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1974-04-23 第72回国会 参議院 社会労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十三日(火曜日)    午後一時十二分開会     —————————————    委員異動  四月六日     辞任         補欠選任      上原 正吉君     田中 茂穂君  四月十日     辞任         補欠選任      高橋文五郎君     大松 博文君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山崎  昇君     理 事                 玉置 和郎君                 須原 昭二君                 小平 芳平君     委 員                 川野辺 静君                 斎藤 十朗君                 橋本 繁蔵君                 小谷  守君                 藤原 道子君                 矢山 有作君                 柏原 ヤス君                 中沢伊登子君                 沓脱タケ子君    国務大臣        厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君    政府委員        厚生大臣官房審        議官       三浦 英夫君        厚生省環境衛生        局長       石丸 隆治君        厚生省医務局長  滝沢  正君        厚生省社会局長  高木  玄君        厚生省児童家庭        局長       翁 久次郎君        厚生省年金局長  横田 陽吉君        社会保険庁年金        保険部長     出原 孝夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        大蔵省銀行局特        別金融課長    山田 幹人君        厚生省環境衛生        局水道環境部長  福田  勉君        自治省税務局府        県税課長     福島  深君    参考人        環境衛生金融公        庫理事      河原 輔之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出頭要求に関する件 ○社会保障制度等に関する調査  (厚生行政基本施策に関する件)     —————————————
  2. 山崎昇

    委員長山崎昇君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四月六日、上原正吉君が委員辞任され、その補欠として田中茂穂君が選任されました。  また、四月十日、高橋文五郎君が委員辞任され、その補欠として大松博文君が選任されました。     —————————————
  3. 山崎昇

    委員長山崎昇君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  社会保障制度等に関する調査のため、本日、環境衛生金融公庫理事河原輔之君参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山崎昇

    委員長山崎昇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 山崎昇

    委員長山崎昇君) 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  本日は、厚生行政基本政策について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 須原昭二

    須原昭二君 きょうは、私は国民保健を守るという立場から特に必要最小限度入浴需要入浴需要というものは制度的に国が基本的には保障していかなければならない、こういう見地からいわゆる公衆浴場対策について御質問をいたしたいと思うのであります。  特にわが日本のように高温高湿といいますか、こういう、このような気候条件の国では、三日に一回の入浴健康保持のために欠かせないとよく私たちは聞いております。はたして憲法二十五条で保障しようとしている国民公衆衛生保健衛生水準のためには日本人はどのぐらいの入浴が必要であるか、まず厚生省からひとつ所見を承っておきたい。
  7. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) ただいま先生、三日に一回の入浴という御意見でございましたが、まあ学問的にはいろいろなこれは意見があろうかと思うわけでございますが、やはり通常状態で、日本人入浴をする回数は二日ないし三日に一回というのが通常の姿ではなかろうかと思います。
  8. 須原昭二

    須原昭二君 やはり私は最小限度という立場からいって三日に一回と、さらに厚生省では二日に一回とまでおっしゃいますと、非常にこれは重大な問題になってくるのではないかと、実はかように思います。そういう立場からもう一方考えますと、このように日々のやはり健康を保持をするための入浴を、いわゆる公衆浴場にたよっている人々、これは日本人の中でどのくらいあるのか、概数でけっこうでございますが、データがありましたら御発表いただきたいと思います。
  9. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) これははっきりした統計はとっておりませんが、われわれの推計では千五百万人から二千万人の間と、かように推計をいたしております。
  10. 須原昭二

    須原昭二君 私が試算をいたしてまいりましたんですが、四十五年の浴場業実態調査を見ますると、一浴場利用者平均一日三百六十五人だといわれております。二日に一回だとか三日に一回とかいうお話がございますが、一応三日に一回という最低限度基礎として計算をいたしましても、その利用者実数は約千九十五人、約千百人だと、こういわれております。そういたしますと四十七年の公衆浴場数、最近の数字を私は持っておりませんが、四十七年の公衆浴場数が一万九千六百五十一浴場でございますから、それをかけますと二千百六十一万六千百人ということになるわけです。したがって、いま千五百万から二千万と言われますが、私は千五百万ではなくして二千万、この高い数を基礎考えなければならないと実は思うわけです。そういう点から考えまして、一面、最近、経営困難のために公衆浴場がどんどん廃止をされております。特に三十九年をピークにいたしまして、廃業が目立ち始めておるわけでありますが、私の調べによりますと四十四年が三百軒、四十五年が五百十四軒、四十六年が六百六十二軒、一日平均一・八軒ずつなくなっていくわけです。四十七年は九百二十九軒、一日平均二・六軒の浴場廃業されていくわけでありますが、この実数は間違いございませんか、確認をしておきたいと思います。
  11. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 大体先生の、ただいま御指摘数字のとおりでございます。
  12. 須原昭二

    須原昭二君 それを基礎にいたしまして、さらにこの廃業によって影響を受けていく人たちの人数をやはり基礎考えていかなきゃならないと思うわけです。そういたしますと、そのために、廃業のために影響を受けて浴場を利用することをはばまれた人、これを計算をいたしますと、四十四年が三百軒なくなったわけですから千百人をかけますと三十三万人、四十五年が五十六万五千四百五十人、四十六年が七十二万八千人、四十七年が実に百二万千九百人、こういう数字になるわけです。四十四年から四十七年までの四年間をトータルいたしますと、総計をいたしますと二百六十四万九千五百人、すなわち二百六十五万人になんなんとする人たちが、実は公衆浴場を利用する道を閉ざされた、こういう数字になるわけです。先ほども申し上げましたように高温高湿、こういう日本の特殊な気候条件、こういう点から考えますと、国民保健衛生を守る立場からいうならば、私は看過できない問題点ではないかと、かように思います。  そこでわれわれはその点をさらに追求をいたしてまいりますと、その浴場実態調査によって調べてまいりますと、公衆浴場利用者はどういう人たちが多いかという、そこらに問題があるわけです。所得階層別分布を見てまいりますと、所得が年間四十五年当時五十六万円、四十七年ベースで申しますと八十万円未満が実は四九・九%、ほぼ半数を示しているわけです。さらに五十六万から八十三万円、四十七年ベースにいたしますと百二十二万円、こういう所得方々が三七%、こう示しているわけですね。実に八六・四%が所得税免税点以下の階層ということになるわけです。いま社会的弱者という問題が、大きく世論が巻き上がっておりますが、まさにこの社会的弱者がその浴場廃止廃業によって非常に大きな影響を受けておるということが指摘されざるを得ないわけです。  さらにもっと重要なことは、もし近くに公衆浴場がなくなった場合、自宅ふろを持つことができるかどうか、これがまた問題点です。この点を私の出身であります愛知県で実は調査を行なっておりますが、それによりますと、名古屋市内あるいは都市部は一四%、郡部におきましては一六%、平均にして一五%しか公衆浴場にかわるふろ場を持てる人がいなかった、こういう実数が出てきているわけです。こういう数字からいうならば、公衆浴場を利用しているその八五%の人は自宅ふろ設備がない、こういう状態なんです。こういう点を考えますと、この公衆浴場廃止というものは非常に社会的な大問題であると言わなければならないわけでありまして、公衆浴場に依存している人、先ほども申しました二千百六十一万六千百人の八五%の人々公衆浴場廃業によって入浴不能一こういう事態におちいっている現実を厚生省はきちんと位置づけてものを考えていただかなければならない、この点をまずもって皆さんに要望申し上げておきます。  そこで、やはり住宅にとっては、キッチン、トイレ、バスですね、これは私は必要不可欠の設備要件であると思います。しかし、戦後の日本住宅行政住宅というものは非常に貧困でありまして、いまだにバスを持たない家庭というのは非常にたくさんあるわけです。あるいはまた、アパート住まいが多いわけです。加えて、先ほど申しましたように、日本のように高温高湿というような気候条件の国では、健康保持のための入浴は欠くべからざるものである。こういう点から考えますと、最近公衆浴場都心を中心に急激になくなりつつあるという時点というものは非常に重大な問題点であるとこの際指摘をしておかなければなりません。  これは利用者立場から言ったわけでありますが、一方、公衆浴場経営立場から言うならば、また大きな問題があるわけです。たとえば広大な土地、建物が必要です。ばく大な設備投資——私の聞くところによりますと、大体土地抜きで一軒つくるのに五千万ぐらいかかるそうでありますが、こうした設備投資に比べて効率がよくない、すなわち投資のわりに収益が低いということですね。さらに経営の中に入ってまいりますと、人手不足夫婦共働きで、朝早くから夜おそくまで深夜にわたって働かなければならない。子供は、あのような仕事のあとを継ごうというような意思のないのがよく聞いてまいりますと非常に多いわけですね。加えて狂乱物価の物価高、まさに経営が深刻であって、その点から転廃業がふえていく、こういう点が指摘されるわけであります。特に家庭ふろを持たない所得税免税点以下の階層がその利用者であるということを考えますと、公衆浴場の存廃はひとり経営者の問題だけではなくして、広く国民、とりわけ社会的弱者といわれる人たちの健康、保健衛生問題点として非常に私たちは看過してはならない問題ではないかと思うんですが、この点について厚生省は、この憂慮すべき状態についてどのようにお考えになっておるのか、まず所見を承っておきたいと思います。
  13. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) ただいま先生指摘のように、公衆浴場経営不振からの転廃業が最近非常に増加しておるという事実に対しまして、——これはいろいろな原因があろうかと思うわけでございますが、ただいま先生指摘のような、片一方において自家ぶろの増加というようなことで経営が、経営効率が悪くなってくるということ、また、そういったふうに経営効率が悪くなるためにふろ屋転廃業をするという、こういうイタチごっこ状況になっているんではないかと思うわけでございますが、しかしながら、どうしても最後にその公衆浴場を利用せざるを得ないような人たちというものは、先生指摘のように、ほとんどが低所得階層人たちでございまして、したがって、こういった低所得階層人たちの健康を維持するために公衆浴場確保ということに従来からわれわれ非常に努力をしておるわけでございます。  で、いままで、われわれのほうといたしましていろいろな方策を講じておるわけでございますが、まず、公衆浴場経営基本になりますのはやはり入浴料金の問題でございますが、適正な入浴料金算定方法につきましては、昨年十一月に各都道府県知事あてに、その方法等につきまして指示をいたしたわけでございますが、ただ、この入浴料金というものが片一方においては低所得階層が利用するという、片一方の面からの制約を受けるわけでございまして、その点、ほかの営業のように利用料金をもってすべての経営をまかなうということが非常に困難な状況にあるわけでございます。したがいまして、われわれのほうといたしましては、環境衛生金融公庫法融資等を利用いたしまして低利の融資を行なっておるわけでございますが、さらに、公衆浴場に対しましては経営多様化という、多角経営考えておるわけでございます。特に、先生指摘のように、非常に膨大な不動産投資をやっておるわけでございますので、この不動産を有効的に利用するという意味におきまして経営多様化ということを考えておるわけでございますが、この経営多様化資金の貸し付けに対しましては、その限度額制限——これは普通の営業でございますと一千万円でございますが、この限度額を撤廃をするほか、昭和四十九年度新たに予算にお認め願っておるわけでございますが、公衆浴場確保見地から経営近代化のためのいろいろな対策、あるいはその経営多様化に対します検討を進める予算をお認め願ったわけでございまして、これに基づきまして、われわれといたしましては、今後、強力な指導を推進してまいる所存でございます。  また、片一方におきまして、税制面対策でございますが、この税制面対策といたしましては、固定資産税につきましての優遇措置、こういったことにつきまして自治省のほうにもお願い申し上げまして必要な措置を講じておるわけでございますが、さらに、今後、経営指導等につきまして総合的な援助を行なってまいる所存でございます。
  14. 須原昭二

    須原昭二君 いま大要お話を聞きましたんですが、利用料金だけの側面から見ると、低所得者に大きなしわ寄せになっていくのでそれもできない、こういうことでこの数年非常に問題が多いわけで、この点については後ほど指摘をいたしたいと思うんですが、環衛公庫の問題につきましてもあとから申し上げます。あるいはまた多角経営の問題についても予算案に出ておりますから私も知っております。しかし、これらの問題だけで、強力な対策を進めていくとおっしゃいましたけれども強力な対策にはならないわけです。私が言うのは、これから基本的な問題点についてひとつお尋ねをいたしていきたいと思うんです。固定資産税問題点も出されましたけれども、こうした固定資産税だけの問題点でこの難局を乗り切るわけにはまいらない。したがって、具体的に一つ一つ基本的な問題点でこれからお尋ねをいたしていきたいと思うんです。  まず一つは、公衆浴場法には、昭和二十五年でしたか、終戦後でありますから、公衆浴場の過度な競争のために法に定められた設備基準保持することが危うくなってきたときにあの情勢を背景にして過当競争を防ぎ、営業の存続をはかるために適正配置の条項が設けられたわけですね。そこで二百五十メートルとか三百五十メートルとかいうような単なる物理的な距離制限、これを条例できめて運用されてきたのでありますが、さきに述べたように、四十年以降の公衆浴場情勢というのはこの適正配置を別の視点から再検討し直さなければならない段階に来ておるのではないか。すなわち、企業サイドからではなくして、利用サイドヘの転換がまず要請されているのではないかということが第一点です。いかにして公衆浴場に依存をするほかない人々入浴、いわゆる健康保持をいかに確保するか。それは私企業の原理から廃業していく公衆浴場を適正な配置存立をさしていくという立場に立って、私は真剣に考えなければならないと思うんです。そういう点について厚生省は、まず、どういうお考えに立っておられるのか、この点を従来同様な、同じような立場に立っていかれるのか、この基本的なものの考え方お尋ねをしておきたい。
  15. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) ただいま先生指摘のように、公衆浴場法適正配置距離制限の問題があるわけでございますが、従来は、やはり過当競争によって衛生施設基準が下がることによる国民への影響ということを考慮いたしまして、過当競争におちいらないように距離制限を行なってまいったことは、先生指摘のとおりでございますが、最近に至りまして、むしろ、転廃業がふえることによって非常にその間の距離が伸びて、むしろ利用者のほうが非常に不便になってまいっている。あるいは場合によっては、利用しようにも利用し得る公衆浴場がないといったような実態も生じてまいっておるわけでございまして、いままでのところ、この公衆浴場は、やはり私企業でございますけれども、われわれといたしましては、国民の健康を守るためにある一定数以上の浴場確保するような方策を今後講じてまいりたいと考えております。
  16. 須原昭二

    須原昭二君 きわめて抽象的な御答弁ですが、私はあくまでも、保健衛生上、定期的な入浴が不可欠とされる日本人にとって入浴施設を持たない人々には、先ほども申しましたように、公衆浴場というものは住居の外延、延長、こうしてとらえるべきである。したがって、公衆浴場は、本来、日常生活上、住宅からあまり遠くないところが要請されるわけです。したがって、住宅との近接性が要求されている視点から考えますと、公衆浴場の性格をそのような立場でものを考えていくというならば、まず、公衆浴場の全国的な地域配置、そして、公衆浴場を必要とする利用者分布、この二つをマッチさせていくための計画というものを早急につくるべきではないか。こういう点が、まず私は認識として頭の中に浮かんでくるわけです。そのために少なくても、あまり費用がかかるわけではございませんから、人件費程度の問題ですから、直ちに全国的な調査を、私は、実施すべきである、こういうように思うんですけれども、その点はどうなんですか。
  17. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) この公衆浴場そのもののための実態調査ということは従来行なっていないわけでございまして、その点、先生ただいま御指摘のような点を今後十分考えてまいりたいと思いますが、厚生省の行なっておりますいろんな調査の中で、たとえば厚生行政基礎調査というような調査の中で、一部分、こういった公衆浴場調査も従来行なってまいったわけでございますが、今後、さらにそういった他の調査等も利用いたしましてこの公衆浴場実態の把握につとめてまいりたいと思います。
  18. 須原昭二

    須原昭二君 公衆浴場経営実態についてはある程度厚生省はつかんでおられます。しかし、公衆浴場存立状態、それに見合うところの、対応するところの利用者分布状態、これについては何ら調査されたきらいがないわけです。いま考えるとおっしゃいましたけれども、ぜひともひとつこの点は早急に計画の中に組み入れていただきたい。そういうことをひとつお願いをすると同時に、この調査計画、この樹立によって今後確保すべき公衆浴場選定基準の作成、さらに選定の機構の設置、こうしたものを考えていかなければならないと実は思うんです。もし、マスタープランからはずれた浴場については、営業者が転業を希望する場合には特別の助成を講ずるとか、あるいは利用者需要があるにもかかわらず、浴場設置を希望する業者がない、そういう場合においては、地域においては、ちょうどことしから診療所なんか夜間あるいは休日の診療所がつくられたように公設浴場計画すべきではないか。実は地方自治法の中において、地方自治法の第二条の第三項の六号には病院、隔離病舎療養所云々からずっと始まって、浴場共同便所公益質屋老人ホーム等々こうした施設はつくらなければならない、そういう義務設置になっているわけですね。そういう点から考えてもこうした空白地については民間でできなければ公的な施設をつくっていく、そういう基本的なものの考え方がなくてはならないのではないかと思うわけです。東京都におきまして、都心であります銀座のまん中に東京都はいち早くこの問題に注視をして、四千五百万円の建設費ですか、運営費ですか、それでちょっと小さいものですけれども、私も見てまいりましたけれども、一階が婦人用、二階が男性浴場、三階が管理人住居、こういうことで鉄筋でできております。そうして、その管理人浴場経験者民間の組合から招聘をして、そうして運用しておる。こういうふうな実例があるわけでありますが、経営にあたってはそういう経験者を活用する、施設は公的にこれを負担をしていく、そういう公設民営浴場をもって空白地のこうした低所得者階層浴場入浴の便を供していくという基本的な姿勢がなければ、これから空白地はどんどんふえていくわけです。こういう問題点についてどのようにお考えになっておるのか、この点についてまず御質問をいたします。
  19. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) ただいま先生から公営浴場経営の問題が指摘されたわけでございますが、従来われわれといたしましては現存する私的の公衆浴場に対しましてその経営合理化等助成を行ないまして、あるいは財政的な助成を行ないまして、できるだけこれを存続させるという方向で対処してまいったわけでございますが、先ほど先生指摘のようないろんな実態調査等の結果を踏まえまして、また公営あるいはそのほかのいろんな方法で対処してまいるような方向で検討いたしたいと思います。
  20. 須原昭二

    須原昭二君 どうも歯切れが悪いですね。  まず、私が申し上げたように、公衆浴場の全国的な地域配置、そうして、それに対応する、公衆浴場を必要とする利用者分布とをマッチさせるための計画をつくらなければいけない。そのためにはまず調査をしなければならない。調査はひとつ検討すると、その土台がきっちりしていないものですから、空白地の問題の対策があまり明確な答弁が出てこないと思うんです。この点、厚生大臣の御所見をひとつ承っておきたいと思うんですが、ぜひともマスタープランをつくる、そうして空白地を公的にこれを埋めていく、こういう基本的な姿勢が積極的に出てこなければいけないと思うんですが、厚生大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  21. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 先ほど来の御意見を交えての御質問を伺ってまいりましたが、日本のような国においては公衆浴場というものは絶対に私ば欠かすべからざる問題だと考えておるわけでございます。  そこで、昨年来特に転廃業が多くなっているという実態も承知しておるわけでございます。そこで、これは先ほどお話しのように、所得の少ない方々が活用しておるわけでございまして、これはもう、転廃業して減っていくという——私のいなかなども、三つあったところがいつの間にやら一軒きりなくなったという、そういう話ばかり聞いているのです、実は。何とかならぬかと、こう言うのですが、どうにもならぬと。そこで一応、それはやっぱりある程度の料金というものの合理化をはかっていくきりないだろう。多少、料金についてはいままで押えぎみであったことは私は事実だと思うのです。料金を上げることは必ずしも好ましいことではありませんが、経営する側からいうと、なかなかやっぱりある程度の料金というものを合理化してもらわなければ困る、こういう意見があるわけでございます。そこで、そういうふうな合理化をはかる方針をひとつ示そうじゃないかということで示してまいったわけでございますが、そういうふうなことだけでは、これもやっぱり不十分、——いま先生がお述べになりましたように、人口とマッチしたような形において公衆浴場をどうやって確保していくかということが大事でございますから、いろんな実態調査を行ないますと同時に、いま先生お述べになりましたようなことを前向きにひとつ考えていく、指導をしていかなければならぬだろうと、こういうふうに考えておるわけでございます。特に私は、昨年実は石油危機になりましたときに、まっ先に浮かび上がったのは、この公衆浴場なんです、ほんとうを言いますと。もう油が足りなくなって公衆浴場に入れなくなったなんというようなことになったら、これはたいへんなことだというのです、たいへんなことだと。そこで、まず石油の確保については優先的にやらなければだめだ、あまり気がつかぬような話でございましたが。私は、やっぱりいなかをこう持っておりますものですから、それでたびたび、三軒の家が一軒になったというような話ばかり聞かされているものですから、そういうわけで私どもも、この公衆浴場の問題については今後とも真剣に取り組んでまいるようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  22. 須原昭二

    須原昭二君 料金を上げていかなければならないことはよくわかるのですが、料金を上げると、低所得者階層が多いですから、三日に一回行っているところが四日に一日になっていくわけです。ここに保健衛生上ゆゆしき問題が出てくるわけで、あまりにも料金を追求するとそういうことになる。ですから良心的な業者は困っているわけですね。このギャップをどう埋めていくかというところに問題点があるわけです。そういう点できょうは御質問を申し上げているわけでありまして、いろいろ対策をやっているのだとおっしゃいますけれども、非常にこれは対策がなまぬるいのです。したがって、一つ一つ問題点を提起をしてまいりますが、いま料金の問題が出ましたから、料金の問題を先にいきましょう。  現在、公衆浴場入浴料金を私は見てまいりますと、まあ、これは物価統制令に基づいて都道府県知事が最高額を定めることになっておりますが、四十五年末を見ますると、最高四十八円、最低が三十三円。四十九年四月、今日現在を見ますると、最高九十円です。あまり高くなっていないのです、ほかの物価から見れば。それから、最低五十五円です、これは神奈川、東京でありますが。こういう数字を見ましても、あまり高くなってないのです。高くなれないところに大きな問題点があるわけです。その認識に立って考えますと、子供二人と夫婦、子供二人の家族が負担する入浴料金を私なりに計算をいたしますと、最高のところで、おとな、中人、小人、この料金を合わせてみると、一回に二百四十五円かかりますよ、大体。そうすると一カ月に、三日に一回と計算をいたしますと、二千四百五十円。低所得階層では食費の一割になんなんとする額を入浴料金に充てなければならないという側面が出てくるわけです。この点は、年収八十万円未満の家族、家庭であったらたいへんなぼくは出費であると思う。したがって、三日に一回行くところが四日に一回、五日に一回になってしまう。ここに問題点があるわけです。したがって、じゃあ、いま大臣がおっしゃるように、経営が苦しいからといって、料金を上げるとそういうことになってしまうわけでありまして、そういうところに公衆浴場経営の苦しみというものをわれわれはうかがい知らなければならないのではないかと実は思うわけです。  そこで、この公衆浴場というものは、先ほど地方自治法を参考に申し上げましたけれども、この公共性の見地からいって、浴場施設保持と、利用者の負担、これをいかに調整をしていくか、調和を保っていくか、ここが非常に重要な問題です。この合理的な水準をどこに設定するか、どこに求めていくか、それを模索することが、いま厚生省にかけられた大きな私は任務ではないか、そういう点について、非常に看過されているというのか、何か傍観をされておるようなきらいがあり、私は非常に遺憾とするわけですが、その点をどうお考えになっておりますか、その点をまずお尋ねしておきたいと思います。
  23. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 御承知のように、入浴料金は物価統制令に基づきまして、各都道府県知事が定めておるわけでございますが、この都道府県知事が定めます場合におきましても、審議会を通しまして、そこでいろいろな議論が行なわれまして、この入浴料金が定められるわけでございますが、ただいまのところ、厚生省のほうからは各都道府県知事に対しまして、適正な入浴料金、いわゆる原価から割り出しました、あるべき入浴料金というものを、その算定方法を通知いたしておるわけでございますが、各都道府県それぞれ先生指摘のように、やはり公衆浴場を利用いたします人たち料金負担能力等を勘案いたしまして、それぞれ料金を定めておるわけでございまして、その点、ただいまのところ、国からは一方的に総括原価方式によります料金算定方法を示していると、こういう実態でございまして、したがいまして、負担能力とのバランスという点につきましては、各都道府県知事におまかせしているというのが現状でございます。
  24. 須原昭二

    須原昭二君 どうも厚生省の見解を聞いていると、ただ自由競争の経済社会だと、だからひたすら浴場経営者の創意くふうにまかせておる、そういう感じがしてならないわけです。市場の原理といいますか、市場原理に基づく合理的な価格形成方式に持っていくことは、実は利用者の負担をますます過重にすることになるからこれはとれないと思うのです。そこで、少なくともその標準的な規模を設定して、標準料金をつくり、それを前提とした許可制にしていく、そうした場合には、やはりモデルとなった標準利用者数、これを下回っていく浴場については、その標準料金を維持させるために、特別の助成措置をはかっていく、そういう積極的な抜本的なやはり対策を国で設けない限り、私はあくまでも、いまお話がありますように、何か経営者の創意くふう、自家努力といいますか、そういうところに責任が行ってしまうのではないかと思うわけですが、そういう抜本的な助成措置を講ずるというようなものの考え方というものは厚生省にございませんか。
  25. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 先ほど御説明申し上げました総括原価方式によります方法は、ただいま先生指摘のように、平均的な規模を標準にとりまして、そこで算定いたすという方法をとっておるわけでございますが、特に最近の入浴利用者の減というような実態を踏まえまして、平均的な価よりもっと低いところで算定してもよろしいという、こういう方法もとっておるわけでございますが、それでもその算定に用いました規模以下のところにおきましては、先生指摘のように、その料金では経営が成り立たないという、こういう宿命を持った算定方法になっておるわけでございます。したがいまして、そういう標準規模以下の浴場を今後経営が成り立つようにするためには、一つの方法といたしましては、料金に対します差額の助成と申し上げましょうか、そういった方法があるわけでございますが、従来われわれのとっております方法といたしましては、金融機関等を通じて、低利の資金を融資するという方法で、できるだけの料金へのはね返りを押えるという、いわゆる原価をできるだけ低くするというような対策を講じてまいっておるわけでございます。
  26. 須原昭二

    須原昭二君 そうしたいま御答弁のように、標準的規模以下の浴場については、金融だけで採算が合ってきますか。そういうものの考え方なんですか。それでできると思いますか、どうですか。
  27. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) いま一つの方法といたしまして金融面のことを申し上げたわけでございますが、いわゆる金融だけでは、先生指摘のように、これに対処できないわけでございまして、そのほか税制面とか、いろんな点につきまして、いろいろ関係省庁とも御相談申し上げておる次第でございます。
  28. 須原昭二

    須原昭二君 ただ、いま対策は進行中だとおっしゃいますから、あえてひとつこの機会にその他の特別の配慮をすべき段階に来ておる、こういうことで具体的にひとつ提起をしたいと思うのです。したがって、その点についてひとつ厚生省から建設的な意見をお願いをしたいと思う。特に先ほどから申し上げておりますように、公衆浴場というのは保健衛生上、まず良質でなきゃいけない。あるいは安くなくてはならない。もう一つは、その経営そのものが安定的でなくてはならない。この三つの要件が私はあると思うわけですね。まず、良質であるためには衛生基準が守られなければならない。守るためには何をなすべきか。これはもう規則の中で明らかになっておりますように、浴槽の水は常に満水を保たなければならない。常に四十二度以上でなくてはならない。これは明確に書いてあるわけですね。そして一日に一度は完全に換水をしなきゃならない。前日以前に使った水は使ってはならない。こういう明確に基準が設けられております。あるいはまた浴槽の水の水質基準は、純度が五度をこえてはならない。大腸菌は一ミリ立方ですかにつき一個をこえてはならない。原湯、上がり湯の湯は、浴槽水が混和してはならない。あるいは浴室内に一カ所は飲料用のじゃ口を設けなければならない。こういうきびしい規定があるわけです。保健所はこの問題についてきびしくやっているわけですね。そういう基準を業者の皆さんが守るとするならば、十分な原水と十分な燃料が用意されなければならないということに実はなってくるわけです。そういう状態をいま考えでまいりますと、たいへんな経営の内容をわれわれはうかがい知ることができるわけです。言うまでもなく、その浴場施設なんかを見ましても、実は私の住居のすぐ向かいに公衆浴場がありますから、私もよく利用しますから、よく知っておるわけです。きわめて高い湿気が常時立ち込めております。したがって、少なくとも聞くところによりますと、五年に一回は内装改修をしなきゃならない。経営者に聞いてまいりますと、大体内装改修をするにも五百万円かかる。十年に一回はタイルを張りかえなきゃならない。大補修をしなきゃならない。これがまあ大体一千万円かかるそうです。あるいはボイラー——このころ重油をたくもんですからボイラーをたく。もう半日たきづめでありますから、したがってこれは三年に一ぺんは改修しなきゃならない。こういう費用を見てまいりますと、実に施設設備に要する経費が、他の業種には見られない過大なものであると言わなければならない。だからそれは金借りりゃいいじゃないかと、こういうふうに、いまたとえば一つの方法としてという局長からの話でありましたけれども、たとえば金を借りるにしても、またもうけてこれ返さなきゃならないわけですよ、ただでくれるなら別の問題ですが。しかも料金は統制をされておる、上げれば利用者が負担がかかってこれは利用率が少なくなっていく、こういう条件に制約があるわけです。したがって、このような特別の条件下における過大な設備投資に対して、当然私は公共的に、特別な財政的、行政的な配慮というものは、当然起きてこなければならないのではないか。そういう点について、実はまあ若干の金融の措置あるいはまた税制の措置が最近とられておりますけれども、これだけでは私はこの業者の立場を守ることもできないし、これを利用する利用者の皆さんの利便に供することもできないと思うわけです。そういう点についてどうお考えになりますか。
  29. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) まさに先生指摘のとおりな状況になってまいっておるわけでございますが、従来はある程度この公衆浴場経営がよかったわけでございまして、したがいまして、国民の健康を守るという立場からは、衛生的な基準の順守ということで、保健所におきまして厳重な監視を行なってまいったわけでございますが、衛生上の基準を守るという点につきましては、今後ともこれはやはり国民の健康を守る上にはどうしてもやらざるを得ないわけでございますが、そういった点で、これが料金にはね返るというような点で、やはり料金ですべてをまかなうという点では非常に無理な点があるわけでございまして、このジレンマをどういうふうに今後解決するかということでございますが、まあ、われわれといたしましても、長期的な展望のもとに公衆浴場、たとえば非常に大きな社会資源を持っておるわけでございますので、そういったものを生かして経営の多角化、近代化を促進することによって経営の安定化をはかるような方法を進めてまいりたいと思うわけでございまして、本年度におきまして、特に学識経験者からなります公衆浴場近代化促進検討委員会というもの、これは四十九年度におきまして新たに予算が認められたわけでございますが、この学識経験者からなる近代化検討委員会におきまして今後の方策をさらに検討してまいりたいと思っております。
  30. 須原昭二

    須原昭二君 そうすると対策は、この専門家を集めた検討委員会の答申を待ってと、そういうことなんですか。
  31. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) ちょっとことばが足りずに申しわけございませんが、それまでの間、われわれといたしましても、従来から行なっておりますいろんな、たとえば金融の問題あるいは税制の優遇の問題、そういった従来からやっておりますこと、あるいはまた、われわれ自身で考えつきます方策等を強力に進めてまいる所存でございますが、さらに基本的に長期の観点から、この学識経験者の御意見を聞きたいと、こういうことでございます。
  32. 須原昭二

    須原昭二君 長期的な問題点は検討していただくことにして、じゃあ、当面のその金融なり、あるいは税制の対策なり、この問題でひとつそれじゃお尋ねをいたしたいと思います。——環境衛生金融公庫の方見えますね。  実は、環境衛生金融公庫の融資額、これを見ますと限度額が他の業種は一千五百万、浴場に限って三千万円。ただしこの経営多様化資金というのはさらに三千万円にしたと、一千万円からね。こういうただし書きがございますけれど、その利率を見ますると、基準金利が八・九%、こういうことですね。浴槽については七・五%、償還期限十カ年、これは他と同じですね。この数字を見まして私は考えるのに、まあ浴槽に対する七.五%の利率、あるいは限度額三千万円を除くと、他の環境衛生のいろいろの業種に比べて何ら変わっておらないですね。特別な配慮がないわけです。こういう点に、まずおくれている側面を見受けざるを得ないわけです。この点についてはどうお考えになりますか。
  33. 河原輔之

    参考人河原輔之君) 浴場業につきましては、料金等の規制等の事情もございまして、ただいま先生指摘ございましたけれど、金融面においては特別な配慮をほかの業種よりいたしてきているのでございます。特に金利につきましては、昨年度から基準金利より安い、いわゆる特利の適用の設備を大幅にふやしまして、貸し付け金利の実際の引き下げをはかってきておるわけです。ただ、金利その他貸し付けの償還期限の問題等につきましても他の業種との均衡あるいは金利体系等の問題もございますが、これらの貸し付け条件につきましても、厚生、大蔵両省とも協議の上に、今後一そうその改善をはかっていきたいと考えております。
  34. 須原昭二

    須原昭二君 やはり公共性という公衆浴場の性格からいって、いま一つは物価統制令によって料金を押えられておる、そういう側面は他の業種とは別なんですね。ですから、特別に配慮しなければならない要素はあるわけです。それが同一なんですね。特に私がこの際聞いておかなければならない問題点は、この基準金利が八・三%から八・九%に上げられているわけです。いままで下げてきたのです。それを今度上げた。なぜ上げたかというと、これは総需要抑制のために一般市中銀行が金利を引き上げる、これに呼応して一緒に上げているわけですね。一般市中銀行が貸し出すお金と、政策金融として出すこの環境衛生金融公庫の融資とは本質的に違うわけですよ。こういう点を同率に考えるところが私は官僚のお仕事と言いたいのです。何か一緒に何でも上げればいいのだと。総需要抑制といっても政策金融なんですよ。これを一緒に上げる心理が私はわからないわけです。そういう点について認識は非常に浅いんじゃないか、こういう点を考えますが、どうですか。
  35. 山田幹人

    説明員(山田幹人君) 私のほうからお答えさしていただきます。  公庫の貸し付け金利でございますが、政府関係金融機関の金利もやはり全体としての長期金利体系の一環をなしておるわけでございまして、従来民間の興長銀のプライムレートと連動して動いてきたわけでございますが、最近におきましては運用部の借り入れ金のコストも上がってまいりました。というのは、全体の預金金利引き上げ、——需要抑制ももちろんございますが、そういった預金金利引き上げに伴いまして民間のプライムも上がってきた。一方、預金金利が上がれば郵貯の金利も上がるということでもって、資金運用部からの借り入れ金コストも引き上げざるを得ない。そういったことで、確かに御指摘のように一番下がりましたのが一昨年から昨年の……
  36. 須原昭二

    須原昭二君 一般論を聞いていないのだ。比較を言っているんだ。
  37. 山田幹人

    説明員(山田幹人君) ええ。  で、七・七まで下がったわけでございます。そのときにはプライムレートなり開銀なりそういった基準金利と同じ七・七で並んでいたわけでございますが、その後引き上げが徐々に行なわれました中で興長銀のプライムレートは九・四、で、開発銀行はそれに合わせて九・四にいたしましたけれども、中小関係の一環として環衛公庫基準金利は八・九ということで、最低のところから見ますと一・二上がっただけにとどまっております。この間コストはと見ますならば、運用部の六・二が七・五で一・三上がっておるわけです。したがいまして、そこのところはわれわれとして最大限の何といいますか、考慮を払ったつもりでございます。  なおつけ加えますならば、先ほど指摘の特利でございますけれども、四十八年度に大幅に拡充いたしました結果、浴場業に対する特利割合を見ますと、一般の環境衛生金融公庫全体の特利割合は金額で二九%でございますけれども、浴場業につきましては五七%ということで、半分以上が特利適用ということで、先ほど御説明ありました特利対象設備の大幅拡大ということがここにはっきりあらわれていまして、一般のものよりは倍の特利適用割合になっておるということをつけ加えさしていただきたいと思います。
  38. 須原昭二

    須原昭二君 どうもいま御答弁聞いておっても、何か少しは金利を上げる率が低いんだと、こうおっしゃいますけれども、われわれこういう政策金融というのは、そういう対比でものを見るべきじゃないと思うのです。福祉優先というのはこれはきちんとすべきだ、こういう視点から実は設けておるわけです。ですから、大蔵省においても厚生省においても、上から見ているから問題があまり深刻に考えられない。地元の市町村の段階になると非常に深刻に対応せざるを得ないわけです。したがって、御案内のとおり、すでに三十の都道府県においてはこの利率を三ないし五%の利子補給をやっているんです。どうせ下でやるなら上の、もとの出すところで金利をやっぱり下げていく、そのぐらいの私は対応をするのが当然の任務ではないか。上のほうで見ているからあまりその切実な要求というのは耳に届かないのか、感じないのか、こう言わざるを得ないわけです。すでに三十の都道府県においては三ないし五%の利子補給をやっている都道府県が多いわけです。それもばらばらなんです。一応国から出るところの環境衛生金融公庫の金利に対して利子補給を都道府県がするなら、中央のほうで、もとのところで金利を下げていくのが私は至当ではないか、それだけに私は大蔵省も厚生省も上から見ておってあまりものの切実さというものは痛感されておらないのではないかと思うわけですが、そういう点についてひとつ厚生大臣、大蔵省とひとつお話しになって、この点はやはり都道府県がやっているのを国が肩がわりするぐらいの積極性を私は持つべきではないかと思うんですが、その点はどうでしょう。
  39. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 公衆浴場に対する融資につきましては特利の範囲を広げるとか、まあ、いろいろやっておるわけでございますが、なるほど最近のように公衆浴場が減ってまいりますと、やっぱりこれは相当いろいろ考えなきゃならぬ問題がたくさんあると私も思っております。それからやっぱり人口割りの標準的な数もはっきりこのぐらいは必要だというならそれだけ守るとか、そして、まあ、それでその数を確保して、それに対して経営が成り立つように、料金にしわ寄せばかりさせるというわけにいきませんから、こういうふうな金融の問題あるいは税制の問題等も出てくると思いますが、そういう問題につきまして今後とも大いに善処し、努力をいたしたいと思います。
  40. 須原昭二

    須原昭二君 ひとつぜひとも善処していただきたいと思います。善処したいという大臣の意向を私は了として、少なくとも、私はこの際要望しておきますが、まあ、やはり利率はああした大きな設備投資をしていく、そして料金は統制をされておる、あまり上げれば利用者が少なくなるという現状から言うならば、少なくとも今日の物価高の中で対応し得るのは私はせいぜい三%ぐらいの利率、しかも十年の償還期限で一千万も二千万もかかえたら零細な経営では大改修をやっても金が返せられないですよ。もっと十年を二十年ぐらいに延ばしていく、このぐらいの英断を私はとってもらいたい。この点はひとつ要望しておきましょう。  さらに税制の問題で若干やっておるというお話でございました。固定資産税の減免措置について最近自治省は不均一課税ですか、の課税扱いにするよう市町村に通達をされたというようなことを私は聞いておりますが、これでは私は不十分だと思うんです。やはり公共性のある浴場の固定資産の特別な私は措置をすべきではないか、こう思うんですが、その点はどうでしょう、自治省
  41. 福島深

    説明員(福島深君) ただいま先生からお話がございましたように、固定資産税につきましては最近通達を出しまして土地にかかる固定資産税の軽減を実態に即して講ずることが適当である旨の指導をいたしておるわけでございます。申し上げるまでもないことでございますが、固定資産税の場合には土地に対する固定資産税、家屋に対する固定資産税とございましてそれぞれ課税されるわけでございますが、公衆浴場の場合の建物につきましては御承知と思いますけれども、他の用途に供します同種の建物に比べまして償却耐用年数を短縮をするというような措置は四十八年度におきましてもとったわけでございます。最近土地がいろいろ高騰しておりまして、土地に対します固定資産税が非常に重いというような問題が、これは一般的な問題でございますけれども、確かにあるわけでございますが、その建物の一部が居住の用に供されておるというような場合につきましては、これは程度によりますけれども、四分の一とかあるいは二分の一以上居住の用に供されている場合には、それぞれそれを宅地、住宅用地というような判断をいたしましてそれぞれの軽減措置をとっておることは御承知のことと存じます。しかし、いずれにいたしましても、公衆浴場経営がたいへん苦しくなっていることは先ほどお話を伺ってよくわかっているわけでございまして、そのような意味から、納税者の担税力というものに応じまして、この特に問題であろうかと思います土地固定資産税の負担につきましては適宜減免の措置を講ずることが適当であるという通達を出したような次第でございます。
  42. 須原昭二

    須原昭二君 適宜というような自由裁量型ではなくして、やはり画一したもっと強力な指導をひとつお願いをしたい、この点をお願いをしておきます。  さらに不動産取得税の問題点です。やはり日本の銭湯というのは伝統的な職業なんです。したがって、日本の気候風土に見合った立場からいってこれは非常に歴史的な職業なんですから、したがって一人の経営者が二つ、三つと経営している場合もあるわけですね。そして、何年かつとめた人に、二十年も三十年もつとめた人にのれん分けをして渡す場合もたまたま私たちも聞いているわけです。こういう場合にはやはり考えてやらなければならない。いま一つは、年が老いて子供に譲らなければならない。子供もなかなかこんな浴場なんか経営したくない、ほかの仕事へかわったほうがいいというむすこさんもあるわけですね。そういうときには、まあ二十年ぐらいは今後浴場をやるんだ、公衆浴場経営してやっていくんだという条件つきで二分の一ぐらいの減免の措置ができないものであろうか。——私の私見でありますが、こういうやはり抜本的な措置を講じなければ、代々続いてきたものがここでとまってしまうという可能性が非常に強いと思うわけです。そういう点についてはどのような見解を持たれますか、どうですか。  さらに加えて申し上げておきますが、これも自治省の関係になりますが、事業税ですね。たとえば診療所なんか、お医者さんでは事業税を免除されているわけです。まあ成り立つ時代の、終戦後当時の公衆浴場ならともかくとして、これから将来を見越して公衆浴場というのはだんだん消えていく、こういう前提に立つならば、この公共性というものを考えて、事業税というようなものは私は減免もしくは撤廃をしたほうか、——撤廃すべきだと実は思います。そういう点について自治省はどういうふうにお考えになっておりますか。
  43. 福島深

    説明員(福島深君) 初めに不動産取得税のお尋ねでございましたが、不動産取得税の場合には、新たに土地なりあるいは建物を取得する場合に、その取得をする行為というものに担税力を見出しまして課税をするという一種の流通税と申しますか、そういう形をとっておりますので、公衆浴場についてだけ何か特例な措置を設けて対処するということは適当でないというふうに考えるわけでございます。  事業税につきまして、むしろ撤廃すべきだというお話がございましたが、これはまあ、たいへん大きな問題でございますので、それはさておきまして、公衆浴場に対する事業税を軽減をせよという御趣旨であろうかと思いますが、御案内のように事業税というのはある一つの施設を持ち、また事業活動をしている場合に、地方団体からかなりの行政サービスを受けていると、それに要する経費を広く負担をしていただくという趣旨のものでございまして、公衆浴場であるから事業税を特に減免をするという配慮はたいへんむずかしい問題であろうかと思います。  まあしかし、いずれにいたしましても、零細な事業者に対しまして税金がかかってくるということは、これはたいへん問題でもございますので、今年度は特に事業主控除という制度もございまして、これを百五十万に上げているわけでございます。これはちょっと資料古いんですけれども、四十七年度の数字を見てまいりますと、いわゆる環境衛生業と申しますかの平均的な所得が、大体年九十万というような数字になっておりまして、実際にはこれはいろいろ事業者によりまして差があろうと思いますし、二年前の数字でございますからさらにふえておると思いますが、まあ一般的に所得の面から見ましても、公衆浴場の場合にそれほど所得が上がっておるとは思いません。今度百五十万に上げますことによって、大半の公衆浴場がこれにかかりまして課税をされないというような事態になろうかと思うわけでございますが、しかし百五十万をこえて所得があって、なおかつ公衆浴場についてはそれを減免をするとか非課税にするとかいうことは、これまた税の性格から見て問題があるのではないか、このように考える次第でございます。
  44. 須原昭二

    須原昭二君 どうもその論理が……、診療所の場合、そうしたらどういう見解であれだけ免税になっているのか。ぼくは公共性からいったらこの公衆浴場だって同じだと思うんですがね、その点どうですか。  それからもう一つは、いま全国の浴場が納めている事業税というのはどのぐらいあるか、百五十万になったらゼロになってしまうのか、その点の分析がなされておりますか。
  45. 福島深

    説明員(福島深君) ただいま診療所に対します事業税との関連のお尋ねでございますが、医師の場合はこれはいわゆる社会保険診療部門について非課税扱いということに地方税の場合にはなっておりまして、その部分が落ちておるわけでございます。いろいろこれは問題がございまして、現在総理府の税制調査会におきましても検討いたしておりますので、その結論を待って均衡のある課税になるように考えていかなければならないと存ずるわけでございます。  それから公衆浴場の事業税がどのぐらいあるかということでございますが、先ほど私は環境衛生業全体で申し上げたわけでございますが、実はそれを公衆浴場だけで幾らという集計、私のほうでもいたしておりませんので、その点はちょっとつかみかねておるわけでございますが、まあ環境衛生全体的に見まして、第三種事業の中で環境衛生業だけ取り出してみますと、第三種事業の課税人員の大体四割ぐらいが人員の面では課税対象人員になるわけでございますが、税額の面で、課税所得の面で見ますと大体一三%程度ということで、たいへん率としては低いのではないか、したがって、その環境衛生業の中に入っておる公衆浴場につきましても、所得として上がってくるものはかなり低いものではないかというふうに考えているわけでございます。
  46. 須原昭二

    須原昭二君 ないかという疑問詞じゃなくて、一度公衆浴場で事業税どれだけ払っているのか、百五十万以上にしたらこれはもうほんとうに免税と一緒だというような事態になるのか、一ぺん調査していただいて、ひとつデータ出してください。これ、ひとつお願いです。  それからいま社会保険をやっておるからお医者さんの診療所は事業税かけないとおっしゃいましたけれども、自由診療でも実は事業税は免除されているんです。そういう制度からいくならば、当然公共性を持った公衆浴場の事業税というのはやはりゼロになって、減免をするというのは当然のことではないのか。どうも御答弁が何か正当化するための答弁のように私は聞き取れます。いずれにしてもこれらの問題点について税制の対応策についてこの公共性というものをもう少し認識を深めてやはり対応していただきたい。これは、きょう時間の関係ございますから、あまりこればっかりやっておりますと、時間がなくなってしまいますから、要望申し上げておきます。資料はひとつ後ほど出してください。  それからもう一つですね、公衆浴場の下水道の使用料の問題です。  私は、公衆浴場の排汚水というのは石けんは含まれておりますが、有害物質を含まないし、大量に水を流しておりますから、公共下水道の配管の洗浄に私は逆に寄与しておるのではないか、こういう点に着目をすれば下水道の使用料についてはさらに格段の減額措置をするとかということを市町村に私は行政指導してもいいんじゃないか、こう思いますが、その点はどうでしょう。自治省でも厚生省でもいいです。
  47. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) この公共下水道の利用料金の問題は建設省の所管でございまして、本日参っておりませんが、先生の御趣旨の点よくまた建設省のほうと連絡いたしまして善処いたしたいと思います。
  48. 須原昭二

    須原昭二君 これはひとつ、きょうこれ一つだけですから建設省はね。来ていただかなかったんですが、ひとつ厚生省から特に要請していただきたいと思います。結果についてはまた後ほど御報告をいただきます。  それから、こういう税制の問題、金融の問題、利子補給の問題あるいは下水道の問題等々、国は傍観をしておるけれども、実は各県独自でいろいろな助成措置が講ぜられているわけです。どうも国は常に地方自治体に責任をぶつけてしまって、そして抜き差しならぬ段階になってあと追いの形で国が行政に対応していくという状態なんです。しかし四十七都道府県ずっと見ますると、財政的に強いところもあるし、弱いところもあるわけです。まちまちなんです。したがって、この公衆浴場の問題についても財政の弱い県、財政の強い県これは非常に格差があるわけです。これはぜひともこの際、公衆浴場の公共的な性格からいって国が最低限度の底上げをするとか、あるいは地方自治団体の助成については統一的に行政をはからせるように国が抜本的にうしろから押すと、一緒になってやると、こういう対応のしかたが私は必要だと思うのです。もっと国が地方自治体おのおのにまかしておくのではなくて、統一的に、積極的に公衆浴場についてもっともっと私は財政援助を行なっていくべきであると思いますが、その対応のしかたについて厚生大臣どう思われますか。
  49. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) いろいろ問題が私はたくさんあると思うのです、これはね。税制の問題、それから金融の問題、各方面いろいろなさなければならぬ問題が私はたくさんあると思います。  そこで、こういうふうに転廃業公衆浴場がなくなっていくということになりますと、ほんとうにやっぱりたいへんだと思うのです。でございますから、これは須原委員も最初にお述べになりましたが、最小限度の数というものは確保するという前提に立ってこれだけは確保しなきゃならぬということを考え、そして国と地方が一緒になってこの問題に取っ組んでいく。それからまあ厚生省においては厚生省のやる分野というのは限られておるわけでございまして、それからやっぱり大蔵省なり、自治省なりの御協力もいただかなきゃならぬ、そういうことになるわけだと思います。そういうわけでやっぱり私どものほうももう少し、認識があるいは不十分であったかもしれません。でございますから、その実態というものを十分に把握して最小限度公衆浴場だけは確保しなきゃならぬということで、関係各省と十分連絡をとりながら、今後もう少し積極的に努力をしていきたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
  50. 須原昭二

    須原昭二君 各省が連携をもってひとつ統一的に対応すると、こういう御答弁ですが、実は先ほど大臣も非常に、この石油ショックのときに浴場でたく燃料、この問題について一番先に頭に上がったと、こうおっしゃいまして、私もなるほどやはり厚生大臣だなあと実は思ったんですが、その後の対応が悪いんですね。聞くところによりますと、一浴場大体一日にたく重油——B重油ですね、全国平均で一日大体三百リットルだというふうに聞いています。ドラムかん一本半だ。名古屋なんか聞いてみますと、二百五十リットルから三百リットルといわれておりますが、大体まあ三百リットルというのが平均だといわれております。その石油のショック前は一リットル当たり約十円ですね、十円。それが現在ずっと見てまいりますと、非常にアンバランスがあるわけですよ。私たちの愛知では協同組合組織をつくって非常に統一的にやっておりますから、十九円という非常に、まあ全国的からいって安いほうです。しかし東京なんか見ますると、二十二円三十銭、山口なんか三十四円三十銭。非常にアンバラなんですね。農漁村では、いわゆる耕うん機だとかあるいは漁船の燃料だとか、こうしたものについては価格が一本化されて、統一されております。切符制に実はなっている。こういう点の対応は当然私は厚生大臣が非常に燃料で重油の問題が頭に浮かんだとおっしゃいますけれども、実はそういう対応が全然ないわけです。通産省へ業者の皆さんが陳情に行ったそうです。そうしたら、おれのところへ来る前に厚生省から行ってこいと、こう言って門前払いなんですね。じゃあ、厚生省のほうが通産省にものを言ったかというと、その後ナシのつぶてなんです。厚生省から言っておったらそういう回答は出てこないと思うのです。こういうところが、各省間におけるところの対応策というものが非常に弱いと言わざるを得ない。たまたま厚生大臣がまあ各省連携をもってやろうとおっしゃいましたから、そのことばじりをつかまえるわけではございませんけれども、実態を見るとこういう状態なんです。したがって、まず私は、この浴場が一日にどれだけたくぐらいのことは大体わかるわけです。週休一日として二十六日たく、そうすると二十六かける三百、こういうことで必要燃料というのは出てくるわけです。通産省に言わせると、まあ、そういう切符制にすると横流しをしてたいへんなことになる、こういうことで何か対応しないようでありますが、少なくとも厚生省と話し合えばそういう視点は理解させなければならないと思う。そういう理解させないところに厚生省の私は責任があるのじゃないか、こういう点を痛感をするわけでありますが、一つ重油の問題を取り上げましても、そうした横の連係が密になっておらない。だから早急にこの重油の対策については全国的に統一がとれる、そういうような体制がしけないかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。どうですか。
  51. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 公衆浴場が必要といたします重油につきましては、先ほど大臣からも御説明いたしましたように、まあ、われわれといたしましても、国民の健康を守るという立場から、その量の確保に従来努力してまいったわけでございますが、まあ、その量は一応確保されましたものの、現在その価格の高値が残ったために、これが浴場経営に非常に圧迫を加えているという点につきましては先生指摘のとおりでございまして、われわれといたしましても、この重油の値上がりが料金に原価計算上著しい影響を及ぼすというような場合につきましては善処願いたいというようなことで、通産省のほうとも御相談しておるわけでございますが、この重油の値段の問題につきましては、特にこの公衆浴場のみでなく、環境衛生営業全般にわたりましての問題といたしまして、従来から話し合いを行なっている段階でございますが、われわれのほうといたしまして現時点においてできますことは、この環境衛生同業組合が共同購入いたします場合には、この環境衛生金融公庫からの融資という道も開けておりますので、この融資の道を利用いたしまして環同組合の共同購入等につきましての指導をなお今後強化してまいりたいと思っております。
  52. 須原昭二

    須原昭二君 それはもちろん共同購入はやらなければならないと思う。しかしながら、そういう行政指導をやれば安くなる。しかし遠いところだから運賃がかかるから高いと言うけれども、沖繩は安いんですね、一般的に言って。そういう地域的に、東京はこういう価格でも、すぐお隣の栃木は高くなっておる、こういうアンバラはやはり行政指導でやれるわけです。そういうところに対応のしかたが非常に各省との関連が私は弱い、こういう点を指摘をしなきゃいけないと思うんですよ。ですから、ぜひとも業者だけにまかすんじゃなく、あるいはまた金融機関で、環境金庫で金を借りられるから、そちらで金融の面からやりゃいいんだという、そういう水くさい答弁じゃなくて、抜本的なやっぱり対策を講ずる必要があると思うんですが、そういう熱意はないんですか。通産省とはどういう話になっているんですか。
  53. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) この通産省との間の価格の問題につきましては、いろいろ連絡はとっておるわけでございますが、さらに、その地域差等そういった問題につきましても、今後通産省のほうにさらに強力に要請してまいりたいと思っております。
  54. 須原昭二

    須原昭二君 どうも対応が非常に弱いですよ。もう少し公衆浴場の公共性あるいは環境衛生同業組合の中においても、環境衛生といういろいろの職種に比べて、公衆浴場の公共性というものに重きを置いて優先をするようなやはり熱意をひとつ示してもらいたい、こう思います。  時間の関係がございますから、早くやめなければなりませんが、いま一つ、厚生省が当然やらなければならないことを業者に負担をかけておるという側面があるわけです、逆に言って、今度は。たとえば私の地元の名古屋を見ますると、毎月十五日は老人の入浴料を無料にしております。あるいは生活保護家庭はたいへんだろうということで、一カ月に一人は三回当て半額にしております。こうした社会的弱者に対して浴場経営者の集団が善意をもって対応しているわけです。苦しい経営の中からこうした社会的弱者に対して何とか対応しようということで出血サービスを実はしているわけです。好きこのんで経営が苦しいのにやっているわけではないわけです。当然これは公共的な立場にある国、地方自治団体が負担をしなきゃならないものを、経営者に押しつけておると言っても私は過言ではないと思う。こういう状態考えますときに、実は名古屋市は、こういう問題を私たちが陳情して、少なくとも、ことしの四月一日から、生活保護家庭人々については、一カ月に一人二回だけ市で負担をする、ここまでこぎつけました。これは名古屋市の例です。全国の中でもやっているかどうかは知りませんが、こうした公共的にやるべきものまで業者が負担をしている現実を見るときに、少なくとも国の、厚生省として、これに対応するやはり対策考えるべきではないか、こういう点は、ひとつ、特に社会的弱者の問題で今度は非常に努力されたと思っております厚生大臣、どうですか。こういう対策は国がやはり中心になってやるべきじゃないかと思うんですが、大臣の所見をひとつ承っておきたいと思います。
  55. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) これは老人対策あるいは生活保護対 策等の問題ともからんでいる問題でございまして、今後社会福祉当局とも十分話し合いを行ないまして検討してまいりたいと思っております。
  56. 須原昭二

    須原昭二君 どうもきょうは初めから終わりまで検討ばかりで私は非常に答弁を了とするわけにはいかないわけですが、検討、検討のさらに検討を追及しますと、時間がかかってしまいます。残念だと思いますが、時間も来たようでありますから、結論に入りたいと思うわけです。  環衛公庫におきましても、多角化資金三千万円のワクが上がる。このぐらいの金で、しかも十年の償還では、実は老朽化した浴場を建てかえて、これを継続をするということは、非常にいまの実態からいってむずかしいわけです。一口で多角経営厚生省はすぐおっしゃいますが、あの零細な——都心で大きな企業が、関連的な仕事として浴場を一つやっている、ほかの仕事もやっているけれども浴場もやっているというならば、都心のまん中では、多角経営というのも、採算を度外視してやることも可能だと思うのですが、素朴な一般ふろ屋さんというような概念でいう浴場経営者の皆さんは、多角経営というのは夢物語か絵にかいたもちみたいなものですね。こういうのは、私たちから感じますと、政府というのはどうも机上プランが多過ぎて、実態をつかんでおらないのではないかという認識を持たざるを得ないのですが、この現実の浴場を理解しているかどうか、ここに私は問題があると思う。この多角経営の問題について、どういう考え方でこういう問題を出されたか、この際お尋ねをしておきたいと思うのですが、どうですか。一部の人しか利用できませんよ。
  57. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) この公衆浴場というものが、普通の営業に比べまして非常に広大な土地を持っているというような点があるわけで、これは一つの不動産投資を行なわれておるわけでございますが、そういったすでに過去において投資いたしました不動産効率的に利用いたしますには、やはり従来のような公衆浴場の形では、これが平面的に利用されておるわけでございまして、これをある意味においては高層化することによって、より効率的に利用できるのではないかというようなことを考えておるわけでございます。  さらに先生指摘の、地域によって、非常に多角化といっても実態が違うのではないかという御指摘でございますが、まさに先生指摘のとおりでございまして、先ほど申し上げましたこの近代化検討委員会におきましては、地域の特性に応じた、これはある程度の分類になろうかと思いますが、それぞれの地域ごとの多角化のパターンを検討いたしたいと思っております。
  58. 須原昭二

    須原昭二君 広大な土地効率的に利用するためとおっしゃいますけれども、おとうちゃん、おかあちゃん二人で営業しているおふろ屋さんで、そんな三千万円借りてやって、採算が——三十円か四十円取るようなこの浴場を、そんな経営できると思われますか。一般的な概念からいっても、そんなものは夢物語ですよ。大きな経営をやって、ほかにも浴場もやり、いろいろな遊興飲食業もやっている、そういう一つの一環として、ここでは採算合わぬけれども、こちらでもうかるからやるというなら、これは一つの方法として考えられるでしょう。しかしそれは全国の浴場の中で、ほんとうにごくわずかの、数本の指の中におさまる人だけのことですよ。私はこの際明らかにしてもらいたいと思うのですが、この多角化経営で三千万借りた人がどれだけあるのか、数字を一ぺん明らかにしてもらいたいと思います。どうですか。
  59. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 経営多様化につきまして融資を行なっております事例が、昭和四十八年度におきまして、これは九月末現在でございますが、二十軒に対しまして八千百四十六万の融資を行なっております。一軒平均いたしますと約四百万になろうかと思います。ちなみに四十七年度におきましては、二十三軒に対しまして六千七百六十万円と、こういう数字になっております。
  60. 須原昭二

    須原昭二君 いまの数字を見ていただいて、大臣、お感じになったと思うのですね。四十七年の公衆浴場数が一万九千六百五十一軒、その中にたったわずか二十軒ぐらい。ほんとうに指の中で数えていいぐらいの少数の人しか利用価値がないんです。これでは、多角経営を打ち出したから公衆浴場は成り立つんだというような美辞麗句を並べずに、このとおり抜本的に、まず多角経営という前に、私はこの廃業しつつあるところの浴場そのものの経営をある程度安定のめどをつけるということが私は先決でなくちゃならぬ、安定のめどを立てておいてから多角経営というものを指導すべきだ、こういうふうに私は実は思うんです。その安定のめどが立っておらないのに、そういうめどを立てないところに私は厚生省対策がおくれておる、こう言わざるを得ないんですが、その点厚生大臣、いま御発表になりました数字を見てどうお感じになりますか。私はまずこの廃業しつつあるところの公衆浴場というものの安定をさせると、そのめどを立てることが先決で、何か多角経営をやりゃいいんだというような、まぼろしのものを打ち上げて、これで公衆浴場対策終われりでは、これはほんとうに対策になっておらない。まさに私は官僚の机上プラン、こう言っても過言でないと思いますが、その点はどうです。
  61. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) この公衆浴場につきましては、先ほど来申し上げてありますように、低所得階層にとってはこれはもう絶対になくてはならぬ非常に公共性の強いものでありますから、最小限度、どの程度の数は別として、これはもう確保しなけりゃならぬ、私はそう思います。したがって、現在ある公衆浴場転廃業などせんで済むように、安定した基盤に立って経営ができるように、やはりこれは国なり県なりが一緒になって対策を講じていくべきであろう、私はさように思います、これは。でございますから、特にまあ石油の危機以来、公衆浴場経営が非常に苦しいと思います。そういう意味におきまして、料金問題もある程度の合理的な線に持っていかなけりゃならぬと思うんです、これは。これはやっぱり統制令によって押えられているといいましても、やっぱり経営でありまする以上はある程度のものにならなけりゃならぬ。そうたくさん上げるということになると、そういう需要者に対して負担増になりますから、その辺はよほど注意はしなけりゃなりませんが、ある程度の料金合理化もやっぱりはかっていかにやならぬ、私はそう思います。それと同時に、金融なり税制の面において、できるだけのことは考えてあげる、こういう措置が必要でございましょう。そういう意味において考えてみますと、確かに厚生省実態の把握が不十分であったという点については、私も率直に先ほど認めたわけでございます。そういうふうな反省の上に立って、今後もう少し公衆浴場実態というものを把握して、そして、これ以上転廃業はせぬで済むような、安定した基礎の上において経営ができるように今後努力していかなけりゃならぬと考えております。  それから、いま御指摘多角経営の問題私もあんまりよく存じません、ほんとう言いますと。率直に私は言います、よく知りません、私も。はたして、二十軒くらいのもので、それがどの程度の金額になっているか別でございますが、やっぱり多くの公衆浴場が必要とするところに金というものは回っていかなけりゃ意味がない、私はそう思います。一部の、一万軒の中で二十軒や三十軒だけが助かるようなことであってはいけない。やっぱり多くのものが喜んで、ああ、なるほどいい金融を厚生省がやってくれてんだなあと、こういうふうにならなければ、これはやっぱり環境衛生金融公庫、その目的を達成しているとは言えません。だから、そういう意味において、先ほど大蔵省の課長さんからもお話ありましたが、できるだけ公衆浴場についてはやってるんです、よそに比べますと。しかしまあ、これだけでは十分だと思いませんから、先ほどもお答えいたしましたが、もう少し実態を把握して、今後もう少し成り立つように善処してまいるように努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  62. 須原昭二

    須原昭二君 厚生大臣ね、何と言っても、きょういろいろ一時間半ぐらいにわたって御質問申し上げておるわけですが、厚生省基本的な浴場対策に対する、経営そのものに対しても、きめこまかい指導が全然皆無だということですよ。やはり公衆浴場経営が不振から、いま転廃業がどんどんふえていく、ふえていけば、入浴需要を押えるわけですから、どうしても国民の健康、保健衛生上ゆゆしき問題になっていく、こういう点がある。料金合理化をやらなきゃならないといって、料金上げてすれば、低所得階層入浴がはばまれてしまう、こういう側面がある。さらにまた、この設備基準をきちんとしなければ衛生上看過するわけにはいかないから、これはもっときれいにせよ、水準をきちんとせよと、こういうことになりますと、建物は老朽化していくんですから、これは建てかえなければならぬ。そうすると、五千万も建てかえ費用がかかる。そんな投資をするのだったらほかへ転業をしたほうがもっと採算が合うというのがものの道理ですよ。そういう点を考えてくると、この当面悪化した浴場経営合理化をはかるためには、もっと営業者経営などに対して厚生省自体がきめこまかい指導が私は必要だと思う。ただ、多角経営をやるんだというアドバルーン上げれば、公衆浴場対策これで万全だというようなものの考え方というのがこれは間違いだと思うんです。したがって、そういう対策が微々たるものであるということは、せんじ詰めれば、厚生大臣もあまり実態をよく掌握しておらない。それは厚生大臣ですから、多くのたくさんの総括的な責任がございますから、浴場だけに目を配っているわけにはまいらないでしょう。しかし、少なくても厚生省のその公衆浴場の局ぐらいは、これは実態を掌握しておらなきゃならないと思うんです。その実態を掌握しておらないことは、ただ経営の中の、その料金の問題についての収入、支出ぐらいの中ぐらいわかっているけれども、社会的な対応、いわゆる公衆浴場がどういう形でなくなっていくのか、そして、その利用者がどういう分布状態にあるのか、そういう実態をつかんでおらないところにこういう問題がおくれておると思うんです。したがって、当初に戻りますけれども、直ちに、——長期展望というものは学者にまかしていけばいい。しかし、実態をまず見きわめることは厚生省自体がやらなければ、学者だってわかるわけじゃないんですから。したがって、直ちにやはり全国調査を実施すべきだと私は思います。その点について、まあ検討するという当初のお話局長からございましたけれども、厚生大臣実態をまずつかむために全国調査をやりなさい。私は特に要望しますが、どうでしょう。それで質問終わります。
  63. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 一々ごもっともだと私は思います。実体なくして行政の発展はありません。でございますから、まあ環境衛生の課長さんも熱心にこの問題、取り組んでいるんです、実は。そうおっしゃいますけれども、一生懸命やってんです。一生懸命やってんですが、こればかりにかかり切るというわけにもいきませんから、いろいろ問題があるわけでございますが、確かに仰せのごとく公衆浴場の果たす公共的な役割りというものは十分認識し、その上に立って、実態把握のための調査を全国的に行ない、そして、いろいろ御指摘をいただきましたような、きめのこまかい施策をやっていくように努力をいたしたいと思います。まあ公衆浴場対策というのは、そんなにはなばなしい対策は打てないと思うんです、これは。一軒一軒、やっぱり地方地方によってもいろんな事情がありますから、国だけでもできません。ですから、国と県が一体になって、その実態把握の上に立ってきめのこまかい施策を講じてまいる、こういうふうにいたしたいと思います。
  64. 須原昭二

    須原昭二君 ぜひひとつ厚生大臣、お約束をしていただきましたから、前向きで、早急に、長期の展望は学者にまかしておいて、実態いまどんどん廃業しておるんですから、四十七年は一日に二・六軒ずつ減っていくんですから、この対応に直ちに応急措置を講ずるようにぜひ要望しておきたいと思います。
  65. 小平芳平

    ○小平芳平君 ちょっと局長、引き続き質問します。  年金、それから未熟児網膜症、こうした点について質問したいわけですが、まだ政府委員がそろっておりませんので、さしあたりこの前質問しました高山市の水道の件について質問いたしたいと思います。  この件については、厚生省に対して私が調べてほしいということを申し入れたについて、四月一日に厚生省から回答されてまいりました。で、その厚生省が調べた回答によりましても、水道事業を認可するときの水質試験の分析データ、——それは四回の分析データが厚生省へ出されているわけですが、そのうち三枚は採水者の名前が入っていない。それからあるいは採水の場所が入っていないというふうな、そういうものをもとにして水道事業を認可していいものかどうか。それが何らの問題がない地点ならともかく、膨大な廃抗をかかえている水源地だというところから問題を指摘して、前回の委員会でも齋藤厚生大臣から、水は心配ないようにしなくちゃいかぬと、水に関して市民に心配かけるようなことは絶対あってはならないと、こういう強い大臣の御答弁があったわけです。あったわけですが、その後、地元においては何ら手が打たれておりません。手が打たれておりません上に、そもそも認可する段階で、そういう欠陥資料で、欠陥の分析データで認可したことに対してどう考えますか。極端に言えば、だれがどこでどの水を取ってきたかわからない、その分析結果を見て認可を与えたということに対していかがですか。
  66. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 実態はただいま先生の御指摘のとおりの実態でございまして、ただ水道事業は本来市町村が経営しているものでございますので、われわれといたしましては、市町村という一つの公共団体でございますので、従来この水質試験結果書の様式等につきまして局長通知でこれを様式を定めておるわけでございますが、この様式の中には採水者の氏名を記入するように求めておらないわけでございまして、これをもって直ちにその当時におきましては欠陥資料というわけにはまいらないかと思いますが、ただいま先生指摘のように、その責任をはっきりさせるというような意味におきまして、今後そういった点を改良、改善いたしていきたいと思っております。
  67. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうすると、厚生省の通知がおかしいですね。いつ、だれが、どこで何の水を取ってきたかわからない、けれども、水質分析の結果は確かに適合していると、それでそこの水道事業を認可するということ自体全く考えられない。県が取ってきたと言ったって、あるいは市が取ってきたと言ったって、採水したと言ったって、市のだれなのか、県のだれなのか、あるいは採水地点が入っていないようなもので認可されるということは大間違いじゃないですか。
  68. 福田勉

    説明員(福田勉君) お答えいたします。  ただいま局長述べましたように、この様式につきましては、昭和三十三年の局長通知によって様式が示されているわけでございますが、その中に採水場所、それから採水年月日、及び検査場所、検査責任者、これは明記するようになっているわけでございます。したがいまして、いま先生おっしゃるのはごもっともでございますが、岐阜県でこの件に関しまして出してまいりました認可申請書につきましては、検査機関及び検査責任者、あるいは取水場所、これは四枚のうち一枚が取水場所につきましては村名が記入されておりまして、地番と河川名が脱落しているという事実がございましたが、他は満たされておりまして、その当時はそれで十分条件は兼ね備えていたというふうに見ていたと思っておりますが、この問題につきましては各県でやはり民間の水質の委託検査というものがございまして、個々の人が水を取りまして検査を依頼するというケースも兼ねて検査申請書をつくっているというふうに聞いておりますので、今後先生の御指摘のようにどういうふうにすればいいかという点をあらためてさらに検討してまいりたいというふうに存じております。
  69. 小平芳平

    ○小平芳平君 今後改めますと言いますけれどね、いま問題になっているのは高山市の昭和四十六年十二月に給水開始した水道について私は問題点指摘しているのです。厚生省がその水道事業を認可したときには高山市あるいは岐阜県衛生研究所ではもっと何回も水質分析をやっておりますが、この中の四回分だけを厚生省へ提出をした、そのうち三枚はこの取水した人が入っていない。一枚だけ入っているのはどういうわけですか。それから三枚とも採水場所が入っていて一枚は採水場所が入っていない。いかにも現に不安な思いをして水を飲んでいる市民としては人をばかにした話にもほどがあると、こういうふうに思いませんか。
  70. 福田勉

    説明員(福田勉君) 先生のおっしゃるとおりごもっともでございまして、昭和四十五年の申請の当時には採水者氏名を記入することは局長通知では求めておりませんので、書いてこなかった点もあると思っております。ただ、岐阜県の様式によりますと採水者の氏名欄が先ほど申し述べましたように、いろいろこの検査書を、申請書をほかにも利用しておりますので、記入欄があったんだと思いますけれども、厚生省の検査結果を調べます際には採水者の氏名というのを要求しておりませんので、その点は脱落があったかと存じます。それから採水場所につきましても同様でございますが、これはやはり地番、河川名というのをはっきりと明記すると言うべきであったというふうに思っておりますが、たまたま四枚の中の一枚がその地番と河川名が未記入であったというふうに考えております。この点は今後こういうことのないようにやはり指導しなければいけないというふうに考えております。
  71. 小平芳平

    ○小平芳平君 それからもう一つの問題は、県の衛生部長は保健所職員が立ち会いの上やったと言っている、そういう文書で返事をしている。保健所長は私のほうの職員は立ち会っておりませんと、こういうふうに返事をしている。どうしてそういうちぐはぐな返事を出すんですか。
  72. 福田勉

    説明員(福田勉君) この点について私のほうで調べてみた結果を申し上げますと、岐阜県の衛生部長から大森清男さんあての文書出ておりますが、それと高山保健所長から同じく大森清男さんあての文書の内容を比べてみますと、いま先生指摘のとおり採水の立ち会いについて相違が見られております。これはどちらが正しいかというのはにわかには判明しないわけでございますけれども、採水をするときにはおそらく十回あるいはそれ以上の数にわたりまして採水をしていると思われるわけでございまして、そのうちの何回かは立ち会われて行なわれたかどうかという事実でございまして、これはつまびらかにはいたしません。ただ、水質検査のための採水につきましては、先ほど局長も申し上げましたように、まあ市町村という地方公共団体の責任について地方公共団体が行なうものでございますから、その地方公共団体を、さらに都道府県職員が立ち会った上で行なうということを要求していないわけでございますが、岐阜県では事実上、できるだけ採水に立ち会うように内部指導をしているというふうに伺っております。その点で十回以上にわたる採水の場合、何回立ち会ったか、あるいは立ち会わなかったかという点については、どうもいまの時点におきましては事実がはっきりしないわけでございます。
  73. 小平芳平

    ○小平芳平君 厚生大臣よくお聞きいただきたいんですが、そういうようなそもそも出発点において、それは厚生省局長通知にそういう要件を求めてないから、採水者の名前がなくてもいいんだという、それは四枚のうち一枚は採水者の名前は入っているのです、三枚は入ってないんです。そうなるとだれがそこの水取ってきたかわからないです。それこそその辺の井戸水取ってきたと疑われたってどうしようもないです、だれが取ってきたかわからないのですから。そういうことで認可になったということ、それに対する市民の非常な不安がある。しかも、前回の委員会で厚生大臣に御説明いたしましたように廃坑があるんです。これは私が説明するとあれですから、この方は東京大学医学部付属病院のお医者さんです。「故郷高山へのズバリ提言」としまして、この小八賀川という川から取水を開始したわけですが、「上流の平金に廃坑があり、」——これは平金鉱山です。「廃坑があり、この附近では岩石は無気味な青色に染まり、ここから五キロ下流に到るも魚一匹生棲せず、水源の汲水ではかなり多量の重金属類を検出している。しかし二十五キロ下流の取水口においては極めて希釈されているので有害ではないとされている。」と、そういうふうに室井博士が説明しておられるような状況であるわけです。そこで問題点を申し上げますと、今度は昭和四十六年十二月に給水を開始した結果、四十七年四十八年にかけて乳児の死亡数がふえたということを市民団体の人が問題提起をしておられる。それに対して県の「飛騨の公衆衛生」という資料と市の「高山市のあらまし」という資料と非常に乳児死亡数が全然合わないわけです。倍と半分くらい違っているわけです。で、これについても突然の質問では答弁のしようがなかろうと思って局長、環境衛生局にあらかじめお知らせをしておいたら、そしたら環境衛生局長からはそれは歴年と予算年度の別の違いだというお返事あったがそうじゃないですよ、事実は。そうじゃないです。勘定違いです、係の勘定違い。  それからこの点はまだ調べがついておりませんか。昭和四十七年、昭和四十八年にかけまして、新しく給水地区になった、新しい上水道の給水地区になった地域の全体としての死亡数がふえている。乳児に限らず、今度は全体としての死亡数がふえてきているということが、この地元の市民会議の方々調査で問題提起されております。まず、厚生省はこういう点調べてくれましたか、いかがです。
  74. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) この地区別の死亡者数あるいはそのうちの乳児死亡につきまして、いろいろ調べておるわけでございますが、必ずしも現段階におきましては的確な数字をまだ把握している段階にはなっておらないわけでございます。   〔委員長退席、理事須原昭二君着席〕
  75. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは次に、私が前回の当委員会で厚生大臣あるいは石丸局長に、浄水場の沈でん池の沈でん物の中に重金属が多量に検出されているということを指摘いたしました。そうしたら局長からはそれは県のほうでもわかっていると、ただ発表しないだけだという御答弁に対して、それは発表して何ら差しつかえないことじゃないかということに対して、局長はそのように県に指導しますと言った。その後まだ何ら発表されてないようです。それはどうかという点が一つ。何か隠しておかなくちゃならないことがあるのかどうか。それが一つ。  それから「広報たかやま」という、この「広報たかやま」に、高山保健所長川上隆三さん、その高山保健所長は「高山市上水道の水質について」といって書いていらっしゃる。書いていらっしゃる中に「凝集沈殿物の中にかなり含まれているということは、これらの重金属があまり水に溶けていないことを意味します。」要するに、沈でん物の中に重金属が含まれているのは心配ないかということに対して、沈でん物の中にこの重金属が含まれているということは、それだけ水がきれいになった証拠だと、こう言っているわけです。もし、そういうことならば、いま水俣湾などで大規模なヘドロ処理をやろうとしているのはどういう意味なのか、その二点についていかがですか。
  76. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) いろいろな検査のデータの公表の問題でございますが、   〔理事須原昭二君退席、委員長着席〕 前回のこの委員会におきまして、先生にお約束いたしましたように、われわれといたしまして県の衛生部長のほうに連絡をとっておるわけでございまして、県の衛生部からの報告によりますと、このデータは、この三月もう出たかどうか、ちょっと私もまだ確認はいたしておりませんが、昭和四十九年三月発行予定の岐阜県衛生研究所報にこれを発表するというふうに県からは報告を受けております。なお、この発表、印刷ができ上がるまでの間、もし、そういったデータを教えてくれという求めがあればいつでもこれを公表すると、こういうふうに県の衛生部長からはわれわれは明言をされておるわけでございまして、その点、先回先生から御指摘の点を直ちに県の衛生部のほうに連絡をとって処置をいたしておるわけでございます。  それから、この凝集沈でん物の中の重金属の問題でございますが、これまだよく実態がわからないわけでございますが、一応われわれの常識といたしましては、浄水、——上水でなしに水を清めるほうの浄水の作業というものは、水の中に溶解をいたしておりますそういったいろいろな物質を取り除くという作業を行なっておるわけでございまして、したがいまして、この凝集沈でん物の中に重金属を発見するということは、原水に確かに重金属が溶解をしていた、あるいは浮遊をしていたかもわかりませんが、そこの点はよくわかりませんけれども、少なくとも原水の中にそういったものがまじっていたという事実を示すものでございまして、それをある程度浄水作業の結果、それが取り除けたという事実を示すものだと思います。しかしながら、これですべて取り除かれているかどうかにつきましては、ただいまの先生の御説明のみではちょっと判断いたしかねるわけでございますが、さらにそういった点につきましても今後調査してまいりたいと思います。
  77. 小平芳平

    ○小平芳平君 私は何も説明してないんです。要するに、保健所長が、この凝集沈でん物の中に重金属がかなり含まれているということは、これらの重金属があまり水に溶けていないことを意味すると言っていることに対する厚生省の見解を私は尋ねているんです。
  78. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) この水道原水のほうには非常にたくさん含まれているという事実を示しているものだと解釈いたすわけでございます。それで、この浄水処理を行なったあとの水について一体いかなる状況かということは、ただいまの先生の御報告と申し上げましょうか、お話ではちょっと判断いたしかねる点でございます。
  79. 小平芳平

    ○小平芳平君 私のお話で判断しかねるではなくて、この保健所長の書いたものをきのう写していきましたよ、厚生省の……。それに対して、そういうように浄水場でそういう沈でん物が出ると。その浄水場の、たとえばA市の浄水場の沈でん物はそういう重金属がたくさん含まれている、B市の浄水場には同じような沈でん物は当然ありますが、そこには重金属はそんなに含まれていない。どちらが安心できますかということなんですよ。そういう意味の問題提起をされているのに対して、この保健所の説明は、たくさん検出されるということはそれだけ水がきれいの証拠だと言っている。そういうことで市民が納得できますかと言っているんです。
  80. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) ちょっと御質問の意味をあるいは取り違えたかもわかりませんが、先ほど来申し上げておりますように、ある同じ浄水処理をやりました場合に、片一方のほうに非常に重金属の、汚泥の中の重金属量が多いという場合と非常に少ないという場合におきましては、少ないほうがより安全であろうかと思います。
  81. 小平芳平

    ○小平芳平君 厚生大臣、前回厚生大臣は、水だけは安心して飲めるようにしなければいけないと繰り返して答弁してくださった。私さいま問題を提起しましたのは、乳児の死亡と、それから給水地域の死亡がふえたということを、しかも県と市の資料はちぐはぐで合わないということをいま申し上げたわけですが、そのほかにも奇病が発生したことがあるわけです。その保健所が調べてくれた、脳水腫という奇病が発生してなくなった方はこれこれの方、現在生存して、家庭あるいはおもに施設等へ入っていらっしゃる方はこれこれの方というふうに保健所も調査をして知っているわけなんですよ。そういうように次から次へ問題が発生しているわけです。しかも、最初に申し上げたように、厚生省が水道を認可する時点で明らかに市民に説明がつきますでしょうか、大臣、さっきのような説明で。厚生省局長通知に採水者の名前が入っているということが要件になってないから、入ってなくたってよかったんだというんですがね、そうすると、だれが何を取ってきたかわからない。責任がはっきり明らかでない。四枚のうち一枚はちゃんとその人の名前が入っているのに三枚は入っていないというようなことでありましてね、ひとつ徹底的に大臣、取り組んでいただかないと困ると思うのですが、いかがですか。
  82. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 私は、基本的に水だけはきれいなものを供給しなけりゃならぬ、これはもうほんとにそう思います、心から。特に戦後、まあ最近ですね、非常にいろんな公害問題がやかましくなってきております。そしてまた、国土が非常に汚染されているといったふうな話もあります。そういうふうな中にあって、飲料水の供給ということであれば、やっぱり念には念を入れた調査をやることが私は絶対に必要だと思っているんです。  そこで、その通牒がどういうふうになっているか私もよく知りません。その通牒は知りませんが、だれが水を取ってきて、どこから取ってきた水なのかわからないような状態で、この水はきれいですと厚生省は言えないと思うんです、これはほんとうを言うと。でございますから、今回水道部もおかげさまで新しく設置するようになりましたから、この水質問題については厳重にやらすようにいたします。これは私はっきり申し上げます。疑いのかかるようなことをしておいて住民にこれで安心でございますと何ぼ言ったってこれは通用しません。でございますから、やはり水を取って検査をするときは採水者、それからどこの地点から取ったのか、その責任をだれが持つのか、そういうことをはっきりした上で、やっぱりこの水は心配ございませんと、こうならなければ私はほんとうじゃないと思います。したがいまして、その通牒がどういうことになっているか知りませんが、やはり水道の認可の際にはその責任を明らかにするように通牒を改めさせるようにいたします。これは私はっきりお約束します。これはもう、さっそく水道部長に私帰りましたら厳重に、——ここにもおりますが、私の話も聞いておりますからわかっていると思いますが、やっぱり国民に水くらいは心配しないように飲んでいただけなければこれはおかしいと思うのです。特に最近における公害で国土は汚染されている。特に高山の問題私は具体的に知りませんよ、具体的に知りませんが、この高山市の上水道の上流に廃坑があって重金属の汚泥があるということを私もこの前以来、聞いて知っておるわけでございますから、そういうことで住民がいろいろ心配なさる。私はごもっともだと思うんです。だから、それはやはり地元の県なりがはっきり心配ないならないということを私は明らかにする責任があると思いますし、今後の問題としては、いまのように水道の水質の検査にあたっては責任を明らかにするように通牒を改めさせるものは改めさせる、こういうふうにいたします。
  83. 小平芳平

    ○小平芳平君 大臣のいまおっしゃるとおりで、私も同感でありますが、ただ一点だけ問題は、この水が安全だということを県や保健所や市の水道当局が明らかにしなければなりません。明らかにしなければなりませんが、市も県も、とにかく厚生省の認可を受けているんだ、法律の手続に従って厚生省、国が認可をしたものなんだ、何で文句を言うんだと、こういうことの言い合いでここ数年過ぎちゃったわけです。その点を大臣どう考えられますか。
  84. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) この具体的な問題については、私もあまり承知はしておりません。ただ、先般国会で御質問いただきましたし、いろんな問題については多少知識を持つたつもりでございます。で、もし、そういうことでございまして疑わしいと住民が思うならば、私はやっぱり厚生省としてもそれを保証してあげるような努力をしてあげる必要があると思うんです。どういうやり方がいいか、これはひとつ地元の県とも相談しまして、この水道というのは市町村の仕事ですから、監督官庁は県でございますから、県とも相談をして、もし心配ないものなら心配がないというふうに、厚生省がただ認可したからというだけではなしに、その水質についての争いでございますから、どういうふうな点が問題なのか、県ともよく相談をしまして、もう少し事態を解明するように努力をいたします。どういうやり方が適当であるかどうか、それはまた県とも十分相談いたすようにいたさせます。
  85. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは、この問題はひとつさらに進めていただくこととしまして、最初申し上げましたように年金について質問いたします。  年金、特に問題を具体的に入る意味において、厚生年金、国民年金それから共済組合、各種共済組合、こういう各年金制度において障害年金はどういう場合支給されているか。で、特に内部疾患の方、私が具体的に特定の病院でお聞きしてきたその病院は人工透析中のじん臓患者ですね、じん臓患者の人工透析中の患者さん方が一体障害年金を受けておられるかどうか。同じように入院して人工透析を受けている患者さんの中で、ある人は障害年金を受けていると、お隣の人は受けてないというようなお話を再三聞きましたので、私も実際に具体的に二、三行って調査をしてみました。それで局長、こうした実態はどういうふうになっておりますか。
  86. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 障害年金の支給要件でございますが、法律的には要件が三つございます。一つは、一定の被保険者期間を有しておるということでございます。第二番目は、被保険者期間中に傷病が発生したかまたは初めて医師の診断を受けたことでございます。それから第三番目は、廃疾認定日におきまして一定の障害の状態にあることでございます。この三つの要件を満たしておる場合に障害年金が支給されるわけでございますが、お尋ねの厚生年金、国民年金、国家公務員共済につきましては、まず最初の被保険者期間は、厚生年金は六カ月、国民年金、国家公務員共済は一年であります。それから第二番目の問題でございますが、厚生年金と国家公務員共済につきましては、被保険者期間中に傷病が発生したということを要件といたしております。国民年金につきましては、被保険者期間中に初めて医師の診断を受けたことを要件としております。これは厚生年金、国家公務員共済のような被用者年金の場合と一般の地域住民の場合との、何と申しますか、健康管理その他についての濃淡の差がございますので、したがって、そういうふうな要件の相違になっておるものでございます。それから廃疾認定日につきましては、国民年金、厚生年金は初診日から三年を経過した日、ただし、その間に傷病がなおったときはその日でございますし、国家公務員共済は退職の要件がこれにつけ加わっております。それから直接お尋ねはなかったと思いますが、障害の等級につきましては、国民年金が一級、二級、二つの段階になっておりますし、厚生年金、国家公務員共済は一級から三級、こういうふうになっております。人工透析患者の場合につきましても、三つの要件の中で特に一定の障害の状態にあるかどうか、こういうことによって同じ患者さんでも障害年金を受ける方とそうでない方と二とおりに分かれてまいることになっております。
  87. 小平芳平

    ○小平芳平君 先ほど須原委員の御指摘じゃないけれども、全く上から見ているとそういうことになるんですね。それじゃ厚生大臣、大臣はずいぶんそういう面にお詳しいというように伺っておりますが、人工透析を受けていらっしゃる患者さんが全体として何%の人が障害年金を受けているかということは調査できてないんですね。したがって、私は具体的には、たとえば東京の何病院というところで人工透析を受けていらっしゃる方で何%くらいの人が障害年金を受けているかということを厚生省に再三お願いしたんですが、まだ出てきてないんですが、大臣は大体どのくらいの人が障害年金を受けておられると想像されますか。
  88. 出原孝夫

    政府委員(出原孝夫君) 現在人工透析を受けておられる患者が何人おるかということにつきましては、先生指摘のように明確な統計を実はとっておらないのでございますが、それから、その中で何人私どものほうの年金の対象になっておるかということについても明確な統計としてはないんでございますが、大体のところで申し上げますと、昭和四十八年度末で人工透析を必要とする患者は私どもの承知をしておる範囲では五千九百名程度になっておるんではないかというように承知をいたしております。一方、厚生年金の障害年金の受給者のうちでじん臓疾患を主たる理由にして支給されておるものが大体二百名ないし三百名程度ございます。これも統計はとっておりませんが、私どものほうの業務課のほうに集まってきておるものでの推計でございますが、三百名程度であると見込んでおります。国民年金につきましては裁定を地方でやっておるものでございますから正確な統計がない、推計もなかなかむずかしいのでございますが、厚生年金の二百名ないし三百名を上回る数にはなっていない、むしろそれよりも少ない方々ではないかというように考えております。
  89. 小平芳平

    ○小平芳平君 わからない、わからないということを答弁してくれなくてもいいですから、わからないことはそう時間かける必要ありませんから。いまおっしゃった数字、説明は五千人のうち二百人ぐらいということですか。そういうことですか。
  90. 出原孝夫

    政府委員(出原孝夫君) そのとおりでございます。
  91. 小平芳平

    ○小平芳平君 どうしてその障害年金をそんなに受けられないんです。要するに人工透析をしている方は、これはじん臓病に限りませんので、ただじん臓病を一つの例として問題提起をしているわけですので、人工透析をしている方は身体障害は一級障害の認定をほとんど受けておられるんです。そういう一級障害の認定を受けておりながら、五千人のうち、わずか二百人しか障害年金を受けられないというのはどういうわけですか。
  92. 出原孝夫

    政府委員(出原孝夫君) 先ほど年金局長の御説明の際にも申し上げましたように、特に内部疾患につきましては病気がなおった場合にはそのなおったときから症状固定ということで認定ができるわけでございますが、現在の法律では、症状が確定的に固定しない場合には三年を経過した日ということになっておりますので、その点が実は法律上の問題ではございます。しかしながら、国民年金法のほうでは病気がなおった日でなくても、症状が固定したと認められるときにはその時点でということが明記されておりますので、その状態と、それから国民年金法と厚生年金法と解釈上はそう違えなくてもいいんじゃないかという前提で、この人たちに対して何らかの方法がないかということで、私ども早急にこれを広げるようなことはできないかということを前提にいたしまして、現在早急に結論を出すべく検討をいたしておるところでございます。
  93. 小平芳平

    ○小平芳平君 厚生大臣ね、五千人の一級障害者のうち、障害年金を受けている人が二百人というのはひど過ぎませんか、少し。まあ、これは私のしろうと考えですけれども。  そこで問題は、先ほど説明のあった三年経過した時点で廃疾認定というわけですね。障害の認定ですか、三年経過した段階で。それは法律上の問題だと説明なさっておられます。ところがそれは広げるようにいま検討しているとおっしゃった。まあ、こちらが尋ねる先におっしゃったですけれどもね。要するに三年、厚生年金と国民年金では若干扱いが違っていたわけですよね。若干扱いが違っていたわけですが、これば昭和四十八年十月の社会保険庁でやった会議で、障害給付関係質疑要望事項というものを発表しておられるでしょう。ここでわざわざ、三年経過しなければだめだと、三年の途中で障害認定をしてはいかぬと、こういうことをきめているでしょう。いかがですか。
  94. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 障害年金は、申し上げるまでもないわけでございますが、障害が永続的に回復しないか、長期にわたって回復しない、そういう状態にある方を対象にして出しておるわけでございます。それで、三年たたなくとも、症状が固定をいたしますと、その時点で廃疾認定を行なうわけでありますが、三年を経過しても一定の障害にある場合は、症状が必ずしも固定していなくともその際は回復の可能性がきわめて少ないということで、三年を経過した日に廃疾認定を行なう、こういうふうにいたしておるわけです。それで、三年という期間が長い、短いの問題がございますが、これは主として内部障害につきましての医学的な問題が基礎になっておりますので、私ども事務方が事務的な観点からだけこの三年の長短を論ずることは非常に問題なわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、三年をたたずに固定をしたということでありました場合には、その時点できちっとした認定をいたしまして、できるだけ障害年金の受給が広がるように現実には処理いたしておるわけです。
  95. 小平芳平

    ○小平芳平君 年金局長、現実には広げるようにじゃなくて、現実にはもう、いかにして狭めるか、一生懸命苦労しているじゃないですか。それは、要するに、先ほど来申します人工透析療法ですね、これは医務局長に説明してもらわないと、私も専門家でないからよくわかりませんが、要するに、人工透析療法をやっているということは、血液を入れかえるわけでしょう、全部。そういう荒療治をしているわけでしょう、一週間に二回も三回も。そういう荒療治をしているそういう疾患の人が、要するにいま横田局長の説明なさった不可逆性が認められるかどうかということなんでしょう。それをわざわざ人工透析療法をやっている人に対して不可逆性が認められる状態であるものとは言いがたいとしてはねのけているわけなんだよ。そうでしょう。おかしいと思いませんか。あるいは検討すべき事項だと思いませんか。
  96. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 内部障害の場合、特に人工透析の場合、御指摘のような問題があるわけでございますが、実は障害年金の問題と医療費の問題、この辺の接点は非常にむずかしい問題でございます。障害年金は、従来から制度のたてまえといたしまして、もうそこで一定の症状が固定をしたというようなことで、障害年金が出てくるわけでございまして、治療によって相当程度病状がよくなるとか、そういうふうな状態、いわば病気の進行状態、あるいは治療によってよくなりつつある状態、そういった場合には、実は障害年金の問題ではなくて、要するにそこで相当かかる医療費の負担をどうするかというふうな問題だと、非常に冷たい言い方でございますが、制度上はそういった割り切りになっております。
  97. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうことですかね。この三年ということは、先ほど発病、あるいは初診ということを言われましたでしょう。ところが、発病とか初診ということを正確に申し入れると、障害年金がもらえなくなっちゃう人が多数いると、ということは、じん臓とか心臓とか、内部疾患の場合は、子供のときにそういうわずらったことがあるとか、あるいはこのお医者さんに心臓かじん臓が悪くてかかったことがあるとか、そう言ったらアウトなんだね、もう。入らない、三年目にならないじゃないですか。ですから、そこのところはちょうど三年、またこの三年の段階で認定を受ければいいのですが、うっかりして三年の段階、特に眼科のことを聞きましたが、目が悪いという人は、目が悪い、医者にかかった、三年たってぴたり悪くなったというケースなんていうのはほとんどまれなんですよ。ほとんど失明状態になってから、さあ障害年金を受けようとして手続をしようとしても、あなたの初診はいつだ、発病はいつだ、三年目はいつだ、とっくに過ぎちゃった、もう一生涯はずされちゃう。こういうことになっちゃうのでしょう、いかがですか。
  98. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 三年経過をいたしますと、そこでは回復の可能性が少ないということで処理いたすわけです。それで最初に先生言われました、たとえば生まれてから心臓が悪いとか、この問題はまた別の問題だと思います。要するに、一番最初お答えの際も申し上げましたように、被保険者期間内に傷病が発生したとか、あるいは初診日があったという場合が障害年金の対象でございまして、生まれながらにどっかからだが悪いというふうな場合は、これは要するに障害年金の問題ではない。つまり障害年金の対象は、被保険者期間中にそういったことが発生した方だけですから、言うなれば後天的な、そういったことだけになるわけです。
  99. 小平芳平

    ○小平芳平君 そんな生まれながらの話をしているのじゃないんですよ。いま厚生年金の被保険者とします。かりにね。厚生年金の被保険者の方が、じん臓が悪くて人工透析を受けるというときに、このときに人工透析を受けるということは、障害一級だという認定までもらっている。しかし、その初診日を、あるいは発病を実はいつだったというその言い方によって、あるいはどこまでも、そういう初診がいつだと言うと、今度は医療機関を調べたり、うんと時間がかかって、その言い方で、はずれるような言い方をしたら入らなくなっちゃう、そういう、年金局長が言うように、三年たってぴたりなおるとか、三年たってぴたり悪くなるとか、そういう病人ばかりじゃないと、先ほども申しますように、内部疾患、あるいは眼科ですね、目の場合など、あるとき突然にぴたっとめくらになればこれははっきりしますが、そうじゃなくて、実は大学時代からそういえば目が悪かったと、眼科医へ通ったこともあると、しかし就職をし、三年、五年たつうちにますます悪くなってきたと言って申し出たら入らないわけでしょう。どうですか。
  100. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 要するに、廃疾認定日の際には廃疾が認定されなかったと、そのあとで症状が悪化して、何らかの障害等級に該当するようになった場合の障害年金の支給の問題、こういうことでございますと、現在の制度は、御指摘のようにそういった場合には障害年金が出るようになっておりません。
  101. 小平芳平

    ○小平芳平君 厚生大臣、だから困るじゃないですかと言っているのです。五千人のうち二百人なんていうことで、実情に合っていないわけですよ、障害年金というものが。ですから、制度自体を検討すると、先ほど部長はおっしゃったですがね、ひとつ大臣しっかり督励していただいて、とにかく、私が訪れたところでは五千人のうち二百人なんて、そんな極端じゃなかったですけれどもね、もう少し受給者は比率からいえば多かったんですけれども、とにかくそういうその発病の時期のことと、それから特にこの三年目の認定のことで、それで、はずれちゃうわけです。それから、これは厚生省の関係ではないですが、局長から説明のあったように、国家公務員共済等はやめなければ出ないということになりますと、完全退職しないことには障害年金すらつかないということになるわけですよ。そういう点ひとつ大臣、大いに検討、検討というよりも、もう改善のレールを早く敷いていただきたいんですがね。
  102. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 大臣からお答え申し上げます前に一つ申し上げますと、三年の問題でありますが、まあ国民年金の場合は、六十五歳までの間であれば、症状が悪化して、そこで障害等級に該当すれば障害年金が出る、まあ、こういうふうなことになっております、六十五歳。それから、国家公務員共済の場合は、退職後五年以内であれば、そこで障害等級に該当するということになった場合は出るようになっております。それで、厚生年金はそういった制度になっておらないわけでございますが、いろいろ私どもも、なぜこういうふうに制度によって異なっておるのか、いろいろ検討をいたしておりますが、御承知のように、厚生年金制度は非常に、まあ雑多と言えば語弊があるかもしれませんが、いろんな規模、いろんな内容の事業所がございますので、あんまり制度的にゆるくなるということになりますと、まあ、いろいろ弊害も起こるだろうというようなことでおそらくこういうふうなことになっておったんだろうと思います。したがって、問題は主として厚生年金だろうと思いますけれども、ある時点においては障害等級に該当しないが、しかしその以後において症状が悪化して該当するようになった場合のいわゆる爾後重症、爾後重症の取り扱いをどうすべきかというふうな観点から、私はやはり、御指摘でもございますので、十分前向きの検討をすべき問題だとは考えております。
  103. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) お述べになりましたように、五千人のうち障害年金を受けられる方々が二、三百人、私もどうもやっぱりちょっと少ない感じをいたします。で、その原因がどこにあるのか、まあ法律が、先ほど局長が申し上げましたように、国民生活、厚生年金、あるいは国家公務員共済年金、まあ、それぞれ違うということも一つの原因かもしれませんけれども、やっぱりいろいろその認定のやり方ですね。その辺に多少問題はあるんじゃないかと、それは法律から由来するものもありましょう。しかし、五千人で二、三百人というのはどうもちょっと少な過ぎる感じいたします。そこで、これは局長さん、部長さん答えられましたように、運用の問題として、私もやっぱり相当解決の余地があるんじゃないかと、こう思いますから、ひとつ局長のところでもう少し慎重に検討していただいて、そういうお気の毒な方々が、せっかくある制度でございますから、障害年金を受けられるように、範囲を拡大するように、運用においてできるだけの最善の努力をいた
  104. 小平芳平

    ○小平芳平君 大臣、その運用の面でももちろんそういう配慮がほしいとともに、やっぱり法律も、これは一たんそういう法律が三年となっているんだから三年を過ぎたものはということでなしに、そういう点もあわせて検討していただきたいと思うんですが、いかがですか。
  105. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) これは、まあ、これのみでなく、日本の年金というのは、どうもいろいろな要件に、こればかりじゃありません。いろいろ要件が違えているんですね。どうしてこんなふうになったのか、まあ、その法律制定の際のいろいろないわく因縁があるんでございましょう。しかし、国民にとってみれば制度によってばらばらだというのも困った話だと思います。そこで将来、こういう年金の改正の際には、こういう問題それからよく問題になるのは、遺族年金の通算問題なんというのはよくいわれておる問題でございますが、こういうふうに給付を支給するときの要件の統一、こういう問題については今後とも努力をしなければならぬ問題だと、かように考えております。
  106. 小平芳平

    ○小平芳平君 次は、身障手帳ですね。身障手帳一級、先ほど来申し上げておる人工透析を受けておられる方は身障一級の手帳を持っておられるんですが、その方は年金は何級の給付を受けておりますか。
  107. 出原孝夫

    政府委員(出原孝夫君) その人によって違ってまいると思いますが、多いケースは二級ないし三級の方々が多いというように承知をいたしております。
  108. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、そういう点ももう少し、先ほどお話じゃないけれども、上から見ているだけでなくて、実態を調べていただきたい。  私がお尋ねした点は、厚生年金で、厚生年金の例でありますが、年金は一級を受けている人が一人、二級を受けている人が二人、三級を受けている人が十五人。十八人のうち、一級一人、二級二人、三級十五人、大体こういうところですか。
  109. 出原孝夫

    政府委員(出原孝夫君) 全体の数字、正確に把握しておりませんが、御指摘数字に近いものだと考えます。
  110. 小平芳平

    ○小平芳平君 それじゃ大多数は三級だと答弁しなきゃいけない。二級もしくは三級とあなたさっきおっしゃったけれどね。それは身障は一級、年金は三級、どうしてそういうことになるんですか。
  111. 出原孝夫

    政府委員(出原孝夫君) これは、先ほどの認定日の問題ともからんでまいるわけでございますが、特に内部疾患の場合に、こういった認定をいたします場合に、特に身障法の場合には、その方々に医療を受けれるようにしてあげたいということが前提で認定をされるわけでございます。で、年金制度の場合、その意味におきましては、身障者の身障法の場合には、医療を受ける前段階においてのものになるわけでございますが、厚生年金、国民年金の障害年金の場合には、人工透析を受けられて、その結果、人によっては仕事につかれる方もいるわけでございます。あるいは生活をする状態が、平素の生活どおりにはまいらぬのでございますが、ある程度日常の生活については用が足せるということになりますので、その辺を見合わせて認定をするということによる結果であるというように考えられます。
  112. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは、年金の一級に、かりにまあ、じん臓病患者が年金の一級に認定される要件はどういう要件ですか。
  113. 出原孝夫

    政府委員(出原孝夫君) したがいまして、年金の場合には……。
  114. 小平芳平

    ○小平芳平君 書いたものがあるでしょう。
  115. 出原孝夫

    政府委員(出原孝夫君) 年金の場合には、特に厚生年金では労働能力を中心にするわけでございます。国民年金は生活を中心にするわけでございますが、ちょっとお待ちください。——じん臓疾患の場合に、「腎臓疾患による病状の程度についての判定は、廃疾認定日以後少なくとも一年以上の療養を必要とし、腎機能検査成績、一般状態、治療及び病状の経過等により、廃疾認定日において安静度表の5度又は6度のものを基準障害に該当する」と、このようにいっておるわけでございます。  すみません、失礼しました。
  116. 小平芳平

    ○小平芳平君 じゃ、一級認定ですね、一級に認定される症状はどういう症状ですかって尋ねてるのです。
  117. 出原孝夫

    政府委員(出原孝夫君) 「廃疾認定日以後少なくとも一年以上の療養を必要とし、悪心、嘔吐等の臨床症状、腎機能検査成績、一般状態、治療及び病状の経過等により、廃疾認定日において、安静度表の1度または2度のものを法別表1級にする」と、「3度又は4度のものを法別表2級」と。したがいまして、安静度の一度または二度のものを一級にするとこういうようにいっておるわけでございます。
  118. 小平芳平

    ○小平芳平君 医務局長、どうですか。この人工透析をするということはじん臓機能が相当の障害があるということじゃないでしょうか。そうすると、人工透析をするような人、人工透析をしなければならないほどじん臓機能の障害が発生している人が一体どの程度の障害と考えられますか。
  119. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) いまいろいろ年金とじん臓障害、特に人工透析との関係はお聞きいたしておりまして、具体的にただいまの御質問と現行の読み上げました制度とには、私、率直に申しまして、人工透析のない時代の制度であると思います。で、医学の進歩によってかえって現状は、先生の御質問の趣旨にはややお答えとしては逆になりますけれども、人工透析のためにかえって一級に該当しない状態になっておるというふうになるわけでございまして、過去のじん臓病の姿は、いま安静度一度、二度というのはほとんどもう介護を要する状態でございますので、したがってこの人工透析が生まれた時代のこれからの年金制度というものをどういうふうに検討するかということは、私は医学の進歩にからんだ新しい問題として検討すべきであって、必ずしもそれが人工じん臓を使っているじん臓が、じん臓の病状そのものが重くあっても、その人工透析を使うことによって、人間の活動力、生命力というものはある程度改善し、維持できている現代医学の姿と考えますと、先生の御趣旨のように必ずしも人工じん臓を適用しているじん臓の悪さというものは即その人間の一級に該当するということにはならない状態というものもあろうと思うのでございます。総括的には、私はこの御質問、その他を拝聴いたしまして、人工透析とこの年金制度等は新たな立場から検討する必要があるというふうな感じを持っております。
  120. 小平芳平

    ○小平芳平君 いいですか、年金局。いまの医務局長答弁手ね。それは現にこの全腎協——全国腎臓病患者連絡協議会ですね。全腎協の方たちの強い主張でもあります、いまの医務局長の御発言は。医学の進歩と年金制度が合わないじゃないかという点です。一方では医学が進歩して、かつては全く動けないじん臓病患者が、とにかく三日に一回の人工透析を受けるだけで外出もできるようになったと、年金は制度に合ってないということをひとつ御検討いただきたい。  それからついでに、たとえば大学時代、大学の在学中に発病したという人は、障害福祉年金にすら入らないわけでしょう。要するに二十歳未満でなくて、二十歳をこえ、そして大学なら大学に在学中のときに発病した、初めて診断を受けたという人は、先ほど局長答弁のように障害年金に入らないのみならず、障害福祉年金の該当すらはずれちゃう、こういうことですか。
  121. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) お二つのうちの最初の問題でありますが、まあ医務局長の言ったことは私も一つの意見だとは思います。ただ問題は、障害年金と申しますものは、症状が固定した方に対するのが障害年金でございまして、医学医術の進歩もさることながら、そういった面からだけ考えて、障害の固定ということをはずして、何らかの障害年金を考えようという点については、一つの御意見ではございますけれども、私はいま直ちにそういった方角をとるというようなことは申せないと考えております。そういった問題につきましては何らか別個の障害手当でございますとか、そういったものを考えるという考え方も一方にはあるわけでございますので、まあ医学の進歩の現段階に障害年金の制度が合う、合わないと、そういう角度からの御意見は一つの御意見として拝聴いたします。  それから第二番目の障害福祉年金の問題でございますが、これは確かに二十歳未満で発病なさった方に支給するのは二十歳到達以前に国民年金に入っておられなかった方と、こういうことになっておられます。で、この問題は私ども理想から申しますと、学生についての国民年金の適用の問題でございまして、まあ現在は制度上できるだけ拠出制年金に結びつけるというふうな方角でものを処理するのが適当であるというふうに考えておりますので、したがって、学生につきましてはこの拠出制年金について任意加入の道が開かれておるわけでございますので、まあ、できることならそういった方向で解決をいたしてあげることが、やはり拠出制年金とそれから福祉年金との間には金額の格差も大きくなっておりますので、まあ、そういった方角をとりたいというふうに考えております。まあ、この辺、実は学生についての年金の加入につきましては、必ずしも非常に趣旨が徹底しておるわけでもないようでございますので、できるだけそういった点についての趣旨の普及をいたすべきものと考えております。
  122. 小平芳平

    ○小平芳平君 年金局長ね、先ほど安静度一というふうに言われたからそれは医学の進歩を無視した、——医学の進歩を無視したというよりもそういう人工透析によって安静度一とかそういう格づけが変わってきているということを言っているんでしょう。——そうでしょう。ですから、むしろ人工透析というような医学の進歩がなければ安静度一になるわけでしょう、おそらく。寝たままでいれば。その点ひとつ大臣の御意見を承りたい。その点が一つですね。  それからもう一つ、要するに、現在の認定の、安静度一とかいう、そういう認定の方法についての疑問点が一つです。  それからもう一つは、大学生になるべく加入するようにすすめようとしているという、そういうあなたてんで私の質問とは別のことを答えておりますけれども、国民皆保険といえ、しかし、この若いうちに発病したと、そうして人工透析を受けるようになったと、そういう方はですね、これから一生涯どうやって生きていくかということなんですよ。ですから、局長が言うように、障害手当をつくるというなら早くつくってください。とにかく一生涯、まだ二十代の人で透析患者はたくさんおります。それらの方は就職しようとしてもなかなか事業所が受け入れてくれない。ようやく事業所は受け入れることになっても今度は健康保険組合でそんな金のかかるのが入られちゃ困るといって反対をする。そういう二十代、三十代の障害者がこれから一生どうやっていくか。ただ法律の上であなたは発病の時期が、運が悪かったんだと、法律に該当しないんだということでやっていくのは、国民皆保険の日本のこの体制下でおかしいということを私は申し上げているんですが、大臣いかがですか。
  123. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 先ほど来のお尋ねの点、年金における障害等級の問題、身体障害者福祉法の等級との非常なまあ違いの問題、これは私も実は何とかならぬかということを考えたことがあるんです。身体障害者福祉法における一級が必ずしも、年金でいえば二級になったり三級になったり、どうもどっちの一級だか……。よく身体障害者の方々が、私は一級だ二級だって言うんだが、よく聞いてみるとどっちのことを言っているんだかようわからぬことがあるんです。そこで、これを何とかならぬかなあということを実は私も考えまして、一度これを何とかやる方法、統一する方法がないかということで研究をさしてみたんですが、法律というのにはその法律制定のそれぞれの目的というようなことがありまして、どうも統合ができない、こういうわけなんですね。年金においても、厚生年金と国民年金、違うんですね。これは違うんです。国民年金は今度おかげさまで二級というものができました。ところがその国民年金の二級は厚生年金にいけば二級と三級というようなことになっている。何とかならぬかということを実は考えたわけでございますが、いまの段階ではなかなかむずかしいというのが事務当局の意見でございます。しかし、私は何とかもう少し国民にわかりやすいように、特に厚生年金、国民年金それから国家公務員共済年金などにおいては、両方とも、なるほど、理屈を言えば厚生年金は労働力の喪失だという、片方は生活能力の喪失だというが、それじゃ中身はどう違うんだと、あまり違いは私はないと思うのですよ、これは法律的に言うても。それは理屈を言えばいろいろありますよ、理屈をつけようと思えば。けれども、私はやっぱり年金なら年金だけは一本にする、こういうやり方をすべきではないかと、こういうふうに考えておりまして、これは私は今後の研究課題にさしていただきたい、こう思います。  それと同時に、人工透析というのは私もよくわかりません、医学的な立場から言いますれば。ですから、医務局長のように、医学医術の進歩によって一級だと思ったのが年金にいけばもう今度はだいぶ健康になって二級三級になるんだと、こういう意見もありました。しかしまた、年金のほうから言えば、その認定したときに悪くなっていればもう一級だと、こういうたてまえをとるという考え方もあるわけでございましょう。しかし、こういう問題については、もう少し省内において、厚生省の中で各局ばらばらにならぬように慎重に今後とも研究さしていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  124. 小平芳平

    ○小平芳平君 そのほか、社会局その他各局においでをいただいておりますが、ちょっとこの問題もう時間がかかり過ぎましたので、せっかくおいでいただいて申しわけないですが、次へ移らしていただきたい。  ただ、一つだけ。私がたずねました病院には、病院にケースワーカーがおりまして、そして、きわめて克明に問題の整理をしておられた。透析患者何名中、身障は一級、二級、三級に分けて、あるいは年金は一級、二級、三級に分けてというふうに、あるいは入院していらっしゃる方の中には距離の関係、通院される方はどういうふうに、きわめてケースワーカーが問題整理をしておられますので、いつ行っても非常にはっきりするんですが、しかしケースワーカーの方のお話だと、実は公立病院でも私たちのようなケースワーカーはいないところが多いんだということになると、ある市ではほとんどその病院のケースワーカーがその市内のいろんな医療相談に当たるというような結果になっている。もう少しその点を、各公立病院に置くべきであるとか、あるいはケースワーカーの身分はどうとか、病院は経営の収入にはならないけれども、そういう相談は常時できるような体制になっているとか、そういうふうにしてほしいという要望がありましたが、いかがですか。
  125. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 先生のおっしゃいます医療機関におけるケースワーカーの実態でございますが、われわれ、医療施設調査というので毎年末、十二月三十一日現在で報告を受けます。その数字によりますと、わが国の八千五百ぐらいの病院が大小ございますけれども、そのうち千三百ぐらい一応医療社会事業の従事者を置いてあるという報告を受けてますが、これは先生のおっしゃるケースワーカー、メディカルのほうのケースワーカーの能力と申しますか、役割りと申しますか、それにはこの報告は千差万別であろうと私ば想像いたしております。したがいまして、いわゆる医療費の心配などをお万話してあげるというような形は過去にはかなりケースワーカーの重要な仕事でございましたが、そういう仕事は、だんだん社会の医療保障制度が進展してきましたので、その点はわりあい、教えてあげるとかあるいは手続等の問題でやる業務はだんだん減りまして、むしろいろいろ家族関係、家族の人間関係とか、いろいろの、あるいは退院後の家庭生活の関係、就職問題というようなお世話をするようなこともかなり広がってまいりました。それから、理想的には医師とほんとうは、何と申しますか、共同で医療そのものにケースワーカーがタッチしていくというのが望ましい姿でございますが、このような能力になりますと、かなり専門的な心理学、あるいは社会福祉の関係の大学を出たようなケースワーカーを必要とするわけでございます。  で、先生おっしゃるように、一般的には公立病院、医療法の中での職員の義務づけの中には明記してございません。したがって、各病院は、病院機能の歴史的な中で、その必要性があり、あるいは最初申し上げましたように、医療費のお世話というようなことをむしろ病院の利益のために、率直に言って病院の利益のために設けたようないきさつがあろうと思うのでございますが、いまや、いま申し上げたような機能をむしろ果たすべきだと、こういうことで、われわれとしては今後、医療ケースワーカーの必要性は国際的に見てもわが国はおくれております。それから、医療関係者の中でその必要性を強調するだけの見識を持った方もまだ少のうございます。そういう意味も含めまして、わが国の医療機関の中におけるケースワーカーの役割りというものは、非常に重要でありながら医療の立場からは忘れられている。で義務設置にもなっていない。それから、医療費の支払いその他でもずばりそれは考慮してない。またこれを考慮することは非常にむずかしい問題であるというようなことで、御指摘のように非常に低調でございます。今後これを行政上どう取り扱っていくかということは非常に重要な問題であるとは認識を持っておりますけれども、当面なかなか、関係団体等からも御要望もございまして、身分法の問題その他ございますけれども、この点については、担当の公衆衛生局、われわれ医務局、これが共同して年々討議はしておりますけれども、具体性が出てまいっておらないのが現状でございます。
  126. 小平芳平

    ○小平芳平君 だいぶ具体性が出てきているんじゃないですか。まあ、もう一つ進めていただきたいということを要望いたします。  次に、未熟児網膜症について質問いたします。  二月二十七日に質問主意書を提出いたしましたが、三月二十五日に、未熟児網膜症で失明した子と親に対し、損害賠償を請求していたその事件について、原告勝訴の判決が岐阜地裁でなされた。これについては、厚生省はどう考えておられますか。
  127. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) この問題につきましては、当時国会等でも御質問がございましたが、基本的にはその裁判の内容で御指摘の点が三点ございまして、第一点は、眼底検査に対して、やっぱり生後三十日ごろにおいてやるべきのが四十四日目に実施したと。したがって、これがおくれたということと、そのときの病状の判断に過失があった。  第二点は、ステロイドホルモンの投与をいたしておりますけれども、これについても病状の時期の判断に誤りがあった。  第三点は、天理病院等に転医させる措置についてやはりおくれたということでございます。  で、裁判の判決がございまして日赤はこれを控訴したと承っておりますし、また私はこの段階で裁判そのものの批判を申し上げるわけにはまいりませんが、一般的には、医療機関がその時代の医学なりその医療の、学問的に確立しておる、あるいは未確立の段階でありましても、最善の努力を尽くすというのが当然のことではございます。したがいまして、高山日赤は、われわれとしては全体の経過を見ますと、かなりの努力はしたと思いますが、一応法律的には過失の有無ということで判断が下されたわけでございます。われわれとしては一般的に医療機関が生命の維持とかあるいは病気の治療のために最善の努力をすべきであるという原則は変わりないと思うのでございますが、一般的に努力を尽くしましても死亡する、あるいは若干障害が残るというようなものがございますけれども、またこの医療の過誤というものによってこれが生ずることは絶無ではございませんが、一般的に過誤というものは許されませんけれども、ただ医療の結果生じたその結果のみをとらえまして一般的にその責任を問われるということが非常に一般的な風潮になることにつきましては、私は医療の推進の立場から考えましても非常に心配する面があるわけでございます。総括的に今回の事件につきましては、日赤としては控訴したと承っておりますので、今後の裁判の推移によるものではございますが、先生質問主意書はわれわれも拝見いたしまして非常にわが国の医学のむずかしい問題点、いわゆる未熟児網膜症というこのむずかしい問題点、専門医も少ない、あるいは施設も必ずしも十分でない、しかも現実にはそのようなものに対する発生が完全に防止できない、こういう医学の現状、あるいは研究そのものも必ずしも全体解明できておらない、こういう段階においての質問主意書というものに対して私は率直に言って非常にかなり先に対する、将来に対する御注意と申しますか、医療の進展を期待された質問主音書であるというふうに受け取りまして、現状のお答えとしてはわれわれ関係者いろいろ協議の結果、現状に対する対策と、それから将来にわたっての努力というものをお答えしたわけでございますが、私は総体的には先生のこの未熟児網膜症をお取り上げになったということは、わが国の医学の非常に問題のある個所に対する御指摘と、その推進を督励されたと申しますか、そのようなふうに受け取りまして今後の努力がわれわれに非常に必要であろうというふうには思っております。
  128. 小平芳平

    ○小平芳平君 医務局長ですね、厚生省がどう判決を受けとめたかということに対しましてずいぶん先のほうまでお話が行きましたが、私は、第一は担当医の過失、それから第二は病院側の診療体制の欠陥ですね、それから第三にはむしろ行政の立ちおくれ、これこそ厚生省が一番受けとめなければならない問題であろうと、このように指摘したいんですが、いかがですか。
  129. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) いまお答えいたしましたように、担当医の過失という裁判の御指摘については、率直に申しまして裁判の批判そのものはいたすわけにはまいりませんが、かなりの努力はしたものと思いますけれども、四十四年当時の医学の進展というようなことを踏まえた実態から見ますと、私はかなりの努力をしたと思うのでございます。ただ体制につきましては御指摘のようにこの事態をかりに参考にして考えるならば、やはりわが国の病院の各科の診療体制の協調性と申しますか、連絡協調の点についてはわれわれとしてはこの問題は重要な指摘を受けているというふうに思うのでございまして、これは病院管理の立場でございますので、法制とかあるいは行政指導とかというようなものよりもむしろ病院管理のそれぞれの責任者の病院管理体制として今後われわれも十分この点はそれぞれ必要な機会に指導する必要があると思います。  で、行政の立ちおくれという御指摘は、確かにこの事件そのものは行政の立ちおくれということを指摘しているわけではございませんけれども、現実にこれから教えられますことは確かに未熟児医療の問題に対する行政の立ちおくれという御指摘の趣旨には、それぞれこまかい点を御指摘いただければあると思いますが、一般的には、基本的にこの未熟児医療というものの困難性、専門医の不足あるいは施設設備の不十分というようなことを行政の立ちおくれというならば、私はまさにそれはあり得ると思います。一般的には今回の事件は医療そのものの中身の問題でございますので、私は厚生省の見解として行政の立ちおくれという御指摘は、それぞれの部門部門に取り上げれば御指摘はごもっともと思いますが、この事件に関して行政の立ちおくれということを、医療そのものの中身の議論でございましたので、直接の見解としては申し上げなかったわけでございますけれども、今後の重要な課題であると思っております。
  130. 小平芳平

    ○小平芳平君 いや、医療そのものの中身はちょっとしろうとでわかりませんもんですが、要するに、国会としてどういうことを取り組むべきか、厚生省としてどういうふうに取り組むべきかということで私は発言しているわけです。要するに、判決では総合病院としての高山日赤病院についていろんな指摘をしておりますが、私が質問主意書を出した趣旨は産科医、小児科医、眼科医との連携体制の必要とそれを実現させるための施策ということについて質問主意書を提出いたしました。これに対する答弁では「医療機関相互間で連携をとるよう指導してまいりたい。」というようなきわめてばくぜんとしたお答えしか厚生省からは、政府からはいただいてないわけです。ですからもっと現に未熟児がもう出生している。その出生している未熟児が失明の危機にさらされているという現実を踏まえて「連携をとるよう指導してまいりたい。」なんていうことじゃなくて、もっと具体的なとるべき策があるではないか、具体的に策を立てるべきではないかということを質問したんですが、いかがですか。
  131. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 御指摘ございましたように、未熟児網膜症が発生いたしますことは医学の進歩も相伴いまして非常にそれを的確に処理しない場合にお気の毒な全盲の児童あるいは大きくなっていかれるわけでございます。そこで昭和四十五年から心身障害研究の一環といたしまして、御承知と思いますけれども、未熟児網膜症の原因の究明、それから治療方法の解明、この二点について研究をいたしてまいっております。遺憾ながら原因につきましては現在のところ的確な原因がわかっておりません。大体千五百グラム以下の未熟児によく起きる、好発するとお医者さん言っておりますが、好発する症例であるということと、それから早期にこれを発見いたしましていわゆる光凝固法によって治療することが可能である、こういうことがただいまのところわかっております。で、私どもといたしましては、この原因の究明もさることながら、さらにこの治療方法の解明ということに重点を置いてお願いをしているわけでございますけれども、聞くところによりますと一部冷凍治療法というようなものがあるやに伺っております。光凝固法につきましては、先ほど医務局長から答弁がございましたように、非常にこれに携わる眼科の専門のお医者さんが少なうございます。それからまたもう一つ非常に心配いたしますことは、この千五百グラム以下の未熟児に対する眼底検査が非常にこれまた危険を伴うむずかしいものでございます。これに対するまた専門の眼科の先生が少のうございます。そういったようなこの新しい症例に対する新しい対応のしかたとして専門医の不足、それからまた、より簡易な治療法の開発ということが現在おくれておりますので、私どもとしてはこの研究委託を通しまして一刻も早くこの治療法の開発並びに原因の究明ということをさらに進めていきたいというように考えているわけでございます。  なお、最も一番大きな理由でございます未熟児網膜症を起こさないための健全な赤ちゃんが産まれるための方策ということが、これは私ども児童家庭局の仕事でございます。御承知のとおり、母子保健ということを中心といたしまして、保健婦による保健指導、それから妊産婦の健康診断——幸い四十九年度からは、保健所では、いつ行かれても無料でございますけれども、医療券を発行いたしまして年二回妊産婦の健康診査ができるように予算も通さしていただいたわけでございます。こういった事前の予防措置ということを極力進めてまいりますと同時に、未熟児養育医療によります公費の負担ということもこれは一方では母子保健法によって行なわれているわけでございまして、しかしながら、何よりも中心の点は先ほども申し上げましたようにやはり原因の究明と、よりよい治療方法の開発であるということで、この点については今後とも専門の方々にお願いをしながら進めてまいりたいと、かように考えております。
  132. 小平芳平

    ○小平芳平君 それはそれでけっこうだと思います。治療法の解明、原因の究明、それはもう大いに進めなくてはならないという点について私も同意見です。  医務局長ね、いま児童家庭局長からだいぶ現在の体制がおくれているというような意見が出ましたが、保育器は何台あり、保育器を保有する医療機関がどのくらいあり、それに対する眼科専門医がつり合っているかどうか。それはどうですか。
  133. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) ちょっと手元に保育器の台数はございませんので、調べまして後ほどわかりましたらお答え申し上げます。  ちょっとお待ちいただきまして、いま調べさせます。
  134. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 眼科医の数の問題は全国的にはやはり三千五百程度の眼科医がございます、調査の中で、報告していただく。ただ、先生の御指摘は、この未熟児の養育機関と眼科医の結びつきだろうと思うのでございますが、この点につきましては、児童家庭局から指定医療機関の基準というものが出ている中には眼科医の設置基準の中には入れてございません。したがって、これが先生のいわゆる医療機関の連携プレーというものを考えろという御指摘につながると思います。したがいまして、これは私の希望意見でございますが、やはり児童局と十分相談いたしまして、この指定基準の中に、その医療機関に眼科医を置けとなりますと、未熟児を各地で受け取る医療機関はいまかなり分布しておるわけです。そこにむしろ眼科医がいなければ指定を取り消すとなりましたら、重大問題でございますので、やはりもよりの医療機関の眼科医との連携を確立することを基準的な考え方の中で打ち出せないかということを私は医療の立場から児童家庭局と相談して対応したいというのが具体的な連携プレーに対する対応していきたいというものの趣旨でございます。
  135. 小平芳平

    ○小平芳平君 その点は児童家庭局もよろしいですね。  それで医師法第二十四条の二、「厚生大臣は、公衆衛生上重大な——」という、「医療に関し必要な指示をすることができる。」という、これについてばどうお考えですか。
  136. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) この二十四条の二で現在発動いたしていますのは血液型の検査の手順ですね、血液型を検査するときにはこういう手順でやりなさいということをこの二十四条の二を根拠にいたしまして指示いたしますのが唯一のこの二十四条の二を生かした処置でございます。この点につきましては、未熟児について同様のことがやれるかどうか、これは実は私の手元に、——先ほど児童家庭局長から研究のことについてお答えがございましたけれども、かなり研究の結果を見ますというと、八二%が自然治癒の状態を持っておる——最後にいわゆる網膜剥離して失明の段階に至らずに、未熟児の中にはかなりの者が自然治癒した形をとっているというようなこと、そのほか、いろいろの診断の困難性というようなものを指摘されますと、ちょっと血液型のように、だれも医学の常識なり判断で標準的な手続としてこれをやるべしという二十四条の二の活用とは、この未熟児の医療の措置については私は適用することは非常にむずかしかろうというふうに思っております。したがって、二十四条の二の適用はいまの段階では困難である、それぞれの医療機関における最大の努力と連携プレーその他によって未熟児網膜症を最大限に予防し処置していく以外に方法はなかろうというふうに思っております。
  137. 小平芳平

    ○小平芳平君 次は、定期的眼底検査の義務づけについて、——これについてもう判決で触れております。——私の質問主意書に対する御答弁では、必要性が認められているが、検査の方法、検査の間隔についてなお研究段階であるから、方法の改良、開発の推進につとめてまいりたい、という程度の回答です、政府の答弁は。ですから、もっと定期的眼底検査の義務づけということに対する取り組みができないものかどうか。いかがですか。
  138. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) この問題は、いまお答えした二十四条の二の考え方とつながるわけでございますが、先ほど局長からもお答えいたしましたように、眼底検査そのものがまた児童に障害を与える危険性があるという見解もございまして、先生の御指摘は、非常に予防ということの可能性を、そちらを主に考えれば定期的にやれないかという御指摘ですが、医学的に定期的とすると、定めること自体がまだ研究段階であり、その確立ができておらないという段階がちょうど二十四条の二の問題と同じに……。もし、これが安全性があって確実にできるならば、そのような手続を踏むことを二十四条の二的な考え方指導することも可能だと思いますが、現状では、ケース・バイ・ケース、個々の医療機関の能力、そういうものと、それから、いわゆる眼底検査の安全性の必ずしも百パーセントでない、こういう観点から私は非常に困難であると思っております。
  139. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから、翁局長から、先ほど、研究が必要だということがるる説明されましたが、研究費は四十八年度どれだけでしたか。四十九年度は幾らですか。
  140. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 四十六年、四十七年それぞれ百万円でございまして、四十八年が二百万でございます。なお、心身障害研究全体といたしましては、四十八年度四億、四十九年度四億五千万でございます。四十九年度の未熟児網膜症に対する研究費につきましては、まだ決定しておりませんけれども、少なくとも、四十八年度よりも増額をして研究いたしたい、かように考えております。
  141. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういう百万や二百万で何を研究するんですか。
  142. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 私、具体的に中身については詳しい承知はいたしておりませんけれども、要するに、未熟児網膜症についての研究、こういうふうに伺っております。
  143. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 研究費の例示として申し上げますと、四十五年、四十六年にわたります医療研究助成金、未熟児網膜症に関する九大の生井教授による研究。研究結果——未熟児収容児百二十九例の全例の眼底検査の結果、活動期症例が四十六例ある。そのうち、その後経過を見たら、自然治癒した者が三十八例で八二・六%。それから手術時の全身麻酔の影響、これは手術二十八例中未熟児網膜症が六例。この六例のうち光凝固で治癒した者が一例、自然治癒が四例、失明状態が一例。それから光凝固の効果については、活動期三期までの初期であれば治癒し得る。急激に増悪する形に対する光凝固の効果は不明である。それから環境酸素濃度——子供をめぐる環境酸素濃度よりも、子供の血液がとれれば血中の酸素濃度を発生防止の目標にしたほうがよい。例示ではございますが、四十五年、四十六年研究班によった報告の要旨でございます。
  144. 小平芳平

    ○小平芳平君 まあ、医務局長もそれで十分だとは思ってないでしょうから、もっと研究すべきことが多いわけですよ。  それから次に、光凝固法ですか、この光凝固治療体制の整備については、国は直接その整備のために努力しておりますか。それは具体的にどうなっていますか。
  145. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 国がただいま光凝固の一つの前の段階として小児の医療センターを整備しつつございます。で、国立についても整備すると同時に、都道府県に補助金を出しまして、計画としては、全国都道府県一カ所ずつ四十七カ所を計画いたして、ただいま二十六カ所までできつつございます。そこに光凝固の機械を備えるように補助対象にしていきたい。国立みずからもただいま九ヵ所程度光凝固装置を備えてございます。で、先生の御指摘はわれわれのこの対策の推進に一つの大きな刺激になるわけでございまして、しかしながら、やはりこの光凝固の機械が購入できましても、それを駆使する医師の訓練が必要でございますので、そういう点を勘案しながら府県単位にできるだけ早く光凝固をもし治療するとするならばあすこに連れていけという病院の設置を急ぎたいというふうに考えております。
  146. 小平芳平

    ○小平芳平君 厚生大臣、以上で質問終わりますが、私はそういう専門的なことが全然知識がありませんので、よくわからないわけですが、どうもその裁判のほうが先に、医師の過失、病院のあるべき体制、それから直接には出ておりませんが、私の質問主意書で指摘するような連携プレー、国の取り組むべき全体的な体制というような点についてもうゆるがせにできない問題です。で、御承知かと思いますが、それこそ各地にこの未熟児網膜症のお子さんがいらっしゃる、また御両親がいらっしゃる。そして訴訟も、この岐阜に限らず各地で提起され、あるいは提起されようとしております。したがって、国の取り組むべき姿勢もいままではまあ医学的に未知の世界が多かったということを医務局長お話しされておられますから、そうだろうと思いますが、はたして行政が取り組む体制が現在のような体制でいいかどうか、私としては質問主意書に対する御答弁はいかにものんびりしているようにしか受け取れませんが、いかがですか。
  147. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 判決についての具体的な批判は私はわかりませんし、すべきものではないと思います。しかし、この判決はいろいろな問題をやっぱり厚生省に反省を私は求めているのではないかと考えております。ですから、具体的な、問題についての判定がどういうふうに下るかは別といたしまして、いろいろやっぱり教えられるものがあるわけでございまして、こういうふうな未熟児網膜症というふうなほんとうにお気の毒な方々の要望、さらにまた治療、そういう面において真剣に私は取り組んでいかなければならぬだろうと、かように考えておるわけでございまして、医務局長なり児童家庭局長なりがそれぞれお答えいたしましたように、もっと医療機関相互間の連携の緊密化の問題とか、あるいは光凝固装置の整備の問題とか、あるいは小児医療機関の体系的な整備とか、まあ、いろいろな私は問題があると思います。そういう意味において、今後判決は判決として別に置きまして、真剣に取り組んでまいる決意でございます。
  148. 山崎昇

    委員長山崎昇君) 本件に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十四分散会      —————・—————