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政府委員(中村大造君) まず第八条にいう、いわゆる原価計算の
関係はどうなっておるかということでござ、いますけれ
ども、私
どもといたしましては、とにかく現在の
運賃の中で、あるいは現在の
運賃による収支見込みの中で全く予期しなかった事態が起こってきておる。それは元来LPGを望むだけ使って走行すると、こういう前提がいわゆる一五%
供給量の
カットということで走行キロは一五%落ちざるを得なくなった。それからLPGの価格が約倍近くに上がった、こういうことで、これは現在の
運賃の中には全く織り込んでない状態でございます。これがあまりにも大きな要素でございましたので、今回の
運賃の算定にあたりましては、ほかにもいろいろな値上がり要素はあるわけでございますけれ
ども、われわれとしては、まずこの一五%
カットによる収入減というもの、それから燃料の価格アップによる経費増というもの、この二つの要件を
中心にいたしまして、それによって
運賃の算定をいたしたわけでございます。
それで、これは六
大都市ばかりではなくて全国的な問題でございますので、全国的にはこの基準、この
考え方で計算をして
運賃の計算をしたと、こういうことでございます。六
大都市につきましては、先ほ
ども申し上げましたように、前回の
改定から二年近くを経過いたしておりまして、事
業者の側から言わしめれば、近くいわゆる
基本運賃の
改定時期に来ておるというふうな
判断をわれわれはしておるわけでございます。いずれにいたしましても、二年近く経過しておるその間のいろいろな諸
物価の
高騰、こういう要素を考慮いたしまして、それに六
大都市につきましては、いわゆる恒久的な
運賃改定というものは、当面これは
公共料金抑制という
政府の
政策との関連もございますので見送るんだ、こういうことを考慮に入れまして二九%という率を出したわけでございます。
それから
閣僚協議会で二九%ということを言っておりますけれ
ども、これは
運輸省におきましてそういう二九%という率を
決定いたしまして、もちろんこれは
経済企画庁とも協議をいたしまして、そして
閣僚協議会に御相談を申し上げた、こういうことでございまして、
閣僚協議会のほうで二九%という数字をお出しになったわけではございません。
それからもう一点は、この
暫定運賃というものを他の業種、まあ自動車の
関係だけで申し上げれば、トラックとかバス等についてもやらないのはおかしいんではないかという御
指摘でございますけれ
ども、これは、
一つにはLPGの一五%
カットという量の規制というものが、軽油、ガソリンを使いますほかの自動車にはなかった事態でございます。確かに価格の上昇はございましたけれ
ども、しかし、これもLPGのように倍近くになるということはございません。したがって燃料による影響、事業に与える影響というものが最も大きくあったというのが
タクシー事業であるということと、しかもその
タクシー事業の大部分が零細企業であり、あるいは
個人企業であって、そういうふうな収入減、経費増という、そういう影響が直接的に企業の経営に影響を及ぼし、ひいてはそこで働いております運転手諸君の
生活に響く、こういうことであったわけでございますので、これは私
どもといたしましては、
タクシー事業についてのみこのような緊急的な
運賃改定を
考えたということで、他の業種にはこれを及ぼすということは当初から
考えていなかったわけでございます。
それから二十二日にこういう
決定をいたしましたときに、もうすでに油の見通しはゆるんでおったんではないかという御
指摘でございますけれ
ども、私
ども今年の一月に入りまして、昨年暮れに
暫定運賃というものを一応認めるという
方針を
決定いたしましてからも、先ほど
大臣が申し上げましたように、油の将来見通しというものについてもう少しはっきりとした見通しは立たないかということで、これは鋭意
通産省とも協議を続けてきたわけでございますけれ
ども、二十二日の段階では、少なくとも二月の油の
供給量というものは、十二月、一月において確保いたしましたいわゆる十一万五千トン、これを上回ることはできないということで、二月以降これが十二万トンなり、十三万トンになると、こういう見通しは全くなかったということでございます。それから三月以降につきましては、これはいろいろな説がございましたけれ
ども、私
ども通産省といろいろ相談した限りにおいては、三月以降にこのLPGの供給がゆるむとか、あるいは価格がもとに戻ると、こういうふうな見通しをわれわれとして立てるまでに至らなかったのでございまして、したがいまして、その時点で
改定方針どおり
運賃改定を行なわざるを得なかったと、こういうことでございます。
その後、二月のLPGの
供給量はやはり一月同様十一万五千トンと、こういうことに
決定いたしております。また一月分のLPGのいわゆる使用量といいますか、
供給量といいますか、こういうものにつきましても、私
どもが
通産省から入手いたしましたところによりますと、やはり十一万五千トン程度であったと、こういうふうな報告を聞いておるわけでございます。
なお私
ども独自といたしましても、現実に各事
業者が油をどれだけ、幾らで購入したか、こういう実績を現在、直接
調査いたしておる段階でございます。したがいまして、今後の取り扱いにつきましては、そういうふうな
調査の結果を踏まえまして
判断してまいると、こういうことになるのではないかと思っておるわけでございます。