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国務大臣(
森山欽司君) 参議院の
公害対策特別委員会がございまして、たいへん遅参いたしまして恐縮でございます。
ただいま
お話の
アイソトープに関する近来の
事件について、
一つ一つの事柄についてなお
検討すべき余地が残されておると思いますが、まあ全般といたしまして、私
どもが現
段階において
考えておることについて申し上げたいと思います。
まあ近来御
指摘のありました
事件のみならず、二、三そういう
事件が各方面に起きておりますので、こういう
実態を聞くにつけ、さらに御
指摘のございました本年初頭における
行政管理庁の
勧告案の
中身を見るにおいて、これは二百六十カ所くらいの
調査をもとにいたしましたところ、それはおよそ七八%くらいが——これは重要なこともありますし、軽微なこともございましょうが、いずれにいたしましても、何らかの形において
アイソトープの
放射線防止法に
違反しているところが実に七八%だという驚くべき結果でございますから、あるいは私は
全国で三千三百
程度前後あるものだと思いますから、おおよそまあ
一つの抽出的なものとして、現在の
法律が十分守られていないのではないかという実は私は危惧の念を持っているわけです。まあ
違反をしている
状況は、重大な
事故もあれば軽微な
事故もありましょうが、いずれにしても何らかの
意味においてそうだという
指摘を
行管に受けますことは、まことにこれは残念しごくでございまして、事の経過から申しますと、これについて実は
科学技術庁のほうからも
行管の
勧告に対してこたえる答弁の準備をいたして、最後、まあ私がハンコをつくかどうかということになったわけでございますが、どうもはなはだ微温的であって、こういう
実情についてはたしてこれでいいのかということを懸念しておりまして、最終的な決断を下しかねております際に、今回のような
できごとが報ぜられました。
そこで、まあ何事もそうでありますが、
行政もまた日々これ新たでなければならないと思いますので、この際この三千三百カ所前後にのぼるこれらの個所について自主的に
調査を行なって、これをこちらの
科学技術庁に知らしてもらう。こういう
事件もあるから、これから特に注意してもらわなければならぬし、
実情はどうなっておるか、
自主点検をして知らしてほしいということで、ここ一両日中に、これについての手紙を全
業者に、私の
名前をもって出すことに第一番にいたした次第でございます。
それから三千三百カ所にものぼる場所で、それに対して
許可だとかあるいはまた
届け出だとかいうような
手続が
年間六、七千件あるのではないかと思いますが、それを十数人の従来の
科学技術庁の一セクションでやるにはあまりにもこれは膨大であります。これは物理的に不可能なことを従来のやり方ではやるわけでございますが、しかしながらこれをやはり
職域別とか
事業別、
業種別に分け、また
地域別に分けて、もう少し整理してやっていきますれば、まだまだ
実情はつかめるはずではないかという
意味で、そういうような形で、これからこれらの
アイソトープの
販売業者あるいは
利用者、
使用者の
組織化をはかって
対策を講じてまいりたいというふうに
考えておるわけでございます。
これにつきましては、問題は
労働者の災害というような形で紙上に報ぜられておりまして、これは
労働安全法並びにそれに基づく規則、これが
労働基準監督官が持っておる権限によって元来は対処すべきものでございますし、
労働省ではそのことのために
全国各
都道府県に
労働基準局を持ち、それから旧
郡市別ぐらいに
監督署を持っておるわけでございますから、それだけ膨大な組織を持っておるのでありますから、二重
行政にならぬという
意味で労働衛生関係というのはやっぱり
労働省が主役で大いにやってもらわなきゃならぬと
考えておりますし、と申しまして、これは
科学技術庁の仕事が、責任が解除されるものでは全くございません。この
アイソトープの
放射線防止に対する責任官庁は
科学技術庁でございますから、もちろんそういう
意味で責任を解除するものでもございませんし、
実情を
把握することに邁進しなければなりませんが、少なくとも
労働省と十分連携を密にしておく必要があることはもういまさら申し上げるまでもありません。国立病院とか大学病院とか、そういう点その他の点を
考えますると、
厚生省とか文部省とも連絡を密にしていく必要がある。率直に言って、いままでそういう連絡が十分であったかというと、遺憾ながら十分であったとは申しがたいと私は思っておるわけでございまして、この際その連携を密にする必要があるということで、きのうでしたか、第一回の会合をやらしていただきました。そしてそれぞれの立場において今後連携を密にする方法について現在協議を進めておるわけでございます。
それからもう一2今後の問題として
考えなければならないのは、何といったって十数人で三千三百前後の場所を、
事業所を一々つかむということはなかなかこれは容易ではございません。先ほど申しましたように頭を使っていままでのように三千三百、一律に
科学技術庁に直結するという形もさることながら、やはり一方において
業種別、
職域別、
地域別に分けてやはりそういうところと連携を保っていくような方法を
考えなければなりませんが、しかしそれだけでもやっぱり決して十分ではないということになりますれば、すでに
昭和四十年と四十一年でありますか、二
年間、いまから十年近く前に地方分権ということをすでに
計画をいたしたわけでございまするが、これは予算として認めるところとなりませんでした。そして
昭和四十九年、現在のこの年度におきましてもやっぱり出したのでありますが、ものにならなかったわけでございます。そこでこの際五十年度、こういう
行管の
報告もございますし、それからまた近来こういうような問題が起きているときでありますから、これは本格的にもう対処しなければならないと思っております。それで、どうしたらいいかということで各府県にお願いする手も
一つあるなと、これは
昭和四十年、四十一年、四十九年にわれわれが
考えている
考え方、あるいはまたいまあります水戸
原子力事務所とか、辻
委員の地元に福井県の調整官事務所がございますね。それは現状は必ずしも、どういう活動をしているか別にいたしまして、そういうようなところに、まあ専門家といいますか、
原子力については承知しておる
人たちが行っておるわけでございますから、そういう
人たちにそれぞれの権限を持たしていくやり方もあるかと。それで現に水戸の
原子力事務所には
アイソトープに関する本法についての権限をやらしておるというような、そこを経由して処理しているというような経過もございまするので、いずれのやり方がいいかということは、これから
考えてみたいというふうに
考えておりますが、いずれにいたしましても、広い
意味の地方移譲をやらないと、わずか十数人で三千数百所六、七千件に余る処理をするということになりますと、もう整理だけで手一ぱいで、一体
実情はどうなっているかということになって、ちょっとなかなかつかみづらいのじゃないかと、私は思うのであります。したがって、そういう
措置をいま
考えてまいりたい。それをしかしやるにいたしましても、
労働省には
労働基準局があり、労働
基準監督署もございますから、そういうようなところとも連絡をしていかなければならないと、
厚生省、文部省等ともこれらの問題についてもやはり十分相談をした上で、結論を出してまいりたい、そういうふうに現在は
考えておるところでございます。いずれにいたしましても、まことに十年一日のごとき
行政運営であったのではないかというふうに大いに反省をさせられておるわけでございまして、私もいろいろ御批判はございましょうが、いろいろな懸案解決をやらなければならないちょうど時期に、この立場に立たされたわけでございまして、それだけに責任の重かつ大であることを、重かつ大をさらに加えておることを痛感をいたしております。御期待に沿うように微力ではございますが、一生懸命やらしていただきたい、どうぞ御理解願います。