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政府委員(
吉田太郎一君) いわゆる過剰流動性という問題と、
経済の跛行的現象という二つの問題があるかと思います。確かに過剰流動性といわれておりました現象を、わかりやすく私なりに解釈いたしますと、
経済の実体以上に通貨が供給されているその通貨の供給というのは、
金融機関の貸し出しを中心として行なわれたという意味におきましては、四十六年から四十七年のあたりに、相当膨大な貸し出しが行なわれました。これがいわゆる
世の中でいわれております数兆、おそらく七、八兆、人によっては四、五兆というような
金額のものが、いわゆる貸し出し残高としてあったかと思います。これが、その
経済がやはりいわば年を追って名目GNPが拡大してまいりますと、その貸し出し残高のままでございますと、おのずから流動性というものは吸収されるかっこうになってしまうわけでございます。
経済の回転に必要な通貨総量というものの中に、
経済が大きくなることによって吸収されてしまうという
状況できているのが今日の姿ではなかろうか。
そこで、今日の姿として、全体として見ますと、私どもはこれをマネーサプライ、あるいは企業の
手元流動性ということで見ますと、四十六、七年くらいに、いわゆる流動性過剰といわれている現象というものは、今日のところはむしろ解消している。いわば、その以前の水準、流動性の
状況にいたしましても、そういう
状況になっているということが
数字としていえるのではなかろうか、かように思います。
ただ何と申しましても一度出た通貨総量というものが、いろんな
経済各層の中にかけめぐっている間に、資金が余剰であると
考えるよりは、むしろ資金繰りが楽であるか、楽でないかという、その相対的な差が非常に今日出てきている。これがいわゆる金融の引き締めの跛行的現象ということではなかろうか、かように
考えております。むしろそれがいろいろ今度は個別の問題として
物価問題にいろんなよくない影響を与えている、こういうふうに
考えているわけでございまして、総量の通貨の供給といいますか、
銀行の信用供与の姿といたしましては、今日の窓口規制なり、引き締め
政策を続けてまいりますと、
経済ばそれなりに拡大してまいります。それに応じてだんだん苦しくなっていくという形で、現在の規制ワクを維持しておるということでございます。
で、今日そういうことになりますと、
金融機関によっては非常に金繰りが苦しくなる。あるいは企業もそうでございますが、金繰りが苦しくなるという形でございまして、こういう形で資金が吸収されることが、あるいは都市
銀行などの場合でございますと、日本
銀行に対する借り入れを返済していく方向にも向かいます。相互
銀行、信用金庫でございますと、
中小企業の必要なところに資金を供与できるという形になるのではなかろうか、かように
考えております。
で、全体としてどのぐらい吸い上げればいいかということにつきまして、私どもは、今日のところいわゆる過剰流動性として、相対的には流動性はこれからはむしろ少ないほうへ、過少とは申しませんが、過剰ではない
状況に今日さし来たっておる、むしろこれから月を追ってより苦しい
状況が金融面では起こってくるんではなかろうか、かように
考えております。