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1974-03-08 第72回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月八日(金曜日)    午前十時三分開議  出席分科員    主査 藤井 勝志君       井原 岸高君    奥田 敬和君       黒金 泰美君    田中 龍夫君       安宅 常彦君    大原  亨君       佐藤 敬治君    柴田 健治君       村山 喜一君    中川利三郎君    兼務 中村 弘海君 兼務 上原 康助君    兼務 大出  俊君 兼務 土井たか子君    兼務 中村 重光君 兼務 八木 一男君    兼務 紺野与次郎君 兼務 寺前  巖君    兼務 正森 成二君 兼務 鈴切 康雄君    兼務 高橋  繁君 兼務 山田 太郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 奥野 誠亮君  出席政府委員         青少年対策本部         次長      吉里 邦夫君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵大臣官房会         計課長     片山  充君         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         大蔵省主計局次         長       辻  敬一君         大蔵省主計局次         長       田中  敬君         大蔵省主税局長 高木 文雄君         大蔵省理財局次         長       井上 幸夫君         大蔵省証券局長 高橋 英明君         大蔵省銀行局長 吉田太郎一君         大蔵省国際金融         局長      松川 道哉君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部大臣官房会         計課長     三角 哲生君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         文部省社会教育         局長      今村 武俊君         文部省体育局長 澁谷 敬三君         文部省管理局長 安嶋  彌君         厚生省医務局次         長       宮嶋  剛君         厚生省児童家庭         局長      翁 久次郎君         林野庁林政部長 平松甲子雄君         通商産業省機械         情報産業局長  齋藤 太一君  分科員外出席者         国税庁間税部長 横井 正美君         厚生省児童家庭         局育成課長   北村 二郎君         建設省都市局都         市政策課長   豊蔵  一君 分科員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     斉藤 正男君   赤松  勇君     島本 虎三君   辻原 弘市君     大原  亨君   中川利三郎君     石母田 達君   安里積千代君     河村  勝君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     佐藤 敬治君   斉藤 正男君     安宅 常彦君   島本 虎三君     赤松  勇君   石母田 達君     土橋 一吉君   河村  勝君     小宮 武喜君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 敬治君     村山 喜一君   土橋 一吉君     中川利三郎君   小宮 武喜君     安里積千代君 同日  辞任         補欠選任   村山 喜一君     柴田 健治君 同日  辞任         補欠選任   柴田 健治君     辻原 弘市君 同日  第一分科員中村弘海君、大出俊君、正森成二  君、第三分科員上原康助君、土井たか子君、八  木一男君、紺野与次郎君、寺前巖君、高橋繁  君、山田太郎君、第四分科員中村重光君及び第  五分科員鈴切康雄君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算大蔵省及び文部  省所管  昭和四十九年度特別会計予算大蔵省及び文部  省所管  昭和四十九年度政府関係機関予算大蔵省所管      ————◇—————
  2. 藤井勝志

    藤井主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算及び昭和四十九年度特別会計予算文部省所管を議題といたします。  質疑の申し出がありますので順次これを許します。大原亨君。
  3. 大原亨

    大原分科員 所定の時間があるわけですが、私は、これから医療従事者教育、こういう問題を中心に質問をいたします。  文部大臣、あなたは何でもよく知っているのですが、医療従事者といえば何種類ぐらいあるか知っていますか。専門職としての医療従事者というのは、どのくらいあるか知っていますか。
  4. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 いま手元で私の承知できますのは、十三種類になっているようでございます。保健婦助産婦看護婦准看護婦診療放射線技師診療エックス線技師臨床検査技師衛生検査技師理学療法士作業療法士、視能訓練士歯科衛生士歯科技工士でございます。
  5. 大原亨

    大原分科員 それで、医師とか歯科医師、薬剤師というのは、どういうふうに考えるのですか。
  6. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 基本的な医療担当者であります。
  7. 大原亨

    大原分科員 いま健康保険審議を通じまして、医療供給面抜本改革ということが議論になっているわけですね。それで、その中で問題は、私は、前も議論したことがあるのですが、医療担当者を、国民医療需要に応じて医療保障機会均等をはかる、こういう観点でどのように安定的に供給するか、安定的に養成するか、こういう問題は非常に大きな問題ですね。  その中で、文部行政の中で一番でたらめなのは、昭和四十五年以来、私立の医科歯科大学を乱立してあと始末をしていない、若干のあと始末はしたかもしれないが。そういうことを、かつて私は文教委員会指摘をしたことがあるわけです。二千万円も三千万円も寄付金を取っておいて、そしてりっぱな医者ができるわけがないのです。医療改革ができるわけはないのです。しかも、それと一緒に、やはり医学や薬学や、医術の進歩に伴うて専門的な職能を持った医療担当者分化をしていくという傾向があるわけです。総合と分化ということが、やはり進歩発展一つの原則でありますが、しかしながら、そういう医療改革医療進歩に対応するような医療担当者養成がなされていない、こういうことです。逆にいうならば、厚生行政文部行政関係なしにそれぞれなされているのではないか、あるいは関係がきわめて不完全な形でなされておるのではないか。したがって、医療担当者教育について、きちっとした全体的な方針をきめないと、やはり日本医療供給改革はできない、こういうふうに考えますが、きょう初めてではないわけですから、かつては医者その他の問題については議論したわけですから、その問題について、文部大臣としてはどういうお考えを持っておられるか、お聞きをいたします。
  8. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 各医療担当者なり医療従事者なりの資格については、厚生省でおきめになっておるわけでございます。学校教育法学校養成する、それは文部省担当でございますけれども、反面また厚生省各種養成所を持っておられる、その間の連絡が必ずしも十分でない、これは御指摘のとおりだと思います。一般需要に合いますように、両者で十分な計画を立てて、それらの要請にこたえられますように、なお一そうの関係緊密化計画具体化努力しなければならないというふうに考えております。
  9. 大原亨

    大原分科員 たとえば看護婦の不足問題が非常に大きな問題になって、厚生省は本年度の予算ナースバンクとかあるいは病院内の保育所、こういうふうな問題で一部は問題を取り上げておるわけです。しかし、准看護婦とかインスタント看護婦養成をやりましても、その人を、たとえば中学校卒業者を対象にしてやりましても、高等学校卒業資格はとりたい、あるいはだれでも短大等においては、少なくともそれだけの教育を受けるのならば、資格を取りたい、そういう社会的な要求がそれぞれあるわけです。そういうことを通じて養成制度を、質を高めていかないと、その人の社会的な地位が上がらないというふうな、給与の格づけ等も社会的にあるわけです。あるいは政府方針の中にもあるわけです。  ですから、インスタント養成するという、あるいは前近代的な、徒弟的に養成するというふうな考え方ではなしに、やはり近代的な教育養成制度を確立して、そしてその地位をきちっとする、現在の人については再教育をする、こういう二本立てでこの医療担当者地位を高めていくことを通じて、安定的に確保していくということをやらないと、看護婦だけではないわけですが、看護婦問題一つをとってみても、その面から医療が崩壊するという現象にあるわけです。ですから、看護婦あるいは保健婦助産婦というふうな者も、それぞれの関連があっての養成制度ですから、ここには全部ありませんけれども、そういうことですから、そういうことについてのきちっとした考え方が、教育体系の中で位置づけられていないと、とても医療改革はできない。  そこで、看護婦養成については、学校教育体系の中で、どのように社会的な要請にこたえていく考えであるのか、これについて文部省の見解をお聞きしておきます。
  10. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 高等学校看護科、現在、首十四校になっているようでございます。さらに専攻科を置いているところもかなりあるわけでございます。同時に、また各医科大学大学医学部には、各種学校としての養成所を持っておるわけでございます。基本的には、厚生省所管になります養成所が一番たくさん養成されている、こう思います。もう今日では、九〇%まで高等学校に進んでいるわけでございますので、私は、やはりこの高等学校正規学校の系統を通ずる養成のほうに比重が移っていくべきものではなかろうかという考え方をしているわけでございます。これらの点につきましては、厚生省とさらに一そう、先ほど御指摘のありましたような緊密な連絡が必要になってくる、こう思っておるわけでございます。  同時にまた、技術の革新、技術高度化に伴いまして、高度な教育要請されるわけでございますので、各医科大学にあります各種学校を、準備の整ったところから医療技術短期大学にするという方針をとってまいってきているわけでございまして、四十二年に大阪に初めてつくりましてから、現在で四校でございますが、今回さらに新潟と信州の両大学に、医療技術短期大学を設置させてほしいということで、予算措置及び法案を提出させていただいているところでございます。今後も、この方法による充実強化を進めていきたいと思っております。
  11. 大原亨

    大原分科員 厚生省から、看護婦それから准看護婦について、各種学校と、それからいわゆる学校教育法による学校教育体系の中で養成しているいまの実態、これについてお答えいただきたい。
  12. 宮嶋剛

    宮嶋政府委員 お答え申し上げます。  看護婦につきまして、学校教育法関係大学でやっておりますものが全部で九校でございます。それから短期大学でやっておりますものが全部で十九校でございます。それで、その他学校教育法関係では、高等学校専攻科でやっておりますものが十九校ございます。  なお、全体としましての看護婦のこの学校ないし養成所各種学校でございますが、その全体の数が約六百でございます。ですから、学校教育法によります正規看護婦関係養成の状況、学校教育法によりますものの割合は、きわめて少のうございます。  なお、准看護婦につきましては、高等学校准看護婦コースがございますが、その高等学校准看護婦コースでわずかに百十六校、全体で准看護婦養成機関は約七百七十校ございますが、その中で高等学校関係では、いま申しました数字でやっております。以上でございます。
  13. 大原亨

    大原分科員 一たん制度がきまりますと、制度を動かすことは、いまの官僚政治の中ではなかなかできないわけです。というのは、権限の分配が行なわれますから、予算がくっついております。人間がくっついております。ですから、発想転換改革をしようと思ってやりましても、いまの官僚システムでは、一人が考えただけではできないわけです。これは、いまの日本制度は全体がそうです。資源や食糧やいろいろな問題が国際的に起きておるときに、この発想転換をしようと思ったって、できないのが官僚政治です。もちろん官僚行政がきちっとしなければいかぬわけだが、政治ということになればおかしいわけだ。  厚生省は、やはり矛盾がわかっておっても、たとえば県立の病院とか国立大学付属病院看護婦養成している、各種学校養成している、その経営の中でやるという便利さも一部はあるけれども、しかしながら、それによって財政的な負担があるということも、これは当然のことであって、そして、そのことが医療改革をおくらしている、あるいは混乱さしている、あるいは財政的な負担を大きくしている、こういうことはいなめないわけです。ですから、各種学校で前近代的な徒弟的な形で、看護婦保健婦助産婦等あるいは二十に前後する医療担当者養成するということは、これは安定的に人材を供給して、その地位を高めながら、そして医療全体の質を向上していくということにならぬわけです。  私は、いつも言うのですが、医師とか歯科医師というものは、医療中心ではあるけれども頂点ではない。武見会長発言力が非常に強いから、そういうふうに見えるけれども、それは間違いだ。医療中心ではあるけれども頂点ではない。したがって、医療担当者地位向上するということは、医師にとっては一方ではいやなこともあるわけです。あるわけですけれども、しかし、それをやらなかったならば、日本医療改革はできない。それをやるためには、やはり医療担当者養成から考えていかなければならぬ。厚生省はそういう発想転換が必要である。厚生省が従来のしきたりにこだわっておって、それを固執するということではいけないと思う。文部省あるいは厚生省あるいは政府全体で、そういう医療改革の問題は大きな問題ですから、そういうふうに取り組むべきであると思うけれども厚生省は一体どういう考えを持っておるのか、お聞かせをいただきたい。
  14. 宮嶋剛

    宮嶋政府委員 まさに先生がおっしゃるような方向をとるべきであると私ども思っております。  先生、先ほどから看護婦の例をあげられますので、看護婦の例で申し上げますと、先生がおっしゃいますように、看護婦一般的な地位向上、学識を豊かにし、また、いい看護というものが国民医療の中でできるように教育水準を高めるという意味におきまして、学校教育法の中で今後養成ができていくという方向をとることは、私どももそういう方向でこれは進まなければいかぬと思っております。  なお、単に看護婦地位向上だけではございませんで、現実、私どもがいま一つの問題をかかえておりますのは、看護婦につきまして、実は看護婦養成の任に当たりますいわゆる看護教員、こういう者がきわめて不足しております。このことが、ひいては看護婦養成内容を低からしめ、あるいはまた看護に対する一般的な魅力を失わせるもとになっておりまして、私ども、いま看護婦養成の任に当たります教員確保のためにも、大学がもっとふえ、あるいはまた、もっと端的に申しますれば、現在の養成所を出ました者が、途中から大学に入れるというかっこうだけでもとれるということになりますならば、さらに将来いろいろな勉強ができ、いい指導者ができてくるというふうなことも考えております。  以上のようなことにつきまして、実は昨年の秋、わが省では関係専門家を集めまして、看護制度改善検討会というものを持ったわけでございますが、その報告の中でも、特に看護教育のありようとしまして、いま私が申しましたようなそういうことを述べております。私ども、今後、文部省とも十分連携をとりまして、そういう方向で進むようにしたい、かように考えております。
  15. 大原亨

    大原分科員 この私のもらいました資料にもあるのですが、いま医療について強調されている点は、予防健康管理もさることながら、病気になった人のリハビリテーション社会復帰の問題が非常に大きい。その場合には、いわゆる俗にOTPTというふうに簡略にいいますが、作業療法士理学療法士という人の仕事の分野というものは、身体障害者社会復帰あるいは老人医療の問題でも非常に大きい任務を持っておる。いま日本医療というのは、予防健康管理についても、非常に手抜かりがある、社会復帰についても非常に手抜かりがあって、治療をするウエートがやたらに大きくなって、そして一方では、保険財政が赤字になったり、あるいは人権問題等を起こすということになっておるわけです。作業療法士理学療法士重要性リハビリテーション重要性が非常に強調されておるのに、この養成については徒弟的な制度の域を出ない。こういうことでは、社会的な地位向上、待遇の改善もできないから定着できない、こういうことになるわけです。  したがって、そういう問題についても、この医療担当者教育として、もちろん他の衛生検査技師エックス線技師や、それから歯科衛生士その他すべてでありますけれども、そういう問題についても総合的に考えるべきであると思うが、厚生省いかがでしょうか。
  16. 宮嶋剛

    宮嶋政府委員 先生指摘のとおり、私ども、いまパラメディカルの中でどの職種も人が不足し、また教育水準向上をするという必要性緊要性に迫られておりますけれども、なかんずく、先生いま御指摘OTPTにつきましては、わが国におきますリハビリテーション医療の進みぐあいが、諸外国に比べておそかったこともございますけれども、今日のこのニードに対しまして、OTPTの絶対数がきわめて不足いたしております。OTが約四百人、PTが千五百人、両方合わせて二千人に足らない専門家の現状でございまして、これではどうにもならない。私ども、実はいま早急に、国民リハビリに対するニードを満たすために、養成施設をもっとふやしたいと思っておりますけれども、そのとき、特に関係者の間から声が強うございますのは、養成所では困る、大学にしてくれ、あるいは短大でやれ、もっといい教育をやって、もっとこの職場に魅力を持たせろ、地位向上をはかって、多くの人がOTPTになることを望むというふうにしてくれ、また同時に、今日のリハビリ技術は、諸外国を見ましても、相当高度の水準に達しておりますから、また国民も、それを求めておるから、もっと教育内容のしっかりした、学校教育法に基づく大学ないしは短大にしてくれ、特にOTPT関係者からは大学設置の声が強いわけでございます。  そういうことを、私どももしかと知っておりまして、これは文部省とも十分連携をとりながら、今後の方向といたしまして、大学教育というものが、OTPT分野で根づきますように、今後とも努力をしたいと思っております。
  17. 大原亨

    大原分科員 文部大臣いまお聞きのように、作業療法士とか理学療法士という、リハビリテーションで非常に中心的な専門的な技術者、言うならば、これは技術者なんです、非常に高度な。これは、よほどの経験と知識がなければいかぬわけてすけれども、そういう人々の養成——いま二千名しかいない。社会的な需要に対しては、近代的な医療に対しましては、全然対応していないわけです。  だから、文部省は、そういうことは局長ども知らないんだろうと思う、全然実態は。日教組対策とかなんとかいうことじゃ熱心だけれども文部省は、こういう一番大切なことについて、何をやるべきかということについて、もう少ししっかり受け入れ体制をとるなり、厚生省と協議をすべきだと思うのです。文部省のほうでは、そういう医療担当者養成する短期大学、少なくとも二年、それは三年があってもよろしいし、四年があってもよろしいわけです。さらに必要ならば五年があってもよろしいわけです。医師歯科医師はまだまだ長いですから……。ですから、少なくとも高等学校卒業の上に短大を最低にしまして、そして職能教育をやっていくということでなければいけない。それから、現在いる人の再教育についても、やはりこれが一つ基礎になるわけですから、近代的な教育の中で再教育体制をとっていく。そして、いま話がありましたように、教師の養成計画的にやる。こういうことを文部省は、もう少し積極的に話し合って、そして、これから公害、環境の問題がたくさんあるわけですから、そういう国民の健康や医療の問題について、学校教育はどのような任務を果たすべきかということについての長期計画が必要だ。  というのは、経済社会基本計画という四十八年から発足いたしておる政府計画があるのですが、その中には、医療改革を含めて社会保障の五カ年計画を提起しておるのです。去年は福祉元年といったのですが、ことしはインフレで吹っ飛んで、福祉元年があって福祉二年がないわけですが、その五カ年計画をやる場合には、医療担当者はどういうように養成するか、さらに、これを重ねてどういうようにやっていくか、こういうことで資源分配を、国全体としても考える必要があるわけです。先取りをしていく必要があるわけです。  ですから、そういうことについて、医療担当者養成供給について、学校教育の近代的なそういう養成分野において何を果たすか、こういうことを、社会保障の五カ年計画の中でも考えるべきであると私は思います。文部大臣はどういうふうにお考えでありますか。
  18. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 お考えに私も全く同感でございます。厚生省でも、いまお話がございましたように、養成計画養成方法等についての審議会もお持ちのようでございますけれども文部省厚生省が一体になったそういうような機関のもとに、もっと充実した将来目標というものをはっきり立て、その目標に従って進んでいく具体的な計画を樹立したいものだ、かように考えるわけでございまして、今後、そういう気持ちでくふう努力をさしていただきたいと思います。
  19. 大原亨

    大原分科員 こういうふうに理解してよろしいですか。社会保障五カ年計画では、医療供給面が大きな課題です。所得保障医療それから社会福祉施設、大体三つの柱で五カ年計画をつくろうというように書いてある。われわれが議論したことを一部取り上げている。しかし実際には、社会保障五カ年計画はできてない。医療担当者養成の問題は、非常に行き詰まっておるということは事実ですから、文部省においても、供給面に対応する五カ年計画を、学校教育分野で立てて、積極的にこれについては推進をしていく、協力をしていく、こういうふうに考えてよろしいかどうか。
  20. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 厚生省で、いろいろ審議会も持っておられるようでございますし、また文部省担当者が、その審議会委員として参加もしているようでございますけれども、もう少し厚生省文部省を通じた、もっと広い立場でどういう目標に進んでいくのか、それに対しまして、どういう具体的な計画を持つのかという努力をさせていただきたい。厚生大臣厚生大臣としての意見をお持ちだろうと思います。お持ちだろうと思いますが、いまの大原さんのお考えを受けて、私なりに厚生大臣と一ぺん話し合ってみたい、こう思っている気持ちでお答えをさせていただきました。
  21. 大原亨

    大原分科員 時間も限られておりますが、医師歯科医師養成で、基礎医学を志望する学生がほとんどいなくなっているのです。そうすれば、医師歯科医師やあるいはパラメディカル養成のそういう基礎的な面について、やはり非常に大きな穴があくことになります。この傾向に対しては、文部省はどのような考え方で対処しているのですか。
  22. 木田宏

    ○木田政府委員 御指摘のとおり、基礎医学関係につきまして、教官の不足ということを私どもも感じておる。現実に、また基礎医学の教官の出身を見ておりますと、理学系の出身者で基礎医学関係担当する者が逐次ふえております。このことは、他の諸外国においてもいえることでございますから、必ずしもそういうことが悪いというわけではないと思いますけれども、しかし理学系の出身者に対して、適切な指導ができるような体制考えなければならないし、また基礎医学の教官に対して、志望者が来れるような待遇改善ということについても、考えていかなければならないというふうに思っております。臨床系のお医者さん等に対しまして、大幅な処遇の改善が行なわれまして、そうしたことの影響が、確かに基礎系教官に対する志望者の減少にも結びついているのではなかろうかというふうに考えまして、人事院当局に対しましては、基礎系の教官についても、同様に大幅な待遇改善をしてもらいたいという御要請もいたしておるところでございます。  また、今後の医科大学大学院のあり方等につきましても、いろいろと改善、くふうをしなければならぬというふうに考えておりまして、専門家関係者で、これからの医学教育大学院のあり方等で、そうした問題をいま鋭意検討していただいておるところでございます。
  23. 大原亨

    大原分科員 先般も阪大の不正入学が問題になったことがありますね。それから私立大学寄付金問題が問題になったわけですけれども、たくさん金がかかったり、それから医療の中で曲がった現象がありますと、やはり学生の志望もそれていくわけですね。これは当然の理屈なんですが、それは根本的な問題があるわけです。しかし、それにいたしましても、やはり基礎医学の面について、そのほうに進んでいく学生の志望者が激減しているというふうなことは、日本医学教育から見れば、致命的な一つの大きな問題である。  それともう一つは、そういう学者の卵や研究者の卵が少ないというだけでなしに、たとえば公衆衛生面で、自治体などで、奥野さんも御承知のとおりだろうと思うけれども、保健所や公衆衛生やそういう行政面で、医師歯科医師の出ていく面で非常に希望者が少ない。ほとんどそれがないために、壊滅状況になっておるところがある。それを中心にいたしまして、保健所の整理統合をやって、何とかつじつまを合わそうというふうな考え方もあって、保健行政が重要であるのに、中身というものが後退をしているという事情があるわけです。基礎医学の面とそれから公衆衛生等の面が非常におくれておるわけです。  そういう社会的な要請に対応する医学教育改革というものも考えなければならない。私立学校に対する公費の負担やあるいは研究費の増加も必要ですが、大学医学教育全体についても必要だし、あるいは育英資金の制度等についても政策的な裏づけが必要です。しかしながら、保健所とか公衆衛生の面に進んでいく医師の数が少ない、こういうことは、健康管理とか環境問題とか労働災害とか、そういう社会的な医学の問題が重要になってきている今日に逆行しているわけです。これについては文部省はどう考えておるか。
  24. 木田宏

    ○木田政府委員 四十八年度に成立を見ました筑波大学医学系等におきましては、いまのような問題は、医学の教官構成につきましても、かなり配意をいたしておりまして、社会医学関係の系列に充実した教官を入れる、そして学生の指導を強化するというような体制をとろうとしておるところであります。今後、医学教育基礎的な教官構成その他を考え直していく必要があるというので、いま鋭意その結論を急いでもらっておりますけれども、そういう際にも、社会医学系の教育内容というものを充実していかなければならないかと思います。現実に医師資格を持っている人ということになりますと、その医師資格を持った方々がどういう職場で働くかというのは、厚生省のほうで、医師の社会的な配置の問題としてお骨折りをいただかなければなりませんが、しかし養成の過程で、いままでの医学教育体制が社会医学系に対して十分対応できていないということは、私ども感じておりまして、今後の課題として一歩、一歩進めたいというふうに考えておるところでございます。
  25. 大原亨

    大原分科員 きょうは大蔵省を含め、皆さんがおられるところで私も一言、問題だけ言っておくのですが、私どもは、医療改革について、医療保障基本法というのをつくりまして、かなり抵抗もあるのですか、医療国営だなんといって、あられもないことを言いふらす連中もあるのだが、それは別にしまして、そういうわけくそのわからぬ議論は別にいたしまして、私がお医者さんと議論しているときに、社会党の考え方に、健康管理医という制度を置く、そして保健所単位に、診療所、開業医の皆さんが、一方では健康管理の仕事を分担する。いま学校医とか、いろいろいびつな形で、安い、ただみたいなことでやっているわけですが、健康管理任務をやらす。それは登録制にして家庭医的な、あるいは健康の総合相談を一部ではやる。それには固定報酬を導入する。開業医はもちろん診療行為はできる。二本立てで医療改革をしてはどうかという案を出しているわけです。  それに対して、こう言った人がおります。それは、日本では専門医、家庭医というふうに分けると、なかなか医師会の中もやかましいので、そこで健康管理医という専門医を、臨床はしない、しかし診断まではする、そういう健康管理医という、公衆衛生やそういう面も担当できるような、そういう専門医を養成してはどうか、それこそ専門医として養成計画の中でやってはどうかという意見が出されておりまして、私どもも、それは一つ制度として、現在ある診療所、開業医等を委嘱によってやっていくという考え方もあるけれども、固定報酬を導入して登録制でやっていくということもあるけれども、しかし健康管理医を制度としてつくっていく、それを養成していくということ、医学生になる志望者は多いわけですから、そういうことでやるべきだということを私ども考えておるわけです。  したがって、私は、そういう面等も含めて、社会医学の問題あるいは基礎医学の問題、それらの志望者の確保の問題、そして全体のパラメディカル教育体系の問題、そういう問題について、文部省厚生省と緊密な連絡をとって、そうして政府全体も大蔵省も、従来どおりの石頭でなしに、そういう体制の問題について十分に理解できる体制で総合政策を立てる、そういうことが必要であると思います。私はそういうふうに思いますが、文部大臣の所見を聞きたいと思います。
  26. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 健康管理医の問題、今日の公衆衛生行政の実態等からお考えになっているのじゃないかというふうに思うわけでございますが、一つのアイデアとしてたいへん貴重な御意見だと思います。私、専門的じゃございませんが、先ほど申し上げましたように、医療従事者を将来どう確保するか、どう養成するか、重要な問題でございます。そういう問題ともあわせまして、厚生省文部省とが十分な協議が行なえ得ますように、ひとつ努力をしてみたいと思います。
  27. 藤井勝志

    藤井主査 この際、土井たか子君の関連質問を許します。  なお、大原君の持ち時間内を厳守の上御発言願います。
  28. 土井たか子

    ○土井分科員 ただいまは医師医学者についての教育のあり方、養成のあり方についての御質問が続行されてきたわけでありますが、それとも関連が少しはございますが、私、いまから教育職員の免許のあり方について、ちょっとお尋ねをしたいのです。  いま全国の都府県の教育委員会の窓口に、中学校の教諭、高等学校の教諭の一級、二級普通免許状についての授与願い、これを申請されている時期でありますが、聞いてみますと、大学から一括して申請するのではなくて、大学生卒業して、二、三年たって、一人一人、個々に授与願いを窓口に持ってこられる方々がございます。そういう方々の中には、先般、教育職員免許法が一部改正をされて、それに従って施行規則が変わり、日本国憲法を履修しなくとも、単位を修得していなくても、今回は教諭に対しての免許状が申請できるし、免許状か受けられるからということで、私、持ってまいりましたと言われる方がかなりあるのです。私、調べてみたのですが、全般にわたって調べることは不可能でございますから、少し当たってみたのですが、東京都の教育委員会の窓口にすでにございます。兵庫県の場合は二十数件をすでにこえています。  そこで、文部大臣、お伺いしたいのですが、教育者たらんとする者、また現に教育者である人たちに対して、日本国憲法に対しての理解、あるいは日本国憲法に対して修得した中身について、体得したところの理解というものが不必要だというお考えでいらっしゃいますか。
  29. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 きのうもお答えをいたしましたように、日本国憲法というものは、やはり身についている、資格をとっているとっていないということよりも、身についているということが何よりも大切だ、こう思っております。
  30. 土井たか子

    ○土井分科員 ただしかし、それは、やはり身につけることのためには、学脅しなければ身につかないです。これは一人一人に対して当たって、教員になるのに日本国憲法に対して体得が十分になされているかどうかということを、一つ一つ調べて歩くわけにはいかないわけですから、これは、たいへんに便宜主義でありますけれども、教諭免許状を申請する際に、いままで一般教育科目という中に、日本国憲法二単位を修得することということが問題になってきたのじゃありませんか。それが省かれたということは、今度はもう端的に——実質的には変わりがないと、きのうも文部大臣はおっしゃいましたけれども、これは日本国憲法を事実修得しないでも、単位を履修しないでも、免許状の申請をすることができるわけですから、そういう点からいいますと、一々実地的に単位を修得しなくても——体得しているかどうかということは、大臣がはかって歩くわけにはいかないでしょう。したがいまして、こういう手続を経て、日本国憲法を履修していることということを認定していくのじゃありませんか。したがって、いま大臣かおっしゃったことは——いままでは、日本国憲法二単位を履修するということを義務づけて、そうして教員に対しての免許状を認めてきたということだと思うのですが、この辺はどうでございましょう。
  31. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 きのうもお答えをしたとおりでございまして、教員養成課程におきましては、当然、憲法の履修が行なわれる、また行なわれるようにしてもらいたいという文部省考え方には変わりはございません。  ただ、教員はいかにあるべきかということからのお尋ねでございますので、私は、そんな大学で何の科目をとったということよりも、一般的な教養として身についているか、ついていないかが一番大切ですよ、こういう意味でお答えさせていただいたわけであります。  私も大学で学んでまいりまして、大学の単位をとったから、とったということだけでたいへんりっぱな肉づけになっているかといいますと、必ずしもそうではございませんものですから、露骨なお答えをさせていただきまして、たいへん恐縮でございます。正直なことを申し上げますと、私はそんな気持ちを持っておる人間でございます。
  32. 土井たか子

    ○土井分科員 形式的なことにこだわるのは、私もいやなんですけれども、しかし、いままで、それでは何のために施行規則の中で、日本国憲法二単位を含むというのが、カッコつきにしろ、はっきり入っていたかという点などは無視できない問題なんですね。ここで昨日は、実際の問題としていろいろ具体的な変化が起こらない限りだいじょうぶだと思うと大臣はお答えになりましたし、実際問題として変化が起こった段階で、ひとつあらためて検討してみようともお答えになりました。  そこで、いま全国の都府県の教育委員会の窓口あたりに聞いてみると、いま、先ほど申し上げたような事実がもうすでにあるわけでございます。いままでは日本国憲法単位を履修していなかったことのために申請できなかった人が、今回はできるということで来ているわけでございますよ。この問題は何とかしなければならない。もうすでに申請をなしている方については、措置がとれないでしょう。先日の法律の改正に基づくといわれるあの施行規則によりまして、日本国憲法を履修しなくても申請できるわけでありますから、これはチェックできないと思うのです。  ただ、これからの問題として、ひとつ、この辺はっきりさせていただきたいのは、四十八年の十一月九日に、大学学術局長が全国の各国公私立大学長、それから各指定教員養成機関の長に対してお出しになりました通達がございますね。この通達の文書の中身は、なるほど各大学あてのような文面でございます。しかし、申請する先は大学ではございませんで、各都府県の教育委員会が窓口でございますから、したがいまして、教育委員会あてに、こういうことに対して、日本国憲法というものを修得することが大切だという趣旨の通達を、ぜひお出しになる必要があるのではないか、こういうことをお聞きしたいわけですが、どうでしょう。
  33. 木田宏

    ○木田政府委員 御指摘のように、十一月九日の通達は大学長あてのものでございます。これを、教育委員会の関係者にも周知して悪いことはないのでございますが、免許事務の窓口におきましては、一般教育科目の履修というものを、免許状授与の要件にしないという法律改正が起こりました関係上、免許状の授与をいたします都道府県の教育委員会の窓口で、一般教育科目の履修内容そのものを授与の要件にするということはできなくなった次第でございます。  でございますから、私どもは、その免許の要件としてではなくて、大学を卒業するという一般的な卒業要件、学士としての資格をとらなければならない、その学士としての資格をとるのは、大学卒業としての一般教育科目を履修して、その教養を身につけるということでございますから、その際に、従来どおりに憲法の履修を指導するように、こういうふうに言ったわけでございます。免許事務は、免許法の規定に従いまして、所定の単位数をとっているかどうかということで、県の教育委員会の関係者が窓口で処理することになるのは当然のことかと考えます。
  34. 土井たか子

    ○土井分科員 いまのは、大学の単位についてどういうふうに履修していくか、それから従前どおりではなくて、今回は一般教育科目というふうな中身に対して弾力性を持たせて考えていこう、だから、単位を限定して考えるということのワクをはずすというところに御趣旨があるようでありますから、これは、そういうふうな意味での通達だというふうに私たちは理解するわけですね。  ただ、いま私が問題にしているのは、そんなことではないのです。教諭としての資格を取得することのための手続の上で、この日本国憲法というものが、教員たる者あるいはもう教諭としての資格を取得して教壇に立つ人たちに対していかに大事であるか、ひいては、将来の主権者たる国民教育の上で、日本国憲法というものをいかに重視なさっているかということを、一つは大事に考えたいと思っているんですよ。  だから、そういう点からいいますと、これは教育委員会の窓口で取り扱いなさる際に、一般教育科目の中に、カッコつきで、日本国憲法二単位を含むということに力点を置いていままで事務取り扱いをお進めになった点がはずされているわけですから、したがいまして——いま申請を持ってこられる方々の中に、大学の学士号はございます。大学を卒業なさった資格はある。しかしながら、日本国憲法というこの科目を履修していなかったことのために、いままで免許状を申請できなかった人たちが、いまできるということで持ってこられているという事実があるわけです。  したがいまして、そういう点からしますと、それは野放しにほっておいていい問題だとお考えですかということを、ひとつお尋ねしたいのです。
  35. 木田宏

    ○木田政府委員 教育職員免許法の規定によりまして、教育者としての資格をとるために、あるいは必要な教職に関する専門科目とかあるいは教科に関する専門科目についての履修要件を規定させていただいております。一般の教師になる資格をとるためには、教育者としての教科に関する専門科目、教職に関する専門科目のほかに、学士としての称号を有するという、大学としての教育という基礎単位を要求しておるわけでございまして、大学にありましては、その専門によっていろいろと一般教育科目のとり方も違うことがございますけれども、私どもが、これまで承知しておりますところでは、どの専門に進みます者も全部含めまして、八、九割の者が一般教育の課程の中で憲法の履修をいたしておるわけでございます。そして、いままで大学で、必要な教職専門科目等の、教員の免許資格をとるための勉強をいたした者につきましては、今日まで憲法もあわせて履修をしておるはずでございます。したがって、今後、一般教育の履修内容として、教職を志望する者については、大学側が従来のようにあるいは注意をして、憲法の履修その他も指導してほしいという通達を大学側に出した次第でございます。  私は、大学の、教職と問わず、他の専門領域に進みます者につきましても、一般教育内容として憲法が重視されるということは大事なことだと考えております。でございますから、その点は一般教育の指導のあり方として、大学当局の良識にゆだねてよろしかろうというふうに考えておるのでございます。
  36. 土井たか子

    ○土井分科員 それは、大学に対するお考えでありまして、大学に対して行政指導なさる場合には、そういうことを中身として通達を出したり、具体的な行政指導の中に生かしていらっしゃるのでしょう。したがいまして、大学が一括して申請する際には、おそらくそういうふうな線に沿ってなされるはずだというお答えだと思います。だけれども、私がいま申し上げているのは、一括申請じゃないのです。大学をすでに卒業しまして二年たち、三年たつ人でも、個人個人でこれは申請ができますね。教育委員会の窓口に足を運びさえすれば、願いを出すことができるのです。その中で具体的に、なぜ二、三年たって窓口に足を運んで申請をするかという理由として、日本国憲法を私は履修しておりません、単位を修得してない、したがって、いままではこういう願いを出すことができなかった、申請できなかった、でも今回ワクがはずされたので、申請を持ってまいりましたと言われる方々が全国にあるのです。こういうことに対して、どのようにチェックをなさるかということを、先ほどから聞いているのです。ひとつ、それについてのお答えをいただきたいものです。
  37. 木田宏

    ○木田政府委員 これまでの免許法の規定によりましても、すべての教員が全部憲法の単位をとっておったというふうに必ずしもなっておるわけではございません。大学を卒業して学士の称号を有して——大学の在学期間中に、教職を目ざして必要な単位をとる場合の要件でございますが、たとえば工業関係の職につく者につきましては、特別の免除規定等がございまして、法律上憲法の問題その他が所定単位として要請されていない面もございます。そうした、部分的に見ますと、特定の人によりましては、その人のキャリアその他から、特別のコースをとった人がこれまでもあったわけでございます。  しかし免許制度の大勢から考えますと、これは一般教育を履修しておるという基礎知識、国民的な必要な大学の教養の中に当然憲法の履修も含まれてきておる、現実にその大勢があるわけでございますから、私は大きな変化が起こるとは考えておりません。
  38. 土井たか子

    ○土井分科員 大きな変化が起こっているとは考えていないと机の上でおっしゃっても、これはちょっと困りますので、実際問題を私は調べてみたのですから、ひとつ各都道府県の教育委員会の窓口についてお調べいただけませんか。たいした問題は起こっていないと考えていらっしゃるばかりではなくて、事実を調べていただきたいと思います。  いま、おっしゃったようなことは、確かに、専門的に工科であるとか理科であるとかいうふうな問題になってくると、別の問題があろうかと思いますが、少なくとも人文科学関係からいいますと、あの施行規則に従って考えた場合に、日本国憲法をはずすわけにいかないんですよ。ついこの間までは、つまり施行規則が改正されるまでは、そうだったと思うのです。もし、それにもかかわらず、日本国憲法の単位を修得しないで申請をして、そして免許状を取得しているという場合があるとすれば、それは私、この施行規則違反だと思うのです。ひいては法違反、そういうことを言わなければならないと思うのです。いま窓口に現に足を運んでいらっしゃる方が、以前ならば日本国憲法を単位修得をしていないために出せなかったのが、今回出せるといわれているのですから、そういう事実があることは確かであります。  そこで、片や、これは大学長あてに、あるいは養成機関の長あてに、こういう通達をお出しになっているわけですから、これは一方、こういう通達をお出しになった趣旨を徹底させることのためにも、いま教育委員会に対して同様の趣旨が生かされるような通達をお出しにならなければ、この趣旨は前後一貫して徹底しないということになるのじゃないでしょうか。
  39. 木田宏

    ○木田政府委員 教育委員会に、こういうふうな指導をしておるということを十分知らせることは、すでに担当課長会議の席でも説明をいたしておるところでございます。しかし免許状の授与要件というのは、法律の規定によって免許事務の担当者が処理するわけでございまして、これまでは一般教育科目の履修を、内容について人文、社会、自然の各領域について十二単位ずっと要求をしてまいりましたが、それを弾力化したわけでございますから、大学卒業で、一般教育を履修しておればよろしいということにしたわけでございますから、これは、その限りにおいて、免許事務の担当者が法律の規定によって免許事務を処理する限り、一般教育の中身をチェックするということができないことになりました。これは、やむを得ない仕儀だと考えるわけでございます。しかし、その実質が変わらないようにということで、指導をする大学側に、人文、社会、自然の十二単位というワクづけを弾力化するのですよということを言い、憲法をことさらにはずすという趣旨ではありませんという指導をいたしたのでございます。  でございますから、私は、しばらくの間、これによって各大学がどのような指導のしかたをするか、大学の指導が非常に片寄って、教員になる者に憲法の履修を十分に指導しないというような困った事例が起こるということになりますならば、それは大臣もきのうお答え申し上げているとおり考えなければなりませんが、しかし、これによって事態が急激に変わるということではなく、従来の法秩序の中におきましても、たとえば臨時免許状で教壇に立っている人は、高等学校資格だけで教壇に立っておるのでありまして、大学での憲法の履修をしておるわけではございません。そういう人を全部排除をしていたわけではないのでございますから、何名かの人が、たとえば窓口に来るということがございましても、免許制度の大勢からしますと、それは大きな変化というふうには、私はまだ考えられないのでございます。
  40. 土井たか子

    ○土井分科員 その法技術的な問題や形式論でこういう問題を左右されたら、私はたいへんな間違いだと思うのです。先ほど御発言の中に、大学日本国憲法を十分に修得させないような指導方針あるいは指導の中身というものが出てきたときには、これは困るからというふうな御発言がございましたが、そんなときはもうおそいですよ。たいへんなことですよ、そんなことになったら。現に日本国憲法の課程について、大学側がやっている、実質的にやっているからだいじょうぶだ、だいじょうぶだとおっしゃいますが、そういうことはあたりまえのことなんです。もし、それをやめるようなことでもあったら、これはたいへんです。私は、そんな形式論や法技術論を振り回していただくような問題じゃないと考えているから、昨日に引き続いて、きょうは特に関連質問として質問に立たせていただいたわけです。  そこで、法技術的とか、技術的にむずかしいとか、技術的にこうだということをおっしゃいますから、それならばあえて申し上げますけれども、すべての種数の教諭免許状に現在も必須とされておるのが、教職に関する専門科目でございます。施行規則の六条を見ますと、その中に教育原理、教育心理学、教育実習、これがあるわけですね。本来、教員たらんとする者あるいは将来国の主権者になる国民教育する立場に立つ人というのは、やはり日本国憲法についての履修がなされていること、日本国憲法というものを修得していることというのが、これはどうしても教職に関する専門的な問題だと思うのです。したがいまして、そういう点からしますと、いまあるところの教育原理、教育心理学、教育実習などがあるところに、日本国憲法を入れることも法技術的に可能なんです、その気さえあれば。  さらに申し上げますが、この第一条を改正する際に、旧第三項、第五項の規定の趣旨を生かしまして、そこに教育職員免許法に規定する小学校、中学校高等学校または幼稚園の教諭の免許状の授与を受ける場合には、日本国憲法二単位を修得するものとするという規定のしかたをすることなども、これは法技術的に可能なんです。やろうとすれば、その気さえあれば、これを書いておくことは可能なんですよ。法技術というものは、その気さえあればできるのです。気持ちがなければ、できることもできないのです。昨日来、法技術的に不可能だということを、しきりに私は聞かされてまいりましたけれども、一体全体、日本国憲法というものに対して、教諭の資格を取るときに、はたしてどの程度これが大事であるということの認識をなすっているか、この点が私は基本問題だと思うのです。さほど必要がないとお考えになるのなら、いまのとおりでけっこうです。だけれども、これは、やはり大事な問題だとお考えになるのなら、きょう、私が先ほどから申し上げておるとおり、だいじょうぶだ、間違いないと思うと、思うばかりじゃなくて、事実思うとおりにいっておるかどうかということを、いろいろな実情に当たってお調べになることが大事なことじゃありませんか。  私が、きょう、ここで全国の都府県の教育委員会の窓口に、こういうふうな申請が現にございますよと言っても、それに対しての御返答なり御反応なりを見ておりますと、日本国憲法を知っておろうが知っておるまいが、そんなことは、さほどたいした問題じゃないというふうに受け取れてしかたがないのであります。ひとつ、窓口に当たって、この点について間違いのないように、通達なり行政指導なりを、はっきりさすということに対してのお考えを再度承りたいのです。
  41. 木田宏

    ○木田政府委員 いま御意見がございましたように、憲法を、教職につく者に必須の、教職者のための専門科目である、こういうお考えをとることは、一つのお考えだと思います。いままでは、憲法は大学におきます一般教育科目としての取り扱いをしてきたわけでございます。そして一般教育科目の取り扱いは、弾力化するということにいたしたわけでございます。  今日、いま御指摘のように、どうしても憲法を、教職者のための専門科目として位置づける必要があるという御意見につきましては、これはまた、私ども関係者に、よくそのことについての意見も尋ねてみなければなりません。われわれがいままで考えてまいりましたのは、国民一般教養的な知識として憲法というものを、大学の中の履修科目として位置づけてまいりました。その一般教養としての知識は、大学一般的な指導にゆだねるという法改正をさしていただいたものでございますから、一般教育科目として憲法の要求をすることは技術的にできなくなった、こうお答えを申し上げているわけでございます。  土井委員のおっしゃったように、憲法を教職につく者のための専門科目であるという御意見は、これは一つの御意見としてあり得るかと思います。それは教育関係者が、あるいは教員養成関係者が、教員養成科目の中で、これをどのように受けとめていくか、よく関係者の意見を聞いてみたいと考えます。
  42. 土井たか子

    ○土井分科員 もうこれで終わります。  それでは最後に、確認をしておきたいのは、いま日本国憲法を単位修得しなくとも、現に教育委員会の窓口に申請をし、そうして、おそらくは教諭の免許状が授与されるでしょう、そういう事例があるということを確認されますね。そうして、これからもそういうことがあるに違いないということも確認されますね。そうして、それについては、いまの法制度上からすると、また先ごろの施行規則からすると、当然あってもしかたがないとお考えになっていらっしゃいますね。
  43. 木田宏

    ○木田政府委員 改正前におきましても、先ほど申し上げましたように、憲法を履修しないで免許状を申請し、授与しておったケースもございます。ですから、憲法を履修しない者が、免許状の授与を申請面するということは、従来のようなケースは、引き続き起こりますし、今後また、規定が改まったことによる新たな事例も起こるかもしれません。起こり得ると私は思います。しかし、それが大勢にどの程度の影響を及ぼしてくるかということはしばらく時期を見たいと考えます。
  44. 土井たか子

    ○土井分科員 終わります。
  45. 藤井勝志

  46. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 私は、私の選挙区でございますが、いま秋田県大館市の真中、二井田という二つの地区におきまして、小学校の統合問題で大きな紛争が起きておりますので、その問題につきまして御質問を申し上げたいと存じます。  たびたび陳情をいたしておりますので、内容はかなりよくおわかりのことと思いますが、この学校は、旧真中村にあります真中小学校と、旧二井田村地区にありますところの二井田小学校及び杉沢小学校、この三つの小学校を統合して新しい学校をつくるという問題であります。問題の発端は、二井田小学校と杉沢小学校、この二つがどうしても統合しなければいけないという現状にございます。というのは、二井田小学校は、非常に老朽度が激しくて、もう建てかえなければいけない、それから杉沢小学校は、これはもう少しいけば複式になるかもしれない、こういう学校でありまして、二つはぜひ統合しなければいけないという状態にありまして、この二つの統合が進んできたわけでありますか、その途中からいろいろな問題が出てきまして、真中地区の小学校を、これに統合して三校統合、二校統合が三校統合という形に移行してまいりました。いわば旧二井田地区の二校統合の飛ばっちりを旧真中地区の小学校が受けた、こういうようなかっこうになっておりまして、真中地区の人たちとしては、寝耳に水みたいな非常な衝撃を受けまして、大きな反対連動が出てまいったわけであります。  たまたま、そういうトラブルが続いておるところに、文部省から例の通達が出まして、いままでのような経済本位の統合をしてはいけない、必ずしも学校が小さいからといって教育効果がないということはない、あるいはまた地域とトラブルを起こさないように、地域の一つの特殊性というものを十分考えてやるならば教育の効果はあがるだろう、いろいろないままでの統合方針、こういうものと方向の変わった方針が打ち出されまして、私どもも、いままでのいわば経済至上主義といいますか、こういう形から精神的なものを取り入れた、こういうことで非常にあの通達を歓迎しておりますけれども、その通達に励まされまして、実はその反対運動がますます激しくなってまいりました。  その間、議会の中でもいろいろな対立、相克がありまして、この問題をめぐって二回も夜中の一時ごろに強行採決をする、こういうふうな問題まで起きて、ほとんど先鋭化しまして、収拾がつかないような状態になっておるわけであります。こういう問題は、もちろん地元で説得ができれば一番いいわけですが、最終的には、やはり文部省持ち込まれる、こういうことになると思います。  その際に、先ほど申し上げました文部省の通達、無理してトラブルまで起こして統合するな、こういうような通達を私ども考えてみますと、この通達の裏を考えますと、統合しているところには補助金はつけないぞ、こういうふうに裏解釈してもよろしいかどうかですね、その点をひとつお答え願いたいと思います。
  47. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 大館市の学校統合の問題につきましては、佐藤先生からも二回にわたってお話を伺っておるわけでございますが、この件は、その際にも申し上げておりますように、まだ文部省に補助金の申請が来るという段階ではございません。したがいまして、申請が出た段階におきまして、これをどう扱うかということについて、文部省の最終的な態度、意見を申し上げたいと思います。  御指摘の通達にもございますように、学校統合が地域住民の理解や協力を得ないで無理に行なわれるということは、そのこと自体好ましいことではございませんし、また、それが強行された場合に、はたして学校統合の実があがるかどうかというような疑問もあるわけでございます。したがいまして、そうした通達を出したわけでございますが、私どもといたしましては、こうした市町村の区域内の問題でございますので、第一次的には、当該市町村におきまして、しかるべき機関があるわけでございますから、そうした方々の御努力によりまして、この紛争が円満に解決することを期待をしておるわけでございます。さらに府県という段階もあるわけでございまして、県教委あるいは必要ならば、その他の関係機関の方々のごあっせんもいただいて、この問題がさらに円満に解決されることを期待をいたしております。そうした方向で秋田県当局を文部省も指導をしておるということでございます。
  48. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 私は、義務教育学校、特に小学校の場合は、単に教育をする、学問を教えるところだけではなくて、地域にとっては非常に大きな意味を持っていると思います。運動会があれば、地域の人がみんな集まって楽しむとか、いろいろな行事も小学校中心にして展開される、こういうようなことが非常に多い。必然的に小学校というものは、その地域のシビックセンターみたいな役割りも非常に強く果たしている、こう思います。そういう意味で、この学校をよそに統合されるということは、地域の住民にとっては、本来的にこれは反対をするものだ、こういうふうに理解して差しつかえないのではないかと考えます。  そこで、この統合の問題が起きてきた場合に、先ほど申し上げましたように、二井田小学校の場合は、これは、どうしても老朽校舎ですから改築しなければいけない、また杉沢小学校の場合には、これまた非常に小さくて老朽であるからこれも改築しなければいけない、こういう必然性というものがあります。しかしながら、真中小学校の場合は、木造であるけれども、まだまだ改築するには非常に長い間があります。それから環境が、別の二校に比べて非常によろしい。むしろ大館市の中におきましては、あそこが市の中心部からいろいろ逆に利用されている。環境が非常にいいので、真中の人たちはこれを誇りにしている、こういうような、自分たちの学校だという意識が非常に強いわけです。  したがって、真中小学校には、これを改築したり、移転したり、統合したりしなければいけないという必然性というのが全然ありません。しいて申し上げれば、現在八学級である。これを、うんときつく学級を編制すれば、六学級になるかもしれない。八学級といえば、標準とされている十二学級には多少足りないけれども、まず通達から見ましても、そんなにでたらめに小さい学校ではない。環境はいいし、校舎はいいし、学級数もたくさんだ、こうなれば、これを統合するというところの必然性が何もない。必然性のないところに無理に統合しろというものだから、非常に大きな反発が出てきます。それで逆に、先ほど言いましたように、旧村の行政区域が違いますので、二井田の地区は、われわれのところに何でちょっかいを出すのだというので、旧村地区のお互いの確執にまで発展してきておるという状態です。  私、あの町の市長を十六年ばかりやってまいりまして、実はあそこの中学校三校を二校統合いたしました。その前に、昭和三十年に町村合併の促進法によって、別の地域ですが、上川沿というところを統合いたしましたが、そのときに、やはり同じような学校問題ができまして、これは、また非常に深刻な争いが起きまして、もう村じゅう、部落じゅう行き来しないような深刻な対立になりまして、もちろん登校拒否もしましたし、一月以上も学校へ行かないというような事態が起きて、収拾できないようなしこりが、十何年たちますが、いまだに残っております。したがって、私は、もしこれを——いま地元で夜中に、先ほど言いましたように一時、二時に単独で強行採決する、こういうふうなことを二度も三度も繰り返してやっている。やればやるほど地元がかんかんになって、だんだんかたくなになってくる。このままいけば、何といいますか、当然登校拒否、こういうことになりかねないわけであります。そしてまた、いま今度の市会に市長は予算を組んでおります。こういうようなのでどんどん進めると、先ほどお話し申し上げましたように、片っ方はますますがんこになっていく、こういうことになりますので——間もなくこれが三月の議会を通りますと、四月か五月ごろには申請がくると思います。これは私ども地元の人間として、何とかしてこれを融和させて、溶かしたいと思っていますけれども、なかなかこれは時間がかかると思います。  そこで、絶対にこれを許可しないということは、おそらく言われないでしょうが、これが来ても簡単にぽんと許可してやる、これでは地元か、文部省ぐるみ敵に回していきり立ってますます反抗する、こういうことになって、非常にうまくない事態が起きると思いますので、来たら、できるだけもう少し話してこい、トラブルをトラブルのままでは、県としても文部省としても困るから、トラブルをもっとなくしてよく話し合ってきなさい、こういうふうなことでひとつ時間をしばらくかしてもらいたい。最小限度のところ、そこいらのところまでひとつ言明をいただければ、私ども地元で働くに非常に都合がいい、こういうふうに思います。
  49. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 学校が地域の精神的な結合のセンターであるということは、これは、まさにおっしゃるとおりでございまして、文部省も三十二年に出ました学校統合の手引きにおきまして、そうしたことを強調いたしておるわけでございます。そういう点は十分重視して、統合の計画というものは進めらるべきものであると考えます。  それから、真中小学校の統合の必然性でございますが、これにつきましては、それぞれ地元におきまして、いろいろ御審議が行なわれておるわけでございますが、県議会等における議論を聞きましても、二校統合か三校統合かといったような議論があるそうでございますが、その辺のところは、さらに地元で、どういう姿が妥当であるか、十分御審議をいただきたい点だと思います。  なお、文部省に申請が出た段階のお話でございますが、私どもは、申請が出る前に、この紛争が何らかの形で解決されるということを期待し、そうした指導をしておるわけでございますが、申請が出ました場合、これは、まず県教委がどういう意見、副申をつけて出してくるかということも、十分承知をしなければならないわけでございます。しかし現状のような形でもし申請があるとすれば、いずれにいたしましても、これは慎重に取り扱うべき課題であろうと考えております。
  50. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 私ども、いろいろ地元でやっておりますけれども、何といいますか、先ほども申し上げましたように、二校統合の必然性はあるけれども、三校統合の必然性がないわけなんです。そこで、できれば最初に二校統合して、いつになるかわかりませんが、木造の校舎ですから、いつか改築しなければいけないので、そういう時期に、そこの二校のところにもう一つ統合できたら——地元の意思が得られたならば、そういうふうに統合する、こういうふうに二段階に進行したほうがいいのではないか、こういうふうにも考えてはおります。  しかし、いずれにいたしましても、先ほど言いましたように、真中の地区では、さきに中学校を持っていかれ、今度は、また小学校を持っていかれる。しかも自分の地域じゃなくて、ほかの地域に持っていかれるということになりますと、やはり住民感情として反対するということは無理もないことだ、こういうふうに考えます。しかも、これが進行しますれば、先ほど申し上げましたように、非常に大きなしこりを地域住民に残す。そのために、私どもは、時間をかけてもいいじゃないか、たったいまやらなければ入る学校がないというわけではないんだから、かなり時間をかけてもいいのではないか、こういうふうに考えております。  そこで、先ほどお願いいたしましたように、たとえその時期までに解決ができなくて申請が出ても、トラブルのあるような状態で簡単に補助金を許可してもらいたくない、時間を与えてもらいたい、こういうふうにお願いしたいのです。というのは、片っ方では、いや、文部省からああいう通達が出ているんだから、文部省では補助金をつけないぞ、こういっていきり立っているわけですね。片っ方の市のほうは、いや、文部省がそんなことを言うならば地方介入だ、けしからぬ、市で議決すれば、これは必ずつけてもらえるのだ、こういうようなことで、今度は文部省が補助をつける、つけないでまたやり合っている。県も市も町も全部一緒になって大騒ぎしているわけです。  だから、文部省は地方には介入しない、干渉しないんだ、おれは知らぬぞという態度ではなくて、文部省の態度というものが、いまの地元の紛争というものに非常に大きな影響力を持っておるのですから、うんと慎重を期していただくと同時に、おれは知らぬぞではなくて、直接市にでなければ、県の教育長にでもよく実情をお聞きになって、いいお知恵をかしていただいて、これを何とかしこりを残さないで円満に解決するような力をひとつかしていただきたい、こういうふうに考えますので、できるだけ、来ても簡単にすぐ、地方から来たんだから、議決はされているし、形式はちゃんと整っているんだから、やらないわけにいかないといって、ぽんとやらないように、ひとつお願いいたしたい。
  51. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 先ほど申し上げましたように、慎重な処理をはかりたいというふうに考えております。また文部省は、知らないという態度では従来もないわけでございますが、私ども、県当局もさらに十分指導いたしまして、具体的な解決策が見つかりますように、十分連絡をとってまいりたいというふうに考えます。
  52. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 大臣からも、せっかくおられますから、ひとつ御意見を聞かしてください。
  53. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 先日もお伺いしたところでございまして、円満な解決を心から期待いたしております。こういう地区の紛争になってまいりますと、市当局の方針に反対をしておられるわけでございますので、県当局がどういう判断をするか、これが一番大切じゃないだろうかな、かように考えておるわけでございます。文部省が直接どうこうするよりも、県当局の判断、指導、助言、それに耳を傾けて、文部省としては善処いたしたいと思います。
  54. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 ひとつどうかよろしく御指導くださるようにお願いいたします。  終わります。
  55. 藤井勝志

    藤井主査 正森成二君。
  56. 正森成二

    ○正森分科員 まず最初に文部大臣に伺いますが、教育基本法第三条第二項には、「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。」、こう書いてあります。ここでいう「奨学の方法を講じなければならない」というのは、どういう意味でしょうか。
  57. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 そこに規定しておりますように、能力があるけれども、経済的に修学することが困難だという方々には、奨学金を貸与する等の方法を講じまして、修学できる道をつくってあげるということだと考えております。
  58. 正森成二

    ○正森分科員 ただいま大臣は、奨学金を貸与する等の方法により、こう言われましたが、それは主として経済的に援助して、金がないために大学へは行けないというような者に対して、金がないことだけを理由として高等学校大学などへ行けないというようなことがないようにする、こういう意味ですね。そして第三条の第一項には、教育機会均等として、「すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。」と書いてあります。これは憲法十四条の規定とも対比されるものでございますが、こういうように規定がある以上、経済的に恵まれておるからといって入学に非常に便宜をはかったり、あるいは社会的身分、性別ということによって特に入学の便宜を計らうということは、奨学金は別として、本条の規定からして許されないと思いますが、いかがですか。
  59. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 そのとおりに考えております。
  60. 正森成二

    ○正森分科員 それでは伺いますが、大阪市立大学で、医学部と法学部に、部落解放同盟の一部の諸君が、同和地区出身の者には特別に別ワクで入学を許せ、この理由は未解放部落出身の医師やら弁護士が少ないからという理由だそうでございますが、そういうことを昨年の十一月以来引き続き要求しておる。大学では各教室会議等を開きましたが、どこも賛成するところがないというようにいわれておりますが、こういう要求をすることが、教育基本法の第三条第一項に照らして、許されるのかどうか、文部大臣の御所見を承りたいと思います。
  61. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 きのう初めてそういう要求が行なわれていることを知りまして、たいへんなことが行なわれているのだなという感じを私としては受けたところでございます。
  62. 正森成二

    ○正森分科員 たいへんなことが行なわれているなというように思ったと言われることは、そういうことは適法でもなく、妥当でもないという御見解と承ってよろしいか。
  63. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 そのとおりであります。
  64. 正森成二

    ○正森分科員 そういうお答えを承りましたが、この弁護士や医者が同和地区出身者に少ないから、法学部や医学部に裏口入学を認めろという要求がもし正当だとしますと、行き着くところは、医者の国家試験、司法試験についても別ワクを認めろ、そういうことに要求としてならざるを得ません。未解放部落に対して差別をなくすということは、国民的課題でありますけれども、その国民的課題を、このような方法で実現されると考えるようなことは、憲法体系からしても許されない、私はこう思います。奥野文部大臣も御同様の見解のようでありますが、文部大臣は各学校に対しての連絡調整権があります。もちろん大学の自治は尊重しなければなりません。それに対しては厳に介入してはなりませんが、少なくとも大臣としては、そういうことは好ましくないということを、大阪市立大学等から問い合わせがあったときに、御回答なさる用意はございますか。
  65. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 当然そのような考え方を伝えます。
  66. 正森成二

    ○正森分科員 それでは、次の問題を伺いますが、同じく教育基本法の第十条の「教育行政は、この自覚のもとに、」というのは、御承知のように「不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」という第一項を受けておるわけですが、「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」、こうなっております。これは、いたずらに教育内容に干渉することなく、もちろん助言等はできるでありましょうが、主として必要な諸条件の整備確立ということを目標としているわけであります。  そこで、この場合にも、これは教育機会均等とも関係しますが、ある特定の地域にだけ超デラックスな学校を建て、他の地域ではプレハブが残っておるというようなことが行なわれるとすれば、これは決して好ましくないと思われますが、いかがですか。
  67. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 学校整備の第一次的な責任は、設置者でありますところの市町村にあるわけでございまして、国は、これに対しまして補助金、負拠金を支出するということをいたしておるわけでございます。負担金につきましては、御承知のとおり補助基準がございまして、その基準の範囲内で補助を支出するということでございます。具体的に町村がどういう規模内容の建築をなさるか、補助基準をこえてなさるかということは、これは町村の自主的な判断にまつところでございます。ですから、補助基準をかなり上回ったりっぱなものを、町村が自己の負担において積極的におやりになるということは、何ら否定すべき事柄ではないと思います。  ただ、一般論でございますが、極端にデラックスなものをつくるというようなことは、やはり適当ではないと思いますが、ただ具体的な課題に即して、それが極端にデラックスであるかないかといったようなことは、私ども個別に判断はいたしかねるということでございます。何か事情がいろいろあって、あるいは教育上の必要からそうした措置が行なわれているかとも思いますが、個別に判断する立場にはないということでございます。
  68. 正森成二

    ○正森分科員 いまお答えがありましたが、それは文部省の設置基準に基づいて基準単価があるわけですが、これは他の議員もいろいろ質問されましたように、いま超過負担で非常に困っておるわけですね工むしろ、あなた方の平均的価格なんというようなことでは、これは大蔵大臣も言われましたけれども、そんなものではとてもやっていけないという意見があるわけです。私がいま聞いておりますのは、そのことではなしに、地方自治体が平均的価格では建たないから、実際の実勢価格に基づいて建てる、そのときに、ここは立地上から少し堅牢なものを建てようとか、そういうようなことをやるのは当然であります。しかし、それは原則として、その地方自治体の中では、少なくとも均衡のとれたものでなければならない、こう私は思うのです。  そこで伺いますが、文部省には資料があると思うのですが、平均的な小学校の建築に要する費用は、いま大体平均的価格で幾らになっておりますか。
  69. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 小学校あるいは中学校と申しましても、これは学校規模によりまして、御承知のとおり面積が違うわけでございます。したがいまして、大きい学校は高くつくわけでございますし、小さい学校は少ない経費で建つわけでございますが、単価から申しますれば、四十九年度におきまして、小中学校校舎の鉄筋単価は、六万一千七百円ということになっております。ですから、学級規模に対応する標準的な面積に六万一千七百円という標準的な予算単価を乗じて得た金額が、いわば標準的な建設費ということになろうかと思います。
  70. 正森成二

    ○正森分科員 それはわかりましたが、平準的な学校というのは、大体二十教室ぐらいというようにちょっと伺いましたが、あるいは違うかもしれませんが、そういう学校の平均的な平米からいって、大体一校当たりどれぐらいが平均であるかということを承りたい。
  71. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 平均というおことばでございますが、これは特に学校規模が平均的に何学級だというようなそういう考え方はとってないわけでございますが、標準的という意味でございますならば、十二学級ないし十八学級程度が標準的ということでございます。標準的な学校規模といたしまして、小学校十八学級といたしますと、四十八年度改正した面積で申しますと、十八学級で約三千五百平米ということでございます。
  72. 正森成二

    ○正森分科員 そうすると、ちょっと掛けてください。
  73. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 大体二億程度かと思います。
  74. 正森成二

    ○正森分科員 大体、二億程度というお答えが出ましたが、そこで私は奥野文部大臣に伺いたい。これは大阪市の浪速区でございますが、ここに栄小学校というのがある。これは、わが党の東中議員も前に少し質問されたと思いますが、そこでは区内で一、二を争うようなりっぱなものといわれる学校が現にある。ところが、部落解放同盟の一部の諸君は、これが同和指定校であるというようなところから、移転して、さらに新しく建てろというようなことで、三万平方メートルの面積に三十二教室と二十特別教室——二十特別教室なんというのはめったにないことだと思うのですが、そこへもってきて、冷暖房完備、連動場には高学年用と低学年用の二つがあるというような計画で、総工費実に四十三億円、こうなっております。つまり一つの小学校を建設する費用の約二十二倍というものをかけて、しかも、その学校は区内で一、二なのに、それをやめて、もう一つ建てるというようなことを大阪市が行なおうとしておる。部落解放が幾ら国民的課題だといっても限度がある。ほかの国民学校に不自由しないというんなら別ですけれども、全国各地にはプレハブの学校もある。  私は、沖繩北方特別委員会で質問したこともありますが、沖繩などでは、あの第二次世界大戦で戦災にあったものをもう一ぺん使って、震度四の地震があれば、全壊して非常な被害が発生するということを学者が鑑定しておる。天井が落ちてくる、しっくいが落ちてくるというような事故がしょっちゅう起こる。それでも、なかなか文部省は建ててもらえない。私がこの間沖特で質問して、やっと、四月からやります、危険だから四月からやるということをめどにして、三月から取りこわしてもよろしいという答えを文部省の係官がされました。それぐらいのものです。それを、こういうように、二億円で普通建つのに、学級数が多いから倍ぐらいかかると言われるかもしれませんが、しかし、それにしても、二十も特別教室があるとか、運動場が高学年用、低学年用と二つあるとか、そういうのはめったにない。そういうようなことが許されておるという状況について、文部大臣はどうお考えになるか。  地方教育行政の組織及び運営に関する法律の四十八条では、「都道府県又は市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るため、必要な指導、助言又は援助を行うものとする。」、こうなっておりますし、こういう点については、文部大臣として適切な指導を行なうのが当然ではありませんか。しかも、こういうことをやるから、あなた方の標準価格よりもはるかにはみ出すから、市町村では非常な負担になる。ちなみに浪速地区では、この栄小学校以外に解放会館、老人福祉センター、買いものセンター、青少年会館というものを続々と建てますが、青少年会館を除いた予算合計は九十九億四千七百二十六万円となっており、これは人口十七万の岸和田市の四十八年度の一般会計予算総額の百一億円、これにほぼ匹敵し、浪速地区の人口十倍に匹敵する泉佐野市の四十八年度当初予算総額七十四億円をはるかに上回ります。こういうようなことが行なわれるというようなことは、決して正しいあり方ではないと思いますが、文部大臣どう考えますか。
  75. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 文部省が義務教育校舎の建設に対しまして、国庫負担をしているわけでございます。その場合の負担の基準を示しているわけでございます。この基準をこえてできる限りりっぱな施設を整えたいと努力されること、これは何ら否定するものではございません。しかし、いまお話を伺っていますと、基準よりもすぐれたものをつくりたいというものをこえた、夢のようなお話のように私はいま伺いました。現実の姿を承知いたしませんので、感じましたことを、率直に申し上げるわけでございます。そういうものであると、大阪市会の議決を経なければならないわけでございますので、市民全体の立場に立って市会で議論されますときに、一部の地域についてだけ超デラックスというよりも、夢のような校舎の建設をはたして賛成されるのだろうかどうだろうか、私はたいへん疑問に思うわけでございます。そういう点は、市議会で自由に御論議いただいて、結論をお出しくださったらいいんじゃないだろうか、こう思います。  同時にまた、もし部落解放同盟の方々が、御指摘のような主張をされているといたしますならば、私たちは、そういう問題の解決に挺身していきたい気持を非常に強く持っておるわけでございまして、あまり行き過ぎた主張をすることによって、そういう問題の解決をおくらせるようなことになってはたいへんだなという心配も、お話を伺いながらあわせて持たせていただいたところでございました。基本的には、大阪市当局、大阪市議会で処理される問題でございますけれども、大阪市民全体の立場に立って、みんなに納得されるような市の行政が進められていきますことを心から期待するものでございます。
  76. 正森成二

    ○正森分科員 私は、基本的には大阪市議会でチェックされるべきであるという大臣の御意見は、ごもっともだと思いますが、問題なのは、この計画が一部の者の意向で、議会にも報告されず、審議もされないで既成事実としてどんどん着工されている、こういう事実があるのです。そして議員から追及されても、なかなかその計画自体を発表しない。いいですか、議会のコントロールを無視して、一般の標準の十倍、二十倍という、大臣のおことばによれば、夢のようなものを建てる。そんなことをやって、ほんとうに——私は、先日、小坂総理府総務長官の答弁を、第一分科会で伺っておりましたが、財政的にはある程度同和対策事業の特別措置法でやった、しかし心の問題がまだだ、これを、われわれは留意しなければならないという答弁を、横におって聞いておりましたが、心の問題でほんとうに差別をなくするというふうなことができるわけがない。現に地元ではどんどんと言うておる。あまりに度が過ぎているというように思わざるを得ません。  私は、文部大臣が大阪市の教育委員会に、こういう点について問い合わせをされて、しかるべき指導、助言をされるのが適切じゃないかと思いますが、重ねてその点について伺いたいと思います。
  77. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 お話を伺った限りにおいては、そんなことが現実の問題になることがあり得ないというふうな感じを私は持つわけでございます。大阪市当局から、いろいろなお問い合わせがございました場合には、あるいは意見の照会がございました場合には、私の考えているところを率直に伝えていきたいと考えるわけでございます。
  78. 正森成二

    ○正森分科員 お問い合わせがありました場合と言われましたが、本件はなかなかお問い合わせするような問題ではない。お問い合わせをしない。むしろ文部大臣のお耳に入ったらぐあいが悪いと思っておる。だから、あなたのほうから、分科会でこういう質問があったが、この点はどうですかということをお聞きになるぐらいの心がまえでなければなりませんし、それを聞いたからといって、地行法に違反するわけのものではないというように思いますが、いかがです。
  79. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 いま伺っておりますと、また、先日来、予算委員会でも御質問になっておったことを聞いておりまして、大阪できびしい対決が生まれているんだなあという感じを持ちながら、心配をいたしているものでございます。したがいまして、そういうような全体の問題として私なりによい方法を検討し、積極的な努力をすべきだという気持ちは強く持っておるものでございます。いまのような問題につきましても、私なりに事情を明らかにするように努力したいと思います。
  80. 正森成二

    ○正森分科員 いま奥野文部大臣から、先般来の予算委員会の質問を承っておりましてという、非常に含みのある答弁がありましたが、これは、おそらく二月二十三日に、私が予算委員会一般質問で、羽曳野問題について質問したことをさしておられるのだろうと思います。しかし、あの問題は、私は、主として警察法第二条による不偏不党、公平中正という大原則に反する体制について質問をいたしました。それに関連して、そういう違法な動員に、大阪の教職員が、部落解放同盟の矢田支部の名前で、出張扱いということでやっておるという点に限って伺いました。しかし、この問題は、その点と切り離して、一般的な文部行政としての諸条件の整備確立という限度から見ても、あるべきことではない。もし、それが部落解放同盟の一部の諸君の圧力によってなされているというようなことがありとすれば、それは、まさに教育基本法第十条の禁止する不当な支配にほかならない、こう思うのです。  ですから、全般について御勉強になることは、もちろんけっこうですが、しかし全般との関係がどうだこうだというだけでなしに、この問題についてどうかということも、明確な所信と指導、助言があるべきだと私は思います。それについていかがです。
  81. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 誤解されているようですが、私は、この問題だけというよりも、もっと深刻に受けとめているということでございます。いまお話がございましたので、それは、私なりによく事情を知りたい、またすべき道があるならば、努力もしたいと考えます。
  82. 正森成二

    ○正森分科員 次に、伺いたいと思いますが、子供たちの成績については、これは一定の基準によって、学籍簿というのですか、そういうものがつくられたり、あるいは評価が行なわれていると思います。  そこで、こういう評価というものは、文部省では一定の基準がありますが、どういうように保母され利用されるべきものであるか。一般的な個人からあるいは特定の団体から要求があれば、それは見せる、あるいはこういう項目について報告せよということがあれば、教育委員会以外の者であっても、それは報告するというような扱いになっておるのかどうか、伺いたい。
  83. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 私のほうでは、いま正式な書類といたしまして、市町村教育委員会では学齢簿、それから学校におきましては学籍簿、それからそのほかに指導要録というものがございまして、これを備えつけの帳簿としてきめておるわけでございます。その内容につきましては、これは学籍簿等は、簡単な様式でございますけれども、指導要録につきましては、これは子供の評価をいたすことが学習の指導上きわめて大切なことでございまして、学習の指導と評価というのは、表裏一体ということでございますから、できるだけ学習の評価が適正に行なわれるように、あるいは担任がかわりましたり、それから転学、転校が行なわれました場合にも、それが役に立つようにということで、初等中等教育局長の通知と申しますか、通達をもちまして様式を定めております。いわゆる五段階評価といわれておりますものは、その中の一部でございます。正当な評価が行なわれるということは、必要なことでございますけれども、それが外部に利用されるというふうなこと、これはできるだけ慎んでいただきたいというふうな気持ちを持っておるわけでございます。
  84. 正森成二

    ○正森分科員 外部に利用されることは、できるだけ慎んでいただきたいと思いますというような一応のお答えでございましたが、それでは、私はさらに伺っていきたいと思います。  お断わりしておきますが、私は文部省が現在やっている五段階相対評価が正しいという前提で申しているのではありません。五段階相対評価が、統計学に基づいて、どんなに努力をしても、必ず七%ぐらいは一なり何なりにランクづけしなければならないというのは、子供の努力というものについて評価しないということにもなりますし、私は、それが絶対的なものだとは思っておりません。しかし、いろいろございましても、学籍簿あるいは指導要録というのは、教育のために、教育の効果をあげるために評価を行なうという一体のものでございまして、それを外部にみだりに発表して、ある特定の目的に利用するということが行なわれるとすれば、悪用されるおそれがあることは当然であり、また評価された子供の人権にも関係することであり、親の人権にも関係することであるというように私は思います。それについては御異議ございませんか。前段の五段階評価がどうこうということは別ですよ、あなた方のつくったことだから。
  85. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 ちょっと触れさせていただきますが、五段階相対評価というのは、客観的に一番正しい方法であるという考え方を私どもは持っているわけでございます。ただいま御指摘になりましたようなことは、これは当然のことであろうというふうに考えるわけです。
  86. 正森成二

    ○正森分科員 ところが、私の手元の資料によりますと、大阪の富田林に府立の河南高校というところがあります。この河南高校あてに昭和四十九年一月十七日付で大阪市立矢田南中学校飯田正の名前で文書が出されて、次の資料を同校長、高校友の会担当というところあてに送れと、こういうぐあいになっているんですね。何という文書かというと、「本校は、中学卒業後の部落生徒に対して、部落解放同盟矢田支部の指導のもとに部落解放運動をになう子供に育てることを目ざして取り組みを進めておりますが、現状では、まだ小中高の連携が十分とはいえない、」一部略しておりますけれども、生徒たちが部落解放運動のにない手になるまで指導を継続する、こういうように前置きをいたしまして、そのため必要な資料として「特定の生徒名を記入して、一、学期ごとの教科別成績、出欠状況、二、国語、数学、英語についての教科担任の所見、三、現学級担任の所見の作成、送付」を依頼してきております。  こういうことを、ある特定団体が特定の運動目的のために利用し、特定の目的の運動に役に立つ子供をつくるためということで学校に送付方を要請し、これを実現させるようにするというようなことはやってもいいのですか。
  87. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 その事実につきましては、教育委員会のほうでも、まだ正確な状況を把握してないようでございます。それがかりに事実だといたしました場合には、これは、ちょっと逆なことでございまして、高等学校先生が指導のために中学校の学習の状況を聞くというのなら、話はわかるのですけれども、中学校先生高等学校の学業成績を聞くということは、これは追跡調査というふうな特別な目的でもございましたら、別でございますけれども、それは、ちょっと何かおかしいような気もするわけでございます。
  88. 正森成二

    ○正森分科員 しかも、これは中学校先生が要るというのでなしに、高校友の会というのは、部落解放同盟の一部の分子が中心になってつくっている組織であります。だからこそ、部落解放同盟矢田支部の指導のもとに、その特定のイデオロギーに基づく解放運動に役立つ子供をつくるために、おまえのところの資料をよこせ、資料のないものはつくってよこせ、こう言っておるわけです。こういうことは、明らかに教師の教育権に介入するものであり、不当な支配そのものではありませんか。  こういうことがもし許されるなら、自由民主党の矢田支部も同じように自由社会を守る闘士をつくるために、これこれの子供の教育成績をくれと、こう言うでしょうし、社会党は社会党、日本共産党は共産党でマルクスレーニン主義に基づく共産党員になるために資料をくれと、こういうことが許されることになります。もし、あなた方がいいというなら、われわれもそうする、そんなことはできないでしょう。できないことを、なぜ部落解放同盟だけができるのですか。文部省として断固たる所見を伺って、時間が参りましたから、私の質問を終わります。
  89. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 いま申し上げましたように、事実につきまして、まだ正確に把握しておりませんので、はっきりしたお答えはできませんが、ただいまお話しのとおりであるとすると、そういうことはお互いに慎んでもらいたいというふうに思います。
  90. 正森成二

    ○正森分科員 終わります。
  91. 藤井勝志

  92. 山田太郎

    山田(太)分科員 非常に短時間の持ち時間でございますので、でき得る限り簡潔に御質問を申し上げ、要領よき御答弁をお願い申し上げたいと思います。  そこで、でき得るならば、いわゆる留守家庭児童の問題、いわゆるかぎっ子ですね、それから幼稚園の問題についてお伺いしていきたいと思います。  そこで、御承知のように現在の物価狂乱、ここ数カ月の激しい物価騰貴でございますが、ここ数カ月のみでなく、やはり何といいましても、現在いわゆるかぎっ子の方々が増加しているのが現実の状況でございます。御承知のとおりです。また親御さんたちにお伺いしてみますと、教育委員会あるいは教育長、教育関係の方々は、できるだけ母親は家庭におってもらいたい、子供さんの教育のためにもということではございますが、しかし生活のためにはどうしても母親も、私もつとめなくちゃならないというのが現況です。ところが、少年犯罪は次々とふえているのが実情でございます。そこで、この問題について、行政の立場としても早急に手を打つのが当然なことは、言わずもがなのことでございます。  そこで、まず端的にお伺いいたしますが、基準の設け方という問題もあるでございましょうが、いわゆる留守家庭児童、この現状の把握というものは当然なされておることとは思いますが、聞くところによりますと、文部省においても厚生省においても、総理府の青少年対策本部等においても、それができていないやにお伺いしておりますが、現状把握についてまずお伺いしておきたいと思います。文部省、それから厚生省、それから総理府と、順番に関係の方からお答えしていただきたいと思います。せめて数ぐらいは把握してありますか。
  93. 今村武俊

    ○今村政府委員 文部省としましては、留守家庭児童という観点からの調査はいたしておりません。
  94. 北村二郎

    ○北村説明員 厚生省といたしましても、かぎっ子の正確な調査はいたしておりません。
  95. 吉里邦夫

    ○吉里政府委員 お答えいたします。  私どもの立場で考えますと、青少年の育成という立場で、広範な各省の行政の取りまとめ、あるいは調整をやっておりますが、その中で、やはり現実の問題として、先生の、いわゆるかぎっ子問題がクローズアップされておることは事実でございます。  ただ、残念ながら、共かせぎ家庭における児童、その中で、いわゆるめんどうを見る方が全くいないという方々の問題が、一つ大事な問題だろうと思いますが、その実数あるいは実態等につきましての詳細なるデータそのものは、いま両省で申し上げましたようにございませんが、厚生省で、おそらくは四、五年おきに非常に大まかな数はつかんでおるだろうと思いますが、百万ともいい、あるいは二百万ともいっておるようでございます。
  96. 山田太郎

    山田(太)分科員 現実には、いま三者からの御返事があったとおりでございます。私も前もってお伺いしたとおりでございます、把握されていないと。現状においては、いま総理府の吉里次長からお話があったとおりの現状でございます。  ところが、文部省においては、四十一年から四十五年、このかぎっ子、いわゆる留守家庭児童について、ちゃんと五年間は一応の手を打ってこられたわけです。奥野文部大臣になられてから中止されたということじゃございません。また、言うならば、校庭開放ということに実は統合吸収しました、こういう御返事がくるだろうとは私も予想はしております。しかし、留守家庭児童だけを集めて教育するということに、一つの公平さを欠くという観点、いわゆる授業のあとその留守家庭児童だけを集めて教育をする、そういう見地もあるやに聞いております。しかし、現実の姿は、ますます物価騰貴のおりから、いままで家庭婦人だった人も、生活のためにつとめなければならない人がどんどんふえているのが現実である。したがって、その子供のために親御さんたちが頭を悩ましているこの現実は、依然として変わらないどころか、ふえていっている現状であります。  そういう点から、これは文部省とは関係ないことだというふうなお答えはないとは思いますが、この留守家庭児童についての御配意というものが、当然なければならぬと思うのです。その点について、文部大臣からひとつお答えをいただいておきたいと思います。
  97. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 いま、山田さん自身からお話しになりましたように、文部省がかぎっ子を中心に、留守家庭児童会の育成の事業を四十一年に始めたわけでございますが、その後校庭開放の事業、広く青少年に遊び場を提供していくのだ、かぎっ子だけをとらえて児童福祉の面でそれを運営する、それも大切だけれども、元来、厚生省としてそういう任務を負っておられるわけなものだから、広く遊び場を提供する、それがかぎっ子対策にもなるといようなことで、その後、留守家庭児童会育成の事業と校庭開放の事業とを一緒に運営をしてまいっておるのが現状でございます。  これによって、十分かぎっ子対策を果たさせているかということになると、あるいは問題が残るかもしれません。文部省の役割りとしては、問題はかぎっ子に遊ばせる場所等を提供する、そのめんどうを見ていくということでございましょうから、青少年一般の仕事としてとらえながら、かぎっ子対策に役立てていくというようにしていくのが本来のあり方じゃないかな、こうも考えているわけでございます。厚生省厚生省として御努力いただいておるわけでございますので、今後もなお連携をとりながらよい知恵を働かしていくべきだ、かように考えます。
  98. 山田太郎

    山田(太)分科員 私が前もって申し上げたとおりの御答弁でございますが、文部大臣の御答弁の中に、場所の提供等の問題もございましょうから、他の省ともよく関連をして相談していきたいというふうな意味の御答弁があった点は、一応前向きの御答弁だと思います。  そこで、それは最後の締めくくりにお伺いすることといたしまして、実はこの留守家庭児童対策、四十一年から四十五年にやっておるわけですね。これを急にやめられたようにお伺いしております。地方の市町村では補助は打ち切られた。ところが、親御さんたちの強い要望によって、市町村はそれを急にやめるというわけにもいかない、したがって続けておる、あるいはふやしておるというのが現実の姿でございます。これは厚生省あるいは総理府のほうも聞いておいていただきたいのですが、現在岡山県においても、十市ありますが、この十市が全部、この留守家庭児童会は、やはり地方自治体の負担においてやっております。また、郡部でも実はふえてきております。したがって、教育長会議とかあるいはそれに類するものの会合のときには、この留守家庭児童会についての意見なり要望が非常に強く出てきているはずでございます。時間の関係でこちらだけで話しておきます。  これは御承知でしょうが、また京都府なんかでも、これは詳しいデータをみなとっております。しかし、時間の関係で言いません。京都府でも、現在実施市町村が八カ所、児童数が千四百十、府からも三分の一の補助をしているようです。それから山形県でも六市町村、埼玉県でも二十の市町村、奈良県でも四市が実行しております。それから兵庫県でも二市、これは数からいえばこれ以上にふえているわけです、いま市の数を申し上げたわけですから。いまそういう実情にあるわけです。これらの点については承知なさっておりますか。担当の方から……。
  99. 今村武俊

    ○今村政府委員 校庭開放事業の運営にあたりましては……(山田(太)分科員「私が申し上げたことに答えてください」と呼ぶ)そういう関連のことを伺っております。
  100. 山田太郎

    山田(太)分科員 校庭開放ということばで言うているんじゃないのです、ぼくは。留守家庭児童会ということばで言うたのですよ。留守家庭児童会という名前になっているのですよ。校庭開放と一緒にしないでください。変な答えをしないでください。承知はしていらっしゃいますかと、あるいは教育長あたりからも要望がありますかと、何とかしてほしいという要望がありますかと聞いているのですよ。
  101. 今村武俊

    ○今村政府委員 私のほうの関連では、校庭開放事業の運用に関連してお話を承ることはございますが、それ自体として、何らかの措置を講じてほしいというお話を承ったことは、私はございません。
  102. 山田太郎

    山田(太)分科員 これはうそですね。私は聞いておりますよ。文部省にも言うたという、現実に聞いていますよ。そんなうそ言わないでください。あなたのところに報告は行っていないのかな。これは留守家庭児童会のことです。校庭開放のことじゃありませんよ。知っているんですか、実態を。まあ、文部省に直接関係ないような顔をしていらっしゃいますが、文部省が四十一年から四十五年までやっておったことなんですよ。関係ないような顔をしているということは、ぼくは非常に心外ですね。この点は、時間があるから深くは追及しませんが、現実は、私が聞いた範囲内だけでもそうです。まだほかの市町村、他の府県の市町村においても、調査すればもっとデータは集まってくるはずです。その点は、ひとつ御承知おきしていただきたいのです。  そこで、文部省についてはまたあとでお伺いするとしまして、厚生省の児童家庭局長、これは厚生省にも、いま文部大臣から厚生省というお話もありましたが、非常に関係の深いことであることは御存じのとおりです。やはり児童福祉法第三十九条二項ですか、この関連からいうても、厚生省は非常に意欲的にいま考えていらっしゃるということも聞いておりますが、まず局長から、どのように意欲的にやっていこうとするかという点をお答えしていただきたいと思います。
  103. 翁久次郎

    ○翁政府委員 ただいま御指摘のございました留守家庭児童、あるいは別のことばでかぎっ子とも申しておりますけれども厚生省といたしましては、いわゆる児童の健全育成という立場から、児童館を中心一つの施策を進めているわけでございまして、それと、ただいま御指摘のありました児童福祉法三十九条、これは児童の保育について、学童等につきましても保育所を余裕があれば使う——余裕があればということばはちょっとおかしゅうございますけれども、そういう二つの観点からその施策を行なっているわけでございます。  ただ、御承知のように、保育所につきましては、最近乳幼児等を中心とした保育の要望が非常に強うございまして、幾ら保育所をつくっても間に合わないという実情が片方にございます。厚生省といたしましては、これもさることながら、中心といたしましては児童館を、現在全国に千八百ございますけれども、さらにこれを年々ふやしていく。そして各省庁とも御連絡をとりながら、あらゆる社会資源を活用して健全育成という立場から、この留守家庭児童、かぎっ子という子供たちのための健全育成と申しますか、あるいは一つの養育と申しますか保育、そういった立場で、この解決にいささかでもお役に立ってまいりたい、かように考えております。
  104. 山田太郎

    山田(太)分科員 先ほど文部省の方に、うそを言っては困りますよと言いましたが、これは文部省から出していただいた資料なんです。ここにもちゃんとあるのです。希望県もちゃんと出ているのです。念のために言うておきます。  そこで、厚生省の児童家庭局長にお伺いしますが、児童館等も利用しているけれども、いまおっしゃったように、保育所はまだまだ足らぬくらいでしょう。どんどんふやしていかなければいけないのでしょう。それも六歳児以上というわけにいかないのが現実でしょう。御承知のとおりです。したがって、いわゆるかぎっ子対策というものには収容の能力はもちろんないというのは、これはおっしゃったとおりです。また、児童館もいま千八百とおっしゃっていましたが、千八百七十三カ所ですね。これは厚生省から出していただいた資料です。これだけではとてもじゃない、ほんの、九牛の一毛ということばは古いことばで恐縮ですが、適当でないかもしれませんが、非常に足らない。児童館を利用してなんというのはとてもじゃない、ことばの上だけで、実際においてはそういうことができないのが現実です。しかし、この児童福祉法の関係から、厚生省としては早急に何とか手を打ちたいというお考えであるという意欲はわかりますが、現実に厚生省関係の施設だけでは、これは保育所の問題も児童館の問題も、とてもじゃないが解決できない現実の施設の姿です。  これについて、他の省庁とも、いま文部大臣がおっしゃったように、文部省としてもやはり場所という問題もあるから、その点は協力しなければいけないと思ってはいますが、というお話が文部大臣からあったわけです。働きかけたことはございますか。
  105. 翁久次郎

    ○翁政府委員 先ほど入ってまいりましたので、大臣がどのようにおっしゃいましたか、伺っておらないのでございますけれども、私ども考えといたしましては、ただいま御指摘のように、何も厚生省の施設だけが児童のためにあるとは考えておりません。幸い、総理府に青少年対策本部もございますし、そういったところで関係省庁、文部、厚生、労働各省庁がお互いに胸襟を開いて、ひとつ前進的な進め方をして、それに従って各省でできる、特に厚生省でできることについてはできるだけの努力を進めてまいりたい、かように考えております。
  106. 山田太郎

    山田(太)分科員 ことばだけは非常にいいおことばですが、具体的な面が何らないわけです。これは厚生省の立場として、他の省庁に関することは、なかなかここの場所では申しにくいというお気持ちがあるかもしれません。しかし、そういうふうにじんぜん日を送っておったんでは、ますますかぎっ子の方々がふえている現実、少年犯罪がふえている現実、この現実に対する対策というものには、また健全な少年育成の行政というものは、なされていかないわけです。  そこでひとつ、青少年対策本部の次長さんにお伺いしますが、やはり何といたしましても、これは労働省の関係もあるでしょう。あるいはひいては農村部の問題もあるから農林省の関係もあるでしょう。また警察の関係もあるかもわからぬ。しかし青少年対策本部長は総理です。そうでしょう。副本部長も大臣でしょう。次長のあなたが意欲的にこの関係省庁、すなわち、厚生省文部省あるいはその他労働省等々に強力な働きかけをしていかなければならぬ。お聞きするところによると、私がこのかぎっ子問題というものをこの分科会において取り上げるということは、通知がしてあります。だいぶ前から、どういうふうな対策をしておるのだという話もしてあります。そういうことではないかもしれませんが、その後二、三回各関係省庁集まって連絡会議は開いていらっしゃるようですが、しかし、この問題は、ただ口先だけの問題で終わってはいかないのです。青少年対策本部として、いつまでにというめどがなくてはどうにもならぬことです。ただ連絡協議しますというだけで終わったんではいけないのです。めどを立てて、そうしてこのように解決していくという、ひとつ具体的な方向づけはしてもらわなくちゃいけないと思うのです。ただ単に質問して終わったというだけでは、私も非常に多くの親御さん方から陳情の手紙をいただいておりますが、数からいえばものすごい数です。ここのところどんどんふえてきております。ただそのことだけで申し上げるわけじゃありませんが、ひとつ青少年対策本部としてのめどなり具体策なりというものを、お答え願いたいと思います。
  107. 吉里邦夫

    ○吉里政府委員 この問題は、実は私ども担当いたしておりますいろんなブロックの会議、あるいは県の議長の会議等から……(山田(太)分科員「聞いたことに答えてくださいよ」と呼ぶ)問題として出ておりまして、その提起を受けまして、文部、厚生、まだ労働省は呼んでおりませんけれども関係の省庁集めまして、それぞれの事情あるいはそれぞれの方針があると思いますけれども、現実そのような問題があることも事実でございますから、各省協力をしまして、新しい方策、あるいは現実にとっております施策の拡充、あるいは運営の改善等々につきまして議論をいたしておりまして、その結論をまちまして、もちろん予算措置を新しく必要なものは五十年度以降に送らざるを得ませんけれども、運営その他において改善ができること等が出てまいりましたならば、できるだけ早く改善方策をとりたいと思っております。
  108. 山田太郎

    山田(太)分科員 ちょっと具体的になってきましたが、留守家庭児童会にかわるべきものがどうしても現実には必要なんです。いいですか、ここは一つのポイントですよ。留守家庭児童会にかわるべきものがどうしても必要です。そうして現実に、都会のいわゆる町内会といいますか、数町内会が集まって現実にそういう場所を求め、そして働いているおかあさん方が、毎日毎日交代でめんどうを見ていたりしているわけです。一つの場所にかぎっ子の方々に集まっていただいて、そこでめんどうを見ていっている。一週間に一日は休むわけですよ。そういうふうな輪番でやっている。非常に費用もかさむし、何とか市でやってもらえぬだろうか、あるいは町でやってもらえぬだろうかという、そういう希望のあるところも、現実にたくさん出てきております。文部省にはほうられた。市町村はそのまま続けていかなければならない。続けていくことは、これは当然です。文部省はほっぽらかしです。しかし、そういう親御さん方とすれば、ちゃんと市でめんどうを見てもらっているように、あるいは町でめんどうを見てもらっているように、うちの児童会もそうしてほしいという要望が出てくるのは、これは当然のことでしょう。  したがって、留守家庭児童会にかわるべきもの、ぼくはかわるべきということばを使っています。そのとおりと言うておるわけじゃない。かわるべきものを、ひとつ来年度にはやってもらいたい。あるいは今年度でもよろしい。しかし来年度には、いま予算ということばが出ましたけれども予算措置も、言うならば、来たるべき予算概算要求のときには、ぜひやっていきたいという意欲をお持ちですか、その点をお伺いしておきます。
  109. 吉里邦夫

    ○吉里政府委員 先ほどお答えしたところでおわかりいただけると思いますけれども、結論をできるだけ早く出しまして、しかるべき方法をとりたいと思っております。
  110. 山田太郎

    山田(太)分科員 私が申し上げたことを、もう一ぺん言うておきますから、ひとつ……。留守家庭児童会にかわるべきもの、これは忘れないでくださいね。それはいろいろな方策があると思います。しっかり早く協議してもらいたいと思います。この点を強く要望しておきたいと思います。  そこで、時間がもうあと四分ですが、冒頭に申し上げました、幼稚園の問題に一言、二言だけ触れておきたいと思います。  そこで、まず文部大臣にお伺いしますが、人確法が参議院で通ったときに附帯決議がありますね。この附帯決議の中に、文部大臣、聞いておいてくださいよ。この附帯決議の中に、「高等学校、幼稚園並びに盲学校、聾学校及び養護学校の高等部及び幼稚部の教育職員の給与についても、義務教育学校教育職員の給与改善との均衡を考慮して同時に必要な措置を講ずること。」と、こういうふうにありますね。この点についてはどのように措置なさろうとしていらっしゃるか、ひとつ大臣に、大事なことでございますので、お伺いしておきたいと思います。
  111. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 幼稚園の先生方の俸給表も小中学校先生方の俸給表を使っている、これはたてまえでございます。したがいまして、この俸給表について改善を人事院から勧告していただける、従来どおり幼稚園はこの俸給表を使っていくということによって、幼稚園の先生方の処遇の改善を進めていける、こう考えておるわけであります。  また、幼稚園によりましては、先生方の俸給表を使いませんで、事務職員の俸給表を使っているところがあるようでございますけれども、できる限り小中学校先生の俸給表を使っていただけるように、今後は慫慂してまいるべきだと思っております。
  112. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで、実は幼稚園の教員の方のことについてですが、幼稚園の教員の方々が、御存じのように新陳代謝が非常に多いわけです。小学校の教員の方々の約十倍ですか、すなわちやめていかれる数が多いわけです。この理由は、私のほうから先に申し上げますが、いろいろあります。それは結婚の問題、いろいろあります。しかし、やはり子供が好きで幼稚園の教員になっていらっしゃる人々も非常に多いのでございますが、何せ待遇が非常に悪いためにやめられる。これは公立幼稚園についてもそうです。この私の計算が合っているかどうか別としまして、平均ですが、小学校の教員を一〇〇といたしますと、公立幼稚園の場合が六十数%という計算が出ております。それから学校法人幼稚園、こうなるとまたその半分のような状況が出てきております。個人立幼稚園になるとまだ悪い。しかし、直接そのことを言うているわけではないのです。要するに、待遇が悪いためにどうにも続けていくわけにはいかないという方々が非常に多いわけです。したがって、小学校の教員の方々の十倍もやめていく人が多い、こういう現実です。  ところが、これに対して文部省としては、人確法との関連もあったのでしょうが、その前まで幼稚園の教員への補助のための概算要求をなさっていた。ところが、これがなされていないわけですね。これは真に幼稚園教育に重点を置いていらっしゃる文部大臣としましても、やはり何といったって教員の確保というものが大切です。施設も大切です。設備も大切です。しかし、何といったって教員が非常に大切です。したがって、この概算要求を今年はなさっていないようでございますが、いわゆる幼稚園教員への給与に対する補助、これを地方の公共団体といたしましても非常に熱望している理由は、この待遇のためにやめていく人が多いから、その待遇の改善のためにも、ひとつ文部省として補助の措置というものをやってもらいたいというのが切実なる希望であり、要請であるわけです。来年度は、この概算要求の中に入れたいというお気持ちがあるかどうか、これは担当の初中局長からお伺いしておきたいと思います。
  113. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 過去二年間ばかり幼稚園教育の振興ということで、人件費の二分の一の補助の要求をいたしました。しかし、なかなか実現がむずかしいということでございまして、私どもはそういうふうな幼稚園教育全般の問題について、もう一度考え直すということで今年は予算の要求をしなかったというのが実情でございます。  今後、幼稚園教育をどういうふうに振興していくかということの全体の中で、さらに検討していきたいと思いますけれども、これは二回不成功に終わったという事実をごらんいただいてもわかりますように、なかなかむずかしい問題であることは事実でございます。
  114. 山田太郎

    山田(太)分科員 もう時間が来ましたから、これで終わりますが、最後に文部大臣にお伺いしておきます。  過去二回不成功に終わったということを見ても、なかなかむずかしい問題でございます。しかし、何とか考えていかなくちゃならないと思っておりますといういまの初中局長の御答弁ですが、締めくくりとして文部大臣から、幼稚園教育への熱意を、ひとつその面にもあらわしていただきたいと思いますので、その御意向をお伺いしておきたいと思います。
  115. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 幼稚園の先生方の処遇の改善をはかることはきわめて大切なことだ、かように考えているわけでございます。そういう意味においては、公立幼稚園の先生方の処遇につきましては、地方交付税交付金の基準財政需要額に、もっと強く算入されるように努力していかなければならないと考えているわけでございます。同時にまた、学校法人立以外の個人立、宗教法人立の幼稚園に対しても、経常費助成がやれるように、現に衆議院の文教委員会に提出されております法案を成立させていかなければならない、かように考えているわけであります。  同時に、直接先生方の給与に対しまして国庫補助金を求めるという問題、これは四十六年、七年ですか、公立幼稚園についてだけ補助金を要求されておりました。私は、これは筋違いだと思います。要求するのなら、個人立もみんな要求すべきだと考えております。同時に、そうなりますと、義務教育以外について教員の給与に補助をするわけでございますから、幼稚園も高等学校も同じような考え方をとるべきではないだろうか、こう思っておるわけでございます。公立だけに補助をすることはいけない。幼稚園教育をしている先生方に補助をするのでございまして、公立だから補助をする、私立だから補助をしないという考え方は間違いだ、私はこう思っておるものでございます。そういうことで、全体的に検討していきたいと思います。
  116. 山田太郎

    山田(太)分科員 文部大臣のせっかくの御答弁ですが、私は筋違いだと思うというふうなお話でしたね、簡単に言えば。それは間違いだと思います。もうすでに幼稚園教育は……(奥野国務大臣「公立だけですよ」と呼ぶ)ええ、公立の問題も含めてですが、準義務化の方向に向かっておるわけです。準ということばを使いました。それほどいまどんどんふえているのが実情でございます。その点から考えて、いわゆる狭い範囲のサイドで考えるのでなしに、やはり真の幼稚園教育という面に、準義務化の方向に向かっている現状を踏んまえて、四十六年、四十七年でやったものを取り下げてしまうというふうな意欲のない文部大臣じゃないはずです。その点をひとつ考えていただきたいと思いますので、もう一言御答弁いただいて終わりにしたいと思います。
  117. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 補助金を要求するときには、公立に限定することは間違いだ、こう考えているわけでございます。だれが設置しているから補助するのじゃなくて、幼稚園教育に携わっている先生に対して国が助成をするというのなら理屈はわかる、こう思っておるわけであります。
  118. 山田太郎

    山田(太)分科員 ことさらに公立だけに限定しないで、私立のほうにも、学校法人立のほうにも助成できるならば一番越したことはありません。まず、それができるようにひとつ努力していただきたいことを要請し、質問を終わりたいと思います。
  119. 藤井勝志

  120. 寺前巖

    寺前分科員 時間の許す範囲で、せっかくの機会だから、いろいろ体育問題についてお聞きをしたいと思います。  まず第一番目に、国立競技場の使用といいますか、運営の問題について若干聞きたいと思うのです。  実は、二月十六日、新日本体育連盟の東京都の副理事長であります青島繁太郎さんが、国立競技場のスケート施設を借り切りたいということで競技場をたずねたところ、日本体育協会加盟で全国大会でなければ貸さないという職員からの返事をもらったというのです。これは一体どういうことなんだろう。私は、国立競技場施設一般利用規程というのを見てみました。競技場を体協加盟団体で全国大会でなければ貸さないというのは、一体どういうことなんだろうかとこの規程を見ても出てきません。さらに二月十九日に、新日本体育連盟事務局長の池田雄平さんが、本年の十一月に第十回全国スポーツ祭典というのを、国立競技場の陸上競技場をお借りしてと思って業務担当者のところへ行ったところ、昨年使用団体に対して、十二月に申し込み書類を発送して、本年一月二十六日で締め切りをしたので、その結果、日曜、祭日はほとんど埋まってしまっているという返事だった。  私は、この二つの問題を持ち込まれて、国立競技場施設一般利用規程というのは、どういうことになっているのだろうかと思って調べてみたが、これも何ぼ調べても理解できない。利用規程の第二章第三条には、「競技場の施設を専用で利用しようとする者は、利用しようとする日の前月の十五日までに別記様式第一号による施設利用申込書三部を競技場に提出し、その承諾を得なければならない。」こう書いてある。だれが考えたって、それじゃ十五日前までに届けをして、そしてそこで相談会か何かある、まあ重なったときには相談の上できめられることになるのかなと思うのが常識だ。ところが、十五日前どころか、ことしの秋の話を持ち込んだところ、去年の話でそれはもう済んでいます。こう言われちゃった。とすると、この利用規程というのは一体何なんだろうか、私もふしぎでかなわない。  なぜかというと、スポーツ団体が一年間の計画を立てるのに、十五日前まで計画が立たぬというようなことでは、これは現実的ではないと思う。だけれども、それだったら利用規程の十五日前というのがむしろおかしいのじゃないだろうか。そうすると、これは一体どういうことになっているのだろうか。この際、国立競技場の使用のあり方の問題について、基本的に直す必要があるのじゃないだろうか。利用規程も明らかにこれは現実的ではない。  それと先ほど言った体協加盟団体で全国大会でなければ貸さないというのも、何で日本体育協会に加盟していなかったら貸さないということになるのだろうか、理解に苦しむので、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  121. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 現在の国立競技場の、いま御指摘の利用規程につきましては、私も現状にそぐわないものと思います。これは近く改正いたしたいと考えておるわけでございます。  さらに、御指摘の点についてお答えいたしますと、国立競技場は、御承知のようにオリンピックもやりました競技場でございまして、全国的な選手権大会、そういうものをやるにふさわしい競技場というものでは、わが国の代表的な競技場でございます。また、そういう全国選手権大会をやれるという競技場は少ないのが現状でございますので、国立競技場の利用にあたりましては、そういう全国的な選手権大会にできるだけ使っていただけるようにしたい。その種の全国的大会は、大体前年度に予定されるわけであります。そうしますと、使うほう、また貸すほう、お互いにまぎわになってからでは非常に困りますので、実際の慣行といたしまして、前年度中に申し込みを受けまして、年間の日程を調整いたしております。まぎわになってお申し込みの場合は、もうすでにふさがって、予約済みということが起き得ているわけでございます。そういう点からも、現在の利用規程は少し不親切になっておりまして、実情にそぐわない。たとえば、国立教育会館の利用規程がございますが、国立教育会館は、教育関係者の研修施設である、そのために使うことを優先といたしまして、これは二年前、一年前でも申し込めるようになっております。その他あいているときに、一般が使いたいというときだけ、申し込みに期限を設けているわけでございます。そういう例も踏まえまして、改正をいたしたいと思います。  それから、体協加盟の競技団体でなければ使わせないということを言ったということでございますが、それは原則的な問題ではないと考えます。体協加盟であろうとなかろうと、スポーツ関係団体あるいはアマチュアスポーツ等のために使う場合は、当然使っていただける性質のものと考えるわけでありますが、いま御指摘のスケート大会など、私の推察になりますが、そういうあらかじめ予定されました選手権大会等がない場合は、一般国民に開放をいたしておりますので、あらかじめ日程にない、予定にないということでお断わりしたのではないか。体協加盟でなければ使わせないということはあり得ないと思います。
  122. 寺前巖

    寺前分科員 私は、当然改正しなければならないと思うし、体協伝々で言うというのはおかしい。局長さんの答弁は当然だと思います。  ところで、この国立競技場使用料表というのを見ると、三つの分類があるのです。第一番目の分類は、アマチュアのスポーツ団体が主催する競技会に使用する場合、二番目が、一以外のアマチュアの運動競技の催しに使用する場合、三が、一及び二以外の催しに使用する場合。この間も私は課長さんに聞いたのですが、アマチュアのスポーツ団体が主催する競技会と、一以外のアマチュアの連動競技の催しと、何で区別をしなければならないのだろうか。区別をしなければならないというよりも、アマチュアというのは一体何のことなのだろうか。アマチュアに一と二とが起こってくるというのが私には理解に苦しむ。ですから、アマチュアというのだったら、アマチュアで通したらいかがなものだろうか。ちょっとわかりにくいので、この点について御説明いただきたい。
  123. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 先生の御疑問は全くそのとおりだと思いますが、ただ、現在の規程の趣旨は、こういうことだと思います。  御承知のように、東京オリンピックを控えまして、それにふさわしい競技場として大改修をいたしまして、国際的にも通用いたします、日本を代表する競技場であります。したがいまして、先ほど申し上げましたような、各スポーツ団体が選手権大会あるいは国際的な競技大会をやるにふさわしい場所としてつくられておりますので、また、そういうスポーツ団体は、財政力の面でも乏しいのが現状でございますので、その種の大会に最もふさわしい競技場といたしまして、そういうスポーツ団体が競技大会を行なう場合に、できるだけ安く使わせたいという趣旨で、現在の規程ができていると思うわけでございます。  ただ、当時は、とにかく選手強化あるいは競技力の向上ということが一つの大きなあれになっておりまして、またそれが、かねて国民のスポーツの普及にも役立つという考えが強かったわけでございますが、現在は時代が変わっておると思います。保健体育審議会の答申にもございますように、青少年をはじめ一般国民の体育、スポーツを大いにこれから普及、振興しなければならないという時代になっておるわけでございまして、時代が当時と非常に変わっておることを考えますと、現在の利用規程がそのように分かれておるということは、今後のそういう社会的要請といいますか、課題にこたえる面からは、必ずしも適しておらないと考えておりますので、この利用規程につきましても、私どもとしては、改正を検討いたしております。
  124. 寺前巖

    寺前分科員 それでは、せっかくの機会ですから、改正をしたいとおっしゃる態度に対して喜ぶものですが、同時に、やはり一番気にかかるのは、どうしたって、使用というのは、日曜日とか祭日ということが中心になってきますね。したがって、その場合に民主的に、希望を出した人たちがお互いに納得できる形で、抽せんとかその他いろいろな方法があると思うのです。それがやはりちゃんと民主的に行なわれる。私のところは、明らかにこういうことでこの日は使えなかったのだということがわかるようなやり方にぜひとも改正されて、運営される場合には取り上げていただきたいということが一点。  それからもう一つ、最近国立競技場で行なっているスポーツ教室について、三〇ないし一五〇%値上げをするということが一部に報道されました。大幅なこの値上げに対して、関係者の間では非常に注目が集められております。私は、物価が全体としてずっと上がっておるときに、この分野においてもまた上がるということに対しては、多くの人たちが、その面からもちゅうちょするだけではありません。スポーツの分野において、こういう時代になればこそ、これが一そう多くの人たちに愛されるようにするためには、国が責任をもってこの競技場運営について保託してやるということを考えるならば、私は、スポーツ教室が値上げをされるというようなことについては、これは憂慮にたえないものなんです。だから、この点についてどういうふうにお考えになっているのか、御答弁をいただきたいと思います。
  125. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 前段の問題でございますが、先ほどのことを補足しながら申し上げたいと思います。  この利用規程の改正の検討にあたりまして、一つ考え方は、現在は、アマチュアの団体が使用する場合と、それ以外に分けておるわけでございますが、このアマチュアスポーツに利用する場合と、たとえばサッカーなどプロにも使う場合がございます。そういうアマチュアに使う場合とプロに使う場合に分けるという考え方もあり得る、そういうことも含めまして改正を検討いたしております。  それから、それがいかに使用が決定されるかということにつきましては、当然公正に決定されるべきものでございまして、だれでもが納得がいくという、公正にきめられるべきと思いますので、従来も、そういう点は十分配慮して行なわれたと思いますが、一そうそういう点に留意すべきものと考えます。  第二点でございますが、先般ある新聞に、スポーツ教室の値上げ問題が出ておったわけでございますが、これに対する競技場の考えは、特に講師の方々の謝金を上げなければならない。たとえば水泳教室でございますが、これは昭和四十五年に料金を改定いたしまして、それが現在まで据え置かれております。ところで、講師の先生方の謝金などは、こういう時期でございますので上げざるを得ないということでございまして、そういう面からもある程度の値上げはせざるを得ないということで検討をしておったようでございますが、こういう時期でもございますので、特にまた水泳教室は、社会体育、スポーツの普及振興に非常に重要な役割りを果たしておりますので、私どもといたしましては、値上げはある程度やむを得ないと考えますか、その上げ幅その他につきましては、慎重に検討すべきものと考えておりまして、目下、競技場と協議いたしております。
  126. 寺前巖

    寺前分科員 国鉄の運賃の値上げでも半年間延ばそうということをいっているときでしょう。ですから、講師の方々に対する謝礼のあり方なんかを含めて、国が積極的に財政的な援助をするという立場に立って、値上げをやるということは、私はこの際やめていただきたい。これは特に大臣に要望しますので、あとで大臣からひとつ御答弁いただきたいと思うのです。これは押えてもらうようにしてもらいたい。特に強くこれは要望しておきたいと思います。  それからもう一つ、このごろまた電力が若干変わってきましたけれども、夜間の照明問題で、スポーツ施設を第三種、要するに遊興、娯楽と同じような扱いの節電という部類に、通産省がこの前発表しておったようですけれども、私は、こういうスポーツの問題というのは、そういう遊興とか娯楽の立場から見るというのじゃなくして、積極的に国民の健康を増進させる、肉体の発展というのは頭脳の発展にもつながる相互作用を持つものであって、これは非常に重要な要素を占める。そういうことから、電力の節減問題に対しても、はっきりと私は第一位に置いてもらうという立場をとるべきだと思うのですが、この点についても、大臣のひとつ見解を聞きたいと思います。
  127. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 まず、前段の問題でございますが、昭和四十九年度の予算編成にあたりましても、そういう講師の方々の謝金につきましては、ある程度の増額をしていただきました。しかしながら、先ほども申し上げましたように、昭和四十五年以来ずっと水泳教室などは据え置いております。そういうこともございまして、若干のしかるべき値上げはやむを得ないと考えておりますが、その時期なり値上げ幅等につきましては、競技場と私どもとで慎重に検討をいたしたい。またいたしております。  後者につきましては、温水プールと夜間照明の問題がございまして、実は昨年の十二月から、文部省にそういう方面の対策室ができております。そこと一緒に通産省に強力にお願いをいたしておるわけでございますか、まだ実現を見ておらないわけでございます。最近電力事情その他も、そのころに比べますとやや好転してきたようでございまして、最近また強く、とにかく第三種というのは困る、やはり国民の体育スポーツという見地から、ぜひ上のほうに上げてもらいたいということを、いま強く要請をいたしておるところでございます。
  128. 寺前巖

    寺前分科員 国立競技場、秩父宮ラグビー場の改築の問題、これは国会でも論議になった経過のある問題ですね。一万七千人の収容が二万五千人の収容に変わるということで、ラグビーファンにとっては非常に大きな希望であったわけです。ことしの正月は改築ができなかったところから、競技場のほうをお借りして、四万とか五万とかというたくさんの人たちが集まって応援しておったという姿も、テレビを通じて私は見ましたけれども考えてみると、日本の国におけるラグビー場は、東の秩父宮と西の花園という二つの専用競技場しかないわけですね。国際的に見ても、日本のサッカーとかラグビーとかいう分野の施設というものは非常に貧弱なわけですよ。  そういう意味で、この秩父宮ラグビー場に対する期待というものは、新たな期待がスポーツ界にはあるわけです。ところが、私が言うまでもないことですが、総額三億六千五百万円ですかをかけてやるということで、昨年スタンドの解体がやられた。あと今度は建設するということで、二回入札をやったけれども、いずれも業者はつかなかったという経過があって、昨年の分をことしにという形で移ってくるようですけれども、ところが問題は、この物の値段の変化の中で、この見積もりではやれなくなってきているわけですね。そういうことになってくるとどうするのだろうか。要するに、現在の計画を縮小するということになるのか、それとも年度を越して新たに追加予算を組んで断固としてやり抜くのか、この辺の文部省の態度というものについては、これらの人々の中においては非常に大きな関心事です。私もそのことについて、一体どういう態度をおとりになるのだろうか、聞きたくてしかたがないところなんです。  そこで、この秩父宮ラグビー場の問題について、どういう方針で今後いこうとしておられるのかを聞きたいと思います。
  129. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 秩父宮ラグビー場のスタンド改修工事につきましては、昭和四十七年度予算におきまして三千五百万円、四十八年度予算におきまして三億六千五百万円、計四億円の予算で工事を建設省にお願いいたしまして、現在まで既設スタンドの撤去など、約二千六百万円の工事を終了いたしておるわけでございます。  建設省におかれましては、非常に特殊な工事でもございまして、限られた予算で御趣旨のような大幅な改修をやるということで、その設計その他非常な御苦心をしていただいているところでございますが、ちょうど時期が、石油危機等の非常に悪い時期にぶつかりまして、昨年の十二月、二回入札をいたしましたが、いずれも不調に終わっております。その時期がまた一番悪い時期であったということもあるわけでございます。現在、建設省におきましては、予算の範囲でどの程度の工事が施行できるかを、資材その他の事情が昨年の十二月に比べますとかなり好転してきている実情もございまして、いま鋭意御検討をいただいております。この経費の一部は繰り延べの対象となっていることなどもございまして、今後建設物価の推移を見ながら工事を進めていきたいということでございます。  いずれにいたしましても、既定の予算で当初改修を予定いたしました全体計画ができるか、あるいは一部残存をするかということが考えられるわけでございますが、今後のそういう状況を見まして、今度の改修の趣旨といいますか、秩父宮ラグビー場の機能が十分に果たされることを目途に検討をいたしていきたい、そう考えております。
  130. 寺前巖

    寺前分科員 いまおっしゃったのは、三億何ぼ、四億近くのお金でやろうという計画。当初計画を現在やろうとすれば、何ぼの金が要りますか。
  131. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 御承知のように、建設費の問題が、セメントとかいろいろな鉄鋼資材とか、この数カ月かなり流動的でございますので、現在時点で当初どおりやるとしたら幾らぐらいかかるかということは、建設省にもよく聞いてみませんとちょっとはっきりいたしません。いずれにしても、私どもが聞いている範囲ではかなり流動的である、かなり苦心を要するということで、建設省にもいろいろ御苦心をいただいておるわけでございます。
  132. 寺前巖

    寺前分科員 それは、流動的だから言いにくいという面はあるかもしらぬけれども、常識で大体何ぼぐらいかかるかというのはもういわれている。七億かかるというのです、当初計画をやろうとすれば。大臣、四億では当初計画ができないということはもうはっきりしている。だから、当初計画のようなことでは入札がつかないわけですよ。ですから、スタンドの四面をやるというのを一面減らすとか何かしなければ、いまの計画ではいかぬことはもうだれの目にも明らか。そうすると、今年度計画でもって、現在までの金でもって終わりにしてしまうのかどうかということが関心の的なんです。だから、今日時点でいうならば、当初計画をやろうと思ったら七億ほどの金が要る。あそこを改築して、日本の国のラグビー界において東西二つしかない専用ラグビー場、これが恥ずかしくないようにありたいというところからこの運動が始まっているのです。これは腹をくくって、当初の、去年の予算だけではやれないということははっきりしているんだから、文部省として引き続いてあの計画を実現するということで、来年度の予算の中でまた考えるという姿勢を持つのか持たないのか、私はこれは大事な問題だと思う。歴史的に、国会でも論議になった経過から見ても、私はそういう立場をとってほしいと思うのですが、これは、ひとつ大臣の見解を聞きたいと思います。
  133. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 ラグビー場のスタンドの改修工事でございまして、計四億の予算を計上していただいたということは、私どもといたしましては、大蔵省としても非常な理解を示していただいた問題だと考えております。スタンドの改修工事に、とにかく四億をかけるということでございますから、その予算の範囲で、できる限り当初目標あるいはそれに近い実現を期したいということで、建設省にはたいへん御苦労をいただいておるところでございまして、ただ、どうしても工事が残るというようなことも起き得るかもしれませんが、その時点におきまして、やはりいろいろな観点から検討すべき課題である、こう考えております。
  134. 寺前巖

    寺前分科員 お約束の時間が来ていますので、さらに話をするというわけにいきませんが、私は、大臣にひとつ腹を固めてもらいたいと思うのです。というのは、時間があればもっとやりたいのですが、保健体育審議会の答申に基づいて、七カ年計画でもって地方の体育施設をつくっていくという案が、ずっと組まれているわけでしょう。ところが、この七カ年計画といっても、五〇・二%だけを公共団体でやって、あとは民間にやらす。しかも、五〇・二%を地方公共団体がやるといっても、七カ年計画の最初の四十九年度予算を見ると、もう実際上七カ年計画で建設しようという施設から見ると少なくなっている。だから、予算の面から見れば、七カ年計画自身がもうくずれてきているわけですよ。大臣、ちょっと聞いておってくださいよ。七カ年計画自身がくずれてきている。そこへ持ってきて今度は、地方自治体に対する助成をふやすといったって、ここではまた現実的にはうんと財政的に行き詰まりがきているわけです。こういう財政的に行き詰まりがきているときに、国の施設の面においてここで計画が狂うようでは、私は、保体審の答申に対して全国的に協力してくれいといったって、協力をしないという要素を持つと思うのです。ことしああいう計画でやるというのだったら、それはそれでやったらいいですよ。だけれども、当初立てた計画についてやり抜くかどうかという姿勢が、地方に対して、保体審の答申に基づく施設建設の面における基本的姿勢をあらわすことになる。そういう意味で、文部大臣としては、当初計画のために努力をするという立場をとってもらいたい。私は、これを最後に御答弁いただいて、質問を終わりたいと思います。
  135. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 近来、ラグビーが多くの国民に親しまれてまいってきていることでございますし、また、日本中心的なラグビー場でもございますだけに、多くの人たちが期待されておった当初の計画はぜひ実現するように、私たちとしては関係各方面にお願いをし、実現をはかっていかなければならない、かように考えております。
  136. 寺前巖

    寺前分科員 終わります。
  137. 藤井勝志

    藤井主査 以上で、文部省所管の質疑は終了いたしました。  この際、午後二時まで休憩いたします。     午後一時八分休憩      ————◇—————     午後二時一分開議
  138. 奥田敬和

    ○奥田主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  主査所用のため、その指名により、私が主査の職務を行ないます。  まず、昭和四十九年度一般会計予算大蔵省所管昭和四十九年度特別会計予算大蔵省所管昭和四十九年度政府関係機関予算大蔵省関係を議題とし、政府から説明を求めます。中川大蔵政務次官
  139. 中川一郎

    中川政府委員 昭和四十九年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明いたします。  まず、一般会計歳入予算額は、十七兆九百九十四億三千万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、一兆八千二百六十八億千三百万円の増加となっております。  以下、歳入予算額のうちおもな事項について、その概要を御説明いたします。  第一に、租税及び印紙収入は、十三兆七千六百二十億円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、一兆千七百五十四億円の増加となっております。  この予算額は、昭和四十九年度の政府経済見通し等を基礎として見積もった租税及び印紙収入見込み額十四兆七千六百四十億円から、今次の税制改正による減収額一兆二十億円を差し引いたものであります。  第二に、専売納付金は、三千四百四十一億九千七百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、二十六億八千九百万円の減少となっております。  この納付金は、日本専売公社納付金三千四百四十億千百万円、アルコール専売事業特別会計納付金一億八千五百万円を見込んだものであります。  第三に、公債金は、二兆千六百億円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、三千五百億円の増加となっております。  この公債金は、公共事業費、出資金及び貸し付け金の財源に充てるため発行する公債の収入を見込んだものであります。  最後に、前年度剰余金受け入れにつきましては、昭和四十七年度の決算による同年度の新規剰余金四千五百五十四億二千五百万円を計上いたした次第であります。  次に、当省所管一般会計歳出予算額は、一兆六千五十三億千二百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、四千九十二億七千百万円の増加となっております。これは、国債費において千七百三十九億六千四百万円、公務員宿舎施設費において四十五億九千八百万円、政府出資において百四十億五千万円、予備費において千九百五十億円増加いたしましたが、他方、産業投資特別会計へ繰り入れにおいて九十五億円、特定国有財産整備費において二十七億七千万円減少いたしましたこと等によるものであります。  以下、この歳出予算額のうちおもな事項についてその概要を御説明いたします。  まず、国債費につきましては、八千六百二十一億六千九百万円を計上いたしておりますが、この経費は、一般会計の負担に属する国債及び借り入れ金の償還及び利子等の支払い並びにこれらの事務の取り扱いに必要な経費の財源を、国債整理基金特別会計へ繰り入れるためのものであります。  公務員宿舎施設費につきましては、二百二十二億四千二百万円を計上いたしておりますが、この経費は、国家公務員に貸与する宿舎の建設に必要なものであります。  政府出資につきましては、中小企業信用保険公庫等四機関に対し、一般会計から出資するため必要な経費として、八百五十一億五千万円を計上いたしておりますが、その内訳は、中小企業信用保険公庫百九十五億円、海外経済協力基金六百五十億円、水資源開発公団一億五千万円、宅地開発公団五億円であります。  産業投資特別会計へ繰り入れにつきましては、六百六十三億円を計上いたしておりますが、この経費は、産業投資特別会計において行なう産業投資支出の財源の一部に充てるため、一般会計から同特別会計へ繰り入れるものであります。  予備費につきましては、予見しがたい予算の不足に充てるため、二千六百億円を計上いたしております。  次に、当省所管の特別会計といたしましては、造幣局特別会計をはじめ、十の特別会計がありますが、そのうちおもな会計につきましては、その概要を御説明いたします。  まず、造幣局特別会計におきましては、歳入、歳出とも二百六十八億四千五百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、いずれも百三十二億三千二百万円の増加となっております。これは、補助貨幣の製造数量の増加等によるものであります。  印刷局特別会計におきましては、歳入三百十五億二千二百万円、歳出二百九十五億三千九百万円、差し引き十九億八千二百万円の歳入超過でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入は五十四億六千八百万円、歳出は五十六億六千百万円の増加となっております。これは、日本銀行券等の製造数量の増加したこと等によるものであります。  以上、申し述べました各特別会計のほか、資金運用部、国債整理基金、貴金属、外国為替資金、産業投資、賠償等特殊債務処理、地震再保険及び特定国有財産整備の各特別会計につきましては、お手元の予算書等によりましてごらんいただきたいと存じます。  最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算につきまして、簡単に御説明いたします。  まず、日本専売公社におきましては、収入一兆千九百四十八億九千百万円、支出九千五百三十二億二千二百万円、差し引き二千四百十六億六千八百万円の収入超過でありまして、専売納付金は、三千四百四十億千百万円を見込んでおります。  なお、日本専売公社の事業のうち、たばこ事業につきましては、昭和四十九年度の製造たばこ国内販売数量を、対前年度百五十八億本増の二千八百五億本と見込んでおります。  次に、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫、中小企業信用保険公庫、医療金融公庫、環境衛生金融公庫、沖繩振興開発金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の各機関の収入支出予算につきましてはお手元の予算書等によりましてごらんいただきたいと存じます。  これをもちまして、大蔵省関係予算の概要について説明を終わります。  なお、時間の関係もございますので、お手元に配付しております印刷物を、主査において会議録に掲載せられるよう御配慮願いたいと存じます。
  140. 奥田敬和

    ○奥田主査代理 この際、おはかりいたします。  ただいま中川大蔵政務次官から申し出がありました、大蔵省所管関係予算の主要な事項につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 奥田敬和

    ○奥田主査代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  142. 奥田敬和

    ○奥田主査代理 以上をもちまして、大蔵省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  143. 奥田敬和

    ○奥田主査代理 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜わりますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、答弁はできる限り簡潔明瞭にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  144. 村山喜一

    村山(喜)分科員 今度の国会も、総括質問から一般質問、いま分科会に移っているわけでございますが、国際通貨の問題、国際金融の問題につきましては、あまり取り上げられていないように見受けるわけでございます。  しかし、この問題は、世界の過剰流動性の増大の問題と相まちまして、特に、石油危機の中から生まれたオイルダラーの問題が、これからどういうふうに影響を与えていくのか、また、いまフロートしております通貨制度を、これからどういうふうに建て直していくのかという問題を考えてまいりませんと、世界的なインフレの中における日本の経済のあり方という問題を突き詰めておかなければ、たいへんな事態になるし、世界経済が混乱をすることがあり得る、こういうふうに私、考えますので、そういう立場から若干の問題について、大蔵大臣に主として質問をしたいと思います。  そこで、一月の日本銀行の発表によりますと、日本の外貨準備高が百十五億六千六百万ドルありました。それが二月になりますと、三億三千四百万ドルふえておるわけでございまして、百十九億ドルになっておるわけでございますが、それが、何らかの操作なしにそのような状態になるのであるならば、きわめてけっこうなことだと思います。  しかし、これが人為的な操作によってそういうものが生まれたとするならば、これまた、いろいろそれについての追及をしていく中から、今後のあるべき正しい姿を打ち出していかなければならないと思いますが、一体なぜそういう状態になってきたのか。いまそれぞれ、その外貨の中身の問題も、やはりこの際検討をしておかなければならない問題だと思いますので、どういう形でその内訳はなっているのか、この点を明らかにしてもらいたいと思うのでございます。  いわゆる、内訳の表示によりますと、金及び外貨ということで一括してございますので、その中の金の内容についてはどういうふうになっているのか、この点も明らかにしておいてもらいたいと思います。
  145. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 村山委員の御指摘のように、いま世界通貨の動向、これが非常に大きな問題であり、それはまた同時に、世界経済の中で重きをなしておる日本といたしましても、重要な問題になってきておるわけであります。そういう重大な問題につきまして、いろいろ御質疑をくださるそうでありますので、たいへん私もいい機会を与えられたと思います。  そこで、わが国の国際収支がどういう立場にいま置かれておるかということを申し上げさせていただきたいのですが、昨年一年間で国際収支の赤が百億ドルに及んだ、こういう状態であります。これは実に異例、異常なことでございます。一国が百億ドルの赤字を一年間に出す、実に心胆を寒からしめるような事態でございます。  これを振り返ってみますると、昨年一月ごろのわが国の外貨手持ちは、百九十億という多額のものになったわけであります。そこで、政府といたしましては、外貨、減らし政策というものをとったわけであります。その方法といたしまして、国内経済の拡大政策をとる、これが一つであります。つまり積極的な財政金融政策をとる。それが一昨年ずっととられてきたわけであります。にもかかわらず、一年前、昨年一月の外貨手持ちは百九十億ドルであった。そこでもう一つ、外貨の流出については寛大な、それから外典の流入に対しましてはこれをきびしくという為替政策をとるという、この二つの政策が主軸としてとられた。  そういうような状態であったわけでありますが、そういう中で、その政策の影響というものが端的にあらわれてまいりまして、昨年中は、その百九十億ドルをピークといたしまして、外貨がどんどん減ってくる。その基盤には、国際収支の大赤字というものが伏在しておった、こういうことであります。  そこで、その趨勢をほうっておきますと、これはたいへんなことになる。今日、外貨の手持ちは百十九億ドル、こういうことになっておりますけれども、いままでのような勢いでこれがいったならば、すぐこれはけし飛んでしまう。そこへさらに、わが国の国際収支から見まして非常に重い負担一つのしかかってきておる。それは石油価格の高騰の問題であります。  そういうことを考えますと、国際収支に対しまして根本的なこれが対処の政策をとらなければならぬ、こういうふうに存じまして、一方におきましては、国内におきまして総需要の非常なきびしい抑制政策をとる。これは同時に物価政策をもねらいとしておるわけでありまするが、他面において国際収支の改善、これをにらんでおるわけです。これが一つ。  それから、為替政策におきまして、いままでの、いずるには寛大に、入るに対しましてはきびしい、こういう政策を全く正反対のものといたしまして、外貨の流入はこれを促進するが、海外に出ていくことにつきましてはこれを抑止ぎみにいたすという政策を、昨年の十一月以来とりだしたわけなんです。そのきき目というものが端的にまたあらわれつつある、そういうことでございます。二月の外貨が、しばらくぶりで減りどまりというか、逆に少しふえたというのも、そういう政策上の影響を受けての現象である、かように御理解願いたいのです。  内訳につきましては、政府委員のほうからお答え申し上げます。
  146. 松川道哉

    ○松川政府委員 ただいま御質問のございました、二月末の外貨準備の内訳でございますが、これは、ただいま計数を最終的に取りまとめ中でございます。あと一週間ほどいたしますれば発表できるようになるかと思います。したがいまして、計数に若干の異同はあるかもしれませんが、現在の手元の数字で申し上げますと、金が八億九千百万ドル、外貨が九十八億七千三百万ドル、ゴールドトランシュが六億二千三百万ドル、SDRが五億一千三百万ドルでございます。  もう一点、三億ドルふえた点についての御質問でございますが、基本的には、市場におけるドルの需給関係が変わりまして、ドルに対する需要が弱まったということが基本的な原因でございます。その背景といたしましては、貿易収支面におきましては、輸入決済は依然として高い水準で推移いたしております。しかしながら、他方輸出の受け取りも、一月に比べますとかなり増加してきておるのも事実でございます。さらに、先ほど大臣からもお話がございましたように、私ども為替管理の政策を見直してきておりまして、その効果が徐々にあらわれてきております。  具体的に申し上げますと、たとえばインパクトローンでございます。これは従来は出る一方でございましたけれども、二月になりますと、差し引きネットで約八千万ドルの流入がある。さらに居住者の海外の投資でございますが、これは二月に入りますと引き揚げ超過、外国に投資しております債券を処分して日本持ち帰るというものが約一億一千万ドルございます。さらに、これは村山先生御案内と存じますが、一月の末に、居住者の外貨預金勘定につきまして持ち高の規制を実施いたしました。これが二月の二十六日までに、その規制に服するように指示いたしましたので、それをこえております分につきまして、ドルの取りくずしがございました。これが金額的に約五億ドル、このような数字になっております。
  147. 村山喜一

    村山(喜)分科員 この外貨準備高の内訳は、金はもうほとんど変わらない、SDRも前月に比べてほとんど変化ございませんで、ゴールドトランシュが幾らか減っておる、こういう中身であるようでございます。これは、後ほど私は国際通貨の問題について触れてまいりたいと思いますが、金というものが、いま外貨準備高の中に入れられてはおりますけれども、これが準備通貨としての機能を果たしていないということが、国際的にも指摘をされるわけでございます。後ほどこの問題について触れてまいります。  その前に、昨年の二月に日本の国がフロートに移りましてから、世界の主要な国々は全面的にフロート下に入っている。そのフロート下における世界的なインフレという現象が、今日生まれているわけでございます。そこで、その内容をいろいろ検討してまいりますと、どうも世界的な意味における国際流動性の過剰流動性という問題を処理しなければ、世界的なインフレの処理はできない段階に来ているのではないだろうか、こういうふうに私は考えるわけです。  そこで、一体どれぐらいふえただろうかということで調べてみますと、一九六九年の末には、世界の国際流動性の総額は七百八十三億ドルあった。それが一九七三年の三月には千七百七十三億ドルと、大体九百九十億ドルの急増を来たした。わずか三年三カ月の間に二倍以上に膨張をしている。この過剰流動性というものが、世界的なインフレの原因であるということを否定できないと私は思うのですが、大臣は、この流動性の問題について、どういうふうにお考えになっているのか、そしてまた、どういうような原因でこういうような過剰流動性というものが発生をしたのか、それに対してはどういう手当てを講じていったら、この過剰流動性は終息をすることができるのか。この問題はきわめて大きな問題だと考えます。  それに、さらにまた、先ほど申し上げましたように、石油危機の中からオイルダラーといわれるものが、これはまた国際的には偏在をする姿の中で生まれてくる。となれば、国際金融の中において、これがまた通貨面に対する影響をもたらしてくることも事実でございますし、そういうような面から、世界インフレの問題を日本の大蔵大臣としては、世界の主要な経済力を持つ立場にある日本のことでございますし、また日本のインフレを克服していくためには、世界のインフレの問題を処理していくという方向づけがなければできない問題だと思いますので、非常に重要な立場にある福田大蔵大臣の御所見をいただきたいのです。
  148. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 確かに、過剰流動性問題というのは、世界経済にとりまして非常にやっかいな問題になってきておるわけです。その過剰流動性の額が、はたしてどのくらいにのぼるかということにつきましては、これは見方がいろいろございまして、たとえば国際決済銀行などは、七百億ドルから九百億ドルなんというような見方をしますが、もっとたくさんあるんだということを言う人も多いわけであります。いずれにいたしましても、こういうものが世界の経済の秩序を混乱させておる。  なぜ、そういう過剰流動性ができてきたかということを考えてみますと、これは根本的にはアメリカが、特にベトナム戦争十年間その国際収支が赤字である、そして多額のドルを世界に供給する、こういうことになった、それが積もり積もっておる。それからもう一つは、最近石油市況というものが、国によりましてはかなりの黒字を出すという傾向が出てきた。おもな原因はその二つではなかろうか、そういうふうに思うのです。  これから先、一体どういうふうになるだろうかということを考えますと、アメリカの国際収支、これは昨今たいへんな改善ぶりを示しておりますので、このアメリカの国際収支の面から、ドルの供給が今後世界市場にふえていくという傾向は、私はもうそう心配することはないのじゃないかと思います。  もう一つの石油産出国の問題、これは石油価格の引き上げという問題が起こりまして、これはたいへんな勢いで外貨を蓄積する、その蓄積したいわゆるオイルダラーといわれるものが世界を遊よくする、こういうことになるわけでありまして、これはむずかしい問題をはらんでおる、こういうふうに思うのです。  そこでそれに対して、それが一体どういう影響を持つかということになると、世界経済に対しまして、ユーロダラーといわれる金が開発投資という長期投資に充てられる分におきましては、さして大きな影響はないと思います。ところが、この金がいわゆるショートマネー、短期資金として各国の市場を遊よくする、そうして、あの国の通貨をこの際買ったならばたいへん有利だというような見方などをいたしまして、アタックといわれますが、その国の市場に襲いかかるというようなことになりますと、これは国際経済の基本である国際通貨のバランスを破るということになるわけでありまして、これはもう国際間におきまして、ユーロダラー問題につきましては非常に注意を払わなければならぬ問題である。  わが国は、幸いにしてこのユーロダラーにつきましてはそう被害をこうむらなかった。つまりわが国は、まあ世界で一部には批判もありましたけれども、長期資本の出し入れにつきましては自由にする、しかし、短期資本につきましてはこれを為替管理体制下に置く、こういうことで、外資が日本の市場に自由に入ってきたりまた出ていったりということにつきましては、厳重な統制下に置いたわけでございます。したがって、ユーロダラーのただいま申し上げましたような弊害、それからこうむるところの被害は少なかったわけでございます。  そこで私は、各国がその通貨を守らなければならないという考え方に立ちまして、日本方式を当面採用していくということが一番いいんじゃないか、そういうふうに思います。同時に、これと並行いたしまして、巨額なユーロダラーといいますか、特にオイルダラー、これを一つの軌道に乗せまして、そしてその軌道に乗ってオイルダラーが運用されるというような仕組みをつくり上ぐべきじゃあるまいか、そういうふうに考えておるわけであります。  さような見地に立ちまして、いまIMFを中心といたしまして、その方向の仕組みをどうするかということを検討しておる最中でございますが、わが国もIMFの体制下の重要な一員として、この作業に参画をして、鋭意そういう方向の施策を進めておる、こういう状態でございます。
  149. 村山喜一

    村山(喜)分科員 時間がありませんので、端的にお尋ねしてまいりますが、日本の外貨のポジションがいま二月で百十九億ドル。ところが、これに対しまして為銀に対する外貨預託が三十億ドル、それから輸入資金のスワップと普通いわれているものが約三十一億ドル。まあ六十一億ドルはこの百十九億ドルのほかにある、こういうふうに私たち見ているわけですが、それは間違いないかどうかということ。  それからもう一つは、為銀がユーロ資金を借りまして、これを短資で受け入れて中長期の資金として投資をした場合には、国際収支の計算のやり方の中で、受け入れの分は計算されないけれども、いわゆる中長期で投資をした分については資本の流出という形で計上をされる。それをどの程度なされているのかということで、日銀の経済統計月報で、いわゆる外為の対外関係資産負債残高を調べてみますと、大体百億ドルの資産があって、百三十四億ドルの負債を持っているわけです。そうなりますと、純資産において大体三十四億ドルぐらい赤字になっているわけですが、この分だけが、大体中長期の資金として貸し付けに転化をしているものだ、こういう分析をして間違いないかどうか。  そういうふうに考えてまいりますと、それが正しい分析であるとするならば、過剰流動性の見方については、大蔵大臣がおっしゃるようにいろいろな見方がありますが、世界的な流動性がふえていることは事実なんです。金融資産がふえていることは事実であります。その中でユーロ通貨市場が、いまでは約一千億ドルの資金量をかかえておる。その中で、一番その資金を利用している国はどこかといえば、アメリカの次には日本です。その金の使い方がふえればふえるほど、それだけ流動性というものがふえていくことになるのではないか、そういうように思うのであります。その中には、オイルダラーといわれるのは大体百五十億ドル程度と想定をされているようでありますが、これが投機的な資金ではなくて、長期的な投資のほうに向かうことは、まあ短期資金として投機性を帯びた金が世界の市場を荒らし回るよりも、それはきわめて望ましい姿だと考えます。  しかしながら、全体的に過剰流動性といわれるような姿になっていく国際的な流動性の増大というものを、どこかで歯どめをかけなければならない段階に来ているのではないだろうか。私は、これは世界の資本主義の国々がIMFを中心にいたしまして、特に福田大蔵大臣あたりが乗り込んでいただいて、その中で問題の解決を、国際通貨の改革の問題と結びつけながら処理を願わなければならない段階に来ているのではなかろうかという気がするのでございます。  そこで、最後に質問として申し上げたいのは、そのいわゆる国際通貨、改革方向でございます。すでにアメリカのドルが基軸通貨としての地位を、ドルが強くなったとはいえ、これからも保持することはできない。とするならば、SDRを見直していかなければならないという合意は、すでにできているように聞いているのでございます。ところが、これと同時に、このSDRの価値づけの問題、金とどういうふうにリンクをする形の中において考えるかということを、何らかのその関係づけをしない限りは、これらの問題の解決は、国際通貨の改革の中で生まれないのではないかという気が私はするのでございますが、それに対する大臣の御所見と、先ほどの計数的な問題は国金局長のほうから御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  150. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 国際通貨改革問題がなぜ起きてきたか、こういう問題でありますが、これはいままで、主としてアメリカのドルが世界の基軸通貨としての地位を持っておった。そのアメリカが、国際収支が悪化する、ドルの地位が不安定化するという問題が一つあったわけです。その問題は、今日ではたいへん違ってきております。つまりドルの地位改善されてきておるということでございますが、この問題が起きるその時点におきましてはそういう問題があった。それからもう一つは、ドルが金本位を離脱した、そして管理通貨、こういうような形になってきたわけであります。  そういうことを考えてみますると、何かもっと世界性を持った一つの基軸というものが、通貨面で必要じゃないかという考え方になるわけでありまして、そこで、国際通貨当局間におきまして相談が始まっておるわけですが、いままとまっております考え方は、もう再びドルは使わない、それで新しい決済手段を模索しよう、こういうことであります。  いま、空気といたしましては、御指摘がありましたSDR、これを根本的に変えまして、そしてこれを価値の安定し、しかも高いものにしよう、こういうことになっておりまして、正月は、イタリアのローマで二十カ国蔵相会議がありまして、そういう方向を打ち出しておるわけです。そして、六月に再びこの会議を開きまして、そこで、大体その方向が確認されると思います。  ただ、これを具体化することになりますと、いまお話の金との問題をどういうふうに解決するかという問題、また各国の通貨とSDRとの比率をどういうふうにとっていくかというような問題、いろいろ各国の利害が錯綜する問題が多々ありまして、そう簡単に結論が出るというような状態ではございません。  そこへもってきて、これもいま御指摘がありましたが、石油の価格高騰、こういう問題が出てきて、アラビア諸国に決済手段が偏在する、こういう問題、それも同時に解決していかなければならぬ、こういう立場に追い込まれておるわけであります。したがって、現在のフロート制というのがしばらくの間は続かざるを得ない。しかし、フロート制というものは、どうしても世界的なインフレという傾向とつながりを持たざるを得ないというようなわけでありますので、通貸切り下げ競争というようなことが起こらないように、何とかフロート下における国際社会の間のルールづくりということをやっていかなければならぬだろう、こういうことになりまして、これもまたIMFを中心といたしましてその作業が進められておる、こういうことでございます。
  151. 松川道哉

    ○松川政府委員 まず、御質問の第一の点でございます、為替銀行に対する外貨預託及び輸入資金スワップについて御説明いたします。  この制度ができましたゆえんは省略いたしまして、最近の傾向でございますが、昨年の中ごろ以来はユーロ市場の動向その他を見ながら徐々にこれを引き上げてきております。これは予算委員会の総括質問のときに、だんだんくずしておるという形で御説明いたしました。そしてそれが、一体幾らの金額でどうなのかということになりますと、これは為替市場に対する心理的な影響その他がございますので、各国とも非常に慎重な取り扱いをいたしております。たとえば、フランスであるとかイギリスであるとか、こういう国は全く公表をいたしておりません。西独の場合には、ときたまその数字を発表いたしておりますが、定期的に発表いたしておりません。アメリカは、若干の月日をずらしておくれて発表しておるようでございます。  そこで、私どもといたしましても、同じような考えから、現段階でそれが幾らかという御質問であれば、総括質問でもお答えいたしましたように、輸入スワップは四十七年に二十二億ドルふえましたが、四十八年は八億九千万ドルの増にとどまりました。それから、外貨預託のほうは、四十七年に二十八億ドルふえましたが、四十八年は一億五千万ドルふえました、こういう説明で御了承いただきたいと思います。いずれある程度の月日がたちますれば、明らかにできるときがあろうかと思います。  次に、質問の第二点でございますが、ユーロを取り入れてこれを中長期に回した場合のことでございます。統計上の取り扱いは、御指摘のように、取り入れましたものは総合収支の下に線がございます、その下の金融勘定の債務の増加ということになります。そして外で、外国でこれを運用いたしますと、長期資本の出ということになります。その金額でございますが、四十七年におきまして約十五億ドル、四十八年におきまして約二十七億ドルでございます。統計的には、先生の御指摘のような資料で見ることも可能でございますが、これは必ずしも正確には反映いたさず、大体の傾向を示すものと御了承いただきたいと思います。
  152. 村山喜一

    村山(喜)分科員 時間が参りましたので、これでやめますが、輸入インフレによります海外要因によって物価の問題が派生している場合には、これは総需要抑制政策というのをとると、スタグフレーションにつながるおそれがあるのではないかと思うのです。これが国内要因による物価上昇であれば、総需要抑制政策というのはきわめて有効な、そしてまたとらなければならない措置だと思っておるのであります。それだけに、国際的な関係日本の経済政策、物価政策との間にはきわめて大きな関係がありますので、そういうような問題からいまの問題を提起したわけでございまして、時間が足りませんので、また大蔵委員会等で、一般質問で大臣に所信をお尋ねしてまいりたいと思います。  これで終わります。
  153. 奥田敬和

    ○奥田主査代理 これにて村山君の質疑は終わりました。  柴田健治君。
  154. 柴田健治

    柴田(健)分科員 大蔵当局にお尋ね申し上げたいのですが、国立療養所の施設に関してお尋ねを申し上げたい。  国立療養所の機関はたくさんあるわけですが、その中で、らい療養所だけに焦点をしぼってお尋ねを申し上げたいと思うわけでありますが、ことしの予算は総需要抑制という大原則がある、こういうことは理解はできるのでありますが、らい患者、ハンセン氏病患者の長い歴史的な経過、そしてまた、彼らがいま苦しんでおるいろいろな問題がたくさんあるわけでありまして、とにもかくにも、この施設の改善をぜひしてくれという要求もあるし、またやらなければならない、これはどちらかというと人道的な問題でもあろうかと思うわけであります。  いま、全国十三カ所のらい療養所の施設があることは、御承知のとおりだと思います。この十三カ所の施設の中で、沖繩は、本土復帰して間もないし、施設もまだ不完全ということもあるわけであります。本土の十一の施設も、これまた不完全な面がたくさんあるわけであります。これらの施設改善を、長年関係者一同は要求し続けてまいりました。  ところが、どうも大蔵省の査定は非常にきびしいし、冷酷でそして冷淡であるというような気持ちを持たせるような予算の決定額であります。これに対して、当局の見解をまず聞きたいのであります。
  155. 辻敬一

    ○辻政府委員 初めに、国立のらい療養所全体の予算について簡単に申し上げますと、ただいま御指摘のございましたような患者さんの実情などにかんがみまして、四十九年度におきましては相当増額をいたしているわけでございます。前年に比べまして二六・一%ふえて、百九億七千八百万円という予算を組んでおります。その中で、特に収容されておられますらい患者の処遇改善をはかるために、患者給与金を大幅にふやすとか、あるいは新しい薬の購入費を計上するとか、いろいろな施策を講じているところでございます。  そこで次に、御質問の施設の問題でございますが、施設整備につきましても、従来から、患者さんの実情あるいは施設の現状等を考慮いたしまして、相当重点的に配慮してきているつもりでございます。ただいま御指摘のございましたように、四十九年度予算は全体といたしますと、公共投資に対するきびしい抑制方針をとっているわけでございますが、らい療養所の施設整備につきましては二五%ふやしまして、八億八千三百万円計上しているわけでございます。これは、五年前の予算額に比べますと約五倍、正確に申しますと四・九倍でございますが、そのくらいふやしておるわけでございまして、これによりまして、重症者病棟の整備でございますとか、あるいは不自由者棟、治療棟の整備は相当進捗するのではないか、かように考えておるところでございます。
  156. 柴田健治

    柴田(健)分科員 御説明は、患者給与金その他を大幅にふやして、百九億七千万という予算を組んだ、こう言われるのですが、予算内容はそうであると思いますけれども、何としても施設の改善をしてやらなければならない。それは、お医者さんの問題、看護婦の問題という医療職員の増員の問題もありましょう。また、患者のいろいろな個人的な待遇改善もありましょう。それらももちろん大切でありますから、思い切ってやっていただきたいということは当然のことだと思います。  しかし施設も、何としても早く改善してやらなければならない問題であるのであります。先ほど八億八千三百万組んだというお話でありますけれども、四十八年度七億五百九十万の施設予算が三一・五%残っておる。これはまだ使っていない。〇・八%というものは政策繰り延べでありますから一律に延ばしておる。けれども、昨年の残がまだ二億一千八百万。これはなぜかというと、単価が低いからできない。入札してもできない。これはもうたいへんなことになっておる。ことしまた八億八千万余り予算を組んだと言うけれども、単価が非常に低いというところに問題があるのではないか。どういう単価のきめ方をしておるのか。それは建物によっていろいろ単価基準がありましょうが、らい療養所の施設の単価基準は幾らか、ひとつ御説明願いたい。
  157. 辻敬一

    ○辻政府委員 国立らい療養所の施設整備費につきましては、御承知のように、他の同種の施設整備費と同様に、実施計画におきまして配分を決定しておるところでございます。したがいまして、四十九年度予算につきましても、成立させていただきましたならば、各施設からの要望を厚生省が聴取をいたしまして、厚生省で実施計画を作成して当省と協議をいたすわけでございます。それによりまして各施設別の配分をきめまして、それぞれ妥当な単価で契約をして施設の整備に当たる、かような仕組みになっておるわけでございます。
  158. 柴田健治

    柴田(健)分科員 単価基準があるだろうと思います。なければ予算が組めない。算定基礎があって初めて予算額が出てくるわけですから。  時間がございませんから先に進みますが、厚生省から大蔵省に施設改善の要求をして、大蔵省が査定をされる。第一次査定、第二次査定とやるわけですが、最終は大臣査定ということになる。そうすると、私は大蔵省の査定が正しいのか、厚生省の要求がでたらめなのか、それはよくわからない。  この点の見解を聞きたいのですが、たとえば防火施設、防災施設の改善厚生省が六千九百五十一万八千円、約七千万円の額を要求した。ところが、大蔵省はそれに対して三百万円の査定です。二十三分の一の査定です。これは要求したほうが無理なのか、査定したほうが無理なのか、その点の見解を聞きたいのです。
  159. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま御指摘になりました防災施設の問題でございますが、防災施設全般につきまして、私のほうといたしましては決して軽視をいたしておるわけでもございませんで、四十九年度予算におきまして、たとえば特別会計のほうの国立病院、療養所におきましては、防災関係の経費を四倍近くふやしておるわけでございます。国立らい療養所につきましても、同じような考え方に基づきまして、病棟あるいは不自由者棟というものの防災設備の整備をはかることにしたわけでございまして、私どもの数字でございますと、五百八十三万四千円を計上いたしておるわけでございます。  らい療養所は、御承知のように、医療機関でございますとともに、一面福祉施設という特殊性も持っておるわけでございます。したがいまして、全体の施設につきまして、一般病院なり療養所と全く同じというわけにはいかないわけでございますが、今後とも、ただいま御指摘のございました防災施設等の充実につきましては、つとめて配慮してまいりたい、かように考えております。
  160. 柴田健治

    柴田(健)分科員 大臣、人間の不幸を招く原因はいろいろ数多くあるわけですが、病気とあらゆる災害と貧乏、この三つが人間の不幸を招く原因になっておる。これは大体、もう昔もいまも変わりないと思うのですね。そうすると、災害の中で、今日日本の災害には天災、人災、いろいろ数多くありますけれども、ただ一つの火災の面を見ても、昭和四十八年に大体七万四千件ぐらいの発生件数がある。これはもうはっきりと統計的に出ておる。被害額は九百六十億になんなんとする被害額も出ておる。焼死者は千八百五十名も犠牲者が出ておるということも明らかになっておる。だから火災だけを見ても、それだけの甚大な被害が出ておる。そしていまや、当面の防災対策は、いつ地震が来るやらわからないというようなことで、予防政策を国も考えなければならぬ重要なときが来ておると思うのです。だから、ましてや国の機関で防災施設が十分できないという考え方は、これはもう国民にどういう訴え方をするのか。国は建築基準法を改正してきびしくやる、そして消防法を改正してきびしく指導するけれども、国が持っておる施設が、そういう防災施設が十分でないというのはどうしても割り切れない。  いま、他の機関との均衡論を出されましたけれども、らい患者は他の療養所とは違う。ましてや年寄りが多い。いま全国九千二百何名おる患者の中で、六十歳をこしたのが三三%、平均年齢五十四余りの年齢になっておる。そういう実態の中で盲人が多い、足腰の立たないほんとうの重度身障者もおるわけであります。そういう不具者、難病として取り扱われてきた重症患者が多い中で、防火施設ができないし、防災施設ができない。他の機関と同じような均衡論というのはどうしても理解できない。大臣、この点についてどうですか。
  161. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 らいの問題につきましては、実は、私の選挙区でも楽泉園という療養所がありまして、もう予算時期になりますと、私自身が患者からいろいろな話を伺うわけです。私はそれに対しまして、特にこの世でお気の毒な立場の方々のことでありますので、とっくり話を聞いてできるだけのことをしておるのですが、いま伺っておりますと、防災施設が十分でない、こういうようなお話でございますが、これはなお私どもよく、そういう状態であるかどうかを調べてみます。そして善処することにいたします。
  162. 柴田健治

    柴田(健)分科員 大臣の足元にもあることはよく知っている。私は、ハンセン氏病議員懇談会の事務局長をさせていだだいて、世話をさせていただいておるものだから知っている。施設の名前はいい名前をつけてあるのですよ。大臣の足元の楽泉園にしてもそうです。たとえば、岡山県の長島に愛生園だとか光明園だとか、熊本に恵楓園だとか、また沖繩には愛楽園だとか、名前はまことにいい名前をつけておるのですね、ほんとうにりっぱな名前を。愛楽園なら愛楽園らしくりっぱな施設をしてやるし、そうして中身もよくしてやらないと、愛楽園にならないし、楽泉園にもならぬと私は思うのです。  それは別として、とにかく防災施設については重点的に考えてもらいたいということと、この施設改善は当面の問題で、いまの老朽施設の復旧というか、改築というか、そういう面から見ると、積算の根拠、これからどの程度要るだろうかという推定額を見ると、大体五十億以上要るんではなかろうか。いまの建築資材の価格からいうと、まだ大幅に伸びるだろうという推定が出るわけであります。それから、五十億以上かかるという見通しの中でいうと、ことし八億余りの予算でどれだけのものができるのか。厚生省の要求は十七億要求したんですよ。その十七億の要求の中で不自由者棟というのが五億七百二十万九千円、それから重症者棟が二億七千八百万ほどですか、治療棟の整備が一億八千二百四十七万、老朽建物その他で七億三千二百万というように、今年の厚生省の概算要求が合計十七億に及ぶ。それに約半分の査定をしている。こういう率でいくと、これは相当の年月がかかる。  それから、ほかの国立の療養所とは違って——ほかの療養所も重点的に考えなければならないが、とにかく、らい療養所だけは特に歴史的な経過というか、そういう病気からくる国民感情というか、そういう面がいろいろあるわけですから、それらを踏まえて、施設改善に最善の努力をしてもらわなければいけないと思うのです。いま私が申し上げたことを、直ちにどうしろと言うたってなかなかできないかもわかりませんが、明年からは重点的にやるというお考えになってもらわなければ困る、こういう気がいたします。  先ほどの防災施設についても、三百万程度で何ができるんだろうか。大蔵省は何も知らぬのじゃなかろうかという気がするわけです。たとえば、小型の消火器がいまどのくらいしておるだろうか、また室内の放射ノズルが一口どのくらいしているんだろうか、ホースが一本どのくらいしておるんだろうか、そのことを知っているんだろうかという気がするのです。主計局次長、その点深く知っていますか。
  163. 辻敬一

    ○辻政府委員 施設整備の問題につきまして、若干例をあげて御説明を申し上げますと、重症者病棟につきましては、計画病床数が九百ベッドというようになっておりまして、四十八年度までに整備済みになっておりますのが六百でございます。四十九年度、先ほど申し上げました予算で約百八十ベッドは整備ができると考えておりますので、残りが百二十ベッドでございまして、これにつきましては、五十年度にはほぼ完了するというように考えております。  なお、不自由者棟につきましては、不自由者の患者数が約五千名でございまして、四十八年度末までに三千六百名程度の不自由者を収容できる病棟ができる予定でございます。四十九年度は、これまた先ほどの予算額で二百七十程度が整備できますので、残りが千名ちょっとということになります。  したがいまして、重症者病棟につきましては、五十年度にはおおむね完成する、残りの不自由者棟あるいはまた治療棟につきましても、今後その整備に一そう努力をいたしてまいりたいと考えております。  先ほど来御指摘のございました、患者さんの実情あるいは施設の現状等にもかんがみまして、今後とも施設整備、あるいはまた御指摘のございました防火施設の整備等の充実につきましては、さらに努力をしてまいりたい、かように考えております。
  164. 柴田健治

    柴田(健)分科員 どうも、私が聞いているのと大蔵省が知っているのとだいぶ開きがある。これはいずれまた厚生省に聞いてみなければいけないのですが、昨年の改築費で、単価が上がる、要するに建築資材が上がる、仕事ができないということで、みんなお手上げでおるのがほんとうなんです。大蔵省がやったやったということを厚生省に報告しておるか知らないが、実際はやられていない。  もう一つは、たとえば岡山の長島愛生園、光明園には屎尿処理が不完全である。これらも厚生省に言うと、まあぼちぼちやらしてもらうんです、やらないということはいけないのでやります、金がないんですと言う。これは瀬戸内海に流れている。瀬戸内海の環境保全という法律をつくったが、国の施設からどうも変なものが流れてくる、これでいいんだろうかというような気がするわけです。  一方では、盲人の方がたくさんおるわけです。盲人の関係予算を見ると、それは盲人用のテレビだとかラジオだとか、いろいろな個人的な要求もあるでしょう。けれども、防火の面から見ると、もっと盲人用の避難施設というものを考えなければならぬ。全然なされていない。これらは大蔵省は目をあけてないんだろうかという気がする。まず屎尿処理についてどうするのかという気がする。大蔵省どうですか、この点は。
  165. 辻敬一

    ○辻政府委員 長島愛生園と光明園の屎尿処理の問題につきましては、早急に取りかかる必要がございますので、さしあたり四十八年度の実行で一部着手をいたしております。四十九年度の予算で、先ほど御説明いたしましたように、今度実行段階で配分をするわけでございますが、その配分にあたりまして、重点的、優先的に考えてまいりたいと思っております。  それから、盲人関係の御指摘がございましたけれども、御承知のように盲導鈴、鈴でございますが、これを計画的に整備してまいりまして、これは四十八年度で一応完了いたしております。四十九年度は新しく盲導索、綱でございますけれども、これを計画的に整備するということで初年度の予算を組んでおります。そういう盲人関係予算につきましても、できるだけ努力をいたしておるつもりでございます。
  166. 柴田健治

    柴田(健)分科員 いま盲導索だとか、新しいのを今年の予算で多少認められているということを知っております。先ほど言うた屎尿の問題ですが、あれは工事費が相当かかるのです。もう長年の懸案です。いままでは、地元は言いたいけど言えないという非常なつらさがあった。それは騒ぐと漁民に火がつく。あの辺はカキの産地です。普通の魚介類ならいざ知らず、カキなんです。これは騒がれたら国を相手に訴訟問題が起きてくる。国の施設からそういうものが流れて出るということ自体がたいへんなことになるので、地元も痛しかゆしで、歯を食いしばって、ささやかな簡易な施設をしている。これは去年少しつけましたが、全然できていないのです。これをどうするか。いまの予算の査定の中ではどうにもならない。六、七千万円かかるのですよ。それを四十九年度で完全に実施できるかどうか、追加でも大蔵省は認めていくのか、この点、どうですか。
  167. 辻敬一

    ○辻政府委員 四十九年度の配分につきましては、再三申し上げておりますように、厚生省と相談するわけでございますか、不自由者棟、重症病棟と別にいたしまして、一般整備として約四億程度を用意してございますので、ただいま御指摘の屎尿処理施設の整備につきましては、実行段階で厚生省と十分相談いたしまして、優先的、重点的に配慮いたしたいと考えております。
  168. 柴田健治

    柴田(健)分科員 時間が参りましたから、あまり多くは言いませんが、とにかく、らい療養所の施設改善、また患者の待遇改善その他については、今後十分考えてもらわなければいけないのでありまして、大臣もこの点については、地元に現実に模範的な施設があるわけですから、よく見ていただいて、長年政治家をしておられるのだからよく知っておられると思いますけれども、とにかく、このらい患者の九千二百名余りの人々に、ほんとうに心から喜んでもらえるような予算を組んでもらう、施設改善もしてもらう、個人的な待遇改善もしてもらう、すべて努力をしてもらいたい、こういうことを大臣、ひとつ力強く決意を表明していただきたいのですが、いかがでしょうか。
  169. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 らい患者に対するお心づかいのほどほど、よく承りましたが、大蔵省といたしましても、厚生省とよく相談いたしまして、できる限りの配慮をいたすことにいたします。
  170. 奥田敬和

    ○奥田主査代理 これにて柴田健治君の質疑は終わりました。  次に、中村重光君。
  171. 中村重光

    中村(重)分科員 三十分という時間の制約ですから、端的に大臣にお尋ねをしてまいります。  伸び率二〇%を割るという、大臣もたいへん苦労された予算の編成である。その予算の編成の中に、どうも首をかしげざるを得ない、大企業を不当に擁護しているという感じの予算が計上されているのを見出すのです。通産省の予算になるわけですが、電子計算機産業振興対策費として百九十六億五千万円を計上しているわけです。この予算の中身を調べてみますと、高性能の新機種を開発するのだという理由でもって、富士通・日立グループ、日本電気・東芝グループ、三菱・沖電気グループの三グループに対する補助金ということになっている。実はこの二グループに対する補助金だけで百五十二億五千万円ということになっているようであります。  私は、この点が何としても理解ができないわけであります。この一般会計から特定企業に対して、しかも巨大企業に対して助成をしなければならないという理由について、お聞かせをいただきたいのです。
  172. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 この両三年、輸入の自由化問題が非常にうるさい問題であることは、中村さんも御承知のとおりでございますが、その中で、一番やっかいなのは電算機なんです。もしわが国が二、三年前のわが国の電算機の状態で輸入の自由化をするということになりますと、もう日本の電算機工業というのはほんとうに雲散霧消というか、そういう事態に追い込まれる。  そこで、自由化につきまして最後まで粘ってまいりまして、資本の自由化につきましては、ソフトウエアが五十一年四月一日、これが資本自由化の最後になるわけですが、輸入の自由化につきましては、電子計算機の本体と周辺装置につきましては五十年中、また、その部品につきましても五十年中に自由化をする、こういう国際的な約束みたいなことになっておるわけであります。それまでの間に外国の、特にIBM、こういう企業がわが国に進出いたしましても、わが国の電子計算機産業がある程度太刀打ちができるような体制にしておかなければならぬ。  そこで、この数年来というものは各企業もずいぶんあせっておりまして、この部門だけで見ますと、たいへんな出血までいたしましてそれに備える、こういう体制であったのですが、自由化問題がいよいよ期限つきで実行されなければならぬ、こういうことになりますと、いよいよもって体制の整備を取り急がなければならぬ。そういうことから、あえて国庫が電子計算機産業に対しましては補助をいたしましょうということになったわけで、これは大企業育成というわけでもないのです。わが国のこれからの成長産業といたしたい電子産業を自由化のあらしの中から守り抜こう、こういう趣旨でございます。
  173. 中村重光

    中村(重)分科員 私も、電算機の自由化に対して、政府が抵抗をしてきたということは承知しておるのです。IBMに対抗するところの新しい機種を開発しなければならないという積極的な理由についても理解ができるわけです。だからといって、巨大企業に対して、六つの会社を三つに分けて、二社ずつ三グループをつくって、そして特殊のテクニックをやって一般会計から助成をするという行き方は、私は財政法上にも問題があるような感じがいたします。端的に、これが違法であるとは私は申しません。工業技術院等から、わずかの金でありますけれども一般会計から補助をしているという事実もあります。しかし、電子産業という形で一般会計から助成をしているということは、あまり見出せないということです。  だから、あえて私がテクニックと申し上げたのは、鉱工業技術研究組合法、これによって助成をしておるようでありますが、私は、このこと自体も理解ができない。この法の目的あるいは事業、それから発起人、こういったようなことからいたしまして、この三つのグループに対して研究組合法をたてに補助をするということは、問題があるような感じがいたします。これは、通産省から情報産業局長も見えていますので、時間の関係がありますから簡単にお答えいただきます。
  174. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 この補助を開始します前におきましては、日本の電算機産業の大手は六社でございました。その六社がそれぞれ研究開発を進めるということでは、巨大なIBMの研究開発になかなか対抗できない見通しがございましたので、通産省としましてはそれの集約化をはかりまして、極力少数精鋭でもって大量の資金を導入して、技術者もなるべく集結をいたしましてIBMに対抗する新機種の開発をはかろう、こういうふうに考えたわけでございます。  その結果、技術的に相似た企業が相寄りまして、結局、六社が三つのグループを編成したわけでございます。そのグループ化いたしました企業群ごとに共同で研究をするわけでございますので、その研究のしかたといたしまして、鉱工業技術研究組合法によります研究組合というものを組織いたさせまして、そこで、グループは共同研究をすることにいたしまして、その組合に研究開発補助金を交付することにいたした次第でございます。
  175. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣、お聞きのとおりですが、第一点としては、自由化の影響を受けているものはあながち電子産業だけではない。農漁業にいたしましても、あるいは中小企業等にいたしましても、自由化のためについに倒産しておるまことに気の毒な方々が非常に多い。それに対して、特別に一般会計から助成をしているという事実はない。しかし、この電子産業だけは助成をやっている。しかも、いまお聞きのとおり、三つのグループに分けて、この研究組合法という法律にのっとって補助をするというやり方でやっている。  しかし、三つの組合の中身を調べてみますと、法律の第七条に、発起人というのには、「三人以上の者が発起人となることを要する。」とある。じゃ、三人以上の発起人というものがあるのか。なるほど形式は三人以上という形になっている。たとえば富士グループにいたしますと、富士通と日立がある。しかし、その三人目というのは富士研究所にすぎないということです。全然別の会社ではないということ。それからまた、沖電気のグループにいたしましても、三菱電機と沖電気、その中に三菱総合研究所というものを加えて三つにしているということです。全然別の会社ではありません。しかも、この法律の中身を見ますと、組合が業務をやるようになっているが、組合は研究を一つもいたしておりません。三菱グループの場合におきましては、三菱電機のビルの一室を借りて事務所を持っているにすぎません。それから富士通グループにいたしましても、富士ビルの中に一室を借りて二、三人の人を置いている。日電グループの場合もそうであります。ただ補助金をもらうためのトンネル機関をつくっておるにすぎないということであります。こういうでたらめな助成のやり方をやるべきではない。  いま、齋藤情報産業局長が答えられたように、組合に助成をするのだったら、なぜに組合は共同研究をやらないのかということです。研究をちっともしていないじゃありませんか。富士にいたしましても、三菱にいたしましても、沖にいたしましても、補助金をもらっているけれども、その金を自分の会社につぎ込んでおるのにすぎません。私は調査をいたしておるのであります。その事務所にも行っていろいろと、どういうことをやっているのですか、関係会社が寄って研究しておりますか。いいえ、いたしておりません、それぞれの会社でこれをやっているのであります、ただ、ときたま応接間で何か話をしているようなこともあります、こういうことであります。こういうでたらめな補助のやり方というものは脱法行為であるし、さらに私が指摘をいたしますように、大企業に対してだけ特別な違法、不当な助成のやり方をするということは、許されないということであります。  この問題は、電子産業が非常に重要である、自由化としてはIBMに対抗するという立場から、日本の産業振興という面から非常に重要であるということは理解をいたしますけれども、だからといって、どのようなことをしてもよろしい、法律も無視していろんな脱法行為をやって補助してよろしいということにはならないと私は思う。この点に対してどのようにお考えになるのか、大臣からお聞かせいただきたい。
  176. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 自由化対策といたしましては、大小にかかわらず、あるいは工業、農業、そういう差別なく、自由化によって影響をこうむるものに対しましては、それぞれの対策をとっておるわけであります。  それから、電子計算機産業につきましては、私の一般的な見解といたしまして、これが自由化されるというようなことになりますと、たいへんなことになるというふうに考えておりまして、これに対して国家が何らかの助成をすることにつきましては、そう疑義を持たないのでございますが、いま中村さんは、その方法について問題にされておるようであります。その方法論、手続論になりますと、私も詳しいことを承知しておりませんので、通産省のほうから答えていただきます。
  177. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 電子計算機の研究組合は三つできております。三グループございますが、御承知のように、今回の電子計算機の開発は、ハードの機器の開発と同時に、それを動かすためのソフトウエアの開発も同時に行なっております。したがいまして、ハードのメーカーであります、たとえば日電・東芝グループでありますと、日電、東芝といった会社のほかに、ソフトウエアを開発する会社がそれぞれ参画いたしまして、三社以上の形になりまして組合をつくって、開発を行なっておるわけでございます。  なお、組合のやり方でございますけれども、組合が研究開発をするたてまえでございますので、開発しました成果が工業所有権等がとれました場合は、個々の組合員ではなくて、組合に工業所有権は帰属することになっております。組合といたしましては、実質上の研究は各組合員に分担させて開発させておりますが、施設は全部組合が自分で取得いたしまして、それを組合員に貸与する、こういう形をとっておりまして、研究主体はあくまで法人格的な組合という形をとっているわけであります。
  178. 中村重光

    中村(重)分科員 そういうことを言うから、あなた方はテクニックをやって、どんなことでもやろうとするんだということです。富士通なら富士通の工場の中に別に区別したものはないのですよ。あなたは六つの会社に行って現場を見てごらんなさい、私が言っているとおりなんだから。またそのことは、組合の事務所の連中も会社の連中も証言しているんだから。  事業の問題については、第五条で、「組合は、次の事業を行なうことができる。」として、「組合員のために試験研究を実施し、及びその成果を管理すること。組合員に対する技術指導を行なうこと。試験研究のための施設を組合員に使用させること。前各号の事業に附帯する事業」こうあるが、全然組合はやっていない。ただ補助を受けるためのトンネル機関として組合をつくって、そしてかっこうをつけなければならないから、二、三人職員を置いて事務所をつくっておるにすぎないじゃありませんか。そんなばかげたことで、組合を通じてやっているんだ、そういうことはだめなんです。  大臣がお答えになったように、これは研究の成果をあらしめなければならない。そのためにはこういう方法が一番いいんだという、財政法からあらゆる角度から検討して、ごまかしのないような形において助成がされるのであるならば、私はそれに対してはいろいろ言おうとはしない。しかし、ごまかしをやって巨大企業、特定産業にだけそういう助成をしようとするやり方を問題にしているということです。これは私はいかない。大蔵省も、通産省が概算要求される場合は、中身についても、これは大きな金なんだから、この助成は累計四百二十数億になっているんだから、十分その内容を確かめてもらいたいということを要求いたしたいと思います。大臣、お答えいただきたい。
  179. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いま、補助の出し方の仕組みについて御注意があったわけですが、これは公正な仕組みでなければならぬというふうに私も考えますので、なお通産省と相談いたしましてこれを整備いたしたい、かように考えます。
  180. 中村重光

    中村(重)分科員 次に、日本電子計算機株式会社、これの株主及び事業はどういうことをやっておりますか。
  181. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 日本電子計算機株式会社の株主は、電子計算機を現在生産いたしております、いわゆる六社でございます。具体的には、富士通、日立製作所、日本電気、東芝株式会社、三菱電機、沖電気でございます。  この日本電子計算機株式会社の仕事といたしましては、電算機の販売というのは売り切りでございませんので、レンタルが普通でございます。そのために、個々の企業がなかなかレンタル資金の調達が困難でございますので、日本電子計算機株式会社が一ぺん個々の企業から買い取りまして、そしてそれを、レンタルを希望するユーザーにレンタルで出す、そういったレンタル事業会社でございます。
  182. 中村重光

    中村(重)分科員 そうすると、これには開銀資金を融資しておりますね。金額は幾らになっておりますか。
  183. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 開発銀行から日本電子計算機会社に、その所要資金を融資いたしております。
  184. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣、お聞きのとおり、四十九年度開銀資金を二百二十五億貸し付けている。累計は一千二百五億です。  いまお聞きのとおり、これはレンタルで、しかも、先ほど申し上げた六つの会社の製品を販売する、レンタルするのです。これは設備資金じゃありません。明らかに運転資金であります。開発銀行は原則として設備資金でなければならない。これはなぜにオール運転資金に開銀が融資をするのか、なぜに特定企業に対してだけこういうむちゃな融資のやり方をするのかということについては、ひとつ責任のある答弁をしていただかなければなりません。
  185. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 この日本電子計算機株式会社は、ただいま申し上げました六社がつくりました製品を一ぺん買い取りまして、そしてそれをユーザーにレンタルをいたしております。したがいまして、日本電子計算機株式会社としては、一ぺん自分の設備として取得をして、それをレンタルに出すわけでございまして、日本電子計算機株式会社から見ますと、その設備の調達は設備資金に相なろうかと思います。
  186. 中村重光

    中村(重)分科員 つくった品物を買うんじゃありませんか。何がそれが設備資金ですか。しかも、これはオール開銀資金ですよ。それじゃ、この会社の借り入れ金の中に開銀資金が幾ら入っていると思いますか。みんな開銀資金でやっているのでしょう。中身は幾らですか。
  187. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 日本電子計算機会社は、ただいま申しましたように設備を自分で買い取りまして、自分の資産と一ぺんいたすわけでございます。その上で、持っております資産を貸し付けるわけでございますので、そういう意味では、日本電子計算機会社としては設備資金であろうというふうに考えております。  なお、資金の内訳は、自己資金が六百億円ぐらい、借り入れ金が開銀から千億、それから、約でございますけれども、市中銀行から千億借り入れをしております。
  188. 中村重光

    中村(重)分科員 製品を買うということは、運転資金じゃありませんか。設備を買うのじゃありませんよ。つくった品物を買うのですよ。私は、これは設備資金とは思わないな。そうしてそれを販売したり、レンタルしたりするのだから、これは六つの会社の販売機関なんですよ。そういう特定企業に対してだけ、しかも、巨大企業に対してだけ脱法行為を盛んにやって、それは何も問題としないようなやり方では、だから大企業と政府が癒着をしたということがいわれる、明らかな事実じゃありませんか。
  189. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 普通の事業を営む企業と違いまして、レンタル専門会社の場合には、そのレンタル資産は、一応その会社の資産というふうに扱うように私どもとしてはいたしております。
  190. 中村重光

    中村(重)分科員 私どもの概念では、設備というのは開発が伴ってくるのだ、物をつくる機械、それを設備というのです。でき上がった品物を売ったり、そしてまた、価格が高いから、それをレンタルにする以外にはないでしょう。そういうやり方をやっているのまで設備というならば、もう一切設備になってしまう。販売に使う金なんというものも設備になってしまう。しかし、こういうことを議論しておっても、あまり時間がございませんから……。  とにかく、実にでたらめな予算の計上のしかたであるし、また、開発銀行は原則として設備資金のために融資をしなければならないのに、借りたい人にも開銀はぶった切ってなかなか貸さないのに、特定企業に対してだけこういう違法、不当と考えられる融資をしていくということは、厳に戒めてもらいたい、改めてもらいたい、私はこのように思います。大臣、いかがでしょう。
  191. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 開銀は、設備投資を助成する金融機関であります。しかし、いま問題の日本電子計算機株式会社は、電算機メーカーから電算機を買いましてそれを各ユーザーに供給する。これは普通の販売の機構じゃないのです。あくまでも機械をユーザーに貸して、また、貸しですからあとまた戻ってくる、こういうようなことで、これは関係省の間で十分審議いたしまして、これは設備である、こういうふうな結論になって開銀融資が行なわれた、こういうことであります。
  192. 中村重光

    中村(重)分科員 その解釈は無理ですよ。貸すことは営業の形態ですよ。電算機を販売する、貸し付けるという営業の形態であって、これは運転資金であることに変わりはないですよ。私は、特定企業だけをいろんなへ理屈をくっつけて、大臣も、政府だから無理して答弁をしておるのだろうと思うけれども、これは適当でない。これは検討してもらわなければならないと思います。その点はいかがですか。
  193. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 検討はいたしますが、いままでもずいぶんこの問題は検討したそうでございます。そしてその結果は、これは設備である、こういうふうな結論である、こういうのであります。まあとにかく、なお検討はいたします。
  194. 中村重光

    中村(重)分科員 それじゃ、ほかの問題も一、二お尋ねしたいと思います。これはひとつ、予算委員会であとで問題にしていただきたい。  次に、大商社の資金調達の問題なんですけれども、これは公正取引委員会からも報告がなされているように、総合商社六社の自己資本というものに対して他人資本がどうか。総合商社六社の総資本というのは九兆六千五百億、その中で自己資本比率はわずかに三・四%。そこで、六社の借り入れ金総額は、昭和四十七年末において手形割引を含め四兆六千億である。これは何としてもむちゃだと思うのです。こういうことでは特定企業に金が回ってしまう。そして中小企業であるとかそういうところには、結局しわ寄せされてくるという結果が生まれてくる。これは一種の弊害だ。その資金をもって系列化していくわけでしょう。どんどん系列化していく。  こういうことは、何としても、弊害を除去するという点から改めなければならないことだ、こう思う。もっと資本金をふやさせる。融資は、資本金の割合できちっとできるのかどうかわかりませんけれども、一種のパーセンテージでもって、それ以上は他人資本であってはならないという、何らかの規制措置を講ずる必要があるのじゃないかと思いますが、大臣の見解はいかがですか。
  195. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 その問題は、根本問題と、当面の時局と申しますか、経済情勢下の問題と、二つあると思うのです。  根本問題としては、わが国の企業全体が自己資本比率というものが非常に少ないのです。今日、自己資本比率が一五%になっている。その中におきましても、商社みたいに商品を回転する、こういう立場にあるものは、一般水準よりは低かるべきところである、こういうふうに私は思いますが、とにかく、一般水準が一五%の自己資本比率である。これはまことに嘆かわしい。これのよって来たるゆえんのものは、いろいろありますが、それは申し上げる必要もないかと思いますが、これはどうしても直さなければならぬ、そういう立場にあるわけであります。  そこで、商社につきましては、そういう問題の一環としての自己資本比率の向上という問題がありますと同時に、今日予算の経済情勢の中で、どうも商社に対して金を貸し過ぎるじゃないか、こういうような御議論が多いわけであります。それに対しましては、日本銀行で融資ワクを設定いたしまして、かなり詰める態勢に移っております。同時に、これは少し制度化したほうがいいのじゃないか。金融機関が集中融資、この傾向がありますので、それを矯正する、そういう立場から、銀行が片寄った融資、つまり特定の企業に集中し過ぎないように、そういう傾向を阻止するための規制のルール、これをどうするかということを、いま検討いたしておるのです。  何せ、とにかくわが日本は、たいへんな勢いで経済が発展した。自己資本を調達するいとまがない、こういうので、みんな金融へ金融へと走ったわけでありますが、これからは腰を落ちつけて、そして自己資本を充実して、いかなる経済変動がありましてもそれに対する抵抗力というもの、それを整えていかなければならぬ、かように考えます。
  196. 中村重光

    中村(重)分科員 これで終わりますが、ともかく大臣、金が借りられるからといって、総合商社がラーメン屋もやる、クリーニング屋もやる。むちゃですよ、こういうことは。モラルも何もあったものじゃありません。ともかく系列化して、産業支配、経済支配をやっている。たいへんな弊害がもたらされているわけでありますから、これはひとつきびしく規制をするように、すみやかに検討して結論を出していただきたい。  それから、国有財産の問題について一言申し上げておきますが、大蔵省はもう少し国有財産について監督もきびしくするし、この処分についても、もう少し迅速に対応される必要がある。  一つの例を申し上げると、長崎の私の町に、商店街のまん中に農林省の統計事務所がある。これが合同庁舎に入っちゃって、あき家になりましてから、もう何年かになるのです。県の住宅公社が買おうとした。げたばき住宅をつくるというのですが、坪当たり三十万くらいだろうと思った。ところがこれを、まわりが四十五万円するから四十五万円だという。まわりが五十万なら五十万だ、それで買わなければ売りませんよというので、一年でも二年でも三年でも、この商店街のまん中にそういうものをほったらかす。古い建物をそのままです。こんなでたらめなことはないです。これは国有財産という面からも、たいへん不利益なことだと私は思うのです。そういった住宅公社等が住宅建設をやるといったような場合については、幾ぶんかは価格を引き下げてやるべきです。三十万円だったら買うのだったのに、計画ももうだめになってしまった、こういう事実もある。  また、私はそれについて一つの提案もしたいことがありますけれども、時間が参りましたからやめますが、ともかく大蔵省は、自分の腹が痛まないからといって、どこにでも国有財産をそのままほったらかして、そしてこれを有効に活用していかないという行き方は、正しくないと私は思う。だから、その点はひとつ大臣から、いま私が申し上げた事実について、どのようにお考えになるか伺いたい。
  197. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 その長崎の事実というのを、私、承知いたしておりませんので、すぐこれは調べてみます。どういう問題があるのか、それは調べた上お答えをいたします。
  198. 奥田敬和

    ○奥田主査代理 これにて中村君の質疑は終わりました。  次に、紺野与次郎君。
  199. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 私は、国有地の未利用地をどういうふうに活用するかということについて、地方公共団体の要望を優先するというふうにすべきであるということを中心に質問いたします。  第一は、昭和四十八年の六月に返還された朝霞キャンプの返還あと地です。これは百十六・一ヘクタールあります。うち、東京が三十五・一、埼玉県分が八十一ヘクタールであります。このあと地利用について、ことしの一月十七日に、東京都と埼玉県の地方自治体が公園緑地として、また高校、中学校、小学校、幼稚園、養護学校などの文教施設、それから障害福祉センター、それから重度心身障害者施設、それから交通施設などの利用計画を出しておりますけれども、この払い下げについて、どういうふうに大蔵省のほうでは考えておられるか。また、この土地に対してどんな出願が行なわれているか、まず聞かしてもらいたいと思います。
  200. 井上幸夫

    ○井上政府委員 キャンプ朝霞につきましては、先生御質問のとおり、東京都、埼玉県、それから埼玉県の地元三市等から、それぞれその自己の管轄区域内につきまして、それを公園、学校福祉施設その他に使いたいという要望を私ども受けております。  そのほかに、政府各省側から、防衛庁、警察庁、運輸省等がそれぞれ、防衛庁の場合は自衛隊用地、警察庁につきましては警察庁内の学校用地、運輸省につきましては物流拠点施設ということで要望がございます。それから日本住宅公団が住宅建設用地に使いたい、こういうことを言っております。それから政府関係機関法人であります理化学研究所が研究施設に一部を使いたい、あるいは私立高等学校が高校用地に使いたいというような、相当大きな要求が出ております。
  201. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 それで、東京とその周辺部が漸次超過密、都市化の様相を呈している現在、百十六ヘクタールというものがどういうふうに使われるかということは大問題でありまして、ここに公園緑地、文教、社会福祉施設の地域を確保するということは、大局的に見て今後非常に重要ではないかというふうに思うのです。なかなか地価が高いこの時点において、こういう土地、こういう新しい休養と文化の地帯というか、こういうものをまとめて大きく形成するということは、非常に重要な問題ではないかと思うのです。外国の大都市を見ますと、非常に思い切った空間を設定して、公園や緑地その他の文教施設をつくっていると思うのです。それに比べて東京は、全く息詰まるような都市ということできわ立っているんですね。  ですから、そういう状態から見て、思い切って朝霞キャンプあと地に、首都の西北部に無公害の文化、休養の大地帯を設定するというふうに提案している東京都及び埼玉県の両自治体の計画を優先的に——いまいろいろありました。しかし、それらは、どちらかというと、また過密を再現するような計画も入っております。ですから、ここに急抜きの、無公害でしかも休養と文化のそういう大地帯を建設するというふうにすべきであると思いますけれども、大臣は、そういう構想を優先的に考えてもらえるかどうか。
  202. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 朝霞キャンプあとは、その処分が非常に重要でございます。つまり、あれだけのまとまった面積というものはめったにございません。  そこで、どういうふうにするか、いま各方面の希望が出そろっておるようなかっこうですが、これは結局国有財産中央審議会、国有財産関東地方審議会、そういう場で、学識経験者等の御意見をつぶさに伺って、そしてコンセンサスというか、大方の合意の上でその処分を行なうということになるわけですが、御指摘のとおり、地方公共団体の御意向は尊重しなければならぬ。ですから、審議会にも知事さんか御参加されております。でありまするから、よく御意見も伺い、地方公共団体の御意見は特に尊重いたしまして最終的な決定をする、こういう方針と御承知願います。
  203. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 それで、今度はもっと具体的にいまの問題について伺います。  東京都はその一部に、地下鉄十二号線の車庫用地というのを、十六・九ヘクタール設けることを同時にこの計画の中に入れてあるのですね。ところが、最近運輸省から出ている物流センターを設定するという案とあわせて、どうもこの地下鉄車庫計画はあぶないんじゃないか、つぶされるんじゃないかというふうなうわさを聞くんですけれども、一体、この十六・九ヘクタールを百十六ヘクタールの大土地の一部に、しかも地下施設ですからね、そういうことが、はたしてそんなふうに設けさせられないような関係にあるのかどうか、この点、ちょっとお聞きしたいのです。
  204. 井上幸夫

    ○井上政府委員 朝霞キャンプのあと地利用計画に関しましては、現在、私どものほうで、先ほど申し上げましたプランの一応のヒヤリングを終わりましたばかりでございまして、ただいま、どれをどこにどうはめるというふうな作業過程に入っておりません。  ただ、御承知のように、地形、地物的な境界もなければ何もない地域でありますので、全体の形が、利用不能といいますか、まとまった形になっていない部分もございます。万事、これから審議会にかけてまいります段階で、作業を進めていきたいというふうに考えております。
  205. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 重ねて、これは大東京都の先ほどの計画の一部ですけれども、地下施設というふうなことですね、こういうことは、あの全体の利用の中に有害になるというか、マイナスになるとかいうふうに考えますか、それとも利用可能であるというふうに考えますか、どうですか。
  206. 井上幸夫

    ○井上政府委員 地下施設そのものにつきまして、特段、私はそれが、あの地域全体の利用計画について障害があるとは考えません。ただし、アプローチ、いわゆる進入路といいますか、そういうものの引き方につきましては、従来、東京都内で地下鉄の車庫をつくりました場合に、必ずいろいろな障害が起こっておることは事実でございます。したがいまして、朝霞にそういう車庫がつくられます場合に、問題が起こり得るかもしれません。私、そこまで、朝霞の地下鉄車庫について具体的な計画を、実は承知いたしておりません。
  207. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 トラックターミナルですね、これもまた、板橋のターミナルを私は見ましたけれども、地下施設があるのですね。地下の大倉庫があります。ああいったものが、ここのところにまたもっと大きな規模でつくられるというのですから、そういう意味で、東京都の十二号線というふうな地下鉄の、なくてはならない施設としての車庫をこういうところにつくるということは、可能でもあり、また、運輸省のほうのああいう提案を出してくるところから見ても、専門家としてもそれらのことは可能であるというふうに思うのですが、どうですか。
  208. 井上幸夫

    ○井上政府委員 物理的に可能であると私も思いますけれども、先ほど申し上げましたように、アプローチといいますか、進入路につきましては、いろいろ実例としては問題が起こっておるというように……(紺野分科員「それは地下から入ってくるのです」と呼ぶ)私、朝霞の計画につきまして、まだ具体的にそこまで承知しておりませんので、何とも申し上げかねます。
  209. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 では、そういうことで、やはり地下から入って地下を二重にも、そういうふうに利用できるようなやり方というものは、当然検討に値するものであると思いますので、そういう点、拒否反応をしないで、もっともっと有効に使えるように、広い見地で検討してもらいたいというふうに思います。  それから第二点は、港区の高輪三丁目十三番地の元衆議院議員宿舎あと地ですね、一万三千八百平米ありますけれども、ここに東京都とそれから高輪台小学校PTAから、障害児の養護施設、養護学校の用地として払い下げをしてもらいたいというふうに出願されておりますが、その他、いまどのような出願がここにあるのでしょうか。
  210. 井上幸夫

    ○井上政府委員 この財産は、ただいま衆議院に属する財産でございまして、私どもが申し上げるのはいかがかと思いますが、要望といたしましては、東京消防庁、警視庁、国立東京船員保険病院等がございますし、それから四十八年十二月には、社会教育施設、都立養護学校といたしまして利用したいという請願が出ているはずでございます。それから、四十九年三月になりまして、東京都から同趣旨の要望を受けております。
  211. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 それで、この前に、愛知大蔵大臣はなかなか話のわかった答弁を荒木議員にしているのです。それは、未利用の国有地については、できるだけ当面の社会的な要請に応じて、地元地域社会の方々の御意向を聞いて早急に処理をしたい、これが一番基本にしていることである、こう言っているのですね。このことは、大臣も同様のお考えでしょうか。
  212. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 おそらく愛知大臣は、国有財産処理の一般的な考え方を披瀝したのだろうと思います。  いま、紺野さんから御質問の高輪の国有地については、これは衆議院の財産でございまして、まだ大蔵省所管、つまり処分し得るという状態になっておらない。衆議院から大蔵省に引き継ぎがあるという段階において処分問題が起こってくる、そういう性格のものでございます。
  213. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 いずれは国有財産として、皆さん方の判断によってきめてもらわなければいけないので、いまその点について、国有地の未利用地については、そういう前の愛知大臣が言われたような、一般的な原則というものは堅持してやっていただきたい。それはどうですか。
  214. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 そのとおりに心得ております。
  215. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 それで、目下の非常に重要な問題として、文部省村山事務次官通達で、昭和四十八年十一月二十日、文初特第四百六十四号でもってこういっているのです。障害児の全員小中学校義務就学の方針に基づいて、昭和五十四年四月一日より実施されることになっている、それまでに養護学校を設置するように、また対象児童を掌握するようにということを、都道府県教育委員会に要請してきているのですね。それで、東京都も四十八年三月から障害児の全員就学方針をきめて、希望者の受け付けを始めております。そして、四十九年度から二十六の養護学校を、それに間に合わせるためにいまから計画を立てております。そのうち、用地がまだきまっていないものを見ますと、十六校、約十六万平米がまだ未定なんです。用地の取得が非常に困難です。そういう点から見て、また私は、いまの障害児の状態がどんなに悲惨であるかという現場のほうからの情報も持っておりますけれども、非常に悲惨な状態にあるのですね。ですから、いま真剣にこの障害児の全員入学ということに努力をして、可能性のあるものはすぐにこれに提供するようにして、それでこの問題に対する用意をするということは、国政に求められている緊急の問題ではないかというふうに思いますけれども、その緊急度について、しかも、こういういい土地がもう目と鼻の先にあるという点について、この養護学校に対する用地提供ということの緊急性について、どうお考えでございますか。
  216. 井上幸夫

    ○井上政府委員 この土地は、御案内のように、議員宿舎として使用されておりましたものを、昨年七月に九段宿舎ができたということで移転をされ、そして大部分の建物が撤去されて、一部衆議院の職員宿舎として使われている土地でございます。  ただし、もう先生よく御案内のように、用途を廃止することができれば直ちに大蔵省に引き継がれてくるはずのものでございますけれども、現在引き継がれておりません。おそらくは衆議院におきまして、ほかの用途をお考えになっている土地であろうかと私どもは想像しています。したがいまして、この土地につきまして、緊要度をどう判定するかということを、直ちに私のほうに御質問いただきましても、衆議院のほうの御意向次第でございますので、この件についての答弁は、申しわけございませんが、保留させていただきたいと思います。
  217. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 なかなか土地を放したくないというのは、現在の国民が要望する方向に沿っていないと私は思うのですね。非常にその点で遺憾であります。もしもこの土地に養護学校をつくれば、港、千代田、中央、品川、目黒、渋谷の六区の障害児ですね、四十九年度で見ると新学齢児で四十人、待機中の就学猶予免除児が百五十三人、合わせて百九十三人が直ちに義務教育の光を受けることになるのであります。したがって、やはり第一優先で、消防署を持ってくるとか、いろいろありますけれども、いま一番の緊急なこれらの問題の解決ということに対して、やはり優先的に考えるという立場をはっきりととってもらいたいと思うのですよ。衆議院との関係でも、そういう点について、全体としてやはり地方公共団体との関係で、十分その意向を尊重してやるという姿勢をとってもらいたいと思うのですけれども、重ねてその点についての御答弁を願います。
  218. 井上幸夫

    ○井上政府委員 院内のことでおそれ入りますけれども、衆議院所管の国有財産の問題につきましては、議院運営委員会の決をとるということになっていると考えています。したがいまして、私どもといたしまして、その決のとられていないものについて、その処分をどうする、こうするということを、申し上げ得る筋合いのものではないことを御了承いただきたいと思います。
  219. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 なかなかがんこですね。地方公共団体が、いま言いました養護施設のようなものに対して、自民党さんはこういうことで冷酷だというふうに感ずると思うのですね。  それで、いま地方公共団体は、東京でいえば、都立高校の五十二年度までの計画用地が、まだ定まっていないものは十九校、五十八万平米あるのです。なかなかこれも、いま獲得するのにたいへんなんです。そういう点で、地方公共団体の用地取得、このような養護学校もその一つでありますが、高校についても十九校もまだきまっていない。幼稚園やその他もたくさんあります。これらの用地を提供するという、そういう問題については、地方公共団体に対して優先的に相談に応ずるという態度をとってもらえませんかどうか、それをちょっとお聞きします。
  220. 井上幸夫

    ○井上政府委員 東京都の地域に関して申し上げますと、ただいま国といたしましても手持ちの土地というのは、筑波移転あと地かないしは返還基地かということに限られてまいります。これらのものにつきましては、常時私どもも東京都と接触を持っております。  ただし、現在のところ、筑波移転あと地が処分可能になりますのはあと数年先でございます。返還基地につきましては、現在、ぼつぼつスケジュールにのぼりかけているものがございます。
  221. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 それで私たち、時間がないためにいろいろ十分出せませんが、国有地を処分するにあたって、いつも地元地方公共団体の意向を十分に聞いてもらうということ、それから借地権者に払い下げる場合でも、その場合でも地方自治体との間で、事前に通知して話し合いをしてもらいたい。もちろん、筑波移転のあと地については、行政財産として転用する計画のあるものについても、地方公共団体との間で協議をして、希望も聞き、そして計画変更なども双方の合意に基づいて行なうような、そういう態度をとってもらえるかどうか、この点ちょっとお聞きします。
  222. 井上幸夫

    ○井上政府委員 筑波移転あと地に関しましては、現在、御案内のとおり、国有財産審議会の中に筑波移転あと地の小委員会がございまして、ここにオブザーバーとして、関係地方公共団体の御出席を願い、その利用計画について、地方公共団体から説明を伺うという形で事柄が進行しております。当然、これが具体的に煮詰まってまいりますと、国有財産審議会及び関東地方審議会、二つの審議会にかけるわけでございますが、この審議会には、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、東京都の場合は常任の委員として副知事さん、それから臨時の委員として知事さん、二人の御参加を願うこととしておりますので、そういう形では、十分に地方公共団体の御意見を伺っているということになろうかと思います。
  223. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 それから次に、国有地で庶民の住宅用地として貸してある土地の問題についてお聞きしたいと思います。  それは昭和四十八年、九年、五十年の新しい地代の決定に際して、関東財務局が出した契約書の実例を見ますと、これは芝公園のあるところですが、地代家質統制令適用の八木弥一さんの場合を見るとこうなんです。これは四十二平米ですが、四十七年度に一万九千七十八円の地代が七万六千三百十二円、四倍ですよ。四倍でやってきたのです。これはびっくりしましたね。それで抗議をしましたところが、早速それは白紙撤回になって、そしてそれが三万七千五十七円、約半分以下に一応やられた。それからもう一つ、同じ地区の今度は統制令適用外の実例の朝倉日吉さん、百五十平米、これは四十七年度九万四千七百八十二円、この地代が三十一万ですよ。三十一万百五十六円の地代となって三・二七倍でした。これもびっくりしました。国ですからね。それでこれに抗議したところが、これが二十万七千五百七十二円に、倍率は二・二に一応なりました。  結局、お聞きしますけれども、こういう三倍だとか四倍とかいうふうな天下り契約を出して、抗議をされると半分ぐらいになる。こういうふうなことは、最初に出されている契約書、こういったものが非常に非常識なものであって、三倍も四倍もやっているということは、不当であるということを反省されているのでしょうか。この点ちょっと……。
  224. 井上幸夫

    ○井上政府委員 四十七年に地代家賃統制令の改正がございまして、私どものお預かりしております国有財産につきましても、大部分は地代家賃統制令の適用があるものでございますので、その改正統制令に従いまして計算をして、地代の増額をお願いしたというのが実態でございます。ただし、そのまますなおに適用いたしますとたいへんな上がりになるケースが出てまいりましたので、一応四倍で打ちどめ、頭打ちということにいたしたわけでございます。  私どものほうといたしましては、全国に貸し付け件数が約三万七千件ばかりございますので、一つ一つケース・バイ・ケースで家賃を定めていく、地代を定めていくということにはまいらないものですから、そういうよるべき基準ということで計算をいたしたわけでございます。  御承知のように、地代、家賃のきまり方というのは、それぞれ地方によりまして特性がございます。たいへん上がるということで苦情をいただきましたケースもございましたので、その周辺の賃貸実例を洗い直しまして、その実例に合うように修正をいたしました。それが、ただいまおっしゃいましたように、七万が三万になったというようなケースが、周辺の賃貸実例に合うように合わせた結果であると思います。
  225. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 それで、昭和四十八年六月六日に出した建設事務次官と自治事務次官の両名の通達ですね、これは第三十八号とか四十七号といわれておりますが、これではっきりとこういっておるのです。固定資産税の評価がえ及び課税の適正化をはかるための改正に便乗した、不当な地代または家賃の引き上げが行なわれることのないように、地域住民に対して周知を十分にはかるようにせよというふうなことを、次官通達で出しておるのですね。そういうことから見て、いま言ったような三倍も四倍もやるということは、まさにここで言っている便乗値上げですね。実際においてそうではないか。だから、当然いまのような訂正が行なわれなければならないと思いますが、きょういただいた関東地方財務局のデータによりますと、そういうふうに文句を言われて、抗議をされて、そしてやむなく訂正したものは全体の二二%なんです。だから七八%は、いろいろのことで必ずしも訂正されておらないのです。出された前のとおりやられておるのです。  ですから、そういう点で、いま明らかに不当であったということで訂正されたような水準において、この便乗値上げ的な誤った地代の暴騰、これは狂乱物価の一部でありますから、それを、国みずからがやはり洗い直しまして、そしてそれを訂正して引き下げるようにすることを私は求めますけれども、大臣、どうでしょうか。
  226. 井上幸夫

    ○井上政府委員 地代家賃統制令の改正に従いまして、私どものほうの賃貸料の値上げをお願いしたわけでございまして、私は、それを便乗値上げだというふうには考えません。  ただ、先ほど申し上げましたように、地域によりまして地代、家賃のきまり方は、非常な地域性というか、特殊性がございますので、周辺の実例を見てそれを手直ししていくということは、役所として当然のことだろうかと思っております。
  227. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 だから、不当な分については訂正しますか。
  228. 井上幸夫

    ○井上政府委員 再々申し上げますけれども、私のほうといたしましては、全国的に三万七千件ばかりの貸賃をやっておりますので、できるだけ一律にやれることが望ましいわけでありますけれども、その地域性、それから周辺の賃貸実例等を考慮いたしまして、その一律計算が高ければ、当然、その周辺の賃貸実例に合わせるという行為はいたします。
  229. 奥田敬和

    ○奥田主査代理 これにて紺野君の質疑は終わりました。  次に、鈴切康雄君。
  230. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 きょうは、私は拘束預金の問題一点にしぼって御質問を申し上げたいと思う次第でありますが、きょうはぜひとも公取委員長に出ていただきたい、このように思っておったわけでありますが、御都合がつかないということで、事務局長がおいでになりましたので、まず初めに、事務局長にお伺いをいたしておきたいと思います。  金融機関の行なう拘束預金については、公取委員会としてきびしい監視の目を向けておられるわけでありますけれども、独禁法の上に立ってこれをどのように解釈されておるか、まずそれをお伺いいたします。
  231. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 拘束預金と申しますのは、先生御存じのとおり、歩積み両建て等の過度の拘束預金、これが独禁法でどういう点に、過度であれば触れてくるかと申しますと、取引上優越した地位の乱用行為というので、一般指定の十に、取引上優越した地位を利用して、「正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な条件で取引すること。」というのに該当してくるおそれがあるわけでございます。  公正取引委員会としましては、昭和三十九年の三月から、大体年二回にわたりまして、最近では五月のおしまいと十一月末の二回にわたりまして拘束預金の実態を調査しております。これは、やはり銀行等の優越した地位の不当乱用行為を防止するという観点から行なっているわけでございまして、私どもの調査は、これは銀行に対するものではなくて、中小企業、従来は資本金五千万円以下の中小企業に対してその実態の把握につとめております。それによりまして実態を把握いたしまして、大蔵省とも十分連絡をとりながら、行き過ぎのないように監視をしてきているところでございます。
  232. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 時間の都合がありますので、私のほうから……。  大蔵省は四十八年の五月末現在で拘束預金に関する報告書を作成されまして、さらに六月に、「歩積・両建預金の自粛措置中の拘束性預金等の対顧客通知文の徹底について」と題し、債務者に対する拘束預金の通知文に改善を加え、引き続いて七月に、当面の情勢下における中小企業の円滑化については、中小企業が不当なしわ寄せを受けることのないよう、次の諸点についてその自粛の徹底をはかったとして、一、融資に際して債務者の意思に基づかない預金を要求しないこと、二、拘束預金の比率を引き下げること、三、金利措置を完全に実施すること、四、債務者に対して行なう拘束性預金の有無及びその内容について書面による通知を励行すること、以上になっておりますが、これに間違いございませんか。
  233. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 そのとおりでございます。  なお、多少補足さしていただきますと、私ども大体二、三年に一回各銀行に検査に参りますが、その際に、一つの銀行について大体三店から四店を選びまして、この歩積み両建て問題専門の検査をしております。     〔奥田主査代理退席、主査着席〕 報告を受けたものとあわせまして実地に調べております。実態は、なかなか具体的なケースとしてはいろんな問題が起こってまいっておりまして、必ずしも報告どおりではないということで、全面的に再調査を命ずるというような措置を、あわせ行なっております。
  234. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 大蔵省にお聞きしたいわけでありますけれども、拘束預金に対して、大蔵省としてはこのような通達を出されておりますけれども、四十八年五月の時点、そして四十八年の十一月の時点の拘束預金の実態というのは、どういうふうになっておりましょうか。
  235. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 もう御承知で、くどいかと思いますが、拘束性預金につきましては、債務者預金ということと拘束性預金ということの二つの分類に分けてやっております。そのほか金利措置済みの預金がどのくらいになっておるかということで調査を求めておるわけでございます。  各金融機関を合計いたしましたところで申し上げますと、債務者預金の割合は、貸し出しに対しまして四三・五%ということになっております。拘束性預金の割合は、貸し出しに対しまして四・八%。それから拘束性預金のうち金利措置、要するに特別の金利をもってこれを措置するという指導をいたしておりますが、その措置済みのものが九八・一%という報告になっております。
  236. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 それでは、大蔵省のとられておる、いわゆる拘束性預金の調査の結果、拘束預金がどのような傾向になっておるか、それについてお伺いします。
  237. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 御質問の趣旨に合いますかどうですか、年次別に拘束性預金比率というものの推移を見てまいりますと、一応は低下しておるように思われます。  四十五年の十一月時点では、拘束性預金の比率が八・九%、年を追いまして、それが約一%ぐらいずつの低下を見ておりまして、四十八年の五月あるいは四十八年の十一月では四・八%になっておるという状況でございます。
  238. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 その数字を見た限りにおいては、少なくとも拘束性預金に対しては、改善をされているという数字が出ているわけでありますけれども実態においては、全くそれとは別であります。  昭和四十八年の五月現在において、権威ある公取委員会が中小企業の実態を調べた、その内容から申し上げますと、改善をされたというふうに言われている方々は、前回四四・四%に対して今回は一四・二%に減っております。また前と変わらないというのは、前回五五・三%に対して今回は八三・八%、前より悪くなったというのは、前回〇・四%に対して今回は二%になっております。こういう実態を見ても、歩積み両建ての自粛を呼びかけても、決して改善をされていないというのは、これはどういうわけでしょうか。
  239. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 私どもも、先ほど申し上げました金融機関の報告が必ずしも実態をあらわしておるとは思いません。ただ、総体的に見ると、推移として、拘束性預金の貸し出しに対する比率あるいは預金に対する比率が、低下をしておるということは言えるのではなかろうか。  ただ、引き締め下になってまいりますと、やはり実際問題として、中小企業の方々はどうしても弱い立場にあり、無理をさせられるというようなことがあることは、私は、いなめないところだろうと思います。現に、私どもが昨年四月から十二月まで、いわゆる定例検査、金融機関の検査をいたしました場合に、四十五の金融機関を調べてみましたところ、件数にいたしまして三百件以上、四百件近く、金額にしても相当の金額が、不適正な歩積み預金であるとして認めております。大体、件数にして一三%ぐらいが、やはりわれわれから見て、どうもおかしいのじゃないかというような感じがしております。その結果、そういう金融機関については、全部の債務者についてもう一度調査をし直すように命じまして、あらためて報告を、それらの金融機関から求めましたところ、件数としてはかなり高い件数になっておるというところから見まして、確かにいま御指摘のような事実はあろうかと思います。  ただ、これはもうくどいようでございますが、全般的な、あるいは原則的な指導だけではなかなか是正できないので、ケース・バイ・ケースに、検査に臨んでシラミつぶしに見ていくということでしか対処できない性質のものである、かように考えております。しかし、何と言いましても、私ども、あらゆる機会に、金融機関に対して、こういうことを是正していくようにという努力は、これからも強くやっていきたいと思います。また遠からず、いままでのやり方について、もう一度、もう少し具体的な指導の方法はやれないかということで、現在研究しておるところでございます。引き締めになればなるほど、やはりこういう問題が起こってくるということは、お説のとおりだろうと思います。
  240. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 おかしいじゃないですか。銀行はこのようにして、大蔵省に対して、いわゆる拘束性預金等に関する報告書というのをお出しになっているのじゃないですか。それにもかかわらず、銀行が出してきたその調査がおかしいというのは、拘束性預金について二重構造になっているという証拠ですか。いわゆるやみ拘束預金があるから、そういうことになるのですか。その点についてお伺いしましょう。
  241. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 いろんなケースがあり得ると思います。一つは、程度が過剰であるかどうかという問題もあろうかと思います。それから、御承知のとおり、拘束、いわゆる歩積みというものの形態が、明らかに担保を取っておるという形から、担保まではいかないが、必要な書類はそろえておるというところまで、あるいは両者の合意によってそれを拘束しておるというケースがございまして、債務者の方の言い分と金融機関の甘い分とが、必ずしも一致しないというようなところから生じてきておる問題もあるようでございます。  やみ二重構造という御趣旨が、私、正確に理解をちょっとし得ませんが、そもそも歩積み両建てについて、客観的な基準というものが立ち得ないところから来ておる、そういうズレということもあろうかと思います。それから、あるいは金融機関がはなはだ心得違いをして、私どもに報告していないというようなものもあろうかと思います。
  242. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 金融機関が、この大蔵省の報告書様式によって報告をしないというような、そういうことが許されてしかるべきでありましょうか。この公取委員会からの報告によりますと、あなたたちがいわれている拘束頭金、それ以外に中小企業のほうで、公取委員会のほうに出したところのアンケートの中には、今まで金融機関が預かっていた預金証書は返してくれたが、口頭で引き出さないようにいわれたというのが一二八・五%、新規貸し出しに際しては、拘束せず時期をずらして預金を拘束するようになったというのが一四四・一%、当座預金の残高をやかましくいうようになったというのが一二・九%、債務者名義でない個人名あるいは無記名の預金を要求されるようになったというのが一六五・五%、歩積み預金の全部または一部の廃止のかわりに、定期積み金または積み立て定期預金をさせられるようになったというのが一二三・七%、特に手形の審査が厳しくなり、いままでと同じ条件の手形でも割り引いてくれなくなったり、信用保証協会の保証を新たに要求されるようになったというのが一一八・一%、割り引きワクを少なくされたというのが二七九・八%、口約束や念書による拘束預金がなくなったかわりに、事実上引き出せない暗黙の拘束預金が増加したというのが一一六・六%、拘束預金に見合う分についての借り入れ金利または割り引き料は引き下げられたが、そのかわりその他の部分についてはいままでより金利を引き上げられたというのが、何と四四六・三%、預金担保による借り入れを申入れたが断わられたというのが一二三・三%、定期預金等を拘束扱いにし金利措置をしてくれるよう申し入れたが断わられたというのが一四七・九%というように、大蔵省が拘束預金として実際に把握をしている、それ以外にこういう実態があるのじゃないですか。これを大蔵省は野放しにしておくのですか。問題じゃないですか、こんなのは。  これは要するに、中小企業のほうの立場からいうならばこういう状態だというのですから、むしろ大蔵省は銀行から報告させて、しかも銀行の報告様式の中においては、全く形式的にしかとっていない内容では、何も掌握できないじゃないですか。  それじゃ、具体的にお聞きしましょう。報告集計の中で、拘束預金の率は手元のパーセントでわかりました。実質拘束預金として制約を受けているもののうち、四十八年の五月末の都市銀行、信託、地方銀行、相互銀行、信用金庫別に何%になっているか、またそのうち中小企業は何%になっておりますか、その数字を言ってください。
  243. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 拘束性預金の貸し出しに対する比率は、都市銀行としては二・六%……。
  244. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 ちょっと待ってください。それは違います。それは、あなたからいただいたこの数字でわかっているのです。要するに、実質的拘束預金、いわゆる広義の拘束預金の比率を私は言っているのですよ。やみ拘束預金ですよ。
  245. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 私ども、全体がわかればそれについて指導するわけでございますが、もともと私どもが金融機関から求めておる拘束預金というものの定義は、一つは、担保をはっきりとっておるもの、それから第二番目が、いわゆる見返り預金といたしまして、担保措置まではいかないが、実質的には担保措置に準ずるものというのがございます。それから第三のカテゴリーとして、見合い預金として口約束で置いてもらっておるという三つのカテゴリー、いわゆる考え得る拘束性預金というものの一番広い範囲を報告するようにということでやっておるわけでございます。  ところが、問題はさらにその外にある、口約束や念書による、拘束預金というようなことであるかないかわからないようなものについては、金融機関は、そういう約束はしていないという報告をしてきているのが実情でございます。債務者は、おそらく心理的圧迫で、これはもう出せないのだと考えておられる。そこの問題が現実の問題として大きい、かように考えております。そこで私どもは、金融機関がもしも拘束していないのだというなら、拘束していないという事実を相手方に通知するように、そして債務者がいつでも引き出せるような通知を金融機関としてすべきではないかということで指導しておるわけでございます。  したがいまして、数字的に申し上げられるのは、先ほど私が申し上げました三つのカテゴリーのものとして、金融機関が報告してきたものでしかないということでございます。
  246. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 確かに、あなたのほうで拘束性預金に関する通知として、これとこれとこれが、言うならば拘束されております、そういう通知はされております。そしてまたその下に、「上記以外のご預金は申しあげるまでもございませんが、貴社のご都合によりご使用いただいてさしつかえございません。」こう書いてあります。しかし、それでは中小企業が、拘束預金をされている以外のものは十分に使えるかということで銀行へ行ってごらんなさい、どうなりますか。銀行でそれ以外のものを使えますか。銀行は必ず、商慣習とかあるいは契約の自由ということをうたって、決してこれを使わせないのが現状じゃないですか。だからこそ公取委員会が、あなたが言われるように、借り入れまたは手形割引に関連して質権の設定、預金証書の差し入れ、念書、口約束等によって拘束されておる預金以外にも、事実上引き出せないところの預金があるということをちゃんと言っておるじゃないですか。これが公取委員会の実態の調査ですよ。それが、しかもばく大なパーセントになっておるという現実なんです。  ですから、あなたが言われた拘束預金のうちの、中小企業は三兆五千九十七億であるけれども、実質的な拘束預金というものは数兆円にのぼっておるということ、これは公取の数字からはしき出せばすぐ出てきますよ。これをどうしてくれるのですか。
  247. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 お説のように、金融機関が報告してまいりますもの以外にそういうものがあるということは、私どもも想像できるわけであります。ただ、それをいかになくしていくかということで努力をしておるわけでございますか、事柄の性質上、そういう話について、私ども、でき得れば具体的にそういうことを申し出ていただくなり、あるいは各財務局に置いております歩積み両建ての相談所というようなところで御相談をさせていただくということしか、現実の場合にはございません。  ただ、実際問題として、債務者の方々がそういうことをなかなかお申し出にこられないであろうということは、もう申すまでもないことでございます。そこで、こういう励行通知を出していって、これでもしも紛議が起こったときには、明らかな形で措置してもらうという形でやる以外には、現在のところどうにも方法がないのではないか、かように考えております。あとは、金融機関の良識をもって、中小企業の方々にできるだけそういうことのないように自覚を促していくということで努力をしていきたい、かように考えております。
  248. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 大蔵省は拘束預金に対しては、必ず金利措置をせよと言っておりますね。確かに、拘束預金については金利措置がほとんど一〇〇%になっております。しかし、いまのやみ拘束預金、私ははっきり言っておきますが、やみですよ。やみ拘束預金に金利措置をやっておりますか。やみ拘束預金に金利措置はやっていないじゃないですか。  大蔵省からいただいた資料の四十八年五月末と十一月末の拘束預金に関する報告集計表を分析いたしました。現実は全く一致しておらない。大蔵省へ金融機関が報告した四十八年五月末のデータのうち、中小企業は九・一%が拘束性預金であるが、実質的な拘束預金は、私の試算では倍以上になっております。金額も、政府が金融機関から拘束性預金として報告を受けておる三兆五千九十七億円よりはるかに多い数兆円を余分に拘束し、金利措置をしないで何千億という、言うならば不当利益をあげておるじゃないか。これは要するに、金融機関大蔵省に対して虚偽の報告をして、実際には中小企業の融資に際して、債務者の意思に基づかない拘束的な預金を取引上の優越した地位を利用して、契約自由の原則を振り回し、商慣習をたてにとってきたということについては、もう明らかな事実であります。これはまさしく独禁法違反だと私は思うのですが、公取の事務局長さん、その点について御見解を伺いましょう。
  249. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 従来、公取は年二回正式な調査を行なって、厳重な監視を続けてきておりますが、特に、現在の金融情勢にかんがみまして、従来以上に厳重な監視の必要があるということは考えております。万一、不当な拘束預金と認められるものがある場合は、その是正をはかってまいりたいというふうに思います。
  250. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 大蔵省の資料によりますと、昭和四十八年五月末の拘束預金と昭和四十八年十一月末現在の拘束預金の報告集計を分析しますと、都市銀行は六カ月間に大企業に対して一兆一千百七十八億円を貸し出し、債務者預金を二百五十三億円を使わせているのですよ。そして実質一兆一千四百三十一億円と純貸し出しが増加をしております。一方中小企業は、八千百一億円融資をし、逆に債務者預金を二千六百十四億円とっているので、純貸し出し額は五千四百八十七億円と減っております。これをどのように判断をされますか。まさしく私は、これにさらにやみの拘束預金が大企業に流れて、今度の過剰流動性を引き起こし、しかも物価の高騰をもたらした要因になっているのじゃないですか。大蔵大臣、あなたの見解をお聞きしましょう。
  251. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 こういう時期になりますと、歩積み両建て問題というのが非常に私としても心配なのです。かつて、四十年でありましたか、たいへんな不況で、そのとき国会でも歩積み両建て問題はたいへん御議論になったわけなんですが、あれはああいう不況状態であるものですから金融が梗塞する、並行してそういう現象が起こるわけですが、それをどういうふうに対処するか、あのときを大体の起点といたしまして歩積み両建てを整理しよう、こういう計画を始めまして、ずっと進んでいるのです。一応表面的には、歩積み両建て、この問題はずっと改善を見つつある。  ところが、いま鈴切さん御指摘の、なあなあというか、まあやみといいますか、行き過ぎの拘束預金というものが行なわれていない、こういうふうには言えないと私は思うのです。それでありますので、銀行局でも、こういう時局でありますので、歩積み両建て問題、これには特段の気を配っておるわけでございますが、今月中ごろから銀行の検査をいたします。そういう際に、特にそういう点につきましては配意しながら検査を行なう、こういうふうにいたしたいと考えております。
  252. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 私は、やみの拘束預金だというように思うのです。この実態は、それはとても大蔵省が検査をされてもわかりません。  ですから私は、少なくとも国会に、この拘束預金監視委員会あるいは地方の都市にそういうふうなものを徹底的につくって、そして監視しなければ、こんなやみの拘束預金が改善されるわけはないじゃないですか。あなたのほうの、いわゆるこの表面的な拘束預金は、それはだんだんと改善されてくるでしょう。しかし、一方のほうが改善されると、さらに一方のほうが悪くなるのです。これが実態なんですよ。それを裏づけているのが、公取委員会の実態におけるところの、いわゆる拘束預金のアンケートなんです。ですから私は、そういうところまで気を使わないと、この問題は解決しませんよ。あなたは、たとえば銀行に行って調べたって、それは調べようがないじゃないですか。その点はどうなんですか。
  253. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 確かに、お話しのように限界があると思います。検査の場合に限界があると思いますが、しかし、少なくとも去年一年あるいはその前に、私どもが検査の結果つかんでおるものもかなりあるわけでございます。こういうことを繰り返しやり、それから、先ほど先生の御指摘のように、虚偽の報告をしているということもそのとおりだと思います。これについては、今後こういう虚偽の報告をしない、実績をつかむことによって、是正と責任を追及していきたい。それを遠からずやっていきたいというので、いま準備を進めておるのが実態であります。  しかし、何ぶん検査が二、三年に一回ということでございますから、同時点に金融機関を見るわけにはいきません。検査のたびごとにつかんだということをもって、その報告と照らし合わせることによって、その報告をできるだけ真実なものに近づけていくように努力を続けていきたい、かように考えております。
  254. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 最後に、公取委員会の事務局長に御質問申し上げますか、私は、公取というのはやはり独立した機関である、そして独占禁止法に対してはきびしい監視の目を向けていかなければならない立場にあると思うのです。たとえば、そういうふうなやみの拘束預金があった場合、おたくのほうは、実態から照らして、そういうやみの拘束預金を摘発するということは一度もやっていないんじゃないか。結局は大蔵省となあなあになって、そうして、こういうふうなことがあるから改善命令を出しなさい、あるいは通達を出しなさいと今日まで言い続けてきたじゃないですか。そんなことであなた、この問題が解決しようはずがないです。あなたのほうで、たとえば金融機関にぱっと、一ところそういう実態をつかんだら、摘発をしてごらんなさい、一ぺんにこんなものはなくなりますよ。そういう点について、あなたにそういう決意があるかどうかということが一つ。  それからもう一つは、大蔵省のほうにお伺いしますけれども、時間がございませんので、十大都市の都市銀行、信託、地方銀行、相互銀行、信用金庫等の各金融機関の本支店別拘束預金の調査表を、住所を記入して資料として出していただきたい、これをお願いいたします。
  255. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 先生おっしゃいました広義の拘束預金、いわゆる事実上やみというようなものの実態がなかなかつかみにくいのでございますけれども、アンケートでは一応出てきております。したがいまして、今後そういうものについてもさらに詰めて調査をいたしまして、違反と認められるようなものがあれば、金融機関に通知をいたしたいというふうに思います。
  256. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 じゃ時間でございますから以上をもって……。
  257. 藤井勝志

    藤井主査 八木一男君。
  258. 八木一男

    ○八木(一)分科員 大蔵大臣はじめ政府委員の皆さんに御質問をいたしたいと思います。  まず、四十九年度予算案の編成に関してでございますが、予算委員会の総括質問、一般質問でも触れましたけれども、他の問題がございまして、非常に関係の重大な地位におられる大蔵大臣に、その問題について詰める時間がありませんでしたので、少しふえんして申し上げたいと思います。  昨年の十二月十九日に予算編成方針の大綱とそれから経済見通しが立てられました。本年一月の十九日だったと思いますけれども、同じく予算案が完全に決定をし、それから経済見通しも同日決定をしたわけであります。経済見通しをもとにして予算編成が行なわれているというふうに私は理解をいたしております。昨年十二月十九日に行なわれた経済見通しが、一月十九日に微調整をされまして、卸売り物価とか通関の指数とか、そういうものについてはある程度調整をされました。ところが、そちらのほうは調整されながら、消費者物価指数がその後非常に急騰の傾向を示しているのにかかわらず、その点に対しては見通しを改められなかった。見通しを改められなかったことをもとにして四十九年度予算案を編成された、これは非常に当を得ていないと思うわけでございますが、この点について大蔵大臣の御所見を承りたい。
  259. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 確かにお話しのように、予算概算を決定いたしましてから予算を決定するまでの間に、経済上のいろいろな変化があるのです。一つは、石油の価格の値上げの問題、それに伴う物価上昇の問題、それからもう一つは、為替のレートが変更された、そういう問題があるわけです。  そこで、予算の最終的な決定にあたりましては、その前提となる経済見通し、まずその変化に即応して変更いたしました。その変更をいたしました経済見通しに基づいて予算を編成する、こういうことになったわけでございますが、まあ検討してみますと、卸売り物価のほうはどうも修正せざるを得ない、こういうことになりまして、これを修正いたしました。しかし消費者物価につきましては、多少四十九年度の努力目標を強化しなければならない、こういう問題はありましたが、九・六%、そういう上昇、これは修正する必要はなかろう、こういうことになったわけです。  したがって、卸売り物価に関連をいたす問題につきましては、よく検討をいたして、これが概算決定時と比べて変化しておるかということをやったわけですが、大体予算の実行上の問題として措置できる、こういうので予算はいじくらない。それから消費者物価に関連する面につきましては、消費者物価を修正せず、こういうことでありますので、そのままこれを予算化して、それを正式の予算として決定する、かようにいたした次第でございます。
  260. 八木一男

    ○八木(一)分科員 経済見通しを変更しなかったことは、内閣全体の責任だと思いますが、まあ見通しについては、経済企画庁長官の責任が一番多いように思いますけれども、その見通しに基づいて予算案を編成される主管省は大蔵省ですから、それで、当然一番大きな関係をもって協議をされたと思う。そのような修正をされなかったことについて、消費者物価の指数の動きに対応した修正をなさらなかったことも、大蔵省の責任は非常に重大だと思うわけです。片一方、卸売り物価のほうは石油の値段その他から変えられた、ところが消費者物価のほうも、非常に傾向として増大していることはその当時わかっていたわけです、一月の十九日には。特に、十二月の十九日のときの消費者物価指数に参考にされたのは、これは十一月の末に統計局で発表した数字であります。十一月の末に発表した数字は、全国平均は十月であります。全国平均の十月の消費者物価の指数の動向を参考にしてそれでやられる。これは時期的なズレはありますけれども、十二月にそれをやられたのはいいのですが、一月にそれが急速に増高の傾向が出ておることはもう明らかですから、それを修正の必要はないということは、それはほんとうにとんでもないことではないかと思う。  卸売り物価のほうは、何か産業に関係があるような気がします。消費者物価のほうは、国民生活に関係のあるような気がします。これは感じだけで申し上げてはいけないですけれども、そちらを修正してこちらを修正しないということは、何だか産業は大事にするけれども国民生活はどうなってもいいというような、そういう考え方があるのではないかと疑われてもしかたがないような状態ではないかと思う。  しかも、卸売り物価がそれだけ急騰して修正をしなければならないぐらいの急騰をするようになれば、いかに政府努力目標があろうとも、それが特にタイムラグが少なくなっておりますから、消費者物価にはね返ってくることは必至でありますから、いまその途中にあらわれている消費者物価の増高の傾向に、卸売り物価の増高の傾向が影響してくるということはだれが考えても、しろうとが考えてもあたりまえで、財政を受け持っておられる方や経済を担当しておられる方は、当然考えなければならないことだ。努力目標はわかります。押えなければならない。だからそこで、九・六という見通しを、たとえば二〇・〇にしたら、これはたいへんだということで、国民の方々がまた自分の生活を守るために狂奔をされるであろうから、政治はちゃんとそれをおさめなければならないし、努力目標はわかりますけれども努力目標だけで一つも修正をしないということは、非常な間違いではないか。  それと同時に、それなら、努力目標で示しておきたいというのなら、経済見通しはそのとおりにしても、実際に国民生活に関係のある予算は、そういう含みがあるのなら、実際はもう少し上がらざるを得ない。とめたいけれどももっと上がる。そうなったら、それに対応して国民生活に関する予算は、それだけのものを組まなければ、国民生活に対応できないということで、十二月の基本方針も一月に変えられるべきであった。  しかも、特に一月の二十五日には、それを明らかに示すものが少しあとに出ているわけです。その明らかに示すものが出ているだけではなしに、これは政府の統計の数字でそうなんですが、庶民の実感指数というのは、はるかにそれより高いわけです。いろいろなものの材料の選び方によって指数は変わってきます。政府の全体のものよりも、ほんとうに生活を毎日一生懸命やっている人たちの実感はもっと高いのです。そういうことが、政府の有能な人にわからないはずはないし、特に財政の担当者で、インフレに対応して国民生活を守ろうという決意を持っておられるはずの福田さんにわからないはずはないと思う。  ですから、この一月の十九日の予算をその点で直されなかったことは、非常に重大な責任だと思う。これは責任を感じておられると思う。予算は一生懸命つくりました、変える必要はありませんと、財政掛当の大臣としてはおっしゃる立場におありになることはわかっています。しかし、ほんとうの国民のための政治家としては、これは変えなければならなかったと思っておられると思う。その思っておられることをもとにして、これからのことを進めなければならない。そのためには、予算の修正について与野党と相談をする、そういうことを推進されなければなりません。  また、その後四十九年度の予算が確定をした場合に、前の希望的な、あるいは国民の宣伝価値を含めた消費者物価指数でつくったものの見通しの上に立った予算案だから、実態に合わないということを肝に銘じられまして、たとえば二千六百億円の予備費がある。予備費は普通の使い方ではなしに、その予備費は、国民生活が、その物価値上げによって実質的に最低生活が切り下げられる、あるいは予定生活が切り下げられる、そのものに対処する政治に金が必ず要りますから、それに大部分を投入する。それを一年間で使うのではなしに、必要な状態が四月、五月、六月に生まれたならば全部投入して、あとは補正予算を組む、そういうような考え方国民生活に対処をせられなければならないと思う。  一方、物価を押えるために全力を投入してやられることはもちろん大事ですけれども、非常に狂乱物価でございますから、政府が全力をあげられてみんなでやってもそういう状態がいまは続いておりますから、先ほど申し上げたように、国民生活を守るために、この四十九年度の予算を成立させるまでにどう変えるかという問題、きまった後においてその運用を、国民生活の確立のために考え抜いて、敏速にこれを活用されるということをしていただく必要があろうと思う。その点についての福田大蔵大臣のお考えを……。
  261. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 昭和四十九年度予算は、政府見通しの消費者物価、四十九年度は九・六%上昇、これを前提として編成しておるのです。この九・六%というのは、たいへんな努力が要るのだろうと思います。政府としてこれをやらなければならぬ一番頭の痛い点であります。さらばこそ総需要抑制政策、これをとっておるのであります。これのきき目もだんだんと出てきておる、こういう段階でございます。  いま八木さんから、この予算を修正する意図があるか、こういうお話でございますが、そういう考えは持っておりません。この予算はあくまでも非常な努力をして、とにかく消費者物価九・六%を貫く、その前提の上に立って編成されたものでありまして、この予算を修正する、そういう考え方は持っておりませんです。  それから第二点の、予算の実行上九・六%がそれよりも上がってしまった、社会保障対象者、そういう方々に迷惑だ、お気の毒だ、こういう問題があり得るわけです。もし経済見通しが狂いまして、そしてそういう御迷惑な事態が起きてくるという際には、予算の実行上何とか対処しなければならぬ、こういうふうに考えておることは、八木さんと同様でございます。
  262. 八木一男

    ○八木(一)分科員 前段の問題については、予算がまだ確定していないわけでございますから、国会の審議の中で、私どもは修正する努力をしたいと思いますが、その修正する努力について、政府がむちゃくちゃに抵抗なさらないように、ひとつ要求をしておきたいと思います。  それからもう一つ、修正したものにしろいまの原案のままにしろ、通った場合の実行については、いま大蔵大臣のお約束をされたように、国民生活をよく考えて、物価の動向にすぐに対応できるようなことをぜひやっていただくように、そのような御決意でございますが、さらに決意を固めていただくように要請しておきたいと思います。
  263. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 四十九年度の予算は、申し上げるまでもなく全体としては抑制型であり、特に公共事業費なんかはうんとめり込む、こういうような予算です。しかし、社会保障のほうは重視しようというので、実に三七%増というふうになっておるわけでございますが、それにしても予算の実行の過程におきましては、物価が思ったよりも騰貴するというような事態があり、生活困窮者に御迷惑を及ぼすというようなことに相なりますれば、これは予算の執行上、それに対して厳粛に対処していかなければならぬ、これはもちろんのことであります。
  264. 八木一男

    ○八木(一)分科員 四十九年度予算の問題はそれでございますが、狂乱物価でいま現在の問題が非常に大切であります。先般閣議で、低所得者階層に対して対処を御決定になっておるようでありますが、そのこと自体はけっこうであります。けっこうでありますけれども内容がはなはだ乏しいわけであります。そういう乏しいものにならないように、この前予算委員会一般質問で、私は、労働団体の代表と多くの国務大臣がお会いになる前に、その前の十一月十九日の社会保障制度審議会の建議を十分にかみしめてもらいたい。そのことは、その文言だけでももっと対処しなければならない内容が書いてありますけれども、しかし、これは十一月十九日の事態ですから、狂乱物価の当時だったらもっと強烈な意見が出ているということも推測をして、決意を固めて労働団体と会って、そして積極的にそれを受けとめてやってもらいたいということを申し上げました。  それをやられたということはいいのですけれども、その金額はほんとうに話にならない金額です。それの主たる担当者厚生大臣であるが、これは厚生大臣がそういう考え方でいるのか、閣議全体で、これはどうにもならないからということで押えられているのか、どっちかわかりません。きのうも厚生大臣にきびしく追及をいたしました。そんなことではあなたは資格がない、大蔵大臣ともっと腹を割って相談をしなさい、そしてまた総理大臣に断じてもっとやるように進言をしなさい、それができなければ、あなたは厚生大臣の主観的任務を果たしておられても、ほんとうの任務を果たしていない。自分では最大限度をやったけれどもできないというのなら、辞表を出して他のやれる人にかわるべきだということをきのう申し上げたわけです。そこで、そういうことを至急また閣議で提起してもらいたい、あれで終わりではない、すぐに提起をしてもらいたいということを申し上げておきます。  ところで、一番最高は一人二千五百円のところがありますが、生活保護一級地の水準で二千円というようなことで政府は対処されようというのがいまの状態であります。厚生大臣の説明についてこの間非常に御批判を申し上げて、そういうことは一切言ってはなりませんと言いました。たとえば二千円ということになれば、これは一、二、三カ月で一八%で、一カ月六%ずつアップになる。生活保護の一番基準ですから、年金の問題はいろいろなものがありますけれども、これは比較しやすいです、そういうことをおっしゃるわけです。そういうことをおっしゃるのは間違いです。  というのは、四十八年度予算では、消費者物価指数は五・五上昇するということを試算されて予算を組まれたわけです。そしていま政府の推測によれば、一四%上がるだろうということを一月ごろ言っていられたけれども、それはもうはるかに平均でこえていることは確かです。五・五で組まれて、そして十月に五%上げられたというけれども、十月に五%上げられたのは九月二十一日の決定であります。その九月二十一日の決定は、八月末に発表された消費者物価指数をもとにして計算されたわけです。それは七月の全国平均であります。ですから、十月すでにおくれているわけです。七月の末一〇・八だったから、五・五に五%加えて一〇・五になるから、大体間に合うだろうということでやられたのが十月であります。ですから七、八、九もずれているわけです。その前の四、五、六も五・五の平均推測の経済見通しよりもはるかに高いわけです。十月に五%実施したときは、すでにうんと上がっているわけです。五%上積みしても、前の水準よりも下がっている。  ですから、四月から十二月までの分があるわけです。それを厚生大臣は、このごろ戒心をしてそういうことを言わなくなりました。生活保護というのは一カ月一カ月で生活の決着をつけるのだ。前のはついてしまっているのだからいいというようなことを一回言いかけたので、きびしくおしかりを申し上げました。それは、貯金がさがっても生活ができたからいいという問題じゃなしに、最低生活ですから、結局、栄養が少なくなってからだを弱らして耐えているわけです。これは栄養をとってからだをもとに戻さなければいけないわけです。そういう状態がありますから、決着がついたからその前のことはいいのだということは断じて言えないし、言ったら憲法違反の閣僚として、国会議員として追放しなければなりません。  そういうことで、前からの分を計算すると、生活保護の世帯では、全国平均は二三・二という数字が出ましたけれども、私はたぶんそうなるだろうと思いまして、その数字が出る前に推測をして計算をした数字を申し上げました。東京の一月の二〇・四、それが横すべりして二月、三月が上がらないと仮定したら三万六千円くらい、それから算術計算でその指数を変えまして、東京のほうが全国平均より低いのですから、それを変えて二二・四で推測すると三万九千円になります。そして二三・四と比例的に私が推測して計算したのは四万一千円弱であります。ところが、数字は大体それに近くて二三・二ということです。二三・二はこれは一月の数字であります。二月がもっと上がるだろう、三月がもっと上がるだろうというようなことを考えますと、去年の五・五を一つ置いて、それから五%十月から上げたのを置いて、四月から九月までは五・五以上ふえた部分、これを計算して、十月から五・五プラス、五%を引いた残りを全部計算しますと、四万円を優に越すわけです。これは二三・二をそのまま横すべりして考えて、そうなれば一世帯四万円というのは最低必要であります。それより多くてちっともかまいません。多くてちっともかまわないのですけれども、それだけは補てんしないと、ほんとうの生活を圧迫をしているということになる。  そうなれば、生活保護家庭の一級地二千円というのは、四人が標準になっても八千円で、これはもう問題にならない数字であります。このことは、失対労働者の問題でも同じです。難病の人も、また原子爆弾の被爆者の人も、障害者の人も、みんな同じ状態であります。  したがって、前になかったことをきめられたことはよいことですけれども、この狂乱物価というものはほんとうに異常な問題であります。大蔵大臣が決意しておられるように異常な問題であります。前になかったことをちょっぴりやったということでは済まない問題であります。ですから、政府のいろいろな御都合はあるでしょうけれども、十二分にやられなければならない。さらにあれだけでいいということじゃなしに、急速にまたその問題について検討をされて、これを大幅に増額される措置をとっていただきたい。これは、政府のほうは、四十八年の予算の予備費をあてがっておるようであります。それを早く使わなければならないということがあるから、予備費に限界が来ておるとか、医療費の増高分があるとかなんとか厚生大臣は言いますが、そういうことではなしに、これはほんとうにやろうと思えばできるのです。  その意味で、四十八年度補正予算案を出されたら、野党も協力します。出されたその日に、私どもとしては通す努力をいたします。三日間ぐらいで両院を通るでありましょう、そのつもりでお出しになったら。そういうこともできるのです。また政府としては、お出しにならなければならない責任があると思います。特に、四十八年度の自然増収は相当のものが予想されている。そういうことを考えられて、このインフレ福祉手当と略称されておる、政府では別のことばで言っておられますけれども、これを急速に上げるということをぜひお考えをいただきたい。  これは、労働団体がこの運動をしたり、いろいろな力の弱い人たち、からだも弱いし、金銭的にも弱いし、自力もない、そういう人たちもじかに政府に陳情を申し上げたり、いろいろなところに意見を言いに来ておられますけれども、しょっちゅうその方々が行動できないので、かわりに働く人々が、政府の方々にいろいろとその点についてお話し合いを進めておられるわけであります。ずっとまたお話し合いが続くそうです。それについて、ぜひ国民のために、積極的に要望にこたえられる体制を内閣としておつくりをいただきたい。そのほんとうの大きなかぎを持っておられるのは、福田大蔵大臣だろうと思うのです。ぜひそれを御推進をいただいて、政治に対する国民の不信を、少しでも信頼の方向に変えていただきたいと思うのです。私は野党であります。野党でありますから、政権を持っておる自民党が勢力失墜して、あしたにでも総選挙があって、われわれが内閣をとったほうがいいという気持ちはあります。しかし、それは政党利己心といわなければなりません。他党の内閣であろうとも、国民の生活に対応するために、自民党政治というのではなくして、政治全体に対する国民の信頼をぜひ回復をしていただきたいわけでございます。  そういう点で、この点について熱意を持って急速に取り組んでいただくように、国民の立場で強く要請をいたしますが、ひとつ積極的な御答弁をいただきたいと思います。
  265. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 四十九年度の予算につきましては、先ほど申し上げたとおりでありますが、そのつなぎの問題ですね、つまり今日の問題、これがあるわけです。  この問題につきましては、予算委員会で、八木さんからもずいぶん政府は御鞭撻を受けたわけです。そういう立場に立ちまして、先般閣内でも相談をいたしまして、ただいま八木さんからお話のありましたような二千円、二千五百円、これを九百万人を対象として支出するということをきめたわけであります。八木さんの御見解によると、どうも小さくて話にならぬ、二千円、二千五百円でなくて四万円出せ、こういうお話でございますが、お察しのとおり、いろいろ私のほうも政府といたしまして都合がありまして、なかなかそうもいかないのです。まあ、乏しい財源ではございますが、厚生省とも十分相談をいたしまして、あれやこれやの権衡を考え、苦心に苦心を重ねましてああいう措置をとりましたので、ひとつ御了承を願いたいと思います。
  266. 八木一男

    ○八木(一)分科員 先ほど申し上げましたように、それだけでは困ると思うのです。ぜひ国民政治に対する信頼を回復する、それより前に、いまほんとうに物価で押しつぶされている国民の生活を確立するために、いろいろな都合があると言われるけれども、ほんとうに大蔵大臣が、厚生大臣より、より以上に決意をされて、厚生大臣に弱腰はいかぬと主張されれば、田中内閣でそれを反対する人はいないと思う。総理大臣が反対されるなら、堂々と閣議を公開討論でやってください。そうしたら、だれに政治をやってもらおうかということは、みんなの意向がきまってくると思う。田中首相もまたそういう態度で政治の信頼を回復してもらいたいと思います。そういうことでぜひ、いまの程度ではなしに、さらに事務的な折衝も閣議もひんぱんに開いていただいて、そして国民の代表との話し合いも積極的に応じていただいて、御推進をいただくように、ぜひ強く要望をいたしておきたいと思います。  それでは次に移りまして、一つ大蔵省特有の問題を申し上げます。  大蔵省というわけではありませんが、国家公務員共済組合法という法律があります。その国家公務員共済組合法の主管官庁は大蔵省であると思います。また地方公務員等共済組合法あるいは公共企業体職員等共済組合法、いろんなものがあります。それで質疑応答をするとほかの時間がなくなりますから、簡単に申し上げます。  年金の問題で 実は通算というものがあるのです。通算年金通則法というのがありまして、老齢や退職の問題については通算がきいて、不幸にして職場あるいは職業を、国民年金も含みますから、それが転換をされた人の年金が、通算措置で確保されるようになっておるわけですが、その問題が遺族、障害給付については通算がないわけであります。非常な欠陥であります。  昨年の年金法審議のときに、齋藤厚生大臣は、その欠陥を私がつきましたところ、来年はぜひ改正をしたいと言っておられました。改正をしたいという約束の前に、各関係と相談をして、結論を得てやりたいと言っておられた。ところがその厚生省が、大蔵省なり運輸省なり、そういうところに連絡をしていられないわけです。ことしの年金法の社会保障制度審議会で確認をしました。辻君、来ておられますね。——辻君は国家公務員共済組合法の担当者です。伺ったら、一切連絡がなかった。地方公務員共済組合法の担当者もなかった。それから公共企業体のほうも、私立学校のほうも、あるいはまた農林共済のほうも全然ないわけです。もう非常な怠慢であります。そこで追及したのを聞いて、一月に何かおくればせにちょっと連絡をしたらしいのですが、こんなものはやればすぐできるのです。むずかしそうに見えますけれども、やればすぐできます。  いま、社会的に活動している現役では、ぼくが一番よく知っているわけです。今井一男さんなり近藤文二さんなりは、その当時の経過を一緒に御存じですけれども厚生省の年金局長は、その当時の経緯を知っておりませんが、じゅずつなぎ方式といいまして、各年金法の要件はそのままにして、期間だけを通算する。それで国家公務員共済組合法で十七年間であれば、三十年のうち十七年なら十七年はその要件で持ってくる。それから国民年金のほうが十年であれば、国民年金の要件で持ってくる。だから、支給の基準も違いますし、国民年金は六十五になりますが、おのおの要件をそのままで期間だけを通算するという便宜方式がとられているわけです、老齢について。完全な方式に直すのもいいのですけれども、それがずっととられているのです。  それだったら、遺族年金についてすぐ適用しても一つも障害がないわけです。その連絡をなまけていてできないわけです。先ほど厚生大臣にきびしく批判をしました。こんなものは集まれば一ぺんにきまる、三日以内に集めて、一週間以内に閣議にかけて、今月中に法案を提出しなさい、野党はそれに協力して、一週間ぐらいで上げるでしょうということを申し上げておきました。これは厚生省に言っておきますけれども、共済組合のほうが同じように、すぐやろうという気を起こさないとおくれますので、ぜひ大蔵大臣のほうから共済組合の担当者、国家公務員はもちろんですが、各共済組合の担当者にも、厚生省がなまけていたら、こっちからすぐ相談を持ちかけて、すぐやろうというふうに促進をしていただきたいと思う。端的にその促進のお約束だけをいただきたい。簡単に答えてください。
  267. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま御指摘の問題につきましては、別の機会にも御指摘いただいたことでございますが、私どもといたしましても、問題点は十分承知をいたしております。  ただ、申すまでもなく、この問題は公的年金制度全般にわたる問題でございまして、厚生年金の制度、共済組合の制度、それぞれ制度が違いますので、制度的な調整も必要でございますし、また財源面へのはね返りもございますので、政府全体といたしましてまだそこまで機が熟さない、かような経過になっておるわけでございます。
  268. 八木一男

    ○八木(一)分科員 そういうことを言うから時間がかかっていけないんです。制度面のことなんか、辻君、あなたは知っていないでしょう。厚生省の年金局長の横田君もわからぬ。わからぬから学者に聞くなんて言っても、学者がわからぬ。学者がまた昔のことを研究し直すから、一月も二月もかかるわけです。そんなものはほんとうに、もとの今井さんにお聞きなさい、一ぺんにわかりますから。ぼくが教えてあげてもいい。とにかく、頭が悪くなくて熱意がない人でなければ、三十分でわかります。ですから、そんないろいろ制度が違うなんて言うが、制度が違うそのままに、期間が違う制度も、こっちの期間はその制度なんですから、制度を調整しなくたって通算できるのです。それがじゅずつなぎ方式という方式です。そしてそれを一ぺんにやる。検討中なんて、辻君、そんな答弁はいけません。横田君が連絡をなまけておるのもいけないけれども、来たら、即時にやろうということをやってもらわなければ困る。  時間がありませんから、大蔵大臣、これはもう一〇〇%役所のなまけであります。即時やれということを強力に指導していただきたい。端的にひとつお答えをいただきたい。
  269. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いきさつが、いま辻次長から述べられましたが、これを、そういうお申し出のようにやるという約束はいたしかねます。しかし、これは検討いたします。
  270. 八木一男

    ○八木(一)分科員 約束はできませんというのは、福田大蔵大臣は問題をよく知らないから、国務大臣がうっかり約束しますと、ぶうぶう言う連中が出たらいかぬということでしょう。ぶうぶう言う連中がなまけていて一つもやっておらぬのですよ。辻君は、ほかでは有能な国家公務員でしょう。だけれども、共済組合なんててんで大なまけのなまけですわ。あなただけではない、一番関係の深い年金局長が大なまけです。ほかの共済の担当者に至っては、全然なまけていて何にもやっておらぬ。居眠りしているわけだ。検討したら一ぺんにそうなるのだ。大蔵大臣は、自分の部下が言っているから、一ぺんに返事したらぶうぶう言うだろうということでしょうが、ぶうぶう言う連中はなまけている。自分がなまけているのを隠そうと思ってぶうぶう言うわけだ。断じてやることですから、あとの時間で大蔵大臣に御進講に上がりますから、そうしたら一ぺんになまけていることがわかりますから、検討でもいいけれども、急速に、とにかく今月中に結論を出すように推進をいたしますと、検討を推進いたしますと、そういう御返事がいただきたいと思います。——そういう御返事をいただいたものとして、もう時間がないから、先へ進めます。  それからその次に、前後しましたけれども、年金のスライドの問題。これもりっぱな国務大臣として、政府の怠慢な態度を変えていただきたいと思う。きのう厚生大臣をきびしくしかりました。厚生大臣はぼくの先輩であります。議員ではぼくのほうがちょっと古いけれども、年は二つほど上だし、先輩ですけれども、なまいきでしたけれども厚生大臣にきびしくばりざんぼうを浴びせました。  というのは、厚生大臣もわからぬのです。年金局や社会保険庁がこれはむずかしい、それで何百万人いるから、計算して電子計算機を使っても時間がかかります、だから一年に一回しか、どんなことがあってもできませんということを言うわけです。ほんとうにとんでもないことです。りっぱな官僚の方はいろいろおられますけれども、その点では、もう官僚主義の一番悪いところをあらわしております。  スライドについては、賃金スライドのわれわれの要求がある。政府のほうは物価自動スライドだけれども、何年ごとに再計算があって、貸金と生活水準のスライドをやろうというこの議論はわかります。それから賃金スライドのときに、それに関連して質金の読みかえという問題があります。そういう問題に取っかかればむずかしい。それは一年間かかって、十一月までにやってもらったらいいわけだ。その間に急速に上がっているわけです。その物価が一番単純に上がって予定生活が食いとめられることについては、ほんとうの早いスライドをしなければならない。  ところが、一月ぐらいたったら、また下がるかもしれないという御心配があるでしょう。前の四半期に対してあとの四半期はどのくらい上がったということでスライドをしなければならない。このスライドというのは、上がったら年金を上げるということで、下がっても下げることですから。しかし、政府はそんな心配をすることはない。残念ながら上がる一方ですから、実際は上がることになります。下がったら下がるのですから、御心配はなしに、前四半期に対して次の四半期が上がっただけすぐ上げる。上げる方法は、その間にたとえば二〇%上がれば、前に予定された金額表があるから、それに一・二をかければ金額は出る。  それを、何百万人の計算があるから、どんなにさか立ちしてもできませんというようなことを年金局や社会保険庁は言う。そうすると、厚生大臣は鬼の首をとったように、どんなに要求されてもそれはとうてい事務的にできません。だからどうにもなりません。そんなことで国民の生活は守れない。国民の生活というものは、そういうものでほったらかされてはいけません。お役所の怠慢や、あるいはいまの形式を変えるのは困るというようなことで変えられないのだったら、国家公務員というのは国民の敵になります。日本には教育は発達していますから、二割上がったら、一・二かければどのくらいの金額というのを、計算できないような国民はほとんどおりません。国家公務員がこれはできないという、そんなばかな話はない。  これは、厚生大臣にきびしく言ってありますから、閣議で持ち出されると思うのです。持ち出されなかったら、ひとつ情報を聞いて、厚生大臣を追及しますけれども厚生大臣持ち出されなくても、大蔵大臣がひとつ持ち出していただきたい。  スライドというのは、タイムラグをつづめなければならぬ、そういうものである。そういうものであることについて、とにかく少なくとも三月単位のスライドはしなければならない。これは物価自動スライドでけっこうです。われわれは賃金スライドの要求をしておりますけれども、事務的に一番単純な方法でなければできないから。それだけ上がった分は、一年間の読みかえのときに二重に上げろとは言いません。上がった分の差額を上げればいいのですから。そういうことをぜひ御推進をいただきたい。これも後刻御進講に、もし必要がありましたら上がりますけれども、必要なければ、その意思でひとつ閣議で御主張願いたいと思います。ひとつ端的に、積極的な御答弁を願いたい。
  271. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 スライドを四半期に分けてやるという話は、私、あまり詳しいことは存じませんが、予算委員会における厚生大臣の、あなたやほかの人に対するお答えを聞いておりますと、これはなかなかむずかしそうな問題のようであります。とにかく、年金を四半期ごとにきめていくというのは、非常に私は異例な措置ではないか、こういう、ふうに思います。やはりこれは一年一年、これが私は原則。しかも厚生大臣の話じゃ、一年くらいが事務能力からして精一ぱいだ。  やはり四半期ごとにきめなければならぬというのは、最近のこの物価上昇、これを背景にして八木さんがおっしゃられるのじゃないかと思いますけれども、こんな異常な状態を一刻も早く断ち切らなければならぬ。これが先決じゃないかと、そういうふうに思うのです。とにかく、これがもうずっと続くというなら、いろいろなことを考えなければなりませんけれども、私どもはもう短期決戦です。異常な状態を早く鎮圧いたしますから、そっちのほうにひとつ御期待をお願い申し上げます。
  272. 八木一男

    ○八木(一)分科員 物価を安定していただけば、そんな法律をつくっても、一%でも上げろというような案を考えているわけじゃない。何%以上上がったら、これは三月間ですよ、一年じゃなしに、上がったら上げ下げするということですから、あなた方の政治よろしきを得て物価が安定したら、そんな法律は発動しないわけです。だから、そんな必配は要りません。いま物価狂乱時代だから、いま必要なんです。いまつくって、だから一番単純な率直な方法をつくればいいわけです。その後あなた方は物価を安定されたならば、その法律は、何%以上にならないから、発動しないわけです。年金が長期だからというようなくだらない逃げことばのへ理屈、そんなものはほんとうになまけ者の言うことだ、国民の敵の言うことだということは、福田さん、おわかりだと思う。ほんとうになまけ者の国民の敵がへ理屈をこねて、しなければならないことをできないと言い、そうしてまた長期間のことだから、先までいますぐできないというようなことを言う。これはほんとうに国民の敵です。その敵が、国家公務員にあったり、国務大臣にあったらとんでもないことです。そういう政治の間違った姿勢に、狂乱物価にいまあなたはほんとうに対処しようとしているのでしょう。その一つの大事なこととしてこれはやらなければならない。  そういうことで、いま年金局の考え厚生大臣が影響された、それにあなたが影響されておる、その悪者が悪いということを言っているのですから、その影響を一切取っ払って、そういうことに前進するように御推進をいただきたい。もう少し質問がありますので、それも強力に御推進になることを要望して、首を縦に振っておられますから、それをお約束を願ったと確定をしまして、先に進めます。  それから、その次に部落解放行政の問題です。先日も申し上げましたから簡単に申し上げますけれども、この措置法が通ったときに福田さんは大蔵大臣で、福田さんと私の間で確認事項がありました。この前も申し上げましたから重ねて申し上げません。同和行政の上屋が建って、土地に国庫負担がないんでは意味がない。土地の買収費、整地費、これは先行取得も含めてそれが必要であるということで、福田さんがあなたから、与野党で相談して、政府も確定しての御答弁でございますが、それは当然のことであると。そしてそれになじまないものについては起債をもってこれに充てる。だから原則は国庫補助なんです。ところが各省がこれをけしからぬ読みかえをしまして、土地の買収、整地自体が国庫補助、国庫負担にはなじまないから起債をもってこれに充てると、けしからぬ、許しがたい読みかえをしてそういう予算の編成やなんかに当たっているわけです。これは確認事項のこともありますからお読みいただいてもけっこうです。私も決してうそは言いませんから、政府は追及しますから。そういうことで福田大蔵大臣はこの前確認してあったから御承知だと思います。このことは昨年の七月に時の坪川総務長官と論議をしました。それを内閣を代表して認められました。読みかえを消極的な方向にやっているのはけしからぬ、そのとおりにやっていかなければならない、総理府としては各省を指導するということになっております。ところがこの今年度予算で、たとえば、厚生省ばかりしかりつけたけれども厚生省の隣保館の土地代についての国庫補助の要求がありません。文部省も公民館についての土地代の補助の要求がない。これは全く現業官庁がなまけている。あした各省をしばきますからね。来年は絶対に要求を出させなければ、同和対策事業特別措置法を故意にひん曲げてこれを停滞させるものであるというので各省を追及します、あした総理府、各省を呼んでいますから。それを受け入れるほうは結局大蔵省大蔵省は初めからそれをちゃんと言っていただきたい。おくれているのですからね。来年要求したときに、その要求が通るまで二、三年かかるのです、いつも大蔵省が。来年すぱっとやっていただいても五年おくれているのですから、それは来年は土地に対する国庫補助の要求が出たらすぱっとそれを受け入れられるということをぜひしていただかなければならない。その点について、ぜひそういう立場でそういうふうにやられるという積極的な御答弁を大蔵大臣からいただきたい。
  273. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 これは、国庫補助の性質になじむものにつきましては国庫補助を考えます、同和対策は大事でございますから。しかし、なじまざるものにつきましてはそういうふうなわけにはいきませんから、そういう際にはあるいは起債について御協力を申し上げるとか、そういうふうにいたします。
  274. 八木一男

    ○八木(一)分科員 大蔵大臣、ある程度まともな御答弁で、けっこうです。そのまともな御答弁の点はぜひ実施をしていただきたいし、辻君その他大蔵省の人たちは大蔵大臣のお約束をされたことをかみしめて、ぜひ浸透するようにしてください。あと、なじまない問題については、積極的に同和行政を早く推進するという立場でその判定をお願いしたいと思います。そのもとは、その確認の最後に、床次総務長官が内閣を代表して、この同和対策事業特別措置法は積極的にこれを活用するという、一番大事な柱の確認があるわけです。積極的に活用するという立場でこれを解釈をしなければならない。それを消極的に、ブレーキをかけた解釈をしようという傾向か各省に強い。これもほんとうの確認ですから、積極的に活用するということでこれを判断して、そしてそういう問題について国庫負担を来年度から完全に実施するというふうにしていただきたいと思います。再度その点について積極的な御答弁をいただきたい。
  275. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 同和事業は大切な問題でございますので、国庫補助になじむものにつきましては極力そういうふうにいたします。しかし、なじまないものにつきましてまでそういうふうにするわけにいきませんから、その際におきましては、これは地方債、そういうことにおいて御協力申し上げます。
  276. 八木一男

    ○八木(一)分科員 全体、七十点ぐらいの御答弁で、あとよけいなものをつけ加えられないでいいのです。積極的に考えて、なじまないものなんというのはないはずなんです。これは意見として申し上げておきます。  いま一部分だけ申し上げましたけれども、同和予算全体についてこれはまだまだ不十分であります。昭和四十七年の六月に閣僚協議会で発表された四千七百三十三億という概数数字は、その問題を出してこない府県もあれば、出してくる府県も数を減らして出してくる、なまけたところもある。そしてもう一つは、この概数には土地代が一切含まれていない。そしてまたこの概数の中には地方の負担の金額も含まれている。おまけに、その内容としては、一番大事な就職の機会均等、就学の機会均等ということを推進するものがほとんどなくて、環境改善だけにとどまっている。こういうことはとんでもないことでありますから、この前も総理府と約束しましたけれども、補完調査、再調査をする。そしてそれに基づいて急速に総合計画をつくり、財政計画をつくり、どんどんと推進していただくことになっているはずです。その大きな部門を受け持っておられる大蔵省は、その面で全面的に積極的にやられて、各省が怠慢であったら、大蔵省が、もっと積極的な姿勢で要求も出し、話し合いもせよということを、指導的な立場で積極的に推進されることを強く要求いたしまして、質問を終わります。
  277. 藤井勝志

  278. 大出俊

    大出分科員 なかなか福田大蔵大臣にものを承る機会がございませんで、少ししゃべり過ぎて声わずらいをしておりますけれども、基本的な問題について少し承っておきたいという気がするのであります。  春闘をさなかにいたしておりますが、何よりもまず原則は物価の安定をはからなければならないわけでありまして、下げなければならぬ、こういうことになると思うのであります。実は、安定成長への原油の輸入の抑制という福田さんの新しい構想が新聞に出ておりますが、そこで私一番気になりますのは、どうも外貨が減っていくという中において、かつ円安に当然なっていくわけでありますが、そこからくる新しい大きなインフレ要因というものを、別な見方で考えてみる必要がありゃせぬかという気がするのであります。  そこでまず承りたいのは、現在手持ち外貨、いろいろいわれておりますが、どのくらいになっておりますか。
  279. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 二月末で約百十九億ドルであります。
  280. 大出俊

    大出分科員 いま百十九億というお話でございますが、IMFに報告をしていない、いわゆる隠し外典が八十億ドルだとか九十億ドルだとか、いろいろいわれますけれども、ことしの予算の立て方の中で幾つか状況変化がございます。石油でいえば十六億六千六百八十五万バーレル、これが実はことしの予算編成の経済企画庁等の基礎になっておりますが、これを輸入額にいたしますとおおむね六十億ドルぐらいになるわけであります。ところがここで、当初予算をつくるにあたりましての、つまり石油の単価の値上がりは、バーレルで計算いたしまして大体どのくらいふえる勘定になりますか。
  281. 松川道哉

    ○松川政府委員 四十九年度の予算は、四十九年一月十九日に決定いたしました政府の経済見通しにのっとって編成いたしております。その中におきましては、石油の輸入は数量にして二億七千万キロリットル、価格はキロリットル当たり五十六、七ドル前後ということで見込んでおります。
  282. 大出俊

    大出分科員 一バーレル当たりたとえば八ドルになる、九ドルになるといった場合に、ここにございます企画庁とやりとりした中身でありますが、企画庁の言う四十九年度の推定輸入量、これが二億六千五百万キロリットル、したがって輸入額は百三十三億ドル、政府予定の六十億ドルよりも、バーレル八ドルに見て大体七十三億ドルふえるというんですね、企画庁は。九ドルという試算をいたしますと輸入額が百五十億ドルになる。したがって当初の計画よりは九十億ドルふえることになる。これは経済企画庁の言うところでありますけれども、どうやらこれだけで外貨支払いが九十億ドルふえる計算になるので、となると、さて手持ち外貨はこの計画で一体どのぐらいのことになるかという点が事務的に承りたいのであります。つまり、九ドル原油になった場合にどのぐらいの手持ち外貨になるか。
  283. 松川道哉

    ○松川政府委員 先ほど申し上げましたキロリットル当たりのドルの単価をバーレルに換算いたしますと、バーレル当たり九ドル前後でございます。なお、もう一つつけ加えますと、これはIMFベースということでございますから、FOBでございます。これらの前提を置きまして、この経済見通しに輸入四百三十七億ドルというのが見積もられておる次第でございます。  なお、御参考までに、ただいま先生が御指摘になりました数字がちょっと私どもの手元の数字と違いますが、四十八年度の計数は、石油関係七十億ドル台程度でございまして、八十億ドル程度の輸入増加を見込んでおります。
  284. 大出俊

    大出分科員 つまり、外貨の適正保有量という言い方がいままでございます。大体、輸入価格等算定いたしまして三〇%程度であろうとか、いろいろありますけれども、どのぐらいとごらんになっていますか。
  285. 松川道哉

    ○松川政府委員 ただいまの大出先生の御質問は非常にむずかしい問題でございまして、これはいろいろな人の意見が非常に分かれております。と申しますのは、そもそも外貨準備は御指摘のように輸入をまかなうためのものでございますから、これに対してある程度の割合のものでなければいけないという考え方がございます。しかしながらそれに対しまして、特に最近のようになりますと、各国間の信用供与が、かつてのような場合よりははるかにスムーズに行なわれるようになってきております。そういうことでございますれば、外貨が多少減りましても、そのときにその国が急いで外国から借り入れをする、あるいはIMFから金を引き出すということが迅速に行なわれることが可能になってまいりましたので、その意味で、はっきりした線を引きまして、これが外貨の必要所要額であるということは最近言われなくなってきております。
  286. 大出俊

    大出分科員 いろいろな意見がございますし、いろいろな議論がございます。私もたくさん聞いておりますけれども、いずれにしても百億ドルを割っていくということになりますと、ある意味では円安に拍車をかける結果になりはせぬかという気がするものですから、ここから先は大臣との議論でありますが、大臣がここに新聞発表しておりますのがほんとうかどうかということはまだ承っておりませんからわかりませんが、一口で言ってしまえば、省資源経済に変えていこう、源油の輸入等についてもある程度チェックポイントをきめて抑制していかなければいかぬのじゃないかという趣旨の言い方をしておりますが、私の申し上げた中心は、当初予算を組むにあたりまして考えた為替レートの関係からいたしましても、日銀の介入でようやく三百円を何とか保っている外貨は、原油の値上がり等によりまして一つ間違えばたいへんな手持ち外貨の不足になってくる、輸入が高くなるわけでありますから。そうなってまいりますと、あらためてここに大きなインフレ要因が生まれそうな気がするわけでありまして、大臣がどういう意味でこの原油輸入抑制という中長期の物価対策、いわば福田構想といいましょうか、これをお立てになったのかという点を、根底にあるものを承りたいので、ちょっと前座を申し上げたわけでございますが……。
  287. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 その中長期の私の計画というのは、私、発表したわけじゃないのです。私は記者の皆さんと常に接触しますが、その接触からくみ取りましてそういうことが文章になっておるのではないか、さように存じます。私もその記事を、中身はあまり読んでみませんけれども、太い活字のところは見ております。私の気持ちを端的にあらわしているところもあるのです。と申しますのは、これからの日本の経済というものは、今日とにかくこの狂乱物価を鎮静させなければならぬという、そういう第一のピリオドというか、そういう時期。それから第二の時期は、やはり石油の価格の引き上げの問題がある。それに伴いまして電力の価格の問題というような問題が起こっております。公共料金その他いろいろ問題があります。そういうものを踏まえまして、第二ピリオドというか、第二ラウンドというか、第二段階というものが来るだろう。それで、そういう段階を経ていよいよそれからの日本経済をどんな姿に持っていくか、こういうことを構想する時期になってくるだろう。第三ラウンドが来るわけです。  そういう経過をたどるのですが、その第三ラウンド以降の日本の経済の運営の基本的な考え方といたしまして、さあ、物価狂乱はとまりました、新価格体系はできました、当面の難局は乗り切りましたものの、混乱以前の経済の状態に復元さすべきか、こういうと、私はそうじゃない。これは国際社会の水準というものを考えて、その辺を目安にして、いままでの経験から見ればかなり思い切って低目の成長に持っていかなければならぬだろう。そういうことは、資源のことも考えておりまするけれども資源ばかりじゃない。石油の供給、これがあり余るほど来る、こういうような事態になりましても、そういう国の運営のかじのとり方は、過去の高度成長時代にまた復元するというような考え方でなくて、物価の問題からも心配ない、また国際収支に与える影響、これも心配ない、また環境汚染、そういうような立場から見てもこれもそう心配ない、そういうような速度の成長をしなければならぬ。そういうことになれば、おのずから石油の輸入につきましても、これは買えるからといって買うべきものではない、目標を立てて、その限度内にとどめるべきものである、かように考えたからであります。
  288. 大出俊

    大出分科員 私も、ここでひとつ経済のあり方を基本的に変えていく、考え直していく時期であろうという気が痛切にするのであります。時間がありませんから多くのやりとりはできませんけれども、そういうことになってまいりますと、私はやはりこの辺で——とういう形で福田さんか田中さんにまかしてくれとおっしゃったのかわかりませんし、まかせることになったのかわかりませんが、この辺でいわゆる列島改造型の多消費型経済というものは、この問題がどういう形でおさまるにせよ、あるいはおさめるにせよ、終止符を打つべき時期に来ているのではないかという気がするのであります。ところがどうも私ども委員会にある関係法案というのは、やりとりをするとえらい粘るのですね。まことに迷惑千万なんです。もうこの辺で福田構想というものを明らかにして——二人並んでいないから困るのですけれども、この辺でひとつ列島改造多消費型という形のものとは縁を切るというはっきりした立場にお立ちを願えぬのかという気がするのであります。まずこれは大前提でございますから、そうしていただかないと、これはなかなか、短期決戦と言ってみたってそっちのほうに向いていかない気がするのであります。その大前提が政治姿勢できまらないと、なかなかものごとは片づいていかない気がするのであります。そこのところは一体どうお考えでございますか。
  289. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 日本列島改造論は、これは田中総理の個人的見解です。これは閣議において取り上げられたこともありませんし、国の施策として採用になっておるというわけでもないのですが、これに似た計画といたしましては、昭和六十年度までを目標にした新全国総合開発計画というのがあるのです。それからまた、それに基づきましてさらに短期な計画経済社会基本計画、そういうものがあるわけです。ですから私は日本列島改造論には言及しませんけれども、そういう長期計画、これは根本的に考え直さなければいかぬ、そういう性質のものだ。つまり、物価を鎮圧しました、新価格体系ができました、さてこれからどういうふうに運営すべきかという見地に立ちまして、新しくこれは出直さなければならぬ。その際には新しい長期計画でやっていくべきものだ、そういうふうに考えております。
  290. 大出俊

    大出分科員 新全総その他をとらえて、そういうものは新しい角度で洗い直さなければならぬ、これは根本的な問題です。かつて総理答弁の中にも、そんなことを言ったって、いまだってあるじゃないか、新全総式なものはあるんだ、だから変わったことを言ったんじゃないというのが総理の答弁でございました。だとすれば、新全総を含めまして根本的に洗い直しをするということになると、列島改造論が総理の個人見解だと言ってみても、やはりそれが看板で国民の前に内閣を組織をしたわけでありますから、そうなるとこれは根本的にそこのところはけじめがついたと見ていいわけなんであります。なかなか福田大蔵大臣の立場からいうとそこのところが言いにくいようでありますけれども、はっきり言って勝負がついて、この辺で経済の体質は根本的に変えていく、そっちの方向におれは行くんだというものの考え方があってこうお述べになったという受け取り方でよろしゅうございますな。
  291. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 当面の異常な事態を克服した後の日本の経済の運営は、これは過去のような高度成長、そういうような考え方ではいかぬ、こういうことを述べていることかと思います。
  292. 大出俊

    大出分科員 もう一つこの際承っておきたいのですが、日経連の諸君がこの春闘にあたっていろいろなことを言っております。三菱の総合研究所が研究をして、石油の輸入量というものを大体三つに分けて、一つは二億八千万キロリットルぐらい、これが第一、二が二億六千万キロリットル、三が二億四千キロリットルぐらいのところを計算をして、一ならどうなる、二ならどうなる、三ならどうなるという試算をしておられますが、三を発表しないわけですね。これは何と言っているかというと、どうも一、二、三の二ぐらいのところでも日本経済はたいへんなことになる、三に触れてものを言うべきではなかろうというのでやめたという注釈がついていますね。ところで、多消費型を省資源型に変えるという構想が腹の中にあるとおっしゃるのだけれども、大体どの辺のところをとらえて、どっちに向けていこうと考えておられるのか。たとえば、基準がありませんから、石油に触れて言っておられるようだから石油を引き合いに出したのですけれども、どのくらいのところをこれから押えていけばいいとお考えになっておられるわけでありますか。
  293. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いま御審議願っている予算は二億六千万キロリットルです。これは大体調達できるのじゃないか、さような検討をいたしております。世界の石油事情がどうなるか、また石油の価格がどうなるか、その辺もにらまなければならぬし、また国の歩みの基本的な考え方としてそう大幅な成長ということはしない、こういう基本的な考え方もとらなければならぬ。そういう際に、四十九年度の二億七千万キロリットルがその次の年に一体五百万トン上積みか千万トン上積みにすべきか、その辺は私は流動的に考えたらいいだろうと思うのです。しかしこれをむやみに大幅に受け入れるということは、わが国の経済運営として妥当ではない、こういうふうに考えています。
  294. 大出俊

    大出分科員 大体大蔵大臣が、新聞がどう書いたかは別として、頭の中であるいは将来の構想として考えておられる考え方は、いまのお話で見当がつきます。そういう意味では、短期決戦という名がついているのでありますけれども、どうしても物価をここで押えていかなければならない。それについて、石油の原油の値上げに伴う関連製品の値上げ問題についてもここで触れているわけですね。これがほんとうかどうかわかりませんよ、大臣がさっき中身を読んでないと言うんだから。だけれども、私、ほうぼうでいろいろ言ってまいりましたが、大蔵大臣として、所管は違いますけれども閣議で一半の責任がおありになるお立場でございますから、ここで石油の関連製品の値上げの問題について、すでにその値上げを前提にしてものを言っておられるわけでありますが、この石油の関連製品の値上げ問題についての大蔵大臣としてのお考え方は一体どう考えておられるわけですか。
  295. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 石油の製品の元売り価格、これは、私は早晩引き上げを行なわざるを得まいというふうな見解です。ただ、早晩とは申しますが、その引き上げの幅をどうするか、あるいは引き上げの時期をどうするか、この点につきましては前提がある。前提とは何ぞやといいますると、その元売り価格の上がった石油製品を使いまして、いわゆる石油関連企業におきましていろいろ製品をつくります。その製品の価格を当分の間凍結すること、これが前提条件です。その前提条件がどの程度できるものか、これを詰めた上でその元売り価格のほうの引き上げの時期とその幅をきめなければならぬ、こういうふうに考えております。
  296. 大出俊

    大出分科員 これは、あなたが物価安定に関する短期決戦と、こう言っておられるわけですから、その短期決戦と直接からむわけですね。きょうは冒頭に申しましたように、声をからしておりますからお聞きづらい点があると思うのですが、せっかくこの国会等を通じまして、各党の諸君その他みんなお互い苦労し合って、何とか鎮静させ、押えなければならぬと、春闘というものを片やかかえながら私どもとしても同じことを考えるわけでありますが、せっかくここまで持ってきたものを、一つ間違うと短期決戦どころでなくなってしまいはせぬか。ここを押えようとすれば、標準価格もそうですが、こっちが上がる。場所がもったいないですからこれは予算の総括か何かでまたやらしていただきますが、それなりのこっちが上がる資料は持っております。そういう結果になってきやせぬかという気がするわけであります。したがいまして、あなたの短期決戦とあわせて、ここでそう簡単に関連製品の値上げを、原油そのものが上がった、だからといって石油そのものもあるいは関連製品の値上げも、そう簡単に認めてはならない気がするわけであります、石油価格自体も。そこのところを短期決戦とあわせてどう判断されるかが、短期決戦で押えるといった大蔵大臣のお考え方が通るか通らぬかという問題になりますので、そこを実は承っておきたい。それでも短期決戦で押え切れるとおっしゃるのかどうか。
  297. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 その辺を実は非常に神経質になって私も苦慮しております。短期決戦のコースはかなり私は順調に進んできたと思います。もう二月のごときは実質的に卸売り物価は横ばい傾向になってきておる、主要資材はかなりの下瀞を示しておる、こういうところまできておるし、日本銀行の発行なんかは、昨年なんか高いときには二七%増をこえるというような状態でありましたが、これが二〇%台というところまできておる、そういうような情勢でありますので、もう一押しという段階です、と確信をします。もう一押しいたしますれば、これはもう経済の様相は一変をすると思うのですが、その前途に阻害要因もないわけじゃない。  その一つが石油価格の問題でございます。それからもう一つが春闘、これがどうなるか、その辺に大きな危惧を私は持っておるわけですが、とにかく春闘は、これは労使の良識をもって妥当なところで解決してもらいたい。また、石油の問題は、これは政府で処理できる問題ですから、これはもう慎重の上にも慎重にして、そうして要は、石油元売り価格が上がりましても関連事業の製品のほうに波及しない、そういう措置ができるかできないか、それに私はかけているわけなんです。私はそういう措置が大体においてできる、こういうふうに思っておるのです。それは、大体石油関連の製品というものは昨年の暮れあたりかなり値上げをしているのですよ。私は、これは水ぶくれだと、こう言いますが、その水抜きの過程におきまして元売り価格の価格引き上げ、そういう要因を吸収する、それが可能じゃないか、そういうふうに思います。通産省でも大体何とかやれます、こう言っているのですが、いま、通産省がほんとうにそういうこまかい目張り、これができるのかできないのか、こういうのをつぶさに対策を伺っておる。その対策を伺って、これはもうだいじょうぶだということになれば、これは今度は石油の元売り価格の引き上げの時期をどうするか、その幅をどうするかという検討に移ろう、こういうふうに思っております。
  298. 大出俊

    大出分科員 きょうは実は別な場所で別な機会に、いまのその点についての具体的データをあげてものを言いたいのですが、実は通産省のやっているのを見ておりますとでたらめ千万で、いないところで悪口は言いにくいのですけれども、どうもやってみたら片っぱしからしりが抜けた。あなたのところに返ってきて、短期決戦だと言ったがそうならぬじゃないかという結果になりそうな気がする。そこらがありますので、一応大蔵大臣のお考えをその点に関してきちっと聞いておきたいと思って、前段この質問をしたのでありますが、そこから先のこまかい点に入りますと時間が長くなりますから、もう一つの問題に入らせていただきます。  これもまた、私が言ったんじゃない、新聞記者が書いたんだとおっしゃるかもしらぬと思うのですが、ここに開発公社の融資規制ということで、大臣の写真入りで、各自治体がやっております開発公社の、学校用地であるとかあるいは公営住宅用地であるとか、この土地の先買いにメスを入れて、土地の換金売りまで、投げ出してするようなところまで締めたいというのですね、俗なことばで言えば。これは大臣の考えでございますか。これまたどこかでしゃべったことを記者が書いた、こういうわけですか。どっちですか。
  299. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 それは公共団体に関しての話ですか。
  300. 大出俊

    大出分科員 そうです。
  301. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私は、地価の問題これを短期決戦、そのさなかにおいて非常に重要視しておるんです。つまり、この地価の問題というのが先導というか、引き金となって狂乱状態のもとをつくっておる。地価を下げなければならない。ところが御承知のように、もう地価も全国的に頭打ちです。かなり多数の売りものが出ておる、しかし買い手がない、やがて地価は下がっていくだろう、そういう段階まで来ておる、こういうふうに見ておるんです。そこで金融機関に対しまして、土地投機、そういうような性格の融資はしないように、また同時に、買いだめというか投機的に持っておる土地その他の資材、そういうものにつきまして、これを入手するために銀行から金を借りている、その返済の期限が来る、そうするとそれを切りかえるわけですね、それをむやみに切りかえてはいかぬ。そういう企業が持っておる土地あるいは資材その他の在庫の状態をよく見て、そうしてなるべく資金の回収をするというところにまあ考えを置いて対処してもらいたいというようないろいろな措置をとっているわけですが、地方公共団体に対しましても同様にしてもらいたい、こういうふうに思っておるんです。  ただ、地方公共団体は政府と並んで大事な仕事をしておる。ことに学校でありますとかあるいは病院でありますとか、もろもろの福祉の仕事をしております。そういうことで、学校だ、あるいは福祉だ、そういうような問題につきましては、地方公共団体への融資の問題が起こった場合に特別の配慮をしてもらいたい、こういうことを指示しておるわけなんです。実際問題としますと、いまとにかく土地を買い占めたその人がもう売りに出ておる。これは相当多いわけです。ところが民間では買い手がないものですから、したがって政府のほうへやってくる。住宅公団で買ってください、国鉄で買ってください、そういうふうにやってくるのです。それを買い応じましたならば土地が高値安定になってしまう。下落しません。地方公共団体につきましても同じ傾向がありまして、地方公共団体、何とかこの土地を使ってください、こういう動きがあるのですが、そういう動きに対しましては、地方公共団体はどうかひとつ御協力を願いたい。そして、そういう土地開発公社というのがありますが、本来これはまあ先行取得をするという任務を持ってできたわけなんでありますが、この際はしばらくそういう方面の配慮はひとつ抜きにいたしまして、物価政策に御協力願いたい、こう申しておるんです。そのとおりでございます。ただ、学校だとかあるいはもろもろの福祉語施設、そういうものについては特別の配慮をしていただきたい、こう申しております。
  302. 大出俊

    大出分科員 これは一つ間違うと片手落ちになるのですよ。というのは、いま言われる協力をせよというのはわからぬわけではない。納得できれば、私も横浜ですから、飛鳥田という市政をかかえている一人でございまして、幾らでも納得する。待てと言われれば待ちもする。そうわからぬことを飛鳥田市長自身も言うわけではない。だが、私どもが調べた限り、土地そのものは、いまいろいろおっしゃいましたが、その後の変化はあります。ありますが、有価証券報告書をずいぶん苦労して調べてみて、東京の証券市場の上場会社というのは千二百九十三社あります。この千二百九十三社の持っている土地はどのくらいあるかと思って調べてみた。時間がありませんから申し上げますが、日本列島をたとえば三十六万あるいは三十七万平方キロとすると、この一・二六%に当たるんですね、買っている土地が。これはちょうど四億八千九百七十万平方メートル、キロでいえば四千八百九十七平方キロ、実はこれが、私どもが有価証券報告書等によって、それだけでは正確に出ませんけれども、当たってみた結果として、証券市場上場会社千二百九十三社が持っている土地です。四千八百九十七平方キロ、これは日本列島の一・二六%ですよ。一・二六%といいますと、この国にできている市街地の総面積に当たるたいへんな土地を持っているわけであります。ところが内訳を見ると、私鉄関係で持っているのが一億三千百十万平方メートル、キロでいえば千三百十一平方キロ、約四分の一ですね。商社で持っているのが、メートルでいえば一億六十万平方メートル、キロでいえば千六平方キロ、これまた四分の一に近い。私鉄と商社で、一・二六%、四千八百九十七平方キロのうちのおおむね半分持っている。だから横浜などは、周辺のこれはという土地は全部私鉄であり商社であり、何と、調べてみると一番よけい買っているのが、私どもの調べた限りでは東急土地開発です。そのあと伊藤忠と丸紅です。その次は大和ハウスです。この四つで二十六万ヘクタール、そっちがヘクタールで書いてあるからそういう計算になったのですけれども、これは神奈川県の面積より広いです。だから至るところ、商社であり私鉄系系列でありという企業が持っている土地、それ以外から学校用地を買おうにも住宅用地を買おうにも、現実はどうにもならぬ。ところが、商社や企業が持っている土地を買おうとする、私鉄が持っている土地を買おうとすると、今度は大蔵省の通達も出ていて、大臣の見解もあって、相手が大手企業である、あるいは大手代理会社ですから、東急不動産といったらこれは背景がある、京王不動産といったら京王電鉄があるのです、そういうところの土地なんだから、手元資金がふえるということなどを考えて、それはやめてくれ、こうくる。基本線は大蔵省が言っているのだからという。自治省相手におとといもやってみたけれども、答えはそれが返ってくる。  ところがそう言われてみたって、横浜のように現在二百四十万の人口をかかえている。十一年ばかり前、私が立候補したときは三十八年ですけれども、横浜市民は百六十万人ですよ。いまは二百四十万人。小中学校で三百校をこえちゃった。ことしは七十六校開校しなければならない。プレハブなんです。十二校しか間に合わない。それも先行投資をやってきて、やっとこさっとこ、そこなんですね。これからますますふえていく。小中学校の学生だけで三十四、五万になっちゃった。小学校や中学校に行くのですから、それを何とかしようとなれば先行投資をせざるを得ない。短期決戦だから待てと言われるなら待つのもいい。だかこれはたいへん不公平、アンバランス、片手落ちなんです。これらの大資本、商社あるいは私鉄系列が持っている大きな土地、これこそ、大臣がここで言っているように、土地の換金売りを促す政策をおとりにならなければいかぬ。中小のところは買ってくれと言うけれども、横浜、川崎等の例を見ても、大どころというのは落ちついている。だから、そういうところが公共用地、つまり学校や公営住宅に土地が出てくるというならば先行投資の必要はない。たいへん苦労してする必要は全くない。大臣がここでおっしゃっているとおりでこれはいいのだ。だがそういかないところに、にっちもさっちもいかぬ問題がある。片手落ちで、片方でだめですよ、こう言われただけでは、そうでございますかと引き下がれないところがある。協力しろということはわからぬわけではない。物価を押える、わからぬわけではない。だが、ここのところを一体どう考えているかという基本に触れていただかなければ、これだけでは、神奈川県副知事が隣でああ載せてますけれども、そんなこと言ったって、ということになってしまう。協力しろというなら、できるような協力のしかたをなぜおやりにならぬかという大きな疑問が残る。そこはいかがですか。
  303. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私のほうでは学校用地一特に人口急増都市の学校用地については特別の配慮をしてもらいたい、こういうことを金融機関にお願いしておりまして、横浜市が大企業のところへ、あの土地を売ってくれ、売りましょう、こういうふうになった場合に、それに対して何ら制約を加える意思は持っておりません。これを片手落ちだというのは何か誤解があるようですね。私のほうは、相手が大企業であろうが小企業であろうが、法人であろうが個人であろうが、何らそういう制約をつけておりません。
  304. 大出俊

    大出分科員 これは窓口が自治省になっておりまして、自治省と大蔵省と日銀との間でいろいろ選別しながら検討しているわけです。たとえば川崎なんかの例をあげましても、川崎市が百二十何億かのどうしてもほしいという金額がある。そこで二十何億かの土地取得をしようとした。ところが、自治省と直接話してみましたし、おとといも質問してみましたが、何とかしぼってくれぬか。しぼってくれぬかと言われてみても、どれもこれもいま先行投資をしておかなければ、国からひもがついて住宅何戸建てろというわけでしょうから、そうすると買わざるを得ぬ。いま買わなければ買えない。ところがそう言われてもそれは困る、しぼれと言うが、どうにもしぼりようがない。しかも言っていることが、単に買い付け証明を出しただけでは困る。たとえば来年こういう計画だという具体的な計画が載っていなければならぬという。だがなかなかそれは市議会を相手にして、そこまでの計画予算の裏づけなしに表に出すわけにはいかない。そうすると公式のものにならない。その程度のことでは不確定要素が多いから、この土地に対しては認められません、こうくる。さらに突っ込んでものを言うと、いや実は大蔵省だ、こうくる。だから、やってまいりましたとどのつまりは大臣のところに来た。大臣はこまかいことは御存じないからそう言うんだが、具体的に折衝をしている段階の市当局にすれば、結果的にそこから先は大蔵省と、こうなってしまう。そうなるとどこかで大臣にものを言わざるを得ぬことになる。  だから申し上げているわけですが、大筋でいいのですけれども、そういうことはしない、つまり、土地を買う限りは、その土地を何にしようかということなしに買いませんよ、市費を使うのですから。買えば市議会でえらいことになる。計画があればこそ買うんだが、その計画は来年ではないではないかと言われれば、だから出せませんと言われれば、買い付け証明書を出しておいてもどうにもならぬことになってしまう。具体的な例がここにある。あるから聞いている。ところが大臣はそんなことはないと言う。ほんとうにないのなら、ないと受け取って了解をいたしますが、いかがでございますか。
  305. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 大出さんが、相手が大企業だ、これだからいかぬ、こういう話ですから、そんな指導はしておりません、こういうことを申し上げておるのです。  それで、一般学校用地につきましては、どうしても児童収容上必要だという土地に対して、その融資を制約するような方針はとっておらないのです。急増地帯の学校用地は必要です。これに対しては協力してもらいたい。いまの金融制度では命令融資というのはできませんけれども、協力してくれというアドバイス、これはできますから、いわゆる行政指導ですね、そういうことはいたしておるわけであります。ただ、何にするかわからぬがとにかく土地が要るんだ、それを買っておく、そういうことにつきましては金融機関は融資しないようにしてもらいたい、こういうお願いをしておるわけです。こういう際でありますから、地方公共団体のほうもよほど選別してもらいたい。選別して、のっぴきならぬということになりますと、私のほうは金融機関に融資方をお願いする、そういうことであります。
  306. 大出俊

    大出分科員 お話はわからぬわけではないのですが、もう一つだけ言いますが、二つあるのです。  つまり、来年度の計画に入っているとかいないとかが基準になるのかどうかという点ですね。入っていなくても、そこは公共住宅を建てるあるいは学校を建てるということで買っておかなければならぬという計画はちゃんと持っている。だから買うわけですよね。ところが来年度も計画を見たってないじゃないですかということで、いや来年計画には建物は入らぬからと、それじゃだめですよと言われたのでは困る。それが一つ。もう一つは、相手方がさっき申し上げたような大きな会社でございますから、だから、そういう土地をお買いになればあっちのほうに手元資金ができる、そこのところは非常に困るんだという話が自治省から出てきた。だから、その二つをとらえて詰めていったら、大蔵省はと、こうなったわけです。だからここへ出てきた。  こういうわけでございますが、全国の開発公社などが、そんなことを言えば、それは金もうけに土地を買っているばかはないですよ。そうでしょう、自治体の開発公社がやるのですから。それだったら審議会を通りはせぬじゃないですか。おのおの計画があって先買いをするのでありますから、先行投資をするのでありますから。だから、そこのところを大臣、これは何かいまのお話を聞いていると、この換金売りまで促すと大臣が言っているのだけれども、何か自治体の開発公社が余分な土地を買って持っている、そういう認識のようですが、そんなに余裕のある自治体の開発公社はないはずです。少なくとも私が知っている——これは革新市長会を中心に知っているわけでございますけれども、そこがまたいずれも人口急増地域だから開発公社の先行投資が一番多いのでありますが、そんなに余裕などはない。ないのに金融の面で押えて、土地の換金売りまで自治体の開発公社に向かって促すという言い方、あり方は、大臣、これはいささか了解できない。自治省を詰めていくと大蔵省がとなってしまう。そこで実はここまで出てきてものを申し上げている、こういうわけでありますが、そこのところは御理解願わぬと困る。
  307. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 大企業から持っておる土地を買いましょうという場合に、大企業であるがゆえにそれはいかぬということ、これは全然ありません。だれが相手でも、学校は必要だ、その学校の校舎を建てるための土地も必要だ、そういうことでありまして、その土地を買う相手がだれであろうがこれは一切制約はありませんから、これは御了解願います。  それから、計画があるかないか、これはまあケース・バイ・ケースの問題じゃないかと思うのですよ。ばく然たる計画で土地を買っておこう、こういうようなことで土地の買いあさりをされるというようなことになると、いま大事なときなんで、これは国の重大問題です。ですから、ケース・バイ・ケースの問題として処理すべき問題だ。横浜銀行につきましては、五十年の四月までに必要な学校用の土地につきましては、緊急なものにつきましては何か話はちゃんとついている、こういうふうに報告を受けております。
  308. 大出俊

    大出分科員 これは、大臣にこまかいことを言ってもしようがないので大筋を承ったのですから、大臣がそこまでおっしゃるのならそれで了解をいたしまして、あとは具体的な問題は詰めるようにいたしますが、浜銀なんかもいささかオーバーローンなのですね。貸し出し過剰なのですよ。だから川崎でも、指定銀行が浜銀になっていますから、しようがなければほかにかえようかという話まで実はある。そんなところまで行っているわけですよ。だから、ワクはこう言ってあるというけれども、具体的な折衝の中ではなかなかそうではない。だから、大臣がいま意図したところをおっしゃったわけだから、ぶつかるところが出てくればそのつどここに問題を持ち出しますから——これは必要に迫られないで開発公社がかってに買っているというところは六大都市に関する限りはないのでありまして、だから、そういう形でこの問題はひとつ解決を願いたい。このことを申し上げまして、終わらせていただきます。
  309. 藤井勝志

  310. 上原康助

    上原分科員 大出先生のたいへん次元の高いお話から低い次元に入るのも恐縮ですが、こういう機会もないとなかなか地域の問題なども取り上げることができませんので、御了解をいただきたいと思います。     〔主査退席、奥田主査代理着席〕 それで二、三の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  実は、この件につきましては昨年の分科会でも取り上げて、沖繩における国有財産の払い下げの件なんですが、政府としては早急に対処をしていくというお答えが明確に出たのですが、その後のお話を関係者から承っておりますと、なかなか進展していないのじゃないのかという話がございます。特に第二次大戦末期あるいはそのさなかといいますかの時点で、旧日本の陸海軍が接収した土地の処分の問題といいますか、払い下げ、いろいろな点について、具体的にどう大蔵省は今日まで検討してこられたのか。関係者からの御要望等についてはすでに御了解をいただいていると思いますので、御説明を願、いたいと思います。
  311. 井上幸夫

    ○井上政府委員 ただいま先生御質問のように、沖繩で戦争中に旧陸海軍が取得いたしました土地は、約千二百万平米程度ということを私どもは把握しております。ただ、御承知のように取得の経緯がきわめて複雑でございまして、今日いろいろ現地で問題が発生しております。前国会でも御質問がございまして、当時の政府委員から、まず実態調査か先決であるということをお答え申し上げました。調査に入っておりますけれども、現状を御報告申し上げますと、嘉手納を中心にいたしまして、一番問題の多い地域について聞き取りその他の調査を始めたわけでございますが、当時の関係者の相当部分が現在おられない、地形がかなり変わっておるというようなことがございまして、思うように調査が進捗しておりません。したがいまして、四十九年中には何らかの方針を立てたいということを前国会で御答弁申し上げておりますけれども、まことに申しわけございませんが、時点がずれるという感じがいたしております。
  312. 上原康助

    上原分科員 確かに、いま御答弁ありましたように、沖繩全体で約千二百万平米、本島だけ申し上げますと四百五十八万平米程度ですか、になっている。問題は、これは本来の国有地といいますか、国有財産といささか性格が異なっておるという点があると思うのですね。国家総動員法によって接収されたとまでは言えないという御意見もあったのですが、半強制的に旧陸海空軍に、飛行場をつくるあるいはその他の軍事目的で利用するということで接収をされた。しかも、接収されたが、土地代そのものも強制的に郵便貯金をさせられる、あるいは若干地主の方々に当時支払いをされたという経緯があって、復帰前から、この件はかつて琉球政府に対しても、旧地主に返還をすべきであるということは強く要求をされてきたわけですね。しかし、管理がかつては米国民政府にありましたし、復帰後はまた国に引き継がれた、そういう経過を踏まえた場合に、昨年私がお尋ねしたときは、たしか早急に調査をし、四十八年度中に調査を終わって、いわゆる来年度からは要望に沿うような形で具体的な事務的処理をやっていくという御答弁だったと思うのです。  しかし、いまお答えがありましたように、なかなかむずかしい面があって延びる結果になるんじゃないのか、これでは関係者の要望に沿う形での解決というのがますます先に延ばされる、あるいは場合によってはそのまま従来のようなかっこうでしか処理されないんじゃないのかという懸念を持つと思うのです。そういう意味で、なぜそうおくれをとっているのか。いまいろいろ問題があるんだということが言われたんですが、どういう面が最も困難なのか、一、二点、まあ旧地主がおらないというような点もあったんですが、解決のめどというのはいまの段階では立たないわけですか。
  313. 井上幸夫

    ○井上政府委員 土地を買収いたしました経緯が最も複雑なのは沖繩本島であることは先生よく御承知のとおりでありまして、石垣地区、宮古地区はかなりはっきりしておると思います。旧沖繩本島の地区におきまして、嘉手納を中心にいたしまして全力をあげて実態調査に入っておると先ほども申し上げたわけでありますけれども、いかんせん当時の記録が皆無である。したがいまして聞き取りと記憶にたよって調査をしていくという、その辺が一番大きな問題といいますか、支障になっておる、こう申し上げざるを得ないのであります。見当につきましては、いまのところはっきりいつごろになったらいたすということをちょっと申し上げる自信がございません。
  314. 上原康助

    上原分科員 ますますあとずさりをして、解決ができなくなるんじゃないですか。  じゃ、もう少し具体的にお尋ねしますが、旧嘉手納村、読谷村、これは飛行場用地として接収されたのが大部分ですよね。さらに先島の場合ですと、宮古の洲鎌、野原、これも飛行場用地として接収されておりますね。石垣の場合は白保、平得、これは平喜納というのですか、の飛行場、これを入れて約一千二百万平米ですね。いま、本島の場合は旧地主から実情調査をするのが非常にむずかしい。比較的先島の場合はそういった経緯については調査がしやすいといいますか、できるということでしたが、では宮古、石垣の場合は、これは旧地主に返すのか、あるいは小作人、現在耕作をしている方々に返還するのかという問題があるということも聞いております。要は、むずかしい事情にあるということは理解いたしますが、問題の処理のしかたは一体政府としてはどう考えているかという点なんですね。地主に返してもらうのか、現在耕作をしている方々に払い下げるのか、その点もまだ明確にならないのか。これはせんだってお尋ねした場合は、旧地主ないしは小作人に返還をする方向で検討していくということじゃなかったかと思うのです。
  315. 井上幸夫

    ○井上政府委員 千二百万平米のうち、ごく大ざっぱに申しまして半分は沖繩本島及びその周辺、それから残りの半分が石垣、宮古でございます。  石垣、宮古につきましては登記簿が残っておりますので、取得の経緯あるいは所有の関係についてはそれほどの問題はございません。ただ、現在飛行場に供せられておる部分を除きましては農耕地となっておりますけれども、旧所有者が農耕しておられる場合と、違う方が指定を受けて農耕しておる場合とあるというのが問題であります。ただ、いずれにいたしましても処理の方向といたしましては、これら三地域を通じまして、現在公共飛行場として使用されておるものにつきましては、そのまま公共飛行場として残すというか、使うのが土地の効率丘も、それから地域振興上も最も有効なことである。現在農耕地となっておりますものにつきましては農地法の適用があるわけでございまして、いずれ私どもといたしましては、普通財産でございますので処分をいたすということになると思いますが、その場合には通常の手続に従って処理をするということに相なろうかと思います。ただ私どもはその場合に、沖繩開発庁におきまして農業振興計画を、しっかりした農業計画を立てていただくという時期にそのような処理をとりたいというふうに考えております。
  316. 上原康助

    上原分科員 処理の方法もまだ十分きまっていないような感を受けるわけですが、先ほどから申し上げましたように、この接収のしかたがやはり軍事目的に利用されてきた。また八重山の場合ですと、一時飛行場に使われておったものを、…地主あるいは現在耕作している農民の方々か、そこを十分整地をして現在のように畑地にしたわけですよ。それまでの労力といいますか、費用も相当かかって、いま見るとりっぱな畑になっているが、かつては石ころだらけの飛行場だった、コラルを敷いておった、そういうようなこと。また戦後三十年近くなってこれだけ土地の地代の値上がり、物価の高騰というようなものがございます。そういう面を考えました場合には、処分のしかたといいますか、方法いかんによっては、大きな損失を新たに地主の皆さんやあるいはそれを利用している方々にしいる結果にもなると思うのです。実際に土地は取られたけれども、戦時中ですから、みな郵便貯金に強制的に入れられて、それさえもあとで幾らか見舞い金的なもので、郵便貯金の戦前のものは整理はされましたものの、そういった経緯を大臣お考えになった場合に、それに対しては、やはり現在は一応国有財産ですから、国有地になっているわけですからね、やはり関係者の意向に沿うてこの問題は処理すべきだとわれわれは判断するわけですよ。むずかしい面があるというのも理解はしますけれども、あまり長引かせてもいけませんし、また処分をするにあたっては、かつての旧地主の方々が取り上げられた、またその後も不利益をこうむってきたというこの事実は否定できないわけですね。これに対しては大臣の政治的な判断といいますか、いろいろな政治的な判断がないと、ただ国有財産だから通常の手続に従ってやるのだということで片づけられてはたまったものではないと思うのです。
  317. 井上幸夫

    ○井上政府委員 先ほど私の御答弁が少し不十分でございましたが、農地法の適用がございますので、処分をいたします段階では、農林省の自作農創設特別会計に移しまして、あの特別会計において処分をすることになるということを申し上げたいわけでございます。
  318. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 沖繩の接収土地を、これをまた売り戻すという問題は、これは普通の国有財産の売り払いというわけには私はいかぬと思うのです。特別の基準というか、そういうものが設定されてしかるべきである、こういうふうに思います。その特別の基準を設定するためには、その土地がどういう態様で接収されたのか、そういう事情をよく調べておく必要があるだろう。その調査の中からその売り戻し基準というものができてくる、こういうことでございますが、先ほどからお答えしておるとおり、どういう経緯で土地が接収されておるのか、その辺を調べておるということでございますので、ある程度基準ができ得るような調査ができますればこの問題は急いで解決したらよかろう、私はかように考えて、そういうふうに推進いたします。
  319. 上原康助

    上原分科員 これは復帰前からの懸案事項でありますし、また私も二、三回お尋ねもし、御要望も申し上げてきた懸案事項でありますので、早急に、もちろん農林省との関係あるいは開発庁との御相談等もあろうと思うのです。また現地との面で、いま大臣がおっしゃったことを考慮に入れていただいて、事務的な面の処理を急いでいただきたい。何回も念を押すことで恐縮ですが、実際は戦時中二束三文にもならぬ金で取られて今日の状態まで来ているわけです。嘉手納にしたって読谷にしたって、あるいはそのほかの本島の周辺地域もそういう状況だったと思うのです。そのことは記録的にも大かた明らかにされておりますから、早急な処理を重ねて要求をしておきたいと思います。  いま一点は、これは国有林の管理の問題ですが、林野庁いらしていますね——国有地の相当部分が国有林になっております。本島北部あるいは八重山、石垣、西表あたりですね。問題は、特に北部の場合、西表もそうですが、現在沖繩の水事情というのは、御案内かもしれませんが、昨年の十二月の初句から一日おきにしかいま給水をしていないわけですね。全く冬場でありながら水もろくろく供給できないという状態にいま置かれているのですよ。ここはこれで議論する場ではありませんのでよしますが、しかし北部の国有森林の保全ということ、これは国土保全、環境保全の画から考えても、林野庁あるいは農林省とも関係があると思うのですが、政府としてももっと積極的に水資源対策、森林対策というものを、保全をやっていただかないと、戦時中から戦後にかけて荒廃した形で来ている、しかも最近は乱開発やらあるいはいろいろな自然破壊というものが出てきております。特に米軍に提供されている国有林の管理については全く手がつけられていないという状況なんですね。こういう実態をつかんでおられるのか。北部のいわゆる海兵隊に提供している訓練場の問題など、水資源対策の面、国土保全の面からしても、もっと積極的にそういう面はやるべきだと思うのです。国に管理権が移管をした現段階において、そういうことに対しての対策、あるいは現在米軍が使っているものまたは民間団体やその他に賃貸借その他で利用さしているような国有林の保全についてはどういうお考えを持っておられるのか、承っておきたいと思うのです。
  320. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 沖繩本島における国有林野は一万三千ヘクタールほどあるわけでございますが、その中で米軍に提供しておりますのが七千九百十一ヘクタール、それから県に借地で提供しておりますのが、国からいえば貸し地でございますが、四千四百九十六ヘクタール、その中で県がまた軍のほうへ軍用地として貸し付けておるのが三百五十ヘクタールという実情でございまして、現在国有林野として管理経営しておる面積というのは四百七十三ヘクタールというふうな状況でございます。軍用地に提供しております七千九百十一ヘクタールのうち、約五千ヘクタール足らずの土地は普通演習地でございまして、必ずしもそれほどひんぱんに使われておるという状況ではないということでございますので、直営地と、それからそういうような形で普通演習地になっておりますものにつきましては国有林において施業をやっておる。この施業をやっておる地域につきましては、四十七年に復帰いたしましてすぐ、国有林におきましては営林局長が地域施業計画を立てるということになっておりますが、南西諸島地域施業計画を変更いたしまして、この地域については施業計画を立てて施業に当たるということに現在やっておるわけでございます。  ただ、御承知のとおり沖繩の土壌はサンゴ礁と重粘土というようなことでございまして、その上に台風がひんぱんに襲来するというようなことがございまして、林木の生育には適していないという問題がございまして、琉球松が現在植わっておりますが、まだこれは伐期齢にも達しておりませんので、現在その下刈りであるとか除伐であるとか、そういうような形のものを施業としてやっておるという状況でございます。
  321. 上原康助

    上原分科員 いま御答弁もありましたように、大部分は米軍の演習場として利用されているわけですよ。もちろんそれは常時使用じゃなくて一時的な面という指摘もあったのですが、しかし現に北部のその国有林に入って実態を調べてみた場合は、米軍の演習によって相当森林が荒らされている。それを全く手をつけないような形で林野庁も今日まで来ているわけです。その点はもっと前向きに、これは外務省とのかかわり合いがあるかもしれませんが、やるべきだと思うのですね。  それといま一つは、県が借用している面、県がまた米軍に提供しているというあれもあったのですが、企業に賃貸借契約といいますか、提供しているのは幾らぐらいあるのですか。
  322. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 私どもで現在手元ではっきりいたしておりますのは、軍用地に貸し付けておるものと、それから県に貸し付けておるものというものがはっきりいたしておるわけでございますが、一応、企業に貸し付けておるというものも、その他のものも含めまして約千五百ヘクタールぐらいになろうかと思います。そのうち千二百ヘクタールほどは県に貸し付けておるものを県がさらに貸し付けておるという面積でございます。
  323. 上原康助

    上原分科員 ちょっと理解しにくいのですが、そういった実情もまだ十分おつかみになっていないような気がしますが、この賃貸料なんかは具体的にわかるのですか。
  324. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 具体的な数字は手元に持っておりませんが、貸し付けの条件といたしましては、復帰した当時の条件で五年間貸し付けることに法令できまっておりますので、おそらくそのような形で貸し付けておると思います。
  325. 上原康助

    上原分科員 この件についてはちょっと疑問な点もありますのでまた後日お尋ねをしたいのですが、畜産の振興とか農業研究所ということで、かなり個人ないしは企業に貸している面も西表あるいは北部等にあると思うのです。これなども、そのものは私は全面的に否定をするわけではありませんが、賃貸借契約の中身なり、実際に地域開発ということで、一部の企業が独占をする形で国有地を使用しているという点がなきにしもあらずなんですね。そういった面も十分調査をしていただきたい。できればその近隣の自治体なりあるいは農業団体に優先的に使用させる、あるいは払い下げをするというのが本来の国有地の利用のしかたでなければいけないと思うのですね。その点は一応の問題として提起をしておきたいと思います。  さらに、軍用地に利用されている国有林の縮小といいますか、われわれ、全面的に演習場として利用させるべきでない。実弾演習もやって、はげ山にしているわけですからね。北部の森林をどう保護するかということが沖繩の今後の水資源対策、環境保全の面できわめて重大な点であるということは査定できないと思うのです。そういった面ももっと前向きの形で取り組んでいただかないといけない問題であります。  大臣もかつて外務大臣もなさったし、かなめになっていらっしゃるわけですから、山はあまり大蔵省とは関係ないと思わないで、山を制する者が国を制するかもしれませんし、そういったこまかいことに対しても十分実情をお聞きになって対策を立てていただきたい。先ほど申し上げた点などについても、大臣のお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  326. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 沖繩は戦争で非常に荒廃しておる、また原野、山林といえども例外ではない、こういうふうに思いますので、その沖繩の山河を緑で美しい豊かな情緒、そういうものになるような形にぜひ保存したい、そういうふうに思います。
  327. 上原康助

    上原分科員 どうもあまり私が期待した中身はなかったのですが、表現だけはたいへん美しいように感じました。  そこで、時間か参りましたので終わりたいのですが、いろいろ沖繩の戦後処理という面でむずかしいといいますか、予算がかかり過ぎるという意見が大蔵省内にあるやに聞いております。確かにそういったお考えもあるかと思うのですが、しかし実際問題として、いろんな点で復帰特別措置の中で漏れた問題もあるわけですね。また現に海洋博問題、あるいは先ほども議論があったのですが、学校用地の確保の問題など、まだまだ沖繩に対しての財政的な裏づけを十分やらなければいけない諸問題があると思います。そういう意味で大蔵大臣としても、そういった復帰後の特別措置で漏れたもの、あるいは今後も、本土と画一的に考えるのでなくして、財政的な手当てをしていかなければならない問題についてはぜひ特段の御配慮を強く要望しておきたいと思います。  時間で恐縮ですが、あと一、二分で終えますから……。きょう閣議で決定されたとかされなかったとか聞いているのですが、去る二日に起きた爆発事故に対しても、われわれこれは国の責任で補償すべきだと思うのです、なくなった人とか被害を受けた人一あるいは物的な被害まで。こういう問題に対しても、窓口は開発庁かもしれませんが、最終的に補償の問題になりますと大蔵大臣の首の振り方にかかわるという点もありますので、この那覇市の小禄で起きた人身事故、爆発事故による死亡者あるいは負傷者その他物的な被害に対しても、大蔵大臣としても補償を含めて検討する御意思があるのかどうか、その点もあわせてお伺いをしておきたいと思います。
  328. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 沖繩はこれからがたいへんだろう、こういうふうに思っております。それに対する財政上の措置、まあ財政というのは常にきびしいものでありますが、きびしい中におきましても特別に配慮する、これが基本的な考えであります。  それから爆発事故による犠牲者に対する措置、これはけさの閣議で官房長官から、この問題の回答というか解決策を出さなければならぬ、そこで各省協力願いたい、こういう要請がありました。わが大蔵省においても御協力申し上げます。
  329. 上原康助

    上原分科員 終わります。
  330. 奥田敬和

    ○奥田主査代理 これにて上原君の質疑は終わりました。  次に、高橋繁君。
  331. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 最後でありますから簡潔に質問いたしますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  最初に、建設省はいらっしゃっていますか。——開発公社の問題について先にちょっと確認をして、それから入りたいと思います。  公有地の拡大推進に関する法律で土地開発公社というものが認められた。これは地方公共団体にかわって土地の先行取得を行なう目的で、公共の福祉を増進するということで発足した。これは間違いないですね。確認をいたします。
  332. 豊蔵一

    ○豊蔵説明員 ただいまお話ありましたように、公有地の拡大の推進に関する法律に基づきまして、地方公共団体が公有地の確保をはかるために、これにかわりまして必要な用地の取得を行なうために土地開発公社を設置いたしまして、これによりその先行取得の推進につとめているところでございます。
  333. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 ところが、市町村、自治体にかわって土地の先行取得等をするわけですが、地方公共団体と——法人格ですから性格的には違うと思いますが、いろいろな矛盾点が起きていることは御存じと思います。特に租税特別措置法の問題で、地主に対する税法上のいろんな矛盾点があるように思うのですが、その辺は御存じですか。
  334. 豊蔵一

    ○豊蔵説明員 この法律に基づきまして公共団体あるいは土地開発公社等が用地の先行取得をいたします場合には、従来、届け出に基づくものにつきましては五百万円の特別の控除を認めていただいておるわけであります。しかしながら、申し出に基づく土地の取得に関しましては特段の措置がございませんでしたので、用地の先行取得をはかる立場から、四十九年度から新たに租税特別措置法の改正を行なうことをお願いしておりまして、この点についても五百万円までの控除を認めていただくことになりました。
  335. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 その辺は理解できますが、一応理解していただくためにも来ていただいたわけです。  そこで大蔵省にお聞きするわけですが、租税特別措置法第三十三条の収用等の場合の譲渡所得の特別控除等、こういう問題で、少しこまかい問題になりますが、住民にとってはたいへん大きな問題であります。施行規則の十四条の六の項目に、「法第三十三条第六項に規定する大蔵省令で定める書数は、次の各号の区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる書類とする。」ここに問題があるわけです。ということは、市町村自体、地方自治体自体が「土地収用法第三章の規定による事業の認定を受けたものである旨又は都市計画法第五十九条第一項から第五項までの規定による都市計画事業の認可若しくは承認を受けたものである旨を証する書類」これは地方自治体が独自で買う場合の書類、こう確認をしたいのですが、それでよろしいですか。
  336. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 御意見のとおりでございます。
  337. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 その次には、今度は市町村自体にかわって買う場合です。ということは、「地方公共団体である場合において、当該事業の施行者に代わり、地方公共団体又は地方公共団体が財産を提供して設立した団体が当該資産の買取りをするときは、当該事業の施行者の当該証する書類で当該買取りをする者の名称及び所在地の記載があるもの。」これは代行者の場合の証明の書類である、こう理解してよろしいですね。
  338. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 御意見のとおりでございます。
  339. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 そこで、住宅ですね。都市計画法の規定に基づく事業として、「一ヘクタール以上の一団地における五十戸以上の集団住宅」この団地を買う場合に、市町村自体あるいはそれの代行者、土地開発公社がそれにかわって先行取得をした場合、市町村自体にかわって土地の先行取得をはかるというのが目的ですから、そうした場合には、収用等の場合の租税特別措置は地主に対しては、土地開発公社が購入する場合には適用されない、これは事実ですか。間違いないですか。
  340. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 現行法上、その六項の四号のところの規定の関係上、適用されないというのが現行制度でございます。
  341. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 そうしますと、そういう収用等の場合には、購入した場合の地主に対する基礎控除は、地方自治体あるいはそれにかわるべき代行者、というと日本住宅公団あるいは県の住宅公社、これが買う場合には最高二千万の基礎控除が地主に対してできるのです。ところが、土地開発公社が地方自治体にかわって先行取得を行なった場合にはそれがないということになると——私は、住民というものは市町村自体であろうと土地開発公社であろうと同じと考えておる、公共団体にかわって先行取得するのですから。ところが、そうした基礎控除の控除額になると、市町村自体、住宅公社が団地を求める場合だけには最高二千万の基礎控除ができるけれども、今度は土地開発公社がその土地を先行取得した場合には二千万円の控除にならないということになると、それで困るのは地方自治体なんで、そこに非常に矛盾ができてくる問題がある。それで市町村、自治体がたいへん困っているのであります。そこら辺の矛盾点はどうですか。
  342. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 先ほど、最初に御指摘になりましたほうの二号のほうは、いわゆる事業認定がある場合でございます。それから四号のほうは、団地が非常にまとまっておるということであるけれども、まだ事業認定に至ってない場合である。そこで、四号については、建設大臣または都道府県知事が行なわれるという場合であれば、事業認定がなくても特に拡大をした、こういうことになっておりますので、一つ考え方からいえば、二号のほうについては、代行機関である土地開発公社等まで、事業認定のあるものでございますから広げておりますが、四号のほうは、そこまで踏み切っていないというところに一つの線を引いておる。そのこと自体が適当かどうかということには、御指摘のように問題がありますけれども、現行法上はそういう考え方で、二号は代行機関を含めないということになっておる。現行の制度がなぜそうなっているかという理由としては、そういう理由でございます。
  343. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 そういう理由になっておりますが、二号のほうは「次号及び第四号の四から第五号までにおいて同じ。」ですから、この四号のものは適用はされないということになりますね。
  344. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 はい。
  345. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 そういうことですね。そういうことですから、たいへん住民は困るし、市町村自体でもたいへんこの問題で困っているわけです。その辺について、将来改正といいますか、そういうお考えはありませんか。
  346. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 御指摘のような問題は、ぼつぼつ各地域で起こり始めているやに聞いております。ただ、その問題につきましては、先ほど建設省のほうにお尋ねがありました法律が四十七年にできた法律でございまして、法律ができましたが、現実に各県の土地開発公社が具体的にどういうお仕事をされることになるかということについてまだ私どもつまびらかにしておりませんでしたから、したがって、そこまでいろいろな手当てをしていない現段階でございます。御指摘もございますが、まさにそういう、ことに土地開発公社が大いに先行取得に活躍をするというような形で仕事が始まりつつあるやに聞いておりますので、それは、各県に数多くあります開発公社が、この四号のように「ヘクタール以上の一団地における五十戸以上の集団住宅」云々、この種の用地先行取得をどの程度これからやられることになるか、その辺のことを伺いながら、非常に御指摘のような矛盾点があるのであれば何らか考えてみなければならぬなというようなことで、実はぽつぽつ私どもの検討テーマの対象になりつつあるところであるという現段階でございます。
  347. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 そういうことで建設省のほうでは先行取得を奨励をするわけです。奨励といいますか、地方自治体でも土地がなくなるということで、団地を造成しなくちゃならないということで、先行取得をしなければならない必要性に迫られておるということになってこういう問題が出てきたわけで、問題は、同じ公共の福祉にする目的で事業をやる場合に、住民に差別があってはならない、国民にそういう差をつけてはならないというふうに私は感ずるわけで、ぼちぼち問題になって、ぼちぼち検討するというお話でありますが、一番そこで悩むのは、やはり最末端の地方自治体が一番困っているわけで、この問題についてはひとつ積極的に検討をし改正をするようにしていただきたいのですが、建設省の関係、そういう事態は知っておったのですか。
  348. 豊蔵一

    ○豊蔵説明員 現在の二千万円の特別控除の対象になります範囲につきましては、従来の税制の立場から一定の限界があることは承知しておりまして、私どもは土地開発公社という立場からだけでなくて、住宅政策等を進めます立場からも、従来からも問題点については詰めまして、順次いろいろ解決をはかってきておりますが、部分的にはまだまだ十分でない点もあろうかと思われますので、今後とも検討していきたいと思っております。
  349. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 ここのところは非常に税制の中で複雑なことになっておりまして、非常に各方面御迷惑をかけておるわけでございますが、要するに、二千万円の適用がありますものは、非常に目的が明確にきまっておる場合に限定をするという精神で全体が貫かれております。そこで、先行取得というものは、ある場合には非常に目的がはっきりしておって、そしてたまたま県なり何なりにお金がないとか、いろいろな事情があってまだ手が回らない、間違いなくそこを住宅にすることではあるが、とにかく公社なりに買っておいてもらうということで、この先行取得、代行取得が行なわれるわけでございますが、その場合に私どもとしては、この二千万円の特別控除の規定が適用になります以上は、そこがいささかもぼやっとしておりましては困りますので、明確に、明らかに道路とかそういう特定目的、そういうものに間違いなく使われるという、無目的に対することばとしての有目的というこことがはっきりしておりませんと、一番地主さんにとって有利な規定が適用になるこの条項、この仲間のほうに入れるということができないわけでございまして、そこのあたりをどういうふうにして、先行取得なり代行取得なりの場合に、これは間違いなく住宅になりますよということを立証をしていただけるかというあたりの技術的な問題もあるわけでございます。それが明らかに先行取得であり代行取得であり、そして間違いなく県があるいはその他の、国があとでこれを住宅に充てられるということであれば、おっしゃるとおり、地主さんの間でアンバランスを生じますから、それはおっしゃるとおりに考えなければいかぬと思いますが、一方また先行取得の中では、無目的と言っちゃことばが悪いのですけれども、必ずしも目的が、何か公のために使われることは間違いはないが、まださて何に使うかというところまできまってないという場合もありまして、今度はそっちとのバランスも考えなければいかぬという問題がありますので、ひとつ、おっしゃるような事実については、地主さん、つまり納税者、私どものことばでいえば納税者の方々の間でアンバランスが一面において生じますから、十分積極的に検討してみたいと思いますが、同時に、無目的先行取得と有目的先荷取得の限界点をどこに置くかというあたりを少し勉強をして、至急に解決をいたしたいというふうに考える次第でございます。
  350. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 いまのにちょっと確認したいのですけれども、現行法でも、その主目的が明らかに団地の造成の先行取得であるということであれば、これが現行法では適用されるということはないんですか。それはされないですね。その辺を確認をちょっとしたいのですが……。
  351. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 それは先ほどちょっと触れましたように、土地開発公社というのがどういう仕事をなさるか、どういう土地の先行取得なり代行取得をなさるかということについて、まだこの制度ができましてから日が浅いものでございますから、十分各県のやり方、それぞれ県によっては違うと思います。そのやり方を承っておりませんでしたから、この四号に二号と同じように、いわゆるカッコ書きをつけて同様にする必要があるかどうかということが十分でありませんでしたから、現行ではだめだということになっているわけでございまして、実際にそういう仕事を県公社、県におきます供給公社、土地開発公社がどんどん積極的にそういうことを行なうことになるということになれば、立法政策論として、むしろ四号についても二号と同じようなことを考えませんと、御指摘のような不公平のもとになると思います。現行ではだめということでございます。
  352. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 さっそくひとつ検討をしていただきたいと思います。  それから、せっかくですから建設省にもう一点だけ開発公社の件でお聞きしたいのですけれども、調整区域を買う場合に、市町村自体が買う場合は農転の手続が要りませんね。ところが、開発公社が買う場合には農転の手続が要るのですよ。そうすると住民は、市町村自体で買えば金がスムーズに入ってくる。ところが土地開発公社が団体にかわって先行取得なり土地を買った場合、農転の手続が完了しないと金が地主に入ってこないという、そういう矛盾、この矛盾は、法人格とあれですから多少違うといえば違うかもしらぬが、提供した住民というものはそんなふうには考えていないわけで、通らないです。ここら辺、地方公共団体にかわって土地の先行取得をする、公共の福祉を目的とした開発公社については、そこら辺の検討もすべきじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
  353. 豊蔵一

    ○豊蔵説明員 お話しのように、現在の規定では土地開発公社は農地の転用の許可を受けなければならないことになっております。お話しのように、土地開発公社が地方公共団体にかわって土地の取得を行なうという一面もございますが、また一面におきましては、土地開発公社独自として、公営企業に相当するような事業をある程度幅をもって行なうこともできることになっております。そういったような点から、若干公共団体とはその扱いを異にせざるを得ないということで、農地法上は現在のところ許可を受けなければいけないということになっておる次第でございます。
  354. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 最後に一点だけ、これは国税庁の関係になると思いますが、酒類販売店ですね、この事項は各出先の税務署長の許認可事項になっておる。ところが、税務署長の主観でやる場合がありますね。ですから販売店の許認可事項が、各地方税務署、地区によって多少アンバラが出てくる感じがしているわけですよ。あの税務署長はたいへんよく許可する、今度の税務署長はなかなかきついということでたいへん問題になってきているので、私はもう自由販売化すべきじゃないかという考えを持っていますが、その辺の見通しと状況についてお答え願いたいと思います。
  355. 横井正美

    ○横井説明員 御承知のように、昭和四十五年の六月に物価対策閣僚協議会の決定がございまして、酒類の販売業免許につきましては弾力的に運用するようにということで、現在では距離基準でございますとかそういうものを弾力的に運用いたしまして、消費者が急増するというふうな地域等に御迷惑をかけないようにということで運用いたしておりますが、御承知のように、お酒はいわゆる致酔飲料でございますし、それからまた、相当な酒税がかけられておるというふうな点からいたしまして、酒税の確保あるいはまたお酒の流通秩序の維持、こういう点からいたしますというと、免許制度自体は堅持せざるを得ないというふうに考えておるような次第でございます。諸外国の例を見ましても、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア等、同様の理由から、社会秩序の維持あるいは税収の確保、こういう点から免許制を維持しておるというのが実情でございますので、私ども、そういう点からいたしまして、免許制度は必要ではないか、かように存じます。  ただ、御指摘の、第一線におきます運用の実態につきましては、御承知のように免許基準というものを国税庁長官の通達でつくっております。これは公開をいたしております。その中に、距離の基準でございますとかあるいは需給調整の基準でございますとか、あるいは事務的な能力、たとえば資産、資金の状況あるいは記帳の能力等を掲げまして、これらが適当かどうか、こういう判断をいたすようになっております。私どもといたしましては、第一線の各税務署の許可の実態がアンバランスにならないように指導いたしておるところでございまして御指摘のような点が極力ないように今度とも努力をいたしたい、かように考えております。
  356. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 それはよくわかりますが、現実は一時期、距離を撤廃したことがありますね。だからその辺、販売店というものはいろいろな距離の条件なんかも守られていない点もあるわけです。現状はあるわけですね。ところが、酒類を経営しておる人たちの生活の問題もありますからその辺もなかなかむずかしい問題であろうかと思いますが、ある程度そうした基準に合致されたものについては——販売店の組合の圧力というものはかなり実際にはあるわけですよ。それが、書類を出すとおろさせないように強力に運動を展開するという場合もありますので、そこら辺は税務署長の判断でいいとすれば、それに屈服することなく許可をしていただくことがいいんじゃないかと思います。これは多少それぞれ地方にも問題があるようですから、ひとつ公平な立場で事務を進めていただきたい、こう思います。  以上で終わります。
  357. 奥田敬和

    ○奥田主査代理 これにて高橋繁君の質疑は終わりました。  次回は、明九日午前十時より開会し、引き続き大蔵省所管を審査することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十二分散会