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説明員(
大工原潮君) お答え申し上げます。
先生お話がございました新潟県新井市の地すべりの
災害状況からちょっと触れてみたいと思います。
先生いまのお話のように、
災害原因といたしましては、やはり
豪雪という、残雪量が
例年に比べて現在の時点で多いというふうなこと、それからさらに四月時点におきまして数日高温が続いておったというふうなことから、さらにその上にわずかではございますが降雨があったというふうな
条件が重なりまして地すべりの発生があったというふうに解釈いたしております。しかも平丸地区につきましては、一級河川関川水系の平丸川沿いの地域でございます。その地域に集中してちょうど六カ所
被害が出ておるわけでございます。現在の県からの
報告によりますと、
被害総額といたしましていまお話がございましたように約八億四千万円ほど、その中には
建設省所管のもの、さらには林野庁所管のもの、あるいは農地局所管のものというふうな区分がございますけれ
ども、全体で約八億というふうな
被害でございます。
私
どものほうといたしましては、応急
対策といたしまして直ちに、ちょうど
建設省の土木研究所の地すべり試験所が新井市にございます。直ちにその所長を派遣いたしまして、
現地の新潟県の砂防課長と同道いたしまして、
担当者等で
現地における応急
対策というふうなもの、あるいは
現地の
災害状況の把握、あるいは避難勧告あるいは避難のための移動の計測というふうな技術
指導に当たらせたわけでございます。さらに昨日、四月二十五日でございますが、私のほうの傾斜地保全課の補佐一名と、やはり河川局の防災課の係長でございますが、
現地に派遣いたしまして、復旧工法等の技術
指導に当たらせておる
状況でございます。
で、現在のさしあたっての
対策といたしましては、危険と思われる地域につきましてとりあえず人命の安全を確保するというふうなことから、
現地に直ちに警報機つきの移動観測機施設を設置いたしまして、それによりまして移動を観測しながら避難をしておるという
状況でございます。現在のところやや小康
状態を保っておるというふうなことで、避難は一部解除されておるという
状況でございます。しかしその
災害の過程におきまして
被害人家が合計で四戸ございまして、一戸は流失、一戸は
倒壊、一戸は一部破損、さらに二月は土砂が人家の中に流入したというふうな
程度でございまして、ただ、まだ動きが将来活発になりますと危険と目される範囲の人家がございますので、ただいま申し上げましたように警報機つきの施設をもって危険の、人災のないことを願って人命の安全を確保しておるというのが
状況でございます。
さらに応急の
工事といたしましては、移動を押えるために仮排水路、やはり水が移動の促進になるという
原因がございますので、そういった地すべり地域に対します水の供給を絶つために仮排水路の設置、あるいは流入土砂が家屋に押し寄せないような、はねるためのワク工の設置等を行ないまして、土砂の移動防止、あるいは河川への流入の防止をしておるという
状況でございます。
で、現在までとってまいりました応急復旧
状況といたしましては、本川の平丸川の河道埋塞等につきましては土砂の取り除き
工事あるいはその埋塞によります河川はんらんにならないように土砂排除
工事を実施いたしております。さらに県道の平丸−新井線というのが河川沿いに走っておりまして、そこへ埋塞土砂が載っておりますので、それの取り除き
工事を実施して交通の確保を行なったという
状況でございます。
先生御
指摘の抜本
対策という問題でございますが、地すべり
対策をわれわれ検討いたしております段階におきまして、実は四十七年の非常に大
災害を契機といたしまして、全国的に地すべり危険地の
調査をいたしております。それによりますと、地すべり防止法によりまして
担当の課が、われわれ
建設省所管のもの、あるいは林野庁所管のもの、それから農地局所管のもの、合わせまして約一万カ所の危険個所が判明いたしております。そういった一万カ所の中、それぞれの所管省におきまして、現在われわれが
建設省所管といたしましては現在実施いたしております第四次治水
事業五カ年
計画のワクの中で
計画的に、さらにそういった危険度の高いものから順次施行しておるという
状況でございます。特に新井地区につきましては、この地域一帯が第三紀層の泥岩地帯ということで、その
調査の時点でも非常に危険個所が集中して判明いたしております。したがって地質的にあるいは地形的に非常に地すべりの発生しやすい
条件にあるわけでございます。特にこの地域におきましては、今回の
災害の地域は、三十八年におきまして
法律によります地すべり防止
区域に
指定いたしまして、
工事は
昭和四十四年から地すべり
対策事業ということで
建設省所管で実施してまいっておるわけでございます。で、現在まで投資してまいりました
事業費といたしましては約一億四千万
程度の地すべり
対策事業を実施してきたところでございます。現在の
災害の個所等をその実施いたしましたところ等から比較いたしてみますと、今回の
災害の個所は一応
対策が概成いたしました個所の周辺でございまして、一応
対策が概成いたしました個所からは
災害が起こっていないというふうな
状況でございます。したがいまして四十九年度以降におきましてもさらにこれらの地すべり
対策事業の促進をはかるということにつとめてまいりたいと思っておりますし、さらにこれらの
災害復旧には
災害復旧
事業というふうなもので対応していかなきゃならない
部分もあるわけでございまして、再度
災害防止のために今後努力してまいりたいと思っております。
さらに、
先ほど申し上げましたように
担当官を現在二名派遣いたしておりますので、その
調査の結論、さらにはその結論に基づきまして、地すべりは御承知のように地下
構造の変動でございますので、相当詳細な
調査をしないと的確な判断が出てこないというふうなこともございます。したがって、
調査を継続いたしまして、当地域一帯の地すべり
対策についてさらに検討をして、抜本的な
対策を打ち立てていきたいというふうに考えております。