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政府委員(
外山弘君) 二つの点が御質問の内容だと思います。
一つは、付保限度の引き上げを二年引き続いて行なうというのは、前回の引き上げが小さ過ぎたのじゃないだろうか、こういう御
指摘だと思います。昨年度の
保険限度額の引き上げにあたりましては、
中小企業者の
資金需要、
貸し出し残高、こういった点を勘案いたしまして判断したところでございますけれ
ども、その後の著しい物価上昇等、予測を上回る急激な経済上の変化ということが、
中小企業者の
資金需要がますます大口化する傾向ということにつながってくるわけでございまして、
中小企業者の
資金確保の面においては大きな役割りを果たしておりまする
信用補完制度についても、このたび、昨年に引き続きまして限度の再度その拡充強化を行なうこととしたわけでございまして、無担保
保険につきましては昨年以前に一度あったわけでございまして、しばらくなかったのを引き上げたわけでございます。そういった意味で引き上げたわけでございますが、同時に、
中小企業者から見れば、なるべく前広に上げておいてもらえばそれだけ便利だと思います。しかし、それはそれなりの経済的な問題を伴うわけでございますから、やはり
資金需要に応じて、適時適切な付保限度の決定ということもこれは大事な要素だろうと思います。で、二年引き続き行なったという点は、確かに御
指摘のような点もございますが、同時に、そのときとして最も適切な範囲にとどめて適切な
運用をはかるということも大事な要素であるということで、昨年は昨年なりに、ことしはことしなりに拡大したということでございます。
それからもう一点、五千万円の限度上げは上位
企業優遇ではないだろうかというふうな御
指摘でございます。で、資本金が一億円ということで
中小企業者の定義が上がったこと、これも全然
関係のないわけではございませんが、ともかく資本金一億円未満の製造業、及び資本金五千万円未満の卸売り業におきまする一
企業者当たりの平均借り入れ金残高を法人
企業統計という点から見ますと、四十六年度ですでに製造業で三千八百万円、それから卸売り業で四千四百万円というふうに、現行の三千五百万円をすでにこえておるわけでございまして、そしてこの三年間、四十四年から四十六年度の平均進捗率でさらに四十九年度を推定いたしますと、製造業では五千百万円、それから卸売り業では五千九百万円というふうなことになるわけでございます。したがいまして、今回の引き上げは、そういったことを考慮して数字的にきめたわけでございます。
しかし、さらにこれがそういった大きなところだけに適用されるのかというふうな御
指摘でございますけれ
ども、よく見ますと、やはり最近の零細
企業と申しますか、小規模
企業の方でもかなり大口の
資金需要を持っているわけでございます。それで、従業員二十人以下というふうな層のものでも調査対象
企業数の二〇%近く、あるいは二十人から三十人の層のもので六〇%近く、あるいは三十一人から五十人といった
中小企業層で七〇%程度の人が借り入れ金残高は四千万円超であるというふうな結果も出ておりまして、小規模
企業層でも借り入れ金残高は相当大きなものになっているというふうな数字もございます。したがいまして、限度を五千万円に引き上げることは、必ずしも上位
企業のみが優遇されるわけではなくて、そういった小規模
企業の大口化する
資金需要に対応しても適切な限度にはなるのではないだろうか、こういうふうに
考えるわけでございます。