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木村睦男君 そうすると、現在までやっておったのは、双方の
政府がそれぞれの
航空法上の法規に基づいて許可で入っておったと、これが今後継続されるという前提で考えておった場合には、さらに、民間
協定を結んで今後継続したいという意向であったということでございますね。そうすると、民間
協定を結んだところで、やはりそれぞれの法規による許可がなければ入れないんでしょうか。そうすると、民間
協定というものは、国際
協定でも何でもないわけですから、民間
協定を結んだといいましても、法律的に何ら拘束はない。これに、この
協定に違反したからといって、国際司法裁判所に訴えることもできなければ、国内の裁判所に訴えることができないか、あるいはできるか、私はできないんじゃないかと、ただ、いわば紳士協約、したがって、強いほうは、やっぱりそれぞれの法規によって許可をもらっている、この許可のほうが効力が強いのじゃないか、こう思いますので、民間
協定でこれからやるという意味は、ただ単に気持ちといいますか、紳士協約というふうな程度にすぎないんで、あまりたいして民間
協定、民間
協定といままでも言われておりましたけれ
ども、それほど意味のないことではないかという
感じがしておるんですが、その点をもう一度触れて御
答弁を願いたいと思いますが、さらに御
質問を続けます、時間がございませんから。
そこで、四月の二十日に日中の
航空協定が
締結されると同時に、
台湾側は
声明を出して、現在のような中絶という非常な不幸な事態に入ったわけでございますが、それより前に、たびたび
台湾側は、今回の
航空協定について
台湾側の威厳を損なう、あるいは権益を損傷するというふうな場合には、
日台間の
航空路は自分のほうから絶つぞということをたびたび言っておったわけでございます。それに対しては、
外務省も非常に苦労をされて、いろいろ陰においても、あるいは正規のルートを通っても、
交渉をされたとは思いますけれ
ども、その点の努力もわからぬわけではございませんが、結果的にはこれがだめになってきた。そこで、これをこのままに放置しておくということはどうしてもこれはいけないことでございまして、何とか復活に努力をしてもらわなければなりません。
国民のほとんどの意向もそうでございまして、これはその
日中国交正常化のときにも、
日中国交正常化はもちろん賛成であるが、そのために
台湾の従来の関係は絶つべきでないというのが大半の世論でもあり、
国民の気持ちでもありました。そのことは、今回の日中
航空協定につきましても、日中
航空協定は当然やるべきである、しかし、
台湾との関係、ことに年間五十万以上の往来がある、また、そこからあがる収益もたいへんなものでございますし、
台湾と
日本との経済、文化その他の交流からいいましても、これは存続すべきであるというのは、もう
日本人全体の意向である、また
希望であったはずでございますが、それが結果的に
実現できなかったという点については、まことに私は遺憾だと思うわけでございます。
そこで、
台湾側がそういうふうな態度に出た一番大きな理由は、前にも言っておったんですが、きょうの新聞見ましても、それは
日本が
中国との
航空協定を結んだからそういうことをしたんではない、この日中
航空協定が結ばれた際に、
外務大臣も記者会見で言っておられます点で、
台湾の
航空機にある旗の標識を、いわゆる国旗を示すものとしては認めていない、また、「中華
航空公司(
台湾)」、これを国家を代表する
航空会社としては認めておりませんということを言われておるわけでございますが、この点が
台湾側としては、
日本こそ、外交
交渉は切れておりますけれ
ども、
台湾としては
一つの国家という立場に立っておるわけでございますので、その国家の威厳をはなはだしく傷つけておるのだ、この点が直らなければ
日台間の
航空路の再開はやれない、こういうことをはっきりいま言っておるわけでございまして、「
台湾の旗は国旗ではなく、
日本政府は
台湾におけるオーソリティーを
政府とはみなさない」という発言を
外務大臣が言っておられるが、「われわれ」というのは
台湾ですが、「
日台航空路線を中断したのは日中
航空協定のためではなく、当時、
大平外相が行った不当な発言のためである。
現状を打開するために、
大平発言は取り消されるべきである」、こういうふうに言っておるわけでございます。まさに、ポイントはそこでございますが、
外務大臣としては、別に
台湾の威厳を傷つけるというふうなことはもちろん考えられての発言ではなく、ただ、
日中国交正常化というあの
一つの
路線に従って、理屈の上からいえば当然そうなるということをおっしゃったにすぎないとわれわれも
理解するんでございますけれ
ども、しかし、
日中国交正常化のときにも、
中国側が、
台湾を含めて
中国は
一つだという発言に対しては、これを十分尊重し、
理解するというところまでで、
わが国のこれに対する関心はそこで終わっておるわけでございまして、そのとおり認めますとは言っていないわけでございます。したがって、そういう非常な微妙な関係のある
日台中の三者間の問題でございますので、今回の
外務大臣の談話の中ではっきりと旗と認めないとか、あるいは中華民国のあれは、中華
航空は国家を代表するものではない、こう言われたことが、これは、まあ、
中国に対する
外務大臣の気持ちとして言われて、別に
台湾に向かってあなたのほうをこう見るんだということは言っておられないわけでございますけれ
ども、聞くほうからすれば、自分のほうに向かって言っておられるんだというふうにとるのも、私はやむを得ない点があると思うわけでございます。したがって、今回の
協定の際に発表されました
外務大臣の談話の真意というものを、できる限り手を尽くして、また方法を講じて、
台湾側に十分に
理解してもらって、そして、せっかく今日までつちかってきました
日台間のこういった交流というものを、こういうことで破局に導いてはならない、私はかように思うわけでございますが、ことに、
向こうの
航空識別圏の中に沖繩県の一部も含まれておるような問題があって、これは
台湾側も非常に好意的に今後取り扱おうというふうな態度に出ておる。そういう点をもあわせて考えますときに、ぜひひとつ、ほんとうに心から
台湾に対して真意を伝えると同時に、不幸にして中絶した
日台間の
航空路の再開ということに全力をあげて努力していただきたいと思うわけでございます。
台湾側も言っておるように、日中
航空協定そのものは反対じゃないんだと、こう言っておるんでございますから、その点はどうしてもやってもらいませんというと、私は
国民の期待に沿うゆえんでもない、かように思うわけでございます。
時間がもうきましたので、最後に、いま申し上げました数点について御
答弁をいただくと同時に、特に
外務大臣の御決意、今後のお考え方等をお聞きをいたしまして、私の
質問を終わります。