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1974-05-08 第72回国会 参議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月八日(水曜日)    午前十時六分開会     —————————————    委員の異動  二月十六日     辞任         補欠選任      今泉 正二君     山崎 竜男君      後藤 義隆君     岩本 政一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西村 関一君     理 事                 中村 登美君                 神沢  浄君                 阿部 憲一君                 栗林 卓司君     委 員                 岡本  悟君                 黒住 忠行君                 山崎 竜男君                 野々山一三君                 原田  立君    国務大臣        運 輸 大 臣  徳永 正利君    政府委員        外務省条約局外        務参事官     伊達 宗起君        運輸省航空局長  寺井 久美君        運輸省航空局技        術部長      中曽  敬君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        法務省刑事局参        事官       吉永 祐介君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○航空の危険を生じさせる行為等処罰に関する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 西村関一

    委員長西村関一君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。  航空の危険を生じさせる行為等処罰に関する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。  徳永運輸大臣
  3. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 航空の危険を生じさせる行為等処罰に関する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  御承知のとおり、近年、航空機の強取、爆破等民間航空の安全を阻害する犯罪行為が頻発し、その内容も次第に凶悪化する傾向にあります。民間航空機に対するこれらの犯罪行為は、乗客乗員等の生命及び財産の安全を阻害するばかりでなく、航空業務の健全な運営にきわめて深刻な影響を及ぼし、また、民間航空の安全に対する世界の諸国民の信頼をそこなうものであります。  このような見地から、国際民間航空機関を中心として、いわゆる東京条約ヘーグ条約及びモントリオール条約の三条約作成され、国際的な協力体制を確立することにより、この種の事犯の再発防止がはかられてきているところでございます。  このうち、モントリオール条約は、航空機破壊行為等国際的な犯罪と定め、これらの犯罪行為につき重い刑罰を課し得るようにすることを主たる内容とするもので、昨年一月二十六日に発効し、本年三月四日現在で、米国、英国、ソ連、カナダ、ヨルダンなど四十九ヵ国が加入しております。  わが国におきましても、すでに東京条約及びヘーグ条約には加入しており、さらにモントリオール条約への加入につきましても、今国会において御承認をお願いしているところでありますが、これとともに、同条約実施に必要な国内法整備を行なうため、この法律案を提出することとした次第であります。  次に法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、飛行場の設備の損壊その他の方法で航空の危険を生じさせた者を二年以上の有期懲役に処することといたしております。  第二に、航行中の航空機を墜落させ、または破壊した者等を無期または三年以上の懲役に処することといたしております。  第三に、出発前の準備及び着陸後の整備を含む業務中の航空機破壊した者等を一年以上十年以下の懲役に処することといたしております。  第四に、第一から第三までの行為未遂について処罰規定を設けることといたしております。  第五に、第一から第四までの国外犯について処罰規定を設けることといたしております。  以上のほか、過失犯について処罰規定を設けるとともに、現在これらの行為の一部について処罰規定を置いている航空法関連規定との調整を行なう等所要の規定整備をはかることといたして、おります。  以上がこの法律案提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  4. 西村関一

    委員長西村関一君) 以上で趣旨説明の聴取は終わります。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 黒住忠行

    黒住忠行君 航空関係の仕事につきましては、戦後再開後、日はなお浅いにもかかわりませず、日進月歩状況でございます。それを処理いたしますために、いろいろと運輸省で御苦心でございますけれども、国際国内路線の問題、航空事業育成の問題、あるいは空港の問題それから保安——何よりも保安ということが重要でございまして、保安の確保の問題、あるいはまたハイジャック等特殊犯罪の問題の防止等、諸問題が山積しておるわけでございまして、さきに航空庁の構想がございましたけれども、これを処理いたしますためには、適正な機構と定員予算が伴わなければならぬと思う次第でございます。それにつきましては、私はなお現在の体制では十分ではないと考えるわけでございますけれども、大臣はどうお考えでございますか。
  6. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) ただいま御指摘のように、航空関係はまだ歴史がいわゆる浅いわけでございます。ほかの交通機関に比べまして歴史の浅いことは御指摘のとおりでございまして、路線あるいは空港保安、、特に安全問題についてはこれはもう最重点的に、何よりに先がけてこの対策を進めておるところでございますが、ハイジャック防止とかあるいは企業の育成、あるいは空港整備等におきましても、近時いろんな問題を提起しているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この組織あるいは定員予算等につきましては年々拡充してきておるところではございますけれども、特に安全、騒音問題への対処等行政の需要と申しますか、これが非常に増大しておるわけでございます。現在の状況で必ずしも私は十分とは考えておりません。今後も一そうこれの、御指摘組織なりあるいはまた予算なりあるいは定員等拡充をはかってまいらなければなりませんが、これの今日までの歴史的な経過につきましては航空局長から説明をさせたいと存じます。
  7. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) まず航空局組織関係につきまして申し上げますと、昭和三十九年度には本省航空局は、局長以下二部十六課、一参事官地方組織といたしましては、航空交通管制部一つ管制所が三、航空保安事務所二十三、出張所等五十四。附属機関航空大学校だけでございましたが、漸次拡充強化が行なわれまして、十年後の現在におきましては、本省航空局は、局長以下一次長、一審議官、一首席安全監察官、四部十八課。地方組織は、航空交通管制部三、地方航空局二、空港事務所二十九、出張所等六十一。附属機関航空大学校航空保安大学校のほか、本年一月から航空事故調査委員会が設置されております。また、本年度には那覇航空交通管制部を設置する計画でございます。  次に、定員関係を申し上げますと、昭和三十九年度には本省航空局が三百六十四名。地方組織が千七百八人、附属機関四十七人、合計二千百十九名でございましたが、現在は本省航空局三百九十九人、地方組織三千九百七十人、附属機関二百六十九人、合計四千六百三十八名となっておりまして、合計で見ますと二倍以上の増加を示しております。  また、予算関係では昭和一二十九年度航空関係予算九十二億二千七百万円が本年度には七百三十一億五千六百万円と約八倍に増加いたしております。この間に昭和四十五年度には空港整備特別会計を設けまして空港整備事業を推進いたしておる次第でございます。  このように、組織定員予算等が増加いたしておりますが、反面、航空事業そのものの発展も非常に著しいものがございますし、管制所取り扱い機数、特に計器飛行取り扱い機数というのは四倍以上になっております。  こういうことで、ただいま大臣が御説明になりましたように、必ずしも組織定員予算等十分ではないという現状でございます。
  8. 黒住忠行

    黒住忠行君 行政対象がそのようなことで、日進月歩といいますか、しかも、たいへん複雑であります。それに即応して行政のやり方もついていかなければならないわけであると思います。それで、その中で今回の分にも若干関係ありますハイジャック等防止対策予算関係をちょっと局長から御説明を願いたい。
  9. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) ハイジャック等防止予算関係は、四十八年度に三億六千九百万円、四十九年度に二億五千四百五十万円強でございまして、これによりまして主要空港におきます旅客・手荷物の検査あるいは身につけております物の検査をいたしますためにエックス線の装置を配置し、また、これらの検査を充実してまいっておる次第でございます。四十九年度、二億五千四百万円ということで実施を始めております。これも今後十分充実いたしまして、検査と予防に効果をあげるよう、他の措置とともに実施をしていく計画になっております。
  10. 黒住忠行

    黒住忠行君 次は保安関係に入りまして、資料でもいただいておりますけれども、ハイジャック等関係のある条約東京条約ヘーグ条約、そして今回のモントリオール条約三つであると思います。それで、この三条約につきまして要点をひとつ簡単に、これは外務省にお願いします。
  11. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) 御指摘のとおり、この航空機に対します不法行為に関しましては、ただいま御指摘になりました東京条約とそれからヘーグ条約モントリオール条約三つがございます。東京条約ハイジャックとかいうことを特定した犯罪取り締まり対象としておりませんで、ただ単に航空機内におきます一般的な刑法上の犯罪を取り締まるということを目的といたしまして、機長に非常なその取り締まりの権限を与えるということをきめたものでございます。したがいまして、特に各国において刑罰を科するというような特段の定めは置いてございません。これに対しまして、ハイジャックを直接に防止することを目的といたしましたヘーグ条約は、ハイジャック行為だけを対象といたしまして、その防止ないし抑止のために犯人に対して締約国が重い刑罰を科するということをきめたものでございまして、さらに裁判権のある国の範囲を広げ、処罰義務を定め、さらに犯罪人引き渡し規定も含めまして、この現在国会に御審議を願っておりますモントリオール条約と同じような刑罰裁判権処罰義務犯罪人引き渡し等規定を入れてございます。ただ、このヘーグ条約は、先ほども申しましたように、ハイジャックだけを処罰対象としてございます。このモントリオール条約は、今度はハイジャック以外の種々の民間航空機に対する不法妨害行為というものを対象といたしまして、それを防止するということを目的としておりまして、内容は、ヘーグ条約と同様に、犯罪となる行為を定め、さらに刑罰裁判権処罰義務犯罪人引き渡し等規定を定めたものでございます。
  12. 黒住忠行

    黒住忠行君 東京条約の場合に、国内法整備としまして航空法の一部改正、これは運輸省提案をされております。それから、航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約十三条の規定実施に関する法律、これは警察庁のほうで出されたように聞いております。それからヘーグ条約の場合におきましては、航空機の強取等の処罰に関する法律、これは法務省のほうで提案をされております。今回の分は運輸省のほうで提案をされております。——いま申し上げたことは間違いないでしょうか。法務省からひとつ。
  13. 吉永祐介

    説明員吉永祐介君) ただいま先生がおっしゃったとおり間違いないと存じます。
  14. 黒住忠行

    黒住忠行君 そうしますと、そのつどいろいろと分担されておるようでございますが、何か分担のルールといいますか、そういうものがあるんでしょうか。法務省で出されても、運輸省で直接出されても変わりないというわけでしょうが、ルールが何かありましょうか。
  15. 吉永祐介

    説明員吉永祐介君) 特にルールというものはございませんが、ただいま先生のお話しになりました本法案につきましても、刑事に関する法案でございますので法務省において立案することも可能であったわけでございます。ただ、この法案運輸省で立案されました理由は、本法案作成にあたりまして、航空に関する技術とか航空業務の実態などにつきまして専門的知識とかあるいは経験が不可欠であるということ、及び、本法案のうちの業務中の航空機に関する規定といわゆる国外犯処罰規定以外の規定につきましては運輸省が所管されております現行航空法規定されているということなどから、本法案運輸省において担当されるのが相当であるというふうに考えて運輸省で立案されたというふうに伺っております。
  16. 黒住忠行

    黒住忠行君 次に外務省にお伺いしたいと思いますが、常識的な質問でございますが、「加入」と「批准」あるいは「署名」、その関係をひとつ御説明願いたいと思います。
  17. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) お答えいたします。  多数国間条約におきましては、多くの場合に署名だけで発効する条約というものはございませんで、大体、署名をしたあと、それぞれの国において国内法上の手続を踏みまして、そのあと批准をするないしは受諾をする、ないしは承認をするという手続をとるわけでございます。  その場合におきまして、「署名」と申しますのは、その条約作成する会議におきまして、ある国を代表して出た代表者条約内容に賛成であるということの意思表示であり、これを持ち帰って国内法手続をとり批准をいたしますという一種の予約的な意味を持つものでございます。  そうしまして持ち帰りましたあと、検討の上国内手続を、日本におきましてはこの場合の国内手続というのは国会の御承認でございますが、それを得たあとにおきまして、締結権者である行政府がその条約について批准をするという手続、まあ経過をたどるわけでございます。したがいまして、その場合の「批准」というのは、本来最終的にこの条約の条文によって国として拘束される意思の最終的な表示であるという効果を持つものでございます。  「加入」と申しますのは、当初の条約採択会議というものに出席をしておりましても、ないしは、出席しなかったりしまして署名をしないという国があるわけでございます。これはいろいろ意味がございまして、なぜ署名をしないかと申しますと、まだちょっと気にかかるところがあるとか、必ずしもこの条約内容に反対ではないんだけれども、考える時間がほしいというような場合に署名をしない場合がございます。会議出席してないところはもちろん署名できませんが。そうしまして、そのあとでこの条約について国内法上の手続を経た上この条約加盟国となろうという際に、「加入」という手続をとるわけでございます。  大体そのような区別があると思います。
  18. 黒住忠行

    黒住忠行君 今回の条約の場合には、作成会議には日本出席をしておると思います。それで、署名をしないで、いわゆる批准の形でなくて加入の形になると思いますけれども、その署名をしなかった理由はどこにあったのか。そうして法律的にその効果についてはどういう違いがあるか。そこらをひとつ御説明願いたい。
  19. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) この条約に、わが国採択会議には出席しておりましたが、なぜ署名をしなかったかと申しますと、実はこの条約内容の中に、第一条の処罰すべき犯罪定義に、第一条の一項の(b)でございますが、「業務中の航空機」ということばが出てまいります。この「業務中」の定義に関しましては、第二条の(b)項でございますが、定義がございまして、その、ある「航空機飛行前の準備が開始された時から、着陸の後」——つまり目的地着陸の後「二十四時間を経過する時まで」が「業務中」ということになりまして、その航空機に対する不法行為というものかこの条約によって処罰義務づけられた犯罪となる。その点につきまして国内法上の手当てが済んでおりませんので、若干この点についてちゅうちょが感ぜられたということで署名をいたさなかったわけでございます。その後、御案内のとおり、このただいま御審議を願っております本国内法案作成につきまして主管官庁である運輸省法務省等のほうで御検討いただきまして、この点につきまして国内法手当てが済む状況になりましたので、この国内法とともに条約についての御承認を今国会で仰いでいる次第でございます。  この効果と申しますと、つまり、署名をいたしまして批准をするということと、それから署名をいたしませんで加入をするということの効果につきましては、批准といい、加盟といい、何ら法律的な効果に相違はございません。   〔委員長退席理事神沢浄着席〕 ただ、違いと申しますと、署名をして批准をいたしますと、まあ条約の原——オリジナルな、つまり原締約国というようなまあ地位と申しますか、そういう地位を獲得するという意味はございます。ただ、ここで申し上げておきたいのは、原署名国というのは、多少の条約におきましては特殊な地位が認められている場合もございますけれども、ほとんどの多数国間条約では、別に原加盟国であるからといって特に条約上特殊な地位を持つというようなことはございません。この条約につきましては、特に署名をせず加入をした国と、最初から署名をして批准をした国との間で別にその取り扱いに差別はございません。
  20. 黒住忠行

    黒住忠行君 そうしますと、国内法整備についていろいろ意見がその当時あったから、もう少し模様を見ようとこういうことだと思います。で、遺憾ながらこの日本をめぐってもハイジャック等、このいまのような関係事件があって、厳罰に処したらどうかという意見も相当あるわけでございまするが、当然すみやかに整備をして条約にも早く加入すると、こういうことであるべきだと思いますけれども、いわゆるこの加入までの開放期間というものがあるわけですね、条約上。開放期間につきますこの条約内容につきまましてちょっと説明をしてください。
  21. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) おそれ入りますが、ちょっと御質問趣旨がよくわかりませんでしたので、おそれ入りますがもう一度。
  22. 黒住忠行

    黒住忠行君 あとでこの条約に入る場合に、第十五条の関係で、いわゆる開放期間ですか、規定していますね。この関係をちょっと。
  23. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) 多数国間条約におきましては、条約採択会議においてその最終日に採択された条約について署名というセレモニーがございます。そのときに署名する機会があるわけでございますが、さらに条約によりまして、また、条約によりましてと申しますよりは、むしろ多くの場合、この署名のために一定期間開放いたしまして、条約に参加した国ないしは参加しなかった国にも署名をする機会を与えることになっております。この場合の十五条ではこの会議に参加した国に限っておりますが、参加した国が条約会議自体最終日では署名をしなかったけれども、その後も署名機会署名することができるように一定期間を設けているわけでございます。したがいまして、この期間署名をいたしますと、先ほど申し上げましたように、原締約国というような地位を得ることとなるわけでございます。   〔理事神沢浄退席委員長着席
  24. 黒住忠行

    黒住忠行君 いまの開放期間だと思いますが、条約加入していないいわゆる未加入国事件が起きた場合にはどういうふうになりますか。この条約に四十九カ国ですか加入していますね。その未加入国事件が起きた場合にどういうふうに処理されるか。
  25. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) 未加入国事件が起きましたような際は、当然のことながら未加入国はこの条約には拘束されませんので、遺憾ながら、かりに日本加盟いたしましたと仮定しまして、日本がその未加入国に対してたとえばその犯人引き渡しを要求するというような条約上の権利は生じないということになります。率直に申しまして、未加入国で起こったような場合には、その未加入国に対してのこの条約上の権利を主張することはできないと申し上げざるを得ないと思います。
  26. 黒住忠行

    黒住忠行君 それではちょっと前後してお伺いして恐縮ですけれども、三つ条約——東京ヘーグモントリオール条約につきまして、最近起こった、世界で起こりました主要な事件について、その条約三つにその、どれはどれに当てはまるかということと、それからいまの未加入国において起こったようなことで不都合が生じたことがあったかどうか、その点、ひとつおわかりでしたら御説明をいただきたいと思います。
  27. 伊達宗起

    政府委員伊達宗起君) 東京条約の例というものを、実は申しわけございませんが、私どもよく承知していないわけでございます。ただ、ヘーグ条約につきましては数多くございまして、まあ、ハイジャックというものがほとんどそのような処罰対象となるべき犯罪でございますので、ハイジャック事件で申しますとたくさんございますが、二、三の例を引きますと、昨年の五月十八日にヴェネズェラの航空機がキューバにハイジャックされるとか、七月の二十日には日航ジャンボアムステルダム離陸後にハイジャックされて、ドバイからベンガジに飛んだとか、そのような事件がございます。さらにこのモントリオール条約におきましては、同じく昨年の十二月でございましたか、ローマ空港事件がございました。これなどはちょうど乗客を乗せ始めたときでございまして、むしろ「業務中」という概念に相当する状態にある航空機でございましたが、それを爆破するということで、この航空機に対する犯罪としてハイジャック防止条約ヘーグ条約処罰対象ではなかったこのような犯罪を、モントリオール条約では対象となる一つの例であると思います。
  28. 黒住忠行

    黒住忠行君 条約の発効は四十八年一月二十六日でございますけれども、先ほどもお話がありましたように、国内法整備でもって若干問題があったと、したがいまして、署名をその際しなかった、こういうことでございますが、国内法整備につきましてどのような問題があったのか。おそらく現行法との関係、そして一つはこのような事件に対して重い刑罰でもって臨むべきではないかとこういう意見と、それに対する現行法との関係等がいろいろと問題があったと思うわけでございますけれども、その点どうでしょうか。これは法務省でしょうか、運輸省でしょうか。
  29. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) モントリオール条約加盟いたしますためには、この条約規定されております義務を履行するために国内法整備をする必要があるということでございまして、条約上の義務といたしまして、条約規定されている犯罪につきまして締約国裁判権を設定することと犯人を引き渡すかまたは自国で訴追するために権限ある当局に付託することが要求されております。したがって、条約規定されております犯罪すべてについて処罰規定整備することが必要となるわけでございますが、条約規定されております犯罪現行法で部分的にカバーしている規定といたしましては航空法の百三十八条から百四十一条までと、刑法の二百六十一条器物損壊罪でございますが、がございます。これらの規定によりましても国外犯処罰ということが全くできない状態でございますし、また地上におきます業務中の航空機破壊などの未遂についての処罰ができないという状態でございます。したがいまして、現行法では十分に条約義務をカバーできないということから現在お願いいたしておりますこの法案の形で整備をしておるわけでございます。
  30. 黒住忠行

    黒住忠行君 カバーできないという点と刑罰の重さがこれでいいのかどうかという二つの問題があると思うんです。それで、今度の条約の場合におきましては、三条に「各締約国は、第一条に定める犯罪行為について重い刑罪を科することができるようにすることを約束する。」と、こうあるわけでございますが、その場合に「重い刑罰」というものがどういうものであるか。すなわち、いまの局長説明ですと、カバーをし得ないということになりますと、重い軽いでなくて、新しく設定をする。たとえば今回の場合の第三条関係国外犯に関する第六条関係はまさにそうだと思うんですけれども、あと航空法の百三十八条の関係、今回の法律の第一条の関係、それから航空法百三十九条、今度の法律の第二条の関係は、現行の航空法をそのまま持ってきているわけですね。そうしますと、「重い刑罰」というものをどのように解釈したらいいのか。ということは、現行法で不十分な点というのは「業務中」というものがカバーできないというのかどうか。器物損壊罪ではこれは軽いから重くすると、こういうことですか。そこらのいわゆる「重い刑罰」というものの条約で要求する要件と現行法との関係、これをひとつ法律的に説明していただきたいと思います。
  31. 吉永祐介

    説明員吉永祐介君) モントリオール条約第三条に申します「重い刑罰」という意義でございますが、これは条約第一条に該当いたします犯罪行為を抑止するに足る程度の重い刑罰というふうに解釈しております。具体的に申しますと、それぞれの国の刑罰法令体系中相対的に重い部類に入る刑罰を科することができるようにすることを約束しているというふうに解釈しておるわけでございます。しかし、この条約では法定刑の種類とか程度につきましては各国の選択にまかされておるわけでございます。そこでわが国刑罰法令体系に関して申しますと、新体系といいますか、いわゆる死刑あるいは懲役というようなものは条約にいう「重い刑罰」に当たるというふうに考えているわけでございます。したがいまして、本法案所定の刑はわが国刑罰体系上は相当に重いものでございまして、条約にいう「重い刑罰」に該当するというふうに考えているわけでございます。
  32. 黒住忠行

    黒住忠行君 そうしますと、航空法の百三十八条と百三十九条の関係、今回の法律の第一条と第二条の関係はすでに「重い刑罰」だというように考えていいわけですか。
  33. 吉永祐介

    説明員吉永祐介君) おっしゃったとおりでございます。
  34. 黒住忠行

    黒住忠行君 そうしますと、第三条の「業務中」の関係の場合におきましては、現在では器物損壊罪と思うわけですけれども、この関係については今度新しくこういうふうなかっこうに規定をされることによって条約の要件を満たした、こういうふうに考えていいですか。
  35. 吉永祐介

    説明員吉永祐介君) ただいま先生のおっしゃいましたとおりでございますが、刑法第二百六十一条、いわゆる器物損壊罪でございますが、これは法定刑が「三年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金」——五百円は二百倍になっておりますが——というまあ法定刑が盛られておりまして、御案内のとおり、本法案は第六条におきまして国外犯といいましていわゆる刑法第二条の例に従っているわけでございます。そういう場合に刑法第二百六十一条程度の法定刑でございますと、はたして国外にすることがいいかどうかということは非常に問題がございますので、また、本法案の第三条に規定をしておりますような非常に重大な行為に対しまして器物毀棄罪だけで処罰するということはとうていできないというようなことで第三条が新しく設けられたということでございます。
  36. 黒住忠行

    黒住忠行君 第三条一項で「機能を失わせ」とあります。それから二条、三条で「破壊」ということばがございますが、この「機能を失わせ」というのはどの程度であるか。航行中において機能を失わせられるというと相当なことになるんじゃないかと思うんですけれども、その航行中に「機能を失わせ」ということば第三条一項になるわけですね。それから「破壊」とか「墜落」「転覆」等はこれは第二条になるわけですね。そうしますと  「機能を失わせ」という場合、どういう程度の場合を「機能を失わせ」というのか。「破壊」というものは全部を破壊してしまえばはっきりするわけですけれども、部品その他の破壊ということもありましょうし、「機能を失わせ」ということと「破壊」という関係をひとつ御説明願いたい。
  37. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 「破壊」と申しますのは、航空機の実質を害しまして、その航空機としての機能の全部または一部を失わせる程度の物理的損壊をいうわけでございまして、これに対して、機能を失わせると申しますのは、機能の全部を失わせる意味で、この点については機能をそこなうという意味とちょっと違っておるかと存じます。航行機能の一部だけがそこなわれた場合には機能を失わせたことに必ずしもなりませんで、また、機能を失うと申しますのは、物理的な損壊の場合に限られません。航空機破壊いたしました場合には、大体におきまして航行機能を失わせることになる場合が多いわけでございますが、必ずしも常に飛行機の機能を失うとは限りませんで、たとえば四つエンジンのあるジェット機につきまして、その一つのエンジンだけをこわしましても航行機能の全部を失ったことにはなりませんし、逆に、破壊するに該当しない機能を失わせる例といたしましては、機長室のおもな計器、たとえば速度計、高度計等の破壊、あるいは計器類やコンピューターの配線コードの切断、あるいは主翼と胴体とを結合しておりますボルトの過半数を抜き取るといったようなことが考えられます。
  38. 黒住忠行

    黒住忠行君 それを三条で「機能を失わせ、」と、こういうことになっておると思うわけですが、二条と三条の関係では、同じ破壊しても航行中の場合はより危険があると、こういうことで二条と三条の破壊の場合は書き分けておるわけですか。
  39. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 先生指摘のように、三条の場合は「航行中」を除いてございまして、  「業務中」という部分に該当するものでございますので、航行中の破壊という場合と業務中の破壊という場合の差というものを考えて分けてある。先生の御意見のとおりだと思います。
  40. 黒住忠行

    黒住忠行君 次に、第五条の第二項の規定は、航空法の百四十二条におきましては「十万円以下」となっておりますのを「二十万円以下」にしたということは、刑法百二十九条二項とのバランスであると、そのとおりでしょうか。
  41. 吉永祐介

    説明員吉永祐介君) 先生のおっしゃられるとおりでございます。
  42. 黒住忠行

    黒住忠行君 航空法の百三十八条、百三十九条の関係、これは今度の法律に持ってきております。それにプラスしまして今回の法律の第三条、第六条というものが加わっているのが一応特色であると思うわけです。特に第三条の「業務中の航空機破壊等の罪」、それから第六条の「国外犯」、こういうことであると思うわけですが、航空法規定でいままであったわけでございますが、このような別の法律に持ってくるということが必要であったのかどうか。航空法の改正でできるのではないかと思いますが、この種のものにつきましては、あるいは新幹線の場合、火炎びんの場合等があると思いますけれども、ほかにそのような法律があるかどうか。今回の場合に特別法にした理由、何か特別のものがあるかどうか。ありましたら御説明いただきたいと思います。
  43. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 本件は法務省のほうから御説明いただいたほうがよろしいかと存じますけれども、私どもといたしましては、この条約の締結のためには、先生指摘のように国内法整備が必要である。そのおもな点は「業務中」という新しい概念と国外犯処罰規定、これを整備しなければならないわけでございますが、現在の航空法の中におきましては「業務中」という概念がないわけでございまして、「飛行中」あるいは「航行中」という二つの概念で航空法整備されておりまして、この点航空法の中に取り入れることが必ずしもなじまない。それから、やはり国外犯というような処罰規定というものがこの航空法にとってはさらになじみにくいという点がございまして、単独法として御提案しておる次第でございます。
  44. 黒住忠行

    黒住忠行君 法務省にお伺いしますが、ほかにも新幹線等の場合に法律になっておりますが、これはルール的な考えがあるのかどうか。
  45. 吉永祐介

    説明員吉永祐介君) ただいま先生がおっしゃいました新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為処罰に関する特例法というほかに、先生御案内のとおり、ハーグ条約国内法化しております航空機の強取等の処罰に関する法律というのがございます。これはいわゆるハイジャック防止法といっておりますが、この立法形式も今度の法案と同じように単独法になっておるわけでございますが、このハイジャック防止法につきまして簡単に申し上げますと、やはりこのハイジャック防止法を立案する際にも、航空法規定できないだろうかということはやはり検討したわけでございますが、ハイジャッキングというのは、これによりまして航行の危険が生ずる場合はありますが、犯人の意図としましては航空の安全を害するつもりはないというわけでございまして、航空法規定している航空危険罪とはややその性質を異なるというようなことで航空法の一部改正という方式をとらなかったというわけでございます。  そのほか、先生おっしゃいますような特別法といたしましては、郵便切手類模造等取締法、通貨及証券模造取締法、紙幣類似証券取締法、そのほか多数の法律があるわけでございます。
  46. 黒住忠行

    黒住忠行君 今回の法律につきましても条約で「重い刑罰」といっているし、非常に悪質といいますか、きわめて重大な犯罪であるので、これでは軽過ぎるんじゃないかというふうな意見が相当ありましたが、全体として見まして、現行法との関係その他もあると思いますが、なべて言って、法務省としてその点どう考えておられますか。
  47. 吉永祐介

    説明員吉永祐介君) 前にも申し上げましたとおり、本法案におきます法定刑はそれぞれ各条によって異なっておりますけれども、第二条第三項は死刑という重い罪を科しておりますし、第三条第二項の場合も無期という重い刑を科しておるわけでございます。したがいまして、わが国刑罪体系上から見ますと相当に重いというふうに申し上げられると思います。
  48. 黒住忠行

    黒住忠行君 次いで、ハイジャックの場合におきますところの賠償責任あるいは保険につきましてはどうなっていますか。
  49. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 現在航空機の事故関係の損害賠償につきましては、国際線につきましてはワルソー条約ヘーグで改正されましたワルソー条約及びモントリオール協定並びに運送約款によってその責任原因、責任限度額等が定められております。日本航空国際線旅客運送約款によりますと、旅客に対する賠償額は、ワルソー条約またはヘーグ条約で改正されたワルソー条約の適用を受ける旅客につきましては約六百万円、モントリオール協定の適用される旅客、つまり、米国着発の旅客または通過客につきましては約一千六百万円、その他の旅客につきましては約六百万円ということを約款にきめております。また、国内線につきましても、これら国際線におきます損害賠償額を参考にいたしまして、各社とも運送約款において六百万円を責任限度額といたしております。最近、しかしながら絶対主義をとりまして、責任限度額を約三千三百万円とするグアテマラ議定書が締結されました。日本も本議定書を批准する方向で目下検討いたしておりますが、本議定書の発効には、米国の批准が必要とされておりまして、現在のところ、いつ発効するか正確な見通しは立てられておりません。なお、本議定書は、航空会社に故意または過失がある場合においても限度額を設定しておることから、国内法の制定の必要性につきましても、あわせて検討している次第でございます。  これからの検討とは別個に、現在責任限度額は、日本の社会常識から見まして必ずしも十分と言えないものがございますので、運送約款上の責任限度額の引き上げを早急に実施するよう指導いたしております。ただ、これらの事故等の損害賠償額といいますか、これがやはり、こういうハイジャックによります事故にもやはり援用されて、航行中の航空機内におきまして旅客その他に事故が、損害が生じた場合にこれらの考え方が適用されておるというのが現状でございます。
  50. 黒住忠行

    黒住忠行君 昨年の八月二十九日に「ハイジャック等防止対策要綱」が決定をされまして、いろいろ項目があります。その中に「国内法整備によるモントリオール条約への加入の促進」ということも触れられておるわけでございますが、この要綱の実施につきまして格段の努力をしていただいておると思うわけでございますけれども、予定どおりこれが実施されておるものかどうか、ひとつこれは御説明いただきたいと思います。
  51. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) その対策要綱に基づきまして、先生指摘のように、モントリオール条約加入をするということもございまして、この対策要綱の一環といたしまして、現在この改正法の御審議お願いしているわけでございます。  その他の点、特にハイジャック防止にも関連いたしますけれども、空港におきましてそういう危険が生じないような予防措置というものにつきましても、この防止対策要綱に基づきまして着々準備を進めている次第でございまして、遠からずその要綱にきめられましたことは実施できるというふうに考えております。
  52. 黒住忠行

    黒住忠行君 その中で「警務消防業務の充実」というのがありますが、「予算措置が講じられていない空港にも、早急な整備実施することとする。」と、四十九年度で何か具体的にこれは進捗しておりますか。
  53. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 警備、消防につきましては、先生御案内のとおり、空港によりましては定員関係でなかなか消防体制整備できないというような点もございまして、これはいわゆる定員が確保できないということと相まちまして、外郭団体にこの実務を委託するというようなことを試験的に現在始めております。消防車の確保等につきましては予算上の処置を講じております。また警備と消防と合わせまして、ただいま申し上げましたように、各空港——特に地方空港が多うございますが——におきまして、この外郭団体を利用いたしまして、こういう警備業務と消防業務の一部を実施するように四十九年度から手配をいたしております。
  54. 黒住忠行

    黒住忠行君 この前のシンガポール事件、このようなことが再発するということはあってはならないことでございますけれども、日航機を派遣をしたわけです。将来そういう事故の再発は、非常にまずいことでございますけれども、かりにそういうようなものがあったような場合におきましてのことにつきまして、前のときの後にもいろいろと論議がありましたけれども、今後類以行為につきまして、かりにあるとすれば、対策を事前に考えておく必要があると思いますが、どうお考えにたりますか承りたいと思います。
  55. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) シンガポール、この前のシンガポール事件のような事件に対する対策といいますか、あのような事件というものが、非常に好ましい事件ではございませんが、現在わが国航空運送事業につきましては、政府出資の株式会社であります日本航空をはじめといたしまして民間企業がこれを行なっておりますが、こういう会社の航空機を使いまして、またそのパイロットにこのような危険な業務を依頼するということは必ずしも好ましいことではございませんし、政府といたしまして、業務命令を出すという立場にもございません。したがいまして、このような事件が不幸にして再び発生をいたしましたならば、やはりその時点におきまして政府として十分応急の策を考えていかざるを得ないと考えておりますが、こういう事態を予想いたしまして、どういう具体的な策をとるべきかという点につきましては、やはり限られた民間パイロットを使用しこれを危険にさらすということが好ましくございませんので、具体的にどうこうするというところまで十分な詰めができておらない次第でございます。
  56. 黒住忠行

    黒住忠行君 これにつきましてはひとつ十分な御検討をお願いしたいと思います。  冒頭にも述べましたように、航空関係の問題というのは内外ともに山積しております。日中航空協定の締結に伴いまして、これの具体的実施につきましてはいろいろと問題、なすべきことが多々あると思います。また一方、日台路線の再開につきましては、これは今後不退転の努力をしていただく必要があると思うわけでございまして、そのような問題と、また国内的にも先ほど申し上げましたような諸問題を控えているわけでございまして、この際、日中航空協定も衆議院で審議が終わりまして、参議院へ回ってきておりますけれども、運輸大臣とされまして、重要な航空行政の今後の展望につきまして最後に御所見を承りたいと思います。
  57. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 航空行政の展望ということでございますが、やはり私はいままでは需要を追求するためにのみ——ということはございませんけれども、その需要追求に多くの力点を置いたがためにいろんな問題を起こしていると思います。たとえば環境保全、環境破壊と申しますか、公害の問題もその一つでございます。まあ、幸いにしまして安全の問題につきましては、これはもうあらゆる公共交通機関、そればかりじゃなくて、私的な機関もそうでございますけれども、安全が保たれなきゃいかぬということはこれは第一の要件でございますが、その上で需要もやはり見合ったものでなければならない。さらに需要追求のみに追われて環境の保全ということがないがしろになっちゃいけない。ずっとこう並べてみますと、いろんなところに問題が出てきているわけでございます。したがいまして、今後の航空行政は、そういうものを並列に並べまして、まず安全の対策がこれは第一で、欠かせざる要件でございますが、需要供給の面、あるいはまた環境保全の面、そういうものを十分配慮の上で航空行政というものを進めてまいらなきゃならぬと思います。空港一つつくりますにも、あるいはまた一つ飛行機を飛ばしますにも、やはり地域公共団体等の、あるいはまた地域住民等の十分な理解の上にこれが成り立たなければ私は今後の航空行政というものはうまくいかぬのじゃないか。空港におきましても、大阪空港あるいは成田空港あるいは大阪の新空港等もいろいろとそういう面から検討を加えていかなきゃならぬ問題が多々あろうと思います。したがいまして、いままでの基本的な航空運営につきましてのものの考え方ということをこの際見直しまして、一時振り返りまして、今後は、申し上げましたような諸点を十分勘案あんばいの上で行政を進めてまいらなければならないと、かように考える次第でございます。  なお、日中また日台間の路線の問題等々、いろいろむずかしい問題をかかえておりますが、十分諸般の情勢と申しますか、そういうものを配慮の上で慎重に今後進めてまいりたいと、かように考える次第でございます。
  58. 西村関一

    委員長西村関一君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時十四分散会      —————・—————