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参考人(
三島良績君) ただいまのに
お答えいたします前に、ちょっと御
説明をさせていただきますけれ
ども、燃料棒が曲がってもしさわったら何が起こるかということに対しての私
どもの考え方を申し上げます。
燃料棒がまずさわりますと、いまのように二つ考え方がございまして、さわったらたぶんそこのところの温度がたいへん上がって、それがもとになって燃料棒の被覆管である金属が穴があいて、中に入っている核分裂生成物が出てくるであろう、つまり破損燃料になるであろう、こういう考え方と、それから、さわりましても必ずしもそうなるわけじゃなくて、さわっても穴があかないで燃料棒の健全は保たれるであろうという考え方と、二つございます。それで、後者であればもちろん中身は出てこないわけですから、特に問題はございませんが、もし前者であっても、どうなるかと申しますと、一本の燃料棒が破損をいたしまして、その穴から核分裂生成物が出てくるだけでございまして、炉水の中の放射能の濃度が上がります。それが検出されて破損燃料が出たということがわかりますので、しかるべき
措置をとればいいのであります。少なくとも原子炉外に影響を及ぼすようなことは起こりません。したがって、重大な事故になるのじゃないかという御
意見もございますが、それは起こらないと私
ども安全関係の者は思っております。
それで、いまのコロンビア大学の実験でございますけれ
ども、コロンビア大学の実験は、ごく大ざっぱに申しますと、四掛ける四という十六本の燃料というもの、わりあい小さな規模で実験いたしまして、そして、その中のまん中近くの燃料が一本、論投げの曲がった部分から寄りかかりまして両側の二つにさわったという状態で実験がしてございます。そのときの実験で、いまおっしゃいましたとおりで、DNBの値でまいりますと、
規定の一・三を少し上回るという程度でございます。ですからこの実験の結果では、これは一・三というのはもちろんある程度余裕があってきまってる
数字でございますから、上回ってさえおればこわれるということにはなりませんけれ
ども、私
どもむしろ気にいたしましたのは、コロンビア大学の実験というのは、四掛ける四というその小規模な実験であって、ほんとうの原子炉のように、たくさん燐料がございまして、燃料等いろいろ条件その他の違うところで全く同じ話がそのまま通用するかどうかという点は検討しなくてはいけない。
それで、このコロンビア大学の実験が実際の原子炉の判断に対しましてそのまま使えるかどうかという点は、その方面の熱関係の専門家である顧問のメンバーの御
意見も聞いていろいろ検討をいたしました。それで、私
どもといたしましては、コロンビア大学の実験そのものは、レポートとしてはそれでいいんだと思いますけれ
ども、だからといって、さわったときに絶対だいじょうぶだと信じられるか、穴があくようなことが起こらないと信じられるかという点では、まだもう少しいろいろ規模を変えた実強をしたほうがいいんだろうという判断でございます。
したがいまして、私
どもとしては、燃料がさわったら、やっぱり安全サイドのものの考え方として、さわっても絶対穴があかないというよりは、穴があくということが起こるものと思ったほうが安全サイドからいいというふうに考えるし、そこで穴があくとすれば破損燃料になるわけでありますし、破損燃料になっても、それだけの話で別に大きな問題にはならないというふうなアメリカのほうの判断でございまして、アメリカの原子力
委員会がロビンソンのをそのまま続けていいと、こう考えましたもとは、まず、曲がっていくメカニズムを考えまして、曲がりのクリープの式というようなものをつくりまして、それに従って、これから先の曲がり方というようなことを予測をしておりますけれ
ども、そういう予測のしかたをある程度いまの考えでいいだろうと、こう思いまして予測をしていって、そして、ことによると曲がるかもしれぬ、曲がってもいまのような実験もあるし、たぶんだいじょうぶだろうし、もし穴があいたとしても、一本の破損燃料になるだけであるから、原子炉安全上そう大きな問題にはならない、したがって曲がったものとして見る、こういうふうな判断を下したのであろうと思われます。
私
どものほうはそれに対しまして、先ほど申しましたような事情ですから、やはり安全サイドにものを考えると、いままでの実験のデータだけから見れば、接触したときには燃料が破損することになるだろうということは考えておいたほうが安全である。そうしますと、健全なまっすぐな燃料に比べまして、曲がった燃料をそのまま使うというのは、やっぱり破損燃料になる可能性が普通の燃料より高いのをそのまま使うということになりますと、それは望ましくない、そういう判断で、接触するかもしれないと思われる可能性のある燃料は使わないで出しておく、こういう
意見が大かたの結論ということになるかと思います。
以上でございます。