○加藤進君 私は、
日本共産党を代表して、
昭和四十六
年度一般会計
決算、特別会計
決算外二件について、反対の態度を表明するものであります。
反対の第一の理由は、
政府が経済協力の名のもとに、アメリカのアジア侵略政策に全面的に協力し、日米軍事同盟の従属的な一翼をにないながら、軍国主義復活と新植民地主義政策を推進していることであります。
四十六
年度に実施されたベトナム・チョーライ総合病院建設、ラオスのワツダイ空港拡張援助など無償援助は増大し、サイゴン政権などに対する援助額は四十五
年度の二倍の十四億円にのぼるのであります。
経済協力費の名による出資、一般会計から海外経済協力基金への三百三十億円、産業投資特別会計から
日本輸出入銀行へ六百五十億円、石油開発公団へ百七十億円など、郵便貯金、
国民年金など
国民の零細な積み立て金などが、財政投融資資金として、大資本の高度成長にとって必要な原料
資源の開発、進出のために支出されたものであります。
その上、軍事費は絶対額、増加率とも自衛隊創設以来最高の膨張を示し、日米共同声明路線はさらに推進され、自衛隊は侵略的に一そう強化されたのであります。
反対の第二の理由は、四十六
年度予算の執行か大資本の高度成長を進めた一方、
国民生活の破壊を推し進めた点であります。
防衛費
関係の
予算の執行率がほぼ一〇〇%であるのに、住宅
関係のそれが約八〇%にとどまっていることが示しているように
予算の執行も反
国民的なものとなっています。
公共事業費については、大資本のためには、港湾整備など海路輸送体制の確立、新東京国際空港、関西国際空港の建設など新全総の推進のため巨額な財政資金が支出されている一方、たとえば人口急増都市では急激な宅地開発に伴って、小中学校、高校及び幼稚園、保育園、道路、下水道などの関連公共施設の整備が大きく立ちおくれています。
昭和四十六
年度厚生保険特別会計健保勘定のいわゆる赤字は百八十六億円であり。累積赤字は千九百八十億円に達して
おりますが、
政府はこの赤字の大きな原因である製薬大資本の独占薬価にはほとんど手をつけず、健康保険
制度を改正し、保健料の値上げをし、
国民への負担を強めたのであります。
物価対策は総需要の抑制、賃金、物価の悪循環などと
国民に物価高の責任を転化し、郵便や電報、電話、健康保険料など各種の公共料金を大幅に引き上げ、さらに配給米の価格の自由化を強行し、物価高騰など今日の
国民生活の深刻な危機に与えた影響はまさに重大であります。
また、
昭和四十六
年度という年が、円の変動相場制移行と円切り上げという
日本経済にとってきわめて重大な年であったということであります。円切り上げを招いた要因が低賃金、低福祉、大企業本位の輸出第一主義にあったことはいまや明らかであります。
反対の第三の理由は、
予算の執行が財政民主主義に反しているという点であります。
その資金が四兆円をこえる財政投融資計画は
国会の
審議にもかけられず実施され、その資金運用について、企業機密などの口実で、詳細は明らかにされていないのであります。
予備費は年々増大する一方、その執行は非常に放漫であり、警察庁の報償費や装備費などにまで使用されています。これは、
憲法八十七条の予備費の規定を乱用するものであります。
以上がわが党として、この
決算に反対するおもな理由であります。
次に、国有財産の増減及び現在額総
計算書についてでありますが、約一兆平米に及ぶ在日米軍基地の土地と建物、五百八十七億円の防衛庁の艦船及び航空機の新造、海外援助
関係や大企業への融資などの
政府出資などが額の上でも大きい部分を占めているのでこれに反対するものであります。
また、国有財産然償貸付
計算書については、わが党は、この条項の積極的な活用に賛成するものですが、その実施において不明瞭な点がありますので棄権の態度を表明いたします。
最後に、警告決議についてでありますが、基本的には賛成いたします。しかし、(1)の「綱紀粛正」については、職員の組合活動等の弾圧に悪用されることのないよう、また(3)の「経済・技術協力」は平等、互恵、平和五原則に立って推進すべきである点を指摘して、態度表明を終わります。
以上。