○
田英夫君
関連で一言お伺いしたいのですが、いま大臣お答えになりました中で、特に、最後の朝鮮問題については、新たな緊張をつくり出さないように努力するのが
日本の
政府としての任務だと思うというお答えは、たいへん意義の深いことだと思います。といいますのは、先週、実は私朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮へ行きまして、朝鮮側の外交の責任者といろいろ話し合ったのであります。そういう中で、いまいわゆる北朝鮮が非常に重視をしておりますのが、一昨年七月四日の南北統一についての共同声明の延長線上で、それを現実の事態に当てはめていかに
目的を達成していくか。つまり、南北統一ということを、平和統一を達成するかということであるわけで、その点は、いま大臣の言われました新しい緊張をつくり出してはならないということと全く一致していると思うのです。
そういう
意味から、つい最近の北朝鮮側の態度表明としては、去る三月四日にアルジェリアの代表団に対して金日成首席が三つの点をあげて南北統一についての当面の基本的な態度を示しているわけです。これは
外務省も御存じだと思いますが、
一つは、南北の対話は引き続き続けなければならない。二番目に、いわゆる朴政権が言っている不可侵
条約ということではなくて、朝鮮戦争の結果を和平
協定にアメリカとの間は切りかえ、南北の間は平和
協定に切りかえていかなければならないということです。三番目に、その南北の間で実際の和平を進めるために、各政党、
社会団体、各界人種を網羅した大民族協商
会議を開くべきである、こういう三つの点をあげているわけであります。さらにそのあとで三月二十五日に、その線に沿ってアメリカ議会に対して書簡を送って、アメリカとの間に和平
協定を結びたい、そして国連軍の名前のついた南朝鮮にいるアメリカ軍が撤退すべきである、こういう線を打ち出していることは御存じのとおりであります。
そこで、いまの大臣の朝鮮問題に対する基本的なお考えからすれば、少なくとも韓国にいるアメリカ軍、しかもそれは、米韓の間で
協定を結んで駐留をしているのならば、これはある
意味では
日本政府が口を差しはさむ余地はないかと思いますけれども、国連軍という名前がついている以上は、国連のメンバーである
日本として、これに対しては当然
一つの態度をきめなければいけない。北朝鮮側の対米呼びかけという問題について、
日本政府として態度をきめなければならない。北朝鮮側は、この三月二十五日の対米呼びかけの線を世界的に大きく広げて、ことしの秋の国連総会に臨もう、こういうのが基本的な態度のように受け取れます。
そこで伺いたいのですが、この北朝鮮側の対米呼びかけ、つまり朝鮮戦争を完全に終結するための北朝鮮とアメリカとの間の和平
協定を結ぼうではないか、そして韓国から国連軍の帽子をかぶったアメリカ軍は撤退すべきである、この態度をどういうふうにお考えになるか。念のために申し上げると、北朝鮮側の外交首脳は、国連軍の帽子をとっても、アメリカ軍の帽子をかぶってそのまま南に居残るということに結果的になってもいいのかということを
質問したところが、これに対しては、アメリカと韓国の間でそういう
協定を結んで、アメリカ軍として居残るということは十分あり得るということを知っている、しかし、国連軍の帽子をとるということは
一つの進歩である、こういう言い方をしているわけであります。となると、新たな緊張をつくり出してはならないだけではなくて、すでに南に駐留をしているという、国連軍の名において駐留をしているという米軍を、少なくとも国連軍という帽子をとらせるということは確かに一歩前進であることは間違いない。そういう問題を含めて、この北朝鮮側の態度をどういうふうにお考えになるか、その点をお伺いいたします。