○春日正一君 格差をなくすという立場から見ても、さっきの話だと
下水道のない県があるという話が出ましたけれども、
沖繩だけが国鉄のない県ですわ。しかも、国鉄があってじゃまになるということではなくて、いままであそこの交通は、主として自動車交通ということでやられてきたんですけれども、しかし、モータリゼーションと言いますか、自動車
中心の交通政策の弊害というものは、これはもう本土でもすでに重大な問題になって、これは何とか改めなきゃならぬだろうと、そういうために新しい都市の交通体系をどうするかということも問題になっておりますし、それから国全体としても新幹線網を全国に張り回すと、そしていまの在来線とあわせて人間と貨物の輸送の動脈にしていこうというようなことが問題になっておるということから
考えれば、
沖繩だけが自動車だけで間に合うというようなことは、道理から言ってもこれは成り立たないことだと思いますよ。そして、現に自動車の増加の結果、警察庁の調べで見ますと、四十六年で八十二人、四十七年百五人、四十八年が百二十三人と、これは最終ではないんですけれども、こういうふうに交通
事故死がふえておりますし、それから
昭和五十年には自動車の台数が三十万六千台、それから
死者は四十九年で百五十五、五十年で百八十一人と増加するだろうというような予測がされておるわけですね。私ども計算してみたんですよ。これ非常に手間のかかる計算ですけれども、道路面積一平方キロメートル当たりの車の台数、
昭和四十七年で出しますと、青森県、これが三千四百三十台、福島県が三千八十台、東京が二万二千三百台、神奈川が一万七千六百台、埼玉が五千四百十台、ところが
沖繩は一万三千六百台、しかもこの中には米軍あるいは米軍属の車両、これ二万台こえていると見られているようですけれども、こういうものが入ってなくてこれだけの密度を持っているということになりますと、これは米軍の車まで加えると首都圏並み、近畿圏並みの密度を持っておるわけです。しかも、ここでは、京阪神の交通圏では人がどういうふうにさばかれておるかというと、国鉄一四%、私鉄が三一・九%、
地下鉄が一一・一%、路面電車が二・六%、合わせて五九%は鉄軌道で運んでいるんですね。そしてバス一六・一、ハイヤータクシー七・六、自家用車一七・三、合計で四一%、これが京阪神の交通圏での乗りものの利用
状況です。それから首都圏のほうを見ますと、国鉄が二四・六、私鉄が二一・九、
地下鉄が九・一、路面電車が一・二、合計五七%、それからバス、ハイヤータクシー、自家用車の自動車合計で四三%、こういう数字になっているわけですね。だからこういう点から見れば、この
沖繩の交通
事情というものがどんなに深刻なものか、しかも、これからさらに車がふえていくという状態になれば、どうにもさばきようのないような状態になってくるだろう。あれだけ基地とられている狭いところで、必要なだけ道路をとるというわけにいかぬでしょう。そういうふうに
考えてみれば、当然鉄道をつくるということが課題にならざるを得ないだろう。だから
最初に、一番先私ども縦貫鉄道をということを言った。それからほかの党派の
人たちもみんなそれを言い出してきて、ことしになって中央
政府の
方針を考慮してだろうと思いますけれども、いままで積極的な態度をとらなかった
沖繩の自民党のほうもそれに賛成して、共同で提案して全会一致で決議しているというところまできておる。だから
沖繩県の生活の実態が鉄道の敷設ということを要求する
方向に動いておるんだというふうに私は言えると思います。だからそういう
意味で鉄道をつくるという、いまここで敷きますとか敷きませんとか言えないまでも、そういう問題について、
沖繩県ではすでに
調査費を組んで具体的にどうするかということを
考えておるわけですから、そういうものに対して積極的に支援をするなり、一緒になって
検討してみるというようなことをこれはやってほしいと思うんです。
特にこの際、私、
指摘しておきたいことは、大臣は
沖繩開発庁の長官として
沖繩の交通問題に対しても当然
責任を負っておいでですけれども、同時に総理府の総務長官は
政府の総合交通
対策、交通安全
対策の担当大臣でもあるわけですから、そういう
意味で
日本国じゅうの交通というものとのにらみ合わせの中で
沖繩に鉄道を敷くと、そうすることで本土から国鉄の
連絡船も行けるような、輸送船も。そういうふうになって初めて格差がなくなるということになると思うんですよ。鹿児島まで新幹線来た、
沖繩には鉄道がない、そこから先は切れておるということでは、これは格差がなくなったということにはならぬし、生活の現実からも実際に
沖繩に鉄道を敷くということが、交通なり産業の一番の動脈になるんじゃないかというふうに、県議会の動き自体が、大臣の属しておられる自由民主党を含めてそれを要請するような
状況になっておるわけですから、これは真剣に
考えてほしいと思います。その点でひとつ大臣の見解をお聞きしたいと思います。