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国務大臣(
内田常雄君) なかなかこれ表現かむずかしい点がいろいろございます。しかし私
どもはいろいろなことを矛盾をさせるという
考え方ではなしに、
公共料金の問題にいたしましても、まず
国鉄料金でありますとか、あるいは米の消費者価格というような、
政府の財政との関連でやれるものを押え込むとした場合には、同じようなそれにつながる
公共料金というものも極力これを抑制して、政策の統一性といいますか、一体性とかいうものを
公共料金については保つべきだと考えまして、もし
国鉄料金を押え込まざりせば、御承知のように、当時私鉄料金の値上げ申請もおととしから出ておりましたので、私鉄料金もいまに至るまで押え込みの
状態というようなことでなかったかもしれません。あるいはまた、いま御
指摘がございました、これはまあこまかいものでありますけれ
ども、タクシーの料金にいたしましても、この間のような暫定引き上げというようなことでなしに、一つの期間的なローテーションの節に当たるようなものにつきましてはそれなりの引き上げもしなければならなかったかもしれませんが、
物価政策というものは
政府の最大の
基本的な政策課題であるということの一環といたしまして、
国鉄のみならず、それにつらなるいろいろな
公共料金を押えるという、その政策をとってまいりました。
しかし、これは
国鉄にいたしましても米価にいたしましても、あるいはいまの私鉄、また御
指摘がございました電力等々の
公共料金にいたしましても、これはいつまでも押え得られるものではないわけでありまして、もしいつまでも押えるということになりますれば、これはそこへの、そういう企業への資源配分あるいはそういう財政分野への財政配分というものがアンバランスになりまして、必ずその分野に破綻を生ずることになりますので、
物価対策との関連をながめながら、ある時期にはその凍結というものを解除をしていかなければならないものだと私は考えます。ただそのやり方といたしまして、一時佐藤内閣にありましたように、すべて一年間凍結であるというような
考え方もございましょうし、あるいはまた
物価の全体の落ちつき趨勢ぐあいを見ながら、その中に
公共料金の凍結解除をはさんで、そして全体の
物価の動きをなだらかにするような政策をとるが、いろいろのやり方はあると思います。
そこで
国鉄料金につきましては、これはけちくさい話だとしかられるかもしれませんが、昨年の暮れにとにかく六ヵ月米とともに押え込むと、こういうことで六ヵ月と、こういうことにいたしたわけでありますが、それはその間にいろいろな諸
物価が上がってまいりましたが、諸
物価の値上がりにつきましては総需要の抑制、つまり財政とか金融政策あるいは設備規制の政策等を極力進めますとともに、去年の年末ごやっかいになりましたような、ああいう特別物資
対策としての
国民生活安定緊急
措置法でございますとか、あるいは売り惜しみ買い占め規制法の
強化でありますとか、そういうようなことをやったり、またその当時世間から非難を受けましたような先取り値上げというようなものを極力洗い出して、そして値下げをさせると。あるいはまた原油価格は、もう御承知のように、昨年を通じ、ことにことしの一月においては非常な値上がりがございましても、それらの
影響というものをでき得る限り原油の精製に直接つながる石油精製のみならず、石油製品につながるいろいろな分野の基礎物資や生活関連物資の価格に
影響を及ぼさないように、これまたいろいろの批判はございますけれ
ども、行政指導というようなことのために押え込んで、そして
物価の騰勢というものを抑制する中において、徐々に
公共料金の凍結というものも、そういう
物価の
情勢と見合いながら、解除を部分的にしてまいるということが一番適当であろうと、このように考えたわけであります。
その間におきまして、タクシー料金を上げたのは矛盾だという御批判がございましたが、それはこういうふうに解釈していただければいいと思います。
国鉄をはじめ
公共料金の凍結なかりせばタクシーもローテーションに来ておったものにつきましては、それは曲がりなりにもその料金引き上げというものを認めざるを得なかったかもしれませんが、そういう全般的な姿におけるタクシー料金の
改定というものは六大都市につきましては押え込みまして、その間油の値上がりとか、あるいは数量がショートしているために十分かせげないといったような、そのことだけに限った部分、これ二九%ということでございましたが、それだけをかわりに認めると。その二九%の中に入っている一般ローテーションにかかわる料金引き上げの分としては、これ利息分みたいなことになろうと思いますが、五%だけはみておいてやろう、
あとの全体としてはいずれ
あとなんだと、こういうことでやってまいってきておりますので、私
どもとしては矛盾なしでやってきた。
それから二番目の四%で昭和五十二年まで
消費者物価年々の
上昇を押え込めるかということ、それはとてもできないと思います。ということは、
経済社会基本計画というものは四十七年ごろの発想から四十八年の初めにわたってつくられたものでございまして、今日のような異常な
物価高、ことに石油問題、エネルギーの危機というようなものは想定をしておらなかったところでありますし、したがって、それは国際収支などについてもそういう今日のような想定がなかった。むしろ外貨が入り過ぎてその見返りの銭が出過ぎて困るというような
状況を押える意味においてできておったものでございますから、当然
経済社会基本計画そのものを、理念は理念として、これは福祉社会をつくるとか、あるいは生産第一主義をやめにするとかいうたいへんいい理念はありますけれ
ども、その理念は理念として、いろいろな政策手段あるいは
環境の
変化というようなものに当たる部分は見直しをして直していかなければならない。直していくということは、それは四%だめだから、より高く、日本の将来における
物価というものがもう上がりっぱなしのような
計画にするということではなしに、四十八年、四十九年というものがすでに
経済見通し等の単年度作業で、御承知のように非常に上がっておりますから、そういうものを除外をしてそして新しい価格体系のもとにおいて、あるいは新しい産業構造のもとにおいて五十二年がいいのか五十五年がいいのか、そういう
計画の再検討、これはフォローアップということばを使っておりますが、そういう検討を始めておる。こういうわけでございますので、そのことにつきましても、そのように御理解いただければありがたいと思います。