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説明員(佐藤兼二君) 先月後半約三日間にわたりまして、奄美大島はもちろんのこと、鹿児島本土のほうにも参りまして、それで問題が問題ということでございますので、現地の通産局の担当商工部長の参加を求めまして、現地の現在置かれております
状況、それから、今後どういうふうにお考えになっておられるかということを十分御意見の聴取をしたり、また相互の意見交換等も行なってまいりました。
問題は、確かに
韓国から現に相当量というか、ある一定量のつむぎが入っておるということは事実なんでございますが、その前に、現在置かれている実態は何かと申しますと、もちろん御案内のように、戦前からの産業でございますが、戦後生産が始まったころは、われわれの了解しておる
範囲内では、約三十五万反ほどの生産から戦後生産を開始しまして、それがごくもよりの土地にまいりまして、非常にその消費ブームがございまして、そのブームに乗ったこともありましょうか、生産は非常に順調に伸びまして、かつまた伴いますに、価格も非常に高値のかっこうで維持されてきておったわけでございます。それでその結果、一昨年、四十七年の大島つむぎの生産は大体八十四万反のレベルまでいったわけでございます。
ところが、御案内のような昨年後半の消費の転換、それから、
一つにはやはり大島つむぎそのものの
需要も一巡したのじゃないだろうかということもありますし、それから、加えまして、昨今の
金融引き締めに基づきます
需要の減退等々ありまして、昨年は、一昨年の八十四万反のレベルから八十二万反というかっこうで生産面の停滞を少し示してきた。これが従来の市況から申しますと、何か先行き不安というものが地元では強く認識されたわけでございます。
そのおりから地元では、どうも
韓国から物が入ってきているらしいということを読み取られまして、四十七年、四十八年、二年間にわたりまして約四回ほど現地
韓国の生産
状況等を視察されたわけでございますが、その
内容等から考えますと、どうも先行き相当大幅の
輸入増ということが
懸念される。そうしますと、大島つむぎの生産そのものに対しても、相当の脅威になるのではないだろうかというようなことが強く
懸念されたというような
状況にあるわけでございます。つまり、
一般的な市況が、四十七年以降四十八年にかけて若干生産面のかげりを示したのに対して、
輸入増という点が加えられまして、それが将来に対する
懸念というかっこうで非常に強く意識されてきた、こういうのが現在置かれている
状況だと思います。
それで、そういうような
状況に関する相互の理解というものを深めただけじゃなくて、今後どうしていくかということも十分御意見を拝聴したり、また、われわれの考えている点も申し上げたのでございますが、まず、何はさておき、当面の問題としまして、やっぱりそれはそれなりの生産縮小的な気配があるものですから、それからまた
金融面の詰まりというのがありますから、この時点でしかるべき
金融措置ということを考えてもらう必要があるのじゃないだろうかという御提案等もありました。
それから、第二番目と申しますよりはむしろより基本的な問題だろうと思いますが、置かれているその種々の
状況から申しますと、伝統的産業であるにしても、将来にわたってはより自分自身の基盤を
強化する、それに沿うような体質
強化ということをはかる必要があるのじゃないかということは、やはり地元でも強く認識されております。それで、そのために伝産法の適切な運用、それから
繊維の構造改善の推進、それから、奄美の振興法の実施等々によりましてその体質改善を強く打ち出していく必要があるだろうというのが、やはり現地での強い御意向でもあるようでございます。
それから、将来にわたる問題ではあるにしても、現に
輸入がぼつぼつ入ってきておるという
状況を踏まえますと、それなりに現地では、
輸入に対する
対策は、つまり水ぎわでの手は何かないかというふうな強い御要請もありました。これにつきましては、現在置かれております国内の生産規模に対しまする
輸入の量の対比から見ますと、まあ計算の方法もいろいろあるでしょうが、目の子で申しますと約二%
程度の
状況にございます。で、この問題は、現在そのものがたいへんだというのじゃないので、将来に対して非常に心配を強く持っておられるということがその実態なわけですから、私たちといたしましても、今後その辺の事態の推移というものを見まして、しかるべき水ぎわの作戦ということもあわせて検討していくということが必要だろうと思っております。
それからなお、ややこまいことにわたりますが、
韓国からの
輸入、特に本場の大島つむぎが入ってくるということのもとは、日本からしかるべき糸が
韓国のほうに渡りまして、それが製品化されて入ってくるというのが実は実態なんです。地元といたしましても、よってくるもとが、自分らの手からしかるべきルートを経て
韓国のほうに糸が流れていくということがやはりより直接的な問題なので、当面の問題としては、地元では強くその点を自粛しようという意識が非常に強うございます。したがいまして、顧みまして関連するところ、商社等の活動の問題にも関連しますので、地元さえもこういう強い自己擁護の意識が強いので、やはり
関係するところとしては、十分それに協力してほしいというようなしかるべき
指導もわれわれはやっております。
それから、先ほど局長からも御説明申し上げたわけでございますが、われわれとしましても、
韓国の置かれている生産体制ないし今後の推移の
状況ということは、実は十分把握しているわけではございません。今後の問題として、やはりこの点をわれわれとしても十分調査し、ウォッチしていくということが必要だというふうに考えております。それから、しかるべきまた
輸入面の実態把握という
意味で、統計操作上の問題も整備拡充してまいりたい、そのように考えておるわけでございます。