○田英夫君
大臣のお答えの、具体的な問題を検討してできるだけ親切にということをぜひひとつ
在日韓国人、朝韓人の場合に具体的に適用をしていただきたい。これは言うまでもありませんけれ
ども、いま六十万の朝鮮民族が
日本にいるというそもそもの根本原因は、かつての
日本政府が強制的に連れてきた人
たち及びその子孫であるということですね。だからこそ他の
外国人に比べて特別な取り扱いをしているわけですから、そういう中でこの人
たちが、いま具体的に申し上げますけれ
ども、現在受けている容疑というのはきわめて不当なものである、こう私は断ぜざるを得ないので、その辺もあわせ考えていただきたいということであります。
具体的に申し上げると、この金鐵佑さんというにいさんのほうは、いわゆる
日本政府、そして
日本の企業の積極的な援助でつくられました浦項の製鉄所の建設に尽くした人であって、そしてむしろ技術的な専門家でありますけれ
ども、その技術的な問題だけでなくて、経済的な問題にまで加わってこの浦項製鉄所の建設に努力をした人であります、これは御存じだと思いますが。これはむしろ
日本政府、あるいは受ける側の朴政権ということにもなるかもしれませんが、そういう
意味からすれば浦項製鉄所をつくった功労者の一人であります。私
どもも調べれば調べるほど、なぜこの人物がスパイ容疑というふうなことで朴政権に逮捕されるのか、全く理解に苦しむのであります。これはもう推測になりますけれ
ども、もし浦項製鉄所建設の裏にいろいろと
金大中事件以来言われているような黒いうわさがあるとすれば、そのことを金鐵佑氏が知り過ぎているのでこれを逮捕したと考えざるを得ない。ほかに理由が見つからないほど、この人はむしろいい
意味の日韓協力を非常にまじめに考えてきた人であります。こういうこともひとつぜひお調べいただきたいと、
外務省でどの程度つかんでおられるかわかりませんけれ
ども、お調べいただきたい。
弟の金喆佑氏のほうは、これは
日本の国家公務員であります。文部省の肩書き上文部教官ということになると思いますが、北海道大学理学部の助手であります。この人は地質学の専門家でありますけれ
ども、これもまた、たまたま所用で母国である
韓国を訪れたときに逮捕をされた。これも北朝鮮スパイということでありますが、一審の判決はともに北朝鮮スパイについては無罪ということで、ただ反共法違反ということで懲役――にいさんのほうが八年、弟さんのほうが三年の判決を受けているわけで、ところがおとといの高裁の求刑によりますと、このにいさんのほうは再び死刑の求刑を受けています。一審は求刑はともに死刑であります。これは実は
韓国の反共法の第六条を見ますと、これも御存じと思いますが、「反国家団体」――つまり北朝鮮のことです、「反国家団体またはその構成員の指令により前項」――つまり反国家団体の支配地域、北朝鮮に行った者は死刑または無期と、こういう規定がある。つまり、北朝鮮に北朝鮮側の指令で入っていけばこれは死刑または無期ということですから、求刑はこれを適用して死刑求刑にしてるんだと思います。したがって、朴政権側は依然として北朝鮮スパイ容疑ということを捨てていないわけでありまして、こういう問題で、特にこの金兄弟の場合には
日本政府にとっても無関心ではいられないはずでありますけれ
ども、この問題についてこの二人の人の当面ですね、まだほかにもたくさん逮捕されてる
在日韓国人がおりますけれ
ども、当面この二人の人物についての
日本政府の態度、たとえば積極的に釈放要求をするというようなことをお考えかどうか、あるいはすでにそういう何らかの手を打たれたかどうか、この問題について伺います。
〔
理事平島敏夫君退席、
委員長着席〕