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1974-03-09 第72回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月九日(土曜日)    午前十時開議  出席分科員    主 査 藤井 勝志君       井原 岸高君    奥田 敬和君       田中 龍夫君    田中 正巳君       安宅 常彦君    井上 普方君       佐藤 敬治君    佐野  進君       清水 徳松君    芳賀  貢君       諫山  博君    兼務 大野 市郎君 兼務 湯山  勇君    兼務 渡部 一郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         大蔵省主税局長 高木 文雄君         大蔵省関税局長 大蔵 公雄君         大蔵省理財局長 竹内 道雄君         大蔵省理財局次         長       井上 幸夫君         大蔵省証券局長 高橋 英明君         大蔵省銀行局長 吉田太郎一君         大蔵省国際金融         局次長     藤岡眞佐夫君  分科員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  相川  孝君         警察庁警備局公         安第一課長   福田 勝一君         防衛施設庁施設         部施設企画課長 多田 欣二君         環境庁企画調整         局企画調整課長 青木 英世君         法務省刑事局刑         事課長     根岸 重治君         大蔵省銀行局総         務課長     米山 武政君         大蔵省銀行局銀         行課長     清水  汪君         大蔵省銀行局特         別金融課長   山田 幹人君         印 刷 局 長 上月 重雄君         国税庁直税部長 田邊  曻君         厚生省医務局整         備課長     岡安 信雄君         自治省財政局指         導課長     高田 信也君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月九日  辞任         補欠選任   赤松  勇君     井上 普方君   辻原 弘市君     村山 喜一君   中川利三郎君     諫山  博君   安里積千代君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     芳賀  貢君   村山 喜一君     佐野  進君   諫山  博君     中川利三郎君   小沢 貞孝君     安里積千代君 同日  辞任         補欠選任   佐野  進君     清水 徳松君   芳賀  貢君     赤松  勇君 同日  辞任         補欠選任   清水 徳松君     佐藤 敬治君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 敬治君     辻原 弘市君 同日  第三分科員大野市郎君、渡部一郎君及び第四分  科員湯山勇君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算中外務省、大蔵省  及び文部省所管  昭和四十九年度特別会計予算大蔵省及び文部  省所管  昭和四十九年度政府関係機関予算大蔵省所管      ――――◇―――――
  2. 藤井勝志

    藤井主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算大蔵省所管昭和四十九年度特別会計予算大蔵省所管昭和四十九年度政府関係機関予算大蔵省関係を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
  3. 井上普方

    井上(普)分科員 大蔵大臣、現在のインフレを起こした最大の元凶、ピストルといいますか、あなたのおっしゃる石油危機にあらざる原因につきましては、いろいろ説があろうと思います。あるいは高度成長政策という説もあろうと思います。しかし、笠信太郎さんじゃないけれども昭和三十五、六年からのこの毎年のインフレの大きな一つ原因になるのは、地価の問題じゃなかったかと私は思うのです。  しかし、現在のこの狂乱物価に対しては、あなたのおっしゃる政策がある程度功を奏しつつあることは認めます。しかしながら、この慢性的な昭和三十五、六年以来ずっとインフレが続いてきた原因の根底にあるもの、これは銀行信用の異常なる膨張、これが大きな原因じゃなかったか。したがって、金融に対してきびしい処置をとらなければならないと思うのですが、大臣、いかがでございましょう。
  4. 福田赳夫

    福田国務大臣 私も、大体そういうことかと思いますが、結局、根源は日本経済成長のスピードが速過ぎた。それに対して企業自己資本を充実しておるいとまがない。企業が高成長の波に乗って、自己資本を整えるいとまもなく、どういう対策をとるかというと、金融にたよらざるを得ない、そういうことだったと思います。つまり、高度成長推進力として、そういう過程を通じまして金融というものが大きな役割りをした、そういうことは、私はそのとおりだと思います。
  5. 井上普方

    井上(普)分科員 私は、この大きい役割りをしたのは高度成長というのじゃなくて、高度成長に伴うインフレ要因といたしましては、信用膨張が非常に大き過ぎた。毎年毎年雪だるまのごとく大きくなっていったと思うのであります。銀行が、今日のインフレを招くに至った大きな原因をつくったのじゃなかろうかという感じがするのであります。  その一つには、原因になるのは土地に対する金融でございます。大蔵省は去年の早々から、土地買収につきましては銀行指導して、ともかく貸し出しをきびしく抑制しておるといいますが、はたしてどの程度できておるのでございますか、ひとつお伺いしたいのです。
  6. 福田赳夫

    福田国務大臣 不動産取引のための金融、これにつきましては、昨年春以来、これは特別に慎重を期するように指導をいたし、これはかなり響いてきておると私は思うのです。かたがたそれと並行して金融抑制政策、これをずっと進めておりますので、その効果もかなりあらわれてきて、いまや私は、大体全国では土地の値段は頭打ち、これからかなりの下降傾向を示すであろう、そういうふうに見ています。
  7. 井上普方

    井上(普)分科員 去年の一月以来どういう通達を出し、どういう指導銀行にしてきたか、お示し願いたいのが一つ。  それから、大臣いまお話の、土地頭打ちとおっしゃいますけれども頭打ちじゃないと私は思うのです。取引が非常に少なくなっただけであって、売り手がなくなっているのです。売り手が少なくなった、買い手も少なくなった、これが現状じゃございますまいか。たとえば、去年つくりました法人土地税制につきましても、法人土地を売り出すということは――大企業が非常にたくさん土地を持っています。思惑買いをやっておる。これを吐き出すための税制を去年つくったのであります。例の分離課税です。ところが、これの放出というものはほとんどない。でございますので、この点につきまして、去年一年に法人分離課税でいかほど出したか、これはいま直ちに資料がないと思いますが、でき次第よこしていただきたいと思うのです。
  8. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 まず、金融面におきましてとりました措置を申し上げますと、御指摘のように、昨年の一月に全般的な土地融資に関する規制を始めたわけでございます。三カ月ごと銀行から、具体的な貸し出し計画と申しますか、計画を出させまして指導いたしております。  それは大ざっぱに申しますと、大体昨年の一月から三月ぐらいに一〇%程度伸びでございましたものを、四-六、七-九、それから十月-十二月という期を追いましてそれを減らしていく形になっております。四月-六月二%ぐらいの増加、七月-九月で一%ちょっとの増加、十月-十二月に〇・三%程度伸び率という形で、三カ月ごと計画と実績を聴取するという形で指導しておるのが、不動産業を中心とする土地融資規制でございます。  それから、そのほかにさらにことしに入りまして、土地融資についてはさらにもう一度再審査を行なうように通達を出しまして、その土地保有実態あるいは状況によっては、貸し出しの回収を行なうようにという通達を出しております。  それからもう一つは、ちょうど昨年の春、先生の御指摘によりまして、金融機関関連不動産会社というものを使って、土地資金が非常に流れておるのではないかという御指摘があったわけでございます。その後直ちに、関連不動産会社に対しても規制を始めております。  詳細につきましては略させていただきますが、大ざっぱに申しますと、金融機関からの出資関係については、これを五%以内の比率に減らすこと、それから役職員の出向についてはこれをやめること、それから金融機関とまぎらわしい名前不動産会社については、その名前を改めるようにというようなことで指導しております。なお、そういう不動産会社融資についても、先ほど申しました一般的な指導の一環としてやっておりまして、その結果につきましても、ほぼ同様の状況で進んでおります。
  9. 井上普方

    井上(普)分科員 では、お伺いしますが、土地につきましては種々の規制立法があります。その法律違反するような土地買収につきましても、銀行局としては、銀行融資に対してはこれをチェックすべきだと思いますが、そういう指導はやっておりませんか。
  10. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 その実体的な土地関係土地土地規制法に抵触しておるかどうかということにつきましては、銀行融資の際には、格別の指導は、率直に申しまして現在行なっておりません。むしろ総量規制というのが現在の段階でございます。
  11. 井上普方

    井上(普)分科員 しかし、そういう事実がはっきりいたしました場合には、あなたはやられるおつもりはございますか。
  12. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 明らかにそういうものに貸すことが不適当であると思われるような事例でございますれば、私どもといたしましては、それに対して規制と申しますか、あるいは何らかの措置はとりたい、かように考えております。
  13. 井上普方

    井上(普)分科員 政府資金を使っておる銀行に対して、私はきびしい規制が行なわれるべきであると思います。これに対して、大蔵省銀行局としてはどういう指導をしておるのでございますか。政府資金を使っておる銀行ですよ。特にきびしくあらなければならぬと思うのですが、いかがですか。
  14. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 原則としてそのとおりだと思います。むしろ具体的なケースとして、その違反状況等によって判断してみたい、かように考えております。
  15. 井上普方

    井上(普)分科員 もう一つ聞きましょう。銀行支店をつくる際には、どういう基準をつくっておられるのか。各地に銀行が乱立しておる今日、支店新設する場合、どういう規制をやっておられるかお伺いしたいと思います。
  16. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 大別いたしまして、二つの型に分かれると思います。一つは、金融機関としてそこに支店を出すことが、経営面から見て必要なという地点があろうかと思います。主として大都市の非常に人口が多く、かつ、企業が多い地点であろうと思います。それが一つの型でございまして、もう一つは、預金者の側から、どうしてもここに金融機関を置いてほしいという、そちらからの要望に基づく面が一つございます。  大ざっぱに申しまして、現在の支店認可に当たりましては、それを半々にいたしております。むしろ金融機関としてはあまり好まないが、住民のほうから出してほしいという地点と、それから金融機関として積極的に、企業などが集中しておるので出したいという点と、大体半々に分けて認可をやっております。  ただ、それは二年間を一括して内示しておるわけでございまして、計画的に、あまりラッシュしないようにということから二年間に分けております。したがいまして、本年度につきましては、新たに認可するという予定にはなっておりません。
  17. 井上普方

    井上(普)分科員 予定一般質問で、私どもの同僚の阿部昭吾君が質問したので、あらかじめ銀行局としてはお調べになっておると思います。そのことにつきまして、ひとつお伺いいたしたいと思います。  千葉大網白里町というところに、北海道拓殖銀行支店を去年の十一月に新設いたしております。いかなる理由でございますか、ひとつお伺いいたします。
  18. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 お許しをいただければ、銀行課長からお答えさせていただきたいと思います。
  19. 井上普方

    井上(普)分科員 私は、銀行課長を信用いたしておりませんので、御答弁は要りません。  大臣北海道拓殖銀行が昨年の十一月に、千葉大網白里町というところで銀行を開設いたしたのであります。銀行局が、「金融機関店舖認可について」という通達を、あなたは去年の二月の二日に出しておられる。これのどれに該当するのですか。
  20. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 それは、今後企業なりあるいは人口がふえるであろうという見込みで出しておるという地域に該当するわけでございます。その通達の中では、(ロ)に該当すると考えております。
  21. 井上普方

    井上(普)分科員 いま、白里町は人口が一万七千で、市街化調整区域でございますし、その周辺は農業振興地帯でございます。どうして人口急増地帯ということが考えられるのでございましょう。
  22. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 その地域が、これから発展するであろうという予測で認めたわけでございます。
  23. 井上普方

    井上(普)分科員 なぜ発展するということが理由づけられるのでございますか、お伺いしたい。
  24. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 おそらくあの地域は、私、正確にいまここでお答えすることが適当かどうかわかりませんが、そちらのほうに、おそらく地域開発と申しますか、将来発展するであろう、率直に申しまして、これは具体的な根拠はございませんが、大体の、いわば将来に対する予測というようなものだろうと思います。
  25. 井上普方

    井上(普)分科員 予測がありますか。この地帯市街化調整区域でございます。市街化調整区域で、市街化調整区域都市計画法によって、十年間は大体動かさないということがきまっております。動き出したのが三年前であります。どうしてこういう土地がいまの法律の――だから土地立法ワク内において動いておるかということを私は聞いておる。どうして認めたのです。
  26. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 その地域一つ銀行があるだけのようでございまして、五百メートル以内にほかの金融機関がないというようなところで認めたようでございます。
  27. 井上普方

    井上(普)分科員 千葉銀行一つございます。ところが、大ワクとして人口一万七千です。そこで銀行二つも三つも要るのですか。しかも、北海道拓殖銀行がなぜ千葉に出てくる必要があるのですか。どうでございますか。
  28. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 北海道拓殖銀行は、確かに北海道に本店を置く銀行でございますが、私どもはこれを都市銀行として扱っておりまして、したがいまして、都市銀行については、比較的全国的な規模でその店舗配置を認めております。そこの御指摘地域が適当であるかどうかは別といたしまして、必ずしも北海道銀行を、北海道だけということではやっていないということでございます。
  29. 井上普方

    井上(普)分科員 それで、私はこれからいよいよ本題に入りたい。なぜ北海道拓殖銀行がこの千葉白里へ出てきたか。しかもそれは農業振興地域であります。市街化調整区域でございます。いまはしなくも銀行局長は、ここは将来発展の余地がある、こう言われました。実は、その土地に対しまして北海道地元とする地崎工業が、この土地、農振地域ですよ、それを田にいたしまして三十一万五千坪、畑を一万八千坪、合計いたしまして三十三万三千坪買っておるのであります。農振地域ですよ、大臣。この金額は八十億円と称されておる。この地崎工業に対してはどなたが金を出したのです。金融したのです。
  30. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 北海道関係共済連でございますとか、そういう機関融資しておるようでございますが、北海道拓殖銀行が保証しておるのではないか、かように考えます。
  31. 井上普方

    井上(普)分科員 そうすると、北海道共済連にしましても、ともかく保証を拓銀がやっておる。土地はいつからいつまで買っておるのですか。
  32. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 ここ二、三年と聞いておりますが、私どもちょっとお時間をいただきますと、この際、各金融機関に対して、土地関係なんかも含めますが、調査をいたします。したがいまして、近く入ります調査によって、もう少し具体的に調べてみたいと思います。
  33. 井上普方

    井上(普)分科員 先日、一般質問阿部昭吾君が質問した際には、銀行局は早急にこの点は調査するとおっしゃったはずです。銀行局は去年の私の質問資料を出すと言って、ことしまで出さないようなまことに不誠実な局であることを私は知っておる。しかしながら、一般質問質問をせられ、資料を出すとお約束になった以上、この場でひとつ明らかにしていただきたい。予算委員会も、もう予想せられるところあと幾らもございません。できないというはずはない。     〔主査退席奥田主査代理着席
  34. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 資料についておしかりを受けましたことにつきましては、心からおわび申し上げます。私どもとしては、手違いによったものと考えております。その資料については、現在でも報告させていただけると思いますが、具体的なケースについての報告とは考えておりません。むしろ土地関連融資に関する、特に銀行関連不動産会社関係についての資料で、したがいまして、総括的な資料として用意しておるわけでございます。
  35. 井上普方

    井上(普)分科員 いや、この地崎工業大網白里町の土地について、先日の一般質問であったはずです。調査すると言ってお約束しておるはずです。
  36. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 それは、調査をいたしまして御報告させていただきます。今日までまだそれは調査が終わっておりません。
  37. 井上普方

    井上(普)分科員 一体、予算委員会あと何日あるんです。まことにそのような態度に対しまして、私は不満の意を表明せざるを得ません。大臣、いかがでございます。
  38. 福田赳夫

    福田国務大臣 何か手違いがあったようで、井上さんから資料要求というお話だったそうですが、調査報告要求だ、こういうふうに勘違いをしておったようなわけなんです。  それから大網支店ですか、そのことについては、話はこの間の予算委員会では出ないんで……(井上(普)分科員「ありました」と呼ぶ)ただ、地崎工業土地の話がありましたのですが、これは銀行局のほうで、いま取り調べておるかと思います。
  39. 井上普方

    井上(普)分科員 大臣、これは手違いとかそんなんじゃないのです。私は、言えば個人的攻撃になるからやめておきましょう。しかし、いずれにいたしましても、ともかく資料に対しまして不誠実であったことを、私は遺憾に思うのであります。  ただ、この地崎工業の問題で、これは四十七年後半から、おもな金は去年出ているのであります。すなわち、銀行が二月に通達を出したあと、大半の金が出ているのであります。銀行局通達というのは一切守られておらない。さらにまた、先ほども申しましたように、この北海道拓殖銀行大網白里町に支店を設けた。これも一体何のためにやったのか。地崎北海道である。でありますので、地元人たちはこの支店を何と言っておるかというと、地崎銀行と言っております。こういう銀行新設認可をやって、あの通達が、全国でほかの銀行で守られると思っておりますか。どうですか。
  40. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 いまの御指摘融資そのものは、私ども通達違反であるとは考えておりません。と申しますのは、あの通達自身は、全体の金融機関貸し出し伸び率以内に押えなさいというあくまでも総量規制でございます。  したがいまして、いま御指摘拓殖銀行は、土地不動産会社に対する融資ワク内に入っているものでございます。したがいまして、具体的な質的な規制というものは、昨年来の通達によっては行なっておりませんわけでございますので、決して違反をしておるとは考えておりません。
  41. 井上普方

    井上(普)分科員 これはまさに思惑買いなのであります。これは、思惑買いに対しましても規制はできないのですか、大臣。これが一つインフレの大きな要因なんですよ。地価暴騰の大きな要因なんですよ。これを規制できないほど銀行局はおそまつなんですか。どうなんです。
  42. 福田赳夫

    福田国務大臣 思惑買いということでこういう物価状態が出てきたわけですが、そのはしりをなしたのが土地の買いあさりだ、こういうふうに私は見ておるのです。  そこで、昨日来申し上げておるように、不動産金融は特に厳重に規制する、こういういろいろな施策をとり、それで、最近はまたこの月中ごろから実地調査をする、大蔵省検査機能、また日本銀行検査機能を総動員して実地調査するのですが、その要領の中で非常に重要なのは、こういう融資先企業在庫状態を調べる。在庫というのは、もちろん資材ばかりじゃないのです。土地なんか一つの大きな対象になるわけですが、そういう在庫的なものに対する金融は特に注意する。そして、いままででありますれば、半年、一年の融資期限が来ると、そのまま無条件で切りかえをするというのが慣行でございますが、そういうことを改めまして、これは思惑買いのものであるかどうかという等の判断によりましては、無条件で切りかえはいたさない、あるいは手形なんか、期限が来るものにつきましても無条件では切りかえはしない、そういうような指導をする。  そういうことを踏まえまして、私は、土地の価格はこれからは下降傾向にいくであろう、こういうことを申し上げたわけであります。
  43. 井上普方

    井上(普)分科員 まさにこの土地思惑買いであります。いいですか、御存じのとおり農業振興法という法律がある。このところばかりをねらって百町歩買っておるのです。しかも、それも地崎工業は表向きには出ておりません。ダミーを使って買わしております。そして金は払っておるのです。金は払って、これが市街化区域に入ったときには、登記を切りかえるという方法をとっておるのであります。  しかし、御存じのとおり、都市計画法の線引きというのは、田中内閣におきましても金丸建設大臣は、当分はやらない。またやってもらっちゃ私らも困ると思う。大きな動揺を来たす。ですが、そういうような土地をともかく三十三万坪買いあさっておるのであります。これに対して、しかも拓殖銀行から金が出ておるということがわかっております。拓殖銀行は去年の十一月に、地元では地崎銀行といわれる支店をつくっておるのであります。まさに地崎工業思いのままに銀行も動き、大蔵省金融そのものも動かされたと言わざるを得ないと思うのであります。大臣の御所見を伺いたい。
  44. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、現実のその問題、よく承知しておりません。どうも北海道拓殖銀行千葉大網白里町に支店を設ける、こういうと、北海道銀行がなぜ設けるのだろうというすぐ一般的な疑念もありましょうが、それは北海道拓殖銀行は大きな銀行でありまして、北海道という名前がついておりますけれども都市銀行でありますから、全国的な活動をしておるということは御理解願えると思うのです。  その当該地崎工業に対する融資問題、これは私、具体的に内容を存じませんので、よく調査をいたします。さっそく調査をいたします。
  45. 井上普方

    井上(普)分科員 さっそく調査して御報告を願いたいと思います。  大臣はそうおっしゃいますが、去年の二月二日に銀行局から、「金融機関店舗認可について」という通達が出ておるのです。何らこれに該当するものじゃありません。ただ、その地崎工業が八十億という金を地元に落とした、その金を吸い上げるために銀行新設になったと思わざるを得ないのであります。そういう思惑のやり方を、銀行局は認めておるのだと言わざるを得ません。このような金融政策があっていいのかどうか。私は、これは地崎工業の反社会的な責任を追及することもさりながら、銀行がそのお先棒をかついでおるこの実態に対しまして、痛憤やるかたない思いをいたすのであります。  大臣、いまあなたがおっしゃった個々の融資について、あと手形の書きかえというようなものを停止したいというお考えは、間違いございませんか。
  46. 福田赳夫

    福田国務大臣 停止するというふうには申し上げないのです。無条件では切りかえはいたしません。先ほどは申し上、げませんでしたが、その切りかえどきその他適当な時期を見て、回収まで考えてもらいたいのだ、こういうような金融機関に対する指導をいたしたい、かように考えております。
  47. 井上普方

    井上(普)分科員 これにつられてかどうか知りませんが、周辺におきまして興銀土地、いわゆる銀行のダミーがこれまた土地を買っております。したがいまして、銀行のダミーというようなものが土地買いあさりに狂奔する、思惑買いをやることは、許されないことであります。このことについては去年私は質問いたしまして、規制するとおっしゃいましたが、ダミーの名前銀行名前をつけるのをやめさすとかなんとか、つまらぬことばかりやっておるのです。本質的な問題を解決しようとする努力がありません。  そこで私は、大蔵大臣にお願いしたいことが一、二ございます。私も見てみますと、この物価を押えるには、どうしても土地を安定さす、地価を安定させなければならない。でなければ、政府施策にいたしましても十分できません。国民の住宅緩和に対しましても努力はできません。したがいまして、私は、特に政府資金を使っておる銀行の、不動産買収の貸し出しの一覧表をひとつつくっていただいてお見せ願いたいと思うのであります。
  48. 福田赳夫

    福田国務大臣 政府資金をですか。
  49. 井上普方

    井上(普)分科員 はい。使っておるところです。
  50. 福田赳夫

    福田国務大臣 たとえばどういうところですか。
  51. 井上普方

    井上(普)分科員 長銀とかあるいは第一勧銀とか、ああいうところでございます。
  52. 福田赳夫

    福田国務大臣 別に政府資金を使っていないですよ。
  53. 井上普方

    井上(普)分科員 そうですか。
  54. 福田赳夫

    福田国務大臣 開発銀行とか輸出入銀行とか、こういうところは使っておりますが……。
  55. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 政府機関土地関係あるのは、おそらく住宅金融公庫ではなかろうかと思います。その他の輸開銀については、土地そのものには直接は関係いたしません。
  56. 井上普方

    井上(普)分科員 市中銀行の大手です。こうしましょう。ひとつ市中銀行の大手の土地買収貸し出ししておる一覧表をお見せ願いたいと思います。
  57. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 御趣旨が具体的になるかどうか、そこが非常にむずかしいところだと思います。都市銀行全体、土地買収関連しておるという相手先をどれだけ把握しておるかどうか、それが今度調査に入る目的でございますので、三月末から一カ月くらいかけて、日本銀行と協力して、そういうことも兼ねてやりますが、おそらく全貌を把握する、あるいは全貌を資料として調製するということは非常にむずかしいことだと思います。むしろできるだけ参考になるようなものを、ひとつ今後研究してみたいと思います。
  58. 井上普方

    井上(普)分科員 私は、もう時間が参りましたので、この程度でやめますが、ひとつまたあらためてこの問題につきまして質問したいと思います。でございますので、十分なる用意をしてこられるように厳重に申し上げておきます。終わります。
  59. 奥田敬和

    奥田主査代理 これにて井上君の質疑は終わりました。  次に、芳賀貢君。
  60. 芳賀貢

    芳賀分科員 大蔵大臣にお尋ねいたします。  問題は、わが国の人口、食糧問題を基礎にいたしまして、特に資源対策の問題等について率直にお尋ねいたします。  昨年の石油危機が勃発して以来、世界先進国の中でわが国が最も資源の不足の国であるということが、国民全体にも認識されたわけでございますが、人口、食糧問題の立場から見て、わが国の食糧の自給率がすでに四〇%台に低下しておることは、大臣御承知のとおりであります。しかも、世界的にも食糧が、世界人口増加になかなか対応できない状態でありますから、結局、これからは国内における農業の拡大生産を進めて、すみやかに自給率を拡大するというところに、人口、食糧問題から見た施策の重点が置かれると思うわけでありますが、これについての大臣の所信を、まず承っておきたいと思うのです。
  61. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、三十四、五年ごろ農林大臣をしておったわけでありますが、その後十四年たちますが、農業の推移を見ますと、だんだん自給度が落ちてくる。特に、麦作でありますとかあるいは大豆でありますとか、そういうものに非常に顕著な傾向が出てきておりまして、最近の国際情勢、さらにこれからの世界情勢、そういうものを観察し展望してみるときに、これではたしていいのだろうか、こういう感じを持っておるのです。とにかくカロリー計算からいえば、半分しか自給できないのだという体制で、これからの世界情勢にはたして安心して臨め得るだろうか、こういう感じを持っておるのであります。  石油の混乱のあとを受けて、新しい国の歩みというものを求めなければならぬ、そういう時期でありますが、このことを十分踏まえて対処しなければならぬ、そういうふうに考えております。
  62. 芳賀貢

    芳賀分科員 そこで、食糧の中心である米についてです。ことしは生産調整を行なってからちょうど四年目に入るわけですが、水田の休耕制度はすでに廃止をいたしまして、ことし、来年は、転作の形で生産制限をあと二年進めるということになっております。この問題については、大臣はどう考えておりますか。米だけについて検討すれば、まだ米については、その年度で生産された米が、その米年度において全部消化されるというほどの急迫性はないとしても、食糧全体が足らぬわけですからして、最も生産性の高い主食の米等については、やはりこの際、生産の全面的回復をはかるということが当然だと思うわけです。しかも、あと二年転作の形で制限を続けるわけでありますが、この二年間の食糧の需給の動向、その先の見通し等についてはどう考えておられますか。
  63. 福田赳夫

    福田国務大臣 まあ、非常に達観的な私の見方でございますが、米については、もう大体一〇〇%以上の自給体制にある、こういうふうに見ております。施策の方向に誤りがなければ、この体制は、今後といえども持続し得るであろう、こういうふうに私は考えております。でありますので、これから二年間、転作奨励という時期に入るわけでございますが、この時期に麦類あるいは大豆、そういうようなわが国の自給政策上必要な農作物に対する転作を強力に進める、こういう方式をとっていくべきだと思います。  ただ、反面におきまして、米の生産を士気阻喪させるということがあってはならないのでありまして、米作農家に対しましては、十分手厚い対策をとっていかなければならぬ、かように考えております。
  64. 芳賀貢

    芳賀分科員 昨年以来、大蔵大臣の言うところの狂乱物価関係もあって、米の消費が毎月毎月相当上昇しておるわけです。これはまことに喜ばしいことだと思うのですね。それからまた、国際的に米及び農産物の価格の動向を見ても、たとえばアメリカにおいても、タイにおいても、その国で生産された上質米の価格は、トン当たり六百五十ドルあるいは七百ドルという価格を示しておるわけですからして、いままでは、日本の米価が世界の米価水準に比べて二倍もしておるというようなことで、国内の生産を抑制して海外依存の政策をとってきたわけですが、今度は、むしろ国際的な農産物の価格のほうが、日本の国内の農産物の価格水準と同等、あるいはそれよりも上回っているというような現象が生じておる。これが、単に一時的な現象であるというふうに考えるわけにはいかぬわけです。  そうすると、やはり安いから海外から購入してくればいいのだという、そういう経済合理主義的な考えというものは、食糧政策の上からは、もうとることができないわけですね。しかも、その総生産が足らないわけですから、ただ単に米だけを取り上げて、当分需給が十分であるからして、米の生産を政策的に抑制するというのは、これは間違いだと思うのですね。ばかげた政策ではないかと思うわけです。昨年から見ると、生産調整についても、前年から見て七十万トン緩和しておる、あるいは予約の事前割当についても、去年よりは四十万トンふやしておるということですから、この趨勢でいけば、あと二年後には、全面的に米をつくってください、ぜひお願いしますということを、政府みずから生産者にお願いするということに当然なるわけです。そういう先見性というものが、政府の行政の中においても確立されておらなければならぬと思うわけです。  いま内閣の中では、福田さんの発言というものが一番国民から期待されておるわけです。そういう中において、農産物を安く押えることだけに専念してきた大蔵省として、今度は拡大の方向にどうして金を使うかということに配慮をしてもらわねばならぬわけですからして、まず、四十九年度の米価問題について、政府としての、米価決定についての基本方針、並びに食糧管理法のもとにおいては、毎年の米価決定の時期というものが、法律においても政令においても明確になっておりませんので、この点について、ことしはいつごろ米価をきめられるのか。世間の説では、参議院選挙前にきめるか、参議院選挙のあとにきめるか、参議院選挙前ということになれば、保革逆転におびえておる政府だから、できるだけ大幅に上げて農民の歓心を求める、選挙が終わってからであれば、破れかぶれの気持ちで安く押える、こういう説も行なわれておるわけでありますので、この決定の時期ですね、これらについてお尋ねいたします。
  65. 福田赳夫

    福田国務大臣 米価決定の時期につきまして、これは、選挙を別に考慮の中に入れて考えておりません。米価は、もう長年定着した算定方式がある。生産費所得補償方式、これでいくべきものである、かように考えております。  時期につきましては、そういう状態でありますから、参議院選挙の前になろうが、あとになろうが、それは別に、時期がどうなろうと価格に影響をするという性質のものではないと思いますが、まあ、通例は六、七月に米価はきめる、こういうことになっております。ですから、おそらく農林当局も、通例のスケジュールを考えておるのじゃあるまいか、さように存じます。
  66. 芳賀貢

    芳賀分科員 価格については、食管法の規定に基づいて生産費所得補償方式ということになれば、当然、現在の六十キロ当たりが平均して一万三百円程度ですから、おそらく最低五割以上ぐらい上げなければ、大臣の言う生産費所得補償方式ということにはならぬと思うのですが、その点はどうですか。
  67. 福田赳夫

    福田国務大臣 米価が六、七月ごろきめられる、その直前までできる限りの最近の資料を求めるわけであります。その時期における資材の値上がりの状況がどうだ、あるいは肥料等の値上がりがどうだろうか、あるいは賃金がどういうふうになるだろうか、そういうようないろんな要素が取り入れられて米価は決定される。  ですから、いまどのくらいになるだろうということを、こういう激動下の経済情勢でございますから、それは、私は申し上げられませんけれども、生産費所得補償方式、それできめられるであろう、これはそうしなければならぬ問題である、かように考えております。
  68. 芳賀貢

    芳賀分科員 次に、米以外の農産物についても、法律を根拠にして、政府が行政的にきめて、価格を指示する品目が非常に多いわけです。たとえば、時期的にいうと、今月の下旬には加工原料のなま乳の保証価格をきめなければならぬということになるわけですが、これが毎年毎年、大臣御承知のとおり据え置きになってきておるわけですね。そうして、同じ生産されたなま乳でありましても、飲用向けのなま乳の場合においては、政府の行政価格に依存しておりませんので、結局、実勢によって価格が形成されておる。そういうことで、政府が価格決定をしない飲用向けの牛乳については、現在一キロ当たり八十二円の水準であります。政府が決定いたしました加工原料の保証価格は、四十八年度においてはキロ当たり四十八円五十一銭であります。だから、同じ生産されたなま乳が、用途が違うことによって、一方また政府が行政的に価格をきめることによって、これは一キロ当たりで三十三円の格差があるわけですね。  加工乳については、四十八年は政府から不足払いの形でキロ当たり八円二銭支出されておるわけです。この八円二銭を引いた価格が、全国の主要なる乳業者に供給される取引価格ということになるわけでございますから、乳業会社の場合は、加工原料乳は、国の制度を通じまして、キロ当たりで四十円四十九銭という価格でなま乳を購入することができる。飲用向けの場合には八十二円ですからして、ちょうど飲用の半分の値段で乳業会社がなま乳を購入することができる、こういう仕組みになっておるわけです。  だから、現在政府が、毎年百十億円くらいの不足払いを畜産事業団を経て出しておるわけですが、これは何にも、全国の酪農農民の生産を維持するための目的で使われていないわけですね。会社が買い受けをするなま乳の価格を、極端に低減させるためのそういう作業しか果たしていないわけです。  これを一物一価の原則から見た場合、同じ農家が生産したなま乳が、たまたま用途が違うことによってこういう大きな格差が出ておる。そのほかの農産物にしても全部、自民党政府のきめる農畜産物の価格というものは、農民の生産者価格を維持するというのでなくて、法律を逆用して価格を押えて生産を抑圧するという、そういう運用がなされておるわけですからして、大臣が言われたとおり、あなたが農林大臣をやった時代から見て、極端にこの自給率が下がっておるということは、そこに大きな基因があるわけであります。  ですから、まずこの三月末にきめる保証乳価について、実勢で取引されておるところの飲用向けの乳価との不均衡を是正するということも、当然これは是正することが第一段階の作業であるというふうに考えますが、その点は、財政担当の大臣としてどう考えておりますか。
  69. 福田赳夫

    福田国務大臣 例年のとおり、法律によりまして乳価を三月末までにはきめなければならぬ。ところが、ことしの乳価の決定は、なかなかこれはやっかいなことになってきておるのです。それは、飼料問題がからまってきておる。御承知のような飼料情勢であります。  そういうことで、どういうふうに飼料問題、乳価問題をさばくか、これはなかなかむずかしいことでございますが、いま農林省のほうで、学識経験者、そういう方々にもいろいろな角度からの御意見なんかを拝聴したり、検討いたしておる段階でございます。まだ大蔵省に対しましては、農林当局から具体的な接触はございませんが、もう三月も上旬を過ぎようとしておる、そういう際でありますから、農林省からもぼつぼつ接触があるだろうと思います。  大蔵省といたしましては、とにかく酪農業、これは維持していかなければならぬし、むしろこれを奨励しなければならぬという立場にある。同時に、いま物価がこういう状態であって、その物価状態の中で乳価をどういうふうに位置づけるか、こういう問題があるわけであります。総合的な見地に立ちまして、適正な乳価を決定しなければならぬ、かように考えております。
  70. 芳賀貢

    芳賀分科員 特にこの問題は、飲用向けのなま乳価格との大きな矛盾と不均衡を是正するということについて、これは十分留意しておいてもらいたい。  次にお尋ねしたいのは、四月十日までに、甘味資源の関係でありますが、国産糖の原料であるてん菜の基準価格を政府がきめることになるわけでありますが、これについても、政府の低価格政策のもとにおいて、てん菜の原料価格は、前年度に比べてわずか四%しか上がっていないわけです。米、麦は去年は一五%程度、パリティに従って上がりましたが、そういうことで、ことしは北海道におけるてん菜の耕作の動向を見ても、二割ぐらい減反するという気配が非常に強いわけであります。  そこで、国際的な糖価水準ということになれば、大体外国の精製糖を日本に購入する場合、おおよそトン二十一万円、キロ当たり二百十円程度ということがいわれておるわけでありまして、これを国産糖に比較すると、まずてん菜の昨年の原料価格がトン当たり八千五百六十円、それをもとにした政府のてん菜糖の買い入れ価格がトン当たり十一万四千円ということになっておるわけですからして、この点についても、根本的な価格是正というものが、生産者価格に講ぜられなければならぬと考えておるわけです。  生産者の団体においては、とにかくことしはトン当たり一万五千円台にしてもらわなければ安心して耕作ができない――そこであくびをしている者もいますけれども、そういうような状態であります。ですから、この際、単に原料問題だけでなくて、政府としての、たとえば砂糖に対する糖安法を基礎にした国内の諸制度があるわけでございますし、消費者にできるだけ生産者価格の上昇を転嫁させないということになれば、結局、価格形成の要素をなす砂糖の関税の運用の問題、あるいは世界一高い砂糖の消費税の存廃の問題等を総合的に研究しないと、単に原料価格だけを取り上げて議論するということは、十分根本的な解決にならぬと思うわけです。ですから、大幅な原料価格の引き上げというものを前提にした場合に、関税の運用、さらにまた砂糖消費税をはずすかどうかというような問題について、大臣の所見を聞いておきたいと思うのです。
  71. 福田赳夫

    福田国務大臣 てん菜糖の価格、これは先ほど申し上げました飼料や乳価と同様に、最近の経済事情、また海外の事情、海外糖の関係、そういうものを総合的に考慮してきめなければならない、こういうふうに思います。  総合的という中に、税の問題、これがからまってくる。今度、糖安法の運営にもからみまして、関税のほうはこれを停止する、こういうふうにいたしたわけですが、消費税は、多年定着しておる制度でもありますし、今日の異常な状態だからといって、これを軽減あるいは廃止するということは、そう軽々にはできないと思うのです。  しかし、とにかく生産農家のほうの立場も尊重しなければならない。それから同時に、消費者にも安心していただかなければならぬ。そういう際に、ただ単に財政負担を抑制するというだけの考え方ではこれは対処し切れません。財政支出、そういう面もありまするけれども、関税だ、消費税だという問題もからまっておる。そういう問題であるということはとくと承知しておりますが、ひとつよく総合的な検討はいたしてまいりたい、かように考えております。
  72. 芳賀貢

    芳賀分科員 いまの答弁は、福田さんにしては歯切れが悪いですね。砂糖の関税は、これは弾力関税で運用しておるから、現在のところは、大体無税にひとしい状態に置かれている。ただ、消費税については、あなたは明確な答えをしませんが、これは世界一高いでしょう。現在、キロ当たり十六円ですからね。ことしの税収見込みを見ても、おおよそ五百十億円が計上されておるわけです。あなたの持論である狂乱物価を鎮静するということになれば、これらの高額な砂糖消費税、その他の消費税もありますけれども、砂糖消費税等については、この際根本的な検討を加えて、そうしてできるだけ物価政策の中で、消費者の負担を軽減するということは当然なことじゃないですか。もう少し歯切れよくこの点は答えてもらいたい。
  73. 福田赳夫

    福田国務大臣 関税につきましては、これは弾力的な運営をするというルールになっておりますので、この際これは徴収を停止する、こういう考え方だと思います。  しかし、わが国の税制の中で多年なじんでおる、恒久的な税制の一環をなしておる消費税、この消費税について、これを廃止するということについては、私はきわめて慎重な態度をとっておるということを申し上げておるわけでございます。
  74. 芳賀貢

    芳賀分科員 最後に、国有林野特別会計の関係でありますが、これは数年間の宿題の一つである。国会において、四十六年の三月二十五日に、衆参両院の農林水産委員会において、林業振興に関する特別決議を行なっておるわけです。内容は六項目でありまして、これは大臣も御承知のとおりであります。これを尊重して実行するということがなかなか具体的に進んでいない。これを受けて四十六年四月十三日に、国有林の基幹労働者の常勤制に関する政府の統一見解というものが出されておるわけでありまして、これも大臣御承知のとおり、若干の前進は見ておるものもありますが、全体的に見ると、根本的な解決実施が進んでおらぬという実情であります。この二点について、財政担当の大蔵大臣から明快に答えてもらいたいわけであります。  特に、その中で一番期限づきの問題としては、国有林の基幹労働者、つまり日給制の定員外でありましても、これは国の公務員の位置に立っておるわけでありますが、これらの諸君の三万一千人に及ぶ常用作業員、定時作業員のうち、特に機械関係で、機械作業員、機械要員といわれる大事な職種がありますが、この中で三百七十四名が、いまだに定員内に繰り入れがされておらぬという問題がございます。この点は、昨年大臣が行管長官をやられておりました場合にも、私、直接直談判をした経過もありますが、それらの経過を踏まえた場合に、この機械要員の繰り入れ残の人員については、できるだけ四十八年度中に繰り入れが実現するように十分な配慮をしましょうという、そういう大臣と私どもの約束にもなっておるわけでありますので、今度は一番大事な財政を持っておられるわけでありますからして、この機械要員の繰り入れの問題、これもぜひ年度内に実現するように運んでいくべきだというふうに考えておるので、この問題を取り上げたわけであります。いま言いました林興決議の実行の問題、それから政府統一見解に基づく常勤制実現の問題、その中で急を要する機械要員の年度内繰り入れの問題、この三点について、大臣から明快に方針を示してもらいたい。
  75. 福田赳夫

    福田国務大臣 御指摘の、林野庁の日雇い職員を定員内に繰り入れるという問題に対する政府の統一見解、これは統一見解というけれども、あまり統一されていないのです。両論併記というか、そういう内容のものであります。そういうことで、林野庁でもたいへん苦慮しておる問題でございます。  そこでこの問題、林野庁で苦慮しておりますお話の筋はよくわかるのです。わかるけれども、日雇いの職員につきまして、これは季節性が非常に多い、あるいは代替性が多い、そういうような問題があって、理論的にどうだろうという問題もあります。また実際問題とすると、国家公務員の定員は抑制方針をとっており、そういう中で、農林省全体のバランスとの関係がどうだろう、こういう問題もあって、林野庁もたいへん心配しておるようでありますけれども、まだ具体案ができない、こういう状態でございます。  それから、第三の機械要員の問題、これはその後どういうふうな状態になっておりますか、林野庁の見解等も伺いまして、もし具体案ができましたならば、私どもも御協力申し上げていきたい、かように考えます。
  76. 芳賀貢

    芳賀分科員 約束の時間ですから多くは申しませんが、どうも福田さんは、行管庁長官をやっておられたときは、いまの問題についても相当前向きな態度、方針をわれわれに示しておるのですね。同じ人物が、今度は財政担当の大事な大臣になったとたんに、どうも明快さを欠いておるじゃないですか。これはけしからぬと思うのですよ。いついかなる場合にも、閣内のポストが変わっても、やはり一定の政治方針、政治の所信に向かって、そのポストについた場合には最善を尽くすということでなければ、福田精神というものは生きていかぬと思うのですね。だから、全体の定員化の問題についても、現在の定員制等のもとにおいて拘束があることはわれわれも承知の上でおるけれども、現実には、一番貴重な基幹労働者が三万一千人も、まことに不自然な悪条件のもとに置かれておるというこの現実、それはあくまでも国の企業を進める上に必要な人材であるという点は、否定することができないと思うのです。これを前向きに当然やるべきだと思う。機械要員の問題についても、これは三百七十四人残っておるわけですから、これをすみやかに繰り入れるということは当然なことだと思うのです。農林省がそういう姿勢を示せば協力するということでなくて、むしろ農林大臣のけつをたたいてもらいたい。倉石農林大臣もあなたと同門でしょう。同じ陣営でしょう。その点では息が合っているんじゃないですか。だからこの際、あなたが大蔵大臣の時代に、この程度の問題は明快に処理しておくべきだと思うわけです。重ねてこの点を明らかにしていただきたい。
  77. 福田赳夫

    福田国務大臣 本件について、私が大蔵大臣になったら豹変したようなお話ですが、いささかも変わっておりませんから、よくまた農林大臣のほうとも相談をいたします。
  78. 奥田敬和

    奥田主査代理 これにて芳賀君の質疑は終わりました。  次に、佐野進君。
  79. 佐野進

    佐野(進)分科員 大蔵大臣質問いたします。  まず最初に、いまきびしい金融の引き締めを行なっておるわけでありますが、この金融引き締めはいつごろまでお続けになるお考えか、最初にお伺いいたします。
  80. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいまの調子の引き締め政策は、これはつまり強度の引き締め政策ですね。これは物価が鎮静し、安定、定着をする、その時点まで続けます。なおその後におきましては、情勢の推移もありまするが、その推移に応じて、引き締めの強度につきましては弾力的に考えなければならぬと思いまするけれども、引き締めの姿勢は、その後といえども、当分の間は続けなければならない、かように考えております。
  81. 佐野進

    佐野(進)分科員 きょうの新聞にも出ていたわけでありますが、引き締めの実効について、非常に認識の相違がいろいろな方面にあらわれている。特に大蔵省と日銀関係においては、その取り扱いの感度といいますか、認識の度合いに相当の開きが出てきている、こういうようなことも報ぜられておるわけであります。  そこで、当面最大の課題は引き締めを強化していく、いわゆる物価が安定するまで続けていくのだ、こういう点については、いま大臣の御答弁のとおりで理解いたしまするが、それでは引き締めの最大の効果、いま上がりつつある物価を鎮静させるために、一番最大の効果を示すものとして、これは心理的にも実際的にも効果を示すものとして、公定歩合の引き上げの問題があるわけです。  したがって、いまこの強度の引き締めを持続していくのだという見解にお立ちになっている大蔵大臣としては、いま、物価高騰が鎮静するという一きざしが見えたということは単なる希望であって、現実の面としては、なお上昇する過程の中においては、公定歩合の引き上げということは非常に政治的な決断を要する。しかも、決断をする場合においては、早期にその取り組みをしなければならぬと思うのですが、この際、その見解をお聞きしておきたいと思います。
  82. 福田赳夫

    福田国務大臣 金融引き締め政策の効果は逐次、かつ着実にあがってきておる、こういうふうに判断をしております。日銀券にいたしましても、去年のピーク時には二七%も前年度に対して伸びたわけでありますが、昨今は、それが二〇%の増加という低下ぶりを示しておるわけであります。それから物価にいたしましても、まず嫌気政策の響く卸売り物価につきましては、二月あたりは実質的には横ばいだ、こういうふうな傾向を示してきておる。  そういうことで、かなり効果をあらわしてきておるのでありまして、この体制をしばらく続けますると、かなり大きな影響を現実のものとしてあらわしてくるのであろう、こういうふうに思っております。でありますので、公定歩合をさらにこれ以上引き上げるか、こういうことについては、ただいま考えておりません。
  83. 佐野進

    佐野(進)分科員 公定歩合は、引き上げるまで考えていないと言うのが、当局のやり方だそうですから、それはわかりませんが、ただ、先月ごろにおいては、当然今月上旬ごろまでに引き上げられるであろうということで、相当程度景気鎮静に役立つというようなムードがありましたけれども、しかし、これに対して、今日の大蔵大臣ないし日銀の見解が、結果的に当面考えていないというように緩和された、そのことの持つ意味が、日本経済が鎮静しつつあるという認識というぐあいに受けとめられるわけでありますけれども、昨日大臣が発言されている中で、油の輸入は当面抑制するんだ。油の輸入をどうやって確保するかということは、日本政府の緊急な、しかも最大の課題、昨年末から本年の初頭にかけての課題であったのに、その政府の最高責任者の一人である大蔵大臣は、いまこの輸入を削減するんだ、こういうような、まさに君子豹変以上の豹変を示しておるわけであります。これも、あげて物価対策の一環として取り上げているんだということになってまいりますと、はたしてそのことが実際的な、物価を鎮静させるための必要な措置かということになりますと、私ども、たいへん疑問に感ぜざるを得ないわけでありますが、その点について、いま少しく具体的な御答弁を願いたいと思います。
  84. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは佐野さん、たいへん誤解をされていると思うんですがね。必要な石油の輸入量、これはどうしても確保する、そのためには全力を尽くします。しかし、かりに将来石油事情がゆるみまして、わが国に欲すれば幾らでも石油が入ってくるという状態になりましても、これは望ましき必要量というものを考えまして、それ以上の輸入の増加はいたすべきものではない、こういうことを言っているのです。  なぜそういうことかというと、これもくどくなりますが、この狂乱時代が過ぎた、そして物価も安心できるような状態になった、その後の日本の経済ですね、これは、再びこういうことをしてはいけないのです。ですから、混乱がおさまったからといって、混乱以前のあの高度成長に再び戻るということがあっては断じて相ならぬ。そのためには、混乱を終息した後の日本の経済というものは、かなり低目の成長政策をとらなければならぬだろう。そうなれば石油は、そういままでのような勢いで輸入を増加していく必要はないのです。きわめて低い成長政策に必要な限度内に石油の輸入を抑制すべきである、こういうことを申しておるわけです。
  85. 佐野進

    佐野(進)分科員 それに関連して、今日の物価高、インフレを招いている条件の一つに、いわゆる換物思想、それが必然的には投機、少しでももうければよい、こういうことにつながって、安定した貯蓄、そういう方向に国民の関心が向いていない。したがって、この際預金金利の引き上げは緊急の課題である、こういうようにいわれておるわけであります。いわゆる投機資金を抑制して、安定した状況の中で国民が貯蓄に励むことができる、こういうようなために、預金金利引き上げは今日の緊急な課題であるといわれておるのでありますが、これになかなか積極的に取り組まない。先ほどの公定歩合の引き上げの問題と関連して、この点についての見解を聞いておきたいと思います。
  86. 福田赳夫

    福田国務大臣 さような議論をする方がずいぶんおるわけです。学者、また評論家等の中にも多い。だが、私ども財政を担当しておる立場とすると、そうやさしい問題じゃない。大蔵大臣といたしましては、預金する方々の立場というのを常に考慮しなければならぬ。しかし、預貯金の金利を引き上げるという際には多額の財源を必要とするわけです。一体その財源をどこから持ってくるか。金融機関にそれをかぶせるかということになりますれば、金融機関はそのしりをどうしたって貸し出しに持っていく。貸し出し金利が上がってくる。貸し出し金利が上がるということは、日本経済全体といたしまして金利水準の底上げということになり、生産費全体を引き上げることに通ずるわけであります。  そうすると、資源消費国であり、輸出立国の立場をとらなければならぬ日本の立場が一体どうなるか、こういう問題もまたあるわけです。また、預貯金金利が引き上げになりますれば、国債の金利を引き上げる、あるいは社債の金利も引き上げる、そういういろいろな関連措置があり、一波万波を呼んでたいへん複雑な財政処理を必要とする。  それから、それじゃめんどうだから、政府がその預貯金金利の引き上げの差額を負担したらどうだという論をなす者もあるのです。政府がその多額の金利差額を負担するということになれば、どうしたって回り回って赤字国債の発行ということにつながってくる。これが一体物価政策と両立するかしないか、こういう問題もあり、これはそう簡単な問題じゃないのです。  しかし、大蔵省大蔵大臣の立場とすると、預貯金者の立場というものを十分配慮しなければならぬというので、昨年四回にもわたって預貯金の利息の引き上げをしてきておるわけでありますが、そういう基本的な体系を乱さず、またいまの物価鎮圧、そういう政策ワク内においてどんなことができるだろうか、こういうことをいまいろいろと思いめぐらしておる、こういう段階でございます。十分考えておるわけでございまするけれども、いまの混乱した状態の中で、妥当な位置づけのできるというものがなかなか発見できないというので苦慮しておる、かように御了承願います。
  87. 佐野進

    佐野(進)分科員 その苦慮しておることはよくわかりますが、今日の物価安定の緊急な課題は財政的な措置、これが非常に大きなものである。これはもうだれしも否定しないところだと思うし、私もそう思うのです。そこで、公定歩合の引き上げをしたほうがいいだろうという見解を持っておるし、さらに、それに引き続いて預金金利の引き上げもしたほうがいいと思う。  ということは、土地の投機にしろ株の投機にしろ、あらゆるものの値上がりを招いている原因に、いわゆる換物思想、金で持っておったのでは目減りしてしょうがないのだ、だから少しでも金を物にかえる形の中でインフレに抵抗しようとする庶民のささやかな抵抗心です。いわゆる庶民でなくて、大金持ちでもそうでしょうけれども、しかし、国民一般からするならば、金を預金したことによって失われるその損失に対する焦燥感というものは、はかり知れないほど大きいと思うのです。だから、そういう意味において、株式が、今日引き締めが行なわれたといいながら、なお一定の上昇を続けておるという世界的にもふかしぎな一つの現象。それはもうあらゆる面において、そういうところに投機する形の中において、そしてまた引き締めをしておるといいながら、大企業がいささかも引き締めの影響を受けていないという形の中において、いわゆる株を手放さない。こういうような形の中において、なお株に持っていけばもうかるだろうという期待感がそこに生まれている。これは土地もそうだと思う。土地の値段も下がらない。  したがって、それらの問題について、もう少し行政当局はきびしい指導をしてもらいたいし、同時にその反面、そういうことに預金や貯蓄したお金を投資するということについての、すべを知らない一般国民に対して、それらの人たちよりも少ないものであったとしても、相当程度は補償されるのだという条件をつくってやることは、今日の政府当局が果たさなければならぬ緊急の課題であり、それが物価安定を含めて、日本経済の転換に対する一つの大きな方針ではないか、こういうぐあいに考えるわけでありますが、これは簡単でけっこうでございますが、大臣の見解を聞いて、次の質問に進みたいと思います。
  88. 福田赳夫

    福田国務大臣 預金者の立場を考えて、いろいろ処置をとらなければならぬということは、私は全くそのとおりに考えます。  しかし、その対策をとりましても、いま消費者物価が、二三%前年より上がりましたという際に、金利問題でこれを解決しようと思ったら、それはなかなかたいへんな、大幅な金利引き上げをしなければならぬだろう、こういうふうに思いますが、そうじゃなくて、やっぱりこの際は、いまの狂乱状態を一刻も早く克服する、つまり短期決戦以外に預金者に対しておこたえする道は大筋としてはない、こういうふうに私は思いまして、それに支障のあるような施策は私はとりたくない、こういうふうに考えておるわけです。何とか努力をいたしまして、短期決戦、これを成功さしたい、かように考えております。
  89. 佐野進

    佐野(進)分科員 このいわゆる金詰まり、金融引き締めで金詰まりになる、しかしなおかつ物価が上がる、したがって物価を押えるために金融政策をさらに強化する、こういうような形の中で政策が進められておるわけでございまするけれども、それは一つやむを得ない状況があると思うのです。しかし、そのことによって発生する幾多のの悪条件、これに対して大蔵省当局は比較的ゆるやかな対策しかとっていない、こういうような感じがしてならないのが幾つかあるわけであります。  その一つが、いわゆる投機資金の導入に対してきびしい規制をしていない。株式等に対するところの、先ほど申し上げましたこと等に対する、放置にひとしい状況の中において投機資金の流入を招いておる。あるいは農協等においてだぶついている資金、これは時間がないので具体的に申し上げませんが、これらの活用についての具体的な指導が欠けている。私は、資料を持っておりますので、時間があればゆっくりいたしたいのでございますが、これらの点については、明らかに、物価を鎮静させる財政当局としては、行なわなければならない措置を怠っているといわざるを得ないのであります。  しかし、それはともかくといたしまして、それらの金融引き締め下において、特定の利益を得る立場に立っている人たちがおる反面、この引き締め下にあえいで倒産の危機に立ち至り、あるいはどうすることもできない多くの層の存在することも事実であります。  そこで私は、質問を二番目の問題にしぼってまいりたいと思うのでありますが、今日中小企業経営者やそこに働いている方々は、いわゆる品不足、物価高、さらにはまたそれに付随するいろいろな問題の中で苦しみながら、当面一番緊急の問題としては、金融面における締めつけの中で非常に苦しい思いをいたしておるわけであります。その金融面の引き締めを、重点的にと大蔵省指導いたしております、いわゆる不動産、建設業等々であります。その中で、投機資金の流入を招いている大手不動産業界等はともかくといたしまして、小規模零細にわたる不動産業界や建設業界の、今日の金融引き締め下において受けている打撃はきわめて甚大であります。これらに対して、当面緊急的な融資を行ない、救済をするということも、政府の行なわなければならぬ責任だと思うのでございまするが、どのような措置をとっているか、銀行局長でけっこうですから、簡単に御答弁を願いたいと思います。
  90. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 御趣旨のように、零細な方方への対策ということについては、かねてから意を用いてきておるつもりでございますが、特に、やはりこういう時代におきましては、政府金融機関を中心としてやっていくのが一番いいのではないか、かように考えております。  そういう意味では、零細な方々については、国民公庫、業種別な問題といたしましては商工中金というような形で対策をとっていくということが適当ではないか、かように考えております。なお、それとあわせまして、民間金融機関におきましても、都市銀行二千億、地方銀行千億といった、今回の石油危機に直接関連することに伴う中小企業の方々が、健全な経営を維持していくために必要な資金のためには、緊急の場合にはこれを用意するという体制で現在臨んでおるわけでございまして、さしあたりは、ネオン業者の方々にまず第一の手を打っているというのがあれでございますが、政府金融機関の施策と相応じてそういうことを発動し、それから、もちろん一般民間金融機関につきましても、中小企業金融の比率を下げるよりは上げていくという形で、現在指導しておるわけでございます。
  91. 佐野進

    佐野(進)分科員 そこで、緊急対策として政府が、国民金融公庫に二百五十億、中小企業金融公庫に五十億、商工組合中央金庫に二百億、三機関計五百億の緊急融資をされたことは私も知っておるわけでございますが、しかもこの緊急融資の対象として、当面する、いま銀行局長の御説明になった対象業種に対して緊急融資をされておるということでございまするが、しかし、この五百億は、あとでこれは質問いたしまするが、なお三月までのいわゆる緊急融資でございまするが、これをもってしては当面の危機が、多業種にわたりますがゆえに、なかなか救済しきれないというような面があるわけでございまするので、いわゆる大手、ゆるんでおる層に対する引き締めと、同時に投機資金の抑制と、さらにその陰にある中小零細規模企業に対する救済と、相一貫した形の中で行なわなければならぬと思うのでございます。四月以降において、これらに対してどのような措置をとるお考えか、これは大臣にお伺いしたいと思います。
  92. 福田赳夫

    福田国務大臣 四月以降は、かなり充実した対策が用意してあるのです。つまり財政面でも、公共事業は引き締めます。大規模プロジェクトはずいぶん押えておるわけです。しかし、農山村でありますとか、また下水だとか、あるいは住宅だとかそういう方面の、つまりわりあいに小規模の建設業者、そういう方々に関係のありそうな予算、これは引き締めの中でも増額をしておるという配慮をしております。  それから一方、金融政策といたしましては、三機関に対する融資幅を二〇%増額をする。それから、いわゆる無担保無保証融資、これは本年度に始められた制度でございますが、これを千二百億用意いたします。それから税制面でも、法人税の引き上げをいたしまするけれども、中小企業につきましては据え置きにいたします。そういういろんな税制特別措置をとっておるわけです。なお金融界とも相談いたしまして、金融界の自発的な措置といたしまして、金融界が中小企業資金として三千二百億円を別ワクとして用意をいたすとか、これはかなりの措置がとってありますので、中小企業金融対策といたしましては、まあまあ精一ぱいのことがやってある、かように御了承願います。
  93. 佐野進

    佐野(進)分科員 そこで、いま大臣が御答弁になりましたように、新年度においても十分対策を立てるということでございますが、私は、この中小企業金融政策として行なわれる上に重大な欠陥を持っていると思う点を指摘して、御答弁をお願いしたいと思うのです。  ということは、たとえばここで緊急融資を今回五百億行なった。その五百億の融資は対象別に、緊急の性格を持ちますから、そこに融資を行なう。融資を行なうことによって、その中小企業が自立し、回復し、発展していく、そういう状況になることを望んでそういう対策をとられておるのでありまするが、現実には、この融資した資金が、中小企業の窓口を通って大企業に吸い上げられていく、いわゆる大企業資金繰りを豊かにするためにこれが生かされていくという傾向が非常に多いわけであります。こういう点について銀行局長、お考えになったことがありますかどうか、お伺いしたいと思います。
  94. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 過去の引き締めにおいては、まさに先生御指摘のような形で、むしろ大企業のしわ寄せを中小企業が受けておるという形がかなり顕著にあらわれておるように思います。ただ今回は、しあわせなことに、いままで見る限りにおいては、さほどのしわ寄せを、むしろ受けていないという状況が、今回の引き締め下の特徴かと思います。もちろん例外はあろうかと存じますが、たとえば中小企業の手元流動性、あるいは売り上げ債権に対する売り上げ高との比較といったところから見ますと、もちろん、全然影響がないとは言えませんが、比較的そのしわ寄せが及んでいないのではなかろうか、かように考えております。  もちろん、業種によりまして、あるいは個別的な問題としては例外はあろうかと思いますが、総体的な状況は、まずまずそういうことではなかろうか。これは一つには、中小企業の方々が非常に体質が充実されてきて、大企業が中小企業を踏まえてやっていくことを許さなくなってきた、むしろ非常に重視せざるを得なくなってきたという反映だろうとは思いますが、そういうふうに考えております。  しかし、今後どうなるか。おそらく四月以降は相当深刻な状況が出ることも予想されますので、できるだけの注意はしていきたいと考えております。
  95. 佐野進

    佐野(進)分科員 そこで、私はいまの答弁は若干不満なんです。と申し上げますことは、中小企業は相当余裕があって、この困難な時期にそう倒産も出ないで乗り切っているというがごとき印象を与える答弁でありますけれども、もちろん倒産数が、当初予想した数よりも少なかったということについては私も認識いたしております。しかし、その予想していたこと自体が、日本経済のあの破局的な現況を踏まえた上での予想であって、油の状況等々からいいましても、そのことはその状況にならなかったという形の中で、なおかつ倒産数がふえているということからするならば、予測が当たらなかったことは、むしろ当然であったと言ってもいいと思うのであります。しかし、これが将来ふえていくということは、いま銀行局長指摘されたとおりであります。  そこで大臣、私が御質問申し上げたいことは、いま銀行局長の言われたことは、中小企業にも流動性があって非常に豊かだった、うまくいったのだ、こう言われておるわけでございまするが、もう流動性のほとんどなくなった業種があるわけですね。たとえば、先ほど申し上げましたとおり、建設あるいは雑貨、さらには原材料の値上がりの中で困っている業種、こういうものに対しては、ひとつ思い切った対策をとって、いわゆる社会的な情勢の中で倒産の危機におちいりつつある企業に対しては、対策を立ててやっていただきたいということについての御答弁を、ひとついただきたいと思います。  それからもう一つ、時間がありませんので一緒にいたします。これは重大な問題なんですが、実はこの暮れから正月にかけて、金融引き締めが強化されてきた段階の中で、各業種にわたって大手企業が、いわゆる下請、さらにはまた零細規模企業のお客に対して手形の短縮、そしてまた手形を現金比率にかえる、こういうような措置を各業種にわたって、私の知っている範囲でも、ここに資料がこれだけあるわけでございまするが、あまり長くなりますから、一つの例を申し上げまして答弁をお願いしたいと思うのであります。  日本における陶器メーカーとして最大のメーカーである東陶、さらには伊奈製陶の二つの会社が同じような形で、これが将来独禁法に触れるか触れないかの問題は、また別の問題といたしまして討議をしたいと思うのでありますが、この二つの会社は、いままでは、支払いについて締め切り後三十五日、そして手形は百二十日、こういうような形の中においての処理をしてきたわけであります。あるいは納入資金の受け入れについてやってきたわけでございまするが、これがオール手形から、現金二〇%あとは手形、こういう形の中において購入を許すという形になってきておる。さらに、これらについては直接行なわないで、系列の代理店を通じてそれらの措置を講じている、こういうような例があるわけです。これは単にこの二つだけでなくして、あらゆる業種にわたって、金融引き締め政策が強化されて以後、結果的にいうならば、大企業金融引き締めの影響をみずからが受けないで、それを下請ないしお客にその引き締めの影響をしわ寄せしている。結果的に引き締めが強化されればされるほど、それら小規模零細企業経営者がその中においてその負担を受けている。しかも、これらが一般的な金融を受け、政府機関金融を受け、一般市中銀行金融を受けようとしてもなかなか受け得られない、こういうような現況下にあえいでいる企業がたくさんあるわけであります。大臣、こういうことは御存じであるかどうか。御存じでないとするならば、こういう問題についてどのような措置をとるべきことが必要であるとお考えになるか、この点、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  96. 福田赳夫

    福田国務大臣 第一の、倒産する企業に対して手厚い対策をとれ、こういうお話でございます。これはひとつ金融面ばかりの問題ではないのです。最近の倒産は、資材が狂乱状態の中で入手できなかったというような事情、それから建設業者についていえば、発注が少なかったとか、いろんな事情があると思いますが、金融政策の立場からは、企業の倒産するものを救済する考えはございません。しかしながら、健全な努力をしておる企業が非常に苦しい立場になる、そういうものに対しまして、これは先ほど申し上げましたように、いろいろな準備をしておりますので、さようなものを発動させる、こういうふうに考えております。  それから、こういう引き締め体制下におきまして、金融引き締めのしわ寄せを下部企業が受ける、こういう傾向は私はあると思うのです。ある程度のことはやむを得ません。しかしながら、これが極端になる、こういうことにつきましては、私は、好ましからざることである。下請代金支払遅延等防止法というようなものも、そういうことを憂慮して立法されておるわけでございますので、これは中小企業庁が主として責任を持つことになりますが、督促いたしまして、あまり行き過ぎがあるというような事例に対しましては、政府としても、そういうことのないように行政指導をしてまいりたい、かように考えております。
  97. 佐野進

    佐野(進)分科員 最後に一言だけ、銀行局長にこれは答弁してもらいたいと思うのです。  大臣のは政治的答弁にもなろうかと思いますから、それでいいと思うのでありますが、銀行局は非常にきびしい行政指導金融機関にいたしております。特に、小規模金融関係を取り扱う信用金庫その他等に対して、きびしい指導をいたしております。いわゆる三千万以上の貸し出しについては、これこれこうしなさいとかああしなさいとかという指導までしておるわけです。したがって、いま私の申し上げましたような、大規模企業が小規模零細企業に対して金融上の圧迫を加える、いわゆるいままでの条件と相反した措置を講じた際、これらの措置に対してきびしく指導することも、決して不可能ではないと思うのであります。いま申し上げましたようなことについて指導することも不可能――たとえば手形サイトを、いままでオール手形であったのを二〇%現金にした。金が詰まって金が払えないので四苦八苦しているのに、現金でなければ品物を売りませんよ、あるいは支払いをする場合には長くしますよ、こういうような形の中において困っているわけです。  大臣の言われたことは、下請企業に対しては支払遅延防止法があります。しかし、これはなかなか実行されません。しかし、実行されないにしろ法律があるわけですから、それをやるということはけっこうでございます。しかし同時に、資材不足の今日、購入する側に、資材が不足であるというためでもあろうと思うのでございますが、いままでの条件を全く変えた形の中に、いわゆる政府が行なう中小企業金融の金が、中小企業者の手元へとどまらないで大企業のもとへ行く、大企業はその金を使ってさらに大規模投資、いろいろな形の中において、銀行局をはじめ銀行の目をかすめた形の中において、過剰流動性としてその金が生きてくる、それが投機資金になる、結果的に大企業は多くの株式を保有しながら、その株式を放出せずとも、今日の三月年度末を控えてなお健全に運営することのできる条件がある、こういうようなことを私どもは判断することができると思うのであります。  具体的な資料等もございますが、きょうは時間がございませんので省略いたしたいと思いますが、いずれにせよ、そういうこまかなところまで銀行局は目を通して、きめこまかな指導をしていただきたいし、同時に、この問題については、それらの実情を調査した上で善処していただきたいと思うのでありますが、この点について御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  98. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 お話の趣旨は、非常によくわかります。  ただ問題が、企業金融企業企業との間の金融であるだけに、どうしても金融機関あるいは私どもの立場としては、それを把握する限界があろうかと思います。私は、むしろそのしりというのは、必ず中小企業の方々の中小金融機関に対する資金需要となってあらわれてくるものである。したがって、そこの段階でできるだけめんどうを見ていく以外には、実は率直に言って手はないように思います。もちろん、大臣が申しましたように、中小企業庁としての中小企業と大企業間のルールを確立していくということは、当然なされなければなりませんが、私どもの立場からいたしますと、結局は、しりとしては、そういう方々の資金需要を金融機関としてごめんどうを見ていくという形で、最大の努力をしていきたいと考えております。  そのためには、先ほど来も御指摘の中にございましたが、今回の引き締めも、主として都市銀行に限っておるわけでございます。中小金融機関については、むしろある意味では、非常に弾力的な措置をとっておる。それからなおかつ、中小金融機関といえどもあくまで民間の金融機関でございますので、むしろそれによってやれない部分を政府金融機関でやっていく。それから同時に、先ほど大臣からも申しましたように、三千二百億というのは、これはいわゆるコマーシャルベースということを離れた措置としてやはりめんどうを見ていくという形で、私どもといたしましては、結局、しりの問題としてめんどうを見ていくのが一番、実際的ではなかろうかと考えております。  したがいまして、その実態を把握するということにつきましては、むしろ中小企業庁などを通じていろいろお願いしていかざるを得ないのではなかろうか、かように考えております。
  99. 奥田敬和

    奥田主査代理 これにて佐野君の質疑は終了しました。  次に、諫山博君。
  100. 諫山博

    諫山分科員 いま、税務署員の高圧的な態度が各地で問題になっています。とりわけ、民主商工会に対する不当な差別扱いが非常に目立っています。  昨年十月、宮崎県の井上節子さんという人が、税務署員から事後調査を受けている、その目の前で倒れまして、一週間後に死亡しました。地元では、税務署員の不当な取り扱いが井上節子さんを死に至らしめたものだと言って、たいへん問題にしています。限られた時間ですから、私は、この問題に深入りしようとは思いません。私がこの一年間直面した二、三の問題を素材にして、民主商工会に対する大蔵省、国税庁の一般的な取り扱いについて質問します。  私は、ずっと以前から、弁護士として民主商工会の人と一緒に、何回となく税務署に交渉に行きました。その場合は、私は、民主商工会の人と一緒に税務署側と話し合うことができました。私が国会議員になってからは、税務署のほうでは、民主商工会とだけなら話し合う、国会議員とだけなら話し合う、しかし一緒には会わない、こういう態度をかたくなに取り続けております。民商の会員とは会わない、あるいは国会議員と会わないというのなら話は別ですが、それぞれ別個なら会うけれども、国会議員と民商の会員が一緒に来たのでは会わない、こういう取り扱いを何回となく受けました。いま大蔵省、国税庁としては、全国的にこういう取り扱いをしているのかどうか、お答えいただきたいと思うのです。
  101. 田邊曻

    ○田邊説明員 ただいまのお話の点につきましては、それぞれ現地の税務署の事情を背景にいたしまして、その署の責任者でございます署長が応待申し上げることとなっているわけでございます。国税庁といたしましては、税務署におきます国会議員の方が来訪された場合には、まず署の責任者、署長でございますが、直接応待するように指示してございます。
  102. 諫山博

    諫山分科員 私は、署長に会わなくても、民主商工会の人と一緒に総務部長に会えばいい、総務課長に会えばいいという申し出をするわけですが、結果的には、ほとんどそういう面会ができません。ひどい場合は、私は、西福岡民主商工会の会長で福岡の市会議員と一緒に、西福岡税務署に行きました。やはり同じ取り扱いです。国会議員である私と市会議員である民商の会長が一緒に来たのに、別々なら会うけれども一緒には会わない、こういう処理がされているわけです。大蔵大臣、こういうやり方が正しいでしょうか。
  103. 福田赳夫

    福田国務大臣 陳情に代議士と一緒に来れば会わない、別々なら会います、こういうのは、国税庁としての統一した指示とはなっておらぬ、なり得るはずがないとさえ私は思います。署長の判断でまちまちな応待になると思います。たとえば民商の方と代議士の方が一緒に来られる、これはたいへん威圧を感ずるというようなことで、各個にお目にかかるということを考える方もありましょうし、あるいは一緒ならなおいい、こういうようなことを考える人もありましょうし、その辺は別に統一して、こうしなさいという指導を国税庁がしておるとは考えません。
  104. 諫山博

    諫山分科員 私がこういう経験をしたのは、たとえば福岡税務署、西福岡税務署、香椎税務署、久留米税務署、唐津税務署、数え上げれば切りがないくらいです。そして会わない理由というのは、国会議員と民商の役員とは同時には会わない、別々なら会う。これはいずれも福岡国税局管内ですから、私には統一的な指導がなされておるとしか思えません。ぜひこの点は調査して、もし大臣が答弁されたのと違った処理がされていることがわかれば、直ちにこれを改めさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  105. 福田赳夫

    福田国務大臣 陳情といいますか、御面会に対する応待は、その署その署の方針でやっておるので、これを、統一してこうしなさい、これはあり得ざることである、私はこういうふうに思いますが、あるいは北九州地区で相談し合ってこうしようというようなことがあるかもしれませんけれども、国税庁といたしましては、さようなことは考えるはずがない、そういうふうに思います。
  106. 諫山博

    諫山分科員 そうすると、考え得るはずがないというようなことが実際にやられているかどうかを調査していただく、そして調査の結果、そういうことがあったとすれば是正措置をとっていただく、この点はいかがでしょうか。
  107. 田邊曻

    ○田邊説明員 若干大臣のお答えを補足させていただきます。  第一は、先ほど御説明いたしましたように、国税庁といたしましては、ともかく国会議員の先生が来訪された場合は、署の責任者が応待するようにという指示はしてございますが、その他の点につきましては、現地の署長の判断にまかせることにしております。ただ、民主商工会の方がおいでになった場合は、現地のいろいろの事情がございまして、従来のいきさつその他を判断いたしまして、現在、税務に対して調査妨害、税務に対する誹謗等がありますので……
  108. 諫山博

    諫山分科員 ちょっと待ってください。聞かれたことに答えてくれませんか。私が聞いているのは、調査して、さっきの答弁と違ったことがあれば、是正する行政措置をとっていただけるかということです。民主商工会に対するとやかくの発言は、聞いておりません。
  109. 奥田敬和

    奥田主査代理 田邊直税部長、簡潔に願います。
  110. 田邊曻

    ○田邊説明員 現地の事情は、現地の署長の判断によって行なわれておることでございまして、先ほど大臣の答弁されたことと現地の事情との間に、何らそごはないというふうに考えております。
  111. 諫山博

    諫山分科員 大臣にお聞きします。  そういうことはあり得るはずがないと言われたようなことが、あるのかないのか、調査してもらいたいという私の要求が無理でしょうか。また、調査の結果そういうことがあったとすれば、是正される行政指導をしてもらいたい、この要求が無理でしょうか。私は当然だと思いますが、いかがですか。大臣にお聞きします。
  112. 福田赳夫

    福田国務大臣 調べてみることは調べてみますが、その結果、各税務署がどういう方針でやっておるか、これは署長に応待の要領はおまかせするほかはありませんです。あなたのやっておることはまずいからやめろ、こう言うのは、なかなかむずかしいことかと思います。
  113. 諫山博

    諫山分科員 いまの問題は、あとでもう少し触れます。  民商の会員が行きますと、実に不遜な態度でしか税務署員は応待しません。たとえば税務署長と会わしてもらいたい、こう言うと、会わせないと言います。いままでは会わしていたじゃないかというふうに聞くと、昔は昔、いまはいまという答えが返ってきます。答弁がすべて判で押したように同じようなやり方です。何か答弁のしかたを全国的に指導されておるのですか。指導されておるかどうかだけお答えください。
  114. 田邊曻

    ○田邊説明員 一般的な接遇態度につきましては、指示してございます。
  115. 諫山博

    諫山分科員 私の手元に、「集団抗議等の措置要領」という文書があります。これには「極秘」というしるしがつけられ、「総務課長まで開示」という断わり書きがつけられております。ある国税局から、「総務課長まで開示」「極秘」という条件でこういう資料が流されておることは御承知でしょう。国税庁、いかがですか。
  116. 田邊曻

    ○田邊説明員 ただいまのお話、私、存じておりません。
  117. 諫山博

    諫山分科員 こういう書類が、ある国税局から下部に流されておることは、知らないと言われるのですか。
  118. 田邊曻

    ○田邊説明員 国税庁としては存じておりません。
  119. 諫山博

    諫山分科員 これは、真実性に間違いのないものですから、あと調査していただくとしまして、この中には、民商の会員が面会に来た場合には、どういう応答をしろということが逐一書かれております。たとえば、署長に会わせないことは上からの指示かと聞かれた場合には、答える必要はないと答弁しろ。昔は会っていたではないかと聞かれたときには、昔は昔と言え。国会で取り上げるぞと言われたときには、黙ってこの発言を無視しろ、ここまで書いてあります。こういう指導がされておるはずですが、されていないと言うのですか。具体的には大阪国税局でやられておるはずです。そこまで言われても知らないと言うのですか。
  120. 田邊曻

    ○田邊説明員 ただいまの具体的なお話の件につきましては、私ども存じておりません。
  121. 諫山博

    諫山分科員 この資料が大阪国税局から、「総務課長まで開示」という条件で流されておることは、調査して別個に私に知らしていただけますか。大臣、いかがですか。
  122. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは、調べてみないとお答えはできませんです。よく調べてみまして……。
  123. 諫山博

    諫山分科員 調べた結果、知らしていただけますか。
  124. 福田赳夫

    福田国務大臣 調べた結果、調べた内容をそのままお伝えできるかどうか、それはわかりませんけれども、とにかく、調べた結果ある程度の御報告はできるかもしれません。
  125. 諫山博

    諫山分科員 これを見ますと、たとえば民商の会員と国会議員が一緒に税務署に来た場合には、どういう取り扱いをしろということも書いてあります。具体的には国会議員とだけ会え、ただし国会議員の場合には秘書一、二名を含む、民商の会員と国会議員は一緒に会わない、こういうたてまえで指導がされていますが、いかがですか。
  126. 田邊曻

    ○田邊説明員 先ほども申し上げましたように、私どもは、国会議員の方がおいでになった場合の署の責任者の応対すべき旨は指示しておりますが、その他は、現地のそれぞれ局署の判断にまかせております。
  127. 諫山博

    諫山分科員 大臣にもう一回聞きます。  もちろん、税務署長にある程度のことはまかせるでしょう。しかし、そんなことがあるはずがないと言われているようなことが現に行なわれるとすれば、それは正しくないわけですから、行政指導で是正するのは、行政の責任者として当然ではないでしょうか。現地の税務署にまかせているのだから、あるはずがないようなことが行なわれていても、大臣として関係ないと言えましょうか。
  128. 福田赳夫

    福田国務大臣 私が申し上げているのは、国税庁が全体として、全国に対してそういう指示をしておるとは思えない、そういうことは、もし国税庁がそういう指示をしておるということになれば、私はそれをよく見て、是正すべきところがあれば是正させますけれども、民間の方との応接は、これは署長の判断でやるべきものなんですから、これは署長におまかせするほかはない。
  129. 諫山博

    諫山分科員 それでは、民主商工会の役員の人と一緒に国会議員が、大蔵省に税務行政のことでいろいろ話に来たら、大蔵省は、一緒だから会わないという態度はとりますか。
  130. 福田赳夫

    福田国務大臣 そのときの判断だろうと思いますが、まあ、別々にお目にかかりましょうというケースはそうはないのじゃないか、そういうふうに思います。
  131. 諫山博

    諫山分科員 国税庁は、民商の人だけなら会う、国会議員だけなら会う、しかし一緒には会わないという態度をとりますか。国税庁はどうですか。
  132. 田邊曻

    ○田邊説明員 どういうお方がお見えになった場合に、どういう者が応待申し上げるかは、そのときそれ自体の内容によるかと思いますが、私どもの記憶では、御質問の趣旨につきまして、かつて数年前に国会議員の先生とお会いしたことはございます。
  133. 諫山博

    諫山分科員 答えをそらさないでくれませんか。私が聞いているのは、議員と会うかと聞いているのじゃないのです。民商の会員と会うかと聞いているのじゃないのです。一緒に来た場合には、一緒なら会わないという態度をとるかと問いているのです。どちらですか。
  134. 田邊曻

    ○田邊説明員 特に、区別してお会いするというようなことは考えておりません。必要ならば、御一緒にお会いすることもあると思います。
  135. 諫山博

    諫山分科員 さっきの大阪国税局から出された「総務課長まで開示」という文書、「極秘」のしるしの押されている文書の中には、面接するときには、民商の会員と会うときには会議室なんかでは会うな、総務課長の席の横で会え、こういうことが書いてあるが、そういうことが一般的にやられているのですか。
  136. 田邊曻

    ○田邊説明員 具体的なことにつきましては、よく存じておりません。
  137. 諫山博

    諫山分科員 大臣、聞いていただきたいのですすが、総務課長の席のところで会え、会議室では会うなと書かれている。なぜかというと、喧騒にわたった場合に、会議室では業務に支障が及んでこない、総務課長席だったら、喧騒にわたった場合に業務に支障が及ぶ、だから総務課長席で会えというのです。話はあべこべでしょう。喧騒になって業務に支障が起こるようなところで民商会員と会え、こういう指導がされているのですが、これが正しいと思いますか。大臣、いかがでしょう。
  138. 福田赳夫

    福田国務大臣 民商と税務署との間には、いろいろトラブルがあることは聞いております。そういうトラブルをどういうふうになくしていこうかというところから生まれた、一つのルールみたいなものがその文書でないか、こういうふうに思いますが、これは、民商のほうでも税務行政に協力してくれる、こういうような姿勢をひとつぜひ上ってもらいたい。そういうような姿勢をとるその中から、そういう文書は必要がない、こういうことが生まれてくるんじゃあるまいか、そんなような感じがいたします。いまお話を承りましての、私の率直な感じでございます。
  139. 諫山博

    諫山分科員 私は、この通達を見たときに、印刷の間違いじゃないかと思ったのです。民商の人と会うときには、仕事に支障が及ぶようなところで会え。話は逆ですからよくよく読んでみたところが、そういうときには、すぐに退去命令が出せるような準備をしておくためだということが書かれているわけです。  そこで、これに関連しまして、ことしの二月ですが、筑紫税務署に筑紫民商の役員さんたちが面会に行きました。数名です。ところが、その場所に筑紫警察署の警備課の人たちが数名来ておりました。そのために、本論の話に入るまでにいろいろごたごたしたようです。私は、この事件の調査を国税庁に求めたわけですが、これは税務署側の要請に基づいて警察官が来たんでしょうか、結論だけ聞きます。
  140. 田邊曻

    ○田邊説明員 これは、税務署が要請したものではございません。
  141. 諫山博

    諫山分科員 警察庁からお見えのはずですが、そうすると、警察は要請もされないのに、民商の会員が税務署に来るということから、警備課員を派遣したのでしょうか。
  142. 福田勝一

    福田説明員 お答えいたします。  要請は受けておりません。ただ、民商の宣伝カー等によりまして、抗議に筑紫税務署に行くので参加するようにという呼びかけがあったことにより、筑紫民商の方たちが筑紫税務署におもむくということを知ったわけでございます。  それでは、なぜ行ったのかということでございますが、全国的に、過去において民商の会員等による税務署員に対する殴打事件等が幾つかあったということ、そういったことを考慮に入れまして現場におもむいた、かように報告を受けております。
  143. 諫山博

    諫山分科員 警察官が、かってにいろんなところに姿をあらわすことが正しくないということは、たとえば大学紛争なんかの中で、論じ尽くされるぐらい論ぜられております。ただニュースカーで流していたというようなことから、直ちに警備課の警察員を派遣するというのは、まさに治安対策としてしか事態をとられていないという姿勢を示します。  そこで、さらに類似のような問題がしばしば起こっているわけです。たとえば西福岡税務署では、民商の会員が税務署に交渉に行く。ところが、上のほうにこっそりマイクを取りつけて交渉の模様を盗聴していた、こういうことでたいへん紛争が起こりました。こういう事態が起こっていることを知っていますか。国税庁のほうに聞きます。
  144. 田邊曻

    ○田邊説明員 報告を受けております。
  145. 諫山博

    諫山分科員 詳しい事実の経過は別ですが、あれは妥当だったと思っていますか。行き過ぎだったと思っていますか。
  146. 田邊曻

    ○田邊説明員 盗聴ということばでは説明できないものだと思いますが、いささか第三者の方に誤解を与えるようなことがあったのではないかと存じております。
  147. 諫山博

    諫山分科員 民商の人が税務署に交渉に行く、それにこっそり税務署側が盗聴器をしかける、全く卑劣なことです。現地では、これは日本のウォーターゲート事件じゃないかと言って問題にしております。  さらに、この「集団抗議等の措置要領」の中には、民商の人が税務署と交渉する場合に、民商の会員に対して脱退工作をしているのではないかと聞かれる場合がよくあるが、その場合には、その事実は否定しろ、脱退工作はしていないと答えろということが書いてあります。これもけしからぬ話です。脱退工作をしているのではないかと聞かれた場合に、しているかしていないか調査するというのなら話がわかります。しかし調査もせずに、そういう工作はやっていないと言って事実を否定しろ、こういう指導が国税局でやられているわけです。その中で、なぜ否定しろと言われているかというと、たとえば、いつ民商に加入したのか、民商加入の動機は何だったのか、こういうことを税務署員が調べることは、憲法二十一条との関係で問題が出てくるからだというふうに注釈がされております。  この点、やはりそういうふうに大蔵大臣も理解しておりますか。税務署員は民商の脱退工作をしてはいけないんだ、これは憲法二十一条との関係があるんだ、こういうことを理解しておられますか。
  148. 福田赳夫

    福田国務大臣 あまり考えたこともございませんです。
  149. 諫山博

    諫山分科員 それは、考えたこともないと言われる趣旨ですか。これが許されるかどうかというのは、東京地方裁判所で問題になり、現に東京の高等裁判所でも争われているはずですが、大臣としては考えたことがない。国税庁としてはいかがですか。
  150. 田邊曻

    ○田邊説明員 国税庁としましては、特定の団体に加入しているかどうか、またはそれにつきまして、お話しのような脱退の勧誘をするようなことは、基本的に方針としてとっておりません。
  151. 諫山博

    諫山分科員 そうすると、現場の税務署員が、あなたはいつ民商に入りましたか、民商に入ったら損をしますよ、民商を脱退したらどうですかというような発言をしたとすれば、これは大蔵省、国税庁の方針に反する行為だと理解していいでしょうか。
  152. 田邊曻

    ○田邊説明員 仮定の質問に対しましてお答えするのは、いささかいかがかと思いますが、ともかく税務の執行といたしましては、いかなる納税者に対しましても公平に取り扱うよう指示してございます。ただ、違法または不当な税務に対する行為があった場合は、適正な処置をとるよう指示してございます。
  153. 諫山博

    諫山分科員 私は、きわめて具体的に聞いております。一般的なことは聞いておりません。現在の時点で、民商にいつ入ったとか、脱退したらどうですかというようなことを言う税務署員がいたら、これは本庁の方針に反する行為と聞いていいかという質問です。答えは具体的に出るはずです。イエスかノーか。
  154. 田邊曻

    ○田邊説明員 繰り返しお答え申し上げますが、国税庁の方針は、納税者に対しまして公平に取り扱うよう指示しているところでございます。
  155. 諫山博

    諫山分科員 いまの国税庁の不誠実な答弁に基づいて、大蔵大臣どうでしょうか。
  156. 福田赳夫

    福田国務大臣 どうも、政府委員諫山さんの話を聞いておりますと、これは非常に異例なことがあるものだなという感じがするのです。そういう異例なことがなぜ起こってきたのかというと、やっぱり私は、多年にわたる民商と税務署との間のトラブル、そういうことが災いしているのではないか、そういうふうに思います。やっぱりこれは、税務署のほうも考える必要もありましょう。しかし民商のほうも、税務行政というのはたいへん大事な仕事なんですから、これに御協力をくださる、こういう姿勢をとっていただければ、これらの問題はすべて解決されるのではないか、そういう感じを深くいたしたわけでございます。
  157. 諫山博

    諫山分科員 私は、結論を急いでいるのですが、あなたたちが明確に言わないから結論が出ないのです。特定の団体について、差別扱いするような指導はしていないとまでは言われました。だとすれば、民商をやめなさいというようなことを言う税務署員がいれば、当然本庁の方針に反する行動だという結論が出るわけですが、なぜその点が、そういうことを言う税務署員がおれば、けしからぬという答弁にはならないのでしょうか。大臣、いかがですか。
  158. 福田赳夫

    福田国務大臣 いろいろ民商と税務署の間にはいきさつがあるものですから、奇形なケースが出てくるわけなんですが、とにかく国税庁は、所属政党、所属団体の性格、そういうものによって差別をしない、こういう基本原則をとっております。そういう基本原則に沿わないというものがありますれば、これは庁の方針には反するわけでございますけれども、そういうお話しのようなまぎらわしいケースが出てくる、これは長年のいきさつからそういうものが出てくるのだろう、そういうふうに思います。何とか相協力してそういう問題が起こらないようにしようじゃないか、こんな感じがいたしてなりません。
  159. 諫山博

    諫山分科員 相協力してということばが出ましたが、大蔵省なり国税庁がどんなに不当な取り扱いをしているかということは、この資料を見れば一目りょう然です。面直にこれを調査して、この資料の中には、きょう大臣や国税庁が答弁されたのに反する内容がたくさん盛り込まれております。こういう問題は、末端の税務署の権限だというようなことでごまかすのではなくて、行政指導で一日も早く是正していただきたい。  また、末端の税務署の権限だと言いながらも、これはちゃんと国税局が「総務課長まで開示」するという条件で指導しているわけです。ですから、末端の税務署の責任だというような言い方で、責任を中央がのがれられるような性質のものではない。  さらに、事は、民商に対する取り扱いというのは、この秘密通達にも出ておりますように、憲法二十一条に関する問題です。民商に対する脱退工作、誹謗というのは、憲法二十一条に反する行為だという立場から、厳正な行政指導をしていただくということを要望して、質問を終わります。
  160. 奥田敬和

    奥田主査代理 これにて諫山君の質疑は終わりました。  次に、渡部一郎君。
  161. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 私は、ただいま世間を騒がせておる庶民金融の問題についてお尋ねをしたいと思います。  いま諸物価騰貴の結果、日本国じゅうで悪いやつが栄えるようないやな雰囲気というものが、町じゅうで横行いたしておりますが、その中でも、町の庶民金融の中で、いわゆるネズミ講及びそれに該当する組織が全国的に蔓延をいたしております。どの組織についても、適当なことばで言いあらわせる特色というものがありませんが、最初に入った者が、あとから入ったたくさんの人々をだまかして、膨大な金を持って逃げていくという意味では、同じようなタイプであります。また、急速な増殖率を示し、甘言というけれども、これぐらいの甘言を弄して人をだまかすのも、ちょっと珍しい例であります。  私は、きょう問題提起いたしますのは、これのまず実態及びその実態調査についてどこまでいっておられるか、その辺から始めたいと思います。
  162. 福田赳夫

    福田国務大臣 政府委員からお答え申し上げます。
  163. 米山武政

    ○米山説明員 お答え申し上げます。  先生ただいま御質問ありましたように、非常に種類が多く、しかも全国各地に出ております。私どもは、これは財務局を通じまして、常時こうした情報の収集に当たらせております。現在、私どもの手元に資料が参っておりますものにつきましては、十五件ばかり手元に入っておりまして、これにつきましては、逐次関係の法務省あるいは警察庁とも連絡をとりながら対処していきたいと思います。
  164. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 その名前を公表されることはできますか。また、その特色はどういう特色がございますか。
  165. 米山武政

    ○米山説明員 これが、現在直ちに、いわゆる出資法等に触れる問題でございませんで、一応の情報を入手したものでございます。したがいまして、これが違法性の高いものにつきましても、これからいろいろ調査の都合もございますし、またもし、単なる情報でございますので、違法でない場合には、それに対していろいろ問題がございますので、個別の名前を申し上げるのは、差し控えさせていただきたいと思います。
  166. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 現在の取り締まり状況についてお伺いしたいのでありますが、これらのものを取り締まる場合の関係法令、並びに現在までの取り締まり状況についてお伺いしたいと思います。
  167. 相川孝

    ○相川説明員 警察庁のほうから、現在のネズミ講方式によります法違反の取り締まりの概要について申し上げます。  御指摘のように、最近、ネズミ講方式によります利殖組織が全国に発生しておりまして、いままでに私ども警察といたしましては、秋田県、熊本県、北海道、この三道県におきまして、出資法違反ということで、三つの組織について捜査をいたしておる段階でございます。  これらは、いずれも出資法違反ということでございますが、まず北海道の例から申し上げますと、これは北日本相互経済互助会と申しまして、四十八年の七月ころから利殖組織をつくりまして、会員を募集いたしております。  この手口を申し上げますと、入会金五万円、このうち一万円を手数料といたしまして、四万円が積み立て保障金という形で受け入れをするわけであります。それで、三代目の子会員あるいは五代目の子会員というものができた段階で八万円ずつ、計十六万円を、この互助会から最初の入会者に送付されるというようなシステムです。  それから、秋田県の例を申し上げますと、北海道の場合とよく似ておりまして、これは朝日相互経済互助会と申しますが、やはり一万円の会の運営費、それから四万円の相互扶助金ということで、計五万円を会に納入いたしますと、三カ月ごとに八万円ずつ、三回で二十四万円が支給されるというような仕組みです。これも、最初五番会員にランクされました入会員が、次第にランクが上がりまして、このような合計額を支給されるというシステムになっております。  熊本の場合を申し上げますと、これはちょっと北海道、秋田の場合と違いまして、これは共栄住宅互助会という組織なんですけれども、二十万円の入会金、それから二万円の運営費、計二十二万円を預けますと、だんだんに子会員ができてまいりまして、二十七名が入会完了した暁に、住宅建築資金五百四十万円が融資されるというような仕組みでございます。  この三件につきまして、先ほど申し上げましたように、出資法違反ということで去年から捜査内偵を始めまして、ことし一月から二月にかけまして、それぞれ必要な捜索あるいは関係者の取り調べ等を行なっている状況でございます。
  168. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 警察としては、現在取り締まられているのはそれだと承りましたが、このような類似は、どれぐらいあるという情報を持っておられますか。
  169. 相川孝

    ○相川説明員 私ども、このような三件の事案発生を重視いたしまして、全国的にこの種形式の利殖組織というものが、どのくらいあるだろうということで実態調査してみました。現在、私どもが把握しておりますものとしては、先ほど大蔵省からお答えございましたように十五ほどございます。  そして、これらの実態でございますが、まだ必ずしも十分その徹底した内容を明らかにいたしておりませんので、直ちにこの十五のものが違法になるかどうか、目下鋭意検討中というところでございます。
  170. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 取り締まりの関係法令、法律はどういう根拠によって行なわれておりますか。
  171. 相川孝

    ○相川説明員 先ほど御説明申し上げました、秋田、北海道、熊本の場合は、いずれも、私ども出資法と申しておりますが、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律、その第二条に「預り金の禁止」という条項がございますが、これに違反するものとして、目下検挙、取り調べ中ということでございます。
  172. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 私、こう拝見しておりまして、私が見る限りで、このいわゆる出資法に該当しないようなケースが出てきているのではないかと思う節があるわけであります。たとえば、私の調べたものの中では、全くこの要件を欠いているものがある。そして、しかも実質的なネズミ講的な動きをしているものが数件見当たるわけであります。こういうものはかなり増加しつつあるかどうか、その辺を伺いたいと思います。
  173. 相川孝

    ○相川説明員 先ほども申し上げましたように、一口にネズミ講方式と申しましても、出資法の第二条に、あるいはその他の条項にずばり該当するものと、それから、私どものいままでの実態把握の段階では、たいへん巧妙に、これら出資法を脱法する行為といいますか、そのようなものも見受けられます。あるいは中には、今後の実態把握の進展につれてでなければわかりませんけれども、内部にあって詐欺ないしは背任、横領というような隠れた犯罪がひそんでおるという疑いを持たれるものもあるように感じます。  まあ、いずれにしましても、この種ネズミ講方式による利殖組織、これは全般的な私どもの印象といたしましては、巧みに出資法の条項をのがれて、脱法行為ないしは違法すれすれの形態があるように思います。そして、この種組織の取り締まりということになりますと、私どもの警察の立場といたしましては、いろいろ実態を把握し、内偵をいたしまして、やはり現行法規に違反する犯罪の容疑というものが明確にならない限り、これも取り締まり、検挙するということができがたいわけです。  しかし、さりとて反面、最近の国民の間にやや見られます、利殖熱あるいは好奇心というようなものが高まっているように私は感じられますけれども、そういう国民の心理というものに巧みに乗じまして、この種組織が蔓延、発生しているのではないかと感ぜられます。いずれにいたしましても、私どもの取り締まりというものは、そのように非常に巧妙な組織あるいは巧妙な手口で行なわれているというようなことから、現行の出資法その他の法律で、直ちに取り締まりに入れるというケースはなかなか少なかろうと考えられます。この点、市民生活の守りとしてのわれわれ警察としても、適宜取り締まりの推進が十分いかないという面について、口惜しく存ずる場合もございます。
  174. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 秋田、熊本、北海道の三例をあげられましたが、すでに発表されたお話を伺いますと、秋田のケースでは会員数が二万、受け入れ金額が七十五億六百万円、熊本のケースは六百七十人の四億円、北海道の場合は二千人の二億円であったと報道されております。おそらく、その大筋の数字としては当たっているものではないかと存じます。  こういう巨額な費用を非常な短期間で集め、かつ、ただいま警察庁の方からお述べいただきましたように、きわめて脱法、違法すれすれという段階でこの問題は起こってくる。したがって、このおよそ十五件、総トータルでどれくらいの受け入れ金額になっておるものか、もしわかれば、ちょっとお話をしていただきたい。現在わかる程度でけっこうですが、会員数及び金額はどのくらいであるか承りたい。
  175. 米山武政

    ○米山説明員 先ほど申し上げましたように、この十五というのは、単なる情報、パンフレット等を配った、そういうものが相当数ございまして、概数という程度でも、現在なかなか把握しかねているような状況でございます。
  176. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 この種のネズミ講のやり方でありますから、この調子で一件当たり約十億円ずつ集めるといたしますならば、おそらく百五十億の金額が、ここ数カ月のうちに、庶民の一番零細な層から集められ、消耗してしまうという形になると思います。それが、ここであげましたように七十億なんていう巨費になれば、千億、二千億のランクになってくる。もはや国家的問題であろうかと存じます。  先ほどから伺っておりますと、この出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第二条の二項というもので、取り締まれなくなくなってきているという状況が警察側から述べられているわけであります。この点をどういうふうにしたらいいか考えるのが、行政及び立法の責任であろうかと思うわけであります。この点を、大蔵省側はどうお考えになっておられるのか、また、法務省側はどうお考えになっておられるのか、その辺を詰めて伺いたいと存じます。
  177. 米山武政

    ○米山説明員 いま、先生の御質問ありましたとおり、これは非常に限定的な条項でございまして、いろいろな問題が出ていることは事実でございます。この法律ができましたのは、御承知のように、銀行法等の金融法規で、銀行以外に預金を受け入れることを禁止されている条文が入っておるわけでございますが、非常に巧妙にこれの抜け道を考えましてこの問題が生じたわけでございまして、保全経済会というふうな問題で非常に社会的にも問題になりました際に、さらにその脱法行為等を厳密に規制するという意味で、このいわゆる出資法ができたわけでございます。ただ、その立法の趣旨は、その場合でも、あくまでもやはり預金と同じような形で、預金類似の形で集めることによって、それを預けた人が迷惑をする、こういうことは、単にその預けた人だけでなくて、金融秩序も乱すという、どちらかといいますと、金融秩序を守るという面からの規定でございます。  したがいまして、これはどちらかというと金融秩序維持の目的でございますので、これをさらに広げて、社会的ないろいろの問題、たとえば先ほども警察庁のほうからも御答弁ありましたように、詐欺の疑いのあるものとか、そういう非常に広い社会的ないろいろな問題まで、こうしたもので取り締まるのがいいのかどうか。そういう点で、私ども大蔵省の立場からは、大蔵省の監督する範囲の立法としましては、やはり金融秩序の保持という点に重点を置くべきもので、さらに広く社会的ないろいろな問題の解決ということになると、もうちょっと他の面からの配慮ということになろうかというふうに考えておるわけでございます。
  178. 根岸重治

    ○根岸説明員 いわゆるネズミ講につきましては、いわゆる出資法で取り締まりが可能なものはそれでやるといたしまして、また、本来出捐にかかる金員を確実に返す当てがないのに、あるように装って会員を募集するようなケースにつきましては、詐欺罪にあたる場合もあろうかと思うのでございますが、現に、詐欺罪で起訴をして有罪になった事例もございます。  ただ問題は、検察当局としましては、こういう既存の法規に当たるものにつきましては、もちろんそれを活用して適正に処断すべきものだと思うわけでございますが、いま申し上げました出資法違反あるいは刑法上の詐欺罪に当たらない場合についてでございますが、このような形態におけるいわゆるネズミ講の活動につきまして、これをどういう方面から、どういう角度から規制すべきであるか、すなわち、金融秩序を乱す行為として把握するのがよいのか、あるいは射幸心を強度にあおってそれによって不当な利益を得る行為としてとらえるべきであるかというような問題があるかと思うわけでございます。また、率直に申し上げますと、賭博罪等のいわゆる被害者なき犯罪といいますか、自分自身がある利殖を目的として、ある程度の危険を覚悟でお金を出したような場合に、現在、この種の犯罪の非刑罰化、いわゆるディクリミナリゼーションというような傾向がだいぶ強いというような、刑法界の方向をも考慮に入れなければならないと思うのでございますけれども、とにもかくにも、どういうような面からどの程度にアプローチをすべきかということにつきまして、組織の活動の実態、それから、それが現在の経済情勢あるいは国民生活に及ぼす影響等、いろいろな角度を総合的に勘案いたしまして、取り締まり法規の条規につきまして検討したいというふうに考えておるわけでございます。
  179. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 大蔵大臣、事情おわかりいただいたと思います。  さて、こういうのろのろスピードでものをやっているうちに、きょうも何百億の金がなくなっていくわけですね。そして貯金でも、一年間で大体三割物価高で減価してしまう。貯金だってネズミ講と似たもんじゃないかと、ネズミ講は言っているわけですね。だから、何が悪い、貯金は全部が損する、おれたちのほうは初め入ったやつだけでも得するじゃないか、こういう議論さえ言っておる。また、私が調べましたネズミ講類似のある団体では、われわれは福田大蔵大臣認可の団体である、何を言うか、大蔵大臣が激励し奨励しておるのだ。その理由は、われわれは貸し金業を営むことについて届け出をしているではないか、また届け出しないやつだって多少罰金を払えばいいじゃないかと言っている。罰金はわずか三万円ですが、われわれは福田大蔵大臣認可の団体として堂堂とやっているのに、何をけちをつけられる理由があるかと、ネズミ講の総大将は、大蔵大臣ででもあるかのようなニュアンスでものを言っているわけですね。私はちょっとおかしいと思いました。しかし、私がおかしいと思うぐらいの感覚は庶民にないわけですね。この間からあまりひどいから、そんなこともあるかもしらぬという気持ちも働くのかもしれない。また、ネズミ講本体が何でやられたかというと、国税庁によって脱税でやられた。だから、脱税をしないネズミ講なら合法なのだと彼らは豪語している。また、貸し金を扱わないネズミ講なら合法なんだとも豪語している。  したがって、非常に妙なことが起こるのは、役人という役人全部連れてきているのだとか、わがほうは弁護士がたくさん入っているのだとか、わがほうは元検事がいるのだとか、わがほうは元警察署長も入っているのだとか、わがほうは元参議院議員某秘書がいるのだとか、わがほうは某大臣が入られたことがあるのだとか、まさにネズミ講には、ある議員が入られて出られたというふうに彼らは述べておるようでありますが、そういうような悪い言い方が、どれくらい庶民をごまかしているかわからない。  しかも、いまお話を伺うと、けなすわけじゃないけれども金融秩序を維持する問題でやるのか、射幸心をあおる問題でやるのか、詐欺のことでやるのか、私に言わせれば、十分慎重に検討して、国民が全部だまされるまでじっくり待ってから取り締まるというような御意向のようだ。これで十年ぐらいかかれば、あるいはいい法律が出るのでしょう。私はあきれているのです。昔は、保全経済会が起こったとたんに、この出資に関する法律というのができたはずです。ところが、ネズミ講があれだけしょうけつをきわめたあと法律は何にもできなかった。対策もとられていなかった。そして、まだ打ち合わせもしていない。  大臣、いいですか、私が質問するので、きのう法務省と大蔵省に対して、こういう質問をしますよと申し上げた。この問題について、大蔵省と法務省は打ち合わせをしていなかった。どっちが取り締まるかわかっていない。だから、これからよくお打ち合わせをいたしますという話だったのです。よろしゅうございますか、私が言ったから、初めてきのうから打ち合わせが始まったのです。きょうの委員会の席上で、両方で、おまえが悪いのだと言うなら、私はそれでもいいと言った。法務省が間が抜けているからだ、いや、大蔵省がとんまだからだ、前々からわかっているとおりだと、両方で言い合うならそれでもいい、国民の前にはっきりしてもらいたいと私は申し上、げた。  大臣、これは早くやらなければ、ただでさえ評判を悪くしている日本の政治、日本政府というものが、さらに評判が悪くなるだけです。そうして、言っては悪いけれども大蔵大臣は責任者として、ネズミ講に感謝される存在になりますよ。ほんとうですよ。あなたはどうなさるのですか。ネズミ講から名前まで使われて、まだ取り締まらないのですか。こうなったら、あなたは黙認しておるとしか考えられない。ネズミ講側から政治献金かなんかいただいているからなどといううわさが出たらどうしますか。あなたの将来はないですよ。こんなにのろのろ、じっくり、白々しくよくも御検討なすっているものだ。庶民は、一万円の金をなくしたって首つり自殺する人だってあるじゃないですか。それなのにまだ検討している、これからやるのだ。いつやるのですか。いつ回答が出るのですか。私が言いたいのはそれなんです。  国民は、いま不公平なのにおこっているわけです。だまされることにおこっている。重税におこっているのではない。ともかくだますやつがいて、だますやつだけが得をすることにおこっている。そして、行政のスピードはそれに沿わない。立法のスピードも沿わない。何をわれわれのためにしてくれるのだという怒りの声が上がっているわけですね。だから、私はきょう、ゆっくりいままでの状況を述べていただいた上で、いま申し上げたのです。ここのところまでで、まずどう思われますか。どうなさるおつもりですか。
  180. 福田赳夫

    福田国務大臣 いろいろ御教示にあずかりましてありがとうございます。  この種の問題は、これは金融の問題という角度でとらえていきますと、元本をお返しいたします、そういうたてまえでお金をお預かりします、こういうと金融問題になってくるわけです。それに違反することは法は禁じておる。しかし、そうでなく、元本についてお返ししますという約束なし、そういうようなものになりますと、これは金融のらち外の問題になりますので、大蔵省としてもそういうことで関心の度合いが少なかったんだ、こういうふうな感じがするわけであります。  しかし、その間には、だますといま渡部さんがおっしゃられましたが、善良な国民をだまして不測の損害を与える、こういうようなケースが間々あるだろうと思います。その間々あり縛るようなそういう事業、これは詐欺というような性格の事業になりますか、私ども法律知識は少ないものですから、的確に申し上げられませんけれども、何か反社会的な行為、反社会的な事業、そういうふうな感じがするわけです。そういう社会的基準に照らして違反行為であるという、一般刑法の範囲内でそれがとらえられないかというようなことから放置されてきておる、そういう感じがいたします。  しかし、その弊害は、いま渡部さんからるる御指摘があったわけでございます。そういう状態を、いまからでもおそくはないだろう、これは至急に取り調べまして、既存の法律の適用でこれが善処できないのかどうか。そういう点、どうも善処できないんだということになれば、新しい立法ということも考えなければならぬだろう、こういうふうに思います。その辺まで含めまして早急に検討してみる、またその必要がある、さように考えます。
  181. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 いまの大臣のおことばで、そのとおりやっていただけるならば、これに越したことはないと私、思っているわけです。  それで、ひどいことをどんどん申し上げていきますが、この間東京ではビラをまいていたグループがある。学生であります。このビラは、その会から一枚一円で買わされたビラであります。そのビラの内容にはどういうことが書いてあるかというと、おまえたちは金を出せ、二万七千円払うと、君が一人別の人をふやすたびに一万一千五百円のリベートが入るであろうという形のものが、大々的にそのビラに大書されている。そして学生アルバイトたちが、アルバイトより効率が高いというので、夢中になってそれをやっている。これもお定まりのネズミ講形式なので、初め入った者はいいが、あとはつぶれてしまうのはあたりまえのことであります。しかも、子会員をふやさないというので、締め上げられてノイローゼになった青年もいる。確かでありませんけれども、自殺したやつもあると聞いた。  また、ネズミ講は日本で一番いやなところで発生する。熊本県から始まって、九州の僻村の地帯から秋田、北海道の僻村に向かって伸びる。そしてどっと東京に入ってくるというスタイルがもうきまっております。  私ども見たもう一つのネズミ講の関係では、これも熊本から始まったケースでありますが、これは沖繩県においてほんの二カ月ぐらいの間に数億円の金を集めた。沖繩県で、そういう庶民から数億円の金を巻き上げるということがどれくらいの打撃になるか、おわかりのとおりであります。それがいまとめられないのであります。担当局も明確でないわけです。そして地元において、私が沖繩の大蔵省出先機関を訪れてこの話をしましたところ、何と答えられたかというと、被害者が出てから私たちは対応する旨御発言がありました。被害者が出るまでは対応のしようがない。私は、大蔵省の出先機関というのはそういうたぐいのものではないはずだと申し上げました。しかし、被害者が出ていない以上はどうしようもない、それは警察の問題ですという御答弁もありました。  東京に帰りまして警察に聞いた。警察のほうは、私のほうは武器さえ持たせていただければ何でもやるという、先ほどから述べられた趣旨と似た言い方であります。しかし、取り締まる法規がない。大蔵省に聞くと、これはできる、これはできないというように、より分けが行なわれて、そして、こっちのほうは取り締まれる、これはできないということもふえてきたと言う。  そこで、これは国務大臣として、国政に責任を持たれている大臣に対して私はお願いしたいのですが、こういう被害が続々ふえていく。町でささやかれていることは、ネズミ講のたぐいはあとから入ったらだめだ、早く入れ、早い者勝ちだ、言いだしっぺが勝ちだというふうに言われております。そして、言いだしっペが勝ちだ、まさに被害の状況を見ればそのとおりでしょう。だけれども、日本に社会正義がこれ以上なくなり、これ以上痛ましい庶民のほうに打撃を与えるとしたら、これはもう日本国家なんて成り立つものではない。そして、解決というか、話し合いというか、処置をきめることが、一日おそければ一日おそいだけ被害者はふえていく。いま警察は、その十五の資料を公開することはできない、十五を出したら、これとこれは安全ですと、おそらく大蔵省は言わなければならないでしょう。出資のこの法律に基づいて、ここからここまでは合法です、これとこれだけは取り締まりしますと言わなければならなくなる。そして、合法ですなんて言おうものなら、どっとばかりだまされる人間はさらにふえるでしょう。  したがって、私は、既存法律でやろうと新立法で触れるとを別としまして、責任を持っていただきたい。責任を持つ人はだれなのかということを御考慮いただきたい。先ほどおっしゃいましたことばでいいわけでありますが、もう一回その御決意のほどを承っておきたい。これは至急でなければいけない。責任を持っていただかなければならない。ぜひお願いします。
  182. 福田赳夫

    福田国務大臣 取り急いで検討いたしまして、善良な国民がさような企画によってだまされない、こういうための適正な措置をとります。
  183. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 では終わります。
  184. 奥田敬和

    奥田主査代理 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十一分開議
  185. 藤井勝志

    藤井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。清水徳松君。
  186. 清水徳松

    清水分科員 最初に、所沢基地あと地の公共施設の整備事業における費用の負担の問題について、お伺いをいたしたいと思います。  所沢市は、いわゆる基本計画に従いまして、基地あと地内の公共施設整備事業というのを行なうわけでありますが、その事業費としては、四十八年の八月一日現在の単価で計算しておりますので、ずいぶん違ってくるだろうと思いますが、七十三億五千八百二十五万円、これが事業費、それで一般補助を計算しますと、大体二十五億一千六百十七万、したがって、残り負担額が四十八億四千二百十七万、こういう計算になるわけです。八月一日現在の単価ですから、さらに、それの三割なり五割なりの上のせがあるというふうに見なければならぬと思います。おそらく所沢市の財政としては、全部の予算でも六十億何がしの市の予算ですから、こういうところにこれだけ大きな事業を行なわせるというのは、非常に無理じゃないか。大蔵省は、こういう実態を踏まえまして、どういうお考えを持っておられるか、まず最初にお伺いをいたしたいと思います。
  187. 長岡實

    ○長岡政府委員 所沢の関連の公共事業費につきまして、実はまだ計画が具体的に固まっておるようには私ども聞いておりません。したがいまして、大蔵省といたしましては、まだ主務官庁から具体的に話を聞いておらない段階でございますが、結局、各省の検討をまちまして事業計画がきまり、それに応じて事業実施のテンポ等も詳細にきめられていくことになろうかと存じます。  費用負担の問題につきましては、ただいま申し上げました事業計画の確定と並行いたしまして、私どもといたしましては、大体どの程度の事業をどのくらいのテンポで進めていく必要があるのかというようなことを検討してまいるつもりでございますけれども地元の市町村、所沢市の財政負担等については、いろいろの方法が考えられるわけでございまして、たとえば補助事業については、優先採択をしていく、あるいは地元負担の起債の措置、また一部住宅公団の団地ができるようにも仄聞いたしておりますが、住宅公団で立替施行制度というものもございますので、そういうものも活用したりいたしまして、多角的に検討してまいりたい。現在のところは、まだこの程度のお答えを申し上げる程度にしか具体的な内容を承知しておらない状態でございます。
  188. 清水徳松

    清水分科員 それでは、大蔵省は、この公共事業における原因者負担、この原則を、この所沢市における公共事業についても貫かれるおつもりかどうか、それをお伺いをいたしたいと思います。道路法の五十八条、五十九条、六十条等でも、この原因者負担の原則というものが非常に明確になっておるわけでございますが、これらの原則を、今後政府は貫かれる御意思があるかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  189. 長岡實

    ○長岡政府委員 所沢基地のあと地に関連いたします関連公共施設につきまして、原因者負担の考え方を導入することは、率直に申し上げまして困難ではないかというふうに考えられるわけでございます。と申しますのは、関連公共施設として現在考えられております非常に大きな事業は、街路、下水道といったようなところが、先ほど先生がおっしゃいました七十数億の相当部分を占めるのではないかと予想されるわけでございますけれども、この街路、下水道につきましては、いわばより広範な地域の交通その他経済活動をささえる、あるいは住民生活の維持向上をささえるための基盤になる性質を有しておりまして、そのような性格を持っておるからこそ、公共団体が実施する事業として、公共事業として制度化され、また国庫補助の対象にもなり得るものである、かように考えておりますので、基本的には、現在の国庫補助制度その他の助成制度を活用してこの事業を処理していくということであろうかと思います。
  190. 清水徳松

    清水分科員 いま、おっしゃったのは、おそらく基地の外側の地域を、それでもってやろうと計算しておる、そのように勘違いされておるのじゃないかと思いますが、これは純粋に返された六十万坪の基地の中の問題であります。ですから、これは、もちろん一般補助も計算してあるわけです。だけれども、一般補助以外に道路については五億五千万、そしてまた、上水道については十二億、下水道については十六億、そういう経費がかかるという計算になっておるわけでありまして、いま言ったように、現在の基地周辺の整備とは全然違うのでありますから、その点御認識をはっきりさせていただきたいというふうに思います。  市のほうでは、一般補助以外に負担分が約四十八億円あるわけです。それを均等割りあるいは面積割りあるいは戸数割り、それからまた、建築の延べ面積割りですか、こういったようなことで割りつけをして、四十八億円を計算しておるわけなんです。こういうような状況であります。しかも現在、工事が実際行なわれておるものがあるわけです、公害研修所のように。そこでは、この計画がはっきりしない間は、工事用の水はやるけれども、それが実際完成した暁の水道は引きませんというようなことで、トラブルが起こる寸前になっておるわけです。しかも、あそこは防衛大が来るわけでしょう。それからリハビリテーション、厚生省、それから航空管制部、運輸省、それから税務署も来る。いろいろなものが来るわけです。ですから、こういうところは、全部早くつくらしてくれということで、市のほうにやいのやいの催促してくるような状態でしょう。そういうことで、市のほうでは、この計画がきまらぬと来られては困るというような状況で、国のいろいろな計画までこれによって非常に延びる、支障を来たすというような状態になっておるわけです。その点どういうふうな御認識でどういうふうなお考えを持っておられるか、ひとつお伺いしたいと思います。
  191. 長岡實

    ○長岡政府委員 重ねてお答え申し上げますが、まだ関連公共事業の具体的な内容を私ども承っておりませんので、何とも具体的なお答えがいたしかねるわけでございますけれども、ただいま先生のおっしゃいました、明らかに地区の中を通る街路、あるいは明らかに地区の中に施設される下水道と申しましても、やはりその基地のあと地が整備されますと、全体としてその地域社会の中にとけ込んでしまうべきものでございまして、その街路等も、私どもが現在のあと地利用計画を見ますと、周辺の住宅地とこの基地の中を通って、また別の方向に行くために使われる街路、いわゆる相当幹線的な役割りを果たすべき街路等も、事業計画の中には当然必要になってくるのではないか、かように考えるわけでございます。  そういう点もあるものでございますから、原因者負担として、この地区の中に入る国の施設だけがどれだけのものを負担すべきであるというような考え方は、率直に申し上げてなかなかとりにくい、かように考えます。
  192. 清水徳松

    清水分科員 そういう状態で、もうつくられちゃ困るといったようなことで、いまトラブルが起こる寸前にあるわけでしょう、水もとめられて。だから、そういった事態をどういうふうに認識されておられるのか。しかも全然知らないと言いますけれども、所沢のほうから正式な文書できているはずですよ。私個人にも、こういう要請書、陳情書みたいなのがきているわけですからね。ですから、知らないというのはおかしいと思う、まだきておらないというのはおかしいと思うのです。これは、そんなに防衛医大なりあるいはリハビリテーションなり航空管制部を急いでつくるんでしたら、やはり当然、この辺のところは早いところ協議するものならして決定すべきだと思うのですが、どうでしょうか。
  193. 井上幸夫

    井上政府委員 立場は違いますけれども、理財局次長から御答弁申し上げます。  所沢の、先生御指摘の問題につきましては、昨秋でございましたか、私のほうへ市長さんがおいでになりまして、この地元負担がたいへんであるというお話でありました。私ども平たく申し上げると、地主の立場でありまして、ここへ入ります官庁に、一々市長さんが説明に回られるのも、とてもたいへんでございましょうから、それでは私のほうで、関係の官庁全部をどこかに集めて、市長さんのほうのお立場を説明される機会をつくりますからということを申し上げまして、二月でございましたか、私のほうでお世話をいたしまして、関係各官庁にお集まりを願いまして、県と市からそこへ御出席をいただいて、地元計画を御説明いただきました。  それで、その後の扱いといたしまして、ここには、もともと御案内のように、あと地利用連絡協議会、正式の名前はちょっと忘れましたが、そういうものがございまして、埼玉県の副知事さんが、たしか座長をおつとめになっている組織がございまして、もう一度そこで計画、負担問題をよく練り直してみようということで、そちらのほうへただいま問題が移っております。  したがいまして、ただいま主計局次長も申し上げましたように、その負担をどうするかという問題を考えるべき主計局のほうには、その具体的ないまの中の計画がきておらないのが事実でございまして、受け取っておりますのは、地主でございます理財局の立場として私が受け取っております。
  194. 清水徳松

    清水分科員 暮れの十二月二十四日に、その基本計画というのはできたわけですから、その財政の分担問題について、そこでまた検討しているということであれば、それでけっこうだと思いますが、しかし実際、この返ってきた基地の百九十二万平米の中で、国が純粋に使うものだけでも、公園の五十万平米を除きますと、約六六%が国の施設であるわけなんですよ。そういうことですから、そういう実態を踏まえながら、国としても、どの程度財政負担をすべきかということは、十分ひとつ配慮していただきたいというふうに思うわけです。一般の補助以外にそれだけ非常に多額な経費がかかるわけですから、しかも、その経費は割り当てされるわけですから、それをやらないと、水道も引かぬ、市は責任を負わぬぞといったような状態になるわけですから、いずれ、これは分担せざるを得ないということになるだろうと私は思います。  ところが、その辺のところは、やはり法的根拠もなかなかむずかしいだろうと思いますので、この際、こういうでかい基地が返ってきたのは、初めてのケースでしょうから、これを今後円満に処理するために、特別の立法措置というものが必要じゃないかというふうにも思うわけです。この特別立法ということについて、どういうふうにお考えでしょうか。
  195. 長岡實

    ○長岡政府委員 非常に大きな規模の基地等が返還をされまして、それに伴ってその地域を整備するために関連の公共事業が集中的に行なわれるということに、いかに対処すべきかという御質問の趣旨だと思いますが、従来も相当規模の大きな自衛隊の基地あるいは米軍施設等の返還がございましたけれども、その中の使用の形態が、今回所沢で考えられているものとは若干違っておりまして、率直に申しまして、いままでそういう角度から何らかの特別立法を必要とするというような事態にはなっておらないわけでございます。  この問題につきましては、私どもとして、その具体的な事業計画を拝見した上で、実際問題として積み上げてみますと、先ほど先生おっしゃいました負担よりも、現段階でございますから、確たることは申し上げかねますけれども、相当負担は減るのではなかろうか。たとえば下水道等につきましては、御承知のように公共事業全体を圧縮しながらも、四十九年度にはあえて国の負担割合を相当ふやしております。そういうようなこともあわせ考えますと、実際問題として計算をしてまいりましたときに、いろいろの方法を考えれば、何とか消化可能の程度の事業の実施にとどまるのではないか、私はかように考えておる次第でございます。
  196. 清水徳松

    清水分科員 それで、一般補助の場合でも、これからできるであろうという法的措置も計算に入れて、大体二十五億一千六百万というのを出しているわけなんですね。だから、それを計算に入れて残りが四十八億ですが、おそらくこれは、五十億にも六十億にもなりますよ。ですから、よほどいまから考えて措置しないと、幾ら国のほうでリハビリテーションなり航空管制部なりお急ぎになっても、なかなか市のほうではこれに了解を与えるようなことはありませんよ。そうでなくたって、いま公害研修所なんか、どうなるかわからないような状態にあるわけです。これは何年計画でおやりになるかわかりませんが、お急ぎになるのだったら、これは行政措置を早いところきめていかないといかぬと思います。それだけ申し上げておきたいと思います。  特に、地方財政再建特別措置法二十四条二項によっても、所沢市に対してあまり過重なる負担はさせるべきではないと思うわけです。同時にまた、地方財政法二十二条によっても、自治大臣は、所沢市に対して、この点についてもう少しめんどうを見ていかなければならぬであろう、指導していかなければならぬだろうと思います。  どだい、こういったような問題については、自治省と十分打ち合わせをするということになっているはずなんですが、その点について、自治省のほうでは、御相談にあずかっておるかどうか、その辺のところお伺いしたいし、また自治省としてはどういうふうにお考えになっているか、その点についても、ひとつお答え願いたいと思います。
  197. 高田信也

    ○高田説明員 御質問の埼玉県所沢基地のあと地の利用につきまして、私どもまだ具体的には御相談は受けておりません。おっしゃいました、その地方財政法あるいは再建特別措置法の規定の関係でございますが、いわゆる寄付という形になりますと、法令違反の問題になります。ただ現在、お話を伺っておりますと、この問題は、寄付問題ではなくて、関連公共施設の地元負担の問題、こういうふうに理解をいたしております。私ども、所沢市の財政全般の立場から、はたしてそれが将来にわたって負担可能なものであるかどうか、あるいは起債その他の措置等を通じて、今後お話が出ましたならば、適切な指導をいたしてまいりたいと考えております。
  198. 清水徳松

    清水分科員 いまのような状態だったら、全部この計画を完成するには二、三十年かかるだろう、そういっておりますので、その辺のことを十分踏まえながら、ひとつ自治省も相談に乗ってもらいたいし、大蔵省も考えておいていただきたいというふうに思います。  それからもう一つ、入間市の国立病院のあとですね。あれは合併されて西埼玉中央病院になったわけです。あのあと地が一万一千坪あるわけですが、あれはどういうふうにお使いになるつもりでしょうか。これは厚生省がまだ所管しているそうですから、厚生省お答え願いたいと思います。
  199. 岡安信雄

    ○岡安説明員 入間市のほうから、あと地につきまして、スポーツ施設等をつくりたいというお話は伺っております。
  200. 清水徳松

    清水分科員 それに対して、どういうようなお考えですか。
  201. 岡安信雄

    ○岡安説明員 厚生省におきましては、国立病院、療養所の敷地を処分する場合には、建物等の整備財源を確保するということを考えております。したがいまして、売り払いました資金を、国立病院、療養所の整備のための資金に充てたいというふうに考えております。
  202. 清水徳松

    清水分科員 聞くところによれば、最初、坪大体二十万円ぐらいだろうといっていたのが、このごろ、だいぶ折衝の結果、十七万円程度でどうだろうというような話をされておるというふうに聞いておるわけです。だから、坪十七万円としても、一万一千坪ということになると、約二十億になるわけです。これは入間市のいまの財政からして、とてもとても支出できるものではないと思うのです。  現在、国立病院の西埼玉中央病院、これは所沢と豊岡を両方合併したものですが、そのときの中央病院のほうの敷地は、所沢の国立柄院の敷地と対価で交換しているわけですね。それで所沢の敷地は、これまた大体七千坪ぐらいになりましょうか、二万二千十三平米ですから、そういうことですね。これが六億七千三百八十四万で、対価で交換されているわけです。ですから、所沢の昔の病院のあとは、大体坪六万円で市のほうに売ったというかっこうになるわけでしょう。坪六万円ですよ。それから私、大体計算してみたところ――公示価格はどうなっているか知らないけれども、豊岡と所沢の地所の立地的なあれは、同じようなものだと思っているのです。大体似たようなものです。ですから、六万円というのは、おととしの価格ですが、それでも十七万円というのは少し高いような気がするんですよ。特に、公国にするわけでしょう。スポーツ公園なり公園にするわけです。そこでもうけるんじゃないんです。ですから、そういう場合は、そんなあまり高い値段をふっかけるというのはどうか、そういうふうに思うわけですが、どうでしょう。所沢は六万円ですよ。
  203. 岡安信雄

    ○岡安説明員 六万円というお話でございますけれども、平米当たり約三万円でもって交換をしております。その三万円の根拠につきましては、大蔵省のほうの財務局の評価によりまして行なっているわけでございます。  それから、入間市にあります旧豊岡病院のあと地につきましては、これは大蔵省のほうにまだお願いはしてございません。私どものほうで、付近の売買実例等を参考にいたしまして、推計をいたしました価格でございます。
  204. 清水徳松

    清水分科員 その三万円という値段は、どうなったのか。これは、ちゃんと調べた値段なんです。六億七千三百八十四万というのは、二万二千十三平米に対してのあれでしょう。それを割ってみたんですが、そうしたら、大体平米一万八千円ですか、私のほうが間違っていましたかな。――まあ、それはいいです。  どっちにしても、これは、入間市に対してそういう悔い値段をふっかけて、そうして財政に圧迫を加えるということはどうかと思うのです。  同様に、賛否は別として、今度は、防衛施設の周辺の市町村に対して、国は、防衛施設周辺整備のため交付金を交付することができるというような内容を持つ生活環境整備に関する法律案というのが、いま内閣から出されていますね。基地周辺の整備に関する法律にかわりまして、内容を抜本的に変えて、そうして新立法の防御施設周辺の生活環境の整備等に関する法律案というのが出ていますね。それが、さっき言ったような内容を持っているわけです。  そこで、こういったような法律を利用しながら――しかも、これに対して防衛庁は、ことし四百三十七億円という予算を盛っているわけです。こんな膨大な予算を盛っているわけですから、そういうものを利用しながら、何とか入間市の財政負担にならないようなかっこうで、どうしても帳面づらを厚生省の特別会計のほうに合わせなければならぬというんだったら、そっちのほうから金を回すといったようなことも考えながら、一つの方法というものはないかということ、これは防衛庁のほうにもひとつお伺いいたしたいと思います。
  205. 多田欣二

    ○多田説明員 お答えいたします。  先月の十二日に、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律案というのを国会に提出してございますことは、御承知のとおりでございます。その法律によりまして、特定防衛施設、周辺に非常に広大な影響を与えている施設というものに対しましては、特定の財源といたしまして、まあ一応道路とかその他いろいろメニューというものはきめられておりますが、そういう公共施設の整備に必要な資金に充てるために、交付金を交付するという条項が盛り込まれております。しかし、その予算の準備は、一応五億円ということでございます。先ほど先金おっしゃいました四百億余りの金は、それ以外の一切の周辺対策費を含む経費でございまして、そのうちの五億円が、そういう交付金に充てる財源ということで予算は細まれておるわけであります。  それで、入間基地が、そういう特定の影響を与えるような施設になるかどうかというようなことにつきましては、法案が成立いたしました段階で慎重に検討いたしたい、このように考えております。
  206. 清水徳松

    清水分科員 三点について注文を申し上げておきたいと思います。  もうどっちにしても、これは払い下げについては入間市と十分協議してほしい。それから、入間市には、あすこを抜きにしての都市計画はないわけですから、その都市計画と十分協力した形で解決してもらいたい。使用についても考えてもらいたい。次に、この値段についても、公共施設であるということを考えて、極力減額にひとつ協力してほしいという、三点についてお願いしておきます。  それから、ジョンソン基地のほうも、いま埼玉県で、あと地利用について、本年度予算として千二百万円を計上して、入間市、狭山市、それから県のほうで、いま基本計画を練っているわけです。それに対して十分協力してもらいたいというふうに思いますが、ひとつ大蔵省、御見解を……。
  207. 井上幸夫

    井上政府委員 ジョンソン基地のあと地処理につきましては、私どものほうといたしましては、部分的な処理をいたしませんで、全体の利用計画を立てて処分をいたそうという考え方で、ただいま国有財産審議会に付議してございます。
  208. 清水徳松

    清水分科員 県のほうでも、そういうことでやるわけですから、それに対して十分協力してほしい、すべきであるというふうに思うわけです。その点についてもう一度……。
  209. 井上幸夫

    井上政府委員 常時私どもと県、市の間で連絡会を持っておりますし、具体的なその審議段階になってまいりますと、国有財産審議会には、埼玉県知事さんを臨時委員ということで御参加いただくというルールでございますから、その点については問題ないと思います。
  210. 清水徳松

    清水分科員 このあと地について、いま大蔵省が管理しているだろうと思いますが、かってに防衛医大の臨時校舎に使用するというようなことを決定したようですが、これは市のほう、あるいは住民との話し合いというものは、十分ついての上での決定であるかどうか、ちょっとお伺いしたい。
  211. 井上幸夫

    井上政府委員 御指摘のとおり、防衛医大が所沢に校舎を建てますまでの間、臨時的な仮校舎が要りますので、ジョンソン基地の住宅地区の一部に現在ございます建物三棟を、内部を模様がえいたしまして、仮校舎ということで使用いたすということにしておりまして、本件につきましては、四十九年の二月二十日に国有財産関東地方審議会にはかりまして、可決してございます。当然、その事前に、関係の市町村につきましては御相談を申し上げております。(清水分科員期限は」と呼ぶ)期限は六カ月であります。
  212. 清水徳松

    清水分科員 それだから、でたらめだと言うんですよ。防衛医大は、いろいろな整備計画がきまらぬから、半年じゃとても建ちませんよ。それなのに、所沢のほうの計画は、どの程度進行するか全然考えないで、そして半年だといったようなことで適当にごまかしながら契約するということは、非常にひきょうなやり方だとぼくは思うのですが、どうでしょう。
  213. 井上幸夫

    井上政府委員 その六カ月につきましては、工事の進展に応じて延長することがあるという条件がついております。
  214. 清水徳松

    清水分科員 ですから、これは防衛庁、大蔵省、やはり両方考えなければいかぬですが、一方においては工事が全然進捗するめどが立たない、一方においてはそういうでたらめなことで、半年だからがまんしてくれといったようなかっこうで、大蔵省にですか、そういう申し入れをする。やり方が非常にひきょうだと思います。同時に、いま県のほうでも構想が練られ、基本計画が立てられようとしておるわけでしょう。ですから、その進行する過程で、防衛庁がまるで既得権を設定するように、そういうような形で入り込むというのは、これは、われわれとしてはきわめて了解できないことです。その点どうでしょう。妨害になりませんか。
  215. 井上幸夫

    井上政府委員 防衛庁に対して既得権を与えたとは考えておりません。
  216. 清水徳松

    清水分科員 ぜひ、その既得権といったようなことにはならないように、十分にひとつ気をつけていただきたいと思います。特に半年なんという、そういうでたらめを言って入り込んでいるわけですからね。あそこを自衛隊に使わせるかどうかということは、これから決定することなんですから、それを決定する前に、そういった形で入り込む、しかも半年で出ていきますからということで、所沢のほうに全然めどが立っていないのに、そういうことをするというのはどうかと思う。これは、ひとつ十分注意をしていただきたいというふうに思います。  時間がたちましたので、これで終わりたいと思います。
  217. 藤井勝志

    藤井主査 安宅常彦君。
  218. 安宅常彦

    ○安宅分科員 私は、政府金融のあり方について、ぜひひとつ伺っておきたい、こう思います。どなたもいないようですから、大臣、あなた一人でけっこうです。  たとえば中小企業金融公庫とか国民金融公庫とか北海道東北開発公庫とか、いろいろな公庫がありますね。――銀行局長おりますか。こういうのは、まあ言うなれば、大蔵省の面接の指導といいますか、そういうものだと私は思っております。それで、言うなれば、銀行局が直接そういう指導といいますか、そういうことができる公庫は、公団も含むでしょうが、どれくらいあるのでしょうか。何々あるのですか。大臣じゃ気の毒だから、どなたか答弁してください。
  219. 長岡實

    ○長岡政府委員 御承知のように、公庫と公団の性格は、若干違いまして、公庫は政府関係機関になっております。公団は政府関係特殊法人と呼んでおりますが、政府関係機関予算になっております公庫は、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、公営企業金融公庫、中小企業信用保険公庫、医療金融公庫、環境衛生金融公庫、それから沖繩振興開発金融公庫、公庫と名前がつきますのがこの九つございまして、これらは、いずれも金融業務を担当いたします大蔵大臣の監督に服しますけれども、また一方、それぞれの目的に応じまして、たとえば沖繩振興開発金融公庫であれば、沖繩開発庁、農林漁業金融公庫であれば農林省というように共管になります。したがいまして、大蔵省専管は、たしか国民金融公庫だけではなかったかと私、記憶しております。
  220. 安宅常彦

    ○安宅分科員 あなた一つ落としたと思います、北海道東北開発公庫というのを。九つじゃなく、十、じゃありませんか。どうですか。
  221. 長岡實

    ○長岡政府委員 私、落としたかもしれません。それを入れますと、十になるかと思います。
  222. 安宅常彦

    ○安宅分科員 私は、これを見て言っています。皆さん、この「官公庁職員抄録」というのを持っていませんか。持っていたら、だれか貸してあげてくれないか。ここの四ページをどなたか答弁する人見てください。四ページの最初のほうで、沖繩振興開発金融公庫まで、いま答弁がありましたが、その次は特殊法人たる日本住宅公団以下公団がずらりと並び、あとは事業団がずらりとこう並んでいます。  このように、いろいろ施設の貸し付けや、あるいはまたいろいろな仕事をしているものがありますけれども、その中で協同組合など共同組織を含む私企業に対して、金融の機能を持っている――きょうは事業団に限って言いましょう。事業団はどれくらいあるでしょうか。これは理財局の管轄ですか、理財局長。銀行のあり方からいえば、私企業関係しますから、銀行局だって知っておるはずですね。どなたかおりませんか、知っておる人。
  223. 長岡實

    ○長岡政府委員 理財局からお答えを申し上げるのが筋でございまして、正確を欠くおそれがございますが、私の記憶では、年金福祉事業団それから公害防止事業団、これは明らかに融資業務も入っております。それから雇用促進事業団にも若干入っておるのではないか、かように考えております。
  224. 安宅常彦

    ○安宅分科員 あとありませんか。――まあ、いいでしょう、あまりつまずかせては気の毒ですから。  それで、これらの事業団というのは、たとえば公害防止事業団、これは環境庁がやっているわけですね。環境庁の場合は、公害防止の施設を貸与したり、公害防止の施設をつくろうとした場合に、これに融資をしたり、こういうことをやっておられるわけですね。そのとおりですか。
  225. 青木英世

    ○青木説明員 環境庁の業務は大きく分けますと二つに分かれますが、一つは、造成業務と申しまして、公害防止事業団自体が、たとえば公害防止のための共同のアパートをつくりますとか、あるいはグリーンベルトをつくりますとかしまして、これを譲渡いたします事業が一つと、それからもう一つは、貸し付けの業務でございまして、個別の事業者に対しまして、公害防止をするのに必要な設備等に対する貸し付けを行なっております。
  226. 安宅常彦

    ○安宅分科員 これは大蔵大臣に伺いますが、こういうものは、たとえば公害防止事業団で言うならば、環境庁ができたからというので、環境庁の管轄ということになったようですけれども、おそらくもともとは、通産省が何か受け持つようなことになっておったのでしょう。そういうことを決定する場合に、本来、私は大蔵省という立場で見た場合に、私企業融資をするという場合には、相当の手足を持ったものにしなければならないような気がいたします。これに対していろいろ不公平が出てくるというふうなことも考慮に入れながら、私は質問しておりますが、大蔵大臣、どうかなという感想ありませんか。     〔主査退席田中(龍)主査代理着席〕
  227. 福田赳夫

    福田国務大臣 事業団でありますとか公庫でありますとか、融資をするについて、一つ一つの事業団、公庫が全国に手足を持ってやるということは、これは理想的でございますが、機構がたいへん繁雑化するわけです。そこで、それを節約するという意味におきまして、代理店、そういう性格のものを置くわけです。それから、そこまでいかないものにつきましても、代理貸しというようなことを考える、そういうようなことで、機構があまり複雑というか膨大になることを阻止しているのですが、これは妥当な行き方ではないかと思います。
  228. 安宅常彦

    ○安宅分科員 たとえば中小企業金融公庫法の第一条では、はっきり公庫が直接金を貸すのだ、民間からの足りない分を補完するのだという、いわゆる補完融資だとは書いてない。     〔田中(龍)主査代理退席、主査着席〕 しかし、たとえば北海道東北開発公庫の場合には、明らかにその条文を見ますと、民間から借り足りない分の補完分だぞということをあらわす文章が第一条に書いてあるんですよ。そういう違いがある。あなたのほうのいわゆる公庫と名のつくものでも、これは開銀の関係一つのものに準拠したものでしょう。だからでしょうが、北海道東北開発公庫の場合にはそういうようになっている。ところが、中小企業金融公庫のほうは、中小企業が困るだろう、それでいろいろなことがあったときには、私のほうで貸しますよという意味の条文になっているのです。ところが、中小企業金融公庫を利用してお金を借りたいという場合でも、協調融資をあなたの取引銀行から何千万か持ってこい、そうでないと困るよという指導がなされているのは御存じですか。大蔵省どなたか……。
  229. 山田幹人

    ○山田説明員 ただいま中小公庫のお話がございましたが、補完金融というたてまえをとっておりますので、また財政資金を原資といたしますので、限られた資金をできるだけ多くの方々に利用していただくという意味から、自己資金あるいは民間金融機関の借り入れが可能な部分につきましては、その分を自己調達していただくということは行なわれていると思いますけれども、民間金融機関からの協調融資が絶対の条件であるというぐあいには私どもは考えておりません。
  230. 安宅常彦

    ○安宅分科員 国民金融公庫も、中小企業金融公庫も、やはり補完融資というたてまえになっているのでしょうか。それはどこに書いてありますか。
  231. 山田幹人

    ○山田説明員 直接、補完融資ということばは使ってございませんけれども、市中からの借り入れを困難とするというところを、いまそういうことばでもって申し上げた次第でございます。
  232. 安宅常彦

    ○安宅分科員 おかしいですよ、あなた。いいですか。それは補完融資でないという理由なんです。民間の銀行へ行ったって、安宅常彦何とか株式会社、あれは社会党で貧乏だから、だめだというので断わられるような弱小零細な企業を救おうというので、ほかから借りることが困難だという者に貸しましょう――これは全額の意味でしょう。借りられる上で少し足りないようだというのは、さっき言った開銀を一つのサンプルにしたものじゃないかというので、北海道東北開発公庫の例をあげて、その違いがあるんじゃないですかと私は質問しているんです。一体どうなんですか。さっきの答弁は、理由がちょっとあべこべじゃないですかね。
  233. 山田幹人

    ○山田説明員 先生おっしゃいますのは、困難という意味のとり方でございますが、全額そこで借りられるか借りられないかという、イエスかまたはノーかという場合をいまおっしゃっているわけでございますけれども、実際問題といたしましては、そこに量的な融通の困難ということもあり得ようかと考えて、先ほどのようなことを申し上げた次第でございます。
  234. 安宅常彦

    ○安宅分科員 あなたとこれで論戦しようとは思いません。しかし、はっきり言うならば、どこへ行っても、シャットアウトされる、経営が困難だ、あるいは設備を拡張したいけれども、どこでも貸してくれない、幸い中小の、特に金融引き締めの今日なんかは、非常に困るというような者のために国民金融公庫や中小企業金融公庫があるのじゃないですか。だから、国民金融公庫などでは、今度は年末の融資なんというと、ほかから借りられないからあなたのほうでワクをあれだけ出して、三百万だ、二百万だと貸しているんでしょう。そういうものだと私は理解している。それで、ほかからおまえさんは少しは借りられるだろうという判定をあなた方がする。法律には書いてないけれどもする。そうすると、とてもだめなんです。では、協調融資持ってこなければだめだよと言われたら、あとおしゃかになる。終わりになるのです。涙を流したってどうしたって、哀れな倒産への道を行くか、あるいは経営を合理化しようと思っても、それに追いつけないということになるのじゃないですか。そういう指導は間違ってはいないでしょうか。
  235. 山田幹人

    ○山田説明員 先ほどお答えいたしましたように、市中から何がしか持ってこないと絶対にだめであるという、ただそれだけのことで、そういうお断わりをしているような例はないはずだと考えております。
  236. 安宅常彦

    ○安宅分科員 あります。私は、きょう時間があったら一つ一つ、こういう人たちが断わられていますよと――おこられて、しかられて、とにかくそういう公庫あたりの人は、まだお役人さんだと思っているんですよね。書類を持ってくる、だめです。どこがだめかも、どういう書類が足りないかも、それから、こういうところをこういうように書き直せばいいじゃないですかと――銀行というのは、お客さんに金を貸して、自分ももうかるものですからたいへん親切ですよ。それは、いやこの男だめだなと思ったら、ピンからだめだけれども、貸そうと思ったら、そういうサービスをしますよ。ところが、こっちは、おおむねそれはやらないですね。だめです、もう一回持っていく、だめです、それで最後になって、何か気に食わないのかと、おそるおそる伺いを立てると、協調融資何ぼ取れるんだ、そんなだめです。これは信用度の問題、そう信用ないところは、返済能力があるかないかわからない、こういうふうに皮肉たっぷり言われて、そうして何とかしてくれというふうに言われた例はたくさんありますがね。これは指導のほうが間違っていると思いますね。私はそう思います。  私は、まああなた方の名誉のために、それに時間もありませんから言いませんが、たくさんある。こういうことは言わないようにしていただきたい、全然借りられないということないでしょう、これだけの資本金があって、そうしてこういうことをあなたやろうとするなら、仕事をやろうとするときに、政府の金をみな借りるなんて、君、人のふんどしで相撲を取るみたいなものじゃないですかと言われたら、みんな頭にきますよ。そういうふうにとれることばも吐かないようにしてもらいたい。これは、ぜひお願いいたします。大臣どうですか。
  237. 福田赳夫

    福田国務大臣 公庫だとかあるいは特殊銀行、その中で一般的な金融を目的とするものは、これは補完金融であります。つまり一般の金融によりがたきものがその便宜を受ける、こういうことなんですが、ただ補完金融とはいいますけれども、公庫や事業団の設立の目的、そこが問題なんです。で、中小企業公庫とかあるいは国民公庫は、零細な事業者を対象とする、そういうようなことで補完と申しましても、他の銀行がやっておる補完的という意味と意味合いは、これは違わせなければいかぬ、こういうふうに考えます。ですから、国民公庫あたりの対象となる零細な金融、これを普通の金融機関と相乗りでやりましょうというようなものは、むしろ、これは異例でなければならぬ、そういうふうに考えます。中小企業公庫も多分にそういうところがあるであろう、こういうふうに思います。ところが開発銀行だというようなことになりますと、これは開発銀行だけが融資するというのは、それが異例でありまして、相乗りのほうが通常、通例である、そういう運用をすべきものである、かように考えます。
  238. 安宅常彦

    ○安宅分科員 私は、国民金融公庫でそういうことを言った例というのは聞いておりません、だから、そんなことはないと言った。あなたは、今度は中小企業金融公庫でも多分にそういうものだと言った。多分にとあなたが表現するくらいやはりあるんですよ。そこまではないことにしてもらわないと困ると私は言っているんです。ようございますか、大蔵大臣。多分にじゃありませんよ。相乗りの要素多分にあるというふうにあなたから表現されますと非常に困るんですけれどもね、ぼくは。だから、それはできるならば、そうしてもらいたいということはあっても、それがなければだめだというような意味にとれるそういう指導はやらないでいただきたいという念を押しているのですけれども、このことははっきりしてください。
  239. 福田赳夫

    福田国務大臣 中小企業公庫の場合におきましても、あるいは国民公庫の場合でも貸し付け限度があるわけです。一応もう全国的にきめておるわけであります。それを、たとえばその限度以上の借り入れの申し込みを受けた、そういう際に限度を越えて貸すということもできない。あるいは融資ワクというものを本店から与えられておる、その融資ワクから見ると、その支店の特殊事情から一企業に対する限度はこうだというようなこともあるだろうと思います。そういう際に、そのワクを越えた申し込みを受けた場合にそれに応じられない、応じたいのだが、少し持ってくれませんかな、こういう古い方はあると思うのです。その企業のことを親切に考えるたてまえから、そういう青いまわしになることは、これは私は間々あることであろう、こういうふうに思います。それを、これは限度をもう越えておりますからお断わりだと言うほうが、むしろ不親切ないき方じゃないでしょうか。
  240. 安宅常彦

    ○安宅分科員 私は、限度なんか問題にしてないのです。話をずらさないでください。あなた、カンニングさせてはいかぬですよ。限度のことなんか言ってない。どれぐらいの限度で貸すものかって、あなた、事業体はそんなことみんな知っていますよ。そんなことを言っているんじゃないですよ。あなた方のワクが今度ある、みんな借りたい人がたくさんありまして、それで実は予算のワク上こうしか出ません、だから、少しはどこからか借りて、この辺でがまんしてくださいと言うのだったら話はわかるというのです。それはわかる。協調融資を持ってこいと頭からぽんとかぶせるようなことをしないでくれ、こう言っている。いま、きれいなことばで言っていますけれども、あなた方は内面指導としてこういう場合には協調融資は何割ぐらい必要だという行政指導は全然しておりませんか、どうですか。
  241. 山田幹人

    ○山田説明員 公庫の自主的な運営にまかせておりまして、私ども口出しいたしておりません。
  242. 安宅常彦

    ○安宅分科員 そういうことでやっている、だから、それは公庫がやっている、こういうふうに理解していいわけですね。――わかりました。  それで、私は公害防止事業団のことについてお伺いいたします。これは中小企業金融公庫など、さっき言ったような公庫という名前のついたものが、各県あるいは地力ごとに、いろいろなところに、もっとまたこまかいところにまで、事業の診断をしたり、金融のいろいろな詳しい拠点といいますか、そういうことで支店なり出張所なりそういうものを持っておるわけです。だが、公害防止事業団というのは、東京にしかないわけで、あとは支所とか何か全然ございませんか。
  243. 青木英世

    ○青木説明員 ただいま先生御指摘のとおり、東京に事務所があるだけでございまして、あとは大阪に連絡事務所がございますが、実質的には東京だけとお考えいただいてけっこうかと思います。
  244. 安宅常彦

    ○安宅分科員 いま国会は、石油とその他の石油製品、それから商社の暴利の問題、そういうことでかあっと燃えております。しかし、その直前までは公害という問題が、非常に大きな問題になっておったのです。いまのところ、ちょっと隠れて見えないような状態になっている。これは非常に重要なことだと私は思っているんですよ。ですから、こういう時期に、反省期がきているというような時期にこそ、公害というものについて異常な意欲を政府が燃やすべきだと私は思っているんです。その場合にこの公害防止事業団というのは、たとえばいろいろな事業団たくさんございますけれども、こういうものとは違った意味で、日本の将来の産業の発展のために重要な役割りを果たす公団だ、私はそう思っている。そういう任務を持っているということについて、そのとおりだと思いますか。
  245. 青木英世

    ○青木説明員 環境保全ということが、高度成長下におきまして、とかくなおざりにされたために、深刻な公害問題を引き起こしたわけでございまして、これを政府として反省いたしまして、公害対策基本法の制定その他各種の規制法を充実しておるということで、私ども環境庁のみならず、政府全体としても公害問題というのは、現下における最も重要な政策一つというように考えております。
  246. 安宅常彦

    ○安宅分科員 これは公害防止事業団が施設をつくって譲渡する事業なり、貸し付けの事業をやっているわけですが、これに対して本年度予算の政府案を決定する際に、大蔵省主計局からぴしゃっと削られた分は、要求した額のどれぐらいになりますか。
  247. 青木英世

    ○青木説明員 私どもは四十九年度の資金計画といたしまして、造成事業に対しまして要求いたしましたのが二百二十億、大蔵省の決定は二百二十億、それから貸し付けは六百億の要求をいたしまして、大蔵省の決定は六百億でございます。
  248. 安宅常彦

    ○安宅分科員 六百億という話ですね。満額認められたということですね。そうしますと、たとえば砂利の採取業だとか砕石業だとかありますね。小さな企業ですが、こういうところで完全な循環式のろ過装置、こういうものをつけると一基どれぐらいかかりますか。
  249. 青木英世

    ○青木説明員 実はその点、水質保全局のほうでやっておりまして、私、直接の担当でございませんので存じ上げておりません。後ほど調べまして、報告させていただきたいと思います。
  250. 安宅常彦

    ○安宅分科員 きちっとしたものだったら五、六千万円します。物価が値上がりしましたから、いまの評価では一億こすでしょうね。一億こさなければ売らないですよ、メーカーは。そういう状態になっているんですね。いいものだったら、八千万円くらいしたんです。そうすると、たとえば砂利採取の企業だけで日本に何ぼあるか、たいへんな数です。そういうものに六百カ所しか融資できないという予算です。それで要求したのが六百カ所、満額とれたのが六百億と、あなたは胸を張っておられますがこういう砂利採取ぐらいのところだけでも六百カ所以上ありますからね。いままで私の調査によりますと、これはえらい数になります。全国で、これは大きいものだけですけれども、二千五百六十カ所ぐらいありますよ、こういう事業をやっているのが。一級河川は除いてですよ。河川から川砂利をとっている分を除いて二千五百六十カ所。それが、こういう完全な公害防止の施設はほとんど使っておりません。これは、あなたのほうの資料ですから間違いないのですが、二千五百六十カ所のうち、先ほど私が言った完全循環ろ過方式といいますか、これをやっているのは、百九十四カ所であります。二千五百六十カ所のうち百九十四カ所。一割にも満たないですよ。こういうものを、やっと潤すくらいの予算をとって、胸を張られては困るのです。主計局は査定の祭、しめたと思ったのかもしれませんよ。  それから、いま公害になっている大きな企業やなんかは、それは自分でやるでしょう。独自でやるところがたくさんあると思いますが、そのほかに公害を伴う事業所というものは、事業所の大半がそうですからね。融資の金額が六百億くらいで、いま日本から公審を追放しようなどというのは、絵にかいたモチ、こういう予算は砂上の楼閣というのだと思うんです。何にもならない。あまりにも足らないと思いませんか、大蔵大臣
  251. 福田赳夫

    福田国務大臣 公害防止は当然企業がやらなければならぬことです。これは自己資金を使う場合もあります。あるいは一般の金融機関資金による場合もあります。公害防止事業団は、よくよくそういう道がないという方への資金でございますから、したがって、額が六百億円でありますと申しましても、それが公害切止設備投資の規模を示すものではないのであります。
  252. 安宅常彦

    ○安宅分科員 私は、公害というものをそう軽く考えては困るというのです。砂利屋なんというものは、非常に資本の少ない小さな企業ばかりですよ。たとえば汚水を流した、それ何だかんだいわれても、大企業は自分でやる力を持っているか、中小零細となるとなかなかそういかない。そういうところに、その融資をするというような目的でつくられた公団だとするならば、六百億というのは、ゼロが二つくらい違う――これは毎年毎年やるのですから、私のは、極端な話だと言われるかもしれませんけれども、逐次やっていくのだったらしようがない、だけれども、それにしてもゼロが違うんですね。そう思いませんか。まだまだ足りないと思いますか、これでたくさんだとあなたは思いますか。
  253. 青木英世

    ○青木説明員 ただいま大蔵大臣のおっしゃいましたように、実は公害関係融資機関といたしましては、公害防止事業団のほかに、大企業としては開発銀行あるいは国民金融公庫、中小企業金融公庫等の制度もございます。  そこで、私ども融資ワクについてでございますが、実は四十七年度の実績が出ているわけですが、大蔵省のほうから五百億というワクを認めていただいたのですが、このときは、金融緩慢等の影響もあろうかと思いますが、実績は遺憾ながら三百十一億ということでございまして、これまでのところ、私どもは償還能力があり、かつ適切な公害防止設備を備えようとする融資の申し込みに対しましては、ほとんど全部応じてきておるのではないか、このように考えております。
  254. 安宅常彦

    ○安宅分科員 そういう認識だとすれば、三木さんを呼ばなければなりませんな。それは足りないというのが当然なんですよ。もっとふやしてもらわなければならないと答弁するのが、私は公害を扱っている――あなた、環境庁の企画調整局長ですか。
  255. 青木英世

    ○青木説明員 企画調整課長です。
  256. 安宅常彦

    ○安宅分科員 課長さんですか。局長さんはおりますか。
  257. 青木英世

    ○青木説明員 きょう、ちょっとほかに出ておりまして……。
  258. 安宅常彦

    ○安宅分科員 わざわざ、環境庁の企画調整局長が出席することになったので、よろしくと私に伝言があるのですけれども、どうして出ないのでしょうか。まあ、それはいいです。だから、あなたは、お役人としてあまりよけいなことを言ったら、上からおこられるのではないかなどという考え方、これではだめだから、相当の責任のある――課長だって責任はあるのでしょうけれども、失礼なことになりますが、そういう意味で言うならば、少なくとも局長さんあたりに出てもらったほうがいいのではないでしょうかと、わざわざ私はあなたのほうに言ってあるはずなんです。そうしたら、あなたのほうから、局長さんが出るという連絡がきておるんですけれども……。この場合には、国家公務員であるあなたも、自分の権限以外のことを言ったらたいへんだという意識にとらわれて、そういうことを言ってはいけません。  私がなぜそういうことを言うかというと、たとえばかん詰め工場でも、あるいは鉄工場でも、あるいは自動車の修繕工場でも、汚水を流すものなんてたくさんありますね。もう数限りなくある中で、ただ砂利の採取業と採石業の話だけした。たった一つの業種ですよ。それで、いま二千五百六十カ所の事業所がある、そのうち完全な公害設備をつけているのは百九十四しかない、去年の実績からいって、当然それは満ち足りた予算であるという答弁をするばかがおりますか、あなた。環境庁からいえば、大蔵省はお金をあっちこっち出さなければならないので、足らないくらいでがまんしてくれということが査定という中であるかもしらんけれども、あなたのほうは、本来ならばそういうものをきちっと正しく見て、環境庁という役所ができたならば、自然破壊はどういうふうになっているかということを――ずいぶんたくさんの仕事があることはわかりますよ。だけれども、百九十四カ所という一割にも満たないものしか完全な公害防止の設備がない、あとは土堰堤くらいはつくって、かっこうだけ、そして、それにじゃーっと流して若干沈でんさせて、そしてやる、何か洪水があったり、あるいは特殊な何かがあったりすると、それがあふれたりして汚水は相変わらず流れていく、こういう中途半端なものをつけているのが千三百十五カ所です。それで環境庁として、予算はだいじょうぶですという答弁がどこからも出てくるところはないと私は思いますが、どうですか。
  259. 青木英世

    ○青木説明員 私ども、今後とも環境保全のためにいろいろな排出規制を強化していきたいと考えておりまして、これに伴いまして、いま先生おっしゃいます各民間企業等におきます防止設備の投資というものを、一そう活発化しょうかと思いまして、私どもも公害防止事業団を含めまして、各種の機関におきます公害防止に対します政府の金融措置が、これから一そう拡充されるということを期待し、かつ心から熱望しておる次第でございますが、先ほど申し上げましたように、遺憾ながら私どものPRが不足なせいか、過去の公害防止事業団の計画と実績との対比から見る限り、四十九年度においては、私どもが要望し、かつ大蔵省が御査定いただきました計画の範囲内でやっていけるのではないかと思っておりましたが、今後とも格段の努力はいたしたい、このように考えておる次第であります。
  260. 安宅常彦

    ○安宅分科員 これは金融の立場にある、そういう仕事をやっているならそういう答弁になるかもしれぬが、企画調整課長ということになりますと、公害の設備をつけていない事業所というものに、あなたのほうは、強いことばで言えば摘発をして、いけませんよ、やりなさいよと言う立場じゃないでしょうか。金を貸しましょうか、どうでしょうか、PRが足りのうございましてなんて、そんな答弁は出てこないですよ。そうでしょう。だから、そういう限られた職務だけしかあなたが持ってないならば、あなたの答弁に対して、これ以上議論はいたしません。  ただ、環境庁というものは、そういう役所だと私は思います。ですから、それで格段の努力をしたいとか、形容詞を幾ら使ったって――六百億円の金をもらって、それで実績からいってだいじょうぶだと思います、大きいところは開発銀行その他からいろいろ借りるところがございますという答弁で、私にしかられたら、今度は格段の努力をいたしますとか、形容詞でごまかされては困るわけですよ。そういうことについて、環境庁はもっとしっかりした立場をとっていただきたいと思います。あなたをしかっているのじゃありません。環境庁という立場は、そういう立場であって、公害の設備をつけるために、金をお貸しいたしますが、どうでしょうかなどという役所ではない。それは事業団がやることで、環境庁というのは、そういうものではなくて、環境をこわしてはいけない、公害の防止設備をつけなさい、こう言うのがあなたの役所、そこを間違わないようにしてくださいよ。あなたのほうは、それでけっこうです。  ここで、大蔵省にお伺いいたしたいのですが、そういう感覚ですからなかなか――さっき言ったように、たとえば砂利の採取業一つを見ましても、不完全な処理施設を持っているものが約半数ですね。あとの半数は、まだ何にもつけてないということになるのです。ようございますか。それから完全なものといわれている、今日の最も進んだものをつけているのが、百九十四カ所しかないという実態、こういう場合には、何も私、三木さんの顔を立てるわけじゃありませんけれども福田さん、そういうものについては、大蔵省のふところはなかなかきついでしょうけれども、日本の産業がどういうふうに構造的に変わっていくかということを見た場合には、これらの予算というものを、大幅に増額する必要があるのではないかと思いますが、どうですか。
  261. 福田赳夫

    福田国務大臣 公害関係融資はかなりあるのです。開銀でも千億以上のものを、国民公庫でもあるいは中小公庫でもそういう融資をしております。まして一般の金融機関、これは、かなりの公害融資をしておると思います。その中で公害防止事業団が六百億というので――六百億どころの問題じゃないのでありますが、公害というものは非常に大事な問題になってきておるわけですから、金融政策におきましても、時代の要請というものを踏まえてやっていく、これは当然そういうことだと心得ております。
  262. 安宅常彦

    ○安宅分科員 先ほど一つの――きょう、たくさんの業種を持ってくればよかったのですが、どうせ時間がないと思ったから、たった一つの業種しか持ってこないのですけれども、これでさえも、一番住民に――日本全国たれ流しですよ。こういうものは、コンビナートがある特定の地域じゃない。それでさえも、不完全な設備をつけているのが半分しかない。あとの半分は何らつけていない。それから、ほんとうに完全なものといわれるもの、これは一割以下しかつけていないという実態、これだけあなた確認してください。  そういうことを基礎にして申し上げるのですが、この事業団というものが金融をやるという場合に、自分の手足がないわけですね。ですから、この公害防止事業団の業務案内の一番最後のところに、貸し付け業務の委託金融機関として都市銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫、長期信用銀行その他商工組合中央金庫などと書いてありますが、こういうものにすべて委託をしているわけですね。そこにいろいろな問題が起きてくるおそれがあるのです。自分で調査機能を持たない。それから、そういう貸し付けの基本というものの機能を持たない。そういう機関というのは、全部、私企業銀行にこれを委託するわけですね。  そうしますと、これも私企業でございますから、気に入った事業体もあれば、気に入らないものも出てくるんですよ。それから自分の銀行取引銀行としない業種が出てくるわけですね。たとえば県内に一つぐらいずつしか委託金融機関がありませんからね。そうしますといやがるんですよ。特に銀行に金がだぶついているときで、どうぞ私のお金をお借りくださいというぐらいの時代だったらいいけれども、今日、渋い顔してぎゅっと締めている時期には、福田さん、貸したくないんです。そうでしょう。自分と取引をしている会社だったら、まあしょうがない、将来もめんどうを見ていかなければならないからということで、オーケーを出すかもしれないけれども、その信用度だとか返済能力だとか、いろいろな事業内容あるいはそういうものについて、生殺与奪の権を持つのはどこかといいますと、私立の銀行だということになる。そういうときに弊害が起こる可能性はないでしょうか。あると思いますかないと思いますか。
  263. 福田赳夫

    福田国務大臣 代理貸しとかあるいは代理店あるいは委託ですね、同じようなことですが、そういう仕組みは、先ほども申し上げましたが、これは、それをやらないとたいへんな仕組みが必要になってくるのです。そこで、そういう便宜の手段をとりますが、これは、やはりそれだけにまた弊害もある、これは、はっきり私も承知しております。
  264. 安宅常彦

    ○安宅分科員 これをチェックする機関というのは、いまのところないわけですか。
  265. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは一般の金融行政ですが、一般の金融機関の所作、行状につきましては、大蔵省銀行局がその監査にあたっておる、検査官をしてときどき検査をさせる、そういうことでございます。
  266. 安宅常彦

    ○安宅分科員 前置きだけで時間がなくなってしまいましたが、たとえば公害防止事業団の場合、一つの例として、これは銀行の名誉あるいはまた企業の名誉のことがありますから、私は名前は出しません。しかし通産局からなかなか融資がたいへんなようだという話を聞いて、そして、そういう制度がありますからと言われて所定の手続をとったわけです。まず証明書を交付してもらいたいというので、都道府県知事または通商産業局長にお願いをする、証明書をいただいた、それで借り入れの申し込み者は、借り入れの申し込み書を、証明書を添付の上で事業団の代理店のBという銀行に行った、そうしたら、あなたのほうは赤字です――これから何とかして盛り上がろうという会社ですから、赤字のときもありますよ。これからやろうというのですから、相当の設備投資、公害防止設備をつくろうという会社ですからあったと思います。そういう場合には、現在、赤字だということはあり得ると思います。  当然そういうことはある。しかし返済能力の判断は、さっき言ったように、私企業銀行がやる。その範疇で、たとえばあなたのほうの取引銀行は私どもではありません、別な銀行でやったらどうですかと言う。別な銀行だって、どだい赤字だったら――別な銀行どうですかと言うほうもばかだけれども、そういうことが現実に起こる場合があるんですよ。しかも、これは銀行の立場とすればおもしろくないこともあるんです。いろいろそういう調査などを全部業務としなければならないから、手数料みたいなものをもらっています。それを、だんだん返済をするときには、その金額によって違いますが、利子の一〇%か二二%か一七%ですか何かをいただくことになっています。だから、そういう恩典があるゆえをもって、今度は焦げついた場合には八〇%は事業団が持つけれども、二〇%は銀行がしょえということになっているんですよ。そうしたら、銀行はほんとうにこれはえらいことだと思うんです。そして、その二〇%か何か知りませんけれども、日銀からの金融の引き締めや何かで、そういう融資まで一々監査をされるというような現在の情勢では、人情の常としていやだというふうに考えるのが先ではないでしょうか。銀行の立場はそういうものです。  今度は借り入れ申し込みをした人は、取引銀行でないので借りにくくされた、けしからぬ、ほんとうに取引銀行だったら、私のところをわかってくれるんだがなあ、こういうものを委託の銀行にしてくれればよかったのになあと思う。そういうえこひいきが現実に起こったという場合には、非常に大きな弊害どころか――まず一つは、公害防止の設備をつけようとわざわざ言っている事業、そんな事業はなかなかない、つけろと言われてもなかなかつけない、それを自発的につけよう、しかも完全なものをつけようという企業に対して、融資の道がそこで閉ざされるということになる。みんな大もうけをしている企業だけだったら、文句を言うことはないけれども、そういうものについて現実にそういうことが起こった。私は名前を出さないだけで、実例をもって言っているんです。仮定の問題じゃありません。公害防止設備というものをつけるということは、さっき言ったように現実に――これは砂利業者です。この事業の一割足らずしか完全なものをつけていない現状というものを踏まえた場合には、環境庁も大蔵省も、これは相当重要な問題だなということについて、認識を新たにするのが正しいのではないかと思いますが、どうでしょうか。
  267. 清水汪

    清水説明員 現に事業団の委託を受けております民間金融機関に関しまして、一言申し上げたいと思いますが、基本的には、ただいま大臣からお話がございましたような線でございまして、私どもといたしましても、政府機関金融の目的を、より十分達成するように、受託の立場もある銀行といたしまして、民間ではございますが、なるべくよく行き届いた処置をするようにという線で指導してまいりたいと思っております。  御念頭に持っておられますケースにつきましては、あるいは現に現在まで取引関係がなかったということだけの理由で親切を欠いたというようなことであれば、はなはだ残念なことだと思いますが、その個別ケースにつきましては、よく真相を究明いたしまして、今後の指導をしてまいりたい、こういうふうに存じます。
  268. 安宅常彦

    ○安宅分科員 それだけじゃないんですよ。取引銀行だけであるという理由だけでなどとあなた限定してはいけません。生殺与奪の権をこの銀行が持っているということですよ。筆先一本でどうにでもやれますよ。だから、そういう弊害が起こるというのです。だれも取引銀行でないから、おまえだめだなんて――本気になって言ったこともあるんですけれども、その一つの理由にもその例を言っているんですが、まさか銀行はばかじゃないから、そのたった一つだけの理由で言いません。そのほかにも取引銀行じゃありませんからねというのが最後につくんですよ。それは支払い能力や、これはどうだとか、あれはどうだとか理屈をつけて表面はそれでがんばってやる、しかし、こういうこともまたあり得る。  私は、時間があればもっと言いたいのです。なぜかならば、たとえばある省の人が、私のところに来て、いろいろな問題で、先生何でもそう反対しないでと私に言ったのです。ぼくは何でも反対ばかりしておるからね。だから、ぜひこのことについては、ひとつ御了解願えないでしょうかと言ってきたんです。そうしたら、あることがびんと頭にきたものですから、書類を隠しながら一生懸命部屋で私に言うから、ちょっと見せろよと言って見たら、この反対してがんばっている理由は、安宅がうしろにいるからだ、その会社はこういう会社である、これは安宅系列だなんてちゃんとしるしをつけているんですよ。私も、さっきの話の共産党の民商みたいなもんだ。そういう符牒をつけたりなんかするというのは、人権を非常にそこなわれたような気がしました。そういうばかみたいなことを、役所は全部やっています。時間があれば、そこまで具体例を示してばらします。私立の銀行ですから、そういうことまで要素に入れてやりかねないということです。銀行の立場にしてみれば、いやでも――私が銀行の頭取だったら、そのくらいやるかもしれませんよ。その立場ぐらい私もわかる。だけれども、そのままにしておくことがいいか悪いかという制度の問題で言っているのです。特に公害防止事業団という、将来の日本の産業構造の上に立ってものを考えてみた場合には、もっともっと大きな役割りを果たさなければならないそういう機関というものは、自分の手足を持ってやれるようなものにすべきではないかというのが私の中心的な議論です。大蔵省と環境庁と両方から答弁をしてください。
  269. 青木英世

    ○青木説明員 実は公害防止事業団も、昭和四十年度に発足いたしましてから、逐次資金の貸し付け額もふえまして、四十七年度末で約千件、約九百八十億という貸し付け残高になっております。しかし先ほど申し上げましたような年度で見ますと、四十七年度で約三百四、五十件、資金としますと三百十一億ということでして、他方、政府関係金融機関で中小企業金融公庫とかあるいは国民金融公庫とか、実際に御自分の支店をお持ちになると同時に、代理貸しをやっておるというようなところもございますが、これらの機関は、残念ながら私ども公害防止事業団の取り扱っている金額等を見ますと、一年度で十倍以上というようなことでございますので、現状においては、代理受託をいたしております金融機関に対しまして、私どもあるいは事業団あるいは銀行局にお願いしまして、適正な指導を通じながらやっていくということにいたしたいと思っております。
  270. 安宅常彦

    ○安宅分科員 だから、困るというんです。課長さん、あなたは自分の職責ばっかり言っているんですよ。環境庁の見解を聞きたいと言ったときには、環境庁を代表して来た場合には――そういう大きな環境の整備をする、保全する、国土を守る、こういう任務を環境庁が持っている以上、公害防止のために融資をする、そういう業務を持っている以上、自分の手足で、そして、ここはあなた公害を起こしてはいけませんよ、ちゃんと防止の設備はやりなさいよ、しかし苦しかったら、こういう制度もあるのですよというふうにやるような手足を持っている機関を持つべきじゃないかということが一つ。百歩譲ってそういう金融をやる、貸し付け業務をやる、そういう機関を持っている、そしてその機関は、私企業やなんかによってえこひいきやなんかできないように、あなた方が自立したそういう機構を持つべきじゃないかと言っているんです。ただそれだけの話です。
  271. 青木英世

    ○青木説明員 おっしゃっていることは、まさにそのとおりで、非常に御激励をいただきまして、感謝をいたしている次第でございまして、ますますこれから公害防止に対します資金量がふえていく、そういうことに伴って将来においては、私どもの手足を持ちたいと考えておりますが、現状におきましては、金融機関等を十分私ども監督いたしまして、不公正なあるいは適正でないようなことのないように、一そう努力を払いたい、このように考えておる次第であります。
  272. 安宅常彦

    ○安宅分科員 適正でないようなことをするかしないかなんて聞いているんじゃない。まあ課長さんだからしょうがないですが……。だから、もっと環境庁を代表したような立場の人が来てくださいと言ったら、せっかく局長がおいでになるというから、それで質問しておったんですが、あなたとここで論戦して、時間がなくなっちゃった。ぼくは損した。  大蔵大臣どうですか。そういうことについては、金融上の一つの制度なり、系統なり、基本的な構想なりいろいろあるでしょう。しかし公害防止事業団というものは、先ほど並べたたくさんの事業団とは――今日の日本の問題あるいは世界的な視野から見た場合、あるいは将来の資源やら国土というものをどういうふうにするかということで、学者やなんかたいへん騒いでいる今日の状態を考えてみた場合には、こういうものは、たとえば環境庁のは、さっき言ったように大蔵省独自であるということにはなっておるけれども、沖繩なんか両方二つまたがっていますという話をしましたが、そういうようなものにするほうが、公平を期する上でも公害防止という、実際に日本の環境を守る上においても、そういう機構にしたほうがいいのではないかという私の意見なんですが、どうですか。
  273. 福田赳夫

    福田国務大臣 各事業団あるいは公庫がみずからの手足を全国的に持つ、こういうことになれば、これは完全にその業務の目的が達成されるわけですが、それはとても実際問題としてできないです。  そこで、委託制度、代理貸しだ、代理店だというようなことになるわけなんです。これはやむを得ないと思うのです。そういうやむを得ない状態においては、やはり代理貸し、代理店ということになりますが、その業務の執行、運営が問題だ、こういうことなんだろうと思います。代理を受けるその私企業たる金融機関が、それが本省というか、本部といいますか、公害防止事業団本部においてもしこの案件を審査したならば、どういう判断を下すであろうかということを、そういう意識に立って事を処理するということになれば、運営上も間違いがない、こういうふうに考えます。なお、そういう方向で金融機関指導いたしたい。
  274. 安宅常彦

    ○安宅分科員 もうこれで終わりますが、私は普通の、いままでの、ここに書いてあるたくさんの事業団、先ほど示しましたものとは質が違った意味で考える必要がないかということを言っておるのです。あなたは、金をよけい出されたり人員がふえたりすることが頭にぴんときて、そればかり頭にきて答弁しておるけれども、そうではなくて、公害防止事業団というものは、性格はどう変わろうと、そういうものは貸し付けをするような機関を現実に持っておるのですから、そうした場合には、もっと公害を本気になって防止するというんだったら、私の考えでは、こういうものはもっと拡充をした、手足を持った、いろんな審査もできる、そういうものにしなければ、日本の公害から守れないんじゃないでしょうか。公害から守っていきますとあなたは言うけれども、それとことばと一致するならば、そういうふうに持っていくべきだ。現在の機構の中で考えないで、そういう発想を私は提案しているのです。どうしても了解いかないならば、いいですよ。だけれども、そんなことでは日本の公害からは守れません。田中内閣というのはそういうものであるということだけは認識しておきます。どうですか、大臣
  275. 福田赳夫

    福田国務大臣 この種の事業団、公庫の運営、いろいろ改善を要するところはあると思います。たとえば、環境庁というものが地方に部局でもできるようになりますれば、そことその金融機関が連絡を密にする、こういうようなことも考えられましょう。しかし、いまそういうことを考えても、今度は機構の複雑化という問題もありますから、なかなかそうもいきませんけれども、とにかく、御趣旨はよくわかりましたから、改善に努力をいたします。
  276. 安宅常彦

    ○安宅分科員 終わります。
  277. 藤井勝志

  278. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 私は、最近起こりました例のネズミ講といわれる問題について御質問いたしたいと思います。この問題は、十二時ごろ公明党の渡部さんによっても質問されました。しかし、これは私の地元で実際に発生した問題であります。したがって、もう一ぺん御質問申し上げたいと思います。  御承知のように、秋田市にありますところの朝日相互経済互助会、こういうのがことしの一月、取りつけ騒ぎみたいな大騒ぎになりまして、問題が発生いたしました。  これによるところの概況を申し上げますと、朝日相互は四十七年の七月にでき上がりまして、最近の四十九年の一月、約一年半の間に三十五の都道府県にまたがって、延べ五万七千五百人が加入いたしておりまして、動かした金が五十七億六百万、これは二月十四日現在ですが、かなり大きな金が動いておるわけでございます。さらにそのほかに、秋田県には、これもいまは摘発を受けております札幌の北日本相互経済互助会、これがおりまして、県内で約二億の金が動いております。さらに、熊本の住宅ネズミ講といわれております共栄住宅互助会、これが約四億、こういうのを全部合わせますと、六十数億という金が、一年か一年半の間に動かされております。非常に大きな被害をもたらしておりまして、いわばこれの中心になっているのが農村地帯であります。これが被害の中心でありまして、非常に大きな社会問題になっておるわけでございます。  一がいにして申し上げれば、これは欲の皮の突っぱったのが、先のわかっていることに手を出して、自業自得だ、こういうふうにいわれておりますけれども、しかし、よく考えてみますと、中小企業だとかサラリーマンのおかみさんだとか、あるいは農民だとか、こういうような、あまり経済的な観念のない、といえば語弊がありますが、そういう人たちが、しかも、いまの経済インフレの時代に非常に困っている。五万円出して九カ月後には二十四万円になる、こういうような、ちょっと考えられないけれども、ほんとうに実現するならばこれはたいへんな得だ、こういうような、欲でもってつった声がくれば、これは人間だれしも欲がありますので、ついうっかりと引きずられる、これはやむを得ないと理解されることだと思います。  ところが、実際問題としてこれが倒産してしまいますと、あとに、朝日の場合には四十億ぐらいの未払い金が出て、財産が七億ぐらいしかない、こういうようなことで、たいへん大きな問題になっておるわけです。  これは、実例を申し上げるまでもありませんけれども、どのぐらいの反響があるか、まあ金持ちな人がたくさんいる、特に都会の人ですとわからないかもしれませんので、新聞紙上に出ております被害者の嘆きの声を、二、三紹介いたしたいと思います。  そのまま読みますけれども、「八日前から徹夜で詰めている。私は五十万円の損だが、私や妻が集めた会員の分が二千万円もある。会員の突き上げがひどくて、家に帰れない。会がつぶれてわれわれがつぎ込んだ金が戻らなかったら、もうだめだ。」あるいはこういうのがありますね。これは飲食店の店主ですが、「お客さんが分厚い札束を出し”ネズミ講でもうかった“という話を聞いたのが間違いのモト。つい欲に目がくらみ手を出したのが昨年の五月。近くの同業者や店のお客さんを勧誘しているうち、金額はアッという間にふくれあがってしまった。集めた八百二十万円をどうやって返済するか……。子(会員)からは毎日矢のような催促がくるし。」あるいは、「家族全体で、三百万円ぐらい入っている。田を三十アール担保にして、百万円借りて入った。知人も多数紹介して入れた。これまでは東京へ大工仕事で出稼ぎに行っていたが、今年は、”配当金“収入があるので、出稼ぎにも行かなかったのに……」こういうような例もあります。あるいは、「三月は春耕や決済の時期で最も金がかかる。このままだと三月になれば支部長の中に犠牲者が出ないとも限らない」こういうようないろいろな問題が発生しております。  私は、これの犠牲者が、先ほど言いましたように非常に零細な農民、それから中小企業者あるいは大工とかそういう人たち、あるいはサラリーマンがなけなしのへそくりを出したというようなことで、零細な人が被害者の大部分なだけに、非常に大きな問題がある、こういうふうに思います。  それから、会員の種類が新聞に出ておりますが、こういうふうに書いております。「会員の職種は多種多様。農民、中小企業主、運転手、主婦が大半で利殖を目的に加入した。中には県庁職員、市役所、町村役場職員、警察官、教師、医者などもいる。」こういうふうに、非常に広範囲にいろいろな問題をつくり出しておるわけです。  そこで、いままで秋田だけじゃなくして、熊本も札幌もありますが、こういうような例がまだほかにないか、そして現状がどうなっておるのか、その点を、警察当局の方にちょっとお聞きしたいのです。
  279. 相川孝

    ○相川説明員 先ほど先生から御指摘のありましたのは、秋田県の、いわゆるネズミ講方式による利殖組織にからまる事件でございますが、いま、私ども警察におきまして検挙中のこの種事犯といたしましては、熊本と北海道にございます。熊本の例は、やはり大体同じようなやり方でございますけれども、これは住宅建築資金を、ひ孫会員等ができた場合に、会から融資するというシステムでございます。これは大体、会員が八百三十名ぐらいございまして、先ほど先生の御指摘にもありましたように、受け入れ金額は四億をこえているという実態です。最高の人は、四百口近くもこれに加入しているという例がございます。  それから、北海道のほうでございますけれども、これは北日本相互経済互助会と申しまして、これも五万円一口ということで、孫会員あるいはひ孫会員ができた場合に十六万円くらい支給されるというシステムです。これは大体千百名余りの会員ということでございまして、このうち、御指摘がございましたように、秋田県にもこれに加入する者が八百名近くおったようでございます。  いま、検挙いたしておりますのはこの三つの事件でございますが、私ども、このような事案が多発している傾向にかんがみまして、いま全国の警察に、このような組織の実態調査と、違反容疑があるかどうかの解明をするように指示をいたして努力しているところでございます。  大体全国に、この検挙中の三件のほかに、同様あるいは類似の組織で進められているものが十五ぐらいあるという現状でございます。はたしてこれが、いろいろな法律に触れるかどうか、目下、鋭意検討を進めているという段階でございます。
  280. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 いまのお話で、まだまだ全国に十五ぐらいもある。実際に目に見えない小さなものも、たくさんあちこちにあるようですね。  それで、これを私は非常にふしぎに思うのは、なぜこれが法律に触れないのか。いま、たとえば警察が、秋田の場合ですと、取りつけ騒ぎみたいなのが起きてから十日ぐらい、それまでの間、これを違法だという断定を下して行動しなかった。あるいは北日本相互経済互助会、これが手入れをされてから約半月、十五日くらい全然手入れしていない。ほとんど同じような状態であるのに、なぜ、片方に手入れしたときに、こっちのほうがはっきりとわかって、しかももっと大きな組織であるのに、それに全然手をつけなかったのか、こういうような問題があると思いますが、その点は、警察庁の方、どういうふうな実情にあったか、ちょっと御説明願いたいと思います。
  281. 相川孝

    ○相川説明員 秋田の事件の手入れが、なぜおくれたのかという御指摘でございますけれども、実は、北海道の北日本相互経済互助会の事件を北海道警察では、一月二十五日に会の本部を捜索実施いたしまして、検挙に着手いたしたわけでございます。そして秋田のほうは、二月七日に事務所の捜索等を行なっておりますので、この間二週間ほどずれがあるわけでございますが、秋田の事犯につきましても、警察といたしましては、秋田県警実態把握に基づきまして、私ども、この種利殖団体は、出資法等に違反するのではないかということでいろいろ検討を進めておりましたし、出資法の主管官庁であります大蔵省にも文書照会等をいたしまして、明確な法違反の御見解をいただきましてから、実は秋田に指示をいたしたようなわけでございます。  いろいろ体制等の関係もございまして、実際の手入れといいますのは二月七日になったわけでございますが、私どもが、いざ捜索を実施するという場合には、やはり捜索令状を裁判官から交付してもらうために、いろんな疎明資料というものを用意しなければいけません。そのような捜査の手続上の問題もあって、北海道に比べますとずれが出てきたわけですが、じんぜん日を過ごして、被害が大きくなるのを待って、それから初めて捜査に着手したという――結果的にはそのようにお受け取りになられるかもしれませんが、私どもとしましては、むずかしい擬律判断と、いろんな手続その他の検討に意を用いてきた次第でございます。
  282. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 警察がなかなか手を下せなかった、この問題は、一つは法の問題にあると思うのです。たとえば、私が非常にふしぎに思うのは、この問題を取り締まるのは例の出資法ですね。出資法しかないようなんですね。ところが、この出資法というのは、例の昭和二十八年に日本じゅうを震憾させた保全経済会を教訓にしてつくったわけです。ところが、その後この出資法によって、こういうような類のものが出てこないと思ったら続々出てきて、そしてまた集まっているのですね。そこに一つの非常に大きな問題がある。  たとえばいま、秋田県警でもいろいろ調べてみたけれども、はたしてこれが法律に該当するかしないかわからぬ。ここのところは、やるほうから見れば、法律のボーダーラインで、かからないようにすれすれのところでやっているのでしょうけれども、ほとんど同じような性質の問題が、いましばらく手をかければもうすぐわかるのに、その間全然手がつけられないで結論が下せなかった、こういうことは、私は非常におかしいと思うのですね。同じような問題が発生して、同じような保全経済会みたいな弊害が出る、被害者が出るということがちゃんと見通されているのです。  しかも、このネズミ講というのは、だれでもわかりますように、これは先が見えているのですね。先が見えていてみんなやっておるようです。たとえば、朝日の会長が、こういうふうにちゃんと自分で説明しているのですね。先に加入したその人に金を払わなければいかぬ、しかし、あとから入ってくる会員がだんだん少なくなった、だから支払いが停滞したと、はっきり新聞記者に話している。これはもうあたりまえの話で、小学生でもわかるような話なんですね。だから、優秀な役人の皆さんがわからぬはずはないと思うのです。しかも、五十億も六十億もという金が動いている。先がちゃんと見えている。やっている人さえも、これは先が詰まりますよということをちゃんとわかってやっている。  そういう先の見えたことに対して、何の手も下さない。しかも、事件が発覚してもなおかつ、これは違反であるという判断を下せない。ほんとうに違反であるという判断を下せないならいいですよ。しかし、それから何日もたたないうちに、違反である、だから摘発しようという判断を出しているのです。なぜもっと早く、これに対する状況判断を的確にして、統一したしっかりとした見解を下して、これに手を加えないか、ここが私は非常に残念なんですね。この点ひとつ、法務省でもいいし、どちらでもいいです。
  283. 米山武政

    ○米山説明員 ただいま御指摘の点でございますが、私ども全国の財務局、財務部等に、こういうケースについて、何か情報があったらすぐに本省のほうへ連絡するようにということで、会議のつど、そういう点は連絡しております。先ほどの十五件と申しますのも、財務局、財務部等からそうした情報が集まったものでございます。  ただ、情報が集まりましても、それがパンフレット等であったり、やり方がいろいろと巧妙であったりするものですから、ほんとうに法にかかるかどうか、そこまで確信を持つのに時間がかかるということでございまして、情報の収集、それから法務省、警察当局との連絡というのは、従来から密接にやっておるわけでございます。
  284. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 昭和二十八年に保全経済会の事件がありました。それからあと、このネズミ講みたいなものは、ちょいちょい頭を出しているのですよ。だから、もっと早く法の不備は点検しておくなり何かすべきだ、こういうふうに考えます。やはり、一般にこういうものを許しておいた責任というものはあると思います。それが、ちゃんとした実例があるにもかかわらず、こういうふうに放置されたということは、やはり責任があります。  さっきも言ったとおり、被害者を見れば、まことに欲の皮の突っぱった話で、いまごろこんなうまい話はあるはずはないのです。それを、なおかつやるというところに人間の弱さがある。その人間の弱さにつけ込んで、そうして金でほっぺたをひっぱたいて連れてくる、こういうのは、もっとあくどいと私は思うのです。それを取り締まるのがあなた方です。これは初めての事例じゃなくて、いままで幾らもあった事例なんです。だから、この事件について、かなりあなた方の責任もある、私は、こういうふうに考えます。  そこで、お伺いしたいのですけれども、非常にふしぎに思うことは、いま朝日の茂木という会長さんは、新聞等の報道によって見ますと、これをもう一ぺん再開しようじゃないか、そしてこれを切り抜けようというような動きもあります。それから、そのほかのあれで伝えるところによりますと、これは警察庁で調べたようなんですが、「他のネズミ講の中にも、かつてのネズミ講の被害者がひともうけをねらって始めたのや、他県で倒産して、また新しいのを作り会員を募集しているなど、倒産を承知の上の詐欺まがいのものも多い。」こういうふうに出ているのです。だからこれは、前からしょっちゅうあって、何か常習犯みたいな人がいて、あっちでつぶれればこっちでやる、こっちでつぶれればあっちでやる、日本じゅうひっかき回して、三十何都道府県にまたがって、いわば詐欺まがいのことをやって歩いている。こういう実態がもうわかっていると思うのですよね。それを放置しておいて、日本じゅうに被害者をばらまいてしまっている。こういうことは、さっきも言いましたとおり、私は非常に残念に思うわけです。こういうものが現に営業をしておるわけですね。  そこで、こういうものをどういうふうに一体取り締まるというのか。たとえば、やめさせるのか、あるいは内容をもっと捜査して別のものにさせるのか、何かそういうふうな手を打ちますか。
  285. 米山武政

    ○米山説明員 先生の御指摘の中で、考えるべきことが二つあるのではなかろうかと思います。  一つは、現行法規で取り締まるべきものを、調査も不十分でぐずぐず放置しておる、これはけしからぬという御指摘、これはごもっともでございますので、先ほど申しましたように、私どもも地方部局を動員し、あるいは関係方面とも十分連絡をとりながら、今後、この出資法に触れるものにつきましては、できるだけ緊急に、機動的にやっていきたい、こういうことが第一点でございます。  それからもう一つの点は、最近、非常に巧妙になってきまして、いままでは、出資法に触れるということでこういう取り締まりが行なわれるために、形を変えまして、出資法の二条、これは先生御承知と思いますが、要するに、預金類似の金銭の受け入れでございまして、これは元本の返還を確約して金銭を受け入れるということが基本的な条件になっておるわけでございますが、ここを避けまして、要するに、元本保証というようなことをしないで、預金類似行為ではないような形で受け入れる、こういうことでやっている場合があるわけです。こうしたものにつきましては、出資法では取り締まれないわけでございます  ですから、ネズミ講の取り締まりと申しましても、その二種類ございまして、前者につきましては、できるだけ私ども緊急に措置する、後者につきましては、いろいろの問題がございまして、むしろこの出資法の問題というよりもう少し広い問題ではなかろうか、こういうふうに考えます。
  286. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 いまのお話の中で、そうするとこういうことですね。現在あるネズミ講みたいなものは、いまの法律にひっかかるというふうに断定して取り締まりますということですね。それからもう一つの、どこかわからないようなボーダーライン、巧妙になったものは、これから新しい法律か何かつくって取り締まる、あるいはその実態調査して、そういうことのないようにいまの法の不備を改める、何かそういう意味ですか。
  287. 米山武政

    ○米山説明員 これは、私どもからお答えするのが適当かどうかわかりませんが、私ども大蔵省あるいは出資法の立場と申しますのは、やはり金融秩序の維持という点から、預金類似行為を取り締まっておるわけでございますが、問題は、それだけでなくて、相当詐欺まがい、あるいはもっと広い、いろいろ社会的な問題が含まれているようなケースが多くなっているわけでございます。これにつきましては、やはり関係当局とも相談しまして、何らかの検討を行なう必要があろうかと思っております。
  288. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 そういう、いわば金融機関まがいのものは、結局やみで、届け出ないでやっているわけでしょう。届け出してやっているのですか。銀行まがいのものをやるとすれば、何か許可を受けなければいかぬでしょう。
  289. 米山武政

    ○米山説明員 たとえば、元本の保証というようなことがなくて、単に何年か積み立てをすれば家をつくってやるというふうな形で金を受け入れる場合には、これは金融機関でもございませんので、その届け出とか認可というようなことは、何ら必要がございません。
  290. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 これは、次から次へと新しい手を考え出して、同じような被害を生む。趣旨はほとんどわかっているわけですよね。だから、私がいまお願いしたいのは、こういうものができないように、いまの出資法が不備であるならば、それを改正するなり何かして、新しい立法措置を講じてもらいたい。再びこういうような、弱い者が欲につられてたいへんな目にあわないように、立法の措置を講ずるなり、そういうふうな意思があるかないか、この点について、ひとつ大臣から御答弁願いたい。
  291. 福田赳夫

    福田国務大臣 かようなことは、国民大衆にたいへん御迷惑を及ぼしますので、これを取り締まるための措置を講じます。  これは、立法が必要なのか、あるいは行政措置を強化するので足りるのか、方法論は別といたしまして、こういうことを反復しないというための措置をとります。
  292. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 いま大臣から、こういうことを反復しないような措置を講ずるというので、ぜひひとつそうしていただきたいと思います。  いままで、保全経済会で二十八年に法律をつくりました、だけれどもだめでした、またつくりました、まただめでしたでないように、二度とこういうことが起こらないように、しっかりとひとつやっていただきたいと思います。  それから、もう一つ最後にお伺いしますが、この問題について秋田南税務署は、断固として脱税は取り締まる、こういうふうな大宣言を発して、新聞に大きく出ているのです。それで、その年の所得としては、みな吸収されてしまっているから所得にはならぬわけですが、前の年のやつは所得になるわけですね。ところが、こういう人は、前の年のやつは税金で取られ、ことしのやつは倒産だから、もう回収できない。ダブルパンチを食らっているわけですね。それを、新聞に断固として取り締まると、ばんばん出しているものだから、非常にノイローゼになっているのですね。  だから、取り締まるのはけっこうですけれども、こういうふうな弱い人たちが被害をこうむってノイローゼになって、そうでなくても自殺者が出ると騒いでいるときに、税務署が断固取り締まるとアドバルーンを上げますと、ますますノイローゼになって、ほんとうに自殺者が出かねないのです。こういうことは、犯罪だからこれはたいへんだ、おまえらも欲の皮が突っぱったからこんなことになるのだ、だから断固取り締まるぞ、こういうことじゃなくて、やはり弱い被害者ですから、そういうところは多少人情味のある行動がほしい、こういうふうに思いますので、ひとつ最後にその御感想を……。
  293. 福田赳夫

    福田国務大臣 この問題は、税の立場からは実情をよく調査いたしまして、法に違反するわけにはまいりませんが、法の範囲内において、妥当な処置をとります。
  294. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 終わります。
  295. 藤井勝志

  296. 大野市郎

    大野(市)分科員 卸売り物価も横ばい、鎮静ぎみということでありまして、福田大蔵大臣の総需要抑制の御施策が着々功を奏しておることを、国民のためにまことに御同慶にたえません。ぜひ御努力を重ねていただきたいと思います。  きょうは時事問題でございませんで、多年の懸案、論争でありました同族会社の行為、計算否認、こういうふうな一つの税法の中の問題点をえぐりまして、大臣の御感触を承り、また主として、中身は理論闘争もございますので、主税局長なりとの問答をさせていただくかもしれませんが、しばらく大臣としては、政治判断でお聞き取りをいただきたいと思います。  時間もたくさんございませんので、すぐ本論に入りたいと思いますが、私がかねて疑問に思っておりますのは、戦後の占領当時の立法を健全化せよという議論はよく聞くのでありますが、戦前から残された七ふしぎのようなものの一つとして、ただいま申し上げた同族会社関係の税法の特別規定がございます。これは税法の中で、のみならず民法、刑法、日本の法治国としての法体系の中で、偶然にも税法の中だけに集中されて、二つの封建的、官僚的遺物がある、私はこういうふうにかねて論じている一人なんであります。  そのうちの一つは、特別徴収義務者に対して膨大な費用を負担させるにかかわらず、これに対して国あるいは地方自治体が、手数料を払うなどの報償をしないという問題があったのであります。この問題は、幸いにも次第に共鳴者がふえ、当局も理解されて、今回は地方税の料理飲食消費税の中で、一%を下らざる手数料の趣旨を持つ交付金を、各特別徴収義務者に直接手交するというところまでこぎつけました。私は主唱者といたしまして、その主張が通ったことを非常に喜んでおりますが、これは、たとえば旅館業などでは、実際の経費がそのために一一・四%かかっておるという実態があるにかかわらず、財政上の諸都合で、まず、初めてであるから一%でということで現実の第一歩が踏み出された。こんなことでございますから、その点に対しての私の主張は、やや前進ということであるようであります。  しかし、同族会社の問題に対しましては、与党でありますから、毎年与党の税制調査会で、私は議論を出そうとするのでありますが、ひがんで考えておるせいでしょうか、わが党の税調の構成が、大蔵当局のOBの方が非常に多いせいじゃないかと勘ぐっておるのでありますが、長期検討ということで議論に入れないというようなことで、しからば、私は国会議員として、当然の主張を政府の御当局に対してまつ正面から提起をして、これを速記に残し、議論の糸口にいたしたい、こういう趣旨でございますので、奇異のお感じをお持ちであったかもしれませんが、そういうふうに御理解をいただきたい。  したがいまして、まこと時間がないようにされておりますので、一問一答がよき形でありますけれども、きょうはそうでなくて、私がまず申し上げたことが間違っておったら、それは違うぞというような形で、議論を省略し進行させていただきたいと思います。  まず第一に、同族会社というのは、いつごろできたのだろうかということを思うのでありますが、この点だけは主税局長、ちょっとお答えいただきたい。
  297. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 お尋ねは、同族会社の行為、計算否認に関する現行百三十二条の規定が、いつごろできたかという意味でございましょうか。
  298. 大野市郎

    大野(市)分科員 手間がかかるようでありますので、主税局長としてはなるほどそこが出発点でございましょうが、私が質問いたしたいと思ったことは、沿革の最初ということでありますから、これは私、調べてきましたので、違っておるなら違うと言うてください。  これは、大正十二年に、同族会社の中で保全会社、これに対して留保課税をしたいという立法趣旨ででき上がったのが発端であります。これは、貴族院の官報なども調べてまいりましたから、間違いがないと思います。  したがって、その発端からこの問題は経緯があるのです。当時の形でいきますと、当時の政府委員は黒田英雄さんでありましたが、大正十二年には、会社が四万四千しかなかった。そのうち、同族が一万一千五百あるんだ。その同族の中で保全会社が九百ほどだ、こういうんです。私が、御記憶しておいていただきたいのは、その数の比較なんです。その九百の保全会社が、留保金でいわゆる租税回避をしておるので、当時は、合法的脱法という表現を使っていた。国会の議事録に載っておりますが、正しくは租税回避でしょう。そういう表現であったのですが、これは有価証券または不動産の運用利殖を目的とする会社が保全会社である。配当しないでため込むので、これを逃げないように、それから税を取ろうという着想であったと記録されております。これが発端です。  それからあとは、今日の問題になるわけで、百三十二条になるわけであります。今日の百二十二条の立法趣旨を高木局長にお聞きすることになりますが、時間がないので、簡単に一言お願いします。
  299. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 同族会社の場合には、株主が非常に緊密なる関係にございますので、株主の相互牽制機能が十分働かないために、共同利益の達成が妨げられまして、そして、通常の会社では予想されないような、普通の株式会社でありましたならば、株主が相互牽制の関係にございますので、それで、実際には通常の会社では行なわれない、しかし同族会社の場合には、株主問の相互牽制機能が十分働きませんので、そのために起こりますところのもろもろの行為、そうしてそれによって、結果といたしまして租税の負担が減少するような結果を招くことが生じやすいということから、租税の負担の公平をはかるという趣旨がら、行為または計算の否認をすることができるという規定が置かれているものというふうに理解をいたしております。
  300. 大野市郎

    大野(市)分科員 立法趣旨は、そのような形でできたようでありますが、今日、会社の総数とその中の同族会社の数、これは全体で法人の総数、同族会社の数を述べていただきたい。
  301. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 昭和四十七年度で法人の総数は百二万八千、最近はもう少しふえておると思いますが、四十七年度で百二万八千でございます。それに対して同族会社の数は、九十六万九千ということでございます。
  302. 大野市郎

    大野(市)分科員 同族会社の数は、九十九万二千ではありませんか。
  303. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 失礼しました。非同族の同族という、例のややこしいやつがありますが、それを入れますと九十九万二千になります。
  304. 大野市郎

    大野(市)分科員 そうですね。したがいまして、比率でいうと、百万からの全法人の中で九十九万二千が同族会社ですから、これは大蔵大臣もお聞き取りをいただきたいのですが、九割六分五厘というものが同族会社なんです。ですから、先ほど申し述べられたように、同族会社は、特定の個人が会社の意思決定を左右し、税負担を不当に減少させる可能性があるという立法趣旨であったと思います。  そうなると、この実態からいうと、同族会社というのは法人だと言っていいことになるのですよ。ことごと法人だと言っていいわけです。しいて言えば、一億円以上の全法人九千のうち同族会社が六千ですから、一億円以上になると、六割五分が同族会社というような比率に下がりますけれども、ほとんどすべての法人は同族会社です。これに御留意をいただきたいのです。  そうなると、最初のように、四万四千あったうちで保全会社が九百だ。これは有価証券と不動産の運用収益によって得た利益、これを逃げようとするのを押えるんだというような形で大正十二年に始まったものが、今日に至りますと、ほとんどすべての法人は、税務署長に白紙委任を渡しておる税の運用だということになったのです。これに着眼をしていただきたい。それが一つ。  それから、あとでまた時間があると、詳しくその理論の基礎を申し上げますが、第二点は、立法趣旨で端的に述べられた、それに対する全く逆の反論が用意してある。これを御判断いただきたい。すなわち、そのような形での立法趣旨は、はたして同族会社だけなんだろうか、この疑問を持ってみたわけです。そうすると、非同族の会社、その数はわずかに三・五%です。百万の法人のうちの三・五%しか残っていない非同族会社であっても、自分の株主の租税負担の軽減ということであるならば、非同族会社でも、多数株主の意見が一致する可能性は大いにあると断言できる。あるでしょう。これがもし違ったら、後ほど違う理由を述べてください。それが一つ。  第二、非同族の大法人を考えましょう。一億円以上、その非同族の大法人では、企業を系列化している場合には、その系列下の会社相互間や、会社とその株主、役員との間での意思の疎通は容易である。不当な税の逋脱が行なわれる蓋然性も高いと見るのが間違っておりましょうか。そして、さらにそれを裏づけるものとして、同族会社であればあるほど、その会社の財産の保全ということは命がけですよ。経営と所得の分離といいましょうか、新しき株式理論に基づく、経営と所得の分離のこの理論に基づいて、擬制的に先ほどのような議論が成り立つんだと、あるいは当局はお答えになるかもしらぬけれども、それらの会社の中では、多数の一般大衆株主は、経営自体には無関心です。一部の株主が経営をやっておるのが実態ではありませんか。これに反論があるなら反論をお聞きいたしたい。そしてしかも、それらの経営者は、実はお雇いマダムなんですよ。そうなったら、その同族会社が倒れたり同族会社がなくなるということになったならば、その企業の大きな株主は路頭に迷うわけです。だから大事にします。  したがって、国が徴税の根源として育てるべき、租税の源であるそのプールは、池は、豊かに水をたたえて、長く国家が租税収入を獲得することも可能でありますが、そのお雇いマダムの無責任な実例が、このごろは非常にたくさん新聞紙上に伝えられておるではありませんか。このような形になったときには、これらの諸君は、その会社やめたら無関係なんですよ。膨大なる退職金を取って、それでさようならなんですよ。  このような形で、日本の国の企業の安全、発展をはかるという別な政策目的、立法目的を考えたときには、同族会社の運営などといって、それらのものが、特定の個人の恣意的な意思によって租税回避をはかるものである。そういう前提自身が、国民に対するはなはだしい冒涜であると私は言うていいと思う。しかも、全法人の九割六分五厘、これだけの人たちを、みんな不正画名だという前提で国の政治がとられていいものでしょうか。私はこの点を主張いたしたいと思います。  そういうようなことがありまして、これはあとで反論があればお答えをいただきたいが、つまり、大正十二年の時代とはもう違っちゃった。もう全然違っちゃった。そして、会社というなら、同族のほうがあたりまえになっちゃった。  もう一つ言いますというと、今度は社会問題です。今日の同族会社、八百屋のおかみさん、魚屋のおかみさんが会社の専務です。社長さんは多少元気がいいが、専務さんはおかみさんなんだからして、ほとんど知らないところへ――直税部長は見えましたか。――これはいけないよ。だって、このことを言うてきたら、税の徴収の問題に必ず触れるんだからね。直税部長に問いてもらわなければかないませんよ。大臣が一々お指図なさるたんということは、われわれはそんなことは要求しませんよ。国税庁長官はかぜ引きだからしかたがないが、しからば直税部長が来なければ困る。主査、これはひとつやはり御注意願います。  そこで、そういった場合に、税務署長に権限をまかしたというけれども、どういうことをやっているか。これを言ったって、主税局長じゃどうしようもないが、与党でありますから、それは御注意を申し上げて次へ進みますが、これは税務署長に白紙委任だといったって、この連中は、同族会社は行為、計算否認はできるんだぞと言ったって、中身は知らないのですから、あんた、何か言ったってそれはやられるんだよというようなことを言われたら、びっくりしちゃって、とにかくなるたけ税金が少なくなればありがたいかなというような話が、民商をばっこせしめる根本になっておるのです。  ですから、法理論的にいえばこういうことになるんですね。租税法律主義というのがございます。この租税法律主義に基づいて、課税要件等法定主義の原則があるはずです。それによって、納税義務者、課税物件、課税標準、税率、納付、徴収の手続などにつき、法律によってできるだけ詳細に規定するのが原則とされておるはずです。  第二には、税務行政の合法律性の原則が定説となっておりますから、これに基づけば、税法に従って厳格に租税の賦課徴収をすべきであります。これを裏づけるものは、御承知のように、憲法三十条の納税の義務、「法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」八十四条の課税で、法律または法律の定める条件によって租税を課せられるという憲法の原則からこれが出ております。これが理論根拠です。  しかるに、問題点は、いかなる行為または計算が、いかなる基準で否認され、その結果いかなる課税がなされるか、行為、計算も、基準も課税も、具体的に記載のない法律なんですね。ですから、これはどうも封建的、官僚的色彩が濃厚である。これは見直すべき時期が来たのでなかろうか、こういうのであります。そして、こういうようなものであるために、国民の租税負担義務の発生は、税務署長の裁量に白紙委任的にゆだねられておる。法的安定性を害しておるのだ。つまり、発生すべき税法上の権利義務関係予測がつかないために、納税者の地位がきわめて不安定である。いわゆる、法的安定性を阻害するということは、税法を見直すときの大きな根本指針だと思うのです。  この問題がございますので、言うなれば、国税の不服審判所があるではないかという説があるかもしれませんけれども、これは事後救済にすぎないわけです。ですから、その他の法律では全部あとでやることはないので、民法でも刑法でもストップはかけられるのですよ。刑の執行がないのです。こういうような点が、非常に重要であろうと思います。  私は、結論を答えていただく時間がないようでありますから、結論を急ぎますが、要するに、そういう主張の上から、やはりこの際、いかなる要件で、いかなる行為が否認され、その結果どのように課税をするか、具体的に規定をされるようになさっていただいて、同族会社なんということばを抜いてしまうべきです。九六・五%なんですからね。あと三・五%が残るだけだから、同族会社なんて言わないで、会社はでけっこうだ。会社はでけっこうで、ことごとく証拠で立論をすべきである。税の負担を不当に減少する結果を招来するとするならば、その証拠を示されて、そして証拠主義によって課税を具体的にされるべきである、こういうふうにすべきです。  私は、それで現行法を云々だけしておるわけにいきません。私は、この新しき時代において、この民主社会に変化された時代において、「法人税基本通達の制定について」という前書きを、私は高く評価しておりますから、大臣にもその意味合いにおいてはお願いをし、御期待を申し上げても、それは御理解がいただけると信じてこの発言を続けておるのです。ですから、「法人税基本通達」をやっていただくなら、民主的な税制であり、国民全体のために必要のあるお金を使うために出していただくお金だから、快く協力をしてもらいたいということが、これを読むとわれわれは理解できるので、最後にこれをちょっと、この部分はよかったと思うことを申し述べさせていただきます。  それは、その一部だけでありますが、「通達の個々の規定が適正な企業会計慣行を尊重しつつ、個別的事情に即した」この「個別的事情に即した」がたいへんいいことだと私は思う。「弾力的な課税処理を行なうための基準となるよう配慮した。」こういうのです。たいへんいいことだと思います。あとは中略しますが、「従ってこの通達の運用に当たっては、法令の規定の趣旨、制度の背景のみならず、条理、社会通念をも勘案しつつ、個々の具体的事案に妥当する処理を図るよう努められたい。いやしくも通達の規定中の部分的字句について形式的解釈に固執し、全体の趣旨から逸脱した運用を行なったり、通達中に例示がないとか通達に規定されていないとかの理由だけで、法令の規定の趣旨や社会通念等に即しない解釈におちいったりすることのないように留意されたい。」と結んでおられるこの通達は、近来にない、非常に実情に合った、国民の協力が得られるに違いないと思う行政府の意思表示であると思って、高く評価を申し上げます。  どうか、この評価以上に、ただいまの同族会社を、ただ法人と読みかえることに対して、政府は前進のお気持ちがおありになるかどうか、大臣からお答えをいただきたいと思います。
  305. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 ただいま大野委員の御指摘の点につきましては、大筋において私ども、特に異論を差しはさむところはないわけでございます。現行の法人税法が、全文改正がございました際に先立ちまして、税制調査会におきましてもいろいろ審議を願ったのでございますが、その税制調査会の審議の過程におきましても、いま大野委員が御指摘になりましたように、租税回避行為の否認規定は必要であるが、その否認の対象を、同族会社のした行為または計算のみに限定する理由に乏しいと認められるという答申がございました。  それで、現行法を昭和四十年に書き改めます際に、大正時代からの規定を引き継ぐのでなくて、何か別の表現をとるべきではないかということを、いろいろ検討したそうでございますが、さて、具体的にどういう文言にしたらいいかということについて名案が浮かびませんうちに、作業の締め切り日が来てしまったということで、何カ条かそういう点があるのでございますが、せっかくこういう答申をいただきながら、それによらずして、実は前からあった、大正時代からずっと伝え伝えてきた規定を、そのまま引き継いだ部分がございました。この百三十二条もその部分でございます。  したがいまして、現在では、この条文を読みますと、あたかも同族会社だけについてこの種の行為、または計算の否認を行なっているようでございますけれども、実はそうではなくて、非同族会社についても同種同様の行為については、否認を実際行なっておるのでございますけれども、そのことにつきましては、法律に書かれております前のといいますか、背景になっております、これは税の学者の間でも認められ、裁判所でも認められている考え方でございますが、実質課税の原則という考え方に立って、非同族会社についても同様の否認は行なわれておる。しかし、あたかも百三十二条は同族会社と非同族会社を区別したごとき表現になっておりますので、それは実は実態に合っておりませんし、先ほど来詳細にお話がありましたような印象を、一般に与える規定でございますので、立法政策論としては、何らかの機会にこれを直さなければならぬというふうに、かねがね考えているところではございます。  ただ、これを具体的にどういう文言にしたならば、一番よく当てはまるだろうかということについて、なかなかうまい表現方法が見つからないということのために、こうなっているのでございまして、当時も相当大ぜいの人間が滞りまして精力的にやって、なおかつうまくいかなかった点でございますので、いずれかの機会には何とかしたいと思っておりますけれども、そしてその方向は、御趣旨のように、同族たると非同族たるとを問わず、たとえば、かくかくのような行為の場合にはそれは否認をいたしますと、そこのところはできる限り明確にする。しかし、租税回避行為でございますので、初めから表現をすることが非常にむずかしいということがあって、表現ができなかったという経緯でございます。御趣旨は、その意味で非常によくわかりますので、今後とも、私どもとしてはいずれかの機会に、いずれかの方法で、御趣旨に沿うような方向に直すべく努力をいたしたいと考えます。
  306. 大野市郎

    大野(市)分科員 大臣からひとつ……。
  307. 福田赳夫

    福田国務大臣 同族会社の行為、計算否認問題ですね。これは大野さんからかねがね承っておるわけなんですが、きょうは系統的、組織的に承りまして、大野さんの御所論はよくわかりました。いま、主税局長もたいへん気に病んでおるという話でございますが、なおこの上とも検討いたしまして結論を得たい、かように存じます。
  308. 大野市郎

    大野(市)分科員 ありがとうございました。
  309. 藤井勝志

    藤井主査 湯山男君。
  310. 湯山勇

    湯山分科員 私は、インフレというのは、当然貨幣価値の低下、そのことは貨幣の増発といいますか、そういうことにつながってまいると思います。そこで、当然そういう狭い意味の通貨の立場から、このインフレというものの実線を明らかにするということが必要であったと思っておったのですけれども、その機会がございませんでしたので、短い時間ですけれども、若干お尋ねいたしたいと思います。  端的に言って、通貨の膨張を押えていく、これは非常に総合的な、広範な政策が必要ですけれども大蔵省としてはもっと狭い意味で、端的に通貨の膨張を押えていく、押えるように政策を進めていくという面が、またあっていいだろうと思います。それについてはどういうふうなことをお考えになっておられるか、まず承りたいと思います。
  311. 福田赳夫

    福田国務大臣 私どもは、インフレ、物価高、これの抑制、これをいま経済政策運営のかなめと、かように考えておるわけなんです。そのためには、現在の経済情勢からしますと、総需要抑制政策をとるほかはない。こういうことで財政は緊縮、また金融はこれを抑制、こういう二つの大柱を中心に進める、こういう考えなんです。  その効果というものが、いろんな指標で出てくるわけなんです。物価指数という問題にもつながってくる、あるいは日本銀行券、これの発行高、こういう問題にも効果として予測すべきものが出てくる。こまかくなれば、設備投資の計数だとかあるいは百貨店の売り上げでありますとか、いろいろそういう指標があるわけですが、とにかく、総合的な大きな目安といたしましてはやはり物価でしょうね。それから日本銀行券というようなところじゃなかろうか、かように考えております。
  312. 湯山勇

    湯山分科員 そこで、日本銀行券の発行高の問題ですけれども、これで見ますと、大体対前年比二〇%以上の増になったというのは、池田内閣の所得倍増政策を打ち出した昭和三十六年、このときが対前年比二二・九%、あとは、昭和三十年から四十七年までは対前年比、いずれも日銀券の発行高は二〇%以下です。ところが、四十八年になりますと、四十七年比二六・九%の増になっております。さらに月別に見ましても、昭和四十八年は、これは前年同期比ですが、四十八年の一月から十二月まで、いずれも二五%以上の発行高の増になっております。この調子でいくと、これはたいへんじゃないか。  先日、日銀総裁が、大臣もお出になられたのじゃないかと思うのですけれども、八日の経済関係閣僚協議会で、三月に入ってからは、幾らか発行高が減ってきている。うまくいけば一九%台に三月はいくのじゃないかというようなことを述べられたということが、新聞で伝えられております。それにしても、一九%にしてもやはりたいへんな問題なので、どうしてもあらゆる方法を講じて、発行高を押えていくという御努力を願わなければ、ひょっとすると、国民の中には、あの第一次大戦後のドイツマルクのようなことになりはしないかというようなことさえ心配している向きもあります。  そこで、二月には、ずいぶん発行高が大きくなったときもあるようで、八兆をこえたときもあると聞いておりますが、そういう事態がございましたか。
  313. 米山武政

    ○米山説明員 お答えします。  二月につきましては、こえたところは、二月の終わり、月末は、どうしてもこれは決済需要が高まりますので、二月の二十七日と二十八日の二日、八兆をこえております。二十七日は八兆三千二百三十九億円、二十八日には八兆四十五百二十六億円となっております。
  314. 湯山勇

    湯山分科員 そこで、こんなになってまいりますと、現在の日銀の発行限度額は七兆九千億、四十八年度の年間平均が七兆二百二十八億と、こうなっておりますから、現在制度的には、十五日に限って限度額をこえての発行も認められることにはなっておりますけれども、もういまの七兆九千億というこの限度額では、かりに一三%に押えられても、やっぱりこれは大体こえるという状態なので、この発行限度額を変更するという必要が、やむを得ずくるのじゃないかというように思いますが、これは、大臣から御答弁いた、だくのですか、局長ですか。
  315. 米山武政

    ○米山説明員 御承知のように、銀行券の発行限度をきめる際には、年末の季節的な非常に増加する時期とか、あるいは月末の決済の非常に高くなるとき、こうした時期を除きまして平均的の数字を出しまして、これを大体こえないというところで限度額をきめているわけでございます。  現在の七兆九千億は、昨年の十一月九日の閣議で決定されたわけでございますが、これは、いま申した特別な異常の時期、あるいは月末の決済が集中する時期、こういうときを除きますと、大体この範囲でおさまるということで、向こう一年間の発行限度として設定されたわけでございまして、現在のところ、たとえば一月、二月等の情勢を見ますと、月末に一時こえることはございますが、大体、従来と同じようなペースで、この範囲内でおさまるという状況でございます。
  316. 湯山勇

    湯山分科員 大体これは、発行高がどれくらい伸びることを予想しておるわけですか。
  317. 米山武政

    ○米山説明員 これは限度額の改定率でございますが、昨年までの限度額、十一月の限度額は六兆七千億でございましたが、これを七兆九千億に直しまして、この限度額の改定率は一七・九%ほどでございまして、従来の改定率のほぼ平均並みになっております。
  318. 湯山勇

    湯山分科員 そこに問題があるのじゃないかと思うのです。これでいつまでもつかわかりませんけれども、いまのような状態ですと、大体二〇%こえて平均して毎月ふえていく。そうすると、いまの一七・幾らというのではもう途中でパンクする、こういうことになる理屈になりますよね。そこで、一年待たないで改定するということになりはしないかということですが、それはどういうことですか。
  319. 米山武政

    ○米山説明員 現在、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、非常に日本銀行券の増勢が落ちついてきております。したがいまして、一月、二月の限外発行等の情勢は、去年あるいはおととしあたりと比較しましても、特別に限外発行の日が多いということではございません。したがいまして、私どもは、このままの情勢が続きますと、向こう一年見込んだ見込みが、そう大きく狂うというふうには考えておりません。
  320. 湯山勇

    湯山分科員 大蔵大臣は、短期決戦で物価をやるということをしょっちゅう、言っておられるのですけれども、私は、これではたして一年もつかどうか、かなりそのための手を打たなければ、一年もたないのじゃないかという感じを持っております。このことは、いろいろこまかい資料も要りますし、短時間で論議することはむずかしいと思いますけれども、ほんとうにこれでもつようにするのにはどうすればいいか。  それから、さっきいろいろお話がございました総合政策でも、しかし特に端的に、これはあぶないというようになった場合は、やはり改定されますか。
  321. 福田赳夫

    福田国務大臣 日本銀行券の発行限度というものは、大体年間の経済の動きを見通しまして、これくらい一年間妥当であろうということなんで、多少それを上回ることがあっても、別に支障があるという状態ではないのですが、まとめて一年に一回これを改定するというふうな慣行になっておりますので、今後もそうしたい。途中で、見通しより多少増勢が強くなったというような際においても、それを変更するというようなことはいたさないで、むしろ最終のゴールが七兆九千億、これの中におさまるように、それまでの過程における動きを見つつ最善の努力をする、こういうことです。
  322. 湯山勇

    湯山分科員 四十八年度に比べて、平均しまして一三%こえるとむずかしいと思います。というのは、これは十五日以内はこえることを認められていますから、大体十五日は下回り、十五日上回れば平均のところへいくわけだ、大ざっぱな計算ですが。そこで、これはよほど気をつけて運用してもらうということ、その点はそういうことです。  次に、通貨の種類と、それから様式は、大蔵大臣がきめることになっております。通貨の中で、一万円札の占めるウエートがかなり大きくなってまいりました。そこで、種類をかえるといえば、最高限度の一万円札の上をこしらえるしかないと思います。  私は、このことをお尋ねする前に、私の考えを申し上げますならば、現在使用されておる通貨よりも高額なものは、いまの段階では出すべきじゃない。出すならば――出すならばじゃなくて、むしろ端的に言えば、二万円札とか五万円札というものは出すべきじゃないという考えを持っておりますが、大蔵大臣のお考えはいかがでしょうか。
  323. 福田赳夫

    福田国務大臣 私もそう思います。いま、一万円札が一番大きなお札でございますが、それ以上の札を出すという考えは持ちませんし、出すこともいたしませんです。
  324. 湯山勇

    湯山分科員 非常に明確なお答えで、まあ安心したわけです。  そこで、時間もあまりありませんから、いまの論議はまた別の機会にやらしていただくことにして、ついでに、こまかい問題ですけれども、現在の一万円札は、コストはどれぐらいについておるのでしょうか。
  325. 上月重雄

    ○上月説明員 現在の一万円札は、大体十三円ちょっとでございます。コストはそれくらいでございます。
  326. 湯山勇

    湯山分科員 いただいた資料では、四十八年度が十三円十六銭幾ら、四十九年度は十三円六十五銭と、四%ばかり上がっておりますね。
  327. 上月重雄

    ○上月説明員 まだ、日本銀行と最終的に確定はいたしておりませんけれども、おっしゃいましたように、四%弱四十八年度よりも値上げをしてもらうということにいたしております。
  328. 湯山勇

    湯山分科員 四十四年度以降ずっと、一枚について大体十二円台、それから今年度、四十八年度初めて四%ばかり上がって、来年も四%ばかり上がる。物価に比べると、この一万円札の製造原価といいますか、単価が、たいへん上がり方が少ない。これは非常にいいことではあると思いますけれども、どうしてこんなに上がらないのでしょうか。というのは、私が懸念するのは、これは紙幣ですから適用にはならないけれども、やはり質が落ちているのではないか。グレシャムズローはここには適用されますまいけれども、紙幣の質が落ちて、こういう価格を維持しているのではないかという感じがいたしますが、どうなんでしょうか。
  329. 上月重雄

    ○上月説明員 お答え申し上げます。  おっしゃいましたように、日本銀行券の日本銀行に対するわれわれ印刷局からの納入価格というものは、ここ十年来上がっておりませんで、むしろ下がる年もあったわけであります。四十八年、四十九年と久しぶりに値上げをしてもらったわけでございますが、それを可能ならしめましたものは、何と申しましても、日本銀行からわれわれのほうへの発注量、製造量、これが飛躍的にふえております。昭和三十八年と十年後の四十八年を比べてみますと、当時十三億二千五百万枚でございましたものが、二十四億三千万枚と二倍近くにふえております。特に、いま十三円というお話のございました一万円札は、六千万枚から五億五千万枚と九倍にもふえております。  かような、大量生産が可能になりましたのに伴いまして、私ども、機械の近代化でありますとか、作業手法の改善とか、いわゆる企業努力を続けてまいりました結果、コストの上昇と値上げを防ぐことができた、かように考えております。
  330. 湯山勇

    湯山分科員 いまお話しのように、三十八年度に比べますと四十八年度は、十倍以上が見込まれているという状態です。一万円札に関する限りは十倍以上にもなっているということで、こういう面からも、さっきの問題は、少し切り込みたい面もあったのですけれども、それは、きょうは省くことにいたします。  ミツマタの混入率ですね、これは言っていただいていいんでしょうか、言わぬほうがいいんですか。言わぬほうがよければ、大体これにある、四十四年度あたりに比べて今年度、来年度あたりはどれぐらい減るという、それだけでもけっこうです。
  331. 上月重雄

    ○上月説明員 まことに申しわけないのでございますけれども日本銀行券には、いまのミツマタでありますとか、そのほかマニラ麻その他の原料を使っておりますけれども、それの具体的な配合の割合につきましては、偽造防止の見地から発表いたさないということになっておりますので、御了承いただきたいと思うのでございますが、ミツマタの配合割合は、おっしゃいましたように、昔に比べますと減っております。減らさざるを得ない状態になっております。
  332. 湯山勇

    湯山分科員 そこで、よく考えてみると、エネルギーも外国依存、それから食糧も、実際半分ぐらいは外国に依存、それから、いまのミツマタまでがだんだん少なくなってくると、日銀券の原料もほとんどこれ外国依存、まことにどうも残念なことだし、情けないことじゃないかというように思います。  そこでこれは、どこがどうなったらということはいろいろありますけれども、私は、ミツマタの増産についてもっと力を入れてもらいたい。やっぱり、多少コストが上がることはいいんじゃないか。これだけ押えてきて、どんどん二けたで物価が上がっているときに、まだ一けたも低いほうですから、しかも、去年からやっとということですから、少し日銀に奮発してもらって、そしてそれでもってミツマタの増産対策を講じないと、いまいただいた資料のようにどんどん減っておりますと、たとえば、昭和三十八年当時の五分の一程度しか買い入れが行なわれておりません。こういういまの傾向でいきますと、しまいには、日銀券の原料としてミツマタは使えなくなる、なくなってしまうことになるのじゃないかということを心配するのですが、そういう心配は全然ありませんか。
  333. 上月重雄

    ○上月説明員 ミツマタがお札の原料としてたいへんに適しており、細くてしなやかでございまして、これは申すまでもないわけでございます。これが合理的な値段で可能なだけ、ほしいだけ入手できるのであれば、昔と同じように大量に使い続け得たと思うのでございますが、ミツマタ産地の事情によりまして、生産量というものが年々減ってきております。それに対しまして、民間需要というのは、西陣の金糸とか銀糸とか、なかなか需要が旺盛でございまして、民間需要は減りません。私どもといたしましても、民間需要を圧迫することはしたくない。したがいまして、減ります供給量から、横ばいの民間需要を引きました残りをいただく、こういう方針であります。ただし、ミツマタの使用量が減りましても、日本銀行要求いたしますお札の強度というものは絶対に落とさない、こういう技術研究を重ねてきておりまするので、ミツマタを減らしながらも優秀なお札をつくり続けてきておる、かように自負をいたしております。  増産の問題は、産地の事情、特に労働力の問題を考えますると、容易なことではないと考えられますので、私どもといたしましては、今後も、供給量から民間需要を引きました残りの買えるものは買っていく、その量でもってお札の強度、日本銀行要求は十分に満たしていくように今後ともやっていく、かような方針でおる次第でございます。
  334. 湯山勇

    湯山分科員 日銀券の需要はどんどんふえて、いまのように伸びていきます。ミツマタのほうはどんどん、どんどん減っていっておる。いまのままの傾向でいくと、どこかでミツマタは使えないというときが来るんじゃないですか。
  335. 上月重雄

    ○上月説明員 ミツマタ産地の事情によりましては、あるいは将来そういう事態が来るかもしれないということは十分に覚悟した上で、私どもは技術研究をやっております。しかしながら、印刷局ができました最初から、明治十年からミツマタというものを使い続けてきておるわけでございます。できるものであれば、たとえ細くてもいいから長くミツマタとのおつき合いは続けていきたい、かように考えております。
  336. 湯山勇

    湯山分科員 繊維が細くて長いから、そういうこともいいと思うのですけれども、私は、やはりこれがなくなると、日本の日銀券の原料はみんな外国もの、一〇〇%外国ものというようなことになることを心配しているのです。ミツマタが入るということが日本の特徴であって、偽造がしにくいなどいろいろあるわけです。アメリカのには、やはりアメリカ産の綿が入っておるそうです。ですから、ぜひひとつそのミツマタを今後増産さして、山村振興のためにもぜひやらなきゃならぬことですから、いまのように、おいおい細りで心細い、しかも長いのではなくて、やはりある程度安心できるようにぜひひとつがんばっていただく。そんなに金の要るものじゃありません。かりに、現在の買い上げ価格を三〇%や四〇%上げましても、額がわずかですから、そんなに響くもんじゃないんです。ぜひひとつそうしてもらいたい。  それから、それにはいまのは人手がかかります。手間がかかる。手間がかかるから引き合わないという点もございますので、やり方もひとつ改善していただく。これは大蔵大臣は覚えておるかどうか存じませんけれども、前に大蔵大臣をしておられたときに、高知県へ皮はぎ機械というのをテストのためにつくるというので、私もお願いに上がって、五十万円出していただきました。これは補助の中で一番最低、最小額の補助だというので、快く大蔵大臣に出していただいたことがありました。あれは、せっかく出していただいたのにうまくいかなくてたいへん残念でしたけれども、やはりもう少し大きい規模の作業所をつくって、そこではがないのを購入して、手間賃を払ってちゃんと調製するというようなことも考えていただいていいんじゃないか。そうすれば、私はかなりまだまだ出る余地があるというように思います。  えらい大政策から小さい政策にいって恐縮なんですが、前からのいきさつもありますので、大蔵大臣、いかがでしょうか。ひとつミツマタをもっとほんとうに力を入れて増産さして、やはり日本の日銀券には、いつまでもミツマタが残っていくというような体制をつくっていただくということの、お約束はしていただけないでしょうか。
  337. 福田赳夫

    福田国務大臣 ミツマタにつきましては、私もかねがね関心を持っておるのです。何とかしてミツマタ農民を維持したい、こういうふうに思っておりますが、何せ、だんだん自然現象としまして過疎化をする。したがって、ミツマタの生産が減るというのが現状なんです。そういう現状に対しまして、いい方法がありましたら、ひとつ何とか考えまして、それでひとつミツマタ農民の維持というか、あるいは増産といいますか、そういうことを私も心がけてみます。
  338. 湯山勇

    湯山分科員 特に、昨年あたりは、民間需要のほうが一万円ぐらい高い。局納、つまり大蔵省のほうでお賢いになるのが三万円あまりで、民間のほうは四万、五万までいきました。さっきお話しのように、金糸とか銀糸とかのしんに入れるそれらも、何か承りますと、こういう経済情勢ですから、必ずしも昨年ほどの需要があるかどうか、民需のほうも問題だそうです。ただ、むちゃくちゃなそういう五万とか六万とかいうのと対抗せよというのではありませんけれども、しかし、通常で一万も開いたら、とてもじゃないが、幾らあったって帰納は逃げてしまいますから、その辺、あまり無理をしないで、出先の職員の人がそういうのと対抗して無理していますから、そう無理をしなくても買えるような値段にだけはしてもらいたい。これはいつおきめになるのですか。
  339. 上月重雄

    ○上月説明員 例年ですと、三月から四月にかけてきめております。これから、まさに値ぎめ交渉に入るところでございます。
  340. 湯山勇

    湯山分科員 たいへんしつこいようですけれども、実は昨年は、葉たばこの買い入れ価格も一度ならず二度にわたって引き上げがありました。これは御存じですね。それから、米価もかなり大幅な引き上げがありました。ミツマタも、たばこがそうならもう一ぺん途中で引き上げてもらおうかという話もないではなかったんですけれども、どうせことしの四月には改定になるのだからというので、しんぼうしたというような経緯もありますから、それも踏まえていただいて、今度はひとつ、これならいいなと思うような値段をぜひきめていただきたいと思います。これはもうお願いでとどめます。大蔵大臣から、いまのような御答弁いただいておりますから。  先ほどの通貨政策インフレの問題は、私自身もたいへんまだ不十分で、もっと大蔵大臣の権威あるいろいろなお話を承りたい問題でしたけれども、別な機会にいたしまして、きょうは、これで終わることにいたします。
  341. 藤井勝志

    藤井主査 以上で、大蔵省所管の質疑は終了いたしました。  これにて、外務省、大蔵省及び文部省所管に対する質疑は全部終了いたしました。     ―――――――――――――
  342. 藤井勝志

    藤井主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十九年度一般会計予算昭和四十九年度特別会計予算及び昭和四十九年度政府関係機関予算中外務省、大蔵省及び文部省所管に対する討論採決は、先例によりまして、予算委員会に譲ることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  343. 藤井勝志

    藤井主査 御異議なしと認め、さように決しました。  これにて第二分科会の議事はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位におかれましては、長時間にわたり熱心なる御審議と格段の御協力を賜わり、本分科会の議事が円滑に終了いたしましたことを深く感謝いたします。  これにて散会いたします。     午後四時四十二分散会