運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-12-18 第72回国会 参議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十八日(火曜日)    午前十時五十一分開会     —————————————    委員異動  十二月四日     辞任         補欠選任      柴立 芳文君     原 文兵衛君  十二月七日     辞任         補欠選任      新谷寅三郎君     柴立 芳文君      久次米健太郎君    鍋島 直紹君      玉置 猛夫君     若林 正武君  十二月十八日     辞任         補欠選任      鬼丸 勝之君     古賀雷四郎君      増田  盛君     高橋雄之助君      安井  謙君     西村 尚治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         久保田藤麿君     理 事                 高橋 邦雄君                 原 文兵衛君                 占部 秀男君                 河田 賢治君     委 員                 片山 正英君                 古賀雷四郎君                 斎藤 寿夫君                 柴立 芳文君                 高橋雄之助君                 鍋島 直紹君                 西村 尚治君                 若林 正武君                 秋山 長造君                 神沢  浄君                 戸叶  武君                 上林繁次郎君                 村尾 重雄君    国務大臣        自 治 大 臣  町村 金五君    政府委員        自治政務次官   古屋  亨君        自治省財政局長  松浦  功君        消防庁長官   佐々木喜久治君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        文部省管理局助        成課長      西崎 清久君        厚生省社会局施        設課長      舘山不二夫君        建設大臣官房地        方厚課長    重見 博一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○連合審査会に関する件 ○昭和四十八年度分の地方交付税特例に関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査  (熊本市大洋デパート火災に関する件) ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十二月七日、新谷寅三郎君、久次米健太郎君及び玉置猛夫君が委員辞任され、その補欠として柴立芳文君、鍋島直紹君及び若林正武君が選任されました。     —————————————
  3. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 理事二名の欠員が生じておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事高橋邦雄君及び原文兵衛君を指名いたします。     —————————————
  5. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 連合審査会に関する件についておはかりいたします。  石油需給適正化法案について商工委員会に対し、また、国民生活安定緊急措置法案について物価等対策特別委員会に対し、それぞれ連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会日時等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) この際、町村自治大臣から発言を求められておりますので、発言を許します。町村自治大臣
  9. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 私、先ごろ自治大臣国家公安委員長に任ぜられたわけでございますが、生来、はなはだ不行き届きの者でございますけれども、皆さまの御協力によりまして、この責任を果たしてまいりたいと存じておりますので、今後ともよろしく御協力のほどをお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  10. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 昭和四十八年度分の地方交付税特例に関する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。町村自治大臣
  11. 町村金五

    国務大臣町村金五君) ただいま議題となりました昭和四十八年度分の地方交付税特例に関する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  先ほど、政府におきましては、人事院の勧告に基づき、本年四月一日から国家公務員給与改定を実施いたしましたが、これに伴い、地方団体が国に準じて地方公務員給与改定を実施するための一般財源を付与するとともに、最近の物価の騰勢に対処して所要の財源措置を講ずるために普通交付税の額の算定に用いる単位費用を改定し、あわせて現下の要請にこたえて公共用地先行取得を促進するため、土地開発基金費基準財政需要額に算入することとしたいのであります。  次に、今回の補正予算に伴い増加する地方交付税のうちその他の額の措置についてでありますが、交付税及び譲与税配付金特別会計において本年度新たに予定しておりました借り入れ金借り入れを取りやめるとともに、既存の借り入れ金の一部を減額することによって、明年度以降における借り入れ金償還額減額をはかることといたしたいのであります。  以上が、昭和四十八年度分の地方交付税特例に関する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  12. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 占部秀男

    占部秀男君 この法律案問題点を、基準の点だけ、簡潔に質問しますから、あまり長い答弁じゃなくて、急所の点だけをはっきりひとつ答弁を願いたいのですが、そこで、けさの新聞、きのうの新聞等でもうすでに大臣局長御存じのように、明年度一般会計予算、これは非常に何といいますか、地方には決定的に影響のあるような組み方になっていると思うのであります。そこで、この交付税特例の問題についても、明年度との関連から、やはり明年の地方財政のある程度情勢というものもある程度聞いておかないと、これどうにもなりませんので、まずその点についてお伺いしたいと思うんですが、これは大臣でも、局長でも、どちらでもけっこうですけれども、明年の一般的な地方財政計画見通しというか、地方財政規模見通しといいますか、全体的な傾向はどういうふうになりますか、その点をひとつ。
  14. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 私からごく大まかな見通しについて申し上げまして、詳細については財政局長からお答えを申し上げるようにいたしたいと存じます。  明年度予算編成の大綱は、まだ最終的に決定をすることに至ってはおりませんけれども、すでに大体その骨格が、新聞等を通じてごらんをいただいておるような情勢にだんだんなってまいっておるわけでございます。で、このような今日の石油削減に起因します経済情勢が著しく変動をしてまいったと、また物価もかなりの高騰を見ておるというような情勢に対処いたしまして、政府としては、総需要抑制をどうしてもやらなければならない、こういう立場に立っておるのでございまして、このことは、地方財政にありましても同様のことが要請されておるわけでございます。したがって、今後地方財政の運営を進めてまいるにあたりましては、やはりこの方針を私どもは貫きながら、一方におきまして、御承知のように、今日、地方行政住民生活に密着をいたしまして、緊急度の非常に高いものも数多くかかえておるわけでございますから、そういったものはこういった方針の中において極力実現をはかるというように配慮してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  15. 松浦功

    政府委員松浦功君) お答え申し上げます前に、私、八月一日付で財政局長を命ぜられました松浦でございますが、いろいろお世話になると思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)  ただいま、明年度地方財政見通しというお尋ねで、規模お話がございましたが、国の規模がまだはっきり私どもにもつかめておりません。しかしながら、国の基調というものを踏まえて地方財政計画をつくらなければならないだろうということについては、大臣が御答弁なさったとおりであろうかと存じております。国の場合におきまする規模増加要因の中には、国鉄あるいは米価、年金、こういった、地方財政に全然関係のないものの増加要因が入っておるようでございますので、これらの点を頭の中で少し差し引きをいたしますと、大体国の規模に準じた程度になるんではなかろうかと。全くこれはなかろうかという推測にすぎませんが、そんなような気持ちで現在の段階はおるところでございます。
  16. 占部秀男

    占部秀男君 もちろんまだ予算閣議決定もない前ですから、ほんとうの趨勢だけで、こまかい点は無理だとは思います。思いますが、やはり一応具体的に二、三の問題点だけは聞いておきたいと思うんですが、まず、公共事業問題——かりに新聞等で伝えられているような問題になると、物価上昇というものを合わせると、本年度程度に押えられたとしても、地方の実際の事務事業は、物価上昇分だけ何といっても単価がふえるわけですから、事業規模的には実際は押えられてくる、こういうことになるわけですね。そこで、そういう場合に、これは自治省としてどこに重点を置くかということが大きな問題になってくると思うんですが、そういう点についての、いま何か考えられていることがあったら、その点をひとつ。
  17. 松浦功

    政府委員松浦功君) 国も公共事業決定するに際しましては、私どもは当然事の軽重ということを考えて、厚く見るところと薄く見るところということは、全体の圧縮基調の中でも考えてまいるかと推測をいたしております。したがって、公共事業につきましては、およそそれに乗るという形で地方財政のほうもまかなっていけるものと思います。したがって、あと公共事業組み方傾向というものを見ながら、やはり国がある程度圧縮をこらえるようなものについては、単独事業においてもこれをゆるめる——大臣が御説明申し上げたとおり、事の軽重を振り分けて、住民生活に直接影響のあるようなものに厚く、そうでないものに薄くという考え方で、圧縮基調の中でも十分配慮してまいらなければならないと、こう思っております。
  18. 占部秀男

    占部秀男君 しかし、特に、福祉関連のような場合にはどういうふうになりますか。あまりこまかいきちっとした点までは無理だと思いますけれども
  19. 松浦功

    政府委員松浦功君) 福祉関係の問題について、当然国においても、査定の中でそういう色合いが出てくるものと期待をいたしております。それに合わせて私どものほうも考えてまいりたい。国に全然関係のないものといたしましては、公営企業水道のようなものがございます。あるいは病院、こういったものにつきましては、極力住民生活関係のある部分という理解のもとに、できるだけ圧縮影響を少なくするように配慮してまいるということは当然であろうかと考えております。
  20. 占部秀男

    占部秀男君 地方税の問題で、中央で減税を大幅にやろうというんで、そのはね返りもあるわけですけれども、やはりそれとあわせて地方独自の問題も出てくると思うんですが、そういう点についてはいまどういうふうな考え方ですか、ラフでけっこうですから。
  21. 松浦功

    政府委員松浦功君) 御承知のように、これまで自治省といたしましては、税負担の均衡あるいは負担合理化というふうなことを重点施策に掲げてまいりまして、減税ということばは使っておりませんでしたが、ことしは当初からそういうことを出しております。考えておりますのは、住民税の問題と固定資産税の問題でございます。具体的には、まだ政府税調等の結論が得られておりませんので、明確なことを申し上げかねることを残念に思うのでございますけれども、おおむねの方向といたしましては、昨日も衆議院の地行でお答え申し上げたのでございますが、現在、住民税につきましては八十七万程度非課税限度という形になっております。国のほうの所得税減税が、伝えられるように百五十万を限度というような形になりますれば、自治省としては大体八割程度、それの八割程度目標にいたしたい——承知のように、地方税は一年おくれでございますので、五十年度にそういう形にするというのがたてまえになろうかと思いますが、そうなりますと、来年の減税幅が非常に大きくなりますので、四十九年度の改正で少し前に進んでおきたい。目標としては、私どもとしては三けた、百万というところを頭に置いて進めたらどうだろうかということを部内で検討いたしております。しかし、これはいずれもまだ税調等の問題がございますので、確定の議論でなくて、そういう考え方で検討しておるというふうに御理解いただきたいと思います。  それから、固定資産税の問題につきましては、小規模住宅用地の課税を半分にする、こういう措置について現在検討をいたしております。大きな問題はその二つであろうかと考えております。
  22. 占部秀男

    占部秀男君 次に、地方のほうとして頭の一番痛い問題は地方債の問題ですね。今度、きょうの新聞によると、国債も、これは御存じのように、伸び率だけの問題ではなくて、絶対的な率を減らそうという。そうなると、地方債も相当締めつけられるのではないかと思うのです。ところが、これは私が言うまでもなく、財政局長よく御存じだが、地方債が、特に縁故ものも含めて相当制約されるようになるんじゃないか。もちろんインフレを押えるという大きな眼目はあるわけですけれども地方事務事業の問題もあり、地方債の問題についてはいま大蔵省とどういうふうなところの折衝が行なわれているか、そういう点一つ
  23. 松浦功

    政府委員松浦功君) 地方債計画の問題は、いずれにいたしましても国の予算がある程度固まりませんと、裏負担等関係から、出てこないことは御承知のとおりでございます。私どもといたしましては、まず重点的に、規模の問題を別にいたしますれば、政府資金比率、これを高めたいということで、現在大蔵省と寄り寄り話を続けております。御承知のように、地方債全体の中に占める原資の中で、政府資金の割合を高める、これは結局安い金が地方団体に貸してやれる、こういうことになるわけです。その点に重点を置いてやっております。  規模の問題といたしましては、やはり借金財政というものからひとつ逃げ出すチャンスである、逃げ出すということばはどうかと思いますが、切りかえるチャンスであるということを私どもとしても理解をいたしておりまするし、また、国の、国債の発行が減ってくるということになりますれば、一般会計債はやっぱりそれに合わせて減らすという方向へ、そういうことを頭へ置いてならば、当然そういう帰結になるのではなかろうかと思っております。  ただ、実際問題としては、地方税なり交付税なりで十分な現ナマがいっておるということになりますれば、地方債というものは必ずしも要らないわけでございます。そういう意味では、むしろ地方債は私どもは減ったほうが望ましいわけであります。明年度はこういう状況ではございますけれども、まだ税収入というものは、昨年の当初に比べまして相当大幅に伸びるという見通しがございますので、これらの税あるいは交付税で実財源配分をいたしまして、地方債ワクをできるだけへずるということで、全体の地方財政計画の締めをはかってまいりたいと思っております。  ただ、地方債計画の中には、一般会計債でなくて、地方財政計画の中に入ってこない準公営事業公営事業といったものがございます。これらの問題については、先ほども御説明申し上げましたような、水道のような、非常に住民生活に直結したものもございます。これらのものは、私どもとしては減らすということはとてもできないだろう。ただ、ふやし方については、ある程度やはり総需要抑制という観点から、病院事業にしても、水道事業にしても、その中で幾らかでも繰り延べられるようなものはしばらく繰り延べる、ほんとうにできないものについては認めていく、こういう態度をとっていくということを前提に置きまして、ある程度ワクの確保をはかってまいらなければならない、そういうふうに考えておるわけであります。
  24. 占部秀男

    占部秀男君 最後に、明年度の問題で、超過負担の解消の問題ですがね。七大都市の市長のほうからも——九大市か、参議院に意見書が出ているのですけれども、これ、率直に言ってもう二十年来の問題ですわな。そこで、ますます物価が高くなると、かりに、地方のほうでは超過負担は、現在の事業量をそのままにしていてもふえてくるということなんで、これはもう抜本的に何かやはり、政府のほうの国の予算が大きく変わろうとしておるこの際、この問題を抜本的に解決する一番いい時期じゃないかと思うんですけれども、この問題について、何か明年度見通し的に考えておるところはありませんか。
  25. 松浦功

    政府委員松浦功君) この問題については、お説のとおり、現在の地方財政問題の中で最も重要な問題の一つであろうかと思っております。したがって、各省現実に合うように単価をあくまで確保してくれということをお願いをするということを最近やりました。そして、こういうお願いをしたので大蔵省でも考えてくれということを、大蔵省にも申し入れをしてございます。大蔵省も、この点については、財政見通しの許す範囲で実情に合わせるべく努力をしたいという基本的な考え方で、例年とはやや意気込みが違うように私も思います。しかし、われわれの見方各省見方大蔵省見方との間には常に差がございます。自治省がここまで持っていくべきだという一番高い数字を出し、大蔵省が一番低い数字を出し、中間が各省、これがいままで御承知の実態でございます。したがって、どこまでの期待が持てるか、ここで申し上げかねますけれども大蔵省も相当の努力をしようという気持ちを持ってくれておるということは、私は事実だと思っております。  なお、来年度の予算できめられました単価につきまして、現実と合うか合わないか。まああまり物価のテンポが速いと、幾ら調べてもという事態も起こるかもしれませんけれども、ともかく大蔵省に、ある程度調査費のようなものを私どもとしては最終的に要求して取って、各省と共同で、去年やりましたような形で、もう一度基本的に、超過負担のあります六項目以外にまで範囲を広げて徹底的な調査をやりたい、そしてできれば補正でもある際に直すというような努力も私どもとしてはしてみたい、こういう気持ちでおります。自治省も、去年よりもっと強い意気込みでいるということははっきり申し上げておきたいと思います。
  26. 占部秀男

    占部秀男君 これらの問題、いずれも休会明けのあれでじっくりやらなければならぬ問題ですから、私はこれでこの問題は終えておきます。  そこで、いままでのような見通し的なお話を聞いてみると、地方側は、特に来年はこれは相当きつい地方財政計画になるんじゃないか。というのは、いま減税問題でもそうですが、二兆円減税の問題を国がやる場合でも、結局あの経過から見ると、来年の物価上昇というものをある程度見込んで、物価上昇はね返り分減税のほうにあれしようという——まあこれは財政局長としては答弁できないでしょうけれども、実際問題としてはそういうような形がある。それほど来年は物価はおそらく高くなるだろう、政府もそれはある程度暗黙のうちに計算に入れているんじゃないかと私どもは考える。それほどのこの物価上昇というものは、必ず今度は地方事務事業のときにこれが大きく影響をしてくると思うんですよ。そこで、地方財政計画その他、政府の考えておるものよりも地方のほうは相当きびしい。しかも、財源的には、地方債なんというのは、地方としては国よりも地方債でもって仕事をしている率は多いんですから、それが相当制約されるということになると、入るほうは少なくなる、出るほうは、事業量はふえなくても、単価がふえちゃって金がかかるという結果に私はなると思うんです。  そこで、今度の交付税特例のこの法律案ですが、四千二百四十億の増加額ですね、これの処理の問題で、私は、これはもうぜひとも考え直してもらいたいと思うものがあるんです、いまの見通し関連して。自治省のほうで考えておる給与費の、給与改定の問題だとか、あるいは土地開発基金であるとか、その他の生活基準の問題や、いろいろ問題あります。ありますけれども、これはさておくとしても、借り入れ減額の問題ですね。これは当初借り入れの取りやめが九百五十億ですが、この問題はこの問題としてある程度私は話はややわかるんじゃないかと思うんですけれども、千九百九十六億円の借金——借金というのもおかしいが、借り入れ、これをなぜこのときに、しかも、来年は相当地方財政は窮屈じゃないかと見込まれておるときに返さなければならないのか、それが私にはわからない。その点、どういう考え方ですか、明らかにしてほしいと思います。
  27. 松浦功

    政府委員松浦功君) ただいま、返還の問題、御指摘ございました。千九百九十六億円のうち、九百五十億は、ことし返しますれば来年使えるわけでございますから、これは私どもとしてもあまり御説明申し上げないでもおわかりいただけると思います。  そのほかに、四十六年と四十七年から借り入れましたもの……。
  28. 占部秀男

    占部秀男君 ぼくの言うたのが間違っていた。千四十六億円の問題ね、九百五十億を引いた。
  29. 松浦功

    政府委員松浦功君) 千四十六億のうち、二百億はもう来年債務の返済が到来するわけです。四十六年と四十七年度分で百億ずつ、これは明らかにつうっと流れてしまいますので、千百五十億まではおわかりいただけると思います。  あと八百四十六億なぜ返したかと、こういうことが問題になろうかと思いますが、御承知のように、占部先生地方行政にお長うございますのでよく御承知と思いますが、交付税配分というものは、理屈なしに配るというわけにはまいらないわけでございます。今度も大蔵省との折衝の過程で、まあ内幕をさらけ出すようなことになって申しわけございませんが、四千二百四十億の交付税が出ましたときに、必要なものを差っ引きますと、約二千億、千八百億ばかりの、どこへ使っていいかわからないという形になる金が出てきたわけでございます。そういたしますと、物価騰貴だからといって、物価対策ということで交付税に入れたとすると、超過負担は永久にもう片づかないで、常に交付税で片づけろという議論になるものですから、それも私どもはいやだということになりますと、理論づけて交付税に、単位費用につぎ込まなければならないという要素は見つからないわけでございます。そこで、私どもとしては、全額土地開発基金につぎ込むという主張はいたしてみましたけれども、過去の例から、計数的にもあまりに大きい。かたがた、来年の財政事情を私どもなりにいろいろ判断をいたしますと、地方税の増収が相当ございます。それから交付税も、考えているよりは相当大幅なものが出てまいります。特にこの千百五十億を措置いたしますと、千六百七十二億の清算分がまるまる使えることになります。そういう事態も勘案いたしました場合に、残った金の半分は、何としても私のほうで土地開発基金に配るぞ。まあ残ったものは、将来、五十年、五十一年というものは必ず地方財政が問題になってくる。そのときに借金が残っておると大蔵省とも非常に戦争がしにくい、こういう意図もございまして、そこのところは大蔵省との間に数字の詰めの過程において妥協をした。表面切って理屈を申し上げますれば、負債を返済をしておいて、身軽になって将来の安全策をはかりたい、こういう気持ちでやったというふうに御理解をいただけたらけっこうだと思います。
  30. 占部秀男

    占部秀男君 もうこれで私の質問を終わりますが、そこまではいいんですがね、そこまでは。ただ、先ほど局長答弁の中で、この際、借金財政の転機を——何というか、大きくひとつ変えたいというお話があった。それといまのこのお話関連してくるわけですよ。というのは、これは私が言うまでもなく、局長にこういうことを言ったんじゃもうおこられてしまうかもしれぬけれども地方債のつけ方の問題は、これはもう法律できまっておって、どういう条項でということになっているわけです。しかも、それを必要とする長期の、いわゆるあとあと残す問題の、それに大きくかかっているわけですから、したがって、この際借金財政はさっとやるんだ、千何億かは返すんだと、来年からはそれはもうきれいにそれだけ減ったんだからそれでいいんだということになると、そうすると、地方のほうは、相当実際上財政問題で困ってくるんじゃないか。だから、いざというときはまた借りるんだというその気持ちがはっきりしているならこれはいいんですけれども、いずれにしても、そういう点はあまりどうも、さっき地方債問題で局長借金財政をこの際ひとつの転機に組んだというようなことを言われているから、そうなると、地方財政をそのものから検討しなきゃならぬということに関係してくるんで、ぼくは心配したわけですが、きょうは局長答弁をそのまますんなり聞いておきます。  私の質問はそれで終わりにします。
  31. 松浦功

    政府委員松浦功君) 転機ということばはあまり強くお受け取りいただくと困るんですが、これまで例年地方債規模を伸ばして仕事をしていただくようにお願いしてきた。ことしは伸ばさないで、幾らかでも縮んだ形で事業縮小に御協力を願いたいという意味でございまして、それ以上強い意味を持っておりませんので、表現がちょっとまずかったらそういうふうに御理解を賜わりたいと思います。
  32. 占部秀男

    占部秀男君 いまの御答弁、了解しませんけれども、これで打ち切っておきます。
  33. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私も何点か質問してみたいと思います。  初めに地方交付税率の問題についてお尋ねしたいと思うんですが、その前に、全部関連してまいりますので、そういう関連事項というようなかっこうになるかもしれませんけれども、最初にお尋ねしてみたいと思います。  たとえば教員の人材確保法案が成立しますと、一〇%の教育公務員給与の引き上げがあると、こういうことになりますね。ことしは一〇%の三カ月分、百四十五億、しかし、来年になりますと、相当な自治体の負担になる、こういうことが言えます。  もう一つは、これに関連して一般公務員が黙っていないと思いますよ。ですから、そうなってきますと、ますます自治体の負担というものが非常に大きくなるわけですね。相当大きな影響があると思いますけれども、この点をどういうふうにお考えになっているのか。
  34. 松浦功

    政府委員松浦功君) この問題の及ぼす影響は非常にいろいろと予測されておりますが、ともかく人確法案が通過をいたしますれば、人事院の勧告という手順に進むかと思います。その勧告の内容をここで予測するわけにはまいりません。ただ、いろいろわれわれが心配いたしておりますのは、小中学校の義務教育の職員について財政措置三カ月分してございますけれども、いわゆる高等学校、幼稚園あるいは大学、こういったものにはきちっとしたまだ方向がきまっておりません。それのみならず、巷間いろいろ言われておりますのは、看護婦さんとか保健婦さんとか、そんなものにまで影響しないだろうか、あるいは給与論からいたしますれば、警察官、消防との関係はどうなるんだろうか、こういうような問題にまで波及するおそれのあるたいへんな問題だと思っております。これが平年度化されますと、義務教育だけで一千億をこえる財源明年度は必要とすることになると思います。私どもといたしましては、それらの経費というものをある程度現在の段階でも予測に入れながら、明年度地方財政計画というものはにらんでおるつもりでございます。
  35. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いま審議されているわけですけれども、国民生活安定緊急措置法、それから石油に対する需給適正化法案が成立しますと、当然国からの機関委任事務ですね、これ、相当増大するというふうに考えられますね。そこで、そういうふうに考えられるわけですけれども、この点についてどういうふうになさっていくというか、どういうふうにお考えになっているか、ひとつ。
  36. 松浦功

    政府委員松浦功君) 二法案関係の問題につきましては、御承知のように、法律の中で、地方公共団体に事務を委託することができるという規定がございます。どれだけの事務量が委託されるかによって非常に違ってまいるかと思いますが、いずれにいたしましても、びた一文、地方団体負担するというのは私どもとしては筋違いだと、こう考えております。すべて委託費として地方公共団体が受け取って、十分行動するに足る経費を——人件費まで含めて、私どもとしては国費で支弁をしていただく、こういうつもりでおります。
  37. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、従来制度の改正があった場合、当然その場合には負担が増加しますね、その場合に、地方交付税率ですね、これを引き上げるという、こういう姿勢がいままでの自治省のたてまえであったのじゃないかと、こういうふうに思うのですけれども、この点どうですか。
  38. 松浦功

    政府委員松浦功君) 地方交付税法の中にも書いてございますが、「引き続き」ということばと、それから「著しく」ということばが両方使ってございます。もちろん制度の改正で、人確法が通って一〇%アップということになれば、これは「引き続き」であろうとは思います。しかし、「著しく」かどうかということになりますと、一千億のうちの約半分は国費で出ます。五百億地方負担ということになります。五百億程度では、いまの交付税規模からして、「著しく」というので主張していくことはやや困難ではなかろうかという判断をいたしておりますし、また全体の推移といたしまして、地方公共団体が十分運営できるだけの一般財源が確保されるという前提の見通しがございますと、これのみで交付税率の引き上げを要求することはきわめて無理だと思います。私どもとしては、大蔵省地方交付税率を引き上げる要求ということは考えておりません。
  39. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、地方交付税率の引き上げは考えていないと、こういうことですね。著しくとか著しくないとかという話がいま出たわけですけれども、いま実際に現地ですね、地方自治体、これは重なるいわゆる超過負担、もう次から次——それはどうして超過負担しなくちゃならぬかというその実情についてはわかると思いますけれども、そういう状態、そこで現地としては、これはどうしても基本的な財源であるだけに、国の交付税率の引き上げということを強く願っているわけですよ。これはいま始まったことじゃないのです。もう毎年地方交付税がこの委員会で審議されるときは必ずこの問題が持ち出されるわけです。で、御承知のように、もう経済状況がこういうような状態になっているという、非常に不安を持っているわけですよ。そういう中で、ただ著しいとか著しくないとかという問題ではなくて、これだけの国でもっていろいろな法律を考え、その結果、いわゆる地方自治体に機関事務の委任が行なわれるであろうという、こういう時点で、当然私は地方交付税率の引き上げをするということが、そういう姿勢をとるということが、やはり地方自治体もそれによって——まあ全面的に安心というわけにはいかないけれども、基本財源がいわゆる確立されるわけですからね。やはりそういう考え方で、今年度においては——今年度というか、来年度においては私は臨むべきじゃないか、そういう姿勢で臨むべきじゃないかと、こういうふうに思うのですけれども、その点どうですか。
  40. 松浦功

    政府委員松浦功君) 御指摘の点は非常によくわかるのでございますが、超過負担の問題は、これは交付税で片づける問題ではない、本質的に。国のほうの補助単価を直していただく。そうすれば裏負担も当然直ります。そうしてその単価を用いて単独事業の計画をいたしますれば、それで超過負担の問題は消えると、こういう考え方でございます。交付税だけで措置をするということは、これはもう国のほうの努力をしないでよろしいということにしてしまうことになりますので、私どもとしては賛成をしかねるところでございます。しかし、現実の問題として、非常に運営が苦しいということはよくわかります。その意味で、地方交付税額をできるだけ確保しろという御指摘はそのとおりだと思います。  ただ、われわれといたしましては、交付税率を引き上げる前に、より、もっとやらなければならない仕事と考えておりますのは、自主税源の拡大ということだと思います。交付税よりは税金をふやすということ、本年度は、法人税率の引き上げの問題、それから道路目的財源の引き上げ、こういったことに、いま鋭意力を注いでおります。私どもといたしましては、大体、これで二千億をこえる財源が確保できると思います。そういう意味で、先ほどお話のございました人確法の問題の地方負担ぐらいはもうこれで十分カバーしておつりがくると、端的な御説明を申し上げればこういうことになるんではないかと思います。まず自主財源の増強をできるだけはかって、それから交付税と、手順としてはそういうことであろうかと。  交付税につきましては、われわれとしては、地方財政計画が十分組める、必要な交付税を確保するということを基本的なたてまえに置いておりますので、税率ということを主体にものごとを考えるという態度は、現在の段階では、強く表に打ち出すことは避けているような状況でございます。
  41. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は、いま、超過負担というふうにおっしゃったですね。私も言いました。だけれども超過負担云々ということを言っているんでないんで、そういうふうに、この超過負担をどんどんやらなくちゃならないように、地方自治体というのは苦しいんだということ、その点を申し上げたんであって、いわゆるこの交付税によって超過負担を解決すべきであるということを申し上げているんではないわけです。そこをひとつ間違わないでいただきたいですね。  いまの、いわゆる税によって、いわゆる税源によって、これによっていまの自治体の、非常に苦しい立場に置かれている、そういったものを乗り越えさすんだと、いわゆる地方交付税によってということよりも、税によってだと、こういうお話しだった。それはそういう基本的な考え方はけっこうだと思いますよ。しかし、いまの事態、こういう事態を迎えて、当然、私は、それはそれとして、いわゆる国の交付税を、この税率を上げるという、引き上げるというこういう考え方も、いままでの——いわゆる時点が違うわけですよ。またそういう交付税の税率を上げてくれという声はもう前々からあることであって、いまこういう時点を迎えた、そういう時点で、やはり税は税、国のいわゆる交付税交付税と、こういう立場で私は考えていくべきじゃないか、こういうふうに思うんですね。まだまだこれ、経済の混乱、どこまで続くかわからないですよ、これは。ですから、いま、交付税の引き上げということは考えないんだという、こういうきめつけた考え方でなくて、私はもっと幅を持たすべきだと。それがいわゆる地方自治体に与える影響も非常に大きいと私は思いますよ。また、それが一つの親心であるかもしれない。ですから、絶対に上げないんだと、税率は。いわゆる交付税率は、これは上げないんだと、こういうことでなくて、もっと幅を持たしたらどうだろうと。その歳入欠陥が起きたときにはこうである、ああであるという、もう少し私は幅を持たして答弁をすべきじゃないかと、こういうふうに思うんですがね、大臣ひとつ。
  42. 町村金五

    国務大臣町村金五君) いま、財政局長からお答えを申し上げたことについての、さらに重ねての交付税の問題についてのお尋ねでございましたが、これは実は財政局長がお答えを申し上げておりまするのは、明年度の、昭和四十九年度の地方財政計画を立ててまいるという段階で、自主財源なりあるいは交付税見通しといったようなものを、あれこれ勘案いたしますると、今日、かなり物価は著しく騰貴をしておるというような情勢も、一面においては重視いたさなければならぬことは申し上げるまでもございませんけれども、それこれ勘案をいたしてまいりまする場合に、本年度は、少なくとも交付税の引き上げを要請をいたしませんでも、まあ十分、地方財政は大体においてこれを運営していくことが可能であろう、そういった立場から申し上げておるのでございまして、今後経済情勢あるいは社会情勢の変化に伴いまして、どうしても現在の交付税率で足りないというような事態がもとより起こらないとは限りません。そういった場合におきましても、なおかつ交付税率は動かさないのだと、そういう趣旨で申し上げたはずではないと、かようにひとつ御理解をいただきたいのであります。
  43. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 この春から夏にかけて、地域的に見てみますと、いわゆる建設資材が非常に不足をしている。そこで、災害復旧その他の公共事業がおくれを来たしてきた。これは非常にたいへんな問題だと思いますよ。で、それらの状況、また、それに対しての対策、これらについて、概要をひとつ説明をしていただきたいと思います。
  44. 松浦功

    政府委員松浦功君) 全般的に工事がどのような進捗状況になっているかについての数字は、私どもとしては把握をいたしておりまするけれども、資材不足のためにという、相当数の例は聞いておりますけれども、一般論としてこれがどういう影響を与えているかということは、どうも私ども——専門家もおりませんので、われわれとしてはあんまり明確にいたしておりません。ただ、資材の不足のために工事がおくれているという面については、それぞれ各省に要請をいたしまして、そうしてそういうことのないように手配をしてほしいというお願いをしてまいってきておると思うのでございます。ちょっとそれ以上、私どものところでは、事業の進捗状況をそれほど正確に集めるほどの能力もございませんですので、私どものほうとしては、申しわけございませんが、その程度しか申し上げかねる状況でございます。
  45. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 しかし、ちょっとあげ足をとるわけじゃありませんが、その辺の、いまあらゆる原材料というものは、物不足なんというようなことから、なかなか入手できないというような状況なんです。国が、いわゆる地方交付税を自治体にあげるという、そういう問題も——それじゃ地方自治体それをもらって何をやるかというと、やっぱり事業やるわけですよ。たとえば災害復旧だけを例にあげれば、これがいわゆる進捗状況がどういう状態になっているのか、あるいはまた、その他の福祉関係の施設がどういうような建設状況になっているのか、やっぱりこういうことがわからなけりゃ、ほんとう予算というものは私は組めないのじゃないかという——予算を組めないという言い方はちょっとあれかもしれないけれども、実際は適切にこれを処理するということができないんじゃないかと思うんですよ。だから、私はほんとうは、もう少しそういうものを踏まえて、いわゆる自治省としてどうすべきであるという、こういうものがほしいなという感じがするわけですよ、実際はね。  で、まあそれはそれとしまして、昭和四十九年、来年度も事業を自治体が進めていくわけですけれども、一応先ほどのお話を聞いていると、金の面ではあまり苦労をかけないというようなお話でありました。ところが、いまの経済情勢からいうと、なるほど金はあったとしても、この物不足、それで金はあるけれども、実際にはいわゆる資材が入ってこない、そのために大事な事業が進まない、こういう問題が私は起きてくるだろうと、こういうふうに予想する。現在でもそういう問題はあるわけですね。その辺を自治省はどういうふうに踏まえているかですね。
  46. 松浦功

    政府委員松浦功君) 昨年度は、社会資本投下の立ちおくれを解消するというような意味で、非常に大幅な公共事業の伸びを組んでおりました。その過程において資材がこういう形になってくるということは、必ずしも、大蔵省と申しますか、あるいは関係各省と申しますか、全体が、資材面からの配慮が欠けておったという認識をお持ちのようでございます。で、本年度は、国も、予算を策定するに際して、金の問題、事業量という問題よりは、まず資材がだいじょうぶかという角度からながめて、その上で公共事業等の予算規模をきめていくという方向を打ち立てられておるようでございます。したがって、その中で、地方の事業について全部資材が足りるか足りないかという裏づけを考えた上で、国がある程度の態度をきめると思います。それに準じてきめていければ、まずまずそういう手当ての問題について、ところどころに問題は起こるかもしれませんけれども、全体としての配慮は行き通るんじゃなかろうかという気持ちでおるわけでございます。
  47. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうすると、まあ念を押すようですけれども、いわゆる今度のたとえば国が予算をつけると、そういったものは、来年の資材入手、それだけの事業を施行するにあたって、これだけの金をつけても必ずその資材は十分に確保できるんだと、こういう資材面から踏まえて今回の予算をいわゆる考えたんだと、こういうふうに考えていいわけですか。と同時に、だとするならば、まず来年度は資材不足という、いわゆる公共事業を進めていく上においては、まずこの資材不足ということは考えられない、こういうふうに理解していいかどうかですね。
  48. 松浦功

    政府委員松浦功君) 国が予算を編成するにあたりましては、いままではどこの道路とどこの道路と、こういう角度で取り上げておったのを、まず、一体何キロいまの資材確保ということを前提にやれるかと、で、きまったものをどう分けるかという形で予算編成をするということを言っておりますので、総体の問題として、材料の不足ということが起きないような配慮が十分私どもとしてはなされておると思います。  ただ、先ほども、私、逃げを打つような形で申しわけない言い方をしたわけでございますが、自治省がそれじゃ現実にどこの工事について材料保証するかと、こう言われましても、材料についての手配は私どもには各省お願いする以外できません。ただ、国全体として、いま御指摘をいただいたような、みっともないことにならないようにということは、政府全体として十分考えておるということだけ申し上げてお許しを得たいと思います。
  49. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私もごく簡潔に二、三お尋ねしたいと思います。  先ほど、先輩の占部並びに上林委員からもお尋ねがあったんですが、特に占部さんから、政府の来年度予算関係して、地方財政計画についての大臣並びに自治省考え方についていろいろお話しありましたので、私は省きたいと思いますが、これに少し関連いたしましてお伺いしたいと思うんですが、政府は、来年度予算について、総需要抑制策をより浸透させるために、いま上林君からも資材等の面で話がありましたが、公共事業伸び率を思い切って縮小し、事業量の面から前年度の実質削減もあり得るような報道がされております。そこで、私は問題となってくるのは、地方財政計画上の一般単独事業の問題だと、こう思うんです。そこで、その事業費の伸びを自治省ではどう考えておられるかということ、またどうこれに対処していこうとされているか、少し、同じダブった質問になるかしれませんが、全般的に単独事業についてお伺いしたいと思います。
  50. 松浦功

    政府委員松浦功君) 先ほど、基本の考え方については大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、公共事業の抑制ということによって総需要の抑制をはかると、こういうことでございます限りにおいては、やはり方向といたしましては、地方単独事業につきましても、総需要抑制協力するというたてまえから、いままでのような大きな計画は組めないだろうということになろうかと思います。ただ、地方公共団体の単独事業につきましては、大臣からの御指摘もございましたように、公選された首長と議員さん方で、住民の意向を受けて、やっぱりそれぞれの団体において特殊的な事業というものを執行していくというところに意味がございますので、必ずしも公共事業と軌を一にするということは若干無理な面もあろうかと思います。それらの点を十分配慮いたしまして、かりに総需要抑制という基調を前提に置きましても、事の軽重の振り分けをいたしまして、できるだけ考えるべきものと、ある程度抑制を強く求めるべきものとに振り分けて、そして生活関連施設の確保なりあるいは社会福祉の向上なりということに手が行き届けるような配慮はその中でしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。  規模の問題につきましては、国の公共事業がどうなるかわかりませんので、率等についてはいまの段階では差し控えさしていただきたいと、こう思います。
  51. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 いまの御答弁を聞いても、国の抑制政策に合わして、一般単独事業の抑制も避け得られないというようにまあ考えてもいいと思うんです。その中にあっても、事業によっては選別して努力をしたいということだと思いますが、私はその場合、事業の選別ということもこれは問題となってくるとなお考えるんです。相当重要な問題だと思う。  そこで、地方自治体の単独事業というのは、私から申し上げなくとも、すでにきょう出された交付税の中に入っていることなんですが、文教とか、また住民生活、社会福祉など、非常に府県民の身近な事業が非常に多いんです。経済要因にかかわらず、総額の安定した確保がいま絶対に必要なことは、もう私から申し上げるまでもなく御存じいただけると思うんです。これらを、国の総需要抑制策の一つの立場といいますか、サイドから一律に扱うということでのうて、十分重ねて配意されて行なわれるべきだと、こう思うんです。たってひとつ大臣の御意見を伺いたいと思います。
  52. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 先ほど、占部議員にもお答えを申し上げたところでございますが、いま村尾議員からも御指摘のございましたように、いわゆる地方単独事業というものの中には、地域住民生活に密着をいたしまして、どうしてもこれは緊要度が高いというようなものも相当にあるわけでございますので、したがいまして、そういうものまでも、私ども公共事業抑制という見地から十ぱ一からげに全部これを抑制をしてしまうということは考えておりません。総体の明年度におきまする地方財政計画の中における財政規模というものも相当に大きいのでございますから、その中で、当面繰り延べをいたしましても直ちに住民生活に重大な影響が起こるというふうに考えられないものにつきましては、ある程度の繰り延べ措置はやむを得ないのではないか、こう考えておりますけれども、ただいま村尾議員御指摘になりましたような事柄につきましては、極力これを実現できるようなぐあいに配慮してまいるということを、今後基本方針として明年度予算編成の場合にも十分配慮してまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  53. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 次に、土地開発基金費について伺いたいんですが、先ほど大臣提案理由の御説明の中にも、「現下の要請にこたえて公共用地先行取得を促進」したいと、こういうふうになっていますが、「土地開発基金費基準財政需要額に算入する」ことにしたと、こうお話があったんですが、今回、九百億円が基準財政需要額に算入されました。公共用地の確保の問題は、申し上げるまでもなく、いまたいへんな問題であります。特別の処置を進めない限り、この問題というものは今日解決はできないと思います。そこで、過去、四十四年、四十五年、四十六年にも需要額に算入されたいきさつがあるんですが、ここでは、今回のように増加されたから配分するんだというのでのうて、やはり地方団体の必要性に基づいて配分するという考え方に立ちまして、私も、これは来年度のことになりますが、継続的に需要額に算入することを考えておられるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
  54. 松浦功

    政府委員松浦功君) 御指摘のように、公有地確保の問題はきわめて重要な問題だと思っております。この問題につきましては、自治省独自できめることはできないんで、地方財政計画大蔵省と協議することになりますけれども、当省といたしましては、いまの気持ちといたしますれば、来年当初にも、できることであればぜひ土地開発基金の組み入れをいたしたいというふうに私は考えておるところでございます。
  55. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 その点、ひとつお願いしておきます。  次いで、よく話題になります地方自治体の病院についてですが、これはいまいただきました、衆議院で附帯決議をなされたんだと思いますが、その中に、「公営交通、病院水道等の地方公営企業の経営の現状にかんがみ、これらに対する助成措置を拡充すること。」と、「とくに」ということで、「公立病院について」云々ということで強く要請されておりますように、いま非常に緊急な問題だと思うんです。特に国民医療、地方自治体に住んでおられる人々の医療、健康等から考えて、これは緊急な問題だと思いますので、私がここで申し上げるまでもなく、自治大臣の諮問機関である地方公営企業経営研究会というのですか、最近報告書を出しているということを聞いているのですが、報道されておりますのは、その報告を受けて予算組みかえなどと出ていますが、来年度予算要求に臨み、どのような考え方で自治体病院の経営に対処し、はかっていこうと考えられているのか。まあ要は、自治体病院の再建について、不良債務の返済等について、すでに衆議院で論議されて、この附帯決議にも要請されておりますが、この自治体病院の再建ということは、現状救済ということは非常に重要なことでございますので、私は強くこれに対して、財政当局というのか、自治省財政責任者の考え方及び大臣のこれに対する熱意をひとつ伺っておきたいと思います。
  56. 松浦功

    政府委員松浦功君) 病院経営が非常に困難な状況になっておることは御指摘のとおりでございます。ただ、この問題は、料金が、全く診療報酬という形で別の機関に料金決定が握られておるという実情がございますので、解決の方法を見出すことがなかなかむずかしい問題がございます。それのみならず、一般病院との関連という問題も出てまいりますので、ただいま御指摘をいただきましたように、研究会においていろいろ御検討を願いまして、御結論を答申としていただきましたので、それにのっとって予算要求をしてまいりたいと考えております。基本的には、現実に生じております赤字を、起債を認めてたな上げをする、そのたな上げについて利子補給を一部行なう。それともう一つは、非常に採算性の悪い特殊な地域については、何らかの財政援助措置というものを講じていく。この二本立てが研究会の結論であったかと思います。この結論に基づいて、大蔵省とこれから鋭意折衝を重ねるつもりでございます。  そのほかに、救急の問題でございますとか、あるいは高度医療の問題でございますとか、問題がございますが、これらは公営病院のみならず、一般の民営病院にも全く同じような条件がある問題でございますので、厚生省にお願いをいたしまして、総体の病院の運営ということを頭に置きながら、民営、公営を通ずる何らかの対策を考える、こういう方向で厚生省に御努力お願いをすることにいたしておるようなわけでございます。御了承いただきたいと思います。
  57. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 つけ加えるようですが、不良債務の解消に、ひとつ大臣、うんとがんばってもらいたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  58. 町村金五

    国務大臣町村金五君) できるだけ努力をいたしたいと思います。
  59. 河田賢治

    ○河田賢治君 今年度の交付税の問題について二、三お尋ねします。  先日、新聞を見ておりますと、地方自治体である滋賀県ですね、ここでは公共事業を請負っておる請負業者、滋賀県建設業協会というのがありまして、これが請負の価格が非常に低いということで、このままでは今後県などの公共事業は請け負えないという宣言をして、受注を辞退したという声明が出ておるわけですね。こういうことは御存じですか。
  60. 松浦功

    政府委員松浦功君) ただいま御指摘の事例を直接私、知ってはおりませんけれども、そういう事例がほかのところでもあったということは聞いております。
  61. 河田賢治

    ○河田賢治君 ごく最近なんですけれども、県は十月一日ごろから公共事業単価を一四—一五%アップしたのですけれども、しかし、資材が高騰してとうてい追いつかないと。業者は再引き上げを強く県に迫っていたが、県は財政的にこの再引き上げは困難だということで交渉が難航している。そこで、業者が今回の非常措置をとった。これは十二月の八日にそういうことをきめているわけですね。このように、地方公共事業は、非常に今度の、特に中東戦争の石油危機から、鉄鋼からセメント等がどんどん急速に上がって、とうてい県がきめておる単価などでは引き受けても引き合わないというようなことでこうなってきているわけですね。この中にはずいぶん——自治省でも九月の末でしたか、まだ全国で大体単独事業で四〇何パーセントとか、八%ですか、まだぜいぜい半分くらいが、国やあるいは単独事業が成約されてないということは御存じのとおりなんですね。こうなりますと、この中には相当私はいわゆる生活関連し、しかも、たとえば学校にしましても、四月から入校ということに間に合わぬことができるわけですね。あるいは保育所でも、やっぱり二人が、家族が働いて子供を預けたい、それでは預けることもできないとか、いろんなそういう生活あるいは環境の問題がずいぶん一おそらく滋賀県あたり、どこにしましても、こういう問題は含まれるんじゃないかと思うのですよ。この点についてひとつ——建設省の方来ておられますか。——建設省来てないですか。そうですか。  建設省では——あとで聞くのですけれども、最近インフレ条項というものを適用したということがいわれているわけですね。建設省の方が来られたらこの内容を聞きたいと思うんですけれども、しかし、問題は、地方自治体は、単なる建設省だけの事業じゃないでしょう。そうすると、建設省関係では、インフレ条項で、資材の値上がり、あるいは高騰したから、これによって値が上がると、そういう契約のいわばし直しのような形になるわけですね。ところが、建設省以外の、じゃ厚生省とか文部省関係、それが地方自治体にいろんな補助事業としていく場合に、こういう問題については非常なアンバランスができるわけですね。同じ国の施策をやる場合に、建設省ではインフレ条項をつくると、片方のほうはつくらぬとということになりますと、一体地方自治体というものは非常に迷惑もするし、勢い、建設省のほうでやれば、地方自治体でほかの事業にもこれを及ぼしていかなければならない。こういうことが現に出てきているわけですね。たとえば、まあちょっと私たちも新聞だけなのですけれども、インフレ条項をやはりほかのところでもこれをやりだしている、こういうことがいわれているのですが、自治省はこういう問題は相当つかんでおられるのですか。
  62. 松浦功

    政府委員松浦功君) 御承知のように、自治省は事務職員ばかりで、物の単価などについて権威のある判定をする職員もおりませんし、また、それだけの要員もかかえておらないので、まことに申しわけございませんが、一般的な、常識的な程度しか知らないわけでございます。その点はおわびいたさなきゃならぬかと思いますが、いずれにいたしましても、インフレ条項を発動するという形で、公共事業のほうは、ともかく曲がりなりにも、各省の補助金をにぎっておるところの御指導である程度の始末はつくと思いますが、単独事業につきましては、これは全くどこからもそういうあれがないわけでございます。私どもといたしましては、単独事業につきましても、これは地方公共団体が独自におきめになる問題だと思っておりまするけれども、こういう非常の際には、やはり価格の改定というようなことは当然あってしかるべきだという気持ちで御指導は申し上げているつもりでございます。
  63. 河田賢治

    ○河田賢治君 そこで、自治省はなるほど単独事業にはまあ関係がないと言われるのですけれどもね。しかし、地方自治体としてみれば、単独事業であると国の事業であると、国の一部の省がインフレ条項を適用した場合に、これは新聞にも出ておりますけれども、たとえば東京都、それから福岡とか北九州などもこういうやり方をやっているというように新聞では伝えているわけですね。私たちも直接行っておりませんからどの範囲かわかりませんけれども、しかし、一般に、その地方自治体が住宅の問題とかあるいは学校、病院、道路等々、こういう問題についてもインフレ条項を適用しており、自治体としては公平にいろんな事業についてもインフレ条項でやっていこうという努力をしているわけですね。そこで問題は、国全体が一つの統一の政府なんですから、一つの省がこれをやった、片方はやらない。しかもそれが地方自治体では、統一したやはり自治体としての仕事をやっていく上では、かなりの仕事を全般的にやらなければならぬ、地方自治体はそういう責任を持っているわけですね。そうすると、地方自治体を監督され、あるいは指導されている自治省としても、建設省でやったならばそれじゃほかのほうはどうだということが、これは頭に浮かばなければならぬのじゃないかと思うのですね。こういう問題について、ひとつ大臣、こういう、つまり各省によってインフレ条項が適用されたりされなかったりするということは、地方自治体にとっても困るだろうし、また、自治省としては、責任を持って閣議でやはりこういうことがはかられなければならぬのじゃないかと、こう私は思うわけなんですが、この点についていかがでしょうか。
  64. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 私もたいへんそういった点はまだ迂遠でございますけれども、いま河田議員の御指摘になりましたように、建設省の事業については、インフレ条項が適用されて契約価格の改定が行なわれる、他の省ではそれができないということは、これはまことに私も不合理千万なことだと思います。地方単独事業といえども、これは何も不要不急のことをやっているというわけではもとよりございませんので、したがって、一たん契約したものが、あまりにその後における物価の騰勢のために仕事が事実上できなくなるというような場合には、私は当然価格の改定を行なうということは、これはやむを得ないことでございまして、自治省自体として、そういう場合に、御承知のとおり、直ちにインフレ条項を適用すべしとかどうとかという指導をするということについては、まだ私自身、こういったことの扱いについて十分承知をいたしておりませんから、確たることは申し上げかねますけれども、しかし、事の筋といたしましては、いま河田議員御指摘のように、それは国の公共事業たるとあるいは地方単独事業たると、私は異なるところはないのじゃないか。今後そういった問題につきましても、なお一そうこういったことが激しく起こってまいるのではないかというようにも考えられまするので、自治省としては、さらにこの問題に十分対処するようにひとつ努力をいたしてみたいと、こう存じます。
  65. 河田賢治

    ○河田賢治君 それじゃこの際、私たちもあちらこちらで調査したりなんかしたものを若干申し上げておきますけれども、さっき滋賀県の問題は申しました。ところが、たとえば埼玉の草加市ですか、ここなんかでは、第一、保育所なんかが当初との比率で六〇%アップしている。前年度比では約一〇〇%アップしているというのですね。ようやくそれで落札したというわけですね。実勢価格が五千二百万円、補助基準が二千八十万円ですか、こういうことです。相当やはり今度の予算でも一五%とか一〇%くらい上がっているのもありますけれども、とにかくいなかのほうでは、実際としてはそういうふうな非常な高率な値上がりになって、小学校の建設でもこういうことがあるのですね。学校建設公社による室内体育館の契約が、土地取得が難航して六月末の契約に失敗したと、現在、業者の入札価格は六月時点の約二倍になっているというのです。非常なものなんですね。  あるいは宇治なんかでは、これは一つの例として申し上げておきますけれども、落札しないので、補正補正を繰り返して、年度当初の予定価格は軒並み四〇%から一〇〇%の大幅引き上げとなったと。しかも、議会に予定単価の引き上げの補正案を提出して審議している間に、この間ですよ、資材がまたどっと上がっちゃって、補正が成立しなかったと。こんな調子で、これで入るだろうと思って予算を組んだけれども、審議している間にもうすっかりだめになっちゃった、こういう実情なんですね。  ですから、この辺はやっぱり自治省としましても、地方行政機関が、地方の行政当局がどんなにこれは苦心しているかということを相当やっぱり知っていただかないと、そしてそれぞれの、やはり各省に対して必要なことは交渉もし、何かしないと、これは容易ならぬ私は事態が起こると思うのですよ。決して総需要抑制で不要不急なものばかりじゃないんで、非常に必要なもの、こういうものがたくさん地方自治体へいけばいくほどあるわけですよ。  これ、いまちょっと文部省の方に聞きますけれども、文部省でですね、予算単価ですね。いつも御承知のとおり超過負担の問題なんかしょっちゅう出てくるのですけれども、最近の物価上昇によって、学校の建設——小中学なんかですね、どのくらい一体値が上がって、それでどのくらい契約されているか、おわかりになりましょうか。それ、おわかりになりましたら、ひとつ言っていただきたいと思います。
  66. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) ただいま先生のお尋ねの、契約率の問額をまず最初にお答えをいたしたいと思いますが、上半期の九月末の契約率は六四・六%でございます。それから十月の契約率が約八二%でございます。当初、公共事業の抑制といいますか、五五・九%程度上半期という形で進んでおったわけでございますが、やはり学校については緊急であるというふうなことと、積寒地等ではやはり工事を急ぐ必要があるということで、当初予定しましたよりは、先ほど申し上げましたような数字で契約率は上がっております。これを例年ベースと比較いたしますと、ほぼ例年並みというふうに申し上げられるかと思うわけでございます。  それから物価上昇の点でございますが、確かに木材が上がりましたし、鋼材も今年の夏以降非常に上がってまいりました。私どもといたしましては、日銀の卸売り物価指数等を基礎にいたしまして、八月段階で一度単価改定をやらしていただいたわけでございます。そのときは、当初予算に比べまして約一一%のアップをいたしております。それから、鋼材等が非常に上がってまいりましたので、このたびの補正予算で約一〇・八%という単価改定をやらせていただいたわけでございますが、まあ個々の契約単価は非常にまちまちでございます。したがいまして、私どもとしては、学校の建設資材の高低の比率に基づきまして、鋼材なりセメントなりの物価上昇率を算定いたしまして、先ほど申し上げましたような単価補正措置をとった次第でございます。以上でございます。
  67. 河田賢治

    ○河田賢治君 特に都道府県になりますと、高等学校ですね、これは単独でやっているわけなんですが、年々学校の入学率はふえておりますね。来年ですか、明年から若干建設費も国が持つというようなことになっておりますが、おそらく各都市でも、入学者のためには高等学校なんかもかなりの増設を、この三月末までにはやっていかなければならぬ事態になっていると思うのですよ。こういう問題についてはどの程度把握されておりますか。
  68. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 高等学校の新増設につきましては、従来、地方財政措置という形で行なわれておりまして、文部省といたしましては、新増設に対する補助金は定時制高校以外にはやっておらなかったわけでございます。  しかし、先ほどのお話のように、今後五年間の高等学校の新増設というものの数は約三百校ぐらいになるのではないかというふうな計画数字があるわけでございますが、そのような実情から見ますと、国の補助金についこの検討が必要であろうということで、私どもといたしましては、九月当初の来年度予算要求におきまして、高等学校の補助につきまして約三十億円の概算要求をいたしておるわけでございます。そういう形で、今後の予算折衝のプロセスになるわけでございますが、数といたしましては、いま申し上げましたような数になろうかと思うわけでございます。
  69. 河田賢治

    ○河田賢治君 文部省とそれから建設省。特に建設省の道路なぞは、物価が高騰しても、事業量、道路延長を少なくすればある程度それは予算は執行はできるわけですね。物価の暴騰分だけ延長が短かくなるということです。学校などはそうはいきませんね。途中でやめるわけにはいかない。そうしますと、建設省のほうでは、さっきも自治省の方に話したのですけれども、いわゆるインフレ条項というものを適用して、そして一切の公共事業を、何とかいまの物価騰貴にマッチしたような予算の執行をしたいということを建設省は出しておるのです。これは文部省の直接の担当者じゃないと思いますけれども、やはり文部省あたりでも、相当の単独事業を、都道府県が建てます高校とか、それから小中学の補助等々、やはり物価が非常に上がって、なかなか地方自治体としてもそれだけ超過負担——去年二万円ぐらいのものがことしは単価四万円くらいの超過負担になるところがあるわけですね。こういう場合に、文部省あたりでは、何らかこういうインフレ条項にふさわしいようなものを——若干上げてはおられますよ、今度一〇%ぐらいね。しかし、もう資材というものは大体倍とか倍以上上がっているものが多いわけですから、こういう問題について、何らか特に四十八年度の予算を執行する上でお考えになったことはあるのでしょうか、こういう問題で。
  70. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) ただいま先生のお話の内容といたしましては、公立学校にかかる契約のインフレ条項の問題かと思うわけでございますが、文部省といたしましては、国立学校にかかる契約につきましては、文部省として契約約款を定めておりますので、このたび建設省がインフレ条項なりスライド条項についておとりになった措置に準じてやっておるわけでございます。  ただ、先生お話しの、公立学校にかかる契約条項は、それぞれの地方公共団体が契約約款を定めておるわけでございまして、その約款の内容自体は、建設省がおきめになっている標準的な契約約款を参考にしておきめになっておるというふうな実情になっておりますので、私どもとしては、ストレートに契約約款についての指導はいたしてはおりませんが、市町村としても、最近の実情にかんがみて、それぞれのお立場で建設省の御指導等を参考にしながら、その契約約款のあり方について検討し、実施をしておられるというふうな実情ではないかというふうに考えております。
  71. 河田賢治

    ○河田賢治君 けっこうです、もう。  さっきお聞きのとおり、学校などもやはりものによってはインフレ条項も適用している。しかし、一応単独でやっている場合は、勢い、地方自身が公共事業を単独でやる場合に、建設関係と同じようなこともやはりやらなければならぬ。そうすると、それだけ地方財政を、これまでの予定よりはかなり圧迫するわけですね。特に小中学なんか、超過負担というものがもうべらぼうに上がってきておるようですね。まあ私材料をここに持っておりますけれども、時間の関係であまり申しませんけれども、とにかく超過負担でどこでも——これは宇治の小学校ですけれども、一平米二万四千円の超過負担であった。去年あたりは一万そこそこで済んでいるわけですね。そういうふうに非常に負担率が多くなってきているんですね。それだけ地方財政が圧迫されると。県独自でやる、また、いろんな高校の増設等々もこういうふうにしてやられるわけなんですからね。地方自治体の財政需要というものは必ずしも楽観を許さない問題が出てくると思うんですよ。こういう問題について、私はいまさっきお話がありましたけれども地方自治体のいろんな困難な問題は、やはりある程度中央なんかでも話し合ってこれやりませんと、大臣は北海道で長らく地方自治体の責任者としていらっしゃったから御経験だと思いますけれども、しかし、あのころはわりあいに経済が順調なときですから、そういまよりは苦労はないわけですね。だから、そういう点から見ましても、やはりいま、特にこのような異常な物価騰貴で、しかも事業ができないというような、建設業者が全部辞退をするというような、こういう事態にまで追い込まれておるときに、やはり私は相当の政府自体が統一した指導と、そしてこの事態に対する強化策をとらなきゃならぬのじゃないかと思うわけですが、この点についてひとつ大臣から、この四十八年度の予算はもうあと三カ月ではございますけれども、これは重大なやはりあとへ残す問題でもありますので、ひとつお聞きしておきたいと思うんです。
  72. 町村金五

    国務大臣町村金五君) いまもお話がございましたように、物価の騰勢ということはきわめて最近に至りまして非常に顕著になってまいりました。したがって、本年度の、昭和四十八年度の予算を昨年の末にきめましたときには、今日のようなきびしい物価情勢になるということはだれも実は予測をしていなかったところでございます。したがって、最近に至りまして、御指摘になりましたような事態が私もどうも随所に起こっておるんではないかというように感ずるところでございまして、自治省といたしまして、これをこのままに放置しておくということは、まことに地方団体に対してもたいへん相すまぬことだという私も感じをいたしておるわけでございます。ただ、いま文部省のほうからもお答えがございましたが、比較的わりあいに契約率というようなものは昨年に比べましてそれほど落ちていない、むしろ、いい面もあるというようないまお答えがあったわけでございますが、おそらく私は地方団体といたしましては、そういった公立文教施設のような重大なものは何としてもこれを建設をしなければならない。したがって、まあ万難を排してやっておるということでございますので、最近、御承知のように、わりあいに地方税等の収入というものは、比較的順調に各自治体とも収入をされておるというような状況でございますので、あるいはそういったなけなしの財源を、最重要だと考える公共施設、文教施設あるいはその他の生活関連施設のところにつぎ込んで、この急場を乗り切っておられるのではないか、こう私は見ておるわけでございまして、明年度予算編成に際しましては、そういった点はひとつ十分配慮していかなければなるまい、こう存じておるところでございます。
  73. 河田賢治

    ○河田賢治君 建設省の方、だいぶ時間が早まりましたので、前後したんですが、建設省は最近の物価上昇によってインフレ条項というものを採用するということになりまして、きのうあたりの新聞でも、建設業者は、公共事業がインフレ条項をやってくれたんだから、今度はすべての民間業者に対してもこれをひとつ進めたいといって、五つか六つの建設関係の業者の団体が、各普通の民間の諸会社に対して申し出をしたというような記事も出ております。このインフレ条項について、建設省としてはどの範囲のことをおきめになったのか、そしてこれがどの程度のものであるか、つまり、おやりになる事業は建設省自身ですから。最近——さっきも文部省の方にも聞いたりしたんですけれども、とにかく地方公共団体になりますと、他のいろんな公共事業があるわけですね。これらに対しても、地方自治体では、建設省のおやりになったやつをやはり建設部門でやれば、同時にほかの公共事業に対してもやらなければならぬ。そういうことで、九州とか東京都、それから福岡等々はこういうことをやっているらしいんですわ、新聞によりますと。そこで、インフレ条項について、建設省のおとりになっておるあり方というものを、ちょっと簡単でけっこうですが、御説明願いたいと思うんですよ。
  74. 重見博一

    説明員(重見博一君) お答えいたします。  この条項の適用につきましては、公共工事標準請負契約約款第二十一条第六項の規定に基づきまして、物価等が上昇して請負代金が著しく不当になった場合にこの条項を適用するということになっておりまして、それに該当するものといたしまして幾つかの基準を定めたわけでございます。  その第一は、適用工事といたしまして、現在施工中の建設省所管の土木工事及び営繕工事であること。第二点は、適用資材といたしまして、「直接工事費に占めるウエイトが五%以上であり、かつ、基準日における実勢単価が設計単価と比較して二〇%以上上昇している建設資材(鋼材を除く)であること」。ただし、ウエートが、構成比が二〇%以上のものにつきましては、価格が一五%以上上昇しているものであること。第三点といたしまして、適用条件、「変動前残工事代金額と変動後残工事代金額」——変動後の残工事代金額と申しますのは、変動前残工事代金額に適用資材の上昇分を加えた額のことでございます。「の差額が変動前残工事代金額の三%を超えたときとする」。第四点は、適用期間、「基準日から工期末(工期が昭和四十九年度以降にわたる工事については昭和四十八年度末)までの期間」としておるわけでございます。請負代金の変更額は、基準日における各適用資材の実勢単価から各当該適用資材の設計単価を引いたものに、基準日以降の当該適用資材の使用量をかけまして、それを全部集計いたしました合計額ということにしているわけでございます。それから、請負代金の変更の申し出期限でございますが、これは昭和四十九年の一月十五日までに行なうということにいたしているわけでございます。請負代金の変更の時期は、申し出後すみやかに行なうということにいたしております。それから予算措置は、あらかじめこの措置に伴いまして必要となる見込み額を的確に把握しまして、予算の流用または当該工事内容の変更を行なって、予算の適正な執行を期するようにと、要点を申しますと以上のようなことになっているわけでございます。
  75. 河田賢治

    ○河田賢治君 そこで、建設省がやる場合に、たとえば道路にしましても、地方自治体が負担する分がありますね。たとえば国が国道をやる場合に、そのうちの、市が幾らとか、あるいは都道府県が幾らとか、こういうものがございますね。そのものはどうなりますか、割り当てなんかは。
  76. 重見博一

    説明員(重見博一君) 最後に申しましたように、今回の措置に伴います予算措置といたしましては、現在の予算範囲内におきまして、たとえば用地問題等で使えないものを個所流用するとか、あるいは工事の内容が変更可能なものでございましたら工事内容を変更するということでございますので、今回の措置に伴う地方自治体の負担増ということはないようにいたしているわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
  77. 河田賢治

    ○河田賢治君 それでわかりました。ただし、予算範囲内ですから、まあいわば一〇〇%の——一つの道路にしましてもできるものが若干こう削られますな、八〇%、あるいは七〇%とか、資材の関係、騰貴の関係で。そうしますと、この問題で地方自治体の負担というものは増加はしませんけれども、しかし、その工事が、全般が完成しなければ——まあ道路にしても、途中で打ち切られたんでは役に立たぬものがずいぶんございますわな。そういうこともあり得るわけですね。ですから、この予算範囲内と、それからインフレ条項を適用するということはわかりましたが、ここでまた地方自治体は、その道路ができなければ交通が非常に不便を感じると、何らかうまく生活上どうしてもこれはやってもらいたいというようなところも出てくるんじゃないかと思うんですね、場所によりますとね。たとえば学校を建設しましても、学校へ行く通路が、子供の通路が非常に昔ながらの農道ぐらいしかなかったとか、こういうところはまあこれは市道ぐらいで済みますけれども、こういうところはつけなきゃならぬでしょう、同じ道路にしましてもね。で、国道でも、やはり非常にまあ町の中心、あるいは大きな都市なんかを通過するようなところをかりにこれでやっておりまして、これ、完成しないと、途中で打ち切られたんではちょっと変なものになりますね、まあ来年また継続はするんでしょうけれども。そういう問題がまあ一応出てくると思うんですが、これで建設省の方けっこうです、一応インフレ条項というものがわかりましたから。もうけっこうですよ。  そこで、自治省の方は、やはりこういう予算が、範囲内ではやれるけれども、しかし、現実にそうするとそのものが十分に使えないというような問題も出てくるわけですね。ですから、これはかりに予算を削れば——物が上がったんだから、どうしても予算範囲内でやらなきゃならぬということもわかりますけれども、しかし、これが日常の生活や、あるいは庶民の営業に非常に必要なものだといえば、こういうところはやはり何らかの措置を講じて前進させなきゃならぬと思うんですよ。ですから、そういう点でかなり地方自治体で、まあ総需要の抑制とかいうようなことで一般的に押えるんじゃなくて、この辺は来年度の予算についても、十分私は、この道路の建設等々もやはり相当きめのこまかい予算措置を講ずべきじゃないかというふうに考えるわけです。  そこで、まだもう一人、厚生省の方に聞きたかったのは、これは自治省にも必要なんですけれども、つまり、今度の措置で、ある程度生活保護基準の引き上げとか、それから文教、社会福祉施設、これらが——設備なんかはまあ多少しんぼうもできる場合もあります。けれども、食費なんかは、これ、いまの物価がどんどん上がりまして、もう一年のうちに一四%消費者物価が上がりましたが、これがまたお正月になるとずっと上がるでしょう。来年に向けて上がるでしょう。この場合に、相当やっぱり私たちはこういう施設に入っている方々のそういう食の問題ですね、これなんかもよほど解決しませんと、あるいはこれらに対する十分な措置をしませんと、それはもう地方自治体で実際にやっている人はだまらぬと思うんですね。とても一般に公務員が一四%だからこちらも一四%で済むというもんじゃないと思うんですよ。最低のやはり生活を保障されなきゃならぬようなところは、やはり少々全体の額が上になってもやらないとこれはぐあい悪いんじゃないかと思うんですが、この辺はどうでしょう。——もう厚生省の方いいですわ、もう大体自治省のほうに責任持たせますから。いやほんとう、けっこうです。
  78. 松浦功

    政府委員松浦功君) 私どもといたしましては、実態に合って、そういう方々がお困りにならないような単価を国において組んでいただきたい。生活保護でございますれば、八割が国費、二割が地方費というわけでございます。かってに地方財政計画に大きな額を盛り込んで、七割が国費だというかっこうにはできないわけでございます。そういう意味では、国のほうに、実態に合うように、お困りにならないようにめんどうを見てもらうように、日ごろお願いをしておるところでございます。
  79. 河田賢治

    ○河田賢治君 このことは、最近、私どもテレビで聞いたんですけれども、東京都がやっぱり生活保護あるいはいろんな養護施設なんぞへ入っている方々に対して、物価上昇したというんで、一人に対して二千円とか三千円とか上げるようなことを言われましたですね。やはり地方自治体としてはそういう責任を持つわけですよ。だから、そのほうでの予算が直接につけられないにしても、やはりこういうことが地方自治体の相当責任になるということを勘案して、私は次の問題に入りたいと思うんですよ。  そこで、この交付税の問題です。さっき、この交付税の問題では二、三の委員からお話がありまして、まあ自治省自身も、交付税——少なくとも交付税の問題ですね、借り入れ金減額についてだいぶ問題にされた。自治省自身も、大蔵省へだいぶ他の問題なんかをかけてかけ合ったと言われますけれども、私はあんまりこの交付税というものは、やっぱり法律上三二%入れると、それから足らぬときはどうしてもこれはこの税率を上げる措置をしなくちゃならぬということも法律でうたっているわけですね。だから、四〇%というのは、あるいは三十五、六というのは、ずいぶん毎年毎年のようにかなり要求されてきたわけですが、これはまだ大蔵省がうんと言わぬのでそのままになっているわけですが、しかし、地方の実情というものはそんなに豊かなもんじゃないですよ。道路一つとってみましても、諸外国の例から見れば、地方道などの舗装率というものは九%か一〇%そこそこですね。それからまた、そのほかの下水その他、いま特に日本が公害列島になって、どうしても生活の環境をよくしなくちゃならぬと。そうすれば、下水とかその他のいろんな施設に対して——社会資本ですね、これらが相当充実されなきゃならぬわけですが、GNPでは世界第二位だと言っていますけれどもね、そういうものが非常におくれているわけですね。だから、地方自治体へ、少しでも私たちは増収があったらそれは下へおろして、そうしてやはりそういうものを一日も早く充実させると。だから、少し今度の法人税その他所得税等々、地方交付税がふえたからといって、どうもこの中で借金の減額のほうへ、かなり、まあ半分近く回させているわけなんですけれども、これなんかも、それは借金して、借金をなしておれば荷が楽になると、肩が楽になるとおっしゃりますけれども、なあに問題によっちゃ少々借金したって、どんどんどんどん、まだインフレの速度は落ちましても、多少は上がっていくわけですからな。借金というものは早目にしたほうが得なんであって、少々ありましても——ですから、そういう点もやはり私は考慮して、この借り入れ金減額というようなことは賛成できないわけなんですが、しかし、これはもういまここでこれを修正しろといってもだめなんでしょうから、しかし、明年にかけて、自治省が願っております事業所・事務所税なんかのなかなか見通しがつかぬようですね。そうすれば、やはり交付税など、地方交付税のほうの増額をやっぱりやっていかないと、地方自治体のほうにまず社会資本を充実するということで、やはり自治省は相当大蔵省に対して、ひとつ、何といいますか、強力な要請を私はしていただきたいと思うわけです。この点について、この問題で一つだけ大臣から聞いておきたいと思います。
  80. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 先ほどもお答えを申し上げたわけでございますが、まあ交付税率を引き上げるべきだということは、かねて国会筋におきましても、また地方公共団体からも、そういった御要請のあるということを私も承知をいたしておるわけでございます。先ほどお答えを申し上げましたように、私ども地方交付税というものは、申し上げるまでもなく、今日の地方公共団体がその財政需要を満たしてまいりまする場合に必要な財源は、国全体の財政の中でこれは地方公共団体に渡すべきだというものは、御承知のように、この税法のたてまえから地方団体に渡すということにいたしておるわけでございます。したがって、国のほうが非常に潤沢であり、しかも地方財政は非常に貧弱だというようなことは許されるわけのもんじゃございません。ことに最近、御承知のように、いま御指摘になりましたようないろいろの問題等を通じまして、地方団体としては財政需要というものが非常にふえてきておることは事実でございます。したがって、このふえてまいりまする財政需要に応ずるための所要財源というものは、もちろんみずからの自主財源でございます諸税もございますけれども、やはり交付税というものが重大な、重要な財源になっていることは申し上げるまでもございませんので、私どもといたしましては、今後地方財政の状況というものを、国の財政等と並べてよくこれを観察判断をいたしまして、交付税率はどうしても引き上げる必要があるとというような状況に相なりましたならば、これはぜひ私どももその方向に向かって努力をいたしてまいりたい、こう考えておるところでございます。ただ、先ほど来、財政局長からもだんだんお答えを申し上げておりまするように、明年度情勢というものはいろいろな角度から検討を事務当局とも加えたわけでございますが、現段階におきましては、交付税を引き上げなければならないというような情勢には相なっていない、こう判断をいたしましたので、そういった意味のお答えを財政局長からいたしたような次第でございます。したがって、さらに明後年度以降において、私ども交付税率の引き上げをやらないんだというようなことは申し上げているつもりはございません。
  81. 河田賢治

    ○河田賢治君 もうだいぶ時間がたちました。もう一つだけ。  公有地の先買い、したがって、これに関連しましては土地開発基金、この問題についてちょっと質問したいと思うんです。公有地は御承知のとおり法律ができましたが、なかなか土地が高くて買えないという事態がありましたが、昨年の金融引き締めから、若干土地を何とか手離したいというようなのがある。ところが、どんどん買いたくはあるんだけれども、資金がないということですね。最近、たとえば首都圏におきましても、ずいぶんと売り出しがあって——申し出がね。それで契約もかなり成立するんだけれども、実際に資金がないというわけですね。埼玉や、千葉、神奈川あたりもそういう事例がいまだいぶ出ておるようです。今度の交付税が、要するに交付税が相当入ったんで、指定して——本来は交付税というものは内容的には指定すべきもんじゃないんですけれども、指定して、九百億をですか、送るわけなんです。しかし、これでも地方自治体としてはありがたがっているわけですよ、少しでも。しかし、ないよりはましだという程度ですよ。その程度で喜んでおるようです。しかし、いま御承知のように、人口急増地帯の協議会、ここでも、公共用地の取得費を交付税基準財政額に算入し、交付すべきであるという要望をしているし、あるいは全国町村長会も、土地の開発基金を地方交付税で毎年措置すべきであるとか、公共用地先行取得債の大幅拡充をはかってもらいたいとか、あるいは指定都市ですね、これは用地取得費の国庫補助制度を確立し、補助対象を大幅に拡充してもらいたいというふうに、どこでもやはり、特に人口急増をしておるようなところ、都市の再開発をやるようなところは、やはりこの土地の入手のために起債なんかをうんと一〇〇%やってもらいたいとか、あるいはまたこのワクを広げてもらいたいという要望があり、交付税の中へひとつ算入してもらえぬかと、こういう要望を持っているわけですね。これについて——まあこれは地方からのいろんな要望ですので、この点について、自治省のほうで大体まあ来年はどういうお考えを持っておられるのか、この辺をちょっとお聞かせおきを願いたいと、こう思います。
  82. 松浦功

    政府委員松浦功君) 人口急増市町村の小中学校の用地費については、補正ですでに入れております。それを全般に広げるかどうかということになると、非常に技術的なむずかしさもございます。そのほかに、その他の費用では、土地の価格、これは公示価格になりますが、これを使いまして補正をして、種地に若干見込んだ形になっておりますので、一部土地が入った形になっております。まあできることでございますれば、ある程度理屈の立つようにもう少しそれをふくらませるというのも一つの方法かと思っておりまするが、技術的には非常に土地については問題があるわけでございます。たとえば、そういう入れ方を毎年してまいりますと、入れて、もらった金で買った土地を、今度は逆に減ってくる場合に、その土地の金を取り上げませんと、ほかに転用した場合には非常におかしくなってくるわけでございます。学校でございましたならば建てかえるという方策でいくわけでございます。建てかえでなくて廃止の場合には、学校の経費については当然学校数で検討しますから、基準財政需要額は減ってきますけれども、その場合だけは、土地だけが残ってしまうというようなことにもなりかねません。そういう問題も含めて、ただいまの御指摘、私どもとしてはできるだけ前向きで検討はさせていただきたいと思いますが、非常に技術的な困難さがあるということについてはあらかじめ御了承おきをいただきたいと、かように考えます。
  83. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 本案に対する午前中の質疑はこの程度とし、午後一時四十五分まで休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      —————・—————    午後一時四十九分開会
  84. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、鬼丸勝之君、増田盛君及び安井謙君が委員辞任され、その補欠として古賀雷四郎君、高橋雄之助君及び西村尚治君が選任されました。     —————————————
  85. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) この際、自治政務次官から発言を求められておりますので、発言を許します。古屋政務次官。
  86. 古屋亨

    政府委員(古屋亨君) このたび自治政務次官を拝命いたしました古屋亨でございます。微力でございますが、懸命に自治行政の進展のため努力してまいる所存でございますので、よろしく御指導、御鞭撻を賜わりますようお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)     —————————————
  87. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 昭和四十八年度分の地方交付税特例に関する法律案議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言願います。——他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  89. 占部秀男

    占部秀男君 私は、日本社会党を代表して、この法律案には反対であります。  この地方交付税の四千二百四十億という増加額、これが地方のほうに配分される、そのこと自体についてはわれわれ何ら異議ははさまないものでありますが、その処理のしかたについて異議がございます。たとえば、給与改定の八百九十億にしましても、あるいは生活保護基準の引き上げや社会福祉施設の単価の改定の問題についても、非常にこれは不十分であります。また、土地開発基金の問題も問題点がございますが、わけて、われわれが承服できないのは、借り入れ金の償還の問題であります。一千億といいますと、地方交付税の今度の増加額の二五%に当たる額であります。四分の一に当たる額であります。これを明年度、もう目に見えて減税の問題もあり、特に物価高という中で、しかも、地方は社会福祉の問題で財政需要が非常に大きい。こういう中で、これをそのまま返すということ自体には、われわれとしては納得できないわけであります。  そういうような意味合いから、本法律案には社会党としては反対であります。
  90. 原文兵衛

    原文兵衛君 私は自由民主党を代表し、本法律案に賛成の意を表します。  本法律案は、国税三税の増収に伴い、追加された地方交付税の合理的な使用をはかるため、地方公務員の給与、公共用地の取得に必要な財源等を付与するとともに、交付税・譲与税特別会計における借入金の繰り上げ償還をすること等をおもな内容といたしたものであります。  日本経済は、石油不足等の発生に伴い、戦後最大の危機に直面いたしております。そのため、国はもとより、地方公共団体も、国民と一体となってこの危機を克服し、経済の安定成長を確保することが急務となっております。国が打ち出した総需要抑制策その他の施策も、当面する経済危機を打開し、国民生活の安定をはかるため、緊急やむを得ず実施されたものであります。したがって、地方交付税制度の運用にあたっても、国の施策と同一基調に立ち、総需要の刺激となるような措置は極力避ける必要があります。  本法案は、必要経費を計上しつつ、将来の地方財政負担を軽減し、総需要の抑制に協力しようとするもので、まことに時宜にかなった措置であります。  以上のような理由をもって、私は本法案に賛成するものであります。
  91. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております昭和四十八年度分の地方交付税特例に関する法律案に対し反対の討論を行ないます。  反対理由の第一は、本年六月に成立した地方交付税法の改正が、地方団体の必要とする経費を十分算入しない地方財政計画を前提として行なわれているため、今回、本法案の提出が必要になったということにあります。  たとえば、本法案は地方公務員の給与改善に必要な地方交付税財源を八百九十億円と見込み、その算入をはかるため単位費用を改定しておりますが、このような措置が今回必要となったのは、昨年末、物価上昇等の状況から、すでに一〇%を大幅に上回る人事院勧告が予想され、かつ、われわれが指摘していたにもかかわらず、わずか七%程度のベア分しか財政計画に計上しなかったという、きわめて意図的な政府方針によるものであります。  これは一例にすぎませんが、このような恣意的な地方財政計画の策定方針並びに地方交付税制度の運用は、客観性を無視したもので、認めることはできません。  反対の第二は、今回の改正は、生活保護基準の引き上げ、文教、社会福祉施設の単価改正を織り込んでおりますが、私は、まず、このような措置を必要とせざるを得なくなった政策の失敗を指摘いたしたいと思います。  たとえば、公営住宅に対する国の建築補助単価は、本年度に入って三四%も引き上げられておりますが、一体だれがこのような事態を引き起こしたのか、政府は猛省すべきであります。  しかも、石油危機以後の最近の経済情勢は、この程度の改善措置では追いつかないほど、国民生活の根底をゆさぶり、生活基盤整備を困難にしております。特に、生活保護世帯、老人あるいは年金生活者等の生活は日増しに苦しくなっております。  国は、こうした弱い立場の人々にもっと手厚い保護の手を差し伸べるべきで、そのための地方財源を付与すべきであるし、また、超過負担の解消などにも早期に取り組むべきであります。今回の法案は、この点全く不十分と言わなくてはなりません。  反対の第三は、本法案は、地方交付税地方団体の固有財源であるという、従来からのわれわれの主張を少しも考慮していない点であります。  地方交付税は、地方団体の固有財源でありますから、三税の三二%分の追加があれば、まず地方団体配分すべきであります。そして、国が総需要を抑制し、物価の安定をはかる必要があるというのなら、国から地方団体協力を申し入れ、需要の抑制をはかるべきであり、法律できまった借り入れ金の返済を、国の都合で一方的に繰り上げ償還させるような、中央集権的な姿勢は認めることはできません。  反対の第四は、物価抑制の取り組み方がきわめて不十分であるということであります。  燃料不足等を理由に、バス料金等、公共料金の値上げの動きがありますが、公営企業等における料金の値上げは抑制し、そのために経営上必要とあれば、一般財源で補てんすべきであります。そして、その財源は国において補てんすべきであります。  本法案の内容には、急転する経済情勢に対応する意欲が全く見られず、はなはだ遺憾であります。  以上、反対理由数点を述べましたが、政府の善処を要望し、反対討論といたします。
  92. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私は、民社党を代表して、本法案に反対の意を表明するものであります。  今回提案されております法案は、国の補正予算による地方交付税増加額四千二百四十億円の配分を定めようとするものでありますが、このような多額の交付税補正の時にこそ、インフレによる地方自治体の深刻な財政負担の軽減に充てるべきであるのに対し、国の総需要抑制策の一環として、その増加交付税の四七%に相当する千九百九十六億円を借り入れ金の繰り上げ償還に充てたことは、今日の地方自治体が直面している財政危機の実情を十分に認識していない措置であって、納得いたしかねるものであり、この法案に対して基本的に反対するものであります。  また、最近の石油をめぐる国際情勢の急激な変化は、わが国の社会経済に重大な影響を与えております。一連の品不足、物価の高騰を招くなど、先行き不安の状況の中にあって、地方自治体の果たすべき役割りは、ますます重要さを増し、新たな財政需要の急増も予想されるのにもかかわらず、相変わらず、国庫補助事業において多額の超過負担を生ずるなど、これらに対する抜本的な改善がなされていないことは、まことに遺憾であります。  以上、おもな反対理由を述べて、私の討論を終わります。
  93. 河田賢治

    ○河田賢治君 私は、日本共産党を代表して、昭和四十八年度の地方交付税特例に関する法律案に反対の討論を行ないます。  第一の反対理由は、総需要の抑制を口実にして、地方交付税増加額四千二百四十億円のうち、実に四七%に当たる千九百九十六億の交付を一方的に削り、資金運用部資金への繰り上げ償還と借り入れ減額を一方的に行なおうとしている点であります。  このため、政府は、インフレ、資材高騰に見合った財源措置を行なうため、交付税算定基準を全面的に改定せよという地方自治体の当然の要求を無視し、単位費用の改定と、給与改定分と、国の単価アップに伴う地方負担分、わずか二百三十二億円の算入にとどめたのであります。これでは、異常なインフレに直撃されている地方自治体のばく大な財政負担増に、とうてい対応し得ないことは明らかであります。しかし、地方自治体の固有の自主財源である地方交付税に対して、国が一方的な判断でその使途を制限したり、その総額を削ることは、地方交付税に違反し、地方自治を財政面から掘りくずすものであり、とうてい容認し得ないものであります。  第二に、給与改定財源措置についてであります。  本案による八百九十億の給与改定財源は、人事院勧告に準じたベースアップ分を措置しようとするにすぎません。しかも、政府は、財源措置にあたって、地方自治体に既定経費二百五十億円の節約を押しつけて、一方的に給与財源の交付額を削減しているのであります。今日、一五%をこえる超インフレと、生活物資入手難にさらされた公務員労働者にとって、インフレ手当を含む大幅賃上げの要求はきわめて切実であります。このぎりぎりの生活防衛の要求にさえこたえようとしない財源措置地方自治体の窮状を無視した節約の強要は、きわめて不当と言わざるを得ません。  以上が、本案に反対するおもな理由であります。  最後に私は、政府が、今日、地方自治体と住民が直面している深刻なインフレと生活苦、住民のための公共事業の執行不能と、超過負担の激増、さらには福祉行政の低下という事態に深く反省し、その打開に全力を尽くすこと、特に、各種公共事業の補助単価を抜本的に引き上げて、超過負担解消をはかり、それに見合った交付税の算定基準の全面的改定を実行すること、各種資材の優先的配分を確保することを強調して、反対討論を終わります。
  94. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  昭和四十八年度分の地方交付税特例に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  96. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  97. 高橋邦雄

    高橋邦雄君 私は、ただいま可決されました昭和四十八年度分の地方交付税特例に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党、各派共同による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    昭和四十八年度分の地方交付税特例に関する法律案に対する附帯決議(案)  明年度地方財政は、福祉施策の充実、生活関連施設の整備等のため所要財源の増加が期待されているが、反面、物価の急騰、石油危機に基因する物資の需給基調の変化、国の総需要抑制策等財政環境の悪化が表面化し、極めて困難な情況が予想されている。  経済変動のはげしい情勢にかんがみ、政府は、この際左の諸点について善処すべきである。 一、社会福祉施策の充実、教育・生活関連施設の整備等を支障なく推進するため、地方交付税率の引上げを含む一般財源の強化・市町村道路特定財源の充実・良質な地方債資金の拡大等をはかるとともに、建設資材その他必要器材の確保についても万全を期すること。 二、国庫補助事業における地方公共倒体の超過負担については完全な解消をはかること。 三、法人所得課税の強化、事務所・事業所税の新設等都市税源の充実をはかるとともに、人口急増地域および過疎地域市町村に対する財政対策について、特段の配慮をすること。 四、公営交通、病院水道住民生活に直結する地方公営企業の経営の現状にかんがみ、国の財政援助措置を強化し、もって住民利便の向上、経営の健全化、および公共料金の安定をはかること。 五、奄美群島について、新たな振興特別措置法を制定して財政援助等を強化充実すること。   右決議する。  以上でございます。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  98. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいま高橋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  99. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 全会一致と認めます。よって、高橋君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、町村自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。町村自治大臣
  100. 町村金五

    国務大臣町村金五君) ただいま全会一致で御決議をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重し、善処いたしたいと存じます。
  101. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  103. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 次に、地方行政の改革に関する調査のうち、熊本市大洋デパートの火災の件を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  104. 神沢浄

    ○神沢浄君 御承知のように、当委員会は、過半、大洋デパートの火災事故については消防庁長官からの事故報告を聴取をいたしておるわけでありまして、その後、院において調査団が派遣をされて、本委員会の委員長を団長とする調査団が現地調査を行なっているわけであります。私も参加をさしていただきましたので、その調査に基づき、なお現地から諸般の要望などもあったわけでございますから、それらに基づいて、きわめて主要なような点について簡単に質問をいたしたいと思うんですが、調査において私どもが感じましたのは、大別すると、まず第一に防災体制、いや、むしろこれは、防災精神と言いかえてもいいくらいのものだと思うんですが、その体制の不備、それから必要な施設や機材の不足、不備、それらについてのいわゆる法制上の問題点、こういうようなところがあの事故から受けた教訓の点だと、こう思ったわけなんですが、そこで、第一に、私は防災体制についてお尋ねをするわけですけれども、申し上げるまでもないですけれども、この前、大阪千日前の雑居ビルで大きな火災事故が起きました。あの際、やはり国会といたしましても調査団の派遣等が行なわれ、論議があったわけでございまして、その際、今後への対応措置に善処をはかっていくという、こういう決意が当局からも述べられているわけなんですが、私は、今度の大洋デパートのあの事故現場というものを調査をしてみまして、千日前のあの雑居ビルの火災事故におけるところの教訓というものが、毫も生かされていない。全然、対応措置等についても進歩のあとがないという判断をせざるを得なかったわけであります。  そこで、かつての大阪事故の後に、消防当局としてはどういうような措置をとられてきたか、こういうような点をひとつお伺いをしたいと、こう思うんですが。
  105. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 大阪の千日デパートの火災以後におきまして、消防庁におきましても、そうした教訓にかんがみまして、百貨店等の防火設備等に対する設備基準の強化というようなことで、法令の改正を行なっておるわけでございます。さらに、そうした防火対象物における防火管理体制の強化という点につきましては、別途、通達によりまして、それぞれの消防本部、消防署長による予防査察を強化をし、不備な点について十分整備をするとともに、自衛消防組織等につきまして、十分な消防訓練等の実施方につきまして指導を行なったところでございます。特に、法令の改正につきましては、昨年の暮れに消防法施行令の改正、さらに本年六月に消防法施行規則の改正をいたしまして、特に関係があります部分としましては、スプリンクラーの設備あるいは自動火災報知機の設置基準というものにつきましては、面積制限を強化をしたわけでございます。さらにまた、非常警報設備のうちの放送設備の設置を義務づけるとか、あるいは複合用途防火対象物につきましては、建築物全体に誘導灯の設置を義務づけるとかいうようなことで、そうした設備基準の改正を行なったわけでありますけれども、今回の建物火災におきまして、こうした設備関係というものが、実はこの法令の規定が、昭和五十年までにそうした設備について設置をせよという内容の法令でありましたために、本年の五月から、大洋デパートはそうした防火設備等について、増築工事と関連をさせながら、現在の整備工事を進めておった段階にあった、こういう点におきまして、この防火設備の点は、この火災の際にはほとんど役立っておらない、こういう意味におきまして、全く千日ビルの火災が結果的には生かされておらないというようなことになったわけであります。  それからさらにもう一つ重要な問題は、このデパートにおける防火管理体制というものがほとんどできておらないという点について、非常に問題を私どもとして感じておるわけであります。これは一つは、消防機関の側におきましても、一昨年の暮れから、この建物につきましては、予防査察の結果、四十数点にわたる不備につきまして警告を出しておるわけであります。その後におきましても、昨年暮れあるいは本年に入りましてからも、数回にわたって警告を発しておるわけでございますけれども、そうした警告がどのように防火管理体制について改善が行なわれたかというあと調査が行なわれておらない、警告のしっぱなしになっておったという点が、消防機関としては非常な手抜かりであったというふうに私ども感じております。さらにまた、そうした警告を受けたデパート側におきましても、こうした何回かの警告にかかわらず、防火管理体制についてはその改善のあとが見られておらなかった。両面にわたって、こうした火災を生じた場合にこのような大惨事になるような状況ができておった。こういう点は、確かに御指摘のとおり、千日ビル火災の教訓が両面から見ましてもほとんど生かされておらないという結果になったことは、まことに私ども残念に思っておる次第でございます。
  106. 神沢浄

    ○神沢浄君 まあ、五十年までに設備をすればいいということでありますれば、その中途の期間中の問題ですから、やむを得ないような事情というものも理解もできると思うんですが、ただ、私は特に感じた点というのは、施設だとか機材だとかいう問題でなくても、もっと——ですから私は体制というか、むしろ精神といってもいいのじゃないか、こう申し上げたのですけれども、その直後、例の千葉の舘山のビル火災がありまして、このときには人身事故は全然生じない。新聞の報道によりますと、施設もある程度整とんされておった、スプリンクラーも作動したというように書いてありましたし、それより何より、その状態に応じて、いわゆる管理体制ということになるわけでしょうけれども、従業員などの誘導の行動というようなものが実に適切にとられたのが、人身事故を防止できた原因であろうというふうに報道されておりました。これらの点は、金をかけなければできない問題ではなくして、むしろ、訓練とかいうようなことでもって成果を得る点だと思いますから、私はそういうような点がもっとずっと重視をされなければ、今後事故防止というものは、たとえば設備があるいは充実していっても、その肝心の人間の気がまえというか、それが欠けておったのでは、これは全く仏つくっても魂が入らないようなことになるおそれがあるのではないか、非常に憂慮する点であります。実は、ここに私は私の県の、地元紙を持ってきておりますが、私は山梨県で甲府市のそばです。甲府の消防本部がつい先ごろ、市内にあるところのデパートを抜き打ち検査をしているわけなんです。ここにあるように、「避難階段は商品の山」「大型店の防災は゛失格゛」ということになっておりまして、この内容を見ますと、設備などの点についてもまことに不備の点がまだ多いし、避難階段へ商品を山と積んでおるというようなのは、大洋デパートのあの火災事故が教えた一番これは問題点ですね。それがその後におきましても、いまだに何といいますか、各デパート等にも徹底がされていないというような状況のようです。  しかも問題は、施設はしてあるけれども、その施設の使い方ですね、こういうようなものを従業員に聞いたけれども、備えつけてある消火器の使い方を知らないということなんだそうであります。これじゃ幾ら設備の充実をはかってみたところで、肝心の使い方をわきまえていないというようなことではどうにもならないんですが、そういうような点について、これからの問題として、千日事故に続いての今回の大洋デパートビル事故等を教訓にして、三たび目は繰り返さないような、やっぱりこの際措置を講じなきゃならぬと思うんですがね。今後の対応はどんなように考えておられますか、ちょっと聞かしてもらいたいように思うんですが。
  107. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) まず一点が法令の問題でございます。昨年からことしにかけましての消防法令の改正に伴いまして、こういう防火対象物に対する防火設備のいわば設備基準というものは整備されてきたというふうに考えるわけでありますけれども、先ほど申しましたように、簡易な設備につきましては昭和五十年までに設置をしろということになっておりますが、初期消火に最も効果のあるスプリンクラー設備というものにつきましては、これは既存の建物には遡及適用しないということになっておりますので、この大洋デパートの場合には、そうしたスプリンクラー設備がこれは現在工事中でございまして、そうした初期消火についての最も効果のある施設がなかった。この点につきましては、やはり人命尊重というたてまえから、そういうような最も重要な設備については、何とか既存建物につきましても遡及適用できるような法令の整備をはかってまいりたい、かように考えておるわけでございます。  それから第二の点は、やはりこうした設備につきまして、いかに設置をいたしましても、それを有効に利用するという体制が整っておらなければ、ただいま御指摘のとおり、全く設備が動かないわけでありまして、この点につきましては、今回の火災というものは、確かに設置されておりましたところの屋内消火栓等の設備がほとんど動いておらない。これは商品によってそういう置き場所がふさがれておったとか、あるいはまた店員に対する消防訓練というものが全く行なわれておらない、そういうことのために、そうした防火設備が動いておらないし、そうしてまた消防訓練が行なわれないために、顧客の避難誘導というものにつきましても非常にばらばらな体制がとられておった。そのために、従業員自身についても被害者が非常に多くあった。こういうことがあるわけでございまして、やはり設備面と人の面というものの両面にわたって体制を整える必要があるというふうに考えておるわけでございまして、そういうことで、当面この年末の歳末大売り出しというような時期におきましては、どうしても人の出入りがこういうデパート等につきましては多くなりますし、また、店内に商品というものが山積みされるというような傾向が十分予想されるわけでございますので、このデパート火災を契機にいたしまして、特に年末を控えて、予防査察というものを、全国すべての消防署においてこれを実施するようにという通達をいたしております。それによって、単に査察をしただけではなしに、いかなる改善方途をとらしたのかということを各市町村のほうから報告を求めるということにして、いまその指導を行なっているところでございます。やはり売り場を整理をし、そしてまた従業員の管理体制を十分整えて、それを確認をするということを消防機関に対しましては強く指導しておるというところでございます。
  108. 神沢浄

    ○神沢浄君 大洋デパートの調査に行って聞いてみたとき感じたんですけれども、全然、防災管理の体制というものが欠けていたと判断せられるのではないか。責任者もあるんでしょうと言ったら、責任者は当然置かなきゃならぬことになっていると、責任者は何をしておったかと言いますと、何をしておったかわからぬということでありまして、その際の話なんですが、一応の資格を必要とすると、設置される責任者は。資格を持っておるというような者が何もできないなどというばかげたことでも困るわけでありますが、しかし、資格を取得するといっても、何か一日の講習会でもって、こういう言い方をしておりましたが、すわって居眠りをしておっても、一日済めばその資格をくれるようになっておるんだと言うのであります。これなら、これは確かに管理者自体が知らぬのであれば、従業員がどうも消火器の操法も知らぬということがあってもふしぎはないくらいのものでありまして、私は、この辺をどういうふうに今後やっていくかということ、これは現状はそんなものなんですか。居眠りをしてすわっておっても資格を与えるというような状況になっておるのか、どうなのか。
  109. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 防火管理者につきましては、消防法並びに施行令の規定によりまして、一定の資格要件が規定をされておるわけでございます。現在この大洋デパートの防火管理者というものは、火災当時はこのデパートの営繕課長をやっておった者でございまして、昨年、消防署における防火管理者の講習を受けてその資格を得た者でございます。ただ、この防火管理者の講習は、熊本の場合に二日間にわたって実施をしているものでございまして、その講習の内容が十分受講者に伝わるような措置をとっておるはずでございます。ただ問題は、現在のところ、そういうことで講習その他によりまして一定の資格を得た場合に、一度得た資格というものは、そのまま資格として継続をするということになっておるわけでございまして、この点は、最近のように火災の多様化、あるいはいろんな火災原因等につきましていろんな問題が出てまいりますというと、やはりこの防火管理者、一度得た資格がそのまま一生継続するというのではやや心配があるわけでございまして、そういう意味におきましては、こうした防火管理者につきましては、一定年限経過後は再度講習をしていくというような制度にしたらどうだろうかという点について検討をしているわけであります。  さらにまた防火管理者につきましては、そうした企業体におけるある程度の管理監督の責任を持っている者ということになっておりますけれども、防火管理者が、やはり経営者に対してある程度防火管理上必要なものは十分な権限を持ってものが言えるような防火管理者になってほしい、こういう意味におきまして、この防火管理者の資格あるいは権限等につきましては、もう一度これは再検討する必要があるんじゃないだろうか、こういうことでいま検討を進めている段階でございます。
  110. 神沢浄

    ○神沢浄君 そこで、いま論議にあげておるような点については、消防庁として今後厳重な指導というものを要望してやまないわけなんですが、私はこんなふうな感じも受けざるを得なかったのですが、これは日本の社会経済の情勢の上で、どうしても経済主義が先に立ちまして、人間尊重の精神というか、そういうようなものがなおざりにされてきておるということはまあいなめない状況だと思うわけなんです。ですから、かなりこれは厳重な指導を行なわないことには、そういう姿勢は矯正しにくいではないか。ですから、一方、厳重な指導をやっていただくと同時に、現地の要望の中にもありましたけれども、これは消防法の改正等が必要になってくるわけなんでしょうが、やっぱり大きな、ああいう数千の人間の出入をするようなビル等においては、やっぱり専任保安要員、それ専門の、もう金もうけのほうへは頭を使わなくてもいいから、いわゆる災害とか火災とかの際にすぐに動けるような専任の保安要員を設置するということは、確かにこれは必要なことだという感じを受けてきたんですが、そんな点についての考え方はどうでしょう。
  111. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) ただいま御指摘のとおり、こうした不特定多数の人が出入りをする防火対象物の場合に、防火管理体制の整備はもちろんでありますけれども、そうした防火設備等につきましても、常にそういう設備が有効に作動する、あるいはまた従業員等の自衛組織というものが、初期消火の面におきましてもすぐに対応できるというような体制をとるということのために、もっと防火対象物の経営者自身が、そういう消防計画というものを十分にのみ込んで体制をとっていただく必要があるだろうというふうに考えておるわけでございます。その場合に、専任の保安要員というものを設置すべきかどうかという点につきましては、なおもっと検討する必要があるというふうに考えておりますけれども、やはりデパートにおきましては、相当多数の人間が入ってまいりますので、わずかの保安要員だけではたして防火管理体制というものが万全を期し得るかどうか、こういう点はやや問題があるのではないだろうか。やはりそれ以前に、従業員全体のいわば自衛消防組織というものがもっと適切に活動し得るような体制をとる必要があるだろうというふうに考えますし、また、そうした防火設備等が常に有効に作動し得るような状況に維持するということが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
  112. 神沢浄

    ○神沢浄君 時間の関係もありますから、ほんとうに主要の点だけを拾っていきますけれども、さて、そこで設備、機材等の問題ですが、熊本市の場合などは、何か現状においては他の隣接都市等に比べると悪いほうではないという説明もしておったんですが、悪いほうではないと言いながら、たとえばはしご車だとか——スノーケルというのですか、こういうようなものもまだまだ不備でございまして、ところが、これを設備しようというのには相当の経費を必要とするわけであります。そこまでいくと、やっぱり金の問題になるんでして、そこで財政局長さんにお尋ねをするのですが、いまのところ、何か三分の一ということになっておるんだそうですが、それも、すべて装備を終わったもののうちから補助の対象の何か範囲というのが限定されておって、したがって、全額の三分の一ではなくて、限定された額の三分の一ということになりますから、実際には四分の一ぐらいの計算になってしまっているらしいんです。これは私、やっぱり思い切って少なくとも半分くらいの金は出してやって、さあ設備をしろというようなことになっていきませんと、なかなか自治体消防の場合はむずかしいじゃないかというような感じを強く受けてまいりました。  それと同時に、これも現地からたっての要望がありましたが、消防に関する——先ほど交付税のなにが終わったばかりですが、やっぱり交付税基準単価を改定をしてもらえぬだろうかという、こういう要望が非常に強いものがありました。そんな点についてはどんなようなお考えか、聞かしていただきたいと思います。
  113. 松浦功

    政府委員松浦功君) いまの補助金の問題につきましては、消防庁のほうで、ことしの予算におきましても大蔵省と鋭意折衝なさることと思いますが、補助基準単価が非常に実情に合わないという問題が基本であろうかと思います。この点につきましては、私どもも消防庁の長官をうしろからバックアップするかっこうで、大蔵省のほうに強く当たってまいりたいと考えております。  それから交付税措置の問題でございますが、私どもといたしましては、消防の重要性を考えまして、年々、他の経費に比べまして交付税算入を非常に引き上げていきたいという態度にこれまでも出てきております。明年度以降におきましても、同じような態度で、内容についてはよく消防庁と相談をしながらその拡充につとめてまいりたいと存じておりますが、全国的に申し上げますと、実は交付税で算入しておるものの九割程度しか市町村は使っておらないわけです。何ぼ交付税をふやしましても、市町村が使わないということになりますと、不届きだとは交付税のたてまえ上、申せません。そういう意味では、もう少し、自治体でございます市町村が消防の重要性というものを考えて、そうして交付税以上に——これは税金が二割五分、余裕が、遊んでおるわけでございます。そういうものも組み入れて予算化していくという態度をとっていただきませんと、いかに交付税をふやしてもなかなか実態というものは整っていかないという一面が出てくると思います。よくその辺については、実情と地方公共団体の認識と、それからまた消防庁の指導力と、合わせて現実の消防力が上向いていくようにわれわれとしては当然つとめるべきだと、こう考えております。
  114. 神沢浄

    ○神沢浄君 もう少し消防に重点を払うようなやっぱり指導もこれはやっていただく必要が確かにあるように思います。  それとあわせて、これは特交の問題ですけれども、ああいう大きな事故が起こりますと、思いがけない経費というものが地元にはかかるようでありまして、このいま要望書の中の点を拾ってみましても、消火・救急活動の経費とか、火災現場の査察関係の経費だとか、罹災者の対策経費であるとか、あるいは弔慰金、見舞い金、地方税の減免措置による自治体とすれば減収の問題、それから罹災中小企業者に対する再建融資というように、相当巨額なものが事故に伴って必要になってくる。したがって、そういうふうな実態に即しての特交の措置を考慮してほしいと、こういうことで、何か無理からない要望のように聞きました。現在はどんなようになっておるわけでしょう。
  115. 松浦功

    政府委員松浦功君) 火災の態様によっても著しく考え方が変わってくると思うわけでございます。一般の民家の大火災というようなものとデパート火災とでは、だいぶ考え方が違うと思います。現実に熊本市がどれだけ支出をしておるかということは、特別交付税の段階で十分熊本市から事情を伺いまして、その上で、特別交付税というものにも一つ考え方がございますので、それにのっとって措置をいたしたいと思います。
  116. 神沢浄

    ○神沢浄君 厚生省の方にお伺いをいたしますが、いま政令にきめてある基準の問題になると思うのですけれども、今度の大洋デパートの火災等は、これはもう、いわゆる災害のその量としてはこれはかなり大きなものになるわけであります。ところが、いまの災害救助法の政令基準等によれば、これは適用はできないわけであって、したがって、これは小さな一つの例ですけれども、赤十字のほうにかなりの物資があるというのです。しかし、救助法の適用ができないから、どうもその物資を回すわけにもいかないというような点などもあったわけなんですけれども、災害救助法のいわゆる適用基準というやつを、こういうような事故の連続の例を考えてみますと、やっぱり実態に即して拡大をしていくということがこれは必要だと思います。したがって、いまの救助法でどう対応できるか、それから、あわせて、対象基準の拡大というような点についてどう考えておるのか、これらの点をちょっと聞かしていただきたいと思うのですけれども
  117. 舘山不二夫

    説明員舘山不二夫君) お答えいたします。  災害は、一般的には住家の滅失を伴うものでございまして、災害救助法の施行令では、住家の滅失が市町村規模に応じてそれぞれ一定の場合以上になったときに災害救助法を発動する、こういうことになっているわけでございますが、ここに一つ例外がございまして、災害救助法の施行令の一条の一項第四号では、「多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じた」場合にも災害救助法を発動することができると、かようになっているわけでございます。ただ、一がいに「多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じた」場合と申しましても、具体的にはさだかではないわけでございます。これは現在までの運用といたしましては、行政実例の積み重ねということでやってきておりまして、具体的に申し上げますと、船舶事故が起こった場合、交通途絶した場合、火山が爆発した場合、あるいはガス爆発が起こった場合というような実例が現在まで積み重ねられているわけでございますが、火災に関しましては、ごく特定の場合を除いては、災害救助法が発動されたという事例がございません。千日前ビルの火災のときにも、災害救助法は発動されていないわけでございます。結局、この災害救助法の発動と申しますものは、災害救助法を発動しなければ救助に円滑を欠くかどうかというところが判断の基準になるわけでございます。現在までは、行政実例としてはそのようなことはないとはいうものの、今後の高層ビルの火災などを考えますと、必ずしも、今後においても絶対に発動することはあり得ない、こういうふうなことも申し上げかねるかと思いまして、私どもでも、今後の場合を考えまして現在検討を進めているところでございます。
  118. 神沢浄

    ○神沢浄君 前向きに検討してほしいと思いますよ。とにかく死者百名をこえ、負傷者が百名をこえるという災害というものは、これは量としては相当大きな災害なんですからね。それに、どうも有効に機能できない救助法というようなことになると、これはやはり救助法自体に欠けるところがあると言わなければならぬわけでありまして、いまの御説明でもって、検討をなさるというわけですから、高層建築がどんどんふえる、かつての、静かにあちらこちらに町や村が存在をしておった社会状況とは違うのだから、大都市へ人間が集中をして、高層建築がどんどんふえてくるというような状況に、やはり生きた対応をしていかなければ、私は法律というものの意味がないというような感じも強く受けてきたわけであります。その点、ここで論議をしようという問題でもありませんから、これはひとつ建設大臣にも、あるいは厚生大臣にもお伝えをいただいて、ほんとうに前向きの検討を要望をしておきます。  それに関してもう一点、厚生省のほうにお尋ねしておきたいのですが、現地の方たちが、あれだけの大きな事故があったについては、いわゆる個人災害に対する救助措置ですね。これもやっぱり現状では救済の道がないようでありまして、これはやっぱり一口に言えば、事故を起こした企業の責任だということになるわけでしょうけれども、しかし、企業の能力があるいはそれに応じ切れないような場合だって当然考えられます。またそういう場面も今後多いと思う。そういうふうな際に、やっぱり法が生きるようなことでないと、これは困ると思うのです。そんな点についての考え方もあわせてお尋ねをしておきたい。
  119. 舘山不二夫

    説明員舘山不二夫君) お答えいたします。  さきの国会で、災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律が制定されまして、それまで全然救済の道がなかった、自然災害による死亡者に対して災害弔慰金を支給する道が講ぜられたわけでございます。この法律の立法の趣旨と申しますのは、自然災害の場合には、だれにも責任がないということで、それによって被害を受けた方々がどこにもしりを持っていくことができないと、こういうものに対して市町村が災害弔慰金を出したときには、国も二分の一の負担をすると、こういった趣旨でございます。したがいまして、今回のような、熊本の大洋デパートの火災のようなものにつきましては、当然、当該火災を引き起こした責任者が、罹災者に対してそれ相応の補償をするということのほうが筋ではないかと考える次第でございます。
  120. 神沢浄

    ○神沢浄君 お忙しい大臣を足どめをしておって、まことに恐縮だったのですが、最後に私は大臣にお尋ねをして終わりたいと思うのですが、今度の事故などの調査に当たってみまして、いろいろ、冒頭申し上げるように教訓を得たわけでありまして、やはりいま幾つか主要と思われるような点の質疑どもしてみましたが、やっぱり法令制度上のまだまだ不備な点もたくさんあるように思います。それから、何をするにも、それは先立つものは経費、資金ということになるわけでありまして、これらの措置を抜きにして、ただ気合いだけかけてみたとしましても、それはなかなか、そうじゃなくても自治体としては相当苦しい財政の現状にある以上は、これは徹底を求めることはむずかしかろうと思うわけであります。なお、あわせて精神上の指導というようなものは、これは政治としても非常に重要な問題だと思うのですが、とかく今日までの行政の中においては、そういうふうな点が二義的にされるような面があったことは、私なども、自分をも含めて反省をする気持ちなんですが、そういうふうな状況の中から、今後の防災といいますか、災害をなくしていくというような点についてのひとつ関係各省庁への働きかけなり、自治省が、大臣が中心になって御努力をいただきたい。私は大きな期待を持つわけでありますが、自治大臣国家公安委員長というような立場から、ひとつ所見をお聞かせをいただいて終わりたいと思います。
  121. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 先般の大洋デパートのあの大災害に関連をいたしまして、ただいまも神沢委員からも御指摘がございましたように、わずか一年前にあった千日デパートの災害の教訓がほとんど生かされていなかったような感じがするという御指摘があったわけでございまして、このことは、消防主管関係者にとりましても、たいへんな、実は大事な反省の資となるべきことでもございますし、また今回の大洋デパートの場合におきましては、経営者自身の防火精神と申しましょうか、防火責任に対する責任感がどうもきわめて乏しいように感ぜられるという御指摘もあったわけでございます。やはり災害は起こるべくして起きたと言わざるを得ないのでございまして、私ども、この間のあの火災に関連をいたしまして、第一に感じましたことは、何といいましてもああいうふうに多数の人が出入りをして、しかも燃えぐさがいっぱいある。建物の構造は、中に間仕切りがございませんから、ひとたび火災が起こればたちまちその階は煙が充満してしまうという、きわめて危険な、火災の場合を考えますれば、これほど実は危険な建物はございません。したがって、そういったことを考えてみますると、やはり現在の建築基準法それ自体にまだまだ私は問題が非常に残っておるような感じがいたします。  あの火災報告を聞いていますると、一番上の最上階にうまく逃げおおせた者ははしご車でもって全部助かったということでございますから、結局煙にまかれて死んだということでございましょう。しかもまた、五階というのは、ごらんをいただいたそうですが、ほとんど人が死んでいない。他の階はたくさん死んでおるのに、なぜ五階は——結局五階の人は何か隣の建築へ行く通路があって、そこから逃げたのでみな助かったというようなことは、たいへんわれわれに建築基準法上のよい一つの教訓を与えてくれているのではないであろうか。もし各階ごとに、いわばずうっと外側にベランダのようなものでもあり、そこで煙のないところへ行っておる間に、はしご車でも来てくれるということになれば大体助かるんじゃないかというような、私どもたいへんしろうと考えではございますけれども、話を聞きながらそういう感じを受けたのでございます。  あの火災が起こりまして、たまたま私どももすぐ建設大臣とも相談をいたしまして、ぜひひとつ、デパートなり地下街というものが実はいまの建築の中で私は一番危険じゃないだろうか。したがって、この建物、少なくとも地下街なりあるいはデパートなり、それに類するような建物につきましては、特に建築基準法の上で厳重な、特別な立法をすべきではないかということを提言をいたしておるのでございまして、目下、建設大臣のもとにおきまして、専門の学識経験者を集めて、自来、懸命に実は御検討をいただいておる次第でございまして、間もなくそういうものができ上がるんじゃないかと思うんでありますが、かりにそういう検討ができたといたしましても、またかりに、それを皆さんの御協力を得て立法ができたといたしましても、これが実際に生かされなければ何の役にも立たないということは、先ほど来の御指摘によっても明らかな節々が相当にあるわけでございますので、たとえばスプリンクラーが、設置の義務が負わされておるにかかわらず、これは遡及の効果を与えていない、遡及をすることを強制をしていないということになるわけでございますから、かりに今度相当に進んだ建築基準法をつくったといたしましても、既存の建物にそれが及ばないということであっては、将来の建物だけに及んでしまう。私は、これはいろいろ立法上にずいぶん問題があるんだそうでございますけれども、できるならそういう建築基準法ができましたならば、既存の建物に対しても遡及の効果の出るようなぐあいにすべきであろうというように考えてもおる次第でございますが、いずれ、そういった問題につきましても、もう少し具体化される段階におきまして、そういったいわば盲点になるようなところを、ぜひひとつ消してかかるということも、今後たいへん必要なことではないであろうかという感じがいたすわけでございます。  なお、またいま神沢議員の御指摘のございました、いわゆる経営者の防火精神の欠除といったような問題について、私、お話の中で一種の専任の保安要員のような者を置くべきであろうという——私は、あれだけのたくさんの人間を常にかかえており、万が一火事が起きたならばたいへんなことになるんでございますから、やはり、商売のことを考えないという、ほんとうに防火責任者と申しましょうか、そういった者をやっぱり各階ごとには一人ぐらい置かせるということも、私は今後のこの消防法上の改正の場合にはぜひ考えておく必要があるんじゃないだろうかというような感じがいたしたのでございますが、いずれにいたしましても、同じことをいつも繰り返して、そのつどそういうことを申しては、いつも生かされていないという御批判をこうむるだけで終わるということはまことに申しわけないことでございます。この点はひとつ十分戒心して、これらのことに今後臨んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  122. 秋山長造

    ○秋山長造君 神沢さんの御質問にありました災害救助法のことに関連して、一言だけ厚生省、御質問したいのですが、この間熊本へ参りましたときに、まあ先ほど神沢さんの御質問の各項目について、ずいぶん各方面から強い要望があったわけですがね。その中に、一つこういうことがあったんですが、赤十字社が、ずいぶん持っておった毛布その他を思い切って放出したんだそうです。で、まあずいぶん赤十字が活躍したんだそうですが、ところで、その費用を一体どうしてくれるのかということが残っているのですね。で、この救助法の適用があれば、ここへ条文見出しにちゃんと書いてありますが、費用の補償という項目があるから、まあこれであと穴埋めはつくんでしょうけれどもね。熊本の場合は費用の補償がないわけでしょう。そこで、熊本の赤十字は手持ちの毛布から何から、全部物資を放出してしまったというのですね。あと何とかしなきゃならぬが、一体これはどういうようにしたらいいんだろうか、どこがしてくれるのかという意見がずいぶん出ておったようですよ。まあ私どもしろうとで法律関係はよくわからぬが、そりゃまあそこまでやっておれば、法律がどうであろうとも、いずれ厚生省あたりがほうってはおかぬだろうぐらいに思って帰ったんだけれどもね。その点どうですか、厚生省。
  123. 舘山不二夫

    説明員舘山不二夫君) いま先生が御指摘になりましたことは、実は私初耳でございます。と申しますのは、熊本県に災害救助法の適用の関係では、何べんも、一体どういうふうな実情にあるのかということは聞いていたわけでございますけれども、初めて耳にいたしたことでございまして、ひとつ実情をよく調べてみたいと思います。
  124. 秋山長造

    ○秋山長造君 厚生省の直接の担当者のところへ話がきてないようなことは、どういう一どこで話がそうなっておるのか、ちょっと私も質問に迷うんですけれども、まあ熊本のあの具体的な対策は、いずれ熊本の実情をあなたのほうでよく把握されてからでなければ、どうしようというわけにはいかぬだろうけれども、一般論として、いま言うようなケースはあちこちにあるだろうと思うんですよ。救助法は適用にならぬけれども、しかし、まさかそこで災害が起こっておるのを赤十字が知らぬ顔しておるというわけにはいかぬから、赤十字はやっぱり犠牲的にばあっとやりますわね。その場合のあとの物資の補給なり費用の補償というものは一体どういうことになるのかというと、一般論としてどうですか、あなたのほうで何か考えておられることがあったら。
  125. 舘山不二夫

    説明員舘山不二夫君) お答えいたします。  一般的に申しますと、大きな災害でない場合には、赤十字はそういったものを放出するだけの力を持っております。しかし、大きな災害になりますと、これは赤十字が負担するということはとてもできませんものですから、災害救助法も適用になるわけでございます。
  126. 秋山長造

    ○秋山長造君 まあ事務的に議論すればそういうことになるのかもしれぬけれども、ちょうどそうすると、熊本の場合はその中間のケースですね。とにかくもう力一ぱい、持っているものを全部出したらしいんですよ。あすこへぶち込んだような話ですがね。そうなると、やっぱりそれは、いまのあなたのおっしゃったケースは両極端ですから、そのまん中のところだと思うんです。これ、いずれあなたのほうでも早急に、実情を向こうから言うてくるのを待たないで、実情を調べていただいて、——やっぱり何か非常に困っておるような話だったですよ、県も市も。何か善処してあげてください。赤十字というもの、ただサービスだけというても、これ、費用も要ることだし、物も要ることだから、何とかしておかなきゃいかぬのじゃないかということですよ。
  127. 舘山不二夫

    説明員舘山不二夫君) 早急に調査した上、善処いたします。
  128. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 残念ながら私は行けなかったんですよ。調査に行けなかったんですけれども、問題は、いまいろんな細部にわたって問題点が出ました。結局は、ああいう人の集まるところで火災なんかを起こしてはならないわけですよ、基本的には。で、そのためにはじゃどうするか。いわゆる予防査察の問題もあるでしょうし、いろいろあると思います。また管理者側の体制の問題、あるいは精神的な問題、いろいろあると思います。そういった点、去年の千日前、また大洋デパート、その前には千葉県の田畑、そういった大きなデパートの火災が次々起きているわけですね。そういうものを踏まえて、まず基本的に起こしてはならないという、そういう立場から、これからどうしていかなくちゃならないかということ、その点ひとつ、大洋デパートはごく最近に火災を起こしたわけで、いま申し上げたように、去年は千日前、それから田畑と、もう何回もあったわけですから、その辺のところを、起こしてはならないという立場から、私はもっともっと強力ないろんな施策が必要だろうと、こう思うんですがね。その点どういうふうに考えておられるか、お答え願いたいと思うんです。
  129. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 確かに、こうした不特定多数の人の出入りする建物に火災が生ずるということは、あってはならないわけでございまして、そういうことで、各市町村における火災予防条例等におきましても、こういう建物につきましては、その火災の発生ということについて、相当注意深く規定も設けておるわけでございます。たとえば売り場はこれはすべて禁煙の措置をとっております。また火を使う場合には、一定の防火区画内で行なうといったようなことも、まず考えられる規定はすべて規定をしていると言ってもいいだろうと思いますが、今回の火災の場合には、やはり予想しなかった場所から起きているという点は、確かに、いまの火の用心という観点からしますというと、これはもうお互い個々が気をつけなければならない問題ではないだろうかというような感じがいたすわけであります。もちろん、予防査察の上におきましては、その施設の不備から、たとえば漏電等が起きて火災になるというものにつきましては、十分な査察体制をとっているつもりでありますけれども、いま申しましたように、この熊本の場合には、その警告に対してあと追いの査察を行なっておらない、こういう点につきましては非常に問題があるわけでございます。そういう点におきまして、これは建物の管理者、それから消防機関の両面からのこうした火災予防についての十分な心がまえをとっておいてもらわなければならない問題であろうというふうに考えるわけであります。さらにまた、一たん火事が発生したとしました場合に、その初期の段階でこれを消しとめるということのためには、どうしても防火設備等につきましての不断の維持、管理というものが必要であります。その点につきまして、やや現在の時点におきましては、この保守体制が非常に整っておらないという点も問題がございますので、こうした保守面におけるこれからの体制を、私どものほうとしましても十分これから考えていく必要があるというふうに思っているわけでございます。
  130. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあ巷間うわさされている中には、査察の場合、非常になれ合いがあるというような話も聞いているわけです。そのなれ合い、もしそういったことがあるとすれば、これは当然そういった大事故が発生する、それ自体が原因になるということが言えると思います。ですから、その辺のところも、もっともっといわゆる査察体制の強化といいますか、俗な言い方ですけれども、いわゆる本気になってその責任を全うするというだけの心組みをやっぱりつくらせなければならぬでしょうしね。また、先ほど大臣がおっしゃったのですけれども、スプリンクラーの問題にしても、法律でどうのこうのと、古い建物はその適用外であるとかというような考え方、そういうことでなくて、やっぱりそれが効果があるということならば、当然もう初期の防火ということについて、これは効果があるということならば、それにかわるべきものがいまできないわけないと私思うのですね。それを法律がこうだからというのではなくて、それを変えればいいじゃないか、それだけの強い姿勢が私は大事じゃないかと、こう思うんですよね。その辺、もう少し積極的に、理屈の上でなくて、もっともっと悪い点いろいろとあるはずですから、またやらなくちゃならない点いろいろあるはずですから、それをもっと積極的に取り組んで、これを改善をしていく、そしてこういう問題を二度と起こさないだけの体制をつくるという、こういうやっぱり私は心がまえが重要だろうと、こう思うのですけれどもね。どうですか、その点。
  131. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 消防の一番の仕事は、やはり火事が出てから消すということよりは、火事を起こさないということのほうが最も大事な仕事だろうと思うのでございます。現在、消防におきまして、予防査察ということにつきまして相当力を注いでいるつもりでありますけれども、やはりまだ各都市の消防の人員等から見ますというと、こうした予防面にさく人員が非常に少ない、こういうことのために、熊本の例でもありますように、一ぺん査察をしても、その査察の結果がどのようになったかということをあとづけする余裕がなくてそのまま見過ごされている。この点が私どもとしましては最も問題であろうというふうに考えるわけでございまして、そしてまた、そうした問題のある部分について、それを確実に建物の管理者に守らせるというための法的な規定もあるわけでありますから、十分この法の規定を必要なときに適切に運用するという姿勢が望ましいというふうに考えるわけでありまして、この点につきまして、私どももいままで不十分な点を十分反省をいたしまして、さらにこうした現行法の規定というものの適切な運用ということについて、消防機関に指導、督励をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  132. 河田賢治

    ○河田賢治君 大洋デパートの問題については各委員から御質問がありましたので、私はそこを省きます。まああのデパートの火事のあと、京都でも、市が翌日全部百貨店その他を査察しているんですね。やはりそこでも、同じように、この年末でもありますし、ずっと階段なんかにたくさんな商品を並べて、新聞なんかによりますともう欠陥だらけだと書いているわけです。それからスプリンクラーなんかのついてないところもありますし、それから排煙設備なんかがまだほとんど——四つの百貨店ですけれども、ないとか、目下計画中であるとかというようなことで、かなりやはり不備な点がずいぶんまだ残っております。しかし、これらも、やがて建築基準法などで当然遡及して、一定の制限をしていけば、あるいはそういう内容を入れていけば、若干は直ると思いますが、ただ問題は、一つ私がお聞きしたいのは、スーパーマーケット、これはことしでしたか、九州でも火事がありまして、そこでは死傷者はなかったようです。けれども、これも大きな百貨店なんかの並んでいる通りですから、比較的に消防活動なんかもかなり余裕のある道幅があるわけですね。ところが、最近、私なんかのところの長岡京というのがある。ごく最近市になったばかりです。人口はいまもう五、六万になっていると思いますが、ここはもう昔のままの道路なんですね。自動車がもう二台すれ違ったらそれで一ぱいなんですね。だから大きな消防車なんか入っても、とてもほかの車なんかはほとんど通れぬというぐらいになるわけですね。そこに大きなスーパーがあり、最近のスーパーは、御承知のとおり、自動車でいなかのほうはずっと買い出しに行く。で、自動車のいわゆる面積地が相当広いんです。ですから、百台以上も、あるいはもっとはいれるかもしれません。相当大きなものですね。大体もう、土曜とかその他のときにはみな一ぱい入っておりますが、またこのスーパーが、こういうものがやはり万一火災になった場合に、消防活動は、御承知のとおり、その周囲はほとんど、古い、自動車二台ぐらいの道路ですから、これはシャッターして入れさせないと、通らせないと。それで消防活動を一ぱいやりますと、あき地ではないんで、やっぱり自動車がおるわけですからな。そうすると、万一火事があれば、やはり自動車自体も——この前消防庁が検査されましたな、自動車自体でもどんどん燃えていくと、まあこういう事態が起こるわけですね。ですから、私はこのスーパーを特に——まあ規模にもよりますけれども、概して大きなスーパーというようなものは、やはり建築の内容はともかく——内容も一つありますけれども、同時に、そういう位置を私は指定する必要があるんじゃないか。たとえば大きな国道筋とかあるいは主要な地方道で、相当の道幅があって消防活動ができる。一方では避難する者が若干でもこう退去のできるような道幅がないと——あればこれはやれますけれども、道幅が狭いと、私はもうその車のおるところ自体が危険な状態になるということも予想しなくちゃならぬのじゃないかと思うのですね。だから、この問題は自治省自身の問題じゃありませんけれども、スーパーを許可する場合、これは通産省あたりがやると思うのですけれども、しかし、消防の見地から、万一の場合人命がこんなに失なわれるという危険があれば、やはりそういうところの設置はやめさせると。だから、道路その他の、十分消防活動とそれから避難、そういうような車が通ったり人が通ったりするような道路なんかのあるところならば許すというような、そういう自治省はひとつ強い消防の見地から、スーパーの営業を許可する場所ですね、これについて私は発言する必要があるのじゃないかと、こういうふうに一つは思うわけです。これが一つ。  ついでに、もう時間の関係で一緒にやりますが、御承知のとおり、いま消防署は人口急増地帯なんぞになりますと、ずっと、各新しい建築をした家をみな点検もします。それで非常にそのほうへ人が取られるということ。それから交通災害ですね、交通事故。これで救急車でどんどん走り回って、消防のほうよりもそのほうの事業量が多くなっておる。こういうことを始終私どもは小さな消防署に行って聞くわけなんですが、これは消防自体は、ないほうがいいんですけれども、しかしまあ一定の人数はやはり消防並びに救急等に必要だと思うのですね。そうしてなかなかいま若い人が、まああまり給与もよくありませんし、それから時間の関係で、まあ三交代をやっておるところならそうでもないでしょうけれども、二交代のようなところもだいぶあると思うのですね。そうすると、なかなか若い元気のいい人は消防へ入ってこない。なかなか募集してもすぐには来ぬというような実態もあるらしいんですね。ですからこの点も、やはり相当これからの消防行政の上で人員を確保すること、それからまた、必要な、そういう地域によっては人員を確保するというこの二つの問題が大事じゃないかというふうに考えるわけですね。この点について、特に建築だけの、百貨店等々の建築の内容を変えるというだけでなく、そういう位置の問題ですね、私は非常に重要に、いまちょっといなかのほうを回りまして感じたわけなんですが、この点について、ひとつ責任ある御答弁を願いたいと思うんですね。
  133. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) まず第一点の、大型店舗の場合の配置、位置の問題でございますが、確かに御指摘のとおり、こうした大型店舗の場合には、やはりその場所が、消防車の活動が相当自由になる、そしてまた同時にお客が十分余裕をもって退避できるというような地理的な条件にあるということが非常に望ましいわけでございまして、そうしてまた、特に駐車場が、野外において車が相当数並べられておるという場合には、この間の実験でもはっきりしておるわけでありますけれども、車自体がまた燃えぐさになってしまうというふうなことも考えられますので、この点は都市計画上の問題として、私どもも十分建設当局のほうに要請をしたいというふうに考えておるわけでございまして、現在におきましても、一般住宅の場合におきましても、まだ消防車が入りきらないような道路のところに家が建っておるという例もございますので、これらの点につきましては、都市の、やはり防災都市としての都市計画という観点から、道路等の整備につきましても十分お願いをしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから第二点の、消防職員の充足の問題でございますが、これは現在の消防施設の充当状況よりもなお人員の充当状況が悪くなっておりまして、私どもも非常にこれは頭の痛い問題でございます。特にまた救急業務というものは、もう毎年その分量が多くなってまいりますので、人員の充足につきましては、特に重点を置いて私ども考えておるところでございますし、また地方交付税の算入にあたりましては、できるだけ現在の実績の人員をさらに引き上げていくというつもりで、先行的に交付税の見積りは行なっているわけでございます。そういうことで、最近におきまして逐次充足状況がよくなってきているようではございますけれども、なおまだ不十分でございます。待遇の面は、大体いまのところ、全国的に調べてみますというと、ほぼ警察官の場合と同じような処遇状況になっているようでございますけれども、さらに勤務の実態等から見まして、必要な財政措置も講じながら改善措置は検討してまいりたいと思っております。
  134. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 本件に関する調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  135. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 委員派遣に関する件についておはかりいたします。  地方行政の改革に関する調査のため、自然休会中委員派遣の必要が生じた場合においては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十分散会      —————・—————