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1974-04-25 第72回国会 参議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十五日(木曜日)    午前十時十分開会     —————————————    委員異動  四月四日     辞任         補欠選任      菅野 儀作君     源田  実君  四月五日     辞任         補欠選任      源田  実君     菅野 儀作君  四月十日     辞任         補欠選任      八木 一郎君     岩本 政一君      稲嶺 一郎君     渡辺一太郎君      黒住 忠行君     永野 鎮雄君  四月十一日     辞任         補欠選任      岩本 政一君     山本 利壽君  四月十二日     辞任         補欠選任      永野 鎮雄君     黒住 忠行君  四月二十二日     辞任         補欠選任      山本 利壽君     岩本 政一君      黒住 忠行君     永野 鎮雄君  四月二十三日     辞任         補欠選任      木村 睦男君     高田 浩運君  四月二十四日     辞任         補欠選任      永野 鎮雄君     黒住 忠行君      高田 浩運君     木村 睦男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 正雄君     理 事                 黒住 忠行君                 山崎 竜男君                 杉山善太郎君     委 員                 木村 睦男君                 前田佳都男君                 瀬谷 英行君                 森中 守義君                 阿部 憲一君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  徳永 正利君    政府委員        運輸省鉄道監督        局長       秋富 公正君        運輸省自動車局        長        中村 大造君        運輸省航空局長  寺井 久美君        海上保安庁長官  佐原  亨君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        警察庁警備局参        事官       星田  守君        運輸省大臣官房        参事官      佐藤 久衛君        日本国有鉄道総        裁        藤井松太郎君        日本国有鉄道理        事        伊江 朝雄君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○運輸事情等に関する調査  (日中航空協定に関する件)  (日本国有鉄道の運営に関する件)     —————————————
  2. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動に伴い、理事に欠員が生じておりますので、この際、その補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事黒住忠行君、菅野儀作君を指名いたします。     —————————————
  4. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 森中守義

    森中守義君 長年の懸案でありました日中航空協定がようやく締約をされた今日、まだ国会批准案件として承認を求められておりませんので、多少時期尚早という感じもいたしますが、外務委員会との連合審査話し合い理事会できまったようですので、さらに詳細な点についてはその際に譲ることにしたいと思いますが、とりあえずいま問題になっているのが数点あるようです。  ただ原則的には、歴代の運輸大臣で、ほとんど日中問題についてはコメントが行なわれないように、非常に慎重であったわけですが、現在の大臣の手でこれが妥結に至ったということはいままでの努力、同時にまたこれからもたいへんなことだと思うんです。そういう意味で、非常に御同慶にたえないわけでございますが、いま問題になっている幾つかの内容の中で、台湾問題がありますね。これは協定本文及び付属文書、こういうものを見ても別段の表現ということはない。したがって新聞等で知る限り、中国側原則を曲げないという一つ原則を持ちながら、かなり柔軟な対応をした結果こういうものになったと思う。それで合意議事録等にこれが出てくるものであるのか、どういう形式なものになっているのか、それと中身はどういう点で合意に至っているのか、その点をひとつこの際大臣あるいは航空局長のほうから、じかに交渉に参加を局長はしていますから、そういう経緯を少しお話し願えませんか。
  6. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) ただいまの御質問、特に日台間の関係についてどうなっているかということでございますが、今回の航空協定交渉におきまして、まず日本国と中華人民共和国との間の航空協定、これの協定本文並びに付表につきまして交渉が行なわれたわけでございまして、この日台路線扱いにつきましては主として外務省がやっておりまして、それがどういう形で文書になっているか、私は文書にはなっておらないと了解いたしておりますけれども、ある程度話し合いが行なわれたことは事実でございます。ただ、それはむしろ外務省から御答弁いただいたほうが適切であろうかと存じます。  で、問題になっておりました日本側考え方というものについて、こういういわゆる外務運輸両省案に出てまいりましたような考え方日台路線を維持したいということで基本的に話が行なわれたと私は了解いたしておりますけれども、それが最終的にどういう形になったかという点につきましてはちょっと存じませんので、この点につきましては、後ほど外務との連合委員会等で御質疑いただいたほうがよろしいかと存じます。
  7. 森中守義

    森中守義君 なかなかおりからの問題なので深追いもどうかなという気もしますがね。いま局長の言われるように、外務省北京間の話であったと、したがって運輸省は詳細なことにはあずかり知らないと、こういうようなことのようですがね。しかし、それも一つ言い方だとは思いますが、実際問題として日台間を維持していくという、そういう意味では基本的な原則を曲げない範囲で話ができているということのようですからね。実務的な関係になると、中国政府外務省だけの話だったということでは実務関係をこなしていこうとする運輸省としては少し無理じゃないですか。たとえばあとでまた問題にしますが、与那国石垣南西航空の問題、こういうのも五月の十五日で移管になるわけだし、当然これは日台間におけるかなりこまかな協定的なものに発展をしていかなければ無理じゃないか、したがって、そういうようなことまでも輪郭の中に入っておればきわめて問題は実務的になってくる。外務省にまかしておいていいのかどうか。その辺がこれからの議論になりますがね。なかなか言いにくいからこういう程度でひとつかんべんしてくれぬかというような意味合いであるのか、ほんとうに知らないのか。まさかほんとうに知らないというわけでもないでしょうからね。  ただ私は、きのうだかの新聞で、総理が新会社をつくろうというような指示をしたと、こう言うんですね。ですから中国側日本政府との間にどの限度において日台の問題が了承されているのか、合意に達しているのか。その辺のことが、まだ政府当局者からきわめて正確に具体的なものとしての話がない。ですから新聞等で見れば、なるほどこれは新会社運航するということには中国側も了承しているのかなという、こういう推理の域を出ない。ですから、こういう公の場所でかくかくの経緯でかくかくのことが合意に至っているということがある程度正確に言われないとなかなか議論しようがありませんよ。そういう意味で、私は、いま一つの焦点である日台の問題に対して、日中間合意とはどういうことなのか。これは過去における共同声明の際にも同じようなことがありましたよ。原則は一本ぴしゃっと立てながら、実務的な関係等々もあるから、この段階までは了承しようというような段階の見解ですね。そういうことが外交交渉の中に非常にむずかしい一つポイントになってくると思うんです。しかし運輸省の場合には、実際問題としてこれからいろんな処理に当たらねばならぬので、その辺の限界というものは、きちんとこういう機会に私どもとしては聞いておきたい、こういうように思います。  だから、そういう意味では局長北京に行かれたし、かなり詳しく内容にも参加されたことであろうと思うし、またそれが非常に無理であれば、大平外務大臣運輸大臣との間には、この辺の一番根本になるような問題については、いろいろ意見の交換なり、あるいは合意に達した内容というものが運輸大臣にも伝わっているんじゃなかろうかと、またそうなければこれは実際問題として進んでいかないわけですね。少なくとも私は日中航空協定とは、形式外務省主管であるが、実体としては外務運輸の共管ではないのか、こういうように思いますので、そういう意味で少し明快にできる点はしてもらいたいと思います。
  8. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 実は合意という形が法律的といいますか、どういうふうなものになっておるのか、その辺をつまびらかにいたしておりませんけれども、私の承知している範囲を御紹介いたしますと、まず台湾等との間においては民間の取りきめによって飛行機運航はできると。それから日本から台湾に飛ぶ飛行機はいわゆる日本航空は飛ばせない。それから羽田成田空港関係でございますが、成田空港ができるいろんな過程がありますけれども成田空港ができた暁には、羽田は主として国内路線にこれを使用する、成田は原則として国際空港だと、これはもういままでずっと言ってきているとおりでございます。それから中華航空という名前は、政府がこれを正式に何か呼ぶ場合、その場合にはカッコ台湾というのをつけると、これは政府が公式にものを言う場合にカッコ台湾ということをつけると、こういうふうな話で了承がされていると。それから、いま不幸にして一時停止の形になっておりますけれども中華航空のこちらにおけるいままでは支店、事務所、営業所というものを持っておったのでございますが、それは必要最小限度の要員と申しますか、たとえば当然飛行機を飛ばすためには整備でございますとか、あるいは乗員の確認とか、当然その会社で責任を人に委託されない部面があるだろう、そういうような人員は残して、他は代理業務に委託すると申しますか、この代理業務でやると、こういう原則日台間の航空往来はできると、こういうふうに話し合いがついておるというふうに私は承知しているわけでございます。  したがいまして、これがいまひょっと気がついたのでございますけれども合意というのがどういう程度の詰め合いによってこいつがいくのを合意というのか、その辺の条約上あるいは外交慣例上の私はあれをよく存じませんけれども、しかし、そういういま申し上げましたような内容日台間の航空路線を確保するということは原則的に両者の話し合いでまとまっているというふうに私は承知しております。
  9. 森中守義

    森中守義君 いま大臣がお述べになりましたようなことは、おおむね在来いろいろな形で明らかにされているわけですね。特に外相の談話等でもいまお話のようなことが中心になっているわけです。それで私はなるほど外交関係主管外務省ですから、どういう形のものかということはなかなか運輸省としても言いにくいような気もしますけれども、じゃどういう決着というか、まとめ合いというのがどんなことになっているのか、その辺を実は聞きたいのですよ。局長は、いや文書にはそれはなっていないのだと、こういうお話なんですね。それも、なっていないらしいという言い方のほうがより適切であるかもわかりませんね、ここで私が承る意味としては。しかし、あまりにも重大な問題を、特に中国が一貫して領土の一部であるという主張は全然変えていないわけですしね。しかしながら、日本側立場も承知しながら柔軟な対処をしたと、こういうことのようですから、何かそこに取りきめ的なものがなければうそじゃないかと、そういうことは当然これは連合審査際等もその辺が一つの大きなポイントになってこようと思う。要するに協定文書にも付属文書にもないわけだから、こういうものがこれからの日中航空関係あるいは日中間のまたいま進められている漁業協定であろうと、あるいはその余の協定でありましょうと、実務的なやはり日台間というのはどうしてもアキレス腱ですから、航空協定にはただ何とはなしに話はこういうものであったから、双方が適当に解釈して措置をしたということでは、もし何か日中間で問題が発生したような場合に非常に大きなデッドロックに乗りあげる可能性がある。ということであれば、やっぱり外務省外交技術的に合意議事録をつくろうとかどうとかいうものがあったと思うのです。そういうのは全然大臣からも局長からも聞けないんですけれども、重ねて聞きますが全然ないんですか。ただ外務省大臣談話で発表した、及び双方調印行為が行なわれた協定及び付属文書、それ以外に何にもない、こういうように理解すべきなんですかどうなんですか。
  10. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 私の知る限りにおきまして、日本側中国側で署名をいたしたものはこれから批准の手続をいたします航空協定そのものであると理解いたしております。  ただ、実は私は現地に参りましたけれども交渉団といいますか、代表団の一員でございませんで、非常に特殊な立場向こうの民航の総局の副総局長という方とお話をいたしまして、代表団の中のこまかいいきさつというのは実は承知いたしておりません。私がもっぱらかかり合いましたのはこの付表路線関係でございます。ただ全体の動きの中で私が了解いたしておりますのは、ただいま申し上げましたように、ほかにはないというふうに考えております。
  11. 森中守義

    森中守義君 大臣、これは二、三日前から与党側総務会でだいぶけわしい議論が重ねられておるようですが、こういうことがさて議論になっているのかどうかよく私は知りません。けれども、どうも何かの形で取りまとめが行なわれていませんと、単なる交渉の経過の中で、日本側はこういう意見を出した、相手側が了承したというそういう範囲のものではないと思うのです。やっぱり何かあるだろう。その何かというものが実は一番大事なのであって、そういうものがある程度出てきませんと、これからの日台間はどういうことになるのか知りませんけれども、ただ政府のほうでは、日台がどうなろうとこの協定はやるんだと、こういうことですから。しかも二国間の話し合いができたわけですからね。そのことにかかわらず、本協定のほうは問題ないにしましても、むしろ運輸省困るんじゃないですか、そういうものが出てこないと。たとえば総理が言う日台間に新会社をつくれというこういうことなどは、それもやっぱりそれは何かの中の一つになっているのか、あるいはあとで聞くこれからの管制の問題等々、非常に大きなことになりはしませんか。  そういうことを考えますと、多少さっき申し上げるように、聞き方が早過ぎるという気がしないでもありませんけれども運輸委員会を開くこういう機会にそういうことを避けて通るわけにいかぬのです、私どもとしては。そういう意味でお尋ねしているのですが、やっぱり外務大臣から日台間の扱いにつきまして、日中間では別段文書まとめ等はなかったと、そう正確な言い方をしているのか、あるけれども言えないというのか、もう一回重ねてお答え願っておきたいと思う。
  12. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) この問題は、大平外務大臣が今年の初頭に中国に参られまして、原則論を話し合われてきたわけでございます。それによりまして、外務運輸両省案というものが、もう個条書きでございますけれども御存じのとおりのものができたわけです。これに対していろんな議論があったわけでございますが、そのことはおそらく中国には伝わっていると思います。伝わっていると思いますけれども、私はほんとうのところそれを文書で確認しているのか、あるいは話し合いの積み上げで日台間はこういうことでいきますよと、もちろんただ話して聞いたというんじゃない、記録が残っているか何かだろうと思うんですけれども、その辺も私よく存じませんが、要するに文書を取りかわしたというふうには私いま聞いておらないわけでございます。  いまそういうように、ごもっともな御議論で詰められますと、ちょっと私もこれは手抜かりだったなと思うんでございますけれども、そういうものがどういうような記録、どういうような形で残っておるかということにつきましては、実はうかつにも私それを確認しておりませんもので、これはきょうも外務大臣に午後会いますから、そのことでよく聞いてみたいと思っております。
  13. 森中守義

    森中守義君 これは大臣非常な問題ですよ。そこで、いま御存じないことを言えと言ってもこれはしようがありませんから、なぜそういうものが必要であるかということを少し具体的な内容としてこれからお尋ねしてみたいと思う。  台湾側日台は、これは停止という表現を使っているようですね。だから、その辺が非常に受け取りようでは味のある受け取り方もできるし、いろんな受け取り方ができる。それで当初そういう停止の瞬間に与那国石垣南西ラインというものは、これはもう台湾側FIRの域内であるというわけでかなりショックを受けたことは事実。しかし、その後定期便は飛び立っているということのようですが、これは日台間にどういう方法で確認されているんですか、それとも実績実績だから飛んでみた、相手側がアプローチしてくれた、そういう慣例が実行の中に生かされたという意味で、このラインにつきましては問題ないという認識であるのか、あるいは台湾側から何かの反応が示されてきたということであるのか、これはどうなんですか。
  14. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) この与那国路線の問題につきましては、実はこれおっしゃるとおり、台湾側FIRの中に入っております。まさに、そして与那国の上にはADIZが通っておるわけでございます。もともとこれはわが国内線でございまして、当然これは飛べるというのが筋であろうかと思います。台湾側国内線までじゃまをしようということではなくて、あの声明をごらんになるとわかりますけれども、自分のほうでとにかく日本管制圏といいますか、FIRの中を飛ぶのはやめますと、したがって相互互恵原則に立って日本側もやめるべきであると、こういう趣旨の言い方をいたしております。その中にはこれは国際線を切るということでございまして、国内線というものは当然これは別の問題ではなかろうかというふうに私ども解釈をいたしまして、通常の管制受け渡し、現在米軍沖繩はやっておりますけれども台湾側承認をとり事実上飛んでおると、こういうことでございまして、こまかく言いますと、いずれこういう関係は詰めなきゃいけないのかも存じませんが、現状ではむしろすなおに現在やっておるとおりのことをやっておって、向こうが特段の異議を申し立てておらないのでそのまま飛んでおると、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  15. 森中守義

    森中守義君 なかなか寺井局長むずかしいね。結局こういうことですね。別段台湾側わが国の間でこのラインについて話し合いがまとまったというものではないと。ただ在来のキャリアからいって、いままでどおりにやっているというそういう程度にすぎない。そういうことになりますと非常に要素としては安定要素があるとも見えるしきわめて不確定要素とも言える。また実際問題として台湾FIRの協力が得られなければ、このラインというものはむずかしいんでしょう、実際問題として。そうですね。そうなると、やってみたところがいいあんばいにサービス提供してくれた、これが一つ実績だからこれを固定化していこうという、そういうことでいいのかどうなのか。  もちろんこれは政府がいま主張されるように、日台問路線復交状態になりますとこれは問題ないと思います。しかし、これは未知数ですよ。日中航空協定を長年かかっていま決着を見たと、しかもこのことが国際的に見まして中国の空が開放された、しかも単に一航空協定というサイドからでなくて国際社会における一つの非常に大きな前進である、少なくともアジアに、日中間にですね、閉ざされたものが太いきずなで結ばれたというまさに歴史的な意義を持つわけですね。ですからそういう現実を踏まえていきますと、これはたいした問題でないようにも見えますけれども、そうもいきますまい。それならばやはり与那国石垣というこのラインの問題は何かの形で、いつ復交されるかわからないわけだから、少なくともその間における運航の安全ということがさしずめ緊急な課題であれば、何とはなしにということではなくて何かしなければいかぬのじゃないか、こういうように私は思うんですが、どうお考えですか。
  16. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) お説のとおりでございます。日本領土間日本飛行機がたくさんの乗客を積んで運航しておるんでございますから、したがいまして、いまアメリカが管制の衝に当たってくれておりますし、いろいろ台湾管制あるいは沖繩管制下における話し合いも進め、確保していただいておるわけでございますが、日本政府としましても、これはいま外交はございませんけれども亜東協会あるいは交流協会を通じまして、これは正式に明確にしてまいらなければならぬと思います。したがいまして、その交渉と申しますか、それは始めておりまして、この航空路安全確保ということについては努力をしておるところでございます。
  17. 森中守義

    森中守義君 そうなりますと、もう少し進めてみましょう。いまの与那国石垣関係はもうそれでいいとしまして、いま一つの問題は、いよいよ合同委員会決定等に従って来月の五月十五日から沖繩管制日本返還をされる。それで、いま衆議院の内閣委員会に付託されている設置法がどういうことになるのか、さらに参議院に送られてきまして五月の十五日までに間に合うかどうか、これは国内における国会の審議のことですから、何とも言えない点もありますがね。そのことと、いよいよ返還がされてきた場合、台湾側とこのことについてはやっぱり協定等が必要になってくるのじゃないか。当然そういうものを結んでおかないと、沖繩管制権は返ってきたんだけれども、実際はこれは半身不随というようなことになってもまずいと思うんです。こういう場合に、国交のない台湾、しかも国としてわが国は認めてないわけだから、これ一体どういったような方法で処理していこうというのか、これは仮定の話でもなければ、想像でも何でもない。きわめてもう時間的に、しかも現実的に来ている問題なんですね。どういう方法でどういう措置をとろうとするのか、これ一体どうお考えになるのか。
  18. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 先ほど申し上げましたように、正式な外交権に基づく外交交渉というものはございませんけれども、御承知のとおり亜東協会交流協会間におきまして、いろいろそれにかわるルートがあるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、そのルートを通じまして、これはもう外交と申しますか、実務の問題でございますから、そういう面におきましては万不安のないような取りきめを進めるべくいま努力をしておる最中でございます。内容につきましては、いまその過程にございますので申し上げることを差し控えさしていただきたいと思いますけれども、いま御指摘の点については万遺憾のないように処置してまいりたいと、かように考えております。
  19. 森中守義

    森中守義君 おそらく両院の内閣委員会管制部設置の設置法審議の際にやっぱりこの辺のことはだれしもが聞きたいし、だれしもが心配する問題ですよ。そういうことがやっぱり大臣ね、日中航空協定の背景としてどの程度まで日本側相手側に同意を求めておったのか、事情説明をしたのか、やっぱりもとに戻る。いま大臣の言われるように、台湾との話し合いというのは、それは確かに交流協会あるいは亜東協会というような、そういう何かすっきりしませんけれどもね、少なくとも政府間ということにならない、そういう方法あると思うんですね。けれども、これは非常にやっぱりむずかしい問題じゃないですか。やりよう次第ではかなり敏感に北京側も反応しましょうしね。その辺が原則という筋が一本通っている、その原則を曲げない限度において柔軟な対応を示したと、こういうなかなかさわりがむずかしいんですね。  よって、私は当初から申し上げておるように、いま申し上げたように深刻な、しかもいまの具体的、しかも現実的に直面する問題等が日本側の頭の中に十分にありながら北京側との交渉にあたって話がまとまったのかどうなのか、その辺がはっきりしますと、ここらもさほど、なあにその辺のことについては北京側も了承しておるならいいじゃないかということにもなりましょうし、あとまた台湾側がどういう反応を示すかという問題もありましょうけれども、これは停止ということで切っているわけですからね。しかし、これは秋に復交二年を記念して一番機が飛んで行くというときまではこの沖繩管制の問題は待てませんよ。少なくとも来月からすぐ始まるわけですから、どうなんですか、大臣。こういう問題を所管をされる大臣として自信がありますか。
  20. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) また振り出しに戻るのだと、その原則に返ってきてそういうところまで詰めているのかどうなのか、日中間は。こういう話でございますが、与那国路線の問題はもう全く実務的な問題でございまして、わが国の領土間の飛行機運航でございますから、私はその日中間原則には何ら触れるものはないと思っております。したがいまして、ことしの暮れじゃなくて、もう来月の十五日までに日本管制に入るわけでございますから、それまでのそういう処置というものにつきましては鋭意いま努力をしているわけでございます。手のうち全部出せと言われればちょっとこういう公式の場で出すわけにはまいりませんけれども、その辺をひとつ心中お察しいただきまして万遺漏のないような措置をとってまいりたい、いま鋭意交渉中でございます。御了承、御理解をいただきたいと思います。
  21. 森中守義

    森中守義君 だからそれは言われるまでもなく心中お察ししながら、かつまた私どもなりにたいへん憂慮もしますから、そういう意味合いでお尋ねしているわけで、その辺については大臣も懸念のないように御了承願いたい。  そこで結果的に、やはり日台間の航空管制に関する協定という、これはあくまで私の発想であり、単なる見解にすぎませんが、そういう協定事項ということでまとまらなければうそなんでしょう。ただもう話し合いで、はいわかった、そうしましょうというようなことが亜東、それから交流協会、この辺の単なる話し合いで済まぬのじゃないですか。その形式というか実態はどういうようにしたいと思っているのですか。
  22. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 森中先生御指摘のように、非常に技術的な問題でございますので、飛行機の受け渡し、通報その他につきましては具体的に双方が理解をいたしておりませんと行き違いを生じます。したがいまして、何らかの形で協定と申しますか、合意と申しますか、そういうものが必要であろうとというふうに考えております。
  23. 森中守義

    森中守義君 大臣ね、ちょっとこれは詰め過ぎるかわかりませんが、実際ある場合には両方の協会相互間のそういう協定ということに、結果的にはならざるを得ないというようにお考えになっているのですか。
  24. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 正式な外交関係を持てない立場にある技術的な取りきめでございますから、それが亜東協会交流協会間のいわゆる取りきめになるのか、いずれにいたしましても、あるいは管制官の相互の取りきめと申しますか、そういうものになるのか、いずれにいたしましても不安のない状態をつくり上げなきゃなりませんから、その辺は万遺憾のないような措置をとってまいるつもりでございます。
  25. 森中守義

    森中守義君 それからもう一つ。これはこれこそ所管違いかわかりませんが、言われている防空識別圏ね、これは今日どこの国でも持っているわけですが、もちろん確立された国際条約でも何でもない。これが民間航空という観点から見ると非常に大きな障害ですよ。それで、たとえばいま国際海洋法会議が開かれ、ここで領海をどうするかという問題等があるわけですがね。これと同じように、軍事的な色彩を持つ防空識別圏でありますけれども、何かこれはやっぱり一つ原則というものをある程度きめておかないと、それぞれの国が、これはおれのほうの防空識別圏だ、かってに入ったらスクランブルかけるぞというようなことでは、これはやっぱりまずいと思う。そういう意味で、たとえば民間航空関係の国際機関、さらに一歩進んで安保理事会あたりでこういう問題を提起して、一つの識別圏の原則を打ち立てる、国際条約を確立するという、そういうことは考えられませんか。まあこれは確かに外務省の所管でしょう、そういうことになりますと。けれども、国際航空機関に対しては、いわゆる運輸省としては一つの問題提起ができるはずだし、また安保理事会等に対しましては外務大臣と相談をされて防空識別圏の原則というような、こういう条約の確立が必要になってくるんじゃないですか。  いまはかって気ままに設定されておりまして、非常に民間航空にとりましては大きな障壁になっているというふうに私は思う。これは平素の私の主張でもあるんですが、この際、ひとつこういうことを契機に検討を加えるような段階に来たんじゃないかとも思いますが、大臣、どうお考えですか。
  26. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) たいへん重大な問題でございまして、防空識別圏は、重なっているところはないようでございますけれども、各国が自分できめているのが実情のようでございますが、現に与那国島の上を台湾政府の識別圏がすっとこうあるわけでございます。まあそういうような問題もございますし、そればかりでなくて、これに対していろんな付随した問題が起きてこようと思いますが、私まだ日本がはたして防空識別圏というものを、明確なものを持っているかどうかというのは、これはいろいろ議論があったところだそうでございまして、私その辺の詳細をまだ確信をもって承知しておりませんけれども、いま先生の御提案は一つのやはりものの考え方だろうと思います。  私いまここで、それでは国連等においてこれを討議する場を持つように努力するというほどの心がまえをもって答弁できないことを、不勉強を申しわけないと思っておりますけれども、先生のこういう御意見があったということはひとつ外務大臣にも伝えてみたいと思っております。
  27. 森中守義

    森中守義君 これは大臣、その国々の防空に関して、よく領空侵犯なんかいいますね、そういう領空侵犯をしたのかどうなのかということを見分けしようと、こういうわけですから、これはやっぱり国際機関の中で全面的に否定するというのはなかなかむずかしいと思うのです。しかし原則がない。おそらく領土からまっすぐ上に対して、これだけはわが国の上空だから領空だよと、こういう意味合いだと思う。しかし国際間に共通するものがありませんしね。だから民間航空関係としては、いわゆるその辺のことを一つの条約として確立しておく必要があろうと、こういう意味なので、私は全部取っ払えと、こういう無謀な意見を言っているわけではありませんから、それはひとつ間違いないように外務大臣にもお伝え願いたいと思いますし、また機会があれば連合審査際等にもそういう意見も出したいと思う。  それから日中の乗り入れについては、いま中国側は民航一社しかないですね。日本は南西まで入れて四社。その四社の中の一もしくは二と、こういう約束のようですが、これは間違いありませんか。
  28. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 一または二となっております。
  29. 森中守義

    森中守義君 これは大臣、十九日の記者会見で、一もしくは二ということなんだが、日本航空一社にするんだと、こういう談話を出されたようですが、この事実関係はどうなんですか。
  30. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私は日本航空一社に限定するというようなものの言い方ではなかったわけでございます。ただ今後日中間の空のかけ橋としてその基礎ができるわけでございますから、将来のことも考えて乗り入れ航空会社の数というものは、先ほど航空局長が申し上げましたように、一または二社というふうな取りきめになっているわけでございまして、現実に二社の乗り入れを認めるかどうかということは、これは現在のところまだ話が確定しておるわけではないわけでございまして、四十五年の閣議の了解事項を踏まえて、いま何か答えを出せということになれば、これは国際定期便は一社が原則であるということがきめられておりますから、そういう一社ということになると。しかし、これを今後検討する必要はないかどうかという問題については、私はいまここでお答え申し上げるわけにはまいりませんが、原則としては一社であるということがきめられておることでございますから、そのように記者会見においても申したわけでございます。したがいまして、今後これをどういうふうにするかということにつきましては、今後の問題として検討をしてまいらなければならないと、かように考える次第でございます。
  31. 森中守義

    森中守義君 ちょっとその辺整理さしてくれませんか。なるほど協定では一または二、これはもう間違いない。そこで十九日の大臣の談話というものは、見直す見直さないというのはこれからの問題なんだが、現状では閣議決定ということで国際線一社になっているから、それを踏まえて現状においては一社だと、こういう言い方をされたというように解すべきなのですか、あるいは原則として一社なんだと、こういう意味ですか、その辺どうなんでしょう。
  32. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 前段お述べいただいたようにお受け取りいただきたいと思っております。現在におきましては、四十五年の閣議了解事項において国際定期便というものは原則として一社だということが運輸政策審議会においても、またそれを受けた閣議了解事項でもなっているわけでございますから、そういうことで飛ばすのは何社だと、こういうふうな記者諸君の質問に対しまして、そのことは私は解説づきで申し上げておるつもりでございます。
  33. 森中守義

    森中守義君 なかなか微妙なニュアンスですね。結局、繰り返すようですけれども、四十五年の閣議決定が現存をする、したがって現在の段階においてはそのことを踏まえて一社、こういうように理解していいですね。
  34. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) そういうことでございます。  しからば、これから先、二社を選定し、一社を飛ばす要素があるかと言われることにつきましては、ただいまのところ白紙でございます。
  35. 森中守義

    森中守義君 それは大臣、いまこの閣議決定を踏まえられるということはまことに事務的であり技術的であり、そのことは否定いたしません、これは生きているわけですから。しかし、まだそう遠いときではございません、ごく最近、この種問題で私は大臣といろいろ意見をかわしたときに、私はこういうことを申し上げました。この閣議決定というものはもはや過去のものであって内容的には現在及び将来にわたるものではない、したがって見直す必要がある、こういう問題提起をした。それに対して大臣は、そのとおり、見直そう。こういうことが実は約束されているわけですよ。じゃそれは一体いつなのか。いまここでそんな約束した覚えないと言われても、これは速記録を見ればわかるわけだから、非常に重大な問題でしたから私はきわめて正確にまだ印象づけられている。御記憶をひとつ新たにしてもらいたいと思いますよ。  で、そこで問題は、見直す時期がいつになるのかということにかかってくると思うんですね。そうなれば、私はいま世紀のとびらが開かれた日中航空協定実務的にどうやっていくかという、この機会を見直しの転機にすべきだ、またこの前の意見は多分にその辺に意味合いを持ったわけです。よって四月の十七日、日本経済に一連の航空再編成の問題等が大臣の談話の形あるいは一般記事という形でかなり核心をついたものが出してある。しかもこれには「運輸省方針」というタイトルになっているわけですね。そうなりますと、これはやっぱり見直しの時期というものは日中航空協定を転機にすべきであろうし、また運輸省自身もそういう見解に立っているんじゃないですか。そうしなければ日中航空協定がいつの間にやら終わっちまっていよいよ飛び立とうというときに、その後見直すということでは間に合わない。どうしてもこれ一つの転機になると思うんです。しかもこの内容からいきますと、五月の下旬には運政審に諮問をしたい、こういうかなり具体的な内容まで出ておるんですがね、そういうスケジュールももうお持ちなんですか。
  36. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 日本経済が航空政策を立ててくれたような記事も私は拝見いたしたけれども、私が必ずしもそういうものを発表したわけでもございませんし、それは日本経済の航空政策だと思いますが、それはそれといたしまして、閣議了解事項というものについて見直しをする時期に来ているんじゃないかというお話については、そういうふうに私は思うと答えたことは事実でございます。これはまあいろんな要素があるわけでございまして、たとえば日台路線を維持していくということは、これはもう最初からわがほうとしては確認しておったことで、不幸にしていま停止されておりますけれども、そういうような場合に日本航空が飛ばないというようなことになれば当然これは見直しが必要なわけでございまして、そういうようなものも含めてまた国際貨物線の問題もいま申請が出てきております。それをどうするかというようなことも事務的な詰めはまだやっておりませんけれども、そういうようなもの等含めてやはり閣議了解事項というものは再検討と申しますか、見直しということは、私は必要であると思います。  まだ見直す時期等については、いまいつどういうふうにという段取りはきめているわけじゃございませんけれども、ただ中国に一社または二社という協定文の中にあるじゃないか、ただその一点をつかまえて、これ閣議の了解事項について見直しをやるべきじゃないか、また、おまえはせんだってそういうことを言ってるじゃないか、こういうことではないわけでございまして、そういうようなもろもろのことを含めて、すでにもう申し上げましたようないろんな事態を踏まえて、私は見直しの時期に来ている。そのときにはあるいはそういうようなことも検討の中に入るかもわかりません。入るかもわかりませんけれども、ただいま日中間路線について二社どうこうということについてのみ、この見直しということではないわけでございまして、その辺はひとつ御理解いただきたいと思います。
  37. 森中守義

    森中守義君 それは大臣、十分承知の上なんです。私は何も日中航空協定で一または二、約束できたんだから、それでその閣議決定が一に拘束しているものをワクを広げて二にするために、もしくは二以上にするために見直せということを言っているのじゃない。これは誤解のないようにしていただきたい。  ただ転機ですよね、問題は。この前議論したのは、私はそれが一つの中心なんです。さっき申し上げましたように、もはやその日本の航空企業というもの、あるいは航空事情というもの、もう事情が変わっているのだと、現在では。四十五年から早くももう五年近くたって、あの当時の閣議決定というものは今日の閣議決定ではない。そういうことは、大臣と私との意見の間に見直す意味合いについては、全然意味は変わりませんよ。ただ転機をもたらすものはこれじゃないのか、まあこういうことを言っているわけなんです。で、これはちっとも意味合いとして変わってるように私は思っておりません。それはむしろ私のほうから大臣のほうに理解してもらいたいと思う。  それと、もっと端的な言い方をしますと、大臣が言われるように、確かに現状は一社になってるのだから、それを踏まえて現状でしいてものを言えというなら、これは一社以外にないのだと、これはこれで事務的なことはわかりますよ。けれども、もう一歩話を広げてみまして、なるほどその日中の定期便というのはこれからなんですから、週何便必要なのか、どのくらいの需要を見るべきであるのか、これはなかなか想定つかないと思うのですね。しかし、おおむね航空路線というものは、これは国内路線考えても国際線を考えましても、開設前についてはかなり詳細なデータがある。だが、それでもいよいよ飛ばしてみると相当潜在的な需要というものが顕在化してくる、つまり喚起性を持っているわけですね。そういう意味でいまは一社分しかない。けれども、いよいよ飛び立たしてみて、一カ月たった、二カ月たった、半年たった、一年たったという段階になるとかなり需要が喚起されるのじゃなかろうか。そういう推移を見ながら一から二に発展していくという、こういう見解をお持ちであるのか、いや政策的に一でなければならぬ、二の約束があるのだけれども、本来的に一であるべきものだという、どっちを大臣はおとりになろうとしますか。私はやはり見直すという意味合い、しかもわが国の国際線というのが一社ではたして権威が守られていけるものかどうか。これはいろいろ見る人によって違うと思うんですね。しかし、もうそろそろ運輸省でも国際線一社ということではたして国益が守られているとするのか、あるいは複数であるほうがより国益が守られるという見解を持つのか、この辺に対する定見もお持ちになっていい時期じゃなかろうかと、こう思うんですが、どうお考えでありますか。
  38. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) これは非常に高邁な御議論でございまして、確かに見通しとしましては、需要があると思って、いま私のところへ来ている陳情はほとんどがそうなんです、需要があると思って白浜にもどこにも、宇部の空港でもつくったと、来るときにはまるで音楽隊までつけて宣伝してやったじゃないか、ところがいまごろになって人数が少ない、そろばん勘定が合わぬといって減便するとは何ごとかと連日いろんなところから陳情をちょうだいしております。そういうようなことで、なかなか需要の見通しをつけるということは、国内といわず国外といわず、非常にむずかしい問題だと思います、お説のとおりだと思うんです。  国際線が一社でいいのか、あるいは二社のほうがよりよいのかという問題につきましては、今日までもいろいろ議論をされておるようでございますし、またイギリスの例を見ましても、あるいは北欧三国の例を見ましても、また最近シンガポールとどこでございますか、航空会社二社連合がおのおのの一社に変わったというような例を見ましても、いろいろな問題が背景にあるようでございます。  したがいまして、これから先、中国の乗り入れの問題につきましても、またそれから先の以遠に飛ぶ国々のいろいろなまた航空政策上のものの考え方と申しますか、そういうようなこともやはり十分配慮しなければならぬのじゃないかと思いますし、いま直ちに一社飛ばしておいて、そしてその状況を見て二社にすべきかどうかというようなことについては、直ちに私はいまここでお答えするだけの考えはまとまっておらないわけでございます。とは申しながら、この秋もしくは暮れには現実に中国と相互乗り入れが始まる。協定がもし批准された暁にはそういうようなことになると思いますので、いつまでもそういう問題に触れなくて通すわけにはまいらぬと思います。したがいまして、この点につきましても、いま御指摘のございましたように、当分の間、需要との見合いによってこれをやるのか、あるいはその結果によって二社に変更するとかいうようなことをも含めまして、課題として検討をさせていただきたいと思っております。
  39. 森中守義

    森中守義君 これは大臣、このことをひとつ基本的なものとして御理解願っておかなければならぬと思うんです。航空法以下、関係の航空一連の諸法の中に、企業を対象とした根拠法というのはないんですよ、法律的にない。あるのは免許問題、これに演繹した事業の改善命令等々、こういう程度のものなんです。ですから、私がことさらに閣議決定であるとか、あるいは別段これは日本経済新聞に、運輸省が名義貸しをされたわけはないでしょうが、運輸省方針等出ておりますからね。まあやっぱり名義貸しでない限り、何かの真理はこの辺にある。こういうことを非常に注目しますのは、根拠法というものが比較的に乏しい。したがって、こういう企業等に対する航空政策の展開というものは、いわば行政レベルの一方的な処理でできる。そういう意味で、私は立法府と行政府との関係は、この問題に関する限り、もっと大胆な言い方があってしかるべきであろうし、もっと大胆な聞き方があってもいい、こういう実は概念を非常に強めている。法律的にとらえるところありませんよ。だから航空政策を立法がどういう角度からとらえていこうとするのか、しなければならぬのかということになりますと、別段、その航空基本政策というものが、目下のところ、国会の審議段階にのぼってこない、やはり行政府がつくっている、こういうものが中心になるんですね。それだけに、やはり国会としては必要以上に関心を払わざるを得ない。そういう意味で、大胆に答えてもらいたいし、大胆に聞きたいんですよ。これはひとつ国会における航空政策審議の原則ということで御理解願っておかねばならぬと、こう思うんですね。  それで中国への一か二かという問題は、直ちに、いわゆる名義貸しならざる日経新聞に出された大臣の紹介された内容等が非常に注目すべき問題になってくるわけですね。それでこれはどうなんですか、さっきお尋ねしますと、まだ別段スケジュールがきまっているわけじゃないんだと、そうは言われるけれども、いまの与党との協定批准承認、そういう段取りに追われておられるとは思いますけれども、もう大体ある種のペーパーポジションはできておるんじゃないんですか、もうこの段階ぐらいでたたき台ができておらないと、五月といっても、もうたちどころに来ますよ。ですから日中航空協定中国乗り入れが一つの転機となって、航空企業をどうしていくのか、航空政策をどうするかということになりますと、もちろん審議会にもはからねばならぬ、答申をもらってまたそれを詰めにゃならぬ、こういうことになりますと、時間的に非常に窮屈になりますね。そういう一連の流れをずっと見ると、やはり運輸省はもう固めた、完全にコンクリートになったとは言いませんけれども一つの方向を持っておるんじゃないか、こういうように推理を働かすのもあながち過ぎたことではなかろうと、こういうように思うんですが、別段言われたからといって、そのことがいろいろ影響ありましょうけれども、ここで言われなければよそでいいというわけにいきませんよ。むしろここで大臣が国際線を二社にするなら二社にするんだと言えば、その方向に大体方向きまっていくのじゃなかろうかと、こういうようにも思いますので、もう少し構想は私はある程度固めておられると思うんで、少しお聞かせ願いたいと思いますけれどもね。
  40. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 森中さんの非常に質問がうまいものですから、私はいままでいろんなことを勉強をやって、だいぶん事務局でも弱っておるようでございまして、しかし私は心にもないことを言っておるのじゃなくて、ほんとうにやると言ったらさか立ちになってでもやるつもりでおります。いままでそういうお答えをしてきているわけでございますが、ただいまの問題につきましては、ほんとうのところ、まことに不勉強で申しわけございませんけれども、まだ頭の中に固まったものがございません。いまいろんな作業が一応目鼻がつきましたら、多少考える余裕も出てくるかと思いますが、ただいまの時点ではまだそういうところまで固まって、それをたたき台にするというようなものがないわけでございまして、そのことは正直に申し上げておきたいと思います。
  41. 森中守義

    森中守義君 それでは少しこまかくなりますが、いまの東亜国内というのが払い込み資本の九十億か九十五億に対して七十五億ぐらいの赤字が出ている。こういう問題がやはり一つの見直しの内容になってくると思いますし、これは聞いていけば切りがありませんが、運航効率がYSなので悪い、だからこれをジェットに切りかえる、あるいはダブルトラック方式を採用するという幾つかのあれが出ているようですが、これは四十五年の五月、それから四十七年ですね、もう一回あとに出ているわけです。そういう段階においてすでに東亜の問題はそろそろ赤字転落への方向というのは出ていたのじゃないですか。ところがいま大体払い込み資本に匹敵するぐらいの赤字が出た、そこで大騒ぎになった。どうしてこういう段階になるまで行政当局としては放置してきたのか。何もこれは法律をたてにとるわけじゃありませんが、航空法の百十二条、事業への改善の命令というのがあるのですね。こういう改善命令が当然東亜国内に対しては該当する内容であろうし、事業計画を出してくるわけでしょうから、これはどうして放置してきたのか。  いま航空企業の優劣を社内問題として議論する前に、改善命令が出せる、事業計画の提出が行なわれなければならぬ、これをチェックするというチェック方式がちゃんと航空法の中で確立されているわけですからね。にもかかわらずこういう問題が全然いままで手をつけられなかったということは一体どういうことなのか。それはむろん陸上の法人タクシーであるとか、あるいはトラックだとか、ものすごく数の多いものじゃありませんし、四社をとらえることは、私はもうきわめて簡単に、収支報告がどうなのか見ることはそうむずかしいことじゃなかったと思う。にもかかわらず東亜をここまで落とし込ましたという行政当局の見解がわからない。むろん東亜国内の社内の体質もこれは問題があるでしょう。けれども一たん免許の申請があった、免許基準に照らして認可がおろされた、しかも路線の免許が与えられた。これはやはり正常な運航というものがすべての条件、しかもその前提になるものは安全だということだと思うのですね。会社が左前になって一〇〇%の安全性が保障されるのか、これは東亜にははなはだ気の毒な言い方ですけれども、概念としてはやはりそういうことも気になりますよ。  しかも四十五年の閣議決定と四十七年七月一日の運輸大臣の通達、これは形式は通達ですか、この通達では先発は後発に大いに力をかせというようなことがもう随所に指摘されている。こういうりっぱな航空企業に対する運輸省の憲章とも言うべきものを出しておきながら実際にやったことはこれに対応していない。現実的に東亜はいま転落寸前である。その背景をなすものは何であったか。運輸当局は何を見詰めておったのか。この点のことがよくわからない。したがって今回の見直しの転機になるのは単に日中航空だけでないと大臣が言われるように、やはりこういうものが非常に大きな問題です。  それにさっき私が申し上げるように、国際線一社で国益が守られていくのか。他の出さんとする一社、出ようとする一社は、国際線に出るだけの体力があるのかないのか、こういう評価もやっぱり一連の中にとらえていかなくてはならぬ、こういうことになると思うのです。そこで具体的にちゃんと事業計画を提出させる、これはチェックを加える、その内容いかんによっては改善命令が出せる、非常に事業をとらえるには数少ない条項ですよ、航空法の中の各条文は。けれどもそれだけをポイントとして押えてある。にもかかわらずなぜこれが措置としてとられなかったのか。これはたいへん私は結果的に見て逆論ずるのもはなはだどうかと思いますが、非常に問題だと思う。その辺の経緯を少しくまびらかに御説明願いたいと思いますね。
  42. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 先生御指摘の東亜国内航空、これが非常に累積赤字をふやしている。この現状というものが過去においてきめられました航空政策のワクの中で十分実効があがらなかった結果であると、確かに御指摘のとおりだと思います。ただ東亜国内が合併をいたしました当時の経緯といたしましては、このYSを中心とする路線会社であっても、これは今後十分採算がとれるという一つの見通しがあったわけでございます。したがいまして、こういう合併というかっこうで認められ、かつまた採算性のいい路線、つまりジェット化率を高めていくという必要があろうということで、行く行くはダブルトラックをやり幹線に乗り入れていく、こういう大きな方針がきめられておったわけであります。  この方針自体はいまでも間違いではないと、東亜国内の再建のためには間違いではないのだというふうに考えられますけれども、その合併後、非常に合併を契機といたしまして両社のコストが非常にアップしたという一つ大きな原因がございますし、またこの運航コストが高くなりましたためにということと、それからその後事故がございまして、これでジェット化が一時停滞をした。私どもはやはり企業の指導にあたりまして安全第一ということでやっておりますので、ジェット化の時期がおくれておるということがございます。  他方地方空港の整備、これがジェットが入れるような整備ということで、現在の空港整備が行なわれておりますけれども、この空港整備の恩典を受けるところが、たとえば全日空などに比べると非常に少なかった、こういういろんな条件が重なり合いまして今日の状態になっておるかと思います。また先生が御指摘のように、企業内の努力という、あるいは企業のあり方というようなことについても問題があるということは、御指摘のとおりかと思いますが、こういう状態に立ち至っておりまして、これを国内の三社の中で何とかしていかなければならぬということでございまして、これも現在の航空政策の見直しの非常に大きな原因になり得るという認識に立っております。大臣もそういう考えからわれわれにどうすべきかという事務的な作業を命じておりますので、これはいずれそう遠からざるうちに一つの方向づけというもののたたき台ができあがるというふうに私は了解いたしております。
  43. 森中守義

    森中守義君 それもいま局長お話の中にも見直しをしておるんだという意味合いでわかりますが、やはりこういう問題があまりにも深刻なものになっていますし、一ぺん決定されたものは随時やっぱり点検をしていくということがどうしても必要のようですね。ただ非常に数少ない企業でありながら、財政的な力量あるいはいろんな背景、こういうものはやや私どもでははかり知れないぐらいの非常に深みを持つものでしょうからね。行政当局の力が及ぶのか及ばないかという、こういう深刻なものも航空企業には確かにあると思う。しかし、これをやっぱりあえて仕上げていきませんと、相手が相手だからということでは、何といっても安全が一つの基本である限り放置できない問題だと思う。  それからもう一つ、このことに関連しますが、四十五年及び四十七年ともに日本航空株式会社に対する提起のしかたの中に南西航空というのは全然入っていない。ところが現実には日本航空が南西航空に一〇〇%出資、つまり完全な子会社だ、こういうあれをとっていますね。これは運営体制ということの、通達の中にこういうものもない。閣議決定の中にも南西航空というものはない。むろんこれは日本航空から一つの事業計画が出されて適法だというわけで認可されたものだと思いますけれども、こういう確立をされている体制の中にないようなことがなぜ実行されているのか、これもどうもふしぎでしようがない。こういう南西航空形成の由来、沿革というもの、これも私よく知りませんから教えてもらいたいし、運営体制の中にないものがなぜこういうふうに突然としてあらわれてきているのかということが一つ。  それからいま一つは、日本航空株式会社法の一条、目的によれば、国際線及び国内幹線と同時に付帯事業というものが許容されているわけですね。だから南西航空というのはそういう意味の付帯事業という意味で認可されたのか、それは一体どうなのか。  それから日本航空の貸借対照表をちょっと調べてみましたら、子会社に対する出資が一番新しい統計で二十九億になっていますね。しかも相当なシェアを持っているし、一〇〇%出資というものが大体多いようですが、それでその事業計画を出されてきた場合に、これははたして付帯事業と理解すべきであるのかどうなのかというその基準があるんですか。日本航空株式会社法の法それ自体の中にそういう基準というものなんかもちろんない。特別に運輸省のほうでこれまでは付帯事業というような正確な判断の資料になるようなものがあるんですか。どうも出されている日本航空の二十九億の出資先というのを見ると、これは一体付帯事業ということに解釈すべきかどうか非常に疑わしいものもありますよ。それで、どこかでやっぱり付帯事業であるかどうかという認定をするにはある種の基準がなければいけないだろうし、出てきたものをみんなオーケー、歯どめのないような付帯事業の拡大拡張ということは、これは私は問題だと思う。しかも航空法によれば独禁法の対象外ですからね。独禁法の対象外であるということをいいことにして、次から次に付帯事業というものが拡大拡充されていくということはこれはもう容易ならぬ問題ですよ。これも一つ問題がある。  それと、何といっても五〇%国が出しているわけだから、しかも利配については後配でよろしいと、そういうことをいいことにして、まさか日本航空がそういうことをやっているとは思いませんけれども、やはりたてまえとしてはある種の規律化といいますか、付帯事業はきちんと秩序立ったものでないと世間の批判を受けることになりゃしませんか。この辺のことを一体どうお考えになるのか、少しお尋ねしておきたいと思います。
  44. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) まず最初に南西航空の件でございますが、四十五年の閣議了解、それから四十七年の大臣示達ともに南西航空には触れておらない、どうしてだという御指摘でございます。南西航空ができましたいきさつにつきまして私十分に御説明できるかどうかちょっと疑問でございますが、当時沖繩返還前でございまして、沖繩の行政権によりまして米国系の会社沖繩−離島間の輸送に従事しておった時期がございます。これが非常に経営不振におちいりまして、この際日本側で何か考えてもらえないかというようなことがございまして、沖繩の地元の資本を中心にいたしまして現在の南西航空というものをつくろうという話ができたわけでございます。  そのときに日本航空にも参加の呼びかけがございまして、結果といたしましては日本航空が五一%の出資をし残りの四九%が沖繩資本である、こういうかっこうで現在の南西航空が発足いたしたわけでございます。それでその後四十七年に沖繩返還になってまいりまして、一連の経過措置の中においてあらためて南西航空が今度は現在の他の三社とある意味で同列の形で航空法による認可が出ておる、こういういきさつがございます。  したがいまして、この四十五年の閣議了解の当時にはこれが実はワク外になっておりまして、この航空政策の中に入っておらなかった、こういういきさつがございます。今後新たにこの航空政策というものを見直す場合には当然この南西航空というものも頭の中に置いて考えていかなければならない、こういうことであろうかと存じます。
  45. 森中守義

    森中守義君 出資は一〇〇%。
  46. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 五一%でございます。日本航空が五一%、残り四九%が沖繩の地元資本でございます。これは沖繩の地元の会社ということで現在までわれわれもそういう認識のもとに指導しておるわけでございます。  それから二番目の日本航空の付帯事業関係、これに何か基準があるべきではないかという御指摘でございます。基準といいますか、一つのまあ基準だと思いますが、大きな柱が二つございまして、一つは自分で直接やってもよいが他社にやらせたほうが合理的な事業、一時日本航空整備というのがございましたが、整備を別会社でやったほうがいいというような考え方でこういうものができた、そういう系列の関係の事業。それともう一つ、二つ目の柱といたしましては、この輸送という本業に密接な関係があって、そういう事業を営んだほうがよいと考えられるもの、非常に密接な関係があるということでございまして、この二つが大きな基準の柱になっておる。こういうことで現在まで付帯事業というものを整理してその出資を認めるか認めないかという判断をしてまいっておる次第でございます。
  47. 森中守義

    森中守義君 これはいま抽象的に言われる判断の基準ということではわかりますけれどもね。やはり二十九億も出している。これはなかなか普通の会社じゃできませんよ、こんなことは。国鉄総裁もおられるけれども、国鉄の関連事業への出資も、これは法律で押えられているわけです、予算の何%。他のおおむね国が関係した機関の他への、関連部門への出資というのはそれぞれ抑制されていますよ。日本航空にはそういうものがない。しかも国の五〇%出資に対しては利子はあと払いでいい、利益あと払いでいいと、こういうように特別な恩典を与えてあるわけですからね。それをどんどん無制限というわけでもありませんがね、二十九億も出資をするということになると問題がありますよ。  それもさっき言うように、本体は独禁法の適用外になっているから、その辺のことは少し考えておきませんと問題だと思うね。収益の何%であるとか、あるいは関連予算の何%の限度内とか、そういうある程度財政上の規律ということも考えていいんじゃないですか。どちらかというと、いま局長の言われるように、判定の基準には二つある。これはもちろん大きな柱として理解しますがね。理解するが、もう少しこまかく詰めて財政の何%、他の公機関がとっているような方式というものがとられてもいいんじゃないかと思いますね。どちらかというと無制限、無条件、しかもそれは日本航空の責任じゃない。事業計画を出して、大臣が認可を与えているわけですからね。それは認可権者の責任ですよ。そういう意味で少しくこの辺の問題をこういう機会に整理される必要が私はあると思う。大臣いかがですか。  それと、ほかのことも少しお尋ねしなきゃいけませんので、これにばかりかかっているわけにいきませんがね。日本航空株式会社法それ自体も、これもずいぶんずれていますよ、一つの見方からすればね。ですから見直しの機会に航空政策全体を新しく洗い直そう、こういう観点からいくならば、これは日本航空株式会社法それ自体も少し検討を加えてみたらどうですか。
  48. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) まず最初の御指摘でございますが、この日本航空株式会社法に基づく会社ということで日本航空が存在し、営業活動しております。基本的な考え方は、これはある意味で私企業的な色彩が強うございまして、ここへ政府が出資をしている、その関係上特殊法人という形になっておりますが、本質的に公社、公団とはやや性格が違うのではないかという、こういう認識に立っております。  先生御指摘のように、付帯事業にやたらに出資をしていく、これは無制限で非常におかしいではないかという御指摘でございます。私どもももちろん先ほど申し上げましたような二つの柱の観点から、この出資というものはかなりきびしくチェックをいたしておりまして、そう無制限にやっておるということではございません。また、ただ単年度の予算と申しますか、収支見通し的なものの何%というふうに縛るやり方が必ずしもいいかどうか、多少疑問がございます。やっぱりその年に多少はみ出しても出資をし、そういう事業形態を傘下に入れておく必要があるという場合あるいは全然その必要のない年もございますかと存じます。そういうことで、必ずしもきちっとした絶対額で押えていくということにつきましては、やはりもう少し検討の必要があろうかと存じます。  二番目の御質問の日本航空株式会社法そのものの見直し、これはある意味で必要になるかもしれないと存じますが、ただ、こういう性格の会社、つまりナショナル・フラッグ・キャリアとして日本の国益を守りかつ必要な輸送力を提供していくという会社のあり方といたしましては、やはりこういう会社がなければならないんではないか。と申しますのは、完全な私企業になりますれば当然やはり採算性の非常に悪い路線というものから手を引きたがる、こういう傾向も出てまいります。反面いかに採算性が悪くてもこれは国の立場から運航してもらわなければならない路線というものも出てまいります。こういった点を維持させるということから申しましても、やはりこういう仕組みのものが必要であろうかと存じます。ただ具体的に内容その他個々に当たってまいりますと、先生御指摘のように、多少いまの現実に合わないのではないかというような点もあろうかと存じます。適当な機会にこれは一度検討さしていただきたいと存じます。
  49. 森中守義

    森中守義君 局長ね、いま日本航空株式会社に対する性格上の意見というのはよくわかりますよ。私は完全な私企業に切りかえちまえ、そういうことを言っているのじゃない。これは少なくとも現状の体制に合わない、内容的に。特にいままで指摘をした関連事業への出資等の問題もある程度こまかな内規的なものなり、これだれしも聞いても、なるほどそれはそうなのかというようなことがやはり必要でしょうし、それからいま一つ、いま言われる損得を度外視してでもという、もう現状においてはあくまでもたてまえ論にすぎないんじゃないですか、全部がそうだとはもちろん言いませんがね。  その一例として先般来大問題になっている騒音の問題、これをちょっと少し調べてみましたが、一番やかましいのがDC8、これが基準値と騒音値だいぶ違っていますよ。それから727、747、737というように大体基準値と騒音値が、見てみると順番になっている。問題のDC8、これは一一六ぐらいになる。非常に騒がしい。ところがこれを各社別に見るとDC8が日本航空の場合には五十二機が持ち前で、七機賃借りか何かしていますね。これがいまや日本航空の主力部隊になっている。ところが大阪周辺の皆さん方は、まあいろいろ検討もされているでしょうが、どれが一番騒がしいのか、どれならいいかという、そういう考え方でなくて、込みにしているものだから、一番騒がしいDC8というものについてはあまり具体的非難が出てこない。中身を見ると、やっぱり一番うるさいのはDC8。これは今日のように航空騒音問題が国際的に問題になる以前に開発をされてでき上がったもののようですから、これはもう無理もないと思う。  ところが一たん騒音証明制度などが具体的に採用される段階になりますと、これはもうたいへんですよ。そこで私は、きょうこれを言うのが目的でないんだけれども日本航空がほんとうに社会に対してみずから与えられている使命、任務ないしは性格等を考えるならば、進んでDC8のエンジンの改良をするとか、あるいは取りかえをするとか、まあそういうことなどもとられていいんではなかろうか。残念ながらこれは進んでいないようですね。この一面をもって全部律するということはむろんこれは危検です。けれども、たてまえと現実は違うんじゃないかという一つの例証としては、この騒音問題、DC8の問題等があげられると、私はこう思うんです。もともと運輸省ではエンジンの改良をやれとか、あるいはダグラスでもかなり改良の方向に向かっているんでしょう。そういうものをなぜこれかえようとしないのか。むしろたてまえと実態というよりも、まあ半官半民的な存在だということで、いわば少し感覚的にぴんとこないようなところもあるんじゃないかというような気がするんですがね。騒がしいのはこれですよ、実際はね。一一六の騒音ですよ。727、737の一〇二から九六ぐらいとは全然違いますよ。これは一体どういうことですか。そういうものをもってして日本航空とは何なのかという実は問いかけをもう一ぺんしてみなければいかぬというふうに私は思うんですが、これは一つの例にすぎないんですけれども、どうなんですか。
  50. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) DC8が騒音問題があまり深刻でない時代につくられ、その当時のエンジンをつけておるという御指摘、まことにごもっともでございます。  そこで日本航空といたしましてはこういうDC8をまず747に切りかえていくということと同時に、DC10の使用の可能性を目下検討中でございます。この両方とも非常に音の静かな飛行機、音の面から申しますとかなり下がるわけでございます。そういう機材の——もうDC8はかなり古い飛行機でございますので、これを逐次入れかえていくという事業計画になっております。またエンジンそのものを早くかえたらどうだという御指摘でございますが、このボーイングの系統の航空機につきましては、新しい低騒音のエンジンキットができておりまして、これはそういうことをさせるべく本年度の予算でも融資等を考えておりまして、これは逐次やっていかれると思います。ただ不幸なことに、DC8のほうのそういう低騒音用のエンジンキットというものがまだでき上がっておりませんので、いますぐこれをかえるというわけにはいかない状態にございます。そこで抜本的に機材そのものをかえていこうということで現在事業計画を組んでおる状態でございます。
  51. 森中守義

    森中守義君 いままで大臣日中航空協定一つの転機にしまして、政策転換の時期に来たと、特に国際線の問題あるいはいままでいろいろ取りざたをされている国内路線の問題等ですね、総じて固まったものは持っていないんだと、こう言われるけれども、大体おおまかなスケジュールとしましていつごろまでに内部体制を固める、あるいは関係者の意見を聴取する、それで一つのものをまとめて運政審にはかる、答申をもらうという、そういう一つの手だてといいますか、一通りのものはもうお持ちになっていないと、何も考えていない、少しも具体的に進んでいないということでは、そうですかというわけにはまいりませんよ。まあやっぱり言えること言えないこともありましょう。そのくらいのことはかみ分けているつもりですが、大体の側定としてはどうお考えになっているか。
  52. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 先ほど来お答え申し上げておりますように、いろんな角度から航空政策全般の見直しをやらなければならぬと思っております。したがいまして、その時期はいつかということでございますが、これはなるたけ早い時期に勉強したいと思っておりますが、何ぶんにも国会もこういう段階でございますし、今日までもいろいろ勉強は指示しておりますけれども、結論を見ておりませんが、なるたけ早い時期あるいは来月中に原案がまとまるかどうか、まだ確信は持てませんけれども、そういうところを目標に積み重ねをやっていきたいと、かように考えております。
  53. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、結局前回お話がありましたように、とにかく閣議決定というのは見直す、これだけはもう確認しておってよろしゅうございますね。  それと、さっき私が国際線一社が国益を守ることなのか、あるいは二社が守ることになるのかという、そういう定見等もそろそろまとめたらどうだと、こういうことを申し上げておりますが、これに対しても正確なお答えが実はございませんでしたが、そういうようなことですとか、あと空港整備五カ年計画というものももうすでに日程にのぼってきておるわけですね。こういったように見ると、もう非常に広範な問題が航空関係にいま介在をする。そういうものを逐一整理していくには五月一ぱいというのはなかなか困難でしょうけれども、企業関係だけ先行してみても空港整備が伴わなかったり、あるいは大阪ではすでに日中の航空協定ができたからといって増便はまかりならぬという、こういう意見等もあるし、まさに複雑な様相を呈しているわけですが、この際よほど大臣も勇断をふるって、しかも局長以下事務レベルにいろいろ督励をされませんと間に合いませんね、いかがですか。
  54. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) そういうような、先ほど御指摘のような問題も含めて勉強し努力してまいりたいと思っております。交通総合体系の問題もあなたとお約束いたしました。そこでいま大馬力をかけて実は諮問もいたしたわけでございまして、これも大作業で、当時からお話し申し上げましたように、二カ月や三カ月、半年で出る問題ではございませんが、とにかく明年度はこの経済状態がどういうふうな推移を見ますか、これは別といたしまして、一応各交通分野の分担、そういうものも一ぺん総合的に検討したいと思っておりますし、港湾計画にしても、あるいは空港整備計画にいたしましても、明年度を初年度として出発させたいという希望を持っていまおるわけでございまして、そういうようなものを踏まえて総合的一つの体系も見直さなければならぬということで、いま努力しているわけでございます。その中の一環として、いまおっしゃいました航空問題につきましても検討を加えてまいるつもりでございます。
  55. 森中守義

    森中守義君 お約束の時間があまり残っておりませんので、まだこの種関係は少しくお尋ねしたいこともありますが、他のこともありますから、きょうは航空関係はこの程度にしておきましょう。  そこで、いま大臣が分担確立及び需要調整、約束ごとがあるのだというわけで、これもひとつ聞いてくれぬかということのようですから、ひとつそれを聞かしてもらいたいと思います。  この前、総合交通体系の見直しをやる、それと五十一年予定の国鉄の運賃改定、その前提になるものはくずれたじゃないか、こういうことに対しまして、やや正確に容認された、ついてはそれも見直しをせざるを得ないだろう、こういうお話等があったわけですが、いまどうなんですか、もう少し私は国鉄問題に対してちょっと見方を変えてきょうはお尋ねしてみたいと思う。  つまりエネルギーという角度からこれからの交通機関をどう見ていくかという問題ですが、これは関係委員会等でもずっと言われてきたことですが、現在もあるいはこれからも石油の依存度というものはこれはもう相当高いものと見ざるを得ない。きのう私の委員会で三木さんと関係委員との間の問答がありまして、大体三億五千キロリットル、この程度のものはどうしても必要だ、いわば早くも一億も昨年あたりの実績を上回るような需要を見ているわけですね。そのためコンビナートあたりもどんどん形成されようとするし、これは公害という角度からとらえると、これはまた容易ならぬ問題だというようなことが一面の議論にある。  そこで、こういうように需要が増大している状況を見ていけば、運輸交通関係が一体石油をエネルギー源として求めるのはどういうような方向にいくのか、この辺の検討が一つの方向を見る上に非常に重要だと思うんですね。いま国内の石油総量の中で、運輸交通部門は大体何%とあれしているのですか。
  56. 佐藤久衛

    説明員(佐藤久衛君) 交通関係は、先生御承知のように、石油のほかに電力関係、これも入っておりますので……
  57. 森中守義

    森中守義君 いやいや、それは石油だけでいいです。
  58. 佐藤久衛

    説明員(佐藤久衛君) 全体でいいますと、全体のエネルギーの関係では一三%ぐらいは交通関係で消費している、こういうことでございます。
  59. 森中守義

    森中守義君 それをずっと各部門ごとに言ってみてください。
  60. 佐藤久衛

    説明員(佐藤久衛君) ちょっといま手元に資料を持ってまいりませんでしたので、後刻調べさしていただきます。
  61. 森中守義

    森中守義君 手元に資料ないの。——いま参事官の言われるその全体の一三%という消費量は、これは大体まあ私の資料とも符合します、おおむね正確のようですね。  それで現在のその一三%のシェアというものはこれからの推移としてどういう変化を伴ってくるか。確保できるできないという議論でなくて、交通部門として必要な量はどうなのか、どういう見方をしておりますか。
  62. 佐藤久衛

    説明員(佐藤久衛君) 今後の推移につきましては、具体的な推計ということをまだやっておりませんですが、一方におきまして過去のような経済の伸びというふうなものにつきましては、高度成長というふうなものにつきましては相当鈍化するというような問題も出てまいりましょうし、したがいまして、旅客輸送の問題あるいはまた貨物輸送——貨物輸送につきましては景気の変動というふうなものをもろに受けますものですから、高度経済成長というふうなものにつきましての反省というふうなものが出てまいりますれば、当然貨物輸送事業というふうなものの伸びにつきましても在来とは違った傾向が出てくる、こういうふうに考えます。したがいまして、在来のような燃料の消費の伸びというふうなものについては多少鈍化するというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、一方におきましてその燃料の国際的な価格高騰というふうな問題がございますし、それから先生も先ほど御指摘のように、公害の問題というふうなものがございます。したがいまして、今後運輸政策を見直していくというふうな場合には、そういった公害の問題あるいは省エネルギーを中心とした交通体系というふうなものも考えていかなきゃならぬというふうに今後の計画を検討してまいりたいということでございますので、在来の伸びから見ますならば多少は鈍化するというふうに考えられるのじゃないかというふうに思います。
  63. 森中守義

    森中守義君 これはいま言われるように、省エネルギーの問題とか、あるいは公害の問題とか、いろんな態様が変わっていくことはもちろんでしょうが、しかし、いままでの一三%限度、これで推移していくのか。もちろん、これはもともとの安定輸入ができるのか、コストがどうなるのか、こういう非常な変化もありましょうが、しかし大体一三%限度というものでものさしを当てていくのか、あるいはその年率どのくらいずつ伸ばしていくのかという、その辺の試算をそろそろ出しておかないと、新しく総合交通体系を見直したり、あるいは再建計画が見直される、基本計画が見直されるという際にちょっと戸惑いしますよ。  そこで、これは早急に作業にも入っていかれるものと思いますから、それはそれとしまして、いま一三%の中で自動車は一体どのくらい占めているのか、これひとつ、逐次、部門ごとに少し教えてもらいたい。
  64. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 自動車で使っておりますのは、御承知のように、ガソリンでございます。ガソリンにつきましては、これはもう九十何%、ほとんどこれはいわゆる自動車関係で使っておる、こういうことでございます。それからあとは軽油でございますが、軽油は、これは約七〇%ぐらいを自動車関係で使っておる、こういうことになっております。あとは自動車関係ではLPガスでございますけれども、これは一三、四%、こういうウエートになると思います。
  65. 森中守義

    森中守義君 これは種類別に統計を一ぺん出してもらえばすぐわかりますが、とにかく大臣、ここで私が言おうとするのは、その石油のエネルギーとしての依存度というものは依然として変わらない。ところが、これをトラックあるいは乗用車、営業用とか航空とか、あるいは海運とか、ずっと分類していった場合に、国鉄と他の部門との運行効率がどうなのか、これが問題なんです。これはもう比べものにならないぐらい非常に国鉄の運行効率が高い。これは自動車局長、トラックと比べた場合に極端に差がある、そこに大量輸送機関としての、国鉄の新たなエネルギー問題の側面から見る必要性というものが出てくるんですね。ですから、これはひとつ政策課あたりでできればもう少し詳細なデータを出してみてくださいよ、キロトンどうなのか、人キロどうなのかという、全部部門別に出してもらうと。ありますか、統計が。
  66. 佐藤久衛

    説明員(佐藤久衛君) 先生御指摘の資料は、現在時点におきましての、たとえば各交通機関別のトンキロ当たり、あるいは人キロ当たりのエネルギー使用効率、全部調べてございますので、いま資料を取りにやらせましたので、御時間がございますれば、この席でも御報告さしていただきたいと思います。
  67. 森中守義

    森中守義君 とにかく大臣、結局、国鉄はどういった見方からいままで推移してきたのか、新しい社会的な問題としてのエネルギー問題から見る場合に、全然話にならないような非常に運行効率が高い、これを黙ってほうっておくという手はないと思うんです。だから分担確立だ、あるいは需要調整だという、そういう一つの基調をなすもの、これから政策展開をやろうという際の、部門別にはどれがどうなのかということをよほど検討を加え、しかもエネルギーというものを背景に据えてみる。こういう角度から少し国鉄問題を検討してもらいたいと思います。そのかわり、トラックだ何だという、かなり影響も与えましょうけれども、そこがどう斉合するかというむずかしさでもありますけれども、私は再建計画、あるいは国鉄の政策をもう一回見直すにはそういうことが大事じゃないかと、こういうふうに思いますけれども、いかがでございますか。
  68. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) お説のとおりだと私は思います。たとえば旅客輸送におきましても、四十七年度の実績でございますけれども、人キロ当たりの消費エネルギーを見ますと、バスが一・三倍、それから乗用車が五・三倍、飛行機が八・二倍と、こういうような数字でございます。貨物のキロトンにいたしましても、それぞれ鉄道のほうがより大きな効率を持っておるわけでございまして、鉄道を一といたしますと、トラックが五・四、内航海運が一・五ということになっておりますが、いずれにしましても、いま御指摘のような点を十分配慮してこの再建計画というものにも取り組まなきゃならぬし、また見直す時期には見直さなければならぬと思いますが、先ほど来、総合交通体系の中でそういうようなものを十分詳細に検討して、これから先の見通しというものも、いま先生御指摘の、将来においては三億五千万キロリットルの石油を必要とする、いま大体二億七千万ぐらいじゃないかと思いますけれども、それはそれとしまして、そういう中に交通部門が一体どのぐらいこの石油をしょい込んでおるのか、その中で、また効率的にはどういうふうな配分になっておるのかということを厳密に検討して将来計画というものを立てなきゃならぬと思っております。それがこの委員会が始まるころからいろいろ御指摘がございましたいわゆるそれぞれの分野における分担の配分と、受け持ち分担の確立というのがそこにあろうと思いまして、いま鋭意勉強をし、また本日、実は審議会にその面の諮問をいたすことになるわけでございます。
  69. 森中守義

    森中守義君 ちょっと自動車局長、これは最近の新聞ですが、元売り各社が石油の供給三〇%削減の通告を出したということと、それからLPGの七〇%値上げを通告してきた、こういうことが新聞に出ておりますが、聞いておられますか。
  70. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 新聞紙上に出ておることについては存じておりますけれども、現実にいま末端のたとえばタクシー事業者において購入いたしておりますLPガスの価格につきましては、従来の四十五円程度というものからそんなに値上がりをしておるというふうには聞いておりません。
  71. 森中守義

    森中守義君 これは通告なので、いつから実施するのか、この段階がどういうように発展するかわかりませんが、せんだって通産省に来てもらって、LPGの総量を十三万五千トンでしたね、これはどうしても確保せにゃいかぬと、それを大臣も通産側とあくまでもその実現に努力しようと、こういうことでしたが、これはやっぱり継続してやってもらわないと、削減通告が出た、あるいはコストアップの通告をしてきたということになりますと、またまた、これは業界大混乱する可能性がある。こういうことで四月分はたしか十二万五千トンになったようですね。五月分については話をされているかどうか。その後、通産側と、ちょっといまのところ、油問題が下火になっているもので、安心しきっておると、今度また出ますよ、これ。そういう予防措置をもうこのあたりからとっておく必要があろうと思いますが、やっておられますか。
  72. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 通産省とは常に連絡を密にいたしまして、LPガスの需給見込みについてはこちらも強硬に意見を言い、また情報もとっておるわけでございますけれども、いまのところ、五月の需給見込みにつきましては、大体十二万五千トンから十二万九千トン程度の確保は可能であると、こういうふうに考えております。ただ十三万五千トン、さきほど申し上げましたように、いわゆる満ぱい状態といいますか、十三万五千トンという必要量に対しましては、まだ若干の差はございますけれども、一応十二万五千トンから十二万九千トン程度の量は五月においても確保できる、こういうふうに考えております。
  73. 森中守義

    森中守義君 ですから十二万五千トンないしは十一万五千トンというのがコンスタントに確保されたから、これが総量、定量だということになっても困ると、運輸省の計算では十三万五千トンと、こう言われるわけだから、これはやっぱり努力を継続すべきでしょうね。  それから大臣、これは新聞を目にとめられたかどうかわかりませんが、四月の十八日に、国鉄の井上副総裁が記者会見で、国鉄の運賃値上げは国会抜きだと、こういうことを検討し始めている。しかもこれは国鉄当局のみならず鉄道監督局と協議していると、こういうことが出ていますが、これはいろいろ耳に入ってくる話では、いろいろ議論がある、その中の議論一つだと、こういうようなことなので、別段大臣がこういうことに備えよと言われたとも思いませんが、非常に興味ある問題ですよ、鉄道民営論をだれかが言ったと思じような意味で、しかし、あまり実現可能性のないようなことを軽々に新聞記者に発表などされるということは好ましいこととは思わない。むろん運輸省あるいは国鉄当局にしますと、運賃改定のたびごとに国会で大騒動になる。ひまがかかったりあるいはあまりおもしろくないような状態で国会でいろいろやられるのは迷惑だというような考え方をもしお持ちだとすれば、これは私はたいへんな見当違いだと思いますよ。  何も好きこのんでそういうことをやっているわけじゃない。けれども、何といっても国民の国鉄、こういうように私も理解をするし、またそうなければならぬ。それならば、国民の国鉄であるものを行政当局にまかしてどうなるのか。少なくともやはり一つのそういう意味で国民の意向を何かの形で反映する場所、それで国民と国鉄を調和をはかっていく、少なくとも私は調和の役を国会が果たすべき役目を持っていると思うのですね。そのやり方がいいか悪いかは行政当局や国鉄には御批判がありましょう。しかし、その批判は批判で甘んじて受けますよ。受けるけれども、国民と国鉄の調和という観点からいくならば、井上副総裁の言うような国会抜きということは、私はどう考えてみても国鉄の首脳部のお考えとしては妥当であるとは思わない。これは鉄監局長、こういうことを協議されたことはありますか。しかも内容からいえば非常に具体的、運賃法廃案の方向へ、財政法改正の方向へと、こういう記事まで出ているわけです。ごらんになっていますか。大臣はごらんになっていますか。
  74. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私、実は不勉強で、いま見せてもらった程度でございまして、内容は承知しておりません。  それから国鉄の運賃なんというのは、国会でそれだけ騒動があるということは、そのぐらい国民生活に密着しているということでございますから、そこを踏みはずして、めんどうくさいから通り抜けて考えるということは、私は穏当な考えではないと思います。考え方はいろいろあるだろうと思いますけれども、私の立場からいたしますとそういうふうに考えております。しかもこの記事あるいは内容等については一切存じておりません。
  75. 森中守義

    森中守義君 結局はそれを否定されるという意味ですね。
  76. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) そういうことです。
  77. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 私どもの副総裁の談話は、私に言わせれば誤解されて問題を起こしているようでございますので、おわび申し上げます。  それから毎度私ども新聞記者と会談なんかやりまして、これは国鉄のまとまった意思だという場合には誤解のないようにテキストを渡して、テキストの説明をするという慣例をとっておるのでありますが、この問題はもちろん国鉄のまとまった意思でもなし、運輸省の御意向を伺った意思でもないのだけれども、先生おっしゃったような事由によりまして、議論としてはこういう問題もあるというような雑談の中に含まれたということでございますので、これは間違いないので、さよう御了承願いたいと思います。  それから先生の後段におっしゃいました、国鉄のやつはむずかしいので、時間がかかるのでというような御議論がありますけれども、国鉄は国民の国鉄でございますので、その国民の意思が入ると、これは実に当然な話なんで、しいて先生の御好意に甘えて申し上げると、国鉄というのは非常に多忙な輸送をやっておりますので、何とか手っとり早く国民の意思を反映さしていただいて、そして運営願いたいというのが請願の趣旨でございます。
  78. 森中守義

    森中守義君 これは総裁なかなかけっこうな御意見でよく承っておきましょう。井上副総裁もそういう意思であったかどうかははかり知れません。ただ非常に悪く見れば、総裁の決裁とってプレス会見をやれば頭から押えられるから、言いたいことほんとうに言っちまうんだということであったかもわかりませんね。それ一ぺん副総裁によく聞いてみてください。
  79. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) わかりました。
  80. 森中守義

    森中守義君 そのことをいまここでとかく議論をしてみても、私どもとしてはさっきから申し上げるように、国鉄と国民の調和ということを大原則考えていかなければならぬと思いますからね。  そこで今度の仲裁裁定で約二千七百億ばかり財源が要るようですね。この財源措置大臣、春闘の始まりのときにゼロ回答じゃない有額回答だろうとこう言ったら、そのとおりだということで大臣は胸を張られた、財源はわしにまかしてくれというような意味合いに私は受け取った。ところが国鉄の財政上いろいろ吟味してみますと、予備費が約三百億ぐらいですね、そのぐらいですね。
  81. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) はい。
  82. 森中守義

    森中守義君 そうなると予備費をまるまる出してみてもまだ二千四百億ぐらい足らない。これ一体どうしますか。裁定ですから払わぬというわけにいきますまい。他の二公社五現業並みには当然これは処理すべきだと思うのですがね。大蔵省あたりでは参議院選挙後の国会で予算の補正をせざるを得ないと、こう言っているようですが、大臣と総裁のほうでは何かその辺の対策はお考えになっていますか。
  83. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 今回の委員長見解によりますと、ただいま御指摘のとおり国鉄の全職員で大体二千七百億強でございます。これに対しまして現在予算上の財源といたしましては、いわゆる給与改善費といたしまして五%、これが五百四十二億あるわけでございます。それでこれ以外に定昇といたしまして四%分、これが二百三十億あるわけでございます。いわゆる給与費といたしましては予算上はこれだけの問題でございまして、本年は予備費といたしましては昨年の二百五十億に対しまして五十億増額の三百億というものは予定いたしております。しかしながら現在まだ委員長見解の段階でございまして、仲裁という段階まで至っておりませんが、相当私たちの考えておりました以上の高額のものでございまして、この財源につきましてはさらに十分に検討を重ねて、仲裁が出ます際にどういうふうに対処すべきか慎重にさらに検討を重ねてまいりたいと思います。
  84. 森中守義

    森中守義君 いま鉄監局長の言われるような、ちょっと私うっかりしていましたが、そういうこともあるようですね。それを整理してみますと、結局幾ら足りなくなりますか、差し引いた場合。
  85. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 現在予備費がどれだけ使えるかということについては、今後の災害の問題もございますし、それから〇・三という問題もございまして、どれだけ予備費から使えるかということは確定ができませんが、非常に大ざっぱなところでございますが約千八百億ぐらいは不足するんではないかと考えております。
  86. 森中守義

    森中守義君 これは新聞ですけれども、いま局長が言われる千八百億はまるまる足りない。この財源捻出のために工事計画の一部手直しでもやらざるを得ないではないか、こういう意見等もそろそろ出始めたようですが、これについてはどういう見解をお持ちになっていますか。
  87. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) ことしの工事費は六千八百億でございます。この中で私ちょっと正確でございませんが、いわゆる債務負担行為といたしまして、どうしても出さなければいけないと申しますものが、大体約千八百億ぐらいあるかと思います。それから、いわゆる公害対策費あるいは安全の確保といったようなものは絶対これはさくことができない工事費だと考えております。それから山陽新幹線、これも本年度完成ということにつきまして、これもさくことができないというようなこと、いろいろと省いてまいりますと、あるいはすでに本年度完成予定の複線化だとか電化だとかというものもいろいろとあるわけでございまして、この点はなお国鉄当局のほうと詳細にただいま検討中でございますが、どれぐらいこれからさけるのかどうかというような点につきましても、こまかく項目ごとにさらに詰めていきたいと考えております。
  88. 森中守義

    森中守義君 まだいずれも財源措置がきちんと固まった状態にないようですから、あまり手回しよくいろいろ議論してもかえって混乱を起こしてもいけませんけれども、要するに千八百億の不足につきましては大臣、これはやっぱり財政当局あるいは国鉄との間によほどうまいぐあいな話を通して、混乱を起こさないようにきちんと処理してもらいたい。このお約束は当然だと思いますが、してもらえますか。
  89. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 運輸大臣として当然のつとめだと心得ております。
  90. 森中守義

    森中守義君 それからいま一つ、春闘の大きな目とされていたスト権の問題、処分留保の問題あるいは処分者の実損復元の問題、こういう一連の問題を、たな上げではないけれども今後に残されたわけです。この中で、スト権につきまして、確かに大臣あるいは総裁の専決にはちょっとこれは当たりませんが、特に総裁の場合には事業を預かる立場の頂点に立つ人としまして固有の見解はお持ちになってもいいんじゃないか、こう私は思う。つまり与うべきであるのか与うべきでないのか、具体的に言えば。何かそういう固有の見解をお話しになるようなことができますか。
  91. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 非常に私としてはむずかしい御質問でございますが、要するに公制審の御答申をごらんになっても、過日のあれにおける閣僚の協議会をつくるといういきさつをごらんになっても、この問題が非常にむずかしい問題であるという結果であろうと私は考えるのでありますが、私ども国鉄を預かって、運営を預かっている立場からいうと、スト権のあるなしとかなんとかいうことよりも、いかにすればああいった混乱の回数を少なくすることができるかと、それにはスト権その他自主権とかいろんな問題がありますけれども、それをも含めてああいう混乱が少なくなるような方向で、政府なり国会その他でひとつ御審議を願い御決定を願いたい、かようにお願いするだけであります。
  92. 森中守義

    森中守義君 なかなか味のあるいい言い方でお気持ちはわかるような気がします。少なくなるということはスト−処分、スト−処分と、こういうパターンを繰り返しているその根源を断つという意味でしょうね。そういう意味で非常に私は総裁の御意見を評価したいと思う。  それで大臣、これからの関係閣僚協の一人として非常に重大な責任をになわれることになると思う。同時にまた総裁の場合もあらゆるそういう公的な場所で関係機関の長として御意見どうかと、こう必ず聞かれますよ。ですから、そういう意味で、私は国鉄固有の見解はどうなのかと、こう聞いたわけなので、いまお話しになったようなことを一応前向きというふうに私は見ておきたいと思う。  そこで大臣、これから二年以内というけれども、労働大臣等はいや二年以内というわけにはいかぬと、もっと早くて一年半ぐらいと、こうおっしゃっているわけですよ。おそらくかなりピッチが上がってくるんじゃないかと、こう思いますよ。そこで少し理屈めいた議論で恐縮ですが、おそらく今日の近代社会の中でスト権が確立された沿革、歴史というものは、これはもう与えられたというものはほとんどありません。労働組合側、労働者側からいいますとすべて戦いとったものだ。これがやっぱり運動の自然な方向としての結果だと思うんですね。問題はどこでだれがどう理解したかという、つまり付与する側の理解のしかた、あるいは運動を支持する側の協力の場合、こういういろんな問題があると思う。けれども、これを国際的に見れば最初から与えられたものはどこにもなかった。全部運動が発展し、その発展の経過の中で折り合いがついてみたり、こういう歴史を繰り返してきておるわけなんですね。  ところが今回これを見た場合に、法律で規制していようといまいとにかかわらず整然と行なわれたという事実、これは一体どう見るべきであるのか。ここが私は大きな政府側の一つの意思のきめどころでなくちゃならぬ、やるなと力で押えようとしてもおさまらないということだと思うんですね。何かの新聞によれば、政府高官の中で、ある種の前提があるんならばむしろ付与すべきではないのか、そのほうが自立的な方向に進んでいくであろうし、付与されたからといって年じゅうそれをやるような不見識な労働組合じゃないだろう、こういう意見を持つ人もかなりいるようですね。しかし、それは目下のところやっぱり少数意見にとどまっているということがちょっと目にとまったことがございますけれども、ここでひとつフレッシュな労働政策を打ち出していくにはベターかベストかということになりますけれども、やはりベターな道を選ぶということであれば、いま国鉄総裁の御意見でありませんけれども、なくなればいいんだと、回数が少なくなればいいんだ、それを裏返して言うならば、ストやった、処分をした、処分に対する反対ストをやった、こういう悪循環を繰り返していくのをこの辺で一ぺん整理をつけることがむしろ望ましいと、こう私は思うんであります。  それで春闘の一連の経過をずっと振り返ってみますと、全交運であるとか関係の代表と大臣が会われてかなり大胆な意見を出しておられますね。そういうものというのはやっぱり一つの労働政策の分水嶺をなす、スト権の確立をすべきであるか、すべきでないかというその辺までひとつお考えを整理されて、徳永新政策を残していかれるのも、今回の日中航空協定の立て役者であると同時に永遠に運輸大臣として歴史に残りますが、やってみませんか。
  93. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) どうも先生の質問がうまいもので私はすぐしり馬に乗る性質でございまして、ときおりどうもあとで困るようなこともございますけれども、それはそれとしまして、この問題はたくさんな専門員も置いて、そしていまから精力的にとっかかろうという段階でございますから、いまここで胸のすくようなことを言うわけにも実はまいりませんし、その意思表示についてはしばらく時間をかしていただきたいと存じます。
  94. 森中守義

    森中守義君 それはけっこうでしょう。この場でどうしても意思を問わねばならぬということでもございませんが、しかし、こういう対話の中から、これは私どもが言っていることも理解をしてもらえましょうし、あるいは全体の流れということも現実的なものとして受けとめられていくと、こう私は思いますから、もう一回重ねて聞きますが、今回の場合、確かにこれは違法だ違法だと、こう言われながら政府の力で押えがきかない、押え込みができないんですね。できないほど整然と行なわれた。この事実を客観的にやっぱり認識する必要があるんじゃありませんか。これが時代の流れであろう。しかも、それはスト権を与えたからといって、さあ、とるものをとったから今日ただいまから一年じゅうやるぞと、こういうことはもはや今日の労働運動では考えようとしても考えられない。むしろ労働組合それ自体の秩序をそれによって維持できる、同時に国鉄総裁の言われるように、悪循環というものも少なくとも回数は二分の一ないしは三分の一、五分の一ぐらいに減少する可能性があるというように私は思いますがね。そういう意味で、ひとつ大いにこれから閣僚協あたりの中でぜひそういう方向に進めてもらいたいと、こう思います。重ねて問うようで恐縮ですが、理解あるお一人のようですから、もう一ぺんお答え願っておきましょう。
  95. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 貴重な御意見として承っておきます。
  96. 森中守義

    森中守義君 それから中央新幹線ですね。これが意外に早く着工される。何かことしあたりは調査費が四億か三億ついたように聞いておりますが、これはどうなんですか。  それと博多までの営業開始がことしの暮れに予定されていたのが来年の三月の上旬か中旬に延期された、こういうことのようですが、こういうことで一連の新線計画というものは今後どうなっていくのですか。一応固まったとおりの方向でいくんですか。私はこの前大臣に、十兆五千億の建設投資というものは資材の値上がりであるとか、あるいは騒音振動関係で新しく用地をとらねばならぬ、こういう問題で相当変わるであろう、これも見直しの一つだと、こう言っておきましたがね。この中央新幹線の工期の繰り上げ、あるいは博多までの営業開始の延期、こういう一連のものは何か大きな変化が起こりそうな気がしますが、どういうことになりますか。
  97. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 第一番の御指摘になりました博多までの開業でございますが、これは御承知のように、ことしの十二月を目途に工事を進めておりまして、大体そのとおりで努力を重ねたのでありますが、途中小倉付近であるとか徳山の付近でもって用地の買収に非常に手間どったということが災いしまして、一応仕事のほうは十二月の初旬にはできますけれども、これは練習運転というのが三カ月か四カ月要るというようなことで、大体三月の上旬ということに三カ月延びたということで、はなはだ申しわけないんだが、御了承願いたい、かように思います。  それから中央新幹線の建設につきましては、まだ運輸御当局からも何ら御指示を受けておりませんし、ただ、しいて申し上げれば再建十カ年計画にこれらのものの調査費とかなんとか、こういうものが入っておるという程度でございます。
  98. 森中守義

    森中守義君 理由を聞いているんだ……。
  99. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 昨年鉄道建設審議会におきまして十二新幹線のルートにつきまして御答申をいただきまして、これに基づきまして運輸大臣が基本計画を十二新幹線について定めたわけでございます、で、四十九年度予算といたしまして国鉄、鉄道建設公団にそれぞれ二億の調査費を計上いたしております。これの今後の手順といたしましては、運輸大臣から鉄建公団あるいは国鉄にそれぞれ調査の指示を行なうことによりまして二億の調査費というものをそれぞれ使うという段取りになる次第でございますが、現在までのところ十二新幹線のどれに、あるいは国鉄、公団にそれぞれどの線をといったような具体的な段取りまではまだ現在至っていない状態でございます。  それから中央新幹線につきましては、いわゆる東海道新幹線の将来の輸送力の限界ということを考えながら、これが大体昭和五十年の中ごろかと思われておるわけでございますが、これと、いわゆる北陸新幹線の完成、こういったことをにらみながら進めていきたいと考えております。  それから現在整備計画を策定中のいわゆる五線でございます。国鉄におきまして盛岡から青森まで、それから九州の二新幹線、鉄建公団におきままて北海道、北陸新幹線、それぞれ現在整備計画を策定中の段階でございます。
  100. 森中守義

    森中守義君 大臣もうあと一、二で終わりますが、この前発表された運輸省の基本方針、それから国鉄が提出された基本計画、これは法定事項として十年間を見なければならぬ、つくらねばならぬ、これはこれで意味はわかる。ところが実際問題としまして基本計画及び総合交通体系なども見直しされる。おそらくこれはことしかあるいは来春早々だと私ども見ているんですがね。  そこで前回のお話の中で結果的に再建計画を直さざるを得ないであろう、こういう方向にいま進みつつあるわけです。そうなりますと、すでに出された基本方針及び基本計画というものは十カ年間を律しておるわけですね。しかし一年か二年で変わるのだ、こういうことになりますと、かなり私は十カ年ものというものは短期間で変えられる要素可能性が強いということであれば、一体五十一年まで何を基本に計画をし、方針として持っているのか、この辺の斉合というものが非常にむずかしいと思う。これは法律でつくらねばならぬからつくったという意味では了解いたしますが、現実的に手直しをするという一つの時期を設定されている限りそれに対応するような何かのことを考える必要がありはしませんか。そうしなければ運輸省の指導も、実施に当たる国鉄も、この基本計画と基本方針では無理じゃないかというように思いますがね。どうお考えになりますか。
  101. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) おっしゃるとおりだと思います。いろんな面で基本がくずれてくればそれを見直さなければならないと思います。したがいまして、十カ年計画につきましては一応の法律に基づきまして諸般の手続をとったわけでございますが、その中にも実は詳細な数字まで入れるべきかどうかというのが一つ議論でございましたけれども、数字を入れてもなかなかそれをいま直ちに自信をもって出すわけにはまいらぬということで、まことに申しわけないことでございますが、作文と言っちゃあれですけれども、要するにものの考え方を整理して御提出したわけであります。  いつの時期に見直すべきかというその時点等につきましては、いろいろな変動もございましょうが、一応十カ年計画というものがございますから、この線の上に乗っかっていま出発したわけでございますけれども、いろいろな変動その他についていつの時期に見直すかと、いまその時点というものにつきましてはまだ確定したものを持っておりませんけれども、そういう時期が来るだろうということを予想しておるわけでございますし、その時点に至って見直さなければならないと思っております。  なおその場合に、十カ年計画をさらに踏まえて、そのものをくずして見直すべきかどうかというようなことも議論になろうと思いますが、その時点において一ぺん十分検討してみたい、このように考えております。
  102. 森中守義

    森中守義君 ちょっとわかる点もあり、なお、まあかゆいところに届かぬ点もありますが、私はやっぱり五十一年という一つの具体的な改定期を前にしているわけですね。ですから十カ年計画というのはとてももたない。これはもう大体大臣と質問者の間にはある程度感触的に一致するものがありますよ。で、そうなれば、基本方針はともかくとして、実施計画に当たる国鉄が、十カ年間といいながら、もう目の前に五十一年とあるじゃないか。十カ年ものを十分の二やればいいということでもないだろう。そういうことであれば暫定的な実施計画でもむしろつくるべきではないのか。そのほうがむしろ私は妥当であり現実的じゃないのかと、まあこういうことを言っているわけですがね。そういうものをおつくりになる考えは全くございませんか。
  103. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) まあ今年度が予想外のこういうような経済的な変動が襲ったわけでございまして、出発において思わざるいろんな計画がくずれたわけでございます。まあしかし、これから先、これがどういうふうな推移をしていくのか、まだ全然見通しというものがないわけでございまして、どういうふうな安定をするかという時期でそういうようなことも考えて将来計画を立てていきたい、見直していきたい、このように私は考えているわけでございます。  いまの時期に、まだ経済情勢というものが、様態というものがどういうふうに進んでいくのか、あるいは固まっていくのかということの見きわめのできない段階で、いろいろ先の計画なり、あるいは暫定的にいたしましても固めてみても、またそれがくずれていくということでございますから、一応基本計画として踏み出して事をお認めいただいたわけでございますから、それで一応出発してみまして、この経済の動向というものを一応の見きわめがつく時点で、いま御指摘のような点もあわせてひとつ検討してまいりたいと、かように考える次第でございます。
  104. 森中守義

    森中守義君 全く否定的な立場をとられませんので、それはそれでひとつよく御検討願いたいと思うのです。  それから、これで最後の質問になりますが、何かPFLPの関係で異常な緊張、厳戒体制に入っているということがテレビ、新聞あるいは週刊誌等でいわれておりますが、これはどうなんです。何を根拠にしてこういうような体制に入っているのか、ちょっとその辺をお示しを願いたい。
  105. 星田守

    説明員(星田守君) 御案内のとおり、四月の二十五日、本日でございますが、これがイスラエルの建国記念日でありまして、昨年は御案内のとおり、四月の九日の日にアラブゲリラがニコシアのイスラエル大使館を爆破した事件。それと同じく四月の十日にベイルート事件といたしまして、イスラエルの特攻部隊がベイルート及びシゾンのパレスチナキャンプ、PLOの事務所を襲撃した事件がございます。こういうことで、例年四月にパレスチナゲリラとイスラエルとの紛争事案というのが発生いたしておるというのが一つの前提になるわけでございます。  と同時に、今回この種事件につきまして各界でいろいろと報道がなされておりますが、そのうち具体的なものとしてこれに間違いないというふうなものは現在までのところ把握はいたしておりません。この種ゲリラに対する情報というものは何月何日というふうなものではございませんで、全般的な雰囲気から判断いたしまして、われわれのほうは警戒体制をとると、こういうことになるわけでございます。  ちなみに、なおこの種事件の報道ににつきまして、赤軍という名前がしばしば使われますけれども、これは例のよど号の事件の乗っ取りをやりました赤軍とは異なりまして、海外に出ている日本人のこういったパレスチナゲリラに加担するような連中のことを一括して赤軍と言っているわけでございまして、全く別個のものである、いわゆる共産同赤軍派とは別個のものである、こういうぐあいに御理解をいただきたいと思うわけでございます。  それで現在、横浜に四隻、兵庫に一隻、門司に一隻、イスラエルの船が入港いたしておる状況でございまして、今回の情報では、この種船に対する工作員の爆破計画があるというふうな情報が流れておりますので、私どもは三月からイスラエル公館をはじめまして関係の部署に対する警戒体制をとっておるわけでございます。ちなみに本日、横浜港におきましては、沿岸十三署を動員いたしましてイスラエル船の周辺に対する常時警戒と、それから石油基地、きょうは非常に天気がいいので釣り舟がだいぶ出ておるようでございますが、こういったものに対する警戒もあわせて行なっておる状況でございます。もちろんこうした私どもの警戒体制をとりますにつきましては、地元の海上保安部あるいは海上保安庁のほうとも緊密な御連絡をさせていただきまして、万全の態勢で臨んでおる、こういう状況でございます。
  106. 森中守義

    森中守義君 非常にすっきりしました。それで実は五月三日付の「週刊ポスト」、この中で外国の新聞をだいぶ紹介している。たとえばオーストラリアの「ザ・オーストラリアン」三月二十七日号とか、それからイスラエルの「マーリヴ」、これは四月何日付かになっていますね。それからロンドンの「デイリー・テレグラフ」、こういう事実をきわめて背景的に裏づけるような記事が紹介されている。こういう記事は出先の大使館等と連絡をされて確認されたことがありますか。
  107. 星田守

    説明員(星田守君) こういったニュースにつきましては、各通信社からそのまま入ってまいります場合もございますし、出先の外務省なりそのほかの官庁との連絡から入ってくる場合もございます。いろいろなルートから入ってまいりますが、ちなみに、このポストの記事につきましては、水中治動の訓練をやったといわれる場所はサンゴ礁が非常に多いところで実際上は訓練できないところです。それから十四人のアラブ人と日本人を含むゲリラたちがオーストラリアの某基地において数カ月訓練をしたといわれておりますけれども、これも確認されない。それから、この中でオーストラリア学生連合がバックするからやれるんだというふうなことを書いてありますけれども、これはオーストラリア学生連合というのは非常に穏健な組合だということで、ゲリラとは全く関係がないということでございまして、一つずつつぶしてまいりますと、具体的に裏づける事実というのはほとんどない、推測でまとめられた記事、こういうことに落ちついておる状況でございます。
  108. 森中守義

    森中守義君 こういう問題は、これはもう何としても予防措置が最大のものでしょうからね、その限りにおいては金大中事件の苦々しい経験もありますし、警察庁、保安庁ともに事前にこういう措置をとられたこと、非常にけっこうだと思う。ただ国民の中にもきわめてショッキングなものとして緊張を覚える人もありましょうし、あるいは興味を覚える人もありましょうし、あるいは恐怖を覚える人もあるでしょう、国民の世論の動向というものもいろいろだとは思いますが、具体的にこの周辺にある荷役関係において、こういう不穏な状況が続く限り荷役業務はしないんだと、こういう決定が行なわれて関係の向きに通知をされた、こういう話がある。これは警察庁よりもむしろ運輸省のほうが正確に把握されていると思いますが、こういう状態が、もちろん警察庁の言われるお話もこれは予防措置ということで、私は適切だと評価したい、けれども、それが何か波及していきまして、いまのような問題にぶっつかると、これはなかなか関係の港湾等においては容易ならぬ問題だと思うんですね。しかもこういう態勢に入ったために事なく済んだと、しかし済んだというのは、態勢を解除したとたんにおかしくなったと、こういう例もありましょうから、この辺のやり方というのは非常にむずかしいと思う。もうその心配はありませんよと、こういう解除宣言等が行なわれればこの荷役問題等も片がつくと思うんですが、そういうものをいつまで持続さしていくべきなのか。やや未確認情報というような意味合いにもいまとりますがね。とりますけれども、話がある以上、情報が流れる以上、やっぱり治安当局としてはそういう措置をとらざるを得ない。これも妥当なことだったと思う。その辺のかね合いですね。保安庁として港湾荷役等をどういうように指導されるのか。
  109. 佐原亨

    政府委員(佐原亨君) ただいま警察庁から御説明がございましたように、当方といたしましては、警察庁からの情報を数次にわたって受け取りまして、やはり同じように管下保安部署に警戒を命じております。先生おっしゃるように、イスラエル船の港湾荷役が、作業員が非常に不安を感じまして一時ストップしたことも事実でございます。で、荷役会社と労働者の間、それから荷役会社と船のエージェントの間、それから関係官庁間にいろいろ話が行なわれまして、いろいろ安全対策に対する要請、それを受けての船会社あるいは代理店の回答、措置、こういったものが繰り返されまして、一時ストップしておった荷役はたしか二十二日ごろからと思いますが再開されております。ただ本日二十五日だけは、先ほど警察庁の御説明ございましたように、イスラエル建国記念日であって、とかくうわさが高い日でございますので、きょうだけは荷役を中止しておるようでございますが、会社側もいろいろ自衛手段を講じ、われわれ警察庁と一緒にいろいろ警戒措置を講じて何とか無事済ましたいと願っておるわけでございます。  今後どうするかということでございますが、ただいまの御説明のように、情報といたしまして確度がそれほど高いとも思われませんし、さりとてこれ無視もできないということで非常にむずかしいと思います。警察庁のほうと連絡を密にいたしまして事態に応じて適宜措置をとってまいりたい、こういうふうに考えております。
  110. 森中守義

    森中守義君 なかなか治安当局も保安庁もたいへんだと思いますが、要するに未然に事件が防止をされるように、なおまたこれらの真偽のほどもいま警察庁では一つ一つつぶしていけばというようなお話のようで、やや未確認情報に近いような気もしますけれども、あまり野放しに安心できるような状態じゃないでしょうから、一そうのひとつ警戒をしばらく強化されるように特に希望しまして質問を終わりたいと思います。
  111. 山田勇

    ○山田勇君 一問だけ質疑をさせていただきます。  どうもついで的な質疑になってたいへん恐縮でございますが、先日来の春闘のおりに私、新幹線をたびたび利用さしていただきまして、その中で大幅に一時間以上特急がおくれますと料金の払い戻しがございます。そのときにはたいへん親切に車内放送が日本語でなされますし、私は払い戻しは受けることはないのですが、ほかのお客さまはそれで承知をして精算所に行ってやっておりますが、たまたま乗りましたときに外国人がたくさん、グリーン車ですが、またグリーン車おりてからもそうですが、普通車にもたくさんシーズン的なこともございましたでしょうが外国人がたくさん乗っておる。その中で、そういうアナウンスが全然なされてない。ですから新大阪におりてもそうですし、東京駅におりたときも、駅頭でそういうイングリッシュのアナウンスがあるかということを気をつけて聞いていたんですが、それもないということで、私もつたない英語で二、三人の外人には、あなたの切符は一時間おくれたために払い戻しが受けられますというような意味のことを言って、たまたまきのう家のほうにお礼の手紙も来ておりましたものですから、こういう機会でございますので、今後こういうストの問題もいろいろございましょうし、順法闘争のこともございましょう、また事故などで大幅に一時間以上おくれる場合の払い戻しのこともございましょうし、そういうことでイングリッシュのアナウンスをテープで入れておりますから、あのうしろにでもこういうことをできたら英語一カ国語だけでもつけて、常に用意をしておくというふうなことはできないものでしょうかということで、質疑したようなわけでございます。
  112. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 非常に御親切な御指摘をいただきましてまことにありがとうございました。  御承知のように、新幹線その他で英語でアナウンスをやっておりますけれども、先生御承知のように、あれは実はテープを回しているんでして、突発の事態になりまして変わった情報を外国人にわかるような英語でやれといっても、われわれはじめなかなかできないんで、そこらで御指摘だと思うのでございますが、御指摘のようなはなはだ不都合なことなんで、できないで済むわけじゃないんで、御趣旨に沿ったような努力をさせますが、関係の常務がいますんでひとつ。
  113. 伊江朝雄

    説明員(伊江朝雄君) 御指摘のような不案内の点が多々ございまして、非常に御指摘いただきまして、これからやるというのはわれわれの不勉強かもしれませんが、さっそくそういう手配を講じて、御案内のように欠けることのないようにしたいと思います。
  114. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 本件に対する本日の調査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時七分散会      —————・—————