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政府委員(
吉田太郎一君)
一つのやり方といたしましては、金利体系全体をもう一度上げていくという
考え方が
一つあり得ようと思います。昨年二回、二%
預金金利を上げたわけでございます。その結果、貸し出し金利がどれだけ上がっておるかとなりますと、公定歩合がその間、昨年末まででございますと二・七五%上がったわけでございますが、それの上げ幅の大体半分ぐらいは、公定歩合の上げ幅の大体五割が、実際の市中金利で上がっておるというのが、
都市銀行の場合でございます。
それから、
相互銀行になりますと、二〇%ぐらい
しか上がっておりません。二・七五%のうちの二〇%となりますと、大体一%ぐらい
しか上がってないというのが、約定
平均金利の姿でございます。その後二%公定歩合を上げたわけでございますが、これに対する追随していく貸し出し金利の幅というのは、非常に少ないのではないか、というのは、ある
意味では、なかなか上げにくい状況があるということのようでございます。
で、これを
預金金利を二%昨年内に上げたことによって、どれだけ
吸収といいますか、経理にどれだけ影響を与えるかということは、この次の決算あるいはその次の決算ぐらいに利息の支払い期がくるわけでございますので、非常にその辺のところが問題になるわけでございますが、私
どもといたしましては、二%
程度の
預金金利というものには、十分
金融機関はすべて耐え得ると確信しておりますし、今日の
金融機関の資力をもってすれば、決して心配な事態はないと
考えております。ただ、さらにこれをもう一段上げていくということについては、非常に慎重に
考えるべき問題が多いように思うもんでございますので、この辺については、できるだけあらゆる研究を続けていくべきではないかと
考えております。
それから、同時に、それとは別に、いま御指摘のように、何らかのやり方が
考えられていいじゃないかということも、私もそうだと思います。ただ、申し上げましたように、今日
個人預金を一番多くかかえております
金融機関は、どちらかというと、地方にある比較的小さな
金融機関でございまして、その辺はおそらく
金融機関の資力の七割以上が、
個人の
方々の
預金となっておるのが実態でございます。それに比べまして、
都市銀行は、比較的それが少ないという形で、その影響の度合いが違ってくるわけでございますが、その経理に及ぼす影響と、同時に、いかにして零細な
預金に限れるかという技術的な問題がございます。
国民背番号的なやり方というのは問題があるにいたしましても、何らか特に、やはり
所得の小さな方という方に限れれば、できるだけその分だけは、金利体系とは別に高い金利がお支払いできるわけでございますが、それを確保するやり方というものが、非常にむずかしいというのが、
一つのぶち当たっておる側面でございます。
それから、それでは今度は金利をどのぐらい高さにやれるかという問題につきましては、
先ほども申し上げましたように、八・五%という長期金利の壁がございます。これをもしもこしますならば、あらゆる、たとえば、いま国債の
個人消化を含めまして、それ以外の今日の
貯蓄というものはストップして、全部そちらに回ってしまう。それをできるだけ金額を少なく、あるいは対象の適格者を少なくすることによって歯どめをするということは、実際問題としては非常にむずかしい。
預金というものがどうしても分割されやすいものであるということからいたしますと、この辺の問題について、よほどしっかりした計算と、めどをつけない限りは、財政負担にも影響を及ぼします。あるいは
郵便貯金の経理を通じまして、
政府金融機関の貸し出し金利にも影響が及ぶという問題もございます。また、申すまでもございませんが、
民間金融機関の経営というものを不安定にするという問題もございます。したがいまして、御
趣旨のほどはもう十分理解しておるつもりでございますが、なお、具体的にいろいろ研究さしていただきたい、かように
考えております。