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1973-12-20 第72回国会 参議院 商工委員会、物価等対策特別委員会、地方行政委員会、大蔵委員会、農林水産委員会、運輸委員会、建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月二十日(木曜日)    午前十時十六分開会     —————————————    委員氏名    商工委員     委員長         剱木 亨弘君     理 事         佐田 一郎君     理 事         竹内 藤男君     理 事         大矢  正君     理 事         栗林 卓司君                 稲嶺 一郎君                 植木 光教君                 大谷藤之助君                 佐藤  隆君                 寺下 岩蔵君                 林田悠紀夫君                 星野 重次君                 細川 護熙君                 安田 隆明君                 小野  明君                 沢田 政治君                 竹田 現照君                 林  虎雄君                 中尾 辰義君                 峯山 昭範君                 須藤 五郎君    物価等対策特別委員     委員長         小笠 公韶君     理 事         佐藤 一郎君     理 事         棚辺 四郎君     理 事         竹田 四郎君     理 事         田代富士男君     理 事         中沢伊登子君                 上原 正吉君                 亀井 善彰君                 川野辺 静君                 志村 愛子君                 嶋崎  均君                 中村 禎二君                 中村 登美君                 山下 春江君                 加瀬  完君                 工藤 良平君                 小林  武君                 前川  旦君                 柏原 ヤス君                 沓脱タケ子君    地方行政委員     委員長         久保田藤麿君     理 事         原 文兵衛君     理 事         占部 秀男君     理 事         河田 賢治君                 鬼丸 勝之君                 片山 正英君                 斎藤 寿夫君                 柴立 芳文君                 高橋 邦雄君                 鍋島 直紹君                 増田  盛君                 安井  謙君                 若林 正武君                 秋山 長造君                 神沢  浄君                 戸叶  武君                 和田 静夫君                 上林繁次郎君                 藤原 房雄君                 村尾 重雄君    大蔵委員     委員長         土屋 義彦君     理 事         河本嘉久蔵君     理 事         藤田 正明君     理 事         成瀬 幡治君     理 事         多田 省吾君                 青木 一男君                 柴田  栄君                 嶋崎  均君                 高田 浩運君                 玉置 猛夫君                 中西 一郎君                 西田 信一君                 桧垣徳太郎君                 船田  譲君                 山崎 五郎君                 川村 清一君                 竹田 四郎君                 戸田 菊雄君                 西村 関一君                 山崎  昇君                 山田 徹一君                 中村 利次君                 渡辺  武君                 野末 和彦君    農林水産委員     委員長         初村滝一郎君     理 事         梶木 又三君     理 事         高橋雄之助君     理 事         工藤 良平君     理 事         中村 波男君                 亀井 善彰君                 河口 陽一君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 佐藤  隆君                 園田 清充君                 田口長治郎君                 棚辺 四郎君                 温水 三郎君                 平泉  渉君                 堀本 宜実君                 足鹿  覺君                 杉原 一雄君                 辻  一彦君                 村田 秀三君                 吉田忠三郎君                 沢田  実君                 宮崎 正義君                 向井 長年君                 塚田 大願君    運輸委員     委員長         宮崎 正雄君     理 事         黒住 忠行君     理 事         菅野 儀作君     理 事         山崎 竜男君     理 事         小柳  勇君                 岩本 政一君                 江藤  智君                 木村 睦男君                 橘  直治君                 前田佳都男君                 松平 勇雄君                 渡辺一太郎君                 杉山善太郎君                 瀬谷 英行君                 森中 守義君                 阿部 憲一君                 三木 忠雄君                 田渕 哲也君                 山田  勇君    建設委員     委員長         野々山一三君     理 事         大森 久司君     理 事         古賀雷四郎君     理 事         中村 禎二君     理 事         沢田 政治君                 上田  稔君                 小笠 公韶君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 中津井 真君                 山内 一郎君                 米田 正文君                 加瀬  完君                 田中  一君                 中村 英男君                 田代富士男君                 二宮 文造君                 高山 恒雄君                 春日 正一君                 喜屋武眞榮君     ————————————— 出席者は左のとおり。    商工委員会     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 佐田 一郎君                 竹内 藤男君                 大矢  正君                 栗林 卓司君     委 員                 稲嶺 一郎君                 植木 光教君                 寺下 岩蔵君                 林田悠紀夫君                 星野 重次君                 細川 護熙君                 安田 隆明君                 竹田 現照君                 林  虎雄君                 中尾 辰義君                 須藤 五郎君    物価等対策特別委員会     委員長         小笠 公韶君     理 事                 佐藤 一郎君                 棚辺 四郎君                 竹田 四郎君                 田代富士男君                 中沢伊登子君     委 員                 上原 正吉君                 川野辺 静君                 志村 愛子君                 嶋崎  均君                 中村 登美君                 加瀬  完君                 小林  武君                 前川  旦君                 柏原 ヤス君                 沓脱タケ子君    地方行政委員会     委員長         久保田藤麿君     理 事                 原 文兵衛君                 河田 賢治君     委 員                 片山 正英君                 柴立 芳文君                 高橋 邦雄君                 秋山 長造君                 神沢  浄君                 戸叶  武君                 村尾 重雄君    大蔵委員会     委員長         土屋 義彦君     理 事                 河本嘉久蔵君                 藤田 正明君                 多田 省吾君     委 員                 青木 一男君                 柴田  栄君                 高田 浩運君                 玉置 猛夫君                 中西 一郎君                 山崎 五郎君                 川村 清一君                 竹田 四郎君                 戸田 菊雄君                 中村 利次君                 野末 和彦君    農林水産委員会     委員長         初村滝一郎君     理 事                 梶木 又三君                 高橋雄之助君                 工藤 良平君                 中村 波男君     委 員                 河口 陽一君                 小林 国司君                 佐藤  隆君                 田口長治郎君                 平泉  渉君                 杉原 一雄君                 辻  一彦君                 沢田  実君                 宮崎 正義君    運輸委員会     委員長         宮崎 正雄君     理 事                 黒住 忠行君                 菅野 儀作君                 山崎 竜男君     委 員                 木村 睦男君                 前田佳都男君                 瀬谷 英行君                 森中 守義君                 阿部 憲一君                 三木 忠雄君                 山田  勇君    建設委員会     委員長         野々山一三君     理 事                 大森 久司君                 古賀雷四郎君                 中村 禎二君     委 員                 小山邦太郎君                 山内 一郎君                 米田 正文君                 田中  一君                 中村 英男君                 高山 恒雄君                 春日 正一君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        農 林 大 臣  倉石 忠雄君        通商産業大臣   中曽根康弘君        運 輸 大 臣  徳永 正利君        建 設 大 臣  亀岡 高夫君        自 治 大 臣  町村 金五君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)        (環境庁長官事        務代理)     保利  茂君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       内田 常雄君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       森山 欽司君    政府委員        公正取引委員会        委員長      高橋 俊英君        公正取引委員会        事務局長     吉田 文剛君        経済企画政務次        官        竹内 黎一君        経済企画庁調整        局長       青木 慎三君        経済企画庁国民        生活局長     喜多村治雄君        経済企画庁物価        局長       小島 英敏君        科学技術庁原子        力局長      田宮 茂文君        環境庁長官官房        長        信澤  清君        環境庁大気保全        局長       春日  斉君        外務省中近東ア        フリカ局長    田中 秀穂君        外務省経済局長  宮崎 弘道君        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        厚生省社会局長  高木  玄君        厚生省児童家庭        局長       翁 久次郎君        農林大臣官房長  三善 信二君        農林省農蚕園芸        局長       岡安  誠君        農林省畜産局長 大河原太一郎君        農林省食品流通        局長       池田 正範君        食糧庁長官    中野 和仁君        水産庁長官    荒勝  巖君        通商産業政務次        官        楠  正俊君        通商産業審議官  森口 八郎君        通商産業省基礎        産業局長     飯塚 史郎君        通商産業省生活        産業局長     橋本 利一君        資源エネルギー        庁長官      山形 栄治君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岸田 文武君        中小企業庁長官  外山  弘君        運輸大臣官房審        議官       原田昇左右君        運輸省自動車局        長        中村 大造君        運輸省航空局長  寺井 久美君        建設省計画局長  大塩洋一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君        常任委員会専門        員        杉本 金馬君        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君        常任委員会専門        員        菊地  拓君        常任委員会専門        員        池部 幸雄君        常任委員会専門        員        村田 育二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○石油需給適正化法案内閣提出衆議院送付) ○国民生活安定緊急措置法案内閣提出衆議院  送付)     —————————————   〔商工委員長剱木亨弘委員長席に着く〕
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会物価等対策特別委員会地方行政委員会大蔵委員会農林水産委員会運輸委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、商工委員長及び物価等対策特別委員長が交代して連合審査会会議を主宰いたします。  石油需給適正化法案及び国民生活安定緊急措置法案を一括して議題といたします。  両案についての趣旨説明は、お手元に配付してあります資料により御了承願うこととし、これより直ちに質疑に入ります。  この際政府側にお願いいたしますが、質疑者の持ち時間は答弁時間を含めた時間でありますので、簡潔適切な御答弁を賜わりますようお願いしておきます。神沢浄君。
  3. 神沢浄

    神沢浄君 私は、地方行政立場から両法案に対して質問を行なうわけなんですが、その前にちょっとお伺いしておきたいと思いますのは、国民生活安定緊急措置法案については、提案理由説明というのと趣旨説明というのと二様に出ているわけであります。これは当局のほうへ聞いてみましたら、提案理由説明のほうは初め出して、衆議院でこれは委員会説明したものである、趣旨説明のほうは、参議院は本会議での質疑があったから、その際提出したものである、こういうふうに言っておるわけなんですけれども、内容を見ますと、どう違うかというと、最初出したのと、あとから出した趣旨説明では、いわゆる物価高騰等背景説明部分がなくなっているわけです。私はそれを見まして、衆議院提案理由説明したときと参議院の本会議とのわずかの期間の間に、もはや物価高騰背景として外圧だとか、あるいは国内の需要の急速な拡大だとかなどというようなことをもう白々しく言っておれるような情勢では——わずかの期間であるけれども、非常に急激な変化をしておることが、いままで提案理由説明等が二様になされたというようなことはないように承るのですけれども、したがって、そのような例のないようなことをなされた理由になっておるんではないか。総理大臣国会の論議の中でもってインフレという言い方を執拗に避けられる。ところが建設省ではもうすでにインフレ条項を適用しておる。こういうような状態自体がきわめてインフレの急激な推移というものを証明をしておると思いますし、そういう事態自身がいわゆる提案理由説明趣旨説明にかわるようなことの理由になっておるんではないかというふうに私は解釈をするわけなんですが、そこでひとつこれは経企庁の長官にお伺いいたしたいと思いますけれども、閣内の意見が私が触れましたような、いわゆる見解の修正変化というか、そういうようなものがなされての上のことであるかどうか、この点をひとつお伺いをいたしたいと思います。
  4. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 神沢さんからのお尋ねでございますが、本会議における趣旨説明と、また委員会における提案理由説明とは、本会議のほうをこれはなるべく簡単にせよというような御注意も私に対してございましたので、やや簡単にしたというだけでございまして、その間に物価の上昇についての原因の解明とか、あるいはいま仰せられましたインフレについての考え方が変わってきたということでは全くございません。この法律案の第一条にございますように「物価高騰その他」わが国における「異常な事態に対処する」これは法律案でございまして、私の認識ではそれをインフレということばであらわすかどうかは別といたしまして、きょう現在が物価高騰状況は私は異常な状態と判断をいたしておりまして、この法律案第一条の状態がすでにあらわれている。したがいまして、この法律案は最後の条項にございますように、国会で御可決をいただきましたならば、国会法の規定によりましてすみやかにその公布をいたしまして、第一条の状態に対処をいたしてまいると、こういうことに全く変わりはございません。
  5. 神沢浄

    神沢浄君 執拗にインフレという言い方を避けられる内閣のもとで、もういわゆるインフレ条項の適用をしなきゃならぬというようなまことに矛盾きわまる点の論争はしたいところですけれども、時間の関係がありますから、私は、地方行政にかかわる質問を進めてまいりたいと思うんです。  さて、私どもいわゆる地方の住民の立場からいたしますと、これは率直に言って、この法律ができ上がったところでもってはたして不安が解消され得るかどうかというような点に多大な疑問と不信を持っておるのが実態のようであります。たとえば政府は、灯油の価格を三百八十円と指示をいたしました。地方へ参りまして三百八十円でもって灯油を売っておるのは大体農協くらいのものであります。ところが、その農協はもうほとんど品不足でありまして、なかなか円滑な取得ができないわけであります。それでは他の小売りなどにおいてはどうかというと、値段は三百八十円ですよと。しかし、それに運搬費だとか、あるいは容器代だとかいうようなものを加えましておおむね四百五十円くらいのところがいま私の郷里などにおきましてもそういう現状になっておるようであります。  そこで、大体私も驚いたんですが、塩が値上がりをしているわけであります。私は、塩というのはこれは政府が責任を持つ専売のものであるから、まさか塩の小売り値上がりをするなどということがあってはならないというようなことを言ったんですけれども、実際には塩が値上がりをしておると、こういう状況でありますだけに、この法律が成立をしたときにも、ときによれば立ち入り検査等までを行なって国民生活の安定をはかっていかなきゃならぬと思うのですが、一つさだかでありませんのは、この法律の中でもってそれをだれがやるのか。まさか大臣が出かけてやられるわけでもありませんでしょうし、本省の役人が出かけてやられることもこれはできないでしょう。  なぜそういうようなことを心配するかと言いますと、例の買い占め・売り惜しみの法律がもうすでに出ておるのですが、あの実施に対して東京通産局の管内だけでもってわずかに調査官が二名しか置かれていないというような実態のようであります。どうにもならない、そういう実態を見ておるからこそ、地方におきましてはこの法律が出たところでもって、はたしてこれでどうなるだろうというふうな不安と疑問の点をこれは隠しきれません。したがって、これはだれが実際にはやるのかという点をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  6. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) この国民生活安定法の執行をいたしますのは主務大臣、それに私ども総理大臣の補佐役が協力をいたしまして、その法律の適正な執行をいたすわけでございますが、それを監視、監督するのはその主務省の職員ということになっております。しかし、それだけではいま神沢さんがおあげになりましたように、当然監視機能の限界があると考えますので、国の職員もふやしたりあるいはまた配置転換等もいたしまして、極力この仕事に動員はいたしますが、やはり何と言いましてもこの法律を完全に執行いたしてまいりますためには、神沢さんのお話のように、地方公共団体の協力を得る以外にないと考えます。そこで、この法律におきましては主務大臣は当該職員のみならず、主務大臣の権限を地方公共団体の長に委任することができると、こういう規定を置いてございまして、したがって、この法律の執行の、あるいは監視の仕事は全国的規模においてきめなければならないようなものは主務大臣がいたしますけれども、地方的な監視とか、立ち入り検査等までも含めまして公共団体にお願いをいたすと、こういうたてまえをとっております。  またそればかりではなしに、各省とも民間の方々に御依頼をしてモニター制度というようなものをとっておりますが、そういう制度も充実をいたしまして、これは当該職員の権限を執行するということにはまいりませんけれども、一般的な標準価格の公示の監視とか、あるいは違反についての情報とかというようなことにつきましては、そういう方々の御協力もさらに得てまいると、かようにいたしております。  さらに、神沢さん御指摘になりました買い占め防止法における価格調査官というのは、これはもうこの法律ができまして以来二百数十名にわずかの該当職員をふやしまして、現在でも三百六人しかおりません。これではどうにもならない。これではどうにもなりませんので、今度この国民生活安定緊急措置法のほうで買い占め防止法のほうの条項も改正をいたしまして、やはり価格調査官の職務は地方公共団体の長に委任をすることができると、こういうことにいたしまして、これらの買い占め・売り惜しみの防止に対する監視業務も地方公共団体の職員の御協力のもとに、いままでとは違った姿で遺憾なきをぜひ期したいと考えております。
  7. 神沢浄

    神沢浄君 その点を私お伺いをしたいと思っていた点なんですが、法文の中でもって、地方公共団体に権限の委任が規定をされるようであります。そこで、私もつい先ごろ帰りましたときに、関心がありますから、私の県の状況などを聞いてみますと、国よりかむしろ地方のほうが、目の前に問題を控えておりますから真剣でありまして、もし法律がきまって流れてきた場合にはどうということまで準備的に考えておって、新しい課くらいは設置をしなければならぬのじゃないかというようなことをもうすでにやっておるようであります。ところが、そのいわゆる権限の委任の内容、細目の問題ですけれども、いまだに何か法律がまだきまってないのだからということも言われるのかもしれませんが、国会の論議などの上においてもどうもまだ十分に明らかでない、こういうようなことが指摘をされております。そこでひとつ、できましたらこれは経企、通産両大臣から、国としては地方への権限委任の内容というのは大体こういうふうに考えておるというような点について明らかにひとつお聞きをしておきたいと、私はこう思うわけなんです。
  8. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) まことにごもっとものお尋ねと思います。これはしかし、神沢さんに御理解をいただきたいことは、私のほうの国民生活安定緊急措置法のほうは、これが可決されましても、全条文また全条文に基づく措置が同時に発動するという仕組みになっておりません。状況によりまして、まず一番最初は、物資を指定して標準価格をつくるというようなことで、物価が際限なしに上がるような状態を一応とにかくとめる、それを公示をさせたり、また監視をさしたりというところから進めまして、事態によってはそれは特定標準価格というようなものをつくりまして、課徴金を取るというような事態が生ずるかもしれない。そういうことは私どもは期待をいたしておりませんが、しかし価格を押えるということは、同時に物の流れがうまくいきませんと価格だけではどうにもなりませんので、物が足りない場合には生産の指示とか、出荷の指示とか、輸送の指示とかというようなものを動かすような条項もございますし、あるいはこれはやりたくはございませんが、どうしてもやむを得ない場合には、それは配給とか、割り当てとかいうような仕事も出てくるかもしれません。しかし、それは一ぺんに発動するわけではございませんので、したがって、すべての条項を全部発動する、最後には物統令によるマル公制度の援用までもできる仕組みになっておりますが、そういうことはなるべくしたくないということでございますから、初めから全条項に基づく権限が発動されるとして地方公共団体にそれらの職務の分担をお願いしておく必要もない面がございます。しかし、標準価格に基づく制度は、これはもう最初からできるだけやるべきものはやろうと思いますので、まずそういう点を出発させることとして、自治大臣また大蔵省ともお打ち合わせをいたしまして、地方のそういう新しい仕事に対する財政的な要望もあれば、そういう面にも十分対応をぜひしていただきたいということを自治大臣、大蔵大臣のほうにも申し入れてあると、こういうわけでございます。
  9. 神沢浄

    神沢浄君 依然としてあまり明確ではないようでありますけれども、私はさっきも申し上げたように、地方のほうがずっと真剣に取り組んでおるような実態でもありますから、やはりこの権限の委任の考え方の内容というようなものは、大体、地方との間に早くこれは意思疎通がはからることが必要だろうというふうに考えているからであります。  そこで、権限委任の考え方も明らかにされておるわけですから、そうなりますと、当然これは地方の公共団体では人も必要になりますし、金も必要になりますしすると思うわけであります。そういうふうな点につきましては、どんなふうに考えておられるか、まさか地方に背負わせるようなことでもないと思われますが、委託費的な措置あるいは地財計画の中でもって交付税等の扱いなどを通じて考えていくのか、これはやっぱりそういうふうな点も国側の考え方というものが明らかに示さるべき問題だと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。これはひとつ自治大臣も含めてお尋ねをしておきたいと思うんです。
  10. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) この二法案の権限が地方団体に委任をされるというような場合におきましては、委任に伴う必要な経費につきましては、地方公共団体の負担になりませんように国において全額措置をしていくべきものと、かように考えており、そういった点では大蔵当局とも十分話し合いをつけておるところでございます。
  11. 神沢浄

    神沢浄君 いまの点ですけれども、できたらどんな形を考えておられるのか、そういうことも含めて御説明がいただければたいへんありがたいです。この点については、ひとつ大蔵の関係の方がおいでになっておりましたら御答弁を聞かしていただきたいと思うんですが。
  12. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) お答えいたします。  地方団体の固有事務のうちに消費者保護に関する件というのが、地方自治法の二条の三項にあることは御承知のとおりであります。したがいまして、地方団体ではかねてから消費者保護の組織、陣容、機構を持ってやっておるのでございますが、今回の二法案の権限が委任されました場合に、この組織でやれない範囲の事業量あるいは事務量あるいはその範囲でありますならば、過重負担にならないように予算の要求をしていただきまして、大蔵省におきましてはこの予算措置をする用意をいたしております。しかしながら、その範囲がいわゆる国の委任事務になるのか、あるいは固有の事務の拡大になるのかということがまだ政令の範囲がきまっておりませんので、いまはっきりとここでその費目を申し上げることは困難でございますけれども、いずれにしても地方団体の負担にならないように善処するということを御答弁申し上げておきます。
  13. 神沢浄

    神沢浄君 地方団体の負担にはしないという点をお聞きし得たわけでございますが、そこで話をちょっと戻すわけですけれども、地方の公共団体へ委任をする場合に、たとえばこの法文にあります売り渡し、輸送、保管の指示であるとか、あるいは投資抑制の指示であるとか、帳簿の記載あるいは報告徴収、立ち入り検査、言うなればGメン的職分みたいなもんだと思うのですが、大体こういうようなものが公共団体に委任されていくことになるでしょうか。
  14. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 状況によってそういうことになると思いますが、当初は先ほども述べましたように、標準価格順守についての監視業務あるいはそれに関連する立ち入り検査というようなことが多かろうと思います。  なお、自治大臣から経費のことについてもお答えございましたが、これはどういう形になるかはまだ決着をいたしておりませんが、私の考えというか、私どもの要求といたしましては、たとえば交付税の中で対処しようというようなことにしないではっきりと委託費——仕事をとにかく委任するわけでありますから、それに伴う委託費というような形、あるいは補助金というような形で大蔵省から自治省を通じて経費を出してもらうように、そういう筋で要望をいたし、考えておりますこともあわせて申し上げておきます。
  15. 神沢浄

    神沢浄君 時間がたいへん窮屈ですから先へ進みたいと思いますけれども、きょうの新聞でも、昨日の参議院商工委員会の中での当面する情勢に対応しての中小企業への対策の考え方が報道されておりますが、現に地方におきましては、ことに歳末にかかっておりますので、この経済情勢のもとでもって放置できないような事態というものがかなり出てきておるようであります。私は山梨ですが、山梨のあの小さな県などの場合におきましても、金融などに対する対策上の措置などを中心にして、県自体でもって約十億円に近いようなものを年末の県会でもってきめておるようであります。これはしかし目前の問題ですから、もう地方団体としては当然緊急な措置をやっていかなきゃならぬと思うんですが、私は、やっぱり本来は国が責任を持ってやるべき性格のことであり、したがって、地方の団体の措置はいま目の前ではありましても、これはもうもとより国がその始末をつけていってやらなきゃならぬ問題だと、こう思うんですが、そういうような点について、国ではどのように考えておられるのか、通産大臣の御意見を聞かしていただきたいと思います。
  16. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) お示しのとおりであると思います。ドル・ショックのときと比べまして中小企業の苦難は質的にもさらに深刻なものがあるように思います。金の問題のみならず資材の手当てができない、そういうような問題が深刻に出てくる危険性がございます。それで、金の面につきましては、この年末にかけまして政府関係機関で約三千四百億円の特別のワクをつくりましたが、こういう情勢にかんがみまして、短期的な資金を二、三百億円追加しようと思っております。それから物の面につきましては、とりあえず十七日から各県の石商連の中にあっせん所をつくりまして、県及び市等と連絡をし、通産局指導のもとにやっておりますが、十七、十八、十九の三日間の実績を見ますと、東京通産局管内で約千九百四件のあっせん行為をやっております。大部分は農林関係のビニールハウスやその他、あとはおふろ屋さんというようなものがありまして、わりあいに順調に推移しておるようであります。こういうようなもののあっせんにつきまして、将来ほかのものも出てくるかもしれませんが、通産省としては遺憾なきを期してやっていくつもりでございます。
  17. 神沢浄

    神沢浄君 私は、この際関連をして、政府の行政上の姿勢に関してちょっとお伺いをしておきたいと思うんですが、これは自治大臣にまずお伺いをいたしますけど、たしか十一月の末でありますが、地方債の関連事業の繰り延べの指示を財政局長名でもってなさっているわけであります。内容的には未契約のものはそのままこの段階において差しとめるべき内容をもって指示されておるわけなんですが、それとあわせて今度は財政課長名をもちましてそれらの措置から除外をするものの内容を持った通達がされておるわけであります。これによりますと、これは時間がありませんから内容的に私は全部にわたって触れられませんので、特徴的な面だけについて触れたいと思いますが、いわゆる繰り延べのための報告を必要としない事業というものの中に、消防施設、公害対策、これはわれわれが十分理解ができるものが列挙をされておりますが、その中に基地対策事業というのが入っております。  そういたしますと、御承知のとおり、私の出身県は北富士という演習場を持っているわけでありますが、目下あの北富士の演習場につきましては、いわゆる基地周辺の整備事業というのがいま計画をされているところであります。財政局長名をもっていわゆる未契約のものにつきましてはこの段階において押える。もしそれをやろうと思っても、これは地方債が許さないと、こうなっておりますものの中に、厚生福祉施設整備事業というものも入っておりまして、これは厚生福祉関係などというものは、地方におきましては非常にいま緊急を要するものなんですけれども、それもこの当面の対策上入っておりまして、その中には会館、体育館その他これに類する施設というふうにはなっているわけであります。ところが、除外される分の基地対策事業というものの中に、いま私の県などにおきまして計画をされておりますものは、これは防衛施設広報の発表しておるところでありますが、コミュニティー共用施設が二カ所、それから学習等共用施設が六カ所というふうに、これはまあすべてみなコミュニティセンターなどと同様な会館的建物なんです。これは全くほとんど実質的には変わらないものだけなんです。あの小さな県のあの行政の分野の上においてですね、一方、地方の住民が期待をしております厚生福祉の施設についてはこれをストップ。ところが基地関係のその事業については、同じものが全然制限なしに除外をされていくという、これは私は大きな矛盾だと思うわけでありまして、言うなれば、このようなきわめて緊迫した事態に際しましても、基地関係については除外をされるということは、これは軍需優先かということにもならざるを得ないようにも思います。まあ、たいへん不合理きわまる通達が同時になされておると、こう思うのですが、これは政府の行政上の施政の問題として私は重大だと思いますので、この際お伺いしておきたいと思うのですが。
  18. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) ただいまお尋ねになりました件でありますが、確かに昨今のこの公共事業抑制等の精神に従いまして、会館的なものは現在まだ未契約のものにつきましてはこれを繰り延べてもらうという指導をいたしておることは、ただいま御指摘のとおりでございます。  ただいまお尋ねになりました基地周辺整備事業の中で、同じような会館的なものがこれは繰り延べの対象になっていないというのはたいへんおかしいと、こういう御指摘であったのでございますが、御承知のように現在基地が存在をするということによりまして、地域の住民はかなり多くの障害を受けておる。こういうものを緩和することは当面必要だという判断に立ちまして、こういったものではございますけれども、この際繰り延べの対象にしなかったという方針を政府はとったわけでございます。
  19. 神沢浄

    神沢浄君 ぼくはね、その点で何としても納得ができません。基地関係の事業といえども未契約なんです、まだ。ほとんどが未契約なんです。ところが、その一方におきましては厚生福祉関係、これはもう繰り返し述べておるように、地方の住民などが大きく期待をしている事業なんです。そういうようなものは押えられて、同じ未契約の状態にありながら基地関係だけはおかまいなしというこの御政道はちょっと私は通らないと、こう思うわけなんです。  大体、身近にどうしても例を引かせていただきますが、いま私のすぐ近くに甲府市があります。甲府市におきましては、現在市立病院の増築を進めておるわけなんですが、これがストップになります。これはもう大ぜいめ市民たちが大きな期待をかけておるところでありますが、これもやむを得ません、通達によってこれはストップになるわけであります。ところが、あの岳ろくのごく一部の事業だけがおかまいなしというんでしたら、これはもう政治の理念の上からいっても、通らぬ問題じゃないかと思うんですが、私はこのようなことが行なわれるということになりますと、これはおそらく国民はとてもそんなやり方を信頼することはできなくなるだろうと思うんです。離れておってわからないような個所なら、これはごまかしもきくかもしれませんが、小さな県の中の同じ行政の分野で、一方においては、もう住民期待の厚生福祉関係、病院などを含めてまでのものもストップをしてがまんをしなければならぬというときに、演習場に関する、基地関係に関するものだけはおかまいなしであるということが、こんなことが許されていいでしょうか。  大体、自治省が出されました通達は、まさか自治省独自でもって御決定になったわけでもないでしょうから、これは私は内閣の意思だろうと、こういうふうに受け取っておるんですが、どのような決定に基づいてお出しになっておるのか。同時に、いま私が指摘をしてまいっておりますような、そういうような矛盾、不合理に満ちたものをこのままにしておかれるつもりなのかどうなのか、ちょっとお伺いをいたしたいところであります。
  20. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) ただいま、このたび起債繰り延べ等の措置をした中に、厚生福祉関連施設、特に御指摘になりました甲府市の病院の現在工事継続中のものまでやめさせておりながら、一方において基地周辺の集会場などはやらせるということはたいへん矛盾に満ちた対策じゃないか、こういう御指摘のように伺ったのでございますが、私の承知しておる範囲におきましては、このたびの繰り延べ措置になっておりまする厚生福祉関連事業というのは、そういった病院などにつきましてはこれを繰り延べさせる考えは全くないのでございまして、それに関連をいたしまする駐車場のごときもので、しばらくなくてもしんぼうのできるものだけはこれを繰り延べの対象にしようということに相なっておるのでありまして、厚生福祉、病院関係施設のごときものは、現に継続中のものにつきましては当然これを遂行させる、こういう考えでございますので、その点は御了承をいただきたいと思うのでございます。
  21. 神沢浄

    神沢浄君 どうも、私が申し上げている点を局部的に取り上げておられるようでありますが、病院の問題だけじゃありません。学校もみんなとまるんです。あるいは農業用の施設などにつきましても、やっぱりこれはストップさせられているわけであります。そういうような一方の状態に対して基地関係だけはおかまいなしということでもっていいものなのかどうなのか、そういう政府の行政上の姿勢でもって許されるのかどうなのか。なお今後もそれでもって押し通されようとするのか。この点を私はここでもってはっきりお伺いしておかなければならぬと思うのですよ。一方におきましては福祉元年なんて言っておるじゃありませんか。しかし、最近の新聞は福祉の示すへんのほうを取りまして、福がとまるほうの福止元年などと言っておるようでありますが、しかし福祉元年の出発だというようなことを言っておる際のその厚生福祉関係というようなものを、これを押えて、基地関係だけがおかまいなしというこの姿勢というものは、私は許されてはならないと考えるからであります。くどいようでありますけれども、その点をもう一度、まだこのまま押し通されてやるのかどうなのか、それをお尋ねしておきたいと思うのであります。
  22. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) いま部分的なことを取り上げてということでございましたが、いまお話のございましたような公立文教施設等について、この事業を繰り延べさせるというようなことは全く考えておりません。  ただ御承知のように、最近、非常に諸物価値上がりというようなことが工事の継続に多少ネックになっておるというようなところはあるいは起きておるのではないかと、こう考えるのでございまして、これらにつきましてはできるだけ実現のできるように、自治省としても協力をするという態度をとっておることは申し上げるまでもございません。ただいま御指摘のございました基地周辺整備事業につきましては、先ほどもお答えを申し上げましたとおり、今日この周辺の方々が基地の存在によって非常な迷惑をしておられる、やっぱりそういうものを緩和するための措置を講ずるというのは当然であろう、こういう考えのもとにこういった方針を決定をするに至った、さように御承知をいただきたいのでございます。
  23. 神沢浄

    神沢浄君 時間が来たようでありますから終わりますが、いまの御答弁では私はとうてい納得し得ないのでありまして、いずれ、また機会を求めて、この問題については論議を重ねたいというふうに考えているわけであります。学校であろうとも、病院であろうとも、それらの問題だけでなしに、もっとあの地方におきましては、たとえばとまった道路そのものでありましても、私の知っておる事例などの中でも、せっかく産業関係の団地などをつくった、道をつくらなきゃどうにもその団地は生きないというようなものであってもとめられることになるわけなんです。あの岳ろくのほとんどごくわずかな住民が、それは迷惑をするとか何とか言われますけれども、限られたものなんですよ。それが基地対策事業であるから、演習場の関係の事業であるからおかまいなしにのさばってまかり通る。一方において、住民がほんとうに待望しておるものが、かかる事態であるからこそ、押えられる。私はそのいわゆる矛盾、不合理に満ちた政府の行政のその姿勢というものを告発したい気持ちでもってあるわけでありまして、時間の関係上これで終わります。終わりますが、問題を、さらにひとつに機会等を求めて論議を続けたいと、こう考えます。どうも……。
  24. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 初村君。
  25. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 私は、自由民主党に割り当てられました十五分の時間をもって質問を終了し、付託された議案の審議促進に協力するものであります。よって、関係大臣は簡明なる御答弁をお願いしたいと思います。  政府は、さきに、去る十一月十六日、わが国経済の混乱防止と国民生活への影響を最小限度にとどめるために、石油緊急対策要綱を閣議決定され、その中で、特に一般家庭用をはじめ、農林漁業用、鉄道、病院等の石油等についてはその適正な必要量の確保につとめることをきめているのであります。その後石油関係二法が近く成立する運びになっているが、これらの法律の実施を通して、先の閣議決定の趣旨を具体的にどのように実行し、確保してまいる考えであるか、通商産業大臣並びに経済企画庁長官の決意のほどをお伺いしたいと思います。
  26. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 十一月十六日の緊急対策要綱で、特に農林漁業というものが重要な優先配給の方面として指定され、また、今回の二法案におきましても同じように特に明示されておるわけでございまして、通商産業省としてもこの線に沿いまして鋭意努力しておるところでございます。とりあえず、先般来ビニールハウスやあるいは場所によっては漁業用の軽油、あるいはコンニャクやノリの乾燥用の重油、いろんなそういう問題が起こりまして、農林省とも相談をし、農林政務次官と通商産業政務次官との間で覚え書きをつくりまして、農林省より原案を出してもらいまして、各項目項目についてチェックし、そのチェックした結果を石油連盟の中の、今度は農林漁業部会というのができまして、その農林漁業部会と三者で話し合いまして、確実にそちらのほうに融通するような手当てをしております。大体の油につきましてはその話し合いが成立いたしましたが、一部の希少の油についてはまだ妥結していないところもございます。これもしかし近日中に妥結いたしまして、一月もその方向に沿って同じようにやっていくようにつとめたいと思います。
  27. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 十一月十六日に、初村さんから仰せられましたような石油緊急対策要綱というものが閣議決定をされたわけであります。これはあなたもよく御承知のように、そのとき私はまだ入閣をしておらなくて、一自民党員としてあなたとともにこのことを党内におって主張した一人でございますので、たまたま私が入閣することになりましてから、このことにつきましては、ぜひそうしたいという努力を中曽根通産大臣と続けてまいりまして、現にごらんくださいますように、この石油につきましても石油需給適正化法案の第九条あるいは第十条というところをお読みいただければわかりますように、そのためにはいま通産大臣が言われましたとおりのことをこの法文の中にも入れまして、遺憾なきように期すると、こういう姿勢をもって臨んでおることを御承知いただきたいと存じます。
  28. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 それでは、農林漁業及び中小企業用の石油確保について御質問をいたしますが、時間の関係がございますので、きょうは答弁を要りません。よって、私が片一方的な質問をいたしますが、後刻親切なる詳しい回答を文書でお示し願いたいと思います。  まず、農林漁業用石油の確保についてお尋ねをいたします。  昭和四十八年度における農林水産関係の石油製品の需要見込みは、農林省の試算によれば、農林業用五百三十九万キロリッター、水産用が五百八十六万キロリッター、合計千百二十五万キロリッターであります。需要量の総額一億九千九百九十二万キロリッターのわずかに五・六%でございます。農林水産関連企業用を加えた需要見込みにおいても、千六百九十六万キロリッターで、総需要量の八・五%にすぎません。しかし、農林漁業が国民生活に不可欠な生鮮食料品の生産を行なっているために、石油の供給が円滑を欠いた場合に直ちに国民生活を脅かす結果を生むことになろうと思います。石油危機が対策いかんによっては、食糧危機を招来することが懸念されると思うが、次の諸点について回答をお願いいたします。  まず第一に、十一月十六日の閣議決定では、農林漁業用は必要量を確保することになっているが、現実には石油の元売りから大幅カットを受けている一例があります。その一例をあげてみますと、以西底びき網漁船に燃油を供給している長崎県の一石油小売り業者は、十二月分としてメーカーから予定量の五〇%以上減という驚くべき削減率の割り当てを受けた。このためにここから購入していた漁業者は、やむを得ず夜間操業を自粛するという結果になっております。これは水揚げ高の減少と漁業経営への打撃となって結果してあらわれるでありましょう。ひいては漁獲物の価格騰貴につながっていくかもわかりません。閣議決定を実現し得ないのはどのような理由によるのか了解に苦しみます。今後の必要量確保のための対策はどうか。  また、価格安定対策はどういうふうな考え方をいたしておるのか。たとえば現在漁業用はその大部分がA重油であります。現にA重油のキロリッター当たり価格は二万円以上に高騰しております。漁業経営に及ぼす悪影響が憂慮されるところであります。去る十九日の日本経済新聞によると、国民生活安定緊急措置法案の成立を待って、通産省はとりあえず、灯油、LPG、A重油、軽油、トイレットペーパーの五品目について、標準価格を設定する方針を固めているようでありまするが、A重油等の価格安定対策はどういうふうな考え方をするのか。  二番目に、石油の量不足と価格騰貴によって農林漁業経営の悪化が予想されるが、その対策として長期低利融資制度を考える必要があると思うがどうか。また、既存の融資制度の拡充、既借り入れ金の償還猶予等の措置をとるべきと思うが、どうか。  三番目に、全農、全漁連、日鰹連等、農・漁協系統石油販売業者の現物確保のためにどのような指導・助成を行なうつもりなのか。  また、削減率の高い系統外の農林漁業用石油供給業者に対しては、どのような対策を講じるのか。  四番目に、ビニール、ナイロン、ポリエチレン等の農林漁業用の諸資材の確保と価格安定策はどうなのか。  五番目に、漁協系統では石油の需給逼迫の長期化に備えて備蓄用のタンクを新あるいは増設しようとしているが、政府は、これに対して長期低利融資あるいはまた国庫補助等の措置をとる考えはないかどうか。  六番目に、ビニールハウスの加温用重油、ノリの乾燥用重油の確保対策は先ほど説明を聞きましたが、これを格段の確保をしてもらいたいと思います。  また、海外に出漁している遠洋漁船の中には外国の給油カット、あるいは給油拒否によって漂流するものすら出始めておりまするが、これが対策は緊急を要すると思いまするが、政府の考えはどうか。  次に、中小企業用石油の確保等についてお尋ねをいたします。  最近の石油危機及びこれに関連する諸物資の需給逼迫、価格上昇等により、中小企業経営は深刻な影響を受けるに至っております。そこで以下の点について回答をお願いしたい。  まず、早急に石油の需給見通しを公表し、中小企業が需給に見合った計画的、安定的な経営が行なえるようにすべきだと思うが、どうか。  二番目に、石油、電力の一律カットを競争力の弱い中小企業については緩和する必要がありはしないか。  三番目に、需給逼迫と価格上昇の著しいセメント、鋼材等の物資を中小企業向けに確保するための具体的対策はどうか。  四番目に、大手メーカーの値上げについて監視体制を強化し、末端にも納得のいく価格設定をさせるべきではないか。  現状に対処するために長期低利融資制度の創設、既借り入れ金の償還猶予措置をとってはどうか。特に、県単の特別融資については、日銀融資規制のワク外とすべきではないかと思います。  以上の諸点について、大蔵、通産、農林、企画、それぞれの関係大臣は、文書をもって詳しく御回答を本年内にお願いをいたします。  最後に私は、衆議院において修正議決されまして本院に送付されておりまする石油需給適正化法案の四ページ第三条「この法律に規定する措置を講ずるに当たっては、一般消費者、中小企業者及び農林漁業者並びに公益事業、通信事業」云々とありまするが、公益事業の中に通信事業が私は入ると解釈をしますが、なぜことさらに通信事業という項目を設けたのか、これをお聞きしたいと思います。
  29. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま御質問の諸点につきましては、各省庁とも連絡いたしまして、文書をもって誠実にお答えいたしたいと思います。  なお、最後の点で、公益事業の中に通信事業は入るのではないかというお示しでございますが、そのとおりでございます。ただ、公益事業というと非常に概念が広くなりまして、たとえば離島との航路の問題とか、そういう問題も全部入るとわれわれは考えております。通信事業はその中でも特に重要な問題でもございますので、衆議院におきまして特に例示としてあげたのであろうと思います。
  30. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 それでは、この交通事業は公益事業の中に私は入ると思う。たとえば、電気、ガス、水道、こういうものと一緒に扱っていいと思うんだが、特にこの交通事業は、この公益事業の中に入るか入らないか、入るなら入ると、簡単に御答弁をお願いしたい。
  31. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 入ります。
  32. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 ありがとうございました。  以上をもって私の質問を終わります。
  33. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 戸田君。
  34. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 主として経済企画庁長官を中心に質問してまいりたいと思いますが、国民生活安定緊急措置法案の内容について、大綱五点、質問してまいりたいと思います。  その第一点は、いま国民が一番望んでおるのは、私は、物価を引き下げろと、こういうことではないかと思うんです。この法案で一体経企長官物価を引き下げ得る自信ありますか。これをまず冒頭に質問しておきます。
  35. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 率直にお答えを申し上げますと、この法律案のねらい、また法律案を離れましても、私どもが考えることは、これ以上物価が激しい上がり方をしないように何とか食いとめるということを第一の眼目といたしておるものでございます。現在、物によりましては物価が日々上がるような状態がございまして、国民の多くはそれの引き下げを期待をいたしておりますので、その場合におきましても私どもは、引き下げるということと実体的には同じになるかもしれませんが、標準価格などをつくります際には、先取り値上げや便乗値上げのようなものが今日行なわれておりましても、それは取り入れないで、あるべきほんとうの標準的な価格というものをつくる、こういうことをいたしますので、見方によりましては、そういう意味では引き下げになろうかと考えます。
  36. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 経企長官、簡単に質問してまいりますから、簡単にひとつ結論だけ回答してください。でないと、長官非常に長いですからね。  いま長官がおっしゃられましたように、この法律の第一条、目的ですね、この目的にはそういった物価を引き下げるという意欲的なものは何も出てこない、一貫して調整ですよ、いっていることは。これではたして私は、この法案をもってしては、いまかりに百歩譲って長官の言われたように物価食いとめができるかどうか、これはどうですか、その点もう一度簡単に、できるのかできないのか。
  37. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) ぜひ所期の効果をあげたいと考えております。
  38. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 私は、これはもうこの法案では物価引き下げはできないと思う。それはなぜかというと、一つは、いま一番国民が望む物価引き下げが最重点で本法案というものはほんとうはつくり上げられなければいけないと思うんですが、そういうことはいっていないんです。つまり命令権限が全然出てこない。なぜ一体こういう、この目的でもいっているように異常な事態、すなわちパニック状態でしょう、経済の大恐慌ですよ。こういう事態に対処するのに、そういう命令権というもので押さえていかなければ、私はとても現下の異常な物価高騰に対応できないと思う。こういう命令権が全然出てこない。  それからもう一つは、不当な値上げあるいは物不足、カルテル行為、こういった各般に対するきめのこまかい物価抑制策というものが出てきていないわけですね、どういうわけか。こういうものに一体どう対処していくのか、その点の対処策についてひとつ。
  39. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私どもは命令権を持つべきではないと考えます。しかし、最後にどうにもならないときは物統令にわたっていくことになりまして、物統令のマル公というものをきめますことが万一ありとすれば、それは命令権になるかと思います。また、共同行為等による価格の引き上げにつきましては、これは独占禁止法をもって公取が対処をいたすべきものであり、また、私は公取の活動を期待いたしております。
  40. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 たとえば異常な物価上昇あるいはカルテル行為、いろいろな不正行為があって、それに対して公取委がいろいろな調査をやりますね。しかし、いまの公取委の権限というのは、これまた単なる調整に終わっておるんですね。ですからこういう面での強化策も必要だと思うのだけれども、その点についても全然触れられておらない、これはどういうふうに考えておられますか。
  41. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私は公取の権限が弱いものとは思いません。公取は共同行為等を取りやめさせる、取りやめない場合は告発までする権限を持っておることは御承知のとおりでございます。ただ、問題になっておりますのは、公取が共同行為をやめさせた場合に、それによって生じた価格の引き下げ指示を公取はできないということが、今日の独禁法の解釈になっておるそうでございまして、この点は独禁法の中でこれにいかに対処すべきかということを公取が中心になって検討いたしておりますことは御承知のとおりでございます。
  42. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 独禁法の問題が出てきましたからちょっとここで質問しておきたいと思いますが、いわゆる私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、すなわち独禁法、これは昭和二十八年に改正されましたね。そのときにむしろ私たちは改悪だと思うんですね、再販価格維持制度というものをつくられて、そうして国民に密着した化粧品やあるいは歯みがき、こういった生活関連物資五千五百種ですよ、これが再販維持価格制度として制定をされた。これはむしろ独禁法を弱めた。国民生活を——一方において物価を引き上げる、そういう役割りを果たしているんじゃないですか。こういうものを一方においては規制をして強めていく、こういうことが必要だと思うんですが、その点はどうですか。
  43. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これは公取の委員長事務局長からお答えすべきことかとも思いますが、いま戸田さんが言われましたようなことを、これは公取が当然職務として研究をされることが私はよいことだと思います。
  44. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 公取委員長が適当な方かもしれませんけれども、一応政府の考えとして私、聞いているのでね、そういう面で、この面の強化策をやっていく必要があろうというふうに私は考えておるんですけれども、それはやはり十分今後、これは本題の質問じゃありませんから、別な質問にまいりまするけれども、ぜひひとつ強化策をはかっていただきたい、私はこういうふうに考えます。  それで問題は、この安定法の中で、一つは、この標準価格を制定する、それでだめなら特定価格に持っていく、それでだめなら物統令に持っていく、こういう段階を経るようになっていますね。しかし、私は、標準価格の決定でも、特定価格の決定でも、帰するところ、業界寄りの値段できめられていくんじゃないかと思うんですよ。そういうものに対する何かチェックするいわゆる強制力というか、あるいは政府法律上から出てくる何かの対応措置がありますか、あったらひとつ答えてください。
  45. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) それは主務大臣並びに、またその間の調整をいたします私の姿勢の問題が第一でございますし、第二には、そういう共同行為によって価格を形成するという行為、それを政府にのまそうというような動きがありますならば、それは公取自体の決意の問題だと思いますが、私は少なくとも、公取が指摘する指摘しないにかかわらず、業界が共同行為をもって一つの価格づくりをして、それを私どもにのませようといたしましても、それをのむつもりは全くございません。洗い直して、納得のいく合理的な価格を、それを標準価格として、あるいはまた特定標準価一格としてきめてまいりたいと考えております。
  46. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それは長官、幾ら詭弁を弄してもだめなんです。これはいつかのNHKのテレビでもって中曽根通産大臣が出まして、いまの灯油の値上げについて——あるいは「こんにちは奥さん」か何かの番組だったと思う。灯油の引き上げがひどい、こういう話で、いや、それは三百八十円で押えますよと、こういう約束をしたのです。ところが、その次に今度配達料が出てきて、そしてこれが四百三十円になったとか。あるいはLPガスは八百円で押えますと一これは十キロボンベですね。それで押えますと、こう言った。しかし、それがそのあと千二百円、千三百円になっている。こういう状態なんですよ。それで、いま政府はそういうものにこの標準価格というのを並べていっているんじゃないですか。結局は業界で言ったとおりの値段になっちまう、つり上げられていく。こういうのが標準価格決定の実態じゃないかと思う。これでは物価抑制にならぬじゃないですか。だから価格決定の前提がないんですね、この法律には。そういう点はどうお考えになるんですか。
  47. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) とにかく物価を押え込む、安定させるということがこの法律の目的ですが、その手段といたしましては、これは三条とか七条辺に標準価格等のつくり方が書いてございますが、私は、繰り返して申しますように、業界に操作される高値安定ということをやる考えは全くございません。ですが、これは話しが長くなるとまたしかられますからやめますが、価格というものは決して一物一価ではございません。その流通系路により、また品目により違いますので、どの辺を標準価格とするかというところに問題があろうと思います。LPガスの千三百円にいたしましても、千三百円一本ということではないはずで、それより安く売っておったものは、それより安く売るような行政指導を通産大臣がおやりになっておりまするし、また北海道等におきましては、千三百円ではなしに、千五百円もやむを得ないというような指示も、上下両横の指示もあるわけでございまして、その辺は心得ておりながら、物価が、とにかく業界にあやつられて、上のほうで安定をするというようなことのためにこの法律が動くことがないようにぜひいたしたいと考えるものでございます。
  48. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それは全くざる法なんですがね。これは通産大臣にもあとで質問してまいりたいと思うのですが、長官、いま買い占めはどうして起きると思うのですか。結局、買い占めすることによって消費者が得をするからでしょう、端的に言えば。だから買うんですよ。これが損をするようなかっこうで、あしたから値下げをしますよといったら、これは消費者は買い占めしないでしょう。そういう心理状況にいま消費者は追い込まれておる、国民は。だから私は、いまのこのパニック状況、ことに生活関連物資についてそういう状況を排除していくためには、物の所在をはっきりさせること、政府が。たとえば石油にすれば、私、仙台ですけれども、仙台にいまどのくらい流通で品物を送っていますよ、石油は、仙台の在庫はこのくらいありますよ、したがって、通産大臣が言われるように、結果的に心配なさるなということをはっきりする。そこをはっきりしないから、国民はちょっとした情報でダアッと買い占めにいったりなんかするわけなんですよ。これを一体はっきりしなければ、私は国民の安定、生活の安定というものはできないと思うのですがね。その辺の考えはどういうふうに考えておりますか。これは流通内容における品物の所在や在庫を明確にして政府は公表する、責任ある情報で。そういうことが必要じゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  49. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私も同感でございます。これまで私のほうも、また物資担当の各省も、ある程度物資流通情報のようなものをいろいろの手段で流しておるようでございますが、まだまだ不十分でございますので、いま戸田さんのおっしゃるようなことは、いろいろの手を尽くしてでき得る限り各省にもやっていただきたいと思いますし、私どももつとめたいと思います。
  50. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは政府として責任を持ってやりますか。
  51. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) やりたいと思います。いまやっていることも、いま申しげげたいのですが、これまた長々となりますから、あるいは文書をもって、こういうこと、こういうことでやっている、これ以上また研究してやるというようなことをお答え申し上げたいと思います。
  52. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それはぜひやっていただきたいと思います。  そういう角度からこの法律を見ますと、課徴金制度なんというのは私は意味をなさないと思うのですよ。たとえば一定の標準価格で品物を売りさばく場合、それが不当な価格でもって売りさばいた、不当利益を徴収した、そういう業者がいる。たとえば私がいまオイルスタンドに行ったとする。一日一人当たり二十リットルくらいの配給制度みたいになっている。それを譲り受けたい。そのときに、私が一リットル当たり八十円で買うものを百円で買って、その業者に二十円マージンを多くやったと。これを不当だからといって私が申告をしたら、私は石油を受けられないのですね、買えない。業者は売らないでしょう、おそらく。  そういうものを一つ一つチェックしてきて、どういう体制で一体この課徴金制度というものを運用されていくのですか。できっこないじゃないですか、現実からいって。これはどう一体考えるのですか。
  53. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これは国民の皆さま方に物価を安定させるための手段でございますから、監視制度とか、あるいはモニター制度とかいうものもできるだけ活用して、そうしてせっかく国がその特定標準価格をきめましたならば、それ以上高く売ったものについては、それは課徴金を取るというようなことをぜひ徹底させるようにいたしてまいりたいと思いますが、まあ戸田さんのように何もかにもやってもだめだとおっしゃられると、そういうことになってしまっては困りますから、ぜひひとつせっかくの制度をつくりました場合には、それが生きるようにいろいろまた知恵もかしていただきたいと思います。
  54. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 全く実行可能な制度じゃないんじゃないですかと私は指摘しているのです。できますか。具体的にどういうことですか。課徴金を取ることに成文上はなっていますよ。具体的に出てきますか、そういうことが。やり得る自信がありますか。もう少し詳しく言ってください。
  55. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 何ぶんにも課徴金制度と申しますのは今度初めての制度でございますので、先生おっしゃいますように、たいへんむずかしい問題がいろいろあることは事実でございます。しかしながら、法律のたてまえといたしまして特定標準価格というものを、これはかなり厳密に生産費その他の計算をいたしまして水準を出しまして、それをオーバーして——これは小売りに限りませず、生産者の蔵出し価格あるいは途中の卸売りの段階もいずれも定めていくわけでございます。そこで、確かに末端の零細小売り業に対して一々こまかくチェックをいたすことは実際問題として非常にむずかしいかと思いますが、むしろこれは行政態容が整備されていくにしたがってそういうところまでいけるかと思いますけれども、さしあたりはなかなか行政的な能力も手薄でございますから、どうしても上の段階と申しますか、生産者の段階とか、あるいは一次卸の段階とか、そういうところを重点的にやっていかざるを得ないと思います。それで、水準に対してオーバーいたしましたものを差額として、数量を掛けた形で徴収いたします。  それからもう一つは、課徴金によって特定標準価格が守られることを担保するわけでございますけれども、もう一つの担保のしかたといたしまして物統令というものが最後に控えておって、これはマル公制度でございますけれども、マル公が定められない場合におきましても物統令の九条の二というのに、不当高価で売った場合には罰則がかかる規定がございます。その場合に、基準がないものですから、なかなか物統令の九条の二とか十条とかというのは発動できないわけでございまして、いまのところ、たとえばダフ屋の取り締まりにこの九条の二が活用されております。今度はかりに特定標準価格がきまりますと、これはやはり政府として相当、マル公ではございませんけれども、かなり正確なあるべき水準が出るわけでございますから、これは警察当局がそれを基準にして、これをさらに著しく上回って売ったような場合には九条の二によって摘発をいたす、それによっても特定標準価格を担保いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  56. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 時間ないから詳しく入れませんが、じゃ、一つだけ聞きますけれども、この課徴金制度が発足して、これは参議院が終了したら発足していくわけですよ、直ちに実行されるわけですね、この法律は。そういうことになったら行政機関としてこれに対応措置、どういうふうにとっているのですか、各省庁は。どのくらいの陣容でやられているのですか、やるつもりなんですか。
  57. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、現在、地方に対する権限委任の内容を詰めておりまして、まだ最終的なところまでいっておりません。しかしながら、やはりこれはかなり地方団体にお願いいたさないと、おっしゃるようにチェックが十分でございませんので、大幅な権限委任をお願いしたい。そのためにも人員の増加を含めまして、及びそれに要する費用を地方団体に迷惑かけないように国で手当ていたしたいということで、現在鋭意折衝いたしておる段階でございます。
  58. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これはあとで資料で出してください。地方自治体への権限委譲の問題で、要員はどのくらい充実をして、本省関係は各省どういう陣容でやっていくというやつ、全部詳細に出してください。これは要求しておきます。
  59. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 政府案といたしまして大蔵省に折衝いたしてございますので、まだ政府案が固まりませんので、固まった段階ということでよろしければ提出さしていただきます。
  60. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 時期はいつごろですか、それだけはっきりしてください。
  61. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 来年度予算でございますので、年内には固まる予定でございます。
  62. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 企画庁長官質問しますけれども、いま四十九年度の予算編成の作業を進めておりますね。来年度の物価上昇は大体どの辺に考えておりますか。
  63. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これは非常にむずかしい見方でございますが、来年の予算編成の基礎として、私どもは物価上昇よりも経済の実体成長というものを実はまず最初にはじいて固めております。これは簡単に一言で言えば、来年度の実質経済成長率は二・五%前後と、こういうことで大蔵省の公共事業の査定等もやってもらっておるわけでございますが、これを卸売り物価あるいは消費者物価あるいはその他の要素をいろいろ総合的に調整をいたしましたデフレーターという数字で名目の成長率というものをはじくわけでございますが、それは現在せっかく検討中でございまして、両三日のうちには私どもも結論を出さなければならないかと思っております。
  64. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 おそらくいままでの政府発表を総合しますと、一三%ないし一五%、四十八年度年度末でいきましてね、おおむねそのくらいの想定をされる。四十九年度はどのくらいかという、いま長官答弁をされたとおりでありますが、この物価上昇の目安というものを国民に示さなければ、私は幾ら国民に協力を呼びかけて消費節約その他を叫んでみても、国民の協力する側から見れば目標値がないでしょう。これをはっきりさせるべきだと、政府はこの程度で四十九年度は押えますよと、こういう目安を示して国民に協力を要請するのが私は順当だと、それがないんですからね。ですから、私は四十九年度の予算編成にあたって、経済成長率はもちろんですが、あるいは物価上昇率についても、政府はこれに押えますというき然たる態度を示すべきじゃないかと思うのですがね、これはいつごろきまりますか。
  65. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 明年度予算の最終決定までにはこれはきめなければならない事柄でございます。
  66. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 本問題はあとでまた触れますけれども、その前にもう一つは、この法律の欠陥として私考えるのは、第五点ですけれども、政府の義務づけがないんですね。この法律を成立さして実行していったわ、しかし、パニック状況はやはり依然として続いている。過日の予算委員会田中総理が、この大恐慌招来をした事実、今後もそういうことが引き続き実行された場合については、相当な政治的な責任があるという答弁をされておるようでありますけれども、やはりそういうものについてこの法律を実行していって、政府は失敗したというなら政府にそれは責任をとらせるとか、そういう偉大な決意でもってこの緊急事態を乗り切らない限り、国民は不信だらけですよ。いままでの物価問題について国民が不満を持っているのはそのことなんです。政府の公約したことは何ら実行されない、ここに最大の政治不信もあるのですよ。ですから、今回緊急事態に対してこういう法律を制定して物価安定ないし抑制をすると、こういう決意なら、この法律の中に私はやはり政府政治的責任を明らかにすべきだと思うのですが、その点はどうですか。
  67. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 法律の中におっしゃるような条文を入れることの形がありますかどうかわかりませんが、御承知のように、衆議院では、政府は、この法律によって国民生活安定を第一の重点として尽力する責任があるという意味の修正案をお入れになられましたことも、あるいは戸田さんのおっしゃることと同じ意味だろうと思いまして、私どもはつつしんでその修正案を衆議院段階ではお受けをいたしてまいったわけでございます。
  68. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 大綱五点の質問をしてまいりましたけれども、長官答弁では全く満足しません。私は、この法律はまさにざる法だと思うんですけれどもね、時間がないですからあとのほうに譲りますけれども、この四十九年度の経済運営について若干質問しておきたいと思います。  いま物価上昇の見通しについて質問したわけですが、私は経済成長率の比較について、三十五年以降四十九年度の見通しは、もちろんこの四十九年度については政府のいろいろ今日までの言明を土台にしておりますから、あるいは変更されるかもしれません。これを見ますと、三十五年以降四十七年までですね、いわゆる池田内閣、それから佐藤内閣と、こういう実態の中では名目成長率は一五%、四十年の最低一〇・六%というのがあります、また四十六年の一〇・七%、この二つをおいては大体一五%以上、こういうことになっております。それから、実質成長率は、これも一〇%台をこえているという状況でずっときております。したがって、乖離度は、三十五年はこれは五・八%、三十六年八・四%、三十七年度三・四%、三十八年度五・二%、三十九年度四・七%、四十年度五・二%、以下ずっと五%台で続きまして、四十二年が四・五%、四十三年四・二%、四十四年で若干上昇して五・六%、四十五年が七・〇%、四十六年五・〇%、四十七年が五・九%、政府が言ってきた経済社会発展計画等でいう物価上昇の五・五%ないし五%台にほぼ乖離度が一致をしておるわけです。  もちろん、これは物価上昇だけを意味するわけではないですから、若干の別な要因というものも入っておりますけれども。それが四十八年ですね、おそらくこれは、年度末まだ来ませんけれども、名目成長率二一%です。実質成長は六%ですね。乖離度は一五%です。これがまさにいま指摘した一三%から一五%の物価上昇に該当する。田中内閣になってからですよ。四十九年度は、おそらく政府の言明でいくなら、名目成長一二・五%で実質二・五%、それで乖離度は一〇%をこえますよ。ですから、四十九年度の物価上昇は一〇%台でいくということになりますね。こういう状況の見通しというものについて、おそらく政府もいろいろ検討されておりましょうけれども、私は、まさに四十八年度以降スタグフレーションが進行しているということは言えると思う。だから通産大臣がいみじくも言われた、調整インフレ、これを実行しなさい——田中さんは口に言わなかったけれども、実際やっているんですね、中曽根通産大臣が言ったことを実行したんですよ。
  69. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は言わない、新聞が書いただけです。
  70. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いや、言いましたよ。そういう状況の中で、いま四十九年度の今後予算編成をやるというんですから。時間がありませんから、結論だけ言えば、私はやっぱり一つは、田中総理が提唱する列島改造と縁を切ることだ。一つは調整インフレとやっぱり縁を切ることだ。もう一つは、海外調整ですよ、これと縁を切ることですよ。この三つを土台にして四十九年度の財政運営なり予算編成というものをやらなければ、政府が提唱してきた福祉転換という、発想の転換ということは、私はならないと思う。四十八、四十九年というのは、愛知大蔵大臣が、これはなくなられましたけれども、提唱したトリレンマの政策のまさに拙劣な状態が今日出てきているんですよ、私はそう思う。で、こういう問題について、一体経企庁長官はその担当所管の主務大臣として、どういうふうに今後予算編成その他の経済財政政策について持っていこうとしているのか、その考えをひとつ伺いたい。
  71. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私ば参議院でもお答え申し上げましたが、その当時、調整インフレとか、何とかインフレとか、インフレということばを使った経済政策を申し上げたことは一回もございません。
  72. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 戸田さんが御指摘のように、まことにむずかしい経済社会情勢であり、それがまた、わが国ばかりの状況でいかんともなしがたいグローバルな地球的な要因もございまして、私は、このポストに就任をいたしまして非常に苦しんでおるところでございますが、しかし、まず第一に、何とかして国民生活の安定のために、物価の上昇をこれ以上食いとめるということをまずやってまいりたい。そのための総需要の調整、これは、いままでやってまいりましたが、そういうことを強化もしなければなりませんし、また、いま御審議をお願いをいたしておりますような二つの法律もぜひ通していただきまして、個別的な物資対策ということもやってまいりたいと思います。しかも、このまま国民が奈落の底に落ち込むような気持ちにならないように、これは私は列島改造論をそのまま順奉するという意味では全くございませんけれども、やはり増加する人口、お互いの生活水準や福祉を高め得る可能性というものを見出し得るような、そういう中期、長期の経済計画というものも、見失わないような努力を皆さま方の御支援や御協力をいただきながら、つくってまいりたいということを申すだけでございます。
  73. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは大蔵大臣と経企庁長官に——きょうは大臣出れないそうですから、政務次官でけっこうですが、なお大臣には十分趣旨をひとつ伝えておいていただきたい。  それは、総需要抑制で、各種公営事業等々の問題が非常に節約をして、約八%程度繰り越し体制をとると、こういうことですね。少なくとも私は総額において六兆九千億、約七兆円見当、財投で約七兆円見当ある。そういうものの八%と、実際いま地方自治体において学校や保育施設その他のものをつくるのが、資材の値上がりで四〇%、私の調査でいきますと、これが工事受け手がなくてそのままストップになっている。だから膨大なものに私はのぼるだろうと思う。この打開策もとらなくちゃいけないんですけれども、そうしますと、いまこの四十九年度予算編成で、一応四十八年と比較対照で、四十九年度二一%程度の伸び率でやっていこうという——私は、いまこの伸び率がどうのこうのということを論議することは意味がないと思うのですが、そういう状況になっている。財投で一六%、繰り越し金を含めますと、やっぱり超大型予算になっていく状況にあるわけですね。こういう問題にどう一体対処するか、この点をひとつ。  もう一つは、福田大蔵大臣はだいぶ国民に貯蓄奨励を要請しているんですね。私は、これは国民に損をかけることだと思うんです。現在大体、国民一世帯当たり、これは政府統計でも百七十三万見当でしょう、国民の貯蓄は。これは経済白書によりますと、約二兆八千億損をかけていると、こういう指摘でしょう。そういうものにさらに貯蓄奨励でもって積ませていったら、この物価変動の状況ですから、もっと国民に損をかけるということじゃないですか。だから一つは、物価抑制措置の目標をここに置いて、そしてなおかつ国民が協力できる体制を政府はぴちっと打ち出さなければいけないというのはそういうことなんです。これ以上貯蓄奨励をさせるということは、国民に損をかけるというとだ、年金掛け金の皆さんもそうです。それから年金や一般政府の保護対象者、いろいろありますけれども、みんな損をしている。この損をどう一体食いとめるか、あるいは補償するか。逆にいって、大企業や大資本は、債務利益を膨大に取っているでしょう。これをどう抑制するかということが私は両面の策として大事なことではないか。その債務利益をどう減少させますか。この点について。二点ひとつ回答していただきたい。
  74. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) たいへんむずかしい問題でございますが、まず繰り越しの八%を上のせして来年度予算を編成した場合に、さらに財政の面から物価の押し上げになるのではないかという御質問に対しては、こういうぐあいにお答えをいたしたいと思います。  大体、ただいま査定中の予算の概略を申しますと、事業量にいたしましては、昭和四十七年度の事業量にほぼ匹敵するような予算を組み、金額においては、昭和四十八年度ぐらいの予算の見当にとどめたいということで査定中でございます。さようにいたしまして、いま現実に八%の抑制ということは、政府予算におきまして約七千億、地方におきまして、はっきりいたしておりますのは約三千五百億でありまして、一兆五百億ばかりの事業繰り延べが行なわれておりますが、その成果と、今度は金融面におきまして選別融資の行政指導を強化いたしておりまして、民間投資も幾らかいま抑圧をいたしております。結果が、新聞等にもごらんのとおりに、鋼材、木材等の先が弱くなって、多少の値下がり傾向に向かっておるわけであります。物価をいかにして早期に抑制するかということが来年度予算の編成の眼目になっておることは申し上げるまでもございません。  それから、貯蓄の問題につきまして御質問がございましたが、この貯蓄に対しまして特別な優遇措置を講じたらどうかという問題がありまして、大蔵省におきましても十分検討はいたしておりますが、これを減税の措置でやろうといたしますと、免税点以下の貯蓄者に対しては、国費をもってその免税相当額を見てやらなければならないということになりますし、国費でその免税点以下の人にプレミアムをつけるということは、また税からこれにつけるということでございまして、たいへんいろんな問題があるというので、いま戸田議員から御質問がございましたけれども、これを普遍的に貯蓄者を救う道は非常に困難であるということで、研究はいたしておりますけれども、直ちにこれが実施に向かうあれではございません。  ただ、賃金と物価と利潤と申しますか、配当と申しますか、それを総合的に考える必要はあるだろうと思いますけれども、賃金、物価、配当、三つの面からこれを強くプッシュしていきますと、いわゆる所得政策につながるものでありまして、これは日本のいまの経済情勢にはなじまないということできわめて困難でありますので、金融政策の面と税の面と融資の面と公定歩合の引き上げの面と、あるいは銀行の準備金等の率の引き上げ等の面から大企業の膨張していく利潤の抑圧を考えていま案を進めておるのでございます。いずれにいたしましても、まず、当面早期に物価を引き下げるという政策にすべての力を集中して大蔵省としては作業をいたしておりますということを御報告申し上げて、答弁といたしたいと思います。
  75. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 もうあと残り少ないですから通産大臣に……。  最近、外貨準備高が非常に減少しております。四十八年の初頭で百九十億ドルくらい、この一年間で約百二十億ドルですから七十億ドル見当減っている。そういう中で、さっき、調整インフレは私は言ったことはないと通産大臣言われたんですが、事実輸出関係ですね、輸出価格が非常に引き上げられた、たとえば自動車メーカーが自動車を輸出する場合に相当価格のつり上げをやられているようです。そういうことになりますと、鉄も上がってくる、資材も上がるというぐあいですから、それが国内需要に対してもそういう波及効果というものは非常に広がっていく、こういう状況になっているんですが、確かにこの輸入価格も漸次上昇傾向にあることはわかるのでありますが、もう少しこの輸出価格を総体的に規制をしていく必要があるんじゃないかと思うんですが、そういう問題、この点について通産大臣、どういうふうにお考えになっておるか。
  76. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ことしの輸出の傾向を見ますと、概して申し上げますと、金額は三割ぐらい上がっているかもしれませんが、量においては昨年と同じぐらいの横ばいのような傾向に推移しております。私、心配しておりますのは、石油がこういうふうに暴騰してまいりますと、日本の国際収支に非常な影響が出てまいりまして、今日すでにそれは出てきておりますけれども、石油の支払い代金だけでも八十億ドルとか、それぐらいの、あるいはそれをオーバーするぐらいの金額になる可能性が十分ございます。そうしますと、日本の国際収支に響き、それがひいては海外経済協力に響いてまいりまして、日本が国際社会に最も貢献すべき海外経済協力の力が弱くなってくるという点を一番憂えておるのであります。これらにつきましては、来年以降の国際経済の動向も見詰めまして政策的に私たちも強化していく必要があるのではないかと、そう考えております。
  77. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 戸田君、時間が参りました。
  78. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この一点で終わります。  経企庁長官、最後に、政府が最近国鉄運賃なりあるいは二、三の公共料金の凍結をさらに期間的に延長したようでありますが、そういう事態が予想されるならば、前国会においてあれほどしゃにむに力でもって無理やり押し通さぬでもよかったんじゃないか。社会党はじめ野党全体は、それは凍結をしなさいと、こういう主張をしておったんです。こういうちぐはぐな政治行為というものが国民に対して非常に不信感を与えている。そういう意味合いにおいて、これは半年ですか、幾ら国鉄運賃の場合凍結するんですか、その見通し、これを最後にひとつ質問しておきます。
  79. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 御審議をいただいておりますこの二法案を提出しなければならないような事態のもとにおきましては、さきに決定をいたしました国鉄料金なり消費者米価の引き上げも、この際、政府は断固たる姿勢を示すという意味におきまして、当分の間凍結ということの方向で検討をすることをきめたわけでございます。これをいつまで持っておくかということにつきましては、予算の関係もございますし、国鉄につきましては法律修正の問題も当然起きるわけでございますので、一応私どもは明年の四月から半年ということで検討することにいたしましたが、これは、予算、法律修正等の段階においていろいろまたもう一ぺんさらに周到な検討をしていただきたいと思っております。
  80. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 参議院選挙対策じゃないですね。
  81. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 全くさようではございません。
  82. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 以上で終わります。
  83. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 三木君。
  84. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は、中小企業の物資供給の問題とLPガスの問題について、この二点にしぼって、時間の関係もございますので、質問したいと思います。  特に最初に、物資の需給の問題に関して、大企業と中小企業との差はあまりにもひどいものがあると私は思うんです。ここで、特に中小企業に対する資材の配分の問題について具体例をあげて私は質問いたしますので、明快なる答弁をお願いしたいと思うんです。  たとえば、社団法人東京都中小建設業協会が東京都における生活関連公共工事の停滞あるいは遅延が社会問題化しつつある現状を何とか解決したいということで、中小建設業者を結集して、セメントとかあるいは鋼材その他建設資材の入手に関して、現金を集めて共同購入まででもしようかと、こういうふうな計画を立てているわけです。これに対して政府はこういう問題に対する受け入れの体制がはたしてあるのかどうか、この点についてまず最初に伺いたいと思うんです。
  85. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 本年四月以降、セメントや小棒やあるいは主要鋼材、塩ビ電線、塩ビパイプ、紙、板ガラスあるいは石油製品等について、必要に応じてあっせん所をつくってまいりました。近くLPガスについてもあっせん所を発足させます。これまでのあっせんの実績は約十二万件でございまして、小口需要家を中心にわりあいに円滑にこれが動いております。いまお示しの関係の問題につきましても、これらのあっせん所を活用いたしまして、御要望に沿えるようにいたしたいと思います。
  86. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは具体的に、公共関係ですね、実際に道路とか下水道工事等が非常に遅延をしているという問題で具体的に数量等が煮詰まってくると思うんですけれども、こういう公共関係の問題については特に解決できるという見通しでいらっしゃいますかどうか、通産大臣にお伺いします。
  87. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それぞれの物資につきまして東京通産局に指示いたしましてあっせんさせるようにいたします。
  88. 三木忠雄

    三木忠雄君 中小企業庁長官いらっしゃっていますか。——これをたとえば購入するというようになった場合に、実際に年末でもありますし、資金の問題が非常に私は問題になってくると思うんです。これに対する必要資金のあっせんをする意思があるかどうか、これについてお伺いします。
  89. 外山弘

    政府委員(外山弘君) 年末に対しましては年末融資ワクの増加ということで、ことしはまた物資不足の問題も含めまして、例年になく早期に大幅に追加ワクを計上いたしました。しかし、もう一つ御指摘の、こういった際に中小業者が組合を結成して、そして共同購入の形式をとるということは、私は本来中小企業が相互扶助のもとにそういった情勢に対処するということは基本的なかまえ方でございます。したがいまして、それに対しても商工中金等のそういう組合金融機関もあるわけでございまして、いま先生がおっしゃるような事例に対しましては、商工中金等に対して指導してまいりたい、こう考える次第でございます。
  90. 三木忠雄

    三木忠雄君 これと関連して運輸大臣にこれはお伺いしますけれども、中小のタクシーですね、あるいは個人タクシー、これに対する緊急融資をやるという、この計画を持っていらっしゃるそうですけれども、この点についてお伺いいたします。
  91. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 急にこのような情勢になってまいりまして、特に個人タクシーを中心にしまして中小零細タクシー業界におきましては、いろんないま運賃の申請、値上げの申請でございますとか、いろんな要求が出てまいっております。しかし、料金の改定というのは、これは慎重にやはり取り扱わなければならぬと思っておりますが、それにいたしましても、LPガスの問題でございますとか、あるいはその他削減の問題等にからみまして、何とかこの年末なり、あるいはそういう危機を乗り切らしてやらなきゃならぬということで、いま中小企業庁、あるいはまたその他関係方面とできる限りのひとつ融資の面についても努力してやりたいということで交渉中でございます。
  92. 三木忠雄

    三木忠雄君 この問題について中小企業庁長官、どうお考えになっていらっしゃいますか。
  93. 外山弘

    政府委員(外山弘君) 先ほど申しましたように、年末金融といたしまして三千四百億の追加をいたしましたが、その運用につきましても、私どもはいろいろ実情に応じた配慮をするように指導しているところでございます。まあ初期の段階に、早く問題が起こったものについては、そのつどいろいろ関係の三機関に対しても指示をいたしましたけれども、今後も、やはり今後の物不足状態にかんがみまして、業種別にひずみはございますけれども、いろいろ実情に応じた配慮が必要だろうと思います。したがいまして、三機関の資金措置の運用上の配慮というものにつきまして、私どもも実情に応じた融資ができるようにできるだけ指導してまいりたいと思います。
  94. 三木忠雄

    三木忠雄君 それでは、LPガス問題でお伺いしたいと思うんですけれども、まず最初に通産大臣に伺いますが、このLPガスの需給見通しについてお伺いしたいと思うんです、まず最初に。
  95. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) LPガスの需給につきましては、当初われわれといたしましては、下期で申し上げますと、当初五百二十七万トンのLPガスの供給ということを考えまして、これに対応いたします需要を五百六十万トンと考えたわけでございます。この間の差額は在庫等の食いつぶしということに相なるわけでございますが、その当初の見通しに対しまして、その後、御存じのとおり、原油のカット等が行なわれまして、このLPガスというのは、半分が国内で原油の処理でつくっておるわけでございますので、その点からの生産の減がどうしても出てくる。それから、もう一つは、半分が輸入ものでございますけれども、特にスポットで買っております輸入数量が、ここのところへきまして、価格の上昇もさることながら数量もなかなか取れなくなってきておるわけでございます。その二つの事情から、私のほうで現在の需給見直しをいたしておりまして、下期で四百六十七万トンぐらいの供給しかないんではないかという感じでいたしております。需要のほうにつきましては、これは産業用のカット、現在いま各社とのすり合わせもやっておりまして、これを約五百万トンに下げることによりまして、民生のLPG及びタクシー等のLPG、これの確保を最優先にはかるように、この需給の調整及び在庫の調整等をいま検討しておるところでございます。
  96. 三木忠雄

    三木忠雄君 いま、民生の安定あるいはまたタクシーの確保という問題ですけれども、このLPGがいま四百七十六万トンしか供給できないと、こういう実態になってきますと、いま、現在使われているこのLPGの中で工業用、特に鉄鋼関係には相当なLPGの使いようをしているわけですけれども、それで家庭用が約五割、これはブタンとの関係もあっていろいろな問題があると思いますけれども、それから工業用が三割、自動車が約二割と、大まかに分けてこういう比率じゃないかと私思うんです。こうしますと、家庭用あるいは自動車用を優先的にすれば、当然カットはもう工業用以外にはないわけです。民生安定とか自動車というのは、これは国民生活に最も関係のある、特にこのLPガスというのはほとんどもう国民生活に非常になくてはならないようなガスじゃないかと思うんですね。こうなりますと、どういう優先順位でこのカットをしていくのかどうか、この点が私は非常に問題になってくると思うんです。この点についてまずお伺いしたい。
  97. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) LPGの需要部門の問題でございますが、先生の御指摘のとおり、家庭用とそれからガス用と合計したものがちょうど五割でございます。その他自動車用が一六%ぐらいございます。この辺がいわゆる民生ということであろうと思います。で、工業用が大体一八%ぐらい、それから化学原料用が一三%あるわけでございます。この化学原料用というのは、ちょっとあれでございますが、肥料でございまして、いわゆるメタノール、アンモニアの製造のものでございまして、これはLPGを使ってつくるという特殊な設計になっておるところがございまして、現在春肥の需要期に差しかかっておりまして、非常にその点むずかしい点があるわけでございますが、家庭用と都市ガス用と自動車用というののほうを最優先いたす方針でございまして、この化学原料用も含めた工業用というものをどうしてもカットしなきゃやっていけないということで、いま鋭意各社別にこれをヒヤリングをいたしております。おそらく相当大きなカット率を工業用と化学用にもやっていただかなきゃいかぬじゃないかと思いますが、工業用の中に実は公害防止用というのがあるわけでございますので、その辺の要素も加味しまして、家庭用それから自動車用につきましても節約といいますか、使用の合理化も同時にこれはばかっていただきませんと、このLPガスというのは特殊の部門でございまして、逃げ場がない部門でございますので、優先順位といたしましては民生優先で、若干の節約もしていただいて、工業用を大幅にカットすると、こういう考え方で進まざるを得ないと思っておるわけでございます。
  98. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは、化学的な議論をやっておっても、これは何とかなりますけれども、実際に工業用を極度に減らしてそれを家庭用とか自動車用に回すということにはいかないと思うんですね。そうしますと、この四百六十七万トンをやはり節約という問題で長官、言っていますけどね、実際に家庭用とか自動車用も、平均一〇%なら一〇%、一五%なら一五%という、こういう削減の方向に踏み切っていくという、こういう考え方じゃございませんか。
  99. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) ただいま申し上げましたように、民生のほうもどうしても使用の合理化をしていただかなきゃいかぬ状況だと思います。ちなみに現在民生で使っております、各家庭で使っておりますプロパンガスの全国平均二戸当たりというのは十七キログラムぐらいでございます。このうち炊事炊飯、これは一番最優先でございますけども、これは時間の計算その他むずかしいわけでございますが、ほぼ七ないし八キログラムぐらいでございます。あとふろと暖房とそれから瞬間湯わかし器に使っておるわけでございますが、この辺で炊飯が一番最大の確保する問題でございます。残りの十キログラムぐらいをどう使用合理化をしていただくかという問題で、カット率等はきめておるわけでございませんけれども、その辺をお願いいたしたいと。それからタクシー用につきましても、これは運輸省のほうの御事情を聞かないとわかりませんけれども、やはり使用の合理化といいますか、そういう意味での節約効果を期待いたしておるわけでございます。
  100. 三木忠雄

    三木忠雄君 運輸大臣に伺いますけれども、このLPガスがいまの長官のようなやはり削減をせざるを得ないような現況下に私はあると思うんです、正直言って。これはもうどうだこうだと言ったって現実的にないわけですから。この問題になった場合に、タクシーは実際どこまで削減をするのかどうか、この点についての考え方を伺いたいと思うんですよ。
  101. 中村大造

    政府委員中村大造君) お答え申し上げます。  タクシー用のLPガスにつきましては、十二月の予定といたしましては、十一月実績分の一割減ということで現在その配分を急いでおるわけでございます。私どもといたしましては、この量はタクシーの運行にとりましてはもう最低限度の量であるというふうに考えておるわけでございまして、したがいまして、一月以降につきましてもこの量というものはぜひ確保していただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  102. 三木忠雄

    三木忠雄君 そこで、十一万トンの確保の問題です。これは通産省としてタクシー用に十二月は十一万トン、これが実際どうなっていくかこれから煮詰めたいと私は思っておりますけれども、一月以降においても十一万トンのこのLPガスがタクシー用として供給できる見通しがあるのかどうか、これについてお伺いしたいと思います。
  103. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 原油の入着が最大の問題でございます。それからもう一つは、いまLPをつくっております精製段階で、これも若干自家でこれを燃焼いたしておる、これは必要やむを得ずやっておるのがありますけれども、これを私のほうとしては、約三十万トンぐらい年間であるわけでございますけれども、これは何らかのかっこうでほかのものに切りかえていただくということをいま各社別にこれは指示をいたしておるわけでございます。それから最終的には在庫をどこまで持ちこたえられるかという問題でございますが、もともとLPGの在庫というのは非常に少ないかっこうで推移してきたわけでございますけれども、最低十五日といわれておるわけでございます。現在、若干それよりも余裕もございますので、私といたしましてはいま申し上げましたような諸措置を講じ、かつできる限りスポットの輸入を督励することによりまして、一月以降におきましても、いまのタクシー業界の実情に応じた適正なる使用量の確保につきましては極力努力をいたしたいと、こう思うわけでございます。
  104. 三木忠雄

    三木忠雄君 そればかり煮詰めていくわけに……時間がありませんので。実際にこういう問題を詰めていきますと、極力努力をされるというお考えでしょうけれども、一生懸命通産省の方々が努力をしていることは私も理解をしております。しかし、実際足りないものは足りないという形で早目に指導をしっかりしませんと混乱を起こす、確かに配分の不公平というものがやはり大きな社会問題になってくるんじゃないかということを私は非常に憂うるわけです。こういう点について特に運輸省に伺いますけれども、十七日をめどに実施するこの十二月度の十一万トンタクシーの割り当て計画ですね、この問題については具体的にどういうふうな進行状況になっているのか。いまだにこの十一万トンのタクシーの運輸省が発表した実施状況は皆無であるという実態なんです。これについてお伺いしたいと思います。
  105. 中村大造

    政府委員中村大造君) お答え申し上げます。  この問題につきましては去る十四日にタクシー業界と、運輸省もいろいろ指導いたしまして、御承知のような配分計画をきめたわけでございます。で、この配分計画を実際に実施に移しますためには、各府県別に個人、法人のいわゆる供給量をきめましてそれを車両ごとに配分するということと、それからそれを購入する場合のスタンドの登録をすると、こういう作業がございました。で、その作業を現在スタンド協会とも協議をしながら鋭意進めておると、こういう段階でございまして、新聞紙上に十七日ということがございましたけれども、われわれといたしましては今週中にこれを軌道に乗せたいということで、もう現在鋭意努力いたしている次第でございます。
  106. 三木忠雄

    三木忠雄君 この鋭意努力がいつも問題なんだよ、答弁が。実際に十四日に陸運局長を集めていろいろ通達し、個人タクシー、法人の割り当てをやったんですよ。もう二十日ですよ、きょうで。十一万トンの割り当ては十二月でしょう。あと十日間でしょう。きょうきまっても十日間ですよ、実際に。あすから買いにいっても、個人タクシーの人は二十五リッター、あるいは中小の法人タクシーが買いにいっても五十リッターもらうのはあしたから考えたって十日間しかないですよ。実際に十四日にやって、どこがおくれている原因なのかそれをはっきりしてくださいよ。
  107. 中村大造

    政府委員中村大造君) ただいま御説明申し上げましたように、それを各車両ごとに配分いたしまして、それから各事業者が自分の希望するスタンドに登録をすると、こういう事務があるわけでございます。それで今日までその作業をやってきておるわけでございまして、たとえば東京に例をとらしていただきますと、各車両ごとの割り当て量というものはこれはもう全部きまりました。それからそれぞれのスタンドへの登録希望、こういうものも全部きまりまして、それぞれ提示してございます。そしてそのうちで約九〇%は昨夜までの間にきまっております。あと一割程度がまだスタンド側との折り合いがつかない点もございまして未決定でございますけれども、これにつきましては、タクシー業者とスタンド協会との間で調整委員会をつくりまして、これは陸運局が指導いたしまして、そして昨夜からきょうにかけまして残り一割の張りつけに努力をいたしておりますめで、おそらくきょうじゅうにはこれが結論が出ると、こうなりますと全部ぴしっといわゆる張りつけが終わりますので、十一万五千トンのいわゆる東京分につきましてルートに乗って末端まで配給ということが可能になるというふうに信じております。
  108. 三木忠雄

    三木忠雄君 そんな簡単なものじゃないんですよ。  じゃ、あとで通産省のほうに伺いますけれども、通産省との話し合いが全然行なわれていない。私のほうにきょう資料を提出してもらった。ゆうべ資料を要求したらなかなか出ない。きょう出てきたのは何かというと個人タクシー用だけなんです。スタンドの割り振りをやっていると言うけれども、実際に大手メーカーあるいは大手自動車会社はこの張りつけをおくらしたほうがうまくいくということで、法人タクシーの申請が非常におくれているという話を私聞くんです。実際にきょう現在法人タクシーのスタンドの割り当て計画が出たのかどうなのか、はっきりそれを出してもらいたい。
  109. 中村大造

    政府委員中村大造君) 東京について申し上げますと、先ほど申し上げましたように、法人、個人を通じまして約九割がスタンドとのいわゆる契約といいますか、張りつけが終わっております。で、あと一割、これは法人、個人大体半々ぐらいでございますけれども、それがまだ残っておる。それをきょう鋭意張りつけの作業をやっておる、こういう状況でございます。したがいまして法人だけがおくれておると、こういうことはないというふうに信じております。
  110. 三木忠雄

    三木忠雄君 それで私、きょうはこまかいことはあれですけれども、この法人タクシーをLPガススタンドとの間のどこへ配置をするかという割り振りの提出計画があったはずなんです。個人タクシーは十二月十八日におたくから資料をもらったのでは出ているんです。きょう法人も一緒に持ってきてもらいたいと私約束したんです。法人の資料は提出されないんです。やはりおくれている証拠なんですよ。何日に運輸省へ届いたか、どの法人会社がいつ届けたか、その明細な資料を出してもらいたいと思うんです、どこが何日に届いたかということを。よろしいですか、出せますか。
  111. 中村大造

    政府委員中村大造君) 至急調査をいたしまして提出申し上げます。
  112. 三木忠雄

    三木忠雄君 これだから、幾らたったって個人タクシーあるいは中小タクシーが二十五リッターいつくれるんだろうと。運輸省は十七日をめどだと新聞が報道したとか、いろんなこと言ってるけれども、みんな十七日ですよ、報道も。どこかにニュースソースがあったはずなんです。ちゃんと発表しているはずなんです。発表する、しないにかかわらず、十四日に決定したものが二十日に至ってもまだ——決して好ましくない配給制であっても、現実にいまいただけないわけですよ、個人タクシーが、二十五リッター。こういう問題に対して十二月がもう終わろうとしている。これに対する対策は全然考えられないという行政の怠慢というか、そういう点を運輸大臣、これどう考えますか。
  113. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) ずっと経緯につきましては、私が御説明申し上げるまでもなく、よく御存じでございますが、私もその陣頭指揮をやりまして、もう徹夜でもやれということで実はやっております。それからまた、自動車局の一部には通産省とも徹夜でいろんな作業をやり、また業者間も、御存じのように、割り振りがきまったといいますけれども、これは十三日の夜中でございます。そういうようなことで鋭意やっておりますが、なかなか初めてのことで、しかも多岐にわたった、いままでのいろんな業界の取引の関係やらいろんなことがあるようでございまして、まことにおしかりの点は私はごもっともだと思いますけれども、今後もなお一段の努力をして、御迷惑のかからないように努力してまいりたいと思います。
  114. 三木忠雄

    三木忠雄君 通産省に伺いますけれども、これは担当官でもけっこうです。  実際に運輸省がLPガススタンドとの割りつけを、まあきょう出したのか、ゆうべ出したのか知りませんけれども、それが出てから通産省との間の割り当て計画をつくるのではないかと思うんですね。これの計画は進んでいるのかどうか、具体的に。この点についてお伺いします。
  115. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) この件につきましては、相当前から具体的にやっておるわけでございます。結論から申し上げますと、運輸省の非常な御努力で割り振りがきまりましたら、一両日にはすぐそのスタンドに所要のLPが確保できるように、そういうことは私のほうで十分な体制ができているわけでございます。
  116. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、チケットの販売とか具体的な問題は抜きにしまして、個人タクシーがこの十一万トンの割り当て、あるいはまた中小タクシー等がその張りつけられたスタンドに五十リッターあるいはまた二十五リッターを実際に買える日はいつと判断したらよろしいですか。
  117. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 運輸省のほうの張りつけ作業が終わりました一両日後に完全に渡せると私は思います。
  118. 三木忠雄

    三木忠雄君 運輸省、一両日という通産省の意見です。いつまでに張りつけが終わりますか。
  119. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先ほど申し上げましたように、東京につきまして残り一割を夕べからきょうにかけまして鋭意作業をいたしておりますので、きょうじゅうに張りつけを完了したい。そうすれば、あとはもう量はきまっておるわけでございますから、もとから末端まで油が流れてくれば、それでもう購入はできる、こういうことだと思います。
  120. 三木忠雄

    三木忠雄君 それでは通産省に伺いますけれども、個人タクシーの割り当てをしますね、この資料に基づいて、運輸省から出てきます。これを具体的に給油スタンドの個人タクシー用として設定するのかどうか、この点についていかがでございますか。
  121. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) これは運輸省のほうの御答弁になるのかもしれませんが、運輸省でいまおやりになっていますのは、車の具体的なるスタンドとのつなぎ合わせでございます。したがいまして、個人タクシーが張りつけられたスタンドで法人系がまた同時に張りつけられておることもあるんではないかと思うわけでございます。
  122. 三木忠雄

    三木忠雄君 時間が限られておりますのであれですけれども、通産大臣に伺いますけれども、こういう問題が、二十二日かあるいは二十三日になるかわかりませんけれども、実施されるとしましても、やはり中小タクシー会社とかまた個人タクシー、あるいは各民間の家庭等でLPガスを得ようとしてもなかなか得られないという問題が私は今後出てくるんじゃないかと思うんです。これに対してやはり緊急対策本部的なものを通産省としてここで設置をして、その不公平なる部分を補うという形をとるべきではないかと私は思うんですけれども、この点についての通産大臣のお考え方を伺います。
  123. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) LPガスにつきましてもあっせん所をいまつくらしておりまして、来週早々から開始できると思います。これは家庭、工業用その他の小口のLPガスにつきましてあっせん申し上げるということで開始いたします。
  124. 三木忠雄

    三木忠雄君 これはもう早急にやっていただきたいと思うんです。  それからもう一つ通産省に伺いますけれども、LPガスのスタンドとタクシー業者との間に契約金問題が取りかわされているという、こういう事実はお聞きになっていらっしゃいますか。
  125. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 契約金というのがどういうことかわかりませんが、私、前に聞きましたのは、こういうふうに非常にLPGが足りなくなりましたので、特に従来の固定客でない人に対して何か金を積まないと渡さないというような事例が一、二あったということを聞いております。先生のおっしゃいますのはそれかどうか私わかりませんけれども、そういうことにつきましては、これは非常におかしな、いけない行為でございますので、厳重にその傘下の団体及びその支部につきまして、そういうことは絶対に行なわないようにということを指示いたしておるわけでございます。
  126. 三木忠雄

    三木忠雄君 ところがこれは実際に行なわれているんですね。これは一つの例ですけれども、具体的な名前は商売のいろんな理由もあるから私はあげませんけれども、S産業のLPガススタンドが、登録車両のみ充てんを行なう、登録の選定は当社の基準に従う、登録預かり金は三万円、こうなっているんです。預かり金納入期限十二月十五日限り、これを延ばすと権利を失いますということ、充てんは一日三十リッターである、登録車には登録票を発行して、それがないとLPガスを売らない、こういうふうな預かり金を取っているLPガソリンスタンドがあるんですね。これは一社じゃないと思うんです。個人タクシー業界等も一千万も積んでいるという話もあるんです。そういうふうな契約金を取らないとLPガスがもらえないという、こういうふうな実情に対してどう考えますか。
  127. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) そういうことにつきましては、ただいま申し上げましたように絶対そういうことを行なわないように指示をいたしておりますけれども、なお、こまかく具体的にいまの先生のお話のような話、これはそれぞれむしろ私のほうに御通知を願いたいと思います。そういう具体的な問題としてそれを具体的に処理するほうが一番いいと思いますので、ぜひ私書箱一号でも、直接われわれのほうでもけっこうでございますので、御連絡を願いたいと思います。
  128. 三木忠雄

    三木忠雄君 それでは次の問題で、このLPガス、これは家庭用プロパンのほうには指導価格千三百円ということで利用されているわけでありますけれども、この一両日に法案が通過するとしましても、特にタクシー用のこのLPガスが、十月は大体二十二円程度だったのが十二月には四十五円ですね。これが先行きますますLPガスが少なくなるとなれば、私は値段がもっと高騰してくるんじゃないかという、輸入が少なくなるとかいろんなうわさの域を出ない段階からもう値上げが始まっているというこういう実態から、やはり家庭プロパンの問題にあわせてやはりタクシー用のLPガス等についても価格を設定する考え方があるかどうかということについて、これは通産大臣のほうがいいかもしれません。
  129. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) タクシー用のLPGの値段の問題でございます。先生の御指摘のとおりでございます。しかし、タクシー用と言いましても、これは非常に千差万別でございまして、大都会それから地方都市、それから温泉場とかいろいろ非常に千差万別でございます。私のほうは妥当なる一つの考え方が出ますれば、当然これを検討するにやぶさかでございませんけれども、むしろ運輸省のほうでどういう実態としてこれをお考えくださるのか、その辺が一つの前提条件として大事だと思いますので、運輸御当局と十分相談しましてそういう方向で考えたいと思っております。
  130. 三木忠雄

    三木忠雄君 運輸当局、どう考えますか、この問題は。
  131. 中村大造

    政府委員中村大造君) 問題は、どの程度の価格に落ちつけられるかということが問題だと存じます。私どもといたしましては、いままでの実績に徴しましてほんとうに適当なところでそういう一価格が決定されれば、われわれとしては非常にありがたいというふうに思っております。
  132. 三木忠雄

    三木忠雄君 だから運輸省としては適当な価格は大体幾らくらいを見ているんですか。やはり個人タクシーの料金値上げの問題とかいろんな問題とからんでくるんではないかと私は思うんですけれどもね。
  133. 中村大造

    政府委員中村大造君) LPガスのいわゆる価格というものは、これはやはり現在のタクシーの運賃に相当影響を及ぼすわけでございます。したがいまして、ここで幾らがいいということは直ちに申し上げられませんけれども、とにかくいままでの過去の実績に徴しまして、できるだけ低く押えていただくということが、これはもう量の確保とともに前提条件になるというふうに考えております。
  134. 三木忠雄

    三木忠雄君 なかなかこれは言いずらい問題もいろいろあると思うんで、私、具体的にまたあとで伺いたいと思いますが、もう一つ運輸省に伺いますけれども、やはりLPガスが全体的に少なくなってきているという中にあって、流しのタクシーを削減していくという、こういう方針で進められているというふうに伺っておるわけでありますけれども、これについての考え方はどうです。
  135. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先生御指摘のように、できるだけ燃料を節約して使う、こういう見地から大都市におきましても、たとえばタクシーの駐車場というものをできる限り増設いたしまして、それによりまして事実上流しをしなくても乗客が適当に乗車できるように、そういう措置を講ずるべく、これは警察庁等ともいろいろ関係がございますので、現在その方向で協議を進めておるということで、近いうちに成案を得たいというふうに考えております。
  136. 三木忠雄

    三木忠雄君 この問題で具体的にもう少し伺いたいんですけれども、たとえばこの都心部についてはどういうふうにするのか、あるいは設置場所をどういう形で置いていくのか、山手線内なら山手線内ですね。そういう考え方が大体もう煮詰っているのじゃないかと私は思うんですけれどもね。その点についてお伺いいたします。
  137. 中村大造

    政府委員中村大造君) まだ、たとえば東京に例をとりますと、都内の何区何区何区というそこまでの具体的な構想は煮詰っておりません。警察等においてもいろいろ計画もあるようでございます。現在警察庁といろいろ煮詰めておる段階でございます。まあ考え方といたしましては、できる限り都心部で道路交通との関係も考慮しながらタクシーの駐車できる場所、これはいわゆる乗客の便利も考えてきめなきゃならぬと思いますので、そういうところをできるだけたくさんつくると、こういう方向で具体的に検討いたしております。
  138. 三木忠雄

    三木忠雄君 それではもう時間がありませんので、最後に通産大臣に伺いたいんですけれども、この家庭の停電の問題ですね。これは何か最悪時の場合に家庭を停電するという、そういう話をされておりますけれども、具体的に最悪時というのは、石油供給がどの程度になったときが最悪時そして判断をされるのかどうか。この点について。
  139. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 予定よりも二〇%以上カットが現出するときには、遺憾ながらそういう措置も検討せざるを得ないと考えております。
  140. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、予定量二〇%というと、具体的にいまの中東情勢等の見通しもいろいろ問題あると思いますけれども、通産大臣としては、いまのまあ特使も派遣していろいろな情報は入っていると思いますけれども、きょうの新聞等見ますと、それほどでもないという話もありますし、一部のいろいろな情報もありますけれども、最悪時は避けられる見通しになるのかどうか。こういう家庭停電まで踏み切らなくて済むのかどうか。この点についての御意見を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  141. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今日の時点ではすでに二〇%削減の情勢にあるので、家庭の問題も考慮せざるを得ない事態にあります。ただ、それに入るにはいろいろな事前の準備が要りまして、その周到な準備をいま検討さしておるところであります。  三木特使が中東を訪問されまして、その成果についてはまだ確実な話ではございませんし、あだ頼みしてもまた望みがくずれるということもよくないですから、やっぱり悪い事態を想定して政策は進めていくつもりです。
  142. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      —————・—————    午後一時三十六分開会   〔物価等対策特別委員長小笠公韶君委員長席   に着く〕
  143. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) ただいまから商工委員会物価等対策特別委員会地方行政委員会大蔵委員会農林水産委員会運輸委員会建設委員会連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き石油需給適正化法案及び国民生活安定緊急措置法案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  この際申し上げます。  大蔵大臣がただいま出席されましたので、先ほど御了承をお願いいたしましたとおり、これより便宜大蔵大臣に対しての質疑を行なうことといたします。辻君。
  144. 辻一彦

    ○辻一彦君 私は、きょうは、大きく小麦粉の問題と、それから農産物の農業生産に必要な資材の確保の二点について質問いたしたいと思います。  まず、経企庁長官にお伺いしますが、この国民生活安定緊急措置法案の第一条にある「異常な事態」とはどういう中身をいっているか、お伺いしたいと思います。
  145. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 端的に申しますと、今日のような物価の上昇が激しくて国民の間にいろいろ経済上の不安が起こっている状態、そういう事態であると考えております。
  146. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃ、国民の暮らしに必須の食料品が軒並みに二割、三割とか、こういうようにずっと上がっていくとすれば、当然私は、異常な事態と、こう言えると思いますが、そうお考えになりますか。
  147. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) そう言わざるを得ないと思います。
  148. 辻一彦

    ○辻一彦君 きのう、私は、社会党のこの小麦の追跡調査に一日出ました。この十二月に政府が原麦を三五%値上げをいたしました。一カ月置いて小麦粉が上がるということになるわけですけれども、大体いま四〇%は上がると、こういうことになろうと思います。そこで、日清という製粉のメーカー、第一次卸、第二次卸、それから製パン、製菓業と、こういう四つの段階を、きのうは夕方まで追跡調査を行なってみました。  実態を調べると、いずれもその値上げが必至と、こういう状況にあります。たとえば日清製粉で聞きますと、一月から小麦粉を、一等粉は千五百二十円、二十五キロ平均、大袋ですが、六百三十円ぐらい大体上げざるを得ないだろう。二等粉の場合には千二百五十円を五百七十円上げなくちゃならぬだろう。それから三等粉の場合は九百四十三円、二十五キロ、これを三百七十五円上げなくちゃいがんだろう。いずれも四〇%から四四%、この小麦粉が工場で上がるということになります。また、家庭で使われる小袋一キロ入りのこれを見ますと、一番高級なバイオレットというのが工場渡し六十八円で、また、普通品は一キロ入り一袋五十六円いたしております。これが三十四円アップせざるを得ないだろう。大体四〇%から五〇%、こういうことになります。これは工場渡しですが、さらにパンを製パン業等で調べるとどうなるかといいますと、一斤、一食分七十円が九十円と、二十円上げざるを得ない、これが三〇%値上げということになります。また、この中華まんじゅうの生産元でありましたが、これも五十円が七十円ぐらいになるだろうということで四〇%。うどん、そばですね。軒並みにこういう小麦粉が上がれば食料品が上がるという、こういうことになりますが、この具体的な事実は「異常な事態」に私は該当すると思いますが、どうお思いになりますか、重ねて。
  149. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 物価高騰その他わが国の経済が異常の事態にある、「物価高騰」ということをこの法律は先に述べておりますので、「異常な事態」に相違ないと思います。ただ、小麦粉につきましては、御承知のとおり、食糧管理法がございまして、価格操作もいたすわけでございますが、これは米も同じでございますけれども、小麦粉は、御承知のとおり、輸入小麦粉が多いわけであります。外国の小麦が非常に値上がりをいたしましたので、国内販売売り渡し価格をどう操作するかということになりますと、必ずしも米と同じようには考えられない面がございます。ということは、外国の小麦粉価格に対して国内で外国農業の補助をするというような形もございますので、したがいまして、食糧管理法の価格操作の過程におきましても、小麦そのものの売り渡し価格を十二月一日から若干上げました。しかし、幸い加工業者の小麦の手持ちが相当多うございますし、いまお話しのような小麦粉ないし小麦粉製品につきまして、私ども経済企画庁のこれは机上の計算によりますと、おっしゃるような、はなはだしい値上がりはないと、こういう一応の計算はいたしておるわけであります。しかも、その値上げの時期がありましても、小麦と同じ十二月一日から小麦粉製品の値上げをしないで、年が変わりましてから値上げを行なうような行政指導も農林省にお願いをいたしておりますし、ことに、また学童給食用のものなどにつきましては、これは米と同じように、今年度中三月三十一日までは上げないと、こういうような措置もとっておるところでございまして、その辺の事情は御了承いただけると思います。
  150. 辻一彦

    ○辻一彦君 私も、輸入の麦の値段が上がったと、こういうことはわかります。しかし、それはあとで論議するとして、ともあれ小麦粉が上がればパンをはじめうどん、そば、めん類等に広範な影響が出る、こういうことは明らかであろうと思います。  そこで、主食の割合を見ると、パンとめん類を含めれば米に匹敵するような高い主食の率を示しておる、こういうふうに考えますが、これがこの製品が三〇%、四〇%、ずっと上がっていくということが起こり得るとすると、全体の消費者物価にはね返る影響は、言われるように簡単ではないと、かなり大きいと思いますが、この点簡単でけっこうですから、どうお考えになりますか。
  151. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私どものほうの机上の計算では、物価指数への影響は外食等への影響も含めまして、指数で言うと〇・一四%の上昇と、これもまあ年度が変わりましてからの話でございますが、また、絶対額におきまして、全世帯あるいは勤労者世帯の家計消費の中で、小麦が上がりますことによる小麦粉製品等の上昇の金額は七十三円ないし七十四円、これは月でございますが、いう程度だと、こういう机上の計算はできておるわけでございます。
  152. 辻一彦

    ○辻一彦君 私は、机の上の計算はそうはじかれたかもわからないけれども、米と並ぶ主食であるパン類、めん類がこういう形で上がるとすれば、この心理的は影響も含めて、全体の消費者物価に及ぼす影響はかなり大きくなっていくと、こういうように考えます。  そこで、その机の上の計算ならば、消費者米価の場合も同じような計算がほぼできると思うんですが、この消費者米価と国鉄の運賃、いわゆる公共料金の値上げを半年凍結をしたわけなんですね、政府は。この小麦の値上げは、私は、同じ性格を持っておるのじゃないかと思うんですよ。そういう意味において、当然消費者米価と同じように、小麦につきまして値上げを一時凍結すべきでないか、国民生活の安定のために、こう思いますが、これについてどうお考えになっているか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  153. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ、米につきまして半年繰り延べをいたしたわけでございますが、同じことは麦についても言えると思うのです。ただ、小麦のほうは、これはもうすでに実行しちゃったんです。その影響も、これが便乗値上げということにならぬように極力努力をしておるわけでありますが、とにかくもう十二月一日実行しちゃったわけで、その影響ももうすでに出ておると、こういうふうに思いますので、これを遡及してまたやり直すというわけにもいかない。あるいはこれから下げますと言いましても、それがはたてこの消費者価格の引き下げというふうになってあらわれてくるか、それも確保しがたい。そういうようなことで、これはやむを得ないと、こういうふうに考えております。
  154. 辻一彦

    ○辻一彦君 十二月一日からすでに原麦値上げをしたということは、これはまあ既成の事実ですね。しかし、やろうと思えば、まだメーカー段階にとどまっておるんですね。実際の粉になった製品が工場であらわれるのはおそらく一月からなんですから、いま手を打てば、このメーカーに対して一カ月分の原麦の補償をするとすれば、私は、一時凍結ということは十分できると思うのですね。今日のこの米とそして国鉄と、こういうものを一時凍結した同じ意味から、意義から、性格からしてですね、もう一度これをひとつ考え直して、そして一時このメーカーに補償してもこの小麦の一時凍結を行なうべきでないか、こういうように思いますが、この点重ねてお伺いいたしたいと思います。
  155. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) どうももう十二月一日に実行しちゃって、その実行の影響というものが小売り価格となってあらわれておる。こういう今日におきまして、このやり直しを元からやってみるということをいたしましても、これは私は効果はないんじゃないか、そういうふうに考えまして、ただいま小麦の売り渡し価格につきまして、この一たんきめたものを撤回して新しい低い価格をきめると、こういう考えはございませんです。
  156. 辻一彦

    ○辻一彦君 重ねて伺いますが、原麦が値上がりをしたのは、工場へ売る値段が上がっておるんですね。しかし、その製品になった小麦粉は、一カ月の間を置いて、大体十二月の末といいますか、一月の上旬から大体上げようと、こういう動きですね。だから、いま手配をすれば、製粉メーカーに対する原麦の手当てといいますか、補償、こういうことで解決ができる。もう小麦は値段も全部上げて、それが全部上がってしまったという段階であれば非常に問題はむずかしくなりますが、いまならばその点はおそくはないと思いますが、その点対策は立ちませんか。
  157. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) もうすでに影響が出尽くしているんじゃないかと、そういうふうにいま思うんです。農林省、企画庁では、この便乗値上げ、これはないようにというような趣旨でずいぶん努力をしたんですが、それにしてももう影響は出ておる。そういう際に原麦の価格の引き下げをするということになると、これはまあ利潤というような問題から見ましてもですね、これはなかなか問題も複雑になってくるんじゃないか。もう小麦につきましてはやむを得ないんだと、まあこれからきめようという米についてひとつ半年引き延ばし、そういう措置を講じようと、こういう考えにしたわけでございます。
  158. 辻一彦

    ○辻一彦君 大蔵大臣に対する質問、五十二分までで、もう二分しかないので、なかなかむずかしいんですが、しかし、いま大臣は、小麦の値上げの影響は出尽くしていると、こう言われますけど、まだ製粉工場のもとにおいて、二十五キロ一袋千五百二十円というのはそのままになっておるんですね。来年の一月の上旬からいわゆる六百三十円。一等、二等、三等、それぞれ変わりますが、値上げをするというので、これが値上げされれば、それに応じて今度家庭用の小袋も上がっていくし、それをもとにするパンも、あるいはめん類もうどんも一連のものが上がっていくということで、出尽くしているというんじゃなくして、これからですね、この影響は一月から出ようとしておるんですよ。だから、私は、一部は出ておったとしても、いま対策を打てばあと大きく出てくるこの影響を押えることができると、こういうように思いますが、この点いかがですか。
  159. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 最近の消費者物価の上がりを見ておりますと、これがコスト要因、こういう関係よりは、むしろ何かの理由づけをいたしまして、そしてコスト以上に引き上げる、こういう傾向であろうと、こういうふうに思うんです。小麦の原麦の値段が上がった、さあひとつわれわれの小売りの価格も上げなきゃならぬ、こういうふうなことで、原麦値上げというのが理由づけにはなりまするけれども、それ以上にそれに便乗して値上げを行なう、こういう傾向が非常に顕著に最近の風潮としては出てきておるんじゃあるまいか、もうすでに原麦の価格が上がりますよと、そういうようなことで、小売り商店等におきましてそういうことを織り込んだ価格改定が行なわれておるんじゃないか、そういうふうに思われるんです。そこへ原麦の値が下がりましたといえば、中間マージンといいますか、そういうものが予想以上に出てくるという問題もあるわけでありまして、これはにわかにいま十二月一日にもう引き上げを了したその価格をさらに引き下げるというようなことは、いろいろむずかしい問題をはらむのじゃあるまいか、さように考えます。
  160. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ、残念ながらこれで終わらなくちゃならぬのですが、その影響が出尽くしたというのはたいへん甘い考えで、たとえば日清製粉の工場において一等粉は千五百二十円、二十五キロ、まだこの値段で出しておるんですね。来年から六百三十円は一袋について上げざるを得ないでしょうと、二等の場合は千二百五十円が五百七十円、三等は九百四十三円が三百七十五円、四〇%、四三%上げざるを得ないでしょうと、家庭用の一袋一キロは、これは六十八円だけれども、三十円ぐらい、だから四〇数%上げなくちゃならぬのでしょうと、こう言っておるので、影響は一月からこの製粉の小麦として出て、これがさらに大きくなっていくと、こう考えざるを得ないんですが、その出尽くしたというような認識は、たいへん私は物価を見る上において甘いと思いますが、最後にそれを伺って終わります。
  161. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これからもいろいろ問題があると思います。いずれにいたしましても、便乗値上げに対しましては峻厳にこれを抑制すると、こういう方針で御質問の御趣旨にはおこたえ申し上げていきたいと、かように存じます。
  162. 小笠公韶

  163. 森中守義

    森中守義君 十分間ほど大蔵大臣にお尋ねをします。  国鉄の問題ですが、きのうの決定で、新年度からの国鉄運賃改定は、当分、六カ月ですか、凍結をすると、こういうことのようですが、けさの新聞等によれば、もうすでに凍結の時期といってもおそいんじゃないか、どういう効果があるんだというようなことがしきりに言われているんですが、どういうお考えですか。
  164. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 来年の三、四月の候はなかなか経済のむずかしい時期である。そのとき、国鉄の運賃も上がりました、あるいは米の値段も上がりましたと、こういうことでは、これはそういうむずかしい時期に適切な措置とは言えぬじゃないか、そういうので、まあ半年間一応繰り延べると、こういうふうにした次第でございます。
  165. 森中守義

    森中守義君 これは国会の審議権の問題等もあと運輸大臣に少しくたださなければいけませんけれどもね。御承知のように、佐藤内閣時代に目玉商品と言われ、しかも、二年がかりで政府自民党のほうでは異常な執念を燃やしてやってきたわけですね。私は、結果的にはその値上げを阻止する立場ですから、ちっとも異論はない。けれども手続的に、国会の審議があそこまで異常な高まりを見せながら一応落着したものを、いとも簡単に大蔵大臣の一声でこういう凍結ということがきめられるという、そういう筋の問題としてはなはだどうかと思うのですが、これはどうお考えですか。
  166. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 政府としては、そういう意図であるということを表明しておるわけなんです。これはいずれにしても、国会の承認事項である、つまり法律案の改正という問題があるのです。その御議決を経ないとこれは現実のものとはならぬ、こういうふうに考えております。
  167. 森中守義

    森中守義君 それまた当然なことです。ただ、問題はそういう意図を政府が持つことがどうかと聞いているのですよ。それは国会に施行日時の変更の法案が出ることでしょうから、それの成否によってきまるという、形式的にはそのとおりです。しかし、国会の審議ということをどう一体認識しているかという、意図と認識の問題ですがね。形式はそのとおりですよ。
  168. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 政府はこういうことを考えておる、それに基づいてこの法律案を提出したい、こういうことは幾らでもあることで、それがなければ政府としては行動が非常に制約されると思います。どこまでも国会の議決は尊重しなければならぬ、しかし、政府はこういう意図だと、こういうことは何ら支障はないことじゃないか、そういうふうに思います。
  169. 森中守義

    森中守義君 その辺のことは、いずれ法案が出された段階でもう少し問わなくちゃなりませんがね。そこで、大体大ざっぱに試算をしてみますと、凍結期間でおおむね一千億くらいの減収になるであろう、どうされますか。
  170. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これの処置をどうするか、いま非常に頭の痛いところなんです。一応ある程度はこれは資金運用部の資金をお貸しいたしましてというふうにも考えておりますけれども、何がしかこれは財政措置も講じなければならぬだろうと、明後日大蔵原案を内示するわけですが、その最終の詰めの一つの問題としてただいま検討中でございます。
  171. 森中守義

    森中守義君 これはその財源上の問題では確かにそういう一つの方法もありましょうがね。いまの国鉄の赤字の累積の状態あるいは再建計画の問題、こういうことを考えますと、財投にこれを依存するということになると、何といっても借財がふえるわけですから、かなり国鉄はきしんでくる、こういうことになるでしょうね。さて、そういうことではたして再建というものが期待できるかどうかということが第一点。  それからいま一つは、けさの新聞でしたか、新幹線も相当工事費が削減をされて二千八百億程度になって、四〇%減、こういうことなんですね。これは大蔵大臣になられる前は新幹線計画にかなり批判的な立場をとっておられたようですから、一つの見識だとは思う。しかし、国会で審議をする際に、一つの建設計画というものが出されておった。そういうものが包括をされて法案が成立をしたという経過を考えてみると、これはあれですか、締めて約七千キロですね、これを見直すという意味になるのですか。長期的に見て十カ年計画というものはくずれるという、こういう発想に立たざるを得ないのですが、そういう見解に対してはどういうお考えですか。
  172. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国鉄に限らず、道路の問題、住宅の問題、いろいろ長期計画があるわけです。その長期計画の変更ということは、こういう緊急時の際でありますので、できないのです。しかし、その長期計画の予想し得る年次計画、これを繰り延べると、こういう結果になろうと思います。
  173. 森中守義

    森中守義君 いやいや、繰り延べると言われるのは、十カ年間という所定の中で年次を繰り下げるということですか、それとも十カ年の外に出るということですか。
  174. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 一応既存の計画はそのままにしておく、しかし、四十九年度に予想される年次計画、これは繰り延べになると、ですから全体の計画はそのままにしておくと、こういう考えでございます。
  175. 森中守義

    森中守義君 それから閣議了解ということで前の国会で議論をした際に、五十一年度やはり実収一五%予定をして値上げになるんですね。そうなりますと、四十九年の九月までが凍結期間であり、十月から凍結が解除される、中一年間でまた一五%アップと、こういう実はコースになるんです。そうなると、一年をおいて一五%ですから、合わして三〇%増と、こういうことになりますね。その時点における物価をどういうふうにごらんになるか。凍結の六カ月間はよろしいとしても、解除とともに一五%アップ、一年おいて五十一年にはさらに一五%アップ、いまの政府の構想からいけばそういうことになる。ですから、来年の九月以降の物価事情と、一年おいて三〇%累増するという国鉄運賃の占める物価への寄与率というものは、どういうようにお考えになるのですか。
  176. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) とにかく、さしあたり半年間延長すると、そして私どもの考えとしては、半年間というのをどういうふうな考え方で半年としたと、こういうことなんでございますが、これはまあ財政にしても金融にしても、かなりきびしい引き締め政策をとるわけです。その影響がもう端的に出てくるであろうと、まあ半年延ばすと十月一日実施と、こういうことになりますが、そのころにはこの物価状態はかなり落ちついてまいると、そういう大体の見当のもとに半年延期と、こういうふうにしたわけなんです。その結果長期計画にどういうふうに響いていくかと、こういうことにつきましては、さらに長期計画をどうするか、いま緊急の措置でありますから、そこまでは考えておりませんけれども、今後の検討課題であると、かように御了承願います。
  177. 森中守義

    森中守義君 いや、少し私の舌足らずの点もありますが、四十九年の十月一日から新料金になる、それでいままで示された考えからいけば五十一年に実収一五%また上げるんだと、こういう決定なんですよ。そうなると、わずかに一年か一年半余りの間にまた国鉄が一五%上がれば、合わして三〇%になる。いま福田さんの言われるように、まあ来年の三月以降鎮静状態に入るであろうと、こう言われるんだが、運賃が一年おいてまた一五%ということになりますと、かなりこれは物価を陽動することになりはしませんか、物価つり上、げをね。十月一日から一五%、一年そこいらおいてまた一五%ということになれば、あまりにも値上げの時期が接近し過ぎると、そういう長期的なものに対してはどうお考えなのかと、こう聞いておる。
  178. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、かねがね経済というものは、その発展の速度、高さ、そういうものが物価、国際収支とも均衡のとれたものでなければならぬというふうに考えておるんです。そういう見地でこれからの経済政策は運営されるべきものであると、こういうふうに考えておるわけでありまして、まあ国鉄の運賃が一五%上がりました、そういうことがこの物価体系を乱ることのない、そういうふうにしたい、そういう意味から十月一日という時期を選定したと、こういうふうに御理解願いたいんです。その先の物価につきましても気をつけます。その先いって、また五十一年の値上げができないと、非常にすることがむずかしい状態だということであれば、その際また考えなければなりませんが、とにかく一応そういう長期計画につきましては、これは変更することはない、当面緊急の措置を講じたものである、こういうふうに御理解願います。
  179. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、五十一年の一五%実収値上げという考えについては、不確定要素というように受け取ってよろしいですね。そのときになってみなければわからぬ、こういうふうに理解していいんですか。
  180. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) しばしば申し上げておりますが、そういう長期的な展望を変えるという意図はありませんです。もしそういうことについてその時点になって問題が起こりますればその時点の問題である、そういうことでありまして、この長期計画はあくまでも長期計画である、こういう理解でございます。
  181. 森中守義

    森中守義君 ですから、たてまえはたてまえ、その時点になってみなければわからないという意味に受け取りますから、五十一年の一五%というものは不確定要素が強い、こういうように受け取っていいか、こう聞いている。
  182. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 長期計画は長期計画である、こういうふうに御理解をお願い申し上げます。
  183. 森中守義

    森中守義君 これは先々非常に重要な問題ですから、もう一回念を押しますが、長期計画は長期計画だということは、原則、たてまえはたてまえなんだ、そのときになってみなければわからぬ、言いかえるならば不確定要素がある、こういうふうに理解していいんですね。
  184. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) それはすべての長期計画というものにそういうことがあるんじゃないでしょうか。そういう意味において、国鉄の五カ年計画、十カ年計画、こういうもののその先々について不確定要素がある、そういうならばそのとおりでございます。私は、長期計画は変更する意図はございません、こういうことを申し上げているわけでございます。
  185. 森中守義

    森中守義君 同じことを両方とも繰り返すわけですが、たてまえはたてまえ、しかし、それはくずさない、けれども不確定要素があるという意味のことだから、五十一年の値上げというものはそのときになってみにゃわからぬ、こういうふうに理解していてよろしいですね。
  186. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ言い回しの問題かもしれませんけれども、その長期展望は、これは変えないんです。しかし、もう長期展望というものは、あるいは長期計画というものは、どの長期展望でも長期計画でも、そのときそのときの時点において多少の修正という、そういうものがあることは私は当然だと思うのです。そういう意味において、国鉄の十カ年計画につきましても、いま計画を変える考えはありません。しかし、何かその十カ年計画の遂行に支障を来たすというような事情がありますればそのときの問題だ、こういうふうに御理解願います。
  187. 森中守義

    森中守義君 これは物価問題ということと同時に、いろんな要素が出てき始めている。いま福田さんの言われるように、一千億の歳入欠陥は財投に依存するんだ、裏返して言うならば、国鉄の重みになる、新幹線計画だって七千キロをことしのような状態でいけば、これもやっぱり変えざるを得ないでしょう。一体十兆五千億でとどまるものかどうかという問題もありますからね、きわめて不確定要素が強い。だから、いやおうなしに長期計画は変えざるを得ない。物価という観点からいっても、さて、中日年おいてさらに一五%ということになると、かなりこれは物価の上昇をリードすることになりますよ。そういうことを考えれば、たてまえと実際は違うんだという言い方もあながち理解なしに進まれぬのじゃないかと思うんですね。そういう意味で、私は、不確定要素があるということを聞いているんですが、もう一回どうぞ、そういう見解を。
  188. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いま日本の経済全体として非常な転換期にあると思うんです。つまりこれからの日本経済は、これまでのような高度成長ということは、これは不可能である、また適切でもないと、こういうふうに思います。したがって、これからの先々の経済につきましては、いろいろな計画もあるんです。ありまするけれども、一応、政府としては、その計画は変えない。変えませんけれども、とにかくそういう大きな転換という問題があるわけですから、自然私は見直しをしなきゃならぬ時期というものが国の諸計画全体についてあると思うんです。そういう意味において国鉄も例外ではない。こういう意味におきましては、私は、将来不確定的な要因もあると、こういうふうな御理解をされても一向抵抗を感じません。
  189. 森中守義

    森中守義君 それで、これは最後にしますが、いま最後に言われたように、全体の長期計画の見直しというお話ですね、これはまさに私そのとおりだと思う。内田さんもおられますが、二月きめられた長期計画というものを、いやでもおうでもこれは見直しをせざるを得ないでしょう。ですから、そういうもの全体を含めて、日本経済の方向というものをいつどういう方向で再検討されるのか。ただ個々的に、個別個別の長期計画をこれをどうするこうするという議論よりも、むしろ全体を通して経済計画をどうするかというものをいつごろ再検討されるお考えですか。
  190. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いま非常な転換期である。その転換期に際しまして、非常に俗なことばで言えば、この石油問題とか、あるいは異常な物価問題という、火事でも始まっているというような様相なんです。いまその火事の火の手を消すということがこれは当面の国の大問題になってきておる。その消しとめた火事のあとの日本の国の姿がどうなるかと、そういうものを見つめないと、それから先々の日本のあるべき姿というものは、これは想定できないんじゃないか、そういうふうに思うんです。当面は、とにかくこの火事を消しとめる、これに全力を尽くす、先々のことはそう考えるいとまもない、こういうのが現状でございます。率直なところでございます。
  191. 森中守義

    森中守義君 それで、当面の対策ということでは異論はありませんが、しかし、それだけに、いま日本の全体が非常に空転しているわけですから、いつ見通しを政府が持つのか、日本経済の将来にどういう時点で定見を確立するのか。これは一日も早いほうがいいですよ。さっきからいろいろお話があったけれども、政府の計画はごろごろ変わってくるわけだから、何を信用していいかわからぬというのが率直に言って今日の物価を中心にした経済の状態じゃないですか。早く見通しをお立てになることを特にお願いいたしまして、時間がきましたから、一応私の質問を終わります。
  192. 小笠公韶

  193. 中村利次

    中村利次君 大蔵省では、六兆円にのぼると言われるボーナスの吸収策として定期預金の一%金利上積み、あるいはまた消費の抑制策としてプレミアム付の預金制度をとろうとなさっておるということが伝えられているわけですが、これは総需要の抑制という意味でこういうことをお考えになっておると思うんですけれども、事実かどうか。とすれば、具体的には大体どういう構想をお持ちなのか、お聞かせ願いたい。
  194. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、いま当面のこの物価情勢というのを非常に心配しておるんです。こういう状態が長続きしたら一体どういう日本国になるんだろうと、こういうことで、どういうふうにこの問題に対処するか、これは苦慮しておるわけですが、結局、需給のバランスをとるほかはない。ところが供給力、これはいま物価状態から見ましても、あるいは資源の、特に石油の点から見ましても、これは不可能です。そこで総需要のほうを抑制するほかはない、そういう基本的な考え方に立っておるわけです。総需要とは一体何だといいますれば、国民生活、消費である。それから政府の財政需要である。また民間の設備投資需要である。こういうふうになるわけですが、いま、予算の編成を通じまして、その財政需要につきましては思い切った抑制をいたしたい、こういうふうに考えておるのです。  たとえば、物価に一番関係のある公共事業なんかにつきましては、その規模から見ますると、四十七年度ぐらいの水準、そこの辺まで持っていきたい、これはかなりの圧縮になるわけなんです。それから金融政策を通じまして民間の設備投資に対しましてもかなりの圧力をかけ、また、さらにこれを強化しようと、こういう考えです。そうすると、財政需要、民間需要というものがかなり鎮静してきます。そうすると、もう一つ残された最大の国民消費はどうだ、こういう問題ですが、これの抑制方法につきましては、あるいは賃金問題に波及する所得政策というような考え方もありまするけれども、私は、そこまではとにかくいかせたくない。国民の御協力のもとにこの事態を解決する、そういう方向で臨みたいという考えでありまして、そのためには何よりも物価が先々おさまるという実感を国民に持っていただかなければならぬだろう。そのためには、政府がほんとうに今度目の色を変えたぞ、これじゃもう物価は先々低くなるにきまっているというような感じを国民に実感として持っていただかなければならぬ。その実感をいま持っていただくように努力しているのですが、これがかなり国民の消費態度あるいは企業の行動態度、そういうものにはね返ってくるんじゃないか、そこで総需要というものがずっと沈んで、そしてバランスもとれ、なお供給過剰というようなことになればなおいいんでございまするが、そういう状態になって、私は、その遠くない時期に、そう時間もかけずにそういう体制を実現をしたい、そういう考え方なんです。  そういう中におきまして、貯蓄というものが非常に大事な使命を果たすわけで、暮れのボーナスにつきましてもいろいろくふうをしておる。これは御承知のとおりと思いますが、なお私は、これは臨時異例のこととして考えたいと思うのですが、国民の皆さんから御希望があるんです。割り増し金付の貯蓄ということを考えられないかということでございます。私は、国民の中にいろいろ議論のあるこの問題でございまするけれども、臨時緊急の措置だというような考え方として割り増し金付貯蓄ということをやってみたらどうかなと、こういうふうに考えまして、いまその具体案をどうするかということを事務当局で検討いたしておる最中なんです。固まりますれば国会法律案として御審議をお願いしなければならぬ、そういう段階でございます。
  195. 中村利次

    中村利次君 総需要の抑制策については、いろいろこれはやはり議論のあるところでありましょうけれども、やはり行政府は行政府としてのやるべきことがございましょう。いまお伺いをしたところでは、やはり緊急の事態として総需要の抑制をやり、あるいは貯蓄もたいへんに大事である、こういう御答弁でございました。また、公定歩合も、これは質問に対して大蔵大臣は、日銀の所管であるからというお答えで、具体的なお答えはなかったようでありますけれども、しかし、これはやはり金融政策として、政府は、これが日銀のなわ張りであるということで、全くわれ関せずえんという立場はお取りになれないと思いますが、とにかく昭和三十年以来の公定歩合の高水準になって高金利時代を迎えているわけでありますが、大体今度の公定歩合の改定で九%程度になるということが言われておりますが、これは大体そういうぐあいに受け取ってよろしいですか。
  196. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 総需要抑制という見地から見ますと、やっぱり財政と金融は車の両輪だと思うんです。ですから、財政面ではかなりのことをします。それに対して金融面もこれに同調すべきであると、これは中村さんのお話のとおりでございます。そこで、政府が財政では非常な抑制政策をとるという以上、日本銀行その他金融機関におきましても同じ歩調で金融政策のかじとりを進めると、これはもう当然のことだと思います。ただ、その方法論として、公定歩合をどうするんだとか、一般の金利をどうするんだとかということになりますと、特に公定歩合につきましては、これは日本銀行の専管事項でありますので、私がとやかく言いますことは慎みたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  197. 中村利次

    中村利次君 政策としての大蔵大臣のお考えをお聞きしたがったんですけれども、これはまあやむを得ないでしょう。預金もたいへんに大事であるということ、私は、そのとおりであると思う。  ところで、高金利時代を迎えて、大体公定歩合では米、仏、英、西独等の大体中間ぐらいに位置するんではないかと思いますけれども、預金金利のほうは、これは比較にならないぐらいですね。本会議あるいは予算委員会の大蔵大臣の御答弁によりますと、預金金利を、こういう異常事態で預金を吸収する手法として、大幅に引き上げた場合には、これは貸し出し金利の問題もあるんだから、なかなかそうはいかないんだという御答弁でありましたけれども、しかし、たとえば三カ月ものの預金金利を例にとってみても、英国の場合には、日本の三・六倍強というぐらいですね、たいへんに高金利の政策をとっておる。一番低いアメリカでも日本の四・二五%の約二・三倍程度の金利ですね。ですから、総需要を抑制し、預金を吸収をしたいということであり、そのことがたいへん大事だということになれば、諸外国の例をとるまでもなく、やっぱりこの預金金利そのものについても十分検討される、あるいは見直されるという必要があるんではないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょう。
  198. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私も非常に熱心に貯蓄の問題を考えておるんです。そういう立場から考えますと、預貯金の金利をもう少し上げるということができないかということも考えるわけでございますが、たまたま先ほどお話のような公定歩合の論議なんかもあるわけです。これはまだどういうふうになるのか、私もさだかには承知しておりませんけれども、もし公定歩合の引き上げがあると、そういうようなことになりますれば、これと関連を持ちながら預貯金金利の引き上げというものもやってみたいと、こういう考えでございます。
  199. 中村利次

    中村利次君 こういうやはり欧米諸国の実態等も勘案をして相当大幅な引き上げに踏み切る、そういう検討をされると受け取ってよろしいですか。
  200. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いま中村さんが数字でおっしゃいましたが、それほどの開きは欧米と日本との間にはないわけなんです。しかし、日本のほうが預貯金金利の水準が低いというようなことはあります。ありますが、そういうことを考え、その諸外国とわが国との金利水準の乖離ということを考えながら預貯金金利の引き上げをやる、そういう考えは持っておりませんです。あくまでも公定歩合の変化に連動しといいますか、関連を持たせながら預貯金金利の改定を行なう。これはどういう意味かといいますと、預貯金金利は上げてみたいのです。ことにこういう異常物価の際でございまするから、そうはしたいのですけれども、やはり預貯金金利の引き上げをしますれば貸し出しのほうの金利負担と、そういうことになるわけです。そういうことになりますれば、これは産業のコストに影響してくると、こういうことになり、物価問題から見ましてかなりこれは重大な問題になってくるわけなんです。ですから、私は、まあそう時間をかけない、もう非常にすみやかなる機会というか、時期をねらって物価の引き下げ、これに全力を尽くすと、これが正道である、オーソドックスな行き方でありまするけれども、そういう行き方をとることがむしろ健全であると、こういうふうに考えております。
  201. 中村利次

    中村利次君 これは外国の比較を出しますのも、石油危機で日本は非常に重大なこれは危機を迎えているわけですね。時間もありませんけれども、これは後ほどいろいろ関係大臣に聞いてみたいと思うのですけれども、英国では週休四日制にするとかしないとか、アメリカでは需要量のたった一〇%にすぎない、輸入は。たいへんな強力な政策、対策を打ち出しています。日本の場合には、外国人が日本に来てびっくりするくらい何かのんびりムードである。すべてがそれで通れば非常にけっこうですけれども、やはり日本丸のかじとりをおやりになる責任のある立場からいいますと、やはり外国でできることがなぜ日本にできないのか。それは日本人なんというものが優秀だか劣等だか知りませんけれども、これはひとつ外国の事情等も十分勘案をされて積極的な思い切った御検討をぜひお願いをしておきたいと思うのです。  時間がなくなってしまいますので……。原油高は、世界の石油専門家が想定をしたよりもはるかに早く、はるかに高く、中東戦争で石油が戦略目的に使われたということがこれはもう直接のきっかけなり原因になったことは間違いございますまいけれども、私は、これはやはり日本の外交あるいは商社活動、そういうものもあわせて的確であったかどうか。たとえばイランは関係ありませんよといってイランの石油の競争入札に日本が——これは政府は関係ないとおっしゃっても、入って、十何ドル何十セントという、そういう競争入札の仲間に入った。そういうのは、何といったってこれは原油高の原因をつくることは間違いない。政府が行政指導でそういうもののやはり正常な商行為のあり方の指導ができなかったのかどうか。これはまあ大蔵大臣にはよけいなことかもしれませんが、そういうことから考えますと、原油が十ドル、十五ドルあるいはそれ以上という、これはもう中期——長期の見通しじゃなくて、中期の見通しとしても、そういうことが考えられる。その場合、量と価格の問題があると思いますが、これは総需要を幾ら押え、あるいは省エネルギー型産業構造に転換を果たし得たと仮定しましても、たとえば数年先に三億キロリッターの、中東戦争がおさまって原油輸入をやるということになれば、十五ドルあるいはそれ以上の原油価格であるとすると、それに要する外貨は幾らであるか、こういうことを考えますと、私は、これは寒けがする思いがするんですよ。そういう意味で、国際収支の中期、長期に対する見通し及びその対策、これだけお伺いをして私の質問を終わります。
  202. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まさに国際収支は非常に重大な局面に到達していると、私も中村さんと全く同しような思いでございます。ことに、いま御指摘のように、油の値段がだんだんこれは国際的に上がってくる傾向がある。これはいま、来年あたりは二億六千五百万トンぐらいは輸入があるだろうといいますが、これはその量で、一ドル違いますと十六億ドルというくらいに相当するわけです。それだけわが国の国際収支の負担がふえてくる、こういうことで、これはゆゆしい事態なんです。  そういうことを考えますと、わが国としては、この二、三年は国際収支の天井が高いというので、このことをあまり考えないで経済の運営なんかできたんでございまするけれども、そういう時期はもう終わったと。やはり国際収支というものを考えながら経済のかじとりをしなければならぬ。そういう立場からいうと、どうしてもいままでの高い成長というものはもうできません、これは。どうしても国内で消費する資源というもの、これを押えなければならぬ。つまり輸入量をそれだけ減らしていくという考え方をとらなければならぬ。同時に、国内では、まあなかなか、高成長じゃありませんから、商品なんかできましてもさばけない。そこで海外に売ると、こういうようなことになる。やっぱり非常に高い成長体制を国際水準ぐらいを目安に置いた低目の成長ですね、そこへもう徹底的に切りかえる必要に迫られておると、こういうふうに思うのです。それに成功いたしますれば、私は、油が多少高くなるというような事態がありましても、これはわが日本に対する油の供給だけが高くなるわけじゃないんで、世界じゅうに対するその売り値が高くなるわけですから、わが国の商品が多少影響を受けまして高くなりましても、輸出競争力という点になりますると、そうマイナスにはならぬというふうに考えておりますので、活発な高い成長、そういうものから適正な低目の成長という経済体制に移りますれば、私は、国際収支のほうは心配なく切り抜けられると、こういうふうに考えております。
  203. 小笠公韶

  204. 加瀬完

    加瀬完君 午前中、大蔵政務次官から、大蔵省は現在物価を引き下げることに努力を集中していると、こういう御発言がありました。これはそのとおり受け取ってよろしゅうございますね。
  205. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) そのとおりでございます。
  206. 加瀬完

    加瀬完君 しかし、経済企画庁長官は、物価上昇を食いとめると、先取り値上げ、便乗値上げを押えることだと、こういう御発言がございました。必ずしも内容が一致しているとは思われませんが、政府の見解はどちらですか。
  207. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) それは、一つのものの両面からの見方だと私は思いますが、いま毎月私どもがほんとうに悩んでおります消費者物価なり卸売り物価の上昇の傾向を見まするときに、その上昇をどう引き下げるということばは言えましても、絶対金額を引き下げるということは、なかなかこれ、あり得ない場合もございますので、そういうその物価の上昇を食いとめる、上昇率を引き下げると、こういう意味に御理解をいただければ矛盾はないと思います。
  208. 加瀬完

    加瀬完君 上昇率を引き下げるということと現状の物価を引き下げるということは、内容が違いますよ。  伺いたいのは、いまの御説明のとおりですと、物価高を固定するというような形にならざるを得ない。国民がいま要望しておりますのは、買い占め心理を解消をして、ほんとうに物価を下げてもらいたいということが要望なんですよ。大蔵大臣の御説明はそのように受け取れますけれども、ただいまの経済企画庁長官の御説明はそうは受け取れません。  そこで、具体的に伺いますがね。不当価格であればこれを値下げさせる、そういう内容がただいま提案されている法案の中にありますか。
  209. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 直接のことばとしてはございませんが、標準価格をつくります際に、私がしばしば申し上げておりますように、先取り価格的なもの、便乗価格的な要素があるものは、それはそのまま認めない。それはその要素を摘除して、そして適正価格で、納得のできる価格で標準価格をきめるつもりでございます。そういうことから申しますと、現実に行なわれている悪乗りの便乗価格というものは標準価格をつくります際に引き下げると、こういうことは条文の解釈としてもあり得ると思います。
  210. 加瀬完

    加瀬完君 それはあなたの解釈でそうしているだけで、じゃ、具体的にあの条文の中に、不当価格であれば不当価格は引き下げさせる、こういう命令権か何か持ったそういう条項や内容がございますか。
  211. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 標準価格あるいは特定標準価格以上で売った場合にはそれは引き下げさせると、そういう指示をすると書いてございますが、その標準価格、特定標準価格というようなものは、加瀬さんが御指摘なさるような先取り、悪乗りの価格で業者が販売をしている場合には、それは標準価格を引き下げますので、同じことになろうかと思います。
  212. 加瀬完

    加瀬完君 それではそういう値下げ命令をする機関というものがございますか。
  213. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 標準価格を公示しました場合に、標準価格以上で売っております場合には、それの標準価格までの引き下げを指示し、あるいは監視するのは、中央官庁の職員のみならず、今度の法律では地方公共団体の職員にもそれを委任すると、こういうことになりまするので、それが引き下げ指示、標準価格以上の現実の販売価格の引き下げ指示あるいは監視の機関になると思います。
  214. 加瀬完

    加瀬完君 監視機関あるいは指示機関というものができても、それで不当な価格が引き下げられると、こういう保証はどこにもないわけですね。どこにもございませんね。だから、なぜ公取なら公取というものに、公取の内容を法改正してそういう権限というものを与えて、不当価格であれば公取の指示に従って引き下げなければならないし、引き下げさせる権利、こういうものを公取なら公取に与えないか、そういう法改正をあわせて加えなければ、おっしゃっているようなことは、実効はさっぱりあらわれてこないとこう考えますが、違いますか。
  215. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これもしばしば委員会で問題になっておるんでありますが、独禁法は公正取引委員会がそのカルテル結成を排除する機能を持っておる、必要ある場合には告発もすると。しかし、その場合、公取委員長説明によりますと、カルテルを解かせても、そのカルテルででき上がった価格の引き下げ指示が公取委員会というものはできないんだという解釈になっておるので、そのカルテルを排除した場合には引き下げの指示もできるように改正を研究しているということでございます。公取は政府の外にありますから、私は干渉しませんが、期待を持って注視をしておるということを申し上げておきます。
  216. 加瀬完

    加瀬完君 大蔵大臣質問をする時間でありますので、あとでお伺いしますので、もとへ返して大蔵大臣に伺いますが、法改正すれば公取はそういう権限を持つことができるわけですね。それで、大蔵大臣は先ほどから、物価を引き下げることに努力を集中しているとおっしゃるわけですけれども、この安定法の内容では、値上がりしたものをとめることは可能であっても、値上がりしたものをぐんと落とすということには効力をさっぱり持たないわけですね。どうして公取なら公取、その他の機関ならその他の機関に、こういう権限を持たせるような法改正をあわせてしなかったのか。ちょっとしり抜けの感じがしますが、この点は、財政担当の大蔵大臣としていかがですか。
  217. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、物価値上がりする傾向にあるのをそれを引き下げると、まあ正確に言えば物価を安定させると、こういうことを財政対策の主軸としておると、こういうことを申し上げておるんです。しかし、いま思惑相場といいますか、かなりコストの水準を離れた価格設定がされておるという向きも、私どもも一国民といたしまして、ずいぶん目につくわけでございます。そういうものに対しまして、いま企画庁長官から標準価格を設定すると、そういう道を通じまして何とかできるのじゃあるまいかと、こういうふうに申し上げておるわけでありまして、私も切にそういうふうになることを期待しております。
  218. 加瀬完

    加瀬完君 説明を伺ってまいりますと、両者の御意見は一致しておりますね。その一致は、結局、不当価格が設定されておる、それを引きおろすだけのそういう法的効果というものは何にも現状の法案の中にはない、こういう御説明にもなるわけですね。なぜ、公取なりに法改正をしてそういう権限を持たせるという方向をおとりにならなかったのですか。
  219. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これもたびたび申しておりますが、この法律は、個別物資対策として、著しく物価が上昇するものをとめさせるということを第一義的に考えておりますが、加瀬さんも御承知のように、総需要抑制対策というものを財政金融面で非常にきつくいたそうと思います。そうなりますと、この法律とは違って、需要抑制という面から、たとえば生産資材の価格等が下がることを私は現実には期待をいたしております。  それから、公取の問題につきましては、先ほど申し述べたとおり、公取は国家行政組織法によってできておりませんし、公取は独禁法の中に書いてある機関でございますから、逆の改正に私どもが干渉することもよくない。そういう見地からも、公取の独禁研における作業を私は評価しつつ注視をいたしておると、こういうことでございます。
  220. 加瀬完

    加瀬完君 政府がほんとうに物価を下げようと思えば公取を使う以外にいまの法律の体系の中ではないわけだ。あなたの御説明のようですと、この法案物価を値下げするという法体系の中には入らない。国民が要望しておりますのは、生活安定法案ですから、思惑買いや買い占めなんかをしなくてもいいような、そういう政治条件なり、経済条件なりをつくってもらいたいということが希望なんです。その希望の一番のポイントは、不当な値段は法律で引きおろさせますよと、こういう効果が一番国民の希望しているところですよ。それはどんなに御説明になっても御説明の中には出てこない。しかも、政府で立案するわけですから、政府で立案の基礎を考えるわけですから、公取は公取です、政府は公取には干渉しませんということで御説明にはなりません。  時間がきましたから、このまま大蔵大臣に伺いましょう。じゃ、しり抜けになった場合はどうしてこれをとめますか。
  221. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、いま御設例のような場合には、標準価格の設定ということで対処できるんじゃないか、そういうふうな見解でございます。
  222. 加瀬完

    加瀬完君 標準価格といいますものは、国民の希望している価格にはなりませんよ。業者と相談してきめるということですからね。現状の値段を固定させるだけで、現状の値段を引きおろす効果には一つもならない。これは御専門のあなた方に御説明する必要はない。時間がきましたから、この問題はあしたもう少しやります。私としては納得できません。
  223. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) これにて大蔵大臣に対する質疑は終了することといたします。  それでは、これよりただいま質疑を残されました方々から順次質疑をお願いいたします。辻君。
  224. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ、非常に質問が中途はんぱになって、この重要な時期にたいへん私たちも残念に思います。やむを得ないから継続をいたしたいと思います。  さっき大蔵大臣答弁を聞いておりますと、たとえばもう原麦が上がれば、まだ小麦粉は工場においては上がっていないんだ、これから影響が出る、そう考えるべきであるのに、すでにそういう影響は出尽くしたと、こういうような発言をされておりますが、これは非常に甘い見方でないか。一月に現実に工場の小麦粉が値上げになれば、これが波及的に食品に及んでいくということは明らかでないかと思いますが、この点、内田長官の見解をお伺いいたします。
  225. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 多少大蔵大臣の誤解と申しますか、御説明の不足があったようにも私は聞いておりました。原麦は十二月一日から上げられましたけれども、その原麦を原料とする製品については、農林省の行政指導で一月以降ということになってあるはずでございますし、おおむねそれは守られておると思いますので、その限りにおいては。したがって、今後一月以降のことを私どもは心配をいたしている点がいろいろございます。
  226. 辻一彦

    ○辻一彦君 一国の財政をあずかってもらう大蔵大臣が、重要な国民の主食の実際の値上がりが来年から具体的にあるんだということについて認識を十分持っておってもらわないということは、私はたいへん残念に思う。この点はひとつ長官からよく伝えてもらいたいと思います。そういう甘い感覚では、なかなかこの物価対策は本物になっていかないと、こう思いますから、しっかりがんばっていただきたい。  そこで、すでにまあ時間的に、農産物の資材の確保、農用生産の資材確保の問題について触れたいので、この問題はこれで切り上げて、通産大臣に二、三点伺いたいと思います。  一つは、農林漁業生産のために石油をどうしても必要とすると、こういうことはもう言うまでもないことですが、優先確保ということが農林漁業用の石油について言われておりますが、具体的には一体どういうことを意味しておるのか、簡潔に御答弁をお願いしたい。
  227. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 具体的にとった処置を申し上げますと、農林水産燃料確保を優先的に取り扱うために、今月六日、石連、全石商の支部長会議を開催して、この旨を特に指示してあります。そして十二月の緊急対策としては、石連農林部会と農業関係の中央会及び全農、それから石連水産部会と大日本水産会の間で具体的に対策を進めております。農林省との間では優先需要の部門の確定、数量、供給システム等を十二月、一月以降についていま詰めております。数量の中の一部については、農林省、運輸省関係両方でダブっている点もありまして、まだ確定してみない点もあります。あっせん所は、先ほど申し上げましたように、月曜以来三日の間に千九百四件東京通産局管内だけでもすでにあっせんしておりまして、その中ではビニールハウス等の農林関係物資が圧倒的に多い情勢であります。
  228. 辻一彦

    ○辻一彦君 いまあっせん所の問題が出ましたが、その中で、石油製品のあっせん所が各県につくられておりますね。これについて中小企業庁の指導課が優先順位を指示しているように思いますが、あの項目の一から七までずっと並んでおりますが、これは一体優先の順位としてはどういうように考えておられるか、この点いかがでしょうか。
  229. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) あっせん所につきましては、十七日から各府県にこれを設置いたしまして、生産段階の人間と販売段階の人間と所長とが構成いたしまして、当然のことでございますが、われわれが監督しつついま進めておるわけでございますが、そのあっせん項目の中の優先の問題につきましては、先般、十一月十六日にきまりました閣議決定に基づきまして、農林、水産等も当然入っておるわけでございますが、その他病院、公共事業等も含まっておりますので、その辺を例示としてあげまして、重点的にそこに手配するようにということを指示しておるわけでございます。
  230. 辻一彦

    ○辻一彦君 項目がずっとあがっておりますが、これが競合する場合が当然出てくるんですが、その場合にその優先順位を具体的にはどういうふうにしてきめますか。
  231. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 一応各府県のあっせん料もきまっておりますので、申請がございましたところで、これが中には転売等を行なう、簡単に言うと、悪い申し出もございますので、これを県及び市町村、それから中小企業の団体中央会、商工会議所、商工会等の証明をもって証明いたしていただきまして行なうわけでございます。一応受け付けまして、いまそこに書いてあるようなものにつきましては、特別その中でまた優先度をつけるということは実際問題として無理ではないかと思いますので、その範囲内で行なっておりますが、現時点で、先ほど大臣からも申し上げましたように、東京通産局管内が千九百件、名古屋が千五百、大阪が二千と、三日間で相当程度のあっせん申し込みが出ておりますが、きょうの情報を入れますと、相当また申し込みの件数がふえておるそうでございます。非常に多いのが農業関係、それからふろ屋関係が非常に多いと、この聞いております。
  232. 辻一彦

    ○辻一彦君 通産大臣にお伺いしますが、各県の石油あっせん所ですね、これに協議会がつくられてメンバーが構成されておりますが、いま農業団体のほうでは、石油販売業者の代表として農協の経済連代表を加えるべきでないかと、こういう声が非常に強く出ておりますが、この点についてどう考えておられるか。
  233. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大体通産局とそれから県の関係の者が中へ入っておりまして、そして県の者の意見をよく聞いてやっておりまして、病院関係もあれば、輸送関係もあれば、農業関係もあるわけで、全部網羅すると相当な人数になってごったがえすような情勢でもありますので、わりあいに小人数でやっておりますが、情勢によって、さばき切れないというようなことになれば、農協関係に協力を求めて、お手伝いかたがた御参考の意見をいろいろ聞いて協力願うということも考えていいと思います。
  234. 辻一彦

    ○辻一彦君 具体的な事実として、たとえば愛知の経済連から県のほうに、入れてもらいたいと、こういう要請があったのをこれは入れられないという答えが出ている。それから石川県でも、県の商工部では、全国的に例がないから困ると。長崎県でも同じ回答が行なわれておりますが、こういう回答が出ているということは、通産省としてこういうような指導をしているのじゃないかということが一つと、それから十二月の十三日に衆議院の農林水産における渡辺政務次官の答弁において、経済連、ホクレン等は石油販売業者の代表として当然入れるべきであると、こういう答弁をいたしておりますが、この間の食い違いはどうなのか、この二点についてお伺いいたします。
  235. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 先ほど大臣から答弁がありましたように、われわれのほうは、指導でそういうことをやっておるわけじゃございませんけれども、何ぶんにも制度の発足の最初でございまして、どういうあっせんの申し込みが来るのかわからない点もございましたし、それから対象が公共部門、交通関係、農業、その他非常に数が多い、病院等も入っておりますので、これを一々全部で構成いたしますと、むしろ事務の能率化の観点からも問題があろうかという観点も含めまして、一応コンパクトな構成で機敏に動けるようにということで発足いたしたわけでございます。大体数日間のこれからの動きも参考にいたしまして、各府県ごとの実態に応じまして一番いいかつこうをとるのがいいんじゃないかと考えております。
  236. 辻一彦

    ○辻一彦君 農林政務次官との答弁の若干の食い違いを感じますが、この点いかがですか。
  237. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 私、詳細明確にわからないで恐縮でございますが、おそらく農協が販売部門としての活動をしておる場合ということの意味だと思いますが、私の感じでは、そういうことで非常に明確に販売段階ということでございますれば、しかも、それが非常なウエートを占めて重要なファンクションを営んでおるということでございますれば、それは当然入ってよろしいんじゃないかと、なお実態を個別に具体的に検討いたしまして、先生のお考えのような方向で考えたいと思っております。
  238. 辻一彦

    ○辻一彦君 単位の農協の段階では、農村の使う油の半分を農協がやっぱり預っているという事実がありますから、これをひとつ頭に入れて考えていただきたいと思います。  そこで、次にハイオクタン燃料の確保についてお伺いいたしたい。これは御存じのとおり、数年前からこの始動性が非常にいいと、ガソリンの税金の問題もありますが、こういう点から灯油とガソリンをまぜた特殊燃料を石油メーカーが農機具メーカーと結んで開発をして、この油に合うところのエンジンを農機具メーカーがどんどんつくって、今日四十一年から四十八年まで五十七万四千六百台が生産されて、事実五十万台が動いている。ところが大手石油メーカーは、今日の状況の中でこのような特殊燃料をつくることはこれからむずかしいということで、その燃料の確保が非常に危ぶまれている。五十万台のエンジンが必要な燃料といいますか、このエンジンに合う燃料が入らぬとすれば、非常に春先の春耕、これからの作業に大きい影響が出ると思いますが、このハイオクタン燃料を大体年額十五万キロリットル、春作に四割ぐらい必要と言われますが、これを確保する見通しがあるかどうか、この点いかがですか。
  239. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 農業機械用の特殊油の問題でございますが、これはいま先生の御指摘のとおり、灯油を主体としまして、これに工業用ガソリンを混合したものでございます。非常に始動性のいい油ということで農業用に使われまして、一番最初は御存じの耕うん機に使われておりますが、最近はコンバインに使われておるものもございます。これはなかなか統計分類上正確な数字がつかみにくい点もありますけれども、いま御指摘のとおり、大体十五万または十万とか言われておりますが、何ぶんにも農業用の重要な油でございます。エンジン用油でございますので、家庭用灯油の生産とのバランス等も見なきゃいかぬわけでございますが、今後、農林御当局とも相談しまして、いろんな具体的なまぜ合わせの技術等もあるかと思いますけれども、所要の適正なる油の何らかのかっこうでの確保につきまして、われわれとしては、優先的に配慮申し上げたいと思うわけであります。
  240. 辻一彦

    ○辻一彦君 これは石油メーカーにも責任があると思うんですよ。というのは、石油があったときには、やはりその石油が売れるようにと、こういうことで農機具メーカーと結んで六社が新しいこういう特殊燃料を開発をして、それに合うエンジンをつくらして、そして五十万台も動いておるんですから、これが手当てがつかなかったら、ほかの軽油を使えばエンジンが焼けつくと、こういう問題がありますから、いまの御答弁のとおり、きちっと対処願いたいと思います。  それから、時間がたいへん限られておるんですが、運輸大臣にお伺いしますが、青果物の輸送、魚や水産物の長距離輸送、こういうものが——前回、十四日の予算委の関連でも私ちょっと御質問したんですが、片道しか油が入らないということで、なかなか持っていけないということが起き、年末に非常に懸念されておりますが、手は打たれておると思いますが、その後具体的にかなり前進した対策が立っているかどうか、この点いかがですか。
  241. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 年末の生活必需品、野菜、生鮮食料品、それから魚等の輸送につきましては、いろいろ御指摘のような問題を起こしてまいっております。しかし、この問題は、もう緊急必要なものでございますから、通産省にお願いしまして、いま二十四時間の、あるいは夜間、日曜日のスタンドの開設と申しますか、そういうことをお願いしまして、漸次その問題も解消しつつございます。まだしかし完ぺきなものではございませんし、この確保につきましては、いま私のほうからも各方面に特段のお願いもし、またやっている最中でございます。  それから、その中でも特に緊急なものが出てこようと思います。そういう緊急輸送につきましては、農林省とよく御相談いたしまして、荷主が、どこからどこまで、どういうふうなものを送ってくれということにつきましては、いまいつでも受けられる体制をとりつつ、トラックも千三百台を確保といいますか、遊んでいるわけじゃございませんけれども、いつでも動員できる体制を持っております。  なお、石油の給油でございますが、これは全国で大約三百八十カ所ぐらいに、そういう終日あるいは日曜、土曜の開設をやってもらえばいくんじゃないかということで、この点につきましても、通産省にいまお願いもし、いま前進をはかっておるところでございます。
  242. 辻一彦

    ○辻一彦君 こまかい点をお伺いしたい点もありますが、それはまたあとで運輸関係は御質問あると思いますから、これをおいて、農林大臣に三点ほどまとめて生産資材の確保の点について伺いたいと思います。  一つは、これはよく出ておりますが、沿岸漁業はもちろんですが、遠洋に船を出している遠洋漁業で燃料が十分手配ができずに非常に困っていると、こういう状態が出ておりますが、これについての十分な対策が立てられておるかどうか。  それから二つ目は、農林省は、構造改善等で施設園芸というのをずいぶん力を入れて、そしていま進めてまいりましたですね。かなり大きな施設園芸の団地が各地につくられておりますが、これに対する暖房用の燃料というものが非常に危ぶまれておる。特に、ことしは二割ぐらい施設園芸の面積が事実としてふえている。そうしますと、昨年の実績がないわけですね、新しい施設園芸でありますから。そういう場合に、昨年の実績がなくても、このような重油等のいわゆる施設園芸暖房用燃料が確保できる見通しがあるのかどうか。  それから三つ目は、同様の問題がこのブロイラー養鶏等にも見られますが、これももう保温を始めて、入ってしまえば途中で油がないから温度を下げるということではできないわけでありますから、これらのブロイラー養鶏等の対策も立てているかどうか。  もう一つは、油ではありませんが、高圧ポリエチレンの資材ですが、施設園芸並びに、東北、北海道、北陸のような東日本においてはいま水稲の苗代にこのポリエチレンのフィルムは欠くべからざる材料であって、これが入手が十分でないと、こういう声があり、非常に農民の中に不安を与えておる。これが十分入手できないとすると、東日本の米作、育苗に、水稲の苗代に大きい影響を与えると思いますが、これらについての対策が十分立てられているか。  この四点について農林大臣に伺いたいと思います。
  243. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 遠洋漁業につきましてお尋ねがございましたが、これは漁業はもちろん国民生活に最も関係の深いものでございますが、御存じのように、全世界にまたがって活動しておりますので、場合によっては、行った先で帰りの油に支障を生ずるというふうなものもございます。そこで、そういうことにつきましては、私どものほうで十分な手当てをするために、いま常にどういう船がどういう地域におるかということは全部把握しておりますので、一々そういう情報をとりまして、それについてのそれぞれの手当てをいたしておりますし、また、遠洋漁業の業界におきましては、石油連盟等もそういうことについて自主的にもやっておるようでありますが、そういう状況をこちらは把握いたしまして、もし途中で帰る油がなくて緊急に困っておるようなものにつきましては、洋上補給という施策もやっておりますし、ことにマグロ漁業のような集中的に一カ所に集まって油がないというふうなところでは、用船をいたしまして洋上補給を自主的にやっておる組合もございますが、万遺憾なきよういたしたいと思っております。  それからハウス園芸でありますが、これはすでに農林省から通産省に申し出まして御協議を願っておりますのには、従来の既設のものはもちろん入っておりますが、新設のものも、私どものほうで情報を知っておりますので、それをも含めて通産省と折衝をいたし、その確保に努力をいたしておる次第であります。  それから塩化ビニールの製品につきましては、これは各方面の用途が非常に広いものでありますので、私どもといたしまして、農林関係用に大体いまのところ八割は十分確保いたしておりますが、なお他の約二割分につきましては、極力これを確保するように援助をいたしておる次第であります。
  244. 辻一彦

    ○辻一彦君 ブロイラー燃料は。
  245. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 通産省と折衝いたしております中に全体の農林用のものも含めておりますので、当然そういうものも計画の中に入れておるわけであります。
  246. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ、だいぶあぶないような御答弁もありましたが、これはひとつしっかり調べてぜひ対策を早く立ててもらいたい、こういうように思います。  最後に一つ、通産大臣に伺いますが、肥料生産が電力の不足の中でやはりいろいろと懸念されることもあり得ると思いますが、電力優先の場合ですね、肥料の生産ではどうか。特に十二月の十二日「日経」で、電力制限規則の中で第何種に入れるかということがかなり出て問題になっておりますが、この困難な場合に、肥料生産の電力は一体規制としては第何種に入れる考えであるか、この点を伺いたいと思います。
  247. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 電力の分類といいますか、いま先生の御指摘のものはまだ決定いたしておりませんで、現在関係各省、内閣全体の問題として詰めておる段階でございます。ただ、私の感じでございますけれども、肥料というのは農業の基礎をなすものでございます。優先度の高いものであろうと私は思います、当然のことだと思いますから。ただ、一方、肥料生産というのは非常に電力を食う産業でございますので、こういう情勢の中で優先の配慮の問題とまた別に、企業といたしましても、当然むだ使いはしておらないと思いますけれども、使用の合理化ということにつきましては、事務所の電力等も含まっておりますので、そういうことを含めまして一そうの使用の合理化にはつとめていただかなきゃいかぬのじゃないかと思うわけでございます。
  248. 辻一彦

    ○辻一彦君 具体的に少し伺いたいこともありますが、時間が終わっておりますから、これでとめたいと思います。  いま農村では石油危機を中心に生産手段に対する不安がやはり非常に多い。どうしても国民生活の基本というものが食糧の生産にありますので、農民に不安を与えないように最大の努力を政府各間でして、ぜひ対策を立てて手配をしていただきたい。このことを強く要求して質問を終わります。
  249. 小笠公韶

  250. 森中守義

    森中守義君 運輸大臣、十月の十二日に、社団法人全国LPガススタンド協会の小山辰蔵という人から、LPが非常に窮迫してきたと、ついては運輸省としてもこれの操作に協力を願いたいという、こういう申し入れがあったはずです。これを受けて運輸省では何か対策を立てられましたか。
  251. 中村大造

    政府委員中村大造君) お答え申し上げます。  この内容は、いわゆる値上げを要請することを主としたものでございまして、私どもといたしましては、これは拒否いたしております。
  252. 森中守義

    森中守義君 大臣、関係の業界では、運輸省の対策が非常に手ぬるいと、こういう批判があるんですね。どういうことかといえば、業界でも同様のスタンド協会からの申し入れを受けた。それで非常に心配のあまり当局に対してすみやかに措置を要望した。ところが、いや油関係は運輸省のことでないんだと、通産省だと、だから通産省に行ってくれということであったり、何か総量の確保について必ずしも適切な対応性がなかった。そのことが漸次今日に至って運輸関係が極度に油問題に苦悩しているという、要するに油問題の出発において立ちおくれたという感じを私は濃厚に持つんですが、適切な対応性をとったと思われますか。
  253. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 御指摘のように、油の問題は全く手なれぬいままでのところに出てきた問題でございまして、運輸省としてもいろいろ手は尽くしたと思いますけれども、御指摘のような緊迫感がないじゃないか、運輸省としてほんとうにこれに立ち向かうという緊張感がみなぎってないじゃないかというおしかりは各方面で受けているところでございますし、私どもも大いに反省しなければならんと思っております。今後もこういう問題の御批判のないような、運輸省は、油はもう通産省の問題だからというんじゃなくて、実際に動かすのは運輸省でございますから、運輸省の監督下にあるわけでございますから、行政範囲の届く範囲で、私どもも通産省ともどもそれらの問題の解決に一緒になって当たっていくという責任を持たなければならぬと思っております。この点につきましては、先日来、私も省内各員とともに志を新たにしてやっているところでございます。
  254. 森中守義

    森中守義君 これは精神的なものだけじゃだめなんですな。それで、いま軽油あるいはLPGともに大問題、それで通産省と話を進める、これはメーカーを含めて何が最大のネックなんですか。おそらくLPGについても、あるいは軽油についても一とおり運輸省として総量はこれだけ確保したいという考えをお持ちだと思う。それが実現をしない、遅々として進まない最大のネックは何ですか。具体的に端的に、時間がありませんから、お示し願いたい。
  255. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) お答え申し上げます。  運輸省としましては、全体の運輸部門の必要量につきましては通産省と協議いたしておりまして、LPGをはじめ軽油関係、トラック、バスの燃料、それから通運に使う燃料、それから鉄道の燃料、それから外航船舶、内航船舶等の燃料についての総量の確保については通産省と十分協議いたしております。大体LPGについても、総量は通産省との間に一致した数量になっておりますし、またバス、トラック等についても、ほぼ現在の状況においては十月実績程度の数量は確保していただける見通しがついておる次第でございます。
  256. 森中守義

    森中守義君 そこまではいいんですよ。あとが問題なんです。私の調査では、LPのほうではおおむね十一万五千トン確保された、これは在来の実績の一〇%カットという程度のようですね。しかし問題は、メーカーと業界との話し合いがなかなかまとまらない、おそらくメーカーに対するまとまった総量の指示というものを通産省がしているかどうか。メーカーと運輸業界と話せと言ってみても、なかなかまとまらぬのじゃないですか。したがって、行政上の指導、その裁量というものがむしろ今日では私はネックになっていると思う。通産大臣、総量は約束された、あと輸送確保のために政府が介入しなければまとまらぬのじゃないですか。自主配分にまかせるということでやって、さてほんとうに問題が片づくかどうか。先般の百五トンの出荷ですね、これも新聞でずいぶん騒がれておりますように、末端のスタンドでは依然として行列は続いておる。営業タクシー、法人であろうと個人であろうと、その思恵に浴したところはないと、こういうのですね。どこへ逃げちまったのか。けさの新聞等では、大企業、大産業が公害防止という意味でどうもLPガスをそちらのほうに取ってしまったんじゃないか、こういうことすらも言われている。目的外に使われたということになるのじゃないですか。したがって、この際は、総量は運輸、通産で話はまとまった、あとがまずい。政府が介入しなければ、せっかくまとまった量というものが実際に使えない。車が動けない。ことに年末始の緊急輸送等はどうするつもりですか。したがって、介入の意思があるかどうか。
  257. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 総量は、お説のとおりきまっておりますけれども、一番末端においてはスタンドとタクシーとの登録による連携、それが必ずしも全部まだできているということでない。できたにしても、きのう、きょうできたという体系で、毛細管のところがうまくやっぱりいってないようです。そういう面から元受けの、じゃ口の受け口の辺の連絡もまだ必ずしも実際うまくいっているとは思いません。しかし、順次体制は整えられてまいりましたから、そういう流通経路が一貫して体系づけられてくれば、油はいつでもずっと流れるような体制にはいまなっております。もうしばらくお待ちいただければ、運輸省のほうでそういう面は打開していただけるものと思っております。
  258. 森中守義

    森中守義君 どう運輸省は打開できますか。いま通産大臣は、打開できると、こう言われています。
  259. 中村大造

    政府委員中村大造君) LPガスにつきましては、十四日に法人、個人分けまして配分量をきめ、それから順次各車両ごとの配分をきめまして、現在スタンドへの張りつけをいたしておりますので、大体九〇%のスタンドへのいわゆる登録行為が行なわれております。あと一割程度残っておりますけれども、これは今明日中に解決して、今週中には少なくとも東京については完全にLPガスの末端への配給が行なわれるように全力を尽くしておる次第でございます。
  260. 森中守義

    森中守義君 これはあしたからのようですが、LPの問題で、東京都内の清掃の運搬車が百十二台LPが入らないためにストップをする、こういう情報も入っております。それから屎尿運搬船、これも所定の法規に従って沖合いまで行けば帰ってこれない、こういう問題等もあるようですね。これはLPとはちょっと油の種類としては違うかわかりませんが、何かこういったように、非常に問題があるのですよ。したがって、いま言われる単なる法人、個人とかいう営業車以外のこういう問題についてはどうなのですか。
  261. 中村大造

    政府委員中村大造君) LPGを使っております清掃車の問題につきましては、確かにきのうちょっとそういう状況がございましたけれども、至急通産省にも御連絡いたしまして、きょうはもうそういう事態は解消いたしておるはずでございます。
  262. 森中守義

    森中守義君 これは東京都内の場合には、LPで動いているのが五百台という。全部だいじょうぶですか。
  263. 中村大造

    政府委員中村大造君) 私ども、当初から都民の生活に最も必要な清掃車の運行につきましては、これはもう最優先的に確保することでいたしております。ただ、末端のそういう配給につきまして、若干きのう手違いがございましたけれども、これは間違いなく確保するようにいたしております。
  264. 森中守義

    森中守義君 それから、LPGはそれでいいとして、軽油はどうなっているのですか。これも総量確保されておりますか。わかっておればちょっと数量を示してもらいたい。何%カットくらいになるのか。
  265. 中村大造

    政府委員中村大造君) 軽油につきましては、トラック、バスでございますけれども、トラックにつきましては、四十八年度の十月の使用実績でございますが、これが全量十二月分として確保されております。バスにつきましても、これはもう必要量が全額確保されるはずでございます。
  266. 森中守義

    森中守義君 数量。
  267. 中村大造

    政府委員中村大造君) 数量は、トラックにつきましては営業用六十万二千キロリッターでございます。それから自家用の分といたしまして四十五万三千キロリッター、バスにつきましては十一万一千キロリッターでございます。それから通運に使います軽油でございますが、これは一万四千キロリッターで、いずれもこの程度の確保はだいじょうぶだという見通しでございます。これは十二月分でございます。
  268. 森中守義

    森中守義君 いま自動車局長が示された数字は、在来のカットなしということですか、いままでの分に対しては。
  269. 中村大造

    政府委員中村大造君) トラックにつきましては、十月分の実績量ということでございまして、当初たとえばトラックの営業用につきまして十二月のいわゆる見込み量、これはいろいろの推定ができるわけでございますけれども、そういう推定量、見込み量というものと比較いたしますと、約八万トン弱のカットになる、こういうことでございまして、約一割程度でございます。
  270. 森中守義

    森中守義君 それで、さっき辻質問にもありましたが、年末の緊急物資輸送、これはおおむね千七百台というふうに聞いているのですが、道路運送法の三十四条の発動によるものですか。そうしてこの分に充当する油はどうなっているのですか。
  271. 中村大造

    政府委員中村大造君) 現在の段階では、まだそこまでは考えておりません。行政指導によって十分やり得るものと、こういうふうに考えております。
  272. 森中守義

    森中守義君 そうすると、トラック協会が予定をしているのが千七百台であって、運輸省として、どのくらい年末始の緊急輸送のために必要かという数字は、自主的にはじき出していない、したがって、燃料の確保もできていないということだな。
  273. 中村大造

    政府委員中村大造君) これにつきましては、いろいろ物資官庁等にも資料をお願いいたしまして、発地別、着地別、品目別等につきましていろいろな資料をお願いいたしておりまして、そういうものをよく検討さしていただきましてきめなければいけない、こういうふうに考えているわけでございます。
  274. 森中守義

    森中守義君 要するに、年末始の緊急輸送については固まっていない、燃料の確保も含めてね、そういったように理解していいですね。  それで、ちょっと時間がありませんから先を急ぎますが、いまガソリンスタンド等でやられているものは、営業用あるいは一般用というように、全く区別がない。要するに優先順位というものがどこにもないのですね。それで適正化法案の中の六条によって、一体優先順位というものが確立されるものかどうなのか。ここに、運輸省の緊急物資の輸送のために燃料の確保をするとか、どれにどういった順序で渡していくという、そういう原則が一つもない。企画庁長官、六条の中で、そういう意味合いで優先順位というものはきめられるものですか。政令に委任するんですか、どうですか。
  275. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 六条の規定は、むしろ大口の消費者を特定いたしまして、そこの数量を一定のカットで押え込もうというのが六条の趣旨でございます。ただ、先生のおっしゃいますように、小口等につきましては、六条の問題とは別に、いま運輸御当局から御説明ございましたように、われわれといたしましては、個別に、運輸省、農林省等の部門別の優先の分類、目的的な配分をおきめくださいますれば、それに応じて、これは当然優先確保でございますので、所要の油は確保するようにいたしたいと、こういうことで、いま関係省庁間でいろいろな、これは厚生省の問題もございますし、詰めておる段階でございます。
  276. 森中守義

    森中守義君 運輸大臣、時間がありませんが、要するに、運送部門の公共性の濃度の濃いもの、そうでないもの、おのずから運輸省ではっきりしますね。そうなれば、当然適正化法の中の政令委任があるわけですから、そういう委任事項の中に優先順位というものは当然挿入しておかなければ、通産省と随時話してまとまったものを出しましょうということでは、非常に先々問題がある。そういう意味で、正確に適正化法案の中に、法律の中に優先順位を私は入れるべきだと思う。そのことが実際の輸送上の問題をやや解消する糸口になると思う。どういう見解ですか、関係の向きと相談されますか。
  277. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 公共輸送機関は、これはもう国民大衆に密着したものでございますから、そういう点において優先するんだということで、いま詰めを始めております。法律の中に書き込むかどうかということの御意見は、御意見として承っておきますけれども、そういうことで、明確な順位等につきましては詰めをやってまいるつもりでございます。
  278. 森中守義

    森中守義君 別に本法の修正でなくても、政令に委任しようとしているわけだから、その政令の中にでも確立するかどうかと聞いている。  時間がありませんから、ついでに聞いておきましょう。  もう一つ運輸大臣、航空燃料ですが、日本の飛行機が外に行った場合には、いま三十四カ所かどこかでかなり規制を受けているんです。日本に入ってくるものについては全然規制がない。さてジェット燃料というものがいつまでもてるのか、カットの必要がないものかどうなのか、これが一つ。  それから環境庁長官、通産省のほうでは、こういう燃料不足を理由にして、環境基準を緩和してほしい、すべきだという意見をしばしば中曽根さんも出している。そういうようなことに対して環境庁ではどうお考えですか。私は、国有の意見としては、燃料の不足は燃料の不足、公害は公害、断じてこれは規制を緩和すべきでない、こういう見解を持ちますが、あわせて御答弁をいただきたい。  それから運輸大臣、一月以降のLP及び軽油の総量の確保はできるかどうか、これもあわせて御答弁いただいて私の質問は終わります。
  279. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) ジェット燃料のことでございますが、これは当面の問題は別としまして、必ずそういう時期が来ると思います。しかも、外国におきましては、御指摘のような削減を受けていることも事実でございますが、ただ、日本だけがというわけではございませんで、各国平均にやはり外国においては、これはもう国が関与しているのか、あるいはそのメジャーの関係かわかりませんけれども、まちまちでございますけれども、いろいろな問題があります。しかし、日本だけというような削減はないようでございます。したがいまして、日本におけるいまの給油事情から見まして、削減はやっておりませんけれども、当然御指摘のような事態が来ることを予想しまして、いまいろいろ検討を始めておる次第でございます。  それから、一月から以降のLPガス、軽油等につきましてどうかといりことでございますが、これは私のところは、いま非常に心配をしつつ通産省等にお願いをしておる最中でございまして、まだ自信を持ってこういうふうな油を確保できるとか、あるいはこういうことができるというだけのお答えができないことはまことに実は残念な次第でございます。
  280. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 石油の供給が窮屈になっておりますために、いろいろ打開するために知恵を働かしていただく。いろいろ問題もあろうかと思いますけれども、御指摘の環境基準の問題は、公害対策基本法に基づいて人の健康を維持していくために望ましい基準、それに基づいてまた各種の排出基準を定めておるわけでございます。人の生命と健康に関する問題でございますから、次元と言えば少しどうかと思いますけれども、おのずからこの問題は厳格に守っていかなければならない。これはお考えのような考えを私も強く持っております。それは同時に政府総理大臣も、この間、別席で申しておりました見解でございます。
  281. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) お尋ねの運輸関係の公共性の強い輸送機関についての優先度の問題でございますが、これは法案の第十条に、通産大臣は、鉄道事業、通信事業、医療事業その他の公益性の強い事業活動に対する石油の円滑な供給を確保するため必要があると認めるときは、あっせんその他必要な措置を講ずるよう指導すると、これに対して第二項で、関係行政機関の長、つまり運輸大臣は、通産大臣に対し、要請するということがございます。ここに明文で優先確保というのが出ておると私どもは了解しております。
  282. 森中守義

    森中守義君 いま十条がさてそれに正確に該当するかどうか、少し吟味を必要とすると思いますが、少なくとも運輸関係の公共性の順位ということは、きちんとこれは整備しておきませんとたいへんなことになる。  あと、国鉄関係なんかたくさんありますけれども、時間が来ましたから、これで私の質問を終わります。
  283. 小笠公韶

  284. 中村利次

    中村利次君 エネルギー危機の問題は、これは中東戦争によってせつな的にたいへんな危機が訪れているわけでありますけれども、本質的には——私は、もう七十一国会の予算委員会以降、石油、電力危機を取り上げてまいりましたけれども、これはもうたいへんな憂うべき状態にあることは間違いありません。中東戦争でアラブ産油国によって戦略目的に使われ、日本だけでなくたいへんなあおりを食っておるわけでございますけれども、まず最初に、来年の一月以降石油が大体何%ぐらい減る見込みか、あるいは電力を何%削減しなければならない見通しか、それから伺いたいと思います。
  285. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) きわめて事態は流動的でありますけれども、石油も下半期全体として約二〇%、それ以上多少また深まるかもしれませんが、現在のところでは一応二〇%と算定しておりますし、電力も一月以降二〇%減という程度の規制をしなければならぬのではないかと考えております。
  286. 中村利次

    中村利次君 当面の見通しについてお答えをいただいたんですが、一つには石油は原油価格の面でもうすでに中東戦争をきっかけとして異常なほどの原油価格の値上がりがしているわけですね。大体、世界の石油専門家の間では、去年からことしの初めごろにかけては、一九八〇年ごろバーレル当たり五ドルぐらいの原油になるんではないかと。とんでもない話で、一九八〇年にバーレル五ドルとして、一九八〇年ごろには石油ダラーが中東産油国にはもう余って余ってしようがないくらいになって、国際通貨の問題が危機に瀕するおそれがあるということがいわれていたんですが、これはもうそのころになると幾らになるかわからないという、どえらい状態になりつつあると思いますが、そういう点の価格の見通しはいかがでしょう。
  287. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 最近、イランそのほかにおける値づけを見ますと十七ドル三十四セントとか、そういう高値のものがきておりますけれども、これはやはり中近東動乱の過程における一つの現象であって、こういう高い値がいつまで続くか私は疑問に思います。その程度の値段が続くとすれば、オイルシェールとかタールサンドとかほかの代替エネルギーがペイするんではないかと、私らいままでの勉強ではそういう気がしております。  ただ、目前の問題として足りませんから、スポット買いみたいにしてそういう高いものを手当ていたしますが、これが恒久的なものになるかというと疑問の余地がございます。それのみならず北海の油田であるとかノーススロープの開発であるとか、あるいは東南アジア地域あるいはベネズエラあるいはイラン、そういう地域における増産態勢も出てまいると私は思いまして、石油の値段がいまのところこういう過程でありますから逆賭しがたいところがありますけれども、経済情勢が安定化していくにつれて、いまの十七ドル云々というような値段は漸次正常化した値段に戻っていくのではないか、そういうように思います。
  288. 中村利次

    中村利次君 代替エネルギーの開発ですね、これはやはり開発の技術及びその期間、こういうものが関連をしてくると思いますけれども、いかがでしょう。
  289. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この中でわりあいに開発されて有望だと思われますのは石炭のガス化、液化であるだろうと思います。それからオイルシェール、タールサンドの石油化、それから原子力はもうすでに進行しております。そのほか各国が力を入れておりますのは水素の還元をやっているわけです。H2OのHとOを分離させる、これも実験的には成功しております、日本でも成功しております。しかし工業的にできるかどうかということが目下問題でございまして、いずれこういうものも私は開発されていくだろうと思います。そういう面において一番最も近いと思われる石炭のガス化、液化という部面が対抗力として登場してくるのではないか、そういう気がいたします。
  290. 中村利次

    中村利次君 石炭のガス化の問題は、これはアメリカなんかでは相当大規模な工場を五十一年ですかにつくろうというすでに計画があって着工しておるようですけれども、しかし、しょせんは私はこれは七〇年代あるいは八〇年代の前半あたりの石油の代替エネルギーとしての役割りを大きく果たす可能性はそれほど大きな期待ができないのじゃないかと思いますし、大臣がおあげになった原子力にいたしましても、いま、これは冗談じゃありませんよ、日本の場合には立地問題で、それは政府が責任を持つと安全性についてはおっしゃるけれども、後ほど私は環境庁の長官にお伺いをしますが、何ですか技術的な裏づけをもってかくかくしかじかで責任を持ちますとおっしゃらない。これは私は言えるはずだと思うのだが、おっしゃらない、どういうあれだか知らないけれども。いままで政府がそういう答弁をしたことがありますか。そうなりますと、これは先ほど森中委員の御指摘がありましたけれども、環境基準をゆるめてでも、公害を出してでもこのエネルギー危機は救わなければならない、こんな発想なんというものはもうまさに問題にならないわけでありまして、やはり原子力の開発にしたって、事わが国に関する限りは代替エネルギーとしての見通しというのは私は決して明るくない。これはもうやってもらわなければ困りますよ、やってもらわなければ困りますけれども、明るくないと思う。そうなりますと大臣が楽観されるほど、私はこの石油価格の問題にしても中東戦争が終わった以降も鎮静するとは思いません。  八〇年、バーレル五ドルの換算で使い切れないドルが中東産油国に一千億ドルも余って余ってしょうがないという一いまの価格で見通しで計算をしても、三分の一、四分の一に産油量を中東産油国が国益のために削減をしても、ドルがじゃんじゃん入ってきて使い切れないということになるわけでありますから、したがってまず量の問題と原油価格の問題の両面から日本のエネルギー政策というものは見直さざるを得なくなってきておると思うのですが、これは予算委員会のときに、田中総理の昭和六十年七億五千万キロリッターというのは論外にいたしましても、通産大臣の五億キロリッター、経企庁長官はもう少し低目な閣内不統一の御答弁がございましたけれども、たまたま中東戦争によって重大危機を迎えておりますが、中東戦争が終わっても石油危機というものはそういう量あるいは価格の面でたいへんに憂うべき状態にあることは間違いないと思うのですが、そういう点の現時点での見直しということをお考えになっておるのかどうか、お伺いをしたいと思うのです。
  291. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 見直しは当然しなければならぬと思いますし、しばしば申し上げましたように、日本の産業構造をエネルギー多消費型の石油を偏食した肥満児体質から、ぜい肉を取ってもっと筋肉のきりっとしたような経済体質に変えていく必要があると思います。  しかし十七ドル云々というような値は私はばか値だろうと思うのです。これで世界経済が少しずつ正常化してまいりますと、産油国にいたしましても輸入する品物がまた高くなるわけです。鋼管にしても鉄鋼にしても肥料にしてもその他にしても産油国側はそういう物資は絶無の国でありまして、みんな日本や西欧からいくわけですから、全部もろに輸入にかかってきておるわけであります。そういう面から見ると、結局、原油の値を高くすれば製品の値段がまた高くなるという悪循環が出てくるということが次第に認識され始めております。それから特に東南アジアやアフリカにおける発展途上国が肥料やそのほかの値が高くなって非常に困っておるわけであります。南北問題がこれにからんでまいります。そういうような情勢から必ず世界的アジャストメントが行なわれると思いますので、動乱勃発前よりはもちろん高くなると思いますけれども、十七ドル云々というような高値が続くとは思いません。
  292. 中村利次

    中村利次君 それは私も十七ドル三十セント、四十セントというばか高値が定着をするなんていうことは、これはとんでもないと思うんですよ。しかし大体世界の専門家が一九八〇年ごろに五ドル原油になると想定したのがいますでにもう五ドル原油になっておるわけでありますから、したがって現在十七ドル以上のばか高値というものは論外にいたしましても、しかし一九八〇年ごろ六ドルや七ドル、八ドルで買えるなんてことは、これはまあ見通しですからともかくとして、とってもこれは問題にならないという想定はつくわけですよ。否定されますか、そういうことは。否定の根拠をそれじゃ伺いましょう。
  293. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 否定はしません、わかりませんということであります。
  294. 中村利次

    中村利次君 どうもこれは通産大臣、あなたもたいへんに期待を持たれた田中内閣の経済閣僚で、わかりませんと、そういうことが今日の異常事態を招いているんですよ、やっぱり。招いているにもかかわらず、さっきも申し上げましたけれども、アメリカは原油の需要に対する輸入比率はたった一〇%、それがわれわれ考えたら異常なまでに騒ぎ回って規制をやっておる。これが正常なのか、たいへんに将来甘い見通しを持って国政を担当していくのが正常なのかわかりませんけれども、私はちょっとこれは困ると思うんですよ。五年、十年たって、あのときの見通しは誤っていました、想定は誤っていました、とんでもないことになりましたではまことに困るわけでありますから、これはひとつ的確な見通しを私はお立ていただきたい。御答弁がなければ、それでもけっこうですけれども。  次に進みますが、先ほどの大臣の御答弁で石油は二〇%以上、電力も二〇%——私は二〇%以上になるんではないかと思うんですが、削減をしなければならないという御答弁でございました。そうなりますと、たとえば石油は家庭用の灯油あるいはLPGだとかガソリンだとかいろいろ問題提起をされておりますけれども、その他産業用燃料あるいは原材料、そういうあらゆるところに石油を離れてもう国民生活もあり得ないし、産業活動もあり得ないというぐらいになっておるんです。そういうのが二〇%あるいはそれ以上削減をされる、原材料不足はもう免れることはできません、そこでまた電力が二〇%あるいは二〇%以上削減をされる。そうなりますと、たとえば中小企業なんかこれはダブルパンチですよ。  電力は現在は通産省の行政指導、業者への協力要請によって大体十月使用量の一〇%を十一月は節電をしてほしいという要請をかけずり回ってやって歩いた。この間の予算委員会では、わが党の向井議員がこれは深追いはしませんでしたけれども、効果はあがりました、冗談じゃない、全国三%ぐらいしか——まさにほとんど無視されている。一〇%削減ですら中小企業はささえ切れないというぐらいたいへんにショックなんです。これが二〇%になりますと、まさに倒産が出てくるということになってくる、なってきます。片方では原材料がきわめて不足をして、何とかしてやっと原材料を確保したらこいつがばか高値でどうしようもないという、こういうダブルパンチの状態が出てくる可能性があると思うんです。こういうものに対する対策はいかがでしょう
  295. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が申し上げました二〇%というのは、中小企業その他一律にやるという意味ではございませんで、この法案にも書いてありまする優先順位——中小企業、農漁業あるいは郵政関係あるいは医療関係、教育関係あるいは言論出版、そういうような公益的性格を持っておるものについては、もちろん優先的に手心を加えると申しますか、やることになっておるわけです。それで二〇%と申しましたのは、いままでは三千キロ以上の大企業をやっておりました。それがランクはもう少し水準が下げられる、そういう意味で申し上げたので、大体平均して二〇%限度というようにして、その優先順位については、電気事業法に基づきまして、いま通産当局において策定している最中でございます。
  296. 中村利次

    中村利次君 これはおっしゃるとおり法案にも確かに、何といいますか、その手心を加える対象というものはあります。しかし、私は、この石油というものをバラスンのとれた使用をやりませんと、これを誤りますと、たとえば中小企業に優遇措置を講じた、ところが大企業なんかどうでもいいんだというわけにはいきません。原材料は中小企業も使う、たとえば金属工場なんかで使う原材料は大企業でつくっているということになれば、原材料で締めつけられちゃうんですからね。ですから中小企業は優遇してますよといったって、実はバランスがとれないと、これはどっからかひねられちゃう。ということは何もこれは大企業、中小企業だけじゃなく、そういう生産過程だけじゃなく、国民生活に決定的な影響があるんです。不況下の物不足の物価高になりましてね、政府が幾ら国民向けにかっこうのいい、納得のできるようなことをおっしゃっても、バランスのとれた配分が正しく行なわれない限り、私はとんでもないことになると思うんですよ。  そういう点についてあんまり、非常に失礼ですけれどもね、選挙用の——これは各党まあ来年の参議院選挙を控えて腐心するところでしょうけれども、そうじゃなくって、ほんとに最終的には国民生活国民の必需品というものが、いろんな経済のメカニズムなんというのはそうなっているんですから、そういうバランスのとれた石油の割り当てというのか石油の使用というものをどういうぐあいにお考えになっておるのか。たまたま中小企業の問題でそういうものが出ましたから、私はこれは.せひお伺いしておきたいと思います。
  297. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は全く同感でございまして、この法案の中にも衆議院段階でいろいろ修正が加えられましたが、その中にいろいろな事業の名前があげられまして「教育事業、医療事業、社会福祉事業、言論及び出版に関連する事業」その次に「その他の国民生活の円滑な運営に重大な影響を及ぼす事業及び活動に対して、」と、こう書いてあるわけです。  これが入っている意味は、やはり中小企業を運営していくためにはセメントが要る、丸棒が要るというようなわけで、セメントや丸棒はどっからくるかというと、大企業からくるわけであります。したがって中小企業とかその他ばかりいっておっても、原材料の手当てができるような経済運営をしてやらなければだめだと、そういう意識を持ちまして、いまのような文章に変わっているわけであります。われわれはそういう考えを持ちまして、国民経済全般を考えつつ、しかも民生を重点に置いて政策を進めていこう、そのように考えております。
  298. 中村利次

    中村利次君 これは大いにみんなが困って、国民生活もほんとにやりようによっては恐慌状態が続いていくということになりますと、いろんな議論が百出することが想定をされますけれども、少なくともやはり国民生活を守るという原点に立った、バランスのとれた行政をやってもらいませんと、これはほんとにひずみが出た場合には、国民生活の破綻というものはもう私はこわいような気がしますので、特にこれは強く要望をしておきます。  それから、先ほど電力の二〇%減あるいはそれ以上というのは、三千キロワット契約以上のところがら五百キロワットぐらいに——五百キロワットというと、これは中小企業ですよ。ちょっとした企業、生産工場は五百キロ以上の契約電力になっています。いまはもうたいへんです、一〇%節減のお願いでもうてんやわんやです。これを二十七条の発動によって二〇%あるいはそれ以上の削減をしようということになりますと、私はもう異常な事態が考えられる。へたまごつくと、中小企業のごときは倒産がどんどん出て、不況下の物不足、物価高だけではなくて、労働市場が相当に変化する可能性だって私はやっぱり想定されると思うんですよ。  その場合、この二十七条の発動について、大企業たると中小企業たるとを問わず、罰則はたった罰金十万円ですからね。もう企業活動なんというものは私どもが想定する以上にきわめてきびしいもんだそうでありまして、体刑でやっても、企業のためには刑務所に行く、それをかぶっていくという、そういうことすらあるそうでありますけれども、十万円ぐらいの罰金なら払って電気はとにかく使う、罰則を適用されて電気は使う、こういうものに対する対策はありましょうか。
  299. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) ただいま一月以降の規制の進め方についてお尋ねでございましたが、私ども従来三千キロワット以上の特別の大口を対象として行政指導を進めておりましたのを、一月の油の状況いかんによっては、やはりもう少し対象を拡大せざるを得ないのではないかと考えております。その際、一つの目安として五百キロワットというようなことについて検討いたしておりますが、この五百キロワット以上の需用家は、大体、私どもの心づもりでは、全国で約一万二千ないし三千需用家ではないかと思っております。これは全電気需用家四千万以上ございます中の大口を対象とするという考え方でございまして、これらの事業者によりまして全電力使用量の五七%ぐらいを占めておる、こういった関係になっております。なるべく重点的に規制を考えていくという考え方でございますので、御了承をいただきたいと思います。  なお、罰則の点についてお尋ねがございました。罰則自体はいわば電気事業法の体系の中でいろいろのバランスを見ながら設定をされておるわけでございます。ただ罰則だけではなくて、やはりそれを補うものとして生産に使用する電力量の削減というような措置もあわせて考えていくということも内々では検討いたしております。
  300. 中村利次

    中村利次君 電力量の削減、アワーの削減というのは、どういうぐあいにしておやりになるのか。  とにかく二十七条の発動ということは、二〇%なら二〇%をキロワットあるいはキロワットアワー、どっちでもいいですよ、それで削減を法的に公権力を用いてやろうというわけでしょう、そうですね。その場合、これは倒産しちゃ、つぶれたんじゃかなわないからそいつに従わないと、罰則を適用しなきゃならないということになった場合、まあ極端に言いますと、これは特高需用家の場合はやりようがあると思いますが、基線からブランチしているそういう大口需用家をどうして規制できますか。それで規制できるもんだとしてやったその結果がどうなるかを私はやっぱり考えざるを得ないと思うんですよ。電圧が低下する、サイクルが下がる、いつも言うように電車はのろのろ運転になる、あるいは病院で手術中の患者はそのために死んじゃったという社会問題が起きる可能性があるから、可能性じゃなくてそうなりますから、したがって二十七条の発動をすればそれでいいんだという、そういう発想が問題だと言っているんですよ、どうですか。
  301. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 私どもといたしましては、電力量が限られておる、この限られている電力量をいかに効率的に使っていくか、それによって……。
  302. 中村利次

    中村利次君 ちょっと待ってください。質問答弁が全然食い違っているでしょう。限られていることはここであんた満場確認しているんです、それをどう使うかということで質問しているんですよ。  二十七条の発動で大口の規制をやるということを前提として需給のバランスをとっていこう、そういう計画を立てる。ところが従わない場合、従わせる方法はないんですよ、罰金を十万円取る以外には。従わない場合に結果としてどうなるか。燃料がなくて、とにかく発電所は二〇%削減した運転しかできない、やってない。そうなりますと、言うことを聞いてくれない、罰金を払ったって電気使うんだということになると、電圧は低下しサイクルは下がって大きな社会混乱の原因をつくると言っているんですよ。原因をつくらないのかどうか、あるいはその場合の対策はあるのかどうか、これを聞いている。
  303. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 罰金の適用につきましては、私どもはやはり一種の反社会的な行為ということで刑事上の責任を問われるということは非常に大きなことではないかと考えております。  なお、これを補う措置として、割り当て量の削減ということを申しましたが、これは違反の程度に応じて、もしかりに規制をする場合には次期の割り当てを削減するというような措置を頭に置いておるわけでございます。  私どもといたしましては、やはり各需用家において極力これを守るというような形で進めていただきますことを期待いたしておるわけでございます。
  304. 中村利次

    中村利次君 私はそういう願望を聞いてないんですよ。まあこれはしかしどうしようもないことでしょう。法律違反をやって十万円の罰金刑に処せられた、これはたいへんなことですよとおっしゃるけれども、道交法違反なんかじゃ最近なんかは何かスピード違反が相当大幅にあると四万、五万という罰金を取られて払っているんですよ。それで違反が絶えますか。十万円ぽっちの罰金じゃ、企業の存立とどっちをとるかという場合にはやっちゃうって。やっちゃう可能性が多分にあるというんだ、私は。その場合に、もとの発電量がきまっている電気が国民に対して迷惑を与えないかどうか、与える可能性がある。しかしこれはまあ水かけ論です——水かけ論ではなくて、答えになりません。これは大臣ひとつぜひ深刻な御検討をお願いしたいと思うんです。まあ一般家庭用も削減をすることがあり得るという御検討のようでありますけれども、これはどうでしょう。
  305. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 配線の都合でなかなかむずかしい要素がございまして、交通信号とか病院の保育器であるとかエレベーターであるとかスプリンクラーであるとか、そういういろいろ分離できないものがあるわけです。そこで、いまどういうふうにして分離できるかと、そういうようなことで検討をさしておりまして、できるならば、まことにやむを得ないことであるけれども、家庭用のものも情勢によっては削減しなくちゃならない、そういう考えで進んでおります。
  306. 中村利次

    中村利次君 これは分離できません。戦後の一時期、占領中みたいなあのときと全く変わっていますから、あれは基線そのものが一級線、二級線、三級線というぐあいにちゃんと分類をされておりまして、一級線を確保するためには三級を切るというきわめて直截な手法がとれましたけれども、いま大臣がおっしゃったように、基線で需要ごとの切り分けをやるということは不可能ですから、ただ家庭用のあれで、テレビの放映時間をどうするかという点について御検討中だということでありますけれども、これはきわめて可能ですが、どういう御検討をなすっていらっしゃるんでしょう。
  307. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 家庭電力の消費の比率を見ますと、テレビというものが異常に高い数量を持っております。そこでテレビのほうも節電願わなきゃいけない、そういうことで郵政大臣のほうに私のほうからお願いしてありまして、郵政省でせっかくいま検討中でありまして、近く成案を得るのではないかと思っております。
  308. 中村利次

    中村利次君 具体的にはまだお考えになっていませんか、構想だけでもけっこうですが。
  309. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 通産省としての要望は言ってあります。しかし実際これを監督し、実施なさるのは郵政省でございますから、郵政省がテレビ関係の皆さんとお話しなすって、どの程度、どういうぐあいにやったら一番うまくいくか、そういうことを相談しているか、これからしようとしている段階であると思いまして、これは郵政省のほうへお聞きいただいたほうが適当であると思います。
  310. 中村利次

    中村利次君 これは大体何か深夜放送を一定時間カットしたらどうだろうということをお考えになっておるような気配ですが、私はテレビの放映時間を削減することについても大いに議論があると思う。しかしながら技術的方法としてはこれは可能です。そしてまたこれは電力、石油の節約になります。ただ深夜放送の場合は、これはキロワットにして大体六十万キロワットアワーぐらいなものじゃないですか。昼間の場合はそれの大体七倍ぐらいの四百十万キロワットアワー。ですから家庭用電気をこういう異常事態下に削減をしようとすることを考えますと、技術的に可能な方法はそれ以外にはないと思いますが、大いに議論がある。こういう方法をどういうぐあいにして——これは通産大臣、郵政省にあなたまかせじゃだめですよ。二十七条まで発動しようという異常事態ですから、やはりこれは電力、エネルギーの元締めの通産省がばちっとしたものを持って、国民のために何をなすかという姿勢を固めて郵政省と協議してもらわなければ話にならぬと思うんです。どうですか。
  311. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そこまでおっしゃいますならば、通産省としましては、深夜放送はもちろんやめていただきたい。それから夜はやはり家庭が楽しみにして待っておりますから、これは切らぬほうがよろしい。しかし昼間、でき得べくんば最低二時間程度は切っていただいたらどうか、牛後のよろめきドラマなんかは見ないでがまんできるんじゃないか、そういう考えを持っております。
  312. 中村利次

    中村利次君 構想を聞かしていただいて過分に存じます。これはたとえばNHKの場合はともかくとして、民放の場合には、やはり放映時間を短くされることによってスポンサーのコマーシャル料の関係がありますから、そういう点はどうするかということは郵政省におまかせになればいいと思うのですよ。しかし異常状態の中で国民生活がどうなるのか、たいへん救いがたい社会問題が起こる可能性があるというこの認識に立って、通産大臣としてどうされるか、先ほどのあれを聞いて、私は、やはり役割りをお果たしになっておると思いますが、なお一段とひとつ前向きにバランスのとれた規制配分ということについての御努力をお願いしたいと思います。  そこで次に移りますけれども、こういう異常状態で、この間の予算委員会でも、科学技術庁の長官は、原子力委員長としてたいへんに威勢よく原子力の開発について相当オクターブを上げた御答弁があったのでありますけれども、これは私は原子力の開発につながるものでもないし、電源立地の解決にもつながるものじゃないと思うのですま。なぜかならば、安全は政府が保障しますと言ったって、そんなことを国民が、ああさようでございますか、それじゃ立地問題は協力しましょうなんて言うとお考えになりますか、科学的な根拠をお持ちなさいよ。どこに遠慮されているのだか、どうなっているのかわかりませんがね、私はこれは前田科学技術庁長官にずいぶん食い下がったけれども、ほんとうのことは言わないで、適当な国会答弁から出ないのですよ。どうですか、科学技術庁長官、ひとつこの間の威勢のいいところで……。
  313. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) 原子力発電、当面の問題について御質疑がございました。先生御案内のとおり、石油資源というのは有限でございますから、長期を考えれば、それにかわるべき資源を多角的に検討していかなければならない。その中で原子力発電がきわめて重要であることはいまさら申すまでもございません。当面の事態から考えてみましても、石油の不足ということでいま真剣な御論議が展開されておるわけでございますが、しかしアラブの紛争がいつ解決するかということにつきましてもいろいろな見方がございますし、またかりに解決いたしましても、昔のように安い石油が好きなだけ入るというようなことに再び相なるかどうかははなはだ疑問でございます。そういう観点からも原子力発電というのは見直していかなければならないことは当然でございます。  さらにまた最近のいろいろな状況を見ておりますと、最近と申しましてもここ二、三年来の状況でございますが、一昨年の昭和四十六年の電力設備の予定と実績というのは……。
  314. 中村利次

    中村利次君 すみません、大臣、時間がなくなりそうですから、科技特でまた伺います。まだ質問が残っておりますから。
  315. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) そうですが、それでは安全性の問題もよろしゅうございますか。
  316. 中村利次

    中村利次君 これは科学技術特別委員会でまた……。
  317. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) それじゃ安全性の問題を一言だけひとつ。  原子力発電はあぶないあぶないと、こういうことが宣伝されておりますけれども、これはもう私は全く心配はない、そういうふうに考えております。  これは原子爆弾をつくった軍事利用の初期はいざ知らず、平和利用になりまして、今日わが国でもすでに五基動いておって百八十万キロワット、世界的には百三十二基四千万キロワット、これが動いておって、平和利用でもっていままで一般大衆に事故を起こしたことは一回もないのであります。まあそれは機械ですから故障は起きるかもしれませんが、十重二十重にそういう場合については防御装置があっておりますから、一般公衆に危険を与えるというふうにはなっていない。十分な審査もし検査もいたしておる。ですから、いままでも心配はないと思いますし、これからも心配はありません。  しかしながら、わが国におきましては、広島とか長崎とかいうことで原子力について特に神経質になっておりますから、そういう御心配もおありでございましょうから、念のために安全に力を入れている。総理も安全の問題については政府が責任を持って事に当たるということになっておるわけでございますから、その点について私は従来政府国民の疑惑を持たれるような態度であったということは一切ないと思いますが、まあ御質疑がございますれば、いずれ科学技術特別委員会で十分ひとつそれらのことについて御説明を申し上げたいと思います。
  318. 中村利次

    中村利次君 もう時間がぼちぼち来始めていますから、まだ一ぱい残り過ぎちゃって困っているのです。  本法案が成立をして、政府が行政府の責任において標準価格あるいは特定標準価格を設定しよう、こういうことになるわけでありますけれども、この法案を見ますと第四条の三項でこの標準価格をきめようという。三項にはいろいろ書いてありますけれども「標準的な生産費、輸入価格又は仕入価格に標準的な販売費用及び利潤を加えて得た額、取引の態様及び地域的事情、」云々、これを「勘案して定める」と。で、こういうことをやってもだめな場合には、今度は特定物資として指定して特定標準価格をきめるということになっているのです、衆議院修正の第九条で。それの第三項には「適正な利潤を加えて得た額を基準とし、」というふうに、「取引の態様及び地域的事情、」を除いて、この「基準とし、」というものを入れてあるのですね。経済企画庁長官、これはどう違うのですか。
  319. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) たいへん詳しく研究をしていただいておそれ入ります。  いまの除いたのは、特定標準価格につきましては、むしろ中にごちゃごちゃと入れますよりも、第二項のほうに持ってまいりまして「特定標準価格は、全国を通じて、又は主務大臣が定める地域ごとに定めるものとし、取引の態様その他の事情に応じて」と、こういうことで、特にこっちに引き出しましてその点を特に大きく取り上げておる、こういうことに御理解をいただきとうございます。
  320. 中村利次

    中村利次君 そうしますと第四条によって指定物資を設定して標準価格をきめる。それできめたけれどもだめな場合には、第九条によって特定物資として特定標準価格をきめる。これは四条でできないことが、この「基準とし、」とそれから「取引の態様及び地域的事情、」とを入れかえたことによって、第二項に大臣のおっしゃるようなことがあるにしても、これはきめ手があるんだということになりますと、「取引の態様及び地域的事情、」については、これは経企庁が、政府が業者のために鉛筆をなめるというような印象を与えやしないかと思うのですが、それをなくするためにも、大臣、ここへこう書いてあるこれを政府は責任を持って算定されるんですから、国民が納得するようにこれを公表されたらどうですか。
  321. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 特定標準価格をつくります場合には、一般の標準価格よりもさらに進んだ、利潤の計算などにつきましても「標準的な」ということばに「適正な」ということばを書き加えておりますことは御指摘のとおりでございまして、この特定標準価格というものはもちろん公示をいたし、販売業者の店先に掲げさせる、こういうことに相なります。
  322. 中村利次

    中村利次君 もう時間がなくなりましたが、どうもやっぱり食い違っているのですよ、質問答弁が。  標準価格を公示させるんじゃなくって、ここに書いてあるでしょう「生産費輸入価格又は仕入価格に標準的な販売費用及び利潤を加えて得た額、」政府がこれをはじき出して、これはもう政府が責任を持ってこういうものを現認して標準価格をきめた、あるいは特定標準価格をきめたと、それでしたらね、中身はこうだと公表する——いわゆるきまった価格を公示するだけではなくてね。通常状態の場合は、自由主義経済体制のもとではこれば企業秘密であるということで公表すべきではないと、こういうことだったんです。しかし少なくとも自由主義経済下で統制価格をとらなければならないぐらい——標準価格という名目になり特定標準価格という名目になっておりますけれども、とにもかくにもこの異常事態を乗り切るにはやはり統制価格を導入せざるを得ないという異常事態です。そういうときに秘密がどうのこうのといって国民の疑惑を招くようなことは政府としても得策ではなかろう。  ですから責任を持ってはじき出されたものを、これはこうなんだよという、そういう政治的配慮があってこそ私は国民も安心をして先行きに対して政府を信頼して買いだめもしないでしょうし、いまなんか政治不信が高じているから、ふだん使わない練炭や豆炭を一年分買い込んで、余って安かった練炭が急騰をしたり品不足でにっちもさっちもいかない。これはやはり私はそういう政治に対する信頼があるかどうかがきめ手だと思う。そういう意味でやっぱり国民が納得できるような方法をお考えになるべきだと思うんですが、いかがでしょう。
  323. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 大臣からお答えあったかと思いますけれども、最初の段階の標準価格は、法文上のたてまえは非常に厳密なこういうことになっておりますけれども、実際問題といたしましては、おそらく多くの場合、その価格のいわゆる異常な事態になる前のノーマルな状態を前提にいたしまして、その後のおもな原価の構成要素といいますか、賃金ベースが上がっているかとか、あるいは海外の輸入価格が上がっているかとかいうような変動要因に着目して新しい標準価格をきめるというケースが多いと思います。  そのあとのマル特と申しますか、特定標準価格になりますと……。
  324. 中村利次

    中村利次君 ちょっと待って。いまノーマルな経済状態の議論をしているんじゃないんですよ。石油危機という異常な事態の中でこういうことをやらなければならない、それが前提ですよ。間違わないでください。
  325. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) ノーマルな事態を前提にいたしまして、その後のコストの変動状況を計算に入れて、こういう異常事態下の標準価格をきめる、そういう意味でございます。  それから、先生おっしゃいますように、確かにそういう内容を一般の消費者にも理解してもらうということが非常に重要でございますので、今度審議会等も設けることになりましたので、個々の企業の原価を公表しますことは、これはやはり国際競争力その他の関係から問題があると思いますので、平均的なものにつきましては、なるべく審議会等で、事後的になりますけれども、お話をいたしたいと思っております。
  326. 中村利次

    中村利次君 残念ながら時間も来ましたので、これで……。
  327. 小笠公韶

  328. 宮崎正義

    宮崎正義君 私は、漁船用の燃油あるいはフレート上の小麦とか飼料関係それから石炭問題、これらにつきまして質問をいたしたいと思います。  最初に、先ほど大臣から御答弁がございました中に、遠洋漁業に対する手当てというものはどの方面にどういうふうにしてどのような形でつくってある、さらには洋上の補給等もやっている、こういうふうな御答弁がございました。  そこでお尋ねをいたしたいんですが、御承知のように、わが国の漁船数は三十九万、総トン数が二百六十万トン、そのうち動力船が大体七六%でトン数が九七%、これらがほとんど日本の漁業をになっているわけでありますが、そこでこの燃油が円滑にいくかいかないかによって勝敗が決する、われわれのたん白資源の食生活というものが守れるか守られないかということが決定してくると思うんです。  そういう意味合いで、四十七年度における漁業用の石油の消費量は約五百三十万キロリットルございますが、このほか海外補給等が約百万キロリットルで、合計六百二十万キロリットル程度でありますが、この国内補給のうちA重油が約四百八十万キロリットルを大体占めているということになるわけですが、漁業用石油は国内の総消費量に比べてみると非常に少ないものであります、わずかなものであります。その占める率は二%か三%にしかすぎません。この供給が大体全漁連が二八%、日本鰹鮪漁連が大体六%、いわゆる系統が三四%を占めているといわれておりますが、そのほかが六六%の一般石油販売業者で漁家は今日までの漁業をやってきたわけでありますが、十一月の十六日に閣議決定をされましたですね、そしてその漁業用石油の削減は対象からはずされているというふうに聞いているわけなんですが、実際は、いま言いました一般石油販売業者はすでに一〇%から三〇%のカットをしているわけなんです。こういう点、御承知でしょうか。
  329. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) いまお話のございました石油緊急対策要綱を閣議できめましたこのときにも、農林漁業用石油を優先するということにいたしてあるわけであります。通産当局においてもそれと同じ御判断でやっていただいておるわけでありますが、いまお話のございましたように、漁業用の燃料油は国内で六百三十万トン、海外で補給を要するものが大体六十万トン、約六百九十万トン、こういうことでございます。  海外補給を要します漁船は、御存じのようにマグロそれから底びき等でございますが、いまおもな海外補給地域といたしましては、アフリカそれから中南米、オーストラリア、北米等でございますが、先ほどのお尋ねにもちょっとお答えいたしましたように、マグロ漁船に対しましては緊急洋上補給計画を進めておりまして、一番船がたくさん集まっておって給油のわりあいにむずかしいと思われておりますケープタウン沖漁場、こういうものに対しては六千五百キロリットルを補給いたして、それからハワイ沖漁場にも補給をいたしております。ただいまのところ私どものほうで調査船を派遣いたして調査をいたしておりますが、漁業も含めて農林漁業一緒にいたしまして優先的に取り扱うということは決定いたしておる次第であります。
  330. 宮崎正義

    宮崎正義君 すでに系統組織外のところでは——答弁が漏れているわけですけれども、ひどいところは三〇%以上も削減されているんです。そういうことを御存じですかとさっき聞いたんですがね。
  331. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) お答えいたします。  この十一月、突然、石油のこういう切りかえの問題がございましたので、場所によりましては一時的に停滞する場所もございましたが、その後、全漁連を中心といたしまして、特に全漁連ではモスクワあるいはヨーロッパまで石油の手当てをしに及川君も出かけたりしまして、相当手早く石油の手当てをいたしておりまして、その後、各方面の県連から要望があるものにつきましては早急に逐次手当てを進めておる次第でございます。
  332. 宮崎正義

    宮崎正義君 どうも答弁が現実を踏んまえておられないんで、実際は、もうすでに漁業に出られない者がいるわけなんです。そういうことを御存じですかということをお聞きしたわけです。端的に言えばそういうことなんです。  いまお話がございましたように、全漁連が非常に手配よくやっていると言っておりますけれども、私もこれ持っておりますがね、全漁連で外地積みの主要補給基地、この問題でいま大臣から答弁がございましたけれども、ケープタウンでは六千五百キロですか、それを補給するようになっている。あとホノルルのことは何ともおっしゃいませんでした。きょうの新聞等で見ますと、ハワイのほうには補給基地をつくっていこうというようなことも出ておりますけれども、現在、太平洋あるいはインド洋あるいは南アフリカ共和国、あっちのほうの石油を供給できない、供給をしていないというところを御存じですか、どことどこの港か。
  333. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 海外におきます漁船の油の補給につきましては、この一カ月ほどの間にめまぐるしく個所等も毎日のように変更もございましたが、場所によりましては逐次安定化してきておりますが、ただいまどうしても油の供給が実際的にできないといわれるのが南アのケープタウンを中心といたします地区でございまして、南アフリカ共和国の周辺の港はほとんど油の供給が受けられないということでございます。それからさらにニュージーランド周辺もただいま政府間で外交チャンネルを通じて交渉をいたしておりますが、これもなかなか受けられない。それからインド洋方面でも実際問題として石油の供給が受けられないという問題もございまして、さらに私たちも非常に努力しておるんでございますが、ハワイ方面がなかなか受けられないというようなこともございます。  現在、先ほど御指摘がございましたが、ハワイ方面につきましては、マグロ系統でございますが、ポート・ニジェール号というフランスの船をチャーターいたしまして、この十二月の二十四日に横浜を出港いたしまして、約五十隻のマグロ船に対して約五千キロリットルの油を洋上で補給しようということで、ただいますでに用意を終わっております。  それからケープタウン方面につきましては、これはセコンダーという英国籍の船でございますが、この船をチャーターいたしまして、これはすでに十二月十九日にシンガポールで、たまたま英国の船がございましたので、それをチャーターいたしましてシンガポールを出港いたしまして、一月の十日ごろにはケープタウンに到着しまして、陸揚げタンクに約六千キロリットルの油を、約六十隻のマグロ船に対して供給するということに、ただいまの段階でなっております。  それからさらに、ただいま問題になっておりますニュージーランド周辺の油でございますが、これがちょうど百五十九隻のイカつり船を、私のほうで、この秋口に承認したあとでニュージーランドで石油問題が出ましたので、これがすでに四、五十隻、ただいまニュージーランド方面へ出港いたしておりますが、この油につきましても、全漁連を中心といたしまして、約一万五千キロリットルの油を手当ていたしまして、そして、ニュージーランドの港に、ウエリントン、あるいはそのほかの港でタンクを借りたいということで、日本から油を持っていくけれどもタンクを借りたいということで、ただいまニュージーランド政府政府チャンネルを通じまして交渉いたしておりまして、これにつきましても、近日中にめどがつくように努力いたしたいと、こういうように考えておる次第でございます。
  334. 宮崎正義

    宮崎正義君 いまお話がありましたけれども、ニューヨークもこれは供給不可能、ニューヨークもだめだ。それからアメリカの西海岸、これもだめだ。お話がありましたのは、コロンボ、これもだめだ、シンガポールもだめだ、豪州のほうでも、メジャーの本社から照会をし問い合わせがあり、その許可がなければ出せないというふうな状態だ。いまお話がありましたように、ケープタウンではチャーターやった、ホノルルではやったと言いますけれども、ほとんどの大西洋沿岸、インド洋等は、まだ何も手が打たれていない。これから手を打つとおっしゃっておられますが、これもいっときも早く補給基地にタンクを備えるなり、タンカーなりを急遽持っていくような形になっていかなければならないと思うんです。いまお話がございましたけれども、ニュージーランドの四十隻から五十隻のイカつり船が出ておるとおっしゃっておりますが、全漁連では百五十九隻が、海外の燃料補給がないために、いま出漁を見合わしているという状態になっている。だいぶ違うんですがね、先ほどの御答弁と。この点どうなんですか。
  335. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま御説明申し上げましたように、百五十九隻の承認をいたしておりますが、ただいままでに出漁いたしておりますのが四、五十隻でございますが、これは向こうに行くまでの油は、日本で、全漁連を中心といたしまして、これも約一万五千キロリットル程度でございましたが、これを各船に配分いたしまして、出港は大体できるということで出かけております。  ただ今度、向こうで操業する部分、あるいは帰ってくる油というものについて、見通しがいままでの段階では暗いということで、いろいろ問題があったんでございますが、全漁連を中心といたしまして、ニュージーランドに石油タンクをチャーターして、その石油タンクにこちらから一万五千キロリットルの油を補給船で持っていくという見通しが明確になれば、向こうで十分操業してまた帰ってくることもできるということで、これは近日中に百隻をこえる船が出漁することになるんではなかろうかと、こういうふうに私のほうは考えておる次第でございます。
  336. 宮崎正義

    宮崎正義君 とにかく百五十九隻という船が、まだ見通しがつかないために待っているという事実だけは、これははっきりしていると思うんです。で、これは当然、政府がこの補給に対する燃油というものは確保してやらなきゃならない、これは遠洋漁業ばかりじゃございません、一番最初に申し上げました沿岸の漁業の人たち、近海漁業の人たち、これの使う率というのが六六%だ、系統が三四%だ——大手の五社はどれぐらいのシェアを占めているのか、この点ひとつ説明願いたいと思います。大手の五社がやっておりますね。
  337. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 先ほど大臣からも御説明がありましたように、海外で四十八年の見通しで約六十万キロリットルの油を消費するということで、従来この六十万キロリットルの油の系統につきましては、国内で持ち出して洋上で補給したり、現地で補給するというんではなくて、外国の油供給会社から買い取るという形で、現地で補給しておったようでございまして、これが国内での石油供給の一種のワク外というふうになっておりまして、この問題について、通産省とただいままた努力いたしておりますが、御存じのように、マグロ船のように、一年間も大西洋方面で操業に従事しているという油を全量日本を出港するときに持っていくということは、およそ実際問題として不可能なので、やはり今後とも何らかの形で、海外の現地で石油を手当てするという指導なり、そういう実際的なことを考えなければならないんではなかろうかと、こういうふうに私たち考えておる次第でございます。  それから、さらに第二点の大手シェアはどのぐらいかという御質問でございますが、大手水産会社が大体四十七年度の実績で五十万キロリットル、全体で水産の総ワクの八・八%ぐらいというふうにわれわれ調べておる次第でございます。
  338. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは過日の十八日に、「燃料切れ漁船が漂流 ハワイ給油、手配つかず」という朝日新聞の記事を見て、これで急遽ハワイ方面にチャーターを補給するためにやったということにも思えるわけですが、こういうことが二度と起きないようにするためには、太平洋のマグロ、イカの漁につきましても、手早くやっていかなければならないというふうに思うわけです。  と同時に、もう一つ、これは「日刊燃料油脂新聞」の記事でございますが、資源エネルギー庁は内需のカットの量をきめて発表しているわけですが、四十八年度の下期の修正内需量の比較表が出ておりますが、この点、御存じですか、水産庁。
  339. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) その新聞については、私まだ読んでおりませんので、少しもわかりませんが、通産省と私たちのほうで、毎日のように接触をいたしておりまして、この油の四十八年度の今後一−三月分の確保については、今後とも強力に通産省と交渉して、また通産省と私のほうと、それから油の供給側と、それから漁船側との間で近く——本日もその連絡協議会を持ったわけでございますが、今後とも油の確保については全力をあげてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  340. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうしますと、A重油だけ御存じないようですから、これ通産省から説明してもらってもいいんですが、A重油だけを取り上げてみますと、下半期は三四・二%の削減をされるということになってるんですが、この内容はどんなふうなんですか。どんなところを削減しようとしているんですかね。
  341. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) その新聞の記事は、私存じあげておりませんし、現在通産省で下期のA重油のカット率等の作業をいたしておりません。御存じのとおり、非常に石油の入着状況というのが国別にも非常に流動的でございまして、われわれのほうでは、現在十二月の各油種別の生産計画をつくって、これはできておるわけでございますが、A重油について言いますと、上期に得率が六・五ぐらいでございましたのを、漁船用等の緊急性にかんがみまして、これを七・五四に引き上げまして、かつ在庫のはき出しも行なうことによりまして、十二月のA重油は百六十五万二千キロリットルということを一応きめておるわけでございます。一−三月につきましては、まだそういう意味での計画を持っておらないわけでございます。
  342. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうしますと、これは「資源エネルギー庁は、一−三月の原油輸入可能量をもとに修正内需見通しをまとめた。」というんじゃないわけですね、いまの御答弁ですと。
  343. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) そういう作業はいたしておりません。まだございませんです。
  344. 宮崎正義

    宮崎正義君 それでは、いま御答弁がありましたように、削減じゃなくて、むしろふやしているということで承知しておきたいと思います。  それから農林省と通産省で話し合いをされて、漁業用の燃料の確保というものが何よりも一番大事な要点になってくるわけですが、この点はもう一回ちゃんと念を押しておきたいと思うんですが、水産庁の言うものは、通産省は承知をしたわけですかな。
  345. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 私のほうといたしまして、ことしの秋十一月以降、閣議決定あるいはその後ありました両政務次官の覚え書きにもよりまして、漁業用の石油のワクにつきましては十分に通産省に申し入れし、また通産省のほうでも、その点につきましては御了解願えまして、十二月分についても、おおむね確保できるんではなかろうかと。一−三月分につきましては、先ほどエネルギー庁長官からお話がありましたように、今後の輸入の見通し等をもとに、もう少し正確な需給見通しを立てたいというふうに私たち聞かされている次第でございます。
  346. 宮崎正義

    宮崎正義君 そこでお伺いをいたしますが、次は飼料関係の問題でありますが、外航船舶の運航に支障が来たすと、これはえらい問題になってくると思うのです。麦、大豆、トウモロコシ、コウリャン、あるいはこれらは国内の需要の大体一〇〇%ぐらいを占めているわけでありますが、外国から依存しているわけでありますが、農林省で石油対策委員会の輸入部会というものを設けてこれに当たろうとしているわけですが、アメリカの東海岸から運んでくるトウモロコシだとかコウリャンだとか、これらの飼料は一月到着分ぐらいまでは大体見通しがついているけれども、その後の分はどのように考えておられるのか。石油不足がこれからだんだんだんだん深刻になってくると、はたしてその見込みどおりにいくのかいかないのか、こういう点も非常に心配するわけなんですがね、この点はどうなんですか。
  347. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  飼料穀物につきましては、お話のとおり、アメリカのガルフからの輸入が大宗を占めておりますが、これにつきます現在の飼料穀物の輸送船の手配状況を申し上げますと、三月までの積み込み量四百四十八万トンの約九割については配船済みでございます。したがいまして、使用分といたしましては五月分の製品使用量までの見合った配船が終わっておるわけでございます。
  348. 宮崎正義

    宮崎正義君 実際問題として、間違いなく運航されるかどうかということなんですが、実は大体飼料原料が毎月百万トンぐらい、アメリカから大体六〇%ぐらいが輸入されている。ニューオーリンズの港で積み込みをやってパナマ運河を経由してくる。ところが実際はパナマ運河では外国船の燃料供給というものはもうすでに五%ぐらいの削減をやっているということをいわれているわけなんですがね。この状態がずっと続いていけば、より多くの削減がもたらされるんじゃないかということになってくると、アメリカ自体もこの問題で悩んでいるわけです。ですから三月以降五月まではだいじょうぶだというふうなお話ですけれども、そう簡単にはいかないんじゃないかと思うんですがね。  で、同時にもう一つお伺いしたいのは、政府が麦なり小麦なり買い付けをします、そうして商社に入札見積もりをさせて運ばせます。その場合に、準外国船あるいは外国船、日本船これらで運んでいると思うわけですが、こういう関係の油関係なんかはどんなふうに考えておられるのか、二つの点。
  349. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 小麦の輸入をする場合の船でございますが、邦船が約一八%、それから準外船——これは日本の船会社がやっておる外船でございます。これが七二%、純粋な意味での外船は約一〇%ということになっておりまして、小麦の場合は大体バンクーバー、あるいはポートランドというようなところから積み出すわけでございますが、油は大体日本から積んで行って帰ってくるというようなことになっております。  そこで小麦の成約状況でございますが、昨日までで、大体三月積みまではアメリカ、カナダともおおむね成約を得たわけでございまして、船舶は確保しております。したがいまして、十二月、一月については、これはまずだいじょうぶだと見ておりますし、二月、三月につきましても船は確保しておりますので、若干あるいは船の速度を落とすということで多少おくれるかと思いますが、大部分入ってまいります。そうしますと、大体六月の需要まではだいじょうぶだというふうに見ておるわけでございます。
  350. 宮崎正義

    宮崎正義君 飼料の点の御回答がなかったんですが、飼料のほうは、大体えさとすれば、日本船が三〇%、外国船をチャーターしたものが三五%、外国船が三五%ということは、私も聞いておりますが、現在の在庫分、これはどうなんですか。二カ月程度もないということなんですが、これはどうなんですか。
  351. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  先生のお話でございますが、邦船と外船との比率は、えさにつきましては八割が邦船で二割が外船ということになっております。  それから第二点の、現在の在庫等につきましては、例年大体えさの原料在庫量は〇・八カ月から一カ月でございますが、先般、本年の中旬以降の米国の輸出規制その他の問題がございましたので、相当買い進んでおりまして、大体一・三カ月分以上の国内在庫がたまっておるというような事情でございます。
  352. 宮崎正義

    宮崎正義君 そこで、麦が非常にフレート関係でずっと上がってきている、売価が非常に高くなってきているということは、これはもう御承知だと思いますが、外国の価格が高騰してきて、日本の高値の価格とほぼ一致しているというふうにいわれております。で、小麦の国際価格、一ブッシェル当たりが、昨年の八月が一・ハドル、ことしの八月が五ドル台に上がり、九月には六ドル台余にも上がっておるということになっております。十二月十四日のシカゴの穀物相場では現物が五・六一ドルにもなっている。食糧庁で外麦を買い入れている価格がこの八月から十月平均しますと六万四千円というふうに記憶しているんですが、小麦の国内の買い入れが大体二等で七万四千四百八十三円で、外麦と比べると約一万円ぐらいしか差がないということなんですが、これがまた十一月以降になりまして為替レートが非常に低下してきた、十月中旬で二百六十円で、十一月中旬以降になりますと二百八十円の円安になってきているということ、これらをずっと勘案しますと、非常に麦の価格というものが、これからも高値に予想される以外にないと思うんですが、さらにこのフレート問題で申し上げてみますと、三月で十二・五ドル、十一月で二十五ドルにもなっている。現在は大体三十五ドルから四十ドルにはね上がってきているんだということですが、麦の値段も二千八百円から四千円高、これをずっと狭めて合わせてみますと、一万円近くなっているという、先ほど申し上げたとおりなんですが、この点についてどのような考え方をしているか、ひとつお聞かせ願いたいと思うんです。
  353. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) ただいまおあげになりました数字はそのとおりでございまして、昨日私のほうで入札いたしまして買いました分の、カナダの小麦が六万九千円ということになっております。  今後の見通しでございますが、ことしは幸いアメリカ、カナダも非常に豊作でございましたし、去年と違いましてソ連も非常に豊作であったわけでございますが、昨年来のソ連、中国等の不作による買い付けが非常に多くて在庫が非常に減っておるわけでございます。したがって、来年のニュークロップがアメリカが七月ごろ、カナダが九月以降出てくるまでは、いまの高値の水準が大体変わらないんではないかというふうに見ております。
  354. 宮崎正義

    宮崎正義君 そこで商社に入札をさせますね。先ほど御答弁がありました日本船が一八%で、準外国船が七二%、これはチャーターですね。そして純粋の外国船が一〇%という答弁ございましたね。これの油はどんなふうに確保されているのか。通産省とどのように話し合いができておるのか。アメリカからほとんど来るんですが、そのアメリカの石油関係は、アメリカ自身もやはり同じですから、燃料に困っているのは。ですから、そういう場合に、もし準外国船七二向こうの船を雇って運ばしてきているという商社、それから商社自身がやっているもの、あるいは外国船そのものがやっているものとありますでしょうけれども、これらの燃料の確保というのは、どのようになっているのか。
  355. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 食糧庁で掌握しておりますのは十二月から三月までの必要燃料量、小麦につきましてはA重油で一万四千四百キロリッター、それからC重油が十一万キロリッターぐらいでございます。これは先ほども申し上げましたように、邦船でも準外船でも、日本の国内で積んで往復やっておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、もう確実に十二月積み、一月積みは油も確保されておって順調に動くと思っておりますが、二月以降、若干船がおくれているということで心配でございますので、先般通産省のほうに、小麦、大麦についてはこれだけは要ると、それからこれは畜産局のほうでございますが、えさについてはこれだけ要るという申し入れをしまして、いま御検討もあわせていただいておるところでございますが、われわれのほうが商社から買い上げる場合に、商社とのいろいろな話し合いでも、大体その辺の見通しはつけておるようでございます。
  356. 宮崎正義

    宮崎正義君 通産省どうですか、いまの。
  357. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 船の確保の問題は、特に食糧系統でございまして、これが入りませんとたいへんなことになりますので、十二月六日の日に関係者が集まりまして、さしあたり十二月の配船計画、それに基づく所要の油の手配ということにつきまして相談が成り立ったわけでございます。量だけで申し上げますと、これは上期の月別の実績よりもむしろ多いぐらいの量を手当いたしたわけでございまして、いま食糧庁長官からお話もございましたように、この十二月の話し合いの前提で、ほぼ一月も最優先ということで確保をする方向でございまして、そういう点での万全の措置を講じたいと思うわけでございます。
  358. 宮崎正義

    宮崎正義君 時間がございませんので、まことに残念なんですが、飛び飛びにやる以外にないんですが、農林省のほうに、農業生産資材の不足と石油危機のこの一連の経済パニックによって、営農の不安と焦燥に非常に農家は追い込まれている。農林大臣御存じだと思いますが、肥料にしましても、北海道の米作地帯はもう来年度の見通しが立たないというぐらいに切迫しているわけです。この入荷がありますと、これはもう競うようにして押しかけて求めているんですが、全農では、過燐酸石灰は四三・八%の高あるいは燐酸系肥料の平均が三二・一%と、史上最高の高値になっているわけなんです。それからさらには、肥料の問題では、先ほど山形長官ですか、原料用、工業用のLPは大幅に削減するなんていうことを言っておられましたけれども、これはとんでもないことだと思うのです。そんなことをするから肥料がこんなに高値になってくると思うのですが、この肥料の問題もそうであります。  さらには、先ほどもございましたけれども、鶏卵の暴騰なんていうのは、要約すれば五つぐらいの高騰している要因があるわけです。だから農産物の生産も供給も、今度は輸送上で運賃が便乗値上げをやったり、帰りの燃料がない、だから行かないというような問題、ハウスの暖房用の燃料も来年度は五割ぐらいしか確保ができないということもいわれておる。このハウス暖房なんかは一日も燃料をとだえさせれば全部枯れていくということは、御存じのとおりであります。  さらには、田中総理は農地を転用しろと、三十万ヘクタールを転用していけ。また施設園芸家に言わせれば、この燃料関係をどうしてくれるんだと、また春野菜の生産なんかどうして積み出していけばいいのか、どうしてつくりあげていけばいいのかという不安の中におるし、生産地はコスト高の採算割れをしている。消費者は異常な物資不足で高値に追い込まれてきているということが現状でありますし、これからの作付ということも大きく計画変更をしなきゃならないということも農家は心配している。いままでやってきた畜産関係でも、大規模近代化という旗じるしでどんどん大型化して営農化を進めてきた。それらも、資材不足やそれから生産縮小を今度はどうしてやればいいんだとかというように、非常に不安きわまりない。今日の農家は農民としてのあり方、日本農業のあり方自体がどうあるのかということを、まことに心配しているわけでありますが、この点について、農林大臣は、この石油危機一連の経済パニックを通した農政というものをどんなふうに考えているか、はっきり御答弁を願いたいと思います。
  359. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) いろいろな農産物、それぞれ事情が違いますけれども、おしなべて申せますことは、現在の石油関係のことでありますが、たとえば鶏卵のお話がございましたけれども、鶏卵につきまして、これは需要が非常に旺盛であることも原因でありますけれども、飼料が本年非常に御存じのように高くなりました。それからして容器、発売いたしてまいる容器等について、たとえば段ボールが非常に不足してきたとか、それから、これは産地が集約的でありますので、消費地に向かってトラックで輸送するという、そういう場合のトラックの輸送の油の関係もある。それからまた、ことしは寒波が押し寄せましたので産卵率が例年より減ってまいったとか、いろんな事情がございます。そこで石油対策を中心にいたしまして、いまその他の、たとえばハウス園芸等のお話もございました。私どもといたしましては、何しろ国民生活で最も必要なものは農産物でございますので、これの確保につきましては、通産省側とも非常に緊密な連絡をとりまして、先ほど来御説明申し上げておりますとおりでありますが、なお先ほどお話のございました両省間の取りきめに基づきまして、年内はもう御存じのとおりでございますが、さらに来年にかけましても、こういうことについて、その状況に応じて、食糧関係の油については確保していただくように全力をあげて連絡を密にしてまいるつもりであります。
  360. 宮崎正義

    宮崎正義君 私が予定しておりました質問のもう序の口しかできなくて、まことに残念なんですけれども、通産大臣、石炭の審議会の中間答申がございましたですね。この点について、専焼火力等も含めて、石炭の対策をこれからどうしていこうかという点と、どれだけの量をやっていかなければならないかどうか、そういう点もあわせて御答弁願いたいと思います。
  361. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 最近の油の動向にかんがみまして、石炭審議会で中間答申を十二月七日にしていただきました。内容は、油不足の現状等にもかんがみ日本の将来のエネルギー資源を考えて石炭政策を強化せよ、第五次答申の基礎の上に立ってさらにこれを強化推進する必要があるという内容でございます。それで、その内容の中に、特にうたわれておりますのは、石炭火力の増進とか、あるいは石炭のガス化、液体化等の推進、あるいはそのほかの諸般の石炭対策がうたわれております。それで、五十一年三月の目標を二千二百五十万トン、いままでは二千万トンを下らざるということでございましたが、二千二百五十万トンという目標を与えられておりまして、われわれはこの中間答申を誠実に履行してまいろうと思っております。
  362. 宮崎正義

    宮崎正義君 実際問題は、石炭鉱山の閉山をそのまま見過ごしたことが非常に多かったわけです。これは六月の五日に、エネルギー関係で、私は大臣にいろいろ質問いたしました。それから、六月の二十八日にも、省エネルギー問題と新エネルギー開発の問題等で大臣にいろいろ質問して、御答弁をいただきました。まあこれを申し上げる時間がございません。ただ私が心配するのは、これからやっていこうとするためには、石炭のいまお話しの二千二百五十万トン、これを五千万トンぐらいまで持っていくような考えをしながら、今度は、その二千二百五十万トンもいいことじゃございますが、今日の鉱山の保安状態ということをどのように考えているか。非常に危ぶまれる点がだいぶんあるわけです。検査官が検査に行きます。検査に行く前になりますと、ほうき目を立てて、そうしてこの先へ入ってはだめだというような札を立てているというようなことも、私は一度見たことがございます。それで検査官が出て行きますと、その札なんかを取り払って、また建物の自分のからだがやっと入るところへ、下へおりていってさく進をしているというようなことも、私は前に見たことがございます。  で、今日の日本の石炭の鉱山の保安対策というのは非常に劣っております。ですから二千二百五十万トンをやるという、やるについては保安というものの対策をしっかり相整っていくようにしなければならぬと思うのですが、この点についてどうなんでしょう。
  363. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) お示しのとおりであると思います。先般来、炭鉱の事故等もございまして、たいへん恐縮に存じ、いろいろ監督を厳重にしておるところでございますが、増産をさらにやるということになりますれば、当然監督、保安等につきましても、十分注意してまいるつもりでございます。
  364. 宮崎正義

    宮崎正義君 質問を終わります。   〔委員長退席、商工委員長剱木亨弘君着席〕
  365. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 春日君。
  366. 春日正一

    春日正一君 私は、主として国民生活安定法について、幾つかの問題をお聞きしたいと思うんです。  それで最初に、この法律の立法の目的と国民生活の実情に関してでありますけれども、この法案は第一条で、「この法律は、物価高騰その他の我が国経済の異常な事態に対処するため、国民生活との関連性が高い物質及び国民経済上重要な物資の価格及び需給の調整等に関する緊急措置を定め、もって国民生活の安定と国民経済の円滑な運営を確保することを目的とする。」と、こういうふうにうたってあります。そうして、この法律を適用する物質として、第二条で、「物価高騰し又は高騰するおそれがある場合」、また「国民生活との関連性が高い物資又は国民経済上重要な物資」についてと、この二つの条件で指定するということになっております。そこでお聞きしたいんですけれども、政府はこの法案が成立した場合、どういう物資について指定するつもりですか。経企庁長官
  367. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 春日さんがいまお読み上げになりましたように、対象の物資は二種類、国民生活に関連性が高い物資と、それから国民経済上の重要物資、この二つのカテゴリーに入るものでありまして、しかも、その当該物資の値上がり物価のこの一般的上昇の中でも、特に著しい上昇を示していると、こういうものを逐次選びまして、対象にいたすべきものと考えます。
  368. 春日正一

    春日正一君 具体的に、いままで私ども新聞で見ておって、政府のほうから明らかにされたのは、法案が通ったら石油、プロパン、トイレットペーパー、このくらいなものは適用するだろうというようなふうに新聞なんかには出ておるんですけれども、そのほかのものはまだ考えていないんですか。
  369. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) この法律全体のお世話をいたしております私の立場からいたしますならば、これはもう、これだけは国がぜひ国民に安心をしていただけるために、物価や、またその需給について、そういうものを幾つか選びまして、それだけは何とか守り抜くという姿勢をぜひ示してまいりたいと思います。しかし具体的に、いま春日さんがおっしゃられましたような品目あるいはそれ以外の品目につきましては、各物資の所管官庁の主務大臣と相談をいたしまして、そしてきめてまいることに相なります。
  370. 春日正一

    春日正一君 そうすると、たとえば国民経済という立場からいえば、経済の米だといわれておる鉄鋼というような建設資材については指定をするつもりがおありですか、ないんですか。
  371. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私がここでぴたりと申し上げられない面もございまして、いずれこれは主務大臣と相談をいたさなければなりませんが、しかし私が自分の立場で考えますと、鉄鋼については、まさに国民生活に非常に関連が高い物資と、それから国民経済の基礎物資と、両面あると思います。何しろいまおっしゃるような国民経済の米だと、こういうわけでありますから。しかし、それはたとえばシートバーとかいうような、そういう粗鋼の段階は、やや国民生活から遠いのではないかと、それはどういうものをきめるか知りませんが、二次製品の中には、この際きめたほうがいいというものもあるように思いますので、その辺は主管の通産大臣等々と十分打ち合わせてまいるつもりでございます。
  372. 春日正一

    春日正一君 まあ、これからということになると、そうすると、いままでうんと上がってきたけれども、もう上げるだけ上げちゃったから横ばいになったというようなものは適用しないということになりますか。
  373. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) まあ私が見るところでは、これまで上げてしまったから、これで高値安定で、あとはほうっておいても下がる一方だと、こういう状況のものは必ずしもないので、いまの物価の激しい状況の中におきましては、まだまだこれからほうっておけば上がると思われる硬質物資があると思われます。鉄鋼などについても、私はもうこれで高値安定でほうっておいてもいいとも思われません。しかし鉄鋼につきましては、これは総需要の抑制、ことに財政——国の財政あるいは地方財政、建築物の設備投資規制というようなものを思い切ってやる仕組みになっておりますので、いままでのような足取りを必ず示すかというと、そうでない面も想定されるものも多いと思いますので、その辺の見通しのもとに、主務大臣と相談をしてまいりたいと思います。
  374. 春日正一

    春日正一君 そこで建設大臣にお聞きしたいんですけれども、御承知のように、建設資材が非常に値上がりが激しい、同時に品が非常に不足するというか、出回りが悪くて、特に中小の建設業者、零細の業者が品がすれというようなことで契約もできない、あるいは契約したけれども、あとから資材の値が上がったために赤字になるというようなことで、倒産するというような状況も出ております。たとえば倒産件数でいえば、中小企業庁の調べで、四十八年十一月に八百五十七件ありますけれども、そのうち二百七十七件、三分の一を上回るものが建設業界から出ておるというような苦境にありますし、それから契約不調のものも四月−八月では、これは建設省のほうからもらった資料ですけれども、約四百五十件、五カ月で。それから九月−十月では二カ月で五百件契約不調が出ておる、こういうふうな状況のもとで、建設省としてはどのような対策をされてきたか、またこれをどのようにして解決していこうとお考えなのか、そこを聞かせていただきたいんです。
  375. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) お答えいたします。  春日先生御承知のように、六月、十月、二回にわたりまして、実は物価値上がりの対策として、単価の是正並びに融資のあっせん、そういうことをやってまいったわけであります。しかも石油問題が起きる前は、一応この程度で乗り切れるんじゃないかという業界との話し合いもいろいろお聞きしておったわけでありますが、まあ十一月に石油の問題が起きましてから、この間の情勢がまことに悪化いたしてまいりまして、御指摘のとおり、契約の不成立等がございまして、逐次中小企業者の倒産というような問題も出てきておるわけでありまして、十一月の二十日に、これに対処するために、建設省の官房長通達をもちまして、実は公共関係の仕事に対しまして、そのスライド制を実施して、値上がりの分を見ていこうという通知をいたしたことは、御承知のとおりでございます。  しかし、それをやりましても、実は四日ほど前に、中小企業の業界の方々と懇談いたしたわけでありますが、やはり十一月の二十日だけの通達ではどうにもならぬと、きょうの新聞紙上なんかにも、業界が痛切な叫びを広告で出しておるようでありますが、ほんとうにこれはほっておけないということで、その後の物価の急上昇に対応する早急なる対策を講じなければなるまいということで、事務当局に対しまして、どのような対策を講じたらいいか、スライド制をいつの時点においてさらに繰り返して処置をするかということを、現在検討させておるわけでございます。もう今年度も、三月まで余すところあまりございませんので、できるだけ早急に方向を示したいと、かように思っておるわけでございます。
  376. 春日正一

    春日正一君 次に自治大臣にお伺いしたいんですけれども、いま言いましたような事情で、地方自治体でも住宅、学校、保育所、清掃施設というような工事が、鋼材、セメントなどの入手難、値上がりというようなことで深刻な打撃を受けておるわけです。  たとえば埼玉県の場合、十一月末現在で県の土木事業契約率は五〇%と、前年はこの時期に七〇%契約しているんですね。契約不成立の公共事業の中には、川口の養護学校とか保健センター、それから草加市のごみ処理場、それから精神薄弱者のための施設というようなもので、保健センターなんかは四〇%値段が開いている。それから精薄者の施設の場合には、三回目の入札でも六〇%も開いておって不調だというようなことで出ておりますし、それから東京都の場合でも、清瀬の小学校、第九小学校は来年四月開校の予定なのに、セメントの不足で間に合いそうもないというような事態がありますし、品川区では公共施設二十四件が大幅に工期がおくれて、しかも業者からは二回目の二〇%のアップを要求されているというような事態になっております。  そうして特にこれを見ますと、これはたいへんなことだと思うのですけれども、京都新聞で、滋賀県の建設業協会が公共事業の受注を辞退したと。その宣言を出して、請負価格が安くて、深刻な資材値上がりでどうにも請け負ってもしようがないというような宣言を十二月の八日に出しておるというようなことが報じられております。  そこで、こういう事態に対して、自治省としてどういうふうに考え、手を打たれるのか、そこを聞かせていただきたいんです。自治大臣は自治体の長を長いことおやりになった方だから行き届いた対策があると思いますけれども、聞かせていただきたいと思います。
  377. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) お答えをいたします。  九月末の現在におきまする全国の公共事業の進捗率は大体五〇・五%、昨年が同期におきまして六〇・九%ということでございますので、かなり進捗率は昨年に比べてみるとおくれておるというのが実情でございます。これは一面、年度の当初から、ある程度事業の繰り延べを地方団体に要請をいたしてまいったという一面もございますけれども、他面、ただいま春日委員も御指摘になりましたように、建築資材その他の諸物価高騰ということも、またただいま申し上げましたような契約の進捗がかなりおくれておるという一つの原因をなしておるということは、見のがすことができないと存ずるので、そこで自治省といたしましては、公立文教施設でございますとか、あるいは社会福祉施設のような、住民に密着をいたしておりまして、どうしても早く完成をしなければならないというものにつきましては、できる限り、契約が促進できるように、われわれといたしましても協力をいたしておるところでございます。  私ども見るところによりますると、ただいま御指摘のような事実も確かにあるのでありますが、他面、御承知のように、本年は地方税収入等はかなり、地方団体によりましては、当初予期しておりました以上の増収を得ておるというようなところもございます。そういったいろいろの事情が各公共団体によっては違うわけでございますから、一がいには申し上げかねるのでございますけれども、そういった事情の中にありまして、私ども御承知のように、特に交付税等の算定にあたりましては、本年は、かなり御承知のように向上をさせておりまするし、さらに年度内におきましても、単価の補正あるいは相当な引き上げというようなことも講じてまいった次第でございまして、何とか、たいへん苦しい情勢に地方公共団体はみな置かれておるわけでございますけれども、まあその間にあって、必要なものだけは、ぜひとも契約が行なわれ、事業が進捗できますように、特に建築資材等につきましては、通産省等とも話し合いをいたしまして、できるだけ必要なところにそういう資材が流れるように関係方面にも特にお願いもいたしておるというような実情でございます。
  378. 春日正一

    春日正一君 そこでもう一つお聞きしておきたいのは、こういうような状態が、生活安定法が通ったら、きれいさっぱりと言わなくても、基本的には解決つけられるというように建設大臣、自治大臣はお考えですか。
  379. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 本法案の御審議を願い、一日も早く成立をお願いしておるゆえんもそこにあるわけでありまして、私どもとしては、この法律によって、今日まで高騰を続けておる事態を防止したいという気持ちでやっておるわけでございます。  建設資材の問題につきましても、本法が成立いたしましたならば、その標準価格を設定をいたしまして、価格の暴騰を防止してまいるわけでございますが、本法の第二条に基づきまして、建設資材の指定を早急にしていかなければならぬわけでございます。これにつきましては、やっぱり建設の担当大臣といたしましては、建設資材の生産、管理、流通、そういう面につきまして、通産当局に対しまして、できるだけ早く政令指定の問題をやっていただくようにしてまいりたいと、そうして特定の地域におきまして、政令で指定した資材が不足等を来たしまして、中小企業の業者が非常に苦労すると、特に災害復旧事業でありますとか、あるいは河川改修事業でありますとか、あるいは生活関連道路事業等の推進が、そのために非常に、ただいまも御指摘ありましたように、もう契約が不調であるというような事態になって、その事業の推進が非常に阻害されるというような場合には、まあ通産大臣に対しまして協議を申し上げながら、その当該資材の売り渡しでありますとか、輸送でありますとか、あるいは保管等に関する指示を行なって、できるだけ必要な資材の確保をはかっていきたい、こういう考えでおるわけであります。  それでまた、公営住宅等も、御指摘のように、非常におくれて契約がなかなかできないということで、何回か単価是正でありますとか、あるいは融資のあっせんでありますとか、そういうことをしてきておるわけでございますが、民間に対しましても、やはり強力な指導をしていかなければならないと、こういうふうに、この法律の有効な活用をはかっていかなければならないと、こう考えておるわけであります。  と同時に、いままで本法によるほか、今日まで実施してまいりました公共事業、これはもう計画的に、一ぺんにどっと出すとか、そういうことをせずに、計画的に発注をいたしますとか、あるいは年末を控えまして、特に中小企業関係の融資という問題につきましては、大蔵のほうに対しまして、政府関係機関——商工中金という機関に対しまして三千四百二十億の年末対策の融資を行なうことになっておるわけでありますが、そういう中で、特に建設業界の実態ということも考慮いたしまして、中小企業に対しまして、うちのほうの事務当局をして、強く折衝をさしておるということでございます。  それから共同購入という問題も……
  380. 春日正一

    春日正一君 もうそれでいいですむ
  381. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) よろしゅうございますか。
  382. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 簡単にお願いします。
  383. 春日正一

    春日正一君 時間が切りないですから。じゃ自治大臣のほう、その点ですね、簡単に、その法律の効果について。
  384. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) 先ほどもお答えを申し上げましたが、現在地方公共団体の事業執行上不可欠な資材が必ずしも十分に確保できないという実情にあることは、私どもも承知をいたしておるところでございます。  そこで、この二法案が成立をいたしました場合には、ただいまも建設大臣がお答えになっておられましたが、あるいは必要資材の生産なり、あるいは配給なりということについて、主務大臣が特別の配慮ができるということに相なっておりまするので、私どもはそれにできるだけ期待をいたしまして、通産省その他と連絡をとりまして、地方公共団体が事業を実施するのに、できるだけ支障の起こらないようにしたい、かように考えておるところでございます。
  385. 春日正一

    春日正一君 私が期待しておったほど、はっきりした御答弁ということではないわけですけれども、まあこの通常国会、まだ四月一ぱいあるわけですから、その間、いろいろ機会があるから、引き続きその点は詰めていきたいと思います。  そこで自治大臣にもう一つお伺いしますけれども、いま言ったような事情で、地方自治体の超過負担というものが非常にふえているわけですね、補助事業の単価がどんどん上がるわけですから。だから超過負担というものは非常にふえておる。そういう状況のもとで、この政府の超過負担解消計画−四十八年、四十九年度で解消するというのは、いまの状態では、どうも一そう破局的な状態になって、この計画というのはくずれてしまいやせぬかという、実情はくずれておるという状態ですけれども、そういうことになっているわけですね。そこで政府は、十月一日に九つの指定都市の市長が、超過負担の抜本解消についての意見書というものを出した。これは全国の自治体から八十九件出ているようですけれども、まあそれに回答して、今後国の負担金、補助金等は、建設資材の価格、施設水準などの推移を考慮するというふうに回答しておられるんですけれども、それでは、この状態で、来年度の予算編成にあたって、四十九年度に超過負担を解消するというために抜本的な措置がとられるのかどうか、その点をお聞きしたいんです。
  386. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) ただいまも春日委員から御指摘がございましたように、かねてから超過負担解消の問題がきわめて重大な問題になっておりまして、四十七年度の調査に基づきまして、公立文教施設等約六施設につきまして、四十八年、四十九年の二カ年間でこれを解消するんだという方針を立てて、予算措置等を講じてきたことは、御承知のとおりでございます。  ところが、御承知のように、特に本年度に入りましてからは、諸物価高騰が特に顕著になってまいる。したがって、そういったいわゆる超過負担解消の措置だけではとうていまかない切れないという実情に相なった次第でございまして、御承知のように、本年度の予算の実行段階におきまして単価の是正を行なう、さらに、十月に至りましてからは、再度行なうというような、従来こういったことについて、自治省としては行なったことのないような、まあ異例の対策を講じて今日に至ったわけでございます。  しかし、なお御指摘のような事態が見受けられる次第でございまするので、われわれといたしましては、少なくとも明年度の予算編成にあたりましては、十分、実情をさらに関係省庁とともに調査をいたしまして、できるだけ超過負担というものを解消するように力を注ぎたいと考えておるんでございますが、何ぶんにも、本年のようなやはり物価高騰が続くということになりますると、なかなか事態の解消は容易でないというような点を、私どもは苦慮をいたしております。少なくとも明年度の予算については、そういった点、ひとつできるだけの配慮をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  387. 春日正一

    春日正一君 超過負担の問題は、今日ではもう裁判ざたにまでなっているわけですね。そして国として、これは厳密に言えば法律違反ですわ。三分の一を負担すると言いながら、実際には五分の一か六分の一に当たる金しか出していないということですから、だから、これは四十八年、九年に解消するということは、もう地方自治体が非常に期待しておったところですから、やはり全力をあげてやってもらわなきゃならぬ。特に総需要の抑制ということで、来年度の予算が予定よりも縮小されるというか、そういう状況のもとでも、地方自治体として、文教施設なり社会福祉施設なり、まさにこの時期にこそ大きくあげなきゃならぬようなものは必ずやるということでなきゃならぬと思うのです。そういう意味でも、この超過負担を解消する、そして地方自治体が、この事態のもとでも、国民にとって必要な施設はつくっていけるような予算的な措置をとると、このために自治大臣は全力をあげてほしいと思うのです。そのことを指摘して次に移ります。  次に、これは値段の問題についてですけれども、標準価格のきめ方について、この法案では、標準的な生産費、輸入価格または仕入れ価格に標準的な販売費用及び利潤を加えた額、取引の態様、地域的事情、指定物資の需給の見通し、国民生活または国民経済に及ぼす影響を総合的に勘案してきめるというようになっておるわけですけれども、一体これはどういうふうにして具体的におきめになるのか。政府の統一見解というのがここに出ておりますけれども、これを見てみても、どうも、どうしてきめられるかということがはっきりしない。そこのところを、ひとつ国民の納得のいくように説明してほしいのですが。
  388. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 先生おっしゃいますように、どうも非常にわかりにくい文章で恐縮でございますけれども、たてまえといたしましては、まさにこの法文に書いてございますように、「標準的な生産費」と申しますのは国内の生産物の場合、これはそのものをつくるに要するまさに標準的な生産費、個々のものはなかなかわかりにくうございますけれども、標準的なものをもとにするということでございます。それから輸入物資であります場合は輸入価格、それから販売業者であります場合には仕入れ価格と、そういうものに標準的な販売費用と利潤を加えまして得た額を、総合判断の一つの重要なデータとするわけでございます。そのほかに「取引の態様」と申しますのは、卸、小売の別とか、あるいは現金、割賦というような支払い条件がどうなっているかとか、あるいは荷姿がどうだとかいうような各種の態様に応じて、これも一つの判断材料になりますし、それから「地域的事情」と申しますのは、特に遠隔地で輸送にコストがよけいにかかるというような場合は、そういうことも考慮いたしますと。それから「当該標準品目に係る指定物資の需給の見通し」。現段階だけでございませんで、やはりその標準価格というものは、一回きめますと一カ月や二カ月の間にまた変えるということでは、たいへんよろしくないわけでございますから、やはり先行きの需給がどうなっていくかということが、かなり重要な判断材料になるかと思います。それからもう一つは、「国民生活又は国民経済に及ぼす影響」。たとえば同じ石油製品といたしましても、灯油とかプロパンガスというようなものは、非常に生活の上で重要な物資でございます。ですから、特に石油製品などの価格をきめます場合には、全体としてコストをカバーできればいいわけでございますから、やっぱり国民生活が非常にこのような物価高騰で圧迫されているようなときには、どちらかといえば、やはり直接生活に関係のある品目については、なるべく安くしていかなければいけないというような事情があるかと思います。  そういうような事情を総合的に勘案して定めるというのが、このたてまえでございますけれども、先日お出しいたしました統一見解にもございますように、なかなか初めからこういうようなデータが十分そろっているわけではございませんし、実際問題といたしましては、標準価格をきめます場合に、たぶんそういうケースが多いだろうと予想されておりますのは、そのものが、いわゆる異常な事態になる前、価格が比較的安定しております時期をとりまして、そのときの価格というものを一つのメルクマールにいたしまして、そのときに比べて、現在時点で重要なコストの内容、たとえば賃金の水準が上がっているとか、あるいは海外からの輸入原料が相当大幅に上がっているとかいうような、コスト事情の大きな変化というものがあれば、それを加味いたしまして、それで新しい標準価格というものをきめると、したがいまして、初めの段階では、たとえば法文にございますように、標準的な利潤というのが何%ときめませんでも、要するに安定していたころの時代に比べて、その後のコスト事情というものの大きな変化というようなものを織り込んで、新しい現段階における標準価格をきめると、そういうような、一種便宜的なやり方でございますけれども、そういうような計算をすることが多いんではないかというふうに思っております。
  389. 春日正一

    春日正一君 そうすると、ここにも書いてありますけれども、「過去の妥当と考えられる時期の販売価格と比べ、標準価格設定時の価格のうち海外原材料の価格の大幅な変動等、必然的に生ずる部分以外の便乗値上げ等による過当な利得部分をチェックした公正価格をきめる考えである。」と、こういうふうに言っておりますし、まあ平常な時代の生産費、それから販売価格、それにその後のそういった当然経済的に妥当と考えられる要素ですね、それだけを加えてきめるということになると、最近急騰したほとんどの物価というものは、標準価格が現在の価格よりもっと低いものがきめられると、こういうふうに理解していいですか。
  390. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 相手と申しますか、同時的にそのものの現材料になっておりまするようなものが低く標準価格できめられます場合には、確かにそれは計算に入りますから、それを使ってつくるようなものにつきましてもカウントされると思います。しかしながら、そのものをつくるに要します原材料というものが、標準価格がきめられないで、ある程度の値上がりがどうもコストとして見込まざるを得ないようなものにつきましては、これはやはりコストの上昇として計算されることになりますので、私どもといたしましては、最近のようにかけ込みが多いと予想されますので、そういうようなものについては、確かにおっしゃるように、いまの水準を前提とするのではなくて、かけ込みを極力排除した水準で標準価格をきめたいというふうに考えております。
  391. 春日正一

    春日正一君 この議論、ずいぶんだくさん皆さんおやりになってはっきりしないので、これは実際に見て、そこで議論するよりしようがないと思うんですけれども、しかし、もう一つ今度の修正案の中で、原案ではいわゆる元売り価格とそれから小売り価格ということだけきめておったのを、今度の修正案を読んでみますと、「標準価格は、標準品目の物資の生産若しくは輸入の事業を行う者、」、これ棒引っぱっておるところは取るわけでしょう。「標準品目の物資の小売業を行う者又は標準品目の物資の販売の事業を行う者」と、こういうことになりますと、販売のあらゆる段階について標準価格はきまると、こういうふうに理解していいんですか。
  392. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 標準価格といいますのは、全体を必ずしもカバーいたしません。たとえば、あるものについて、東京だけの標準価格をきめることもございますので、同じような意味で、あらゆる販売段階を全部きめるということではございませんけれども、前の原案は上の出荷価格と末端の小売り価格と二つの段階だけしか、あるいはどちらか一つしかきめられませんでしたのを、今度の改正案では、間につきましてもきめることができるということになったわけでございまして、必ずしも全部きめるということでございませんけれども、間もできるということでございます。
  393. 春日正一

    春日正一君 違う。この文章で言えば、販売する者全部対象になっているわけでしょう。私も鉄鋼の場合で言えば、一次の問屋、二次の問屋、どの段階できめるんだろうかというふうに思っておったのだけれども、この文章を読んでみますと、いま私わざと全部読んだけれども、小売りを営む者、製造して売る者及びその指定物資を販売する者と、こうなっているでしょう。だから販売する者全部にかかりますよ、これは。そうでしょう。また、そうならなきゃほんとうはきちんと規制できないというのが衆議院での議論だったわけでしょう。元売りの値段きめて、小売りの値段きめたら、間のどこかの問屋がうんと取っちまったと、たとえば石油の場合、元が十三円で出ておると、ところが小売りに来ると二十一円だと、三百八十円で十八リッター売るともうけが二円しかならぬというようなことが問題になって、だからその間を規制して小売りの適正マージンというものを保証しなけりゃ事が成り立たぬじゃないかということで修正になったのでしょう。だから適当と思うところできめますじゃ済まぬ。法文にはきちっと全部の段階、商売する者には全部当てはまると書いてある。そこをはっきりしておいてほしいと思うんです。
  394. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) これは直ります前の原案が、ちょっと読んでみますと、「標準価格は、標準品目の物資の生産若しくは輸入の事業を行う者の販売価格又は標準品目の物資を使用する者に対してその標準品目の物資の販売の事業を行う者の販売価格について定めるものとする。」ということでございましたのが、今度の改正法案の第四条の二項でございますが、「標準価格は、標準品目の物資の生産若しくは輸入の事業を行う者、標準品目の物資の小売業を行う者又は標準品目の物資の販売の事業を行う者の販売価格について定めるものとする。」ということでございますので、前の文案でも上と下をどちらかきめることもできるし両方きめることもできるというわけだったのでございまして、今度の場合でも、同様の意味から「標準品目の物資の生産若しくは輸入の事業を行う者、」、それから「標準品目の物資の小売業を行う者又は」でございますので、これはやっぱり選択の余地は残っているということでございます。
  395. 春日正一

    春日正一君 そうすると、この「又は」というのは、標準品目の物資の販売という場合に、小売り業と元売り除いて物資の販売するというのは卸以外にないじゃないですか。消費者にじかに売る小売りと、それから問屋に売る元売りと、これを除いて、または販売する者といったら中間の問屋以外にないじゃないですか。そうしたら、それに全部当てはまるんでしょう。
  396. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 法文上は選択の余地を残しておりますけれども、そもそも修正の意図するところも、まん中のところがきまっていないと小売り商いじめになるんではないかというところに、一つの意図があったわけでございますので、実際の運用といたしましては、なるべくやはりまん中のものについても定めていくほうがいいんではないかと思っております。
  397. 春日正一

    春日正一君 まん中一つならそれで簡単ですけれども、私問題にしているこの鉄鋼の場合は、メーカーから第一次問屋、いわゆる商社に出る。それから第二次問屋、商社あるいは特約店、それから第三次問屋というようなものまであるわけですね。そうすると、やはりこれ全部についてきめなければ、どうも事が成り立たぬわけでしょう。第三次だけきめられたら第二次や第一次は幾らもうけてもいいということになるし、そういうことになるでしょう。ここはどうなるのですか。
  398. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) これは原案の段階からこういうことになっていたわけでございます。上と下をきめますんですけれども、上と下がきまりますと当然まん中で、第一次卸の段階はこのくらいという線が類推されるわけでございます。したがって、もしまん中の第一次卸がその類推される価格よりも高く売っている場合には、これは指示の対象にはなるわけでございます。第一次卸の標準価格はこうですよと言って明示はしておりませんけれども、当然予想される合理的な水準に比べて高く売っている場合には、これは指示の対象としては一次卸も当然考えるということでございますので、今度の改正案の場合でも一次、二次、三次と全部きめませんでも、その途中の段階がかりに明示的に示されておりませんでも、どうも合理的な水準以上に高いということになりますと、これは当然そういう業者に対して主務大臣の指示がなし得ると、引き下げの指示をなし得るということでございます。
  399. 春日正一

    春日正一君 私、この議論やっていると、これで終わりになるから、はっきり言っておきますけれども、そういうあいまいなことでやっていくとすれば、私さっきちょっと例にあげたけれども、灯油が元売り十三円だと、そうして小売りの手に入るときには二十一円だと、十八リッターに換算してみると、政府の言う三百八十円で売れば二円しかもうからぬと、そうすれば一日百かん売ったって二千円ですわ。だからどうしたって配達料とかなんとか理屈をつけて取らなきゃならぬようになっておると、だからその中間をきちっとさせて、小売りのマージンを適正に維持させるということが野党の質問の趣旨だったし、それがいれられて、少なくとも修正されたんだと思ったけれども、あなたのいまの解釈じゃごまかしだ、効果ないだろうと私は思う。この点を指摘して次に進みます。  そこで通産省にお聞きしますけれども、私、実は鉄鋼のこの一年の生産在庫、価格の動向、需給の実態がどうなっているかということを知りたいと思って、通産省に資料を求めたわけです。そうしたら通産省のほうからこういうものが来ました。これを見ますと、需給の推移ということでずっと、いろいろ書いてあります。そして価格の推移という点では、鉄鋼新聞調べと、こういうことになっているんです。通産省として、自分でこういう価格というようなものを調べてお持ちがないんですか、と言ったら、そういうものはやってないと言うんですね。そうすると、そういう状態で一体どうして標準価格をおきめになるのか、そこからお聞きしたいんです。
  400. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) お答えいたします。  私どもの担当課長が先生のところに資料を提示いたしましたのは、鉄鋼新聞調べの数字でございますが、鉄鋼製品につきまして一番問題なのは、いわゆる市中価格と申しまして、問屋間の、特約店の間の玉の取引に用いられる価格かと思いますが、この価格につきましては実はなかなかとらえにくいわけでございますが、従来から業界等におきましてサンプル的な調査をやっておりまして、これを鉄鋼新聞が長いことずっと経過をトレースいたしておるわけでございますが、したがいまして、実勢を知るのに、この鉄鋼新聞の価格を取り上げて見るというのが、現在のところでは一番妥当ではないかと思うわけでございます。なお、今後標準価格の設定等の問題につきましては、私どものほう自身が問屋等の価格を直接調査をして、実態を究明する必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  401. 春日正一

    春日正一君 まあこれからということですけれども、そういうことをつかんでいないで、それでまあ標準的な価格とか適正な価格と言っても、結局業界の出してくる材料をまるのみにしてしまうというよりほかしようがないじゃないですか。ちゃんとそういうものを調べて、推移を見守って、問題点をちゃんと握っているというようなものが役所の側になければ、結局業界が出してくる資料——これは今度法律ができれば、報告を出させることができるわけですから、資料を出せと言えば出しますよ。しかし出てきたものをそのまままるのみにするよりしようがないようなことになってしまう。そういうことになるおそれはないのか。  そこで値段の問題ですけれども、適正な値段というのですけれども、これは私のほうで骨折って調べたのですけれども、ある商社の場合、この市中価格、これは鉄鋼クラブの調べですけれども、四十七年十一月が三万七千円、それからある大手メーカーのメーカー出し値、これは三万六千円、だからこの差は千円ですね。ところが四十八年の八月、これは鉄鋼が最近になるまでの間では一番上がった時期ですけれども、この時期の市中価格が九万円、大手メーカーの出し値が四万七千円、そうするとこの差し引きは四万三千円。これだけもうかるということになる。違いが出てくる。それで十二月は九万四千ないし九万五千が市中価格、それからある大手のメーカーですけれども、この出し値が七万一千円。そうしますと、結局二万三千から二万四千という一トンについての差が出てくる。それで業界筋の話を私、聞いてみると、四十七年十一月当時、大体鉄鋼の利益というのはトン一といわれておった。トン千円と。ところが十二月現在ではトン二十三ということになっているわけです。そうすると、こういうふうな値上がりが出てきた場合、一体政府は、標準価格と言うし、標準的な利潤と言うけれども、これはトン一を標準と見るのか、トン二十三を標準と見るのか、その点はっきりさしてほしいです。
  402. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) 鉄鋼製品につきまして、標準価格を設定するかどうかは、実は私どものほうとしてまだ決定いたしておらないわけでございますが、御質問のように、かりに標準価格をきめるとした場合に、幾らのマージンを適正と見るかという問題でございますが、これは、現在の市中価格が決して私ども適正とは考えておりませんけれども、マージンを幾らと見るべきかは、詳細に実態を究明いたしまして、調査の上に立って適正なマージンというものを決定したいと考えておるわけでございます。
  403. 春日正一

    春日正一君 調査の上と言うけれども、私が聞いているのは、トン千円という時期があって、これでももうけておると、会社は。そうすると、いまはトン二十三というふうになっている。会社のもうけというものがどのくらい大きいかというと、鉄鋼大手六社の経常利益は、四十八年三月期で新日鉄四百九十一億。前年の九月期、これちょっと不況な時期ですけれども、これに比べて四・五倍ですね。四十八年九月期の決算七百八十一億、だから三月期の四百九十一億に対して五八%ですか、約そのくらいふえている。いまもっとふえているでしょう、おそらく。日本鋼管、それから住金、一々読みませんけれども、神戸製鋼、こういうことになっているんですね。そうしてある資料によれば経常利益千四百七十七億円のうち、これは大手四社ですね、税、配当、賞与等社外流出分の比率は三月期四三・四%からさらに低下し三二・三%となったと、その結果、内部留保は特別償却準備金、公害防止準備金、配当準備積み立て金、合計七百五十八億円のほか相当の積み増しが可能となった。こういう報告を出しておる会社があるわけですね。  そうすると、べらぼうにもうけているわけですわ、これは。そういうものに対してこれから研究いたしましてというようなことで、急場で早く通してくれと言っているんでしょう、この法律を。すぐやらなきゃならぬから、あすにでも通してくれと言っているんでしょう。それをこれから研究いたしましてということで間に合うのか。トン一とトン二十三の間で、一体どの辺を押えているのか、あなた方、適正と見ているのか、適正な利潤といえば、ずっといままでの経過の中で、大体原価に対して何%とかという、これは常識があるはずだと思う。それがこういうふうにぐんとふえているというようなときに、この国会の場で、これからゆっくり計算いたしましてというようなことで間に合うのかどうか。私はもうそれ以上弁解聞きません。とにかく大臣、よくこの点は通産大臣も聞いておいてほしいと思うです。それだけもうけておるものを、どのくらいに押えるかこれから研究しましてというようなことで世間が通るかというのです。  そうすると、もうこういうひどい格差が出ておっても、それを大体どの程度にするというようなめどさえここでは言えないということですね。そういうことになれば、結局大メーカーなり、大商社なりを押えるというようなことはとてもできそうもないと思うんですけれども、その点どうですか、通産大臣と経企庁長官、私いまだいぶ大きい声を出しましたけれども。
  404. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 鉄鋼の場合は装置産業でありましてへそれから海外の鉄鉱石とか、市況にかなり影響されておりまして、不況になるというと赤字がかなり出る、好況になるというと暴騰する、そういう性格を持って繰り返してきておるのが実態であります。それで昨年来の現象は暴騰型のほうへ入ってきた。その前一年以上は、これは暴落型で非常に市況が低迷して、不況時代であって、カルテルをやらなければ操業は維持できない、そういうような事態であったわけで、何ももうかってばかりいるのではない。これは資本主義経済の状態で、もうけもあれば損もある。そううことでできておるのです。  ただ鉄鋼の場合で、われわれが注意すべきことは、上がってくるという場合を見てみますというと、業者の蔵出し価格は、丸棒にしても四万五千円とか、その前後であるものが、市中で末端価格になるというと十二万円くらいまではね上がったことがあるのです。それは中間で相当な利潤が上がっているということを考えざるを得ません。したがって鉄鋼のような基礎資材の標準価格をかりに将来きめるというときには、やはり業者の適正利潤を加えた蔵出し価格というものを押えて、そうしてその間における一次、二次等の中間利潤を厳正に押えて、そして末端価格を上げないように、一私たちはできるだけ努力していくべきものであると、そういうように考えております。
  405. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 経済企画庁長官の私の仕事は、物価に関する総合的な施策立案をいたしますが、鉄鋼については、私は残念ながら専門的知識はございません。しかし、この標準価格というものは、あくまでも諸要素の中で、利潤につきましては標準的なその利潤をとることにお読みくださったようになっておりますので、トン千円の利潤、それに対してトン二万三千円の利潤、それはあまりに離れ過ぎていまして、私は聞いておりましても、どちらも標準的な利潤とは言えない要素がございますので、主務大臣がそれぞれ標準価格の案を御相談くださる場合には、私はもう公正な態度で、この法律の目的達成ができるように、最善の努力をいたしたいと考えるものでございます。
  406. 春日正一

    春日正一君 ひとつ損するときもある、もうけるときもある、だからカルテルをつくってやっている——しかし鉄鋼会社が年々とにかく資本蓄積をふやしていっていることは間違いないので、赤字になってえらく食い込んだということにはなっていない。だから、その点では鉄鋼の場合、不況もあるし好況もあるし、上がり下がりの激しい産業ではあるけれども、しかし、いまのような状態、特にことしのような状態というものは、決して正常なものじゃない。これははっきり言えると思うのです。特に小形の棒鋼の場合、標準の十九ミリ、これは私ども調べたのでは、四十七年の十二月には四万二千円、それから店売り分といって、小売り向けの、中小向けのものですね。これは安くて三万六千円、だから中小向けのほうが六千円安かった。それから四十八年七月、このときには、大口向けは変わらず四万二千円、中小向けが四万七千五百円と五千五百円上がっている。ことしの十一月になりますと、大手向けは変わらず四万二千円、中小向けは六万四千円、だから二万二千円の差が出ておる。こういうような数字があるわけです。  そうしますと、結局同じメーカーの、同じ製品について、大手向けと中小向けの間には二万二千円もの差があるということになっているわけです。これは、もちろん大手向けは、大量なものを長期にわたって契約してやるというような理由もあって割り安にしておくという問題があるにしても、最近のこの開きというものは異常なものだと思うのですね。そうすると、こういう点から見て、標準的な生産費という場合、この大手向けのこれをとるのか、いまの中小向けのこれを標準の生産費としてとるのか、どっちにするのか、そういう問題があるわけです。  ついでに言ってしまいますと、要するにこの調査を見ただけでも、生産費で二万一千円、第一次分の段階で二万円以上合わせて四万円以上のものが大手のメーカーとか、大商社の投機的な価格のつり上げで上がっておるというふうに推定できる。だからこういうものを排除するということが、価格を安定させるということのための先決の問題じゃないか、それをやりませんと、先ほど自治大臣も建設大臣も苦労されて、インフレ条項を適用するとか、あるいはこの標準単価の積み上げをやるとかいわれても、こっちを野放しにしておけばみすみすそういう長期的なもののために国民の税金をつぎ込んでしまうような、そういうことになってしまうわけですね。だから、そこをどう押えるか、それについてきちっとした姿勢なり態度というものがなければこの問題は解決つかないだろう、そう思います。  それからもう一つだけ、もう時間ありませんから聞かせていただきたいんですけれども、この経企庁と公取の覚え書きでは、価格を順守するための協力措置を講じさせる、違反者に出荷停止等の制裁もできるということになっているんですけれども、一体このメーカーにどういうことをさせようと考えておいでなのか。この点について、時間が切れたと言われているから一度に全部言ってしまいますけれども、公取のほうとしては、私いま聞いてみたら、小売り価格を守らせるだけで、中間でそういうことをやってはいけないんだと、そういうことは認めてないんだというふうに聞かされたんですけれども、そのとおり小売り段階で、小売り店舗が多いものだから、それを徹底させるのに骨が折れるから、そこでそういう業界の協力を得るということだけにこの覚え書きというものは限定されておるものかどうか。その点先に公取委員長からお聞きして、それから通産、経企のほうはそれをどう理解しておるのか、その点をはっきりさせてほしいと思います。
  407. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) それは公取委員長がたびたび本院で説明をされたとおりに私も理解して、それで十分だろうと思います。と申しますのは、鉄綱で申しますならば、大手六社というものにまとめて私どもは相談する必要は一つもない。一人ずつ、一社ずつつかまえて指示すればよろしいし、監督すればよろしいわけでありまして、この際、この法律の執行についての協力行為について一番関係がありますのは、末端の大ぜい何千か何万かある小売り段階に標準価格を徹底さしたり、あるいはそれを守らない場合に上のほうから荷動きをとめるようなまあ示威行為をするというところに意味がある。ただし、今度卸価格を中間段階できめますので、若干卸につきましては、これは数多い段階におきましてはそれらの協力を求めることはあろうと思いますけれども、筋としては公取委員長と私は全く同じ考え方で、けっこうだと思います。
  408. 春日正一

    春日正一君 いま大臣も触れられましたけれども、卸の中間段階にいってきめていくと、標準価格をというように修正されたんですね、法律が。そうしますと、縦の統制といいますかね、いわゆる再販価格みたいな形のものになるおそれというものが十分出てくるわけですね。その点をもう見越して、この鉄鋼新聞を見ますと、「脚光あびる指定問屋制」ということで、「稲山構想」ということで……。
  409. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 春日君、だいぶ超過しておりますからひとつ簡単に願います。
  410. 春日正一

    春日正一君 ええ、これで終わります。  「稲山会長はこの点の政府、公取のコンセンサスが先決としていたが、鉄鋼が指定業種になった場合、行政指導のワク内で許認されることで合意をみたことによって、指定問屋制は垣根が取れ、具体化に大きく踏み出せる状況となった。」、こう言い、そして「実施、運営に当たっては通産省の指導、介入があるとしても業界の主張は十分取り入れられるであろうという判断がある。」というような形で、つまり業界がちょうどいまの電気の関係で何とかの特約店みたいな形で、こう末端まで指定価格でやらせているような形で問屋の段階を一番大きなメーカー、それから商社というものがぐうっと支配していくというような形の構想としてこの指定問屋制というようなものができておるし、そしていま言ったように指定価格を守らせるために業界の協力を得て、もし守らない者には出荷もしないというようなことになれば、必ずこれに行きつかざるを得ないということになるおそれは十分あるわけですわ。その点で企画庁なり通産省なりはこういうものに対してどうなるのか、こういうふうにしないでやる方法というのはあるのか、そこらの点をはっきりひとつ聞かしておいてほしいと思うんです。
  411. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 春日さんの御心配になる点は、私の考えでは二つの点で違う現象になると思います。一つは、ずうっとメーカーから小売りに至るまで、それは中の卸をも含んで縦の段階のいわば一種の再販売価格維持制度のようなものになりましょうが、二つの点で違うと申しますのは、再販売価格維持契約というものは、これより安く売ったら承知しない、もう出荷停止するというのですが、今度の場合は、これより高く売ったら出荷停止するという仕組みでございますことは覚え書きにございます。それが一つでございますし、それから再販売価格維持契約は当事者同士の私的契約が独禁法上の特例として認められているわけでありますが、今度の場合は私的契約ではなしに、政府が干渉して、そして政府の指示、監督という形で荷動き等、あるいは価格の順守等をやらせるという二つの点が春日さんが御指摘になった点と違うので、御心配のような結果を来たすことがないようにすることを留意しながら、覚え書きの運用をいたす所存でございます。
  412. 春日正一

    春日正一君 最後に締めくくりだけ言いますけれども……。
  413. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 春日君、ちょっと簡単に願います。
  414. 春日正一

    春日正一君 いまお聞きしてみますと、そうなっても安く売ったのを押えるのが再販だから、高く売ったのを押えるのだからいいというけれども、安く売ろうと高く売ろうと業者を上のほうから統制するというか、支配するという意味では明らかに独占禁止法でいっていることと同じ理屈ですよ、支配するという点では。高く売っちゃいかぬというものを高く売ったというのと、安く売っちゃいかぬというものを安く売ったという差があるだけのことなんだから。そうでしょう。  それから、もう一つの点でも、政府が介入するというけれども、その点先ほど私確かめたでしょう。小売り段階については公取の覚え書きがあるけれども、公取委員会として、あらゆるそういう段階で政府が介入して、そういうカルテル的な行為をやらせる、あるいは再販的な行為をやらせるということをお認めになっておるのかどうか。公取委員長、この点はっきり聞かしておいてほしいと思います。
  415. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 公正取引委員会といたしましては、いかなる意味においてもカルテルを、つまり横のカルテルと、こう考えていただきたい、横の関係のカルテル行為を、共同行為を、まあ違法な共同行為を認める気持ちは毛頭ございません。  また、ただいまのお話の中で一点抜けているのですが、標準価格など、特定標準価格、これは政府が定めるわけでございますね。民間がかってに私的契約で幾らの価格にすると、これは現在も例外的に認められている再販売価格維持契約というものですが、今度の私どもが言っておりますのは、政府がきめた価格を守るようにということなんでございますね。ですから、私的契約のと、政府がきめたこれは守らなければならない、守らなければならないものを守らない者、つまり守らないという意味は、いま内田長官がおっしゃいましたように、それはむしろ高値売りをすることが守らないとなります。安売りしたらこれは別に問題はないと思うのですが、標準価格以下で売るのですから。高く売った者に対しては、制裁的な手段を出荷停止というようなことでやってもいいということでございます。  ただ、むずかしい問題は、私は当初、末端価格についてのみそういうことをメーカーがとると、元売りがとるということを申しました。ところが、法律改正になりまして、その中間の卸の段階まで標準価格が定められることがあるわけですね、すべての業種についてできると私は思いません。非常に複雑怪奇な流通経路のものについては定めにくいものもあると思います。そこで原則的には元売りから下の段階に、まあ、大体経路がわかるものについてだけできるわけでございます。その点は経路の全く不明な、どこでどうなってしまったかわからぬものについてはなかなか制裁手段を講じられないだろう。ですから覚え書きにあることがすべての場合に行なわれるとは思いませんが、しかし、でき得る範囲では行なう。ですから、場合によっては私ども標準価格の定めのある卸の問題については、その卸の段階についても、卸が小売り段階に対して出荷停止をするということも、これも差しつかえないと。元売りに対してじゃなくて、第三次なら第三次の卸がやるということも、標準価格が定められているわけですから……。
  416. 春日正一

    春日正一君 全部の各段階でできるということですか。
  417. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) ええ、それも違法性はないと思います。価格を守らせるために出荷停止等の措置をとるのは原則としてはほんとうは違法な行為なんです、出荷停止も。しかし、この場合は違法性がないというふうに解しております。
  418. 春日正一

    春日正一君 私、まだたくさんありますけれども、時間がだいぶ延長してしまいましたから、これで終わります。
  419. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 加瀬完君。
  420. 加瀬完

    加瀬完君 素朴な質問をいたしますが、午前中に重ねましてお答えをいただきますが、いま春日委員のいろいろの御指摘を伺っておりましても、国民生活安定緊急措置法では現状のインフレ状態を値下げするわけにはいかないと、こう認めざるを得ませんが、よろしゅうございますか。
  421. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) この第二条に書いてございますように、当該物資の価格が「著しく上昇し又は上昇するおそれがあるときは、」これをとめると、こういうことが書いてありますので、けさほど申し上げましたその点はそのとおりでございます。ただし標準価格なり特定標準価格をつくりましたときに、それをこえて値上げをして売ってるものに対しては下げろという指示もしますし、場合によって課徴金も取ると、こういうことでございます。
  422. 加瀬完

    加瀬完君 この十二月初旬の各紙で、「日用品、値上げ集中」、「先月から一二〇〇品目」、「高値で凍結の思惑か」、「上げ幅20〜50%の大幅」、こういうものも伝えられておりますね。このように特定の品目は別として、国民生活に一番関係のある日用品等は確実に標準価格が設けられて値下げの方向に向かわせると、そういう対策はこの法律案の中では立ってきませんね、現実にこういうふうに上がってるのですから。これを下げさせるという効果は一つもないでしょう。
  423. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) たいへん理屈を申し上げるようで恐縮でございますが、あの標準価格なり特定標準価格をつくります際には、その標準的な生産費とか標準的な利潤というようなもの、それにいろいろの需給の状況とか取引の態様とかいうことが書いてございますが、そういう納得のできる姿で価格をつくるわけでございますから、加瀬さんのおあげになりましたような異常な価格が存在していた場合には、その異常部分は削り取って標準価格をつくるのがよかろうと私は考えます。
  424. 加瀬完

    加瀬完君 しかし、いま指摘をしましたような点の品目については値下げをするという、これは十一月と十二月の比較で二〇%−三〇%じゃないですね、五〇%から八〇%ぐらい上がっておるものもある。これをこれから、この法律が施行されてもとの十一月現在のに引きおろすという効果は、何もこの法律ではできないでしょう。
  425. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 仰せのようなお考えに立ちますと、まあそういうことになろうかと思います。
  426. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、いろいろ太鼓入りで宣伝をしましても、国民の要望しているような現状のインフレ状態を引き下げる、たとえば消費者物価指数を何%までに下げる、こういったような目的、目標というのははっきりしておりませんね。これはどうですか。
  427. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これもたびたび申し上げておりますが、この法律案は個別の物資対策措置である。総需要の抑制ということが、これはすでに政府が始めておることは御承知のとおりでありますが、これをさらにきっちり締めて強化していくということ、それと、この個別対策とを合わせて、そうして物価を引き下げるような事態がくることを、私どもはできる限り所期したいと思います。
  428. 加瀬完

    加瀬完君 それは、総需要を押えるということでインフレ状態を失速させるということは考えられますよね。しかし、この法案は、国民生活安定緊急措置法というものですよね。国民生活が一番いま不安定になっておるのは、このインフレ状態です。現状のインフレ状態は何らとめる力がないということであれば、この法律の目的そのものはおかしいということになりますよね。たとえば、私がさっき言ったように、だから非常に不当な値上がりをしたものについては、命令をしてとめさせる機関というものを設けなければおかしい。そうでなかったら、一カ月に八〇%も上がったものもとめられない、こういう状態ではどうにもならないじゃないか。政府がお考えになったそういう趣旨にも沿わないではないかという指摘は、そこなんです。具体的に申しますと、巷間、池田内閣以前はゼロ円、円単位で物が上がった、池田内閣の倍増後は十円単位で上がった、佐藤さんのときは百円、今度は千円単位で物が上がっておる、こう言われておる。そして国民は、どれぐらいの状態におろしてもらいたいと考えているか。千円のままで、これ以上上がらなければいいという考えではありませんよ。せめて三年、四年前くらいにまで物価指数をおろしてもらうわけにはいかないかというのが、国民の要望でしょう。しかし、それには何もこれは具体的に対策を立ててはいませんね。そうではございませんか。
  429. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 加瀬さんと議論になることは恐縮に存じております。  いまおことばの中で、国民が待望しているものはインフレの激化をとめる、こういう意味のおことばがございましたが、私どもはインフレということばは使いませんけれども、物価がとめどなく上がっていくという状態が、これまた通例言われるインフレ状態とも言えると思いますので、この法律物価がとめどなく上がっていくというような著しい上昇の現実、またそのおそれというものをとめてまいると、こういうことを述べておるわけでありまして、その他加瀬さんがお述べになりましたことは、私はそれなりにすなおに承っておきたいと思います。
  430. 加瀬完

    加瀬完君 たとえば標準価格とか、特定価格とか、いろいろの各種価格の内容というものははなはだ不明瞭ですね、ここは。たとえば高騰とか、著しい高騰というようなことばがございますが、一体現状は著しい高騰とは見ないのか。
  431. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これは一つの経済用語と法制局用語とがまじった文章になっておりますが、この法律の一条等で、あるいはその他の場所でもごらんくださる物価高騰とかいうことばは、物価というのは個別の一つ一つの物の価格ということではなしに、卸売り物価とか消費者物価とかいうような意味の、総体としての物の値段が上がっている、そういう状態があって、そのために異常な経済の事態が生じておるという前提のもとに、今度は個別の一つ一つのこういうもの、こういうものの価格が著しく上がる、そういう場合の著しく上がる状態、上がるおそれのあるものを押えよう、こういうことで、物価と価格ということばを使い分けして書いてございます。
  432. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、現状のインフレ状態というのはそのまま、これをどうしようという考え方じゃなくして、これをおくのですね。この上に異常な高騰をした場合は諸種の価格決定をすると、こういう考え方でしょう。しかし、私どもは、現在が異常ではないか、だから、生活安定というのを政府が考えるなら、現在のこの異常をどうしてとめるかということを先に考えなきゃおかしいんじゃないかと、こういう論点の違いがあるわけです。と言いますのは、午前中も話しになりましたが、インフレと言わなければ、非常な物価高騰のこの状態を、消費者物価指数にすればどうするんだと言いましたら、それは他の経済政策とあわせて行なうんだと、こういうことですね。しかし、この法律を適用するその前提としては、消費者物価水準を、あるいは物価指数をどの程度に置くということを前提にするのかということを国民としては聞きたい。この法律関係ではなく、全体のいまの政府の経済政策として、消費者物価指数というのをどの程度に押えようとすることを目標にしてその上にいろいろの方法を積み重ねるのか、その前提の基盤をどう押えているか。
  433. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 全般的に申し上げますと、異常な状態がこれ以上進行するのをとどめたい、こういうことから出発をいたしまして、したがって、物価指数などで申します場合には、最近の卸売り物価でも、あるいは消費者物価でも、それが前旬に比し、あるいはまた前年同期に比し、いままでわれわれが経験をしてきたよりも、かたり大幅な動きをいたしておりますので、そういう状態を一日も早くとどめたいと、こういう意味でございます。
  434. 加瀬完

    加瀬完君 だから、それには具体的に何カ月計画というのは無理でも、何年計画で消費者物価指数をどれくらいに押える、卸売り物価をどう押えると、こういう方策があって、そのために総需要の抑制をこうする、あるいは税をこうする、民間投資をこうする、国民の消費の幅をこれくらいにしてもらう、それで、その上にこの法律を適用するんだということになればうなずける。その関係がごちゃごちゃですよね。これは意見になりますから、それ以上申しません。  そこで、具体的に伺いますが、各段階の価格を決定するときには業界と相談をするということになっていますね。そうでしょうこれ、法律の中で。業界と協力して価格を決定するということになっているんでしょう。
  435. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 業界と協力して価格を決定するというようにはなっておりませんで、価格をきめますのは政府自身の責任においてきめるわけでございます。公取との覚え書きにおいて協力行為を認めておりますのは、その政府のきめた価格を守らせるために業界が協力をすると、そういうたてまえでございます。
  436. 加瀬完

    加瀬完君 それなら、業界と協議をしてきめないでいいということならば、業界の秘密にしております原価計算、こういうものは政府が確実に把握できると、こういう前提と考えてよろしゅうございますか。
  437. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 初めの標準価格の段階はなかなか厳密に申せませんけれども、その次の段階の特定標準価格になりますと、これはやはりかなり厳密な生産費等を元にして計算いたすことになりますので、政府といたしましては、やはり極力そういうもののデータの収集につとめることが必要であると思います。
  438. 加瀬完

    加瀬完君 標準価格だって、原価計算というものがつかめなければ標準価格は出てこないでしょう。だから、さっき春日さんが指摘したように、結局業者の陳情なり説明なり、それに基づいて価格が決定されるという因果関係をたどらざるを得ない、こういうことを心配するわけです。  で、重ねて聞きますが、この法律によりますと、審議会ができますね。その審議会はそういった企業の秘密を確実に掌握する権限をもっていますか。またその方法がございますか。
  439. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) やはり個々の企業の原価等に関しましては、政府としては、極力把握しなければいけないと思いますけれども、審議会等に対しましては、まさに業界としての平均的な、あるいは標準的な生産費、つまり標準価格なり特定標準価格なりをきめました場合に、計算の基礎になっております全体としての数字はもちろんお話しするということになると思いますけれども、個個の企業のデータにつきましては出す予定はないわけでございます。
  440. 加瀬完

    加瀬完君 御説明を伺っておりまして、結局円滑な供給が阻害された場合は生産とか輸入、保管、売り渡し、輸送などを企業に促進する指示ができるわけですね。しかし、そういう指示をするときには物はすでに上がっているんじゃないですか、後手ということになりませんか。
  441. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 物価が上昇を現実にしているばかりでなしに、上昇するきざしがあるといいますか、おそれがある場合には生産の指示とか、あるいは出荷の指示とかいうことをすることができるたてまえになっているわけでございます。
  442. 加瀬完

    加瀬完君 だから、その状況がわかって指示するときには、物の値段が上がっているということになりませんか。ですから、政府なり審議会なりの指示なり指導なりというのは後手ということになるでしょう。
  443. 青木慎三

    政府委員青木慎三君) 生産に関する指示の条文で御説明いたしますと、「物価高騰し又は高騰するおそれがある場合において、」というのは同じでございますが、「生活関連物資等の供給が不足することにより国民生活の安定又は国民経済の円滑な運営が著しく阻害され又は阻害されるおそれがあるとき」ということになっておりますので、必ずしも物価が上がってからということではなくて、物資の需給が将来きびしくなるということによりまして国民生活の安定または国民経済の円滑な運営が著しく阻害されるおそれがあるときでも発動できるようになっているわけでございます。
  444. 加瀬完

    加瀬完君 おそれがあるとき、値段はもうすでに上がるのですよ。いまのような法律ができるというときでさえ、一カ月にこれだけ値段が上がるわけですから、これから相当物が足りない時代になるなという予測されているときは、物は上がっていますよ。なぜその前に、事前に立ち入り調査なり倉庫検査なり、こういう権能を持たせるように法律の中で仕組まなかったのか、どうしたって後手になりますよ。政府が不審だなと思ったら、いつでも立ち入り調査ができる、倉庫検査ができる、こういうことになれば、在庫なり隠匿なり、あるいは買いだめなり売り惜しみなりというのが一目瞭然となるわけでしょう。そういう方法をどうしてとらなかったのかということです。
  445. 青木慎三

    政府委員青木慎三君) 先生御指摘のような場合につきましては、売り惜しみ・買い占めの法律のほうで立ち入り検査もできますようになっております。売り惜しみ・買い占めがあろうというようなことであれば、そちらのほうの法律の運用で十分事前にチェックできるというふうに考えております。
  446. 加瀬完

    加瀬完君 それは私もわかっていますよ。しかし、その法律が効果がありましたか、いままで。その法律がほんとうに効果があれば、いまさらこういう国民生活安定緊急措置法なんというものを出さなくて済んだはずだ。だから、いままで出した法律そのものがまだ未熟なところがあるとするなら、新しい法律はそれを当然カバーするような内容というものがなければおかしいでしょう。あなたは一体いまある法律物価上昇のきざしを一切押えられるだけの効力を発揮していると御認定ですか。
  447. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 買い占め法が確かにございまして、立ち入り検査等ができるようになっておるわけでございますけれども、あの当時にあの法律をつくりましたときには、非常にもとの段階で大商社等が買い占めをしたということに対処いたしましてああいう法律をつくりまして、その後、大豆にしろ木材にしろおさまっていたわけでございます。最近非常に値上がりしておりますのは、どうもやはり実態といたしまして、もう少しメーカーとか大商社というよりも、一歩先の段階で買い急ぎがあるやに私ども判断いたしておるわけでございまして、その意味で、今回の事態に必ずしも前の法律が十分に活用されていないという点は事実でございます。  それから、もう一つ私ども反省いたしておりますのは、どうも本省だけで価格調査官をやっておりましたために、三百六人という数はかなりの数字でございますけれども、これがみんな兼務で、非常にそういう、物が上がったときには本来の仕事がたいへん忙しくなってしまいまして、どうも立ち入り検査等が十分にできなかったということがございます。それで、今度のこの法律の附則で買い占め法の改正をいたしまして、都道府県に対しまして大幅な権限委譲をして、中央と地方と今後は一致して、そういう不届きな動きがあれば、直ちに立ち入り検査もできるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  448. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、効果をあげておらなかったですよね、いままで。効果をあげておれば一次問屋段階で隠匿されているとか、商社の買い占め・売り惜しみというものが相当あるというような報道は出てこないわけだ。  そこでいま問題は、国の機関だけではどうにもならないというお話がありまして、調査機関というものも相当広げなきゃならないという意味のお話があったわけですけれども、今度はこの法律の運用では、自治体委任という面が相当考えられておりますね。その自治体委任ということについては、この法律の趣旨に即した条例、規則というものをつくって具体的にこの内容を地方自治体が活動をして成果をあげるということまで認めておるかどうか。
  449. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これはあるいは自治大臣のほうからお答えを申し上ぐべきことかもしれませんが、この委任の規定は、地方公共団体の長に委任するたてまえをとっております。すなわち、法律的にいう機関委任と、こういうわけです。私どもが承知をいたしておりますところでは、機関委任の場合には、当該公共団体の固有の事務ではないから条例をつくるということにはなっておらないで、むしろ委任の内容を中央の大臣通牒というか、次官通牒などで詳しく申し入れをすると、こういうことになろうと思います。
  450. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、長に委任されたくらいですから、議会がその長の委任事務を遂行、より効率的にあげるためにそういう内容の条例をつくることは認めるのか認めないのかと、こういうことです。
  451. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) まだ、御承知のとおり、この生活安定法案の権限がどの程度地方公共団体の長に委任されることになるかどうかということは、明確にされておりません。したがって、委任される場合には、私どもの考えでは、おそらく政令で具体的な事務の範囲等が規定されるということになるのであろう。ことに、今日の地方団体に非常に複雑な裁量処分的なことまでも委任をするということは非常に問題が起きるのではないか。やはりきわめて軽易と申しましょうか、わりあい機械的にやれるというような仕事を委任されるということになるのではないか。そうだといたしますれば、はたして条例でもっていろいろなことをきめる必要があるかどうかということは、私は、もう少しどういう権限が委任をされるかという内容を見ませんと明らかに申し上げかねるんではないかと思います。
  452. 加瀬完

    加瀬完君 結局、物価Gメンみたいなものは、それぞれの地域で活動しなけりゃ効果があがらないと思うのですよ。先ほどの御説明にもあったように、いま何人かがそういう役割りで動いたけれども、それは兼務や何かでもって効果をあげない、それで、ごくその法律の中の一章部分だけを地方の市町村長なり知事なりに委任をしたところで、これで効果があがるかといったら、条例をつくっちゃだめだ、規則をつくっちゃだめだ、独自的に動いちゃだめだといったら、これは効果は何もないでしょう。公害立法のときには、それは法律のワクをはみ出しても法律の趣旨に沿うような条例はけっこうだという、そういうお立場をおとりになった、時の内閣は。今度はそうじゃないですね。こまかいことはみんな国できめますから、地方は政令で細目が出ますからそれによっておやりなさい、政令はどうですかと言ったら、まだつくっておりません、それでこういう国民生活安定なんていう大きなことができますか、一体進められますか。おかしいですよ。こういう質問がもし出たら、それは政令でこういう骨格で指示をいたします、地方に権限を委譲しますということぐらい発表されなければ、国でいままでやったけれども効果があがりません、地方にそれじゃやらしたらどうですか、地方にはまだ何をやらせるか見当つきませんと。おかしいじゃないですか。
  453. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) そういう意味ではございません。この法律はいろいろの価格のきめ方にいたしましても、あるいは生産の指示、輸入の指示、出荷の指示等、いろいろな手段を用意いたしておりまするし、最後のききめがない場合には、配給や何かの制度につきましても市場制限までも規定をするというような、そういう段階が深い場合をも想定をいたしておりますので、初めからこの法律が全部発動されるということにはなるまいと思います。しかし、最初の段階は要するに価格をきめることからおそらく始まるでございましょうから、その価格についての公示とかあるいは指示とか取り締まりとか立ち入り検査とかということは、少なくとも最初からきめてまいるつもりでございますし、またきめ方につきましても、機関委任の場合には、この辺私は実は学問がないわけでありますけれども、条例というようなたてまえにならないだろうと申し上げましたのは、自治大臣のお話を承っておりますと、条例をつくり得る場合もあるようでございますから、条例をつくったほうがいい場合があるようでございましたら、この問題を含めまして自治大臣とよく相談をいたしまして、地方で働きやすいようにいたすべきだと考えます。
  454. 加瀬完

    加瀬完君 これは法律に直接関係のない問題ですけれども、政府は、この国民生活の安定を期するために、たとえば低所得層に対する手当てというものも一応発表されましたね。当然このことは地方においても行なわれるわけですよね。あるいはまた公共料金をストップするという方針をお立てになった。地方でも公共料金に類するものは、これはストップするという方向は当然考えられますね。経済企画庁としては、これは地方も国も総体的にそういう低所得階層などに対しては生活の安定をさらにはかるように積極的な施策を施してよろしいと、こういう前提だと了解してよろしゅうございますか。
  455. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) いろいろ具体的な手段や政策がございましょうから一がいには申せませんが、要するに、経済企画庁というところはいろいろな仕事がございますけれども、今日においては国民生活の安定とか物価の抑制ということが一番大切なことでございますので、そういうことに関連することにつきましては、これは中央、地方を問わず、おっしゃるような政策についてもいろいろ検討を進めてまいりたいと思います。
  456. 加瀬完

    加瀬完君 飛び飛びで恐縮ですが、もう一つ、国では公共事業の圧縮という一つの方針を出しましたね。そこで、それに関連して伺いますが、それでは公共事業の圧縮とともに民間投資はこれからどうやっていくのか。それから、公共事業の圧縮というならば、一番公共事業で金を使っているのは道路なんです。道路というのはほとんどこれは自動車のためでしょうね。自動車事情というのがこう変化をしてまいりましたら、いままでの国の道路計画というのは相当これは修正変更されてしかるべきではないか、この点をまずお答えいただきます。
  457. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 明年度予算編成の一つの大きな眼目が、公共投資の抑制ということに私ども閣僚の間でもよりより相談をいたしておりますので、そういう公共投資の抑制、また、民間の設備投資につきましても、すでに通産省が行政指導としておやりになっております、これは閣議決定に基づきまして。しかし、この法律の中にも、それを根拠づけるような規定が置かれてございますし、私はこの際、先の政策も大切でございましょうけれども、それはやはり、国民が安心して目先の生活ができるようなことにすべての施策や資材を集中することは大切だと思いますので、設備投資などにつきましても、さらにこれは資材的にもあるいは資金的にも、この法律ができましたならば、その法律の力をかりまして各省大臣、これは経済企画庁長官としてやるわけじゃございませんが、その事業の主務大臣にお願いをしたり、督励をしてまいるつもりでございます。
  458. 加瀬完

    加瀬完君 結局、国も地方も同じような方針で進むとしても、人口急増地域に対する文教施設とか、あるいは福祉施設というようなものまで事業圧縮するわけには、現状としてはいかないと思います。ところが、先ほど春日さんも御指摘になりましたけれども、こういうものもやるとすると、今度は財政の問題で現状に超過負担が非常に多い。千葉県の市長会が調べたところによりますと、これは補足率とかあるいは単価率とかいろいろありますがね。五四・九%が、これが超過負担率です。ですから、補助金をもらっている率は四五・一%しかないということであります。四十六年の決算によると、鉄筋校舎は一平米三万二千九百円ということですね。これが四一・九%にしか実質は当たっていないでしょう。今度は五万三千円に補正で直す、五万三千円に直したってこれはどうにもならない。こういう地方についての財源負担というものを国が考えませんでは、この法律とうらはらをなす、表裏をなす低所得層の救済、あるいは福祉行政の推進ということには予算が伴っていかないということになります。これは自治大臣、超過負担率が非常に多い。特に保育所なんかは六〇〇%という負担率になりますよ。こういうものは当然修正されるものだと考えてよろしゅうございますか。
  459. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) 先ほどもお答えをいたしましたが、昨今の急激な物価高騰によりまして、そうでなくてもかなりの超過負担が地方にしいられているというような実情でございましたものが、さらにこれに輪をかけるというような実情になっておりますることは、私どもも率直に認めているところでございます。したがいまして、これらの財源措置につきましては、明年度の地方財政計画の中で、十分こういう点を配慮いたしたいと考えておりまするが、ただ、先ほども申し上げましたとおり、明年度におきましても依然として物価高騰が続くというような情勢に相なりますると、なかなかこの超過負担の解消ということは非常にむずかしい問題に当面せざるを得ない。苦慮いたしておるところでございますけれども、明年度の地方財政計画を立ててまいりまする場合には、そういった点を十分念頭に置きながらこういった点を配慮してまいりたいと存じております。
  460. 加瀬完

    加瀬完君 以上です。
  461. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 山田君。
  462. 山田勇

    山田勇君 まず、通産大臣にお尋ねいたしますが、質疑の前に、七十一国会の四月十一日の予算委員会で私が各品目を表示しましたもので、通産大臣に買い控えする物、これから下がっていく物、値が上がっていく物、前農林大臣とともに答弁をいただいたんですが、ここに議事録がありますが、これはもうすべて当たっておりません。大臣の言われたことはすべて当たっておりません。それについて、わずか六カ月という異常な社会情勢の中で物価の上がったことについて、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  463. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 山田議員にお尋ねをいただきましたいろんな物資、たとえば花嫁衣装というような問題もありました。その後、非常に大きな経済の激変がありまして、ともかく食糧そのほか国際資源、国際物価高騰ということが入ってまいりまして、ああいうことがなければ次第に鎮静に向かうと思っておったのでございますけれども、食糧を端緒にする国際資源の暴騰、それから今回の石油の削減、そういうような思わぬ海外要因における変化がございまして、御期待どおりいかなかったのははなはだ残念でございます。
  464. 山田勇

    山田勇君 通産大臣にお尋ねしますが、きのう民社党の栗林委員に言われた日曜日マイカーの高速道路の乗り入れ禁止という点について、思いつきでおっしゃったんではないと思いますので、これについて、もう少し具体的なことがあれば聞かしていただきたいのですが。
  465. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 世界的な石油削減を受けておるわけでございますが、それでも友好国扱いをされておるイギリスあるいはフランス等においても非常に厳格なマイカーの日曜禁止——全面的禁止が行なわれ、励行されております。特にオランダあたりにおきましては、相当な罰金及び体制の罰則をもって厳格にこれは励行されております。一番石油に依存して石油の削減を受けて苦しんでおるはずの日本が、外国に比べて日曜日になるとマイカーがあふれ出すということは、国際的にも産油国に対する影響等を考えてみますというと、いかがとも思われます。必要やむを得ざるマイカーはこれはやむを得ませんし、商売用のマイカーというようなものもやむを得ないかもしれませんが、レジャー的なマイカーというものはこの際やはり自粛し、もし自粛がどうしてもだめだという場合には、国家としても制限せざるを得ないと思うんです。  先般来の情勢を見ますと、自粛をお願いいたしまして何回かそういうお願いのアピールも出しましたけれども、依然として情勢は芳しくない、こういう情勢でありますから、この法律が通りましたら、この法律を発動いたしまして、建設大臣に私お願いいたしておりますのは、高速道路の乗り入れを制限願おう、それで、土曜、日曜、祭日はマイカーは高速道路の乗り入れを禁止してくだすったらいかがでしょうかと建設大臣にお願いしているところです。これについては、取り扱いに非常に慎重を要するところもありますし、マイカーとは何ぞやという問題があります。もちろんトラックとかライトバンとか、そういう営業用のものは当然認むべきであり、いろいろなそういう系統によって分ける必要があると思いますが、少なくともレジャー的なものは禁止してしかるべきである。  特に、なぜ高速道路をそうするかと言いますと、一般道路は四十キロとか五十キロで走りまして、交差点もあるし、人も来ますし、わりあいにガソリンの消費量が少ないわけです。ところが、高速道路になると、おそくとも八十キロ以上、大体百十キロぐらい飛ばしていますね。だから、ガソリンの消費というのは実に多いわけであります。それも、必要なものに消費されるならいいんですけれども、レジャー的なものに、百二十キロもぶっ飛ばされてガソリンがどんどん消耗されるということは穏当ではないと、そういうふうな考えから、いまのようなお願いを建設大臣にしているわけであります。
  466. 山田勇

    山田勇君 これはたいへん思い切った大臣の高速道路乗り入れ禁止という一つの訴え方なんですが、私は、これは問題があろうと思うんです、いろいろ規制上、一々高速道路で、君はマイカーでない、君はマイカーだというふうに規制するのにも。それを発表するについては、やはり関係各省のいろんな横の連絡等も必要だと思いますし、また、高速道路を使わないと行けないような場合もありますし、それだけ、いま大臣おっしゃったとおり一般道路へ流れれば、それだけ交通も渋滞します。交通渋滞をすれば、やはりそれだけガソリンの消費量も要ります。  じゃ、それにかわる大量輸送手段というものが、私鉄なりバスなりに行きます。そういうものがはたして増便ができるかということになりますと、いまの現状からいくと、そういう点では増便ができない。まあ、バスなどは特に増便ができない。いろんなこれに関しては弊害があろうかと思いますが、私も原則的にはこういう思い切った施策ということは賛成なんです。私の住んでおります宿舎でも、もう二十四時間高速道路から、七階ですから、わりかた音が入ってきます。なぜこんなに夜中に車が走るんだろうとふしぎに思って寝つけないときもあるんです。ですから、そういう点では原則的には賛成なんですが、これをやるについては、相当いろいろな問題があると思いますので、十分それは大臣御配慮いただいて、一方的なことで締め出しというのではなく、やっていただきたいと思います。  そこで、最近の物価の異常な値上がりというのは、大臣もよく御承知のとおりだと思います。時間がございませんので、私もちょっと簡潔にあれしますが、ちょっと待ってください。——どうも失礼しました。これはおとつい、十八日の日に、私が住んでおります千里ニュータウンのスーパーで八十二円で買ったんです。これ、値札ついています。八十二円で買って、きのう買いに行きますと、九十二円になっているんです。これはクリームスープの素なんです。そうしますと、一日に一割こういう小さいもので上がっていく。これは大きいものになれば、どうしようもない値上がったものを主婦が買っていかなければならないと思います。こういう状況について、大臣どう思いますか。スーパーへ最近になって視察に行かれたことがあるとか、また、全然行ってないとか、どうですか、大臣
  467. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この間の神戸の市長選挙のときには、スーパーへはよく入りました。大体、演説するためにはスーパーの前でやりますから、中をずっと回ってみて、値段の状況とか、主婦連にどういう状況ですかとお聞きしたりして、意見も伺ってきました。いまの八十二円が九十二円になったというのはどういう理由か知りませんが、もしそれが便乗値上げであるとするならば、そういうものは厳重にわれわれは指導しなければならぬと思います。
  468. 山田勇

    山田勇君 若者のアイドルみたいになっておりますあのカップヌードルというのがあります。それも、自動販売機で百円、それがいま百五十円。きのうもスーパー、それから一般の市場へ行ってきましたが、まず、しょうゆ、ソース、砂糖、小麦粉それから食用油、これは全くありません、たなにありません。そういうふうな状態で、まあ店に安い品物が入ってくるのを、もう主婦がうろうろと待っているという状況なんです。私の近所に、いつも来る焼きイモ屋さんのおじさんがおります。きのうも、おじさんどうですかと言うと、まあ大阪弁で言いますと、全然あきまへん、もうかりまへんと、そんなことないでしょう、売れるでしょうと言うと、あきまへんと言うのです。これは、おじさんに聞いてみると、無理もないんです。昼間主婦たちは、いつ安いものが入ってくるか、少しでも安いものを求めようとして家庭にじっと落ちついていないんですよ。だから焼きイモも売れないんです。これはおもしろい現象ですよ。——いや、大臣首ひねっているが、そうですよ。大臣ね、六カ月で大きく、まあそれは経済清勢が変わったといえど、大臣ほどの政治感覚を持っている方の思惑は、もう根底的にくつがえされる時代なんですからね。焼きイモ屋がほんとうに売れないというのは、主婦がそうして昼間安いものを買いあさるためにスーパーへ行ってしまって、留守になっているということで売れない。  ですから、そういうようなことで、私は、大臣にここで申し上げたいのは、そういうふうな状況の中で、ことしの四月、商社の買い占めや石油不足を理由にあらゆる物価の大幅な値上がり、これに対してささやかな抵抗と言ったらあれでしょうが、安いものを求めて主婦があちらのスーパー、こちらの市場とさまよい歩いているような状況の中で、先ほど加瀬委員のほうからも少し申しておりましたが、いわゆる投機防止法が七月の六日に公布され、施行されておりますが、それについて、どのような効果があったかということを加瀬委員が聞いておりました。私もそこで聞いておりましたが、私もそれをお尋ねしようと思ったんですが、効果はなかったということですがね。なぜこれは効果はなかったんですか。
  469. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 全然効果がなかったというふうには考えておらないわけでございまして、たとえば大豆がことしの一月にああいうふうに暴騰いたしまして、その後法律ができたわけでございます。大豆が一月に暴騰したときの需給状況は、実はそれほど深刻な状態ではなかったわけでございますけれども、非常に思惑的な仮需要が発生してああいうことになったわけですけれども、その後法律ができたあとで、七月ごろでございましたか、アメリカが大豆の輸出規制をするというような動きがありまして、農林省の話によりますと、一月当時よりも実はあの段階のほうがはるかに実体的には深刻であったというのですね。しかしながら六月、七月の場合には、大豆について一月におけるような動きがございませんで、これは一月の経験ということもあると思いますけれども、やはり法律というものがあって、非常にそれが無言の圧力を加えたということが私はきいておると思います。そういう意味では決して効果がなかったというふうには考えていないわけでございます。  先ほども申しましたように、その後最近起こりました仮需要というのは、あの法律が予想しておりましたような大商社とか非常に大きなところが買い占めなり売り惜しみをすることによる価格の暴騰ではなくて、もう少し流通段階の先のほうで仮需要が発生して、あるいは消費者の買い急ぎがあって、価格が暴騰するというようなことが、今回の場合はおもな現象だったと思うわけでございます。そういう意味で、今回の場合はどうも買い占め.売り惜しみ法の発動にはあまり適しない形になっていたと思います。  そういうこともございまして、まあ先ほども申しましたように、それでも中央官庁その他に立ち入り検査等の能力が十分ありますれば、これは中一間段階の、たとえば卸の段階などにつきましても、もっと立ち入り検査ができたと思いまして、その点はやはりわれわれの行政能力が不十分だったと思うわけなんですけれども、しかし、先ほど来申しておりますように、決してあの法律が有名無実で何も役に立たなかったというふうには私どもは考えていないわけでございます。それから、立ち入り検査はいたしませんですけれども、三条に基づく任意調査というのは相当厳密に各通産省、農林省やっておりまして、その意味でも、何も法律がなくて行政指導上の調査をやりますよりも、あの法律をもとにして需給その他の調査についてかなり従来よりも進んでいるということは言えるわけでございまして、この意味でも法律が十分役に立っているということが言えると思います。
  470. 山田勇

    山田勇君 最後に、通産大臣に申し上げますが、通産大臣ね、非常にわれわれの友人関係の中でも、ほんとに、おせじじゃなく評判がいいんです。私も個人的には実際、まあ思想的にはどうあろうと、政治感覚的にはりっぱだと思うのです。しかし、このごろはその人気はがた落ちなんです。もう、言うこと言うことが毎度違う。やはり、党を支持なさっている方、個人的に崇拝される石油業界の皆さんとも毎度私は会います。しかし、三百八十円というような高値をつけられて困ったと、あの人は何を思ってそういうことを言っているんだろうとか、きょう言ったこととあす言ったこととが違うとか、絶対にそういうことはまあ認められないでしょうが、もう総理と一緒です。もうインフレだと言っても絶対認めない。これは日本の政治の一番悪いところですね。悪けりゃ悪いんだと、もうこういう状態になったんだからしかたないと、しかし、政府はこれこれこれをやるんだと率直に国民に訴えるほうが——私は大臣にこれは訴えたいんです。——やるほうがずっと効果ありますし、国民はついてきますよ。  きょうらのあれでは、もうごらんになったと思いますが、政治不信、政治家不信、生活不安定の要素、もうそういうようなんでパーセンテージ出ていますがね。そういうんじゃなくね——私はわかりますよ。私もそういうむずかしいことはよくわかりません、正直言って。わからぬですがね、お役人のつくったものだから、これは何が何でも通さないといけないということは、絶対大臣だめですよ。きょう野党間の国対で修正案をやっているんですが、これはだれが見ても修正案のほうがよりいいんですよ。じゃ、なぜいいものをとらないんですか。何でそんな官僚がつくった、官僚機構の中でこり固まって絶対にそのワクからはみ出ないということをやるんですか。そのほうが国民の支持をどんどんと落としていくんですよ、大臣。私は大臣は将来の日本をやっぱり引っぱっていく偉大な政治家だと思いますよ。それだけに、もう悪いのは悪いんだと、役人がこうしてつくったんだと、これは至らないところあったんだと、それは野党の間でもやっぱり法制局を呼んで、これはだめです、これはいいですとつくったら、これは明らかに国民の前へA案、B案と出せば、大臣、野党修正のB案のほうがほんとうによりよい効果が出るんですよ。私は、一度ぐらい民主主義のこの政治の中でそういうことがあってもしかりだと思うんです。それはいろいろ財界、業界、いろんなつながり、関連性ばあろうと思いますがね、大臣。しかし、このマイカーのこういう思い切ったことがやれるんでしたらもっと私はできると思います。  まあ、ひとつ大臣、ほんとうに煮たきに困っている主婦もいるんです。もう身障施設にほんとうにオイルがないって私のところに電話かかって、私が石油会社へ行って頼んで、私はこうしてリットルかんを下げて幼稚園へ持って行っているんですよ。そういう困窮者がいるということを忘れないで、一たんつくった、一たん政府がつくり上げたというもの、それはなかなかつぶせないはずです。しかし、大臣ならできるんですよ。一度ぐらいそういうことをやってほしいということを強く私はお願いをして、次の質問に移らしていただきます。  もう時間ですか。——まあ、もう一問だけお願いします。  運輸大臣にお尋ねします。騒音防止と空の過密による危険の防止という面から東京−大阪間の定期便が非常に減便されたことは私も認めますが、東京−大阪間、もういっそ全便こういう際ですから廃止する考えはございませんか。
  471. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 石油事情はこういう非常にきびしい段階にまいりましたけれども、いまやはり航空機がになっておる輸送の力というものは、先生御指摘のように、いま直ちに大阪−東京間を全便廃止というところに踏み切るほどの状況にはないわけでございまして、いろいろ油の事情によりまして今後対策は立ててまいらなきゃならぬと思いますけれども、いまここで全便廃止に踏み切るという考えは持っておりません。
  472. 山田勇

    山田勇君 そうしますとね大臣、午前に二便、午後に二便というふうな、その辺まででも減便できませんか。もちろん大臣、あれでしょう、わが日本が誇る新幹線があるということを考慮されて御答弁いただいていると思うんですがね。絶対に燃えない新幹線なんて——燃えたんですがね、この間。燃えてしまったんですが、そういうことを考慮に入れてもう一度お願いします。午前に二便、午後に二便でできませんか。
  473. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) ただいまの午前二便、午後二便の減便を考えられないかという御質問でございますが、現在、大体月平均にいたしまして毎日七千二百人程度のお客さまが東京−大阪を飛んでおられるという状況でございまして、先ほど大臣が申し上げましたように、直ちにこれを全便廃止というようなことはいまの段階では考えられませんということでございますが、それではその部分的な減便が可能であるかどうかという点につきましては、今後の燃料状況その他も勘案して当然考慮しなければならない問題でございますが、当面この年末年始を控えまして、たとえ二便といえども減便をするというのは実態に合わないというふうに考えております。
  474. 山田勇

    山田勇君 いま年末のお話が出ましたが、この年末を控えて年に一度正月帰省して過ごそうとする勤労者が多いわけですが、帰省バスが例年どおり運行されないとか、バス会社が重油不足で減便するとか、せっかく一年に一回楽しいお正月を郷里でという勤労者の夢の実現が危ぶまれていると思うんですがね。そういう点で、運輸省としましてそういう帰省客に対する帰省バスなり臨時列車なりの何かそういうお手配をされておりますでしょうか。
  475. 中村大造

    政府委員中村大造君) 帰省バスにつきましては、昨年約二千六百台程度のバスで帰省をいたしたわけでございますが、ことしもほぼ昨年と同数の車両を確保いたしまして、油も確保して、バスによる帰省客の確保はいたしたいと、こういうふうに考えております。
  476. 山田勇

    山田勇君 最後に運輸大臣にお聞きするのですが、政府は、さきに国鉄運賃の値上げ、消費者米価の値上げをそれぞれ一応十月まで延期するということをきめたようですが、これについて延期でなく撤廃を希望するものですが、これとは別に私鉄運賃についてお伺いしますが、石油危機以来、高速大量輸送機関としての私鉄を見直そうという空気も大きくなってきております。それにつけても、運輸審議会が年内にでも値上げの答申を出そうとしているようですが、物価抑制の面から公共料金は、これはもう極力押えていただきたいし、事は緊要なことでありますが、ここで大臣に、私鉄運賃については値上げをいまのところは認めないということをこの場で明言していただけますか。
  477. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 御承知のように、私鉄運賃はいま運輸審議会でいろんな経営の内容とか、どういう根拠においてその私鉄運賃の申請を出したのか、実は昨年の五月にこの申請がなされておるわけでございますが、その後資料を整え、運輸審議会にかけてそういう面についてただいま慎重な御審議をいただいておるわけでございます。その結果がどういうものが出るか、その答申の内容等も拝見しなければなりませんし、その答申の審議の経過等を十分検討いたしまして、いまここで、それじゃ私が値上げをしませんと言うほどの言い切れるいま立場と時期でないわけでございますが、そういう問題は答申を待ちまして、こういうきびしい情勢下でございますから、しかるべき閣僚協議会もございますから、そういうところにおはかりいたしまして最後の決断を下したいと思っております。
  478. 山田勇

    山田勇君 厚生大臣にお尋ねいたします。時間がありませんので……、局長でけっこうなんです。  簡単に申し上げますが、ことしは福祉政策ということで予算が組まれたんですが、この年の瀬を控え、これだけ高騰する物価の中で年を越す生活保護者、それに身寄りのない老人、母子家庭、さらに身障者など、社会の谷間で細々と暮らしている恵まれない人がたくさんいるわけですが、そういう人々に、一応生活保護世帯に千四百円から二千円という、本年度に限りということで特例として支給するという程度でお茶を濁しておりますがね、私はこういう施策、微々たる金額では福祉国家の名に恥じると思うんですが、いかがでしょうか。
  479. 高木玄

    政府委員(高木玄君) 生活保護世帯につきましては、本年当初予算に対前年一四%の生活扶助給付の引き上げを行ないましたが、その後におきまする物価の上昇の動向等を勘案いたしまして、本年の十月一日からさらに五%生活扶助基準を引き上げまして、前年に比べまして十月一日から一九%引き上げたところでございます。これと同じように、年末のいわば生活保護世帯に対する越年資金といたしまして、期末一時扶助という制度がございますが、これが東京のような大都会で一人当たり昨年三千四百二十円でございましたが、これも一九%上げまして、本年は一人当たり四千七十円支給したところでございます。さらに、ただいま先生おっしゃられましたように、この年末を迎えまして、現下の諸般の情勢にかんがみまして、さらに、たとえば東京を例にとりますと、被保護者一人当たり二千円を特別一時金として支給すると、こういうふうにいたしたわけでございまして、これらのものを積み重ねますと、東京都におきまする標準四人世帯の十二月の生計費といたしまして七万七千円を確保したところでございまして、これによって最低生活は一応確保されているものというふうに私どもは考えております。
  480. 山田勇

    山田勇君 最後に、経済企画庁長官にお尋ねしますが、日本列島改造論にあおられて商社による土地の買い占めを皮切りに、投機、買い占め、物資不足、さらに石油危機を口実に実体を隠した悪質なメーカーや流通業者がたくさんいるわけです。そこで、結果、われわれ消費者たちはスーパーに走る。物価は上がる。消費者が買い急ぎ買いだめするからだと政府も一応は警告はしていますが、現実に物価はウナギのぼり、まああした買うよりきょう買っているほうがいいとだれもが買い急ぐのは、それは人情でございます。法律をつくってもどれもこれも一応ざる法的で、生活安定緊急措置法を業界安定法ではないかと国民に疑問を抱かせるようでは政治不信も私は極限に達したと言っても過言ではないと思います。  そこで私は、前回の予算委員会で櫻内農林大臣にもお話を申し上げましたが、そういう点におきまして、今度は長官にお尋ねしますが、テレビなどで相当思い切った消費者擁護を優先するというふうなことをしばし発言なさっておりますが、最後に長官のこういう消費者擁護を優先するということについて、具体的にこうこうするんだということをお聞かせ願えれば私はたいへんしあわせだと思います。  そこで、ほんとうに心のこもった、できないことはできないと、先ほど申したとおり、これだけは絶対にやるんだということだけのひとつ御答弁をいただきまして、私の質疑を終わらしていただきます。
  481. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 山田さんが言われましたような考えが国民の間にこれ以上びまんすることを、私は非常に憂うるものでございます。何としてでもそういう国民の心配をとめてまいりたいということが今度の法律の趣旨でもございますし、また、経済企画庁におります私の考え方、姿勢でもございます。山田さんも御承知のように、経済企画庁は何をするところかというと、これはいろいろむずかしい長期経済計画でございますとか、あるいは総合国力の分析測定とかありますが、それももちろん大切なことでありますけれども、しかし、いまだれが国民生活安定の旗を振るか、音頭をとるかといいますと、各省むろんやってくださっておるわけですが、その経済企画庁に持っておりまするそういう物価生活安定面についての総合施策、各省のお仕事の調整ということをやっております私どもの仕事はほんとうに重大であると考えますので、微力でございますけれども、皆さま方の御支援のもとにその考え方を実現に移すべく、大いに努力をいたしてまいる所存でございます。
  482. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 以上で予定の質疑は全部終了いたしました。  本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  483. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後七時四十三分散会