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1974-05-21 第72回国会 参議院 建設委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十一日(火曜日)    午後一時五十六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野々山一三君     理 事                 大森 久司君                 古賀雷四郎君                 中村 禎二君                 前川  旦君     委 員                 熊谷太三郎君                 寺下 岩蔵君                 山内 一郎君                 米田 正文君                 沢田 政治君                 田代富士男君                 高山 恒雄君    国務大臣        建 設 大 臣  亀岡 高夫君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       小坂徳三郎君    政府委員        内閣審議官    粟屋 敏信君        内閣審議官    小幡 琢也君        通商産業省立地        公害局長     林 信太郎君        資源エネルギー        庁石炭部長    高木 俊介君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省住宅局長  沢田 光英君        自治省税務局長  首藤  堯君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        農林省構造改善        局農政部農政課        長        関谷 俊作君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○生産緑地法案内閣提出衆議院送付) ○工業再配置・産炭地域振興公団法の一部を改正  する法律案(第七十一回国会内閣提出、第七十  二回国会衆議院送付) ○都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案(第七十一回国会内閣提出、第七十二回国  会衆議院送付)     —————————————
  2. 野々山一三

    委員長野々山一三君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  生産緑地法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は御発言を願います。
  3. 高山恒雄

    高山恒雄君 現在都市において緑の不足していることは、昨年の国会でも問題になり、十分な審議もされたのですが、都市緑地保全法質問でも指摘しておきましたように、その後も都市環境は悪化の一途をたどっておるのではないか。都市における緑を確保するためには、都市公園法やあるいはまた都市緑地保全法等が必要であることは言うまでもありません。そこで、市街化区域内で一定要件を備えた農地生産緑地指定することにしていますが、都市内の緑の確保や環境保全にこれを資するとともに、都市計画とこの都市内の農業との調和をはかろうとされていることは、私は、基本的には、これに賛成をしていきたいと思うのです。しかし、この生産緑地制度を実施していく上には多数の疑問が起こっておることは、御承知のとおりです。特に都市内での農業を続けていこうかとする農民の不満ですね、これは相当強いと私は考えておりますが、政府はこの点についてはどの程度掌握をされておるのか、現実をお伺いしておきたいと思います。
  4. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 都市の近郊には市街化区域があり、さらにその外回りには市街化調整区域があるわけでございますが、市街化区域の中といえども相当農地が現在ありまして、これはもともと市街化区域が、およそ十年程度の将来を見越して市街化しようというわけでございますから、現時点において、農地等あるいは山林等として、まだ市街地になってないところがたくさんあるわけでございます。こういったところの農業を営んでおられる方は、いろいろ各人各人の将来計画もお持ちでございましょうが、一般的にいって、農地を全部つぶしてしまうというようなことは好まない、宅地化に協力していくとしても、たとえば三分の一ぐらいは緑地でいきたいとか、そういった意向の方が多いようでございます。農業団体等を通じて調べました結果から見ましても、なお相当期間農業を続けたいという御意向のある方がかなりありまして、その相当期間ということも、十年以上とか、あるいは三年ないし五年ぐらいと、いろいろ分かれておりますが、期間の短いほど先の見通しも立つということから農業を続けたいという御意向も多いわけであります。おそらくそういった御意向もバックにあって、昨年三大都市圏百八十二市のA、B農地について宅地並み課税が実施された以後、各市町村において独自の農業保護奨励策がとられたものと理解しております。
  5. 高山恒雄

    高山恒雄君 それは百八十二市にあっては団体としての反対ですか、先ほど三年とか十年とかいう考え方は。個々の個人のやっぱりそういう要望が強いと、こういうことですか。
  6. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 農業団体を通じてサンプル的に一定の、たとえば東京とか京都あたり農民の御意向をアンケート調査した結果がそうだということでありまして、したがって、農業団体としても、そういった個々農家の方の御意向を反映しているわけですから、同様なことを考えておられるのだろうと思います。
  7. 高山恒雄

    高山恒雄君 そこで、現在都市計画市街化区域指定されている区域は約百二十四万ヘクタールと言われておりますが、その市街化区域に約二十八万ヘクタールの農地が存在すると、こう言われておりますが、市街化区域指定状況市街化区域内の農地現状、営農の態勢と申しますか、三大都市圏における宅地並み課税が実施されていると思うんですが、そのA、B農地実態はどうなっておるのか、これお聞きしておきたいと思います。
  8. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 仰せのとおり、市街化区域は現在百二十二万ヘクタールが指定されておりまして、うち農地が約二十八万ヘクタールということになっているわけであります。ところで、現在、この市街化区域市街化調整区域の区分、いわゆる線引きというものは、市町村数で申しまして約九割が完了しておりまして、残る都市は八十四市町村であります。そのうち昨年三月に線引き対象都市に追加されたものが五十五市町村入っておりますから、当初からの線引き対象で未線引きのものは二十九市町村というわけでありまして、さらにその二十九の中には十三市町村が那覇の周辺ということで、一昨年復帰しました沖繩地区でございます。こういうことで、当初線引き都市については、沖繩も含めまして九六%は完成しておりますので、残る地区についてもできるだけこれを急ぎたい、こう考えております。  次に、市街化区域内における農地状況でございますが、全国二十八万ヘクタールのうち三大都市圏内市街化区域内農地は十万八千ヘクタール、うちAB農地、これが宅地並み課税対象になっているわけでございますが、これが約一万七千ヘクタール、こういうことになっております。
  9. 高山恒雄

    高山恒雄君 その三大都市圏内における宅地並み課税ですね、この対象課税が実施されているAとBの農地実態ですね、これはどうなっておりますか、税金として課税されておる……。
  10. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 宅地並み課税適用になっております三大都市圏の百八十二の市のうちのA農地が三千六百ヘクタール、B農地が一万三千二百ヘクタール、合計いたしますと一万六千八百ヘクタール、か宅地並み課税対象になっているわけでございます。
  11. 高山恒雄

    高山恒雄君 次に、市街化区域内の人口密度ですが、現在どの程度であるのか、また、この指定地域の良好な都市環境保全するためには、何といっても、この人口密度を押える以外にないんじゃないかというような気がしていますが、その場合、市街化区域内でどの程度公園あるいは緑地農用地等のいわゆる緑のための用地を確保しようというふうに考えておられるのか。それがなければ基本的に進まぬのじゃないかという考え方を持つわけですから質問するのですが、したがって、都内の緑地保全の上で、その制度による緑地を現在どの程度見込んでおられるか、この点をお聞きしておきたいと思います。
  12. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 最初に市街化区域内の人口密度はどの程度かというお話でございますが、市街化区域は、おおむね十年程度の間に市街化しようという地域でありますので、その程度の先の人口等も想定して計算したわけでございますが、これによりますと、一ヘクタール六十人という程度人口密度になるものと考えられます。これは普通のでき上がった市街地考えるときには、その密度としては非常に小さいわけでございまして、その密度が小さ過ぎるという疑問も生ずるかもしれませんが、実際の市街化実態というものを考えますと、すべてがまんべんなく市街地になるというなり方じゃなくて、市街化区域の中ですから大部分区域市街化されますけれども、相当まとまって市街化されない区域も残る、あるいは市街化されましても、ぽつぽつと点在的に非市街地が当分残るというようなことでありまして、したがいまして、市街地になった場合にはたぶんヘクタール当たり九十人程度にはなると思うのですけれども、そのかわりにほとんど人口密度のない地域相当数存する。それらが複合されてヘクタール当たり六十人というようなことになるということが現実的ではないか。そういう意味では、ヘクタール当たり六十人というのは、かなり人口密度市街地としては低過ぎるようだけれども、今後の所要な市街化考えたときに、やはりその程度の余裕は要ると、こう考えております。
  13. 高山恒雄

    高山恒雄君 しかし、実際はこれよりふえましょうね。それでなければ、四人家族にして十五軒ですわね、それ一ヘクタールでしょう。そうすると、十五家族になるわけですが、相当なものだと思いますが、そういう予定で将来はふえるだろうという見込みですか、そういうつもりですか。
  14. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) ええ、将来はふえるということと、それから当面も市街地になるところはそんなに低い密度じゃなくて、もっと百人くらいにはなるだろう、しかし、ならないところと複合して全体マクロで計算すると、当分はそのぐらいのものではないか、こういうことでございます。
  15. 高山恒雄

    高山恒雄君 それにはやはり公園も何も含めての考え方ですね。この法案によると、第一種生産緑地対象となる面積程度が、あるいはまた第二種生産緑地対象となる面積はどの程度になっておるのか。さらにこの土地所有者同意を得て第一種、第二種の生産緑地指定されるであろうと予定されていますが、その面積はどの程度か。特に地方自治体を通じて概略の動きを調査していられると思いますが、その点は調査が終わっておるのかどうか。その点をお聞きしておきたいと思います。
  16. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 第一種面積要件はおおむね一ヘクタール、第二種の面積要件は、衆議院修正によりまして、おおむね〇・二ヘクタール。といっても、第一種でも永年作物などは、やはり同じく衆議院修正によりまして、おおむね〇・二ヘクタールということになっております。第二種のほうは、おおむね〇・二ヘクタール、つまり〇・一五ヘクタールぐらい以上あればその中に入ると思われますので、相当規模なものも拾えるわけでございまして、面積要件の制約で第二種の対象にならないということは、むしろ少ないと思われますが、第一種はやはり一ヘクタールということになりますから、おおむねということで、かりに〇・八ヘクタールぐらいまでが拾えるとしましても、なおかつそれに達しないというものも考えられるわけであります。しかし、全国にわたってつぶさに調べたわけではありませんが、サンプルとして調べたものがございますので、申し上げますと、たとえば東京練馬区、これは八百三十ヘクタールの農地がございますが、そのうち約五四%、四百五十ヘクタールの農地が一ヘクタール以上まとまっております。同じく練馬区の農地のうちで、宅地並み課税対象になっております農地が百二十五ヘクタールでありますが、これだけをとりましても、その三二%、四十ヘクタールというものが一ヘクタール以上になっている。あるいは埼玉県の狭山市の例を調べましたが、五百三十ヘクタールのうち、おおむね六四%が一ヘクタール以上だと、それから宅地並み課税対象農地が百三十二ヘクタールでありますが、その六一%が一ヘクタール以上だと、こういうことであります。これに区画整理事業施行済み区域等で〇・二ヘクタール以上というような要件、あるいは永年作物一種でありながら〇・二ヘクタールというような要件のものが加わっていくということであります。ただ、実際に法律施行後どの程度指定されるかということにつきましては、御指摘のように、本人の同意を必要としておりますために、なかなか推定がしにくい。市町村等でもそのような調査をはっきりと行なっておられないということであります。ただ、私どもが想像いたしますのに、区画整理施行地区等で行なわれる第二種の生産緑地、これは規模要件も小さいし、かつ期間要件も十年ということで、そこから先は自由ということもありますので、このほうに御希望同意される方がかなりいるのではなかろうか。それから第一種のうちでも、果樹とか苗木とか茶のような永年性作物、これは実際にも将来とも継続されるという見込みが各自にとっても立てやすいわけでありますから、こういうものも、規模要件も小さいし、相当同意されるのではなかろうか。それ以外の一般農地一種同意というものはどの程度とられるか、なかなか把握しがたい、こういうことであります。  そういったことで、特に同意をして非常にきびしい規制を受けることになります反面、メリットとしては、いろいろ農業施策対象にもなるということもありますけれども、一番大きなメリットは、やはり宅地並み課税適用除外ということでありますから、その除外を受けるメリットというものを中心に考えますと、やはりA、B農地が主として当面指定される対象考えざるを得ない。C農地まではなかなか及ばないという気がいたします。宅地並み課税が実施されておりますのは、三天都市圏内のA、B農地一万七千ヘクタール程度でありますから、その何割かが当面指定される。そのうちに次第に他の地域についても宅地並み課税以外のメリットなどが浸透いたしまして、ある程度希望が将来においては出てくるのではないかというふうに考えます。
  17. 高山恒雄

    高山恒雄君 あなたのおっしゃるように、この法案では、区域内の所有者全員が賛成しなければ、これは許可しないということになる。全員が賛同して申請をしてきた場合、これは問題はないと思いますが、その手続ですね、決定手続。その当該周辺緑地等分布状態を勘案して考えねばならぬ場合もあると思うのですよ。そういう場合に、最終的にはどこがそれを判断するのか、同意を得なかった場合。あるいは市町村審査委員会を設けて、そこで適否をきめて判断するとか、この点はやっぱり明らかにしておく必要があるのじゃないかと思うのですが、その点は、法律のとおりに手続をしてきた場合は、無条件でこれを手続をとってしまうのか、この点はどうですか。
  18. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) この生産緑地地区都市計画決定は、市町村土地所有者等同意を得て知事の承認を得て定める、こういうことになっておりまして、決定主体市町村でございますが、一つには同意が必要でありますから、同意がないところには指定できない、これは当然のことでございます。逆に、同意がとれて、むしろ同意というか、希望のようなものがあったという場合のことを考えますと、生産緑地法にはいろいろ要件は書いてありますが、はっきりしているのは規模要件だけでありまして、その他は、現に農業をしておられる以上は当然備えておられるような要件ばかりでありますから、せっかく指定希望があるのに市町村においてこれを断わるということはまずあるまい、こう思います。
  19. 高山恒雄

    高山恒雄君 これは農業関係のほうで聞きたいのですが、下水道、街路、公園等都市施設整備ですね。これは計画的にする上では、この生産緑地と、特に第一種生産緑地指定区域の取扱いについては、具体的には生産緑地要件として、用排水その他の状況を勘案して、農林漁業の継続が可能な条件を具備していると思うのです。また、それが要求されているだろうと考えますが、農業を継続するための用排水施設ですね、排水施設。それから下水道整備調整はどのようにしてこれを行おうとするのか、これは農林省建設省から具体的に説明してもらいたいと思いますが、特に第一種生産緑地地域下水道整備区域から除外するのかどうか、この点がやっぱり問題の一つになるんじゃないか、こういうふうに考えますので、これをお聞きしたいと思います。
  20. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 第一種生産緑地も、おおむね一ヘクタールあれば指定できることになっておりますから、大部分の場合、そう大規模なものが一カ所にまとまるとも思えないわけでございます。そういうことですから、下水道その他の都市施設整備していく際には、必要なものはそういった地区も含めまして整備していくと、少なくとも幹線的なものだけは同時に整備していって、ただ内部の末端の管渠であるとか、そういったものは当面農地であるときに必要ございませんし、そういったものは、将来これが買い取り請求などによって公共用地に使われる時点で追加されればいいんじゃないか、基盤的な幹線的なものは同時に整備していきたいと考えます。
  21. 高山恒雄

    高山恒雄君 その点は、排水の点もそうですか。いま水道のほうはそれでも私はしかるべきだと思いますが、排水もやっぱり同様の考え方でいくと、こういうことですか。
  22. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 現在は農地でありますために、農業用用排水施設があると思います。これはこれで農地として必要な限りに残しながら排水につきましても将来に備える。特に大きくまとまって残るようなところはまた別かもしれませんが、大部分普通の規模で残る場合には、そこだけを特に取り分けて下水道をつくらないということもいかがと思いますから、幹線的なものはつくっておくと、こういうことにいたしたいと思います。
  23. 高山恒雄

    高山恒雄君 次に、市街化区域内の農地のうち、三大都市圏内のCの地区ですね、及びその他の地域農地について宅地並み課税を行なうかどうかは、昭和五十年までにこれを検討するということになっております。したがって、これについて衆議院段階宅地並み課税対象を拡大しないという方針であるということを建設大臣は強くこれ主張されておるわけですが、ところがですね、今後課税対象の拡大を含めて検討したいということを自治大臣答弁しておられるわけです。これを聞きますと、自治大臣はきょうは見えておりませんけれども、今後まだ問題がそこに残ってくるんではないかと思うんですね。大臣はそういうふうに拡大しないとおっしゃっておりますけれども、調査した結果、どうもそれは拡大しようとなれば拡大するんだとも自治大臣答弁は聞こえますし、その点はひとつ大臣のほうから、どういうふうな御見解か、再度お聞きしておきたいと思います。
  24. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 将来の宅地並み課税適用経緯の問題につきましては、私としては、現在審議中の国土利用計画法案が成立し、実施されてまいりますと、地価が鎮静化するであろうと、また宅地供給促進等もはかられるという見方をしておりまするし、また、最近の国際的な、世界的な食糧問題というものが非常に重大化してきておることなど、宅地並み課税実施後の状況の変化や国づくり町づくり都市計画にいたしましても、住宅政策にいたしましても、今後農家理解、心からなる理解というものが私はたいへん必要じゃないかという感じもいたすわけでありまして、そういう事情も勘案して、宅地並み課税は当面宅地大量供給が必要な三大都市圏に限るべきであるという私の年来の主張を実は衆議院段階で申し上げた次第でございます。高山先生指摘のとおり、この問題は、公的には地方税法法律の中に、政府としては昭和五十年度中にその検討を行ないなさいと、こういうふうに示されておるわけでございます。したがいまして、五十年度中には結論は出さなければならないわけでございますが、政府といたしまして、まだこの宅地並み課税地域の問題について、政府の統一ある方針というものを打ち出しておるという段階ではないわけでございます。たまたま、私としての考えを述べろと、こういう御質問がありましたので、先般、衆議院でそのような私の考え方を申し述べた次第でございます。
  25. 高山恒雄

    高山恒雄君 それだったら大臣のほうも幅があるということだったと私は推察しますが、それでよろしゅうございますね。——それなら意見も一致したようですが、先ほど申しましたように、何ですね、税制の問題で、自治省としてこの宅地並み課税の問題について現状の把握もしておられると思いますが、先ほど答弁をお聞きしますと、今後の問題としてやっていきたいというような御答弁ですが、自治省としては、この問題についてはどういう措置を講じようとされておるのか、またどこまで進行しつつあるのか、この点ひとつお聞きしたい。
  26. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 現在の市街化区域内の農地に対しまするいわゆる宅地並み課税でございますが、御指摘のように、現在では三都市圏市街化区域内のA農地B農地、これだけが適用されておりまして、あとは適用されておりません。このことの今後の検討につきましては、先ほど建設大臣からお話がございましたとおり、五十年度中までに政府全体として検討しろと、こういうことに一応税法上の規定が相なっております。したがって、この問題は、もともとの土地政策の問題、それから農業政策の問題あるいは都市計画上の緑地保全の問題、こういったいろんな要素がかみ合いまして、しかも地価の動向がどうなってくるのか、それに伴います土地に対しまするその租税負担公平度がどうなってくるのか、こういったようなことを今後事態の推移に応じましてつまびらかに検討し、また政策的な判断も加えてきめていくと、こういう性格のものであろうと考えております。したがいまして、そういった今後の推移につきまして、十分検討材料もそろえ、かつまた各界の御意見も承り、税調等審議も賜わりながら、今後十分に検討していきたい。現在のところ、どのような方向にきめたと、こういう段階までには立ち至っていないのが実情でございます。
  27. 高山恒雄

    高山恒雄君 おっしゃるとおりだと思うんですよ。ただ問題は、五十年までという何がございますからいいですが、いまその指定されている以外の地域ですね。これは地域開発といいましても、なかなかその開発はそう短兵急にいくものじゃないですわね。したがって、市街化区域には指定されたのであるから、つまり課税として、宅地並み課税の時期をいつにするかということですね。早く言うならば、市街化区域地域は買い手があれば売ってもらいたいと、宅地として。そういう促進剤にもなっているわけなんですね。したがって、この宅地税というようなものをかけたらどうかという声になっておるんですが、その点の具体的な進め方は非常にむずかしい問題だと私は思うんです。何かあなたのほうでは、そういう面の進め方については、どういう要領で今後やっていこうとされておるのか。建設省とのかね合いもありましょうけれども、自治省としては、どういう考えでそれを今後実施していこうとお考えになっておるのか。これは早く言いますと、地主は、そういうことになるならば、われわれは賛成するんじゃなかったと言う人もたくさんおるわけですよね。ところが指定にはなっちゃったということで、かなり不服の対象になっておることは事実ですよ。それは非常にむずかしい問題だと思いますが、具体的に、自治省としては、そういう問題の解決をどういう方法で今後やっていこうとお考えになっておるのか。むずかしい問題ですけれども、考え方があればお聞きしておきたいと思います。
  28. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) ただいま御指摘がございましたような市街化の進捗状況、これがいわゆる宅地並み課税一つの大きな要素であるという点は、全く御指摘のとおりでございまして、そういう意味から、四十八年の改正の場合も、三大都市圏のA、B農地だけに限ると、こういう措置を一応とったわけでございます。今後とも、一応市街化区域には指定をされておりましても、市街化がどの程度すみやかに進捗をするのか、それから、それに応じてすみやかに宅地として供給をしてもらったほうが適当なのか、こういった点は、やはりこの宅地並み課税をやります制度一つの大きな要素だと考えております。そういった考え方も十分取り入れながら検討をすると、こういうつもりでおります。
  29. 高山恒雄

    高山恒雄君 それからこの生産緑地内の農業政策の問題ですが、農業経営の指導あるいは助成措置はどのような取り扱いとなるのかですね。特にまだ農業の基盤整備の投資は原則的に行なわないと、こういうふうには聞いておりますが、そういう方針でいくのか、農林省考え方としてはですね。この点についてひとつお聞きしておきたいと思います。
  30. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 生産緑地農業政策上の扱いの問題でございますが、考え方としましては、市街化区域内でこのように都市環境の面からも良好な環境保持の意味があるということで保全されます農地につきましては、その農地で行なわれる農業経営の維持、改善に必要な農業施策、たとえば技術指導でありますとか、衛生、植物防疫面の対策、それから価格流通面、そういう全体的に農業経営の継続に必要な対策は講じてまいる考えでございます。  ただ、お尋ねの中にございましたいわゆる基盤整備土地対策につきましては、この区域の性格が全体として市街化区域でございますので、いわゆる土地利用、水利用の骨組みにつきましては、都市計画と申しますか、都市サイドの大きなワク組みの中で決定されますので、そういう意味合い等も勘案しますと、なかなか長期的な農業土地投資というものは差し控えるような状態にあるんではないか、こういう方針にならざるを得ないと思いますが、現実に行なわれます農業経営につきましては、全般的にその継続に支障がないように対策を講じてまいる考えでございます。
  31. 高山恒雄

    高山恒雄君 これもいまの宅地税適用するかしないかという問題と密接な関係のある問題だと思うのですよ、期間も長くなっておりますからね。それとその取り扱い、他の農地と同じような助成措置をとらないでいくということが基本原則だろうと私は思うのですが、ただし、それが長期にわたれば、それでいいか悪いかという問題がやっぱり起こってくるわけですね。そういう場合も、同じような、その適用しないという措置を講じていかれるのかですね、この点はどうですか。
  32. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 市街化区域内の農業の特性としましては、現状では非常に水田等の割合も高うございますけれども、たとえば野菜とか花卉とか庭木、植木類のような非常に園芸的な作物、それから、どちらかというと、比較的個人的な色彩の強い農業が行なわれておるのが特色でございまして、そういう状況から見ますと、たとえば、わりあい大きな規模で実施します土地改良関係の事業については、むしろ需要としてはあまりないので、実際に経営に着目した技術なり価格流通面の問題、それから今後の問題としましては、その園芸的な農業の継続に必要な施設整備の問題、こういう点については、十分生産緑地制度が施行されました段階考えなければいけない、こう思っておりまして、その点については、生産緑地、特に第一種生産緑地指定状況、それに対する農業者の取り組み方と申しますか、そういう点もよく勉強しまして今後慎重に対処してまいりたいと思っております。
  33. 高山恒雄

    高山恒雄君 もう一つ聞きたいのですが、この法律による生産緑地制度と、現在農林省調査もされて進められておると聞いておりますが、この農住都市の構想ですね。これとの関連性はどういうふうになっておるのか、お聞かせ願いたいと思うのです。農林省自体としての農住都市というものの構想があると聞いておりますが、その点はどうなっておるのかですね。
  34. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) いわゆる農住構想につきましては、現在の農林省の事業の中で推進しておりますものとしましては、緑農住区の関連の都市基盤整備事業というのがございまして、これは市街化調整区域内で基盤整備事業をやります場合に、あわせて必要な場合には市街化区域内の一部宅地的な部分も含めて事業をやる、こういうようなことで対処しておる現状でございます。いわゆる広い意味での農住につきましては、そういう行政上の施策とは別に、主として農業協同組合系統組織の中で市街化区域あるいは都市周辺区域緑地域、農地、住宅地、こういうものを適正に配置をしまして、主として土地所有者等であります農業者の自主的な計画等も練りながら、それらの有機的な関連をつけながら地域都市化と合わせて農業保全をはかる、こういう構想と申しますか、計画であると、こういうふうに私ども承知しておりまして、そういう問題については、これは実際の行政運営、これは都市計画なり都市行政の面でも今後十分配慮がなされていくものではなかろうか、こう考えておるわけでございます。   〔委員長退席、理事前川旦君着席〕
  35. 高山恒雄

    高山恒雄君 もう一つ建設省にお聞きしたいのですが——これは農業関係ですか、この市町村たんかに土地を譲渡した場合ですね。この土地税制上の取り扱いはどうなるのかですね。たとえば譲渡税の特別控除の制度があると聞いておりますが、具体的にこれはどういうふうになっておるのか、お聞きしておきたいと思います。
  36. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 生産緑地区内にある土地が、この法律の規定によりまして買い取り申し出を行ない、地方公共団体等に買い取られました場合には、別途租税特別措置法の改正を行なっておりまして、五百万円の特別控除が行なわれるということになっておるわけでございます。
  37. 高山恒雄

    高山恒雄君 五百万までは控除すると、こういうことですか。
  38. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 譲渡所得額から五百万円が差し引かれて課税される。
  39. 高山恒雄

    高山恒雄君 控除して。
  40. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) はい。
  41. 高山恒雄

    高山恒雄君 きょうはもう時間もないようですから、できるだけしぼりたいと思って簡単に質問申し上げたんですが、この問題は、ことばで言えば、言うはやすし行ないがたいような非常にむずかしい問題を含んでおるわけなんです。したがって、その指定地域に該当する内部においては、納得したようで納得していないという感をたくさん至るところで聞くわけです。あとで気がついたというような現状もないではありません。したがって、この運用については、先ほど農林省も言われたように、栽培されるものについてはやっぱり助成の措置もとるとか、そういう広い見解の上に立って運営を了としなければなかなか進行しないという現状だと私は思うんです。この点ひとつ私のそういう考え方を申し上げておいて質問を終わりたいと思いますが、大臣の見解をひとつお聞きしたい。
  42. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 仰せのとおりでございまして、この線引きというものを実施する際に、建設省としては、あらゆる手段を講じてその趣旨を理解願う努力はいたしたわけでございましたが、中にはやはり徹底しない面もございまして、先生にいま御指摘を受けたような批判が出ておることも十分承知をいたしております。そういう中でこの生産緑地法を運用していかなければならないわけでございますので、かねがね申し上げてきておりますとおり、やはり農業以外では食べれない人がたまたま市街地になったということでどうにもならぬというようなことではなく、やはりそこでなりわいが確立されていくような考え方をこの生産緑地法という法律の上に生かしたわけでございますので、そういう点で十分納得のいくような方法で運用してまいりたいと考えております。
  43. 高山恒雄

    高山恒雄君 終わります。
  44. 前川旦

    ○理事(前川旦君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の討論採決につきましては、議事の都合上、後刻に行なうことといたします。  ちょっと速記とめてください。   〔速記中止〕   〔理事前川旦君退席、理事大森久司君着席〕
  45. 大森久司

    ○理事(大森久司君) 速記をつけて。     —————————————
  46. 大森久司

    ○理事(大森久司君) 次に、工業再配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案並びに都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  47. 前川旦

    ○前川旦君 工業再配置・産炭地域振興公団法の一部改正法案は、政府の最初の案では、国土総合開発公団法に題名を改めるというのが最初の案であったと思いますが、衆議院地域振興整備公団法と修正をされたわけです。しかし、この公団の業務の拡充強化をはかった政府の意図は、いわゆる日本列島改造論につながるところの国土総合開発法案、それを実質的に推進する機関としての国土総合開発公団の設立であったと思います。したがって、政府案が当初国土総合開発公団法として田中さんの意図する国土総合開発法案とリンクさせて、その事業実施機関的な性格を持った公団にしようとしていたということはもう明らかでありますが、しかし、衆議院で題名が変わりました。このとおり受け取っていくならば、最初の政府考えておられたこととこの法案とは、名は体をあらわすといいますか、性格は変わった、大きく変わったと理解をせざるを得ないし、したいと思いますが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  48. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 御提案申し上げました工業再配置・産炭地域振興公団法の一部改正法でございますけれども、先生御案内のごとく、この公団は、過去変遷を経てきておるわけでございます。  昭和三十七年に産炭地域の振興政策を推進する、特に石炭産業の衰廃によりまして産炭地域が疲弊をしてまいりました。それに対する振興政策として産炭地域振興事業団として昭和三十七年に発足をいたしたわけでございます。その後、昭和四十七年に大都市の過密対策、その最大の原因でございますところの工業の分散を進めるということで工業再配置業務を加えまして、工業再配置・産炭地域振興公団法と改称いたしたわけでございます。  そこで、今般、さらに地方都市整備業務を加えたわけでございますが、御案内のように、三大都市圏への人口増はきわめて急激なものがあるわけでございまして、三十五年、四十年、四十五年と三大都市圏人口全国人口に占めるシェアは拡大をしておるわけでございます。これをそのまま放置しておきますならば、三大都市圏の過密はますます深くなり、また地方の過疎はますます進むと、そういう状態を踏まえまして、やはり地方の都市整備をいたしまして、人口の吸収、定着をはかる必要がある。それは本来地方自治体がみずから発意をもってやるべき仕事でもございますので、この公団といたしましては、その資金的、技術的な面でそういう地方の事業を援助するという趣旨で公団法の改正を提案いたしたものでございます。  いま先生御指摘ございました国土総合開発法案と同時に同国会に提案されたので、その実施部隊ではないかというお尋ねでございますが、広い意味での国土総合開発と申しましても、要するに新幹線、高速道路等の大プロの問題から、さらには地方地域住民の福祉の振興をはかるという内容も含まれておると考えるわけでございまして、その公団はその後者のほうの一翼をになうということでスタートさせようとしたわけでございます。国土総合開発法案がたな上げになりまして、新しく土地対策の国土利用計画法の御制定を見るわけでございますけれども、われわれといたしましては、そういう基盤を十分踏まえましてこの公団の運用に当たってまいりたいと考えている次第でございます。
  49. 前川旦

    ○前川旦君 この国土総合開発法案というのがこれは廃案になりますね。これと一体となって、この実施機関として考えられていたわけですから、大もとが廃案になりましたね。しかも、どうも日本列島改造論となりますと、われわれは、もう何といいますか、じんましんが出る思いがするんですけれどもね。ですから、これは名前も変わったわけですから、最初のスタートの意図といいますか、これも変わったと、違う観点でまた運営していくというふうに理解していいんでしょうかね。こうすっきりとおっしゃれませんかね。
  50. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 先生御指摘のように、国土総合開発法案たな上げということでございますので、国総法で当初考えておりましたことをそのまま推進をするということではなくて、まさに地域の振興整備をはかる、それも地方自治体の指導型でこれを進めていくというふうに御理解いただいてけっこうだと思うわけでございます。
  51. 前川旦

    ○前川旦君 いろいろと業務がありますが、八号業務というのですか、「特定の地域開発整備」ということばがありますが、これも最初の趣旨は、政府案のいわゆる国土総合開発法案の中の特定総合開発地域指定あるいは特定総合開発計画及びその実施、こういうこの国土総合開発法を受けての業務を目ざしたんであっただろうと思いますね。これは特定の地域開発整備業務というのは、そういう意味で、この大もとがなくなりましたので、一体これはどう変わるのか。この特定地域開発整備業務というのは、どういう法律、どういう根拠法に基づくのか。この開発整備業務となりますと、計画が前提とならなければいけませんが、その計画は一体どういう根拠法に基づく計画なのか、その辺整理をしていただきたいと思います。
  52. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) いま先生御指摘のように、国土総合開発法案におきましては特定総合開発地域制度があったわけでございます。ところが、先ほど来のお話のように、そういう制度を含めまして法案がたな上げになるわけでございますので、こういう大規模開発事業についての別の法的根拠はないわけでございます。ただ、私どもが当初提案申し上げました時期から考えておりましたこの事業は、いわゆるむつ小川原、志布志のようないわゆる大規模工業地区の利用でございますとか、そういうものを前提として考えていたわけではございませんで、たとえば大規模レクリエーション事業でございますとか、あるいは地方都市整備いたします場合に、新市街地を造成をいたしまして相当数の人口がそこに定着をいたしますと、当該都市の交通体系の整備の問題が出てまいります。そこで、そういう交通体系の整備の問題としてモノレールとか、地下鉄等の整備事業をやるという二つを考えておったわけでございます。いずれにいたしましても、地方の振興をはかりますためには、地方都市整備いたしますとともに、そのほかにも、やはり最近観光白書にも書いておりますように、別荘開発等、個人個人がかってに別荘をつくって、これが乱開発の原因になる、いわば観光スプロールともいうべき現象を抑止するためには、大規模な観光レクリエーション基地というものも必要である、それが地域振興の核となるというような場合も考えられますので、そういう事業を実施いたしますためにこの規定を置いたわけでございます。
  53. 前川旦

    ○前川旦君 よくわかりませんが、根拠法がなくなったということはたいへん大きな問題だろうと思いますね。そうすると、この根拠になる法はどうなるんでしょう。現行の国土総合開発法がやっぱりこの根拠として考えられるのかですね、あるいはあした本会議で可決見込み国土利用計画法案に基づくところの国土利用計画あるいは土地利用基本計画、これを基本にするのか、その辺の関連は一体どうなりましょう。
  54. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) いま制定を見つつあります国土利用計画法にいう国土利用計画と申しますのは、たとえば昭和六十年時点を見渡しまして、土地の適正なあり方ということをマクロ的に把握する計画であるとわれわれは理解をいたしておりまして、開発関係の具体的なプロジェクトにつきましては、国土利用計画法の国土利用計画では触れられないというふうに理解をいたしております。したがいまして、開発の問題につきましては、昭和二十五年の国土総合開発法が生きておりまして、それに基づきまして新全国総合開発が策定をされておるわけでございますが、政府といたしましては、その新全総の総点検を現在進めておりまして、その総点検の結果に基づきまして国土利用計画法の基本理念を踏まえた新しい開発計画の基本的な計画整備をはかろうとしておるところでございます。そこで、この地方都市整備でございますけれども、われわれといたしましては、先ほど質問にございました法律的な根拠でございますとか、あるいは政府の具体的な計画というものにぴったり即しておるということは、必ずしも言えないのではないかと思うわけでございます。ただ、新全総の総点検をいま経済企画庁を中心に進めておりますけれども、先ほど私が申し上げましたような三大都市圏人口集中、それに対応する地方都市整備ということは、総点検項目の一つとして加えられておりますので、その基本方向は、その方向に沿って今後地域振興整備を進めたいと考えておる次第でございます。
  55. 前川旦

    ○前川旦君 この特定の地域開発整備ということばにどうもひっかかりますが、一体、この特定の地域というのはどういう地域をさすのか、あるいは規模とか面積とか、一体どういうものか、あるいはその内容はどういうふうに整備するのか。いまさっきモノレールとか、それから地下鉄とかいうことばがちょっと出ましたけれども、特定の地域というのは一体どういう地域なのか。それから具体的にどういうことを目標にして整備をするのか、主眼点をどこに置いているのか、その辺を概括的に御説明いただきたいと思います。
  56. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 先ほど私が例示として申し上げましたのは二つございまして、一つは例の大規模レクリエーション基地の問題、一つは、地方都市整備に関連をいたしまして、交通体系の整備の観点からするモノレール、地下鉄等の整備の問題でございます。  まず、第一点の大規模レクリエーション基地でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、観光白書でその必要性を述べておるところでございますが、現在、政府各省におきましても調査を実施をいたしております。たとえば九十九里海岸地区でございますとか、若狭湾地区でございますとか、鳥取海岸地区等、十カ所程度調査を実施しておるわけでございますが、この基地の持つ意味は、将来の国民の生活時間の変動、それに伴いまして余暇が拡大をするわけでございますが、それを単にその当該特定の市域でございますとか県域のみならず、広域的な見地で行動圏の大きい基地をつくろうとするものでございます。そこで、たとえば千葉県の九十九里浜を例にとってみますと、これは大体計画区域は千五百二十ヘクタールでございまして、その中に多角的なレクリエーション一施設整備しようとしているわけでございます。これがいわば大規模レクリエーション地域一つの例示でございます。  さらに地方都市整備でございますけれども、地方都市整備は、各地方公共団体計画に基づいて、かつその要請によって公団が技術的、資金的なお手伝いをするわけでございますけれども、場合によりましては、多摩ニュータウンのような相当規模なものが考えられるわけでございます。その場合は人口十万以上の新しいニュータウンができると、そういうような場合に交通施設整備しようとするわけでございまして、この交通施設整備の原因となる市街地整備が大体どのくらいであるかどうかという問題につきましては、これは既成都市人口、既成の地域人口との関連もございますので、一様には申し上げられませんけれども、いわば新市街地整備によって相当規模人口がそこに新しく住むということが前提になるのではないかと考えておるわけでございます。
  57. 前川旦

    ○前川旦君 先ほど私は要らぬことを言いましたが、日本列島改造論ということばを聞くだけで、あれ見るだけでもうじんましんが出るのでありますが、どうもいまの御答弁を伺いますと、日本列島改造論の中で述べられております二十五万都市建設構想ですね。これと似ているような似ていないような、その辺、この二十五万都市建設構想論につながるのかつながらないのか。そこのところはどういうふうに違うのか、その辺はいかがですか。
  58. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 二十五万都市構想は、最初は通商産業省におきまして、工業再配置を進めるにあたりまして、工業の団地造成だけでは地域住民との結びつきも少ない、また環境の面でも、またそこに雇用される住民の生活の面でも問題があるということで、適正規模都市をあわせてつくって工業の再配置を進めたいと、こういうことで出されました一つの構想でございます。これまた総理の日本列島改造論には触れられておりますけれども、政府部内におきましては、地方都市整備につきましては多角的な検討を今後具体的に進めたいと考えておるわけでございまして、基本的な考え方といたしましては、この法案にも方々に出てまいっておりますように、地方公共団体意向を尊重して、その要請に基づいて実施をしていきたいと考えておるわけでございます。
  59. 前川旦

    ○前川旦君 いま地方公共団体の要請というのが出ましたが、これは第十九条の第五項ですか、「地方公共団体の要請をまって行なう」というわけですね。ところが、第十九条の第六項で、地方公共団体が要請をしようとするときは開発整備に関する計画を示さなければならないと、こういうふうになっていますが、この開発整備に関する計画、地方公共団体の立てる計画ですね、これは現行法のもとでは、この計画の根拠法となるのは一体どの法律が根拠になるのか。たとえば工業再配置につきましては工業再配置促進法がありますし、産炭地域振興整備については産炭地域振興臨時措置法という根拠法がありますが、この第十九条でいうこの要請、その基礎となる計画、これは根拠法は一体どの法律になるんでしょうか。
  60. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) ここで具体的に想定をいたしておりますのは、都道府県で全部現在つくられておると思いますけれども、県政振興計画でございますとか、県の整備計画がございます。そういうもの、あるいは市町村市町村整備の基本構想を定められておる例が多うございますが、そういうものを想定をいたしておるわけでございます。県政振興計画につきましては、これは根拠法がないと思うわけでございますが、市町村整備の基本構想につきましては、地方自治法に根拠があると承知をいたしております。
  61. 前川旦

    ○前川旦君 公団は、地方公共団体の要請したそれぞれの計画に基づきまして調査を行なって、事業実施基本計画を作成するということになるわけですが、事業実施基本計画は、これは第十九条の二の第二項で、「内閣総理大臣が定める地方における都市整備に関する基本方針に基づいて作成しなければならない。」と、こういうふうなことばがあります。ここでいう「内閣総理大臣が定める地方における都市整備に関する基本方針」とは、一体これはどういうことなのか。こういう計画は、あくまでも地方自治体が地域の住民とよく話し合って、その地域住民の意思が十分に反映された上での都市づくりをやるのは、もう当然過ぎるほど当然なんです。しかし、いまの第十九条を見てみますと、何か内閣総理大臣の押しつけ、ほんとうは国からの押しつけというのがほんとうかもしれませんが、この数日間のごたごたの中から、いかにも内閣総理大臣がかってに押しつけるような感じがいたしますが、その点についてどうなんでしょうか。
  62. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 公団がこの地方都市整備事業を行なうにあたりまして、前々申し上げておりますように、地方公共団体の発意、発意に基づく要請に従って事業を実施することは、この法律の明らかにしておるところでございます。  いま先生お尋ねの内閣総理大臣の定める地方都市整備の基本方針でございますが、公団が事業を実施いたしますにつきましては、地方の意向を基礎にするということは当然のことでございますけれども、また、公団は国の機関でございますので、公団のサイトにつきましても、国からある程度方針をお示ししておく必要があるということで、こういう規定を設けたわけでございます。  その基本方針の具体的な内容でございますけれども、われわれがいま考えておりますのは、地方都市整備に対する基本的な考え方、これがまず第一でございます。その内容といたしましては、長期にわたりますところの大都市圏、地方圏の人口、産業の見通しの問題あるいはそれを踏まえまして、地方都市整備についてどういう方向で考えるべきか。具体的に申し上げてみますと、たとえば地方都市整備するにあたりましては、快適な生活環境を備えた新市街地整備を行なうこと、あるいは既成市街地にありましても、ナショナルミニマムと申しましょうか、下水道でございますとか、住宅等の整備を行なうこと、あるいはその都市整備するにあたりましては、当該都市に住む住民の便益のためでなくて、周辺農山村との関係を考慮して地方都市整備を進めていくこと、そういうような点につきまして、地方都市整備の国の基本的な考え方を示したいと思っております。  第二番目は、公団が具体的に事業を実施するにあたりましての配慮すべき事項、すなわち、地方自治体の意向の尊重でございますとか、環境保全に対する配慮でございますとか、周辺農山村への配慮、そういう点につきまして、基本的な考え方を示そうとするものでございます。
  63. 前川旦

    ○前川旦君 この国土利用計画法案がここで審議をされましたときに、地域の住民の声を十分に吸い上げるんだ、それから地方自治体の声も十分に吸い上げるんだと、国としてももちろん方針は持つと、しかし十分に吸い上げて、たしか提案者は説明のときにフィードバックということばを使っておられたように思いますけど、何回も何回も行ったり戻ったりして、検討した上で計画を練り上げるということが国土利用計画法の非常に大事な柱になっているんですね。そういう姿勢と、何といいますか、方法ですね、ここでもやはりとっていかないといけないと思いますね。いまの御説明を伺うと、やっぱりどうも地域住民の意向が十分に反映されているんじゃなくて、何か上のほうの計画が下へすうっとおろされてくるというやっぱり印象がぬぐえません。ですから、それは実際問題として、地方自治体なり——地域住民の声を吸い上げるのは地方自治体でしょうけれども、その地方自治体と皆さん方との間の何回ものやりとりといいますか、行ったり戻ったりしながら、一体となって計画練り上げていくというそのかまえといいますかね、それはいかがなんですか、非常に大事なことだろうと思いますが。
  64. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 公団が事業を進めるにあたりまして、いま先生御指摘のようなことは、当然必要であろうと思っております。先ほど申し上げましたように、まず要請に基づいてスタートするわけでございますが、要請の際には、地方公共団体考えております事業の内容でございますとか、あるいは地域整備構想を添えて出してくるわけでございます。また、公団がそれを取り上げまして、事業を進めます場合には、事業実施基本計画をつくるわけでございますが、これにつきましても十分地方公共団体と御相談をしていく。また、事業が始まりました後も、要するに知事さんでございますとか、市町村長あるいは農協、農民の代表あるいは地域の学識経験者等を交えました委員会をつくりまして、常に公団の考え方と地元の意向につきまして調整をはかりながら仕事を進めたいと考えておる次第でございます。
  65. 前川旦

    ○前川旦君 投資ということばが出てきたと思いますが、第十九条の三であったと思います。内閣総理大臣及び主務大臣の認可を受けて、公団が造成する宅地の利用者の利便施設等の業務を行なう事業に投資することができるとなっていたと思いますが、一体これはどういうことなのか、よくわかりません。この例示を、たとえばこういうもんだというふうに例示をしてもらいたいんですね。一体どういう事業を考えていらっしゃるのか、具体的な例示をしていただければと思います。
  66. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) この投資事業の例示でございますけれども、住民の利便施設に関する整備、たとえば図書館でございますとか診療施設あるいは幼稚園、そういう事業もございますし、あるいは新しく市街地をつくるわけでございますので、その環境整備、たとえば清掃でございますとか除草、じんかい処理、植樹、芝生の手入れと、そういうような事業を行ないます法人が出ました場合に、それに対して出資をするという規定でございます。これに類するものといたしましては、住宅公団が筑波研究学園都市整備を行なっておりますけれども、筑波研究学園都市につきましての整備の第三セクターが生まれたわけでございますが、それに対して住宅公団も同様に出資をいたしておるわけでございます。
  67. 前川旦

    ○前川旦君 そうすると、いま例示されましたような、たとえば幼稚園なら幼稚園でも、これは民間の私立の幼稚園ですね、そういうものにも投資をすると。それから、いま植樹とか芝生とか言われましたけども、慈善事業をやるわけじゃないんでね、やっぱり営利事業ですわね。それに投資表するとなると、そうむやみやたらにというわけにいかぬだろうと思いますね。ですから、何かこれはその投資の額の制限をするとか、あるいは総資本の中に占めるその割合を幾らまでとか、いろいろほかにもありましょうが、いろいろこの制限を設けてやるんですか、どういうふうになさるんですか、これ何かあぶないような気がしますけどね。営利事業でありますから、株式会社何とかいうことになるんじゃないかと思うんですけどね、その辺はいかがですか。
  68. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) これは現在、先ほど申し上げましたように、筑波研究学園都市に関してもこういう事業をやっているわけでございますが、いわゆるこういう公団等の公的機関と地元地方公共団体、それとその新市街地に住みますところの法人等が共同して出資をして運営をするわけでございます。公団といたしましては、適正な出資比率でこれに対処していきたいと考えておる次第でございます。   〔理事大森久司君退席、理事前川旦君着席〕
  69. 沢田政治

    沢田政治君 都市計画法並びに建築基準法の改正案に対する質問をいたします。都市局長、新しい都市計画法ができてから——昭和四十四年六月でありますから、もう五年を迎えようとしておるわけです。いろいろ問題があると思いますが、市街化区域市街化調整区域、この線引き作業も、まあ全部とは言えないにしても、全体の計画から見ますと、大体ほぼ完了したと、こういうことに相なると思います。したがって、今後の残されておる問題は、この準備段階を終了して、どのようにこの都市計画を行政の面で軌道に乗せていくべきかと、こういう段階が今日的な段階であるし今後の課題だと、こういうように考えるわけです。  そこで、線引きを含めての話でありますが、現在までの都市計画について、どういうような功罪ですね。生産緑地の際にも私が申し上げましたように、線引きが大きかるがゆえに、ねらっておるところのスプロール防止、無秩序な虫食い状態を防止するというところが、逆に広過ぎるがゆえをもって、かえってスプロール的な現象を来たしておると。しかも地価に対しても、まあこの法律制定の際には地価抑制という効果をあわせ考えておったわけでありますが、それを主眼としないわけで、これと地価の因果関係というものは、これはにわかにはここで究明できないわけでありますが、しかし、及ぼした結果というものはやっぱり考えてみる必要があると思います。というのは、地価の抑制に役立たないのみか、むしろ市街化区域になったがゆえに地価が高騰しておる面、この功のほうじゃない罪の面、これが出ておると思います。その証拠には、ある地域では、もうちょっと離れたために市街化区域の網からのがれたと、何とかこれを編入してくれなんていう一連の地方における動きを見ても、これは地価の抑制どころか、地価の高騰あるいはこの高騰の誘因の一つになっていることも、これは率直に認めなければならぬと思います。したがって、こういう点をやはり将来功罪として、行政上の問題として考えておく必要があるんではないかと思います。  この点については、ぼくは大臣から聞きますが、そこで、具体的に今日までの区域指定の現況について、都市計画区域市街化区域市街化調整区域ですね、あるいは非線引き対象区域等に分類して、その面積対象市町村の数、こういうのはどうなっていますか。これをちょっと一応明らかにしてもらいたいと思います。前段のほうはけっこうです。
  70. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 線引き対象区域は、市町村数で八百六十七でございまして、そのうち線引きを完了したものが七百八十三、この面積市街化区域で百二十二万ヘクタール、調整区域が三百三十二万ヘクタール。それから線引きがまだされてない都市が八十四ありまして、これは四十四万ヘクタールというわけでございます。
  71. 沢田政治

    沢田政治君 局長、まだ線引きをされておらない市町村、これがあるといういまの話ですが、なぜ線引きをしないのか、その理由がわからぬわけですね。つまり線引きをする事務能力とか行政能力とか、これは別としても、また、地域の利害が非常に錯綜して困難な事情にあるのか、環境保全のために線引きをすることが、法律ではそうなっているんだけれども、望ましくないということか、やっぱりこれらの中でいろいろな複数の理由があると思いますが、やはりどういう傾向がおもでこういう線引きができないのか、この付近はどうなっていますか。
  72. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 線引きの未決定市町村数が八十四あると申し上げましたが、そのうち五十五というのは、昨年三月、地方の要望に基づきまして線引き対象に新たに組み入れたものであります。したがいまして、出発点がおくれておりますが、このほうは地方の要望から出発しておりますので、あらかたは、ことしじゅうに決定できると思います。当初指定でなおかつ線引きができてないのが二十九市町村でございまして、このうち十三は一昨年復帰しました沖繩の分でありますから、現在鋭意原案作成中という段階でありまして、これも、ことしじゅうぐらいにはたぶん済むと思います。残る十六市町村沖繩以外で当初指定分ということになります。これは個々に事情はいろいろありますが、共通する事情というのは、やはり一言に申せば、農林漁業都市土地利用との調整、これが地元においてなかなか一長一短利害相反しまして、円滑に納得の上できめるというには、まだ煮詰め切っておらないというわけであります。非常に時間がたっておって恐縮でございますが、そのうちでも、また半分ぐらいのものは現在すでに公聴会を開いたもの、近く公聴会を予定しているもの等もありますので、こういうところは、ことしじゅうぐらいにはきめられるんじゃないか、こういうことでございます。
  73. 沢田政治

    沢田政治君 大臣ちょっと中座しておりましたので、もう一回繰り返して大臣にお伺いしたいわけですが、昭和四十四年六月ですね、都市計画法が施行されてより五年、もう五年を迎えようとしておるわけです。そこで、いま一部にはまだ線引きを完了しておらぬところがありますが、全体の行政計画からいくならば九〇%、いや、九五%以上が線引きが完了した、こういう現状だと思います。したがって、もうすでに準備段階が終わって、どのように行政効果をあげるのかと、こういう今日的な段階になっておる。そこで、五年を経た今日、相当当時と今日の物価をめぐる問題、宅地土地の需給の問題、投機等の問題、環境保全の問題、当時の時代から見ますならば、相当のやはり推移をしてきておることも事実です。変化を遂げていることも事実です。そこで、こういう現状認識に立って、都市計画法の今日までの功罪というものをやはり内省してみる必要があるんじゃないか。私は、根本的にこれを改めるということを言っているわけじゃありませんが、今日までに起こりつつある問題、起こった問題をやはりその足跡というものを冷静に行政ペースで判断をしてみる必要があるんじゃないか、こういうことを主張したいわけです。といっても、なかなか抽象的でわからないと思いますが、この前の生産緑地法案の際にも申し上げましたように、全県がこれ指定区域だというところもあると、大げさに言えば。六〇%以上のところもある。したがって、都市計画法がそもそもねらっておったところのスプロール防止、無秩序な虫食いのような都市を防止する、この目的はいまももうけっこうだと思いますが、指定が広きゆえにかえってこれはスプロールを誘発しておるという弊害があるのではないかという問題が一つと、もう一つは、もともとこの法律地価抑制を主眼にした法律でないことは、これはもちろんのことであります。しかしながら、地価抑制、地価との関連を完全に無視した法律でもないことは事実であります。そういう観点に立って見るならば、地価との関連がどうなっているかということもあわせ考えてみる必要はあります。この法律に責任はないわけでありますが、したがって、そういう観点で考えると、もちろんこの法律地価抑制には役に立たなかったと、むしろ逆に酷な言い方をするならば、市街化区域線引きされたために、かえって地価が高騰した例も、全国的にはどうか私はわかりませんが、部分的には、指定を受けたために、かえって値上がりをした、こういうこともあるんじゃないかと思います。といいますのは、その具体的な証拠としては、もうちょっとの地域の関係で指定を受けなかった個人あるいは特定の方々から、もうちょっと広めてくれという運動が起こったことも事実であります。なぜ市街化区域に編入してくれ、もっと拡大してくれということになるかと言いますと、そこに指定されたための土地の値上がりの利害というものが存在するから、もっと広げてくれと、こういうわけですね。したがって、抑制にはならなかったし、むしろ地価高騰の呼び水に若干なった面もある。こういう観点に立って、この功罪というものをやはりもう一回——法律を直すかどうかは別として、今後行政を進めていくためにも足跡というものを振り返って、それを評価して行政を進めべきじゃないか、こう思うのですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  74. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 沢田委員仰せのとおりだと思います。四十四年に都市計画を改正いたしまして、市街化地域市街化調整地域農業振興地域というふうに線を引いたわけでございます。ところが、これは私どもの県におきましても、市町村におきましても、先ほど申し上げましたとおり、建設省としては相当強力な指導をしたわけでございますけれども、その趣旨がなかなか徹底しないうらみがあったのは、これはもう否定し得ない事実ではないかと、私自身体験をいたしているわけであります。市街化区域調整区域になると、もう売買ができない、高く買いに来られても売れないというようなことになりますと困るから、市街化区域に入れてくださいというような運動が私どものところにもずいぶん来たわけでございます。そういう意味におきまして、だんだん行政指導等を綿密にやりまして、できるだけそういう誤解のないようなもとで線引きを行なったわけではございますけれども、中にはやはりただいま指摘されましたような点なきにしもあらずということでありますとともに、これは死んだ子の年を数えるようなことをいまさら言ってもしようがないとは思いますものの、やはりこれは線を引きますから、どうしても地価を上げる役目はしないと、こう事務当局はそう思っているのかもしれませんし、また、そういう説明をしたい気持ちはわかるわけでありますけれども、しかし、現実にはそういう面において地価高騰の一つの大きなやはり遠い原因というものになったのではないかと、こう私は思わざるを得ないわけであります。これはほんとうに土地問題に大きな変革を及ぼすこのような問題を解決する際には、やはり現在国会でまさに通過成立されるでありましょうところのあのような、いわゆる土地の基本的な問題を解決してからこういうスタートをすれば、もっともっとこの制度が生きてきたのではないかというような実は感じがいたすわけであります。したがいまして、国土利用計画法が制定されますわけでございますので、そういう土地に対する新たな観点等も十分加味いたしますとともに、今日まで五年間、それぞれの自治体においても、それぞれの体験を積み、それぞれの経験を積み、やはり功罪をそれぞれ体験的に持つに至っているわけでございますので、見直しというようなことも建設省としてもやっていかなければならぬのではないかと、率直に申し上げて、そんな気持ちを持っている次第でございます。具体的にどういうそれじゃ効果があり、どういうマイナス面があったかということにつきましては事務当局のほうから答えさせたいと、こう思う次第でございます。
  75. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) いま大臣から御答弁申しましたほかに、先生の御指摘のように、今後は、この法律を実際に事務ベースに乗せて、軌道の上を走らせなければならないということを痛感しております。と申しますのは、いま言った地価問題もそうでございますが、その根本になる特に宅地需要の激しい地域で、的確に都市計画事業等の手法による大規模優良な宅地供給あるいはそれを基盤とした住宅供給という面に非常におくれが出ておりまして、これは当時予想しなかったような過密地域へのさらに人口、産業の集中というような要素もあったにしましても、やはり基本的に法律制度だけつくりましても、これがほんとうに実質的に機能しないという点が反省されなきゃならない。したがいまして、今後は、この都市計画法を土台としながら、特に大都市圏での宅地供給、住宅供給をはかるための補完するような法制を整備するとか、それをさらに補うような財政上あるいは税制上、あるいは金融公庫融資等の施策というものを総力をあげて強化拡充していかなければならない、このように考えている次第であります。
  76. 沢田政治

    沢田政治君 先ほども言いましたように、もともとこの都計法は、地価抑制という作用はあまり期待しなかったわけです。でありますから、今日的な地価の高騰はこの法律にありということは、私は断じません。今後の地価抑制については、いろいろな手法があるわけでありますが、特に今度成立しようとしておる国土利用計画法ですね、これとの関連で行政的に重要な考慮を払ってもらいたいと、抑制の効果があがるように行政官庁でやってもらいたいと思います。  そこで、この市街化区域の定義でありますが、いまさらここで言う必要ありませんが、おおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化をはかるべき区域と、こういうことになっておるわけです。そこで、今日五年を経過しておりますから、皆さんの青写真にかいた、十年以内に優先的かつ計画的に市街化をはかるという意図ですね、指定した意図、これが実現できるのかどうか。これはいつになるかわからぬということでは、スプロール防止もあまり効果は出ておらないと、地価抑制どころか、かえって値上げの呼び水になったと、こういうデメリット部分的には出てきておるわけで、一体何のためにこの都市計画法をつくったのかという、法律そのものに対する私はやっぱり基本的な功罪を問われかねないと思います。私はわからぬわけでありますから、現状はどうなっているのか、将来の見通しはどうか。大体、いま市街化区域になっておる面積は、先ほど答弁がありましたが、百二十四万ヘクタールですか、これを全部市街化される、住宅が建つ、あるいは都市施設が建つというのは、完全に十年以内、法律制定から十年以内に完了できるのかどうかという見通しが一つと、それから都市施設整備あるいはこのために必要な公共投資額はどれぐらいになるのか、財源を含めて将来の展望、見通しというものはどうなっているのか、局長から御答弁願いたいと思うんです。   〔理事前川旦君退席、委員長着席〕
  77. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 建設省では、昭和六十年を目途にした長期構想、国土建設の長期構想を策定しておりまして、これは市街化区域市街化調整区域線引きが、早いところは四十五年末ごろ、おそいところは昨年末ごろまでにかけて行なわれてきておりますので、過去のそういう三年という期間を加え、さらに、いまから六十年までの期間を加えますと、十年というわけにはいきませんで、十四、五年あるいは十二、三年ということになってしまいますが、その昭和六十年において市街化区域に必要な公共施設をぜひとも整備したい。おっしゃるように、線引きをしておいて公共施設整備されませんでは、これは目的を達成できないばかりか、弊害を生ずることにもなりますので、そういう計画でおります。現状では、この昭和六十年に市街化区域は現在よりは若干ふえると思いますが、大体想定されたその面積の中に一億人余りの人口が入るものと見まして、それに対し下水道は一〇〇%普及させたい。それから公園は、各種の都市公園を取りまぜまして、一人当たり九平米までもっていきたい。それから街路は、住居地域とか工業地域とか商業地域等によって密度に差がありますが、全体を込めまして、大体一平方キロにつき街路延長三・五キロメートルぐらいを整備したい。こういう目算のもとにはじきますと、現状では街路、公園が約二五%その目標量に対して達成しております。下水道は一九%程度というわけであります。したがいまして、残りは、従来の各種五カ年計画等を考えましても、よほど大幅に伸ばしていかなければここに達成できない、こういうわけでありますが、ことしのような総需要抑制下の予算編成を例外といたしますと、従来の道路、公園下水道の各年度における伸び率あるいは五カ年計画の改定、この辺を踏まえて考えれば、努力すれば不可能な数字ではないと私どもは考え、懸命に努力したいと思っております。なお、市街化自体が十年でできるか、これは市街化考え方にもよりまして、私どもは市街化区域百二十二万ヘクタールの全域が、いわゆる現在の既成市街地のように、住宅、工作物等が建ち並ぶ地域になるのではなくて、やはり相当農地山林等空閑地を残しつつ、その大部分がDID化していくと、こういうふうに考えております。そういう意味では、いまのような公共施設の基盤整備をかたわら強化しつつ、市街化のためのいろいろ必要な手法あるいは事業を活用するということによって、この限られた市街化区域というものの宅地化というものを達成するように努力したいと、こう考えます。
  78. 沢田政治

    沢田政治君 市街化区域線引きの手直し、これについては亀岡大臣も非常に慎重にしてかつ慎重な発言をされております。私もそれでけっこうだと思います。しかしながら、一部の大手不動産会社と言われる不動産会社が入手した土地取得の内容を見ますと、七割までは調整区域内にこれを買い込んでおるわけです。そういうことで、早く家を建ててくれ、早く市街化区域にしてくれ、こういう利害的な願望を一面においては持っておることも、まあ、うわさされておりますが、この面については大臣も非常に慎重な発言をして、もし手直しすることがあっても、公共のためにこれはどうしても必要だと、公共がやる事業についてはその限りではないけれども、一部の利害得失のために縮小あるいは拡大をすることは慎重に慎重を期したい、こういうことで私はけっこうだと思います。  この点は、この前の当委員会における質疑の中で、完全に大臣の見解と私の見解も一致しますので、あえてここで聞こうとはいたしませんが、問題は、私もあんまり詳細はわかりません。二、三日前に選挙区に帰ったわけでありますが、日曜なので帰省したわけでありますが、その際に、中央紙の地方版で、県当局と市当局が——住宅供給公社が買ったと思いますが、買い込んだ土地ですね、それと都市計画について相当意見の相違を来たして、けんかというほどまではいかぬけれども、たいへん対立した状態になっておると、こういう記事が出ておりました。したがって、私も何げなくそれを見てきたんで、詳細に調査しておりませんので、私の常識でここでお話しても誤解を招くと困りますので、事務当局に対して、事のいきさつがどうなっているのか、これに対して建設省がどう考えているのか。せっぱ詰まった時間ですから、その調査なり事のいきさつが明らかにされる時間的な余裕がないかとも思いますが、一体どうなってこうなったのか、将来どうするのか、この点をまず御説明を願いたいもんだと、こういうふうに考えるわけです。
  79. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) ただいま御指摘の問題は、私どもが調べました限りの範囲で申し上げますが、秋田市の四ツ小屋地区というところで、大体総面積が四十一ヘクタールにつきまして、秋田県の住宅供給公社が市街化調整区域の中で、かつ農振地域指定されているような地域につきまして、農振地区を含む計画をつくりまして、大体そのうちの半分二十一ヘクタールほどを買収済みである、ただ農振地区は約二十ヘクタールぐらい含んでおりますけれども、それは未買収である、手をつけていない、こういった開発計画の問題のように調べた結果は出ています。これに対しまして、市のほうでは、その開発計画につきましてやや問題があるというので、開発公社のほうと一つのもめごとがあると、こういったことを聞いております。県の住宅供給公社が主体となっていま開発を進めようとしておる、これが概況でございます。
  80. 沢田政治

    沢田政治君 住宅供給公社が買った土地は地主から直接買ったのか、あるいはまた、利権でというとおかしいんですが、商売を対象にしておるいわゆる不動産会社ですね、——これは農振地域調整区域ですからもてあましておるわけだ。そこを買ったのか、どっちなんですか。
  81. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) そこまでちょっと調査が行き届いておりません。
  82. 沢田政治

    沢田政治君 私の聞くところによると、これは相当いわくづきの土地のように新聞等では書いておりました。私の仄聞するうわさでも、非常に何かくさいと言われた、いわくづきらしいんですね。私が先ほど質問したのは、こういうことがあっちやいかぬというわけですよ。公が乗り出したんだからということで、公の名前をかりて不動産会社がもてあましておった土地を公が買って、公という美名のもとに市街化区域というものをなしくずしに拡大していくということは、国土利用計画法にもこれは反することだし、これはたいへんいけないことだと思います。それで率直な地主側の感懐といいますか、感想といいますか、意見が載っておりました。私どもは、これは市街化ということで売ったわけじゃないと、別の用途に供するからということで、宅地から見るならば非常に低廉な価格で提供したと、それを業者と公社がぐるになって利権をかぜぐということは、行政そのものに対して疑問を感ずるという一つの疑問感を提起しておりました。私もこれはもっともだと思います。いまをして考えてみるならば、もともと必殺仕掛人じゃないが、利権の仕掛けがあったんじゃないかと、こう疑問を呈しておるわけですね。私は、どっちの是非論を言っているんじゃないんですよ、そういういわくづきのそういう土地を買収をして、しかも、皆さんがあとで正確に調査してほしいのは、市街化区域だったら、やはりその区域の一面が何かであればいいけれど、正方形のようにぽんと農振地域と抑制区域に飛び出してきているわけだね、全く。こぶですよ、こぶ。こぶよりウナギの寝床のように食い入っておるわけですね。だから実際、住宅一千戸をつくると、これはいいんですよ、安い住宅を供給したいという善意な動機は私はわかります、住宅供給公社のほうのね。しかし、やはり都市の秩序という面からいったならば、これはたいへんなむだな開発だし、都市機能という面からいっても、これはちょっと変形的だし、こういうものをやはり許可してくれと、こうして来たならば認めるのかどうか、この点はいかがですか。
  83. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 市街化調整区域は、先ほども御説明がありましたように、市街化を抑制するということを目的として線引きをなされた区域でございます。したがいまして、その中では、ある一定の条件という例はございますけれども、原則として開発することは好ましくない地域でございます。だからこれが住宅の用に供する、あるいは学校の用に供する、いろんな目的ございましょうけれども、公共施設であろうと何であろうと、一定の建物以外建ってはいけないという法律の趣旨からいえば開発することは好ましくない。ところが、県の開発公社は、住宅公社法によりまして、開発許可不要の主体とみなされておりまして、その開発の許可手続が要らないわけです。しかしながら、県の開発公社は、公社法によりましても、また、われわれの都市計画の施行通達によりましても、そういった開発をやろうとするときには、位置だとか規模だとか施行基準だとか、よく地元の行政庁と相談をして、意見調整してやるようにということが、法律上あるいは施行通達の中で書いておるのでございまして、当然、この住宅供給公社も地元市と十分な折衝をなさってでないと、こういった開発をすべきではないというふうに考えている次第であります。
  84. 沢田政治

    沢田政治君 開発不許可、許可しなくとも供給公社法によってこれはできると。しかし、その際に当該市と——これは当然ですね、これは地元ですからね。市と綿密な協議の上、意見ととのってやると、やっぱりこの原則は——ぼくはどっちがいいとか悪いとか言っているんじゃないんです、これは決して、私もわかりませんから。でありますから、これは十分に協議ととのわない限り、法律がこうなっているんだから、おれができるんだというようなことはしないように、やはり皆さんが行政指導してほしいと同時に、非常に変なかっこうですわね、飛び地までいかぬけれども、全くツルの首のように長くいっておるわけでありますから、かっこうとしては、きわめていいかっこうじゃありません。都市の形成のあり方としては。でありますから、その計画等をも見て、皆さんの行政指導が及ぶなら、やっぱりよりよき都市を形成するという一つの角度からいって助言等をすべきじゃないかとこう考えています。と同時に、やはり今後のこの土地取得の面についても重要な疑義を投げかけますから、いつそこを不動産会社が買ったのか、どういう地主から買ったのか、地主から不動産会社が買う場合の値段。何年経過して、そうして土地供給公社にどういう値段で売却したのか、その動き等を知らなければ、明確に把握しなければ、やはり地元の不信というもの、行政が開発する場合の不信というものを私は払拭できないと思います。  そういうことで、委員長にもお願いしておきますが、その資料——具体的な審議は、この問題に関する限り、私は、後刻に譲りたいと思いますので、その資料を御提出願いたいと思います。  そこで、今回の改正で、これまでこの線引き対象区域内に限られていた開発許可の制度制度適用、今度の改正によって一定規模以上、規模は制限つけておりますが、一定規模以上の開発行為についてはやはり非線引き対象地域でもこれは認めると、こういうことになるわけでありますが、その際の面積ですね、その規模は〇・三ヘクタールですか、ということになっていますね。したがって、この「以上」に限定をしたという理由ですね、それ相当の理由があるとは思いますよ。どういうことでこの〇・三ヘクタールにしたのか。そこで問題になりますのは、その理由が一つともう一つは、この網の目をのがれるといいますか、それからこぼれる小規模開発行為、こういうものもあると思います。そのために、小規模なるがゆえに、災害とか、いろいろな派生的な問題が出てくるわけなんで、環境悪化の問題もありますし、都市施設をつくる場合の障害とか、いろいろな問題があると思いますが、そういう点についてはどう処置するのか、これはもちろん建築基準法等によっていろいろな面を考慮していきたいという考えもあるとは思うけれども、その付近がどうもさだかじゃないし、若干の不安を私としては感じますので、どうなるのか、お知らせ願いたいと思うんです。
  85. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) おっしゃるように、この線引きしない都市計画区域内の新しい開発許可制度につきましては、原則としては三千平方メートル以上を許可を要する対象考えておりますが、やっぱり場所によって、御指摘のように、これ以下にして、その網の目を防ぐ必要がある地域、つまり既成市街地周辺部のようなところ、あるいは全体として乱開発が非常に進んでいるような地域、こういうところにつきましては、三千平米以下にする道も残しておきたいと考えております。これは政令を定める際、原則は三千平方メートル以上といたすとともに、規則によりまして三百平方メートル以上を対象にする道を開いておこうと思います。  なお、〇・三ヘクタールを原則といたしましたのは、現在、この都市計画法の改正が待てないで、各県等におきまして条例とか指導要項でこの種の開発規制を、都市計画法開発許可の及ばない地域について、もう現に実施しているところが大部分でありますが、この面積規模、いろいろ大きいものから小さいものまでありますが、この三千平方メートルという基準を採用しているところがかなり多いということが一つと、それから線引きしない都市計画区域ということになりますと、だいぶ面積も一挙に広がりますので、的確な開発許可事務を行なうというためにも、その執行体制という点も考えまして、市街化区域は千平米でございますが、これ並みにするというのは少し事務量が多くなり過ぎはしないか、各県が現に行なっているのも、〇・三とか〇・五とかいうようなものを考えてやっておられますので、その辺を考えたわけであります。
  86. 沢田政治

    沢田政治君 現在ですね、やはり開発するということになりますと、都市計画法とか森林法ですか、農地法、自然環境保全法、自然公園法、常識的な場合、何らかの法律対象になり規制を受けるわけですね。これは当然だと思います、必要なためにそういう立法をしておるわけですから。ところが、これに該当しない、これは何と読むのかな、「しろち地域」というのか、「はくち地域」というのか、「はくち」ならばかだから、(笑声)「しろち」ですね。私、まあ、表現が悪いわけでありますが、こういうのがあるわけですね。たとえばゴルフ場とか、最近は別荘が多いんですね。こういう区域というのは、これはやっぱり業者も見のがしておかぬ。そういうところに殺到するわね。そういうことで、ゴルフについては何か議員立法で何か別の手法の法律が出るやに聞いておりますが、いずれにしても、ゴルフ場ということになると、ゴルフ場だけじゃない、それに関連施設がつきますし、ある場合においては管理人もおるとか、何らかのこの人が住むような設備、そういう付属した施設もつくだろうと思います。それと同時に、別荘ということになると、貸別荘もありますし、マンションのようなものもあるでしょうし、こういうものが何らのこの規制の対象にならないのです。しかも、それのうまみでそういうところにどんどん投機すると、しかも、それはもう自然公園にも指定されておらぬ、自然環境にも指定されておらぬし、原野でありますから、もちろん森林法も適用にならぬと。だから、森林だけは守るのであって原野は守らなくてもいいという法がないと思います。私は、自然環境というのは、やはり小川あり森林あり原野ありという一連のものが自然風致だと思うのです。でありますから、これらのものが全く抜け穴になっておると思いますね。風致とか環境とかいうならば、すべて一セットでこれは全体の環境を形成しておるということを考えるならば、こういう白地地域というものの存在、私は好ましくないと思います。網の目になっておると思うのです。でありますから、いまここで私は即答を求めようということは言いませんが、少なくとも日本国土に白地なんて治外法権——まあ、治外法権ということばは悪いわけでありますが、法が及ばぬというようなところがあることは好ましくないと思うわけでありますから、即答は求めないが、これに対して検討してほしいと思うのです。特にそういう風致の問題もあります。一連の風致ですね、全般的な風致もありますし、もう一つはやはり貸別荘、一戸一戸のバンガローのようなものじゃなく、相当広大なものになると、そこに思わざるやはり災害が発生するかもわかりません。そこが白地であったんだから、私ども責任の限りじゃありませんというわけにもまいりませんので、そういう住宅構造そのもの、自然の風致との関連、全体的な風致との関連、こういうことでこの網の目を埋めべきだと思いますが、確答までいかぬけれども、こういうことを放置していいのかどうかということを含めて事務当局のほうから御答弁願いたいと思うのです。
  87. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) まことに仰せのとおりでございます。昨年の国会及びことしの国会におきまして、いま言った開発規制関係の森林法とか自然公園法あるいは自然環境保全法等は、かなり強化した改正案を提案いたしまして、すでに成立しているところでありまして、一昨年までの状況に比べれば、森林であっても保安林のみが対象になっておったものが、地域森林計画がある民有林はすべてその対象になるといったぐあいに、非常に広がってきております。今回もしこの都市計画法で未線引都市計画区域開発許可の対象になるという改正案が通りますと、いわゆる白地地域というものはかなり縮まると思いますが、しかしながら、まだ全部をおおうというところまではいかないわけでありまして、これにつきましては、いま例をあげられたような都市土地利用というものに向かうような地域については都市計画区域自体を広げていくということが一案だと思いますし、あるいは森林地域であれば地域森林計画対象森林をふやしていくということでいくと。一番すべてをおおいそうなのは農地法でございまして、これが農地であれば農地法の転用許可をきびしくやることによって相当押えられるんではないかと思いますが、その農地でもない、森林でもない、都市計画区域でもないというものが依然として残ることになると思います。そういう穴はぜひとも避けなければならないし、国土利用計画法安は、全国を五種類の地域に区分いたしまして土地利用基本計画を立てようと。その土地利用基本計画の基本理念、環境整備とか、公害の防止とか、災害の防止とかいった法に書いてあるその基本理念をもとに、個々開発許可は各法律にゆだねておりますけれども、国土利用計画法の精神も思えば、白地地域というものは、何らかの規制力のある法体系が広がっていって、全体を網羅するということでなければならない、このように考えております。その際、御指摘のように、特に風致とか環境というものが全体として把握され、判断されていかなければならないということでありまして、現在でも自然環境保全地区都市公園地区とが例外的にはダブることがあるというようなこともありますが、そういう場合も含めて、各種の規制措置はぜひ担当当局間で十分に連絡調整しまして、同じ意思のもとに環境保全に邁進すると、こういうふうに持っていくべきだと考えております。
  88. 沢田政治

    沢田政治君 現行法では、傾向としてはそういう法が及ばぬ、規制が及ばぬ白地地域は縮小の傾向にある、これは認めるにやぶさかじゃないし、現にそのとおりでありますが、それでも残っておるわけですよ。残るわけですよね。自然環境保全法にも該当しないし、自然公園法にも該当しない、農地法にも該当しない、森林法、もちろん都市計画区域でもない原野ですね。私は、やっぱり美の価値観というのは別個にあると思うんで、森林のみが自然を守らなくちゃならぬとか、残さなくちゃならぬものじゃない。原野でもそれなりのやはり何と言いますか、相当の人に与える美の価値、保存すべき価値、こういうものがあるんで、どの手法でやれということを私もこれは言いません。自然環境保全法律を拡大していくのかどうか、この付近はやっぱり立法の問題もありますので、これは勉強に待たなくちゃならぬと思いますが、何にも規制を受けない白地なんというのは、これはいかぬと思いますですね。でありますから、これは一つの研究課題といいますか、勉強課題として今後御努力願いたいものだと。今日のように、いろいろな手法で投機とか乱開発が規制されますと、勢い追われたこのウサギがそこに逃げ込むということは必至でありますから、思わざるところに、やっぱり何と言いますか、乱開発とか、自然をこわすものが出てくる可能性が十二分に予測されるので、一つの研究課題として御努力を願いたいものだと、こういうように考えています。  そこで、今度の改正で都市計画区域内のゴルフ場の造成ですね、また新たにゴルフ場を開発すると、こういう場合は今度は開発許可の対象になると、これはおそきに失したと私は思います。ほとんどもうできるものはできているわけですね。これからふえるかどうかわかりませんが、大体ゴルフの何ですか、あれは何だか権利ありますね、あれも今度は税金の対象になったわけでありますが、ああいうものの動向から見ても、ちょっと鳴りがやんでいますね、小康を保っているというのか、これはわかりませんが、どういう傾向になるのか。私は、ゴルフのほうはわかりませんが、ちょっともうできるものはできちゃったと、もう国土の〇・六%はゴルフ場だなんということが新聞等にも書かれておりますが、これはちょっとおそきに失したと思いますが、一体、現状これはどうなっているのか。これはもちろん都市計画区域内と区域外に分けて、実情というものは一体どうなっているのか、また、計画中のものは何カ所あって、その面積は、先ほど言いましたように、〇・六%とか、いろいろ言っておりますが、千四百二十二カ所あると、大都市には特に集中的に出ていますね。神奈川とか千葉とか兵庫ですね、こういうところは多いほうですね。うろ覚えの私は数字しかわかりませんので、大体どういう動向になっているのかですね、この点をひとつお知らせ願いたいと思います。
  89. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 最近、都道府県を通じて調査したところによりますと、オープンしているものが約七百六十カ所で六万ヘクタール、造成中のものが約五百カ所で同じく六万ヘクタール、そのほかに、かなりの計画中のものがあるようでございます。それでオープンしたものと造成中のもの合わせて千二百八十ぐらいになりますが、この十二万ヘクタールについて見ますと、都市計画区域外というのが約四百七十カ所、約五万ヘクタールでございまして、半分近くが都市計画区域外あるということでございます。  なお、今回の改正で初めて対象になる非線引き都市計画区域の中では、オープンしたものと造成中のものが約二百八十件、二万五千ヘクタール、そのほかに計画中のものが百八十五件、二万ヘクタールぐらいあるようでございます。
  90. 沢田政治

    沢田政治君 大臣、どうですか、この日本国土の〇・六%がゴルフ場、私は、スポーツであるか何であるかわかりませんが、人々の趣味とかスポーツとか娯楽、こういうものは制限すべきもんじゃないとは思いますが、国土のほんとに価値ある利用、こういう観点からいったならば、ある程度国民の土地に対する総需要、こういう観点からいって、好きだから何でもやるじゃなく、やっぱり国土というものはどういうように国民的に全体が価値あるように利用するかと、特にそういう制限があってもいいと思いますね。というのは、国土が広大であるなら別として、非常に狭小な日本においては、これはやっぱりある程度の制限があってもいいんじゃないかと思います。そういうことで、やはり許可というものを適法だからこれは全部認めていくという方向をとるのか、ある程度、何といいますか、国の行政の基本的な態度としてそういうものをどんどん拡大させるという方向じゃなく、極力がまんしてもらうという方向にいくべきじゃないかなあと私は考えるわけです。しかも、最近のゴルフ——私はやらぬわけでありますから、ゴルフというのはどういうものかわかりませんが、キャディーだかといって、何か耳かきのようなものを人の背中にしょわせて、のこのこ封建大名のように——最近は、車か何かであれは運搬をしておるものもあるようですね。まあ、自分ができないからというわけで私はそれをやっかむ気持ちじゃありませんがね、人間が高いとか賃金が上がるとかどうとかといっている昨今でもあるしね。これは余談です。余談ですが、国土が狭小だと、そこに〇・六%と、さらにそれを拡大するということになると、もうゴルフ王国になるわけですね。日本がゴルフ場の中にあると、日本にゴルフ場があるじゃなく、大げさに表現すれば。そういうことにもなりかねないので、やっぱりこれはある程度のがまんをしてもらうと、いまある施設を必要最小限度に押えていくというぐらいの行政の姿勢があってもいいんじゃないかなあと私個人考えるわけですが、大臣の感想はいかがですか。
  91. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 私もあまりゴルフには興味はないわけではありますけれども、いろいろゴルフ関係の本を読んだり機関紙を読んだり、いろいろまたやっておる若い諸君の話を聞いたりいたしてみますと、非常に健康によろしい、レクリエーションによろしい、そういう面でのゴルフ場の持つ私はやっぱり価値というものは認めていかなければならぬのではないかと。ただ、これが一部の人だけによって利用されておるというところに、私も実は抵抗を感じないわけにはいかないわけであります。したがって、河川敷等についてもいろいろ問題にされたわけでございますが、私としては、もう全部パブリックの方向で比較的安い料金でやりたい人がやれるというような方向で今後やはりゴルフ場は許可されていくべきものと、そんな感じが実はいたしておる次第でございます。  確かに沢田委員仰せのとおり、世界で数十番目の面積しかない国が一億二千万、七番目の多い人口を持って、しかも八割近くは山ばかりであるというこの国土をいかに国民のために利用していくかということで、国土利用計画法という法律が非常な私権を制限してまでということで立法されようといたしておる気持ちを考えました際には、ほんとうに国民の体育向上にもう絶対になくちゃならないんだというふうに使えていくようなシステムが今後取り入れられていくべきではないかという感じを持つわけでございます。
  92. 沢田政治

    沢田政治君 最近の業者といいますか、そういう開発業者が市街化区域以外、調整区域のところにこれらのものを持っておって、非常に敏感ですわね、やっぱり開発業者は。私もそういう商売をやれば敏感になると思いますが、これはしようがないんですね。これは法的に規制をしていかなくちゃなりません。やっぱりもうけようという、利潤をふやそうといういまの経済制度では、無軌道になればやはりこの前のようにやり玉にあがりますが、それ以外のものについては、一がいにこれは悪だと、こう言われないいまの制度ですから、私はとやかく言いませんが、市街化調整区域内にそれを持っておって、今度は国土利用計画法によって遊休地、未利用地、こういうことになるんで、田中一さんがこの前質問したように、ひとつゴルフ場として確保しておいて、やがて宅地化というところまで時をかせごうと、こういう傾向があるように聞いています、事実であるのかどうかわかりませんが。そこで、今回の法は、区域内においては三十三条によって基準を設けると。ところが、今度法三十四条はこの適用を排除していると、除いているというのは、こういうゴルフ場の開発業者といいますか、それを規制して、やがては市街化区域になるということを待っている方々を間接的に援助、奨励することになりはしまいかと、こういう一まつの危惧を感ずるわけですね。これは私の杞憂であればけっこうですが、そういう点は、これはどういうもんでしょうかね。これは私の杞憂でしょうか。
  93. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) ゴルフ場は、今回の改正案で第二種特定工作物ということにいたしておりまして、これは第一種の特定工作物とか建築物と違いまして、それ自体、市街化の誘因となるというような性格のものではないものですから、市街化調整区域といえども、市街化区域と同様の基準を適用するしかないんではないか。同様の基準といいますと、周辺地域に水をあふれさせたり、出水させたり、あるいはがけくずれを起こさせたりというような災害、これを未然に防ぐ、それから交通の円滑なる処理に支障にならないような設計でやってもらう、あるいは樹木の乱伐等をしないで環境保全し、緑を極力残してもらう、こういうような基準を適用することにいたしております。したがいまして、調整区域であってもゴルフ場は新しく開発許可の対象にはなりますが、市街化区域でやるのと同様の基準で許可されることになりまして、そうして手持ちをしておいて、いずれ住宅地に切りかえたいというときのむしろ援助をすることにならないかという御指摘でございます。しかしながら、将来、この転用をしまして、ゴルフ場を別の目的——住宅建設のためというようなものにしようという場合には、新たな開発行為も必要でしょうが、かりにそのままの形であらためて開発行為がない場合でも、都市計画法上あらためて許可を要するように条文ができております。そういうことですから、制度としては、ゴルフ場を許可して、あとで宅地化する助けにするというようなことはない、むしろ現在全然許可対象になってないゴルフ場をそういう災害対策とか、緑の保全とかいうかっこうできちっと基準を守らせて、許可を得た者のみが建設できるということにすることが調整区域の将来も含めた乱開発相当防げるものと考えております。
  94. 沢田政治

    沢田政治君 あと数点質問があるわけですが、まだ若干時間があるようですが、他の質問予定の委員も待っておりますので、私、長ったらしいことはこの際御遠慮申し上げますが、最後にお聞きしておきたいのは、ゴルフブームによってたいへんこれは地方自治体も頭を悩ましたわけですね。したがって、この法律が施行を待たずに、十数県においてそれぞれ何らかの条例等によって取り締まりといいますか、規制をしておるわけですね。これはやむを得ないと思います。これはけっこうだと思います。もう既成事実ができてきてからそのゴルフ場を取っ払えといっても、これはできませんから、当然これは緊急避難として地方自治体が条例等でこれを規制するというのは万やむを得ないことだし、非常に先見の明があったというように私は考えますが、この法律改正によって各都道府県のこのいままでの規制がかえってゆるめられるということになりますと、おそきに失したほうが逆に、これは全く何というか、本末転倒になるわけでありますから、おそらく政令でその基準をきめることになると思いますが、現在十数県で行なわれておる都道府県の条例等あるいは要項等を見つめて、逆な効果を作用しないように十分の配慮を願いたい、こういうことが一つ。  もう一つは、わが国の宅地あるいは市街地の特に住宅の大がかりな事業としては、何といっても、今日的には多摩ニュータウンがこれ代表的なものだと思います。が、しかしながら、昭和四十四年に都市計画をきめて、今日においてわずか一割か二割ですか、完成したのはですね、遅々として進まぬ、ここ二年間は地元の反対で全く停とん状況になっておると、こういう現状だと思います。いかぬじゃないかとここで皆さんをおしかりしても、これはしようがありません、時間もありませんので。将来これをどういうふうにして軌道に乗せるのか、住民のコンセンサスを得るのか、これの一つ見通しを——答弁要りませんから、答弁されると、またしなくちゃならぬことになりますので、自後、都合のいい委員会で、こうやるつもりなんだと、現状はこうなんだと、こういう点を明らかにすることを私は要請しておきまして、私の質問を終わります。
  95. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 質問中に沢田君から要求のありました資料につきましては、事務当局で必ず出していただくように希望いたします。
  96. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) お出しいたします。
  97. 田代富士男

    田代富士男君 二法案を私は一度に質問したいと思います。  最初に工業再配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案のほうから質問をしたいと思います。  この法律案は、大都市からの人口及び産業の地方分散と地域開発、発展を促進するため、また産炭地域における鉱工業の計画的な発展をはかるため工業再配置、また産炭地域における産炭地域振興公団を原案では国土総合開発公団といたしまして、この公団が従来の工業再配置業務また産炭地振興業務と合わせまして新たにそれぞれの地域社会の中心となる都市開発整備及び特定の地域の総合的な開発計画的な開発整備に必要な業務を行なうために所要の改正をはかろうとしていらっしゃる、そういう趣旨のものでございますが、いま趣旨を述べたとおりに、地方都市開発整備業務につきまして大都市からの人口が移動するということは、これは趣旨に沿うかもしれませんけれども、そういう地方都市ができ上がった場合に、その地方都市周辺の農村漁村山村からの人口の移入というものを防ぐことができるかどうかという点は、これはちょっと保障できないじゃないかと思うわけなんです。そうした場合に、その趣旨に沿うことができるかどうかというまず一番最初にそういう問題点を考えざるを得ないと思うわけですが、その点はいかがでございましょうか。
  98. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 地方都市整備の第一番の目的は、先生のお話もございましたように、三大都市圏に集中する人口圧力を地方に魅力ある就業就学機会をつくりまして、そこに吸収し定着をするということがねらいでございますけれども、また、先生御指摘になりましたように、大都市への集中圧力は緩和されたけれども、地方都市への集中圧力は強くなって、そこに人口が集中をして過密状態がまた発生をする、こういう御懸念、これは私どもも十分理解をいたしております。そこで、そういうことのないように、これは地方自治団体が今後地方都市整備計画を進められるにあたりまして十分御配慮願いますとともに、国といたしましても、そういう点については十分地方とも連絡協議してそういう事態が起こらないように相談をし、指導をしていきたいと考えております。  ただ、ここで地方都市整備いたします場合に、われわれといたしましては、何々市というその市域だけを考えないで、その市を含みます一定の圏域につきまして都市農村一体とした整備を行なってまいりたいと考えております。したがいまして、都市部に工場あるいは学校等をつくります場合におきましても、周辺部から通勤通学がしやすいような道路等交通機関の整備もあわせて考えてまいりたいと思っております。なお、農村一帯の整備を進めるにあたりましては、農村集落の整備事業、これは農村集落に住む人が日常生活に不便のないような事業を推進する必要がございますので、この点につきましては、四十八年度から農林省で事業化を進めておりますし、また、今後過疎対策につきましても十分施策を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  99. 田代富士男

    田代富士男君 いま私が心配な点を取り上げましたが、そこで従来からの地方都市政策というものをいままで運用し、実行されてまいりましたが、その実行運用の面におきまして問題点というものが浮かび上がってきておる、そういうことでまたここであらためて検討されているということでございますから、地方都市政策のいままで運用された点でどういう点が問題としてあがってきたのかどうか、それを今度いま問題になっております新公団の機能、これをさらに政府はいまから実行されようとしておりますけれども、新しい地方都市政策のあり方につきまして相互の関連性というものもあるかと思いますけれども、その点はどのようにお考えになっていらっしゃるのか。いまもちょっと説明されましたけれども、いままでの地方都市政策を運用されてきた面で問題になったこと、関連性について御説明願いたいと思います。
  100. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 政府が過去におきまして都市整備政策をとりました典型的なものといたしましては、昭和三十七年に新産業都市建設促進法によりまして新産都市を十五地域指定をいたしまして、その整備を進めてまいったわけでございます。この動機と申しますのは、大都市への人口、産業の過密状態といいますのはすでに昭和三十年代に存在をしておったわけでございます。その際、それに対応する政策といたしまして、地方に十五地域の新産都市をつくりまして、いわゆる重化学工業といいますか、コンビナートとして整備をいたして経済の国際化に対応するとともに、また雇用力を高めようとしたわけでございます。また、あわせてその新産都市を拠点といたしまして、その拠点を開発することによって周辺への開発利益の均てんを得させようという政策であったわけでございます。しかしながら、その新産都市の政策についていろいろ反省をしてみますと、その誘致される企業が重化学工業中心でございましたために、かつまた環境問題について十分の理解がなかったために、公害問題等が発生をしております。また施設整備計画の進捗度を見てまいりますと、産業関連施設整備相当進んでおりますが、残念ながら生活関連施設整備はおくれているというような事情もあるわけでございます。さらに、拠点開発として周辺開発利益を及ぼそうといたしましたけれども、私が先ほど申し上げましたような、一つの広域的な農村部をも含めた整備計画というものが必ずしも十分でなかったという点もございまして、その辺についても問題があったのではないかと思うわけでございます。  そこで、今後、地方都市整備政策を進めるにあたりましては、いま申し上げましたような新産業都市政策の反省の上に立ちまして進めてまいりたいと考えておるわけでございます。  その第一点は、やはり環境への十分な配慮ということでございまして、誘致企業についても十分内容を検討いたしますし、また、その環境保全するために、産業を誘致する場合にも、この前制定されました工業立地法によりまして、その敷地内に十分な空地をとるとか、あるいは他の部分との間に緩衝地帯を設けて、環境保全をはかるというような点についても十分配慮をしてまいりたいと考えております。  さらに、今度の地方都市整備政策は、やはり魅力ある就業、就学機会をつくるということと同時に、住民が日常生活を快適な環境で営めるということが基本でございますので、生活関連施設整備については特段の配慮をいたしたいと考えております。  また、拠点開発についての考え方についても、これをもう一ぺん考え直しまして、都市農村を一体とした広域的な見地に立って整備を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  101. 田代富士男

    田代富士男君 いまさまざまな配慮をしながら、地方都市の再開発に力を注いでいくと、こういう御意思でございますが、地方都市の育成に一番に大事なことは、それぞれ地域にはそれぞれ地域の特徴並びに伝統というものがあります。その国土世間というものは、いろいろ違ったものがあります。そういうわけで、地方の伝統を守りながら、また、それぞれ地域の意思を尊重していかなくてはならない、これはこの法案を読んでみますと、協議を重点的にやっていかなくてはならないという点は盛り込まれておりますが、特にこの法案によりますと、地元の要請を待って行なうものとすると、こういう意味のことが第十九条の第五項あたりに規定されておりますけれども、地元の意向をどのようにくんでいかれるのか、ここらあたりは、ただ法文化されました文章だけでは簡単にいかない面、いろいろな面があると思いますけれども、この点ちょっと確認しておきたいと思います。どうでございましょうか。
  102. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 今度、公団が事業として取り上げます地方都市整備でございますけれども、地方都市整備は、先生のお話にございましたように、それぞれ各地方都市が長い伝統と特色を持っておるわけでございまして、これを整備していくためには、やはり地方自治体の発意と申しますか、意欲というものを最大限生かしていく必要があると思うわけでございます。  そこで、この公団法でも書いてございますように、公団が事業を実施するにあたりましては、地方公共団体の要請を待って実施をするということにいたしておるわけでございまして、国であらかじめ都市指定をいたしまして、そこに乗り込んでいくという考えではないわけでございます。また、要請にあたりましては、当該地元の市町村と都道府県が、それぞれ県議会の同意なり、あるいは議会の議決にかわります全員協議会等の合意を得ました上で、公団に申請をしていただくというようなたてまえをとっております。  なお、事業を進めるにあたりましては、その要請の際に、地方公共団体から事業予定区域でございますとか、事業内容、その他地域開発整備構想というものをお出しいただくわけでございますが、公団といたしましては、それを尊重をいたしまして、それを基本にいたしまして、事業実施計画をつくるということにいたしております。事業実施計画は、具体的な事業実施の内容に入るわけでございますが、これにつきましても、地方公共団体に協議をするという法文規定を設けまして、地方公共団体との十分な連絡協調のもとに進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  103. 田代富士男

    田代富士男君 いまいろいろ御説明されましたが、まだこれは発足はしておりませんけれども、それぞれの地方公共団体からは、新しい業務といたしまして、非常に期待されていると思うんですね。たとえば御承知のとおりに、広島の広島大学等はタコの足のようにばらばらであったのを、用地土地は文部省が取得されておりますけれども、大学用地は文部省が予算を充てて獲得できますけれども、周辺整備というものが、おそらく地方といたしましては、ぜひともやってもらいたいという、そういう相当な期待が持たれるし、注文も多いと思うんです。そうした場合に地方都市整備、工業再配置のための用地の取得も、また地元の協力なくしては、これはできないんじゃないかと思いますが、ここで心配なことは、地元の公共団体の持つ機能を無視することは許されないと思うんです。もちろん、私、十九条の第五項の問題もお尋ねしまして、公共団体と協議をすると言われましたけれども、こういう地方公共団体の機能を無視することがあるんじゃないかと、そういうわけで、新しい公団の機能との分担ということばが当てはまるかどうかわかりませんけれども、いかに調整するかという、ここらあたりの配慮をどうしていらっしゃるのか、御説明願いたいと思います。
  104. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) いま先生が例をあげられました広島の問題でございますけれども、御承知のように、広島大学はいまタコの足のように分散をしております。それをひとつリプレースをする、そのリプレースをした研究学園団地を中心にいたしまして、広島県整備の一環といたしまして新都市を建設をしようという動きが進められているわけでございます。われわれといたしましては、その県なり地元がお立てになる基本的な整備構想というものを十分尊重をいたしまして、またその地方都市整備を進めるにあたりましては、いろいろ事業といたしましては、たくさんの事業があるわけでございます。住宅団地の事業もございましょうし、業務市街地の事業もございましょう、あるいは関連の公共施設整備とか利便施設整備もあると、そういうふうに都市整備というものは非常に広範な事業の複合体でございます。  その際に、一体事業主体はどういうふうに分担するかという問題になるわけでございますが、われわれといたしましては、地方都市整備は、基本的にはやはり地方自治体が主導型でやられるべきであるという考えに立っておりまして、ただ事業の中には、規模とか、あるいはその計画内容等によりまして、資金的、技術的に地方自治体だけではできない、あるいはこういう全国的な技術者集団を持ちました機関の手助けが必要である、そういうものにつきましては、地元の御要請に基づきまして、公団が補完的な機能を営むという考えに立っておるわけでございます。
  105. 田代富士男

    田代富士男君 いまの御説明の中にも、地方自治体と協議し尊重して、そういうようなことをそこなわないように配慮していくということでございますが、第十九条の二の第二項に「内閣総理大臣が定める地方における都市整備に関する基本方針」というようなものがいわれておりますけれども、これは基本方針となりますと、第一条に目的というものが書かれてありますけれども、この目的をどのようにされるのか。ここらあたりをちょっと明らかにしていただきたいと思います。どうでございましょうか。
  106. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 内閣総理大臣の基本方針でございますが、先ほど来申し上げておりますように、公団の地方都市整備事業の実施につきましては、地方公共団体の要請なり、また、その際お示しいただきます地方の自治体がおつくりになりました開発整備の構想というものを基本とすることには変わりはないわけでございます。ただ、公団はやはり国の機関でございますので、国としても、公団の事業実施につきましての行動指針というものを一応示す必要があるわけでございます。  そこで、内容といたしましては、地方都市整備についての基本的な考え方ということをまず第一番にし、第二番目に事業実施にあたっての配慮事項というものを考えておるわけでございます。  実施の基本的考え方といたしましては、将来時点における人口の見通し、都市人口の伸びる見通し等を踏まえまして、地方都市整備はこうあるべきだと。特に地方都市整備に対する基本的考え方といたしましては、魅力ある就業就学機会を備えた新市街地整備でございますとか、あるいは既存市街地を含めましてナショナルミニマムと申しましょうか、上下水道、住宅等の整備考え方でございますとか、さらには周辺の農村を含めた圏域的な整備方法、整備の方向で進めるべきだというような基本的な考え方を示すつもりでございます。  第二番目の、事業実施についての配慮事項でございますが、これは地方団体意向の尊重はもちろんのこと、事業を進めるにあたりましての環境保全についての配慮事項等を示して、公団が事業を進めるにあたっての指針といたすつもりでございます。
  107. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、最後に大臣に、いまの質問を通じてお聞きになっていただいたと思いますが、最初に、これは地元の要請を待って行なわれるということで、地元と協議をし、地元の意見も尊重して行なっていくと、こういうことでいま御説明を受けまして、第十九条の二の第二項の内閣総理大臣が定める地方における都市整備に関する基本方針とは何かということで、いま御説明がありましたが、その場合に、公団は国の機関であるから行動指針を定めると。その場合の第一の指針というものは基本計画であると、それはいま端的に言うならば、シビルミニマムの実施のためにやっていくという、第二番目に事業実施に対する配慮事項をやっていくと。そうした場合に、私がいまちょっと心配したように、地方公共団体の機能を無視するようなことになりはしないかという、こういう心配があると思いましたが、それがいま第一番目の方針と第二番目の方針とは、これは順番からいえば一番、二番であるが、一体不可分のものであると言われればそれまででございますが、そういう心配点があるんですが、これを実際に運用していただくのは当局でありますから、この点につきまして大臣からその点を再確認をさせていただきたいと思います。
  108. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 公団が事業実施にあたりまして地方公共団体の要請を待って仕事をしてまいると、同時に、地方公共団体の長に協議をしなければならないという、この二つで十分私は地方中心の事業というものが推進されるものと確信をいたすわけでございます。  と申しますのは、もうほんとに国が上のほうから天下り的にいろいろ仕事をしようといたしましても、いままで新産都市でありますとか、いろいろな先ほど来の御論議にもありますように、また、衆議院段階でもいろいろそういう点強く御審議をいただいた上に、やはり地方公共団体を中心にした考え方というものを取り入れなければならないということで、このように、地方公共団体の要請をまってという条文に相なり、また自治体の長の協議を要するということ、この二つの点が明確にされたゆえんはそこにあろうと、こう思っておりますので、十分この趣旨に沿って政府としても事業推進に当たらなければならないと考えておる次第でございます。
  109. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、時間もありませんから、次の都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に移ります。  法第六条の「都市計画に関する基礎調査」に関してお伺いをしたいと思います。昭和四十四年の六月に法改正されまして、すでにもう五年たっておりますけれども、この第六条によりますと、おおむね五年ごとに調査を行なうものとされておりますが、早いものであるならば昭和四十五年の三月三十一日線引きの実施されたものもありますし、当然次の基礎調査の時期を迎えるといってもよいんじゃないかと思いますね。そういうことから、建設省が法施行前に予想していた市街化区域八十万ヘクタールの構想も、いまでは大きくくずれまして、数字の上では五割増しの百二十四万ヘクタールとなっておるのが現在であるわけです。ここに臨みまして、次の基礎調査に臨むについての建設省の基本的な方針なり考え方が非常に大事になってくるんじゃないかと思うんです。そういう意味から、端的に次の三点についてお答え願いたいと思いますが、まず第一点は、次の基礎調査に臨むにあたっての基本方針をどのようにしているのか。第二番目には、線引き見直し論が横行しているけれども、これに対する政府の見解。三番目には、現状百二十四万ヘクタールをどのように評価されるのか。この三点、お願いいたします。
  110. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) まず基礎調査の基本方針いかんということでございます。御指摘のように、都市計画は、おおむね二十年の長期的見通しのもとに策定されるわけでありまして、また市街化区域は、おおむね十年という先を見定めて決定するということになっております。一方、都市化の動向は非常に流動が激しいわけでありますので、これを正確に把握しつつ、都市計画決定後の新たな変化に即して現実から遠ざからないように所要の是正を加えていく、これがおおむね五年ごとの基礎調査の見直し、その繰り返しという法律の趣旨であると考えております。したがいまして、基礎調査に臨むにあたりましての基本方針といたしましては、前回の都市計画決定後の都市実態の変化、これを的確にとらえまして、それを基礎に、新たにまた将来にわたる長期計画を想定して見直していく、こういうことであろうかと思います。  私どもは、その際、一つには、いたずらに手直しをして都市計画の安定性、それに依存している国民の生活設計、これをむやみに変動させないという配慮が一つには必要であろう。もう一つは、そうはいっても、新しい事態に即してこれに対応する、つまり新しい都市の実情、実勢というものから離れました非現実的な都市計画となることはどうしても避けなければなりませんから、その必要な限りにおいて是正をはかる。この両面の要請というものを現実的にうまく調整して処理していく、こういうことだろうと思います。  新法施行後、早いところは五年を経過しておりますが、その一番基礎になっている線引きそのものが、早いところは四十五年からですけれども、四十六年、七年ごろにかけて行なわれたところが多いという関係で、全般としては、まだ二、三年の経過しかない、こういうことであります。あらゆる都市計画の基礎がこの線引きにありますので、個々都市計画都市施設計画は即時に施行したところでも、おそらくは線引きの見直しと一体として、将来来たるべきときに備えていることと思います。基礎調査はかなり広範なデータを詳細正確に把握しなければなりませんから、まだもう少し一般的には先のことになりますけれども、できるだけ早くその準備体制を整えておくということが必要だろうと考え、そのように指導したいと思います。  次に、この線引きの見直し論でございますが、大臣もたびたびお答えを申し上げているとおり、いろいろ個別には問題があるかもしれませんけれども、この制度はスプロールを防止し、公共施設を能率的に計画的に集中投入しようという意味でございまして、すべての都市計画の基礎となるものでございます。しかも、その決定手続は、最も慎重に行なってきたところでありまして、市町村意向に即し、知事が大臣認可を受けて、その間農林漁業との調整に万般の配慮を加えつつ、都市計画審議会の議を経てきめられておるということでありますので、なお、一般的には五年というには日がありますので、いまのところ変更ということを考えてはおらないわけであります。しかしながら、大都市地域など、一方において宅地の需給が非常に逼迫しているところもありますから、こういうところの住宅宅地供給対策として、線引き線引きとしながら、どのような宅地供給促進策を講ずべきか、これも基本的には市街化区域宅地供給促進策を名実ともに強力に講じていくということが最大でありますが、なお足りないものを考える際に、現在の市街化調整区域についても、公的機関等の開発を中心として、何らかの配慮というものも必要かと考えておるわけであります。  第三に、市街化区域面積は、当初ヘクタール当たり八十人という計算をいたしました。したがって、八十三、四万数ヘクタールあれば足りると見込んでいたわけでありますが、現実には、積み上げてみますと、百二十万ヘクタール余りとなっておりまして、これを人口想定で割りますと、ヘクタール当たり六十人という、かなりまばらな人口密度となります。しかし、考えてみますと、市街化区域のすべてに市街地化が進行するというわけではなくて、大部分市街地として開発されていくでしょうけれども、やはりかなりまとまって、あるいはまとまらなくても、ぽつぽつと点在したかっこうで市街化されない地域、こういうものも残っていくと思います。その辺を複合しまして平均六十人、ヘクタールということで考えますと、むしろこのぐらいの余裕があるほうが現実的ではないか。全部が市街化されると見てこの面積を減らすということは、現実には宅地供給の直接の強制策がないわけでもございますし、やはり実施不可能となって、結局は市街化区域が足りないということになりかねない。そういう意味で、結果論ではありますが、現在の百二十万ヘクタール程度というものは、いまのところ妥当だと、かなり余裕があるようだけれども、その程度の余裕はどうしても必要だと、こういうふうに考えております。
  111. 田代富士男

    田代富士男君 いま線引きの問題につきまして、これは都市計画の基礎になるべきものであるから慎重にやらなくちゃならないし、見直し論等は変更する考えはないということでございますが、現行都市計画法施行以来、線引き対象になっていながら、まだ線引きが終わっていないところが残っているわけなんですね。これについて、じゃ、どのように対処されるのか、この点はいかがでございましょう。
  112. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 線引き対象都市は、現在八百六十七市町村ありまして、そのうち、決定済みが七百八十三市町村、約九〇%となっております。面積的にも大体その程度であります。したがいまして、八十四市町村というものが未決定ということになっております。ただ、このうち五十五市町村は、昨年三月に地元の要請に基づき、新たに線引き対象指定するため大臣告示に加えたものでありまして、したがって、その後、現在各都道府県におきまして鋭意線引きのための作業は実施されております。これは地元の要請からきたものでもありますし、現在の進捗状況から見て、ほぼ本年内には線引きが完了すると見込まれます。そこで、それを引きました残り二十九市町村というものがどうなるかでありますが、このうち十三は、那覇広域都市計画区域と称する沖繩県の那覇市を中心とした十三の市町村区域でありまして、本土への復帰がおくれたこともあって、現在未指定でありますが、県におきましては、原案を作成して都市計画審議会等に事実上話し合いを続けているという段階でありますから、これも大体年内には完成するものと思われます。残る十六市町村というものがほんとうに当初から線引き対象でありながら未指定ということでありますが、このうちでも約半分くらいのところは、すでに公聴会を終わっておったり、その他手続が予定されておりまして、年内の指定は十分期待できる、こう考えておるところであります。
  113. 田代富士男

    田代富士男君 ここで、改正法案作成までの経緯と、この成案を見るに至った背景について、簡単でけっこうでございますが、御説明願います。
  114. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 大都市地域の過密と地価の高騰などを背景といたしまして、大都市地域のみならず、全国的に乱開発が進行しているという背景があります。その背景の中には、線引きされていない都市計画区域、つまり線引きが当分必要ないとされ、建設大臣告示からもはずれているような地方の中小都市、こういったところの都市計画区域も含めましてこの事態が進行しておる。それを放置いたしますと、災害の発生とか、樹木の乱伐とか、その他道路の不足とか、都市的な生活環境というものが悪化して、これをとどめるすべがないということがございます。したがいまして、本法案を提案して、こういった地域にも都市計画法による開発許可制度を新たに導入し、線引き都市とほぼ同様の基準による開発規制を行なう必要がある。並びに従来の開発行為が建築物のための開発行為、これを対象としておりました。工作物のための開発行為も同様の乱開発を招くということから第一種、第二種の特定工作物を規定いたしまして、これも許可対象にする。その他緑地を残すための、あるいは緑地帯をつくるための大規模開発に対する開発許可基準の追加等を行なったというわけであります。  もう一つは、新住宅市街地開発事業等大規模な良好な住宅市街地形成を行なうには面開発的な事業を行なうことが最も重要でありますが、それがなかなか都市計画決定にすらいきにくい、計画を立てましても、その間に乱開発とか、投機的取引が乱入してくるという事態を生じておりますので、これを未然に防ぐために市街地開発事業等予定区域という制度をこの法律に織り込んでおります。この制度によりまして、区域とそれから施行予定者をきめ次第、内部の詳細設計は後日に譲って、とりあえずその予定地を押えておく。予定地帯での土地の形質変更とか、建築行為を厳重に押さえる。結果的には投機的取引の対象にすることのできない地域にしておいて、そして一定期間内に詳細計画を立て、従来の条文に基づいて市街地開発事業を進める、もって住宅宅地の供給に資する必要があると、こう考えたわけであります。
  115. 田代富士男

    田代富士男君 いま成案を見るに至った背景について御説明いただきましたが、特に今回開発許可制度を新たに導入をしたと、こうやって過密、土地の高騰あるいは乱開発等の規制を強めたと、このような御説明がございましたが、どの程度の効果があるのか、はたしてこれだけで効果があるものかどうか。いまの話でちょっと私は理解できませんから、その効果はどのくらいあがるのか、そこらあたり御説明願いたい点が第一点。  第二点は、それだけ効果をあらしめようと考えていらっしゃるならば、改正法案の第三十四条におきまして、いまも沢田委員からちょっと質問がされておりましたけれども、市街化調整区域内のゴルフ場につきまして、開発許可制限の適用除外しまして、法第三十三条の一般的な開発許可の基準を適用することにしてありますけれども、その理由は何のためであるか。ちょっとこの二つを相対的に考えた場合に理解しにくい点があるわけなんですが、ここらあたりを明確にしていただけませんでしょうか。
  116. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 開発許可制度の内容の強化は三点ありまして、先ほど申したとおりであります。  一つは、線引きしない都市計画区域対象にする。一つは、コンクリートプラント等、あるいはゴルフコース等の一定の工作物のための開発行為を許可対象にする。第三点は、樹木の保存とか、表土の保全等の新たな環境対策上の基準を許可基準に加える。  この三点でありますが、特に線引きしない区域についても対象としたということは、線引き対象でない都市計画区域が地方都市ではありますが、非常に広大であることを思えば、それが都市計画法上何ら規制の対象になっていない、ために各公共団体が苦心して条例あるいは指導要綱でこれを補っていった実態考えれば、まずその面で非常に効果があると思います。  それから工作物等を対象にいたしましたのも、コンクリートプラントのような第一種の工作物は、これは建築基準法の建築物という定義に当てはまらないというゆえをもって、従来ははずれておりましたが、実態において市街化の誘因となる、いろいろ周辺に影響を及ぼすという意味では建築物にかわらない、ものによってはそれ以上のものがあるわけでありますから、これは建築物並みに許可基準を設け、対象にしていく必要がある。これも全国に、こういったコンクリートプラントとか、貯蔵のタンクとか、相当ございますから、これもその効果はばかにならないと思います。  なお、ゴルフコースなどは第二種というふうに考えまして、市街化調整区域であっても、あえて調整区域の三十四条の基準を適用しないことにしましたが、これはゴルフ場の性格が、いま言ったプラント類のような工作物あるいは従前から規制の対象になっている建築物とは違いまして、それ自体市街化を引っぱり出すというような筋合いのものではないものですから、市街化調整区域であっても、別段市街化区域以上にきびしくやるという理由はつかない、こう考えたわけであります。  しかし、この三十四条の基準を使わないでも、従来ゴルフ場の建設に伴っていろいろ問題もあり、実例もある災害の発生とか、木を切り倒してしまって緑がなくなるとか、あるいは付近の道路が猛烈に込んでしまって一般の交通が渋滞するといったことは、すべて防げるわけでありまして、その程度以上のゴルフ場そのものを締め出すというようなことは、やはりこの都市計画法土地利用体系としては困難であると、こう考えたわけであります。
  117. 田代富士男

    田代富士男君 また続いて。  都市計画としての予定区域ということがいわれておりますが、この制度を導入しようとされた理由は何であるか、これが第一点ですね。  第二点は、法案第十二条の二第四項——これは一項から四項までは予定区域について定めたようないろいろな項目になっておりますが、その四項に三年以内に都市計画を定めなければならないとされているわけです。そして五項にはこの施行制度がのせられておりますけれども、第一番目にこの制度を導入した理由は何か、また十二条の二の第四項の三年以内に都市計画を定めなくちゃならないとされた理由は何なのか。この二点について。
  118. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) この市街地開発事業等予定区域という制度は、六類の事業に限っておりますが、これは要するに新住宅市街地開発事業等の広域にわたる面的な開発事業を拾ったわけであります。こういった事業を促進して住宅宅地の供給不足を極力解消するということが現在私どもに与えられた最大の使命であると考えておりますが、広域にわたる事業でありますだけに、計画を立て、さらに詳細計画を立てて、そして都市計画決定し、その間住民との話し合いを進めていくということになりますと、なかなか時間がかかります。その間に第三者による——まあ、悪意の者ばかりではないと思いますけれども、善意の者も含めて、第三者によるめぼしい対象土地の中での開発とか、あるいは土地の転々売買というようなことが従来非常に行なわれておりまして、いよいよ本腰を入れよう、計画も詳細にきまったという段階では、もはや虫食いになっておってなかなかその開発がしにくい。あるいはすでに取得された新しい第三者から土地を入手せざるを得ないというような事態がかなりあったわけでございます。これを防ぐためには、何らかの方法によりまして、早い時期に都市計画決定をして、その後の開発行為を厳重に押える、事業の支障になるようなことは一切許可できないということにいたしますと、これはその第三者が入って買いましても、結局は土地収用権をバックに公的機関に買い取られるだけの話でありますから、うまみもない。それよりはほかの地域に勢力を注ぐということになるだろう、こう考えたわけであります。  現在の都市計画法による、あるいはその関連法によるいろいろな規定におきまして、この種面開発事業につきしては、単に施行区域をきめるだけじゃなくて、都市計画をきめる際、その中の公共施設の配置計画とか、宅地の利用計画とか、あるいはものによっては住宅等のこまごました建築計画まですべて詳細に同時にきめませんと、その都市計画決定自体ができない。都市計画決定がすべての始まりであるにもかかわらず、そこまで詳細につくり上げないと、都市計画決定をして押えておくということすらできない状況でありまして、これを防ぐために考えたのがこの制度であります。この予定区域指定されますと、その後の開発行為あるいは建築行為は知事の許可が要る。知事はこれをめったに許可しないということで第二者の介入をほぼ完全に防げるものと思います。この予定区域はそういうことですから施行の区域と施行予定者、住宅公団であるとか、何々県であるとか、そういった施行予定者、その二つだけがはっきりすれば、もうすぐにでもきめられる。詳細計画一定期間経過後にじっくりと調査してきめればいいということにしておりますために、そのような早い時期での指定、第三者の介入の防除というものが初めてできるというわけであります。第十二条の二の規定で、三年以内に市街地開発蚕業等の都市計画決定することを義務づけておりますのは、予定区域という、いわば予定という中間段階都市計画でありますから、早くこれを本来の都市計画決定でフォローして完結させなきゃならないということでございますが、先ほど申したように、予定区域が定まりますと、やがて来たるべき市街地開発事業のために、土地の形質変更、建築行為が厳重に規制されるわけでありまして、もちろんその間買い取り請求権は与えておりますけれども、そういう厳重な開発規制をいつまでも期限なくだらだらと延ばすということは、これは施行予定者には都合いいかもしれませんけれども、権利の保護という点で非常に問題がある。やはり必要最少限度の期間に限るべきで、その期間を守らなければ効力を失うというぐらいのことが必要であろうと、こう考えたわけでございます。
  119. 田代富士男

    田代富士男君 私の質問の時間がまいったようでございますが、いま私がお尋ねをいたしましたそのお答えに対して、このやらんとしていることは面的開発事業の促進である、いま住宅宅地の供給不足である、その要因も解決してあげたい、そういう面からのこれは計画であるというお話でございますが、ちょうど住宅局長もお見えになっていらっしゃいますが、これが施行されていきますと、いまは公的住宅の建設が非常におくれているということが問題にされておりますけれども、この実施とともに、いままでの建設の進捗状況と比べて、どのような効果が出てくるのか、こういう点につきまして局長からお尋ねしたいと思いますし、それと最後に、もう私の時間が過ぎておりますものですから、最後に大臣にこの都市計画法案の改正にあたりまして、何よりも大事なことは、いまさっきもちょっと出ておりましたが、シビルミニマムの形成が大事じゃないかと思うのです。そういう意味から、大臣は、現状の大都市におきますシビルミニマムの形成をどのように考えていらっしゃるのか、それにこの問題を国政的レベルにどのように取り組んでいこうとされるのか、その御決意を聞きまして私の質問を終わりたいと思います。最初に局長のほうから……。
  120. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 仰せのとおり、住宅、ことに公共住宅建設が大都市周辺でおくれてきております。これはもう一言で申せば、下もの、すなわち土地に関する問題が非常に大きうございまして、その原因の大部分をなしておる。そういうことで、私どももそれぞれいままで持ちます制度を活用いたしまして、いままでつとめてきたわけでございますが、なかなかそういうものだけではいかないような状態になってきておりまして、そこで土地の規制、基本的には国土利用法のような考え方、こういう基盤のもとに各種のやはり住宅市街地をつくる下ものを整備をいたします制度というものを今後とも整備をしていかなければならない、かようなことで、いろいろな案を建設省といたしましてはいま持っておりますけれども、その中の一つに、この都市計画法の中に入れられました予定区域制度というのができまして、これはフランス等の外国でも大いに活用している手法と大体同じような手法でございまして、こういうことによりまして、基本的な利用法を踏まえた上で各種の手法が整いますと、これ一つできましても、私どもは、土地の問題に大いに寄与する、したがいまして、住宅建設、民間を含めまして公共住宅も大いに推進をされる一つの武器である、かように考えている次第でございます。
  121. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 都市環境の向上をはかりますために、政府は、道路や公園下水道あるいはごみ処理、住宅などの基礎的な生活環境施設整備の目標や大気汚染、水質汚濁の改善の目標を定めながら、全国的な事業計画の作定、汚染物質の排出、下水の処理等を進めてきているところでございます。それぞれの都市計画の策定にあたりましては、各都市の特質を生かしながらその都市環境のあるべき水準を念頭において都市開発整備保全方針を都道府県知事が定めるとともに、根幹的な、広域的なものは知事がこれを定め、そうでないものは市町村が定めるといったような調整をとりながら、いずれも地方公共団体の手によって、みずからの手で都市づくりが進められていることは、御承知のとおりであります。都市整備を進めるにあたりまして、各地方公共団体が国の諸施策の目標と調和をとりながら、その長期的な目標として、ただいま御指摘のありましたシビルミニマムを策定いたしまして、その整備を進めてまいりますことは、これはもうきわめて必要なことでありますことは御趣旨のとおりでございますし、政府といたしましては、今後とも地方公共団体が行なってまいります都市づくり、なかんずく生活環境整備等に対する財政金融措置を強化して、その充実をはかっていく決意でございます。
  122. 高山恒雄

    高山恒雄君 工業再配置・産炭地域振興公団法案の改正について、題名を地域振興整備公団法というふうに改められていることに対して、産炭地が終わったわけではないと思いますが、この実績の報告も受けておりますから、まだまだこれからではないかというような気も私はしているわけですが、いままでの産炭地の公団法から見て、非常に拡大された方向に今度変えようとするこの意図はどこにあるのかですね。先ほども前川委員から質問がありましたように、この地域開発を大きく広げていこう、したがって、改造論にも匹敵するような行き方になるのではないかという心配もないわけではないわけです。この点を改正された理由、これをもっと明らかにしてもらいたい。
  123. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) この地域振興整備公団は、沿革的に申し上げますと、先生も御存じのように、昭和三十七年に産炭地域振興事業団ができまして、さらに昭和四十七年に工業再配置業務も加えまして工業再配置・産炭地域振興公団といたしたわけでございます。それに加えまして、地方都市開発整備等の業務を行なわせるわけでございますが、この三業務、いずれも地域の振興整備に関連をする業務でございますので、たとえば産炭地域の振興の業務の中にも、工業団地の造成の問題がございますし、そういう技術者集団、これを有効に活用するためには、公団の整備統合の問題もございますし、その目的はいずれも地域の振興整備であるという見地から、同一の公団で処理をすることといたしたわけでございます。なお、産炭地域振興の業務につきましては、これは従来と何ら変わりなく推進をしてまいる考えでございますし、また、今度新たに都市開発整備等業務を加えることによりまして、たとえば産炭地域におきまして、従来工業団地の造成をやっておりましたけれども、産炭地域の振興をはかるためには、単に工業団地の造成で工業を誘致して産業を振興するということでなくて、その産炭地域一定の圏域を、地方都市整備の観点で、あわせて住宅の問題でございますとか、商業業務地の問題あるいは教育の場の問題、そういう点を総合的に考えていったほうがよかろうという考えで、連動をして仕事ができるようにいたしたいと考えております。なお、従来産炭地振興業務で工業団地をつくります場合におきましては、関連公共施設につきましても、たとえば地域内道路につきましてはかなり整備はされたわけでございますが、その団地と他の都市あるいは集落等を結ぶ道路まではなかなか手が回らなかったわけでございますが、これも合わせて実施をいたしたいと考えております。そういう意味におきましては、今度地方都市整備業務等が加わることによりまして、産炭地域の振興も一そうはかられていくのではないかというふうに考えているわけでございます。
  124. 高山恒雄

    高山恒雄君 その趣旨はここに書いてありますから、おっしゃるとおりだろうと私も考えるんですが、そこで、いわゆる産炭地振興公団の業務内容も見せてもらって、かなり進んでおるなということは感じますが、この石油の輸入問題に関連して、この産炭地振興を一ぺん見直す必要があるんじゃないか、エネルギーの資源開発のために。依然として産炭地は産炭地でやるんだと、こうおっしゃいますけれども、これからやるのについては、たとえば業界にしても、現在のエネルギー資源の問題から考えて見て、ある程度この鉱山は残しておいてもよかったんではないかという感すら私らはするわけです。賢い経営者は、従来のボイラー設備というものをおいて、そして新しく重油ボイラーに変えていったというような賢い人もおるわけです。だから、いずれになっても、石油でもどっちででもやれると、こういう賢い経営者もおるわけですね。したがって、日本のような資源に乏しい国としては、もう一ぺん見直す必要があるんじゃないか、こういう点については、審議会の結論も出てないようでありますけれども、基本的にはどうお考えになっておるのか、一ぺんお聞きしておきたいと思います。
  125. 高木俊介

    政府委員(高木俊介君) ただいま先生の御指摘の点でございますけれども、石炭の見直しを含めまして、長期的なエネルギー政策につきましては、御高承のとおり、現在総合エネルギー調査会及び石炭関係につきましては石炭鉱業審議会の場におきまして御審議をいただいておるところでございます。長期的なエネルギーの需要の状況及びエネルギー源の多様化の問題、さらにはエネルギーの安全保障の問題、こういう点から考えますと、今後石炭の果たすべき役割りというものはますます増大するのではなかろうかというふうに考えております。このため国内炭の生産確保につきましては、第一は既存炭鉱の長期安定ということが何よりも産炭地域地域振興に役立つのではないかということで、第一は既存炭鉱の長期安定ということに重きを置いて、なおエネルギーの先ほど申し上げましたような点から、閉山炭鉱の再開発、その点につきましては、保安上の問題あるいは公害上の問題、むずかしい問題がいろいろございますけれども、少なくとも国内資源、残された唯一の資源でございますので、閉山炭鉱の再開発の問題、なお新規雇用という点でいろいろむずかしい点はあろうかと思いますけれども、新鉱の開発という点につきましても審議会の場で検討していただいておりまして、石炭の見直しについて新しい方向づけをしていただくという予定にしております。なお、それに合わせまして、われわれも現在いろいろな資料をもちまして詳細検討しているところでございます。しかしながら、産炭地域は、過去の閉山によりまして、いまだに疲弊度が他地区に比べまして著しいものがございます。過去十年余にわたりまして、いろいろな政策によりまして、ある程度緩和されたということは言えるんではなかろうかと思いますけれども、今後も引き続き強力にこの産炭地域振興の対策を推進する必要があるというふうに考えております。
  126. 高山恒雄

    高山恒雄君 そこで、部長にお聞きしたいのですが、再興するということになりますと、従来やっておった産炭地の振興のやり方とは変わった方法でやらなくちゃいかぬということも生まれてくるのではないかという気が私はしておるわけです。そういう意味で、産炭地の考え方というものは、ある程度限定されるという上に立つのかどうか、いや、そうじゃないのだ、産炭地としての振興は従来と同様に進めていくという考え方なのか、その点はどうなっておりますか。
  127. 高木俊介

    政府委員(高木俊介君) もちろん、いままでどおり、産炭地振興につきましては、閉山あとの地域につきましては振興をはかるわけでございますけれども、今回の公団法改正におきましては、新たに地方都市開発整備業務を追加することになっておりますので、これと従来の産炭地域振興事業とのいわゆる有機的な連係と申しますか、たとえば先ほど審議官からお話ございましたように、産炭地では工場団地しかできないというような点もございますので、これに住宅団地を合わすというようなことも考えながら、連携をはかりつつ産炭地域振興施策は一段と拡充されるのではなかろうかというふうに考えております。
  128. 高山恒雄

    高山恒雄君 この問題で、この「人口及び産業が過度に集中している大都市及びその周辺地域以外の地域において、地域社会の経済、文化等の中心としてふさわしい都市開発整備のため必要な業務で次に掲げるもの」とするとしてありますが、この参考資料の中では、筑波学園の問題は日本住宅公団に依然として引き続いてやってもらうのだ、こういうふうになっていますね。したがって、この文化を中心としているということは、新学園都市計画も今後含めてやっていかれるのかどうか、この点はどういうふうにお考えですか。
  129. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 筑波研究学園都市の問題でございますけれども、これにつきましては、先般の衆議院の御修正によりまして、従来どうり、住宅公団が施行をするということに相なったわけでございます。これは、昨年御提案申し上げました時期には、筑波研究学園都市総事業費千二百億でございましたけれども、四分の三がまだ残っておりまして、これを専門の公団を設置するので、新しい公団にやらしてはどうかということで御提案申し上げたわけでございますが、過去一年の間に、また三百億の事業を住宅公団が実施いたすことになりまして、半分事業が済んでしまうわけであります。したがいまして、あとの事業を円滑にやるためには、やはり住宅公団に従来どおりやらしたほうがよかろうという御判断に基づくものと考えておるわけでございます。  それから、いまお尋ねの新学園都市の問題でございますけれども、わが国の現状から申し上げますと、高等教育機会が著しく拡大をしてまいっておるわけでございます。特に、四十八年度の大学進学率が三二・七%でございましたけれども、文部省の推定によりますと、昭和五十年代の半ばには四〇%になるであろう。また、現在ほとんどの大学が三大都市並びに政令指定都市に集中をしておるわけでございまして、たとえば関東ブロックで考えてみました場合に、関東ブロックに存在する大学には、関東ブロックから進学しようとする者の一六六%といいますか、それぐらいの収容力を持っておるわけでございますが、一方、北陸、甲信越あたりになりますと、進学希望者の三六%しか収容し切れないというふうに、地域格差の問題が著しいわけでございます。そこで、今後こういう高等教育機会を拡大をしていく際にあわせて考えますることは、やはり地方に大学なり高等教育機関を設置しまして、なるべくそこに就学をする、そうしてまた、そこでつとめるということがあるべき姿ではないかと考えておるわけでございます。そこで、この公団は、先ほど田代先生のお話にもございましたように、たとえば広島大学をリプレースをいたしまして、その大学と同時に広島県域全体を考えた地方都市整備をやるというような場合には、当然、地方の御要請を待ちまして、そういう仕事をやらしていただきたいというふうに考えている次第でございます。
  130. 高山恒雄

    高山恒雄君 運営上はそういうふうに書いてありますから、われわれも理解ができるのですよ。ところが、事業実施の基本計画に基づきますと、総理大臣と主務大臣の認可を受ける前に、一応これは地方公共団体の長と協議するということにはなっておりますが、この二にまいりますと、地方都市開発整備による事業実施基本計画は、内閣総理大臣が定める地方における都市整備に関する基本方針に基づいて作成しなければならぬと、こうなっていますね。それから、その三になりますと、内閣総理大臣及び主務大臣が第一項の事業実施基本計画の認可をしようとするとき並びに内閣総理大臣が前項の基本方針を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない、あんたのさっきからの答弁を聞いていますと、なるほどなという点がないではございません、私は。しかし、これを読みますと、きょうびの時代に、御承知のように、これだけやかましく環境整備ということがいわれておる時代に、関係行政機関の長との協議をするだけでいいんですか、これ。少なくとも協議したからには同意を得なければならないとか、もっと尊重したやり方があってしかるべきじゃないか。あまりにも総理大臣と主務大臣の権限だけが付与されて、他の関連大臣との協議というものはただ単なる協議にすぎない、こういう受け取り方しかできないのですね。ところが、運営の内容を見ますと、少なくとも地方自治体において協議したものでなければ開発はやらないのだと、こういうふうにおっしゃっておるわけだ、答弁も。どうもその点が矛盾しているのですが、もっとこの点を明らかにする必要があると思うのですね。少なくとも、私の考え方を申し上げますならば、関係行政機関の長と協議し、同意を得なければならぬ、このくらいのことは、今日の公害がこれだけやかましくいわれている社会に、私は、あってしかるべきではないかと考えるのですが、どうですか、その点。
  131. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 先生御指摘のように、環境保全の問題を地方都市整備にあたってまず第一に考えるべきことは、御指摘のとおりでございます。これは先ほど私が地方都市整備の基本的な考え方として申し上げましたように、過去の新産業都市の政策、都市整備の政策の反省の上に立って、環境保全を優先をした都市づくりをやりたいということは、変わらざる考え方でございます。  お話のございました協議等の問題でございますが、まず環境保全を一体この地方都市整備のこの法律の体系のもとにどう具現化していくかという御質問であろうかと思います。まず第一点は、地方公共団体の要請を待つ、あるいは事業実施基本計画について地方公共団体に御相談をする、そういうことで、まず地方公共団体環境保全に関する意向を十分くみ上げていくという点が第一点でございます。  それから第二点は、内閣総理大臣が基本方針を定めるわけでございますが、基本方針の中には、公団の事業実施にあたっての配慮すべき事項ということを書くことにいたしておりまして、その中に環境保全の問題を特に取り上げて、公団に詳しく指示をしたいと考えております。その方針を示します前に、この方針をつくること自体、環境庁と十分協議をしてまいりたいと考えております。さらに事業の実施の段階になりました場合に、われわれといたしましては、環境庁とも現在までいろいろお話し合いをいたしておりますけれども、事業実施にあたっては、まず環境アセスメントを実施したいと考えておりまして、その事業実施計画をつくります前に、環境庁と相談をした方針に従って、公団が環境アセスメントを行ない、その調査結果を環境庁に連絡をして御了承を得るというようなことを実質的にはやっていきたいと考えております。  事業実施計画につきましては、そういう御了解を得た上で、総理大臣が認可するわけでございますが、その際にも環境庁に協議をするということになっております。なお、協議の意味合いでございますけれども、われわれといたしましては、協議は成立しなくてもやるということではなくて、協議はあくまで成立を前提としておるというふうに考えておる次第でございます。
  132. 高山恒雄

    高山恒雄君 それは政府の機関ですから、たとえば主務大臣のこの建設大臣なり、あるいは通産大臣なり、総理なりが賛成で、環境庁長官だけが反対をしてみたって始まらぬということは、だれが見てもそう考えますわね。けれども、やっぱり多数でかりに押し切るとするならば、いや、関係の官庁である環境庁だけは同意はできなかったのだということが言えなければ、それはいかにあなたがうまい答弁をされても、そういうものじゃないですよ、協議というものは。同意をしなかったという点を残していかなければね。何でもかんでも全会一致でするなら、そんなことは必要ないんですよ。あなたの意見は、必ず協議して、結論が出た上でやるのだと、こうおっしゃることは、これはよくわかりますよ。むろんそうやってもらわなければいかぬけれども、しかし、いかない場合があるでしょう。そういかない場合の行政機関の長ともあろうべき人が、しかも環境破壊ということが非常に問題になっておる今日、これは通産大臣が主務大臣になるということは、今後の工場再開発をどうするかという問題で主務大臣になられるわけでしょう。これは非常に重要なポイントですよね。それにはすべての問題が環境庁との関連性がないとは、だれも言えないと思うんですね。私は少なくともそういう点においては、やはり同意を得なければならぬ、こういうことだけはやるべきじゃないかという考えを持つのですが、どうですか。先ほどのあなたの答弁のごとく、同意されるものであるという見解に立たれるのですか、その点はっきりしておいてください。これは重要な問題ですよ。
  133. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 協議の問題につきましては、あくまでも実質的に環境庁の御了解を得た上で進めるということで運営をしてまいりたいと考えております。
  134. 高山恒雄

    高山恒雄君 これも参考に出ておるわけですが、この「誘導地域における工業再配置促進のため必要な工業団地の造成、管理及び譲渡(地方公共団体の要請がある場合に限る。)」、こういうふうになってますね。ところが、こういう場合はどうなるんですか。たとえば千葉県なら千葉県と群馬県の境、こういう仮定を私申し上げておるんですが、千葉県と群馬県の境に集団団地を造成すると、こういうことが決定した場合ですね、使う道路は群馬県を使う、群馬県の県道を使う、あるいは群馬県寄りの国道を使用するんだ、したがって、自動車公害というようなものでも発生したような場合、これは二県にまたがりますね、そういう場合はどういうふうにするんですか。ただ一県だけでは済まないでしょう。そういう場合の考え方はやっぱりいまからちゃんとしておかないと、必ずそれはあり得ると思うんですよ。その点はどうですか。
  135. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 先生のお話のような事例があり得ると私も考えておりますが、地方都市整備といいますか、団地をつくります所在の府県及びその所在市町村、これの要請を待って仕事にかかるわけでございますが、影響が他府県、他公共団体に及びます場合には、その要請にあたりまして関係地方公共団体と十分協議をして御了解を得た上で要請をされる、その要請を待って仕事を実施するというような運用をいたしたいと考えております。
  136. 高山恒雄

    高山恒雄君 しかし、地方自治体の意見を聞いてやるということですが、起こってくる公害は他の県にわたるわけですわね。事前にそういうやっぱり協議をしていただかにゃいかぬと思うんですね。その点は希望意見として私は申し上げておきます。  なお、「内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、この法律の規定によるその権限の一部を国土総合開発庁長官に委任することができる」ということは、すべての経過を経て総合開発庁長官のほうに委任をすると、こういうことなんですか。これはどの程度のものを委任してしまうのかですね、この点はどうですか。
  137. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) これは水資源開発公団の所掌します事業を実施いたしますダムが農林あるいは建設、厚生とわたっておりますために事業実施につきましては各省大臣が監督をし、人事でございますとか、財務会計の一般管理業務は内閣総理大臣が所掌するということにいたしておりまして、その場合に、内閣総理大臣の権限を、現在でございますと経済企画庁長官、今度国土庁をお認めいただけますと国土庁長官に委任する、それと同じタイプでございますが、この政令につきましては、まだこまかい詰めまでは行なっておりませんけれども、ほとんどの権限を国土庁長官に委任をいたしたいというふうに考えております。ただ、重要な事項につきましては、これを内閣総理大臣に残しまして、委任というかっこうではなくて、国土庁長官が補佐をするというかっこうで運営をいたしたいと考えておるわけでございます。
  138. 高山恒雄

    高山恒雄君 もう一つ聞きますが、公団の経理についてですね、地方都市開発整備業務と工業再配置業務と産炭地域振興業務を区分してますね、三つに。これは経理は別にするんだ、そういうことでここに人員をふやそうとしておられるんだろうと思うんですよ。そういうふうになってきますと、一体、住宅公団だとか宅地開発公団というものの関連性は、住宅公団があるのに住宅まで入っていこうということはあまり必要ないんじゃないかという、われわれしろうと目にしては考えるんですよ。そういう点はどうですか。つまり地方自治体が要請をするならば住宅をやるんだ、土地開発もやるんだ、こういうことを言っておられるわけですね。その関連性、現実あるものに対して、これでやっていこう、しかも、その上に、基本からいうならば、増員をしてなおやらなくちゃいかぬというような情勢で三つの経営に分離する、この関連性ですね。どうも疑義がわくわけですが、その点ひとつ。
  139. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 経理を地方都市開発救備、それから工業再配置、産炭地域振興、この経理を三部門に分けましたのは、これは全く経理上の問題でございます。実は産炭地域振興業務につきましては石炭石油特別会計から出資金、補助金等が出ておりますので、また産炭政策の特殊性から区分経理をしたほうがいいだろうということでございます。もう一つ、工業再配置業務でございますが、これは産業投資特別会計から出資金が出ておりまして、その出資にかかる業務につきまして剰余金が出ました場合は国庫に納付しなければならないというシステムになっております。そういう意味におきまして、それぞれ三部門、経理の部門ごとに特殊性がございますので、区分して経理をいたすことにいたしたわけでございます。  それから第二番目のお尋ねの住宅公団との関係でございますが、まず地域的に申し上げますと、先ほどもお触れになりましたように、要するに三大都市圏の規制市街地近郊整備地帯、これは当公団は仕事をやらないわけでございます。そこで住宅団地等をおつくりになります場合には、住宅公団で当然おやりになると思うわけでございます。また、その他の地域につきましても、住宅の困窮度を解消するために、住宅公団が住宅をつくるために団地をおつくりになる、またその上に住宅をお建てになるという場合におきましては、これは住宅公団がおやりになるわけでございます。現在、福岡とか仙台でございますとか、多少地方都市でもおやりになっておりますけれども、そういう住宅公団の部面は残るというふうにお考えいただきたいと思うのでございます。
  140. 高山恒雄

    高山恒雄君 もう時間がありませんから、私はこれで質問を終わりたいと思いますが、結論的には、主務大臣と総理の権限というものが強化されて運営をされるわけですが、私たちが考えるのには、内閣総理大臣、主務大臣という立場の方は、いろいろ地方自治体の民主的経過を経て、そうして要請があって、要請があったものに対して、一体財政面はどうするか、これはやっぱり総理なり主務大臣の大きな権限で出してもらわなければ、これは出てきませんわね、財政面は。そういう意味の運営であるならば妥当ではないかと思いますが、そうでなしに、開発の権限まで左右されるということになると、今後の問題とし、かつまた私がさっき申し上げたように、環境破壊というような問題が今日ほどやかましいことはございません、いまの自動車騒音まで問題になっておる時代ですから。そういう面を考慮しますと、やっぱり地方地域住民の賛同を得たものに対して財政面を主としてやるんだと、こういう見解で解釈をしてもいいですか、その点はっきりしてください。
  141. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 地方都市整備は、先ほど田代先生からも御指摘ございましたけれども、それぞれの都市が長い歴史と伝統を持っておるわけでございます。そうして、そこに長年住みついた住民の方がおられるわけでございますから、地方都市整備のあり方につきましては、これはやはり地方公共団体みずからが発意をさるべきであると、われわれは考えておるわけでございます。それから整備事業を進めるにあたりましても、やはり地方自治体が主体であり、主導型であると考えております。この公団の機能といたしましては、そういう地方都市整備をいたします場合に、いろんなプロジェクトが考えられるわけでございますが、その際に、たとえば大量の資金でございますとか、あるいは技術者集団を必要とする、これはなかなか一地方公共団体ではまかなえない場合があるのではないかと思いますので、そういう際には、地方公共団体の要請を受けまして、国が技術的、資金的援助を行なうという精神でこの仕事をやってまいりたいと考えておるわけでございます。
  142. 高山恒雄

    高山恒雄君 私は、この都市計画法及び建築基準法の一部改正は、各先生方の質問がございましたので、重複を避けます。  これで終わります。
  143. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めます。     —————————————
  144. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 生産緑地法案を議題とし、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  生産緑地法案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  145. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  146. 前川旦

    ○前川旦君 私は、ただいま可決されました生産緑地法案に対して、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  まず案文を朗読いたします。    生産緑地法案に対する附帯決議案   政府は、本法の施行に関し、次の諸点について留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、地方公共団体が現に実施し又は今後実施する農業緑地等保全制度については、地域の実情に応じて生じた所以を認識し、その内容が生産緑地法の規定と異なるものについては、できる限り、その存続を図るよう行財政制度の運用その他の点について適切な配慮を行うこと。  二、いわゆる宅地課税については、都市における農業の必要性を考慮し、昭和五十年度末までに、抜本的検討を加えること。  三、都市農業については、その必要性を理解し、市街化区域内の農地についても、適切な農業施策を実施し、それに伴う行財政措置、金融措置等を講ずること。  四、相続税及び贈与税の課税にあたつては、農業経営を存続奨励すべき農地については所要の負担軽減措置を検討すること。   右決議する。  以上であります。何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  147. 野々山一三

    委員長野々山一三君) ただいま前川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  148. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、亀岡建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。亀岡建設大臣
  149. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) ただいま決議されました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、今後の運用に万全を期して、委員各位の御期待に沿うように努力する所存でございます。
  150. 野々山一三

    委員長野々山一三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  152. 野々山一三

    委員長野々山一三君) この際、委員長から亀岡建設大臣並びに小坂総務長官に閣僚として、私は委員長として若干の質問をいたしますので、御了解をいただきたいと思います。  実は五月十六日、本委員会におきまして、国土利用計画法案なるものを採決いたしました。  当日、総理大臣は、NHKの「総理にきく」という時間で、国土利用計画法は内閣が提出いたしております国総法案と名前が変わっただけで中身は変わっていないと発言をされました。このことが国会審議にたいへんな紛糾を来たしたことは、政府関係者並びに委員各位十分おわかりのところでございます。まことに立法府たる参議院といたしましても、また提案者たる衆議院といたしましても、行政府と立法府との間におきまして全く見解を異にし、法律の目的及び性格ないしは方策について異にすると委員会で審議されました国土利用計画法案でございますものを、名前が変わっているだけで中身は変わっていないと言われたことは、紛糾が起こることは当然であり、憲法の精神に照らしてあるべからざる行為であることは、私が申し上げるまでもないことであります。  本案の採決及び本会議におきます報告が委員長に一任されておることは、すでに各位御案内のとおりでございます。しかし、問題の性質上、紛糾をいたしました現状にかんがみて、実は、本日、建設委員会といたしましては、理事全員の皆さんに報告書の原文全文をお渡しいたしまして、これは委員長のかってな裁断による報告書ではないと御了解をいただいたところで、まさに私としては公正を期したつもりでございます。そして、立法府たる院の意思というものを生かすことこそ憲法を守ることである、かように考えたのは、きわめてまた当然なことだと心得ております。  議院運営委員会は、この紛糾状態にあります国土利用計画法案を十七日の本会議で採決なすべきものを議長の手元によって後日に譲られまして、その紛糾処理に当たったことは、これまた御承知のとおりであります。本日、議院運営委員会から、建設委員長として国土利用計画法案なるものの審議の経過及び結果について報告をするようにと招致を受けました。  この際、あえて申し上げておきますけれども、その議院運営委員会に対します私の報告なるものも、全文を関係理事諸君の閲覧をいただき同意を得たものと解して、私は、一言半句間違いなくこれを朗読して報告にかえたのでございます。二階堂官房長官は、この報告に対し、建設委員長の報告は、まさにそのとおりのものであり、これを確認するとの発言がなされたのであります。  そこで、問題は、ただいまここにございます一部新聞——といっても、このまんまでございます。この中で、本日の閣議におきまして国土利用計画法と国総法とは名前が変わっただけで中身は変わってない、テレビで発言したことは何が悪いのだという趣旨の記事が載っておるのでございます。  さらに、これは閣議の内部上のことでございますので伺うわけでございますが、閣議内部では両論があったやに報道されております。けれども、田中首相は、ここは新聞を朗読さしていただきますが、「田中首相は二十一日の閣議の席上、「参院選後の夏の臨時国会は一、二日ぐらいで済むようにしたい。その臨時国会には、あまり法案を出さないようにしたい。このため、各閣僚は今の国会に提出してある法案は、今国会中に決着をつけるようにしてほしい」と要請した。これに対し一部の閣僚から「首相のテレビ発言で大変影響を受けている」という発言があり、首相は繰り返して国土利用計画法案に対する考え方が変わっていない」との発言があったと報道されておるのでございます。  小坂総務長官並びに亀岡建設大臣は、関係所管大臣であると同時に国務大臣でございます。もちろん閣議に出席していらっしゃったことだと解します。間違っていたら訂正を願います。先ほど申し上げました国土利用計画法案に関する総理の発言及び内情は真実であったのかどうかということについて第一、第二は、私は議院運営委員会に招致を受けまして、すでに申し上げましたとおりに、全文を委員会、つまり院の委員会としての意思を体して一言半句間違いなくこれを報告したのでございますが、もし一部新聞に報道されておるような事実が事実だとするならば、一体、院の立場にございます委員会並びに参議院というものは、総理の意思と報道されているのが事実とすれば、総理の意思と立法府たる院の意思とがこれほどにまで紛糾に紛糾を重ねることはまことに残念でございます。おそらく各委員ともどもに同意されるところであろうと私は信じます。  そこで、両国務大臣の本件に対する真実の問題と同時に所見を伺い、そしてあえて申し上げますけれども、できるならば、政府部内及び院としての立場でいま紛糾解消のために努力をされている結果がほんとうにその価値を得られるようになりたいものだと考えておりますので、第三にその所見について伺いたいわけでございます。  両大臣の発言を求めます。亀岡建設大臣
  153. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) ただいま委員長からお尋ねの件でございますが、第一番目の点、そういう事実はございません。表現がそういうふうな総理の発言は、私は聞いてはおりません。また総理からそういう発言はなされておりません。  次に、国権の最高機関である国会で議決されました件につきましては、行政府としては、これを忠実に執行するということがこれは三権分立のもとにおける議院政治の原則である、こう考えております。  したがいまして、私も新聞で拝見したわけでありますが、あれはまことに残念であったとあの当時思った次第でございます。したがいまして、そういう線に沿った方策がとられるべきであると、こう考える次第でございます。  委員長が公平に当委員会の運営にあたられ、しかも国権の最高機関としての当委員会における審議、採決等につきましては、私どもは、憲法並びに諸法律に全く違反をしておりませんし、もうほんとうに最高のものと、こう感じておる次第でございます。
  154. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 小坂総務長官。
  155. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 本日の閣議において私の聞きましたこと、これは速記をとめていただきたいと思いますが……。
  156. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  157. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 速記を起こしてください。  あらためてもう一言申し上げたいわけでありますが、ただいま亀岡建設大臣から、私が指摘いたしました一部新聞に報道されているような事実に対して、全く事実がない、そしてまた、そういうことが閣議で語られたということも聞いていない、つまり第三に、発言をした事実もない、だから当然聞いてもいない、こういうふうに、要約して言えば、述べられたものと思っております。  閣僚の一員として、これはまさに二閣僚に発言をいただきたいと思います。つまりいま私がまとめました四点は、事実無根の記事が一新聞に公表されたことであるということなのかどうか。もし事実無根の事ごとが記事に出され、これが重ねて国会での無用な紛糾ないしは両閣僚から述べられているような思想というものが、趣旨というものが、精神というものが、一切とは言いませんが、おおむね没却されているように感ぜられるのでありますけれども、そのことの事実に対して、閣僚の一人として、いかように対処し、今後に処せられるおつもりなのか、あらためて伺いたい。
  158. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 先ほど申し上げましたように、きょうの閣議におきましては、総理の口から、国総法の内容と同じであるという、いま委員長のお読みになった新聞、そういう発言は全くまあ出ておらないわけでございます。あと細部にわたりましては、ただいま小坂長官から御説明のありましたとおりでございます。  そこで、これはよけいなことかもしれませんけれども、私も先ほど申し上げたような気持ちでありましたので、建設委員会はおかげで全部ストップですと、こういうことをひとり言、ちょっとオクターブの高いひとり言をしたと、こういうのが事実でございます。
  159. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 第二に伺いました事実は、ひとり言であるといなとにかかわらず、誤報として感ぜられるようなことであることはお認めのようです。であるから、私が、事実なし、聞いていない、発言なしということですねと確認をいたしたのでございます。  そこで、私から、そういう事実なし、発言なし、聞いたこともないと言われるものに対して、一部報道機関にどうこうということではございますが、行政府の機関の最高の機関たる閣議内部のことであるので、これが立法府にも及ぶことでもあるし、国民に誤解ないしは混迷を与えることでもあるので、その対策はいかがかという趣旨で第二の点を伺ったわけですが、お答えがないので、あらためて伺います。
  160. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) これは私の考え方でございますが、できれば、閣議で申し合わせのなかった面につきましては、私は、できるだけ国民主権者に広く事実を知らすべきである、こういう立場で実は今日まできておるつもりでございます。しかし、その発言は慎重にも慎重を期して、事実関係の誤解を与えるようなことのないようにという配慮を尽くしているつもりでございますけれども、そういう誤解を与えるに至ったと思われる節が出ましたことはたいへん残念なことであると、こう思う次第でございまして、今後十分気をつけていきたいと考えます。
  161. 野々山一三

    委員長野々山一三君) わかりました。  あえて要望いたしますが、本件が議員立法であるということの趣旨にかんがみ、私は、あえて委員長報告の中に、法は人によって運用されるんだ、その運用する人の精神、それがほんとうの意味で法の目的を達するのであるという趣旨の報告をすることにいたしております。この気持ちをぜひとも、両閣僚、あえて私が質問をいたしました趣旨を正しく受けとめて閣内で最善を尽くしていただきたい。そして、大臣が述べられたように、国民に疑惑や混乱を与えることのないように最善を尽くしていただきたいということを要望しておきます。     —————————————
  162. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 次に、工業再配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案並びに都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題とし、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、工業再配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  163. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、小坂総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。小坂総理府総務長官。
  164. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 工業再配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案につきまして、慎重なる御審議の上、可決していただきましたことに厚くお礼を申し上げます。  本法案の成立後は、本委員会における御質疑の趣旨を体しまして、その運用に遺憾なきを期する所存でございます。  まことにありがとうございました。
  165. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 次に、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  166. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  亀岡建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。亀岡建設大臣
  167. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 生産緑地法案並びに都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案の御審議をお願いいたしまして以来、本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後の運用に万全を期し、各位の御期待に沿うよう努力する所存でございます。  ありがとうございました。
  168. 野々山一三

    委員長野々山一三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。午後六時十五分散会