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1974-03-28 第72回国会 参議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十八日(木曜日)    午前十時八分開会     ―――――――――――――    委員異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      稲嶺 一郎君     郡  祐一君      平島 敏夫君     源田  実君  三月二十七日     辞任         補欠選任      郡  祐一君     稲嶺 一郎君      源田  実君     平島 敏夫君      田渕 哲也君     松下 正寿君  三月二十八日     辞任         補欠選任      西村 関一君     小谷  守君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         伊藤 五郎君     理 事                 木内 四郎君                 平島 敏夫君                 田  英夫君     委 員                 稲嶺 一郎君                 大竹平八郎君                 佐藤 一郎君                 杉原 荒太君                 増原 恵吉君                 山本 利壽君                 加藤シヅエ君                 小谷  守君                 羽生 三七君                 黒柳  明君                 星野  力君    国務大臣        外 務 大 臣  大平 正芳君    政府委員        外務省アジア局        長        高島 益郎君        外務省アメリカ        局長       大河原良雄君        外務省欧亜局長  大和田 渉君        外務省条約局長  松永 信雄君        外務省条約局外        務参事官     伊達 宗起君    事務局側        常任委員会専門        員        服部比左治君    説明員        法務省入国管理        局次長      竹村 照雄君        外務省アメリカ        局外務参事官   角谷  清君        運輸省航空局審        議官       間   孝君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○日本国ベルギー王国との間の文化協定締結  について承認を求めるの件(内閣提出) ○航空業務に関する日本国ギリシャ王国との間  の協定締結について承認を求めるの件(内閣  提出) ○国際情勢等に関する調査  (在日韓国人韓国における裁判問題に関する  件)  (金大中事件に関する件)  (シベリア資源共同開発問題に関する件)  (相模補給廠からの戦闘車両の搬出に関する  件)     ―――――――――――――
  2. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず委員異動について御報告いたします。  一昨二十六日稲嶺一郎君及び平島敏夫君が委員辞任され、その補欠として、郡祐一君及び源田実君が委員選任されました。また、昨二十七日郡祐一君、源田実君及び田渕哲也君が委員辞任され、その補欠として、稲嶺一郎君、平島敏夫君及び松下正寿君が委員選任されました。     ―――――――――――――
  3. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ただいまの委員異動に伴いまして、理事一名が欠員となりました。つきましては、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認めます。  それでは理事平島敏夫君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 日本国ベルギー王国との間の文化協定締結について承認を求めるの件  航空業務に関する日本国ギリシャ王国との間の協定締結について承認を求めるの件(いずれも本院先議)  以上両件を便宜一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 黒柳明

    黒柳明君 まず、ギリシャとの航空協定の問題ですけれども日本-ギリシャ経由しての便数というのはいま週何本ぐらいあるんですか。
  7. 間孝

    説明員間孝君) 現在、日本航空が週二便を運航いたしております。
  8. 黒柳明

    黒柳明君 全部、経由を含めて日本から。
  9. 間孝

    説明員間孝君) 全部で、経由を含めましてアテネに寄港いたしておりますのが週二便でございます。
  10. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、その乗客というのはどのぐらいあるんですか、相互に。
  11. 間孝

    説明員間孝君) この運航は一九七二年の十一月三十日から運航を開始したわけでございまして、まだ期間が短こうございますから、非常に実績も短期間なものでございますけれども、最近のものといたしますと、七三年、昨年の四月からことしの一月まで十カ月間でございますが、日本航空が運びましたのが往復で三千八百三十九人でございます。そのほかに外国航空企業が運んでおる者がございますが、これはちょっと時点が合わなくなりますのでございますけれども、一九七二年の一年間で全部運ばれました者が一万九千二百二十一人でございます。
  12. 黒柳明

    黒柳明君 外国のは何便あるんですか、経由しているのは。
  13. 間孝

    説明員間孝君) 現在運航しております航空会社が七社ございまして、合計で週に十四便でございます。
  14. 黒柳明

    黒柳明君 十四便、一万――それから二便で三千八百――四千弱ですね。そうすると、今度はこれが航空協定が成立すると、これは相互乗り入れを行なうとどうなりますかね。ふえる見込みですか。
  15. 間孝

    説明員間孝君) この協定が結ばれましても、日本航空便数は変わりはございません。と申しますのは、日本航空は現在協定は結ばれておりませんけれどもギリシャ側行政許可という形におきましてこの二便を運航いたしておるわけでございます。協定が結ばれましても、今度は二便が協定に基づく運航ということになるわけでございますから、これは運航には変わりございません。  また、ギリシャ側のほうは、さしあたり現在のところでは日本に乗り入れするという計画を持っておりませんので、この運航回数には変更はないと思います。
  16. 黒柳明

    黒柳明君 ちょうどギリシャ航空協定の問題なんで、同じくギリシャで、五日前ですか、二十三日。一部報道されて、外国のUPやAP見ると相当大きいんですけれども安藤大使が何か某タレントの仲人になったとか介添えになったとかして、アクロポリスで結婚したとかしないとか、あれは報告受けていますか。相当外国新聞を見るとでかく出ておるんですが。
  17. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 報告ギリシャ安藤大使から受けております。
  18. 黒柳明

    黒柳明君 教えてくれますか。
  19. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 大使からの実情報告によりますと、二十三日の午前でございますが、大使個人的な友人から依頼を受けまして、個人資格でお世話をしようということで、まず御本人たちギリシャにある寺院結婚式をあげたいという申し出があったそうでございます。ただ、寺院のほうは、このお二人ともギリシャ正教徒でもないし、クリスチャンでもないということで、寺院結婚式をあげることは不可能である。またイースターの前後であって、四十日間はいかなる結婚式寺院ではあげないということで、それを本人たちに伝えまして、その後、しかし本人たちの希望もあって、しからば、寺院でだめならアクロポリスでという話がございました。ただ、安藤大使現地有力者の意見を聞きますと、必ずしも適当でない。実際に何かそういう行事を行なう場合には許可が必要である。その許可には若干の時間があるということを本人たちに伝えまして、その結果、アクロポリスから約五百メートル離れたところでフィロパポスの丘というのがございますが、そこで儀式的なことをあげたという実情でございます。私どもといたしましては、いろいろ事前にそういうような忠告を安藤大使からやったにかかわらず、こういうことが行なわれた、また、たとえ個人資格で行なったとしても、必ずしも妥当ではなかったんじゃないかという感じを持っております。ただ、現地ギリシャ報道機関報道では、必ずしも批判的な記事は見当たらないというのが実情のようでございます。以上でございます。
  20. 黒柳明

    黒柳明君 読みましたか、ギリシャ新聞。そこにあったら読んでください、どう書いてあるか。
  21. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) ただいま申し上げましたのは、妥当でなかった云々というのは私のコメントでございますが、安藤大使からの……
  22. 黒柳明

    黒柳明君 いやいや、そうじゃなくて、ギリシャ新聞見れば必ずしも批判的なものじゃないと、こうおっしゃったという安藤大使報告なんでしょう。
  23. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) そうでございます。
  24. 黒柳明

    黒柳明君 当然大使が、ある意味においては、個人にせよある程度のミスをおかしたというんですから、安藤大使報告を受けるのじゃなく、ギリシャ新聞見ましたか。
  25. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 私自身はまだ見ておりません。ただいま申し上げましたのは、安藤大使報告内容でございます。
  26. 黒柳明

    黒柳明君 だからだめなのよ。この前もぼく言ったでしょう。何かあったときにはやっぱり現地新聞ぐらい読みなさいということを、ねえ外務大臣、この前も言ったことありますよ。全然読んでない。――あのミス発言ですよ、安川大使外務大臣のとき。あわ食ってアメリカ課長がどっかに吹っ飛んでいったが間に合わなかったじゃないですか。  それですか、在外公館というのは週二日体みですか。
  27. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 大体現地の慣行に合わせるという習慣にはしておりますけれども、事実上は週六日制でございます。
  28. 黒柳明

    黒柳明君 大使夫妻はじめ、参事官夫妻はじめ、大使館員六名ぞろぞろ行ったということが書いてありますぞ。どうですか、ここら辺の報告受けていますか。
  29. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 一緒に参りましたのは大使とほかに一等書記官一名、二等書記官一名でございます。
  30. 黒柳明

    黒柳明君 それから地元の……
  31. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 地元と申しますのは、おそらく、大使館に勤務していたローカルエンプロイヤーの何人かは一緒に行ったということではないかと思います。
  32. 黒柳明

    黒柳明君 何人か行っているのよ。どうなんですか外務大臣、こういうこと。往々にして、何も芸能人だから、あるいはそうじゃないからということに限らず、やっぱり、在外の大公使というのは日本を代表しているわけでしょう。で、日本国内で私たち在日公使を見る目とは違うんですよ、外国の人は。まさしく外務大臣代理であり、日本代理ということで、非常に評価が高いんじゃないですか。プレステージが高いんじゃないですか、外国人が見る大公使のランクというのは。それが今度は、必ずしも個人的なことがよくなかったと。しかも昼間ですよ。勤務中ですよ。しかも、大使だけじゃなくたって、その雇員も含めて外交官も連れていって、しかも、大使がいけない、いけないと言ったのかどうか、そこらあたりはわかりませんけれども現実ギリシャ新聞には批判されていますよ。大使報告インチキよ、それ。外務大臣、こういうことはどうですか。これは、結婚式はおめでたいことであるからけっこうですよ。それからいろいろな冠婚葬祭についてはやっぱり出なきゃならないときもあるでしょうけれども、こういう結果、非難を招いてから、ああそうだった、ということじゃ、ちょっとうまくないんじゃないでしょうかね。大臣、これに対して何か報告受けていますか。
  33. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 私さっき申し上げましたように、まだこの新聞は読んでおりませんけれども日本にその記事が出た、即座に現地実情を知らせよということを申しまして、かつ、現地新聞をすぐ送るように申しております。それがまだ届いてないというのが実情でございます。  それから安藤大使行動の問題につきましては、これは私が言うことではないかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたように、確かに軽率のそしりは免れないというように私は考えております。
  34. 黒柳明

    黒柳明君 何もギリシャから新聞をわざわざ取り寄せなくたって外電があるじゃないですか。皆さんのところにきてないんですか。それに克明に出ていますよ。
  35. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 私の申し上げたのは、ギリシャにおけるギリシャ新聞意味なのでございます。
  36. 黒柳明

    黒柳明君 ギリシャ新聞じゃなくても。
  37. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 日本新聞には共同通信報道が行なわれて、それが各紙にキャリーされておるというのはもちろん承知しております。
  38. 黒柳明

    黒柳明君 共同通信記事もそうでしょう。若干小さく出てたことも事実でしょう。そうじゃなくて、ほかの外電については目を通していないのですか、外務省は。
  39. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) ほかの外電にはもちろん目を通しております。ただ、それほど批判的な記事とは思われませんでした。
  40. 黒柳明

    黒柳明君 それじゃ持ってきなさい。批判的な記事じゃないというなら持ってきなさい。どう出てるか、すぐ持ってきなさい。外務大臣、この場でそれで教えてやったほうがいい、たび重なるこういうことがあったのじゃうまくない。すぐ持ってこさせなさい、記事を。そんなちゃらんぽらんな考え方じゃだめですよ。日本の国を代表する大使じゃないですか。それを、必ずしも批判的じゃなかった――批判的であるからぼくは言っているのですよ。ギリシャ新聞にどう出ていますか、こんなことは五日もたっているのに、それが安藤大使報告では批判的じゃ必ずしもなかった。そんなばかなことをうのみにしてたんじゃ、大使もう問題ですよ、そんなことをいうならば、正確に伝えないとしたら。地元新聞だったらそんなこと書いてませんよ。大臣はこの報告を全然受けてないのですか。
  41. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 安藤大使からの報告は受けました。しかし、いまあなたが御指摘の他の、ギリシャ新聞は必ずしも批判的ではなかったという報告でございましたが、ほかの外国新聞がどうであったかという点につきましては、寡聞にして私まだ見ていないわけでございます。
  42. 黒柳明

    黒柳明君 新聞じゃなくて、外電というものはぽっぽっと入るんじゃないですか。ちょっと外務省の情報の機能というのは、非常にやはり入ってきてるんですけれども事務担当の人がうかつなんですな、そういうことについて逐一やはり報告しないということは。こちらのほうがどんどん情報入ってきますよ。五日間だって新聞はこちらに入っていますよ。もうちょっとやはりそういう問題については耳をそばだててなきゃいかぬ。どうですか、外務大臣、往々にして在外公館大使、それはまあ職責も重いし、いろんな責任もあるかと思いますけれども個人的なことは個人的にならないのじゃないですか、今回の例だってそうですよ、個人的なこと、個人的な資格というものはやはり大使の肩書きはついて回るわけですから、これは、地元では相当の批判を浴びるような行動をしているということはやっぱりうまくないじゃないですか。そういうことは厳に慎むように、この際何か出すとともに、安藤大使にやっぱり訓戒なり何かするべきじゃないですか。どうですか、報告を受けてそれでおしまいにしちゃいまいますか、この問題。
  43. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 特命全権大使というのは、仰せのように、外務大臣代理というのではなくて、国を代表するものでございますから、非常なプレーステージを持っておりまするし、その言動は非常に慎重でなければならぬことは仰せのとおりでございます。したがいまして、まず特命全権大使に任命された者が、そういう自覚を持ちまして、公私の別なくビヘーブしていただかなければならぬと思うのでありまして、しかし私は、特命全権大使たる者は、そういう自覚を持って行動していただいておるものと信頼いたしておりまするが、こちらから特にこういう点について気をつけろというような指示あるいは訓戒を加えるかどうかという点についての御質疑でございますが、これは事案そのものを私自身もっと究明させていただきまして、措置を誤りないようにさせていただきたいと思いますので、たいへん恐縮でございますが、私におまかせをちょうだいいたしたいと思います。
  44. 黒柳明

    黒柳明君 だめ、きょうはおまかせしませんよ。この前おまかせをしたのですから、おととい。きょうはおまかせしませんよ。だってちゃんと入っているのだから。全容は明らかです。全容は明らか。これについて何らおまかせする範囲はありません。外務大臣、この場でやっぱり結論を出してもらわなければ。それじゃないと私――その次、その次ということは、いろいろ出しますよ。この問題はこの問題で片づけなきゃだめですよ。おまかせできませんよ、全貌は出ているのだから、どうするのか、しないとだめですよ。
  45. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 報道された事実につきまして、それが訓戒に相当するのかどうかの判断を私にさしていただきたいと申し上げているわけでございます。私は、実は大使からの報告は受けましたわけでございますけれども、自余の、あなたがいま御指摘になっている外国電報というようなことで指摘された事実につきまして、まだ残念ながら知悉いたしておりませんので、それを踏まえた上で、それを調べて、そして私ども措置を考えたいと思いますので、その余裕を与えていただきたいと思います。
  46. 黒柳明

    黒柳明君 何も外電じゃなくて、共同通信が正確に報道してきていますからね。それは相当のやはり、すべてであり、それにプラス外国の目はどうこれをとらえているかなということをやっぱり予備知識参考として当然持たなければならないということを私は言っているのであって、もう日本通信社がきちっと正確に報道してきていますよ。だからこの事実というものはきちっともう、特別に外務大臣があとどういうものをフォローするということも私はないのじゃないかと思いますよ。ですから、まあ今後もそういう、外国の目がどういうふうに事実をとらえるかということを、絶えずやはりすみやかにキャッチしなければならない。それを私は言うだけのものなのです。ですからこれについては全貌はもうはっきり出ているわけですから、こういう事例についてやはり訓戒に値するかどうか、過去にはこんな例なんかありませんからね。ですから、まず訓戒に値するかどうかというものを何によって判断するかということすら疑問だと思うのですけれども、やはり大臣もこの問題は局長が言ったようにうまくないと、こういう判断に立っているのでしょう。
  47. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私、指摘された事実を正確に究明しないと、新聞報道だけで、こういうことがあったからそれでは外務省はこうするというわけに、簡単に私はいかぬと思うのです。だからやはり事実は事実として究明さしていただいて、それに判断を加えなければいけないので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
  48. 黒柳明

    黒柳明君 局長、それじゃ事実をもう一回外務大臣に言ってください。きょうは時間がたっぷりあるから、たっぷりやりましょう。
  49. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 事実の内容は、大臣現地大使報告はお読みになっておられますし、また先ほど私は黒柳先生の御質問に対して御説明申し上げたのは事実でございます。
  50. 黒柳明

    黒柳明君 それ以上何を外務大臣は知りたいのですか、それ以上、何を調べなければ外務大臣の見解を出せないのですか。
  51. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 私が御説明申し上げましたのは、安藤大使報告を中心に申し上げましたけれども共同通信報道しておりますし、またそれ以外の現地新聞がどういう取り上げ方をしたか、その現地新聞の点につきましては、実はまだ外務省に届いておりません。したがって、その内容を私からまだ大臣に御説明申し上げていないわけでございます。そのようなすべてを含めて、事実を究明するという段取りはまだ残っているように考えます。
  52. 黒柳明

    黒柳明君 いいじゃないですか。現地新聞新聞で、まずいま現在の報道というものは正確になされて、安藤大使からも報告がきているのでしょう。それを踏まえてでいいじゃないですか。
  53. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) やはり共同通信報道は正確なのか、われわれとしては安藤大使報告もやはり勘案する、当然勘案する必要がある。それに加えて、さらに真実をより究明する意味で、現地新聞報道ぶりというものも参考にしたい、こう考えているわけでございます。
  54. 黒柳明

    黒柳明君 それはいまぼくが言ったんじゃないですか。参考にしたらどうですかと、ぼくが言ったんじゃないですか。
  55. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) だから参考にする予定でおりまするけれども、現在まだその新聞現地から外務省に届いておりません。
  56. 黒柳明

    黒柳明君 五日たっていますよ。五日――いま航空便は週に二本出ていると言ったですよ。外国便十四本出ていると言ったですよ。取る気あるんですか、あったんですか、五日間に。
  57. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) もちろん取る気はございました。
  58. 黒柳明

    黒柳明君 五日間でこないんですか。
  59. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 現実にはまだまいっておりません。
  60. 黒柳明

    黒柳明君 何をとぼけたこと言っているのよ、外務大臣ね。五日間で外国新聞、地球上からこないところありますか、正確に。だめだよこんな、委員長。こんなとぼけた答弁やっていたらぼく怒るよ。五日間かかって外国新聞が届かない国ありますか、外務大臣。教えてください、どこですか。どこの国ですか、言ってください。とぼけるな、怒るよ、きょうは。おとといは外務大臣とぼけていたけれども、ぼくはそのままにしておいた。どこの国が五日間たって届きませんか、あげてください、国を全部。
  61. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) いま御指摘のように、通常航空便の場合と、外務省の場合はこちらからの訓令に基づいて向こうが発するということで、当然外交行のうに載せることになっている……
  62. 黒柳明

    黒柳明君 何が外交行のうだ。関係ないじゃないか、そんなことは。やる気あったら外交行のうも何も関係ないじゃないか。通常の便が幾らも出ているんじゃないか。外交便というのは、より早くやるための便じゃないか。それが通常より遅くなって何のための外交か。そんな外交でいいのか。とぼけたこと言うな、怒るぞ。何をとぼけたこと言うんだ。何のための外交なんだ。通常便よりおくれるための外交便なんかあるか、そんなことは。とぼけるな。外務大臣、国会でそんな答弁が許されるか。何を言っているんだ。だめだ委員長、これ責任取らせる、こんなとぼけた答弁しているのは。とんでもない話だ。
  63. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま申し上げましたように、事実を究明いたしまして、訓戒に値するかどうかの判断をいたしたいと思います。
  64. 黒柳明

    黒柳明君 そんなこと言っているんじゃないです、ぼくは。五日間で外国新聞日本に届かない、そういう国がどこの国ありますかって、例をあげてくださいって、ぼくは答えを求めているんですよ。
  65. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 何日間でわが国に届くかという点については、私とっさにいま答えられませんので、調べまして……。
  66. 黒柳明

    黒柳明君 事務官言いなさい、事務官欧亜局長欧亜局長、自分の担当のところだ、そんなことは手に取るようだ。
  67. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 私は確かに、五日間という時間がかかり過ぎるという御指摘のとおりだと思いまするが、現地としては通常外交行のうに載せて送ったということで、外交行のうの経路の問題もございますので、必ずしも飛行便が、日本飛行便が二便、それ以外の国が数便ございますが、外交行のうは通常日本航空便に載せるわけでございます。したがいまして、現状ではまだ日本に届いていないということを申し上げたわけです。
  68. 黒柳明

    黒柳明君 日航はそれじゃ、何曜日の何時発ですか。
  69. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 実は、いま何曜日の何時ということまで私存じておりませんので、あるいは運輸省で知っておられましたらお答えいただきたいと思います。
  70. 間孝

    説明員間孝君) ちょっと私ここに時刻表を持っておりませんので、すぐにお答え申し上げかねるのでございますが……。
  71. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) あとで調べて……。
  72. 黒柳明

    黒柳明君 土、日、月、火、水、木。土、日、月、火、きょうは木曜日でしょう。ありますよ、一便、間違いなく。あります、調べなくたって、一便は。そうでしょう、局長。間違いないですよ。一便は必ずありますよ、週に二便あるならば。それに載っけてくれば届いてますよ。そんなでたらめ言うな、この席で。いまぼくから指摘されて、そういうことをそれに追っかけ追っかけ答弁しているんじゃないか。おかしいよ、そんな答弁は。そんなでらためな答弁するんだったら、ぼくだってあれやりますよ。
  73. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 一週二便なので一便あるであろう。ちょっとその何曜日ということまではっきり……
  74. 黒柳明

    黒柳明君 早く調べなさい。すぐわかる。
  75. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) あれでございまするけれども、私が申し上げたのは、そのまだ現実に届いていないという事実を申し上げたので、その届いていない理由として、おくれていると、あるいは行のうがおそいという御指摘がございましたが、ある面は確かにそのとおりだと思いまするけれども、ただ私としては、現実にいま届いていないということを御説明申し上げたわけでございます。
  76. 黒柳明

    黒柳明君 あのね、外務大臣、一タレントの結婚式の、友だちを仲介にして、仲介人になること、これについてどうですか、それじゃあ。やりましょう、どんどんどんどん。大使が友だちに頼まれて一タレントの仲人をやることについては、いいか悪いか、どうですか。その悪いかいいかという条件はいろいろありますよ。ウィークデーに、しかも仕事をやらせないで、館員に、しかもそういう外国の慣習を無視して笑いものになってやること、どうです。いいですか。
  77. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 先ほど申しましたように、特命全権大使は国を代表しておる地位におりますので、その言動は慎重でなければいかぬことは当然のことと思います。しかし、大使といえども自然人でありまするので、仲人をするということ自体がとがめられるべきものではないと思います。ただ、それが公務にどのように支障を来たすかどうか、それからさらに、いま御指摘のように、そういうことをやることによってわが国に対するイメージに大きな影響があるというような事態になりますと、これは慎んでいただかなければならぬものと思います。したがいまして、この問題は事実を正確に究明した上で判断さしていただかないといけないと思うのでございまして、報道だけによりましてとっさに判断することは私は軽率だと思いますので、全部の資料をひとつ取りそろえ、整えてやらしていただきたいと思います。
  78. 黒柳明

    黒柳明君 きのう起こってきょうだって、外務省はどんどん打電が入り、公電が入るんじゃないですか。五日前のことを何をそんなことを――やる気がなかったわけですね。いままでは。いままでは外務大臣としてはその事実関係というものを  いろいろ調べようという気がなかったわけですね、いままで五日間というものは。
  79. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私は、安藤大使からの報告を受けまして、その報告を受けた限りにおきましては、これは訓戒に値するものという判断はしなかったわけです。
  80. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、そのほかのものについては、その安藤大使報告を受けたことで、これはもうネグレクトしていいものだと、こう判断したわけですか。
  81. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 安藤大使報告自体からは、特にこれを訓戒に値するような不行跡であるという判断は私は持たなかったわけでございます。しかし、その後あなたが御指摘のように、いろいろ外国新聞も取り上べておるということでございますので、それを私はよく存じませんけれども、それをよく究明さしていただきまして判断をさせていただきたいと思います。
  82. 黒柳明

    黒柳明君 その後じゃなくて、もう外国のほうが早いのよ。一日早く出ているんですよ、外国新聞のほうが。だから、外国新聞なんていうものはこの際考えなくたっていいじゃないですか。もう事実関係というものははっきりしているじゃないですか。いまの時点において外務大臣としてはどうなんですか。
  83. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 大使に対して訓戒を加えるかどうかということは、行政としては非常に重要な問題でございますから、かりに報道を通じまして指摘された事実がございますならば、その事実につきましてはやっぱり十分確かめた上で、確実な根拠に基づいてやるのが行政の責任の立場におる者としては当然の道行きだと思うのであります。時間が多少かかりますけれども、それはお許しをいただきたいと思います。
  84. 黒柳明

    黒柳明君 局長、あと何が必要ですか。大臣のその判断を下すための資料は何が必要ですか。
  85. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 安藤大使報告の中に、現地新聞の論調というようなことに若干触れておりますが、その現地新聞そのものを私どもはまだ見ておりません。それもやはり参考として取りそろえて、大臣の御決裁を仰ぐということをわれわれは考えております。
  86. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、すべてこういうことは現地新聞外務省に届かなければ判断の基準としては十分でないと、こういうことですね。これからの外交事例については現地新聞が届かなければ判断できないと、こういうことですか。
  87. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 事柄の内容にもよると思いますが、本件は最初新聞報道によってわれわれ正直知ったわけでございます。したがいまして、新聞報道というものを当然重要視いたしますが、その中には共同通信報道、それをキャリーした各社の新聞報道もございますし、それからわれわれが現地大使に訓令して求めた大使報告というものがございます。そのほかに現地新聞だけではございませんけれども、いろいろな情報を取りそろえて、それを判断の資料にしたいということでございます。
  88. 黒柳明

    黒柳明君 大使のあの報告、正確に報告してください。どういう報告をしたか。
  89. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 大使報告内容は、先ほど申し上げたような内容なんです。
  90. 黒柳明

    黒柳明君 正確に、そこにあるんでしょう。
  91. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) それでは外務省の電報そのものを大臣の御許可を得てお読み申し上げます。ただこの中に個人的な名前、その当該結婚されたお二人は別でございますけれども、それ以外に個人的な名前が引用されている場所がございますので……
  92. 黒柳明

    黒柳明君 個人的なものはいいですよ、けっこう、けっこう。
  93. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) それは省略さしていただきたいと思います。  十九日、某氏より本使に電話があり、白橋、仲宗根両人は旅行社のあっせんにてアテネのミトロポリス寺院ギリシャ正教の大本山)にて結婚式を行なう許可が出たといっているがほんとうかとの問い合わせがあり、もし事実ならベストマンをお願いしたいと依頼越した。  さっそくミトロポリス寺院に照会の結果、ギリシャ正教でない者の結婚式の施行を許可した事実はなく、また結婚式のブッキングも行なわれていないことが判明したので、念のため、当地カソリック教会にも結婚式ができるかどうか問い合わせたところ、カソリック教会は、一方がキリスト教徒ならばプロテスタントであっても結婚式はとり行なうが、それには日本の教会発行の信徒証明書が必要な旨説明があったので、そのまま某氏に電報した。  翌二十日、一行は教会での結婚式は断念したが、予定どおり行くから頼むとの電報を受けとった。二十二日、一行当地到着後、両者ともクリスチャンではないので、教会での結婚式はあきらめたが、どこかで式をやりたいとの意向であったので、結局アクロポリス表側で観光客が少ないところを選ぶこととなった。  二十三日、アクロポリスへ行ったところ、アクロポリスの館長は、ナショナル・ツーリスト・オーガナイゼーションの長官の許可が必要だとのことであった。それに三十分以上時間がかかるとのことであったので、一行は場所を変えたいと言い、アクロポリス切符売り場主任の示唆により、約五百メートル先のフィロパポスの丘の中腹にて行なうことにした。すなわち、拒否された云々は事実に反する。  一行は近親者数名にすぎなかったので、太田、高橋書記官夫妻にも参列してもらった。現場には約三十人のギリシャ人、外人観光客がいた。  当地ではテレビ二局が本件結婚式を大きく取り上げた。特に国営放送では二分以上の時間をさいて報道した。その報道内容は、日本の有名歌手が小さいときからあこがれの地であった当地にわざわざやってきて結婚式をあげたとして、むしろ感激的な表現をしていたのが実情であり、またこのテレビニュースで……
  94. 黒柳明

    黒柳明君 いいでしょう、もうけっこうです。  まあ某氏というのはだれだかわかりません、外務大臣。相当有力者でしょう、大使を動かす人ですから。そんなこと自体がうまくないんじゃないですか。そんなところからやっぱり、個人的な関係だというようなことで気軽に受ける、そのときはまた悪意もなかったんでしょう。こんなハプニングが起こるなんていうことはもう考えてもいなかったんでしょう。そういうことに動かされるやっぱり大使じゃいけないんじゃないんですか。そういう判断から間違っているじゃないですか。外務大臣、どうですか。
  95. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) まず特命全権大使自体の判断といたしまして、十分自重していただかなけりゃならぬことは当然でございますが、私もいま申し上げましたように、大使も人でございますから、仲人になる、あるいはここでベストマンというのがどういうものか私よく存じませんけれども、介添え人みたいな役割りだと思いますけれども、そういうことをやってならないというわけのものではないと思います。ただそれが公務等に支障がないように御判断を願うべきものと思うんでございまして、そういう限界を越えたものかどうかという判断につきましては、十分のデータを吟味して判断さしていただかなけりゃならぬと私は考えております。
  96. 黒柳明

    黒柳明君 局長はともかく個人にせようまくなかったと、冒頭にこう言っているのですよ。大臣はその点どうでしょう。
  97. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) これは大和田君自体の判断でございまして、私といたしましては、この電報による報告を読みまして、それでまあこれ訓戒に値するという判断を率直に私受けなかったんです。こういうこともあり得ることかなあという判断を率直に受けたんでございますが、いろいろ御指摘を受けてみると、一体これは公務に支障を来たすようなものかどうか、大使としてやるべきことであるかどうかということにつきましては、もう少しこれ事情を究明しないと、私は直ちに判断は出ないと思うのです。
  98. 黒柳明

    黒柳明君 別に究明なんかする問題じゃないですよ、こんなものは。もう事実がはっきりしているんですから、ですから大使は利用されたんですよ、きっと。人がいいかわかんないんですよ。そういうことがこういう結果になったんですよ。ですからこういうことは何もこの席上で声を大きくしてやるような問題じゃなくして、こういうケースは往々にしてあるのかわかんないけれども、あんありインチキなことを言うからちょっと声を大きくせざるを得なかったんで、まあ事実を調べてこれで何らかの処置をする、それには時間がかかると。まあ外務大臣、そんな総理と違って短兵急にやるほうじゃないですから、ゆっくりゆっくりしているほうですからね。それはけっこうです。  ですけれども、二度とやっぱりこういうことがあると、なぜかというと、われわれだって外国に出ますと、公明党じゃすまないんですよ。日本の政党政治家なんですよ。どこ行ったって、おまえたちの国、何やってんだ、おれたちじゃないんだと。田中さんだ、大平さんだったってわかんないんですよ。おまえだって大平だって鼻低いじゃないか、同じじゃないかと、こういうふうになるわけです。日本人としてわれわれやっぱり日本の国益のために防護しなきゃなんないんですよ、外国に行くと。それはわかるでしょう、やっぱり外務大臣だって。そうでしょう。同じ日本人です。同じ政治家です。そういう場合において非常にやっぱりこれからの国際社会の中の日本というのは重要な立場です、ますます。注目もされているから、某タレント、有名だ……、有名であるかどうか私わかりませんけれども、それにテレビがついてカメラマンが何十人ついたなんていうことは、相当やっぱり、タレントじゃなくて、日本だということについて、外国では、アテネでは関心があったかもわかんないんですよ。そういう中においてやっぱりその中心の外務大臣がうかうかしてますと、私たちだって海外に行ったときは、日本というものを評価される一つの大きな要素になるんです。こちらが向こうに対して、いや、そうなんだ、実は外務省が悪いんだとは言えないんです、日本人として。いや、それはちょっとした善意から出たことだろうと、こういうことを言って弁解しなきゃならぬ。外国に行くたんびに政府の弁解人となって野党公明党が発言するなんていう、そんなばかなことはないじゃないですか。現にそうするんですよ、われわれは。そういう場面が幾らもあるんです。――ああすみません、申し合わせの時間が参りました。  そういうことで最後に私要望するとともに、この結論をそれじゃ早く出していただくように要望します。
  99. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) よろしゅうございますか。
  100. 黒柳明

    黒柳明君 はい、けっこうです。
  101. 星野力

    ○星野力君 ギリシャとの航空協定ですが、まず参考までに航空協定、政府間協定の発効していない現在、ギリシャとの間を日航の定期便が就航しておりますが、これはどういう取りきめに基づくものでありますか。
  102. 間孝

    説明員間孝君) ギリシャ日本との間は国家間の取りきめでございませんので、協定はございませんけれども、それぞれの国が自分の国の法律に基づきまして許可をするということは、往々にしてあることでございまして、ギリシャの場合におきましても、現在国家間の取りきめはございませんけれどもギリシャ側が、自国の法令に基づきまして、日航のアテネヘの乗り入れを認めていく、こういうことでございます。
  103. 星野力

    ○星野力君 それはわかりました。よろしいです。  外務大臣、お聞きしますが、日本政府はギリシャをいわゆる自由陣営の一国と見ておるようでありますが、その根拠はどういうことでございますか。
  104. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) ギリシャは御高承のとおり、NATOの一員でもございますし、また確かに、あの政権は軍事政権の形を六七年以来とっていることも御承知のとおりだと思います。  ただ、基本的な考え方といたしまして、内政の不干渉であるとか、あるいはできるだけ多くの国と国交を回復し、よしみを通じたいという姿勢を示しておりますし、それから日本ギリシャとの間の従来からの関係を見ましても、貿易の面でも、また人の交流の面でも、順調に推移しているというようなことを考えまして、私どもは、ギリシャは自由主義諸国の一国であるというふうに考えております。
  105. 星野力

    ○星野力君 大臣、そういう解釈で大臣もよろしいかどうか。それからまた、民主主義という観点から、ギリシャの現政権をどう見ておられるかをお聞きしたいんです。
  106. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 民主主義という観点から申し上げますと、先ほど御説明申し上げましたとおり、軍事政権という形を、政体として現在現実にとっておりまして、また、たとえば言論の自由の問題であるとか、その他の問題について、かなり制約された国内情勢にあることも事実でございます。  ただ私どもといたしましては、ギリシャが国内でそのような措置をとっておりまするけれども、いずれにしても、国民の支持を得ているということでございますし、したがいまして、国民の支持というのは、昨年行なわれました人民投票によりましても、前軍事政権の体制あるいは共和制に移行した体制について何ら不満はない、八〇%以上の支持を得ているということから見まして、やはり民主主義の陣営に属する国であろうというふうに考えております。
  107. 星野力

    ○星野力君 ギリシャの現政権は、自由と民主主義を奉ずるところの政権であるとお考えになりますか、大臣
  108. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) ギリシャの現憲法は、言論の自由等を保障しております。ただ現政権は、現状の事態にかんがみての一時的な措置として、そういう憲法の規定の執行を停止しているという実情にございます。これは、憲法を変えて、言論は永久に抑圧する、あるいは自由を認めないという考え方ではなくて、憲法の規定はあくまで生きていると。ただし、その執行を停止しているという姿勢を示しております。したがいまして、現政権としても、やはり憲法の規定は本来順守すべきものである。その憲法をわれわれが見ますると、やはり民主主義的な国というふうに言って差しつかえないのではないかと、こう考えております。
  109. 星野力

    ○星野力君 ギリシャでは前政権以来、一九六七年以来を見ましても、憲法なんか一度も生きておったことありゃしませんですよ。現憲法だって、これは日の目を見ないうちに、少なくとも重要な部分は停止されてしまっている。言論の自由もなければ結社の自由もないわけです。あなた方の言われる論法からすれば、大臣もこれ承認されておると思うんでありますが、世界じゅうに自由と民主主義を奉じない国家などというものは一つもないことになるわけであります。  ギリシャは、おっしゃったようにNATO加盟国でありますが、そのほかに一昨年アメリカとの間に二国間協定でアテネ郊外のエレフシス港ですか、あすこを空母機動部隊の母港にしたと思うのでありますが、その協定のごく簡単な内容でよろしいです。  それからアメリカは相当多額の軍事援助をギリシャにやっておると思いますが、その状況、これも簡単でよろしゅうございますが、お答え願いたいと思います。
  110. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 御指摘のように、ギリシャはアメリカとの協定に基づきまして、現状におきまして第六艦隊の母港化、現実には駆逐艦六隻及び病院船一隻の乗り組み員家族というものをギリシャに居住させるという約束になりまして、現実には約三千名が居住しております。寄港先はアテネ郊外のエレフシスという港でございます。  この協定は、実はアメリカ・ギリシャ間のこのような問題についての協定が五つ、六つございますが、この母港化と称せられることの基本になりますのは、一九七三年の一月八日に調印されたものでございます。  ギリシャに対するアメリカの援助額、この推移もございますが、一九五〇年から六六年までの間、あるいは六六年以降毎年の数字もございまするが、一九七〇年に有償無償含めまして、アメリカからギリシャに与えました軍事援助額の総額は六千六百七十三万八千ドルでございます。なお、一九五〇年から一九七二年までのトータルの額は、十七億九千六百六十四万八千ドルになっております。
  111. 星野力

    ○星野力君 ギリシャの軍事政権というのは、アメリカとの関係においても、いま御発言のような状態であります。軍事援助にしましても韓国やトルコ、台湾、ベトナムに続いて五番目に多額の援助をアメリカから受けておりますし、国内ではむざんなほど残虐な民衆抑圧をやっておる反動政権であります。いまヨーロッパ諸国では、ちょうど三月二十五日からの一カ月間を、ギリシャ人民との連帯月間として、このギジキス反動政権への抗議運動を展開しておる、そういう状況でありますが、そういう政権との間にこの協定承認を行なうということは、そういう性格の政権を一そう国際的に日本政府が支持してやるということになると思います。結論はあとで申し上げます。  次にお聞きしたいんですが、大臣、海外における日本企業の社員や日本人観光客のふるまい、マナーといったものが問題にされておることは御存じのとおりでありますが、いろいろな批判が出ております。どういう原因でそういうことが起きているとお考えになりますか。
  112. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) これはいろいろ複雑な原因があると私は考えております。  最も基本的な原因といたしましては、先進国と発展途上国の間の経済上のギャップ、落差というものが、もともと相当大きいものであるにかかわらず、最近の傾向を見ましても、ますますギャップが拡大しておるという意味におきまして、これに対する不満というものはおおいがたいものがあると考えます。  それから第二点といたしまして、外国の企業、外国の投資による経済支配が進むことによって、みずからの経済の機会が奪われるのではないかという危惧が一般に後進国側においてある、発展途上国側においてあると私は考えます。  第三には、外国企業の運営にからみまして、現地の地域社会との間の融和が必ずしも十分とれる状況になっていないということが考えられると思いまするし、さらには、こういうものを全体を総合いたしまして、外国企業に対する反対ということを通じて現地の政権に対する、みずからの政権に対する批判という内実も内包されておるのではないかと判断されるわけでございまして、私の申し上げましたところで全部尽きておるわけではございませんけれども、おもなものをあげればそういうことではないかという感じがいたします。
  113. 星野力

    ○星野力君 観光客なんかに対する批判については、どうお考えになりますか。
  114. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) これも持てる者、また観光の余裕を持てる者に対するそういう機会を十分持ち得ない者の不満というものは、私は十分考えられることではないかと思いまするし、また、その観光客のマナーというものが現地の社会の慣行に十分マッチしたものでない場合に、その摩擦という姿においていろいろな問題が出てまいることも、想像にかたくないと思います。
  115. 星野力

    ○星野力君 いま大臣がずっとあげられた原因、私は主としてその原因、責任が相手国側の国民にあるという立場で見ておられる、その点に私不満です。もっと日本自身の問題として、日本の側の問題として、これは相当深刻に考えていかなければならぬ問題だと思います。その論議はきょうはさておきます。  ギリシャ駐在の日本大使が有名歌手のアクロポリスでの結婚式関係して話題になった事件、先ほども出ましたが、私も、あれはどう考えてもよくないと思うのです。結婚する当人たちが、自分たちの記念のためにということで富士山の頂上で結婚式をやろうと、どこかの浜べでやろうと、海の底でやったのもおりますが――また、どんな奇抜な方法でやろうと、他人に迷惑をかけるのでなければことさら問題にする必要はないと思うのですが、今度の場合はそれとは違うのではないか、こう思うのです。大臣、そうじゃないでしょうか。
  116. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いや、あなたのおっしゃる意味がよくわからぬですけれども、今度の場合の違いという点をもう少し御解明いただければ。
  117. 星野力

    ○星野力君 それは大使であろうが大臣であろうが、大臣の言われるように、外務大臣の言われるように、個人として仲人をやろうと結婚式の介添えをやろうと、それは自由でありますよ。しかし、あの今度の場合の結婚式というのは、芸能人の宣伝売名のための企画という疑いが非常に濃厚だと思うのです、客観的に見ればそうですよ。週刊誌のカメラマンまでついていって、アクロポリスの丘、パルテノン神殿のか――そのほとりか知りませんが結婚式という、こういう演出だったと思うのでありますが、それに、それまでその人たちとは見ず知らずの間柄である大使が、大使館の職員や家族を引き連れて片棒をかつぐというのはどういうことかと、まずその辺から大臣のお考えを聞きたいのです。
  118. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) たいへんむずかしい判断の問題だと思うのです。  大使として在留邦人あるいはツーリスト等をテクケアして差し上げるということは一面任務でございまするし、その便宜をできるだけはかってあげるということも考えなければならぬことだと思うのでございますが、それが特に有名歌手には濃く、そうでない者にはそうでないというふうなことはよくないと思うのでございまして、公務に支障のない範囲におきまして十分事態を判断されて、いろいろ指弾を受けないだけのことをやっていただきたいと私は思うのでありまして、本件につきまして、一体そういうことについてどうであったかということは、十分データをそろえて一ぺん判断さしてもらいたいと思います。
  119. 星野力

    ○星野力君 いま私が申し上げましたこと、有名歌手ということですが、このごろあまり人気よくないのじゃないですか。そういうような芸能人が、また人気を盛り返そうと思って宣伝売名の手段を考える。いろいろな奇抜なことをやりますよ。今度の場合はその疑いが非常に濃厚なわけですね。そのこともよく大臣考えに入れて、そういうことに日本国大使がのこのこ出かけていくと、介入していくということもこれは考えていただきたいと思うのです。  私、もう一つそれじゃお聞きしますが、外務省から便宜をはかってやれと訓令をしたという事実があるのかどうか。この問題の歌手というのは、与党の幹部たちとも、そう言っては失礼かもしらぬが、与党の幹部の方々とも親しい間柄だといわれておりますし、実際そのような行動も私たちは目にいたしております。ジャーナリズムでは、参議院選挙で全国区からの立候補が取りざたされたこともある人物であります。それだけに、あの人気挽回の宣伝企画には有力なうしろだてがあって、大使まで動かされたのではないかという、こういう観測さえされておるのですが、本省から何か言ってやったのじゃないですか。
  120. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 本省から、当該の人たちに対して便宜供与を訓令した事実はございません。
  121. 星野力

    ○星野力君 まあ、あったとは言えないでしょう。私は、当人たちにしましても、大使自身にしましても、アクロポリスでの結婚式ということを、富士山頂での結婚式と同じぐらいにしか考えていなかったのではないかとも思うのです。そう深刻に考えて仲人とか介添え人を買って出たということでもあるいはないかもしれませんが、これがギリシャの人たちにとってはひどく冒濱的なことと受け取られたのではないかと思うのであります。そういうことに、もう現地に二年にもなりますか、あの大使は、そういう日本大使が先頭になってやったというのでは、問題は軽くないと思うのです。日本人観光客のマナーが外国で取りざたされておるそのときに、大使自身がその悪いマナーの見本を見せたというようなこれは問題ではないかと思いますが、どうですか、それは。
  122. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) まあ先ほど黒柳先生の御質問に対して私個人の感触を申し上げましたのですが、個人の感触と申しますのは、やはり一国の大使として、それが善意に基づいて、かつ、個人行動であったにしても、軽率であったというそしりが免れないのじゃないかという感触でございます。
  123. 星野力

    ○星野力君 その間の事情がどうであったにしろ、これはよくないことですよ。私は、駐米大使のあの錯覚発言、錯覚外交よりこっちのほうが罪が軽いなどとは決して思いません。このままで済ましてもらっていい問題とは思いません。大臣からもう一つ、どうするのかということをお聞きします。
  124. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 事実を、いろいろデータに基づきまして究明いたしまして、それをもとに、訓戒に値するのかどうかの判断をさしていただきたいと思います。     ―――――――――――――
  125. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) この際、御報告いたします。  本日、西村関一君が委員辞任され、その補欠として小谷守君が選任されました。     ―――――――――――――
  126. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 他に御発言もなければ、両件についての質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより、日本国ベルギー王国との間の文化協定締結について承認を求めるの件の討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  日本国ベルギー王国との間の文化協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に対し賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  128. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。     ―――――――――――――
  129. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 次に、航空業務に関する日本国ギリシャ王国との間の協定締結について承認を求めるの件の討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  130. 星野力

    ○星野力君 私は、日本共産党を代表して、航空業務に関する日本国ギリシャ王国との間の協定締結に反対の立場で討論を行ないます。  わが党は、一般的には諸国民が、平等互恵の立場で、経済、文化などの交流を促進し、相互の理解と友好関係を発展させることに賛成であり、そのために努力してきました。  本協定について見れば、当面、日本側の一方的な乗り入れという、必ずしも平等とは言えない面もありますが、基本的には問題のない内容であります。しかし、現在のギリシャ政府との間でこの協定承認を行なうことにわが党は反対であります。昨年クーデターによって出現したギジキス大統領を頭とする現ギリシャ政権は、西欧最悪の軍事独裁政権といわれたパパドプロス前政権と本質的に変わらないだけでなく、前政権よりも一そう狂暴に民衆を弾圧しておるファッショ政権であります。日本政府は、いち早くギジキス政権を承認しましたが、この政権を相手に政府間協定を急いでこの時期に承認することは、この狂暴な軍事独裁政権に対してさらに国際的支持を与える行為といわなければなりません。  以上の理由から、わが党は、航空業務に関する日本国ギリシャ王国との間の協定締結に反対であり、ギリシャでの事態の推移を見守るべきであるとの立場を表明するものであります。  以上。
  131. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  航空業務に関する日本国ギリシャ王国との間の協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  133. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認することと決定いたしま  した。  なお、両件についての審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  135. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 国際情勢等に関する調査を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  136. 田英夫

    ○田英夫君 本日は、最近に新しく起こりました幾つかの問題について、政府のお考えをただしたいと思います。  最初に、おととい、二十六日に、韓国ソウルの法廷で、在日韓国人の一人であり、さきに北朝鮮スパイ容疑ということで逮捕されていた金鐵佑氏の求刑が高裁で行なわれたということが伝えられておりますが、外務省はこの問題についてもちろん御存じと思いますが、いかがですか。   〔委員長退席、理事平島敏夫君着席〕
  137. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) いま田先生のおっしゃったような事実は聞いております。
  138. 田英夫

    ○田英夫君 金鐵佑氏は、北海道大学の助手である金喆佑氏、実はこれは「てつ」と呼ぶのがほんとうかもしれませんが、この兄弟ともに北朝鮮スパイ容疑で逮捕をされているわけでありますけれども、この二人とも日本で生まれ育った在日韓国人であります。このほかにも、すでに在日韓国人で同じような容疑で逮捕をされている人たちが何人かいることは、この委員会でも私から御指摘をしたわけであります。崔昌一氏もその一人でありますが。そうした在日韓国人で、しかもこの金兄弟は、いわゆる協定永住権を持っている人であります。  そこで、入管に伺いたいのですけれども協定永住権を持っているこうした金鐵佑氏のような場合に、実は金鐵佑氏は、昨年四月に、この弟さんのほうもそうですけれども、いわゆる入管の出国の手続をしているということになると、協定永住権者の場合でも、満一年で入国期限が切れるというのが現行法だと思います。そうすると、御本人は現在韓国の獄中にあるわけですから、拘置所にいるわけですから、御本人からその延長の申請はできないということになると思いますので、こうした場合に、もし手続を更新しなければ、自動的に協定永住権の取得も消滅をする、権利も消減をするということにならざるを得ないと思いますが、この在日韓国人の、こうした人たちの場合にはどう取り扱うのか、その点はいかがですか。
  139. 竹村照雄

    説明員(竹村照雄君) 先生御質問の際に申されましたように、現行入国管理令のもとでは、再入国の期限を徒過して入国するような場合には、もとの在留資格はなくなるというたてまえになっております。廃案になりました法案の中では、外国において、そういう再入国の期限を延長できる制度、こういう欠陥を自覚しての制度を設けてありましたけれども、現行令のもとではそれがございませんから、永住権は失うという形にならざるを得ない。ただ、それは一般的にそういうふうに解せざるを得ないのでありますけれども、具体的な運用によって救った例はないわけではない。極端に言えば、病気になって、一週間ぐらいおくれて帰ってきたというような場合にまで、従来の永住権を失わせるというふうな非常に酷な結果になるものですから、そういったのは運用で救った例はあると聞いております。
  140. 田英夫

    ○田英夫君 これは国務大臣である大平さんに伺いたいと思いますが、政府は日本に居住をしている在日韓国人在日朝鮮人の人たちの取り扱いについて基本的にどうお考えなのか。その人たちを他の外国人に比べて、より優先的にといいますか、保護をするといいますか、そういう立場をとられるのか、他の外国人と同様であるとお考えになるのか、この点を、これは政治の問題として基本的に伺いたい。
  141. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) 日本におられる韓国人一般につきましては、御承知のごとく、日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日韓間の協定があるわけでございます。そのほかに、在来から長く日本におられる方につきましては、在来の特殊な密接な関係ということを考慮しまして、いろいろ国内的にも、一般外国人に比較しましていろいろな処遇ないし待遇上の問題の手当てがなされているわけでございます。で、これにつきましては、今後ともその方針で進むべきは当然のことであろうと、そういうふうに考えております。
  142. 田英夫

    ○田英夫君 大平さん、いまの点いかがですか、政治的に政府の責任者として判断されて。いまの条約局長のお答えはそのとおり、法律も、したがって、協定永住権というようなものを認めたり、事実、取り扱いに区別があることは事実でありますけれども、政治の立場から考えてどうお考えなのか。これは先ほど入管局次長からのお答えがありましたので、特例といいますか、現行法がむしろある意味で不備な点があるわけですが、そういう中で政治的に判断せざるを得ない状況でありますけれども、そのことを踏んまえてどうお考えか、お伺いいたします。
  143. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま条約局長から御説明申し上げましたような一般的な方針であると私も承知しておりますが、具体的なケースにおきましてどのように判断し、またそれを処理する道が現行制度の中でしつらえられてあるかどうか、そういう点は私もつまびらかにいたしておりませんのですが、いまの一般方針をできるだけ親切に具体的な場合に当てはめて考えていくべきではないかと思います。
  144. 田英夫

    ○田英夫君 大臣のお答えの、具体的な問題を検討してできるだけ親切にということをぜひひとつ在日韓国人、朝韓人の場合に具体的に適用をしていただきたい。これは言うまでもありませんけれども、いま六十万の朝鮮民族が日本にいるというそもそもの根本原因は、かつての日本政府が強制的に連れてきた人たち及びその子孫であるということですね。だからこそ他の外国人に比べて特別な取り扱いをしているわけですから、そういう中でこの人たちが、いま具体的に申し上げますけれども、現在受けている容疑というのはきわめて不当なものである、こう私は断ぜざるを得ないので、その辺もあわせ考えていただきたいということであります。  具体的に申し上げると、この金鐵佑さんというにいさんのほうは、いわゆる日本政府、そして日本の企業の積極的な援助でつくられました浦項の製鉄所の建設に尽くした人であって、そしてむしろ技術的な専門家でありますけれども、その技術的な問題だけでなくて、経済的な問題にまで加わってこの浦項製鉄所の建設に努力をした人であります、これは御存じだと思いますが。これはむしろ日本政府、あるいは受ける側の朴政権ということにもなるかもしれませんが、そういう意味からすれば浦項製鉄所をつくった功労者の一人であります。私どもも調べれば調べるほど、なぜこの人物がスパイ容疑というふうなことで朴政権に逮捕されるのか、全く理解に苦しむのであります。これはもう推測になりますけれども、もし浦項製鉄所建設の裏にいろいろと金大中事件以来言われているような黒いうわさがあるとすれば、そのことを金鐵佑氏が知り過ぎているのでこれを逮捕したと考えざるを得ない。ほかに理由が見つからないほど、この人はむしろいい意味の日韓協力を非常にまじめに考えてきた人であります。こういうこともひとつぜひお調べいただきたいと、外務省でどの程度つかんでおられるかわかりませんけれども、お調べいただきたい。  弟の金喆佑氏のほうは、これは日本の国家公務員であります。文部省の肩書き上文部教官ということになると思いますが、北海道大学理学部の助手であります。この人は地質学の専門家でありますけれども、これもまた、たまたま所用で母国である韓国を訪れたときに逮捕をされた。これも北朝鮮スパイということでありますが、一審の判決はともに北朝鮮スパイについては無罪ということで、ただ反共法違反ということで懲役――にいさんのほうが八年、弟さんのほうが三年の判決を受けているわけで、ところがおとといの高裁の求刑によりますと、このにいさんのほうは再び死刑の求刑を受けています。一審は求刑はともに死刑であります。これは実は韓国の反共法の第六条を見ますと、これも御存じと思いますが、「反国家団体」――つまり北朝鮮のことです、「反国家団体またはその構成員の指令により前項」――つまり反国家団体の支配地域、北朝鮮に行った者は死刑または無期と、こういう規定がある。つまり、北朝鮮に北朝鮮側の指令で入っていけばこれは死刑または無期ということですから、求刑はこれを適用して死刑求刑にしてるんだと思います。したがって、朴政権側は依然として北朝鮮スパイ容疑ということを捨てていないわけでありまして、こういう問題で、特にこの金兄弟の場合には日本政府にとっても無関心ではいられないはずでありますけれども、この問題についてこの二人の人の当面ですね、まだほかにもたくさん逮捕されてる在日韓国人がおりますけれども、当面この二人の人物についての日本政府の態度、たとえば積極的に釈放要求をするというようなことをお考えかどうか、あるいはすでにそういう何らかの手を打たれたかどうか、この問題について伺います。   〔理事平島敏夫君退席、委員長着席〕
  145. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 田先生御指摘のとおり、この二人の御兄弟は非常に日本関係の深い方であることはそのとおりでございます。ただ、韓国人ということでございまして、政府として公式になし得ることにはおのずから限度がございまして、われわれそれにもかかわらず、いろいろ日本の知人の方の面会等につきましては、在韓大使館を通じましていろいろな便宜をいままで供与してきております。その程度のことが政府としてなし得ることの限界かと心得ております。
  146. 田英夫

    ○田英夫君 そこで、入管に伺いたいんですが、先ほどは原則的な御答弁がありましたけれども、いま申し上げたような状況を実はもっと詳しくいろいろ政府は御存じだと思います、外務省も。私のほうもいろいろ調べてありますけれども。そういう状況の中で特例を認めるということがあり得るというお答えがさっきありましたけれども、この金兄弟の場合について、現状でどうお考えなのか伺いたいと思います。
  147. 竹村照雄

    説明員(竹村照雄君) 先ほど具体的な運用で救った例があるというふうに申し上げましたのは、再入国の期限を過ぎてわが国に帰ってきたのがきわめて短い期間、二、三日とか一週間とか、そういう場合の例でございます。その中には本人の責めに帰せられるような事由でない、病気とかそういったことがもちろん原因になっておりましたけれども、これ自体も、一体理論的にいってさような運用の根拠があるのかといわれますと、私いささか問題はあると思うんです。真正面切ってわが入管令の立場から言いますと、再入国期限を過ぎて帰った者には、これはもとの在住資格はないというふうに判断せざるを得ないと思います。この場合も、永住権を持っている人が向こうで裁判を受けて帰ってくるという場合に、一体理論的に考えてそれを救う道があるかといわれれば、われわれとしては一応は消極に解さざるを得ないと思います。なお、現在裁判になっておる犯罪が政治犯罪といえるかどうかという問題が一つからまってくると思いますが、無罪の場合は格別、もし有罪で、しかもそれが実刑でありますと、私どもの立場からいいますと、入国管理令の第五条の第一項の第四号に、「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁こ又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。」は、入国を拒否することになっております。ただしこれには、「政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りでない。」ということになっております。反共法というふうなものになってきますと、政治犯罪ではないかという問題が出てくると思います。それらも具体的には十分検討してやりたい。もちろん、向こうであるいは有罪の判決を受け、刑の執行が終了しまして日本へ入国したいという場合に、日本に生活の本拠があると認められる限り、これは入国を認めるのが原則でございます。  そういうことでございます。
  148. 田英夫

    ○田英夫君 いまのお答えは全く行政的な、まあいわゆる平ったいことばで言えば、お役人の立場でお答えになったと思います。それはお立場からそうだろうと思いますけれども、私はそういうことではもちろん納得できないし、また現在の韓国朴政権というものの性格を考えなければ、ただ法令で、懲役何年がどうだと、こうあるからそれを適用するということであっては、独裁的な軍事政権、こう私は断ぜざるを得ない。どんな政権でも、ヒットラーの政権でも、そこで懲役刑を課せられた者は、これを適用するのだということではないと思います。で、まさに、いまの在日韓国人の人たちで北朝鮮スパイ容疑で逮捕されている人たちこそ、これはまさに政治犯ですね。これが政治犯でないとすれば政治犯というものはほかにいないと思います。したがって、これはまさに政治犯という適用を受けると思いますし、いまのお答えの中から結論的に私は考えなければ、政治的に考えれば、金兄弟はまさにその法令外の特例として再入国を認めるというお答えだというふうに私は受け取らざるを得ませんが、外務大臣、いかがですか。
  149. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま御提起になりました具体的なケースでございますので、十分、田さんのおっしゃることも伺いまして、私どもでなお検討さしていただきます。
  150. 田英夫

    ○田英夫君 この問題はもうこれ以上申し上げなくてもよくおわかりいただけると思います。  そこで久しくこの委員会でも問題になりませんでしたけれども、金大中氏はその後もソウルの自宅にとどまったままであるわけですが、政府はその後、ことしに入ってから、かつての国会での何回かにわたるお答えにもあったとおりの、日本への再入国という、あの日韓閣僚会議を開く前提条件の第一項目であった問題がいまだに守られていないわけですが、この点について韓国政府にただされたかどうか、ただされたとすれば、いつどういう形でただされたのかをお答えいただきたいと思います。
  151. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) この問題につきましては、ことしに入りましてから二回韓国政府に対しましてただしております。第一回は一月の十七日だったかと思います。昨年からの懸案になっております金大中氏の出国問題につきまして、韓国政府のその後の状況をただしております。第二回目はたしか二月の十三日ごろだったかと思いますが、ニューヨークタイムズのハロラン記者の記事に関連いたしまして、その真意を問うた際に、同様に金大中氏の出国問題について韓国政府の態度をただしております。
  152. 田英夫

    ○田英夫君 そのときの韓国側の回答をお教えいただきたいと思います。
  153. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 両回とも、韓国政府の回答は、依然として現在法務部の手中にあって金大中の出国問題について事前調査をしているということでございまして、まだ外務部に法務部から回答が参っておらない、したがって、旅券の手続を進める段階にはまだないということでございまして、この点はなお韓国政府のほうで、国会でも同様な趣旨の答弁をいたしております。
  154. 田英夫

    ○田英夫君 これは外務大臣、この問題がはっきり国会で、この問題について大平さんがお答えになったのは十一月だと思います。十二月の日韓閣僚会議、十二月二十六日に開かれましたあの会議を開く前提として、韓国政府との間に約束が成立をしている、その第一項目が金大中氏の出国、自由な出国ということであったことは重ねて答えておられます。それが十二、一、二、三、やがて四月になろうとする、もうすでに四カ月以上たっているにもかかわらず、全くそれが実現しないことに対して、ことしになってわずか二回、しかもいまのアジア局長のお答えでは韓国外務省に聞かれて、外務部のほうで法務のほうから回答が来ないからと言われて、そうですがと言って引き下がっているという、こういうことで国と国との約束が放置されているのをそのままにしていいのかどうか。これじゃ日本の国民は納得しませんし、まさにばかにされたことになります。国会での御答弁というのはそんなに軽いものではなかったはずであります。本来ならば外務大臣同士で何回も話し合わなければいけないことだと思います。国会で答弁をされたということは、日本国民に対して答弁をされたわけですから、それが守られていない。日本の世論は、金大中氏の再入国を求めるということで一致をしていたと思います。それに対して、その立場から政府が韓国政府に要望をし、韓国政府がそれを認めたということになっていたはずじゃないですか。それをただ外務省の事務当局で、わずか二回、しかも二月以降はやっていないと、こういう状況では、日本国民はばかにされたと、朴政権にばかにされた――韓国国民だって同じだと思いますが、この点はいかがですか。
  155. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私が国会で御答弁申し上げている趣旨は、田さんもう御承知のとおり、韓国政府として、金大中氏は市民としての自由を保障するということをわがほうに約されたわけでございます。したがって、この約束を私は固く信じておるわけでございます。そしてそれの、約諾されたラインで、出国が実現することを期待いたしておるわけでございます。もしその約束が破られるということでございますならば、あなたがおっしゃるように、確かに事柄は重大だと思うのでございますけれども、先方は、金大中氏だからといって手続を早く進めるわけにもまいらぬが、特に金大中氏だからといっておそくするつもりもないと、所定の手順を踏むんだということでございますので、私どもそれをウォッチしておるというのがいまの立場でございまして、国会並びに国民に対しまして、虚偽の答弁をいたしておるわけでは決してないわけでございます。  それから第二に、この問題につきまして、たびたび、執拗に韓国政府に実現方を求めるということ、求めるべきでないかということでございまして、それはそれなりに私は理解できる御提言であると考えております。ただその場合、政府と政府で約束をしたわけでございまして、一方の当事国が、約束されたことをどう実現するかということでございますので、そうおっしゃらなくても、自分のほうは自分のほうとして考えておるという場合に、執拗にこれを求めてまいるということが、この問題の解決を促進することになるのかどうかという点につきましては、われわれとしていろいろ考えなけりゃならぬのじゃないかと、それでなくても日本側に求められて事をなすということは、独立国の立場では、なかなかお立場もあると思うんでございまして、そのあたりは私どもとして心得ながら、本問題の処理をやっていかなきゃならぬのじゃないかと私は考えております。
  156. 田英夫

    ○田英夫君 いまのお答えは、一つの立場としてあり得ると思いますけれども、そうしたやり方が、朴政権との間のそうしたやり方が、非常に疑惑を招いているんじゃないだろうかと。私は外交というのは、時の政府が国民にかわって世界に向けている顔だと、こう思います。決して大平さんが世界に向けている顔じゃなくて、日本国民にかわって向けている、基本は日本国民だと思いますよ。もちろん、外交技術的に韓国側の立場を配慮するというようなことはあっていいと思いますけれども、いまのような、韓国側が日本に要求をされてのんだと、こういうことでは韓国政府の立場が、特に韓国民に対してぐあい悪かろうから、こっちは遠慮しておこうということは、日本国民が金大中氏の再来日を強く求め、日本の国権が侵されたということに対して非常に怒りが盛り上がっていたという、こういう問題を考えたときに、これはちょっと筋が違うんじゃないですか。日本国民のことを考える前に、韓国、朴政権の顔を考えるというのは、順序が違うんじゃないですか。そこのところが根本的に去年から狂っているんだと思いますよ。  捜査当局の態度も、途中から、政府のそうした態度に押されて消えてしまっている、私もいろいろ調べています、現在も。で、捜査線上に、私どもがつかんでいるようなものも、浮んできても、それを――まあ、きょうは捜査当局の方を、出席を求めておりませんから、あらためてこれはお尋ねしますけれども、当然追っていいものを追っていない。韓国側に対する配慮というのが、そこに根本に流れていると。そうなってくると、国民のほうは、何か韓国側に弱みを握られているんじゃないだろうか、裏があるんじゃないかと思うのが当然じゃないでしょうか。これは日本政府の立場からいって、むしろ非常にぐあいが悪い、私は政府のお立場を考えてそう思いますよ。  なぜか、この金大中問題、韓国問題に関連すると、政府の、大平さんの態度は非常におかしくなるんですね。前回の委員会で取り上げました日韓大陸だな協定についても、日中航空協定を進めているさなかに、なぜこれをあんな時期に結ばれるのかということ、調印されるのかということ、ほんとうにこれは私は常識で考えてわかりません。韓国問題になるとおかしくなっちゃうんですね、これ以上言いたくありませんけれども、ここのところは、政府の立場、大平さんの立場からして、十分お考えになったほうがいいと思いますよ、たいへんなまいきな言い方ですけれども。なぜ、韓国問題になるとおかしくなっちまうのか。こういう言い方をすると、たいへん失礼ですけれども、私は事実をこう積み上げていった中で、そう思わざるを得ないんです。大臣いかがですか。
  157. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私、ちっともおかしいと思っていないんです。私は外交を扱っておる立場として、なすべきことを、なすべきときに、なすべきマナーでやらにゃいかぬと考えておるわけでございまして、韓国だからこうするああするという、特に配慮をいたしておるつもりはないわけでございますので、もし、そういう色めがねをもって対韓政策をごらんいただいておるとすれば、田さんのほうにも、もう一度お考えいただきたいと私は思います。
  158. 田英夫

    ○田英夫君 それではあらためて伺いますけれども、現在の金大中さんの再来日の問題について、国民の立場から考えて、どうしても納得できないと、これは大平さんのほうからもお調べになったらいいと思いますけれども、私も国民世論というものを最も大切に考えたいと思っておりますから、その立場から調べて見て、絶対に日本国民は納得していません。となれば、いまの、御配慮はわかりますよ、外交的なマナーというようなことを言われたのはわかるけれども、それはさっき私が申し上げたように、筋が違っていると思います。  そこで、あらためて伺いますが、大平外務大臣として、韓国外務大臣に、あらためて――二月以来、この問題については、何にも要求も調査もしておられないようでありますから、この三月の末になったこの時点で、あらためて日本国民の声を背にして、韓国政府に対して再来日を求めるお考えがあるかどうか、このことだけ伺ってこの問題を終わります。
  159. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いままでも機会あるたびごとに注意を、先方に注意を喚起いたしてまいったつもりでございますが、この態度は今後とも堅持して実行してまいるつもりでございます。
  160. 田英夫

    ○田英夫君 この問題をこれ以上申し上げてもしかたがないようでありますけれども、いまのお答えは、国民に対する答えとして大平さんにとって、まことに大平さんの側からしてよくないと思います、これは、私ははっきり申し上げて。いずれこの問題については国民の側から批判が出る時期があると思いますので、この問題あらためて捜査の問題も含めまして機会がありましたら取り上げたいと思います。  次に、時間がありませんので、最近の報道といいますか、ニュースとして植村、永野両氏がソ連を訪問されて経済合同会議をされた。その結果として、ソ連側から新しい提案が出てきているわけでありますね。第二シベリア鉄道建設についての協力を求める。そして、この鉄道建設を軸にして従来から懸案になっていた六大プロジェクトについて日本側とこれからの話し合いを続けたい。こういうふうにいっておられますが、こういうふうになってきているわけですが、そこで伺いたいのは、政府としてこの問題をどういうふうに受けとめておられるのか、このことをまず伺いたいと思います。
  161. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 植村、永野両氏が訪ソされまして、先方コスイギン首相、ブレジネフ書記長、バイバコフ・ゴスプラン議長その他と会談を終えて帰られましたが、三月の二十二日にコスイギン首相との会談で、先方からいわゆる第二シベリア鉄道という構想が打ち出されたということは承知いたしております。問題は、報道されるごとく実際にそれがほかのプロジェクトとからめて、あるいはその前提であるのかどうか、またその提案の具体的内容は何であるかという点についてはまだ承知いたしておりません。一昨日御両所お帰りになりましたので、詳しく先方の案の内容につきましても伺いまして、それをわれわれとしては検討いたしたい、こう考えております。
  162. 田英夫

    ○田英夫君 黒柳さんだったら、ここで、そんなのんびりしていていいかとおこられるところでしょうが、これは重大な問題でありますから、慎重に御両氏から話を直接聞かれ、調査されることはけっこうだと思いますけれども。  そこで問題は、これは報道にも出てきていることですけれども、第二シベリア鉄道というものを、単にチュメニの石油を日本に運ぶためにもいいというような点だけから考えるわけにいかない。つまり経済的な側面からだけ、できた結果の経済的な側面、あるいは建設すること自体についての日本の経済的な問題、利益、そういうことだけで考えるわけにいかないので、結果として、当然軍事的な問題がからんでくる。そこで永野さんは帰られたときの記者会見で、われわれ経済人としては中国への配慮といった点はまあ考えの外にあってもいいのじゃないか、こういう意味のことを言っておられるようでありますけれども、そうなると経済人はそうであっても、政府はそうはいかないと思いますね。この点から外務大臣、この問題はどういうふうにお考えになりますか。
  163. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 日ソ間におきまして、サイベリアの資源の開発について協力が話し合われていることは事実でございまして、その基本の原則は、互恵平等の立場で進めようじゃないかということしでございます。それからそのやり方といたしましては、わが国では日ソ経済委員会が窓口になりまして、それから先方の関係者と各プロジェクトにつきまして十分なデータを駆使してプロジェクトの規模、内容、信用供与の条件その他いろいろ吟味されて、それで満足すべき基本契約を結ぶと、そしてそれができて、それが満足すべきものであれば、政府はその実行を促進する役割りを果たそうじゃないかというたてまえになっているわけでございます。過去におきまして、若干のプロジェクトは実行に移されておりますが、すべてそういう方式でやっているわけでございます。いま問題になっておるプロジェクトは、スケールは確かに大きいことでございますけれども、やり方としては同じようなプロセスを通ってやるものでございます。したがって、日ソ両国の当事者間、経済界の当事者間で話がいまいろいろなプロジェクトについて進んでおるわけでございまして、政府の立場は、その煮詰めを待っているというのがいまの立場でございます。とりわけ鉄道敷設計画というのは、初めて今度われわれ聞いたことでございまして、内容につきましては、いま欧亜局長からお話がありましたとおり、詳細はまだ承知いたしていないわけでございます。
  164. 田英夫

    ○田英夫君 そこで、さっき伺ったのは鉄道建設ということになれば、しかも第二シベリア鉄道というたいへん大きな幹線になりますね。そういうものができるということ、これは軍事的に当然関係してくると考えざるを得ない。そして現在の中ソ関係というものを考え、同時にいよいよ航空協定が大詰めというこの日中関係を、これから新しく進めていくという日本政府の立場ということを考えて、この問題をどういうふうにお考えになるか。もし第二シベリア鉄道をほんとうにこういう計画でひとつ建設に協力をしてほしいという植村、永野両氏の持ち帰られた要求がそのとおりであり、それを日本の財界、経済界が経済的な立場から進める、こうどんどん進んでいった場合に、日本政府としてはそれでいいのかどうか、中国への配慮というものは当然あると思います。この点を伺いたいわけです。
  165. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま私が申し上げましたように、経済界の両当事者間で、各プロジェクトごとに煮詰めが行なわれるわけでございまして、経済的な判断から。それで基本契約というようなものにこれが実ってくるわけでございまして、いま各種のプロジェクトのお話があって、そういうものが吟味されている過程であると私は承知をいたしておるわけでございます。政府が介入して判断するといういま段階ではないわけでございますので、私は経済界の方々が、どういう経済的立場からフィージビリティースタディーというものを十分遂げて、自分たちの立場からいけばこういう判断だというようなものが出された段階で、政府としては政府の立場でいろいろな配慮をすべきものと考えておるんでございまして、まだそういうものが煮詰まらない段階におきまして、先ばしった見解を述べるのはいかがなものかと私は考えております。
  166. 田英夫

    ○田英夫君 そうすると、先ばしるかもしれませんけれども、経済界が、日本の経済界が今度の話をソ連との間でどんどん進めると、これからもちろん検討されるでしょうけれども、積極的な方向で進めていくと、年間二千五百万トンのチュメニの石油が入ってくる、これは確かに日本経済にとってはいいことだと、あるいは天然ガスにしても同様ですね。あるいはシベリアの森林というような問題もプロジェクトの中にある、そういうことを進めるためには、どうも伝えられるとこでは、シベリア鉄道というのが軸になって、これが一つの大きな前提条件だというふうにさえいわれているということの中で、経済界はこの第二シベリア鉄道建設に積極的に協力をしていくと、こういう方向で進んでいったときに、日本政府としては、これは経済界がおやりになるんだから悪いことではないと、いいことじゃないかということで黙っていると、こういう態度であると理解していいんですか。
  167. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 第一は、一体この第二サイベリア鉄道というものとほかのプロジェクトのかかわり合いというのが、欧亜局長がお話しいたしましたようにはっきりいたさないもんで、軸になるものか、関連を持っているのか持っていないのか、たとえばいま、ヤクーツクの天然ガスの探鉱探査についてのプロジェクトがございますけれども、そのプロジェクト自体は天然ガスの埋蔵量を捕捉するプロジェクトなんでございまして、それ自体は鉄道と何か関係があるように私は思いませんけれども、だから、そのかかわり合いというようなものが一体どういうものかがまず第一にはっきりいたしません。  それから第二に、経済界は経済界として判断を持って、それをどんどん進めていけば、政府としてそれを受けてお助けするという、まあ筋道としてはそうなるんでございますけれども、経済界が関係するにいたしましても、大半の資本はやはり政府機関の信用にたよらざるを得ないわけでございますので、いまの段階はそういうことを抜きにしてプロジェクト自体のフィージビリティーというもののスタディーを徹底的にやってもらいたいと思うんでございます。それで、それは確かに十分満足すべきものであるということでございますならば、経済的に成り立つものということでございますならば、その場合、政府資金はひとつ考えようということになるのか、その他の配慮がそこに判断が加わるのか、その段階になってのことでございまして、いま私の承知している限りにおきましては、まだこれ、各プロジェクトにつきまして、これならばだいじょうぶだと、自分たちはこれは経済界の判断としては、これはこういう条件でお引き受けしても経済界としてはいいという確実な判断をまだ伺っていないわけでございますので、政府がいまとやかくまだ申し上げる段階ではないように私は考えておるわけでございます。したがって、もう少し煮詰めが進む段階におきまして、いろいろ御相談がございますならば、もう少しお答えができるんじゃないかと思いますけれども、いままだ経済界の手においていろいろなスタディーが行なわれておるという段階でございますので、政府が先ばしっていろいろなことを申し上げるなんということは少し尚早じゃないかと私は考えております。
  168. 田英夫

    ○田英夫君 中国との関連についてはお答えがないわけですけれども、先ばしってというのはそのことを意味しておられるとまあ判断しますが、こういう中で、政府がこの中ソの問題をどういうふうに判断をされているのか。  全く問題は別ですけれども、四月二日から横浜で開かれるアジア卓球大会に、朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮の選手団が突然参加を中止いたしましたが、これにはいろいろな推測が出ております。この点、外務省はどういうふうに判断をされているのか、政治的な背景があるとすれば、どういうふうに判断をされているのか、この機会に承っておきたいと思います。
  169. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 北朝鮮卓球チームが今度の大会に参加しないということで、公式には諸情勢によりということで、理由は明示してございません。私ども公式にこの理由をそんたくする立場にはございませんけれども、やはり何らかの理由が背景にあったことは十分考えられますので、現在いろいろその理由を検討いたしておりますが、この場で公式にこういうことであろうということを申し上げる立場にございません。ただ、いままで最終的に不参加になった経緯の過程におきまして、たとえば、最初は中国機でもって日本人りするといわれていたものが、その後、ソ連経由、アエロフロート機で日本入りするというふうに変更され、最終的にはそれも中止になったというような経緯もございますし、いろいろ考慮すべき要因は多々あると思います。しかし、そういったものを総合しまして、どう判断するかということは、いまの段階ではまだ過早かと思います。
  170. 田英夫

    ○田英夫君 終わります。
  171. 黒柳明

    黒柳明君 私も日ソ協力の問題でお伺いしますが、植村、永野両氏から大臣は近々中には報告を聞く予定ですか。
  172. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) きょう、欧亜局長にとりあえず聞いていただこうと思っておりますが、私もいずれなるべく早く伺いたいと考えます。
  173. 黒柳明

    黒柳明君 明日は六プロジェクトの何か責任者が集まって煮詰めると、ここにも政府は全然関与しないわけですね。
  174. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 外務省では、具体的に申し上げますと私でございますし、それから通産省では通商局長、それから大蔵省では国際金融局長、この三名の者がオブザーバーという形で、従来からそういう問題についての日ソ合同委員会、日本側の委員部の話し合いには、あるいはその検討にはオブザーバーの資格で参加いたしております。したがいまして、明日もしそういう事態が予定されておりますれば、出席することになると思います。
  175. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると大臣、特別に、いま聞いていますと、何だか完ぺきにこの六プロジェクトがおのおのつくって、あるいは経済関係者がコンクリートにしてから政府がタッチするという意味でもないわけですね。すでにオブザーバーの資格であり、また、オブザーバーであるけど、実質的には相当タッチしているのかどうか、その点わかりませんけれどもね。当然、政府間の信用が最終的なもの、あるいは政府の融資というものが最終的なものになろうかと思いますんですけれども、プロジェクトチームが企画を進め、オブザーバーの形から今度は実際の政府が実行するというこの切りかえでも考えるわけですか。あるいはずっとオブザーバーの立場になっていて、完全になって政府がそれをどう判断するとかと、その点どうなんでしょう。いままでの例ですと、どうなんですか。
  176. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) オブザーバーの資格で民間の方々の討論あるいは検討、これは私ども拝聴しております。ただ、その間、民間の方々から御意見を求められれば、それを言うということはございます。それから、したがいまして、大臣が先ほど御説明になりましたのは基本的な姿勢でございます。で、事実上御指摘のように輸銀の資金を使用するという問題が当然将来予想されるということなので、われわれとしては非常に大きな関心を持ちながらオブザーブしているということでございます。
  177. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、実質的には何かこうプロジェクトが、経済界がきめてから政府がタッチするということではなくて、同時にこちらがいろんなことを聞きながら、それに対して発言を求められたら発言するということと同時に、また発言もどんどんする余地があるんじゃないかと思うんですけれども、いろんなサゼスチョンもする余地があるんじゃないかと思うんですが、そうするといま大臣がおっしゃったように、傍観して推移を見ているということじゃないわけですね。   〔委員長退席、理事平島敏夫君着席〕  あまりにもこれ規模が大きいわけですからね。ですから、もう私どもとしてはあしたあたり、ということは、ブレジネフ書記長が第二シベリア鉄道をつくってくれと、日ソ間で協力しようと、こういうことはほぼこれは新聞報道ですけれども、間違いがない事実だと思うんですよ。それを両者が記者会見をしてそれについてはもう事実関係は、また外務大臣お得意の事実関係を調べてなんというようなこととは状態は相当違うのじゃないか。もう間違いなく事実だと思うんですよ。ですから、そういう段階になってきてもうあまりプロジェクト、プロジェクト、経済界、経済界と言っているときでもないんじゃなかろうかという私感じするんでお伺いするわけですけれども、その点はいかがでしょう。
  178. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) もちろん政府といたしまして、これを傍観するということではないと思います。と申しますのは、御承知のとおり、プロジェクト非常に大きいということもありますし、輸銀の資金を使用するということもある。ただ問題は、政府がこれを指導してやるという性質のものではなくて、あくまでやはり民間企業が経済的あるいは技術的なフィージビリティーというものを徹底的に追求してその上で成り立つものという形をとるのが当然ではなかろうかと、こう考えております。
  179. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、もう外務大臣、いま私言った第二シベリア鉄道、これがいまの六プロジェクトとどう関係するかということについては、また将来のいろんな情報報告というものは必要だと思うんですけれども、ブレジネフ書記長あるいはコスイギン首相、バイバコフ副首相に至るまで要請をされ、ある程度話をしたという植村さん、永野さんの情報については、これはもう全面的に間違いないという判断外務大臣はしているわけですか。
  180. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 三月の二十二日にコスイギン首相から植村、永野御両所にそういう提案があったということを承知しております。われわれが一番知りたいのは、先ほど大臣も御指摘になりましたように、それが具体的にどういう内容なのか、それが現在ある幾つかのプロジェクトとどういう関係にあるのか、前提になるのか、あるいは柱になるのか、それとも別のことなのか、そういうような点についての究明がまだできておりません。その点を直接御両人から伺いたい、こう考えておるわけでございます。
  181. 黒柳明

    黒柳明君 直接伺いたいというんなら、ひとつきょう欧亜局長がお聞きになってすみやかにまた大臣も直接お聞きになって、これはもう日ソ間の経済協力、友好関係というものはますますやっぱり発展させなければならないと思います。ですから、ひとつ五日間待たないで大至急聞いていただきたい。と同時に、先ほどプロジェクトチーム、経済界がどんどんこれを推進すると、で、こちらも判断すると、その判断する段階、これは何も特定の時期があってこれだけできたからこっちが判断するということじゃなくて、もう並行線でどんどんやっているみたいです。どっちが主体性があるか別にしましてもね。政治的な判断も加えつつこれ進んでいるんじゃないですか。当然政府がこれを融資の問題なんか、あるいは第二シベリア鉄道とプロジェクトの関係がよりはっきりすれば政府が判断する時期が近々くると思うんですけれどもね。そのときは当然、融資の金額の問題もありますけれども、経済界がある意味では持たないような政治的な判断も当然その時期にはする必要があるんじゃないでしょうか、外務大臣、政治的な判断
  182. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 先ほど大臣から田先生の御質問にも御答弁ございましたけれども、要するにもろもろの要素を政府としては考えざるを得ない。それが必ずしも純粋の経済問題にのみ限定されるとは限りませんけれども、その時点におきまして、あらゆる要素を考慮に入れて政府としての判断を下したい、こういうことでございます。
  183. 黒柳明

    黒柳明君 外務大臣、そのもろもろの要素というのはもう広範多岐だと思いますけれども、その中には当然いまの日本が置かれた国際情勢、日米問題、それから日中問題、当然当事者の日ソ問題、さらには、日本に直接関係ないですけれども中ソ問題あるいは米ソの問題等も、当然そのもろもろな政治的な判断の要素になることはこれはもう間違いないと見てよろしいわけですね、大臣どうでしょうか。
  184. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) それは当然のことと思います。
  185. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、いまの中ソ問題、これがどうであるか、あるいは日米の安保条約に対する状態どうなるかということは、これは私が言うまでもなく、大臣のほうが私以上に知っているわけですけれども、やっぱりこういう問題というものも考えなければ、ソ連の、たとえ日ソの経済協力だ、あるいはシベリアの開発、天然ガス、油田、木材等を日本が輸入できるというプラスがあったとしても、メリットがあったとしても、そういう国際情勢、政治的判断によっては相当やっぱりこの問題は流動的だということも考えられるんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。
  186. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 実は、この問題が依然として流動的かどうかという御指摘でございますけれども、その点はまさに先方の提案自身をまず知りたいというのがわれわれの態度でございまして、それと、先ほど申し上げましたように、いままであるプロジェクトとの関係とかいうことをはっきりつかまないとわれわれとしても判断できないわけでございまして、いまこれが流動的というふうなきめ方はできないのではないかと、こう考えております。
  187. 黒柳明

    黒柳明君 金額も明示されていますですな。六百五十億ドルですか、四百八十億ルーブルですか、これはちょっとものすごいやっぱり大型であり巨額であるというのは、今年度の国家予算と同じぐらいな、それよりオーバーするわけですか、八年なり十年なりの借款だと思うのですけれども、要するに大臣、またいろいろな要素があるわけですけれども、軽々にいま先のことを発言できないとは思うけれども、どうですか、この六百五十億なんという巨額なやっぱり開発資金というものが必要だとなった場合に対しての現状の数字は出ているんでしょうか、もう。
  188. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 新聞報道でその数字は承知いたしております。ただ、その教字がはたして全部日本に期待される数字なのか、あるいはソ連自身としては一九七六年から第十次五カ年計画というものを計画しておりますが、それに繰り込まれるシベリア開発全案件の予算の額なのか。その辺がまだつまびらかでございません。
  189. 黒柳明

    黒柳明君 そこらあたり、もう早くそれじゃ永野、植村両氏に聞いて、もうほんとうはきょうの委員会でそういう質問が出ることは想定されるわけですから、もうきのうのうちにでもやっぱり情報をつかまえるぐらいのスピーディーな姿勢がないと、やっぱりどんどん地球はスピーディーに回転していますから、わが国おくれていくという可能性あります。  それはそれとしまして、そうすると、結局巨額な資金が日ソどういうふうに分担されるかということがまずいまの時点においてはわからない、こういうことですけれども、もし大臣、いまの判断として、たとえばもっと具体的にはさっき田さんおっしゃったヤクート天然ガス二千五百万トン輸入するには、いままで十億ドル、これも私、一カ月ぐらい前には多いじゃないかと言ったことがあるんですよね。五億ドルが十億ドル、それが今度は三十三億ドル、三倍になるわけでしょう。これもまた日ソどう分担するのか云々ということは若干わからないですけれども、具体的にやっぱりこれも金額が提示されていますね、これについてどうですか。
  190. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 輸銀のほうから聞きましたところでは、まだ具体的に、いままでの五件でございますが、についてソ連側からこれだけの額の信用供与がほしいというような要求があったわけではございません。ただ、輸銀としましていままで集めました情報を積算いたしますると、かなりな金額になる。で、御指摘のヤクーチャの石油の案件につきましても、十億ドルという数字は過去においていわれましたけれども、それも必ずしもソ連側から要請があったという数字ではございません。ただ、その後の物価の値上がり等を考えますると、十億ドルをかなり上回るのではないかというふうには見ております。
  191. 黒柳明

    黒柳明君 従来、こういうプロジェクトについてはいろいろの経緯があったと思いますけれども、向こうだって書記長が、首相が、あるいはバイバコフさんが出たりして、相当熱を入れていることは、力を入れていることは間違いないわけですよ。ですから経済界の判断を、それからいまのプロジェクトをということはすぐ変えられないとしても、もう政府自体も、これに何もオブザーバーでまたあした出るというような消極姿勢ではなくて、相当なやっぱり積極的な姿勢で臨まないとうまくない時期じゃないんでしょうか。外務大臣どうですか、そういう判断はまだできませんか。
  192. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) われわれも重大な関心を持っておるわけでございまして、オブザーバーの資格で経済界の話し合いというものは十分承知しておかなければいかぬということで参加いたしておるわけでございますが、政府がまだ決定的な判断をするまでのデータは出そろっていないというのがいまの段階でございます。
  193. 黒柳明

    黒柳明君 だけれど、一昨日の帰国で相当いままで以上には詳しいデータがそろったことは間違いないんじゃないですか。どうですか局長さん。
  194. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 一昨日の昼帰られまして、率直に申し上げて、まだ私お目にかかって直接意見を伺っておりません。きょうの午後の五時に伺うことになっております。ただ、新聞報道によるますると、いろいろな提案あるいはそれに対する永野さんのコメント等はございますので、いろいろな具体的な数字についてもあるいは提示があったかもしれません、ということしか現在申し上げられません。
  195. 黒柳明

    黒柳明君 アメリカとの問題、まあ、外務大臣はこの前のときには、第三国――あくまでも当事者両国の問題であると、こういうような話がありましたけれども、これも伝えられるところによると、ソ連側は何か第三国、アメリカの介入は好ましくないんではなかろうかというようなことも若干伝わっておりますけれども外務大臣としては、いまの、相当両国間のこの問題が煮詰まって、しかも向こうのほうがこちらよりもある意味ではより積極姿勢を見せているいまにおいて、どうですか、第三国、なかんずくアメリカの参加というものについて、どういう考えを持っていますか。
  196. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) これは本委員会でも申し上げましたとおり、日ソ間の了解は、シベリア開発協力につきましては日ソ間の話し合いにし――当時者は日ソ間にしようと。ただ、アメリカの参加、つまり第三国の参加は排除しないということになっております。それで第二に、その第三国の話というのは、これまた経済界が経済ベースで話をしていくべき性質のものと考えております。第三に、政府としては、第三国の参加がどうだと言われれば、このプロジェクトが熟して実行に移る場合におきましては、やはり第三国の参加が望ましいと考えておることに変わりはありません。
  197. 黒柳明

    黒柳明君 いま望ましいということを――今度は政府が積極的に働きかけるという意思もないわけですか、第三国に。
  198. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) それは、いま申しましたように、まず経済界が話をいたしておるようでございますから……。
  199. 黒柳明

    黒柳明君 経済界は、第三国、アメリカあたりに接触しているんですか。
  200. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) プロジェクトによって異なります。たとえば、チュメニ石油の問題あるいはヤクーチャの天然ガスの問題については、第三国と接触しております。それから森林資源の開発、石炭の問題、これは日ソ両国間だけという考え方で進んでいると承知しております。
  201. 黒柳明

    黒柳明君 本来ならば、もう帰国してからこれもまた二日たっているわけですから、相当具体的なものをつかんでこの場の御答弁をいただかなければならぬ性質だと思いますけれども、今晩お聞きになるということですから、また次回でもひとつ具体的に御報告いだだければと、こう思います。  以上です。
  202. 星野力

    ○星野力君 私、米陸軍相模補給廠の問題についてお伺いいたします。よろしゅうございますか。アメリカ局長来ておったと思うんですが。
  203. 平島敏夫

    理事平島敏夫君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  204. 平島敏夫

    理事平島敏夫君) 速記をつけて。
  205. 星野力

    ○星野力君 米陸軍相模補給廠におきまして、最近、戦闘車両の修理作業が非常に活発になってきておると思うんであります。外務省からいただきました資料によりますと、昨年一年間の搬出入状況は、搬入車両が百十六台、搬出車両が三百七十六台、こうなっております。このうちには、昨年の三月終わりまでだいぶ問題になりました、また当委員会におきましても論議されましたM48などの搬出入の数字も含まれておりますが、それにしましても相当出入りが多いわけであります。ことしに入りましてからの民間の調査、これは神奈川県の市民団体があのゲートの前におきまして昼夜見張って目で確めた数字でありますから、あるいは若干の見落としもあろうかと思いますが、ことしに入りまして、二カ月間で搬入が三十六台、搬出が八十九台と、搬出のほうが今度多くなっております。こういうふうに動いております。  で、搬出された戦闘車両は、横浜のノースピアから海外へ向けて送られておる。この戦闘車両が送られる船の仕向け地というものはチェックできておるのか、できるのか、いかがでございますか。
  206. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) アメリカ側につきまして、相模原補給廠の運営の状況につきまして、できるだけ詳細にデータの提出を求めてまいっておるわけでございますが、ノースピアからの仕向け先については私ども入手することができていないのであります。
  207. 星野力

    ○星野力君 これができないとすると重大な問題が出てくるわけですが、今日までそのチェックするということが、取りきめの上でも、制度としても、できておらぬというんではたいへんだと思います。まあ、あそこから運び出される車両が継続的に、たとえばイスラエルに行くとか、中東に行くとかという場合、これははっきりしておりますですね、これは安保条約から見ましても違法、違反であると思うんであります。たとえばタイとかカンボジアへ行った場合はどうなるか。あそこからサタヒプに向けてそれらの戦闘車両が積まれた船が出て行く、タイに持ち込まれておる、あるいはタイからカンボジアのプノンペンの側の軍隊に供与されておると、こういう情報、観測もあるんですが、タイやカンボジアへ運び出された場合には安保条約に照らして、これはどういうことになりますか、安保条約の適用区域という点からも。
  208. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) 日本にあります施設区域において米軍が所有します車両等を修理した後に、それを他の地域に存在いたします米軍関係部隊等に輸送するという場合は、これは通常米軍が保有する車両を、たまたま米軍内部において転用するということであろうかと思います。そのこと事態は安保条約ないし地位協定上特に問題になることではないというふうに考えております。
  209. 星野力

    ○星野力君 なるほど、タイに行った場合、タイには米軍がおるんですが、しかしカンボジアの場合ですと、これは米軍がおらぬことになっておる。カンボジアへ行った場合どうでありますか。
  210. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) ただいまの御質問は、米軍が所有していない車両の修理を施設・区域において行なうということでありますれば、それは協定上問題が出てくるかと思うんです。しかし、米軍が所有しております車両を施設・区域において修理を行なう。そしてそれを搬出していきます場合に、現在の御質問でございますと、カンボジアにそれが出ていったということになるかと思いますけれども、現在、御承知のように、インドシナにつきましては、昨年一月にパリで平和協定が結ばれております。そしてこれが忠実に履行されまして、インドシナにおける平和が達成されるということを私どもといたしましても希望し、強く期待をしているわけでございますから、その協定に違反するような状態が出てくるということがございますれば、これは問題として取り上げなければならない。しかし、そのパリ協定に即して事態が処理されているということでございますれば、それは特に問題にすることはないというふうに考えております。
  211. 星野力

    ○星野力君 パリ協定でも、カンボジアに米軍が介入すること、これは禁止しておる、第二十条だったと思いますが。そうしますと、米軍所有の戦闘車両であっても、これが何らかの方法でカンボジアに持っていかれた、いかれるという場合は、これは条約から見てよくないと、違反であると、こういう意味でございますね。
  212. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) パリ協定に違反して行なわれるということでございますれば、それは私どもといたしましても問題になると考えます。
  213. 星野力

    ○星野力君 パリ協定では、そういうことをやっていけないと、こう書いてあるのでありますから、ハリ協定の違反になると、こういう結論だろうと思いますが、そうでしょう。
  214. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) パリ協定に違反するかどうかということは、日本政府自身がパリ協定の当事者じゃございませんから、その第一義的な判断はその当事者の判断に待つほかないと考えております。
  215. 星野力

    ○星野力君 ベトナム民主共和国などは当事者ですが、当事者の判断としてそういうことは違法であると、こう言っておるのですし、何もそう逃げなくても、パリ協定を尊重するということを日本政府は言明しておるのですから、その立場からもそういうことはよろしくないということははっきりしておると思うのです。これはよろしくない、違反であると思うのです。  横浜のノースピアに、これは二月段階のことでありますが、M48戦車とM42戦車――これは外から入ってきたものですね。これが四十台ほど野積みされておりまして、一部の新聞にも報道されましたし、週刊誌にはその写真も掲載されたのでありますが、これらのものがどこから入ってきたかおわかりになりますか。
  216. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) 事実関係につきましては、私、手持ち資料を持たないものでございますから御答弁申し上げられませんけれども、一般論といたしまして、搬入あるいはその搬出される場合に、どこから来たものであるか、あるいはどこへ仕向けられるものであるかということについては、つまびらかにする情報、資料を政府としては持っていないということでございます。
  217. 星野力

    ○星野力君 前後しますが、念のためにお聞きしますが、カンボジアに運び込んだ場合、カンボジアというのは安保条約の適用区域の外ですか、内側ですか。
  218. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) これは例の極東の範囲という問題に関連してくる問題であろうと存じますけれども、極東の範囲につきましては、政府がかねて御説明申し上げておりますごとく、安保条約上その条約自体の適用範囲という問題ではございませんで、極東というのはいわば政治的な観念である、大体においては、フィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であるということを申し上げているわけでございます。  問題は、そういう地域で、あるいはこの条約の区域の安全が周辺地域で起こった事態によって脅威を受けるという場合、これに対して米国が行動を起こすことがあると、その範囲がどういうことかと申しますならば、その範囲というものは、攻撃あるいは脅威の性格いかんによるということであって、必ずしもこういう区域に限定されるものではないということであろうと思います。したがいまして、ただいまの御質問で、カンボジアにおける事態というものが、極東――日本を含めての極東の平和及び安全にとって関係があるかどうかということによって判断すべきものであろうと存じます。
  219. 星野力

    ○星野力君 それじゃ端的にお聞きしますが、イスラエルは、これは安保条約の適用区域に入りますか、入りませんか。
  220. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) 一般的、抽象的に申すならば、イスラエルにおきます事態が極東の平和安全に脅威を与えるということはないというふうに考えるべきであろうと思います。
  221. 星野力

    ○星野力君 私、イスラエルから持ってきたり、イスラエルへ出しておるということをいま問題にしておるわけではないんでありまして、その安保条約の適用区域外に、継続的に日本から日本の基地を利用して武器が運び出されたり、また適用区域外から搬入されたりということになりますと、これは安保条約第六条に違反することになります。そのことをお聞きしたいんですが、どうですか。
  222. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) 施設・区域の使用が安保条約上認められますのは、御承知のごとく、それが極東の平和及び安全に寄与するからということからくるわけでございます。ただ今度、事実問題として、それじゃその範囲以外からものが運び込まれる、あるいは日本の施設・区域から搬出されるものが、その区域の外に行くということまですべてをこの条約ないし協定が禁止していると考えるのは妥当でないと考えます。
  223. 星野力

    ○星野力君 継続的にやられた場合どうですか、たまたまでなしに。
  224. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) いわば継続的な状態で、常態的に施設・区域から、その態様あるいは頻度、回数等も考えまして、非常に恒常的にそういう事態が続くということであれば、これは問題が出てくるかと思います。
  225. 星野力

    ○星野力君 もうちょっと、途中なものですからお願いしますが、そういうふうに問題になるわけでありますね、この適用区域外から継続的に持ってきたり持ち出したりすれば。これは安保条約にかかわる問題ですが、そういう点から見ても、安保条約というものの逸脱を防ぐための歯どめがなくてはいけないと思うんですが、その際、どこへ持ち出されるか、どこから出てくるのかということを全然チェックする方法がないということになったら、これは逸脱を防ぎようがないと思うんですが、その点どうなっているんですか。
  226. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) 条約を締結いたしましてそれを履行する以上、基本的な相互信頼関係がなければ誠実な履行を期待できないというのが基本に私どもはあると思います。米国が、条約の規定を順守して誠実にこれを履行しているであろうということを私どもとしてはまず前提にしなければならないと思います。他方、条約の規定が守られていないような事態、あるいは疑わしいような事態が出てくる場合には、日米間において協議が行なわれる、あるいはその真相を明らかにするための情報提供を求めるというようなことは当然なすべきであろうかと思いますが、条約自体が守られていないというふうには、政府としてはいま考えていないわけでございます。
  227. 星野力

    ○星野力君 もう一つ、終わりにしますから。  そういうことになると、要するにまたここでも、対米信頼――信仰の問題になってしまう。私、それじゃもう危険きわまりないと思うんです。たとえば、カンボジアへ持ち込まれているという、こういう情報もあるわけですが、これはひとつ調べてもらえませんか。戦闘車両がカンボジアへ送られているんじゃないかという問題、これはどうですか。
  228. 角谷清

    説明員(角谷清君) 現時点におきまして、相模補給廠から搬出される戦闘車両がカンボジアへ送られておるというようなことは、われわれとしては聞いておりません。ベトナムの場合でございますと、これは例の和平協定第七条というものがございまして、一対一の補給は認められるという関係がございますので、若干のものは行っておるかもしれませんけれども、これもわれわれといたしましては、特に行っておるという情報に接しておるわけではございません。しかし、何か個々の特別のケースがございますれば、これはアメリカ側に照会するというようなことにいたしたいと思います。一般的に申しますと、先ほど条約局長から御説明があったと思いますけれども、条約上の立場といたしましては、これは米側としてもそのような義務はないわけでございまして、個々の搬出がどこに行っておるかというようなことは、つまびらかにしておらないわけでございます。
  229. 星野力

    ○星野力君 委員長、これ答えになっておらないから。聞いておりませんと言うけれども、こちらから聞いて、外務省から聞いて、アメリカなりどこかが、そんなことないと言ったのか、ただ漫然と、そういう、やったという――カンボジアへ送ったという事実は耳に入ってこないと、こういうことなのかどうか。私が、調査してくれ、調べてくれと言っているんだから、それに答えておらないんですから、そこを答えるように、もう一つお願いします。
  230. 平島敏夫

    理事平島敏夫君) もっとはっきり……。
  231. 角谷清

    説明員(角谷清君) それはアメリカ側に照会してみたいと思います。
  232. 星野力

    ○星野力君 本日はこの程度にいたします。
  233. 平島敏夫

    理事平島敏夫君) 本調査に対する質疑は本日はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後零時四十七分散会