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1974-05-16 第72回国会 参議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十六日(木曜日)    午前十時四十分開会     —————————————    委員の異動  五月十四日     辞任         補欠選任      竹内 藤男君     鬼丸 勝之君      沢田 政治君     上田  哲君  五月十五日     辞任         補欠選任      上田  哲君     沢田 政治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野々山一三君     理 事                 大森 久司君                 古賀雷四郎君                 中村 禎二君                 前川  旦君     委 員                 熊谷太三郎君                 寺下 岩蔵君                 山内 一郎君                 米田 正文君                 沢田 政治君                 田代富士男君                 高山 恒雄君                 春日 正一君    衆議院議員        建設委員長    木村 武雄君        建設委員長代理        理事       天野 光晴君        建設委員長代理        理事       井上 普方君        建設委員長代理  北側 義一君        建設委員長代理  渡辺 武三君    国務大臣        建 設 大 臣  亀岡 高夫君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       小坂徳三郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       内田 常雄君    政府委員        経済企画庁総合        開発局長     下河辺 淳君        建設大臣官房長  高橋 弘篤君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        自治大臣官房審        議官       山下  稔君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        農林省構造改善        局農政部農政課        長        関谷 俊作君        自治省財政局地        方債課長     小林 悦夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国土利用計画法案衆議院提出) ○工業配置・産炭地域振興公団法の一部を改正  する法律案(第七十一回国会内閣提出、第七十  二回国会衆議院送付) ○都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案(第七十一回国会内閣提出、第七十二回国  会衆議院送付) ○生産緑地法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 野々山一三

    委員長野々山一三君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  国土利用計画法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は御発言を願います。
  3. 春日正一

    春日正一君 できるだけ簡単に大筋について質問したいと思うのですけれども、この第一章総則、第一条の目的というところで、「この法律は、国土利用計画策定に関し必要な事項について定めるとともに、土地利用基本計画作成土地取引規制に関する措置その他土地利用調整するための措置を講ずることにより、総合的かつ計画的な国土利用を図ることを目的とする。」と、こうなっているわけですね。  ところが、私、これ聞き違いかもしれませんけれども、前回の前川委員質問に対して、この法案土地利用に限定しているんだというようなことを言っておられるんですけれども、この総合的かつ計画的な国土利用といい、国土利用計画策定ということになれば、利用といえば当然保全開発ということが含まれておるはずだと思うんですけれども、その点はどうなんですか。
  4. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 目的といたしましては、国土がいま非常に乱れた利用のされ方をされておることは、春日先生も御認識になっていただいておると思うのです。そういうような限られた国土を、これを将来ともに有効に利用させる、そのためにはやはり基本的な利用計画、こういうものがなければならないと私どもは考えるわけでございます。したがいまして、その総合的な利用計画をつくる手続、これをこの中に盛り込んでおるわけでございまして、有効な、将来とも限定せられた国土をいかにして——まあ、昭和六十年には一億二、三千万という人口になりそうでございますので、それに対応するためには、やはり有効に国土利用しなければならない、その計画策定させるんだと、手続をこの中に書いてございます。
  5. 春日正一

    春日正一君 そうしますと、この第四条に国土利用計画という項目がありまして、「全国の区域について定める国土利用に関する計画(以下「全国計画」という。)」、こうなっているんですね。そこで、この法案でいう国土利用計画というものは一体どういうものなのか。それから総理大臣作成する全国計画、これはどういう内容のもので、どういう役割りを果たさせようとしておいでになるのか、その点をお聞きしたいのですがね。
  6. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) このことにつきまして、先般来、再三にわたりまして御答弁申し上げたところでございます。全国計画は、これの内容につきましては政令で定めることにしておることは、御承知のとおりでございます。  その政令中身は一体どんなものを書くかということでございますが、それは、一つには国土利用に関する基本構想、次に、都市住宅地、農用地、森林地自然公園自然保護地域公用地等利用区分規模と、それからその配置に関する目標でございます。まことに抽象的な書き方をいたすつもりでございます。それから、その目標を達成するために、土地用途変更または土地造成に関する方針を書き、結局、都道府県土地利用計画作成の指標となるべき事柄を書こうといたしておるわけでございます。  これは御承知のように、昭和二十五年につくられました国土総合開発法、これは議員立法でつくられたのでございますが、この際の政令内容におきましても、非常に抽象的な、しかも、かつ長期的なビジョンというものを書いてございます。これは各党とも国土総合開発審議会委員さんになられておりますので、それに基づいて国土総合開発計画というものが策定せられて今日に至っておることは、御承知のとおりでございます。そういうような関係だとお考えになっていただければけっこうなんではないかと、こう思います。
  7. 春日正一

    春日正一君 そうしますと、いま話に出ました現行国土総合開発計画法の第二条を見ますと、国土総合開発計画は「左に掲げる事項に関するものをいう。」と、「土地、水その他の天然資源利用に関する事項」、「水害、風害その他の災害の防除に関する事項」、「都市及び農村規模及び配置調整に関する事項」、「産業の適正な立地に関する事項」、「電力、運輸、通信その他の重要な公共的施設規模及び配置並びに文化厚生及び観光に関する資源保護施設規模及び配置に関する事項」というような形で、かなり具体的にこう中身をあげているわけですね。そうして、今度問題になった政府提案国総法案、これでも第三条で「全国総合開発計画は、次の事項について定めるものとする。」といって、「国土利用開発及び保全に関する基本的な方針」、「大都市整備に関する基本的事項」、「地方における都市及び農山漁村整備に関する基本的事項」、「住宅生活環境施設厚生に関する施設、「観光及びレクリエーションに関する施設並びに教育及び文化に関する施設整備に関する基本的事項」、「自然環境保全及び歴史的風土の保存に関する基本的事項」、「治山、治水及び防災に関する基本的事項」、農林漁業工業等産業立地に関する基本的事項」、「交通通信体系並びに電力等のエネルギー及び水の供給体系整備に関する基本的事項」、「基本的事項」とはいっていますけれども、これだけ具体的に内容をあげて、こういうものについて全国的な計画というか、そういうものをつくるんだということになっているはずですね。そうすると、いまあなたの御答弁では、この国土利用計画法案に基づくこの国土計画というものがほぼこれと同じ内容のものだというふうに理解していいんですか。それとも、これとは違うんだということになりますか。
  8. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) これは先ほど春日先生の御指摘にもございましたけれども政府が昨年出されました国土総合開発法案といいますものは、二十五年の国土総合開発法を受けて、二十五年の法律廃案にいたしまして新しくつくろうとするものでございます。したがいまして、その内容におきましては、二十五年法を受けまして種々書かれたものでございます。しかしながら、このたびの国土利用計画法案といいますものは、これは昨年出されました法律廃案にいたしまして、中身は全く異質なものをつくったわけでございます。すなわち、あくまでも国土利用というものを主眼点に置きましたものでございまして、その具体的な基本計画といいますものは、結局、土地規制あるいは投機的取引、これを押えるための計画をつくるんだということでございます。あくまでもさきの利用計画のほうは、これは長期ビジョンをこの中に書き込むんだと、こういうことでございますので、多少その付近におきましては、二十五年法の内容とは異なってくると思います。自然そうならざるを得ないと思います。
  9. 春日正一

    春日正一君 国土利用、総合的な利用といえば、さっき読み上げたようなこと全体が含まれなければ計画にも何にもなるもんじゃないのでしてね。いまの御答弁では、私、この法律にいう全国計画というものがどんなものか、ちっともイメージがはっきりしないわけなんです。  そこで、第六条では「全国計画以外の国の計画は、国土利用に関しては、全国計画基本とするものとする。」、こういうふうにあるんですね。そこで、全国計画以外の国の計画土地利用に関するものというのは、一体どういうものをさしておいでになるのか。たとえば想定されるものとしては、新全総の土地利用に関する部分、それから首都圏整備基本計画に定めてある土地利用に関する部分がある、あるいは新産都市建設基本計画に定める土地利用計画というようなものも、やはり土地利用というものがあるのですね。そうすると、そういうものは全部今度の法律案の第六条によって、この計画に従属するということになるわけですか。
  10. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 全部が全部これに従わなければならないということもございませんけれども都市計画法であるとか、また森林法あるいは農業地域振興法なんかは全部この傘下に入ります。
  11. 春日正一

    春日正一君 全部が全部入るわけでないということになると、そういう開発関係のものは除外されるということになるのですか。
  12. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) それはそのとおりです。大部分は、この法律では開発部分は除いているということでございます。
  13. 春日正一

    春日正一君 そうしますと、この法案の第六条では「全国計画以外の国の計画は、国土利用に関しては、全国計画基本とするものとする。」と、こうなっておりますね。ところが、現行国総法、これの第七条二項で「全国総合開発計画は、前項の規定により作成された場合においては、これを都道府県総合開発計画地方総合開発計画及び特定地域総合開発計画基本とするものとする。」といって、地方のさまざまの開発計画基本になるといっておりますね。そうすると、基本とするものが二つ出てくる。この関連はどうなりますか。
  14. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) それは土地利用開発の違いで、二本立てになると思います。
  15. 春日正一

    春日正一君 そうすると、結局、いままでの新全総その他の開発計画というものにはこの法律案は全然ブレーキはかけられないということになるわけですね。それはそれ、これはこれ、こういう関係になりますか。
  16. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) そのとおりになろうかと思います。しかしながら、その間に調整をとらなければならないと思います。
  17. 春日正一

    春日正一君 元来、土地利用計画といわれているものは、地域総合計画平面図だというふうに言われております。単なる土地利用区分——ここは森林だ、ここは都市だというような形だけでなくて、総合的なやはり国土全体として、あるいは一定地域全体としての総合的な計画のもとになる、指針になるようなもの、そういうものだと思いますし、そういうものでなければ土地利用計画という意味がなくなってくるんじゃないか。そういう意味で、いま問題になっているのは、無整理的な開発を放置すると、環境破壊災害あるいは都市機能その他の低下、資源や資金の浪費というようなものが続いて混乱がひどくなる、あるいはこういう状況のもとでこの土地が騰貴したり買い占めがされたりというような事態も起こるというような状況規制して、土地の最も合理的な利用を現在及び将来にわたって確立するということだと思うし、そういう点ではどの党も御異論はないはずだと思うのですよ。そうだとすれば、土地利用計画というものは、単に利用区分に応じて、ここを森林にするとか、ここを都市にするとかいうような、この土地需要量を推計するだけではなくて、土地に集約的に投影される産業文化経済、社会にわたる総合的な政策とこれ表裏一体のものにならなきゃ生きてこないものじゃないか。  この点については、この経済審議会土地政策研究委員会というところで出したその文書の中で、横浜国大の成田という人が土地利用計画についてるる書いております。私、こっちに抜き書きにしたものを読みますけれども、「一定地域対象として土地用途区分を示す場合にも、当該地域都市農村全国または広域圏の中で将来どのような機能を果たし、その機能を果たす時点では、当該地域の人々・産業所得等がどのようなものになり、そのためにはどの程度の土地がどういう目的のためにどれだけ必要となるかを明らかにしなければならない。したがって、土地利用計画を合理的なものとして作成するには、その対象地域地域構造をどのように発展させるかという地域政策基本を定めたマスタープランがなくてはならない。土地利用計画は、これらのマスタープランを個別的な特定地域土地の上に投影したものとして位置づけられなくてはならない。」、こういうようなふうに言っておるのですけれども、この点についてどういう御見解をお持ちですか。
  18. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) この土地利用計画策定しろという議論はかなり前からございまして、たくさんの評論あるいは提案がございます。自治省におきましても、宮澤君が官房長時代に、土地利用計画についての構想なんていうことを出されたことがございます。しかしながら、いまの先生がおっしゃったような内容でございますと、私どもは、そのマスタープランをこの土地利用計画の中に盛り込もうとしておるわけでございます。具体的なやつは基本計画であらわしていく。どうもことばがとりにくくなっておるような関係もございますのですが、その利用計画というものがマスタープランであって、長期構想ビジョンを示すのだ、具体的な問題については地域に投影させたものを基本計画でやっていこうという法の趣旨でございますので、御理解いただきたいと思います。
  19. 春日正一

    春日正一君 その点、先ほど来、私、一番苦労して理解しようと思っているのですけれども、さっき読み上げましたように、現行国総法には、これこれこれこれのことを含めてきめろというふうに言ってるし、それから政府が出して今度問題になった新しい国総法案にもさらに詳しく、十項目ですか、にわたって、こういうこと、こういうこと、こういうことをきめろと言っておる。だから、現行国総法で大体そういう問題というのはきめられる中身が出ているのですね。そうすると、それと違った土地利用計画というものがあるのか、それと違ったものをつくったら、これとの関係矛盾が出てきやせぬのか、その点が私にはどうにもわからぬわけです。そこらをわかるように説明していただきたい。
  20. 北側義一

    衆議院議員北側義一君) やはりいままでにできた法律ですね、これがあくまでも今回つくりました国土利用計画法案、この法案につきましては、利用目的をまずうたいまして、そしてその利用がどのようにそういう法律と結びついていくのか、ここらを疑念を持っておられるんじゃないかと思います。  実は、これは共産党さんの出された法案なんですよ。これにも、こう書いてあるんですよ。許可基準ですね、いわゆる開発行為許可基準ですね、ここにこう書いてますよ。申請にかかわる開発行為が、国または地方公共団体土地利用に関する計画に適合しないときは許可しないと書いてあるんですよ。おたくさんのほうの法案でもそう認めざるを得ないんです、いまできた法案は。認めてはるわけですよ、現にこうやって。こちらも同じ趣旨だと、こう考えていただいたらけっこうです。
  21. 春日正一

    春日正一君 私のほうの法案はあとで提案しますけれども、これは表題のように、「生活用地の確保、土地取引規制に関する法律」という、非常に狭く規定して問題を提起しておるから、いま言ったような土地利用とかなんとかということにはかかわりを持ってこないわけですよ。  これは全国計画というものはあるんでしょう。こっちにも全国計画がある、新全総もある、そしてまたこっちに基本計画と、両方基本だというからおかしな話になるといんですね。そこがどうにもわからぬ。そこの関係がはっきりしないことには運用に困るんです。両方基本だ、土地利用に関する部分は全部あれの中に入っていますわ、いままでの国土総合開発計画も、新全総にしろ、基本計画にしろ、具体的に土地利用計画でしょう、あれは。ここに港をつくる、ここに工場地域をつくるという、具体的にあるわけですね。ところが、これは国総法によって全国総合開発計画基本になると、こう書いてある。土地利用計画というのも国土利用についてきめなきゃならぬことだから、利用といえば、当然、ここを町に利用するとか、たんぼに利用するとか、港に利用するとか、そういう計画が入ると同じことになるわけですよ。これが基本だというでしょう。そうすると、基本が二つできちまう、頭が二つ。この政府提案国総法案では、これが成立すれば旧法は消滅するということになるから矛盾は出てこないわけです。基本が二つあるという点で、これは矛盾が出てくる。だから、どういう中身をおきめになるのか、全国計画というものは。しかも、それが基本になって都道府県基本計画がきめられ、市町村がきめられていくということになると、どんな中身なのかという、これが具体的にはっきりさしていただけませんと、一体どういう関連を持つか、判断に苦しむわけです。
  22. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) ただいま昭和二十五年の国土総合開発法の御質問がありましたので、私から多少御説明さしていただきますが、昭和二十五年の国土総合開発法におきます基本ということは、国土総合開発法の中の全国総合開発計画都道府県総合開発計画特定地域総合開発計画というふうな、その国土総合開発法の中で定められます計画に対してのみ基本性を認めているものというふうに、私どもは理解しております。  そこで、政府が出しました新しい国土総合開発法案におきましては、この国土総合開発法の中の計画だけに基本性を認めるものではなくて、わが国で行なわれますすべての総合開発計画に対して基本性を持つということに法律を改正していただこうということを政府案としては出していたわけでございます。このたびの国土利用計画法案につきましては、総合開発全体に及ぶものではなくて、土地利用に関するものに限定しているということになりましたので、第六条の基本性というのは、国土利用計画法に基づきます土地利用計画に関してのみ国計画の全体に基本性が及んだというふうに理解しておりますので、この基本性というものが施行されましても、国がつくります全体の総合開発計画なり、あるいは開発事業計画にまではこの基本性が及ばないと解釈すべきであるというふうに見ておるわけでございます。ただし、御指摘がありましたように、総合開発計画というものは、最後はすべて土地に還元されて投影されてくるという、先ほど御指摘いただいた成田先生の論文でもそのとおりだろうと思うわけでありますが、ただ、重要なことは、その総合開発計画の是非あるいは決定をこの国土利用計画法でするものではないということが一つの特色だろうと考えておりまして、他の法令によって決定された場合に、この国土利用計画との調整ということが当然義務づけられてきまして、そのときに、この国土利用計画基本性を六条でうたっておりますので、この土地利用計画との調整が整わなければ、やはり認めることができないというふうにつながるのではないかということで、他の総合開発関係のたくさんあります法令との調整問題が土地に投影する段階で必要になってくるというふうに見ております。
  23. 春日正一

    春日正一君 そうすると、部分的には規制を受けると、特に土地利用ということについては。そうしますと、先ほど来、私も例にあげましたけれども、たとえばむつ小川原だとか、苫小牧の東だとか、いろいろなところで具体的な計画が立てられておりますし、それから、こういうような本のもあるんですね。「岡山南地区産業都市建設基本計画」なんというものがあって、これは岡山県の相当広い地域、私、全部は読みませんけれども、広い地域にわたっている。そしてそういう中で「土地利用」という第三項目、その「土地利用計画の大綱は次のとおり」と、「土地利用構想としては、水島における工業開発を主軸として、これに対応する都市的諸機能体系化および人口適正配分を図りつつ、地区全体の秩序ある土地利用計画する。」云々といい、さらに「工業地については、水島臨海部および隣接地に鉄鋼、石油、化学、機械等云々と、「また、内陸部には集約的な内陸工業用地東岡山地区、久米・吉備・庄地区云々と、「住宅団地については、」というようなことで、土地利用計画を具体的にきめておるし、これがなければ新産都市建設基本計画というものは成り立たないわけですね。いま私の読み上げたような土地利用計画とはっきり書いて、そうしてここをこうする、ここをこうするというようなものは、この法律によって規制されるということになると、これは新全総はじめ首都圏整備その他の地域のこういう具体的な計画までやはり全部ストップあるいは変更を余儀なくされるということになるのか、そういう効力を持つのか、その辺どうですか。
  24. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) ただいま例示にあげられました新産業都市の問題につきましては、新産都市建設促進法によりまして、計画事項の中に土地利用という項目がございます。   〔委員長退席理事前川旦君着席〕 したがって、この土地利用計画を国が承認いたします際に、国土利用計画調整をすることが必要になると考えておりまして、具体的な個別の地域については、きょうお答えする用意がございませんが、おそらく水島地区につきましても、五十年もしくは五十五年を目標とした土地利用新産都市計画としてきめておりますが、この国土利用計画がおそらく昭和六十年というふうなことを目標にするということを前提にしました場合に、やはり新産都市におきます土地利用計画というものの若干手直しということが作業として必要になってくるというふうに判断しています。
  25. 春日正一

    春日正一君 それで、企画庁長官お見えになったので、長官のほうからお聞きしたいんですけれども、いま説明があったように、この国土利用計画の六条が基本になって、土地利用基本になると、だから、これがきまれば、いろいろな計画について洗い直しも必要になってくると、こういうふうに答弁されたんですけれども、そこが非常に大事なところですから、大臣からお聞きしておきたいんですけれども、いま石油危機の問題とか、公害問題その他で、たとえば、私、この前もお聞きしましたけれども下河辺さんからは、響灘のあの埋め立て計画というのは、あれは再検討しなきゃならぬというようなことも言われた。だから、そういうふうにこの法と無関係に公害やその他で再検討されている、手直しを、洗い直しておると、あるいは石油危機との関係というものではなくて、国土利用計画というものができれば、それに基づいて計画全部が再検討され、そして改められていくということになるのですか、その点はっきりお聞きしておきたい。
  26. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 春日さんのお話を私は途中からでございますが承っておりまして、御趣旨は私にもよくわかります。もともと昨年来政府提案をいたしております新しい国土総合開発法案における国土総合開発計画あるいは都道府県計画というようなものは、昭和二十五年の古いというか、これは現行で生きてはおるわけでありますが、その国土総合開発法における国土総合開発計画なり、あるいは都道府県開発計画なり地方総合開発計画なりというようなものを受けまして、それを新しい時代的意識において見直すところは見直すし、また、新しく設定するような場合においては、政府提案の新法の新しい計画に従って立ててまいるというようなことでできておった一連の法律体系でございましたが、しかし、国会のほうにおかれましては、各党が政府の従来とっておった開発至上主義、生産第一主義と申しますか、そういうようなことが政府提案においては非常に大きな割合を占めておることは、この際十分批判さるべきであり、検討すべきであるから、今回においては開発部分に属する条項とか、あるいはまた特定総合開発地域に関するまとまった構想を取りまとめたような一団の規定とかいうものは、全部取り除いてしまって、もっぱら土地の投機の抑制あるいは地価の規制とかいうものを一方の大きな柱にしながら、他方においては、国土利用という面において、これはその上に開発がのせられる場合においては、その国土利用計画というものによって開発計画であろうが交通計画であろうが、いわゆる施設計画というものは当然規制を受けることになるわけだと、私ども政府として理解しますが、そういう交通、通信、エネルギーあるいは工業立地計画というようなものを表面にうたった総合開発計画というものは全部政府提案法律体系から取り除いて、もっぱら国土の総合的利用とか、あるいは各地域における各種の土地の態様による組み合わせ、これは都市地域でありますとか農業地域でありますとか森林地域でありますとか、自然環境保全地域というような幾つかの数個の地域のカテゴリーがあるものでありますが、そういうものについての計画をつくってまいるということと、もう一つは、これは政府案には全く構想がなかった遊休地の活用に関する条項をも補足していくということで、国会の御意思として決定されることになりましたので、春日さんがふしぎだふしぎだと、頭が二つあると、国土利用計画というものとそれから総合開発計画というような頭が二つあって、その間どっちがどういくかということにつきましては、これは新法は旧法を規制するという原則から申しましても、また、この法律の二条等における理念から申しましても、すべての国の計画は、国土利用に関する限りは、今度のこの法律に基づく国土利用計画なり土地利用基本計画なりというものと矛盾するものであってはならないということになるということを政府側といたしましては考えるわけでありまして、この法律案に生かされた考え方にのりまして慎重かつ適正な行政運用をいたすべきだと私は考えております。  また、しかりしこうして、その国土利用計画というものは、しからば、具体的にはどういうきめ方をするかと、こういうことでありますが、これは一口に申すと、国土利用に関する総合的な基本計画でありまして、必ずしもそれは政府提案の新国総法案にあったような、何条でございましたか、政府提案国総法の第三条にありますような、これは八つほどの柱が立っております。あなたは十と言われましたが、正確には八つでありますが、このとおりのことを今度の国会提案国土利用計画法案における国土利用計画というものの中に押し込んでしまうという不逞な考え方はないわけでございます。それらにつきましては、この法案では、政令の定めるところによりということばも——あなたはたいへん御勉強になっておられますから、私はそのまま申し上げますと、政令の定めるところによって基本計画中身をつくるということばもありますから、しかも、これは議員立法でございますから、その政令政府がかってにつくることなく、当然議員立法の延長であると考えまして、これらの政令内容というものは重要でございますので、各党ともお打ち合わせをいたしまして、遺漏のなきように、いま私が申し述べました趣旨が生かされるような政令をつくってまいるのは政府の当然の任務である、そのことは承知しましたと、こういうことで衆議院建設委員会における委員長の代表の御要望、お尋ねに対しましても、私はお答えをいたしておる次第でございます。
  27. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) 私たちのほうで作成したものですから……。  全国計画がこの法案が成立して策定された場合、それは基本的方向において、過去の土地利用の各種のものがありますが、それがこの法律策定された計画矛盾するというようなものは改めていくと。要するに、旧法にこれは優先していくという考え方でつくっております。
  28. 春日正一

    春日正一君 そこはわかったんですけれども、一番問題は、国土計画、どんな中身なんだということが政令に委任するということになっておって、しかも、いま企画庁長官説明なんか聞きますと、ここにある八つのものをそのまま押し込むようなものではない、これと違ったものだというと、どんなものができるのだろうかということですね。これは一番基本的な上位計画とも言われるものですからね、こういうものは政令に委任するというようなことでなくて、この現国総法にも新しい案にもちゃんと法律何条といってきちっと基本的事項というものが出ているわけですから、そういうものがやはり法律の中にあって、なるほどこういうふうな立場でこうきめれば乱開発は防げるわいとかなんとかということでなければ、これは説得力がない。  その点を申し上げて、私のほうは、時間もだいぶ詰まっていますから、先へ進みますけれども、   〔理事前川旦君退席、委員長着席〕 もう一つは、規制区域の問題ですね。土地取引について許可制をとる規制区域の指定要件。これは政府国総法案では、第十三条でもって特別規制地域の指定、「相当範囲にわたり土地利用の現況に著しい変動を及ぼすと認められる事業が実施され、若しくは実施が予定されている地域及びその周辺の地域又は急速に市街化が進行し、若しくは進行すると予想される地域について、当該地域内の土地について投機的取引が行なわれ、又は行なわれるおそれがあること。当該地域内の土地の価格が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあること。」という場合に指定すると。これは政府提案法律ですね、これにはこう書いています。ところが、この土地利用法案では、この前のほうの相当範囲にわたり云々という、開発がやられるという地域土地が急騰するということを政府案は予想して、そしてそういうところに規制をかける、特別規制をかけるというような趣旨になっておったと思うんですけれども、この前のほうの開発が予想されるというところを削って、そうして「都市計画区域にあっては、その全部又は一部の区域で土地投機的取引が相当範囲にわたり集中して行なわれ、又は行なわれるおそれがあり、及び地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあると認められるもの」、それから「都市計画区域以外の区域にあっては、前号の事態が生ずると認められる場合において、その事態を緊急に除去しなければ適正かつ合理的な土地利用の確保が著しく困難となると認められる区域」、これを指定要件としておるわけですね。そうすると、変わった点は、先ほど申しましたように、新規に開発が行なわれて土地の形質なんかが著しく変わるという、要するに新規に開発が行なわれるような地域での土地投機とか土地の急騰を押えるという、その前文が取られたということが変わったということになるわけですけれども、そうすると、こういう特定総合開発に関する事業が実施される地域あるいはその周辺の地域などでの土地の値上がりとか買い占めとか投機とかいうようなものには、この規制はかけないということになりますか、かかりますか。
  29. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) 政府提案国総法案とこの規制中身については、私たちのほうがかえって強くしたというふうに考えておるんです。それはあらかじめ全国を要するに許可制にするという原則を立ててあります。そして、まだ規制の網をかけないところは全部届け出制になります。届け出制で一応土地利用というものを都道府県知事がこれをよく見まして、そしてその計画に基づいて土地が高騰するというふうな見込みの出てくるときには、すぐに地域を指定できるというふうに私たちは考えて作成したつもでりありますから、特に乱開発等については意を用いるという考え方でやっておりますので、文章が、ちょっとそういうふうなかっこうにでき上がったかもしれませんですが、前の政府提案国総法案よりは土地規制については強くなっているというふうに理解していただければ、たいへんしあわせだと思います。
  30. 春日正一

    春日正一君 いまの説明は各党とも同意見ですか。
  31. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) ええ、そうです。
  32. 春日正一

    春日正一君 それでいいですか。そうしますと、たとえば高速自動車国道ができてターミナルがつくられるとか、新幹線の駅ができるとか、あるいは大規模なコンビナートの用地とか、その周辺の地域というようなところは、当然、いままでの経験から見ても、投機的な土地の先買いが行なわれるとか、あるいは急激な値上がりが起こるとかというようなことになるわけですね。むしろ、こういうところが今後とも一番顕著にそういう事態が起こるだろうということだと思うんですね。そうすると、この政府提案国総法のこれに対して特別規制地域をつくるという場合、私どもは、つまり大企業のための産業基盤の整備と、そのために特別規制地域をつくって、そうして農民その他小さな土地の所有者から安く土地を取り上げるということになるんじゃないかということを問題にしてきたわけなんですけれども、そういう点は問題にならないんですか。
  33. 北側義一

    衆議院議員北側義一君) 先ほど天野議員からお答えになりましたとおり、前提条件としては、全国に網をかぶせるというような前提条件がついておるわけです。逆の面から考えますと、では、そういうところを野放しでいいのかという考えが正しいのか、また、そういうところは何も、開発と言いましても、住宅団地開発もありますし、地下鉄が通りますと、たちまちのうちに地価が上がってくる。こういう開発にもいろいろ開発があるんです。だから、そういう開発に対して地価を野放しでいいのか、たとえば野放しになった場合ですと、おそらくこれはまた地価公示価格でも三二・四%、その前は三〇・九%、そのように地価が上昇しておるわけです。やはり全国的に対象としたというそこを前提条件を入れて、そうして、それから地価の急騰のおそれのあるところ、このように考えておるわけですから、全部含まれるものと、私は。
  34. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 春日先生、先ほど規制区域の指定につきまして要件を述べられましたが、実は十一条におきまして、国民生活に及ぼす弊害を除処するために実はこういうような規制の処置を講ずるんだと、こういうことにいたしております。あくまでもこの「土地投機的取引及び地価の高騰が国民生活に及ぼす弊害を除去し、かつ、適正かつ合理的な土地利用の確保を図るため、」に規制をやるんだということを十一条でうたって、それを受けまして十二条から具体的にこういうようなところということにしてございますので、ちょっと誤解があったら困ると思いまして。
  35. 春日正一

    春日正一君 私、誤解はしていないつもりです。つまり私どもはそこを反対したわけです、特別規制地域というのは。大規模開発をやって、苫小牧の東とか何とかあの辺ぽかっとかけて、土地は公定価格で取っちまうというんでは、農民だの何だの、これは不当な損害を受けるんじゃないかと……
  36. 北側義一

    衆議院議員北側義一君) 国総法案では。
  37. 春日正一

    春日正一君 国総法案では。ところがこれがそのまま生きているわけですね。しかも、あなた方の説明では、七〇%ないし八〇%、時価の。取ろうということになると、もっと安く農民から取り上げちまうというようなことになるんじゃないかと、だから自民党の竹内さんも心配して、抵抗によって指定ができなくなるおそれはないかと言われたんですけれども、そういうことになるんじゃないでしょうか。
  38. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) ちょっと誤解があると困ると思いますので、七、八〇%という一応政策目標を立てたのは、市街化区域内の宅地という考え方でございまして、要するに都市計画区域内の市街化区域内の宅地という一応考え方で政策目標を立ててありますが、農地その他のものについては別途考えるということにしてございますので、そういう点、土地を投機的に買って持っている者と違って、土地を持って生活をしておる者の土地との考え方が違うと思いますので、その点非常にむずかしい問題になるわけでありますが、そういう点は十二分に考慮して扱うようにということで話し合いを進めてきたつもりでございます。
  39. 春日正一

    春日正一君 やはり私ども問題にした国総法の中のそこの点がそのままやっぱり生きるという、適用するわけですからね、ということになるというふうに私どもは感じる。——ただ、時間がね、十分いただいておれば、とっくり納得いくまで一問一答して、私もわかれば、よくわかりましたと言うんですよ。ところが時間が、私が要求した時間を削られちゃって、もう少ないんですね。こういうときには共産党だけが反対しておるんだから十分聞かせて、その共産党を納得さしたというような態度をとってほしいと私は思うんですけれども、そういうことですから、納得できないうちに進まにゃならぬことになっちゃってる。
  40. 北側義一

    衆議院議員北側義一君) もう一ぺん聞いてください。
  41. 春日正一

    春日正一君 だって時間くれないんだもの。あなた方、時間くれますか、時間を保証してくれますか、委員長のほうへ言って。そういうことなんですよ。
  42. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 春日君、発言中ですから申しわけないけれども、私からあえて申し上げます。  この法案の審議にあたって所要の時間は、おたくの会派の持ち時間は総体時間一時間に対して十三分三十秒であるのが所定のものであります。したがい、まして、各会派からの要求がございました。その時間を調整いたしましたところ、所定の割り当て時間であるならば、おたくの質問はおおむね三十分以内のものであったのでありますが、あなたの要求が過般のものでありましたので、あえて委員長として、約四倍、二時間の限度の時間を持ってもらうことで各会派に了解を得たということでございまして、あなたの時間をあえて切ったというわけじゃない。あなたのほうが本案に対して反対の御意見でありますので、あえて四倍の時間を与えたというのは、委員長としてこの審議にあたって処理したことを明らかにいたしておきますから、訂正を願いたいと思います。
  43. 春日正一

    春日正一君 その点は、委員長の言われるとおり、ずいぶん苦労されて二時間という時間をくれた。しかし、私にしてみれば、要求した時間よりは少ないし、そして質問を十分いまのような形でやっていくには不十分な時間だ、こういうふうに言った意味ですから、委員長のその決定は十分に私は受けとめております。それははっきり言っておきます。  そこで、次に進みますけれども規制区域の指定、それから指定の解除、区域の減少などについて、内閣総理大臣の指示権、代執行権というのが国総法案の中でも一番問題になったとこだと思うのです。ところが、この法案では、期間の延長という点を除いて、同じ規定がそのまま残っておるわけですけれども、これは一体どういうわけですか。
  44. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) これは内閣総理大臣の指示権、代行権は、これは主務大臣としての指示権、代行権と解釈していただきたいと存ずるのでございます。これが一つです。このことにつきましては、大体、私ども利用計画法案が地価の抑制、安定をさせるということを非常に大きな目的にいたしております。したがいまして、地価を抑制するという仕事が、これは当然国の仕事であるという考え方に立脚いたしておるのでございます。ただ、手法といたしまして、しからば土地状況を最もよく知っておるのは地方自治体の長、地方自治体であるという関係から、権限を大幅に地方自治体に実は移管いたしておるのでございます。先日、ここでも再々問題になりました。知事にそんな権限を移管いたしますと、各県によってばらばら、アンバラソスが出てくるんじゃなかろうか、こういう意見も出てまいりました。そうしますと、国の責任というものをここに明確にしなきゃいかぬ、そのために実は主務大臣である内閣総理大臣の指示権、代行権というのを入れたのでございます。昨年出されました国総法案の内容につきまして私どもが反対いたしましたのは、特定地域を指定する、特定地域すなわち特定総合開発地域、大規模工業開発地域を指定する権限をも総理大臣が実は持っておるところを私どもは大きな問題といたしたところでございます。したがいまして、その点につきましては、特定総合開発地域というのは削除いたしまして、全然その問題についてはなくなりましたので、ただ地価の抑制をすることについて、これを実は指示、代行権については主務大臣である総理大臣が持つという形にしてございます。
  45. 春日正一

    春日正一君 いまの説明だけれども地方自治法の百四十六条では、国の機関としての都道府県知事の職務執行については、裁判所の介入を得て指示し、代執行するという非常に慎重な手続をとっているのですね。これは地方自治を守るという立場からそうされておると思うんです。ところが、今度の場合では、そうでなくて、審議会の確認を受ければすぐにやれるというようになっている。そこで、いままでの私の聞いた説明、私の聞いた限りでは、値上がりしているところに、かけるべきところをかけないでおるのをかけろと言うというようなふうにも聞いておったんですけど、これにはかけろという指示、それからはずせという指示、それからもう一つありましたね、期間を定めて、区域を減少させろというようなことができるというようなことになって、全部できるのですよ、これは。そうなっているのですね。そうしますと、特定開発区域というものをとったからといいますけれども、しかし、特定開発区域に類するものですね、現に苫小牧なり何なり進行しているのですから、新全総というものがあって。そしてそこには、やはり先ほどの答弁のように、規制はかけると言っているのですから、そうすると、特定開発区域ということばを除いたからといって、実態はやはりそこにあるし、現に進行しておるし、それにこの法律がかかるというようなことになっておると、やはりそういう立場から国の意思が地方に強制されてくるというような事態が起こる可能性というものは、これは論理的には否定できないということだと思うんですよ。だから、そこが一番問題じゃないか。そこが各党一番反対したとこなんだから、そこは削られたらどうだったかと思うのですけれども、そこはどうなんですか。
  46. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) それにつきましては、しからば地価の抑制というのは一体どこの責任かということでございます。主務大臣の指示、代行権を示すことによって初めて国の仕事であるということがあらわせる、この法律の中では初めてあらわしておるわけでございます。それを権限を委任しておるんだと。たとえば共産党さんのこの案でございますと、市町村長だけなんです。市町村長が全部やるんです。しかも、その内容を見ますというと、これも先ほど来あなたのおっしゃられておる地価の高騰があった場合、投機的取引がある場合には地価抑制特別地域を指定するようなことになっております。しかも、町村長がやるので、だれもチェックせられないのです。そうしますと、一つの県内におきまして、片一方のほうにおいてともかく規制区域ができる、片一方のほうにはできないというようなアンバランスができまして、同じ地域の住民間においてもアンバランスが出てきて困りはしませんか。ここを調整するのは、一体どなただと私は言いたい。でございますので、それを全国的にアンバランスをともかく調整していく能力を国に持たそうというのがこの指示、代行権だと御理解願えればいいと思います。
  47. 春日正一

    春日正一君 ちょっと時間が足らぬものですから急ぎましてやりますけれども、それは私のほうでもそう言っておる。これは町村長だけと言っているんじゃなくて、知事との関連はある。  それで、私、言いますけれども、そういう国が関与する場合の問題を、先ほど言いましたように、地方自治法の百四十六条で非常に詳しく規定しておるというのは、地方自治ということを非常に大事にするからだということで、ある学者も——これもさっきの成田という人です。この人もこういうふうに言っていますよ。「この強力な指示権・代執行権は都市計画法二四条三項・四項の先例にならったものである。したがって、今回はじめて登場した全く新規なものというわけではないが、地方自治法が、国の機関としての都道府県知事の執行懈怠に対する指示および代執行について、いわゆるマンデーマス・プロシーディングと呼ばれる慎重な手続を定め、裁判所の介入を経て指示を発し、さらに確認の裁判を経て代執行すべきものとしている一般的制度との対比において余りに安易にすぎるように思われる。」と言って、「地方自治法一四六条が、機関委任事務の許容と憲法で保障されている地方自治の本旨とを調和するためのぎりぎりの制度的手法として案出されたものであるとするならば、審議会の確認を経るだけで代執行を強行する規定の当否は憲法の観点からも問題となる余地もあろう。」、こう言っている学者があるのです。  だから、私らは、地方自治法のその手続というものが大事だし、それほど問題があるならその手続を踏むべきだし、それを世論に訴えて世論が支持されればできるわけですから、それを抜きにしていきなりぼっとやられたという点に、私は、地方自治を侵すおそれが十分あるというふうに思うのです。
  48. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) その点につきましては、私ども十分に配慮したつもりでございます。特に地方自治法百四十六条の規定といいますものは、国のことにつきましては、御承知のように、目的とするところは、国と地方を通ずる行政の一体性を確保するために実は総理大臣が命令及び代行権を持つ。さらには高等裁判所によって知事をも罷免するというきつい規定なんでございます、これは。そこまではいかない、そこまではいかしちゃいかぬということで、私どもは、命令権じゃなくて指示権にしております。百四十六条は命令権なんです。私のほうは指示にしております。
  49. 春日正一

    春日正一君 代執行……。
  50. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) その代執行もしております。しかしながら、土地がともかく急上昇するのは緊急を要する場合が非常に多いと思います。このごろの商売人は、御承知のように、非常にともかく目先のことについては走りますので、緊急性という面からいたしまして、これは審議会の議を経て初めて知事に対しまして指示することができるようにいたしますし、かつまた、その点につきましては、木村委員長から経済企画庁長官に対し、この立法の精神というものを実は強く示しまして、このとおりやるかということを実は確認をいたしまして、そのようにやるという内閣の意思がございましたので、それに基づいてやるので、決して乱用をしないような歯どめをここにかけてございます。
  51. 春日正一

    春日正一君 まあ、いまの問題はこれ以上議論してもしょうがないけれども、やはり反対したものが生かされたということだけは、これは否定できないと思うのです。  そこで、開発のためでないと言いますけれども政府提案国総法案の場合では、「内閣総理大臣は、国土総合開発に関し国の立場から特に必要があると認めるときは指示することができる。」と、こうなっているのですね。それを削ったんだけれども、この法案では、それにかわって十三条で、「土地投機的取引及び地価の高騰が国民生活に及ぼす弊害を除去し、かつ、適正かつ合理的な土地利用の確保を図るため、」と、適正かつ合理的な土地利用の確保と、こうなっているのですね。「国の立場から特に必要があると認めるときは、」と、こうなっている。すると、国の立場から見て適正かつ合理的な土地利用ということになると、どういうことになるのか。下河辺氏にお聞きしますけれども、たとえば、むつ小川原の建設計画、苫小牧東の計画とかいうようなものですね、いまやられておる。これは国の立場から見て当然適正かつ合理的と考えておやりになっておるんでしょう。その点はどうでしょう。適正、合理的でないと考えて計画を立てることがありますか。
  52. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 工業開発法の配置につきましては、工業配置計画等によりまして、政府として明確な方針をつくるという手続がございますし、いま御指摘いただきました幾つかの工業基地については、国の意思だけできめるものではなくて、やはり環境アセスメントの結果を待たなければなりませんし、また、地域の方々の御意向も十分反映しなければならないという手続を経てきまるのが至当だろうと考えておりまして、そういう手続を経てきまった以上は、やはり国の立場としてそれを進めるべき手続をするということになるのは当然であるというふうに考えます。
  53. 春日正一

    春日正一君 だから、結局、国の立場から見て適正、合理的でない開発計画とか何とかいうものは、自分でそう考えて立てるということはないわけですから、そうすると、結局、いまこの十三条にあるような土地の投機あるいは適正かつ合理的な土地利用を確保するために指示権があり代執行権があるということになると、これは前の国総法案の中の趣旨と変わらぬことになってくるんじゃないか、そういうことに思いますですがね。だから、そういう点は問題になると思うんですよ。それからもう一つは、国土利用の市町村計画をきめることと、その際公聴会を開くこと、全国計画作成するときは都道府県知事の意向が十分反映されるようにすること、都道府県計画では市町村長の意向が十分反映されるようにすることというような、現行国総法でも、それから今度の政府提案でも、やはり都道府県知事の意見を聞けと、あるいは都道府県計画に対しては市町村長の意見を聞けというようなところまでは書いてあるのですね、それから審議会の意見を聞けと。今度の法案では、それが十分反映されるようにすることというふうに書いてあるのが新味だろうと思うのですけれども、それが反映されるようにするという保証はどこにあるのですか。
  54. 渡辺武三

    衆議院議員(渡辺武三君) 先ほどからの御意見の中で、私は、春日先生基本的に認識を誤っておられると思うのです。いろいろな条文を引例されて、旧国総法あるいは政府提案をしておる国総法案のその一部分だけをおとりになって、その条文がここに入っておるから、これは前の考え方がそのまま引き継がれておるんだという論旨で一貫をしておると思うのです。しかし、御承知のように、旧国総法なりあるいは提案された国総法案なりが持っておる目標なり目的なりというものと、今回われわれが提案しておる目標なり目的というものは変わっておるんですね、違うんですね。目標なり目的が違えば、同じ条文のことばがあっても、その具体的な内容の具体化においては、これは全然変わってくるということ、あなたは御理解いただけますね。それとも、御理解いただけませんか。目標が全然変わってくる、変わってくるんだから、たまたま同じ条文がこちらに入っておったら、前の解釈どおり私はそう思うと、思うのはけっこうでございますがね。目標自身が変わってしまっているのだから、そんなことが新しくなってもいつまでも引用されると思えることこそちょっとおかしくはないかと、こう私は思うのです。
  55. 春日正一

    春日正一君 先ほど来私の言ってきたことでわかっていただいたと思っておったのですけれども、実はあなたちっともわかってくれてない、そういうことなんです。しかし、これ議論しておってもしようがないから先に進みますけれども、とにかくそういうことで、政府の指示権、代執行権というものは、これは非常に大きな自治権を侵害する、そして実際上大規模開発なんかの関連でもそれがやられ得るおそれも論理的にはあるですよ。合理的な土地利用ということを言ったら、下河辺氏は、合理的でない土地利用やってないというのだから、全部それひっかかってきますよ。そういうことですね。  そこで、私、具体的に言っておけば、この法案が結局上から全国計画がきめられて、都道府県基本計画がきめられて、さらに市町村計画がきめられていくと、基本になってですね。そういうふうになっているんですけど、私、この間も専門家に聞いてみたんですが、これは岩手県の都南村といいましたか、何かそこのところへある学者が行って、村から頼まれて、そこの村の土地利用計画をつくったというんですね、一生懸命。一生懸命つくっておったら、そうしたらそこのまん中をばあんと東北新幹線が縦断するという事態が出てきた、上から。それで、もうお手あげになっちゃったというんですね。政府は簡単にその線を変えてぐれないというようなことなんですね。だから、そういう意味で言えば、上位計画がずっときめられて下のほうへきて、現場で市町村の土地利用計画といいますか、都市計画づくりをやっている人たちは、上の計画が下の計画を無視してそういう形で出てくるということが一番困って、悩んでおるということを聞いているんですね。そうすると、やはり計画をつくるんなら下からずっと積み上げていって、それを全国的な見地で調整もするし、これは政府として国の産業計画を大きく考えなきゃならぬから、市町村の利害だけ考えておるわけにいかぬのだから、当然そこはこうしてほしいというようなことにもなるわけだけれども、下から積み上げていく、それを都道府県調整し、さらに全国調整するというような計画でつくっていかなければ、ほんとうの意味で民主的ないわゆる国土利用計画ということにならぬだろう。ところが、これの計画では上からずっと落ちてくるのでね、そこらが私は問題だというふうに思います。  それから、その次は、生活用地等を確保する——それで、衆議院で野党四党で相談したときに、土地対策七項目のうちで、未利用地の買い上げ、生活用地の確保、大企業などの土地買い占めの禁止、開発の許可制というようなことが一致点としてあげられたというように私は聞いております。しかし、この法案を見ますと、大企業などの土地の買い占め禁止の事項開発の許可制は、この法律案にはうたわれてないように思うんですけれども……。
  56. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 何ですか。
  57. 春日正一

    春日正一君 大企業の土地買い占めの禁止ですね。
  58. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) それはないです。
  59. 春日正一

    春日正一君 そしてまた、未利用地の買い上げについても法の強制力を持った買い上げを意味するというふうな確認があったように聞いておるんですけれども、しかし、この法案を見ますと、都市計画の決定をやり、土地収用法を適用してという形のいままでの法体系の中での土地の収用ということになっているということなんですけれども、これでは住宅や学校や公園というような生活用地を十分確保できるかどうか、ちょっと心配になるわけですけれども、その点はどうなんですか。
  60. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 七項目はできたですが、私は、先生にちょっとお尋ねしますが、いま言われました生活用地というのは、一体どんな土地をおっしゃるのですか、初めてのことばでございますので。
  61. 春日正一

    春日正一君 私のほうで言っている生活用地というのは、生活道路、主として住民が日常生活に利用する道路、水道、下水道、図書館、公民館、公園、緑地、広場、廃棄物処理施設、その他の公共施設の用に供する土地、学校、病院、診療所、保健所、児童福祉施設、社会福祉施設文化施設、スポーツ用施設その他の公益施設の用に供する土地、国、地方公共団体、日本住宅公団、地方住宅供給公社、その他の公共的機関が建設する住宅または当該機関が賃貸する宅地の用に供する土地、それから自然環境保全するために必要な土地、私どもは、特にこういう点を特定してあげているわけです。というのは、公共用地といままで言われましたけれども、公共用地というと、結局、高速自動車道路をつくるのも公共用地だし新幹線をつくるのも公共用地だというように、あんまり広くてあいまいになるから、そこで生活用地というふうに限定して、それを確保しろということです。
  62. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) お答え申し上げますと、野党四党の七項目の中に、大企業の投機的買い占めをやめさせるという一項目がございます。しかし、この点につきまして、私どももそのとおりであると思って、実は自民党と交渉いたしたのでございます。そうしますと、自民党さんから、これは法制上表現が困難である、だからそれは書けない、こういう御答弁がございました。これは共産党さんも十分御存じでございますが、私はその際に自民党さんに申したのです。一体、法制上表現するのが困難であるというなら、それじゃ、法制上可能であればそれは入れるかということを念を押しました。そういたしますと、それは法制上可能であればそのことは入れてよろしい、こういう御返答がありまして、私、それから——その後に共産党さんは、私らから言いましたら、逃げ出したのでございますけれども、いろいろ論議をいたしまして、結局、法制上大企業というのは一体どういうようにするのか、あるいは買い占めというような行為は買い占められたあとで初めてわかることであるというので、なかなか法文上あらわすのが困難であるという結論に達しましたし、かつまた、大企業の土地買い占めを共産党さんのおっしゃる——対案を出されておるようでございますが、これをやりますと、憲法十三条及び二十九条、この関係からいって、どうも憲法上疑義が出てくるということで、実はこの点は削った次第でございます。しかしながら、届け出制及び遊休土地措置並びに許可制をしくことにおいて取引の実態というものが十分わかる、そしてわかりまして、しかも、それに対する措置がいろいろと書かれてございますので、これは買い占めは今後起こらないという点で実効は十分にあがり得るものと、こういう解釈を私どもはいたした次第でございますので、大企業の買い占め禁止の条項は、実際上、これからこの条項は実は実効があがるものであると私どもは考える次第なんであります。  続いて、遊休土地につきましては、これは実効があがるかと申されますけれども、私どもは、遊休地については十分に実効があがるものと期待いたしております。ただ、その遊休地についてやるかやらないかは自治体の長の決意いかんだろうと私どもは考えておる次第でございます。特に共産党さんのこの未利用——利用地ということはを使われておりますが、これは全く目的もなくして未利用地であるといいますと、すぐに買収ができるような法案になっております。これは憲法十三条、二十九条の関係からいたしまして、ちょっと無理だろうと思います。あくまでも私有財産権というものを収用する場合には目的というものが明確になっていなきゃいかん、目的というものを明確にし、手続においても、憲法二十九条の関係からしましても、どうしてもこれは明確にしておかなければ疑義があると私どもは思います。したがいまして、遊休地について知事が指定したときには、必ず続いては、先生のおっしゃった——ただ第四番目の自然保護に関する土地は入っておりませんが、学校とか、あるいは下水道であるとか言われた第三項目めまでの土地につきましては、これは公共用地として指定することができるような方法をとっております。そのような指定をする手続によって公正にこれを収用しようという考え方でございます。全くこれは憲法二十九条、十三条の関係でこうなったということを御理解いただきたいと存じます。
  63. 春日正一

    春日正一君 いままででも、都市計画決定をしてそして土地収用をかければ、これは事業決定時の土地の値段、それを基準にして収用できるということはあるので、別にただそういう制度があればいいという問題ではなくて、いま問題は、現実にどこから手に入れるかという問題としてお互い問題にしているのだと思うのです。  そこで、ちょっと釈明しておきますけれども、大企業法人て何だというけれども、私どものこの案では、「資本の額若しくは出資の総額が十億円以上の会社、当該会社からの役員の任免、業務の執行若しくは存立について支配を受けている会社、」——いわゆる子会社、「借入金が三十億円を超える会社又は保険業法に規定する相互会社をいう。」、こういうようなのを大企業法人というふうにさしあたっていう。これは、実施してみてもっと広げるか縮めるかという問題はあるにしても、一応いま見て一番土地をたくさん買ったりすることをやってるのはこのクラスであろうということでいっているので、これは規定できないということはないですよ。それが一つある。  それから未利用地だといって、いきなり何でも取り上げるということを主張しておるわけではないわけですね。この未利用地について、ただ未利用地だからあれするというんではなくて、生活予定区域を指定するというような点をきちんとやり、そういうところでは土地の買い取り協議をやって取引をする。それから未利用地の場合、これは大企業が、この法律の施行の際、現に保有する未利用地であるもののうち、生活用地に供する必要があり、または生活用地に供するため先行取得を行なう必要があると認められる土地を買収することができると、こう書いてある。はっきり公共用地ですからね、生活用地ですから。だから、未利用地なら何でもみな取っちまえということを言っているわけじゃないです。生活用地と認めるものを取るというふうにいっている。そして、これは憲法違反とかなんとかいいますけれども、あるいは農地改革というふうなこともやられて、あれは合憲だということになったし、そして現にこれは衆議院の法制局で、とにかく一応通るということで通ってきたものですよ。だから、そういう議論で、憲法違反の疑いがあるないはこれから大いに議論すればいいとしても、私どもが提起しているのは、この大都市周辺なり、地方都市でもそうですけれども、いま一番やはり土地問題が困窮している根源は、大企業が大きな土地を買い占めて、そうしてそれを小出しに開発して売り出しておるとかなんとかいうようなことのために、土地の入手が非常に困っておるんだし、だから、そういうものを優先的にやはり開放もさせるし、そして必要なものは買い取ると、買い取るんだから、ただ取ると言わないんだから、買い取る。現に川崎なんか、けさの新聞を見てもあれですよ、幾つかの大手のデベロッパーに対して川崎市内の土地の放出を要請して、相当大きな土地をやはり時価の二、三割安で提供させるというようなことをやっておるんですね。だから、そういうことを現にやっておるし、そういうできる法的な根拠を与えて、全国のそういう生活用地の確保というようなことに困窮している問題を解決しようということを言っておるんで、そういう点では、自民党さんのほうはともかくとして、野党の皆さんも、大企業のそういう買い占めている土地は放出させるべきだという点では一致しておったと思うんですよ。そこがどうもはっきりしない。
  64. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) 誤解があるようですから、はっきりしておきたいと思います。大企業の土地の買い占めという問題は、これはとてもじゃないが、もし、ほんとうにいい方法があるなら……。いま共産党がお出しになっているのだけでは禁止はできないと、私たちはそう法律的に解釈をしています。それでは大企業が悪くて中小企業がいいのかどうか、個人だから何ぼ買ってもいいのかという、そういうでたらめなこと、われわれは、土地に関する問題の限り、できるわけはないと思う。これは私が初めから断わった一つであります。  それから、いまの未利用地の問題は、先生のおっしゃるとおりに、できるようにわれわれは考えたわけであります。先生は参議院だから、この立法には最初から関係なかったわけですが、衆議院の理事懇談会でこの話し合いをやるときには、共産党さんも一緒になってお持ちになった中で、何といっても、はずしたのは、いま言った大企業の土地買い占めの条項だけだと、私たちはそう認識をしている。そのほかは御要求のあったことはみなしてあると私たちは考えておるんですが、そのいま言った大企業が悪いけれども中小企業がいいというふうに共産党はお思いでしょうか。それとも個人なら何ぼ買ってもいいんだというふうにお考えになられておるんでしょうか、その点はどうですか。
  65. 春日正一

    春日正一君 これはおもしろい議論ですから言っておきますけれども、そこが政治というものの一つの芸術だと思うんですよ。たとえば、この間の石油危機のとき、石油会社なんかがやみカルテルをつくったり何かして値上げをしたと、あれに攻撃が全部集中しましたよ。しかし、それじゃ下のほうの小売り店や小さな卸し屋でもって千載一遇とばかりにもうけなかった者が皆無かといえば、そういうわけではないわけですね。しかし、それもあるんだからみんな取り締まれということにしてしまうと、これは重点がはっきりしなくなって、そして実際効果もあげられない。だから、あの場合、やはり石油連盟であるとか、大商社であるとかというようなものに私どもは問題を集中して、そこのもとから改めていこうということで、一定の効果はあったと思うんですよ。だから、そういう意味でいって、やはり何といったって土地を買い占めておるのは大企業、それは特定の個人もあります。何とかいう、仙台でたくさん売って日本一になった人もありますからね。そういう人もあります。そういうものもあるけれども、そういう点はやはりこの中にどうして入れるかということを、あの人は中小企業じゃないんだから、だから考えていく余地はあると思うけれども、しかし、いま一番問題になっているのは、大きな不動産会社とか、私鉄の会社とか、そういうようなものが大きな土地の先買いをやり、そうして小出しに売ってもうけておるというようなことをやって、いわゆる投機的なことをやっているわけですから、まずそこを押えていくと、そうして、そこからまだ網に漏れるものがあり、弊害が大きいというなら、さらに広げていくというのが政治の芸術なんじやないですか。
  66. 渡辺武三

    衆議院議員(渡辺武三君) 例示されました石油危機のときの例は、私は、非常にこの場合まずいと思うんです。いわば、たくさん大量なものを取り扱うものと、末端の小売り店、非常に少量なものを取り扱う、こういう場面では今度はないわけでございまして、未利用地という一定の、たとえば相当範囲の規模を持ったもの、その土地は、たとえば大企業が持っておろうと、中小企業が持っておろうと、個人が持っておろうと、あなたがおっしゃる生活用地として必要ならば、われわれのほうは、遊休土地としてそれを指定していこうと、ただ、大企業が持っておる土地だけを指定しようということではありません、量的には同じなんですから。だから、石油の場合とは、私は、その例示はきわめて不適当だと思うんです。だから、だれが持っておろうと、中小企業の人が持っておろうと、あるいは個人が持っておろうと、非常に広範な土地が遊休土地として遊ばしてあると、それがたまたま住宅を建てるため、あるいは公園をつくるために必要だとするならば、それはやはりそういう限定をせずに、全体として遊休土地であれば、それらの生活用地を確保するためにそれが収用できるという道は開いてあるというのがわれわれの案であって、むしろおたくの主張なさるのは、もっと所有者によってそれを変えていこうという案ではないだろうかと、こういうふうに私は考えるんで、むしろ私どもの案のほうがきわめて合理的であり、正当性のあるものだと、こういうふうに考えております。
  67. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) いま渡辺君、ちょっと別な話にそれたようですが、大企業と中小企業、大企業が悪くて中小企業が必ずしも金がないというものじゃないですから、それが多く買っていいというようなことは、常識的に、ずいぶん長い、大先輩なんですから、春日先生は。その点はやっぱり共産党であっても、私は、ちょっと見解が根本的に違うと思うのです。同じ国民に与えろ権利というものに対して制約を加える場合において、一方にはよくて一方には悪いというような、そういう立法措置は、われわれの常識ではできないからお断わりをしたわけでございまして、その点は芸術論ではちょっと私は弱いですから、そういう点ひとつ。
  68. 春日正一

    春日正一君 それじゃ、政治論を申しましょう。自民党は自由社会といいますよね、確かに明治の初めのころは自由だった。浅野総一郎さんでも石炭をかついでわざとこぼして奥さんに拾わせてというような逸話もある。だから、そういう中小企業が全国でお互いに競い合っておるという状態のときなら、これはすべてに共通してということが言えるんでしょうけれども、現在では非常に大きな企業がぐっとできてしまって、資本金十億円以上の会社というようなものは、全体の法人の中で六十数%占めるといわれるような大きなものになって、しかも、子会社だ何だという形で全産業を支配しておる。いわゆる寡占ということばが言われます。私らは独占資本主義と言っておる。それは独占でも寡占でも、この用語上の議論はやりませんけれども、そういう状態になっているんですね。この寡占状態にある大企業が横暴の限りを尽くしておるというような現在の事態において、政治の果たす役割りは一体何か。それは所得の面においても、たとえば税制において大企業の利益を吸い上げて、社会保障なり減税政策なりというような形で庶民に還元するというようなことをしなければ、富の偏在というようなことはますます深刻なものになってくるでしょう。それが政治の仕事です。だから、土地の問題でも同じように、大企業が、いままでも言われておる、いわゆるドル買いの資金とか、金融緩和の資金とかというようなものを利用して膨大なものを買い占めた。これは企画庁の発表でも四十万ヘクタールといわれているでしょう。だから、そういう大きな土地を買っておるものをやはり規制するということが公平なんで、いまの時代では。この億万長者と一労働者とを同じに見て公平にしろということでは政治にならぬのじゃないか。これは野党の皆さんみんなそれを主張しておいでだと思うのですよ、政治役割りというのは。そういう大企業の専横なり不当な利得なりに対して政治が介入して、これをならしていくというのが政治役割りじゃないかというようなことを言っておられるんでしょう。だから、曲りなりに私どもはその立場から、大企業のそういう巨大な資本を利用しての買い占め地というようなものに対しては、そういう形で公共の用に供するものは買収すべきであるということを言っているんで、これはちっとも間違いじゃない。
  69. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) 議論が別にいっちまったんですが、大企業が買い占めた土地は、これはいま言った未利用地の関係で、われわれ、遊休土地としてこれは吸い上げる確信を持っていると、こう言うんです、私の言っているのは。ただ、問題は、さきの大企業の土地の買い占めを禁止するという問題について、私は先ほどから意見を言っているんです。もちろん大商社とか大企業が土地を買い占めしたから土地は暴騰したんでしょうが、これは春日先生の意見、私は否定はいたしません。ただ、いまの株式相場だってそうでしょう。大きく買うよりもこまかく買うほうが株を支配するというのは、現在の株の常識ですよ。そうですから、わずかな人でも、土地が投機的になってきたものだから、土地を買っておけば、貯金より土地が値上がりすれば金がもうかるんだということで買っている土地が相当なものである。私は調べておりませんからわかりませんが、必要ならこれから調査してもいいと思うのでありますが、いわゆる特定の大企業が買うのと一般大衆が投機的に買っておるものとは、大体においてそれほどの開きがないぐらいのものがあるんではないかというふうに私は常識的に考えておるんですが、そういう点で、大企業は悪いと共産党さんはそう言っている。中小企業と個人はいいというような、それはやっぱり法理論から言って、それを立法するという段階においてはとても、運用する段階において使った手はこれは一応あれだと思うが、先ほどの石油の問題ならば、大資本家は一ぱい買って、小さなものは小さいけど扱っていない。土地は個人だって大資本と同じぐらい買っているものが幾らもあるんですから、そういう点で個人はいい、大企業は取り締まるという、その基本的な考え方にはとても私は納得できなかったわけで、はなはだ残念ですが、納得できなかったわけで、その点御理解願いたい。
  70. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) これからの買い占めにつきましては届け出制あるいは何によって私はできると思うのです。実効はあがると思います。ただ、これを大企業でやるという表現が、共産党さんのこの案を見ましてもまことにしり抜けです。といいますのは、借り入れ金が三十億円以上であったらこれは大企業だと、こうおっしゃる。しかし、その借り入れ金が三十億円というのは決算期にならなければわからないじゃありませんか。買い占めする行為のあとで初めてわかるのでありまして、こういうようなしり抜けなことをおきめになっても、これはちょっとこれで法的に縛ろうというのは憲法上疑義がある。できればわれわれは入れたかったけれども、これを法制上表現するにおいて、共産党のようなこんな案が、これはまことに大ざっぱな、荒い粗雑な実は表現でございまして、私ども憲法を守るという立場を立党以来ずっと続けておる党といたしましては、このような粗雑なことで二十九条の財産権のことにまでタッチすることは無理である。立党以来ずっと私どもは憲法を守ることを言っておりますので、憲法だけは、にしきの御旗として、私どもは守っていきたいという立場から申しますと、共産党さんのおっしゃるのは憲法上どうも疑義があるように思われてなりません。
  71. 春日正一

    春日正一君 この議論していると時間がなくなるのでよしますけれども、しかし、これは非常に大事なことなんです。それぞれの政党がどういういまの土地問題なり何なりに対して観点を持ち、どういう解決をしようとしておるかということの一番基本的なこれはポイントですから、だから、その点ではこの議論をすれば一日でもやれるし、私の希望からいえば、本来なら、衆議院に限らず参議院でも、それぞれの院でいま言ったような形のフリートーキングでも徹底的にやって、相互理解を深めるというようなことも必要なんじゃないか、そういうふうに私ども思うんです。(「それをやろうと言ったら逃げちゃったのだ」と呼ぶ者あり)やろうと言って逃げたんじゃないのです。国総法基本だと(「それは全然違いますよ」と呼ぶものあり)そうでしょう。違うというのは、それは私いま念のために言っておきますけれども、こういうふうな経過を言っているでしょう。前川さんの質問に対して、大体の七項目ができたとき、それで自民党さんもそれでいこうということになったとき、そこで共産党が自民党の対案を要求したと、そうしたら自民党の案といえば国総法なんだから、それが出てきたら話にならないからということになると、自民党さんは国総法というものをきちっと持っておるということを前提にして、(「違う違う」「それはひど過ぎます」と呼ぶ者あり)ということで抜けたわけです。あなた方、国総法一つじゃないですか。
  72. 木村武雄

    衆議院議員(木村武雄君) それでは、私の立場から……。  私が建設委員長になりまして、これを取りまとめる気持ちを起こした基本的なものの考え方をまず春日さんに申し上げます。  政府が立案したようなものは、大体政府の人々は大小を問わず権力的な地位についておいでになると、したがって、政府がつくる、そして提案した法律はものの考え方が権力的になっておる、立案も権力的である。そういうような立場でつくられた国総法案に対する野党四派の反対には私は同感するものがあると、それではいけないと、少なくとも国土全国民のものでありまするから、全国民がそこで住んで、そこで生活しておると、そういうような国土に対するものの考え方というものはそういう考え方でつくられたものであってはいけない。そこで、各党というもの、おのおの党勢を拡張するために諸般の活動をしておいでになる、そして各党には何十万、何百万という大多数の支持者がおいでになりまするから、これらの人々の意見というものを全部この土地規制法に集約いたしましたならば、ほんとうに国民的な法律ができ上がるだろうと、喜んでもらえる法律ができ上がるだろうと、特に国会議員というものは選挙を通してみんな国民に接触しておりまするから、ほんとうに大多数の国民の意見がこの法律案に反映されるだろう、そういうような作業をすることがいいことだと、こういうように思いまして、私は取りまとめに努力したような次第でなんであります。そして、その各党の意見が全部集約されることをほんとうに懇願した。ほんとうに念願した。そのためには何カ月間も私は待機したのであります。そして、共産党にもこの法律をつくることに参加してもらいたい、そのためには嘆願するような態度でも共産党に望んだのでありまするけれども、残念ながら、あなたのほうがこの立案には参画されなかった。私は、これは非常に遺憾なことだと思っております。少なくとも法をつくるのだ、国民の法をつくるのだというのであったならば、その全責任は役人が持つよりも国民から選出された国会議員が持たなければならない。この立法に参画されなかったということは、私は、共産党の終生の恨事になりはしないかと自分は考えておるのであります。りっぱな意見を持っておいでになります。そして、それだけ民衆に接触しておいでになるのですから、法をつくったならば、つくってそれを施行するにあたりましても、それだけの責任はお持ちになるのに違いない。それで私は非常に望んだのでありまするけれども、非常に残念なことであったと私はいまでも思っておるのであります。  そして、春日さんの意見なんかを聞いておりますると全くりっぱな御意見でありまするけれども、その御意見は全部三党の人々が、あなたのほうは脱落されましたけれども、三党の人々は強くそれを主張されてこの法案ができたのでありまして、この立法した法の精神だけは、脱落されたあなたの立場に立って誤解されないように私はお願いしたいのであります。そして、あなたもおっしゃいましたけれども政治は芸術だ、そのとおりなんであります。政治というものは非常に大切なんであります。法というものもまた大切なんでありまするが、やはり法には法のていさいがあるのだと、そのていさいをくずすような法というものはつくれないものなんでありますが、つくった法を今度運用するのは人にあるのであります。人にある、やはり法の運用は人にある。そうでありまするから、私は、百点満点にならなくても七十点でもけっこうでありまするけれども、つくり上げましたその法、その法というものは人の運用を得て、そして国民から望むような、期待できるような法の運営をしてもらいたいと。やはりつくった法律というものの運用は人にあるのでありまするから、今度は人が大切だ。せっかく国会議員がつくった法でありまするから、運用は人が大切であるといって、私は非常にその点は考えているのでありまして、政治論も政治の芸術論もあなたと私は全く同じなんでありまするけれども、こういうことは、私は、これからもあることを非常に期待すると。そういう際は、自分だけの意見が入れられないからといって、大ぜいで相談するのですから、一から十まで自分の意見が入れられなければ脱退するのだとか反対するのだとか、そういう態度をおとりにならないで、私は、こういうような場合には、どうか共産党にも参画してもらいたいということを切にいま望んでおるような次第なんであります。  私たちのこの法と取り組んだ精神だけはどうか誤解なさらないように、一党の立場でお考えにならないで、国民の立場でお考えになって誤解なさらないように、私はあなたに、特に長老でありまするから、年代も同じでありまするし、これからそうお互いに生きられない人間同士でありまするから、どうか人を誤解なさらないように、法の精神を誤解なさらないように私はあなたに特にお願いしておきます。
  73. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) 誤解があるようですから……。  きのう前川先生答弁したことについての何か誤解があるようですが、私のほうでは、いろんな会合で申し上げたように、ノーズロになりまして、野党四党で土地問題についてお出しくださいというようにお願いをしたのです。野党四党で持ってこられてから自民党の案を出せということなんです。自民党のものをいう案はないと、もうみなさんにおまかせしたのだから、持ってきた案で検討しようじゃないかという主張も私はやった、皆さんと一緒なんですから。ところが、いやそうじゃないだろう、話に聞けば法律ができているそうだ、法律案を出せと。次は、法律案がなければ要綱でもいいから出せ、要綱も出さぬなら大体のものでいいから出してほしいという意見があった。いま出せといえば、われわれは国土総合開発法という法律案が上程されているのだから、これだけである。しかし、これではあなた方が不満であるから、あなた方にお願いをして四党の共同提案をしてほしいというように申し入れをしたのですから、それは全然別です。全然新たなる角度で皆様方お持ちになったもので協議を進めるんだからというふうに私は申し上げておるのです。それですから、国総法案だということは、そういう意味国総法案きりないんだ、自民党で単独の案を出せといえば国総法案だから、もうこれは上程されているからすぐに委員会を開いて一分間で可決ができるんだから、それでもいいのかという意見を私はたびたび述べておるのですが、私のこの新法をつくるという考え方については、あくまでも新しい法律でいくという考え方でおったのです。ただ、自民党多数党ですから、御承知のように、与党ですよ。それが田中内閣の一枚看板、金看板だといわれる国土総合開発法案廃案にする、はい承知いたしましたというふうに、私の立場でそれは言えなかったわけなんです。これは同じ政治家ですから御理解願えると思うのです。ただし、私は、野党さんの御意見も非常に理解のある御意見でございましたから、それでは、私、責任とって新法でいこうと思いましたが、その話に入るとき、新法でいくからいかがでございますというように、私の立場で言えなかったものですから、新法でいくか、修正でいくかはまだきまっていないという意思表示をしたぐらいなことを武士の情でわからないようでは、これは話になりませんよ。それですから、衆議院の建設委員の方々との連絡が十分とれていなかったんじゃないかという感じがするんでありますが、その点、大先輩ですから、誤解のないようにひとつお願いいたしたいと思います。
  74. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 私の答弁に対しまして誤解がございましたので、実はそのいきさつを十分に申し上げたいと存じます。  これは今国会が十二月の一日に開かれまして、四党で国総法案を撤回しようじゃないか、野党四党が撤回を要求するということで決定いたしました。その後、一月の二十四日に四党の国対副委員長会談が行なわれまして、いや、撤回を求めて運動をするということでございました。このときに四党の間できまりましたのは……
  75. 春日正一

    春日正一君 ちょっ待ってください。その詳細な話を聞いていますと、私の時間が幾らもありませんから、私が質問するので。あなた方が私に質問するわけじゃない。
  76. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 委員長から注意をいたしますが、発言中でございますので静粛に聞いてください。
  77. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) それで、私どものほうも、公明党も民社党も社会党も案を実は提案いたしております。ところが、土地問題について案を提案しておられないのは共産党さんだけでございました。したがいまして、去年の十月の段階から、ひとつ案をつくって、野党四党最大公約数の案をつくろうじゃないかという話をずんずん進めてまいりました。そうすると、共産党さんは、一カ月待ってくれ、こう申します。一カ月待ちますと、もう一カ月、もう一カ月と言って、どもりにどもったんでございます。一カ月と言って、「い、い、一カ月」と言いますと、これは三カ月になります。このようにどもられまして、結局、共産党さんができたのが四月分二十日ごろのようでございます。それで実は私どもも、一月の終わりに、四党の共同案をつくるということで作業に入ったのでございますが、共産党の案がなくて実は困惑いたしたのでございます。しかしながら、三月の終わりになりまして、それじゃいけないんじゃかいか、どうだひとつ四党で案をつくろうじゃないか、これをひとつ自民党のほうに、自民党も四党の案を出してくれ、それを基礎にしてひとつ法案をつくる作業に入るのだからと、こういうように言っておる以上、おい入ろうじゃないかということで、私ども四党の国対副委員長を交えまして相談をいたしました結果、それでいこうということに決定いたしたのでございます。それで、現場の理事は夜おそくまでかかりまして、四党の間でつくりました。ところが夜おそくまでつくったんでございますが、それも四党の理事の間で合意したことです。ところが、あくる日の朝七時ぐらいに電話がかかってまいりました。いや、あれはちょっとぐあい悪いんだ、おい、やめてくれというようなことがございました。それであわててまた国対副委員長会談をしまして、この案をまとめまして、どうしてもこれでいこうではないかということを決定いたしたんでございます。ところが、自民党さんと話し合いに入ろうといたしますと、朝の話し合いをがらりと変えまして、先ほど天野さんが言ったような、自民党の案を出せと、こう言うのでございます。せっかく自民党が、多数を持っておる自民党が、四党要求案を、これを基礎にしてひとつ法案をつくろうと言っているときに、何でいやな自民党さんの案を出せというのか、私はどうも合点がいきかねたのでございます。その後、説得に説得を重ねました。話し合いをいたしました。共産党さんも、最初は法案を出せと言っておりましたが、続いては法案要綱を出せというようにおりました。さらに、あなた、今度はその法案要綱の骨子みたいなものをひとつ出せということを要求されましたが、私どもは、それをやられますというと困る。あくまでも基礎というのはこの四党要求案を基礎にして法案をつくるのだという態度に終始いたしましたから、共産党さんは、どうも表現があいまいであるとか、あるいはまた、国総法案の取り扱いがどうとかいうことをおっしゃったんでございます。特に先ほど来天野さんのほうから御答弁がございました国総法の取り扱いにつきましては、自民党からこういう実は公式の文書で返答が参っておるんでございます。すなわち、「野党四党の共同提案である「土地対策の骨子」について、早急に与野党間の話し合いを行い、その成果をふまえつつ、政府提案国土総合開発法案の取扱いについて態度を決定する。」ということでございます。これは政治家としてこの文章を読んだならば、いかにももう自民党は国総法案というものは撤回して新しい法案でいくんだということは読めるはずでございます。にもかかわらず、共産党さんは、ともかく自民党の案を出さなければ、あるいはあいまいであるとかいうようなことをもって実は離脱したんでございます。離脱ということばを私は使いたくないんです。ほんとういったら逃げ出したと言いたいんです。けれども、ここでは、まあ公式の場でございますので、離脱したということばを使います。(笑声)ともかくそういう形で共産党がのいていったといういきさつをひとつ御理解をください。
  78. 春日正一

    春日正一君 いまのいきさつも、それを一々あれこれ言ってもしょうがないですから、木村委員長のほうからも同年代だからということで熱心に見解を述べられましたけれども、私どもも、それは国民のためになるということでまとまるならけっこうだということで、最初は野党で共同して問題点も出し合い煮詰めていくと、そして自民党とも折衝しようという努力をしてきたけれども、しかし、結局、いまのいきさつのとどのつまりで、やはり私のほうとしては、結局、この国総法案そのものは撤回になるけれども、いまの国総法とこれとがドッキングしたらこの国総法案と同じ効果が発揮できるようなものになるだろうということで、それで、私ども、そういう状態のもとでは——これは自民党さんが国総法案を出しているんだから、話しして妥協つけるといえば、それは全然自民党さんは出ないようにして、こっちのほうだけまるまるのめというわけにはならぬのですからね、どうしてもそういうものになっていくおそれがあるということで離脱した。逃げ出したと言われたら、それでもけっこう。しかし離脱した。そして、私、いまできたものを調べてみて、それで先ほど来、まあこまかいことを言えばたくさんありますけれども、大きな筋で四点お聞きしたんですけれども、やはり私どもが心配しておったとおり、いまの国総法、これは生きておると、そして全国計画というのは一体何だとか、中身もまだはっきりしない白紙委任みたいなものになっておる。それから、この地域規制の問題にしても、われわれが一番問題にしたあの特別規制区域のあすこへもちゃんとかかるようになっておるというふうな点、これは特に私ども一番問題にいつもしてますけれども計画の民主的な作成の問題、こういうような点、それから最後に言った生活用地の確保の問題、こういうような点をいろいろ調べてもみ、きょうお聞きもしてみましたけれども、やはり私どもが心配しておったようなものになると。これは実際やってみれば、そう時間がかからぬではっきりするだろうというふうに思います。  いま木村委員長には申しておきますけど、私ども、ことさら事を好んで争うわけじゃありませんけれども、やはりいままでの経験から見ましても、この二十五年の国総法のときにも私ども反対しておった。それが二十数年たって、今日、これに基づいて行なわれた開発が非常な弊害をもたらしたということはすでに明らかになっております。だから、その他新産都市法律とか、そういうようなものにも共産党だけ反対したというようなことをやってきました。これは何も異を立ててやるんじゃなくて、やはり一般国民の利益という立場から見て、これではいかぬと、そういう確信を持つからやってきたんだし、また、私は、私どもの反対した理由に根拠があったと思っておりますけれども、だから今度の場合でも、これ以上もうこまかいことは聞きませんけれども、いま聞いた四つの点についても、私は、やはり納得がいかない。そうして国総法案に意図されておったようなものがそのままやはり進行させられてしまうのじゃないかという非常に大きな危惧を持っておるということを申し上げて、私は、もうこれで質問終わります。
  79. 北側義一

    衆議院議員北側義一君) ちょっと一言申させてください。  まあ、春日さんそうおっしゃいますが、先般来の新聞で、この首都圏の東京と神奈川、千葉、埼玉、ここらの役所の方々はこの法律の早期成立を望んでおると、このような新聞発表もあるわけです。効果のないものであるならば、春日さんのおっしゃるようなものであるならば、早期成立を望まないわけなんですよ。やっぱり現実の証拠がこれ出てきておるのじゃないかと私は思っておる次第です。
  80. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) 最後に一言お願い申し上げておきたい。  私たち粗末な人間ですから、私たちのつくった法律案必ずしも万全なものであるとは考えておりません。大体において及第点数五十点以上をつけていただけますならば、たいへんしあわせだという考え方でこの法案作成を、おこがましい次第ですが、やったわけです。  過去においてはずいぶん議員立法もあります。政府提案法律もわれわれ議会で議決をいたしますが、議決しっぱなしで、こんなに厚くその法律があるわけでございます。この問題は、緊急な事態に適応してやるという法律であり、すぐに効果があらわれなくては困る法律でございます。そういう観点から、これから執行するまでの六カ月間——これを通していただきますと、執行するまでの六カ月間時間があります。その間政令作成をするわけでございます。それと法が執行されてからいろいろ問題点が出てくると思うんです。それで、私は、衆議院の建設委員会で、共産党の委員の方にもお願いしたんですが、反対したんだからあくまで反対だということでなしに、これから国民のためによりよき方向に持っていくための法律の施行にあたっては、もしいろんなお気づきの点等がございましたら、お話し合いをしていただいて、また改正をすると、そうしてできるだけ完全なものに持っていくようにしようではないかというお願いは、すでに理事会でいたしております。そういう点はお含みの上、この法律案に関する限りひとつ今後とも格別な御協力と御配慮をお願い申し上げておきたいと思います。
  81. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  春日君から委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。  この際、本修正案を議題といたします。  春日君から修正案の趣旨説明を願います。春日君。
  82. 春日正一

    春日正一君 私は、日本共産党を代表して、国土利用計画法案に対しその全部を修正する修正案を提出し、その趣旨説明するものであります。  修正案の朗読は省略さしていただきます。  今日における土地問題の根本は、大企業本位の高度成長とともに、大企業等による土地の買い占めがかつてなくはなはだしくなり、天井知らずの地価急騰が進み、国民の生活が脅かされていることであります。  そこで、国民の生活を守るための土地対策は、一つには大企業の土地の買い占め、土地投機を押えることであり、一つには国民のための生活用地、これには公共、個人の住宅用地、生活道路等の公共施設、学校等の公益的施設の用に供する用地、自然環境保全するために必要な土地を含むが、このような生活用地を確保して、国民の生活基盤を優先的に整備していくことであります。  この基本的立場から、日本共産党が提案する法案は「生活用地の確保、土地取引規制等に関する法律」であります。  この法案は、緊急措置として生活用地を確保するための先買い権及び大企業法人が保有する未利用地の買収の措置を講ずるとともに、一定規模以上の土地取引及び開発規制し、生活用地の確保、土地の適切な利用自然環境等の保全及び地価の安定をはかり、国民生活の安定に寄与することを目的とするものであります。  法案の要旨は次のとおりであります。第一は、国または地方公共団体による土地の先買いであり、市町村長は生活用地の確保のため、必要がある区域を生活用地予定区域に指定できるものとし、指定区域内においては、土地売買等の契約をしようとする者に対し届け出を義務づけ、また国や地方公共団体に対して買い取りの申し出ができるものとし、これらの届け出等があった土地のうち、生活用地に適しているものについては国や地方公共団体が買い取りの協議を行なうものとする。この協議期間を三年間とし、実際的な協議の成立をはかったのであります。第二は、大企業法人が保有する買い占め地の収用であります。本法においては、資本または出資の額が十億円以上の会社及びその系列会社、借り入れ金が三十億円をこえる会社、または相互会社を大企業法人とし、この大企業法人が高度成長政策がとられた昭和三十六年以降に取得し現に保有する土地で、未利用もしくはこれに準ずる状態にある土地を市町村土地委員会が調査し、その結果に基づいて国または地方公共団体が強制的に買い上げることができるようにしたのであります。この買収の対価は、土地の取得価格及び管理費を規準とする価額で、三十年以内に償還する国債または地方債をもって交付することにいたしました。  第三は、土地に関する権利移転の規制であります。市街化区域においては、二千平方メーター、調整区域においては四千平方メーター、その他の区域においては八千平方メーターをこえる土地売買など、ただし、地域状況によりその半分まで面積を引き下げることができる、これについては市町村長の許可を受けるものとし、市町村長は使用目的住宅及び業務用でないとき、土地利用計画に適合しないとき、周辺の環境保全及び文化財の保護上または公共的施設整備予定から見て不適当なとき、基準価格をこえている予定価格のときは許可をしないものとし、特に大企業法人については、本法施行後二年間は土地取得の原則的禁止と、きびしい許可基準によるものといたしました。不許可となった土地については国や地方公共団体が買い取ることといたしました。なお、土地価格が急激に上昇する地域については都道府県知事が地価抑制特別地域を指定することができるものとし、指定区域内においては基準価格が定められるまでの間標準価格をきめて土地売買の価格を指導し、その基準価格がきめられた後においては基準価格以内の取引であることの確認を義務づけることにいたしました。  第四は、開発行為規制であります。第三で述べた面積以上の土地開発については市町村長の許可を受けなければならないものとし、開発行為土地利用計画に適合しないとき、環境の保全及び文化財の保護上または公共的施設整備予定から見て不適正なものであるとき、災害防止の措置が講じられていないとき等は許可をしないものとしました。  第五に、土地委員会については別に法律で定めることにいたしますが、委員会は公選と任命の委員をもって構成することとしたのであります。  以上の基本に従い必要な監督規定、罰則その他の規定を設けるものであります。  以上によって、修正案の趣旨説明を終わります。
  83. 野々山一三

    委員長野々山一三君) ただいまの春日君の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。内田経済企画庁長官。
  84. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) ただいま春日先生から提出されました修正案につきましては、衆議院建設委員会提出の本法律案に基づく措置等により、その目的が達成されるものと思量され、また修正案においては新たに予算措置を必要とするものでありますので、政府といたしましては賛成いたしがたいと考えます。
  85. 野々山一三

    委員長野々山一三君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のある方は御発言を願います。
  86. 前川旦

    前川旦君 ただいまの修正案の提案者である春日委員に対して二、三の質問をいたします。  質問の第一は、修正案の第九条では、市町村が大企業法人の昭和三十六年以降に取得し、未利用で保有している土地生活用地に供するため強制的に買収することができることになっておりますが、生活用地確保の見地からすれば、大法人企業に限ったことは、ちょっと理解できないわけです。大企業の目に余る土地買い占め、これは何とか規制をしたいという思いは共通であります。同じであります一しかし、この大企業法人に限ったことがちょっと理解できないわけですね、対象を。個人の資産家が保有している土地対象に加えないと不公平を招く。これは不公平ということで憲法上の問題を生じるのではないだろうかと、そういう疑いがありますが、その点どのように御理解しておられますか。
  87. 春日正一

    春日正一君 この第九条の大企業法人の持っておる未利用地を買収するという規定は、先ほども、私、質問の中でも言いましたけれども、やはり特に大都市近郊において一番必要な有利な土地を買い占めて持っておるのが大企業法人であるし、また一番たくさん、しかも投機的な目的で買っておると、そういう意味で、やはりこの大企業法人の土地を優先的に提供させる、そういうことが必要だと思うし、特に大企業法人が最近行なった土地の大規模な買い占めというようなものは、前川委員も御承知のように、これは反社会的な性質というものを非常に大きく持っておると、そういう意味で、大企業法人の土地を提供させて、それで生活用地に供するということをわれわれ重視してこれを述べたわけであります。だから、もちろん個人の持っておる土地あるいは農民の土地というようなものも、これは生活用地に必要となれば提供しなければならないことは明らかでありますけれども、それはそれとして、特に大企業法人のそういう反社会的な行為による土地の取得、その結果としての土地の不足を解決するという意味で、この点を重視したわけであります。そして、この点では、先ほどの質問でも出ましたけれども、何ですか、宮城県の、去年かおととし、日本一の長者番付になったというような個人があるではないかという話もありますけれども、そういうものについての問題というのは、やはりこれから漏れる。しかも、それはこれと同じ性質のものじゃないかというようなものがあれば、さらに今後もそういう点は充実さしていきたいというふうに思います。
  88. 前川旦

    前川旦君 大企業の目に余る土地の買い占めを押えて、はき出させるということには大賛成なんです。これは一致しているわけなんですね。ですから、その点については意見の相違はないんですよ。そこのところはひとつ誤解なされぬように。ただ、この修正案では大企業だけに限っておりますね、そこが問題だということを言っているんですよ。たとえば、現在、企業による土地の買い占めというものは、大企業に限られているわけではないでしょう。このことは、もう春日委員もよく御承知のとおりです。中小企業によってもずいぶんこれは買い占められておりますね。それから、実際、たとえば不動産業界を見ると、大企業というのが少ない。むしろ資本金十億円以下の会社が大部分を占めていて、資本金十億円以下のこういう企業によって土地の買い占めが、ずいぶん行なわれている。こういう実情をやはり無視することはできないわけです。ですから、いま春日委員が言われましたように、それはそのときまでに充実していくというふうにおっしゃいますけれども、実効のあがる——先ほどから議論の中にいろいろありました、実効があがる大企業に対する土地の買い占めの規制とか、はき出しをさせる、実効のあがる運営ができるんであれば、あえて大企業だけと法律の中で限らなくても、実効があがればいいんではないか。大企業だけと限りますと、やはり矛盾が出てくる。個人の資産家もあれば、中小企業の買い占めもありますから。ですから、その点。しかも、この大企業の規定を見ますと、資本金十億円ですか、それから、また、借り入れ金が三十億円をこえる会社という規定があります。こういうふうに定義しておられますけれども、それじゃ、資本金が九億円なら大企業じゃないのかという問題も出てくるし、借り入れ金三十億円というと、借金ですから借りたり、貸したりしますわね。三十三億円借りておったり、二十八億円借りておったりします。そんなことがあって、実際に運営上もっと実効のあるやり方があるならば、あえてこういうふうに一つの範囲に区切らないで、全体に網をかけるようにしたほうが実効があがっていいんじゃないかというふうに思いますがね。その点を私はお尋ねしているんですから、その点の御答弁を願いたい。
  89. 春日正一

    春日正一君 先ほど小さな会社もあると言いましたけれども地方土地の買い占めをやっている小さな会社があります。室町産業なんというのは、何か私ども前に調べたら、部屋に電話一本しかない、そういうような会社がかなりな買い占めをやっておるというようなものがありますけれども、それについては、大企業から業務の執行もしくは存立について支配を受けている会社、つまり子会社、ダミーですね。そういうものも、のがさぬように規定して、目をこまかくしていく。それからもう一つの点は、一般の個人、そういうものもあります。たとえば勤労者でも、このインフレの中で、自分の財産を保全するために、ささやかな土地を買って持っておるとか、あるいはこの際幾らか金があるから買っておこうというようなことで、何百坪か買って持っておるというような人もあります。しかし、私ども、こういう大企業の資本にまかせてやる、この大きな資産を持っている大企業の土地の買い占めというようなものと、そういう土地を買う場合と、それから一般の農民であるとか、勤労者、中小企業者というような人たちの持っておる財産を公共のために買うという場合には、やはりその点の配慮をすることが必要だろうと。そういう意味で、特に私どもは大企業という問題を重視して、ここに規定しておるということです。
  90. 前川旦

    前川旦君 これは提案者にも御意見を伺いたいと思うんですが、いまの問題は。ですから、原案ですね、御提案になりました原案では、大企業に対する土地の買い占めや、あるいはそれをはき出させるということは効果的にできないのですか。私は、そうじゃないと思いますがね。その点で、先ほども法技術上の問題もいろいろと言われましたし、それから与党のほうも、法技術上の問題さえ解決すれば大企業ということをあれしてもかまわないけれども、というふうに考えたという御答弁もさっきあったように思いますから、その点を含めて提案者側のお考えを承りたいと思います。
  91. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) その点につきましては、私どもは、遊休地の措置ということで、実はこの法案に盛り込んでおるのでございます。  この遊休地につきましては、知事が認定する場合と、市町村長が知事に申し出て認定する場合がございます。そして、その認定をされますというと、この土地につきまして買い取り協議をすることが——地方団体あるいはまた公社、公団等に買い取り権を渡します。そして協議するわけでありますが、協議がととなわなかった場合は、今度は土地収用法が適用するように、すなわち学校あるいはまた住宅用地として都市計画法等の措置を講じまして、続いて土地収用法でこれが収用できるという方法を講じておりますので、未利用——共産党さんのおっしゃる大企業法人のみにかかわらず、遊休土地につきましては、これは私はできると思っております。実効はあがるものと思っております。ただ、農民がずっと持っておる土地、これらを遊休土地として指定することはできないような規定にもこれはしてございますので、特に買い占めを目的といたしました投機的取引をやっております土地につきましては、十分に実効があがると、私どもは確信をいたしておる次第でございます。
  92. 前川旦

    前川旦君 それでは、修正案の第十七条では、法律の施行後二年間、大企業法人の一定規模以上の土地取得を禁止するとなっておりますが、この点についても、必ずしも大企業法人に限らないでいいんだろうと思いますが、ことに大企業法人というふうに限ったのは、一体どういう理由なんでしょうか。必ずしもこれに限る必要はないと思うのですがね、いろいろありますから。これは大企業だけでなくて、いろいろありますから、実際に。
  93. 春日正一

    春日正一君 その御質問に答える前に、いま井上議員のほうから原案についてという説明がありましたけれども、私ども、なぜこれに賛成しないで、こういう修正を出したかという点ですけれども、遊休土地の指定を受けたときは六週間以内にその土地利用、処分に関する計画を出せと。そしてその計画に対して助言もし、さらに勧告もし、そしてそれにも従わないというような状況で買い取り協議をやって、六週間ということですね、それで六週間で買い取り協議ができなければどうなるかということですよ。そしてこの買い取り協議が不調の場合は、都市計画決定をして、土地収用法の手続をするということになると、これは非常に長い時間がかかるのですね。そしてその間にどうにでも抜けられていってしまう。そういうことをさせないためには、この修正案で出しておるような手続で買い取りをやるということが必要だろうというふうに思うのですよ。これは前川委員もわかっていただけると思うんですがね。大企業というのは、何年も時間があればそれは抜けますよ。だから、そうさせないということを私どもは配慮している。  それから第十七条の大企業法人の土地の取得の制限、施行後二年間は、一定面積をこえての土地の権利を取得してはならぬということを規定しておるわけですけれども、これはやはり土地の値上がりというものが、去年が三〇%ですか、ことしの一月一日現在で三三%か、四%か、かなり一年間で大きな値上がりをしております。だから、そういうものを押えるという意味で、特に大量の土地を買う、こういう大企業の土地の買いあさりというようなものをやはり一定期間禁止するということによって土地の値上がりも防げるし、あるいは大企業がさらにいままでのように不当な買い占めを続けるというようなことも防げる、そういう立場からこの規定を置く必要がある、こう考えたわけです。
  94. 前川旦

    前川旦君 この点は提案者からも御意見を伺いたいと思いますが、春日委員、私は、大企業だけに区切るという、対象を限るということは非常に公平を欠くと思うのです。ですから、全体ということになると、全部禁止、全部ということになると、これはまたややこしい話になりますから、ですから、どうもこの公平を欠くという点で、やはり憲法上の問題を、好むと好まざるとにかかわらず、現行憲法は存在するんですから、やはり抵触するように思います。ですから、この公平を欠くということじゃなくて、特定のもの——気持ちはわかりますけれどもね、やっぱり法律執行上問題になるんじゃないだろうか、そう思うのですよ。その点、提案者のほうの御意見はいかがですか。
  95. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) 先ほど来申し上げましたように、これを出されたときいろいろ議論したんでありますが、買い占めというものは、まず何を一体めどとしてきめるのか。いろいろ品物ですと、個々の数や数量その他によって買い占めするというワクをきめることができると思いますが、土地の場合は、一体日本全国を買えば買い占めというのか、都道府県一つ買ってしまえば買い占めというのか、市町村一つ買えば買い占めというのか、一体、一反歩買えば買い占めというのか、三百坪買えば買い占めというのか、それは法律的に書くことが非常に困難であるという、私はそういう見解を持ちまして、共産党さんにこの問題をお聞きしたんですが、答弁は得られなかったわけであります。  それと、もう一つは、先ほど前川先生から御質問の中であったように、十億の会社のものが悪くて九億八千万、九億九千万の会社はいいとか、三十億借りている会社は悪くて、二十九億五千万借りている会社はいいというような不公平な法律は、われわれの常識ではできない。共産党さんの常識では全部もうできるのでしょう。それは全部禁止もできるのだろうと思いますが、基本的な考え方からいけば、われわれの常識ではできないという考え方で、この問題、われわれ最初からはずしたわけでございますので、その点御了解願いたいと思います。
  96. 渡辺武三

    衆議院議員(渡辺武三君) 問題は二つに分かれておると思います。つまり遊休土地に指定をして、それを処分するまでの期間が非常に長過ぎるのではないか、それでは実効があがらぬではないかという点と、大企業の土地取得の禁止の問題。御承知のように、現在の憲法の私有財産制下にあって、いやしくも国民の財産を制約するわけでございますから、そう簡単にやってしまうわけにはいかぬ。したがって、二段、三段のきわめて慎重な態度でその財産権の制約ということをわれわれは考えておるわけでございます。  それから第二段目の土地の買い占め禁止の問題は、土地が買い占められるのは一体何であろうかというふうに考えていけば、これは土地を買い占めて、きわめて投機的な商品として利潤をむさぼる、こういう行為がついておるわけでございます。したがって、われわれは、特定なものの土地の取得を禁止するよりも、そのような行為が起こらないような、いわば利潤をむさぼれないような方向、こういうことをとることによってその土地の買い占めという行為がなくなってしまうであろう、こういうふうに考えたわけでございまして、御承知のように、この法律案の中では、土地をまず投機的な商品から除外をしてしまおう、こういう基本的な考え方が各所に流れておるはずでございます。そうすれば何百億、何千億というような、あるいは何十億というような大資本を投下をして、もうかりもしない土地の買い占めということが行為的に行なわれなくなってくる、そんなことをするならば、銀行へ預けておいたほうがまだ利息上もうかるわけでございますから、少なくとも地価が凍結をされてしまって、そうしてさらに五年間凍結をされ、必要があればさらに五年間延長されていく、再指定がされていくということになれば、これはその間税金はどんどん取られていきますから、土地を取得をいたしておりましても、決してこれは利潤に結びつかないんです。利潤に結びつかない商行為というものがはたして行なわれるであろうかと、こういうふうに考えていけば、これからは、もちろん土地を必要とする、自分自身が利用をするという立場での買収というのは当然あり得るでしょうけれども土地を買い占めてそれを分割して販買をしていこうという商行為はなくなっていくであろう。そのためには利潤をむさぼれないような方向の制約を加えることによってその目的が達成することができると、こういうふうに考えておるわけでございます。
  97. 春日正一

    春日正一君 いま、いわゆる買い占めってどういうことを買い占めというのだという反問がありましたけれども土地の買い占めと一がいに言われておることは、日本国じゅう買い占めたとか、一村買い占めたとかという意味ではなくて、たとえば投機を目的として広大な土地を買って、それをかかえて、そうしてそれで利益をあげる、たとえば関東でも、ある会社のごときは、いまのテンポで売っていけば三十二年分かかるだけの土地を買い込んでおるというような状況ですね。しかも、それが値上がりを予測をして、ちびちび出しているというようなものを私どもは買い占めと言っておるのです。この点は、一般に世間で言われている土地の買い占めというのは、そういう意味に理解されているんじゃないだろうかと思っていますけれども、もし違っていましたら、共産党の買い占めというのはそういうものを買い占めというふうに言っておるのだというふうに御理解願いたい。
  98. 前川旦

    前川旦君 常識的に買い占めとかというのはよくわかるのですよ。しかし、文章を法律としてやる場合には非常にむずかしいと言うのです。ですから、売り惜しみ、買い占め、これは不動産じゃなくて動くものの買い占め防止の法律ありますね。あれでも、これは別に売り惜しみでない、買い占めじゃない、これは正当なランニングストックだと、それじゃややこしくなってくるから、ですから、なかなか法律の技術上は、常識的にはよくわかるけれども、常識とまた技術上のものといろいろありますから、その点での私は疑問を実は持っておるので、これは幾ら議論しても先へ進みませんから次にいきますが、修正案では、生活用地の確保のため土地の先買い協議権について規定しております。これら生活用地の確保のために必要があれば、公有地拡大推進法という法律を使えば公共用地の先行取得ができるはずなんです。この運用で十分対処できると思いますが、その点について特にこれを規定しなければいけないという理由がよくわかりませんが、その点についていかがですか。——第六条です、買い取りの協議。
  99. 春日正一

    春日正一君 買い取りの問題では、いま前川委員の言われた法律では、協議期間が非常に短い、しかも、協議が不調ならほかの手続ということなんで、だから、それではぐあいが悪いので、こういうふうな買い取りの規定というのを特に設けて買い取りをやるようにしたということです。
  100. 前川旦

    前川旦君 提案者の御意見をちょっと。
  101. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) たしかあれは期間は五週間でございまして、こちらのほうは、共産党さんの案は、時間が長ければできるというような買い取り請求、先買い権の問題は、私は、どうもいま春日先生のおっしゃった意味が十分わかりかねます。私どもは、この先買い権は公有地拡大推進法で十分できるのだと思っております。ただ、この問題につきまして、私も衆議院の地方行政委員会でこの問題を論議しました。その際に、財政措置を市町村にこれはとってやらなければ実効があがらないのじゃないかということを強く申したのでございますが、案の定、その財政措置の面で国が十分いま行なっておりませんので、先買い権があまり行使されていないというのが実情じゃないかと思います。さらにはまた、御承知のように、土地を持っておりさえすればどんどんどんどんと上がりますので、先買い権を行使しようと思いましても、やはりじっと持っておるほうが得だという考え方からこの先買い権がなかなか地方自治体で現在では行使できないのではなかろうかと、このように考えておるところでございます。
  102. 前川旦

    前川旦君 それは非常に大きな問題ではありませんから、春日委員、先に行かしてもらいます。大もとの問題じゃありませんから、いまの質問は。  修正案では、土地取引規制のための取引の許可の対象一定規模以上の取引に限定をしているようでありますが、これもたびたび議論の中でありました。一定規模以上に限定するというのは、答弁の中で井上理事からいろいろありましたが、二百坪であれば——このごろは坪ということばを使ったらいかぬのですが、百九十九坪以下ならいいかということになって、脱法行為を進めるばかりじゃないか、実効があがらないんじゃないか、こういうような論議もありました。この辺、かえって脱法行為を増大させるということになると逆効果になると思いますが、特に土地取引の許可の対象一定規模以上に限定をなさった理由、いろいろ論議の中で出てきましたが、なおそれを主張されております理由は、どういうことなんでしょうか。
  103. 春日正一

    春日正一君 やはりこれ無限定に、自分の家を建てるために四十坪の土地を買うとかなんとかいうようなものまで一々規制するということでは適当でないので、やはりここに規定したような市街化区域で二千平米あるいは都市計画区域では四千平米というような形の限度を設けて、それ以上のものを規制するというようにしたわけです。
  104. 前川旦

    前川旦君 土地は、春日委員、分筆することができますから、そういう点では一定規模以上というふうにきめましても、なかなか実効があがらないんじゃなかろうか。簡単に分筆できます、割っていけますから。その点で私は疑問に思うんですが、時間の関係もございますので次へまいります。  各種の土地規制措置、この基本になるべき土地利用計画、この内容については、この修正案で「別に法律で定める。」ということになっているようです。しかし、規制をする限り、やはり基本となる計画があらかじめないと、一体となっていないと、これは規制ということに合理性がない。したがって、別の法律にまかせるということは不適当なことであって、やはり一つ規制をするということを規定した法律の中にその基本となる土地利用計画というものをやはりぴしっと入れておかないと法律としておかしいんじゃないだろうか、かっこうがつかないんじゃないだろうかというように私は思うんですけれども、この点について提案者の御意見も伺っておきたいと思います。
  105. 春日正一

    春日正一君 先ほどの面積の規制の問題ですね、これを分筆してやるというような問題については、一団の土地として同じ人が買うなら、これを規制するというような点ははっきりさせる必要がある。  それから、いまの土地利用計画みたいなものがなければぐあいが悪いので、その点は別に定めるとしたのは、私ども、いま緊急に必要なものとして生活用地の確保、それから土地取引規制ということが必要なんで、それに限ったというのは、先ほど来の質問でも問題になりましたけれども土地利用計画とか、そういったようなものについての法律というものは非常にたくさんあるわけですね。そうして、こういうものを含めて全体としてそれではどういう規定にしていくかということになれば、先ほど私が最初に聞いたように、この原案のいわゆる国土利用計画国総法にいう総合開発計画と、これどういう関係になるのだというようなことで、あっちも生きてる、こっちも生きてるみたいなことになってしまう。そういうふうなことで、いま非常に必要としておる地方公共団体あるいは個人が求めておる生活用地の確保あるいは土地の値上がりの防止というようなことに限って、早いとこ法律をつくって、現状のこの法律のもとでも適用できるようにするし、また、そういう状況の中で、これに照応するような計画はもっと時間をかけてつくる必要があるだろうと、そういうことです。これを全部土地総合開発計画としてまとめて出そうということになると、これは非常にたいへんな時間と努力がかかるし、緊急の間には合わぬだろう。私どもは、第二次土地改革の計画ということで、国土計画全体についてのもっと基本的な政策を持っておりますけれども、いまこの場合の論議では、土地の値上がりと、それから公共用地の確保、そういうことが緊急という立場でこういう限定した法律案を出した、そういうことです。
  106. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 利用計画がなくては規制はなかなか加えられないと私は思います。でございますので、共産党さんの案によりましても、第四章で土地に関する権利の移転等の規制をやっております。この許可基準の中にも、第二十条の第三号で、土地利用目的が、国または地方公共団体土地利用に関する計画に適合しなければならないということをはっきり書いてございます。そうしますと、また、別法で定めることになりますと、どうもそこにこの法律案全体が欠陥法案だと言われてもやむを得ない結果ではなかろうかと私は思うのでございます。  さらにまた、この三十一条に開発行為規制についてやはり同じようなことがございます。これは三十一条の第一号に、「申請に係る開発行為が、国又は地方公共団体土地利用に関する計画に適合しないこと。」、この土地には開発行為をともかく許可してはならないということになるのでございます。そういたしますと、先ほど来春日先生がおっしゃっております計画と、いまあります計画といいますものは、二十五年国総法、まあ、これには共産党の議員さんも審議会の委員として参加されておるようでございますが、それらの一連の計画にともかく適合しなければ、これは開発行為は許可しちゃならないということになりますので、春日先生が先ほど来言われておるのと、どうもこう矛盾いたしてくるような感がいたしてなりません。それよりも、私どもは、新しく土地利用計画というものをつくって、この基本計画の中で土地の売買規制等々をやっていくのがこれが法秩序、ともかく法律体系としてはそうあるべきじゃなかろうかと、このように考える次第でございます。
  107. 前川旦

    前川旦君 修正案と私どもの考え方との違いが明らかに——評価は別として、どう違うかということがだんだんと出てまいっておりますので、私は次へまいりたいと思いますが、修正案の第五章に規定しております開発行為の許可制度、これは都市計画による開発行為規制措置というものがありますね。こういうほかの法律にもいろいろな規制措置が載っております。これがどういうふうな関連に立つのか。それから自然環境保全法とか、いろいろの開発規制関係法律がたくさんありますが、それらの各法との関係が規定されておりませんけれども、普通、法律案として出る場合には、他の関連する法律案との、何といいますか、関係がいろいろ規定されてないといけないわけですね。その点について、この修正案の法律としての組み立てで若干疑義がございますし、不備な点ではないかと思いますが、その点についての御意見、いかがですか。
  108. 春日正一

    春日正一君 いまの御質問で、この開発規制について、ほかにもいわゆる開発規制する法律、そういうようなものがあると、それとの関係はどうかという御質問だったと思いますけれども、私どもの考えでは、他にそういうものがある場合に、こちらを優先さしていくと。先ほどどなたか言いましたけれども、新しい法律が優先すると言われたけど、優先さしていくと、そういう意味では、ここのところは少し荒いところもありまして、もう少し規定をこまかくしていく必要はあると思うんですけれども、考え方としてはそういう考え方です。
  109. 前川旦

    前川旦君 それでは、春日さん率直におっしゃいましたが、いろいろの違いも明らかになりましたし、時間の制限もございますので、私は質問を終わりたいと思います。  ただ、法律は幾らできましても、たとえば規制についてもたくさんの法律がございますが、結局は、それに取り組む為政者の姿勢によって生きもし死にもするわけでありますから、その点もひとつ、この条文とかばっかりを私も質問したくないし、また、問題は、法律よりもその姿勢であるという観点から、あえて修正案を春日委員が特に出さなければいけないほどのことも私は考えられたいという思いが実は強いんです。しかし、それは平行線となるかと存じますので、この辺で質問を終わらせていただきたいと思います。
  110. 沢田政治

    沢田政治君 各党とも、今後こういう重要問題について、修正案を出される機会もあると思うし、出されることはけっこうだと思いますが、きょうの委員会では、あらかじめ議事の進め方が理事会でお話し合いになられておるようですから、私は、その変更は求めませんが、今後の運営について委員長に望みたいことは、他の党の修正案については、やはりある程度の相違点を明らかにしなければ、一方的な宣伝はだれもしておると思いませんが、みずからの所信を修正に託していると思いますが、国民のやはり判断のために、与党と野党だけじゃなく、他の党間の相違というのも明らかにする必要があると思います。そのためには、やはり他の党の、何党でもいいから、修正案の場合、お互いに議員同士で切磋琢磨する意味で、こういう問題に対する修正の提案に対する質疑を、政府提案とか、委員提案ばかりじゃなく、こういう時間を今後は大きくとってほしいものだということを要望しておきます。
  111. 野々山一三

    委員長野々山一三君) この際、私から若干の所見を申し述べたいと思います。  本案審議にあたりまして、修正案が提出されましたのは、この委員会が開会される五分前でございます。したがいまして、修正案に対する質疑そのものも十を得ません。前川委員から、衆議院から回付されました法律案に対する相違点などのごく一部だけが審議されたようでございます。この点は、沢田委員から指摘されると同時に、また、提起をされましたようにフリートーキングをするなどして、議員立法というものの本質が生きるように運営されることは、それぞれ衆参両院議員の立場上、当然のことのように考えますので、御指摘されました意思を体しまして今後運営をいたしたいと、各会派ともに御協力をいただきたいものだと、こう申し上げておきたいと思います。  他に御発言もないようですから、修正案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより原案並びに修正案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  112. 春日正一

    春日正一君 私は、日本共産党を代表して、国土利用計画法案に対し、反対の討論を行なうものであります。  反対理由の第一は、この国土利用計画法案は、提案者の開発は切り離したとの説明にもかかわらず、政府提案国土総合開発法案と本質において何ら変わりなく、大企業本位の日本列島改造を推進する強制手段を法制化するものとなるからであります。そのことは、開発基本法である現行国総法が依然として存続し、これに対して何らの開発規制も規定せず、新全国総合開発計画国土開発に関する諸法、諸計画が、上からつくられる国土利用計画土地利用基本計画と一体のものとなって矛盾なく運用できるようになっていることを見ても明らかであります。特に、土地取引を許可制とする規制区域が、国総法案の大規模工業基地や高速自動車国道の建設をするものとして批判されてきた特定総合開発地域を削除したことにより、もっぱら国民のための生活用地や公共用地の確保に役立てるものであるかのように説明されながら、実は土地投機や地価の急激な上昇を口実として、こうした日本列島改造の大規模開発事業に役立てられる危険性を持つものであることは、本委員会の審議を通じても明らかであります。そして農民など、零細な土地所有者が、こうした新たな強制の犠牲とされることもまた明白であります。このような大企業本位の開発規制こそ目下の急務であります。  反対理由の第二は、この国土利用計画法案では、今日、国民の世論となっている大企業の土地投機を取り締まり、住宅、学校、保育所、公園などの生活用地を確保することができる保証がないからであります。言うまでもなく、今日の深刻な土地問題は、大企業が目に余る土地の買い占めを行ない、地価を高騰させ、そのため、多くの国民は住宅難に苦しみ、劣悪な居住地に閉じ込められ、まさに憲法第二十五条に保障されている生活権が侵害されているところにあります。したがって、地方自治体や国が、すでに買い占められている大企業の土地を国民の要望に応じて必要な生活用地を確保するために、法的強制力をもって買収するとともに、大企業の新たな買い占めを禁止することこそ土地問題解決のかぎであります。しかし、この法案では買い占め地の自治体による買収は、最終的には都市計画法などの現行法によって行なうというものであり、現行法を少しも出ていないのであります。また、地方自治体の先買い権の強化もなければ国からの財源の保障もありません。これらの措置は、大企業の新たな土地買い占めの禁止とともにわが党の提案しているように、立法化することは可能なものであります。  修正案を提出する第三の理由は、この国土利用計画法案が民主主義を否定し、地方自治を侵害するものとなっているからであります。それは、住民に最も身近な市町村でその地域の歴史、自然、地域社会の状況等に立脚して計画されなければならない土地利用についての市町村計画都道府県計画等を国のつくる全国計画基本として、上から作成する体系をとっていることから見ても明白であります。  また、提案者の、住民参加を保障したとの説明にもかかわらず、わずかに公聴会を規定するだけで、その具体的な保障もないのであります。  特に、国総法案で一番問題となった規制区域に対する内閣総理大臣の指示権、代執行権がそのまま残されただけでなく、国の立場からの「適正かつ合理的な土地利用」を口実として、高速自動車国道、新幹線、大規模工業基地の建設に役立ち得るものとされていることは、地方自治破壊の最たるものであります。このような総理大臣の指示権、代執行権を規定することは、地方自治法で裁判の介入を求めて慎重に定めている職務執行命令訴訟制度を空洞化するものであり、憲法の趣旨にも反するものであります。  わが党は、以上の理由によって国土利用計画法案に反対するものであります。
  113. 前川旦

    前川旦君 私は、日本社会党を代表して、春日正一君提出の修正案に反対をし、衆議院提出国土利用計画法案に賛成をするものであります。  賛成の理由でありますが、大企業等の土地の買い占めによりまして地価がたいへん高騰しております。このことは、ひとしくわれわれが胸を痛めているところであります。したがいまして、何らかの規制をして大企業の土地の買い占めをやめさせ、あるいは持っている土地をはき出させて、そしてそれを国民の生活の安定に回すということは、もう当然のことであります。したがって、その目的を果たすための現在できる最大の知恵を働かせて、英知を持ち寄って、この規制法律をつくるというこのたびのこの立法に対して、私は、まずその姿勢が非常に画期的なことであり、国民の期待に十分沿うものであると思います。  ただ、法律をいざつくるとなりますと、立法技術上の問題がいろいろ出てまいります。したがいまして、常識的に考えられることでも、いざ条文となりますと、いろいろ法技術上の問題も出てまいります。しかし、そういう中で最大限に努力をしたあとが原案には十分にうかがわれるわけであります。  ところで、春日委員からの修正案でありますが、大企業のこの横暴を押えるという趣旨は、よく私も理解ができるわけであります。しかし、先ほどからの質問の中ですでに述べましたので、重複を避けますが、やはり立法技術上の問題で、あるいは憲法に抵触するのではないかという疑問も出てまいりますし、それから不備な点もかなりあると思います。したがいまして、春日委員が考えておられるようなことは、この現在の原案でも十分に行なえる。しかも、先ほど申しましたように、幾ら法ができましても、運営する人の姿勢いかんによって生きたり死んだりするわけであります。したがいまして、このたびの原案も運営のよろしきを得れば、先ほどの春日委員の討論の御発言の中にありましたような御心配は一切なくなるのではないだろうか、そういう運営も可能であろうと思います。  そういう意味から、私は、あえてここで修正案を出されました春日委員には申しわけございませんけれども、この修正案には賛成をすることができません。原案に賛成するものであることを明らかにいたしまして、原案に賛成、修正案反対の討論といたします。
  114. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、春日君提出の修正案を問題に供します。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  115. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 少数と認めます。よって、春日君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  116. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  118. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 工業配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案並びに都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  まず、総理府総務長官並びに建設大臣から趣旨説明を聴取いたします。小坂総理府総務長官。
  119. 小坂徳三郎

    ○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいま議題となりました工業配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  人口及び産業の大都市地域への過度の集中により生じた環境の悪化や土地利用の混乱等の弊害を是正し、豊かで住みよい地域社会を形成していくためには、大都市人口及び産業地方へ分散するとともに、地方の総合的な開発整備を進め、国土の均衡ある発展をはかることが肝要であります。  このためには、工業活動、学園、流通業務等の計画的な誘導と相まって健全な地方都市を先行的に整備育成し、また、環境の保全に留意しつつ地域開発発展の核となる総合的かつ大規模な事業を適切に実施していく必要があります。  これらの事業は、総合的計画のもとに一体的に実施すべきものであり、高度の技術、有機的な施行体制、大量の資金等を必要といたしますので、これを積極的に推進していくためには、各行政機関、地方公共団体、既存の公団等のほかに、これを専門の業務とする新たな機構を整備する必要があります。  一方、国土総合開発のための重要な施策である工業配置の業務を行なう機関として、すでに工業配置・産炭地域振興公団が設置されております。地方都市開発整備等の業務は、その目的、事業の内容から見て工業配置の業務と密接な関連を有することを勘案しますと、両者をあわせ行なわせることが、国土総合開発を効果的に推進するための最善の方途と考えられます。このため、現在の工業配置・産炭地域振興公団を改組拡充して国土総合開発公団を設置することとしたのであります。  以上が、本法案提案した理由であります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明いたします。  第一に、工業配置・産炭地域振興公団を改組拡充し、その名称を国土総合開発公団に改めることとしております。  第二に、国土総合開発公団の目的及び業務の改正であります。国土総合開発公団は、大都市からの人口及び産業地方分散と地域開発発展をはかり、及び石炭鉱業の不況により特に疲弊の著しい産炭地域における鉱工業等計画的な発展をはかるため、従来の工業配置の促進及び産炭地域の振興に必要な業務のほか、新たに次の業務を行なうこととしております。  すなわち、人口及び産業が過度に集中している大都市及びその周辺地域以外の地域において、地域社会の中心としてふさわしい都市開発整備のため必要な宅地の造成、これと関連する利便施設及び公共施設整備等に関する業務を行なうほか、総合的かつ計画的に実施すべき特定地域開発整備のための大規模な事業の施行に関する業務等を行なうこととしております。  第三に、これらの新しい業務の実施につきましては、地方自治体の意思を尊重する見地から、公団は地方公共団体の要請を待って行なうものとし、さらにその業務を行なおうとするときは、事業実施基本計画作成し、関係地方公共団体の長に協議するとともに、内閣総理大臣及び主務大臣の認可を受けなければならないものとしております。  第四に、公団の経理について、地方都市開発整備等業務、工業配置業務及び産炭地域振興業務を区分し、それぞれ勘定を設けて整理することとするほか、業務内容の拡充、強化に応じて役員の増員をはかる等公団の業務実施体制の整備を行なうこととしております。  第五に、公団の監督については、一般管理業務に関しては原則として内閣総理大臣がその任に当たることとするとともに、事業の実施に関しては、その内容に応じて、通商産業大臣、建設大臣等がその任に当たることとし、内閣総理大臣は、その権限の一部を国土総合開発長官に委任することができることとしております。  第六に、公団は、現在日本住宅公団が行なっております筑波研究学園都市建設事業を引き継いで行なうこととし、所要の規定を設けております。  最後に、この法律は、公布の日から起算して六カ月以内に施行することとしております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださるようお願いいたします。
  120. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 亀岡建設大臣。
  121. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) ただいま議題となりました都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  近年、わが国においては、全国的な乱開発が進行しており、特に都市地域につきましては、地方の中小都市地域も含め、生活環境が一そう悪化し、計画的な市街地の開発が著しく阻害されております。このような現状にかんがみ、開発行為の適正化をはかり、良好な都市環境を確保するとともに、大規模ないわゆる面開発事業の施行の円滑化をはかることが強く要請されるに至っております。  このため、開発許可の対象区域の拡大、許可基準整備現行開発許可制度を拡充強化し、また、新たに市街地開発事業等予定区域を創設するとともに、工業専用地域における建蔽率の強化等の措置を講ずることが必要であると考えた次第であります。  以上がこの法律案を提出する理由でありますが、次にこの法律案の要旨について御説明申し上げます。  まず、都市計画法の改正についてであります。  第一に、開発許可制度を拡充強化することといたしました。  すなわち、市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画が定められていない都市計画区域についても開発許可制度を適用することといたしております。  次いで、コンクリートプラント、ゴルフコース等の一定の工作物の建設を目的とする開発行為についても開発許可の対象に加えることといたしております。  さらに、開発許可の基準として、樹木の保存、表土の保全等の措置が講ぜられていること及び騒音等による環境の悪化を防止するための緑地帯等が配置されていることを加えることといたしております。  第二に、市街地開発事業等予定区域の制度を創設することといたしました。すなわち、新住宅市街地開発事業等の開発事業については、現行都市計画の決定に先立って、区域、施行予定者等を内容とする予定区域に関する都市計画を定めることができることといたしました。また、予定区域に関する都市計画を定めた場合には、その後三年以内に、施行区域、区域内の公共施設配置、宅地の利用計画等を内容とする都市計画の決定を、さらに、この都市計画の決定後二年以内に都市計画事業の認可等の申請をしなければならないことといたしております。  そして、その間は、建築物の建築その他の行為を都道府県知事の許可にかからしめるとともに、予定区域内の土地所有者には買い取り請求権を付与する等の措置を講ずることといたしております。  次に建築基準法の改正についてであります。  第一に、工業専用地域における建蔽率につきましては、従来一律に十分の六であったのを十分の三、十分の四、十分の五、十分の六の四つに分けることといたしました。  第二に、製造施設等の一定の工作物について用途地域制度を適用することとし、このため建築主事の確認を要することといたしました。  なお、この法律は公布の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行することといたしました。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  122. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 本案につきましては、衆議院において修正が加えられておりますので、この際、衆議院における修正部分について衆議院建設委員長木村武雄君から説明を聴取いたします。木村委員長
  123. 木村武雄

    衆議院議員(木村武雄君) ただいま議題となりました両案に対する修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、主業再配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案に対する修正について申し上げます。  本修正の第一は、改組、拡充後の公団の目的、業務等をより適確にあらわすため、その名称国土総合開発公団を地域振興整備公団に改めることといたしております。  第二は、筑波研究学園都市建設事業の進捗状況にかんがみ、改組、拡充後の公団が同事業を日本住宅公団から引き継ぐこととしている点を改め、同事業は引き続き日本住宅公団に施行させることといたしております。  その他所要の規定の整備を行うことといたしております。  次に、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対する修正について申し上げます。  本修正は、市街化区域及び市街化調整区域の線引きが、道路等を境界としているものが多い関係上、市街化区域に隣接し、または近接し、かつ、市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であっても、市街化調整区域に編入されている事情等を考慮し、一定の要件に該当する市街化調整区域の地域内にあって、線引きの際、既成宅地であった旨の都道府県知事の確認を受けた土地において行う建築物の新築などは、都道府県知事の許可を要しないこととしておるのでありますが、なお不正の手段により都道府県知事の確認を受けた者に対しては、監督処分の規定を適用することといたしております。  以上が両案に対する修正の趣旨でありますが、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  124. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 両案に対する質疑は後日に譲ります。  午後三時まで休憩をいたします。    午後一時四十九分休憩      —————・—————    午後三時二十分開会
  125. 野々山一三

    委員長野々山一三君) これより委員会を再開いたします。  生産緑地法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  126. 沢田政治

    沢田政治君 生産緑地法案目的は、法律案に書いてありますが、目的とその政策的な一つの求め方、この点についてはこまかく聞きますが、どういう経緯でこの生産緑地法案が出てきたのか、その背景、これを原案を作成した都市局がどういう背景のもとにこれを出してきたか、まずその点をお伺いしたいと思う。
  127. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 都市計画に生産緑地というような一種の地域地区というものを考えて、そういった形での保全というものもはかっていきたいという考えは遠く戦前からあったわけでございますが、今回、この法案を提出いたしました直接のきっかけは、昨年の国会におきまして、本委員会におきましても、緑地保全法の御審議の際、附帯決議がなされ、生産緑地の制度の法制化ということの御要請がありまして、また、地方行政委員会におきましても、衆参ともにこれは地方税法の改正の附帯決議として、都市計画としての生産緑地を制度化することを検討せよという御趣旨のことがあったわけでございます。そういう附帯決議の趣旨にあわし、かつまた多年の懸案であった都市計画法体系に生産緑地なるものを取り入れるということをぜひ実現したいと考えたのがこの経緯でございまして、内容は、法案にあるとおりでございますが、結局、市街化区域が非常に住宅宅地の供給源として貴重な土地ではありますけれども、それにしても、すべて建物でおおい尽くすというものでもあるまい、やはり一定規模の緑地というものが存在しなければならないし、それが正規の都市施設としての公園緑地だけで確保できるわけのものでもない。これを補なうものとして緑地保全法を整理させていただきましたが、これも指定要件がかなり限られまして、樹林地等を中心とした良好な景観を呈するところという、特定された範囲のものでありまして、農地等を中心とした生産されながらの緑地というものがどうもどこにも入らない。それを都市計画の制度として位置づけ、その保全をはかりつつ将来の公共用地にも使えるような、そういう位置づけを与えて、そして附帯決議の趣旨にも沿うような形、また、地方税法の御論議の際に数々の方から言われました市街化区域内における農地としての保全のあり方というものにもおこたえできるのではないかと、こう考えたわけでございます。
  128. 沢田政治

    沢田政治君 前国会だったと思いますが、当委員会において都市緑地保全法ですか、あの審議の際にも議論が出たことは事実であります。同僚議員の竹内さんのほうから、ただ単に都市の緑地保全、緑化協定こういうことじゃなく、生産緑地があるじゃないか、これもやはり制度化して都市計画のうちに組み込むべきじゃないかと、こういう議論があって当委員会の附帯決議になったことも事実ですが、ただ、法案を見まして、何といいますか、農業というものの位置づけ方が非常に不明確だ、こういう観点に立って農業サイドに立つならば、相当の強い不満、疑念、こういうものがあろうことは、これは事実であります。したがって、お聞きしたいのは、そこに山があるからじゃなく、そこに農地があるから、これを組み入れでやろう、あわせてそれを利用して都市環境というものをよくしてやろう、こういう観点から出た法律なのか、あるいは生産緑地というものは、都市においては、単なる生活環境という観点ではなく、生鮮な野菜を供給する、こういう意味から農業サイドに立っても一つの位置づけとしてしようという観点なのか、非常に不明確なわけであります。私は、まあ即断するわけじゃありませんが、どうも私が主張した、指摘した前者であって、そこに農地があるからこれを利用してやろう、こういうことだけであって、都市農業という位置づけがこの中にない、こういう私は見方をするわけであります。そうでありますから、当然農民サイド、これは農振地域であろうが、あるいは市街化区域であろうが、農業というものをなりわいにして生計を維持しておる者はこれは同じなんですよ、農民サイドに立つならば。ところが、農振地域では数々の行政的な保護が加えられる、ときたまたま役所に一方的に市街化区域というなわ張りをされたために、そこに若干の阻害をされた、しかも、この法案の中では位置づけが明確でない、これに対する不満というのが出てくるのは当然だと思うわけであります。でありますから、この法案の持つ内容というものは、一体、ただ単に、先ほど申しましたように、そこに農地があるから、都市環境上自然というものを少しでも取り入れてやろうと、利用してやろうという観点なのか、農業本来が持つ人口集中地域にいろいろなものを供給していくという、農業サイドの目的というものも織り込んでおるのか、織り込んでおるとするならば、まあ、これを比率であらわせといってもなかなか出てこないと思いますが、どういう位置づけになっておるのか、その付近がどうもわからぬわけでありますから、具体的な質問に入りにくいわけであります。いかがですか。
  129. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 沢田委員のお考えになっておられる点、私も身にしみて感ずるわけでございます。  そこで、新都市計画法ができました際に、そういう都市近郊の農業というものをいかにして育て守って、そうして都市地域における生鮮食料品の供給基地たらしめるかというようなことも十分考慮された上で、実は先国会のときにも、そういう地域はできるだけ調整地域というところで指定をしてやってきておるところでありますことは、沢田委員も御承知のとおりでございます。しかし、いろいろな事情で市街化地域として都市環境づくりを中心とした地域として都市づくりを進めたほうがいいということで、市街化地域に指定をされた中にあっても、やはり農地と申しますか、農業でなければ食っていけない、農業以外はもうなりわいの道を知らないという農家がやはり現存をしておることも、これは実態でございます。したがいまして、そういう方々には、都市の環境整備のために適正な農業をやってくださいという立場と、しかし、やがては市街化地域としてやっていかなければならないということを承知していただきながらも、やはり農家の方々の気持ちも十分生かしていけるような方策を考えるべきであるという気持ちも十分取り入れまして、審議会におきましても、農業団体の方々や農業関係の方々も加わっていただいて、そういう点をいろいろと御検討をいただきました結果出していただいた答申を中心にして実はこの法案をつくった次第でございます。  私も、大臣就任早々、事務当局からの説明を聞いたわけでありますが、はからずも実は沢田先生がいま仰せられたようなことを事務当局に私は確めたわけでございます。法律によってのみいろいろな施策を進められるということであれば、これは簡単なんだが、そうではなくて、法律そのものは、やはり国民の利益を助長していくためにつくられなければならないことは申すまでもないわけでありますので、そういう点、やはりこの生産緑地法という法律ができることによって非常に苦しむ者が出たんでは、これは法の目的に沿わないわけであります。やはり都市づくりをするにいたしましても、土地を持っておる農家の協力なしでは、これはわれわれの都市づくりの、あるいは道路政策の、住宅政策の、下水道工事の実施はできないわけでありますので、そういう点、農家の立場ということも、今後、ある相当長期な将来に向かって見通しを持ちながら、安心して市街化地域の中においても農業を営んでもらえるような方策を講ずべきであろうということでこの法案提案をいたした次第でございまして、そういうわれわれの気持ちを十分ひとつ御理解いただきたいと思う次第でございます。
  130. 前川旦

    前川旦君 関連質問さしていただきますけれども、建設大臣も農村地帯の御出身であると思います。そこで問題になりますのは、都市というのは、本来、住宅とか、あるいは公園とか、それは適当に空間の公園があるにしても、農業なんかは本質的に必要がないんだと、したがって、いま農業をしていて、農業を営もうとしているのは暫定的にそれは認めるけれども、行く行くはこれはもうなくなるのだという立場に立たれるのか、それとも、都市にとってやっぱり農業は必要なんだ、こういうはっきりした態度に立たれるのか、その違いによって施策の違いが出てくると思うんですね。いろいろな資料を読んでみますと、都市農業というものを野菜づくりの面からしか見ていないように見えますけれども、そうではなくて、実際調べて見ると、植木をやってみたり、あるいは庭木を育てたり、あるいは花卉——花ですね、をやってみたり、それからイチジクなんかやっているところもあります。イチジクなんていうのは運搬するとすぐいたみますから、しかも保存がききませんからね、近ければ近いほどいいわけです。そういう点で果樹なんかもやっているところがあります。ですから、暫定的に認めていくという立場をとるのか、もっと積極的に、恒久的に都市の中にも、そういう都市化をメリットにでき得る農業もあり得るわけなんですね。都市化の波というのは決してデメリットばかりではない、メリットもあるわけなんです、農業にとっては。そういう面を積極的に評価して、永続的に——もちろん後継者いなければ、これはやむを得ませんけれども、意思がある限り、永続的にやっていこうという姿勢であるのか、暫定的にしか認めないのか、その辺のところでうんと施策が変わってきますね。その基本的な発想を沢田委員も聞かれているだろうと思うし、私もそこのところを聞きたいのです。
  131. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) その点、先ほど申し上げましたとおり、第一種と第二種と、こう分けたわけでございまして、気持ちとしてはできるだけ農業をやりたいと、私どもとしては、一世帯くらいを一応考えたわけでありますが、その息子もまたやりたいというものが出てきた場合には、それじゃあそういうものが市街化地域の中に住んでおったという場合にはどうするかというような議論もいたした次第でございますが、そういう際は、これから二十年間くらいは農業をやっていただけるという見通しのもとに実は法案提案をいたした次第でございます。気持ちとしては、先ほど申し上げたような農家の気持ちを理解しながら、また、農家の協力を得られるような立場で、都市計画を円滑に進めて、都市条件を円滑に整備をしていくことができるようにという配慮のもとに提案をいたしておる次第でございます。
  132. 前川旦

    前川旦君 ちょっと、二十年ぐらいという具体的な年限が出ましたけれども、たとえば野菜づくりをやるにしても、果樹をやるにしても、水の問題が農業にとっては決定的な問題ですわね。水道の水なんか使えと言ったって、これは採算とれませんから、かなり深い井戸を掘らなければなりません。しかも、都市ですから、だんだん水位が下がってきますから、かなり深く井戸を掘ってかんがいをやらなければいけませんね。そういった施設となると、かなり金が要りますから、こういった長期の投融資が必要になります。ですから、都市の中の農業に対して長期のかまえで維持するのだということになれば、そういった長期の投融資も講じていかなければいけないということになると思うのですね。その辺がありますから、そこのところもひとつ念頭に入れて御答弁いただきたいと思うのです。
  133. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) その点につきましては、やはり都市農業は、御指摘のとおり、生鮮食料品だけでなくて、やはり反収を極端に高くするために三百六十五日これを活用するというような、温室栽培等も都市農業の一環であることは、もう御存じのとおりでございますから、そういう面においてやはりこの生産緑地法が恒久法として活用されていくように、都市計画の手法の中に年産緑地という手法を取り入れてあるわけでございますので、恒久的にその農業をやっていきたいという人のいる限り、やはりそういう方々の経営する農業は、私は、この間も衆議院で申したわけでありますが、これは酸素製造法であると、極端に言えば。そういう人口稠密になってくればくるほど都市内における緑地というものの大事な部面があるわけでありまして、しかも、そこから生産が上がって一挙両得という面もなきにしもあらずでございますので、これはやはり積極的にその面についての育成をはかっていくべきであると、こういう感じを持っているわけであります。
  134. 沢田政治

    沢田政治君 そういう御答弁ですが、まだ引っかかってわからぬわけであります。都市計画上、なわ張りはしたけれども、そこにはどうも農地というものがあると、農業をやってがんばっておると、本来は農地は認めたくないのだけれども——二十年ということばが出たわけですが、しようがない、何かかっこうをつけておかなくちゃならぬと、こういう角度のものであるのか。都市というものは、これは緑地保全の一般の緑とか公園があることと同時に、せせらぎもあり、いこいもあり、生鮮野菜も供給するという一つのセットしたものが都市環境として不可欠であるのだと、そういう前提に立つのか、しがみつく者があるから、これにかっこうをつけるというのか、それによって非常にあとの政策が違ってくるわけです、前川君が言っているように。だから、その付近を高級な表現でなくてけっこうだから、すばりどっちなのか聞きたいと思うんですよ。私、事務当局から、きのう——おとといですか、来てもらって、あまり不勉強なものだから聞いたわけですよ。そこに農地があるから、やむなくこういう生産緑地を認めて当分の間かっこうをつけておくのだ、早晩これはなくなるのだというものか、そうでないのか、どっちなんだと聞いたら、そうじゃない、そこに農地があってしがみつくから、これはかっこうをつけたのじゃなく、都市を形成するためには、一般の緑地保全も必要ですが、生産緑地もやはり都市機能の一環として必要だ、これを私に説明をしていただきました。これは事務当局でありますから、だから大臣もそのとおりなのかどうか。二十年とか十年とか——本人がやめたいと言うのは、これは市街化区域であろうが農振地域であろうが、来年やめたいと言う人もあるから、それはここの議論の限りじゃないのですよ。本人がやめると言うのだから。そうじゃなく、都市の中における農業の位置づけというもの、これを明確にしないといけないのですよ、表現は簡単でいいですから。
  135. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) その点につきましては、私、気持ちとしてはっきりお答えしているつもりでございます。と申しますのは、そこに農地があるから生産緑地にするんじゃなくて、やはり農業をやろうという意思のある人間が住んでおるから生産緑地というものが成立するわけでございます。したがいまして、そういう意思のある諸君がいる間は、これはいかなる法律をつくりましても、やっぱり相当抵抗を受けるというか、協力を得られない。現実に農地を宅地に提供してもらおうということで、税制等についてもいろいろ恩典を与えたり、あるいはきびしい税制をしいたりいたしましても、なかなか思うとおりに農村の協力が得られてないのが現状でございます。やっぱり農家の気持ちというものを中心にした立法をしていかなければいかぬという気持ちで、実はえんえんと申し上げてきているわけでございます。したがいまして、この生産緑地法というものは、そこに農地があるからではなくて、農業をやろうという意思のある人がいる限り、やはりそこで農業が経営していけるような措置をこの生産緑地法という法律で認めていくのである、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  136. 沢田政治

    沢田政治君 そうなりますと、私が言いました、そこに農民がおるからやむを得ないということに換言されるわけです。そうじゃなく、私の言っておるのは、やはり都市という機能の中には、生産緑地もあり、一般の公園もあり、風致地区もあり、そういうのが都市のあるべき姿なんだ、理想像なんだ、こういう前提に立って生産緑地というものをこの法律の中に組み込んでおるのかどうか。どうもピントが合いませんね。事務当局の答弁は、これはだれも農業をやる人がなければ、もちろん問題ないのですよ。これは起こってこないのですが、時たまたまあるし、しかも都市機能のために必要だからやったんだと一つプラスになると、私の言っておる意味もわかるような気がするわけですが、どうですか。
  137. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) この法律の精神といたしましては、もう沢田先生おっしゃるとおりでございます。
  138. 沢田政治

    沢田政治君 はい、わかりました。  そうなりますと、この法律で非常に不備があるんじゃないか。先ほど冒頭に申し上げましたように、農振地域に対しては、手厚い保護とは私申しませんが、まあ、ある程度の行政上の援助、保護がなされておることは事実であります。ところが、ここは市街化区域内の農地、つまりいまのことばで言うならば生産緑地なわけです。  そこで、農林省にお伺いしますが、完全に行政上の育成保護、そういう恩典というものが市街化区域内における生産緑地にも農振地域内の地域と同じような保護を加えるのかどうか、こういうことであります。いかがですか。
  139. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 生産緑地の農業政策上の取り扱いについての御質問でございますが、農業振興地域、その中でも、農用地区域と申しまして、将来とも農用地として利用するということを明確に位置づけている土地の区域もございます。そういうものとの比軟において、市街化区域内の農地の取り扱いということも、私どもとして、この制度の立案と並行しましていろいろ検討しておるわけでございます。  農業政策と申しましても、非常に幅広い内容を持っておりまして、比較的短期的なと申しますか、農業経営、営農というものを維持継続あるいは営農に伴う年々の活動に対するいろいろ助成策というものもございますし、ある程度長期間を見た投資もございますけれども、私どもの考えとしては、その営農、経営の問題については、市街化区域内について特に差別を設けるというような考え方はございませんで、技術なり衛生面、植物防疫面、その他価格、流通、そういう対策については一般と同じような対策になるわけでございますが、相当長期的な投資と、こういうことになりますと、これは農林省としては、やってみたらどうかと、こういうような立場で検討もするわけでございますが、いろいろむずかしい問題があるわけでございます。その一つは、その土地のまとまり、規模の問題です。御承知のように、土地改良事業その他については、投資効率の観点から、ある団地的なまとまり、面積を要求しております。そういうものから見てどうかという問題、それから制度上どのくらいの期間農業的な利用が確保されるか、こういうことでございますが、農地転用統制が適用されておらないこともございますし、また農家の意向というものを基礎にして農業が行なわれておるところでございますので、なかなか長期的な期間必ずその農業的な利用が確保できるような体制になっておらない。こういうようなことを考えますと、簡単に申しますと、非常にやりたくてもできないというような仕事がやはり農事施策の中では市街化区域については出てまいるわけで、そういう土地改良投資等については、むしろ、そういう原則論から申しますと、差し控えざるを得ない、こういうようなところになる。しかし、経営の維持改善、そういう面については市街化区域であるからといって特段の手控えをすると、そういうことは一切考えておらないわけでございます。
  140. 沢田政治

    沢田政治君 二種の場合は、これは面積もいろいろ関係がありますが、大体一種の場合はかなりのまとまった農地になるだろうと思うのです。ここで議論しようと思いませんが、特に第一種の場合、やはり他の農振地域、普通の農地、これとの差別がないようにしなければいかん、これは要望しておきたいと思います。そうでなければメリットがないんですよ。これは自分の意思によって市街化区域に編入されたわけでもないし、第一種、第二種に指定されるわけでもない。つまり国の一つの行政作用によって、行政目的によってなされるわけでありますから、本人の意思で登記を行なったとか、本人の意思で転作をしたとか用途変更したとかの場合は、これは当然本人の責に帰すべきでありますが、行政行為がそういう存在に仕上げるわけでありますから、当然これに対して行政がデメリット分だけカバーしてやるのは、これはあたりまえのことであると思うわけであります。たとえ五年、十年であろうが、かってにこれは変更できませんから、ある程度のこれは私権制限になるわけですね。したがって、これは所有権を取り上げなくっても、何といいますか、田中さんがいつも言う価値ですね、土地の価値というものは所有の価値と利用の価値と、こういうわけでありますが、所有の価値の変更はないわけでありますが、使用の価値というのはある程度の制限をされると、これはもう価値が減るわけだね。その価値の分に対する代償給付としては、これは所有権の場合は正当な価格で公共のために収用できるわけでありますが、この場合は所有権の移転はないわけでありますから、ただ単に使用権の制限、利用権の制限、こういうことになるわけでありますから、その代償給付というものは何かと、こういうことでさがしてみますと、本来ならば宅地並み課税するわけでありますが、宅地並みの課税が至当でありますが、これを免除するというメリットしかないんですね。もともとそこが市街化区域にならなければ、何も恩典、特典じゃなく、これは当然農地並みの課税であったんですよね。これも本人に言わせるならば、農業サイドに立つならば、たいしたメリットだと思わぬわけであります。それにもかかわらず今度は農業政策のほうでも、公示になるということは、これはたいへんなことだと思います。この点は留意してほしいと思います。  そこで先ほど大臣が、そこに農民がおるからしようがなくやるということではなく、都市機能という観点からも農業というものはやはり都市の中に組み入れることも一つ都市機能の一部である、こういうことを申されたわけでありますが、そうなると、十年あるいは五年たって、ある農民が第一種でも二種でも農地として農業をしたいということで売買移転が行なわれる場合は、これは問題ありません。しかし、だれも農地として買いたくない、また農業をなりわいとしてそれを継続したくない、こういうことになると、つまりこの法律の規定にあるように買い取り請求権ということで地方公共団体が買う、こういうことになるわけであります。その場合、先ほど大臣が言いましたように、都市の中には生産緑地というものも必要なんだという要素も一つあると、こういう前提に立つならば、その公共団体が買い取ったものを何に使うかということであります、何に。当然、私は、都市機能という中に生産緑地が必要だという前提に立つならば、地方公共団体が買った場合でも、生産緑地か、百歩譲って一般の緑化をするとか、都市公園をつくるとかと、こういう方向にこれを転用するのが立法の趣旨から言っても当然じゃないかと、目的から言っても当然じゃないかと、こういうように考えるわけですが、これは大臣に聞くほどのことじゃありませんから、局長、いかがですか。
  141. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) この趣旨から言いましても、買い取った土地の使い方としては、できるだけ公園緑地等の公共空地に使うと、これが望ましいと考えております。ただ、この法律で、そのように買い取った土地の使用目的を限定いたさなかったのは、買い取り請求に応じるというそのほうの実効を確保したいということ、それからそもそもこの生産緑地の目的が単に環境保全だけじゃなくて、将来いろいろな種類の公共施設の用地に使える土地、適している土地という、それをあらかじめ確保しておくという複合された目的を持っておりますので、そういう点で、買い取りに応ずるための権利の保護にも欠けることのないように、また市街化区域内において公園緑地系統の空地が相当量必要なことは当然でございますが、そのほかにも、各種の公共公益的施設の用地というものもあらかじめ確保しやすい形にしておくということも非常に必要だと、こう考えているわけでございます。なお、公園緑地等にできるだけ使わせるという趣旨は、この法律の第十一条にも明記してありまして、周辺の地域の公園緑地等の整備状況土地利用状況等を勘案して必要があると認めるときは公園緑地として買い取りを希望する者を優先して市町村が定めなきゃならない、こういうふうにいたしております。優先規定は入れておりますが、優先以上の限定というところまでいかなかったのはそういう次第でございます。
  142. 沢田政治

    沢田政治君 もう既成市街地であるならば緑を、自然を都市の中に導入しようということになりましても膨大な経費がこれはかかるわけであります。でありますから、都市のあるべき姿は、私は、やはり自然の中に都市をつくるということですよ、都市の中に自然を幾ぶん持ってくるということよりも。しかし、既成市街地じゃ全部ぶちこわして新しくつくらなければならぬから、自然の中に都市を迎え入れるということは不可能でしょう。しかし、新しく市街化区域に指定されておるところは、まだまだ市街化しないところがあるわけでありますし、生産緑地の制度もできるわけでありますから、自然の中に都市を迎え入れると、これが可能なわけですね。したがって、もし買い取り請求があって公が買う場合には、法律の規定にもあるように、極力緑を取り入れると、こういう方向に最大の努力をすべきだということを私はこの際要求をしておきたいと思います。失なわれた緑を回復するといっても、これはたいへんでありますから、将来のためには何といっても、財源の問題があったとしても、緑を多く残す、緑の中に都市を形成していくということを私は強く主張しておきたいと思っております。  そこで、買い取りの場合ですが、金はどうするかということであります。金の問題は中身には出てきておらぬわけでありますが、もちろん五年、十年ということでありますから、いま早急の問題ではないとは思いますが、しかし五年、十年を待たずに、もうこの農地をたたんで来年都会に出ていかざるを得ない、こういう方も出てくると思いますですね。したがって、五年、十年後とは一がいにこれは言えないわけですね。その際の財源措置をどうするかと、買い取り請求があったけれども地方自治体の現状では、そういう予算化はしておりません。したがって、財源の始末をどういうかっこうで、何から出すのか。これは起債にするのか。起債にしたとしても、これは借金でありますから、今日の自治体ではとてもこれは利子を出すことはできないと思います、これは借金ですから。その場合の利子補給をどうするのかということ等も、やはり器をつくるということだけじゃなぐ、後々の措置をどうするかということは、将来の行政実行に関係あることでありますから、この付近はなかなか理解しにくいわけでありますが、これはどういうように考えておりますか。これは都市局と、自治省のほうからあわせてお聞きしたい。
  143. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 買い取りました土地は、先ほど申しましたように、その付近に公園緑地が少なければ、できるだけ公園緑地のような系統の公共施設に使うということは当然でありますが、その他の場合にはいろいろ学校用地になったり公的住宅用地になったり、要するに公共的な利用には広く使えるということにいたしておるわけでありまして、いわば買い取りの財源というのは、一般的にいえば、そういう買い取ってから何かの公共施設に使うというまでのつなぎの資金になると思います。買い取って適切な管理もしないでほおっておくということも好ましくありませんから、やはり買い取った以上は何かに使おうということになるはずでございまして、基本的にはその公共施設整備財源というものがそこに組み入れられていくと。ですから、現在の都市公園五カ年計画も、はなはだ規模が小さいものでございますが、これを大幅に伸ばしていくというようなことも一つの方法でございます。学校用地あるいはその他の公共施設用地の財源措置も将来強化していくということがあれば、買い取って当座は起債等でつないでいくわけでありますが、本来の公共施設のほうの財源でこれをさらに補てんしていくと、こういうことになろうかと思います。それにしましても、使うこと、買い取り請求は御本人の意思によって出てくるわけでありまして、あらかじめその事業財源そのものを予定するわけにいきませんから、どうしてもつなぎの期間の財源が要りますので、これは用地の先行取得債とか、土地基金とか、現在もありますいろいろな基金、私は、できるだけ将来は、都市開発資金というものがありますが、こういったものの活用もはかるように持っていきたいと、このように考えております。
  144. 小林悦夫

    説明員(小林悦夫君) ただいま利子補給についての考え方が示されたわけでありますが、地方公共団体における土地の取得につきましては、先行取得債でという地方債で措置しておりますほか、四十四年度から土地開発基金を設置するようにしておりまして、これに必要な額を交付税で算入いたしておるわけでございます。したがいまして、これらの措置で当面の取得に対する措置はできるものと考えております。
  145. 沢田政治

    沢田政治君 この法律が施行されることになりますと、第一種、二種とも宅地並み課税の免除が指定期間中は、これは免除されるわけでありますが、そこで、これはあくまでも指定をする場合は本人の同意が条件になっておるわけですね。本人がそれにがえんじなかった場合には、これは指定できないような法律になっておるわけですが、本人がこれをよしとしない場合、その場合の固定資産税等が宅地並み課税になるのかならないのか、これはいずれになりますか。
  146. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 生産緑地への指定を同意しないという場合の御質問かと思いますが、生産緑地に入らなければ、地方税法の規定によって宅地並み課税の対象農地については宅地並み課税が適用されると。対象になってない農地もありますから、そこは宅地並み課税には直接に関係はないと、こういうことでございます。
  147. 沢田政治

    沢田政治君 これは指定も受けない、本人は同意しない、しかも、生産をしておらない、遊休農地にしておく、こういう場合はこれは別でありますが、実態は指定に同意した、しないは、これは違いがありますが、本人は営々として優良な農業生産活動をしておる場合、その場合でも同じですか。
  148. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) ええ、その場合も同じでございます。というのは、やはり相当長期にわたり農業を営むということであれば、できるだけこの制度に同意していただいて指定を受けられるということがあってしかるべきではないかということを考えておりまして、やはり市街化区域で、これは農地ばかりじゃありませんが、市街化区域の中で貴重な未建築地というものは、基本的には市街化されていくべき筋合いのものでありますので、これは相当期間自分は営農すると、だから同意してもいいんだということでございませんと、何どきでも営農をやめる自由もあると、建築したいという人に売り払ってしまう自由もあるという不安定なものでは、なかなか都市計画上の位置づけということもできないし、この都市計画法上の位置づけにささえられて、一般的には宅地並み課税というものにかかるべきものであってもはずそうというわけでございますから、やはりそこにそういう宅地供給から見ればマイナスになるようなことを考える以上は、相当期間農地で残るという担保が必要だということがこの法案の考えでございます。
  149. 沢田政治

    沢田政治君 まあ、一応の理由はわかるけれども、私は矛盾があると思います。都市形成のためには、都市の緑地保全があって、そして生産緑地がある。そして、都市形成に大きな裨益をしておると、いろいろな有形、無形のですね。そのために、その代償として宅地並み課税を免除する、しない、こういうことでありますから、本人が指定を受けようが受けまいが、遊休土地とか荒廃した土地じゃなく、やはり都市に寄与している分については優良な生産緑地として寄与している分には、これに適用しないということは、私は、理屈の一部としてどうもつっかかる気がしてなりません。  それはさておいて、そうなりますと、いま地方には、特に大都市圏には、それぞれ条例によって実際には宅地並み課税を課税しておるわけですが、しかし、そこの自治体の市長が議会の同意を得て、やはり都市農業というものは必要であると、これを振興しなくちゃならぬ、助成しなくちゃならぬ、こういう目的で、税金の免除はもちろんしておりませんが、税金は税金として徴収して、それぞれの保護助成という形で、これは助成金だと思いますが、大体相当額の額を交付しておる。したがって、形式は別として、実質的には宅地並み課税の免除と、こういう個人的に見ますと計算上はそうなるわけであります。そうなりますと、今度のこの法律ができた場合にどうなるかということであります。この点をはっきりしなけりゃこれはたいへんだと思います。たとえば建設省が、あなたは指定を受けたらいかがですかと、税金の免税の恩典がありますよと、あなたさえ同意してくれるならば、一、二種——五年、十年で指定をして宅地並みの課税は免除されますよと、こう言われた場合、いや、私はもう指定を受けようが、受けまいが、受けたくない。しかし、農地として存続せしめたい、しかも、実質的には市の条例がありますから、一たん取られますけれども、また返ってくるわけでありますから、これはどうということがない。どうということがないということばは悪いわけでありますが、こういう現象も、私は、それをよしあしを言っているじゃないですよ。そういうことになる可能性も一応あると思いますが、したがって、この法律案が施行された場合、その条例の効力というもの、ゆくえというものは一体どうなるのかということをこの際に明らかにしておくべきだと思います。  積極的に私の意見を言いますと、やはり地方自治体には地方自治体の都市形成というものはこうあるべきだと、近郊農業あるいは都市農業というものは盛り立てなくちゃならぬ、むしろ奨励していかなくちゃならぬという立場に立った条例というものは、この法律によって既得権を侵害したり、それに水をさすようなものであってはいかぬ、こういう考え方を私は持っておるわけであります。税源がなくなるとか、そういう問題は別途考慮すべきであって、私は、これを存続すべきじゃないか、これは農業団体等も非常に強く主張しておるようでありますが、そういう意見を持っておりますが、これはいかがですか、都市局と自治省のほうから見解を伺いたいと思います。
  150. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 現在、自治体が条例とか、指導要項で御指摘のような助成措置を講じておりますが、これは規模の要件とか、期間の要件等はだいぶ違いますけれども、その目的とするところは、本法と非常に似通っております。つまり現在の自治体の条例等は、やはり良好なる生活環境の確保ということをうたいまして、それを主たる目標として生産緑地としての意義づけをこの施策の中で行ない、これを保全するために、税金は税金として取るけれども、その差額の相当部分を還付あるいは助成金という形で交付する、こういう内容のものでございます。現在、この法案が成立いたしておりませんから、いわば地方税法のほうが先行いたしまして、ここに一年余のギャップを生じたわけでありまして、その間におきまして各自治体がいろいろと独自に御判断され、少なくとも法律の制度がそれをカバーするまでは緊急の対応策として何らかの措置が必要だということからいろいろまちまちな条件を考えられて今日に至っておるものと思います。ですから、現在あるそのものにつきましては、そういった意味合いのものでありますだけに、あえてこれを不当とかいう立場にはないわけでありますが、しかし、この法律ができますと、先ほど申したように、似通った目的の制度が国の制度としてもでき上がるわけでありますので、その場合に現行の自治体の措置を各自治体において見直しされることと思います。見直した結果、生産緑地法というものができたのだから、それでいこうという場合もありましょうし、また、考え直されまして、生産緑地法の目的とは違った独得の観点から、内容も一変されまして新しく制度化されることもあるかもしれません。それはやってみないとわかりませんが、私どもとしては、この法律ができました場合には、本法による生産緑地制度と目的、観点が大差ないようなものが相変わらず残るということはあり得ないのではないか。もちろん、去年から始められた市町村が、法律ができたから、すぐに廃止するとかいうようなことはしにくいと思いますし、一つのサイクルを持っての経過期間というものがあるかと思いますけれども、そういう経過期間も過ぎたとなれば、これは本法に一本化されるべきものと思います。が、しかし、本法の目的はやはり都市計画の位置づけということに主眼がありまして、その裏から見れば、これが市街化区域内における農地の保全という効果を持っておりますけれども、正面の目的はあくまで都市における生活環境の確保ということでありますから、それと全く違った観点というものが出てまいりますれば、これはあながち本法と競合するとも言い切れない、こういうふうに思います。
  151. 山下稔

    政府委員(山下稔君) 建設省のお答えと全く同じでございますが、現在、いわゆる宅地並み課税が行なわれております都市の中には、緑地の保全、確保等の見地から、歳出面におきまして補助金等を交付している市がございます。この中で生産緑地制度が今回発足いたしました場合におきまして、この補助金の性質が生産緑地制度と同じ趣旨のものであるならば、新しい生産緑地制度に吸収されるべきものだと考えます。したがいまして、いわゆる宅地並み課税の税負担を軽減するという趣旨で補助金を引き続き交付するということは適当でないと考えております。  ただ、ただいま建設省の御答弁の中にもございましたように、いままで暫定的に新しい生産緑地制度にかわる考え方で市独自の判断で補助金を出してきたという経緯もございますし、新しい生産緑地制度が指定されるまでに相当の期間を要するという場合もあり得ますので、その期間、従来の補助金が継続されるということもあり得ると思いますが、それはあくまでも新しい制度に乗り移るまでの暫定的な措置としての姿であろうというふうに思います。
  152. 沢田政治

    沢田政治君 いまの答弁を要約しますと、この法律目的が全く一緒のようなものは当然この中に吸収さるべきであると、こういう答弁に尽きるわけでありますが、しかし先ほど言いましたように、これは建設省じゃそう考えておるかどうかわかりませんが、なるべく宅地をふやしたい、こういう考え方を一方においては持っておる。ところが、地方自治体の場合にはやはり都市というものの形成の中には相当多くの農地というものが必要だ、むしろ現存するものをどうするかということよりも、むしろふやしていくという、逆な面の何ていいますか、目的作用を持っているわけですね。そういう場合は、やはり本法と目的が一にならぬわけであります。でありましたら、違う目的に対する助成金というものは、当然合法的で、その存在というものは認めなければならない、こういうことになるわけですが、いかがですか。
  153. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 私の申し上げましたのは、全く同じものは、これはまあ論外でありまして、主たる目的が似通っておるものはやはり経過後において一元化さるべきだと思います。しかしながら、逆に主たる目的ががらりと角度を変えたものである、たとえば畜産物の保護とか、いろいろなことはこの法律では全く考えていない要素でありまして、そういうものをあえて制度化されるということになれば、本法ができたからどうこうという筋合いのものではない、こう申したわけであります。したがいまして、いま例にあげられましたような、かなり似通ったものにつきましては、やはり私どもは、市街化区域の基本的性格にかんがみ、やはりできるだけ宅地として供給する必要があるという基本的立場から、その阻害になるというものを真正面から打ち立てられましても困るのではないか。と申しますのが、なるほど市街化区域の面積は相当のオープンペスースを取り得るような規模では策定されているわけですけれども、それでも大都市圏等ではまだまだ宅地供給は不足だという声も非常に強いわけでありまして、やはり限られた市街化区域というものを極力都市的発展の場に提供するということはどうしても基本的に必要だ、その場合に必要な緑地はこれはぜいたくをいえばきりがありませんけれども、やはり幾ら何でも市街化区域の面積の三分の一にも達するというようなことでは、日本のいまの現状から見て多過ぎると思いますし、現況の農地というのはまだまだたくさんあるわけでありますから、その農地のすべてが市街化区域内においてもなお残るということでは、これは市街化区域に入れたという意味がないと言わざるを得ない、そう考えるわけであります。
  154. 前川旦

    前川旦君 衆議院で附帯決議の四番に「地方自治体が、地域の実情に応じて現に実施している農業緑地等保全制度で、その内容が生産緑地法の規定と異なるものについては、これを尊重すること。」というあれが通っていますね。いまの御答弁であると、どうも、いまの申し上げました附帯決議の第四と少しすれ違いがあるように思います。それからこの法律案では「おおむね一ヘクタール」とか、「おおむね〇・二ヘクタール」とか、「おおむね」というのは、あとで沢田さんがお聞きになると思いますけれど、どの程度の範囲をおおむねというのか。いずれにせよ、この対象のわずかのところで漏れるという農地もたくさんあると思う。そういうものに対して、しかも農業をやろうという意欲がある場合に、地方自治体で独自にこれは必要だと判断してやる場合、これは尊重していってむしろ助成していくというかまえがあってしかるべきじゃないでしょうか。その点はいかがですか。
  155. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 衆議院の附帯決議は、いまおっしゃったとおりの表現でございますが、その内容が生産緑地法の規定と異るものということでありまして、私の答弁が食い違っているとは思わないのであります。  また、おおむねというのは、幅のある表現でありますが、私ども実際に運用する場合には、おおむね一ヘクタールといえば〇・八ヘクタールぐらいまでは入ると、二割程度の差というものは許容している表現ではないか。ですからおおむね〇・二ヘクタールといえば〇・一五ヘクタールぐらいまでが入ると、ぎりぎりいえば、こういうことであります。そうしましても、どこかに限度がありまして、わずかの差で入らないというのがあります。その辺の境界線のぎりぎりのところをとって、そこから上がいい、そこから以下がいけないということは、おかしいといえばおかしいのですけれども、これはどこかで区切る以上やむを得ないわけで、その辺の幅を持たし得るようにおおむねと、あえて法律でははっきりきめた数字を記載しなかったというわけであります。その規模にどうしても満たないということになれば、本法による生産緑地にはできない。本法による生産緑地にはできないという意味は、私どもの考えでは、都市計画としての市街化区域内での緑地保全に値する都市とは規模的に考えられないという意味でありまして、都市計画上の位置づけが与えられないということから、生産緑地にできないものを条例なり何なりではできる、同じ観点でできるとは思わないということです。
  156. 前川旦

    前川旦君 これは少しおかしいので、なるほど机の上で考えられて、たとえば、おおむね〇・二ヘクタールから〇・一六ヘクタールですか、二割の下としたら、それ以下は値打ちがないと思うとおっしゃるけれども、しかし、実際地方自治体を現実に見てみると、ここではやはりこれだけのわずかに〇・一ヘクタールか〇・一五ヘクタールぐらいしかすぎないけれども、やはりここでは生産緑地が必要なんだと、現実に即してはそういう場合あります。しかも本人が、所有者が絶対おれは農業やるのだという場合もあります。そういうときには、地方自治体が独自にそういうものを救済するような条例を当然つくっていくと思うのです。ですから、この附帯決議に従えば、そういうものについては地方自治体の自主性にまかして、しかもそれを尊重していきますと、こういうふうに考えなければならぬのじゃないですか。いまあなたの御答弁では、そういうのは大体もう農地としてふさわしくないから、やがて宅地にしていくのが都市計画としての筋道だというのは、ちょっと私はおかしいと思うのですがね。その点はいかがですか。
  157. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) いま規模だけで議論されますとおかしなことになりますが、結局、先ほどから申し上げているのは、生産緑地と同じような目的のものをこの法律と違う要件で自治体独自でされることは、一定期間経過後には筋道としておかしくなると思います、こういうことでありまして、この附帯決議もその内容が異るものと、こういっておりますから、その中には規模ばかりじゃなくて、むしろその目的といいますか、観点、そこが違うものと、私どもは、衆議院の議論等を通じましても、そう理解しているわけであります。
  158. 沢田政治

    沢田政治君 つまり観点の違うものはこれはやむを得ないと、これは観点ということばを使っていま都市局長が言っているわけですが、観点が違えばいいわけですね。そうなると、条例でそれを奨励する交付金というのを出してもかまわぬわけですね、尊重するわけでしょうね。地方自治体の判断で、この地域はどうしても要るのだと、こういうことをやってもらいたいのだと、こういう観点が違いますから、片一方は宅地を多くふやす、片一方は小規模であろうが何であろうが、多くの緑がさらに必要だというのだから、観点が全く西と東が違うんだから、観点が違うものはこれはやむを得ないということになると、へ理屈じゃなく、これは当然尊重しなくちゃならぬことになるでしょう。
  159. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) おっしゃるとおりだと思います。結局、この法律ができた以上は、その法律と競合するようなものは困るという意味でありますから、法律関係のないことについて何も言うべき立場にないという意味でございます。
  160. 沢田政治

    沢田政治君 あまり私はこまかいこと聞きたくなくて、抽象的なことを言っているわけですが、まあ〇・二ヘクタール、おおむねというのはどういう根拠があるかと言ったらこれも質問になるでしょう。何か都市公園か児童公園の最小限度がそこだとかいう議論もあるようですから、そういうつまらぬことを私は聞きたくないわけで、ただ、大臣、これは農業サイドという立場に立つのか、宅地を多くふやしていこうと、こういう都市化観点に立つかで相当な利害が違うんですよ。私は、建設委員でありますから、農村議員でありますから、固定観念を持たずに両方守ろうという虫のいい立場で聞いているわけですが、そういうように利害が非常に接点においては違っている問題もありますので、やっぱり経過としては、永久の、将来はどうなるかわからぬけれども、本法施行の経過というものは、ある程度両者を認め合いつつ、やはりこの法律に書いておるように、農業との調整をはかりつつという、この目的を生かしていくような運用の妙をとってもらいたいと思いますね。その条例がおかしいとか、どうとかこうとかじゃなく。その点についてやっぱり高度な法律運用の政治的な判断というものが必要だと思いますよ。だから、これ以上役人と話したってどうにもならぬから、ひとつ政治的な御見解をお示し願いたいと思います。
  161. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 私も建設大臣を拝命しまして、農村議員として、なるほどとしみじみと感じている点たくさんございます。やはり農村地域社会と都市地域社会と、その接際部においていろいろな問題が起きておると。同じ日本人で勤労者であり片方は農民であると。そこにいろいろなごたごたが起き得るはずがないのに、やはり制度上のいろいろな問題でごたごたが起きてくると。これを除いていくのがわれわれの政治役割りであろうと思うわけでございます。したがいまして、いままで都市都市ということで、都市計画法の中に生産緑地というような手法が考えられていなかったわけでありますけれども、この都市農村の接際部等においてこういう問題が法律できちんときめて、そうしてお互いにごたごたをなくするという方向をつけていただくことになるわけでございます。したがいまして、地方自治体においても、やはり地方自治体の中に住んでおる住民の幸せを考えて自治行政が行なわれて、法律の範囲とは申しながらも、自治権を与えられて、それぞれの議会において条例をつくって事が運ばれておるわけでありますから、この附帯決議の精神もそういうところに運営上十分注意をしろということでございますので、私どもといたしましても、国会の附帯決議のとおり、その辺の点については十分配慮をして運用をしてまいると、こういうつもりでございます。
  162. 沢田政治

    沢田政治君 次に、これは一般質問で大臣に質問したと思いますが、市街化区域の線引きの実績が出ておるわけでありますが、まだ線引きも出されておらぬところもありますね。これはどういう理由に基づくのか、こういうことと、先般、私が大臣にお話したことは、民間デベロッパー、つまり開発業者がみずからの利益のために線引きを広げろ広げろと、こういう要請もあるやに聞いておる。しかし、そういう民間業者の利害によって線引きを広げてはいかぬと、もし広げる必要があるならば、百歩譲って、どうしても公的な機関がここにこういうニュータウンをつくりたいとか、公共的なものについてはこれはやむを得ないだろうと、こういう点で、大臣とその面については大体の見解が一致したと思っております。そこで、私は考えておるわけでありますが、この線引きも非常にばらつきが多いんですね。ある県は、県の全部が何といいますか、市街化区域になって——全部と言いませんが、六、七〇%のところもあるし、ぐっと低いところもあるし、地域的にばらつきが出ておるわけであります。したがって、広きがゆえに都市計画をする場合、線引きをする場合の目的がそこなわれておることがあるんですよ、広きがゆえにですね。つまりこの線引きをするという一つの行政目的は、やはり無計画な虫食い状態のようなスプロール防止と、こういうところに最大の主眼を置いたわけですね。ところが、網の目を広げたために都市施設、そういう設備ができないうちに、これは市街化区域だということでどんどんどんどん家をつくっていくと、もうそっちのほうが先行していくと、このために逆にこれはスプロール化しておると、こういうような現象も、具体的な例はあげませんが、随所にあります。したがって、私は、広げる場合は、先ほど言いました公共でここはどうしても開発しなくちゃならぬと、これは住宅というものは現下の事情にかんがみ、どうしても供給しなくちゃならぬというものについてはやむを得ない。そういう例外があったとしても、むしろ網の目が大きい、袋が大きいためにスプロール化現象が、法律目的、行政効果と逆な現象が起きるようなこともありますし、もう五年も経過しておりますので、もう一回——これは広げる意味じゃないんですよ。広げる場合は制限をつけて、やっぱりもう少し、整理統合ということばはここにあてはまるかどうかわかりませんが、もう一回見つめ直してみる時期に来でおるんじゃないか、こういうような感じがしてならぬのです。それと同時に、また、他面に食糧危機が伝えられておるわけでありますから、そういう要素も加えてやはりもう一回再検討する考えがあるのかどうか、この点を大臣からお聞きしたいと思います。
  163. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 線引き、早いところはもう五年を迎えるわけでございます。したがいまして、そういう自治体においては、いろいろな今日までの五年間における自治行政を実施した面から生じてくる線引きの功罪と申しますか、そういうものが逐次把握されてきておるわけでございまするし、建設省におきましても、いろいろとやはり市街化地域からほんとうにイノシシが飛び出すと言われるような市街化地域の指定等もあるというふうに一時言われたときもあったわけでございます。そういうふうに、市町村によって非常にいろいろとばらつきができるだけないようにという指導はいたしてきたわけでございますけれども、やはりそういう面の見受けられる点もあるわけでございますので、やはりこれはもう市街化地域をさらに広げるということは、建設大臣としては、どうも賛成しかねるわけでございます。現在指定されておる市街化地域ですらも、なかなかこれは市街化地域として十年間に理想的な市街化地域にできるかということすら心配なような状態でもございますので、公的以外はもう広げるべきではない。この線引きをやる当時においては、生産緑地等の考え方あるいは公害というような考え方等、ここまで徹底もいたしておらなかったわけでございますから、そういう点ももっと十分に考慮に入れた上でそれぞれの自治体が理想的な都市環境、自治体環境というものをつくりあげていくという面から、建設省としても、いろいろ検討を実は始めておる次第でございます。
  164. 沢田政治

    沢田政治君 まあ、先ほど言いましたように、網の目が大きい、そのために逆に本法の行政目的と反した結果が起こっておると、こういうことであります。したがって、建設省としても、おまえのところは大きいと言ったって、具体的な問題点の指摘がなければ上からおおいかぶされないと思いますね。でありますから、これを整備する場合の一つの指針ですね、問題点を指摘して、やはり行政指導できるような再検討はこれはぜひとも行なってもらいたい、こういうように考えておるわけであります。  そこで最後にお聞きしたいわけですが、時間超過しておりますが、例の田中総理が、去年だったと思いますが、国県道の両側二百メートル以内を宅地にするんだと、あるいは工場にするんだと、この転用をしなくちゃならぬ、土地を供給することによって今日の地価が下がるんだという発想が、日本列島の発想が、知るべくもないわけでありますが、そういうような大号令を看板にされたことは、これは事実であります。そこで、今日地価が上がっておるというのは、単に需要供給のバランスじゃなく、買い占めとか、単にこれはもう供求だけしたんじゃ庶民の手に渡らぬこと、これは明らかであります。地価の鎮静にもならぬことは、先ほどの国土利用計画法で議論されたとおりで、いまここでそれを議論いたしませんが、いずれにしても、地価の問題もさることながら、農業問題という観点から、たいへんなこれは私は間違った考え方だと思います。といいますのは、三十万ヘクタールということになると、ここ五年の農地転用の面積よりはるかに大きいわけです。しかも、この国県道の両側というのは非常に優良農地の多いことは、これは事実であります。これを三十万ヘクタール他に転用するということになると、農業サイドから見たならば、食糧政策という面から見たならば、たいへんな私は——まあ、暴言と言うのは失礼でありますが、たいへんな私は誤った判断だと、こう考えざるを得ないわけであります。きょうは農林省も来ておるようですが、農林省は、この田中さんの言を受けて——これ、私の記憶に間違いがありますと、そうじゃないと、こう答弁していただきたいわけでありますが、去年の十二月の八日だったと思いますが、地方の農政局長と県知事に事務次官通達を出しておるわけであります。この事務次官通達というのは、田中発言を、総理発言をスムーズに実行するような体制を堅持せよとか、準備せよとかと出したかどうかわかりませんが、農林省は一体どう考えているのか。きのうか、おととい、三十万ヘクタールというのものを着々、この何といいますか、実現に移すために農地法の基準緩和というものを考えておるようだというように聞いておるが、農林省で実際そういう作業が進められておるのかどうかということを私は説明に来た方にお聞きしたわけでありますが、そういう事実はないと、こう言っておるわけでありますが、その間、何か前後の違いもあるようでありますので、この際にひとつ明らかにしてほしいと思っています。これは農林省のほうにお聞きします。
  165. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) お尋ねのございました農地転用問題でございますが、昨年の十一月の末でございますけれども、農地の転用については、公共用地とか宅地、工場用地、そういう需要が非常に大きい、これに対する対処という意味合いで地価抑制というような観点も考慮しながら計画的な転用を進めるべきではないか、こういうような方針を打ち出したわけでございますが、その内容と申しますのは、三十万ヘクタールという数字が出ておりますが、これはいま御質問の中にもございましたように、それを一挙に、たとえば一年間に三十万ヘクタール転用すると、こういう意味合いではございませんで、ある程度の期間をかけて、しかも、たとえば買い占めというような仮需要ではなくて、実際の需要に応じて、また農地の確保との調整に留意しながら、ある期間の間に計画的に進めるべきであると、こういうふうに考えたわけでございます。  それで、どういう措置を講じておるかという問題でございますが、ただいまお尋ねのございました十二月八日の農林省の通達と申しますのは、「農地転用の許可関係事務処理の迅速化について」、こういう通達でございまして、この内容は農地の転用についていろいろ事業者あるいは土地の権利者から申請がありましたり、いろいろお申し出もございますので、それについては一般の方の御迷惑をかけないように、できるだけ早く許可あるいは不許可、そういう農地転用上の扱いを明確に出すべきである、こういうような意味合いで迅速化を指導したのがこの十二月八日の通達でございます。これは私どもの口から申すのも妙でございますが、従来、比較的許可されるのか許可されないのかわからないままの状態で役所に長くその関係書類がとどまっている、こういうような事態が多かったことを率直に反省いたしまして、事務処理を、扱いを早くする。できるものはできる、それから優良農地の確保の面から不可能なものは不可能である、こういう方針をはっきりと早く出すべきであるということを地方農政局と県に指導しましたのがこの十二月八日の通達でございます。  それから、その他の措置としましては、昨年の十一月の末からでございますが、この農地の転用関係については、いろいろな関係の需要を把握する必要がある、その需要に応じて計画的に転用をはかるべきものである、こういう意味合いで、役所の数にいたしまして十省庁ぐらいになりますが、関係の方にお集まりいただいて、まだ十分に調整されておりませんが、農地転用関係について実際にどのくらいの規模の需用があるか、こういうことを目下のところは総量として把握、検討をする、こういう作業を進めておるわけでございます。中間的には、ここで出てまいる数字は、全体として見ますと、従来の新全国総合開発計画等で出ております、大体十年間に——これは農地だけではございませんが、新しい宅地、公共用地の需要が約百万ヘクタール、そういう数字をそう上回るというような数字は、いまのところ、出てまいりそうな情勢ではございません。  それから、許可基準の問題については、いま御質問の中にもございましたように、いろいろ検討すべき項目としてはございますけれども、いま申し上げましたような今回の転用措置の扱いでございますので、従来持っておりますいわゆる許可基準、これを緩和して、それによって転用促進をすると、こういうような実態ではないし、また、その必要性ということもいま考えられませんので、許可基準を緩和するというような意味での作業あるいはそういういうな考えは、現在のところございません。  以上のような状況でございます。
  166. 前川旦

    前川旦君 関連になりますから、ごく簡単に最後に一問だけ建設大臣にお伺いしますが、衆議院での連合審査のときに、宅地並み課税については、本来やるべきではないんだということを亀岡建設大臣が発言をされたと聞きまして、わが意を得たりというふうに心強い思いがしたわけであります。実はいまA、B農地と三大都市圏ということになっておりますが、三大都市圏からはずれますと、私なんかは地方の小都市でございますけれども、市街化区域の中に入ってまじめに農業をやろうとしている人が圧倒的に多いわけなんです、実を言うと。ですから、私、これ昭和五十年までに見直すということになっているようでありますけれども、本質的な問題としてやはり宅地並み課税などということはやるべきじゃないという強い考え方を持っておりますが、この点について御発言が特に衆議院であって、われわれ非常に意を強くしておりますので、大臣、そのお考えにお変わりはないものかどうか。どうか変わりはないということで、期待にこたえていただきたいと思います。  それともう一つは、これは建設省の管轄じゃありませんが、私は関連ですから、建設省さんだけしか聞けませんが、これは生産緑地に指定されますと、これは地方税法上の宅地並み課税は、これ除外されるわけですね、こうなるわけですね。そうすると、相続税は、これは地方税じゃありませんけれども、やはり農地並みの評価でなされるということになるんでしょうか。せっかく農業をやりたいと思っていましても、相続税が高いと、あと継ぎがこれは困るんですね。結局、たんぼを売らないとこの相続税が払えない、やっぱりやりたいと思っても縮小せざるを得ないと。これは非常に無理な面がありますので、この点について、建設大臣としてのお考えはいかがですか。これは管轄外でありますけれども、それをひとつお伺いしたいと思います。
  167. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 宅地並み課税については、衆議院でも申し上げたわけでございますが、三大都市圏ではやむを得ない措置であろうと、しかし、その他には、私としては、拡大することは今後もそういう気持ちはないと、これが私の気持ちでございます。ところが法律の中で、それは五十年までに検討しろと、こう書いてあるもんですから、やっぱりこれは一度は検討せにやならない問題であると、こう思います。検討する際に、私は私の主張をもし政府におれば強く主張したいと、そういう気持ちでおるわけでございます。  それから相続の問題も、ほんとうに先生お悩みのとおり、私どもも悩んでおる一つの問題でございます。やはり均分相続という問題になりますと、きょうだいが四、五人おりますと、そのきょうだいの了承がありませんと農地の一子相続すら非常にむずかしいということで、生前贈与という形で一子相続の措置を国会で講じていただいておるという現況でございます。そういうところへもってきて、この相続税の問題、御指摘のとおりでございまして、私も内容を詳しく実は残念ながら承知いたしておりません。この点については調査をした上で回答をさしていただきたいと思います。私も詳しく承知しておりませんので、間違ったことを申し上げても失礼にあたりますので、時間をかしていただきたいと思います。
  168. 沢田政治

    沢田政治君 最後の最後ですが、先ほど大臣にも申し上げましたとおり、その立場立場、サイドによってはたいへんな利害の相反する——と言えば語弊があるわけでありますが、利害が交錯する面が相当あるようですから、この運用については慎重な配慮をしていただきたいと同時に、また、都市というのは、やはり独立した都市じゃない、近郷を含めての都市でありますから、特に農業政策との関係もあるんで。オリジナルカロリー計算では、先進諸外国から比べたならば、五〇%を割るたいへんな実態だと思います。と同時に、また資源ばかりじゃない、食糧を含めて、やはりナショナリズムというものが非常に台頭しておると。これは今日の農業問題は単なる農業問題じゃない、将来は外交問題にさえもこれは関連してくる重要な問題だと思っております。そういうことで政府もかけ声だけは食糧の自給度の向上、こういうことを言っているわけです。しかし、狭小なこの農地では現在の農地ではそう九〇%もこれはできません。自給度の向上はできません。したがって、やはり優良農地を維持すると、一方においては住宅、一方においては優良農地を確保し拡大していくと、国の行政としては、こういう二つのやっぱり面をあわせ考えなければならぬと思いますので、特に田中さんがどう言ったからどうということじゃありませんが、優良農地はこれ以上もう取りつぶされたんではたいへんだと思いますんで、その点は農林省のほうに要望しておきたいと思います。ここで言うのは場違いでありますが、一方においては自給度向上、一方においては農地を取りつぶすことを認めると、こんなばかな本末転倒の考え方はありませんので、論理もこれは結びつきませんので、別の委員会で言うのが至当でありますが、特にこの際私はその点は要請しておきます。  以上で終わります。
  169. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十分散会      —————・—————