○
政府委員(
寺井久美君) 現在
航空機の事故
関係の損害賠償につきましては、
国際線につきましてはワルソー
条約、
ヘーグで改正されましたワルソー
条約及びモントリオール協定並びに運送約款によってその責任原因、責任限度額等が定められております。
日本航空の
国際線旅客運送約款によりますと、旅客に対する賠償額は、ワルソー
条約または
ヘーグ条約で改正されたワルソー
条約の適用を受ける旅客につきましては約六百万円、モントリオール協定の適用される旅客、つまり、米国着発の旅客または通過客につきましては約一千六百万円、その他の旅客につきましては約六百万円ということを約款にきめております。また、国内線につきましても、これら
国際線におきます損害賠償額を参考にいたしまして、各社とも運送約款において六百万円を責任限度額といたしております。最近、しかしながら絶対主義をとりまして、責任限度額を約三千三百万円とするグアテマラ議定書が締結されました。
日本も本議定書を
批准する方向で目下検討いたしておりますが、本議定書の発効には、米国の
批准が必要とされておりまして、現在のところ、いつ発効するか正確な見通しは立てられておりません。なお、本議定書は、
航空会社に故意または過失がある場合においても限度額を設定しておることから、
国内法の制定の必要性につきましても、あわせて検討している次第でございます。
これからの検討とは別個に、現在責任限度額は、
日本の社会常識から見まして必ずしも十分と言えないものがございますので、運送約款上の責任限度額の引き上げを早急に
実施するよう指導いたしております。ただ、これらの事故等の損害賠償額といいますか、これがやはり、こういう
ハイジャックによります事故にもやはり援用されて、航行中の
航空機内におきまして旅客その他に事故が、損害が生じた場合にこれらの考え方が適用されておるというのが現状でございます。