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1974-05-09 第72回国会 参議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月九日(木曜日)    午後二時十三分開会     —————————————    委員異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      寺下 岩蔵君     白井  勇君      前川  旦君     上田  哲君  四月二十六日     辞任         補欠選任      白井  勇君     寺下 岩蔵君      上田  哲君     前川  旦君  五月八日     辞任         補欠選任      古賀雷四郎君     斎藤 寿夫君      寺下 岩蔵君     永野 鎮雄君      沢田 政治君     林  虎雄君  五月九日     辞任         補欠選任      永野 鎮雄君     寺下 岩蔵君      斎藤 寿夫君     古賀雷四郎君      林  虎雄君     沢田 政治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野々山一三君     理 事                 大森 久司君                 古賀雷四郎君                 中村 禎二君                 前川  旦君     委 員                 寺下 岩蔵君                 山内 一郎君                 米田 正文君                 沢田 政治君                 松本 英一君                 高山 恒雄君    衆議院議員        修正案提出者   渡辺 栄一君    国務大臣        建 設 大 臣  亀岡 高夫君    政府委員        建設政務次官   内海 英男君        建設大臣官房長  高橋 弘篤君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省都市局参        事官       國塚 武平君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        環境庁水質保全        局企画課長    松田豊三郎君        厚生省薬務局審        議官       豊田 勤治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (下水道工事に伴う公害問題に関する件) ○生産緑地法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 野々山一三

    委員長野々山一三君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  四月二十五日、前川旦君が委員辞任され、その補欠として上田哲君が、四月二十六日、上田哲君が委員辞任され、その補欠として前川旦君がそれぞれ委員選任されました。  また、五月八日、古賀雷四郎君が委員辞任され、その補欠として斎藤寿夫君が、本日、斎藤寿夫君が委員辞任され、その補欠として古賀雷四郎君がそれぞれ委員選任されました。     —————————————
  3. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 次に、理事補欠選任についておはかりいたします。  ただいま御報告いたしましたとおり、前川君及び古賀君の委員異動に伴い、理事が二名欠員となっております。  理事選任につきましては、先例により、委員長、指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 御異議ないと認め、理事古賀雷四郎君及び前川旦君を指名いたします。     —————————————
  5. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 建設事業並びに建設計画に関する調査議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は御発言を願います。
  6. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 私は、いまの下水道事業環境整備上非常に重要な事業であるし、また、おくれた下水道事業でございますので、これを促進しなくちゃいかぬというのが当面の緊急課題であると思います。  これを進めるため、建設省関係各位は非常に御努力を願っておりますが、先ごろ、福岡県の新宮町で、下水道地盤凝固剤井戸水に入って、そしてあたら幻覚症状を生じたとか、あるいは麻痺症状を生じたとかいう事故があったことを新聞で報じておりましだ。いろいろその間の経緯を私も調べてみましたのですが、きょうは、その問題につきまして若干の御質問を申し上げ、今後の対策等についてひとつ明確な御答弁をぜひお願いしたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  そこで、質問に入る前に、新聞紙上等で見ますと、アクリルアミド系中毒事故と報じておりますが、その概要がどうなっているのか、またその後の経過がどうなっているのか、また今回の事故にかかわる工事はどういうぐあいにしたのか、また中毒患者のその後の経過はどうなっておるのか。この中毒患者は現在まだ入院しておるんだそうでございますが、一時症状が非常によろしいという話を聞いておるんですが、なぜ入院しているのか、その後の経過を聞きたいと思います。それから事故後の応急処置をどういうぐあいにいまやっているのか、そういった点につきましてひとつ御報告を願いたいと思います。
  7. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 福岡新宮町の下水道工事に関連しまして、薬液井戸への流出に伴う中毒事故発生いたしましたことはまことに申しわけなく、今後厳重に注意する所存であります。  御質問にお答え申し上げますと、この事故概要は、おおむね次のとおりでございます。  まず、去る三月二十二日に、福岡県の新宮町の松尾さんという御一家五名の方が原因不明の病気にかかられまして、うち三人が九大病院に入院されました。その症状は、御指摘のあったように、歩行の障害平衡障害意識障害幻覚などでございます。  現地の保健所が調査を行ないましたところ、患者のお宅の前の道路新宮町が公共下水道工事を行なっておりまして、その地盤を補強するために、アクリル系薬液を使ってグラウトを実施しておったけわであります。その際に、患者宅井戸水が汚染されたのではないか、こういうことで、付近一帯の家の井戸水水質検査を行ないました。その結果、患者のお宅の井戸水だけが特異な反応を見られましたので、さらにその検体を県の衛生公害センターに持ってまいりまして、精密に水質検査実施したところ、アクリルアミドが相当量検出されたわけであります。その結果から、下水道工事凝固剤として使われましたアクリルアミドを主剤とする薬液がお宅の井戸水に混入し、その井戸水を飲用に供された患者の御一家亜急性アクリルアミド中毒にかかられたということが推定されるに至りました。  事故後、町は、患者宅を中心としまして、半径五十メートル以内の井戸水使用を禁止いたしました。上水道は敷設されておりますから、上水道使用するように指導いたしますとともに、この汚染されました井戸水を処理するためにくみ上げをやっております。それから掘さくされました土砂も汚染された可能性がありますので、これも検査を県に依頼して、その結果を待って処分すると、こういうことにいたしております。  で、この工事は、実は事故発生前に、患者のお宅の前の部分はすでに薬液注入工事を終わっており、また推進工事も終わっておりまして、他の部分工事を続行しておったわけでありますが、四月二日に、作業員不快感を訴えた事態がありましたので、工事を一たん中止いたしまして、管内の空気の流れをよくするために、管の上部を開さくいたしました上で推進工事を行なうように工法を変更した上、四月十七日から工事を再開して二十七日に推進工事を終了いたしております。現在、マンホール二カ所と、開さくする工事百二十八メートルが残っておりまして、これを工事中という状況であります。  九大病院に入院されました三名の方は、その後順調に軽快して、先ほど申し上げましたような症状はほとんど消失しているというふうに承っておりますが、なお慎重を期して現在も入院中ということでございます。
  8. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 私、五人のうち三人入院されたと、三人の方の性別とか、年別というのがどうなっているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  9. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 御家族は、御主人奥さまとおばあさん、それから子供さんがお二人ということでございまして、子供さんは入院しておりませんが、御主人奥さま、これは四十歳でございます。それからおばあさまの三名が入院されております。ちょっと奥さま以外の年齢を私ども資料で持ち合わせておりませんので失礼いたします。
  10. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 わりあい年をとられた方が水を飲まれてやられたということですが、これは子供さんもおられたが、全然関係なかった、水を飲まれなかったのかどうか、その辺のぐあいだろうと思いますが、わかりました。  そこで、もう一つ、いまのお話の中で、たとえば五十メーター以内の井戸水は禁止したということは、調査した結果が五十メーターぐらいまで影響があったのかどうか、それをちょっと御報告願えますか。
  11. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 影響のあったのは、付近にもいろいろ井戸がありますが、工事施行個所にごく近くありました問題のお宅の井戸水だけでありまして、その他は悪影響はなかったわけでございます。
  12. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 土質によって相当違うだろうと思いますので、この新宮町の土質だけで一がいに論ずるわけにはいかぬだろうと思います。ポーラスな非常に透水性の強いところにおきましては、やはりかなりの影響が広がるんじゃないかという気もいたしますので、この辺は調査結果を十分御検討くださって、その影響範囲等につきましてひとつ具体的に調査をお願いしたいというふうに希望いたします。  そこで、先ほど病院に入院された方が完全消失に近いというお話ですが、もう消失しておれば、まだそんなに長く入院していなくちゃいかぬのかどうか。これが何か調査のために入院させられているのか、あるいはまだ幻覚症状等が若干残っているのかどうか、そういった点の調査はやってありますか。
  13. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 九大の発表によれば、これらの症状はほとんど消失しているということでありまして、ほとんど完全に消失しているにもかかわらず、わが国初めてのことでもあり、なお念を入れて事後の状況を見守っておられるために退院がおくれているのかどうかまではつまびらかにいたしておりませんが、私どもの推察では、やはり初めての事故例でもありますので、特に慎重に配慮されている結果ではないかと考えている次第であります。
  14. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 私は、九大に入院されておるということであれば、そういう病状の経過を十分ひとつ検討していただきまして、この薬液がどういうぐあいなものであるかということをひとつ検討していただいて、今後の使用の問題と関連してぜひ御検討願いたいと思っております。  そこで、今回の事故原因がどういうことなのか、アクリルアミド系中毒ということでしょうが、はたして工法的に問題があったのか、あるいは薬液自体の問題なのか、あるいは設計上のミスなのか、あるいは施工上の問題もあろうと思います。土木工事は一般的に非常に施工現場によっていろいろと変わってまいりますので、そういう可能性、たとえばアクリルアミドによる地盤凝固をやろうとしましても、完全にできるのかどうかという問題はなかなか確認できないということもありますし、そういった施工上の完全性が期せられないという問題も残っておろうかと思いますが、そういった点についてひとつ、また請負業者工事責任であるのかどうかという問題も当然この辺に考えられるわけでございますので、その点について御報告を願いたいと思います。
  15. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 事故原因を端的に申し上げれば、アクリルアミドというものの毒性に関する知識、これが発注者である町、請負業者双方に必ずしも十分なかった。しかも、この問題の場所が、注入した場所がこの井戸から三メートル足らずという非常に近い場所にあったわけでございまして、そういう近い場所薬液注入を行なった場合に、井戸薬液が固まる前に流入してしまうという可能性があるということを十分予想しなかったということに尽きると考えます。この問題の場所は、わずか二メートル程度の狭い道路の中に下水管を埋設する工事でありまして、しかも、その道路わきにまた非常に接近してこの井戸があったというわけであります。工事自体は、別の工法ということになれば、オープンカットいたしまして、いわゆる開さくする工法ということで行なうわけでありますが、このような狭い道路場所におきましては、開さくするということ自体が不可能であります。どうしても推進工法ということで土質を安定させつつ直接地下を掘り進めていくということが最も適切な工法だと思います。この場合に、薬液注入という工事をとられたことは、いまのような毒性に関する知識ということを前提に置きます限り、やむを得ない面もあったものと考えております。  それから、薬液にもいろいろな種類がありますが、この場所は非常にこまかい砂の土質でありまして、そこで浸透性のよい高分子系薬液というものを選んだと。しかも、その中でも凝固時間が砂質の場合にいろいろ調整を要するわけでありますので、その調整容易なアクリル系薬液を採用したということも、それだけを切り離して見れば、あながち不当とは言えないわけであります。  しかしながら、井戸至近距離薬液注入を行なったと、その結果薬液井戸へ流れるということになったわけでありまして、いまにして思えば、そのようなことは、いかにすみやかに凝固する性質を持った薬液であるにしろ、予想してしかるべきではなかったかということでありまして、そういった対策を十分講ずべきであったと考えます。  この施工そのものにつきましても、施工上のミスである可能性がないとも言い切れないかもわかりませんが、しかしながら、かりに施工上万全を果たしたといたしましても、この具体的な場合を考えれば、やはり薬液井戸に流入したかもしれないと、こう考えられますので、そういう意味では、発注者である町が前に十分知識を持っておりますれば、設計に際し、さらに綿密な事前井戸水に対する影響調査実施させ、あるいはみずから実施して、十分配慮の上注意深く施工さしたであろうと思われるわけであります。二度とこのようなことのないように今後の薬液注入工法の際及び採用する場合の事前調査等につきましては、慎重の上にも慎重に実施しなければならないと、このように反省しておるところでございます。
  16. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 おそらく、私は、薬液凝固時間の問題が非常に問題であったんじゃなかろうかと思うわけです。そこで、その凝固時間は、ポリマーにすればある程度調整できるようなアクリルアミドだと聞いておりますので、たとえば井戸が二メーター、三メーター近くにあるとすれば、それは井戸水を全然使わせないか、あるいは水道用水に切りかえてしまうという工事を当然やってしかるべきだし、それとも凝固時間の調整が十分できるならば、その浸透速度とかというようなものを十分考えて、やっぱり安全度を加えながら設計に見込むべきではなかったかという気がするんですが、そういう点はどうですか。
  17. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 大筋といたしましては、仰せのとおりだと思います。それほどと思っていない事態でのことでございましたので、凝固時間を短くすればこの薬液のしみ通る範囲も非常に限られてしまいまして、何カ所も何カ所も注入しなければできないというようなこともあり、ある程度浸透して、それなりの範囲のものを固めるというつもりで凝固時間の調整を行なったようでありまして、もちろん、今後におきましては、このような至近距離でやる場合には、その凝固時間の短縮等のことも当然考えなきゃなりませんし、また、場所によりましては、一切このような薬液は使えない場所も多いんではないかと考えます。
  18. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 たいへん不幸な事故でございまして、こういうことの絶無を期していかなきゃいかぬわけですが、今日まで薬液注入工事建設工事における使用実績はどうなっているのか、あるいは工事件数とか使用量とか使用開始時期はどうなっているのか。また、今回のような付近の住民の方に健康被害を与えるというような事故が過去にあったのかどうか、そういった点についてひとつ御報告をお願いしたいと思います。
  19. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 建設工事関係では、この下水道工事が非常に多く薬液注入工法を採用いたしておりますが、そのほかにも、建設省直轄工事の例で申し上げますと、主として共同溝工事とか、あるいは地方部トンネル工事などに使われておりまして、昭和四十七年度二十一件、約五千二百立方メートルを使用しております。そのうち有機高分子系薬液は約千八百立方メートルであります。なお下水道工事、これはすべて地方公共団体施行でありますが、これにつきましては、昭和四十七年度に約二十七万立方メートル、うち有機高分子系薬液が半分の十三万四千立方メートルということになっております。  これらの使用開始の時期は、昭和三十年ごろからいろいろな系統のものが使われ始めたわけでありますが、一般的に多く使用され始めたのはここ四、五年のことでございまして、いままでこのような事故があったという報告は一切ございません。
  20. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 薬液注入工事は必ずしも下水道ばかりじゃないと思うんですが、建設工事のどういったところにおもに使われているか、それからそういった使用された薬液毒性というものがどういうぐあいになっているのか。いままで過去の実例もありましょうから、ひとつお伺いしたいと思います。
  21. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 建設工事に使われる場合としては、何と申しましても、土質の脆弱なところにおきましてこれを効果的に凝固して固めた上でいろいろな工事を行なうということでありますので、大部分地下にものを埋めるとか、地下を掘進していくとか、こういった工事でございます。したがいまして、建設省所管で申せば下水道工事が非常に多いわけですが、そのほかにも共同溝工事とかトンネル工事というものがあげられます。また、地下に電線あるいは上水道等を掘削する工事あるいは地下鉄を掘る工事、こういったものにもかなり広く用いられているわけであります。  なお、毒性について申し上げますと、この新宮町で実際に使われましたものは、アクリルアミド系の中でも日東SSという商品名のものでございまして、そのうちアクリルアミド健康被害をもたらす原因となったということで、人体に対する毒性といたしましては、皮膚に対する浸透性を有し、蓄積的な毒性がある。摂取、吸収すると中枢神経を侵して、その結果筋肉を無力化するとか運動障害等症状があらわれると、また、皮膚に直接接触すると炎症を起こすというような毒性があります。
  22. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 私は、建設工事で、たとえば都会の市内を工事するような場合にはこういった工法が今後も当然必要になってくると思うわけですね。どうしても矢板を打ち込んで地盤をやるということは、かなり騒音問題とか、いろんな問題があって、薬液注入による方法というのが一番騒音的にも楽だし、いろんな点で楽な工法ができるというような気がするわけでして、今後こういった工法が採用されざるを得ないという状況もあるわけですが、そういった意味で、私は、今回の事故は非常に一つ問題点として取り上げなくちゃいかぬ大きな問題になるだろうと思います。  それで、いまお話がありましたように、各薬液をいろいろと調べてみますと、ほとんどが毒性を持っている。三十六年ごろ使われた水ガラス性のものでさえもやはり毒性を持っている。また、アクリルアミドも単体の場合には毒性を持っているというような、毒性のないというのはほとんどない。そうすると、こういった問題に対して、今後具体的にそういった健康被害が起こらないように対策を十分考えてやらなきゃいけない。私らも工事現場を長らくやってまいりましたけど、一件起こしたら、その工事はどんなにりっぱにできても、それは決していい仕事とは言えないと強く先輩諸氏から言われてまいりました。だから、けが人も起こさない、何も起こさないというようなことをもう注意してまいったんですが、特によその関係のない人に被害を及ぼすということになると、やはりぼくは非常に問題だと思うわけですね。だから、こういった点につきまして、今回の事故にかんがみまして、建設省ではひとつどういうぐあいに——たとえば応急対策の問題と緊急対策の問題があるだろうと思いますが、緊急対策とさらに今後の諸対策をどういうぐあいにしようとされているのか、ひとつお伺いしたいと思います。
  23. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) おっしゃるとおり、いかに事業で成果をあげましても、このような事故が、しかも部外者に生じたということが二度と繰り返されてはなりませんので、非常に工事実施上便利なものではありますが、よほど注意いたしまして、この種事故のないことを確認しなければこのような工法はとり得ないと、かたく肝に命じているところであります。まず下水道部長からも都道府県土木部長あて通達を出しまして、薬液注入による工法の採用及び実施につきましての注意を促した上、さらに、下水道工事ばかりでもありませんので、この五月二日に建設事務次官から地方建設局長とか都道府県知事、公団の長等にあてまして、さらに薬液注入工法による建設工事施行についての通達をいたしました。現在薬液注入工法をとっておるところは、とりあえず一たんこれを中止すると。健康被害を及ぼすおそれのあるものにつきまして一たん中止させました上、入念な調査を行なって再点検の上、その発生のおそれがないということを確認して再開するようにというふうにいたしておりまして、今後新規にこの種工法をとる場合も同様とせよということにいたしております。  これが応急的対策といたしましては、薬液注入工法調査のしかた、設計あり方施工あり方、こういったものの基準をまずつくる必要があるだろうということで、省内に、技監を長といたしまして、薬液注入工法調査委員会というものを設置いたしまして、関係の各省の担当者にも入っていただいておりますが、一応部内的なそういう委員会によりまして、早急に薬液注入工法に関する各種の基準というものをきめて当面対処したいと思います。  なお、基本的には、さらに広く学識経験者等も加えました委員会等を設置いたしまして、根本的にこの種問題を広く取り上げ、今後の建設工事注意のしようによっては有用なものがあるわけでありますので、事故絶無を期しつつ工事にも使えるような工法を深く検討してまいりたいと、このように思います。
  24. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 私は、まあ、お話は文章どおり読めば、お話どおり聞けば非常にうまくいっているような感じを受けるのですが、現場工事をいろいろやってみますと、そう簡単にうまくいかないという点が問題点だろうという気がするんです。この薬液モノマーポリマーにすることによって毒性がないとか、いろんな問題も言われておりますが、そういうのがうまくポリマーになってくれない、それが土木工事建設工事現場であるという認識があったのかどうかという点も一つ問題だろうと。土木工事がうまく計算どおり、頭で考えたとおりいけばこういうことは起こらないわけです。たとえばポリマーにするための配合だってうまくいっているでしょうし、それからまた調合させる方法だって、従来の実績にかんがみて、かなり研究されているだろう。そうすると、やはり現場そのもののよってくるところの原因がやはりあるんじゃないかという気もいたしますし、やはりポリマーで流れれば被害がないと言われておることに私は疑問はあまりはさまないつもりにしているのですが、ポリマーになりきらずに、モノマーで流れて井戸水に入り込んだと、こういう毒性があるということを信ずるなら、そういうことしか考えられない。そうすると、やっぱしいろいろその辺の注意が足りなかったんじゃないかという気がいたすわけです。いま通達を出していろいろとやっておられるようでございますが、私は、そういう現場の特性という問題をよほど考慮に入れたものでないといかないだろうと思うわけですが、その辺はどういうぐあいに考えておられますか。
  25. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) おっしゃるとおり、建設工事は非常に標準的に、あるいは机上で考えているとおりに実施できないと、現地の特殊事情というものがいろいろからみ合いまして思わぬ結果をもたらすということも間々あるわけでありまして、そういった結果も今回のことにかなり影響しているんではないかと思います。しかし、従来、この毒性についてメーカーサイドだけでやっておりましたことをいわばそのままに受け入れて工事に使っておったというところに問題があるわけでございますので、まずは標準的な一般論としての対処のしかたというものを見きわめまして、あとは本来このような工法を採用しなければその心配はもちろんないわけですけれども場所によりまして、この工法というもの以外にはなかなか代替工法も見つかり得ないという場合もあるわけでありますから、要は健康被害というものを生ずるようなおそれ、それがないような具体的な地下水あるいは井戸水等の現地の状況事前調査及び施工中の絶えざる注意、そういうものによりまして防げるはずのものでありますから、慎重の上にも慎重に配慮はいたしつつも、このような工法を有効に使えるような、そういった基準及び現場への対応のしかたというものを検討したいと考えているところでございます。
  26. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 たとえばそういった薬液地下水やら井戸水に浸透して健康被害が起こると、それで一時中止して調査した結果に基づいて、おそれがないと認めたらやると、再開するというようなお話でございますが、私、いろいろ心配しているのは、もっとそのほかに、たとえば植物に対する被害はないのか、土壌の構成が変わっちゃって、今後のそれらの問題に影響があるんじゃないかというようないろんな点を心配するんですが、そういう点はどうですか。
  27. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) この薬液の性質から見れば、健康被害ばかりじゃなくて、そういったその他の障害、たとえば植物等の被害というものも予想されるわけであります。何といっても、人の健康に影響するというところが一番問題でありますから、取り急ぎそういったおそれだけは少なくともないようにしたいということで通達もし、検討も始めたわけでありますが、検討にあたりましては、その他の被害についてもできるだけそういったことの生じないように、また、生ずるとすればどういった予防措置をとりつつ行なうのが適切かというようなことを考えたいと思います。その辺のいろいろ複雑、広範な点にわたりまして、当面省内の委員会、さらには将来問題として部外学識経験者も含めました基礎的な委員会に持ち込んで、できるだけすみやかに少なくとも当面の結論を得たい、こう考えているわけであります。
  28. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 今度の被害を見ておりますと、やはりアクリルアミド井戸水に入ったということで、井戸水を飲んだという、井戸水という間接的な媒体材をもとにしてやっているわけですね。もしもアクリルアミド土質的に影響があるとするならば、それならば、何というか、食物がそれによってどういうぐあいな影響を受けるのか、アクリルアミドは食物に吸収するものか吸収しないものか、吸収するとすれば、食物を直接摂取する人体に食物という媒体を介して摂取すれば当然そういった問題が今後問題になるだろうという気がするわけです。それでたとえばポリマーになった場合に、非常に固くした場合に、いつまでもそういうものが分解せずに地盤凝固したまま残るものなのか、あるいはそれがどういうぐあいになっていくのか、その辺の状況はどんなぐあいであるか、ひとつ御報告を願いたいと思っております。
  29. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) このアクリルアミドは、凝固すれば一切毒性はないということで現在までは言われてきているわけであります。また、事実、凝固してから後になお毒性があるとか、あるいは一たん固まってもまた溶けて流出する可能性があるとかいう結果は一切聞いておりません。しかし、この際でもありますので、そういう点につきましてもさらに突っ込んで検討を依頼し、問題が凝固するまでの間だけのことであるということを確かめられますれば、その間の対策はいろいろ講じようもあるわけだと考えておる次第でございます。
  30. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 私は、そういう問題をひとつ十分検討しておいていただきたいと思うのです。現実に地盤凝固剤を使った下水道工事でほんとうに地盤をほじくり返してその凝固した状態を調べられたかどうか。そういう実績がありますか、どうですか。
  31. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 現在までは、そのような事後の調査をいたしておりません。
  32. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 ぜひそういった毒性を持っているものについて経年的な変化ですか——経年的というか、経時的な変化と言ったほうがいいでしょう。時間的な変化の状況をぜひ調べてみまして、毒性がないということをひとつ確認しながらやはり仕事をしてもらいたいと思います。途中の分解とか、いろんな問題がどういう形で起こるのかよくわかりませんし、また、地下水等の影響がどういうぐあいになるのか、そういった問題まで検討してあるのかどうかよくわかりませんので、その辺の問題も、委員会等をおつくりになるならば、ぜひ検討していただいて、ほんというに毒性がないということを確認してひとつお願いしたいと思うわけでございます。  そこで、こういう事故の補償というのは今後どうなるんでしょうか、その補償についてお考えがあればお示しを願いたいと思います。
  33. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 薬液原因で、それと明確な因果関係をもって事故が起こったということであれば、これは当然適正な補償が支払われなければならないと考えます。
  34. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 そこで、問題は、私は、こういうところにあるんじゃないかと思うのですよ。たとえば発注者がその薬液を使えという指示をするのか指示をしないのか、そういった問題も非常にひっかかってくると。それで発注者の責任と受注者の責任というような二つがミックスしてまいる場合もかなりあるわけですね。その辺のこの薬液使用についての発注者側の指示というのはどういうぐあいに現在行なわれているのか、それをお伺いしたいと思います。
  35. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 新宮町の場合もそうでございましたが、一般にこの種の工事の場合には、設計図書、これは工事契約の付属書類でありますが、その設計図書では、高分子系の凝集剤を使用するという内容で作成されておりまして、いわば発注者の発注内容になっているわけであります。ただ、薬品名までは指定しておりませんから、その中でどの薬品を使うかという幅がありまして、これは具体的には今度は施工業者が発注者に対して提出して承認を受けるところの施工計画書というもので初めて明らかになるという仕組みになっております。それにしましても、その施工計画書による発注者の承認という行為がかかっておるわけでありまして、この段階でも発注者のタッチがあるわけであります。一般的に言えば、この薬液注入ということも、請け負いの目的物そのものではなくて、その請け負いの目的たる工事実施するための仮設工という範疇に属するものでありますので、監督の内容もおのずから本体工事とは違って、施工業者にまかされている部面が多いわけでありますが、今後はこの施工計画の承認というような段階をとらえまして十分チェックするということに持っていきたい。もちろん一般的に業者一般に対しましても、あるいは発注者一般に対しましても、この種事件を契機として、十分な予備知識とその重大性の認識を持って施工をするという態度があるべきは当然でありまして、具体的なチェックのしかたとしては、先ほど申し上げましたようなことがふさわしいんではないかと思います。
  36. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 時間もあまりないようですが、施工計画の承認というのは、いままではあまりやっておられぬようですね。今後そういった毒性のものを使う場合には、施工計画の承認というのが当然必要であろうかと思うんですよ。この点については、いま局長から、施工計画の承認ということでひとつやりたいというお話ですから、了承したいと思いますが、この毒液にかかわらず、住民に被害を与えるようないろんな工事が、仮設工事であるにしましても、行なわれる場合には、私は、当然その承認制度というものが今後必要になってくるというふうに考えますので、その点につきましても、建設工事全般としての承認すべき問題と承認しなくても済む問題と種類分けして、ひとつ今後御検討をぜひお願いしたい。委員会等におきましても十分ひとつ審議を尽くしていただきたいと思っているわけでございます。  時間もないので、少し飛ばしまして御質問したいと思いますが、アクリルアミドというようなこういう薬液注入工事について、具体的に使用基準をおつくりになる、あるいは施工基準をおつくりになるということでございますので、ひとつ早急に委員会等でそういった問題を論議していただきまして、早くそれらに対する指針をぜひお願いしたいと思います。これは要望しておきます。  それから、私は、特にいままでの状態を見ますと、施工計画の承認を取ってないから建設業者が自由に使っておったという状態であったろうと思うのです。それで、建設業者が使いたい品物を使ってきた、毒性が非常にあっても、これは簡便だからということで、建設業者は経費の節減のために使うということもございますので、この辺について、業界に対する指導をひとつ十分やっていただきまして、毒性の有無と関連して、ぜひひとつお願いしたいと思っております。これは答弁は要りません。  そこで、二、三点についていろいろ御質問申し上げたいのですが、通産省がきょうはおいでにならぬそうですから、どうも具体的にお聞きするわけにはいきませんが、建設省からひとつあとで通産省に伝えていただきたい。環境庁からおいでになっていますか。——それもお聞きになっていただきまして、ひとつお願いしたいと思いますが、通産省で、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律というのがありますね。この中で、特定物質に指定すればいろいろとこれの使用について適正な規制ができるという法律があるわけですが、私は、当然こういう健康被害を及ぼすような薬液を使う場合には、こういう法律の特定物質として指定していくという考え方もあるんじゃないかという気がいたします。そういったことを今後どういうぐあいにお考えになっているか。通産省の係官はおられないので、建設省あるいは環境庁にお聞きになって、ひとつ御検討の課題にしていただきたいと要望しておきます。  それから、厚生省からおいでになっていますか。——厚生省でも、毒物及び劇物取締法というのがございますが、これもそういう取締法の規制対象にして使用規制をするというようなことも、この法律を適用していくのか、できるのかどうかという問題と、それを法律改正することによってもっと具体的にやっていったほうがいいのか、やらなければいかぬのか。そういう問題につきまして、少なくともこの薬液毒性がある限りにおいては十分取り締まっていけるようにしなければいかぬと思うのですが、その辺の考え方をお聞きしたいと思っています。
  37. 豊田勤治

    説明員(豊田勤治君) 先生御指摘のアクリルアミド毒性につきましては、われわれで検討いたしました結果、LD50が二百ミリグラムパーキロ、これはラットの雌でございまして、まさしく指定基準がございまして、その指定基準の毒液に該当するものでございます。たいへんそのアクリルアミドが単体として使われだしましたのが最近でございまして、いままでその毒性等につきまして十分把握しておらなかったことにつきましては申しわけない次第でございますが、今後このようなことがないように努力してまいりたいと思いますが、今月中にその劇物に指定いたしたいと考えております。すでに作業を始めております。  先生御指摘の使用方法等についての問題でございますけれども、毒物劇物取締法に基づきます使用制限の問題は、昔使われておりました農薬のパラチオンとか、現在特定毒物という規定がございまして、アンチノック剤として使用されております四エチル鉛等が特定毒物に指定されておりますが、この特定毒物に指定したものにつきましては、その使用等の一定の制限が課せられるわけでございますが、このようなアクリルアミドのようなものにつきましては、その使用態様が千差万別でございまして、この点につきましては、これらの使用等の問題で先ほどから建設省の局長さんから御説明がありましたように、われわれといたしましても、関係各省と連絡をとりながら、事故のないように取り計らっていきたいと思っております。
  38. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 毒物に指定してもらうのは非常にけっこうですが、やはりこの毒物を扱う人ですね、たとえば現場において毒物をほんとうに取り扱う人、地盤安定ができれば下水道工事はできたも同じことですから、一番大事なところをやるわけですね。普通の工事で言えば、用地買収が終わったらもう仕事ができたと同じ。それと同じような、軟弱地盤に対する薬液というのは、そういう効果を非常に持っていると思うんですよ。それだけに、たとえばそういう毒物を扱う資格者を現場に入れとくというような考え方はあってしかるべきじゃないかと思うんですが、その点についてどうですか。
  39. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 御指摘の薬液注入工事に携わる技術者の資格等につきましても、何らかの対策が必要ではないかという気もいたします。各種立法令等も参照しながら、全体の検討のうちでこれに対する措置というものを考えていきたいと思います。
  40. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 環境庁からもおいでになっておりますが、こういった問題について、水質汚濁とか、いろんな面からどういうふうにこれが対策を講じていくべきか、検討されたことがあればひとつ内容を御披露願いたいし、また、委員会等におきましても十分ひとつ今後御検討願いたいと思いますが、それらに対する考え方をひとつお伺いしておきます。
  41. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) 今回の事故は、いわば工事施工に伴う地下水の汚染というふうなことでございますけれども、そういうふうな立場から申しますと、所管省である建設省で十分な安全対策を考えられるというのが非常に妥当であると考えるわけでございまして、環境庁としましても、環境保全全般という立場から、今回の事故に関連いたしまして建設省などにも御要望申し上げてきたわけであります。  ただ、今回のアクルアミドの環境汚染の問題につきましては、正直のところ十分の知見がございませんで、ただ、ポリマトといいますか、ポリマーの形でたとえば排水処理などにだいぶ使われているようでございますが、こういう場合には、たとえば食品の添加剤、そういうものにも使われているようでございまして、安全性がかなり高いというふうに言われておりますけれども、今回の事故のような問題につきましては、なお今後ともよく検討してまいりまして、おっしゃるとおり、建設省等に設けられます委員会にも積極的に参加いたしまして万全を期してまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  42. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 いままでいろいろ新宮事故の問題について質疑を取りかわしてまいりましたけれども、最後に、建設大臣、この問題に対する御所見と今後の対策について承りたいと思いますが、よろしく。
  43. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 今回の薬液注入工事による事故はまことに遺憾でありまして、ほんとうに心を痛めておるところでございます。人の健康にかかわる重要な問題であると考えまして、私も、新聞で見ると直ちに事務当局に対しまして、現在実施中の薬液注入建設工事については中止をさしたらどうかということで、事務的にいろいろ検討していただいた結果、やはりこれは一時中止したほうが、事人命に関する問題でもあるからということで、五月の二日に事務次官の通達を出して一時中止ということにいたした次第でございます。  先ほど来の御審議をいただきましたように、また都市局長から御説明申し上げましたように、建設省としては、事故を未然に防止をする、防止できるという立場で事を処してまいってきておるわけでございます。きょうの委員会におきましても、古賀委員から御指摘を受けたような線にさらに注意をいたしまして、二度とこのような事故の起きないように万全を期してまいりたいと考えておる次第でございます。     —————————————
  44. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 次に、生産緑地法案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。亀岡建設大臣。
  45. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) ただいま議題となりました生産緑地法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  都市化の進展に伴う緑地の急速な減少により、都市地域における生活環境は悪化する傾向にあります。このような事態に対処するため、都市公園等の公共空地の整備を促進するとともに、広く民有緑地についても積極的に活用することが、とりわけ市街化区域内においては必要不可欠となっております。他方、市街化区域を今後計画的かつ段階的に整備していくためには、将来必要となる公共施設等の用に供する土地をあらかじめ確保しておくことも重要な課題となっております。  このような状況において、良好な都市環境の形成をはかるための都市計画上の施策として、市街化区域内において適正に管理されている農地等のうち、良好な生活環境の確保に相当の効用を持ち、かつ、公共施設等の予定地として適しているものを対象とする生産緑地地区の制度を創設する必要があります。  以上がこの法律案を提出する理由でありますが、次にこの法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、市街化区域内の農地等で、公害または災害の防止等良好な生活環境の確保に相当の効用があり、かつ、公共施設等の敷地の用に供する土地として適しているものであって、おおむね一ヘクタール以上の規模を有する等一定の要件に該当するものについて、市町村が土地所有者等関係権利者の全員の同意を得て、都市計画に第一種生産緑地地区を定めることができることといたしております。  第二に、市街化区域内における土地区画整理事業等が完了した土地の区域内にある農地等で、おおむね〇・三ヘクタール以上の規模を有する等一定の要件に該当するものについては、当該土地区画整理事業等の施行区域の面積のおおむね三〇%をこえない範囲内において、第一種生産緑地地区と同様の手続をもって、都市計画に第二種生産緑地地区を定めることができることといたしております。なお、第二種生産緑地地区に関する都市計画は、原則として十年で失効することといたしております。  第三に、生産緑地地区内においては、建築物の建築、土地の形質の変更等の行為は一原則として市町村長の許可を受けなければならず、市町村長は、農林漁業を営むために必要となる施設の設置等にかかる行為以外は許可しないこととし、これに違反した者に対しては、原状回復等を命ずることができることといたしております。  第四に、生産緑地の所有者は、生産緑地地区の指定後一定期間経過した場合等にあっては、市町村長に対し、当該生産緑地を買い取るべき旨を申し出ることができることとし、申し出があった場合は、市長村長等は、特別の事情がない限り、適正価額で買い取るものとし、買い取らないときは、当該生産緑地について行為の制限等の規定は、適用しないことといたしております。  第五に、生産緑地地区内の農地については、固定資産税等のいわゆる宅地並み課税を適用除外することといたしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  46. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 次に、本案につきましては衆議院において修正が加えられておりますので、この際、衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員渡辺栄一君から説明を聴取いたします。渡辺君。
  47. 渡辺栄一

    衆議院議員(渡辺栄一君) ただいま議題となりました生産緑地法案に対する修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  本修正は、生産緑地制度と農林漁業との調整をより円滑にするため、生産緑地地区指定の規模要件を、第一種生産緑地地区のうち永年性植物が栽培されている農地等及び第二種生産緑地地区農地等にあっては「おおむね〇・三ヘクタール以上」とあるのを「おおむね〇・二ヘクタール以上」に改めるほか、生産緑地の買い取り価格を都市計画法、都市緑地保全法等の規定と同様「時価」に改めることといたしました。  以上が修正の趣旨でありますが、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  48. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十一分散会      —————・—————