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1974-02-25 第72回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十五日(月曜日)    午前十時九分開会     —————————————    委員異動  二月七日     辞任         補欠選任      黒住 忠行君     小林 国司君      矢野  登君     二木 謙吾君  二月二十日     辞任         補欠選任      君  健男君     橋本 繁蔵君  二月二十五日     辞任         補欠選任      小林 国司君     高橋 邦雄君      佐田 一郎君     木内 四郎君      二木 謙吾君     米田 正文君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中寿美子君     理 事                 松岡 克由君                 小谷  守君                 中尾 辰義君                 加藤  進君     委 員                 木内 四郎君                 世耕 政隆君                 高橋 邦雄君                 中村 登美君                 長屋  茂君                 米田 正文君                 工藤 良平君                 佐々木静子君                 須原 昭二君                 鈴木  力君                 春日 正一君                 野末 和彦君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  三木 武夫君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       小坂徳三郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       保利  茂君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       内田 常雄君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       森山 欽司君    政府委員        内閣官房長官  大村 襄治君        内閣総理大臣官        房広報室長兼内        閣官房内閣広報        室長       斎藤 一郎君        内閣総理大臣官        房管理室長    伊藤 廣一君        青少年対策本部        次長       吉里 邦夫君        日本学術会議事        務局長      高富味津雄君        近畿圏整備本部        次長       石川 邦夫君        中部圏開発整備        本部次長     宮崎鐐二郎君        公正取引委員会        事務局長     吉田 文剛君        公害等調整委員        会事務局長    宮崎 隆夫君        首都圏整備委員        会事務局長    小林 忠雄君        宮内庁次長    瓜生 順良君        行政管理庁行政        監察局長     大田 宗利君        経済企画庁長官        官房会計課長   白井 和徳君        経済企画庁国民        生活局長     喜多村治雄君        経済企画庁物価        局長       小島 英敏君        科学技術庁長官        官房長      片山 石郎君        科学技術庁長官        官房会計課長   高須 儼明君        科学技術庁研究        調整局長     千葉  博君        科学技術庁原子        力局長      牟田口道夫君        科学技術庁原子        力局次長     伊原 義徳君        環境庁長官官房        会計課長     竹谷喜久雄君        沖繩開発庁総務        局長       岡田 純夫君        大蔵大臣官房審        議官       岩瀬 義郎君        農林省食品流通        局長       池田 正範君        通商産業政務次        官        楠  正俊君        通商産業省基礎        産業局長     飯塚 史郎君        通商産業省生活        産業局長     橋本 利一君        中小企業庁次長  小山  実君        郵政政務次官  三ツ林弥太郎君        郵政省電波監理        局長       齋藤 義郎君         —————        会計検査院長   白石 正雄君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        国税庁調査査察        部長       井辻 憲一君        林野庁林政部林        産課長      下川 英雄君        会計検査院事務        総局次長     鎌田 英夫君        会計検査院事務        総局第一局長   高橋 保司君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十六年度特別会計歳入歳出決算昭和四十六年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十六  年度政府関係機関決算書(第七十一回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十一回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十一回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二月七日、黒住忠行君及び矢野登君が委員辞任され、その補欠として小林国司君及び二木謙吾君が、また、二月二十日君健男君が委員辞任され、その補欠として橋本繁蔵君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次に、ただいま御報告のとおり君君の委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認めます。  それでは理事橋本繁蔵君を指名いたします。     —————————————
  5. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次に、昭和四十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、総理府のうち総理府本府、行政管理庁経済企画庁科学技術庁及び環境庁について審査を行ないます。  この際おはかりいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも口頭報告を省略して本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  7. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 速記をつけてください。  それでは、これより質疑に入るわけでございますが、質疑に入るに先立ち、去る二月六日工藤君の質疑の際、保留となっておりました会計検査院審査について前回に引き続き質疑を行ないます。工藤君。
  8. 工藤良平

    工藤良平君 二月六日の検査院に対する質問につきまして問題を残しておりました。きょうたいへん貴重な時間に御配慮をいただきましてお礼を申し上げたいと思います。できるだけ簡潔に私も締めくくりたいと思いますので、御協力をお願いいたしたいと思います。  まず会計検査院に入ります前に、先般、国税庁につきまして、実際、現在問題になっております商社、それから石油元売り十二社に対する国税庁実地調査についての資料提出を求めておりまして、その提示がございましたが、先般、衆議院の予算委員会でも問題になりましたトーメンあるいは丸紅、日商岩井などの税金の脱漏の問題について、それらと提出をされておりますこの資料実情調査日時との間におきまして、もちろん三社につきましては、若干この日時とは食い違いはありますけれども、それぞれ問題点指摘をされておりますが、それ以外の実地調査の結果というものは概略でけっこうでございますけれども、全く正しいものであったのか、あるいは追徴等の措置がとられたのか、その点について御説明をいただきたいと思います。
  9. 井辻憲一

    説明員井辻憲一君) お答え申し上げます。  それ以外の各商社につきましても、それぞれ二年に一回、あるいはものによりましては連年調査実施いたしまして、適正な課税処理をすでに了しておる、あるいは現在調査中のものにつきましては徹底した調査続行中でございます。これらの課税実績につきましては、個々の内容にわたりますので、具体的にはお答え申し上げかねる次第でございますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、一昨年来商社につきまして木材あるいは食糧というふうなものの買い占め問題等の経緯がございます。特に昨年の春以来は各国税局指示いたしまして、重点業種として徹底した調査を行なうようすでに指示済みで、現在も続行中でございまして、これにつきましても、すでに大臣からも強い指示を受けております。各国税局ともその体制調査実施中でございます。
  10. 工藤良平

    工藤良平君 いまの答弁で尽くされるわけでありますけれども、特に、いまお話のように、やはり昨年からことしにかけての過剰利益に対する調査というものは、非常に重要であろうと思うわけでありまして、そういう意味合いから、私はいまお話のようにきわめて集中的に、やはり体制を整備していただきまして、徹底的な調査をお願いいたしたい。そういう体制の上に立って、後ほど私は会計検査院に対する御質問をいたしますけれども、それを受けての会計検査院としてどうするかということは私はこれまた重要な問題になってこようと思うのでありますから、この点につきましてはこの資料提出されておりますように、二年ないし三年に一回は実施をしてきたということであります。おそらく私どもの予測するところでは、かなり部分がやはり追徴なり何らかの形で更生決定がなされているのではないかということが予想されます。きょうあえてその問題については私はこれ以上触れませんけれども、ぜひひとつ万全の体制で今年度は取り組んでいただく、このようにしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それでは次に、これは同じく大蔵省銀行局の関係につきまして先日、私、財政投融資関係についていろいろとお伺いをしてまいりましたが、特に先般輸出入銀行貸し付け金の中で、業種別最高額提示をお願いいたしまして、その提示がございましたが、その後いろいろと調査をしてまいりますと、とりわけ現在買い占め売り惜しみ物価上昇元凶といわれている商社に対しまして輸出入銀行貸し付け残かなり多額に上っているようであります。現在この商社金融的機能の高さということが非常に問題になっておるのでありますけれども、この点についてある資料によりますと、四十七年末で大手六社の借り入れ金総額は四兆六千六百億円というような数字も出されておるようでありますけれども、もちろんこれは現在はさらに大幅に延びておりますけれども、そういうような状態から特にこの商社金融的機能の高さ、いわゆる系列化して、それに株の取得あるいは融資という形で系列化していくという体制が非常に進んでいる。ある企業のごときは二百種をこすような、そのような状態が続けられておるということでありますけれども、こういう点について大蔵省として、特に資金を預かっている大蔵省としてどのような基本的な考え方を持っていらっしゃるか、現在の状況を踏まえてひとつ御回答いただきたいと思います。
  11. 岩瀬義郎

    政府委員岩瀬義郎君) 商社についての御指摘でございますが、その前に、財政投融資関係輸銀を通じまして十大商社貸し付けをいたしましては、残高のベースで先生のお手元資料を差し上げております。これは輸出入銀行といたしましては特に残高ではこのように大きな金額になっておりますけれども、一件一件の商談といいますか、プロジェクトと申しますか、そういうものに基づいて融資を行ないます関係上、どうしても中小企業海外相手方との話し合いに直接入ることができないというような関係もありまして、そういう商談商社がかわってといいますか、一まとめにして契約をする、そういう場合に融資相手先商社になります。しかし、これに対する関連中小企業まで至りますと相当金額がその部分から支払われるという形になっておりまして、輸銀に関する限りにつきましては商社に対する資金操りを見てやるとかいうような形ではなくて、相手に支払われる代金、あるいは相手に対して延べ払いなどをいたしますと、延べ払いをいたします関係相手から資金が取れませんので、その期間中は輸銀からのファイナンスによりまして、むしろそのプロジェクトの中に含まれている中小企業下請企業関連企業支払いを行なうというような形になるわけでございますので、この残高がそのままそれぞれの商社に対して振り向けられたものであるというふうにお考えいただきますことは必ずしも適切でなかろうかと思います。ちなみに、たとえば一件百六十一億というような契約金額パキスタン向け建設資金などを例にとってみますと、外注しております会社数が四百四十社、うち中小企業が三百四十三社というように、一つの件をとりましても、かなり部分関連下請業者契約が結ばれておるというかっこうになっております。したがいまして、私どもはむしろそういう点においては商社海外における活動と国内企業との結びつきというのは了解いたしておるわけでございますが、最近のように商社国内的にもいろいろと根を広げてまいりまして、これは輸銀融資を通じてではなく、一般市中金融機関からの融資等を通じて、国内のたとえば土地だとか米だとか、そういう国民生活に密接に関係があり、かつ非常に影響を持っておるというものに対して融資が非常に大きく行なわれてきているということについては、これはこれからわれわれ銀行を監督している立場からも、融資の面で十分抑制と申しますか規制を加えながら見ていきたいと考えております。
  12. 工藤良平

    工藤良平君 確かにこの輸出入銀行貸し出し残の中にはそのような要素もあるということも私も十分承知をいたしております。ただ、現在の商社の運営というものを見ますと、非常に複雑多岐であります。いま私が申し上げましたように、資金的な面からがんじがらめ下請企業系列化している。こういうことから非常に繁雑でありますので、たとえばこれを政府資金あるいは市中銀行からの資金、そういう区分けをして、なかなかむずかしい問題があるということも私はわかります。しかしながら、なぜそれではこのような国が財投資金を安い金利貸し付けていくのかということ、これはやはりそれなりの国益を守るための、国民に奉仕していくための大きな要素があるからこそ、このような資金融通というものが私は行なわれているのだろうと思うんです。そういう意味からいたしまして、今日税金の問題あるいは買い占め売り惜しみの問題が次から次に摘発されている。こういう具体的な事実を見るときに、このような、たとえば三井物産が千六百四十九億の貸し付け残がある、あるいは食管法を犯している丸紅が八百九十億というたいへんな貸し付け残がある。それがいまのような要素を含みながらも系列化する中でがんじがらめに縛り上げられる。それが一片の文書でもって買い占め売り惜しみ指示していくというような状態を考えてみるときに、その実情というものについて徹底的なメスを入れない限り、これは公然とそのような買い占め売り惜しみ金融関係からも許しているということになるのではないかという私は心配をしているし、現実にそうではないのか。国民の目から見れば、私はそのことに対する大きな不信というものがあるのではないか、このように思うわけです。  ちなみに、それでは別の角度から見てみましょう。いま私はごく一部のたとえが丸紅なら丸紅、八百九十億の貸し付け残がある。これは外国から農産物の輸入もいたしておりますけれども、それを使って、飼料を使って畜産をしている農家が農地を取得をしたい、牧野を取得をしたい、こういうことで借ります。そのお金が農林漁業金融公庫から同じ財政投融資資金を借りるわけでありますけれども、その金額は個人にして二百万であります。いいですか。このような一農家に貸す金は、もちろん金額的には二百万でありますけれども、私はそれはその農家が生産をしていく食糧というものがいかに安く国民に供給できるのかという一つの使命を持たせた形の中で、市中銀行よりも非常に安い、三分の一も四分の一も安い金利で国が貸し付けをしてやろうという私は趣旨ではないのかと思っているわけでありますけれども、とてつもない大きなこの商社貸し付けている資金が、理由はどうあろうとも、いまや系列下の中でそれが縛り上げて、買い占め売り惜しみ、あるいは税金を、ごまかすといえばこれは極端かもわかりませんけれども、そういう形のものでゆがめられているとするならばたいへん大きな問題ではないか。  しかもいまこの物価高をつくり出しているその元凶というものが、大企業過剰流動性資金にあるということが指摘をされているわけでありますから、その点について私は輸出入銀行はこれはごく一つの例として使っているわけであります。ことしもすでに七兆九千億というたいへん大きな、国の予算の半分近い財政投融資資金が使われるわけでありますから、私はそういう大きな立場から、ごく一つの問題を取り上げて言っているわけで、そういう意味からいいまして、先般来大蔵省でも問題になっているように、この大企業過剰流動性資金をどういうように一体締め、吸収していくのかということを考え、対策を打つべきではないかということを実は申し上げたくて、それに対する見解もお聞きをしたいということで、ごく一部の例としてこれを申し上げたわけでですね、その中の一部分で、中小企業の受注を引き受けてやるから使っているのですよと、こういう理由だけでは私は納得できないわけです。大きな立場からその大企業買い占め売り惜しみに走っている過剰流動性的資金を、どのようにして対策を講じていくのかということについて、くどくなりますけれどももう一ぺんきちんとした御見解を伺いたいと思います。
  13. 岩瀬義郎

    政府委員岩瀬義郎君) いまの先生の御指摘にお答えいたします前に、先ほど私が答弁いたしました関係は、輸出入銀行ということにやや中心を置いてお答えいたしましたので御満足いただけなかったかと存じますが、商社に対する融資は、輸出入銀行に対する関係では先ほど申し上げたような状況でございますが、市中銀行から融資いたされます資金というのは、御指摘のように相当膨大なものでございます。それからこれはどちらかといいますと、いわゆる短期資金と申しますか、金融資金繰りのしりと申しますか、そういうものを見ていくという関係で、先ほど申しました輸出入銀行のように、一件一件のプロジェクトごと審査をして見ていくという関係ではなくて、むしろ短期資金短期運転資金を見ていくというかっこうになっております。したがいまして、その金融機関側といたしましても、手形の割引だとかあるいは短期貸し付けだとかというような形で出てきますのが、一体商社のどの部分資金にあたるのかということは、なかなか的確につかめないという問題がございます。  そこで、これは窓口でやはり金額といいますか、量で押えていくということが一番適切ではないか。現在までも御指摘の過剰流動性問題は、昨年一ぱい相当急ピッチに上げまして、計数の上におきましては過剰流動性発生前の資金企業手元流動性というものにほとんど近くなった指標になっておりますけれども、現状ではまだ商社に限らずいろんな企業資金の偏在があるといわれておりますので、一昨日大蔵省が発表いたしましたように企業特別調査というのを、実態調査を始めることにいたしたわけでございますけれども、やはりこれは量的に一つは見ていく。それから一企業に対しての大口的な融資といいますか、その集中を排除していくということの、両面から縛っていく以外にはないのではないか。ただ金融でございますので、期限到来前のものを全部巻き上げると、こういうわけにはまいりません点がございます。これは先ほどちょっと申し上げましたように下請支払いというものは、一どきにストップしてしまうような金融というのはとてもできません。やはりかなり時間をかけて、その実態を見ながら締めていくというかっこうにならざるを得ないかと思いますが、その点は、御指摘の点を十分最近の事例に照らしまして、大蔵省としても真剣に検討し、また一部実行に移しておるところでございます。
  14. 工藤良平

    工藤良平君 もう少しその点をお聞きしたいと思うのですが、先日のある新聞によりますと、大蔵省、日銀で大口融資規制基準をつくるということで進められておるということであるようでありますけれども、これによりますと、銀行のを、自己資金の二〇%以内に融資金額を押えたいというような一つの案もあるというような話が出ておるようでありますけれども、そういたしますと、かなり制約された状態というのが出てくるのではないかというように思うのでありますが、この点についてもう少しひとつお聞かせいただきたいと思います。
  15. 岩瀬義郎

    政府委員岩瀬義郎君) 確かに、特に都市銀行でございますけれども大口貸し出しというのがいろんな形で——どういうのが大口かという点はまあ諸外国でもいろんな例がございます。ただ、いまいわれております中で、一番新聞等で伝えられておりますのは、自己資本に対してどのくらいの割合で貸しておるかというと、巷間いわれている融資残自己資本の二〇%が一応めどではないかと、それをこしておる会社が、企業がどのくらいあるかというところで一応基準を引いてみますと、大体、現在のところ二十七件、これが自己資本の二〇%をオーバーして一企業に貸しておる都市銀行の件数ということになっております。したがいまして、これをつぶさに洗ってみまして、確かに御指摘のように系列化の傾向というものが強まっている点もございますので、そういう点を洗ってみつつあるところでございます。ただ、一がいにこれを幾らにするのがいいのかということについては、これは諸外国でもいろいろ——一〇%であったり、三〇%であったり、半分であったりというようないろいろな例がございます。それぞれの事情が違いますので、その辺はまだ目下検討中であるということでございまして、精神としては、先生の御指摘のような点をいかにして正していくかということで検討いたしておるわけでございます。
  16. 工藤良平

    工藤良平君 この問題につきましては、特に過去数年間非常に金融をゆるめてきたということがこんなような状態になってきているというように私も感じますし、ぜひこの点は、大口融資規制につきましては、ひとつ勇断をもって、大臣もそのようなお考えのようでありますので、ぜひひとつ具体的に早急に進めていただいて、万全の対策を講じていただきたいと考えているわけであります。  それからもう一つは、私どうも気になりますことは、さっきから再三例に出して申しわけないんどすけれども丸紅あるいは伊藤忠、日商岩井、こういうようなところに対しまして、貴重な政府の資金というものを貸し出しております。その目的が、あるものはあるいは目的どおりに使われているかもわからないけれども、それが、先ほどお話しのように、非常に複雑な要素から資金の使い方がなかなか判別しにくいというような要素も持っておるようであります。たとえば、丸紅のように食管法に違反しているということから、食糧庁から告発をされて現在係争中のようでありますけれども、これがもしも食管法に違反しているというような結論が出た場合に、このような政府の融通資金というものを最終的にどのようなことをするのか、食管法違反の罰金だけ納めればいいのか。私は、そうではなくて、やはりきちんとした行政的な一つの制裁というものが必要ではないかと考えているのであります。たとえば大口の脱税をやった、税法に違反をする、いまいう食管法に違反をした、こういうことになったときに、私は、当然それは処罰されることが至当ではないか、もちろんそれは、ただ単なる罰金や体刑ということだけではなくて、やはり行政的な処分というものが必要になってくるのではないか。  そこで、私は、これは非常に対照的な話でありますけれども、環境衛生金融公庫ができまして、環衛資金が理髪やそれから美容関係に貸し出されております。この金額はもちろんたいへん微々たるものであります。微々たるものでありますが、この微々たる、理髪や美容院が施設を改善をしようとして資金を借ろうとする。ところが、これに対してはたいへんきびしい規定があるのであります。もちろん貸し出す前の段階で一つ規制があるのでありますけれども、私は、これ一つ例にとりますが、たとえば審査基準の第三項の中に、その申し込みをした場合に、「過去三年間において法令に違反し、または行政処分を受けたことがない者であること」というような実は条項があるわけです。もちろん、これと大企業のそれとは大きな違いはありましょうけれども、しかし、小さな私企業といえども施設を改善したいという要求の中で、いまは非常にまじめにやっているけれども、三年前に行政処分を受けたということからその資金を借りられないという条件が出てくるわけですね。いま丸紅という大きな商社食管法に違反をしたという結論が出た場合に、依然としてこの安い金利資金を国が保証しなければならないのかどうかという私は非常に大きな疑問を持つわけであります。当然これは金融面からの相当の制裁があってしかるべきではないか。しかも、だぶついた資金を持っているとするならば、私はそれだけの制裁は当然だと考えるのでありますけれども、その点について、このような小さなものに対して非常にきびしい規制を一方でしながら、一方でそういう問題が起きても野放しにするということは、これは許されない、行政的な面からも。こういう点について、これは極端な議論かもわかりませんけれども、ひとつ基本的な考え方を聞かしていただきたいと私は思います。
  17. 岩瀬義郎

    政府委員岩瀬義郎君) たいへんむずかしい御質問でございますが、かりにそういう事件が結論が出ました場合に、政府資金を使っておるそういう企業というものに対してどういう監督をするかということにつきましては、たいへん答弁が逃げるような形で恐縮なんでございますけれども、その場合、場合によって様子がかなり違うと思います。その事案をよく、実際に政府資金がそういうものに使われているかどうかということをもやはりつぶさに見てみなければならぬのではなかろうかと思います。したがって一口に、一がいにこうときめつけてしまうわけにはまいらないと思いますが、そういう事態が発生いたしました場合、これは監督の立場として、主務大臣といたしましては十分慎重にどういうふうに対処するか、検討をその段階ですべき問題だと思います。
  18. 工藤良平

    工藤良平君 私は、丸紅という一つの例をとりましたけれども、これは丸紅という一つのものに限定をしなくてもいいと思いますね。そういう法律を犯し違反をしたという場合に、当然——一方小さなものに対してはそういうことで貸し付けを拒否するというような条件が厳然としてあるわけでありますから、それは当然、一般的な議論としてそういうこともあり得るというように理解してもいいのではないか、それは丸紅に適用するかどうかということは、その時点でなければその判断というのはつきかねるでしょうけれども、しかし、一般的に言った場合に、そういうことは当然考えられるべきことではないのかということを私は思うんですけれども、その点についてはどうでしょう。
  19. 岩瀬義郎

    政府委員岩瀬義郎君) 現実の問題にぶつかりまして、いろんな角度から検討をさしていただくということになると思います。
  20. 工藤良平

    工藤良平君 現実に——そうすると、そういうこともあり得ると、そういうことも場合によってはあり得ると、このように理解してよろしゅうございますか。なければないで私はこれはまたたいへん問題にしなければならぬと思っています。そういうこともあり得る、しかし現実に起こるかどうかわかりませんけれども、しかし、そういうことはあり得るというようにこれは理解すべきではないかと思うのですが、どうでしょう。
  21. 岩瀬義郎

    政府委員岩瀬義郎君) その事案というものが政府資金によって行なわれているということが確認された場合には、それ相当の措置をとらなければいかぬと思っております。
  22. 工藤良平

    工藤良平君 はい、わかりました。  それでは、大蔵省関係はこの程度にいたしまして、最後に本論に戻りたいと思いますが、いま院長お聞きのように、この徴税の問題にいたしましても、あるいは財政投融資資金一つとりましても、非常に大きな問題が内在しているということは院長も十分に御理解いただいていると、私が申し上げるまでもないと、それは思います。で、先般来私はその点を会計検査院として、このような時期に調査ができないのかどうかということをしきりに申し上げてまいりました。残念ながら、その回答を得ることができなかったのでありますけれども、きょうは、したがってごく一、二の問題、事例を取りながらその点を見ていって、最後に院長のひとつ御回答をいただきたいと思っておるのであります。そこで事務総長いらしておりますか。
  23. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 次長でございます。
  24. 工藤良平

    工藤良平君 次長ですか。では次長にお伺いしたいと思いますが、私、いろいろ調べてみまして、じゃ、いままでこの財政投融資資金のいわゆる貸し付け先について調査をした事例があるかどうかと、こういうことで調べてみました。で、その問題については、昭和三十年のこれは衆参両院の委員会で会計検査院法の改正の際にいろいろ議論が行なわれたということは、先日院長からお話がありました。私は、その速記録も取り寄せて読んでみました。その中では、やはり法的には非常に問題がある、しかし、現実に政府が出資している銀行なりあるいは公団、公庫等と一緒に検査をするということは可能でありましょう、こういうような以前の院長のお話があったようであります。それを受けまして、いろいろ調査をしてみますと、昭和二十二年以来ずっといろいろな調査が行なわれております。私は主として農業関係を担当しておりますから、農業関係をとってみましても、たとえば昭和二十八年に農林漁業金融公庫から貸し出されております漁業資金について、千葉県の農村工業株式会社に対して調査を行なっている。あるいはまた三十一年の二月から九月にかけまして、実は三千二百三件という、金額にいたしまして百三十八億一千四百万円という農地等取得資金の使途につきまして、実際に目的どおりにそれが使用されているかどうかという調査が行なわれている。さらに、さらに一昨年の四月ですけれども、この際にも農地等取得資金につきまして調査をしておるという事実を、私は知ることができました。で、こういう点について、検査院としてどのような観点から実施をされてきたのか、その点をひとつ現状を踏まえてお聞かせをいただきたいと思います、これは、次長のほうから……。
  25. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 会計検査院貸し付け先に対しましてこれは検査が直接できるかどうかという点で、この間以来いろいろ御質疑を承ったわけでございます。いま先生が御指摘のように、過去においてこれは貸し付け契約に基づきまして、その約款の中にございます公庫なり銀行、政府関係機関でございますが、そういったところが貸し付け先に対していろいろ書類の提出を命じましたり、あるいはそこへ参りまして調べると、こういう権限を持っております。検査院も、その立ち会いを求めまして会計検査院法、新院法が施行されまして以来、できるだけそういう機能を利用するようにいたしまして、貸し付け先を検査してきたわけでございます。それでございまして、二十二年以来、もういまはなくなりました復興金融公庫、そういったところの貸し付けにつきましても、かなり検査の実をあげまして、検査報告に掲示いたしました。  また、日本開発銀行につきましても、これは実際には参りませんでしたが、開発銀行において得られます資料、あるいは不足分を新たに銀行を通じて徴求いたしまして、実態を把握して検査報告に載っけたものもあるわけでございます。あるいは商工中金についてもあるわけでございます。  また、農林漁業金融公庫の点について特に先生お触れいただいたわけでございますが、農林漁業金融公庫というものは非常に低い金利で長期にわたりまして貸し付ける。これも同じように調査と申しますか、検査と申しますか、立ち会いを求めまして実際に参って調べたわけでございますけれども、なかなか問題が多いと、こういうようなことでございまして、まあ極端に申しますと、私も経験いたしたわけでございますが、五つの貸し付け先へ行って調べますとまず三つは問題がある、こういうような事態がずっと続きまして、これではいかぬというような見地から、これに対しましては再三公庫のほうに御注意申し上げ、それでもなお直らない、こういうような状況がございまして、昭和三十六年度の検査報告に載っけておりますが、公庫の体制をひとつ徹底的に改めてほしい、監査というものをもう少しやってほしいと、こういう基本的態度をきめまして、会計検査院法の三十六条を適用いたしまして改善意見の表示をやった、こういうようなわけでございます。  また最近におきましては、公害防止事業団というものがございまして、これはもう大小いろいろ企業がございます。貸し付け先の規模によりまして金利を優遇したり、あるいは高くしたりしておるわけでございますが、こういうところにつきましても、こういう貴重な資金が公害防止の実をあげているかどうかというような観点から検査に参りまして、その実態を調べたわけでございますが、その貸し付け金の経理が必ずしも十分でないというようなことで、これは三十四条で四十七年十一月に処置要求をいたしておるわけでございます。  いままでるる申し上げましたが、検査院といたしましては、やはり財投資金、そういったものが、国民税金と同じように貴重な郵便貯金あるいはその他の原資をもとにしている、集まった資金であるということを念頭に入れまして、やはりこれが適正に運用される、あるいは還元されるべきである、こういう見地で検査いたしておるわけでございまして、公庫について、あるいは銀行について特に区別をして検査を実施していると、こういうわけではございません。  以上でございます。
  26. 工藤良平

    工藤良平君 特に四十七年の四月に実施をいたしました農地等取得資金の使途につきまして、それぞれかなり詳細な調査をいたしておるようでありまして、これは会計検査院の中の農村関係の担当ではなくて、上席第四部門も参加をして実施をしているということを承っておるのでありますけれども、それは事実でございますか。
  27. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) ただいま先生指摘農林漁業金融公庫あての土地取得資金貸し付けについて処置を要求したものというのは、会計検査院の第四局にございます上席調査官の担当で、そちらのほうで検査を担当したわけでございます。
  28. 工藤良平

    工藤良平君 院長、いまお聞きのようにですね、農地等取得資金は個人で最高二百万円です。農業経営をやるためになけなしの金をはたいて農村の皆さんが涙の出るような思いで農地を取得しなきゃならぬという金が個人で二百万円、法人にして一千万円の金なんです。これに対してその使途がどうだということをわざわざ上席第四部門まで加えて調査をしている。そういう実情の中で、一社に千六百数十億円、千九百億円という膨大な資金が流れている。そのことについて私はなぜ調査ができないのかという疑問を持つわけであります。きょうは法制局を呼んでその点の見解を聞こうと思いましたけれども、私は法制局につきましてはかつてたいへん憤りを持ったことがありますから、きょうは聞きたくないと思っている。  なぜかといいますと、昭和四十二年に食管法の問題で、米が過剰になってきた、したがって、自由米をつくるということが大蔵省から提起をされまして、それが食管法に違反するのではないかという議論をしたときに、高辻法制局長官は、現在は食糧が余ってまいりましたから、法の運用というものはそのときの客観情勢に応じて変わってまいりますと。私はわざわざ昭和十七年の食管法ができたときの議事録まで持ってきて、それ以来今日まで食管法の本旨というものは変わっていない、したがって、これはあくまでも農家のつくったお米は種子ものと自分の食べる食糧を除いては全部国に出さなければならぬということになっている、大臣もそういうことを答弁をしているじゃないか、それが改正されていないんだから、当然これは買って国がすべて処置をすべきだということを言いましたけれども、高辻さんはそう言って逃げました。私はいまこれをあえて引き合いに出すことは、このような国民が全商社に目を向けて買い占め売り惜しみに対する憤りを持って何とかしなきゃならぬと言っているときに、法の狭義の解釈とか何とかいうことで逃げるのではなくて、やはり私は、いま現実に二百万の借り入れをしている農家調査ができるとするならば、なぜ一千数百億という膨大な金を使っている商社に対してメスを入れないのか、私はそういう疑問を持ってこの問題をあえて取り上げたわけです。  院長、先ほどお話しのように、三十年に議論したときも、前任の院長はそのような前向きの発言をなさり、その後このような調査までなさっているわけであります。そのほかに、公害事業団から融資されている融資先についても調査をしている。ですから、私は、院長みずから勇断をもってすべての職員に叱咤激励をしていただきまして、この際国民の輿望にこたえて、このような問題について積極的な御意見を持って対処することが、院長として、内閣と別個につくられている会計検査院としての任務ではないだろうか。もしそれが法律を逸脱していたとしても、多くの国民はそれに対して、私は会計検査院に対して拍手を送るであろう、それを罰する者はだれがあろうかと、私はそのように思います。そういう意味合いを含めて、私は最後に、検査院長の、国税庁のいわゆる税金問題に対する調査、並びに本財政投融資資金に対する業者に対する調査につきまして、ひとつ御見解を承りたい、このように思います。
  29. 白石正雄

    会計検査院長(白石正雄君) 御質問にお答えいたしまする前に、去る二月六日の当委員会におきまする工藤先生の御質問に対する私の答弁におきまして、十分に意を尽くさない点が多々ありましたために、御審議を中断させ、工藤委員はもとより、当委員会に御迷惑をおかけする結果になりましたことにつきまして、ここに深くおわびを申し上げる次第でございます。  さて、ただいまの御質問に対してお答えを申し上げます。  まず租税の徴収に関する問題について申し上げます。私ども会計検査院は会計検査を行なって、会計経理を監督し、かつ是正をはかることを職務としておりますが、租税収入の検査につきましては、工藤委員御発言のとおり、租税の負担の公平は国民の重大な関心事であるということを認識して検査をしている次第でございます。  現今の徴税の状況は、過日の工藤委員の御質問に対する国税庁当局の答弁にもありましたように、適正な申告が行なわれていないものが少なくないようでございますので、私どもといたしましても、今後とも検査にいよいよ努力を傾けまして、徴収過不足の事態の是正をはかりますとともに、検査の結果、徴収の体制につき、会計経理に関連して改善を要すると認められる点につきまして、積極的に検討いたしたい所存でございます。  次に、貸し付け資金として、財政投融資資金を取り入れている公庫、金庫等が行なっている融資の検査についてでございます。ただいま次長からも御答弁申し上げましたように、事実上検査を行なっている部面もあるわけでございまして、この点は過日の御質問に対しまして、単に法律論に終始いたしましたことにつきまして、ここにおわびを申し上げる次第でございまするが、実際におきましては、可能な限り権限を活用いたしまして、実際上の調査に支障のないようにいたしておる次第でございますので、今後とも工藤議員の御質問の趣旨に沿いまして、調査に万全を期したいというように考えている次第でございます。  以上、説明さしていただきましたが、私どもといたしましては、与えられている機能を十二分に発揮するよう、職員一同心を新たにいたしまして、誠心努力を傾けたい所存でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
  30. 工藤良平

    工藤良平君 これで終わりますが、ぜひひとついま御答弁をいただきましたように、こういう時勢であります。国民がそのことを期待をしております。やり過ぎてもやり過ぎではない。私は公害の場合に申し上げましたが、公害行政というものはやり過ぎてもやり過ぎということはあり得ない、このように思っておりますけれども検査院も小さな者をいじめるのではなくて、こういう大所にきちんとした目を向けて監視をしていくということが、やはり国の大きな会計を検査していく立場の私は重要な任務だろう、このように考えておりますし、そのことのために検査院が仕事を進めることのために、もしも支障があるとするならば、院の権威においても、私どもは全力をあげてそれをささえていく体制をとらなければならない、このように考えておりますので、ぜひひとつ勇気と英断を持って、この際徹底的な調査を進められるように、私は特に要請をし、また大蔵省の皆さんにもぜひひとつそういう立場からこの問題についても全力をあげていただくように申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  31. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 以上をもちまして、保留となっておりました会計検査院質疑を終了し、これより総理府関係質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  32. 鈴木力

    ○鈴木力君 私きょう御質問申し上げたいのは、ちょうど昭和四十六年の年は、行政監理委員会のほうでも行政管理の問題についていろいろ問題を提起した年でもありますし、またこの行政監察のほうも国民生活関係のある監察を相当大幅にやった年でもありますから、ただ私はどうも常々疑問に思っておりますのは、この行政管理あるいは行政監察、行政相談、いろいろ国民としても必要なことをそういう制度の上に乗せて盛んにこうやられておるわけでありますが、どうも制度なり意図なりというものが具体的には十分に生かされていないのではないか。これはだれかなまけているとか、だれか手を抜いているとかという問題ではなくて、実際にやってみてまだまだやり方なり制度なりを改めるべきものが相当あるのではないかというようなことを常々自分は疑問に感じておったわけであります。そういう立場からきょう具体的には若干の問題を例にとりますけれども、きょう私が御質問申し上げる具体的な問題は一つの例示にすぎないというふうにおとりになっていただいて、長官からもいろいろと御意見もちょうだいいたしたいし、その間の経緯等についても詳しく御説明をいただければ幸いだと、まず先にお願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、まず第一に長官に承りたいのは、昭和四十六年の十月に行政監理委員会が「行政改革の現状と課題第4巻」を公表いたしました。これをずうっとこう読んでみますと、いろいろな問題点がここに指摘をされておるんでありますが、全般にわたる時間もありませんから、具体的にお伺いいたしますけれども、行政監察に限ってお伺いいたしたいと、こう思うんです。  ちょうどこの報告書の六六ベージから六七ページに指摘をされております。ここで「行政監察の結果に基づく勧告が、政府の各機関において現実にどの程度まで実現されているかについては、遺憾ながら、いまだ満足すべき状態にあるとはいい得ない。」、こう頭にありまして、そうして第一は勧告のアフターケアが足りないという問題、それから第二は勧告の制度についての内閣の姿勢に問題があるという指摘があると思います。第三には行政監察と行政改革のところに問題がある。まあ大きくいいますとこの三つの点から指摘をされていると思うんでありますがこの指摘に対して、まず長官に、この報告に対しての長官の御所見をまず先に承りたいと思いますし、また、この報告を受けたあと政府として具体的にどういう処置を講じられたのか、そういうことがあったら具体的に御説明をまずちょうだいいたしたい、こう思います。
  33. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) いまのお話でございますが、私もまだ就任後幾ばくもございませんので、四十六年の行政監理委員会の取りまとめでございますか、しさいに点検をいたしていないのでございますけれども、この意見を監察業務の運営にどう資してきたかということについては、監察事務当局が来ておりますから、まずその辺からお話をお聞きいただくことが好都合じゃなかろうかと思いますから、御了承いただきたいと思います。
  34. 大田宗利

    政府委員(大田宗利君) 監察局といたしましては、相手省庁に勧告いたしましたときに、二カ月あるいは三カ月後に回答かまいります。その回答を見まして、未改善事項につきましては、未改善事項の中でその後の推進状況というものはどうなっているのかということをもう一度聴取することにしております。そして、その後二、三年あとに推進監察と申しまして、その未改善事項につきまして推進監察を実施するという方針で臨んでおります。  それから内閣ベースの問題につきましては、勧告の中で重要なものにつきましては閣議に報告するという方法をとっております。これは四十六年以降を申し上げますと、昭和四十六年度につきましては三件ございます。一つは事業団の監督行政監察、それから航行安全に関する行政監察、それから公害対策に関する行政監察、それから——失礼しました、公害対策に関する行政監察は四十七年度でございます。それから四十六年度に公益法人の指導監督に関する行政監察、それから四十七年度にまいりまして、野菜の生産・流通に関する行政監察、それから窓口の改善に関する行政監察、それから四十八年度につきましては、老齢者対策に関する行政監察をそれぞれ閣議に報告いたしまして、そして推進をはかっているところでございます。
  35. 鈴木力

    ○鈴木力君 長官からまだしさいに点検していないという御答弁をちょうだいいたしましたが、これはどういうのかわかりませんけれども、おそらく行政監理委員会の不満な点はそういうところにあるのじゃなかろうかと、こう思いますけれども、それはまあとっておきまして、いまのように局長さんからのいまの御答弁にもありましたように、勧告をする、二、三年たって、さらにその状況を見て、そして追加勧告といいますか、さらにまた勧告をすると、こういう仕組みになっておるし、重要なことにつきましては閣議に報告をすると、こういう仕組みになっておる、その仕組みと、それからやろうとしている意図について、私はよく理解ができると思うんです。  でありますから、そういう立場に立っていらっしゃるからだと思いますけれども、たとえば昭和四十六年度に私が冒頭に申し上げましたように、特に公害、交通、あるいは消費者保護といったような国民生活に直接関係のある問題が一つの大きな課題として取り上げられた。そういう方向なり、考え方なりにつきましては、これはまあ、私どもも一応当を得ているといいますか、そういう方向に取り組んでいらっしゃるということについてはよくわかっておると思うんです。ただ私はいまの局長さんの御答弁にもありましたように、そういう形にやっておる、やっておるということが成果として直接結びついておったのかどうかということは、たとえば一つのことをやって二、三年たってまた何か勧告をする。すべてのことがそういけばいいのですけれども、なかなかそうはいかないような実例が相当あるのではないか。特に勧告をいたしました場合に——これはあとで具体的に少し伺いたいと思いますけれども、勧告に対して相手側のほうから、これについては困難であるという返事が、こうはね返ってきている例がずいぶんございますね。それから具体的に、直接困難であるという返事はしないけれども、それに対する答えはややずれたことで、こういうことをやりましたという答えが出ているものもある。ところがそのあと、私が少し調べが足りないかもしれませんけれども、それをそういうずれた回答なり、ずれた処置なりに対してのその後に対する追っかけての処置というやつがどうも私は弱いような気がするんです。それが行政監理委員会のアフターケアが足りない。こういう指摘になっているのではないかと、こう思うんですけれども、まあこれ、ああだこうだとお互いに言ったってあまり意味のないことなんでありますが、具体的に少し伺ってまいりまして、同時に私はきょうさきに申し上げましたように、だれが悪かった、それであやまった、それでいいというような、そんなことを私はきょうは目的とするつもりもありませんし、そんなことはあまり意味のないことなんであって、みんなが善意で、それぞれの仕組みの中で動いているけれども、結果的にその善意と意欲というものが実らないものはどこかということを、これを関係者がみんなで探り出す必要があるだろう。そういう時期にいまこの行政監察の問題がきているのではないかと、まあそんな気持ちできょう伺うわけです。ですから御答弁のほうもそのつもりで率直にひとつ御答弁をいただきたいと、こう思うんです。  で、いま局長さんのほうから、重要な事項は閣議に報告をして、そしてそれをやろうとこうしておる、そういう中に、まあたくさんこう具体的にあげられましたが、その中の一つをちょっと伺いたいのは、たとえばその閣議に報告をされた中に、公益法人の問題がございますね。この公益法人につきましては、昭和四十六年の六月から八月まで監察をなさったわけですか。そして、十二月の二十一日に、これはもう全部と言ってもいいぐらいものすごく広範な対象に、二十府省庁ですかにわたる勧告をなさっていらっしゃいます。これを閣議にも御報告をなさった。いま御報告のとおりですね。そして、政府は十二月の二十二日に公益法人監督事務連絡協議会をつくって今後の運営方針を一月の二十八日にきめた、それを確認をされた、こういう経過になっているわけです。ですから、この経過に関する限りは、きわめて敏感にそれぞれの処置をなさった、こういうふうに見受けられるのでありますけれども、それを成果として確認をしたということにこの行政監察年報には出ておる。この申し合わせをしたことを成果として確認をしたということでは、一体公益法人の問題が解決するだろうかという、私はそういう疑問を持っているんです。  そこで、まず局長さんに伺っておきたいのは、そういういままでの、いま申し上げたような、あるいはさっき御答弁いただいたような処置はおとりになった。それなら、そういう処置をおとりになったあとに、今日、公益法人にはどんな問題が残っておるか御存じですか。あるいは解決された成果としてほんとうに評価できるとお思いですか。まずその点から伺いたいと、こう思います。
  36. 大田宗利

    政府委員(大田宗利君) まあ勧告の第一につきましては、第一は事業活動を実施していない法人につきましては、その実態を確認いたしましてその解散について指導するという点でございます。これはまあ民法の規定によりまして、実は現在の段階では、その所在が不明なものにつきましてはなかなか解散できないということになっております。したがって、この点につきましては民法改正ということが必要であろうかと思います。そこで、これは現在法務省が中心になりまして進めているところでございますけれども、追って法制審議会にかかりまして民法のその点の改正案というものが国会のほうに提案されるのじゃないかと、そういうふうに考えております。  それからもう一つ、事業活動を実施していないというものにつきましては、実は現在のところでは全部つかんでおりません。これは、各省庁でこの点が実態を確認されまして、そして解散ということになろうかと思いますけれども、現在私のほうでつかんでおりますのは、指摘法人が六ございまして、昭和四十八年三月末までに整理したというものが二ございます。したがいまして、まだ四残っておるということでございます。しかし、これは私のほうが調査対象といたしましたものだけでございまして、実際には各省のほうで全般的に御調査なさいまして、これを解散に導いていただくなど指導していただくということにしていただきたいと思っておるわけでございます。  それから、第二点の公益法人の設立許可等に関する基準の問題がございます。  この点につきましては、設立許可の基準を設定しているものが十二省庁でございます。その内訳と申しましては、規則で定めているものが二省庁ございます。それから、通達で定めているものが五省庁ございます。それから、内規等で定めているものが五省庁でございます。まだ基準の未設定のところが七省庁ございます。  それから、最後に指摘しておりますのは、指導監督すべき立場にある主務官庁の現職職員が法人の役職員を兼務しているものにつきましては厳に抑制すべきであるという勧告をいたしております。これにつきましては、対象百七十七法人のうちに百三十六法人が兼任を解除している、まだ若干残っている状況でございます。したがいまして、まだ残っている省庁につきましては今後推進の必要があるということでございます。
  37. 鈴木力

    ○鈴木力君 これは、時間的に見ますとですね、まあいま御答弁いただいた大体この数字、私も伺ってはおるんですけれども、これを私はいまどうしようかなという、一番最初に申し上げた問題の一つだと実は思ったんです。思ったといいますのは、まず所在不明の法人について、民法改正をしなければいけないと、確かにそのとおり、実は私も一つ経験があるんですけれども。みんな善意で、当事者もですね——当事者も善意。それから、関係省庁も何とかしようと思うけれども、法律がじゃまになって解散できないというような、こういうことに対して、これはしかし問題が指摘をされてからずいぶん長いと思うんですね。長いと思うけれども、それがまだ審議会にかかっているかどうかということで、いつのことやらわからない。しかも所在が不明ということになると、その所在が不明なもんですから、あるいは所在がわかっておってもそういう状況にある、そしてそれがきまらないうちに所在不明の方向にいってしまうというようなことがたくさん出てくると思うんです。で、そういう点の敏速さというものが非常に足りないのですが、総理府の公益法人監督事務連絡協議会というのを十二月の二十二日につくられた、これは四十六年ですね。そして四十七年に運営方針をきめられておりますが、そういうものの座長ですか、取りまとめ役はたぶん総理府関係でおやりになったと思うんですけれども、この協議会のこの申し合わせを拝見してみましても、何となしにどうも私は、いま局長さんが述べられたような意図に対して、文章をつくってまずこれで一段落というような、そんな態度が見えてならないと思うんですけれどもね。たとえば、いま局長さんから言われた公益法人の設立許可の基準、これが十二省庁のうち未設置が七省庁あった、これはその後一体どうなったのかですね。これは、この連絡協議会の申し合わせの事項には、それをどうしようということは入っていないと、こう思う。あるいはこの役職員の、何といいますか、天下りということじゃないだろうが、担当の法人にその担当の省から行って役員を兼務している。これなんかは指摘をされたら直ちにやめるという申し合わせができてもよさそうなもんだと思うんですね。ところが、いまだにまだ百七十七のうち百三十六法人は解除したけれども、若干というものであるけれども、しかし四十一だけはまだ残っている。私は、こういうものが、もう勧告というものがあったら直ちに即応できるということでないと、こんなことは、その他の政策や何かのいろいろな問題の、あるいは予算とかのかかわり合いのあることは別だ。これは行政として単純にすぐできることじゃないですか。なぜこうなっていなかったのか、あるいはこの申し合わせ事項の結果の評価と、いまのなぜこうなっていなかったかということをひとつ伺いたいんです。これは担当の方でいいですよ。
  38. 伊藤廣一

    政府委員(伊藤廣一君) 公益法人監督事務連絡協議会につきましては、先生指摘のとおり、昭和四十六年に行政管理庁の勧告を受けまして、各省庁の公益法人担当の課長クラスをメンバーといたしまして総理府において設置されたものでございますが、その目的は、その勧告で御指摘をいただきました点について、各省ばらばらにならないように、その改善事務の統一をはかろうということが主たるねらいで持たれたものでございまして、現在までに御指摘をいただきました点につきまして、公益法人の設立許可の審査基準に関する申し合わせ、それから公益法人設立許可申請書の添付書類等に関する申し合わせ、それから公益法人管理台帳、そういうものをつくろうという申し合わせ、それから共管法人の取り扱いについての申し合わせ、以上四つの点につきまして、協議会で申し合わせ事項としてきめまして、それぞれの各省庁においてその申し合わせに沿って指導、事務を進めていただくというふうな話し合いになっておりまして、今後、さらにこれは各省の統一的な改善を要する事項という形で指摘はされておりませんですけれども問題点としてございました公益法人のやはり会計経理に関する統一的な基準、こういうものをつくろうではないかということで、現在その点に取り組んでおるわけでございますが、私、総理府のほうといたしましては、そういうふうな各省の事務改善を統一的にやろうということでございまして、勧告をいただいた点についてどのようにこの申し合わせに沿って進めておるかということは、各省それぞれの主管の部局でやっていただくというふうな形になっております。
  39. 鈴木力

    ○鈴木力君 いま、私がきょう使いましたこの例は、まあ全体から見ると、そう大きな問題でないみたいに見えるんですけれども、どうも私は一番最初に申し上げたこの行政監察制度というものと実際にこの制度がそのとおりに運用されていないという例としてはまことに取り上げて適切な例なように私は思うんですね。結局行政監察をなさる、重要事項として閣議にまで報告をされておる、そして、閣議では連絡会議というのもつくってどうしようと、こういうことをやっておる。その結果がどうなったかといいますと、それは各省それぞれおやりになることでということでとまっておるわけです。これが行政監理委員会の政府の姿勢ということになってくるのではないか、まあこういうふうに私考えたもんですから、いまのこれを例示に使わしてもらったわけです。しかし、この経過からいいましても、いまの仕組みと法律と規則なり何かから見れば、だれが悪かったということは、私は悪い人、一人もないと思う。その連絡協議会の総理府の管理室長さんにしても、各省に指令権がない。監察ということがあっても、各省がこういう経過を経ても、まだ役員の問題すら二年以上たってからに解決がまだ済ましていないわけです。まして民間なりあるいは政府直接以外のそちらのほうへの改善をということを考えてみましても、政府部内のやることがいま申し上げたようなことなんですから、これはなかなかくつの底から足をかいているみたいなことが非常に多いだろうと思う。私はいまそういうふうにどうも考えざるを得ない。  少なくとも私はいまの公益法人というのは、これは一つの例示として取り上げましたけれども、できることはもっとすばやくできるはずだ。少なくとも勧告を受けてから二年間といいますと、それぞれの法人でも、定期的に定款に基づいた会議でもそれぞれ事務的に処理ができなければいけないはずでしょう。そうすると、これはまあやらなきゃやらぬでもいいんだということが政府部内の各省のどこかにある。そういうことじゃないかというふうに考えられる。それが国民生活に結びつくことにつきましても、そういう形のものがいろいろこう出てきているような気がしてならない。  そこであまり時間もありませんからおしゃべりはやめますが、私はそういうもう一つの問題の例として、やはり四十六年に勧告をされて、これは七年にもされていらっしゃいますけれども、そうして重要事項として閣議にも報告になっている野菜の生産・流通に関する行政監察ですね、これについても少し伺ってみたいと思うんです。  まず私が、おまえはしろうとだからわからぬのだとおっしゃられればそれまでかもしらぬですけれども、私がちょっと奇異に感じましたのは、この野菜の生産・流通についての行政監察を行なわれだ。これは四十六年の報告を見てみますと、まず一つは四十四年にもなさっていらっしゃるんですか、これ。たぶん四十四年だと思いますけれども、前に、四十三年ですか、やられていらっしゃる。そこで指摘をしたことが事実上改善をされていないという前提に立って四十六年もう一度同じことを勧告をされていらっしゃるわけですね、そうすると相手側になったところは、結局は勧告を受けたけれども、事実上はそれをそのとおりやらぬということがそういう経過に一つあったと思うんです。これは農林省が対象になると、こう思うんですが、農林省の担当の方に、どうして四十四年でしたっけ、四十三年でしたか、そこの勧告を受けられたものが四十六年の勧告を受けるまでにどうして実効をあげることができなかったのかということを一つ伺いたいんです。  それからもう一つは、同じ四十六年の監察の中に、これは北海道にあった例でありますけれども、北海道に対してもそれぞれいろいろ勧告をなさっていらっしゃるわけです。ところがそのうちに、流通の問題では、当局の意見に対して、卸売り市場の再編整備計画については改善をはかる旨回答があったが、札幌卸売市場の運営については意見の実現は困難である旨回答があったと、これがその後の処置状況として報告をされておるわけです。そういう一連のものが、流通機構なりずいぶん——四十七年はまたさらに大幅な改善を勧告なさっていらっしゃる。そうしたところの重要なところがポイント、ポイントが、これは御意見には沿いかねるということがぼんぼんぼんぼんあったとすれば、一連のものとしてはこれは成果があがらないはずだ。そこでまず私は最初に農林省のほうから、いまの二つの問題についての事情をひとつお伺いいたしたいと、こう思うんです。
  40. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 四十四年に特に野菜につきまして勧告を受けました内容は、四十六年のただいま御指摘のございました行政監察の中身の中で、特に産地指定制度を中心にしたことと、それから卸売り市場関係の機能正常化の問題とが重点に置かれて勧告をいただいたように記憶をいたしておるわけでありますが、これらにつきましては、先生も御案内のように、農林省の野菜行政全体の行政機構の能力自体の問題が当時非常に低うございまして、その方面での勧告を実施する方向で努力はしたのでございますけれども、必ずしも所期の成果があがらなかった。そこで続けて四十六年に勧告を受けたという形であったように記憶をいたしておるのでございます。  それから北海道の札幌市場の問題につきましては、実はちょっと手元資料ございませんので、私も実は当時行っておりませんのでちょっと記憶にございませんが、おそらく北海道における野菜の需給事情から考えまして、常時野菜が非常に高いという不安定な状況下において、卸売り市場の果たす機能というのはどうも十分でないというふうなことからの指摘であったんだろうと思いますが、これにつきましてもその後の卸売市場法の改正を含めまして、北海道のみならず全国的な卸売り市場の問題につきましては、市場取引間の公正化を含めてその後かなり改革を見ておりますことは御承知のとおりでございます。
  41. 鈴木力

    ○鈴木力君 経企庁長官もお見えになっておりますか。——ちょっと話かあちこちになりますけれども、経企庁長官いらっしゃる前に、行政監察、これがうまくいかないのは政府の姿勢にあるということが行政監理委員会からの報告にも指摘をされておる。これについての御所見を承るつもりでしたけれども、もうこれを繰り返すことはいたしません。あわせていまの野菜——野菜については昭和四十四年、四十六年、四十七年と続けてこうずっと監察をされているわけです。これは私は行政監察としてはきわめて時宜を得た監察をおやりになったと思うんですよ。要するにあのとき、いま申し上げるまでもないけれども、四十四年野菜の値段というものが非常に動いた時期でありますから、そういう背景に野菜と取り組んで四年、六年、七年とずっと継続をしてこれを是正されようとしておった。このことは私は認められると思うのです。それから四十七年の勧告のあとの農林省自体も、私はあとで多少問題があるとは思っておりますけれども、いずれにしても野菜行政については相当努力をされたというふうに私は一応評価できるのではないかと、こう思うのです。しかしたとえばいま食品流通局長からの御答弁にありましたように、昭和四十四年に勧告をしたあのときに、ほんとう言ったら私は、今日の問題は、昭和四十四年の勧告を政府が放置しておったところから、今日野菜問題が起こっていると思うのですよ。そこで種をまいておったのだ。しかし食品流通局長の答弁によると、農林省全体としては能力がなかった、一生懸命やったけれどもどうにもなりませんでした、こういう御答弁をいただいておる。それで四十六年に閣議にも報告をされて、政府全体として取り上げられたと、こう思うのですけれども、まず政府として農林省の能力が低かった、これに対してはどんな対応をされたのですか。全般的に、いまちょっと具体的な問題になると、長官、その当時は長官でありませんでしたという答弁をされても困るんですけれども、政府として閣議に報告をされた事項というのは、具体的にどういう処理をなさることになっていらっしゃるんですか、まずそれから伺いましょう。
  42. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) この行政監察は、その行政を担当する者のためでなく、国民のための行政である。当面国民として、まあいまで申せば物価の問題に対応する行政各庁の機構がその国民的要請にこたえて十分な機能を発揮しておるかどうか、機能が持たれていないとすればどういう欠陥があるかということを政府内部において監察、反省をしてまいるという、大きくいえばそういう役目を持っております。御指摘の野菜問題につきましては、これは農林省も数年消費行政が非常に国民の関心を呼び起こすようになりましてから、数度の監察による勧告等もそこに側面からあり、農林省自身としても特に生鮮食料品の行政については非常な心配というか、力を入れてやっておりますけれども、何さま長い歴史の上からいいますというと、この数年のことでございますし、農林省の長い経験からしますと、生産のほうにはかなりの力が入ってきておりましたけれども、消費流通の面においては機構も十分でない、あるいはそういうふうな体制ができていないというようなことが強く反省されて、これが一両年前の農林省の大改革となって今日の機構が持たれてきておると思うわけでございます。  そこで、勧告について、特に私は承知しております限りにおきましては、一応行政管理庁の監察に基づく勧告は客観的に妥当である、正当である、国民の側から見まして。行政内部から見てではなしに、国民の側から見まして、客観性、正当性が持たれる。それが非常に高ければ高いほど相手省庁における扱い方も違ってきておるんじゃないか。そういう上からして行政監察の一番の要諦は、やはり主観を離れた客観、正当性を強く強調していかなければならない。そういうものについては各省庁におかれても、勧告を受けられた省庁におかれても、かなり熱意を持って改善をせられておる。  しかしいまの野菜の問題は、これはもうよく御案内のように、背景——お互いの消費生活の変遷等、バックグラウンドが非常に大きい、複雑な要素を持っておりますし、なかなか一行政庁で完全の体制をとるということは容易なことじゃなかろうかと思うんですけれども、それでも、しかし、非常な熱意を持ってこれにこたえるよう農林省では努力されておることは、私はよく承知をいたしておるわけでございます。われわれ管理庁といたしましては、勧告をする限りにおいては、お話のように勧告のしっぱなしじゃ困るじゃないか、しかしその勧告がどういうふうに扱われたか、勧告に基づいて改善が行なわれないということは、勧告自体に誤りがあるのか、その点も反省する必要がある。その反省をして、それは誤りないということがさらに確認すればアフターケアといいますか、それを改善せしめるようにやっぱり管理庁としては努力を続けていかなければならない。  大ざっぱに申しまして、お尋ねの要点は、勧告をされたら、一体行政内部はそれをどういうふうに扱っておるかということでございますが、それについては、私は右申しましたように、勧告が正当、妥当性の高いものについては各省庁とも謙虚にこれを実行、改善していただいておる、こういうふうに理解をいたしておるわけでございます。私はこれからも行政監察はきわめて大事なことでございますから、また、監察の権威を高める上からいたしましても、行政管理庁の監察については、国民の側というと語弊がございますけれども国民的要請にこたえて監察事務を強化してまいるということが大事じゃないだろうか、そういうふうに考えております。
  43. 鈴木力

    ○鈴木力君 いまの——あとでまとめての私の質問になると思うのですけれども長官のいまの御答弁を伺うと、きわめて満足をしておるというふうにしか聞こえない。私のほうはどちらも一生懸命やっても欠陥があるということを言っている。そういう立場でものを申し上げている。たとえばいまの野菜の問題について、私は、どうも奇妙に思うのは、勧告をなさったわけですね。これは昭和四十七年の勧告、三度目の勧告になるわけです。そこの勧告の中に、時間がありませんから一々は読みませんけれども一つは、たとえば五ヵ年程度の長期需給計画をつくれという趣旨の勧告が冒頭に出ている。ところが農林省のそれに対する回答とその後の処置については、長期計画をやられたような節は見えない。短期の計画、あるいは需給の見通しは立てるけれども、この長期計画をつくれという勧告は、農林省からはボイコットされている。これは農林省としてはそれぞれの言い分があるだろうと思いますが、なぜ冒頭に、特に五ヵ年間程度の長期の需給計画、これは私は非常に大事な指摘だと思うのですがね。農林省としては、なぜこれをおやりにならなかったのか、おやりになれなかったのか、やろうとしてもやれなかったのか、最初からやる気がなかったのか、どっちですか。
  44. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 御指摘の長期計画の策定につきましては、先生も御承知だと思いますが、一昨年の十月でございましたか、「農産物需給の展望と生産目標の試案」というのを農林省としては事務当局案として固めました。これをもとにいたしまして、五十七年度の野菜の生産量、需要量を一応策定、公表したわけです。これを実は農政審議会にかけまして、これが固まりますというと、それをベースにしていろいろな計画、作業量も出てくることになるわけでございますが、この案は行政管理庁のほうで御指摘をいただきましたような野菜の種類別のこまかいものはなかなかできにくい。御案内のように種類が非常に多く、また品目間にも代替関係もございます。さらに非常に依然として農家が零細経営である。個人的な出荷が多いというような錯綜した条件が生産と流通の両方面にございます。したがいまして、現状で勧告にございますようなところまで緻密なことは、ちょっと現段階ではむずかしい面もございますけれども、一応葉菜類とか、あるいは花菜類、あるいは洋菜類、あるいは果実的な野菜、根菜類とかいうふうな、主として大まかな区分に分けまして、昭和五十七年度約二千万トンの増産計画というものを一応頭に描いて、現在試案を農政審議会にかけておるわけでございます。この農政審議会において、別途その後における都市、農村の配置の変化、人口の変化、特に都市近郊におけるいろいろな生産条件の変化等を加えて現在検討なされておりますので、その結果で、いろいろと出てまいります結果をまた拝見をいたしまして、私どもといたしましては、長期計画になるべく近づくような努力は今後も続けたいというふうに考えているわけでございます。
  45. 鈴木力

    ○鈴木力君 私はそれぞれの言い分があると思う。言い分があると思うけれども、それなら今度行政監察局長さんにも伺いたいのだけれども、いま農林省の局長からの答弁のようなそういう事情がありとすれば、昭和五十七年なんて待っているうちには何人かの国民が死んでしまう。そんなゆうちょうなことをやっている間に、その次善の策として何があるかということは監察の過程からもまた配慮されてもいいのではないか。私はそれがアフターケアというものじゃなかろうか。そこのところがまだどうも私は作業されていらっしゃるというふうには聞いていない。そういうことから、どうもこの野菜行政というのは、まあ長官がさっきおっしゃったようにいろいろな要因は数多うございます。気候という要因もある。あるいは作付けの農民の栽培といいますか、生産意欲の問題もある。それから長期のその他の経済情勢という関係もありますから、むずかしいということはわかる。しかしこれはむずかしいか簡単かという議論をしている筋合いのものじゃなくて、これをどうするかということになると思うんです。いま申し上げたようなまだまだ——時間がありませんからもう少し経過を申し上げればいいんですけれども、結局はこの野菜の価格の変動というものは、依然として変動を続けておるわけですね。まあ農林省の関係者に伺うと、安定しましたとは言われます。安定しましたとは言われるけれども、不安定のうちの安定だと思うんです。これ一々は申し上げませんけれども、たとえばいろんな統計を見ましても、まあ安定ということばを無理に使えば高値安定ということになっているということでしょう。値段が高くなって、しばらくは、四十八年の末からいままでは安定している。これは高いまんまに安定しているという意味なんです。これで決していいということにはならないと思うんですがね。  具体的に一つ伺いますけれども、たとえば野菜のおそらく価格政策の一つとしておやりになったんだろうと思いますけれども、農林省が東京をはじめ十四ですか、十四の都市で安売りをやられたんですね。ことしですか、ことしになってからおやりになった。もう御答弁はいただきませんが、私どもが安売りをやったところを見てみましても、まことにふに落ちないものがたくさんにあるんですね。いろいろな問題があれから出てきてはいはしまいかと思うんです。  たとえば主産地の兵庫県ですか、兵庫県の生産者価格なんかを見ましても、これはまあ極端な例がよく出てきたと、こう思うくらい極端なんですけれども、去年の二月は、キャベツは一キロ十七円八十銭だった、生産者の価格が。ところがことしの二月は一キロ百六十円になっておるわけです。そして質府の安売り指定価格は七十六円。去年とことしと比べたらもち問題にならない変動ですね。昨年はもっとも野菜が余って、売りに出るより捨てたほうがいいといって騒いだ。そうすると今度は、ことしはおそらく農民の栽培を控えたという例もあるかもしれない。それから干ばつという一つの気候の条件があったと思うんですね。そういう自然の条件があって極端に十七円八十銭から百六十円になっておる。これはまあ天候がそうしたんですから知りませんと言うなら、農林省も要らないし、行政監察も要らないことなんです。それがさっきも言ったように、三べんも監察をして、農林省も一生懸命取り組んでもこういう現象が出ている。必ずしも私は自然の現象だと言って言いのがれるわけにいかないだろうと、こう思うんですね。そういうような価格変動が非常に多い。しかしこれに農林省は価格補給金という制度を前につくりまして、差額の補給をなさっていらっしゃる。しかしこれの補償基準額というのは一キロ三十円五十銭ですか、たぶん。私が聞いたのはそう聞いておるのですけれども、まあこれは多少違うかもしれませんが、そう聞いておる。生産者は今度の安売りについて何と言っているかといいますと、これは毎日新聞も特集をしておりますけれども、生産者は去年は安値で泣かされた、ことしは安売りで泣かされた、泣かされるばっかしだ。それから消費者側にとってはそれではこれはどれだけの成果があったかといいますと、東京都民に今度の安売りのキャベツが何分の一行き渡ったと思うか。行列して買えなかったという人の苦情のほうが多くって、安いキャベツを買ってよかったという人の意見のほうが非常に少ないんです。量からいいましてもそう大きなことじゃないんです。そしてそれが東京なら東京都のキャベツの価格安定には何にも役に立っていなかった。その翌日からまたもとの値段に消費者価格ははね上がっておる。そうすると行列して買いかねたけれども、翌日結局高いものをまた買わされるということになるとすれば、まあ安売りしたことを私は全然これは悪いことをしたという意味で申し上げているわけじゃないんです。しかしそういうことまでやらなければいけないようなところまできているときに、行政監察を四十七年に受けて、政策的に長期の計画を立てていく中に手抜かりがないとすれば、もう少し生産者からも、消費者からも割り切れた評価を受けるようなことが行なえるのじゃないか、私はこういうふうにもひとつ思うんです。  そういう意味で、きょうは農林省の対象でもありませんし、それを一つ一つのことを論ずるという時間もありませんけれども、どう見ても私は行政監察とそれから各省の行政の改革、こういう関係からいたしますと何となく手ぬるい、そういう感じに野菜行政もひとつあたっているのではないかということを申し上げたいわけです。対応することがきわめて鈍感だといってもいいと思うのです。たとえばさっき申し上げましたように、四十四年に勧告をされた。農林省では能力が弱くて足りなくて、それに十分にこたえることができなかった。それならそれで農林省の能力を強めるために政府、行政が何をやったかということ、それが出てこない。そして四十六年に出てきた。四十七年にまた出てきた。長期の計画を立てるという勧告が出てもそれがいまのいろいろな野菜の複雑なというようなそういう理由によってまだこれは立てられていない。五十七年には立つ、いまの御答弁によると。まことにきわめてゆうちょうに動いている。野菜というのは一年に何作もつくれるわけです。そんなゆうちょうに動いておれる筋合いのものじゃないと思う。こういう点について私はもっともっと行政問題に政府全体が熱を入れてメスを入れる必要があるのではないか、こういうつもりでいまこの問題を取り上げたわけであります。  ついでに野菜の問題でもう一つ申し上げますと、さっき局長さんもおっしゃったように、確かに野菜の生産者というのは零細な生産者が多いと思います。したがって指定産地の指定を整理されたり、規格の小さくなったところを廃止をなさって新しくまた拡大をされたり、いろいろ苦労をなさっていらっしゃることはわかるけれども、何もしていないということを申し上げるつもりは、だからさらさらありませんけれども、それがほんとうに効果が出ていなかった、あるいは効果が十分でなかったという場合の処置ということが、きわめて敏捷にそれに対応できるような行政ということがどうしても望まれるのではないか、こういうふうに私は考えます。  まあ流通面では小売り商店をどうするかという問題があると思うのです。小売り商店も非常に零細であります。そこで零細な小売り商店をどうするか。そうすると、今度の勧告にも総合食料品小売りセンターを設置というような意味の勧告が出ているわけですね。ところが、いま、東京のように小さな小売り商店がこうあって、そして町の人がその小さな小売り商店を利用しておる、これをどうするかという問題はいまの食料品小売りセンターの設置の構想の中に入っているのかどうかですね。それから、そういうものをほんとうに市民が——これは野菜ですからそうたくさん買って冷蔵庫に入れておくという性格のものでもない。そうすると市民の生活圏とあまり長距離のところに大きなセンターをつくってもこれは解決にはならない。そういう問題はどう考えていらっしゃるのかもついでに伺っておきたいと思いますけれども、計画の中にはあるんですか。
  46. 大田宗利

    政府委員(大田宗利君) 野菜の問題が四十四年度それから四十六年度、二回出ましたので、この間の経過をちょっと初めに御説明申し上げたいと思います。  従来、野菜問題というのは、毎年暴騰、暴落しております。したがって、非常に国民生活を圧迫するという観点で数回やりましたわけですけども、ただ野菜問題につきましては、生産段階、それから流通、消費、価格問題、いろいろな問題がございます。従来の監察につきましては、まあどちらかといえば総合的な観点に立つという面が若干われわれのほうでも不足していたということがございましたので、四十四年度やりまして、それから、その次に四十六年度のやりましたものは、実は緊急的に範囲を非常にしぼりましてやったものでございます。それで、どうもそれではまだ効果がないということで、すぐそのあとに実は大々的な監察をやったわけでございます。それでその中にただいまのいろいろな問題が入っておるわけですけども、この勧告は、全般を通じまして、非常に広い範囲の勧告をやっております。  それで最初に、実はいま御指摘を受けましたんですが、野菜全体の品種別の全国的な計画をつくれと、需給計画をつくれということでございます。ただ、これは当時は野菜の見通しというものは農林省でおつくりになっていたわけでございます。しかしそれではやはり暴騰、暴落というものはなかなか解決つかないということで、できれば暴騰、暴落を毎年繰り返している主要の野菜についてはやはりその辺のところまで行政が及ぶことがいいだろうということで勧告に踏み切ったわけでございます。これは非常にむずかしい問題でございますけども、まずこれから出発することがやはり基本ではないかという意味で出発したものでございます。  それから、ただいま小売りセンターの問題の御指摘を受けましたんですが、御承知のように家庭消費量というものが比較的零細で、冷蔵庫にもなかなか入らないし、買い置きもできないということで非常に零細でございます。そういうところからいまの小売り業者の規模というものはやはり必然的にできておると思います。ですから、これを統合ということもなかなかうまくいかないと思います。したがいまして、小売りセンターを設置しまして、どちらかといえばそこに小売り店舗を入れて総合的につくることがやはり消費者の便利になるんじゃないかということも考えたわけです。それで現在の小売り店舗を全部そのままなくしてとか、そういう意味じゃございません。新しくそこの中に入れてやる方式というものもやはり検討する必要があるんじゃないかということで考えたわけでございます。
  47. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 先ほど先生から御指摘いただきましたのは長期計画についてのお尋ねだけであろうと思いまして、実は当面のことについて触れなかったわけでございますが、申し上げますまでもなく、当面の計画といたしましては、これは計画と申しますよりは、むしろ出荷側とそれから荷受け側との間で常時トライ・アンド・エラーで需給を協議し合いながら、当面どれだけ出せる、どれだけ消費できるというふうなことを詰めていくという動きをやっておるわけでございます。これは実はこの四十七年の行管の勧告の中にも入っておりまして、需給協議会につきましては、短期的需給計画と申しますよりも、主要野菜につきまして指定消費地域というのが現在十一ほどございますが、それと、全国で約八百ほどございます指定産地、この二つを結びつけまして必要な入荷量と供給量とをそれぞれ結びつけた計画をつくらせております。これは全国ベースと、それから地域ベースと、さらに受けまして、県が県の単位でというのをそれぞれ三段階別につくらせまして、そしてこれに結びつけていろいろやっておるわけでございまして、特に冬場におきましては秋冬期重要野菜というのを、これは勧告では特定野菜というような形で呼ばれておりますが、白菜、大根、キャベツというふうな露地の中核になるようなものでございます、それを重点にいたしまして、例の出荷奨励金とか概算払いというふうなものと、要するに予約をあらかじめさせる、それを計画に詰めてやる、そしてその予約の計画が上下五%の幅の中に入るように義務づける、そして、あらかじめきめましたこの水準を五割以上上回るようなときにはその五割の範囲内に安売りをしてもらうというふうな、組み合わせた仕組みで現在この特別の仕組みを実施いたしまして、ただ、たまたま御指摘の本年のキャベツにつきましては、これは全体の乾燥したあるいは非常に冷涼だったこの冬の特殊事情から、出したくも出せないという現状もございましたので、それで全体として、たとえば京浜地区ですというと四百トンぐらいの入荷量に対しまして百トン程度を対象にせざるを得なかった。ただ、今月の二十日以降になれば大体これは、御承知の千葉あたりで「灯台キャベツ」を中心とする春キャベツが出てまいります。したがって、それまでの間一週間ほどをどうやってつなぐか、そうなりますと、やはりこれは業界側も出てくることを承知して頭に描いているわけですから、そこでひとつ誘引策としてこの百トンというものを安売りしようという形でつなごう、こういうことでやったわけでございまして、実は、これは他の産地に余裕があれば当然もう少し大幅にできたわけでございます。  それから、もう一つ指摘ございました小売りセンターでございますけれども、これも勧告の中に、既存の小売り商との調整をやれと、それから、どうしても調整上ぐあいが悪いときには、特にどうしても日常生活に必要最小限度のものだけを売るようなものにしろと、こういう勧告がございまして、すでに私どもとしてはこれらについては積極的に四十七年度から取り組んでおりまして、たとえば例をあげますというと、室蘭市の白鳥台ショッピングセンター、あるいは福岡市のKKフクセイといったような、生鮮食料品三種類をはじめといたしますところの、まあ必要最小限度の取り扱いの小売りセンターというようなものをつくるというふうなことで、その地域地域におきます現場の情勢に合わせまして実はこの作業を進めておるような次第でございます。  むろんこう申しましても先生の御指摘のことが完全にできるというようなことではございませんけれども、その方向に向かってできるだけの努力をしているということを御承知おきいただきたいと存じます。
  48. 鈴木力

    ○鈴木力君 時間が経過しましたからもうこれでやめますけれども、私が申し上げたかったのは、確かにその後の当面の計画もやっていらっしゃる、それから季節季節に足りなくなった場合の応急処置はやっていらっしゃる。だが、おまえはしろうととおっしゃられるかもしらぬけれども、基本計画がなしに季節季節のその施策は適切適切にやっていらっしゃるけれども、やっぱり私は、非常に困難であったにしても、もっと基本的な長期の計画というものが、基本計画というのが必要ではないかという気持ちは、まだやっぱり持ってるんです。  それから、四十七年の勧告かにありますように、基礎資料が足りないという御指摘もある、監察のほうの。それにこたえる基本統計なりそういうものと基本計画というものとがどう結びつくのかという、それの中でたとえばキャベツがどうなったらそれに対応する、春野菜までにどうつなぐというような、そういう短期の見通しに立った施策というものがこうつながっていって、将来野菜行政というものが確立をしていくのではないか。まあ、そんなような気持ちで申し上げたんですけれども、それでもう私は野菜についてはそれだけ言えると思いますが、これはもう時間がありませんから、私の意見というような気持ちで申し上げて、あとで長官総理府の副長官から承りたい、それで終わりにしたいと思う。  行政監察、これはまあ行政監察という切り離したものはないと思うんで、私はやっぱり行政が合理的に前に進んでいく一つの機関だとこう思っておりますが、要するにそういうたてまえに立ちますというと、国民関係するといいますか、かかわりあいのある地域、そういう機構というものをもっともっと大事にすべきではないかという感じを実は持ちます。  と申しますのは、率直に申し上げますと地方の組織が少し弱いのではないか。これは長官に申し上げておきたいんですけれども、たとえば私が北海道に参りましたときにも、北海道のこれは札幌の監察局だと思います。札幌の地方庁ですね。たとえばここの行政監察旅費というのは三百十五万六千円しかない、四十七年度でありますけれども。そして、職員の人たちに言わせると、いろいろもう少し調べたいんだけれども旅費がなくてどうにもなりませんという答えがどうもそういう趣旨にはね返ってくる。それから、人手が足りません。事実、私が参りましてある一つのことを質問したら、その担当者は二つか三つかのかけ持ちでいまそちらに行っておりますというようなことなんですね。これは各局ともそういうのじゃないかという感じがいたします。もう少しこの下のほうの地方組織というものをもっともっと強化をすることによっていろいろな問題がさらに完備されるのじゃないか、これは。  それから、もう一つの面は行政相談ということを行管では非常に重要な業務としてやっていらっしゃる。しかし、ここのやっぱり札幌で聞きましたところでは、二百二十六人の行政相談委員の方がおられた。費用弁償は二百四十八万六千円ですね。この費用弁償で行政相談委員をやらせておくということも、もうちょっとやっぱり私は見てやる必要がありはしまいか。そして、行政相談ということも相当私はこれは成果をあげているというふうに見ておるんですけれども、さらにもっともっと強化していったら国民が行政に対するいろいろな認識からも大きな改革ができるのではないか、そんなような感じも持ちました。  まあこれが一つの直接の行政管理庁に関することでありますけれども、副長官にきょうおいでいただきましたのはいろいろなことをお伺いいたしたかったのですが、この行政監理委員会からの報告にも、行政監察、行政改革がうまくいかないの中に政府の姿勢に問題があるということが指摘をされているんです。これは私はもう最後に私の見解として申し上げたいんです。いままで御質問申し上げた中にも、閣議に報告をされたがということの中に、たとえば公益法人にしても、もう一歩突っ込みが足りない、事務的に何か処理をされてそのまま続いているというようなことがある。これはやっぱり閣議全体として、政府の問題としてもう少し大きな——大きなといいますか、重要性を帯びた施策ということが政府全体として出てくるべきではなかろうか。農林省が能力が足りないという問題があるが、これが野菜行政に欠陥があるとすれば政府としてそれをどうするかということが、私は政府全体としてこれはもっと真剣に取り上げられるべきではなかろうかという感じがいたします。  それからもう一つは、きわめてこれはなまいきなことみたいに聞こえるかもしれませんから、おしかりいただいたら取り消してもいいんですけれども、いまのこの仕組みの中に、行政管理庁と対応する他の省庁とがどうも並列になっていはしまいか。そうすると行政管理庁からいろんな意見が出る。行政監察の勧告が出る。まあこれは聞きおけと、これはこちらの行政審議会にかけてと、こういう形になって、行政監察と各省の縦割りの行政のシステムとが、どうもかみ合ってみたりかみ合ってみなかったりということがどうもあり過ぎはしないかという感じがいたします。そうすると、私はこの行政管理庁の任務というようなものも、政府全体としても検討してみる必要がありはしないか、そういうような感じがいたしますので、それらの点についてはひとつ長官及び副長官からも、もし私の申し上げたことが当たっておるとすれば今後の処理をひとつお願いを申し上げたいとこう思います。  それからついでに副長官にせっかくおいでいただいたのでありますが、私は決算委員になりましてまあ歴史が浅いといいますか、いつまでたっても勉強しないしろうとなんですけれども、私の感じとして、政府全体がこの決算委員会というものをどうも、ひがみとおっしゃられるかもしれないが、少し軽く見過ぎてはいはしまいか。どうせ決算委員会は法案を出すところじゃないから、どうも政府側の都合によって委員会がやられてみたり、午前中に終わってみたりということを繰り返すみたいな、これは与党の出席の少ないことと関係があるかもしれません。あってもなくてもいいみたいな決算委員会みたいな運営というものは、これは理事さんたちが非常に苦労をなさっていらっしゃることは私よくわかるんです。そうしたらそれに対する政府全体としてもですね、決算委員会に対する政府の、もう少しまともなつき合いということがあってもいいんじゃないか、これはきょうの質問とは関係がないんですけれども、ついでに申し上げておきたいと思います。
  49. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 行政管理業務につきまして、非常に理解ある御指摘をいただきまして、多くの示唆を受けましたことを心からありがたく思う次第であります。私は私なりに行政内部の自己反省と申しましょうか、そういう機能を国民的な行政の上に持っております行政管理庁の業務というものは非常に重要だと考えております。きょうはどうも私も勉強不足で四十四年ないしは四十六年、四十七年当時の勧告内容等を十分勉強してきていないものですから、どうもお答えが申しわけないことだと思う。  私は就任しましてから一、二、自動車損害賠償の制度及び放射線障害の防止に関する行政監察による勧告、そういう、また近くは海外経済協力についての監察に基づく勧告を出すということ、このことについては決してめくら判でなしに私自身内容的に立ち入りましてこの勧告が妥当であるかいなか、国民の側として見ました場合にこの勧告は実施せらるべきかどうかということをしさいに検討して勧告をいたしております。したがって、それは前のことは知りませんよというわけにはこれはもちろんいきませんのでございますから、前のことはもう先ほど申しますとおりでございます。就任しましてからいたしましたことにつきましては自後につきましても責任をもってこれはやっていきたいと考えておるわけでございます。  また、たいへん人員が不足しておりはせぬか、特に地方の旅費等が窮屈なために十分の活動ができてないのじゃないかという御理解ある御指摘につきましては私もそう思っておりまして、この年度予算の編成にあたりましてはやっぱり国民の方々が、行政は国民のための行政なんだ、その国民のための行政が十分に持たれているかどうかということをできるだけ広く吸い上げてまいらなきゃならぬ。それが四千五百全国に行政相談委員がおられる、これはまあ問題があると思います。いまのような制度で、いまのようなあり方で行政相談委員をお願いしておることがどうだろうかという問題はありますけれども、しかしとにかくそれぞれ地域地域の相当経済的には幾らか豊かな、名誉職的なそういう立場にいる方々をわずらわして、なるべく金のかからないで、しかもその地域におけるいろいろな行政苦情等が取り上げられるような仕組みに——これはもうたいへん現状としてはやむを得ないところであろうかと思いますけれども、しかしこれらの方々に電話も利用ができないというようなことでは非常にどうも困るんじゃないかということで、これは前福田長官も非常に力を入れていただいたところでございますし、何ほどかの改善はいたしております。もう少し考えていかなきゃならぬじゃないかという問題は根本にもあるということをよく理解しておるつもりでございます。努力をいたしてまいります。  なお、地方支分局の定員等の問題につきましては、いま御案内のように、内閣をあげて、行政組織をあげて今日の物価高騰、インフレ状態に対して取り組んでいかなきゃならぬ、これはまさに日本の行政組織が国民の信頼を得られるかいなかの境目だというようなことで、総理はじめみんなその気持ちで、行政機関としてやり得るだけのことはやって、国民の期待にこたえていかなきゃならぬじゃないかという、そういうふうな使命の上に立たされておるものでございますから、行政監察地方支分局、特に監察業務につきましては、いささか横合いから出過ぎるんじゃないかなという感じがありましても、この際は他の行政監察事務に多少手抜きをしても、今日の物価問題に対して貢献するところがあれば、組織をあげて物価問題に取り組もうという政府の姿勢にこたえて行政監察として支分局も活動をしてもらいたい。それについては、私は予算編成の閣議においても特に発言をいたしまして、少数の人をもって今日の物価問題に取り組もうとする限りは、本省、地方を通じて役人がうんと機動的に働けるようにしてやらなきゃいかぬじゃないか。それにはやっぱり働けるだけの予算的な措置も講じてやらなければいかぬじゃないかということを発言して、幸いに五十億かの予算をつけていただいて、それで大いに各省庁、これはもちろん地方、府県も同様でございますけれども、そういうことで対応する措置を講じておるわけでございます。しかし、できるだけ少数の国民の少額の負担をもって、しかも親切にすばやくさばいていくという行政の本来の目的を達成していきますためには、必ずしも定員の、人の多きを望んではならない。少なければ少ないままでそれを機動的に運用していくということで国民の方々の期待にこたえていかなければならぬじゃないかというようなことで、各省ともにそのことを要請して、今回もこの四十九年度の全体定員がふくらまぬように、一人でも少なくなっていくようにというようなことで来年度の体制にも取り組もうといたしておるような次第でございます。  いろいろ多くの御示唆をいただきましたことをたいへんありがたく、御指摘のことにつきましては十分勉強をさしていただくつもりでおります。
  50. 大村襄治

    政府委員(大村襄治君) 行政管理庁の行なう行政監察は、ただいま管理庁長官がお述べになりましたとおり、政府がみずから行ないます内部反省機能としての行政運営の適正化、能率化をはかるためのものでございます。したがいまして、政府といたしましても、行政監察の結果に基づく重要な勧告につきましては閣議等への報告を通じこれを十分尊重するとともに、その実現につとめているところでございます。  本日御指摘のございました公益法人の扱いの問題あるいは野菜の問題につきましては、たびたびの勧告があったにもかかわらずまだ十分その成果があがっていないという点はまことに遺憾でございます。いろいろな障害、隘路があるということもございますけれども、それらを克服して勧告の趣旨が実現できるようにさらに努力を傾注してまいりたいと考えておる次第でございます。  また、行政管理庁のあり方について、各省と並列的ではないかという重要な御示唆を賜わったのでございますが、管理庁の機能を発揮させるためにどうしたらいいか、一面内部反省機能という点もございますから、その上で機能をさらに発揮させるためにはどうしたらいいか、そういった点を管理庁とも御相談して、いい方法があらばさらに検討を進めてまいりたいと考える次第でございます。  また、政府が決算委員会について軽く見ているんではないかという御注意を受けたのでございますが、私どもといたしましてはそういう気持ちはさらさら持っておらないのでございますが、なお十分反省いたしまして一そう努力をしてまいりたいと考えますので、どうぞひとつ御指導のほどをよろしくお願い申し上げる次第でございます。
  51. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) それでは午後一時に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      —————・—————    午後一時十五分開会
  52. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和四十六年度決算外二件を議題とし、総理府のうち総理府本府、行政管理庁経済企画庁科学技術庁及び環境庁決算について審査を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  53. 須原昭二

    ○須原昭二君 実はきょうはわが国の広報関係についてお尋ねをいたしたいと思います。とりわけ総理府の広報予算は政府の広報の中核であります。そういう視点から考えますと四十五年が十六億一千六百万、四十六年が十八億二千九百万、四十七年が二十一億三千万、そして四十八年が、前年度が三十六億四千六百万、四十七年度に比べて四十八年度は実に七〇%という大幅な伸び率、総括的な広報予算でありますが、きょうは私はとりわけ時代の脚光を浴びておりますテレビ放送の広報費にしぼってひとつ御質問いたしたい。  このテレビ放送の広報費を調べてまいりますと、四十五年が五億二千三百六十五万、四十六年度が六億三万円、四十七年が七億八百四十六万円、実は前年度に比べて一八・一%の増、さらに四十八年九億六千六百十六万円、前年度に比べて実に三六・四%の伸び率を示しております。  そこで私はお尋ねいたしたいんですが、いま四十九年度の予算が審議をされております。総理府の広報費は幾らに伸びてきたのか。いま一つは、内閣官房の広報室における取り扱い分の予算はどれだけになっているのか、この点をまずお尋ねをいたしたいと思います。
  54. 小坂徳三郎

    ○国務大臣小坂徳三郎君) お答え申し上げます。  御承知のように、広報費は、現在のような非常に混乱した経済情勢、経済生活の中におきましては、やはり政府といたしましても国民の大多数の方々に十分政府の施策を理解してもらいたいし、また関心を持ってもらいたいというような考えであるわけでございます。と同時に、このマスメディアとしてのテレビ、ラジオあるいは新聞、雑誌、こういったものを通じましての予算を考えます場合に、やはりこうしたものに対する物価高等の影響もございまして、単価の大幅な値上がりもやむを得ない点も認めざるを得ないわけでございます。  それで、四十九年度の御質問でございますが、総額五十九億九千八百万円を計上しておりまして、これは前年度補正後の予算に比べますと二十五億三千二百万円の増加になっております。この増額の中でおもなものを申し上げますと、テレビ番組の強化という面に十二億七千二百万円を増加いたしております。詳細につきましては政府委員からも御答弁いたさせますが、大体のおもだった点だけを一応私から御説明させていただきたいと思います。ただいま申し上げました十二億七千二百万円の増額のテレビ関係でございますが、これがなぜふえたかということにつきましては、政府のお知らせ番組、これはやはりいろいろな経済情勢等についての短かい、短時間の五分程度のものでございますが、こうしたお知らせ番組を、六億円予算を計上いたしまして新設をいたしております。第二番目には、スポット放送でございまして、これに四億円従来よりもふやした予算を計上いたしております。これは民放を中心に十五秒のスポットでございまして、これもやはり先ほど申し上げたような生活情報、これを主体にいたしております。三番目には、定時の番組の拡充でございますが、これに二億円を投入、増加いたしておるということでございまして、これらを合計しますと、大体十二億七千二百万円の増額になるわけです。なお、新聞週刊誌等におきまする広告も拡充いたしたいと考えておりまして、これらに九億円の予算を増加させていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  55. 須原昭二

    ○須原昭二君 私は、いまお尋ねをしたのは、四十九年度の予算の概要について聞いたんですよ。何もアップをした理由を聞いてないんです。こんなことをやっていると時間がないですから、私の聞いたことだけにひとつ長官、御答弁をいただいて、時間の節約に御協力をいただきたい。そこで、私は理由を聞こうと思ったら、先取りされましたからもうやめましょう。これは後ほどまたお尋ねをすることとして。  じゃ、四十八年現在、九億七千万円の予算総理府はどのような番組支出をされておるのか、私も資料をいただきまして、よく調べましたら、TBSの「日本のひろば」、NTVの「日本レポート」、フジテレビの「ホームジャーナル」、それからNETの「新あまから問答」ですか、この四本が資料によりますと、出てきておるわけです。提供番組。これ、それぞれどれだけをお払いになっておりますか。
  56. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) まず東京放送テレビ系列の、これキー局ほか二十四局でございますが、「日本のひろば」については四十七年は一億七千七百余万円でございます。それから「日本レポート」、これは日本テレビ放送網系列でございます。これが一億一千四百二十八万でございます。それから日本教育テレビ系列で「新あまから問答」、これが四千二百五十万でございます。それからフジテレビジョン系列の「ホームジャーナル」、六千七百六十三万余でございます。以上がおもだったものでございます。
  57. 須原昭二

    ○須原昭二君 テレビ関係総理府が支出をされているのは、これ、以上四本だけですか、そのほかにありませんか。
  58. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) いま申し上げましたのは、総理府が制作料並びに電波料その他をすべて持って、要するに総理府提供として放送しておるものでございまして、お尋ねの総理府関係しておるものとしましては、以上のほかに民間の団体に委託して、そして放送をしてもらっておるものがございます。
  59. 須原昭二

    ○須原昭二君 その委託をされておるというのは、私から申し上げますが、時間の関係上。広報センターを通じて「世界の子供たち」、TBS、フジテレビの「ドキュメント日本人」、それからNETの「世界に生きる」、この以上の三本ですか。
  60. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) 広報センターに委託しておるものは、いわゆるワンクール、あるいはツークールという長いものと、それから臨時のものがございますが、たとえば四十八年度で比較的長期にやったものとしましては「ホット・インタビュー」、これは都市問題など、当面する問題についての対話をやっております。それから「世界の若者・日本の若者」、これは総理府で別途調査しました青少年の意識調査というものがございまして、その内容が非常に参考になるということで、それを映画化したものをテレビで流しております。それから、そのほかに「ざっくばらん」、これは民間の有識者二人ずつの組み合わせで時事の問題を評論していただくと。それから「豊かさへの挑戦」、これは経済成長と福祉の調和の問題、そういう問題についての内容でございます。それから「ドキュメント日本人」、これは「世界に生きる」というものを前にやっておりましたが、それの続編的なものをやっております。主要なものは以上でございます。
  61. 須原昭二

    ○須原昭二君 私が資料提出をお願いをしたら、先ほど申し上げました四つの番組だけであると、民間に委託されたものは全然出てこないわけです。この際、ひとつ民間に委託をされておるものにどれだけ支払っているのか、その点を明確にひとつ資料として提出をしていただきたいと思う。たくさん資料提出していただきたいですから、後ほど委員長のほうでまとめて取り計らいを願いたいと思う。  まず、日本広報センターでありますが、これは総理府の外郭団体ですね。
  62. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) 日本広報センターというのは、昭和四十一年に設立されました財団法人でございまして、放送、映画を通じて国民にいろいろ関心、政治的な関心を深めてもらう、そういう材料を周知徹底させるということを目的としておるものでございます。総理府は、これに対して先ほど申し上げたように、放送あるいは映画の事業を委託しておるというかっこうになっております。
  63. 須原昭二

    ○須原昭二君 そこでお尋ねをするんですが、政府のほうが広報センターに委託をしている費用、四十五年、四十六年、四十七年、四十八年、私が傍受というと語弊がございますが、私の知っている範囲で申し上げますと、四十五年は二億四千九百万円、四十六年は二億四千九百万円、大体同じだと、四十七年三億一千百万円、こう聞いております。四十八年だけでけっこうですから、幾らですか。
  64. 小坂徳三郎

    ○国務大臣小坂徳三郎君) 二億三千八百四十万円でございます。
  65. 須原昭二

    ○須原昭二君 そこで、私はなぜ総理府広報室直接と、広報センター分と分けられておるのか、この点、私、疑問であります。番組の内容が違うとか、いろいろあるでありましょう。なぜ違うのか、ひとつお尋ねしておきたいと思う。
  66. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) 先ほども申し述べましたように、政府、総理府提供の場合には、制作費はもちろんでございますし、電波料も全部政府が持ってやっておるわけでございます。ところが、広報センターに委託した分は、制作費は委託費用の中から支出することになっておりますが、あと電波料、これ相当な費用になるんでございますが、これについては民間のいわゆるスポンサーがついて、そうして放送するという仕組みになっております。  で、その辺の経費の関係一つでございますが、もう一つは、非常に民間放送の番組がたいへん立て込んでおりますので、そういう意味で政府が全く政府提供ばかりでやると、スポンサーつきのほかの番組が圧迫されるということがございまして、制作料だけを持って、あとしかるべき提供者を求めてそうして放送するということによって、その辺のバランスがとれるということが一点ございました。もう一つ、委託団体に依頼することによって、私どもが手の及ばない範囲の専門的な考え方、そういうものを取り入れてもらう、そして局側と十分折衝した上でやってもらうという利便がございます。
  67. 須原昭二

    ○須原昭二君 実は私が調査をいたしますと、日本広報センターで扱っているもので八回シリーズ三十分もの臨時番組、二十六回シリーズ六十分ものの番組、単発の三十分の番組百五十六本、三十分特番二系列二十六回分、以上放送をいたしておるというふうに聞いております。  ところで、私は、決算委員会の席上でございますが、決算委員立場でものを考えておりますと、テレビを聴視している国民の側から見ると、どの番組が日本政府の提供の番組であるのか、あるいは日本広報センターを通じて政府がやっておるのか。あるいは全然そういうものを表示しなくて覆面のものが非常に多いわけです。どういう番組を提供しておるのかということがほとんど不明であります。ですから、この際私は日本広報センター扱いの制作費あるいはまたそれに対する番組の制作費にどれだけ補助をしているのか。どういう番組にどれだけの制作費を出しているのか。あるいは電波料をどういうふうにどこの取り扱いテレビ局を通じて電波料を払っておるのか、その内容を明らかにしていただきたい。  それから予算の支出、この一般でありますが、その他いろいろの経費もお渡しになっておるように聞いておりますが、これはひとつ一覧表として提出していただきたい。ひとつ委員長のほうでお取りまとめを願いたいと思います。  そこで、先へ進んでおきますが、総理府の提供番組の中身は、たとえば「日本のひろば」、「にっぽんレポート」、「ホームジャーナル」、「新あまから問答」、最近、私もちょっとこういう質問をせにゃいかぬと思って事実見ました。そのほか「世界の子どもたち」、「ドキュメント日本人」、「世界に生きる」など、いわゆる総理府提供あるいは日本広報センターを通じて総理府が提供されている番組、その中身はどういう番組なのか、これが一つ大きな問題ポイントとなってくるわけです。テレビ局の認可を受ける場合に番組の適切なバランスを保つために、たとえば普通局なら教養番組一〇%あるいは教育番組は一〇%以下を基準とするといわれております。あるいはまた教育局なら教養番組が三〇%以上、教育番組は二〇%以上という基準を条件として許可されておると思うんですが、はたして総理府の提供番組等々は報道なのか、教育なのか、教養なのか、娯楽なのか、スポーツなのか、広告なのか。この八つの番組の比率がございますけれども、いずれに該当する番組があるのか、これを明らかにしていただきたいと思います。
  68. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 斎藤広報室長、先ほどの須原委員の要求された資料提出していただけますね。
  69. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) 先ほどの委託費の関係では、私どもいますぐ手元にございませんので、資料を整理した上でできるだけ提出するようにいたしたいと思います。  いまお尋ねの件につきましては、私どものほうはあくまで放送を、それぞれ放送局に御依頼を申し上げて、しかも民放の場合には、特に先ほど来申し上げたように一般の放送依頼者と同じ立場においてしかるべき料金をお支払い申し上げて、そうしてお願いするということでございます。政府の立場としましては、いろいろお尋ねがございましたが、あくまで政府の施策に対しての国民の理解を深めるという立場でもっていろんな角度から、ある場合には教育的な観点からものが見れる場合もございましょうし、ある場合には非常に行政のお知らせ的なような場合もございましょうし、ある場合には国民の参考になるような内容のものもございましょうし、私どものほうとしてはこれは放送局の番組編成権がどういうぐあいに動いておるかは詳しくは存じませんが、政府の立場としてあくまで国民に政府の活動の理解をいただくという考えでお願いいたしております。
  70. 須原昭二

    ○須原昭二君 政府は、郵政省はいわゆる先ほど申し上げました報道、教育、教養、娯楽、スポーツ、広告、その他と八つのパターンに分けておるわけです。ですから、それを全然度外視して全部委託ですか、放送局に全部委託ですか。何もそういう選別しないんですか。
  71. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) 私、広報室の立場で申し上げますと、ほかの局でお扱いになっておられる、いわゆるいまの御質問になった八つのパターンがどうなっておるか、つまびらかにしておらないので、私ども政府広報室の立場で局にお願いしておる。あとは局側でどういうふうに分類され、あるいはほかの依頼とのバランスをどういうぐあいにおはかりになっているかということは承知いたしておりません。
  72. 須原昭二

    ○須原昭二君 バランスを保つとか、保たないということは放送局の仕事なんです。政府はいまこの番組を提供番組として出す場合に、たとえば教育なのか、教養なのか、報道なのか、端的に言うならば広告なのか、どういう番組を選んでおられるかということです。
  73. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) ただいまもお答え申し上げたんですが、政府の場合ではいろいろ内容がございますから、何かお知らせ、広報をする。たとえば、ごく近いことで申し上げれば、税の申告がいつだといったお知らせの中身のものもございますし、あるいは先ほど来申し述べましたように、青少年の意識に関する教育的な観点からたいへん参考になる内容のものもございますし、それぞれそのものによって異なりますので、私のほうではどのパターンが、どのぐらいの割合を占めておるかということを考えないで、放送局に御依頼申し上げております。
  74. 須原昭二

    ○須原昭二君 その比率がどうなろうか、こうなろうかはいいんですよ、あなたのほうは。あなたがたとえば教育なのか——教育をやろうとか、あるいは教養をやろうとか、あるいは広告であろうか、やはり取捨選択するのはこちらでしょう、番組を。何ら番組の内容もわからずして予算投下するんですか、それを言っているんです、私は。
  75. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) 政府の立場では、先ほど来申し述べましたように、政府の要請についての国民の理解を深めるという立場から番組を依頼しておるので、特にこれは教育である、これは娯楽用であるということは考えておりません。それが放送局の側からどういうパターンにはまるかということは放送局のほうで御判断いただけるものと思っております。
  76. 須原昭二

    ○須原昭二君 わかりました。あとでまたこれは論議いたしましょう。  そこで、郵政省にお尋ねをいたしますが、テレビ局が設立申請のときに、番組編成の基準を定めて、電波監理局に提出していると思いますが、この申請の番組編成基準を出してくれ、こう言って私は実は調査室を通じてお願いをしたところ、いまだに出てきません。なぜ出していただけませんでしょうか。たくさんございますから、したがってテレビ局全体ではなくて、ネットワークのキー局だけでもよい、こういう条件をつけたにもかかわらず、申請時におけるところの番組編成基準資料として提出していただきたい、提出を拒んでおられますが、その理由をお尋ねしたい。
  77. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 手違いではなはだ申しわけございません。さっそく提出いたします。
  78. 須原昭二

    ○須原昭二君 いや、いま簡単にお認めになりましたが、実は調査室を通じてお願いをしたときに、これば放送法第三条の関連において、たとえば、条文を読みますると、放送法第三条による「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」、だからテレビ放送には自主性の侵害になるから出せないと、こう言われた。どうしてなんですか。私は言ったんです、民放の諸君が、民放が実は申請時に出したものが国会に出せないという理由がないじゃないか、こう言ったんですけれども、もちろん私は放送の自由というものを皆さんよりも私たちは慎重に考えなければならないことはよくわかっております。しかし番組編成の基準を申請時に出さしておいて、そういう比率をちゃんとつかんでおりながら国会には出せないということは私はないと思うんですが、その点はどうですか。
  79. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) いまおっしゃるのは番組の編成基準でございますか。
  80. 須原昭二

    ○須原昭二君 基準、編成比率ですよ、申請時における。
  81. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 番組編成基準と教育、教養、報道、娯楽の番組の編成の比率はちょっと違うわけでございますけれども、いずれでございましょうか。
  82. 須原昭二

    ○須原昭二君 基準と申しましたね、いま。申請するときにどの局はこれとこれを何%、これを何%という比率を出すでしょう、その比率を出してくださいと言ったわけです。そこで、電波監理局の場合、ときには再免許をするしない、そういう権限があるわけです。そういうものを使っていればこそそういうことをやる権限がございますから、それを使って圧力をかけるといううわさもちらほら聞きますけれども、そこに基準に基づいて比率を出すことがなぜ自主性の侵害になるのだろうか、こういうことを私は申し上げたわけなんです。ですから、この比率を各テレビ局がテレビの申請をするときに、私のとこは教育はどれだけします、娯楽はどれだけします、スポーツはどれだけします、報道はどれだけ、こう比率を出すわけなんです。その申請時の比率を出してくださいと言ったんですが出さなかった、そういうことですよ。
  83. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) すべての放送局については若干時間がかかると思いますが、典型的な、代表的な例について、あるいは企業の秘密にわたらない限度においてお出しいたしたいと思います。
  84. 須原昭二

    ○須原昭二君 その企業の秘密って——比率ですよ、私の言っているのは。比率ぐらいは出ぬで、企業の秘密になりますか、比率ですよ。何でも秘密ですよ。比率は出せるんでしょう、キー局ぐらいは。
  85. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 代表的な例について提出いたします。
  86. 須原昭二

    ○須原昭二君 ここで押し問答しておってもだめですから一ぺん出してごらんなさい。  報道の自由、自主性を守らなければならないということは、厳に私たちはきびしく考えております。特に官僚統制になってはならないということは、いささかなりともその権力の介入を許すべきではない、私は十分それは知っております。特に私たちがこれは強く戦後言ってきたことなんです。私はこの報道の内容をとやかく言っているわけではないんです。  今日テレビを見ておりますと、たとえば政府のほうへは報道だ、あるいは娯楽だ、あるいは広告だというワク内で報告しておきながら、実は表面に出てくるのは、私たちは教育には考えられない番組、あるいは娯楽あるいは教養に該当しないような報道がなされておる。いわゆる私たちはいま言っていることは、不当表示が多過ぎる。不当表示が多過ぎるということを言っているわけです。私は端的に申し上げますが、たとえばちょんまげをつけて俳優さんが出てくると、これは歴史的要素を教えるということで教養番組になっているんです。地方のお祭りの風景を背景にして流行歌手が歌ったりすると、これは社会料の要素があるから教養を高めるということで教養番組になっているんです。(「そうそうそのとおり」と呼ぶ者あり)まあ専門家が言っているから間違いないでしょう。報道の内容に干渉するものではないんです。娯楽番組をいろいろへ理屈をつけて教養番組だ教育番組だと言っているこの不当表示性を私は言っているわけなんです。どうですか。その点は、総務長官、おたくもテレビはよくごらんになっているだろうと思います。お子さんも一緒になって見ておられると思いますが、どんな感じですか。感じ、印象だけでいいんです。どうですか。
  87. 小坂徳三郎

    ○国務大臣小坂徳三郎君) たいへんむずかしい御質問で答えづらいんでございますが、きわめて主観的なことでもございますので、ちょっと私の個人的見解はお許しいただきたいと思います。
  88. 須原昭二

    ○須原昭二君 武士の情けで許しましょう。  そこで、私は言いますよ。たとえば「11PM」、巷間伝えられるところによると、あれ教養番組だと言われる。そうですか。「ぎんざナイト・ナイト」、何番組ですか、あれ。「スタジオ23」、何の番組ですか。郵政省お答えを願いたいと思います。内容を言っているんじゃないですよ。
  89. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 放送法の規定では、放送番組の編集にあたっては「教養番組又は教育番組並びに報道番組及び娯楽番組を設け、放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならない。」、こういうことになっておりまして、その教育番組とは何かと、これがまた規定がございまして、「学校教育又は社会教育のための放送の放送番組をいう。」と、あるいは「「教養番組」とは、教育番組以外の放送番組であって、国民一般的教養の向上を直接の目的とするもの」であるということで規定がございますけれども、最終的には政府がどの番組がどれに相当するという判断をすることにはなっておりませんで、各民放の事業者が自主的に判断するというたてまえになっておるわけでございます。
  90. 須原昭二

    ○須原昭二君 そこでお尋ねします。  じゃ、年一回テレビ放送局に電波監理局で放送番組の教養、娯楽、報道、それから教育、スポーツ、広告その他と区分をして比率を提出さしているでしょう。提出さしているでしょう。たとえば教育二局がいままであったようですが、これは教養番組あるいは教育番組の比率を八〇%をこえている。普通局でも三〇%以上とされている。私が放送を聴視した限りでは、教育二局——こういうように八〇%をこえるとかあるいは三〇%以上とか、こう言っておられますけれども、教育二局と普通局との間にどれだけの差があるですか。比率を提出さしているんでしょう。何のために比率を提出さしているんですか、そうしたら。
  91. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 先ほども申し上げましたように、放送番組間の調和という事柄が放送法で要求されております。したがいまして、調和が保たれておるかどうかを一応審査するために、一週間分の代表的な番組例という事柄をとりまして、それに基づいてその番組が、個々の番組がどれに分類されるかという事柄は各事業者の判断にまかしておるわけでございます。それでいま総合番組に例をとってみますと、教育が一〇%以上、教養が二〇%以上と、こうなっておりますが、そのパーセンテージの基礎は各事業者が自分で判断した番組の量、たとえば教育なら一〇%、一〇%なら一〇%やりますと、こういうことになっております。その自主的な判断を尊重して、それを裏打ちに条件としてつけておるというのが現状でございます。
  92. 須原昭二

    ○須原昭二君 そうしたら、あんた、矛盾してきますよ。たとえば日本教育テレビ、科学技術振興財団、当初はこれは教育テレビとして認可されてまいりました。昨年の十一月一日再免許の際に普通局になっております。比率を変えたわけです。それを認めたんでしょうな。教育テレビ局として許可したときにはそれだけの私は事情があったと思います。それがなぜ普通局にしなけりゃならなかったのか、これをお答えをいただきたい。
  93. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 日本教育テレビ、それから科学技術振興財団のテレビ局、これは確かに当初は教育専門局ということで、教育番組が五〇%あるいは六〇%以上という比率がついておったわけでございますけれども、民放形式あるいはスポンサー形式で教育放送を行なうことがきわめて困難であるという事柄が過去十数年間の経験でわかったと、あるいは認識せざるを得なかったということでございまして、したがって、この教育専門局——民放形式による教育専門局を廃止いたしまして、消滅したわけでございます。それで、日本教育テレビに総合局の波を新たに割り当てた。それから東京12チャンネルにつきましても同様でございます。新たに波を割り当てたという経緯になっております。
  94. 須原昭二

    ○須原昭二君 新たにと強調されますが、非常に答弁正直でいいと思うんです。しかし、答弁が正直ということとやっていることとは別ですよ。電波はいわゆる官僚統制すべきでないというのは、前々から私が申し上げておりますが、同時にまた営利の目的だけに奉仕すべきものではないということだけは明らかにしておかなきゃいけません。教育二局がいわゆる現状の段階では採算が合わない、経営が成り立たないということで、普通局に申請したのじゃないですか。そこで、新たにと言われるけれども、新たにといっても現実にあるものを再免許を与える、これを組織がえして教育にする、これはことば上だけのことだけれども、実質は変わらないじゃないですか、再免許のときと一緒じゃないですか。公共的な電波がかえって営利的な考え方でこれを左右するということは許されないはずですよ。その点はどうお考えになりますか、長官
  95. 小坂徳三郎

    ○国務大臣小坂徳三郎君) 総理府総務長官は電波の認可、許可、そうした権限がございませんので……。
  96. 須原昭二

    ○須原昭二君 長官じゃない、政務次官です。失礼しました。
  97. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 先ほども説明申し上げましたように、10チャンネルと12チャンネルの波、周波数はこれは去年の十一月一日以前は京浜地区における教育専門局に割り当てておった、その波の割り当てを受けて教育専門局の放送をしておったのが日本教育テレビと科学技術振興財団ということでございますが、それが12チャンネルについていいますと明確になるわけでございますけれども、科学技術振興財団に対して与えた波は消滅したと、あるいは科学技術振興財団が設立しておった教育専門局は消滅したわけでございます。それで東京12チャンネルという新たな株式会社に総合局の免許をしたということでございまして、その間に法律的な連関はないわけでございます。
  98. 須原昭二

    ○須原昭二君 全く詭弁ですよ、それは。衣をかえてきただけですよ。和服が洋服にかわっただけだ。その実体を認識していないというところに大きな間違いがあるわけですよ。これを論議しておっても時間がございませんから先へ進みますが、そういう答弁では了承はできませんよ。実体は一緒なんですよ。和服を洋服に着かえてきただけなんだ。  そこで、さらに進んでお尋ねをいたしますが、政府の広報番組の特徴について、私はもう一つある。これは覆面番組が多いということですよ。あるとき私は見ておりましたのですが、「世界にかける橋」というやつがある、NTV。このブラウン管を見ておりますと、「提供日本鉱業」と出てくる。実はこれは外務省提供番組ですよ。昨日も日曜日ですから、念のためにひとつ見てやろうと思って「世界の子供たち」、TBS、これを見ました。これは日本広報センターを通じてやっている番組です。「提供雪印」と出てくる。「世界に生きる」、NETですね。これを見ておったら「提供川崎重工」と出てきた。ともにこれは実は政府のひもつき提供番組ですよ。政府の外郭団体の日本広報センターを通じてやられておるわけですよ。私は「新あまから問答」もきのう見ました。「日本のひろば」も見ました。最後にほんのちょっぴり、無声で、横向いておったらわからぬ、「提供総理府」と、こう書いてある。ぱっと見たらもう過ぎている。よほどよく見ておらないと、これはどこの提供番組かわからないのですよ。国民は「世界の子供たち」を見ていれば、当然これは雪印が提供して、雪印の番組だと思って見ているでしょう。国民は「世界に生きる」というのを見て、当然これは川崎重工が金を出してやっていると、こう見るでしょう。しかるに、これらの番組はすべて日本広報センターを通じて私たちの税金が使われている。だれも知らないはずです。スポンサー企業が当然支払わなければならない電波料金、スポンサー料金といいましょうか、これが、国が日本広報センターの陰に隠れて援助していると言っても私は過言ではない。これこそ私はとうとい税金のむだづかい、最も必要ならもっと堂々とやったらどうです。「世界の子供たち」、「ドキュメント日本人」、「世界に生きる」などの番組は、いわゆる広報センターを通じてどれだけTBS、フジあるいはNETのテレビ会社に金が出資されているのですか。この広報センターは財団法人で、民間だとはおっしゃらないでしょう。政府が金を出して、政府の外郭団体、こういわれておりますが、政府は全然関係ないと言うことはできないでしょう。この際、日本広報センターの事業内容、予算決算、その全貌をひとつ公表していただきたいと思います。資料要求いたします。
  99. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 広報室長よろしいですか、いまの資料要求。
  100. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) 日本広報センターがやっておる仕事の概要は先ほど申し上げたので、もうあまり繰り返しませんが、要するに制作費を払うことによって、あと画面に出てくる「提供」というのは、電波料を払ったところが出るたてまえになっておりますので、電波料を払った、先ほど来御指摘のような企業が……。
  101. 須原昭二

    ○須原昭二君 制作費はいいのですか。
  102. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) 制作費は広報センターで払っておる。したがって、政府の立場から申しますと、少額の予算でもってテレビができるということで、むしろ経費的には少のうございます。ただ、政府が提供番組として、政府が電波料を払ってやるものもございますけれども、これをやると、先ほども申し述べたようにたいへんほかの、たくさん提供者のワクを食うことになって、その辺の調整の問題などあり、広報センターというものを活用していることは先ほども申し述べたとおりでございます。  なお、広報センターに関する資料については、この委託費の額等、後ほど整理して差し上げます。
  103. 須原昭二

    ○須原昭二君 そこで、もう一つお尋ねをしておきたいのですが、資料要求いたしましたら、「各省テレビ放送広報費支出一覧表」、さらに各省庁の提供番組、ずっと出してくれということで出してくれましたけれども、土曜日の終わりごろで、実は私、きょうもらってまだ見ておりません。非常にべらぼうな数が出ているわけです。これでは昨年の広報費よりも三〇%、四〇%、五〇%伸びていくのはあたりまえのことですよ。しかも、国民の側から見ていると、どこの金でこういう番組が流されているのか、これは国民は全然知らないのです。この際、覆面番組はやめなさい。正々堂々とこれは政府が国民の皆さんのためにお知らせをしているのだ、国民の皆さんのためにこれは報道しているのだ、こういう点を私は明らかにすべきだと実は思いますが、その点は総務長官、どうお考えになりますか。
  104. 小坂徳三郎

    ○国務大臣小坂徳三郎君) われわれはそうした覆面番組という意識は全く持っておらないわけです。むしろそうした制作費に関連して、放送局がやりたいと思うものもいろいろな面で差しつかえがあってできないと、そういうような話し合いが広報室と各局の制作者の間でときどき持たれておるわけでございます。そうした中から取捨選択して、それが現在の日本の現状を正確に反映して、視聴者の皆さんが日本の現状なり世界の現状なりがよくわかるというような問題については、それを総理府の直接の番組とするよりも、むしろより間接的な形で、広報センター等を通じてそれの制作費を出す。これはあくまで選択するのは放送局、放送会社の側でありまして、われわれがそれを強制的にやれという命令は——私まだ就任してから間もないのですが、その点については、先生、あなたの御質問と同じような気持ちで一応チェックはいたします。実体がどうなっているか。先ほども資料の御要求がございましたが、同じことを私はすでに就任早々に命じてございますから資料はすぐ出せます。同時に、政府のあまり、自由な言動に対しての役割りを、金を出すからという形は好ましくないから、その点につきましても十分そうしたことは避けておったということなんでございまして、私はあらためてここでそうした方向は今後は修正するというような必要はないのではないかと考えております。なお、実際の報道、放送、そうしたものを、さらにこうしたセンターというようなものの運営を何と申しますか、より民主的な方向というものを助長してまいりたいというふうに考えております。
  105. 須原昭二

    ○須原昭二君 これは、覆面番組はほんとうによろしくないです。やはりテレビを見ている側からいたしますと、画面にちょろっと小さな字で出したところで、これはなかなか、やはり目と耳と一緒に聞かなければいかぬわけですから、たとえば「提供総理府」と書いてあったら、提供総理府の番組ですというぐらいのことはアナウンスさしても私はいいんじゃないか。それぐらいはテレビ局にお願いできるんじゃないか、こう思います。しかし、これからよく一ぺん長官も実体をつかんでいただきたい。  時間の関係がございますから先へ進みますが、最近、政府の提供するテレビ番組を見ておりますと、非常に閣僚が出てくる番組が激増しております。佐藤前総理、皆さんも記憶にまだ新しいと思いますが、あの四十七年六月十七日、新聞記者の皆さんの前で、新聞記者は出ていけ、テレビは残れと言った名せりふがあります。あまりにも有名な事件であります。このことは、反対や質問がなく、一方的に意見を押しつけることができるテレビについては権力者の皆さんというのは非常に好都合な道具だということなんですよ。  そこで、田中内閣は就任以来、佐藤時代よりもこのテレビを使う率がきわめて多いということです。総理府の提供番組の中で閣僚の出ておる番組を一覧表にして出していただきたいと、こう言いましたら、すなおに出てきました。四十七年七月田中内閣は発足以来、四十九年二月十二日——今月の十二日までで、二階堂官房長官の八回を先頭に、中曾根大臣が五回、坪川総務長官四回、まだ小坂長官は就任早々ですからあまり出てきておりませんが、三十二人の大臣が実に四十二回に及んで出ている。総理府だけで四十二回ですよ。全省庁を集めれば飛躍的にこの数字は上がると思う。政府のテレビ広報については非常に問題があるわけです。施策の内容を単に紹介する程度ならいいんです。たとえば生活保護費の受給資格がどうなんです、こうなんです、あるいは年金の支給手続はこうしなさい、これこそ国民が待っていることなんです。大臣が出てきて、政策の評価、価値判断を示すということはどうかと思うんです。  一つ端的な資料を出しましょう。総理府の「あすの日本」、フジ系でありますが、四十七年の十月五日の台本を見てまいりました。紹介しましょう。  聞き手(渡辺直子) 「日本列島改造論」につい   て、そのねらいといったものを簡単に説明し   ていただけますか。  ゲスト(二階堂長官) 「日本列島改造論」という   のはですね、(以下改造論のねらいを説明)  聞き手(渡辺直子) なるほどそういうお話を伺   うと、私どもが毎日の生活で悩んでいる問題   が改造論に直接つながっていくことがよくわ   かりますね。    新地方都市ビジョンは公害の解決、都市の   過密解消につながると思いますが、もっと具   体的に説明してください。  ゲスト(二階堂長官) (新地方都市ビジョンに   ついて説明する)  聞き手(渡辺直子) お話を伺いますと楽しくな   るような気がいたします。  どうですか。こういった調子ですよ。まさに金を出した価値がここにあらわれてくるわけです。四十八年四月十五日の番組、「新あまから問答」、NET系です。テーマは「それ行け福祉元年」——なかなかいいテーマです。ゲストのロミ・山田が、田中さんになり少しは変わるかと思っていたが、いまはそうとは思わないし、——そういう発言があります。街頭の、全然期待していませんという庶民のインタビューの声を受けて二階堂長官が何と言っておりますか。田中内閣は発足してから九カ月足らず、人間でいえば赤ちゃん、もっと長い目で見てほしい。決断と実行はこれからだ——このような調子なんですよ。事ほどさように、大臣が出てきて自民党内閣の政府の評価、価値判断を示すなら、私は当然議会制民主主義の今日の日本の制度から言って、野党側の批判点あるいは野党側の評価を公平に放送する機会を与えるべきだと思う。それが電波数を制限されている放送における公平を守る私は原則ではないかと思う。フェアネスドクトリンですか、これはアメリカで法律になっておるところの公平の原則です。こういうものについてどうお考えになりますか。
  106. 小坂徳三郎

    ○国務大臣小坂徳三郎君) お答え申し上げます。  政府提供の各閣僚の登場いたします番組につきましては、私の聞きましたところでは、制作局が質問者を選定いたしまして、そしてそれで、内容はもちろん、現在の政府の掲げておる、また各省で掲げておる政策内容を説明することも大きな役割りでありますが、質問者、その人たちを、われわれがといいますか、政府側で選定したことはかつてないわけでございます。これはあくまで放送局が質問者を選定しておると、そうした関連の中で今日まで続けられてきておったのでございます。そうしたことでありましても、やはり政府といたしましては、現在ばく然と、あるいは顕在化した形でいろいろな社会の動きに対しての批判もあることはよく承知しております。そうした批判を質問者の質問の中で受けとめて、それに回答していくということは私は別に放送の自主性をそこなうものではもちろんない。また同時に、質問者がそれで納得しましたという、ただいま二、三の例をあげられましたような回答がある場合はごくまれではないかと私は見ております。そうした意味は、結局政治というものがもっと大衆の茶の間に入って、そして自分らの考えていることを率直に申し上げる、それを受けてどのように国民が判断をするかということは、これまた全く私は別個のことであるというふうに考えております。
  107. 須原昭二

    ○須原昭二君 茶の間に入ることは大歓迎ですよ。一方的な宣伝になってはならぬ、いわゆる政策の評価なり価値判断を一方的に宣伝をされてはいけないということをぼくは言っているわけです。その点はどうですか。
  108. 小坂徳三郎

    ○国務大臣小坂徳三郎君) ただいまお答え申し上げましたように、それは質問者の人選にある。また質問者、その人たちの同感を表明するか、あるいは不満を表明するか、それは全く自由なんでございまして、しかもその質問者は総理府広報室が人選をした覚えは全くないわけでございまして、これはあくまで制作者のほうで選定をしておるというのが現実でございます。
  109. 須原昭二

    ○須原昭二君 じゃ、さらに進めていきましょう。斎藤室長、きょうは総理府の広報室であると同時に、私は内閣官房広報室長兼務でお出かけをいただいたと思っております。二つ兼務ですね。間違いありませんね。
  110. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) そうです。
  111. 須原昭二

    ○須原昭二君 そこで私はお尋ねをしますが、昨年五月一日、内閣広報室ができたんですね。そして総理府広報室がすべて兼務する形でスタートいたしております。初代の室長総理府室長であった松本芳晴さんですか。この総理府の広報室と内閣官房の広報室との仕務が私は違うと思う。内閣広報室が新設された理由についてまずお尋ねをしておきたいと思います。
  112. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) 内閣広報室がなぜできたかということは実はいま御指摘がございますように、内閣広報室ができてから私、任命を受けておりますので、できるまでのいきさつは、伝聞でございますが、いままでの私が承知いたしておりますところによれば、総理府広報室という従前あったものはあくまで行政機関の一つの省庁である総理府の広報室でございました。それで、内閣全体で国の各省庁の広報関係全体を見て、そうして必要な総合調整を行なう機関は従前はなかったので、昨年の五月、昨今の情勢から役所の各広報関係機関がすべて有効に、有機的に動くように、内閣的なレベルでそういうことを考えて活動していく機関が必要であるということで内閣広報室というものが設けられたというふうに承知しております。したがって私は、先ほど御指摘がございましたように、従前の総理府広報室の仕事を行ないますと同時に、もう一つの資格において、たとえば文部省の広報課だとか、あるいは外務省の広報関係だとか、あるいは自分自身の役所の広報のところ、そういうものをひっくるめて全体がうまくいくように皆さんと御相談しながら、そうして内閣官房長官なり、あるいは副長官なりに私の見たところを御進言申し上げる、そうして内閣として活動していただくというふうにやっております。
  113. 須原昭二

    ○須原昭二君 どうも御理解をいただいておらないような感じがするわけですがね。本質的任務が違うんですよ。これ。片一方は内閣ですよ、片一方は総理府です。総理府の広報室は行政官庁の制約があるわけです。内閣の広報室はそうじゃないんですよ。その点を——室長にこんなことを教えておってもおかしなもんですが、総理府の広報室では行政官庁の制約からいって実は国会を通過した政策しかできないはずですよ。しかし内閣の責任においてするというなら国会で審議中であっても政府の責任でPRできるという、こういう利点が実は田中政府としてはあるんじゃないか、こういうふうに思いますが、どうですか。
  114. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) いまお尋ねの件につきましては、私は内閣広報室も総理府の広報室も、ともに行政機関の中の一つの組織でございますので、あくまで一国の行政権に関係のある広報活動をするという立場にある。ただ内閣広報室であれば、各省庁の一つ一つ立場を越えまして内閣的なレベルでいわば内閣総理大臣なりあるいは内閣官房長官なりの立場でやるべき広報活動についてのいろんな具体的なことを考え、そうしてまた進言する、補佐するという立場であると思っております。
  115. 須原昭二

    ○須原昭二君 どうもこれはおかしなものですよ。二足のわらじをはいている者はどちらの立場でものをいっているのか、実はわからないんですよ。総務長官、そうして官房副長官、これは明確にしなければいけないことです。総理府の広報室はあくまでも行政官庁の制約がある、内閣の広報室は制約がない、こういうことじゃないんですか。内閣の広報室ができたゆえんのものは、官庁レベルの連絡一本化をはかるという側面もあるでありましょう。もう一つ理由は、そういうところにあるんじゃないかというおそれもするのです。私の危惧ならばいいです。行政PRだったら総理府広報室の広報の仕組みがそのまま内閣のPRに利用されるおそれなきにしもあらずと私は実は憂慮するのです。特に室長が両方を兼務をするというようなことは、全く私はおかしなことではないかと実は思うわけです。特に予算も内閣の広報室はゼロだと、職員もいないということです。仕事は総理府の広報室が全部かわってやっている、こういう現状でありますが、この際私は兼務をまずやめることです、そうして完全に独立をすることです。置くか置かないかの問題については別といたしましても、この兼務をはずすことをまず私は要求をしておかなければならないことであると思いますが、その点どうですか。
  116. 大村襄治

    政府委員(大村襄治君) 従来総理府広報室は各省と同一レベルにおいて各行政機関の広報の総合調整を行なっていたのでありますが、内閣の立場から行政各部の広報について統一保持上必要な総合調整を行ない、政府の広報活動をより一体的に、そうして一そう効果的に実施するため内閣広報室が置かれることとなったのであります。内閣広報室は昨年五月に設置されて以来現在までの間ひんぱんに各省庁との協議を行なうことによって各省庁の広報に関する連絡の緊密化を促進するとともに、重要な政府広報についてはそのつど総合調整の上、その効果的実施につとめております。昭和四十九年度は政府広報に関する調査研究のほか、このような連絡協議、調整活動をさらに活発に行なっていく方針でありますが、特に資源エネルギー対策、生活物資の需給関係対策等、国民生活に大きな影響を持つ対策に関する情報を国民に迅速に提供する広報の推進に重点を置くことにいたしております。  昭和四十九年度の予算額は、内閣の広報室の予算でございますが、一千九十一万七千円でございまして、その内容は国政に関する公聴会経費三百二十六万五千円、調整事務等に必要な経費七百六十五万二千円となっております。なお、総理府官房三課が、課長以下全員での内閣官房の機関を兼務しているのと同様に、総理府広報室も室長以下全員で内閣広報室を兼務しております。また内閣審議室におきましても、同様に兼務しておると、たくさん事例がございますので、特にこの広報室だけが異なった措置をとったというわけではございませんので、御参考に申し上げておきたいと思います。
  117. 須原昭二

    ○須原昭二君 じゃあ、あらためてお尋ねしますが、内閣の広報室といえども行政官庁の制約を受けるのですね。したがって、国会開会中においてただいま審議中のような政策、こうしたものはいいとか悪いとか、こういうPRはしませんね。この点だけは明確にしておきたいと思います。どうですか。
  118. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) ただいまお尋ねの点につきましては、先ほどもお答えしたように行政府の中の機関でございますので、事行政に関係がある範囲内においては広報室は広報をすると、その個々の限界はたいへん微妙な場合もございますが、たてまえとしては、原則としてはそういう考え方をしております。したがって、たとえば従前政府提案の法案につきましても政府提案の法案の説明をするということは、従前から行なっておるというケースもございます。一々どういう場合にはそれじゃあ行政権の範囲内であるかどうかということになるとたいへんむずかしい問題がございますが、たてまえはいま申し上げたとおりに存じます。
  119. 須原昭二

    ○須原昭二君 例外が原則にならないように、この点は明確にしておきたいと思います。それは官房副長官、どうですか。政策の価値評価だ、やるかやらないか……。
  120. 大村襄治

    政府委員(大村襄治君) 行政府の問題でありますから、その範囲に属する問題についていろいろ見解を言われるということは当然許されるのではないかと、さように考えております。
  121. 須原昭二

    ○須原昭二君 さっぱりちょっと——奥歯にものがはさまっているような感じがして明確に聞こえませんが、あくまでも行政官庁の制約を受ける、したがってまだ成案となっておらないような政策についていいとか悪いとかいう表現は、そういうPRはしない。原則としてはわかりますが、さまざまの要件がありましてというような雑音を入れないでいただきたい、雑音入れなければすっと次の質問に入りますよ、どうですか。
  122. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) ただいまお尋ねの件は、先ほど来の繰り返しになりますが、たとえば非常に担当者レベルでものを申しますと、きまった施策の法律の中でいろいろ広報をするという場合もございましょうし、それからたとえば大臣レベルでいろいろ話すようになるということになれば、行政府の長として行政機関の長としての大臣のいろいろなお考え、所感、所見、そういうものを述べられるとか、それも行政府の長官として述べる場合には、やはり行政権の範囲だというふうに私どもは思っております。
  123. 須原昭二

    ○須原昭二君 行政権の範囲内ですね、わかりました。あと十五分ぐらいしかございませんから先へ進みます。  今度は、政府提供番組ではないのですけれども、実は毎月、最近では月に二回ずつ行なわれておりますが、「総理と語る」という番組があります。第一回は、四十七年の八月の二十七日、TBSから始まっておりますが、午後八時のゴールデンアワーで「報道スペシャル「どうする!角さん」」、こういう番組で、田中首相の主役の特番放送が各社持ち回りで流されてまいりました。四十九年一月三十日NHKに至るまで実に十九回を数えています。四十七年八月から、毎日NHKといわゆる民放とが隔月で放送してきたものが、特に昨年の十月から、民放とNHKとが、月に一回ずつ計月に二回、実にこの点についても倍増です。特に「総理と語る」というタイトルで流されておりますが、これは国民ひとしくそう思うと思うのですが、これは総理大臣に来てもらわぬとこれは御答弁いただけないかもわかりませんけれども、客観的に聞いている、見ていると、私時間を一ぺんはかってみた。総理がしゃべっている時間は四分の三ですよ。相手がしゃべれるのは、実にわずか四分の一以下です。まさに田中総理の独演会です。一方的にしゃべりまくる傾向が強い。「総理と語る」じゃなくで、「総理が語る」のですよ。「と」じゃなくて、「が」に変えなくちゃいかぬ——といったほうか私は適切であろうと思いますが、官房副長官、あなたそう思いませんか。
  124. 大村襄治

    政府委員(大村襄治君) 総理に語る番組が、いまお話しのように月一回ないし二回最近行なわれることは事実でございます。その内容が総理の発言の時間のほうが長いというお話でございますが、それはそのときの場合で、(「そのときだけじゃない」と呼ぶ者あり)長い短いは多少あるのじゃないかと思うわけでございます。なお最近におきましては、「総理にきく」という名前を用いていることもあるように承知しております。(笑声)
  125. 須原昭二

    ○須原昭二君 ほんとうにねえ、これは笑いごっちゃないのですよ。先ほど私は申し上げた官公庁レベルという制約のもとにということじゃなくて、もうしゃべりまくる中に、野党なんかこっぴどくたたくときもあるのです。まだ成案を見ておらないような法案もどんどん、全く百点満点のようなことを言っているのです。そこでいまそれは放送局に全部まかしておるというけれども相手側に、反論しないようなメンバー、こういう者が非常に多いと思うのです。これは放送局がかってにきめるのだから、おれは知らないと御答弁になるであろうと思うのですが、相手の選考をもっと私は民主的にきめるべきである、こう思いますが、それは放送局にまかしてあるのだといってしまえばそれまでです。しかし、政治家としてやっぱり良心に基づいて御答弁をいただきたいと思うのですが、この点はどうですか。民主的にきめる気持ちはありませんか。もっと公平にやるという気持ちございませんか。
  126. 小坂徳三郎

    ○国務大臣小坂徳三郎君) 同じようなことを繰り返して恐縮なんですが、やはりこれは全く自主番組でございます。それは私も過去において一回経験があるわけでございます。総理に聞く人がだれであるか、あるいは総理と語る人がだれであるかということは、全く制作者のほうの自主的な判断で決定しておるわけでございまして、私はしかしこのテレビで政府の最高首脳が語るということは、やはり私は民主主義においては大事なことだと思います。ですから、この「総理にきく」あるいは「総理と語る」というこうした発想は、非常に大事なことなんであって、ただ個人的にたいへん差がある場合もあると思います。しかし、その差があるからといって、こうした番組がきわめて言論界にとっては違うものであるということには私はならぬのじゃないか。むしろこれは、そのような御質問が出たということは私もよく了承いたします。またそうした場合に企画制作の社のリーダーに会うこともしげしげございますから、こんな質問も出たよということは言っておきたいと思います。が、しかし、私は繰り返して申し上げますが、一種の炉辺談話なんでありまして、これが単なる政権発表の場であってはならない、そのような心がまえの中で「総理と語る」というようなこうした番組はぜひ続けていきたいと思います。
  127. 須原昭二

    ○須原昭二君 前々から私は申し上げているんですが、公平の原則が出てくるわけです、そこで。やはり総理と対談をさせるならば、反対の意見を持った人たちを進んでやっぱり求めて、そうして公平な立場でこの国民の皆さんの理解を得るというのが私は正しい道ではないか。これがやはり民主主義を育てていく道だと、こういうふうに私は思います。ですから、先ほどから申し上げておりますように、公平の原則、これはもう言うまでもありませんが、念のために申し上げておきたいと思うんですが、アメリカ連邦通信委員会いわゆるFCCです、この公平の原則を実はこう言っているわけです。放送の被免許人というものは、人によって見解の別れる公的に重要な問題について、すべての立場の人々の見解を公平に紹介するという義務を負っている、こういうものだ、だから、放送で一定の見解を紹介した場合は、それと反対の立場をとる人々に対してもこれに反論をするための十分な機会を与えるべきである、これが電波の制限をされている、公共性を持つ電波を使っている立場からいって当然な道である。これはもう一九四九年、アメリカでは制度化されているわけです。この原則は私は間違いないと思います。こういう原則を尊重するという立場、法制化しないでもこの精神というものを私は尊重すべきだと思いますが、この点はどうですか。
  128. 小坂徳三郎

    ○国務大臣小坂徳三郎君) 私も言論、報道というものはそうでなくちゃならぬと考えます。同時にまた、放送局には番組審議会があるわけでありますが、その審議会の中においてこうした番組が不適正であると、あるいは視聴率調査をやれば、そうした番組が国民に受け入れられていないか、受け入れられているか、そんなことはすぐわかるわけでございます。そうしたことは各放送会社がそれぞれ自主的にやっておられると思います。NHKにつきましても同じことではないかと考えます。同時にまた、そうしたことが、総理の話があったあと、必ずそれは解説という形であとを各放送会社がフォローしていると私は見ています。その解説は必ずしもその評価を、期待されたほどに評価していない場合も非常に多いんではないかというふうにも思います。そうしたところに一つのバランス・オブ・パワーがある。そこにまた言論の自由が存在するというふうに考えておりますが、基本的にはいまあなたがおっしゃいましたことは非常に大事なことであるというふうに心得ております。
  129. 須原昭二

    ○須原昭二君 まあ長官が、基本的にはこれは正しいし、尊重しなければならない、——そういう気持ちはわかるんですが、まあほかの機会で何か反論をしているんじゃないか、論説しているじゃないか、こういうことでは、私は公平にならない、そういうものの考え方では。やはり私が指摘しておりますように、最近総理やあるいは閣僚の出られる番組というのは非常に多くなってきておる。多くの問題をやっぱり持っていると思うんです。当然私は、まずこの「総理と語る」という番組に対して、やはり反対意見を発表する機会を政府みずからが進んで保障していくという姿勢がどうしても民主政治家としては必要だと思うのです。まあ基本的には正しいということですから、尊重したいということですから、これは進めてまいりますけれども、人選を云々することがこの放送の自主性から言って問題がないわけではないと私は思います。しかし、政府が一方的なこの場を宣伝の場にしては、公共的なテレビの電波というものを利用することは問題がある、そういう点から実は言っているわけです。したがって、保障するという立場で言うならば、たとえばNHKが、お正月だけですね、お正月祝儀といいますか、各党の委員長を招いてやっておりますが、これと同じように、当然、成田社会党委員長と語る、あるいは竹入公明党委員長と語る、あるいは春日民社党委員長と語る、宮本共産党委員長と語る、というような時間帯をやはり積極的に政府みずからがつくっていくという姿勢、言うまでもなくそれは完全平等ではなくして、たとえば国民投票の数によるとか、国会の議席数によって時間制限をするということもあるけれども、これはひとついろいろ方法はあるけれども、そういうことを保障していく、こういう姿勢が私は必要ではないかと思う。それは政府がやっているんだ、政府と自民党は違うんだと、こう反論が出るかもわかりませんが、今日の実態から言っても、憲法上の立場から見ても、当然自民党と政府とは一体であることはもう言うまでもないわけです。総理や各省の大臣が、放送の意見を、各政党の意見を代表しているのではなく、やはり行政の長として意見を発表していくというならばともかくとして、そういう実態にいまなっておらないわけです。こういう点を特に私はこの際強調しておきたいわけです。  先ほどもお話をいたしておりましたが、昨年五月、総理府広報室と兼務で内閣広報室が新設された。そして広報予算がどんどんふくれ上がっておる。従来各省庁のばらばらの広報活動を一本化して、そして合理化をして、同時に、現在の国会の審議中の案件ですら自由に一方的な宣伝が強力に行なわれておる素地がつくられつつある。まさに私は、この予算の膨大なものからいって、大商社の砂糖だとか土地の買い占めだとか言っておるけれども、政府みずからが電波を買い占めておると言っても私は異論はないと思う。政府の最近のマスコミ操作の強化というのは目に余るものがある。昨日もちょうど日曜日でしたから、この日曜日の午前中の番組を、とりわけ民放の各放送を調べてみました。あの午前中の民放は四分の一ぐらい政府の何らかの影響のある番組じゃありませんか。まさに私は、砂糖の買い占めだとか紙の買い占めや石油製品の買い占めは大商社の独占だと、大商社だけだと思っていると大間違いで、政府みずからがこの電波のネットを買い占めておると言っても私は過言でないと思う。  時間が来てしまいましたから、私はこの際要求しておきたいと思う。一度ひとつこの意見をよくそしゃくをして施策の面にあらわしてもらいたい。政府の広報活動は、少なくとも国会において各党派の代表による委員会が承認したものに限って実施をする、こういうことはできませんか。政府は広報活動によって世論操作をたくらむものではなくて、国政そのものをガラス張りにして、報道記者だとか国民にすべてを公開する体制をとるべきだ。意見の異なる問題については、そのつど両論を併記するなり、国費による国民の同条件の反論表明を保障する。政策宣伝のための日本広報センターというものは廃止すべきだ。私は強くこの点を主張して時間がまいりましたから質問を終わりたいと思います。     —————————————
  130. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 委員異動について御報告いたします。  ただいま小林国司君、佐田一郎君及び二木謙吾君が委員辞任され、その補欠として高橋邦雄君、木内四郎君及び米田正文君がそれぞれ選任されました。以上です。     —————————————
  131. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私は物価問題で若干お伺いしたいと思います。  最近の物価は一応政府の努力によりまして、部分的に若干の値くずれがあることは認めますけれども、まだまだ相当な高値にとまっていることも事実であります。なおわれわれといたしましては、今後物価をほんとうに政府が約束をしておるように、内閣は総力をあげて物価の値下げに取り組んでいると、この看板にふさわしいような値下げをやるのかどうか、これは非常に国民の注目の的になっておるわけです。   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕  そこで、いろいろと新聞等の情報によりますというと、また石油製品が六五、六%ぐらい値上がりをする。それに関連をしておもな基礎物資がまた若干上がるというような傾向にもあるわけですが、その辺のところは通産省等の情報によりますと、まあ主要関連物資は二月上旬ぐらいのところで凍結をするというような記事も出ておりますが、そこで、私は経企庁並びに通産省に対しまして、一体そういう今後の物価の問題を、特に石油の九ドル原油ももう入っておるそうですから、その辺をどういうふうに今後もっていくのか、非常にむずかしいと言えばむずかしいですが、どういうようなことをいま経企庁、通産省あたりは御相談になっていらっしゃるのか、その辺をまずお伺いしたいと思います。
  132. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 中尾さんからもお話ございましたように、最近総需要の抑制、あるいはまた政府各省からもそれぞれ主要物資につきまして、引き下げ勧告というようなことも若干のいい影響を与えてまいりまして、たとえば二月上旬の卸売り物価などにおきまして、御指摘のように一部の頭打ちの状況が見えてきましたことは、私ども愁眉を開いておるわけでございまして、したがって今後も一そう総需要の抑制あるいはまた個別の物資需給対策等を進めまして、いつも申し上げておりますように、物価の著しい騰貴の状況短期におさめたいというような努力を重ねておるわけでございます。  しかるに一方におきましては、これも中尾さんから御指摘がございましたように、昨年の十二月に石油の輸出国機構から通告がございましたように、一月一日から値上げされる。しかも、これ大幅に値上げされる原油が一月の二十日ごろから入着いたしつつありまして、いまのところは一月引き上げ前のそれに比べると若干価格の安い原油の備蓄も各社か——それぞれこれは各社によりまして備蓄の数量等は違いますけれども、持っておるわけでありますが、それらの前の価格による原油の備蓄というものも次第に底をつくことになります。そうなりますと、高い原油一色のものになりまして、それを精製加工した石油製品というものは、他の条件は別にいたしますと当然値上がりをいたすわけでございましょうから、そうした原油値上げに伴う石油製品の値上がりがあるとした場合に、これは結論的に、端的に経済企画庁の私ども——これは通産省も同じでございましょうが、考え方を申し述べますと、石油製品の値上げが石油製品に関連するその生活関連物資あるいは基礎資材などの値上げを誘発しないようないろいろな施策をぜひとってまいりたい。それは一つには、石油製品価格の値上がり幅を押える問題もございましょうし、また値上げの時期との関連もございましょう。また石油製品の価格ばかりでなしに、石油製品の価格は直接的には、いろいろ影響はございましょうけれども、特に電力料金等に影響がまいるわけでございますから、いま申し述べましたような主要資材が石油製品の値上がりと電気料金の値上がりのはさみ打ちによって、ここでせっかく落ち着きかけた物価の状況がまた悪くなるということにならないようないろいろの施策をぜひ打ち立てたいということで、目下これは企画庁あるいは通産省だけでなしに全政府をあげてせっかくいま検討中でございまして、悪い影響が来ないようにぜひ食いとめたいということが私どもの大きな課題になっているところでございます。
  133. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) いま企画庁長官からるる説明がございましたとおり、石油の値上がりといったことが、すでに中尾委員から御指摘がございましたとおり、メジャーからの通告がございまして、これがまた先ほど申されましたとおり、電力へのはね返りといった面で諸物価に影響をするという御心配、全くそのとおりでございまして、目下経済企画庁並びにほかの関連する役所等が相寄り検討を重ねておる途中でございます。近いうちに何とかこの結論を出していかないことには、その間にまた国民に物価の値上がり等で迷惑をかけ、また倒産をするといったような企業が起こるという、非常に逼迫した事態でございますので、これは緊急に結果を出すべく努力をいたしておる次第でございます。
  134. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大体答弁を聞いておりますと、石油の値上がりというものをにしきの御旗にして関連基礎物資等の今日の値上がりの状態もやむを得ないというようなふうにも聞き取れますが、それは何しろあなた、私が言うまでもないことですけれども、今度の物価上昇の火つけ役というのはこれは石油業界であって、値上げを先取りに昨年の十月、十一月ごろからどんどんあふってきた。それがこういうふうに広がってきておるので、もう山下次官がおっしゃったように、諸悪の根源は石油業界とか何とか言われておるように、連日向こうの衆議院のほうでも徹底的に大企業のいろいろな値上げの操作、からくりが暴露されておるような状態で、これは国民の感情といったら相当なものですよ。ですから、単に産業政策という面からのみこれをとらえて、石油業界の収支の面だけを考えておやりになれば、これはたいへんなことになると思うんですね。ですから、その辺を御考慮されているだろうとは思いますけれども、これは私からも特に申し上げておきたいのですよ。まして、いろいろな、通産省関係は生活関連物資を所管しておるわけですから、それを行政指導で凍結する。確かにそれは若干値くずれがあるということは事実ですが、そうすると、あの辺でもう下がらぬというふうに私は聞こえるわけです。その辺はどうなのか。  それともう一点は、この行政指導ということが、どうも行政指導といえばまた官庁と業界とこれは話をして、大体業界の意見も聞いてみてこの辺でどうだろうと、こういったようなとこでありまして、実際われわれが国民の側から見た場合には、さっぱりこれはどんぶり勘定で引いたようなぐあいにしか受け取れぬし、ですから、その辺は一面からいうと物価の値下がりを防止しておるようなふうにもとられるので、この点、その辺の実情、つまり行政指導の内容というものは、もう少し具体的に、ある程度は数字も明らかにして、こういうわけでこうでありますからこの程度になったとか、もうちょっとあなたわかるようにしてもらわなければこれは納得いかない。これが一つ。  それから経企庁長官に、昨年の年末国会でこの石油二法をやいやいやいやいあなた方はおっしゃって、この法律さえ通れば標準価格によっていまにも物価が下がるような、そういう勢いで、早いところ通してくれ、こういうことでわれわれも協力をいたしまして通った。通って、灯油だとかトイレットペーパーとか四つぐらい標準価格をおつくりになったが、その後企画庁はどういうようなふうにあの法律を考えていらっしゃるのか。行政指導でいいじゃないかと目をつぶっていらっしゃるのか、どうもはっきりしないのですね。   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕  一面からいいますというと、行政指導というのは、標準価格制度を無視したやり方と、これは言い方によってはそう言えるんですよ。行政指導なんて、標準価格なんてせっかく法案を通してもらったけれど、どうもあれはかんぬきをはめられたようなぐあいで、機動性に乏しくてやりにくくてしょうがない。物価というものはそんな固定したものじゃない、多少相場もあるんだからというようなところで、行政指導で責任を持つと、そういうようなところらしいようですが、それは善意に解すればそれはいいですよ。それでどんどんどんとん下げてもらえば——どんどんどんどんとそうはいかぬけれども、考えようによってはいまさっき言ったような、どうも向こうで衆議院であったようななれ合いというものが出てきて、国民の期待に沿えない、こういうことも考えるわけなんですね。この点経企、通産御両人にひとつお伺いしたいと思う。標準価格とこの行政指導、いま申しましたようなことにつきまして、どういう見解に立っていらっしゃるのか。
  135. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 物価の安定、引き下げというものをたびたび申し述べておりますように、私どもは二つの面からやってまいる。一つは申すまでもなく総需要の抑制というようなこと。これは金融引き締めあるいは公共事業の繰り延べ等云々、その他の手段たくさんございます。  もう一つは、個別の物資対策で個別の物資対策として国民生活安定緊急措置法の標準価格等の制度、あるいはまた必要によっては生産の指示とか輸送の指示とかあるいは輸入の指示とか、これは価格だけ押さえようと思いましても、物が窮屈であればいかに押さえてみても物が値上がりする勢いをとめられない。あるいは物が隠れてしまうと、こういうこともありますので、当院にもいろいろ御協力を得まして各種の手段を盛り込んだ法律案ができたわけでございます。  そこで、まあその辺の事情は中尾さんいろいろおわかりのようないまお話にも受け取りますが、まあ一たん標準価格をつくりましたが、その当時これも私は何もかも正直に申しますと、やはり石油の値上がりがことしの一月一日ばかりでなしに、すでに昨年の十月ごろからの原油の値上がりがたびたびございまして、これはやはり何といったって、当時私は特別声明まで出した、特別談話まで出したんでありますが、先取り値上げとかあるいは便乗値上げというものがあることを非常に残念に思ったり、また相殺もいたしておりましたので、その後通産省ばかりでなしに農林省などとも打ち合わせまして、できるだけその先取り値上げ、便乗値上げの分を行政管理庁に引き下げの指図をしていただく。そうしないと、一体標準価格をつけるのにこれ全部原価計算から適正利潤からやり直すといっても、まず裸にするものは裸にしたほんとうの姿というものを出すことのほうが先決だというような状況にもございましたので、ことばは悪うございますけれども、まごまごするとその標準価格で安いところへ設定するぞという、まあそういう必要あらば刀を抜くというような手段をあの法律によって整えていただきながら、そのおかげをもちまして実は各種の……まあそればかりではございません。もちろんあの公正取引委員会におけるやみカルテルの廃棄勧告等もいろいろやっていただいているわけでありますが、そういうことともあわせながらですね、幾つかの物資につきまして価格の引き下げの指導をやっておりまして、それらはそれなりに効果をあげているところもあるわけでございます。でありますから、一ぺん標準価格をつけてしまって、それがいわゆる高値安定みたいなことになってしまうことも適当ではありませんし、また法律による標準価格制度と、それから行政指導による価格引き下げというようなことを使い分けながらいまの段階においてはやることも一つの有効な行き方であろうと、こういうことになっております。  ことに、いまほど御論議をいたしましたように、原油の入札価格の高騰に伴う石油価格のきめ方、またそれの影響というものがもうちょっとの間はっきりいたしませんので、かりに石油の製品価格を上げても、その影響が生活関連物資の主要なもの、あるいは国民経済の基礎物資等に及ぼさないような押え込みの限度というようなものも、いませっかく通産省並びに各省を中心としてやっておりますので、それと見比べながら標準価格の設定によってきちっと押え込むというような場合も想定をされておるというような関係で、いまあの法律をにらみにきかせながら活用をいたしておるということであります。標準価格ばかりでなしに、増産の指導なども、それはあの法律の発動によって、政令をつくってやるまでもなく、ぐずぐずするとそれでやるぞということで、これも御承知のように幾つかの重要資材につきまして増産の指導などもやりまして、それによって物資の出回りがよくなって、今日需給状況が平静に帰しているというような効果も、あの法律による、私は、間接的というか、基礎的の効用になっておると考えておるわけでございまして、あの法律では間に合わない、あの法律はもう使わないと、こういうつもりは全くございません。各省を私どももそういう考え方で督励をいたしております。
  136. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 行政指導の内容につきまして業界となれ合いというような目で国民が見ておるのではないかという御意見でございましたが、決してそういうようなことはございませんで、生活関連物資に関しましては、原則的に、これを上げることは許さないという立場をとっております。個々の問題につきまして業界を役所のほうに呼びまして、不当なコスト、マージン、そういったものにつきましては値上がりを許さないという厳格な態度で臨んでおる次第でございます。
  137. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、今度石油が上がりますと、政府のそれは強力な指導もあるでしょうが、現在すでに物価が政府の指導もあって申しわけ的なようなふうに見えるんですが、若干、五、六%から一、二割というふうに下がっている点もありますよ、これは認めますよ。まあしかし、通産省が発表した例の産業連関指数等から考え——あれだけが全部じゃありませんが、あれプラスアルファのいろいろな諸条件を加えてみても、十月、十一月のレベルよりも今日のレベルはかなりまだ上がっておりますからね。ですから、それはもうあなた方が新聞にすっぱ抜いておるんでしょうが、二月上旬あたりの線で凍結という線、ああいうものを出しますと、これはもう下がりやしませんよ。うちはもう行政指導で一割方通産省の顔も立てて引いたんだから、まあまあこの辺でしんぼうしてもらおう、あとはひとつ経理内容等も、言うちゃ悪いですが、適当にというようなことで、国民の期待には沿えませんよ。そのうちに石油の新価格ができる。まあ、それにたとえ政府の強力な指導があったにしても、かけ込みでさらにプラスアルファの物価高になるというようなことも考慮しておるわけですけれどもね。ですから、もう企画庁長官はここで若干いま下がったあの線で了解してるんですか、もうあれ以上下がるのは無理だとおっしゃるんですか、その辺一つですな。
  138. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) あれはおっしゃるとおり行政指導による引き下げ幅の高いところで二〇%引き下げさしたと、こういうようなことでさらにその少ない引き下げ状況の場合もあります。それは昨年の十一月以前の価格に比べてみますとまだまだ引き下げ方が私は足りないと思うわけでありまして、やはり先食い利益、便乗利益というものがあの程度の引き下げ方では残っておるものももちろんあり得ると思いますので、これはまあ通産省もお見えで、ことに物資担当の各局長がおりますから、御不審の点もあとでいろいろ御披露をいただきたいわけでありますけれども、とにかく早いほうがよろしいと。初めからの原価計算を積み上げていったのでは、まあ標準価格などをつくる場合にはそういうことになりましょうけれども、とにかく早くこの上がる一方だというような状況にこたえるためには、これは私が言い過ぎがあったり間違いがあったらばあとから訂正をさしていただくわけでありますけれども、腰だめのその引き下げ勧告というようなことも引き下げのバルクラインを引いたと。これはその企業によってもっと引き下げられるところもあるし、またそんなに引き下げたんじゃ企業が成り立たないことの場合もありましょうけれども、やはり一物一価的な考え方をとると、それぞれの物資によって苦しい企業もあり、またもう少し引き上がる企業があるのかもしれませんが、その辺をバルクラインに二〇%引き下げろとか、そういうような線を引いたような面もあろうかと思います。  それに関連して、これもまた石油の問題に触れざるを得ませんが、石油製品の価格が今度の一月からの原油の大幅な高騰に関連して引き上げざるを得ないとした場合に、冒頭に申し上げましたように、今度のその主要物資であって、行政勧告による引き下げをさせたような、そういう物資については、石油製品がかりに上げざるを得ないことになっても、これはまあ二月上旬のベースがいいかどうかということは何も言うたわけではございませんで、新聞の想像でございましょうけれども、とにかくきょうの日よりもさかのぼったときのそのときの価格をはみ出すことなく押え込む、ぜひ押え込みたいという経済企画庁としてはたいへん無理な要望も通産省のほうにも申し述べているようなところもありますので、下げる要素と上げざるを得ないような要素がきたような場合にも、そのきょう以前の価格で押え込むというような状況との関連において今後いろいろまたやっていただかなければならないと、しかしその結果は国民を苦しめるようなことがあってはならないし、また企業の先取り利益というようなものは全部吐き出すというような方向で私は措置してもらいたいと、こういうことで、これは物価の基本方針であるということでお願いをいたしておるわけでございます。
  139. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 物価の目付役として国民が一番期待しているのは経済企画庁長官であります。そういうふうに見ておるわけですから、あなたの発言は非常に注目をされておる。昨年の石油二法案を提出されたときは非常に確信を持っていろいろと御答弁もありました。しかし最近の経企庁は何となく影が薄くなってきたというような感じもするわけでして、どの程度所管の諸官庁に物価の目付役として企画庁の指導力といいますかね、その辺をどの辺まで主張していらっしゃるのか、まあそういうような点。  さらに今度は標準価格、さっきちょっと私も答弁を聞いてましたが、まあ行政指導も一面においてやむを得ない点もあるが、ものによっては標準価格をある程度、まあ主要なものは認めてもいいと、そういうようなふうにも聞きとれたんですが、そういうような点。  それから三つ目は、その通産省は産業連関指数というようなものを発表いたしまして、この辺の値上がりが適当であろう、それは昨年の平均指数、あるいは昨年の年末あたりから何パーセントくらいが適当であるというこの連関指数を発表なさったわけですが、この際に物価の目付役としての経企庁あたりがいまの時点からひとつ考えてみて、そういうような値下げの幅、この辺が適当であろうというようなものをおつくりになって国民に示されたと——時間もありませんので一括して言いますから、もう一つは、それだけあんまり言ってもなんですから。
  140. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 第一の経企庁は最近威勢が悪いじゃないかと、こういう御激励がございましたが、実は今度の石油製品の値上がり等に関連するその関連産業の主要製品の値段の押え込み等の問題を含めたり、また石油製品が原油の値上がりがあった場合にどの程度上がるかというようなこと、さらにそれが公共料金とのかね合い上いかにすべきかということ等々を含めまして、実は私は二週間ぐらい前に経企庁はこういう七つか八つの方向を持っているから、これを政府の課題として総理大臣も含んでおいてくれと、通産大臣も言うことを聞け、通産省も言うことを聞け、農林省も言うことを聞けということで、これは新聞に出たわけでもありませんし、これは私ども経企庁だけの考え方でありますからそのまま発表すべきことではない面もございますが、たとえばそういったような物価の指導原理みたいなことを七項目ないし八項目を示して、そして企画庁の、同調を実は求めております。そういうものがございまして通産省としても今回石油料金を値上げするにしましてもその値上げ幅、値上げ時期、あるいはその値上げした結果が関連産業に及ぼす範囲、あるいは及ぼさないようにすべきであるという私どもの主張に、これはまあそのとおりにしてくれればいいのであります。これからの問題でありますが大いに耳を傾けてくれておるとは私は思っておりますし、まあそういう会合があるたびに、とにかくむしろ企画庁は主管庁として物資、生産企業とも癒着ではございませんけれども関連するということでやりにくい点があるか——あるかないか知りませんが、私どものほうはそういうことはございませんで、国民のまああり方として物価はこうあるべきであるということを常に堂々と実は述べておりますので、私どもの力の足らない点はぜひ当委員会においても出していただきたいと思います。  それから第二番目の標準価格はしりつぼみにしてしまって、あれ以上やらないのかどうかということにつきましてはそうは実は考えません。あの法律は、標準価格はあの法律によって主務大臣が決定することになっておりまして、売り惜しみ買い占め防止法の特定物資のように経済企画庁及び主務大臣が共同してつくることにはなっておらないわけでありまして、私自身のほうはあの標準価格をつくる権利は法律上ないわけで、それはあくまでも主務大臣ですが、それは政府の同じ中でありますから、今度の石油価格の値上げ等に関連して関連産業の諸物資に影響を及ぼさせるように、これを開いた場合に私は必ず標準価格を通産省、農林省もあの標準価格という手法を用いなければこれは押えがきかないという幾つかの品目が出てくるのではないかと想定をいたしまして、あの制度を十分通産省においても使われる方向で検討されたいということも申し入れているところでございます。  三番目の産業連関表のことでございますが、これは他の条件なしとすれば石油価格が上がったらば、他の条件を同じとすれば、たとえば雇用の条件でありますとか、操業率でありますとか、その他は捨象して出てきておりますので、そのとおりでおさまるものとは思いませんけれども、一応の目安になるものでございますので、これは総理大臣等も国会で発言されましたためにたいへん有名な、ああいう計算の場合の手段になってまいりましたから、いまさらあれはだめだと、こう言うべきではないと思うのであります。他の条件がございましても、他の条件は条件で別に盛り込むものとして、こういうように活用してまいりたいと思います。
  141. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 こればかり言うておると時間がありませんので、それでこれですな、「生活物資週報」というのを発表になったわけですけれども、これは国民のための、物資の需給の週報ということですけれども、これはもう少し国民が見て、もうちょっと親切にわかりやすくできぬものか。たとえばこれは二月十日——十六日、新聞にも出ておりますが、大豆油が生産が七千二百八十二トンで出荷が七千二百六十三トンあるいは砂糖が生産が一万九千三百十五トンで出荷が一万八千三百八十一トン、こういうふうに出ておりますけれども、生産等はこれはわかりますわね。わかりますが、国民が知りたいのは、やはりどのくらいの値段で流通在庫があるのかどうなのか。別に自分がもうそんなに買いだめなんかする必要もないなとわかるような情報にならぬものかですな、この辺いかがですか。技術的にむずかしい点があろうかもしれませんが、やはり親切にしてやらないと、あなた、いまね、経企庁というのは風当たりが強いですからね、この辺で……。
  142. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) この「生産・出荷状況週報」、これは実は先般、物資の需給あるいは価格等に関連して関係各省の統括価格調査官というものが置かれることになりまして、それの連絡会議をすでにやっております。それで各省主管物資につきまして常に情報交換をしようということで、各省の価格調査官あるいは各省に置かれております物資物価対策本部、そういう役所内の連絡用につくってあるのでありまして、これに異常があらわれますと、経済企画庁はもちろん、それぞれ各省がいろいろの手を打つ必要がある。たとえば売り惜しみ買い占め物資の指定物資として追加するとかあるいは生産増加とかあるいは物の移動について手配をするとかいう必要が起こるわけでございますので、そういう部内の連絡用につくられてあるものでございまして、直接国民の、消費者の皆さま方の連絡用としてつくられておるものではないわけでございます。別に県等に送りますのはこれをさらに詳しく、少し詳し過ぎるぐらいですが、「消費生活関連物資需給状況等速報」というものを随次、ここに手もとにございます、あとでお見せをいたしたいと思いますが、出しておりまして、これまたこまか過ぎて、これは県の担当部課で検討していだだいて、そして消費者あるいは業者を指導していただくと、こういうものでございますが、しかし、何にいたしましても御忠告のように第三者が見て、ことに消費者関係者が見てわかりやすいものにしたほうがいいし、私などはこれを見ましても私でもわからないところがありますので、逐次改善の方向をとってもらうようにいたしたいと思います。
  143. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 もう時間がないものですから具体的な問題を若干お伺いします。  それで、こういったような物価高によりまして相当中小企業等の倒産もふえておるような状況であります。いま総需要抑制ということで協力をしてもらいたいということですが、これはやはり私も地方を回ってみまして確かに政府の意向もわからぬでもないが、まあいつものことだけれども、大企業は景気よくやっているけれども、しわ寄せは中小企業にくると、しかもその中小企業は今回は選別融資も激しいし、まあ多少犠牲もやむを得ないというような方向でありますがね。しかしそれはそれとしても、もう少し何とか助けてもらえぬだろうかというのが、これは現地のことばですよ。特にその中におきましても、まあ建設業界なんか非常にいま資材がかなり上がっておる。したがってもうこれは見積もりが立たないし、つくっても途中から変えなきゃならないようなことで、結局でき上がって渡す場合はかなり損もあると、そういうところからやはり受注者もだんだんと減ってきたし、また一方国民の側に立ちますと、せっかくいま家を建てたいと楽しみにしておったところが、こんなにものが高くなったんではもうこれはだめだと、あきらめたというような声がかなりあるようであります。まあ土地を売ったり買ったりして一もうけしようと、そういうこととは別に善意な住宅建設等に協力をする業者、こういう人をやはり守っていかなきゃならないんじゃないか、こういう立場から私はまず建設資材の動きにつきまして最初通産省にひとつお伺いしたいと思います。
  144. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 各建設資材の個々の面について詳しく局長のほうから説明をしていただきますが、どのあたりまでやりますか。セメント、アルミサッシ、石こうボード、学用品、すべてそういうものを含めてですか。建設資材だけでいいですね。その点について詳しく説明をさせます。
  145. 橋本利一

    政府委員橋本利一君) 私からセメント、板ガラス、アルミサッシ、石こうボード等について申し上げたいと思います。  御指摘のとおり建設資材につきましては需給関係は何とか均衡を保ちつつあると申しますか一回復しておりますが、価格のほうがまだ十分おさまっておらないというのが現状かと思います。セメントにつきましても昨年まで九月ごろまでは六千四、五百円程度で推移しておったわけでございますが、昨年の十二月から八千二百円といった価格になっております。この主たる原因は、やはり燃料費、原料費あるいは輸送費等が上がっておるわけでございます。われわれとしてはせっかくこの八千二百円の価格を引き下げたいということで努力はいたしておりますが、当面のところ、まずはこの八千二百円以上に上がらせないように努力するということでやっております。それから板ガラスにつきましても昨年の十一月ごろまで四千五十円、昨今四千八百円に上がっております。これも諸般の原材料価格との関係もございますので、これ以上値上がりをいたさないように厳重に指導いたしております。それからアルミサッシにつきましても昨年の十二月から六千二百円程度に上がっております。これにつきましては幸いアルミの地金あるいは押し出し型材の値下げということが発表になりましたので、二月一日にさかのぼりまして六ないし七%の値下げを指導いたしておりまして、業界でも大体その方向で追随してくるということになっております。それから石こうボードにつきましては三百円前後にまで上がっておりますが、これは石こう原料の値上がり等もございます。中小企業の方々が多いということでこれまたこれ以上に上がらないようにということで指導中でございます。
  146. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そういう資材はわかりますが、それじゃ製品の面におきまして具体的にお伺いします。これはアルミサッシで東洋サッシの四・五、六〇、四・五尺掛ける六尺、これは一組みで昨年の六月から八月、大体業者渡しで七千八百円、これが二月は一万五千円までつっぱがって、若干一万二、三千円に下がっておる、こういうように私は聞いております、私の調べでは。ほかのアルミサッシも大体同じようなことです。そうしますと八月あたりからかなりのこれは六、七、八割の値上がりである。ですから、あなたがいまおっしゃったように五、六%二月一日にさかのぼって値下げするというのじゃこれは間に合わないのですね。だんだん製品になってくるとものすごく高くなってまいります。それから合板ですね、合板も若干下がったように商品相場、新聞等では見えますが、具体的にはたとえば三尺、六尺の四ミリの厚みのもので昨年の八月一枚が五百十円、それが一月は八百五十円までつっぱがって、いまは七百円から七百五十円まで若干下がっておりますね。それにしてもこれは相当な値上がりであります。さらに今度はデコラ、これは化粧板ですよ。これなんかも昨年の八月は三尺掛ける六尺が一枚で二千六百十円、これが現在は三千三百三十円。それからこれは接着剤のボンド、昨年の八月一キロ百十円、それからことしの二月は二百四十円、倍以上ですよね。  こういうふうにこれは一々個別的に製品別に見てみますというとかなりまだ上がっているんですね。ですからまあ材料の段階で商品相場の動きだけでは第一線で活躍する建設業界なんかはこれは非常に高いものを買うているわけです。それを住宅の需要者に売るわけですからね。その辺までやってもらわないと、あんた、少しばかり素材の面で下げたからどうだと、これじゃ国民に、あんた、申しわけないですよ。もちろん流通過程もありましょうがね。ですから、私はきょうは特に建設資材をここで取り上げてみたんですがね。あるいはフロアの床材、これなんかも、製品の名前あげませんが、一尺掛ける二尺のもので坪当たり昨年の七、八月は大体千九百五十円ぐらい、それが一月になりまして三千四百五十円ですよ。こういうものを業者買うわけですね、もうしょうがなしに。それは高いものにつくんです。片方は金融は締められておるし、相当な倒産も出ておる、こういうふうに新聞紙上等に出ておるので、こういったような末端における卸価格、小売り価格、業者渡し、こういうようなところまで農林省、通産省、所管の官庁は目を通して見てもらわないと、やっぱりいろいろと不平がはね返ってくるのは当然じゃありませんか。こういうのをまた行政指導でやるわけですか。その辺は値下げさせるのかどうなのか、その辺ひとつ通産省と、合板のほうは農林省ですから見解を伺いたい。
  147. 橋本利一

    政府委員橋本利一君) 先ほど私がお答えいたしましたのはメーカー渡しでございまして、まさにこれが工務店渡しになりますと、先生が御指摘になりましたように一万二、三千円になるかと思います。したがいまして、その間の流通過程における経費の節減等も積極的に指導いたしたいと思いますが、特に、この際、便乗値上げというものを回避いたしたい。そのために問題のある卸店あるいは代理店等がございました場合には追跡調査をいたしまして、問題のある店については厳重に警告を発すと同時に、なお聞かないような場合にはメーカーに話をつけまして、出荷を停止するといったようなことで強い態度で臨みたいと思います。
  148. 下川英雄

    説明員(下川英雄君) 合板の価格につきましては、昨年の三月ごろを大体ピークにいたしまして、その後値下がりしておったわけでございますけれども、御承知のように昨年暮れの石油供給不足問題の発展に伴いまして原材料価格が上がってきた、あるいは先行き供給不安によりまするところの在庫手当てが、これは流通段階あるいは消費段階、両者ともにあったと思いますけれども、こういった在庫手当てが増加したということで値上がりに転じておりました。特に薄ものにつきましては、本年の一月中旬ごろまで高値が続いたわけでございます。しかしながら、これらの在庫手当てが一巡したということ、あるいはまた建築の新規着工が昨年十月来減少してまいっておるということ等もございまして、合板の需要は減少いたしております。したがいまして、すでにもう厚ものにつきましては、昨年暮れの十二月中ごろから値下がりに転じておりますし、薄ものにつきましても一月の下旬ごろから値下がりいたしております。ただいま御指摘ございました四ミリ合板につきましては、正式の統計数字ではございませんけれども、私ども調査におきましては、確かに昨年の十月ごろで四百六十円であったものがずっと上がってまいりまして、一番高いときは八百円ぐらいまで上がりました。現在におきましては六百五十円程度でございます。  それから床板でございますが、これはいろいろ床板にはございますけれども、国産の広葉樹、ブナやナラ等を使っておりますところの床板について見ますと、自然保護運動が非常に高まりまして、こういったような配慮のもとに施業を変更いたしておりまして、そのために天然木の伐採量が減少しておるということが基本にございまして、なおまた、これらのフローリング、床板をつくりますところの原料が紙等と競合するといったようなこともあるわけでございまして、そういうことで原木価格が上がったということがございます。一方におきまして、一昨年来の建築着手が、非常に需要がふえたということもございます。そういったようなことで上がっておりましたけれども、ことしに入りましてからこれもやや落ちつきを見せ、値下がりに転じておるという状況でございます。  先ほどお話のございました具体事例の、去年の七、八月時点で千九百五十円だったものが一月では三千四百五十円になっておるということでございますが、これはどういう床板であるのか私わかりませんけれども、ブナのフローリング・ボードで例をとって申し上げますと、現在三・三平方メートル、坪当たり七千八百円程度まで下がってきております。これは最高のときは八千五百円まで上がったわけでございますけれども、これが若干値が下がってきておるという状況でございます。
  149. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、長官、やはり国民に直接当たるところは、最末端の小売り、卸のあの辺ですからね。その辺まで、あなた、行政指導なりきちっとやってもらわにゃ一つもありがたみはないのです。途中でどこか、おかしなふうになってしまう。そういう点からいうと、はたして行政指導というのがいいのか、標準価格でばっちり小売り値段まできめたほうがいいのか、その辺よく検討してみてくださいよ。  それから、まあ物によっては、やはり標準価格も幾つかはしなきゃならない。しかし、全部というわけにもいくまいでしょうから。しかし、それは、きょうは結論を出すような議論はしませんが、いまの資材のことは、通産省も農林省のほうも、それだけちょびっと下げたからそれでいい——これじゃいけないと思うんです。それじゃあなたのところのこの連関指数なんかは何にもならない。これを見ると、ほとんど、一割というものはありませんよ、これは。アルミ圧延が四・九%、これは四十八年末から四十九年平均への上昇率。石油は別といたしまして、これなんか、製材、合板、たった三%でよろしいと書いてある。アルミ圧延は四・九%でよろしい。たとえばこれはプラスアルファがほかの条件がついても、いまみたいに五割も、六割も、七割も、物によっては倍も上げて、それから五、六%か一、二割下げた。もう下げたじゃないか、と。あなたは、また石油が上がるんだからこれ以上はいかぬと、こういうふうなところでしょう。ですから、強力に行政指導をやって、これは下げさしてください。便乗値上げは明らかですよ、こういう連関指数から見ますと。  それから、一つ抜けておったのは、ボンドが倍以上になっておりますな、接着剤の。あれは答弁なかったけれども……。
  150. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) 接着剤は種類が非常に多うございますが、建築関係で特に多く使っておりますのは酢酸ビニール系の接着剤かと思いますけれども、このほうは、私ども、問屋の、一次問屋の店頭販売価格を調べてみますと、八月以前において、これは、二十キログラムで二千六百円であったものがことしの一月には四千円ということになっております。倍近くになっております。これはやはり昨年の年末から上がり方が非常に大きいわけでございますけれども、実は、この原料といたしましてエチレンと酢酸があるわけでございますけれども、エチレン、酢酸、いずれも用途が非常に多うございまして、結局、あの時点で少ないエチレン、酢酸の取り合いが各業界で行なわれておって、この酢酸ビニール系の接着剤の関係の業界というのは、どちらかといいますと、業種としては小さいために、そこによけいしわが寄ったというふうに考えております。  こういう事態にかんがみまして、私どものほうは、こういう小さい業種にエチレン並びに酢酸の配分が特にしわが寄らないように、それからこれらの業種につきまして、やはりもっと増産をする必要があると考えまして、これらの業種に対して電力の特別配給等の措置も講じて、この価格は上がらないように措置していきたいと思っております。  これは、末端におきまして、問屋段階、一次問屋の段階で四千円のものが末端において五千円ということで売っておりますので、流通段階におきます問題もあるかと思いますが、メーカー並びに流通業者に対しまして、このエチレンの供給確保、電力の特配等をやる機会に、いままでの価格の引き下げについても指導するつもりでおります。
  151. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 指導をして答えを出してもらわないとだめですよ。  それから、これは建設資材じゃありませんが、時間がありませんから、新学期を控えまして学用品も上がっておる。この問題も取り上げられたわけですが、このコンサイス等の辞典がかなり学生の間にも問題になっている、値上がりで。受験シーズンを前にしてことしの二月から八十四種の辞書、これが一斉に平均三〇%値上げをして、いま定価に新定価のシールを張りかえたりして、古い定価のものを——何も古い定価のものはそんなに材料が上がったわけじゃないでしょう。それを三〇%値上げで一斉に売っている、そういうことで学生の間にも問題が出ておるようですが、この点はいかがですか。これも行政指導で適正のところまで下げてもらわなきゃいかぬ。具体的にそれじゃ言いましょう。コンサイス英和、これは二千円から二千五百円、コンサイスの英英、千六百円から二千三百円、広報林が三千円から三千五百円、同皮製品が六千円から八千円、こういったところですな。
  152. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 辞書類の値上がりにつきましては御指摘のとおりでございまして、価格上昇の背景となっております洋紙需要が悪化いたしておりますことと、制本コストの上昇ということが直接の原因となっておって、いま御指摘になりましたような価格の上昇という結果を来たしておるのでございますが、これにつきましても再三繰り返して申し上げますが、はなはだ繰り返しで申しわけございませんが、やはり自粛方を関連業界に行政指導で強力に今後やっていきたいという気持ちでおります。
  153. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ最後に、いま総需要の抑制ということで政府も総力をあげてやっているわけですが、それほど答えもあまり出ておらないようにも思われるし、物価の面も期待するほど下がってない。だから、その点は総需要の抑制ということはわかりますが、やはり私は冒頭に申し上げましたように、中小企業等もかなり倒産がふえておる。その中でもある業種建設業界等が相当なしわ寄せを受けて約三五%から四〇%近く倒産件数の比率がある。しかも、資材の高騰でどうにもこうにもならないで倒産が中小あたりからむしろ中堅クラスの業界まで及んでいるというふうな状況でありますので、これをこのまま放置をしていくのか、この辺でやはり、ある程度ものによっては金融等の措置もやってもらいたいという声があるわけですね。それで三月の年度末を控えまして中小企業庁なんかはどう考えておるのか。年度末金融等もこれはもう繰り上げて早くやるべきじゃないか、こういうことも考えるんですが、中小企業庁、いかがですか。
  154. 小山実

    政府委員(小山実君) 倒産件数がかなりふえていることは先生指摘のとおりでございまして、特にその中でも建設関係の倒産の比率が非常に高まっているということは御指摘のとおりでございます。ただ、全般的に中小企業金融を緩和するということにつきましては、まあ総需要抑制策との関係もございましてなかなかむずかしい点はございますが、中小企業庁といたしましては特に引き締めの影響のきびしい業種につきまして重点的に、こまかく、政府関係金融機関等を通じて配慮をしてまいりたい、こういうふうに考えております。  なお、先生、具体的の年度末について特に対策を考えているかという点でございますが、これは事務的にはいろいろ現在話をしている最中でございますけれども、ただ、引き締めの影響等についての現状認識等についてなかなか判断のむずかしい点がございますのでいましばらく時間がかかるのではないか、こういうふうに考えております。
  155. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 その点何といってもこれは中小企業がしりぬぐいばかりやっておれない。政府の政策が明らかに経済政策、金融政策等が、これは田中内閣間違っているんですよ。間違っているというか、後手後手でこういうふうになったんですからね、その犠牲を中小企業にと——そうはいかないんですね。ですから放漫経営とかそういうのは別といたしまして、まじめな業者等はこれはちょっとほうっておくわけにいかない。まあ倒れるものは倒れろ、やむを得ないじゃないかと、こういう政治はやっぱりまずいと思うんですね。その辺ひとつ考慮をしてやってもらいたいんです。  それじゃ私の質問はこれで終わりますが いろいろと私は物価等の引き下げについて申し上げましたが、どうかひとつそれを答えが出るようにやってもらいたい。その点最後にお二人に、長官と次官に私の総括的な質問の答弁としてお伺いしてこれで終わります。
  156. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 私も全く中尾さんと思いは同じでございまして、最近も、一部の物資について、その価格がゆるんできたからといってこれでよしと、こういうことですぼめるつもりはございません。できる限り価格がさらに引き下げられるような環境をつくってまいりまして、そうして国民生活が守られるようにいたすべきだということを常に念頭に置きまして、御激励にこたえてまいりたいと考えます。
  157. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 昨年十月に政府三機関ですね、金融機関に三千四百二十億円の大幅貸し付けを行なった、追加を行なったのでありますが、なおこれだけでは——先ほど御指摘のとおり中小企業の倒産ということを考えまして、これだけではもちろん十分と言えませんので、目下大蔵省と折衝いたしまして、中小企業の何とか立ち行くように努力をしていかなければいけないということで、中小企業庁等に対しましても強力に大蔵省に折衝するようにということを私命じてございます。  以上申し述べまして先生の御期待に沿える点が早く出ることを一日も念願いたしておりまして答弁といたします。
  158. 加藤進

    ○加藤進君 科学技術庁が日本分析化学研究所に委託しました原潜による放射能汚染調査について質問させていただきます。  科学技術庁長官は、去る二月五日に衆議院の予算委員会におきまして、日本分析化学研究所への立ち入り調査によって次の事実が明らかになったと、こういう正式の報告を出されています。  その報告には、「原子力軍艦寄港地で採取された試料の機器分析に関しては、実際の試料を測定しないで、既存の波形図をコピーしていたものが約三六%もある事実が明らかになりました。さらに、化学分析につきましても、測定を行なわないで最終報告値をつくり上げたものが、少なくとも四割はあることが明らかになりました。」、こういう重大な報告であります。  そこでお尋ねしたいのは、この機器分析において、三六%のいわゆるでっち上げ報告があった。また、化学分析については、少なくとも四割はでっち上げであったと、こういう事実をどのような形で調査され、どのようにこれをまとめられたのか。この点をまずお尋ねしたいと思います。
  159. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 技術的なことでございますから、政府委員をして答弁せしめます。
  160. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) お答えいたします。  予算委員会における大臣報告にございますように、一月二十九日及び三十日に立ち入り検査を行ないました。各種の作業につきまして、それぞれ作業の原票、測定値その他を当たりまして、最終報告書との食い違いを検査いたしました。  機器分析につきましては、提出されました波形図を綿密に専門家の協力のもとに検査をいたしまして、波形図のうち約三六%がコピーである。実際に測定をしないで既存の波形図をコピーしたものであるということを確認いたしました。  化学分析につきましては、計算の違いを追及いたしましたが、最初に不正を発見することはなかなか困難でございまして、数日をかけまして計算の食い違いを追及をいたしまして、さらにこれは物的な証拠が取りにくい性質のものでございますので、さらに責任者に事情を十分聴取いたしました結果、最終的に責任者が、実際に測定を行なわないで報告値をつくり上げたものがあるということを供述したと、こういういきさつになっております。
  161. 加藤進

    ○加藤進君 それでも私たちにとりましては、一体どのような手口でこれらのでっち上げが行なわれたのか。どのような偽造が行なわれたのかということはかいもくわかりません。その点について、御説明を願いたいと思います。
  162. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 機器分析について御説明申し上げますと、これはゲルマニウム半導体波高分析器と称しまする装置を使いまして、この中に試料を入れるわけでございます。この試料は海の水、あるいは海の底のどろを採取いたしましたものを前処理いたしまして、その中に含まれた沈でん物を器械に入れて、その放射能の含んでおります、あるいは放出いたしますガンマ線を測定いたします。そのガンマ線をエネルギーの順位によりまして、多数のエネルギーの順位に分けまして測定をいたします。これを波高分析と呼んでおりますが、その結果を簡単に見るためにこれを波形図にいたしまして見るわけでございます。通常この波形図を見ますときは、どの核種が多量に存在するかということの検査に重点を置きますので、ある波形図と別の波形図が同じであるかどうかという発想はなかなか取りにくいわけでございます。そういうことを奇貨といたしましてか、一つの波形図を実際に測定をいたしまして、これをテープにとりまして、今度は測定をしないで、そのテープの情報を波形図に戻すという作業、これをさらに多少手を加えまして、多少似ておりますが、完全に同じではないような波形図を多数作成したと、こういうことが調査の結果判明いたしました。  それから化学分析につきましては、これは先ほど申し上げました水、泥などからこれは放射能の核種ごとに沈でんをとりまして、この前処理のあとで、ベータ線の測定を放射能測定器にかけて測定するわけでございます。ローバックグラウンドカウンタと称しておりますここに入れて測定をするわけでございますが、実際どういう不正事実があったかと申しますと、ある部分は測定をし、測定に引き続きまして各種の計算を行ないまして、最終の報告書を出しております。ある部分につきましては最初から見計らった報告値を先に書いて、そうして報告書を提出した、そのあとで試算をいたしまして、測定原票を恣意的に作成したと、そういうことでございます。逆算をいたしましたために、計算のつじつまが合わない点が出てきたということにそういうことがございます。これが不正事実を発覚いたします端緒になったと考えております。
  163. 加藤進

    ○加藤進君 その程度のことなら、もうすでに私たちの指摘したところであります。私たちの期待したいのは、せっかく立ち入り調査もやられたわけでございますから、もっと実際に即したでっち上げの状況をぜひ報告してもらわなくてはならぬと考えております。これは国会も当然要求すべき権利があると思います。  私は委員長にもお願いしたいのでございますけれども、この立ち入り検査の調査報告について、ひとつこの委員会に報告させるように取り計らいをお願いしたいと考えます。よろしゅうございますか。
  164. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) いかがですか、科学技術庁長官
  165. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 調査が済みましたものについては、どういう内容がよろしいのか、また御相談を申し上げておこたえするようにいたしたいと思います。調査中のものについては追ってということにさせていただきたいと思います。
  166. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) よろしいですか、いまので。
  167. 加藤進

    ○加藤進君 その点は今時点において調査されているということでけっこうでございますがなお……
  168. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 加藤委員科学技術庁のほうで話し合ってやるということですね、いまのは。
  169. 加藤進

    ○加藤進君 私と話し合う必要はないと思います。
  170. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) いまのお答えはそういうことなんです。
  171. 加藤進

    ○加藤進君 私と話し合うという理由は特別にないと思います。調査された結果でございますから、これは科学技術庁がその調査の内容を説明し、報告していただくということが私当然の仕事だと思います。  特にその点につきましてもう一つ内容的に加えますと、この原票や報告書は、調べた結果真実ではなかった、これは真実であるというような振り分けが私はなされたと思います。その振り分けの一つ一つがきわめて重要だと思いますから、その点も含めて報告書を出していただきたいということを重ねてお願いいたします。
  172. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 科学技術庁長官、いかがでしょうか。
  173. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) ただいまの加藤先生の御質問、御要望でございますが、これはものによりましてそのとおりの御報告ができる部分もあるかと思いますが、特に化学分析につきましては物的証拠がございませんものですから、非常に正確に、この値は正確な測定に基づくものであり、この値は測定なしに最終報告値をつくったものであるということの仕分けが非常に困難でございます。したがいまして、ある程度の目安はお答えできるかと思いますが、数千件ありますのを一項目一項目、これは正確、これは不正確というふうな仕分けはなかなか困難かと思いますので、その点御了解いただきたいと思います。
  174. 加藤進

    ○加藤進君 それはたいへんおかしいじゃないですか。長官はもうすでに機器分析については三六%、三〇%などという数字じゃない、三六%です。それから化学分析につきましては、とにかく最終報告をでっち上げたというものが少なくとも四割あると、こういうんですよ。私は四割以上の資料を出せとは言いません。誤ったもの、でっち上げたものが四割あるというんですから、四割以上あるということを現実に示していただくような資料を出していただきたい、こういうことをお願いいたします。
  175. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  176. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) では速記を起こしてください。
  177. 加藤進

    ○加藤進君 では、続いてお尋ねします。  いま申し上げたような調査の結果をぜひ公表し、報告してほしいというのは非常に重大な問題がここに介在しておるからです。たとえば亜鉛についてであります。この亜鉛が、原潜から採取し、原潜の汚染と思われる港の海底土や海水から採取されて亜鉛の存在があるかどうかということはきわめて重大な問題であって、これがコバルトと一緒になってはたして原潜の放射能であるか、あるいは天然のものであるかをきめるめどだということはもう初歩的な知識を持つ方は全部御存じだと私は思います。そこで科学技術庁は、日本分析化学研究所からの報告としまして、亜鉛は分析はしたけれども、すべて検出限界以下だったと、こういって検出されなかったという結果を発表しておられますが、これは間違いないですか。
  178. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) そのとおりでございます。
  179. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、去る二月十七日の日本科学者会議のシンポジウムに日本分析化学研究所の現場の技術者が七名参加いたしました。この七名の諸君は記者会見で記者の質問に答えてこう言っています。昭和四十七年度については亜鉛は一件も分析していないというのです。これ御存じでしょうか。
  180. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 私ども関係者にいろいろ問いただしました結果、その事実を確認いたしております。
  181. 加藤進

    ○加藤進君 よろしい。調査をされてその結果を確認しておられるというなら、調査された結果についても御報告願いたいと思います。よろしゅうございますね。結果についても報告してください。
  182. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 御報告いたします。
  183. 加藤進

    ○加藤進君 ではお願いします。これはきわめて重大な問題でありまして、研究所で直接分析業務に当たっていた担当者は、亜鉛分析一つもやっていないというのです。ところが研究所からの報告によると、亜鉛分析はやったけれども、数値が小さかったためにこれは問題にする必要がないという結論を出しているのです。どちらが正しいかをわれわれは判定しなくてはならぬ。私はその意味で先ほどの調査結果をぜひとも本委員会に報告していただきたいと、こういうふうに考えます。  で、立ち入り調査でさえ化学分析の四割はでっち上げだったということを長官も認めておるわけです。では亜鉛分析の結果について、これをほんとうにやったかどうか、これ区別されますか、はっきりわかりますか、この点について。はたして亜鉛分析についてはほんとうにその結果は正しくて、その亜鉛分析なるものは事実やられたかどうか、このことについて確認できるでしょうか。
  184. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 化学分析につきましては、試料が残っております場合は追加的な測定によりまして実際に測定しておりませんでしたものをさらに再確認することができるわけでございますが、残念ながら試料が残っておりませんために正しい数値を現在の段階で知ることは不可能でございます。そこで、化学分析を亜鉛について行なっていなかったということが関係者の供述ではっきりいたしておりますので、報告された数字は残念ながら無意味な数字であったということでございます。したがいまして亜鉛が検出されたかされなかったかということはきめ手がない、はなはだ残念でございますが、きめ手がないということになった次第でございます。
  185. 加藤進

    ○加藤進君 それではますます重要ですね。それならひとつ科学技術庁で亜鉛分析をやった、調査をした結果についてこれはやはり公表していただく必要があると思います。よろしくお願いします。
  186. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) ただいまの先生の御発言は、立ち入り調査のときにどのような調査をしたかという結果を御報告するということに理解してよろしゅうございましょうか。
  187. 加藤進

    ○加藤進君 その手続も問題ですけれども、同時に、亜鉛の分析はこのようにやってその結果はこうでございます、この点だけは科学技術庁として確信を持って御報告できます、こういう報告をいただきたいのです。できますか。
  188. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 残念ながら亜鉛の分析をやっていないという事実が判明いたしましたので、やっていなかったという御報告を申し上げるしかない、たいへん残念でございますが、やっていなかったということの御報告になるわけでございます。
  189. 加藤進

    ○加藤進君 それではちょっと立ち戻ってお尋ねしますけれども、専門家をたくさん伴ってやられた一月三十日の立ち入り検査でございますが、このときには亜鉛の問題をどういうふうに調べられたのでしょうか。その結果も私はもう当然科学技術庁は知っておられると思いますけれども、その結果は御報告できますか。
  190. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 三十日の立ち入りにおきましては化学分析の途中の計算過程に整合性があるかどうかということについて検討をいたしたわけでございます。その結果、必ずしも整合性が保たれないということを見出しまして、さらに追及をいたしました結果、最終的には、関係者の供述によりまして、化学分析について測定をしないで最終報告書をつくり上げたものがあるということが判明いたしました。  さらに、亜鉛については測定をしていないということも残念ながらその供述によって知ったわけでございます。事実がこのようなことでございましたので、亜鉛の測定をどのようにやっておったかという御質問に対しては、残念ながらやっておりませんでしたという御報告しか申し上げられない次第でございます。
  191. 加藤進

    ○加藤進君 ともかく科学技術庁の正式の御見解として、亜鉛の測定分析は日本分析化学研究所においてはやっておらなかったと、こういう事実が確認できますね。——よろしゅうございますか。
  192. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 四十七年度についてそのように確認をいたしております。
  193. 加藤進

    ○加藤進君 それじゃ聞きますけれども、四十六年度以前についてはいかがでしょうか。
  194. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 四十六年度以前についてもその可能性がないとは言えないと思います。
  195. 加藤進

    ○加藤進君 いまこれを調べ直すという手立てがあるでしょうか。
  196. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 亜鉛は半減期がそれほど長くございませんことと、当時の試料がすでに処分されておりますことと、そういう点からいたしまして、調べ直すということは残念ながら不可能と言わざるを得ないかと思います。
  197. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、原潜による放射能が、たとえば横須賀、佐世保、沖縄で発生しているかどうか、これを調べるために日本分析化学研究所にばく大な検体を委託されたわけでしょう。ところが、そのような委託された検体についての分析は何一つ行なわれておらない疑いも強い。四十七年度についてはその公算が大きいということになると、何のために一体日本分析化学研究所に仕事をやらしたんでしょうか。何のためにいままで科学技術庁はこのような日本分析化学研究所に対して膨大な資金も投入し、また機器も貸し与えて、そうしてやらしたやらしたと言っておりながら、今日、どういうことですか、皆目わからぬというんでしょう。そんなことで責任が果たせますか。長官どうですか。
  198. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) はなはだ遺憾な結果でございます。
  199. 加藤進

    ○加藤進君 遺憾ということと同時に、今後、科学技術庁自体がどうあるべきかということを真剣に考えてほしいということを私は申し上げておきます。
  200. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 全く同感でございます。
  201. 加藤進

    ○加藤進君 続いてコバルト60についてお尋ねいたします。  これも原潜による放射能の汚染が存在したかどうかをきめる最も重要な手がかりの一つです、御承知のとおり。この点について、日本科学者会議は、去る二月十九日、科学技術庁長官に対して公開質問状を出しておられるはずであります。この質問状の中にこういう文章があります。科学技術庁の委託で日本分析化学研究所が行なった一九七二年の沖縄バックグラウンド調査の結果の中に、アメリカ原潜によるとみられるコバルト60、亜鉛65の検出例が多数認められると、こういう科学者の証言であります。こういう重大な事実が指摘されておるわけでありますけれども科学技術庁、とりわけ放射能課の担当者は、これについてどういう判断をされておるのでありましょうか。
  202. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) ただいまの御指摘の点につきましては、沖縄が本土に復帰いたしました昭和四十七年五月十五日の直後に、沖縄の那覇港とホワイトビーチとその周辺につきまして、バックグラウンド調査をいたしまして、その結果、コバルト60を含んだ試料が相当数分析の結果判明いたしまして、これは昭和四十七年十一月末に開かれました放射能調査研究成果発表会において発表をいたしております。科学技術庁といたしましては、このコバルト60が採取試料の一部に含まれておるということにつきまして十分検討をいたしまして、さらに、今後のバックグラウンドの変化について十分検討をするという体制をとりまして、その後も追試をいたしておりますが、ただいまで判明しました事実といたしましては、コバルト60の量は次第に減ってきておると認められます。
  203. 加藤進

    ○加藤進君 そのコバルト60は、一体、どうして発生してきたのか。それは死の灰の影響というふうに判断されますか、原潜によるものであるというふうな判断をされるのでしょうか。
  204. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 一部は放射性降下物によるもの、あるいは一部は鉄の中に含まれるものという可能性はございますが、先ほど申し上げました研究会で発表された数値から考えますと、そのある程度の部分は原子力潜水艦からのものであるという推定がなされるかと思います。
  205. 加藤進

    ○加藤進君 この質問状が新聞に発表されたその同じ日に、科学技術庁の吉村放射能課長の話というのが新聞に載っています。これによりますと、放射能課長は、「指摘されるデータには心当たりがない。質問書を受けたうえでこちらのデータと照合しないと何ともいえない。核実験による放射性降下物としても、そのくらいのコバルト60は出るのではないかと思うのだが……」と。これは科学技術庁の最も責任ある担当課長の発言なんですね。これは誤りでしょうか、どうですか。もしこのような発言があったとすると、これは間違いであると、こういうふうに科学技術庁自体は御判断をされるかどうか。
  206. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 吉村課長は就任早々でございまして、もちろんこれは言いわけにはなりませんが、十分こまかいデータまで即座に御返事できるだけの立場になかったことは、これはたいへん申しわけないと思っております。したがいまして、質問書をいただきまして、既存のデータの突き合わせをして十分検討いたしたいと、こういう趣旨で答えたものと私は理解しております。
  207. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、重ねて聞きますが、死の灰の影響であるというような判断は、現在の科学技術庁はおとりにならないわけですね。
  208. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 先ほどの沖縄の、特に那覇港の数値につきましては、放射性降下物のみによるとは考えられないと、こう考えております。
  209. 加藤進

    ○加藤進君 それで一つの結論的な発言は明らかになりました。  ともかく沖縄の那覇港等々では、アメリカ原子力潜水艦の汚染による異常な放射能の発生が存在する、まあこういうことが、科学技術庁としても確認せざるを得ない結果になったわけです。  そこでお聞きしますけれども、死の灰の汚染というのは、これは日本の原潜の入港しない港湾においてはもちろんあり得ると思います。この死の灰の汚染によって日本の港湾での海底土や海水にどの程度のコバルト六〇が含まれておるのか。これはすでに調査されておると思いますけれども、その結果はどうでしょうか。
  210. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 海上保安庁におきまして原子力潜水艦の入港しない港につきまして調査をいたしました結果、ある程度のコバルトが含まれておる、コバルトが検出されたという事実がございます。昭和四十六年度及び昭和四十七年度の調査でそのようなことが判明いたしております。  なお、コバルトの汚染につきましては、検出はされておりますが、これが直ちに人体に放射能障害を与えるというレベルのものではないということをあわせて申し上げておきます。
  211. 加藤進

    ○加藤進君 それではもう一つ聞きますけれども、日本分析化学研究所が科学技術庁に出した報告書の中では、このコバルト六〇の問題は専門家の皆さんから見てどのように受けとめられておるのでしょうか。
  212. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 日本分析化学研究所から科学技術庁に出でまいりました報告書におきましては、コバルト六〇は検出限界以下であると、こういう報告が出ております。
  213. 加藤進

    ○加藤進君 じゃその報告科学技術庁はそのまま受けとめておられるのでしょうか。そのとおりだと見ておられるのでしょうか。その報告書自体についてどのような点検がなされたんでしょうか。
  214. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 検出限界以下であるという報告を受けまして、検出限界以下であると理解いたしたのが当初報告書を受けましたときの実態でございます。
  215. 加藤進

    ○加藤進君 それでは私、ここに昭和四十八年六月二十九日付の日本分析化学研究所主任担当官浅利民弥、この人の署名入りの「海底土中の放射性核種分析結果報告」というのがあります。沖縄バックグラウンド調査とカッコして書いてあります。これは皆さんのところへいっているはずです。その中に、いま自然放射能、死の灰の影響による放射能という数値が出されましたけれども、格段に高い数値がここには一目瞭然出ておるわけですよ。たとえばその最高値はどれだけかというと、一七八。一七八です、いいですか。その次を探してみても、一〇四、その次は九九、こういう分析結果が出ても、これでいわば測定値以下だと、こういうふうにあなたたちは判断されるんですか。
  216. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 私の説明が不十分であったことをおわび申し上げます。  ただいま加藤先生指摘の数字は分析研からの報告書に出ておりますが、最初に御説明申し上げましたように、その数値は沖縄が本土に復帰いたしました直後の昭和四十七年五月二十二日に採取した試料についてのものでございます。したがいまして、この試料につきましては、先生指摘のように、高いコバルト六〇が検出されております。先ほど御説明申し上げましたように、この数値につきましては、今後慎重に追試をいたしまして、次第にそれが減るということを確認すると、こういう考え方でございます。
  217. 加藤進

    ○加藤進君 あなたね、その採取の日時、これもう一度言っていただけませんか。
  218. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 昭和四十七年五月二十二日と報告されております。
  219. 加藤進

    ○加藤進君 それとほぼ同じ時期にホワイトビーチ勝連崎周辺でハリセンボンの採取が行なわれました。ここにはコバルト六〇が四四・五プラスマイナス三・七、こういうピコキュリーの数値が出ていますね。さらに、同じ日にホワイトビーチ勝連崎周辺のシャコ貝を採取してこの分析を行なった結果がやはり同じ日本分析化学研究所から出ています。コバルト六〇は六二・四プラスマイナス二・一ピコキュリーであります。こういう報告が出されたのは昨年の六月二十九日です。これを今日まで何でもなかったようにしていわば公表してこなかった。これが科学技術庁の態度なんじゃないですか。
  220. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 先ほど加藤先生の御指摘のございました海底土の一七八という数字、さらにハリセンボン等からの数値につきましては、昭和四十七年十一月二十四日から二十五日にかけまして第十四回放射能調査研究成果発表会が催されました際に報告をいたしまして、この事実はすでに公知の事実でございます。
  221. 加藤進

    ○加藤進君 そうすれば、その後このような調査は引き続いて科学技術庁として日本分析化学研究所に行なわせましたか。この結果はきわめて重大だという認識がなくてはならぬと思うんですが、そういう前提のもとで、さらに引き続く厳格な調査というものが科学技術庁として進められたかどうか。
  222. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) この数値について専門家に試算をさせましたところが、いずれもこの海産生物を、たとえば一日百グラム程度食べまして五十年間食べ続けるという前提のもとに受けます放射線の被曝量が、国際放射線防護委員会の定めております基準の大体一万分の一であるということが確認されております。したがいまして、そういう意味では、国民の健康に直接影響を及ぼすものではないと理解はいたしますが、しかしこれが今後どういう傾向をとるかということは非常に重大でございますので、科学技術庁といたしましては、定期的に、その後も追試と申しますか、追加して、その試料の中に含まれるコバルトの量を測定をいたしております。その傾向は、次第にコバルト六〇の含まれる量が減っていくということにただいままでのところ推定されます。
  223. 加藤進

    ○加藤進君 それでは、第一に確認できるのは、とにかくこの高いコバルトあるいは亜鉛の放射能値については、単に死の灰による汚染というのにとどまらないで、原潜によるとの疑いが科学技術庁としても正式に持たれる、こういうことが第一点だと思いますし、第二点は、そういう疑いがあればこそ、その後も引き続いてこの面における調査あるいは分析を続けておるというお話でございますから、第二点につきましては、私はこの点についての正式の公表をしていただきたい、その結果の公表をぜひ早期にやっていただきたいということを注文しておきます。
  224. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 先ほど御説明申し上げましたように、その結果は、すでに昭和四十七年に公表されております。なお、原潜の汚染がもしあったといたしましても、これは沖縄の復帰前の問題であるわけでございます。
  225. 加藤進

    ○加藤進君 私は、そういう弁解を聞いておるのじゃありません。原潜の影響として認められたかどうか、こういう点をまず第一に聞きましたし、皆さんのほうでは、分析した結果をある時期に発表したと言われています。そのとおりだと思います。しかし、同時に、その後もまた、これを十分に慎重に調査、分析をする必要があるということを私は申し上げておりますけれども、この点について、科学技術庁は今後も努力し、その間の結果については絶えず公表すると、こういうことをお約束できますか。
  226. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 今後の追試の結果につきましては、適当な機会に、適当な方法によって発表をするということにいたしたいと思います。
  227. 加藤進

    ○加藤進君 長官、よろしゅうございますか、その点。
  228. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 政府委員のお答えしたとおりであります。
  229. 加藤進

    ○加藤進君 それでは続いて、重要な昭和四十六年度以前の資料が煙滅されたということが、去る二月二十二日の科学技術特別委員会で政府の答弁で明らかになりました。こととき、伊原原子力次長は、昭和四十六年度以前の原票等はすべて廃棄処分になっている、このため詳細につかめない、こういう実情でございますと、こうお答えになっています。さらに、研究所の管理者の説明によると、こういうことで、各年度の業務が終了いたしまして、終了認定が終わりまして、その関係の一切の業務が終了いたしますとそこで廃棄したと言っているのでございます、それを確認したのは立ち入り調査のあとでございますと、こういうのが正式の答弁であります。第一に、きわめて確認がおそいということ、もう証拠は煙滅された。もう取り返しはつきません。昭和四十六年度以前における原潜寄港時による汚染の状況がどのようなものであったかということは、もはや全世界にわたって、何らの、いわば証拠物件も存在しないという事態をつくったわけでございますけれども、その点についての責任という点ではいかがでございましょうか、長官
  230. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 科学技術特別委員会の御説明を補足さしていただきます。  先生の御指摘資料の廃棄が行なわれましたのは、四十八年の六月ごろのようでございます。管理者の供述によりまして確認をいたしております。この分析資料の保存、これは分析者にとってはきわめて重要な資料であると思われます。通例、これは長期に保存するもののようでございます。専門家にいろいろ聞きましたところが、長期に保存するのが通例だと聞いております。科学技術庁と、日本分析化学研究所との間の契約におきまして、長期保存の義務づけが明確でございませんでしたので、今後この種の契約をいたします場合には、契約関係がすべて終了したあとも、一定期間は分析データを保存するように義務づけることにいたしたいと考えます。
  231. 加藤進

    ○加藤進君 たいへん素朴なお答えをいただいたわけでございますけれども科学技術庁が担当しておる原潜の入港時における放射能汚染の問題について、これはそう、一回の調査結果があるとか、調査分析があるとかなどというようなことで終わるわけにはいかぬですね、これは。長期にわたって、どういう事態がいま起こっておるのか、この事態の影響がどうであるのかということを、十分に責任を持って見ていくというのが、科学技術庁の責任じゃないですか、仕事じゃないですか。たとえ業務は分析にしろ、あるいはその他にしろ、日本分析化学研究所にほとんど委託している。委託している研究所が、貴重な、委託を受けた調査結果について、かってに処分して、しかも、これはいままででも何にも確かな取りきめも内規もないということになりますと、科学技術庁は、今日まで日本分析化学研究所に対して、このような資料はきわめて重要な資料であるから、保管に対して十分長期に保持できるようにこれを行なえというような指示、あるいは指導などということは、やられなかったのでしょうか、どうですか、やられたんですか。
  232. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 科学技術庁が委託契約によって入手いたします情報は、正式の報告書として科学技術庁に保存されております。その測定のもととなる核種分析データにつきましては、これは先生指摘のように、これも長期保存を義務づけるべきであるという考え方、これは今後そのようにいたすわけでございますが、当時、科学技術庁が、その分析データの長期保存を義務づけておりませんでしたのは、一般にこの種の委託につきましては分析データというものは当然保存されるものであるという考え方があったためにそこまで万全の契約をしていなかったと考えられます。この点は深く反省をいたしておりまして今後改めたいと思っております。
  233. 加藤進

    ○加藤進君 反省はけっこうでございます。しかし、これは改めるにしてももう取り返しのつかないものですよ。昭和四十六年以前の原潜に関する資料、放射能資料はもう地球上から消えたと言っていいです。しかも、この内容はきわめて重要な内容だということは科学技術庁も認識しておられる、十分長期にわたって保存すべきだということも認識しておられる。ところが、これは日本分析化学研究所に対しては何ら通じておらぬじゃないですか。一体、どういう監督をしておられたんですか、どういう監視をしておられたんですか、これが第一点です。  それから、第二に、終了認定がやられておりますね。これは委託した測定なり分析なりがすでに完了したという、私は承認を与えたものだと思うんだが、そのための監査もやられた終了認定書が出された、こういうことになった場合に日本分析化学研究所は終了認定が出されたんだから、もうこのような書類は廃棄しても——廃棄してもかまわないというふうに感ずるということはあり得ることじゃないかと思う。監督がないから、注意がないから、指示も何もないから。ということになれば、どうですか、結論的には。このような証拠煙滅と申しますか、廃棄処分に付した大きな責任は言うまでもなく日本分析化学研究所管理者自体にありますけれども、同時にこのような事態を引き起こした責任は科学技術庁自体が、特に負わなくてはならぬ責任じゃないでしょうか。その点長官いかがでしょう。
  234. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 私も先生同様はなはだその点不可解に思っておる次第でございます。
  235. 加藤進

    ○加藤進君 不可解ということは、これはもう世間の常識ですから何も言ってもらわなくてもわかるんですけれども、不可解であるような事態を日本の政府の科学技術庁が科学の責任を負うべき庁が何らこれに対してチェックもしておらなかった、マークもしておらなかった、指導助言、何もしておらなかった。すべてを放任しておいた。そして、汚職を起こしたなどというような事態を私は絶対に許してはならぬ。こういう意味において、私は科学技術庁の担当者の皆さんの深い反省と猛省を私はお願いしたいと思います。  そこで、もう時間も参りましたので、私は特に委員長のお許しを得て、次のような資料提出科学技術庁にお願いしたいと思いますが、お許し願えますでしょうか。  その第一は、原潜の定期調査、これは昭和四十六年度の核種分析結果報告というのがまとめられておるはずであります。科学技術庁からまず第一にこれを本委員会に提出していただきたい。  第二、昭和四十六年度分析化学研究所への支出の明細を明らかにして出していただきたい。この中には分析化学研究所に無償——あるいは有償か一部あるかもしれませんけれども、ほとんどは無償だという話を私は聞いておりますけれども、貸与された測定器、分析機器類の購入代金等を含めて、その支出明細を出していただきたい。  第三番目、科学技術庁、これは及びでございますけれども環境庁がこの日本分析化学研究所に委託されたときの委託単価は、一検体についてどれだけであるか、幾らであるか、こういうことを科学技術庁にお願いしますけれども環境庁についても御調査の上、これ御報告していただきたい。  それから四十六年度の、科学技術庁が日本分析化学研究所に委託された件数はどれだけであるか。その件数を問題別、内容別に明らかにして報告していただきたい。  最後に、三十日の立ち入り調査で明らかになったデータの捏造の手口や内容について、これは先ほども要求しましたけれども、重ねてこの内容についても御報告を本委員会に出していただきたい。  以上の資料要求でございますがよろしくお願いいたします。
  236. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) いま加藤委員から要求されました資料、先ほどの問題と一緒に理事会のほうから、はかりまして要求したいと思います。よろしゅうございますか。科学技術庁長官何かおっしゃることありませんか。
  237. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) いやありません。
  238. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) よろしいですか。  他に御発言もないようですから、総理府のうち、総理府本府、行政管理庁科学技術庁及び環境庁決算につきましてはこの程度といたします。  次回の委員会は明二十六日午前十時から、文部省関係を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会      —————・—————