運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-05-31 第72回国会 参議院 大蔵委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月三十一日(金曜日)    午後二時二十六分開会     —————————————    委員異動  五月三十一日     辞任         補欠選任      高田 浩運君     高橋雄之助君      玉置 猛夫君     米田 正文君      中西 一郎君     稲嶺 一郎君      船田  譲君     黒住 忠行君      山崎 五郎君     中村 登美君      西田 信一君     木村 睦男君      竹田 四郎君     辻  一彦君      渡辺  武君     加藤  進君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         土屋 義彦君     理 事                 河本嘉久蔵君                 藤田 正明君                 成瀬 幡治君                 多田 省吾君                 栗林 卓司君     委 員                 青木 一男君                 稲嶺 一郎君                 木村 睦男君                 黒住 忠行君                 柴田  栄君                 嶋崎  均君                 高橋雄之助君                 中村 登美君                 桧垣徳太郎君                 米田 正文君                茜ヶ久保重光君                 小谷  守君                 辻  一彦君                 戸田 菊雄君                 加藤  進君                 野末 和彦君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        科学技術庁原子        力局長      牟田口道夫君        科学技術庁原子        力局次長     伊原 義徳君        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        大蔵大臣官房審        議官       大倉 眞隆君        大蔵大臣官房審        議官       岩瀬 義郎君        大蔵省主計局次        長        辻  敬一君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岸田 文武君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        環境庁大気保全        局大気規制課長  石田  齋君        環境庁水質保全        局水質規制課長  太田 耕二君        資源エネルギー        庁公益事業部開        発課長      小野 雅文君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○電源開発促進税法案内閣提出衆議院送付) ○電源開発促進対策特別会計法案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、高田浩運君、渡辺武君が委員を辞任され、その補欠として高橋雄之助君、加藤進君が選任されました。     —————————————
  3. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案。  以上両案を便宜一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まず最初に、通産省から聞いてまいりたいと思いますが、資料いただいたわけですけれども、この資料の中で「電力需給の実績と見通し」「昭和四十八年度電源開発基本計画」、ことに基本計画の中で若干お伺いしたいと思うんですけれども、この資料の中で「八月ピーク負荷電力需給バランス(九電力会社)」、この中に沖繩ですね、資料として入っておらないんですが、これはどういう理由かちょっとお尋ねをしておきたいんです。九電力会社全部入ってますが、沖繩は入ってない。この点はどういうことでしょう。
  5. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 私ども利用しております電力需給バランス資料といたしましては、通常私ども電力ベースと呼んでおりますものと、これと別に電気事業用ベースと呼んでおります二種類ございます。前者はことばのとおり九電力需給を総計したものでございますが、電気事業用ベースと申しますときには、九電力のほかに沖繩電力でありますとか、卸売り電気事業者、これらを含んで計算をするわけでございます。最近時点におきまして九電力ベースに関する資料がとりまとめられましたので、それをお手元にお届けをいたしましたが、実は電気事業用ベース卸供給あるいは沖繩を含んだ電気事業用べースは、正式には電源開発調整審議会において決定を見るということになっておりまして、この作業は目下進行中でございます。六月中に決定を見るという段取りになっておるわけでございます。したがいまして、最近の資料という意味で、とりあえず九電力ベース資料を差し上げたわけでございます。別途事業用ベース資料もあるということを御理解いただきたいと思います。
  6. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これはあとで質問しますけれども、いわゆる基本計画の現在建設中であるとか、あるいは当分沖繩に対しては新しい新ケースというものは構想してない、こういうことで入っていないということじゃないんですか。そうじゃないですか。いまのように、何といいますか、資料、統計、そういうことで入っておらないということですか。どっちがほんとうですか。前の、ちょっと説明員に聞いたところでは、いやそういうことじゃないんですと、建設途上に入っていればこれは当然入れますよと、こういうことですが、それは見解ははっきりしてください。
  7. 小野雅文

    説明員小野雅文君) 私どもが当委員会に出しました印刷物のうち、一〇ページに「その他電気事業者等」という資料がございますが、その中に沖繩電力は含んでございます。  それから同じ資料の十二ページでございますが、一二ページに、いま先生がちょっとおっしゃられたものだろうと思いますが、新たに発電地点がきまりましたときに、その地点を載せるような表がございます。で、この一二ページの表を見ていただきますとわかりますが、「最大出力一万キロワット以上」というふうに書いてございます。沖繩の場合には、去年の場合に新たに着工になりましたのが全部一万キロワット以下であったわけでございます。したがいまして、個別地点名ごと数字は入っていなかったわけでございますが、昨年度、四十八年度に全部で、十五カ所全部合わせまして一万四千キロワットぐらいでございますが、そのくらいの地点については新たに沖繩の場合でも着工しております。
  8. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それから、同じく八月ピーク時の負荷電力需給バランスの中で、これは基本計画ですけれども、第一次素案、第二次素案、第三次素案。で資料として使用する場合には第三次素案でよろしいですね、それが一つ。  それからもう一つは、総括すれば東地域、中地域西地域とこの三つ段階になっておるんですが、この最終の「供給予備率」について、中地域が八・五%になるけれども東地域西地域の場合は一・五%、〇・二%、こういうことですから極端に落ち込んでいるわけですね。この落ち込んでいる理由と、それから東地域の多いというのは、おそらく私は東京か入っているからだろうと思うのですがね。北海道東北の割合はどのくらいになっているのか、その辺の内容について具体的に説明をしていただきたい。
  9. 小野雅文

    説明員小野雅文君) まず第一点でございますが、基本計画は、電源開発調整審議会のたびに新しく追加されていきますので、第三回目を御使用願うのが一番適当であろうと思います。  それから提出いたしました資料の二ページ目の、「八月ピーク負荷電力需給バランス」というのが載っておりますが、これはただいま先生が御指摘なさいましたように、中地域マイナス八・五ということで、五十三年度におきますと電力需給バランスが一番悪化するような形になっております。中地域は、中部電力、北陸電力、関西電力の三社が入っておるわけでございますが、この三社につきましては、電源立地の場所が比較的過疎地域を含んでいないということもございまして、電源立地が一番難航している地域でございます。したがいまして、この地域需給バランスが一番落ち込んでいるわけでございます。  それから東地域でございますが、東地域につきましては一・五%ということで、むしろこの東、中、西の三つにおきましては、一番需給バランスはよくなっているわけでございますが、このうち東電分だけでいきますと、マイナスになるわけでございますが、北海道、特に東北が比較的バランスがよろしいためにこういうふうな形で一・五%、まあこれはわずかでございますが、五十三年度にまだ供給のほうがわずかにオーバーしているというような状況でございます。
  10. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それで、この基本計画中央電力協議会長期計画、この関連はどういうことになっておりますか。あなたのほうで出した長期基本計画と、七カ年ですねいわゆる。これと、中央電力協議会、これで出した長期計画、この関連はどうなっていますか。
  11. 小野雅文

    説明員小野雅文君) 基本計画といいますのは、現源開発調整審議会政府計画ということで発表するものでございます。それから、長期計画といいますのは、これは九電力会社が主になりましてつくりました計画でございます。従来ですと、長期計画で出しました数字電源開発調整審議会でもオーソライズするというような形で比較的大体一致するというのが従来でございましたが、今年度につきましては、むしろ経済成長率あるいはエネルギー消費状況が今後どうなるのかということを、政府として独自に策定する必要があるんではないかというようなことで、長期計画数字をそのままとりませんで、経済企画庁のほうで七カ年の基本計画をもう一度つくり直しているわけでございます。で、従来、ちょっと、九電力会社がつくります長期計画をそのまま電源開発基本計画とするというふうに申し上げたわけでございますが、長期計画そのものが、つくります際には、日本電力調査委員会というところがこの計画をつくることになっておりまして、その委員会には、企画庁ですとか私ども通産省も入りまして、むしろ官民一体というふうな形で計画をつくっておりましたわけで、言うなれば、その委員会で、後に九電力会社長期計画あるいは電源開発審議会開発計画、両方に使えるような数字を官民一致してつくっていたということでございます。
  12. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 すると、加味されて基本計画になったと。ですから、今後は基本計画土台になって、その基本計画に基づいて中央電力協議会でも今後は実施計画を立てていく、こういうことになるんですか。その辺のかね合いはどうなるんですか。どっちが基本になっているんですか。あくまでもこの基本計画、これでいくんですか。それはどういうことなんですか。
  13. 小野雅文

    説明員小野雅文君) 従来ですと、年度当初に、いま申し上げました日本電力調査委員会というところで計画をつくりまして、それを九電力も使えば、政府も使うというふうな形にしておったわけですが、今回は、九電力会社長期計画というのはもうすでに出ているわけでございます。それを今度は修正するような形で政府基本計画開発計画ができると思いますので、むしろ今後はその政府計画のほうに合わせて九電力会社のほうも開発を進めると、こういうことになろうかと思います。
  14. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあそういう見解ならいいんです。だいぶ、長期計画電力協議会でつくったものと、これ全部資料ありますけれども、これとこの基本計画というものは、内容においては相当違っているものもあるんですね。ですから、われわれが審議をする場合に、どれを基本にして理解していったらいいのかということをはっきりしておきませんと、今後いろいろと問題が起きてくる。いま言ったように、基本計画土台になるんだと、こういうことであれば、それでいいんです。  それから、そういうことでいきますと、この「電源開発基本計画」、これは四十九年の二月ですから、ごく最近です、経済社会基本計画、これを土台にして資料エネルギー政策の新展開、こういうことで閣議決定をしたわけですね。で、内容としては、産業構造知識集約化あるいは節約技術開発促進と、省資源省エネルギー化、この必要というものをこう強調されておるわけですけれども、そこで問題になるのは、この経済社会基本計画経済規模ですね、この見通しなんです、五十二年度までのね。従来のものでこれ見通しされておるわけですか、その辺はどうでしょう。
  15. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 昨年、電源開発調整審議会決定を見ました基本方針におきましては、いまお話にございましたように、四十八年二月に決定を見ました経済社会基本計画の今後の経済成長率等参考にして組み立てられておったわけでございます。ただし、その後御承知のように石油危機等新しい要素が加わってまいりまして、今後の経済成長についても、あるいはエネルギー消費についても、新しい見方からもう一度見直しをするということが必要になっているかと思っております。その意味におきまして、おそらく今年度、四十九年度に策定されます電源開発長期計画におきましては、昨年考えておりました経済成長率よりも低い水準というものを頭に置いて電力長期需給計画を組まれる、こういうことになろうかと予測いたしております。
  16. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 何%ですか。何%を土台にしていますか。
  17. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 電力調査会におきまして、とりあえず電力のサイドから見た今後の経済成長率としては七・六%を採用して組み立てておるわけでございます。経済企画庁におきましては、先ほど申し上げましたように、いま四十九年度長期計画を作成いたしておりますが、いま申し上げました電力調査会数字参考としつつ、その他の要素もいろいろ勉強して最終的な政府数字を固める、こういう作業になろうかと思っております。
  18. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは大蔵大臣にお伺いしたいんですが、基本計画は七・六%でいきたいというんですね、経済成長を。それを土台としたと、こういうことなんですが、五十二年までの計画ですから、それで途中狂いは生じないでしょうか、七・六%で。おそらく大臣は、最近、とてもいままでのように九〇%という高成長体制はとれない、したがって、安定成長、こういうことで表現をされておるわけですけれども、五十二年度まで七ヵ年について七・六%で基本計画を立てている、この答申についてはいかがですか。
  19. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 経済社会基本計画の立案の基礎になる成長率は九・四になります。この九・四が実際問題として維持できるかというと、これは非常に困難であると同時にそれは妥当ではない、こういうふうに思うんです。そこで、今回の石油危機あと経済のおさまりがどうなるか、その辺のあり方、現実のある姿というものをよく見て、そうしてその時点に立って次の長期計画を策定する、こういうことになる。私は、いま何%だということはそういう状況で言えませんけれども、少なくとも九・四というような高い成長はもうこれは大改定をしなくちゃならぬ、こういうふうに見ております。
  20. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうしますと、大体現行の七・六%程度、この辺が限界でしょうか。
  21. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それはただいま申し上げましたように、これからの経済はいま非常に流動的な状態です。その流動的な経済がどういうおさまりを示しますか、いま総需要抑制政策をとっております。そういう抑制体制下ですから、かなりゆがんだ形になっておる。これがやがて物価が落ちつくような段階になってくる。そういう段階で、これからの経済をどういうふうに運営するかということをあらためて考え直さなきゃならない。私はそういう際に、国際経済、この水準をよく見詰めるという必要があろうと、こういうことを言っておるんですが、パーセンテージにしてどういう数字になりますか、その辺はまだ今日どうも言及できない段階だと、こういうふうに見ております。
  22. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 大体、国連資料によりますと、諸外国においては最高五%、これがフランスだと思いましたけれどもその程度である。アメリカ等は四%以下になっているんじゃないか。ですから、いま大臣がおっしゃられるように、国際経済の動向を踏まえてということになると、相当私は成長率というものはダウンされるのが至当じゃないかと思うんです。しかし、これはいま大臣が指摘されましたように、非常に変動状況にございますから、それは一時期をとらえてこうだということはなかなか言いにくいだろうと思います。これは理解するんですけれども、やはり安定成長ということになれば、ことしの見通しからいってもこれは実質的に二%ないし三%にダウンするんじゃないかというような話もあるわけですから、そういう中で七・六%を基礎にするということになれば、私はもうすでに出発点においてその辺の見通しが若干甘過ぎるのではないか、こういうふうに考えるのですけれども、これは通産省どういうふうに考えておりますか。これで絶対だいじょうぶですよと、こういう自信ですか。その辺のひとつ自信のほどを、見解を聞かせてください。
  23. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 先ほど来お話申し上げておりますように、政府として従来オーソライズしております計画によりますと九・四%という数字が設けられております。機械的に申しますればそれを利用するということになろうかと思います。少なくとも昨年と今年とではいろいろ客観情勢が変わってきております。エネルギー供給体制あるいは経済成長の態度、こういった点についてどういう数字をとりあえず用意すべきかということを、電力業界が中心になり、われわれも参画をして、とりあえず勉強しました成果として、先ほどの七・六%という数字が出ておるわけでございますが、これをさらに経済企画庁におきまして、諸般の情勢検討要素の中に加えて、最終的な政府としての電力需給見通しというものを確定する、こういう手順になっておるわけでございます。別途私どもといたしましては、電力だけの立場ではなくて、石油なり、石炭なり、各般のエネルギー全体のこれからの見通しいかんというような作業も、通産省付属機関でございますエネルギー調査会におきまして検討を進めております。この作業も大体ことしの夏までに終わるということで、作業を進めておるところでございます。
  24. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まだはっきりした見解聞けないんですけれども、結局、再度閣議でそういう経済成長等見通しについては練り直しをやる、こういうことですか。これは閣議決定ですからね、基本計画は。閣議決定で出てきておるのですから、もう一回見直しをやるというのですか、いまのあの構想は。
  25. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 経済社会基本計画は、それの改定というふうになりますか、あるいは新しい長期計画になりますか、まあ実質といたしましては、経済社会基本計画内容を再検討し、改定すると、こういうことになろうと思います。それで、当然閣議にこれを付議して決定する、こういうことになろうと思います。
  26. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 その時期がいま指摘をされたおもに六月と理解して大臣よろしゅうございますか。
  27. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これはそんなに簡単にというわけにはいかないんです。これはおそらくそれらを検討する時期はまだ一年くらいかかるんじゃないかと思います。つまり、新長期計画ができるという段階は、昭和五十一年ぐらいというようなことになるんじゃないか。まだこれは討論をし、方針をきめておるわけではございませんけれども、まあ議論の段階というのが少なくとも一年、そのくらいは要ろう、こういうふうに思います。
  28. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 その事情はわかりましたけれども、そうだとすれば、これはあくまでも一つ基本計画であって、五十一年以内には大幅修正、もしくは変更を余儀なくされる、そういう前提のもとに進めていかないと、大きな誤りをおかすということになりますね。そういう理解でいいんですか。
  29. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 電力長期計画は、毎年新しい情勢を見きわめながら改定をしていくというやり方をしておるわけでございます。お話のように、新しい経済社会基本計画ができるまで待っておるということも、他方で私どもは先を考えた電源立地計画的に進めていかなければならないという立場からいたしますと、待っておるわけにまいりませんので、先ほど申し上げましたように、毎年一番新しい情勢に即して、どういう見通しを立てるべきかということを電気立場から検討し、その成果長期計画の形でまとめる、こういうやり方になっておるわけでございます。
  30. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いずれにしても、あまりこの長期計画信憑性がないということで落ちつくと思うんですがね。どうもこれを土台にしてやろうと思ったのだけれども、そういうことで一年以内で見直しをして、長期計画ですからね、計画ですから、そういうことになれば、一年以内で見直ししたり、変更その他もあり得るということになれば、信憑性がないという理解になるんじゃないでしょうか、どうですか。
  31. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 私どもといたしましては、できる限りの資料整備をし、またなるべく多くの方の意見も聞き、また国際的に確立されております算定方式というのも参考にして策定するものでございまして、その意味におきまして、私どもとしては、できる限りの将来の正確な予測をしたという所存でございます。
  32. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは中身からひとつ聞いていきますが、一つは、この中で、五十七年までのいわば長期計画に基づく青写真を出してくれと私は資料要求したんですよ。それで、課長がかわって持ってきましたけれどもね、これは非常に資料土台になるものがずさんだと思うんですよね。持ってこられた資料は、これは昭和四十六年です。この辺に私は、そもそも計画のそごがあると思うのですがね。「電気事業者年度設備」、四十五年度、五十年度、六十年度c、六十年度eと、こうありますが、それで水力火力、原子力と、こういうことで一応出してもらったんですがね、私は、そういう意味合いでの青写真を持ってきてくれということではなくて、別途資料にあるところの、今後原発開発建設地はこことこことこういうことになる。この法案に立脚して周辺の環境整備その他こういう施設についてはこういうふうになりますよということをほしいということで言ったんですけれども、それとはおおむね縁遠い、単なる電気事業者年度設備の現況、これのキロワット数量ですね、これを持ってきた。電力量のその数量を持ってきただけなんですね。だから、そういう内容についてどういう一体青写真になっておるか、この五十七年まで基本計画を進めれば。ことに、あれでしょう、中央電力協議会長期計画を見ても、この基本計画を見ても、いまのこの電力開発、推移というものは、水力はもうやや限界、これは全部開発済み。ですから、いまの電源よりもふえていくということは私はないと思う。したがって、いま一番多いのは火力でしょう。これから原発にだんだん移行されていくという状況だろうと思うのですね。原発はすでにもう二五%台まできているんですね、資料によっても明らかなように。しかし、これは原発に非常にウエートをかけて電源開発というものはやられている。その建設数量もこれは六ヵ所でしょう、これから十九ヵ所をやるわけでしょう。こういうことで全部計画があって、できるだけこの流通体制整備を含めて大型化していくと、こういうことになりますから、原発開発電力量というものも大型化していく、こういうことでどんどん進められていくのですね。それに伴って、きのう参考人の意見も聞きましたけれども、双相地域一帯についても、十何基建設をされるという状況ですから、周辺の環境は一変してしまう。そういうことに基づいて環境整備をやっていこうという、公共施設その他を建てて、その周辺整備をやろうというんですから、そういうものを一つ一つ出してもらわないと、ここの地域は何年に何基建設をされて、どういう状況でやっていくと、こういうことがきわめて不鮮明なんですね。その点を明らかにしてくださいということですが、これは単に電力数量説明したにとどまっているのですが、それは資料としてございますか、そういうのが。どうなんですか。
  33. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) お尋ねの点が、長期の電源構成はどうなるかというような趣旨であると思いましたものですから、提出いたしました資料が御趣旨に沿わなかったのかもしれません。とりあえず各電力会社がいまどういう計画を持っているのかという点につきましては、今年度初めに各社からのそれぞれの構想を聴取をいたしております。それらの結果を整理して資料としてお届けいたしたいと思います。
  34. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それはこれに基づいた資料を提出していただけませんか——四十九年度新規電源開発規模、それから将来に向けての電源開発構想、これは全部あるわけですからね。いいですか。
  35. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 各電力会社は、電源開発調整審議会決定を見ました長期計画参考にしながら、それぞれの発電所の建設計画を組んでまいるわけでございます。したがいまして、長期の構想としましては、近く決定を見ます電源開発調整審議会による長期計画、これが参考にしていただけると思います。各電力会社計画につきましては、いまの段階では、四十九年度でこういうことを考えておるという資料をまとめることになろうかと思っております。
  36. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 私は具体的に言っているのですよ、たとえば「四十九年度新規電源開発規模(主要予定地点)」四十九年五月の現況です。これでいきますと、北海道の場合、地点名、水力火力、原子力とこうありますが、そういうものについて、たとえば水力であれば十勝、静内、双川、富村と、こう具体的に建設地があるわけですから、だから、そういうところで、たとえばこの原子力の開発について東北では浪江、小高、これは一、二号建設、これは四十九年ですからね。しかし、五十七年までいくんですから、そういうものを、地点名を含めて具体化してください。それで青写真を出してください。そこでは公共施設、この基本法からくるこの金を使ってやっていくようなものはどういう状況になっていくのか、その点の青写真を出してください、こういうことです。それでいいですか。
  37. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 各電力会社におきましては、四十九年度、五十年度、この両年度ぐらいの着工地点につきましては、かなり具体的な計画を持っておりますし、それは資料としてお出しできるかと思いますが、それから先になりますと、いわば電力需給を、バランスをとるために、この程度の発電所が必要だというような、いわば抽象的な構想でございまして、まだどの地点へということの張りつけの済んでいないものがかなり含まれているわけでございまして、この辺の事情は御理解いただきたいと思います。
  38. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それで、その中身の問題ですけれども、この長期計画によりますると、昭和五十七年度電気事業用の需要電力量、これはおおむね七千八百四十億キロワット、最大需要電力が一億五千九百二十万キロワット等々の想定をいたしておるわけですね。それで、これに対して供給予備率一〇%確保、これが原則だと、こういう姿ですね。この一〇%確保の根拠は一体どこにあるんですか、内容説明してください。
  39. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 私ども電力会社の持つ供給予備率としては普通八%ないし一〇%と申しております。これはもう少しブレークダウンをしますと、本州地区であれば大体八%ぐらいが適正な予備率であろう。これに対して北海道等、いわば送電線で結ばれていない地域はそれ自体でいざというときに備えなければならないということから、これはやっぱり一〇%程度必要であろう、こういったことを頭に置いて通常八%ないし一〇%と申しておるわけでございます。  で、これらの八%ないし一〇%の予備率は、不意に一つの発電所が事故が起こって発電能力を失ったというようなときであるとか、あるいは送電幹線で事故が起こったというようなときに、それがなくしても供給義務を全うできるということの必要上、予備率を持たせることにしたわけでございます。
  40. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それからこの点もまだ計画では明らかじゃないんですが、四十八年から五十四年度まで八千三百五十万キロ、これを具体的計画で私は明らかにしていただきたいと思うんですが、同じようにこの四十八年度着工のものは資料としていただきました。建設中のもの、これはいただきました。で、あの資料に基づく一億九百三十万キロワット、それはあの資料に基づくものだと、四十八年度分は、こういう理解でいいんですね。
  41. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) おそらくそのとおりだと思います。
  42. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そのとおりだということになれば、原子力発電所の運転、建設状況、この中で運転中、これは六カ所、で、それ以外十七基、これでいいんですね、具体的に。
  43. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) そのとおりでございます。
  44. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうしますと、その基本計画で示されたいまのこの一億九百三十万キロワットと、これが違うんですね。ここでくる電気出力、四十九年五月一日現在のこれ——。
  45. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) お話しございました五十四年までの表は、各年度におきまして電気事業用として新たに着手をすることが必要な電気施設の規模でございます。それぞれ水力火力、原子力別に数字が定められております。これは将来の電力需給を想定をいたしまして、その需要を満たし、なおかつある程度の予備率を用意をするということを前提にいたしまして計算をして出した数字でございます。  他方、先ほどお話しございました運転中及び建設中のそれぞれの原子力施設は、いわばすでに着手の済んでおる施設でございまして、この数字には、四十七年以前の数字としてあらわれているという関係になっておるわけでございます。  四十八年度以降の各年度において原子力がそれぞれこの程度必要だということは、この数字によって計画として示されておるわけでございますが、この計画を頭に置きながら、各電力会社は、今後の発電所の設置計画をそれぞれ各社ごとに検討しており、その中で四十八年、四十九年、さらに五十年程度については内容も具体化してきておるということでございます。
  46. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうすると、基本計画はあくまでも開発目標であるから、実施計画内容のものとは当然違うと、そういう理解でよろしいと。  それでは四十八年度のやつでお伺いしますけれど、水力が八百六十万キロワット、それから火力が二千三百四十万キロワット、原子力が一千四百七十万キロワット、こういう計画になっておるんですね。ところが現在、実施をされたものは総体で約二百万キロワット、水力が百二十万、火力が三十万、原発ゼロ、こういうことになっているんですね。そうすると計画目標と、実施した実際実績とのこの違いは、二百三十三分の一ぐらいの実行の線しか示してないということになるんですね。こんなに計画が離れていいもんですか、どうですか。
  47. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) お示しの数字がどの資料を御引用いただいておるのかちょっとわかりかねますが、私どもが毎年策定いたしました計画に対する達成率の推移を総括的に申し上げますと、四十六年度計画に対して八七%の達成、それから四十七年度でたしか三三%の達成、さらに四十八年度で四四%の達成と、こういうような数字になっております。
  48. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これはしかし、基本計画で明確に数字的にも摘出をしているんですよ。私は基本計画の最終年度、第三次素案内容で拾い上げたんです。
  49. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 電源開発調整審議会では、毎年、年の初めにその年に建設を予定する数量決定いたします。従来の実績で申しますと、千二百万キロから千五百万キロワットぐらいの計画を毎年用意をするわけでございます。それらに対しまして毎回電源開発調整審議会を開きますごとに、それまでの時点で固まった計画審議会によってオーソライズされるという形になるわけでございまして、昨年の例で申しますと、六月に第一回がきまり、十二月には第二回がきまり、さらに今年二月に第三回がきまったということでございまして、達成率といたしましては第一回、第二回、第三回に、それぞれ承認を受けたものの合計が実績としてあらわれるという形でございまして、数字としましては四四%の達成に相なっているわけでございます。
  50. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それから所要資金の問題ですね。これは四十八年度は発電部門五千九百六十億、それから送変配業務部門六千八百四十億、それから改良工事として一千七百四十億、おおむね一兆四千五百四十億円、こういうことになっていくわけですね。ほかに九電力会社電源開発会社、公営あるいはその他電気事業など、これを合計いたしますと、さらに上回って一兆五千億見当になるんじゃないかと思うんですけれども、このくらい投資をされて、長期五十七年までやっていくということになると膨大な金額入ってきますね、投資をされる。これは所要資金の充足という点については別に心配はないんでしょうかね、どうでしょうか。
  51. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) お話しのように、電力事業は、事の性質上非常に設備に依存をする度合いの高い産業でございます。特にこれからの経済発展あるいは社会生活の向上に伴いまして、一そうの設備の増強ということが必要になってまいります。毎年の資金調達ということは、電力会社にとっては非常に大きな課題になっております。過去の状況で見てみますと、所要資金の大体半分あるいはそれを多少越えた程度が社債によってまかなわれ、残りが借入金及び自己資金によって調達をされるという形でございまして、従来いろいろ苦労しながら今日まできておりますが、昨今非常に金融の面で各電力会社ともいろいろ苦労をしながら、何とかこれを確保しようということで苦心をしておる状況にあるかと聞いております。
  52. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 前に読み上げたのは四十八年度所要資金ですけれども水力火力、原子力全体を含めまして、四十八年度計画でいくと、総計において二兆五千四百三十五億ということになる。これは継続についてもそのまま工事を継続していくんですから、所要資金は投入されていくはずですね。ところが、五十七年の七ヵ年計画まで考えると、約十五兆円、このくらい全体としては投資をされていく勘定になりますね。しかし、前途の経済の動向について、いろいろ物価上昇その他になっていくでしょうから、これよりはるかに上回ることは間違いないと私は判断をするんですが、そういう理解でこれは間違いありませんか。
  53. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 毎年一兆四、五千億円、計算をすればやはり相当の金額になるわけでございます。確かにそれぞれの工事費について値上がりが行なわれれば、それだけ所要資金の額もふえるということは確かでございまして、これから各電力会社ともこれらの資金の確保、調達については一そうの努力が必要であろうかと思っております。
  54. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そういりことになりますと、一番私が心配するのは、これはやっぱり料金でまかなっていくわけですからね。今回約五七%近い大幅値上げをしたわけですが、これは通産大臣の言明によれば、一年ぐらいはこれで継続したいと、こういう希望、言明を行なっているんですね。そうすると、二年目あたりに、あるいは再度料金値上げということをやってくるかもしれない。こういった膨大な投資をやっていくんですから、その間に何回かやっぱり料金値上げというものが、私は考えられてくるんじゃないかと思う。その部面については長期計画には別に載っておりません。載っておりませんけれども、所要資金あるいは実際投資する総額の金を考えると、当然それは料金にはね返っていく性格のものだと思うんです。いわば料金の先取りだね、そういう状態になると思うんですが、その辺はどうですか。
  55. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 今回の料金改定にあたりましては、原価計画期間を一年にとって算定をいたしました。ただし、そのことは、一年たったら料金をまた値上げをするという意味には理解をいたしておりません。いわば計算の基礎として一年間をとったというだけでございまして、私どもとしては、一ぺん決定いたしました料金は、なるべく長く維持できるように指導もし、電力会社の努力も要請をしたいと思っておるところでございます。今後いろいろ経済情勢変わってまいるかと思います。油の点でもいろいろな変動要因ございますし、人件費、資本費等についても各種の要素があることは存じておりますが、それらの要素を打ち消すような合理化努力ということが、これからの電力会社にとって一番大きな課題であろう、こう考えておるところでございます。所要資金の調達につきましては、各電力会社ともそれぞれ増資もし、増資を背景にした社債調達限度の拡大をはかり、各般の施策を講ずることによって、電気はあくまでも設備基本でございます、この設備を確保して、電気の安定供給ということに貢献をしたいと思っておるところでございます。
  56. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いろいろとお答えあるわけですけれども、私はどうしてもやっぱり国鉄財政再建と同じように十ヵ年という長期になりますと、その間に運賃値上げ四回、こういうことになる。ですから、七ヵ年計画でいけば、これも料金に結局土台を置くわけですから、どうしたって料金値上げということにいかざるを得ない。それは通産大臣も、言ってみれば、一年ぐらいは何とかこれで持たせたいけれどもあとは希望観測だけですね、長期ということを言っておりますけれども。私は二年以内ぐらいにまたこれは料金値上げでもって、ばく大な投資をやっていくのですから、またやらなければどうにもならぬので、必ずそういうことがくると思うのですがね。その辺は大蔵大臣いかがですか。
  57. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 問題は、私は物価の情勢がどういうふうに動いていくかと、こういうことによると思うんです。物価問題がいま何とかして解決されなければならぬ、こういう段階になってきておるわけでございますが、この物価の安定というものができた場合に、また料金の改定が必要になるかどうか、その辺とにらみ合わせながら、なるべく物価を安定させ、したがって、料金の改定はなるべく現行の体系を堅持するという努力、これを積み重ねて、国鉄のような状態にはいたしたくないものだと、かように考えております。
  58. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それから電源地促進対策交付金の予算積算についてお伺いをするのですが、これは基本法で、隣接市町村分には九割の範囲で考えているようですけれども、この隣接というよりも、その周辺地域ですね、基本法でいう、母法でいうところの周辺地域というこの概念を、もう少しはっきりしてもらいたいと思うのですがね。これは基本法のほうでいろいろやられているのだろうと思うのですけれども、この概念ですね、至るところにこの周辺地域環境整備どうのこうのという法律の中に入ってきているわけですけれども、この周辺地域の概念、これを明確に御説明願いたいというのと、それから原発の立地をする、それを境にして隣接市町村と、こういうことになるのですが、いろいろ関係市町村が非常に多いところもあるわけですね。そういうものは、全体として今後この促進税でもって環境整備に乗り出していくのかどうか、その辺の見解も明らかにしてもらいたいと思うのですが、その辺はどうですか。
  59. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 私どもは、この対象となる地域につきましては、いわば発電用の施設と社会的、経済的な関連が密接な地域という感じで受け取っておるわけでございます。すなわち発電用施設の受け入れによりまして、発電用施設あるいはそれに関連する施設等とあわせて整備開発をはかるのが適当な区域という受けとめ方で考えておるわけでございます。具体的に申しますと、原子力発電所あるいは火力発電所につきましては、所在市町村及びそれに隣接する市町村、この範囲を周辺地域の範囲として考えてみてはどうか、水力につきましては、その設置が主として山間部にございますので、発電所所在市町村の範囲ぐらいを念頭に置いて考えていってはどうか、こう思っておるところでございます。
  60. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そこで、環境庁に二点ほどちょっとお伺いをしておきたいのですけれども、その一つは、温排水の排水工事で、何度Cくらいが基準として実際出されているのか。  それから中央公害審議会等々で、きのうも多田委員の質問に答えている点等答弁があったようですけれども、それは時期的にいつごろ基準として明確化されるのか、法律的にですね、その点が一つであります。  それからもう一つは、火力発電所使用の重油の低硫黄性の問題ですね、これは現行〇・五%程度のやつを使っておられると思うのですが、これをもっと実質的には〇・一%程度のものもあるわけですから、そういう低硫黄性のものをどんどん使っていくのが私は至当じゃないかと思うのですが、この辺の見解、おおむね三つちょっと環境庁にお伺いしたい。
  61. 太田耕二

    説明員(太田耕二君) 温排水の排出されます温度の点でございますが、大体七度から八度環境より高い温度で排出されるのが普通でございます。量的には十万キロワット当たり火力発電ですと約四トン、原子力発電所ですとその五割増しということになっております。  基準の設定につきましては、水質汚濁防止法によりまして、環境庁において基準を設定する形にしなければいけないことになっておりますが、昭和四十六年度から水産生物に対する影響の度合い、それから拡散の状況等、各省にいろいろ協力をお願いいたしまして、基準設定に必要な資料を集めているのでございますが、まだ水産生物に対する影響の度合いが必ずしも明らかでない。それから拡散状況等につきましても、地域とか季節によって変動いたします。で、その辺の知見を集めまして、公害対策審議会の専門委員会で現在議論していただいているのでございますが、基準設定までに実は至っておりません。そういった知見の資料を今度とも関係各省と協力の上集めまして、できるだけ早く結論を得たい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  62. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 ちょっと時期的にいつごろになりましょう。いま七度Cでいっているわけでしょう。これは希望としてはどの辺まで落とすわけですか一その希望値と、それから具体的に法制化される見通しの問題これをもう少しはっきりしてくれませんか。
  63. 太田耕二

    説明員(太田耕二君) この七度もしくは八度Cと高い温度で出されております排水の温度をどれだけに押えるかという問題、それから、拡散いたしますから、拡散の程度をどれくらいに押えるかという問題につきましては、結局、水産生物に対する影響の度合いのデータがはっきりいたしませんと実は出てこないわけでございます。したがいまして、その辺のデータを集めまして、それで専門の先生方の御意見を承って結論を出したいということでございます。しからば、その見通しはいつごろかということになりますが、現在、できるだけ早くということで、何年までというふうにお約束できる段階に実はございません。今後とも関係各省と、たとえば水産生物につきましては水産庁の今後の調査研究を待ち、拡散状況それからその対策等につきましては、科学技術庁、通産省ともども環境庁におきましても調査をいたしまして、その辺の知見を集めまして、できるだけ早く結論を出すようにいたしたい、こういうことでございます。
  64. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは希望ですけれどもね。なかなか拡散状況調査でいろいろむずかしいとか、あるいは水産庁でもって魚介に与える影響はどうとか、いろいろ各般の調査、検討事項が多過ぎてなかなか作業が進まないことはわかっておりますが、しかし、現地でいろいろ問題になっている個所が相当あるわけでしょう。もうすでにやっぱりそういう要因というものは発生しているわけですから、だから、でき得るだけこれは急いで、可及的にやっぱり設定をしていくべきだと思うのですね。現行やられている排水口の、その時点での七度Cというのは、これは高過ぎる。これははっきりしているのです。だから、いま現に現地でもってそういう事態が発生をした場合は、地方自治体といろいろ協約の中でやっているわけでしょう。これは相当地方自治体についてはきびしい規制でいっているところが多くあるわけですから、もう現地は先行していっているのですね。中央の環境庁だけが非常におくれているという現状です。これはもう早急に——被害なり影響があることは間違いないのですから、そういう点で、私は、急いでひとつこの基準設定の問題はやっていただきたいと、希望を申し上げておきたいと思うのです。  火力発電所の硫黄性低下についてはどうですか。
  65. 石田齋

    説明員(石田齋君) 先生の燃料の低硫黄化に対する御質問でございますが、環境庁におきましては、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい環境基準、これをつくっております。この環境基準を達成するために、順次排出規制を強化しております。また今回、今国会で、総量規制を導入するということで、大気汚染防止法の一部改正の成立を見ております。一段と排出規制はきびしくなるかと思います。したがいまして、先生の御指摘のように、燃料の低硫黄化あるいは排煙脱硫装置の設置、これにつきまして火力発電所におきましても、今後努力する必要がある、こう考えます。
  66. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いま排煙脱硫装置がついていないというところはないでしょうね。それは行政指導で全部やって全部整備をされておる、こういう状況ですか。具体的に内容がわかればひとつ。
  67. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 電力会社が、硫黄酸化物の環境基準なり排出基準に適合するためには、さまざまな方法を組み合わせてやるわけでございます。基本的には、先生お話しのように、低硫黄燃料の確保ということで対応いたすわけでございますが、それと並行しまして、排煙脱硫を採用しておるところもある、こういう関係でございます。低硫黄燃料の確保につきましては、従来の電力会社の燃料の使用形態としましては、重油の場合、あるいは原油の場合、中近東の油と、それからミナス等の低硫黄原重油、これをまぜて使っておったわけでございますが、最近はミナス級の超低硫黄原重油、この比率が非常に高くなってきておりまして、その結果、先ほどお話しございましたように〇・五%程度数字にまで到達しておりますし、また今後ともこれを引き下げていくという方向で努力いたしております。別途燃料の面ではナフサをたくとか、あるいはLNG発電であるとか、こういった硫黄分のない燃料の利用ということも進めております。ただナフサにつきましては、石油化学工業業界との調整の問題がございます。こういった形で燃料面の対応策を進めていくと同時に、場所によっては排煙脱硫もやっておるわけでございますが、現在は約二、三百万キロワット分ぐらいができておるところでございます。これは当初まだ技術が確立していなかったこと、あるいは用地をかなり食いますこと、これらのいろいろな要因からおくれておったわけでございますが、ようやくいま建設のピッチが上がっておりまして、今後の計画につきましても、大体五十二年度末までに千三百万キロワット分の容量に対応する排煙脱硫装置の計画をすでに立てて、そのとおりに進んでおります。
  68. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 大体原油はほとんど九九%OAPECなりOPECから輸入してくるのが事実ですね。あるいはアメリカのメジャー大資本がありますが、そういうところからぽんと輸入してくる。この低硫黄性のやつはインドネシアが非常に多いということですね。実質的にはどのくらい量としてこちらに入ってきておるのか、あるいは電力会社としてはそういうものを使っておるのか、使っていないのか、その辺は内容としてはわかりますか。
  69. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) いま電力会社が使用しております原重油、大体年間五千五百万キロリッターから六千万キロリッターに近い数字かと思います。この中で、硫黄分の特に低い極低硫黄原重油、この比率は各社によって違ってきております。それぞれ次第に高くなりながら、差があるというのが現状でございます。大ざっぱに申しまして、五割から八割ぐらいが極低硫黄原重油によって占められているということが申し上げられるかと思います。
  70. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 今後低硫黄性でもって切りかえていくということになれば、通産省の態度というものは、行政指導でもっていくという考えですか、これは強制はできないでしょうから。いろいろ単価、コストの問題もあったりして、その辺は事業やっておるのですから、だいぶ問題はあるでしょうが、それはいろいろ複雑な事情があることはわかりますけれども、できるだけそういうものでやはり切りかえていくような行政指導はあっていいのではないかと思うのですが、その辺の通産省の態度はどうですか。
  71. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) これは私どもの行政指導を待つまでもなく、国で排出基準が決定をされ、さらに強化される。また各都道府県ごとに条例等によりまして排出に関する規制が逐次強化されておるという状況でございまして、いわばそういった環境の面における各種の規制に適合するために、電力会社としても鋭意こういった低硫黄原油の確保をすることに奔走しておるという状況でございます。
  72. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 課税の面から少しお伺いしたいと思うのですがね。現在電力会社、九電力会社で、租税特別措置で、いわば税金をまけてもらっているというものですね。その額はどのぐらいありますか。
  73. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 現在電力会社に特に適用されます租税特別措置といたしましては、特定送配電設備の特別償却あるいは原子力発電工事償却準備金、さらに原子力発電設備の特別償却、渇水準備金といったものがございます。これらのものは、電力会社のみ適用があるものでございます。その他、必ずしも制度としては電力会社についてだけ適用があるという趣旨ではございませんけれども、たとえば公害防止準備金でございますとか、公害防止施設の特別償却でございますとか、そういうふうに一般に広く適用になりますが、電力会社にも適用になるという制度がございます。  このお尋ねの減収額でございますが、従来当委員会等に御提示いたしております減収試算におきましては、あらかじめ計算ができますものについてお出ししておるわけでございますが、四十九年度では原子力発電工事償却準備金等による減収として十億円を見込んでおるわけでございます。  準備金その他につきましては、実績等ではある程度わかる場合もございますが、先ほど申しました一般的な制度、電力会社についてのみ適用されるのでなくて、一般的な制度につきましては、電力会社適用分だけを抜き出した計算はいたしておらないわけでございます。
  74. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 四十九年五月二十九日、これは通産省の公益業務課、これから資料はいただいておるんです。ですから、いま主税局長が指摘をした内容等も入っておりますけれども、四十八年度の上期、同下期、その合計、これでいきますと、特別償却部門で金額にいたしまして十八億二百万、それから渇水準備金で百八億二千五百万、原子力発電工事償却準備金これで四百二十九億二千四百万、公害防止準備金これが五千八百万、海外投資損失準備金で五億七千五百万、合計五百二十五億八千万、それからほかに、公害防止設備の固定資産税の非課税これが四億四千百万円、それから発送変電施設の固定資産税の課税標準の特例分、これが百九十一億八千六百万、それから地中配電線路の固定資産税の課税標準の特例分、これは九千百万円、合計で百九十七億一千八百万、これが前項の償却部面と後段のやつを含めますると、おおむね七百億円ちょっとこえる程度ですね。このぐらいいわば租税特別措置法によって各般の合計処理上、あるいは非課税分、そういったものでいま恩典を受けているといえばそういうことになると思うんですが、これは主税局長、間違いございませんか。
  75. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) この資料通産省のほうからお出しになった資料でございますので、おそらくいろいろお調べの上お出しになったと思いますが、私のほうとしては確認をいたしておらない数字でございます。
  76. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) お手元にございます資料は、いわば特別措置の対象となる各種の準備金等の実情をお示しいたしたものでございまして、これは税額とは直接関係がございません。さらにつけ加えて申し上げておきたいのは、たとえば渇水準備金、原子力発電工事償却準備金、公害準備金、さらに海外投資損失準備金、これらの各種の準備金につきましては、実は四十八年下期において、電力会社の経理が非常に悪化をしたということからいたしまして、従来これらのものを積み立てておりましたのをほとんど取りくずさざるを得なかったという実情にあるわけでございまして、お手元の表にも、ごらんいただきますように、これらの項目についてはほとんど三角じるし、取りくずしという状況で記載されておるわけでございます。したがって、取りくずし額が五百二十五億になっておる。積み立て額はお手元の資料の下のほうに若干の項目についてプラスが出ておりますが、全体としてはかなりの取りくずしになっておるという実情を御理解いただきたいと思います。   〔委員長退席、理事河本嘉久蔵君着席〕
  77. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあはっきりした資料はね、お互い各省でむずかしいからということで、いままで断わってるようですけれども、これは調べる気なら私はできると思うんですね。これを主税局長、そういった租税特別措置上恩典こうむってるというようなものの内容について、あとでこれ資料でいただけますか。どうですか。
  78. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) ちょっと私のほうからの数字では出てこないだろうと思います。諸統計は御存じのように、すべての業種につきまして合計したものは法人企業統計等で出てまいりますが、業種別統計でうまく出ますかどうか、ちょっといま明確に覚えておりませんので、出ますれば御提出できますが、業種別区分等で出なければちょっと出しようがないということでございます。
  79. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 予算見積もりの中で、これは明らかに租税特別措置法に基づいての減収分約五千二百億と理解してますが、その内訳ですからね、局長、これは国税庁でなければだめでしょうか。
  80. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 五千二百億というのは、これはまあいろいろな推計を用いまして、おそらく四十九年度においてこのぐらい減収になりましょうかということで出しました、いわば推定値でございます。で、このほうは国税庁とは関係なく、むしろ私どものほうで手元の資料を用いながら推計値として出しているものでございます。  それから先ほど通産省からお出しになりましたものは、これは実績数値でございますが、実績数値のほうは、国税庁の統計では、業種別分類として、運輸通信公益事業ということで一括になっておりますので、実績値を税務統計上電力会社分だけ出すことはちょっとできないという形になっております。
  81. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 じゃ、いまのところはわれわれとしては、実績数値で通産省資料土台にしてやってけっこうですね、いいですか。
  82. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 私のほうでわかりませんのでございますから、通産省からお出しいただいた数字で御議論いただいてよろしいんだろうと思います。
  83. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 先ほども申し上げましたように、ここにあげております実績というのは、それぞれの準備金項目の増減の数字をあげたわけでございまして、税額にはね返すとどうかということにつきましては、私、簡単にできるのかどうかちょっと見当がつきかねる状況でございます。
  84. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは主税局長ね、推定値にしても、国会に責任を持って予算大綱で減収分として五千二百億なら五千二百億出してるわけですからね、だから、その積算の中には、電力会社に対する非課税分もどのくらい入っているということもちゃんとあるわけでしょう。それがなければ、積算が総体的に出てこないわけですから、だから、それは推定値にせよ何にせよあるはずなんですね。あるはずなんです。だから、そう私はむずかしい問題じゃないだろうと思うんですけれども、ただ、各民間企業に対する経理内容を公開できないとかなんとかということになれば別だけれども、そういうことは私は法律上問題はないんじゃないかと、こういうふうに考えるんですが、その点が一つ。  それからもう一つは、局長、いま株配当、何分くらい配当していますか。総額どのくらいですか。
  85. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) お尋ねの趣旨は、電力会社の配当の率でございますか。
  86. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 はい。
  87. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 電力会社の配当の率……。
  88. 戸田菊雄

  89. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 電力会社の配当率は、たしか昭和三十四年ごろかと思いますが、そのころから以降は大体一割で推移をしてまいりております。ところが、今年の三月期につきましては、先ほどもお話申し上げましたような、極端な経理の悪化を受けまして、各社とも従来の配当率を維持することができなくなりまして、ほとんどの会社が八分配当、中の一社は六分配当といった状況でございます。
  90. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 ついでですから、科学技術庁にちょっとお伺いをしておきますが、原子力安全研究予算としてどのくらい、四十七年度以降、三ヵ年について出しておられるか、その中身についてひとつ説明願いたい。
  91. 牟田口道夫

    政府委員牟田口道夫君) お尋ねの原子力関係の安全研究の予算を申し上げさしていただきますと、合計で四十九年度は百億五千三百万、前の年の四十八年は五十一億三千百万、四十七年度は二十五億二千百万でございます。
  92. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 大臣にお伺いしますけれども、今回は目的税を創設いたしまして、それで初年度で百一億、平年度で三百億、こういうことで周辺地域環境整備その他に使っていこう、こういうことですね。私、いま現地で原発開発その他について住民とたいへんな激烈ないろんな争いというものが起きているわけですが、これはやっぱり安全部面に対する危険ということからきていると思うんですね。ですから、周辺地域整備以上に、原子力関係の安全体制というものをつくるのが先決じゃないか、こういうふうに考えておるわけですけれども、そういう点は大臣はどうお考えでしょう。
  93. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) しばしば申し上げているんですが、原子力発電は急がなきゃならぬ。ところが、それが一向に進まない。それはなぜかというと、安全性に対する理解が十分でないと、こういう問題と、それからもう一つは、発電所を設置する地域社会がこれを歓迎しない、この二点にあるわけなんです。  そこで、安全性の問題につきましては、その基本的な安全性の問題について、これは国が別途、科学技術庁を中心といたしまして鋭意手配をいたしておるわけでございます。  第二の問題が、今度の立法で全部片づくかというと、そうも言えないと思いますが、大かたの諸問題がこれで片づく。それで発電所ができてよかったなあという感じを地域住民に与えてやろう、こういうふうに考えておるわけなんです。
  94. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それで、科学技術庁にもう一点お伺いしますけれども、総体で四十九年度百億五千三百万、この程度の予算でどの程度の研究ができるんですか。内容を具体的にひとつ教えてくれませんか。
  95. 牟田口道夫

    政府委員牟田口道夫君) 四十九年度のいま御指摘の百億の内容を大別いたしますと、たとえば一つは、原子力施設の安全研究でございまして、これはたとえば原子炉の反応度の事故があった場合のその対策の研究とか、あるいは冷却系統の事故があった場合の安全の研究ということが含まれておるものでございます。それから第二番目の種類に属するものは、放射性廃棄物の処理、処分方法の研究でございまして、第三番目は、放射線障害防止に関するものでございます。第四番目の系統に属するものは、環境放射能の測定調査に関するものでございますが、先ほど申しましたとおり、四十九年度は百億をこえておりまして、その前の年の倍ぐらいになっております。四十八年度はまた四十七年度の倍ぐらいで、最近特にこの方面には力を入れて、実験装置も大型化をはかっておる次第でございます。
  96. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあほんとうの意味で、やはり安全体制というのは私は非常に重要だと思うのですね。ことに今後はガス冷却炉とか、あるいは重水炉、こういうものにだんだん高度化していくわけでしょう。それから電源開発部面で考えるのは、やはり原発にウエートを置いてやられていくわけですね。そういうところからいけば、少なくとも六十年代になると新転換炉、こういうものは大体高速増殖炉に全部移行していくというような構想でしょう。そういうことで、電力関係事業者はすべて、一つは低廉で、一つは安定供給、この需要部面だけで関心を持っているという状況ですね、いま。それでは私はいけないと思うのですね。だから、本来、やはり科学技術庁としては、そういう安全性について、徹底した研究開発を私はやっていく必要があろうと思うのですね。諸外国と比較して、この開発構想、民間機関でも二ヵ所ほど委託業務でやっているところもありますけれども、日本も。それは微々たるものでしょう。アメリカなんかと比較して、ソビエトと比較してどうですか、研究開発の部面で。実用化段階まで入ったのだけれども、全くそれはあれじゃないですか、問題にならないじゃないですか。
  97. 牟田口道夫

    政府委員牟田口道夫君) 先生御承知のように、日本の原子力発電の関係は、最初の第一号炉が臨界に達した年は、たしかソ連が十年前ぐらい、アメリカはそれから二、三年あとでございますが、それだけおくれて出発いたしたものでございますから、研究開発のほうは、こちらもこの辺は大いに力を入れて毎年やっておりますけれども、その出発の歴史の違い、その他それに伴う当然のことながら規模の相違からいたしまして、予算総額そのものは諸外国に比べて低いということに相なっておりますけれども、先ほどのように、最近非常に増加率が高くなっております。この方面には今後とも力を入れてまいりたいと考えております。  なお、先生御指摘の、現在の炉だけではなくて、将来の炉についても研究を重ねる、お説のとおりでございまして、   〔理事河本嘉久蔵君退席、委員長着席〕 現在の炉は、御承知のように軽水炉が中心でございまして、この研究に重点を置くだけではなくて、将来の炉として、新型動力炉につきましては、新型炉を開発します中に、当然のことながら安全研究が含まれて開発しつつある、こういう状態でございます。  なお、先ほどの原子炉施設の安全研究と申し上げました中で、たとえば、申し上げますと、軽水炉のほうは大体三十九億で、新型炉のほうは三十三億くらいになろうかと思いますが、大体その程度に新型炉についても重点を置いている次第でございます。
  98. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 現在の原子力発電の原価どのくらいいっていますか、ちょっと既設六基の原価、わかっておったら教えてください。
  99. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 従来動いておりますものの平均原価は四円ちょっと欠ける程度ではないかと思います。四十九年度に新たに着工予定しております施設につきまして先般調べてみましたところ、これを平均しますと、大体四円六十銭程度と見込まれております。
  100. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは中央の電気事業協会の資料ですけれども、これによりますと、東海発電所が六円三十銭、二十年の平均原価が四円九十五銭ということですね。それから敦賀、これは初年度の原価三円十五銭、平均が二円六十二銭です。それから福島一号基が二円九十八銭、平均が二円五十五銭、それから美浜が三円、平均が二円五十銭、それから福島二号基が二円五十二銭、これが平均二円二十一銭、美浜二号基が二円七十銭の二円三十四銭、こういうことで、電力会社ごとによって違いますけれども、おおむね平均二円くらいです。これは二十年平均ですよ。だから、きわめて低コストであるということはいえるわけです。  ところが、会社としてはどうしてもやっぱり低廉に集中的に関心を持って、低コストだけを追求して、安全性というものを非常におろそかにしている、こういう傾向がございますね。ですから、その辺を私は通産省としても一これは料金上げろとは言いませんよ、言いませんけれども、もう少し経営実態の内容というものを国の立場から指導していく必要があるんじゃないだろうか、こう思うんです。まだ技術的に相当未開発部門が一ぱいあるわけでしょう。これはもう世界的にいったってそうなんですね。アメリカやソビエトが先進国としてやったけれども、まだまだ当該国においても、開発なり研究という部面については相当ばく大な金を使ってやってるんですから。そのくらい非常に高度な技術開発になっていくわけですから。だから、その点はひとつ、あまりにも会社自体にまかしておくと、こういう低コストばかり追求して、それからいま一つ安定供給、これは必要なことです。われわれもその点はやっていかなければいけないんですけれども、その二点集中主義でいっているから、地域住民に与える影響力とか、そういう技術上の欠陥とか、こういうものについては全く野放し状態と言ってもいいと思うんですね。  それから、文部省自体の中で学術研究の中でもやっておられますか、これは全く——私、東北大学の未臨界実験の関係は、これ何回となく行ったんです、問題があった、そういうものがあって。そういうものをいろいろ学者の皆さんに聞いてみましても、まだまだ技術上の欠陥というものが相当あるということを指摘されているんですね。それが実用化の段階に入っているんですからね。だから、非常にこれ危険で、爆発なんかしたらたいへんな状況になるわけですからね、そこは厳重に安全体制というものをやはりとってもらう、それがためには通産省や科学技術庁でもって、もっと本腰を入れて——今後のやっぱりエネルギー資源の中心をなしていくわけですから、それは間違いない道程だと私も思うんですから。だから、そういう意味合いにおいて、何かやっぱり低コストの追求方式でいっているから、そういう点について改める諸点がないかどうかということですね。
  101. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 原子炉の設置にあたりましては、科学技術庁のほうで十分な安全審査を行なった後に認められるわけでございますが、私どもも、発電所の建設工事にあたりましては、事前に審査会の議論を十分行ないまして、その意見を取り入れて逐次工事の認可をするという手続を踏んでおります。それだけではなくて、運転にあたりまして保守に関する各種の規定を用意をさせ、それを励行させる、これらの点についても私どもチェックをいたしております。なお、毎年の定期点検等にあたりましては、私どもも監督官を派遣をいたしまして精密なる検査をし、安全性について十分自信を持った上で操業を認めるという処理をいたしておるところでございます。  とかく従来は、放射能漏れといった事故がございませんで、いわばこまかい故障がある。それらについてやはり処理のしかたを振り返ってみますと、もっともっとうまい方法があったのではないかというような点も私ども反省をいたしております。今後原子力発電が円滑に発展をいたしますためには、何と申しましても安全である、これらについて住民の方々の理解が得られるということが基本であること、まさに御指摘のとおりでございまして、私どもも今後とも安全の面には万全の努力を払うように指導もいたしますし、私どもも自戒をしてまいりたいと思っております。
  102. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 ついでに科学技術庁にもう一点だけ伺っておきますが、技術開発の研究その他は民間に委託する会社はどことどこですか。それは科学技術庁だけでやっているわけじゃないんですから、それは二ヵ所ほどあると思うんですけれど、それはどことどこですか。
  103. 牟田口道夫

    政府委員牟田口道夫君) その前に最初のほうのお尋ねの点でございますが、御承知のように、原子炉設置の許可の申請のございました場合には安全審査をいたしますが、その場合の基準が、一応御承知のICRP——国際放射線防護委員会の基準を基準にいたしておりまするけれども、このICRP自体が、できるだけ低ければ低いほどということもございまして、そういうほうに審査も指導もいたしております関係上、そういたしますると会社のほうでもどうしても、たとえば気体廃棄物では希ガスホールドアップ装置とか、あるいはグランド蒸気のシール・システム等を改良し、そういう方面から安全研究を自分自身が重ねてそういう方面に努力していかないと、マッチしないというような情勢に相なっておりまするので、今後ともそういう点には指導の面からも力を入れてまいりたいと考えております。  それから第二番目のお尋ねの、先ほど読み上げましたのは御承知のように政府が予算を出して行なっているのでございまするが、そのうちでこちらが民間に委託しておりまするものに、会社関係では三菱重工と日立、東芝がございます。
  104. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 三菱重工と日立ですか。日本原子力研究所、それから放射性同位元素協会、これはやっていませんか。
  105. 牟田口道夫

    政府委員牟田口道夫君) いま申し上げましたのは純然たる民間会社を申し上げまして、特殊法人原子力研究所——特殊法人だと思ったんですが、申し落としました。当然日本原子力研究所には先ほど申し上げました百億のうち三十七億がいっております。
  106. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 その委託研究について、たとえば三十七億やりますと、テーマはこれとこれによってやってくださいといったような何か指導内容というものはお持ちになっているんですか。
  107. 牟田口道夫

    政府委員牟田口道夫君) まず、先ほど申しました百億のうち、たとえば原研、まあこれは委託というよりも原子力研究所そのものがやっておる研究に国から予算を出しているわけでございます。委託というのとちょっと違いますけれども、いずれにしてもその研究内容につきましては、十分こちらも審査し、指導もいたしておるのでございます。
  108. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは主として民間委託研究開発その他については、現在のところは、放射線発生装置や放射線の測定機器あるいはラジオアイソトープ、日本原子力研究所等にアイソトープの製造、輸入、配分、こういうものが主体になっているんじゃないでしょうか。それ以外ありますか。具体的な何か委託に対しての科学技術庁の要綱というか、そういうものをお持ちなんですか。全然ないけれども、単にばくとした指導内容で、これとこれと、こういうことでやっていくんですか。それはどういうことなんですか。
  109. 牟田口道夫

    政府委員牟田口道夫君) 当然、まず安全関係研究につきましては、基本的には原子力開発基本計画にございます基本方針と、それから最近の先ほど申しましたような原子炉の発展状況に応じました基本方針というのがございまして、それに応びて、たとえば先ほど申し上げた反応度の事故とか、冷却材事故とかいうのが必要であるという、そういう基本方針にのっとってやっておりますので、当然のことながらそういう点の指導もいたしております。
  110. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 今後は予算としては増額の方向にいくことは間違いないですね。科学技術庁自体の開発研究についても、あるいはその民間委託等に対するものについても、これは徐々に拡大の方向でいこうということは間違いないですね。そういうものに対する年次計画とかなんとかというものは、科学技術庁としては策定しているのですか。
  111. 牟田口道夫

    政府委員牟田口道夫君) 御指摘のとおり、そういう点こそ、これから最も重要な点でございますので、昨年、原子力委員会に環境安全専門部会というのがございまして、その中で安全研究分科会というのを設けまして、権威ある諸先生の意見を賜わって報告をもらいましたものに、大体これからはこういうような点に重点を置いて、五年間ぐらいでこういうぐあいにしたらどうかという大体の報告が出ておるのでございます。で、さらに今後は、安全研究推進会議というものを設けまして、これをやはり原子力委員会に設けるんでございますが、そこで、これをもう少しこまかくいたしまして、具体的にどういうぐあいにしたらよろしいかということを詰めてまいるということでございます。  それからなお、当庁といたしましては、森山新大臣になりましてから、先ほど申し上げました昨年の倍の百億という予算を要求し、認めていただいたわけですが、これは、少なくとも三年間のうちの第一年目というような考えでできておったのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、さらに安全研究推進会議等で、そういうような点については今後は十分具体的に検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  112. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 今後そういうことになっていくんでしょうけれども、私は希望として一つ要望しておきたいのは、かりにこの安全審査部会等設置をして、一般の知識学者、そういったものを吸収しますね。その際に、私は、少なくとも技術上のイデオロギー、そういうものはあんまりないと思う。だから、そういう意味合いからいけば、最も妥当だと思われるようなものを考えていただきたい。どうもとみに今次国会を通じていろいろと問題があったものですからね。そういうものをあえて吸収するとか排除するという、そういう傾向がなきにしもあらずということを聞いているのですが、そういうことはないですか。公平なやっぱり安全審査部会の人選、こういうものをやってもらいたいと思うんですがね、その点はどうですか。
  113. 牟田口道夫

    政府委員牟田口道夫君) たとえば安全研究分科会の先生方は、各方面の、単に工学的な先生方ばかりじゃなくて、そのほかの経済学的な、そういう方面の先生方も幅広く選んで御審査いただいておる次第でございます。
  114. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 通産省にお伺いしますが、石炭火力発電関係ですね、これは一つの保護政策としてやっているんでしょうけれども、まあいろいろ国が補助をしてそれでやっておるわけですが、これは将来どういう状況になりますか。電力会社としては徐々に原発体制に移行していくわけですが、現行のところは二三%見当のウエートを持っていますね。これはやっぱり存続をしていくという考えですか。それとも、ある一定の時期に、これは大体火力ないし原発に切りかえる、こういうことでいくのか、その辺ですね。  それから将来の見通しについて、いま原発は二五%だ、火力は五〇%、石炭が二三%かそこらぐらいですかな、そういうことになっているんですね。これは五十七年の基本計画終了時点で予定される二十一ヵ所の科学技術審議会の答申に基づく原発建設構想、これが終了した時点においては、私は相当原発のウエートというものは高まってくると思うんですが、諸外国のアメリカやフランスやソビエトのケースを見ましても、徐々にそういう方向にいっていることは間違いないのですが、そういう青写真はどういう状況になっていますか、その辺ひとつ。
  115. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) いま石炭火力でたいております石炭が大体八百万トン前後でございました。ところが、昨年秋以降、石油価格が非常に上がりまして、その意味から石炭の経済性について新しい角度から見直しをしてみる必要が出てきたわけでございます。特に石炭は貴重なる国内資源であるというようなことも頭に置きながら、石炭火力をどうするかということについて、部内でもいろいろな議論をかわしたところでございます。当面四十九年度につきましては、さらに百万トンのたき増しをしようということで、各電力会社ともそれぞれの計画を組んでおるところでございます。これらと並びまして、新しく新鋭の石炭火力発電所を建設してみたらどうかという構想がかねがねございまして、実は昭和四十九年度におきまして、一カ所建設計画を持ってその具体化を詰めておるというのがいまの状況でございます。さらにそのあとの構想といたしまして、各地で、たとえば九州であるとかその他のところにおきまして、次の石炭専焼火力発電所建設構想というものが芽ばえております。私どもは石炭火力のこれからのあり方というものを頭に置きながら、これらの候補地点についてもう少し詰めた勉強をし、もし具体化できるものに対しては応援をしてまいりたいと思っておる次第でございます。  他方、国内の石炭の産出量にはおのずから限界がございます。今後ある程度開発を見込んでやりましても、量的な限界がおのずからございまして、別途輸入炭の活用をはかるということも私どもの構想の中に取り入れられております。輸入炭を活用しながら、それと混焼することによって国内炭も生かしていこう、こういった構想をもとにして、さらに次の石炭火力発電所構想というものが別途用意されてしかるべきではないか、こういったことは、いまエネルギー調査会におきまして、これからの石炭政策のあり方というものの中で、その一環として検討が進められておるところでございます。
  116. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは「主要国の一次エネルギーの消費量および構成費(一九六九、一九七〇年)」ということですが、やはり原発にウエートに置いても、アメリカ等においても、いまだにやはり石炭は二一・三%確保しておるんですね。七〇年で二〇・七%、それからイギリスでは約半分以上です、五五・七%。それからフランスでも三三%ないし二九%、ですから三〇%近いものをやっていますね。だから、こういう各国の状況を見ましても、やはり原発にウェートを置いて開発はやっていきますけれども、やはり自国産業のエネルギーを完全に活用していくという立場に立っておるようですね。だから、日本だって、炭鉱は非常に傾斜産業、斜陽産業といわれてもうだいぶたつんですけれども、現在ですら私の記憶によれば五千万トン年間産出しておるわけでしょう。いま説明あったように八百万トン使用すると、こういうことであれば、やはり石炭火力によるところの原発体制というのは、やはり国策として明確に位置づけをして私は活用をはかっていくべきじゃないかと、こういうふうに考えるんですけれども、その辺はやはりそういう理解でいいですか、それは通産省もそういう考えでございますか。
  117. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) いま石炭が大体二千万トンを多少こえた程度の生産でございまして、その中で約八百万トンの使用を行なっておるわけでございますが、お話しにもございましたように、石炭はわが国にとりましては非常に貴重な国内資源でございます。また経済的に見ましても、従来とは違った新しい条件が出てまいってきております。こういった意味から、私どもも、石炭火力については、少し本腰を入れて今後の構想を練ってみたいと思っておるところでございます。  他方、石炭は公害の問題につきましていろいろな弱みを持っていることも事実でございますが、これを何とか克服しながら、新しい構想を用意しようということで、先ほど申しましたように総合エネルギー調査会で、ことしの夏までを目標にしていろいろ検討を進めておるところでございまして、その成果を御期待いただきたいと思います。
  118. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 次に、そういうものを含めて、いま電力会社にどのくらい政府で補助もしくは助成をしているかということになりますと、これは資料で——通産省資料ですけれども、石炭ガス化技術開発委託費、これで一億七千二百万円、石炭ガス化実用化試験研究費補助、これ二億ちょっと、石炭増加引取交付金二十二億六千九百万等々、ずっと各項目ごとにいきますと、合計で四十九年度で約千百三十九億二千七百万、これぐらいやっておるわけですね。そうするといま言ったように、現行の二五%の石炭の火力発電を維持をしていくということになれば、今後もこのケースというものは持続していくわけでしょう。それはどうなんですか。これは大蔵省になりますか、主計官のほうですか。
  119. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 石炭火力発電関係の予算でございますけれども、石炭火力発電に直接に結びつく施策といたしましては、ただいま先生御指摘になりましたような施策でございまして、そういうものを合わせますと三十三億程度でございます。千百三十九億と申しますのは、石炭対策費の全体、石炭及び石油対策特別会計の石炭勘定の総額でございます。まあ国内石炭の約三割が電力会社に引き渡されておりますから、石炭対策全体が石炭火力発電に関係するとも言えるわけでございまして、その意味では千百三十九億ということになろうかと思います。
  120. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうです。私ちょっと表現が悪かったんですが、石炭対策費合計です。これは今後も持続することになっていくわけでしょう。その点はどうですか。
  121. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 第五次石炭対策の趣旨に沿いまして今後とも継続してまいるつもりでございます。
  122. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それから今回のこの基本法に基づいて周辺地域対策、どういう施設が主としてつくられていくのかということで、その青写真を出してくれということだったんですが、ことに初年度において四ヵ月分で百億ですからね。そうしますと、先ほど言った十七基建設段階でいま進んでいるわけでしょう。こういうものに対して地域的にどのくらい分割ができるか、地方団体交付がですね。そういうことだとおおむね五億見当じゃないか、五億見当とすれば、この資料として示されたやつには単価表として体育館それから保育所、運動場、プール、老人憩の家ですね、あるいは青果市場、公民館、キャンプ場、おおむね想定されるのはそういう公営施設になっていく、ただこのように経済変動がはなはだしいですからね、これは大蔵大臣非常に努力をされて一応鎮静化したと、こう言うけれども、おそらくこれ第二狂乱物価がまた——きたらたいへんですけれども、おそらくくるんじゃないか、電力料金上がる、石油が上がる、あるいは今度どうなっていきますか、消費者米価・が上がるとか、私鉄運賃が上がる、いろいろ枚挙にいとまないくらい待ちかまえているわけですから、だから、相当この百億程度の予算では、所期の目的を達せられないんじゃないか、いずれにしても。その辺これ物価、資材その他上がってきますから、そういう物価上昇等に見合う目減りをどの程度に見ているのか、これはどうですか、通産省
  123. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 発電所の建設中のところ、あるいはこれから建設が予定されておる各地点におきましては、いわばこの法律の成立を期待をいたしまして、それぞれの場所ごとにいろいろの構想を練っておるというように聞いております。ただ正確には、対象となる施設の範囲、まだ各省で未調整なところが残っておりますので、それらが固まり次第、各地点ごとの計画が具体化してくるのではないか、こう思っているところでございます。私どもは、大体昭和五十年、平年度化したときの姿を前提にして一応の計画を組んだわけでございますが、各地点ごとに見てみますと、大体この程度の金額があれば、それぞれ地元に喜んでもらえるような姿になるのではないか、こう思っておるところでございます。
  124. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それで問題は、具体的に聞きたいんですが、たとえば体育館ですね、一千百平米、これでもって単価六千二百万円でしょう、坪当たりこれ幾らになっていますか。それから保育所は一千平米ですね、これで五千万。それから運動場、これはまあいろいろあるんでしょうけれども、四百メートルコース一本だけかどうだかわかりませんが、これ二千六百万。それからプールは二十五メーター掛ける十五メーター、これで二千万。これは二十五メータープールですけれども、二千万程度でできるのかどうか、これは用地買収その他人っているのかどうか、その辺。それから老人の憩の家、これは八百平米、これで四千万。何人くらい収容できるのか、この内容について具体的に説明してくれませんですか。坪単価どのくらいに見ていますか。
  125. 小野雅文

    説明員小野雅文君) 先生のほうにお出ししました単価表は、昨年の夏に各市町村から整備計画等についてどんな構想があるかといったようなことで聞いた数字をとりあえず平均をとったものでございます。まあお出しした資料に基づきまして単純に計算いたしますと、平米当たりで五万円程度数字、五、六万円程度数字でございます。
  126. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 具体的に、体育館から教えてください。
  127. 小野雅文

    説明員小野雅文君) たとえば体育館の場合には五万円ちょっと、五万六、七千円ぐらいかというふうに思います。それから保育所の場合は五万円ぐらいかというふうに思います。これは平米当たりの単価でございます。ただこれにつきましては、必ずしもその市町村のほうも、整備計画という形ではっきりしたものではございませんで、言うなれば、口頭でヒヤリングで聞いた程度のものでございまして、とりあえず急速資料としてお出ししたわけでございますので、この辺につきましては、もしか法律が通ったとすれば、整備計画でさらにあらためてもっと詰めるような形になろうかと思います。
  128. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 建築構造が住居構造と違いますから、それは相当一般の住宅などよりは低いと思いますがね、低いと思いますけれども、いま言ったように、たとえば体育館にして五万円、これは鉄骨組みでやるのかどうかわかりませんけれども、五万円でどうでしょうか。いま普通のうち建てるにしたって、いわゆる竣工したあとで契約書をお互いやりとりするような状況ですね。途中半年かそのくらいの工事期間ですら、それは事前契約ができないと、請け負う人が言っているんですからね。一般の勤労住宅だってそうですよ。そのくらいものすごい値上がりをしている。最近鋼材その他も上がってきている。そうしてこれは土地買収その他も入っていますか。五万円では私はちょっと無理じゃないかと思います。一平米当たり。
  129. 小野雅文

    説明員小野雅文君) 土地につきましては、一応ここでは、大体私ども聞いたところでは、過疎地の場合にはほとんどネグリジブルと考えていいというふうに聞いております。
  130. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  131. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 速記を起こして。
  132. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは、いま質問している整備計画対象施設の単価表、これは必ずあとでその問題にぶつかってくる問題ですから、少しこまかく聞きたいんですよ。いま言ったように、一平米五万円当たりと、こういうと、大体建設中のものがこういうことになっているんでしょう。たとえば、日本原子力発電の東海第二発電所、これは茨城県那珂郡ですね、こういうふうに条件が全部違ってくるわけです、十七基の建設予定が。それはやっぱり地域によって、まあそれは資材購入その他は一括やってしまうんでしょうけれども、しかし、いずれにしても、それ地方公共団体がやることですから、だから、資料にもあるように、これは市町村のヒヤリング、こういうものをもとにして平均単価を試算いたしましたと、こういっているんですね。それは当然だと思うんです。だから、地域条件によっていろいろ違うんですから、公共団体がやるんですから、政府が資材購入してやるというような問題じゃないですからね、全部まかせるんですからね、金だけやって。だから、この単価の見積もりによっちゃ、いまの各地方公共団体ばかりでなく、こういう施設の建設だって、これ実際は四割見当カットされているわけでしょう、実質的に、物価その他の値上げによって。地方公共団体全部契約の積み上げです。それでやっているんですから。二割ないし三割負担超過で出るんじゃないですか。だから、そういうことになると、こういう計画はあっても、現地としては作業は進まないという事態が、私は必ず発生してくると思うんですね。あるいは五ヵ所つくるものを抜いて、そうして三ヵ所に縮小していくとか、そういうことになれば、法律でいう周辺地域環境整備ということになっていかないですね。単に現ナマをやるだけと、こういうことになっちゃう。国の方針というものが透徹をしないということになるんですね。だから、そういう意味合いで、地域的にこれひとつ教えてください。ここはどう考えますか。
  133. 小野雅文

    説明員小野雅文君) この単価表でございますが、普通の国の補助金の場合ですと、単価表等に基づきまして補助率等がきまってくるのだろうと思いますが、今回の交付金では、総額だけきまっておりまして、その範囲内で、各市町村が自分のところの好きな単価でそれぞれの施設をつくることができるわけでございます。したがいまして、ここにお出ししました単価表は、これに基づいて交付金の金額を計算するといったような内容ではございませんで、先生がどの程度の施設、金額で考えているかというふうな御質問でございましたので、とりあえず出しただけの数字でございまして、交付金の計算等にはほとんど関係してこないことになろうかと思います。
  134. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この電源開発、これは発電用施設周辺地域整備法案、この中で明確にこれはいっているわけでしょう、新条文の第一条でね。「発電用施設の周辺の地域における公共用の施設の整備を促進」いたします。それから「地域住民の福祉の向上」をはかります。「もつて発電用施設の設置の円滑化に資することを目的とする。」と、こういうことを明確にいっているんですから、それが予算上の問題でもってこういうものが全部一〇〇%完備されないというようなことになれば、この基本法にもそむくことになるわけですね。だから、もうすでに建設中の段階の中で、この法案が通れば、すぐ発効していくわけです。で、十月一日からでしょう。実質的に金が落ちていくのはおそらく十二月。翌月分申告をして、徴収、十二月段階と、こういうことになりますからね、その段階までに、こういうものが全部整備をされておかないと、それは交付するわけにもいかないでしょう。だから、その計画がまだこれ、いま市町村のヒヤリングをあれして持ってきている段階だから、ないのかもしれませんけれども、それはいつごろまでに全部整備できますか、これは。
  135. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 交付金の額は、各発電所予定地点ごとに、その予定されております発電施設の種類ないし規模を基準にして決定を見るものでございます。各市町村といたしましては、その与えられた金額をもとに、それをいかにうまく使うかということにつきまして、地元住民の意向も聞きながら、いわば多年の夢をどう具体化するかという作業を行なうことになろうかと思っております。私どもは、その計画がまとまりますのを待ちまして、計画内容を審査をし、それに対応する交付金を交付するという段取りになるわけでございまして、それまでの段階におきまして私どもも大いに勉強いたしますし、また地元の実情もよく聞きました上で、適正な交付を行ないたいと、こう考えておるわけでございます。
  136. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは、法律上は明らかに特会計に入っていくわけですけれども、特会計の主務大臣としては内閣総理大臣大蔵大臣と通産大臣、こういう主管になっているわけですね。そうしますと、その主管部面で、そういう交付に基づく立地計画、いま言った計画、これはもうすでに検討されていなくちゃいけないと思うんですね。これは大蔵省の主計官だと思うんですが、大体そういう成案はできておるわけですか。入ってくる金も大体きまっているんですから、もうそれに基づいて、予定でいくなら十月一日以降施行ということになります。裏づけとしても実行形態がそういうことになっていきます。ということになるんですから、それはもうすでにあと四ヵ月くらいしかないわけですね。だから、そういうものは全部できていなくちゃいけないと思うんですが、それはどうでしょう。
  137. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 電源開発促進対策に要する経費をどういうふうに見込んだかということでございますけれども、これは電源開発計画見通しなり、所要の公共施設の整備費の見込みなりを基礎にいたしまして、平年度約三百億円というふうに算定をいたしたわけでございます。その三百億円の内訳といたしましては、ただいま御指摘の電源立地促進対策交付金を約二百四十億円、それから原子力発電安全対策等交付金につきまして約十億円、そのほか予備費等五十億円を見込みまして、約三百億円というふうに見込んだわけでございます。  そこで、どういうふうにして交付するかということでございますが、これは資料を御提出申し上げましたように、また、ただいま通産省からも御説明したとおりでございますけれども、施設所在市町村の交付金額につきましては、当該施設の出力、原子力、火力水力の別に、種類ごとに主務大臣が定める出力当たりの単価を乗じて得られる金額ということにいたしたいと思っております。別途、頭打ちの額をこえる場合には、その頭打ちの額でとめるというふうにいたしたいと考えております。
  138. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうすると、対象は火力原発と、こういうことになるわけですね。水力は除くわけですね。
  139. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 火力、原子力、それに水力を含むわけでございます。
  140. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 資料でいきますと、水力開発というものはないようです。ですから、火力原発にいくのではないかと思うんですが、まあ水力といっても、これは水力の場合は、湖底にふるさとが沈まるというようなかっこうだけで、あとはもう公害対象となるようなものはあまり存在をしないと思うんですが、そういうやつも予定されているのか。ぼくの資料を見た理解では、それは水力関係は満ぱい状況開発の余地なしということだから、火力原発に重点を置いてやっていくんではないかと、こう思ったんですが、それはどうですか。
  141. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 水力は、日本固有の資源でございますし、また公害の面からもきれいな電力源として、私どもといたしましては、今後大いに力を入れて開発を進めていきたいと考えておる分野でございます。その意味におきまして、今回の提案申し上げました整備法におきましても、発電施設の対象といたしましては、火力、原子力だけではなくて、水力も含めて助成をはかろう、こう考えておるところでございます。  お話の中にございました公害云々の話でございますが、私どもは、やはりこれからの貴重なる電力資源をいかにして確保するかということが目的でございまして、公害問題等については、別個の法律によってそれぞれ責任を持って防止をはかると、こういう体系で理解をいたしておるところでございます。
  142. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうしますと、水力ということになって、どのくらい計画があるんですか。具体的に内容説明していただきたい。  それから水力の周辺地域環境整備というと、おも立ったものはどういうものが出てきますか。
  143. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) いま日本にございます発電所の能力は、合計しまして大体約七千万キロワットでございますが、そのうち、水力の発電施設が大体二千万キロワットを占めておるところでございます。今後の可能性につきましては、いろいろ試算をいたしておりますが、今後の包蔵水力の見込みからいたしますと、大体あと一千万キロワットぐらいは可能であろう、こう考えております。そのうち、特に昨年の石油危機以来、水力を緊急に着工しようということで、私ども計画を取りまとめておりますのが約五百万キロワットでございまして、これらについてはなるべく早く着工し、また稼働に移るように私どもも応援をしたいと考えておるところでございます。で、それらの水力発電所周辺におきましても、先ほど来申し上げておりますような、各般の施設の設置を応援することによりまして、地元の福祉に貢献をしたい、こう考えておるところでございます。
  144. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは主計官、具体的にはどういうものが対象になってきますか。交付の対象ですね、水力の場合。
  145. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) ただいま通産省からお答え申し上げましたように、火力、原子力の場合と基本的には同じだろうと思うわけでございます。
  146. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうすると、湖底に埋没する各住居を別途用地を確保して、そこへうちを建ててやるとか、あるいはうちじゃなくて、公営施設の同じ事業主体の内容のものを建ててやるとか、こういうことですか。大体いままでのケースですと、水力でもってうちが埋没したところは、もうほとんど自前方式でもって、一定の補償金でもってそれぞれ分散して、ある者は都会へ行って商売をやるとか、そういうかっこうになっていくんですね。だから、水力発電所を設置をしたその周辺には、全く当該住居人には関係のないという状況になっちまうんじゃないでしょうか、結果的に。そこへまた、この隣接市町村あたりに住む人に対して、五人か六人いるというものに対して公営施設をそこに持っていくとか、こういうかっこうになるんですか。
  147. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) いまお話の中に出ておりました水没に伴う補償の問題は、いわば電気事業者が当然の仕事として、電気事業の事業者の負担において実施すべきものと、こう考えております。これに対しまして、今回交付いたします交付金は、発電所周辺における施設の整備を増強するということでございまして、意味合いが違っておるわけでございます。現実に各水力発電所予定地点を見ましても、やはりこれらの施設が欠けておる、何かはしいものだというような声が私どもり耳にも聞こえておるところでございます。なおまた、繰り返しになりますが、今回の措置は、公害に対する対応策というようなこととは意味合いが違って考えておることをあらためて御理解をいただきたいと思います。
  148. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは二百四十億が配分の対象になるわけですから、これは対象地域その他ははっきりしておるわけでしょうか。していないとすれば、それはいつごろまで策定をされるわけですか。
  149. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 二百四十億の計算の根拠でございますけれども、これは原子力発電の百万キロワットの立地促進のために要する経費を一応モデルケースといたしまして、一キロワット三百円と想定をいたしたわけでございます。それを基礎といたしまして、隣接市町村に交付する分を含めまして、水力火力、原子力というふうに計算をいたしますと、一キロワット当たり四百二十五円という単価になってまいります。それに対しまして新規開発の所要電気出力六千七百万キロワット、これを掛けまして、頭打ち率を乗じまして約二百四十億円というふうに積算したわけでございます。その六千七百万キロワットの中には、水力の分といたしまして千七百万キロワットを見込んでいるわけでございます。
  150. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そこで、お伺いするんですけれども、目的税の創設そのものについて、どうも私は疑問を持っているわけですけれども、これは今次国会の衆議院の大蔵委員会の議事録ですけれども、四十九年五月十五日、わが党の阿部委員の質問に対して、大臣が答えられているわけですけれども、こういうことですね。「福田大蔵大臣は、両法案の趣旨説明に対する質疑に際して、これは特例中の特例、こう述べられた。私はこの理由に立ってこれは述べられたんだと理解しておるのであります。」云々と、こうなっているんですが、それに対して大臣は、「国の財政は一般会計において総合的に表示する、これが基本である、」、ですから、前段の質問内容にいう「特例中の特例」だと、こういうことになるんだろうと思うんですが、そういうお答えを大臣やっております。  それから、これは参議院の予算委員会の第二分科会で、多田委員の質問に答えまして、大臣はこういうことを言っておられますね。「今回の会社臨時特別税による収入は、これは一般財源として国庫が収納するわけであります。これを目的税としておらないのであります。したがって、そういう目的税的な使用をするということは妥当ではない、」こういうお答えで、これは会社臨時特別税法の問題で、多田委員に対してそういうお答えをやっておる。  それからもう一つは、主税局長が、衆議院の大蔵委員会ですが、自民党の村岡委員の、目的税はけしからぬじゃないかという意味の質問に対してこういう答弁をしておる。「税としてやや硬直化するという難点があるわけでございます。国の歳出は、本来、もろもろの財政需要を全般的なまた統一的な見地から見まして優先度を判断して、適正効率的に資源配分をする」云々、こういうことを明確に言っておられる。等々の、もう一ヵ所あったんですけれども、ちょっといま見えませんが、これらを総合判断いたしますと、いずれにしても目的税というものを財政全般に取り入れていくということになると、これは財政の硬直化を招来して好ましくないんだという立場から、今日まで大蔵省としてはそういう目的税の創設それ自体に反対してきた態度があったと思う。それを急遽今回に限って目的税の創設に踏み切ったのは、大蔵省当局自体としての方針転換なのか、その辺の見解をまず大蔵大臣にお伺いしたい。
  151. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 財政は総合的に管理し、総合的に運営しなければならないという考え方についてはいささかもこれは変わるところはないのであります。ところが、石油ショックに見られるように、原子力依存の発電体制に早く移らなければならない。ところが、もろもろの企画が大かた行き詰まっておる。こういう状態であります。そこで、これは石油ショックという事態は、戦前、戦後を通じまして最も深刻な事態であります。そういう事態に対処しまして、どうして原子力依存体制をつくり上げるか。これは非常の措置をとるほかない、こういうので、異例ではありますけれども、こういう措置をとった、こういうことであります。
  152. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 今後やはりこういった税目設定を幾つか考えられておるわけでしょうか。たとえばこの目的税が今回こういうことでやられるということになると、私は、瀬戸内海が非常に海水汚濁で困っておる、地域的にこれを浄化していかなければならないということになった場合に、それも一つ目的税を創設して海水浄化方式をはかっていこうとか、幾らでも条件というものは無数に出てくると思うんです。そういう方向にいくことなんでしょうか。そういう方向でないとするならば、何かの歯どめでもやっておく必要があるのじゃないか。  もう一つは、税体系全般からいっても、制度上から見ても、私は、あまり芳しい状況ではないじゃないか、こういうふうに考えるんですけれども、この辺の見解も含めてひとつ伺いたい。
  153. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今回の立法は、これは例外中の例外というふうにお考えくださっていいと思います。政府は、これをもってもう断じて前例といたしません。こういうことをしばしば申し上げておるわけであります。瀬戸内海の問題そういう問題につきましては、これは特別の対策をとる必要があるのでありますが、これは特別会計でありますとか、目的税でありますとか、そういう方法はとりません。これは今回の措置は、石油ショックという非常な事態にかんがみまして、これは国家存立というと少し大げさかもしれませんけれども、とにかく早急に原子力依存の電源開発体制を整えなければならぬという緊急な国家的目的に即しまして、異例な措置であるけれども、それを採用せざるを得なかったと、こういうことでありまして、これは前例とするべきものじゃないとかたく考えております。
  154. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それからもう一つは、かりに私は百歩譲って、ことしの四十九年予算全体見まして、十四兆円見当の税金見積もり収入があるわけですね。これから、もしそういう必要性があるとすれば、一部出していっても、私の計算でいきますと〇・〇七%、予算総体のうち平年度三百億という金はですね。だから、いまの財源規模からいけば、私は当然その辺、もし税目を設定しなくてもできる相談ではないだろうか、こういうふうにひとつ考えるんですけれども、その辺は全体見てどうでしょう。おそらくこれは、私は大蔵大臣としてはあまり賛成した法案ではないんじゃないかと思うんですね。田中総理のいわば電源開発があまりうまくいってないもんだから、独特の、いわば金をつかまして、地方公共団体を少し喜ばして、それでひとつ鎮静化していこうといったような考えではないかと思うんですけれども、それを税体系全般に及ぼしてまで、そういうかっこうで踏み切らざるを得ないという、こういう状態はあまり芳しいことではないんじゃないかと思うんですが、大臣見解をひとつお伺いします。
  155. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 当初は、四十九年度予算でも、その編成の過程で一般財源でやろうかと考えた時期もあるんです。その編成の過程で石油ショックが起こってきておる。ああこれはたいへんだということで、方針転換をいたしまして特別会計、目的税と、こういうことにいたしたわけでございます。まあ、財源からいえば、百億円の財源が調達できないと、こういうことはないわけです、それは四十九年度のことであります。これはこれからもかなり長きにわたってそういう問題が起こる。それに対して安定的な財源を整える必要がある、こういうふうに考えたわけであります。
  156. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 たとえば防衛庁の——これは予算説明書三一ページにございますけれども、その内容を見ましても、基地周辺の整備法に基づいてやられることは、今年度予算でもおおむね五百億近いものを一般会計から出して処置をしているわけですね。だから、そういう方式があるんですからね。だからいま言ったように、片方であまり芳しくない税を設定しているんだというなら、やっぱりいま大臣が指摘されたように、一般財源の中で処理をしていくというようなことがあっていいんではないかと思うんですが、その政策の個々ケースによって全部変わってくるということでは、国策の統一、一元化方式からいっても、私はあまり芳しい方式じゃないんじゃないか。だから、周辺地域整備法は、それに基づいて一般財源でやっておられるんですから、そういうことでいくのが、私は百歩譲って、一番好ましい方式じゃないだろうか、こういうふうに考えるんですけれどもね。
  157. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これはどこまでも電源開発、特に原子力発電所の増設が緊要になっておると、こういう御理解の上でないと、まあ御納得願えないんじゃないか、そういうふうに思うんです。かつて道路が非常に重大問題だったというときにガソリン税を設けた。それと同じような考え方でございますが、より緊切な問題である、こういうふうなとらえ方をいたしておるわけでございます。
  158. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 その大臣が指摘をされたガソリン税とか、それから地方道路譲与税、あるいは自動車重量税ですね、これは確かに目的税に匹敵するものかもしれませんけれども内容は私は違うと思うんですね。これはやっぱり一回国がそういうことを制度化して、それでこれを地方公共団体に交付をする、そして使用制限をワクをはめてやっていると、こういうことですから。今度の促進税は、少なくともストレートで国が持って、そして使用制限をして公共団体にくる。こういうことですから、そういう意味合いにおいては若干違うんじゃないだろうか。  もう一つは、地方財政法の十一条ないし十二条だと思いますが、国が全額負担するもの、一部負担するもの、この内容が数項目ありますけれども、その関係の内容のどういうものに該当するのかですね、その辺の見解についてもひとつ教えていただきたいと思うのですがね。
  159. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ、ガソリン税の場合と形は多少違いますが、今回は、この電源開発が非常な緊要な問題であるから、これはどうしてもきわめて安定した財源体系を整えていく必要があると、こういうことからこういう措置をとったわけです。他の地方に対する交付金、いろいろありますけれども、それにつきましてもいろいろ若干の違いがあります。ありますが、今回とにかく発電所を増設しなければならぬ、これは非常な緊要な国家的課題になっておると、こういうところから、最も安定した財源体系を整える、こういう形をとる、こういう御理解を願いたいと思います。
  160. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 地方財政法の関係はどうでしょう。
  161. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 今回の交付金は、地方財政法で申しますと、第十六条の、「国は、その施策を行うため特別の必要があると認めるとき又は地方公共団体の財政上特別の必要があると認めるときに限り、当該地方公共団体に対して、補助金を交付することができる。」、この規定による補助金であると考えております。
  162. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 十一条、十二条等ではなくて、十六条ということですね。そういうことで該当する。  そのことは、地方自治法等からいって、地方自治に何か、金がもらえるのですからね、非常に分取り合いとかなんか、そういう状況になってこないのかどうかですね。地方自治法を侵害している、そういうようなことはないと思いますけれども、そういう危惧は生じてきませんですか。  それからもう一つ大臣に、直間比率のバランス体制をとらなくちゃいけないということは、いままで主張されてきたことですが、現行も一貫してこれは七対三。特例中の特例だというから、目的税をもっと増設をしていくというようなことはおそらく考えておらないでしょう。もしそういう関係で、これは間接税ですから、そうしますと、直間比率のバランス体制にもひとつ寄与することになるのじゃないか。間接税増徴体制でいくとすれば、結果的に終着駅は売り上げ税あたりまでいってしまわなければいけないのじゃないかというような危惧もあるわけですけれども、その辺の税制、増徴体制の全般の状況からいって、この促進税の役割りといいますか、そういうものをどういうふうにお考えになっておるのか、見解として。
  163. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは税制体系の中でどんな役割りを与えるかというところまでの深い体系論からこの税を考えておりませんです。これはどこまでも、電源開発が非常に緊要である、そのための施策としてどういうふうな形がいいかと、そういう見解から発しておる、そういう御理解を願います。
  164. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうしますと、直間比率のバランス体制というものは別途考えていく、こういうことですね。
  165. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのとおりでございます。
  166. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それで、問題は、いずれの場合でもそうですけれども、自動車重量税が一昨年創設をされまして、昨年、今次国会でまたこれは値上げですね。そういうことになった。これもおそらくずっと進行していきますと、当該発電所の設置個所がどんどん進行していくということになると、やはり一定の財源方式では、私は間に合わなくなってくると思いますね。あるいは経済動向によって各種資材等が上がっていくと、私はやはりもっと間に合わなくなると思う。そういうことになりますると、途中で、将来二年後か三年後にまた増徴体制をとってこなければいけない、こういうことになります。そういうことになりますと、これは結果的には料金にはね返ってくると思いますね。そういうことになって、片や七ヵ年計画の中でまた一方では電気料金を上げる。同じように税目、この目的税によってまた上がってくるというようなことになりまするけれども、そういう心配というものは前途非常に存在をしているのじゃないかと思うのですが、この辺の措置はどういう考えでやっていかれますか。
  167. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) この仕組みが料金と深い関係がある、これはそのとおりであろうと思います。ただ料金が家計を圧迫するとか、あるいは大衆課税になるとか、そういう問題については特別の配慮をしなければならない、それは料金体系をどうするかという問題に返ってくるのだろうと、こういうふうに思います。
  168. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 今回の五七%に近い電気料金の値上げで、政府試算では〇・四%程度の物価はね返りだろう、こういうようなことをおっしゃられていますが、しかし、別な学者とかなんかは、約四%というのがはね返っているのじゃないか、消費者物価その他の押し上げに影響している、こういうことをいわれておりますが、やはりそういう意味からいくと、料金が引き上がるということは、一方において利用者の重税感に通じていく、さらにこの消費者物価の押し上げに一定の役割りを果たしていく、こういうことになると思いますね。その辺の調整が非常に私は大事じゃないかと思うのですけれども、その辺は前途どの辺までがこの現行体制でいけるという見通しですね、それを大臣お持ちでしたらひとつ。
  169. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 今回の料金改定は、全部を平均いたしますと、五六・八%の値上げでございます。ただし電灯と電力とに分けてみますと、電灯は三〇%を切っておるわけでございます。これによるはね返りにつきましては、経済企画庁等でもいろいろと試算をしていただいておりますが、従来の家庭の電力消費、これが家計に占める比率が大体一・八%ないし一・九%でございまして、これに対して今回の値上げ率を乗じましても、家計に対するはね返りは〇・五%ないし〇・六%程度であると推定をいたしております。また産業用に対する値上げ率はかなり高かったわけでございますが、工業生産のコストの中で電力費の割合が約一%程度でございまして、これに対する間接的な影響もあわせ考えてみましても、卸売り物価に対する影響度は一%前後ではないか、こう考えておるところでございます。  先ほど来これからの電源開発が進んでいけば、それだけのコスト増が料金にはね返るんではないかというお話ございましたが、私どもとしましては、これから発電所をつくってまいりますのは、いわば需要が増大をするということに見合って建設を進めていくわけでございます。したがいまして、発電所が建設されて稼働に移るということになりますと、それに見合う、逆に需要があるということに結びつくわけでございまして、この需要に対して所定の料金をいただけば、これは直接的にはそう料金にはね返らずに済ませることができるのではないか、こう考えておるところでございます。参考までに、従来毎年電力会社はかなりの額の設備投資をしてまいってきましたこと、先ほど来の御指摘のとおりでございますが、そのような膨大な設備投資をしながら、電力会社としては一方で合理化を進めまして、十年、中には二十年も電力料金を据え置いてきたというような実績も御参考にしていただきたいと存じます。
  170. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それからこの特会計制度設定についてですけれども、いろいろと説明も受けたのですけれども、現行四十二くらいある、こういう話ですね。そういうことになりますと、またこれはふえてくるわけですけれども、財政法上はことさらこれは問題はないわけですけれども、あまりにも多過ぎてきているような状況ですね。経済動向その他が非常に拡大化して、変化しているのだからといえばそういうことですけれども、何かこう、制度設定というと特会計に持っていっちゃう、こういうかっこうですね。はなはだしきは、公立病院等の独算制体制の特会計をつくったという、これはまあ病人の医療その他についてまで自前方式でやっていけということはちょっと酷だと思うのですけれども、そういうことで特会計がどんどんどんどんつくられてきている。だから、あまり多過ぎるのじゃないかと思うのですけれども、そういう意味合いでは、私は、やはり特別会計制度というものはもうこの辺で、限界を引いて、今後はやはり規制していくべきだ、こういうふうに考えるのですが、この辺はどうでしょう。
  171. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それは私もそう思うのです。ですから、これは特例中の特例だと、こういうふうに、これまた申し上げているわけなんですが、やはりこの電源開発ということが非常に重大な国の課題になっている。これに対して安定した財源を整えて、安定した対策を講ずる財政上の仕組みをつくっていく必要がある。そういうことから特別会計に踏み切った。しかし特別会計が四十幾つもある、これは決して少ないという状態ではありません。これはまあできる限り特別会計というような行き方は避けていきたい。しかし、今回の電源開発問題だけは、これは非常な大きな国家的課題でありますので、特例としてやっていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  172. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それからこの税制の簡素化という問題について、この内容をずっと見てまいりますと、罰則規定があるわけです。あるいは質問検査権ですね。こういうものがあるのですけれども、これは各税目制度を見ましても、必ずこういうものが挿入されているのですね。だから、体系上は法律のどこかで一ヵ所入れておけば、各種税目に適用しますよということで、簡素化してもいいのじゃないかと思うのですが、それでなくてさえ、税法というものは非常に砂利をかむように、一般国民にはなかなかわからないという、そういう難点があるわけですから、各税目ごとに創設をして、制度ごとに全部きちっとやっている。そういう関係かどうだかわかりませんけれども、非常にこの検査質問体制については、まさに犯罪視した角度で現実にやられているのですね。こういうものを各税目ごとにやっておられるから、そういうことにも通じてくるのかもしれません。あるいはまた税務署ごとに一つのノルマを設定して、これだけは絶対あげろと、こうなるから、いろいろなそういう競争心があるからだと思うのですけれども、その辺の制度上の簡素化についてはこれは主税局長どういうふうにお考えになっておりますか。
  173. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 御指摘のように、現在質問検査権等の規定が各税法に規定されていることは非常に問題でございます。そこで、かつて昭和三十六年に国税通則法というものが制定されましたが、その際に、国税通則法をつくるべきであるという税制調査会の答申におきましても、それが統一的にそういうような法律の中に規定をして、各税法に掲げるのをやめてはどうかということの提案があり、私どもといたしましても相当慎重にかつ真剣に検討をいたしたわけでございます。しかしながら、その検討の結果、やはり従来からの各税法におきますところの規定のしかたが、質問検査の相手方がどういう方であるかということであるとか、調査の方法ということにもよりまして、現行規定が微妙に差異があるわけでございまして、そこで、それを統一的に規定をいたすということになりますと、税目によっては必ずしも必要のないところまで検査ができるような規定になってしまうようなこともありまして、当時、各方面の御意見の中に、質問検査権の統一規定を置くということは、ある意味において質問検査権を強化しようとする意図を持っているのではないかというふうな疑念を招くに至りまして、御存じのように国税通則法の案を立てます過程におきまして非常に問題点となった経過がございます。  そこで、通則法は他にもいろいろの点を改善する趣旨で設けられました関係上、この点につきましてはなお今後に譲るということで、質問検査権の規定を統一しないままで、今日に至っておるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、まさにただいま御指摘のような点もあるわけでございますので、今後引き続き長期的課題としては検討してまいりたいと思っております。
  174. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それからもう一つは、電気税との関連でお伺いしたいんですけれども、今回これは、地方行政関係ですけれども、従来千二百円、これが二千円にアップをして、それでそれをこえたものについては六%が五%、こういうことになったわけですけれども、これは本来入場税とか、そういうものと同じ性格のもので、戦中にこれは設定をされたものなんですね。あくまでも戦費調達が土台ですから、そういう意味合いにおいては、この入場税等々含めて、もうすでに意義は喪失をしたというふうにわれわれは理解するわけです。道路をつくるために約九つぐらいの税金がずっとつくられておる。今度電気関係も、電気税がつくられ、今度はこの促進税がつくられ、料金が上げられるということですね。国民に対して集中的に各般の問題で増徴体制がしかれる。非常に私はたいへんじゃないかと思うのですね。だから、そういう意味合いにおいては、やはり時代の進展に応じて切り捨てるものは切り捨える、こういうことがあってもいいんじゃないか。いや、それはそう言ったって、電気税収入は総体で一千億をちょっとこえるというのだから、この財源は必要だという財務当局の考えはわからないわけじゃないけれども、国民にとったら私はたいへんだと思うのですね。それでなくてさえ、一般の税金で重税感が多いんですから、そういう面の両者の整理というものをもう少し配慮されてもいいんじゃないだろうか、こういうふうに考えるんですけれども、この辺はどう判断をされておりましょうか。
  175. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 電気税の問題は、自治省所管の問題でございますので、私からお答え申し上げるのは必ずしも適当ではないわけでございますが、従来、税制調査会等においてもいろいろ議論がございますので、若干御参考までに申し上げておきたいと思いますが、これについては全く相対立する二つの意見がございまして、電気のような生活必需品的なものについて、消費者に課税をするということについて適当でないという意見があることは申すまでもございませんが、一方におきましても、電気の使用の状態というものは、ある程度所得の状態を証明するといいますか、対応関係にあるというところから、たまたま電気の料金を課税標準とはいたしておりますけれども、ある意味において担税力を推定し得るものであるというところから、地方におきますところの一般財源の調達と申しますか、そういうために一つの技術として、電気の料金を基準とするという方式はなかなか捨てがたいという意見があるわけでございます。  で、今回は、この促進税との関係におきましては、特に電気税に触れるところがないわけでございますが、御存じのように、最近のように、料金の値上げに伴いまして、いわば一種の自然増収のような形の収入がふえるということに非常に問題がございますので、先般来政府内での打ち合わせでは、免税点を引き上げ、また税率についても引き下げるという方向で、著しい自然増収が生じ、逆にいえば、消費者の方々の負担がふえるということが極度に起こりませんように配慮することにしておるわけでございますが、ただいま戸田委員から御指摘になりました、この税そのものを将来に向かって廃止のほうに向かうべきかどうかということについては、やはり非常に議論があるところでございまして、にわかに判断をいたしがたいというのが現状ではなかろうかと思っております。
  176. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それから罰則関係ですけれども、ちょっと懲役三年ないし百万円、こういうことになっているのですね。その理由は、拒み、妨害、忌避、こういう関係になっているのですね。私は妨害と忌避の場合はこれは問題になるだろうと思うのですが、検査の拒みの範囲については非常に抽象的で、一方的な判断に、これは検査するほうも、税務当局もそういうことになってくるのじゃないかと思うのですけれども、これは各税法ともそういうことになっているから、それをバランス上やったということになるかもしれませんけれども、もう少し科学的な論拠に基づいて、一定の金額ないし懲役体制というものをとってみてはどうかというふうに考えるのですけれども、この辺はどうも一貫して従来のものを踏襲をして、バランス上法制化していく、こういうきらいなしとしないのじゃないがと思うのですけれども、そういう点については、今後改善の考えというものはございませんか。
  177. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 罰則規定につきましては、これはある意味では税法の関連する罰則でございますから、私どもの責任でございますと同時に、ある意味におきましては刑事罰でございますので、法務省と申しますか、刑事法担当者の問題でございます。ただいまおっしゃいましたように、今回の罰則規定は、各税法の例にならったというだけでございまして、在来から罰則規定のあり方については、なお今後検討すべきものが残っておるというふうに私どもも思っておるわけでございますが、何ぶん税法だけでなくて、行政法規全体を通じまして、ある種のバランスといいますか、横流れの関係で規定されておる関係もございますので、いずれおりを見て、そういう基本的な検討が必要な時期がまいろうかと思いますけれども、現段階においては、他の法令の例に従うということで御了解を願いたいと思います。
  178. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは各税法に関係してくる問題ですから、一挙にといっても私もいかないと思います。これは総合的な検討ほ上に立ってということになりますけれども、ただ、あずれの場合でも、新制度を設定するときには、バランス上でやってこられますから、そういうことのないように、私はそういう機会を通じて総合的に検討していただいてしかるべき問題ではないか、こういうふうに考えておるわけで、その点はひとつ要望として申し上げておきたいと思います。もちろん罰則について三年以下とか、あるいは百万円以下とかということがありますが、これは上限の制限であって、内容には相当幅があってやられるわけですからそれはけっこうなんですが、そういう面に対して内部指導というか、そういうものは主税局としてはいろいろつくられておるのでしょうね、これに該当する罰則等については。
  179. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 御趣旨が明らかでございませんが、この罰則の適用はやはり裁判を通じて決定するわけでございますので、私どもといたしましては、罰則に該当するような事業がございます場合に、検察当局のほうに告発するかどうかという問題はありますけれども、量刑の問題は、私どもとしては実はかかわらないわけでございます。
  180. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それから、資料をいろいろといただいたのですけれども、定額制の電灯の場合、いま一家族平均どのくらい使われて、料金としてどのくらいになっておるのか。そのうち税金分はどのくらい含まっているのか、その内容についてひとつ説明をしていただきたいと思います。
  181. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 一般の家庭におきましては、普通の形態でございますと、従量制によって契約をしていただいておるわけでございます。定額制はむしろ一般家庭においては例外でございます。定額制の中身は、電力各社によっていろいろ違いますが、おもな需要先といたしましては、公衆街路灯であるとか、あるいは倉庫などがおもな需要でございまして、そのほかに若干の家庭が含まれておる、こういう構成かと理解しておるわけでございます。
  182. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この間の説明ではおおむね百四十キロ見当、それで二千四十八円見当、その中で税分として六円見当を包括をしている、こういうことですね。しかし、これから生活向上ということで電源開発その他の目的を置いておるわけですから、この消費状況というものはもっとふえていくと思いますね、私は。したがって、税も自動的に引き上げをされる、こういうことになっていくと思いますが、この五十七年の基本計画が進行した暁に、どの程度まで上昇見込みといいますか、水準向上の目安というものが考えられておるのか、そのときにどのくらいの税金が包括をされていくのか、その辺をひとつ教えていただきたいと思うんです。  それからもう一つは、資料としていただきました電力使用状況、私の理解ではいま事業所、この数が全体的に九十四万事業所くらいある、そういう中で、電力消費の割合は、数は少ないけれども大口使用、そういうものが非常に高まっていくと思いますが、これは今後の産業構造ともいろいろ関係してくる問題ですけれども、そういう意味合いにおいて、どのくらいの大口需要の部面で上昇していくのか、そういう使用の方向と、それからそれに伴う納税額の割合というものはどの程度になっておるのか、七つくらいに分類をされておるようですが、その中身についてひとつ説明していただきたい。
  183. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) いまのお話は、家庭用の伸びと、産業用の伸びに分けてそれぞれ御質問があったと思いますので、その順序に従って今後の予想ないし見通しについて御説明をいたしたいと思います。  まず、家庭用の電力消費でございますが、従来の実績を見ますと、昭和四十一年度から四十七年度、この間における平均の伸び率は、年当たり一二・八%でございます。これは同じ期間における産業用の電力の伸び一〇・九%より若干上回っておるという実績になっております。  今後の見通しでございますが、家庭におきまして、今回の石油危機及びそれに伴う電力の使用制限を通じまして、かなりの程度使用の合理化をしようというような雰囲気が出てまいっておりますし、またそのことは、電力の使用実績の数字にも私ども読み取れるわけでございます。しかしながら、長期的に見た場合、これからの国民生活の向上に応じまして、やはりある程度の電灯需要の伸びというものは当然予想できると思っております。私どもの試算といたしましては、四十七年度から五十三年度、この間における伸び率は年平均九・二%程度であろうかと思っております。これも産業用の伸びよりはやや高い水準になるわけでございます。家庭用の伸びの内容についても私どもいろいろのデータを見ておりますが、ここに数年はカラーテレビの伸びが非常に主力になっておりまして、ごく最近はルームクーラーの普及というものが、家庭用の電力需要の伸びの一番大きな要因になっておりますし、なおまた電気冷蔵庫なり、あるいは電子レンジの普及といったものも最近の特色としてあげることができるかと思っております。  先ほどのお話にもございましたように、いま家庭において使用しております電力量は、月当たり大体百四十キロワットアワーでございまして、それを前提にして試算をいたしますと、大体六円見当ということは御指摘のとおりでございますが、この電力消費量なり、あるいはそれに応じて出てまいります家庭用から上がります電源開発促進税の税収、これは先ほど申し上げましたような伸び率にほぼ比例をしながら今後増大をしていくであろうと、こう思っておるところでございます。  他方、産業活動につきましては、先ほど数字の中にも若干触れましたが、従来の四十一年ないし四十七年の実績で一〇・九%、これが今後の見通しとしまして四十七年度から五十三年度まで、これが八二二%。従来から比べますと、やはりある程度の低下を見込みながら、国民生活の向上に応ずるような産業活動を維持するためには、この前後の需要増というものが見込めるかと思っております。  産業用から上がります電源開発促進税につきましても、大体この数字を頭に置にながら試算をすることができるのではないかと、こう考えておるところでございます。     —————————————
  184. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、玉置猛夫君、中西一郎君、船田譲君、竹田四郎君が委員を辞任され、その補欠として、米田正文君、稲嶺一郎君、黒住忠行君、辻一彦君が選任されました。  暫時休憩いたします。    午後五時二十七分休憩      —————・—————    午後七時三分開会
  185. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) これより大蔵委員会を再開いたします。  この際、委員異動について報告いたします。  本日、山崎五郎君、西田信一君が委員を辞任され、その補欠として中村登美君、木村睦男君が選任されました。     —————————————
  186. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 休憩前に引き続き、電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案。  以上二法案を便宜一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  187. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 大臣に質問したいのですけれども、従来の慣行ですと、すべて新制度新設なり、あるいは税改善、各般の問題について、やはり手続上としては、すべて税調を通過して、それで国会に上程その他してきたのですね。今回はすべてそういう従来の慣行手続をカットしちゃって、そして一挙に政府提案で持ってこられた。これはやっぱり法律上は、私は別にそういうことで、こういうものは税調にかけてやりなさいとかなんかということはないけれども、従来の慣行をまるっきり無視をしちゃった点については、一つはやっぱり税調の構成に対して非常に侮辱したことになるのでしょうし、それからやはり従来の慣行からいけば、そういう手続をとっておったのですから、重みというか権威というか、そういう意味合いにおいても若干薄いような感じがしますけれども、こういう問題は、今後もそういうことで、例外ならばやってもいいというようなことなのか、やはり制度としてそういう諮問が政府からあって手続上やってきたのですから、そういうことでいかれるのか、その辺見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  188. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政府としては、税調に諮問をするという従来の考え方は、これはもう堅持すべきものと考えております。これにいささかの変わりもございません。  ただ、今回の場合は、この発想があの徹夜、徹夜の予算編成の作業の過程で生まれたと、こういう特殊な事情がありまして、税調へ諮問するいとまがなかったんです。まことにこれは遺憾なことでありましたが、これをもって前例とはいたさないというふうにかたく考えておりますので、ひとつ御理解賜わりたいと思います。
  189. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあ、わかりましたけれども、ぜひやっぱりそういう手続きは尊重してやっていただきたいと思います。  それから今回のこの促進税の目的ははっきりしているわけですけれども、その税の大前提からいって、いわば社会政策上、あるいは経済政策上、あるいは人口政策上、各般の税制制度上の目的というものは大綱、原則はきまっておる。そういうものに順応して、いままで新創設あるいは制度の改善、こういうことをやってきたと思うんですね。今回は明らかにどういう政策目的——これは政策目的だと思うんですけれども、そういうことの理解でよろしゅうございますか。
  190. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今回は、これは財政の総合管理、それから見ると例外でございますが、これはエネルギー政策が非常に重要になってきた。ことに原子力発電への依存という度合いがきわめて高い。そういうことで、原子力発電その他電源開発に対しまして安定した財源を確保し、また安定した仕組みをつくっておきたいと、こういうことから、例外的な措置をとったわけです。これをもって前例とはいたさないと、こういう考え方でございます。
  191. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この税の大前提の目的からいけば、かりにいま政策目的でもって新創設をしたと、こういうことになるとすれば、やっぱり内容としては、どうしてもひっかかってくるのは納税者の担税能力ですね。こういうものを無視した新制度設定というのは私はまずいと思うのです。自動車関係税九つありますけれども、これはいま自動車は、産業自体としてはそのことで非常に高成長産業ですから、企業自体としては相当もうかる。しかし、利用する者について、それは道路もつくらなくちゃいけないことは、それはわかります。しかし、そういうものと比較して、一般のサラリーマンのマイカー等を持っている場合には、私は相当な負担になっているのじゃないか。  それからやっぱり、いまの電気料金をはじめ、すべてそういうものについて全体そこを見た場合に、いまの国民の経済状況からいって、はたして担税能力があると見ているのかどうかですね。これは少なくともようやく最近勤労者の場合に百五十万、これは上がった。われわれとしては二百三十五万までしなさいと言っていますけれども内容はいろいろ控除体制はありますけれども、百五十万の平均体制で、それ以下は生活に食い込むからということになる、こういう状況であります。国民所得の全体平均からいけば、これは地域的にも相当違うですけれども、百五十万まで、平均体制以下というものが、これは労働省統計でも約五〇%をこえているのですね。そのくらい日本の国民というものは低所得者層によって構成されている。そういうところにどんどんこういう政策目的でもって、担税能力にかかわらずやられていくということについては、私は非常に問題じゃないだろうか。ことに通産省資料によりましても、一般家庭の、それは三千六百万世帯ですからね。かりに百四十キロ平均にいった場合でも、二千円見当でこれ全体を負担する。それが一番大きいですよ、やっぱり。大口需要その他からいっても、これは事業世帯からいって、数は少ないですが、すべての担税体制というものが国民に賦課体制をとっていくということについて、相当私は根本的に考え直す時期ではないだろうかという気がするんでありますけれども、この点大臣どうお考えですか。
  192. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 本税につきましては納税者は電気事業者ですからこれは担税能力がないとは言えない。ただ問題は、電気料金にそれがつながりを持ってきますので、その電気料金体系をどういうふうにするか、これは体系を考える場合におきまして、なるべく大衆負担にならないようにという配意をしておるわけでありまして、これは先刻るる通産省のほうから御説明したとおりです。  十分それは政府といたしまして総合的に考えておると、こういうふうに御理解願います。
  193. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあ確かに大臣がおっしゃられるように、税金を納めるのは九電をはじめ沖繩を含めて、それは電力会社です。しかし、さっきもちょっと意見を出したように、それは全部料金という土台によってやられているわけですから、だから結局、私は間接的な意味を持っている間接税、こういうことになってくると思うんです。だから、そういうことでどうしてもこういう税金を取れば料金にはね返ってくる。これは大臣もお認めになっているとおり。この間、税調の木下参考人も来ていただいて見解を聞きましたけれども、やはりどうしてもこれは料金にかぶさっていきますと、そういう点では一致しているわけです。だからそこへいくと思いますね。だから、そういう面についての担税、あるいは税金の大前提である公平感、こういうものからいっても、私はあまりかんばしい制度設定ではないんじゃないか。こういうように考えますし、いままでいろいろと大臣の答弁で趣旨のどこにあるかはわかりましたけれども、ぜひひとつ今後はそういうことのないように、十分配慮をしていただきたいというふうに考えるわけであります。  そこで若干こまかいことになりまするけれども、先ほど通産省にお伺いしたように、大体いまの平均三千六百万世帯については免税と、税金、この徴収は法律でまいりますと電力会社の住所地、そこで一括やることになるわけですね。そうですね。
  194. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) これは四条によりまして「電源開発促進税の納税地は、当該一般電気事業者の住所地とする。」ということになっておりますので、原則として本店所在地で一括して納めて  いただくということになります。
  195. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうしますと、たとえばこういうのが振りかえ供給というのかわかりませんが、東北電力会社で一定の余剰電力があって、それを関東方面に供給している、そういうものについて振りかえ供給ということになるのかどうかわかりませんが、その振りかえ供給については第二条、二十五条一項にかかわる、こういうことがあるんですが、この供給したものについては、これもやっぱり住所地原電の電力会社、そこで全部操作するわけですか。
  196. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 振りかえ供給の場合には、結局供給を受けて販売をしたほうの電気事業者が負担をし、納付をするということになります。
  197. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それから一般電気事業者のみずから使用した電気、こういうものには大体どういうのが含まれておりますか。
  198. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 発電所で、みずから使用する電気はいろいろとございますわけでございます。たとえば事務用に使うとかいろんなことがあるわけでございますが、この課税対象外と考えておりますのは、発電のために直接使用したものだけは課税対象がら除外するということでありまして、電力会社が使用いたしました電気でありましても、発電用以外に使用したものは、やはり課税対象として考えるというふうに定められております。   〔委員長退席、理事藤田正明君着席〕
  199. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それから、第六条でございますが、いわゆるこの税率の問題で、販売電気千キロワット八十五円、この計算方式についてちょっと考えていただきたいと思います。
  200. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) これは昨日でございましたか、お答えいたしましたが、結局、むしろ逆算的に算出したものであるというふうに御理解いただいたほうがよろしいかと思います。四十九年度ベースで申しまして、大体このためには三百億くらいの金が平年度計算で必要であるという前提に立ちました。そして現在の全国の販売電気数量で割ったと、そういたしますと、大体八十五円になるという関係でございます。現在四十九年度の販売電力量が三千五百六十億キロワットアワーでございました。これを千キロワットアワーにつき八十五円、逆に申しますと一キロワットアワー八銭五厘ということで、その八銭五厘にいまのキロワットアワーを乗じていただきますと、三百三億になるわけでございます。  一方、この三百億というのはどういう計算かということは、これはむしろ歳出需要の見込み額から算出したということでございます。まさに一定の歳出目的のための目的税でございますので、その目的に必要とする額をもって税率を算出したという形でございます。
  201. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 時間の関係もありますから質問内容は一ぱいありますが、この辺で委員長に、五分くらい休憩していただいて、私もちょっと……。
  202. 藤田正明

    ○理事(藤田正明君) 速記やめて。   〔午後七時十九分速記中止〕   〔理事藤田正明君退席、委員長着席〕   〔午後七時三十四分速記開始〕
  203. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  205. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました電源開発促進税法案、同対策特別会計法案の二法案に対し、反対の立場で討論を行なうものであります。  反対理由の第一は、新税創設は、結果的に国民に増税をしいるものとなるからであります。法案では、課税対象者は、直接的には一般電気事業者となっておりますが、つまるところ、電気使用者の料金を税源とすることになり、料金にはね返ってまいります。大衆重課の現在、さらに国民の担税力をこえ負担させる増税の新設には反対をするものであります。  第二は、税制体系を混乱させ、かつ間接税増徴につながるものであるからであります。電源開発促進税は、まさに逆進税であります。税の基本であります担税力を無視し、かつ税の不公平を増大するからであります。  第三は、税調を無視し、正当な手続を踏まれていないからであります。従来からの慣行は、すべて税調への政府からの諮問、税調からの答申の手続により、税制の創設、制度改善等がなされてきたはずであります。今回はこのような慣行を全く無視し、田中総理の御都合主義で、急速本税創設が提案されたのであります。慣行無視に対し厳重に抗議するものであります。  第四は、財政的見地と使用目的についてであります。四十九年度予算を見ますると、税収見積もりは、専売益金を含めて約十四兆円、自然増収三兆六千八百五十四億円であります。予定されます電源開発促進税は、初年度は百一億円、平年度三百三億円となります。四十九年度税収見積もり総額のわずかに〇・〇七%にすぎません。電源開発のため政策的にどうしても財源が必要だというなら、新税創設によらなくとも、一般財源から捻出できないはずはないのであります。  また原発開発等で住民が反対する最大の理由は、安全性に対してであります。周辺の環境の整備にも増して、安全性に対する不安と危険性をどう解消するかであります。当面技術の開発と実用化の中で、安全性を重視し、これへの研究開発が急務なはずであります。今回の税創設の趣旨は、財政的に、使用目的においても全く国民感情を無視しているからであります。  以上簡単に反対理由を申し上げ討論を終わります。
  206. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました電源開発促進法案に対し、次のような理由から反対の討論を行なうものであります。  まず第一の理由は、電源開発促進税という目的税の創設と、特別会計の新設という、新税創設がきわめて安易に政府の独断で一方的にきめられたことであります。特に田中総理の持論であり、発想であるというものの、新税創設という重大な案件を税調には一度の相談もなく決定し、法案提出に踏み切ったことは、税調の存在と権威を無視した行為であるばかりでなく、財政民主々義の立場からはなはだ遺憾であり、理解に苦しむものであります。  第二の理由は、名目どおりの電源立地開発が、公害や原子力発電の安全性という環境保全の根本的な課題を未解決に置き去りにしたまま、開発促進が可能かという重大な疑問が残されており、環境保全に対する保証がないということであります。  第三の理由として、税収並びにその財源の使途については、周辺地域の道路、港湾等の整備や、公民館などの住民福祉施設建設という、公共施設の整備の美名に名をかりて地域住民にあめを与え、公害、安全性等の危険性を公共施設の整備にすりかえようとする田中内閣特有の札束行政であります。  第四の理由は、この税の課税対象は電力会社でありますが、電力業界では、この新課税を電力コストに織り込み、電力料金の値上げにさらに上乗せすることは必至であり、この税が究極的には一般消費者に転嫁されるという事実は、高福祉時代に逆行する税制であります。  以上の理由から、電源開発促進二法は、財源を調達して、電源立地の周辺地域住民に若干のメリットを与えるという危険手当的性格を多分に持った本末転倒の政策であり、なかんずく公害や安全性という環境権の基本対策が最優先して考えられない限り、電源立地難を根本的に解決する手段とはならず、本法案の撤回を強く要望して、反対の討論を終わります。
  207. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となりました電源開発促進関係二法案について反対の討論を行ないます。  その第一の理由は、発電所の設置と、公共用施設の建設との因果関係であります。電源開発地域の周辺整備事業として予定されている公共用施設は、単に発電所の設置と因果関係がないばかりでなく、むしろ逆に地方の福祉向上の観点から、発電所の有無にかかわりなく整備すべきものであります。したがって、その財源を、電気事業者に対する目的税の課税に求めることは適当ではありません。  第二の理由は、すべての地方について共通かつ妥当な基準に従って建設すべき公共用施設に対し、電源開発周辺地域のみを別格とし、特別会計で経理することは全く不適当であることであります。  第三の理由は、事実上ごね得を容認し、しかも、それに要する費用を消費者に転嫁する巧妙な道を開いたことであります。  なお、ここで私は今回の二法案が、発電所の安全対策及び環境保全対策と直接関係のないものであることを強調しておきたいと思います。  安全対策あるいは環境保全に要する費用については、電力事業者がまずこれを負担し、最終的には受益者である消費者が電力料金を通じて負担することは、今日大方の同意を得た方法だと思います。しかし、これらの方法といえども、なお留意すべきことは、負担の限界線をどこに引くかの問題であります。世上、外部不経済の内部化、あるいは公害除去費用の受益者負担の原則等が強く主張されております。しかし、この主張の警戒すべき点は、複雑な利害関係で結ばれている国民相互を、受益者と被害者という単純なものさしで区分し、その結果として、被害者意識を無秩序に増大させる傾向を生むことであります。すなわち、本来は市場経済の欠陥を補完するものとして、その次元で検討されるべき外部不経済の内部化の問題が、現実には被害者の被害申し立てに対する理論的根拠に援用され、その結果、被害を申し立てる行為を野放しに認めることが正義であり、社会全体の利益に結びつくかのごとき錯覚を生み出す点であります。  もし、この錯覚が世の中をおおったとすれば、国民だれしも受益者である反面、何らかの形で被害者であることを考えると、被害者意識の増長に伴うエゴイズムの横行を抑止することはきわめて困難であると言わねばなりません。したがって、外部不経済の内部化の問題に取り組むにあたっては、それこそ慎重であるべきであり、前提条件としては、相互の利害対立を調和に導き得る健全な良識が求められなければなりません。そしてそれを期待するためには、政府は常に個人の利益と社会全体の利益の調和を求め、黙々と努力している多くの国民の声なき声に耳を傾け、これを勇気づけるべきであります。しかるに政府は、今回の提案によって、ごね得を国家の権威において承認し、しかも、それに要する費用を、巧妙に消費者に転嫁する道を開きました。この一事が、やがて万事となることをおそれるとともに、密接な連帯関係にある国民を、安易に被害者と受益者に区分していく発想が、今後何をもたらすかについて、政府の猛省を促しながら反対の討論といたします。
  208. 加藤進

    加藤進君 私は、日本共産党を代表して、電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案の二法案にそれぞれ反対します。  まず電源開発促進税法案に反対する理由ですが、この法案の課税目的でも明らかなように、原子力発電に随伴して生ずる放射能の安全性や、火力発電による環境汚染などを防ぐ確実な保証もなく、電源開発指定地の住民に、わずかばかりの祉費を交付して電源開発を促進しようとするものであり、またこの税金は、今回の東京電力などの電気料金値上げ認定でも、総括原価の中に含まれ、電力料金値上げに転嫁を予定されていることからわかるように、事実上電力消費者が負担する大衆課税であるからであります。このような性格の目的税をつくり、次に述べるように、電源開発促進対策特別会計を通じて交付金を指定地の市町村に交付することは、税体系と交付税制度をゆがめるものであると、これに反対するものであります。  次に、電源開発促進対策特別会計法案に反対する理由でありますが、この会計の支出は、一番大切な安全性について、放射能監視所や、安全性のPR程度のものにすぎず、そのほか指定地の住民の福祉にわずかばかり交付金を交付するものでありますが、これでもって市町村を国側に巻き込み、安全性に不安を持ち、電源開発に反対している住民運動を押えるねらいを持っていることとしか考え得られないからであります。このような本法案が一度成立すれば、電力と同様に、基地設置に対して、住民の反対の強い石油や、その他公害産業にも、本法案と同様の措置が拡大されないという保証はないからであります。さらに、この特別会計を通じて、特別交付金を指定地の市町村へ交付することは、財政、交付税制度を紊乱させるものであります。  以上の理由により、二法案に反対いたします。
  209. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  210. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  電源開発促進税法案を問題に供します。  本法案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  211. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、電源開発促進対策特別会計法案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  212. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時四十六分散会