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1974-03-26 第72回国会 参議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十六日(火曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員異動  二月二十日     辞任         補欠選任      竹内 藤男君     山崎 竜男君  二月二十二日     辞任         補欠選任      中山 太郎君     安田 隆明君      山崎 竜男君     竹内 藤男君      塚田 大願君     須藤 五郎君  三月五日     辞任         補欠選任      竹内 藤男君     青木 一男君      細川 護熙君     山崎 五郎君  三月六日     辞任         補欠選任      青木 一男君     竹内 藤男君      山崎 五郎君     細川 護熙君  三月七日     辞任         補欠選任      竹内 藤男君     岩本 政一君  三月八日     辞任         補欠選任      岩本 政一君     竹内 藤男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 佐田 一郎君                 竹内 藤男君                 大矢  正君                 藤井 恒男君     委 員                 植木 光教君                 小笠 公韶君                 細川 護熙君                 竹田 現照君                 中尾 辰義君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   中曽根康弘君    政府委員        内閣法制局第一        部長       角田礼次郎君        科学技術庁原子        力局次長     生田 豊朗君        環境政務次官   藤本 孝雄君        通商産業政務次        官        楠  正俊君        通商産業省産業        政策局長     小松勇五郎君        通商産業省基礎        産業局長     飯塚 史郎君        通商産業省機械        情報産業局長   齋藤 太一君        通商産業省生活        産業局長     橋本 利一君        資源エネルギー        庁長官      山形 栄治君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        環境庁企画調整        局研究調整課長  津澤 健一君        環境庁大気保全        局大気規制課長  石田  齋君        環境庁水質保全        局水質規制課長  太田 耕二君        厚生省薬務局監        視課長      三井 速雄君        通商産業省機械        情報産業局計量        課長       姫野 瑛一君        自治省財政局財        政課長      石原 信雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○計量法の一部を改正する法律案内閣提出) ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (石油価格行政指導に関する件)  (生活関連物資価格凍結に関する件)  (当面の繊維政策に関する件)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動に伴い、現在、理事に一名の欠員を生じておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事竹内藤男君を指名いたします。     —————————————
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 計量法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣
  5. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 計量法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  計量法は、計量基礎定め、適正な計量実施確保し、もって経済の発展及び文化の向上に寄与することを目的として制定されたものでありますが、同法につきましては、最近における社会経済情勢の変化に対応して、消費者利益保護計量証明事業における適正な計量実施確保計量管理の一そうの適正化等観点から、諸制度あり方幾つかの改正を加えるべき事情が生じております。これにかんがみ、政府といたしましては、昭和四十八年八月から計量行政審議会計量法における諸制度あり方について審議をお願いし、同年十二月、中間答申を得て以来、その旨に沿って同法の改正を慎重に検討してまいりました結果、ここに成案を得て提案することとした次第でございます。  次に、本法案の要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、消費者保護に関する規定整備充実であります。  一般消費者に合理的な商品選択情報を提供し、消費者利益保護をはかる観点から、一般的に長さ、質量またば体積をはかって販売するのに適する商品販売する者に対して、計量販売につとめなければならないとする規定を設けるとともに、特に政令定め商品容器包装に密封して販売する者に対しては、その商品正味量表記義務づけることとしております。  第二は、計量証明事業について登録制を拡充することであります。  近年、環境問題に対する社会的関心高まり及び環境保全対策進展に伴い、濃度等計量証明事業者が急速に増加傾向にありますので、計量証明事業者登録範囲に新たな濃度騒音レベルその他の物象の状態の量で政令定めるものの計量証明事業を追加することとしたほか、計量証明事業者事業規程の届け出を義務づけるとともに、登録基準規定等について所要改正を行なうこととしております。  第三は、計量士登録区分を設けることであります。  計量技術高度化計量管理多様化に即応して計量管理の一そうの適正化をはかるため、計量士区分を設け、区分ごと登録を行なうこととしております。  このほか、罰則等について所要改正を行なうこととしております。  以上がこの法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  6. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、補足説明を聴取いたします。齋藤機械情報産業局長
  7. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 計量法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由の順序に従って若干の補足説明を申し上げます。  改正の第一点は、消費者保護に関する規定整備充実であります。  商品種類多様化商品形態複雑化等に伴い、一般消費者計量に関し不利益をこうむる可能性が増大していることにかんがみ、計量単位による取引を推進することにより、一般消費者に対して、商品選択基準を与え、商品の量目を明確に認識し得るようにし、もって、取引に際し計量にっき不利益をこうむることがないようにすることが強く要請されております。このため、今回の改正におきましては、計量単位による販売を推進する訓示規定を設けるとともに、政令定め商品容器または包装に密封して販売する者に対しては、その商品正味量表記義務づけることとしております。  改正の第二点は、計量証明事業について、その事業登録対象範囲を拡充することなどであります。  環境保全対策進展に伴って、近時、有害物質濃度騒音等にかかる環境についての計量証明を業として行なう者が増加傾向にあり、環境計測証明機関として重要な役割りをになっております。しかし、現在、これらの者は何らの法的規制を受けていないので、その業務信頼性確保をはかり、かつ、その計測能力向上を推進するため、計測技術者及び計測設備等について一定基準を設けて事業登録実施するとともに、計量証明方法に関して業務規程を届け出させることとしております。  改正の第三点は、計量士登録区分を設けることであります。  環境問題に対する社会的関心高まりに伴って有害物質濃度騒音等を正確に計量すべきことが社会的に要請されております。現在、計量士は、あらゆる種類計量分野についての計量管理を職務としておりますが、前述の新しい要請に対応して、計量管理の一そうの適正化をはかるため、計量士登録区分を設けることとしております。すなわち、環境計測適正化に関しては、試料採取方法試料の前処理方法計測器の操作の方法計測器の保守、点検の方法等に関し、高度の知識、技能が要求されることから、濃度等計量をする計量士を設けるよう配慮してまいりたいと考えております。  なお、環境に関連する計量証明事業者に対しては、原則として、この濃度等計量をする計量士を置くことが義務づけられることになります。  以上、計量法の一部を改正する法律案提案理由につきまして、補足的な説明をいたしましたが、詳細な点につきましては、御質問に応じてお答えいたしたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  8. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 以上で説明の聴取を終わります。  本案に対する質疑は午後に譲ります。     —————————————
  9. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 大矢正

    大矢正君 私は、先般政府が行ないました、石油製品に関する行政指導という名のもとにおける指導価格というものにつきまして、見解をただしたいと思うのであります。  私は、国民生活を守る立場から、たとえばそれが石油製品でありますれば、価格の高騰を押えるためにどういう施策をするかという、そういう立場で検討されてそれぞれの措置を講ぜられること自身について、いささかも反対をするものではないのでありますが、ただ、行政指導というものの限界というものが一体どこにあるのかという点について理解に苦しむところがありますので、お尋ねをいたしたいと思うのであります。  そこで、法制局にお伺いをいたしますが、行政指導というものは一体どういうものなのか、これは法律用語であれば、当然法律の上において、行政指導というものはこういうものであるという規定があると思うんでありますが、そうでない単なる一般的なことばとして使われておるということであれば、これは一人一人の解釈によっていかようにでも拡大あるいは縮小されるものですがね。この行政指導とは一体、端的に言うとどういうことなのか。それから、もし限界がありとすれば、その限界はどういうことなのか。時間がないものですから、もし不明な点がありましたら、後日文書でもって回答してもらうことにいたしまして、短時間でひとつ御返事をいただきたい。
  11. 角田礼次郎

    政府委員角田礼次郎君) 行政指導というのは、御指摘のように、法令用語でございません。かっ、最近行政法学分野において用いられてきたことばでございますので、確かに確たる定義はございませんが、私どもとしましては、行政指導とは一応次のように定義いたしております。  すなわち、行政指導とは、国民権利制限したり、国民に対し義務を課したりするような法律上の強制力を有するものではなく、行政機関が、それぞれの設置根拠である法律により与えられた任務または所掌事務を遂行するために、かっ、その任務または所掌事務範囲内において、行政相手方協力を得て一定行政目的を実現されるように、一定作為または不作為を求めて窓通し誘導することをいうと、このように定義しております。  なお、実定法の上では勧告とか、警告とか、助言とか、指導とか、指示など、いろいろなことばが用いられております。  次に、行政指導限界という問題に触れてお答えをいたしたいと思いますが、ただいま定義として御説明申し上げましたところから御理解いただけると思いますが、それはまず第一に、国民権利制限したり、国民に対し義務を課したりするような法律上の強制力を持つものではないというのが第一点であります。  次に、それぞれの行政機関は、これはまた別の問題でございますけれども、具体的な法律根拠がなくとも行政指導を行ない得るというふうに私どもは解しておりますが、それにしても、それぞれの行政機関がそれぞれの任務または所掌事務についての定め、すなわち、設置法等定めによって与えられたその範囲内でなければいけないというのが、第二の限界であろうと思います。  それから第三には、最近の立法例におきましては、行政指導につきましては、根拠法律そのものは必要では実はないわけでございますけれども、なお、行政指導基準であるとか、内容であるとか、手続、その他につきましていろいろ具体的な法律定めをする立法例が非常に多いのであります。これは幾つも例はございますが、これこれの場合においてはこういう形で行政指導をすることができるということを、明文の規定を置いているのが非常に多いわけであります。そういう場合には、そういう法律定めに従って行政指導をやらなければいけない、これが第三の限界であろうと思います。
  12. 大矢正

    大矢正君 部長、あなたはいま、ことばじりをとらえるわけじゃないが、法律に基づく強制力がなければ、それは行政指導範囲に入るんだと、審を返して言うとそういう表現ですがね。これは、法律に基づいてやるんなら何も行政指導じゃないことははっきりしていますよね、法律に基づいてやるんだから、それは行政指導じゃない。ですから、私がここで問題としたいことは、具体的な論理の展開というよりも抽象論になるかもしらぬけれども法律には基づいてないが、法律に基づくと同様な効果をあげるようなものも、これも行政指導範囲に入るのかどうか、抽象論で、抽象的な質問でたいへん恐縮ですが。
  13. 角田礼次郎

    政府委員角田礼次郎君) 御指摘のような問題は、実は、行政指導そのものにつきまとっている問題としてかねてから議論されているところであります。つまり、行政指導というものは、あくまで先ほど御説明申し上げたように、法律的な意味拘束力はないわけでありますが、実際には、事実上それがいろいろな意味において受け入れられるという点があることは否定できないと思います。そこで、学者も言っておりますけれども行政指導というものに事実上の強制力が伴う、それは何をパックにしているかと言いますと、要するに、何らかの利益を与えるとか、あるいはその背後に何らかの権力というものがあると、そこで行政指導が非常に事実上の強制力を持ち、安易に行なわれるがゆえに、先ほど申し上げたように、最近の立法例では、その行政指導についてのいろいろなやり方に大きなワクをかけるというような立法例がふえてきたんだと思います。御指摘のような点は確かにあると思います。
  14. 大矢正

    大矢正君 通産大臣にここでちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、いま純粋な意味における行政指導というものの法律論といいましょうかね、解釈というものを若干いたしたわけでありますが、具体的に、たとえば先般十八日から実施をされております石油製品指導価格、これはあくまでも行政指導であるから、法律上の問題としては、これは業界がこれを守らなきゃならぬという法律上の規制はないから、その効果というものが実際にあがるかどうかということになると問題が残るんじゃないかという気がするわけですがね。そこで、はっきり言って、あれだけ大騒ぎをして政府、それから自由民主党、すなわち、与党が集まって延々と何日もかかって最終的に数字をはじき出してきましたがね、ああいうようなことをやっているということは、かなり適用される企業にとっては重大な意味内容を持っているものなるがゆえに、政府並びに与党は長時間にわたって検討をしたんだと私は思うんですがね。だといたしますれば、そういうような内容までが行政指導のこれは範囲であるという考え方というのは、非常に拡大し過ぎているのではないかという感じがいたします。その点はいかがでしょうか。
  15. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり通産省設置法に基づく根拠法によりまして、行政裁量範囲内において、相手方権利義務を課するものではなく、協力を求めるという形で、しかも個別企業に対して誘導ないし勧説を行なう、そしてそれに自由意思をもって協力をしてもらう、そういう形をとっておりますから、これは行政指導範囲内に入っているものであると思います。もちろん、石油価格のような国民経済に大きな影響を及ぼすものにつきましては、標準価格のような法律に基づく価格が設定されることが望ましいと思いますけれども、いろいろな諸般の情勢によってそれがなじまないという場合、時期的にあるいはその熟成の度合いにおいて、そういう場合にはこれは物価を引き下げる、あるいはおさめるという意味の公共の利益一般大衆利益目的のためにやむを得ず行なわれる一つ行政措置であるとわれわれは理解しております。
  16. 大矢正

    大矢正君 田中総理も、国民のためになることだからいいではないかという一つ根拠を言われておりますが、しかし、それはあまりにも荒っぽい議論であって、じゃ、国民のためになることなら法律を無視してかまわぬのかという理屈も成り立つわけで、私はそういうものじゃないと、やはりあくまでも法律に基づく権限範囲内において行政指導というものが行なわれなけりゃならないと、かような解釈立場をとっております。  そこで、小松さんにお尋ねをしますが、「(通商産業省任務)」、三条ですね、それから、四条はその権限規定されておるわけですが、私はいま、今度の石油指導価格の問題に限定をして議論をいたしておるわけですが、それは根拠設置法のどこにあるのですか。  それから、通商産業省任務というものと権限というものがありますが、行政指導というものは任務なのか、権限なのか、その双方なのか、通産省としてのひとつ見解を。
  17. 小松勇五郎

    政府委員小松勇五郎君) ただいまの大矢先生お尋ねは、あるいは法制局からお答えいただくほうが正しいかと思いますが、私どもなりの解釈を申し上げますと、今回の石油価格についての行政指導は、通産省設置法三条の二号に基づくものと考えております。で、第四条のほうは、たとえが物価統制令を発動するような場合、四条の本文にございますように「但し、その権限行使は、法律に従ってなされなければならない。」と書いてございますが、また、その四条の二十六号におきまして、通産省では「所掌事務に係る物資に関する価格等統制を行う」と書いてあります。これは明らかに物価統制令とか、あるいは国民生活安定法に基づきます標準価格というようなこと——そちらの法制局のほうでないとちょっと私自信ございませんが、今回の石油価格におきましては、明らかに三条のほうの行政指導であるというふうに解釈をいたしております。
  18. 角田礼次郎

    政府委員角田礼次郎君) ただいまの御質問のうちの、あとのほうの任務権限との関係についての御質問、ちょっと補足的に御説明したいと思います。  これは通産省設置法に限らないわけでございますけれども各省設置法みんな共通の問題でございます。で、任務規定というのは、国の行政組織全体の中で、ある行政機関がどのような事務、あるいは事業を行なう責任を有するものであるかということを包括的に規定したものであると解されます。したがって、言ってみれば、それはその行政機関の性格づけを一般的にしたものということができると思います。実は、任務権限関係についてお話する前に、設置法では任務所掌事務権限というものを三つ一体としてとらえておりますので、所掌事務関係からお話ししたいと思います。  任務がそういうふうにきまりますと、それを具体的にふえんしたものとして、通産省設置法でいえば七条以下の大臣官房とか、各局、各外局等所掌事務定められているわけであります。さらに、それらの所掌事務を遂行するために認められる権力的な制限であるとか、禁止、許可、認可、そういうものをするということを中心的に定めたものが権限という規定であると、こういうふうに理解していいと思います。取りまとめて申し上げれば、任務規定は、そこから所掌事務あるいは権限が導き出される大前提の規定である、こういうことが言えると思います。  ところで、先ほど申し上げました行政指導につきましては、これは法律的な拘束力、つまり、公権力行使として行なわれるものでございませんから、任務規定には含まれているわけでございますけれども権限規定の中には書いてないのは、そういう意味で当然であると思います。
  19. 大矢正

    大矢正君 そうすると、行政指導というもの、特にもっと具体的に言えば、先般政府実施をいたしました指導価格というものは、これはあくまでも任務としてやっておることであって、それで権限必要性はないのだと、それは当然やらなければならぬ任務であると、こういう立場だけがあるけれども、その権限必要性はないと、そういうことを実行する場合にですね、そういう解釈が成り立つわけですか。そういう立場に立つわけですね、端的に言うと。
  20. 角田礼次郎

    政府委員角田礼次郎君) そこが非常に微妙なところでございまして、一般には権限ということばを御理解になっていただきたいのですが、設置法にいう権限というのは、法律上の行政処分をするというような強制的な権限、つまり行為能力というか、そういうものを主として規定した規定なんでございます。しかし、ある行政機関がこういうことができるというような意味で、常識的に権限という場合はむろん権限に入ると思います。しかし、いまの設置法は非常に変わった規定のしかたをしておりまして、普通の所掌事務権限任務というのを、先ほど私が申し上げたような意味で区別しているわけです。で、先ほど来申し上げているように、私どもは、行政指導については法律根拠は要らないわけであります。したがって、そういう具体的な公権力行使として強制的な処理としては行なわれないわけでございますから、権限規定には入っていないと、こういうふうに申し上げているわけです。
  21. 大矢正

    大矢正君 これは根本問題の論争になると思うのですが、現在の自由経済のもとにおきましては、価格それ自身は、特定なものを除いては自由な競争のもとに需給関係に基づいてきめらるべきものであって、政府がしかるべき一つ指導を、あるいはその他によって本来は行なわれるべきものではないのでしょう。ですから公正取引委員会も、そこに非常にむずかしい問題があると公取自身も言っているわけですね。私は、独禁法の関係をきょう申し上げているのではないのです。  そこで、したがってそういう自由経済自由競争の原理という立場からいけば、政府が行なう行政指導範囲というものはおのずからある程度制限を私は受けるべきものであって、特に価格というものは、市場経済にとりましての重大な問題ですから、それに一つの方向づけを政府が与えるということは、法律的な根拠のあるなしにかかわらず、まず一つ問題があるのではないかというふうに私は考えますが、それは法律論実体論においてもそういう解釈をとるべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  22. 角田礼次郎

    政府委員角田礼次郎君) 基本的には、いま大矢委員の言われたことに私は全く賛成であります。  ただ、価格について特に御指摘になりましたけれども、私としては、一般的な行政指導についての御説明だけを実はいままで申し上げておりますので、その辺が多少私の答弁が不足しているのかもしれませんけれども、御指摘のように、自由経済のもとにおいて、原則的には価格というものが自由にきめらるべきものであるということから言えば、そこにおのずから行政指導限界といいますか、事実上の限界というものは当然あっていいものだと思うのです。ただ、なぜ行政指導というものが最近非常に多く用いられるようになったかについては、これはもうそれぞれの理由があるわけで、一番最初に大矢委員も御指摘になったように、やはり行政機能の拡大とか、行政責任の増大というものに対応するために、法律的に一々それをあとを追っていくということが行政の迅速といいますか、あるいは柔軟性、そういうものに必ずしもマッチしないというようなやむを得ない事情というものがあるだろうと思います。  それから、これはまたある面では非常に悪い面を持っているわけですが、できるだけ権力的な手段を避けたい、正式な処分になると、慎重さだとか手続のめんどうさがあるというようなところから、それを避けるという傾向もあると思います。まあ相手方のほうでも、行政処分であれば名誉とか信用とかいうものを著しく害されるけれども行政指導であればそういう点がかなり緩和されるというような、そういう事情もあると思います。第二の事情として申し上げたことは、これはあまりいい理由だとは思いませんけれども、実際上そういう要求があって、そして行政指導が行なわれる。しかし、本来行政指導というものが、いわゆる、法治主義の原則からいって安易に用いられるということはいけないという御指摘は、その点については、私ども法制当局としては全く同感でございます。
  23. 大矢正

    大矢正君 次に、石油業法第十五条の標準額の決定の項がありますが、販売価格の標準額として、第十五条、「通商産業大臣は、石油製品価格が不当に高騰し又は下落するおそれがある場合において、石油の安定的かつ低廉な供給を確保するため特に必要があると認めるときは、石油製品の生産費又は輸入価格基準とし、石油製品の国際価格その他の経済事情を参酌して、石油精製業者又は石油輸入業者の石油製品販売価格の標準額を定めることができる。」と、こうなっておりますね。これは行政指導なんですか、それとも行政指導ではないんですか、これはいかがなんでしょう。
  24. 角田礼次郎

    政府委員角田礼次郎君) これは一番最初に申し上げましたように、行政指導についての定義というのがばらばらでございますから、定義いかんの問題に帰するのかもしれませんけれども、私どもとしては行政指導というのは、結局、法律上の強制力を持たないものは、法律規定があったとしても行政指導だという一応の定義をしているわけであります。そういう意味では、これは行政指導に入るわけです。ただ、先ほど来御説明申し上げているいわゆる設置法に基づくと、基づくという表現は私は不正確だと思います。設置法によって認められている任務を遂行するための行政指導とほんとうは言わなきゃいけないと思いますが、かりに設置法に基づくと申しますが、そういう設置法に基づく行政指導とは、これは個別法規でなくて、設置法に書いてあるだけでございますから、そういう意味では個別法に書いてある、石油業法に書いてある標準額とは一応違うということが言えると思います。
  25. 大矢正

    大矢正君 山形さんね、前にも私、この十五条の問題でお尋ねをしたことがありますが、結局、政府価格をきめるのは、それな行政指導ということばが使われるが、それは十五条に基づくものなのか、あるいはそうでないものなのか、あるいは標準価格かという三つありますが、そのいずれかという話を聞いたら、あなたは当時は、いまのところそのいずれでもない、まだ検討中であるというようなお話ですが、結論的に今日の時点で見ますると、これは第一番目に言われた設置法任務の範疇にある行政指導であって、十五条の行政指導ではないんだと、こういうわけですが、そうすると設置法に基づく行政指導というものと、そして、それから生まれてくる指導価格というものと、それから十五条の法律に基づく行政指導の標準額というものとの違いはあるんですか。特に御存じのとおり、十五条というのは罰則も何もないわけで、これは全く先ほど部長が言っているとおりに、あくまでも行政指導、すなわち、法律に基づく権限に基づいて罰則を含めた、言うならば内容のものではないわけで、あくまでもこれは行政指導の範疇だと、そうすると、任務における行政指導というものとこの十五条の行政指導というものとどれだけの差があるのか。
  26. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) いま先生が石油業法十五条第一項をお読み上げになりましたように、この十五条第一項といいますのは、「石油製品価格が不当に高騰し又は下落するおそれがある」、要するに、上下両方の場合を考えまして、結局安定、低廉な供給の確保という目的を達成するために必要があれば標準額をきめるという規定に相なっておるわけでございます。しかもその発動の対象は、精製業者または輸入業者ということに相なっておるわけでございまして、これは三十七年の制度法律でございますが、当時の情勢といたしましては、価格を抑制するというだけでなく、むしろ、非常に価格が値くずれするような場合もおそらく想定しておった状態であったんだと思うわけでございます。今回の石油に関連いたします行政指導は、大まかに言いまして、このまま自然に放置いたしますと非常なる高値が発生するおそれがあるということを前提に、これを何らか物価政策及び国民福祉という観点から抑制、最小限の幅にこれを押えるということが一つの大きな目的であったわけでございます。当然その目的範囲内から元売りの段階でこれをつかむということが必要に相なり、かつ、ひいては小売り段階の行政指導価格、及びこれの発展としての安定法に基づく標準価格というようなつかみ方もいたしたわけでございまして、われわれといたしましては、石油業法の十五条ではなく、一応設置法に基づく行政指導でこれを抑制的最小限に押えるというようなかっこうで運用するのが妥当であるという判断のもとで行為を行なったわけでございます。
  27. 大矢正

    大矢正君 あなたのいまの御答弁だと、十五条というのは、当時三十七年ころ法律が制定された段階で、結局、値くずれということが中心になってそのためにというお話がございましたが、しかし、法律の中にちゃんと、きちっと、そんな値くずれのことも書いてあるけれども、「石油製品価格が不当に高騰し」と、ちゃんと高騰した場合にはこれを使いなさいと書いてあるわけでしまう。使ってもいいと、使いなさいじゃない、使ってもいいと書いてあるわけですね。それをなぜ根拠のない行政指導、まあ、私に言わせれば非常にこじつけというか、行政権の拡大解釈というか、それは一応おくとしても、法律的な根拠がないから、ないからしかたがない、行政指導だというならまだしも、ここに、ばんと十五条に書かれているのに一それをなぜ使わないのかということに私としては非常に疑義を感ずるわけですね。その点はどうですか。
  28. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 私の答弁がちょっと不正確だったと思うんですが、石油業法十五条というのは、発動の対象が石油の精製業者と輸入業者に限られておるわけでございます。標準額を設定します対象はその二者に限られておるわけでございますが、いま必要でありますのは、むしろ、精製業者から製品を受け取りましてそれを元売りする、いわゆる元売り業者のところでつかむのが必要であるというのが一点でございます。それから次は、元売り段階の各油種別のいわゆる上限上のせ額というものをきめることが今回非常に必要であったと思います。それから、ひいてはそれの小売り段階のガソリン、軽油、A重油等につきまして、末端の指導価格を設定することが必要であったということでございまして、おことば返すようでございますが、この石油業法十五条ではとてもカバーし切れないということがあったわけでございます。
  29. 大矢正

    大矢正君 あなたはそうおっしゃるが、きちっと書いてあるじゃありませんか。「石油精製業者又は石油輸入業者の石油製品販売価格の」、販売価格ですよ、「販売価格の標準額を定めることができる。」と明確に書いてあるじゃありませんか。精製業者または輸入業者の石油製品ですね、精製業者がつくった製品、輸入してきた製品、それの販売価格ですよ。その販売価格をきめることができるということでありますから、これはもうむしろ根拠のない、設置法の第三条ですか、のこじつけをやるよりも、この十五条で堂々とおやりになるのが本来の筋じゃないのかと、標準価格を直ちにきめられないというならばそうされるべきものではないのかと、本来、そういう解釈のもとにこの行政指導というものは行なわるべきものではないのかというふうに思いますが、これは時間がありませんから、あまり長くこれだけでやっておれませんので……。  通産大臣、あなたはお聞きになってどう思いますかね。私は、何か通産省に思惑があって、意識的にこの法律根拠があるにもかかわらず、その法律を使わないで、そしてやろうとしている。もっと悪く解釈をすれば、この機会に行政指導という名のもとに、この行政権というものを極端に拡大しようとする何か意図があっておやりになられるような感じがしてならないわけですがね。その点いかがですか。
  30. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 行政権を肥大化させようという意図は、われわれには毛頭ございません。法の解釈事務当局によりますと、輸入業者及び精製業者の販売額であって、それより以降の流通過程、そういうものの面については第十五条は及ばないと。そういうことから、今度は末端小売り価格につきましても指導価格を設けておる、たとえば灯油あるいはLPGについてやっております。それはいずれ標準価格に移行いたしましたけれども、そういう意味で、一般販売元売り関係の仕切り価格というものを行政指導価格でやるという点については不適当であったと、そういう解釈であります。
  31. 大矢正

    大矢正君 それじゃその次に、これも法制局にお伺いをいたしますがね。私は、後日あらためてこの問題をやろうと思いますから、念のために承っておきたいと思いますし、なおまた、足りない部分は文書でひとつ御返答いただこうと思っておりますが、たとえば、独占禁止法の中には原価の引き下げというような、原価ということばが使われていますね。それから物統令にも原価ということばが使われていますね。一方、昨年の暮れ成立をいたしました国民生活安定緊急措置法の中では、原価ということばは一切使われないで、標準的な生産費とか、生産費ということばが使われていますね。この原価というものと生産費というものとどういう違いがあるのか、簡潔にひとつお答えを願いたいと思う。
  32. 角田礼次郎

    政府委員角田礼次郎君) 御指摘の独占禁止法にも、実は原価ということば以外に生産費という表現もございますけれども、生産費と原価とどう法律的に違うかということでございますけれども、実は、はっきりしたことを非常に申し上げにくいのですが、原価という場合には、単に生産段階のみならず、販売、輸送等いろいろな段階について用いられることばであると思いますむしたがって、いかなる段階における原価であるかによっておのずからその内容は異なってくると思います。これに対して生産費は、生産段階についてその名前のとおり用いられるものであろうかと思います。そこで、生産段階について用いられる限りは原価と言おうが、あるいは生産費と言おうが、両者の間には大きな差異はないというふうにも一応考えられるわけでございます。ただ、これも語感の問題でございますけれども、貨物の輸送とサービスの提供に関するものについては、生産費という用語を使用することが必ずしも適切でないということでおそらく区別するのではないかと思います。また、生産段階を含む各段階について論及する場合には、これは原価ということばが最も適当であろうというようなことで法律上一応区別されて使われているんだと思います。ただ、そうは申し上げましても、一つ一つ法律について、はたして明瞭にいま申し上げたような区別が意識されて使われているかどうかということになりますと、ちょっと私もあまり自信がございませんが、いろいろな辞典などを見ましても、原価ということばと生産費ということばとが必ずしも明瞭に区別されておらないようでございますので、その辺若干、用法の上で多少入りまじった使い方があるかもしれません。
  33. 大矢正

    大矢正君 それじゃ、内閣の法制局のほうに私お願いしておきます。時間がありませんからね。原価というものと生産費というものの違いは一体どこにあるのか、それは具体的な例をあげてひとつ述べてもらいたい。どうも私流に解釈をすると、原価というものは会計法上きちっと定義づけがある。ところが、生産費ということになると、そういうものはないから、だからもう何といいましょうか、それぞれ自分の判断でこれが生産費だという適当な解釈が幾らでも生まれてくる余地がある。そのために政府は、逃げ道として生産費ということばを常に使われるのじゃないか。しかし一方、原価ということばになりますれば、これはある意味法令用語ですからね。きちってもう定義づけられておりますね。それだけの違いがあるのではないか。私はなぜそれを指摘するかというと、たとえば石油価格に関する問題に関しても、標準価格の設定についても、やはり原価ということばを使わないで盛んに生産費ということで逃げているという意味は、そういうところにどうも根があるんじゃないかという感じがしてなりません。これはこの問題として、あなたのほうからひとつ文書でもって私のほらにお答えをいただきたい、こう思います。  それから、通産大臣お尋ねをいたしますが、十八日から実施をいたしております例の指導価格は、予算委員会その他の答弁を聞きますと、これは立期にわたって実施をするものではない、短期間のうちに標準価格に移行するつもりであるというような御答弁があったように記憶いたしますがね。もしそれが事実であるとすれば、その期間というものをどの程度考えておられるのか、お答え願いたい。
  34. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは公取の御見解もありまして、政府と公取との間でいろいろ意見交換もいたしました。そういうことも踏まえまして、もし可能な情勢が熟成されれば、その時期において、あるいは品種において指導価格から標準価格へ移行することをわれわれとしてはつとめていきたい、そう思っております。その時期はどの程度、いつ可能になるか、また、どういう品目についてそういう情勢が熟成されるか、いまのところまだちょっと見当つきません。と申しますのは、石油についてまだ不安定要素はかなりございます。最近は、原油代に関する追徴金みたいなものをだいぶ要求されてきている面もございますし、それから為替相場自体がかなり変動的要因を持っています。いま、わりあいに、二百八十何円というような値段でございますけれども、ユーザンスが切れるころになりますと、相当なドルの需要が出てまいります、原油代支払いのために。そういうような情勢で、為替相場の前途自体もかなりまだ変動的要因もございます。そういう情勢から、いま、いつということをお答えすることは非常にむずかしいと思います。
  35. 大矢正

    大矢正君 いま大臣は、為替相場の話をされましたが、これは御存じのとおりたいへんな金額になりますね。たとえば年間の石油代金の支払いが百億ドルといたしますれば、いま大臣は二百八十円と言っておりますが、きのうの相場はたしか二百七十五、六円というところですね。ところが、石油価格体系の積算根拠は二百九十円で計算をしているわけですね。といたしますと十五円近くの違いが出ています、為替差益が出る結果になりますね。そういたしますと、百億ドルというもので計算をいたしますと千五百億円になります。円に換算しますと。十五円違うと千五百億円になりますね。ですから、ばく大な為替差益、あるいは逆に損をするという場合も出てくるでしょうが、変動がありますがね。こういうものと石油指導価格を設定した際の積算根拠との関連は、今後どう見ていくおつもりでしょう。
  36. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この為替相場を幾らにきめて計算するかということが、一番われわれは苦労したところでございまして、これは大蔵省当局並びに日銀当局と一番懇談を重ねてやったところであります。それで、大体過去三ヵ月ぐらいの平均的なところで二百九十円という数値が出てまいりまして、それを採用いたしました。私が聞いたところでは、為替相場が十円違いますと、キロ六百円の原油代の差が出てくる、そういうことを聞いております。したがいまして、為替相場というものは原油代についてかなり影響を持ってくるものであると思っております。
  37. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いま行政指導大矢君から質疑がありましたが、私も少し聞いてみたいと思うんですが、予算委員会におきましても、標準価格行政指導の問題で議論があったようですし、まあ結局、総理のお話あるいは公取委員長のお話等聞きまして、とにかく国民がいま値下げを希望している段階であるし、まあそういうような要望もあるのでやむを得ないというような議論もあったようであります。そこで、これは大矢君のおっしゃったとおり、やはり石油業法にも標準価格がありますし、この前の年末国会で出ました生活二法にも、せっかく標準価格のことにつきましては法制化されておるわけですから、まあ、私どもの持論としてはそれでやってほしいわけでありますが、そこで、いま大臣はじめ法制局等のお話を聞きましたけれども、どうもこの標準価格というのは固定をされて、機動性もないし弾力性もないし、ところが、国際経済は変動しておりますし、それに対応するにはそういうような固定されたようなものでは非常に運営がうまくいかない、まあそういうようなことらしいんです。  それで、私ちょっとお伺いしたいんですが、いまあなた方が行政指導をおやりになる。で、一体具体的にどういうふうにしてやっていらっしゃるのか。聞きたいところは、その価格の指示ができるのかどうなのか。また、その価格通産省としてはこの程度まで下げてほしいと、こういうふうな指導をなさっていらっしゃるのか、まあ協力をしてほしいというような程度なのか。ですから、一つ価格指示ができるのか、その価格指示を通産省が思っておる価格指導するように、どういうように具体的に指導しておるのか、その二つ、ちょっとお伺いしたいんですがね。
  38. 小松勇五郎

    政府委員小松勇五郎君) 行政指導によります価格の抑制でございますが、石油についてのやり方につきましては、後ほど資源エネルギー庁長官からお答えいただけるかと思いますけれども、これに関連いたしましての諸物価へのはね返りを押えるという点につきまして申し上げますと、まず基礎的な物資のほとんど全部を選び出しまして、それぞれの品目ごとにそれを生産しております主要メーカー、そのシェアの大きいものから順番にとってまいりまして、そして、数社あるいは十数社に及ぶ場合もございますが、順番に企業とお話し合いをいたしまして、石油価格が上がってもその製品の販売価格を上げないように個別にいま指導をいたしまして、そのシェアが少なくとも過半数に達するというふうになるまでの企業を選んで、全部行政指導をしたということでございます。で、過半数の企業価格を上げないということになりますと、これが値段を押えるという意味でのプライスリーダーになりまして、そのほかの過半数に満たない企業が値段を上げようとしても売れませんから、おのずからにしてその物資価格は押えられるはずであるという前提に立ちまして、それを現在やっておるわけでございます。  なお、基礎物資販売価格が押えられましても、流通段階でこれが上げられるようでは困りますので、卸売り業の代表といたしまして、日本貿易会所属の主要十七商社に対しまして個別に要請をいたしまして、その取り扱い商品については原則として当分の間値上げをしない、積極的にむしろ値下げをするものをさがし出すということで、個別に行政指導いたしました。さらに、小売り段階につきましては、プライスリーダーとしての百貨店及びスーパーという大企業をとらえまして、国民生活に直結するような消費物資、たとえば台所用品とか衣料品とかその他の品物でございますが、これについては当分の間やはり値上げをしない、むしろ値下げをするものをさがし出す、こういうことで個別に全部またお話をいたしました。通産大臣からそれぞれの企業に対しましてきちんとした文書を出しまして要請をし、指導いたしておるわけでございます。  なお、全国百数十万軒に及ぶといわれておりますその他の小売り店に関しましても、商工会議所あるいは商工会などを通じまして、この際小売り価格の引き上げは自粛するようにということを行政指導いたしまして、いずれも協力いたしますという返事になっております。そういう形で現在価格抑制をはかっておるわけでございます。
  39. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで値段を、たとえば具体的に言いましょう。これじゃ、ある品物が一万円であると、それはあなた方のいろいろな計算によって、まあ八千円まではいまの経済状態では下げられると、ある程度原価計算等もやってみてですね。それで八千円ぐらいまで下げてくれというふうにはっきりと言えるんですか。それとも、いろいろと通産省通産省で計算してみたけれども、あなた方のマージン等も入れまして大体一割五分か二割程度なら下げられるのじゃないかと、その程度の指導になるのか、この辺いかがですか。
  40. 小松勇五郎

    政府委員小松勇五郎君) 二種類ございまして、ただいま御説明いたしましたのは値上げ抑制品目でございます。もし将来、どうしても値上げをしないと困るという事情が起こりましたら、事前に届け出ていただきまして、そして主管官庁の了解を得て値上げをする、了解が得られなければ値上げをしないと、こういうふうになっておるわけでございます。  そういうグループの価格抑制方法一つあるわけでございますが、ただいま中尾先生お尋ねのもう一つ価格引き下げ指導でありますが、これにつきましても、品物によりましてやりやすいものとやりにくいものとございます。たとえば基礎産業局の所管物資でございますが、アルミの地金などにつきましては、ひところ非常な値上がりがございましたけれども、原局におきましてコストをはじきまして、この程度は下げられるはずであるという行政指導をいたしまして、現にトン当たり二万五千円でございましたか、下げさせております。また、生活産業局の所管としては、たとえば学用品などにつきまして二割とか三割とか、品物によって違いますが、コストを一々はじきまして、これだけ下げられるはずであるという行政指導をいたしまして、現実に下げさせております。今後も、原価計算が可能であり、かつ行政指導可能なものをできるだけ見出して、値下げ指導はやっていきたいというふうに考えております。
  41. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで私、なぜこれを質問するかというと、今度あなたのほうで、基礎物資五十三品目ですか、それから生活関連物資百四十八品目、これが当分の間凍結ということになっておりますから、それで関連して私は聞いておるわけですね。はっきりと値段を指示しておるのか、それともまあこの程度で、こういうような指導をなさるのか。要点だけ言いますから。それはやはりカルテル行為との関係もございますしね、ですから聞いておるわけですよ。  それともう一つは、一社だけ呼ぶ場合もあるでしょうし、場合によっちゃあなたがおっしゃったように、関連の業者五社なり十社なり呼んで指導なさる場合もあるでしょうが、それと関連していまの点お伺いしたいのですよ。
  42. 小松勇五郎

    政府委員小松勇五郎君) ただいまの独禁法との関係でございますが、私どもはその点につきましても非常に気を使っておるつもりでございまして、全部個別に価格引き下げあるいは値上げ抑制の指導をいたしております。で、先ほども申し上げましたが、今回の指導にあたりましては、全部個別各社あてに、企業の代表あてに通産大臣から要請文を出して、それで一々個別に言い分を聞いてもらう。もしこれを奇貨としまして横のカルテルなどができるようなことがありましたら、公正取引委員会も当然取り締まるでございましょうし、私どもも積極的に協力して、そういう横のカルテルなどはっくらせないようにいたしたいというふうに考えております。
  43. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 あまり時間がありませんので、これは議論すればまだだいぶありますが、あなた、さっきちらっと聞いたのは、幾つかの業者を呼んで指導する場合もあるようにちょっとおっしゃったのですがな——それは時間かないのでいいです。  それで私が次にお伺いしたいのは、基礎物資と関連物資を今度二月の下旬から三月上旬の価格に凍結をする、どうしても値上げをしなければならないようなものは事前に通産省の了承を得るようにする、こういうことになっているのですが、それでこの基礎物資は五十三品目、鉄鋼だとかアルミサッシだとかセメントだとか、こういろいろありますがね。それから関連物資は百四十八品目、こまかいのがあがっておりましょう。あなたのほうから資料をもらっているのだけれども、品目が書いてあるだけですよ。ですから、二月下旬から三月上旬までの相場がどの程度なのか、これはもう消費者はわかりませんよ。私どもわからぬですよ、新聞に全部出ておるわけじゃあるまいしね。それで、それがわからぬと、これからかってに上げたものは私どもわからないし、買いに行ったって幾ら幾らですと言われたら、上がったのやら下がったのやらそれもわからぬし、ごまかされてしまう。  ですから、せっかくあなた方のほうでこれだけ凍結したい、通産省国民の、消費者の皆さんの期得におこたえしておりますよ、こういうことでおつくりになったのですからね。そのかわり、標準価格みたいなそんな固定したものじゃ非常に通産省としてもやりにくい。ここで言うのはまずいかもしれませんが、大体そういうことであると思いますが、それならそれで、標準価格というものが大体この程度になっておる、これはあなた、国民に知らしてもらわぬとほんとうの消費者保護行政になりませんよ、ですから、時間があれば、出しているこのこれだけの品目、二月下旬から三月上旬の値段は通産省としてはこれこれでございます、こういうふうに掌握しておりますよ、だから当分の間はこの値段で凍結をするようにしておりますからと、これはあなた、国民にはっきり示さないと物価行政になりませんよ。いつどこで何が何ぼ上がったのやらさっぱりわからんし。これはいま一つずつ聞くと時間がかかりますから、あとで、そのあなた方が言う二月下旬から三月上旬の値段、凍結価格、これを資料出してくださいよ。出せますか、それ。
  44. 小松勇五郎

    政府委員小松勇五郎君) いまの五十三品目でございますが、先ほど申し上げましたように、主要企業ごとに全部個別にいたしておるわけでございまして、各企業販売価格はほとんど全部違うわけでございます。それで、その違いを認めたままでいまより上げてはいけませんよということを言っておるわけでございますから。それで、品物によりまして企業の数も違いますし、販売価格も全部違う。それを上げませんと言ってうそついて上げますと、これはお客がございますから必ずわかるわけでございます。それで、各企業納得づくで上げませんとまあ言ってるわけでございますから、もし上げてわかったら、それは社会的な制裁も受けるわけでございまして……。で、その五十三品目につきましては、ほとんどが大企業製品でございますから、お客にとっても値段はわかると思います。  問題は、むしろ百貨店、小売り店などの生活物資のほうだと思いますが、これも各百貨店、スーパーによりまして販売価格がまちまちでございます。また、生活用品でございますから非常に数多くございまして、まあ百五十幾つという大分類はしてございますけれども、さらにこまかい販売価格になりますと、何千という数になるわけでございます。ただしそのほうは、国民生活に、マスに直結しておるわけでございますから、とりあえずは各スーパー、デパートごとに、わが店ではこれだけの品物について値段を凍結しておりますとか、値段を下げましたとかいうことを店頭掲示させることにいたしております。で、現にそれが続々行なわれておりますし、新聞広告などいたしておりますが、私どももなるべく早い機会にそれを取りまとめまして、主婦の皆さまなどにわかりやすいような表をつくりたい。そして、それをもちろん発表もいたしますし、御関心の向きにはお配りできるような態勢を早くつくりたいというふうに考えております。  一つ補足をさせていただきますが、五十三品目につきましては、通産大臣から各企業に出しましたこの価格引き上げ抑制の例の協力の文書の末尾におきまして、なお、この措置に関連いたしまして、本年三月十五日現在の販売価格について報告されるようにということを依頼いたしております。実は私ども、二月末とか一月末とかの三月十九日より以前の値段も大体つかんでおりますので、その三月十五日現在の値段を報告してくれという意味は、その間に値上がりがあったかなかったかということもチェックするというつもりでおります。  で、先ほど申し上げましたように、全部違いますので、この平均価格を出すのはあまり意味がございませんし、それから、個別のを全部出すということがいかがでございましょうか、その……。
  45. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それはむずかしいからやらぬというととでは、これは単なる作文になりますよ。物価対策は消費者の立場に立ってもらわぬと。一応こういうふうにいたしました、基礎物資五十三品目、関連物資百四十八品目はこういうふうに凍結をいたしましたと、これで終わりじゃしようがないですよ、これね。いつごまかされるかわからぬですよ。とにかく販売側のほうからいいますと、ちょっとでも高く売ろうと、それはひどいもんですよ。この場合、これ、私のことを言うて申しわけないですが、私の娘が実は大学へ行ってますよ、女の子ですがね。で、ヤング用の洋服ダンスをその辺に買いに行った。見に行って、それは安いやつですよ、キリのやつではないですよ。石油製品のビニールみたいなものがあるじゃないですか、まん中にワクが入って、それにかぶせるようになっているやつですね。それで行ったんです。ありましてね、これ幾らですかと言ったら、八千円ですと、こう言ったんですね。それで、まあ柄が気に入らぬものだから、少し見て帰りにまた寄りますと、よそを見たけれども、あまりいいものがないから、またもとのところへ帰って私が聞いたんです。そしたら売り子がかわってましたよ。これ幾らですか、九千八百円です、さっきは八千円と言っていたじゃないですか、とにかくむちゃくちゃですよ、あなた、これ。  こういう状態ですから、こんなものは何ぼで凍結したら——これは品目をあげただけでさっぱり消費者行政になっておりませんから、通産省はほんとうに徹夜でがんばっていらっしゃると、通産大臣から予算委員会でも聞いておりますから、あゆ程度はわかりますよ、お忙しいことは。これはやはり、ただ品目をあげただけじゃわからぬですよ。建設業者とかそういう人ならわかるかもしれませんけれどもね。ですから、ほんとうに通産省が誠意を示すなら、標準価格はやめましたと、どうもああいうがっちり、弾力性のない固定されたもので、は、せっかく年末国会で皆さんに御苦労をかけて法案を通してもらったけれども通産省としてはこれでやると、そういうことなんだから、あなたがたは。先、幾ら議論しても結論は出ないんでね。ですからあなた、それだけの誠意を示すならば、ちゃんと値段も二月下旬から三月上旬はこの程度の相場でありまして、大体このくらいで凍結と、そういうふうに何か示してもらわぬと、これはさっぱりわかりゃしないそれで私は言うんですよ。ですから数が多いんですから、あとでひとつ資料を出してくださいよ、出せますか。
  46. 小松勇五郎

    政府委員小松勇五郎君) 御指摘のように、消費者のための行政でございますから、できるだけ価格を明らかにすることは当然だと思います。つきましては、先ほども申し上げましたが、小売り段階におきます生活関連物資の店ごとの価格状況は、できるだけ早く一覧表をつくりまして差し上げるようにいたしたいというふうに考えます。なお、こちらの五十三品目のほうでございますが、この表をごらんいただきますとわかりますように、庶民の生活に直結するものは合成洗剤、それから一般家庭用電球、螢光灯等でございまして、あとほとんど全部は基礎物資でございます。買い手のほうもメーカーでございます。そちらのほうは百貨店のほうでございまして、百貨店、スーパー、そのほうは先ほど申し上げましたように、できるだけ早く一覧表をりくりまして、こういう品物は、どの店で幾らで売って凍結しておりますということがわかるようにいたしたいというふうに思っております。  もう一つのほうは全部違いますし、これまた企業秘密にもなりますので、基礎物資の個々の企業の出荷価格でございますね、平均的なもの、つまり標準的な価格、これは出せると思います。
  47. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それならば凍結ということばも、凍結というのは、あなた、これはいわゆる凍結ですよね、あんまり幅がないんですからね。ですから、どうもこれを見ましてもスーパー、百貨店、あるいは販売店により、あるいはまた、製品会社別によっていろんな複雑な種類があってなかなかきめにくいということですけれども、その辺にやはり消費者側からいうと、安いものを高く買わされる危険性もあるわけですから、ほんとうにあなた方が物価を鎮静させようと真剣に取り組んでいらっしゃるならば、そういうふうにこたえていかなきゃ……。やっぱり不満を持っていますよ。それじゃ行政指導なんて何だいあれは、あんなものではなかなか下がらぬじゃないかと、何をやっているんだ、通産省。それでせっかく標準価格ができたのに、なぜあれやらぬのかと、こういう議論が出てきますよ、どうしてもこれは。  それと、今度は値上げをするものは事前に了解を得るということですが、値上げをしたい、それはどの程度の値上げということになるですかな。たとえ一%でも二%でも値上げをしたいものであれば了解を得るのか。なぜ私はこれを聞くかというと、こういうようなことも言っているんですよ。通産省の目をごまかすために、一ぺんに上げるとまたしかられるから、ちびりちびりと何回も上げようじゃないかと、こういう業者もおりますよ、これ。ですから私、それを聞いているのです。その点いかがです。
  48. 小松勇五郎

    政府委員小松勇五郎君) 一%とか一円とか上げる場合に、一々届け出るかどうかというところまでは詰めておりませんが、現在、対象にしております百貨店、スーパーにつきましては、いまの値段よりは上げないようにということで指導しておりますので、一円か二円こそこそと上げるというごまかしはないものと思いますし、また、私どものほうでは、届け出なしに値上げをするようなことがあるかどうかということにつきましては、価格調査官も総動員いたしまして、また、各種のモニター、あるいは消費者団体等の情報も総合いたしまして、極力監視をいたしたいというふうに考えております。先ほど先生御指摘のような、八千円が九千八百円に上がるというふうな店がございましたら、これは非常に極端な例かと思いますけれども、そういうのを個々の消費者の皆さまから御通報いただきますれば、しかるべき是正措置は講ぜられるかと思います。
  49. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それはいいですよ。それは私が相手で悪かったんだ。私はおかしいじゃないかと、それはあなた、石油以来、行政指導でしばらくは凍結ということになっているんじゃないかと、そうしたら、それはすみませんでしたと、安くしましたけれどもね。ほかの人だったら何ぼかやっぱりやられていますよ、これね。  それともう一つは、凍結物資以外のものは自由でしょう。この凍結品目以外のものは、これは自由販売ですから、値上げをしようとどうしようと自由でしょう、それは。いかがですか。
  50. 小松勇五郎

    政府委員小松勇五郎君) 御指摘のとおり、ここにあげてあるもの以外は自由でございます。しかし、ここにあげてありますような品物は、価格凍結が可能であって、しかも、消費者の関心のあるもの大部分は含まれておるかと思います。一方、高級品、ぜいたく品のたぐい、このほうは値上がりがしましても、私ども、要するに行政指導をいたすつもりはございません。で、そういう意味で、ここに掲げてあるもの以外は自由でございますけれども、これをもって国民生活についての大部分のものは値上がりしないで済むのではないかというふうに考えておるものでございます。
  51. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 あまり時間ありませんからね。結局、こういうように凍結品目を指定されておりますが、これ以外のものは自由ということになりますと、ほかのものはどんどん上がる傾向ありますから、そうすると、ほかの側から押し上げるというか、どうしても上げざるを得ぬように押し上げていくような可能性が十分これはあるわけですね。しかも今後は、新聞にも出ておりますが、こういうようにアルミ地金が値上げ申請をしておる、あるいは石油化学製品がこれは原料が上がったので値上げを申請すると、次々と出ておるでしょう。あるいは電力も近く値上げを申請をすると、そういうことに巻き込まれてしまって、はたしてこの凍結価格というものがどの程度続くのか、その辺も非常にわれわれとしては気になるところなんですがね。  もう時間がないので、最後に大臣にお伺いをします。  電力の、電気料金の値上げのことにつきまして通産省はどう考えているのか。  それと、いま申し上げましたアルミ地金の値上げ、それから石油化学製品の値上げ等につきまして、いずれは申請もあるでしょうけれども通産省見解を伺いまして、これで終わりにいたします。
  52. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 電力の問題は、価格体系に非常に影響を及ぼすものでございますから、非常に慎重にいたしたいと思っております。それで、この間石油行政指導価格を上げましたので、この影響がどういうふうに影響を与えるか、どういう新しい均衡条件をつくりつつあるか、そういう情勢をよく見きわめながら、次に電力の問題に取りかからざるを得ない。時期としては、できるだけわれわれとしては延ばすような努力をしていきたいという考えに立っております。  アルミについては、この間いわゆる便乗値上げで国会からも指摘されまして、われわれもさっそく引き下げを行政指導したとごろでございます。したがいまして、アルミについては極力これを抑制して、値上げをさせないように努力していきたいと思っております。それから、エチレンとかそういうものは、ナフサが上がれば当然これは上がらざるを得ない運命にある性格の品物でございます。大体ああいうナフサのようなものは精製の過程において出てきて、二、三日の何といいますか、滞留期間のもので、パイプを通じてみんな工場に送られておるものであります。しかし、これはある程度上がらざるを得ぬだろうとわれわれも当時からすでに計算しておりましたが、最終製品は上げないようにしよう、たとえば塩ビのバケツであるとか、そういうような最終製品については押えよう、そういう方針を堅持してまいりたいと思っております。
  53. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 検討とか値上げを抑制とか、そういうような答弁で、さっぱり答弁らしい答弁じゃないですけれども、いま聞くのは無理かもしれませんが、もう少し……。電力は、石油の値上げで赤字は赤字なんですな。これはあなたがおっしゃるように抑制は抑制だけれども、そういつまでもというわけにはいかぬのじゃないですか、腹のうちは。ですから、ほんとうに電力を、それはなるべく抑制はしたいが、物価対策の手前上、あるいは参議院選挙のたてまえ上いろいろお考えになっていらっしゃるだろうと思うのですが、どうですか、大臣、もう少しその辺詳しく説明してもらえませんか。
  54. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 電力の問題は非常に慎重を要するという考えに立っておりまして、この問題に手をつけるというときには、やはり経済関係閣僚あるいは党の首脳部ともいろいろ正式に話し合いをして、政府及び与党としてのしっかりした体系を組んでがっちりやらなきゃいかぬ問題であると思っております。まだその時期にあらずと、そういうふうに判定しております。
  55. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 がっちりの中身を言ってもらわなければわからぬ。まあいいですよ。
  56. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 いまの電力の問題ですね、大臣。四国電力と関電ですが、これはつい最近電力料金をすべり込みで値上げしたわけです。いろいろ業界からもわれわれ話を聞いておるわけですが、今回電力料金の値上げというものを、やはり大臣としては四国電力、関電というものも網羅して、九電力全体としてお考えになるのか。これは油の問題から派生して、全体的な問題として電力料金の値上げというのは喫緊の問題ということは、国民みんな感じておるのだけれども、しかし、九電力の中で二つが特異な存在にあるということも事実ですね。その辺のところはもう少しこまかく感想を述べてもらったらいかがかと思うのですが、どうでしょう。
  57. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 関西電力と四国電力は値上げを昨年やりましたが、最近の石油の大幅の上昇というものを見ますと、昨年の値上げというものも一つの事実ではございますけれども、それ以上の大きな経営上の変化が生じてきておるようであります。これは通産省の試算でございますけれども、大体電力会社の三月末の収支等を見ますと、約千三百七十七億円程度の四十八年三月末決算の赤字が出てきておるようです。これにはもっともいろいろな条件がございます。また、これ自体もわれわれがもう少し精査して査定してみる必要もあるだろう、さらに精査を要すると思いますが、そういう情勢であります。  そういう中で、苦しい会社とそれほど苦しくない会社といろいろございまして、四十九年度の全体の推定をしてみますと、大体通産省のいまの計算では、電気事業法の供給計画を基礎にした収入額というものを基礎にして、それから人件費は一三・八%アップ、燃料費は指導価格のベース、それから修繕費及び諸経費は政府経済見通しと、こういう条件でやっておるわけです。この中でも人件費の一三・八%アップというのは、春闘の要望から見てどの程度の差があるか非常に問題点があるかもしれませんが、四十九年度の赤字予想額全体を見ると、一兆四千八十一億という計算が通産省には一応出ております。これらももう少し精査をする必要がございます。  それらの中で会社別の情勢を見ると、やっぱり一番いま苦しい立場にあるのが東電とか、それから中部電力とか、それから中国電力とか、それから関西電力なんかも実は赤字の額からいうと登場してまいります。これはやっぱりキャパシティーが大きいからでありまして、それから九州電力、あるいは四国電力等も逐次出てくる、こういう全般の情勢を見ますと、われわれとしては極力これは抑制しておきたいと思っておりますけれども、まあ将来、ある段階になったならば、私としてはそういう緊急度の高いものから電力問題に取り組んでいかなければならぬではないか。一律に、一斉にどうこうするということは適当でない。非常に緊急度の高いものについてグループ別に分けますか、時期的に差をつけるか、ともかく、いろんなくふうをしなければならぬではないか、そういう気持ちがしております。
  58. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 それから、先ほど期せずして両議員から出ておりました行政指導による価格設定に関して、これは私もいろいろ議論を聞いておるうちにわからなくなってきたわけなんで、一、二だけ私もお伺いしたいんです。  この行政というものは法律に基づいて、法に従って行なうのがこれは原則でありますが、行政機関の所管事務定め各省設置法に準拠して価格の設定を行なうということについては、法の違法性があるんじゃないかという気がします。設置法というもの、いろんな解釈をなさっておりましたが、それはあくまでも行政機関の所管事務範囲権限定めたものであるというのが常識でございますので、これによって行政指導を行ない、企業価格決定の自由というものを結果的に拘束するということになれば、これはやっぱり行政が立法に優位するということになると私は思うんです。やはり正しい行政運営のあり方としては、設置法による価格設定ということじゃなくて、生活安定緊急措置法による標準価格設定というのが一番無理のない形であろうというふうに思いますので、その辺のところをもう少し聞かしていただきたいと思います。
  59. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 非常に、標準価格でいくか行政指導価格でいくか、あるいは物統令法上の公定価格でいくかというような点はむずかしいところでございまして、確かに行政権が過大に肥大してはいけないという御指摘はごもっともであると思います。しかし、やはり立法権、司法権に対立して行政権という分野も厳然としてあるのでありまして、それが日常活動を適正に、企業においても生活においてもあんばいをしながら進めておるのが行政権でございます。行政権の行使という面は、内閣が中心になって、そして日常の運営を行なうという形で行なわれておりまして、これは法の認める範囲内においてかなりの自由裁量、裁量を認めつつ行なっておる余地であります。これは法その他の根拠に基づいてもちろん行なっているわけであります。その裁量を行なって運営していくということが、生きている経済を相手にして取っ組む場合には非常に重要でありまして、これが恒久的安定性、あるいはある時期的安定性を要求している司法行為とも違うところでもありますし、かつまた、そういう安定性を目途にしてつくる立法行為ともまた違うところでもあります。  そういう面からして、日本のようなこういう激動しつつある社会において、特に国際関係から見ている諸条件が非常に激動しているというときにおいて、生きている経済というものを適正に運営、して、しかも公益を確保するためにそれを行なう。特に物価引き下げ、あるいは物価抑制という面において行なうという場合には、ある意味においてはそれを行なうことは行政庁の責任でもありますし、法の認める範囲内においてそれを行なうことは許さるるものであると思います。ただ、それが非常に長期的に永続していくということは必ずしも好ましいとは思わない。これはケース・バイ・ケースによって判定すべきであると思います。われわれはそういう意味において、標準価格に移行できるものはできるだけ早期に移行する努力をしたいと、そう考えておりまして、生きている経済を相手に物価引き下げという面から見て、この程度のことは行政裁量の余地として認められてしかるべきであると、そういう考えに基づいて行なっておるものであります。
  60. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これはきょう、時間がないから詰めた質問はできませんが、行政指導による価格設定に関する質問主意書というものを衆議院段階でわれわれも出しておりますので、いずれ政府の統一した見解が出てくると思いますから、そのおりまたあらためて質問さしていただきたいと思います。  きょうは橋本局長お見えですから、私、質問いたしますが、実は予算の総括質問のおりに、繊維問題についていろいろお尋ねしたんですが、ああいった大きな場所でございますので、大臣のお答えが答弁書を読んでおるだけということで、私も時間の制約があるのでこまかい質問ができませんでした。  そこで、二、三お伺いします。局長でけっこうですが、一つは輸出検査体制に関する問題実は佐々木局長、齋藤局長の時代にも私はこの問題を取り上げましたし、今度橋本局長が就任されたおりにも、申し送り事項であるということでこの問題取り上げたんですが、当初私が危惧したとおりのことがどんどん出てまいりまして、昨年の十月には漁網検査協会がとうとう輸出貨物から指定解除になって、二十三名の者が職場を失うという結果が出ました。今度また、現在ミシン検査協会について、これがやはり輸出貨物から指定を解くということで、ここに勤務する五十六名の者が職場を失うというような状況になっております。今後この種の問題が、いまのままの検査体制というものを続ける限りにおいては、そして、わが国の輸出入というものの動きなどを照らして見ると、どんどん続発するであろうというふうに思うんです。長年検査業務に携わった中高年齢層の方たちがその職を失うということがやむなくこれ、続いていくことになるんで、以前から私申し上げておるように、この検査体制というものを本質的に考え直す、洗い直して体制整備を行なうということがきわめて重要なことであろうと思うんです。民間の企業で、平たく言えばこれは倒産——倒産じゃない、企業閉鎖でございますから、真剣に考えてもらいたいと思うわけなんだけれども、現在までの検討経緯をお示しいただきたいと思います。
  61. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘のとおり、繊維関係の検査機関は、その業務内容なりあるいは経理状況なりが非常に変化し、かつは一面で悪化いたしております。さような点から、実は四十六年の九月にも再三の御指摘がございましたので、関係業界あるいは輸出業界、検査業界集まりまして繊維検査懇談会というのを開催しました。あるいはそのあと個別懇談会等も開設いたしまして、いろいろ検討をいたしたわけでございますが、利害が非常に相反するといったような関係もございまして、とうとう結論が出なかったというような経緯もございます。ただ、一昨年の十月に繊維工業審議会で答申が出ました。その答申の中にも、検査団体についても、輸出検査を主体とする現在の体制に消費者保護のための検査業務を追加することを含め、現行検査機構の改編について早急に検討するように、かような趣旨の記述もございます。  さような点から、私たちといたしましては、非常にむずかしい問題ではございますが、反面きわめて重要な問題であると、かたがた、先ほど先生から御指摘にもございましたように、今後の繊維の輸出入貿易がどう変わっていくかということと、それからこの答申の中にも触れられておりますように、だんだん製品が高級化、多様化している。その識別の困難性、あるいは安全性といったような問題もございます。かだがた、検査機関には非常に蓄積された技術もございますんで、いわゆる零細企業に対する技術指導といったような新しいジャールも開発していくべきではなかろうか、かような観点に立ちまして、しかるべき学識経験者を中心といたしまして、できるだけ早い機会に、できれば年度内にでもその第一回目の会合を持ちたい、こういうことで現在準備を進めておる段階でございます。
  62. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これはひとつ前々からの宿題ですからね。そして、そのつど質問すればそのつど局長は同じような答弁するんですよ。もう私の任期中には必ずやりますということで、これは佐々木さんも何にもやらなかった、齋藤さんも何にもやらなかった。これは現実ですからね。だから、そのことは橋本局長にも私、就任のおりにも申し上げて、前任のお二方はなさらなかったけど、今回はやらなければたいへんになりますよということを申し上げておるわけですから、年度内に学識経験者等含めて産構審の答申に沿って検討に着手するということを私、信用いたします。ぜひひとつやっていただきたいと思います。おりおりの経過はやっぱり知らしていただきたいと思います。  それから、これは予算のときに申し上げたんだけど、関税の問題ですね。大臣は、今後アメリカに対しても自由な貿易という観点から、関税問題については話し合いを行ないますという答弁でございました。中小によらず繊維の業界等の陳情の中にたくさん出てくることでございまして、この布帛衣類、あるいはメリヤスなどにおけるアメリカの関税とわが国との関係が著しく相違している。アメリカの関税が非常に高い、わが国が非常に低い。日米繊維交渉で輸出の総量の規制というものを行なったわけだけど、ほとんど未達ですね。また一方、かなり繊維品というのが輸入されておる。そのことが中小企業の競合となって圧迫が加えられておるわけなんですが、その中の一つとしてやっぱりこの関税問題があるんじゃないだろうか。消費者の嗜好ということよりも、関税問題も大きくこれは利用しておるんじゃないだろうかという気がします。関税そのものが、大蔵大臣も答弁があったように、日本の産業保護ということが第一義的な目的ですから、そういう面から見れば、関税障壁というものをなくそうというが国家間の話し合いではありますが、現状のまうなアンバランスというものをそのまま容認すべきじゃないというふうに思います。そういう面でもう少しこまかくこれからの方針などを説明していただきたいと思います。
  63. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 先生御承知のとおり、繊維品というのは非常に種類が多いということと、国によって関税分類が異なっておりますので、直ちにこれを直接比較することは困難かと思いますが、御引例になりましたメリヤス衣類について比較いたしますと、日本の関税は大体八%から二〇%程度、アメリカにおきましては物によって非常に相違がございますが、一〇%から五〇%、かような点からも、アメリカサイドの関税が日本の関税に比べてはるかに高いということは、十分事実として認識いたしておるところでございます。いまもお話ございましたように、関税を産業保護、国内産業との関係でどう考えていくかという問題もございますが、一応わが国といたしましては、そういった国内産業に十分配慮しながらも自由貿易を推進するという立場から、積極的に関税を引き下げると同時に、関係各国に対しましても保護関税をなくしていくように、あるいは低くしていくように呼びかけておるわけでございまして、御承知のように、現在ガットで新国際ラウンドが開かれておりまして、これにつきましても日本側がかなりのイニシアチブをとっておるということでもございます。その場等を通じまして、アメリカにとどまらずEC諸国に対しても関税の引き下げ、当方の関税に見合った程度にまで引き下げるように努力していきたいと考えております。
  64. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 その次に、たいへんこれは矛盾したようなものの言い方になるわけだけど、二次メーカーが非常にピンチになっておりますね。これは局長もよく御存じだと思うんだけど、まあワイシャツを例にとってもいいんですが、繊維産業の流れの中の川中にあるわけで、上からの締めつけと、先ほど来話題になっております下のほうの凍結ということで、サンドイッチのような状態で収益性が非常に悪い。しかも持って行き場がどこにもないという状況になっております。逃げ場がないというところですね、上代、下代ともぴしっとワクがかけられておるわけですから。しかも、資材その他が明らかに高騰しておる。特にヵタン糸がたいへん暴騰しておるわけなんだけど、こういった二次メーカーの救済ということを具体的にどのようにしてやっていくのか、原糸、原綿を供給するメーカーサイドに二次メーカーの力ではどうにもならないということがあるし、あるいは下代についても、価格行政指導による凍結というものがあって持って行き場がないということです。その辺をお聞きしたいのと、なぜ、糸だけがどうして他の繊維原料に比して暴騰しておるのか、糸の流通というものがどうなっておるか、この辺調べておられるかどうか、お聞きしたい。
  65. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) ただいま御指摘のありましたような品物にかかわらず、繊維全体が非常に不況色を強めてきているわけでございまして、この原因は一つには、消費者の買い控え、それがやはり最終末端需要において需要減少というかっこうになっているのじゃないか。あるいは金融引き締めに伴いまして、流通段階と申しますか、中間需要が落ちてきておるといった需要面での減少が生産面へはね返ってきておるというのが一般的な理由かと思いますが、ただ、特に先生が御指摘になったような部分につきましては、両面からしわ寄せを食っておるといったようなことも実態かと思います。  具体的な対策といたしましては、先日、年度末の緊急融資が閣議決定されまして、御承知のとおり、沖縄を含めまして五百五億という、見方によってはきわめて少ない数字であるわけでございますが、この中から特に繊維に対しましては少なくとも百五十億を貸し付け得るように関係省庁とも連絡をし、それを現在緊急融資をして資金融通をはかっておるわけでございます。また、引き続きまして各産地ごとにいろいろと実情をきめこまかく調査いたしておりまして、新年度におきましては新しい財政投融資計画も実行に移されるわけでございますので、年末あるいは年度末といったような特定のワクを組むということはないかと思いますが、その新しい財投の中で資金手当てをやっていきたいというふうに考えております。  それから、返済猶予につきましてもいろいろ業界から御要望があるわけでございます。一律的に返済猶予すべきじゃないかというようなお話もございますが、現在のところでは、政府関係金融機関の財源にも関連してくる問題でもございますので、ケース・バイ・ケースに判断をしてこれに対処していくということになると思います。特に、先生御承知の中小企業振興事業団からの融資は、二分六厘という非常にきわめて低利の金利をもって充当いたしております。そのために一般会計からの出資等もあるということを考え合わせますと、必ずしも、一律に返済猶予をするということはそれだけ効果は大きいわけでございますが、なかなか実現可能性がないのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。  それから、糸だけが暴騰しておるが、どういうことかという御趣旨でございますが、カタン糸についてという意味でございますか、それとも一般の糸……。
  66. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 カタン糸です。
  67. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) これにつきましては、実は十分に認識いたしておりませんですが、相手方がやはり限られたごく少量の発注をするといったようなところから値段が高くなっておるんじゃなかろうかと思いますが、一般的には紡績糸、化合繊糸を問わず非常に三品相場等では暴落をしておるということで、むしろ私たちのほうといたしましては、毛糸——梳毛糸でございますか、あるいは綿糸等についてあまりにもコスト割れになっている現状から、いかがいたしたものかといった心配をいたしておるわけでございますが、カタン糸につきましては、十分お答えするほどのまだ数字は持っておりません。
  68. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 もうすでに私の持ち時間は来てしまったわけですが、最後に、カタン糸を一ぺん調べてください。カタン糸がかなり暴騰しておるんです。カタン糸流通というのがどういうことになっておるか、私も勉強していないんですが、その辺よく調べて、一ぺんお聞かせいただきたいと思います。  それから、お話ありました四−六の中小、これはもう繊維に限らず中小企業の倒産件数が私は激増するでろうと、これはよくない予測だけれども、するわけです。したがって、この三月五日の五百五億が決定したおりに、通産省から出た書状の中で、まあケース・バイ・ケースによって企業の借り残については猶予するような政府系三行に書状が出ておるわけですが、これをやっぱりもりと積極的に、まあケース・バイ・ケースということもなんですが、各産地ごとに積極的にやってもらいたい。  それから、年初に新しい財投として融資するというお話ですが、利子の問題ですね。これはやっぱりドル対のときの利子、せめてそれぐらいには、六・数%ということぐらいにはしなければ、いまの中小では借りる能力がないと。で、今度五百五億の場合は九・二五%ぐらいでしょう。実際、中小が借りるときにはもう一〇%をこえるんじゃないですか。したがって、まあ貸し出しワクは五百五億、繊維に百五十億というものの、一〇%、一一%の金を借りてつなぎにする、操短資金にする、あるいは今度の春闘のベースアップ資金にするということは考えられないことだと思うんですよ。だから、せめて私は七%ないし八%、まあ七%ぐらいにはしなければ、せっかくの融資ワクというものも生きてこないと思う。この辺はひとつ強くお願いしたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  69. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 先ほどお話のございましたカタン糸につきましては、即刻調査いたしまして、その結果を御報告いたしたいと思います。  それから、ケース・バイ・ケースの返済猶予を一律にやったらどうかというお話でございますが、これは先ほどもちょっと触れましたように、私たちといたしましても、常に産地の実情を積極的に把握するという立場でいろいろな調査実施いたしております。その実態把握の過程におきまして、ケース・バイ・ケースとはいえ、当方といたしましてもその実情のいかんによって、返済猶予について当事者のみにまかせるのではなくて、われわれもお手伝いできる限りはお手伝いして、ケース・バイ・ケースとはいいながら資金操りの緩和につとめたいと思います。  それから、金利につきまして六分五厘、せめて七分にはならないかという御趣旨でございますが、これはどうも私自身としては非常に立場上つらいのでございますが、たとえば対米自主規制問題がございまして、それのはね返りとして繊維だけ特段の措置を講ずるという場合には、比較的私もやりいいわけでございますが、現在、繊維が一番先立って不況度を強めつつはあるわけでございますが、必ずしも中小企業、繊維だけではないというようなこともございます。そういったところがら、私といたしまして関係の省庁とも積極的に話し合いを進めたいと思いますが、今回は繊維だけということのみではどうもむずかしい点もある、おのずからの限界もあるということをお含みおきいただきたい。私としてもできるだけの努力はいたしてまいりたいと、かように考えております。
  70. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 全部でももちろんいいわけですからね。全部にやるにこしたことはないんだから。  時間になりましたから、これで終わります。
  71. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言がなければ、本日の調査はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  72. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  計量法の一部を改正する法律案を再び議題といたします。  これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  73. 竹田現照

    ○竹田現照君 最初に、この改正案の提出に至りました計量行政審議会の答申ですか、通産省が諮問をした中で一つ答申が欠けてますね。容器内容の規模化というのが、これはどういう経緯で答申からはずれているのですか。
  74. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 計量法を実は全面的に見直したいというように考えまして、昨年の八月に通産大臣から計量行政審議会に諮問をいたしたのでございますが、その諮問の項目はおよそ三つございまして、第一点が消費者保護観点からの適正な計量実施確保の問題、第二点が公害計測の精度の向上の問題第三点が計量器の検定検査体制のあり方の三つの諮問をいたしました。そのうちで、特に緊急を要する課題と思われます環境計測適正化の問題と適正な計量取引の推進の問題のこの二点につきまして、昨年十二月に中間答申という形で答申が行なわれまして、この答申を受けまして今回の改正を行なおうといたしておるところでございます。それで、諮問をいたしておりますけれども、まだ答申を受け取っておりません検定検査体制のあり方の問題につきましては、さらに今後、計量行政審議会で慎重審議を続けていただく予定にいたしておりまして、この関係のつまり全面的な計量法の見直し関係の答申は、来年の末ごろに答申が出るのではないかというふうに考えておりまして、その答申をいただきまして再度計量法の見直しをいたしたいと、がように考えておるのでございます。
  75. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、全面検討というのは昭和五十年の末ということですか。
  76. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 五十年の末ごろの予定でございます。
  77. 竹田現照

    ○竹田現照君 それで、この計量法というのはたいへん専門的な法律ですから、私のようなしろうとではなかなか理解しにくいのですが、それで、参考にお尋ねしますけれども、この計量行政審議会で今回の中間答申にあたってどんな点が問題に、なったのか、ひとつそれぞれの代表的な立場の御意見をお聞きいたしたいと思います。
  78. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) テーマが二つございますが、その第一のまず環境計測適正化の問題につきましては、おおよそ問題としては次のような議論が行なわれました。現在ございます民間分析センターというものは非常に零細でございまして、技術面でもばらつきが多くって技術者の資質の向上が必要であろうと、こういう点から、結論といたしまして、国家試験によります環境計測関係計量士制度を創設したらどうかと、こういう結論になっておるわけでございます。それからもう一つは、環境計測の精度を向上させますために民間の分析センターの適正な運営をはかること、それから、行政機関がこれを不断に監視することが必要ではないか、こういう議論が行なわれまして、その結果といたしまして、公害関係環境計測計量証明事業者登録制度をしくべきである、こういった結論が出ておるわけでございます。そのほかに、計測の方法につきまして極力JIS化をはかっていくべきであるといったような問題点。それから環境計測する計量士につきましては、その試験内容方法等は、従来の計量士とは違った内容で十分それに向いた試験をやるべきであると、こういった点が議論になっております。  それから、もう一つのテーマでございます適正な計量取引の推進の問題でございますが、この問題につきましては、計量販売を促進すべきであるということがテーマでございますけれども、これを一律に強制をするということは、商品によりましても、計量販売に向く商品とそうでないものもございますし、また、小売り店の現在の状況から見ますと、これを一律に強制するということについては、小売り店の面での体制の整備状況等をよく考えなければならぬというようなことで、十分そういった事情を配慮してやるべきであって、一挙に、一律に計量販売を強制をするというようなことは現状ではやや無理があるのじゃないか、慎重にその辺を配慮すべきであるという点。それから、特に生鮮食品については計量販売はなじみにくい面がございますので、その面を慎重に対処すべきであろう、しかし、方向としては計量販売を推進し、特に容器、密封商品等につきましては計量単位による取引義務づけることが必要であると、こういった結論になっておるわけでございます。
  79. 竹田現照

    ○竹田現照君 消費者保護の面から、計量法の問題についていろいろと検討を加えなければならぬという問題が前から言われていますけれども、今回は公害計測、そのほか計量販売の強化ですけれども、これは内容量の表示を義務づけたというようなこともありますが、そのほかに、消費者の代表にあたるべき人が消費者保護の面から、計量法の問題について何か審議会の中で問題が提起されはしませんでしたか。
  80. 姫野瑛一

    説明員(姫野瑛一君) お答えいたします。  消費者代表からいろいろ御議論があった、御意見があったわけでございますが、主とした意見は、ただいま局長から申し上げました生鮮食料品関係、こういったものについて計量販売をしてはどうかというような点をめぐる議論が大半でございました。
  81. 竹田現照

    ○竹田現照君 自治省、お見えになっておりますね。この計量法関係行政事務というのは、ほとんど自治体に委任されていますけれども、その予算というのが交付税交付金から出ているわけですね。それでこの計量予算というのは、実際にこの交付税のほう、交付金のほうでまかなえられてやるのかどうかですね心それと、今度の改正で公害計測という仕事がまたふえたわけですね。そうするとまた金がかかるんではないか、そういうふうに思うんですけれども、これについて、三月四日の都道府県計量行政協議会の世話人会でも、この法の改正内容については大かた了承をしたけれども、検査設備の設置等について、国としての特段の配慮をしてほしいという要望もあったようですね。  それと、四十九年度の地方計量予算、各都道府県別にここにもありますが、これが充足されているものかどうかわかりませんけれども、かなり物価の狂乱事態ということもあって、きびしい予算になっているようです。そこで、これの解説の中にも、交付税の上にあぐらをかいて、地方予算の面であまり通産省は顧みてないということで、とかくの批判があるというようなこともこれは書いてありますがね。そうすると、やっぱり問題がないわけではないような気がするんですけれども、これはどうなんですか。まあ通産省通産省として、この計量行政を委任するについて、私も補助金名簿その他見てるんですけれど、ちょっとわからないんです。何らかの財政的措置をされているのかどうか、まず最初にお伺いして、自治省としては、全体の地方公共団体が充足しているのかどうか、していないとすれば今後どういうふうになさろうとするのか。計量行政というのは非常に、特に消費者の生活に一番関係をする行政面であるだけに、やはり足りなければ十分の対策をしなければならぬと思いますけれども、その点、それぞれの立場からお答えをいただきたいと思います。
  82. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 計量行政は、非常に般住民と密着した仕事でございまして、先生御承知のように、明治以来、度量衡行政ということで国の委任事務ということで、府県あるいは特定の市におきまして検定等の取り締まり事務を行なっております。それに要する予算につきましては、国の委任事務ではございますけれども、府県あるいは特定市の予算に計上されまして、そのしりは交付税等で国が必要な場合には見ると、こういう仕組みで運営をされております。必ずしも十分ではないと存じますが、その分につきましては、自治省等に十分お願いをしまして、交付税等で十分手当てされますようにお願いはいたしておりますけれども、特別に府県にまた別途国から補助金を交付するといったようなことは、現在いたしておりません。民間の分析業者等に対しての設備の補充等につきましては、一部補助金を交付している面もございますけれども、公共機関につきましては、その機関の予算並びに国からの交付税という形で充足されることを期待いたしておるところでございます。
  83. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 現在、地方交付税の配分にあたりましては、都道府県あるいは市町村が法令の規定に基づいて実施いたします各般の行政に要する経費を算定しているわけでございますが、計量関係の経費につきましては、計量法規定によりまして地方公共団体に委任されております登録事務でありますとか、あるいは認定、取り締まり、指導あるいは普及、こういったそれぞれの事務の実態を勘案いたしまして、必要な経費の算定を行なっております。たとえば四十九年度、現在御審議をいただいております、地方交付税法の改正法案の中における計量関係の経費につきまして申しますと、人口百七十万の標準団体、これは都道府県の大体平均的な団体ですが、この場合ですと、三千七百二十五万六千円の標準経費を予定して単位費用を積算いたしております。これまでこの標準経費を各自治体の行政の実態を勘案しながら積算しておりますが、交付税の計算は、何と申しましょうか、標準計算、理論計算でございまして、その算定結果が必ずしも各自治体の現実の財政支出と見合うわけではありませんけれども、全地方団体についておおむね所要の財源が確保されるように、常に私ども見直しを行なっております。  たとえて申しますと、四十七年度の都道府県の支出実績につきましてへ通産省のほうでこれをお調べになったわけですが、都道府県の計量行政に対して支出された額を見ますと、二十億円あまりでございます。これに対して、地方交付税で算定いたします理論計算で算定された額は約二十四億で、交付税のほうがむしろ上回っております。これは交付税は、何といいますか、確率計算でございまして、必ずしも実績を吹っかけるものでないものですから、こういう状態になっております。私どもは、こういった法令によって非常に個々の事務義務づけが具体的になされているものについては、交付税計算上も的確な財源措置をしやすいわけでございまして、その四十八年度、四十九年度、その後の物価の上昇、あるいは人件費の上昇を勘案して経費の積算を行なっております。四十九年度予算がどういう状況になるか、まだわかりませんけれども、一応私どもとしては、前年度に比べまして一七%程度の増額を予定いたしておりますので、今回の法律改正に伴う事務の増高を考えましても、全体としては財源措置は十分なされているものと考えております。
  84. 竹田現照

    ○竹田現照君 四十九年度の計量は、実際は仕事がふえるわけですよね、この法改正に伴って。しかし、各府県別のを見ますと、前年比で減っているところが七県ありますよ、経常予算で、府県だけでは。政令都市は別としてね。それから人件費が結局高くなっていますから、人権費のほうに食われまして、事業費の面で減っているところは、これは十幾つ、事実上は四十八年度より四十九年度予算は減っていますね、いま地方議会で審議している府県別の予算を見ますとですね。そのことが、結局大きな府県はいいんですけれども、小さな県ですね、財政的に当然基盤も弱いでしょうから。そういうようなところというのは特にきびしい傾向にあるようであります。そこで、仕事がふえる、さらに計量行政の拡充強化、こういう問題、それから、公害計測というような今回の改正法が通りますと、かなり専門的な技術も、必要でしょうから、現在の計量行政に携わっているいわゆる技術者等の再教育も必要でしょうし、かなり金がかかるんではないかと思うんですがね。そういう意味では、かなり国から出すのも計量予算ということでひとつぎの予算を出すとか、あるいはまた、政府全体がこの問題について強力な施策を与えるというようなことがやっぱり必要ではないかと、そう思うんです。  それから、法律改正案が出され、仕事がふえるということが前提になりながら、なおかつ、総体の予算で減っている県が七県もあり、人件費の高騰に伴って事実上の事業費というものが減るものが二十近くもあるというこの四十九年度の計量予算の実態を見れば、これはどうも法律改正とは逆行のことになっているんじゃないかという気が私はするもんですからね、その点まあひとつどうするのか。金が伴わなけりゃ、実際仕事ができないことになるわけですから、その点ちょっと心配でありますから、自治省もお呼びして見解をお聞きしたいと、そう思っていますし、交付税だけでなければということであれば、通産省が補助金その他の問題で考えなければならない点ではないかと、そう思うんですけれども、いかがでしよう。
  85. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) ただいま私が御説明申し上げましたのは一地方交付税の計算上の問題でございます。地方交付税は、御承知のように、これは地方公共団体の一般財源として配分されますので、補助金と異なりひもつきではございません。ただ、公共団体が計量行政を行なうために通常必要な額は財源的に保障しようという趣旨で算定しておるわけでございます。  で、いま御指摘の各都道府県の現実の予算の組み方の問題でございますが、この点は各団体がどういう考え方で、どういう性格の予算を組むかによって相当変わってまいります。たとえて申しますと、当初予算においては人件費その他の義務的経費は全面的に組みますけれども事業費的なものは相当ひかえめに組むというようなやり方をする団体もあります。それから前年度との比較で申しますと、前年に大きな備品の購入費とか、あるいは施設の整備などを行なった場合には、当然それがなくなるという意味で、予算が減額に立つということもあり得るわけでありまして、予算の増減は、個々の団体ごとにその内容を検討いたしませんと何とも申し上げられないわけですけれども、ただ、全体として申し上げられますことは、四十九年度の地方公共団体の予算におきましては、予算総額は相当シビアに締められております。これは、今日の総需要抑制という考え方に立ちまして、国も地方公共団体も物価抑制の見地から全体としての投資的経費、建設投資というものは押えるという姿勢で臨んでおります。ただ、その中にありましても、義務的な経費あるいは事務的な経費については必要額を確保するように私ども指導いたしております。この計量行政等につきましては、当然地方交付税法の改正案を地方公共団体に示しまして、各地方公共団体においては一計量関係の地方交付税の算定上の単位表が前年度に比べて一七%以上ふえているということは承知いたしておるわけであります。その上に立って予算が編成されておるわけでありますから、各団体としては当然年間を見通して一定の計画を持って子算が編成されたものと理解をいたしております。
  86. 竹田現照

    ○竹田現照君 先ほどからお話ししているように、この計量行政というものはだんだん任務も青くなるわけですからね。法令的な裏づけをして、予算措置を考えてやるとか何とかいうことをやっぱり講ずべきではないかと、そう思うんですよ。そうでないと、何か予算のしわ寄せがこういうしころに来ると、要望されながら、まあ、あまりこういうことっていうのは地方議会でも、国会だってあまり論議になりませんからね。予算の分科会だって、計量行政の予算がどうだこうだなんてあまり論議になったことないんじゃないですか。ですから、どうしても忘れがちになると思いますからね。しかし、仕事はますます重要性を帯びてくるという面から、やはり通産、自治両省とも十分な配慮をしてしかるべきではないかと、そう思います。これは今後の問題もありますから、さらに計量法の抜本的な改正というようなことも、全面的な検討に基づく改正も、先ほどのお答えで来年、再来年度あたり出てくるとすれば、そういう際にもひとつぜひお考えを置いていただきたいと、そう要望しておきます。  地行で交付税の法律審議中だそうですから、どうぞ、よろしいです。  それで次に、この計量法法律改正の最初に出ている七十条の二、これに関連してちょっとお尋ねしますが、ここで最初の、販売に適する商品というのは、これはどういう意味なのか。販売に適する商品というのはどこで、政令できめるわけですね。この点どういうことなのか、まず最初にお伺いいたします。
  87. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 改正法の七十条の二で規定しております「長さ、質量又は体積を計って販売するのに適する商品」と申しますのは、商品の長さとか質量、あるいは体積を計量することが可能でございまして、しかも、それを購入する人が主としてその量目に着目をいたしまして商品を選択をする、また、社会通念上も長さなり質量、または体積をはかって販売することが適当と思われる商品でございますが、結局、これは商品の特性なりその品質が標準化しているかどうか、あるいは計量販売が普及しているかどうかといったようなことで、おのずと定まってくるものでございますけれども、この規定自体が訓示規定でございまして、「努めなければならない。」というような規定でございますので、その商品政令で指定するといったようなことは考えておりません。
  88. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、これはまあ常識的な線で判断するということに理解していいんですね。そうすると、これ、解釈のしようによってはどうでもとれる面がないんですか。
  89. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 実はこの条文を今回設けました趣旨は、はかり売りを極力推進してまいりたい、こういうことによりまして、一般消費者の量目に対しまする認識を向上させ、また、はかり売りによりまして商品選択情報が提供されるわけでございますし、量目の適正化も進みますので、そういった消費者利益保護という観点からはかり売りを推進するという立場でいろいろ行政指導をし、PRをいたしておるところでございますけれども計量法にはかり売りを、まあ、つとめなければならないという根拠規定が従来ございませんでしたので、こういったはかり売りを推進する行政指導を強化していきます足がかりとしての根拠規定を置きたいということで、こういった訓示規定を置いたわけでございます。で、この規定をもとといたしまして、広範なPR活動を展開いたしまして、消費者団体あるいはスーパー、百貨店等にもいろいろお願いをいたしまして、こういったはかり売りに適する商品については、極力はかり売りが普及するようにいろいろ指導を進めてまいりたいと、このように考えておるわけでございます。
  90. 竹田現照

    ○竹田現照君 行政指導根拠規定で、言うならば訓示規定と、こういうことですから、これを受ける側としては、別に制裁措置を受けるというようなこともありませんからね、非常にゆるやかな規定になっていると思いますが、審議会の中では、この点については何か論議がございましたか。もう少しきびしくすべきだと、訓示規定というようなことでなく、義務づけたほうがいいとかなんとかというような御意見というものは出なかったのですか。
  91. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 審議会の議論におきまして、特に消費者関係の代表の方からは、この際、極力前進をして、はかり売りをなるべく義務づけるような方向で考えてほしいという御要望はございました。ただ、同時に、やはりまだそこまで一挙にいくのは時期尚早であって、まずこういった訓示規定で出発をして、はかり売りが漸次普及するに応じまして、ある時点で強制のほうへ踏み切っていくというような段階的な行き方をするのが現実的ではないかと、こういう意見が結局大勢を占めまして、こういった改正になったわけでございます。
  92. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、これは段階的規定ですから、将来ある程度普及されたと判断できるときには、これは義務規定に当然切りかえていくものと、改正されていくものだというふうにこの審議の段階では理解してよろしいですか。
  93. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 将来の方向としては、そういうふうな方向にいくべきだろうというふうに考えております。
  94. 竹田現照

    ○竹田現照君 それでは、環境庁にちょっとお伺いいたしますけれども——環境庁は見えてないようですから、科学技術庁に。  今度のこの改正に、直接科学技術庁の問題についてはあれはないんですけれども、これから環境庁にお尋ねをしてからお聞きしょうと思ったんですけれども、見えておりませんから、先にお尋ねしますが、衆議院の予算委員会の段階以来問題となった例の日本分析化学研究所、分析化研と略称ですか、日化研ともいわれておりますが、あれの経歴書によりますと、あの研究所が設立された経緯というのは、科学技術庁原子力局の指導のもとに設立された云々ということになっているわけですよ。その点はまず間違いございませんね。
  95. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 分析化学研究所でございますが、昭和三十五年に設立されておりまして、社団法人の設立の申請がございまして、科学技術庁が認可しております。で、当初は私ども、フォールアウトと言っておりますが、いわゆる原子爆弾あるいは水素爆弾の爆発実験に伴います死の灰といわれるものが降ってまいりますが、それの問題が非常に大きな問題になっておりましたので、そのいわゆる放射性降下物でございますが、それの分析をするということをまず第一の目的にいたしまして、科学技術庁原子力局で多少の内面指導もいたしましてできたものでございます。
  96. 竹田現照

    ○竹田現照君 内面指導というよりは、事実上原子力局の指導のもとに設立されたと書いてある経歴書の内容については、そのとおり間違いないか、そういうことなんです。
  97. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 実質的にはその経歴書に書いてあるようなことであると思っております。
  98. 竹田現照

    ○竹田現照君 とすれば、あの分析化研というのは、科学技術庁ときわめて密接な立場にあったことだけは事実なわけですね。あなたのほうの指導で実際は設立された。内容はいまになってみますと、理事長以下何か一族で固められたようなかっこうにはなっていまして、その内容については、たいへんずさんなことはずさんなことですけれども、そこで科学技術庁の指導のもとで設立された社団法人、言ってみれば、きわめて緊密な関係にあったことが間違いない状態において、言われるような測定、分析のでっち上げが行なわれたとすれば、なぜああいうようなでっち上げをしなければならなかったのか、あるいはまた、科学技術庁はなぜそれを見のがしたのか、見のがさざるを得なかったのか、あるいはそのようなことを、うんと勘ぐれば、ああいうようなでっち上げ報告書というものを報告をさせたのか、ここがやっぱり問題として残ると思うのですね。このことについてはどうなんですか。これはいま原子力局の次長がお答えすることが妥当かどうか、これはむしろ技術庁長官なりからお答えをすべきことだろうと思うのです。局長を首にしたとか、あるいは職員をそれぞれ行政処分をしたからということで回避すべきことじゃなくて、根本の科学技術庁と分析化研との関係、今度はあれを解散させるそうですけれども、新たに一つのこういう法人ができたとしても、この根本のところを正しておかないと同じようなことを繰り返されると思うのですよ。ですから、将来に禍根を残さないために、なぜでっち上げが行なわれたのか、科学技術庁はなぜそれを見過ごしたのか、この点は、問題が起きてから科学技術庁はどういうふうにお考えになっておるのか、お聞きしたいんです。
  99. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) ただいま先生から御指摘のございましたとおり、まことに申しわけないことであると思いまして、深く科学技術庁一同反省している次第でございますが、このような不祥事が起きました原因につきましては、根本は何と申しましても、私ども科学技術庁の監督の不行き届きということになるかと思います。  それからもう一つは、監督不行き届きのもう一つ前段階の問題であろうかと思いますけれども、このような、分析の結果を捏造するというようなことは、世界の化学分析学界の歴史をひもどきましても、かつて例を見なかった空前の事件だそうでございまして、いわば学者あるいは専門の技術者の良心から考えますと、絶対にあり得ない事件であったというように言われておりますので、その点、私ども監督官庁の立場としまして非常に考え方が甘かったわけでございますが、よもやこういうことは起きないであろうというように考えましたのが、そもそも非常に判断を誤まった原因であろうかと思っております。  それからもう一つは、放射能関係の分析につきましては、日本分析化学研究所がほとんど唯一の分析機関でございまして、ほかに競争するような類似の、あるいは同種の分析研究機関がなかったという点が一つ問題かと思いますので、その点も今後将来の方向といたしましては、ただ一つの分析機関だけがこの放射能関係の分析を行なうのではなくて、いわゆるクロスチェックといっておりますけれども、他の分析機関とも共同あるいは競争いたしまして、相互に牽制し合いながら正確な分析結果を出していくというようなことが、ぜひとも必要なのではなかろうかというように考えております。
  100. 竹田現照

    ○竹田現照君 空前のことが起きたわけですから、起きるに至ったそのことについて、それは予算委員会で出てきた問題以前に、科学技術庁と何か飲んだ食ったのいわゆる汚職事件が最近出てますわね。だからそんなこともあわせまして、その根本、何というのかな、くされ縁があったのか、何かそういうようなことでそのところをやっぱり解明しておかなくちゃいかぬと思うのですよ。なかなか言えないのかどうか知りませんけれども、ここは言えなくても言わなくちゃいけない。  で、この現場の技術者の良心というものは、やっぱり正しく生かされた報告書というものは出さなければならぬことは当然ですけれども、そこが理事者の段階でチェックされて、ああいうようないわゆる虚偽の報告書というものが出されるような分析化研の組織の運営、性格、そういうものがあったとすれば、その点はやっぱり的確に剔決して、今後科学技術庁が考えているような新しい法人をつくったとしても、そのことが二度と起きないような形というものをちゃんとしておかなくちゃいかぬと思いますよ。ですから、あなたのほうの指導のもとにつくられた社団法人がこういう世界の中で空前の問題を起こしたと、起こすに至った大きな原因というものは、この分析化研の組織なり、あるいは運営なり性格なり、そこに何かそういうものを起こすような要素というものを持っておらなかったのか。このことは、科学技術庁としてはやっぱりはっきりしておかないといけないのじゃないかと思いますがね。いかがですか。
  101. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 一つの問題としましては、先ほど先生が御指摘になりましたように、この研究所は、理事長は非常に高名な分析化学の大家でございますけれども、副理事長と専務理事を兼務しております人が中心になりまして、いわば一族郎党で固めた研究所であったわけでございます。で、その点にやはり、ともすれば客観性を失うと申しますか、そういう問題があったのではないかというように考えております。したがいまして、今後、また新しい分析センターの設立をいま進めているわけでございますけれども、そういうことを繰り返すことがないように十分注意しておりますし、それから分析の結果につきましても、第三者で構成されます評価委員会によりまして、その結果をさらにもう一度検討するというようなことで、再び過ちを起こさないように、十分留意してまいりたいというように考えております。
  102. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、分析化研の技術者のほうには問題はなかったと、もしあったとすれば、委託を受けるに足るだけの技術者がおらなかったのか、あるいはまた、全体的にそれを調査することに技術者も足りなかったとかという、そういう問題もあったと思いますが、そういう点はなかったと、その技術者の測定の結果というようなものはもうはっきりしておったのだけれども、いまおっしゃったように、私も言いましたように、その理事がほとんど何とかいう人の一族なんですね。だから、その理事者の段階でいわゆる間違ってひん曲げられたんだ、こういうふうに理解して間違いありませんか。
  103. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) まことに申しわけございませんけれども、その点につきましては、私どもも今回の事件が起きましてから、その理事者から現場の分析の担当者に至りますまで関係者を呼びまして、個々に事情を聴取いたしまして、その真相の究明に極力つとめた次第でございますけれども、それぞれ説明あるいは陳述がかなり食い違いまして、ただいま先生おっしゃいましたように、現場の技術者が自分が自分だけの考えで捏造したんだということを言っている者もございますし、また別の者もございますし、どうも私どもの調べました範囲内では、徹底的な調査ができない段階でございます。で、本件につきましては、警察当局がすでに捜査を開始しておりますので、私どもといたしましては、警察権によります捜査の結果によっていろいろ事態が解明されてくるのであろうというように考えている次第でございます。
  104. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、やはりこれは新しく法人をつくるにしても問題なんですね。技術者の段階でひん曲げたような測定の報告をしたということになれば、ちょっとこれはかなり、おそらくこの種じゃ日本で一番大きい唯一のものでしょう。そこが信用できないということになるわけですね。私はむしろ、技術者の段階では間違いなかったけれども理事者の段階でひん曲げられたというように理解しておったのですけれども、技術者の段階でもう何かわからないということになると、それは原因の究明が司直の手によって解明されるまでわからないとすれば、新しい法人をつくるといったって、これもまた私は問題のような気がするんですけれどもね。これは原子力局長の首をちょん切ったということだけでは私は片づかないと思うのですよ。この種の……、まあ今度の計量法改正で、環境庁でもいわゆる国立のこういう機関がないわけですから、そうすると、やっぱり何かそういうものを設立してそこに委託するという形をとるとすれば、調査の結果に国民が信頼を置かないというような事態というものが次から次へ出てくるような懸念があれば、これは私はたいへんだと思うんですね。ですから、この点はどうですかな。  ところで、きのうの朝日新聞の読者の投書欄にもやはりこのことと同じことが書いてある。ごらんになりましたか。同じような愚を繰り返そうとしているということ書いてあります。ですから、その原因というものはやっぱりはっきりさせてもらいたいと思うんですが、いまの段階でははっきりできないんでしょう、いまのお答えではね。そうすると、次の法人ができるまで、この原潜の放射能調査というものを理化学研究所、放射線医学研究所あるいは原研、こういうものに委託するということを言ってますね。ところが、ここの研究所の労働組合というのは、そういう委託を受けてもそれにこたえるだけの体制がいまないと。とすれば、分析化研の二の舞いを起こすような懸念があるというようなことで、これを引き受けることについては反対をしているというけれども、きのうの投書欄では、森山長官は、労働組合は分析業務の引き受けに口を出すなと、こういうことを言っているとか、言ってないとかということで投書に書いてありますね。私は、この点はつまびらかでありませんが、そうすると、直接に携わっているところが引き受ける自信がないと言っているような状態の中で、それを引き受けさせて法人の設立までのつなぎをするということは、私は、ちょっと問題があるんじゃないか、はっきりしたものができ上がるまで、この放射線の調査というものの委託というものは停止しておいたほうがむしろ適切ではないか、そう思うんですけれども、それはどうですか。
  105. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) ただいまの点につきましては、理化学研究所あるいは放射線医学研究所の労働組合に異論のあったことは事実でございますが、その後、両研究所の理事長、所長、その他の管理者にお願いをいたしまして、実際にこの分析業務を担当いたします研究者の方、あるいはその他のそれを補佐する技術者の方と、かなり時間をかけまして十分お話し合いをしていただきました結果、大体完全に御納得をいただくという段階になりましたので、当初よりも多少その結果予定はおくれたわけでございますが、それぞれ分析業務を円満順調に開始するという体制になっております。
  106. 竹田現照

    ○竹田現照君 それじゃ、科技庁に最後にお伺いしますが、いずれにしてもその原因がはっきりしないということは、これはたいへん遺憾なことだと思いますし、それは司直の手にゆだねて原因をはっきりさせるという以上に、私はやっぱり科学技術庁自体の責任において、とことんはっきりさせるべきことだと思うんですよ。それで、先ほどお答えの中にもありましたクロス・チェック、チェックシステムというようなものを導入をすることがやっぱり大事だと思うんです。これから計量法関係でもお伺いしますが、科技庁としてもチェックシステムというものを今後取り入れていく、もし取り入れるとすればどういう形において取り入れようとなさっているのか、この点お伺いしたいと思います。
  107. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) ただいま先生の御指摘になったとおりでございますので、私どももクロスチェックの必要性につきまして非常に痛感している次第でございます。それで、今回の理化学研究所、それから放射線医学研究所等がこれから行ないます、いわばつなぎの分析につきましても、もうその段階からクロスチェックを導入していこうということでございまして、第三者、つまり、それぞれの研究所の分析担当者と関係のございません第三者から構成されます評価委員会をつくりまして、その各研究所から出てまいりました分析の結果を、第三者の目によってもう一度見直すということによってその正確を期すということで、この段階からもう始めることにしておりますし、今後ともそれを継続する予定でございます。したがいまして、これはもう結果論でございますが、もしもいままでの日本分析化学研究所につきましても、そういう第三者の評価機関というようなクロスチェックのシステムが導入されておりましたならば、かりに分析化学研究所が今回と同じような不祥事を起こしましても、その結果がそのまま、再検討されることなしに表に出るということはなかったというように考えておりますので、この第三者による評価機関、いわゆるクロスチェックというものが、この種の問題につきましては非常に重要であろうというふうに考えておる次第でございます。
  108. 竹田現照

    ○竹田現照君 それじゃ、科学技術庁はよろしゅうございます。  それでは、環境庁にお伺いをいたしますが、今度の計量法改正のほとんどは環境庁のこれから仕事になるわけですけれども、公害基本法からいいますと、公害状況の把握その他の云々というのは十三条によく書いてありますが、国の責任において分析調査というものはやるのがまあ当然だと思うんですけれども、その点では、いわゆる国の直接責任においては私はいま行なわれてないと思います。そこで政府は、この公害の分析調査体制の整備についてどうお考えになっているのか、またはどんな対策をなさろうとしておられるのか、これを最初にお伺いしたいと思います。
  109. 藤本孝雄

    政府委員(藤本孝雄君) 国民に信頼されます権威ある公害行政を進めてまいるためには、各種公害関係の分析測定というものが、公正でかつ科学的に実施されることが最も基礎的な要件であると考えております。環境庁といたしましては、当面は、民間の機関に分析を依頼する場合には、先ほどお話ございましたようなクロスチェックを徹底いたしますし、また、分析結果に対する信頼性確保につとめるために懸命に努力をしてまいります。同時に、環境行政における今後の分析測定体制のあり方につきましては、現在、環境庁におきましていろいろな実態の調査を行なっておりますので、これらの結果を考慮に入れました上で、最も効果的な、また、信頼を得られるようにするよう検討してまいりたいと考えております。
  110. 竹田現照

    ○竹田現照君 基本的には、公害の分析調査というものは国民の生命安全に直接関係をすることですから、公共的な機関で行なうのが私はもう原則だと思うのですね。ですから、民間機関に委託をするというのは、そういう機関がさしむきないから行なうという、言ってみれば、副次的といいますかね、そういうことだろうと思うのですが、むしろ、いま副次的なのが主体になっているといったほうがいいと思うのですが、基本的には公共の機関で行なうべきである、その点について私の見解政府側の見解とはあまり違わないと思いますが、それを確認しておきたいと思いますし、少なくとも国なり公共団体が、今度の計量法改正に伴って、これはいろいろなところから、企業その他の調査もありますけれども、国なり地方公共団体が行なうそういう調査ぐらいはその国の機関、いわゆる公共機関で行なうような体制というものを早急につくるべきではないか、そう私は思うのですけれども、この点はいかがですか。
  111. 藤本孝雄

    政府委員(藤本孝雄君) 先ほどお答え申し上げましたけれども、現在、ことしの二月に、地方公共団体における公害関係分析等の実施状況の調査をいたしております。その調査によりまして、業務量が把握できるわけでございまして、その業務量の中で公共団体がどれだけ調査をしておるか、また、民間の検査機関にどれだけの業務量を委託調査をしておるか、その点がわかるわけでございます。同時に、民間の検査機関の実態調査もこれまで行なっておりますので、その結果が出た段階で慎重に検討の上、善処いたしたいと思います。
  112. 竹田現照

    ○竹田現照君 いや、基本的には公共の機関がこういうものを担当すべきではないかという点については、御同意いただけますか。
  113. 藤本孝雄

    政府委員(藤本孝雄君) 先生の御意見と同じでございます。
  114. 竹田現照

    ○竹田現照君 そこていま科学技術庁に——皆さん途中からお入りになりましたですね。例の分析化研に、富山のイタイイタイ病をはじめいろいろな調査の依頼を、環境庁もあの分析化研を推奨団体として、地方公共団体にも調査の依頼を推薦をしておったようですけれども、原潜の放射能はああいうでっち上げでしたけれども、依頼をしたいろいろな調査ですね、地方公共団体等が分析化研に依頼した調査結果についても、ああいうでっち上げがないとは私は言えないと思うのです。これは環境庁としてその点の追跡の再調査というものを、この間、何かやっておられたやにニューズでちょっと聞いてもおりましたけれども、つまびらかではありませんのでお尋ねをするのですけれども、もしやっていたとすれば、その結果が出ておられたのか。万一間違ったようなでっち上げあるいはインチキがあったというような場合にはどういうふうに対処されようとするのか、どうなっているのか、ひとつお聞きしたいと思います。
  115. 藤本孝雄

    政府委員(藤本孝雄君) いま担当の者が来ておりませんので、詳しくは後ほど調べまして御報告申し上げますが、先般の分析研の問題が起こりまして、環境庁といたしましても、分析研に依頼をいたしました調査につきましては、直ちに追跡調査といいますか、環境庁において再調査するように指示してございますので、その結果につきましては、いま担当の者が来ておりませんので詳しくお答えできませんが、あとで調査の上御報告申し上げたいと思います。
  116. 竹田現照

    ○竹田現照君 事務当局も来ていますか。——調査はしているんですか、分析化研の行なった報告書に基づく再調査ですね、これはやっているんですか。
  117. 津澤健一

    説明員津澤健一君) ただいま水質保全局で実施中でございます。
  118. 竹田現照

    ○竹田現照君 それでまだ結果は出ていないということですね。再調査の結果は出ていないということですか。
  119. 津澤健一

    説明員津澤健一君) 詳しくは水質保全局のほうでないとつまびらかではございませんが、私どもが聞いておりますところによりますと、ただいままでには水銀についてはシロということが出ております。その他につきましてはなお調査中でございます。
  120. 竹田現照

    ○竹田現照君 それで、まあ調査結果が出ていませんからあれですけれども、もしクロというような事態が出てくるとすれば、科学技術庁と全く同罪で、あなたのほうもあの機関を推奨していたわけだから、環境庁の責任というよりは政府自体の責任になるわけでして、これは綿密な再調査をぜひやっていただきたいと思います。  そこで、新法、改正法に基づいていろいろとまたやられるわけですが、通産省計量課が調べた「環境測定分析機関の実態」というのがここにありますけれども、これは全国には三百から四百あるそうですが、いろいろなものを入れて。従業員が二十八人以下が約五〇%ある、三十人以下というのを含めますと約八五%なんですけれども、これは技術者はそんなにいないと思いますが、こういうたくさんある企業で、これからの公害計測というようなものが、国なり地方公共団体なりその他企業等の要請に十分こたえ得る体制にあるのかどうか、環境庁としてはお調べになったことございますか。
  121. 津澤健一

    説明員津澤健一君) 民間の機関につきましては、昨年の十一月、当庁の大気保全局と水質保全局が中心になりまして調査をいたしました。その結果、ただいま先生の御指摘がございましたように、機関といたしましては民間のものが約三百ございます。そこに従事しております分析関係の技術者の数は約六千五百というふうな数字が出ております。これを加えまして、本年の二月に、さらに地方公共団体及びその地方公共団体が委託をしております研究の詳しい実態を調査したいということで、ただいま都道府県に依頼中でございまして、これらができ上がった段階で、そのような事実があるかどうかにつきまして詳細に検討したいと考えております。
  122. 竹田現照

    ○竹田現照君 いま技術者が六千五百ということをおっしゃいましたが、これは通産省の調べでは、この分析機関の技術者の総数は百五十九企業で二千六百三十人になっております。一企業あたり十六・五人、これは、いまおっしゃった技術者というのは、地方公共団体から国まで含めての数なんですか。
  123. 津澤健一

    説明員津澤健一君) ただいま申し上げましたのは民間のものでございます。
  124. 竹田現照

    ○竹田現照君 ちょっと通産省お尋ねしますがね、民間で六千五百といま環境庁は言うのですけれども、おたくのほうのこの印刷物、四十九年、月に出たものでは二千六百三十人というふうになっておりますね。これはどこか食い違いがあるのですか。
  125. 姫野瑛一

    説明員(姫野瑛一君) 実は竹田先生がお持ちの資料は、四十九年一月の「環境測定分析機関の実態」という資料かと思いますが、この資料につきましては、初めの第一ページに書いてございますように、日本環境測定分析協会に所属しております環境測定分析機関百八十七機関の実態調査でございます。したがいまして、先ほど環境庁さんのほうからお答えいただきました対象企業と若干食い違っているのじゃないかと思います。対象が三百社と申しておりますから、そういったところでこういった数字に食い違いが出ておるのではなかろうかというように思います。
  126. 竹田現照

    ○竹田現照君 そこで、この日環境に入っている百八十七機関ですね、いま通産省側のお答え、これはかなり分析機関としても、まあ優秀であるかどうかわからないですけれども、かなりいいところなんでしょう。これに漏れているというようなところになるとさらに中小もいいところじゃないかと思うのですがね。百八十七機関でも民間企業八四%です。社団、財団というのが、公益法人が一六%、圧倒的に民間企業が多いのですね。ですから、そのほかにこの調査の倍以上の技術者というのはどういうふうに分布されているのかわかりませんが、私は、この民間分析機関というものがかなりいいかげんなものもたくさんあるような気がするのです、いまのお答えを聞いておっても。  それですから、これからこの法律規制をしてアウトサイダーでなくなるにしても、やはりその点は整理統合なり監督体制をかなりきびしくしないと、分析化研どころでない問題点がたくさん出てくるのじゃないかという気がするのです。この法律では、こうこうこういうものだという基準というようなものも何もないわけです。ですから、小さいところには、分析を引き受ける基準というものはこうこうこの程度の以下であるとか、このくらいだとかというようなものをかなりきめこまかくきめておかないと、何でも引き受ければ金になるというようなことでやられたのでは、これはたいへんなことになると思うのです。こういう民間分析機関に対するさまざまなことを考えた政策的な配慮、こういうものはこれは、法律に基づいて環境庁が主体的に行なわれるのでしょうけれども、お伺いするところによると、日環協に加盟をしているものも、これは特殊法人にして両省庁の共管の法人にするやにも聞いておりますから、両方責任があると思いますので、その点ある程度の基準というようなものをやはりきめるということ、それから、かなりきびしい監督体制、監視体制ということもやはり配慮しないといけないのではないかと思うのですが、そういう点はこの法改正にあたって通産、環境庁ではどういうふうにお考えになっているのですか。
  127. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 私ども調査では、現在、いわゆる町の分析業者というものが、業としておりますのが約三百ないし四百社ぐらいあるように考えます。これは特に昭和四十七年ごろから急速にふえてまいっておりまして、その実情はただいま先生御指摘のようにまだ零細なものも相当多数ございます。したがいまして、こういうものがちゃんと正確な環境計測をやりますように今回計量法改正いたしまして、こういった業として環境計測等を行なう者につきまして、この計量法に基づきます登録制をしくことを考えた次第でございます。  今回の改正法によりますと、業として環境分析をして証明をする者につきましては、この法律の百二十三条によりまして、都道府県知事に登録をしなければその営業を営むことができないことにいたしております。登録基準といたしましても、一定計量器を持っておる、それから、計量士あるいはこれに準ずる者が一定事務所を持っておる、そういった要件を課しまして、その要件に合わないものは登録はしないわけでございます。また、登録を受けましたあと、事業規程を都道府県知事に出すことになっておりますが、その事業規程におきましていろいろ計量器の保守、管理体制、あるいは計量実施方法、記録の保存の方法、その他活動分野等々を事業規程の中に書かせまして、これを府県がチェックする。加えて報告聴取、立ち入り検査といったようなことを行ないまして監督をすることにいたしておりますので、従来のこういった業者が野放しであった時代と違いまして、本法によって登録制をしきますと、こういった業者の公正さが相当担保されるのではないか、かように考えておるところでございます。
  128. 藤本孝雄

    政府委員(藤本孝雄君) 環境庁といたしましては、今回の改正によりまして、物的にも人的にも分析機関のレベルアップが期待されると考えております。その具体化にあたりましては、通産省と十分に連絡をとりまして、公害分析測定技術等のレベルアップにつとめてまいりたいと考えておりますが、民間のこのような分析検査機関のレベルをアップする、物的、人的両面から信頼されるものにしなければならないという先生の御意見につきましては、私ども全面的に同感でございまして、このレベルアップをするために、先ほど来から申し上げておりますように、環境庁といたしましてはまず業務量の把握と、それから民間の検査機関の実態を調査いたしておるわけでございまして、この調査結果が出てまいった段階で、私どもといたしましてもこのような民間の検査機関の物的、人的両面から信頼されるようになるようレベルアップをするために何らかの措置をとってまいりたい、かように考えております。
  129. 竹田現照

    ○竹田現照君 科技庁と分析化研との関係もああいうふうなことですから、そして、事件が起きてもその原因がいまなお不明なわけですね。どこに欠陥があったのかわからないというお答えなんです。そういうような状態ですから、ああいう関係においてすらそうなんですから、三百も四百もあるという分析機関個々になってくると、かなり問題が出てくると思うのです。ですから、いま法律である事業登録制だとか事業規程、あるいは立ち入り検査だけでは私は十分ではないと思いますし、先ほどもお答えがありました技術者にしても、六千五百というと、正しく把握されて日環協に入っている約二千六百三十人以外の人は一体どうなっているのかということの調査もまだ不十分なんです、どういうふうになっているか。ですから、民間の分析機関そのものの現状がどうかということは、政府側でもまだはっきりしていないわけですね。  それですから、そういう状態の中で現にそれらの機関は分析業務をやっているわけですよ。かなりあぶなっかしいものの心配がないとは言えないわけですから、そういう点で先ほど科学技術庁もクロスチェックの問題も出ていましたし、政務次官もそういうことをお答えになりましたけれども、この二重検査、クロスチェックの問題は、これは法律上ないのですね、実際は。ですから、今後のこの分析機関に対する監督体制とあわせまして、これは民間機関じゃなくて国なり公共団体自体がやらなくちゃならぬことですから、今度二重検査の問題は、その点は早急に体制を整えねばならないわけですけれども、これはある程度の見通しというものはございますか。
  130. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) この分析業者の信頼性を確かめる方法といたしまして従来しばしばとられておりました方法は、依頼者が分析を依頼するサンプルの中に、すでにその数値がわかっております資料を混入と申しますか、一部に挿入をいたしまして、そして、すでにわかっておる数値の資料につきましてその分析機関がどういつだ数値をつけてきたかということを見まして、その分析の技術の度合い、信頼性をチェックするという方法がとられておったようでございます。これは、注文主が依頼する相手を選択する一つのやり方としてそういう方法がとられておったわけでございます。  先ほど科学技術庁からお話がございましたように、もう一つ方法は、二つの機関に資料を委託をしまして、両方の数値を突き合わしてみるという方法もあろうかと存じます。ただ、これは非常に費用もかかりますし、資料を二つに分けるというところにいろいろむずかしい点もございまして、ときおりチェックという意味では可能かと思いますが、全面的にダブルで資料をとるということは非常にむずかしい面があろうかと思います。取り締まりの体制としまして、信頼性を調べると申しますか、どの程度そこの分析センターの分析の結果が妥当性があるかということを見る方法といたしましては、濃度等がすでに知られております標準の資料をその分析センターに渡しまして、そうしてそれを分析をさせる。その結果が、こちらであらかじめ知っておりました濃度に非常に近いかどうかということで監督をする仕組みが考えられるかと存じます。  今後取り締まりという形でやっていくといたしますと、そういう方法を採用することが一つの方向であろうかというふうに考えておりますが、この場合の問題点は、既知の濃度の標準資料が現在の体制ではまだ供給が十分でございませんので、まず、標準資料の供給体制の確保をこれからはかりまして、これを使いましていまの分析技術の程度を、信頼性をチェックする、こういう方向に持っていきたいというふうに考えておりますが、そういういろいろなやり方につきましては、現在いろいろと検討を進めておるところでございます。
  131. 竹田現照

    ○竹田現照君 そこで、それは検討だけじゃなくて具体的にやっていただきたいのですが、それで、先ほどもちょっと触れましたけれども、分析機関が大小さまざまなものですから、一つの統一基準をつくれということを私は言っておるわけです。それから、かなりダンピングをして仕事を受け取っている機関もあるということを聞いています。そうすると、ダンピングをするというのは、これは分析委託料というものがべらぼうにもうかるものか。値下げしても十分採算がとれるというふうにとれる面もありますと、そうすればかなりもうげ過ぎるという、これもまたけしからぬ話ですが、もし適正な料金でありながら、なおかっダンピングしてまでも引き受けなければならぬということになると、これは当然手抜きということが考えられますね。そんなことをやっていたのじゃ、これは分析機関としてはなはだ心もとないことになりますから、そこで私は料金の、何か統一料金というか、標準料金というか、そういうようなものもおのずから設定をしていいんじゃないかと思いますので、まあこの法律ができれば、たくさんあるやつがいろいろ整理統合されるのかもしれません。分析機関が当然またそうならなければならぬと思うんですけれどもね。ですから、そういうようなものを民間の分析機関に対する監督体制からいっても、それから仕事の重要性からいっても、そういう基準を設けるというようなことについてはどうなのか、重ねてお尋ねしておきます。
  132. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 私ども調査いたしましたところでは、現在の機関の大体平均の規模を申し上げますと、人員が約二十名でございまして、技術者が十六人半でございます。それから、事業場の分析室等の規模が大体三百平方メートルぐらいでございまして、一機関当たりの投資額が約一千万円というような規模になっております。ただ、これは平均でございまして、これより非常に大きなものもありますれば、きわめて零細なものもございます。零細なものにつきましては、今後事務量が、仕事量が拡大して、あるいは統合等によりまして、平均規模に近づくように指導をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、標準仕事量とか、あるいは料金の指導といったような点でございますけれども、まず料金につきましては、御承知のように独禁法の関係もございまして、業者自身が統一料金といったようなものをつくるのは非常に問題があろうかと思いますので、あまりにおかしな料金等があります場合は、個別に政府としては指導するというような体制でまいりたいと考えます。ただ、依頼をする場合に、非常にここは高いか安いかといったような判断を依頼者がします基準として、たとえば、水銀分析の場合にはこういった工数がかかるといったような分析の項目ごとの標準工程、あるいは標準工数といったようなものは独禁法の関係はないと存じますので、こういうものを全国組織でございます日本環境測定分析協会あたりにつくってもらいまして、標準工程表といったようなものを依頼者にお配りするといったようなことは考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、登録に関しましての事業規程におきますいろいろな監督上の基準につきましては、客観的な基準をつくりまして、統一的に運営をいたしたいというふうに考えております。
  133. 竹田現照

    ○竹田現照君 ちょっと前後しますが、環境庁の水質規制課長お見えになられましたから、一言だけ。  先ほど、おたくのほうのことでちょっとお答えができなかったのですがね。分析化研に依頼した調査報告に対する再検討をいまやられているそうですね。そのことに対する結果というものは、大体全体的にいつごろ出るのか、何か水銀のことはシロというようなことが出ていたそうですが、その他のことについてはどういう進行状況になっているのですか。
  134. 太田耕二

    説明員(太田耕二君) お答えいたします。  水銀につきましては、専門家によりなります検討委員会を組織いたしまして、そこで一部サンプリング、それからその他の項目につきましては、全体につきまして、要するに、九水域の関係の水銀の安全性を確める必要があったものでございますから、早急に検討を開始したわけでございます。その結果、中間報告でございますけれども、現状の状況では、その出ました分析結果は信頼し得るに足るという結果が一応出ております。それから、その他PCB、それから一般重金属類の項目等につきましては、現在受託能力の評価ができるかどうかの問題が一つと、それから、いままで出ております数字が、はたして水銀と同じように信憑性があるものかどうかにつきまして、現在調査しておる段階でございますが、一応私ども一ままで当たっているところでは、だいじょうぶでなかろうかというふうに考えております。しかしながら、現在何ぶんにも調査進行中でございますので、結論を出すまでには至っておりません。
  135. 竹田現照

    ○竹田現照君 見通しはどうですか。
  136. 太田耕二

    説明員(太田耕二君) 四月そうおそくない時期にその一応の見通しを得たいと、かように考えております。
  137. 竹田現照

    ○竹田現照君 それでは、時間も参りましたからはしょりまして……。  先ほども話しましたように、今度の法改正で地方自治体の委託の問題がかなり多くなるわけですけれども、都道府県で民間の分析機関に対する常時の監視体制というものは十分即応でき得る体制になっているのかどうか、これをひとつお伺いしたいことと。  それから、この分析機器の点検、分析結果、こういうものについてはかなりの知識を必要とすると思うのです。そういうものに対する訓練なり、養成なり、これも絶対必要なことなんですけれども、これはどういうふうになっているのか。  それから計量教習所、それから、都道府県には計量検定所というのがあるんだそうですけれども、そういうところの再教育——結局再教育をしなくちゃならないのですけれども、その点はどういうふうになっているのか。この計量教習所の終了者——計量課の調べの資料を出してもらいますと、四十期以降——この四月からは四十四期ですから、いままで四十期以降、四十一、四十二、四十三期までのあれを見ますと、国、地方庁からこの計量教習所の課程を終了した者は、四十七年度で五十五名、四十八年度で四十九名、で、この四月に入る者は十五名、こういうようなことではたして——こういうものに携わる者は、これもおそらく技術者なんでしょう。万全なのかどうか、たいへん懸念をいたしますけれども、これはどういうことになるのか。  それから、先ほどから応答がありましたように、クロスチェックというようなものを導入するということになれば、ますます国なり地方公共団体の仕事というものはふえますし、それからまた、そういう技術者というものもより必要になってくるわけですけれども、これはどういうことになっているのか。この公害行政にほとんど全責任を持っている環境庁を含めまして、こういうものが十分でないと何にもならない結果になりますから、いかがになっているのですか。
  138. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 本法は、昭和五十年度から施行する予定でございますが、これが施行されますと、この分析機関は計量証明事業所として知事の登録を受け、その監督を受けることになります。府県知事といたしましては、登録をするかどうかのチェック、それに登録をしましたあとの事業規程の審査と、それから、事業所が持っております計量器を毎年一回定期検査をする、さらに、その業務の運営状況等を立ち入り検査をいたしましたり、報告を聴取したり、その他のチェックをすることになります。そういう意味で、たしかにおっしゃるように事業量は相当ふえることになろうかと存じます。ただ、全国で約三百ないし四百社ございますので、現在のところは府県別に割りますとあまり大きな数にはならないかと思いますが、いずれにしましても、そのための監督体制の整備につきましては万遺漏なきを期したいと、そのための予算の充実につきまして、先ほど先生からも御指摘をいただきましたが、十分自治省とも御相談いたしまして予算の確保につとめたいと存じます。  それから、監督の人員につきましては、現在府県の計量関係の取り締まりの職員が、市も合わせまして千四百人おります。年々相当数ずつふえておりますが、さらに他の部局からの応援を得るといったようなことで人員の充実をはかりたいと考えます。  それから、担当職員の再教育の点につきましては、計量教習所を中心といたしまして研修を行ないまして、再教育を実施をしてまいりたいと考えておりますが、特に四十七年度に計量法改正されまして、公害関係計量器が検定の対象に加わることになりましたので、昨年度から計量教習所で公害計測特別教習というのを実施をいたしておりまして、四十八年度に七十四名その教習を受講をいたしております。四十九年度は約八十名これを受講する予定でございます。また、四十九年度からは公害計測コースという特別の講習のコースを設けまして、ここにも相当数の受講者を収容いたしまして府県の職員の再研修を行ないたいと、かように考えておるところでございます。
  139. 竹田現照

    ○竹田現照君 これは、今度の事業登録した民間会社においても、どういう名前になるんですか、新しい計量士は。いまの計量士のほかに何とか名前がつく計量士になるのですね、環境計量士か公害計量士か知りませんけれども。そうすると地方庁にも国にも、いまの計量士という資格を持っているだけじゃなく、今度の国家試験に基づく環境計量士なら環境計量士という資格を持たなければ、公害計測の検査だとかその他というものはできなくなるんでしょう。現在の計量士でできるのですか。新たなるこの法改正に伴う新しい名前の違う計量士ができるわけだから、それでなければ資格がないわけでしょう。その点はどうなんですか。それでないと、いまの計量士というのは、いままでのは、いまも局長お答えになりましたけれども、大体はかりが間違っているとか、間違っていないとかという検査をやるのが計量士なんですからね。新しい公害計量機器なんていうものを検査するというのは計量士の仕事でなかったのだから、いままで。ですから、そういう意味で、今度の改正に伴って別の計量士の資格をとらなきゃならぬことになっているわけですからね。これは当然に国なり地方公共団体にもその資格を持った者は必要になってくるわけでしょう。それはどうですか。
  140. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) この業として第三者にこの公害関係の分析をいたしますものにつきましては、国家試験に受分りました計量士等がその事業所におることが必要でございますが、取り締まりをするほうの国、府県につきましては、取り締まり担当者はこの国家試験を受けた公害計量士である必要はございません。ただ、この公害のこういった計測関係の取り締まりにはそれ相応の知識を必要といたしますので、当然研修等をいたしまして、再教育をした職員がこれに当たるということにしたいと考えております。
  141. 竹田現照

    ○竹田現照君 民間には国家試験に基づく有資格者がいて、それを取り締まったり、あるいはチェックシステムを導入すると。まあ、国なり地方公共団体がそれを検査をするというようなときに、国家試験に基づく有資格者でないと、これはちょっと太刀打ちできないんじゃないですか、それはある程度の研修をしたとしても。まあ資格がなくても、かなりのベテランだと言えばベテランかもしれませんけれども、国家試験というものを通らなければならないんだという一つの関門があるとすれば、国なり地方団体だって当然そういう資格を必要とするんじゃないですか。たとえば、いま国鉄、専売、郵政のように、事業所として、計量士の資格を持っている者でなければ駅の荷物のはかりの検査もできない、郵便局の窓口のはかりの検査もできない。それは全部計量士がやることになっているわけですね。それと同じに、やっぱり公害計量士という資格を有すべきが当然だと思うんですけれどもね。それはどうなんですか。それは必要がないというのは、私はちょっとつじつまが合わないような気がしますが。
  142. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 計量法の二百二十五条によりますと、検定等の事務に従事する職員は、計量教習所の課程を修了した者でなければならないと、こういうふうに規定をいたしておりますが、その他の職員については、法律には特別の資格の規定はございません。ただ、実際問題としまして、ただいま先生御指摘のように、こういった非常に特別のむずかしい仕事でございますので、そういう関係の知識を持っている人が取り締まりに当たるということが必要であろうと存じますので、そういった研修の充実をはかってまいりたいと考えております。
  143. 竹田現照

    ○竹田現照君 これはなぜこういうことを聞くかというのは、前の計量法改正のときに、私は、郵政の何十万に近いはかりの検査をするにしては、計量士資格を有する者がきわめて少ないんですよ。で、いわゆる補助職員というようなかっとうでやらせて、その結果、予算があるとかないとかで必ずしも法律どおりにやってなかったんですね。その点をつきまして、通産省もおられる中で、これは明らかに計量法違反だ、計量士の資格を持っている者でなければできないと、そういうことだったんですよ、前の計量法改正のときはね。ですから、特にいまのはかりがどうでもいいという意味ではないんだけれども、公害計量士というのは、より生命の安全、そういうことに重大な責任を持っている有資格者なんですから、これは民間の団体だけに国家試験を義務づけるというよりは、やっぱり国なり地方庁にも、国家試験を受かった公害計量士というものが通産省にも環境庁にもいた上に立って、その上でなければ監督体制なり取り締まりというのは実際問題としてできないんじゃないですか。おまえ何言っているんだ、有資格者でもないのが来てわれわれ専門家に何を言っているのかと言われたら終わりじゃないですか。そういう意味で私は、現在の計量士の人を新たに再教育をして、公害計量士としての資格をとらせるようなことを国なり地方庁が積極的にやるべきだし、やらせるべきだと。それにしてはいままでの教習所の修了課程のあれを見ますと、毎期入る総員をそれに充ててもなお不十分だというような気がするわけですよ。ですからそういうことで、せっかく法律改正しても、そういう面でしり抜けになったんじゃ困るからあえてこのことを聞いているわけなんですよ。だから、当然にそういう国鉄その他に、計量士という資格を持たなければはかりの検査もできないと、そういうことがはっきりしているんですから、やはりそれと同じように、公害計量士という国家試験を通った有資格者がいなければそのものには携われないんだということをはっきりさすべきだと、こう思うんですけれども、これははっきりしておかないといけないと思いますが、どうですかな。
  144. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) いまの竹田先生のお話を伺っておりまして、全く私もそのとおりだと思います。ただ、いま直ちに地方公務員なりそういう方々に国家試験を受けさせるというようなところまで、まだこちらの検討が進んでおりませんでしたことは、はなはだ不十分な処置であったと私は思っております。ただ、たとえば公認会計士にいたしましても、国家試験を受けてやっておりますが、税務署の役人は、公認会計士の資格はなくとも会計監査はやれるわけですね、公認会計士が。税務署の役人のほうがむしろどっちかというと、専門家の知識からいうと公認会計士に劣る面もあるというようなことを考えまして、一応これでやってみて、将来の方向としては国家試験を受けさせる方向でやるべきであると、こう私考えております。
  145. 竹田現照

    ○竹田現照君 それは先ほど藤本さんもお答えになったように、私は本来国の責任の機関においてやるべきだと、そう思ったら、その点については同感の意を表されたわけですね。そうすると、もし国にそういう機関がありとすれば、そういう有資格者がその中にたくさんいなくもやいけないわけですよ。たくさんいないと、そんなこと何も権威ある機関にならないわけですからね。そういう意味では、公害というこういういまやかましい、ちょっとこれぐらいになっても大騒ぎになる時代に、それだけにやっぱり厳密な国家試験を通った有資格者というものが、国民にその結果について信頼を持たせるという意味において、それから、その人間に対してその分析調査に対する責任を自覚をさせるという意味においてもやっぱり私は必要だと、こう思うのです。ですから、今度の改正案が通っても、はたしてその点が万全なのかなということが、最初から私は心配していたわけです、心配なんです、いまでも。ですから、いま楠さんおっしゃるように、直ちに何百人もつくるということは、これは粗製乱造のそしりを免れませんから、むずかしいということはわかりますけれども、少なくとも国なり地方庁ぐらいは、計画的にそういう有資格者をつくる努力を最大限にやっぱりすべきだと私は思うんですよ。いま検討がなされておらなかったというわけですから、両方でもいろいろと御検討願って、そういうことにひとつやっていただきたいと思います。  それから最後に、測定の設備あるいは技術水準、これは日本は公害日本ですから、こういう機器のことは世界的にも最も優秀な機械が続々できているようですけれども、それだけに、これはますます精密な機械ができることにこしたことはないわけです。ですから、それには国としてもそういう技術開発に対して、あるいはまた、いま言われている民間分析機関等に対する設備に対しても、十分の援助なりを考えて当然だと思うのですよ。その意味で、これは私、ちょっとピントがはずれているかどうか知りませんが、四十七年度から計上された公害計測機器等検定技術研修費補助金というのがありますね、通産省の補助金の中に。これは千九百十七万六千円、四十八年度で。二千万円足らずですけれども、やっぱりこの程度では——いや、私のいまの質問とこの補助金とが合っているのか、合っていないのかちょっとわかりませんよ。間違っていたら指摘してください。間違っていたら、こういう補助金はどの項目にあるのか教えていただきたいのですけれども、これは環境庁の予算まで私は調べておりませんけれども、やっぱりそういう点にも最大の配慮をしてしかるべきじゃないか。そうでなければ、やっぱり大小さまざまある民間の分析機関も十全を期すことができないのではないかということを心配いたしますので、そういう点にはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、あわせてお聞きをして、質問を終わりたいと思います。
  146. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) まず、こういった分析技術者のレベルアップにつきましては、ただいま申しました計量教習所におきまして地方庁の職員の研修を行ないますとともに、民間の分析会社等の従業員につきましても同じく教習を行なっております。それから、そのほかの民間の公益法人で幾つかの団体がございまして、そういうところでも公害計測につきましての研修講座なり講習会が実施をされておりまして、これをなるべく拡充してまいりたいというふうに考えております。  それから、民間の分析センターの機器の整備のための国の補助でございますけれども、たとえば四十九年度で申しますと、内定いたしましたところでは、こういった民間の十の公害測定団体に対しまして約四億七千万の補助金を四十九年度は計上いたしておりまして、この補助金によりましていろいろ機器を整備してもらいたいというふうに考えておるわけでございます。なお、この補助金は一般会計の補助金ではございませんで、自転車振興会のいわゆる競輪の収益金からの補助金でございます。それから、こういった測定の機器の開発につきましては、私どものほうの中小企業庁に技術開発研究補助金というものがございまして、この補助金を交付いたしまして、現在いろいろな新しい型の分析機器の開発を行なっておるところでございます。  それから、先ほどの先生のお話の約一千万円の補助金でございますが、これは課長から御説明いたさせます。
  147. 姫野瑛一

    説明員(姫野瑛一君) 先ほど竹田先生から御指摘いただきました検定検査技術者研修費補助金でございますが、この補助金は実は四十七年度の改正で認可指定機関というのをつくったわけでございます。民間指定検査機関、これは従来公害計測器を含めまして国でやるべきなんでございますが、なかなか国にその技術がないということで、機械電子検査検定協会、ここに騒音計その他の公害計測器の検定をやらせることにいたしておるわけでございます。その検定に当たる検査要員の養成費というものを一般予算から四十七年度、四十八年度それぞれ補助金を支出して養成いたしておるということでございます。
  148. 竹田現照

    ○竹田現照君 環境庁としては、この点は何らかのあれをなさっていますか。
  149. 石田齋

    説明員(石田齋君) 環境庁といたしましては、民間団体に対する補助等は行なっておりません。ただ、実際規制を行ないますのが各都道府県でございますので、この都道府県にございます公害研究所、ここに設置されます各種の測定分析器、これに対する補助は行なっております。
  150. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大体竹田君の質問でわかりましたが、少し補足的にお伺いします。  今度の改正法によりまして、第七十条、七十五条の一部改正、これはまあ訓示規定みたいになっておりますが、この七十五条の改正で、政令定め商品容器または包装で密封して販売する者は、その容器または包装に対する商品正味量表記しなければならないと、こうなるわけですが、これはこのとおり読めばわかりますけれども、この商品というのはどういうのですか。
  151. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) これは七十五条に書いておりますように、大体包装紙あるいは容器に入れまして、密封をして販売されるもので正味量表記義務づけることが望ましい商品を実は政令で指定をいたしたいと、かように考えておりますが、具体的な対象につきましては、現在各省と交渉中でございまして、まだ確定を見ておりませんけれども、たとえばアルミ箔で包装されましたカレー粉等々、そういったたぐいの、あるいはくだもののかん詰めでございますとか、そういうものを内容量の表記義務づける商品として政令で指定をいたしたいというふうに考えております。
  152. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これから政令でつくると、こういうわけですが、そうしますと、この商品の中には化粧品とか医薬品とか、そういうものは入らぬわけですか、入るんですか、どちらですか。
  153. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 法律の形としては、化粧品を指定することは可能でございますが、ただ実際の運用といたしまして、化粧品につきましては、御承知のように、薬事法という監督法規がございまして、そこで内容量の表記を別途薬事法の運用として義務づけておりますので、法律による二重規制を避ける意味で、化粧品についてのこの表記は薬事法に譲りまして、計量法では指定はいたさないという運用方針を考えております。
  154. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、薬事課長が見えておりますか……。ただ、私がお伺いしたいのは、所管の商品というか、そういったようないろんな化粧品とか医薬品、あるいは環境庁の所管の水銀、カドミウム、PCB、その他の重金属、科学技術庁の放射能核物質だとか、あるいは公取の関係の不当景品、不当表示防止等のいろんな規制もありますけれども、消費者の立場から見て、所管の接点にどうもいろんな問題があるような感じがするんです。何でもつなぎ目というのは弱いんですけれどね。それで私は、この化粧品なんかかなりいろんな底上げをして容器正味量とだいぶ違うと、これはあなた方の所管じゃないかもしれませんが、そういうことを考えて、この計量というものがほかのほうと関連してそこに完全なものになっておるのか。それはまあ化粧品とか、それはそっちのほうでやってくれと、こう言われても、消費者から見るとけしからぬじゃないかということになるんで、それで聞いたわけなんですがね。じゃ、これはあとにいたしましょう。  それから、改正の第二番目は、この計量の証明事業について登録制を拡充することですが、まあさっき竹田君の質問でもありましたが、これは町の今度は「濃度騒音レベルその他の物象の状態の量で政令定めるものの計量証明事業」ということですけれども、この濃度騒音レベルその他政令でというのはどういうのになるのか、それが一つと、それと、現在民間のこの分析業者の実情というのはどうなっておるのか。まあ先ほども少しありましたけれども、この二つ説明してくださいよ。
  155. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) この計量法の百二十三条によります、第三者のために計量証明をする事業といたしましては、従来は質量と——これは目方でございますね、長さ、体積、面積、熱量と、この五つにつきまして登録制をしきまして、たとえば船積み貨物の検量業者、あるいは皮の面積をはかります業者、それからトラックの目方をはかります業者というものは登録制のもとで公正な計量を心がけてまいったわけでございますが、今回、この環境計測的ないわゆる濃度、大気の中のいろいろな有害物質濃度でございますとか、あるいは水の中のたとえば水質汚濁防止法で規定をいたしておりますような各種の水銀とか、PCBとか、その他の有害物質濃度、量でありますとか、さらには、騒音の取り締まり法に基づきます騒音レベルの測定をする業者と、こういうものにつきまして、従来野放しであったものを、一定登録基準のものに登録制をしきまして計量法に基づく監督を加えていこうと、こういう趣旨でございますが、具体的にこの規制をかぶせます計量証明事業範囲につきましては、政令定めることになっております。  どういう範囲政令定めるかにつきましては、現在検討中でございますけれども、まあ基本的な考え方といたしましては、正確な計量を行なうということについて特に社会的要請が強いような分野でございまして、しかも、現実に相当数の計量証明事業者がすでにおるといったような分野で、また、公害取り締まり法でいろいろ測定が事業者なり国、自治体等に義務づけられておる、こういうような物象の状態の量につきまして、これを計量証明する者を登録制の対象に加えてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございまして、当面は濃度騒音レベル、将来は振動といったようなものも対象になるんじゃないかと存じます。
  156. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私は、この濃度というのが中身を聞きたかったんですよね。大体あなたの説明でわかりましたが、結局まあいま公害の対象になっている水銀、カドミウムそのほか重金属、あるいはいろんな農薬等の有害物質だとか、そういうものは入るわけだと思いますがね。そうしますと、また先ほども質問ありましたが、今度は計量士という資格は非常に大事になってくるんじゃないかと思うんです。これは分析の知識もないと、いままでの計量士のはかりだけではちょっと知識不足でまずいんじゃないかという、まあしろうと考えですがね、はかりと分析の知識がなけりゃならない。分析となりますと、全然これははかりとまた性格が多少違うように思うんですね。分析をまた分けてみますると、私はよう詳しいことを知りませんが、いろんな定性分析だとか、定量分析とか、どういうものが入っているのか、それと、そういうものは量がどのくらい入っておるか、いわゆるPPMだとか、これはなってくるわけですね。そうすると、いままでの計量士にやっぱりそういう知識があるだろうかと、こういう疑問が出てくるわけですね。その辺どうお考えになっておりますか。
  157. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 御指摘のように、公害分析の場合にはまずデザインをいたしまして、サンプリングの方法、それから前処理、それから測定のための機器の操作の問題、それから分析記録の解明、機器の保守、点検と、非常にむずかしい操作がございまして、そのどこが欠けましても公正な結果が出てこないという問題がございます。そのために、計量士は非常にこの方面に明るい人でなければならないというふうに考えておりまして、今回計量士区分を分けまして、従来の計量士と、今度のこういった化学分析をする計量士を別の区分にいたしまして、化学分析をする計量士は本改正法が施行になりますと、国家試験を行ないまして、そういった化学関係計量士といったような区分を設けたいと考えておるわけでございますが、その場合の、こういった、いわゆる濃度計量士とでも申しますか——仮称でございますが、の国家試験の項目としましては、化学の基礎知識、それから化学分析、それから濃度計の知識、あとは計量管理の総論でございますとか、計量の法規とか、こういったものを試験科目にいたしまして試験をする予定でございまして、結局、理科系の大学を卒業して、大体分析技術の実務に一年くらい従事したような人が受かるような程度の試験を実施してまいりたい、こういうふうに考えております。
  158. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすると、これから新しく計量士区分して、あわゆる、仮称濃度計量士というようなものをこれからつくると、こういうことですか。
  159. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) そのとおりでございます。
  160. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、こういういままでの町の分析業者というのは、新しい濃度計量士ですか、そういう資格がなくてもこれはできるんですか。どうなるんですか。
  161. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) この法律の附則によりまして、この法律施行後一年間だけは自由にできるようにいたしておりますが、一年以内にちゃんと登録を受け、登録の要件としては、計量士がおることが登録要件になりますので、計量士を備えて、公害関係の計測業者としての登録を受けないと、法施行後一年後にはその事業を営めないことになります。ただ、現実には、計量士の試験にすぐに何人も大ぜい受かるというふうには考えられませんので、しかも、現実には分析業者が相当多数おるわけでございまして、これが事業を営めなくなるということもいろいろ問題もございますので、実際の登録に際しましては、百二十六条でございますけれども計量士がおることと、もう一つ計量士に準ずるような、通産省令で定める条件に適合する知識経験を有する者がおります場合には、それは登録してあげる、こういうふうな便法もこの法律で講じております。
  162. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、新しく濃度計量士の資格をとった者か、濃度計量士に準ずる力のある者、こういうことですね。その人は、計量士濃度計量士に準ずる何というのか、そういう分析の力のある人、能力のある人、経験のあるような人、その人はもうそのままの状態で、かりにまあ試験を受けて通らなくても、これはもうずっとそのままでいけるわけですか。事業は続けることができるわけですね。
  163. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) この計量士に準ずる者をどういうふうに認定するかという点でございますけれども、これは省令で条件を定めまして、その条件に該当しておれば計量士に準ずる者というふうに考えまして、そういう者がおれば分析事業者として登録をしてあげよう、こういうふうに考えているわけでございますが、その場合、どういう範囲で準ずる者を考えるかという点は、いろいろとこれから研修等を行なってまいりたいと考えておりますので、その研修等の一定のコースを受講いたしまして、その研修のコースを修了した者といったような者を、計量士に準ずる者ということで考えてまいろうかと考えております。
  164. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 濃度計量士の準資格者みたいなものですね。
  165. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) さようでございます。
  166. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすると、先ほどもありましたが、いま現在、町の分析業者が三百ぐらいでしたかね。この分析業者が将来ともにずっと分析業をやるかどうかわかりませんが、この中で、新しい計量士国家試験の、遺憾ながら、残念ながら資格をとれなかった、こういう方が何人かできてくるわけですね。その人たちのためにいまの濃度計量士の準資格者みたいなものをつくると、これは一つの救済法といったようなかっこうになるでしょうが、ところが、これは国民立場から見ますと、その辺をきちっと、でたらめなことにならぬようにやってもらわぬと、これはそういう人を救うために準資格者みたいなものをこしらえてかえって結果的にまた批判されるということもありますから、そういうのは先ほどもあなたがおっしゃったように、いろんな講習みたいなものがあると、それを一ぺん通ればもうそれでいいんですか、どうなんですか、その辺ちょっと……。
  167. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 御指摘のように、ここの計量士に準ずる者の範囲をルーズにいたしますと、せっかくの登録制度が目的が達成されなくなりますので、この範囲というのは厳密に考える必要があると考えておりますが、一定の研修コースを修了した者というものは、この準ずる者というふうに考えてよろしいのではなかろうかというふうに考えております。
  168. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃわかりました。  それからこの登録基準規定、これは先ほどもちょっとありましたが、この辺もう一ぺんひとつ説明してください。
  169. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 登録基準といたしましては、三つ考えております。第一が、その事業を営むに適当な計量器を備えておること。第二が、ただいま申しました濃度計量士が、あるいはそれに準ずる者がおること。それから第三は、適切な事業所を持っておると、適当な事業所を持つこと。住所不定では困りますので、ちゃんとした事業所があることというのが登録基準でございます。そのほかに、登録をいたしますと、事業規程というのを出させることにいたしております。その事業規程の中におきまして、その事業者が行ないます事業範囲、それから、どういう計量器を使って分析をやるかという、使う計量器の内容、それからその計量器の保管、整備に関します事項、そこの企業なり団体の組織、配置、人員、それから計量方法、記録の保存方法とか、こういったことを事業規程に書かせまして、主としてその事業規程に基づいて監督をしてまいるということでございます。
  170. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから、この計量士国家試験の実施規定について所要改正が行なわれると、これはいつから改正実施になるんですか。
  171. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 本法改正法は、全体は昭和五十年度に施行を予定をいたしておりますけれども濃度関係計量士の試験は一年早く、四十九年度から実施をいたしたいというふうに考えておりまして、その分だけ早く法律を施行いたしたいと思います。
  172. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 四十九年度というのはことしじゃないか。
  173. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) さようでございます。
  174. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いつごろやるんだ。
  175. 姫野瑛一

    説明員(姫野瑛一君) 実は、濃度計量士の国家試験につきましては、予算が三百三十万ほどついておりまして、四十九年度、これはなかなか、これから公害計測部会等で専門家の御審議をいただくわけでございますから、やはり試験は年度末になろうかと思いますが、四十九年度中に実施する予定でおります。
  176. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあ四十九年度中、そうしたら大体秋以降になりますね。
  177. 姫野瑛一

    説明員(姫野瑛一君) はい、秋以降でございます。
  178. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そんなに急にはできないと思いますがね。
  179. 姫野瑛一

    説明員(姫野瑛一君) そういうことでございます。
  180. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、監視課長おいでになったのでちょっと……。  これはまた、関連の質問済んじゃったんだけど、今度の計量法改正におきまして、計量の安全を確保するために、政令定め商品容器または包装に密封して販売するものは、その容器または包装にその商品正味量表記しなければならぬと、こうあるわけですが、この商品の中に、薬だとか化粧品は入っておらない、こういうふうな通産省のお話ですから、それは薬事法のほうで取り締まれると、こういうふうにお伺いしたのですが、その実情はどうなっていますか。
  181. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) 医薬品あるいは化粧品等につきましては、薬事法の規定がございまして、その直接の容器または被包に重量あるいは容量、あるいは個数——数てございますね、こういうものは表示しなければならないということになっておりまして、内容量、つまり中身だけの正味の量として表示しなければならないことになっておりまして、これは私どものほうで都道府県に薬事監視員というのがございますけれども、そういう者が第一線の監視担当、取り締まり担当の業務を行なっております。
  182. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、化粧品等でいまこういうような容器を使わないようなもの、いわゆる計量単位によって販売しておらないようなもの、そういうのもやっぱり薬事法で取り締まるのですか。じゃ、関係ないと言うのですか。
  183. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) 医薬品とか化粧品とかにつきましては、これはむき出しで売るということは許されておらないところでございまして、必ず容器あるいは被包、包みの中に入れて販売するという形をとっておりまして、先ほど申し上げましたように、それにつきましては表示があるという形になっております。ただし、非常に小さいものでございまして、たとえば化粧品でございますと、重さで十グラム以下、あるいは容量で十cc以上、数にいたしまして六個以下というものにつきましては、容器あるいは包装にそういった表示事項を省略することができるということになっておりまして、これは非常に小さいものでございますから、便宜省略することができるということになっております。ただし、中にはそういう小さいものでございましても、あるいは値段が高いというようなこともございますので、そういったものにつきましては、できる限りその表示をするという方向で指導を強力に進めておるところでございます。
  184. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これは公取の関係になるかしれませんが……。お答え要りませんが、聞いておいてもらえばいいんですがね。  新聞にもこういうのか——私は関連で聞いているのですが、これは女心をつり上げる上げ底というやつ、箱と中身と違うわけですね。これは化粧品のほうでしょう、あなたのほうでしょう。これは不当表示になるかしれませんが、公取の関係だから、こういうふうになるかしれませんがね。とにかく行政が複雑になっておりますから、計量課とか、薬事課とか、公取だとかいって、お互いに取り締まりが分かれておりますけれども、ほんとうは国民の、消費者の立場になると、非常にまずい面もあるので、その辺のひとつ連携をよく保って、やっぱり消費者中心にしてもらわぬと、こういうのは所管外であってもおかしいじゃないかぐらいお互いにやってもらわぬと、まあそのうち行管か何か勧告があるだろうとか、そういうことではやっぱり困るわけで、私は聞いているのですよ。まあ、これは関連で聞いた。  それからついでに聞きますよ、あなたおいでになったから。薬品とか化粧品は、中身は幾ら入って、これはまあ表示しておるわけですな。そうすると、中身はどういうものが入っておるということは、これは薬事法では規定はしてないのですか、何が幾ら、何が幾らというようなもの。
  185. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) 化粧品につきましては、  一般的には、その成分あるいは分量というものは表示するということは定められておらないわけでございますけれども、ただ、ものによりまして、非常に何といいますか、薬効がある成分を配合しておるというようなものがございます場合には、これは厚生大臣がその指定をいたしまして、そういうものにつきましては、その成分、分量を明示するということになっております。
  186. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 関連質問で、ちょっと長くていけませんがね。それは、そこに少し消費者の立場から見ると、ただ量は書いてある、中身はこう書いてない。そうしてこの化粧品は幾らだと、これは幾らだと、これは幾らと、こうなっているのですよ。何が入っているのやら、とにかく化粧品というと、箱とびんはきれいにしてある。あまり悪口を言うとおこられますから、企業の名前も出しませんが、それはいろいろありますよ、代表的なものは資生堂だとか。容器とびんだけで、中身が何グラム、ここだけはわかりますよね。中身がわからないから、これはもうメーカーに対しては非常に便利がいいでしょう。悪くいえば、中身が同じものでも、あるいは中身をちょっとだけ変えて、箱とびんだけと量だけきちっとして、それであなた、いや、これは新製品で四百円でございます、これは三百円と、わからないのだ、消費者の立場から。中身が三百円のはこれだけだと、四百円のはこういうものが入ってこういう香料が入ってそれで四百円と、こういうふうにならないと、これは消費者の立場から見ると何にも書いてないのだよ。内容が何グラム、それだけで判断のしようがない。向こうはそういうものをどんどんつくって値上げしょるのです。その辺にも少し盲点もあるようです。しいていえば、それは内容まで公表すると企業秘密になるとか、何だかんだ言われますがな。これは実際ごまかしの盲点になっているんですよ。その辺どうお考えになっているのか、あなたの答弁聞いて、それでお帰りになってけっこうですから、きょうは計量のほうだから。
  187. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) 先生御指摘のようなことは、確かにあると思いますが、薬事法におきましては、ことに医薬品の場合が非常に明らかにあらわれているわけでございますけれども、医薬品につきまして、それが人体にどういう影響があるか、どういう効能、効果を持っておるかといった観点からの規制を行なう法体系になっておるわけでございますが、そういうこともございまして、そういった薬効あるいは作用という観点に影響がある分につきまして、これは成分、分量とも非常に厳格に明示するということをしておるわけでございますけれども、化粧品につきましては、御承知のように、そういった生理作用が比較的緩慢であるというような観点から、内容まで明示するということは、そういった観点からは必ずしも必要がないということで、現在そういったところまで薬事法上は義務づけておらないわけでございますけれども、ただ、先生御指摘のような消費者の立場という観点から考えてみますと、いろいろ問題もあろうと思いますので、これは関係官庁等と連絡をとりまして、今後方針を検討してまいりたいと思います。
  188. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これは大いに問題ありですよ、あなた。びんだって、透き通ったびんではないですよ。色のついた、こうしたってわからないですよ、何が入っているか。ああいう液のもありますし、クリーム状態のもあるし、ぴんと箱だけ変えて、そして何グラム、新製品で幾ら幾ら。何ぼでもできますよ、これは。まあこれ以上言いませんよ。あんまり悪口言うとしかられちゃうから。その辺よく検討してください。こういう物価対策のやかましいときですからね。これはほんとうに問題があります。一ぺんあなた方、中身を全部分析して検討してみたらどうですか。一体二百円のやっと五百円のやつがどこがどう違っておるのか、やったことあるの。まあ、ほんとうはその辺までやってみれば、何でこれ三百円の差をつけなければならぬのか、そういうものが出てくると思うんです。物価対策に本腰入れているんですから、そのぐらいほんとうにやっていただいてもいいですよ。きょうは計量のほうですから、この辺でけっこうです。  それから計量のほうですが、いまいろいろな物不足、大体幾らかゆるやかになったようですが、物不足のときに限って計量の問題、インチキが多い。昨年の年末あたりからプロパンの量目の不足、あるいは灯油の中身の不足、そういうものがかなり東京都の調べで出たようですが、これなんかはやっぱり、機を失せず全国の都道府県にもびしつと通達をやるなりして、消費者の保護という立場でやってくださいよ。これはあなたのほうで、昨年の東京都がやった結果おわかりですか。
  189. 齋藤太一

    政府委員齋藤太一君) 東京都から聞きましたところでは、灯油につきまして、東京都の計量検定所がことしの一月の十六日から二月の十三日までの間に二十九の燃料店等を対象にいたじまして検査をいたしまして、その内容量を目方ではかって体積に換算するというふうなことで量目検査をやりましたが、この結果、検査件数百六十二件に対しまして、量目不足が十二件ございまして、不足率が七%になっております。それからプロパンガスにつきまして、同じことしの一月二十八日から二月の二十日まで、三十一の都内の充てん商を対象に量目検査をいたしまして、検査の件数としては千二百三十六件でございますが、そのうち不足が二百二十七件ございまして、不足率は一八%という結果が出ております。こういった不足しておりました事業者に対しましては勧告書を出し、警告をいたして、改善方を指示をいたしたというふうに聞いております。
  190. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大体いまおっしゃったような状況ですね。物が足らなくなりますど、どうしてもそういう傾向が出てまいりますから、それは厳重にひとつ指示をしていただきたい、これはお願いをしておきます。  最後に、環境庁せっかくおいでになりましたので一、二点ほどお伺いいたします。  今度の日本分析化学研究所のことにつきましては、非常に遺憾に思います。先ほど竹田君から質問がありまして大体のことはわかりましたが、新聞等にもあらあら出ておりますが、あすこに頼んだ検体というのは、全部で四万体ぐらいとかいうふうに出ておりますが、どうなんですか。わから、ない……。
  191. 津澤健一

    説明員津澤健一君) 現在、水質保全局のほうで調査中でございますが、担当が来ておりませんので、言われる検体につきましてはお答え申し上げかねます。
  192. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 では、これは新聞の報道でありますけれども、新聞には、「二十八の都府県が同研究所に委託した検体は、分析項目にして四十七年度に一万四千八百九十一検体、四十八年度に二万五千三百九十一検体、総数約四万検体にのぼる。」こういうふうに出ております。数字的に合うているのかどうかわかりませんが、相当ある。それを六十人程度でこなしてきた。ここにもかなり無理があるようであります。この中で二十人が放射能関係で、残りの四十人程度は公害関係の分析に携わっておった、こういうふうに出ておりますが、それで今後これをどうするのか。先ほどの質問で大体わかりましたが、この水銀の関係は先ほど、これは中間報告として信頼ができるものと思われると、こういうふうなお話でしたな。これはどういう調査をなさってそのような結果になったわけですか、信頼ができるということは。
  193. 津澤健一

    説明員津澤健一君) 日本分析化学研究所に委託しましたいろいろな調査につきまして、水質保全局に調査班を設けまして、また、検討委員会をつくっていろいろな角度から、ただいま申し上げました調査班及び検討委員会におきまして十分検討していただいたわけでございます。その結果、水銀につきましては問題はないという結論が出たと聞いております。
  194. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そんなこと、この委員会であなた答弁したって答弁にならない。いろいろな点から検討いたしまして、水銀関係においてはこれは信頼できる数字であると判断をいたしましたと、こういう答弁ですけれども、そんなもの子供に説明するようで、いろいろな点からというのはどういうことですか。日本分析でやった水銀関係の分析は間違いないと、こういうことでしょう。それはたいへんな問題ですよ。だから、どこがどういうように検討を加え、あるいは再分析するなり調査をして、水銀の関係は間違いないかと、こう突っ込まれればこれは問題ですよ。それでちょっと聞いてみたんです。
  195. 津澤健一

    説明員津澤健一君) 水質保全局と十分連絡をとりまして、後ほどお答えしたいと思います。
  196. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、もう時間がないですからいいです。それはあなた方、公害特別委員会でそんな答弁じゃだめですよ。水俣病やそういうものの原因になっているのですから、水銀は。それをあんた、そういうことじゃ、これ以上きょうは聞きませんがな、計量のほうですから。  あとのやつはどうするんですか。あといろいろな分析の結果、信憑性があるのかないのか、でたらめだったのが、どうなのか。ほかのもの、いろいろあるじゃないですか、重金属、カドミウムなどとか。
  197. 津澤健一

    説明員津澤健一君) ただいま申し上げました水銀以外のものにつきましては、なお検討を続行中でございます。
  198. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ、これで私は質問を終わります。
  199. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言がなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十三分散会      —————・—————