○沓脱タケ子君 これは午前中も
先ほども
質疑の中で出ておりましたけれ
ども、すでに地方団体では
総量規制に踏み切っている幾つかの府県あるいは都市があるわけですけれ
ども、少なくとも私は、
硫黄酸化物だけを政令で
指定するというふうにお考えになっているのであれば、午前中から主張がありました
ように、
窒素酸化物もあわせて
指定するべきではないかというふうに思うわけです。
といいますのは、いろいろ御答弁を伺っておりまして、
窒素酸化物は困難があるのだという
技術的な問題、あるいは
予測の問題等も含めていろいろおっしゃっておられましたけれ
ども、現実には三重県の四日市では、ことしの三月に
窒素酸化物の
総量規制を条例できめているわけですね。実施はまだ踏み切っていないと思いますけれ
ども、条例化はすでにされているわけです。そういうふうに地方団体で条例化をされている。
大阪では九月の府会で条例化の準備を進めているということも
承知をいたしておりますが、地方団体でそういうふうに先べんをつけていっているという段階で、せっかくこの
法案が提案され
提出され、
総量規制に踏み切るというお立場に立つなら、少なくとも
窒素酸化物も
硫黄酸化物とあわせて政令で
指定するというふうなことが緊急に必要ではないかというふうに思うわけです。
それは
一つは、いま申し上げた地方団体は踏み切っていっているという点、それからもう
一つは人体に及ぼす影響ですね。人体影響の重要性というのは、従来は
硫黄酸化物が
一つの
指標にされてまいりましたけれ
ども、最近の各種の
研究等によりますと、
窒素酸化物の及ぼす影響の重要性というものがずいぶん提起されてきているわけですね。現に公害認定患者あるいは公害
指定地域での患者の
状況を見ますと、これは憂慮されなければならない事態というものが出てきているというふうに考えるわけです。
これは実例を若干申し上げたら御理解をいただきやすいと思いますけれ
ども、たとえば
大阪の西淀川では、
昭和四十四年の
硫黄酸化物の年間平均濃度が〇・一〇二PPMだったのですね。すごく高かった。その後ここは
指定地域になって、四十七年度は
硫黄酸化物は〇・〇四二PPMまで下がってきている。四十八年度は、これはまだ推定で最終ではないらしいですけれ
ども、〇・〇三五まで改善をされております。ところが、
窒素酸化物は逆に上昇傾向をとっております。これは等濃度線等が出ておりませんから、一地点のモニタリングステーションでの測定値でございますから、これだけで全部はいえませんけれ
ども、その数値を見ますと、四十六年度は〇・〇四一PPMが、四十八年度は〇・〇五五というふうに
窒素酸化物が上がってきている。従来ですと、
硫黄酸化物の被害によって呼吸器等の公害認定患者が激増したというふうに見られてきたわけですけれ
ども、それではその患者の動態はどうかといいますと、西淀川の動態を見ますと、これは現在合計三千三百十九名あるわけですが、四十八年度も四百四十一人新たな患者が
発生している。四十五年度は、これは認定
地域に
指定された年でございますから一番多いわけですけれ
ども、四十六年度で八百七十六名、四十七年が四百三十七というふうに、ほぼ横ばいで新たな患者というのが
発生していっているという
状況になっているわけです。それから、四日市を見ましてもそういうことなんですね。四日市の
状況を見ますと、
硫黄酸化物はすでに
昭和四十七年度平均では〇・〇二八PPM、四十八年度では〇・〇二一PPM、それから一番きついといわれておった磯津
地域でも四十八年度〇・〇一九PPMというふうに非常に改善をされている。ところが、二酸化窒素の結果を見ますと、四日市の楠町、これは
指定地域になっていない
地域ですけれ
ども、ここの二酸化窒素を見ますと、これは四十八年度です、四十八年四月から四十九年二月まで十一カ月間のうちで、一日〇・〇二PPM以下の日の割合が半数以下の月が五カ月、一番ひどい十月などは、〇・〇二PPM以下の日がわずかに四日というふうなひどい状態が起こっているわけです。この楠町というところはまた
指定地域になっておりませんけれ
ども、つい先日も小学校四年の十歳になる男の子が、明らかに医師の診断でも公害病だといわれておるぜんそく発作でなくなっているというふうな
状況が出てきているわけですね。
したがって、これは
硫黄酸化物だけではなくて、
窒素酸化物が人体被害に及ぼす影響というものがきわめて重大な影響を及ぼしているということは、患者の動態、患者の増加の状態あるいは病状の増悪の状態等を見ましても、決して軽視できないのではないかというふうに思うわけです。そういう点で、やはり政令に
硫黄酸化物だけをきめるのではなくて、
窒素酸化物もあわせてきめなければならない段階にきているのではないかというふうに思うのですが、重ねて御見解を伺っておきたいと思います。