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1974-04-03 第72回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月三日(水曜日)    午前十時七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金井 元彦君     理 事                 稲嶺 一郎君                 高橋雄之助君                 鈴木美枝子君                 三木 忠雄君     委 員                 岩動 道行君                 今泉 正二君                 河口 陽一君                 黒住 忠行君                 柴立 芳文君                 足鹿  覺君                 川村 清一君                 田  英夫君                 藤原 房雄君                 春日 正一君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        外 務 大 臣  大平 正芳君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       小坂徳三郎君    政府委員        内閣総理大臣官        房管理室長    伊藤 廣一君        防衛施設庁施設        部長       平井 啓一君        沖繩開発庁総務        局長       岡田 純夫君        沖繩開発庁総務        局経理課長    和田 善一君        沖繩開発庁振興        局長       渥美 謙二君        外務政務次官   山田 久就君        外務省アメリカ        局長       大河原良雄君        外務省欧亜局長  大和田 渉君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        北方対策本部審        議官       大屋敷行雄君        防衛庁防衛局運        用課長      伊藤 参午君        農林省大臣官房        地方課長     結城 庄吉君        水産庁漁政部沿        岸漁業課長    平井 義徳君        建設省都市局下        水道部長     久保  赳君        —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (沖繩及び北方問題に関しての施策に関する  件)  (沖繩及び北方問題に関する件) ○沖繩振興開発特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、昭和四十九年度沖繩及び北方問題に関しての施策のうち、外務省所管事項について政府説明を聴取いたします。大平外務大臣
  3. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 外務省所管事項につきまして、その概略を御説明申し上げます。  まず、北方領土問題につきまして、政府所信を申し述べたいと存じます。  わが国ソ連邦との関係は、近年幅広い分野において着実な進展を見せており、昨年十月の田中総理大臣ソ連邦訪問により、さらに一そうの発展のための素地が築かれるに至っております。しかしながら、日ソ間に真の善隣友好関係を樹立するためには北方領土問題の解決が必須であることは申すまでもありません。日ソ国交回復後十七年を経た今日におきましても、いまだ日ソ間に平和条約が締結されていないという事実を政府としてはきわめて遺憾と考えておるものであります。  田中総理は、ブレジネフ書記長はじめソ連最高首脳との会談に際して、北方四島はわが国固有の領土であり、これら諸島の返還国民の悲願である旨強く主張し、北方領土問題を解決して平和条約を締結することが、日ソ間の真の善隣関係確立に不可欠であるとして、大局的見地からのソ連側の決断を求めたものであります。会談は難航いたしましたが、最終首脳会談の結果、共同声明で、「第二次大戦の時からの未解決の諸問題を解決して平和条約を締結することが両国間の真の善隣友好関係確立に寄与することを認識し、平和条約の内容に関する諸問題について交渉した。双方は、一九七四年の適当な時期に両国間で平和条約締結交渉を継続することに合意した。」旨明記することに合意を見ました。また「第二次大戦の時からの未解決の諸問題」に北方領土問題が含まれていることについては最高首脳間で確認されております。このことは、ソ連側が従来、日ソ間の領土問題は解決済みであるとの態度をとっていたことにかんがみれば、北方領土問題解決の端緒を開いたものと確信いたします。  政府としては、本年中に再開される平和条約交渉におきましてもただいま申し上げました総理訪ソの成果を踏まえて、国民各位の御支持のもとに、北方領土問題の解決をはかるべく粘り強く交渉を続ける所存であります。  北方領土問題を解決することによって日ソ平和条約を締結し、日ソ関係を真に安定した基礎の上に発展させることは、日ソ両国の利益に合致するのみならず、極東、ひいては世界の平和と安定に資するものであり、わが国平和外交の理念にも合致するものでありますので、このため、最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。  次に、沖繩問題につきまして、政府所信を申し述べたいと思います。  外務省としては、さる昭和四十六年十一月二十四日の衆議院決議を体し、現地要望沖繩県開発計画の推進、民生の安定の確保等関連を踏まえ、かつ、日米安保条約目的達成との調整をはかりつつ、沖繩県における米軍施設区域整理統合を推進しておりますが、すでに御案内のとおり昨年一月二十三日の安保協議委員会において、那覇空港完全返還及び那覇空港周辺地区返還について原則的合意が成立したほか、昨年六月十五日には米軍施設区域の一部または全部返還(計八カ所)につきましてそれぞれ日米間で合意を見、また、今般一月三十日の安保協議委員会においては米軍施設区域の一部または全部返還(計三十二カ所)について合意に達した次第であります。  政府としては、海洋博関連工事関係もあり、さしあたり、昨年の安保協議委員会合意されたプロジェクト実施全力を傾注する所存でありますが、今回了承されたプロジェクトのうち移設を条件とするものにつきましては可能なものから逐次実施に移す考えであります。沖繩県民米軍施設区域整理統合に対する強い要望政府としても十分理解し得るので、安保条約目的達成との調和をはかりつつ、今後とも在沖繩米軍施設区域整理統合についてこれまでの計画進捗状況をにらみながら検討を進める考えであります。  また、沖繩返還協定実施について、請求権米側による処理については引き続き米側十分連絡を保ちつつ促進をはかることとし、また、VOAについては国会等における論議をも踏まえつつ、協定上本年五月以降行われることとなっている将来の運営に関する米側との協議に備えてまいる所存であります。  以上、外務省所管事項について概略説明申し上げました。
  4. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 以上で、大平外務大臣施策についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、本調査及び沖繩振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とじ、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 さる三月二日に起こった那覇小禄聖マタイ幼稚園工事現場爆発事故について、その後、県民恐怖を感じております。この事故で幼児を含む四名の死亡者が出、重傷者七名、沖繩戦の傷あとがいかに深いものかをあらためて県民また全日本の人に知らせ、戦争のおそろしさに恐怖を感じております。この一年間だけでも爆弾、砲弾、地雷等が一万三千四百三十二件の不発弾処理をされて、三月十一日現在では三十四カ所に未処理のまんま放置されております。昨年では、那覇大道小学校の校庭から爆弾が掘り出されており、本年三月には真嘉比小学校体育館工事現場から二発の爆弾迫撃砲発見されております。幸いなことに、それらは爆発せずに、大事に至らなかったけれども、校地整理校舎建築の場合に、沖繩では至るところで地下から不発弾が掘り起こされております。今回の小禄のような事故が発生するというようなことは随所に行なわれるだろうし、また、人心の不安が児童、生徒、父兄に広がっております。学校安全教育の面からも、国民安心の面からも、これは重要な問題だと思います。そこで、不発弾子供の遊び場や、それから海水浴場やその他に放置されている、そのものを早く処理され、そうして発見し、調査を行ない、沖繩から完全に不発弾処理してもらいたい。これは、私がいま読み上げましたのは、沖繩県教育振興会からの要請でございます。衆議院でも審議されたことでございますけれども、その衆議院で審議されたことのその後の処理について、いろいろ研究、早い処理をするということをなされていると思いますけれども、どういうふうに処置されておりますんですか、御答弁願います。
  7. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 鈴木委員にお答え申し上げます。  まず最初に、小禄爆発事故のような悲惨なことが起こりましたことは、従来のやはり沖繩に対するわれわれの姿勢そのものを非常に強く反省をいたしておるところでございます。やはり沖繩があのような激しい戦場であったということをもう一度思い返して、したがって、どこにもそうした戦争の古傷があるわけでございますが、そうしたものを徹底的に調べるということこそ、やはり沖繩政策という、沖繩に対するわれわれの政策の最も重要な一環であったということをあらためて認識をいたしました。そうした面からある不発弾処理等も積極的に進めてまいるという基本的な方針を持っておるわけでございます。  それで、まず不発弾がどれくらいあるかということを早く調べなくてはいけないというので、これは衆議院の場合にも申し上げましたが、開発庁中心になりまして、県当局とも十分連絡をとりながら、不発弾発見をまずする。そのためにPRをするということで、先月末、約一週間にわたりまして沖繩地元紙二紙に広告を出しまして、県民協力を求めております。そうした結果でございますか、相当数不発弾発見及び通報がございました。われわれは非常に県民各位協力に感謝をしておりますが、もっともっとこうした県民協力の中で不発弾を見つけ出すという努力を続けていきたいということが一つございます。  また、行政的に申し上げますならば、事件発生後直ちに開発庁中心関係各省連絡会を持ちまして、そうしてこうした不発弾というものが沖繩の民心に与える影響、そうしてまたもう一度大戦場であった沖繩というものをわれわれは再認識して当たらなくてはならないという基本的な理解の中で、各省との間で運営案を現在つくって、そうして迅速な処理に当たる方針を定めております。
  8. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 現場のことでございますけれども、死傷者その他の被害を受けた方については、もう記録されていることと思いますけれども、もう一回これ言わしていただければ、事故のあった場所沖繩県那覇小禄死者は四名、外でブランコに乗っていて、庭で遊んでいた子供さんが二人事故にあった。他の幼稚園子供さんは部屋にいて助かった。あれが庭に全部いたら、子供さんが全員やられていたでしょう。そうして負傷者は三十四名、家屋の損壊が八十六戸、自動車その他五十一台、現場近くは旧海軍作戦本部があって、現場は最前線の場所であった。そうして壕の内は作戦基地であり、この間の沖繩戦の中では最後の重要なとりでの場所であった。あの当時、アメリカの侵入を防ぐために地雷をたくさんあの辺に埋めてあるというようなことはどうでございましょうか、いまはっきりわかっているはずだと思いますけれども、埋めた地雷について、当時の記録その他を調べているでございましょうか。
  9. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 埋没の状況につきましては、防衛庁のほうに当時のその資料が一部ございますので、その中から該当のものといいますか、施策に反映できるような事実がございましたならば、連絡してもらいたいということを頼んでおります。  それから、県のほうと申しますか、地元にもそういう関係の、当時の指揮者と申しますか、関係者の方もおられるようでありますので、その方々の証言をもとりたいということで、連絡をいたしております。したがいまして、それらの事実をつかもうとしているところでございます。
  10. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 海軍作戦上の問題があったでしょうから、どこに地雷を埋めたということは十分わかっているのではないかと、こういうふうに思うんでございます。それをただ国民に申し込んでくれ、そういうものがあるだろうといっても、この現場だけでも、地雷を埋めた以後、畑だったところに下水道をつくるということでそうなったのでございますから、その上に土を埋め、そしてまたコンクリートをし、そして穴を掘るという……。ですから、あったら申し込んでくれだけではだめだと私は思うんでございます。そういう意味で、当時の戦略的な地図手がかりにして、そうしてさがし出すというような抜本的な方法——国責任を持つということは、そういうことを含めての問題だと思うのですけれども、もう一回その点についてはっきりしていただきたいと思います。
  11. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 御指摘のとおり、この小禄の場合に、旧海軍のものであるというようなことも一応いわれております。あるいは、それがほんとうなのかもしれません。いずれにいたしましても、このような爆弾が未処理のままあるということは、これはたいへんなことなんでありまして、われわれといたしましては、当時の関係者の話も、現地でも十分聞く努力をいたしております。また同時に、先ほど申し上げましたように、防衛庁関係で昔のつてを伝いながら、現地の踏査も同時にやるということで、全力を傾けて処理にあたってまいりたいという気持ちでございます。
  12. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 そういうことを発表することによって、沖繩国民方たち安心していただく——不発弾の以後、人の気持ちが不安で、不安が申し込ませたのではなくて、こちらがそういう方法を明確にいうことによって、少しでも安心——安心はできないてすか、この新聞を読みますと、そのまんま残っている不発弾爆弾が多数あるということでございますから、安心などとは言えませんですけれども、その当時の埋めたそのもの手がかりにしまして、危険区域と指定しながらやる。危険区域と指定したら全島になってしまうということもあると思うのでございます。  で、新聞などを見ますと、探知機も完全じゃないそうでございます。この小禄現場は四メートル下だった。それを下水道ですから、どんどん下へ突き進んでいる間に爆発したというようなことでございます。沖縄新聞を見ましても、その探知機が、現在ある高性能の探知機でしても五十キロ爆発で一・五メートルの深さまでしか探知することができない。そういう機械は、そのぐらいの程度のしかないんでございましょうか。
  13. 渥美謙二

    政府委員渥美謙二君) 現在のところ、その程度の能力の機械しかないというふうに聞いております。
  14. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 日本にもないんですか、全体でないんですか。
  15. 渥美謙二

    政府委員渥美謙二君) そのとおりでございます。
  16. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 困りますね。やっぱり近代国家ということばを使っているんですから、世界に有数の国なんですから、下五メートルの深さしかさがすことができないというような探知機、そういうものがないと危険なんじゃないでしょうか。その探知機がないと危険なんじゃないでしょうか。  いま私が最初に言いました、この間のアメリカとの戦争当時の地雷を埋めた地図は、最初手がかりにすぎないと思います。その手がかり中心に、ばく然と沖縄をあれするのではなくて、四メートルの深さに不発弾が落ちたというのに、探知機が、一・五メートルの深さしか探ることができない機械しか日本にないとしたら、近代国家ということばはやめてもらいたいと思うのです。そういう機械はいつつくることができますか。
  17. 渥美謙二

    政府委員渥美謙二君) 御指摘のとおりでございまして、私ども今後この対策考えますときに、それが非常な問題点であるということでございます。ただ、現実にどういうふうな探査方法をやっているかと申しますと、その一・五メーターの深のものを利用いたしまして、まず最初に、その一・五メーター探査してそれを掘り下げていく、そうしてまた、次の段階で、掘り下げたところでまたさらに地下探査する。そういうことを繰り返して深く埋蔵されているものを確認する。  それからもう一つ方法といたしまして、何かジェットストリームとかいう方式だそうでございますが、水なり空気なりで穴を掘ってまいりまして、その穴に機械を下げてそして深いところをさがす。  現在のところ、その機械を使いまして、そういう二通りの方法によって深部の探査をやっているということだそうでございます。
  18. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 「そうだそうでございます」ということになりますと、「そうだそう」じゃなくて、はっきりそうなんですというような答弁ができるようにしないと、あの不発弾爆発した問題は、それも責任関係があるというふうに私は思います。「そうだそうだ」というあいまいな返事じゃない形で、積極的に探知機もつくり出す、そして申し込み——そこにあるから申し込んでくれというようなことは、危険ではないものに対する要望の出し方である。危険なものに対する要望の出し方は、探知機をさがして積極的に調べるのだ、調べるにしても、おそ過びたということばをつけながらやらなければならないことだと私は思います。  で、先ほども長官がおっしゃいましたように、またそこに埋めた人か、当時兵隊で——いるらしいとおっしゃいましたけれども、宮城嗣吉さんで、もうすでに六十二、三になって、その人は沖縄映画ですか、そこの社長をしていらっしゃるという人も現に生きていらっしゃるわけでございますから、当時将校だった人もいるわけでございますから、そういう人たちも動員して、ほんとうに調べ上げるという方法にしていただきたい。その点についてはっきり、らしいじゃないお返事をいただきたいと思います。
  19. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) ただいまおっしゃいました宮城さんには、もちろんすでに来ていただいて、当時の埋めたという事実関係その他について十分事情を聴取しております。  なお、ただいまの一・五メーターという機械、これが四メーター、五メーターには効果がないじゃないかというお話でございますが、残念ながらやはり一・五メーターが最も到達し得る現在の水準だということなので、われわれといたしましては、それでもいいからまず一・五メーターをさがす。それでさらにあやしい、ありそうだ、またいろいろな事実等からもあるかもしれないというものに対しても調査をしておる。そして、こうしたわりあいに広範囲な調査——ここにあるから掘ります、だからお金が幾らかかりますという、そういう考えでなしに、ありそうだと思うところは思い切って掘ってしまうというような、非常に幅の広いそうしたような探査活動と申しますか、あるいは処理活動と申しますか、それをやる方向で進んでおります。これについて、関係各省とも十分打ち合わせをしながら、いまそうした方向具体化を進めつつあります。
  20. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 よろしくお願いします。  沖縄県では、一昨年から政府不発弾処理を要請しているというようなことも聞いておりますので、一昨年からやっていれば、もしかしてこういうことにはならなかったかもしれないということもひとつ反省しながら、やっていただきたいと思います。それについては、予算については十分検討されているのでございましょうか。
  21. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) もちろんこの不発弾処理ということは、いままでとは違った角度で始めるわけでございますから、こうしたことに新しい予算措置あるいは財政的な措置を必要とすることは当然でございます。まだわれわれとしましては、全体としてどれくらい、幾らかかるかというところまで積み上げができておりません。がしかし、ある程度の概数までをつかんだら、直ちにこれを国の措置によって展開していけるような、そうした方向を行政的にとってまいりたいというふうに考えております。
  22. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 その予算の点についても、いずれ発表していただきたいというふうに思います。  それから衆議院のほうで見舞い金という形で西銘さんがお持ちになった、その後の新聞でも拝見しておりますけれども、衆議院ではっきりしたことを言い切らずに、その点について検討してみましょうと、賠償は国の責任であるということについて検討すると、法律上の問題についても検討すると。その検討は、あれからちょっと日にちがあるのでございますけれども、どう検討されたのでございましょうか。
  23. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 鈴木委員、もちろん国の責任の有無ということは、国家賠償法あるいは民法上のことをおっしゃっていると思いますが、これは当然われわれとしましては、政府として国家賠償法に当たるものか、あるいは民法上の何かの損害賠償に認ずる必要があるかどうか、これはいま検討いたしておるわけでございまして、なかなか検討すると時間がかかるわけでございます。それで私らといたしましては、こうしたことは検討の結果、国が完全な責任を負うべきことであるとかなんとかということの結論が出るまでやっぱり非常に時間がかかることは、もう過去のことでよくわかっておりますので、しかし、それでは幾ら何でもいけないじゃないか、これはある程度やはり国がこうした問題には責任を負うべきであるという考えから、三月八日に、とりあえずの死者方々に対するもの、これは百万円ずつでございますが、それから重傷方々に対して二十万円ずつでございますか、お見舞い金を差し上げることをきめまして、そうして三月九日に西銘政務次官にそれを持参していただいて、それぞれの御家族、遺族の方と、それから御本人にお渡しをしたわけでございます。これはもうお見舞い金として差し上げたのでございますが、そうしたことをいたしましたことは、国家賠償法というものが適用されるかどうかということについては、まだまだうんと時間がかかるから、そうしたものの間、知らぬ顔をしてほっておくわけにいかぬという気持ちでございまして、そうした気持ちが、同時に先ほどから申し上げますように、この不発弾処理ということがいかに重要であるかということを十分認識しての行動につながっているわけでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  24. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 衆議院ではそういうことを考えておくと、いまも考えておく、時間がこういう問題はかかるというような、ちょっとやや同じような御答弁のような気がするのでございますけれども、私は、これやっぱり時間がかかる、その時間の問題を、政治責任として時間がかかる、国家賠償としてそういう方法をとるために時間がかかると言っているのでございましょうか。法律的な問題が複雑だからという答弁だけじゃなくて、国家責任として時間がかかると言っているのかどうか、ちょっともう一つ深く聞いておきたいと思います。
  25. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) これは両方の意味と御解釈願いたいんです。そういう意味で、なかなか関係各省間においてもこの問題についてはすっきり割り切ることのできないことは、また当時の情勢、事情というものも、明確にだれだれ司令官の命令によって埋めたかどうかというようなこと、そうしてまた、その爆発した爆発そのものが完全に日本軍の使用したものであったかどうかとか、いろいろなことをこまごまと調べなければ、なかなかそうした結論にも到達しないわけでございます。といって、われわれはその国の責任というものを全部逃げてしまうつもりもない。またそれではいけないというような気持ち事でございまして、その間で、国家賠償法が適用されるかどうかという議論に時間がかかるが、その間においても、なおわれわれとしては何らかの措置をとっていきたいという気持ちでおるわけです。
  26. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 何らかの処置というのは、お金のことだろうと私は思うのでございます。何らかの処置はお金のことで、そうしてその地雷アメリカのものであるか日本のものであるかわからないということは、これはたいへんに政治的責任がないんじゃないか。政治的責任というのは、今日のことばでございますけれども、戦争に対する責任でございますから、戦争に対する責任は、アメリカ不発弾日本不発弾かわからないのではなくて、それは日本のやはり戦争をしたということを全政治の責任において発言していただかないと、やはり不安なんですね。沖繩の方ばかりじゃなくて、私たちも不安なんです。そういうはっきりした答えをしていただくことによって、不安でない、平和に対する希望を持つことができるんです。ですから、そういう御答弁していただきたいと思います。
  27. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 私個人といたしましては、もちろん戦争は自分も非常な体験者でございますし、まっぴらごめんであることはもう御承知のとおりでございます。同時にまた、こうしたことを日本としては二度と繰り返さないということが憲法九条にも明確に出ておりますし、われわれとしましても、そうした現在ある日本の憲法を十分尊重し、また、これが一つのこれからの世界における新しい国のあり方としての、これからいよいよ本番に入ってくる時代でございます。そうした意味で、そうしたことを強く実践し、それを強く世界じゅうに宣言をしていくということの繰り返しの中から、日本自身がもはや戦争をしないという事実、現実を積み上げていきたいという考えでございます。そうした意味合いから申しますと、過去における戦争のそうしたことの責任がすべて国家責任であるということを即断するわけにもいかない。そこに一つ法律技術的ないろいろな問題がございます。がしかし、同時にまた、さればといって、こうした時間をただかけていくというだけが能ではないのであって、やはりこれに対しての何らかの補償措置というものを私らとしては現行法制の中においてもやっていきたいという考え努力をいたしておるわけでございます。
  28. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 国家責任と言い切れないという、そのことばちょっと困りますね。いま私個人として、ここでは個人ということはあり得ないと思いますね。ここでの発言は、個人ではございませんよ。国の責任という問題を言う場合でも、そういう分類のしかたはこの国会の中ではあり得ないと思いますですね。廊下で話しているなら別ですけれども、ここで話すときに、個人としてはこうだけれども、国家としての戦争責任については一がいには言えないということは絶対にあり得ないというふうに思います。責任責任でございますよ。そうしてその責任の中でどういうふうにその方たちに補償し、そうしてそれを与える——与えるということばでも違うんですね、与えるじゃ上からものを言い過ぎます。そうじゃなくて、どうちゃんとするかということが、それに対しての予算がこうなんだと、できなければこうなんだ、できなければいけないけれども、飛行機で事故を起こしたってすごいお金を払っております。それはやはり人間の死については同じでございますけれども、死の現状についての責任のありどころについて問われなければならないのじゃないか、その問われ方の問題なんです。だから、飛行機で払った値段がこうだから、こっちの値段は死んだのにこう払うんだということではないと思うんです。人間の死については変わりないわけです。だけれども、その死のあり方について責任をどう問うかというその問題がないと、近代国家だとは言えないんじゃないかと私は思います。そういう意味で、飛行機のこの事故、最低のところで七百万前後、これはここに記録がございますけれども、最高で二千百万円。この間の四十七年の日航事故の中でも、自衛隊機と民間飛行機とぶつかったあのときも、あれは裁判しまして、国は四千八百万払っている。自衛隊機と民間の飛行機とのぶつかり合いというようなことは最高に払っているということは、やはり国の責任ということを含めて、民間に対する、国民に対する影響力だったと思うんです。これは、死については影響も何もないんですけれども、この自衛隊の飛行機と民間飛行機の事故、あのぶつかり合いに対して、同じ死でも最高に払っているということは、自衛隊をどう思うかという問題を含めての中だと思うんです。で、沖繩県の場合、じゃ沖繩県にどう思うかという全体の国民考え方に対する問題をしんしゃくしてはいけないんだという、しんしゃくしないところにサンフランシスコ条約の問題が出てくるという私は問題を感じるのでございます。そういう考え方について、死については変わりないけれども、その死の方法について、この自衛隊と民間の飛行機の例を私はあげさしていただいたんですけれども、その場合の考え方についての問題と、沖繩方たちに対する問題との問題を、日本じゅうの方たち考え方を、世論をという形をしんしゃくしながらものをしないで、明確に近代的国家としての人間に対する処理としてやっていただきたいと思います。私の質問はこれで終わりますけれども、それに対してのお答えをひとつ伺って、終わりにさせていただきます。
  29. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 鈴木委員のただいまのお考え、よく承りました。私も、何も必ずしもあなたの御意見と全く違うことを考えているつもりもないんでありますが、しかし、現在の行政庁及びそれを取り巻くいろいろな法律的な環境の中では、一挙にそこまで飛躍することがなかなかむずかしい。だから、その間の中間的な措置であって、御不満かもしれないけれども、十分われわれとしては、そうした意味合いがくみ取れるような方向努力をしておりますということを申し上げたので、御理解いただきたいと思います。
  30. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 私は、まず沖繩振興開発計画について御質問いたしたいと思います。  御承知のように、沖繩の経済社会の振興開発を推進していくために、昭和四十七年度を起点とする沖繩振興開発十カ年計画が策定されております。この計画によりますと、生産所得は、基準年次の三千百億円から目標年次には一兆円に、約三倍強の発展を期待いたしております。また、計画期間中に産業別生産所得の構成を、第一次産業では現在の八%から五%へ、また第三次産業では現在の七四%から六五%へ、おのおの圧縮いたしております。反面におきまして、第二次産業は、現在の一八%から三〇%へと大幅に拡大するようになっております。この計画の内容からいたしますと、十カ年間で生産所得を三倍に引き上げることにつきましては、第二次産業に大きな期待がかけられております。  ところが、沖繩における現状を見ますと、どうも私はこの点について、はたして内閣のほうで策定されたこの振興計画が、実際において目標達成を十カ年の間にやれるかどうかということについて非常な疑問を持っております。前に、去年のアルミ産業も、せっかくいろいろと計画いたしたのでございますが、これもだめになりました。また、CTSの問題にいたしましても、現在いろいろと混乱が起きているような状態でございます。この間におきまして、沖繩に産業を持って行きたいというふうに考えておられた方々も、非常にいま足踏みの状態になっておりまして、当初の計画がかなり後退いたしておるのでございます。私は、第二次産業が現在のような状況下においては、振興開発計画は大幅に修正をしなければならないんじゃないかというふうに考えるわけでございますが、この点についての政府のお考えをまずお伺いいたしたいと存じます。
  31. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 振興開発計画そのものの目標は、私はやはり県民所得を年間一人百万円近くまでもっていこうということは当然のことであるし、また、それがなくてはやはり沖繩の豊かな市民生活もあり得ないんじゃないかと思うのです。そうした最終的な目標の実現のために、現在やはり二次産業をもっと拡大しなくちゃいけないという、これは当然のことだと思いますが、それがいろいろなところで障害にぶつかっていることも事実だと思います。しかし私は、だからといって、この県民所得を年間百万程度の水準までもっていくということを修正する必要は毛頭ないんじゃないか、むしろそうしたことを実現することが沖繩の人々にとってのいい生活につながることだし、それをだから二次産業だけでやり遂げるのがいいのか、あるいはまた、先般も離島等に参りましていろいろ見ましたが、やはり農業政策、農業部門というものをもっと大きく開発をするという努力をしながら、そこでの二次産業との一つのつながり合いを持たせるような形でもっていくとか、いろいろな形の中で、私は一人当たり百万円の県民所得の実現、それをねらうこの開発計画、こうしたものは目標として置いておいていいんじゃないか。ただ、短期的あるいは中期的に見ての、それをどのような方針の中で実現していくかということについては、私はやはりこの県の意見も十分くみ入れたいし、また、沖繩出身の稲嶺先生はじめ皆さん方の御意見もぜひひとつ取り入れて、そして中期的あるいは短期的な計画はそうした中で練られたものを実践していくという方向をとったらいいのではないかと考えておるわけなのでございます。
  32. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 第二次産業とそれから第一次産業との関連において、十分その調整をしながら進めていかなければならないという大臣のお考え、よくわかるのでございますが、去年から発生しておるような諸問題で、たとえばCTS問題にいたしましても、与那城村の村議会においては、第一回のときには共産党の議員を含めて全会一致でございます。それから県知事のほうも確かにこれを大きく推進されたというふうに私は理解いたしております。これに対するいろいろな資料も私のところには十分にあるのでございますが、そういうふうに一ぺん約束をしながら、いざ実行の段階になると、いろいろな障害のためにこれが実行できないということは、私は政府としてももっと考えていいんじゃないかというふうに思うのですが、一部の反対があればやめるということじゃ、なかなかむずかしいと思っております。この問題、公害の問題があるということですが、私自身は、私の経験から見ますと、CTSというのは石油基地でございまして、これは本質的には公害はないものだというふうに考えておりますが、同時に、造船事業というものを沖繩でひとつつくったらどうかという提案もそのときあったのでございますが、その後、何かどっかに立ち消えになっているような感じがいたしますが、これはどういうふうになっておるんですか。
  33. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 造船事業を誘致したいという声は、かねがね地元のほうから伺っておりました。私どもも振興開発計画を立てる上に、有力と申しますか、非常に期待されるものだと考えております。実は、沖繩アルミの立地ということが問題になっておりましたときに、それとの関連において造船ということが当然期待されたということはございますけれども、沖繩アルミの問題は別といたしましても、沖繩にとってはしかるべきものではないかと思いますので、沖繩開発庁としては、関係の方面と緊密に連絡をとりまして、十分推進いたしてまいりたいというふうに考えております。
  34. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 造船の問題につきまして、いま岡田局長さんのお話をお伺いいたしましたが、ぜひこれは、まあどこから見ても公害のない産業でございますので、政府においてもこれは積極的に推進をはかりていただきたいというふうに、私希望いたします。  なお、先ほど大臣が、第一次産業の点について述べられたのでございますが、まあ実は私も第一次産業には興味を持っておりまして、沖繩の第一次産業を盛んにしなきゃならぬというんで、自分でも試験場を持ちながら、研究を今日まで続けております。ところが、私は非常に疑問に——なかなかむずかしいんじゃないかと、実際においては非常に困難な点にぶつかるんじゃないかというふうに考えております。と申しますのは、農業というものを倍にするということはなかなかむずかしい。また、いま革新の諸君が第一次産業をひとつ中心考えたらどうかということでございますが、私がなかなかむずかしいだろうと思うのは、たとえば目標年次の総所得が一兆円の五%になるわけでございます。これは五百億円になります。現在の第一次産業所得は二百億円から二百五十億円でありますから、大体二倍になります。だからもしこれに重点を置くとして、現在のは八%ですが、これからもし一〇%ぐらいになったとしますと、一〇%では一千億になりまして、これは容易ならざることになるんじゃないかと、約四倍になるのでございまして、なかなか沖繩の第一次産業を四倍に引き上げるということは、私は簡単じゃないというふうに考えております。この点については、水産業においてもやっぱり同じだと思いますが、それで私がお伺いいたしたいのは、県庁のほうにおきましても、県側のほうにおきましても、第一次産業を重点的にやらなきゃならぬというし、また、関係の諸団体においても、そういうふうな意向が見受けられる。そうしますと、具体的にはどういうふうな案を持っているのか、また、十カ年間のスケジュール計画はあるのかないのか、そういうことなしに、思いつきで、ただ第一次産業がよかろうということでやっているのか、この点がはっきりいたしませんと、大臣のおっしゃるのがなかなか実際においてはむずかしいんじゃないかという私感じがいたすのでございますが、この点についてのひとつ御答弁をお伺いします。
  35. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 御指摘のように、第一次産業をこの計画どおり二倍にするということも非常な困難であることはよくわかります。特に生産性を一挙に引き上げることのむずかしいこと、年に一回の、あるいは二回の収益しかないというわけでございますから、それはもう第二次産業に依存して生活水準を上げていくということが一番それは合理的だし、また同時に、達成可能なことだと私は思うんですが、しかし、やはり沖繩の本質的な問題として、やはり農産物、あるいは第一次産業、水産を含めて、もう少し配慮をしたほうがいい。私これはときどき参って、前からの体験もございますが、先般もほんとうのかけ足で離島等を見てきた印象なんでありますが、私はやはり、第三次産業に非常に片寄った現在の沖繩、これもまた、収入増加には非常にたやすい方法だと思いますが、もう一回ここで、第一次産業としての困難な道も同時にまじめに取り組んだらいい。また同時に、農産物の場合には、私しろうとでございますが、現地の諸君と話し合って特に強調したことは、まず水を確保してみようじゃないか。あれだけの雨量があるところだし、サンゴ礁であるからもう水がざあっと流れちゃうし、イリゲーションもひどいし、そこにパインをつくると、とても内地では見られぬほどの田畑の崩壊を示しておる。こうしたような問題をただほっておいて一次産業を大いにやろうじゃないかといっても、これは変な話になる。むしろ、パインや何かつくればつくるほど、あるいはサトウキビの粗放な耕作をただやらせておけばやらせておくほど、ますます私は離島の諸君の生活は苦しくなる一方じゃないか。ここら辺でひとつ基本的にまず水をためること、それと同時に、ウリミバエのような害虫を徹底的に駆除しちゃうこと、そうすれば私は、沖繩のような、あの非常にあったかくて、湿度もあって、しかも水があるならば、十分に新しい野菜だとか蔬菜類は、これは真夏の水ということが十分解決されなければ当然いけませんが、非常に大きな私は生産力につながっているんじゃないかと思うんです。がしかし、いまのような害虫の、ウリミバエや何かのああした害虫のひどい状態だと、とてもものをつくっても、それを沖繩の内部でさえ動かすことがこれからだんだんむずかしくなるんじゃないでしょうか。ましてこれを本土に運んでくるなんということは不可能なんでありますから、こうした害虫や何かをひとつ早く征伐をする努力、これが私はその沖繩における第一次産業の復興の一つの柱になると、ぜひそうしたことを、県の方々にもお願いをしたが、同時にわれわれの出先である総合事務所にも、特に農産物の水の問題と害虫の問題の征伐と解決のために長期の計画を立てて、そうして県と協力してそういう夢をひとつつくろうじゃないかという話を申しておるわけです。これは少し、あんまり夢物語みたいだとお思いになるかもしれませんが、しかし私は、そのような努力が同時になされて、はじめて沖繩ほんとうの戦後の復興があるんじゃないかというふうにも考えるものでございます。なお、この点については、稲嶺委員が実際御自分で試験場を持ってやっていらっしゃるわけでございますから、いろいろと御批判をいただいて、さらに間違いがあれば直してまいりたいと考えております。
  36. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 ただいま第一次産業について、大臣は非常にポイントを突いて、非常にまたきめこまかいお話をされたので、何回か行かれたときに、よくそういうところの本質を突かれたということで、まあ私は沖繩出身の一人としてたいへん喜んでおる次第でございますが、ただ、二、三点申し上げますと、たとえばサトウキビのことでございますが、一反歩当たりの生産量が減っていく、あるいはまた、パイナップルもやっぱりそういうふうな状況下にある。これは何かといいますと、私はまあ県にしても、あるいは農民にしても、農業に対する取り組み方が私必ずしもどうも十分じゃないのじゃないかというふうに考えております。と申しますのは、本土よりも沖繩のほうが気候的に亜熱帯でございますので、土地の酸性化が非常に早くなる。ところが、もう沖繩はいま糖業一辺倒でございまして、そのために土地が非常に酸性化をしておる。そのために砂糖キビの生産額が、収穫が減っておると、これは地力が非常に弱って、おるということになっているのでございます。  それから沖繩の第一次産業を大臣が言われるように、これを盛んにするためには、まず地力の増進という問題を考えなけりゃ、おそらく私はまあ紙の上に描いたもちみたいなかっこうになるんじゃないか。この点について私、農林省のほうがどういうふうにお考えになっておるか。何か把握しておられますか。お伺いいたしたいと存じます。
  37. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 農林省来ていますか。
  38. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 それなら振興局長
  39. 渥美謙二

    政府委員渥美謙二君) 確かに沖繩の場合に土地が悪いということは非常に問題のようでございます。それを解決する方法といたしましては、まあ一つは、やはり農業基盤整備ということでかんがい排水等のことをやる。それからもう一つは、やはり砂糖キビ一辺倒ということでなくて、畜産とあわせて砂糖キビ栽培あるいはその他の作物との輪作を考える、こういうような方向考えられるのじゃないか。まあ現在どういう方法が一番適当であるのか、また場所によってどういうやり方をしなきゃならないのか、まあこういうことをいろいろ検討をし、また関係方面にもいろいろ検討をお願いしていると、こういう状況でございます。
  40. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 まあ専門家の話によりますと、有機質の肥料が足りないということでございました。ぜひこの第一次産業というものを盛んにするために、まあ水の問題やその他を含めた基本的な問題に真剣に取り組む、私はその取っ組み方がいまの関係者の中においては足りないんじゃないかということを痛感するのでございます。と申しますのは、実は先ほど大臣のほうから水の問題が出ましたが、沖繩のほうにはアメリカ統治の時代に米をつくるというんでずいぶんダムをたくさんつくったのでございます。ところが、まあ私あっちこっち回ってみたんですが、その水は一滴も農業用に使われていない。これじゃせっかくの水をむだにしているんじゃないか。自分は、いまの野菜類の問題でございますが、なかなか沖繩の夏野菜はうまくいかない。ところがハワイに行きますと、ハワイは地下水でもって——雨は降らないんですが、潤沢に水があると、この地下水をふんだんに使って夏野菜を完全に供給をしている。水さえあれば夏野菜は十分にいくんだからということで、この点について私は屋良知事に対しても、水の利用について十分に考えてもらいたいという意見を強く申し述べたのでございますが、どうもそういったようないろんな点でだいぶわれわれの期待とは——まあ私実際、農業においては専家門だと思ってますが、感じているわけでございます。どうか開発庁におかれても、農林省とよく御協力の上で、第一次産業が十分に発達するように御尽力を願いたいというように思います。  それから水産の問題でございますが、まあ私、水産沖繩において一番問題は、海は広いんですがその利用が足りない。これには魚礁を設置したらいいんじゃないかという考え方がございます。私もこれも賛成でございまして、これについて非常に研究をいたしているのでございますが、魚礁につきましては、本土の場合においては過去二十数年の間に十分に——まあ十分にとまでいかなくても、相当程度の魚礁の設置の目標は達成された。ところが、沖繩の場合は、アメリカ占領当時はほとんどそういうものはなかった。だから、日本復帰と同時にこの水産の魚礁の問題が私は発生しているんじゃないかと思っています。ところが、予算書を見てみますと、本土と同様な措置をとっておる。これじゃあ二十数年間のブランクを埋めるようなそういう措置は何らとられてなかった。だから、その点につきまして、まあ農林省の水産庁においても、また開発庁におきましても御研究の上、この魚礁がもっと多く沖繩のほうにおいて設置されるように、ひとつ十分の配慮をお願いいたしたいと存じます。
  41. 平井義徳

    説明員平井義徳君) ただいまの先生の御趣旨、全くそのとおりだと思います。で、われわれといたしましても、魚礁の設置が非常に魚場の有効な利用に対しまして効果があるというふうに考えておりまして、従来からもやっておるところでございますけれども、たとえば沖繩の四十八年度から開始されております農林漁業構造改善緊急事業ということにおきましては、築いそとかあるいは並み型魚礁の設置ということを行なっておりまして、さらに公共事業といたしましてこれも四十七年から一カ所、さらに四十八年から二カ所、四十八年は約三千万の国費をもちまして実施に入っておると聞いております。それからさらに、四十九年につきましても同様な規模で推進をいたしたいと考えておりますが、先生の御指摘のように、さらに今後とも魚礁の設置につきましては尽力をいたしたいと思いますが、ただことしの、四十九年度の予算につきましては、若干手違いがございまして、要求がおくれまして間に合わなかった点もありまして、たいへん申しわけないと存じておりますが、来年からは努力をいたしたいと思います。
  42. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 いまの魚礁の問題に関連いたしまして、これは海洋博との関連もあるわけですが、本部新港をつくるときに、まあサンゴ礁をぶちこわさなくちゃならぬ、そのためにはどうしてもかわりの措置考えてもらいたいという提案があって、まあ私の記憶するところでは、それは考えてやろうということにはなっていたわけでございますが、どうもその後あまり進展していないようで、私は国がある目的のためにそういう施設をやると、その場合においては、当然国がこれにかわるべきものをやっぱりやるべきじゃないかというふうに考えているのでございますが、その点について、私は大臣に責任のある御答弁をひとつお願いいたしたいと思います。
  43. 渥美謙二

    政府委員渥美謙二君) まあただいままでの魚礁設置の個所といたしまして、四十六年に名護市の沖、あるいは四十八年度予算におきましては伊江沖といったような個所も予定されておるわけでございますが、先生御指摘の、おそらく渡久地新港その他の新設に伴う漁礁を新たに設置するという御要望のお話だと思いますが、本件につきましては、四十九年度予算の要求時期にも若干タイミングがずれたと、こういったような事情もあったようでございまして、五十年度以降の予算の際に十分検討さしていただきたいというふうに考えております。
  44. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 こういった問題で、政府も県庁のほうも約束をしておることにつきましては、ぜひ漁民を失望させないような特段の御配慮をお願いいたしたいと存じます。  だいぶ時間がたったんですが、もう一つの問題は、実は今後の日本のたん白資源の問題でございますが、先般、東海大学武田教授と懇談をいたしたところ、日本のおそらく将来においては、たん白資源というのは不足をしてくると、特にいま海洋法の問題からいたしまして、国際的に日本が不利益な状態に追い込まれる。その場合に、日本の漁獲高というのは非常にだんだん少なくなるんじゃないか、それから考えると、将来どうしても養殖の線に進んでいかなくちゃならない。ところが、日本の場合は温帯型の養殖の研究は進んでいる。また、漁獲のほうについては、もういままで日本が一番最先端をいっておるかと思っていたところが、もうロシアのほうがはるかに日本よりは進んでいる。しかし、現在世界的に見て日本が一番進んでいるのは養殖のほうだと、だから養殖によるところのたん白資源というものをたくさん補給するような体制をつくり上げなきゃならぬと、こういうことを言われたわけですが、そのときにさらに武田教授が言われるのには、今日まで日本の場合は温帯の養殖については研究をしたと、ところが熱帯の養殖については全然研究はされておらぬ。しかし、今後多くを期待できるのは日本の南の、南方のあの広大な資源である。だから熱帯の養殖に対する研究をするということが、今後の日本のたん白資源の供給と大きく関係を持ってくると、その点で、ひとつ熱帯の養殖についても十分に計画的に研究すべきじゃないかという非常に示唆の富んだ話をされたのでございますが、私はその点につきまして、沖繩との関連において申し上げたいのでございますが、この際、熱帯の魚について養殖を研究するという意味におきまして沖繩を利用したらどうか。まあ西表やら石垣方面の温度は台湾の台中以南と大体似ております。だから、熱帯性の養殖漁業の研究をやるには八重山群島地域が最適ではないかと思われます。いま、八重山のほうには熱帯農業の研究所がございます。私はこれに対して、政府が打った最もすばらしい手の一つだと思っておりますが、さらにこれに水産がくっつくことによって、私は二つの目があくんじゃないかと、それから、この次の研究題目として、沖繩に国立の水産試験場をひとつ設置するように、大臣の格段の御尽力を要望する次第でございます。  時間がありませんから、一括してひとつ御答弁願いたいと思いますが、要望と両方一緒くたになりますが、私は沖繩の産業は第一次、第二次、第三次産業の調和のとれた姿において推進していくことが一番好ましいものだと思っております。ところが現在、どうも十分に県民の中においてもこれに対する何か理解がないように思われます。だから政府におかれましても、県庁のほうと十分に話し合い、また、この面についての相当りっぱな意見を持っている諸君も沖繩にはおります。こういう人たちの意見もよく聞くようにしまして、ぜひ振興計画の一兆円計画、十カ年による一兆円計画の目標が達成できるように、ひとつ格段の御尽力をお願いいたします。大臣からこの国立水産試験場の問題について、御意見を承れれば幸いだと思います。
  45. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 一兆円のいわゆる振興開発計画は、私は稲嶺委員の仰せられたとおり、一、二、三、それぞれの産業部門の調和ある発展の中で達成さるべきだと思いますし、また同時に、そうしたことを達成できるような形をとるためにも、県ともよく話し合いをして、短期、中期の計画の中でそうしたことが満たされる方向を大いに指導してまいりたいというふうに考えます。  それから、ただいまの熱帯の養殖を中心とする水産試験場でございますが、これもやはり同じように長期計画の一環として入っておるわけでございまして、きょうまたそうした御指摘がございまして、私としましては非常に興味のあるプロジェクトだと考えます。特に八重山一帯、石垣、こうしたところは亜熱帯というよりも、むしろ熱帯研究にいろいろな意味で適合しているわけで、いまお話しございました農業研究所なども非常に興味のあるところでございますし、あれと同じような形で水産の研究もし、また、熱帯医学そのものについても、あの辺で一つの研究をする何かプロジェクト考えたいと私は思っておりまして、今後の五十年度の予算編成のときに、そうした方向が織り込めるような努力を今後開発庁としてはしてまいりたいというふうに思っております。
  46. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 次に、今度の小禄爆発事故の問題につきまして御質問をいたしたいと存じます。  実は私は、自民党の小禄爆発事件の調査の一員といたしまして、三月の八日から二日間にわたりまして、現場はもちろん、また被災者、それから被災地、それから県庁、市役所、それから自衛隊、関係のところを訪問いたしまして、いろいろと話し合ってきたのでございますが、私が今度非常にびっくりいたしましたのは、実は自動車がずいぶん破壊されたのでございますが、これは修理中の車がやられた。それは現場から約六十メーターぐらい離れているのでございますけれども、しかもその修理工場というものは、三階建ての建物のうしろにある。シートパイルが六個ぐらいですか、あれは何か三百キロぐらいあるということですが、これが五、六十メートル吹っ飛んで、しかも三階建ての上を飛び越えて、その修理工場に対して被害を与えている。この点から見ますと、まさしくそれの持っている威力というものがわれわれの想像を絶するものがある。隣りのほうには、そのときに、幼稚園でございますが、そこでは約二百名の幼稚園児とそれから父母が何か会合を持っていたそうですが、もしもまともにそれでもぶつかったならば、おそらくたいへんな大惨事が私は沖繩を襲ったんじゃないかというふうに考えるのでございます。  それで私は、こういうことは二度と起こしてもらいたくないというのは、政府はもちろん、沖繩県民はもちろんですが、日本全国一億同胞のひとしく念願しているところではないかと思っております。  それで、まあ私いままで政府のいろんな考え方もお聞きをしたのでございますが、特に私が申し上げたいのは、時間がありませんからごく要点を申し上げるのでございますが、私が被害者と会ったときに、被災者のグループが非常な不満をぶちまけて、それはどうも、この問題起きて私が行ったのは約一週間、まあ八日目ですが、市のほうも、県のほうも、それから軍のほうも、それは調べには来るんだが、なかなか具体的な措置一つもとってくれない。また、半壊の建物なんかもありまして、それがそのままになっていると、もう住む所もないという、そんな状態でございまして、非常に悲惨な状態でありまして、そして彼らが言っていることは、第一点は、国が被災者住民に対し完全なる補償をしていただきたいということ。第二点は、当面の措置として、家屋の損壊者に対しその修復に必要なる資金を無利息、無担保で融資してもらいたいということ。第三点は、完全な補償が実施されるまでの間、市や県において立てかえ補償していただきたい。第四点は、二度とこのような事故が起こらないよう、爆発物の発掘処理を早急に実施してもらいたい。この四点に対して強い要望がございました。  それで先ほど大臣のお話がありましたように、これも法的にだけ考えないで、現実に日本アメリカ沖繩の土地において戦争をやったと。ところが、これのあとの始末というものがまだでき上がってない。そのためにこれだけの損害を受けている。だから私は、そういう点から考えまして、国が十分な責任感をもってこの問題の措置に当たるべきじゃないかというふうに考えておりますが、この点についての政府のお考えをひとつ承りたいと思います。
  47. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) お答え申し上げます。  この今度の事故でたいへんな多くの方々ほんとうに危い目をみられたということは、先ほども繰り返して申し上げておりますが、まことに残念なことであるし、われわれのいままでとってまいりました沖繩に対する政策の一番肝心なところが、はしなくも何にもしてなかったということがあらわれたような気がいたしまして、そうした意味からも、この不発弾処理ということには全力を傾けてまいるということを政府としては決意をいたしております。  それで、先ほど鈴木委員からも御発言がございましたが、こうしたことによる被害者の不満ということも、なかなかすぐいろいろと手が打てない。これは国家賠償すべきであるとかないとかというようなことで、ただ時間をいたずらにたっておっては、非常にわれわれとしても心苦しいので、現在開発庁中心に持っておりまする政府の内部的な協議会でよりより検討してもらっておりますが、私らといたしましては、一応の損害額のはっきりとした査定額を五月の末までにつくるということを現在目標に努力をいたしております。それがきまりまして、もちろんこれには市当局、県当局からもいろいろと御案をいただきたいし、同時にまた、われわれのほう自体としても調査を進めておりますので、この五月末を目標に調査を完了いたしまして、それから直ちにそれをどのような形で補償していくかということを進めてまいりたいと考えております。  それから、家屋の修理等についての無利子、無担保の融資につきましてでございますが、現在時点では、まだこうしたことが沖繩の開発公庫の権能といたしまして、やはり金利を四・七%というようなことで、無担保、無利子ということがまだきまっておりません。しかし、これも今度の事故関連して可能かどうか、いまわれわれのやっておりまする協議会の内部でも十分各省との連絡をとって、さらに詰めてみたいというふうに思います。また、この貸し付け金額の制限等もございますのでありますが、まあこうしたことがどこまで現行法を改正することができるかどうかも、あわせて検討をしてまいりたい。いずれにいたしましても、五月末までの目標でこうした一連の仕事を完了していきたいという意気込みでございます。  それから、市や県で立てかえの補償をしろということでございますが、これらにつきましては、現時点で討議の対象になっておるかどうか、一応稲嶺委員の御主張でございますので、検討してみることにしたいと思います。  なお最後にもう一度重ねて、二度とこうした事故が起こらないようにしなければならぬということは十分心に定めて、今回の事故処理を、そうした意味で、さらに県民安心してもらえるような沖繩をつくることにつなげてまいりたいというふうに考えております。
  48. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 実は、きのう被災者の代表の鬼本君から私どもに連絡がありまして、損害額を至急調査して出してもらいたいという御要望が県からあったということでございます。この点につきましては、まあただいま大臣がおっしゃっておられることの裏付けが、実際において沖繩においてやられているということでございまして、まあ私この点について、開発庁のほうがこういったすぐできる問題はやっておられるということはわかりますが、しかし、何にしてもこれが長くかかるということは私はよくないと思っております。だからできるだけ、まあ五月末だとかということを言わないで、四月一ぱいぐらいには適確なる対策が立てられるように、ひとつ取り計らっていただきたいというように要望いたします。  それから、第四点の爆発物の発掘処理の問題でございますが、これについては、私この沖繩全島ということになりますとなかなか人も足りないし、なかなかすぐには、一せいにやるということはむずかしい。まあ私の感じといたしましては、陸軍の司令部があったのが首里と、それから海軍の司令部のあったのが小禄である。この二カ所が一番私は危険地帯ではないか。そういう意味におきまして、実は今日まで全琉各地から不発弾発見されたわけですが、これについては、あんまり人身の被害というものはさほどなかった。ところが今度はまあ特別なんです。だから私はこういう問題が起きることが一番心配でございます。それで、この首里と小禄については、特別に私は小委員会なりつくって、そこにおいて対処策をおとりになるということが大事じゃないか。なかなか一ぺんにということになると、政府の仕事あまり早いほうじゃないからおくれるような形になって、これに対する住民の不満というものが非常に大きくなるんじゃないかと思っております。だから、まず最初に、完全に小禄のほうとそれから首里のほうを中心として進める、それから順次もっとほかのほうに移っていくという形がいいんじゃないかといふうに考えられます。  それから、この賠償の問題でございますが、現行法ではなかなか国家賠償法の適用ができないという考え方もありますが、私といたしましては、これは実際の面から判断をして、国がそれだけの補償をすべきだという考え方がございますので、政府においても十分に御検討を願うとともに、私どものほうも、これは議員立法としてもどうかというふうに考えております。だから、この点につきましては関係者のほうが十分に話し合って、そして現在被害を受けた諸君、さらに将来に対する対策を推し進めるということが大事じゃないかというように考えております。  最後に私申し上げたいのは、私は今度の事故を見まして、これはどうしてもこれの処理というものは自衛隊にお願いしなきゃならない。とにかく命がけの仕事ですから、なかなかシビリアンが行ってどうこうすることはできない。だから私は、これがためには自衛隊の諸君が喜んでこの仕事に当たるような雰囲気をつくってやらないといかぬ。この点において私はどうもいまの沖繩の現状が、そういう点においてはなかなか十分じゃないように思うわけなんです。私は事故が起きない前に処理をすると、しかも早急にやると、早急にやるためにはやっぱり命がけでやる人たちが喜んで仕事に当たる、この雰囲気のない限り、私はこういうふうな仕事の万全を期するということはできないというふうに感じているのでございます。そういう意味におきまして、開発庁のほうにおかれても、また沖繩の県庁、あるいは私は沖繩那覇市、あるいは関係の市町村、県民においても、この点においては私は特別に、事イデオロギーの問題じゃない、人間の生命の問題だ。そのゆえからして、私はみんなが一緒になってこの問題の十分なる解決をはかるというふうにいくべきだというふうに考えております。この点についての大臣の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わることにいたします。
  49. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 三点ございましたが、第一点の首里及び小禄の旧陸軍及び海軍の根拠地と申しますか、そこを重点的にまず調査をするという御提案、まことに具体的でありがたいことだと思います。直ちにこれを現地連絡いたしまして、そのような方向での調査の成果を期したいと考えます。  第二点は、先ほど私から御答弁申し上げたことについて、重ねての強い御要望でございますが、今度の事故による補償の問題でございます。私らといたしましては、こうした国家賠償法というようなものを適用するかどうか、ただいたずらに時間を重ねておってもこれはいけないのでございますので、ともかくそうしたこととはある距離をもって、われわれ自体の調査を五月末に完了する。しかも、それを四月中にやれという御激励でございます。できるだけ早くやるということを心がけて調査の完了につとめたいと考えます。  それから第三点の自衛隊の問題でございますが、これはあの事故が起こってすぐ防衛庁長官ともお話をいたしました。また、屋良知事さんにもお目にかかったときにお願いをいたしましたが、おっしゃるとおり、この爆弾処理というようなことは、発見までは市民、県民の御協力がきわめて重要でありますが、発見されてからあとの処理は、あげて自衛隊にお願いしなきゃならない。それは同時に、非常に生命を危険にさらしての活動であることは、これはもう当然のことでございますが、こうした場合に、県民各位が自衛隊に対する一つのアレルギーを起こさないように、ひとつぜひ自分らの生命を一緒に守るんだという形で御理解をいただいて御協力をいただきたいということを、私も強く希望しております。  また、本日お昼に屋良知事が私に会いに来られますので、さっそくこの問題ももう一度、私から屋良知事に、自衛隊との関連をスムーズにいくように、そしてまた、これが県民の生命を守る大きな運動であるということの御理解を重ねていただくように、私からも申し上げておきたいと考えております。
  50. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 午前中の質疑はこの程度にとどめまして、休憩をいたします。    午前十一時三十七分休憩      —————・—————    午後一時五分開会
  51. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから委員会を再開いたします。  午前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  52. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 本日は、沖繩振興開発特別措置法の一部を改正する法律案、この法律の審議ということでございますが、この内容については、過日御説明もございましたように、「流域下水道の設置または改築に要する費用に係る国の補助の割合」を引き上げるということでございまして、このこと自体には大きな問題があるわけじゃございませんが、少しく下水道のことについて、特に沖繩下水道整備対策についてお伺いをしたいのであります。  これにつきまして、本土におきましても下水道事業というものは思うにまかせない現状というのはよく御存じだと思います。しかし、この流域下水道の問題につきましては、これは公害問題等も考え合わせますと、早急に整備しなければならない重大な問題でございますし、特に沖繩におきましては非常におくれておることから勘案しまして、国として相当な措置をするのは当然のことだと思うのでありますが、最初にお伺いしたいのは、この沖繩下水道整備の実態といいますか現況、ひとつ御説明いただきたいと思います。  これは建設省だれか来ておられますか。
  53. 久保赳

    説明員(久保赳君) 沖繩における下水道事業は、那覇市のほか九市町村で公共下水道事業を実施中でございまして、それらの公共下水道事業と別に、沖繩本島の中心部を含みます中部地域に中部流域下水道事業を実施をいたしております。これらによる下水道の普及率は、昭和四十七年度末の数字でございますが、総人口に対しまして一九%の普及の状況でございます。中部の流域下水道は、昭和四十三年から実施をしてきておるわけでございまして、二つの処理場がすでに供用を開始しておりまして、二つの処理場の処理の能力は約三十二万人というものが稼働しておる状況でございます。  なお、沖繩の普及率は、先ほど一九%ということを申し上げましたが、日本全部の普及率は一八・五%——同じ時期の比較をいたしますと一八・五%でございますから、若干全国の平均よりも高い教字を示している、そういう普及率でございます。
  54. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 まあ数字だけ見ますとね、いまの御説明のように、パーセントは若干ということですが、実態はこれは米軍の施設したものが大半でありまして、特にこの単独公共下水道の名護市や本部、これにおいてはほとんどゼロというような状況でありまして、実態は、非常にまあそんな数%上回っているなんという楽観視するような状況でないことは、もう建設省も十分に御存じだと思います。なればこそ、このたびの法案の一部改正によって、国庫補助をしようということだと思うのですよ。そういうことから、そして沖繩のあのきれいな海をよごしてはならないということからいたしまして、これは当然このたびの法改正はなすべきであろうかと思います。  ここで、まあ国庫補助を引き上げるということもさることながら、今後のこの下水道計画につきましては、これは国としましても五カ年計画で推進しておりますけれども、時代の変遷とともに、非常にまあいろんな隘路があるようであります。こういうことを考え合わせまして、この沖繩につきましても、非常にこの普及率の高いところとゼロに近いところとあるわけですけれども、こういうことについての格差是正といいますか、今後の推進のあり方、どういうふうに考えていらっしゃるか、この点、建設省お考えがございましたらひとつお聞かせいただきたいと思います。
  55. 久保赳

    説明員(久保赳君) 沖繩下水道整備につきましては、現行の第三次下水道整備五カ年計画の中で、三次五カ年計画沖繩をも含めまして全部で二兆六千億の下水道整備を進めておるわけでございますが、その中で沖繩分といたしましては百三十四億を見込まれております。もっとも沖繩が復帰をいたしました時点は、下水道整備が進行中のところに入りましたので、この沖繩の分といたしましては四カ年分でございますが、いずれにしましても百三十四億を見込んで、少なくとも本土よりも高い普及率を昭和五十年度末に達成をしたいということで、現在実施中でございます。なお、この五カ年計画につきましては、全国的なレベルがかなり低いということから、いろいろ環境対策、あるいは公害対策を進めていく上から不十分であるということが指摘をされてきておりますので、五カ年計画の今後につきましては、十分会計その他を含めて検討実施をしているところでございます。
  56. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 まあこれは物価の高騰から百三十四億という、五十年末までには本土よりも高い普及率にしたいということのようですが、実際予定をはるかに下回るような、本土と比較していいとか悪いとかという論議が多少どうかという考えもあるんですけれども、とにかくこの下水道整備にはたいへんなお金がかかることでありますし、先ほど申し上げましたように、この処理人口もゼロというような、こういう大きな格差もあることでありますので、まあ強力に進めていただきたいと思うんですが、ここで下水道整備事業を推進するに当たりまして、国庫補助率を引き上げるということと、次に問題になることは、国庫補助の対象となる施設の範囲を明確にするという、これはまあいつももう議論になることですが、それと数市町村にわたる一部事務組合ですね、また都道府県による公益処理を推進するというこういうことからも、長期計画を立てるということがいつも問題になるわけでありますが、こういうことについて、この沖繩県下の下水道整備事業について、こういう点についてはどのように検討なさっていらっしゃるのか、まあ検討しているかしてないか。これはただ単に建設省だけのことではなくて、自治省とのいろんなかね合いもあるかと思います。また、総合開発という観点からいたしまして、最終的にはやっぱり沖繩の全責任を持っていらっしゃる総務長官にお聞きしなければならないと思いますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
  57. 渥美謙二

    政府委員渥美謙二君) お尋ねの補助対象でございますが、沖繩県につきましては一〇〇%を補助対象としていただくという特例を開かれております。  それから、まあおっしゃるように、中部地帯の人口の稠密地域、まあここについて流域下水道その他の公共下水道が集中的に行なわれておりますが、海洋博開催というようなこともございますし、現在その本部とか名護市とかいうものは、関連事業といたしましてすでに着手しているという状況でございます。いまお示しのように、沖繩県下水道を拡充強化していくということは非常に大切なことであるというふうに考えておりますので、今後とも下水道の整備普及ということにつとめてまいりたいと考えております。
  58. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今日のこの異常な経済変動の中にありましては、なかなかお金のかかる事業ですから、たいへんな問題があろうかと思いますけれども、やっぱり長期計画を立てて、いまお話しのように、ひとつ積極的にやっていただきませんと、いままでは米軍の施設したものがあってある程度の数値になっておるわけでありますが、やはり本土復帰になりまして、こういう事業が多く進み、環境をほんとうに守ることができたという、やはりこういう一つの誠意といいますか、そういう実績をはっきり残すこともこれ大事なことだと思うんです。  次に、渇水対策といいますか、現在も異常な渇水調整の中にあるということが報道されておるわけでありますが、非常に水不足のために日常生活にも大きな支障を来たし、火災発生時等についての消防活動、こういうことにもいろいろ苦慮しておるということも聞いておるわけでございます。特に、ことしの夏に対しての見通し、こういうことから考えますと、ここ短期間に起きたことではなくて、渇水対策というのは、やっぱり長期的に沖繩のことについては考えなければならないのじゃないか。こういうことから湛水化を推進するとか、こういうことについて開発庁としても何か御検討なさっていらっしゃるのじゃないかと私は思うんですけれども、そういう検討した面についてございましたら、渇水対策についてお伺いしたいと思いますが。
  59. 渥美謙二

    政府委員渥美謙二君) お示しのように、沖繩県は非常に雨はたくさん降るんですけれども、水がたまらないという特殊事情から、常に渇水ということに悩まされておるわけでございまして、本年度におきましても、この夏以来異常渇水というところで、日常の生活用水に事欠いているという事態があるわけでございます。これの解決といたしまして、私どもが現在鋭意努力いたしておりますのは、北部地帯に、ここは山岳地帯でありますので、わりに水をためることができるというところで、北部に多目的ダム群、福地ダムとか新川ダム、安波ダムといったようなダムをつくりまして、そこから中南部のほうへ水を引いてきて給水すもと、こういう計画を立てておりまして、福地ダムは本年の三月に完成する。次の新川ダム以下は次々と手をつけていくと、こういう計画でございます。  送水事業につきましては、四十七年度から五十一年度に完成するという五カ年計画で整備中でございますけれども、最近のそういったような状況にかんがみまして、この区画整理を急ぐ必要がある。そこで来年の夏の水の需要期までには、福地ダムにたまりました水を一日に約十二万トンぐらい中南部に送れるようにしたいというところで、四十九年度におきましては、予算も対前年比の五四%というものに相当いたします百三十五億円という予算を獲得いたしまして、来年の夏までにはその水が中南部にいくようにしたいということで、現在事業実施中でございます。
  60. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 来年までには目鼻がつくというお話のようでありますが、この福地ダムの完成とともに、送水パイプのことがいろいろ議論になっておるんですけれども、そのおくれが今日の水不足を招いている原因というか、問題だというふうなこともいわれておるわけですけれども、この送水パイプの購入とか施設とかという、こういう問題について現在の見通しはどうなっているのかということと、それから米軍への給水制限ですね、これは非常にゆるいんじゃないかというこういう意見もあるんですけれども、いずれにしましても、これが完成して、福地ダムを中心とします多目的ダムが完成してこういう心配がなくなることは、これは当然一日も早く望むのは当然のことですけれども、現状としてこういう渇水状態が続いているということについての仕事のおくれというか、こういうことについて、私どもはいろいろ聞いておりまして、心配しておるんですけれども、これについてのお考えというのは、米軍についての給水制限について現状どうなっておるか、ゆるやかではないのかどうか、こういう点ひとつお伺いしたいと思います。
  61. 渥美謙二

    政府委員渥美謙二君) まず第一点の送水管の問題でございますけれども、これは県の企業局がやっているわけでございますが、事が非常に沖繩の振興開発の基幹になるようなことでございますので、福地ダムから石川浄水場に至るまでは国が一〇〇%の補助をする、それから先も四分の三の高い補助率を適用するというようなことで、肩入れしているわけでございます。事業の進行状況は、やや着手がおくれたことは事実でございますが、これは復帰その他のいろんな問題がございまして、やむを得ない事情もあったかと思います。しかし、これは急ぐべき事業であるということでございますので、先ほど申し上げましたように、百三十五億という予算を四十九年度に獲得いたしまして、まあいまのところ五十年の夏までにはその送水管を通じて中南部に水がくるという見通しを持っております。  第二の米軍に対する供給の問題でございますが、これは、私ども直接タッチしていることではございませんけれども、本年の一月二十八日に現地に渇水連絡協議会というのを県、市町村、それから私どもの出先の総合事務局といったようなところが集まりまして、そういう機構をつくりまして、そこで用水の合理的活用を検討しているわけでございますが、その一環として、その問題も取り上げられているというふうに聞いております。
  62. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この小禄のことにつきましては、午前中いろいろ質疑があったようでございます。重複を避けたいと思うんですけれども、ただ一点だけ、精力的に政府も取り組んでおるといういろいろ説明がございました。しかし、これは日本軍の施設したものだということや、それからまた危険性というものは前から言われておったこと、そういういろんな沖繩におきます特殊事情といいますか、こういうことを考えますと、現在の法体系の中でどういう措置をとるのかということは、いろいろ御検討なさっていらっしゃることだと思うんですけれども、現在の法体系の中で被害者に対する対策が十分できない場合には、やっぱり特別立法か何かで考えないと、今後同じようなことが起きないことをわれわれは願うわけでありますが、しかし、相当な危険な状態にあることもまた事実であります。特に沖繩のことにつきましては、そのぐらい、特別立法というようなことも考え一つに置いて検討しなければならないのじゃないかということを痛切に感ずるのですけれども、この考え方については、総務長官どうでしょうか。
  63. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 不発弾処理につきましては、午前中からも諸委員にお答え申し上げておるとおり、われわれといたしましてはこれが非常に重要な沖繩に対する政府施策として位置づけておりまして、こうしたことにやはり今日まで多少手抜かりがあったという点は率直に認めると同時に、二度とこうしたことを起こしたくないという気持ちで、現在組織をつくり、また、先ほども御報告いたしましたように、被害事実をもっと具体的にどんどんと調べて、五月末を目標に調査の完了をしたいということで取り組んでおります。いま御発言のような特別立法をつくるかどうかということについては、まだそこまでのことは考えておりません。がしかし、この現在の不発弾処理ということにいま総力をあげて取っ組んでおりますし、先ほども屋良知事がこられて、不発弾処理については非常に積極的に協力をしたいというお申し出もございましたので、非常にわれわれとしては力を得たわけでございます。  そうしたことで、ともかくいまの現体制の中で進めていってみて、そしてその情勢がどうであるかということをさらに再検討するような事態であるならば、そのときに考えてもいいのではないか。しかし、現状においては、現体制の中で全力を傾けてこの問題に取っ組んでいくというような方針を現在は持っております。
  64. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 公明党でもいち早く調査団参りまして、いろんな実態調査をいたしました。まあ、起きたことに対する事後処理といいますか、それをどうするかということと、今後に対する対策と、二つ考えられるわけでありますが、まあ起きたことに対しては大臣のお話ありました。何せ、被害一を受けておる方は、いろんなお仕事の都合もあるでしょう、人身事故もありますし、こういうことで、当の本人にとってみれば、緊急に、すぐに相手にしてもらいたいものとして望むのは、これは当然のことだと思います。こういうことから、被害者に対しては、見舞い金として、ほんとうにこの災害救助法を緊急適用するぐらいの考え方で、死傷者以外の方々についての対応というものを早急にすべきじゃないかという考え方を持っているわけです。それと、今後二度と再びこういう事故を起こさないようにするには一体どうするかという問題、これも総理府、開発庁中心にいろいろ御検討なさったと思うんですが、これは私も地方行政委員会等で、地方の財政負担で、いままで各省どこが責任をもって不発弾処理や、また防空壕等の戦時中のものが処理されるのかという、窓口すらきまっていなかったわけなんです。去年の中ごろにようやくこの防空壕などというああいう施設については、建設省と農林省で市街化区域であるかどうかということで責任分野というものを明確にしたようですが、不発弾という最も危険きわまりないもの——私は委員会でいろいろ質問いたしましたところ、防衛局長のお話ですと、火薬に変化のない限りは、やっぱり威力というものは当時と変わらないんじゃないかというお話を聞きまして、ほんとうにびっくりしたんですが、それだけに再発防止のための不発弾調査というものには相当真剣に取り組みませんと、沖繩では同じような事故を起こしかねない。まあ皆さん方のところで掌握している数は少ないんですが、われわれが現地へ行っていろんなお話し合いをした中からは、相当な事実が出ておるようですし、もっと幅広い実態調査というものを早急にいたしませんと、非常に不安の中に毎日生活しなきゃならぬ、こういうことで再発防止のための調査、これをどのように考えていらっしゃるかということと、もう一つは、どこにあるということがわかりまして、今度はそれを取り出すということになるわけですけれども、探知器が性能のいいのが実は沖繩には二、三台もあるように聞いておるんですけれども、探知器の開発と配備というものが非常に大事になってくるんじゃないか。これは事故が起きなきゃそれで済むわけですけれども、一たん事故が起きますとたいへんな被害を及ぼす、最悪のことを考えてものごとをいたしませんと、うやむやといいますか、あまり金をかけたくないというような考え方でやりますと、どうしてもいいかげんにものごとが進んでしまう。やっぱり最悪の事態を考慮しまして、こういう問題については徹底的な調査、それから情報収集、こういうことをしなければならぬと、こう思うんです。ですから再発防止のための調査、情報収集、こういうことについて今後どのように取り組んでいこうとなさるのかということと、それから探知器等の開発や整備についてどういうふうに増強するようにお考えになっていらっしゃるのか。とにかく今後二度と同じ事件を起こさないようにするために、真剣にひとつ総理府として取り組む姿勢というものをお示しいただきたいと思います。
  65. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 埋没不発弾調査につきましては、さっそく各省庁集まってもらいまして、警察、防衛庁、それから総理府あるいは厚生省その他、開発庁中心になりまして相談いたしました。  まず前提として、いま大臣言われましたように、県、市町村の協力を、これはぜひお願いしたいということで、きょう大臣、先ほど話もございましたが、私どもも県の幹部のほうと接触いたしておりまして、十分協力してもらえるという感触を受けて、それを前提にして進めておるわけでございます。所在の情勢等につきましては、市町村あるいは総合事務局あるいはそれらをすべて県のほうでまとめていただきまして、県のほうから沖繩開発庁のほうに報告していただく、沖繩開発庁としましては、さらにけさほどもお話しございましたが、いろいろ当時の戦史でございますとか、そういうようなことから、さらにその情報というものを固めてまいるということをやってまいる。で、それにつきましても、すべてまとまってからでは非常に時間がかかりますので、段階的に緊急を要する地域、それから確かに所在しておる地域、その他、幾つかに分けて対処してまいりたい、こういう気持ちを持っております。  それから地元協力理解も得ながら、実際の発掘あるいは処分というもの等につきましては防衛庁のほうに、御専門でもあるのでお願いするということ、それから発見されてしばらくの間、危険状態にあるというふうな場合には、警察のほうにお願いして、それに対する防犯といいますか、安全対策を講じてもらうといったようなことを中心にしてやってまいる。そういうことですから、いまもお話がございました、また、けさもお話ございましたが、探知器等につきましては、数からいっても十分ではございませんけれども、現在ある能力をフルに使いながら、なおそれの増強あるいは開発というようなことも考えてまいろうということを相談いたしております。そこら辺を含めまして、財政問題は当然出てまいりますけれども、財政措置につきましては、国として十分な措置を講ずるということで相談を進めておる、こういうことでございます。積極的にやっております。
  66. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 一般市民の情報を収集するというその収集のしかた、機構とか体制とか、そういうことも十分にこれは考えなきゃならぬと思うのですが、   〔委員長退席、理事稲嶺一郎君着席〕 やはり相当これは時間をかけてやらなきやならない、そうしてまた、真剣に取り組まなきゃならないことだと思うのですが、よくいろいろな問題で行なわれております報奨制度みたいなものでやることも一つ方法じゃないかというような気もするわけですが、これはやはり当時そこにお住みになっていらっしゃるとか、その現場にいらっしゃった方とか、そういう方でなければなかなかわからないというような特殊的な条件もありますけれども、とにかく最大限に情報収集を早くにするということが大事なことだろうと思うのです。今後この問題については積極的に取り組む、財政的にも国としましても相当な力を入れていくということのようですが、これひとつ総務長官がっちりやっていただきたいと思いますが、ひとつ総務長官の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  67. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) この不発弾処理につきましては、私たちは非常に大きな責任を感じておるわけでありまして、こうしたことが今日までややなおざりにされたということが、前回の小禄爆発事故ではしなくも明るみに出たわけであります。そうした反省を含めまして、われわれといたしましては県民の安全、そうして平和な生活ということを基本的にこうした面からも取り戻したいという気持ちで、今後処理に当たってまいりたいと思っております。
  68. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 まあ法案のことからちょっと離れるのですけれども、沖繩全体の振興開発、これもこの非常な物価上昇の中にありまして、当初の振興開発計画というものは相当に見直しをされなければならない段階に来ているのじゃないか。それは数字をあげて一々申し上げませんけれども、特に海洋博が眼前にありまして、そのためにいまいろいろな事業が行なわれている。私どもが心配するのは、この海洋博がぜひ成功していただきたいということと、この海洋博の終わったあとに一体何が来るのかという、こういうことについて、ポスト海洋博といいますか、このことについてわれわれはまず最初に心配しているわけですが、開発庁としましてもいろいろな御検討をなさっておると思うのですけれども、この件についての見解というものをちょっとお伺いしたいと思うのです。
  69. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 海洋博のあと地の問題でありますが、海洋博そのものが、ただお祭り騒ぎをやるという意味ではもちろんないので、むしろ沖繩で海洋博をやることによって日本全体の人々の注目を沖繩に集めたいと、そうした関心と興味を持ってもらうということが大きな目的でございますが、同時に、そうした初めての試みに関連して、たとえば道をつくり、港湾を整備し、あるいはまた先ほどの上水道のダムをつくる、さらに全般としての沖繩に対する社会資本の投資を、これをきっかけにしてふやしておるわけであります。私は、このあと地だけの問題というよりも、この海洋博を中心にして投資をいたしました社会資本の投資そのものがこれから大きく生きてくる、また同時に、その社会資本の投資を生かすような方向沖繩の五十年以降の問題を考えるという姿勢の中で考えていきたいと考えております。そのような考え方で、あと地利用もその一環として、十分に県の方々気持ち中心に利用を、いい計画をつくって、沖繩の県の人々の生活の向上や、あるいは平和な生活というものを守る、何かそうしたことの可能な措置をぜひとっていきたい、そういうような方針を現在とっております。
  70. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 われわれも、海洋博がお祭り騒ぎであってはならぬ、当然そう考えるわけですが、そのあとのことについても、現在これは十分な検討が必要だ。大臣も積極的に取り組んでいくお考えのようで、ぜひひとつ、沖繩が大きく発展するそれが一つのまた契機であるように願うわけであります。  この沖繩の一次産業、二次産業、三次産業、これの均衡ある発展、これを願わずにおれないわけでありますが、沖繩の所得水準を引き上げるということのために、臨海工業を中心にした第二次産業が重点的にこの計画の中に組み入れられているということは、御存じのとおりであります。最近、アルミ産業の誘致をはじめといたしまして、地元としましては、開発計画というものは練り直さなきゃならぬという、いろんな意見があるようであります。やはり現在の状態からいきまして、労働集約型工業といいますか、こういうものがやっぱり沖繩には必要だろう、こう思うわけですが、労働集約型の工業として沖繩にはどういうものが適当であるか、いろんな、地元では造船業界のことなんかも話し合っておることをわれわれ聞いておるわけでありますが、開発庁としまして、今後のこの沖繩のあり方について、新しい沖繩の発展のために労働集約型工業としてどんなものをお考えになっていらっしゃるか、もしお考えがあったらお伺いしたいと思いますが。
  71. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) これは、企業そのものの立地動向と申しますか、意欲なり計画そのものの問題もございますけれども、振興開発計画を立てました段階で沖繩に立地が予想されるものに、臨海、内陸とございまして、臨海につきましては、アルミあるいはCTSという問題がございましたが、これにつきましては、いろいろと配慮し、あるいは現在問題になっているということでございまして、むしろ内陸のほうにいま御指摘のようなものが考えられるかと思いますけれども、当然のことながら、沖繩独自の、といいますか、沖繩県中心にした食料品工業でありますとか、それからあそこでは繊維工業製品と、それからセメント等が出ますこともあり、海洋博との関係で決して十分余裕があるわけではございませんが、長期的に見ました場合に、セメントを念頭に置いた窯業問題といったようなこと、それから願わくは精密機械器具工業といったようなことを期待しておるわけでございます。それを期待しながら、当面といたしましては、最近、松下電器、これが用地はだいぶ前に確保しておりましたけれども、最近いよいよ着工をするに至ったというふうに聞いております。ここら辺を中心にいたしまして、関連企業の立地等を促進しながら、また、工業開発地区の指定ということも考えておりますので、それとタイアップして進めてまいりたいというふうに思っております。
  72. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それとともに、沖繩振興開発に農業がどうあるべきかという、漁業のことについては午前中質問があったと思いますが、農業、漁業あわせてでありますけれども、特に農業につきましては、優良農地を確保するとか、土地基盤を整備するとか、機械化を促進するとか、農業技術の開発、普及をするとかいうことで、沖繩における農業というものにつきましても多角的な、地元に合った、いままでのパインやサトウキビというだけではなくして、畜産等、こういうものも地元に合った農業のあり方というものを指向しなければならないではないか、こういうことをしみじみ思うわけでありますが、何せ、米軍基地がどっかり居すわっておりまして、計画というものがなかなかたいへんだと思うわけですけれども、現状の中から沖繩の農業の未来図といいますか、どのようなお考えを持っていらっしゃるのか、農業面についてのことをお伺いしたいと思います。
  73. 結城庄吉

    説明員(結城庄吉君) 沖繩の産業開発の上におきます農業の役割りはきわめて大きいということは、私ども重々考えておるところでございます。ただ、御承知のように、長い間施政権が分離をしておったということもございまして、沖繩の農業振興をはかる上におきましては、いろいろの基本的な問題があるわけでございます。  先生がおっしゃられましたようなことでございますけれども、それらのいわゆる基礎条件づくりということをまずもってしなければならないということで、振興開発計画に基づきまして、その一環として予算を組んで鋭意努力をいたしておるところでございますけれども、将来の問題といたしましては、先生がおっしゃられましたように、特に地力の低下とか、そういうこともございまするので、亜熱帯の適産ということでございますと、サトウキビとかあるいはパインというものが中心になるわけでございますけれども、その場合におきましても、牧草等との輪作を考えて地力の回復をはかるというようなことで、畜産との複合経営というようなことも将来考えていく必要があるというふうに思うわけでございます。また、地域によりましては、たばこあるいは野菜、養蚕というような、そういう作目に向く条件のところもあるわけでございまするので、そういう適地適産ということで、複合経営あるいは作目の多様化というものを進めてまいる必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  74. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 最後に、沖繩に本土の企業が取得した土地がそのまま放置されているのが相当あると思います。これは沖繩の社会経済の発展に大きな支障になっておることはよく御存じのとおりであります。こういうことからいたしまして、土地利用計画ですか、こういうものをいま策定して、沖繩の発展というものについて、これに対処するという考え方を持たなければならないと思います。農業のこと、一次産業、二次産業、三次産業等を考えましても、土地利用というものが非常に大きな隘路といいますか、問題になる、こう思うわけですが、こういう土地利用計画等につきましてはどのようにお考えになって現在進められていらっしゃるか、この点ちょっとお伺いしたいと思います。
  75. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 土地利用計画につきましては、現在、県に土地利用計画の委員会をつくっておりまして、その委員会でいろいろ相談しながら、県の土地利用計画を策定中でございます。私どものところにもいろいろ相談がございますので、十分指導を申し上げておるということでございます。
  76. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間がございませんので、沖繩のことについては大体以上で終わりたいと思うんですが、総務長官もたいへんお忙しくて、なかなか当委員会にも御出席いただけないのでございますが、過日所信表明がございました。その中にございました北方領土問題を中心にしまして二、三お伺いしたいと思います。  この所信表明の中にもございましたが、外交上の問題につきましては、これはまた外務大臣がいらっしゃったときにいろいろお聞きすることといたしまして、予算面、北方関係予算中心にしまして二、三お伺いしたいと思います。  この所信表明の中にございますが、「外交交渉のささえとなる国民世論の一そうの高揚をはかるため、啓蒙宣伝に関する諸事業を拡充強化する」、これは非常に大事な問題だと思います。この所信表明——具体的にいままでやっておりました国民へのPR、テレビとか、駅前の看板を立てるとか、こういうことのほかに、何か総務長官としてまた新しいお考えをお持ちなのかどうか、いままでの惰性を打ち破って新しいお考えが何かおありなのかどうか、この点ちょっとお伺いしたいと思うんです。
  77. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 北方領土問題は、日ソ関係のきわめて基本的な問題であることは、もう御承知のとおりでございます。また同時に、この日ソがアジアの地域においてきわめて平和的な共存関係を持つということは、これは日本にとりましても、ソ連にとりましても、のみならず世界じゅうにとってきわめて私は重要な意義があると思います。しかし、そういうような問題を考えるときに、やはりこの北方領土問題というものが、一つ日ソ関係における国民同士の理解の上にはたいへんな隔たりの問題を提起しているということも、私たちとしては見のがしていないわけでありまして、私も、いま藤原委員からの御質問でございますが、総理府として特別に何をするかということについては、やはり現時点において政府の一部局としてやり得ること、これはやはり制限は当然あります。しかし同時に、この北方領土問題そのものについて、モスクワに二度ほど参った体験から申しますと、ソ連側国民理解はまことにないということであります。やはりこうした面について、ソ連の国民北方領土問題というもの、この本質について全く理解をしてないということを、何らかの形で、あらゆる機会を通じて、特にこれは外交関係を通じて、もっと大きなPRをする必要があるというふうに私は考えております。
  78. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 予算面でも、だいぶことしは特別力を入れたというほどのことでもないかもしれませんが、啓蒙宣伝が倍近くになっていることは事実だと思います。御存じのように、当時この地域にいらっしゃった方はだんだん老齢化する。そういうことから、相当地元の根室市やそれから北海道はきめこまかにいろんなことをやっているわけでありますが、どうも全体的な大きな盛り上がりをつくるということはむずかしいようであります。実際その地域にいらっしゃった方々もだんだん老齢化して、若い人たちに非常に認識が浅い。こういう問題がだんだん出てきているわけであります。一方、北方領土にいるソ連の方のほうは、長く島に居いてだんだん愛着が出てくるという。日本のほうは逆の立場になるわけですが、啓蒙宣伝にしましても、根室や北海道は、もうマッチから、はがきから、実にきめこまかに対策が講じられて、それがどれだけの効果を生んでいるかということになりますと、まあ議論のあるところだと思うんですけれども、やはり国のやることも、大きなテレビ放送とか、またキャラバン隊をつくるとか、こういうことも計画の中に毎年入っているわけですが、やはりもっと多くの人たちにPRのできるようなきめのこまかい啓蒙運動というものも考えてはどうか。  そういうことと、もう一つは、日本の立場というものを海外に正しく認識させるということで、私も去年、おととしですか、山中長官のときに、どんどん日本の立場を認識させるような資料を世界各地に送ってPRすることも大事じゃないか、検討したいというお話があったんでありますが、この海外に対する認識を与えるPRについては、その後具体的にどんなふうに進んでいらっしゃるのか。  それから、これは予算の中で、「現地研修、少年交流等」、こうあるんですが、これは予算は倍ぐらいになっておるのですが、これはどういうことを具体的にいままでしたのか、ことしまたしようとするのか、この三点についてちょっとお伺いしたいと思います。
  79. 大屋敷行雄

    説明員(大屋敷行雄君) 北方領土問題に関するPRは、あくまでもねばり強く根気よくやるという一語に尽きると思います。幸い、昨年の十月、総理が訪ソされまして、またその前、九月の二十日には衆議院、それから二十五日だと思いましたが、参議院で全会一致の決議をちょうだいいたしまして、国内的には相当意識が高まってきていると私どもは考えております。特にことし、去年から引き続いておるわけでございますが、本年度におきましては、各地に、北海道を中心にしまして、次第にこの運動は東北から、あるいは北陸、また中国、そういうところに発展しておりますので、そういう運動に協力していただける諸団体があるわけですが、そういう団体について助成をいたしまして、この問題に関するPRを全国的により一そう強力に推進したいと、こういうような考え方で、北方領土問題対策協会を指導してまいりたいと思っております。  それから少年交流でございますが、昨年の予算の倍額になっておりますが、これは根室のいわゆる元島民の子弟たちを東京にお招きいたしまして、東京の少年と交流、いろいろ北方領土問題について少年の立場からまあ懇談するというような形式で予算を組んでおるわけでございますが、本年度は、幸い、先ほど申し上げましたように、富山県の地域における運動が非常に活発になっておりますので、その富山県の少年もあわせてこの交流懇談に参加させるという、具体的にはそういう計画でございます。  それから海外に対する啓発でございますが、これは北方領土問題は日ソ間の問題であるというのが原則でございます。しかしながら、やはり日本の正当な立場というものを海外の方々にも知っていただくというようなことも非常に大切だろうと考えますので、これは協会が主としてやる問題でございますが、いわゆる民間的な立場からいろいろなくふうをして、今年度は特に海外啓発にも力を入れたい、こういうことでございます。しかし、その方法につきましては、あくまでもやはり外務省と密接な連絡をとりつつやる必要があると判断しております。
  80. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) 海外の諸国の認識をも得たいという考え方は、いま総理府から御説明のあったとおりで、外務省も全く同じ意見でございます。で、具体的には外務省といたしまして、すでに昭和四十五年にパンフレットを英文でつくりまして、それを全在外公館に配っておりますし、また、毎月発行しておりますインフォメーションブリティン、これを在京の外人記者及び在外公館に配っております。そういうものに横文字で日本の正しい態度を説明するというような手段をすでに講じております。補足説明でございますが……。
  81. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この北方領土というのは「ほっぽう」領土と読めないで「きたかた」領土と言ったり、いろんな最近若い人たちには認識が非常に薄くなりつつある。時代の推移といえばそれまでのことですけれども、私何も総務長官にテストするわけじゃないですけれども、北方領土といっても、ちょっとこればく然とした話で、何も私この四島に限って言っているわけじゃないですけれども、四島に限って考えても、四島の広さというものはどのくらいあるか、また、その資源の確保におけるメリットといいますか、どのくらいのものか、私はまあお聞きするつもりもありませんけれども、即答できたかどうかということになりますと、大臣も総務長官になってまた半年そこそこだから十分な認識あったかどうか、非常にこのPR運動というものも今日まで積み重ねられておることは事実ですけれども、よく発想の転換といいますけれども、いままでのやってきたものをやっぱりここで洗い直して、もっときめこまかな運動というものが必要ではないか。時代の推移とともにここらで考え直してみる必要があるのではないかということを私は痛感するんです。それだけに、やっぱり現地事情、そしてまた諸団体の方々とお会いして現状を知るということで、大臣就任いたしましてまだ北海道に来てないですけれども、やっぱり北海道へいらっしゃって、現地に来て、現地方々とよくお話し合って認識を深めることが最大の国民世論を盛り上げる一つのまた柱になるんじゃないかと、私はこう思うんですけれども、大臣ひとつお忙しい中であろうと思いますけれども、ぜひひとつ早い時期に現地に行くべきだと、そのお考えあるかどうかお伺いしたい。
  82. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) いわゆる四島の面積は大体千葉県くらいというふうに理解しております。  それからもう一つは、私、北海道の現地にまで参ってくるということは、これは非常に念願しておるところでございますが、御承知のようにいろいろなことでなかなかその時間がなくてまだ果たしておりません。しかし、ぜひ早い機会に参りたいと思います。と申しますのは、実は北方領土問題に関連して、根室の漁民の中に、いろいろと北方領土ということとは別に、いわゆる魚をとるほうの関連のことでいろいろな動きがあるやに聞いておりますが、そうしたような問題もよく現地でお話を聞いてみる必要があるというふうに思っておるわけでございます。
  83. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それからこの所信表明の中に、北方地域元居住者に対する援護について積極的に取り組むというお話もございました。ぜひそうあっていただきたいと思うわけでありますが、これはもう時間もございませんので、私細部にわたって一々お聞きすることができませんが、大臣の頭の中に、この所信表明お書きになったときに描かれた具体的な積極的な居住者に対する援護措置というものをどのようにお考えになっていらっしゃったか、これをちょっとお伺いしたい。
  84. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) やはりもと居住していた方々に対しては、やはり生活の面で一番の基盤をああいう形で失っているわけでございますので、何としましてもこの生活基盤を政府としては守っていくということを基本に考えているわけであります。そうした考え方の中で、四十七年度から皆さま方のお力添えの中で貸し付け限度額を大きく拡大をしていただいております。また同時に、利子補給もやらしていただいております。私は、やっぱりそういうようないままでやっていただいた実績を落とすことなく、今後も続けてまいりたい。そして引き揚げ者と申しますか、もと住んでおられた方々の生計が幾らかでもそれによって守られるというような方向をぜひとってまいりたいと私は考えておるわけであります。
  85. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 そこで問題になるのは、北方領土問題対策協会の貸し付け金のことですね、積極的にというお話でありますが、最近諸物価の高騰によりまして、業務内容というのはたいへん窮迫を告げているといいますか、新しい段階に来たということが言えると思います。貸し付け金のワクが広がったということ、また、今後貸し付け金のワクにいたしましても、とにかくこの異常な物価上昇の中にありまして当然もっとこれを増額いたしませんと、十分な対策が講じられない。たとえば住宅改築補修費にしましても五十万円以内とか、新築資金にしても二百十万円以内とか、土地取得資金が六十万円以内とか、まあ四十七年と今日では大きな差が出てきておりますから、こういう面について現段階で、これは四十九年度の予算の中にも組み込まれているわけですから、今回できなければ、来年度でもぜひひとつ御検討いただかなければならぬときが来たと思います。それと一般管理費ですね、対策協会のこの管理費が非常に最近高騰しておりまして、ですから、現在の資金ワクの中での運用というものは非常に窮屈になってきておりまして、私は当然この対策協会の一般管理費と貸し付け業務費とか、こういうものは国庫補助でまかなうようにいたしませんと、旧島民に対する貸し付けというものはだんだん圧迫されるようになるのじゃないか、こういうことから、少なくともことしは無理といたしましても、五十年度からは貸し付け金のワクをふやすということから、一般管理費が最近非常に多くなっているということ等考え合わせまして、国庫補助等にするようなふうに考えを変えていかないと十分な対処ができないのじゃないか、このように思うのです。この点についてひとつお伺いしたい。  それから、いつも四月になりますと言うことですけれども、墓参のことについて、これは当然早くに対策を講じていただきませんと、いつもどたん場になってからなかなかうまくきまらない。というのは、択捉島についてはまだ実現していないということで、ぜひ実現してもらいたいというのがもと居住していた方々の最大の願いであります。人道問題を基本的に解決してこそ、日ソ間の善隣友好の実を前進できるのだという、こういうことが絶えず言われておるわけでありますけれども、墓参問題についてもひとつ強力に総理府また外務省、ひとつことしこそもとの居住者の方々が念願かなえられたと言えるように、とにかく去年田中さんがいらっしゃって大きく道が開かれたということでありますから、その直後だけに、ことしはひとつ積極的に取り組んでいただいて御配慮いただきたいと思います。去年の八月ですか、日ソ友好議員連盟の一員として私もソ連に参りましたけれども、この墓参のことについては積極的なお話もあったようであります。きょう政務次官もいらっしゃっているのでありますけれども、どうかひとつこの墓参問題についての積極的な取り組み方、現状とこれからの姿勢、これをお伺いしたいと思うのです。  それから、外務省のことになると思うのですけれども、ソ連漁船によって日本近海の水産資源の保護とか、また漁具にも被害を受ける、こういうことについて、日ソ間の専門家会議で議題になったことがあるというんです。水産庁でも、これをぜひ今後大いに討議をしていきたいということのようでありますが、外務省としても、これはぜひひとつ積極的に取り組んでいただいて、安心して操業できるようにしていただかなきゃならぬことだと思います。  それと、こんなことはあってはならないことなんですけれども、抑留漁民は、去年八月われわれが行ったときに全員釈放ということであったんでありますが、その後、やはりまた抑留された方がいらっしゃるようでありますが、やはりこの父祖の地、また自分たちがかつて漁を営んでおった土地でありますので、やはり越えてはならない一線を越えることがしばしばある。向こうに抑留されたときのこの方々のいろんな事情を聞きますと、なれない食事のためにたいへん体力も消耗して、ひどい体験をみんな経験しておるわけでありますが、何か地元のいろんな話によりますと、外務省あたりでいろいろ交渉していただくならば、日本食をこれらの方々がとれるようなことも何か配慮していただけるような話もあるようなんですけれども、こういうことにつきましても、もっと人道的な上からいっても、外務省としましても取り組んでいただきたい問題だと思いますが、最後になりましたので何点かまとめて申し上げましたが、ひとつこの点についてお伺いしたいと思うんであります。
  86. 大屋敷行雄

    説明員(大屋敷行雄君) まず第一点のいわゆる貸し付け限度とかあるいは貸し付けのワクの問題でございますが、先ほど大臣からお話がございましたように、昭和四十七年からこの貸し付け業務については抜本的な改正をしたわけでございます。と申しますのは、当時一億七千万のワクでありましたのを四億に拡大いたしまして、しかも他の金融機関から資金を導入するという法律改正をやったわけです。それに対して、本年度も利子補給をするわけでございますが、千五百五十七万の利子補給額を計上しております。それとともに、四十七年、四十八年二年間続きまして、限度額にも大幅な改正をして今日に至っておるわけでございますが、今日の実情を見てみますと、大体一件当たりの貸し付け額は百六十七万程度になっております。それから、これを一人当たりで見ますと、大体九十六万という規模になっております。あわせて、非常にこの協会の回収率がようございまして、元金の回収率が大体九六・九、九七%の回収率をあげておるわけでございます。そういうような事情考えますと、四十七年以来の改正によって、協会の努力は大いにあるわけでございますが、現在のところは、ある程度御満足いただけるんじゃないかと考えております。もちろん、こういう融資事業でございますから、将来の経済事情もいろいろ勘案しなければいけませんが、将来はそれに応じて、これについて、何ぶんこの融資事業が元島民、元漁業権者の方々の援護の柱でございますので、総理府としても真剣に考えたいと思っております。  それから、次の管理費の問題でございますが、これは非常にむずかしい問題を含んでおりまして、こういう言ってみれば、一つの特別会計的な業務をやっておるわけでございまして、収益が上がれば、その範囲内で管理費をまかなうのは当然でございます。したがいまして、現在の状態では赤字状態というようになっておりませんので、あるいは将来そういう赤字状態のような事態が出れば、これはその時点において考えなければならぬというぐあいに思っております。  それから墓参でございますが、これは総理府に関係する分だけ申し上げますと、これは人道上の見地から、毎年外務省にお願いして、ソ連に折衝していただいておるわけでございますが、本年も北海道の計画をまとめまして、三月二十日に外務省にお願いしまして、ソ連側に申し入れるようにいたしております。
  87. 山田久就

    政府委員(山田久就君) 墓参の問題について追加的に御説明申し上げまするというと、わがほうでも、これは人道的な、また日本人の習慣に基づいた重要なこととして、先般総理の行かれたときも、この点を向こうに申し入れております。四島のあれについて、部分的には先方もオーケーしておりまするけれども、その他の点についてはまだ検討中というようなことでございまするけれども、関係者の非常な要望にもかんがみまして、引き続きわがほうといたしましては、ひとつ努力いたしたいと、こう考えておるような次第でございます。  それから抑留漁民の問題でございまするけれども、昨年藤原先生と御一緒に向こうへ参りまして、いろいろ陳情の結果、全員釈放ということになったわけですけれども、その後もまたそれが起こっていることは、いま御指摘のとおりでございまして、現在は大体十一名ぐらいが入っているという状況でございます。これらの抑留漁民に対しましては、御承知のようにそれぞれ家族から、いろいろ小包といいますか、慰問品を届けるということ、これはずっと行なわれているわけでございまして、そのほかに政府といたしましても、大使館が大体少なくとも年に一回、これは在ソ大使館員が出かけてまいりまして、そしてまた家族からの手紙というようなものも添えまして、それで食料品等も含む慰問品を差し入れていると、そういう状況でございます。  ただいま御指摘がございました日本食というような点、これはまだわれわれとしては伺っておりませんけれども、できるだけそのいまのような点、これはひとつ検討さしていただいたらいかがかと、こう考えているような次第でございます。
  88. 稲嶺一郎

    ○理事(稲嶺一郎君) 藤原委員、もう時間が過ぎております。
  89. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 じゃこれで終わりますが、四十七年度から新しい抜本改正して、他の金融機関からも借り得るようにしたということですが、現状は何問か問題がございまして、時間もありませんので、一々申し上げることできませんが、ひとつこういう社会変動の激しいときでありますから、いろいろな立場の方もございますし、後ほどまた個人的に申し上げてもけっこうですが、ぜひひとつ御検討いただきまして、元居住者に対する大臣の所信表明に仰せのとおり、あたたかく見守っていただきたい。  以上でございます。
  90. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) ただいまの御要望はよく理解できます。そうした方向努力いたしたいと思います。
  91. 春日正一

    ○春日正一君 最初沖繩下水道についてお聞きしたいのです。  今度の仲縄振興開発持別措置法の一部を改正する法律案、この流域下水道の設置又は改築に要する費用に係る国の補助の割合の引上げに伴い、沖繩振興開発計画に掲げる流域下水道の設置又は改築に要する費用に係る国の補助の割合についてもその引き上げられた割合によることとする必要がある。」という理由になっているんですね。それで、結局これは、下水道については国庫補助のかさ上げをやらないということになると思うんですけれども、かさ上げの必要がなくなったのかどうか、この点、開発庁どうお考えですか。
  92. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) これは御承知のように、下水道もとより公共事業でございまして、公共事業を中心に、復帰の時点で沖繩の格差を是正し、早く社会基盤、あるいは産業基盤の基礎をつくってもらいたいということで、高率補助で臨むということで、当時の本土にございました諸地域立法の中で制度的に一番高いものをとらえ、かたがた、日本政府が琉球政府に対して援助をいたしておりましたところのものをも参酌いたしまして高率の制度を立てたと、高率の制度を立てるからには、本土との間の関係を遮断いたしまして、本土のほうの負担率がどうあろうと、全体として公共事業を、最も典型的なものは道路、空港、港湾等につきましての改築、新築等について十分の十というような全く異例な措置でもって臨むと、そのかわり他の地域との関係を遮断いたしたのでありますが、その後、経過いたしまして、本年度、本土のほうは低くかったのでありますけれども、やはり下水道という国民の生活の、あるいは都市生活の基盤をなすものということで、四分の三ないし三分の二、四分の三が終末処理施設、それからその他につきましては三分の二というふうなことになってまいりましたので、この機会に法律改正をお願いして、この部分については本土の率より高いほうを導入するということによって沖繩のやはり基盤の整備に資したいということであります。なお、同じ四分の三とは申しましても、けさほどもお話しありましたように、沖繩については終末処理施設については門とかへいとか、そういうふうな付属施設、それから流域下水道につきまして、あるいは公共下水道につきましても、そういうふうな門、へいその他のものを対象にしながら一〇〇%の補助対象、それの四分の三ということにいたしております。一方、本土のほうにおきましては、流域下水道の場合で九割、その他公共等につきましてはたしか五七%ぐらいの補助になっておりますので、同じ四分の三といいましても、四分の三を適用することによって沖繩のほうがよりかさ上げといいますか、先生の御指摘のような、より高い実質的な措置がなされておるということでございます。今回の改正によってこれは実現できるということでございます。
  93. 春日正一

    ○春日正一君 私は、かさ上げする理由がなくなったのかどうかということを聞いたんですが、しかし、まあそれはもっと具体的に聞いていきましょう。  そこで、かさ上げを必要とした当時の状況について、どういうわけでかさ上げを必要としたのか、建設省のほうから具体的に聞かしてほしいと思います。
  94. 久保赳

    説明員(久保赳君) 沖繩が本土復帰になったときにかさ上げをした具体的な理由と、こういうことでございますが、これはただいま開発庁のほうから答弁がございましたように、本土復帰にあたりまして、振興法制定当時までの旧奄美郡島復興特別措置法等の他の開発立法における国の財政上の持別措置、あるいはまた、琉球政府に対して行なっておりました財政援助、これを勘案して、そのレベルで考えますと、当時の本土の下水道の補助率よりもただいま申し上げた措置が高いということから、持に流域下水道につきましては、本土のほうが二分の一であるものを三分の二にしたと、こういう理由でございます。
  95. 春日正一

    ○春日正一君 非常に大ざっぱな——だいぶ年もたったからお忘れになったと思うんだけれども、結局あれでしょう、格差をなくすると、そのために事業を促進するにはどれだけの補助をしなけりゃできないだろうということが大前提にあったわけでしょう。だから、奄美促進がこうだから奄美並みにやってやるとかなんとかいう問題ではなくて、これを見てみますと、この「新都市」という雑誌の四十六年十月号ですけれども、沖繩の都市計画についてという下水道の部分については、安藤茂さんという人が出て話ししていますわ。この人はいま建設省にいないようですけれども、この人の報告を見ても、第一点では、下水道については一二・七%、本土の場合は下水道が二二・八%ということで非常におくれておるということ、このことが言われ、さらに統合下水道——いまの流域下水道ですね、これは米軍の手によって工事が着工されたと、そのために「市町村の下水道を集めるという目的はもちろんありますけれども、もっと大きな目的は、点在する軍施設からの汚水を集めて、浄化して海に流そう、こういう目的でやっておりますので、どうしても米軍の軍施設からのものが優先になっている。」と、単独の公共下水道につきましては、同じく米軍施設一つである石川の海水浴場がよごれるということで、民政府のほうから相当強力な申し入れがあって、石川市でこれをやったというようなふうな事情を言って、だから、これをもっと強化する必要があるということと、それから第一にあげられる理由として、公共下水道事業にしても統合下水道事業にしても、下水道を行なっていく上で財源が非常に逼迫しておるという点を一つ言っておる。それから、この公共下水道については九一%、あるいは都市下水道については八〇%というような高い補助率があると。それからこういうふうにも言っておりますね。「公共下水道を通して統合下水道に入っていかないシステムになっておりますので、使用料は米軍と下水道公社と直接取引になっております。この統合下水というものは流域下水に匹敵するのですが、本土の法律からいう流域下水道というものは、すべて関連公共下水道からの汚水以外はとってはいけないようになっておりますので、この辺も十分検討していかなければいけない問題じゃないか。」というようなことで、そもそもの成り立ちがそういう米軍優先の下水道体系になっておるということ、それから整備率が低いということ、そうして市町村では琉球政府からの非常に高い補助率があったというような事情があって、だからこの人の報告では、そういう意味下水道は特別に取り上げたんだということを言っておりますし、私ども考えても、そういう具体的な事情がなければ、ただ奄美の場合こうだったから同じようにしてやるというような無定見なことで振興開発計画なり開発補助率きめられるはずはないと思うんです。だから、そういう事情があった、それがいまなくなったのかということを聞いているんです。
  96. 久保赳

    説明員(久保赳君) ただいま春日先生御指摘の新都市の雑誌に載っておりました報告の問題でございますが、これは復帰前の沖繩調査をした時点のものであろうかと思います。そこで、復帰時点で沖繩における下水道の整備状況と、それから本土における整備状況を勘案いたしますと、沖繩のほうが若干本土よりも整備率が高いと、こういう現状でございまして、それを受けて下水道   〔理事稲嶺一郎君退席、委員長着席〕 整備五カ年計画の中で沖繩分として実施している現状が、先ほども申し上げましたけれども、下水道の総人口に対する普及率で比較をいたしますと〇・五%ほど高いと、こういう実態になっております。  それからなお、現在実施しております流域下水道そのものは、先生御指摘のように、占領軍当時に統合下水道——日本語に翻訳をいたしまして統合下水道ということばで使われているようでございますが、統合下水道を引き継いで実施をしておるものでございます。なお、統合下水道はもちろん占領軍地域を包含した地域の下水道計画になっておりますから、統合下水道の中に米軍からの下水をものみ込む、あわせて米軍地域以外の一般の市街地、これの下水をも統合下水道に、現在の流域下水道に包括して処理する計画になっております。したがいまして、復帰前と復帰後でそういう下水道事情は若干変わっておりますけれども、計画の中身は引き継いだ形になっておるわけでございます。  それから財源の問題でございますが、財源の問題につきましては、占領軍当時には民政府のほうからきわめて高い補助金が出て実施されておったことも事実でございますが、事業量の全体から言いますと、復帰後のほうがかなり多くの、非常に多くの事業量が実施をされて、整備が復帰後にかなり進んだと、こういう実態がございます。なお、その場合の財源措置等は、先ほど申し述べましたように、本土に比較して一番高いレベルの財源措置をしたということでございます。したがいまして、その当時の事情が変わったのかと、こういう御質問でございますが、その当時の事情が、現在補助率が大きく上がったということについては、事情が変わったということが言えるかと思います。
  97. 春日正一

    ○春日正一君 先ほどこれに書いてある一二%と二二%という違いですね。これはまあ単位の取り方の問題もあるだろうし、この人は沖繩の特殊性を入れて一二%ぐらいが妥当であろうと、この本に書いています。そういう点ですけれども、実際にそれではどれだけのことがやられたか。建設省からいただいた資料によりますと、「沖繩の中部流域下水道は、すでに復帰前昭和四十一年から着工しており、管渠および終末処理場二カ所(沈澱法)を完成し、昭和四十三年度より処理開始している。」といって、ずっと規模その他を書いて、終末処理場二カ所を高級処理にしたと。でも、この高級処理というのは、普通のあれでしょう、こっちでやっている第二次処理のことでしょう。第三次処理をやっているという意味じゃないでしょう。だから、そういう意味でいいますと、まあこれだけのことしかやられてなくて、しかも那覇市における状況を聞いてみますと、一日の水の全使用量が十万トン、だから生活排水が八万トン、そして那覇市にある、ここにある下水処理場ですね、ここの処理能力は十六万トン、しかし、実際の処理量は現在ただいま二万五千トンですが、きのうこれは電話して聞いてみたんですわ、二万五千トン。そういうことで、十六万トン処理能力があるところで二万五千トンしか処理できてない。ということは、結局この流域下水道に流し込む公共下水道がおくれておるということだろうと思うんですよ。だから、そういう意味でいえば、まあ流域下水道は一応ある程度できたと、処理場もあります、処理能力も八十万人分の計画で、いまの処理場でも四十二万人分処理できますと言っているけれども、実際にはそこへ入る公共下水道ができてないということで、たれ流しになっているんですね。そのために、これ沖繩現地新聞ですけれども、これほどたくさんの紙数使って川を取り戻そうというキャンペーンをやっているわけですわ。そしてこの中にはどのくらいひどくよごれているかというようなことがたくさん書かれておる。そういう意味では、那覇市なんか、私なんかも何回か行ってますけれども、川は非常によごれてますよ。そういうような状況になっている。だから、そういう点考えてみれば、すべてうまくいっているというようなものではない。やはり下水道早くつくらなければならぬ状態になっているわけですわ。  そこでお聞きしますが、まあ沖繩、特にこの場合那覇市に限ってみまして、河川の汚染状況ですね、それと環境基準に基づく類型指定、その達成のための期間等はどういうふうになってますか。
  98. 久保赳

    説明員(久保赳君) 環境基準の問題でございますが、これは那覇市の市内河川が、水系ではなくて指定された、これは全部二級河川でございますが、七つ指定をされておるわけでございますが、河川法に基づく指定をされておりますが、そのうち環境基準が定められております川は国場川という川が昭和四十九年の三月四日に指定になっております。国場川そのものは、河口部、つまり海に近いほうの地域と、それから上流部と二つに分けて指定になっておりまして、河川等の流域の水域が曲からEまであるうち、国場川の上流側はEの類型に指定になっており、下流のほうはCの類型になっております。上流のほうの達成の期限は、いわゆる水質汚濁環境基準を定める際に、イロハと三つに分けて達成期限が定まりますが、ハという類型でございますから、五年以上であるけれども可及的にすみやかに達成をすると、こういう達成期限の指定でございます。それから、下流のほうは口の指定になっておりますので、これは五年以内に達成ということで環境基準がきまっておるわけでございます。それ以外の六つの川については、まだ環境基準がきまっておりません。
  99. 春日正一

    ○春日正一君 那覇での国場川の例で言いましたけれども、汚染の状況、これは県の調査で、一日橋というところで六・八PPM、板橋というところで七二・二PPM、それから長堂川というんですか、ここで二五・OPPM、真玉橋、ここで二〇・七PPMというような形でよごれていますし、琉大の保健学部の有志の水質調査、四十七年八月十一日午後二時、安里橋で二四・三、祭温橋で六六・三八、中之橋で四八・四七、十貫瀬橋で九一・一四、旭橋四六・〇四それから農連市場前七三・四五と、これ真夏のことですけれども、相当よごれておる。こういう状況のもとで、いま言われたような環境基準ですね、これを実現していくために中部流域下水道処理施設を改善しただけでは、それはどうにもならぬということじゃないですか。その点はどう考えているんですか。
  100. 久保赳

    説明員(久保赳君) 国場川に限って申し上げますと、国場川の水質はただいま春日先生が申し述べられた数字にほぼ近い数字を私どもも聞いております。水質類型のEといいますと、BODにして一〇でございますから、現状たとえば二五PPMというもの、あるいは場所によりましては七十数PPMというものを一〇まで下げるにはかなり総合的なる対策を立てなければいけないと思います。御指摘のように、流域下水道だけでこの環境基準を達成し得るかと、こういう御質問でございましたが、この環境基準がきまった直後に、私どもも汚濁の原因というものを、原因がどういうところにあって、どういう対策が一番効果的であるかということを若干調べて、いま調査の進行中でございますが、中身を見ますると、いわゆる都市下水というものがその汚濁総量において占める割合が大体一六%から二〇%ぐらいの間でございます。それ以外のもので、非常に汚濁原因の割合として多いものは、いわゆる畜舎排水、あるいはまた一部の工場排水等がございます。それらにつきましては、もちろん水質環境基準が指定されますと、総合的な対策として水質汚濁防止法が適用になると思われますので、下水道対策にあわせて、それらの水質規制対策を総合化することによって環境基準の達成をはかっていくということがぜひ必要であろうと思いますので、関係部局ともよく相談、協力をいたしまして、環境基準の達成を期日の中で進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  101. 春日正一

    ○春日正一君 その点は現地新聞もあげております。たとえば畜産の汚水が非常に流れ込んでいる。特にアメリカ軍は自分の基地の中の水だけはきれいに処理するけれども、基地の外へ出たらそこからはたれ流しというような状態になっている。それから居住者の生活排水、こういうようなものも相当流れているし、特に水洗化といっても、それが非常に不十分で、十分に浄化されない状態にあるとか、いろいろ言っておりますけれども、とにかく都市下水道なり公共下水道をつくって、それで流域下水道に入れていかなければこれは処理はできない。もちろん工場なんかは発生源で、汚染をとめるとしましても、全体としてみれば公共下水道を早急にやはり布設して、流域下水道に入れていくということをやらなきゃならぬ。そういう意味で、公共下水道を促進するためにもつと補助を高率にして、現行の補助率はかさ上げなしで、対象率は先ほど一〇〇%と言われましたけれども、一〇〇%になってないものも、私道の枝管なんか対象になって、単独でやっているのですけれども、しかし、対象率一〇〇%にしてやるというだけでなくて、やはりそういうのをやるためには、補助率のかさ上げをする必要があるんじゃないかというふうに思うのですけれども、その点どうですか。先ほども言ったように、復帰前には琉政のほうから九一%、公共下水道に対しては補助が出ておるというような状態になっているはずですが、特に沖繩の市町村というところは財政的に基礎が弱いし、沖繩県自体非常に基礎が弱いわけですから、こういう金のかかる仕事をやるということになれば、補助をかなりつけたからといっても、その裏金が出ないというところに一番の悩みがある。だからかさ上げをしてくれたのだと私は思っておった。さっきの説明を聞くと、そういう配慮は何にもないじゃないですか。奄美並みでございますとか、どうでございますとか、そういう配慮というのは何にもないことになる。私はそうではなかったと思っておった。財政的に弱いから特別に補助をしてあげなければいけないということだったと思った。そうでなければならぬと思うのですが、どうですか、その点、長官考え方として。
  102. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) やはりいま春日委員の言われたことが私は本筋じゃないかと思います。やはり格差を解消するということが何より大事なことだし、また、沖繩が二十七年後に日本に復帰したという、その現時点においても、それは一長一短いろいろな点はあったと思いますが、しかし、何と申しましても本土との間の格差は大きかったと、私も自分で感じておるわけでございます。そうしたものを解消するという方向は、やはり今後も忘れてはならないというふうに考えます。
  103. 春日正一

    ○春日正一君 そういう意味で、いままで公共下水道には補助率のかさ上げというものはなかったわけですけれども、いま言ったように、これをかさ上げして、現地の弱い財政力でも可及的すみやかにそれができるような状況をつくってあげるということが、格差を解消する一番の条件だろうと思うのです。それと同じ趣旨で、この開発計画にある中南部の流域下水道の整備、これも急ぐ必要があるし、そうして本土でさえこれをかさ上げというか、上げて、いままでの沖繩並み以上にするという必要が出てきておるわけですから、そういう意味で言えば、その上がった分にさらに流域下水道でもかさ上げをするということで、格差というものの解消ということが実現できるのではないだろうか、そういうように私は考える。  そこで、ついでに申しますけれども、いま長官のほうからも本土との格差の是正という立場から考えて、私の考えているような考えを一応肯定されたのですけれども、いまの下水の状況について、これは都市計画中央審議会での「下水道整備の今後のあり方について」というものを見ますと、そこではやはり第一に、「現在の第三次下水道整備五箇年計画を改訂し、新たに第四次下水道整備五箇年計画を策定することを必要と認め、その関連に重点をおいて今後措置すべき事項を検討した。」ということで、新しい五カ年計画下水道整備を促進するということをいっており、さらに、「公害対策基本法に基づく水質環境基準は、次第に全国にわたり網羅的に設定されつつあるが、この基準達成のためには、下水道の整備は排出規制とならんで、最も効果的かつ基本的な施策である。」と、こういうふうに位置づけているんですね。そうしてこの下水道の長期目標と、昭和六十年ごろには人の健康、生活環境に悪影響のない状態の確保を目途として、次のような目標を設定すべきであると、こういって、「都市の市街地のみならず農山漁村等にも下水道を整備し、およそ昭和六十年頃に下水処理人口の普及率を市街地人口に対して一〇〇%、総人口に対して約九〇%まで引き上げる。」と、そして、「地域の実情に応じた三次処理実施する」云々というように、非常に高い目標で、しかも下水道の整備というものを急いでやらなきゃならぬというようなことを答申しておるわけですね。それが現に問題になって、そうしてこの第四次五カ年計画が必要だということで、昭和四十九年度を初年度として、目標普及率五〇%、五十三年末までということで、総投資額八兆円いうようなことが考えられたというふうに報道もされております。そして、第三次下水道財政研究委員会、これ建設省の委託ですけれども、下水道財政のあり方についての提言という中で、やはりこの答申と同じような立場から、第四次五カ年計画の策定などについても答申をしておる。そういうふうな状況になっております。そして、建設省ではそういう答申を踏まえて、十二兆三千億円の新五カ年計画検討中だというふうにいわれておりますけれども、この点はどうなんですか、建設省。検討したことあるんですか。
  104. 久保赳

    説明員(久保赳君) ただいま先生から都市計画中央審議会の答申並びに第三次下水道整備財政研究会の提言等の御説明があり、五カ年計画改定に対して建設省はどういうふうに検討しておるかと、こういう御意見だと思いますが、実は昭和四十九年度から、ただいまの都市計画中央審議会の答申と第三次下水道整備五カ年計画の、第三次下水道財政研究委員会の提言をベースにいたしまして、四十九年度から現在の第三次下水道整備五カ年計画を改定をいたしまして第四次に移行したいということで、予算の要求もいたしましたし、そのつもりで事務的な準備もしておったわけでございますが、御承知のような総需要抑制下にありまして、計画の改定はしないという方針政府部内できまりました。したがって、建設省といたしましては、計画を一年延ばして、次の年から計画の改定に入りたいということで、目下準備をしておるところでございまして、その意味では、検討をしておるところでございます。
  105. 春日正一

    ○春日正一君 あのね、大臣。まあそういういわゆる全国的に見ての下水道をめぐる情勢なんですね。いまの五カ年計画は二兆六千億ですね。それを十二兆数千億にふやそうというようなことが一応検討されておるというような情勢ですよ。そういうことを考えてみますと、沖繩のように財政力が弱い県、市町村で、本土との格差をなくして進んでいこうということになれば、やはり国としての補助というようなものを、ほかの府県、市町村に対するよりもかさ上げしてあげるということが格差をなくすということの具体的な配慮だろうと思うのですよ。だから、そういう意味で、まあこの法律そのものはもう衆議院を全会一致で通っておりますし、あれですけれども、しかし、少なくとも来年度に向けてこのかさ上げ措置を復活さしていくと、公共下水道にまで広げていくというような前向きの態度で検討していただけないものかどうか。これはやはり開発庁が積極的にその気になって問題を提起していただけばですね、さらにこれは建設省その他の当然問題にもなるわけですし、だからそれを、私はどうも、この本土が上がって、沖繩も本土並みになったからつて、それでもう特例は抜きにするというような考え方というのはあんまり形式的過ぎると、実態的に見ればやはりそこをもっとめんどうを見なくちゃならないのじゃないか。その辺の考えを聞かしていただきたいのです。
  106. 久保赳

    説明員(久保赳君) 沖繩下水道整備の問題は、春日先生、本土との格差をなくするというふうに御指摘でございまして、本土の中も府県別に見まするといろいろございますから、沖繩よりも普及の程度の高い県もありますし、沖繩より低いところもあるわけでございまして、一般的に平均的に言いますとむしろ沖繩のほうが下水道整備につきましては、ほかの施設はこれは別でしょうけれども、下水道整備につきましては本土の平均よりも整備率が進んでいると、こういう現実でございます。しかし、それでも約一九%でございますから、いろいろな水質環境基準の達成とか、あるいは生活環境の改善等からいいますと、決して十分な数字ではございませんが、本土との比較におきましては進んでいるということが言い得ると思います。本土の中でも、例をあげますと、たとえば佐賀県とかあるいは島根県とか、こういうところはゼロでございます。公共下水道の整備からいきますと現状ではゼロでございます。そういうところと比較をして云々ということではなくとも、平均と比較して、平均より若干高いということが言えるかと思うわけでございます。  それから、なお補助率の問題でございますが、これは先ほど沖繩開発庁のほうからも御説明がございましたが、補助率の問題と加えまして補助対象の範囲ということがきわめて下水道関係者にとりましては非常に大きな問題でございますが、沖繩につきましては、下水道、管のほうの事業及び終末処理場のほうの事業を含めまして、補助対象の範囲が一〇〇%全部補助対象にするという、こういうことになっておりますので、本土の事情からいいますと、かなり沖繩のほうが優遇をされた形になっていると思うわけでございます。  それからなお、下水道の財源問題は、結局は地方財政の問題になってくると思うわけでございまして、補助率だけでもって財政問題を議論しにくい点がございまして、補助率にあわせて、たとえば地方債あるいは交付税と、それらの問題を含めまして議論がなされてしかるべきものではないかと、こういうふうに考えておるところでございます。
  107. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 私からも財政面からの御説明させていただきますというと、いまも建設省のほうからお話があったように、地方債によってどのように裏負担措置をするかということが一つの点でございます。その点については、四十八年度流域下水道につきましては地方負担の六割が起債対象でございましたものを、四十九年度からは四分の三の地方債充当率にいたしたい。それから公共下水道につきましては、地方負担の三分の二でございましたものを、本年度から、新年度から四分の三に高めるということによりまして、地方債負担を軽減いたすという配慮をいたしております。  なお、補助率体系の問題ということになりますというと、財政問題から見ました場合には、下水道だけじゃございませんで、全体、総体において判断いたさなければならない面がございます。振興法におきましては、御承知のとおり、先ほども申し上げましたように、道路、空港、港湾、漁港等の改築等の目ぼしいものは十分の十という全く例のない、要するに地方負担なしという部分が大きな部分を占めております。したがいまして、結果的にどうなっているかと言いますというと、これは大数観察でございますけれども、公共事業につきましては、一般の府県でありますというと、地方負担が半分ございます。地方債とは言いながら、やはり借り入れ金等でございますから、半分が地方負担になっております。沖繩の場合には一〇%でございます、現在。そういうふうに非常に負担割合がそもそも低くなっているのは、いまも申し上げたように、十分の十というものが大きく占めている、しかも重要なものにつきまして、ということがある。一方、交付税につきましては、来年度一七・四%の伸びということになっております。そういうふうなこと。それからその他いろいろ一般財源措置が相当伸びておりますので、そういうことを考えますというと、この際下水道が高くなった分にあわせまして、一部改正するものより高い率を適用する。しかも、その高い率、四分の三の率というのは、いま下水道関係、いま建設省からお話しがあったように、実質的には補助対象率と申しますか、補促率が非常に一〇〇%であるということを考えますというと、実質的には四分の三であると、本土のほうは半分程度であると。そう言っては何だと思いますけれども、そういう面もございます。そういうことも一つ御考量いただきまして、申し上げたいのは、十分の十という特段のものに影響するようなことがあってはならない、必ず一部のものについて議論を展開いたしますというと、その最も異例な措置につきましてどうするかと、こういう問題を誘発するということもございます。もちろん開発庁としては全般的には勇気を持って取り組んでまいりますけれども、一部のものについてあれこれと申すことはいたしかねる、したがって、これは至難な問題であるというふうにお答えいたしたいと思います。
  108. 春日正一

    ○春日正一君 あのね、いま下水道部長沖繩のほうが本土より平均すれば普及率高いと言われたけれども、これは私ども建設省からもらった数字ですけれども、面積比で沖繩が四十八年度現在二一・六%、全国は四十七年度末で二四・九%、こういう数字になっておりますね。佐賀県にないとか島根県にないとか言いますが、やはり佐賀県や島根県には那覇だのコザみたいなような都市はないでしょう、あれほど過密な都市は。だからそういうことを言って、だからそれだけあるのはあり過ぎるんじゃないかというような印象を与える言い方はすべきじゃないし、沖繩に与えてきた犠牲といいますか、それからくる立ちおくれというものを一日も早く本土並みに引き上げる、いわゆる格差の是正をやろうとすれば、やはりそういう措置をとらなければ、たとえば一〇〇%適用ということを恩着せがましく言うけれども、しかし、一〇〇%適用してやるからといったって、裏財源がなければ幾らでもやるというわけにいかないのですから、実際の沖繩の去年の県の予算なんか見ましても、実際に県が自由に使える金というのは非常に少ない。だからそういう意味で、こういう大きな社会的な投資、こういうものに対しては相当な援助、補助というものを与えるということが必要だろうと、私はそう考える。先ほど大臣がそういう意味で格差の是正ということを一番大事に考えておいでになるというふうに言われたから、私はもうこれ以上この問題で議論しませんけれども、しかし、あなた方の考えているように、このくらいやつでやれば沖繩はたくさんだろうというような考え開発庁の仕事をされたら、いろいろな困難にぶつかると思うのです。だからその点を私は特に言って、大臣にももう一度この問題についてはひとつよく考えて洗い直してみていただきたいと、このことをお願いしておきます。  それから次に、沖繩の国鉄の建設問題についてですけれども、沖繩に鉄道を建設する問題は、沖繩の交通事情から言っても、また沖繩県の産業開発、観光開発その他開発という観点から言っても欠かせない問題だということで、私どもずっと早くから沖繩縦貫鉄道の建設ということを主張もしてきたんですけれども、今年の三月二十九日の県議会で鉄道の導入に関する意見書というものが、これは全会一致で可決されております。そうして県は、四十八年度にもつけましたけれども、四十九年度も引き続いて鉄道建設についての調査費を計上して、それを積極的に推進するという努力をしておるわけですけれども、この点について、この沖繩振興開発計画を見ますと、県の出した開発計画では、鉄道の敷設ということが交通あるいは開発の中心として提起されてますけれども、国できめたものにはそれが削られて、ちょっとあいまになっているわけですけれども、この鉄道建設の問題について、大臣、どのようにお考えですか。
  109. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 三月二十九日の県議会における全会一致の決定という情報もすでに知っておりますが、四十九年度においてこの沖繩に国鉄を建設するというような、そのような考え方は現在のところはまだございません。しかし、那覇中心にした現在の本島の交通のラッシュ等の現状は、やはりこれは非常な状態でございますし、また、そうした交通ラッシュが物価にも影響し、また、住宅にも大きく影響しているという事実もわれわれは決して見のがしてはおらぬわけでございまして、いずれにいたしましても、国鉄を敷設するというような基本的な考えはございませんが、いずれにしても総合的な交通体系及び交通量、そうしたものを全島的に調査をするということをやるつもりでございます。いま具体的とでも申しますか、一つの案として、これはもちろん確定されたものではございませんが、やはりモノレール方式というようなものも一つの交通緩和には役立つのではなかろうかというようなことを考えておるのが現状でございます。
  110. 春日正一

    ○春日正一君 格差をなくすという立場から見ても、さっきの話だと下水道のない県があるという話が出ましたけれども、沖繩だけが国鉄のない県ですわ。しかも、国鉄があってじゃまになるということではなくて、いままであそこの交通は、主として自動車交通ということでやられてきたんですけれども、しかし、モータリゼーションと言いますか、自動車中心の交通政策の弊害というものは、これはもう本土でもすでに重大な問題になって、これは何とか改めなきゃならぬだろうと、そういうために新しい都市の交通体系をどうするかということも問題になっておりますし、それから国全体としても新幹線網を全国に張り回すと、そしていまの在来線とあわせて人間と貨物の輸送の動脈にしていこうというようなことが問題になっておるということから考えれば、沖繩だけが自動車だけで間に合うというようなことは、道理から言ってもこれは成り立たないことだと思いますよ。そして、現に自動車の増加の結果、警察庁の調べで見ますと、四十六年で八十二人、四十七年百五人、四十八年が百二十三人と、これは最終ではないんですけれども、こういうふうに交通事故死がふえておりますし、それから昭和五十年には自動車の台数が三十万六千台、それから死者は四十九年で百五十五、五十年で百八十一人と増加するだろうというような予測がされておるわけですね。私ども計算してみたんですよ。これ非常に手間のかかる計算ですけれども、道路面積一平方キロメートル当たりの車の台数、昭和四十七年で出しますと、青森県、これが三千四百三十台、福島県が三千八十台、東京が二万二千三百台、神奈川が一万七千六百台、埼玉が五千四百十台、ところが沖繩は一万三千六百台、しかもこの中には米軍あるいは米軍属の車両、これ二万台こえていると見られているようですけれども、こういうものが入ってなくてこれだけの密度を持っているということになりますと、これは米軍の車まで加えると首都圏並み、近畿圏並みの密度を持っておるわけです。しかも、ここでは、京阪神の交通圏では人がどういうふうにさばかれておるかというと、国鉄一四%、私鉄が三一・九%、地下鉄が一一・一%、路面電車が二・六%、合わせて五九%は鉄軌道で運んでいるんですね。そしてバス一六・一、ハイヤータクシー七・六、自家用車一七・三、合計で四一%、これが京阪神の交通圏での乗りものの利用状況です。それから首都圏のほうを見ますと、国鉄が二四・六、私鉄が二一・九、地下鉄が九・一、路面電車が一・二、合計五七%、それからバス、ハイヤータクシー、自家用車の自動車合計で四三%、こういう数字になっているわけですね。だからこういう点から見れば、この沖繩の交通事情というものがどんなに深刻なものか、しかも、これからさらに車がふえていくという状態になれば、どうにもさばきようのないような状態になってくるだろう。あれだけ基地とられている狭いところで、必要なだけ道路をとるというわけにいかぬでしょう。そういうふうに考えてみれば、当然鉄道をつくるということが課題にならざるを得ないだろう。だから最初に、一番先私ども縦貫鉄道をということを言った。それからほかの党派の人たちもみんなそれを言い出してきて、ことしになって中央政府方針を考慮してだろうと思いますけれども、いままで積極的な態度をとらなかった沖繩の自民党のほうもそれに賛成して、共同で提案して全会一致で決議しているというところまできておる。だから沖繩県の生活の実態が鉄道の敷設ということを要求する方向に動いておるんだというふうに私は言えると思います。だからそういう意味で鉄道をつくるという、いまここで敷きますとか敷きませんとか言えないまでも、そういう問題について、沖繩県ではすでに調査費を組んで具体的にどうするかということを考えておるわけですから、そういうものに対して積極的に支援をするなり、一緒になって検討してみるというようなことをこれはやってほしいと思うんです。  特にこの際、私、指摘しておきたいことは、大臣は沖繩開発庁の長官として沖繩の交通問題に対しても当然責任を負っておいでですけれども、同時に総理府の総務長官は政府の総合交通対策、交通安全対策の担当大臣でもあるわけですから、そういう意味日本国じゅうの交通というものとのにらみ合わせの中で沖繩に鉄道を敷くと、そうすることで本土から国鉄の連絡船も行けるような、輸送船も。そういうふうになって初めて格差がなくなるということになると思うんですよ。鹿児島まで新幹線来た、沖繩には鉄道がない、そこから先は切れておるということでは、これは格差がなくなったということにはならぬし、生活の現実からも実際に沖繩に鉄道を敷くということが、交通なり産業の一番の動脈になるんじゃないかというふうに、県議会の動き自体が、大臣の属しておられる自由民主党を含めてそれを要請するような状況になっておるわけですから、これは真剣に考えてほしいと思います。その点でひとつ大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  111. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 県議会での決議はまだ十分拝読しておりませんし、よく読んみます。しかし、私、あなたがいまおっしゃったように、全然モータリゼーションの波に乗って自動車だけでけっこうだと言っておるんじゃないので、むしろあの狭い面積の地積を考えたときに、要するにそれでもって輸送力が増大して、市民たちがもっと広い地域から那覇への生活といいますか、働く所を求めることの可能なような、そのような配慮がされればいいのであるから、ある場合にはそれはモノレールというようなものも多くの土地を使わないで済むし、いいのではないかというふうに考えておるわけでございまして、いまの県の要求というものについても、よく検討してみたいと思います。
  112. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、去る三月二十日の予算委員会で質問をいたしました問題に関連して最初にお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一は、振興開発計画の再検討についてであります。二十日の委員会では、田中総理はじめ開発庁長官も、沖繩の開発に対する基本姿勢として、押しつけるものではない、そうして県民の意思を尊重する。そうして現状としては、その計画はあくまでも計画であって、情勢の変化に即してこれは再検討をせねばならないといった含みのある弾力的な御発言もあったと、こう私受けとめておるわけであります。また、そうでなければいけないと、こう思っております。それで再確認いたしたいことは、この振興開発計画が既定方針どおり、予定どおり運んでいない、進んでいない。このことについては、あの時点でも政府も認めておられると、私理解いたしておりますが、それを再確認いたしたいと思いますが、御両所いかがですか。
  113. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 御指摘のように、振興開発計画の中で沖繩アルミだとか、あるいはまたCTS等については、計画が多少そごを来たしていることも事実でございます。しかし、私は、先般の予算委員会のときにも申し上げましたが、やはり沖繩県民所得水準を百万円程度までに上げるということに一番手っとり早い方法は、やはり第二次産業の振興が有効であるということは申し上げたとおりでございます。しかし、いまのようなアルミやあるいはCTS等の問題に見られるように、そうしたことがある時点でブレーキがかかっているということも事実でございまして、だからといって、この百万円の一人当たりの県民所得を確保するというプログラムそのものは、やはりこれは私はいい計画ではないか。そこに一つのくふうが要る。それで、同時にこうした工業化と申しますか、アルミやあるいはCTSその他の第二次産業を持ってくることに県民がもっと協力理解を示していただくような、そのような方法も同時に考えながら、基本的にはすでにきまっておる振興開発計画をやっていくのが一番いいのではないかと、現在も考えております。
  114. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この振興開発計画が策定された時点には、私思うのに、一つに土地の利用、二つに軍用地の転用、三つに環境の保全、これに対する配慮と方針が欠けておったのではないか、こう思うのであります。したがって、これらを含めて再検討がなさるべきである、こう私は思うのですが、幸いに県審議会でも問題点を洗い出して、いま再検討をすべき審議会ができて、それに諮問がなされております。そこから上がってきた修正意見が提案されれば、これを受け入れられる用意があられるかどうか、お聞きしたいのです。
  115. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) いまの振興開発計画をつくりますときに、ただいまおっしゃいました土地利用計画、こういうことにつきましては十分念頭に置いて、実は御承知だと思いますが、配慮いたしております。すなわち、大きくは北部あるいは中南部あるいは石垣、八重山、宮古といったような県域構想にいたしまして、県域ごとの産業開発その他を考えていくと、さらに、土地利用計画考えていくという前提で本計画ができております。実際具体的な土地利用計画そのものにつきましては、先ほども申し上げましたように、県の土地利用計画委員会で現在検討中である土地利用計画、これを開発庁十分連絡を、相談をいたしながらつくっておると、この振興開発計画に基づいて作業がなされておるわけでございまして、私どもとしては十分それを念頭に置いた現在の計画であるというふうに考えております。  なお、おっしゃいましたように、本計画そのものが最後のまとめと申しますか、末尾に書いてございますように、いろいろな変動というものがこの十カ年間の中に予想される。したがって、むしろそういう場合にはそういうことを配慮して、十分弾力的に考えていく十カ年のマスタープランである、こういう考え方をはっきり明記いたしておりまして、したがって、そのつど、つどの一時的な変動によって全体の構想が間違っていなければ変える必要はないというふうに考えております。ただ、これは歩み方といいますか、実際の予算措置をしていくなり何なりの面におきましては、十分現状というものを認識して進めていかなければなりませんので、現在県のほうでもって審議会にいろいろ案がかけられて検討されておるようでございますから、どういうふうなものを見せていただけるか、そういうことを参考にいたしまして、毎年度の予算折衝に資してまいりたい、具体的な短期の歩みぶりについてどのような考え方を持つべきか、優先順位についてどういうことを考えるべきかと、こういうことはございますので、十分参考にさしてもらい、来年度、またその次の年度の予算折衝の基礎にいたしてまいる、こういう考え方を持っております。
  116. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 つらつら思うに、工業化重点主義をどうしても是正する必要がある。こういう前提に立って、私この前予算委員会では開発庁の中の振興開発審議会の中に農業専門委員会を設置するという意図に対する質問をいたしましたら、農林大臣が、農林省の立場からの御回答があったわけでありますが、私があのとき聞きたかったことは、開発庁の中の振興開発審議会の中に農業専門委員会を設置する、この方針をはっきり持っておられるかどうか、お聞きしたいのです。
  117. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 御指摘のように、沖繩の振興開発審議会、これは委員の過半数の方々沖繩県の出身の方をお願いしております。したがいまして、審議会そのものにおいても十分現地の実態に即した議論がなされ得るものということでございますけれども、しかし、問題を第一次産業なり、第二次産業なり、第三次産業なり、それぞれにしぼった議論をしていただくことが適当ではないだろうかと私ども考えておりますし、最近の審議会においてもそういう議論はございました。そこで直ちに専門部会なり、専門委員なりということではございませんでも、農業問題等具体的なしぼった問題と申しますか、重要な問題についてまず研究を始めるということで、農林省と連絡をとりまして、すでに研究は開始いたしております。その中から必要に応じまして専門委員をお願いし、あるいは研究委員会、あるいは専門委員会ということで進めてまいることも考えられようかと、現在は具体的なわれわれの認識ということから出発いたしたいということで、研究をいたしておるということでございます。
  118. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひ審議会設置令の七十条ですか、この立場からも設置を急いでもらうべきである。その場に、ぜひひとつ現地地元からの適当な委員も加えてもらうべきである、こう思っておりますが、いかがでしょう。
  119. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) この任命行為は、総理から任命していただくことになっておりますので、十分にどういう方をその場合にはお願いすべきか、大臣とも相談して判断いたしてまいりたいと思います。
  120. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ次に、開発の裏づけになる金融公庫の問題について触れたいんですが、四十九年の二月末現在の開発金融公庫の総残額、幾ら残っておるか、その総額を、大まかでいいですからお聞きしたい。
  121. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 四十八年度当初予算は六百三億の貸し付け額でございましたが、その後、中小企業等に追加がございまして、現在の貸し付けワクは六百二十八億でございますが、二月末までの実績でまいりますというと、五百一億ということでございますので、したがいまして、それを差し引きますというと百二十七億前後だということであろうかと思います。
  122. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 残額幾らですか。
  123. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 百二十七億です。
  124. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私、この前の委員会でも実は資料を要求いたしたのでありますが、私が要求した意図は、項目別にどのようにこれが支出されておるか、貸し出されておるか、こういうことをもっと具体的に実は知りたかったわけですが、非常に大まかな資料が出ておりますので、さらに要求いたしたいのですが、この産業開発のいわゆる貸し出し内容、どういう業者、これは大まかでけっこうですから、できれば詳しい具体的な資料がほしいのですが、産業開発の項目の貸し出し内容、どういう企業体がそれを借りておるのであるか、そのことを、この表ではわかりません。これが一点。この項に対する、これはいま即答でなくてもけっこうですから、あとで資料をもらいたい。  次に、「中小企業等」とあります、その「等」というのは中身は何でしょうか、これをひとつお聞きしたい。
  125. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 産業開発、具体的なものにつきましては、公庫に一任いたしておりますので、開発庁連絡ございませんが、たとえば運輸関係で幾らと、あるいはそういう性質別でよろしければ提出できると考えております。  それから、「中小企業等」とございますのは、これは生業資金をさしておる、あるいは本土でいきますと国民金融公庫が融資しておりますところの、何といいますか、ごく低所得の方に対する措置という、生業資金、中小企業資金と生業資金、それを「等」と……。
  126. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大まかな項目が幾つか並べられておりまして、一番貸し出し実績の多いのが九二・一%、産発資金でありますが、中小企業と農林漁業、これの貸し出しが最も率が低い、非常に貸し出し状況が悪い。こういう統計が、数字が出ておりますが、この理由は何でありましょうか。
  127. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 中小企業のほうは、むしろ実態はいいと考えております。といいますのは、次々と追加がございますので、十二月の末に二十億、それからさらにごく最近、石油問題がございましたので五億といったような追加がございますものの消化がまだあがってきていないということ。それから、確かに農林漁業資金とかあるいは住宅資金とか、消化し切れないものもございます。しかし、公庫としては、要するにせっかくのワクでございますから、全部沖繩のために投資、投資と申しますか、融資いたしたいと、こういうことを考えておりますので、消化未済と考えられるものにつきましては、需要の強いほうに回すという考え方を持っております。したがって、中小企業等のほうにぐっと回っておりまして、当初の中小企業のワクは百三十三億でございますが、現在は追加流用等によりまして、二百二十六億という大きな額になっております。したがいまして、この時点ではまだ七三%でございますけれども、年度末までには一〇〇%消化されるというふうに見ております。  それから農業のほうにつきましては、先ほどもいろいろと本席でお話ございましたように、前提としての土地基盤整備、その他の問題がございますし、まず個々の農家の方その他の目標と申しますか、どのようにして農業をあれしていこうかといったようなことについての意欲ないし目標が定まっていない。これは指導者層の養成ということともからんでまいると思いますけれども、したがって、なかなか融資を受けてまでやろうという段階に来ていない人が多いのではないだろうか。いずれにしましても、せっかくワクを確保して消化不良というのは残念でございますので、なぜ一体そういうことになるのか、なお問題を、先ほどもお話ございましたように、専門の方と意見交換して、問題を詰めてまいりたいというふうに考えております。
  128. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 特に重視すべき農林漁業資金あるいは中小企業資金の貸し出しは関心を持たなければいかぬと、こう思っておりますが、仄聞するところによると、非常に借り入れ条件が、手続が非常にめんどうで借りにくいと、こういう声もありますが、その点もっと緩和できる方法はないものでしょうか。もしそれが抵抗になって貸し出しが、なかなか借り入れができぬということだから、その条件を緩和することは考えておられませんか。
  129. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 確かに、公庫発足当時そういう声の非常に強かったことは事実でございます。これは一つはPRいたしておりましても浸透していなかったということ、まあ公庫に対して理解していただくまでに至っていなかったというようなことがあったと思いますが、その後できる限り、いわゆる簡素化等の配慮をしてまいりました。金融公庫だけですべての処置しようとすると、職員のふなれの問題もございましょうし、なかなか時間がかかるということで、委託できるものは、しかるべき金融機関等に委託できるものに対しては、どんどん委託の範囲を広げてきております。今後とも可能な限り委託して、能率的に進めることを考えなければならないと思っております。  なお、先ほどの生業資金という話に触れてまいりましたけれども、生業資金は無担保でやっておりますけれども、これにつきましては、四十八年度四億のワクを来年度は十六億に伸ばしております。沖繩の場合、四倍になっております。というふうにできるだけ現実に即して借りやすいように配慮はいたしておりますし、今後とも努力してまいりたいと思います。
  130. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、沖繩の特殊事情からくる重大な社会問題の一つでありますが、特殊婦人の更生、特殊婦人の更生施設のための貸し付け制度、四十八年五月に発足しておるようですが、八カ月経過した今日まで一件の貸し出しもないと、こう聞いておりますが、これは事実であるかどうか。もし事実であるとするなら、その原因は融資手続に問題があるのであるか、あるいは更生婦人のプライバシーの立場からの配慮が足らないのであるか、せっかくこういう制度を設けて予算化しても、これが一件も八カ月、一年近くも使用されていないということは、まことにこれは残念であり、重大な問題だと、こう思っておるわけなんですが、これはどういうことなんでしょうか。
  131. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 要更生婦人の対策というのは、金融公庫の融資だけで措置できる問題でございません。むしろより根本的な対策各省、厚生省に当然考えていただかなければならない問題でありますけれども、金融公庫の融資の面という面からも何らかそういう問題に取り組みたいということで、三分という低利融資ということで制度ございますけれども、御指摘のように、それだけの何と申しますか、成果が十分にあがっているとはこの部分については申せないと思います。その原因につきまして、まだ調べるところには至っておりませんけれども、ただ、やみくもに要更生婦人を雇ったから融資するというわけにもまいりませんので、御本人の名前は終始秘して、ただ厚生省とも連絡とって、婦人相談員等から何名とかというような感じの協力はしていただく必要があるというようなこと程度で、御本人の名前等は一切秘しております。けれども、やはりたぶんみずからそういう立場にあるものだから採用してむらいたいんだというふうに乗り出すという気持ちにはなれないという、個々の人たち気持ちではあるまいかと思います。しかし、この点についてはもう少し、せっかくの制度でありますので、研究してみたいと思っているところでございます。
  132. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この問題につきましては、県庁側も重大な責任があると、こう思うんですが、さらに国とされましても、もっと理解と愛情を持って、せっかくできた制度が利用されぬということは、事はどうあれ、ほっておくべきものじゃありませんので、ぜひひとつそれが完全消化できる方向に御努力を私は要望したいんです。そうして緊密な連絡をとっていただきたい、私もまたその立場から努力をいたすつもりでありますので。  次に、在日米軍の基地の整理統合について、きょう大臣お見えでありませんが、お尋ねいたします。  内容に入る前に、前佐藤総理は、沖繩返還なくしてわが国の戦後は終わらないと、こう名セリフを残された。その沖繩が復帰したいま、私は北方領土問題、いわゆる北方領土が完全返還しない限りわが国の戦後は終わらないと、こう訂正しなければならない。そういう意味におきまして、北方領土の完全返還、これは国をあげてその実現にみんなが粘り強く立ち上がらなければいけないと、こう私は思うものであります。さらに、沖繩の立場からまた申しますならば、沖繩は一応行政権は返還されたが、沖繩の完全復帰なくしてわが国戦争は終わっていない、こういうことを私はまた強調するものでありますが、ところが、けさの大平外務大臣の御説明によりますと、その内容、はしょってみますと、あくまでも沖繩基地の整理統合については現地要望、二つ、沖繩県開発計画の推進、三つ、民生の安定の確保などの関連を踏まえ、ここまではよろしいんです、それを受けて日米安保条約目的達成との調和をはかりつつ、米軍施設区域整理統合についてこれまでの計画進捗状況を見ながら検討すると、こういういわゆる両天びんにかけた、こういった表明がされております。これは沖繩の立場からしますと、一体安保条約目的達成との調和をはかりつつということになりますというと、沖繩が、安保の目的達成とのその調和——いつまでいまのような犠牲をしいられていくのか、これまででもたくさんであるのに、そうしていま沖繩県民は、沖繩の基地の完全撤去を要求しておる世論も御承知だと思います。そうして沖繩県開発計画の支障になっておるということも十分認識しておられると思います。そうして県民の民生安定という立場からも、これはもう論外の論である。そういうことと、安保の調和とのタイミングを見ながら進めていくという、一体どちらにその比重を置いておられるのであるか、まずそれをお聞きしたい。
  133. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 沖繩の放設・区域整理統合の問題につきましては、政府としての考え方をかねて国会その他の場で申し上げているところでございますが、けさほど外務大臣の沖繩問題に関しまする基本的な考え方の御説明の中でありました点は、いま喜屋武先生御指摘のとおりでございまして、いわば喜屋武先生のお立場で相反する要請のどちらに重点を置いているのか、こういう御質問であろうと思います。政府といたしましては、日米安保条約日本の安全の見地から結んでいるわけでございまして、その安保条約に基づいて「日本の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与する」、こういう趣旨のもとに、米軍に対して施設・区域の提供を行なってきているわけでございます。一方、そういう安全保障上の要請があると同時に、また現地要望、また沖繩県開発計画の推進、民生の安定、こういう要請も他方にあるわけでございまして、開発計画という観点だけにかりに立ちますならば、施設・区域がないという形が望ましいという考え方はよく私どもわかります。しかしながら、一方、先ほど来申し上げておりますように、政府としては、日米安保条約を維持するという基本的な立場の上に立って米軍に対する施設・区域の提供を行なってきているわけでございますから、そこらの要請を十分総合的に調整をはかりつつ、この問題に取り組んでいくということであるわけでございます。しかしながら、沖繩返還以降も、沖繩にあります米軍の施設・区域の数が非常に多いということも現実であるわけでございますから、そういう点を踏まえまして、政府としてかねて沖繩における米軍の施設・区域整理統合ということに取り組んでまいりまして、昨年の一月、またことしの一月、二回にわたる日米安保協議委員会におきまして、ある動きが、原則的な合意アメリカとの間に得られて、これを発表し、また現在それの実施のために鋭意努力を行なっている、こういうことでございます。
  134. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 どうもお聞きしますと、安全保障との調和をはかるためには沖繩の犠牲もやむを得ない、こういうことにも受け取れますが、そういうお気持ちですか、もう一ぺん。
  135. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 犠牲というふうにおとりいただくというのは、私どもの考え方でございません。日本政府といたしまして、アメリカとの間に安保条約を結び、これを維持していくという基本的な方針をとっているわけでございますけれども、その安保条約実施関連いたしまして、在日米軍施設区域をいかに円滑かつ有効に提供し、また、それに伴う問題の発生を最小限にしていくかというところに問題があろうかと思うわけでございまして、そういう観点に立ってこの問題に政府として取り組んできているわけでございます。
  136. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 あえて追及いたしますのは、沖繩の復帰後の基地は、むしろ結果的には強化されつつあると、こう見てもいい。強化されている。しかも、日本の全基地の五四%を沖繩に占めておるということも御存じだと思います。そのような状態、形で、沖繩が一体国の立場からするとまことにやむを得ないとはおっしゃらぬだろうけれども、何か結果的にはそういうことにしかならない。断じてこれはがまんできることではありません。これまでの犠牲も、もうこれはがまんならないことであります。しかも、今後も安保条約との調和をはかりながらやっていくという、こういう基本的な考え方には断じてこれは承服できません。考えられません。ということを申し上げて、それに対する見解を求める必要はないと思いますが、そういう怒りを込めた不満を持っておるという県民の意思を私は率直に吸い上げていま述べておるということを理解していただきたい。  それでは、その今回の整理統合計画の性格と、今後の返還計画について、述べられた復帰後の返還は、いまだ一〇%そこそこにしか過ぎない。そういう返還整理計画返還されたものも含めて、今回の整理統合計画の性格と今後の返還計画についてどういう方針を持っておられるか、そのことをまずお聞かせ願いたい。
  137. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 一月三十日に開かれました第十五回の日米安保協議委員会で、日米間で原則的な話し合いがまとまっております計画は、すでに発表されておるとおりでございますが、大ざっぱに申しますと、この合意の内容は三つございます。  まず、第一の分類に属しますものか、移設なしに返還される施設区域でございまして、これは全部の返還が七件、一部の返還が十三件、合計二十件ございまして、この面積を合計いたしますと千二十六万九千平方メートルになります。  第二の分類に属しますものとしまして、これは移設措置とその実施にかかわる合意の後に返還される施設、区域でございまして、全部返還になりますのが十二件、一部返還が六件、合計十八件でございまして、この面積の合計が千六百三十二万六千平方メートルになっております。  第三番目の分類に属しますのは、返還について引き続き今後検討される施設・区域ということでございまして、これは全部の返還が九件、一部の返還が一件、合計十件でございまして、面積といたしましては二百四十万三千平方メートルでございます。  そこで、移設区域とその実施にかかわる合意と、こういうことを申しておりますのは、返還ということにつきましては、その方向が大体きまったわけでございますけれども、それにつきまして、現にあるものの移設ということが条件になっているわけでございまして、この移設の措置を具体的に固めまして、どこへどの程度のものをどういう手順で移設していくかという作業を、米側と取りきめる必要があるわけでございます。  また一方、第三の分類に属します返還につき、引き続き検討される施設・区域と申しますのは、まだ返還そのものについて方向がはっきり固まったわけではございませんけれども、日本側としましては、今後とも具体的にその返還についての話し合いを米側と続けまして、全部返還あるいは一部返還という形で、これの返還のための話し合いを固めていきたい、こういうふうに考えておるものでございます。  で、今後の問題といたしましては、昨年の一月に合意を見ております那覇空港周辺の施設・区域の移設並びにそれを経ましての返還、さらに今回一月に合意を見ました、いま御説明申し上げましたものの具体的な実施を鋭意はかってまいるということを重点に置いて作業を進めてまいる考えでございます。その上で、さらにまた残された問題については、引き続いてこの問題について取り組んでいくというのが私どもの考えでございます。
  138. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま述べられたこの返還の部署と、また今後の計画についての一つ日本の立場からのとらえ方でありまするが、それに対して、銅崎那覇防衛施設局長のそれに対する発言を御存じですか。
  139. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 現地におきまして、那覇防衛施設局の銅崎局長がどういうふうな発言をしたかということは、私どもは具体的に御指摘されているところがどこにあるのか、ちょっとわかりませんので、よく承知しておりません。
  140. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ申し上げます。そしてその発言の内容を、そのとおりと受けとめていいかということを私は尋ねたかったんです。その発言の趣旨は、「今回の基地返還は、個別的な施設の整理統合によるものであり、関東計画のような在沖米軍基地全体の整理統合計画、つまり沖縄計画の予備的な性格を持つものである」と、こういう発言を二月四日の現地新聞で報道されております。これをそのとおりであると受けとめてよいかどうか、いかがですか。
  141. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) これは沖縄におきますところの、沖縄現地新聞に出た記事だということは承知しておりますが、ただ、この内容につきましては、当時銅崎局長のほうに私ども照会いたしましたが、その内容そのものについて、局長としてはそういうふうな発言はしてないというふうに否定した答えを私どものほうにしております。
  142. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 まあ、そのことにつきましては、またいずれ機会を求めてただしていきたいと、こう思いますが、この銅崎発言とけさの外務大臣の説明とをつなぎ合わして見た場合に、何かうらはらのものを感ずる、食い違いがあるような、こう受けとめざるを得ません。そういう意味でこれを率直にお聞きしたがったわけです。これはまあ今後の問題にいたしましょう。  そこで、この解放された施設も、まあ比較的遊休施設ですね。遊休施設が優先しておることもよく知っておりますが、ところが、私が見るに、まだ遊休施設がかなり残っておる。それで引き続き今後も粘り強くその遊休地の早期解放について努力すべきであると思うがいかがですか。その意思がありますか。
  143. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先ほど説明申し上げましたように、移設を条件として返還というものがあるわけでございまして、この移設先をどういうふうにするかということは、今後の話し合いにまつわけでございます。その際に、日本側の基本的な考え方といたしましては、原則的に新たな施設・区域の提供ということではなくして、既存の施設・区域内に移設をはかっていくという考え方で取り組んでまいりたいというふうに思っておりますので、ただいま御指摘がございました遊休と見られるような土地につきましても、あるいは将来移設の対象となるような土地もあるいはあろうかと思います。しかしながら、これは各個別の基地につきまして実態に即して考えるべき問題であろうと考えております。
  144. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 さらに、この基地の解放に関連して政府、特に外務省のしりをたたきたいのは、基地の返還に伴う基地労働者の解雇、これは理解できます。ところが、沖縄の実情は返還に直接つながらない部署での、しかも一方的な大量解雇、最近まで一千五百名という大量解雇がばんばんなされておる。これは決して基地の縮小とつながっておりません。この事実を何と見るか。そして沖縄の基地労働者はこんな不当な解雇は撤回しろと、こういうふうにして、ストに訴えていま苦悩しておる実情ですが、この解雇を撤回せよと、こう私は要求したいんですが、その意思ありますか、ありませんか。
  145. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 基地で働いておられる方々の解雇の問題というのは、非常に大きな社会問題を招く問題でございまして、当然私どもとしても頭を痛めている問題でございます。ただ、先般来国会等でもいろいろ御議論いただいておりますこの大量解雇の問題につきましては、米側との間に種々の折衝が施設庁を中心として行なわれてきているわけでございますけれども、米側日本側に伝えてきておりますのは、米側としても予算上のきわめて苦しい制約があって、やむを得ない措置であるというふうなことを申しておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、解雇の対象となられる方々の身にとってみますと、まことに重大な問題でありますから、今後とも関係の当局とよく相談し合いながらこの問題について取り組んでいきたいというふうに考えております。
  146. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひひとつ日本国民の側に立って、わけても沖縄県民の心をくんでひとつ強硬に、正しいことは筋を通して対米交渉をしてもらわなければいけない、こういうことを強く要望いたします。  次に、この前の質問に関連して開発庁長官の御答弁がどうなっておるか、その点について二、三。  まず第一に、あの時点で私野ざらしの十一個の未処理不発弾が残っておる、これに対して総務長官が非常に急いで処理してもらう、こう回答されましたが、その十一個の野ざらしの不発弾はどう処理されましたでしょうか。
  147. 伊藤参午

    説明員伊藤参午君) お答え申し上げます。  どの時点で十一というふうにおっしゃいましたのか、私ども正確に把握しておりませんですが、当時おそらく大型の砲弾が三発ほど沖縄本島にございました。それから宮古島のほうに八発ほど警察からの御連絡ではあったということで、十一発というふうにおっしゃったように私のほうは一応考えておるわけでございます。大型砲弾につきましては、三月二十日に、従来は読谷処理場で五十ポンドの制限ということもございまして、まあ爆破につきましては今後ともまだ問題ございますが、一応読谷処理場に全部回収終了いたしております。それから宮古のほうにつきましては、その後、その爆弾若干見えなくなっているというふうな状況もございまして、現在私どもが把握しておりますのは、宮古島に二発あるというふうに聞いております。  それから三月三日の事故が起きましたので、その後、現地の方の御連絡等もございまして、私どものほうに現地の警察から御連絡いただいておりますのは、八重山群島に二発、石垣島に二発、それから新たに宮古に二発、これはいずれも先生御指摘の十一発以外のたまでございます、出ておりまして、その分以降八発でございます。さきに宮古にありました二発加えますと、現在この八発だけが自衛隊としては現に発見されまして未処理になっているたまでございまして、これは地理的にちょっと離れておりますので、沖繩本島での処理等にもだいぶ精力的にやっておりますので、四月中に所要の輸送機関等も仕立てまして処理したい。なお、現在そういう意味沖繩本島には私どもの知る限りでは発見されて御連絡受けました不発弾というものをそういった未処理の形では放置してあるところはございません。
  148. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま述べられたように、あの時点で十一発が野ざらし、ところがそれ以外に次に出た。これがふしぎなんですよ。一つの問題が処理しないうちに次の問題が起こってくるという、このように連鎖反応的に、だから事が起こったらもう即戦即決、こういう態度で処理しないというと、もうあとからあとから追っつかない、これが沖繩の苦悩、そういうことを思いますときに、ぜひひとつみこしを一刻も早くあげてもらって、即戦即決、臨機応変の体制をもって臨んでもらわないというと追っつかないということですね。これは果てしない苦悩。  次に、開発庁長官は自動車の損害、家屋の損害、負傷者に対する補償金は早い時期にやっていきたい、こういう御答弁がございますが、これは早い時期にやっていきたいという非常に抽象的な御答弁ですが、具体的にはどうでございますか。
  149. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 先ほどもお答え申し上げましたが、そういうものは一括して五月末日までにわれわれのほうの計算、処理を終わりたいというふうに考えます。
  150. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、埋蔵爆発物の探査とその処理のいかんは、沖繩県民の生命の安全、あるいは不安を取り除くばかりではなく、先ほど来申し上げましたように、沖繩開発に重大な影響を与えておることも申し上げるまでもありません。そのためには、この爆発処理のための組織を明確につくって、沖繩県民安心して生活できる方途を早く実現したい、こう長官は答弁なさいました。この爆発処理のための組織づくりはその後どうなっておりますか、具体的に。
  151. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 沖繩開発庁中心に、現在関係各省精力的に組織をつくって、その内部においてこうした問題の処理全力を傾けております。特別に名前をつけた体制ではございません。政府内部の力を結集して当たる。それからもう一つは、沖繩の県及び各自治体がこの問題について大いに積極的に御協力いただくということは非常にたいへん重大なことでございますが、最近に至りまして、県当局及び自治体も不発爆弾処理については非常に積極的な姿勢を示していただいた、これは喜屋武委員はじめ沖繩出身の皆さん方のいろんな意味での御協力、御指導だとかいう点に感謝しておりますが、さらに一そう不発弾処理についての行動が敏速にできますように、皆さま方の御協力をいただければ私たちは非常にありがたいというふうに考えています。
  152. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その御意思はよく理解できますが、新聞報道によりますと、三月二十五日に、爆発事故補償、不発弾処理問題について、関係省庁会議を開いて最終的な対処策を決定する、こういうことで、各関係省庁お集まりになったが、結局結論が出なかったと、こういう報道がなされておりまするが、その結論の出ないままに、そのまま持ち越されて、今日に至っておるのであるかどうか。もしそういう状態の中で、時をずらしていくんだったら、もうたいへんなことだと思う。沖繩には埋蔵爆発物がまだ多数に埋もれておるというこの大前提に立って、戦後処理という立場から、私は、損害賠償法の適用を強く要望するものでありますが、これについては、いま検討中であるということも承っておりますが、それは今後の問題といたしまして、ぜひその関係省庁の結論から、現地総合事務局、防衛施設局、沖繩県、この三者が一体となって、早急に対策機関を現地に持ったらいかがでしょうかということに対して、どういう御見解を持っておりますか。
  153. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 現地におきましては、現地協議会が設けられておりまして、これには総合事務局ばかりでなく、国の出先機関、それから県当局、こういうところ全部入ってもらいまして、現地協議会できております。これと本省のほうでは、先ほど大臣が言われましたように、相談いたしまして、合同会議ということで、関係省庁集まりまして、それとタイアップしてやっていく、こういうことで、そういう体制できております。
  154. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、これも基地の返還に伴う未処理の著しい例の一つだと思いますが、VFWクラブ問題に対してのはっきりしたひとつ政府の見解をお聞きしたいんです。もうくどくど申し上げませんが、昭和四十七年の五月一日に一片の通知で、突如提供施設から除外するとのことがあったわけですが、これを取りきめた日米合同委員会の合意内容をどうしても明らかにしてもらわなければいけないと、こう思います。まずそのことを……。
  155. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 昭和四十七年五月十五日に、沖繩復帰に伴う米軍の施設・区域の提供に関する日米間の合意が、日米合同委員会の場で取りきめられたわけでございます。その中で、従来キャンプ瑞慶覧、あるいは牧港補給基地というふうに総称されておりました地区内にありましたアメリカンリージョン並びにVFWの使っておりました建物のあります土地は、施設・区域として提供するものから除外されると、こういう合意ができたわけでございます。  と申しますのは、キャンプ瑞慶覧並びに牧港補給基地は、沖繩の復帰とともに、地位協定に基づいて、日本側から米軍に提供される施設・区域という性格を与えられたことになるわけでございますけれども、アメリカンリージョン並びにVFWという非政府の団体が使っております建物の所在する土地は、そういう意味の提供対象になり得ない、また、なすべきではないと、こういう観点から、提供の施設・区域からは除外されるという措置をとったわけであります。
  156. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますと、この土地の明け渡しと、その復元補償の責任はどこにありますか。
  157. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 四十七年五月十五日以前という、いわば沖繩の施政権が米側によって行使されておりました時代には、布令二十号というものによって措置されるべき性質のものであったわけであります。しかしながら、四十七年五月十五日という時点以降におきましては、これは民間の団体であるアメリカンリージョン並びにVFWが使用しております土地、その上の建物という民事関係になってくるわけで、これが法律的にはそういう関係になってまいるわけであります。
  158. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 どうもその点がいまだに釈然とせず、この関係者か私に語るところによると七十四回、七十四回もこの問題の解決をめぐって、出先の沖繩の事務局や政府に陳情、二カ年近くももう放置されておる、こんな無責任なことが国としてあっていいか、また許されていいか、こういう憤りを感ずるわけなんですが、この前もその代表がきて、大河原さんにも詰め寄ったということも、私にも報告いたしておりましたが、これまでの国会論議の中でも、政府返還の手続のミスは認めると、こう答弁しておられる。のに、収用法の適用とか、あるいは国との賃貸契約の継続、こういう実にあいまいもこの、そこには釈然としないものがある。そうして土地の明け渡し、復元補償で対米交渉を行なうと、こう約束を幾たびかして、その結果がどうなっておるのであるか、いまだに全く知らされておらない。このことは、現時点では一体この交渉の結果どうなっておるんですか、ひとつはっきりさしてもらいたい。
  159. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 復帰後の国内関係につきましては、これは施設庁のほうから御答弁いただいたほうがより的確な御説明いただけるかと思いますので、そちらにお願いしたいと思いますが、アメリカとの関係につきまして御説明いたしたいと思います。  外務省といたしまして、この問題の存在を知りましたのは比較的新しかったわけでございますけれども、アメリカ側にいろいろ話をしてみますと、アメリカ側が言っております立場というのは、次のようなものでございました。すなわち、四十七年の五月十五日以降、この二つのアメリカの民間団体が使用している土地並びに建物というものは、米国政府が直接に関与し、介入することのできない民事関係のものである。したがいまして、復帰の時点以降において、これらの二つの団体に対して米国政府法律的に責任をとり得る立場にない、こういうことであったわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、この二つの団体が使用しております土地並びに建物は、沖繩が米国の施政権下にありましたときに布令二十号というものに基づいて発生した法律関係であり、それが四十七年五月十五日という沖繩の復帰という時点を経過して今日に及んでいる以上、米国政府として全く責任がない、あるいは法律的に関与する立場にないという説明では日本側として承服しかねるということで、たびたびこの問題について米側の注意を喚起してまいりました。その結果、最近に至りまして、米国政府といたしましては、法律的に言うならば、米国政府として直接この二つの団体の土地使用関係に関与する立場にはないけれども、沖繩返還協定四条二項に請求に関する救済規定があるので、四条二項の請求の問題として土地賠償審査委員会、これに問題を提起することに異議を差しはさまない、こういうことを言ってくるに至ったわけでございます。これが現在までのアメリカ側との折衝の状況でございます。
  160. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いろいろ法的にはむずかしい面もあるかもしれませんが、これもどうしても解決しなければいけない問題であり、そして国がこれにかかわらないという事態に私は疑問を感ずるわけなんです。というのは、昨年の十二月の二十一日付で大河原局長と鶴崎施設庁次長名で、当時、当事者、地主とクラブ側の話し合いで円満な解決を望むという文書を送っておられますね。これからしますというと、もう政府責任を回避して、問題はあなた方当事者同士で解決しなさいと、こう言わぬばかりの、けんもほろろの回答が行っておることも事実でありましょう。しかも、そういうこともありながら、また去る二月十五日までにその結果を知らせると、こう言明も防衛施設庁では言っておられる。だから何が何やらわからぬといったようなことですね、地主の側からしますと。一体このような状態の中で弱い地主をいじめて、そしてしかも二カ年近くもほって、とほうにくれておるという、こういう状態ならば日本国には政治はない、政府には行政はない、こえ断じてもあえて過言ではないんではないか、こう私は言いたいのでありますが、しかも、この地主との間に全く契約関係のないクラブ側が、現在他の業者へその建物の売却を行なおうとしておる、その建物、施設を売ろうとしております。これは明らかに違法行為である。しかも、政府はそれを黙認しておられるのではないか、こういうことなんですね。しかもこれと同じ状態にある——いや同じ状態にあるじゃございません、四十七年五月十五日の時点からこのVFWクラブ自体がそこを不法占拠しておる、そして問題をますます複雑にしておる。そこで地主としてはたまらぬかち目下那覇地裁の仮処分決定でこれを一応歯どめしておる、中止さしておるのが現状であります。政府の行政責任もこれはどうしても許してはならないと、こう切実に感じさせられておるわけなんです。もう全く踏んだりけったり、このような状態で国に政治があるのか、政府に行政があるのかと、こう言いたいぐらい投げやりで、かってにしやがれといったような、こういうことにも受け取れて義憤を感じてなりません。そこで政府は、ぜひ責任を持って土地の完全返還、VFW施設の撤去、復元補償、これが完全に行なわれるような努力責任を持ってなすべきであると、こう私は強く要望します。  さらに、追加事項としてその地主側は、クラブ側はその施設を第三者にいま売り渡そうとしておる。ところが地主側は四十八年の五月十五日、つまり去年の五月十五日、観光ホテルを建設するという方にもう賃貸契約をしておる。賃貸ししておる。四十九年の五月十四日までの一カ年間の賃貸料も、賃料も受領しておる。このようなもう実に複雑怪奇な状態がいま続いておるわけなんです。これに似たような問題が、例のリージョンクラブ、それからブラックオイルターミナル、これも同じちょうど性格のもの、三つあるわけですね。その三つのうちのいま私特にVFWの問題について申し上げたのでありますが、時間がまいりましたので、どうかこのような土地の所有権さえも、土地の権利さえも守られていないといったような国の状態では、一体どこに政治があるか、どこに行政があるのかと、こう疑わざるを得ない。弱い国民をいじめて、迷わして、このような状態で二カ年もずるずるしておるという、このことに対して国は責任を持つべきである。どうかそのことについてひとつ、外務大臣はいらっしゃいませんけれども、大河原局長、同時に開発庁長官の、その内容については十分御承知であったかどうかは知るよしもありませんが、どうかひとつそのことに対するお二人の所信を述べていただいて私の質問を終わらしていただきたい。そうして一刻も早くこの問題を解決していただきたいということを強く要望いたします。
  161. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 喜屋武委員からのただいまの御発言は、伺っておりますると、これはなかなかやっかいであるけれども、しかし筋を立てる必要がもちろんあるわけでございます。よく外務省とも打ち合わせて、また省内でもよく打ち合わせしまして、善処したいと考えます。
  162. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) この問題につきましては、かねて米側との接触を続け、また問題のあり方についての注意の喚起につとめてきたところでございます。その過程におきまして、とにかく米側としての法律的立場を非常に強く米側は主張しておったわけでございますけれども、当事者間の話し合いによって何とか打開の道がつけられないかというふうなことで、当事者間の話し合いを大いに勧奨するという措置もとられてきたわけでございまして、昨年の十二月の時点におきましては、ある程度その方向での道が開けるのではないかというふうな期待も持ち得たわけでございまして、現にアメリカンリージョンにつきましては、その後、当事者間の話し合いということで大体解決のめどがつき、目下その条件についての話し合いが行なわれていると、こういう状況であるというふうに私ども承知しておるわけでございます。そこでVFWのほうはそれに比べますと非常に法律関係も乱れ、また当事者間の関係もむずかしい状況になっておるようでございまして、なかなかむずかしい点が多々ございますし、また、法律関係につきましても非常に込み合った状況であるということを非常に残念に思っておりますけれども、いずれにいたしましても、長く放置しておくべき性質のものではないというふうに私ども考えておりますので、何とか早くこの問題が解決できますように、関係の当局ともよく相談しながら取り組んでいきたいというふうに考えております。
  163. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいま議題となっております案件のうち、沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査は、本日はこの程度にとどめ、沖繩振興開発特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、他に御発言もなければ質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  沖繩振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願  います。   〔賛成者挙手〕
  165. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  ただいま可決されました沖繩振興開発特別措置法の一部を改正する法律案に対し、各派共同提案による附帯決議案が委員長の手元に提出されておりますので、これを議題とし、便宜、私から案文を朗読いたします。    沖繩振興開発特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、次の諸点に留意し、沖繩振興開発計画の推進に遺憾なきを期すべきである。  一、地籍未確定問題を解消するため、米軍提供施設・区域をも含む土地調査をすみやかに完了するよう努めること。  二、振興開発の推進にあたっては、産業の均衡ある発展に努めるとともに、環境保全、埋蔵文化財の保護について適切な措置を講ずること。   なお、離島における上水道をはじめとする生活関連施設の整備等を促進すること。  三、振興開発計画に基づく国の補助事業については、現地の実情に即して補助単価を改定する等の措置を講じ、自治体の財政負担の軽減に努めること。  四、不発弾のすみやかな処理に努めるとともに、不発弾事故の被害者に対しては国家賠償法の適用を検討する等、その救済に万全を期すること。  右決議する。  以上であります。  それでは本附帯決議案の採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  166. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 全会一致と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、小坂長官から発言を求められておりますので、これを許します。小坂長官。
  167. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) ただいまの附帯決議につきましては、十分その趣旨を尊重いたしまして、努力いたします。
  168. 金井元彦

    委員長金井元彦君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会      —————・—————