○初
村滝一郎君 それでは、農林漁業及び中小企業用の石油確保について御
質問をいたしますが、時間の関係がございますので、きょうは
答弁を要りません。よって、私が片一方的な
質問をいたしますが、後刻親切なる詳しい回答を文書でお示し願いたいと思います。
まず、農林漁業用石油の確保についてお尋ねをいたします。
昭和四十八年度における農林水産関係の石油製品の需要見込みは、農林省の試算によれば、農林業用五百三十九万キロリッター、水産用が五百八十六万キロリッター、合計千百二十五万キロリッターであります。需要量の総額一億九千九百九十二万キロリッターのわずかに五・六%でございます。農林水産関連企業用を加えた需要見込みにおいても、千六百九十六万キロリッターで、総需要量の八・五%にすぎません。しかし、農林漁業が
国民生活に不可欠な生鮮食料品の生産を行なっているために、石油の供給が円滑を欠いた場合に直ちに
国民生活を脅かす結果を生むことになろうと思います。石油危機が対策いかんによっては、食糧危機を招来することが懸念されると思うが、次の諸点について回答をお願いいたします。
まず第一に、十一月十六日の閣議決定では、農林漁業用は必要量を確保することになっているが、現実には石油の元売りから大幅カットを受けている一例があります。その一例をあげてみますと、以西底びき網漁船に燃油を供給している長崎県の一石油
小売り業者は、十二月分としてメーカーから予定量の五〇%以上減という驚くべき削減率の割り当てを受けた。このためにここから購入していた漁業者は、やむを得ず夜間操業を自粛するという結果になっております。これは水揚げ高の減少と漁業経営への打撃となって結果してあらわれるでありましょう。ひいては漁獲物の価格騰貴につながっていくかもわかりません。閣議決定を実現し得ないのはどのような
理由によるのか了解に苦しみます。今後の必要量確保のための対策はどうか。
また、価格安定対策はどういうふうな考え方をいたしておるのか。たとえば現在漁業用はその大部分がA重油であります。現にA重油のキロリッター当たり価格は二万円以上に
高騰しております。漁業経営に及ぼす悪影響が憂慮されるところであります。去る十九日の日本経済新聞によると、
国民生活安定緊急措置法案の成立を待って、通産省はとりあえず、
灯油、LPG、A重油、軽油、トイレットペーパーの五品目について、標準価格を設定する方針を固めているようでありまするが、A重油等の価格安定対策はどういうふうな考え方をするのか。
二番目に、石油の量不足と価格騰貴によって農林漁業経営の悪化が予想されるが、その対策として長期低利融資制度を考える必要があると思うがどうか。また、既存の融資制度の拡充、既借り入れ金の償還猶予等の措置をとるべきと思うが、どうか。
三番目に、全農、全漁連、日鰹連等、農・漁協系統石油販売業者の現物確保のためにどのような指導・助成を行なうつもりなのか。
また、削減率の高い系統外の農林漁業用石油供給業者に対しては、どのような対策を講じるのか。
四番目に、ビニール、ナイロン、ポリエチレン等の農林漁業用の諸資材の確保と価格安定策はどうなのか。
五番目に、漁協系統では石油の需給逼迫の長期化に備えて備蓄用のタンクを新あるいは増設しようとしているが、
政府は、これに対して長期低利融資あるいはまた国庫補助等の措置をとる考えはないかどうか。
六番目に、ビニールハウスの加温用重油、ノリの乾燥用重油の確保対策は先ほど
説明を聞きましたが、これを格段の確保をしてもらいたいと思います。
また、海外に出漁している遠洋漁船の中には外国の給油カット、あるいは給油拒否によって漂流するものすら出始めておりまするが、これが対策は緊急を要すると思いまするが、
政府の考えはどうか。
次に、中小企業用石油の確保等についてお尋ねをいたします。
最近の石油危機及びこれに関連する諸物資の需給逼迫、価格上昇等により、中小企業経営は深刻な影響を受けるに至っております。そこで以下の点について回答をお願いしたい。
まず、早急に石油の需給見通しを公表し、中小企業が需給に見合った計画的、安定的な経営が行なえるようにすべきだと思うが、どうか。
二番目に、石油、電力の一律カットを競争力の弱い中小企業については緩和する必要がありはしないか。
三番目に、需給逼迫と価格上昇の著しいセメント、鋼材等の物資を中小企業向けに確保するための具体的対策はどうか。
四番目に、大手メーカーの値上げについて監視体制を強化し、末端にも納得のいく価格設定をさせるべきではないか。
現状に対処するために長期低利融資制度の創設、既借り入れ金の償還猶予措置をとってはどうか。特に、県単の特別融資については、日銀融資規制のワク外とすべきではないかと思います。
以上の諸点について、大蔵、通産、農林、企画、それぞれの関係
大臣は、文書をもって詳しく御回答を本年内にお願いをいたします。
最後に私は、
衆議院において修正議決されまして本院に
送付されておりまする
石油需給適正化法案の四ページ第三条「この
法律に規定する措置を講ずるに当たっては、一般消費者、中小企業者及び農林漁業者並びに公益事業、通信事業」云々とありまするが、公益事業の中に通信事業が私は入ると解釈をしますが、なぜことさらに通信事業という項目を設けたのか、これをお聞きしたいと思います。