちょっと北のほうしか見なかったのですけれども、まだ荒れ地もあるんですね。それからまた山なんかの、里山と言いますか、ああいうところも、少し手を入れて何かやれば、鶏のえさとか若干のあれはできるのじゃないかと思うんですけれどもね、野菜なんか。もちろん気候の関係上、あれはあると思うんですけれどもね。これなんかについて、鹿児島県でおやりになって、それをほかの県とも比較し、またその自然条件、またおくれた社会的な条件もありましょうけれども、県のそういう農業生産なんかの問題について、農林省あたりは指導をされておるんでしょうか。それとも、これまでは自治省の関係だったから、自治省でやってくれるだろうというのでほうっておかれておるのか、その辺のことをちょっと聞いておきたいと思います。
  191. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 従来の復興計画振興計画の時代は、確かに奄美振興に関しては、自治省の予算に一括計上して一括施行したということでございますが、自治省には、御指摘のような農業であろうと土木であろうと、技術がおよそございません。そこで、その技術はどうしたかといいますと、言うまでもなく、全部県の農林部、土木部その他の技術を拝借するという形でやってまいりまして、実際にはそれじゃ県の農林部が独自で指導しておったかというと、それについてはやはり農林省の専門家にいろいろ御相談なさったと思います。で、農林省の御意見も——御意見といいますか、農林省のそういう知恵をお借りになって指導もされてまいったと思うのでございますけれども、今度は法律の方式を改めまして、予算は一応一括計上しますけれども、それぞれの施行はそれぞれの専門の省にやっていただくということにいたしましたわけで、従来よりは一そう、農林省なり、あるいは織物であれば通産省なりという専門の技術の方に直接指導していただく体制が従来よりもはるかに強まるということは事実だと存じます。そこで、今回は振興開発計画といたしまして、島民の所得生活水準の向上というものも従来以上に重点を置いてやってまいりますこういう体制のもとにおきましては、いま先生の御示唆のとおりに、今後そういう面についての指導は濃密にやることができるというふうに私たちも考えておるわけでございます。  なお、先ほどの卵について、農林省のほうから自給が三五%というお話がございましたけれども、ほかのおもなものを二、三御参考のために申し上げますと、これは四十七年度の数字でございますが、野菜については七九・八%、大体八割これは自給できておりますけれども、米については、これは二三%——四分の一弱でございます。それから果物が二八・九、まあ三割ですね。それで卵が、この四十七年が三二%という数字を示しておりますので、先ほどの四十八年度で三五%という数字が農林省から御報告がありました。つまりやや上昇しておる傾向を示しております。で、肉は全体として七二%、特に牛肉は八六%が自給されておるようでございます。  こういう状況でございますが、いずれも一〇〇%のものはない、つまり外に持ち出してないというわけでございまして、これらがまた地元の物価高の一つの原因にもなっておりますので、これら全体をできるだけ取り除いていき、十分島内で自給し、さらに外に出せるようにするぐらいの気持ちでやってまいりますことが、物価対策にもなりましょうし、現地の方々の所得向上にも資することと思いますので、そういう考え方で進めてまいりたい、以上のように考えております。
  192. 河田賢治

    ○河田賢治君 私もかつて沖縄に行きまして、農事試験場は国が直接やっております。糖業なんかはあそこのほうがおそらく、いろいろな機械も入れたりして、実験もずいぶんやっておると思うんですが、だから、あそこだけで糖業の完全な試験体制というようなものは——少々手ぬるうても、そちらのほうの試験の結果を入れるとか、あるいはそちらのほうに行って少しは勉強するとかして、やはりあれだけ広い、また自然条件の違ったところですから、なるべくそういう試験場があまりセクトにならずに、やっぱりいろいろな沖縄との連関を持つとか、あるいは鹿児島との連関を持つとか、自然条件も社会的な諸条件もありますから、できるだけそういうふうにして、農業試験場などは、どうしても自分のセクトのところだけで何か研究するというような、若干そういう弊害もあるように見受けるんです。私はここ、直接は行かなかったですけれども。それから予算の面で、やはり私は奄美大島の方に聞いたところが、もう何といいますか、非常にこう意気込んで、この農業をおれたちがやっていこうというそういう気風が非常に少ないと——若干改善はされておりますけれども、そういう面が非常に少ないと。教育は盛んだということを聞きました。こうなりますと、やはり相当農業なら農業で、専業も非常にわずかですけれども、また兼業もほかのりっぱな兼業がないと生活も困難で、ことに耕地面積が非常に低いんですから。しかし、試験場あるいは農業改良普及所あたりが、やはり青年なり、あるいは成人の方ですね、農業を熱心にやろうというような人をまずつくっていかなければならぬじゃないかと思うのですね。それにはやはり相当予算を組んで、そこで三ヵ月なり六ヵ月なり、ときにはもう一年ぐらい講習もしたり、実地にも、実際に畜産のいいやり方を学ぶとか、あるいはまたいい農業の経営から耕作の方向、方面、こういうものをどんどん実習さして、そして自信をつける必要があると思うんですね。だから、単に研究員だけがそこで研究するのでなくて、できるだけこの周囲の農村の方々なんかをそこへ通わす、あるいは泊まらせて、そうしてやはり農業の実際を少しでも新しい——そうかといって、あんまりむちゃくちゃに新し過ぎるとこれだめなんですね。あそこの副知事が言っていましたけれども、十トンの船をつくってもあんまりこれは成功しなかったというんですね。大体無動力か、一トンか二トンぐらいの小さな船ですから、そこへちょっと十トンを持っていっても、第一、魚をとるためには魚礁なんかもつくらなきゃ魚はそうふえるもんじゃありませんしな。ちょっとそういうことも聞きました。だから、農業にしましても、大型機械を持っていっても、実際の効果からいうと、すぐにこれはたいへん役立つものでもないと思うのです。だからこの点で、私は農業のまず自給をある程度やると——輸出までどんとんやらんでいいと思いますけれども、さらに工業の誘致とか何とかをはかって、そして郡民所得の向上をはかると。そのためにはやはりそういう特殊な研究、特殊な経営能力をつけるような、それを学ばせるための費用なんかをやっぱりちょっと予算化する必要があるんじゃないかと思うんですね。あんまりやはり小さなセクトに固まっていますと、なかなか発展というものはないんですね。そういう点を私はひとつ農業の問題について見解を述べておきたいと思うんです。農業の問題はそれだけです。まあ一応これについて、農林省なり、何かこれから鹿児島県を指導する場合に、あそこも非常に生産性の低いところですから、いろいろ問題があると思いますけれども、ちょっとそういう問題についての考え方を聞いておきたいと思います。
  193. 鈴木章生

    説明員(鈴木章生君) 奄美群島のように、亜熱帯の地域に属します地帯の農業につきましては、農林省といたしましては、九州にございます九州農業試験場、種子島の研究室がございます。それから石垣島に熱帯農業研究センター沖縄支所というのがございます。この二ヵ所におきまして、ただいまお話のございましたサトウキビ等の熱帯作物を中心といたします研究を実施しております。これらの研究に関しましては、鹿児島県ないしは沖縄県の協力を得まして、今後ともこの研究の充実をはかってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  194. 河田賢治

    ○河田賢治君 農林省はもうけっこうです。  それから、次は運輸省ですかな。きょう宮之原委員も、航路の問題、それから運賃の問題について、だいぶ基本的な問題について質問がございました。私はもうそれらの問題は、十分今後検討を願うことにしていただいて、直接、たとえば東京都が生活必要物資については補助金を出しているんですね、聞きますと。私もそれ、きちんとした材料をまだ握っておりませんけれども、本人が生活必要物資に対しては二〇%払うと、あと八〇%は業者のあれを得た都が払うと、こういう、つまり生活物資について、運賃を軽減するような方策をとっているわけですね。これは国鉄のほうでも、相当そういう問題に介入して——これは都庁だけがやっておるわけですけれども、自治体として。しかし、そういうものの考え方もあるということになれば、やはり国鉄も若干負担するか、あるいは地方自治体も何らかの方法でこうやっていくとか、財源をどこから出すかは、これは国が出すわけですけれども、いろいろな考え方としてはそういう問題があると思うんですね。そうすると、あの辺でも、特に生活物資の問題について、運輸省ですか、あたりが何かこう特定な、運賃の割り引きでもずいぶん段がありますから、そういうふうにして、当面そういう問題で生活物資の非常な高騰、これによる生活の破壊というものを緩和していく、そういうお考えはどうでしょうか。なかなかすぐできませんか。
  195. 浜田直太郎

    説明員浜田直太郎君) 東京都が伊豆七島への貨物運賃に関しまして、昭和四十六年でございますか、約二〇%ばかりの引き上げ計画されたときがあったわけでございますが、その際、関係の各船会社に要請をいたしまして、特に生活の関連物資について運賃を据え置くことにしたい。で、そのために安い特定の運賃を設定いたしまして、これらについて補助金を交付する制度、これを開始しました。私どもも聞き及んでおります。年間約三千万円になっておると聞いております。先生御指摘の御趣旨は、かような制度を、これと同様の環境にあるところの離島に関する貨物輸送に適用するかどうか、こういう御趣旨と思います。しかしながら、これらの問題は、やはり私どもの立場といたしましては、あらゆる離島に対するそういうような問題としてとらえなければならないと。また、物価対策全般の問題からもとらえなければならないということで、なかなかむずかしい問題を含んでおると思います。しかしながら、先生御示唆いただきましたように、割り引き制度でありますとかいうようなものの今後の取り扱い等につきましては、私どもも技術的な困難はあると思いますけれども、十分前向きに検討していくべきではなかろうかと考えております。
  196. 河田賢治

    ○河田賢治君 自治省にお聞きしますがね。東京都が、さっき申しましたように、ある程度小笠原諸島ですか、伊豆七島のほうもちょっと形を変えてやっているようですがね。これは東京都は不交付団体ですから、ほかの地方団体から見ればやや裕福だと言うこともできると思うんですけれども、しかし、鹿児島あたりに同額のものをやれとは言いませんけれども、しかし、地方自治体自身がそういう態度で、まず態度で示さないと。そうして、わずかでもそういう補助金を出して、奄美大島の人々の生活を擁護するんだという、そういう態度を見せませんとね。それで自治省としても、特別交付金か何か、ほかの名目で出せれば出していくと。そしてこれがだんだん普及して、全国の——それは観光で金があり余って行く人は別ですけれども、普通、島に住んでいる人から見れば、やはり生活を少しでも楽にしたい、あるいは生活の苦労を少しでも取り除きたいというのは、これはもうだれしも考えることなんですから、そういう場合に、自治省あたりも何かの方法で、県も、少々金がなくても、わずかでも少し出していくと、だから、これ以上は自治省が出してくれとか、自治省も困ったら、これはまた国のほうで考えるとかいうふうにして、まず実際のところを踏み出さぬと、私は地方自治体というものはほんとうは守れないと思うんですよね。この点について、自治省はどうお考えですか、この東京都の例は。鹿児島でも少しはやって、それから自治省でもそれに補助をするとかいうような。多少でもそれを踏み出さぬと、なかなか私は進まぬと思うんですよ、仕事が。この点で自治省ひとつ。
  197. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 東京都の場合は、確かに先生の御指摘のとおり、都自体の規模が非常に大きいのと、反面今度は、小笠原ばもう現在島民が三千人くらい——千五百人くらいでございますか、対象が非常に小さいので、都自体の施策としても、比較的取り上げやすかったのであろうと思います。  これに関して今度は奄美になりますと、県自体の財政力がはるかに小さいところへもっていって、群島民は二十万に近い——まあいま十六万ぐらいでございますか、はるかに対象が大きいので、よほど張り切らないと、東京都のほうでは手軽にやれるようなこともできないという財政的な事情及び規模の事情は確かにあると存じます。地方自治体が、しかし、その困難を踏み越えてやろうということであれば、これを何もおかしいという理由は全然ございませんのでございますけれども、ただ自治省のほうとしましては、たとえば振興開発計画でもって、たとえば港の設備をよくすることによって輸送費を落とすとか、それから島内の自給度を高めることによって運賃からくる不利から免れるとか、そういう方面でできるだけ島民の生活の安定に資するという本来の道がございますし、地方団体自体の施策としての航路補助ということになりますと、いま申しました財源的及び対象の大小からして、鹿児島県にとっては非常にむずかしい問題ではないかという気はいたしております。  それからなお、これはあるいはよけいなことかもしれませんけれども、この二十年間、奄美の復興、振興ということで、国も相当力を入れてまいりましたので、鹿児島県の中には、ややもすれば、奄美のことについては国がやってくれる、ただでさえ乏しい財源で、県の財源奄美に振り向けるという余裕はむしろないんで、奄美は国の責任でやってほしいという気持ちがあったことも、これは否定できないんじゃないか。  ただ、これについては、今回の振興開発計画になりますにつきましては、県のほうも、これから県でもできるだけのことはやるということで、たとえば、信用基金に対する出資その他にいたしましても、相当力を入れていくという姿勢を示しておりますので、今後は、県独自の施策として、対奄美ということに従来以上に県も考えてもらえるんだという気持ちは持っております。  ただ、鹿児島県はほかにも離島もいろいろございますので、それらを含めて、あそこには離島振興課という課もございます。そういうところで、今後はいろいろ独自な策をお練りになるんじゃないか。それに対して、必要な財源措置というのは、あるいは特別交付税とか、起債とか、その他で、こちらとしても、御相談があれば前向きに応じようという気持ちは十分持っておるつもりでございます。
  198. 河田賢治

    ○河田賢治君 私も、東京並みにやるのは、それはむずかしいと思うんですよ。しかし、県の姿勢として、たとえ千円でも出すとかいうようなことを始めれば、やっぱり変わってくるんですよ、島民の気持ちからいっても。それからまた、いろんな問題でやはりそれぞれ県をよくしていこうという気持ちにもなりますし、とにかく国にたよるのもこれはよしあしなんで、やっぱり自分のところで少しでもやっていく、足らぬところは国からひとつ援助してくれというんなら、話もしいいわけでしょう。私はそのことを言っているんで、ひとつこの問題についても、いろいろ鹿児島県自身も、確かに非常に日本では困難な県でありますけれども、そういうつまり島民と一緒になって島の復興に努力するという姿勢が、やっぱり県当局にも私はほしいと思うわけですが、そういう点の指導を、自治省もかんでおるわけですから、ひとつよろしくお願いして次の問題に入りたいと思います。  あと、先ほど来からだいぶ問題になりました大島つむぎの問題なんです。大島つむぎが、先ほど来からいろいろ、奄美群島の産地でどれだけつくっている、鹿児島がどうだとかあるいは大体予想されるのは韓国から入っているものがどのくらいというようなことは、きのういただいたんで大体承知しております。問題は通産省のほうが——本来いまだんだんと韓国の工業の発展、そしてできるだけまた付加価値の高いものに移るわけなんです。この場合に、つまり付加価値が高い、またよく売れるということで、日本の和装品方面にどんどん進出しておるという問題があるわけですね。技術の段階からいきましても、御承知のとおり、一番簡単なしぼりであるとか染めだとかいうことから入りますわけですが、それがだんだん発展しますと、やがて織物をつくる、あるいは染め呉服をつくる、こういうふうに大体内地と競合するもの、この場合に、通産省は外国で和装品をつくることに——ここが大事なことですよ、日本人だけが着るものを、どんどん韓国で安ければつくらすという御方針なのか。それとも、少なくとも日本の人が着る専用の衣類とか帯とか、こういうものはこれは日本でつくったらいいと、外国ではもっとほかの高級品もあるわけですから、そういうものに移ってもらうべきだというようなそういう指導、また、国の韓国に対する態度ですね、この点をひとつ、まずお聞きしておきたいと思うんです。これは根本問題です。
  199. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) お答え申し上げます。  基本的には、先生御指摘なさいました和装品は、わが国特有のものでございますし、それからわが国の特に中小零細企業の方々がつくっておられるものが非常に多いということで、基本的には、こういった和装品につきましては、国内の中小企業がつくって生産を続け、あるいは伸ばしていくことができるようにしたい。基本的にはそういうことが可能になるための体質改善をいたしたいというふうに考えております。
  200. 河田賢治

    ○河田賢治君 それではお聞きしますが、韓国の絹織物輸出五ヵ年計画というものが、韓国の商工部から——これは七一年から七六年までなんですけれども、発表されておるわけですね。これが業界誌なんかには出ておるんですけれども、これがいつごろ出たということはわかりませんが、大体一九七二年ごろじゃないかと思うんですが、このことは御存じでしょうか。
  201. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) 韓国の、いわゆる絹織物輸出につきましての五ヵ年計画を立てているという話を伺いますが、計画の内容については必ずしも明らかでございませんので、調査をいたしまして後日報告をいたしたいと思います。  なお、御指摘の大韓民国商工部対日通商調査団の報告書というものは、一応拝見しておりますけれども、これによりましても、非常に対日絹織物の輸出計画ということで、相当大幅の計画を立てておるということは聞いております。
  202. 河田賢治

    ○河田賢治君 これね、いまあなたは十分調べていないとおっしゃるんですけどね、これは重大な問題なんですよ。一九七一年が白生地の染め呉服というのはゼロなんです。それが一九七二年に、単位が百万ドルですが、コンマ五ですね。ここから出発して、一九七六年、再来年は二億ドルになるんです。これは三百円としますと六百億になるでしょう。これが白生地染め呉服。それからしぼりは一九七一年に三千四百万ドル。これが一九七四年、ことしですね、五千万ドル。そしてこれはもうずっと七五年、七六年と同じなんです。つまりピークにきたわけですね。それからつむぎが一九七一年は百万ドルで、これがだんだん上昇して、一九七六年には四千五百万ドルという、こういう数字があがっているわけです。合計して三千五百万ドルから二億九千五百万ドルと、これ三つだけの品物が載っているわけですが、ところが、実際これ見てみますと、大体においてこのとおり来ているんですよ。たいして変わらぬのですよ、韓国からの輸入がね。そうして、これを通産省の方がね——これは一つの伝統産業の中にありますけれども、しかし、かなり多くの日本の産業地があるわけでしょう、ちりめんなんといえば。まあ私の丹後をはじめ、長浜であるとか十日市とか岐阜とか、いろいろなところに、ずいぶん数県にわたっていて数十万人の人がこれで生業しているわけですね。これがどんどん来ている。しぼりなんかは、確かに一九七三年、四千七百万ドル。統計を見ますと、通関統計を見ましても、大体それは合っているのですよ。だから、これはもうしぼりの段階は済んだと。今度はどこへ移るかといえば、韓国は織物に移ってきたでしょう、御承知のとおり。村山大島ですか、あんなものはかなりいま、計算して五%近く来ておりますわな。きょうもあっちのほうへちょっと私は聞いたんですけれども、とにかくあそこも非常な打撃を受けて、今日まあ七十企業がある。十六万五千反入って、男物がいま二〇%から二五%、女物が七五−八〇%。だから、これはいま、五年前から始まってどんどんどんどんあおられていると。で、輸入量が把握できないで困っていると。村山つむぎも、ほかの業界誌なんか見ますと、これはもういわば全滅的な打撃を受けたとまで書いているんですよ。それほど大きな被害を受けているんです。まあ村山つむぎ自身は、労力の関係からあちらこちらに出しておりますけれども、産地価格でこれが三万五千円から四万五千円ですね、これは二反で——一匹でというのですか。輸入価格は二万五千円から三万五千円。一匹当たり一万円の差が出るわけなんです。ですから、安いものがこうしてどんどん入って、もうかなり村山地区は大きな打撃を受けていると。京都あたりでも、しぼりはかなり友禅が大きな打撃を受けて、いままたちりめんですね、これはもう丹後の、ずっとあの辺から丹波にかけ、あるいは兵庫県なんかにかけて、たくさんこの業者がおるわけですがね、これなんかは、一九七六年、再来年になると、つまり日本のいま為替相場が三百円としましても、六百億入るというんですよ。いま、丹後だけでも千億ちょっとこえるぐらいなんですね。これが入ってきたらどうにもならぬでしょう。  だから、私が言うのは、みんなこれは日本人が着るんですよ。外国人が着るわけじゃないんです。こういうふうに、おたくのほうではこういうものの統計もあまりとらぬとか、この事情も知らぬというんでは、幾ら——それはまあ輸出ばかりこれまで考えておられたろうけれども、しかし、いまだんだんと輸入に変わって、そして韓国ものやほかのものがどんどん入るんですから、ある程度こういうものについて統計もとったり、それからまたいろいろ調査して、つまり内地の中小企業を中心にした問題ですから、こういうものについて私は調べる必要があると思うんですよ。  じゃ、もう一つお聞きしますが、一九七二年、おととし秋に、韓国の大統領秘書官が来て日本側の商社代表と懇談しているのですね。そこで韓国の生糸や絹織物輸出の中期計画説明があったと。そして、これによると日本の和装市場、友禅が八・七億ドル、ちりめんが三・六億ドル、あるいは西陣が三・三億ドル、つむぎが六千万ドル、しぼりが五千万ドル、その他二億九千万ドル、合成繊維が六億六千万ドルで、二十六億二千万ドル、すなわち八千億円だとしている。しかし、これが一九七六年を最終年度とする第三次五ヵ年計画では、日本の和装市場のこれは一〇%を占め、昭和八十年には二〇%をめどに和装輸出を積極的に拡大する方向だと伝えたといわれる。こういうことを通産省ではお聞きになったことがありますか。韓国の大統領秘書官が来て業者と会った。まあ、業者が会って、いろんな人が——どんな、だれが出たかということはここにも書いてありますけれどもね。こういう問題についてはどうですか。お聞きになっていないですか。
  203. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) 恐縮でございますが、私自身いまお話しされましたことについてはちょっと知識がございません。
  204. 河田賢治

    ○河田賢治君 これは私はゆゆしい問題になってくると思うんですよ。確かに韓国には、いろいろな外交関係の問題があるでしょうけれども、しかし、もうだんだん二年三年すれば、ある程度技術は覚えるわけでしょう。織機も日本からいくんですから、生産力は技術の面で同じことになっちまう。そうすると、あとは賃金の問題ですよ。ところが、御承知のとおり、あそこの賃金というのは三分の一から五分の一、一つの台を二十四時間運転しているところもあるわけですね。ですから、幾ら日本で太刀打ちしようにも、技術が大体同じ機械を使って同じようになれば、もうこれは日本のこういうちりめん加工や染め呉服等々は、もう向こうの生活水準まで下がらなければこれは太刀打ちできぬということになるわけですね。そういうものを韓国へどんどん、かなり日本の大商社がこれとの関連を持ってやっておりますし、中には中小企業もやっておりますけれども、こういう問題が大きな私は国内の——これがどんどんつくられて入ってきてしまえば、もう向こうもたいへんでしょう、これを入れるなとか言っても。だから、いま大島つむぎでももう将来を、ここ一、二年のうちにどうなるかということをみな心配しているんですよ。丹後あたりでもそうですね。西陣でもそうです。そして、統計なんかは帯ということになっているんですね、ベルト。西陣のあんな日本の帯がベルトなんですよ。こういうことじゃ——何としても、どんなものが外国から入るかぐらいのことは、やっぱり統計の内容なんかも——まあ、若干お変えになると聞いておりますけれども、もっともっと、やはり日本のそういう産業に影響を与えるそれを、通産省としてもどういう産業政策をとるかというためには、やはりそれだけのこまかいデータを私は必要とすると思うんですよ。で、あなたのほうでそれもなかなか——つむぎはとってなかったとおっしゃるけれども、しかし私は、この鹿児島県の大島支庁が出しておる——これは当時は沖縄がまだ外国のあれであった時分ですけれども、これにはちゃんとそういうつむぎ糸幾ら、織機が幾ら、大島つむぎが幾ら、グラムとメートル、そして金額ですね、そういうものがみなこまかく出ているんですよ、これ。つむぎのうち、これが大島つむぎでこれが村山だというのはなかなか関税のほうで見にくい点もあるかもしれませんけれども、しかし、こういうものはある程度とりませんと、これからあなたのほうで国内の産業政策をどうするか、和装の問題とか、あるいは輸出はどうで、国内でできるものはどうするとかいうようなことは、やっぱり相当そういう仕事をおやりにならぬと、これはもう机の上だけで産業政策なんて立つものじゃないんですからな。この点を私は、これはまあ通関、貿易統計ですから、これはあなたのほうの直接の関係じゃありませんけれども、しかし、あなたのほうの仕事としては、そういう分類をしてもらわなきゃ、あなたのほうの仕事だって、いわゆる客観的に問題はつかめないでしょう。だから、そういう点で、あなたのほうが大蔵省に要請して、税関である程度そういうこまかいものをとるようにしてもらうということと、それから関税の問題ですけれども、もしもこういうふうに内地の和装産業が、大島つむぎをはじめとして、どんどんと食い込まれるというような事態には、通産省としては関税政策なんか、あるいはいろんな対外的な関係もありましょうけれども、ほんとうにこれを守らなきゃならぬとお考えになるなら、どういうような手段をそういう問題が起きた場合おとりになるか、ひとつちょっとその辺を聞かしてもらいたいと思うんですよ。
  205. 田口健次郎

    説明員田口健次郎君) 先生御指摘の第一の点でございますけれども、まず輸入の実態の把握に従来より力を入れて、統計の整備あるいは輸入の監視につとめたいと思います。  それから、二番目の点でございますけれども、関税問題でございます。御高承のとおり、わが国の関税制度につきましては、外国製品の価格の低落、それからその他予想されない事情の変化によりまして輸入が急増する。で、国内産業に重大な損害を与える、あるいはまた与えるおそれがある場合におきまして、国民経済上緊急な必要があるときは緊急関税を発動し得るというような法的措置が講じられているわけでございます。で、緊急関税の発動につきましては、ただいま申しました条件が満たされていないといけないという必要はございますけれども、今後の輸入動向等を、先ほど申しましたように、十分把握検討の上、慎重に対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  206. 河田賢治

    ○河田賢治君 いま、相当日本の大きな商社が、向こうの企業と合併して、どんどん生糸から一貫作業をずうっとやるというようなことをだいぶ計画しているところもあるわけです。生糸はもちろん向こうで日本へ全部送るほどとれませんけれども、やがて産地もふやしたり、あるいはまた直接外国から韓国へ商社を通じて入ることもあるわけですね。そうすると、あすこで生糸からずうっと一貫工程を持って、最後の織りがら縫いまでやるというようなところが、いま、だいぶ向こうの商社と日本の合弁企業あるいは関連企業等々で計画されているわけですね。こうなりますと、ますますこの問題は深刻な問題を私は帯びると思うんです。ですから、ちょっとぐらいの自粛を商社に要請するぐらいで、それほど善良な会社の社長もあまりいないと思うんですね。中には小さい人もおります。その小さな工場が、向こうが郷里であったり何かしてそちらへ出す人もありますけれども、しかし、全体として、やはりこういう和装品をできるだけもう外国ではつくらぬで、これはもう日本でつくるべきだというような大きな方針で、これ、どんどん政府が打ち出して韓国とも交渉するとか、多少のあなたジグザグがあっても、やはり国の、つまり産業政策というものを確立して、そして現に機を織ったりあるいは衣類を織ったりしている人、たくさんの関連業者があるわけですから、これらの人に安心を与えながら、技術の足らぬところはもっと技術をよくするとか、あるいは合理化のできるところは合理化をさせるとか、いろんな方向でやはりある程度発展させるという、こういうめどをつけさせませんと、通産省がこういう問題についてあまり、外国から来たのはどうにもなりませんというような、また自治省でもそういうことを衆議院でおっしゃっておりましたけれども、これにはもう手が出ないのだと、これじゃだめだと思うんですね。やっぱり一つの国策としてそのぐらいのことを発表させるぐらいの——まあ大臣がおりませんからこれは無理ですけれども、私はやっぱりそのくらいの意気込みをもって、そしてほかのメリヤスとか何とかいろんなものは、どこでつくってもこれはできるわけなんだし、これはもういわゆる国際商品であり、部品なんですから、だからその辺のところははっきり、私は今後通産省がいろんな材料も特別につくるとか調査もするとか、何を聞かれてもこれは知りませんでは、堂々と業界誌が出しているんですからな。あなた方だって、業界のことは多少でも読んでいると思うんですよ。そんなことじゃ、とても私は日本の産業を守っていくというようなことにならぬと思うんです。私は時間が来ましたからもうこれで終わりますけれども、とにかく通産省はひとつこの際大きく考えを転換して、和装品については日本国内で自給していくというぐらいの方向をきちんと出していただく、これは大島つむぎをはじめ、すべてに関連するわけですから。これはもうたいへんな問題になりますよ、ここ一、二年のうちに。このことをまあ通産省の方に申し上げて、大臣に十分伝えてもらうということにして、私の質問を終わります。
  207. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  208. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 速記をつけて。     —————————————
  209. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 地方税法の一部を改正する法律案閣法第四〇号)を議題といたします。  この際、補足説明を聴取いたします。首藤税務局長。
  210. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 先ほど説明されました地方税法の一部を改正する法律案の内容につきまして、お配りいたしております新旧対照表によりまして、補足して御説明申し上げます。  新旧対照表は、お手元の法律案関係資料のちょうどまん中ごろからあとに、青ページのあとにつづってございます。  まず、総則の改正であります。  一ページの第五条の改正は、現行の電気ガス税電気税及びガス税に分離しようとするものであります。  次に、道府県民税の改正であります。  三ページから四ページ。第二十四条の五の改正は、障害者未成年者老年者または寡婦の非課税限度額を現行の年所得四十三万円から五十万円に引き上げようとするものであります。  四ページ。第三十二条の改正は、白色申告者専従者控除控除限度額を現行の十七万円から二十万円に引き上げようとするものであります。  六ページから七ページ。第三十四条第一項第六号から第九号までの改正は、障害者控除老年者控除寡婦控除及び勤労学生控除の額をそれぞれ一万円引き上げて現行の十二万円から十三万円とし、特別障害者控除額を現行の十四万円から十六万円に引き上げようとするものであります。  七ページ。第三十四条第一項第十号及び第十一号並びに同条第二項及び第三項の改正は、配偶者控除額を現行の十五万円から十八万円に、扶養控除額を現行の十二万円から十四万円に、基礎控除額を現行の十六万円から十八万円に、老人扶養親族及び配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族にかかる扶養控除額を現行の十四万円から十六万円に、それぞれ引き上げようとするものであります。  なお、基礎控除額等の引き上げによって、住民税課税最低限は、夫婦子二人の給与所得者の場合、現行の八十六万五千円から百一万六千円に引き上げられることとなります。  八ページ。第五十一条の改正は、道府県民税法人税割りの標準税率を、現行の百分の五・六から百分の五・二に、制限税率を現行の百分の六・六から百分の六・二に改めようとするものであります。  次は、事業税の改正であります。  一〇ページから一一ページ。第七十二条の十四第五項の改正は、生命保険事業課税標準の算定について、現行では各事業年度の新規契約にかかる初年度収入保険料一定率を乗じて得た金額によっているのを、各事業年度収入保険料個人保険にあっては百分の二十四、貯蓄保険にあっては百分の七、団体保険にあっては百分の十六、団体年金保険にあっては百分の五を乗じて得た金額によることに改めようとするものであります。  一一ページから一二ページ。第七十二条の十四第六項の改正は、損害保険事業課税標準を算定する場合に正味収入保険料に乗ずべき率について、船舶保険にあっては現行の百分の二十を百分の二十五に、運送保険及び積荷保険にあっては現行の百分の二十五を百分の四十五に改める等合理化をはかろうとするものであります。  一二ページから二二ページ。第七十二条の十七第三項の改正は、個人事業税事業専従者控除限度額を現行の十七万円から二十万円に引き上げようとするものであります。  一三ページ。第七十二条の十八の改正は、個人事業税事業主控除額を現行の八十万円から百五十万円に引き上げようとするものであります。  一三ページから一五ページ。第七十二条の二十二及び第七十二条の四十八の改正は、中小法人に対する軽減税率適用所得範囲について、六%の税率については現行の百五十万円以下の金額を三百五十万円以下の金額に、九%の税率については現行の三百万円以下の金額を七百万円以下の金額に拡大しようとするものであります。  次は、不動産取得税の改正であります。  一五ベージ。第七十三条の改正は、政令で住宅範囲を限定しようとするものであります。  一五ページから一六ページ。第七十三条の四第一項の改正は、商工会議所及び日本商工会議所並びに商工会及び商工会連合会が直接その本来の事業の用に供する不動産の取得非課税としようとするものであります。  一六ページ。第七十三条の六第四項の改正は、新都市基盤整備事業の施行に伴う換地の取得非課税としようとするものであります。  次は、料理飲食等消費税の改正であります。  一六ページ。第百十四条の三第一項の改正は、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食にかかる基礎控除の額を現行の千円から千五百円に引き上げようとするものであります。  なお、この改正は、昭和四十九年十月一日から施行することといたしております。  次は、自動車税の改正であります。  二八ページから一七ページ。第百五十一条第八項の改正は、所有権留保自動車にかかる自動車税の徴収方法について、一定の場合を除き、当該自動車買い主から徴収するようにしなければならないものとしようとするものであります。  次は、市町村民税の改正であります。  一七ページから二二ページ。第二百九十二条から第三百十四条の四までの改正は、障害者等の非課税限度額引き上げ白色申告者専従者控除控除限度額引き上げ、各種所得控除額の引き上げ等の改正で、道府県民税と同様でありますので、説明を省略させていただきます。  二二ページ。第三百十四条の六の改正は、市町村民税法人税割りの標準税率を現行の百分の九・一から百分の十二・一に、制限税率を現行の百分の十・七から百分の十四・五に改めようとするものであります。  次は、固定資産税の改正であります。  二三ページから二四ページ。第三百四十八条第二項第六号の二の改正は、海洋汚染防止法の規定により備えつけられたオイルフェンスを非課税とするものであります。  二四ページ。第三百四十八条第二項第七号の二の改正は、国立公園または国定公園特別保護地区等の区域内の特定の土地非課税とするものであります。  二四ページから二五ページ。第三百四十八条第二項第九号の改正は、公的医療機関の開設者または特定医療法人が設置する医療関係者の養成所において直接教育の用に供する固定資産を非課税とするものであります。  二五ページ。第三百四十八条第二項第二十三号の四の改正は、農業機械化研究所の試験研究または検査の用に供する固定資産を非課税とするものであります。  二五ページから二六ページ。第三百四十八条第四項の改正は、法人である労働組合、国家公務員または地方公務員の団体が所有し、かつ、使用する事務所を非課税とするものであります。  二六ページから二七ページ。第三百四十九条の三第一項の改正は、発電所の用に供する家屋及び償却資産について課税標準特例措置を廃止しようとするものであります。  二七ページ。第三百四十九条の三第四項の改正は、重要産業用合理化機械について課税標準特例措置を廃止し、新たに住宅、流通産業等の民生関連設備、廃棄物再生処理用の機械、設備、農業協同組合、中小企業等協同組合等が取得した農林漁業者または中小企業者の共同利用に供する機械、装置について課税標準特例措置を設けようとするものであります。  二七ページから二八ページ。第三百四十九条の三第十三項の改正は、新造車両にかかる課税標準特例措置の適用期間を五年間に延長しようとするものであります。  二八ページ。第三百四十九条の三第二十六項の改正は、水資源開発公団が所有するダムの用に供する固定資産のうち、水道または工業用水道の用に供する部分について課税することとし、家屋及び償却資産について課税標準特例措置を設けようとするものであります。  二八ページから二九ページ。第三百四十九条の三の二第二項の改正は、小規模住宅用地について課税標準を価格の四分の一とする特例措置を設けようとするものであります。  二九ページから三〇ページ。第三百四十九条の四第一項の改正は、大規模の償却資産にかかる課税限度額引き上げるため、市町村人口段階に応ずる課税定額人口段階区分に応じ、五億円ないし四十億円に引き上げるとともに、資産価格に対する課税最低限度保障額を大規模の償却資産の価格の十分の四に引き上げようとするものであります。  三〇ページから三二ページ。第三百四十九条の四第二項及び第三百四十九条の五の改正は、大規模の償却資産にかかる基準財政需要額に乗ずべき財源保障率を百分の百六十に引き上げるとともに、これに伴い新設大規模償却資産にかかる財源保障率を第一次新設大規模償却資産にあっては百分の二百二十に、第二次新設大規模償却資産にあっては百分の二百に、第三次新設大規模償却資産にあっては百分の百八十に、それぞれ引き上げようとするものであります。  次は、軽自動車税の改正であります。  三三ページ。第四百四十六条第七項の改正は、第百五十一条第八項と同趣旨の改正であります。  次は、電気ガス税の改正であります。  電気ガス税については、電気税ガス税に分離しようとするほか、次のような改正を行なおうとするものであります。  三四ページから三五ページ。第四百八十九条第一項及び第二項の改正は、暫定非課税期間の満了するエチレン、プロピレン、ターポリマーゴム及び合成グリセリンを電気税の恒久的な非課税品目に加えようとするものであります。  三六ページから三八ページ。第四百八十九条第十一項及び第四百八十九条の二第三項の改正は、保育所においてその入所者保育のために直接使用する電気及びガス非課税としようとするものであります。  三八ページ。第四百九十条の改正は、ガス税税率を現行の六%から五%に引き下げようとするものであります。  三八ページから三九ページ。第四百九十条の二の改正は、免税点電気税については現行の千円から千二百円に、ガス税については現行の二千百円から二千七百円にそれぞれ引き上げようとするものであります。  次は、国民健康保険税の改正であります。  五〇ページ。第七百三条の四第四項の改正は、課税限度額を現行の八万円から十二万円に引き上、げようとするものであります。  五〇ページ。第七百三条の四第十項の改正は、みなし世帯主にかかる減額を資産割り額についてもできるようにしようとするものであります。  次は、都等の特例の改正であります。  五一ページ。第七百三十四条第三項の改正は、道府県民税法人税割り及び市町村民税法人税割り税率引き上げ等に伴い都に対する特例についても同様の措置を講じようとするものであります。  次は、本法附則の改正であります。  五二ページから五三ページ。附則第四条第二項の改正は、所得税において繰り戻し還付の期間の特例が認められた認定中小企業者の純損失について、繰り越し控除期間を三年から五年に延長しようとするものであります。  五四ページ。附則第八条の改正は、法人税において繰り戻し還付の期間の特例が認められた認定中小企業者等の欠損金について、法人住民税にかかる繰り越し控除期間を五年から七年に延長しようとするものであります。  五四ページから五五ページ。附則第九条第二項の改正は、生命保険会社が社会福祉事業振興会と締結する保険の契約に基づく収入保険料については、生命保険事業課税標準の算定上これを控除しようとするものであります。  五五ページ。附則第九条第三項の改正は、生命保険事業課税標準である収入金額算定方法の改正について、二年間に限り、税負担の激変を緩和するための調整措置を講じようとするものであります。  五五ページから五六ページ。附則第九条第四項の改正は、附則第四条の改正と同様に、認定中小企業者の純損失について、個人事業税にかかる繰り越し控除期間を三年から五年に延長しようとするものであります。  五六ページから五七ページ。附則第十一条第二項の改正は、農業委員会のあっせんによる農地の交換分合によって行なわれた土地取得で農業振興地域にかかるものの不動産取得税課税標準特例措置適用期限を、二年間延長しようとするものであります。  五七ページ。附則第十一条第七項の改正は、日本自動車ターミナル株式会社が直接その本来の事業の用に供する家屋にかかる不動産取得税課税標準特例措置適用期限を、二年間延長しようとするものであります。  五七ページから五八ページ。附則第十一条の二第五項及び第六項の改正は、心身障害者を多数雇用する事業所事業主が雇用促進事業団から資金の貸し付けを受けて事業所の用に供する施設取得した場合には、その取得昭和五十二年三月三十一日までに行なわれた場合に限り、不動産取得税を減額しようとするものであります。  五八ページから五九ページ。附則第十四条第二項の改正は、リース契約にかかる公害防止施設について三年度間に限り、固定資産税非課税とするものであります。  五九ページ。附則第十五条第一項の改正は、日本自動車ターミナル株式会社の事業用資産にかかる固定資産税課税標準特例措置を二年延長しようとするものであります。  五九ページから六〇ページ、附則第十五条第四項の改正は、農山漁村電気導入促進法の農林漁業団体が、発電所、変電所または送電施設の用に供する家屋及び償却資産について、従来どおり、課税標準特例措置を認めようとするものであります。  六〇ページ。附則第十五条第七項の改正は、原油備蓄施設について一定期間、固定資産税課税標準特例措置を設けようとするものであります。  六〇ページ。附則第十五条第九項の改正は、電子計算機にかかる固定資産税課税標準特例措置を二年延長しようとするものであります。  六一ページから六二ページ。附則第十八条第九項の改正は、小規模住宅用地にかかる昭和四十九年度及び昭和五十年度固定資産税の額は、昭和四十八年度課税標準となるべき額によって算定した税額をこえないようにしようとするものであり、同条第十項及び第十一項の改正は、新たに固定資産税が課されることとなる小規模住宅用地等税額算定方法を定めようとするものであります。  六三ページから六四ページ。附則第十八条の二第二項及び第三項の改正は、個人の所有する非住宅用地にかかる昭和四十九年度及び昭和五十年度固定資産税課税標準となるべき額は、現行制度による額が前年度課税標準となるべき額の一・五倍をこえるときは、一・五倍の額を限度とし、その課税標準となるべき額の価格に対する割合の最低限度昭和四十九年度にあっては百分の三十、昭和五十年度にあっては百分の六十にしようとするものであります。  七二ページから七三ページ。附則第三十一条の改正は、昭和四十九年六月一日から昭和五十年五月二十一日までの間、綿撚糸及びビスコース繊維、銅アンモニア繊維、酢酸繊維またはビニロン等の合成繊維の撚糸の製造の用に供する電気に対して課する電気税税率を、現行の六%から二%に、毛撚糸の製造の用に供する電気に対して課する電気税税率を現行の六%から四%にそれぞれ引き下げようとするものであります。  七三ページ。附則第三十二条第二項の改正は、軽自動車以外の自家用の自動車取得にかかる自動車取得税税率を、当該取得昭和四十九年四月一日から昭和五十一年三月三十一日までの間に行なわれる場合に限り、現行の百分の三から百分の五に引き上げようとするものであります。  七四ページ。附則第三十二条第三項の改正は、低公害自動車にかかる自動車取得税税率について、自動車取得税税率引き上げに伴う所要の調整を行なおうとするものであります。  七四ページ。附則第三十二条第四項の改正は、昭和四十九年四月一日から昭和五十一年三月三十一日までの間に取得される自動車にかかる自動車取得税免税点を現行の十五万円から三十万円に引き上げようとするものであります。  七七ページから七九ページ。附則第三十三条の三の改正は、土地の譲渡等にかかる事業所得等に対する住民税の課税の特例を定めたものであります。すなわち、昭和四十四年一月一日以後に取得した土地等の譲渡等による所得については、当分の間、他の所得と分離し、当該事業所得または雑所得金額道府県民税にあっては百分の四に相当する金額市町村民税にあっては百分の八に相当する金額と総合課税を行なった場合に算出される当該事業所得または雑所得にかかる道府県民税額または市町村民税額の百分の百十に相当する金額とのいずれか多い金額に相当する道府県民税及び市町村民税を課することとしております。  八〇ページから八一ページ。附則第三十四条の二の改正は、特定市街化区域農地等を宅地の用に供するために譲渡した場合における長期譲渡所得に対する住民税の課税の特例を定めたものであります。  八一ページから八二ページ。附則第三十五条第三項の改正は、国または地方公共団体等に対する譲渡等一定の譲渡による短期譲渡所得に対しては、分離課税制度を適用しないこととしようとするものであります。  八五ページから八六ページ。附則第三十五条の四の改正は、所得税法の改正による退職所得控除引き上げ昭和四十九年一月一日にさかのぼって適用されることに伴い、昭和四十九年分の退職手当等にかかる住民税のうち、すでに納付されているものについて還付等の手続が必要となる場合があるので、そのための所要規定整備であります。  八七ページから八九ページ。附則第三十七条の改正は、昭和五十年に予定されております沖縄国際海洋博覧会の開催に伴う特例措置として参加国、参加国の代表等または沖縄国際博覧会協会に対しては住民税非課税とするほか、博覧会の用に供する施設については、不動産取得税非課税とする等の措置を講じようとするものであります。  次は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正であります。  九〇ページ。第二条第一項第五号の改正は、水道または工業用水道の用に供するダムにかかる固定資産を市町村交付金の対象としようとするものであります。  九〇ページ。第二条第六項の改正は、日本国有鉄道が車両工場及び車両基地に設置した廃液処理施設等を市町村納付金の対象としないこととするものであります。  九一ページから九二ページ。第四条第五項の改正は、水道または工業用水道の用に供するダムにかかる家屋及び償却資産について交付金算定標準額の特例措置を設けようとするものであります。  九二ページから九五ページ。第五条の改正は、固定資産税における大規模の償却資産の市町村課税限度額引き上げに伴い、交納付金についても、これと同様の措置を講じようとするものであります。  九七ページ。第二十一条の三の改正は、多目的ダムのうち水道または工業用水道の用に供する固定資産を市町村交付金の対象としようとするものであります。  九八ページから九九ページ。附則第十六項の表の第六号の改正は、日本国有鉄道の車両の運行に伴う騒音を防止するための遮音壁について、納付金算定標準額の特例措置を設けようとするものであります。  以上でございます。     —————————————
  211. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  214. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  215. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 私は、ただいま可決されました奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党、各派共同による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   政府は、本法の施行にあたり、次の諸点に配慮し、奄美群島振興開発及び小笠原諸島の復興に遺憾なきを期すべきである。  一、奄美群島振興開発計画策定にあたっては、地元市町村の意見を十分反映させるとともに、計画期間内に本法の目的が達成されるよう社会、経済の発展に対応する事業量を確保し、関係各省庁間の連繋を密にして、事業の効率的な推進に努めること。    なお、計画期間を経過しても諸格差是正されない場合は、さらに検討を加え、特別措置の効力の延長等必要な措置を講ずること。  二、奄美群島振興開発事業については、補助採択基準の緩和等十分な予算措置を講ずるとともに、補助単価は同群島の特殊事情に即応した適正なものとし、超過負担を生じないよう努めること。    また、振興開発事業にかかる地元負担については、引き続き、起債の特別枠の確保及び充当率の引上げを図ること。  三、奄美群島の特性に即した産業振興を図るため、大島紬、製糖業の経営基盤の強化及び企業環境の整備、さとうきび、水産業等の保護育成を推進するとともに、地域経済の発展と住民福祉の向上に結びつく観光産業等を開発し、群島住民の就業機会の増大と生活の安定に努めること。    なお、そのため、国の助成措置及び奄美群島振興開発基金の融資、保証業務の増強について格別の配慮をすること。  四、奄美群島内における主要地方道の国道昇格、一般道路の改良舗装、港湾、空港及び通信網の整備等を促進するほか、特に海上輸送費等による離島特有の高物価問題に対処するため、本土奄美沖縄を連結する海上輸送体制の合理化を図り、国鉄運賃並みの輸送   費が実現するよう必要な措置並びに国鉄航路の開設について検討すること。  五、小笠原諸島の復興計画策定にあたっては、社会、経済情勢の変化に対応しつつ同諸島の特性が発揮できるよう配慮し、本土との交通通信手段、産業基盤、生活基盤の整備を促進することとし、事業の実施については、国は東京都と緊密な連絡をとり、弾力的かつ効率的な執行を図ること。    なお、計画期間経過後も、所期の目的が達成されない場合には、さらに検討を加え、必要な措置を講ずること。  六、小笠原諸島の復興事業については、十分な予算措置を講ずるとともに、補助単価は同諸島の特殊事情を考慮した適正なものとし、超過負担を生ずることのないよう努めること。  七、小笠原村が本来の自治体として、すみやかに自主的な運営ができるよう各般の施策を推進すること。  八、小笠原諸島における戦後処理問題とりわけ硫黄島の遺骨収集、不発弾処理等について、早急に調査を行ない、国の責任においてその解決を図ること。  九、小笠原諸島の旧島民が帰島する場合に必要な代替地等を確保するため、国有地の払下げを行なう等必要な措置を講ずること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ御賛同をお願いいたします。
  216. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいま原文兵衛君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  木附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  217. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 全会一致と認めます。よって、原文兵衛君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、町村自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。町村自治大臣
  218. 町村金五

    国務大臣町村金五君) ただいま議決されました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
  219. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十一分散会      —————・—————