運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-05-14 第72回国会 参議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十四日(火曜日)    午前十時四十一分開会     —————————————    委員異動  五月十一日     辞任         補欠選任     鬼丸 勝之君      竹内 藤男君  五月十三日     辞任         補欠選任     寺下 岩蔵君      岩本 政一君  五月十四日     辞任         補欠選任     岩本 政一君      寺下 岩蔵君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野々山一三君     理事                 大森 久司君                 古賀雷四郎君                 中村 禎二君                 前川  旦君     委 員                 熊谷太三郎君                 竹内 藤男君                 寺下 岩蔵君                 山内 一郎君                 沢田 政治君                 田中  一君                 田代富士男君                 高山 恒雄君                 春日 正一君    衆議院議員        建設委員長    木村 武雄君        建設委員長代理        理事       天野 光晴君        建設委員長代理        理事       渡辺 栄一君        建設委員長代理        理事       井上 普方君        建設委員長代理  北側 義一君        建設委員長代理  渡辺 武三君    国務大臣        建 設 大 臣  亀岡 高夫君    政府委員        経済企画政務次        官        竹内 黎一君        経済企画庁総合        開発局長     下河辺 淳君        建設大臣官房長  高橋 弘篤君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        建設省都市局長  吉田 泰夫君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        農林省構造改善        局農政部農政課        長        関谷 俊作君        自治省大臣官房        審議官      山下  稔君        自治省財政局財        政課長      石原 信雄君        自治省財政局地        方債課長     小林 悦雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国土利用計画法案衆議院提出) ○生産緑地法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 野々山一三

    委員長野々山一三君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  五月十一日、鬼丸勝之君が委員辞任され、その補欠として竹内藤男君が、五月十三日、寺下岩蔵君が委員辞任され、その補欠として岩本政一君が、また、本日、岩本政一君が委員辞任され、その補欠として寺下岩蔵君がそれぞれ委員に選任されました。     —————————————
  3. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 国土利用計画法案議題にいたします。  まず、提案者衆議院建設委員長木村武雄君から趣旨説明を聴取いたします。木村委員長
  4. 木村武雄

    衆議院議員木村武雄君) ただいま議題となりました国土利用計画法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、人口・産業の大都市への集中に伴っての土地利用の混乱、地価高騰、さらに、ここ数年間の全国にわたる土地投機的取引の増大と地価の異常な上昇及び土地大量買い占め乱開発による自然環境破壊等土地問題は一そう深刻となり、いまや本問題の解決は、緊急かつ最大の課題となっております。  このような事情にかんがみ、公共福祉優先立場に立って、国土利用計画等策定土地取引規制遊休土地に関する措置等内容とする新法を早急に制定することの必要を認め、ここに建設委員会提出法律案として、本案を提出することとした次第であります。  次に、本案のおもな内容を申し上げます。  第一は、国土利用計画についてであります。  国は、国土利用に関する全国計画を定め、都道府県及び市町村都道府県計画及び市町村計画を定めることができるものとし、特に市町村計画策定にあたっては、公聴会等開催等住民意向を十分に反映させるものとしております。  なお、政府は、国会に、国土利用現況等に関する年次報告書を提出するものとしております。  第二は、土地利用基本計画等についてであります。  都道府県知事は、都市農業森林自然公園及び自然保全地域区分及び土地利用調整等に関する事項内容とする土地利用基本計画を定めるものとし、国及び地方公共団体は、この基本計画に即して適正かつ合理的な土地利用がはかられるように、所要規制措置を講ずるものとしております。  第三は、土地取引規制に関する措置についてであります。  全国にわたり土地取引規制の強化がはかられるべきものであるとの観点に立って、次の措置を講じようとするものであります。  まず、都道府県知事は、期間を定め、土地投機的取引が行なわれまたはそのおそれがあり、及び地価が急激に上昇しまたはそのおそれがある等の要件に該当する区域を、規制区域として指定するものとし、また内閣総理大臣は、国の立場から特に必要があると認めるときには、規制区域指定指示等措置を講ずることができるものとしております。  次に、規制区域内での土地取引は、都道府県知事許可制とし、取引価格が、基準となる価額に照らし適正を欠くこと、利用目的が自己の住宅用地住民利便施設用地等のためのものでないことなどの場合は許可してはならないものとし、不許可の処分を受けた者に対しては、買い取り請求及び不服申し立てを認めるものとしております。  次に、規制区域外での一定規模以上の土地取引届け出制とし、都道府県知事は、取引価格等が不適当と認めるときは、取引の中止などを勧告し、勧告に従わないときは、公表することができるものとしております。  第四は、遊休土地に関する措置についてであります。  都道府県知事は、許可を受けまたは届け出をして取得した土地で、その面積が一定規模以上あり、取得後三年を経過しても住宅または事業用に供されていないなどの要件に該当するものの所有者に、遊休土地である旨を通知して利用計画等届け出させ、必要な助言及び計画変更等勧告し、勧告に従わないときは、地方公共団体等にその買い取りのための協議を行なわせるものとしておりますが、協議が成立しない場合においては、住宅建設等のため必要があるときは、都市計画決定等措置を講ずるものとしております。  また、昭和四十四年一月一日以後この法律施行前に取得した土地については、この法律施行後二年間に限り、遊休土地である旨の通知をすることができるものとしております。  その他、国土利用計画審議会及び土地利用審査会等を設置し、土地調査員制度を設けるとともに、所要罰則を定めることなどとしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して六月以内で政令で定める日から施行するものとしております。  以上が本案趣旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  5. 野々山一三

    委員長野々山一三君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 前川旦

    前川旦君 私は、持ち時間がきわめて短うございますので、簡潔な質問をしたいと思います。質問を簡潔にいたしますが、どうか意味をおくみ取りいただいて、提案者のほうで的確な御答弁をいただきたいと思います。  まず、質問の第一は、本法案の成立の経過であります。三月の二十九日にこれは四野党要求というものがきまって、ここに、手元に資料がございますが、さらに、四月の二日に、四野党の国対副委員長建設理事合同会議等も開かれて、それから与党との間にいろいろ法案内容が練られました。その間の過程で、どういうふうな過程でこの案が成立するに至ったのか。最初野党というふうに私ども聞いておりましたが、そのうちに与党が入って四政党というふうにもなりましたけれども、その辺の経過も合わせてお尋ねをしておきたいと思います。
  7. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) お答え申し上げます。  御承知のように、国土総合開発法は、昨年の四月に提案されましたが、野党四党は、これは大規模開発につながる法案である、かつまた産業優先法律であるということで強い抵抗をいたしました結果、二百八十日に及ぶ長期国会にもかかわりませず、成立することができませんでした。しかしながら、現下土地問題を考えるときには、どういたしましても、土地に対する基本的な法律というものが欠けております。したがいまして、これをつくって、このように地価高騰が行なわれ、これが最大インフレ要因であるという認識のもとにおきましては、どういたしましても、地価の安定ないしは投機的取引規制する必要があるということで四野党意見一致いたしたのでございます。したがいまして、われわれ四野党といたしましては、国総法は、これをあくまでも廃案にしなければならない。しかしながら、現下土地緊急性にかんがみまして、どういたしましても、土地利用規制法律をつくる必要がある、これは四野党一致いたしました。したがいまして、国総法は撤回さすかわりに土地緊急措置法律をつくろうではないか、こういうことで、四野党は、共産党、公明党、民社党、社会党、四野党協議いたしまして七項目にわたる骨子をつくりました。これを自民党に提示いたしたのでございます。——項目につきましては申し上げてもよろしゅうございますが、これに対しましては、自民党も原則としてその七項目はよろしい、したがって、今度は、この土地法案をつくるにはその四野党の七項目、これを基礎にしてひとつ法律をつくろうでないかということで、自民党から御回答がございました。しからば、その七項目基礎にした法案ができるものと私どもは期待いたしまして自民党との話し合いに入ったのでございます。しかしながら、その際に、共産党から、四野党対案は出したのだからひとつ自民党から対案を出してこいということを要求いたしました。しかし、自民党対案土地対策の案というものは、これはすでに明らかなように、国総法であろうと私たち想像いたします。したがって、七項目基礎にいたしました法律案をつくる際に、自民党の国総法案とまぎらわしいような案を出されては、さきに国総法案撤回ということを決定いたしております野党といたしましては、社会党といたしましては、それはのむわけにはまいらない、どういたしましても、この四党でまとまった七項目基礎として法律をつくるべきである、共産党さんのおっしゃる自民党の案を出してこいというのは、われわれ三野党にとっては迷惑至極であるということで意見が対立いたしたのであります。しかし、共産党さんは依然として自民党最初法律案を出してこい、その次は法案要綱を出してこい、あるいはまたそれに類するものを出してこい、だんだん要求は変わっていったのではございますけれども自民党の案を出さなければ審議に応ずることはできない、こういうことになりまして、共産党さんは五政党話し合いの中からのいていったというのがこの経緯でございます。共産党さんがのいてからあとは、自民党さんを含めまして四政党の間でいろいろと論議をいたしました。結果、国総法案とは性格を全く一変いたしました国土利用計画法案をつくり上げまして、先日衆議院で可決いたしまして、本日参議院へお願いにまいったという次第でございます。
  8. 前川旦

    前川旦君 それでは、国土利用計画法案ですね、この法案と、それから最初政府提案国土総合開発法案との相違点は一体どこにあるのか。特に内閣総理大臣指示代行権については、どういうふうにこの案と政府案とは異なっているのか、この点について伺います。
  9. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 国総法案は、御承知のように、産業優先法案であると私どもは解釈いたしておりますし、特に大規模開発を容易ならしめる法案であったと私どもは解釈いたしております。しかし、このたびの国土利用計画法案は、これは土地規制並びに地価高騰を押えるための法律であると私どもは理解いたしておるのであります。したがいまして、性格におきまして、国土総合開発法案とこの国土利用計画法案とは性格を一変いたしておると思っております。特に前川さんから御指摘がありました個々の法案の異なっておる点につきましては、第一番目に、計画内容国土利用に関する事項に限定いたしております。それからもう一つは、地方自治体の意見並びに住民意向というものを十分にこの利用計画に反映させるようにいたしております。第二点といたしましては、国土利用計画法は、土地取引について許可を要する規制区域指定要件をさらに拡大いたしておるところであります。第三といたしまして、当然なことながら、国総法案にいう特定総合開発地域に関する規定を全面的に削除いたしておるところであります。さらに、これは国総法案には全然入っていなかったのでありますが、未利用の状態にある遊休土地に対する措置、すなわち知事勧告助言あるいは買い取りに関する規定を設けておるところであります。第五といたしましては、土地取引に関する規定を有効ならしめるために土地立ち入り調査権規定いたしまして、そして都道府県土地調査員制度を設けました。さらに罰則を強化いたしたところであります。総理大臣指示権のことにつきましては、規制区域指定というようなことの事項に関する内閣総理大臣指示代行権につきましては、本法案では、地方方自治侵害を来たすことのないように、その発動の要件をより明確化いたしておるところでございます。  以上、終わります。
  10. 前川旦

    前川旦君 よくわかりますが、なお少し深めていきたいと思いますので……。  なとえばこの法案の第四条で国土利用計画というのが出てまいりますが、ここで策定される国土利用計画というものの内容は一体どういうものになるのでしょうか、どういうように考えてよろしゅうございますか。
  11. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) 四条の国土利用計画は、全国区域について一定全国計画と、地方公共団体がその地域について定める都道府県計画及び市町村計画から構成されておりまして、計画事項政令で定めることになっておりますが、大体の内容は、全国計画国土利用に関する基本構想都市住宅地農業地森林地自然公園自然保全地域公共用地等利用区分別規模及びその配置に関する目標、その目標を達成するための土地の用途の変更または土地造成に関する方針、都道府県計画作成の指針となるべき事項都道府県計画及び市町村計画都道府県または市町村について必要な事項について計画を立てるというふうにしてございます。
  12. 前川旦

    前川旦君 この国土利用計画につきましては、全国総合開発計画と一体になりまして依然として列島改造を進めるためのものであるという意見があるようですが、これにつきまして、どのようにお考えでしょうか。
  13. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) ただいま前川委員さんから御指摘のように、あるいはこの法案に対する誤解に基づきましてそのような御意見があることは事実でございます。しかしながら、よく法案内容を読んでいただきますとその点は氷解すると思うのでございますが、この国土利用計画といいますものは、直接に開発事業実施をはかる性格のものではございません。先ほども申しましたように、あくまでも総合的に計画的に国土利用をはかるためのものでございます。言いかえますならば、長期ビジョンでございます。これは十年後、十五年後、二十年後の国土利用というものに対するビジョンをここに書くのだという非常に抽象的なものでございます。開発事業決定につきましては、ほかの法律で行なうことにいたしております。国土利用計画は、この新しい、いま何と申しますか、新全総という計画がございますが、これはいま政府のほうではどうも見直しておるようでございます。しかし、この新全総を見直すものとの調整をとりつつも、直接に開発事業実施をはかる性格のものではございません。先ほども申しましたように、開発事業計画決定は他の法令、言いかえますというと、都市計画法であるとか、あるいはまた森林法とかいうような法律との関係のもとにやっていくものでございまして、いわゆる日本列島改造論の促進のものではございませんということ、性格上そのような性格になっておりますことを御理解願いたいと存ずるのでございます。
  14. 前川旦

    前川旦君 こういう計画は上から押しつけるような天下り計画であってはいけないと思いますが、しかし、今度のこの法案につきまして、ここでいう国土利用計画は依然として上から押しつける天下り計画ではないか、こういう意見もあるやに聞いております。この点についての御見解はいかがでしょうか。
  15. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) よく見ていただきますとおわかりになると思うのでありますが、国にあっては都道府県知事意見を聞き、都道府県にあっては市町村長意見を聞き、市町村長地域住民意向を聞くという形にでき上がっております。そうですから、計画作成段階では、それぞれ事前に地方自治団体意見あるいは地方住民意見を吸収してつくられるものでございますから、実務にあたっては国と都道府県都道府県市町村の間で相互にフィードバックを繰り返しながら計画をつくっていくことになっておりますので、決して天下りではないようにつくったと私たちは理解しておるんでございます。
  16. 前川旦

    前川旦君 これは政府委員の方に伺いますが、いまフィードバックということばが出てまいりましたけれども、ちょっと説明していただけませんか。
  17. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 今回建設委員会から提案されました法案内容を拝見いたします際に、いま天野先生からお話ありましたが、全国計画都道府県計画市町村計画という系列が体系的にはっきりしておりますが、それを策定する場合に、国のほうから都道府県へ指導的に指示することも多々あろうかと思いますし、都道府県のほうから市町村のほうへ指導すべき事項も多々あるかと思いますので、その指導面はこれから大いにやりたいと思っておりますが、しかし、計画をきめる際には、今度は逆に市町村のほうから都道府県へ、都道府県から国へということでその意見を十分反映させたいということでございまして、上からおろすもの、下から上がってくるものということを何回かにわたって丁寧な計画策定事務をやらせていただこうというふうに考えておりますので、決定されてしまえば一この法案規定されておりますように、国の上位計画基本となるということになろうかと思いますが、計画策定の手続につきましては、この法案で示されたように従って、私どもとしては、上からの計画であるということがないように取りはかりたいと考えております。
  18. 前川旦

    前川旦君 提案者に伺いますが、国土利用計画の中に市町村計画を設けましたこの理由、それから市町村計画都道府県計画土地利用基本計画との関係でどういうような役割りを果たす、どういうような位置になるのか。その辺についての御意見、いかがですか。
  19. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) この市町村計画は特に私どもは留意いたしたところでございます。と申しますのは、自分の住んでおる町、自分の住んでおる村の将来がどうなるかということは、これは住民自身決定すべき性格のものであろうと思うのでございます。したがいまして、どういたしましても、この市町村計画をつくる際には、先ほども申しましたように、十年後、二十年後にどういうような村の姿があるべきかということを町村民——住民が十分に考えて、そして計画策定に参加してもらいたい、こういう意味合いから、先ほども申しましたように、住民参加を強調いたしたところでございます。しかも、その地域の実情を最もよく知っておる住民市町村計画に参画いたしまして、総合的な判断のできる市町村が議会の議決を得て、そうして市町村計画というものを決定いたしたい、こう思うのでございます。その都道府県計画あるいは国の国土利用計画もそういうような、先ほど天野委員あるいは政府側からも御答弁いたしましたように、常に作成する段階におきましては、上からと、あるいは下からと、これの意見を交互に合わせながら理想的な国土利用というものをつくっていくのが必要であると思いまして、このような市町村計画をつくらせた次第でございます。  第二の都道府県における国土利用計画及び土地利用基本計画策定にあたりましては、市町村長意向というものを十分に反映させるために、都道府県市町村との間にお互いに、先ほども申しましたように、意見の交流が行なわれるということになりますが、この際、市町村長市町村計画基礎としてその意見を述べることに相なろうかと思うのでございます。ひいては都道府県計画段階計画に、先ほども申しましたように、市町村意見が十分に参酌された市町村計画を土台といたしまして、やはり都道府県計画というものも作成せられていくという順序になりますので、住民意向といいますものが都道府県計画におきましても十分に反映される結果に相なろうかと存ずるのでございます。
  20. 前川旦

    前川旦君 それでは進みまして、土地利用基本計画でありますが、土地利用基本計画策定には住民参加がこの法案では認められておらないように思いますが、これはたとえばいろいろな方法があると思いますね、公聴会のような方法もあるでしょうし、いろいろな方法があると思いますが、なぜこういう住民参加が一応規定されていないのか、その辺の経緯はどうなっているのでしょうか。
  21. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 土地利用計画、これは名前が利用計画基本計画がございまして、まことにまぎらわしいのでございますが、しかし、利用計画といいますものは、先ほども申しましたように、十年後あるいは二十年後の長期的なビジョンというものをつくるのだ、基本計画といいますものは具体的な利用計画をつくるのだ、こういう相違がございます。しかし、土地利用基本計画のほうは、私どもは、この法案のねらいといたしております土地取引規制開発行為規制遊休土地に関する措置等実施するための基本計画でございます。その内容は、都市地域農業地域あるいは森林地域、あるいは自然公園地域等々の五つ地域区分に分けますし、それらの土地利用調整に関する事項でございまして、その性格は、都市計画法あるいは森林法自然公園法等個別法による地域指定のいわば上位計画、先に進む計画なんでございます。したがいまして、この法律は、それらの法律をいかに施行していくかを総合的に調整するための基本計画でございます。直接住民に対しましてはこの基本計画によりまして規制を及ぼすことには相なりません。当然に都市計画法によりますところの規制、これは他の都市計画法によって規制を加えていくという考え方でございます。したがいまして、都市計画法等五つ法律によります個別法によりまして、必要に応じて、都市計画法では、御存じのとおり、公聴会等々を開かすことを義務づけておりますので、基本計画には、私どもは、住民参加は必要ではないんじゃないかということで削除いたした次第でありますし、また、土地利用基本計画策定にあたりましては、市町村長意向を十分に反映させるよう必要な措置を講ずることといたしておりますので、先ほども申しました長期計画であります利用計画には、十分住民意向を参酌いたしまして、できたその利用計画にのっとって具体的な基本計画策定いたしますので、当然、市町村長は、議会であるとか、あるいは住民意向を踏まえて、その意見知事に申し出、知事のほうにおきましても、市町村長意見を、これを何と申しますか、十分に参酌しなければならない、聞かなければならないことになっておりますので、間接的ではございますが、十分に反映されるものと、こう理解いたしておる次第でございます。
  22. 前川旦

    前川旦君 次に、この第十一条では、土地取引規制に関する措置の強化がはかられるべきであるということと、その緊急性をうたっておりますが、現実に土地の価格はもう全国的に上昇しておりますが、この法律を適用するにあたって、規制区域指定というものは、これは全国的に広い範囲で行なうことになるのではないだろうか、あるいはそれが必要ではなかろうか、こういうふうに思われますが、その点のお考え方はいかがでしょう。
  23. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) 私たちの立場野党さんの立場とはその点で相当隔たりがあったわけでございますが、私たちのほうでは、一応届け出制にしておいて適当な地区から、極端なところから規制をしていく、許可制にしていくという考え方であったんですが、一応野党との懇談で、この法律ができあがるにあたりまして、全国を全部規制区域にするという原則を確立いたしました。そうですから、ただし緊急必要な事態の起きたところから逐次これを行なうということに法律はできあがっておるわけでございます。そういう点で、全国的に必要になってくれば、これは全国的に可能でもあるわけですし、それは各都道府県知事の権限に一任してあるということでございます。
  24. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 先ほど天野理事から申しましたとおり、原則といたしまして全国規制の対象にするんだと、こう私ども全国をやれということを強く要求いたしまして、結果は原則としてという文字が入ってまいったのでございます。しかしながら、全国におきまして現在土地取引が三百四、五十万件ございます。その上へもってまいりまして、また三百四、五十万件の上に、いわゆるこの土地取引におきましては、農地法の関係等々もありまして、仮登記で土地の売買が行なわれておる事例が数多くございます。この実態につきましては、全然統計の上にあらわれてきておりません。したがいまして、この法律施行されまして、届け出をやって実際に全国的に規制いたしますというと、一年間に大体四百万件から四百五十万件くらい出てくるのでなかろうかと推測がされるわけであります。そういたしますと、きびしい規制を加えておりますので、一体それに地方自治体が事務能力としてたえ得るだろうかという点も大きな問題になったわけでございます。私どもは、最初全国に及ぼすべきである、その次には都市計画区域に全面的に及ぼせ、あるいはまた市街化区域に全面的に及ぼせという主張を繰り返しやってまいったのでございますが、どうも私ども意見を述べましても、ウイークポイントは事務能力がはたして市町村——四百四、五十万件に及ぶこの一年間の取引に対して規制が加えられるだろうかという点で、非常に私どももその点を指摘せられまして、なるほどということにいたしましたので、結局、この法案のように、原則としては全国に及ぼすんだと、しかしながら、緊急性のあるところからというふうに折れざるを得なかったのも市町村あるいは地方自治体の事務能力の関係だと、こうお考え願いたいと思うのでございます。したがって、地方自治体がそういうような事務能力を十分に備えると認められるときは、私どもは、全国にこれを及ぼすべきであるという意見を持っておりますし、その際、原則として、だから全国に及ぼすんだという原則をくずしていないところでございます。
  25. 前川旦

    前川旦君 それじゃ、次に参りますが、十二条の規制区域ですか、規制区域指定につきまして、都市計画区域内と都市計画区域外とでは、この指定要件に差が設けられております。これはどういう意味で、なぜこういうふうな差を設けたのでしょう。御説明をいただきたいと思います。
  26. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 私どもは、先ほども申しましたように、全国的にともかく及ぼせ、少なくとも地価高騰の激しい都市計画区域内、特に市街化区域内はやるべきであるということを強く要求いたしたのでございます。しかしながら、現状からいたしまして、先ほども申しましたように、地方自治体の事務能力から、これはちょっとむずかしいのじゃなかろうかということでございますが、しかしながら、立法の趣旨といたしましては、各県少なくとも一カ所はこの規制区域をひとつ設けてもらいたい、それはこれを法律上表現するには一体どんなのがよかろうかといって、いろいろと頭を悩ましたところであります。でございますので、ひとつ都市計画区域内におきましては各県一カ所をやることが、それが少なくとも、二府四十三県ですか、一都一道二府四十三県でやりますというと、これが核になりまして、どんどんとその地域地価の安定というものが広がっていくという考え方で、全国的に及ぶ波及効果から考えましてやっていただきたいということで、この一と二と分けた次第でございます。一本でいけというような意見もございましたけれども、この際、都市計画区域内、特に市街化区域は非常に地価が暴騰しておる、これをひとつ押えてもらいたいというあらわれがこの二つに分かれたゆえんだとひとつ御理解いただければ幸いに存ずる次第でございます。
  27. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) ちょっと、いいですか。  いま井上君の説明で尽きているわけですが、とりあえずは都市計画区域内が、市街化区域内が高騰しておるであろうからという考え方でありますが、それ以外の地域でも高騰すると認められる場合、高騰する場合には網をかけることにできておりますので、それほど大きな差は実質的にはないのじゃないかという考え方を持っております。
  28. 前川旦

    前川旦君 この法律の第十三条ですが、これが一番大きなこの法案の問題点になっておるのは御承知のとおりですが、この規制区域指定に関する総理大臣指示代行権、十三条の第一項と第二項ですが、これが地方自治の侵害になるという意見があるのは、御承知のとおりであると思います。この点はいろいろ論議されるところでありますが、この点につきましての提案者の御意見を明確にしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  29. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) この国民の財産権につきましては、憲法二十九条におきましてもきびしく規定が行なわれておるところでございます。国民の財産権に対する規制と申しますものは、大体国の責任において行なうのが当然ではなかろうかと思うのであります。しかし、個々の土地についての実態的な判断がきわめて重要でありますので、この法案では、都道府県知事にその権限を委任いたしておるところであります。地方自治法第百四十六条は、このような国の責任を全うするための代行処置に関する一般的な規定を設けております。しかし、この土地の価格の上昇を押えるといいますものは、これは非常に緊急を要する場合が生じてまいりますので、この地方自治法百四十六条がはたして適当かどうかというのを考えますときに、私どもは、この緊急性というような点から考えまして、この法律案におきましては、指示代行権に対する特別規定を設けたところでございます。本法案におきましては、内閣総理大臣が代行するにあたりましでは、都道府県知事が正当な理由がなく処置を講じないことについて、国土利用審議会の確認を受けなければならないというように、非常に慎重な手続をとることといたしております。この指示代行権につきましては、地方自治の本旨にのっとりまして、地方公共団体の長の権限を最大限に尊重するものとして、その行使は、事前に地方公共団体の長に対しまして適切な指導を行ない、正当な理由なく一定期日をこえて地方公共団体の長が適切な処置を講じないときに限ることにいたしております。特にこの点につきましては、私どもも、地方自治の侵害になってはならない、しかしながら、地価を安定せしめるということは、これは国の仕事である。ここの間におきまして非常にジレンマにおちいったところでございます。結局、この総理大臣、すなわち主務大臣としての総理大臣指示代行権につきましては、特に建設委員会におきましては問題になり、委員長におきまして、経済企画庁長官に対しましてきびしい要望をいたしました。要望事項といたしまして、きびしく委員長から特に要求いたしまして、先ほども申しましたような慎重な配慮のもとに代行権を行使するということに歯どめをかけております。この点御報告いたしたいと存ずるのでございます。
  30. 前川旦

    前川旦君 これはたいへん重要な問題でございまして、私も突っ込んだ論議をしたいのでありますが、時間の制限がございますので、次の機会に譲りたいと思います。  今度は、提案者政府の双方にお尋ねをしたいと思いますが、許可制の場合ですね、この基準価額、これは一体どうやってきめるのか。具体的にどうやってこの基準価額をきめていくのか。これはまたたいへんな問題だと思うんですね。衆議院ではいろいろお話がございました。よく私も伺っておりますが、たとえば市場相場の七、八割程度を政策的な目標として適切な算定方式を定めるというようなことばもございますけれども、なかなかこれだって非常にむずかしい、複雑なことだろうと思いますが、その点について、どういうふうに指導して、どういうふうに算定をなさるのか、基本的な方針をお尋ねしたいと思います。
  31. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) 実は、いま廃案になろうとしておる国土総合開発法案の提案をするときからこれが問題でございまして、まだ完全な結論には到達していない。——正直に申し上げます。それで、この法案が参議院をお通し願いまして、施行されるのはおそらく十月下旬か十一月初旬になるだろう、それまでにはどうしても政令でこれをまとめたいという、これは申し合わせをいたしております。いろいろ考えておるんでありますが、地価が暴騰し過ぎなんではないか、この暴騰し過ぎた地価を抑制するためにこの法律をつくるんだから、どうしてもやっぱり一応の政策目標としては七〇%か八〇%ぐらいが、大体においていまの土地の価格から言えば、適正に近いものではないかというのを一応の政策目標で立てたのでありますが、さて、その価額を一体どうして算定をするかというところに非常にむずかしい問題がございます。いろいろ、地価公示法とか、あるいは鑑定士の地価評価を用いたらどうかとか、あるいは税金を基本にして考えたらどうだとか、いろいろ議論はされたのでありますが、そう言っては、はなはだ不勉強だと言われ、おしかりをこうむるかもしれませんが、いまだ完全な結論に到達しておりません。それで、これは大きな宿題なんでございますが、こういうことを申し上げてこの法律案を通していただきたいなんと言うのは実にふらち千万だと言われれば、どうもこれは一言半句もないわけでありますが、正直に申し上げて、なかなか容易でない問題でございますので、これは議員提案でもございます。いわゆる政府提案ではございません。そういう点で、われわれが責任を持たなければならない問題でございますので、鋭意これから勉強いたします。ひとつよい知恵を、算定方式を、これはいいぞというよい知恵がございましたら、皆さん方からもひとつ出し集めていただいて、ひとつ確実なものをつくり上げたいという率直な意見でありますが、答弁になるかならないかわかりませんが、そういう考え方でおります。政府当局は政府当局で政令をつくるたてまえから検討をしておりますから、政府当局からのある程度の答弁はあると思いますが、私たちは、率直に言って、いまだ完全な答えは出せないという段階でございますので、この点はこれから時間をかけてひとつ、これ一点にしぼってやればできないことはないと思いますので、努力をいたしたいと思いますので、この点、御協力をかえってこちらからお願いを申し上げておきたいと思うわけでございます。
  32. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 建設委員会におきまして、委員長から政府のほうへ御指示がございまして、立法の御趣旨につきましては、非常に暴騰してしまいました高値の価格をそのまま認めて、それを許可にかかわらしめる価額にすることは、政策上まことに不適当でありますので、これの七、八割程度を目標にこの算定方式を定めるようにという御指示をいただきましたので、政府部内におきまして政令内容の検討を始めております。  その内容は、いま天野先生からお話がありましたように、まだ確定的なものにはなっておりません。しかし、考え方といたしましては、現在宅地であるものが売買される場合あるいは農地が農地として売られる場合、あるいは農地が宅地に転換されて売られる場合というようなことによりまして算定方式がかなり異なってくるというふうに予想しておりますし、特に大規模土地取引されます場合、団地的な形で取引される場合にはまた別の方式をとりませんと、この適正な算定方式にならないのではないかということもございますし、それから固定資産税の評価額等を拝見いたしております際に、やはり地域的な差が認められますので、地域間におきましても算定方式を多少変えなければならないのじゃないかということで、地目別あるいは地域別に算定方式を検討したいと考えております。六カ月間の期間の中に政令をきめなければいけませんので、前半の三カ月程度は、やはり実態におきまして固定資産税の評価額、地価公示法によります価格あるいは相続税法によります相続税の価額等の比較検討、実態調査を少しさせていただいて、その上で適正な算定方式を定めたいという考え方でおります。
  33. 前川旦

    前川旦君 たいへんむずかしい問題だろうと思います。ただいま天野理事からたいへん率直な御意見がございまして、私どもも感銘をしたところであります。たいへんむずかしゅうございますが、議員提案でございまして、われわれも責任の一端をになうものでございますので、これからともに実効のあがる形を協力し合って考えていくべきだろうと思っております。  それでは、これは大きな問題で、これからの最大の宿題でございますが、次にまいります。届け出制の問題でありますが、届け出制では実効があがらないだろうと、したがって、全国にわたって一定規模以上の取引全国的に許可制にしてはどうかという意見があると聞いております。この点についての御意見はいかがでしょうか。
  34. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 御存じのように、いま土地の売買実態がどういうようなものであるか、実は国のほうにおきましても、これはわかっておりません。したがいまして、一定規模以上の届け出制をしくことによりまして、現在の取引の実態がわかりますし、かつまた投機的取引であるとか、あるいは地価高騰というものがこれで把握ができると私どもは理解いたしておるのでございます。したがって、全国にわたりまして乱開発の防止ということも届け出によってある程度成果をあげることができると思います。この一定規模以上の土地につきまして許可制をしけという御意見がございます。しかしながら、これをやりますというと、たとえて言いますと、二百坪以上は全部届け出にしろという議論がございますが、そういたしますと、土地の、何ですか、取引の際に細分化されてくる。二百坪以下ということになりますと、百九十九坪以下は届け出しなくて、許可が要りませんから、全部地目を細分化する、そしてその届け出の価額というものと、これはもう百九十九坪以下はともかくフリーになりますから、これは自由になりますので、こちらは高くなってくる。ところが、片一方のほうにおきましては、二百坪以上は許可制をしくので取引がともかく安くせざるを得ぬというので二重価格につながってくるおそれが多分にございます。そうしてまた、脱法行為は、たとえば二千坪の土地取引しようと思いましても、これを十一分割にしてしまうというようになってまいるおそれが十分にございますので、一定規模以上の取引許可制といいますものが、これはざる法になるおそれが非常に強いと思います。したがいまして、私どもは、全国的には届け出制を、一定規模以上は届け出にする、そして緊急なところは一坪といえども許可制にするという考え方に徹したわけでございます。御理解願いたいと思います。
  35. 前川旦

    前川旦君 この画期的と言われております法律施行されても、大企業による土地の買い占めは抑制できないのではないだろうかと、したがって、大企業の土地の買い占めはぴしゃと禁止すべきであるという意見がございますが、その点についてお考えはいかがですか。
  36. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) 実は、この問題が野党四党の七項目の中の一つの項目であったわけでありますが、大企業の土地の買い占めを原則的に禁止するというこの問題でございます。大企業のまず解釈をどう立法化するか、買い占めというのは一体どういうふうに書くか。酒屋に行って酒を買うなら、百本あるうち九十五本買えば買い占めだと言えるかもしれませんが、土地の場合は、全国を全部買えば買い占めなのか、各府県の県一つ全部買ってしまえば買い占めなのか、それとも市町村全部を買えば買い占めなのか、それを法律でどう具体的に書くかということに非常に問題が残ります。それと、大企業は悪いが中小企業は幾ら買ってもいいんだ、個人だったら幾ら買ってもいいんだということでは立法上非常に疑義が出てくるということで、実はこの問題は、私たちのほうから、四党から提案されたのを削っていただいたわけであります。それでも野党四党側で、それをりっぱに、大企業とはこういうものさしではかれば大企業が出てきて、買い占めというのはこういうのが買い占めだという具体的なものは書けるならば書いてほしいという議論もしたのでありますが、なかなかこれは困難なようでございまして、そういう観点から、少なくともわれわれ立法の座におる者としては、むずかしいものをここで規定して、かえって執行をするのに混乱を起こすようなことがあっては困るのじゃないかというので、実はこれは削ったようなわけでございます。一応、この法律一本ではとても買いあさりを規制することは非常に困難だと思います。これは金融その他いろいろな面から規制をしていこうではないかと。たまたま現田中内閣の最近の金融引き締めによりまして、土地は、喜ぶべきことだと思うのですが、非常に動きが少なくなってまいりまして、値下がりの傾向を示しておるという現在の段階からいって、その他のものでも規制はできるのではないかという考え方で、実は大企業の土地買い占めを禁止するという問題は、この法案から削除したわけでございます。が、しかし、それでは一体大企業の土地の買い占めは起きないのかという問題については、なかなかやっぱりいろいろ問題点はあると思うのですが、これは技術的に何らかの措置を講じようという話し合いは、お互い仲間同士ですから話し合いはいたしております。それと同時に、いろいろな問題点があります。これは非常に完全というところまで持っていくまでには、点数何点もらえるのか、四十五点か五十点ぐらいもらえればたいへんいいと思うのでありますが、その足りない分については、執行してみて——いままでは法律をつくると、どうも投げっぱなしになりがちだ。何十年も前につくった法律そのままあるという状態、これだけは現実の問題として緊急かつ必要でつくる法律であるのだから、施行してみて、一年たってみて見直しをしようじゃないか、そうしてみんなで知恵をしぼって、万全とはいわなくても、やや形づいたところまで持っていくように努力しようではないかという申し合わせを委員会ではいたしております。  そういう観点から、いまの大企業の土地の買い占めという問題につきましては、いろいろな面でひとつ規制するように配意をしたいと考えておりますので、御了解願えればたいへん幸せだと思います。
  37. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) ただいまの問題でございますが、これは届け出制許可制という二つの方法をやりますというと、取引の実態が全部わかってまいります。そうしてその届け出制につきましても、知事が、不適当な価格で取引が行なわれているというときには、あるいは利用目的がおもしろくないというときには、勧告することができるし、また公表することができることにしてございます。そのほかに、先ほども申しましたように、土地を取得後三年間を経てもまだ利用していないものは、未利用地あるいは遊休地として指定いたすことができるようになっております。そうして遊休地に対する処置は、御存じのとおり、つくってございます。したがいまして、この買い占めという事例は非常に発生しにくくなると私どもは考えるのでございます。特に土地取引が市街化区域でございますと二千平米、市街化調整区域でございますと五千平米、その他は一万平米をともかく届け出する、そうしてその届け出の際には、価額も、あるいはまた利用目的というものも明確にして届けなければならないことになっておりますので、取引の実態がわかることが買い占めをやろうとする者にとりましては非常に困ることであろうと私どもは思います。したがいまして、実態上はこれはなかなか大企業が買い占めをしにくくなる、実効はあらわれてくると、このように考えておるところでございます。
  38. 前川旦

    前川旦君 許された時間がわずかになりましたので、はしょりまして、遊休土地について伺いますが、この規定遊休土地について新しく収用権を付与するということですが、実質的にこの法律では収用権を付与したことにならないではないかと、こういう疑問を投げかける意見がございますが、これについての提案者の御意見を伺いたいと思います。
  39. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 土地を収用するということは、これは御存じのとおり、私有権に対するきびしい強い規制につながります。したがいまして、憲法二十九条できめておりますように、公共の福祉のため、しかも正当な補償をしなければならないというきびしい規定を憲法二十九条で設けておることは、御存じのとおりでございます。したがって、この立法上の手続におきましては、収用するときには手続におきまして十分に慎重でなければならないと私どもは考えるのであります。遊休土地の活用をはかることは、これは政策的にいたしましても、どういたしましても必要であると私どもは考えます。この法案におきましては、遊休土地に関しましていろいろな規定を設けているところでありますが、強制的に収用することにつきましては、収用法、都市計画法などに見られるように、慎重な手続をしなければ、私は、私有権の侵害になって、二十九条違反になると思います。したがいまして、やみくもに、あれは遊休地であるからといって強制収用をかけるわけにはまいらないと思います。すなわち、公共の福祉の目的に沿うという目的がはっきりしなければ、これは収用手続をとることはできないと思います。したがいまして、遊休土地の認定が行なわれました際には、その遊休土地について、都市計画法等の手続によって、公共施設としてそれは使うんだということを明確にしなければならない義務を今度は知事につけてございます。したがいまして、遊休土地であるという指定をするときには、次にはその遊休土地については何に使うんだということを明確にして、もし協議がととのわなければ都市計画法による、あるいはまた土地収用法による強制収用をかける、こういう手続をとらざるを得なかったことをひとつ御理解願いたいと存ずるのでございます。
  40. 前川旦

    前川旦君 この遊休土地に関する措置でありますが、昭和四十四年一月一日以降の取得に限定をしましたね。これはちょっとよくわかりませんが、その理由をこれは提案者から御説明をいただきたいと思います。
  41. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) これは大体土地の買いあさりというか、それが非常に強くなってきたのは、大体昭和四十四年ごろからではないかというので、大体の線を——一応その前は平生な取引が行なわれておったのじゃないかという、以上の解釈をして大体の線をそこに引いたのであります。これにはいろいろな議論がありました。その前でも遊休土地はいっぱいあるのじゃないかという意見もありましたが、正当な形で取得し、正常な経済取引で取得してあるものをさかのぼって、あいているもの全部というわけにはいかないのじゃないか。それですから、一応四十四年、そのあたりが、五、六年前ぐらいがちょうどいいんじゃないかという、これはまことに申しわけありませんが、そういうような考え方でこの線を引いたわけでございます。それも二年という限定した——年数も三年から二年にしてございますが、これはすぐにも取り調べが可能だということで二年という年数で、その点ひとつ御理解願いたいと思うのでございます。
  42. 前川旦

    前川旦君 なかなか皆さんたいへん御苦心をなさっているということは、よくわかります。  それでは、国土利用計画審議会ができますが、これは政府のほうにお答え願うのが適切かと思いますが、国会議員は含めませんね。これはどういう理由で含めないのか、その辺の御見解を伺いたいと思います。
  43. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 政府といたしましては、昭和四十四年の七月の閣議におきまして、行政監理委員会の答申に基づいて、立法される際の新しい審議会その他におきまして、国会議員を含めない、そして行政官庁の職員を原則として含めないということを閣議決定しておりまして、最近におきます立法例におきましては、やはり国会議員が入らないという例があるというふうに思いまして、私どもといたしましては、建設委員会法案ではございますが、審議会に国会議員及び関係行政機関の職員を入れないということで御意見を申し上げて、御採用いただけたものと考えておりますが、一方で、第三条におきまして、政府国会にこの法案にからんで必要な事項について基本的な報告書を提出するということを規定してございますので、国会との関係は、この報告を通じて御連絡を申し上げるということで考えた次第でございます。
  44. 前川旦

    前川旦君 提案者のほうは、いいですか。
  45. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) いろいろ議論はあったんですが、そういう方向でやっておるというものですから、一応政府の考え方に同調したと言えばちょっと問題ですが、本来なら、国会を代表するものが国民の最高ですから、代表で一番いいと思うんでありますが、一応の形は、そういうふうな執行当局の意向を参酌いたしまして考えたわけでございます。  ちょっと、このことにつきましてはもう少し考慮さしていただきたいと思います。法案はもうでき上がっているのだが、法案には書いていないようですから、もう少し勉強させていただきたいと思います。
  46. 前川旦

    前川旦君 そうすると、国会議員を含めないという方針が政府にありますが、そういうふうにきめているわけじゃないと、これも研究課題であると、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  47. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 第三十七条で審議会の組織をここに書いてございますが、これは国会議員として何名入れるということは書いてございません。ただ、国会議員という文字が消えただけでございまして、国会議員の中には学識経験がまことに豊かな人がたくさんおりますので、私どもは、お話によっては入ることもあり得ると、こう考えております。したがいまして、これは参議院の皆さん方とも十分御連絡しながらこの問題の処置を考えたいと思います。
  48. 前川旦

    前川旦君 もう一つですね、これ非常に大きな問題だと思いますが、この法案内容を見ましたら、地方公共団体事務量はずいぶん広がりますね。それから人員もふやさなければいけない。それから都道府県に設置する国土利用計画地方審議会あるいは土地利用審査会ですか、こういった経費あるいは規制区域土地買い取り請求があった場合の買い取り資金、遊休土地買い取り資金、こういった通常経費と必要資金がずいぶんこれはたくさん必要になると思いますね。この裏づけがない限り実効があがりません。その点について、財政措置をどう考えていらっしゃるのか。これは提案者政府と、先に提案者のほうから伺って、あと政府側の御意見も伺いたいと思います。
  49. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) それはお話のとおりでございます。今年度は法律作成でございますから、予算的にはわずかのものきり載っておりませんので、いずれにしろ法の執行が完全に動くのは十一月ころだという大体の考え方なものですから、追加予算で、できれば必要な経費は追加でやる。それから来年度の当初予算にあたりましては、経過から考えて見て十二分に算定できるという前提条件に立ちまして、運営できるだけの資金を予算化するという政府側との申し合わせをいたしてございます。その具体的なものについては執行当局のほうから答弁をさせたいと思います。
  50. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 実は昭和四十九年度の予算要求をさせていただいておりますが、その中で政府提案でありました国土総合開発法施行経費を組んでございます。その経費の内容土地規制に関する補助金でありますので、国土総合開発法とは別でありますけれども、この国土利用計画法案が可決され、施行されるという場合には、その経費をそのまま充てたいということを考えておりますが、それは都道府県に対しまして補助をするということで、約八億何がしかの予算を四十九年度分については組んでおります。そしてまた、政府案の場合には、遊休土地という事項がございませんでしたが、許可制度に伴う買い取り請求権に応ずる土地の取得費が必要になってまいりますので、それに対しましては地方債を充てるということで自治省とも検討いたしまして、若干一部それに対します償還利子の補助をしようということで予算化しておるわけでございますので、四十九年度はその範囲でやらせていただきたいと考えておりますが、昭和五十年度の予算要求にあたりまして、いま天野先生からお話ありましたように、国土利用計画法施行に必要な内容につきまして、十分政府側として検討さしていただくということを衆議院建設委員会でうちの長官からお答えしているところであります。
  51. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) ただいま前川委員から御指摘がありましたが、非常に重要な問題だと思いました。この点につきまして、この法案委員会提案でございます。したがいまして、木村委員長から特に企画庁長官に対しまして強い要望をいたしました。その第四項目目に「本法案施行に伴う地方公共団体事務及び事業の増大に対処するとともに遊休土地の有効利用を促進するため、行財政上具体的な措置を講ずるよう一層の努力をすること。」ということを強く経済企画庁長官に要求いたしたところでございます。内田企画庁長官からは、「本法案施行に必要な行財政上の措置については、昭和四十九年度にひきつづき、昭和五十年度以降において拡充強化するようつとめること。」、以上お約束いたしますということを答弁さしたところでございます。
  52. 前川旦

    前川旦君 私の持ち時間がもう超過をいたしましたので、皆さん方のここに至るまでのたいへんな御苦労に対しまして心から敬意を表しまして質問を終わります。
  53. 竹内藤男

    竹内藤男君 新しいこの国土利用計画法案木村委員長天野理事はじめ各与野党理事委員の方が地価対策上一番大事な問題につきまして、各党一致いたしましてこの法律案をまとめられたことにつきましては、非常に画期的なことだと敬服をする次第でございます。これこそ立法機関として模範とするに足るやり方じゃないかと思うものでございます。  与野党一致の法律案でございますので、簡単に国民の側から疑問となっている大事な点を二、三御質問申し上げたいと思います。前川委員から各項目にわたりまして御質問がございましたので、私は、主として第四章の権利移転等の許可に関する問題につきまして御質問をしたいと思います。  この法律におきましては、全国的には一定規模以上の土地取引は、第五章の規定によりまして、届け出、中止勧告、公表といったような規制をいたしておりますが、その中で、特に土地投機が著しくて地価が急上昇するということが懸念される土地規制区域として、そこにおきましては許可制でしっかりここを押えていこうというのが第四章の規定ではないかと思うわけでございます。問題は、先ほど前川委員も御指摘になりましたように、規制区域指定でございます。指定権限は知事が持たれるわけでございますが、この法律要件では、どの程度現実に指定されるのかということが明確に見通せないような感じであります。前の国土総合開発法では、その前にもう一つ条件がございまして、相当の範囲にわたって土地利用の現況に著しい変動を及ぼすと、あるいはこの周辺の地域あるいは急速に市街化が進行するような地域というところで投機的取引地価急上昇という要件があれば指定するというようになっていたと思うのでございますが、今回はその前の部分が削られて、先ほど井上先生のお話では、規制区域要件を拡大したんだと、こういうことでございますが、どうもちょっとこれだけ読みますと、どういう地域指定されるのか、そのめどといいますか、見当といいますか、それがつきにくいように思うわけでございますが、国総法の要件を拡大したというのは、利用現況の変動とか、あるいは市街化区域の進行といったところ以外で、どういうところを具体的に予想をされて要件の拡大をはかられたのか、その点につきまして御質問を申し上げたいと思います。
  54. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) 釈迦に説法だと思うんですけれども指定要件の拡大といいますか、条件を広げたというのは、いわゆる全国地域を一応原則的に許可制にするというところだけだというふうに御理解願えればいいんです。あとはいろいろニュアンスが違うと思うのです。私は自民党ですが、私のほうの解釈は、いわゆるさきの国総法案に盛られた、要するに土地の部分だけを持ってきたという考え方でございますから、そういう点では規制のワクを決定するものの考え方については変わりはないというふうに了承していただきたいと思います。
  55. 竹内藤男

    竹内藤男君 十二条の要件投機的取引地価の急上昇ということでございますが、一応期間がきまっていると、まあ五年という以内で一応期間をきめまして、さらに再指定もあり得るということでございますが、   〔委員長退席、理事前川旦君着席〕 何年かたてばその規制がはずれるというようなことになっておりますので、何かの目的でこの地域地価が急上昇し、投機的取引が行なわれるから押えようと、こういうようなものじゃないかと思うわけでございます。  そこで、そういうようなことが間違っていれば御指摘を願いたいんですが、そういう考え方に立ちますと、たとえば都市計画区域の中の市街化調整区域でありますとか、あるいは農振地域でありますとか、市街化を押えようとか、農業利用のみをはかろうというようなところは、この地域指定がかからないんじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  56. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 実は、そういう竹内さんのおっしゃるようなところも、御心配もあろうかと思います。しかし、実態を見ましたらそうじゃございません。先日も建設委員会で、衆議院におきまして大きな問題になったんでございますが、千葉県に大網白里町というところがございます。そこの農振地域土地が、優良農地が百町歩余り買われておるんですね。農地法上からいたしましても、取引できないところが売買移転の仮登記という形で全部買われておる。これは売買実例として私らの統計上出てまいりません。しかし、そこらあたりをどんどんこのごろの不動産屋というのはもう恥も外聞もなく買い散らしますので、罰金さえ払えばいいやというような考え方で国土が荒らされておることは、御存じのとおりです。したがいまして、これは実態からしますと、土地投機的取引が行なわれておるところ、あるいはそのおそれがあるところ、地価高騰のおそれがあるところ、これに網をかけなければ後手後手になっていくであろうという考え方から、実はこのような規定を設けたところでございます。
  57. 竹内藤男

    竹内藤男君 そうすると、市街化調整区域とか農振地域であっても、こういう要件をおそれがあるところはかけていこうと。  それからもう一つは、規制区域のかけ方の問題で、もう一つ広くかけますと、これは取引規制が広くできますし、また、それだけ地価の抑制が徹底するわけなんであります。まあ、新聞のあれですから、よくわかりませんけれども、埼玉県知事の畑さんなどは、全県これを指定するというようなことも言っておられるということが朝日新聞に書いてあるわけです。住宅、人口抑制の道具に使おうというようなことも言っておられるわけですけれども、この要件と、それから二十二条というのがございまして、その規制が失効する、あるいはその規制の効力が失われる、期間が経過しまして。あるいはその規制が解除されたあとのことを心配されまして、その土地利用計画を定めなさいということが書いてございます。   〔理事前川旦君退席、委員長着席〕 そういう観点からいいますと、土地利用計画を定めるようなところでございますので、県全体をかけるというようなことは起こらないのじゃないかと思うのですけれども先ほど、もう一つは取引の件数の問題を言われました。そういう件数からいきましても、なかなかたいへんだと思いますけれども、これはそういうふうな運用もこの法律で可能になるとお考えなのでしょうかどうか、お伺いしたい。
  58. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) それは法律案基本的な考え方からいえば可能であります。ただ、できるかできないかというところの客観的な問題が相当強く出てくるのではないかと思いますが、一応やろうとすればできるという形にしてあります。それが審議会その他で相当の意見等がございますれば、いわゆる主務大臣の指示権というものがそういう場合において発動されると思いますが、それが客観的、主観的に見て妥当であるという常識の上に立てば、それはできるというふうに解釈しても差しつかえないと思います。
  59. 竹内藤男

    竹内藤男君 もう一つは、大企業がいま非常に土地を持っていて、大企業の土地に対して特別な対策が必要だというようなことを前川委員から御指摘ありましたけれども、その大企業の土地だけをスポットでかける、規制区域ですね、そういうようなことをおもなねらいにしているのじゃないかというような勘ぐりみたいなものもありますけれども、そういうことはこの法律案にはないと思うのですが、その点はどうですか。
  60. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) それは全然ございません。
  61. 竹内藤男

    竹内藤男君 そういたしますと、できる限り、この法律案趣旨からいいましても、自治体の事務能力があれば、なるべく広くかけていきたい、地価抑制をしていきたいということでございますので、規制区域の中には、大企業の土地、大企業その他で土地を持っている人以外に、一般の地主と申しますか、農民地主と申しますか、そういう人も相当入ってくるのじゃないか、そういうふうに了解をしてこれから議論を進めてもよろしゅうございますか。
  62. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) それでけっこうです。
  63. 竹内藤男

    竹内藤男君 そこで、十六条あるいは十九条の先ほどの価額の問題に入りたいと思うわけでございますが、価額の問題に入ります前に、計画局長お見えでございますか。——実はこの十六条の許可基準のところの何と申しますか、基準価額というのですか、この価額に照らして適正を欠く場合には許可にならないという価額あるいは十九条の買い取り請求に応ずるときの買い取りの価額といったようなものの表現は、収用法の七十一条の表現に非常に似ているわけです。ちょっと違うところもありますけれども、その点はあとで申し上げます。収用法の七十一条の「近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格」、こう書いてありますが、事業認定告示のときの相当な価格というのは、告示のときの市場価格と申しますか、時価と申しますか、それと同じなのか、考え方といたしまして、それより低い価額できめようということなのかお伺いしたい。
  64. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 収用法で考えております収用価額は、収用すべきその土地の正常な取引価格を規準としておりまして、その取引価格は近傍類地の取引事例を参考にいたしましたり、その土地の位置、形状等を勘案いたしまして算定するものでございます。だから、地価公示法の十条にも収用価額を算定するときには公示価格を規準にしなさいというようにきめております。したがいまして、収用価額はそういうふうにして算定されました正常な価額、正当な価額というように理解しております。
  65. 竹内藤男

    竹内藤男君 先ほど天野先生から、新しい許可制度の基準価額は適正な価額、それにはいま暴騰しておるから市場相場の七、八割になるようにするというようなお話、基本方針としてあるというお話を聞いたわけでございますが、収用法の相当な価額というのは、いわゆるその市場相場といいますか、市場価格というものをあらわしたものではないんですか。適正な価額と、こうおっしゃいますけれども、私は、ざっとした議論をしているわけで、厳密な議論をしているわけではございませんが、端的に言って、時価で収用するのかどうか、事業認定時の時価で収用するのかということをお聞きしたい。
  66. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 先ほど申しましたように、収用法上は、時価とか、あるいは市場価格ということばは出てきませんけれども、いま申しましたような方法によって算定する正当な価額、これは収用に際しましてその土地の価値を補償するというたてまえからいたしまして、正当な価額でなくちゃいけません。そういう意味におきましては、いわゆる適正な市場価格というように言うこともできると思います。
  67. 竹内藤男

    竹内藤男君 もう一つ計画局長にお伺いしたいのは、地価公示法四条の鑑定評価基準がございます。標準地は前の条文できまっていて、これで価格をきめる場合の基準が書いてあるわけですけれども、この公示価格というのは、その算定の時期は、ある時期で算定するわけですね、そのときにおける時価を表現しているのかどうか。それとも、世上言われておりますように、市場価格の実際上は七、八割なんだと、こういうふうなことになっているのか、そこら辺をお伺いしたい。
  68. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 地価公示法によります公示価格は、多数の取引事例から特殊なものを除きまして正当な価格を判定するわけでございますが、その時期は、その判定する時点における正常な価格を判定するものでございます。
  69. 竹内藤男

    竹内藤男君 それからちょっと役所のほうに先に聞いちゃいますと、先ほど下河辺局長の御答弁の中に、政令はこれからきめるのだと、その際に、現在宅地であるところ、現在農地であるところ、農地であっても、農地として取引をするところ、農地以外のものとして取引をする場合、いろいろ検討しなければならない、こういうことがございましたので、お伺いするわけですが、現況地目が農地である場合、それを農地として取引する場合は、これは値段が違うと思いますが、現況地目が農地の場合に、その農地をたとえば宅地として取引をするというような場合には、現況地目が宅地であるものが宅地として取引する場合と、実際上それの客観的価値を判定するのだと思いますので、収用法なり、あるいは地価公示法の場合に、現況地目が目的が宅地外のものに利用される、そのために取引が行なわれるという場合に、現況地目が違うことによってその評価が違うというようなことがあるのか。私は、あまりないんじゃないかと思うのですけれども、そういう点をお伺いしたい。
  70. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 収用の場合におきましては、その土地所有者がその土地に持っております主観的な価値だとか、あるいは土地所有者または特定の第三者がその土地を特別の用途に用いることを前提として生ずるような価値を排除しようというような規定が損失補償基準の七条八条等にございます。こういった趣旨からいいまして、その土地が客観的に見て、だれにでもこれはこれに使うんだということがわかるような目的、これを勘案して客観的な価値を出す、こういうしかたを規定しておるところでございまして、ですから、いまの場合、農地でございましても、それを明らかに宅地として、ある一定計画のもとに収用しようというような場合におきましては、いろんな場合ございますけれども、おおむねは、それを宅地となるべき土地の価値と見て評価しておるというのが通例でございます。
  71. 竹内藤男

    竹内藤男君 そこで、先ほどの価額のきめ方、これはまだ結論に達していないと、企画庁のほうで政令を確定していないということでございますので、私は、衆議院のほうの木村委員長発言というものの第二項にございます文章を見ますと、どうも公示価格というのは大体実態上時価よりも七、八割ぐらいのところにあると。そこで、公示価格については、政令で定めるところによりというのが十六条第一項のカッコ書きの中にもございますけれども、まあ大体公示価格を規準としてきめられる、この十六条の問題。しかし、カッコの外の「土地に関する権利の相当な価額」というのは、これは時価ずばりだから、そこのところは政令で定めるところによりというので修正をされて、そして何かどういうふうな表現になるかわかりませんが、市場相場の七、八割にするんだというふうにも読めるのでございますが、こちらの第二項のほうは実は「土地に関する権利の相当な価額の政令」で、」と、こう書いてあるのですね。そうすると、それはカッコの外の政令じゃないか。カッコの中の政令は入っていないようにも見えるのです、この書き方は。ちょっとそうじゃないのかもしれません。そこら辺のところを提案者のほうに、与野党一致してこういう要望をされたと思いますので、そのことをお伺いしたいと思います。
  72. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) 政令で、全部政令にゆだねてあるわけですから、まだ土地の価額の決定をする基本的な形が出てきていないのです、議論の中では。現在も、もう竹内君は御承知のはずで、地価をきめるのの公的なものでは二つきりないと思うんです。いわゆる地価公示法とそれから鑑定士の評価によるということと、それから過去慣習的に使われているのは固定資産税の評価というこの三つなんですが、この三つをどの時点でどう使えばいけるかという問題、ずいぶんこれは長い時間をかけて議論したのでありますが、まだ正しい結論が出ていないわけでございまして、これは幅広くやっぱり意見を求めなければいけないという考え方で、まだ詰まっていないわけでありますが、これを最終的には国民の権利を、言うならば、取り上げるわけですから、その権利に相当するものだけは支払いしなきゃいけないという考え方は変わっておりません。そういう点で、ただし、ここ最近ものすごく暴騰をしておるという状態から、やっぱり他の物価との比較検討もありますし、そういう観点から七、八〇%程度というのは政策目標でありまして、そういうふうにきちっときめることができればたいへんけっこうなんですが、一応政策目標として御理解の願えるような価格を出したいというのが私たちの考え方でございます。そういう点で、理屈は抜きにして、この土地の価額をきめることだけはひとつ、シャッポを脱いでいるんですから、私たちのほうでも。いい知恵をひとつお貸し願いまして、ひとつ御協力していただければたいへんしあわせだと思うのであります。どうぞよろしくその点お願い申し上げたい。
  73. 竹内藤男

    竹内藤男君 そうすると、公示価格、カッコ書きの公示価格規準という場合も、それからカッコの外の相当な価額にかかっている場合でも、いずれの場合も政令にかかっているので、その政令をきめる際に、実際上はどういうかっこうになるか、これから研究するけれども、政策目標としては七、八割、市場相場の七、八割にしよう、こういうふうに了解していいわけですか。  それで、私、なぜこういうことを質問するかと申しますと、先ほど質問の中で明らかにいたしましたように、規制区域、非常に地価対策が大事だと、地価の暴騰を押さえる必要があるというのはわかるんでございますけれども規制区域指定というのが知事にまかされている。知事がやる、やらぬ場合には総理大臣というのもございますけれども、その中で、大企業等は別にいたしましても、一般の地主の人が、おれたちの土地は時価の七、八割で、七、八割以上の取引はできないんだと、また買い取りの場合には七、八割で取られちゃうんだということになりますと、確かに暴騰という事態がございましょう。ございましょうけれども、ある意味では、しかも、それが最初指定時の価格自体がもう七、八割だと、そこから先は物価スライドでほとんど凍結と、こういうことでございますので、相当これはきびしい規制になると思います。規制区域はどういうふうに指定されるか、先ほどお伺いしてわからないんですけれども規制区域の外側はこれは届け出制でございますし、また、届け出制の場合の中止勧告の基準も著しく適正を欠くということでゆるくなっている、非常にゆるくなっている、ないよりは非常にいいと思いますけれども、ゆるくなっているということで、なかなか規制区域がかけられないんじゃないか、地主さんの抵抗がありまして。非常に強い法律をつくるというのは、反面において施行が非常にむずかしいということになるわけでございます。これは収用法等におきましても、いろいろ強い規定国会の御審議で修正をされて加わっておりますけれども、なかなか実施できないというのはそういうところにあるんでございまして、私は、そういう意味で、お気持ちは非常にわかるんでございますけれども指定時の地価を凍結する、これだけでも非常に、何と申しますか、いままでの地価対策から比べれば画期的な前進であるわけでございますので、そういう点で、これらをあんまり低く押さえるという考え方で政令ができますと、実際には知事指定できなくなる。もちろんこの法律では非常にいい考え方が入っておりまして、事前の手続なしに知事がぱっと指定をする、そして、あとで土地利用審査会とか内閣総理大臣のチェックを受けるということになっておりますけれども、なかなか実際問題として指定がされないんじゃないかということを心配するわけでございます。  そこで、これから政令をつくるときに検討されると思うんですけれども、実態の御認識が、公示価格というものは大体時価よりも、現状の暴騰しているときにおいては、安いんだと、ある程度安いんだと、実態上は。そういう御認識であるとするならば、公示価格のないところでも、大体政令て定めた結果、公示価格程度になるような——これになると意見になりますけれども、そういうようなきめ方のほうが実際上、運用上妥当な、あるいはやりやすいような行き方になるんじゃないかというふうに私は考えておるわけでございますが、非常にきびしい価格決定をした場合に、はたしてこの規制区域指定が十分できるのかどうか、そこら辺についての御検討はされたのかどうか、提案者にお伺いをしたいと思います。
  74. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) それが一番の泣きどころでございまして、検討は十二分いたしたつもりですが、いまだ結論がそれまだ出ていないということでございまして、この法律案はこの一点だけが要するに未解決だと率直に申し上げておるんですが、これをどうしてもあと法律施行されるまでの間にはつくり上げなければならない問題でございます。それで、いま竹内君が言われたようなことにつきましては、もう何十回となく議論を戦わしたことでございます。せっかくつくった法律が一つも執行されないんでは、これまた困りますし、といって、まだ、いま言ったとおり、すみからすみまでネズミの抜けるすきもないほどやられてしまっても、これまたたいへんだろうと思いますし、そういう点では、もしこの法律が執行できないというような状態であるならば、もう一そう強いものにしなきゃいけないということになるわけでありまして、そういう点、政府提案ではありませんし、われわれ議員提案で出して、議員が責任を持ってこれは国会を通す以上は、あとあとまでにも責任を持とうという考え方でやっております。そういう点では、参議院と衆議院は違うからというんでなしに、ひとつ参議院のほうの優秀な意見も、私たちのほうに協力していただいて、国民のほんとうに、喜ばれなくても、がまんできる程度のものに仕上げるようにひとつ御配慮を願えれば、たいへんしあわせだと思います。どうかこれからの問題が非常に大きいんですから、それはひとつ重ねてお願い申し上げておきます。
  75. 竹内藤男

    竹内藤男君 私、これで質問を終わりますが、最後に、この法案をまとめられたことにつきましては、ほんとうにたいへんだったということで敬意と賛意を表するものでございます。  いま天野先生仰せられましたように、政令を含めて、この運用を誤って実施できないようになるということが私は一番心配でございます。土地対策地価対策の基本法として非常に大事な法律でございますので、ぜひ実施に移してもらいたい、ぜひ区域指定知事にやってもらいたい、許可制をしいてもらいたいという気持ちから申し上げているわけでございます。ほんとうに皆さま方の御苦労に敬意を払いまして、私の質問を終わります。
  76. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十分休憩      —————・—————    午後一時四十四分開会
  77. 野々山一三

    委員長野々山一三君) これより委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  78. 田代富士男

    田代富士男君 このたびの四党共同提案の国土利用計画法案衆議院木村委員長提出の形をとられまして、衆議院を通過し本院に送付されまして、今日審議をしているところでございますが、午前中の質疑を通じましても、衆議院の皆さま方が非常に御苦労されたということを委員会の審議を通じまして理解することができましたが、午前中にもその経過について一部御説明をいただきましたが、もう少し詳しくこれまでの経過についてひとつ御説明をお願いしたいと思います。北側委員からお願いします。
  79. 北側義一

    衆議院議員(北側義一君) お答え申し上げます。  先生も御存じのとおり、まず国土総合開発法案が日本列島改造計画実施法として第七十一国会に提案されたわけであります。その後、七十一国会におきましては継続審議となりまして、そうして昨年の石油危機等もあり、やはりこの際、この七十二国会におきましては、土地規制、これはどうしてもやるべきであるというのが五党の意見であったわけであります。そうして各党それぞれ土地規制法案が出されまして、そうして社会党共産党、民社党、公明党、この四党におきまして、四野党案という七項目土地対策の骨子をつくったわけであります。  簡単にその七項目を申し上げますと、まず一番目は、その土地対策の骨子の趣旨であります。これはもう趣旨は、こういう投機的取り引き、または異常な地価高騰、また乱開発、こういうものをどうしても防がなければならない、こういうところから根本的な土地対策、これをつくらなければならないという骨子がうたわれておるわけであります。また二つ目には土地利用基本原則、また三番目には土地の有効利用の施策、四番目には土地利用基本計画、五番目には土地許可制買い取り請求権の問題、また六番目には土地の標準価格、七番目には罰則、これが骨子でございます。  この骨子を自民党さんに提示したわけであります。自民党さんのほうは、理事懇の場におきまして、その骨子を了とされまして、そうしていよいよその七項目の骨子についての自民党さんのお考えを私たちがお聞きしたような次第でございます。まず、社会党の皆さんがその骨子につきましてお聞きになりまして、そのお答えが自民党さんのほうからあったわけでありますが、そのお答えに対して一応私たちは了としたわけであります。ところが、残念ながら、四野党のうちの共産党さんのほうが自民党さんに対して、先ほど井上社会党理事さんのほうからもお話がありましたとおり、まず第一番目に、そのような中途はんぱなものではなくして法律を出すべきである、その次に変わりまして、要綱を出すべきである、その次また変わりまして、具体案を出すべきである、こういうぐあいな話しがあったわけであります。  ところが、その当時、いわゆる土地対策と申し上げるものは、自民党さんのほうも国総法以外の土地対策を持っておらなかったわけです。持っておられませんので、そこで、私たち社会党、民社党、公明党の三野党は、もしここでそういう具体的なものを出せと言うならば国総法案が出てくるのではないか、事実、自民党さんのほうの答えとして、いま出せと言うなら私のほうは国総法案以外に出せないと、いまないんだから、国総法案以外には土地対策がないんだから国総法案以外に出せないというお答えがあったわけであります。そこで、私たち、それは困ると、そのためにいま四野党がここで七項目つくったんだから、国総法案を直ちに出してくれと言われることにつきましては、これはまことに私たちとしては困ることであると反対したわけであります。そういうことで、残念ながら共産党さんがそこで離脱なさったわけであります。その後、自民党さんを加えた社公民の四党でこの法案作成に全力をあげたわけであります。  まず、その四党が特に留意いたしました点につきましては、野党四党の七項目を骨子として何とかつくってもらいたい、このことをまず御提案申し上げたわけであります。自民党さんのほうも、それに対して、それを了とし、そうしてなおかつ土地利用計画及び土地売買規制、こういうものが中央集権化につながらないような、いわゆる地方自治を守る、そういう立場でひとつこれをつくっていこうではないか、この点も留意していただいたわけであります。  それから、御存じのとおり、昨年の地価の公示価格の発表でもありましたとおり、三〇・九%、また、先般の本年の発表の分は三二・四%、こういうぐあいに非常に異常ないわゆる地価高騰がされておるわけであります。金融引き締め等によりまして、最近は鎮静しておる、値下がりぎみである、こういうことは知っておりますが、一応の昨年までの状況はそういう状況でありますので、私たちがこの標準価格というものを高値安定にしたのでは、これは何にもならないと、せっかく金融引き締め等によりまして地価が鎮静してきたのをまたここでぶり返すようなことがあるとたいへんである、このような点を特に留意して、先ほどから答弁ありましたとおり、取引売買価格の七〇%ないし八〇%、このように一応定めたわけであります。また、なおかつ共産党さんが特に要望なさっておられました大企業の買い占め禁止、また大企業の買い占めた用地の生活関連事業に使うという問題でありますが、大企業という規定一これは非常にむずかしいわけであります。また、中小企業はいいのか、こういう問題も触れてまいりますので、一定規模以上の土地についての売買については届け出制、また遊休土地都市計画決定をしたところの収用、こういう方面を私たち考えたわけであります。これにつきましても、この法案におきましてそういう大企業という文句は抜けておりますが、大企業の土地の買い占めが非常にやりにくくなる、また、やってもメリットがない、こういうように私たち判断いたしておるような次第でございます。  以上のような経過でこの法案作成してまいったような次第でございます。
  80. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、政府側にお尋ねしたいと思いますが、ただいまの経過報告にもありましたとおりに、あらゆる立場からるる検討されまして、四党の衆議院の皆さん方でこの法案をつくっていただきましたが、いずれにしましても、この運用にあたりましては、政府として運用していただかなくちゃなりませんですけれども、この法案に対してどのように評価していらっしゃるのか、政府側からお答えを願いたいと思います。
  81. 竹内黎一

    政府委員竹内黎一君) 現下最大の国民的要請である土地問題の解決につきまして、衆議院建設委員会の自民、社会、公明及び民社の四党の委員が党派を越えて長期間にわたりまして鋭意検討し、ここに国土利用計画法案をとりまとめたことは、きわめて画期的なことだと存じます。  特に本法案は、土地取引に関する許可制及び届け出制によって売買価格及び利用目的規制しようとするものでございまして、投機的取引の抑制や土地朝い占めの未然防止に相当の効果をあげるものと政府もまた期待をしておる次第でございます。  私ども政府といたしましては、立法の趣旨を十分にそんたくし、今後他の制度とも相待ちまして、土地問題の解決に全力をあげてまいりたいと存じます。
  82. 田代富士男

    田代富士男君 いま、その評価はある程度あるということを政府としても運用する立場として認めていただいておりますが、一つ問題は、憲法第二十九条に規定してあります財産権の問題でございますが、いま申されるとおりに、いろいろな面で規制というものに対していろいろ配慮されておりますけれども、二十九条の財産権の規定から見るならば、この法律案はぎりぎり一ぱいのきわめてきびしい内容になっているように思うわけなんです。そういうことから考えますと、そういうことも考えた上に踏み切られてると思うんですけれども、この理由ですね。それもきびしいぎりぎり一ぱいまでであると思うけれども、それを踏み切った理由についてひとつお答え願いたいと思います。
  83. 北側義一

    衆議院議員(北側義一君) 全く仰せのとおりであろうと思うわけであります。  御存じのとおり、昭和三十年当時からの地価の上昇、これを見ますと、六大都市周辺ではもう宅地は四十倍近くなっております。その反面、消費者物価、また労働賃金等を比較しますと、異常に地価高騰しておると、このようなことが考えられるわけであります。なおかつ、これが地価対策を講じない場合には、金融引き締めがかりにゆるんだときに、やはりまた土地が投機の対策になるのではないかと、こういう心配もありまして、どうしてもここでやはり、この憲法二十九条の三項にありますとおり、私有財産は正当な補償のもとでこれを公共の福祉に用いると、この項目をやはり土地に限っては、ぎりぎり一ぱいでありましょうが、許されるのではないか、こういう判断をいたしたような次第であります。この問題につきましては、特に先ほど申し上げましたとおり、これが地方自治法、また私有財産権、こういうものを侵害しない、そういう問題につきまして非常に留意して、それがこの法案をつくりあげる一つの大きな項目でありましたことを御報告申し上げます。
  84. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 暫時休憩をいたします。    午後一時五十六分休憩      —————・—————    午後二時十三分開会
  85. 野々山一三

    委員長野々山一三君) では、休憩前に引き続き、審議を再開いたします。
  86. 田代富士男

    田代富士男君 どうも御苦労さまでございました。  引き続いて質問をさしていただきたいと思いますが、この国土利用計画法案実施されますと、いまさっきから経過報告その他でもるる御説明をいただきましたが、地価抑制につきましてどの程度の効果を発揮することができるか。特に公共住宅用の宅地、こういうものの供給にどのような力を発揮することができるか、そこらあたりをちょっと御説明願いたいと思います。
  87. 北側義一

    衆議院議員(北側義一君) この法律案によりますと、御存じのとおり、その許可権限が知事に与えられておるわけであります。そこで、いわゆる地価が急騰のおそれのある場合は、知事がその急騰のおそれのある地域に対して網をかぶせる。土地売買の土地の権利の移転の許可、不許可、これを知事が裁定するわけであります。また、その他の区域につきましても、一定規模、すなわち市街化区域では二千平米、都市計画区域では五千平米、その他の区域で一万平米以上の売買につきましては、すべてこれ届け出制になっております。また、あわせて遊休地等の措置が講じられておりますので、いままでから見ますと、少なくともこれからこの法律施行後の土地につきましては投機の対象にならない、このように私たち一致をして見ておるような次第でございます。そのようなことでございますので、投機の対象にならないそういう遊休地を、たとえば銀行から九%ないし一〇%の金利で金を借りて土地を買い占めた、そうしますと、その買い占めた土地が、まあ金利を払っていくわけでありますから、そうしますと、これは少なくとも企業にとりましてはもうけの対象にならないようになってくるんじゃないか。その場合に、やはりそういう土地が放出されて、いま御質問ございましたとおり、宅地になっていくような可能性が出てくるんじゃないか、このような見方をしておるような次第でございます。  なおかつ、最近の新聞報道等にも、この首都圏におきます東京都、埼玉、神奈川、千葉、ここらのこの業務の担当者ができるだけ早くこれを成立さしてほしいというようなことが新聞報道等にも発表されておりますが、やはりそういう点から見ましても、一つの大きな効果がこの法案施行で出てくるんじゃないか、こういうぐあいに判断をいたしております。
  88. 田代富士男

    田代富士男君 わかりました。  そこで、この法案につきましていろいろな見方をされているのでありますが、一つの見方としては、まあ国土利用という名称になっているけれども、その中身は国土総合開発であると、そういう見方をしている人もあるわけなんですが、この点については、むしろ今後政府がいかなる国土利用計画を立案するかということにかかっているんじゃないかと思うわけなんですが、しかし、現時点におきましては、明確に示されていないというようなことから、いま言うような見方もされるんではないかと思うわけなんですが、この点につきまして、提案者並びに政府として、どのように考えていらっしゃるのか。いわゆるこのような危惧がないことを明らかにしていただいたほうがいいんじゃないかと私は思うのです。その点、提案者並びに政府側から明確にしていただきたい。
  89. 北側義一

    衆議院議員(北側義一君) お答え申し上げます。  ただいま御質問なさったような趣旨の疑義をたびたびお聞きするわけでありますが、この国土利用計画法案と国総法案と対比していただいた場合にその点が明確になっていくのではないか、このように考えておるような次第であります。  国総法案でいうところの全国総合開発計画及び都道府県総合開発計画、この二点の総合開発部分はすべてこれ削除されております。この国土利用計画法案には載っておりません。この国土利用計画法案のいわゆる国土利用というのは、御存じのとおり、たとえば森林法、また都市計画法等、いろいろな現在の法律体系があるわけであります。そのような法律体系をやはり体系化する必要があるんじゃないか、そういう基本的な問題だけをこの国土利用計画法案の中に盛り込んでおるというのが実情でございます。ゆえに、開発事業等の計画決定につきましては、この法律案ではやるようになっておりません。あくまでも他の法令でこれをやるようになっておるような次第でございます。また、土地規制に関しましても、いまの御質問の中には加わっておりませんが、いわゆる総理の指示権にしましても、国総法案指示権というのは総合開発計画に対する指示権、特に土地規制をするための特別規制区域に対する指示権と、このように二つあるわけであります。ここで盛られております総理の指示権と申しますのは、もちろんこれは地方自治法を守るような制度にきちんと書いてありますが、あくまでもこれは土地規制に対する指示権でありまして、決して国総法案でいうところの総合開発の総理指示権ではないということがこの法律案では明確になっておるような次第でございます。大体そのようなことでありまして、決して国土利用計画があるからこれが即国総法案の開発に結びついていくという考え方は私は誤りである、かように考えておる次第であります。
  90. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) ちょっと補足させていただきますと、昨年の三月に政府が提案いたしました国総法案といいますものは、特定開発地域の制定で象徴せられるように、大規模工業開発をもくろんだものだと私どもは理解いたしております。その大規模工業開発をもくろむためにいろいろの手法を講じていったのがあの国土総合開発法案だと思います。私どもは、この大規模工業開発というのは、現下の時点からいたしまして、これはふさわしくない、したがいまして、いま国民が地価高騰によって非常に苦しんでおる、また公共事業もために進まない、このような状況のもとにおきましては、いま何をやらなければいけないかというと、やはり地価高騰を押えることである。これがまた御承知のように、地価高騰が銀行信用を膨張をさせてインフレの要因の最大のものとなっておる現状からいたしますと、国民生活を安定させるためにも、どういたしましても、地価の安定をはからなければならない、こういう観点に立って、地価の投機的行為の防止であるとか、あるいはまた高騰を押える、あるいは遊休の土地をひとつ措置いたしまして思惑買いというものを押えようという考え方でこの利用計画法案をつくったのでございまして、名前は利用計画法でございますが、目的といたしますところは、地価高騰を押えるというところに主眼点があることをひとつ御理解いただきたいと存ずるのであります。
  91. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) いま提案者の先生方から御説明あったとおりでございまして、国土利用計画法案の第四条の国土利用計画内容につきましては政令で定めるようになっておりますが、その政令内容は、先ほど提案者の先生方から御説明がありましたように、土地の用途の区分に応じた規模と配置に関する目標を定めることが主眼点でございまして、この国土利用計画に基づいて開発事業計画計画決定するという性格のものではないという御提案の御趣旨がありますので、その御趣旨に沿って国土利用計画を定めたいというふうに考えておるわけであります。  なお、総合開発の問題につきましては、政府としては、昭和四十四年に新全国総合開発計画という計画昭和二十五年に制定された国土総合開発法に基づいて制定しておりますが、この計画については目下総点検中でありまして、新しい今日の時点を踏まえて改正する用意をし始めておりますので、改正されました際に、その新全国総合開発計画とこの国土利用計画とが支障を来たさないように調整はいたしたいと思いますけれども、この国土利用計画は、そういう意味で、国土利用計画的、総合的に確保するためのものであるという理解に立って作業をしたいと考えております。
  92. 田代富士男

    田代富士男君 よく理解できました。  また、こういうようような声もあります。第五条あるいは第六条の全国計画その他の規定を、まあ一方的な解釈といいますか、解釈はいろいろされるでありましょうが、そういう解釈のもとに、国土計画天下り的に国民に押しつけるものであると、きめつけているというようなことを言ってる声もあるわけなんです、これは解釈によりましていろいろとれますけれども。  そこで、私は、この第五条第三の「国土利用計画審議会及び都道府県知事意見を聴かなければならない。」とした規定を十分に生かすことにしたならば、いま言うような、そういう声にこたえていくことができるのじゃないかと、私はこのように理解をするのですけれども、この点につきましてどのように運用をはかろうとされるのか。この点も、そういう声がありますし、提案者としてお答えを願いたいと思うのです。
  93. 北側義一

    衆議院議員(北側義一君) お答えいたします。  全く私も仰せのとおりであろうと思うわけであります。都道府県計画全国計画、また市町村計画都道府県計画基本とする、このような項目になっておりますが、あくまでも国土利用計画は、国にあっては、ただいまお話しになられたとおり、都道府県知事意見を聞くようになっております。また都道府県にあっては市町村意見を聞くようになっております。また市町村にあっては、先ほど社会党さんのほうから御答弁ありましたとおり、公聴会開催等を行ないまして、その住民意向調査等を十分組み入れるような仕組みになっておるわけであります。ここで、私考えますのに、やはり各市町村計画が、一つの全国計画というものがなければ、たとえば開発規制なんかも、この利用計画でしなければ開発規制ができないのじゃないかと思うのです。そういう面からも、やはりこの利用計画というものは必要である、このように私は解釈をしておるわけでありますが、そのような点で、あくまでも、いわゆる市町村にあっては住民意向をくみ、また都道府県にあっては市町村意向をくみ、また国の計画にあっては都道府県意向をくむと、このような前提条件がついておりますので、御心配のような点は除かれるのではないか、かように考えておるような次第であります。
  94. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、いまさっき質問しました国土利用という名称のもとに、中身は国土総合開発であるという、そういう向きもあると言ったときに、北側先生から、内閣総理大臣指示とか、そういうものについての御説明がありましたけれども、その内閣総理大臣指示代行権規定した第十三条第一項及び第二項が開発のためにあるものではないということをいまもるる御説明をいただきましたけれども、ここで明確にしておいたほうがいいんじゃないかと思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
  95. 北側義一

    衆議院議員(北側義一君) 非常に重要な問題でございますので、詳しくお答え申し上げたいと思います。  まず、この法案策定の間におきまして、四党で、この問題は非常に重要な点であるので、種々論議したような次第でございます。初めの意見といたしましては、総理大臣指示権限を抜いたらどうか、こういう意見も多分にあったわけであります。ところが、これは余分になるかもわかりませんが、総理大臣指示権を抜いた場合には、たとえば地価高騰が起こった、その場合、知事というのは選挙で代表されて出てくる方でありますので、もし土地幹制の網をかぶせることができなかったその責任は、私たちが法案をつくりましても、一体だれが負うのかというような問題も論議されたわけであります。そういう面で、やはり国総法案でいうところの開発の指示権ではなくして、これはあくまでも土地規制に対する指示権であるので、いわゆる地方自治の精神を守る、そういう問題を十分留意して、そうしてこれが施行されるようになったらいいのじゃないかという意見がやはり主体になってきたような状況でございます。そのようなことで、この総理、指示権につきましては、あくまでも地方自治体の本旨にのっとって、その代行権につきましては地方公共団体の長にまず適正な指導をしていく。その適正な指導をやっても、なおかつ正当な理由がなくしてそれを実施しない場合には、国土利用審議会、ここに確認を得てそうして総理が代行権を執行する。このような幾重にもその網を、地方自治を守る精神の上からそういう網をかぶせておるというのが実情でございます。以上のようになっておる次第でございます。
  96. 田代富士男

    田代富士男君 いまの指示権については、国総法案に基づく開発の指示権ではない、地方自治を守る、あくまでそういう立場指示権であるという御説明で私は理解できますが、これも一部の声に、民主主義を否定するものであるとか、あるいは地方自治を破壊するものであると、こういうような声あるいは懸念される面が出ておるわけなんですが、こういう点について、いまの説明でも私は理解できますが、これを運用していくのは今度政府立場ですけれども、運用される責任の立場として政府のお考えは、こういう懸念はないのか、あるいは予期されるのか、そこらあたりを明確にあわしてしていただいたらどうかと思うのです。
  97. 竹内黎一

    政府委員竹内黎一君) 先生ただいま御指摘事項につきましては、衆議院におきまして、提案者である木村委員長からもいわば政府の確認を求める御要望がございました。これに対してわが内田経済企画庁長官は、内閣総理大臣指示権及び代行権については、地方自治の本旨にのっとり、御指摘のような趣旨において運用するものという明確な答弁をしておる次第でございます。
  98. 田代富士男

    田代富士男君 そういうわけで、私は、いま申し上げましたとおりに、北側議員の説明のとおりに実行されるんじゃないかと確信しておりますが、なお、そういうことのないように運用上注意をしていただきたい。これは私の希望でございます。  その次に、この法案によりますと、都道府県知事に相当の権限が委譲され、また、都道府県にまかされた事項が非常に多いわけなんです。そうなりますと、知事あるいは都道府県の体制いかんによっては、その目的とされました効果も相当違ってくるんじゃないかと思うんです。そうした場合、政府として、この点運用の責任者としてどのように取り組んでいかれるのか。時間的な問題もあるでしょう。経費の問題あるいは人員の配備など、各都道府県が取り組むべき仕事も相当ふえるんじゃないかと思うんですね。だから、ここで議員立法としてこういう画期的なものがいま審議し、これが実行される場合に、やはり協力なくしてこの最大の効果ということを望むことができないと思うんですけれども、ここらあたりに対してどのようにお考えになっていらっしゃるのか、ひとつお願いしたいと思います。
  99. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 本法の第四十条で経費の補助の規定がございまして、「政令で定めるところにより」ということになっておりますので、私どもは、この政令を定める際に最終的には明確にしたいと考えておりますが、先ほども御説明しましたように、昭和四十九年度の予算におきましては、政府が提案いたしました国土総合開発法の運営に要する経費として、内容としては土地規制に関する補助費を組んでおりますので、四十九年度はそれを流用することによってさせていただきたいと思いますが、五十年度につきましては、別途五十年度の予算要求として財政当局とも最終の詰めをしたいと考えております。  なお、この地方公共団体事務が激増します関係都道府県あるいは市町村の人員関係の問題がございますが、これは地方財政計画上の増員措置ということで自治省と相談を始めておるところでございます。  なお、土地の問題、買い取り請求権あるいは遊休地の買い上げに関します財政措置といたしましては、地方債計画上の措置として自治省との相談を始めておりまして、公共用地先行取得債との関連もございますので、対策を講ずるようにしたいと考えておりますが、四十九年度におきましては買い取り請求権に伴うものだけ、遊休地については政府案になかったものですから、新しい問題になりますが、買い取り請求権については、地方債の発行によりまして、その償却利子について一部補助するということで予算措置を一部しているというのが実情でございますので、五十年以降の予算におきまして、御趣旨の点を含んで政令を定める段階で明らかにしたいと考えておるわけでございます。
  100. 田代富士男

    田代富士男君 いま実行にあたってのいろいろな手当てをこのようにやるという御説明を聞きまして、これがどうなるのかということは、その結果を見なくてはわかりませんが、最善の努力を効果あらしめるようにやっていただくように努力していらっしゃる、これは私として理解できますが、事実の問題として、午前中の質問にもございましたけれども竹内先生の質問にも一部出ておりましたけれども、これは各都道府県の首長の考えによって、これはずいぶんきまると思うんですね。午前中の質問にありましたとおりに、埼玉県の知事であります畑知事のように、全県を規制地域にしたいというような決意を述べられておる方もいらっしゃるわけです。ところが、やはりそれぞれの地域には人間関係その他、ただ法律だからというわけで割り切れないいろいろな問題もあるでしょう。特に選挙とか、そういうものの関係もからんでおりまして、一度に同じことが適応し、あるいは実施し、それを運用していくという場合に、ばらばらな面が出るおそれはあるんじゃなかろうかと思うわけなんです。そうした場合の調整というもの、これは一番むずかしい問題じゃないかと思うのです。だから、そこらあたりも考えておかなければ、せっかくここまで煮詰められて、まだまだ不備な点はあるということをシャッポを脱いで聞くということもおっしゃったけれども、その一つに入るかと思うのですけれども、ここらあたりをどのように運用されるのか、御説明を願いたいと思うのですが、提案者と、これは提案者自身では解決できないし、やはり運用するのは政府ですから、両方の立場から御説明願いたい。
  101. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) お答え申し上げます。  大幅に知事に権限を委譲いたしておりますので、田代先生のおっしゃるような御心配が出てくるのは、これまた当然でございます。しからば、国がそれをぎっちりと規制したらどうだと言いますと、先ほど来の自治権の侵害というような問題にも及んでくるのでございまして、そこらあたりの、何といいますか、調節、これが非常にむずかしいところであります。したがいまして、私どもは、主務大臣である内閣総理大臣指示権というものをここへ持ってきたわけでございます。総理大臣指示権とおっしゃいますけれども、これは都市計画法上にも、主務大臣としての建設大臣の指示権代行権というものは認めておるところでございます。他の法令にもたくさんございます。しかし、私どもは、土地規制をやると、価格をともかく安定させようという仕事は、これは国の事務であると思います。国の事務を大幅にともかく地方自治体に権限を委譲したのだと、したがいまして、委任事務でございます以上は、これはおっしゃるように、各県によっててんでんばらばらの行政が行なわれてはならないので、主務大臣として調整に当たるのだというために、先ほど来、地方自治の侵害にならないかなどとおっしゃられるのは重々承知の上で、主務大臣である総理大臣指示権というのを入れておるのでございますが、他の法令と違いまして、非常にゆるやかにしてございます。地方自治法第百四十六条には、国の事務について地方自治体に委譲した場合の主務大臣の何といいますか、指示代行権というのは規定しております。その百四十六条には知事の罷免権をも規定いたしておるのでございますけれども、この国土利用計画法は、それよりもはるかに民主的なゆるやかな方法知事に対する指示代行権をやっていきたい、このように考え、また、木村委員長から特に経済企画庁長官に対しましてもあのような強い要望を付しまして、この法案を通したようなかかりでございます。あくまでもてんでんばらばらな行政が行なわれないように主務大臣としては心がけてほしいというのがあの指示代行権だとお考え願えれば幸いに存ずる次第でございます。
  102. 北側義一

    衆議院議員(北側義一君) 大体ただいまの井上議員のお答えで大約その答えができておると思いますが、私たちこの法案をつくりまして、運用される面につきましては、やはり政府がこれを運用なさるわけでありますが、いま先生が御心配になっておられるような点をどうしてもこれは防がなければならない、かように考えておるような次第でございます。そういう点につきまして、まず、私の希望といたしますところは、政府間におきまして、やはり各県がそういうふうにするとしないと、てんでんばらばらになるようなことをまず調整していただきたいと思うわけであります。この問題については政府側のほうから答弁していただけるんではないか、かように考えるわけでありますが、何といたしましても、法の精神といたしましては、地価高騰のおそれのある場所、また、そのような規定の文言が入っておりますので、その文言をやはり一つの基準として定めることが必要ではないか、かように私考えておるような次第でございます。  また、この問題につきましては、やはり地価の動向とか取引の実態、こういうものは非常に重要な地位を占めますので、そういう問題をまず調査していただいて、そうして、なお調査した後におきまして総合的な視野からこれを判断していくと、このようなことをやって、何とかこのばらばらな土地規制ではなくして、やはり総合した土地規制というものに持っていっていただきたいというのが、これが私の気持ちでございます。
  103. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 規制区域指定その他に関しますこの国土利用計画法案を運営しますにあたりまして、いま提案者の先生方からお話が出たとおりでありますが、私どもといたしましては、やはり都道府県の方々に、この法案趣旨あるいは解釈について統一した見解を御説明することが重要であると考えておりまして、これは公布の後六カ月の間に政令で定める日から施行することになっておりますので、その間において関係各省間の思想統一あるいは都道府県と国との間の思想統一は十分はかる用意をさせていただこうということをまず考えておりますが、法施行後におきまして、各県間あるいは都道府県間においてかなりばらばらであるという現実が出てきました場合には、私どもといたしましては、その事前の調整の指導という仕事をかなり精力的にやる必要があるというふうに考えております。そして、そういうことを繰り返しても、なかなかばらばらで、私有財産権に関するかなり強い規制でございますので、この公平のために指導を強化しなければならないという際には、先ほどからお話しになっております主務大臣としての総理大臣指示代行権ということに発展することにならざるを得ない場合が最小限起こるのではないかというふうな理解をしておるところでございます。
  104. 田代富士男

    田代富士男君 わかりました。  そこで、もう一つお尋ねいたしますが、国土利用と開発の違いについて、これは経企庁にお尋ねしたいと思いますが、この法律案でいうところの国土利用と、そうしますと、残されることになりました現国土総合開発法の開発の関係はどうなるのか。また、政府として開発に関しては発想の転換をしたと言えるのかどうか、ここらあたりにつきましてお願いをしたいと思うんです。これは経企庁に伺います。
  105. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) この法律におきます国土利用計画内容は、先ほど御説明したとおりでございまして、総合開発というものについては二十五年に制定された国土総合開発法に基づいて実施するということになりましょうが、個別の開発事業は、それぞれ新幹線法、高速道路法、都市計画法その他ございますから、その手続の定めるところによらなければ実施することはできないというふうな見方をしております。そして国土総合開発法に基づきます全国総合開発計画につきましては、いま御指摘いただきましたように、かなり大きな発想の転換が必要であるという認識に立って、この昭和四十四年に閣議決定しました全国総合開発計画をやはりかなり思い切って改定すべきであるということで作業を実は開始しておりまして、特にこの過去の経験というものの上に立つべきであるということから、四十四年の計画というものの総点検あるいは現実の調査をしておるのが今日でございまして、できるだけ早い機会に発想の転換の上に立った新しい開発計画を持って、その計画に基づいて開発を実施してまいりたいというのが考え方の基本でございまして、その発想の転換の一番大きなところは、この国土利用計画法案基本理念でも明らかなところだろうと存じますけれども、やはり自然環境の保全ということや公共福祉の優先ということがございましょうし、また地域の特性ということもございましょうし、公害防止を含めた環境アセスメントの問題はございますし、地域住民の方々の御意向ということもございましょうから、そういうことを踏まえた計画をつくりたいというのが現在私どもが考えている考え方でございます。
  106. 田代富士男

    田代富士男君 もう私の時間が参ったようでございますが、この法案によりまして皆さん方が努力しておられまして効果をあげようとされる最後の詰めになるかと思いますが、規制区域指定地を買い取るにつきまして、国の財源補助が大きな役目をなすと思われるわけなんですが、もちろん、これはいまさきにもいろいろな予算の面におきましてもこれに対処するということは言っていただいておりますが、そういう点からこの法律に対する期待も高まっておると思いますが、どのように取り組んでいかれるのか。特にこれは都道府県知事に大幅に権限その他が委譲されておりますから、自治省もこれは大きな問題じゃないかと思いますから、ここらあたりに対しまして、大蔵省は呼ばなかったんですから、それもあわせて自治省の立場あるいはそういう経企庁の立場からお答えを願いたいと思います。
  107. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) この法律による自治体の負担につきましては、先ほど総合開発局長からお答え申し上げたように、まず土地利用規制あるいは計画策定等に対する事務費系統の財源措置として本年度八億五千万の補助金が計上されておりますが、人件費系統につきましては、地方交付税によりまして所要の財源措置をいたしております。また買い取り請求あるいは遊休土地買い取りにつきましては、主として地方債による財源措置が必要になってくると思いますが、このうち、買い取り請求関係につきましては九十二億円の先行取得債の別ワクを準備しております。しかし、遊休土地買い取りにつきましては、当初そういった考え方がございませんでしたので、現在五百十二億円の公共用地の先行取得債がこのために活用できるものと考えております。これにつきましては、現実に法律施行されまして、都道府県あるいは市町村における実態を見ながら万全の措置を講じてまいりたい、このように考えております。
  108. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) いま御指摘いただいた点は、非常に私どもとしても重要だと考えておりますので、自治省、大蔵省とも十分詰めさせていただきたいと思います。  少し言い過ぎになるかとも存じますけれども、現在衆議院におきまして、国土総合開発庁の設置法案の御審議をいただいておりまして、この法案を制定していただくことによりまして、土地局を新設することを私どもとしてはお願いしておるわけでございまして、いままでのように、各省ばらばらで担当するのではどうも不十分ではないかというふうに考えておりまして、土地局の新設によって、土地局によってこの法案施行が十分納得を得られるように運営したいというふうに考えております。
  109. 田中一

    ○田中一君 最初に伺いますが、基本理念、この基本理念はおおむね財産権の面から見ても妥当なものであろうと思いますけれども、この国土の価値というものは何をさしているのか、どういうものをさしているのか、どういう行為をさしているのか。価値に対するひとつ判定をしていただきたいと思います。これは木村委員長にやってもらおうかな。
  110. 木村武雄

    衆議院議員木村武雄君) 昔は領土が非常に広かったのですけれども、戦後は四つの島に閉じ込められて狭くなったものですから、価値は高く評価しなければならないと思います。(笑声)
  111. 田中一

    ○田中一君 価値の移動、それから価値とは何かというと、この価値というやつは利用の価値だと思うんですよ。利用の価値だと思うんです。所有の価値じゃないと思う。したがって、土地を所有している価値と利用している価値と二つあると人は思うのであります。しかし、実際は所有している土地が借りものであっても利用の価値というものは高いということなんであります。  そこで、憲法二十九条でしたか、財産権の問題でもって、公共の福祉のために使うことが優先するんだと、これはこれでいいと思うんです。しかし、優先する場合、これは当然土地収用法という法律をその事業主体が適用して、——三十幾つかありますけれども、それを適用してこの手続を踏むということになっております。  したががって、最初に伺いたいのは、利用計画決定が先行するのか、土地の取得が先行するのか。私は、どこまでも利用計画が設定されなければ、目的が明らかにならなければ規制はできないというように見ております。したがって、六カ月たってこれがいよいよ実施するということをいっておりますけれども、それほどまでに日本の、わが国の領土のうちの土地の価値、著しく高騰する価値とか、何べんもあっちにいったり、こっちにいったり、投資的に使える土地とか、局限されているのです、これは。それで、この区域指定をするわけなんでありますけれども、はたしてそれが地価の上昇が著しいとか、買い占められているとか、そうしたものの認定をどこでするのか。知事がかりにするということにする、その場合に、利用計画というものは確立しないのにその土地規制することはできないと思う。これはいま言うとおり、財産権の問題からいっても、憲法上の問題からいっても問題があろうと思います。利用計画がきまって、これはここに学校をつくるのだ学校並びに運動場をつくるのだから、そこでこの土地規制するのだということなら憲法上の疑義はございませんが、まずこの地域をやたらに買い占めて金もうけをするやつが多いから、これを規制しておけということが先行するのでは憲法上問題があるというように私は考えるのですが、だれがいいか、局長、やるか。(笑声)
  112. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 原則論として、いま先生が御指摘になったとおりだと思います。実は、この法案提案者の先生方が検討される際に、土地利用計画を別法にしてよいかどうかということはずいぶん御議論があったところというふうに私どもは考えておりまして、でき上がった法案は、やはり規制区域許可にあたって、土地利用計画が行政から見て明らかに申せる場合以外は不許可にすることができないという前提でこの法案ができ上がっているというふうに私どもは受け取っておりますが、しかし、個別な判断ということになりますと、知事の判断にまかせて、知事の判断をいただかなければならない要素というのは、多少残っているとは思いますが、原則は、先生がおっしゃったことで理解していただいてよろしいのではないかと思います。
  113. 田中一

    ○田中一君 法律というやつは原則から出発をしなければならないのでしょう。われわれは、すべての生活も、生命も、行動も、思考も、あらゆるものは、やはり社会においては憲法のもとにこれがなされているということなんです。  そこで、たとえば知事にまかすとかと言っておりますけれども先ほど田代君の質問にもあるように、知事は最近革新知事がたくさんできております。革新知事は非常に、たとえば畑君の例が出ましたけれども、埼玉県知事などは、とうてい自分の県では東京に職場を持つ方々を受け入れることはもうできないと、市街化区域には全く土地がないのだと、みんな買い占められていると。だから全県の全区域規制区域にしたいというような発想が具体的に生まれてくるわけなんです。そういうことがあっていいのかどうかという問題があります。これは非常に地方地方によって違うと思いますけれども、こういう形のものが知事の権限にまかされて、知事だけの独断で先行して規制をするということはやはり問題があろうと思う。行政訴訟が起きるかもわかりません。これは憲法上の訴訟が起きるかもわかりません。目的が明らかにならなければこれは収用できないのです。三十幾つ公共事業がございますが、これらは一つの目的と計画が明らかになっている。そしてこの区域を収用すると。いわゆる憲法二十九条で財産の収受というものは土地収用法で行なう場合にはその手続を踏まなければならないことになっております。しかし、ここで突如として、第一条の目的はこれはもうそのとおりでありますからいいんでありますが、事業の実態が明らかにならないのにそれをとるということに対しては、これは実際はそうであろうけれどもという説明でありますけれども、これは井上君やってくれますか。
  114. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 仰せのとおりだろうと思う。したがいまして、遊休土地の収用の場合、田中先生のおっしゃるように、都市計画法によるところの都市施設をつくるのだということは、遊休土地と認定して、それが協議整わざる場合は都市施設として計画を立てなければならないことにいたしております。そして、続いては土地収用法が働くということにしておるのでございまして、共産党さんのおっしゃっるように、遊休土地であればすべてこれは買いとるという法律とは、ここにおいて……。私どもは憲法を守るという立場からいたしますと、田中先生のおっしゃるとおりだから、そういうまことにめんどうくさい手続をこの法律の中に織り込んでおるのでございます。先生のおっしゃるとおりだろうと思います。
  115. 田中一

    ○田中一君 私の言うとおりだが、私の言うとおりなら、私の言うような形の運用ができなければならないです。知事にまかしておくということになりますと、下河辺君は、原則としてはそうでございましょうと、しかしながらといって、知事の権限で自由に動かせることになると、これは困るのだ。そこでどうもやっぱりいまの政府は革新知事というやつを非常に憎んでおりますから、何か言うと、それに対して大権を発動されたのじゃ、これも困ると思うのです。地域によっては、非常にそういう悪条件の中で多くの国民の住居を提供しようという苦労があるわけなんですが、いま井上議員のお話を伺っても、ちょっとまだ納得ができないものがあるのですが、それじゃ、もう一ぺん、もう一つの面から聞きます。
  116. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) この法案土地収用ができるのは、遊休土地と認定した場合にのみこれは土地収用ができるということにしております。
  117. 田中一

    ○田中一君 そのとおりなんです。ですから、それを現在の法律では、現在の憲法の上から言うと、収用法でとらなければならぬ、目的を明らかにしてとらなければならぬ。これはそうではない。先に網をかけようということなんです。規制地域をきめて網をかけようというのですね、そうでしょう。規制地域というものを設定して、これに先行してとっておきましょうということなんですね。
  118. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 規制区域といいますものは、これは地価の抑制をやらすためでございまして、取引許可制にいたしておるのでございます。土地を収用するために規制区域を定めておるわけではございません。
  119. 田中一

    ○田中一君 今日の社会の経済機構というものは、自由主義経済をもって立っております。したがって、先ほど申し上げたように、利用の価値が高い、所有の価値は税金をとられるからマイナスになるということになりますと、やはりこれを利用する価値のほうがだれも求めておるわけなんです。はっきり伺いますが、衆議院ですか、あるいは先ほどでしたか、借地権はこれは規制いたします、借地権は取引とみなしますというような発言があったのですか。
  120. 北側義一

    衆議院議員(北側義一君) ありません。
  121. 田中一

    ○田中一君 ありません。そうすると、質権設定はどうなりますか。担保というものには、その規制を受けている地域土地は該当いたしますか。担保権をも規制されて許可を受けなければ金も借りられないということになりますか。
  122. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 入っておりません。
  123. 田中一

    ○田中一君 入ってないですね。そうすると、金を措りるのも個人の自由でありますから、土地を持っているけれども金がないではどうにもならぬから、百年契約、これは香港、九竜半島と同じように、百年契約でこの土地を借りますと、金を貸してくださいと言うことも可能である。それから、借地権に対しましてもないというならば、売買に対する許可になりますから、貸すことも借りることも五十年契約で貸して、そこで生産活動することも可能である。ただ、問題はそうした形でもって、全体の計画が立たないのに、利用計画が立たないのに、ただそのものだけをこうしよう、ああしようという細工は、これはちょっとざる法的なにおいがするのではないかと思う。その点もう少し詳しく——何かざわざわしていますから、説明していただきたいと思う。
  124. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) 一部これは入れてあります。いわゆる賃借権は入れる考え方でおります。
  125. 田中一

    ○田中一君 賃借権というものは入れると、これはまあ入れていいか悪いかの問題は、これは議論しません。ただ、質権設定というもの、担保権というのは、これはおのずから所有権が持っているのだとなりますと、先ほど申し上げたように、売買と同じような効果、地価高騰というものは利用による高騰なんです。所有による高騰ではないのです。先ほど私が価値、価値と言っておりますけれども、その土地利用によるところの地価高騰なんです。利用の価値が高ければ高いだけ地価は高くなりますよと、こう言っているのです。所有だけでは何にもなりませんよと。売買も同じでございます。数たくさんひっくり返しますとだんだん上がってくる。これは何か得があるような印象と、何かうまい仕事があれば、どんどん地価が上がると同じように回転すればいいわけなんです。凍結すれば価値は不動ですから、そのまま凍結されています。そのかわり爆発的に五年たってぱっと上げたらばんと上がる可能性もあります。しかし、いまの抵当権が設定される、土地を貸す——貸すというよりも、抵当権でもって相手に許可を与える、どうもあなたのところ、お宅に金を返すことができないものだから、どうかひとつ使ってください、自由に。そのうちに期限がくる、返せない、自動的に裁判所がそれを認めてしまう。これは法律が認めるのですよ。という場合、それから所有者が死んでしまった、その土地は相続という形でもって遺族に分配されるという場合もあるでしょう。こういう問題に対しては、この法律は発動しないわけですね。その点はどうなんですか。ちょっと天野さん、私、こう質問するのは、そんなことがあるなら、そんなことならもし少し締めてやろうということを望んでいるのじゃないのですよ。そういう自然な善意によるところの土地の動きというものまでも規制するのかどうかということを伺いたいと思うのですよ。
  126. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) どの程度までやるか、いま賃借権だけ申し上げたのですが、一応法律には、土地に関する所有権若しくは地上権その他の政令で定める使用及び収益を目的とする権利等も含めてあります。それでいま先生のおっしゃるのは、もう御承知のように、脱法行為的なものである、要するに法律の網をくぐってやろうという行為と私はそう理解しているのですが、そういう点について十二分に検討をしたいと思いますし、はなはだお釈迦さまに説法をしているようなかっこうで、まことに恐縮なんですが、私、午前中の質問にお願い申し上げておるのですが、これはあくまでも政府提案ではなくて、議員提案であると、われわれ議員の間でつくった法律案でありますから、完全なものではない。ただし、完全なものにしたいということには、これは何らかわりはない。そういう点では、衆議院と参議院と違っておっても、参議院の皆さん方の御意見を伺って、いま言った政令でこれからきめるようなものは、これは六カ月の間にきめるわけですから、その間政府にだけまかせないで、われわれもタッチしてやるという考え方でおります。そういう点では非常に勉強されておる先生の御所見等はひとつ、参考になりますから、十二分にお聞かせ願いまして、これから指標にもしてもらえばたいへん助かると思うのですが、いま申し上げましたように、売買は規制したから、売買できなくなったから、それだから貸そうじゃないか、貸し金を高く取ろうじゃないかとか、あるいはいま言ったとおり、金は賃借ではなくて抵当に入れて金を借りると、そうすれば、たとえば百万円のものを二百万取ろうが、三百万取ろうがいいんじゃないかというようなことが起きるようでは、これはまた非常に問題が出てくると思います。そういう点は、できるだけ措置をこれから政令の中で配りたいというふうに考えております。いま申し上げましたものは、この法律案の十四条で一応の考え方は示してございます。ですから、ひとつ有益な御所見を十二分にお聞かせ願えればしあわせだと思います。
  127. 田中一

    ○田中一君 午前中もそういうような御答弁がたくさんあったと思いますから、これは当然天野さんがこの国土庁長官におなりになるものと考えまして、(笑声)いまのあなたの発言というものは十分身をもってささえてくださるというようにその点は理解しておきます。  それから、次に伺いたいのは、利用計画は先行するのだということは、下河辺君、いいんですね、それで。いいんですか、もう一ぺん言ってください。
  128. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) できていない利用計画許可事務をするということは適当ではないと思います。
  129. 田中一

    ○田中一君 天野さん、わかりましたね、いまのやつ。
  130. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) わかりました。
  131. 田中一

    ○田中一君 それから、規制区域指定内容について伺いますが、「投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ、」ということは、過去の問題をとらえて言おうとしているのか、将来の問題をとらえて言おうとしているのか。将来の問題はなしと見なければならぬです。ないと見なければならぬ、将来の問題は。過去の問題をとらえて行なわれた土地だから、それを規制するのだということになるのですか、それとも、将来ともにこういう規制をしてもまだ、何と言うか、買い占め、投機、何とかかんとかがあるというように理解をしておられる発想でこの条文ができ上がっているのですか。これはだれに聞けばいいんですか。
  132. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) 私たちは、この法律施行することによりまして、土地の暴騰あるいは投機等がなくなれば、こんなけっこうなことないと思っております。要するにいままで目に余るものがございましたから、これからもしもこれ以上になればこの法律のワクの中で始末していくという考え方でございます。いわゆる前にもあとにも通じるというように御理解願えればたいへんけっこうでございます。
  133. 田中一

    ○田中一君 前にも、過去にも及ぶのですか。
  134. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) いや、これから、将来です。
  135. 田中一

    ○田中一君 私は、この法律が将来に及ぶことは当然だと思います。過去にも及ぶような配慮はなさらなかったかということを伺いたいのですよ、過去にも及ぶことがですね。御承知のように、埼玉県下は、もはや十八、九の大手の業者によって、市街化区域並びに調整区域も含めて、大部分のものは買い占められているんです。だから畑君がぎりぎり歯を食いしばるのも無理ないんです。したがって、過去にも及ぶということになるような立法が望ましかったんです、どこかに。どこかに望ましかったんです。そういう点については論議をされたかどうか。
  136. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) それが政策的に七、八割という価格の考え方がそれであるというふうに御理解願えればたいへんけっこうだと思います。要するに市街化区域内の宅地の価格は現在の価格よりも七、八割程度に政策的に押えようとするのがこの法案のねらいであるということでございます。いままでずいぶん暴騰された、暴騰された分も相当カットしようという考え方であることは、この法律案基本的な考え方の一つであるというふうに御理解願いたいと思います。
  137. 田中一

    ○田中一君 そんなことはできませんよ。できると思っていないでしょう、あなただって。
  138. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) できると思っている。
  139. 田中一

    ○田中一君 これは過去に及ぶということになると、それが七、八割だとか、五割とか何とかかんとかというようなことは大胆過ぎますよ。だから、何と言いますか、いままで政府は方々開発をやって、あるいは新幹線その他でもって買い占めているところは近傍類地の価格というものが国民の抵抗を一番受けない価格なんだという認め方をしているわけです。これは木村さん、そうでしたね、あなたが大臣のときもそうでしょう、大体近傍類地の価格。ことに最近は、それにもう一つの傍証としては、公示価格というようなことを考えられていますよ、これは一番無事なんだと。それが公平か、不公平か、安いか、高いかという問題でなくて、そのほうが官僚諸君は逃げるのに一番楽なんですよ、何か基準があれば。そこでですね、それが従来使っているもの、それの七〇%、八〇%で押えるんだなんということは、これは冒険です。私の言いたいのは、埼玉県の例ばかりとりますけれども、あすこで十何社の大手の不動産業者が、開発業者がすっかり手におさめているものを吐き出すような方法はありませんかと言うのです。昨年の暮れに三井不動産の江戸社長から暮れに電話がかかってきました、私のところに。畑知事に会わしてくれぬかと、畑知事に会わせるように連絡をとってやった。会ったそうです。会ったら、不動産協会のメンバーは、県のほうには公示価格でお分けいたしますと、全部お分けいたしますと、こういうことを意思表示をしたそうです。正月に畑君に会って聞くと、とんでもないと言うのですよ。公示価格なんてものは、おそらくあの人たちが買ったときの百倍以上になっているだろうと言うのです、現在。そんなものは買えばどうしても高く取らなければならぬと言うのです。県民あるいは東京の都民に住宅を供給する場合には。とんでもないと、こういうことを言ったそうです。土地をお買いになったときの値段を知らしていただきたい。今日までの金利、それから必要経費というものを全部これにプラスしましょう、なおかつ適当なる利潤というものを乗っけますから、これで売っていただきたいというのが知事の言い分だったそうです。それがどのくらいになるかわかりません。あなたの言っている七〇%、八〇%になるかどうかわかりませんけれども、ただ過去におけるところの行為というものに対して、なかなかつかまえることができないのです。何とかこれをどうにかしなければならぬじゃないかと思うのですが、そういう問題が論議されたのかどうかを伺います。
  140. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) お答え申し上げますと、過去の、そのおっしゃられる埼玉県におきまして、十七、八社がたくさん土地を買っておるという土地につきましては、遊休土地を処分することで解決ができると私どもは考えるのでございます。すなわち、何ら大企業の連中が取得しておる土地に対しまして、これを遊休土地として市町村長知事に対して申し出る場合、並びに知事がこれを遊休土地として認定するという処置を上と下と両方からできるようにいたしております。そういたしますと、先ほど来申し上げましたように、遊休土地として指定いたしました場合には、都市計画法上の手続等々によって土地収用法がこれに働いてまいります。そのときに買い取る価格と言いますものは第三十三条に明確にいたしております。その第三十三条の価格の前者は、すなわち「近傍類地の取引価格等を考慮して政令で定めるところにより算定した当該土地の相当な価格を基準とし、」かつまた「当該土地の取得の対価の額及び当該土地の管理に要した費用の額を勘案して算定した価格をもってその価格としなければならない。」ということにしてございますので、あくまでも現在の地価でもってこれを買うということではござ  いません。取得したときの価格というものに管理費を加えた額、これを「当該土地の取得の対価の額及び当該土地の管理に要した費用の額を勘案して算定した価格をもってその価格としなければならない。」と、この価格で買い取るということにしておるんでございます。したがいまして、よけいともかく安い価格で買うとるやつをいまの公示価格で買えというときには、それはこの面で押えることができまして、ぼろもうをともかく不動産屋さんにするのをこいつを押えることができると私どもは思っております。三十三条でございます。
  141. 田中一

    ○田中一君 農民が相当たくさんな土地を持っております。これは投機的にそれを持っているんじゃないです。いいですか。これは要請にこたえて売りたい、むろん農民も時価、適当な価格で売りたいと、私は先祖代々持っているんだから、こいつを先祖代々の価値で売るなんということは今日の経済社会ではないわけです。そうすると、こういう人たちは投機的行為をしてない、投機的行為をしている者の持っている土地は、これはいま井上議員から言っているように、何かの方法でもってこれを押えるんだといっても、農民が持っている土地に対しては区別をするつもりですか、同じところでありますというんですか、その点はどっちですか。
  142. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 農民の持っております土地は、この遊休土地指定の対象になりません、ずっと持っておりますと。
  143. 田中一

    ○田中一君 遊休土地遊休土地と言うけれども遊休土地なんという土地はないんです。あなた、よくお考えになってくださいよ。あっ、あそこに遊休土地があった、行ってみたら何だ貸しガレージ、ばっと木が張ってある。生産行為をやっているんです、貸しガレージ、ぼんと。それから、あっ、あそこにおかしいぞ、調べに行ってみた。アパート建設予定地と、こう書いてある。看板が出ている。ああ何だなんという、どこでもそうなるんです。いいですか。それをたとえば金があればアパートを建てるんですよ、金がないからいま金を一生懸命ためているんです。金策をしているんです。三年たつか五年たつか十年たつかわかりません、それは。というような現象がどこでも出てくるんです。これは生産行為をしているんです。当事者の中でも、たとえばさっそくくわでたがやして、野菜が高いからうちじゃもうしようがありませんから、ここでもってうち用の野菜をつくっているんですと。これは遊休土地じゃございません。生産する土地です。こうした形の現象がどこでも生まれてまいりますというんですよ、現象として。したがって、遊休土地遊休土地と、何をさされるのだか、遊休土地なんという土地はもう現存しないんです、この法律案が通った途端に。なくなっちゃう、消えてしまいます。まあ、いいじゃないか、第二工場予定地としてぽんとくいが打たれているんです。だれが、どの権力者が、おまえ第二工場なんかつくっちゃならないといってとめられますか、とめられません。建てるなら一年のうちに建てろ、これは国の土地の払い下げじゃあるまいし、自分の持っている土地です。それに一年たったらできない。安い五分ぐらいの金を貸してくれればつくりますよとうそぶかれたら、それっきりのことなんですよ。遊休土地に対する、取ってやろうなんという考え方はもうやめにゃならぬし、遊休土地というものは消えてしまいますというんです。したがって、遊休土地の問題については、これはいまあとで質問しようと思ったけれども、いまもうお話しちゃいますがね。したがって、遊休土地なんという土地はなくなっちゃいます。それが何の権限で、この土地をガレージに貸しちゃいかぬという権限がございますか。三年後にここに工場をつくるんだといって、それはいけないという根拠はございますか。ましてや、いまの社会は自由経済の社会であります。是非の問題は別にして、自由経済の社会であります。そういうことは規制することができないんであります。これは下河辺君、君、どういうぐあいにぼくに、答弁してくれる、この事実を。
  144. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) いま先生がおっしゃったようなことで、その土地が何らか使う予定が明確である場合に、遊休土地とすることはこの法令では困難であるというふうに思います。しかし、現実、常識的な意味で、買い占められた土地が遊んでいるという実態があることは、また否定できない事実でございますから、この法案が制定されました際に、国もいろいろと指導をしながら、知事を通じて遊休土地指定するということをするそのしかたについて、いま先生からいろいろ実例をあげて御説明があったことだろうと思いますので、私どもとしては、知事が通知をすべき遊休土地指定をどのような形で指導するかということを詰めさしていただくということが、きょうできるお答えだと思います。
  145. 田中一

    ○田中一君 そうすると、やはり権限を知事に持たせます、基準をつくらなきゃだめです、基準を。一番大事なことなんです。不公平は国民全部、一番迷惑な話です。この点をはっきりしなきゃだめです。これは天野長官ができたらば、きっとそうしてくれるでしょうが……。  それから地価の暴騰とか投機とかという価格の問題の高い、安いなんという基準をきめるにも、いろいろいままでに御質問があったと思いますが、これはどういう形でつくろうとするのか、高いとか安いとかという標準。御承知のように、利用しようという者は高くても買うんです。そんなところは必要ないというやつは、ただならもらうでしょうけれども、買わないんです。ただのように売ってくれるなら買いますということになる。したがって、土地の価格というものは、前段に申し上げたように、利用の価値なんです。利用の価値が甲乙丙丁みんな違っている場合に、持っている者は一番高い者に売ります。そうすると、土地利用を最適な方法で活用しているのが、高くても土地を買う人がその土地に対するところの生産意欲と熱意を持っているということになるわけなんです、ということになります。したがって、そういう場合、どういう形で正しさというものを求めようとするのか、ちょっとぼくには困難でわからないんです。ただ、おしまいのほうにありますところの審議会一たくさんありますね、いろんなのが。これはどういう人たちを使いたいのか。国土利用計画地方審議会、土地調査員、審査会、たくさんありますね、そんなのが。これは非常に民主的につくろうという、これはまあ革新政党のほうから出た注文だと思うんですが、これをどういうぐあいに活用するんですか、どういう人をメンバーにしようとするんですか。それらの審議会の委員役人がやるんですか、地方公共団体の議員がやるんですか。午前中に何かそんな質問があったとちょっと聞きましたが、国会議員なんか入れるんですか、そんなばかなことはしないでしょうね。だれがそれになるんです、だれが任命するんですか。議会が任命するんですか、地方議会なら地方議会なりが。これは非常にむずかしいところなんですよ。土地それから土地の値打ち、利用方法等を熟知している者、それに専門家をここに配するということでなくてはならぬと思うんです。たくさん知っている……。(「学識経験者」と呼ぶ者あり)いや、それは天野長官が言うんだからいいでしょうけれども、これは専門家がたくさんいるんですよ、いまはもう。土地家屋調査士も  いれば、宅地建物取引業者もいれば、それから鑑定士もいれば、いろいろあります。そういう方々を、専門家を使うということにならないと、これはいけませんよ。この価格を選挙に利用したり何かされちゃ困りますね、いろんな弊害がありますから、その点は非常に大事な問題であります。どういうように考えていますか、どなたか……。
  146. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) 委員は学識経験でなくて、その土地に関する事項についてすぐれた経験を持った者というふうに一応規定はしてあります。ですから、先生の意図を十二分に反映できるようになるのではないかというふうに考えております。  それから、午前中国会議員の中からという意見もなかったわけではございませんが、これはある意味においてはやはり国民の代表ですから、国会議員の中からもあっても差しつかえはないんではないかという考え方を持っておるということだけ答弁しておいたわけですから、その点御了解願いたいと思います。
  147. 田中一

    ○田中一君 六週間ですか、許可の……。そうでしたね。現在一つの都道府県で月間何十万だったかな、これはたいへんななになんですよ。そうすると、各都道府県はどのくらいの人間を置いてこれに応接しなければならないのですか。六週間ですよ、調査ができないでしょう、これは。ちょっとぼくはできないと思うのですよ。もう少しゆっくりしないといかぬと思うのです。
  148. 天野光晴

    衆議院議員天野光晴君) それは当たるか当たらないかあれなんですが、六週間以上延びるということは、事務が非常に停滞するということになると思います。それと規制区域の中ですから、その点は大体はやれるのではないかという考え方で話はいままで進んできておるわけでございます。それは全部をやるということになると、いま申し上げましたように、今年度の場合で約四百万件近く全国にございますから、なかなか容易ではございません。それですから、それは規制された地域ということになりますればやれるという大体の、事務的にも折衝いたしまして、いけるのじゃないかというので六週間という日程はぎりぎりではないか、それ以上おいたのでは地価の変動等もありまして、いろいろ問題が長引きますと、無制限になればたいへんですから、それで事務能率をあげるという意味においてもなかなか容易ではないと思いますが、六週間ぐらいで適当ではないかというので一応算定したわけでございます。
  149. 田中一

    ○田中一君 一都道府県でもって一日平均二百数十件あるそうですよ。そうすると、たいへんですよ。そうすると、常時調査員というのを専門の調査員を置かなければならぬ。これもやってみて行政事務の渋滞のないようにやらぬと、この人たちみんな買うとかなんとかいって、   〔委員長退席、理事前川旦君着席〕 相当な金利のかかる金を使っているものですから、これはたいへんなことですよ。その点はひとつ注意してください。  それから、附則で六カ月以内にこれを開庁するわけですね。これはできませんよ。だから、もう少し、一年ぐらい延ばしたらどうなんですか、一年ぐらい先に。できませんよ。末端の行政が停滞します。六カ月とした根拠を説明してください。
  150. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 土地の値上がりは、いま鎮静化しておるように思われます。しかしながら、総需要抑制もいつまでもできるものじゃございません。やがて金融緩和も行なわれるであろうと思います。しかし、いままで金融緩和が行なわれますというと、一番先金が余ってきますと土地の投機に走るようであります、金が。したがいまして、どういたしましてもやがて金融緩和が行なわれたときにまた——日本にはずっとこれは土地が上がっていくという神話がございまして、財産形成には土地を持っておれば金もうけができるという神話がございます。この神話を打ち破ることが必要だと、こう思いまして、可及的すみやかにという必要上六カ月ということをきめたわけでございます。
  151. 田中一

    ○田中一君 それから許可は必ず六週間内でくるという、もしこれは六週間こえた場合には、その損害はどうしますか。これはみんな金利を計算するような方々が多いんです。   〔理事前川旦君退席、委員長着席〕
  152. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) それは六週間をこえた場合は自動的に許可になることになっております。
  153. 田中一

    ○田中一君 そうすると自動的に許可になる、じゃあ、楽だな、行政庁は。わかりました。したがって、六週間以内で開庁することもできるでしょう。よくわかりました。  それから取引をするために話は進めてきた、そして許可にならない場合も想定されますね、許可にならない場合も想定されます。ならない場合、それに対するはっきりした理由というものを明示する必要がむろんあると思います。明示をする必要があると思います。明示をする場合には必ずこの土地は何月ごろこういう方面でこういう事業のために利用するようにきまっているんだからということがなければならぬと思うのです。その点の配慮はどうなんですか。どなたでもいいですよ。
  154. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) いま先生が御指摘になられましたように、何らか公的な使用目的を持っている場合には明らかに不許可になると思います。ただ、それだけではありませんで、この地域をたとえば環境のいい住宅地につくろうということが何らかの法律できまっています場合には、そこへたとえば非常に煙の出る工場を建てるというようなことは認めがたいというようなことも含めて、先生がおっしゃったとおりではないかと思います。
  155. 田中一

    ○田中一君 そうすると、いまあなたが言ったのは役人が言う答弁ですから、こっちの政治家の答弁もひとつ聞きます。  不許可の理由は明示しますか、はっきりと。
  156. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 明示いたします。
  157. 田中一

    ○田中一君 そうするとたいへんだ、これは。たいへんですよ、それは。やっぱり調査員というもの、専門の調査員を一都道府県に三十人ぐらい置かなければだめでしょうね。ことに三つの都市圏、三つの都市区域ですね、首都圏、中部圏、近畿圏あたりでは相当な者がいないと、的確な価値の問題まで調べなければならぬですからね。調査員はどういう人を使いますか。やっぱり専門家を使いますか、専門家はたくさんいます。
  158. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 土地調査員を設ける制度をつくっております。そしてまた、その土地調査員には売買の立ち入り調査権も与えてございます。その調査員をどういうような人にするかということにつきましては、この法律では明示いたしておりません。したがいまして、政令で定めたところで知事がともかく土地調査員というものをつくって、そのような権限を付与して、そして作業を進めていくということになろうかと思います。
  159. 田中一

    ○田中一君 そんな人いますか、それとも養成するんですか。
  160. 北側義一

    衆議院議員(北側義一君) 一応この土地調査員につきましては、四十二条の二項で「土地調査員に関し必要な事項は、政令で定める。」、この政令で定める事項に入っておるわけでございます。そういう点につきまして、政令のほうはいまつくっている最中でございますので、先生の御意見等もお伺いして、この中でそれを盛り込むように努力してまいりたい、かように考えております。
  161. 田中一

    ○田中一君 土地の問題は最近こうして、最近というか、ここのところ十年来土地高騰しています。先行役資または買いあさりなんというのがありまして、専門家がたくさんいるんです。この人たちを活用するという法はとるんでしょうね、やはり。いまあらためて土地調査員を法律で、政令できめて養成してそれを使うんだなんということは言ったってしょうがないでしょう。その点はどうなんです、そういう点は。政令にまかしてありますけれどもですよ。
  162. 北側義一

    衆議院議員(北側義一君) いま仰せのとおりのようなことで検討してまいりたい、かように考えております。
  163. 田中一

    ○田中一君 もうこの辺にしますが、最後にひとつ、遊休土地というものを押えるのにどういう手を使うのか、これをだれか、下河辺君、わかるかね。どういう方法遊休土地というものを的確につかまえるかということです。これはもうたいへんなことですよ。それが一つ。  それから地価高騰というものの限度はどの辺を押えているのかということ、地価高騰の限度というものをね。たとえば東京の二十三区のどこかをひとつ想定して考えて、動きゃ上がるんです。凍結すりゃとまっていますから。売買しなきゃわからないんです、その価格というものは。ですから、そいつは何%、値段は近傍類地の価格の七、八〇%で押えますと、先ほど天野さんそういう答弁をしていた。その七、八〇%、何の七、八〇%か。そのポイント一というものが発見できないと七、八〇%にならないのですよ。単位がわからぬとそうならないんです。非常に抽象的な議論であって、具体的な地価についての、土地についての例を一つ示してほしいと思うんですが、いや徳島でもいいですよ。徳島でもいいから、井上議員、どの場合どうでもってどうだということを聞かしてください。
  164. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) お答え申し上げますが、遊休土地の問題につきましては、先生のおっしゃるように、非常にむずかしい問題があると思います。しかしながら、遊休土地ということを指定いたしますというと、その計画を出させることにいたしております、所有者に対して。その計画を出させまして、そして知事土地審査会等々の意見を聞きながら、ともかくこれは擬装せられたものかどうかというものの発見につとめます。そして、これはもうその計画変更を命令することも知事においてできるようにいたしてございます。ですから、厳密な意味で、法の網をくぐろうとするのはこれは世の中の常でございますけれども、あまりにもひどい場合はこいつに引っかかることができると思います、遊休土地は。したがって、その後の、これを先ほど来先生が仰せのとおり、いろいろな手続を経て憲法に抵触しないような範囲において土地収用に踏み切るということになろうかと存ずるのでございます。  それから地価高騰はどの程度かということでございますが、私ども考えておりますのは、一般物価の上昇率、これ以上上がった場合は、これは高騰が激しいと、こう考える次第でございます。しかしながら、ことしのように異常に物価が上がった場合に、これにスライドするかと、そうはいきませんので、考えておりますのは、異常物価の年の物価指数は除きまして、五年間平均ぐらいをもって基準といたしたいと、このように考えておるところであります。
  165. 田中一

    ○田中一君 これは井上君、この前、この法律案でいろいろ話があったときに、零細な土地なんというものは、これは除外しますよと、こういうことを言っておったね、政令で。たとえばこの規制区域の中の、一坪でもこれは規制区域の中だから、それは当然許可を受けなきゃだめですよと、こう言っている、当然でありましょう。しかし、どこかの庭を三十坪売ってなんといって、住宅を建てる人に売ると、あるいは子供にそれを分けてやるとかというような善意のものもある、善意のものも。そして、実需要として住宅がほしいからどうしてもそれを買いたいという場合は優先的に許可されるものだというように認めていいんでしょうね。
  166. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 私どもは、その脱法行為が行なわれることを考えまして、実はすそ切りをやらなかったんでございます。たとえて申しますと、二千坪の土地の売買が行なわれるという場合に、規制区域でございますと二百坪以上は許可の対象にすると、こう申しますというと、百九十九坪では、それじゃ規制の対象にならぬから許可が要らないということになりますと、二千坪を十一に分割いたしますと、もうすでに使われなくなります。そうなりますと——これは共産党さんはそんな案出しておるんでございますけれども、私どもは、それをやられるというと、価格も二重価格になるし、土地は細分化されるし、脱法行為がオープンになってくると、これはすそ切りをやるべきじゃないと、こう考えましてすそ切りは実はやらしておりません。しかしながら、田中先生のおっしゃるような善意の取引につきましては、やはり許可は必要ではございますけれども、当然そこらあたりは知事は配慮して許可の基準をつくるものと、このように私どもは考えております。
  167. 北側義一

    衆議院議員(北側義一君) ただいまの先生の御質問でございますが、これ第十六条の許可基準この二にそのことが書いてあるわけでありますが、たとえば「自己の居住の用に供するためのものであるとき。」は、これはもうすぐ許可、別に申請受けなくてもいいような形になっております。そのようなことで、そういう問題全部除かれております。
  168. 田中一

    ○田中一君 委員長、大蔵省来ていますか。——来ていない、だれか知らぬかね。
  169. 北側義一

    衆議院議員(北側義一君) ただいまの答弁ですが、許可申請は出しますが、すぐ許可になるようになっております。
  170. 田中一

    ○田中一君 じゃ、だれか。従価税の問題ちょっと聞いておきたいんですが、この二七%のうちの二〇%、従価税やりますね。あれはこの法律案の適用地とどういう関係を持つか、四十四年一月以降入手した土地をことしの四月一日以降これに従価税かかっていますね。税金が余分に二〇%かかっていますね。これらはどういう関係を持つか、その点もはっきりして伺っておきたいと思うんですけれども、その点を。何にもこれには関係ございませんと、それはもう一般論として適用されるものは適用いたしますということなんですね、そうすると。
  171. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) そのとおりです。
  172. 田中一

    ○田中一君 こうして公共事業のために提供した場合には、これはどうなんですか。やっぱりかからないんですか、かかるんですか。一定の価格、結局、価格の基準がわからぬから、私は、そういう疑問、不安を持つんです。じゃ、こいつはまた次の機会にしましょう。といって、私はもう質問をする時間がないからね。じゃ、どうぞ、けっこうです。
  173. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 ほとんど質問の要点は出尽くしておりますが、再度確認をするような形で質問をしておきたいと思うんですが、この法律案は、最近の地価公示価格の発表に見るように、毎年三〇%をこえる異常な高騰が続いておるのでありますが、その抑制施策の緊急性にかんがみて、与野党四党が共同して提案したことについては画期的である、その成果が期待されるんじゃないかと、こういうふうに考えます。しかし、この法律を実際に運用するのは今後の問題でありますが、運用面で第一線に立つ都道府県あるいは市町村の執行体制がまさに整備されなければならぬのじゃないかと思います。この法律による土地対策が有効にひとつ働くためには、そのかぎは何といってもこの法律の運用にかかっておる、そういう意味で私は御質問をしたいと思うのであります。  そこで、この国土利用計画と国総法案との関連でございますが、もう何人もの方がこの点じゃ質問されました。したがって、いまさらもう質問の要もないかとは考えておりますけれども、実際問題として、利用計画法案の中にも、この内容とするいわゆる土地利用に関する事項内容がやっぱり明記されておるわけです。したがって、この利用法案国土総合開発計画とのクロスする場合が起こってくるんじゃないかという懸念を私は持つわけです。したがって、その場合、利用法を優先させてその計画をやろうとするのか、あるいはやっぱりこれは国総法のたてまえから従来の法律でこれを適用しようとするのか、この点ひとつ、退屈しておられるようですが、渡辺議員、何か答弁しておいてください。はっきり明確にお願いします。
  174. 渡辺武三

    衆議院議員渡辺武三君) 御指摘のように、旧国土総合開発、旧といいますか、現在施行されております国土総合開発計画、この中にも、御指摘のように、土地利用に関する事項が定められております。しかし、今回私どもがつくりましたこの国土利用計画法案というものの土地利用と、国総法案に盛られておる土地利用とは、これは計画内容が実は全然違うわけでございまして、クロスする点というものはないというふうに私ども考えております。午前中にも何回もお話があったわけでございますが、この国土利用計画法案は、つまり将来的にわが国の国土をどのように利用していこうか、多分にビジョン的なものが含まれております。さらに具体的には国土利用基本計画の中でおのおの具体的な土地利用計画がなされていく、こういう仕組みになっておるわけでございまして、今回の法律案の中にも、この法律以外の国の利用計画というものは、この国土利用計画をもととして行なっていく、こういう項目があったかと思いますが、したがって、この国土利用計画法案にいう国土利用計画というものがいわば主体的な計画になっていくであろう、これによって国土利用国土総合開発法もある程度の調整といいますか、当然これに抵触をしてくれば調整がはかられていく性質のものである、こういうふうに考えております。
  175. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 次に、この法律の柱である規制区域指定ですね。土地規制知事が行なうことになっていますが、知事が実際にこの区域指定に踏み切るためには大きな政治的な決断が必要となるんじゃないかという心配をするわけです。特に土地取引規制をいやがる地主ですね、あるいは農民の方、特に不動産の方もそうかと思いますが、知事に対してはあらゆる政治力の圧力があると見なけりゃならぬと私は思っております。そこで、指定に踏み切るためには、知事はその政治生命をかけたやり方になりかねない。そこで、これに対して政府が積極的にどういう指導をするのかが大きな問題だと思いますが、だからといって大臣の直接の権限をそこで振り回すということになると地方自治体の自治権を失う、こういうことになろうかと思うのです。非常にこういう点がむずかしいと思いますが、したがって、この点の調整を今後どういうふうにとっていかれるのか。これは非常に重要な問題ですから明らかにしておいてもらいたい。明確にひとつお答え願いたいと思いますが、その点のひとつ答弁をお願いしたいと思います。
  176. 渡辺武三

    衆議院議員渡辺武三君) 基本的な考え方として、現在土地というものが投機的に売買がされておる、その投機的な売買対象から土地というものを除外したい、これが私ども基本的なたてまえでございます。したがって、地主さんだとか、農民の方々あるいは不動産屋が自己の持っておる土地を非常に高く売ってもうけたい、いわば投機の対象にしたいというときには当然やはり抵抗が出てくるということが考えられるわけでございますが、私どもは、冒頭に申し上げましたように、投機的な対象から除外をしたいということでございますから、そういう抵抗に対してはやはり相当決意を持ってやっていただく、これが必要になってまいるわけでございます。しかし、論議の中にもございましたように、国という立場でそれを非常に強く出していきますと地方自治の侵害という面も出てくる。したがって、総理の指示権等がございますが、そういうことに至る前に、やはり関係省なり関係県なり、出先と十分な事前の調整がはかられる、あるいはこの法律の運用そのものにも、いわば運用準則というようなものが定められて、そうして許可事務だとか、あるいは経費に要する財政的な問題、こういう問題についての国としての確保といいますか、いわば自治団体の長が国のこういう意向を受けて十分その職責を果たし得るような援助、これは当然国の立場で行なっていかなければならない、かように考えておるわけでございます。総理の指示権等は、御指摘をいただいておりますように、地方自治の侵害につながるおそれ、これは当然指示権を強くすればするほどそのおそれが出てまいるわけでございますが、私どもは、いま冒頭に申し上げましたように、土地を投機の対象から除外をし、高騰を続ける地価を抑制をしていこう、こういうために主務大臣の指示権あるいは代行権を発動する、そういう場合に限る、こういうような立場で、地方自治を侵害をしないように、でき得べくんば、そういう問題の起きる前に事前調整というものを相当ねんごろにやっていただく、こういう方向で考えておるわけでございます。
  177. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それからこの規制区域指定されたすべての土地取引許可制となるわけですね。ただし、価格の規定実施される区域はそれで抑制ができるといたしましても、今日のような土地の需要量が激しい時代には、指定地域以外を求めると思うのですよ。特に私はこういう見方をしているわけですが、過密化都市地域においては、青年、中年層の人が住宅を求めようとしていまあせっておる。それから中都市以下の都市の近在は、高年齢層の退職をしたような人がどんどん求めつつある。それは指定地域には住めないのだ、また住むような今日の社会情勢でもありません。退職金を六百万や七百万もらって、そんな土地も買えません。それで、その指定地域以外に求めていこうという傾向が十分この中都市、小都市には今日出ておるわけです。したがって、農村から出ておった人が定年になって自分の郷里に帰っていくと、こういう傾向が出ておるわけです。したがって、この地域の人口がぼつぼついまふえつつあります。そういう場合、規制されてない土地は、年々の物価上昇と同時に一ある程度ずつどんどんどんどんまたこれは上がっていく。規制地域は、皆さんがおっしゃるように、現行の八〇%か七〇%、できるだけ押えたいという基準をひとつつくっておられるわけです。その点のかね合い、非常にこれはむずかしい問題だと思うのですよ。それを一体どうお考えになっておるのか。そこだけを八〇、七〇で押えても、それ以外は物価の上昇と同時に土地がどんどん上がっていく、規制するものは何もないと、こういうふうに私は考えるわけですが、どういうふうにお考えになっておるのか、その点。
  178. 渡辺武三

    衆議院議員渡辺武三君) 本来的に日本全国を一律にある特定な期日から規制をする、全部を許可制にする、これが好ましいという一面的な考え方はございます。ところが、やはり行政能力等々からたいへんむずかしい問題が続出するであろうし、そういう画一的な規制がかえって混乱を生ずるというおそれもあると、ために、そういう原則を目標にしながらも、緊急必要なる地区からやっていこうと、こういうことでございますが、私は多面的に考えて、日本のこれだけの高度経済成長によってその経済成長のメリットというものを十分その地価の中に吸収をしてしまった土地、特に市街化の中に多いわけでございますが、非常に高騰をしておる。坪何百万円というような土地も出てきておる。反面、過疎地帯に行きますと、これだけ日本の経済がいわば成長したにもかかわらず、非常にアンバランスになっておりまして、そういう経済発展のメリットというものをまだ十分に吸収をしていない土地というものも多分にあろうかと思います。そういうところを一様に押えてしまいますと、そのこと自身、いまのアンバランスそのままを固定をしてしまうことになるわけでございますから、私は、こういうやり方がある一面だけから見ればさも不公平なように見えるけれども、非常に地価高騰が著しいという土地を必要性に応じて規制を加えていく。確かに、おっしゃるように、規制が加えられない土地は、これは上昇を続けていくでありましょうが、申し上げましたように、現実が非常にアンバランスになっておるのだから、そのアンバランスを多少でも是正をする役目を果たし得る。その過程においてさらに著しく高騰をしていくというようなおそれが出てくれば、これはまたその時点で規制の網をかぶせていけば、全体として私はある程度の公正を期することがかえってできるのではないか、かように実は考えているわけでございます。
  179. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 これは政府にお聞きしたいのですが、規制区域外一定規模以上の土地取引届け出制ですが、知事勧告に従わない場合はこれを公表して社会的制裁を加えるということになっておりますが、それだけでは不十分ではないかと、私はこう思うのですよ。その運用の実績等を見ましても、知事勧告に従わない者についてはもっと取引について何らかの規制が必要じゃないかというような感がしておるのですが、今後そういう面について検討する用意でもあるのかどうか、その点はどうお考えになっているのか、ひとつお聞きしたいと思う。
  180. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 私ども届け出勧告制、そしてそれは場合によっては公表するということは、今日の社会情勢からすれば、かなり影響の強い制度であるとは考えておりますけれども、それでやはり不十分であるという側面も私どもとしても感ずる場合もございますが、その際に、やはり遊休地の制度が加わりましたので、取引が実際に行なわれてしまいました場合に、三年後にやはりチェックをするということが政府案にプラスしてできましたので、三年後にはもう一度チェックするということで相当の効果をあげることが可能になったというふうに見ております。それから、さらにそれ以上に、一定規模以上のものについてどういう措置を講ずるかということについては、実は知事さん方とも少し実際の運用について御相談申し上げたいと思っておりますのは、現在すでに各都道府県が条例あるいは要項等で措置を講じておりますので、その講じておられる措置国土利用計画法の運用との関係をやはり相談してみる過程で、もし都道府県でやれることがあれば、私どもとしては、それを尊重して指導してまいりたいというふうな考え方でおります。
  181. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 この法律案取引規制の効果をあげるためには、何としても運用面における第一線の地方公共団体であろうかと思うのです。都道府県として実際に執行体制が整備されるかどうか。何人かの質問もございましたが、私もそういうふうに考えるわけです。特にこの組織、人員、予算はこれは建設大臣に十分交渉していただくならば、私は、今日の政府がやる気があるならやれると思いますから、そうたいした問題じゃないと思いますが、実際問題として、この組織的な方法で、それがいま言うとおりに、わずかな期間にそういう体制ができるのかどうか、この点はどうお考えですか。
  182. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 四十七都道府県、事情はかなり異なっております。しかし、かなり大半の県におきましては、昨年政府が提案しました国土総合開発法案が通るものと考えて準備をなさった県もだいぶございますし、それから先ほど申しました条例、要項等で土地規制を始められている県もありまして、そういう県にあっては、かなりの人員確保や、場合によっては課の設置をなさった都道府県もございます。そのために、私どもとしては、この法律施行のために、四十七都道府県、今度は一律に国土開発利用法案の運用を始めるわけでございますから、それぞれの県の実情に応じてやはり指導するということをしなければならないということで、できるだけ早い機会に、法律制定後、都道府県の皆さん方と、その運用の体制についても御相談を申し上げる用意をしたいと思っております。
  183. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 先ほど予算の問題について政府が御答弁になったのですが、ちょっと私は最後のほうを聞き漏らしたのですが、どうも納得しかねたのですが、四十九年度で八億六千万の予算が計上されていますね。これで事足るとはお考えになっていないというような御答弁があったのですが、しかも、この一府県当たり年間三万件以上、さっき井上さんの答弁でしたか、全国三百何十万件とかあるのでしょう。そうすると県単位に大体すると三万件以上ですよね。この三万件以上の、いわゆる大口の土地取引を個々に審査することになるのでしょう。実際問題としてできるのかどうかという、やっぱり疑心暗鬼がわれわれわくわけです。三万件というとたいしたあれなんですよ。それをしかも審査するわけでしょう。審査しなければわかりませんからね、結論が。実際問題としてそれができるかどうかという点を疑義をはさむのですが、その点をどういうふうにお考えになっておるのか、これは井上さんでもいいからひとつ。
  184. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) 全国で一年間に取引されております——表に出ておりますのは三百六十万件でございます。そのほかに売買、仮契約でやって、やみで、たとえば農地法の適用の土地なんかは実は出ておりません。実際は仮契約で農地法の適用がはずれた場合は移転を必ずするんだというような形でやっておりますのは実は出ておりません。また、実際土地取引につきまして国が的確にこれを、三百六十万件と申しましたけれども、実際にどれだけあるのか、実は正確な数字はつかんでおりません。したがいまして、いま脱法——農地法の適用をされるのをのがれるためにやっておるのなんかを加えますと、私は、四百五、六十万件になるんじゃなかろうかと思います。ただ、そこで四百六十万件すべてを審査するのかと申しますと、そうはならないのでございます。たとえば規制された土地でございますと全部かかります。しかし、規制されない土地がまあ大部分ございますので、そこの土地におきましては、市街化区域でございますと二千平米、調整区域でございますと五千平米、その他の土地は一万平米以上の土地については届け出をしなきゃならないということにしておりますので、四百五、六十万件あるやつが全部かかるわけではございませんで、おそらくずっとこれから減ってくると思っております。それじゃ、おまえ、一体幾らあるんだといいましても、私どももまだそこまでわかりませんけれども、実際としますと、年間、全国でそういう規制ワクを入れますと四、五十万件ぐらいになるんじゃなかろうかと、このように私は想像をいたしております。そういたしますと、一県当たり大体年間に一万件ぐらいということになろうかと、このように思います。が、事務能力が実は不足いたしておりますので、三百六十万件あるいは四百四、五十万件全部やりたいのでございますけれども、どうもそれができませんので、そういうようなことになるわけでございます。
  185. 渡辺武三

    衆議院議員渡辺武三君) 関連でございますが、いまの土地の売買の状況というのが実は十分に把握がされてないんです。したがって、われわれが推定をするところによりますと、いま件数があがっておりますが、これはいわば土地というものが投機の対象にされておる時代、いわば買うことによってもうかる、もうかるからまた売ると、こういう行為がたいへん件数をふやしておるというふうに考えられるわけです。したがって、今後投機の対象からはずしていこう、その土地を売ったり買ったりするだけではもうだめですよ、もうかりませんよということになれば、そういう行為はなくなってくる。いわば土地利用するために買うという行為が出てくるわけでございまして、実際問題として、いまの件数をそのまま算術計算をして、何件あるからどのぐらいの陣容を整えなければいけないということには私はならないと思います。したがって、実際やはりあるテストを試験的に小部分をやってみて、実際に実施をした過程で実はいろいろな対応をしなければならない問題点が出てまいると思います。それによってまたこの法律案そのものも、午前中にも申し上げておりますように、決して万全ではないので、それらの実際の法律施行後の動態を十分に把握をしながら、また、それに対応するような方向も当然考えていかなければいけないのではないかと、かように考えております。
  186. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう時間がありませんから……。この買い取り要求ですが、この遊休土地買い取りの請求に応じて地方公共団体土地を買い取るというこの財源の手当てですが、特別地方債を用意していくんだというような点も言われておりますが、この確保が実際にできるようなことになるのか。これはまあ政府関係ですが、大臣も退屈しておられるようですから、大臣にお聞きしたいのだが、この法律がほんとうに施行するというと——もうわずかの時間しかありませんよ、参議院で通ることはさまっていますからね。実際問題として、この財源、これは相当の何を地方公共団体にもやっていただかなければ、どんなりっぱな法律をつくってもしり抜けですよ。ひとつ大臣のこの法案が通過した後の施行にあたっての決意並びにそういう予算措置は、これは十分やっていただけるのかどうか、決意のほどを一ぺん聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  187. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 私の所管事項では実はないわけでございますが、国務大臣として、この画期的な土地に関する立法が生まれるということになるわけでございますので、これが財政措置や財源措置によって効果を発揮できないというようなぶざまなことは、政府としては、これはもう国会に対してもやるべきではない、こういうふうに考えておりますので、私どもとしても、全力をあげて地方自治体の要求を十分満たすことができるようにしていかなければならないと考える次第でございます。
  188. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  189. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 次に、生産緑地法案議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  190. 田代富士男

    田代富士男君 引き続いてお願いいたします。  今回生産緑地法案を提案していただきましたけれども、ちょうどこの参議院の建設委員会で、昨年の七月でございましたか、ここで緑地保全法の審議をいたしましたおりに附帯決議がつけられておりますけれども、その附帯決議の第三番目に、「都市計画法に基づく生産緑地制度の創設を図ること。」と、このような決議がされたわけなんですが、そういうことも勘案しまして、この生産緑地法案は非常に関係の深い法案でありますし、まず緑地保全法の実施状況につきまして最初にお聞かせ願いたいと思います。
  191. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 都市緑地保全法はおかげさまをもちまして成立いたし、昨年九月一日から公布いたしたわけでございます。しかし、周知徹底をはかるための期間も必要だということで、実際には本年二月一日から施行いたしました。  その間及びその後現在に至るまで、通達とか、担当課長会議等を開きまして、法案趣旨、御審議の中における御高見を詳細に指導を行なっているところでございます。  したがいまして、まだ各都道府県とも、現実の都市緑地保全法に基づく緑地保全地区の指定については、大部分が準備中という段階でありまして、ただ一つすでに指定されたものが札幌市の東月寒緑地保全地区というのがございます。しかしながら、そういった施行状況でありまして、現在のところ、はっきり予定されている地区としては、そのほかに川崎市とか、北九州市等が具体的な相談に参っておりますし、そのほか仙台市、横浜市等におきまして、これは地元の要望に基づいて公園緑地等の整備保全に関する調査をまず行ないたいということで、そういった調査を国費をもちまして地方公共団体で行なっていただいております。こういった地域では、その調査が終わりますれば、当然そのマスタープランに基づいて指定がなされていく、こういうことになると思います。
  192. 田代富士男

    田代富士男君 いま大勢が準備中であると、一、二進んでいるところもあるということでございますが、この法案に基づきます生産緑地制度と緑地保全法に基づく緑地保全地区制度との関係はどのようになっているのか、ここらあたりをちょっと御説明ください。
  193. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 都市緑地保全法に基づく緑地保全地区というのは、その法律の三条に要件が書いてありまして、その基本的な要件は「樹林地、草地、水辺地、岩石地若しくはその状況がこれらに類する土地」でございまして、「良好な自然的環境を形成しているもの」、その中でさらに遮断地帯とか、緩衝地帯としての効用とか、神社、寺院等の建造物等と一体となっているところとか、風致、景観が特にすぐれているところとか、そういったさらに要件がかぶさっておりますが、そういうわけでございまして、大体はこの樹林地等を中心としまして、良好な景観を形成している。こういうことが要件になっております。したがいまして、一般の農地の場合には、先ほど申し上げましたような緑地保全地区の定義には通常該当しない。つまり良好な自然的環境ということで、それだけの要件をもってきびしい規制を加えるというほどのところまでは至らない、しかし、その樹林地にたまたま介在するような農地などは例外として指定対象になることがあると思われる、こういう程度であります。それに比べますと、今回御提案申し上げております生産緑地はこの法律にも定義してありますように、「現に農業の用に供されている農地若しくは採草放牧地、現に林業の用に供されている森林又は現に漁業の用に供されている池沼、こういったものをその周辺地区と一体とみまして、それに面積その他の要件が加わったもの、これをもって指定できることになりますので、ずばり農地を主に対象と考えている制度でございます。したがいまして、都市緑地保全法では指定できなかった、いわばそのワク外にあった農地等をやはり都市機能上重要な地域、地区と見まして、これを都市計画上の制度として取り上げる道を開く、これが本法の基本的な性格であろうと思います。
  194. 田代富士男

    田代富士男君 いま局長の御説明の中にもありましたとおりに、おもに農地を主として対象に考えていらっしゃるということでございますが、これは農林省の方にお尋ねしたいと思いますが、現在三大都市圏内におきますその都市計画決定並びに農地の状況につきまして簡単に御説明を願いたいと思います。
  195. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 都市圏内における農地の状況についての御質問でございますが、私どもの把握しております数字では、今回のは市街化区域を対象としております制度でございますので、市街化区域内には、これは若干数字がいろいろございますけれども、約二十八万ヘクタールの農地が市街化区域に含まれておる、こういうふうに承知しております。  なお、三大都市圏ということでございますが、昨年のいわゆる宅地並み課税法によりまして課税対象都市とされました百八十余の都市がございますが、その百八十余の都市におきます市街化区域内の農地は、私ども承知しておりますのでは、約十万八千ヘクタール、こういうふうに聞いております。
  196. 田代富士男

    田代富士男君 いま三大都市圏の市街化区域内の農地に対する課税状況が約十万八千ヘクタールであると、このような御説明でございますが、この宅地並み課税に反対する市町村は、条例や指導要項に基づきまして、市街地内農地に対しまして生産緑地奨励金などの名目で農家に還元を行なっているようでございますが、こうした実情を三大都市圏の中でどの程度掌握されていらっしゃるのか。いま概略の説明でありますが、もうちょっと詳しく御説明していただけませんか。
  197. 山下稔

    政府委員(山下稔君) 現在関係の市の一部におきまして、緑地保全確保等の見地から、独自の判断で、生産緑地等に対して奨励金や補助金を交付していることは事実でございます。三大都市圏の市街化区域農地が所在する都市は百八十二市ございますが、現在こうした奨励金を交付している団体は本年一月現在で六十二団体ございます。その後も若干ふえているようでございますが、確認いたしております数字といたしましては、一月現在の六十二団体でございます。また、その奨励金の内容要件等につきましては、都市によって多少の差はございますが、大部分の都市におきましては一定規模以上であるとか、あるいは一定期間以上農業を継続するとかいうような要件を付しているようでございます。
  198. 田代富士男

    田代富士男君 それで、建設省は、各自治体のこうした農地保全奨励策は尊重すべきだと考えますけれども、もしこの生産緑地制度が制定されたとしたならば、各市町村の農村保全奨励策をどのように見ていこうとされているのか。ここらあたりを建設省の立場からちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  199. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 地方税法の規定によります、いわゆる三大都市圏百八十二市のA、B農地の宅地並み課税ということは昭和四十八年度から施行され、四十九年度からはさらにB農地にこれが拡大されるということでありまして、各市町村におかれましては、これと都市環境保全等の意味合いからする農地の保全ということに苦慮されたものと思います。と申しますのは、同時にこの生産緑地法を出しておればまだよかったのですけれども、税法が先行いたしましてA農地だけ当面ということでもありましたので、都市計画として市街化区域内の貴重な土地ではあっても、なおかつ都市環境対策として意味のある保全すべきものを保全しようという制度がなかったわけであります。このために、いわば過渡的な意味合いで各自治体が研究され、それぞれ独自の基準、効果等を伴いつつ条例あるいは指導要項等によって当面の対処策を講ぜられたものと思います。そういう意味で、生産緑地法が提出に至らない現在までの状況では、私どもも、やむを得ない措置であるという面が確かにあったんではないかと、こう考えます。  ただ、御指摘のように、本法が成立した後にはどのようになるべきものと考えるか、こういうことでございますが、これにつきましては、法律としての仕組みがおくれましたけれども、今回御提案申し上げたわけでありますから、幸いにしてこれが通過成立いたしますならば、本法と同様な観点からする制度というものは、特に地方自治体で独自に行なう余地はなくなってくるんではないか。もちろん昨年から始められました条例等の制度を急に切りかえるということにも問題があるでしょうから、ある程度の経過期間というものはなお存続すると思いますけれども、そういった一定経過期間が過ぎれば、これはやはり本法成立とともに見直されてしかるべきだと思います。その見直しをされました結果、なおかつ本法とは別個の観点から独自の方策が新たに講ぜられるということになれば、これは本法成立と関係のない事情ということにもなりますので、私ども申し上げる立場にないわけであります。貴重な市街化区域の中の土地であるという点に関しまして宅地供給、住宅供給に支障が出てくるというようなものではその面で困るということにもなりますが、そういう面でもさしたる支障がないというようなことであれば、本法成立後もなお独自の施策として残り得るであろう、こう考えます。
  200. 田代富士男

    田代富士男君 ここらあたりは特に建設省と農林省と関係のあるところだと思いますが、特に都市近郊の農地に対する保護あるいは農業生産、あるいは奨励、発展について農林省としていろいろ今日まで努力をして進めておいでになったと思いますが、今後どういう方向で農林省として取り組んでいかれるのか。たとえば都市における生鮮野菜などの安定的な供給を今後どのように確保していくつもりなのか、こういうことを含めて農林省の立場からお答え願えますか。
  201. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 都市近郊につきましては、御承知のように、土地利用面で非常に農業都市形成というものが競合いたします関係から、それを土地利用区分、土地利用計画ということで調整をいたさなければならないわけでございます。都市計画制度におきましては、そういう意味で、市街化区域の設定をする場合に農業との調整を行なうと、こういうことになっておりまして、いわゆる優良集団農地でありますとか、公共投資が実施中あるいは実施されました農地については、できるだけ市街化区域内に含めないようにする。  それから、いまお尋ねもございました野菜の問題で申しますと、たとえば野菜につきましては指定産地という制度がございますが、その指定産地の野菜の作付されている地区、これもできるだけ含めないようにし、やむを得ず含める場合にはその市街化区域外のところでまたかわるべき野菜の作付地を確保する、こういうような調整措置を講じながらいたしておるわけでございます。したがいまして、市街化区域内につきましては、実際に当分の間農業が行なわれる、あるいは野菜の作付も行なわれるわけでございますが、そういうものにつきましては、その農業経営が行なわれます限りにおきましては、たとえば技術の指導でありますとか、病害虫の防除でありますとか、そういう経営の維持に必要な施策は講じてまいる、そういう考え方でございますが、長期的には、野菜も含めまして、生鮮食料品の供給については漸次市街化区域から周辺のより見通しのある地域に産地を移動させていく、こういうような考え方で新産地を育成する、そういうような対策も講じておるようなわけでございます。
  202. 田代富士男

    田代富士男君 次に、第四条の二項にあります「当該都市計画が失効すべき日として定めるものとする。」と、このように第二項の中に失効について明示してありますけれども、本来、都市計画法体系においては、制度の失効を認めることはなじみにくいものではないかと考えますけれども、失効制度を導入された理由は一体何であるかという、その点について御説明を願いたいと思います。
  203. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 確かに、おっしゃるとおり、一般的には都市計画というものに効力期限があるということはないわけであります。それは都市計画というのは一定の長期の将来を予測した上で定められるものでありまして、もちろん予測の限界がありますから、現実とあまり離れないように、いわゆる五年ごとの見直し調査というものを基礎的に行ないまして、そのつど現実との乖離について調整を加えつついくということはありますけれども、それはそれとして、都市計画そのものに期限がついているというものは例がないわけであります。その前例のない制度を今回生産緑地地区のうちでも第二種というものにつきましてあえて採用いたしたわけでありますが、その理由は、まずこの第二種生産緑地地区というのは、土地区画整理事業とか、あるいはこれに類する開発行為、これがすでに行なわれた区域の中でのみ特に認められる生産緑地地区でございまして、そういう開発行為、区画整理等が行なわれた場所は当然近い将来宅地としての利用が予定され、だからこそそういった公共的投資も含めた開発行為が行なわれる、こういうことであろうかと思います。しかしながら、その第二種生産緑地という制度をあえて設けまして、市街化区域内のわざわざ区画整理までした土地であっても何とかこれを生産緑地地区の一種類に加えて、農民等の土地所有者意向にも即し、また、都市におけるオープンスペース、緑の保全という目的をも達成できるような仕組みを考えたい、こう思った次第であります。そうしますと、第一種のように期限の定めのない制度とすることは、区画整理を行なった上でのことでございますだけに、いわば自己矛盾になる。やはり一応十年という市街化区域の整備目標期限と合わせまして、これをもって期限とすると、それであれば市街化区域そのものが一応十年程度の余裕を見ている地域でもありますから、区画整理をしてまで農地でなお残すということのおかしさもないと、また、農民等の方々としても、一挙にすべての土地を宅地化する、農地として一切を失うということでは踏み切りきれないという場合に、この制度によっておおむね三〇%の範囲内という要件がございますが、いわば三分の一程度はなお農地で残しつつ区画整理に参画できると、逆に言えば七割程度の宅地を供給する気になれると、こういうことでありまして、緑地保全の意味からも宅地供給の促進の意味からも、いわば両様の効果を期待できるんではないか、そういう意味で非常に異例のことでございましたが、あえて一たんは十年で切れると、しかし、さらに希望等を考えまして、もう一回限りさらに十年は延ばせると、こういう新しい仕組みを考えた次第でございます。
  204. 田代富士男

    田代富士男君 また同じような質問になりますけれども、この第三条の第二項に設けられました「これらの権利に関する差押えの登記又はその農地等に関する買戻しの特約の登記の登記名義人の同意を得なければならない。」と、このように、同意についてちょっとお伺いしたいんですが、いまと同じように、都市計画決定に際しまして同意を前提としておりますけれども、これも都市計画決定の手法としてはなじみにくいんじゃないかと思うんですね。その点につきましてどういう理由でお考えになっていらっしゃるのか。そこらあたりもちょっと御説明を願いたいと思います。
  205. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 御指摘のとおり、都市計画で同意を前提とした制度は少のうございまして、例外に属するわけであります。生産緑地地区につきまして、その例外的な、あえて同意を要することとしました理由といたしましては、何と申しましても、この生産緑地地区というのを緑地として将来にわたり環境機能上評価できるというためには、農業を継続していただくということがどうしても必要なわけでありまして、ほおっておかれますと、空閑地としては残るかもしれませんが、いわゆる緑というものは失われ、荒蕪地化するわけでありますから、やっぱりそのようなことのないようにはどうしてもしなきゃならない。生産されつつあってこその緑地である、こういうことであります。そういうことになりますと、これは一にかかってその御本人の農業経営の意思の継続と、こういうことに期待するわけでありまして、このためには指定の当初から、私は将来にわたって農業をやりますという意味の意思を確かめておきませんと、一方的に指定したのでは、私はそんなことは考えていなかったというようなことで農業の継続というのが非常に期待しにくくなる。また、法律上も訓示規定ではありますが、土地所有者等は「当該生産緑地を農地等として管理しなければならない。」、そういう規定まで入れて、とにかく生産されつつの緑地ということをずっと継続していただこうという制度でありますから、そういう意味でも、営農の継続と、何何してはならないということじゃなくて、積極的な営農という行為を続けてもらいたいということを義務づけるというからには、どうしても当初に同意をとっておいて、そこからこの地域指定の制度が出発すると、こういうことにせざるを得ないと考えたわけでございます。
  206. 田代富士男

    田代富士男君 いま局長のお話で、同意の取りつけについては積極的営農を義務づけるためにこういうまず同意をとってから始めなくちゃならないということですが、同意については、どのような手続で確認をするのか。また第二項に記載されております各種の権利者に関して当該農地の関係者の全員の同意を必須の要件とするのかどうか、そこらあたり、もうちょっと詳しく説明していただけませんでしょうか。
  207. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 第三条の第二項に問題の同意の規定がございますが、この同意を要するものは「所有権、対抗要件を備えた地上権若しくは賃借権又は登記した永小作権、先取特権、質権若しくは抵当権を有する者及びこれらの権利に関する仮登記、これらの権利に関する差押えの登記又はその農地等に関する買戻しの特約の登記の登記名義人の同意を得なければならない。」、こういうふうに書いてあります。したがいまして、この権利者というものは、いずれも登記によりましてその権利の存否が明らかであるということでございますので、その全員に対して、法定要件でもありますから、明確な文書等による同意をとるということにいたしたいと思います。あまりにもたくさんの権利者を掲げ過ぎているではないかという気もいたしますが、通常、農地の場合には市街地の宅地と違いまして、それほどここに書いてあるほど実際には複雑な権利関係になっていることはないと思います。たいていは経営権者がただ一人いるとか、せいぜい永小作権、たまには借地権のようなものがあるという程度のことが多いんではないかと思いますが、一応対抗要件があるという権利をどれ一つ落とすというわけにもまいらないものですから、そういう意味で一応法律としては網羅的に書かしていただいたということでありまして、これらの明示された所有権者に何らかの意味で対抗できる権利を持っている人、これを明確な形で同意をとりつけておくと、こういうことでございます。
  208. 田代富士男

    田代富士男君 次に農林省にちょっとお尋ねいたしますけれども都市計画上生産緑地として指定された農地に対しまして農林省はどのように取り組むのか、いまさっきもちょっとばかり説明がありましたけれども農業政策上の基本的な考え方についてお聞かせ願いたいと思います。
  209. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 従来都市計画の市街化区域内につきましては、先ほど申し上げましたような経緯農業との調整を行なってまいりました関係から、その扱いとしては、あくまでも農業が経営として継続される限りはその維持改善に必要な施策を講じてまいる、こういう態度で臨んでまいったわけでございます。今回、生産緑地という制度ができますと、この制度によりまして、ある期間あるいは相当長期にわたりまして、この生産緑地として都市環境上の意義のあるものについてはその保全がなされる、こういうことに相なりますので、そういうことに応じまして必要な対策もまた考えてまいりたいと、こう考えております。内容的には、従来から市街化区域の中につきましても、技術指導でありますとか、家畜衛生あるいは病害虫防除というような面、あるいは食糧管理制度による主要食糧の買い入れ等の面、そういう面では一般農業地域と何ら変わりのない対策を講じてまいったわけでありますが、さらに、こういう生産緑地の性格上、たとえば農業用の施設についての融資の面、こういう面については若干の期間、耐用年数があるようなものにつきましても、生産緑地の性格との関連において対象とすることが相当なもの、こういうものについても十分検討いたしまして、この生産緑地としての性格に応じた農業施策、その展開については今後とも早急に検討してまいりたいと、こう考えております。
  210. 田代富士男

    田代富士男君 自治省にお尋ねいたしますけれども、これは先のことになるかと思いますが、生産緑地買い取りをいま直ちに行なうというわけにはいきませんけれども買い取りにつきまして財源措置をどのように現在考えていらっしゃるのか、そこらあたりについて。
  211. 小林悦雄

    説明員(小林悦雄君) 地方公共団体による土地の取得につきましては、一般的には公共用地先行取得債、こういう地方債で対処をいたしておるわけでありますが、昭和四十四年度から土地基金というものを設けまして、普通交付税の基準財政需要額へ必要額を算入すると、こういう方法をとっておりまして、土地の取得についての対策を講じておるところでございます。本法案によりますところの用地の買い取りにつきましても、このような諸制度を通じて行なってまいりたいと考えております。
  212. 田代富士男

    田代富士男君 この生産緑地制度の発足にあたりまして、一、二点これは大臣に私の要望としてお願いしたいと思いますが、市街化区域内の農地ということで、私のほうでこれも資料要求をしたときに出てまいりませんでしたから、それも合わせてのお願いでございますが、この辺についての的確なる統計資料が整えられてないと思うんです。これをお出しなさいといっても無理じゃないかと思いますから、今後そういう統計資料についての整備をはかってもらいたいということが第一でございます。  第二番目は、関連して都市内の緑地の指標を明確にしまして、現状の統計的な掌握から今後の施策の見通しを立てることが重要なことじゃないかと思うんですね。だからそういう意味から、これも実施してもらいたいと、これ第二点でございます。そういうことから土地の環境保全をはかろうとして、今回このような法案をお出しになっていらっしゃいますが、都市公園の充実だとか、いろいろな施策もあるでしょうし、一番最初に申しましたとおりに、昨年の七月に都市緑地保全法等もこの委員会において審議をいたしましたけれども、こういうような根本的に人間中心の環境保全ということに対しまして取り組んでいく場合に、まだまだいま一、二点の欠けた面もありますし、そういう面も合わして、今後、大臣としてこの法案とともに取り組んでいただきたいと、また、内容は違いますけれども、午前中から午後にわたりまして国土利用法案審議もありましたし、あわせて大臣の決意を聞かしていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  213. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 午前中から御審議いただいております土地利用計画法、この問題につきましては、もうほんとうに戦後の政治始まって初めてこの土地問題に国会がお取り組みになられて、そうして各党のもとにまさに結論が出されようとしておるわけでございます。これはまことに喜ぶべきことであると、特に建設大臣として感謝申し上げたい気持ちで一ぱいでございます。  と申しますのは、私も、建設大臣就任以来半年でございますけれども、ただいまも御指摘になりましたように、土地に関するいろいろなデータ、統計、こういうものが建設省に相当そろっておるものと、こう私も考えておったわけでございますが、土地取引の状況でありますとか、土地の現実の実態そのものもはっきりしておらないと、国土調査法という法律がありながら、その地籍や、その詳細なる面積自体も把握されておらない。ましてや土質や土壌や、そういうものをやはり簿册にちゃんとしておかなければならないと、こういわれながらも、そういうことも完備されておらない。したがって、一つの施策を行なおうとする、一つの法律をつくろうとする際の基礎データがまことにあいまいなものの上にせざるを得ないという、実は私悩みを半年間の間に経験をいたした次第でございます。閣議の際にも、土地問題についての一物四価というようなことは、まことにもって近代国家として恥しいんじゃないかというようなことも実は申し上げたのも、その気持ちの表明であったわけでございます。したがいまして、建設省といたしましては、ただいま御指摘のとおり、統計資料等につきましては、現実の実態を明らかにするという意味から、十分に予算等も大蔵に要請をいたしまして万全な体制をつくっていきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  214. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十六分散会      —————・—————