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最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 法律の制度がくじ引きでというふうになっておりますのは、やはり国民のごく普通の人を公平に選択したいという気持ちのあらわれだろうと思っております。それでこれまでの間にも検察
審査員を、そういうごく一般のレベルで構成していっていいのかどうか、もう少し資格を高めてはどうかという議論もございましたですけれども、この二十六年の運営
状態から照らしますと、結論といたしましては、まだこのままいまの制度を維持していったほうがいいのではないかというふうに、まず考えてお答え申し上げます。
御
質問のそれではどの
程度の辞退というものがあるのかという点になりますと、ごく最近の統計、統計といいますか
資料は持っておりませんのですが、
昭和四十五年に一度調べたことがございますが、その際、四十五年中に
選任された
審査員、補充員の数が八千九百七十六人ありますが、そのうちで辞退を許可された者というのが八百二十九人ございます。したがいまして、正当な理由があって辞退を申し出てくれば、比較的その幅は広く辞退を認めているという
状況にあるかと思います。いまの点は辞退率は九・二三%でございますので、その
数字としては比較的幅広く認めているのではないかと思います。と申しますのは、確かに欠席する方が、先ほど申し上げましたように二十何%あるわけでございますが、これまで過料の制裁を検察
審査会から地方裁判所のほうに申し出られた例というのは十一件でございます。四十八年までの間で十一件でございます。そのうちで実際に過料になったのは八件でございます。で、先ほど
お話しに出ました鹿児島の例も、伺ってみますと、二十数回呼び出しを受けまして、事務
局長がわざわざ行って、それでこの次は必ず出るという
状態であったにもかかわらず欠席をしたというので、最後に欠席した分だけについて過料の申し出があって、それで過料になっているようでございまして、あれは特別何か事情のあった例外的なことであろうというふうに思っております。
そういうわけでございますので、その過料の制裁につきましても、運用としましてはこれまでもいろいろな事情について、こういう場合は認めたほうがいいというような例示を示しまして事務
局長のほうには連絡してございます。もちろんそれは検察
審査会が会長名義で申し立てるわけでございますから、事務局のほうは補助をするにすぎませんですけれども、その補助の任を尽くすようにこれまでもいろいろな事情について、たとえば重病人があって看護する者がいないとか、あるいは交通途絶した島嶼に居住する場合だとか、あるいは商用のために常時旅行がちであるとか、婦人
審査員で子女の養育に著しく支障を生ずる場合、あるいは仕事の
関係で休むとすぐ仕事を失ってしまう
状況にあるとか、あるいは女医さんとか、保母さんで代替をする人がいないというような、そういう場合を例示にあげておりますが、そういう
意味で広くその点については辞退を認めるような運用をむしろ伝達してあるというふうに御理解いただければ幸いと存じます。