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1974-05-14 第72回国会 参議院 外務委員会、運輸委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十四日(火曜日)    午前十時四分開会     —————————————   委員氏名    外務委員     委員長         伊藤 五郎君     理 事         木内 四郎君     理 事         平島 敏夫君     理 事         八木 一郎君     理 事         田  英夫君                 佐藤 一郎君                 杉原 荒太君                 鍋島 直紹君                 西村 尚治君                 長谷川 仁君                 藤田 正明君                 吉武 恵市君                 工藤 良平君                 西村 関一君                 羽生 三七君                 森 元治郎君                 黒柳  明君                 沢田  実君                 村尾 重雄君                 星野  力君    運輸委員     委員長         宮崎 正雄君     理 事         黒住 忠行君     理 事         菅野 儀作君     理 事         山崎 竜男君     理 事         杉山善太郎君                 江藤  智君                 木村 睦男君                 橘  直治君                 寺下 岩蔵君                 長屋  茂君                 前田佳都男君                 渡辺一太郎君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 森中 守義君                 阿部 憲一君                 三木 忠雄君                 中村 利次君                 山田  勇君     —————————————   出席者は左のとおり。    外務委員会     委員長         伊藤 五郎君     理 事                 木内 四郎君                 平島 敏夫君                 八木 一郎君                 田  英夫君     委 員                 杉原 荒太君                 西村 尚治君                 吉武 恵市君                 羽生 三七君                 沢田  実君                 星野  力君    運輸委員会     委員長         宮崎 正雄君     理 事                 黒住 忠行君                 山崎 竜男君                 杉山善太郎君     委 員                 木村 睦男君                 橘  直治君                 寺下 岩蔵君                 長屋  茂君                 森中 守義君                 阿部 憲一君                 三木 忠雄君                 中村 利次君    国務大臣        外 務 大 臣  大平 正芳君        運 輸 大 臣  徳永 正利君    政府委員        外務省アジア局        長        高島 益郎君        外務省条約局長  松永 信雄君        外務省条約局外        務参事官     伊達 宗起君        運輸省航空局長  寺井 久美君    事務局側        常任委員会専門        員        服部比左治君        常任委員会専門        員        池部 幸雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本国中華人民共和国との間の航空運送協定  の締結について承認を求めるの件(内閣提出、  衆議院送付)     —————————————   〔外務委員長伊藤五郎委員長席に着く〕
  2. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) これより外務委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会会議を主宰いたします。  日本国中華人民共和国との間の航空運送協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。大平外務大臣
  3. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ただいま議題となりました日本国中華人民共和国との間の航空運送協定締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明いたします。  わが国は、昭和四十七年九月の日中国交正常化以後、日中両国間の各種実務協定締結のための準備を進めてまいりました。そのうち、航空に関する協定につきましては、昭和四十八年三月以来、中華人民共和国政府との間で協定締結のための交渉を行なってまいりましたところ、本年四月に至り、案文につきまして最終的に合意を見ましたので、昭和四十九年四月二十日に北京協定の署名を行ないました。  この協定は、両国指定航空企業特定路線において航空業務を運営する権利の相互許与、業務の開始及び運営についての手続及び条件並びに航空機の使用する燃料等に関する関税の免除、事故の際の救援措置証明書相互承認等技術的事項を取りきめますとともに、両国指定航空企業がそれぞれの業務を行なうことができる路線を定めるものであります。  この協定は、日中共同声明具体化として日中友好関係の強化に資するのみならず、ここ数年来顕著な増大を見せている日中間の人的及び物的交流の一そうの増進に役立つものと考えられ、また、この協定によって日中間航空路が開設されることは、世界の航空網一つの大きな幹線を与えることになり、その国際的意義も少なくないと考えられます。  以上をもって、趣旨説明を終わります。
  4. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) それでは、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。  木村君。
  5. 木村睦男

    木村睦男君 ただいま外務大臣から御説明がございましたように、一昨年の日中国交正常化に伴ないまして、その声明の第九項に書いてありますところの各種実務協定を、それから以後、逐次締結をしていくということになっておりまして、まあその一つとして、今回、ことしの四月の二十日に、わが小川大使中国姫鵬飛外務大臣との間に航空協定が調印をされたわけでございます。  この問題は、いろいろと議論を呼んでいるところでございますが、その一つは、この協定そのもの交渉の結果、特に以遠権等についていろんな議論が行なわれております。それからもう一点は、同時に、日本台湾の間の航空路、これが中絶をいたすと、これまた、非常に大きな論議を呼んでいるところでございます。私は、この二点につきまして、外務運輸両省に御質問をいたしたいと思っているわけでございます。  そこで、まず第一点は、四月二十日の外務大臣の談話の中においても、今回の航空協定の内容では、従来日本第三国とが結んでおる航空協定と本質的な違いはないのだと、こういうふうに述べられておるわけでございますが、それはそのとおりだと思います。ただ、交渉の過程を見ますというと、もちろん正常化以後いろいろ折衝はあったと思いますけれども、最終的には、一月に外務大臣北京に行かれまして、そこで何といいますか、一挙にこの協定話し合いが事実的には中国との間できめられて帰られたという辺が、従来の交渉のしかたと非常に違っている、かように思うわけでございます。ことに、それを受けまして四月二十日、この短い間に、この協定は、ただ単に中国日本東京北京ということだけでなしに、以遠権、遠くはロンドンまで、また南米まで、全部一括してきめられたという点は、これは今回の交渉経過、あるいはその結果から見て非常に特徴的なものがあると思いますが、従来とは違って、こういうふうに一挙に全部にわたってきめられたということについて、非常に国民は奇異の感じを持っておると思います。その辺につきまして、外務大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  6. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま木村さんから御指摘がありましたように、共同声明第九項におきまして、航空を含めまして、日中間実務協定締結交渉をやることに合意を見ておるわけでございまして、国交回復いたしました以上、そういう道行きをとりますことはきわめて当然のことと考えておるわけでございます。しかし、あなたが重ねて御指摘になりましたように、この問題は、ただいままで日台間に続いてまいっておりまする航空往来を、どのような態様において安定した維持をはかってまいるかという問題との関連がございまして、北京当局におかれましても、その点に重大な関心を持っておられたわけでございます。したがって、協定自体に、直接含まれておる問題ではございませんけれども、これに関連いたしました問題として、日台路線の問題が、当初から日中両当局におきましては、この際、始末をつけなければならない課題であったわけでございます。で、本来この問題がない場合におきましては、航空協定はいわば技術的な協定でございまするし、正常化後、そんなに時間の経過をけみすることなく締結が可能であったと思うわけでございますが、今日までこれが遷延してまいったというゆえんのものも、そこに問題があったからでございまして、去年の春以来、この問題につきまして、日中間におきまして、いろいろ討議が重ねられておりましたし、国内におきましても、この問題をどのように処置してまいるかということにつきまして、議論が重ねられてまいったことは、御案内のとおりでございます。かいつまんで申しますと、北京側感触といたしましては、正常化ができました以後におきましても、中華航空という社名を持った航空企業が、青天白日旗の標識をつけたまま、東京という首都と、大阪という準首都に、従来のまま乗り入れておるということに対しましていかがなものであろうかという疑問が投げられておりました。できればこれは、この機会に改めてしかるべきものではないかという示唆が日本政府にあったわけでございます。北京当局としては、日台路線を、日台間の航空往来維持すること自体に対して、われわれは理解を持っておるつもりである。ただその態様が、正常化が行なわれたあとにおきまして、こういう姿のものであっていいかということにつきましては、問題があるのではないかというのが北京側問題意識であったわけでございます。一方、台湾のほうにおきましては、正常化後といえども現状のまま、何らの支障なく航空需要に応じてきておるわけでございますので、このままの姿で維持したいという願望を持っておられたわけでございます。その間にありまして、北京台北が話し合うという立場にないことは御案内のとおりでございますので、われわれは、北京側台北側の考えを十分伺った上で、日本政府として自主的にこの問題について措置をすべき責任があるのではないかと考えて、去年一ぱい、いろいろ苦吟を重ねておったわけでございます。北京側問題意識台湾側願望というものは、真正面から衝突するものでございます。これをどのように通約してかかるかということは、難事中の難事であったわけでございます。しかし、むずかしいからといって、これをいつまでも放置するわけにはまいらないわけでございます。また、正常化後すっきりとした姿でありたいという北京の言い分も十分理解ができるところでございまするし、社名や旗や、東京乗り入れというような点について、従来現状維持を主張される台湾側の気持ちもわからないものではないわけでございます。しかし、この双方に相当大きな距離がある以上、これを埋めるということは難事中の難事であるが、しかし、やらなければならない仕事であるということでございまして、しかし、明快な名案がございますならばよろしいのですけれども、容易ならぬ難問でございまして、じんぜん去年一ぱいをわれわれは苦吟苦吟を重ねてけみしてしまったわけでございます。しかし、いつまでもそういう状態のまま放置できませんので、私は、意を決して、ことしの、新年早々訪中いたしまして、この問題について、台湾側願望を念頭に置いて、中国首脳と隔意のない御相談をいたしたわけでございます。将来、日台路線を安定的に維持し書といたしますならば、どういたしましても、中国側に十分の理解を得ておかなければならぬことは当然のことでございます。そこで、中国側としては、日本政府において最大限措置を講じていただくならば、われわれのほうも最大限理解を示そうという態度になっていただきまして、この感触を踏まえて、帰国の上、運輸省当局と御相談してつくり上げたのが外務運輸両省案であったわけでございまして、それを党の御審議にゆだねたわけでございます。これはいわば、この難問を解決してまいる場合の、日本政府としてぎりぎりの判断でございまして、われわれは、ほかに名案がございますならば、これを、その名案を選択するのに何らちゅうちょいたしません。しかし、どう考えてみてもこれ以外にないのではないかということで、御理解を各方面に求めてまいったわけでございます。問題が、こういう環境のもとにおいてこういう問題を解決しなければならぬというとでございますので、いずれの方面に対しましも満足すべき回答を与えるということはほとんど不可能でございます。みんなが不満ながら了解をしていただかなければならぬ筋合いのものであろうと思って、そのラインに沿いまして、政府といたしましては、鋭意努力を重ねてまいったことを、まずもって御理解を賜わりたいと思うのでございます。  それから協定自体につきましては、私ども当初からほかの、申し上げますように、日本第三国と結んでおる航空協定とそう本質的に変わったものでございませんので、そんなにむずかしい問題であるとは考えておりませんでして、実態は、しかしながら、これは航空当局が管掌される仕事が多いわけでございますので、航空当局と一緒になりまして取り組んだわけでございます。  航空協定自体のできばえにつきましては、いろんな評価があろうと思いますけれども、私どもといたしましては、今日われわれがこの状況のもとにおいて考えられ得る協定といたしまして、私自身といたしましては、満足をいたしておる次第でございます。
  7. 木村睦男

    木村睦男君 外務大臣のたいへんな御苦労された点は、私もよく理解するところでありますが、結果的には、国民多数が望んでおりました日台間をそのまま継続してほしいということがかなえられなかったと、この点は非常に遺憾でございますが、日台間の問題はあとで御質問いたしますので、最初に、日中協定そのものについて御質問をいたしたいと思います。  まず、私たちが考えますのに、中国は何といいましてもまだ完全に開放されていない、まあいわば、鉄か竹か知りませんが、カーテンの中に閉ざされておる。そういう国と、完全に開放されておるわが国との航空路の問題でございますので、やはり何としても最初北京東京を結ぶこの航路だけ、国交正常化という時点から考えてみましても、まずこれを開くべきであると、こういうふうに考えるのでございますけれども、今回の協定では、しょっぱなから、北京東京だけでなしに、日本におきましても、東京と他の一地点、すなわち大阪中国におきましても、北京上海と、二地点を定めての協定ということになっておるわけでございますが、ことに、わが国大阪空港を指定されたということは非常に問題をたくさん含んでおると思うわけでございます。それは、大阪空港は御承知のように、騒音問題等で、これ以上ジェット機便数をふやすことは、周辺の人たちも納得いたしませんし、また、政府もそういう方針でおるようでございます。その大阪空港に新たに北京からジェット機が飛んでくるということは一体どうしたわけかと。なぜ最初から同時に二地点を選ばなければならなかったかと。また、二地点を選ぶについて、それほど問題のある、国内的にも問題がある大阪空港を選んだのはどういうわけであるか。また、これを選んだという意味におきまして、他にいろいろ私は問題を起こしておるんではないか。たとえば、他の外国エアラインでも、大阪に寄港したいという希望を申し出ておるところもあるように聞いておりますが、これらは大阪の、これ以上にもう過密を増すわけにはいかないということで断わっておるというふうな事情もあるようでございますから、そういう外国エアラインに対して非常に悪い影響を与えるんではないか、かようにも思うわけでございます。これらの点につきまして、これは外務省よりもあるいは運輸省かもしれませんが、どちらか、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  8. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 外務大臣からの提案理由説明の中にもございますように、この協定の問題は四十八年の三月ごろからずっと積み重ねて今日まであったわけでございます。その間において、出先のほうではいろいろと話し合いが続けられてきたと承知しておりますが、その結果、今度の正式な協定にあたりまして、中国側首都たるべき北京東京、それから準首都たる上海大阪というものを非常に強硬に固執して、乗り入れ等につきまして希望を、強力な希望を繰り返されたのでございます。したがいまして、いま御指摘大阪空港におけるいろんな諸問題というものは、十分当方としても向こうに納得できるように、そういう状況にあるから、大阪でない他の一地点では、というところまでいろいろ話をしたのでございますけれども、ついにそれが実らなかったという結果にあるわけでございます。したがいまして、いま御指摘大阪便数、離発着の便数等についてはいろいろ問題をかかえております。しかし、台湾企業でございます航空機大阪乗り入れを御遠慮願うということに一応話がなっておるわけでございまして、そういうもの等の調整、あるいはその他、今後のそのむずかしさも十分説明してございますから、実際実現するまでにはいろいろとまたこの点について話し合いを進めて、万遺憾のないような処置をとってまいりたい、かように考える次第でございます。
  9. 木村睦男

    木村睦男君 聞くところによりますと、キャセイ航空ですか、これが大阪空港への便数の増加ですか、何か交渉があって、そして大阪もこれ以上ふやせないというふうなことで断わり続けておったために、日本航空香港経由シドニー行きでございますか、これがむずかしくなったとか、あきらめざるを得なかったとかというふうな、いろんな波及的な影響が出ておるわけでございますが、そういうことをも犠牲にしながら、どうしても大阪を選ばざるを得なかったという点については、どうもわれわれとしても理解の困難な点があるわけでございます。こういう点は、これから実際一番機が飛ぶまでの間にいろいろ処理されなければならない問題がまだ残っておると思いますから、その点は十分にひとつ注意されながら、今後の具体的な段取を進めていっていただきたいと思うわけでございます。  それから、時間ございませんので次々まいりますけれども最初に申し上げましたように、まず、最初北京東京、要するに中国日本間の空路開設だけでよかったんではないかと、以遠権の問題は第二段のかまえでもよくはなかったかと、こういうふうに思うんでございますけれどもしょっぱなから以遠権の問題を含めて交渉したということは、一体、向こうさんのほうがそういうことを非常に強く希望しておったのか、あるいは日本が何らかの国益上の観点から、最初から以遠権問題を話し合ってきめておったほうが国益に合うんだというふうな判断以遠権の問題の交渉に入られたのか、まずこの点をお伺いいたしたいと思います。
  10. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 航空路の問題でございまして、技術的な問題でございますから、航空局長から答弁をさせたいと思います。
  11. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 最初から以遠権を含めて交渉をした点についての御質問でございますが、このいわゆる北京東京だけの端末路線というものを設定いたしますと、その結果といたしまして、当然ながら航空路というものが日中間に出てまいります。その場合に、日本ヨーロッパ諸国——あるいは他の諸国もございますが——協定との関連上、そういう第三国航空機中国経由日本に入ってくるという状態がわりあい早い機会実現をすることになります。そういうことが実現をした際に、日本企業がそれの反対方向路線を飛べないという状態に相なりますので、むしろ中国側以遠路線を初めから要求したといいますよりは、日本側がこのヨーロッパ路線を取らざるを得なかったということが背景にございます。この点は御了承いただきたいと思います。
  12. 木村睦男

    木村睦男君 ところで、以遠権関連いたしまして、四、五点まとめてお伺いいたしますので、航空局長ひとつ落ちこぼれのないように御答弁をいただきたいと思うんでございます。  まず第一点は、最初わが国北京からイスラマバード、これは新しい路線でございますが、これを要求をしておる。で、このコースから従来のヨーロッパあるいは中近東路線につないでいくということで、イスラマバード北京間の路線を強く要望されたようでございましたけれども、ついにこれができなかった。で、わが国はこのコース以外には、ヨーロッパあるいは中近東に行くコースはいろいろあるわけでございますので、これが認められなかったということは、わが国としては以遠権の問題についてのうまみといいますか、あるいは国益上、どうも大したプラスにはなっていないのじゃないかという感じをするわけでございます。  一方、中国のほうは、初めて海外路線を持つわけでございますから、以遠権はすべてこれ、まあ中国にしてみれば処女路線ともいうべきものだ。中国側はすべてが処女路線である。日本側は、北京イスラマバードが確保できなかったということになると、いわゆる処女路線といえば、東京北京、あるいは東京大阪上海北京のこの間だけであるという点から考えますと、どうも対等な以遠権の成果は得られていないんじゃないかというふうな疑問を非常に持つわけでございます。なぜこの最初から要求しておったイスラマバード路線が確保できなかったのか。また、これが確保できないという見通しの上に立って、なお以遠権問題をこうやって、交渉をしてまとめざるを得なかったかと、こういう点が一点でございます。  それから以遠権の問題につきまして、まあ日本側は最終的にはロンドンまで、それから中国側は最終的には南米まで、もちろんその間、経過地といたとしましては、それぞれ七地点ということで、そういう点は一応両者対等のように考えられるんでございますが、初めて海外に出る中国が、アンカレジを通り、北米に入り、それから中南米に向かって一挙に路線権が得られ、また就航できるとはわれわれ考えられないのでございますけれども、なぜ、あるいは以遠権でありますから、せいぜい片や北米、あるいは片や中近東ぐらいでとどめることなしに、ほんとうに最先端まで最初からお互いが認め合ったかという点が一つの疑問として残っておるわけでございます。その点についても御説明をいただきたいと思います。  それから、北京イスラマバードがだめになった場合に、わが国としては、従来のコース中近東あるいはヨーロッパに行く場合と、それから北京からニューデリーを通ってカラチあるいはボンベイ、あるいは北京からボンベイと、このコースが今度協定の中に入っておるわけでございますけれども、このコースですと、従来の日本の香港経由で中近東ヨーロッパに行く線と、そう大して、時間的にも、あるいはお客の流れその他から見ても、そう大してメリットがあるようには私は考えられないのでございますが、その辺のメリットをどういうふうに評価されてのこういう協定になったか。この点についての御説明をいただきたいと思います。  まず、それだけについて御答弁いただきたいと思います。
  13. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 最初イスラマバード、いわゆるイスラマバードルートと申しますものにつきまして、日本側がこのルートの要求を終始一貫いたしましたところ、中国側といたしましては、現在このルートが国際ルートとして確立しておらないと、確かにパキスタンエアラインは飛んでおりますが、これは印パ紛争の結果、止むを得ず飛ばしておるのであって、まだ航行援助施設等も完備しておらない。国際ルートとしては非常に不安定なものであるというようなことから、このルートを現時点で認めるということが非常にむずかしいということでございまして、で、しかしながら、日本側でこういうルートを要求しておるという、日本側の立場は非常によくわかっておる。まあ将来の問題として検討したいということでございまして、まあそういう事情で、やむを得ず、現段階においてこのルートを確保するということは、まああきらめざるを得なかったわけでございます。  で、このルートが取れない場合に、日本側から見れば、まあほかにヨーロッパまで確かに三本のルートがございますし、これに対して中国側には全く新しい路線として東京以遠を与えておるわけでございますから、まあ途中で、たとえば中国側北米どまり、日本側中近東あたりでとめたらどうかという御指摘でございますが、先ほども申し上げましたように、日本側としてはどうしてもヨーロッパキャリアとの対抗上、一応はヨーロッパまでの地点中国以遠に取っておかなければならないということが背景にございまして、中途で日本側以遠権を切るということは非常に将来不利になるということがございました。まあそこで、中国側にもそれに見合ったある程度の地点というものを、以遠権を認めざるを得なかった、こういう意味で以遠権の交換を行なったわけでございまして、これ自体、いろいろ御意見はあろうかと思いますが、一応はその権益交換として成立し得る範囲の交換であったというふうに考えております。  で、イスラマバードのルートがだめになった場合、現在交換した、いわゆるラングーン上空を経由して参りますルートというものが、一体どれほどの意味があるかという御指摘でございますけれども、確かに南回り路線一つの変形としてこのルートがまあできておるわけでございますが、たとえば、現在の南回りルートでカラチまで参りますのに飛行時間が十三時間二十五分必要といたしますが、この現在設定いたしました東京北京−カラチというラングーン上空経由のルートで参りますと、十二時間五十五分という一応の計算になりまして、やや短縮される状態でございますし、また、かりにパキスタンルート、パキスタンエアの飛んでおりますルートをとりましても、これは実は距離的には確かに短いのでございますが、飛行時間といたしましては十二時間四十五分、まあ十分前後しかラングーン上空ルートと変わらないわけでございます。で、私どもがパキスタンルート、いわゆるイスラマバードルートというものを要求いたしましたのは、将来こういうルートがヨーロッパまで延ばされたときに、短いルートになる可能性があるということでこれを要求しておったわけでございまして、現実に、いまの時点で申しますと、ただいま御紹介申し上げましたような時間でございまして、それほど大きな差がないということでございます。
  14. 木村睦男

    木村睦男君 そういう御観察のようですけれども、しかし、この今回の協定をずっと見ますと、やはりどちらが一番喜んでおるかと、まあざっくばらんにいうと、北京側のほうがやりたくてしょうがないというのが私は実情だろうと思うわけでございます。そういう前提に立っての航空交渉でございますので、わが国最初からイスラマバードを要求しておるのなら、もっと強く要求してしかるべきではなかったかと、場合によったら、ここでうまくいかなかったらもう一ぺんそれじゃやり直そうというところまでいってもよかったのじゃないかという感じを持つのでございます。ことに、このイスラマバード路線は全然どこも飛んでいないというのじゃなくて、パキスタン航空が飛んでおるわけでございますので、すでに前例があるわけでございますから、それをなぜ日本に認めてくれなかったのかと、これはわれわれとしてもどうしても理解できない、また、それに対して中国側が、かくかくの理由でだめなんだと、日本が納得できるような理由で、日本もそれを了としてそれはしかたがないというのならいいんですけれども、明確な拒絶の理由もなかったというふうなように聞いておりますが、それであれば、もう少し強く要求すれば、この最初の要望は達せられたのじゃないか、まあこのようにも思うわけでございます。  ただ、いまお話の中にありましたように、将来しかし考えるということでございますが、これは何か確たる保証があっての将来考えるということなのか、単なる外交辞令で、まあ将来考えますからこの際はごかんべん願いたいという程度のことなのか、その点に対する運輸省判断なり感得されておる、感じとられておる点はどういうふうに感じておられるわけですか。
  15. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) パキスタンルートにつきましての交渉は、ねばり強くやったわけでございますが、いま航空局長から答えましたとおりでございます。その間における何か証文でもとったかということでございますが、小川大使と姫外相の会談におきまして、姫外相は、日本を不当に差別することはいたしませんということを述べておるわけでございます。文章上の記録にとどめたという性格のものではございませんけれども、そういう確約をとっているのが一つと、また、寺井航空局長中国の沈副総局長との間でも日本側の要望について十分理解しておると、中国としては現段階ではコミットできないけれども日本の要望は理解しているので、将来検討の課題といたしたいということを重ねて申しているわけでございます。ただ、これを協定文に盛り込むということが記録になっておらないことは残念でございますけれども、そういうような背景がございますので、私は中国側、信義を重んずる中国側が、よもやこのことにつきまして言をひるがえすようなことはないということを確信いたしております。
  16. 木村睦男

    木村睦男君 まあそういう交渉の過程ですから、証文までとって協定の中に入れるということは困難であったろうとも思わぬでもありませんが、できたらそうやっていただきたかったという感じを非常に強く持つわけでございます。  そこで、その将来考えるということに対する日本側の態度といたしましては、私は現在このイスラマバードのルートはパキスタン航空が一社だけでございますが、おそらくヨーロッパ航空会社もこのルートを通って東京から太平洋という希望をたくさん持っておると思うわけでございます。おそらく、今日そういう要望が出ておるかもしれませんし、また、中国との国交がこれから開かれていく段階においては出てくると思いますが、そういうふうなパキスタン以外に新たに他の国のエアライン中国へこのコースで入るというふうなときには、やはり日本が優先して先に認めらるべきである、これは私は当然だと思うわけでございますが、その決意を持って今後中国交渉にそういう場合には当たっていただきたい。また中国も、この問題については十分考慮するという意味は、そうでなければならないと私は思うわけでございますが、その点はどういうふうにお考えですか。
  17. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) これは、両国の信頼の問題でございます。私は、中国ヨーロッパの関係、中国日本との関係は、比べものにならないほど日中関係が濃密だと考えておりまするし、中国の評価もそうであろうと確信をいたしております。したがいまして、ヨーロッパ各国の航空企業イスラマバード線を利用するという場合におきまして、日本がおくれをとるというような懸念は私は持っておりません。
  18. 木村睦男

    木村睦男君 ぜひひとつこの点は要望として十分に考慮していただきたいと思うわけでございます。  時間がだいぶ過ぎましたんで、もう一点だけ日中航空協定そのものについてお伺いいたしたいと思うんですが、以遠権の中で、たとえばアテネ及びヨーロッパ内の一地点とか、あるいは中国側からいいますというと、オタワまたはカナダの一地点というふうに、他の一地点をそれぞれの国の選択にまかされておるような協定になっております。これはおそらく従来のこういう航空協定一つの例文的な扱いだろうと思いますが、これらの、または一地点という、その地点の選択は、それぞれの国がそれぞれ独自に選んで一向差しつかえないものであると思いますが、その点を一応確認をいたしておきたいと思います。  それからついでにもう一点は、この協定の第三条に「一方の締約国は、協定業務の運営のため、他方の締約国に対し一又は二の航空企業を文書による通告によって指定する権利を有する。」と、指定する航空企業を一または二というふうに表現をしてあるわけでございますが、これは従来ともこういうふうな表現になっておるんですか。あるいは一または複数となっておるんじゃないかと私は思いますが、特に「一又は二」ということは、三以上はだめだ、せいぜい二企業までだということを厳格にお互いが制約する意味でこういうふうな表現になっておるのか。この二点について御答弁願いたい。
  19. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 最初のアテネまたは一地点という表現の一地点は、これはその当事国が自由に選べる地点という意味でございますから、相手国の了解を得る必要はございません。  それから三条の「一又は二」という表現でございます。が、通常の場合は、一または二以上というのが大体普通の航空協定の例でございますけれども、この日中の航空協定の場合は、「一又は二」ということで、三以上を認めておらないということでございます。
  20. 木村睦男

    木村睦男君 次に日本東京台北間の航空路の問題について御質問をいたしたいと思うわけでございますが、一昨年の日中国交正常化に基づきまして、あのときの外務大臣の談話の中でも、これで日華平和条約というものはその使命を終わって終了したんだということでございます。したがって、それを受けまして日台間の、日本、中華民国間の航空上の取りきめも一応効果を失ったものであるということになるわけでございます。にもかかわらず、事実関係はできる限り文化、経済その他の交流は続けようという両者の意思がありまして、今回の四月二十日の日中航空協定締結までは日台間それぞれの飛行機がひんぱんに往来をしておったのでございますが、一昨年の九月の二十九日以降四月の二十日までのこの日台間の、日本航空あるいは中華航空の飛行については、法的には一体どういうかっこうで継続しておったのであるか。事実上、ただそれを認めておったということになるのか。もしそうだとすれば、不幸にして今回これは中絶をいたしておりますけれども、かりにこれが中絶しないで、日中航空協定締結された前後を通じて継続するものであったとすれば、これはそのままずっと事実上続けていってよかったのか、あるいは、この機会日台間は継続するけれども、法的に、あるいは事実上何か別の形をここで民間協定その他いろいろあると思いますが、取り結んでやらなければいけないということであったのか、まずその点をお伺いいたしたいと思います。
  21. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 一昨年の日中国交正常化以来の日台間の路線の取り扱いにつきましては、日本側といたしましては、これは運輸大臣のいわゆる許可に基づくもので、行政許可でこの中華航空の往来を認めておったということでございます。かりに、これが切れないでいまも続いておるといたしますと、やはりそういう状態が継続いたしますわけでございますが、これはあくまで一方的な許可に基づいて運航されておりますので、やはり双方の了解に基づく安定的な輸送力の確保という観点からいたしますと、民間取りきめなどに基づきまして基本的なものを了解しておくということが望ましいということで、民間協定に基づきまして日台間の航路を維持したいという考え方をとっておるわけでございます。
  22. 木村睦男

    木村睦男君 そうすると、現在までやっておったのは、双方の政府がそれぞれの航空法上の法規に基づいて許可で入っておったと、これが今後継続されるという前提で考えておった場合には、さらに、民間協定を結んで今後継続したいという意向であったということでございますね。そうすると、民間協定を結んだところで、やはりそれぞれの法規による許可がなければ入れないんでしょうか。そうすると、民間協定というものは、国際協定でも何でもないわけですから、民間協定を結んだといいましても、法律的に何ら拘束はない。これに、この協定に違反したからといって、国際司法裁判所に訴えることもできなければ、国内の裁判所に訴えることができないか、あるいはできるか、私はできないんじゃないかと、ただ、いわば紳士協約、したがって、強いほうは、やっぱりそれぞれの法規によって許可をもらっている、この許可のほうが効力が強いのじゃないか、こう思いますので、民間協定でこれからやるという意味は、ただ単に気持ちといいますか、紳士協約というふうな程度にすぎないんで、あまりたいして民間協定、民間協定といままでも言われておりましたけれども、それほど意味のないことではないかという感じがしておるんですが、その点をもう一度触れて御答弁を願いたいと思いますが、さらに御質問を続けます、時間がございませんから。  そこで、四月の二十日に日中の航空協定締結されると同時に、台湾側声明を出して、現在のような中絶という非常な不幸な事態に入ったわけでございますが、それより前に、たびたび台湾側は、今回の航空協定について台湾側の威厳を損なう、あるいは権益を損傷するというふうな場合には、日台間の航空路は自分のほうから絶つぞということをたびたび言っておったわけでございます。それに対しては、外務省も非常に苦労をされて、いろいろ陰においても、あるいは正規のルートを通っても、交渉をされたとは思いますけれども、その点の努力もわからぬわけではございませんが、結果的にはこれがだめになってきた。そこで、これをこのままに放置しておくということはどうしてもこれはいけないことでございまして、何とか復活に努力をしてもらわなければなりません。国民のほとんどの意向もそうでございまして、これはその日中国交正常化のときにも、日中国交正常化はもちろん賛成であるが、そのために台湾の従来の関係は絶つべきでないというのが大半の世論でもあり、国民の気持ちでもありました。そのことは、今回の日中航空協定につきましても、日中航空協定は当然やるべきである、しかし、台湾との関係、ことに年間五十万以上の往来がある、また、そこからあがる収益もたいへんなものでございますし、台湾日本との経済、文化その他の交流からいいましても、これは存続すべきであるというのは、もう日本人全体の意向である、また希望であったはずでございますが、それが結果的に実現できなかったという点については、まことに私は遺憾だと思うわけでございます。  そこで、台湾側がそういうふうな態度に出た一番大きな理由は、前にも言っておったんですが、きょうの新聞見ましても、それは日本中国との航空協定を結んだからそういうことをしたんではない、この日中航空協定が結ばれた際に、外務大臣も記者会見で言っておられます点で、台湾航空機にある旗の標識を、いわゆる国旗を示すものとしては認めていない、また、「中華航空公司(台湾)」、これを国家を代表する航空会社としては認めておりませんということを言われておるわけでございますが、この点が台湾側としては、日本こそ、外交交渉は切れておりますけれども台湾としては一つの国家という立場に立っておるわけでございますので、その国家の威厳をはなはだしく傷つけておるのだ、この点が直らなければ日台間の航空路の再開はやれない、こういうことをはっきりいま言っておるわけでございまして、「台湾の旗は国旗ではなく、日本政府台湾におけるオーソリティーを政府とはみなさない」という発言を外務大臣が言っておられるが、「われわれ」というのは台湾ですが、「日台航空路線を中断したのは日中航空協定のためではなく、当時、大平外相が行った不当な発言のためである。現状を打開するために、大平発言は取り消されるべきである」、こういうふうに言っておるわけでございます。まさに、ポイントはそこでございますが、外務大臣としては、別に台湾の威厳を傷つけるというふうなことはもちろん考えられての発言ではなく、ただ、日中国交正常化というあの一つ路線に従って、理屈の上からいえば当然そうなるということをおっしゃったにすぎないとわれわれも理解するんでございますけれども、しかし、日中国交正常化のときにも、中国側が、台湾を含めて中国一つだという発言に対しては、これを十分尊重し、理解するというところまでで、わが国のこれに対する関心はそこで終わっておるわけでございまして、そのとおり認めますとは言っていないわけでございます。したがって、そういう非常な微妙な関係のある日台中の三者間の問題でございますので、今回の外務大臣の談話の中ではっきりと旗と認めないとか、あるいは中華民国のあれは、中華航空は国家を代表するものではない、こう言われたことが、これは、まあ、中国に対する外務大臣の気持ちとして言われて、別に台湾に向かってあなたのほうをこう見るんだということは言っておられないわけでございますけれども、聞くほうからすれば、自分のほうに向かって言っておられるんだというふうにとるのも、私はやむを得ない点があると思うわけでございます。したがって、今回の協定の際に発表されました外務大臣の談話の真意というものを、できる限り手を尽くして、また方法を講じて、台湾側に十分に理解してもらって、そして、せっかく今日までつちかってきました日台間のこういった交流というものを、こういうことで破局に導いてはならない、私はかように思うわけでございますが、ことに、向こう航空識別圏の中に沖繩県の一部も含まれておるような問題があって、これは台湾側も非常に好意的に今後取り扱おうというふうな態度に出ておる。そういう点をもあわせて考えますときに、ぜひひとつ、ほんとうに心から台湾に対して真意を伝えると同時に、不幸にして中絶した日台間の航空路の再開ということに全力をあげて努力していただきたいと思うわけでございます。台湾側も言っておるように、日中航空協定そのものは反対じゃないんだと、こう言っておるんでございますから、その点はどうしてもやってもらいませんというと、私は国民の期待に沿うゆえんでもない、かように思うわけでございます。  時間がもうきましたので、最後に、いま申し上げました数点について御答弁をいただくと同時に、特に外務大臣の御決意、今後のお考え方等をお聞きをいたしまして、私の質問を終わります。
  23. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 初めに、民間取りきめの効力につきまして御説明いたします。  日本台湾との間の航空路線を安定した基礎の上に維持するという前提に立ちました場合、唯一のパイプでございまする交流協会と亜東関係協会との間の取りきめという方式以外に考える道はないわけでございます。なるほど、先生御指摘のとおり、民間取りきめでございますので、政府間の協定と違いまして、直接政府を拘束するような効力はございません。しかし、そのような形式論あるいは法律論は別といたしまして、政府と交流協会との関係等からいたしまして、この民間取りきめを通じての約束が政府に対して持つ意義等考えますと、これは政府協定とは違いますけれども、やはり、安定した基礎の上に維持するというだけの効力はあろうかというふうに考えておる次第でございます。
  24. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 日本政府といたしましては、日中正常化のワク組みの中で、日台路線をいかにかして安定的に維持いたしまして、日台間の航空需要を消化してまいるということを考えておりまして、その点は、木村先生と全く同感でございます。で、日中間を律する基本の原則は、共同声明にうたわれておるわけでございまして、それを踏まえて私ども今日までも努力してまいりましたけれども、今後も、これを踏まえた上で台湾側にも十分の説明をし、御了解をいただいた上で、このワク組みの中で安定的な維持が民間協定の姿において確保できるように努力を惜しまないつもりでございます。
  25. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 森中君。
  26. 森中守義

    森中守義君 今回の協定の調印にあたりまして、両大臣をはじめ、関係当局のたいへんな御労苦を多としたいと思います。  そこで、まず外務大臣にお尋ねいたしますが、今度の日中国交回復及び懸案としての航空協定の成立、これはわが国の在来の対共産圏に対する外交姿勢が大きく変わったものである、こういうふうに理解していいのかどうなのか。具体的に申し上げると、まだ、北朝鮮との関係があります。あるいは、北ベトナムとの関係がある。こういうものを、中国と同じようなベースで外交姿勢をこれから変えていこうとなさるのかどうなのか、この辺はどうでしょうか。
  27. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 御案内のように、わが国といたしましては、政治、信条、体制の相違にかかわらず、可能な限り多くの国と国交を持ちまして、相互理解を深め、互恵関係を築いてまいることを外交の方針といたしておるわけでございまして、十七年前に日ソの関係が回復いたしましたし、一年半前に日中間正常化仕事ができたことは、そういう意味で大きな前進であったと思うわけでございまして、今後、各種の条件の整備熟成の度合いを見ながら、仰せのような方向に、一つの世界を目ざして、鋭意努力してまいるつもりでございます。
  28. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、いまの大臣の見解でほぼ方向だけは理解いたしました。  そこで、具体的なものとしまして、北朝鮮との航空関係、これは、もちろん、いまだ具体的な日程にのぼっているというような感じはいたしませんが、もちろん、その国交がいまだございませんし、その前段的なものとして、たとえば、台湾と民間協定を結んでもよろしいと、こういうようなことも出ておるわけですから、北朝鮮とも航空協定は民間協定ということで取りきめということがあり得るかどうか、また、そういうことが具体的な日程にのぼってきた場合にどうされるのか、これはどうでしょうか。
  29. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 北朝鮮との間の国交問題につきまして、政府としては、現段階では何らの方針も決定いたしておりません。いま先生の御質問のそのような、いまの段階で、たとえば民間の取りきめによる航空関係の設定ということは可能かというお話でございます。この点につきまして、理論上の問題としていろいろお話しいたしますと誤解を招きますので、私、避けますが、現段階で、そのようなことも全然考えておりません。
  30. 森中守義

    森中守義君 これは運輸大臣、航空当局者としまして、先年の「よど号」ハイジャック、これが北朝鮮との間で非常に大きな問題になって、で、その当時、識者の間では、こういう、事航空ということに関する限り、別途な角度から少し詰めをしなきゃいけまいという話なども出た印象が非常に濃厚に残っている。ですから、いま外交上の問題としてこれをどうするかということも大きな問題でしょうが、これは、とりあえず台湾と民間協定を結べる。しかも主権を認めていない相手との間のことなんですがね、大体理屈は一緒じゃないんでしょうかね。いま北朝鮮に行くにも船で行くか、あるいは北京回りかモスコー回りというわけで、もうたいへん難儀していることは事実なんです。ですから、これはそのどちらが言い出すかは別としまして、一応政府の基本的な考え方としては、民間ベースでも協定はあり得るというような前向きの姿勢はおとり願う必要があるんじゃないかと思うんですが、両大臣いかがでございますか。
  31. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 日台間の航空需要に対しまして、民間協定の取りきめの姿で安定的な維持をはかりたいということは、日本政府の方針でもございまするし、また、中国側もそれに理解を示しておりますし、台湾側におかれましても、それに別段異議を申し出られていないように私は承知いたしておるわけでございます。で、国際問題を取り扱う場合に、そういう条件が整ってまいります場合に、政府として、申すまでもなく、そういうことがやりやすい状況にあるわけでございます。いま御指摘の北朝鮮の場合におきまして、そういう話は現にございませんし、そういう問題が提起された場合における、それをめぐって提起されるもろもろの問題を考えてみなければならぬわけでございますので、いまからそういうときにこうするであろうなんという予告を申し上げる用意は、いま私はないのであります。国際問題を扱う場合に、一つのことをなす場合に、そのことが非常に大きなまた新たな問題を呼ぶというようなことはできるだけ慎んでいかなければならぬわけでございますので、いま御提起されました問題につきましては、もろもろの条件の整備熟成の度合いを見ながら、いろいろ考えていかなけりゃならない問題性を持った問題であるというようにお答え申し上げるより道がないと思います。
  32. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 外務大臣からいまお答えがございましたが、まあそういうような判断の上に立った場合としましても、わがほうとしましては、この航空管制の問題、安全に航行できるかという、そういうような問題が、いろいろ、その技術的な問題が出てくると思いますが、そういう問題に対して、いまのところ全然お答え申し上げる自信がないわけでございます。
  33. 森中守義

    森中守義君 これは、さっき外務大臣が、これから先の外交姿勢をお述べになりましたし、そういうことが具体的にじみちに展開をされていくならば、当然相手が言ってこないから考えていないということでは済まないような気がしますね。特に、北京ルートが開設をされるということになりますと、もはやカナダ、アメリカというように、メジロ押しにアジアの空というのは非常に大きく変化をする時代がくると思う。そういうことを考えますと、やれ北朝鮮だから、北ベトナムだからと言って放置しておいたのでは、一体日本のアジア外交というものはどうなるのかということを考えると、これやっぱり真剣に考える問題だと思う。きょうはそのことが本題でございませんから、一つの考えとしてお尋ねしたわけですが、この航空協定あとに残されたものが海運協定あるいは漁業協定というような問題がありますし、   〔委員長退席、外務委員会理事平島敏夫君着席〕 それから共同声明の中で言われている平和友好条約、こういうものが、もはや日程にのぼってこざるを得ない。特に、漁業協定の場合には、六月二十二日で民間協定の時間切れになる。何か新聞によりますと、六月一ぱいにはすべての実務協定を終わりたいと、こういう外務省の見解なるものが述べられているようですが、具体的にどういう日程になりますか。
  34. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 貿易協定航空協定を除きますと、日中共同声明第九項にございます実務協定としましては、海運協定と、ただいま先生御指摘の漁業協定と、この二つでございます。漁業協定のほうは、近く日中両国間で案文を交換いたしまして、その検討を待った上で北京交渉を始めるというふうに話がついております。ただ、六月二十二日の民間取りきめ終了の前に、私どもとしてはぜひともこの政府協定締結したいと考えておりますけれども、これはそのとおりいくかどうかということは、これからの交渉の結果いかんによるというふうに考えております。  それからもう一つの海運協定のほうにつきましては、すでに日中両政府間で案文の交換を終わり、かつ、相互に照会をしたり、あるいは質疑応答等を繰り返し、また、資料の交換をしております。ことし一月、大平大臣訪中の際にも、早く交渉を始めたいという希望を述べまして、先方の了承を得ておりますので、このほうも近く交渉を始めたいというふうに思っておりますけれども、六月中にこのほうもまとまるというようなふうには、私ども、まだそれほど楽観いたしておりません。しかし、できるだけ早い機会に残った二つの協定締結したいというふうに考えております。
  35. 森中守義

    森中守義君 この漁業協定の場合に、大体想定される問題が二、三あるんですね。たとえば、領海の問題が三海里と十二海里、違っている。おそらくカラカスの会談でもまとまらぬという見通しもあるようですがね。それと軍事警戒線の問題。いま一つ外務省どう考えるかわかりませんが、日韓大陸だな協定というものがどうもやっぱり一つの障害になってくるように私は考える。一番最後の日韓大陸だなの問題ですがね、これは外務大臣は衆議院の外務委員会かどこかで、いやそれは、この前中国に行ったときに説明をしておいたと、こう言われたようです。その直後に、二月の中ごろでしたか、中国側は抗議を申し込む声明を発表しておりますね。これは一体どういったように中国側に処理なさっているのか、寡聞にしてあの声明に対して外務省が適切な処理をされたとは聞いていない。そうなりますと、ちょうど東シナ海のどまん中で、以西底びき網の優良な漁場ですよ。こういう問題が、主として日中ともに公海を中心に漁業協定をいま結ぼうとしているわけですからね、当然これは問題になってくる。こういう障害を一体どう除去するのか。それと領海の問題、軍事警戒線の問題、これは完全にあれですか、航空協定交渉も簡単にいかなかったことは知っておりますがね、漁業協定になると、もっとむずかしいのではないかというように思うのですが、完全にこれは時間切れになる前に処理できるという自信がありますか。
  36. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 漁業協定締結にあたりましては、私どもとしては、先ほど申しましたとおり、民間取りきめが終了する前に何とか妥結したいと考えておりますけれども、これは先方の態度もあり、またわがほうの態度もあります。まだ現在案文の交換も終わっておりませんけれども、決して楽観をしておりません。ただいま先生御指摘のような領海の問題、あるいはいままで民間取りきめでございましたような軍事警戒区域のような問題があることはよく承知しておりますし、こういう問題をどのように解決するかということは決して簡単な問題ではないと思っております。しかし、日韓間で署名いたしました大陸だな共同開発協定がこの日中間の漁業協定の障害になるというようには考えておりません。大陸だな共同開発協定につきましては、もちろん、大臣が北京を訪問された際に大臣からも御説明がございましたけれども、その後も、大使館のレベルあるいは東京での事務レベルで先方に対しまして内容を詳しく説明しておりますし、またわがほうといたしましては、日中間でいつでもこの大陸だなの境界そのものの確定については話し合いに応ずる用意があるということも先方に伝えてございます。そういうことでございまして、何ら手を打ってないということではございません。常に中国側理解を深めるための努力はいたしております。のみならず、いつでも日本として中国側との話し合いに応ずる用意があるというこちら側の態度も説明してございます。
  37. 森中守義

    森中守義君 それはこれからですからね、いま、いままでの下交渉の経緯等も聞いておりますけれども、ぎりぎりの場合、外務大臣ね、どうしても障害になる問題が対立状態によって片がつかなかったという場合に、そういう問題をたな上げしてでも政府協定を結ぶというお考えなのか、あるいは、どうしてもその話がつかぬという場合には何も政府協定でなくてもこれはいいわけなんで、民間協定でもやむを得ない、ただ無協定状態というのはこれはよくありませんからね、しかもそれはタイムリミットになるということであれば、ぎりぎりどういう選択をなさるのか、この辺、どうですか。
  38. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) せっかくでございますけれども、いまの段階で政府として、ぎりぎりのところどういうことをするつもりかというお話でございますが、その点は御答弁を差し控えさしていただきたいと思います。私どもとしては、できるだけ六月二十二日までに北京での交渉を妥結さしたいというふうに考えております。したがいまして、それがもしできなかった場合にどうするかということは、その時点で真剣に検討して善後策を講じなければならないと思いますけれども、いずれにしても何らの取りきめもないというような状態はぜひとも回避したいというふうに考えております。
  39. 森中守義

    森中守義君 わかりました。  それから、これも二、三回国会での質問にお答えになったようですが、友好条約はこれはもはや共同声明の重要な事項の一つですし、実務協定がもうおおむね峠を越そうという段階ですがね、これは一体どういうお考えです。終わらなければ友好条約、平和条約の交渉に入らないというお考えなのか。新聞等では並行的にもやるのだということのようですが、具体的に北京側との感触はとっておられますか。そういう見解をお尋ねしておきたいと思います。
  40. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 実務協定をまずやって、それを終えて友好条約に入ると、そのようにきめているわけでもございませんで、並行してやっても差しつかえない合意にはなっておるわけでございます。ただ、ただいままでお互いの案文を交換したというようなこともいたしておりませんし、日中両国政府の部内におきまして、それぞれいまどういう構想で臨むかという点を検討いたしておるというのが現状でございまして、いずれ機会を見まして基本的な考え方はお互いに交換してみたいと考えておるのがいまの心境でございます。したがいまして、まだ具体的にスケジュールを組みまして仕事に取りかかるということまでには至っておりません。
  41. 森中守義

    森中守義君 おおむねいつごろですか。
  42. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 御案内のように、実務協定のほうも急いでおりまして、そう長く遷延させるつもりはないのでありまして、われわれ部内ではもうすでに検討を始めておるわけでございまして、できるだけ早く先方と接触を持つようにいたしたいと思っております。が、いま申しますように、いつごろ見当で先方との接触を始めるかというところまで、まだ私自身決心がついていないわけでございますが、できるだけ早くいたしたいとは考えております。
  43. 森中守義

    森中守義君 先日の毎日新聞によりますと、おそらくこれは外務省見解だと思うのですが、九月中にも案文交換をしたい、こういうように記事として出ておりますが、おおむねこういうものだというように理解していいですか。
  44. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 私も毎日新聞の記事は読みましたけれども、これは全然私どもの関係のない一方的な観測の記事でございます。
  45. 森中守義

    森中守義君 その出どころもなく記事になるということもありますまいしね、大平さん、大体九月ごろに案文の交換という段階までいくのかどうかわかりませんけれども、おおむねその辺のことだというように理解しておっていいでしょう。急がなければ、これはもうちょっと、あとがたて込んできましょうからね。
  46. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま申し上げられることは、できるだけ早く手を染めてみたいと思います。
  47. 森中守義

    森中守義君 それで航空協定の問題ですが、東京北京線が新たな段階になれば、さつき申し上げたように、全アジアにわたる航空事情というのは非常に大きな変化を伴う、こういう認識がもはや妥当だと思うのです。そこで一つ問題になるのは、各国が持っている防空識別圏、これがFIRとは別個に一つ形成されていて、かなり飛行条件に大きな障害になるわけですがね。たとえば、東京から北京に行く場合、上海に行く場合、こういう場合に韓国の防空識別圏を通る場合と避ける場合、たいへん経済性も違ってくる、時間的にも違う、こういうようなことに現実的にはなるかと思うのです。もちろん、防空識別圏というのは確立された国際条約にも何もありませんしね、これはたて込んでくるアジアの航空事情等から勘案をして、関係国に対しまして防空識別圏をどういったように民間航空ルートを基礎にして処理していくのか。ただ、絶対に識別圏というものは不変のものとして、通ってならぬ、そのつど相手の了解を得なければならぬ、こういうことであれば、なかなかこれはわずらわしいと思うのですね。ですから、そういう意味で、本来ならば安保理事会等で国際的な防空識別圏はどうするかという議論もあってよかろうし、しかし、そういうのには間に合わないような気がしますので、関係のきわめて深い防空識別圏をどういったように扱っていくかという、こういうことなどは少し外務省あたりが中心になって検討を加える段階に来ていると、こう思うのですが、外務大臣どうお考えになりますか。
  48. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 先生の御質問に直接お答えすることにならないかもしれませんけれども、御案内のように、防空識別圏は、当該国が防空上必要と考えて設定しておる一つの範囲でございますが、民間航空の立場から申しますと、むしろ、防空識別圏が問題であるのではなくて、飛行情報区というものがございまして、この飛行情報区相互間で情報交換が行なわれ、民間航空機が安全に通行できるという仕組みになっておりまして、防空識別圏よりも、この情報区相互間の連絡、そのまた情報区が相互に引かれております航空路をどのように管理するかという点のほうがむしろ問題になるのではないかと存じます。
  49. 森中守義

    森中守義君 そうすると、航空局長、防空識別圏というのは自由に突っ込んでもいいということですか。全然障害がないということ。
  50. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 防空識別圏のほうは、実は、民間航空につきましては、飛行情報区間を移動する場合に当然通報がございますので、それがその当該国の内部でどのように扱われるかは別といたしまして、一応認識された航空機が防空識別圏の中を通過するということを、当該国の防空識別圏を担当する機関が認識するわけでございますので、まず、私どもの考えといたしましては、そういう連絡があれば通行できるということでございまして、黙って入っていいということではございませんけれども、そういう民間のルートを通じまして、相手国にしかるべき航空機がある時間に入ってくるということが当然認識されているという仕組みになっております。
  51. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、具体的に、上海あるいは北京に飛ぼうという場合、韓国の防空識別圏は、通報して了承を得られるならば通ってよろしい、しかし、それはそのつどなのか、あるいは常時そういうことがいいのか、それはどうなんですか。   〔委員長代理平島敏夫君退席、委員長着席〕
  52. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) まず、民間航空につきましては、ICAO条約あるいは通過業務協定等に加盟をしておる国とそうでない国とでは多少異なりますけれども、韓国の場合日本と同様にICAOのメンバーでございますし、航空路を通過する場合には、通常管制機関同士の航空機の移転が行なわれれば自動的に通過できるということになっております。
  53. 森中守義

    森中守義君 韓国を通っていいんですか。
  54. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 航空路の上を飛ぶ場合には飛んでいいわけでございます。ただ、韓国を通って中国に行く場合を想定いたしますと、中国と韓国の管制引き渡しの手続がいまございませんから、これは現在飛ぶわけにはいかないと思います。
  55. 森中守義

    森中守義君 それから、今回のこの協定を契機に、おそらくカナダはもうすでに時間の問題、アメリカも時間の問題ということでしょうが、いままでの日米航空協定が、当然、これから先、米中の航空協定ができた機会に、わが国に関しても無縁のものではない。特に私は具体的に申し上げますが、日米航空協定と、そのほかに「沖繩の復帰後の日米民間航空運送業務に関する了解覚書」というものがある。これはなるほど「了解覚書」によりますと、わからないでもないですが、非常に公正を欠いているのですね。つまり、沖繩に対しましては、米軍が占領中に入っていた四社が全部入っている。日本はそうはいかない、本土のほうでは。この辺の不平等性といいますか、何も一定の日限を切られたものだけを黙って見過ごすという必要もないと思うので、こういう日米航空協定をもう一回洗い直してみるという、そういう見解は持ちませんか。これは衆議院の本会議の決議、参議院運輸委員会の決議等も過去に一回ずつあっている。いまなおそういうことは、不平等性が完全に除去されたという段階に至っていないんですけどもね。こういうぐあいにお考えになりませんか。
  56. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) ただいま御指摘のございました沖繩返還に伴う「了解覚書」と申しますのは、沖繩返還の時点において現に就航しておる、四社でございましたけれども、これはそのまま就航を認める、しかし、この見直し、これによって日米間の均衡がどうなるかという見直しは、五年たった時点で行ないましょうという覚え書きでございますけれども、この五年という時点を置きました意味は、五年たつと沖繩の状態が変わる可能性がある、つまり返還の時点で沖繩を中心としていろいろな人なり物なりが動いておりましたけれども、返還後数年たった時点で一応落ちついた段階でこれが変わる可能性があるということから、去年という年限を一応切りまして、五年の先の時点で現実にどうなっておるかということを見た上で、日米間の権益の均衡というものを見直しましょう、こういう一つの覚え書きでございます。  それから、一般論といたしまして、日米航空協定の不均衡性という点につきましては、過去数回いろいろ努力をしてきておりますし、今後におきましても、先生御指摘のように、かりにアメリカが中国へ飛ぶというような事態が発生いたしますと、明らかに現状とは変わってまいりますので、そういう機会をとらえまして不均衡の是正という努力は続けていかなければいけないと、このように考えております。
  57. 森中守義

    森中守義君 たしか日米航空協定の再交渉があったのは四十五年のように記憶するのですが、その当時問題になったシカゴ乗り入れの問題、これなどは依然として片がついていない。しかも沖繩返還という特殊な状態、しかも特殊な期間五年間を一応許容しましょうという、こういう状況はわからないでもないんですがね、けれどもやはり、そのシカゴ乗り入れというような問題は日米航空協定の中の一つの大きな問題点になっていると思うのです。ですから、委員会あるいは本会議の決議等を受けて四十五年の交渉になったと思うのですが、その後は全然交渉はなかったようですね。ですから、もう一回そろそろ、いま局長の言われるようなことを念頭に置きながら再交渉というようなことは考えられませんか。
  58. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 御指摘のように、近年アメリカと正式の交渉というのは実はいたしておりません。と申しますのは、実はアメリカの航空企業全般が非常に経済的に不況におちいった、それでむしろ日本航空の業績が非常に高かったというようなこともございまして、これはいろいろ路線の価値論をやりますときに、考え方がいろいろあるわけでございますが、やはり日本企業の収益性が高いという事実がございまして、その反面アメリカの企業の収益性が低いという時代が実は続いておったわけでございます。で、そういう時点で新しい、ただいま御指摘のシカゴの権利を日本側に認めるということは、アメリカ側としても非常にむつかしいという状態が実はございまして、表向きの交渉というものは確かにいたしておりませんけれども、このシカゴ問題というのは長年の間の一つの懸案として残っておりますので、これは機会がございましたら、やはり路線権全般の見直しということの一環といたしまして交渉を続けるべきだというふうに考えております。
  59. 森中守義

    森中守義君 いつぐらいまで。
  60. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 具体的にまだ交渉の予定は立っておりません。
  61. 森中守義

    森中守義君 それから、せんだって、前の衆議院議員の川崎秀二さんが周恩来さんと会ったときに、以遠権の問題については条件が整備されてくれば日本に優先的に提供したいと、こういう、まあ認めたいというコメントをしたようですがね。当然これは北京の外交当局から大臣のほうにもそういう話は入っていると思う。その事実がどうなのかということと、それから、交渉の際に、以遠権に対する優先権というものは口頭なり何なりの形で正確に約束づけられたものであるかどうか、この点はどうでしょう。
  62. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) おっしゃられておる川崎さんの訪中に関連した情報は、外務省を通じて参っておりません。  それから、確約したかどうかという問題でございますが、先ほど運輸大臣からも御答弁がございましたように、協定イスラマバード線を優先的に確保するということが盛り込まれておりません。したがいまして、これは将来の課題であるということに変わりはないわけでございます。ただ、私どもといたしましては、日中関係の重要性にかんがみまして、第三国に対して日本がこの路線の獲得についておくれをとるというようなことはいたしてはなりませんし、そういうことにはならないようにやってまいるつもりでございまするし、また、そうできるであろうと考えております。
  63. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、これは大臣ね、いろいろ取りざたされている以遠権の優遇ということは、まあ単なる期待であり、観測であり、希望であって、二国間の話し合いの中にはきちんとしたものは何もない、全く白紙であると、こういうように理解しておくべきなんですか。
  64. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 協定上はそのように御理解をいただくほかに道はないと思います。
  65. 森中守義

    森中守義君 時間がありませんので、ちょっと先急ぎになりますが、日台路線について外務運輸両省案というのが先ごろ示されて、これは生きているわけですね。そうしますと、この中の六項の「「中華航空」の日本における営業所、事務所その他地上サービスは代理店その他別の事業主体に委託する。ただし運航の安全、従業員の生活安定は所要の配慮をする。」、こういう項目がある。これで、台湾に設けられていた日本航空の、支店なのか支社なのかわかりませんが、これの閉鎖、あるいは東京における中華航空の閉鎖、こういうことで解雇問題がおりおり大きな社会問題として出てまいりますがね。当然私は、いまの六項目が一つの具体的な足がかりになって、外務省あるいは運輸省がこの処理に当たるべき任務を帯びていると、こういうように思うのですが、いまこの扱いはどうなっておりますか。
  66. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いわゆる六項目というのは、正常化のワク組みの中におきまして日台路線を安定的に維持するにはこういう分別以外にはないという外務運輸両省の確信を示したものでございます。けれども、これは日台路線維持されるという前提で、そういうことをいたしまして維持したいということを盛り込んだものでございますが、不幸にいたしまして日台路線は停止されたわけでございまするので、そのあなたが御指摘になる第六項の問題は、日台路線維持されるという前提において生きてくる問題であると私は承知しておるわけでございますが、不幸にして日台路線が停止されてしまった段階におきまして、それを予想して書いたものではないということを御承知いただきたいと思います。  それから、しかし不幸にして、日台路線が停止されたということで解雇問題が起きておりますが、これは第一義的には会社と従業員の間の問題でございまして、政府としても関心を持っておりまするけれども、まず従業員と会社の間におきましてどのような措置がなされますか、それを注視いたしておるのがいまの立場でございます。
  67. 森中守義

    森中守義君 しかし、外務大臣ね、なるほどその運輸、外務省のこの六項目というのは維持を前提にしたということは、それは私も知っておりますがね。そういうことで、その東京あるいは台北の解雇問題を、もう維持されていないんだから、あずかり知らないっていうわけにいきますまいね。これは当然外務運輸両省がこの問題には積極的に介入すべき筋のものだと私は思いますよ。何もそれをその航空会社にまかせ切った措置というのは、あまり政府の親切な措置だとは思いませんけどもね。まあしかしそれは、いま大臣があまり熱意のあるお話でないようですから、これを一々やっていると時間もありませんから、ただ考えとしては、やはり政府はもう少し熱意あるこういう問題への取り組みが必要だということを特に御注意申し上げておきましょう。  それから、わが国中国への乗り入れですね。これは一または二ということになっているようですが、一または二とした理由は一体どういうことにあるんですか。
  68. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 航空協定締結いたします場合に、私どもまず原則的には複数企業乗り入れという権利を確保するということを従来ずっと続けてきております。それで、中国に対しても、一または二以上という原案で交渉に入ったわけでございますが、中国側中国民航一社しかないという特殊な事情もございます。それで、日本側の考え方もわからないではないので、一または二ということで、まあ二つまでは認めましょうと、こういうことになったわけでございます。
  69. 森中守義

    森中守義君 そうしますとね、一または二の場合の企業の選定権というのは、日本が独自できめられるものですか、あるいは相手側の同意を得るべきものなんですか。
  70. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 航空企業を指定いたします場合には、日本側の独自の立場で指定できますし、相手側の了承を必要といたしません。
  71. 森中守義

    森中守義君 そうなりますとね、四十五年の閣議了解で、国際線一社という問題ですね。これは交渉の技術的な意味合いだけに限定をして、単なる想定でその交渉に入られるとは私は思わない。まあ一の場合はいい。二の場合は、閣議了解というものは国際線一社という限定したものですからね、これは当然破棄する、やり直すという前提に立ってこういう話をされたと解していいんですか。
  72. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 先ほど申し上げましたように、航空協定締結いたします場合に、複数企業の就航の可能性というのを条約上は確保しておく必要があると、したがいまして、過去に締結されました航空協定も大部分が複数になっております。で、それと同じ立場で一または二という、要するに複数の要求を今回いたしましたわけで、四十五年の閣議了解の線というものを改定をするから、それを前提として複数にしたというわけではございせんので、その辺は御理解いただきたいと思います。
  73. 森中守義

    森中守義君 ただ、実際問題として、もはや国際線一社というものは必ずしも妥当な時代ではない。この前運輸委員会で運輸大臣はそのことを認められて、この閣議了解というのは再検討したい、見直したいと、こう言われましたね。で、このことはいまの考えと変わっておりませんか。同時に、一番機を九月の二十六日までに飛ばすということになりますと、かなりもう具体的になっておる。で、こういうことを踏まえて、おそらく運輸政策審議会への諮問も必要でしょうが、大体構想をまとめておられるんですか。それと、具体的に中国への乗り入れというものは、一または二という協定上の概念からこうしたとこういうことのようですが、相当その需要が喚起されてくる、一社ではどうにもならないという、こういう時代が来ないとも限らない。もうしたがって、一または二を、まあたとえ利用度は非常に少なくても二社入れていきたいというお考えなのか、とりあえずは一社でいきたいというお考えなのか、その辺どうですか。
  74. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 四十五年の閣議了解は現在のところ生きておるわけでございまして、これをどうするかにつきましては、先般運輸大臣が御所信を述べられました。で、国際線に二社名を出すか出さないかという決定は、やはり客観情勢を十分検討した上で最終的に決定されるべきだというふうに考えておりますし、おいおいそういう時期に近づきつつあるというわれわれの認識でございますけれども、これはやはり運輸政策審議会なり何なりで十分御検討いただいた上で、再度決定をするべきだと考えております。で、この航空協定そのものにつきましては、やはり複数の可能性というものをとらえてあるわけでございまして、当初一社で始めましても、後に二社名が入っていくということも場合によってはあり得ると、そういう考え方から、複数企業を指定する権利を確保しておくことが望ましいと、こういうことでございます。
  75. 森中守義

    森中守義君 局長、ことばじりをとらえて悪いですけれども、あれですか、運輸政策審議会にその意向を問いたいと、こう言われるなら、これはやっぱり原案を出さなければ、何もかにもひとつ審議会でやってくれというわけにはいきますまいしね。で、それならばそろそろ運輸省あたりで話がまとまっているんじゃないか。いつごろそういうのを審議会に諮問をするのか。もうこれは時間の問題として、相当急がないと間に合わない。なぜかというならば、四十五年の閣議了解を受けて、四十七年の七月大臣通達が出ておりますね。「航空企業の運営体制について」という、かなりこれは具体的なものですよ。で、これはワンセットになったものだから、当然大臣通達というものも変えざるを得ない。ということであれば、そう十日とか二、三週間で決着がつくというものじゃないと思う。ですから、この航空企業の運営体制と、これを受けたその大臣通達ですね、具体的にどう直そうとされるのか。いやいま検討中だと言われてみても、もうこの前の検討中から、かなり時間がたっていますよ。したがって、発表できるものであるかどうか、これは大臣の考えもありましょうがね。どうもこれは少し言い方があまり適当でないけれども、国会でいろいろ論争があった、そこで検討中考慮中と言いながら、何日かたってすぐその内容が出てしまう、こういうパターンを大体いままで繰り返しているのですね。で、いつも私は申し上げるように、航空法の中にこういう非常にこまかな内容をとらえていない。全部行政裁量にまかしてありますよ。で、それだけに、まかされている部分については国会でかなりこまかな議論をしておきませんとね、これは航空法に合致しているとか違反しているとかという議論では間に合わない。そういう意味で、私は、閣議了解及び大臣通達というものは、九月二十六日を限度とする、中国への一番機の飛び立ち、その間における国内の航空体制の問題等がもう固まっていないとまずいんじゃないかと、こう思いますので、ひとつ構想を明らかにしてもらいたいと思う。
  76. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 森中先生の質問に私が景気よう答えちゃいつも事務局からしかられているんですが、ほんとうのところ、まだ検討を命じている段階でございまして、内容等についてまとまったものはございません。国会で検討中検討中と言って、まとまったのをぽんと出すじゃないかというようなことは絶対いたしませんから、その点は御理解いただきたいと思います。ただ、九月日中間乗り入れをめどにというふうには私は考えておらないわけでございますけれども、まあ台湾に飛んで行く企業は、もしこれが復活する場合には日本航空は飛ばないということになっておりますから、これはもう新しい企業ということになると思います。そういうような面からも閣議了解事項というものは見直さなきゃならぬ、検討し直さなきゃならぬということはそうであろうと私も考えて、いま事務当局にいろいろなそういうような面について原案を検討しろと、こう言っておるところでございます。国会がいままでずっと実はたくさんありまして、この案件が御審議願い御承認いただきますと航空局も多少余裕ができてくると思います。その時点から本格的な検討に入ることになると思います。
  77. 森中守義

    森中守義君 ここで時間が来ましたから、ちょっと二問だけまとめてお尋ねします。  一つは、明日から沖繩の管制権が返ってくる。それと、しばしばやかましく言われてまいりました沖繩FIRと台北FIRの、この関係は一体どういうことになるのか。新聞等ではめどがついたと、こう言っておりますがね。まあ協定という形になるのか。もしそうだとすると、どういう性格のものなのかということが一つ。それから大阪空港への——日中の往来が始まった場合に、いまの分よりもシェアがそれだけふえることになりますね。それで一体、大阪空港については、日中の問題はもちろんですが、その他の国際ラインからもかなり増便の申請があるやに聞いているんです。こういうことはどう処理なさるのか。この二点を最後にお尋ねをいたします。  それと、外務大臣に要望になりますけれども、早くこれからしなければならない海運協定、あるいは漁業協定、そして一番重要な平和友好条約ですね。こういうものを早急に処理していただくように強く要望しておきたいと思う。
  78. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) まず、那覇FIRと台北FIRとの関係でございますが、これにつきましては、管制担当者同士が話し合いをいたしまして、了解がついております。で、最終的にどういう形にするかということは目下外務省で御検討いただいておりますけれども、実務的には航空機の受け渡しについて完全な了解に達しておりますので、十五日からの米軍からの引き継ぎは問題なく行なわれるというふうに考えております。  それから大阪につきまして中国民航が乗り入れた場合の取り扱い方でございますが、御存じのように、大阪のジェットの離発着回数というものを非常に制限しております。したがいまして、このワクの中で私どもは処理をしていかなければならない。その際第三国との間にやはりいろんな問題が発生することも考えられますが、これは関係の第三国と十分話し合いをして、大阪の事情からやむを得ないという御了解を取りつけるような努力をするつもりでおります。
  79. 森中守義

    森中守義君 日台協定の性格はどういうものなんですか。
  80. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) その点は外務省からお答えいただきたいと思います。
  81. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) ただいま寺井局長からお話のありましたとおり、明十五日からのFIRの受け渡しそのものについては支障はないと確信いたしております。形式につきましては、日本台湾の間の唯一のパイプでございます交流協会と亜東関係協会の間の了解に従いまして、担当官同士の協議を経て話し合いがついたというのが実情でございまして、発表につきましては台湾側との打ち合わせも必要でございますので、いまの、きょうの時点でどういう形式ということを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  82. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 阿部君。
  83. 阿部憲一

    阿部憲一君 今般、懸案の日中航空協定が結ばれましたことにつきましては、非常に慶賀に存ずる次第でございますが、この協定が結ばれました以上、なるべくすみやかに運航が開始されることを望んでおる次第でございます。  それに関連しまして、一般に、二国間に航空協定締結されましても、実際に運航が開始されるというのは、結局、その技術的な協定とか、あるいは商務協定とか、その他の準備に半年はかかる、こういうふうにも世間で言われておりますが、今度の日中の場合にはどんなような協定をさらに結ぶ必要があるか、お伺いしたいと思います。
  84. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) お答え申し上げます。  今回の協定の中に、実はどういう取りきめが必要かということが、五条、九条、十条等にございまして、これを要約いたしますと、まず、通信とか航行援助あるいは航空交通管制、気象情報等に関します技術的な取りきめ、それから「輸送力」と申しますが、週何便あるいはどういう機材を使うというようなことを航空当局間できめる必要がございますし、また企業間では、運賃あるいは営業所、営業の代理業務というようなことを行ないます際には、そういう取りきめが必要でございますし、また、地上業務の取り扱い方、こうした商務取りきめというものが必要になってまいります。先生御指摘のように、こういう取りきめをするのにかなりの時間がかかることは事実でございまして、この協定が批准発効をいたしましたならば、しかるべき時期に、まず実務的なこういう協定締結作業に入る必要があろうかと考えております。また、その結果、通信回線の設定というような物理的な施設の設置も必要になってまいりますので、おおむね六カ月程度はかかる可能性があると、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  85. 阿部憲一

    阿部憲一君 そうすると、その協定が結ばれない限りは航空機は飛べないということですか。いかがですか、実際問題として。
  86. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 実際問題として、定期的に航空機を飛ばすことは困難であろうかと思います。
  87. 阿部憲一

    阿部憲一君 いま局長から御説明のありました実務協定交渉というのは、もうすでに取りかかっているんですか。それからまた、もう一つは、もしもかかっておらぬとすれば、いつごろから一体この協定交渉を始めるおつもりか。またそれが、先ほどお話しのようにやっぱり半年もかかるというこの問題についてのお見込みかどうか、お伺いしたいと思います。
  88. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 技術協定の一部につきましては、すでに案を先方に事務的には提示してございます。で、これの詰めが全然行なわれておりませんけれども、これはやはりできるだけ早く交渉を開始する必要があろうかと考えておりますが、いつどこで交渉を持つかということにつきましては、今後やはり中国と打ち合わせの上決定しなければならないことであろうかと存じます。
  89. 阿部憲一

    阿部憲一君 これに関連しますが、中国日本のこの乗り入れ地点から類推いたしますと、中国は、先ほど来もお話がありましたが、東京大阪わが国としましては北京上海ということでございましょうが、これにつきましては、現地にいわゆる支店と申しましょうか、事務所、これを持つことになりますが、この準備、それからまたわが国の受け入れ体制というものはどうなっていますか、もう一度御説明願いたいと思います。
  90. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 相互に支店を置くかどうかという点につきましても、やはりこれは企業間で話し合いをしてきめるというたてまえになっておりますので、企業間できめることになるわけでございますが、中国との間の現在の考え方と申しますか、これは相互に、つまり日本におきましては日本航空中国におきましては中国民航が相手国企業業務代行を行なうというような考え方でまいっておりますので、事務所と申しましても、連絡員あるいは機体の整備に必要な技術者を置く程度で、いわゆる支店活動を行なうというような形は最初の段階では出てまいらないと考えております。
  91. 阿部憲一

    阿部憲一君 そうすると、局長、あまりこの支店の機構とかなんとかというのは、一般にたとえば日本航空海外の支店と同じように考えられないんで、むしろ非常に特殊な例として、ごく少数な機構でやるということになると思いますが、それで間違いありませんか。当局としてもそのような考え方で御了解なさるわけですか。
  92. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 基本的に先生の御了解のとおりでございまして、例といたしましては、ソ連と日本との関係、アエロフロートと日本航空の関係が一つの前例になろうかと存じますが、ソ連の場合は、ハバロフスクを入れまして現在日航の職員が十九名程度行っております。まあ、ですから、大体その程度の規模で一応の運営は可能であるというふうにお考えいただいてけっこうかと存じます。
  93. 阿部憲一

    阿部憲一君 少し具体的なことをお伺いするんですけれども、当面北京乗り入れる日航の便というのは東京北京の間の往復便になると思いますが、そのようなことに想定されているのか。それとも、さらに以遠の問題で、以遠、現在の南回りのヨーロッパ線がございますね、この一部として運航させるような形になるのか。その辺のところを、おわかりだったらお教え願いたいと思います。  また同時に、一体、すぐに定期的なものができないとおっしゃいましたけれども、しかしあくまでこれはすみやかに定期航空的なものにすべきだと思いまするので、それについては大体週何便ぐらいを考えておられるのか、あるいはまた、まだそれは全然決定していないというのかどうか、その辺のステップと申しましょうか、構想をお聞かせ願いたいと思います。
  94. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 最初に運航される日中間路線というものが上海北京折り返しになるかどうかという点でございますが、これは定期便の開設の時期とも非常に関連がございます。ヨーロッパまで延ばしますのには、まだ今後日本とその通過地点国との間で協定の一部改正をしなければならない国もございますので、やはり当面は日中間路線がまず開かれるというふうに御理解いただいて間違いはないというふうに考えます。  週間便数、これはこれから航空当局間できめるわけでございますが、当面の輸送需要を見込みまして双方できめるわけでございます。具体的にまだきまっておりませんが、双方週一便あるいは週二便程度で開始することになろうかというふうに考えております。
  95. 阿部憲一

    阿部憲一君 いつごろからそんなふうな状態になりますか。
  96. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 時点は、もちろん、先ほど申し上げました技術的な取りきめ、特に管制上の受け渡しの問題、通信回線の問題、これが片づきました時点で開始されるわけでございまして、中国側も早期開設を望んでおります。できるだけ早い時期にそういう定期便の第一便が飛ぶという状態に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  97. 阿部憲一

    阿部憲一君 いままで臨時的に中国からスポーツの選手団が来たこともございまするし、また、先般日本から田中総理の一行が中国へ訪問されたというようなこと、いろいろケースがございますが、普通直接の連絡電話の設備があるのかどうかということ、技術的にどのような飛び方をしてきたのか、ちょっとこの辺のところを御説明願いたいと思います。
  98. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 現在まで臨時便が数便飛んでまいりました。これは実は地対空の通信設備を使いまして上海東京の間の通信を行なったわけでございます。ただ、これが非常に他の管制部、たとえばグワムの飛行場の地対空の通信を妨害するというようなことがございまして、あまり長時間使用することができない状態でございます。したがいまして、定期便を運航いたします際には、どうしてもテレタイプ回線と申しますか、直接の回線をとる必要がある、そういう意味で、どうしても通信回線の設定が非常に重要な要素になってまいります。ですから、こういう問題が解決されませんと定期的に飛ばすというのが非常にむずかしいという状態でございます。
  99. 阿部憲一

    阿部憲一君 その定期的の通信開設ですけれども、これはやはり早急と申しましても、なかなか時間がかかると思いますが、どのような開設設備をつくるかということと、さらに、設備を完成するまでにどのくらい一体時間がかかるのかということについてお聞かせ願いたいと思います。
  100. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 正確なところがちょっとお答えできなくてまことに恐縮なんでございますが、電電公社の話では、大体二カ月ないし三カ月これは物理的にかかるそうでございます。
  101. 阿部憲一

    阿部憲一君 こういった一番基礎的なことが片づきませんと、要するに、安全な航路の開設ということがむずかしいし、また運航ということに対しても大いに危険も感じなきゃならないと思います。したがって、これは重要な問題だと思いますので、このことについてはとくと慎重にひとつ扱って、開設時期なども促進するなり、きちんとしていかなければならないと思いますが、特にこのいまのような通信開設といいましょうか、直接の電話連絡ができませんと現場では仕事が非常にむずかしいと私も聞いております。現に、御承知のように航空事故があっちこっちである。まあそれはいろいろ原因はございまするけれども、やっぱりこのような連絡の不十分ということも大きな事故の原因になっておると思います。そんなことで、この点をどのようになさるか、ひとつ大臣の御見解もお伺いしたいと思います。
  102. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) これはもう技術的な問題でございますから、御指摘のように、この一線がくずれても航行の安全に非常に重大な支障を持つわけでございますから、十分慎重に各それぞれの部門に対してやるように指導してまいりたいと思っております。
  103. 阿部憲一

    阿部憲一君 こういった準備万端が進んで初めて一番機が飛ぶことになると思いますし、私も先ほど申し上げましたように、すみやかにこの航路が開設されることを希望しているわけでございますが、一部報道によりますると、一番機の飛ぶ時期がやはり日中共同声明の二周年の記念であることしの九月ですか、このように予定されているといわれておりまするけれども、これはもう大体その御予定でいらっしゃいますかどうか、お伺いいたします。
  104. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) そういうところを目安にいたしまして鋭意努力したいと考えています。
  105. 阿部憲一

    阿部憲一君 私ども先ほどちょっと触れましたように、早く一番機を飛ばすことは非常に望ましいことでございまするけれども、やっぱりその辺のところを抜かりなく準備万端怠りなくひとつ実施願いたい、このように思うわけでございます。  次に、ちょっと話題を変えまして、協定文の中に触れたいのですが、この航空協定文の中の指定航空企業について、先ほど森中委員のお話もありましたんですが、「一又は二の航空企業を文書による通告によって指定する」、こうなっておりますが、一つは、当然のことでございますが、ナショナルキャリアであります日本航空である、これはよくわかりますが、この日本航空のほかに将来指定航空企業になる余地があるわけでございまするけれども、これがこの条文だけで見ましたり、先ほどの局長の御説明なんかによっても、慣例によってこういうふうに書いたんだというようないわゆる形式的なことでこのような文言が載っているというふうに説明なさっておりましたけれども、しかし、やはり単に形式的だけじゃなくて、この指定航空企業を複数にするという余地をつくったわけでございまするから、したがって、この余地をつくったからには、その可能性があるのかどうか、この辺についてのお考えを承りたいと思います。
  106. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) この国際線を一社でやるか三社でやるかという問題に突き当たるわけでございますが、従来日本航空一社ということで今日の地位を築き上げてまいりまして、これがやはり二社名を出したほうが国益上よろしいという判断ができる時期がまいりましたならば、やはり一社でなくて二社名を出し、あるいは三社名を出すということが理屈の上では可能であろうかと存じますし、やはり国際航空のたてまえからいたしまして航空協定でしばられてまいりますので、常にこういう可能性は持った上で、あとは客観情勢あるいは日本の国の国策としてどう考えるかという決定さえあれば二社名を出していける。当然これは、これを受け入れる側の相手国の状態ももちろん考えなければなりませんけれども、そういうことを前提にして複数の可能性というものをやはり協定上は持たなければならない、こういう考え方で複数になっておるわけでございます。
  107. 阿部憲一

    阿部憲一君 そうすると、あくまでもこれは将来の問題だ、こういうふうにお考えですか。将来の判断する、予測される前提といたしまして先ほど国益上というふうなことを言われましたが、国益上ということになりますと、この航路の利用度というものが非常に向上している、こういう前提だと思いまするが、もう一つ、やはりそのようなこの航路の重要性が増し、非常に依存度がふえ、この航路自体が非常に繁栄している、このこと自体けっこうですが、それだけじゃなくて、やっぱり国際的な問題、すなわち日台航空などの問題も含めてのいまの国益云々ということでございますか、その辺のところをちょっともう一回お伺いしたいと思います。
  108. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 国益という表現が必ずしも適切でなかったかもしれませんけれども、要するに、日本の持っておる航空企業の力というものが国際的に十分に発揮できていけるかどうかということも一つの目安になるのではないかというふうに考えております。  それから全体の力として、やはり単数で国際線を運営したほうがいいか、あるいは複数でやったほうがいいかという観点から判断される時期があり得ると、そういう意味で将来のこととしてということでございますが、この将来がいつになるかという点につきましては、やはり客観情勢を十分踏んまえて検討を進めていかなければならない。先ほど森中先生の御質問もございましたけれども、これが案外近いかもしれませんし、また先のほうになるかもしれない、この辺は十分検討した上でないと結論は出せない、こういうことでございます。
  109. 阿部憲一

    阿部憲一君 一昨年、四十七年に運輸大臣通達として出された中に、東亜国内航空は「将来、国内幹線のジェット機による自主運航を認めるものとする。その運輸開始の時期は、昭和四九年度を目途と」するとありますが、経営不振で非常に悩んでいまする東亜国内航空路線をこれは再検討なさっておられるんですか。まあ現在これからなさろうというんでしょうか、その辺についての御見解をお伺いしたいと思います。
  110. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) ただいま先生御指摘のように、四十九年から幹線にまで入れるという一つの方針があったわけでございますが、その後東亜国内のジェット化というものが予定よりもずっとおくれております、これは事故等もございまして。そこで、いまの時点ではなかなか本年度内に幹線に入るというような力もございません。ただ、反面、東亜国内の経営状態というのは非常に悪化いたしておりますので、この東亜国内を含めて日本の国内航空をどうするかということは当然検討に入らなければならない時期に来ておる、かように考えております。
  111. 阿部憲一

    阿部憲一君 そうすると、結局、将来の問題といたしましても、いまのように一または二という複数を考えた場合には全日空が対象になると、こういうふうにしか考えられませんが、そのとおりでございますね。
  112. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 現在の国内定期航空、四社ございますが、の力からいって、日本航空の次が全日空でございますから、当然そういうふうにお考えになるのが常識的だというふうに考えます。
  113. 阿部憲一

    阿部憲一君 この日中航空路の開設、また全日空の日中航空路の可能性、そして東亜国内航空の問題、まあ新しい事態に直面しておりまするけれども、四十七年に先ほど申し上げました運輸大臣通達として出された現行の航空路の再編成する時期がまさに来ていると、こういうふうに私考えますけれども、大臣の御見解をひとつお伺いしたいと思います。
  114. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御指摘のように、私もそういうつもりで見直しをする時期に来ていると、こういうふうに考えるわけでございます。したがいまして、これを事務的にどういうふうにいまから詰めていくかということを、先ほど申し上げましたように、検討を命じているわけでございます。
  115. 阿部憲一

    阿部憲一君 この日中航空路の開設に伴いましてすぐ関連して考えられますのは、残っておる問題として、懸案の海運協定の問題でございますけれども、この締結はもちろん必要でございまするし、また、おそらく現在も取り組む姿勢でおられると思いますが、この辺の経過並びにこの海運協定に対する見通しなどについて大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  116. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 先ほどお答えいたしましたけれども、海運協定もできるだけ早い機会締結交渉に入りたいということで、相互にもう案文も交換しておりますし、いつでも交渉を開始できる段階にございます。わがほうとしては漁業協定等で一段落したあとぐらいを考えて早急に交渉に入りたいというふうに思っております。
  117. 阿部憲一

    阿部憲一君 どうですか、その見通しはわかりませんか、いつごろになるか。
  118. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 一般的に、日中双方間で早急に交渉に入りたいということでは合意しておりますけれども、具体的にいつということについてはまだきまっておりませんので、見通しを述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
  119. 阿部憲一

    阿部憲一君 なお、先ほど申しました日中航空路の開設に伴って、もう一つの問題が、先ほど来論議されております日台航空の問題でございますが、これにつきまして、まあいま日台航空が中絶されておるということは非常に残念でございますが、この復活、いわゆる正常化の見通し等について外務大臣の御見解を承りたいと思います。
  120. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私どもは従来から日台路線を日中正常化のワク組みの中で安定的に維持したいという方針で終始してまいりまして、その方針は、今日停止された状態でございますけれども、依然として変わっておりません。ただ、これをそれではどういうことで再開するかというようなことにつきましては、ただいまのような日台間の政治的な関係、雰囲気のもとにおきまして日本側でとやかく申し上げるのは適切でないと考えますので、どういうことでという方法論につきましては、ここで申し述べますことを差し控えさせていただきたいと思います。
  121. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 中村君。
  122. 中村利次

    中村利次君 日中の航空路線が新しく開かれるということは、たいへんにこれは歓迎すべきことでございまして、そういう意味で、政府がこの協定を結ばれたということに対しましては、私はこれを評価をいたします。  そういう立場をとって考えますと、ますますどうしてもやっぱり私は前提として強く指摘しなければならないことがあります。この交渉政府交渉の過程で、事もあろうに、交渉の途中で外交機密を暴露をして、この問題については外務大臣は、いやそれは党内のことだからひとつまかしておいてくれというような御答弁をされておるようでありますけれども、私はこれは断じてそういう問題ではない、性格が全く違う、外務大臣がどういうことをおっしゃろうとも、これは結果して国益をはなはだしくそこね、日本の国際的な信用を失墜をし、そうして親台湾の立場でああいうことをおやりになったらしいですけれども、これも結果して決して親台湾ではなくて、台湾のメンツを全くこれは踏みにじって、もうプラス面なんてのは、どこをどう見たってないんですよ。こういうことに対して、はたしてどういう政治的な責任と、どういう処理というのがあるのか、私はこれは国民的に言っても、まことに重大な問題だと思うのです。この前の沖繩返還協定のときに、この交渉が終わり、協定が結ばれたあとで、外交上の機密が漏洩をしたというので大騒ぎをして、そして結果して公務員法違反で法律に問われた、処断をされた人まで出たんですね。それと今度と比べてどうですか、これは。今度の場合は、私はまことに事は重大であり、これは政府の立場からいっても、国民的な立場からいっても断じて容認できないようなことがやられておる。私は時間が十三分しかありませんから議論をするひまもありません。それから、外務大臣のわかったようなわからないような御答弁をいただいたって、こんなことはしようがないですけれども、しかし、私はこのことは強くやっぱり指摘をし、この政府あるいは自民党の今後のありようというのを国民的立場に立って十分に見きわめていかなきゃならないという立場をとりますので、この点をまず前提として強く指摘をしておきます。  それから、この航空協定の中で、政府以遠権の問題についてはたいへんな努力をされた。イスラマバード経由を相当主張して、これがいれられなくて、そしてまあ南回りというのですか、そういう航空路線に決定をしたようでありますけれども、たとえば北京からモスクワを経由してヨーロッパへ抜ける路線等もあるし、あるいは現在中国あるいはソ連がどういう航空路を飛んでいるのか、そういう点にからんで、今日以降のこの以遠権の問題についてどういうぐあいにお考えになるのか、まずそれからお伺いをしたいと思います。
  123. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 先生御指摘のように、日本からヨーロッパという路線は、モスクワ経由のいわゆるシベリア線、それからアンカレッジ経由の北極路線と南回りのこの三本がございまして、北京経由モスクワという路線ももちろん考えられるわけでございます。ただ、これは現在運航いたしておりますシベリア路線とほぼ同じことでございますし、北京の地上時間がふえますほか、当面は韓国の上空を飛ぶ最短航空路がございませんので、時間的にも三時間程度現在のシベリア線よりは長くなるという問題がございまして、北京からモスクワ経由でヨーロッパへという路線は現実的でないという判断をしたわけでございます。で、その他御指摘のいわゆるイスラマバード上空を飛ぶ路線というものにつきましては、これはやはり短い路線が開ける可能性として私どもこれを強く要求しておったわけでございますが、残念ながら、この協定にはそのルートが盛り込めなかったということでございます。
  124. 中村利次

    中村利次君 これはやはり、協定というのは両国が対等の立場で以遠権の問題を解決すべきであるというのは、これはもう当然のことだと思うのですよ。そういうことでイスラマバード経由を主張されたようでありますけれども、私は必ずしもこのイスラマバードに固執する必要もないと思うのです、はっきり言って。中国を経由して日本ヨーロッパを結ぶ航空路線で最短のものはどこかという、これも地図上からいっても最短距離を結ぶ線はどこかという検討をおやりになっておるのか、なってないのか、いかがでしょう、そういうところは。
  125. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 最短路線というものについての検討は当然いたしました。しかしながら、この現実の航空路というものがいろいろございまして、これをつなぎ合わせて飛んでまいった場合に、必ずしも短い路線というのがすぐには出てまいらないというのが現状でございます。
  126. 中村利次

    中村利次君 これは私どもが非常に単純に見た場合、最短距離はタシケント経由あたりが大体考えもれるのじゃないかと、地図上から見ますと、そういうのがあるわけですね。ですから、これは今日以降の課題ですけれどもイスラマバードあるいはタシケント経由、そういうものを含めて、日中間のこの路線の選定については今後双方の努力がやっぱり行なわれると思うんですよ。なお、いろいろな条件の変化というものも私は当然これはあると思う。そういうものを含めて、これは私は時間がありませんから結論としてお伺いをいたしますけれども、今後どのような検討をし、どのような対処をしていかれるのか、そういう点についてお伺いをしておきたいと思う。
  127. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 先生御指摘のように、中国が国際航空に進出をしてきますその結果として、中国上空というものを各国が利用するということになります。したがいまして、中国の上空を利用して、やはり時間的に短い東洋とヨーロッパあるいはアフリカとを結ぶ路線というものは今後開発されていく一つの課題であろうかと思います。当然そういうことを頭に置きながら、日中間でこの路線の開発を話し合い、また第三国との関係におきましてもそういう路線の可能性というのを検討していかなければならない。したがいまして、これはもちろん今後の問題でございますけれども、そういう国際航空の発達という、発展という観点から、そういう新しい短い路線というものの開発は努力していかなければならないと、こういうふうに考えております。
  128. 中村利次

    中村利次君 もうすでに時間が残り少なくなりましたからね。先ほどからの各委員の質問に対して、特に日台路線質問に対しては、これは外務大臣航空局長も、まことにどうも、聞いていて歯切れの悪い、そうしてわかったようなわからないような答弁が続いていたんです。日台路線に対する政府の方針というのは、これは日中航空協定の過程でも私ははっきりしていたと思うんですね。ところが、先ほど冒頭申し上げたようないろいろなことで、この政府の方針というのはたいへん大きく私はやっぱりゆがめられたと思う、結果して。そしてまた、これは台湾だって私はたいへんに困っておるんじゃないかと思いますよ。ああいうたいへんメンツを重んずる民族性を持ったところがメンツを丸つぶしにされるようなことをされて、激高して、日台路線というものは遺憾ながらこれは途絶をしておる。それはわが国だけじゃなくて、台湾側にしてもやっぱりたいへんな不利益をこうむっておると私は思うのですけれども、その場合ですね、私は一括して伺いますけれども、いま民間ベースでたいへんにチャーター便がはやっていますよね。こういうのがあくまでも民間ベースで行なわれるとする場合ですね、政府としてはこれに対してどういう対応をされるのか、これがまず第一点。  それから、かりに将来、いろいろな政府のそれなりの努力、あるいは民間ベースでのそれなりのいろんないきさつがあって、日台路線が民間協定として再開をされる場合、先ほどからの御質問もありましたよね、その民間航空会社の選定について、まことにわかったようなわからないようなあれですけれども、これはやっぱり政府が選択をしなきゃならないのは間違いありませんね、運輸省が。その場合、どうもいままでの方針を変えようとされるようなことが伝えられますけれども、これはやっぱり条件はいろいろ変わってまいりますよ。情勢は変わってくるということはあるにしても、ここら辺でやっぱりはっきりした基本的な考え方というものがなきゃ、これはおかしいと思うんですよ。いままではとにかく日航が独占をしていたんですけれども国益上という答弁もありましたが、たとえば東南アジアなんかが、二社あるいは三社就航をされるという点については、これらの航空関係者なんかはたいへんに警戒をしておるということも伝えられておりますよね。こういう問題を含めて、これはもう国益がからんだきわめて重大な問題ですから、したがって、その選定にあたって、私はやっぱり政府は決定的責任がなきゃいけないと思うんですよ。よくいわれるような、企業の突き上げに対して何か妥協をするとか一そういうことはもう今国会でも物価問題等を通じて政府の姿勢なんというのは強く指摘、追及をされてきておるところですけれども、そういう問題を含めて、やっぱりきちっとしたものがなきゃいけないと思う。そういう点についてどういうぐあいにお考えになるのか、将来の方針についてお伺いをして私の質問を終わります。
  129. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 最初のチャーター便についての御質問なんですが、チャーターにつきましては、従来私どもとしては、大体定期航空にあまり実害を与えない程度にチャーターを認めておるという実情にございます。これは、対米あるいはその他の国と多少ニュアンスが違っておりますけれども、そういう扱いになっておりまして、先生の御指摘日台間のチャーターをどうするかということで具体的にまだ考えたことはございません。  それから二番目の御質問につきまして、日台間の就航企業をどうするかという点はもう少しはっきりすべきではないかという御指摘でございますが、この点につきましては、やはり日本航空が行かなくなったということに基づきまして、どういう企業を就航させるかという点につきましては、大臣の御命令もございまして、いま事務的にいろいろ検討しておる段階でございまして、まだ最終的にまとまった案というふうな形にはなっておらないわけでございます。
  130. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 星野君。
  131. 星野力

    星野力君 二、三点お聞きします。  あす沖繩の航空管制業務日本側に返還されますが、業務返還後の沖繩FIRと台北FIRとの関係につきましては、先ほど交流協会と亜東協会との間で話がついたと言われました。台北FIRには日本領空が含まれ、西南航空は現にそこを飛んでおるわけでありますが、日台間で西南航空に対しては情報を提供するというふうに話がついたのかどうか、それが一点であります。それから西南航空以外の一般の日本機の航空路台北FIRの通過を避けて運航されることになるのかどうか、まずその点からお聞きしたいのです。
  132. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) まず、南西航空の扱いでございますが、これは先生御指摘のように、与那国島が台北FIRの中にございます。その関係上、沖繩の管制部、那覇の管制部が、何時何分にこの飛行機が行くという通告をいたしまして、向こうからわかったという返事が来ると、通常こういう手配になっておりまして、これは従来どおりの手続で飛べるということでございます。  それから第二点につきまして、台北FIRの中を第三国航空機——つまり、現在は日本航空とそれから台湾の中華航空は、相互にお互いのFIRの中に入らないということになっておりますので、飛んでおりませんが、第三国航空機は従来どおり台北のFIRを通り、那覇のFIRを通り、東京にやってくると、こういう運航になるわけでございます。
  133. 星野力

    星野力君 さっき「西南航空」と言ったのを「南西航空」に訂正いたします。  きょうの質疑をお聞きしておりますと、日台航空路維持が多数国民の願いであるとか、日本全体の要求であるとかというような論議もなされておりましたが、私は決してそんなことはないと考えるのであります。日台路線維持ということの経済的な価値ということは、これはありましょうけれども日本の将来にとってそれが肝要不可欠のものとは言えないだろうと思います。むしろ、多数の国民は、そのように理解して日中国交の正常な発展を期待しておると見るのが正しいだろうと思うのであります。日中友好関係を発展させるためには、何よりも日中国交回復にあたっての基本的な原則、たとえば一つ中国という認識、これは日本の側からいえば、中華人民共和国政府中国の唯一の合法政権であり、台湾問題は中国の内部問題であるという認識だろうと思いますが、一つ中国という認識、それから平和五原則、これらを堅持することだろうと思うのであります。今後日中問題、日台関係をめぐって政界、財界の極右的な勢力——まあ、与党の国会議員多数の方もここに含まれておることは、これは周知のことでありますが、そういう極右的な勢力や右翼団体などの圧力によって、政府一つ中国の認識がますますあいまいになってくるのではないかということが懸念されるわけでございます。その点について外務大臣からひとつ御見解をお聞きしたいということでございます。
  134. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 歴代の日本政府は、一つ中国論に立ちまして中国政策を推進してまいりましたし、今後もその考えに変わりはございません。
  135. 星野力

    星野力君 政府日台航空路再開のために努力するということを言われておりますが、いま述べられたような一つ中国の立場に立脚してどういう方針でこの努力をされるのか、少し具体的に話していただきたいと思うのですが。
  136. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) たびたび申し上げておりますように、日中正常化の遂げましたそのワク組みのの中で、日台間の航空需要には民間取りきめの姿において維持してまいるという方針を堅持していきたいと考えております。
  137. 星野力

    星野力君 それだけのことなら、いままで何回も聞いたんですから、そういうことをお聞きしたいということじゃないんですけれども、この時間でやってもしようがありませんから、これでやめます。
  138. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後零時五十一分散会