運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-02-06 第72回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月六日(水曜日)    午後一時三分開会     —————————————    委員異動  一月七日     辞任         補欠選任      木島 則夫君     田渕 哲也君  一月十六日     辞任         補欠選任      村田 秀三君     佐々木静子君  一月十九日     辞任         補欠選任      藤原 道子君     和田 静夫君      杉山善太郎君     工藤 良平君      片岡 勝治君     須原 昭二君  一月二十八日     辞任         補欠選任      加藤  進君     渡辺  武君  一月二十九日     辞任         補欠選任      渡辺  武君     加藤  進君  二月六日     辞任         補欠選任      小林 国司君     黒住 忠行君      二木 謙吾君     矢野  登君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中寿美子君     理 事                 温水 三郎君                 松岡 克由君                 小谷  守君                 中尾 辰義君                 加藤  進君     委 員                 河本嘉久蔵君                 黒住 忠行君                 佐藤 一郎君                 中村 登美君                 矢野  登君                 工藤 良平君                 須原 昭二君                 鈴木  力君                 野末 和彦君    政府委員        総理府総務副長        官        小渕 恵三君        宮内庁次長    瓜生 順良君         —————        会計検査院長   白石 正雄君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総長       安村 和雄君        最高裁判所事務        総局経理局長   大内 恒夫君        最高裁判所事務        総局刑事局長   千葉 和郎君    事務局側        事 務 総 長  岸田  實君        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事 務 局 長  池田 英雄君    裁判官訴追委員会事務局側        事 務 局 長  大迫 藤造君    国立国会図書館側        館     長  宮坂 完孝君    説明員        国立公文書館長  岩倉 規夫君        防衛庁人事教育        局教育課長    相川  清君        外務省アメリカ        局外務参事官   角谷  清君        大蔵大臣官房審        議官       岩瀬 義郎君        大蔵省理財局次        長        後藤 達太君        国税庁調査査察        部長       井辻 憲一君        会計検査院事務        総局次長     鎌田 英夫君        会計検査院事務        総局第一局長   高橋 保司君        会計検査院事務        総局第五局長   中村 祐三君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十六年度特別会計歳入歳出決算昭和四十六年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十六  年度政府関係機関決算書(第七十一回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十一回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十一回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る一月七日、木島則夫君が委員辞任され、その補欠として田渕哲也君が、一月十六日、村田秀三君が委員辞任され、その補欠として佐々木静子君が、一月十九日、藤原道子君、杉山善太郎君、及び片岡勝治君が委員辞任され、その補欠として和田静夫君、工藤良平君、及び須原昭二君がそれぞれ委員選任されました。     —————————————
  3. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次に、一月二十八日の加藤君の一時委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認めます。  それでは理事加藤進君を指名いたします。     —————————————
  5. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次に、昭和四十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、皇室費国会最高裁判所、及び会計検査院について審査を行ないます。  この際おはかりいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明を、いずれも口頭報告を省略して本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 工藤良平

    工藤良平君 私は会計検査院の問題について御質問をいたしたいと思います。  何しろ決算は初めてでありますので、いろいろときょうはそれぞれ教えていただきたいと思いますけれども、まず最初に、検査院からいろいろと資料をいただきまして、内容を検討いたしてみました。検査院実地検査施行率につきましていろいろと資料をいただきました。この中で総合的に見ますと、検査の率は七・三%というようなことになっておりますけれども、私はこの中で特に検査院検査実態というものがこの数字から総括的に見ますと、支出に対する検査というものは非常に多いような気がいたします。私は国の予算というものが、支出が公平に正しく使われるということはもちろんそれは前提だと思いますけれども、それと同時にやはり支出に見合う収入というものがあるわけであります。収入がやはり公正に税金として徴収をされるということ、これまた私は支出より以上に重要なものではないだろうかという気がいたすのでありますが、そういう意味合いから会計検査院として、総合的にこの検査実態を見た場合に、今日まで扱ってまいりました収入に対する検査実情と申しますか、そういう点について若干総括的に最初伺いをしておきたいと思うわけです。
  9. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) 会計検査院といたしましては国の収入支出における決算を確認いたすことが任務となっておりまするので、お説のとおり支出のみならず収入につきましても検査をいたしておるわけでございます。収入のうちの大部分を占めるものは御承知のとおり租税収入でございまして、これは何と申しますか、支出の形態に比較いたしますというと単一と申しますか、非常に類型化されておるものでございます。しかもその調査単位全国で五百の税務署主体といたしておりまして、支出の四万個所というような検査対象個所と比較いたしましてわりと少ない状態でございます。そういった意味におきまして、収入に対しまする検査といいますものは支出検査よりも投入精力配分割合におきましては少なくなっておるというのが実情でございます。ただ、五百税務署につきまして四〇%程度は毎年実地検査をいたしておりまして、これは支出に対しまする重要個所検査割合は三割程度に達しておるわけでございまするが、これに比較いたしましても相当多大の精力を投入しておるという状態であるかと存ずる次第でございます。
  10. 工藤良平

    工藤良平君 いまお話を聞きましても、収入に対するやはり検査というものがどちらかといいますと支出に比較をいたしまして非常に少ないという点のお話がありましたですが、実際に検査院として、それでは税務署徴収事務を行なっている、どういう範囲、どういう程度調査を今日までなさってこられたのか。先般説明を聞きますと、大体千二百名の職員のうちで八十名から百名程度の人がこの収入に対する担当をしているということでありますけれども、そういたしますと、大体全体の数からいいますと一割に満たないということでありますので非常にやはり問題があるのではないかと、指摘事項を見ましても、金額の面からいいましても、支出の面の指摘事項に対しまして件数は少ないけれどもやはり収入指摘事項というのは非常に多額なものが出ておるようです。さらに私はこれからもっと詰めていきますけれども、もっともっとやはり税金申告以前の問題を追及してまいりますと相当大きな問題が出てくるのではないか、これまた後ほど触れますけれども。そういった意味から私はいまの検査院体制あるいは問題のとらえ方として将来にわたって支出と見合うものがやはり収入としてあるわけでありますから、それのやはり公平な徴収という面からいきましても、非常に私は重要な問題があろうと思う。特に源泉徴収者等から言わせますと、相当大きな疑問があるわけでありますから、そういう意味合いから、やはりこれに対する積極的な私は考え方というものをまず冒頭に検査院からお伺いをしておきたいと思うんです。
  11. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) もとより検査院といたしましては、収入につきましても適正なる収入徴収せられるように全力を尽くして検査をいたしておる次第でございます。ただいま申し上げましたように、全国五百税務署の大体四割程度を毎年検査いたしておるわけでございまして、二年半程度全国税務署を一巡するというような検査状況になっておるわけでございます。これにつきましては、まず計算証明規程の定むるところによりまして計算書証拠書類提出いたさせまして、これで書面検査を実施いたしております。それから、ただいま申したように実地検査を実施いたしておるわけでございます。実地検査におきましては、税務署にありまするところの書類を検討いたしまして、計算に不正はないか、また法令適用等につきまして誤りはないかというようなことの検査を実施いたしまして、年々十億程度過誤納指摘いたしておるわけでございます。これは、支出不当行為として指摘いたしておりまする四、五億程度に比較いたしましても相当多額を占めておる状態でございます。このような状況でございまして、私どもといたしましても鋭意収入調査につきましては適正を期すべく全力を傾けておるという次第でございます。
  12. 工藤良平

    工藤良平君 もう少しそこをお聞きしたいんですが、先ほど税務署に対する四十七年度実地検査施行状況という資料をいただいたんですが、これは検査対象個所数五百五に対して実地検査施行個所数が二百二十七で四四・九%というような資料をいただきました。しかし、これは税務署という一つの大きな単位をそういうように個所数となさっていらっしゃると思いますけれども、私がこれからお聞きをしたいと思いますのは、たとえば、いまから御質問いたしますが、東京国税局東京国税局管内調査を実施いたしておりますけれども、——話がちょっと横にそれますけれども、この点について国税庁のほうからちょっとお聞きをいたしましょう。  特に法人税徴収不足という問題が非常に問題になっておるわけでありますけれども、この四十八年九月二十六日の資料によりますと、東京国税局管内で大体税務署所管法人数が四十一万六千九百七十七件あると。このうち申告のあったものを対象にいたしまして調査をいたした資料が出ておりますけれども、これによりますと、大体調査をいたしました件数は四万三千八百九十件で、大体申告が出ておりますのが三十五万件でありますので、大体一五%程度ということになっておりますね。この中で、実地調査状況を見ますとかなり高い——かなりというよりもきわめて高い更正決定等を行なっておる事実があります。これは、国税庁のほうからひとつこの資料に基づいて若干説明していただきたいと思うんですけれども、こういう問題から、それでは一応検査院見解を後ほどお伺いしたいと思います。よく聞いておいていただきたいと思います。国税庁のほうからぜひひとつこの点をお伺いしたいと思います。
  13. 井辻憲一

    説明員井辻憲一君) お答えいたします。  現在百二十万件全国法人がございまして、実地調査割合は大体一〇%以下でございますけれども、特に大口等法人がたくさん所在する税務署におきましてはできる限り実地調査の率を上げるようにいたしております。そこで、たとえば東京国税局管内におきましては、できるだけ他局から人員を回すなりあるいは局内でやりくりをいたしまして、法人税実地調査の徹底を期しておるところでございますが、大体におきまして四十七年度について見ますと、実地調査をいたしましたもののうち、——これは全国ベースでございますが、約一二%、これが更正決定を受けておるわけでございます。東京国税局で申しますと、一九・四%というふうに、都会地局法人が大きいのがたくさんございますようなところを重点にやっているのでこういう結果になっているわけでございます。
  14. 工藤良平

    工藤良平君 私は、この資料に基づいて、これはお宅の資料だと思いますから言ってみますけれども、実地調査により更正決定等を行なった法人は、三万五千七百七件、八一・三%。そのうち仮装または隠蔽による不正計算を行なっていた法人は一万一千九百五十三件で調査件数の二七・二%にものぼっている。そしてその更正決定を行ないましたいわゆるその更正決定等を行なったことにより増加した所得金額は一千百四億円、このうち不正計算に基づくものは三百六十七億円に達している。追徴税額では三百五十六億余円となっていると、こういうような報告が出ておるようでありますけれども、これは先ほど申し上げましたように、約三十五万件の中で抽出をした、いまいろいろな条件があったようでありますけれども、その中から四万三千八百九十件、いわゆる十数%の調査を行なった。その結果が、このような更正決定をしなければならなかったのが八一%、いわゆる不正計算を行なっていた法人が二七・二%。これは調査したものの中でそういうものがあったということですから、これを全体に引き伸ばしますとたいへんな額になるということを私は指摘せざるを得ないわけですね。この点について国税庁はどのようにお考えでございますか。
  15. 井辻憲一

    説明員井辻憲一君) まことに失礼いたしました。先ほど申し上げました数字は、処理件数に対する割合でございまして、実地調査いたしましたもののうちの更正決定割合は、東京国税局におきましては、私のほうでいま持っております資料でございますと、四十七年度で七六%、そして不正発見割合が二六%ということになっておりまして、全国的に見ますと、実地調査は大体におきまして悪質な脱漏があるものと思われるもの、資料その他を見まして、申告状況、過去の税歴等を見まして。そういうものを重点的にしぼっておりますので、必ずしも実地調査の結果の割合が全法人に対する割合とは考えておりませんけれども、しかしながら、おっしゃいますように、現時点におきましては、遺憾ながら現在のところ、調査いたしましたもののうち四分の一以上が東京国税局管内におきまして不正発見をいたしておるのは事実でございます。全国的には先ほど申し上げましたようにもう少し数字が下がっております。
  16. 工藤良平

    工藤良平君 いずれにしても、やはり相当な部分に不正があったわけですね、この調査からいたしますとですよ。そうすると、これもう少し詰めてみたいと思います。この前、衆議院の予算委員会で、矢野書記長日商岩井の問題を取り上げたようでありますけれども、そうすると、私がいま提示しておりますこの資料の三万五千七百七件の中に、いわゆる大手商社あるいは石油メーカー、こういうような大きな企業、特に資本金のたいへん大きな、そういうところに対して国税庁としてはこういう立ち入り調査を過去やったことがございますか。
  17. 井辻憲一

    説明員井辻憲一君) 国税局調査課所管法人につきましては、税務署以上に実地調査割合を多くしておりまして、二五%程度実地調査をやっております。その中で特に大口のものにつきましては五〇%以上の実地調査を従来から実施しております。
  18. 工藤良平

    工藤良平君 私がお聞きしたいのは、たとえば大手商社ですね、いわゆる大手六社といわれる商社、それから石油メーカー、こういうものに対して実地調査をやったことがございますか。この資料によりますと、たとえば「事業規模が比較的大きい法人申告内容が低調なもの」、「好況業種にもかかわらず申告内容が低調であるもの」、「過去の調査事績からみて多額な不正所得が見込まれる業種に属する法人等を選び」ということで対象を選んでいるわけですね。そうすると、そういう対象にいま言ったこの大手企業メーカーが一体入るのかどうかというと、おそらく私はこのふるいで落とされてしまっているんではないか。おそらく相当内部監査もあるし、それだけの会計のきちんとした体制が整えられておるわけでありますから、いわゆる国税庁が調べるという対象の、いま私が申し上げましたような項目にすでに調査対象の選定の際に落とされているとするならば、これはやっぱり調査してみても出てこないわけですから。ところが、日商岩井のようにぽっとそういうものが出てくるわけですからね。今日までそういった調査をこの四万三千八百九十件の中に実際に立ち入り調査をやったことがおありですかどうか。具体的に名前をあげなくていいですから、おそらくここでは言われないでしょうから、そこまでは私は言いませんけれども、事実そういうものがあったかどうか、過去。
  19. 井辻憲一

    説明員井辻憲一君) 商社のみならず大手企業につきましては、過去におきましてほとんど全部数年間に一回は、あるいはものによりましては毎年ほとんど全部調査をやっております。
  20. 工藤良平

    工藤良平君 それでは日商岩井もやられたわけですか、過去。
  21. 井辻憲一

    説明員井辻憲一君) 現在調査中でありますが、その以前にも実地調査をやったことがございます。
  22. 工藤良平

    工藤良平君 それは何年ですか。
  23. 井辻憲一

    説明員井辻憲一君) いまちょっと手持ち資料で個別のものでいつやったかは、まことに申しわけございませんが、資料を持っておりませんけれども、数年以前内にはやっておると思います。
  24. 工藤良平

    工藤良平君 それでは、いま私が述べました六社、それから石油十二社ですね、いま問題になっている。こういうところでいつやったかということを資料として提示いただけますか、何年にやったかということ。
  25. 井辻憲一

    説明員井辻憲一君) 個々会社名をあげましていつ調査をやったかという御趣旨と思いますが、特定の会社調査内容は別にいたしまして、実地調査をやったかやらないかという資料はお出しできると思います。
  26. 工藤良平

    工藤良平君 委員長、それは……。
  27. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 査察部長、できるとおっしゃったんですか、いま、はっきり。
  28. 井辻憲一

    説明員井辻憲一君) はい、お出しいたします。
  29. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) いつですか。いますぐでもわかるんじゃないですか。
  30. 井辻憲一

    説明員井辻憲一君) 具体的に先生からどういう業種のどういうものとおっしゃっていただければ、それにつきまして個々に調べまして御返事を申し上げたいと思います。
  31. 工藤良平

    工藤良平君 それでははっきり申し上げましょう。後ほどの質問の関連にもなりますから、特に石油十二社、それから商社大手六社、これについて、これは後ほどの財政投融資関係もありますから、できれば過去数年間の実地調査をした年度、日にちを資料として提出をしていただきたいと思います。
  32. 井辻憲一

    説明員井辻憲一君) 承知いたしました。
  33. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) いつまでにお出しになりますか。
  34. 井辻憲一

    説明員井辻憲一君) 各国税局に全部照会をいたしませんと、個別のものはちょっと東京にございませんので、数日間かしていただければすぐできると思います。
  35. 工藤良平

    工藤良平君 その点については後ほど資料が出てきましてからまたこれは大蔵省の際にでも質問さしていただきたいと思いますので、きょうは大体検査院主体でありますから、国税庁関係についてはそういう程度にしておきたいと思いますけれども、先ほど私が東京国税局お話を申し上げましたように、かなり更正決定やあるいは不正、隠蔽ということが相当な件数にのぼっておるということ、これは私が申し上げましたように、やはり支出に見合う収入があるわけです。その収入のとり方にたいへん大きな問題があるわけなんですね。この中でも指摘されておりますよ。たとえば、極端なもの、報告が上がっておりますけれども、一社でばく大な所得隠蔽しておるという事実が上がっているわけです。これは氷山の一角にすぎないということがいわれております。ですから、やはり特に徴収をする立場というものは、これは公平の原則に基づいて私はやる必要があると思いますから、この点については徹底的なやはり徴収の公平を期していただくようにこの点は要請をしておきたいと思うんです。  さてそこで、これは会計検査院に戻りますけれども、いま私が申し上げましたこういう事実がたくさんあるわけでありますが、これについて一体検査院としては、それでは収入の面において税務署申告が出てきた、その書類に基づいて正しく計算をされているかどうか、更正決定があった、この更正決定も正しいかどうかという点の審査程度にとどまっているのではないか、さらに踏み込んだ調査というものは検査院として私はやる必要があるのではないか、もしそれがやれないとするならば、それは体制にあるのか、法律にあるのか、そういう点についてひとつ御見解伺いたい。
  36. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) 会計検査院収入面につきまして検査をいたしておるわけでございますが、相手方はあくまでも税務官署でございます。したがいまして、税務官署対象として検査をいたしておりまして、その税務官署の有する資料に基づきましていろいろ検討いたしまして、法令適用誤りはないか、計算脱漏がないか、あるいはまたその間の資料の突き合わせ等について所得把握漏れがないかというようなことを検討いたしておるわけでございます。そういたしまして適正なる税務の執行が行なわれるよう検査を実施いたしておるわけでございますが、御指摘の点は、なおそのほかにいわゆる脱税があるのではないか、そういう点について検査院はどういう検査をしておるかという御指摘であろうかと思うわけでございますが、これは検査院といたしましては納税義務者に対しまして調査権限はないわけでございます。したがいまして、税務署を通じましてのみ検査をいたしておるわけでございますので、税務署の有する調査資料誤り指摘するというにとどまっておるわけでございます。そういう点におきまして検査院検査にも一種の限界があろうかと存ずる次第でございます。
  37. 工藤良平

    工藤良平君 会計検査院法第三十六条によりますと、「会計検査院は、検査の結果法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは、主務官庁その他の責任者に意見を表示し又は改善の措置を要求することができる。」、こういうことになっておりますね。私は租税については、なかなか税金を喜んで納めるという人は少ないのであります。お互いにそうなんですね。税金を納めるよりはと、こういうことでできるだけ経費をというて、むだな経費までもやはり必要経費の中から落としてなるべく税金を減らそうとする、これはやっぱり納税者の心理なんであります。これは私はよくないことだと思いますけれども、しかしお互いにやはり生活が苦しいとそうなる。大きいところは大きいところなりになお大きな利潤を、ということで隠そうとする。そういうことから、私はやっぱり租税については公平で、しかも租税法定主義ということで、いわゆる法令できちんと定められているその方式に従って間違いなく徴収して、初めて納税者を納得させることができる。私はいまの税法の中に確かに大きな問題があると思いますよ。租税特別措置法なんていうのは問題があると思う。これも改正しなければならぬと思うけれども、いまの体制の中でなかなかそれは変わらない。だとするなら、いまきめられている法律の中におきましても、これがより公平に徴収をされるということが最もやはり私は公平の原則に基づいたものだ、初歩的なものだと、こう思っているのですけれども。そういう意味合いから、私がいまごく一部を指摘いたしましたけれども、実態調査税務署はやってみると、かなり大きな問題がある。一体それは体制に問題があるのか、法律に問題があるのか、何に問題があるのか、その点について検査院としても、税務署書類検査の上からあらわれてきている。たとえば更生決定がこれだけあったと、あるいは不正件数がこれだけあった。そういう中からこれだけの税金がさらに追加で徴収されておるという現実を見たときに、検査院としては、現在の税務行政に対する第三十六条の問題については、どのようにお考えなのか。積極的にその問題について取り組んでいくという意思がおありかどうか。いまの御答弁では、どうも全く消極的な、話にならないと私思うのですけれども、そういうことが私は必要ではないかと思うのですが、どうですか。
  38. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) 御承知のとおり、いま三十六条におきまして、検査院といたしましては、行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときには、主務官庁にその意見を申し述べることができるわけでございますが、それにつきましては、やはり検査院といたしまして、検査をしました具体的な結果に基づきましてそいう意見を申し述べるという順序に相なろうかと思うわけでございます。ただいままでのところ、税務署調査におきまして誤り指摘いたしておりまするものは、個々の不当事項といたしましてこれらを指摘している次第でございまして、いま御指摘のような、非常な税務行政の基本に関する問題につきましては、検査院といたしましてそこまでの検査は現在のところやっていないわけでございまして、いまだその改善意見を申し出るという点までには立ち至っていない次第でございます。
  39. 工藤良平

    工藤良平君 現在まではそういうことできたかもわかりませんけれども、現在のような状態を把握するときに、それは必要なのかどうなのか、そういう御見解はまだ述べられませんか。現在までの状態を見るときに、当然それは検査院として、検査対象として今後十分きびしい体制を強化をする必要がある。そういう勧告も必要になってくる、このようにお考えではございませんか。私はしろうとですけれども、この決算の問題をまず手がけてみて、そのことを非常に痛切に感じましたので、きょう冒頭こういうことを申し上げているわけですけれども、専門家である院長、私、当然だと思いますけれども、どうでしょう。
  40. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) 検査院といたしましては、検査院として検査をいたしました結果、いろいろの事態が判明いたしました結果におきまして政善意見を申し出るということに相なろうかと思うわけでございます。ただいままでのところ、そういう意見を申し出るほどの検査を実施いたしておりませんので、何とも申し上げかねる次第でございます。
  41. 工藤良平

    工藤良平君 いま私は東京国税局の話を申し上げましたですね。これだけこの不正件数がありましても、これは行政的には別に問題ないわけですかね。私はこんなに不正があるということになると、これは当然検査院としても関心を持って、より積極的にこれらの問題について踏み込まざるを得ないという感じがするのでありますが、院長、そういうふうにお感じになりませんか。いまここではっきりその点が言えないとするならば、こういうような実情があるとするならば当然検討の余地があると、こういう御発言もできませんか。
  42. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) 何度も同じような御答弁を繰り返してまことに恐縮でございますが、検査院といたしまして調査しまして、そうして何らかの結果が判明いたしました暁におきましては、改善意見を申し出るということに相なろうかと思います。しかしながら、検査院といたしましては御指摘のような点につきまして調査権限を有しておりませんのでございますので、したがいましてほかに脱税がどれだけあるかというようなことにつきましては検討いたしていないわけでございます。したがいまして、そのようなことにつきましての税務行政全般に対する批判を検査院として申し出るというところまでの検査は、現在までのところ実施いたしていない次第でございます。
  43. 工藤良平

    工藤良平君 それではもう少し聞きましょう。これは一番具体的ですからね。いまこの東京国税局が行ないました三万五千七百七件の調査の結果は、調査件数の二七・二%、一万一千九百五十三件、仮装または隠蔽による不正計算を行なっていた法人があったということが報告として出されております。こういう内容については、それでは検査院としては検査なさるわけでございますか。たとえば一足す二は三と、一足す二が五になっておった、その五は二の誤りがあるから、これは誤りであったということで指摘をして、それが十億幾らだったという、そういうことの検査だけにとどまっているのか。こういう調査の結果というものは、きわめて不正がたくさんあるのだということ、そういう事実があったとするならば、それに基づいた改善の方策というものを当然検査院としては勧告すべきではないのか、そういうことも御答弁できないわけですか。
  44. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) 税務署は、更正決定をいたしましたその内容につきましては、もちろん検査をいたしておるわけでございます。そういたしまして、それに誤りがあれば指摘いたしておる次第でございます。個々のそういった違法行為と申しますか、不当行為と申しますか、そういったものにつきまして検査をいたしまして、そうしてそこに誤りがありますればそれを法的に指摘をいたすというのが検査院の職務であると考えておるのでございます。その結果、なお改善を要するような事態が判明いたしますれば、それは検査院といたしましても意見を表明する次第でございますけれども、現在までのところいまだそういった事態までには立ち至っていないというところでございます。
  45. 工藤良平

    工藤良平君 いつまでやっておってもこれはらちがあかないですね。私が頭が悪いのか、院長が頭がよすぎるのかわかりませんけれども、どうも私は納得できません。それじゃもう少しくだいて私がかように申し上げましょう。  いま私は、しきりに一番具体的に言うのがわかると思って話をしているのですけれども、こういうこの不正な事実がたくさんあるということは事実なんです。四十万件ある、そのうちの対象として三十五万件引き抜いてその中から調査としていまこれは十何%、四万件を調査をしたら、そのうちの二七・何%が不正だったということなんですね。これはわかりますね。そうすると、そういうものがあるということは、私どもから言わせるともっともっと調査を深めることによってやはり、逆に言うと徴収能力がもう少しあればそういう不正というものをもっと防げるのではないか、公正の原則というものが貫かれるのではないか、その点についてこれは国税庁のいまの調査体制で十分なのか、検査院収入の部面を担当している八十人ないし百人の人間で十分なのか、そういう点についてもいまのままで十分でございますというようにお考えですか。それともまだまだこれでは不十分だ、できるならばその点を充実したいというようにお考えになっていらっしゃるのか、そういう点での表現にそれでは変えて御答弁をいただきましょう。それでも御答弁できませんか。
  46. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) いわば租税税務行政全般に対する批判に相なろうかと思うのでございますが、検査院の職務といたしまして、そこまでの資料が整い、そこまでの検査が行き届けば、それについて意見を表明することもあろうかと思うわけでございますが、具体的にそこまでの検査を実施いたしておりませんので、現在までのところ、そういった意見を表明するには立ち至っていないというのが現状でございます。
  47. 工藤良平

    工藤良平君 それでは、もういろいろこれはやりとりしてもどうもしようがありませんから、それでは——やっぱりこれは私は必要だと思います。したがってそういうことをこれから具体的に検討していただけますか、それでは。現在、あなたの考え方を私はここで引き出そうとは思いません。ただ、いままでやりとりをし、そういうものを検討する余地があるとお考えであれば、今後そういう実態について調査をしてみよう、こういうお考えになられますか。
  48. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) 検査院といたしましては、収入支出の適正なる管理と申しますか、そういったことの検査が主たる任務でございます。そういった検査の結果、何らかの意見が出てまいりますれば、その結果につきまして意見を表明するということが私どもの任務でございまして、いわば租税行政全般の批判、それ自体を目的として検査を実施するということはいたしていないわけでございます。
  49. 工藤良平

    工藤良平君 わかりました。  それでは、私はもう少し別の角度からその問題はこれから事実をあげて質問をしていきますから、後ほどもう一ぺんまとめてその点は質問をしましょう。これは保留をしておきますよ。いまの回答は私はまだ納得できません。それでは、これから別の角度から議論をしてまいりましょう。  財政投融資関係の問題について、これは私いまから質問をしていきたいと思います。現在、予算とともに非常に財政投融資が大幅に増加をしてまいりました。で、この問題につきましては、従来国会の審議権というものが及んでおりませんでした。それだけに国民の関心というものも薄かったと思うんですけれども、現在のように大幅にふえてまいりますと、これをこのまま放置するわけにはいきませんし、むしろ私は第二予算的な要素を非常に持っている。このような感じがいたすのでありますが、そういう意味合いから、これから財政投融資の問題について、ちょっと問題を見てみたいと思うんですが、これは大蔵省にお伺いいたしますけれども、これは四十六年の決算の審議でありますから、四十六年の一般会計財政投融資決算額の総額、一般会計に対する割合、それから四十九年度、いわゆる今年度提案をされております一般会計財政投融資割合、何%ぐらいになっているか、まずお聞きをしたいと思います。
  50. 後藤達太

    説明員(後藤達太君) お答え申し上げます。  四十六年度につきましては、財政投融資の最終の決算額は五兆八十七億円でございます。一般会計に対します割合は五二・四%でございます。並びに四十九年度につきましては、ただいま御審議をいただいている次第でございますが、財政投融資は七兆九千二百三十四億円を予定をいたしておりまして、一般会計も同様御審議をいただいております予算との関係では四六・三%にあたっております。
  51. 工藤良平

    工藤良平君 いまお話しのように四十六年度予算で見ますと、実績にして五二・四%、一般会計の半分をこす資金というものが財政投融資資金としてそれぞれ利用されておるわけでありますけれども、この中で私ちょっと具体的にお聞きをしてみたいと思いますが、現在日本輸出入銀行、それから開発銀行、これが扱っております財政投融資資金は金額にして幾ら、全体の何%ぐらいになっておりますか。四十六年と、これは四十九年はまだわかりませんですね、わからなければ一番新しいやつ。
  52. 後藤達太

    説明員(後藤達太君) 四十六年度について申し上げますと、日本開発銀行の、これは実績で申し上げますが、三千五百二十億円でございます。それから日本輸出入銀行は三千四百九十億円でございます。したがいまして、パーセンテージは先ほど申し上げましたトータルの五兆——若干端数ございますが、ほぼ三千五百億でありますから七%前後でございます。  四十九年度の計画を申し上げます。ただいま四十六年度でございまして、四十九年度につきましては、開発銀行が三千九百八十億円、五%でございます。それから輸出入銀行が六千百六十五億円、七・八%でございます。
  53. 工藤良平

    工藤良平君 それでは具体的にお聞きをいたしましょう。現在開発銀行で最高に貸し出されておりますいわゆる貸し付け残高の一番大きな企業はどこで幾ら残っておりますか。  それから、日本輸出入銀行で、これは業種別に製造業、卸売り業、その他という分類で日本輸出入銀行の業種別の最大の貸し付け先の貸し付け残高、もしおわかりになれば御説明いただきたいと思います。
  54. 岩瀬義郎

    説明員(岩瀬義郎君) 個別の会社の名前を申し上げることを差し控えさせていただきますが、製造業と業種別に見ました場合に、開発銀行につきまして四十八年度九月末現在で一番残高の大きいのは電気・ガス熱供給業——これは一社でございますが、一千八十七億円でございます。  それから輸銀につきましては、業種別には先ほど先生御指摘の製造業、卸売り業、その他に分けまして最大の貸し付け先を申し上げますと、製造業——これは船舶、その他輸出用の機械器具の製造業でございますが、千九百三十八億円。卸売り業、千六百四十九億円。その他のものでは最高が、これはマイニングのほうでございますが、四百八十七億円でございます。
  55. 工藤良平

    工藤良平君 これは検査院長、よく聞いておいてください。私よりもっと詳しいと思いますけれども。いまお話しのありましたように、開発銀行で電気・ガス熱供給業で最高が千八十七億円。それから製造業で、これは輸出入銀行の場合には製造業で船舶で千九百三十八億円。卸売り業、これはもちろん商社です、これの最高が千六百四十九億円。その他鉱工業——これは石油が含まれておるようでありますけれども、最高が四百八十七億円。私どもからいたしますと、これはとてつもない大きなお金でありますが、この貸し付け条件は一体幾らでございます、金利、期間。
  56. 岩瀬義郎

    説明員(岩瀬義郎君) 開発銀行の金利で申し上げますと、電気・ガス熱供給業、これは現在八・二%でございます。これは昨年の十一月に七・四五%から八・二%に引き上げております。それから、輸出入銀行の船舶でございますが、これは現在六・八七五%でございます。
  57. 工藤良平

    工藤良平君 いまお話しのように、金利からいたしますと、これは市中銀行の金利からするとかなり安い金利なんですね。これは財政投融資資金というのは大体安く貸し付けることになっております。市中銀行よりも貸し付け条件が非常に緩和されている。これは一体どういう目的を持って財政投融資資金というのは貸し出されるわけでありますか。私、いまさらここで繰り返す必要はないと思いますけれども、議論のためにも非常に大切な問題でありますから、これは大蔵省並びに会計検査院からもぜひひとつ財政投融資に対する本質的な見解をお聞きをしたいと思います。
  58. 岩瀬義郎

    説明員(岩瀬義郎君) 御承知のように、資金運用部資金の構成は、郵便貯金、年金——国民年金等が大体主たる財源でございますが、これを大蔵省といたしましては集中的に一括管理をいたしまして、それを国民生活に重要な部門に低利に有効に貸し付けるという目的を持ってやっておるものでございます。したがいまして、使途別にどのような分類をしてみたらその効果がはっきり数字の上に出るかというために、国会にも御提出いたしておりますが、使途別分類表というものを作成いたしております。これで見ました場合に、大きく申しまして国民生活に最も関係の深いものとしましては、住宅、それから生活環境整備、厚生福祉施設、文教施設、中小企業、農林漁業というものを一つのまとめにいたしまして、そのほかに、国土保全、道路、運輸、地域開発、こういうようなものを一まとめにいたしまして、最後に、いま先生の御指摘の、基幹産業、貿易というものをまたまとめたものとして見た場合に、一体どういうふうになっておるかと申しますと、四十六年度の姿で申し上げますと、いまの住宅から農林漁業までに対しまして全体の資金の約五七・八%が向けられております。それから国土開発から地域開発に至りますものが二七%でございます。基幹産業、これは主として開銀でございますが、五・四%。それから貿易、経済協力、これが九・八%でございます。ところが、四十八年度でございますと、この基幹産業と申しますか、いわゆる開銀に向けられている資金というものが五・四%と申し上げましたのが三・六%に減っております。それから貿易が九・八%と申しましたのが八・九に減っております。かわりにこの生活環境関係のものが五七・八%から五八・八%に上がっておる。こういう割合になっております。
  59. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) 財投計画がどういうような目的によって決定せられるかということは、内閣並びに国会において決定せられるところでございまして、検査院といたしましてはその趣旨に沿うて運用されているかどうかということを検討いたしておる次第でございます。
  60. 工藤良平

    工藤良平君 この財投というものは政府が一定の政策目的を持って行政的に必要だということに基づいて組み立てられてきた。戦後、特に産業復興という意味合いからかなり日本の基幹産業に対してこの資金的な手当てをするためにこの制度が設けられてきました。で、いま大蔵省お話しの農林水産業あるいはその社会福祉関係にかなり、五十何%ということでありますけども、これは近ごろの傾向であって、このお金というのは貸し付けられて、この期間があるわけでありますから、以前かなりの部分やはりそちらにいってるわけです。ですから、私は、さっき申し上げましたように、船舶で千九百三十八億。これは一企業ですよ、全体じゃありませんよ。一つの企業でしょう、そうですね。
  61. 岩瀬義郎

    説明員(岩瀬義郎君) はい、そうであります。
  62. 工藤良平

    工藤良平君 卸売り業、これは商社ですよ。商社に、一企業に千六百四十九億円の貸し付けがまだあるということ、これは以前ずっとやっぱり産業復興という意味で、日本の産業建て直し、あるいは貿易を進めるということで貸し付けられてきた。で、近ごろ農林漁業とかそういうものに——これはまあ厚生年金だ、それ国民年金だといういろいろな積み立て金がふえてまいりましたから、そういうものにこたえてこういうものがだんだんふえてきているわけでありますけれども、しかし、これはやっぱり政府が一定の政策目的を持って、それを一般会計でなかなか容易にできないものを補完するという考え方もかなり私は入ってきただろうと思います。したがって、私はさっき申し上げましたように、予算と同じような性格を持っている、いわゆる第二次予算的な要素を持っているんだというように私は実は思うわけであります。したがって、そういうことになるとするならば、この財政投融資に対する私どもの監視の目というものも相当きびしく向けられていかなければならぬ。再三言うようでありますけれども、千六百四十九億円というたいへんな金利の安い財政投融資資金を借りている商社が三倍も八倍も利益をあげるような状態というものが、一体私ども国会としてもこれをこのまま放置していいかどうかという私は非常に大きな疑問を持ってこの問題を実は掘り下げてみたわけであります。何とかひとつこの問題について調査をすることができないのかということで私はいろいろ見てみた。この点についてひとつお聞きをいたしたいと思いますけれども、たとえば日本輸出入銀行から大手商社に対して貸し付けが行なわれる。貸し付けたその企業に対して輸出入銀行が内部の監査をすることができますか。その点お聞きをいたしたいと思います、大蔵省から。
  63. 岩瀬義郎

    説明員(岩瀬義郎君) 政府機関共通の問題でございますが、特に輸出入銀行という御指摘がございましたから申し上げますが、輸銀は補完金融という形で協調融資をいたしております。したがいまして、単独で融資をいたすということはまあ直接借款のような場合を除きましてはございませんで、たいてい市中銀行と共通で共同融資をいたしております。したがいまして、事前の審査というのはかなりきびしくやっております。それから、貸し付けた先の資金が完全に目的に沿って使われておるかどうかということにつきましては、きわめて私どもも信認をいたしておりまする関係もありまして、厳格にやっておるというふうに承知しております。
  64. 工藤良平

    工藤良平君 そこもう少しはっきり——大蔵省としては輸銀に対して監査をし、さらに貸し付け先に対しても大蔵省としても検査をしているかどうかということを具体的にはっきりしていただきたいと思うのです。やっているかどうか、事実やったというならやったということで。
  65. 岩瀬義郎

    説明員(岩瀬義郎君) 特別に最近強化したということでなしに、ルール的にこういうふうになっておるということを申し上げますと、相手方の信用状徴求のところから始まりまして、船積みが行なわれれば船積み書類の徴求とか、それから入金の状況、そういった点まで全部審査を、チェックをいたしております。
  66. 工藤良平

    工藤良平君 それでは検査院にお伺いをいたしますが、検査院としては今日までどの程度までの監査をおやりになったわけですか。輸出入銀行までは監査をなさるわけですか。その点ちょっとお聞きをいたしたいと思います。
  67. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) 財政投融資の貸し付け先であります輸出入銀行は、政府出資法人でございまして、検査院検査対象に相なっておるわけでございます。したがいまして、計算証明規程の定むるところによりまして書類提出させまして書面検査を実施すると同時に、実地に調査官を派遣いたしまして、輸出入銀行自体につきまして検査を実施いたしておる次第でございます。その場合におきまして、一々の貸し付け先につきましても、適正にその貸し付けが行なわれているかどうか、法令の目的に沿うて行なわれているかどうか、これを輸出入銀行の審査書類につきまして検査をいたしておる次第でございます。
  68. 工藤良平

    工藤良平君 そうすると、輸出入銀行は当然この検査対象になるし、やってきた——輸出入銀行が貸し付けているたとえば商社、千六百四十九億円を借りている商社、あるいは製造業の千九百三十八億円を借りている船舶の会社、そういうものに対して検査院として今日まで検査をなさった事実がございますか。事実関係をはっきりしていただきたいと思います。
  69. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) 貸し付け先の調査につきましては調査権限がないというのが従来の通説になっておりまして、したがいまして、現在までのところ、貸し付け先に乗り込んで検査をしているという事実はございません。
  70. 工藤良平

    工藤良平君 それは、さっきの税金調査の問題と同じようなことになるんですが、それでは私はさらにお聞きいたしましょう。  会計検査院法の第二十三条第一項第三号「国又は公社が直接又は間接に補助金、奨励金、助成金等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計」ということで、第二十三条によるところの検査の必要があると認めるときということで、検査ができることになっておると私は解釈したいのでありますけれども、いまの検査院長のお話によりますと、この第二十三条の一項三号を適用して調査をするということはできないのでありますか。これ、もしできないとするならば、これは法制局長官を呼んで私はただしたいと思いますけれども、ここにある「貸付金」というのは一体何をさすのか、それでは。私は、しろうとなりでありますけれども、一生懸命、どこか調査するところはないかということで読んでいるうちに、第六号が適用されるんじゃないかと思ったんですけれども、どうも読んでみると第三号のほうがむしろ適用としては適用できるんではないかということが、私はそういうように感じたのでありますけれども、この点について検査院長どのようにお考えでございましょうか。
  71. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) 第二十三条第三号の解釈につきましては従来も議論の存するところでございます。これにつきましては、前段の「直接又は間接に」は後段にかかるかかからないかという議論が一つあるわけでございます。これはかかると。したがいまして、「直接又は間接に」「貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計」というように読めるということに相なっておるわけでございます。しからば、「直接又は間接に」という、その「間接に」というのをどう読むかということが御議論の対象になろうかと思うわけでございますが、この「間接に」というのは、従来から狭義に解釈いたしておるわけでございます。いわば、市町村に補助金を与えるという場合に、その使途を明示いたしまして、これを府県を通じて市町村に補助金を交付するというような場合におきまして、これが「間接に」補助金を与えるということに相なるというように解釈いたしておるわけでございます。  現在御質問財政投融資等につきましては、輸銀に対しまして貸し付けが政府から行なわれるわけでございますが、これは一般財源として輸銀に対して貸し付けが行なわれる、輸銀は法律の基づくところによりまして自主的に貸し付け額を決定をして、そうして貸し付けをいたしておる次第でございます。いわばそこにおきましては、一応中断ぜられるものというような解釈が従来なされておるわけでございます。これにつきましては去る三十年ごろでございますか、衆議院におきましても議論がありましたところでございまして、そのために法律改正案が出された経緯もあるわけでございます。しかしながらそれは否決せられたというような状況でございましてそういった経緯を踏まえまする場合におきましては、「間接に」は狭義に解釈するものというように従来取り扱ってきておる次第でございます。
  72. 工藤良平

    工藤良平君 それは納得できませんね。そうすると財政投融資資金というのは、これだけ安い金利で、国が管理しているお金なんでしょう。何のためにそれじゃ年利四分五厘から七分幾らという範囲内でお金を貸すわけですか。それはやはり一定の目的を持って、その目的達成のためにお金というのが有効に使用されなければならないという前提条件があるわけでしなう。そうすると、さっき言ったように、大蔵省のさっきの話でも、貸した先のそこまではあまり、正直にいって——貸す以前の調査についてはかなりきびしい調査を、それは業績その他貸し倒れがないようにということだろうと思いますよ、しかしそれ以上のことについてはあまりいままで監視していないわけで、どこもやらないということになるじゃないですか。野放しで二千億近い——これは二千万じゃないですよ、二千億ですよ、とてつもない話、一県の予算にも相当するようなものを一社が借りているわけでしょう。しかも安い金利で。市中金利の半分以下の金利で。こんなものが野放しでやられるということは、私はもう非常に大きな疑問を持つ。なぜ狭義にこれを解釈しなければならぬのですか。第三号を適用して当然それは踏み込んで有効に利用されているかどうかということは、当然の私は責務としてやるべきことではないのか。——法制局おりますか。法制局、いまから呼んできていただきまして、私はこの第三号の解釈というものをひとつはっきりしていただきたい。私は、国が直接お金を貸すということができないから、公社あるいは国の銀行を通じて貸すということで、輸出入銀行の場合には国が全額出資をして、銀行をつくっているわけでしょう。そして国の資金でもって金を貸しているわけでしょう、貿易に。これは間接的な資金の貸し付けじゃなくて何ですか。これに該当しないですか。その点、私のわかるようにもう少し明確に話してください。私はわかりません。
  73. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) また繰り返すようでまことに恐縮でございますが、要するに「間接に」ということばを広義に解釈するか狭義に解釈するかという問題に帰着するだろうかと思うわけでございます。そういたしますと、従来の解釈といたしまして、それは狭義に解釈をするということが通説になっておるわけでございまして、いわば国から貸し付ける場合において、具体的にひもつき的な融資が行なわれるというような場合におきまして、この「間接に」ということで調査権限が及ぶというように解釈せられておる次第でございます。
  74. 工藤良平

    工藤良平君 それじゃ法制局呼んで、休憩してもらって、法制局に統一見解を出していただきたい。たいへんに重要な問題だと思うのですよ。  それでさっき私が質問の中で、租税徴収する際の検査もできない、この三号も適用してやることもできないということになると、これ野放しじゃないですか。何に使おうと、どんなことやろうと、何倍もうけようとそんなものはかってだと、そういうことで私どもの大切な資金がそんな方向に使われるということになったら、これはたいへんな問題じゃないですか。検査院長、そうじゃないですか、矛盾を感じませんか。できるだけ広義に解釈をしてそういう不正をなくしていくということのほうが私は正しいのじゃないかと思うのですが、もし検査院長の段階でそれがわからなければ、私は法制局長官にでも出てきていただいて、統一見解を出していただきたいと思うのですが。
  75. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  76. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 速記を起こしてください。
  77. 工藤良平

    工藤良平君 それじゃこの問題はまだ、これは後ほど法制局に来ていただきまして、いま院長がお話の件の経緯について報告を聞きまして、納得いかなければ法制局と検査院とで統一的な見解を出していただきたいと思いますので、これは一応保留します。  それではもう一つは検査院に対してですが、各省各公団、公社それぞれのところで内部検査を行なっておるわけであります。内部監査といいますか、この内部監査とそれから検査院関係について、法令上は内部監査機関に対して権限を有しないということになっておるようでありますけれども、その内部監査検査院関係について改善をする余地はないのか、そういう点についてちょっとお伺いをしたいと思います。
  78. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) わが国におきましては、内部監査機関といたしましては内閣の行政運営の総合的な監察を主体とする行政管理庁がありますし、また各省、各庁の予算執行につきましては大蔵大臣が報告を徴し、かつ実地に監査を行なっておりますし、また各行政機関の内部にも監査担当機関が設置されておりまして、当該行政機関の業務を監査しておるなど、各種の形態のものがございます。このような内部監査担当機関はいずれも監査対象機関の組織をルール化するものにつきまして監査を実施しておりまして、その会計もむろん監査の対象になっているわけでありますが、このような内部監査機関には当該監査対象機関の業務の実際を熟知しておりますために、効率的な監査を行なえるという利点があるわけでございます。  一方、会計検査院といたしましては、憲法の定めるところによりまして独立の立場で決算の正確性、経済性及び効率性に関する検査を実施しているのでありますが、会計検査院といたしましても内部監査体制の整備状況、活動状況には重大な関心を払っておりまして、その有効性を確かめながら検査の効率をあげておるという実情でございます。過去におきましても検査の結果、内部監査が不十分であるがために経費の使用が効率性を阻害しておるというような事実を発見いたしまして、監査機構の充実を改善意見として出したというような事例もあるわけでございます。
  79. 工藤良平

    工藤良平君 検査院としては内部監査に対する法令上の、その内部監査機関に対しては権限を有しないけれども、しかし、その検査についてはたとえば国有鉄道とかあるいは専売公社とかあるいは一般の各省、そういうものについて当然これは重複して調査をするということはもちろんそのとおりだと思いますけれども、特に、いまの内部検査の信頼性というものからいたしまして、かなりやはりそれに対する検査というものが必要ではないのかと、こういうような感じがするわけですけれども、その点については国際会議につきましても問題になっておるようでありますが、その点もう少しお聞きしたいと思います。
  80. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) 会計検査院といたしましては、各種の監査機関とは別個に独立した検査を実施しておるわけでございます。その結果、会計内容に問題が非常に多いということでありますれば、内部監査機関も十分機能を果たしていないと、こういう結論に達するわけでございます。したがいまして、そのような場合におきましては、各省、各庁の長あるいは各法人の長に対しまして、内部監査機関を充実するようにというような、改善の意見を提出するというようなことをいたしておる次第でございます。
  81. 工藤良平

    工藤良平君 その点はその程度にいたしまして、現在の会計検査院のいわゆる千二百名という体制で、まあ総合的には七・一%という調査をなさっていると。これはやはりこの検査の実をあげるためには、もっと機構の充実というものが必要ではないのかと、こういうことがいままでも再三にわたって本委員会でも議論をされておるということを、議事録で私どもは知るわけでありますが、その点について院長としての御見解を承っておきたいと思います。
  82. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) 検査院の強化ということにつきましては、再三、議論を承っておりまするし、私どもといたしましても万全の努力を払っておるつもりでございます。実際問題といたしまして、検査院の現在の陣容は、新院法が施行せられました昭和二十二年に一挙に四百名程度から千二百名程度に、三倍程度に増員をいたされまして、そのまま現在に至っておるという実情でございます。この間、検査対象は一般会計はもちろん、その他公社、公団等も膨大なる膨張を告げておるわけでございまするが、一方、検査の結果からながめてみますというと、昭和二十年代には相当違法行為等が多発しまして、経理も紊乱をいたしたような経緯もあるわけでございまするが、三十年代には漸次そのような点も適正化せられまして、不当事項等も二十億円台にとどまったわけでございます。さらに四十年代に至りましては、その不当事項等はさらに減少いたしまして、十億円台にとどまっておるというところでございます。このような検査の結果から見ますと、経理の状態というものは各省、各庁の努力にも待ちまして、漸次改善を告げておるというように私どもとしては考えざるを得ないわけでございます。それにもかかわらず、私どもといたしましてはなおかつ検査院の強化をお願いいたしたいわけでございまするが、一般に内閣の方針といたしまして、公務員の人員抑制というような方針もございまするし、こういったことにも政策の一環として協力をしなければならないというような事情もございまして、人員の増加はこれを見送りながら現在に至っておるという状態でございます。ただ、内部的には最大限の努力をいたすつもりで、一般事務職員から調査官のほうに人員の振りかえを行なうと、こういったことで調査の充実をはかるというように行なっておる次第でございまして、ここ十年間ぐらいの間に、約百名程度調査官の増員をはかっておる次第でございます。また調査は何といたしましてもその浸透度と申しますか、調査能力の向上が最も最大の問題であろうかと思うわけでございまするので、そういった点につきまして研修等におきまして努力いたしまして、質的な能力の向上をはかるということによって検査の効率をはかるというように努力をいたしておる次第でございます。
  83. 工藤良平

    工藤良平君 検査院長の問題はあと、まあ法制局が来ましてから最後に締めくくりたいと思いますが、その前にこれはまた戻りますけれども、国税庁にもう一つお伺いいたしますが、けさの新聞によりますと三月期決算前に、今回の決算にはかなりの利益が予想されますので、事前調査ということでかなり広範に調査をするというようなことが報道されているわけでありますけども、先ほど議論をいたしましたように、やはり納税の関係についてかなりきびしい調査というものが必要ではないかという気が私もいたします。したがってこの三月期決算前に、国税庁としてどの程度調査をなさるのか、私は新聞、これはけさ見たわけですけども、きょう質問しようと思っておりましたらちょうど出ておりましたので、この辺に対するひとつ御見解を伺っておきたいと思います。特に先ほど申し上げました大手商社あるいはメーカーですね、そういうものに対するひとつ御見解を聞かしていただきたいと思います。
  84. 井辻憲一

    説明員井辻憲一君) 国税庁といたしましてはいま先生御主張のとおり、現在の異常物価高の情勢下におきまして税務本来の仕事を通じて政府の施策に沿った体制をとっていきたいということで、特に大口悪質を重点にいたしまして昨年来大臣の言明もございますし、そういうふうな価格騰貴が異常であるようなものとか、あるいは利益が多額に見込まれるもの、これらは当然税務上も精密な調査を法律的に要すべきものでございますので、最重点に取り上げてやっていきたいということで各国税局、署を督励いたしておるところであります。  そこでただいまの御質問でございますが、本来理想といたしましては、申告納税制度でございますので、申告が出てまいりましてからその正否を検査するというのが一応のたてまえでございます。しかしながらこのような時代で、しかも政府として短期的にいろいろな問題を処理するというふうな観点からいたしまして、まず大法人を中心にいたしまして昨年九月期をできるだけ早く調査にとっかかる。もう一部すでに入っておるものもございますが、その中で特に本年の三月期、これは現在進行中でございますけれども、これにつきましてもケースによりましては法律的にはもちろん可能でございますので、当然合目的な範囲におきまして法人税調査部分的にはあり得るということで督励をいたしております。個々会社ごとの、どの程度やるかということにつきましては現在のところ細部にわたっては指示いたしておりませんが、気持ちといたしましてはそういう方向で特に違法または妥当性を欠くような処理が行なわれないように十分税務処理上からも対処してまいりたい、かように考えております。
  85. 工藤良平

    工藤良平君 近ごろ、特に昨年あたりから、源泉徴収者の税金の問題についてかなり広範な運動が、申告制にしなさいというような運動が起こってきておるわけですね。そういう意味合いから再三言いますように、やはり税の公平な原則、いま制度そのものについてはいろいろ問題がありますけれども、いまあるこの制度の中でそれがより有効に公平に徴収されるということが私は何よりも大事だと思いますし、そういう意味合いからむしろこっちのわずか千円か二千円の追徴をどうのこうのということじゃなくて、もっと大どころのやはり先ほどの調査にも出てきておりますようにそういうところにやはり本年度目を向けて国税庁としても全力をあげていただく必要があるのではないか。そうしなければやはり国民としてもなかなか納得できないという私は気がいたします。せめてやはりそういうことに対する私どもの努力というものをぜひひとつ見せていただきたいということを申し上げておきたいと思うんです。  それから法制局間に合わないようでありますから、時間もだんだん過ぎてまいりまして、私の持ち時間がまいりましたから、これはしめくくりたいと思いますけれども、法制局の見解についてはまた後ほど機会を改めて議論をすることにいたします。しかし私の考え方としては、もちろん私は法律家ではございません、専門家ではありませんから、これを平面的に見た場合にどっか何かそういうものに対するたいへんだくさんな、しかも国がこれだけの手当てをしている資金を貸し付けているわけでありますから、それにその企業が不当な利益を得ているとするならば、これはやはり私どもとしても見過ごすわけにはいかない。何か検査の方法はないかということで検討してみましたけれども、なかなかいい知恵がない。その中で私はこの二十三条の三号というものが適用されるのではないかという私は解釈をいたしたわけであります。いま検査院長は狭義に解釈をすればということでありますけれども、この際私はこれを狭義に解釈しようと、広義に解釈しようと、そこに明文化されていないとするならば、私はよりこれを広義に解釈をして、当然国または公社が直接または間接的に金を貸しているという、こういう解釈の上に立って千数百億も二千億にも及ぶような資金を借りて運営をしておる企業に対しては、その資金が目的に合致した運営がなされているかどうか、しかもそれが国民生活の安定のためにどう有効に働いているかどうかということを検査するということは当然の私は任務ではないかという気がいたします。ですから、その解釈の問題は別といたしまして、この際ひとつ検査院長としても積極的にこれらの問題に取り組んでいただくように、私は特に院長の見解を求めて、私の持ち時間がまいりましたから、法解釈の問題については別に機会を改めて議論をするとして、この問題でのひとつ院長の決意のほどをお伺いをいたしまして、私のきょうの一応の質問を終わりたいと思います。
  86. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) 財政投融資が適正に使用せられておるかどうかということにつきましては、重大なる関心を持って検査をいたしているわけでございます。お尋ねの輸出入銀行等の機関につきましては、相当書類が整備せられておりまして、そうしてその段階における調査におきまして十分私どもといたしましては検査の目的を到達しておるというように考えておる次第でございます。
  87. 工藤良平

    工藤良平君 終ろうと思いましたけれども、そういう言い方じゃ……。目的を達しておると思っている、思っている企業が三倍も八倍も利益をあげているじゃないですか。そんなべらぼうなことがありますか。きのう山下通産次官がどう言っていますか。大体値上げというのは、石油の問題についても三〇%程度が妥当だ、しかし石油メーカー大手商社は三倍から八倍の利益をあげている、これはけしからぬというようなことを政府の次官さえも言っているじゃありませんか。検査院長、そんなことじゃ話になりませんよ。私は何時間でもやりますよ、そんなことなら。そんな姿勢がありますか、目的を達しているなんて。わずか二百万か三百万、百五十万円借りている農家のところまで来て調査をするものが、何で二千億も借りている企業に対して徹底的なメスを入れないのですか。そういう姿勢が必要じゃないですか。目的達しますか。あんたがそんなこと言うんなら、私はやめませんよ。
  88. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) いわゆる政策金融の決定につきましては、政策当局において決定せられるところであろうと思うわけでございます。検査院といたしましては、それが違法であるか不当であるかという検査にとどまっておるわけでございます。その場合におきまして御質問のような政策上の問題につきましては、政策当局にゆだねるということであろうかと思うわけでございます。
  89. 工藤良平

    工藤良平君 その政策の目的に合致しているかどうかということを検査院検査をするんじゃないんですか。検査院法を読んでみなさい。あんた読みなさい、検査院法。何て書いてあるんですか。国の機関に独立をしている、国の収入支出についてちゃんと監視をすることになっているわけでしょう。国の政策に基づいて一般会計があり、そうして財政投融資もあるんです。それに対してそれが正しく行なわれているかどうかということをあなたは見る権限があるんじゃないですか。政府にゆだねるなんて、そんななまぬるいこと言っているから話にならないんじゃないですか。あんた検査院の目的をもう一ぺん読みなさいよ、そんなこと言うんなら。読ませますよ、そこで。そんな子供みたいなことをしなくてもいいでしょう。私は納得できません、そんな答弁では、最後になって。
  90. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) 再三御答弁申し上げて恐縮でございますが、検査院といたしましてはそういった政策目標に沿うて融資が行なわれておるかどうかということにつきましては、輸銀当局につきまして検査をいたしまして、それによって目的を到達しておるというように考えておる次第でございます。
  91. 工藤良平

    工藤良平君 あなたと議論をしておっても始まりませんけれども、私言いますけれども、だからこそ二十三条一項の三号を私はわざわざ出して言っているわけでしょう。あなたは輸銀までしかいままでやっていないんですよ。しかも、その金が有効に使われているかどうかということはどこも調査をしてないから、それはやはり会計検査院法の二十三条一項の三号の拡大解釈によってできるわけですから、私はそれをやる必要がある、できるならばそれをやりたいということばを聞きたいんですよ。あなた、いまの物価の世情を知らないんですか。無関心ですか、あなたは。関心があるとするならば、より法律を拡大解釈してでも私は調査をやりたい、そういう姿勢というものが会計検査院には必要じゃないんですか。そういう姿勢がないとするならば、私はあえてあなたと議論をいたしません。
  92. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) ただいままでのところ、従来の方針によってそういう検査を実施いたしておる次第でございます。
  93. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  94. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 速記を起こしてください。中尾辰義君。
  95. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ、私は検察の審査会制度の運営等につきましてお伺いをいたします。  終戦後、司法の民主化の一環といたしまして、検察に民意を反映すると、こういうようなことで検察審査会制度ができたわけですが、今日、非常に重要な役割りを果たしておるように思われます。発足いたしましてからもう二十六年になりますけれども、一部新聞等の報道によりますと、非常に審査会の運営がピンチになっている、あるいは審査員を敬遠してほとんど審査会の小委員程度のものでやっているとか、あるいは審査会への出席が悪く会議が流れるケースが非常に多い、こういうようなケースが報道もされておるようでありますので、最近のこの審査会制度の運営の実情はどうなっておるのか。なお、審査員を任命して断わられた件数、あるいは審査員の審査会への欠席等のこと等もあわせまして、その運営の実情をまず最初説明をしていただきたい。最近のと言いましたが、できましたら過去五年間くらいの……ですね。
  96. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) ただいまお話ございましたように、検察審査会は、昭和二十三年の七月十二日に新設されまして、二十四年の二月から実際に活動いたしております。で、最初のころは、非常に認識程度が低うございまして、年間五百件足らずでございましたが、最近は非常にその理解度が深まったと思われまして、昭和四十七年度で大体二千六百二十件の新受がある程度に普及してまいりました。ただいま御指摘ございましたように、最近、八王子の検察審査会の関係で、読売新聞だったと思いますが、非常に審査員の出席率が悪くて運営に困難を来たしているという趣旨の記事がございましたですが、全国的に見ますと、昭和四十七年度調査によりますと、毎回平均大体十四人の審査員及び補充員が出席になっておりまして、その出頭率は大体七三・三%でございます。で、全国的に見ました場合に七三・三%でございますから、若干のプラス・マイナスございますけれども、それによって著しく運営に困難を来たすという状況は現在のところ見られておりません。ただ、御承知のように、まだ一般国民の検察審査会に対する認識度というのは低うございますようで、たとえば、昨年、検察審査員及び補充員になった人について聞いてみましたところによりますと、検察審査会の制度というのを全然知らなかったという人が大体六四%ぐらいになっております。しかし、この点は、たとえば四十二年の内閣総理府で全国に対して抽出調査をした調査がございますが、それに比較しますと、その当時は、全然知らなかったというのが七四%ぐらいでございまして、認識しているというのが九%足らずでございましたから、それに比較しますと、やはり認識度は非常に普及してきている。それから現在までのところ、検察審査員あるいは補充員になった人の人数が二十二万をこえておりまして、この人たちの口からする認識ということも広くふえているんではないか。また私どもといたしましても、これまでも国民の認識度を高めるためのPRということにはだいぶ力を入れてまいりましたので、ある程度その認識度は高まってきているのではないか。この新受件数の伸び等を見ますと、これからますます普及して、これが利用されていくのではないか、そういうふうに私ども思っております。
  97. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いろいろ説明がありましたけれども、なかなかこういう制度は名前を聞いただけでもあまり国民がまだなじんでおらないのは、これは事実です。あなたを検察審査員に任命するといっても、そういう通知をもらっただけでびっくりしたり、何も私は悪いことをしておらぬぞというような、そういうようなこと。あるいは抽出のやり方においてもいろんな問題もありそうだし、出てこなければ過料だとか、まだまだこれ私は改善をする多くの点があろうかと思うんですね。そういうことで広報活動という点においてまだまだ足らぬのじゃないかと思うんですよ。実際この制度は、私が申し上げるまでもなく、検察制度に民意を反映するということですから、どっちかというと、検事は一こう申し上げるとしかられるかもしれませんが、どうしてもある程度独善的な点があるとも言えるわけですからね、そこに民主的な検察の運営ということでできたわけですから。それで、私はもう少し広く国民に知らせる必要があるんじゃないか、そういう意味でお伺いをいたしますけれども、ところで、あなた方のほうで、この検察審査会のPRということにつきまして、どういうような、どの程度の経費を使って、どういうふうにおやりになっていらっしゃるのか、まずそういう点からお伺いしましょう。
  98. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 大体、司法制度のPRというのは非常に浸透しにくうございまして、私どもも常々頭を痛めているわけでございますが、PRの方法といたしまして二つの面があるように思われます。一つは、新しく審査員あるいは補充員になった者に対して制度の趣旨を認識してもらうということが一つである。それから、一般国民からくじによって選ばれるという意味におきまして、ふだんから国民の間にその制度が認識されているということが必要だという二つの面があろうかと思います。検察審査員の、あるいは補充員の関係につきましては、私どもとしましては次のような方法をとっております。たとえば審査員の候補者になった者につきまして、選挙管理委員会で審査員の候補者の名簿がつくられますが、その候補者になった者に対しましてパンフレットを送ったりして説明会をまずやります。それから審査員や補充員に選任されてきました者に対してパンフレットやリーフレットを送る。それから予告の際に十分説明をする。それから、場合によりますと審査員は出席したいけれども雇い主あるいは上司のほうが理解してくれないので休めないというようなところにつきましては、それらの雇い主や職場の責任者のところに行って説得をする。また、現実に出頭してこない審査員や補充員につきましては、その自宅まで職員が出向いて説得する。そういうきめのこまかい方法をまずとっております。  それから、一般国民に対する広報といたしましては、たとえば裁判所に見学にくる者に対して説明をしたり、リーフレット、パンフレットを差し上げるというようなことのほかに、成人式の際を利用しまして一般的な説明をする。あるいは講演会や座談会や映画会を催したりするというようなこと、それからこれは大きいのでございますが、各地のローカル放送あるいは有線放送を使いまして、それを利用して制度の紹介をする。それから市町村の広報誌というようなものにつてを求めまして、その広報誌に制度の説明記事を載せるというような方法を行なっております。  予算的に見ますと、昭和四十五年度は百三十二万三千円ほど、四十六年は百四十二万八千円、四十七年度は百八十万円、四十八年度が二百二万四千円ほど予算を使わしていただきまして、大部分は印刷費のほうに、つまりパンフレットとかリーフレットとか、そういうものの印刷費及び若干の旅費というものがその内容になっております。
  99. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大体説明わかりましたが、まだまだこの審査会制度の広報ということは、予算面においてもその程度で、徹底——徹底というとおかしいが、広く知られておらないということは事実ですね。ですから、審査員の忌避の問題、断わりの問題等がいろいろ出てくるわけですが、これがせっかくこうしてできたんですから、もう少し皆さんひとつ力を入れてもらわないと、いろんな問題が出ておりますね。たとえばこれは一つの例ですが、こういうのもある。  これも御存じでしょうが、検察審査員に選ばれながら欠席を続けておったある鹿児島の主婦です。検審法第四十三条の、正当な理由がなくて招集に応じないときには過料二千円を科する。そういうことで、この主婦は——これは山奥かどこかにおったんでしょう、鹿児島の山の中におって、鹿児島の市まで出てくるには相当な時間と旅費と要る。しかも山の中で出かせぎをしておる。こういう人に、あなたは審査員になりましたと、こういうふうに通知がきたわけで、これでびっくりしちゃったわけですよ。そういうことで、この人は、過料の二千円のこれは行政罰を受けた。こういうような結果になっているんですね。これじゃどうも、いろいろこれは問題がありますね。  まず一点は、非専門家をしてそういったような刑事事件を審査をさせる役割りを持つ委員に任命をするわけですからね。ですから、それはわかりますが、どうもこれなんかもふに落ちない点もありますが、まず任命の、審査員の選出のしかたですね、この手順を一ぺん教えてみてくださいよ。どうやって選挙人名簿から無作為に抽出すると、そういうような話は聞いておりますが、また法律にもそう書いてありますけれども、具体的にどういう手順で、最後にこういうふうに任命されるのか、一ぺん説明してくださいよ。
  100. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 検察審査会の事務局長が、まず毎年十二月二十日までに、検察審査員候補者を四つの群につきまして、管轄の市町村につきましてそれを四つの群に分けまして、各百人ずつの候補者を選ぶように市町村に割り当てるわけでございます。   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕 で、この割り当てられました市町村の選挙管理委員会が、今度は衆議院の選挙に用いられます当該の市町村の選挙人名簿に登載された者の中から、それぞれ割り当てられた数の人数を第一群から第四群というふうなところでくじで選定しまして、その中から法律で定められている欠格事由のある者を資格審査してはずしまして、そのはずした分をさらにくじで補充しまして、それでそれぞれの百名ずつの人数を名簿に確定して、それを検察審査会のほうに送っておる。それで検察審査会のほうでは、その名簿に基づきまして、今度は毎年の一月、それから四月、七月、十月に、一月と七月が五人、それから四月と十月が六人でございますが、それぞれの名簿に基づきまして、五人と六人ずつくじでまた選んでいくわけでございます。それを審査員についてと補充員とについてと両方やりますので、合計しますと十一人ずつ、任期が六カ月でございますが、その途中で半数かわるという形で選ばれてきまして、純粋にそういう意味では機械的にくじで選ばれるということになります。で、選ばれた人のうちで、病気等によって欠けてしまった、あるいは何かの事故で欠格事由ができまして停止になった、職務停止になったという場合には、さらに補充員の中から審査員を選ぶというふうにして補充してまいります。  それから法律の八条というものがございまして、年齢の六十歳以上の者、あるいは国会あるいは地方公共団体の議員の方、あるいは国会の職員、官吏、公吏、教員、学生、生徒という者につきましては、届け出によってその職務を辞することができますが、さらに重い疾患とか、海外旅行その他やむを得ない事情があって、検察審査会から職務を辞することが承認された者、この者については審査員を辞することができるとあります。で、足らなくなれば補充員のほうからくじでやはり補充すると、そういうふうにして運営されております。
  101. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 事務総長にお伺いしますが、法律によりますと、そういうような抽出制選出の方法にはなってはおりますが、実際にはいろんな問題も、いまさっき私が鹿児島の例を申し上げたような件もあるし、国民自体もまたこのやり方については、かなり疑問を持っておる人もあるようでありますが、その点どうお考えになりますか。
  102. 安村和雄

    最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 検察審査会法が成立しました趣旨が、検察官が起訴しなかった事柄を、衆議院の選挙権を持っている人々の中から公平に選んで審査してもらうと、たいへんまあ国民的な趣旨でできております。そのために選ばれてきた人の中には、男性も女性もございますし、学識のある人もあれば、義務教育だけの方もある、職業もさまざまでございます。そういうふうな制度でございますから、それにまたじみな制度なものでございますから、なかなかPRには毎年努力しておりますけれども、行き届かない面があることは、これは御指摘のとおりだと思います。制度の趣旨としては、先ほど申しましたような趣旨のものでございますから、ただいまのような規定が、まずまず穏当な規定のしかただというふうに考えておりますが、問題はやはり運営の点に結局は帰するのだと思います。ですから、その辺を先ほど刑事局長の申しましたようなことは、たいへん概括な説明で一々の例をあげておりませんけれども、さらにこまかくいろいろなくふうをして、国民の皆さんに制度の趣旨を浸透するように、PRの点についてもできるだけ努力していきたいと、かように思っております。
  103. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあですから、私がお伺いしたいのは、要するにくじで当てるというんですがね、ここに問題があるように思う。しかし、まあ法令が発足した当時もかなり議論をされたことだろうと思いますが、しかし、現実においてはいろんな問題等も出てきておるのだし、その点はどうお考えになるか。もうすでに法律ができて、この制度が発足して二十六年間の間、全部くじでやってきたわけですな。その二十六年の体験を通じてどうお考えになるか、そのくじというやつをですね。  それといままで出てこなければ過料二千円ということですが、くじで当たって、私はそんなことは知りませんよ、一方的におまえたちがくじで引いたんじゃないか、忙しいのに出てこなければ過料というのは、どういうことだ、こういうような結果になるわけですよ。過料二千円とかそういうものをびしびしやらなければ、集まりも悪い。その辺の事情もわからぬでもないけれども、現実にいままで出てこない、欠席が多い、そういうことで過料を科した、そういうのは何件ぐらいあるんですか。
  104. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 法律の制度がくじ引きでというふうになっておりますのは、やはり国民のごく普通の人を公平に選択したいという気持ちのあらわれだろうと思っております。それでこれまでの間にも検察審査員を、そういうごく一般のレベルで構成していっていいのかどうか、もう少し資格を高めてはどうかという議論もございましたですけれども、この二十六年の運営状態から照らしますと、結論といたしましては、まだこのままいまの制度を維持していったほうがいいのではないかというふうに、まず考えてお答え申し上げます。  御質問のそれではどの程度の辞退というものがあるのかという点になりますと、ごく最近の統計、統計といいますか資料は持っておりませんのですが、昭和四十五年に一度調べたことがございますが、その際、四十五年中に選任された審査員、補充員の数が八千九百七十六人ありますが、そのうちで辞退を許可された者というのが八百二十九人ございます。したがいまして、正当な理由があって辞退を申し出てくれば、比較的その幅は広く辞退を認めているという状況にあるかと思います。いまの点は辞退率は九・二三%でございますので、その数字としては比較的幅広く認めているのではないかと思います。と申しますのは、確かに欠席する方が、先ほど申し上げましたように二十何%あるわけでございますが、これまで過料の制裁を検察審査会から地方裁判所のほうに申し出られた例というのは十一件でございます。四十八年までの間で十一件でございます。そのうちで実際に過料になったのは八件でございます。で、先ほどお話しに出ました鹿児島の例も、伺ってみますと、二十数回呼び出しを受けまして、事務局長がわざわざ行って、それでこの次は必ず出るという状態であったにもかかわらず欠席をしたというので、最後に欠席した分だけについて過料の申し出があって、それで過料になっているようでございまして、あれは特別何か事情のあった例外的なことであろうというふうに思っております。  そういうわけでございますので、その過料の制裁につきましても、運用としましてはこれまでもいろいろな事情について、こういう場合は認めたほうがいいというような例示を示しまして事務局長のほうには連絡してございます。もちろんそれは検察審査会が会長名義で申し立てるわけでございますから、事務局のほうは補助をするにすぎませんですけれども、その補助の任を尽くすようにこれまでもいろいろな事情について、たとえば重病人があって看護する者がいないとか、あるいは交通途絶した島嶼に居住する場合だとか、あるいは商用のために常時旅行がちであるとか、婦人審査員で子女の養育に著しく支障を生ずる場合、あるいは仕事の関係で休むとすぐ仕事を失ってしまう状況にあるとか、あるいは女医さんとか、保母さんで代替をする人がいないというような、そういう場合を例示にあげておりますが、そういう意味で広くその点については辞退を認めるような運用をむしろ伝達してあるというふうに御理解いただければ幸いと存じます。
  105. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それは当たった人から言わせると、おまえたちはかってにくじ引いたんじゃないかと言う。おれは忙しいのに、かってにくじに当てておいて、出てこなければ二千円罰だとか、それはまあ言い分はあるでしょうが、それにしてもそれはやっぱりこれだけこういう制度をつくる以上は、そういう点も相当PRしなきゃいけませんですね、決してこわいところじゃないんだとか。大体名前自体が、これは女中さんが当たったり、まあいろんな人がだれが当たるかわからぬですよ、これは。もう少し名前も、どうですか、これは民主化を、たとえば検察審査国民会議とか、もうちょっとスマートな、人が集まってきそうな名前にするとか、あるいは高等学校の社会科あたりで少し教科書の中に盛り込んでもらうとか、もうちょっとやりようがあるんじゃないか。なかなかこういう制度は知っておりませんですよ。知らないところへぽこっと来るものだからびっくりしちゃう。びっくりして出ていかなければ過料だと、どうもこれは少し検討する余地があるんじゃないかと思うわけですな。この辺はもうちょっとひとつまた考えてみてください。  それに今度は関連して、人がやっぱり寄るようにしなきゃならぬじゃないか、集まるように。一日休んで行くんですから。いま審査会に出て行ったら一日幾らになっているのか。これは裁判の証人に呼ばれたのは幾ら——大体あれくらいじゃないかと思うんですがね。証人で呼ばれた場合と、審査員というのはこれはちょっと性格は違うように思うんですが、証人の場合は幾らなのか、現在審査員は日当幾らなのか、その辺どうですか。
  106. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 証人の日当につきましては費用法によりまして二千二百円以下というふうになっております。それから検察審査員につきましては、証人の日当を下らないことという規定がありまして……   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
  107. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それは証人の……。
  108. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) はい、証人の日当を下らないことということになっておりまして、これまた二千二百円以下で検察審査会長がきめるということになっております。
  109. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 審査会員が二千二百円で最高ですね、証人も二千二百円と。証人は言うだけしゃべったら一時間で終わり、そういう場合もありますわね。審査員の場合にはやっぱり時間一ぱいやらなきゃならぬ。多少そこ違うのじゃないですか。しかも証人はこちらから聞かれた場合に証言を述べるだけで、審査員となりますと、一つの事件を頭をひねっていろいろと意見を述べていかなきゃならぬ。ちょっとこれ違うように思うのですがね。それ同じ二千二百円、この物価の高いのに。だから集まる人もないのですよ。その辺どうです、どう考えるのか。
  110. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 証人の場合は、証人によりまして時間数が非常に違うわけでございます。大体九〇%は一時間前後で終わりますので、証人につきましてはそういう場合はもっと安く支給しているように支給基準をきめてございます。したがって実際問題としましては予算単価の面からしましても検察審査員のほうが上になっておりまして、特にことしはそれをさらに多く予算単価をもらうように考えております。
  111. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ことしは幾らの予算要求ですか。
  112. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 予算単価は千七百円でございます。
  113. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 千七百円といいますと、最高幾らなんですか。
  114. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) もう少し詳しく説明いたしますと、予算単価といいますのは支給基準をきめましてそれの平均ということになっておりまして、で、証人の場合は、予算単価が千百円でございましてそれを時間によって割り振っていくということになっております。検察審査員の場合は、それがいままで千三百円でございまして、その幅というのはあまりなかったわけでございますが、それを千七百円というふうに本年度は増額してもらいまして、証人との差を大きくして審査員のほうの手当を多くしたいというふうに考えておるわけでございます。その審査員も場所によりましていろいろでございまして、ごく事件が少なくて短時間で済んでしまうのが多うございますものですから、全国平均にしますとそういうかっこうでよろしいのではないかというふうな考え方でございます。
  115. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすると時間制ですか。  それとまた、往復の交通費なんかどうなるのかですね。
  116. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 旅費はまた別でございまして、それは証人と同じでございますが、日当だけのことを申し上げたわけでございます。
  117. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 要するに審査員に来てもらうにはやっぱりそういうような点、日当の点もこれは一つの大きな魅力がないと出て来やしませんよ、実際ですね。それでお伺いしたわけですが、その点もひとつ善処してもらいたいと思いますね。  それから今度は、検察官が告訴人等を不起訴処分にしたときはすみやかにその不起訴にした旨を告訴人等に通知しなければならない、これは刑事訴訟法第二百六十条でありますが、その通知の中に、不服なら検察審査会に申し立てることができると、こういうふうに記載をすることに制度上はなっているのかどうか、その辺いかがですか。
  118. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 検察官にその記載を義務づける法令上の根拠はございません。したがって、その点は法務省と協議いたしまして、運用でやってもらうように努力しております。現在のところ、全部とまではいっておりませんが、相当程度に協力してもらって、不起訴処分になったときに、——多く口頭でございますが、口頭で伝えてもらうという状況でございます。
  119. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、そういう点も、やはりこの審査制をPRをする意味で、広く知ってもらう意味において、その通知の中にいま申し上げたようなことを記載すると。これは民主制度の上から当然じゃないかと思うんですがね。その点法務省はだめだと言っているんですか。
  120. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 法令を改正してそこまで規定するほどのことはないだろうと、運用上で協力するから、そういうふうにしようということでございます。
  121. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それは法務省はそう言いますよね。検察審査会のやっていることは大体は法務省の所管になるべきであるでしょうけれども、最高裁の所管になっているでしょう。最高裁の所管になったということに意義があるんじゃないですか。検察庁、法務省にこういうことをまかしておくと、検察庁の言いなりになるような検察審査会になってしまうから、これは所管を最高裁にしておこうと。それならそれであなた方がこの審査会をもう少し民主的に運営ができるように、せっかくこういうものができたんだから、いまはいろいろ問題があろうけれども、大きく育てていこうと、こういう趣旨でPRの一環として、不服なら検察審査会に申し立てることができる、この程度のことはちょっとこまい字で入れたってどうということはないんだ、それを法務省はそこまでしなくていいじゃないですかと。それはそう言いますよ、あなた。その辺のところをもっと詰めて、せっかく最高裁の所管になったんだから、最高裁が法務省にいかれてはしようがないですよ、そういうことじゃ。いかがです、それ。
  122. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 別に法務省に気がねをしてそういうことを申し上げているわけではございませんで、法令上に規定しなくっても法務省が協力してそうするから、そういうことでやろうというのが法務省の返事でございます。現実に先ほど申し上げましたように、そういうふうに伝えてもらっている例が非常に多くなっておりますので、今後さらにふえるんだろうというふうに期待しております。
  123. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ参考にお伺いしますけれども、検察審査会の取り扱いの事件ですね、先ほどは昭和四十七年度の受理件数が二千六百二十件ですか、このようにおっしゃったわけですが、この中で起訴相当、不起訴不当の議決をした件数は幾らありますか。
  124. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 先ほど申し上げましたのは新受件数でございまして、必ずしもその新受された事件について決定があったというふうには見られないわけでございますが、四十七年度で起訴相当、不起訴不当、つまり検察庁のほうに戻した事件でございますね、それは百六十五件でございます。
  125. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 その百六十五件を検察庁はもう一ぺんひとつ審査をやりなさいと返したわけでしょう。その百六十五件の中で検察が再捜査をいたしまして起訴をした件数はどのくらいありますか。
  126. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) これまた、検察庁のほうで四十七年度中に受理したものを総処理したかどうかというふうにはまいりませんが、四十七年度中に検察庁で処理した事件につきましては、つまり、検察審査会から起訴相当あるいは不起訴不当として検察庁が受理した事件について二十九件を起訴しておりまして、百二十四件が不起訴維持でございまして、合計百五十三件処理しております。
  127. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 二十九件が起訴になったわけですね。ということは、これは、しろうとの非専門家の検察審査会が審査をしておかしいじゃないかと、不起訴にしたのはどうも納得いかぬということで検察庁に回して、検察庁で再捜査した結果二十九件を起訴をしたという、相当働いているわけでしょう、これは。これは、まだ結果はどうかわかりませんが、二十九件の中で、しからば有罪になったのは何件ぐらいありますか。
  128. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) その点は、まだ、四十七年の分ですから正確には把握できておりません。
  129. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それならば、いま言ったようなことを、制度発足以来の総トータルで言いますとどうなりますか。はっきりと言ってください。
  130. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 制度発足以来四十七年の十二月までに起訴相当あるいは不起訴不当ということで議決のありましたのは三千六百五件でございます。
  131. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いや、その前に総受理件数は幾らですか。
  132. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 審査した件数は四万四千二百四十二件でございます。それで、そのうちの三千六百五件が起訴相当あるいは不起訴不当という議決になっております。そのパーセンテージは八・五%になっております。
  133. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから、その中で、三千六百五件で検察庁が起訴をした件数は幾らか。その起訴をした件数の中で、裁判の結果有罪となったのが何件なのか。それはわかっているでしょう。
  134. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 起訴したものが五百九十一件。不起訴を維持したものが二千六百六十三件でございます。で、この総合計が三千百五十四件になりますんですが、それはまだ判決が出ない分、それから若干報告がなくって落ちている分があるので合わないと思いますが、いま申し上げた三千百五十四件の合計数のうちで起訴になったものが五百九十一件、つまり、一八・七%が起訴になったということでございます。そのうちで判決の出たのが五百二十三件ございまして、そのうちで有罪になったのが四百六十五件、八八・九%。無罪になったのが五八件、一一・一%というふうになっております。
  135. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 結局、四百六十五件が有罪になったということは、これは、あなた方検察庁が捜査の漏れか何かがあったと、そういうことでしょう。それから、それをこの民主的な検察審査会が指摘をしたということは、大きな功績があるわけですからね。そういう意味におきまして、この点は、予算ももう少しいただいて、日当も増して、そして名前ももう少し人が集まるような民主的な、何とか検察国民会議とかいったようなぐあいに変えるとか、その辺もひとつ考えてみてくださいよ。  ただ、いろいろのこういう数字の面、たとえばいま申し上げました日当の安いようなこと、広報費が少ないようなこと、そのほか職員の補充ということもあまりしてないようですね。こういう点から考えて、いろいろまだ最高裁の力の入れようが足らないのかな、と思ったりするわけなんですね。たとえばあなたのほうのこの検察審査会の四十五年の決算書を見ましても、不用額のところに一千八十四万七千九百七十円、これは不用額と書いてありますが、これはどういうわけで不用になったのですか。
  136. 大内恒夫

    最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) これは検察審査会の事務官の欠員によるものでございまして、その結果不用額が計上されたということに相なっております。
  137. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 何人欠員になったのですか。
  138. 大内恒夫

    最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 昭和四十六年度について申しますと、三十四名でございます。
  139. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 検察審査会というのは、しろうとばっかりでしょう。当然こういう補佐官の、事務員の方もおらないと、サラリーマンやら労働者が寄ってきてやるわけですからね、これはもう職員の使命が非常に重大だと思うのですね。それをあなた、三十数名あなたのほうが欠員になって、予算もお返ししますと。欠員は欠員のままでほったらかしというようなところに、もうこれ、ちょっと熱意が足らぬところが見えておるわけでしょう。いかがですか。
  140. 大内恒夫

    最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 検察審査会は全国に二百カ所ほどございまして、総計で定員が一千人ほどおるわけでございます。その中で三十四名事務官が欠員に四十六年度は相なっておる。かような不用額が生じたわけでございますが、ただいま、先ほど来ずっと検察審査会の充実、強化につきましてたいへん理解のあるいろいろなお話を承りまして、私どもといたしましてもそうした職員の充員、また予算の充実、あるいはすべての面についての運営の強化といったようなことは、まことにそのとおりだと存じます。今後はそうした全体の問題を含めまして、この際気持ちを新たにしまして一そう充実してまいりたいと考える次第でございます。
  141. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そういう、ごもっともな御質問なんて、そういうことは言わなくてもいいけど、要するに三十数名も事務員欠員になっているのをほったらかしておく。そこにあなた、この制度に対する熱意のないところがあらわれているのですよ。そういうようなとこから考えて、先ほどからのあなた方の説明もあるけれども、その説明を私は全部が全部信頼するというわけにもいかない点が非常にあるように思いますからね。  それでまあ最後に私は事務総長にお伺いしますが、日本では刑事裁判で起訴ができるのは、これは検察官以外にはないわけです。ところが、その検察となりますと、まあこういったような言い方をして申しわけないかしれませんが、どうしても独善的におちいるような性格を持っておりますね。そういう点で戦後民主的な検察審査会というものが、この制度ができたわけですから、裁判所は有効にこの制度を機能させるようにしてもらわぬと、いろいろとまた問題になってまいるわけですからね。  そこで、この際、この制度が、法務省の所管にしなかったのは、審査会が検察の言いなりにならないようにと、そういう配慮から、裁判所の所管にした意義を十分再認識をしていただきたい。新聞等で拝見しますが、アメリカでは、審査会と同じじゃありませんけれども、同じように民衆で構成をされました例の連邦大陪審というのがありますね。あれがウォーターゲート事件で関係者を次々に起訴をして、ニクソン政権をゆるがしている。それで非常に脚光を浴びておるようでありますが、こういう点から考えてみますると、せっかくのこの民主的な検察審査会制度というものが日本にありますが、まだまだの感もあるようであります。したがって発足をいたしましてからすでに二十六年を経過いたしておるわけですから、先ほど来私が申し上げたようないろんな問題点をよく再検討なさって、今後に対処をしていただきたいと、これだけ要望しておきます。その点を最後に事務総長の答弁を承りまして終わりましょう。
  142. 安村和雄

    最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 貴重な御意見を伺いましてありがとうございました。御趣旨を体しまして十分努力したいと思っております。
  143. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 もうちょっと……。新しい最高裁判所ができますので、もう時間もありませんけれども、あんまりりっぱ過ぎるのか、いろいろと非難したような記事もちらほらと出ておるようでありますので、二、三最後にお伺いしておきます。これはもうまとめて申し上げますが……。  これは古い最高裁の建物と対比をして、まず敷地、床面積、どのくらい違うのか。それと債務負担行為等をおやりになってさらにその追加補正もありますけれども、これは総費用はどの程度かかったのか。それと建築単価はどのくらいになっておるのか。法廷と事務室とは建築単価はどのくらい違うのか。まずそれだけをお伺いしましょう。
  144. 大内恒夫

    最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) お答えを申し上げます。  まず最高裁判所新庁舎と旧庁舎の敷地、床面積の比較でございますが、現在の旧庁舎の敷地が二万二千四百八十四平米でございまして、新庁舎の敷地が三万七千四百二十七平米でございます。  次に床面積でございますが、旧庁舎は一万八千六百六十四平米でございまして新庁舎は五万三千九百二十三平米でございます。  次に予算でございますが、昭和四十六年度から四十八年度までの三カ年合計いたしまして百二十六億三千五百七十八万五千円でございます。  最後に単価と申しますか、これは法廷の建築工事費の単価が四十三万七千円、一般事務室、これは事務室も一般事務室だけでございますが、これが平米当たり十万八千円、かように相なっております。
  145. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから、もっぱらこの新庁舎に対しまして疑問が持たれておりますのは、小法廷が三つにふえたと、これはどういうことなんだと、よく新聞の報道等にも出ておるようですが、古い庁舎には一つしがなかったじゃないかと、一つで事が足っているのに、最高裁の権威を守るために、ただ、でかでかと建物だけ大きくして、三つも小法廷を置いたのは——というような批判も出ておるようですが、その辺のところはいかがですか。
  146. 大内恒夫

    最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 現在の最高裁判所の庁舎には、確かに御指摘のように、現在は小法廷が一個でございます。実は、建築当時小法廷が二つございましたが、その後、記者クラブのほうからの要望もございまして、一個をそのクラブ用に改造いたしまして——これは七年ほど前でございましたが、現在は一個というふうに相なっておるわけでございます。ところで、最高裁判所の中には、御承知のように、小法廷が——小法廷と申しますのは、部屋ではございませんで、裁判所のことでございまするが、三つあるわけでございます。第一小法廷から第三小法廷まで、それぞれ裁判官五人をもって構成されております。現在は一つしかございませんので、勢い、曜日によってその開廷日をきめる以外にはないと、こういう運用になっております。具体的に申しますと、火曜日が第三小法廷、木曜日が第一小法廷、金曜日が第二小法廷が使うと、そういうふうになっております。水曜日は大法廷を開廷する、かように相なっております。ところで、そういたしますと、その日が休日であることもございますし、それからいろんな行事等の関係でその日を使えない場合には、勢い、次の週、あるいはまたその次の週に開廷せざるを得ないというようなことがございまして、まあ三小法廷ございまして、実際の部屋が、法廷を開廷する場所が一カ所しかないということは、やはり非常に窮屈な運用に相なるわけでございます。そこで、最高裁判所庁舎新営審議会におきましても、そうした点の議論もございましたし、最高裁判所裁判官からもそういう要望がございまして、実際上、それぞれの小法廷の専用する小法廷が必要であるというところ等のことで、予算におきましても三つの小法廷がきめられ、現在も建築を、三小法廷つくっておると、かようなことでございます。私どもは、今後こうしたことによりまして裁判の運営がいままでのような窮屈さが幾らかでも解消すれば非常にいいことじゃないかと、かように考えておるわけでございます。
  147. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 わかりました、説明は。まあ説明はごりっぱだと思いますが、要は、日本の裁判は非常に長過ぎると、五年も十年も二十年もかかっている、そういう非難もあることも御存じでしょうから、せっかくああいうのができた以上は、国民の要望に私はこたえていかなきゃならない。それには裁判ももう少しスピーディにやっていただくとか、そういうような点もせっかく考慮なさっておやりになれば、それは国民もまた喜ぶかしれませんが、その辺はいかがですか、これはあなたに聞いてもわからぬかもわからぬけど。
  148. 大内恒夫

    最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) ただいまお話しのとおりでございまして、今後もさらに質の困難な事件もふえてまいりましょうし、事件もいろいろ増大することであると思いますが、ただいまの御趣旨はよく上司にも伝えまして、今後とも裁判の迅速化ということに努力いたしたいと、かように考えます。
  149. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃこれで終わります。     —————————————
  150. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 委員異動について御報告いたします。  ただいま小林国司君及び二木謙吾君が委員辞任され、その補欠として黒住忠行君及び矢野登君が選任されました。     —————————————
  151. 加藤進

    加藤進君 私は占領時代に米軍によって持ち去られましたいわゆる接収文書の返還の問題についてお尋ねをしたいと思います。  この問題は、すでに再三にわたって国会でも論議されましたし、国民世論の中にも、ぜひとも一日も早く全面的な返還を実現してほしいという声が各所から起こってまいっています。特に、歴史学会をはじめとして研究者の方たちにとっては、この文書はまさに日本の現代史における不可欠の重要な文献であるということで強く返還の要望があり、返ってきたものについては、これをぜひ早く公開してほしいと、こういう要望のあったことは、政府関係の皆さん、あるいは図書館関係の皆さんも十分御承知のとおりだと思います。これほど大きく国民の側から要望が高まってきていたにもかかわらず、また、図書館やあるいは政府関係におきましても、それなりの努力を払われたことにつきましては、私も否定をしません。しかし、にもかかわらず、結果においてはどうかというと、すでに二十数年にわたって日本の国民の貴重な資産が米側にあって、なお今日返還の運びに至っておらないということ、これは一体どういうわけなんだろうかと、どこに問題があるんだろうかと、こういうことは私は国会においてはっきり国民の前に明らかにしていかなくてはならない重大な問題だと考えるわけでございます。そういうさなかに、報道によりますと、去る一月の十四日に、久々にアメリカから、接収された公文書約四百点が日本に返還され、これが国立公文書館に収納されたと聞きます。その意味ではまことにけっこうなことだと思います。  そこで、こういう文書はどこの、あるいは図書館か、あるいは政府の所管か存じませんが、どこから日本に返還されてきたのか、またその種類や、内容はどういうものであるのか、分量はどれくらいか、こういう点について、収納を受けられました国立公文書館の側でけっこうでございますけれども、御説明をいただきたいと思います。
  152. 小渕恵三

    政府委員(小渕恵三君) お答えいたしたいと存じます。  先生御指摘のように、去る一月十四日に米国から返還されました接収公文書は、国立公文書館に直接搬入されまして、現在整理を進めております。  そこで、どこからということでございますが、アメリカの国立国会図書館から返還されたものでありまして、分量はカートンにいたしまして百五十ケースに相なっております。現在その整理を急いでおるというのが現在の状況でございます。
  153. 加藤進

    加藤進君 なお、その内容、種類についていかがでしょうか。
  154. 小渕恵三

    政府委員(小渕恵三君) いまお答え申し上げましたように、返還されました公文書は、送付リストも添付されておりませんので、その内容の整理をいたしませんと、内容がよく詳細にはわからないというのが状況でございます。
  155. 加藤進

    加藤進君 すでにもう二十日間になりますね。まだそのような整理の進捗は見られない状況でしょうか。
  156. 小渕恵三

    政府委員(小渕恵三君) 国立公文書館長より御答弁さしてよろしいでしょうか。
  157. 岩倉規夫

    説明員(岩倉規夫君) お答えいたします。  去る一月十四日に搬入せられましたアメリカの議会図書館にありました公文書でございますが、先ほどの先生のおっしゃいました点数、この点数につきましては、私どものほうでカートンを開きましたところが、一点一冊になっておりますもの、それからひもで縛ってありまして内容が何件かに分かれておるもの、そういうものをすべて袋に入れ直しまして、一冊のものは一点、それから数点梱包してありますようなものはまたこれも一点というふうに数えまして、ただいまのところ約二千二百点に相なっております。その内容は、そのうちの約三百五十点が各省庁関係、それから旧陸海軍の関係が約千点、それから旧警察関係が五百点、残りが、その他民間のものも相当含めまして三百五十点、ただいまそういうことでございまして、時代区分をいたしますと、明治の初年から戦後昭和二十三、四年ぐらいまでにわたっております。で、各省庁別はいま申し上げましたように非常に混在しておりますが、それのいま物理的な整理をやっております段階で、ただいまのところいま申し上げましたような整理がようやく終了したというようなところでございます。
  158. 加藤進

    加藤進君 そうしますと、これは政府のどなたかにお聞きするべき問題だと思いますけれども、今回の返還によってアメリカに接収された文書、図書類はどれくらい日本に返ってきておるのか、その内容は簡略でよろしゅうございますけれども、おおよそ御説明を願いたいと思います。
  159. 角谷清

    説明員(角谷清君) 公文書の関係につきましては、すでに昭和三十三年におきまして、アメリカ側から旧軍関係を中心といたします約一万六千八百冊というものの公文書が返還されておりまして、この大部分は現在防衛庁の戦史室に保管されております。で、今回のただいま御説明ございました公文書が、いわばそれに続いて第二陣というかっこうになる次第でございます。
  160. 加藤進

    加藤進君 そうしますと、ちょっとお尋ねしたいんですけれども、アメリカ側から外務省に対して今度の返還で公文書類の返還は完了したというようないわば話があったということを私は聞いておりますけれども、それは事実かどうか、また外務省側から見て、いや公文書類の返還は終わってはいない、まだあるはずだと思われるのか、あるいはこれで完了したと判断されるのか、その点をお聞きしたい。
  161. 角谷清

    説明員(角谷清君) この話し合いの過程におきまして、今回公文書を送ってまいりました際に、米側といたしましては、まあ一応これで終わりではないかというような感触をお聞きしておりました次第でございます。ただ当方といたしましては、これで完結かどうかということは必ずしもわからないわけでございまして、多少疑問視しておるわけでございまして、まだアメリカ側の関係の施設に若干あり得るかどうかという点につきましては、今後とも関係の方面とお話し、協議いたしまして、そういうめどがあればこれはさらにアメリカ側と話を進めていきたい、このように考えております。
  162. 加藤進

    加藤進君 そうすると、まだ残っておる可能性もあると。したがって今後さらに調査をし、折衝をして、その分についても返還の努力をする、こう理解してよろしゅうございますね。
  163. 角谷清

    説明員(角谷清君) 仰せのとおりでございます。
  164. 加藤進

    加藤進君 そこでこのたび返還を受けた資料についてでございますけれども、この文書につきまして、研究家の側からもぜひ早く整理をして公開してほしいという要望が強いことは御承知のとおりでありますけれども、これはもし懸念すべき問題があるとすると、いろいろなところに分散されるという危険だってこれはあり得ないことはないと私たち考えるわけでございますけれども、これを一括して国立の公文書館に保管をし、そうしてこれを公開する、こういう方針を持っておられるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  165. 小渕恵三

    政府委員(小渕恵三君) その方針で進んでまいりたいと存じます。
  166. 加藤進

    加藤進君 そこでお尋ねしますけれども、これはいつごろまでに整理、分類が終わって、そうして公開の運びになるでしょうか。そのめどはどの点にあるのかお知らせ願いたいと思います。
  167. 岩倉規夫

    説明員(岩倉規夫君) ただいま鋭意やっておりますが、ようやくまあ物理的なこの整理が終わった段階でございまして、これからさらに、たとえば一冊につきましても、数件の文書あるいは数十件の文書が一冊の書類の中にとじ込まれております。そういうものの目録の作成とか、これにはやっぱり、非常に長いことではございませんけれども、これからやっていくわけでございますけれども、若干の時間的な余裕をちょうだいしなければと思って、鋭意いま館をあげて整理をやっておるところでございます。
  168. 加藤進

    加藤進君 大体の見当として、いつごろまでということはお聞かせ願えないでしょうか。
  169. 岩倉規夫

    説明員(岩倉規夫君) まあいまのところ四、五月ごろまでには何とかめどをつけたいというふうに考えてやっておりますわけでございますが。
  170. 加藤進

    加藤進君 続いて防衛庁にお聞きしたいのですが、いらっしゃいますね、防衛庁関係——  昭和三十三年に相当の量のアメリカに押収された文書、資料が日本に返還されたということは、先ほどの言明でも明らかでございますけれども、これが防衛庁の戦史室に保管されておると聞いておりますし、その点は確実にそうだと言えるんでしょうか。
  171. 相川清

    説明員(相川清君) そのとおりでございます。
  172. 加藤進

    加藤進君 これはどれくらいの分量なのか、またその資料はどんな内容のものであるか。そしてこれは公開されておるのかどうか。この三つの点について簡潔にお答え願いたいと思います。
  173. 相川清

    説明員(相川清君) 戦史室で保管しておりますところの返還資料は、旧陸軍関係資料で約七千冊でございます。それから旧海軍関係資料で一万五千冊、計約二万二千冊でございます。先ほどそちらのほうからございました一万六千冊ということでございますけれども、最近製本が進むに従いましてわかってまいりました。約二万二千冊であります。  それからその内容ということでございますが、内容は主として明治以降の陸軍省、海軍省の決裁文書並びに接受文書、こういうものでございます。  それから最後の公開の点でございますが、公開につきましては、私どもはこう考えておるわけであります。まあ旧軍の返還資料というものは、これは国民のものでございますので、広く国民に公開・利用されるべきものであるというふうに考えております。従来戦史室のほうで保管しておるわけでありますが、これらの史料につきまして外部からの閲覧希望もございます。それらにつきましてはいまだかつて一度も拒否をしていない。要望に応じておる。つまり、公開をしておるというふうに考えておる次第であります。  以上三点、お答えいたしました。
  174. 加藤進

    加藤進君 そこで、私ちょっと懸念する点があるんですが、旧陸海軍、いわば軍関係の史料ですね。この軍関係の史料は防衛庁に引き渡されるというのはどういう理由なんでしょうか。軍関係のあと継ぎですか、防衛庁は。その点、どういうふうにあなたたちはお考えになっておるんでしょうか。
  175. 相川清

    説明員(相川清君) これは多少いきさつがあるようでございますが、当初、復員局のほうで返還事務の窓口に当たっておったようでございますが、三十一年になりまして復員局のほうで防衛庁が窓口になって処理してほしいということで、外務省を通じまして返還交渉が積極化したわけであります。その結果、三十四年に——三十三年でございますか、間違っておりましたら訂正願いたいのでありますが、返還文書が返ってまいりました。その後、国立公文書館というようなものができたわけでありますが、その間に防衛庁のほうといたしましては、防衛研修所内に戦史室というものがございまして、この戦史室が戦史の編さん、それから戦史の研究というのを大きな課題にしておりますので、これらの文書がこれらの仕事をなす上におきまして非常に利用価値が大きいわけであります。そういう意味におきまして、国立公文書館の御了解も得ましてわれわれ保管しておる次第であります。
  176. 加藤進

    加藤進君 そういう説明ではちょっと納得しかねるわけですが、ともかく、旧陸海軍はもう敗戦によって解体されたはずですね。——そうでしょう。平和憲法のたてまえからいうなら、この旧陸海軍を受け継ぐべき省庁というものは、もう当然のことながら存在しないんです。だから何も戦史関係の史料として役立つと、こういう御判断だけでこれを、まあ、かってということばはどうかと思いますけれども、これを防衛庁の中に貯蔵する、しまう、保管する、こういう筋は私は納得しがたいことであって、国立公文書館が存在するならあっさりと国立公文書館に移管されたらどうかと、私は実はその点について言いたいんでありますけれども、こういうお考えは防衛庁の側にはないかどうか、ちょっと確かめたいと思います。
  177. 相川清

    説明員(相川清君) ただいま鋭意作成しておりますのが太平洋戦史でございます。これは御存じのように、わが国がいわば全力をあげて戦ったという過去の歴史でございますので、これを作成するというのはわれわれの世代の義務じゃないかというふうに考えております。また、防衛研修所の戦史室には総理府令によりましてそういうふうな戦史の研究・編さんということが義務づけられておりますので、そういう意味においてやっておるわけであります。この戦史もだいぶ編さんが進んでおります。ただいままでにたしか約九十巻出版されております。あとわずかでありますが、その間は公文書館の了解も得ましてわがほうで活用さしていただきたい、かように考えておるわけであります。
  178. 加藤進

    加藤進君 戦史の研究をやられていること、これを私全部否定するわけではありませんが、しかし、それは防衛庁でやるという仕事ばかりではなしに、民間の研究家の諸君だってそれなりの立場に立っていろいろ研究される必要がある、また研究すべきものである、大学関係でもこれは利用しなければいかぬ。ところが、これを戦史室の中でほとんどひとり占めにしておられるというのが現状ではないかと私は疑惑を持っています。この点について国立公文書館のほうのお考えはいかがでしょうか。私の考えからいうなら、一番国民の納得する保管のしかたは国立公文書館ができてあるんだから、この国立公文書館に引き継いで国民のために十分に利用に供すべきである、私はこういうふうに考えますけれども、館長はいかがでしょうか。
  179. 岩倉規夫

    説明員(岩倉規夫君) 国立公文書館ができましたのは昭和四十六年の七月でございます。ただいまおっしゃっております防衛庁の書類がそれよりはるか以前にございます。当時公文書館はできておらなかったものですから、しかも戦史の編集の仕事というものはずっと継続されておりまして、絶えずその書類を参照しなければならないということで、現在防衛庁が保管しておられるわけでありますが、今後この問題につきましては慎重にひとつ両府庁間、まあ、この文書のことは公文書館が直接やるべきものか、それとも総理府がやるべきものかの問題もございましょうが、そういうところで防衛庁とよく調整をはかりまして、これが広く一般の利用に供されるような方法で処理してまいるのが一番よろしいのではないかというふうに考えております。
  180. 加藤進

    加藤進君 とにかく前向きに検討するというふうに理解していいですね。  そこで、先ほど防衛庁の方は、一般に公開してだれにも見せております、だれも断わったことはございませんとおっしゃいましたね。これ、ほんとうですか。私、証拠出しましょうか。これは歴史評論に出ております。レイテ戦記を書かれた大岡昇平さんの談話が歴史評論に載っております。お読みしましょうか。「私は、『レイテ戦記』の途中で防衛庁戦史室の協力をえたので、あまり悪口いうのは具合悪いんですが、史料は全然見せてくれない。係のひとが私の質問した事項に限って、史料を自分のひざの上にひろげて口頭で教えてくれるだけで、私はそれを筆記して帰ってくるという形なんです。表向きの理由は、史料は終戦後それぞれの軍人が提出した生のものですから、お互いに誹謗が含まれてることがある。それを一部だけ見て引用されると間違うし、もめるということなんですが。」、こういうんです。図書館の皆さん、こんな状態でいいでしょうか。こんな状態で防衛庁の戦史室の中に入っていて、これで一般の使用に供した、研究者には十分便宜をはかっておるといえるでしょうか。その点についてはっきりしたお答えをください。
  181. 相川清

    説明員(相川清君) 私、もう少し詳しく伺いたいのでございますけれども、大岡先生がレイテ戦記を書かれるにあたりまして、公文書を要求されたのか、それとも戦史室ではあの太平洋戦史に関します約十万点の史料を収集しております。その中にはそのいくさに参加いたしました個人の回想録であるとかあるいはメモとか、そういうものがあるわけであります。これも史料、その十万点の一部をなしておるわけであります。ところが、厳正な戦史を書くという意味におきましてそれらの協力を求めたわけでありますが、その提供してくださいます方の中には、これは口外——人に見せてもらっては困ります、あるいはいついつまでは見せていただいては他人の攻撃といいましょうか、そういうふうなことにも相なる性質のものでありますので、これは見せないでいただきたい、こういう約束のもとにいただいたものが回想録、メモ等の中には相当ございますので、私察しまするに、そういうたぐいのものでなかったのではないかというふうに考えるわけでありますが、なお調べまして、間違っておりましたら取り消さしていただきたいと、かように存じます。
  182. 加藤進

    加藤進君 私は、米軍の接収図書の問題についてできるだけ国民の前に公開すべきだと、こういう点で質問をしているのです。ですから、大岡さんのこの談話につきましても、対談につきましても、そういう観点の内容だからこそ私はいま引用したわけでございますから、これはもう一般論の論じゃございません。そういうことがまず第一。  それからもう一つ、こういうアメリカから返還された文書について、なぜ防衛庁の戦史室だけがそれほど一存によってあれは出してもいい、これは見してはならないなどというようないわば区別をされるのか。私は、区別は決して全然なくせよと言っておるわけではございません。国立公文書館には公文書館なりの取りきめがあると思うのです。この範囲のワクの中においても十分に今日研究家の皆さんの使用に供せられ、われわれだって勉強したい問題が多々あります。こういう点についての利用を十分にやってもらうという観点から見ても、いま言われたような質問については、私はこういう文書館のあり方は正しくないということをまず申し上げておきたいと思います。  もう一つあります。あなたたちがこうして防衛庁の戦史室の中に、ほとんど非公開という状態で特定の一部の方たちにだけ便宜を供するということをやっておられるから、結果においてどうなったかという問題であります。あなた御存じですか、アメリカでどう言っておるのか。せっかくアメリカが苦心惨たんして日本に送り返しても、日本の防衛庁はこれを公開しないじゃないか。研究するためなら、防衛庁や日本にまかせなくて、アメリカに置いておいたほうが世界じゅうの人たちの研究家の便宜に供し得るのだ。これが、今度の、返還を今日までおくらしておる大きな原因になっておるということですよ。そんなことはありませんというあなたたち弁明ができますか。こういう事態が、まさに今日アメリカと日本との文書の返還の過程にあるということでございまして、こういう事態を打開して、アメリカの好意もあるでしょう。われわれ国民からは当然請求し要求すべき権利も私たちはあると考えていますが、そういう立場に立っての外交折衝の正しいルートができるのであって、日本に返すのはいいけれども、日本においては秘密になっている、公開もされないというような状態では、いわば図書館人としての良心に対してこれは許せない、こういうふうに判断されるのも私は理屈が通ると思うのです。こういう事態について、私は図書館長、公文書館の館長の御所見を私この機会に承っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  183. 岩倉規夫

    説明員(岩倉規夫君) 公文書館に関しましては公文書館利用規則というのがございまして、「公文書館が管理する公文書は、公開するものとする。」という条文がございます。ただし、私どものほうにも実は寄贈、寄託を受けることができることになっておりまして、その場合に、個人がたとえば政治関係の個人の日記を寄託する、あるいは寄贈するという場合があるわけでございますが、そういう場合には、寄贈または寄託にかかる文書であって一定の期間公開しない、してくれるなという条件が付されているもの、これにつきましては、その一定の期間その条件に従うという取り扱いをいたします。  それからもう一つは、個人の秘密保持、そういう関係のかりに文書がありました場合、その個人の秘密を保護するために、一定の期間公開することが不適当だと認められるものにつきましては利用を制限することができる、そのように利用規則に規定してあるわけでございまして、その範囲でやっておりますが、すでに寄贈または寄託を受けましたいま文書がございますけれども、私どものほうには、そういう条件を付して寄贈になったものはいまのところございません。無条件で寄贈、寄託をされたものだけが現在あるわけでございます。
  184. 宮坂完孝

    ○国立国会図書館長(宮坂完孝君) お答え申し上げます。  文書、すなわち公文書につきましては、公文書館の御管轄でございますので、わがほうが直接処理いたしておるわけではございませんが、先年、三十四年に、防衛庁の戦史室に入りました文書の一部が、アメリカの議会図書館から直接私の館に御寄贈がありました。それは百六十四リールのマイクロフィルムでございまして、私たちといたしましては、憲政資料室にこれを保管いたしまして、一般の方々に利用していただいており、特に非公開とか、あるいはまた閲覧制限ということはございません。
  185. 加藤進

    加藤進君 防衛庁のほうから一言ございますか。
  186. 相川清

    説明員(相川清君) たびたびおことばを返すようでございますが、私も非常に関心を持っておりまして、再三にわたりまして部外の方の利用状況調査したわけであります。昨年もやりましたし、今回またやりました。その際に、公開を拒んだというケースは全くないわけであります。特定の者にのみ公開しているとおっしゃいますけれども、私どもちょっと合点がいきかねるわけであります。  ただ、物理的な要因といたしまして、アメリカから返ってまいりました返還文書は、先ほど話がございましたように非常に膨大なものでございまして、なおかつ、昔の陸軍省、海軍省で編綴したものは、いわゆる糸でこうとじたもの、これを返送にあたりましては、ダンボールに入れる関係上、なたでばっと切ってあるというような関係で、その一册がもうばらばらになっておるということが一つ。それから、中には、よじれておるというようなものもきわめて多かったわけであります。したがいまして、いままで一枚一枚そういうものにつきましてはアイロンをかけまして、そして編綴をし、製本をやってまいったわけであります。その間、そういう作業過程にあるものについては多少御迷惑をかけているものがあるかもしれないと、こういうことでございました。  もう一点は、すでに貸し出しをしておる、あるいは閲覧をしておるというような関係で、御要求がありましてもその場では応じられなかったというようなものがあるというふうに感じておりますので、こま点はまた先生御指摘があるかと思いますけれども、特別にそういうことがございましたら、私どもの認識と異なっておりますので、よく調査いたしまして、さようなことがないように善処したいと、かように存じております。
  187. 加藤進

    加藤進君 私、二点だけ防衛庁に要望しておきます。  その一点は、いまお話を聞きました。もしそのようにやられておるとするなら、私などのところへ数々の苦情やあるいは要望は出てこないのではなかろうかという感じはしっかり持っています。したがって、いま言われることがそのとおり真実といたしまして、お願いしたいのは、今日、公文書につきましては、国立公文書館がありますから、国立公文書館の状況に準じて、資料館につきましても、戦史館につきましても、これを一般の国民の研究使用に供すると、こういうことはお約束できますね。その点が一つ。  それからもう一つ、私は、希望するならば、戦史室というような特別なところに、防衛庁の管轄の所にこのような公文書を置いておかないで、本来国民の財産でございますし、国民共通のやっぱり貴重な資料でございますし、また広く言えば、国際的にもこれは重要な意味を持っている資料でございますから、これを国立の公文書館あるいは国立国会図書館に委託されるという措置をとるような御検討をされるかどうか。この点、私は二点お聞かせ願いたいと思います。
  188. 相川清

    説明員(相川清君) 最初の御質問でありますが、一般研究家の用に供することを妨げるというようなことがないかということにつきましては、お約束いたしたいと思います。  第二点でございますが、こういう旧軍関係の文書は、できれば、他省庁ということばも出ませんでしたけれども、ある一カ所に置いて保管したほうがよろしいではないかという趣旨に承ったわけでございますけれども、これは現在、先ほども申し上げましたように、太平洋戦史の作業が終わりに近づきつつあるということが一つございますが、実は返ってまいりました返還資料というのは、二万数千冊、先ほど申し上げたとおりあるわけです。そのほかに、この戦史室に、先ほど申し上げました回想録、それからメモのたぐい、それから個人が持っていったものの複写、そういうもの、これが実に十万点ほどあるわけでございます。そのほかに軍事図書と申しますか、旧軍当時の操典類とか、あるいは外国のいくさに対しますところの戦史類というような図書が二万八千冊でございますか、そういう数にのぼっております。これらのものは、何といいますか、相補い、相補完して、こちらを見てまたこちらを見るというような利用のしかたが非常に効率がいいわけでありまして、そういう意味で、現在一括保管をしているほうが効率的であるというふうな観点から保管さしていただいておる、こういうことであります。
  189. 加藤進

    加藤進君 公文書館にちょっとお尋ねしたいけれども、公文書館としましては、こういう状態で防衛庁の戦史室に置かれておるということは、私たちの立場から言えばきわめて不正常だ。したがって、本来公文書そのものを管理するという意味からみて、国立公文書館の管轄のもとで国立公文書館のやっぱり基準に基づいて公開するということが私は願わしいと思いますけれども、そういう願望にこたえて、よろしい、もし防衛庁が決断されるならば私らのところで引き受けましょうと、こういうことは考えていただくことはできましょうか。
  190. 岩倉規夫

    説明員(岩倉規夫君) 私どもの役所は、非現用の公文書を長く保存し、また広く利用に供するために建てられた組織でありますから、そういうふうな各省庁の文書が移管を受けるならば、いまの設立の趣旨、目的に沿った方向で保管するにはやぶさかではございません。
  191. 加藤進

    加藤進君 そうしましたら、防衛庁の方の御意見も私はお聞きしておりますが、同時に、政府としまして、こういう事態ですから、これはもう少し国民の側から見て、あるいは国会のわれわれの側から見て、筋の通ったフェアーな形で保管をし、そして国民の財産としてこれを利用し、研究に供するということが必要だと思いますけれども、その点は政府として前向きにお考えいただくことができるのでしょうか、その点をお聞きしたいと思います。
  192. 小渕恵三

    政府委員(小渕恵三君) いままでの経緯を聞いてみますると、やはりいま公文書館長が申し上げましたように、その帰属につきましては、まだ明確な答えが出ておらないと承っております。したがいまして、総理府本府の付属機関の公文書館ではありますが、総理府といたしましては、防衛庁ともよく相談をいたしまして、この資料が真に国民の財産として国民に利用されるということを前提にいたしまして、その帰属につきまして調整してまいりたいと思います。
  193. 加藤進

    加藤進君 前向きにひとつ努力をしていただきたいと思います。  時間も十分ございませんので、引き続いてお尋ねしますけれども、いま政府関係におきましても、あるいは図書館を通じてみましても、一体どれだけの文書があの当時米軍に接収されて、それが一体アメリカのどことどことどこに収蔵されておるのか、こういう実態につきましては、どうでしょうか、皆さんのほうではっきりいたしましたと、調査をいたしましたと、こういう状況なんでしょうか、どうでしょうか。
  194. 角谷清

    説明員(角谷清君) 一昨年ないし昨年来国会の御指摘もございましたので、昨年担当の者をアメリカのほうへ派遣いたしまして、まずどういう事実であるかという事実把握と申しますか、事実認識というものが根本であろうと思いまして、実は派遣いたしたわけでございます。  で、その調査の結果でございますが、関係のアメリカ側の施設といたしましては、一つは米国議会図書館というものがございます。それからもう一つはナショナル・アーカイブス、米国国立公文書館というところがございます。それから三番目にメリーランド大学のマッケルディン図書館というのがございます。それから考えられます四番目はマッカーサー記念館というものでございまして、これらの施設につきまして調査いたしました。ただ、時間等もあんまり十分でございませんでしたし、何ぶん膨大な施設でございましたので、調査の結果は必ずしも十全ということは言えなかったと思います。  しかしながら、若干の事態がはっきりいたしまして、たとえばまず米国の議会図書館におきましては、わが国において戦前戦中に発行されました通常の商業的単行本、発禁本、満鉄、東亜研究所関係の本等々、いわゆる接収図書というものが約二十八万冊あるようでございます。ただ、これはほかの日本関係の図書と混在しておりまして、まだその整理も十分されておりません。したがいまして、この詳細等につきましては分明でございませんし、さらに整理登録には長期間を要するであろう、こういうことでございました。  もう一つは、この米国議会図書館におきまして、いわゆる発禁本というのがございます。千八百三十六冊という数字をわが方であげまして、これの返還につきましてアメリカ側と話し合っているわけでございますけれども、これにつきましては、当時これは実は昨年の四月でございましたが、調査員が参りました時点におきましては、先方図書館の要員が一名で、非常に整理がおくれておるということで、当時はまだはっきりしておりませんでしたけれども、実はきわめて最近におきまして、このいわゆる発禁本というもので米国議会図書館に保管しておると考えられるものは約七百八十一冊という数字を申してまいりました。それから先ほどお話がございました公文書百五十ケースでございますか……
  195. 加藤進

    加藤進君 あまり詳細でなくてもけっこうでございます。
  196. 角谷清

    説明員(角谷清君) そうですが。それが図書館の関係でございます。  それからナショナル・アーカイブズにおきましては、若干の、米国の戦略爆撃調査団と、あるいは極東軍事裁判関係のもの等があるようでございます。それからメリーランド大学、マッケンジー図書館におきましては、米国占領中、検閲のために当時のGHQの民間検閲局、これに一部ずつ提出いたしましたものの図書約六万冊、新聞約一万三千タイトル及び定期刊行物約一万タイトルと、こういうものが保管されておるようでございます。それからマッカーサー記念館におきましては、マッカーサー将軍の第二次大戦中の関係記録、GHQ時代の英文資料書簡類等のみでございまして、わがほうが返還を求めておる公文書とか図書等は一切なかったと。  以上申し上げましたような結果を得たわけでございます。
  197. 加藤進

    加藤進君 説明をお聞きしましたけれども、これ、昨年のこの参議院決算委員会で、大河原政府委員でございますか——寺前さんですから衆議院ですね、衆議院で説明されていることと大体同じなんですね。したがって、これはあるようでございますというような推測が非常に多く入っていると。また向こうの報告を信ずればこうだというようなことが今日まで続いておるということが私は一つ問題ではなかろうかと考えております。  そこで、昨年の四月、こういう問題が国会で出されたときに、国立公文書館の中島庶務課長さんがアメリカへ急遽行かれましたね。そして十一日間とにかく調査されました。それで十一日間調査された結果を非公式ですけれども、こういうふうに言っておられますね。「より本格的な調査の必要を痛感し、その旨意見具申を行なった」と、こう言っておられます。私はこれはうそじゃないと思っています。これほどいわば実態がまだ明確になっておらない。国民の側、研究者の側から返してほしい、返してほしいと言う。しかし実態がわからぬで、一体どれだけ全面的な返還をかちとることができるかという重要な問題が私は今日あると思うんです。  そこで、私は再三この国会においても提案されながらまだ十分に実現しておりませんけれども、ひとつ政府側と、あるいは図書館側、また民間のほうからも今日まで何度も足を運んで研究に当たっておられるような研究家の皆さん、こういう学会、研究者の方たちの代表も含めた調査団を編成して、ひとつ十分な実態調査をまずやらなくてはならぬ、やるべきが当然ではなかろうかと、こういうふうに私は考えますけれども、すでに昨年の段階におきましても、宮坂図書館長も一そう調査するように努力しますと約束されておりますし、大平外務大臣も調査団を派遣することは検討すると、こういうことを言っておられるわけですけれども、その後依然としてこれが進行しておらないという点で私はぜひとも政府にお願いしたいのは、このような調査団の編成、調査団の派遣に踏み切る、そして民間人あるいは研究者の方たちの協力もこの際十分に得る、こういうことについて所見をお伺いしたいと思います。
  198. 小渕恵三

    政府委員(小渕恵三君) お答えいたします。  昨年来の経緯につきまして、いま先生から御指摘がありました。なおアメリカにおける資料はかなり膨大なものが残っておるという調査も一応済んでおるようでありますけれども、なおかつ詳細な調査等が済んでおらないようでございますので、政府といたしましても各関係省庁と御相談申し上げまして、御指摘のようなりっぱな調査団が派遣できるように努力をいたしてみたいと存じます。が、率直に申し上げまして、総理府といたしましては、来年度予算におきまして、かような御指摘のような調査団を送るだけの予算的処置がまだ講ぜられておりませんので、この問題につきましては他省とも十二分相談いたさなければなりませんので、相談の上、趣旨に沿うようになお努力をいたしてみたいと思います。
  199. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 加藤君、時間がきました。
  200. 加藤進

    加藤進君 はい、わかりました。もう最後です。  予算措置につきましては、われわれ国会も協力しますから、ぜひとも予算措置も含めて、補正をやられてもけっこうでございますから、大いにやっていただきたい、こう考えます。  最後に、私は大局的な問題を聞きますけれども、これほど長い年月かかって、しかもほんの一部しか日本本土には返えされてきておらないという一体一番大きなネックと申しますか、原因はどこにあるだろうかということを私は常々考えてきておるわけでございますけれども、私は率直に図書館側の方たちに聞きますけれども、図書館としまして、アメリカの図書館側との間に親密な交流関係が私、今日も続いてきておると思います。私は図書館側の方たちがアメリカのほうが非常に冷たいとかあるいは非協力的だなどというふうには受け取っておられないじゃなかろうか、その問題については相当協力的であり理解が深いというふうに言ってもいいじゃなかろうかというふうに考えておりますけれども、図書館側の見解はいかがでしょうか。
  201. 宮坂完孝

    ○国立国会図書館長(宮坂完孝君) ただいま加藤先生の御判断に基づくわが図書館とアメリカの議会図書館との関係はお説のとおりでございまして、そのおい立ちの歴史から見ましても非常に友好関係を進めて、相互、国際図書館の協力の実をあげておるわけでございます。しかし、本件につきましては、何と申しましても私の感触では、これは戦争によってでき上がった事態でございまして、これを解決していただくにはどうしても国と国との交渉の線に乗せて御交渉願わなければならぬ点があるのじゃないか、私たちはむろん図書館間の協力の線に沿いまして大いに努力をいたしまして、その調査にはこれからも大いに努力したいと存じますが、何ぶんにもそういう関係でございますので、御了承いただきたいと思っております。
  202. 加藤進

    加藤進君 最後です。いまの図書館長のお話でも明らかになりましたように、これはもう政府間折衝を待つ以外に抜本的な解決策はあり得ない、私も同意見でございまして、したがって政府の責任においてこの問題を打開してもらわなくちゃならぬ。打開できないかといえば、私は打開できるような状況がすでに日本と同じような状況下にあったドイツでできている、イタリアでもできている。なぜ日本でできないか。私はこの問題について政府が責任あるやっぱり解決策を立ててもらわなくちゃならぬと思います。  私はなお時間があるならば、請求権の問題につきまして、ハーグの陸戦法規等々の問題やあるいは条約法に関するウイーン条約の問題あるいは文化財……。
  203. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 加藤君、時間が超過しておりますが……。
  204. 加藤進

    加藤進君 武力紛争の際の文化財の保護のための条約等々の問題も引用して、この問題については政府の所信をただしたいと思いましたけれども、私は割愛します。  したがって、一言だけ政府に最後にお尋ねしたいのは、以上申し上げましたような私たちの意見と、あるいは図書館側の意向もくんで、今後とも、いや今後さらに努力をして政府間の折衝に当たるという一言をいただいて、私は質問を終わりたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  205. 小渕恵三

    政府委員(小渕恵三君) 私が政府を代表して答弁をするその任にないと存じますけれども、総理府の副長官といたしまして各省庁とも十分に連絡をとりながら、先生の御趣旨に沿いたいと存じます。
  206. 加藤進

    加藤進君 どうもありがとうございました。
  207. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 他に御発言もなければ、皇室費国会及び最高裁判所決算につきましては、この程度といたしますが、会計検査院につきましては、先ほどの工藤君の質疑中、会計検査院法の解釈につき、内閣法制局の出席要求が急遽なされましたが、理事会協議の結果、適当な時期に再び会計検査院審査いたすことで意見が一致いたしましたので、本日は保留といたしたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会      —————・—————