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1974-05-17 第72回国会 参議院 交通安全対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十七日(金曜日)    午後一時三十六分開会     —————————————    委員異動  五月十六日     辞任         補欠選任      栗林 卓司君     中沢伊登子君  五月十七日     辞任         補欠選任      岩本 政一君     高橋 邦雄君      鬼丸 勝之君     稲嶺 一郎君      小笠原貞子君     須藤 五郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西村 関一君     理 事                 中村 登美君                 二木 謙吾君                 神沢  浄君     委 員                 稲嶺 一郎君                 岡本  悟君                 高橋 邦雄君                 橘  直治君                 中村 禎二君                 橋本 繁蔵君                 山崎 竜男君                 野々山一三君                 原田  立君                 中沢伊登子君                 須藤 五郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  徳永 正利君    政府委員        外務省条約局外        務参事官     伊達 宗起君        運輸省航空局長  寺井 久美君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        法務省刑事局参        事官       吉永 祐介君        運輸省航空局総        務課長      小野 維之君        運輸省航空局管        理課長      服部 経治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○航空の危険を生じさせる行為等処罰に関する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————   〔理事二木謙吾委員長席に着く〕
  2. 二木謙吾

    理事二木謙吾君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  栗林卓司君が委員辞任され、その補欠として中沢伊登子君が選任されました。     —————————————
  3. 二木謙吾

    理事二木謙吾君) 航空の危険を生じさせる行為等処罰に関する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 神沢浄

    神沢浄君 簡明に質問を進めさせていただきますから、時間の関係もたいへん重要なようでありますので、答弁もひとつ簡明に要望いたします。  まず第一点ですが、私はこの法案を一べつしてみまして、結論的に言うと、単独立法をする必要というものがあるのかどうなのか、こういう点をちょっと感じているわけであります。要するに、いまの航空法との関係というものをながめてみますと、要はモントリオール条約批准に伴って「業務中」という概念の取り入れ、それから国外犯に対するところの問題、この大体二点ではなかろうかと思うわけであります。そうであるといたしますならば、航空法の中でもって処理できなかったのかどうなのか。わざわざ単独立法をしなければならなかった必要があったのかどうなのか。こういうような点をまず第一点として伺いたいと思うのです。これは大臣どうですか。
  5. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) せっかくの御指名でございますので……。  この条約は、申し上げるまでもなく、国際民間航空機関の主催のもとに一九七一年九月にカナダのモントリオールにおいて作成されたものでございまして、その内容は提案理由の中で御説明申し上げておるとおりでございます。  なお、この条約の締結にあたりましては、所要国内制度整備されることが必要でございまして、現行の国内法のもとでは、いま御指摘がございましたように、業務中の航空機、それから国外犯処罰、こういうものがございませんために、この二点が障害となるわけでございます。したがいまして、この二点を航空法の中で処理できないかというお話でございますが、この点につきましては航空法においては、条約のこの「業務中」という概念はなじみがたいものがございますし、第二の国外犯処罰、たとえば外国において外国人外国飛行機について行なった犯罪処罰対象とすることは航空法にはさらになじみがたいものであるわけでございます。したがいまして、このように単独法律を御提出申し上げまして御審議をわずらわすと、こういう次第でございます。
  6. 神沢浄

    神沢浄君 単独立法がなされておりますために、たとえば航空の危険を生じさせるための予備的な行為といいますか、航空法にいうところの第百四十三条とか、第百四十四条とか、第百四十五条とか、こういうようなものとの関係というものが、何か非常に不自然になってしまうのではないか、法の体系上。そんな感じがするわけであります。何か法律体系上、たとえばこれは交通事故などを例にしてみますと、無免許とそれによって生ずる事故処罰関係というようなものが分離してしまうような形に見えるんですけれども、そういう点の御見解はどうなんでしょうか。
  7. 吉永祐介

    説明員吉永祐介君) 本法案規定されております罪は、先生承知の、いわゆる自然犯といいますか、刑事犯というものでございまして、これに対しまして、先生指摘航空法第百四十三条、第百四十三条の二、あるいは第百四十五条というような規定の罪はいわゆる行政犯といわれているものであります。したがいまして、刑事犯行政犯とはその性質を異にするものでございますので、このように二つに分けるということは体系上の不都合は全然ございませんし、また、かえって体系上すっきりするのではないかというふうに考えておる次第でございます。先生指摘の車両の無免許運転による交通事故につきましても、無免許自体道路交通法の第百十八条で処罰される。また、自動車事故によって死傷の結果が生じましたような場合は刑法の第二百十一条により処罰されるという二つに分かれておりまして、この体系は今回の本法案と全く同じであるというふうに考えております。
  8. 神沢浄

    神沢浄君 それでは、こういう点はどうなんでしょうか、同様に私もちょっと不自然に感じておるんですが、航空法の第百四十二条の関係過失関係ですね、これをこの法律に移したということは、大体この法律モントリオール条約批准のための国内法整備という、こういう目的に立っているわけです。そうしますと、少しこれは質の異なるもんじゃないかという感じがするわけであります。というのは、条約では、不法かつ故意に行なう行為ということをはっきりいっているわけであります。そうすると、航空法規定する第百四十二条というのは、これは明らかに過失に基づくものをさしていると思うんです。そうすると、条約のいっておるところと過失条項というものを一緒にするということ自体がちょっと不自然に感じますし、そういう必要はなかったんじゃないか、こういう点が感じられるんですが、いかがなんでしょうか。
  9. 吉永祐介

    説明員吉永祐介君) 先生指摘のとおりモントリオール条約故意犯だけを規定しているわけでございます。そこで航空法の百四十二条の過失犯規定でございますが、これはただいま御説明いたしましたようにいわゆる刑法犯——自然犯でございます。そこで航空法の第百四十三条以下に規定されましたいわゆる行政犯とはやはり性質を異にしているというふうに考えるわけでございます。故意犯過失犯の差はございましても、第百四十二条の罪も自然犯ということに変わりないわけでございますので、今回の本法案を提出しますに際しまして百四十二条を本法案に持ってくるということは適切ではないかというふうに考えております。
  10. 神沢浄

    神沢浄君 いまの点がしろうとだけに、ちょっとどうもいまの御説明だけではまだわかりかねるんですが、私が伺っておるのは、条約では、不法かつ故意に行なう行為と、こうはっきり示しているわけですね。したがって、条約批准のために必要な国内法整備をするという見地に立てば、不法かつ故意に行なう行為に対する法制化をはかればいいのであって、航空法の百四十二条の規定を、不法かつ故意にとは関係のないいわゆる過失に基づく行為、それを何もこの立法の中へ持ち込まなければならないという理由はどうも私にはうまくわからない点なんですけれども、どうなんでしょうかね。
  11. 吉永祐介

    説明員吉永祐介君) 先生がおっしゃられますとおり、モントリオール条約上の義務といたしましては、この過失規定を本案に入れる必要はないというふうなことは当然でございましょうが、結局現航空法の百三十八条以下の規定、いわゆる過失犯まで含めまして、そういう自然犯的な行為というものを今回取り出して一つ法律体系をつくるという意味においては非常にいいんではないかというふうに考えるわけでございます。
  12. 神沢浄

    神沢浄君 次に進みましょう。  もう一点は、この犯罪準備行為、これはこの法律の表題が示しておりますように、「航空の危険を生じさせる行為等処罰」と、こういうことになるわけなんですから、そういたしますと、その業務中あるいは機内においての行為につながる犯罪のための謀議であるとか、あるいはその情報提供の問題であるとか、あるいは資材やその器具準備運搬だとか、この犯罪を起こすためのそういう準備的段階行為というものがあると思うんですね。そういたしますと、これも要すればその「航空の危険を生じさせる行為」につながっているわけでありまして、そういうふうな点についてはこの法律制定の上でもってどんなふうにお考えになっておられるんでしょうか。
  13. 吉永祐介

    説明員吉永祐介君) 先生指摘犯罪準備行為としておあげになりました謀議、計画、情報収集連絡あるいは器具準備運搬というような行為は、いわゆる犯罪予備行為——予備罪ということになるわけでございます。本法案予備罪規定してないわけでございます。結局、いま申し上げたような行為は、したがって本法案処罰対象とならないわけでございます。予備罪を設けませんでした考え方といたしましては、モントリオール条約自体予備罪規定することを要求してないということと、本法案の第四条に、第一条、第二条第一項及び前条第一項の未遂罪、そういうものを処罰することにしておりまして、未遂処罰で十分ではないかというふうに考えたわけでございます。  なお、日本国内または日本航空機内における犯罪につきましては、本法案規定する犯罪の予備的な行為というものは、たとえば爆発物取締罰則等により処罰できる、あるいは殺人というようなものを計画しておれば殺人予備でやれるということで十分まかない得るんではないかというような考え方予備罪規定しなかったというわけでございます。
  14. 神沢浄

    神沢浄君 次に国外犯について伺っておきたいと思うんですが、この条約が拘束し得ない、犯人がいわゆる非加盟国の場合はどういうことになるのか。  それからもう一点は、非加盟国に対してはこの条約でもって拘束はし得ないけれども、これはやっぱり外交上の対応というものは、当然必要になってくることと思うんですが、これは外務省の方お見えになっておったらばこういう点も伺いたいと思うのでありますが。
  15. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) お答え申し上げます。  犯人が未加盟国の場合といいますときには、犯人が未加盟国国籍を持っている場合ということだと思いますが、その場合でございましても、やはりこのモントリオール条約は、犯人国籍のいかんを問わず締約国間では処罰対象とするということになっておりますので、その点は未加盟国国籍を持っている者でもこの条約対象となる行為を行なった者については締約国においては条約上の処罰ができるということになると思います。  第二番目の、未加盟国に対してどのような外交上の対応措置がとれるかということでございますが、先生も御指摘になりましたように、条約上の権利といたしましてたとえば犯罪人引き渡しを要求するというようなことはできませんけれども、通常の外交の経路を通じまして犯罪人引き渡しの請求をすることも、諸般の事情を考慮した上で、必ずしもできないわけではございません。
  16. 神沢浄

    神沢浄君 何か大臣の御都合が、一時五十五分ごろからちょっと中座をなさるようでありますから、実は、まあ質問の順序からまいりますと前後の関係が抜きになってしまって、何か唐突の質問みたいな形になりますが、実はこれからあと私は損害補償の問題についてちょっとお尋ねしておきたいと思うわけであります。  いま、何か私どもの聞き及んでおりますところでは、国内にいわゆる基準となるべきまだ法制化が行なわれていないと、こういうことでありまして、したがって、航空会社とのそれぞれの約款に基づいて処理がなされているようであります。各国の状況などにつきましても、やはり基準法というようなものがまあ必要だと、こういう趨勢のようでありますから、そこで国連におけるところの国際民間航空機構の中でもってきめてありますいわゆるグアテマラ議定書、これはもういま世界の趨勢としてこの批准というものが非常に進められているようでありますが、やっぱりわが国におきましても、この批准は急ぐべきではないかというような意見航空関係方たちの間には相当大勢を占めておるようであります。私ども門外漢ですからよくわかりませんが、そういう関係方たちの御意見というようなものが多いということからいたしましてもこの批准はやっぱり急がれることが必要なのではないか。同時に、それに基づきましていわゆる基準となるべきその法律制定というものもこれまた必要ではないかというふうに実は考えてもみておるところでありまして、もしこれらの批准を急ぐことに対する障害というようなものがわが国事情の中にあるのかどうなのか、あればそういうようなことも含めてお答えがほしいと思いますし、申し上げましたような見解についてひとつ御意見を承りたいと思うんです。   〔理事二木謙吾君退席、委員長着席
  17. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御指摘のように、この問題は、お説の点につきましては十分私ども理解できるわけでございます。いま実務担当者間におきまして国内法整備のための検討を続けておるところでございます。  なお、この条約のいわゆる発効等につきましては、いろいろそれぞれの機関において、三十カ国の批准を必要としておりますが、条約の成否に大きな影響力を持っておりますアメリカがまだ実は足踏みをしているような状態でございまして、このアメリカ動きども見守りながらいま準備を進めている段階でございます。
  18. 神沢浄

    神沢浄君 それでは次にお聞きしておきたいと思いますのはハイジャック防止対策についてでありますが、これは四十八年の八月二十九日のハイジャック等防止対策連絡会議というところでもって決定をされております「ハイジャック等防止対策要綱」、これは私なども一応読ましていただいております。そこで問題は、この要綱に基づいて現在実際にどのように対策が講じられているか、こういう点をひとつ説明を受けたいと思うんです。
  19. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 四十八年八月のハイジャック対策要綱と申しますものの要点は、安全検査強化すること、それから空港諸施設におきます警備体制強化すること、また、出入国業務に関する対策を推進すること、その他、情報収集及び連絡体制強化すること、こういったことが骨子となっておりますが、具体的に各空港につきましてハイジャック防止のための検査機器等を設置いたしております。この点につきましては管理課長から御答弁させます。
  20. 服部経治

    説明員服部経治君) 御説明いたします。  ただいまの局長説明のとおりでございまして、このハイジャック対策防止要綱に基づきまして、昨四十八年度では三億七千万円、それから本四十九年度におきましては二億六千万円の予算措置を講じまして、これを中核といたしまして、各航空会社の手によりまして、ジェット機が就航いたしております主要十六空港につきまして、本年の一月から大体三月一ぱいにかけまして、国内線関係につきましては所要エックス線透視装置とかあるいは新型金属探知装置導入設置を終えたところでございます。また、その他のプロペラ機等が就航いたしておりますローカル三十五空港につきましては一応全部金属探知器の配置がすでにできておりまして、これらの機器を使用いたしましてハイジャック防止体制の万全を期しておるところでございます。
  21. 神沢浄

    神沢浄君 時間がありませんから、私は率直なお尋ねを個条的にいたしますが、そうやって対策が講じられておると。現在までの経過の中でその対策を講じたがために、あるいは未然に事態が防止し得たではないかというようなケースがあったかどうか。なければないでけっこうですから——ないほうがけっこうですから。それから、そのような対策を講じてもなおかつやっぱり対策上の盲点当局自体が考えられるような点があるかどうか。それから、それと同様の趣旨になりますけれども、なお対策強化をはかっていくには今後どのような点が特に取り上げられなきゃならないかというような、以上の三点についてひとつ意見を聞きたいと思います。
  22. 服部経治

    説明員服部経治君) まず第一点、このようにして防止対策強化したことによってハイジャック事件というものを未然に防止し得たかどうかという点でございますが、これは非常にお答えがむずかしい点でございますけれども、従前、たとえば昨四十八年におきましては、年間に全国の空港で一万四千件強のいわゆる凶器ないしは凶器たり得るような物件を発見いたしておりますが、新型検査機器を導入いたしましてからの実績でございますが、ちょっと全国的には数字を私承知しておりませんが、たとえば羽田の空港だけで見ましても、月に約一千件のそういった凶器等を発見しております。したがいまして、これから類推いたしますと、かなり凶器等発見率は大幅に向上しておるというふうに申し上げてよろしいんではないかと思います。  それから、このハイジャック防止対策盲点ということでございますが、これはあまり詳しく申し上げることもあるいはかえってどうかというふうにも考えられるのでございますが、私ども一番いま心配いたしておりますのは、先生もうよく御承知のことと思いますが、本年の三月に日航の沖繩線ハイジャックが起こりました。あのケースに見られますように、あの場合、犯人は一切凶器を所持しておりませんでしたが、あたかも自分が凶器を持っているがごとくに装いましてあの乗務員等を脅迫して奪取に成功したわけでございまして、ああいうふうな形で起こってまいります不法奪取につきましては、現在のところちょっと有効な防止策がないのではないかというふうに心配いたしております。  それから第三点でございます。私どもこれからも一そうあらゆる方面でこういった防止対策強化をはかってまいりたい所存でございますけれども、何ぶんこの防止対策と申しますのは、御承知のようにお客さまそれぞれ個人の所有物である手荷物を開披する、あるいはそのからだに触れるようなかっこうでボディ・チェックを行なって所持品の有無を確かめるというような方法でありますために、お客さま方の中にはそれをかなり不愉快にお感じになる方が当然多いだろうと思う次第でございまして、そういう意味から申しましても、こういった防止対策を一そう徹底するためには、こういったハイジャック防止対策の実施の重要性ということにつきまして国民の皆さまの深い理解と協力を得ることが何よりも必要であるというふうに考えておるところでありまして、この面につきまして今後とも特段の努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
  23. 神沢浄

    神沢浄君 それでは次に損害補償の問題について少しお聞きしておきたいと、こう思うんですが、これは死亡にいま限ってお聞きいたしたいと存じます。  それでまず乗客の場合ですね、その乗客の場合を分けて、日本機の場合と外国機の場合、最も近い例等をひとつあげて御説明をいただきたいと、こう思うんですが、それをまずお伺いします。
  24. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) このハイジャック等によります被害賠償関係でございますが、これによりましてまあ死亡したり負傷したりというような事件が起こった場合に、大体航空機事故損害賠償考え方が適用されておるというふうに考えられるわけでございまして、この事故関係の実例を申し上げますと、最近の例では四十六年の東亜航空の「ばんだい」号事件につきましては死亡者一人につきまして平均一千八十万円、それからその翌年の四十七年の日本航空ニューデリー事故では七百三十九万円、これは実は解決済み日本人旅客十名と外人旅客十八名の平均でございますが、日本人旅客について申し上げますと、この七百三十九万円よりは高うございまして、最高一千三百二十万円、最低が一千二百九十七万円となっております。それからモスコー事故におきましては、同じように平均でございますが、千六百五十一万円というような金額が支払われております。先ほど申し上げましたように、こういう損害賠償額に関する規定といたしましては、国際輸送につきましてワルソー条約、それからヘーグで改正されましたこのワルソー条約がそれぞれ死亡身体障害の場合の損害賠償額を十二万五千フラン及び二十五万金フランというふうにきめられておりまして、これに基づいて損害賠償が支払われておるわけであります。ただアメリカを発着する航空機につきましてはモントリオール協定がございまして、これで約米ドルで七万五千ドルということになっておりまして、これが適用されておるわけでございます。国内輸送につきましては特段の法的な規制はございませんけれども、各社とも運送約款に基づきましてヘーグ議定書限度額にならいまして損害賠償限度額を六百万円というふうにきめておりますので、これが一つ基準になっておる状態でございます。これらの額が、モントリオール協定を除きましては、現時点において必ずしも十分な補償を与えるものとは言えない事情にございまして、実際問題としては先ほど御紹介申し上げましたように、限度額を越えるような補償がなされておる状態にございます。
  25. 神沢浄

    神沢浄君 いまお聞きしておりましても、それぞれケースケースでもって賠償額も違うと。そういたしますと、死亡いたしましても乗った飛行機によって命の値段が違うというようなことにもこれはなっているように思えます。こういうようなことがなくなるために、さっきもちょっと大臣に、何か前後の関係なしにお聞きしましたからなかなか十分なお答えもいただけたようにも思えないですけれど、やっぱり法律をもってそれらをきめていくというようなことにはならないんですか。
  26. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 特に国際国内と多少事情が違うわけでございますが、国際輸送につきましては、先生指摘のように、やはり航空輸送というものの発展と同時に、その被害者補償という両面から、古くはワルソー条約からございますが、この責任限度額をどうするかという議論がずっと続いておるわけでございまして、先ほど先生指摘グアテマラ議定書におきましても、やはりこの限度額を引き上げるというような一つ動きがございます。で、ただ、各国いろいろ事情なり、社会制度が違いますものですから、一律にこれがいいんだということをなかなか国際的にきめにくいという状態もございまして、金額としてはグアテマラ議定書の場合、はるかに高くなりますけれども、それ自体必ずしも満足できない。たとえばアメリカの場合で申しますと、航空会社といいますか運航側責任があってもそこで賠償額が打ち切られると、こういう考え方自体に問題があるというような意見アメリカ国内にあるようでございまして、なかなか、各国の立場というものが国際的に統一されない事情にございまして、国際条約で一律にぴしゃっときめてしまうということが現実問題としては非常にむずかしい状態にあるということをまず御理解いただきたいと思います。  国内的に見ますと、やはりこれはその時点、時点の経済状態、社会状態に基づきましてこの賠償額というものが出てくるのが望ましいわけでございます。反面、賠償額を非常に高くしますと、やはりこういう輸送機関の維持ということが非常にむずかしい面が出てまいります。こういうことのかね合いで検討されるべきものであろうかと存じますが、これを法制的に一律にきめるということはなかなかむずかしいのではないかと、むしろ運送約款の面で徐々に改善をしていくということが実際的ではないかというふうに考えております。
  27. 神沢浄

    神沢浄君 次ですね、いままでお聞きしてわかりましたのは、要するに、航空会社乗客関係ということになるんですけれども航空機事故のために地上に被害が起こりますね。そういう例も当然あり得るわけでありまして、そういう場合の損害賠償などにつきましては、何か事例がありましたら事例をあげていただければなおわかりやすいと思うんですが、大体どんなことになるんでしょうか、ちょっとお聞きいたしたいと思います。
  28. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 航空機によります地上の損害につきまして、その損害をどうするかという問題でございますが、最近あまりよい例がございませんので、ちょっと具体的なお話として御紹介いたしかねるわけでございますが、こういう関係条約といたしましては、一九五二年ローマで作成されまして一九六三年に発効いたしております、外国航空機が地上の第三者に与えた損害に関する条約、いわゆるローマ条約というのがございます。ただ、わが国がまだこれに批准をいたしておりませんし、また、こうした損害が生じた場合には、一般の民法の原則によって処理されるということになろうかと存じます。  で、ちなみにローマ条約でございますが、現在まで二十七カ国が批准しておるにすぎませんで、主要国でございますアメリカ、英国、ソ連、フランス、ドイツなどは、内容が十分実態に即していないために加入していないというふうに聞いておりますし、このローマ条約を改正をいたしまして、より多くの国が加入できるようにしようという動きがございます。で、民間航空機構でございますICAOの法律委員会においてもこの問題を月下検討を進めておる状態でございます。
  29. 神沢浄

    神沢浄君 これは質問をいたすこと自体が適切かどうかわかりませんが、ついでに、御存じでございましたらひとつ聞かしておいていただきたいと思うんですが、航空機事故が起こった場合の搭乗員の場合ですね、これは私どもしろうとが考えますと、不測の理由、原因に基づいて航空事故が生ずる。これは運送約款等がありますから、先ほど来いろいろと御説明を受けましたように、乗客の場合はそれなりの賠償もできると思うんですが、搭乗員の場合は、これはそれとは全く違って、単に会社との雇用関係だけのものだと思うんです。したがって、特に航空機の場合は何かあるのかどうか、これはもう生命を失うという重大なことでありますから、何か御説明がありましたように、乗客の場合は、現状においてはそれぞれ一千万をこえるような賠償額というようなものが支払われるのに、搭乗員の場合は、ただ単に雇用関係の上における労災保険だとか社内規程だとかいうようなものだけでもって処理をされておるのかどうなのか、これは今後の検討の素材にいたしたいという、そういうふうな気持ちの上から、御存じならばひとつお聞きしておきたいと、こう思うんです。
  30. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 旅客につきましては、一応、運送約款なり、国際条約なりということで一つ基準がございますけれども、乗務員につきましては、日本でも、先ほど申し上げましたように、日本航空、東亜国内、いろいろ事故を起こしております。ただ、それがどういう基準で支給されているかということについて統一的なものはございませんようでございます。先生指摘のように、まず、労働者災害補償保険、退職年金、あるいは弔慰金というような一般的な給付を行ないますほかに、殉職者のための特別給付という形で祭祀料、特別弔慰金、遺族補償、付加給付金というような名称で弔慰金が出されておりますが、このやり方、名称、計算のしかた、いろいろ各社各様の差異がございます。で、この点、またその当人の会社内における地位というようなものにも関連いたしまして相当な差異があるのではないかと、具体的な金額をちょっと申し上げられないで恐縮でございますが、そういう状態になっております。
  31. 神沢浄

    神沢浄君 もう私は終わりますけれども、私はこの搭乗員の問題などについては、政府の立場でもってどうこうということとは違うと思いますが、しかし、ますます航空機がふえる。これはよほどの、何といいますか、航空機の進歩に従って、その技術というようなものも高度のものが要請をされる。こういうようなことを合わせ考えてみますと、やはりこれは一般のただ単なる雇用関係でもって律せられて済ましておくというようなことでは、そのこと事態が、やっぱり人間である以上は、これは相当精神部面も影響するものでありますから、非常に間接的なことになるかもしれませんが、いわゆる航空上の安全の問題にもあるいはつながっていくような面だってもなしとはしないかもしれません。これはやっぱり検討すべきことじゃないかと、こう思うんですが、まあ、こんな点で、これはほんとうに大臣の個人的意見でけっこうですけれども、お聞かせをいただいて終わります。
  32. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) お説のように、搭乗員の問題につきましては、これはもう私も御指摘のとおりであると思います。  かつて、私が兵隊におりましたときには、そういうようないろいろな諸規程がございまして、ちゃんときちんとしておったものでございます。当時といまはその状況も環境も違いますからではございますけれども、特にまたハイジャック等によりまして、政府が自分の飛行機、自分の搭乗員というものを持たないために救援にお願いしなきゃならぬというような、要請するようなこともございますし、そういう点につきましては私は早急にそういうものをやはりきちんとしたものを持たなきゃいかぬのじゃないかと、かように考えておる次第でございます。いま御指摘の点につきましては、十分私どもも検討を、政府の立場から、あるいはまた会社は会社としての立場がございましょうけれども、いろいろな点におきましていろんな立場から検討を加えていきたいと、かように考える次第でございます。
  33. 中村登美

    中村登美君 関連。  ただいま神沢先生質問に関連いたしまして、搭乗員の弔慰金とか保険とか、いろいろ社内で、たとえば日本航空あたりの場合ですね、大体の額はどのぐらいということ、もしお差しつかえなければ伺わせていただけたらと思いますが、なくなった場合に大体どのぐらいなものが出るのか、ざっとでけっこうでございます。
  34. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) まことに申しわけないんですが、具体的に私数字を持ち合わせておりませんでお答えできませんが、パイロットの中でも機長とコーパイでは非常に違います。また、客室乗務員、いわゆるスチュワーデス等、同じ乗務員でもかなり違っておりますし、またパイロットの中でも、扶養家族がどのぐらいかということで相当な差があるように聞いております。
  35. 原田立

    ○原田立君 今回のこの法律についてはわが党は賛成でありますから、そういう立場で、なお一そう充実すると、こういうような立場で御質問したいと思います。全くこういう点について実はしろうとなもんでよくわからないんでありますが、皆さんのほうでおわかりの点は十分御説明を願いたい。  まず、東京条約あるいはヘーグ条約に加盟していた、それが今度は今回のモントリオール条約に加盟するとこうなると、三つの条約に参加したということになるわけでありますが、そうなると、当然いわゆる飛行機に関する犯罪については、もうアリの子も出ないようにきちんと犯罪面については網羅したと、こういうことが言えるのかどうか。また、このほかにはもう穴があいてないと、こういうふうに理解していいのか、その点はいかがですか。
  36. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) いろいろそれぞれの条約によりましてそれぞれの規定で罰則もあるわけでございますけれども、問題は、安全の問題に関する限り予防措置が大切だと思うんです。そういう事犯が起こる前に起こさせないということが——これでも間接的なそういう面は動いておると思いますけれども、そういう面ではいろいろまたこれには問題がございまして、文章の上でどういう法律をつくろうと書こうと、なかなかその対策というものは実際に窓口でやらなきゃいかぬことばかりでございまして、そういう面においては私はまだこれは完ぺきなものではないと思います。しかし、まあこのそれぞれの内容は御承知のとおりでございまして、そういうような罰則があるために、そういう犯罪をやったらこうなるぞというような意味では確かにこういうもので間接的な効力はあると思いますが、まだまだ、何ぶんにもこの法律上の問題でございまして、これで万全であるかどうかということについてはいろいろ問題があろうと思います。
  37. 原田立

    ○原田立君 まあ、要するに、そのまず一番最初は東京条約でぱっとやったと。で、まあこれできちんとしたものができたかなと思ったらその次にヘーグ条約だと。これで穴がこうきちんとふさがったかなと思ったら今度はモントリオール条約だと。あとからぱっぱっと新しくできているんですな。まあ、われわれしろうと、国民の立場からいけば、ああ、今度のこの法律ができたんできちんとハイジャック関係についてはもう心配ないんだと、こう思っておったら、あにはからんや、あっちこっちまだ穴があいていたんですよ、新しい条約ですよと、こうなると。あんまりそれじゃまるで学のない話じゃないかと。もう具体的に、いまの三つ条約ではまだこの面は充足するけどこの面がまだ足らないんだと、まあ、これについてはこういう他にまだ条約が必要なんだというような見通しが運輸当局にあってしかるべきだと思うんです。その点をお聞きしているんです。
  38. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) ただいま大臣お答え申しましたように、東京条約で機長の権限を強化いたしましたし、ヘーグ条約ではハイジャックという行為そのものを対象に罰則を設ける、モントリオール条約ではその他の破壊行為に対する罰則を設けまして、国際的にこれを罰しようということでございまして、航空機に関連いたします犯罪の起こり得る可能性を考えて、この三つの条約で一応は対策ができたというふうに考えておりますが、ただ、これはやはり国際間で共同して処罰をし防止をしようという趣旨でございます。したがいまして、全世界の国々が全部加盟することが望ましいわけでございます。で、まあ、そういう点で加盟国が少ない状態ではやはりこういう三つの条約の効力というものに多少抜け道が出てくる可能性がある。つまり、今度のこのいま御審議をお願いいたしています法律では国外犯処罰ということがございますから、国籍のいかんにかかわらず、加盟国にその犯人が参ったときにはこれを処罰できるわけでございますが、加盟国以外におる場合にはどうにもならない、こういうことがございます。そこで、いま国際間で何が議論されておりますかといいますと、このいずれの条約にも加盟をしておらない国の国籍を持つ者がハイジャック等を行ないまして、そうしてその国に所在しておる。こういう場合に、国際間でひとつ制裁をするためにその国の飛行機を受け入れるのをやめようじゃないか、まあ、こういう一つ考え方があるわけでございます。ただ、これはかってローマでいろいろ議論をされたわけでございますが、これはまだ十分国際条約として成立するまでに練り上がっておらないという状態で、ただこういう問題があるということを御紹介さしていただきます。
  39. 原田立

    ○原田立君 ちょっと聞きそこなったんですかね、先ほど何か局長説明の中に、この法律では例の沖繩のハイジャックの少年、あの犯罪、あの犯罪はあんまり適用されないんだというふうな意味の話がちょっとあったんですが、その点はどうなんですか。私の聞き違いならばまあ聞き違いでけっこうなんですけど。
  40. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 沖繩の例は、あれはハイジャックでございますから、この現在御審議をお願いいたしております法律対象には直接ならないわけでございます。ヘーグ条約のときに航空機の強取等の処罰に関する法律をお願いしてこれが成立いたしております。これがいわゆるハイジャック犯罪として処罰するという法律でございますから、これに該当するわけでございまして、この現在の法律には直接該当しないということでございます。
  41. 原田立

    ○原田立君 じゃヘーグ条約には関係するわけですね。そういうことですね。
  42. 寺井久美

  43. 原田立

    ○原田立君 東京条約ヘーグ条約モントリオール条約と、この各条約に未加盟の国がまだだいぶ多いような話でございますけれども、こういう条約参加ということは、国連等でも十分呼びかけられているのではないかどうか、その後の増加数の状況はどうか、現実は一体どうなっているか、この点はいかがですか。これは外務省ですかな。
  44. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) お答え申し上げます。  東京、ヘーグモントリオール条約への未加盟国ということでございますが、まず第一に、現在どれくらい加盟しているかという現在の加盟国の数から申し上げますと、東京条約は七十三カ国が加盟しております。それからヘーグ条約は現在六十七カ国が加盟しております。モントリオール条約には五十一カ国というのが現状でございます。  三つの条約いずれにも参加していない国と申しますと、まあ民間航空の上で重要な地位を占めている国ではほとんどございません。むしろそれらの国々は三条約に入っているというふうに考えてよろしいかと思います。なお、詳細のあれにつきましてはさらに御要望があればお答えできると思います。  それから未加盟国について、この条約に入るようにという、勧奨と申しますか、そういうものは、国連の場においても、御指摘のようにございますし、それからICAOの場におきましても、同様になるべく多くの国が入ってくるような勧告ないしは決議をいたしております。そのように努力しているわけでございます。
  45. 原田立

    ○原田立君 重要国はみな入っているというようなことでありますが、それで大体了解しておきます。  それから、過去のハイジャックにあった場合の飛行機の機種及び足の長さ、これはどんなものですか。
  46. 小野維之

    説明員(小野維之君) 全部はわかりませんが、わが国の例で申し上げますと、昭和四十五年からことしにかけまして起こりました六件のうち——六件ございましたけれども、そのうちのボーイング727型というのが三件でございます。それから、ジャンボといっております747型が二件、それにフレンドシップF27型というのが一件と、こういうことになっております。  それから航続距離でございますが、航続距離は747型の国際線に使われておりますもので八千百キロメートル、747のSRと申しております国内線に使われておりますもので三千四百キロメートル、それから727型が二千七百キロメートルから三千四百キロメートル、F27は六百キロメートル、こういうような状態でございます。
  47. 原田立

    ○原田立君 モントリオール条約関係する犯罪を行なったのは何件ぐらいか。要するに、民間航空機法律に指定されているような航空機をこわされた、あるいは飛行場をこわされたと、これは大体何件ぐらいあるのですか。
  48. 服部経治

    説明員服部経治君) お答え申し上げます。  これは各国からICAOのほうに報告のありました数字をICAOで取りまとめた数字でございます。爆破等の破壊行為が行なわれた件数でございますが、昭和四十四年に二件、四十五年に十四件、四十六年に二件、四十七年に八件、四十八年に九件でございます。  それから、いわゆるテルアビブ空港で起こりましたような地上攻撃……
  49. 原田立

    ○原田立君 国内だけでいい、国内で。外国のはいい。
  50. 服部経治

    説明員服部経治君) 日本の国内ではございません。     —————————————
  51. 西村関一

    委員長(西村関一君) この際、委員異動について御報告いたします。  岩本政一君、小笠原貞子君、鬼丸勝之君が委員辞任され、その補欠として高橋邦雄君、須藤五郎君、稲嶺一郎君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  52. 原田立

    ○原田立君 わが国ハイジャック防止対策として、エックス線透視装置が設置されている空港が十六空港あると聞いておりますが、その他の空港にはつける計画はないのかどうか。現実問題はどうですか。
  53. 服部経治

    説明員服部経治君) 先ほどの神沢先生の御指摘の中にもございましたが、私ども、昨年度末——ことしの始めごろから、国内の十六空港につきましてエックス線透視装置、それから新型金属探知器、こういうものを導入してまいったわけでございますが、これは昨年の八月のハイジャック防止対策要綱の決定に基づきましてハイジャック防止対策の充実の第一段階としてそういう方向で取り組んでまいったものでございまして、現在の段階では、成田空港を除きましては、決定された計画として他の空港にこういうものを導入する計画は持っておりません。
  54. 原田立

    ○原田立君 エックス線透視装置をつけるのは、こういう飛行機の場合はつけるんだという基本がありますか。
  55. 服部経治

    説明員服部経治君) 飛行機対応するということでは必ずしもございませんで、その空港で乗降されます——と申しますよりは、その空港から航空機にお乗りになりますお客の数の多い空港につきましてまず優先的にこういう機械を導入するのが至当かというふうに考えております。
  56. 原田立

    ○原田立君 じゃあ、少ないところにはつけないということですか。
  57. 服部経治

    説明員服部経治君) 少ないからつけないということではございませんで、何ぶんこれは一セットにつきまして二千万円をこえる高額の機械でもございますし、この機械を導入いたしますと、それに伴いましてそれを運用する人間の数も自然ふえざるを得ないというような事情もございますので、すべての空港につけることが望ましいことはもちろんでございますけれども、私どもといたしましては、許されました予算の範囲内でできるだけたくさんの空港に設置してまいりたいというふうに考えております。
  58. 原田立

    ○原田立君 大臣ね、つけるのが望ましいんだったら、早うつけたらどうですか。二千万円だから、高いから、きめられた予算の中でぼちぼちやっていくんだなんて、そんなぼちぼちやっていくうちにもし起きたらどうすんですか。だから、そういう説明のしかたは非常にふまじめだとぼくは思うんですよ。  また、もう一つ別な面で言いますと、私は九州ですから板付から乗ってくるんだけど金属探知器またはエックス線透視器、事実置いてありますよ。だけれども、その飛行機への入り口が八つぐらいあるんですよね、八つぐらい。じゃあ、八台全部置いてあるかというと、八台全部置いてませんよ。一台しかぼくは見ていない。そこを通ってみんなこう行くようになっている。それは旧館、新館があるもんだからね、もちろん新館のほうはついているけれども、旧館はついていない。みんなボディ・チェックといってこうやってやるわけだ。だから、さっきの話じゃないけれども、やる計画があるんだったらね、もうもっときっちりと計画を立てて早くおやりになったらどうなんですか、大臣
  59. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 先生の御指摘、まことにごもっともで、ただ答弁が少し不十分でしたので補足さしていただきたいと思いますけれども、旅客数の多いところ、つまり多数の旅客を短時間で検査するというためにこのエックス線透視器が非常に有効なわけでございまして、そういう意味で旅客数の多い空港からまずつけていこうという、こういう方針を立てました次第でございます。また、旅客数の少ない空港につきましては、手荷物の開披点検——金属探知器はもちろんついておりますが、——開披点検によってまだまかなえるという状態にございます。したがいまして、旅客数がある限度を越しますと、やはり旅客の流れを阻害しないために、かつまた安全に検査を行なうためにはこういうエックス線探知器が必要であるということでございまして、実情に合った状態でどんどん設置をしていこうということがわれわれの基本的な考え方でございます。  それから、福岡の例を先生指摘になりましたが、福岡は現在六台ございます。ただ、旧ターミナルのほうは非常に細長いといいますか、幅の狭いターミナルである関係上、設置をしたところを必ずしも通ってないという事実が、先生指摘のように、あるようでございまして、これはまことに遺憾でございまして、至急直すように指示を本日いたしております。
  60. 原田立

    ○原田立君 新型金属探知器も十六空港についているということになっていますけど、その他のつける計画の有無についてはどうですか。
  61. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) この新型検査器につきましては、現在のところ、まだ旧型と早急に入れかえるという計画はございません。
  62. 原田立

    ○原田立君 性能がいいから新型にしたのだろうからね、それは入れかえる計画はないだなんて言わないで、かえる計画を立てたらどうなんですか。それでこれはしろうとだからあれだけど、いつも乗りますけどね、これぐらいのパイプが一本つうっとこうなって、そこを通ったりなんかするので見つけるらしいんだな。今度、新型のはこのくらいの幅になって、こう二つくっついているようですね。たいへん性能がいいようにぼくは聞いている。一台どれくらいかかるんだか知らぬけれどもね、もう新型にしたほうがいいんじゃないですか。それが一つ。  それから、ジェット機就航十六空港における安全検査整備状況というのをおたくのほうからもらったんですけどね、要するに、十六空港にちゃんとついていますよといっても、その空港によって入り口が五つも六つも七つも十もあるわけですよ。多いところもあれば少ないところもある。だから、各入り口につけなければ意味ないと思うんですね、各入り口全部につけなければ。その各入り口がこの十六空港について入り口が幾つあるのか、金属探知器とエックス線透視器は何個ついているのか、ついてないのは幾つなんだと、それはいつごろまでつけるんだと、そういう計画があったら御説明願いたい。
  63. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 先生のおっしゃる入り口というのは、要するに最終的に旅客が航空機に乗るところの入り口ということであろうかと思います。私ども考え方といたしまして、まず一般のお客並びに見送り人がいる地区から、お客だけが入る、お客だけが飛行機に乗るために入る地区へ移るところに金属探知器なりエックス線透視器を置きまして、そこをお客が通って中に入る、こういう仕組みを考えておりますので、空港について三カ所とかあるいは二カ所とかいうふうになっておりますのは、その入り口を通って中にお客が入り、さらに各飛行機に乗るために直接の乗降口へ移っていく、こういうことでございますから、必ずしも飛行機に乗るための最終的な入り口と検査器の数は一致いたしておりません。むしろ見送り客と別れて旅客だけになる、そこの境界線で入り口を設けてそこを通ると、こういう仕組みにしてございます。ただ福岡の場合、ちょっと、先ほど申し上げましたように、遺憾な運営のしかたをしておるので、これは至急に改善させるという指示をいたしております。
  64. 原田立

    ○原田立君 福岡の話は別にして、それはあんたの言っていることはわかっているんですよ。一般のたまり場があってそこから中に入って飛行機に乗るためのまた控え室があると、そんなことはわかっている。だから、そういうので、要するに入り口ですな、それは六個あれば六個、六つの入り口があれば六つの機械が設置されていなければならないんだろうと言うんです。それがそうなってますかと言うんです。調べてありますか、それ。時間がないから、もう調べてないんだったら、あとで調べて教えてください。  それから、いろいろ凶器を機内に持ち込むこと、持ち込むその以前にチェックしてこういう犯罪を防止しなければいけない。これはもう大臣が冒頭に言ったとおり。ところで、いろいろライフル銃であるとか、散弾銃だとか、空気銃、拳銃、日本刀、わきざしなんていうのが発見されている数というのが近年ずっと増加してきていますね。非常に憂慮すべきことであろうとこう思うんでありますけれども、さて実際にあちこち飛行場に行くけれども、飛行場で、機内の持ち込みの際にはこういうのは御遠慮くださいよというふうなまずアナウンスもなければポスターも張ってない。何ら注意もされていない。ただし、そのいま金属探知器ですか、あるいはエックス線透視器、それを通す、それだけの話。むしろ実際に考えてみるのに、エックス線透視器でびいっと鳴ったと、さあ、中は何ですかだなんて言われるぐらい実は不愉快な話はない。こうなれば最初から、こういう物は機内へ持ち込みがいけないんですよと、御注意くださいっていうふうなアナウンスなりあるいはポスターなり、PRというんでしょうかね、やっておいてしかるべきじゃないか。そういう御努力はなさっているんですか。私も板付や羽田はちょくちょく行くけども、寡聞にしてまだそういうのを見たこともないし聞いたこともない。やらない方針なのか、どうなのか、そこら辺まであわせていかがですか。
  65. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 先生指摘のように、こういう犯罪を防止いたしますためには、旅客の協力が最大限に必要なわけでございまして、そういう意味のPRなりなんなりという点に欠けておったということは事実でございます。で、これは、ですから、今後やはりわれわれといたしましても、航空会社を指導して十分なPRを行なうということは必要だろうと思いますし、やらなければいけないというふうに考えております。たてまえといたしましては、そういうものを持ち込んでは困りますよということは運送約款等に書いてございますけれども、これはなかなか人が通常読むものではございませんし、もう少し積極的にこういう物は持ち込みが禁止されているということを周知徹底する必要があろうかと存じます。
  66. 原田立

    ○原田立君 これで最後にしますけれども大臣、この法律を通すにあたり、ハイジャックなど、わが国においても、もちろん世界においても当然ですが、あってはならないことだし、その防止するために大臣としてどのような決意で臨むか、それをお聞きして質問を終わりにしたいと思います。
  67. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) まあ、ハイジャック防止というのは、これはもう乗客の皆さん方、御利用いただく乗客の皆さん方のモラルの問題に、ぎりぎりのところにいきますと結着すると思うのでございますが、それにいたしましても、まあ、全然不用意にハイジャックやるなんというのはおらぬと思いますけれども、そういうことの突発的なことのないようなやはり対策なり、先ほど御指摘のございましたような周知徹底というものは私ははからなければならぬと思います。これはさっそく航空会社等にも注意いたしまして協力を求めて、こういうものは持ち込んではいけませんよぐらいのことは私はさっそくやろうと思っております。  なおまた、ハイジャックの防止についてはいまいろいろ御指摘がございましたが、予算の面あるいは人員の面等において、だからできないんだということじゃなくって、必要度に応じて早急にそういうような検査施設等も充実いたしまして、今後そういう事件未然にこれを防ぐということが一番大切なことであろうと思います。今後一そうの努力をしてまいるつもりでございます。
  68. 西村関一

    委員長(西村関一君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認め、討論に入ります。  別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  航空の危険を生じさせる行為等処罰に関する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  69. 西村関一

    委員長(西村関一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 西村関一

    委員長(西村関一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ただいま可決されました法案につきまして、徳永運輸大臣から発言を求められております。  徳永運輸大臣
  71. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) ただいまは航空の危険を生じさせる行為等処罰に関する法律案について、慎重御審議の結果、御可決いただきましてまことにありがとうございました。
  72. 西村関一

    委員長(西村関一君) 本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十三分散会