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1974-03-22 第72回国会 参議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十二日(金曜日)    午後零時四分開会     ―――――――――――――   委員異動  三月十二日     辞任         補欠選任      加藤  進君     渡辺  武君  三月十三日     辞任         補欠選任      中村 登美君     小山邦太郎君      中尾 辰義君     塩出 啓典君  三月十四日     辞任         補欠選任      小山邦太郎君     中村 登美君  三月十五日     辞任         補欠選任      塩出 啓典君     中尾 辰義君  三月十八日     辞任         補欠選任      萩原幽香子君     高山 恒雄君      春日 正一君     加藤  進君  三月二十日     辞任         補欠選任      寺下 岩蔵君     木村 睦男君      中村 登美君     梶木 又三君      渡辺  武君     春日 正一君  三月二十二日     辞任         補欠選任      梶木 又三君     中村 登美君      木村 睦男君     寺下 岩蔵君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         田中寿美子君     理 事                 温水 三郎君                 松岡 克由君                 小谷  守君                 中尾 辰義君                 加藤  進君     委 員                 石本  茂君                 河本嘉久蔵君                 世耕 政隆君                 寺下 岩蔵君                 中村 登美君                 佐々木静子君                 須原 昭二君                 鈴木  力君                 野末 和彦君    国務大臣        厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 二階堂 進君    政府委員        内閣法制局長官  吉國 一郎君        人  事  官  島田  巽君        総理府恩給局長        事務代理     菅野 弘夫君        公正取引委員会        事務局取引部長  後藤 英輔君        外務政務次官   山田 久就君        厚生政務次官   石本  茂君        厚生大臣官房審        議官       三浦 英夫君        厚生省環境衛生        局長       石丸 隆治君        厚生省医務局次        長        宮嶋  剛君        厚生省薬務局長  松下 廉蔵君        厚生省児童家庭        局長       翁 久次郎君        厚生省年金局長  横田 陽吉君        厚生省援護局長  八木 哲夫君        社会保険庁年金        保険部長     出原 孝夫君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        外務省アジア局        南東アジア第二        課長       藤田 公郎君        外務省アメリカ        局外務参事官   角谷  清君        農林省畜産局牛        乳乳製品課長   佐野 宏哉君        会計検査院事務        総局第一局長   高橋 保司君        会計検査院事務        総局第三局長   桜木 拳一君    参考人        医療金融公庫総        裁        山本 正淑君        環境衛生金融公        庫理事長     坂元貞一郎君        年金福祉事業団        理事長      牛丸 義留君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十六年度特別会計歳入歳出決算昭和四十六年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十六  年度政府関係機関決算書(第七十一回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十一回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十一回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三月十八日、萩原幽香子君が委員辞任され、その補欠として高山恒雄君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次に中尾君及び加藤君の一時委員異動に伴い、理事が現在二名欠員となっておりますので、この際理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認めます。  それでは理事中尾辰義君及び加藤進君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 昭和四十六年度決算ほか二件を議題といたします。  本日は内閣並びに厚生省とそれに関係する医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行ないます。  この際おはかりいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも口頭報告を省略して本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記をとめてください   〔速記中止
  7. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 速記を起こしてください。  それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 松岡克由

    松岡克由君 時間を、私のかってな都合もあったところを、委員長はじめ理事方々委員、そして関係各位皆さんがさいてくださったことを、質問の前に厚くお礼とおわびをかねて申し上げます。  私、きょう調理師についてたいへん素朴な質問をいろいろとぶつけてみたいと思うのですが、その前に、いま話題になっています例の小野田さんの救出のことについて、若干伺ってみたいと思います。  厚生省にとって長年の努力といいますか、救出についていろいろのことをなさってきたと私は思うし、それに対して敬意を表したいと思っていますが、そういった努力を認めるにしても、やはり現実に三十年という、ざっと三十年という年月がかかっている。その間ジャングルにいたという事実、そして二年前には小塚さんというその部下が事実戦って射殺されているということがあるわけでございまして、厚生省として、もし、この救出作戦反省するようなところがあるのか、またあったとしたら、今後またないということも言い切れない問題でございますので、どのような点にあるのか、ちょっとそちらの意見も聞かしてほしいと思います。
  9. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 小野田さんの救出の問題につきましては、これまで厚生省といたしまして大がかりなものを三回実施をいたしているわけでございます。そのうち三十四年と四十七年の二回につきましては特に心理学者の方のいろいろな御意見を伺いまして、特に四十七年の十月から四十八年の四月、約半年にわたりましてかなり大がかりな救助活動をやったわけでございます。その際にも御両親あるいはごきょうだい等の御家族の方、あるいは戦友の方、あるいは昔の学友の方、ありとあらゆる小野田さんに御関係の深い方々にお集まりいただきまして、現地ルバング島に渡っていただきまして、いろいろな手はやったわけでございます。そこで心理学者方等の十分の意見も伺いまして、考えられるあらゆる手を打ったわけでございますけれども、四十七年の救助活動後は、これだけいろいろな手をやってもまだ御本人が出て来られないということは、やはり最終的には御本人の出られるという意思を待たなければいかぬのじゃないかというようなことから、四十八年の大がかりな救助活動が終わった後の時点におきましては、フィリピン空軍にお願いしまして、従来のような大がかりなことはやめまして、むしろ御本人が出てくるのを待つというようなことで、静かな救助活動を行なわなければいかぬのじゃないかというようなことで変えたわけでございまして、さらに昨年、柏井――今度も参りましたけれども、あの柏井団長以下がたまたま遺骨収集フィリピンに参りまして、その際にも、そういうようなことで島内に設置しましたメールボックスとかいろいろなところで御本人の反応を待つというような形をとって、たまたま今回鈴木青年小野田少尉に接触するというのを一つの契機にいたしまして、今回の小野田少尉救助が成功したわけでございます。いろいろ御意見等はあろうと思いますけれども、私どもは従来やりましたいろいろな救助活動の積み重ねというものも、一つの大きな背景になっているんではないかというふうに考えている次第でございます。
  10. 松岡克由

    松岡克由君 ということは、やるだけのことはやったと、こう解釈してよろしゅうございますか。――これは、言いようによっては無責任になるのかもしれませんが、ああいう特異、独自な状態といいますか、ああいった特殊な状態のときには、意外なものから糸口がほどけてくるもんです。今回は、その鈴木青年がいい例だと思いますがね。その意外な例を待つというわけにいきませんがね。たとえるならば、私は心理学者というものをあんまり信用しないのですけれども、それをいれるのも一つ方法かもしれませんですが。こんなことも考えていた人がいるんですね。一個中隊で攻めていったらどうだろうと、わあっとあの中へね、勝ったぞと。これは、たいへんばかばかしい三十年たった考え方でも、しかし意外にそんなところから発想するのではないか。それは、一つの組織とか厚生省として、そういったのはばかげた意見だとおそらく一笑に付すると思いますがね、そういう何といいますか、奇襲戦法といったところまで私は考えていかないと、なかなか常識で判断する――常識で判断するなら出てきたっていいんですけれども、そうもいかないので、今回のどちらかというと非常識といわれてもいいような鈴木青年の行動において救出されたという事実がありますから、そういったような部分もお役人の頭の中に発想させるということは、発想しても実行に移すということは不可能かもしれませんが、ぜひひとつ頭のどこかへ入れて置いてそのあれにしてほしいと、そういうことを感じました。  小野田さんを救出されましたですが、日本に迎えるにあたって、どのような配慮といいますか、処置をとったか、特に気を配った点みたいなものを聞かせてください。
  11. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 鈴木青年の接触によりまして、それから写真が送られてまいりまして、御家族なりあるいは戦友の方に見ていただいて、小野田さんに間違いないということがわかりましたので、従来、いろいろな救助活動なり捜査なりはやっておったわけでございますが……
  12. 松岡克由

    松岡克由君 短か目にひとつ。
  13. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) はい。今回は、そういうことがわかりましたので、特に横井さんの例もございますし、長い間のブランクがありますから、精神状態あるいは健康状態、こういう面に一番配慮を払わにゃいかんじゃないかというようなことから、たまたま今回ルバング島に民間の協力者としまして、小野田さんのおにいさんが御参加いただいたわけでございますが、これは肉親でもございますし、さらにお医者さんでもあるというような立場もございますので、そういうような面から、小野田さんのおにいさんに行っていただいたというようなこと、それからやはり、帰られた際の精神状態健康状態というものを考えなければいけないんじゃないかというようなことから、国立東京病院というものを事前に準備したわけでございますし、さらに、羽田着後の記者会見等につきましても、時間を非常に短くするとかいろいろな面で、そういうまず健康状態精神状態につきましての配慮というものを一番重要に考えたわけでございます。
  14. 松岡克由

    松岡克由君 考えたんですが、結果においてあんまり出てないと、おそらく皆さんもそう思っているんではないかと私は逆に思っているんですがね。あの記者会見テレビ、おそらく全国方々がほとんど直接、間接的にあれを見ているんじゃないかと思うんですがね。ずいぶん、私、迷惑そうな感じを受けた。ということは、向こう精神状態を考えていたんだけれども、結果において出なかったという言いわけがあるかもしれませんがね、あれはどうもあまり考えていると言い切れないんじゃないかと、そのギャップというものを感じているでしょう、どうですか。
  15. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 記者会見の問題につきましても、横井さんのときの例もございまして、横井さんの場合にもやはり国民皆さんが、非常に羽田へ着かれた場合の第一声というのはお知りになりたいというような面から、報道関係者のほうからも非常に強い御要望があったわけでございます。したがいまして、私ども報道関係者とも御相談いたしまして、最小限度記者会見の時間を持ちたい、さらにおにいさまが現地のほうへ行っておりましたので、おにいさま等とも御連絡をとりまして、時間を制限するとか、さらにあの際に、谷口少佐でございますとか、鈴木青年とか、柏井氏とか一緒に共同記者会見はしたわけでございますけれども小野田さん御自身とそれから御両親につきましては最初の記者会見だけでお帰りいただくというようなことで、小野田さんのおにいさんとも御相談いたしまして、小野田さんの健康状態精神状態を考えまして、最小限度の時間にしたという次第でございます。
  16. 松岡克由

    松岡克由君 たいへん短く率直に内容があるお答えでけっこうです。そのつもりでひとつあとのあれをお願いします。  ところが、見ていましてね、外国なんかのよくテレビなどを見ていますと、またニュース映画を見ていますと、抱き合って喜んでいるまあお国柄が違うと言えばそれきりかもしれませんが、全く関係のない――当人といいますか、その群がっている人にとっては関係があるのかもしれませんが、第三者が見ると、全く関係のない人がこう群がっている。御存じだと思うのですが、来ると、みんなあそこへ何か代議士が出てきて、名刺を渡していた。あれは全国の失笑を買ったわけです。渡したのはわれわれの仲間の党でございますけれどもね。あそこで、私は山下春江ですの、鈴木善幸ですのと。三十年あんなところにいて、わかるわけないので、それは何もあなた方の責任ではないかもしれない、出す人たちの、逆に言えばあれが政治家のバイタリティのものすごさなんだというのを逆にあらわしたのかもしれませんが、率直に反省をしていた人もいましたが、反省をするしないなんというのは前から考えればわかるべき問題で、あんなものは、餓鬼じゃないんだから、いいおとななんだから、ましてみんなに選ばれた代議士なんですからね。ばかばかしいです。これは見た方がみんなおそらく感じたと思うのです。つまり、そうならないための配慮というのが私は厚生省にあってしかるべきだと思う。しかし彼らは力を持っていますから、おれが出ると言ったら、厚生省としては、何とも言えなかったのか。その辺の力関係みたいなもの配慮みたいなものを率直に……。無理だと思いますが、答えられる範囲でちょっと回答してくれませんと、笑われますからね、これは国民に。もう笑っていますよ、みんな。笑われていいのはぼくぐらいなもんでね。(笑声)どうぞ。
  17. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 羽田出迎えの問題につきましては、混乱が予想されるというようなことから、タラップをおりました機側につきましてのお出迎えという問題につきましては、最小限度の方に私どもとしましてはしぼったわけでございます。ただ、これだけの国費をかけて、しかも従来多年にわたりましてやった小野田さんの救出でございますので、小野田さんがお帰りになるという際には大臣がお出迎えするというのは当然のことでございますし、さらに公的な方がお見えになりますれば、これはお出迎えされるというのはやむを得ないことではないかというふうに思うわけでございますけれども、いずれにいたしましても、私ども、若干の混乱がありましたことは申しわけないと思っています。  それから申し上げないことは、小野田さんの御両親が非常に御遠慮されまして、特に私ども御案内しておりませんでした島田さんでございますとか小塚さんの御遺族の方がお見えになったとか、あるいはフィリピン代理大使の方がお見えになったというようなこともございましたので、やや混乱した点は申しわけなかったというふうに思っている次第でございます。
  18. 松岡克由

    松岡克由君 ややではないのですな。そうすると、いまの答えによると、あそこに集まってきた方は、みんな公的な方だからしかたがないと――そう全部は言い切れないでしょう。全部公的な方だったからしかたがないという、当然のことだから、あの人たちを並べて、そして、名刺を出す出さないは、それは当人のかってですから。そういうことなんですか、しょうがなかったんですか。一言でいいです。
  19. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 私どもは御案内は差し上げてなかったわけでございますけれども、そういう公的な方がお見えになりますれば、お出迎えするということはやむを得ないことではないかと考える次第でございます。
  20. 松岡克由

    松岡克由君 ということは、われわれの議員のほうで反省すりゃそれで済むということかもしれませんですがな。それにしてもやっぱり今後ともいろいろな形てそういったことが出てくる、――やはりああいうときにほんとうに国民の素朴な感情が出ますので、御配慮をひとつ願います――その場合に、強力な私は方法をとっていいと思います。  その後、記者会見がありましたが、あれを設置した意図というものは、いまいみじくもおっしゃっていました、いろいろ一言が聞きたいだろうと。それは確かにあると思うのです。しかし私は、記者会見がいけないというわけではないんですけれども、しかし当人精神状態もいろいろと正常ではないだろうと判断していらっしゃる。だったら、私は一言を聞きたいなら、聞きたい方法というのは幾らもあると思うのです。それは対報道陣ということと、われもわれもと報道をしたがる報道の使命と、彼らのその熱意とのハンデキャップというのがあるかもしれませんが、私はそのときこそ、一つ部屋なら部屋に入れるなりして、だれでも納得のいくような一人の代表が行って、さりげなく話をしているうちに、私は全部、小野田さんの言っていること、または感じたことを吐き出させることも可能であったのだと思うのです。それを、あんなにフラッシュをぼんぼんぼんぼんたいて、これ見てたと思うのですがね、テレビのこっち側の人が見えなかったですね。頭を持っておとうさんのほうへぐっと強引に向かしたでしょう。あれもおそらく友だちがやったんならまだかんべんもできますけれども、あれは全く見せもの扱い以外何ものも感じない。われわれも見せものを見たいという気持ちがあるのです。見せものを見たいというやじ馬根性はありますけれども、やっぱりあれを見せものにしてはいかぬ。見せものにしたいという、報道陣にもしそういった意図があったら、それをやっぱり厚生省が、ある意味において設置したんですから、押えなきゃならないと思うのです。その辺の配慮が足らなかったんだと私は断言できるのですがね。この少し強過ぎる意見はどうでしょう。
  21. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 羽田到着後の記者会見の問題につきましては、先ほど申しましたように、小野田さんの健康状態精神状態等も十分考えて、大がかりなことはやめにゃいかぬじゃないかというので、報道関係の方とも十分御相談いたしまして、テレビにいたしましても、カメラにいたしましても、普通考えられる場合よりか非常に制限するとか、これは報道関係の方も自主的に御協力いただきましたし、さらにライトにつきましても、普通やりますような場合のライトはやらないというようなこと、一つだけにするとかいうような面で、非常にそういう面では報道陣の方にも御協力を賜ったわけでございます。  さらに、小野田さんのおにいさん等とも御相談いたしまして、非常に精神面なり健康面なり、横井さんなんかの場合に比べますとずいぶん違うんじゃないかというような点もございましたし、それから現実に時間、あるいは記者会見の場所、人数等につきましても、大体横井さんの例に準じてやった次第でございます。
  22. 松岡克由

    松岡克由君 そうすると、あれでよかったと思っていますか。何か言われませんでしたか、ちっとあれ考えるべきじゃないかと。意見は全く聞きませんか。ちょっと聞かしてくれませんか、ぼくだけの意見だと困りますから。
  23. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 私ども、その後いろんな問題ございましたので、直接そういう御意見を承るという機会はなかった次第でございます。
  24. 松岡克由

    松岡克由君 困るなあ。やっぱり一応全国話題になっていることに対する配慮ぐらいしとかにゃ。アンテナ張っとかにゃ。おそらく張ったんだろうけど、いい答えが返ってこないからそういう返答をしたんだと私は皮肉に解しますがね。なぜこんな質問するかといいますと、全く無意味に近い質問をしているんです。つまり、価値体系思考方法というのが全く違う相手と話す場合は、向こう状態になって話すべきなんです。これはもうあたりまえのことなんです。それが全くないんです。一例をあげると、こんなこと聞いているんですね。何か食べたいものありませんかなんて聞いているのですね。ばかばくしいというよりしようがない。そうなってくると、何でも同じですよ。トルコぶろがはやっているの知っていますかとか、ミニスカートどう思いますか、テレビでこんな番組ありますよ、国会じゃ田中さんの口が曲がってますよと、同じなんですね。これは全く見せもの考え方です。一人連れてきて、このやろうここで右往左往するのを見て……。違う。そんなのじゃなくて、向こう状態になって、場合によっちゃ、私がもし記者だったら、なぜ最後まで戦わなかったんですかとか、天皇をどう思っていますかと、まあそういう質問もありましたけどね。向こう状態になって私は聞くものだと、あの質問内容というのは私は全く――何が食べたいって――あの人遊びに行ったんでも何でもないですからね。昔流にいうと、お国のために戦いに行ったんですから。三十年戦ってきたんです。それに対する質問程度の知識の低さというのは、これは厚生省責任でなくて、新聞記者の質の問題だということになるかもしれませんがね。私はやっぱりいまの新聞記者状態でしたらね、まあ新聞記者のこと言っては申しわけないかもしれないけれども、ああいう状態になってしまうということはある程度予想できると思うのです。いまあなた、押えたとおっしゃっています。まあ押えたでしょう。どうでもいいからかってにしろと言ったわけじゃないでしょう。そうだとしたら、講道館でやろう、後楽園でやろうということになるって言い方をすればそれきりですけれどもね。私は、押えたけど、やっぱり結果が問題なんであって、やはりあれをおそらく押えたんだと、いまぼくが聞けばそういう答えが返ってくるけれども、見ている人は、おそらく押えてあの状態になった、厚生省努力したけれども足らなかった、やっぱり一生懸命やったけど大勢に押されたとはだれも思っていない。何というばかげたことを企画して、やらざるを得ないからやったのかもしれませんが、実にどうも一つの構成をするということにおいてだらしがない。いまやっぱりものごとすべて構成したり演出したりする職業が成り立っているくらいですから、おそらくあなたの部下の範疇にそういったことの得意な人もいるはずですので、どうぞああいったことを私は考えてほしいと、つくづくこう思います。  それはまあ新聞記者質問内容についてまで責任はもちろん持てないと思いますが、そうなることをこれからもやっぱり考えて――これは何も厚生省ばかりでない、いろいろとあらゆるところに当てはまると思いますし、そういう懸念があるし、また一般の人たちがあれに対してすごくそういうことを感じたというのは――私がその話を大衆の前ですると、うわあっという軽べつの笑いが返ってくるわけです。談志、おまえの言ってるとおりだ、ありゃあでえ、どうなってるんだと言われれば、私も選ばれている関係上この質問をぶつけざるを得ないと――こういう事実を聞いていないと言うけれども、聞いていないんだか聞こえないようにしているんだか知りませんけれども、この機会に、ひとつすなおに聞いてほしいと、こう思います。  それからちょっと伺いたいんですが、恩給の問題なんですけれども、これは恩給関係の方来ていますが、短か目に。私時間が限られていますんでね。幾らぐらいなんですか、大体。ざっとわかりますか。ちょちょっと説明してください。
  25. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 恩給の問題でございますけれども、これは御本人の請求でございますので、本属庁でございます県なりあるいは厚生省を通じまして恩給局のほうにあがってくると思いますが、したがいましてまだ正式な資料に基づいたあれでございませんで、現在まで伝えられておりますような御経歴等によりまして試算をいたしてみますと、今度お帰りになりましたのは三月でございますので、四月以降年額で十七万七千四十一円というふうに私のほうでは現在試算をいたしております。
  26. 松岡克由

    松岡克由君 年額十七万幾らですね。そう言いましたね。これは方法は何なんですかね。ということは、たとえばあれは階級によっていろいろ違うでしょう、佐官とか尉官とかということで。小野田さんというのは、あの時点で少尉ということで計算しているということですか。そういうことですか。一言でいいです。
  27. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 小野田さんの場合には少尉でございますので、少尉の現在の仮定俸給額に……
  28. 松岡克由

    松岡克由君 それだけでけっこうです。
  29. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) そうでございます。
  30. 松岡克由

    松岡克由君 少尉でやっているということですね。ことばさえぎってごめんなさい、時間がないものでね。しかし人間、事故なんかにあうとホフマン方式とか何とかでいろいろ加算されるのがありますわね。あの人、三十年戦っているということは、ポツダム何とかというのがありましたりと同じように、もっとこの……少なくも少佐ぐらいになっているんじゃないかというようなことも考えられるんではないかと思うんですがね。その辺の配慮みたいなことは全然考えられませんか、小塚さんにしたってしかりですけれども
  31. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 位の問題でございますけれども、これは軍がなくなっておりますので発令行為がその後もうあり得ないわけでございますので、少尉のままでございます。
  32. 松岡克由

    松岡克由君 軍がなくなっているということを小野田さんが知っていればいいけれども、知らなかったんですからね。これはもう知らないで最後まで戦っていて、あの状態において初めてやっていたというこの事実みたいなことに対する配慮というのは全然考えられませんか。
  33. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 現在の恩給制度でございますと、まあ進級等がございますればもちろんそれによってやるわけでございますけれども、いま厚生省のほうからお答えがございましたように、少尉という階級でおそらく御進達があると思いますので、現在の制度ではそれによらざるを得ないというふうに思います。
  34. 松岡克由

    松岡克由君 政府としてやらざるを得ないと――心情的にはどうですか、わかりますか。
  35. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 心情的には確かに御苦労が非常に多いわけでございますので、そういう点ではよくわかりますけれども、恩給制度のワク内においては、いまお答えをしたようなことにならざるを得ないのじゃないかというふうに思います。
  36. 松岡克由

    松岡克由君 ところがやっぱりものごとの発想というのは、もちろん必要から始まるのばかりでなく、必要に対する心情的な感情というものが当然浮かぶものなんです。私はそう思います。だからこそものごとがいろいろと進展していったり進歩していくのですから。一言で区切らない。どうぞひとつ石本政務次官、その辺の考慮やら、それからさっきひとつ言いました、今後もいろいろとそういったことがあるかもしれない、報道の規制とは言いませんが、処理問題、または向こうのそういった状態をひとつ考えて、それはもう済んじまったことです、しかし恩給みたいな問題に対する一考――ちょっと考えるといったことを、ひとつ私は頭のどっかに入れてほしいと……。それに対して一言ありましたらどうぞ。なければけっこうです。
  37. 石本茂

    政府委員石本茂君) ただいまのいろいろな御意見、ほんとうに身にしみて私なりに受けとめました。ただ法律、規則というものは非常に冷とうございまして、これをどう変えるかということはそうした御高見などを参考にいたしまして検討はしなければいけないと思いますけれども、現在、きょう、ただいまのところは、だからこうしますということが言えませんので、その点お含みを願いたいと思います。記者会見等については今後とも十分に本日の御意見をしっかり受けとめていきたいと思います。ありがとうございました。
  38. 松岡克由

    松岡克由君 小野田さんの話はこのぐらいにしておきます。  調理師関係のことをいろいろと伺いとうございます。  本題に入りますけれども厚生省の調べによりますと、昭和四十七年末の調理師免許の数、九十八万九千、約百万近くになっていますね、四十七年末。これ間違いございませんね、一言で……。
  39. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 間違いございません。
  40. 松岡克由

    松岡克由君 現在もう百万を突破していると当然考えられます、百五万から百十万ぐらい。これもよろしゅうございますか。
  41. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) ただ、一つお断わりさしていただきたいのは、実は台帳の整備が完全でございませんので、免許を差し上げた数の総数になっております。したがいまして、その後、あるいは御死亡なすっているような方があると思いますので、実際の免許を現在保持している方はこの数より下回ると思います。なお、先生のおっしゃるように、そのままの累計でまいりましたら百五、六万になっていると思います。
  42. 松岡克由

    松岡克由君 私は、ふえるということは、これはまあ悪いことでもないと思います。むしろけっこうだと思います。  伺いますが、調理師になることのメリットといいますか、なぜ調理師になるのか、逆に言えば、免許を持たなければならないと義務づけられている業種というのですか、これは何ですか、この二点。
  43. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 現在の調理師法の制度によりますと、調理師がいなければ営業ができないとか、こういうことはない仕組みになっております。調理師におなりになりますと、調理師以外の者は調理師の名称を用いてはならないと、いわゆる名称独占ということでやっておりますが、こうやって調理師方々が実際に衛生知識をお持ちになり、あるいは高度な調理の技術をお持ちになる方に調理師という独占的な名前を付与することによりまして、間接的に調理師の資質の向上になると、こういうことを期待しておるような次第でございます。
  44. 松岡克由

    松岡克由君 そうすると、調理師という名前があるからやっぱりそれをほしさによくなるだろうから、別になきやないでもいいということですね。そうなりませんか。
  45. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) こういう身分制度につきましては、いわゆる、たとえば医師とか歯科医師、看護婦さんのように、その免許を持ってなければその業務に一切従事をしてはならないという免許制度と、もう一つの体系といたしまして、免許をお持ちになりますと独占してその名称を用いられる、かつ、一方免許のない方はそういう名称を用いてならない、いわゆる名称独占でいっている方法と、現在二つの制度がございまして、それぞれの、他の関係におきましても、こういう名称独占によりましてかなりの資質の向上ということが果たされていると思っておる次第でございます。
  46. 松岡克由

    松岡克由君 あまり果たされてないのです。だから質問にかかっているのです。ないと向こうでは、あなた方としては言えませんでしょうけれどもね。そうすると、かりに私が料理の店を買って、やって、うまければそれでいいということでしょう。そういうことですね。営業できるわけですね、私でも。そういうことですね。さあその辺にたいへん問題があるのですね。じゃ何のために免許を与えるかというと、いまあなたがおっしゃったようなことで免許を与えていると。で私、この免許について、調理師の業は一般に公衆を対象とするものであるので衛生的環境に及ぼす影響が多いと、したがって特に衛生的な面から指導して、知識、技術を身につけるべきものであるという、こういうことがうたってあるわけですが、これは間違いないですね。
  47. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) そのとおりでございます。
  48. 松岡克由

    松岡克由君 そうすると私は、あなたがいま料理が向上しているということを言うのですが、何を対象に、何を食べてそう言っているのだか私はわからない。おそらく食べたことがないんじゃないかと思うのですがね。とにかくよそでもって、たとえばレストランとかスナックとか、それはたいへん高いところは別としてもですね、私は何でこんなものを食べさせるのかと、もし私がコックなら、これだけの材料でもいいと、これだけのものを、もう少し親切に物を人に食べさして、「君の料理うまいね。」、「どうです。」というプライドが全くない。おそらく生涯うまいねと言われたことも言われずに、平気でもって、昔のことばでこれを業に入って業のできないやつを家職盗人と言ったんです、だいぶ古いことばですけれども。そういう連中がいかにふえているか。一例をあげましょうか、参議院の会館の食堂、あのまずさ、身にしみているでしょう、皆さん。あれが調理人なんです。質の向上どころのさわぎじゃないんです。あれはね、聞いたら、ほかにやり手がないからと言いわけをしたというんですけれどもね。やり手がなければまずくていいというものでも何でもないしね。どうしてこんなことになっちまうのかというと、あなたが言っている上がっているというのとうらはらに、こういった現象になっているのは、どこにその原因があると思いますか。これはしろうとがたくさんふえたからですか、ただそれだけだと思いますか、どうぞ。
  49. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 少し先生のおことばを返すようで非常に恐縮でございますけれども、実は私ども厚生行政で調理師に特別の免許を与えてやっている仕組みというのは、確かに先生が御指摘のように、国民の皆さまにおいしいものを食べていただくという、これはまあ確かに基本でございますが、それと同時に、衛生知識を十分に備えた方が調理に当たっていただけると、こういうことも実は基本に考えておりまして、したがいまして、たとえば現在の調理師養成所における教育につきましては、調理技術もございますけれども、公衆衛生知識の素養をつけさせると、こういうことにも重点を置いておるような次第でございまして、技術的な点まではなかなか厚生行政としては御指導がいきにくいという段階になっているわけでございます。
  50. 松岡克由

    松岡克由君 私の質問は、一口に言うと技術指導をしなかったらどうしようもないのじゃないかというところに落ち込んでいるということが質問の趣旨なんです。衛生的だということは、それはけっこうですよ、きたないところよりもきれいなところがいいでしょう。しかし私は、衛生というのは、むしろこれは逆に言えば保健所のほうである程度調べていけばできることですわ。それを個人に押しつけるということは、個人に課するということは、むしろ私は衛生関係のほうの怠惰ではないのかと、こういう皮肉――皮肉じゃない、こうなると。ストレートな見方が私はできるのじゃないかと、それは大事だ、どうでもいいとは言わない、いいとも言わないけれども、そっちを主体にしていることにおいて、完全な技術、「ほうちょう一本さらしに巻いて」という歌がありますが、それでもってやっていける腕のすばらしさみたいなものが、公衆衛生面のほうを主体にすることによって、どんどんどんどんなくなってきている事実、これを何とか受けとめなければいかぬと思うのですが、その辺の配慮を、これから先のことなんですが、ちょっと考えてくれませんか、短かめに。
  51. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 確かに先生御指摘のとおり、特にたとえば日本料理等をとりますと、わが国の調理という技術はすばらしいものがあるだろうと思います。おっしゃったとおり衛生のみならず、今後は私どもとしても技術の向上に努力をしたい、こう思っております。
  52. 松岡克由

    松岡克由君 たいへんすなおなんです、約束をしてくれますね、それは、やるようにね、ごもっともごもっともで、それっきり通らないという例がいろいろと過去あるというお話を伺っておりますので。まあ一応調理師というのがありますわね。ある以上、調理師になる方法というのは、説明してもらうと長くなっていけませんが、三通りあるのですね。一つは料理学校を出るということですね。これは二年ですか。
  53. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 一年です。
  54. 松岡克由

    松岡克由君 もう一つは、中学を卒業して、やっぱり何十時間か何か、何百時間か何かをとるのですね。もう一つのコースが、これから問題にしたいのですが、もう一つのコースは二年間食料――平たく言えば食べもの屋のところの仕事に従事していて、都道府県の試験を受けるとなれると、こういうことですね。
  55. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) そうです。
  56. 松岡克由

    松岡克由君 さてそうすると、中学を出て、まあかりに一年間の料理学校というケースもある、中学を出て二年間働いて大体十七、八ですね、調理師の師というのは師匠の師でしょう。武士の士じゃないですね。まあ何といいますか、やっぱり人の模範になり、指導をしていくということは――こういった、ささいなことと言うかもしれませんが、私ども落語家になるのには、師匠と言われるために努力する、やっぱりそういった意味においてたいへんにこれ何か軽薄な感じがするのですが、この辺の配慮はなかったのですか。
  57. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 実は調理師法よりもさらに古くできました理容師とか美容師とかいう制度もございますが、これもやはり一年間の学校へ行って、一年間の実地修練を受けますと、やはり十七、八で免許をもらえる仕組みになっております。立法当時は理容師、美容師等と同じ均衡ということでならったものだと考えておるような次第でございます。
  58. 松岡克由

    松岡克由君 ところが、理容師とか美容師というのは、行ってやってくれるという安心感があるのです。ところが安心感がないのです、この調理師の場合は。ないから困るのです。まだ板さんのほうがよほどあれがあるのですね。そのぐらい堕落しているのですね。これはなぜ堕落したかというと、こういうことなんです。御承知ですけれども、これは調理師法が成立したのは十六年前ですね。参議院の草葉隆圓という議員が中心になって、議員立法です。当時の社労委員会でやったわけですね。で、議事録を見てみますと、ほとんどこれ、反対がないんですね。全会一致みたいなもので可決されてます。衆議院のほうはどうだっていうと、野澤清人といいますか、この委員が一人だけ質問しているんですね。それによりますと、この野澤委員は、この免許取得の方法として述べられております内容がきわめて低い程度に集約されているような気がしますと、危惧の念を表明しているんです。これがつまり、この指摘、野澤委員の指摘というのが十六年たったいまぴったんこ当たっているわけです。なぜ当たったかというのは、おそらくおわかりだろうと思いますがね。時間がないから私が逆に説明します。楽な質問だと思いますけどね。結局その当時は板前さんというのがたくさん、技術のある方が大勢いた。しかし、学歴がない。その人たちに資格を与えるために、なるたけやさしい問題で、むしろ腕は確かなんだから、衛生面さえ心得たら鬼に金棒であるというんでこういったものがとられたと、こう解釈してよろしゅうございましょう。いいですね。どうぞ発言してください、一言
  59. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) それまで伝統的に調理師は、たとえば都道府県の免許があるとか、あるいはそうでなくて、長年実地の場で技術を身につけておられた方に免許を与えたわけでございますが、身分制度というのをつくりますときに、やはりそういう最低のところに合わせませんと、ほかの方とのバランスとかいろんな問題が起こりますので、先生御指摘のとおり、まとめられたものだと思っている次第でございます。
  60. 松岡克由

    松岡克由君 この野澤委員が心配していたことですわね、つまり大工でも宮大工とか、いろいろと家具をつくるような大工もあると、こう言っているんです、この議事録によりますとね。だから将来一等調理師とか二等調理師とか、段階があってもいいんではないかと、きっとこの問題があとになって、身分法自体に問題点があると指摘しているのが、いみじくも現実になってきているんですね。これが私は最も今回の問題であると、こう思うんでございます。まあ、いまさっき美容師とか、理容師とかと言いましたが、ほんとうに理容師とか美容師というのは確かにこっちが信頼しています、うまいまずいの幾らかの差はあっても。調理師の場合はほんとうにこれは信用できなくなってきている。この現状を私は考えなきゃいけないと思うんですね。そしてさっきの三つのコースのうちの二つですね。一つは二年間なら二年間、ここに示してありますけども、ざっくばらんに言うと、食べもの関係のあるところで従事していると試験を受ける資格ができるということですね。ところが圧倒的にそれが多くなって、学校を出まして一年なら一年間勉強に行くというのがどんどんどんどん少なくなっている。去年はたしか五人とか四人とかいうここに記録がある。四十六年度でございますか、四人なんですね。片や五万七千というのに対しほとんどゼロに近くなっているということは、私はこれ逆で、むしろ学校の試験がむずかしいからいろいろと教わりに行くところに、いやだけどもそっちのほうへ集まっていくというほうが私は健康だと、こう思うんですがね、どうでしょう。
  61. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 調理師学校に行っている生徒の数は逐年ふえてきておりますけれども……。
  62. 松岡克由

    松岡克由君 そうでなくて、つまり、ふえてきているといいますけれどもね、これ減っているじゃないですか、あなた、講習課程を終了して入るっていうやつは。五十五が四になったというのはこれはふえているとは言わぬ。われわれのほうでは減っていると言いますがね。
  63. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) どうも失礼いたしました。御承知のとおり三本立ての制度のうち、もう一本の数は減ってきております。実際問題といたしまして、これは講習時間は三百時間というような長時間になりますので、そういう方面に行かれる希望の方が少なくなったんだろうと思います。
  64. 松岡克由

    松岡克由君 少なくなってきたのは向こうがむずかしいからじゃないんです。こっちがやさしいからなんです。どうむずかしいものがあっても、ほんとうにそれしがなかったら、それにメリットがあったら人間やるんです。これはあたりまえですよ。だからこそ人間勉強が要るんです。それはこっちがやさしいんです、やさしい。これからやさしい問題言いますけども、あんなやさしいものがあるなら、何も何十時間もかけてやることはないっていうんですよ。問題が非常にこうやさしくなっちゃう。たとえば、それじゃ試験を受ける場合、二年間食料品店に従事していて、試験を受ける資格というのは何なんですか。
  65. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 二年の従事と義務教育を終了しているということだけが受験資格でございます。
  66. 松岡克由

    松岡克由君 ということは、そこの二年間やっていたというのをだれかきめる人がいればいいということですね。そういうことですね。そうなると、たとえば商店なら商店、ラーメン屋ならラーメン屋のおやじ、がかりに出前持ちをしていても、この子は二年間やっていたと、やっていなくてもやっていたと証明すればそれをチェックする機関というのはないわけですね。
  67. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) いま先生の御指摘の点は、私どももやはり現在反省しているところでございます。何か改善措置をしませんと、そういう、ほんとうにやっていたかどうかまでの証明書がないというか、証明者がいない場合も心配されますので、現在改善策を検討中でございます。
  68. 松岡克由

    松岡克由君 全くそのとおりなんです。いま、まして人手不足ですから、二年間一生懸命やったんだということを認めてくれなかったらおれやめると言われると一言もないのですね。またそんなトラブルまでいかないうちに、ああいいよというのがいまの師弟の人情でございますしね。それで、どんなものがその免許を、どんな店に二年いればいいんだということをこれを調べてみますと、ほとんどですね、大体ほとんどなんですね、一般食堂、すし屋、そば屋、旅館、仕出し屋、カフェー、バー、キャバレー、場合によればキャバレーのボーイさんでも、うんと言われれば、キャバレーに二年いたと言われればそれで済んでしまうような状態ですよね。ほとんど、だから全部が受けることができるという、これをほんとうに根本的に考えていかないと、その調理師というもの一つの資格がある以上、それに対する技術というものは当然あるんだと、一般的に、まだ思っているからいいです。思わなくなったらおしまいになります。まだ思っているうちに、私はそれを進めていかなければならないための方法として、全くいまずさんであるのですね。これをひとつ皆さん協力して考えてチェックする機関を、これはもう根本ですから、ここから始まらないとものが進展しませんので、これをお約束していただきとうございます。
  69. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 確かに受験資格は調理師になるための基本でございます。御指摘の点につきましては十分これから検討してまいりたいと思います。
  70. 松岡克由

    松岡克由君 いま約束したことを、大臣よろしゅうございますか。ちょっと途中からですのでおわかりにならないと思いますけれども、もう一ぺん説明します、大臣のために。私のためにさいてくれましたので、こっちも大臣に……。  簡単につまり免許が取れてしまうのです。免許を取る資格というのが、二年間食料品店に――ざっくばらんな言い方です、食料品店にいれば、調理をするところにいればいいという状態、それをチェックする機関が全くないのです。おやじがうんと言えばそれっきり、そこのあるじがいいと言えばそれっきりです。これがあまりにもやっぱり問題があると、現にこちらも言っておりますので、その辺をひとつ大臣のほうからもよろしくお願いします。
  71. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 調理師、それから理容師、美容師、製菓衛生師、これは名称独占の制度でございます。これは一言でいいますと、そういう社会における地位を高めるために国家試験という制度によってその地位を高めていただきたいと、こういう要望から発足したわけでございます。しかしこれ、考えてみますと、まあこういうことが議論になったんだと思うのですが、名称だけもらって、これは技術評価が何もないのですね、技術の評価というものが。
  72. 松岡克由

    松岡克由君 そのとおりなんです。それで質問していたんです。
  73. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 技術の評価がない。そういうような御質問があったのかなかったのか知りませんが……。
  74. 松岡克由

    松岡克由君 質問していたんですよ。
  75. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) ああ、そうですか。そこで、そういう制度があるならば、ほんとうをいうと、一級調理師とか二級調理師とか、理容でも美容でも、製菓衛生師でも、あってしかるべきものなんだ、ほんとうをいうと。私はそう思うのです。むしろそれが社会的な地位を高めるゆえんであると、こう思うんでございますが、この民主社会というものはまためんどうなものでございまして、そういう差別をつけるとみんないやがるのですよ。差別をつけることをいやがる。先般、御承知のように、理容師、美容師において管理美容師制度というものをつくった。争訟まで起こしている、厚生大臣を訴えると。というような世の中でございますので、技術の評価によって差をつけるということは、私はほんとうは理想的だと思うのです、ほんとういうと。だれもかれも腕が劣っていようが進んでいようが、みんな調理師なんです。一律に製菓衛生師。どう考えてもなかなか――こういう制度をつくったならば、ほんとうをいうとそこまでいくのが私は本筋だと思うんです。技術の評価がこの裏にあるような制度になるのが本筋だと思うんですが、なかなかいま申し上げたように民主主義というものは差別をつくってはならないという原則があるんだと、こういうわけで、これまた業界がやかましいんです、これはほんとうを言うと。そういう管理調理師なんてつくろうなんということを言うと、いまの厚生大臣はけしからぬと、こう今度すぐ反対がくるんです。というわけでできませんが、私はやっぱり今後のこういう制度というものは、技術向上というものがやっぱり一番大事だと、こういう考え方でやっぱり将来はいつの日かそういう改革をなすべきである、私はそう思います。そう思います。まあしかし、いますぐにはまいらぬことは御承知のとおりでございます。  そこで、いま先生と審議官といろいろやりとり、御質問、御質疑等ございましたが、その審議官が約束したことについては、私もそういう方向で努力するということをお約束申し上げておきます。
  76. 松岡克由

    松岡克由君 ということは、いみじくもお互いに意見が合っているんですよね、ずっとね。そうなんで、こっちはつついているんでも何でもないんで、そちらもそう思っている、こちらもそう思っているんです。ただ、そのされるほうが反対していると。差別じゃなくて区別です。私はその差別と区別とは、事ロジックな遊びでも何でもないんですけれども、それでは一等航海士、二等航海士なんというのは一体どうなっているんだと、そういうことですね。これは私は、極端に言えば大衆の意見を無にしちゃいかぬけれども、甘ったれですわ。完全な甘ったれですよ、こんなものは。あえて言いますよ、甘ったれるなと。おまえらのものを食いに行っているんじゃないか、こっちは。ふざけちゃいけないと。甘ったれるんじゃないよと。まあ厚生大臣大臣の地位として言いにくいと思いますが、また棒に振っちゃいますから、大臣がそんなことを言うと。そういう変な世の中ですから、いま。ほんとうのことを言うとだめなんですからね、いま。原労働大臣みたいなこともありますからね、気をつけないと。(笑声)もうそろそろ私は、いろいろこうなってしまった現状にやっぱり大臣がよろしくないと思い、また審議官もよろしくないと思い、質問する私どももよろしくないと思い、聞いていらっしゃる方々もそれなりにこにこ聞いていらっしゃるということは合っているんじゃないかと思います。これは何とかせにゃいかぬと思うんです。そのする方法というものにやっぱり具体的にもう手をつけてほしい。手をつけたら反対されたのかもしれません。ある場合によっちゃ、私はそれをつくることにおいて、一つの業をなし遂げるということも、やっぱりあなたがた役人としての業、大臣の、大臣としての一つの業をやったということに私はなるぐらいに大きな問題だと思います。それはへたなやつが多いから反対するんです。うまいやつはそうあってほしいとおそらく思っているでしょう。そのうまいやつのそうあってほしいという、かりに票で言えば一票はへたなやつの千票に値しますですよ。そういうものです。私は料理というものもそういったいい意味での資格をつくって、悪いことばで――悪くないか、権力というものかいいものを守って大事にしてあげていかなければもたない。もたないというのは、料理ばかりじゃなくて文化、それから映画もそうです、われわれ大衆演芸も、いろんなところへ全部蔓延してほんとうに平均化してしまう。平均化することのよさと、平均化することにおけるどうにもならぬさというのは当然あるんです。それをひとつ今回しみじみと考えていただきたいと、こう思うんでございます。  そして、あえてつけ加えますと、いま言うとおり、試験を受ける方法に問題がある。それからもう時間がないからやめますけれども、試験の内容に問題がある。これ全く無意味なんです。たとえば一例をあげると、同じ分量に火をかけたときに早くあったまるのは次のうちどれか。答――油、水、みそ汁なんて、こんなことが書いてあるんですね。こんなものはやればすぐわかることなんで、別にどうということない。ということは、衛生面からということの答えもありました。不本意ながら答えたんでしょう。私は衛生面ばかりじゃなく、むしろ衛生面などは、先ほど言います総括的なあれになりますが、保健所のほうでやればよろしい。保健所の怠慢を何も別に板前に押しつけることはない。私はこの際もう一ぺん調理の問題を――ついでに言いますが、フグなんか場合によっちゃ要らないんですね。私はフグというのをつくっている人は免許持っていると思ったら、あれもないのですね。その辺の問題やら何やら含めまして、どうぞひとつ大臣、この際調理の問題をもう一ぺん、反対がいるからやらないんだといった日には私はおかしいと思う。反対がいてもやっているでしょう、田中総理なんか。私は、反対がいるからそのとおりにやめちゃうんだというと、これは矛盾していますわね。反対がいてもやる、反対がいてもやるべきときは私はやりますと、田中総理はこう言っているんですからね。(笑声)だから私はやるべきものはやるべきだと、そう思っておりますので、どうぞひとつそれを最後に一言だけお願いして質問を終わります。
  77. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) こういう技術の問題とこういう調理師の制度という問題いろいろ考える点がたくさんあるわけでございます。
  78. 松岡克由

    松岡克由君 もう簡単ですよ、こんなものは。
  79. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) でございますから、いろいろ考える問題については前向きに努力をいたしたいと思います。民主主義のもとでありますから、悪平等ということで反対があるからやらないと、なんていうことを私が言っているのじゃないですから……
  80. 松岡克由

    松岡克由君 言ったですよ、いま。
  81. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) いやいや、そういうわけでもないので、十分ひとつ考えて善処いたします。
  82. 松岡克由

    松岡克由君 けっこうでございます。
  83. 須原昭二

    ○須原昭二君 きょうは私は、医薬品と食品、とりわけ食品の中で、まぎらわしい医薬品とまぎらわしい食品、非常に行政的に無政府的な状態になっておりますから、この点について、とりわけ食品といわれる問題について御質問をいたしたいと思います。  まず、去る四十五年でしたか、大衆保健薬の有効性をめぐって大きな問題提起がなされました。それを受けて、翌四十六年の七月だったと思いますが、薬効再評価問題懇談会の答申を受けて、中央薬事審議会のもとに医薬品再評価特別部会を設けて、いわゆる医薬品の現在、許可をされ、しかも生産をされておる約四万品目を五年間計画で薬効の洗い直しをやる、すなわち医薬品の再評価、再点検をすることにして、自来、作業が進められていることはすでに皆さんも御承知のとおりです。すでに計画期限の約二分の一の期間を経過いたしました。作業はどの程度進んでいるのか、この点をまずお尋ねをいたしたい。とりわけ精神神経用剤あるいはまた抗菌製剤の再評価判定の結果が出たと仄聞をいたしておりますが、その総括結果はどのようなものになったのかお知らせをいただきたいと思います。
  84. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) 医薬品再評価につきましては、先生が御指摘のとおり、昭和四十六年度を初年度といたしまして、五カ年計画をもって、中央薬事審議会の中に設けられました医薬品再評価特別部会、及びその傘下にあります各薬効群別の調査会におきまして順次審議を進めておる段階でございます。  初めに手をつけましたのは、医療用の単味の製剤でございまして、これにつきまして薬効群別に順次調査会を設け、審議を進めております。  昨年十一月の二十一日でございましたか、第一回の答申を得まして、精神神経用剤の一部、及び抗菌性物質製剤の一部につきましての再評価の結果を発表いたしました。その中で、医薬品としての有用性を否定されましたものは、品目にいたしまして両方で二十品目でございます。その他のものにつきましては、医薬品としての有用性は一応認められまして、ただ、効能効果の中で、一部のものについて根拠が認められないということで、そういった効能効果を削除するという指導をいたしておるところでございます。  今後の方針といたしましては、御指摘のように、期間的には半ばに達しておるわけでございますけれども、何ぶん初めての作業でございまして、第一回の答申を得るまでには、その判定の基準等について相当慎重な検討がなされました関係で、多少おくれぎみでございますが、今後、こういった作業が軌道に乗ってまいりましたのと、あわせて、業界におきましても再評価の必要性ということが漸次徹底いたしまして、資料の整備等も行なわれておる段階でございますので、今後ピッチを上げまして進めてまいりたい、さように考えておる次第でございます。
  85. 須原昭二

    ○須原昭二君 その精神神経用剤あるいは抗菌性製剤については、精神神経用剤は六品目、抗菌製剤が十四品目、この内容については資料をいただいておりますが、これは、製造中止し、あるいはまた出回っておる医薬品については回収をされたのですか。
  86. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) そのとおりでございます。
  87. 須原昭二

    ○須原昭二君 その精神神経用剤あるいは抗菌製剤計二十品目が回収をされた。しかしこれは一部の再評価判定だと実は思いますが、これからいわゆる大衆保健薬の本論に入っていくべきビタミン等代謝性製剤あるいはその他鎮痛剤、循環器系用剤、さらに肝臓障害用剤など再評価の作業が進められていくと思いますけれども、どういう、四万品目もあるものを当初の計画五年間のうちにやっていくということになりますと、非常に過大な品目の再評価作業が進んでいくわけです。当初から五年間といいますと、あと二分の一しか残っておりません。どのようなプロセスでこの作業が進められていくのか、方針のほどだけ伺っておきたいと思います。
  88. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) 品目の数といたしましては御指摘のように約四万というふうに推定をいたしておるわけでございまして、現在までに進められたのが精神神経用剤、抗菌製剤の一部ということで数は確かに少ないわけでございますけれども、四万品目の中で一般用の医薬品が半ば以上を占めておるということで、これはいずれもほとんどが配合剤でございます。したがいまして、配合剤の再評価をいたしますためには、まずその基剤となっております各単味の医療用の製剤についての再評価が先行しなければならないということで、いまのような段取りをとっておるわけでございますが、同時に先生御指摘のように、昨年発表いたしました精神神経用剤あるいは抗菌製剤につきましては、これはいずれもほとんどが医療用に使われるものでございまして、一般用の中に配合されておるという性質のものではないわけでございます。したがいまして一般用の影響はなかったわけでございますが、今後御指摘のような一般用にも相当使われております製剤、その主成分になっておりますものについての医療用に対する判断がなされました場合、理論的には再評価は別の要素があるわけでございますけれども、やはりその段階において同時にそれと並行いたしましての事実上の一般用に対する指導というのが行なわれるべきでございますし、また同時にメーカーの側におきましてもそういった再評価の結果に基づいての自発的な効能、効果等の整理、あるいは用法、用量の変更ということも当然期待されるわけでございまして、そういった行政指導と並行いたしまして、事実上の再評価作業というものは今後相当大幅に促進されるものと考えております。もちろんその再評価作業自体につきましても一般用は一般用といたしまして、今後の医療用の進行と見合いまして、専門的な御意見をいただきましての基準をきめての作業というのは並行して進めるつもりでございます。
  89. 須原昭二

    ○須原昭二君 いま基本的なお話を聞いたんですが、いわゆる一般的に使われておる一般大衆保健薬、これに関連をするのがビタミン等代謝性製剤あるいは鎮痛剤、いろいろたくさん出てくるわけですが、これからがほんとうにいう、一番、四十五年のときに大衆保健薬の有効性をめぐって指摘をされた問題はこれから入るということですね、そういたしますと、メーカーの側としては当然きびしくなるであろう、こういう予想のもとにいま私が指摘をしようとする問題点がなってくるわけです。したがって、この薬効洗い直しの作業と並行して、今日ちなみにデパートあるいはスーパーあるいは一般食品店等々を見てまいりますと、最近とみに、保健のために、あるいは健康保持のためとか、強壮滋養のためだとか、さらには自然、天然、純正、純生、純粋、純良、純、健全、こういういろいろの形容詞のついた表示のもとに、いわゆる健康食品、自然食品などがデパートあるいはまたスーパーなどのコーナーではんらんをいたしている現況が出てきているわけです。これは医薬品の新しい許可が非常にきびしくなってきた。この点は薬務局の努力に対しては敬意を払います。しかし、ちょうどひょうたんの片一方をぎゅっと押えたら片一方がぶくっとふくれ上がってきたというような現象が、いま私がここに(机上の現物を示す)陳列をしている、いわゆる健康保健薬、健康食品あるいは自然食品という名にまつわる医薬品まがいの品物がどっと町にあふれ出てきているのがこの現況です。私は食品の問題について後ほど具体的に一つずつ指摘をいたしてまいりたいと思いますが、いわゆるいま一般的に言われるのは、健康食品の横綱はロイヤルゼリーと朝鮮ニンジン。これは、朝鮮ニンジンという評価は、朝鮮民主主義人民共和国の名にまつわるから韓国では朝鮮人ジンとは言いません。高麗ニンジンと言うようです。大関はニンニクとマムシだとよく言われる。その他ここにもありまするけれども、酵素製剤、麦芽あるいは油脂というような各種成分を表示した、いわゆる食品が出回っております。この点はひとつ厚生省御存じですか。
  90. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) 先生御指摘のような、いわゆる健康食品と称せられるものが市販されておるということは、私どもとしても問題意識を持って受けとめておるわけでございまして、もちろんその特殊な栄養素を摂取できるとか、あるいは健康に役立ち得る食品というのはいろいろあるわけでございまして、そのこと自体は、正しく使われれば国民保健上貢献する性質のものであろうかと存じますが、先生がいま例にあげられましたような医薬品としての効能、効果を期待せしむるような表示あるいは形態をもちまして、それが食品として販売されておるということは、やはり医薬品の取り締まりを担当いたします厚生省といたしまして適当ではないというふうに考えておるわけでございます。で、そのために、昭和四十六年の六月にすでに食品と医薬品の判定基準というような意味での通牒を、かなり詳しい指導通牒を出しておりまして、そういったものに基づいて、あまりこれ度が過ぎますと、無許可の、あるいは無承認の医薬品として薬事法に触れるおそれがあるということを徹底いたしまして、そういった誤解のないように、食品は食品として正しく摂取されるように、医薬品は医薬品として正しく販売、使用されるようにというようなことで、関係各局とも話し合いをいたしまして、取り締まり、指導をいたしておるところでございます。
  91. 須原昭二

    ○須原昭二君 一応問題意識を持っておられる。同時にまた後ほどお尋ねしますが、四十六年の六月一日でしたね、この通達を出された。この点もよくわかっております。その質問はあと回しにして当面お尋ねをいたしたいことは、これらいわゆる健康食品あるいはまた自然食品というものを、いまメーカーがたくさんあるわけですが、現在何社あるのか。そしてその代理店はどれだけあって、そして生産、販売をされている健康食品、いわゆる自然食品というものが何種類あるのかぐらいは調査されていますか。
  92. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) 薬務局といたしましては、いま申し上げましたように医薬品に類する形のものを薬事監視の面で取り締まるという段階でございますので、そういった全体的な調査はいたしておりません。
  93. 須原昭二

    ○須原昭二君 その点は通達によってその該当するものだけでありますが、いわゆる食品というものの担当所管といいますと、公衆衛生の栄養課、あるいはまた食品衛生課、そういう方面の所管ではないかと思いますが、そのほうで御調査になったきらいがありますか。
  94. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 私ども健康食品の概念が、まだいろいろ確定したものがつかめませんので、健康食品の製造メーカーの数とかあるいは代理販売店の数というのは非常に把握が困難でございます。一応私どもで現在製造メーカーとしては約七十社ぐらいあるというふうに踏んでおる次第でございます。
  95. 須原昭二

    ○須原昭二君 七十社ぐらいあるという御答弁なのでございますが、公取でも調査をしたときは百四十四社調べているわけです。私の手元には二百何十社あるわけです。その健康食品あるいはまたいわゆる自然食品等々といわれておる食品の製造品目はまさに私は二、三千あるのではないかと概数をつかんでおります。このようにべらぼうにたくさんふえてきておるわけです。  そこで、ひとつ具体的に個々の問題点に入りたいと思いますが、厚生省は四十六年の六月一日、先ほどおっしゃいましたように、医薬品と食品の類似品取り締まりの薬務局長通達ですか、これを出されました。ここに私、持ってきておりますが、「昨今、その本質、形状、表示された効能効果、用法用量等から判断して医薬品とみなされるべき物が、食品の名目のもとに製造(輸入を含む。)販売されている事例が少なからずみうけられている。かかる製品は、薬事法上医薬品として、その製造、販売、品質、表示、広告等について必要な規制を受けるべきものであるにもかかわらず、食品の名目で製造販売されているため」云々と、こうずっと明確にうたわれております。しかし、現実に私も県会議員をやった経験がございますが、その後、都道府県におけるところでは目に余る、いわゆる通報されて、通報された者については多少摘発をし、これを問題にしておる程度であって、実は全体がいま何社つくっておるのか、どれだけの品目が出ておるかも概数がつかまれておらない現況では、ほとんど手がつけられてない状態であります。全国で医薬品まがいのものを摘発する、その他薬事行政の取り締まりに当たっているところの薬事監視員はわずか二千二百名です。しかもこれらの監視員の皆さんはいわゆる薬局あるいは薬種商あるいは診療所等々の薬事関係に直接法的に資格を持った人たちがやっている業者だけを、担当者だけを調べておる、こういう現況になっているわけでありまして、一般百貨店あるいはスーパーあるいはまた一般の食料販売店までは目が届かないのが現状です。そうすると、言うならば、直接食品を扱っておるところの食品衛生監視員ですか、それが監視をするのは当然の私は責務であるといわなければならないわけですけれども、その点が適切にいっておりません。特に私この際お尋ねをいたしておきたいと思いますが、もともと食品ということであるならば環境衛生局なり、環境衛生局の食品衛生課、または公衆衛生局の栄養課が立ち入りをするとか、当面該当すると私は思うんです。直接食品を取り締まっておるのは私は公衆衛生局なのか、あるいは環境衛生局なのか、どちらが取り締まっているのですか。どこの担当が取り締まるのですか、食品というもの、これをお尋ねしておきたい。
  96. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) これは各都道府県知事にその権限が委譲してございますが、国といたしましても、責任は環境衛生局の食品衛生課がこれが取り締まりを行なっておるわけでございます。現在、この食品衛生監視員、五千九百十名というような、これは各府県に配置されている食品衛生監視員でございますが、これらの職員をもちまして食品の衛生上の監視、取り締まりを実施いたしております。
  97. 須原昭二

    ○須原昭二君 いまの認識と私が現地でつかんでおる情勢とは違うわけです。たとえば食品衛生課が、いわゆる監視員が五千九百十名ですか、おる、だからこれが担当しておるんだとおっしゃいますけれども、実はこれは衛生監視員の皆さんは施設の衛生面だけを監視するのであって、そこで何が売られようが、その品物に対してはノータッチなんだ。だから現実にこれを取り締まるというのはどこのところでやるんですか。あなたのところで取り締まるとおっしゃいますけれども現地では衛生面だけですよ。施設の衛生面だけを取り締まっている中で、そこで売られているものについては何もタッチしでないんではないですか。
  98. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) いわゆる健康食品とか自然食品の問題につきましては、私どもの公衆衛生局の所管にも栄養審議会というのがございまして、先生御指摘のとおり、このものについてはややもすれば消費者を惑わしがちになる、何か対策を講じなさいということで昨年の十二月二十日に厚生大臣あての御指摘の答申をいただいております。ただ、これを受けます私どもの現在の法体系といたしましては、一つは栄養改善法というものが考えられるわけでございますが、ただ栄養改善法の現行のワク内では、やはり栄養改善法というのは先生御案内のとおり、標示をさせて一方において推奨するし、標示のないものについては取り締まると、目的がそういうことからきておりまして、健康食品の許可とかあるいは取り締まりには直ちに栄養改善法の発動が非常に困難である。もう一つは、公正取引委員会のいわゆる独占禁止法の不当表示に当たるかどうかという問題もございまして、公正取引委員会とも現在いろいろ協議中でございますが、どうもやはり直ちにいわゆる独占禁止法の不当表示に当たるかどうかということも非常に判断がむずかしいと、かようなところから率直に申し上げまして、現在それを取り締まるきめ手になる法体系がないというのが現状かと思う次第でございます。
  99. 須原昭二

    ○須原昭二君 御案内のとおり、いま大臣聞いておっていただいてよくおわかりだと思いますがね。環境衛生局食品衛生課だと言われる印象もあるし、いまお話を聞くとまた栄養課へ入ってきました。私は栄養課のいま所管はすでに御案内のとおり、政府が標示認可をしました特殊栄養食品いわゆる強化食品だとか特別用途食品、ことしの一月からですか、病人用の単一食品あるいは病人用の組み合わせ食品、こうした標示の許可を与えたものだけを実は栄養課が所管をしているだけであって、その他もろもろにあるところの私はこのいわゆる健康食品いわゆる自然食品、いろいろ名前がついていますからいわゆるという総括的に申し上げているのですが、これは全然所管をしているところはないんですよ。お二人とも意見が違っているじゃないですか。この際厚生大臣に確認をしていただきたいことがあるんですが、こういう町にあふれていま大衆の目をごまかしている商品がたくさんある。徹底的にひとつ所管をきめて対応されるように、行政的に、まずもってひとつ確認をしてお願いしておきたいと思いますが、いかがですか。
  100. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) この食品に対する厚生省の所管の分野は衛生面の取り締まりの面が厚生行政の所管にあるわけでございます。したがって、そういう純粋の食べものですね、食べものをつくる、どこの所管といって、まあ農林省じゃございませんでしょうか、お菓子をつくったり食事をつくったり。厚生省はこれはもう衛生の面だけです、厚生省というものは。医薬品については生産販売すべてを所管をいたしております。食べものというもの、これは農林省の所管じゃございませんか、私はそんなふうに考えておりましたが。
  101. 須原昭二

    ○須原昭二君 しかし、それは私は厚生大臣の御答弁というのは非常にびっくりしますよ。衛生面じゃなくてからだの中へ入っていくものですから、当然これは厚生省の所管事項だと私は思います。この点はいま大臣も認識ないんですからこの際討論をしておっても始まりません。ぜひともひとつ厚生大臣は、そんな農林省だ、わしは知らぬというようなことを言ってもらっちゃたいへんなことですから――この点は私は厚生省だと思います。この点はひとつ部内で統一をして統一見解を何らかの機会に明らかにしていただきたい、こう思います。  そこで私は、いわゆる健康食品いわゆる自然食品、こういうことで言っておりますが、実はこの品物をずっと見てまいりますと健康食品あり、自然食品あり、美容食品あり、スタミナ食品あり、それから強壮強精食品あり、天然食品、はてはこれ(現物を示す)に至っては食生活改善食品というむずかしい名前がついている。さらにこちらを見ますると、流体食品とある。流体食品て何ですか、これ。その表現がさらに具体的になりますと、純正、純粋、健全、滋養、さまざまの形容詞が使われておる。その使用者が、名前の使用が製造メーカーによってまちまちで、必ずしも十分に統一されていない。しかも、販売するところもまたまちまちで、デパートで売ってれば、スーパーがある、一般食料品店である、お菓子屋さんまであるというような現状です。このような現状では、これら表示によって一般消費者の誤解を招くおそれは多分にあると言わなければなりません。さらに、購入する消費者の立場に立つと、不当な誘引力――引っぱり寄せる力――誘引力を働かせておるという疑念を持たざるを得ない。この名称の使い方について厚生省はどうお考えになっておるのか。規制される意思あるのかどうか。まず感じだけでけっこうですからどうかおっしゃっていただきたいと思いますね。
  102. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほど私率直に、法律的な関連として申し上げたんですが、厚生省は御承知のように、衛生取り締まり、栄養、そういうものが私のほうの所管でございます。これは間違いなくそのとおりなんです。ところが、ものの実態というものの取り締まりはどこかというと、農林省なり、魚ならば水産庁、こういうことになりますね。しかし、いまお述べになりましたように、何か医薬品にまぎらわしいような名前を使うと厚生省の所管の医薬品なり医薬部外品とまぎらわしい、こういうことになるわけでございます。医薬品と医薬部外品はまさしく厚生省所管の仕事でございます。したがって、まぎらわしい名前を使って、しかも厚生省の手のつかないところでまぎらわしい名前を使って売るということは、厚生省から言わしまするならば、まことに好ましくない、さように考えております。好ましくないんですが、それじゃそういう取り締まる法律があるかというと、医薬品または医薬部外品というものになるならば、これは厚生省所管で厳重に取り締まりができるわけです。それが衛生的におかしいものがあれば取り締まることができる、こういうふうになるんじゃないかと思いますが、いやしくも普通の食品、食べものについて、栄養だとか、何とか強力だとか、へんちくりんな名前を使うことは私は好ましいことではない、まぎらわしいことはなはだしいものがある、かように考えております。
  103. 須原昭二

    ○須原昭二君 厚生大臣ね、農林省だ、厚生省だというぶつけ合い――大体官僚機構というものは自分のところへ権限を集めるものですが、こういうことになると、あちらだ、こちらだと言って逃げられる可能性があります。だから、この点は明確に早い機会にきちんとしていただきたい。  そこで、この天然、自然といわれる表示について、不当景品類及び不当表示防止法にかかわる容疑ありとして、四十七年九月ごろ表示について実態調査を公取委員会がやられたと私は聞いております。そうですか。
  104. 後藤英輔

    政府委員(後藤英輔君) 食品等の表示につきまして、天然、自然とか、それから健康にいいとかいうような表示が非常に多くなっているという申告が公取のほうに直接参っておりますし、また都道府県等からもたくさん参っております。たとえば牛乳とかハチみつといったような、公正取引規約というルールを持っている業界から、具体的なケースについての表示の是非についての問い合わせがございますので、公取としてその実態を調査しておりますが、ただ公取といたしましても、特定の牛乳とかあるいはまたハチみつとかいう業界だけの問題ではなく、これは一般の食品について一般に見られる問題のある表示であるということで、全体について品質が優良であるということで一般消費者に実際とは違うような誤認を与えるおそれのある問題として、現在ほかの食品についても調査をいろんな形でもってしておるという実情でございます。一番最近では、ことしの三月十九日の日に百点ほどのものを買いまして、それを消費者とかあるいは関係業者、学識経験者に集まってもらってその実態についてのいろいろ御意見を承って報告を受けたという状態でございます。
  105. 須原昭二

    ○須原昭二君 この調査にあたって若干お尋ねしておきたいんですが、これは百四十四社のメーカーに対してアンケート方式で調査をされた。どんな調査をされましたか。
  106. 後藤英輔

    政府委員(後藤英輔君) 四十七年の九月に関係業者にアンケートを出しまして、そういう表示を使っている場合の実例等につきまして、またそれを使った根拠等について調査を行なったというふうに聞いておりますけれども、具体的にその内容については実はいま承知いたしておりませんです。むしろもっと広い立場でもってということで事例を幾つか集めておりまして、そしてそれに基づいて消費者、関係業者あるいはまた学識経験者その他の方の御意見を承るということで、試買検査会を中心にしていま調査をしているということでございます。
  107. 須原昭二

    ○須原昭二君 そのアンケートの項目は、1原材料、2食品添加物、3天然等の表示を用いている理由、4加工の程度、加工方式、5原料を精選している場合の精選基準、6食品の「天然」等の表示に関する同社の一般的基準、この六点だと私は聞いております。その内容はいまつまびらかにならないということはよく承知いたしましょう。  ところで調査み結果についてですが、当時私がお尋ねしたときも、公表する段階ではないと、当時明らかにされませんでした。結果はもう出ておりますから公表してもよいと思うんですが、どうでしょうか。これが一つ。  さらに、その後の方針として、当時、昨年の一月ごろであったと思いますが、景表指導課長さんが、「天然」などの食品表示に関する一般的基準を設け、一般消費者がこれら食品を適正に選択することができるようにしたい、そういうことでやったんだ、一般的な基準を設けるかどうかは今後の問題点である、こう言って問題を自後に残しているわけです。それからすでに一年二カ月たっている。この一年経過をして一体どうなったのか、結論は。さらに公取委員会はこの調査をして何を得たか、調査の結果どういう結果を得たのか、どういう収穫があったのか。その点を三点にわたって御説明願いたいと思います。
  108. 後藤英輔

    政府委員(後藤英輔君) 四十七年九月のアンケートの調査によりまして、そういう実態についてのある程度の認識を持ったのであろうと思います。ただその問題は、その後たとえば牛乳あるいはまたハチみつとかいうような具体的な業界の問題についてだけ検討いたしてまいりましても非常にむずかしいいろいろな問題があるということがわかってまいりまして、それらのところを検討して詰めてまいっている段階でございまして、一応こちらのほうとして、どの程度の考え方としてまとめたところでもって業界あるいはまた一般消費者の方の受け取り方、これは業界のほうの意図するところと、一般消費者が一体それについてどういうふうな受け取り方をしているだろうかというような、表示についての誤認の程度、され方というものも見なければならないということで、業者サイドだけではなく、消費者のほうからのやっぱり意識調査というものもしなくてはならないというような点など、いろいろむずかしい問題が出てまいったものでございますので、まず私ども考え方をどういうふうにしてまとめるかというところをいま中心にして案を早く練らなければいかぬということでございまして、非常におくれているというふうな御指摘でございますけれども、まあ公取委でも人手が足りない足りないということを申しますけれども、実はわずかに五名ほどの人間でもって三十近い表示についての規約の指導等をやっておるというような実情でありますので、一生懸命やっていることは一生懸命やっておるんでございますけれども、いまのところは案をどうつくるかということで幾つかの問題にしぼってという状況でございます。
  109. 須原昭二

    ○須原昭二君 どうも内容がつまびらかになりません。この問題ばかりやってますと時間がなくなってしまいますから、この際委員長を通じお願いしておきたいんですが、その調査の結果について一応出ておったらそれを出してもらいたい。今後の方針の問題についてはまだ検討中だということですから、この点はお許しをしても、調査の結果だけはわかっているはずですから、この総括だけはひとつ出して、資料として出していただきたい。これはお願いしておきます。  そこで、前にも述べましたように、大衆保健薬の有効性をめぐって大きな世論が喚起をされ、批判が起こり、薬効の洗い直しが計画化されて、医薬品として新しく製造認可を受けるときには非常にきびしくなっております。この点は薬務局の努力に対して私は敬意を払います。しかし、そういう、ひょうたんの話じゃございませんが、片方押えたら片方がふくらんできたというのが、これが実態なんです。メーカーはいまや健康食品を、むずかしい基準を使って申請を、新しい薬品を出すよりも、こういう健康食品だとか自然食品のようなものを開発をするというそういう方向へウエートがぐっと移行しているという、いわゆる健康食品ブームというものが起きているわけです。こういう私は感じを非常に強くしているわけですが、薬務局はどういう認識を持っておられますか、そのように感じられませんか。
  110. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) 確かに御指摘のように医薬品の審査の基準というもの、これは一つはその薬効がはたして効能書きどおりであるかどうかということと、もう一つは、副作用の問題が非常に問題になりましたために、両方の面から洗い直しをいたしますと同時に、四十二年に新しい基本方針をつくりまして審査を厳重にいたしております。そういうことで医薬品が非常に承認がむずかしくなったということは事実であろうと存じます。そういうことに起因いたしまして今度はそれがそういういわば脱法的と申しますか、それにまぎらわしい食品が出てくる。そういうことは非常に適当ではございませんので、先ほど申し上げましたような通知を出しまして取り締まりをいたしておるところでございますが、本来食品と医薬品とはかなり本質、使命を異にするものであろうと思います。そういう意味でそういうかっこうの食品が出るということはあまり食品としても適当ではないので、やはりこれは先ほど御指摘のようなそれぞれの面における指導というものをきちっといたしまして、せっかくまあ有効な食品があればそれはそれとしての使命を発揮させるという指導を今後なさなきゃならぬのではないか、そのように考えております。
  111. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  112. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 速記を起こして。
  113. 須原昭二

    ○須原昭二君 そこで特に最近医薬品まがいの食品がいわゆる製造基準もなく自由に生産でき、しかも表示基準もなく自由に販売できる、ここに一つ問題点があるわけです。そこでまず食品とは何か、いま薬務局長がおっしゃるように食品とは何か、薬品とは何かということを問い直すべき私は段階に来ておると思う。食品と薬品との区別をどう考えるかということについてはすでに薬務局長の通達によって四十六年六月一日に出されております。これによりますと、剤型、形状によって区別する、あるいは効能効果が表示してあるかないかによって区別する、あるいは用法用量をうたわなければいいと、こういう境界線が一応暫定的だと思いますけれども、一応通達として出ております。剤型、形状によって区別する、たとえば品質を保全するために錠剤にする、あるいはまたカプセル化する、これはよいのかどうか。あるいは効能効果を表示しなければいい、そうすれば表示はしないけれども、販売をするときに口頭で、口でこれはこれにききますよと言うのもいいのか。ここに問題が出てくる。用法用量をうたわなければいいというならば、これまた印刷や表示にはしないけれども、実は口で言うならばいいのか。こういう問題点が出てくるわけです。後ほど私は販売姿勢の問題について具体的にお尋ねいたしますが、こういう一つ問題点があるわけです。ここが問題点。ここが業者なりメーカーなりあるいは販売店の抜け穴なんです。  私はこの際、私も実は薬剤師の免許を持っておりますけれども、あまり実務はやっておりません。ですからここに(現物を示す)たくさん袋に入れて持ってきたわけですが、一ぺん薬務局長でも公衆衛生局長でもけっこうですから、この中に二つ薬がありますから、一ぺん選んでください、これ。わかりますか、これ。選んでください。当然しろうとだったらわからないですよ。ここに薬と食品の一番むずかしい問題がある。それをルーズにしておくからこういうことになる。そこにシールが張ってありますから、番号を言ってください、どの番号とどの番号と。二つ医薬品が入っていますよ。
  114. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) これは先生御承知のように、医薬品の定義の中には、その本質と同時に、使用目的あるいは表示によりまして医薬品として薬事法の規制を受けるものとそうでないものとあるわけでございます。したがいましてこういう剤型だけで医薬品であるかどうかということを判断することはいまの法律のたてまえからはできないわけでございまして、これはやはり表示がついておりませんとちょっと判断がいたしかねるのじゃないかと思います。
  115. 須原昭二

    ○須原昭二君 そこが問題なんだ。一般の消費者から見ればこれは薬だと思うよ。それを思わせるところにこういうメーカー、企業が出てくるわけなんです。そういう点をはっきりさせなければいけません。ですからひとつ、これは具体的に私は一つずつあげていきましょう。  そこに一番に書いてありますから見てください。「コンフリー粒」と書いてありますね。この中をずっと見てまいりますと、「世界一の長寿国として」云々という好ましくない表現になっております。これ飲めば長生きできると一般消費者が思うのはあたりまえのことですよ。剤型も錠剤になっている。だから当然そういう気持ちになるでしょうが。  七番目、「磐石」というやつがある。これまた説明書には「寿命が延びる」など、こう書いてある。これは消費者がこれ飲むと長生きできると思うですよ、これ。  十三番、「無量寿」というやつがある。「長寿」とか、「血圧が下がります」というような薬効表示がある。これを見れば医薬品だと思うでしょう。  十五番、「ササグリンK」、説明書には「心臓不全にきく」など薬効表示が厳然とある。  このように薬効表不があるものは、好ましからざるそれらしい表示にするものは、医薬品と見られがちですよ。これこそ無許可医薬品の最たるものであるといわなければなりません。断わっておきますが、これは私が二、三日かかって百貨店とスーパーの中を見て買ってきたものです。もっと私の目にとどまらなかったたくさんのものがあると思うのです。  形状、剤型が薬に似ているもの、ケンゾール、ナンバー六――錠剤化されている。これが医薬品でないと思われますか。だれしもこれを見て――つや出しがなされている、六番です。こんなふうになっているものを、つや出しされたようなものが、これで食品と思いますか。  スーパーアルギット、これはナンバー十二です。これも剤型がみんな錠剤ですよ、出してみてもこんなものですよ。――これは食品ですか。  さらに、ナンバー八になります。ヘリクロゲン、成分表がついていますよ。ちょっとこまかい字が書いてありますが、いろいろなビタミン、B1だとかB6だとかB2、これを見ればしろうとは薬だと思うでしょう。一方的な表示ですよ。客観的にこの品物の中の成分が確認されたわけではないわけです。一般消費者がこの表示を信頼をして、もし成分がないとしたならば、だれが責任を持つんですか。さらに私はもっとひどいやつを言いましょう。これ二千五百円もしましたけれども、大枚払って購入してきました。シーコン。何かシイタケの菌糸体から抽出したそうでありますが、特許を申請中だとか書いてある。こちらを見ると「食生活改善食品」と書いてある。むずかしいことばを書いてある。横を見ると「清涼飲料水」と書いてある。うしろを見たら成分表が書いてある。しかも、私がこれを買ったらこれを張ってくれました。バナナのたたき売りではございませんけれどもね。――これは目盛りのシールが別にあるんです。行ったらわざわざ張ってくれましたよ、めくってね。余分にくれと言ってもらってきました。こうやって張るんですよ。そうすると目盛りが用量をうまく示す。もう一つ青い紙をくれました。ここに全部薬効が書いてある。「飲み方とその時間」、アレルギー体質の人、頭痛、肝臓病あるいは糖尿病、二日酔いの人、かいようの方、不眠症の方、みんな書いてある。このものだけだったら食品になるかもわかりません、あなたの基準から言うならば。口頭なり別の文書であれば、本体に表示がなければこれを食品というんですか。これ二千五百円です。もっと、健康食品の横綱と言われているところのローヤルゼリー、ここに森永のやつを持ってきております。去年これ買ったやつで、しまってあったわけです。三十錠入りですよ。去年の十月ごろ――もうまた値段が上がっているでしょうけれども、三十錠入り四千円です。私はこの間、一月に中国へ行きまして、あちらでローヤルゼリーを買ってきました。五十錠入っています、五十錠。一ぺん念のために大臣よく聞いておいてください。この中国製の蜂皇精という五十錠入りのこのローヤルゼリー幾らですか――一元三角五分、レート一元が百四十八円でありますから、五十カプセル百九十九円八十銭です。一つのカプセルが四円ですよ、これ四円。日本のものは三十カプセル四千円、一カプセル百三十四円になる。三十倍も四十倍も値段がする。高けりゃよくきくものというものじゃないんですよ。ここに中国の領収書までちゃんと持ってきています。こういう状態ではどれが薬なのかどれが食品なのか、一般大衆はわかりませんよ。ますます薬の信頼性をなくしていく根源だといわなければならない。  朝鮮ニンジン、実はこれは一万円も二万円もするものですから私ちょっと金がなくて買ってきませんでした。よく、島根県、福島県、長野でつくられたニンジンを韓国へ送って、韓国でレッテルをつけて高麗ニンジンとして再輸入されている、そういう事実御存じないですか、どうですか。
  116. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) 薬務局の分掌といたしましては、輸入します段階で医薬品に当たるものは医薬品としての取り締まりをいたしておりますが、御指摘の高麗ニンジンは食品として輸入されておるものも相当ございまして、かつそれがどこで栽培されておるかというところまでは確認いたしておりませんので、御指摘のような事情は存じません。
  117. 須原昭二

    ○須原昭二君 それをきょうはお尋ねするということじゃなくて、一ぺん調査してください。こういうことであってはいけないということです。特に私は専門的な立場から申し上げますが、原形――朝鮮ニンジンの原形になったものが日本薬局方の表示をしたものと食品と表示をしたものとが二つある、御存じでしょう。一般消費者から見たら、日本薬局方と書いてあろうが、食品と書いてあろうとわかりませんよ、これ。取り締まり、どうされていますか、これ。片一方は日本薬局方と書いてある、片一方は食品です、こういうことがありますか、原形です。粉末にしたらまだいい。まだそれは弁護の余地があるでしょう、言いわけがあるでしょう。あの根のようなニンジンの原形のものを箱へ入れて片一方は日本薬局方、片方は食品、こういうアンバランスが認められますか。
  118. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) 医薬品の定義は先ほど申し上げたような内容ものでございますので、ものによりましては全く同じ性質のものが局方として表示され、医療用に使われます場合には医薬品になり、それ以外の目的に使われる場合にはあるいは食品になり、工業薬品になるというような例はほかにもあるわけでございます。たとえば重曹とかあるいは医療用酸素などはこれ局方の医薬品でございますが、同時にほかの用途にも相当使われておるというような事情もございまして、一がいに同じもので両様の表示があるから不当であるということは申しにくいわけでございますが、ただ御指摘の高麗ニンジンにつきましては、確かに国民の一般的な感情といたしまして、非常にその薬効を期待しておる要素が大きいという意味で在そういう間違いのない指導をするということは必要であろうと存じます。ただ反面、先ほど申し上げましたように、韓国の当局者に聞きましても、現在日本に輸入されております高麗ニンジンにつきましては、医療用というよりもむしろ一般強精食と申しますか、食品として輸入されておるケースが多いわけでございまして、国民の受け取り方といたしましても、相当いわゆる保健食、強精食というような形で受け取られておる面もございますので、一がいに高麗ニンジンはすべて医薬品でなければいかぬということも申しにくいかと存じますが、御指摘のような表示あるいは販売形態、そういったものを総合いたしまして、医薬品として受け取られる疑いが強いと、おそれが強いというようなものにつきましては、薬事法による取り締まりをしなければならないと考えております。
  119. 須原昭二

    ○須原昭二君 そういう点は、これはあくまでも行政の立場でものを言うんじゃなくて、やはり一般消費者が迷惑のかからないように、誘引力が起こらないように、まぎらわしくないように、そういう一般大衆の立場から、視野に立ってものをひとつ判断をして、適切な処置をしてもらたい。  特に私はこの際苦言を呈しておきたいと思うんですが、販売姿勢が特にまた悪いんです。たとえば高麗ニンジン及びこれを主体としたニンジン茶なんか非常にたくさん出ておるわけです、ニンジン製剤が。百貨店の健康食品コーナーへ参りますと、まあチョコリというんですか、チマというんですか、民族衣装をつけて女性が推奨しているわけです。ぼくはこの間、あなた、これどうききますかと聞いたら、これはこれでききますということをさわやかな日本語を使うものですから、あなた韓国人ですかと言ったら、いや、私はここの店員で、一週間前からこちらへ回って、これを着て売れというから売っておりますと、こんな調子ですよ。食品で、たとえば健康食品あるいは自然食品のコーナーへ行くと白衣を着ていますよ、女性は。そして、口上で、効能効果は書いてないけれども、実はこれはこういうふうにききますよと言って実は売っている。この白衣というものが一般大衆から見た場合に、まあ薬剤師か、あるいはお医者さんとは思わないでしょうけれども、この白衣というのは非常に消費者から見れば私は魔力がある。その女の子も、一カ月前は小間物の売り場におったものが先月からは実は白衣を着てこの健康食品を売っているというようなこの販売姿勢、この点を見れば、一般大衆はどこが薬なのか、どこが食品なのか、これはわからなくなるのはあたりまえのことですよ。幸いにして私は薬に多少の関心を持っておりますからわかりますけれども、一般の人ではわかりませんよ。ここにいかに薬効洗い直しをやろうとも、薬に対する信頼感はますます下がっていくといわなければならないわけです。したがって、これらこの悪質な商品の横行、とりわけこの商品の販売姿勢、こうしたものについて私は何とかしなければならないのではないか、そういうように思います。  いま御指摘を申し上げましたように、健康食品ブームに便乗した不正表示の食品、誇大広告の商品、無許可医薬品、科学的根拠の疑わしいものなど、ほんとうにたくさん横行をいたしておるわけで、今後これは取り締まらなければならない、規制を具体的にやっぱり実行しなければならないと思うんですが、こうした行政の無責任といいますか、放任の状態にかんがみて、実は昨年春でしたか、関西における健康食品メーカーが自主的に四社集まって、健康食品ベター、ビジネス、ビューローですか、健康食品BBB協会、こういうものが設立されたということを私は聞いております。これは自主的に商品を制定し、消費者の信頼を得てその普及をはかることを目的とされた協会だそうでありますが、商品制定にあたっても、これは日本分析センターですか、問題の。日本分析センターに検査を依頼して公正なデータを消費者に提供すること、こうして実施をしている。まあ問題の日本分析センターの権威も落ちましたけれども、これは信頼できるできないはともかくとして、こうした規制は民間ではとうてい私は現状では不可能だと思う。品質がよいのか悪いのか、ほんとうに主成分が入っているのか入っていないのか、その成分が有効であるかどうか、内容は見ただけで外から見えないもの、いわゆるこれらの問題は非明示性物質、外からものの本質がわからない物質です。さらに加えて、これらのものはすべて有機物です。空間におけるところの湿度、この高低、直射日光が当たっているか当たっていないのか、日光の光のあるなし、温度の上がっている下がっている、いわゆる温度の高低によって、時がたつに従って、その主成分はあるいは栄養分なりというものは変化をするものです。専門語で言うならば、いわゆる経時変化をするということなんです。三年前に仕入れたものでも陳列して置けば売れるという世の中ではならぬと思う。どこで売ってもいいというものではないわけです。ものによっては暖房のコーナーで売っておったら、これはたいへんなことなんです。またたく間にこの内容の成分というものは変質をするもんです。これら健康食品は、表示を明確にするとともに、製造は少なくとも登録制にするとか、製品は許可制にするとか、こういうことが私は必要ではないかと実は思うのです。ドイツはこれら健康食品が非常に盛んなところだと私は聞いておりますが、ドイツでも、健康食品は自然食品――人工を加えない食品、あるいは特殊用途食品、オーガニック食品、この三つに分類をきちんと法的にきめておる。法的にきめておる。そうして、法律によって各州で資格試験を行なって、営業権すなわち製造も販売も資格を与えて、そして取り締まっている。これは、ドイツがやっていることが日本でできないはずがないわけです。まあむずかしいからといって放置しているところに、どんどんどんどんこの品物がふえていくわけです。何としてもこれは処理していただかなければならないわけで、この際、私はあまたの問題を申し上げるよりも、いろいろ言ってもむずかしいような顔をしておられますから、ひとつ厚生省はこれら製造、流通、販売の規制なり、基準なり、早急に設定をし、はっきりと健康食品なら健康食品の表示を規定して、一般消費者に、的確に、誤解のないように渡すべき秩序ある体制に持っていくのが当然ではないのか。これは農林省だとか、あるいは厚生省だとかいうようなむずかしい問題になると、よその所管にぶっつけておくというわけではなくして、当然、医薬品と類似的に思われるような食品という立場からいっても、厚生省自体が直ちに手を入れ、行政をしっかりと秩序あるものにするべきだと私は思うんですけれども、まあ厚生大臣、各局長に聞いても、これはなかなかむずかしいことですから、厚生大臣の所見を承って、決意のほどをひとつ最後に承っておきたいと思います。どうですか。
  120. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほど来の御意見を承りまして、私もいまいろいろなものを見せられましたが、これがどうも医薬品でないというのも実際私はおかしいと思う。私らしろうとだと、これは(現物を示す)医薬品だと思いますね。医薬品だと思います。これなどは(現物を示す)まさしく医薬品だ。何か、きさそうな感じがするわけでございます。ですから、私はもし――そういう健康食品という概念なんですが、医薬品というものとははっきりけじめをつけるということがやっぱり一番大事だと思うのです。医薬品でないものが医薬品まがいの名称を使う、効能なり形状なり、そういうものを使わせるということはやっぱり適当でない。適当でない。私はそう思います。  それと同時に、最近、特に薬効の再審査というようなことで、委員会をつくってやかましく言うておりますから、まあそういう現実的に健康食品が発生してくる社会的な事象もこれは認めると。認めるならば、それらしい規制を考えるというのが私は適当じゃないかと、こう思います。しかし、いまの法律体系からいえば、これは、またことばを返すようでございますが、こういうものは、食品は、それはほんとうをいうと農林省なんです。こちらは衛生上必要があるかないかの取り締まりをやる。バターでも、チーズでも、牛乳でも、ミルクでも、同じなんです、これはやっぱり。それは衛生の取り締まりがこちらなんです。ですけれども、どうも医薬品にまぎらわしいものがたくさん出ているという社会的事象をとらまえて、まぎらわしいということは好ましくないという観点から、やっぱり何らかの規制の措置は講じていく必要があるんじゃないか。こう、私はしろうとですよ、私、しろうとですが、そう思います。これは(現物を示す)薬であるかないか聞かれたら、私は薬だと答えます。これは(現物を示す)医薬品だと思います。それが医薬品でない、法の規制がない、野放しだ、自然放任で投げておかれるという姿は、これは好ましくない。国民はこれを(現物を示す)医薬品だと思って買っていると思うんです。長生きするなんといったら特に喜んで買うだろうと思う。こういうわけでございますから、私はやっぱり野放しになっておる姿は適当ではないんです。そこでこれが一片の薬務局長の通牒によってやろうといったって、医薬品じゃありませんとこう言えば、薬務局長一言もないんです、これ、一言もないんです。これは私は農林省のほうの所管ですから、そちらのほうの表示法でやりましょう、こう言われれば……
  121. 須原昭二

    ○須原昭二君 農林省の所管じゃない。
  122. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) いや、同じなんです。ミルクでもあれでもみな同じなんです、これはやっぱり。というわけですから、医薬品とまぎらわしいものは好ましくないという観点に立って何らかの法的措置を講ずるということは、いまの社会的事象を踏まえて適当な御意見だと思いますから、そういう意味において今後そういう何か規制の措置が講じられるかどうか、至急に研究をいたします。
  123. 須原昭二

    ○須原昭二君 ひとつこれはさらにぴっしゃりとした答弁を要求をしたいんですが、いまの厚生大臣自身まだ農林省というような意識があるわけですが、そういうことではなくして、からだの中に入ってくるものですから、やはり厚生省として責任を持ってひとつ対処されたい、この点を特にお願いをいたしておきたいと思います。  そこで次は同じような問題点でありますが、今度は医療食の問題に入りたいと思います。医療食の問題については、従来厚生省は特殊栄養食品、こういう形で米、押し麦、小麦粉、食パン、ゆでめん、乾めん、即席めん、みそ、魚肉、ハム、ソーセージ、マーガリン、こういうものを特殊栄養食品として標示指定をされてきたらしいんですが、さらに特別用途食品として妊産婦授乳婦用粉乳、あるいは低ナトリウム食品、こういうものに限って標示が認められてまいりました。ことしの一月だったですか、私もあまり記憶がないんですが、病人用の単一食品として、たとえば高血圧、じん臓、心臓疾患などの患者用の低ナトリウム食品だとか、あるいは糖尿病、肥満症などのカロリー制限をすべき患者用の低カロリー食品、あるいはじん疾患などにおけるたん白質を制限すべき患者に対する低たん白食品、あるいは低(無)たん白質高カロリー食品、あるいは高たん白食品、あるいは無乳糖食品、あるいはアレルギー疾患用の食品、こういう病人用単一食品、あるいはまた、さらにそれに加えて病人用組み合わせ食品ですか、減塩食調製用組み合わせ食品、糖尿病食調製用組み合わせ食品、肝臓病食調製用組み合わせ食品、この三つがあるそうでありますが、計十食品が特別用途食品として標示することが認められることになった、こういうことを私は聞いておりますが、いわゆるこれら医療食についての販売の実情はどうなっていますか。
  124. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 昨年の十二月二十日に栄養審議会の御答申をいただきまして、実は従来から栄養改善法によりますと、先生の御指摘のとおり妊産婦あるいは乳児さらには病人用の特別用途食品につきましては、標示について厚生大臣の許可を受けると、こういう仕組みが従来からとられておりましたけれども、最近特に病人用の食事の問題につきましては、新たに混合をしたいわゆる、従来は低ナトリウムとか、あるいはアレルギー用というような単品だけの病人用の標示の許可制度がずっととられてきたわけでございますけれども、最近そういうものを組み合わせをした食品の出回るおそれが出てまいりましたので、私どもかねてから栄養審議会にいろいろ御審議をお願いしておりまして、   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕 御答申を得まして、ことしから新しく実施に移した次第でございます。なおその際に先生御指摘のとおり従来から許可をしておりました低ナトリウムとか、あるいはアレルギー用等につきましても新たに規格基準を改め直しまして、装いを一新いたしまして病人用の食品の標示許可に対処するようになった次第でございます。
  125. 須原昭二

    ○須原昭二君 そこで先ほどの健康食品あるいはまた自然食品と同じような傾向がまたここに出てくるわけです。一応先ほど羅列をいたしました問題点というのは、標示許可基準ができてあると思います。しかしこの基準から離れたたとえば母乳代替食品、つまり離乳食だとか幼児食――かん詰めベビーフード、乾燥ベビーフードですね、こういつたいわゆる乳幼児用食品、それから肥満予防を標示するいわゆる美容食品、美容栄養食品、それから健康維持を標示する胚芽製品、あるいはニンニクだとか、朝鮮ニンジンだとか、ローヤルゼリーだとか、酵素製品だとか、海草製品などの健康食品など、こういったものがいろいろ市販をされておるわけです。これらも行政的には掌握をされておらない。これについても製造、流通、品質の管理等については何ら規制の措置がなされておらない。そうでしょう。どうですか。
  126. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 御指摘のとおりでございます。
  127. 須原昭二

    ○須原昭二君 これまた農林省と言わないようにひとつお願いしておきたい。これら食品、特に医療食などの所管は私は厚生省だと思いますが、厚生省のどこですか。食品衛生課ですか、栄養課ですか。どちらですか。
  128. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) いわゆる狭義の病人用の医療食につきましては、現在、先ほど申し上げたように……
  129. 須原昭二

    ○須原昭二君 広義だとか狭義だとか言わぬでもいい。
  130. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 病人用のあれにつきましては私どもの公衆衛生局の所管の問題として考えております。そういう関係から、ことしの一月から規格基準を装いを改めまして、病人用の標示につきましては厳格な基準を適用して許可すべきものは許可する、無許可のものは今後取り締まっていくというような指導体制に持っていっておるような次第でございます。
  131. 須原昭二

    ○須原昭二君 その取り締まりをしていくと言われるけれども、町にあふれているのですね。申請するのだけは許可する許可しない、きめましょう、しかしかってにどんどん販売するやつはどうするのですか。その取り締まりはどこ――公衆衛生局だというのですが、栄養課ですか。
  132. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) ただ、狭義と先ほど申し上げましたのは、病人向けのものを規制の対象にしておりますが、いわゆる太り過ぎとか一般的な消費者向けにつきましては、現在のところ栄養改善法では先ほど申し上げましたとおり規制することは困難ではないかと思っておる次第でございます。
  133. 須原昭二

    ○須原昭二君 これまた先ほどの論議と一緒なんですよ。規制がむずかしいむずかしいということで逃避されておっては困るわけです。同じ問題です。  そこで私はこれもまた繰り返しになりますからこの点は避けてまいりたいと思うのですが、栄養課の機構、どうなっていますか。課長あるいは課長補佐、いろいろあると思いますけれども、その中の技官の配置どういうふうになっておりますか。
  134. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 現在栄養課は十一名で構成しておりまして、課長を含めて医師が二名、薬済師一名、栄養士三名の技術陣で構成されておる次第でございます。
  135. 須原昭二

    ○須原昭二君 栄養士三名というのは管理栄養士ですか、単なる栄養士ですか。
  136. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 三名とも管理栄養士でございます。
  137. 須原昭二

    ○須原昭二君 そこで先へ進みますが、医療食はさまざまの健康食品と同じようにデパート、スーパー、一般食料品店というように広く販売されています。特に医療食というような食品は、患者の健康に重大な影響を与えるものです。一般の食品と同じように販売されていることに問題が私はあると思う。低ナトリウムを使わなければならないものがナトリウム食品であってはならぬわけです。そういう食品の内容が特定の患者に適するかどうか、品質の変化などチェックされていますか。
  138. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 私どもたとえば低ナトリウム食品をとらえますと、御承知のとおり通常のものよりもナトリウムが五〇%以下のものを低ナトリウム食品として標示を許可することにしておりますが、私どもあるいは各都道府県を通じまして、必要によって品質検査の監視、指導をやっているような次第でございます。
  139. 須原昭二

    ○須原昭二君 ただデータだけ申請をして、そしておたくのほうが許可して標示させると、そういうことだけでしょう。出たら、出っぱなしでしょう。それであってほんとうのチェックができますか。そこですよ、私が言っているのは。その点はどうですか。
  140. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 各都道府県を指導はしておりますけれども、あるいは先生御指摘のとおり、十分そういう指導徹底が行なわれていない面は私ども率直に反省しております。
  141. 須原昭二

    ○須原昭二君 反省だけではいかぬねえ、反省したら前進するために施策をちゃんと変えていかなきゃ。特に製造時のチェック、流通段階でのチェックを行なう必要があると私は思います。医学的に、栄養学的にあるいは化学的なチェックが行なわれる必要があると思うのですけれども、現在の食品衛生法、現在の栄養改善法で十分これがチェックできると思いますか、どうですか。
  142. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 制度の仕組みあるいは私どもの運用といたしましては、許可する際には国立の衛生研究所で十分内容をチェックいたしまして、それから標示の許可をすることになっております。それから、標示をされたものは、内容をこういう内容であるということを各都道府県にそれぞれ指示をいたしまして、各都道府県におきましては、食品衛生監視員等を通じまして必要によって抜き取り検査をやっておりますので、あとは食品衛生監視員の人数の問題とかそういう問題はあると思いますけれども、体制としては一応チェックできる体制になっていると思っておる次第でございます。
  143. 須原昭二

    ○須原昭二君 それは品質の問題でしょう。使い方についてチェックができるかどうか、この点はできていない。そうでしょう。
  144. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 使い方につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。
  145. 須原昭二

    ○須原昭二君 そこでやはり私は、その流通段階における品質管理は、まあ抜き取り検査で、私は非常に微々たることだけれども一応やっていることにしましょう。しかしながら、患者に渡していく段階でチェックができるかといったら、これはもう出っぱなしであると。お認めのとおりです。  そこで、医療食というのは、医師の食事せんによってこれは患者に販売させるべきだと私は思います。百歩譲って医師の食事せんによらないものとしても、ただ先ほども朝鮮の民族衣装の話や白衣を着ただけの女性の販売店の話を申し上げましたけれども、、ただ単なるしろうとにこれを販売させることについて、私は非常に疑義がある。少なくとも医師の食事せんによらないにしても、あるいは薬済師だとかあるいは管理栄養士だとか、こういう専門家の監督または指導のもとで私、販売させるべきだと思いますが、その点はどうですか。
  146. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 病院に運ばれるものにつきましては医師の指導のもとにやっていることは御承知のとおりであると思います。
  147. 須原昭二

    ○須原昭二君 そのとおり。一般……
  148. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) ただ、市販のものにつきましては、やはりそれぞれの消費者の御判断によってこれはカルシウムがどれぐらいだというような御判断に、現在の制度、仕組みとしては仰ぐ以外にないんではないかと思う次第でございます。
  149. 須原昭二

    ○須原昭二君 だから、チェックできないから――チェックできないことをあなたもお認めになったんでしょう。お認めになったんだから、それを是正するためには管理栄養士だとか薬剤師だとか、そういうやはり専門家を通じて患者に渡していくというのがほんとうにあるべき姿ではないかと。まだ現在は制度化されておりませんけれども、それが理想的ではないかとお尋ねしているんですが、どうですか。
  150. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) それはまさしく先生のおっしゃるとおりだと思います。
  151. 須原昭二

    ○須原昭二君 それは薬剤師も入るんですか。
  152. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 薬剤師も入ると思います。
  153. 須原昭二

    ○須原昭二君 そこで、私は再度確認をしておきたいと思います。「特別用途食品の標示許可について」の厚生省公衆衛生局長通達、四十八年十二月二十六日衛発第七八一号によると、こう書いてあるんですね。食品群別許可基準の中、低カロリー食品、低たん白質食品、低(無)たん白質高カロリー食品、高たん白質食品、アレルギー疾患用食品、無乳糖食品などの食品群に対する必要的標示事項に――実はここに持ってきておりますが――「医師、栄養士等の相談指導を得て使用することが適当である旨」とありますけれども、いま、薬剤師も入れるべきだと言っておきながら、実はここでは書いてない。「等」という中に入るのかどうかということです。
  154. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 一応私どもは薬剤師あるいは保健婦というのは「等」の中に入っているという概念で整理しておる次第でございます。
  155. 須原昭二

    ○須原昭二君 これは標示義務でしょう。ですから、医療食なら医療食のこの中に標示が出てくるわけなんです。そこへ医師そして栄養士などというような、そんな指導のあり方がありますか。一般大衆が見て「等」とは何ですかと。このような行政的なような、部内で使っているような用語を標示事項の中に「等」と書くというのは何ごとですか。なぜ薬剤師なら薬剤師と入れませんか。もしそれが悪かったら改めることについて私は別にとやかく言うものじゃございません。だから、こういう医師だとかあるいは栄養士、これは必要でしょう。しかし、「等」というような文句で一般大衆が指導できますか。この「等」をはっきりさせるべきだと思うが、どうですか。
  156. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 実は通達を出しましたときにはやっぱり医師あるいはこの仕事に直接の関係の栄養士が中心だと思いまして、薬剤師等あるいは保健婦等にまで御迷惑をかけるのもどうかと思って、こういう形に整理したわけでございますけれども、御指摘の点につきましてはさっそく検討いたします。
  157. 須原昭二

    ○須原昭二君 検討するんですか。どういうことですか。
  158. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 検討して、改めていきたいと思っております。
  159. 須原昭二

    ○須原昭二君 では改めてもらって、やはり標示については一般大衆が疑念を持たないように、医師、薬剤師、栄養士、こういうようにはっきりとして、「等」というような抽象的な文句は使わないようにして、一般の患者の皆さんが誤解するようなことは避けてもらいたい。早急にその手だてをしていただきたいことを要望しておきます。   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕  次は乳幼児用食品です。乳幼児用食品の所管がこれまた、ないんですよ。いま厚生大臣がたまたまよく言われる、農林省農林省とおっしゃるんですけれども、病人用食品、医療食は厚生省がその監督所管をしているが、乳幼児用の食品はどの省が監督するのか、まだ明らかになっておりません。これはまた、聞くと厚生大臣は農林省だとおっしゃるかもわかりませんが、私はおかしいと思うんですね。ここら辺はどうかということをもう一ぺん、同じことをおっしゃるかもわかりませんけれども
  160. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 現在、一つの制度といたしましては、栄養改善法の中で乳幼児の特別の用途に食します食品につきましては、特別用途食品として許可制度がとられておりまして、無許可のものにつきましてはそれぞれ取り締まりをやると、こういう仕組みになっております。ただ、実は関係省局の所管に入るようでございますけれども、乳幼児の方につきましては、ただそういう表示をしただけでは必ずしも乳幼児それ自体の十分な栄養というような問題からまいりますと、消極的な面で、たとえば十分な成分が得られない、ミルク等が薄まりますと子供の生育発展にも問題があるというので、ミルクの面につきましては、関係省局のほうでもミルク関係の規格、成分がきめられておりまして、私どもの局と関係省局とで相まって指導をやっておるような次第でございます。
  161. 須原昭二

    ○須原昭二君 まあ、これは関係各省が集まって討議をされることはいいことですけれども、やはりその主たる責任の監督官庁、所管をぼくははっきりしていただかなければならない。今後これまた同じような問題点が出てくると思う。この点は厚生大臣はまあうなずいておられますから、ひとつ関係省と協議をして、主管の担当局課というものをやっぱり明確にしていただきたい。  そこで、私は、調整粉乳を主体とする母乳の代替食品、あるいはまた果実だとか、野菜だとか、肉だとか、卵だとか、これらを混合したいわゆるかん詰めベビーフード、あるいはまた粉末果汁だとか、パンがゆだとか、米がゆだとか、おもゆだとか、そういうものが入ったもの、あるいは野菜スープ、シロップ、混合した離乳食、いわゆる乾燥ベビーフード、こういうものがたくさんあるわけですね。これも健康食品、自然食品と同じように町にあふれてきておるわけです。こういうものをほかっておくと、またあの森永の砒素ミルク事件ではございませんが、どこでこういう問題が起きてくるかわからないわけですけれども、これも所管を明らかにして、現状をまず掌握されること。いま厚生省の段階でも乳幼児の食品、育児食の実態というものはおつかみになっておらないと思う。だからどういうメーカーがどういうものを出して、どれだけ市販をされているか、このぐらいのことは大要厚生省たるべきものはやはり掌握をしておかなきゃならない。担当課へ聞いても、実はそんなことわかりませんというのがお答えなんです。こういう現況であってはどんなに被害が出てくるかわかりません。厚生省はあの森永の砒素・ミルク事件で非常にお困りになって、あのような大きなエネルギーをさいて努力をされました。努力された経過については敬意を払いますが、またこういう問題が出てくるかもわかりません。だから所管を明らかにされると同時に、やはり乳幼児食品、育児食というものの品質規格がいかなる基準で定められているのか、これはいまはないんです。御答弁をいただく前に私は結論出していきますが、品質の規格も基準も何もきめられてないわけです。自由に製造して、自由に販売して、おかあさん方が知らず知らずそれをみんな使っているというのが現状なんです。この点は何らかの規制をしなければならない。現在の生産過程の規制は食品衛生法の中でどのように規定されているか、私も疑問です。もしあったら御指摘をいただきたい。ないでしょう。
  162. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) ベビーフード等につきましては、一般の食品と同じような取り扱いにしておることは先生御指摘のとおりでございまして、たとえばベビーフードのうちでもかん詰め等につきましてはかん詰め食品製造業として取り扱っております。
  163. 須原昭二

    ○須原昭二君 そこで、そのかん詰めと同じようだと言われるけれど、実はこれまた品質の変化、栄養の変化、いろいろ経時変化があるわけです。当然私はチェックしていかなきゃならない。それが全然チェックができない状態、全く無法の状態に置かれておる。したがって、これら将来のことにわたるかもわかりませんが、やはり製造の基準、品質の規格、それから流通の規制、先ほどの自然食品あるいは健康食品と同じように、しろうとが売るのではなくして、やはり資格者販売に切りかえていくような方途を考えなきゃならない段階にきてるんじゃないかと、そう私は思いますが、その点について厚生大臣どうでしょう。
  164. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほど来お述べになりましたいろいろな健康食品の問題、これは医薬品にまぎらわしいものは何とかしなくちゃならぬ、こういう観点からいけると思いますね。それから医療食の問題は栄養という面からある程度の規制がやっていこうと思えばいける。ところが問題はいまの乳幼児の問題でございます。まあ乳幼児の問題は非常に大事な問題でございますから、関係各省とも十分相談しながら、厚生省がむしろ乳幼児の健康を守り、栄養を増進せしめるという観点から、そういう規格なり、まあ食品衛生法によりますと取り締まりですから異物が混入してないかどうかということばかり調べるわけでございますから、そういうことじゃなしに、やっぱり乳幼児の栄養をどうやってふやしていくかという観点から、また農林省と言うとしかられるかもしれませんが、まあ関係各省と申し上げておきますが、関係各省と十分相談して何らかの措置をやっぱり講ずることが私は必要である、こういうふうに考えます。したがいましてこの問題はまあ児童家庭局なんかはほんとうに重大なる責任があるわけでございますから、まあどこの所管ということは別として、厚生省あげてよく緊密な連絡をとりながらひとつ努力をいたしてまいりたい、かように考えます。
  165. 須原昭二

    ○須原昭二君 要するに行政よりメーカーのほうが先行しちゃっているんですよ、いま、端的に言えば。ですから行政があとから追っかけていくんですよ。追っかけてひっつかますまでいきゃいいけれども、ひっつかまさる前に大きな被害が出たらこれたいへんなことなんですから、これは各関係省が寄り集まって相談をして、ネズミの相談のようにいつまでも延び延びにしておったらたいへんなことになると、こういうことできょうは警鐘を乱打しているわけです。したがって総括的にこの健康食品あるいは自然食品あるいは医療食の問題等々、総括的に言うならば、私は製造、管理、流通に至ってやはり資格のある者がっくり、資格のある者が管理をし、資格のある者が患者にあるいは一般に渡していくというような総一元化の行政をとらなきゃならないのじゃないか、そういう点から言うならば、たとえば健康食品でも医療食でも、いまの薬局だとか薬種商だとかあるいは管理栄養士とか、こういう資格のある者がその製造あるいは流通あるいは投与――投与ということばが当たるか当たらないかは別といたしまして、手渡していく。そういう専門的な監督のもとに、指導のもとに使うというのが、私は医学的にもあるいは栄養学的にも科学的にも正しい道ではないか、そういうことでぜひともひとつこれは早急に、企業が先行しているそのあと追いの形になっておりますから、一日も早くそういう体制を法制化するなり基準をつくるなりして対応されるよう特に要望したいんですが、総括してもう一度、もうやるんだと、このぐらいの、もう主管庁は厚生省だ、厚生大臣のもとで農林省、通産省みんな引っ張ってきてきちんとやるんだというようなきちんとした答弁がきょうはなきゃいかぬと思うんですがね。少なくとも日本の国民の命と健康をあずかるのは何と言ったってメーカーじゃない、厚生省なんですから、農林省というあるいは通産省という生産手段の段階じゃないんです。日本の国民の命と健康を守るのはいわゆる厚生省なんですから、あれは農林省だ、あれは通産省だというふうにおっつけるのではなくて、厚生省自体がやる気にならなきゃならないと思うんですが、最後の総括的にひとつ御答弁いただきたいと思います。
  166. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) きょうは須原委員から非常に叱咤激励されたわけでございますが、仰せになりましたこと私承っておりまして非常にごもっともだと思います。健康食品の問題、それから医療用食品の問題乳幼児の食品の問題、いずれを取り上げましても国民の健康、栄養、命、全部につながる問題でございます。まあ役人流で言えばいろいろな権限でこうあるわけでございますが、厚生省はそういうけちなことは考えないで、総合的な国民の健康と栄養と生命を守るという観点から、所管でなくても言うべきものは言うということで総合的に、積極的にこの問題に取り組む決意でございます、ということでありますれば須原委員もきょうの御質問、御満足がいけるんではないかと思う次第でございます。(笑声)
  167. 須原昭二

    ○須原昭二君 厚生大臣ね、叱咤激励というのはそういう意味で言っているわけじゃないんです。行政があと追い形になっているということと、厚生大臣をとやかく言うわけではございませんが、御答弁は厚生大臣は非常に前向きに御答弁をいただくんですけれども、あと見ているとあまり積極的じゃないんですよ。たとえば民間戦災者の援護の問題についてもやはりどっかでモデルをつくって調査をいたしますとおっしゃいました。私も期待をしていました。しかし今年度の予算を見ても調査費は載っておりません。一般の調査案件の中でやっているだけだ。愛知はやっていると。愛知をこの間調べましたら、百八十万円の単県県費で調査すると。国のほうは何も一銭も出してない。あれがモデルであってはいかぬと思うんですね。ピルの問題でもそうですよ。学者を集めて一生懸命ひとつ検討してもらいましょうと、そう明言をされました。いまだもって学者を集めた形跡もないし、中央薬事審議会に、副作用審査会に答申をされた経過もない。過去を振り返って、まあ決算委員会ですから私は過去を振り返るのが必要だと思いますから端的に申し上げておきますが、非常に答弁は前向きですよ。しかしながらあと対応する姿勢がないということを私は厚生大臣にとくと叱咤激励、これは激励には入りませんな、叱喧しておかなきゃいけない。そういうその場限りの答弁に終わらないようにあえて一つ苦言を呈しておきたいと思います。  そこでちょっと厚生大臣に休憩をしていただきまして、次は農林省関係になりますが、ちょっとこれは農林省に聞かなければならない問題がある。いまお米の消費者価格、これは国庫補助の額はどれだけかと言ったら、資料出していただきました。ありがとうございました。玄米一等から四等の平均包装入り六十キログラム八千七百七十八円、政府買い入れ価格との差額が千五百二十三円、この千五百二十三円という消費者のお米の値段との差額を補助している、こういう形ですね。で、総人口一人当たり四千五百四十九円米について国が負担をしている。配給人口一人当たり五千六百三十六円。少なくとも四千円から五千円のお米について国が補助をしているわけです。  そこで私はお尋ねするんですが、おとなも乳児も一緒ですよ。人間には変わりはない。しかしお米を食べるのはおとな。生まれたばかりの赤ちゃんは一年間ぐらいは何もお米食べるわけじゃないんですが、乳幼児もそれは入っての数字、一人当たり五千六百三十六円というのは乳児も入っての数字です。したがって毎年新生児は、厚生省のほうにお尋ねしますが、何万人ぐらいですか。
  168. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 大体二百万と推定されておるわけでございます。
  169. 須原昭二

    ○須原昭二君 二百万人ですね。この二百万人の乳児の食糧の問題については何ら補助はされておらないという結果になるわけですね。最近、お母さんは母乳でなくして人工乳――粉ミルクに頼る率が非常に戦後高くなってきたことは御案内のとおりです。粉ミルクは、明治は、「ソフトカードFMIU明治コナミルク」一かん千三百五十グラム入りが薬局で聞きましたら千百円だそうです。昨年の九月値上がりして九百六十円が千百円になった。雪印は、「雪印ネオミルクP7a」、これは一かん千二百グラム入りで千円です。昨年の八月八百八十円が値上がっております。それから森永は、「クラウンダイヤG森永ドライミルク」一かん千五百五十グラム入り千二百五十円、昨年の八月千百円なのが百五十円上がってるわけですね。大体以上の明治、雪印、森永の三社が市場の大部分を独占支配をしている。その他「レーベンス」というような和光堂のものや「SMA」というような、中小メーカーのものがございますが、最近粉ミルクの買い占めが大阪で問題になりました。粉ミルクの価格はどのようにこのごろ変わってきているのか、いま私が申し上げた昨年の八月、九月、これと現在の価格だけ申し上げましたが、最近の傾向をひとつ、どうなっているのか、実態がつまびらかでしたら御報告を願いたい。
  170. 佐野宏哉

    説明員(佐野宏哉君) お答えいたします。  先生がいまお話になりました新価格は、和光堂の場合昨年の六月以来、明治乳業の場合昨年の七月以来、他の二社につきましては昨年の八月以来の価格でございまして、現在もそのまま値上げをせずに推移いたしております。
  171. 須原昭二

    ○須原昭二君 最近またこの石油値上げに便乗したと思われるような、粉ミルクは明治、森永、雪印の大手の独占、しかも寡占化しております、寡占と協調ですね、独占と協調といいますか、そういう形でまた価格のつり上げがいまはかられようとしております。現実にいま粉ミルクを売っておるのは薬局と薬店、薬種商のお店です。そこへプロパーが参りまして、近く値上がるらしいということを、口吻を漏らしております。昨年度の例からいっても、明治、雪印、森永、どれか一つがばっと値上げをすると、一斉に同時刻に上がってくるのが今日の実態であります。したがって、この独占と協調路線で粉ミルクを上げようとしておる今日の三大粉ミルク会社に対して、どのような処置をされておるのか、ひとつお尋ねをしたいと思います。
  172. 佐野宏哉

    説明員(佐野宏哉君) お答えいたします。  本年二月の一日から日本ワイスという一番小さい一・何%というシェアしか持たない会社が値上げをいたしました。それに続いて「ニューレーべンズ」というブランドで発売いたしております和光堂が値上げをするやの話がございました。私ども和光堂の責任者を呼びまして厳重に警告をいたしまして値上げの動きをとりやめさして現在に至っておるという状態でございます。それで巷間いろいろ情報は流れておりますが、少なくとも現在までのところ、表立った不穏な動きはないもの(笑声)というふうに私どもは見ております。
  173. 須原昭二

    ○須原昭二君 それはおたくのほうは企業のトップのクラスとお話になっているのですが、販売をいたしておるところの一番末端ではもう予告をしているのです、近くなるから。ですからお母さん方はない財布をはたいて、まあ赤ちゃんでしたら一年間ぐらいは母乳ではなくて粉ミルクにかかわらなければならない、だから少なくとも一カ月でも二カ月でも買おうという傾向が出てきている。この姿がすなわちまた価格をつり上げる企業側のあやの中へ入っていくのですよ。こういう傾向をわれわれは察知をしているわけです。だから企業のトップそれから販売代理店、こういうものをあわせて対処しなければならないのではないか、こういうふうに思いますが、その点の決意のほどを承っておきたいと思います。
  174. 佐野宏哉

    説明員(佐野宏哉君) 先生から御注意ございましたので、さっそく厳重に値上げの動きをとめるように警告いたすことにいたしたいと思います。
  175. 須原昭二

    ○須原昭二君 これはひとつお帰りになりましたら、上部の皆さんと相談をして直ちに手を打っていただきたい。私の調べでは明治の「ソフトカードFM-U明治コナミルク」というのがあるのですが、これを赤ちゃんは一カ月に大体三かんから四かん飲むそうです。非常に食欲旺盛なじょうぶな子どもさんは四かんから五かん消費する、こういわれております。明治一かんは千三百五十グラム、平均四かんとして五千四百グラムを飲むことになるわけですが、一かんの小売り価格が千百円、一カ月四千四百円の高価となっています。だから末端の小売り店であるところの薬局、薬店はもうけているかと思うと、実は八分くらいのマージンしかないそうです。それで値下げをせよ、値下げをせよで、ほとんど原価同様でいま渡しているというのが現状でありますが、そういう値下げをせよという末端における取引がなされている現実というものは、やはりおかあさん方が、普通一年近く粉ミルクを飲ましていくわけでありますが、十カ月で牛乳にかえる人もあるでありましょう。しかし、粉ミルクと牛乳との栄養価というのはだいぶ違っているわけでございまして、若い夫婦は子供の粉ミルクの支払いがたいへんだということをわれわれは聞いております。一カ月に四千円も五千円も払わなきゃならない。だから、ことによると牛乳にかえる人は、牛乳というのは一カ月の末に集金にくるから支払いがいい、こういう形で牛乳に、好ましくはないけれども牛乳にかえていくような家庭が多くなってきているわけです。  したがって、私はこの際申し上げますが、乳児にとっては、粉ミルクが食糧、おとなは米です。重要なやはり私は食糧だと思います。こういう点を考えますと、乳児の食糧である粉ミルクの三大メーカーの独占価格、これには何らかの対応をしなきゃならない段階にきているのではないか。先ほどもお話がございました、毎年二百万人ずつ新生児が生まれるということになるわけですが、乳児もあるいはおとなも生命生存にかかわる食糧においては同様だと思います。お米については消費者価格、生産者価格の差を国費で補助している。そして、できるだけ安く米を消費者に渡すために国が絶大なる援助をしているというのが現状でありますが、私は当然人間いかに生命が一歳であろうと六十歳であろうと、平等に扱うべきである、こういう点からこの粉ミルク代についても多少の国が補助すべき段階にきているのではないか、こう言わざるを得ないのですが、厚生大臣どんなものでしょう。
  176. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) どうも厚生省の所管でもないようでございますが、乳幼児の生命でございますから、そういう意味から言えば理解ができないわけでもありませんが、実は私のほうは母乳が一番大事だという考えがやはり胸内にあるのです。乳幼児を育てるには母乳が基本である、こういう考えもありますから、そこまで国が価格の補償をしなければならないかどうか、その辺は多少まだもう少し考える余地があるのではないだろうかという感じもいたします。まあ私どもはやはり赤ちゃんを育てるには近ごろのところは若い人は母乳よりも粉ミルクのほうにたよるのですね。これは私はほんとうを言うと、厚生省の立場で言うと、それよりは母乳中心でいってもらいたい。やむを得ない方はそちらと、こういう考えが胸にあるということもどうか御理解いただきたいと思います。
  177. 須原昭二

    ○須原昭二君 それはちょっと厚生大臣、認識をためていただかなければならぬ。子供が生まれてずっと家庭にいる奥さんはいいのです。このごろは働く女性がだんだんふえてきた。だからどんどん職場へ行っているわけです。保育所に預けているのです。そういう人たちは、母乳にたよれといったって母乳にたよることができないのですよ。
  178. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) それもわかる。
  179. 須原昭二

    ○須原昭二君 それもわかるじゃない、そうわかってもらわなければいかぬ。これは簡単に制度化できると私は思う。母子手帳がありますからね。母子手帳によって購入をする、記録に残ることができるわけです。販売も、実はかっては食料品店でもどんどん売っておりましたが、いまや粉ミルクの問題については、薬局と薬店以外に売っていないのです。だから手渡すときにも非常に簡単に制度化されるようになっているわけです。ですからこれは対応できる条件は整っているのですから、問題は国が金を出すか出さぬかにかかっているわけです。赤ちゃんに愛情があるかないかということにかかっていると言ってもいいのです。そうでしょう。だからこれはひとつぜひともこの機会に考えていただきたいと思います。  まあ言われぬ先に申し上げておきますが、保育手当が出ているからと、こうおっしゃるかもわかりませんから、先へ手を打っておきますからね。保育手当というのは先ほどの逆論ですがね、母乳である人と人工乳である人と、これは差別が出てくるわけです。これはおかしいわけです。おとなでも米のめしを食う者と――米でいく者とパンでいく者と二通りこのごろあるのですから、そういう言い方でいえは、これはまた米穀でも――お米でも差額を補てんするというのはおかしいという論拠になりますから、いずれにしてもこの乳幼児の所管が厚生省なのか農林省なのかはっきりしないところにやはり私は乳幼児の粉ミルクに対する国の対応もおくれているのではないか、総括的にいうなら。この点も、ひとつ農林省、厚生省の所管をきっちりさしていただいて、早くそういう米穀と同じような対応の処置を考えられることが私は適切ではないか、公平な処置ではないか、こういうふうに思いますが、時間がきたようでありますから、最後に一つその点を申し上げておきたいと思います。いかがですか。
  180. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) まあ乳幼児の健康、栄養を守ることは非常に大事なことでございますから、農林省だ、厚生省だなんていう所管のことはあまりいわないで、一緒になって総合的に十分研究を続けてまいるようにいたしたいと思います。
  181. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ最初に、小野田少尉の帰還問題につきまして、けさ方も若干ございましたが、私は決算の立場から少し数字的な面にふれてお伺いをしたいと思います。  それで質問の順序として、このことしの二月二十八日、四十九年二月二十八日から三月十二日までの、帰国までの経過について、要点だけでけっこうですから、説明してください。
  182. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 小野田さんが、一昨年の十一月でございますか、十月ころでございましたか、小塚さんと二人でルバングの村里にあらわれまして、向こう現地の警備の兵と衝突をいたしまして、小塚さんがなくなったわけでございます。そこで、その際に小野田少尉が生存であるということが判明をいたしましたので、一昨年の十一月から昨年の、多分四月だったと思いますが、それまで前後三回救出のための努力をいたしてまいりました。その間に使いました費用は、約一億ちょっと足らずの金であったと思います。そこで、四月の末に相当大々的な大規模な捜査をいたしたわけでございますが、とうとう救出することができませんでございましたので、一応捜査はこれを打ち切るということで、帰ったわけでございます。  ところが、二月の二十八日、六日か七日だったと思いますが、ルバング島に千葉県の鈴木君という青年が渡っておりまして、接触をしたという情報が入りました。それで、鈴木青年がとった写真も二通フィリピンの政府から大使館を通じて厚生省に送ってまいりました。そこで、おにいさんたちにその写真を見せましたところ、間違いない、こういうふうなことが判明をいたしましたので、援護局の柏井課長を派遣いたしまして、鈴木青年協力もいただきながら接触をいたしましたところ、三月九日の夕方、そこに小野田少尉があらわれまして、一晩柏井鈴木皆さんと話をしまして、帰ることになりました。そして帰って参りました。ただいま国立第一病院において衛生上の処置をいたしておる、こういう状況でございます。  今回のかかった金につきましては、いま援護局長参りますから、今回の救出活動における費用は援護局長から答弁させるようにいたしますが、昨年の四月までの経費は一億にちょっと切れる、まあ約一億というものがかかっておる、こういうふうに申し上げることができると思います。
  183. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは、二月から来るまでの、その間の諸経費について詳細にひとつ説明してください。
  184. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) いま援護局長参りますから、直ちに……。
  185. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  186. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 速記を起こしてください。
  187. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 今回の小野田さんの救助関係の経費でございますが、実はまだ職員が現地に二人残っております。これはトランジスタラジオ、それから小野田さんの残した弾薬等、この辺の問題がございますので、空軍当局からの要請もございますし、それから現地の住民の方に対します不安をできるだけなくするというようなことで現地に職員が残っておりまして、残って現地の島の調査をやっております。二十五日ごろ帰る予定でございますので、その関係の会計責任者も入っておりますので、最終的にはその関係の職員が帰りました後にきまるわけでございます。ただ、いままでかかりました経費につきましては、特に旅費が大体中心になろうかと思います。約三百万程度ではないかというふうに思います。最終的には関係職員が帰った後に発表するということになろうと思います。
  188. 中尾辰義

    中尾辰義君 四十八年の四月二十四日まで、これは新聞等にも出ておりますので、派遣人員が九十六名で、派遣日数三千八百二十一日で所要経費か九千六百五十三万――。その後の問題ですね、これは大体どのくらいになりますか。いまあなたがおっしゃったけれども、四、五百万ぐらいですか、どの程度ですか、三月十二日まで。
  189. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 厚生省は今回を除きまして、三回にわたりまして、小野田さんをまずさがし出すというようなことから、政府派遣団、特に民間協力者も含めまして大規模なものを実施しておるわけでございますが、一番大規模なのは、一昨年の十月から昨年の四月にかけましての大規模な小野田さんを発見するための調査活動をやったわけでございますが、その後は、実はフィリピン当局のほうにお願いするということで、フィリピンの空軍当局のほうにお願いしておいたというような状況でございます。  なお、たまたまフィリピンにおきます遺骨収集がございましたので、昨年のたしか十一月でございますが、柏井団長が遺骨拾集の際に現地を訪れたというようなことはございますけれども、その後の問題につきましては、今回の救助活動以外は特にございません。
  190. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは少しこまかく聞いてみますけれども、今度の発見にはずいぶん功績があったといわれておる鈴木さん、鈴木青年はこれまた調査員として派遣されているわけですが、この鈴木さんに対する費用はどうなっておるのか。さらに谷口元少佐、それから小野田家の御兄弟に対する費用ですね、これは皆厚生省の調査員として派遣されたというふうに聞いておりますが、その辺どうなっていますか。
  191. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) まず鈴木さんの問題でございますけれども鈴木さんは、たまたま御自分の意思でボランティアとしましてルバング島に渡って小野田さんに接触をしたというようなことでございまして、その後発見、接触後、厚生省のほうに写真等がまいりまして小野田さんであるということが間違いなくわかったわけでございますが、その時期におきまして厚生省におきましても柏井団長をキャップとしまして谷口少佐あるいは小野田のおにいさま、政府職員を含めましての救助隊を現地に派遣したわけでございます。そこで現地におきまして鈴木さん等と話し合いました結果、鈴木さんにつきましては、ルバング島に渡りました四日以降を調査員として発令しておるということでございまして、それから、谷口少佐小野田敏郎さん――おにいさまにつきましては、東京を出るときから調査員の発令を行なっているわけでございます。なお、その関係の経費でございますが、鈴木さんにつきましては、四日から十三日まででございますので約十三万六千円でございます。それから小野田敏郎さん、谷口さんにつきましては、三月一日から三月十三日の十三日間の航空運賃、日当、宿泊料等で二十三万二千円の費用を支出しておる次第でございます。
  192. 中尾辰義

    中尾辰義君 小野田さんのごきょうだい、これは同じですね、谷口少佐と。一人分が、そうですね。返事だけしておいてください。
  193. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 谷口少佐小野田さんのおにいさま、同じ額でございます。同日に出発いたしまして同日に帰国しておりますので全く同じ額でございます。
  194. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから帰国後の諸経費につきまして、小野田家の御両親の上京及び滞在費等、まあこまかくなりますけど、こういう費用はどうなっておるのか。  次に、小野田さんの入院の費用、それからこれから帰郷される費用についてはどうなっておるのか。  さらに三番目は、谷口元少佐も病気にかかられたと聞いております。その辺の入院の費用はどうなっておるのか。まずお伺いしましよう。
  195. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 小野田さんの御両親なり、あるいは御家族の方の東京出迎えなり、あるいは滞在の費用につきましては、これは国のほうの問題ではございませんので、小野田家におきまして何らかの形で御負担になっているというふうに理解しておる次第でございます。  それから小野由元少尉の、寛郎さんの、現在東一に入院しているわけでございますが、国立東京病院におきます入院費用につきましては、戦傷病者特別援護法によります療養の給付の負担というようなことで戦傷病者特別援護法によりまして国が全額負担するという予定にしておりますが、ただいま入院中でございますので、どの程度の費用がかかるかということにつきましてはまだ確定しておらない段階でございます。  それから谷口少佐がその後発熱されまして、現在国立東京第一病院に御入院になっておりますけれども、谷口さんの入院費用につきましては、御本人国民健康保険の被保険者であろうと考えられますので、三割の自己負担があるということでございます。この三割の自己負担分等の問題につきましては、この発病が調査員としましての御活動の、御苦労の結果というようなことも十分考えられますので、どういたしますか、現在研究中の段階でございます。
  196. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、小野田さんの御両親の上京、滞在費等は、これは自弁でやれということですね。
  197. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) そうでございます。
  198. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ次に聞きますけれども、帰国の際の日航機の臨時便の費用はどの程度ですか。
  199. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 帰国に際しましての日航機の問題でございますが、帰国にあたりまして現地報道関係方等たくさんございましたので、日航のほうから便宜臨時便を出していただいたわけでございますけれども、この費用につきましてはそれぞれが御負担になるということで、小野田さん御自身の費用の問題につきましては、これは航空運賃につきましては国が負担をいたすというたてまえにしている次第でございます。
  200. 中尾辰義

    中尾辰義君 幾らかかっているの。
  201. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) ちょっと手元に資料がございませんが、約六万円程度ではないかというふうに承知いたしております。
  202. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、あとの方は全部自分の費用でということですね。
  203. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) そうでございます。
  204. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから次に、現地における捜査の費用、それから現地部落の方たちに対した謝礼等はどうなさったのか、この辺お伺いします。
  205. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 今回の小野田さんの救助活動につきましては、フィリピン当局に非常に御配慮をいただきまして、日比共同の作戦でいたしたわけでございまして、それが今回の小野田さんの救助ということにつながったわけでございますが、現地におきます費用等につきましては、フィリピンフィリピン当局のお立場でやっておられるのではないかというふうに思いますけれども、ある程度、現地の船を雇い上げたとか、あるいは現地で人を雇い上げた問題でございますとか、あるいはフィリピン空軍の方にいろんな面で御協力をいただいたというような関係の費用が若干あろうかとも思いますけれども、これは、先ほど申し上げましたように、現在まだルバング島におきます弾薬なりあるいはトランジスター等の調査をやっておりますので、その職員が帰ってまいりませんと、最終的にどの程度の政府としまして負担するということになるか、いまの段階ではちょっとわからない段階でございます。御了承を賜わりたいと思います。
  206. 中尾辰義

    中尾辰義君 ですから、あとの、現地部落に対するところの謝礼等はどうなっておるのですか。
  207. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 失礼いたしました。現地の住民の方には、今回特別に御協力を賜わるということはないと思いますので、その分の経費はないものと思っております。
  208. 中尾辰義

    中尾辰義君 次に、厚生事務官がフィリピンの大統領を表敬訪問されたわけですが、その経費、並びにみやげ等の費用、幾らぐらいかかっていますか。
  209. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 今回の救助活動を含めまして、特に過去三回にわたります大幅な救助活動、あるいは私どもが帰りましたあとにおきましてもフィリピン空軍当局にいろいろお世話いただいたというようなことで、現地のほうでいろいろな意味でお世話をいただいておりますので、厚生事務次官が救助後直ちに現地にお礼に赴いたわけでございますが、次官が参りましたことに伴います経費といたしましては、旅費といたしまして二十七万程度でございます。それから関係者なりあるいは現地ルバング島の関係者、空軍等に対しますお世話になったというような気持ちをあらわすという意味で、ある程度のお礼のものを持って参っております。約三十万程度でございます。
  210. 中尾辰義

    中尾辰義君 大体わかりましたが、それじゃ外務政務次官に――見えていますか――お伺いしますが、今度政府の特使としてフィリピンに派遣されるように聞いておりますが、これはだけが行かれるのか、いつごろになるのか、その目的と、それから費用、あるいはフィリピン大統領に幾らか贈呈をしたいというようなことも報道があるようでありますが、その辺はどうなっていますか。
  211. 山田久就

    政府委員(山田久就君) 党のほうから鈴木総務会長が向こうにおいでになられまして、事柄がフィリピンでのできごとであったということ、またそれに対して大統領が非常に好意ある態度で臨んでいただいたと、そういうような事柄、いろんなことを含めまして謝意を表明するという趣旨でおいでになられると、こういうふうに承知いたしております。
  212. 中尾辰義

    中尾辰義君 いろんな報道等を見ますというと、今回の事件でたいへんお世話になったということで三億円程度の贈呈をしたいというようなことも出ておりますが、その辺はいかがですか。
  213. 山田久就

    政府委員(山田久就君) そこら辺の詳しい内容はちょっと私まだ承知しておりませんけれども、いま関係のほうを呼びまして、後刻お答えさしていただきたいと思います。
  214. 中尾辰義

    中尾辰義君 だれが来るの。
  215. 角谷清

    説明員(角谷清君) ただいまアジア局の担当の者を呼んでおりますから。私、アメリカ局でございますので、本件よく存じておりません。
  216. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃあ、あとでお伺いしますがね。いま厚生省のほうから、まあいろいろとこまかい費用の面につきましてお伺いをしたわけですが、これも参考にちょっと聞いておきますがね、この前の横井さんの帰還の場合と比較して国の所要経費はどの程度になっているか。横井さんの場合の国費の所要経費の内訳、総額、その辺がわかっておれば説明していただきたい。
  217. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 横井さんに対します国の援護経費でございますが、直接的な経費といたしまして、グアム島からの航空賃でございますとか、あるいは東京から名古屋までお帰りになりました鉄道運賃、荷物の輸送費、それから帰還手当、入院中の警備料等の経費といたしまして百四十六万、それから帰郷旅費、それから未支給給与としまして四万百七十円、それから国立第一病院におきます入院費といたしまして、戦傷病者特別援護法から四十二万千三百九十円、合計百九十二万二千五百十円を国といたしまして出しておる次第でございます。
  218. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃあ、外務省見えておりませんので、ちょっとそれまでに、この生存をしていらっしゃる元軍人の未帰国者の――まだお帰りにならない未帰国者の状況ということを厚生省はどの程度把握していらっしゃるのかですね。いろんな報道等もありますけれども、やはり、まあ本人の希望によって現地に残るような人もありますが、まだまだ第二の横井さん、小野田さんというような人がいるんじゃないかと思われるわけで、ですから、その点、厚生省はどの程度に把握していらっしゃるんですか。
  219. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 海外に残留している元日本軍人というような方がいるのかどうかという問題につきまして、私ども戦後できるだけ、いろいろな情報がございますればその情報を基礎にいたしまして調査するというようなことをやっている次第でございますけれども、さらに外務省なり、あるいは現地にございます商社等にもお願いしまして、いろいろな情報がございました場合には一つ一つその問題につきましての調査というのをやっている次第でございます。  最近の例で申し上げますと、グアム島におきまして、昭和四十七年の三月に、元日本兵らしいのを見たというような情報がございましたし、さらに最近では、昨年の十一月に同じような情報がございまして、これは現地に調査団を派遣いたしまして、現地の警察当局等とも十分連絡をとりましで調査いたしました結果、どうもいるという確認  には至らない、おそらくもうおらないのではないかというような調査結果を得ている次第でございます。さらに、カロリン諸島のエンダービー島には、昭和四十七年の十月に調査を実施いたしております。それから、ソロモン諸島のセントジョージ島におきましては、四十八年の五月に調査を実施いたしております。それからフィリピンのミンダナオ島におきましても、昭和四十八年、昨年の十一月でございますけれども、調査団を現地に派遣いたしまして、捜査を実施いたしまして、情報の収集に努力している次第でございますが、いずれの場合も元日本兵の残留というような確証はつかんでおりません。なお、セントジョージ島におきましては、調査の結果、むしろ全員死亡であるというような情報を入手いたしまして、現地で調査をいたしました結果、全員死亡であるというようなことがむしろ確認されまして、セントジョージ島におきましては、なくなられた方々の御遺骨を収集したというような次第でございます。  私ども、そのほか、情報がございますればできるだけ調査いたしたいということにいたしている次第でございまして、さらに遺骨収集等がございますので、南方諸地域等につきましては、いろんな方面に政府の遺骨収集団が参りますので、そういう際にも情報がございますれば、一つ一つ調査をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  220. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ、それに関連をいたしまして、ちょっとお伺いしますけれども、これは新聞にも報道されておりましたが、旧日本の委任統治領でありましたミクロネシア・ポナペ島ですな、ここの人たちが、まあ代表者はダニエルさんという方ですが、このダニエルさんのおとうさんを含めて十七人が、日本の軍属としてラバウルのほうに送られて、そのまま戦争の犠牲者になったと、それでこのダニエルさんがおととし、去年、日本の外務省、厚生省にその補償等につきまして陳情にこられたわけです。これは御存じでしょう、新聞にも相当出ておりましたから。これに対しまして、どうなったのか。まあ今回の小野田さん、横井さん、非常にああいうふうに、全力をあげてああいう結果になりましたことを、非常に私どもとしても敬意を表しておりますが、こういう人に対して、これは日本が非常に冷たい国だというふうに思われたんでは非常にまずいんじゃないか。これに対して、まあ原住民でありましても、当時は委任統治でありますし、日本人という自覚のもとに協力をしておる、そして戦争の犠牲になった、その後、アメリカ軍がラバウル島に上陸をして、そのままになっている、まあこういうことですわね。これなんかも、これはほっておくわけにいかぬのじゃないかと思いますがね。これだけ、まあ経済大国だとかいわれておる日本が、しかも平和を愛好する日本が法律に救い道がないからというような冷たいことでは、対外的にもまずいんではないだろうか。その後どうなりましたか、いかがでしょう。
  221. 山田久就

    政府委員(山田久就君) いまお話がございました件でございまするが、法律あるいは条約上のたてまえからだけ申せば、先生御承知のように、平和条約第二条、第四条、また第四条によっての現地住民の請求権の特別取りきめというもので、一応わがほうといたしまして、まあこれらの請求権に対して日本側といたしまして十八億円、またアメリカ側のほうが五百万ドルというものを出して、そしてこれのめんどうを見ていくということで、そのたてまえとしては一応それで片がついたというような関係になっておるわけでございます。いまお話がございましたように、にもかかわらず戦時中のいろいろ――これまでの日本との関係とかいろんなことがありましたが、そこで条約のたてまえはそうなっておりまするけれども、これについてもう少し何とか考えてもらえないかということで陳情が参っておりますことは御承知のとおりでございます。この種の請求権については、いろいろほかとの関連もございまするので、そう簡単にはまいらないような事情もあるんでございまするけれども、いろんなことを考えて、ただいまこれについて検討いたしておるというのが現在の状況でございます。
  222. 中尾辰義

    中尾辰義君 ですからね、まあ今度の小野田さんの問題等につきましても、これは外国からのいろんな意見等も記事に出て、私も読んでおりますけれどもね。ですからそういう関係もあるんで、こういう日本に籍がないからというのでまあ軽く扱うということは非常にまずいと思うんですね。日本人だけは相当な金を出して捜査もやって、そしてあともちゃんとあたたかく迎えてやったけれども、この問題等につきましては非常に冷たいということでまずいと思います。その辺ひとつもう少し検討されて善処してもらいたいと、こういうふうにこれは要望しておきます。  それから外務省お見えになっていますか。さっきのアジア局長、まだですか。
  223. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  224. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 速記を起こしてください。
  225. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃあ外務省関係、ちょっと交代してください。  それじゃあ次に、年金福祉事業団と大規模保養基地との関係につきまして、あんまり時間もありませんので、要点だけ伺いたいと思います。  最初に年金福祉事業団がこれから設置、運用をしようというこの大規模保養基地ということにつきまして、概略でよろしいですから、どういうようなものなのか、その点ひとつお伺いしたい。
  226. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) ただいま御質問のございました大規模年金保養基地の計画の概要について申し上げます。  御承知のように、わが国の年金制度もだいぶ成熟してまいりまして、年金によって生活なさる方、それからまた現に年金の被保険者でおありになる方、こういった方々につきましての年金の内容をよくするための法律改正が昨年の国会でおかげさまで成立いたしたわけでございますが、いろいろ考えてみますと、そういった方々につきまして、年金の水準が高くなり、また物価スライド制が導入されたといいましても、現実に年金生活を送られ、あるいは被保険者としての生活を送っておられます間におきまして、いわゆる余暇利用という問題が非常に大事な問題でございます。したがいまして、これらの余暇利用の有効な活用につきまして諸外国におきましてどのような実態であるかということをいろいろ勘案いたしました結果、たとえばソ連におきましてのコーカサス――ソチ、ヤルタ等に設置されております大規模な保養基地、あるいはまた最近アメリカにおいて非常に発達を見ております、たとえばアリゾナ州のサンシチーのごときものを国の責任でもって設置することが非常に有効であるという結論に達したわけでございます。したがって、そういったものを国の責任において設置いたします場合に、どの団体にどのような資金を使って設置運営していただくかということを考えました結果、年金福祉事業団において年金の積み立て金を活用いたしましてそのような施設を設置することが適当である、こういうふうな考え方昭和四十八年度からその施設の設置運営をするという方針をきめたわけでございます。  それで、施設の内容等につきましては、実際問題といたしまして、きわめて大規模――大体考えておりますのは、一カ所につきまして土地の広さが百万坪、で、その上にいろいろな種類の施設を設置運営するわけでございまして、まあ一カ所現在のところ二百億円程度の投資をする予定でおりますが、まあいずれにいたしましても、きわめて大規模なものでございますし、わが国におきましてはこのような規模の施設を設置運営することは全く初めてでございますので、民間のいろいろな方々の最高レベルの衆知を結集いたしまして、この計画がりっぱなものとして完成するように、現在におきましてはその基本計画、いわゆるマスタープランの策定に着手をいたしておる、こういう段階でございます。
  227. 中尾辰義

    中尾辰義君 まず最初に法的な問題につきましてお伺いしますが、この問題も何回も議論をされておりまして、御存じのとおりに、私も過去質問したこともございますが、昨年の七十一国会におきまして、国民年金法の改正によって年金福祉事業団が大規模年金保養基地の設置運営を行なうことと、こういうふうに改正されたわけです。改正された理由としては、いままで福祉事業団というものがありながら何にもやらぬじゃないかと、まあ金融の面に若干あずかっているけれども、実際の仕事は厚生団とかああいうところにまかして、事業団そのものは一体何をやっているのだ、法律によりますというと当然福祉施設等は事業団がやるべきであると、こういうふうになっておるじゃないかと、まあこういうことから、これは年金福祉事業団がこの年金保養基地の設置運営をやると、こういうふうに一ぺん改正になって、今度のまた改正によりますとこの年金福祉事業団が他の法人に委託運営することができると、こういうふうになるわけですが、そこでまず一つは、他の法人というのはどういうものなのか、これひとつ最初お伺いしましょう。
  228. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 御指摘のとおり、昨年の改正によりまして、保養のための総合施設というものを年金事業団の設置運営する施設として加えたわけでございますが、先ほども申し上げましたようにきわめて規模の大きい、しかもその一カ所の施設の中にいろいろ各種類の施設が設置運営されるということを考えますと、実質的にも形式的にも年金福祉事業団が全くすみからすみまで自己の手足でもって設置運営するということもなかなかむずかしいということもございます。まあそういった関係で、そういった場合に他の最も適当な団体にそういったことの運営の一部を委託することができる規定を入れておいたほうがよろしいというようなことで入れたわけでございます。ただ、現在の時点での問題は先ほども申しましたようにいわゆるマスタープランの作成という段階でございまして、このマスタープランの作成につきましては、昨年の暮れに設立を許可いたしました年金保養協会なるものがいろいろな方面の専門家を網羅する協会でございますので、そういったところでこのマスタープランの作成を事実上してもらっておるわけでございます。それで今後、でき上がりましてから運営をいたします際に、どのような団体を指定いたしましてその事業運営の一部を委託するかという点につきましては、まあいまの段階でどことどこというふうに特定することはきわめて不適当だと思いますが、この年金保養協会等もおそらくそういった場合の対象として一つの相手方であろうと考えております。
  229. 中尾辰義

    中尾辰義君 この年金保養協会にこれは委託することになっておるんでしょう、大体。どうですか。
  230. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 年金保養協会がそういった委託を受ける場合に委託できるような仕組みの団体であることは事実でございますし、それからまたこの法律が成立いたしますと、まあそういうふうなことで年金福祉事業団が適法に委託することも可能になるわけでございます。ただ問題は、どのような種類の施設につきましてどの程度委託するかという問題につきましては、現在先ほど申し上げましたようにまだマスタープランの作成の段階でございますので、まあどのような施設がこの百万坪の土地の上につくられるか、またどのような運営をするかということについては、いまの段階では全く白紙でございますので、どのような種類のものをどの程度委託するかということについて確たるお答えを申し上げかねておる次第でございます。
  231. 中尾辰義

    中尾辰義君 ですから、この年金保養協会に委託をすると、これはもう決定をしてるわけですか。
  232. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) いまの時点で申し上げますと、この年金保養協会はマスタープランをつくることを年金福祉事業団から依頼を受けてそれをやっておるという段階でございます。で、でき上がりますのがまあ一番早いものでもおそらくこれから二年以上かかりませんと施設自体が完成いたしませんので、したがって、そういった場合に、どのような種類の施設をどの程度設置するかということもいま策定中のマスタープランできめる事柄でございますから、どういうものをどう委託する、またその場合に年金保養協会だけがただ一つの受託者であるのかあるいはそうでないのか、その点につきましても結局どういう施設をどういうふうにつくり、それについて年金福祉事業団がみずから直轄で運営し得るのはどの程度であるということ等がすべて定まってまいりませんと、これははっきりしたことは申し上げられないと思います。で、お尋ねの年金保養協会も、繰り返しになりますが、受託者としての有力な相手方ではござ  いますが、これだけであるのか、そのほかにも考えるのか等につきましてはこれから先の検討の問題であろうと思います。
  233. 中尾辰義

    中尾辰義君 まあ私が聞いてるのは、国のほうから財投で二百億、資金を融資をしてこの年金保養協会に事業をやらせると、そしてその年金保養協会は資本金として十億円。この十億円の金をいま募金中であると、こういうことを聞いているんですがね。その辺はどうなんですか。
  234. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 年金保養協会がどういう仕事をやるかということをまずもうちょっと申し上げたほうが御理解いただくのに便利かと思いますが、現在やっておりますことは、先ほど申しましたように基本計画の策定でございます。で、今後の問題といたしましては、先ほどもちょっと飛び飛びに引例いたしましたが、外国のいろいろな施設との間にいろいろな意味での交流の仕事、まあ国際交流の仕事、それからまた、こういう施設をつくりましてもこれが被保険者なり年金生活者に対して十分な周知徹底がはかられませんとかんこ鳥が鳴くようなことになりますので、そういったPRの仕事等いろいろございます。  それから、御指摘の、今後にわたっての施設の部分的な受託いろいろなことがございますが、これらがすべて国の予算でもってペイされるような内容の仕事であるかどうかということになりますと、なかなか国の予算もそういったことを全面的にカバーすることは困難だと思っております。したがいまして、いろいろなこの被保険者あるいは年金生活者をかかえておられるたくさんの会社等におきましても、そういったところの現在の従業員なりかつての従業員がこの施設を利用することによっての利益も非常に大きいわけでございますので、したがって、この趣旨を御理解いただけるその会社から募金をいたしまして、それの法定果実と申しますか、そういったことによって国の予算ではなかなかカバーしきれないようなことであり、しかもこの施設を円滑に運営するために必要な費用を調達するというようなことで、いまお話のように大体十億円を目標に寄付を募集いたしておりますが、ただしかしこれは発足以来まだ日が浅いわけでございますので、現在のところは寄付の募集の点につきましてもその緒についた程度の段階であるというふうに承知いたしております。
  235. 中尾辰義

    中尾辰義君 まあもう少しはっきり言うてもらわなきゃ質問に時間がかかってしょうがないんですな。ですから、何も追及してやっつけてやると、そういうようなことは考えていないんだから、大体あなた、こういうふうな構想でこういうふうにやりますと、言うてもらわなきゃ、全く、いままだマスタープランをつくっておる段階で、やらせるかもしれぬし、やらせぬかもしれぬ。しかしやらしてもほかにもやらせるところもあると、何だかこうわかんないんだ、聞いていて。ですから、要するに二百億の財投を出して、それで年金保養基地をつくらせるわけでしょう。つくらせるのはこれはどこがやるんですか。
  236. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 土地を取得したり、その土地を造成したり、あるいは施設をつくったりということは、年金福祉事業団が財政投融資の資金を借りまして、年金福祉事業団がやるわけでございます。
  237. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、どこへつくるんですか、これは。
  238. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 現在予定いたしておりますのは、四十八年度分といたしましては兵庫県の三木市、岩手県下閉伊郡田老町、新潟県中魚沼郡津南町、北海道茅部郡森町――亀田郡七飯町にわたる場所、この四カ所を四十八年度には予定いたしております。
  239. 中尾辰義

    中尾辰義君 四十八年度はこれらの四カ所を予定しておると、こういうことですか。四十八年度はあなたもう済んじゃったんですか。
  240. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 四十八年度はこれらの場所を保養基地として政令の手続によって指定をいたしたわけでございます。そしてこれの土地の購入につきまして、これを年度内に完結をする。したがって実際にマスタープランをつくり、それから実施設計に移ってというのは四十九年度以降になります。  それから念のために申し上げますが、四十九年度予算で新たに個所を二カ所ふやすことにいたしております。したがいまして、四十八年度及び四十九年度を通じまして六カ所ということになります。その残りの二ヵ所につきましては現在どこを指定するか、まだ全く白紙の段階であります。
  241. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、四十八年度のこの四カ所の、あなた候補地とおっしゃったんですが、これはまあ決定ですか。
  242. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) これは手続といたしまして、政令で指定をいたしますとそこで本ぎまりになるわけでございます。その政令の指定は四カ所についてすでに済んでおるわけでございます。
  243. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうすると、この四カ所はもう土地の購入も大体一カ所百万坪-三百三十ヘクタール、この土地の購入はこれはもう終わったわけですか。
  244. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) ちょっと一言二言申し上げてからお答えいたしますが、実はその指定にあたりましては県なりあるいは市町村なりの公共団体がすでに取得済みの土地、いわゆる公有地を対象にいたしまして、それを年金福祉事業団が買い取る、こういうふうなたてまえをとっております。で、そういうことで、法律の成立がおくれたことも一つの理由ではございますけれども、まあ一部の、この四カ所のうちの一部分につきましては公有地化の手続が非常におくれたということ等もございまして、まあ最近になってこの四カ所ともすべて公有地になった。したがってその公有地になった以降、適正な評価額を出しまして、現在年金福祉事業団がこの四カ所につきましての年金福祉事業団有地としての買収の手続をいたしておりまして、この手続は年度内、今年度内に完成をする見込みでございます。
  245. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうすると、年金事業団が県のほうから買収手続をいましておるところであると、こういうとこですね。――それで、そういった施設はそれじゃまあ土地を購入してその上に施設をつくると、そこまでは年金事業団の仕事でございますね。そうすると、そのあとのそういうような保養地を管理運営するというのがこの年金保養協会と、こういうふうに理解していいですか。
  246. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 現在のマスタープランの作成も、事業主体といたしましてはもう年金福祉事業団でございます。で、年金福祉事業団がマスタープランの作成をするにつきまして、年金保養協会、さっき申しましたように各方面の専門家の集まりでございますので、まあそういったところにそのマスタープランの作成を依頼いたしておる。もっとはっきり申しますと、年金福祉事業団が注文主でございましてそれから年金保養協会がその注文を受けてその作成にあたっておる、こういう関係でございます。  それから、施設ができ上がりましてからの管理運営の問題でございますが、この点につきましては全面的にその運営を委託するということは私ども現在のところ考えておりませんで、ただどのような種類の施設がどのようなやり方で運営されるのが望ましいかということをいまの時点で考えます場合に、年金福祉事業団が全施設、すみからすみまでみずからの手足によって直轄をするということはなかなか実際問題としても困難であろうというようなことから、そういった場合には民間のしかるべき適当な団体にその運営を委託するという道も講じておいたほうがよろしい。その場合に保養協会というものはおそらくその際の最も有力な適当な団体の一つであるということは予測されますけれども、ただしかしこれから先、マスタープランでどうという施設をどのような規模で設置運営するかがきまるわけでございますので、どの施設をどの程度年金保養協会に委託をするかという点については、多少御不満のような、多少ぼけたお答えしかできないということでございます。
  247. 中尾辰義

    中尾辰義君 大体わかりましたよ。だけど、大体において年金保養協会に今後の管理運営等も、全面的というわけじゃありませんが、かなり委託をすると、こういうことでしょう。それで、そのためにこれは法律改正もこうなっているわけですからね。  それで、保養協会につきまして少しお伺いしますが、この保養協会は昨年の十二月五日に厚生大臣の認可を得て設立されていると。  まず一番最初に役員の問題はどうなっておるのか。会長とか理事長とか理事だとかつくることになってますが、現在どうなっておりますか。
  248. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 財団法人年金保養協会の役員でございますが、理事長は経団連専務理事の花村さんでございます。それから専務理事……
  249. 中尾辰義

    中尾辰義君 会長からいかなきゃいかぬ。
  250. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 専務理事その他につきましては各方面で――理事長のほかに、直接事業執行の責任者ではございませんが、会長制をとっておりまして、ここには元厚生大臣鈴木善幸先生をお願いしてございます。それから理事につきましてはいろいろ、財界それから労働界それから学者等非常にバラエティーのある各方面の私ども現在の時点では最高と思われる方々をお願いいたしております。
  251. 中尾辰義

    中尾辰義君 それで、これは大臣にお伺いしますが、鈴木善幸さんがこの会長ということでありますが、鈴木善幸さんは自民党の総務会長だと思いますがね。こういったような、これから年金保養基地をつくるというんでしょう。年金保養基地というものがどういうようなことで、どういうような経過で実現の可能性になったか。それは今日まで高度経済下においてわが国は非常に国民福祉はおくれておるじゃないかと、大企業優先で、大企業はうんともうかっているけれども福祉という点においては非常に外国から立ちおくれておる、こういう点で、この点もう少し力点を置くべきじゃないかというようなことから、こういうようなことも実現の運びになったと思うわけです。そういうところに政府与党の総務会長という要職にあるような方を据えるのはどうなのか。まあ法的には問題はないでしょうが、どうも私ども見てあまり好ましくないじゃないか。何も政治家を据えなくても、ほかに適当な人はないのか、そういうふうにも思うわけですが、これは厚生大臣いかがですか。
  252. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 昨年の法律改正によって大規模な年金保養基地をつくるということを皆さん方の御協力をいただいて法改正をいたしたわけでございます。  そこで、これは先ほど来お話のありますように、還元融資の金を年金福祉事業団が借りて土地を買収し施設をつくっていくと、こういう形になるわけでございます。  そこで、実ははたして年金福祉事業団だけですべてやれるかということを考えたわけでございます。年金福祉事業団だけで設置をし、さらにすべての経営をやっていけるだろうか。さらにまた、こうした大規模な保養基地をやっていきますためには、国民に対する周知徹底、PR、こういうことをやっぱりやりませんと、せっかくこれだけのりっぱな施設をつくっても利用者がないなんというようなことになりましてはどうであろうか、そこでやっぱりPRを国民にできるだけ徹底させるようにしたい。こういうふうなことを考えまして、国民に対するPRを徹底させていく。それから、でき上がったあとは施設の一部も経営の委託を受けてもさしっつかえないでしょう。まあしかしこの年金保養基地の趣旨を十分国民に徹底させるためには、やっぱり相当名のある人になってもらったほうがいいんじゃないか、こういうのが私の考えでございました。  そこで、これはもともとこの年金保養協会はその保険料のいわゆる還元融資の金を一文も何もこれは借りてくるわけの財団ではありません。ありませんが、やはりもとはと言えば、年金保養基地というものは労使の保険料からの還元融資でものはつくるわけですから、そこで労使の協力というものが絶対必要だ、こういうことを考えたわけです。そこで労働組合の幹部の方それから経営者の方々、そういう人に入ってもらおう、こう考えたわけでございます。  そこでまあ会長をどなたにと実は私も悩んだのです。いろいろ考えてみまして、どなたが一番適当であろうかなあということを考えてみましたら、やはりこういうことに非常に理解のある人はだれかいないだろうか、こういうことを研究いたしまして鈴木善幸、元の厚生大臣、これが一番適当ではないか。彼が厚生大臣のときにいわゆる年金法の改正もやったのです、これは御承知のように。二万円年金――今度の五万円年金の前の二万円年金、そういうふうなことで非常に年金に理解があった前の厚生大臣でございますので、まあ現在は総務会長でございますが、自民党の役員は一年一回交代でかわるわけでございますからまあそれにこだわる必要はあるまいと。でございますので、総務会長という肩書ではいけません、総務会長がかわるたびに会長をかえる、そんなことはうちのほうはまっぴらごめんです。前の厚生大臣をやって、年金にも非常に理解があり、厚生大臣としては歴代厚生大臣のうち非常に長く任期をつとめられた厚生大臣でございます。一年半くらいやられた。大体厚生大臣なんというものは一年か半年でかわるわけでございますが、この方は一年半やられたのです。そういうようなことで年金にも理解があるし、長いこと厚生省のほうの厚生大臣の仕事もやり、まあこの方を会長に据えれば、なるほど厚生省も相当本腰入れてPRするんだなということをわかっていただけるのではないか。こういうことで私自身が実は考え出して元の厚生大臣鈴木さんにお願いをした。こういういきさつでございまして、自民党総務会長という肩書でお願いしたものではないということだけをはっきりと申し上げさしていただきたいと思う次第でございます。
  253. 中尾辰義

    中尾辰義君 それはいまの厚生大臣の答弁わからぬわけでもありませんがね、やはりそうは思えませんでしょう。何も現職の自民党の国会議員を会長に据えなくたって、ほかにもまだあなた、これだけの人材がおるんですからな、それを特に選んでこういう方、これは鈴木さんは私も尊敬はしておりますが、今度もまたフィリピンへ行かれるのですから、けれどもどうももうそういう時代じゃないんじゃないかと思いますよ。いまさっき私、最初に申し上げましたような国民的要望もあって、こういうことに、これは実現の運びになっているわけですから、そこに一党の幹部を――まあ過去の経過からいうと、確かにそれは政府が五万円年金の実現まで一応は持ってきたわけですけれども、かなりこの点につきましては野党がやいやいやいやい言って、政府のしりをたたいて何とか五万円――五万円年金といってもそれは国民年金は夫婦で五万円だし、しかも昭和三十五年からまだ相当かけなきゃならない。実際五万円もらう人はまだまだわずかしかないんですからね。それ  にしても、今日まで国会におきましても、相当な野党の督励もあって実現したようなこともあるわけですからね。ですから、やはり自民党の総務会長を頭に据えるということはどうかと思いますよ、これ。法律的にはどうのこうの問題はないと、まあこういうことでしょうけれども、そういうように非常に批判も聞いておりますよ。  悪く勘ぐれば、あなた、政治的な圧力をかけてその年金保養基地がいろいろと利用される、そういうようなことですね。さらにこの理事長理事、ずっとこれは大企業の相当な役員さんもかなりおる。総評の議長あるいは同盟の書記長等も連ねておりますが、これなんかも、悪く勘ぐれば、十億の寄付を一口百万円で十口以内でしょう。そうすると、大企業から金が出ていく、こういう結果になろうかと思いますよ。そうすると、やはりそういうような寄付行為をしたようなところも、またこれは非常に優遇措置がとられるんではないかと、こういうふうな懸念もするんですよ。そういう懸念はありませんと大臣はおっしゃるでしょうがね、ですから労働組合の方も入っておられますと。それは確かに入っておられますが、その点はわからぬでもありませんが、十億程度の金ならば政府があんた出してもいいんじゃないかと、こういうふうに私は思うのですよ。それでこの人事等も、これはまあ金集めのための会長、理事長理事等の役員のように私は思うんですが、その辺ひとつ考えてみてくださいよ。理事長以下はやむを得ないにしても、私はどうも政治家が会長なんかになるということはあんまり適切でないと思いますね。これは、いま大臣が御答弁なさったように、あなたの承認のもとになったんですがね、やはりそれでどういうふうにこれなるんですか。鈴木さんがずっとこれやるわけですか。
  254. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 先ほど来年金局長が御説明申し上げましたように、年金保養協会というものは、この大規模保養基地の趣旨を徹底させるということが財団の仕事でございまして、国から補助金をもらってやるとか、国の金を借りて事業をやるとか、こういう性質のものではないんです。純粋の民間団体として大規模保養基地の趣旨徹底をはかっていこうという、ある意味から言うと、年金福祉事業団の協力民間団体と、こういうわけでございます。そんなふうなこともありまして、大規模保養基地は労使の金でつくるわけでございますから、やはり労使の方々のほうも十分入っていただいて趣旨の徹底に御協力をいただく、それから経済界の人にも大いに手伝っていただく、こういうことにしたわけでございます。したがって、これは元厚生大臣という資格でお願いをしたわけでございますから、総務会長がかわりましても本人には会長をやっていただく、総務会長がかわってもやっていただく、こういう性質のものでございます。したがいまして鈴木善幸さんに会長として十分その仕事をやっていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、総務会長としてなっていただいているものではないということだけははっきりさしていただきたいと思う次第でございます。
  255. 中尾辰義

    中尾辰義君 これからあちらこちら年金保養基地ができるわけですからね、そういったところを管理運営していくわけですから、非常にこれは責任もありますし、それだけに私は、いま申し上げたように、いろんな点からまあ利用される――というようなこともないと思いますけれども、やはりそういう点を疑惑を持つわけであります。  それで、いま基地のマスタープランを考えておるということですけれども、大体どういうような構想が浮かんでおるのですか。その点いかがですか。
  256. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 先ほど申し上げましたように、まだマスタープランに取りかかった段階でございますのであまりはっきりしたことは申し上げられないのでございますが、実はこの構想を練り始めましたのが一昨年からでございます。四十八年度予算編成以前の段階からでございまして、でその構想を練るにつきまして、厚生大臣の私的な諮問機関といたしまして大規模年金保養基地設置懇談会というものをつくりまして、そこにいろいろな学者の方々のお集まりをいただいたわけでございます。それでその懇談会が四十七年の十二月に中間報告を出しております。  その中間報告によりますと、この年金保養基地は数カ所で、最後には十カ所程度ということで私どもも考えておりますが、いろいろな立地条件によりましてそれぞれの持ち味を持たせたほうがよかろうというようなことがございます。一口で申しますと、都市近郊型の保養基地と、それから僻陬地型の保養基地、そういったものによってそれぞれその内容は異にすべきである、あるいはまた山岳地における保養基地、海浜部における保養基地、それによってまたその内容を異にすべきであろうと、まあいろいろ複数の、言うなればプランの上でのメニューがございまして、そういったものを基礎にいたして現実に、先ほどお答え申し上げましたその四カ所の立地条件、それからこれから先どういう場所の保養基地が何があってそれをどういうふうなことでどの方面にということを考えて、言うなれば全国ネットワークでそれぞれの保養基地の性格をきめると、こういうような、マスタープランと申しましてもどこか一カ所だけの実施設計の前提になるマスタープランというだけではなくて、全国規模、全国十カ所程度をつくる場合にそれぞれをどのように機能的に連携させるかとか、そういったことがございますので、一律にどのような内容ということをお答えできないわけでございますが、まあ大体そういうような中間報告の趣旨等を十分勘案しながら、専門家グループで、それぞれの地域、それから全体としての機能連携の両について十分の配慮を行ないながらつくってくださるものと期待をいたしておるわけでございます。
  257. 中尾辰義

    中尾辰義君 それで、大規模年金保養基地の設置に関する中間報告、これは大規模年金保養基地設置懇談会、ここからの中間報告ですね。これは大体こういったような施設ができるというようなことが出ておるようですが、これを見ますというと、これはどうも老人向けというよりか年金受給者ではあるでしょうけれども、中年、若年等のレジャーセンターみたいな気がするんですがね。内容をちょっとあげてみますると、これは百万坪でしょう。一般宿泊施設が別荘、マンション、コテージ、ホテル、こういうような建物ですね。それから健康サービス施設、これはまあいいでしょう。そのほか健康保持のためにいろんな運動施設、これを屋外レクリエーシヨンとして、ローンボール、ゴルフ場、グランド、ハーバー遊歩道、テニス、ハレー、バスケット、和洋弓――弓ですな。そのほか屋内体育施設で、室内プール、バレー、バスケット、ピンポン、バドミントン。児童遊園施設。そのほかに動物飼養、植物栽培、職業訓練、文化施設、クラフトセンター。アミューズメント施設として、レストセンター、いこいの家、ショッピング施設、食堂施設、こういったようなものが出ておりますがね。これなんか見ますると、これは何か大企業の会社の従業員等が団体を組んで二、三日のあるいは三、四日のレジャーで、ここへ保養に行くと、こういう感じがしますね。この中にいまのゴルフ場とかこういうものが要るのかどうかですな。これもつくるともつくらぬともまだきまっていないとあなたはおっしゃるかしらぬけれども、一応は出ておる。ですから、これは一体老人のためなのか、一体若年者のためなのか、会社のレジャーのためにつくるのか。保養は保養ですけどね、どうもこの構想を見ますとあんまり老人向きじゃないようですがね。その辺いかがですか。
  258. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) 御指摘の資料は中間報告の付図と称するものだろうと思いますが、私は実はずっと横断的にいろいろなものをつくるとするならばこういったものというので、どちらかといえば全体網羅したような施設を列挙してございます。この付図自体にも断わってございますように、立地条件等によってこの内容は取捨選択。  それで、ただいま御質問の点について率直にお答え申し上げますと、何といってもこれは大規模年金保養基地の一番の役割りは年金生活者のための施設であるということでございます。したがいまして、日帰りあるいは一晩泊まり、二晩泊まり程度で行って、ただ疲れて帰ってくるというふうなものではいけない。こういうことは実はこの中間報告をつくる段階におきましても、非常に大多数の先生方はそういう御意見で、まあ率直に申しますと、そんなら一カ月だとか二カ月だとかいわゆる中期滞在のための保養施設、ソ連のソチ、ヤルタ等は大体そのような使われ方がしておるようでございますが、そういったことに最重点を置くのがいいであろうと、こういうふうなことになっております。  それから、もう一つは中に永住されるような老人ホームをつくったほうがいいかどうかという問題につきましてもいろいろ議論がございまして、ただあまりにも恵まれた環境に特定の方だけが生涯お住みになるということも問題だから、施設の中にそういったものをつくるということはやっぱり問題だろう、こういうようなことがございます。  それで、そのほかにいろいろ施設が若い者あるいは現役の被保険者がむしろ喜んで使うような施設があまりにも多過ぎるではないか。――この点につきましてはこういうような考え方なんです。アメリカ等におけるいわゆる老人の町というものの経験等からいたしましても、いわゆる老人だけがそこに住みついてしまうとか、老人だけが使うようなそういった施設であることは、むしろ老人階層というものを社会から隔絶してしまうおそれがある。したがって、一カ月なり二カ月なり、まあ端的なことばで申しますと被保険者であるおじいさん、おばあさんと一緒に行けば、若い者もそれからお孫さんなんかも一緒にそういった施設を利用できるようなことになるということになりますと、そこでもっていわゆる老人と若い者との間の断絶というものも十分に埋め合わされるというようなことで、この老人を対象とした施設の中に中年あるいは若い方が老人と一緒に行けば使えるようなもそういった施設が組み込まれておることが望ましい。まあこういうふうなことを言われております。そういった関係で、いろいろな施設を、  一つは老人が主たる対象ですが、若い者や中年の方も一緒に楽しんで断絶をなくすというふうな趣旨で、いろいろな施設をここに例示してあるというふうに御理解いただきたいと思います。
  259. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは、時間がありませんので、いろいろ聞きたいんですが、まあ結局これは中間答申にも出ておりますけれども、この保養基地には老人が集まってくることにより、市民社会の仲間意識の醸成高揚が期待される云々と。なおこの保養基地は老人と家族、一般の人々の交流の場として期待される。老人が積極的に参加することにしたい。まあいろいろとこう出ているんですけどね。ですから、やっぱり主体は老人であることには違いないんでしょう。ですから、あんまりへんぴなとこにどだい百万坪もでかいのはどうかと思いますね。まあ中規模程度でよろしいんじゃないかというふうに私ども思うのですよ。現に老人福祉施設があちこちにありますがね、これはまあ一例でこれも聞いた話ですけども、静岡県の浜松市の郊外に老人福祉施設があります。ところが、ある国会議員が土曜日の夜泊まりに行ってみたんです、そこに。そうしたら老人なんて一人も泊まっていないというんですよ。みんな市の職員やあるいは会社の団体旅行で、夜おそうまで宴会で歌えや騒ぎですよ。こういうのが実情らしい。大体あんた方、六十五歳の老人がそうあんまり遠方までもう体がえろうて行きませんよ。しかも費用でもうんと安ければですけどね。  ですから、私の危倶するところは、こういったような、やはり職員や会社の団体旅行で、レジャー向きに使われるような懸念があるわけで私は先ほどから聞いているんでしてね、まあ時間もありませんですが、その点をよく考慮をされてですね、あんまりばかでかいものばっかり必要はないんじゃないかとも思います。いろいろな意見を聞きますけど、大規模な百万坪も要らぬじゃないか、むしろ県単位ぐらいで中程度のものをたくさんつくってほしいと、こういう声もあるんですよね。アメリカといったって、あんた、アメリカなんていうのはでかいんですからね。その辺もひとつ考慮してやってくださいよ。ほかにまあいろいろ聞きたいんだけど、もう時間がないようですし、この件はこれで終わりましょう、ひとまず。  さっきの質問、とぎれとぎれになっちゃったけども、外務省見えてますか。さっきですね、小野田さんの帰還に伴ういろんな経費につきまして、これは決算の立場からどの程度の金がかかっておるのか聞いたわけです。そうすると、まあ相当な金もかかっておる。それで今度政府の特使としてフィリピンの大統領のところにお礼に行かれるわけでしょう。それはいつ行かれるのか、だれが行くのが、どういう目的なのか、そして何がしかのお金を持って行くように聞いておりますが、その辺はどうなっておるのか。まあいろんな新聞等の報道を見ますと鈴木善幸さんが三億円持って行くということが出ておりますですな。それ外務省から聞きたいと思います。
  260. 藤田公郎

    説明員(藤田公郎君) 今回小野田少尉救出及び帰国につきましてフィリピン政府から非常にあたたかい待遇を受けたということ、及びこれまで小野田少尉救出活動につきましてフィリピン政府及びルバング島の住民ですとか非常にその捜査に協力をしていただいたと、こういう二つの点に対して政府として謝意を表するためにいまおっしゃいました三億円をお礼としてフィリピン政府に贈呈するということを先週の土曜日三月の十六日に官房長官から発表されたわけですけれども関係大臣が集まっておきめいただきました。その際、このお礼をフィリピン政府に正式に伝達するために特派大使をフィリピン側に派遣するということも決定を見たわけでございます。それで本日分閣議で鈴木善幸自民党総務会長を特派大使に任命してフィリピンに派遣するという決定を得ました。具体的ないらっしゃる日時は来週の火曜日でございます三月二十六日に東京を出発されまして二十九日に帰ってこられるという日程でフィリピンに行っていただくことになっております。
  261. 中尾辰義

    中尾辰義君 この三億円はきまったんですか。
  262. 藤田公郎

    説明員(藤田公郎君) 三億円は関係大臣でおきめいただいて、ただしどういうふうにこの三億円を使ったらいいかということは、まあフィリピン政府の御希望もあると思いますし、日本としては直接いろいろ御迷惑をかけたルバング島の住民の民生福祉に使っていただきたいという希望は表明しておりますけれども、具体的にどういうようなものが一番適当かということはフィリピン政府のお考えを聞いて具体的にきめるということになっております。
  263. 中尾辰義

    中尾辰義君 済みませんがね、ちょっと質問を準備しておりましたので、短時間ですからお伺いしますが、これは保健所のお医者さんが非常に支あ希望者が少なくてお医者さんも足らないと、こういうふうに聞いておるわけですね、まあ時間ないですから要点だけ聞きますから。その保健所のお医者さんの充足率もあなたのほうのこのデータで見まするというと四十七年は医師が三千七百十八名の定員の中で充足率はわずか四二%である、まあ歯科医も同じでありますね、歯科医はわずか三〇%程度と、ですからこれにはいろいろ問題ございましょう、それに関連をいたしまして将来そういう保健所に勤務をしていただくという意味におきまして公衆衛生修学資金貸与制度というものがあるわけですね、ところがこれは概略言いますというと、学生の間に本科から以上幾らかの金を医学生に貸してそして卒業後保健所につとめる、つとめる期間はお金を借りた期間の一・五倍、四年借りると六年の義務があるんだ、こういうふうに聞いておりますがね。それで普通のお医者さんに保健所に来てくれといいましても、いろいろと向こうさんの都合もあるでしょうし、これ強制的にやるわけにいきません。ですから保健所の医者としてこれ勤務をさせるための一つの誘い水みたいなもんなんです、これは。これがあなたのほうの資料によりますと、一括して申し上げますから……、この修学資金を貸与されて、そうして修学終了をされた、それから保健所に就職をされた人、お医者さんですね、この割合を見てみますると、四十四年が二十七人の修学終了者、それに対して五人が保健所に就職をしておる。四十五年は三十六人の終了者に対して七名の就職者があった。四十六年は三十三名に対して六名、四十七年は二十九名に対してわずか一名しか保健所に勤務しておらない。しかも予算もだんだん毎年減っておる、こういうような現状のようでございます。したがって、この制度そのもの自体にあまり魅力ないじゃないかと私思うんですが、時間がありませんでね、その辺ひとつ一括して答弁してみてくださいよ。
  264. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 確かに先生のおっしゃいますとおり保健所の医師は不足しております。私どもも保健所活動の中心になるのはまさにお医者さんでございますので、何とか確保したいということでいろんな手段をやっているわけでございます。医師の不足しておることは、おそらく基本的には医師全体の数が足りないということもあると思いますし、あるいは保健所についてどうもやっぱり臨床に比べて魅力がないとかあるいは給与面が悪い、いろんなことが原因が重なったのだと思います。御指摘の修学資金も意味がないとおっしゃられれば非常にあれでございますが、私どもとしてはそれにしてもこれまで修学資金を貸与されて何人かは保健所へ勤務されておられますので、これも一つの手段として考えておりまして、実は四十九年度の予算では従来月額六千円でありましたのを一万二千円に引き上げるべくやっておるような次第でございます。一つだけの手段でもなかなかまいりませんので、医師のあるいは保健所における研究手当の増額とか給与の改善とかあらゆる対策を講じて今後とも努力を続けていきた  いと思っておりますので、修学資金もその一環として考えていきたいと思っている次第でございます。
  265. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃもう最後に厚生大臣にお伺いしますが、この制度は在学中に八千円ですか、今度は四十九年度から少し上がったようですけれども、一万二千円ですね、ことしから上がるわけですね、それにしてもこれは卒業して医者の免状とってこの借りただけの金をどこからか借りてきて返してしまうともう保健所にはつとめなくてもいいと、こういうようになっていると聞いておりますが、あんた、学校卒業してお医者さんになれば五十万や百万ぐらいはそれは金融はどこかからでもつきますよ。お世話になりました、これは返しておきますよ、私はちょっと保健所はあんまり好みませんのでよそにつとめますと、こう言って行かれたんじゃこの制度自体が全然これはだめですよ、こういうことでは。やっぱりそれならそれでもうちょっと何とか魅力あるものにこれは検討し直す必要があるんじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。大臣の所見を承ってそれで終わります。
  266. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) この保健所の医師不足、ほんとうにこれは率直に言って私どもも一番頭の痛い実は問題でございます。まあそこで、そういうふうなことで医師を何とか確保したいということの一環としていま審議官がお答えいたしましたような制度をつくっているわけでございますが、一万ちょっとの金ではたしてこれがうまくいくかどうか、私も非常な不安を実は持っているわけでございます。そこで実は僻地医療の確保の問題もありまして、先般そっちのほうは四万円の修学資金の貸し付けということを考えたわけでございまして、私はやっぱりこういう制度をもしやるならばもっと多くするようなやり方を考えていかなければならぬのじゃないか、こういうふうにも考えておるわけでございます。まあしかし、いずれにせよ、いま先生お述べになりましたようにもそんなこと言っても卒業したときによそから金を借りてきてということであれば、四万円が五万円でもなかなかこれ、効果のないわけになるわけでございます。しかし、それはそれとして私ども少しでも、一人でも二人でも残っていただけないか、こういうふうな気持ちでやっておるわけでございまして、まあ今後とも大いに努力をいたしてまいりたいと思います。
  267. 野末和彦

    ○野末和彦君 薬の値段あるいは薬価形成のやり方とか、その辺のことを質問しまして、時間がなければ別の機会に残して重ねてお聞きしたいと思っています。  まず最近数カ月一般のいわゆる家庭用の医薬品がだいぶ値上がりしておりますけれども厚生省では価格変動の調査をいろいろおやりになったそうで、値上げ幅の率ですね、一番値上げしたのはどのくらい、何%ぐらい値上げしているかというあたりをお聞きしたいんです。あるいは五割以上上げたものはどのくらいある、あるいはまあ平均して一品目で値上げ幅はどのくらいになっているか、その辺の値上げ幅の実態を簡単にひとつ先に説明してください。
  268. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) 御指摘の点大体五十社ほどの大衆薬の主要メーカーにつきまして、昨年の九月一日以降の価格変動状況を調査いたしました。商品数といたしまして二千八百余り、値上げをした商品の数は五百五十でございまして、全体の二〇%弱でございます。御質問の五〇%以上の商品数が六十八、それから値上げ率の最高は九二・三%、最低は六・三%そういう状況でございます。八割ほどのものは値上げをいたしておりません。
  269. 野末和彦

    ○野末和彦君 そうしますと、今度はその残った八割が石油製品価格の改定などありまして、今後当然値上げが予想されると思うんです、そうでしょう。予想されると思うんですが、厚生省がメーカーへ出された要請の文書を見ますと原則として当分はしないようにする、だけれども、やむを得ざる事由のため引き上げを行なう場合は厚生省の事前了承を得るこというのがありましたね。そうすると、この了承を求めてきたときにそれがやむを得ないものかどうかというのを厚生省は検討なさるんでしょうが、この事前了承を求めるということの中にはあれでしょうかね、内容をかなりチェックして、その場合にどうもおかしいと思ったら値上げ幅を押えるなり、値上げを撤回させるなり、あるいは了承しないと突っ返すなり、そういう意味の権限というのはどのくらい含まれているこれは要請なんですか。
  270. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) この点は先生御案内のように、厚生省といたしましては二月初め以来いま御指摘のような方針によって指導いたしてきたところでございますが、今回の政府の決定の一環といたしましても重ねてその点を確認しておるわけでございます。審査の基準といたしましては、これもいま先生が御指摘になりましたように、いろいろな具体的な資料をとりまして、それが真にやむを得ないものかどうかということを審査いたしますわけで、その内容といたしましては、やはり他省庁の所管と同様に、コストの上昇の程度あるいはそれを企業努力によってどの程度吸収できるかというような点が主眼になるわけでございます。ただ、医薬品といたしましては、これはやはりどうしても採算がとれないために供給がとだえるということになりますと、これは国民医療上の問題でもございますが、そういったことを生じない限度におきまして極力値上げは抑制する、そういう方針で指導いたしております。
  271. 野末和彦

    ○野末和彦君 薬というのは非常に原価がきめにくいわけですよね。値上げの理由書をいろいろつけてきてそれを厚生省が検討なさったところで、はたしてこれは値上げがやむを得ないかどうか、適当であるか不当であるかというのは非常にわかりにくいと思うんですよ。もちろん商品によって違いますからね。この非常にわかりにくい場合に、結局ある程度の基準となるものさしのようなものがあって最後の判定を下すのか、何か供給のほうが大事だから結局は了承せざるを得ないという結果になってしまうのか、その辺が非常にむずかしいと思うんです。  ですから私まずお伺いしたいのは、事前了承というものが価格をチェックできる権限を持つのか、結局は局長はどうもそういうことらしいですがね、あまり言えばこれは行政の介入になりますからね、値段について。その辺あいまいなんで、もう少しいわゆる薬価形成の中身を詰めて、この事前了承というものはどういう基本方針でいくかというのがないと、何かこっちは何となく認めて、こっちはどうも認めなくてと、不公平が出てきたり、非常に心配なんですがね。その中身についてはまだ具体的には詰めていないんですか。いわゆる基本方針だけですか、いまは。
  272. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) これは、いま先生御指摘になりましたように、いま一般薬、大衆薬といわれるものは品目といたしましては二万以上の品目を数えておるわけでございまして、その構成も複雑でございます。したがって、かちっとした基準を数字的に出すということはなかなか困難でございますけれども、やはり先ほど申し上げましたように、まず当該医薬品の供給状況、需給の状況、それからコストの状況、あるいはその企業全体としての経営の状況、そういったことをにらみ合わせましてその当否を決定する。したがって、初めの御質問にございましたように、場合によってその値上げ幅を押える、あるいは値上げをしばらく延期させるというようなことも当然指導方針として含まれるわけでございます。ただ、いまの御質問の中の、どういう権限を持って、という点でございますが、その点につきましては、確かにおっしゃるように一般的な行政指導の範囲でございますので、これを強制するだけの法的の根拠はございませんけれども、やはり医薬品企業という特殊な業態の社会的責任ということは平素相当徹底しておると存じますので、大体この方針に従って協力していただけるものという前提で指導いたしております。
  273. 野末和彦

    ○野末和彦君 そこでそのいまの薬務局の立場はやはりどうしてもメーカー側に立つわけですよ。  メーカー側に立って、まあ供給の点は消費者側に立つんですけれども、どうしても理由書、いわゆる事前了承を求めてくるのはメーカー側ですからね、メーカー側に立ついろんな根拠を検討なさると思うのですが、この際薬の値段というものを  やっぱり再検討する必要があると思うのです。大体、この間うちも値上げして、厚生省の指導で値上げを撤回したり値上げ幅を押えたものが幾つかありましたけれども、あれ自体かなりいいかげんな根拠で値上げしているものもあるわけで、まあ一々ちょっと言いませんけれども、事前了承をこれから行なうに際して、私は幾つか提案していぎたいと思うんですね。それに対して御意見を聞きたいんですが、まず、薬はよくもうかると、こういわれるわけですよね。まあ疑惑を持たれているわけですわね、薬の値段というものの形成が。  そこで、まず価格形成の要素がいろんないいかげんな要素も入っているし、もっともな要素も入っていますが、どうなんでしょうか、ある程度原価というべき部分を、ここらで厚生省とメーカーでもってある程度洗い直していくような、そういう指導というのができないかどうか。どこまでを原価と見るか、非常にむずかしいけれども、たとえば、原材料が値上がりしたからという理由も出てくると思うんですね、今度事前了承で。そうすると、原材料が値上がりしたから、これがいわゆる生産原価ですか、製造原価ですか、最終的に価格にはどのくらいはね返っていくのかということを考える場合にも、ある程度原価というものは必要なわけですね。  そこで、一般の消費者にもある程度わかる程度の、あまり疑惑を持たれない程度で、原価というものはこの程度だという洗い直す作業、それをはじき出す作業というのを、厚生省の指導でやっていく必要がこの際あるんではないか。事前了承というからには当然それも大事な要素ですから、いかがですか、一般の消費者にわかるようにやれませんかね。
  274. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) 医薬品の価格の構成要素といたしましては、まず、おっしゃいましたように、原材料費とか、労務費経費というような売り上げの原価に相当する部分、それから輸送費、広告宣伝費試験研究費、減価償却費、そういったような販売費とか一般管理費といったようなものに相当する部分、こういったものが広い意味での原価と考えるべきものであろうと思います。  ただ、先ほど先生の御質問でも御指摘がございましたように、医薬品のメーカー、メーカーとしても二千ぐらいございます。それから大衆薬だけとりましても三万近い品目があるということで、メーカーといたしましては、やはり、それぞれの医薬品の価格構成と同時に、また、メーカーの企業全体といたしまして、バランスをとるということで、場合によっては一、二の品目について、重要な医薬品であれば、その品目としては原価を割っていても企業努力によって吸収してもらうというようなことを要請いたしまして、価格を抑制するというような指導もしなければならぬ場合があるわけでございます。そういったように単品だけの原価というものはなかなかっかみにくい要素がございまして、また非常に少量多品種でございますために、原材料の値上がりの状況、あるいは不足の状況も非常に区々でございまして、そういった形での原価の把握、あるいはそれによる価格の形成というようなことを行政当局として行ないますことは、現段階におきましては、かなり困難ではなかろうかと考えております。
  275. 野末和彦

    ○野末和彦君 何かどうもメーカー側に理解があり過ぎるようにも思いますが、まあむずかしいことは十分承知してます。  具体的に聞きましょう。たとえば原材料が値上がりしますと、薬は石油依存率がかなり高い商品ですから、まず原材料の値上がりがどの程度に製造原価へはね返るんですか。そしてそれが小売り価格にどの程度にはね返るんでしょうか。これはあまりにも雑な聞き方で、正確な数字が出るものじゃないかもしれませんけれども一大体どんなものなんですかね。
  276. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) 原材料の値上がりと申しましても、最近問題になっておりますのは、いま先生御指摘のように、石油関連の資材でございますが、そのほかにも、非常にいろんなものが原材料として使われておるわけでございまして、たとえば医薬品の、現在ある程度ブームといわれております重要な要素になっておりますあの生薬というようなものは、これほとんど外国からの輸入にたよっておりまして、一年間に多いものは十倍以上の値上がりをしておるという要素があるわけでございます。したがいまして、石油関連製品の値上がり率だけで、なかなかこれ把握しにくい点がございまして、これは個々の商品あるいは個々の医薬品につきまして把握しませんと、一律にどの程度ということは、ちょっといま申し上げるだけの資料を持ち合わせておりませんですが……。
  277. 野末和彦

    ○野末和彦君 わかります。  それでは今度は副資材がありますわね、びんとか箱とか、ああいうものはあれは通産省がきめるんですか。事前了承を求めているんでしょう。そうすると原材料は厚生省担当で、今度箱とびんの値上がりが、結局これだけあるから価格にもこれだけだというようなのを理由にしてきた場合に、これは通産省に回して向こうでやらせるわけですか、きめてもらうんですか。
  278. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) 当該医薬品の価格自体については、もちろん厚生省の専管事項でございます。ただ、先生御指摘のような副資材、特に現在よくいわれますのはガラス類、あるいはプラスチック、あるいはPTP包装に使います場合の金属箔とか、あるいはビニールシートというようかものの値上がりがいわれております。そういったものにつきましては、まずそういったものの不足の状況、値上がりの状況等を、私どもも通産省と連絡をとって把握いたしておりますので、そういった申請がありました場合に、通産省に対してそういったものの安定的供給ということを具体的にお願いいたしますと同時に、それにも限度がございますので、それでなおやむを得ないというような場合に、初めて了承するというような両面の努力を現在でもいたしておるところでございます。
  279. 野末和彦

    ○野末和彦君 今度人件費の値上がり分はどういうふうに考えたらいいですか。人件費はとにかく春闘で上がったとしますね。そうすると今度は人件費が上がったから生産価格が上がって、小売りがこれだけ上がったということをメーカーが理由の一つにしてもってくるという場合に、今度人件費のその部分は、どういう基準でもって価格のはね返り分を厚生省はチェックするわけですか。
  280. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) 人件費の問題、これは一つの山が御指摘のような時期になるわけでございまして、今後の動向を見きわめなきゃならぬという要素が相当多いと思います。ただ、私どもといたしましては、その人件費の高騰というのは、個々の企業の事情にもよるわけでございますし、また高騰いたしたとしましても、それが実際に原価に影響します時期がどの程度のことになるのか、通常、生産から流通までの段階には、いささかの時間があるものもあるわけでございます。そういったことも織り込みまして、実際に必要やむを得ない範囲という考え方は、ほかの経費と相違はないと考えております。
  281. 野末和彦

    ○野末和彦君 広告費はどうですか。広告費は薬の場合は、主力商品の場合はすごい宣伝しているわけですね。それで局長の話で、もちろん一品だけで原価きめられないから、ほかのと全部合わせて、いろいろメーカーのほうは経費を考えているんでしょうけども、消費者のほうから言わせると、大体宣伝の主力になっているものを買いにいく場合がかなり多いようですけども、このPR費という広告費ですね、純粋に宣伝費といいますか、それは価格形成の上からみると、大体どの程度のパーセンテージを占めているんですか。先ほどはごっちゃでいろいろな要因としてお答えになりました。
  282. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) 医薬品の特に大衆薬の広告宣伝費というのは、かなり従来批判のあったところであることは御指摘のとおりでございますが、これはある時期におきましては、広告費による販路の拡張ということが医薬品の価格の引き下げにもつながるというようなエキスキューズもあったかと存じます。しかし、本質的に申しまして医薬品の広告宣伝というのは、本来医薬品に関する長所短所含めましての正確な情報を伝えるということを本旨とするもので、他の商品みたいに売らんかなという性質のものではないということを基本といたしまして、私どもとしても広告宣伝の適正化ということは強く指導いたしております。そういったことから申しまして、主要な各社の広告宣伝費の売り上げに占める比率を調べてみましても、大体四年ぐらいの間に半分になっております。四十四年の上期で五・六%であったものが、四十八年の上期では二・九%というような率になってきておりまして、広告宣伝費の医薬品の原価に占める比率というのはかなり低下をしておるというふうに考えております。
  283. 野末和彦

    ○野末和彦君 そうすると今度広告費がもう上がるかもしれない。広告費が上がったということを幾らかの理由にして値上げを言ってきた場合に、幾つかのうちの一つの要素として。そうすると、やっぱり広告費の値上がりはチェックできますね、そうしたらね。つまりいまの、本来広告の趣旨からいえば、広告が値上がりしたからそれが製品のほうにもはね返るという考え方はちょっとできないと思うんですよね。だから、事前了承のときにまさかそんなことを言ってこないかもしれないけれども、広告費が上がった、値段を上げるということはちょっと許せないですね。
  284. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) いまお答えいたしましたように、広告の要素というのはいろいろな要素がございまして、たとえば新製品を発売いたします場合に、その正確な情報を提供するという範囲の広告というのは、これは医薬品にはむしろ認めなければならない要素もあろうかと思います。ただ、御指摘のような、従来販売されております医薬品についてなおその拡売のための広告というような形で広告費の値上がりを理由にしての値上げというのは、いまの時期といたしましては御指摘のように適当でない面が多かろうと思います。
  285. 野末和彦

    ○野末和彦君 それからリベートなんですけれどもね、大体厚生省のお考えを聞いておいてあとで別の委員会でやりますから、いまの段階の御意見でけっこうなんですが、このリベートを、まず小売り価格があるでしょう。そうすると、小売り店がざっと言うと二五%ぐらいですよね、小売り店のマージンがね。問屋が大体一〇%前後だと思うのですね。あと残りの六五%ぐらいがメーカーから流通段階までの、まあ卸ぐらいまでの経費に全部当たるのだろうと。その中でいろいろ、先ほど局長がお答えになりましたいろいろな要因があると思うのですが、ここで言うのは再販制度品について、メーカーから問屋、あるいはメーカーから小売り店に対して、いわゆるマージンとは別に現金のリベートがあるわけですね、報奨制度といいますか、まあサービス品もついていますけれども、現金リベートがあるのですがね、この辺がちょっと疑問なんですよ。  で、公正取引委員会にお伺いしますが、いま大体再販制度品の販売に関してリベートはどの程度が行なわれていますか。
  286. 後藤英輔

    政府委員(後藤英輔君) 再販品につきましてのリベートの状況は、公取では毎年一回各メーカーから商品ごとのをとっておりますけれども、これはその形態は、その各企業あるいはまたいろいろな薬の種類、またはそれから販売の形態等によりまして非常に異なっておりまして、一般的にどうというふうにはなかなかむずかしゅうございますけれども、たとえば大手のメーカー等につきまして小売りのリベートを見ますと、販売額の大きいところあるいは小さいところによりまして、大体卸価格のゼロから一三%前後というのが大手のメーカーについての……
  287. 野末和彦

    ○野末和彦君 ゼロ……。
  288. 後藤英輔

    政府委員(後藤英輔君) 非常に売り上げの少ないところは、これはもうリベートを出しませんですから、そういうものから、売り上げの多いところについて出しているリベートも一三%前後というふうに承知いたしております。
  289. 野末和彦

    ○野末和彦君 そうすると、このリベートというものをどう考えるかと。まあ公正取引委員会の立場でいえば、これは目に余るほどじゃないということだろうと思うんですがね、これを消費者は知らないから、消費者が薬を買いに行く場合に、このリベートが、買う値段にこれだけのものが一応含まれていると考えると、ちょっとびっくりするんじゃないかとぼくは思うんですね。なぜというと、大量に売れば売るほどリベートがきますからね、問屋もメーカーもどんどん売るんですよ。売るということは、客がどんどん飲まされているわけですけれども、だからといって値段が下がらないで、結局もうかっているのは客を除いた部分がもうかっているわけですね。すると、このリベートをなくすというのはいろいろ競争があってむずかしいんでしょうけれども、このリベートをもし押えていったら、かなりこの部分で浮くわけですよね、経費が。そうすると、今後いろんな理由で値上げを考えてきた場合に、ここをそのままにしておいて適正かどうかというのを判断するのか。この辺をある程度、メスを入れるというのはオーバーですけれども、ここらをチェックして、ほかの理由による値上がり分をある程度はカバーできるんじゃないか。その辺のことを考えますと、どうもこのリベートはちょっとあり過ぎだと思うんですよ。うちなんかも薬屋をやっているんですがね、どう考えたってこれはまずいという気がしてしようがないんですね。一三%でしょう。それ、ちょっといまゼロからとおっしゃいましたけれども、ゼロということはまずないんですがね。一〇ぐらいですよ。一〇から一一、それから一三、一三・五。そのほかにサービス品つきですがね。この部分は、そうすると普通の商品を売る場合の適正マージンにまたこれが加わるので、どうもここらは法的に問題がないからといって、今後値上げをどんどんメーカーが要求してきた場合に、これには触れずにおくかどうか。ここらはチェックしなければいけないんじゃないかというふうに考えまして、客の立場でいえば、このリベートがもしなければその分だけ下がるという単純な計算もできるわけですね。だから、いかがでしょうかね。このリベートに対して、厚生省としては今後事前了承を求めてきた場合には、これはいままでの慣習だからやむを得ないということで、全く触れずに通りますか。それともここらでちょっとこの辺を検討する余地ありと見ますか。どうでしょう。
  290. 松下廉蔵

    政府委員(松下廉蔵君) 御指摘のように、医薬品の流通経路はかなり複雑な態様を持っておりまして、報奨金ないしリベートというようなことも取引数量の多少とか取引条件の差異というようなことでかなり違っておる状況にあることは私ども承知いたしております。ただ、現在私ども指導しております大衆薬の価格抑制というのは、これはやはりメーカーを第一といたしまして、そのメーカーのいわゆる建て値、小売り指導価格、これは医療用の場合と違いまして、大体そのメーカーの建て値というものが一応小売り店における販売の基礎になっておるというような要素がございます。で、一方でリベートは、先生御指摘のように、これは小売りなり卸の段階のマージンの変形というような性格を持っておるわけでございまして、したがって、一がいにリベートを押えるということになりますと、むしろメーカーの負担よりも流通段階の、卸なり小売りの中小企業の利益をまず削減させるというようなことにつながってもぐあいが悪い点もございますので、やはりメーカーの責任においてその辺のバランスを保ちながら、できるだけ末端の価格を抑制するということを中心といたしまして指導しておるわけでございまして、なお、御指摘のような再販品等についてのりべートがある程度以上行き過ぎますと、公取のほうも御指摘がありました独禁法に触れるというような点もございますし、そういった面からの指導は、これは公取とも連絡をいたしまして十分強化してまいりたいというふうに考えております。
  291. 野末和彦

    ○野末和彦君 そこは非常に疑問だな。中小の利益を押えることになるかどうか。むしろ逆で、メーカーのほうがこのリベートによって結果的にはもうかるようになるんじゃないかと思っていますがね、実際、局長と売っている立場で考えるとだいぶ違うから。その辺はまあいいでしょう、時間がないですから。大体一応の事前了承を今後どういうふうに考えていくかという点でのお答えはわかりましたので、残りは別の委員会でちゃんとやりたいと思いますので、よろしくお願いします。
  292. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 他に御発言もないようですから、内閣並びに厚生省と、それに関係する医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の決算につきましては、この程度といたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十九分散会      ―――――・―――――