○八木(一)
分科員 四十九年度
予算の問題はそれでございますが、狂乱物価でいま現在の問題が非常に大切であります。先般閣議で、低所得者階層に対して対処を御決定になっておるようでありますが、そのこと自体はけっこうであります。けっこうでありますけれ
ども、
内容がはなはだ乏しいわけであります。そういう乏しいものにならないように、この前
予算委員会の
一般質問で、私は、労働団体の代表と多くの国務大臣がお会いになる前に、その前の十一月十九日の
社会保障制度審議会の建議を十分にかみしめてもらいたい。そのことは、その文言だけでももっと対処しなければならない
内容が書いてありますけれ
ども、しかし、これは十一月十九日の事態ですから、狂乱物価の当時だったらもっと強烈な意見が出ているということも推測をして、決意を固めて労働団体と会って、そして積極的にそれを受けとめてやってもらいたいということを申し上げました。
それをやられたということはいいのですけれ
ども、その金額はほんとうに話にならない金額です。それの主たる
担当者は
厚生大臣であるが、これは
厚生大臣がそういう
考え方でいるのか、閣議全体で、これはどうにもならないからということで押えられているのか、どっちかわかりません。きのうも
厚生大臣にきびしく追及をいたしました。そんなことではあなたは
資格がない、大蔵大臣ともっと腹を割って相談をしなさい、そしてまた総理大臣に断じてもっとやるように進言をしなさい、それができなければ、あなたは
厚生大臣の主観的
任務を果たしておられても、ほんとうの
任務を果たしていない。自分では最大限度をやったけれ
どもできないというのなら、辞表を出して他のやれる人にかわるべきだということをきのう申し上げたわけです。そこで、そういうことを至急また閣議で提起してもらいたい、あれで終わりではない、すぐに提起をしてもらいたいということを申し上げておきます。
ところで、一番最高は一人二千五百円のところがありますが、生活保護一級地の
水準で二千円というようなことで
政府は対処されようというのがいまの状態であります。
厚生大臣の説明についてこの間非常に御批判を申し上げて、そういうことは一切言ってはなりませんと言いました。たとえば二千円ということになれば、これは一、二、三カ月で一八%で、一カ月六%ずつアップになる。生活保護の一番基準ですから、年金の問題はいろいろなものがありますけれ
ども、これは比較しやすいです、そういうことをおっしゃるわけです。そういうことをおっしゃるのは間違いです。
というのは、四十八年度
予算では、消費者物価指数は五・五上昇するということを試算されて
予算を組まれたわけです。そしていま
政府の推測によれば、一四%上がるだろうということを一月ごろ言っていられたけれ
ども、それはもうはるかに平均でこえていることは確かです。五・五で組まれて、そして十月に五%上げられたというけれ
ども、十月に五%上げられたのは九月二十一日の決定であります。その九月二十一日の決定は、八月末に発表された消費者物価指数をもとにして計算されたわけです。それは七月の全国平均であります。ですから、十月すでにおくれているわけです。七月の末一〇・八だったから、五・五に五%加えて一〇・五になるから、大体間に合うだろうということでやられたのが十月であります。ですから七、八、九もずれているわけです。その前の四、五、六も五・五の平均推測の経済見通しよりもはるかに高いわけです。十月に五%実施したときは、すでにうんと上がっているわけです。五%上積みしても、前の
水準よりも下がっている。
ですから、四月から十二月までの分があるわけです。それを
厚生大臣は、このごろ戒心をしてそういうことを言わなくなりました。生活保護というのは一カ月一カ月で生活の決着をつけるのだ。前のはついてしまっているのだからいいというようなことを一回言いかけたので、きびしくおしかりを申し上げました。それは、貯金がさがっても生活ができたからいいという問題じゃなしに、最低生活ですから、結局、栄養が少なくなってからだを弱らして耐えているわけです。これは栄養をとってからだをもとに戻さなければいけないわけです。そういう状態がありますから、決着がついたからその前のことはいいのだということは断じて言えないし、言ったら憲法違反の閣僚として、国会議員として追放しなければなりません。
そういうことで、前からの分を計算すると、生活保護の世帯では、全国平均は二三・二という数字が出ましたけれ
ども、私はたぶんそうなるだろうと思いまして、その数字が出る前に推測をして計算をした数字を申し上げました。東京の一月の二〇・四、それが横すべりして二月、三月が上がらないと仮定したら三万六千円くらい、それから算術計算でその指数を変えまして、東京のほうが全国平均より低いのですから、それを変えて二二・四で推測すると三万九千円になります。そして二三・四と比例的に私が推測して計算したのは四万一千円弱であります。ところが、数字は大体それに近くて二三・二ということです。二三・二はこれは一月の数字であります。二月がもっと上がるだろう、三月がもっと上がるだろうというようなことを
考えますと、去年の五・五を
一つ置いて、それから五%十月から上げたのを置いて、四月から九月までは五・五以上ふえた部分、これを計算して、十月から五・五プラス、五%を引いた残りを全部計算しますと、四万円を優に越すわけです。これは二三・二をそのまま横すべりして
考えて、そうなれば一世帯四万円というのは最低必要であります。それより多くてちっともかまいません。多くてちっともかまわないのですけれ
ども、それだけは補てんしないと、ほんとうの生活を圧迫をしているということになる。
そうなれば、生活保護家庭の一級地二千円というのは、四人が標準になっても八千円で、これはもう問題にならない数字であります。このことは、失対労働者の問題でも同じです。難病の人も、また原子爆弾の被爆者の人も、障害者の人も、みんな同じ状態であります。
したがって、前になかったことをきめられたことはよいことですけれ
ども、この狂乱物価というものはほんとうに異常な問題であります。大蔵大臣が決意しておられるように異常な問題であります。前になかったことをちょっぴりやったということでは済まない問題であります。ですから、
政府のいろいろな御都合はあるでしょうけれ
ども、十二分にやられなければならない。さらにあれだけでいいということじゃなしに、急速にまたその問題について検討をされて、これを大幅に増額される措置をとっていただきたい。これは、
政府のほうは、四十八年の
予算の予備費をあてがっておるようであります。それを早く使わなければならないということがあるから、予備費に限界が来ておるとか、
医療費の増高分があるとかなんとか
厚生大臣は言いますが、そういうことではなしに、これはほんとうにやろうと思えばできるのです。
その意味で、四十八年度補正
予算案を出されたら、野党も協力します。出されたその日に、私
どもとしては通す
努力をいたします。三日間ぐらいで両院を通るでありましょう、そのつもりでお出しになったら。そういうこともできるのです。また
政府としては、お出しにならなければならない責任があると思います。特に、四十八年度の自然増収は相当のものが予想されている。そういうことを
考えられて、このインフレ
福祉手当と略称されておる、
政府では別のことばで言っておられますけれ
ども、これを急速に上げるということをぜひお
考えをいただきたい。
これは、労働団体がこの運動をしたり、いろいろな力の弱い人たち、からだも弱いし、金銭的にも弱いし、自力もない、そういう人たちもじかに
政府に陳情を申し上げたり、いろいろなところに意見を言いに来ておられますけれ
ども、しょっちゅうその方々が行動できないので、かわりに働く人々が、
政府の方々にいろいろとその点についてお話し合いを進めておられるわけであります。ずっとまたお話し合いが続くそうです。それについて、ぜひ
国民のために、積極的に要望にこたえられる
体制を内閣としておつくりをいただきたい。そのほんとうの大きなかぎを持っておられるのは、福田大蔵大臣だろうと思うのです。ぜひそれを御推進をいただいて、
政治に対する
国民の不信を、少しでも信頼の
方向に変えていただきたいと思うのです。私は野党であります。野党でありますから、政権を持っておる自民党が勢力失墜して、あしたにでも総選挙があって、われわれが内閣をとったほうがいいという
気持ちはあります。しかし、それは政党利己心といわなければなりません。他党の内閣であろうとも、
国民の生活に対応するために、自民党
政治というのではなくして、
政治全体に対する
国民の信頼をぜひ回復をしていただきたいわけでございます。
そういう点で、この点について熱意を持って急速に取り組んでいただくように、
国民の立場で強く
要請をいたしますが、ひとつ積極的な御答弁をいただきたいと思います。