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政府委員(
山田久就君) ただいま議題となりました
欧州共同体委員会の
代表部の設置並びにその特権及び免除に関する
日本国政府と
欧州共同体委員会との間の
協定の
締結について
承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
政府は、
欧州共同体委員会側のかねてからの
希望により、
欧州共同体委員会の
代表部の設置並びにその特権及び免除に関する
協定を
締結するため、
昭和四十九年一月以来交渉を行ないました結果、
昭和四十九年三月十一日にブラッセルにおいて、わがほう安倍駐ベルギー大使と
欧州共同体委員会側オルトリ
委員長との間でこの
協定に署名を行なった次第であります。
この
協定は、本文四カ条から成り、
欧州共同体委員会の
代表部の
日本国における設置に対する
日本国政府の同意、欧州石炭鉄鋼共同体、欧州経済共同体及び欧州原子力共同体が、
日本国において、それぞれ法人格を有すること、これらの共同体が契約、財産取得等を行なう能力を有し、このことに関し、
委員会によって代表されること、
委員会の
代表部、その長及び職員並びにこれらの者の家族は、
日本国が接受する外交使節団、その長及び職員並びにこれらの者の家族に対し外交
関係に関するウィーン
条約に従って与えられる特権及び免除に相当する特権及び免除を享有すること等を内容としております。
この
協定の
締結によりまして、欧州統合を目標としてその基礎を固めつつある欧州共同体と
わが国との
関係は、一そう緊密なものとなることが
期待されます。
よって、ここにこの
協定の
締結について御
承認を求める次第であります。
次に
所得に対する
租税に関する二重
課税の
回避及び脱税の防止のための
日本国とアイルランドとの間の
条約の
締結について
承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
政府は、アイルランドとの間に
所得に対する
租税に関する二重
課税の
回避及び脱税の防止のための
条約を
締結するため、
昭和四十七年以来、東京及びダブリンにおいて交渉を行ないました結果、
昭和四十九年一月十八日に東京において、わがほう大平
外務大臣と先方フォガーティ駐日大使との間でこの
条約に署名を行なった次第であります。
この
条約は、本文三十一カ条から成り、そのおもな内容は、次のとおりであります。
事業利得につきましては、一方の国の
企業が
相手国において支店等の恒久的施設を通じて
事業を営む場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する利得に対してのみ
相手国で
課税できるものとし、船舶または航空機を国際運輸に運用することによって生ずる利得につきましては、相互に全額免税としております。投資
所得に対する源泉地国での
課税率につきましては、配当に関しては、
日本国においては、親子会社間の配当については一〇%、その他の場合は一五%をこえないものとし、アイルランドにおいては、付加税を免除することとしており、利子及び使用料に関しては、一〇%をこえないものとしております。
この
条約の
締結によりまして、二重
課税の
回避の
制度を通じ、両国間の経済、
技術及び文化の面での交流は、一そう促進されるものと
期待されます。
よって、ここに、この
条約の
締結について御
承認を求める次第であります。
次に
所得に対する
租税に関する二重
課税の
回避のための
日本国と
スペイン国との間の
条約の
締結について
承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
政府は、スペインとの間に
所得に対する
租税に関する二重
課税の
回避のための
条約を
締結するため、
昭和四十六年以来マドリッド及び東京において交渉を行ないました結果、
昭和四十九年二月十三日にマドリッドにおいて、わがほう佐藤駐スペイン大使と先方コルティーナ
外務大臣との間でこの
条約に署名を行なった次第であります。
この
条約は、本文二十九カ条及び附属議定書から成り、そのおもな内容は、次のとおりであります。
事業利得につきましては、一方の国の
企業が
相手国において支店等の恒久的施設を通じて
事業を営む場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する利得に対してのみ
相手国で
課税できるものとし、船舶または航空機を国際運輸に運用することによって生ずる利得につきましては、相互に全額免税としております。投資
所得に対する源泉地国での
課税率につきましては、配当に関しては、親子会社間の配当については一〇%、その他の場合は一五%、利子及び使用料に関しては一〇%をこえないものとしております。
この
条約の
締結によりまして、二重
課税の
回避の
制度を通じ、両国間の経済、
技術及び文化の面での交流は、一そう促進されるものと
期待されます。
よって、ここに、この
条約の
締結について御
承認を求める次第であります。
最後に、千八百八十六年九月九日に署名され、千八百九十六年五月四日にパリで補足され、千九百八年十一月十三日にベルリンで改正され、千九百十四年三月二十日にベルヌで補足され、千九百二十八年六月二日にローマで改正され及び千九百四十八年六月二十六日にブラッセルで改正された文学的及び
美術的著作物の保護に関するベル
ヌ条約の
締結について
承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
著作者の権利の国際的保護をはかるため、一八八六年に初めてベル
ヌ条約と呼ばれる「文学的及
美術的著作物保護万国同盟創設ニ関スル
条約」が作成され、これがその後、七回にわたって補足、改正されて今日に至っております。
このブラッセル改正
条約は、一九四八年にブラッセルで開催されたベル
ヌ条約改正会議で作成されましたが、戦後の新しい時代に即応するように一九二八年のローマ改正
条約に比べて、著作物の保護期間を著作者の死後五十年とすることを義務づけ、放送権の内容を詳細化し、朗読権を新たに規定するなど、著作者の権利保護の一そうの
充実をはかったものであります。
わが国は、一八九九年以来、ベルヌ同盟の一員となっておりますが、このブラッセル改正
条約につきましては、一九七一年に旧法を全面的に改正した新著作権法が施行されましたので、いまやこれを
締結する
体制が整うに至っております。
わが国がこのブラッセル改正
条約を
締結することは、著作者の権利の保護における
国際協力を促進する見地から有益であると
考えられます。
なお、この改正
条約の
締結に際しては第二十七条(3)の規定に基づき、翻訳に関する従来の留保を一九八〇年十二月三十一日まで維持する宣言を行なう方針であります。
よって、ここに、この
条約の
締結について御
承認を求める次第であります。
以上四件につきまして、何とぞ御審議の上、本件につきすみやかに御
承認あらんことを
希望いたします。