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1974-05-28 第72回国会 参議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十八日(火曜日)    午前十時三十分開会     ―――――――――――――    委員異動  五月二十一日     辞任         補欠選任      竹内 藤男君     増原 恵吉君      小野  明君     松本 英一君  五月二十二日     辞任         補欠選任      増原 恵吉君     黒住 忠行君      嶋崎  均君     安田 隆明君  五月二十三日     辞任         補欠選任      黒住 忠行君     竹内 藤男君  五月二十七日     辞任         補欠選任      松本 英一君     田中  一君  五月二十八日     辞任         補欠選任      安田 隆明君     西村 尚治君      川上 為治君     熊谷太三郎君      田中  一君     辻  一彦君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 佐田 一郎君                 竹内 藤男君                 大矢  正君                 藤井 恒男君     委 員                 植木 光教君                 小笠 公韶君                 熊谷太三郎君                 西村 尚治君                 細川 護熙君                 竹田 現照君                 辻  一彦君                 林  虎雄君                 中尾 辰義君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   中曽根康弘君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       森山 欽司君    政府委員        科学技術庁原子        力局次長     伊原 義徳君        資源エネルギー        庁長官      山形 栄治君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岸田 文武君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        井上  力君    参考人        通商産業省原子        力発電技術顧問        会顧問      三島 良績君        関西電力株式会        社専務取締役   伊藤 俊夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○発電用施設周辺地域整備法案(第七十一回国会  内閣提出、第七十二回国会衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会  を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る一.一十一日、竹内藤男君及び小野明君が委員辞任され、その補欠として増原恵吉君及び松本英一君が選任されました。  また、去る二十二日、嶋崎均君及び増原恵吉君が委員辞任され、その補欠として安田隆明君及び黒住忠行君が選任されました。  また、去る二十三日、黒住忠行君が委員辞任され、その補欠として竹内藤男君が選任されました。  また、昨二十七日、松本英一君が委員辞任され、その補欠として田中一君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 竹内君の委員異動に伴い、現在、理事に一名の欠員を生じておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事竹内藤男君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 発電用施設周辺地域整備法案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣
  6. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 発電用施設周辺地域整備法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  わが国の電力需要は、国民生活向上国民経済の発展に伴い、今後ともかなりの伸びが予想されています。  他方、ここ数年電力会社発電所立地計画しても、地元の同意が得られないため、国の電源開発計画に組み入れることのできないものが増加しており、また、これに組み入れた後においても地元住民反対にあって建設に着工できない例も多々生ずるに至っております。  このままの状態が続けば、数年後には電力不足がきわめて深刻な問題となることが懸念されるところであります。  このような住民反対の根底には、一つには環境保全の問題及び原子力発電所に関する安全問題があることは御承知のとおりであり、発電所設置にあたり、環境保全対策安全対策に今後とも最大限の努力を払うべきことは言うまでもないところでありますが、立地難のもう一つ理由として、発電所等立地による雇用機会増加等による地元振興に対する寄与が、他産業に比べて少ないということが大きな問題としてあげられようと存じます。事実、発電所等立地が予定されている地点地方公共団体は、住民福祉向上に資する各種の公共用施設整備事業の推進を強く要望しております。  本法案は、このような状況を踏まえて、発電所等立地円滑化し、電気安定供給確保に資するため、発電所等周辺地域において、住民福祉向上に必要な公共用施設整備事業を推進するための措置を講じようとするものであります。  次に本法案概要について御説明いたします。  第一に、国は、原子力発電施設火力発電施設水力発電施設等発電用施設設置が確実である地点のうち、その設置円滑化をはかる上で、公共用施設整備することが必要であると認められる地点指定し、公示することとしております。  これについては、当該地点が、工業配置促進法移転促進地域その他工業集積度の高い地域に属するときは指定しないこととしております。  第二に、この指定された地点の属する都道府県知事は、当該地点が属する市町村区域と、これに隣接する市町村区域において行なおうとする道路港湾漁港水道都市公園等公共用施設整備計画作成し、国の承認を求めることにしております。  この計画は、公共用施設整備に関する事業概要経費概算について定めるもので、他の法律規定による地域整備等に関する計画との調和及び地域環境保全について適切な配慮が払われるようにしております。  第三に、国は、地方公共団体に対し、整備計画に基づく事業にかかる経費に充てるため、交付金を交付することができることとしております。なお、政府としては、電気事業者納税義務者とする電源開発促進税を創設し、これを財源とする電源開発促進対策特別会計設置して、この会計からこの交付金を支出することとし、このため、関連法案を今国会に提出しております。  このほか、国は地方債起債について配慮する等、財政上、金融上の援助措置を講ずることといたしております。  以上、発電用施設周辺地域整備法案概要について御説明申し上げた次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  7. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、補足説明を聴取いたします。山形資源エネルギー庁長官
  8. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 発電用施設周辺地域整備法案趣旨につきましては、ただいま大臣が申し述べましたとおりでございますが、以下、その内容につきまして補足して御説明申し上げます。  まず第一は、対象とする発電用施設範囲についてであります。  この法律案では、電気安定供給確保の観点から、一般電気事業者等設置する一定規模以上の原子力発電施設火力発電施設または水力発電施設及び核燃料処理施設等原子力発電と密接な関連を有する施設措置対象とすることとしております。  第二は、地点指定についてであります。  主務大臣は、発電用施設設置が予定されている地点のうち、一定要件に該当するものを指定し、公示することとしておりますが、指定要件としては、その地点での発電用施設設置に関する計画が確実であること、当該地点工業配置促進法移転促進地域その他の工業集積度の高い地域に属さないこと、及びその地点周辺地域公共用施設整備することが発電用施設設置円滑化に資するために必要と認められることの三点が掲げられております。  第三は、発電用施設周辺地域整備計画作成についてであります。  都道府県知事は、この指定された地点が属する市町村区域と、これに隣接する市町村区域について、道路港湾漁港都市公園水道等公共用施設整備計画作成し、主務大臣承認を求めることとしております。整備計画は、特に必要があると認められる場合には、隣接市町村に隣接する市町村範囲について定めることができ、また、二以上の地点が互いに近隣している場合に、公共用施設効率的整備のため必要なときは、まとめて一つ計画作成することができることとしております。また、整備計画内容は、その周辺地域住民福祉をはかるため、特に必要があると認められる公共用施設整備に関する事業概要及び経費概算について定めるものとしており、その作成にあたって都道府県知事は、関係市町村長等意見を聞くこととしているほか、整備計画については、他の法律規定による地域振興、または整備に関する計画との調和及び環境保全について適切な配慮が払われるようにしております。  第四は、整備計画に基づく事業実施等についてであります。  整備計画に基づく事業は、国、地方公共団体その他の者が行なうものとしておりますが、発電用施設設置者に対してもこの事業の円滑な実施のための協力を義務づけております。  第五は、交付金についてであります。  国は、予算の範囲内で地方公共団体に対して、整備計画に基づく事業にかかわる経費に充てるため、交付金を交付することができることとしております。政府としては、この交付金財源措置として、一般電気事業者販売電気に対して課税する電源開発促進税を創設するとともに、これを財源として行なう電源開発促進対策一般会計と区分して経理するため、電源開発促進対策特別会計設置することとし、このため、関連法案を今国会に提出しております。  第六は、国の財政上及び金融上の援助等についてであります。  国は、地方債起債について配慮するなど、財政上、金融上の援助措置を講ずることとしており、また、整備計画事業の用に供するため必要があると認めるときには、国の普通財産を譲渡することができることとしております。  以上、簡単ではございますが、発電用施設周辺地域整備法案補足説明を申し上げました。  よろしく御審議賜わりたくお願い申し上げます。
  9. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 以上で説明の聴取は終わります。
  10. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま趣旨説明を聴取いたしました発電用施設周辺地域整備法案審査のため、明二十九日午前十時、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  なお、参考人人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  また、本日、本案の審査のため、参考人として通商産業省原子力発電技術顧問会顧問三島良績君関西電力株式会社専務取締役伊藤俊夫君、以上お二方の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  14. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 大矢正

    大矢正君 私は、法案の具体的な内容に入りまする前に、法案前提条件と申しましょうか、あるいは背景と申しましょうか、今日の電力政策そのものについて若干のお尋ねをいたしたいと存じます。  まず最初に、こまかい問題からお尋ねをして恐縮でございますが、私の手元にある資料によりますと、政府は先般、九電力一斉に大幅な電力料金値上げを六月一日実施で認可をいたしました。その内容を見ますると、特にキロワットアワー当たり料金でありますが、家庭生活に非常に関連の深い定額電灯をとってみますと、資料に間違いがなければ、北陸が六円五十六銭これが最低、これに対して最高が九州電力の九円八十七銭、平均して八円八銭とこういう数字になっておりますが、もしこの数字に誤りがないといたしますれば、なぜこのように三円以上ものキロワットアワー当たり値段相違が出てくるのか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  16. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 九電力会社のそれぞれの種別における料金格差につきましては、いわば基本的には各電力会社発電構成の違いというのが最大の要素でございますが、そのほかに、それぞれの事業種別がどういう量、どういう程度その管内に存在しておるか。それに要する送電、配電コストがどういうふうになっているか、こういったこともあわせて背景になっておるわけでございます。  一般的に申しますと、油火力に対する依存度の高いところ、これが総じまして料金単価が高くなっておる。反対水力に対する依存度の高いところ、あるいは石炭火力に対する依存度の高いところ、これは総体的には低めに押えられているということでございます。御指摘の中で定額電灯について問題が提起されたわけでございますが、定額電灯は、一般電灯の中でもいわば特殊なグループでございまして、倉庫であるとか、あるいは公衆街路灯であるとか、非常に限られた用途に対応する供給種別になっておりまして、各電力会社における定額需要というものの構成かなり違っております。このようなことがいま御指摘のような問題の背景にあろうかと考えております。
  17. 大矢正

    大矢正君 これはいろいろ九社もあるのでありますから、コストも違うし、それから立地条件も違ってまいりますから、多少の料金の差というものはやむを得ないかとは思いますが、しかし、同じ電力電気を使いながら地域によってはかなりの差があるということは、私は好ましいことではないんじゃないかという感じがいたしますが、これはいかがでしょう、こういうようなキロワットアワー当たり三円以上もの差が出るような、言ってみれば三分の一も違うわけですからね。三割近くも違うわけですから、そういうことは好ましいことではないんじゃないか。したがっで、できることでありますれば、全国どこへ行っても電気料金はほとんど違いがない、そういうふうな形が本来の姿ではないだろうか、こういうように私はしろうとなりに考えるんですが、この点はいかがでしょうか。
  18. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 九電力会社間の格差の問題につきましては、従来一般的に北陸が一番安い、九州が一番高いということが言われておりました。今回の値上げ率を見ますと、平均が五六・八%であるのに対しまして、北陸は五九%台で平均を上回っております。それから、九州がたしか四八%で平均を下回っております。このようなことからいたしますと、率としては格差は多少是正された。ただし、金額の面ではやはり格差は残っておる、こういう姿ではないかと理解しておるところでございます。ただ、御指摘のように、なるべく全国料金というのはバランスをとったほうが好ましいことだというお考えは、私どももうなずけるものがあるような気がいたします。特に電灯の場合にそのような希望が強いかと推察をいたしております。  先回、ざっと見てみましたところ、電灯については、かなり格差是正についての傾向が見受けられるような気もいたしますし、特に今回の料金改定に際しまして、単なる料率の値上げと並べまして制度の改正を行ないまして、その中にナショナルミニマムという制度を取り入れたわけでございます。御承知のとおり、一需用家あたり百二十キロワットアワー以下の需用家については、コストより割り引いた料金を適用するという制度を導入いたしました。このナショナルミニマムの部分については、査定にあたりましても特に気をつけてみましたが、これは一般格差よりもかなり狭まった格差全国均一化傾向かなり近づいておる、こういうことが申し上げられるかと思っております。
  19. 大矢正

    大矢正君 ところで、今回も値上げをいたしました。今回もと申し上げますと、昨年値上げをした電力会社もあるわけです。そういう意味で申し上げたので、関西電力四国電力だと記憶しておりますが、昨年この二社が電力料金値上げしたはずでありますが、この二社はそれぞれ何%ずつ値上げをしたのか、お答えをいただきたい。
  20. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 電灯電力合計で申しますと、御指摘関西電力につきましては、四六・四%値上げになっております。また、四国電力については、四五・三%の値上げに相なっております。
  21. 大矢正

    大矢正君 去年この二社が四五、六%の値上げをした、ところが、今回九電力値上げ電灯電力平均を見ますると、ことしも関西が四六%、四国が四五%値上げになっておるようでありますね。そうすると、去年と同じ率だけ上がったという解釈になりますが、そのとおりでいいですか。
  22. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 先ほど私、誤解をいたしまして、間違った答弁をいたしました。先ほど申し上げました数字は、今年の値上げ率でございます。昨年の値上げ率は正確に記憶いたしませんが、関西で二二%、それから四国で一七%台であったと思います。
  23. 大矢正

    大矢正君 ことしの認可されました関西四国値上げは、いま申し上げたとおり四六・四三%、四五・三〇%、この関西四国は他の電力会社比較をしてもそれほど低い数字とは思われない。なるほど、中部電力の七一%というものから比べますると確かに低うございますが、しかし、北海道電力の四三%、東北電力の五一%、あるいは九州電力の四八%、こういうものと比較をいたしまするど、ほぼ同じような、あるいは北海道電力なんかに比較すると、北海道電力以上に関西四国値上げをしておりますね。去年二二%あるいは一七%も値上げをしながら、なおかつ本年度がいま言ったような四六%、四五%という値上げをしなければならないということは、かなりのそこに企業の中身の相違があったのか、あるいは関西なり四国なり合理化努力というものがおろそかにされて、そのためにコスト高になって、原価主義をとっているいまの電気料金のたてまえからこういうような結果になってしまったんではないかという感じがしますが、その点はいかがですか。
  24. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 昨年の値上げと今年の値上げを合計いたしますと、四国の場合で約六二%台でございまして、ほぼ今回の東京電力値上げに匹敵をする。それから、関西の場合は、両者を合計いたしますと約六八%で、今回で申しますと、東京値上げ率中部値上げ率の間ぐらいになるということでございます。実は各社発電所経費を別途調べてみましたところ、八〇%以上火力に依存しているという会社東京であり、中部であり、四国でございます。それに続いて関西があるという形でございまして、いま御指摘各社は、いずれも火力に対する依存度が、九電力の中では特に高いグループに属しておるということが背景にあると考えております。  今回の値上げのおもなる要因は、何と申しましても昨年秋以降の油の上昇であるということからいたしまして、ある程度高くなることはやむを得なかったというふうに考えております。ただし、私どもも、一年の間に二度も値上げをするということはまことに異例のことでございますし、また、需用家の方々に対しても心苦しいことだと存じております。その意味におきまして、関西四国につきましては、査定においても特に意を用いて査定をいたしました次第でございます。     ―――――――――――――
  25. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 委員異動について御報告いたします。  安田隆明君が委員辞任され、その補欠として西村尚治君が選任されました。     ―――――――――――――
  26. 大矢正

    大矢正君 大臣お尋ねをいたしたいと思いますが、いま電力料金値上げ問題について私は二、三の質問をいたしました。そこで、世上伝えられるところによりますると、どうも今回の料金改定は大幅な引き上げにもかかわらず、近い将来、最も近い将来に再度またこの電力料金について検討しなきゃならぬと、言いかえるならば、新聞等の報ずるところによりますると、一年後くらいにはあらためて値上げを検討しなきゃならぬような内容が伝えられておりますが、御存じのとおり、油とか電力とか、まあ言ってみればそういった一種のエネルギー、それから原料、こういうものがしょっちゅう値段が動いていたのでは、価格が動いていたのでは、安定した物価政策というものはできなくなりますね、基礎的なそういうエネルギーなり資材なり原料なりというものが動く限りは、それを精製加工する、あるいはそれを使う企業にとってみますると、常にコストが移動をする、動くということになってしまいますから。  そこで、電力料金が再改定をされるなどということになりますると、これはたいへんな問題だと私は思うんです。一年もたたないうちにまた上げると、関西電力は去年上げて、ことしまた上げましたが、ちょうど一年で上げましたが、また来年が今度九電力全部上げるなんというような事態になりますると、いつまでたっても物価の安定というものは、これはできないことになりますね、そのたんびにこれは製品価格にはね返ってまいりますから。あくまでも電力料金というのは、もうあらゆる製品の基礎的なものでありますから、これが動いている限り、あるいはエネルギー価格が動いている限りは、私は物価の安定は絶対にあり得ない、そう思うんでありますが、大臣として、一年以内に重ねて電力料金を再検討しなきゃならぬような情勢感じておられるのかどうか、ありとすれば、それはどういう理由によってそういうことが考えられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  27. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 電力料金国民生活国民経済に占める重要な位置というのは、御指摘のとおりであると思います。まあ変動要因として考えられるものは、原油値段がどういうふうに上がってくるか、あるいはベースアップがどういうふうに移行するか、あるいは一般物価体系がどう動くかということであるだろうと思いますが、私は、今度決定いたしましたこの料金体系を引き続いて、一年と言わず、できるだけ長期にわたって維持するように努力をしていくつもりでございます。
  28. 大矢正

    大矢正君 エネルギー庁長官お尋ねをしますが、最近の原油価格比較的安定をしておると申しましようか、どちらかというと、多少なりとも下がるような傾向もなきにしてあらずでありますが、新しい情勢としては、産油国側国有化政策によって、かなり原油に対する産油国側の力が強くなって、その結果として、原油価格引き上げがまたまた行なわれるのではないかという心配が一部に出ておりますが、その見通しはどうでしょう。
  29. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) いま先生のお話のとおり、一部には原油価格は下がるんじゃないかという見方がありますと同時に、産油国の力の増強及び結束の強化を前提にいたしまして、サウジアラビアを除いたその他の国が最近また非常に結束を高めまして、六月に開かれますOPEC会合におきまして若干の原油価格の手直し、それも若干の値上げのほうへの手直しをするという情報もあるわけでございます。いずれにしましても非常に流動的でございまして、特に六月のOPECの会合の結果等も慎重に見守らなければいけないと思うわけでございます。  最近の実績で申し上げますと、四月の通関統計は、大体これ中東及び南方諸国からの輸入全部の合計で、たしか十一ドルちょっとこえたぐらいでございましたけれども、五月の――推定でございますが、これがそれを若干また上回った形で通関統計としてはっかまれておるわけでございます。しかし、これが今後もそういうかっこうでずっと上がっていくのか、それともここで平均化するのか、少し今後は下がるのか、この辺につきましては、いま御指摘もありましたような非常に流動的な動きがございます。私の個人的な見解としましては、長期的には下がることも考えられるけれども、当面はすぐ直ちに原油価格が下がるということは考えられないんじゃないか、この辺は少し長期的な観点で、慎重に見守る必要があるんではないかと考えるわけでございます。
  30. 大矢正

    大矢正君 岸田部長、お尋ねしますが、電力料金というのは、九電力のそれぞれから値上げの申請が出されて、そいつを通産省が検討して、その結果正当なものであれば認可をする、合理的なものであれば認可をするということだと思いますがね、原則は。それはそのとおりでありますが、一般論としてあなたがお考えになっている考え方で、どの程度コストが上昇した場合にその電力料金値上げを認めなければならないような判断をお持ちでしょうか。  と申しますることは、これは、これからまあ原油の問題が一つあります。それから、賃金を中心とした人件費の問題があります。それから、新しい発電所をつくるための価格、資材その他の高騰等によって建設費の上昇があります。まあ大きく分ければ大体この三つですが、人件費というのは、電力の場合は非常に微々たるものであって、その大部分は火力発電の油を中心とした燃料費と、それから、いま一つは建設のための設備費だと思います。そういうものが全体としてどの程度上がれば、やはり認めなければ電力会社企業として成り立ち得ないという判断をお持ちなんでしょうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  31. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 御承知のとおり、昨年の秋以来、原油価格がたいへんな勢いで上昇をいたしました。そのことの結果として、電力会社の経理が非常に悪化してきたわけでございます。ただ、私どもはこのように経営が悪化したから直ちに値上げを認めるという考え方をとりませんで、極力合理化を進めていく。また、社内の従来の蓄積を活用して、少しでも値上げの時期を延ばすように指導してまいったわけでございますが、すでに御承知のとおり、今三月期の決算におきましては、各電力会社とも取りくずし可能な社内留保についてはほとんど取りくずしをいたしました。償却方法も定額に改めましたし、役員賞与も辞退をいたしております。なおかつそれに加えて、従来長い間続けてまいりました一割配当についても、各社ごとに引き下げが行なわれたという経緯になっております。  私どもも、一般論といたしまして、合理化によって少しでもコストアップ要因を打ち消すように指導してまいりたい。また、社内の従来の蓄積状況というものを頭に置きながら料金値上げ問題に対処する、こういう考え方でございます。それがいわば一つの限界に到達いたしますのは、これからの将来の電気事業のあり方にとって、非常に大きな影響を与えるというようなことが差し迫って予見をされるときには、やはりそのときには料金改定問題が起こる、こういう考え方になろうかと思っておるところでございます。  将来の電気事業のあり方として基本的に大事なことは、産業活動に必要な、あるいは国民生活の維持に必要な電気をいかにして安定的に確保するかという点が問題かと思っております。その意味におきまして、今回のケースをとってみますと、このまま放置しておくときには必要な油の手当てもできない。また、将来、当然予想される需要に対応するための発電所の建設もおそらくストップせざるを得ない。こういった情勢背景になって今回の値上げ改定になったと思っておりますし、また、今後ともそのような考え方が一般的には妥当なのではないか、こう考えておるところでございます。
  32. 大矢正

    大矢正君 通産大臣、先ほど来、九電力の今回の電力料金を具体的にはじいてまいりますと、たとえば定額電灯でまいりますれば、地域によって三〇%以上の違いが出てまいります。こういうことは本来好ましいことじゃないわけですね。できることならば、やっぱり全国どこへ行っても同一料金で生活できる環境というのがこれは好ましいと思うのです。それは、直ちにそれができるできないはまた別の問題としても、そういう方向で努力すべきものであることは私は正しいと思っておりますがね。  それから現状においても、たとえば中部地区を中心にして広域運営と申しましょうか、お互いに電力の融通のし合いをしている。で、御存じのとおり、佐久間には周波数を変換する変換所を設けて、そして、いわゆる東と西の周波数の違いを調整して電力を供給するというぐあいにして、電力政策として考えてみた場合には、九社に分割をしていることそれ自身が今日不自然になってきているということは、だれの目から見ても明らかなんですね。現に、広域運営をやらなければもう電力安定供給一つは果たし得ないという状態にあるわけです。お互いに融通し合うという、そういうやり方をしていかなければならぬ。  それから、これは供給面でいうと地域独占ですよね。ところが、電力を生産する生産面からいけば、地域独占じゃないわけです。たとえば関西電力が富山のほうへ行って電気を起こしたりですね。だから、その意味でも供給はなるほど地域独占だけれども、生産面では地域独占でないという問題を一つ考えてみましても、電力会社が九つにも分割をしているということ自身は、非常に大きなロスを生んでいると私は思う。ただ九州四国、北海道というように、海を隔てているところは、海底ケーブルその他使ってやるということはなかなか、特に北海道のような場合には距離が長いですから、かなりコスト高になって、北海道の電力を東北に、あるいは東北の電力を北海道にということは、これはなかなかむずかしい。ことばではやさしいが、現実論としてはむずかしいと思います。したがって、そういうところはやむを得ないにしても、本州なんかは当然やはり一社の電力会社として運営をされることが好ましい、そうあるべきものであるというように私は常日ごろから考えているんでありますが、大臣、いかがなものでございましょうか。
  33. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御指摘の御事情は、われわれも了解するところでございますが、確かに広域調整というようなことも必要になり、公害政策やそのほかの面で、立地上からもいろいろ調整しなければならぬ新しいファクターも出てきておるように思います。ただ、能率という面から考えて、お客さんに対するサービスを競争させる、そういうような考慮、あるいはいろいろ原子力発電やその他に対する研究をおのおのの多彩な目的に向かってやらしてみるというような面等々を考えてみますと、いまの分割された体制もメリットはないとも言えないところもあります。しかし、将来、日本の全般の経済体系というものを見ていきます場合に、現在の九電力のやり方の中で、不合理であると思われるような部分が必ずしもなくはないとも思われますので、そういう点については是正方をわれわれは考えていかなければならぬと思います。しかし、やはり自由競争で、ある程度の地域的な独占形態を与えながら、それによって効率を高めていくという考え方も、私たちとしては合理的であると考えております。
  34. 大矢正

    大矢正君 次に、これは部長にお尋ねをしますが、現在、水力発電は揚水を含めてどの程度能力としてはあるか。これは二つに分けてひとつお答えをいただきたいと思います。一つは九電力が持っております能力と、いま一つは電発が持っております能力と、二つに分けてお答えいただきたいと思います。
  35. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 九電力の持っております水力発電所の最大出力は約一千三百七十万キロワット程度でございます。これに対しまして、電源開発株式会社の持っております同じ最大出力は約三百八十万キロワットでございます。そのほかに、公営が約二百万キロワットございます。以上、合計いたしまして大体事業用の水力の出力は約二千万キロワット程度でございます。
  36. 大矢正

    大矢正君 これは最近の調査で、私の記憶に間違いがなければ、わが国の現在の水資源の状況、それから立地の条件等から勘案いたしまして、もちろんこれは揚水も含めての話でしょうが、水力開発は約三千万キロくらい余裕がある。余裕があると申しましょうか、開発の余地がある、こういうように聞いておりますが、その点はいかがなものでしょうか。
  37. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 私どももいろいろの試算をいたしておりますが、水力発電の果たす役割りというのが、昨年の石油危機以来非常に新しく見直されておりまして、従来でございますと、安い火力に対抗して水力はどの程度まで開発可能であるか、火力に対して大体五割増しぐらいというようなところまで開発可能であるというような試算を頭に置いておったわけですが、火力自体が非常にコストアップしてくるということになりますと、水力の開発可能限度というものもおのずから上がってくるように思います。現在は、先ほども申しましたように、約二千万キロワット程度でございますが、これを大体三千万キロワット程度ぐらいまではひとつ思い切って調査もし、可能性も突きとめてみたい、こういったことを内々でいろいろ議論をしておるところでございます。
  38. 大矢正

    大矢正君 岸田さん、私がお尋ねしているのは、いまあなたのほうが着工しているとかしていないとかいうのじゃなしに、いろいろ学者の説とかその他を私、勉強しておるのに、まだ三千万キロ、すなわちいま二千万キロですから、現状プラス一千万キロワット、すなわち三千万キロワットぐらいまでは揚水も含めての話ですが、発電能力としては可能である、こういう説があるし、それから、これは通産省も確認済みのことであるというように私、理解をしておるのですが、いかがですか。
  39. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 私ども、御指摘のとおり、三千万キロワット程度の最大出力が可能であるというふうに考えております。ただし、その三千万キロワットと申しますのは、揚水を除きました数値でございまして、揚水については別途かなり大きな計画を検討いたしておるところでございます。
  40. 大矢正

    大矢正君 水力発電は、御存じのとおり空気をよごしたり、あるいは温排水を出したりというようなことで公害を起こすことは非常に少ない、少ないというよりゼロだと言って差しつかえないと思いますが、ただ当然のことながら、自然環境が若干破壊されるということはあり得ます。しかしたとえば私も見ておりますが、電発の沼原発電所のようなところは完全にやっぱり発電所をつくったあと原形に復して、非常な努力をされておって、その意味では自然破壊がかなり防がれておるという解釈をしております。そういうような無公害エネルギーの基礎というべき水力開発は、国が積極的に取り組んでいかなければならぬものである、こういうふうに私は考えておりますが、その点はいかがでしょうか。政府として積極的に水力開発に取り組むという姿勢がおありですか。
  41. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 水力発電所は、いわばピークの需要に対応するという特殊の役割りを果たしておること、また同時に、御指摘のように、公害の面で非常にきれいな発電であるということ、さらに、一たん建設をいたしますと、非常に長い期間にわたって発電が可能であるということ、これらの点が私どもとしてはたいへん魅力のある電力資源である、こう考えるゆえんでございます。特に石油危機以来、この役割りというものは一そう重要になってきた、こう考えております。したがいまして、私どもも現在約二千万キロワットございます水力発電所につきまして、新しい計画づくりという意味で、当面約五百万キロワットの緊急着工という計画を持ち合わせております。さらに、その計画に引き続く次の構想についても、部内でいろいろ検討しておる過程でございます。これらの緊急着工につきましては、すでに開発銀行の融資について、関係者の打ち合わせを進めておるところでございますし、その他水力の開発につきましては、私どももできるだけこの際力を入れてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  42. 大矢正

    大矢正君 この水力開発は、わが国の水資源を利用して、もちろん二次エネルギーでございますが、つくり出すという意味においては、これは外国から入れるわけじゃありませんから、外貨も使いませんし、純粋な意味で日本の資源を利用してのエネルギーということになると思います。その意味では石炭と同様な価値があると思いますので、これはできるだけ利用する。しかも相手が水でありますから、これはなくなるということはないので、石炭ならば掘ればなくなるということになりますけれども、水資源ですからなくなるということはないわけですから、そういう意味で、揚水を含めたダムの建設ということは、これは将来にとっても非常に必要なことだと思いますね。  ただ問題は、そこで着工してからの年数なり、それから、建設資金というものが油専焼火力等と比較した場合に、けたはずれの高さになるということが根本的には問題が一つある。そこに進まない原因もあると思うのですね。政府は、電源開発促進法に基づきまして電源開発株式会社をつくられて、二十何年間それで運営をしてきているわけですから、私は、そのようにして建設資金のかかる電力設備等は電力料金引き上げさせない、上げないというような意味も含めて考えてみますれば、いま電発の九電力に対する売電価格の問題ももちろんありますが、国がてこ入れをしてやることによっておのずから売電価格も下がってまいりますでしょうし、私は、やはり水力開発というものは電源開発を中心にして積極的に政府が本来的に進めるべきものではないかということを、この際強く主張いたしたいと思いますが、いかがなものでしょう。
  43. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 電源開発株式会社は、佐久間ダムをはじめ日本の有力な水力発電所を数々手がけてきておりますし、その意味において、技術的な能力、蓄積能力というものは非常に高い水準にある、こう考えております。同時に、各種の河川についての基礎調査もいろいろ進めております。これらの力をこれからフルに活用して水力資源の開発に貢献をしてもらいたい、私どももまきにそう考えておるところでございます。御指摘のように、水力産業水力発電といいますものは、資本費の非常にかかる産業でございまして、ここをどうするかということは、いわば経営にとって非常に大きなファクターでございますので、私どもも今年の財政投融資計画の策定にあたりまして、電源開発株式会社からいろいろ事情を聴取し、これを応援するように手当てをいたしたつもりでございます。また、売電単価につきましても多少の調整がはかり得るよう、今回措置をいたしまして、御意見ございますように、今後水力開発におきまして電源開発の果たす役割り、非常に大きいと思いますので、電源開発ともよく打ち合わせをしながら、今後の進め方について、できるだけの力添えをしてまいりたいと思います。
  44. 大矢正

    大矢正君 多額の資金を必要とする内容のものであるだけに、やはり国家的な投資といいましょうか、資金の手当てが私はぜひ必要だと思うので、そういう意味では、先ほど申し上げました無限の水資源の利用という立場から考えて、やはり積極的に進めてもらいたい、こう思います。  次に、長官にお尋ねしますが、最近の新聞の報道するところによりますると、六月と言ったほうが正確なのか、六月以降ということばが正確なのかわかりませんが、石油と電力の消費の規制問題これについて大蔵省との間に――大臣の名前か出ているようであります。大臣というのは一番上にいる人でありますから、たまたままあ表に立つということであって、実質は大蔵省と通産省との間に景気の見通しとか、あるいは物価安定対策との関連においてかなりの食い違いがあり、わかったようなわからないようなところで妥協しなければならなかったというような内容の報道が盛んになされておりますが、この内容はどういうものなんでしょうか、まずお尋ねをいたしたいと思います。特に供給面での法的規制という問題は続行するということでありますから、これは従来どおりということで問題はないように思われますが、消費面では、法的な規制から行政指導に転換をすると。法的規制と行政指導との違いというのは、単に罰則がつくかっかないかということだけの違いとか何とかではなしに、本質的なものの考え方や一あるいはそれが及ぼす効果の上において違いが生ずるものなのかどうか、そういう考え方等も含めて、この際お答えいただきたい。
  45. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 御存じのとおり、わが国におきます石油と電力の消費規制は一月半ば――石油につきましては二月からでございますが、行なわれたわけでございます。その前に十一月、十二月段階は行政指導でこれを行なっておったわけでございます。この場合、今回これを行政指導に移したわけでございますが、この基本的な考え方は、最近の輸入動向の動きに一つあるわけでございまして、われわれといたしましては、四月以降、大体二千三百万キロリットルぐらいの入着を想定しておりましたところ、これが思いのほか順調に入着いたしておりまして、五月、六月、六月の推定も含めますと二千四百五十万キロリットルぐらい入着が考えられるわけでございます。またこの前提の、どうしてこういうことになっているかということでございますが、若干国際的に世界の原油の需給が若干ゆるんでおるように見受けられるわけでございます。もちろん先行きは、先ほどもお話が出ましたように、まだ非常に流動的でございますけれども、現段階におきましては、世界的な需給が若干ゆるんでおる。この辺を受けまして、先進諸外国におきましては、三月から五月にかけまして法規制は全部大体やめまして、それで節約運動的なもので国民等にこれを呼びかけておるというような状況に入っておるわけでございます。  われわれの考え方といたしましては、やはり法規制と言いますのは、いまお話が出ましたように罰則を伴うものでございまして、一応、少なくとも六月につきましては、需給が非常に緩和されたかっこうで入善も考えられますし、しかも、その結果としての備蓄量も製品、それから原油を含めまして二百五十万キロリットルぐらいの備蓄の積み増しも考えられる段階でございますので、この際、産業及びいわゆる一般的に法規制をかけまして罰則を考えるということはやめまして、もうちょっとゆるやかな形の行政指導に切りかえたほうが実態に即応するんではないかという考えであったわけでございます。  大蔵省というお話が出ましたけれども、大蔵省側といたしましては、現在の景気全体の動向から、いましばらく法規制を残すほうが妥当ではないかというお考えも一部にあったわけでございますけれども、その後、いろいろとすり合わせをいたしまして、先ほど申し上げましたように、全体の需給の緩和の実態を前提にいたしまして、これを行政指導に切りかえることにつきまして合意が達せられたわけでございます。ただ、供給サイドにおきましては、今後七月以降、またOPEC、OAPECの動き等も流動的でございますので、しばらくこれを現状のまま、法律上の生産業者及び輸入業者からの報告の聴取等は残しまして、厳格にこれをフォローしたいということでございます。  行政指導と法律規制の違いは、いま申し述べましたように、一番問題なのは罰則の適用でございますが、あと現実の問題といたしましては、われわれのほうで報告を実際上聴取し、これをフォローするという点ではほとんど同じようなことでございます。問題は、やはり電気事業法による十万円以下の罰金とか、こういう非常にきびしい態度で臨むことが妥当でないという点で、法律規制を行政指導に切りかえたわけでございます。
  46. 大矢正

    大矢正君 長官、そうすると、あなたの御発言からいくと、法的な規制と行政指導との違いは、片や罰則がある、行政指導にはもちろん罰則なんかつけられないわけですから、そこに違いがあるだけで、そのものが及ぼす効果においては何ら違いが出てこない、こういうようにいまのあなたの御答弁から受け取れるのですが、そう解釈してよろしいですか。
  47. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) これはちょっとことばが足りませんでございましたけれども、行政指導でございますので、あくまでわれわれのほうの指導に対しましての民間産業サイドの協力のいかんにかかわるわけでございます。われわれといたしましては、その協力を期待しておるわけでございまして、その期待の結果によってほぼ同じ効果が達成できるんではないかということでございまして、それは厳密に言いますれば、法規制のほうがより効果の実現は強いということは言えると思うわけでございます。
  48. 大矢正

    大矢正君 長官、私はどうも理解できないのは、消費の規制というやつは罰則を重点にして規制するのではなくて、規制しなければならない経済環境なり国際環境なりがあるからこそ、あるいは国内環境もそうですが、あるからこそやるわけでしょう、その必要に基づいて。たまたまそれが法律的に行なえば罰則がつくし、行政指導の場合には罰則がつかないということであって、その本質はいまの日本の経済情勢をどう見るか、あるいはこれからのエネルギー情勢をどう見るか、そういうもろもろの問題の判断の上に立って政策として出されたものであるわけでしょう。ところが、あなたのいまの御発言だと、私の聞き違いかどうか知らぬが、法律論というか、立法論というか、もう法律の中身にだけこだわったような御発言で、通産省が、できるならば行政指導も必要なしと。言って見れば、この法律的な規制もさることながら、行政指導というようなある意味においてゆるい意味の規制も必要ないんじゃないか、それは全部必要ないというのじゃなくて、ある程度のものは必要ないんじゃないか、こういうお立場から考えつかれて、六月あるいは六月以降はかなり大幅な規制の解除をしていこうということではないかという感じがするのです。  あなたの御発言をさっきから承っていると、どうもこの法律があるからその法律の中で云々という解釈で一罰則論にばかりウエートを置いたものの考え方で、これは私はちょっといただけないんです。もっとやはり通産省が考える考え方は、罰則があるとかないとかいうのじゃなくて、もっと大きな意味において、大きな視野から考えてこの際転換をすべきだということではないんであろうかという感じがするんですが、大臣いかがですか。
  49. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それは御指摘のとおりでありまして、通産省の施政の方針は、法律による制裁とか、あるいは規制というようなものは、法制定のときのいきさつから見ましても臨時緊急の措置でありまして、臨時緊急の事態が去ればすみやかに撤去する、そうして本来の自由競争、公正取引に基づく価格の機能、市場メカニズムというものを活用する方向にできるだけ早く復帰すべきであるというのがわれわれの基本的な考え方でありまして、最近はそういう方向に乗り出してきて、トイレットペーパーの標準価格を撤廃したり、八品目の目張りを解除したり、その方向に動き出しているわけであります。石油、電力の問題につきましても、そういう方向にできるだけいこう、そういうような省としての姿勢を、今度は行政指導という形で、制裁措置を伴う部分について、主として法の規制から行政指導の方向に移って罰則を伴わないで協力によって進めていく、そういう方向へ一歩前進した、そういう政治及び方策の姿勢を示した、そういうふうに御理解願いたいと思うのであります。
  50. 大矢正

    大矢正君 そこで大臣、私は法律で規制すべきであるとか、あるいは行政指導にすべきであるとか、まあ全然ないほうがいいとか、そういう一つの特定な意識に基づいて申し上げているわけではありませんけれども、ただ、ちょっとおかしいなというふうに感ずる向きは、先ほども長官が、最近の原油の通関実績に基づく平均した油の価格をお述べになっておりましたが、やはりわずかずつではありますが上がってきておりますね。そういたしますると、なるほど、全体としては需要がかなり減ってきているという傾向はあるにいたしましても、基礎的な油の輸入を一つ見ましても、じり高傾向にありとすれば、私なりに考えれば、やはり消費の規制というものはある程度続けるべきではないかという感じがしてならぬわけです。  ところが、通産省はそうではないということで、この罰則のある法的規制がいいかとか、あるいは行政指導でだいじょうぶだとかいうような、そういう技術論と言っちゃ語弊がありますが、そういう中身じゃなしに、原則的なものの考え方の上において若干の相違があるような気がしてなりません。現に油がじり高傾向にあるし、それから先行きながめてみても、産油国の国有化比率が上昇すれば、それだけやはり産油国の力、値上げ圧力、こういうものが加わることは必然でありますから、安定供給もさることながら、価格面から見ても必ずしもいい条件ばかりが備わっていない。高い原油を買わされるような事態も今後起こり得るということを想定します際には、ある程度消費の規制を継続したほうがいいんではないかという論理が、これは大臣にこういうことを言うことは釈迦に説法かもわかりませんけれども、私なりに考えればそういう感じがしてなりませんが、いかがなものでございましょう。
  51. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私も同感に思います。行政指導に移ったからといって、消費の規制をやめるというものではなくして、当分の間やはりある程度の規制というものは行政指導によってやっていかなきゃならぬと思います。  ただその場合に、すそ切りをどの程度にするか、油の状況等を見まして、いままで五百キロワットというようなものを千キロワットとか二千キロワットに上げるとか、あるいは二千キロリッターのものを五千キロリッターや一万キロリッターに上げていくとか、そういうすそ切りにつきましては非常に行政の煩項性ということも考え、また、一々報告をそれらの会社なんかが月ごとにやらなきゃならぬという、そういうような煩瑣性等も考えて、それは適宜簡素化していい点もあるだろうと思いますけれども、いずれかの形において総使用量という面については、われわれはやはり厳重に監視し、調整していく必要があるだろうと思っております。  しかし、最近の事情から見ますと、総需要の抑制が非常によくきいてきておりますから、いままでの割り当てた数量の中で一〇%ぐらいを使い残しておるというのが現状でございます。これは生産停滞の理由もありますし、節約が軌道に乗ってきたという面もあると思います。それに加えて、六月一日から電力料金がこのように上がってまいりますと、さらに節約ムードは出てくるだろうと思います。そういうような面からして、条件はきびしくなってきておるので、規制というものをびしびし法的にやらぬでも、行政指導によってやれば、そういうような事態は乗り切れる段階に来ているんではないか、そういうような認識を私たちは持っておるわけであります。しかし、常に月別及び期別の総使用量というものは、国民経済全般を考え、需給関係も考えながらわれわれが政策的に調整していく必要がある、こう考えております。
  52. 大矢正

    大矢正君 次に、電力の供給余力について、予備率と俗称言われているようでありますが、お尋ねをいたしたいと思いますが、九電力のピーク時における電力供給の予備率は社別にどの程度あるのか。もちろんこれは電発が行なっております供給ですね、これも入れた上で、どういう結果になってあらわれてくるか。これはことしで言いますと、本州方面はたしか私の記憶に間違いなければ八月ころ、すなわち夏場がピーク時になりますね。そのピーク時に予備率がどの程度あるか。それはことしです。それから来年はどうなるか、いまのままの推移でいくと。大体着工しているものが、いつこれから完成するかというようなことも見込んで、現状今年は予備率がどのくらい、来年になった場合どのくらい、それから再来年どのくらい。これは私が釈迦に説法で申し上げるまでもなく、少なくとも二年、三年、長いのは五、六年ぐらい発電所の建設のためにかかっております。ですから、当然のことながら来年、再来年ぐらいまでは予備率の予測はできるはずでありますから、そういうものを想定してここ二、三年の予備率の推移がどうなるか、お答えをいただきたい。
  53. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 私ども電力の需給バランスをとるために必要な予備力は、率にいたしまして八%ないし一〇%が適正な水準である、こう考えております。これは発電所が事故を起こした、こういった非常な事態に備えるために必要な予備率でございます。  ところで、昨年の夏は、この需給バランスが非常なピンチにおちいりまして、その理由としては、異常なる渇水がございましたこと、また、夏場が非常に早く来たと、たまたまその時期に定期補修をしていたこと、これげの事情が重なりまして昨年の夏非常なピンチを迎えました。数社については予備率ゼロというようなことで、全国各地から電気をかき集めて需給のバランスをとったとい、ような経験もしたわけでございます。ただ、ことしに関しましてはその後、発電所の建設が進みましたこと、それから需要自体も今年はわりあいに停滞ぎみに推移しているというようなことから、大体計画どおりにまいりますれば八%程度の予備力は可能ではないか、こう考えております。ただし、それにも一つ条件がございまして、昨年も経験したことでございますが、光化学注意報が出ますと、発電所の出力を二〇%程度落とさなければならないというような事情がございまして、この発生の程度によりましては、やはりことしもいろいろ問題が起こり得るということで、今年の夏の乗り切り対策はいま別途検討いたしておるところでございます。  今後の見通しにつきましては、来年の需給バランスの前提になる発電所はすでに建設中でございますし、またあるいは稼行中のもの、具体的に対象がはっきりとらえられますと、他方、需要想定も次第に固まってきておりまして、来年も大体今年程度でいけるのではないか、こう見込んでおります。  問題はその次の年からでございまして、五十一年以降は、いわばこれから着手いたします発電所が順調にいくかいかないか、この違いによって相当大きな差が出てまいります。一つの試算といたしまして、すでに電源開発調整審議会で決定をしている発電所だけでまかなうとすればどうなるだろうかということを試算をいたしてみますと、五十一年が予備力が五%に落ちる。五十二年は予備力が〇・六%に落ちる。五十三年は逆にマイナス三%になるという試算もございます。その意味におきまして、将来の電力供給という面につきましては、私どもも非常な心配をしておりますし、こういった数字を見ながら、やはり発電所の建設が円滑に行なわれるように最大限の努力をしなければならない、こういうことを痛感をしておるところでございます。
  54. 大矢正

    大矢正君 岸田さん、いま承りますと、予備率というものは、ことしあるいは来年くらいまでは何とかもつけれども、しかし、再来年あたりから急速に予備率が下がって、一、二年もすればマイナスになってしまうという。これは裏を返して言うと、五十三年あたりマイナスになるという予想だということは、いま直ちに着工しなければ、これは非常に工期の短い、建設日数の短い火力の場合でも二年はかかるわけです。反対運動とかいろんなことは別にして、とにかくそのぐらいかかるわけですから、いま直ちに着工してやっと五十三年のマイナスを食いとめるかどうかというような内容になると、こんなきびしいことが予想されるなら、単に反対運動する住民をいかに手なずけるかということだけを考えるんじゃなしに、先ほどから申し上げているとおりに、私は、水力にもっと力を入れなさい、国の投資をしなさいということは何年も前から言ってきていることですから、やはりそういう余力を持つということは非常に大事なことなんで、そういう意味でも、水力開発等に政府は全力をあげるべきじゃないかというように考えます。  それから次に、長官にお尋ねをいたしますが、時間が来ましたのでほぼ終わりにしたいと思うのでありますが、電源開発では、長崎に火力発電所を大きなものをつくるとか、それ以外にも石炭専焼火力をできるだけ多数つくりたいという希望がある。それから、中部電力その他各電力会社の中にも、石炭専焼火力ないしは混焼を建設したい、あるいは現状のものを改造して石炭も使いたいというような希望があります。これは具体的にどの程度認めようというお考えでしょうか。もちろんそれには、国内炭を最優先に使うという前提があるわけでありますが、国内炭ではそんなにまかない切れるものじゃない。まさか原料炭をたいて電力を起こすわけにもまいりませんから、当然ここに輸入の問題がからんできますね。そういう輸入問題とからんだ石炭専焼火力の建設という問題についての展望はどうなっているでしょうか。
  55. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) いま、現時点におきます石炭専焼は非常に少ないわけでございます。しかしながら、石炭というのは日本の純国産エネルギーでございますので、これの需要の拡大という観点も含めまして、今後石炭火力を進めるべきだと思っております。また、石油の価格が非常に上がってまいっておりますので、建設費の点から見ましても石炭専焼の有利性が高まっておるわけでございます。こんな観点から、先般、まずさしあたり大体二千万トンを下らざるという目標を二千二百五十万トンというふうに切りかえたわけでございますが、問題は国内の石炭の増産対策、そのための労働者の確保の問題、また、その労働条件の改善の問題等が一つの最大の問題だと思いますが、あわせまして、いま先生の御指摘のとおり、輸入炭の活用というのはどうしてもこれは考えざるを得ないと思うわけでございます。  この場合には、国内炭を圧迫しない、国内炭業者を圧迫しない範囲内においてそれとの調整を十分とりまして、豪州炭等の輸入も含めまして、今後石炭専焼または混焼火力の増設を進めるという方向でございます。すでに、北海道地域につきましてその動きが相当ほぼ現実化しておりますが、九州長崎地区、それから中国地区等につきまして今後これを進めてまいることになると思いますが、現時点におきましては、全体の石炭の位置づけにつきましては、現在総合エネルギー調査会で検討しておりますし、あわせて石炭鉱業審議会でも検討しておりまして、六月中には全体の成案も得る段階になっておりますが、基本的な考え方といたしましては、石炭専焼、混焼火力を積極的に推進するという方向でこれからの政策を考えてまいりたいと思うわけでございます。
  56. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 委員異動について御報告いたします。  本日、川上為治君が委員辞任され、その補欠として熊谷太三郎君が選任されました。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十八分休憩      ―――――・―――――    午後一時十分開会
  57. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、田中一君が委員辞任され、その補欠として辻一彦君が選任されました。
  58. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 午前に引き続き発電用施設周辺地域整備法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  59. 辻一彦

    ○辻一彦君 私、電源地帯整備法案について二、三の質問を行ないたいと思います。  また、参考人の皆さんありがとうございます。  まず第一に、いま原油価格が上がって、それで火力発電の単価がたいへん高くなる。そこで、原子力発電によれば単価が非常に安いと一般的に言われております。また、政府発言、答弁等もこの線が私、非常に強いと思うんです。そこで若干、火力、原子力、水力等の発電コストについて二、三お伺いいたしたい、こう思います。  まず第一に、火力と原子力、水力発電コストについて、通産のほうからコストについてお伺いをいたしたいと思います。
  60. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 各種発電所発電コストでございますが、四十九年度の施設計画で出されました数字をもとにして試算をいたしてみますと、原子力が大体四円六十銭、石油火力の場合が七円八十八銭、さらに揚水式を除きました一般水力の場合でございますと七円九十三銭でございます。
  61. 辻一彦

    ○辻一彦君 きのういただいた通産省エネルギー庁の資料にも、原子力の発電コストが四円六十銭、発電の端でですね。それから火力のほうが七円八十八銭と、こういうように出ておりますから、その数字であろうと思います。そこでこれは、この数字だけを比べると原子力のほうがかなり安くなるわけですが、稼働率であるとか、それからいろいろ問題があると思いますが、まずこの場合の原子力発電の単価、四円六十銭を、利用率は何%ぐらい、それから稼働率は何%ぐらいと、こう計算されておるか、お伺いしたい。
  62. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 後ほど正確にお答えいたしますが、たしか利用率六〇ないし七〇で計算をされていると思います。
  63. 辻一彦

    ○辻一彦君 このパーセントによってずいぶん違ってくると思うんですが、それでは私、ちょっと関電から見えております伊藤参考人にお伺いしたいのですが、私は去年の六月に、美浜の発電所における一号機の発電原価試算を通産からもらったのがここにあります。それによりますと、大体この場合の条件として、出力が一〇〇%の場合には発電の原価は当時三円と、こうなっておったですね。だから、これは私は時期が違うと思うんですが、利用率を大体原価計算されたときにどれぐらいに見ておられるか、お伺いしたいと思います。
  64. 伊藤俊夫

    参考人伊藤俊夫君) 従来、原子力発電の開発の当初におきましては、負荷率は大体八〇%くらいは達成できるであろうということで開発が進められてきたと思っております。ただ最近、原子力発電の実際の実績の問題、それから電力会社といたしましては、供給いたします電力システムの負荷率との関係から言いまして、七〇%程度で踏むのが適当ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  65. 辻一彦

    ○辻一彦君 通産にお伺いしますが、原子力発電所の場合に、平常に動いておるのと、それからいろいろこう問題を起こしているのと比較したほうがいいと思いますので、そういう意味で、美浜の第一号機ですね、原子力発電所一これはまあ蒸気発生器等の問題でいろいろあって、かなりまあ検査等に時間を費やしている。これは大体何%と利用率を見ておりますか。
  66. 井上力

    説明員(井上力君) 美浜一号機につきましては、先生御承知のように、蒸気発生器の事故によりまして、最近は出力を六〇%程度に落として運転しておったわけでございますが、当初の三十四万キロ運転、あるいは途中経過におきます二十四万キロ運転、あるいは最近におきます二十万キロ運転、全部ならして考えますと、約四八、九%程度の稼働率というふうに計算されております。
  67. 辻一彦

    ○辻一彦君 何%ですか。
  68. 井上力

    説明員(井上力君) 四八%か九%程度――五〇%ちょっと欠ける程度かと思います。
  69. 辻一彦

    ○辻一彦君 これは、この利用率という、いわゆる一年間に何日動いているかというのと、それから出力のパーセントと、二つありますね。いま四八%と言われたのは、その両方を計算してですか、あるいは利用率だけでありますか、どうなんですか。
  70. 井上力

    説明員(井上力君) 両方考えた計算でございます。
  71. 辻一彦

    ○辻一彦君 この発電所を一応引き合いに出して、私、計算をちょっとしてみたいのですが、両方考えて四八%と言われるけれども、三年余りの間に大体美浜の一号炉は、日数から言えばどのぐらい動いているか。そのいわゆる利用率といいますか、稼働日数というのはどのくらいに計算されておりますか。
  72. 井上力

    説明員(井上力君) 三十四万キロで運転いたしました時間、日数でございますが、四百二十七日。それから、二十四万キロで運転いたしました日数が百日。それから、二十万キロで運転いたしました日数が百七十二日でございます。
  73. 辻一彦

    ○辻一彦君 それは運転を始めてから今日までの日数の中で、約何%ぐらいになりますか。
  74. 井上力

    説明員(井上力君) 運開後の時間が、日数が千二百二十日でありますので、約五〇%ぐらいに当たるかと思います。
  75. 辻一彦

    ○辻一彦君 ちょっと前に私、いろいろな計算をしたときには、四〇ちょっとのように計算いたしましたが、これの数字は違っておりますか。伊藤さん、いかがでしょう。
  76. 伊藤俊夫

    参考人伊藤俊夫君) お答えいたします。  ただいま通産御当局のほうから御説明のございましたように、運転を開始いたしましてから現在までに至ります暦日日数が千二百二十日で、実際に発電をいたしました日が六百九十九日でございますので、運転稼働いたしました日数的な比率は五七%でございますが、辻先生のお尋ねは、ただいま御発言もございましたように、最初は一〇〇%出力が出ておりましたが、中間で出力が低下いたしておりますので、実際出しました出力に対します稼働率と申しますか、利用率と申しますか、その数字は大体四八%程度に相なっております。一
  77. 辻一彦

    ○辻一彦君 わかりました。じゃ、通産も参考人のほうも両方合わせて大体四九%ぐらいと、こういう計算になるわけですね、利用率と出力と合わせて。
  78. 伊藤俊夫

    参考人伊藤俊夫君) はい。
  79. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで、この原子力発電コストを見る場合に、定期検査というのが普通ならば約一年ごとに、問題がありますと半年ごとにいまやっておりますね。そういう点からいきますと、両方利用率がかなり落ちてくるし、それから出力が、いまお話しのように一〇〇%出力、これが二十万キロワットになれば六〇%ということになる、そういうふうな計算をして約四九%になります。そうすれば、予定した出力の、出力といいますか、利用の五割もしくは六割程度というところに私はなると思いますが、こういう原子力発電かなりな運転をとめる機会が多くなるとすれば、発電コストというものはかなり上がるんじゃないかと思いますが、それはどういうふうに計算されていますか。
  80. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 御指摘のように、利用率によって計算されるコストは違ってくるかと思います。ただ一般的に申しまして、原子力発電所の場合の操業率としましては、先ほども引用いたしましたように、六〇%かう七〇%、ものによりましては七〇%をこえておる原子力発電所もございます。
  81. 辻一彦

    ○辻一彦君 私は一般的なことじゃなしに具体的なケースでお伺いしているんですが、参考人お見えですから御参考にお伺いしたいんですが、現在の四九%というように一応押えますと、単価はこの四円六十銭が大体どのような計算になりますか。
  82. 伊藤俊夫

    参考人伊藤俊夫君) お答えいたします。  ただいま御当局のほうから御発表のございました四円六十銭という数字に対します根拠は、私どもが考えております根拠と同一であるかどうかわかりかねますので、御返事が多少食い違うかもわかりませんが、手前どものほうで美浜の一号炉の発電原価を計画的に計算をいたしております数字で、負荷率の変化によりましてどういうふうに変化するのかということを申し上げさしていただきますと、これは長期的な、平均的な発電原価の計画的な数字でございますが、年間の利用率が七〇%の場合には三円六十銭、それから六五%の場合には三円八十銭、それから先ほど御発言のございました四八%程度でございますと、四円七十銭ぐらいになるというふうに試算をいたしております。
  83. 辻一彦

    ○辻一彦君 いまの試算は資本費とか、直接費、関連費、燃料費、こういうのを全部含めての計算になりますか。
  84. 伊藤俊夫

    参考人伊藤俊夫君) 御指摘のとおりでございます。
  85. 辻一彦

    ○辻一彦君 関電自体の試算はいま伺いましたが、通産試算によれば、大体八〇%見ても四円六十銭、四八%で四円七十銭、かなりこの試算の根拠が私、違うと思いますが、それはいま問わないことにします。通産の数字が一応いろいろはじかれておりますから、それを基準にして考えてみた場合にも、いま参考人のお話のように、七〇%で三円六十銭ならば、四八%で四円七十銭になる、こういうようにやはり単価が上がる、こうなれば、通産試算による場合には、この上に一円何十銭かの数字が上のせになるということが一応私は言えると思うんです。  そこでもう一つは、原子力発電所がいつも故障している、こういうわけではないので、これをもって全部をはかることはできませんが、一つ考えなければならぬのは、やはりかなり利用率や出力の低下があって、平常計算どおりには単価はなかなか上がらぬじゃないかということが一つと、もう一つは、濃縮ウランの価格ですが、アメリカと契約をしている濃縮ウランは六十年ごろまで大体きまっておるようであります。たとえば、最近フランスと結んだ濃縮ウランというのはかなり割高になっておると思いますが、フランスとの契約による濃縮ウラン確保価格は、アメリカに比べて何割増しくらいになりますか。
  86. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 濃縮ウランの価格につきましては、現在、米国原子力委員会との契約は、多少契約条件によって違いますが、三十六ドルないし三十八・五ドルと、こうなっておりまして、それに対しまして、フランスが提示しておりますのは約四十七ドルとなっております。ただし、これは基本価格でございまして、一九七三年価格の基本価格でございまして、エスカレート条件その他いろいろついておりますので、単純な比較はできませんけれども、先生御指摘のように、EURODIFと申しますフランスを中心としたヨーロッパの計画は、やや高いということは事実でございます。
  87. 辻一彦

    ○辻一彦君 やや高いよりもどれだけ高いのか、私は一部の資料では、約四割ぐらい高くつくという資料を見たんですが、ほぼどのくらいになりますか。
  88. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 三割弱だと思いますが、三十六ないし三十八、平均して、もし三十七くらいといたしますと、四十七に対しまして三割弱であると思います。
  89. 辻一彦

    ○辻一彦君 将来の濃縮ウランのいろいろな確保を考えると、いまアメリカ一辺倒だけではいかないという、いわゆるウランの供給先の多元化ということが当然言われておりますから、私はフランスだとか、あるいはそのほかにもいろいろ供給先を多様化していく、こういう必要が起きてくると思います。そうなりますと、原価の中にウラン価格がそう大きい価格を占めていないと私は思いますが、これは三割とか、まず濃縮ウランが上がることを考えなくちゃならない。  それからもう一つ、これは通産大臣にお伺いしたいのだけれども、ウランの原鉱というのは日本にない。そうしますと、どうしても濃縮ウランは先進国から買うことになりますが、原鉱のほうはもちろんカナダやオーストラリア等にもありますが、やはりアフリカであるとか、開発途上国からの確保ということが将来の問題にいろいろなってくると思います。そこで、原油というものがこういう形で値上がりをして、資源ナショナリズムというものが中近東を吹きまくっている。その嵐というものはアフリカやその他の開発途上国にも及んでいくと見なければならない。そうなりますと、ウランの原鉱というものがいつまでも非常に安いものである、こういうふうに私はなかなか言えない。いわゆる燃料の国際的な平準化といいますか、こういうものが原油価格に合わせてこれから出てくるのでないだろうか、こういうふうに考えるわけでありますが、これについていつまでもウラン原鉱は非常に割り安なものとして確保できるとお考えになるか、あるいは国際的に原油価格かなり合わせた価格として値上がりをしていくのか、どうそれをつかんでおられるか、お伺いをしたいと思います。
  90. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 先ほど来のお尋ねの点をもう一度少し整理をしてみたいと思うわけでございますが、発電コストが四円八十銭と申し上げましたのは、送電端の価格でございまして、発電端に直しますと、お話にも出ておりました四円六十銭になるわけでございます。そのうち資本費関係が約三円、燃料費その他を全部含めまして一円六十銭、これが大体の中身になるわけでございます。そこで、先ほど操業度に関連をして資本費の見方が問題ではないかという御指摘でございました。私ども、全般の発電所を見ておりますと、操業度といたしましては六〇%、七〇%、この辺は通常の状態でございまして、お話に出ておりました美浜の例は、むしろ低い特異の例というふうに考えております。したがいまして、資本費の場合には一般的には三円前後と考えて、四十九年度の場合には差しつかえないと思いますが、ただ、かりに操業度が五〇%という場合を逆算をいたしますと、三円が三円五十銭なり、あるいは若干それを上回るという程度にペースとしてはなり得ると、こう考えていただければと思うわけでございます。  他方、燃料費についてお尋ねございました。先ほど燃料費その他を全部合わせて一円六十銭ということをお話しいたしましたが、その中の燃料費の部分というのはさらに非常に限られておりまして、約一円程度でございます。この燃料の将来の見通しについていろいろお尋ねございました。これからの長い目で見たエネルギー資源の価格、これについては私どもも相当な関心も払い、勉強もいたしておるところでございます。ただ、御指摘の天然ウランの価格、あるいは濃縮費については、長期的にはやっぱりいまより下がることはない、逐次上がっていく、こういった傾向感じておるところでございます。しかし、その上昇の程度というものはそれほどたいしたものではない、こういった想定を一応頭に置いておるわけでございます。特に、先ほど来の話にも出ておりましたように、火力発電と比べますと、原子力発電の場合は燃料費のウェートが非常に低うございまして、これは試算でございますが、天然ウランの価格が一ポンド当たり一ドル上昇したときに、発電コストの上昇は一キロワットアワー当たり約二銭、また、濃縮の費用が一キログラム当たり一ドル上昇した場合の発電コストの上昇は、一キロワットアワー当たり約七厘、こういった程度でございます。ある程度上がりましても、それは石油火力と比べますと、まだかなり割り安な状態に保てるのではないか、こう考えておるところでございます。
  91. 辻一彦

    ○辻一彦君 事務的にはそれでわかりますが、私は通産大臣に、中近東等を歩かれて、国際的な開発途上国の資源ナショナリズムという、そういう動きを踏まえてウランの将来をどうお考えになるか、このことをお伺いしたい。
  92. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 長期的には、御指摘のとおり資源ナショナリズムの傾向から見まして、暫時値上がりしている傾向にあるだろうと思います。ただ、ウランの埋蔵というものは、必ずしも世界的に全部把握し尽くされているわけではございませんので、今後発見のぐあいによっては必ずしもそのとおりいくかどうかはわかりませんが、現在の時点から見ますと、長期的には上がる方向にいくのではないかということを心配しております。
  93. 辻一彦

    ○辻一彦君 ニジェールなんかで、やはり原油価格にある程度スライドして値上げをすべきだというような動きがあるということが報じられておりますが、それらの動きはどういうふうにつかんでおられますか。
  94. 井上力

    説明員(井上力君) 御指摘のように、ウランの価格問題につきましては、資源国の輸出政策その他、いろいろな理由によりまして値上がりの傾向があるわけでありますが、具体的にはニジェールにおきまして、日本の海外ウラン資源開発株式会社とフランスのCEA、それからニジェール政府とが一緒になりましてウランを開発するという計画があるわけでございますが、この場合のウランの価格、あるいはアフリカにおきますガボンでございますが、ここのウランの価格等につきましては、かなり価格を上昇させるというような要求が出ておるというふうに聞いております。
  95. 辻一彦

    ○辻一彦君 いますぐここ数年のという計算ではないのですが、しかし、この資源を持つ開発途上国がウランを持てば、原油価格がこれぐらいなら、これで電力を起こせば、あるいは燃料に使えばこれだけの価格になる、それにウランの原鉱を合わせた値段のほうにだんだん寄せていこうとする動きは避けることが、私は少し長い目で見ればできないのじゃないかと思いますが、そういう点で、やはりウラン鉱は将来かなり高くなるというように見なくてはならないのじゃないか、こう思いますが、大臣、もう一度その点どうお考えか、お伺いしたい。
  96. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 現在の時点から見ますとそういうふうに心配されます。ただ、発展途上国における資源の探査が、これからさらにどんどん進みますと、あるいは埋蔵量がいまよりぐっと大きく出てくるかもしれません。そういうような供給面における情勢がどう出てくるかということにもよっておりますけれども、現時点におきますと、御指摘のとおりであると思います。
  97. 辻一彦

    ○辻一彦君 言われるように、地下にまだまだどういう資源があるか探っていないようなところもあろうと思いますから、これは未知数もかなりあると思います。しかし、一般的に考えて、どうしてもいま御答弁もありましたが、資源を持つ国はほかの値段に大体合わしていく、こういう傾向が強くなるのじゃないか。そうなりますと、ウラン鉱はいつまでも非常に割り安で、火力に比べれば比較的燃料費は安いのだ、こういう認識は私はいつまでも持つわけにいかないのじゃないか。その点からいって原子力も大事でありますが、しかし、燃料費が非常にごく安であるという前提に立って、この原子力にあまりにも大きく寄りかかるということには問題があると思いますが、この点どうお考えになりますか。
  98. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 御指摘のように、これからの発電コストの推移というものについては、いろいろ変動する要因があると思っております。一般の石油火力発電所自体につきましても、石油価格の見通しいかんということが大きな問題でございますし、原子力発電所の場合には、その性格上資本費の割合が高いものでございますから、今後の設備投資の規模に応じた、一体どの程度の資本費が予想されるか、また、燃料費自体につきましても、さまざまの変動要因があるということを前提にしまして、これからの将来の発電構成を考えますときのそれぞれの原価要素について、ただいま私どもも部内で幾つかの試算を用意をし、勉強しておる最中でございます。
  99. 辻一彦

    ○辻一彦君 もう一点私それに加えておきたいのですが、きのう出された通産の資料を見ると、建設単価、これが大体キロワット当たり十一万五千円、火力のほうは六万六百円ですか、こうなっておりますね。言うなれば、建設費が約倍かかる。資本費が二・九六に対してコストが占める割合が、二・九六に対して火力は一・五三、やはり半分だ。こういう点で鉄鋼であるとか、機械とか、セメントとか、こ、円いう資本財が必ずこれから上がってくると考えると、原子力発電の単価というのは、資本費の占める割合が、設備費が非常に大きいという点から、やはりコストのほうにかなり影響してくるのじゃないか、こう思われますが、これはどう見ておられますか。
  100. 岸田文武

    政府委員岸田文武君) 御指摘のように、これからのキロワット当たりの建設費というものは、現在よりは次第に高くなる傾向にあると私どもも考えております。先ほど申し上げましたように、それらの要素も織り込みながら各種の電源の将来価格、どうなるだろうかという試算をいたしておりますが、いままで試算をいたしました限りでは、やはり少なくとも見通し得るある程度の期間にわたっては、原子力発電のほうが安いということが言えそうな感じがいたしております。
  101. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ私は、何でも原子力ならすべて解決しそうだ、こういう安易な考えは非常に問題があると、この点を一つ指摘しておきたいと思います。重要性を否定するわけではありません。  そこで第二に、この原子力の開発に伴って自前技術の私はいろんな積み上げの問題があると思いますが、この問題について二、三お伺いいたしたいと思います。これは科学技術庁にお伺いしますが、四十六年アメリカで緊急冷却装置いわゆるECCS――まあこの原子力発電所と自動車を比べますと、エンジン、ピストン部に当たるのが、シリンダーに当たるのが燃料棒、それから緊急冷却装置――ECCSがこれが大体緊急ブレーキ、それから自動車のアクセルに当たるのがいわゆる制御棒、それからガソリンの動力を、エンジンの動力を車輪に伝える回転軸が蒸気発生器と、こういうところにいわば当たるのじゃないか。言うならば、自動車でこの四つのうちの一つでも問題があれば非常にあぶないということですが、私はいまいろいろ出ている問題は、原子力発電所のこの四つがいろんな形で問題になっておると思います。それをひとつ具体的に検討をしてみたいと思うのです。  まず、先ほど言いましたが、四十六年にECCS――緊急冷却装置てアメリカで非常に問題になったときに、当時福井県のほうでは、敦賀のほうで一体どうなっているのだ、こういうことで聞き合わせをしたのでありますが、さっぱり科学技術庁で御返事がない。まあそれはアメリカに見に行くから待てと、こういうことでありましたが、当時、どういうようにこの緊急冷却装置の問題について結論を出されたか、どう調査をされたか、このことを簡単でけっこうでありますから御報告をいただきたい。
  102. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 当時、原子力委員会の安全専門審査会の御専門の先生方をはじめ、科学技術庁、通産省職員もたしか参加いたしまして、調査いたしまして、その結果詳細な報告も参っておるわけでございますが、先生御高承のとおり、先ほどの自動車の例で申し上げますと、緊急ブレーキが一つついておるのではなくて、少なくとも三つ独立した別の原理のブレーキがついております。この四十七年に問題になりましたものはそのうちの一つでございまして、これにつきまして、確かにアメリカの実験の結果は、それほど思わしくなかったということは、調査の結果も判明はいたしておるわけでございます。そういう次第でございますので、安全評価指針というものを安全専門審査会で定めておりまして、その中でも、そのアメリカの実験のデータを十分考慮に入れまして、そのアメリカの実験の結果うまく働かないであろうと思われるものはうまく働かないという前提のもとに安全審査を行なうと、それでもう絶対だいじょうぶであるというふうなことを確認するというのが、現在の仕事の進め方でございます。
  103. 辻一彦

    ○辻一彦君 いや、私の伺っているのは、日本で独自の見解が当時出せなかったので、すぐ調査に行って、その報告があっていろいろ知らされた、こういういきさつであったと思いますが、その点どうなんですか。
  104. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 独自の見解が全然ないということではございませんが、しかし、いずれにいたしましても、この技術は米国で開発された技術でございますので、念のため米国に参りまして十分関係方面の調査をいたした、こういうことだと私は了解しております。
  105. 辻一彦

    ○辻一彦君 第二に、そのアクセルに当たる制御棒の問題ですが、中国電力、いわゆる国産第一号炉といわれた島根原発が、この制御棒でいろいろな問題を起こしておりますが、簡単にこの状況を御報告いただきたい。
  106. 井上力

    説明員(井上力君) 昭和四十八年の八月、東京電力の福島発電所第二号炉、それから中国電力の島根発電所てBWR――沸騰水型の原子炉の制御棒の中性子吸収管の不ぞろいの問題に関しまして発見をされたわけでありますが、いずれもまだ試運転中であったわけでありますので、それらのものにつきましては、正常の位置に、正常の設計のものに全部試運転中に取りかえたということでございます。
  107. 辻一彦

    ○辻一彦君 そのときに、島根、福島両原発で制御棒を入れかえておりますが、その本数といいますか、集合体としての数は何本で、そして、それは全体の何%に当たりますか。
  108. 井上力

    説明員(井上力君) 島根原子力発電所の制御棒の不ぞろいの問題でございますが、九十七体中三十六体でございます。それから、福島原子力発電所第二号機につきましては、百三十七体中三十二体でございます。
  109. 辻一彦

    ○辻一彦君 その島根の場合に、私もこの間見ておきましたが、九十七体の制御棒、言うならば自動車のアクセルといいますか、非常のときにこの力を、燃焼を押えたりあるいは加速をする、これが三十六体さかさまに入っておった、その割合は三七%、約四割、こういう数字になりますですね。そこで私は、科学技術庁にお伺いしたいのだけれども、全体の四割、三七%もこの制御棒がさかさまに入っている、それが一体わが国でわからなかったのか。どこでわかって、そして、まずどこでこの問題が問題になったか、発見されたのか、このことをお伺いしたい。
  110. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 先生御高承のとおり、この制御棒は米国のGE社の工場でつくられたわけでございますが、GE社でその品質管理が不十分であるために、一部の燃料棒の挿入のしかたが逆であるということが判明したということでございます。なお、先ほどの井上審議官からのお話しの数字でございますが、制御棒体として考えますとそういうことでございますが、本数の比率で申しますと、たしか一七%ぐらいであったかと思います。  なお、この制御棒が逆に入っておる場合の、そのまま試算をいたしましてどういうことになるかということで検討いたしましたが、その逆のままであっても安全上のマージンは十分あるということでございましたが、こういうことは好ましいことではございませんので、すべて取りかえるということに指導いたしておるわけでございます。
  111. 辻一彦

    ○辻一彦君 本数で言えば、中の一本一本を、集合体ですから、計算すれば一七%になるでしょう。しかし、集合体として交換をした、入れかえたわけですから、取りかえたパーセントというのは三七%、四〇%になる。それから、いま言われたけれども、その試算をしてマージンが十分で全然問題はないというならば、なぜ福島の原発二号は出力が八五%しか出ないのですか。
  112. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 先生御指摘の福島のほうは、たぶんこれはかドリニアといいます、いわゆるバーナブルポイズンと申しておりますそれの挿入、それをまぜますときの量が少し多いということで、そのために出力上昇の初期におきまして十分出力が出ない、ただ、これは一カ月ぐらい運転をしておりますれば、この毒物が自然に燃えまして、そのあとは一〇〇%の出力運転ができる、こういう問題であると承知いたしております。
  113. 辻一彦

    ○辻一彦君 いま一〇〇%になっていますか。
  114. 井上力

    説明員(井上力君) 現在停止中でございますけれども、運転を再開すれば、一〇〇%の出力があり得る状態になっているわけでございます。
  115. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃ、定検が終わったらその資料を一ぺん出してください。  そこで、全体の制御棒の三割七分もさかさまに入っている。それはそのまま使っても、能力の低下はあまりそれほどそう大きくはない、こう言われても、とにかく取りかえたほうがいいということで取りかえたわけですね。三割七分もさかさまに入っている制御棒が、なぜわが国の手に入るときに確認できないというか、わからないのか。こういうことはアメリカのほうで指摘をされて、あわてて国内で騒ぎ回って、いや、三割七分がだめだったと、こういうことがわかるわけですが、そういう収納検査の体制がないのかどうか、この点はどうなんですか。
  116. 井上力

    説明員(井上力君) 御指摘の点につきましては、そういう設計の点につきましては、受け入れの際に、会社側におきましてはチェックをしなかったということでございます。
  117. 辻一彦

    ○辻一彦君 もう一度。
  118. 井上力

    説明員(井上力君) 制御棒の内部におきます粉体があるわけですが、それをとめますストッパーが逆についておるというような点のチェックを、会社が受け入れる際にやらなかったということでございます。その後通産省におきましては、これは使用前検査を行ないます際に、全数の制御棒につきまして渦流試験というのを行ないまして、逆であるかいなかという点については十分検討するようにしておりますし、また制御棒の設計自体も、どちら側からささえましても、支障がないように設計変更を行なっております。また、会社側に対しましても、受け入れ時におきましては、こういったこまかい点につきまして、十分検討するように指導しているところでございます。
  119. 辻一彦

    ○辻一彦君 この制御棒の問題については、去年の九月の二十一日に参議院の科技特において取り上げて、前田前長官は、収納検査を含む収納体制の強化を原子力委員会で検討すると、こういうことを確約しておりますが、この問題について原子力委員会で検討されたかどうか、長官いかがですか。
  120. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 先生御指摘の点につきましては、前大臣の御指示によりまして検討をいたしました結果、これはまた通産省とも十分御連絡をいたしまして、この問題につきまして収納検査を十分やるということに、その必要性が認められまして、先ほど通産省の御発言にございましたように、渦流試験によって全数検査をする、こういうことを実施しておる次第でございます。
  121. 辻一彦

    ○辻一彦君 三島先生お見えになりましたので、時間が一時間しかないようでありますから、その燃料棒の問題について集中的に少しお伺いをいたしたいと思います。  まずもう一つ、この燃料棒で昨年、燃料収縮の問題が起こって、やはり事態はたいへんだということでアメリカに調査団を送っておりますが、これについてのごく簡単な結論でけっこうでありますが、どう見てこられたか、お伺いいたします。これは通産から答えてください。科学技術庁でもいいですよ。
  122. 井上力

    説明員(井上力君) 御指摘の点は、燃料のデンスィフィケーションの点であろうかと思いますが、デンスィフィケーションについては、たしか調査団は送っていなかったと思います。
  123. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) これは、昭和四十八年の八月二十四日に米国原子力委員会が発表いたしました、沸騰水型軽水炉に対しましての運転制限と、こういうことで出てきた問題でございますが、実はこれにつきましては、調査団というのは大げさでございますが、数名の専門家を派遣いたしまして、関係方面に対しての調査を行なっております。その結果でございますが、デンスィフィケーショシの影響は、原子炉の通常運転のときの問題ではございませんで、むしろ問題は、これは、まず起こらないと考えられる事故でございますが、冷却材喪失事故というのがございます。この冷却材喪失事故という場合に、最悪の場合にこの燃料温度がデンスィフィケーションがあると高くなって、温度の制限値をこえるおそれがある、こういうことであるということが判明いたしたわけでございます。そこで、米国の原子力委員会では、そのデンスィフィケーション関係のいろいろ計算モデルをつくりまして解析を行なっておりまして、わが国におきましても、そのような解析を行なっておるわけでございます。現在、原子炉安全専門審査会におきましていろいろ作業をしております。  なお、米国におきましては、当初非常に用心をいたしまして、出力の制限を命じたようでございますが、その後計算の結果、制限の必要はないということで、出力制限の命令を撤回をいたしておると承知いたしております。
  124. 辻一彦

    ○辻一彦君 私、燃料棒の具体的な問題についてお伺いしたいので、一区切りしておきたいと思います。  森山長官にお伺いしますが、いま私は四つほどの例をあげてみたのですが、問題があるとやはりアメリカに調査団を送ってその見解をたださないと、残念ながらまず国会で質問いたしましても、去年の燃料棒についても、いまアメリカのほうに調査中である、こういうことで終わっておりますが、私はそういう意味で、自前技術のほんとうの意味の積み上げというものが、あとの蒸気発生器を見ても、あるいは燃料棒のこの曲がりの問題を見ましても、それぞれ同じように言えると思うのですが、そういうものがまだ積み上がらない中で、やはり私は、その原子力の開発というものをかなり大規模に急速に進められる、こういうやり方にかなり問題がある、こういうふうに思っておりますが、この点どうお考えか、一言伺って次に入りたいと思います。
  125. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) わが国の原子力発電に最も大きく用いられておる軽水炉につきましては、アメリカからの導入技術によるところが大きいことは、先ほど来御指摘のどおりでありますが、安全審査にあたりましては、独自にわが国の自然条件、地理的な条件を十分に踏まえて、厳正かつ慎重に安全性を確認をしておるわけでございます。したがいまして、アメリカからの導入技術によることとは思いますが、同時に、自主的技術も積み上げられておりまして、これらの問題につきましては、私は、いま辻委員が言われるごとく・い配はしておらないわけであります。  それから、先ほど来いろいろあるお話でございますが、いずれにいたしましても、それらの問題がわかりました経過というものは、定期検査中において発見された事例、あるいはまだ動かない前に発見された事例というものが多いわけでございまして、やはりそれらのことが問題であるということがわかること自体が今日の原子炉技術の安全性を示している、私はそういうふうに考えております。
  126. 辻一彦

    ○辻一彦君 いまこの論議を私やる考えありませんが、大事なのは、問題をどこが指摘するか。残念ながらやはりアメリカでみんな指摘されておるのですね。そして、そこへ聞きにいかなければわからないという、こういう体制をやっぱり変えなくちゃならぬ、そういう体制をつくるということが大事だ、こういうことを私は申し上げているので、これはひとつよく考えていただきたいと思います。  そこで、三島先生お見えになっておりますから、具体的な問題について二、三伺いたいと思います。  この前、参議院の予算委員会で私は、美浜の原子炉のいわゆる燃料棒の曲がりの問題を指摘をして、これはいろいろな問題があるということを二回ほど論議をいたしました。そしてその中で、関西電力のほうで、これは伊藤参考人にお伺いしますが、当初、燃料棒が接触をしても、アメリカのコロンビア大学の実験で、DNBなどで十分余裕があって安全だと、こういう見解をとっておる、そのようにずっと新聞等いろいろなところで見ておりますが、これは間違いなかったかどうか、この点ひとつお伺いしたいと思います。
  127. 伊藤俊夫

    参考人伊藤俊夫君) 美浜の二号で先般燃料の検査をいたしましたときに、十六体のギャップの変化を起こしたものがあったわけでございます。そのときには、別に接触したものは一体もございませんでした。ただ、将来の安全のために十六体の取りかえをいたしたわけでございますが、たまたまその当時、コロンビア大学におきまして、接触いたしました場合の安全性の問題に対する研究のデータがございましたので、接触いたしました場合でもだいじょうぶであるという研究は進んでおるんだということは何らかの形で申し上げておりますが、そのコロンビア大学の実験をベースにして、接触したものがだいじょうぶであるということを主張する必要はない状態でございましたので、特にそれを強調して申し上げたつもりはないというふうに考えておる次第であります。
  128. 辻一彦

    ○辻一彦君 私も直接あなたのほうから聞いたわけでないですから、だから、いろんな新聞や資料だとか、たとえば科学技術庁が出した一月三十日の最後に発表した再開にあたっての報告ですね、この裏に、コロンビア大学の実験例というのがちゃんとついている。この新聞にも、もし燃料棒が接触してもコロンビア大学の実験によって心配はない、こういうことが関西電力のほうから言われておりますですね。だから、ことさら強調はされなかったかもわからないけれども、そういう御見解を述べておられたということは事実ですね。
  129. 伊藤俊夫

    参考人伊藤俊夫君) 何らかの機会に、御指摘のような参考的な意見を申し述べたことはあると思います。
  130. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで、三島参考人にお伺いします。  コロンビア大学でDNB、いわゆる熱計算でありますが、ペナルティー五%とっているが、アメリカのAEC――原子力委員会は一〇%、原子力基準でいきますとこれは一・三一か一・三二になるはずであります。ミニアムというか、最小はいわゆる一・三〇を割っちゃいかぬ、そうなりますと非常にぎりぎりの数字になるわけでありますが、このコロンビア大学の実験に基づいて通産省の技術顧問会は、この場合接触してもいい、安全である、こう判断されましたか、いかがですか。
  131. 三島良績

    参考人三島良績君) ただいまのにお答えいたします前に、ちょっと御説明をさせていただきますけれども、燃料棒が曲がってもしさわったら何が起こるかということに対しての私どもの考え方を申し上げます。  燃料棒がまずさわりますと、いまのように二つ考え方がございまして、さわったらたぶんそこのところの温度がたいへん上がって、それがもとになって燃料棒の被覆管である金属が穴があいて、中に入っている核分裂生成物が出てくるであろう、つまり破損燃料になるであろう、こういう考え方と、それから、さわりましても必ずしもそうなるわけじゃなくて、さわっても穴があかないで燃料棒の健全は保たれるであろうという考え方と、二つございます。それで、後者であればもちろん中身は出てこないわけですから、特に問題はございませんが、もし前者であっても、どうなるかと申しますと、一本の燃料棒が破損をいたしまして、その穴から核分裂生成物が出てくるだけでございまして、炉水の中の放射能の濃度が上がります。それが検出されて破損燃料が出たということがわかりますので、しかるべき措置をとればいいのであります。少なくとも原子炉外に影響を及ぼすようなことは起こりません。したがって、重大な事故になるのじゃないかという御意見もございますが、それは起こらないと私ども安全関係の者は思っております。  それで、いまのコロンビア大学の実験でございますけれども、コロンビア大学の実験は、ごく大ざっぱに申しますと、四掛ける四という十六本の燃料というもの、わりあい小さな規模で実験いたしまして、そして、その中のまん中近くの燃料が一本、論投げの曲がった部分から寄りかかりまして両側の二つにさわったという状態で実験がしてございます。そのときの実験で、いまおっしゃいましたとおりで、DNBの値でまいりますと、規定の一・三を少し上回るという程度でございます。ですからこの実験の結果では、これは一・三というのはもちろんある程度余裕があってきまってる数字でございますから、上回ってさえおればこわれるということにはなりませんけれども、私どもむしろ気にいたしましたのは、コロンビア大学の実験というのは、四掛ける四というその小規模な実験であって、ほんとうの原子炉のように、たくさん燐料がございまして、燃料等いろいろ条件その他の違うところで全く同じ話がそのまま通用するかどうかという点は検討しなくてはいけない。  それで、このコロンビア大学の実験が実際の原子炉の判断に対しましてそのまま使えるかどうかという点は、その方面の熱関係の専門家である顧問のメンバーの御意見も聞いていろいろ検討をいたしました。それで、私どもといたしましては、コロンビア大学の実験そのものは、レポートとしてはそれでいいんだと思いますけれども、だからといって、さわったときに絶対だいじょうぶだと信じられるか、穴があくようなことが起こらないと信じられるかという点では、まだもう少しいろいろ規模を変えた実強をしたほうがいいんだろうという判断でございます。  したがいまして、私どもとしては、燃料がさわったら、やっぱり安全サイドのものの考え方として、さわっても絶対穴があかないというよりは、穴があくということが起こるものと思ったほうが安全サイドからいいというふうに考えるし、そこで穴があくとすれば破損燃料になるわけでありますし、破損燃料になっても、それだけの話で別に大きな問題にはならないというふうなアメリカのほうの判断でございまして、アメリカの原子力委員会がロビンソンのをそのまま続けていいと、こう考えましたもとは、まず、曲がっていくメカニズムを考えまして、曲がりのクリープの式というようなものをつくりまして、それに従って、これから先の曲がり方というようなことを予測をしておりますけれども、そういう予測のしかたをある程度いまの考えでいいだろうと、こう思いまして予測をしていって、そして、ことによると曲がるかもしれぬ、曲がってもいまのような実験もあるし、たぶんだいじょうぶだろうし、もし穴があいたとしても、一本の破損燃料になるだけであるから、原子炉安全上そう大きな問題にはならない、したがって曲がったものとして見る、こういうふうな判断を下したのであろうと思われます。  私どものほうはそれに対しまして、先ほど申しましたような事情ですから、やはり安全サイドにものを考えると、いままでの実験のデータだけから見れば、接触したときには燃料が破損することになるだろうということは考えておいたほうが安全である。そうしますと、健全なまっすぐな燃料に比べまして、曲がった燃料をそのまま使うというのは、やっぱり破損燃料になる可能性が普通の燃料より高いのをそのまま使うということになりますと、それは望ましくない、そういう判断で、接触するかもしれないと思われる可能性のある燃料は使わないで出しておく、こういう意見が大かたの結論ということになるかと思います。  以上でございます。
  132. 辻一彦

    ○辻一彦君 ロビンソンやポイントビーチが、いま言われたような判断で動かしたのかどうか。私は、発生した本数やそういうものをあとで明らかにして、御見解をさらに伺いたいと思います。  二、三日前に私、京都大学の若林二郎さんという、これは福井県の安全協議会の技術顧問をしておられる。開西電力の関係の日本原電の仕事はよう見ておられるのですが、三時間ほどお会いをして、かなりいろんなお話を聞いてまいりました。その若林教授の話によっても、一つはコロンビア大学のこの実験をもってしては、接触した場合に、客観的に裏づけるには安全であるということの資料やデータが少な過ぎると、これが第一ですね。  第二に、誤差を示すものがはっきりしてはないと。コロンビア大学のこういう実験資料がなぜ企業の機密に関して国会に出されないのか、私は理解に苦しみますが、そのグラフを見ると、これは私は直接見たんじゃないんですが、書いてもらったグラフを見ると、誤差を示すのに上下の矢印等で出ているとか、あるいはまるによって、まるの上下が、線の上下が誤差の範囲であると、こういうふうになれば非常にはっきりするんだが、どうもこれがあいまいなので、誤差の範囲というものがわからない。こういう点からコロンビア大学のこれをもってしてはこういうことを裏づけるということはむずかしい。そこでこれを客観的に、この客観性を与えるためには国の研究所において、原研等でしかるべき国の責任をもって追実験をやって、これを確認しないことには客観性が与えられない、大体こういう要旨を私聞いたわけです。まあ三島先生のお話を聞いても、大体私はこれに似たお話のように思います。  前に私は、予算委員会において確認したのは、通産省の見解として、一つは、資料に目を通したがこれは無理だ、技術的検討にはちょっと耐えられない。二は、メーカーサイドの実験によっている、少しおそまつだと。したがって、三として、これでは接触した場合にだいじょうぶだという自信が持てないというような通産省の見解を技術顧問会に示されて、それを了承されたというように一応聞いたんでありますが、技術顧問会としては、こういうのを了承されたのか、あるいはもっと違った見解があったのか、このことをちょっとお伺いしたい。
  133. 三島良績

    参考人三島良績君) ただいまのお尋ねの件でございますが、最後にいまのような結論になったのは、一番最後には、通産省側からこういう意見でいいかということに対して、顧問会でそれでいいでしょうと言ったと思いますけれども、それに至るまでいろいろディスカッションをやった過程を先ほど申し上げたわけでございまして、熱の専門家その他からまいりまして、私どもに知らしていただいた実験のやり方、それからデータの精度、先ほど若林先生の御意見がございましたように、出ましたデータの内容から見て、これをもって絶対にだいじょうぶだと評価するには、少しやっぱり不十分であろうという意見が多かったわけでございます。その意見をくんで、通産省の側から、先ほどおっしゃいましたようなことでいこうと思うがどうだというお考えがあったと思います。
  134. 辻一彦

    ○辻一彦君 それでよくわかりました。  そこで、関電の伊藤参考人にお伺いしたいんですが、このようなコロンビア大学の実験例をもつて、接触しても心配がないというようなことを新聞にも公表されておるし、いろんな機会にやはり御発表になっておるわけですけれど、この根拠からすると、私は、コロンビア大学のこれは非常にまだ客観性がない、実験データも少ない、こう思いますが、どういう御見解であったか、お伺いしたいと思います。
  135. 伊藤俊夫

    参考人伊藤俊夫君) ただいま御質問のコロンビア大学の実験に対しますわれわれの評価は、それが絶対的のものであるというふうに考えているわけではございません。私どもは、燃料が曲がりまして接触するかもわからない燃料をそのまま使わさしていただきたいから、それでコロンビア大学の実験でだいじょうぶだというふうに申したわけではございません。今後の運転によりまして、接触をひょっとするかもわからないというものは取りかえをさしていただきまして、そういう可能性をはずしていきますからだいじょうぶでございますと言って取りかえをさしていただいたのがわれわれの態度でございますから、接触するかもわからないことに対する安全性をそれほど強調する必要はなかったわけでございますので、たまたまそういう意見もございますということを、先ほど申し上げましたように参考的に申し上げて、それを主体として今回の燃料の曲がりに対する安全性を主張しているという状態ではないと申し上げて  いいと思います。
  136. 辻一彦

    ○辻一彦君 そういうようにおっしゃいますけれども、われわれが新聞やあるいは科学技術庁の見解を通して読み取ることは、接触しても心配はないんだが、念のためにかえたんだと、こういり言い方がされております。それはだいぶ私は違うと思うんですよ。コロンビア大学の裏づけがあるから接触しても心配ないのだが、しかし、念のために取りかえたんだ、こういう言い方と、それから、接触すればこれについては安全上のいろいろな問題がある、これが心配ないということを裏づける客観的な資料がないから、だから、安全の点を考えれば自信が確認できないから取りかえたというのと、私は同じ取りかえたという、結果は同じであっても非常に違うと思うんですね。これは、関電で御発表になっている中身は、私は前者の受けとめ方をしておりますが、違いますか。
  137. 伊藤俊夫

    参考人伊藤俊夫君) お答えいたします。  先般、曲がりが起こりました燃料棒の内容をよく検討いたしました結果、私どもはまだある程度、半年なり一年の運転を継続させていただきましても、おそらく接触することはないであろうというふうに推定をいたしましたわけでございます。したがいまして、アメリカのコロンビア大学だとかポイントビーチにおきましては、当社の燃料棒の曲がり方と比較的形態が似た曲がり方をしておりますものをアメリカのほうでは再装荷を認めておりますので、その結果をよく検討いたしまして、つい最近再点検の過程に入っているようでございますが、その結果をよく検討いたしまして、私どもがあのままで使いましても接触しないであろうと想定したことがほんとうに確認できるかどうかということを、アメリカの実績によって確認をいたしまして、それでだいじょうぶであるということでございましたら、場合によりましたら、一応出しました燃料を再装荷さしていただいてもいいんではなかろうかという程度に考えておる次第でございます。
  138. 辻一彦

    ○辻一彦君 それはあなた、半年もたって、その結果を見てどうこうという話でしよう。取りかえるときの判断を私は伺っているんですよ。その判断が、アメリカじゃなしに通産省の技術顧問会という、そこでいろいろと判断された。それはやはり、このままでは安全上の自信が持てないから取りかえたんだというのと、それから念のために取りかえたんだ、くっついたって心配ないんだけれど、こういうのとは私は非常に違うと思うんですね。だから、それはわかりませんよ、アメリカの例が出てどういう結果が出るか私はわかりません。しかし、アメリカのポイントビーチやロビンソンにおける本数や曲がりぐあいを見ますと、美浜で出ているのよりははるかに軽微ですね。これはあとで専門的にひとつ三島先生にお伺いしたいと思います。  そこで、私は科学技術庁にお伺いしたいんだけれども、科学技術庁の見解は一月三十日に出されたこの公の文書を見ても、関西電力が言われていることとこれは全部同じですね。通産省の見解と私はかなり違うと思うんですが、前の予算委員会におきましても、いや、それは相談してやったんだから違っていないというお話でありますが、このような科学的検討を通産省が行なって出した結論と、科学技術庁がここに出された一月三十日のこの文書に、あとにコロンビア大学のまたこの例を参考につけておられる。これを見ると、私はかなり食い違いがある、こういうように思わざるを得ませんが、どう科学技術庁は判断されておったか、お伺いいたしたい。
  139. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) ただいま先生の御指摘でございますが、一月末に私どもが発表いたしました資料には、ロビンソンとポイントビーチの関係は参考としておつけしておったと思いますが、コロンビア大学の実験については、特にそれは添付して発表したという事実はなかったと記憶いたしております。
  140. 辻一彦

    ○辻一彦君 これを見なさいよ、あなた。自分で出された文書でしょう。参考として、「H・B・ロビンソン二号及びポイントビーチ一号におけるギャップ変化と米国原子力委員会のとった措置」として、確かにロビンソンと、これで見るとありますよ。そのあとに、「米国原子力委員会は、上記報告に対し熱水力学的に与える影響(DNB)等を検討した後」云々とあるじゃないですか。これは違うんですか、あなたの出された文書と。
  141. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 私が申し上げましたのは、コロンビア大学の実験云々という表現でここに添付してはおらない、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  142. 辻一彦

    ○辻一彦君 この米国原子力委員会がウエスチングを通して手に入れて報告を求めた「熱水力学的に与える影響(DNB)」云々というのは、これはコロンビア大学の実験と違うんですか、書いてあることはそれなんでしょう、なるほど、コロンビアという字は書いてないですよ。
  143. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 私ども承知いたしておりますのは、米国の原子力委員会は、いろんな実験データなり計算、判断をもとにして向こうの見解を出したと承知いたしておる次第でございます。
  144. 辻一彦

    ○辻一彦君 科学技術庁は、われわれのところによこした原文の、みなあるじゃないですか。その中にちゃんとコロンビアのこれが出て、これが安全の裏づけになっていることをわざわざ何回も出されているんです。じゃ、どこにアメリカの原子力委員会は、コロンビア以外にこの問題についてこれだけ言うだけの資料を手に入れておるんですか。コロンビア以外にありますか、コロンビア以外にないはずですよ、あったら報告してください。
  145. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 私ども承知いたしておりますのは、米国原子力委員会におきまして、各種の資料をもとにこの検討をいたしたということでございます。  なお、この問題につきましては、わが国におきましても、顧問会におきましていろいろ御検討いただきまして、いろいろ御意見があったと承知いたしておりますが、結論的に申しますと、通産省と科学技術庁との間でも十分協議をいたしておりまして、両省の間の意見には食い違いはないわけでございます。
  146. 辻一彦

    ○辻一彦君 まず一点確認したいのは、この一月三十日、科学技術庁の原子力局が発表された文書にあるDNB云々というのは、コロンビア大学の資料じゃないですか。
  147. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) このDNBの問題は、一般にこういう技術的な問題を解明いたすときに、一つの検討項目として当然に考えられるものでございます。したがいまして、コロンビア大学の実験でも当然このDNB問題は出てまいりますが、それ以外の同様の検討においても当然出てくるものであると考えております。
  148. 辻一彦

    ○辻一彦君 こんなことに時間をとってもあれだけど、コロンビア大学以外にウエスチンクが――あなたのほうは出しているでしょう、原文を。ウエスチングがコロンビアに委託して、それを出さして、それを原子力委員会が一応認めてやったということでしょう。ほかにこのDNBについて、コロンビア大学以外にアメリカの原子力委員会のこれを裏づけるものがあったら出していただきたい。
  149. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) ギネの原子炉等においての検討でもこの問題があるようでございますし、……。
  150. 辻一彦

    ○辻一彦君 ギネじゃないでしょう、ロビンソンとポイントビーチ、上記について、上記についてと書いてあるんです。
  151. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) そのような各種資料については、さきに先生の御指示によりまして資料を御提出しておりますが、なお、私どもとしては、その他の資料があるかどうかは調査させていただきたいと思います。
  152. 辻一彦

    ○辻一彦君 そんなあなた、私のところへ、国会の論議の中で国政審議のために出されたコロンビア大学の裏づけの資料として出したんです。それは一つあるかわからぬけれども、ほかにまたあったらさがしてきますといって、そんなあいまいなことで答弁になりますか、長官、一体どうなんですか。そういう御答弁では質問できませんよ。
  153. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) たいへん理化学的に次元の高いお話でございまして、私が十分御論議の対象となっていることを理解しておるかどうか、私自身疑念を差しはさんでおるのでございますが、先ほど来のお話は、燃料棒の曲がったのを日本では取りかえておる、しかし、アメリカでは取りかえないでやっておる、それはコロンビア大学の実験結果に基づくものである、だから日本では取りかえておるのであるが、アメリカでは取りかえないという根拠のコロンビア大学の実験結果について、すなわち、日本では採用していない実験についてこの場でいろいろ御論議になっておるようでありまして、まあ私は、この問題について専門家でございませんから、これ以上ちょっとコメントできないという感じでございますし、ただいま伊原次長が専門的立場で御答弁申し上げたことで、さようなことに相なっておるかというふうに感じておる程度でございまして、三島先生、何かありましたらひとつ。私はここまでわかれば政治家として百五十点ぐらい取れるだろうと、これ以上はなかなか困難でございますので、あとは専門家のほうにおまかせいたしたいと思います。
  154. 辻一彦

    ○辻一彦君 私は何もそんな専門的なことを聞いていないんですよ。ここにちゃんと書かれた文書のこの裏づけはコロンビアのでしょうと、これを言っているんですよ。ちゃんとそれも私のところヘコロンビア大学のこういうのがありますと、しかし、これは見せられませんといって、出させないでしょう、企業機密だからといって。しかし、コロンビア大学の実験によるのですよということはちゃんと文書で来ておるじゃないですか。それを一体ほかにあるなしを教えていただきたい。三島先生いかがですか。
  155. 三島良績

    参考人三島良績君) ただいまのお話を伺っておりますと、アメリカの原子力委員会のほうはいいといって、日本はかえたほうがいいといった違いは、コロンビア大学の実験に対する信頼度の話だけのような印象におとりだったと思いますが、少しことばを足しまして御説明をいたしたい。  先ほども申し上げたとおりでございますけれども、まず、なぜ曲がったのかという原因に対して考え方がいろいろございます。
  156. 辻一彦

    ○辻一彦君 ちょっと先生、三十分しか先生あとおっていただけぬので、詳しいことは……。
  157. 三島良績

    参考人三島良績君) 二、三分ぐらいで……。  なぜ、曲がったのかという原因に関していろいろ説がございまして、それが妥当だと思う人の説を立てまして、それで今度は、そういうふうに力が加わっておったらば燃料棒がだんだん曲がっていくという、この専門のほうではクリープと申しますけれども、まがっていくクリープのモデルがございまして、それをいろんな仮定を置いて立てるわけでございます。ところが、仮定だけ置いて机の上で勘定してもほんとうかどうかわかりませんので、必ず実際のデータと合わせてみて、ごらんのとおり、実際のデータがこれで勘定したのと合いますとやらないと、信頼感がないわけでございますけれども、その場合に、いままでのところ、実際のデータというのは、ロビンソンでこれだけ燃したときに、こういう条件だったらこのぐらい曲がったというデータがあります、アメリカの場合。それから日本の美浜のを使いましても、そういうごくわずかな例しかないわけでございます。そこで、そういったような数少いデータでもってその点を通るということだけでは、そのクリープのモデルというのがまだ完全に信頼感があるとは思えないというふうに私どもは思いましたのに対して、アメリカのほうの方は、これは直接向こうの方と私自身が議論したのではございませんけれども、向こうへ行っていろいろ議論してきた仲間の人たちの話などから想像いたしますと、向こうではある程度そのクリープモデルを妥当であると考えたような節もございます。  それと、さっきのコロンビアの実験もそうでございます。それからDNBの勘定のしかたというのは、御承知のとおり、これは専門的に勘定するしかたがございまして、燃料が曲がりますと、曲がって近づいた側のほうの温度が上がるかというと、必ずしもそう簡単でございませんので、曲がった側が水が減りまして、燃料に対して水の比率が減ってしまうわけでございます。それから逆に、この曲がった外側のほうは間隔が広がりますから、燃料に対して水の量が多くなりまして、温度が高くなりますのは、曲がった、近寄ったほうじゃない、反対側のほうがむしろ温度が高いのが出てきたりいたしますので、その辺と冷却のぐあいと、いろいろな事情を考慮して、はたして冷却が十分行き得なくなって、燃料の表面が損傷を起こすかどうかというのを判断するのがDNBの勘定でございます。そういういろいろな点を検討したので、一見理屈をつけてやったらだいじょうぶだったというだけで人と議論したのではないので、いろいろ計算その他の検討もされたのであろうと思います。  それからあとはさっきの、もしさわったときにどうかということに対しまして、さわって穴があいたとしても破損燃料になるだけで、たいしたことはないと思うので、破損燃料のできるようなことはしたくないと思うから、言うところが違うだけでありますので、そういういろいろな点から判断の違いが出てきているわけで、コロンビア大学の実験だけではないと思います。
  158. 辻一彦

    ○辻一彦君 私の言っているのは、それはいろいろな要素があるのはわかりますよ。しかし、ここにアメリカの原子力委員会が熱水力学云々を裏づけたのが、コロンビア大学の実験データが出されて、これがもとになっている。ほかにたくさんあ、るとおっしゃるから、じゃ、あるなら出していただきたい、これ以外にないはずだと、私はこう申し上げたのです。  そこで、もう一つ曲がりの発生率ですね、曲がりの度合いということについてお伺いをいたしたい。というのは、あの燃料棒の中でアメリカのポイントビーチとロビンソンに曲がりが出て、そして関電さんはこれを、アメリカはこの曲がっているのを使っているのだから心配がない、こういうような大体コロンビア大学のそれをつけての御見解であったように思いますが、そこで、私が科学技術庁に要求してアメリカ原子力委員会のこれについての資料を提出してもらった。それによりますと曲がりは、ポイントビーチについては最大の曲がったところで一・一ミリ、その発生率は外側からの観察で〇・一%以下のごく少数と書いてある、原文で。それならば、一体美浜に出た二号炉の第一、第二、第三、各領域ごとにどれだけの本数が出たのか。それから一いわゆるポイントビーチ、ロビンソンと各領域ごとにどれだけ出たのか。このことはこの資料お持ちだろうと思いますから、ひとっこれはお伺いいたしたい。
  159. 三島良績

    参考人三島良績君) ただいまの御質問でございますが、集合体の数でまいりまして十六体だということは書いてございますけれども、燃料棒の本数でございますか。
  160. 辻一彦

    ○辻一彦君 ええ。
  161. 三島良績

    参考人三島良績君) 本数はもう少し多いのでございます。一つの集合体の中で二つ以上曲がっているのもございますので、いまちょっと正確でございませんが、記憶ではたぶん三十本台ぐらいの数だと思います、もとの数に対して。
  162. 辻一彦

    ○辻一彦君 四十五本ですね。
  163. 三島良績

    参考人三島良績君) 四十五本ですか。パーセントは、全体の集合体の数が百二十ぐらいでございましたでしょうか。それに対して十四掛ける十四掛けまして、案内管その他の分を引いた数でございますが、二万ぐらいの数になりましょうか、それに対してただいま四十五本ということでございますから、〇・二%でございましょうか、何かそのくらいの数でございます。それで、いまの本数が何本かということ、それから曲がった程度の多い少ないといろいろあるわけでございますけれども、いまのところは、なぜ曲がったかという理由の一番大きな理由といたしまして、燐料のスペーサーの格子のところの拘束ということが考えられるものでございますから、これがいつも同じでございませんので、その辺の事情の違いはそれにも関連をいたします。それから、燃料棒の長さそのものの絶対値が違いましたり、そうしますど、燃料の底が底の板にくっついておりますものでございますと、燃料棒が伸びようと思いますと、底がついておりますから、頭を上に出す以外にはございませんから、スペーサーの間のバネの押えをすり抜けて上へ伸びていかなければならない。それを拘束されたときにたいへんきくかきかないかというのは、スペーサー何個通り抜けないと上に抜けられないかというその個数にも影響いたしますので、燃料の全体の長さに、たとえば美浜の一号と二号ではすでにスペーサーが少し違いますので、そういったいろいろな違いもございますから、数値だけであまり――ものすごく違えば疑義があると思うのでございますけれども、それほどでなかった場合には、そうこまかい比較にはならないかと思います。
  164. 辻一彦

    ○辻一彦君 ポイントビーチとロビンソンは美浜二号炉の先行炉ですから同じでしょう、違いますか。
  165. 三島良績

    参考人三島良績君) ただいま申しましたのは、一般論を申し上げたわけでございまして、大体数字はさっきのようにむしろ〇・一%とか〇・二%と以たような数字ではございますけれども数字だけでは必ずしも議論できないということを申し上げたつもりでございます。
  166. 辻一彦

    ○辻一彦君 いや、いま私の申し上げたのは、燃料棒の長さが炉によって違うとおっしゃるから、美浜二号の先行炉はロビンソン、ポイントビーチだから大体同じであろうと、こういうことですが、同じですね。
  167. 三島良績

    参考人三島良績君) それは、備えたのは同じでございます。
  168. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで、ポイントビーチ、ロビンソン二号――美浜二号のほうは、これは第一、第二、第三領域にそれぞれ曲がりの本数は全部わかっていますね、通産の発表がありますから。じゃポイントビーチ、ロビンソン二号に第一、第二、第三領域にそれぞれ何本ずつ出たかということを、御存じならばひとつ教えていただきたい。
  169. 三島良績

    参考人三島良績君) それはただいま手元に控えがございませんので、数値は申し上げられないんでございます。説明は聞いたと思いますけれども、現在記憶しておりません。
  170. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃ、通産当局にお伺いしたい。ポイントビーチ、ロビンソン二号ですね、両方の第一、第二、第三領域にそれぞれ曲がった本数は何本ずつ出ているか。
  171. 井上力

    説明員(井上力君) ポイントビーチ一号のほうでございますが、十一集合体に曲がりが出まして、そのうち第一リージョンが三体、第二リージョンが七体、第三領域が一体でございます。それからロビンソン二号のほうでございますが、七集合体に曲がりが出まして、第一領域が三体、第二領域が一体、第三領域が三体でございます。
  172. 辻一彦

    ○辻一彦君 私の言っているのは、それは集合体じゃないんですよ、本数です。美浜二号だって集合体でいえば十六体でしょう。その中に四十五本ある。だからポイントビーチとロビンソンは本数でいえば幾らか。
  173. 井上力

    説明員(井上力君) ただいま手持ちの資料では、本数はちょっとわかりません。
  174. 辻一彦

    ○辻一彦君 通産にありますか。そこになければ、向こうに。
  175. 井上力

    説明員(井上力君) 現在ないと思います。
  176. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃ、私申し上げましよう。これは若林さんのところへ行っていろんなことでかなり詳しい数字を調べてきましたが、ポイントビーチは第一領域で三本、第二領域で十二本、第三領域で二本、合わせて十七本。それからロビンソン二号は、第一領域三本、第二領域一本、第三領域五本。美浜二号、これは御存じのとおりですけれども、第一領域で四十本、第二領域で三本、第三領域で二本、四十五本と。だから、原子炉はこれはポイントビーチもロビンソンも、いま確認したように、美浜二号の先行炉ですから大体同じ、燃料棒の長さも同じと。そうすれば本数において美浜二号はポイントビーチの二・七倍、ロビンソンの五倍の本数の曲がりが出ている。これは通産どうですか、間違いですか。
  177. 井上力

    説明員(井上力君) 御指摘の点につきましては、ポイントビーチ一号、ロビンソン二号のほうにつきます検査の詳細を必ずしもわれわれ把握しておりませんので、美浜におきます検査と対比できるかどうか、ちょっとその辺わかりかねる次第でございます。
  178. 辻一彦

    ○辻一彦君 どうもはっきり聞こえないんだけれども、ポイントビーチやロビンソンは、原文であなたのほうからいただいた資料に何%と出ておりますか、その数は。そちらから出された資料に。
  179. 井上力

    説明員(井上力君) ちょっといま調査しておりますので、わかりましたらお答えいたします。
  180. 辻一彦

    ○辻一彦君 そちらから私どものほうに出した資料の中身ぐらいは知っておいてくださいよ。〇・一%以下のごく少数と原文に出ています。これをパーセントで見るとポイントビーチは〇・〇八%、ロビンソン二号は〇・〇四五%になります。さっき三島先生が計算されましたように、美浜二号は〇・二二%ですね。だからこの数でいうと、美浜二号炉においてポイントビーチの二・七倍、ロビンソンの五倍の曲がりの数が発生している、これは一点私は確認できると思う。  それからその曲がりの度合いは、これは御存じのように、ポイントビーチでは一番狭いところが一・一ミリですね。美浜二号はどうか。これは予算委員会でずいぶん資料を出す、出さぬとやって出してもらって、ゼロに波形がついているのにゼロでない、ゼロだと、こういってやりましたが、私はその波形についてもゼロと読んだんですが、ゼロに近いといラ読み方だという高等数学だったんです。そこで、それがゼロに波形がついておったという事実は、ゼロに近いということ、接触もしくは接触に近かったということを言っておるんですね。すき間ゲージを差し込んで通産が調べた数字を見ても〇・八ミリ以下の、いわゆる八ミリのすき間ゲージというか、細いものが入らないんです。それで、テレビカメラでは〇・二五ミリというのが出ているんですね。明らかにこのすき間といいますか、曲がりのぐあいを見ても、アメリカに起こった二つの先行炉よりもはるかに一こちらは一・一ミリあるいはそれ以上のものがある。こちらは接触もしくは接触に近い状況、明らかに私は曲がりの度合いということは大きく違うし、発生本数においても大きく違う。この二つの事実を見たときに、関西電力ではロビンソンやポイントビーチと同じ程度の曲がりということを新聞にも発表されておりますが、一体どこがこれからいって同じ程度の曲がりなのか、この点いかがですか。
  181. 伊藤俊夫

    参考人伊藤俊夫君) お答えいたします。  ただいま先生の御指摘の、ポイントビーチの本数は十七本でございますけれども、アッセンブルの――集合体の数は十一本でございます。それて、ロビンソンのほうは燃料棒の数が九本ということで、集合体の数は七本でございます。当社の場合は十六本出たわけでございますので、御指摘のように、アメリカの場合よりも本数におきましても多少は多うございますけれども、非常に極端にアメリカの場合の何倍出たということではないという程度の意味で、アメリカと大体似たような状態であるというふうに申し上げています。
  182. 辻一彦

    ○辻一彦君 いま集合体でいえば十一と七と十六体ですね。しかし、本数は私ははっきり言っているですよ。十七本、九本、四十五本というこの数字は、何倍という大きな相違ですね。それから曲がりのぐあいは一・一ミリの空間があるのと、ゼロに近いというのとはずいぶんこれは違うんです。そんな一ミリや二ミリぐらい問題ないということになれば別として、これは〇コンマ以下のミリを言う場合にはずいぶん曲がりが違うんですね。だから、曲がりのぐあいも本数もポイントビーチやロビンソンとずいぶん私は違っておったということ、大きく曲がり、大きな発生をしているということが確認できると思うんですが、これは御確認になりますか、この事実の上において。
  183. 伊藤俊夫

    参考人伊藤俊夫君) お答えいたします。  ポイントビーチ並びにロビンソンの実際の詳しいデータを明確に私ども把握いたしておりませんので、先方から入手いたしました資料範囲内におきましての判断で申し上げている次第でございますのでたとえばポイントビーチの発生率は〇・三%程度でございまして、美浜の場合は〇・五%程度の発生率に相なっております。したがいまして、その差は多少あろうかと思いますが、全体のパーセントからいきましたら一%以下の〇・三、〇・五というふうな程度のものはほとんど同列のものであろうというふうに判断をいたしまして申し上げてまいったわけでございます。
  184. 辻一彦

    ○辻一彦君 いや、だから、そういうあやふやな資料じゃだめだから、私は京都大学へ行って、あなたのところの詳細の資料をちゃんと把握されておる若林教授に会って、本数を全部確認をしてきておるんですよ。だから、私はこの事実に基づいてどうかとお伺いしておるんです。その前にお調べになったその数字で伺っているのでなしに、これが事実であるとすれば、かなり大きな差であるということはお認めになるでしょう。いかがですか。
  185. 伊藤俊夫

    参考人伊藤俊夫君) お答えいたします。  ポイントビーチと当社の美浜の二号の燃料棒の曲がりを起こしました程度と申しますか、それの発生率は、先ほど申し上げましたような〇・三に対して〇・五程度でございまして、美浜の二号炉の中に二万八千本をこえます燃料棒が包蔵されているわけでございます。その中で四十五本に問題があったということでございますので、それに相当いたします集合体といたしましては、百二十一本の中の十六本でございますから、かなり大きな数字には相なりますが、それを処置をいたしました次第でございまして、全体の発生の程度というものは、結果的に考えますと、燃料棒製造の品質管理の多少の不均一生に起因した程度のものであって、非常に重大な事故を招来するような性格のものではないというふうに判断いたしまして、アメリカのポイントビーチ、ロビンソンに発生いたしました燃料棒の曲がりと大体軌を一にする程度のものであるというふうに判断をして、処置をいたしているわけでございます。
  186. 辻一彦

    ○辻一彦君 いや、だから私は、本数をちゃんと申し上げて、十七本と九本と四十五本の差を申し上げているんです。  三島先生にお伺いしますが、曲がりのぐあいというものが一・一ミリとゼロに近いということは、これはかなり違うと思うんですね。すき問があれば、なるほど曲がっておったってまあ使えるだろうということに私はなろうと思うんだけれども、接触もしくは接触に近いとすれば、これはやっぱりほんとうにくっついたら、これを使っていったらちょっと問題があるんじゃないか、こういう判断が働いたと思うんですが、これは一つの大きな私は違いだと思うんです。  それから発生の本数も、まあ〇コンマ以下云々という、そういうマクロで問題にすれば別ですが、この場合にはやはりかなりミクロに数字をつかまなければいかぬと思うんですね。こう見たときに、美浜二号とロビンソン、ポイントビーチのこの発生数、それから曲がりのぐあいというものはかなり私は開きがある、こう思うんですが、どうお考えになりますか。
  187. 三島良績

    参考人三島良績君) いまの本数の議論は、さっきも申しましたようなことでもございますので、それほど大きな違いがあると思いませんが、曲がった程度はおっしゃるとおりだと思いますので、かなり接近したのがあったという点は違うんではないか考えております。ただ、それは現象としては確かに違うかもしれません。
  188. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃ、世界の各国の原子炉の中で、ゼロに近いいわゆる曲がり方、接触に近い状況、そういう燃料棒が具体的にほかの原子炉に出ておりますか。
  189. 三島良績

    参考人三島良績君) それは、私の知っております範囲では出ておらないと思いますけれども、まあ、どれだけ燃えたところでちょうど炉がとまって検査をされるかという事情が同じでございませんので、その比較はそれを考えて比較しにゃいかぬと思いますけれども、実際には、接近する近くまで曲がっているというのがいままでほかであったという話は聞いておりません。
  190. 辻一彦

    ○辻一彦君 いまの御発言で、この曲がり方、発生率というものが世界的にいってかなり初めての大きなやはり曲がりや発生率であると、こういうことが私は一応言い得ると思うんですね、マクロに言えばいろいろ問題があると思いますが、こまかく検討したときに。この事実は、ここでひとつはっきり指摘しておきたいと思うんです。  もう一つピンホールの問題ですが、通産省が予算委員会を通して私に出されたピンホールの報告の数と、関西電力が十二月二十二日か二十三日、若林教授を通して福井県に報告された内容が食い違っている。私は、なぜこういう相違があるかということを、燃料体の番号を報告していただいて、ひとつその食い違いの理由を聞かしていただきたいんですが、これは伊藤参考人にお願いしたい。
  191. 伊藤俊夫

    参考人伊藤俊夫君) ただいま先生の御指摘の、美浜二号機の第一回の定検におきまして取りかえをいたしました集合体、特に御指摘の漏洩の発生いたしました燃料体の数その他につきまして、御指摘のように、関西電力地元福井県御当局に当初御説明をいたしました数字と、通産並びに科学技術庁御当局に御報告いたしました数字とに食い違いがございましたのは、当社が福井県に対しまして御説明をいたします過程におきまして誤りをおかしまして、非常に誤解を生ずるようなことをいたしましたことは、まことに申しわけなく、遺憾に存じている次第でございます。  事の起こりは、実際明確に漏洩があると確認されたものは二体でございまして、それから、漏洩のおそれがあると判断いたしましたものが四体でございます。合計六体でございましたが、福井県御当局への御説明の過程におきまして錯誤をおかしまして、はっきり漏洩のあるものは二台でございますが、漏洩のおそれのあるものを誤認によりまして五本あるというふうに申し上げたのが誤りの一つでございます。  それからもう一つは、燃料棒の検査をいたしますのに、シッピングとそれから水中のテレビを行ないます。これにおきまして最初の確認をいたすわけでございますが、その次にテレスコープによる検査をいたします。それで、テレスコープの検査をいたしましたのは現実に十一体でございまして、福井県御当局にも十一体であるという総数に間違いはなかったわけでございますが、先ほど申しました漏洩がはっきりあるということに相なりました二本のうちの一本は、漏洩が非常にシッピング並びにテレビの検査によりまして明確でございましたので、わざわざテレスコープのテストをする必要がないということでいたしませんでしたものをこの二本をテレスコープ検査をしたのだというふうに、中間の報告に立ちました者が誤りましてさような御報告をいたしましたので、それぞれの漏洩を起こしたもの、漏洩の疑いがあったもの、それから、先ほどからいろいろ御指摘のございました曲がりを起こしました十六体の中の五体をテレスコープテストをいたしておりますが、その辺の数字内容の食い違いを起こしたわけでございまして、これは一切当社の誤りでございます。まことに申しわけないと考えている次第でございます。
  192. 辻一彦

    ○辻一彦君 私は別にあなたを特別責めているわけじゃなしに、こういう問題は国民の疑惑、住民の疑惑を晴らすためにやっぱり明らかにするということが原子力の安全を確保する上に大事だと、こう思っておりますから御理解いただきたいと思うんです。  そこで、ちょっと関連してお伺いしたいのですけれども、京都大学の若林先生はあなたのところから、関西電力から御報告になったそれをまとめて公に発表されておるわけですね。私はそのときに、それぞれ問題がある燃料体は全部番号がついておるんですから、どうなっているかというようなことは、全部これは確認をされてまとめとして御発表になっておるんであろうと思うんですが、これは一体どんなのでしょうか。若林先生に関西電力のほうは本数だけを御報告になって、具体的な燃料棒の番号について御報告になっていないのか、この点いかがなんですか。
  193. 伊藤俊夫

    参考人伊藤俊夫君) 御指摘の点につきましては、その当時、私自身が若林先生とのお話し合いの過程に、中に入っておりませんので、数字まで明確に申し上げたかどうかわかりませんが、その後の御報告の過程におきましては、燃料棒の当該番号は明確に申し上げていると思います。ただ、申し上げている申し上げ方が、当社のほうに誤りがあったわけでございまして、若林先生にも誤りを申し上げ、県御当局にも誤りを申し上げまして、こんな非常に重要な原子力の安全性に対して何らかのやっぱり危惧を起こすようなことをいたしましたことにつきましては、申しわけないというふうに考えている次第でございます。
  194. 辻一彦

    ○辻一彦君 大事な問題ですから、もう二、三点だけちょっとお伺いしたい。  若林さんは、十二月の下旬に県のほうに一つ数字を報告されている。一月の二十九日にも報告をされている。通産が三月の予算委員会のあくる日か一日たって報告をしている。この三つはそれぞれ食い違いがありますが、どれが一体事実なのか、私はこれは明らかにしていただきたい、こう思うんです。これは何か私は、あなたのところだけが、いや間違ったなどと言って、非常にひっかぶられるんじゃないかと、こう思うんですが、事実があれば明らかにしてもらいたい。これはやはりこういう原子力の安全性について論議をしやっていくということが、これは私は、国民に対してわれわれの大事な義務であると思っております。そういう意味で、事実をひとつ、もしなお隠れていることがあれば、漏れていることがあればお聞かせをいただきたい。
  195. 伊藤俊夫

    参考人伊藤俊夫君) 先ほどから再三申し上げておりますように、御説明の過程におきます錯誤でございまして、私どもが燃料の実態を何か作為的に間違って、より安全であるかのような表現をしたというふうな内容でないことは、もうはつきり申し上げさしていただきたいと思います。非常に時間的の過程が、昨年の十二月からこの三月までの間でございますが、通産御当局に対しましては終始変わらないことで御報告をいたしておりましたが、県御当局並びに若林先生に対しましては、同時に御説明をした機会もございますし、別に御説明をもいたしておると思いますが、その際、やはり特に地元当局が、地元と申しますのは、私どもの現場の関係の者が福井県並びに若林先生にいろいろ御説明をいたします過程におきまして感違いをいたしておりましたのを、終始そのまま申し上げておりまして、それで最終的に県のほうからは、おまえたちがいままで言っておったのはこういうことであるなという御確認をいただいたわけです。その御確認自身がやはり間違っておりましたので、今度はあらためて文書をもって御訂正をさしていただいたというのが大体のいきさつでございます。
  196. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  197. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それじゃ始めてください。
  198. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ、これはこれ以上やってもここでは水かけになりますし、一応そういう御報告されたことを受けとめておきます。  そこで、前に若林さんのほうに知らされた、あるいは県のほうに知らされたその燃料体の番号は全部わかると思いますから、あとでひとつ資料として出していただくようにお願いしたい。これはいいでしょうか、伊藤先生。
  199. 伊藤俊夫

    参考人伊藤俊夫君) 後ほど御提示申し上げます。手元にございますから、ただいま申し上げてもよろしゅうございますけど、時間の都合で……。
  200. 辻一彦

    ○辻一彦君 三島先生に、もうお帰りのようでありますから、最後に一つお伺いしたいんですが、以上私はこの燃料棒の曲がり、発生率、それからピンホール、それからDNBの熱水力学、こういう点から幾つかのデータをあげて申し上げたのですが、参考人からいろいろお話を伺ってかなり私もわかりましたですね。そこで、これらの論議をまとめてみますと、美浜二号のいわゆる原子炉の燃料体は念のためにひとつ取りかえておこう、そういう問題ではなしに、DNBにおける科学的な検討、それから燃料棒の曲がりの度合い、燃料棒の発生率の大きさ、それから、いま申し上げましたピンホール等の検討、こういう点をずっと確認をされて、そしてこのままこの曲がった、あるいは接触に近い状況で使用していくならば、やはりこれはいろいろ自信が、確信が持てない、それを裏づけるコロンビア大学の実証手法をもってしてはデータが十分でない、こういうふうに御判断になって燃料を取りかえるべきであるという結論を通産省の科学技術顧問会がお出しになったのか、あるいはいや、心配ないけれども、まあ念のためにかえておけ、これは全然心配ないのだ、こういう御見解であったのか、科学的な御判断をひとつお伺いいたしたい。
  201. 三島良績

    参考人三島良績君) ただいま二つのケースをおっしゃったのでございますが、そのまん中辺ではないかと思うのでございます。と申しますのは、確信が持てないという内容なんでございますけれど、先ほど申しましたように、燃料がもし触れたとしても燃料が破損燃料になるだけだから、それで検出してつかまえればいいんだと思うような考え方からいえば、触れたからといって、あるいは穴があいだがらどうということはないというような考えもあり得るわけでございますが、私どもはそういう考えをとらなかったわけでございます。ですから、接触する確率の高いようなことはしないほうがいい、そういう意味で出したほうがいいという判断をいたしました。ですけれども、たとえばそれがたいへん大きな事故につながりまして、原子炉周辺に影響を及ぼすとか、そういうようなおそれがあるとは思っておりません。ですから、それを心配して出したのかというのでしたら、そうは考えておりませんので、その点では大事をとってということと同じになるかと思うのでございます。ですから、おっしゃいました二つのケースの両極端ではないような感じにちょっとなるのでございますが。
  202. 辻一彦

    ○辻一彦君 学者先生はどうも政治的な御発言をされると思いますが、あの燃料棒の廃棄をした、プールにつけているのは、あれは使わないとすれば、損失は通産省の計算で四億四千万と出ておりますね。そうしますと、四億四千万の燃料を将来使えるようになれば別ですよ。しかし、廃棄するとすれば、これはいろいろな計算がされているはずですが、やっぱりそれだけの損失になるのでしょう。それだけのものを廃棄したほうがいいという結論を出すには、私は科学的な根拠というものが要ると思うのですよ、科学的な根拠が。ただ四億四千万、まあ中ほどくらいの判断でプールにつけておけ、こういうものでは私はないと思うんですが、四億四千万を廃棄するについて科学的に検討されて、私は、接触によって大爆発をするとか、そういうふうには申しませんよ。しかし、接触すればリークが起き、いろいろな問題が起きてくる。そういうことを考えればやはりこれは取りかえるべきである、こういう科学的な根拠から御判断になったのかどうか、このことをお伺いしているのです。いかがでしょう。
  203. 三島良績

    参考人三島良績君) いまおっしゃいましたのでございましたらそうでございます。破損燃料になる確率が高いとわかっていることを、続けて燃すことはしないほうがいいということでございます。
  204. 辻一彦

    ○辻一彦君 三島さん、ありがとうございました。  それでは、森山長官にお伺いいたしますが、いま三島参考人もおっしゃったように、やはりこの燃料棒取りかえは科学的な根拠に私は基づいておると思うのですね。あなたは、前の予算委員会で行政判断であると、こういうことを伊原次長も仰せられたが、次には技術的な行政判断、いま似たようなお話が出ましたが、かなり違ってまいりましたが、しかし私は、これは科学技術庁ならば、科学的判断によってこの燃科棒取りかえが行なわれたということを確認されるべきであると思いますが、いかがですか。
  205. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) 参議院の予算委員会でこのことが論議をされました。念には念を入れて燃料棒の取りかえをやったということについて、最終的には政治的、科学的な判断であるというような話をいたしましたところ、ただいま三島参考人から、まさにわが意を得た答弁がございました。私の答弁は、単に政治的のみならず一つの技術的にも根拠があるということが明らかになりました、そういうふうに私は先ほど来のお話を聞いておる次第でございます。  それで、またこの機会に申し上げたいと思いますが、美浜一号機の蒸気発生器の細管事故、これは当初運転中、メーター監視によって気がついて炉を停止した、第二回目、第三回目は定期検査によって発見をしました。この蒸気発生器の細管事故というものにいたしましても、事前に放射能についてのアセスメントをやって多重防護装置になっておりますから、こういう問題についての事故に気づき、また、定期検査によってさらに問題点の発見を深めることができた。したがって、これに対してどう措置するかということもさることながら、こういう事故がわかったということはまさに安全のしるしでございまして、これをどう処理するかということは、技術者の方々がいろいろ御論議をされてやるべきことであると思っております。国会の中でこの問題を勉強しておる先生が、それを御質疑なされるということは、それは十分あり得ることだと思っておりますが、御論議の筋は、まさに安全性を示して余りあるという事態であるというふうに考えております。  また、美浜二号機の燃料棒の曲がり現象は、これは御案内のとおり、定期検査で発見いたしたのでございまして、一年十二カ月のうち二カ月半国が監督して定期検査をやる、こういうことがわかるわけであります。それについてどう措置するかということについては、アメリカではかえなくてもやっていけるということでございまして、それが私は詳細を存じませんが、コロンビア大学の実験などとも関係があるようでございますが、日本では先ほど三島先生からもお話がございましたように、それはアメリカのようにやらなくても済むが、しかしまた、念には念を入れてこの際かえておいたほうがいいということでおそらく日本ではかえたものだと思っております。それは単に行政的な判断だけではなくて、やはり技術的な根拠もまたある。それは先ほど三島参考人から出たことでございますが、いずれにしても、どういう措置をとるかというのは一つの問題点でありますが、――そういうことが議論され、問題の対象になって事前にいろいろわかってきたということは、今日の軽水炉原子炉がいかに安全であるかのしるしになるというふうに私は考えておるわけでございますから、先ほど来のお話は、安全性の問題に疑念があることのお話じゃなくて、安全性というものに対して疑念がないということの証左を、長時間かけて御論議になっているものだというふうに私は理解をしておる次第でございます。
  206. 辻一彦

    ○辻一彦君 あなたは私の質問していることに答えてくださいよ。それは、いまの御発言は幾らでも問題があります。しかし、時間もいろいろありますから、全部は申し上げませんが、大体これだけの時間をかけて、全部具体的な数字をもって科学的に検討をして、三島さんは最後に、科学的な根拠に基づくということをおっしゃってお帰りになったんです。それを長官すりかえていますけれども、行政的判断じゃなしに、明確にこれだけのデータによって科学的に検討した結果結論が出ておるのです、通産の技術顧問会としては。それを全く中途はんぱな御答弁ですりかえるというのは、私は了解できないのです。(「まともな答弁をしろ、まともな答弁を」と呼ぶ者あり)
  207. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) これはまた異なことを承ると思いますが、(「まともな答弁をしろ、何が異なことだ」と呼ぶ者あり)私は、三島参考人の先ほど来のお話は、とにかく両極端でなくて、話は中間のところに真理があるというようなお話のように承って……。
  208. 辻一彦

    ○辻一彦君 あとの、一番最後の御発言を聞きなさいよ。
  209. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) でありますから、私はそのように考えておるということを申し上げるのでございます。
  210. 辻一彦

    ○辻一彦君 まず私は、ちょっと次長にお伺いしたい。あなたは……(「辻君、そんなものやめろよ」と呼ぶ者あり)いや、まず長官の答弁前に私はもう一度……。(「商工委員会にいないから、そんな科学技術庁だからといってなまいきだよ、この答弁のしかたは。何だ、安全性のしるしとは」と呼ぶ者あり)これは私は納得できませんよ、こういう御答弁じゃ。(「こんなふざけた答弁するなら委員会やめた、第一議員もいないのに、散会だ、委員長、散会」と呼ぶ者あり)
  211. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記やめてください。   〔速記中止〕
  212. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を起こして。
  213. 辻一彦

    ○辻一彦君 委員長、これは理事会開いて決着つけてください。こういう答弁じゃ納得できません。
  214. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記をとめてください。   〔午後三時十分速記中止〕   〔午後三時四十九分速記開始〕
  215. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めてください。  先ほどの辻君に対する答弁に関し、科学技術庁長官から発言を求められております。この際、これを許します。森山科学技術庁長官。
  216. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) ただいまの私の発言中に、国務大臣にあるまじき不謹慎のところがあり、皆さまに御迷惑をおかけいたしましたので、これを取り消さしていただき、深くおわび申し上げます。  以後、発言につきましては、深く反省いたしまして、慎重に行ない、再びこのような不始末を繰り返さないように注意いたします。
  217. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十一分散会      ―――――・―――――