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1974-03-09 第72回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月九日(土曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 湊  徹郎君       植木庚子郎君    笹山茂太郎君       松岡 松平君    上原 康助君       太田 一夫君    兒玉 末男君       高田 富之君    湯山  勇君       横路 孝弘君    高橋  繁君       林  孝矩君    兼務 安宅 常彦君 兼務 芳賀  貢君    兼務 吉田 法晴君 兼務 東中 光雄君    兼務 小沢 貞孝君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君        農林大臣官房長 大河原太一郎君         農林大臣官房予         算課長     渡邉 文雄君         農林省農林経済         局長      岡安  誠君         農林省構造改善         局長      大山 一生君         農林省農蚕園芸         局長      松元 威雄君         農林省畜産局長 澤邊  守君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         農林水産技術会         議事務局長   小山 義夫君         食糧庁長官   三善 信二君         林野庁長官   福田 省一君         林野庁林政部長 平松甲子雄君         水産庁長官   内村 良英君  分科員外出席者         法務省刑事局参         事官      根來 泰周君         大蔵省関税局企         画課長     海原 公輝君         大蔵省銀行局銀         行課長     清水  汪君         農林省農林経済         局統計情報部長 吉岡  裕君         農林省畜産局競         馬監督課長   三井 嗣郎君         通商産業省機械         情報産業局次長 野口 一郎君     ————————————— 分科員の異動 三月九日  辞任         補欠選任   岡田 春夫君     太田 一夫君   湯山  勇君     横路 孝弘君   矢野 絢也君     林  孝矩君 同日  辞任         補欠選任   太田 一夫君     兒玉 末男君   横路 孝弘君     湯山  勇君   林  孝矩君     高橋  繁君 同日  辞任         補欠選任   兒玉 末男君     上原 康助君   高橋  繁君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     高田 富之君 同日  辞任         補欠選任   高田 富之君     岡田 春夫君 同日  第一分科員吉田法晴君、第二分科員安宅常彦  君、芳賀貢君、小沢貞孝君及び第三分科員東中  光雄君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算中経済企画庁、農  林省及び通商産業省所管  昭和四十九年度特別会計予算農林省及び通商  産業省所管      ————◇—————
  2. 湊徹郎

    ○湊主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算及び昭和四十九年度特別会計予算中、農林省所管を議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田一夫君。
  3. 太田一夫

    太田分科員 農林大臣に最初にお尋ねをいたしたいのでありますが、カドミウム汚染米についてのことでございます。  食糧庁調査によりますれば、四十六都道府県中三十四都道府県におきまして二万八千九百五十一トンと目される基準以上の主食不適当なる米が現在倉庫に保管されておるようであります。この数字には若干漏れておるものがあるのじゃなかろうかと思いますが、それにしても、なかなか多うございまして、何ともならない一・〇PPM以上の地域産米千八百十トンがその中に含まれ、〇・四から一・〇未満までの地域産米は二万七千百四十一トンといわれておるわけであります。これは四十七年度産米でありますから、四十八年度産米については、これは含まれておらないということであろうと思いますが、このような状態で、かなり汚染地域と目されたところから出される米がたくさんにあることが明らかになっております。  そこで私は、特に四十七年度から四十八年度にかけてカドミウム汚染米発生というのはふえておるのではないかと思うのです。その状況。それから、カドミウム汚染米は、どう処分または処理するというのを、いま現在基準にしていらっしゃるか。それから、カドミウム汚染田はどのようにされる御所存であるか。この三点について、ひとつ、基本の点について、大臣の御所見をいただきたいのです。  具体的な例で、はなはだ恐縮でありますが、東京都がこの間調査をいたしました秋田米というのがあるのですが、その秋田米というのが、実は意外に汚染されておりまして、一万三千二百俵ぐらい入ったものの中から、すでに三百三十俵ほどは消費されてしまいまして、現在九百九十俵ほど残っておって、これは封緘されておるようでありますが、これは〇・四PPM以上でありまして、ひどいのは三・〇四PPM、こういうふうに検出されたそうであります。言うならば、いつの間にやら、汚染米と見られないうちにそれが検査されて、そうして市民、国民の口に入ってしまう、あとで気がついてもそれはおそい、こういうことがあるようであります。で、工業地帯の稠密なるところから出るのかと思っておりますと、そうじゃなくして、意外に、宮城県だとか秋田県だとか山形、それから石川だとかいうところから出ておるのでありまして、過疎地域といわれるところもずいぶんカドミ汚染米の産地になってしまいました。  そういうことから、国民は暮らしの危機というのを非常に感じておるのでありまして、ある地域へ参りますと、これは愛知刈谷市の付近でありますが、刈谷付近の人と交際する場合に、その付近自動車工場群のあるところでありまして、メッキ工場など多いものですから、カドミ汚染田が広うございまして、そのために、その付近に親戚のある方は、そういうところのお米をちょうだいをしたり、または御飯をいただくことを非常に心配をしておる、こういうようなぐあいに相なっております。それで、どのような場合でも、調べていきますというと、必ずあと汚染米が見つかって、そして、その地域汚染米はどうしたのだろうかというと、かなりの量が一PPM以上のものでも消費されてしまっておる。このようなおそろしいことにも現実がなっておるようでございますが、農林大臣として、このカドミウム含有米汚染米対策としては、基本はどのようにお考えになっているか、伺っておきたいと思います。
  4. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 農用地土壌汚染防止等に関する法律、これに基づきまして、昭和四十六年度からカドミウムにかかる土壌農作物等細密調査を実施いたしております。土壌汚染の実態の把握を、このことによってつとめておるわけでありますが、現在までの結果によりますと、カドミウム含有量が一PPMをこえる玄米が検出されました地域数は、全国で、先ほどお示しのように三十七地域でございますが、これらの地域につきましては、法律に基づいて、すでに十三地域農用地土壌汚染対策地域として指定されておりますし、また、このうち群馬県の碓氷川流域地域等、これらの五地域につきましては、排土それから客土等内容といたします農用地土壌汚染対策計画を策定いたしまして、国の助成により改善対策事業を実施いたしておるところであります。その他の地域につきましても、現在対策計画内容を検討しておりますし、なるべくすみやかに同法に基づく手続を進め、改善事業を実施するように、関係省庁とも十分打ち合わせてやっておるところでありますが、〇・四PPMまでの米につきまして、いままでも取り扱いを慎重にいたしておることは、御存じのとおりでございます。
  5. 太田一夫

    太田分科員 三十七都道府県からそういう〇・四以上の、基準以上の汚染米が出て、そして汚染地域として指定されたのが十三地域というのは、これじゃ少な過ぎるのじゃありませんか。これは局長さんでけっこうですから、どうしてそんなに少ないのですか。
  6. 松元威雄

    松元政府委員 これはただいまの土壌汚染防止法十二条に基づきまして細密調査をいたしておりまして、そこでまず把握をいたすわけでございます。そういたしまして、その細密調査の結果、把握できた地域が現在までに三十七ということでございます。  そういたしますと、今度はこの地域につきまして、農用地土壌汚染対策地域として次々と計画をつくっていくわけでございますが、細密調査の結果、地域指定までにさらに詰める必要がございますから、現在におきましては十三でございますが、さらに詰めが進みますれば、もちろんこれは増加するわけでございます。
  7. 太田一夫

    太田分科員 そこで私は、もう一つ基準について伺っておきたいのですが、一PPM以上の汚染米は、どう処分するということになっていますか。それから〇・四から一PPM未満のものは、どう処分するのが基本でございますか。
  8. 三善信二

    三善政府委員 食糧庁は、一PPM以上のカドミウム汚染米については買い上げておりませんが、先ほど先生もおっしゃいましたように、食糧庁政府買い入れをいたしましたあとでも、一PPM以上の米が現実にはあるわけです。千八百十トン、さっき先生があげられましたその数字でございます。それにつきましては、もちろん食品衛生上も有害であるということで、配給はいたしません。ただし、〇・四PPM以上一PPM未満、これにつきましても、現在、御承知のように約二万七千トン持っているわけでございますが、これは食品衛生上としましては、実は有害ではないわけでございますが、やはり消費者感情といったものを考慮いたしまして、現在は配給をいたしておりません。  そこで、それじゃ食糧庁はこんなにたくさんカドミウム汚染米を持って、一体どうするのか、こういうお尋ねもあったろうかと思いますが、それにつきましては、一PPM以上のものについては、染色のりあるいは接着のりといったものの原料として、売却先を限定いたしまして、絶対食用等に横流れをしないように、そういう措置を講じまして売却をすることにいたしておりますが、現実には、現在までに売却した数量というのは、ネグリジブルで、まだ非常に少のうございます。  それから〇・四PPM以上一PPM未満のものにつきましては、これは二万七千トン持っているわけでございますから、何とか早く処分したいということで、現在学識経験者によりまして検討会を開いております。どういうふうな処分をしたらいいか、現在学識経験者の中でいろいろな案が出ておりますが、一つは、合板用接着剤、これならだいじょうぶじゃないかということで、林業試験場等にもお願いをして、実験もしていただいているわけでございます。そういうことで、できるだけ早い機会にそういう検討会結論を得て処分方法を考えたい、こういうふうに思っております。
  9. 太田一夫

    太田分科員 一PPM以上というのは、たいへんな汚染量でありまして、米の場合は〇・四PPM未満をもって主食に適しておるという認定ですが、これは大臣からお答えいただいたほうがいいのですかね。飲料水の場合は、カドミウム汚染限度は〇・〇一PPMでしょう。米の場合は〇・四でいいというのは、どこに根拠があるのでしょうかね。わかりますか。
  10. 三善信二

    三善政府委員 さっきも申し上げましたように、食品衛生上は、一PPM以上は有害であるという厚生省の一応の結論が出ているわけでございます。ただ、一PPM未満でございましても、一PPM未満と〇・四PPMの間のカドミウム汚染米につきましては、先ほど申し上げましたように、やはり消費者感情というのがございますので、そういう意味で、配給はしておらないということで、食品衛生上、有害ということでは実はないという  ことです。
  11. 太田一夫

    太田分科員 食糧庁のほうで、もうちょっと、私は、食品衛生法に籍口するのではなくて、国民の生命と国民の健康という点から考えて、できるだけ基準を下げるということでなきゃならぬと思うのですよ。〇・四というのは、水と比べたら格段にぬるいです。だから、あなたのほうは、食品衛生法はそうだけれども、しかし、われわれとしてはという、何か見識をお持ちにならなければいけないと思うのです。私は法律のことを聞いているのじゃなくて、どうして差があるかと聞いている。  それはお答えできないでしょうから、もう一つ、このことをお尋ねしますが、四十七年度産米につきましても〇・四以上、いわゆる主食に不適当だといわれる米が現在二万八千九百五十一トンあるというのですね。これだけたくさんある。しかし、これは産米全部を検査なさったわけじゃないでしょう。たまたま見つかったのがそれだけでしょう。そういうことでないですか。ほかにもあるんじゃありませんか。
  12. 三善信二

    三善政府委員 私どもとしましては、土壌汚染防止法によります細密調査、あるいは県独自で細密調査をやっておる場合もございますが、その調査の結果、知事が一PPM以上と認定した地域の米につきましては、政府買い入れをいたしておりません。それから〇・四以上一PPM未満と認定された地域の米につきましては、買い入れを行なっておりますが、配給はいたしておりません。これが原則でございます。  そこで、県独自で調査しておるような場合に、県の調査結果というのは、公表みたいなものが非常におくれる、そういうような場合もなきにしもあらずでございます。そういった場合には、事前に防止するという意味で、県の調査結果が判明するまでは配給には回さないということで、できるだけそういう点には注意をいたしているわけでございます。  いずれにいたしましても、県との関係では、県が、そういう調査計画があるとか、調査をしているとかいうような場合には、即座に食糧事務所に通報してもらう、連絡をしてもらうということで、そういう地域については、特に慎重に考えて対処しているというような状況でございます。御説のように、一々全部検査をしているわけではございません。
  13. 太田一夫

    太田分科員 そこで大臣、あなたは原子吸光分光度計というものを御存じでございますね。今度の予算に若干ついておるでしょう。今度の予算で、これは何カ所配置されますか。
  14. 三善信二

    三善政府委員 四十八年度、現在の予算で五カ所、一応配置してあります。(太田分科員「四十九年度は」と呼ぶ)四十九年度は四カ所を予定しております。
  15. 太田一夫

    太田分科員 その四カ所の、配置される地域の名前をちょっと言ってください。
  16. 三善信二

    三善政府委員 四十九年度予算でございますから、予算が通りましてから、現実にどういう地域配分をするか、きめたいというふうに考えておりまして、現在どこへ配分をするかというふうなことは、まだきめておりません。
  17. 太田一夫

    太田分科員 大臣原子吸光分光度計というのは、これによってすぐに、レントゲンをやるようなぐあいに汚染米がわかるわけじゃありませんよ。しかし、いまのところでは、これが一番いいようであります。だから、食糧庁として、農林省として国民主食である米というものの適否を判定するためには、この機械を使うより方法はないように思うのですよ。ところが、三十何カ所の都道府県におきまして、四十七年度産米から〇・四以上の汚染米がたくさん発見されておりまして、現在これは保管されておるようなぐあいでありますが、四十八年度予算で五カ所その機械が配置されたというのは、どこであるかというと、宮城県と群馬県と富山県と兵庫県と福岡県でしょう。先ほど東京都で見つけたというのは秋田県あるいは山形県、それからいま愛知県などでも刈谷地区においてたいへん困っておりますし、岩倉地区というようなところも見つかっておるのですが、食糧事務所等におきましてはお手上げなんですね。食糧事務所等級というのは、御承知のとおりカドミ汚染なんというのは、そういう汚染物質を発見する能力がありませんから、一等米だといったところで、それはとんでもない汚染米だということが出てくるわけです。ですから、こういう機械に力を入れてたくさん配置して、食糧庁自身農林省自身がそういう米の主食としての適否というものを確認をして、検査をするとか、売るとかということにならなければうそだと思うのですが、そういうことはいかがなものですか、大臣。なかなかむずかしいでしょうか。
  18. 三善信二

    三善政府委員 先ほど先生おっしゃいました四十八年度までに五カ所、これを配分といいますか、設置しております県でございますが、宮城とか群馬県、富山福岡兵庫、これはやはり県別に見ましても、わりあいカドミウム汚染米の多いところでございまして、しかも食糧事務所としては、大体そのブロックの中心的なところということで配置いたしているようなわけでございます。  それから、先生指摘の、買い上げるときに検査でほとんどそういうのを検査してやるようなことはできぬのかというお話ですけれども、御承知のように、米生産が、農家保有も含めて約千百五十万トンから五十五万トンございまして、政府買い入れている米が、昨年でございますと六百二十万トンもございますし、しかも、全国からこれを買い入れているわけでございます。一々検査をして買い入れるということは、これは数量的にも、技術的にも、現実的にも非常に困難なことであろうということは、御了解いただけるであろうと思いますので、私どもは、先ほど申し上げましたように、事前にこれをいかに防ぐかということで、調査をしているようなところについては、できるだけこれは、もし公表がおくれたような場合には、配給は、結果が判明するまでストップしておく、そういうようなことを考えて実施しているわけでございます。  先ほど東京都のお話が出ましたけれども、間々そういうことがございます。ただ、その場合に、判明したらすぐ配給をストップするように、食糧事務所あるいは卸、小売り等倉庫に指令いたして、私ども、万全の対策は一応講じているつもりでございます。
  19. 太田一夫

    太田分科員 この三十分の間にその問題を詰めようとしても、私はなかなか詰まらぬと思うのです。しかし、お答えのほうは、言うならば現行制度の弁護というか、弁解ということに何かなっているような気がしてしようがないですね。そうじゃなくて、米というのは、日本人の主食の中心でございましょう。その米が、あなたのほうの説によれば、何PPMカドミウムによって汚染されておるかなんということはわかりません。たとえば、汚染地域として指定されたところから出たものはあるであろうと思うけれども、それは推定できるが、その他じゃわかりません。県の努力だとかどこかの努力によってそれは見つけていただくより方法がないというような言い方になっておりますから、これは私はちょっと心配するですよ。しかも、いまのりっぱな機械があるとするなら、何で四十八年度わずか五カ所、ことしが四カ所なんて、どうしてそんなわずかなことしか予算に計上できないのか。それをもし非常に多いというなら、汚染米の多い地域だというなら、これは少なくともこの表によっても、一PPM以上四十七トン、長崎県なんというのもありますし、あるいは長野県の三十トンというのもあるでしょう。こういうところなどは、当然もういままでに配置されておらなければならないのに、そのせっかくのいい科学的な機械がありながら、そのほうの予算はあまりつかない。これではみんな心配じゃありませんか。  これはひとつがんばってもらうより方法がありませんが、そこでしからば、わかっておるところの米ですね。一PPM以上なんというのは、それはひどいものですよ。こんなもの食べて人間が健康になる道理ありません。ところが、これを工業用のりに売るとおっしゃる。それから〇・四以上のものも、一コンマ未満のものも、これも主食には不適当であるから、合板のりというのですか、そういうのは売る場合に安いでしょう。たとえば、愛知県の刈谷におきまして、百七十一町歩の汚染田が見つかりましたのは四十七年二月、いまより二年前ですよ。二年前に見つかって、いまだにその田んぼはそのままに、対策つかないままにほったらかしになっておるでしょう。農民は困っちゃうでしょう。米はつくるわけにいかない。何もするわけにいかない。  それからもう一つ、一PPM以上の中にどんなふうな——八千七百五十円で農民から買い取って、そうして千六百円で、のり業者に一俵売っておるわけですね。残りの七千百五十円というのは、県が三分の二、市が三分の一補助するより方法がないが、そのつもりであるが、国のほうで何とかしてもらいたいと言っておるけれども、なかなかそれは折衝がむずかしいといっておる。それから、山形県の場合ですね。これはあちらのとんでもないところにも出てくるわけですが、ここでは四十八年度産米の中で一億円買ったそうでございますね、県が。したがって、これは検査してないから無等級でしょう。一億円も買うという、一万俵ぐらい。この費用も、加害者が明確じゃないから、そのときの加害者にも半分負担させるつもりだが、国に対して補償を求めているけれども、国は、予算がない予算がないといって払えないという。こういうことでカドミ汚染米がじゃんじゃん出てくるときに、対策が非常におくれておると思う。  そこで聞きますが、地域において、この川、この用水路、この川の流域にはこういうような工場があるからこれはあぶないぞ、まあ言うなら、早見表ですね。どういう工場がその河川に汚水を流していると見られる場合にカドミ汚染ができるかという、工場のあれはわかっていますか。単にメッキ工場というだけじゃないですよ。どういう工場があったときに、その流域は非常にカドミ汚染されるのですか。これは、だれかわかりますか、局長さんでけっこう。どういう工場ですか、セメント工場ですか。
  20. 松元威雄

    松元政府委員 カドミウムの原因は亜鉛が多うございますが、亜鉛系統の、先ほどメッキの話も出ましたが、亜鉛系統工場の周辺ではそういうことが多い。もちろん、それは量いかんにもよるものでございますから、そういうことで大体見当をつけまして、先ほどの細密調査も、そういうことも含めまして調査をいたしております。
  21. 太田一夫

    太田分科員 私、先ほど例示しましたセメント工場はどうですか。
  22. 松元威雄

    松元政府委員 御指摘のとおり、セメントも、一部の地域におきまして、そういう現象を起こしているところがございます。
  23. 太田一夫

    太田分科員 したがって私は、米の検査とか、地域食糧事務所等には、こういう工場、こういうものをつくっておる工場のあるところは気をつけろというあらかじめ注意があってしかるべきじゃないかと思うわけです。やっていただけますでしょうか。
  24. 三善信二

    三善政府委員 そういう問題につきましては、やはり県が主体になりまして、県のほうで、やはり相当これは不安があるとか、おそれがあるとか、そういうものにつきましては、調査をしたり、こういうことで、私どもは県と連絡をとって、県からいろいろの情報を得て対処していきたい、こういうふうに思っております。現に、県はそういうことをいろいろやっていることと思っております。
  25. 太田一夫

    太田分科員 愛知県の場合でも、日本分析化学のほうに調査を依頼しておったでしょう。そんなのはどうするですか。県に依頼する、県に依頼する。もっと、こういう工場のあるところはあぶないんだよということぐらいは、中央で指示しなければだめですよ。私はそう思う。  それから、同時に、大臣にも要望しておきますが、そういう優秀な機械があるというならば、もうちょっと力を入れて、各県に一カ所ぐらい食糧事務所が持っておるとか、農林省のどこが持って  おるとかいうようにしてほしいと思う。電子吸光分光度計、この配置を希望しておきますが、さらに、その汚染田あと排土、客土の問題、これはちょっともやられておりませんね。なかなか手がつかないでいる。これも急いでやっていただけるでしょうか。
  26. 大山一生

    ○大山政府委員 先ほど松元局長のほうから申し上げましたように、対策計画ができまして、その対策計画において、これは何センチ客土すべきであるとか、幾ら排土すべきであるかという計画ができましたときに、私のほうでそれに対処していく、こういうかっこうになっておりますので、対策計画が先行する、こういうかっこうでございます。
  27. 太田一夫

    太田分科員 そのことは、計画ができたら、あなたのほうとしては、それに対して補助金があるわけですね。必ず、すみやかに補助金を支給してその推進をはかるという御決意であると理解してよろしいですか。
  28. 大山一生

    ○大山政府委員 そのとおりでございます。
  29. 太田一夫

    太田分科員 大臣、最後に、いま、以上の問題で三十分終わっちゃいましたからこれで終わりますけれどもカドミ米の汚染ということに対する手抜かりと言ってはなんですが、非常に対策が弱いと思いますので、今後この対策を強化することによって、国民の生命を守りながら、農民自身はそれを自家用保有米として食べておりますから、農民の将来も守ってもらわなきゃならぬと思いますが、御決意のほどはいかがでございますか。
  30. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 大切なことでありますから、十分そういう点に留意をしてやってまいりたいと思います。
  31. 太田一夫

    太田分科員 終わります。
  32. 湊徹郎

    ○湊主査 これにて太田一夫君の質疑は終了いたしました。  次に、安宅常彦君。
  33. 安宅常彦

    安宅分科員 私は、全国的に農機具の販売会社が、一方的にメーカーの指示だということを明言して、そして契約破棄やら契約の更改やら、しかも、契約の更改をした上でまた利息を取るだとか、もう商道徳も何にもない、悪魔のようなことを農民に対して行なっている、こういう事象について、予算委員会や物特あたりでもいろいろ議論になっているようですけれども、きょうは時間がない、たった三十分ですから、現実の具体的な例を示して、こういう場合はどうなるのかということを含めて、ひとつ、大臣の決意、決意だけじゃなくて、大臣から、あるいは農林省当局から決着をつけてもらいたい。もう春が来ていまして、農民がばたばた困っておるときに、生産の隘路がどうのとか、独禁法がどうのとかということをごちゃごちゃ言っていたって、国民の利益を守ることはできないという観点から、一つ一つ具体的に聞いていきたいと思いますから、簡単にずっと答弁していただきたいと思います。  さきに農林省は、二月の何日かに各メーカーの代表を呼んで、順次忠告して、そして農蚕園芸局長名で通達を出していますね。あの通達は、いつ出して、しかもあれから何日になるんでしょうか。
  34. 松元威雄

    松元政府委員 ただいま御指摘のような農業機械をめぐるトラブルがいろいろあるわけでございまして、特に、既契約の履行に関しまして種々トラブルがあるものでございますから、一つは、関係の流通業者及びメーカー団体に対しまして警告を発したわけでございます。  それからもう一つは、各県に照会いたしまして、各県において、そういった農機具をめぐるトラブル、特に既契約の不履行というような問題につきまして、その実態を把握するために、県を通じまして調査をするということをいたしまして、県のほうは、目下、その調査報告を回収中でございます。同時に、さらに流通業者の団体及びメーカー団体に対して警告を発したのみならず、個別に主要メーカーを呼びまして、そのような一方的に契約を破棄するということはよろしくないことであるから、阻止せいということを強く指示するという、県を通ずるそういった調査指導と、それから直接メーカー団体並びにメーカーに対しまして、そういった指導をいたしているところでございます。
  35. 安宅常彦

    安宅分科員 二月の二十三日に、あなたのほうでやみカルテル的な、つまりいかがわしいという文書、二月二十三日じゃない、前の文書でも、あの局長の通達でも、そういういかがわしいことをやってはいかぬといっていますね。だから私は、もうやみカルテル的なという表現を率直に使わせていただきますが、そういう不正な値上げを行なった十社くらいの営業本部長クラスを同省に呼んで、厳重な警告をしたということも知っています。  警告をしたあと、どんなふうになっているのか。きのうだかおとといの新聞で、公取から破棄を命ぜられたカルテルを組んだ会社が、新聞広告を出しておりまして、悪うございました。だけれどもあとのほうにゴシックで、今後はわれわれは協定などをせずに、自分の社ごとに自主的な値段をきめさせていただきますと、開き直った広告を出しておったところがありますが、これは開き直ったのじゃなくて、ことばとしてはたいへんしおらしくもとれるし、逆に言うと、開き直った広告ですね。だから、公取さんが幾らがんばったって、やみカルテルの破棄はしても、共同の行為は破棄しても、あと値段はそのままだというのだったら話にならないというのが、いま国民の大きな世論なんですね。特に農家というのは、トイレットペーパーがなくなったと奥さん方はみな騒ぐけれども、農家の人は純情でして、出かせぎに来た人は、それはかわいそうだというので、正月に帰ったとき山形のトイレットペーパーをみな買ってきて東京に配ったのですよ。じゃ、その人たちはトイレットペーパーなんて見たことがあるかというと、ほとんどないのだよ。トイレットペーパーを見たこともないその人たちが、いま非常に困っておるということ、しかもこれは、農家が困っているのではなくて、日本の農業が困るということなんですよ。その問題について私は決着をつけたいから、どうなっているかということを聞くのです。
  36. 松元威雄

    松元政府委員 そこで、ただいま申し上げましたが、カルテル的に云々というお話がございましたが、御指摘のとおり、具体的には、販売業者が連名で、既契約を含めて価格を改定したいという申し入れをしたケースがございました。これは連名でございますから、最もよろしくない。この例は、具体的に福島の会津地方にございますとか、北海道にございました。  そこで、これにつきましては、そういった文書は撤回する、同時に、文書の撤回ではなくて、既契約については履行すべしということを強く指導をいたしまして、その件については解決をいたしたわけでございます。ただし、そういう、まあ連名かどうか別としましても、既契約をめぐるトラブルがあちこちにあるのではなかろうかということも、非常に私たちも心配いたしたわけでございます。  したがいまして、一方では、まず県を通じて実態を把握するということが一つ、それからもう一つは、実際、当たりますのは主要なメーカーでございますから、主要なメーカーを呼びまして、既契約を破棄するというようなまぎらわしい文書があれば、それは撤回しろ、同時に、既契約は守るべしということを強く指導をいたしまして、その趣旨で現在行動をしているわけでございます。
  37. 安宅常彦

    安宅分科員 そういうために話し合いを、メーカーの団体である日本農業機械工業会ですか、それから全国農業機械商業協同組合連合会など、それからいま言った大手の個別のメーカーですね。話し合いをしてやるのだということを、さっきの農林水産の議事録などを見ますと、やっていますね。だから、あなた方、話し合いをしなければ、それは決着がつかないでしょう。決着がついておるかどうか聞いているのです。
  38. 松元威雄

    松元政府委員 したがいまして、その契約が、主要メーカーからすでに自分の傘下の販売店に指示をいたしまして、いま申しましたとおり、まぎらわしい既契約を一方で破棄するというふうな文書は撤回する、同時に、既契約は履行するということを、傘下の販売店に対して本部から通達をいたしております。したがいまして、その末端における現実の履行を、今度はさらにフォローしなければならぬということでございます。
  39. 安宅常彦

    安宅分科員 ここに二つ問題があります。  私ども、実態をずっと私の郷里などを回ってみますと、折れた会社もあるようですね、若干。久保田なんというのは、まだ絶対がんばっているそうですね。けしからぬ、あの久保田というやつは。農機具会社の今間というのが鶴岡にあったのですけれども、あれは資本提携をしておったのですが、ぶっつぶして、大きな首切りをしまして、ひどい会社です、あれは。農民の敵ばかりではなくて、労働者の敵でもある。絶対に譲らないと、まだ言っているそうです。私、山形経済連の理事をしている人からけさ電話で聞いたのですけれども、こういうところも、一応通達は出したのですか。
  40. 松元威雄

    松元政府委員 久保田も通達を出しております。
  41. 安宅常彦

    安宅分科員 それでは、時間がたちますから具体的に聞きますが、その前に、県を通じてというのは、あなたのほう、おかしいんじゃないですか。地方の農政局というのは、あれは一体何をやっているのですか。あなたの機構でぺっぺっとやったら、たぶん世論調査だって、安宅常彦に五万人投票するだろうからといって、五万人に当たるばか、新聞社はないですよ。ピックアップやって、そして大体その傾向をコンピューターにかける。そうですな。それと同じように、あなた、全部県の人にまかせて、農林省の機構は全然動かさないで、それは拠点拠点しかないと言われればそうでしょうが、そういう任務を与えて、そうしてピックアップ調査すれば、全国的な傾向だって一ぺんでわかるはずですよ。これは北海道や、いままでやったのは会津や、それから信越やあるいは秋田や岩手や、いろんなところから出ていますよ、国会の議事録を見たら。そうじゃない山形出てないから山形やるわけじゃないが、そういうのはたくさん必ずあるのです。そうでしょう。そういう傾向だということはみなぴんと、あなた、ばかじゃない限りわかるじゃありませんか。なぜあなたのほうでそういう調査をやらないか。県にまかせておったら、春先になって、春耕の時節はもう来ておる。それじゃ、もう何県集まっているのですか。
  42. 松元威雄

    松元政府委員 県と申したのは、若干私、不正確な言い方をいたしまして、実は地方農政局と県と両者にいったわけでございます。と申しますのは、地方農政局自体は、これは自分の手足を必ずしも十分持っておりません。したがって、地方農政局を通じまして、さらに末端は県、こういうことであったわけでございます。  さらに、この調査は、実は正直な話、かなり手間を食うわけでございます。と申しますことは、かなりこれは販売店の数が多うございます。したがって、悉皆はもちろんできませんから、おもなものをピックアップするわけでございますが、同時に、御指摘のとおりトラブルを耳にしたところは必ず行けというふうにいたしておりますし、さらに、場合によっては本省がみずから調査に行ったところもございます。  そういうことで、県にまかせっきりという手続じゃございませんで、地方農政局の組織を通じて県を通じてやる、こういう趣旨でございました。
  43. 安宅常彦

    安宅分科員 だから、何県集まったかと聞いているのです。
  44. 松元威雄

    松元政府委員 現在の段階では、回答は十数県目下集まっております。
  45. 安宅常彦

    安宅分科員 もう十数県やったら、決着をつけなければならない時期じゃないのですか。あと四十八県だか、サンプル何県だか知らぬけれども、みな集まらなければやらないつもりですか。
  46. 松元威雄

    松元政府委員 そうではございませんで、もちろんこれは統計調査意味でやっているわけじゃございませんから、全国待つ必要なくて、いま言った報告を見まして、これは問題であるというところにつきましては、さらにその県について、具体的なケースに応じて処理をするというように指導をするわけでございます。
  47. 安宅常彦

    安宅分科員 私はこれから具体的に入りますが、私が言う基礎は、根本は、こういうことを踏まえて言っているということをひとつ御了解を願って、その上で御答弁願いたいと思います。  この農機具のメーカー、いろいろありますが、この農機具のメーカーはほとんど販売会社を別に持っていますね。ほとんど持っている。この販売会社は、そのメーカーの株式を相当数入れたものが大部分である。したがって、メーカーが決定したことは、販売会社がかってにやったものだという理解には私は立たない。その証拠には、販売会社は、私どもの質問に対しても、本社がやったんですからしかたがありません、天下の代議士であろうとも、そうなっています、こういうことを言うのですから。山形県の議会でも二、三日前問題になったようです。そうしたら、このことはおかしいじゃないかというある新聞社がインタビューをしたら、そこの社長が、これは本社から来ていることです、私ども知りません、こうはっきり言っています。これは明らかに販売会社の問題ではなくて、メーカーの問題である。しかも去年の七月、十月、いや十二月ですか、それから二月と、時を同じゅうしてあらゆるメーカーが値上げをした。大体同じにですね。これは明らかに価格カルテルをやっている。まあそこまで言わないでも、その疑いがある。こういう立場に立って、それを全部わかった上で質問しますからね。どうかひとつそういう意味で、その基礎に立って答弁してくださいよ。  それで具体的な話をいたしましょう。  これは山形クボタ農機販売株式会社代表取締役小林一郎という者と、ある農民が契約した契約書であります。これは十件ほど持っています。全部国会で取り上げてやるから出せと言ったのですよ。そうしたら、みんなが出したがらない。出したがらないわけです。うしろに書いてあるのです。この契約書、前のほうはお買い上げとか、御支払方法とか、御契約保証金とか、「お」とか「御」がついているのだ。こっちのほうは違うのだ。昔の地主が小作人に対しての契約書みたいなものですよ。おそろしいことが書いてあります。たとえば、もし契約違反をした場合——自分たちがこのたび違反しているのだけれども、そんなことは書いてないです。向こうが、買い主が金がなくて、支払いが延びたような場合には、そのすでに使っている機械は、直ちに返さなければならない。もし返さないときは、今度日歩十銭を請求することができるとか、あるいは目的の物件の返還にあたって「売主の使用人又は委任状持参の者が物件を運搬し去るも、その行動に対して抵抗妨害せず、家宅侵入又は損害賠償等一切の訴訟及び請求をなさざること。」これが、お客さんに対して農機具を買っていただく会社の契約書でしょうかね。それで、ひどいのになると、こういうことが書いてあるのですよ。第十一条に「買主が本契約の内容を他に漏らし売主に損害を与えたときは、契約金の一〇%以内を売主に支払わねばならない。」だから、安宅常彦がこれを暴露したら、この人は一〇%取られると思って、おろおろして絶対出さないのですよ。いいですか。だから問題が出てこないのですよ。  こういう悪徳商人がいるということです。こういうばかみたいな契約書をつくったあげく、自分で今度は契約を破棄してきたのですね。  このAという人ですが、おもに私は田植え機械を中心にしてきょうやります。田植え機械とポリ箱です、育苗箱ですね。トラクター、いろいろあるでしょうけれども、でかいやつはやめまして、具体的なものにしぼりますが、時間の関係で。これは、Aという人のは、四十八年の六月契約した。そのとき二万円の内金といいますか、手金を出した。それで二十五万二千円が残った。これは価格が、これはセットでやっているものですからちょっとわかりにくいのですが、田植え機と育苗器とばらまき機と三つやっているので、ちょっと数字がわかりにくくなると思いますけれども、とにかく残金ができた。それを残金の期日が四月十五日払うということになっているのに、四十九年の一月十五日に支払え、何回も何回も販売会社の店員から戸別訪問を受けたというのです。そして十六日に本人は支払った。利子の関係やら何かぐずぐず言われた。つまり、これに応じなければ利息を取るというのですよ。一月値上げした分の再契約をしなければ、今度四月分の、十五日までの分、利息を取るぞまでおどかされたものだから、しかたがなくて、そのときは更改しちゃったというのですね。それから育苗ポリ箱も、一箱二百八十円で契約していたのを、一月二十六日に今度はまた来やがってがあがあ言うものだから、これはセットで注文したやつですが、四百円と言われて、これも契約更新をしてしまった。そして、そのときの二百八十円の契約書はそのとき持っていってしまった、こういう例ですね。  それから、ひどいのになりますと、こういうのがあるのです。これはBという人ですけれども、七月六日にやはり農機具を、田植え機を十八万で契約した。二万円払った。そうしたら十八万円の田植え機を二十二万五千円にしてくれと言われた。それで結局、これもやむを得ず、何回もうるさくてしょうがないから、おっかないし、そうさせてしまったというのですよ。それで、育苗ポリ箱については、二百八十円のを、この人には四百五十円でないと売らないと言ったそうです。そうしないと品物を届けないと言われた。だから、しかたがないから、これはさすがに頭にきて、契約を破棄してしまったというのですね。ほかから買ったそうです。  ところが、おもしろいことに、これはおもしろくないのですが、つまり十八万円だったのが二十二万五千円になったわけですね。いいですか。契約更改したのですよ。契約更改しても、支払い期日は一月の十五日だというのです、一月十一日じゃなくて。そして契約書には、四月十五日まででいいと更改した契約書に書いてありながら、よほどなめられたと見えて、一月の十五日から四月十五日までの間は日歩三銭一厘五毛を取る、こう言ってきたそうです。ようございますか、値上げしたほかにだよ。これははっきりしているのです。こういうばかなことをやっている。それから、断固としてふんばったのもおりましてね。これは絶対いやだと言ったら、品物を届けない、こういうふうに言われたほかに、じゃ、もうしょうがないから一月十九日までにとにかく金を支払え、支払わない場合は利子をつけろ、こうも言ってきたというのですね。こんなことは許されていいことなのでしょうか。いや、許されていいのではなくて、こういうものは、直ちにもとに返すべきだと思うけれどもどうか。時間がないので端的に。
  48. 松元威雄

    松元政府委員 ただいまお伺いしました事案は、すでに販売店と農家の間で明確に価格をきめて、契約ができ上がっている、それを一方的に価格をまず上げる、あるいは代金の支払い条件を一方的に変更しよう、どうもそういう申し出のようでございまして、これは、まず一方的に変えるということは、通常の民法の原則からいってできないはずでございますが、もちろんそれは個々のお話し合いで、文字どおり、いろいろ事情が変わったからお願いすると言って、農家も十分納得したという場合、これは別でございますが、そうではなくて、農家は納得してない、一方的に通告されるということでございますれば、これはやはり取引上よろしくないことでございますから、既契約を履行させるようにこれは強く指導いたします。
  49. 安宅常彦

    安宅分科員 それでは三つくらいに分けましょう。  契約更新に応じなかった、したがって品物が届かない、そういうものは品物を届けさせるし、もとの契約にさせよう。契約更改をしたものも、これは一方的に利子をつけるとか、何回も戸別訪問をやって、脅迫に近いというか、脅迫をされた、そのために農民というのはおそれてしまった。しかも、これは罰金というか、一〇%利息を取るというのですからね。こういうばかげたような契約書に基づいてさせられたもの、これももとに復する。いいですか、これは田植え機の場合。それからポリ箱、こういうもので実際クボタのメーカーの名前が入っているもの、入ってなくても、セットでやはり注文して値上げさせられたもの、こういうものももとに復する、こういうようにあなたの答弁は理解してよろしゅうございますね。
  50. 松元威雄

    松元政府委員 最後のポリ箱につきましては、これはいろいろな態様があろうかと存じます。と申しますことは、メーカーと販売店との間がつながっておって、メーカーの扱った部品というかっこうでございますれば、これは一体でございますから同じに扱います。それから、メーカーと無関係に、かりに販売店が別個に買ったというケースになりますと、これはちょっとケース・バイ・ケースになろうか。したがって、販売店とメーカーの関係いかんによろうかと思うわけでございます。
  51. 安宅常彦

    安宅分科員 しかし、それはメーカーと関係なくても、販売店は責任ありますね。しかも、私が言ったのは、セットで注文しているものですよ。クボタ農機販売株式会社というもので、別に注文したのではなくて、同じ日に同じようにして注文したもの、これは当然じゃないかと言っておるのです。
  52. 松元威雄

    松元政府委員 ちょっと私の説明が舌足らずでございましたが、農家と販売店の間につきましては、これは既契約の不履行でございますので、そのとおりでございます。あと問題にしましたのは、しからば、今度はメーカーと販売店の段階でも、これは既契約は守らなければならない、契約外ではないということを申し上げたのでございます。
  53. 安宅常彦

    安宅分科員 それはメーカーの責任じゃなくて販売会社の責任だ、しかも販売会社はもとに返すべきだ、こういうことなのですね。いいですか、それははっきりしてください。うなずいたのでは議事録に残らない。
  54. 松元威雄

    松元政府委員 販売会社と農家の間においては既契約を、その箱を含めて履行を守らせますと申し上げたわけでございます。同様に、販売店とメーカーの関係においても、これも既契約を守らせますということを申し上げたわけでございます。
  55. 安宅常彦

    安宅分科員 ここにきたらあと五分しかなくなったのですが、私はそのほかに、あまりこれは言いたくなかったのですが、もっと詰めてから言いたかったのですけれども、この問題はケリがついたから。これは強力に指導するというのではなくて、必ず決着をつけるという意味ですね。そこをまずはっきりしてくださいよ。一件落着ですね。
  56. 松元威雄

    松元政府委員 形式論で申しわけございませんが、私が指導と申し上げましたことは、法令上の権限として命令はできないので、指導と申し上げたわけでございますが、強く指導して、結果として守らせるようにいたすつもりでございます。
  57. 安宅常彦

    安宅分科員 つもりではなくて、守らせますと言わなければだめだ。つもりではだめだ。
  58. 松元威雄

    松元政府委員 強く指導して、守らせるようにいたします。
  59. 安宅常彦

    安宅分科員 よし。でも、守らせるようにというのはちょっとまだ……。守らせますと言わなけれだめだ、決着がつかないよ。
  60. 松元威雄

    松元政府委員 ちょっとことばのあれにこだわるわけでございませんが、さっき申し上げた法令上の権限云々の問題がございますものですから、そこでそういう表現をいたしたわけでございまして、結果としては、守らなければ、守るまで指導するわけでございます。
  61. 安宅常彦

    安宅分科員 それは守らせるという意味だというふうに、大臣、理解しますが、そのとおりだということを、あなたから総責任者として言わなければならぬな。そのとおりですとさえ言えば、あとよけいなことは言わなくてよろしい。
  62. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いま承っておりましたようなことが事実とすれば、どうもまことに遺憾千万でありまして、これはよく調べて守らせるようにいたしたいと思います。
  63. 安宅常彦

    安宅分科員 それでは、こういう例もあるのですね。  私、農林水産委の議事録なんかを見ていて、二月十四日に通産省の代表で野口さんという人が出ておりますね。全農という非常に強い組織を持った強力な団体がございまして、そうあっさり値上げできないのではないでしょうかというような答弁をしているのですよね。あれは農林省に対する皮肉じゃないですか、大臣。  私は、そこで問題になるのは、いま農協の下部で大混乱が起きているということです。なぜかといいますと、ある農協では非常に弱っているのですよ。メーカーとは、農協の場合は、大体佐藤式のやつです、佐藤の農機具です。いろいろあるようですが、きょうはあまり時間がないから触れません。あまり変なこと言ったら、あとでどこかの委員会で触れますよ。  それで、これは経済連のほうから、農機具の価格の情勢という意味で文書が出ております。十二月二十八日付で、山形の場合なんかが出ておるようです。どこの単協ということは私言いませんけれどもね。各種メーカーは予想外の原材料の値上げ、あるいは下請業者のいろいろな下請の料金の値上げ、あるいは石油、電力などの制限で、三〇%から三五%の減産の見通しだ。だから、七月に七%、十二月に一四%値上げしたにもかかわらず、また値上げせざるを得ないというような状況にある。こういう再値上げの要請が全農に来ており、各メーカーと折衝中であるが、玉を確保することが先決である。玉というのは、芸者の玉代みたいな玉です。農機具だよ。農機具そのものを確保することが先決であるから、値上げを了承せざるを得ないようになった。こういうふうな情報として来ているのですね。だから、いまワクとして注文しているけれども、今度気のきいたところの農協は、たとえば山形県の尾花沢市の農協なんというのは、これはまだはっきり確定しておりませんけれども、私の想像ですけれども、そういうワクとしてはやっているけれども、農家としては、単協が契約をしているのですよ。  そのために、たとえばこういうことが起きているのですね。やっぱりその組合員が七、八月ごろ契約をして、尾花沢市というところの農協は大体百台だそうです。十八万三千円で、経済連からの話で単協が組合員と契約をした。ところが、さっきのような情報に基づいてやったのでしょう。一月ごろ農民が、農協のほうから、経済連から来たからということで二十二万二千円にしてもらえないかという話を受けて、冗談言うなといっておこっちゃって、板ばさみになった単協が、今度いろいろ折衝したり何かしたのでしょう、したと言っていました。その結果、猛烈な反撃があったものですから、いろいろ折衝した結果、二十万三千円で、これくらいなら、いまの世の中ではやむを得ないだろうということを言ったものですから、農家の人の相当部分は了解したといいますか、納得せざるを得なかったというのです。ところが、相当数が、こんなものはだめだ、農協が責任を負え、何言ってやがんでえといって大問題になり、それから今度、いろいろ各会社が、私、さっき言ったように折れた会社があるようですね。そういう情報は農家の人はぴんと来ますよ。それならその分、そういうことになっているそうじゃないか、農協から買ったものだけはごまかされたのかよ、農協が全部責任を負えといって、いま大混乱が起きているのです。  ようございますか。こういう事態もありますから、こういうことは、あなたのほうでは、単位農協を救うといいますか、その上で農民を救うといいますか、機構上たいへん近い関係がありますから、こういうものも、あなたのほうでは、今度一般商社の分はけしからぬといって、あなたのほうは始末すると言ったんですから、農協と今度契約した分は、あなたのほうでは相当政治的な配慮をしなければならない。この分についても、もとに戻すということをしなければ、これは天下の大騒乱になりますよ。これはどうですか。
  64. 松元威雄

    松元政府委員 先ほど来私が申し上げました基本原則は、農家と販売店の間及び販売店とメーカーの間において既契約は守る、明白な価格関係をきめて契約だけは守るということを申し上げたので、原則でございます。その場合に、契約の態様が、実はいろいろ調べてみますと、地域でもかなりいろいろ態様が違うのがございます。そういうことで、その契約の態様に応じまして、原則はそういう原則である、その態様に応じて措置するというふうに申し上げたわけでございますが、実は私も、農協系統の場合は、これは本来農民の組織でございますから、妙なことはあるまいと思っておったわけでございます。したがいまして、これも同様に、農家と農協との間の契約関係、それから農協と経済連、経済連といわば全農、その間の契約関係をフォローいたしまして、その相互間において既契約は守るという原則は貫くというふうに指導いたします。
  65. 安宅常彦

    安宅分科員 それは農協の役員がいかぬとかどうとかという意味じゃなくて、ぼくは、農協だって非常にひどい目にあっていると思うのです。だから、十二月の価格が全農との間に、メーカーとの間にきまったという議事録も出ている関係、こういう点から、非常に株が動揺していますから、その場合、農林省は民間の販売会社やメーカーよりも、もっときちっとできるはずだから、この分についても混乱が起きないように、もとに戻すべきである、こういうことであります。それ以上私は言いません。それが戻らなかったときは開き直るというときがくるかもしれませんが、これも含めて、特にあなたは関係のある方ですから、農林大臣、はっきり言ってくださいよ。農協と契約した部分は少し損しますからね。
  66. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 農協には監督権もございますし、農業生産のためにやる団体でありますので、いま局長の申し上げましたように、よく調べて、善処いたしたいと思います。
  67. 安宅常彦

    安宅分科員 最後になりますが、これは決着をつける場合には、もう育苗器を使わなければならないような時期になってからではおそいのであります。  それからもう一つ忘れましたが、育苗箱ですね。契約を破棄した、高いから破棄したと言うんです、農家の人に聞くと。高いから、さっきのような例、ほかのところから買っちゃった。しかし、あれはたくさん要るんだというんです。だから、もとの値段で戻してくれるんだったら、私は契約破棄なんかしなかったよ、こう言うんです。いいですか。そんな向こうが理不尽なことを言うから、何言ってやがんでえ、要らねえと言っただけの話で、契約破棄をしたのは、向こうから申し出てきたんだから。ほかのところから買ったけれども、どうせあれ必要だから買うんだ、当然ではないかということも主張していますから、この辺も含めてやっていただきたいんですが、これらはすべていつまでにやりますか。間に合いますか、田植え期に。田植え期というか、その前の段階に間に合いますか。間に合うか間に合わないかを聞いて、私の質問を終わります。
  68. 松元威雄

    松元政府委員 もちろん、時期に間に合うようにしなければ意味ございませんから、間に合うようにいたします。
  69. 安宅常彦

    安宅分科員 どうもありがとうございました。
  70. 湊徹郎

    ○湊主査 これにて安宅常彦君の質疑は終了いたしました。  次に、吉田法晴君。
  71. 吉田法晴

    吉田分科員 私は、砂糖のことだけを承りたいと思います。農林省に初めお尋ねをして、あと、この事態を公正取引委員会がどういうぐあいに見ておられるか、承りたいと思います。  経緯は詳しく申し上げることはございませんが、昨年の暮れ、砂糖が市場から姿を消したところもございます。特に関西地方はひどかったようでありますが、中には二百八十円、三百円といったような砂糖もあらわれた。東京でも、あの洗剤と砂糖がなくなったときに、目玉商品を別につくって門をあけたけれども、その目玉商品には行かないで、洗剤と砂糖に殺到したという事態がございました。  なぜ砂糖は安くならないのだろうかというのは、年を越したことしになっても主婦の大きな関心事であります。福岡県で、消費者の団体あるいは主婦の人たちが寄りまして座談会を開きました。この事態に対して、県やあるいは市等の担当者にも出てきてもらって討議をいたしましたが、事態は明らかになりませんし、それから不信が残るばかりであります。特に、農林省に対する不信はなお残っておるようでございますから、そこで農林省お尋ねをしたいところでありますが、百八十六円の根拠はどういうところにあるのか、まずお尋ねいたしたいと思います。
  72. 池田正範

    ○池田政府委員 農林省が、この二月一日から、一応指導のめどといたしまして百八十六円という上白小袋の小売り価格について指導をいたしておるのは、ただいま御指摘のとおりでございますが、これは考え方は、この価格水準が、ただいま御指摘の昨年秋に非常に急騰をいたしました。その十一月の水準以下に引き下げるという趣旨で行政指導をしておるわけでございます。この措置によりまして、価格騰貴時に上昇いたしましたメーカーの出し値の一そう引き下げ、膨張した流通マージンを圧縮してもらうということによって、全体としての価格水準を引き下げるという方向を意図したものでございます。
  73. 吉田法晴

    吉田分科員 百八十六円の根拠はお示しをいただきませんでしたが、座談会を開きました消費者、生活協同組合なりあるいは主婦の人たち、そこには西日本の砂糖特約店の組合理事の方も、あるいは砂糖の二次卸商も、それから県市の消費生活局あるいは流通対策課等も出席をいただいておりますが、その中で、九州でも二百円前後の売り値があらわれておりますが、スーパーは百七十八円、中には百七十五円もあるが、生協には、安くて百八十円以上の仕入れ価格でしか渡っていない。  そこで、小売り価格の百八十六円の根拠はどういうことなのか。百八十円等で渡されて、百八十六円で全部売れるようにするにはどうしたらいいのか、こういう小売り店からの発言もございまして問題になっておるところでございますが、あの年末の際にも、百八十六円のいわば標準価格といいますか、小売り店に渡りますときには百八十六円に近い百八十円等で渡されておって、それで百八十六円で売れというのは、少し無理なような気もいたしますが、百八十六円の根拠は何なのか。二百円になっておる、二百円をこしておる砂糖の値段を引き下げるにはどうすればいいかということは、これは標準価格に関連をいたしますから、過去のことではございますけれども、あらためてお尋ねをいたします。
  74. 池田正範

    ○池田政府委員 ただいまの御指摘は、百八十六円という末端価格について、何を根拠にきめたのかという御質問であろうかと思いまして、百八十六円についてのお答えを申し上げたわけでございますが、この百八十六円というのは、実は、いま申し上げた十一月の水準でございまして、現に、その時期において、メーカーから卸、小売りを通じて現実に実現しておった価格でございます。したがいまして、当然百八十六円で指導いたします。その指導を最後にそれを守って、協力店として売っていただく小売り店に対しましては、一次卸なり二次卸は、それぞれ前の段階で、それに引き合うだけの価格で卸値をつけてもらわなければ困るわけでございます。  ただ問題は、メーカーと申しましても、御承知のように、いろいろと規模もございますし、したがって一律のコストというふうな形には必ずしもまいらないのが現状でございます。  そこで、私どもといたしましては、末端の百八十六円が実現するような形で、それぞれ上部の段階で引き合うだけの卸値にしていくという形での指導を実はいたしておるわけでございまして、一律に幾らにせよというふうな形での行政指導という形になりますと、これは独禁法上の問題等も出てまいります。また、現実にそういう形で一律にやることは、ある場合には、メーカーの相当部分が引き合わないという形でいまの形に協力しない、つまり砂糖が市場から姿を消すというふうな形にも通ずるわけでございます。  したがって、あの砂糖のパニックのあとを受けまして、何よりも大事なことは、価格を少しでも引き下げていくということと、市場から砂糖の姿を消させないということ、この二つを現実的に組み合わせて取り上げて今日のようなやり方にしておるわけでございます。したがって、御指摘のように、もし不可能なような形で末端に百八十六円が強制されているとすれば、それは非常におかしな形でございますので、個別的に事情があれば、私どもとしては、個別指導も含めて、今後それが実現できるような形に指導を強めてまいりたいと考えるわけでございます。
  75. 吉田法晴

    吉田分科員 その懇談会で討議をされましたときには、工場から出ますいわば元値と申しますか、工場出し値についても触れられております。それから第一次マージン五円、第二次マージン五円、それで小売り店渡しが百八十円になっておるという、いわば皆さんの調査の結果、あるいは、そこで発言されたところもあわせまして表現をされておりますが、実はメーカーからその当時幾らで出て、そして合理的なマージンがとられて百八十六円という価格が出たのかどうかは知りませんが、その辺をお尋ねをしておるわけでありますけれども、実はこの二、三年来、特に昨年になりまして大商社の系列に工場も入る、なかんずくほとんど販売圏が商社の手に移ったようでありますが、商社の系列下に工場とそれから販売圏といいますか、販売ルートが移ったところに、あの暴騰、あるいはかつてない砂糖の商値が出た一つの原因があろうかと考えますが、工場から特約店あるいは代理店等にどういうぐあいにして渡っていったのか、そのルート、それから数量、それから価格について、おおよそでけっこうでありますが、いま御説明ができるならば、御説明を願いたい。
  76. 池田正範

    ○池田政府委員 ルートは、これはなかなか一つの形に言い切ることはむずかしゅうございますけれども、一般的に定型化されたルートといたしましては、メーカーから代理店を通じまして、特約店と申しますか、第一次卸店、それから第二次卸店、そして、最終的には小売り店を通じて消費者に渡るというのが一般的な行き方でございますが、最近、ただいま御指摘になりましたような末端の小売り店舗が、スーパー等含めて非常に大型化してまいっておりますので、そういう場合には二次卸店を省略いたしまして、そうして一次卸から大型の小売り店舗に短絡するという場合も多々あるわけでございます。それによって、かなりそれぞれの受け取るマージンも最終的にはトータルが違ってくるというのが現状でございますが、特に、昨年の夏ごろから秋、暮れにかけて、他の物資と同じように砂糖におきましても流通マージンに若干の変動が出てまいっていることは事実でございます。  まあ大ざっぱに申しますというと、大体二十五、六円でございましたが、最近では三十円前後にまで上がっている例が多いように承知をいたしておるわけでございます。しかしながら、それらがどういう形でそれぞれ受け取っておるかということにつきましては、かなりケース、ケースによって違いますものですから、したがって、必ずしも一律には申し上げかねるわけでございます。
  77. 吉田法晴

    吉田分科員 昨年の百八十六円の標準価格をきめられるときに、メーカーを出るときにどの程度の相場で出ておったかについては、農林省御存じだと思いますが、お尋ねをいたします。
  78. 池田正範

    ○池田政府委員 あの当時、末端価格はかなり上がっておった時期でございますので、メーカーの出し値自体がかなり上がっておったわけでございますが、それを、あの百八十六円を実施いたします前に、数回にわたって実は引き下げの行政指導をしてまいったのでございます。その結果、一時百七十円台を示しておりました卸値が、その後だんだん下がってまいりまして、私どもとしましては、百八十六円を指導いたしましたころの段階では、大体安いところで百五十五、六円、高いところで百六十円前後というふうに一応踏んでおったわけでございますけれども、メーカーの間の格差が、先ほど申し上げましたようにございますものですから、上下の間に五、六円の格差というものが当然出てくるということになっておりまして、現実にはいろいろとばらつきがあるようでございます。ただ、どういうふうにばらつきがありましょうとも、いま全体の小売り店舗のほほ一割、ふえておりますが、約四千五百軒程度の小売り店において実現されております百八十六円というものが実現できるような形で、少なくともメーカーなり小売り店舗は流されているはずであるというふうに私どもは認識をいたしておるわけでございます。
  79. 吉田法晴

    吉田分科員 そうしますと、百八十六円をおきめになるときに、工場から出ます値段は百七十円台であったが、それを百五十五、六円云々というお話でありますが、それからの経費については、あるいは多少第二次卸を省略する等で減ったかもしれませんけれども、そうあまり違いはないと思います。  問題は、工場の出し値、それと百八十六円がどうだったかという問題になると思いますが、いまで言いますと、百八十六円は、これは何と言いますか、下に下がるのをささえておるかっこうに一部分ではなっておるかと思いますが、その当時においても二百円をこし、あるいは二百数十円、これは三百円というのは、そう全国的にあったわけではないと思いますけれども、一部においては三百円という値さえ出ております。したがって、各工場とも、あのキューバ騒動以来、キューバ危機以来ずっと低迷しておりました砂糖の価格が、昨年の暮れになって石油危機と関連をして喧伝をされた、あるいは生産が制限をされた、こういうことで暴騰をし、そして各会社とも赤字をカバーして、何億、あるいは、多いのに至りましては何十億という黒字を出すに至っておるところがあります。したがって、百八十六円の基礎——百五十円台、あるいはすでに百七十円になんなんとしておるかと思いますが、その価格の、マージンの当否もございますけれども、百八十六円の基礎になりました工場出し値の当否については、これは検討を要するものがあるのではないかと思うし、それから糖価安定資金がなくなったということはわかりますけれども、その後の糖価の騰勢を考えますと、別に、農林大臣として最善の手が打たるべきであったと思いますが、これらの点については、どういうように考えておられますか。いまなお続いておる問題でありますから、農林大臣に御答弁を願いたいと思います。
  80. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 メーカーの出し値につきましては、事務当局からお答えいたさせますが、これは、国際価格が非常に影響することはよく御存じのとおりであります。  先ほど来いろいろ御質疑にお答えいたしておりますが、私どものほうでやっておりますのは、やはり糖価安定法によって適正な価格を維持する制度を現に法律で持っておりますので、そういうことでずっとやってまいりました。きょうあたりはだいぶ下がってきておるようでありますが、昨今、ロンドン相場が高騰してまいりました影響を受けまして、非常にその面においての反映がわが国の糖価にもあったわけでありますが、いまの出し値のことにつきましては、政府委員からお答えいたします。
  81. 池田正範

    ○池田政府委員 メーカーの出し値につきましては、先ほどから申し上げておりますように、それぞれ一定の出し値で押えておるわけではございませんで、全体の末端の小売り価格百八十六円以下を実現するようにということを言っておるのでございます。  したがって、末端の小売り価格も、別に百八十六円一本で通すという指導をしておるわけではございませんで、スーパーのように中間段階を飛ばして百七十円台で売っておる場合に、それを百八十六円に上げるという指導は、全然いたしておりません。それはそれ以下の下げるということであって、その時点で実現されておった価格より下に下げるということが、今回の指導の重点であるというふうにお考えいただきたいと存ずるわけでございます。
  82. 吉田法晴

    吉田分科員 時間がありませんから少し飛ばしますけれども、生協に百八十円で売り渡されて、それを百八十六円で売れというのは無理ではないか。百七十円を百八十円にせいということは指導しておらぬというお話でありますが、問題は、末端で百八十六円、あるいは百八十六円以下の値段で売られるには、末端の小売り店まで、あるいはスーパーでありましょうと生協でありましょうと、それは適当なマージンを見て、それで売り得る引き渡し値でなければ売ることができないと思うが、その点について、農林省としてはどういうぐあいに指導をされたか、あるいは助成をされたか。国際価格の変動、あるいはその他の要因については、私も知っております。糖価安定資金がなくなったからといって、関税を下げた云々という点もございますが、関係者の中からは、関税と同時に消費税も下げてくれ、免除してくれという要望も出ております。  農林省として指導し得る最大のものがなされたかどうかという点でお尋ねをしておるわけでありますが、末端価格が百八十六円以下になり得るようにどういう施策がなされたか、それをお尋ねしておるのです。
  83. 池田正範

    ○池田政府委員 ただいま御指摘の、生協のように、もともと百八十円以下で売っていた店があるとすれば、それはおそらく、何らの措置も施さずに、それだけで売れるだけの仕入れ先をつかんでおる店であったのだろうと思います。したがって、それはそれでやっていただければけっこうだと思うわけであります。百八十六円で売れてなかった店、これがたくさんあったわけでございますから、その中から、先ほど申し上げましたように、いまの指導価格、十一月水準以下で売れる店を、少なくとも各地域で一定割合以上つくろうというのが今回の指導でございます。  したがって、それぞれその店が、見合った形の仕入れ値段で仕入れができるように、それぞれのルートを通じてやっていく、その指導の中で、いま御指摘のように、百八十六円で売りたいが、卸値が百八十円だというふうな形になれば、これは無理をしいることになりますから、これは無理をしいないで済むように、その卸値の引き下げについて行政指導を個別にやっていく、ただその場合に、その生協か、あるいは小売り店か知りませんが、それがいわゆる政府の、安値売りと申しますか、協力販売店といったような形で必ず百八十六円以下で消費者に売りますという約束をしてくださった店であるかどうかということは、一つ問題があろうかと思います。これを約束していただけませんと、そういうことについて保証して、安い価格でその卸値を確保してあげようという行政指導は行き届かない場合が出てまいります。したがって、それらの点についても、ひとつ検討しておく必要があると思いますけれども、もしそれが協力販売店であるならば、それは個別指導で十分対応していきたいと考えております。  それから、もう一つの問題でございますが、これは先ほど倉石大臣から申し上げましたように、現在の国際糖価というのは、先般の二百七十四ポンドという暴騰から、現在は暴落をいたしておりまして、すでに昨日のロンドン相場は二百八ポンドといった段階まで落ちているわけでございます。  したがって、すでに、とりあえず二月中旬において、この安定資金の枯渇という事態を迎えまして、四万一千五百円のトン当たりの関税というものを減免する方向で動き出しているわけでございますが、さらにその上に、どういう措置をとって全体の砂糖の価格を安定していくかという問題につきましては、現在は国内糖価きわめて不安定でございまして、その水準というものは、もう少し見ないと、現実にどういう対応策をとるべきかというのは出てこないというのが現状でございますが、私どもといたしましては、でき得る限り、コストプッシュというものを越えた便乗値上げというようなものが、全体の価格政策を乱すようなことのないように全力をあげてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
  84. 吉田法晴

    吉田分科員 時間がございませんからこまかいことの追及はよして、配給のルートについて一点お尋ねをし、最後に、いま説明された部分についてお尋ねをいたします。  工場が、六大商社か十大商社か、商社のもとに系列化された、それから販売圏が商社のもとにほとんど握られた、したがって、いまの配給ルートからいいますならば、工場から特約店に、特約店から、さっきの価格でいいますと、標準価格で売り得るようなスーパーなり、あるいは協力店と申しますか、この配給のルートの再編が行なわれておるのではないかと考えられますが、これらの点について、農林省把握しておられるならば、価格構成要素に関連をし、数量について調査がございますならばお示しを願いたい。  それから第二の点は、問題は国際価格もございますけれども、言われたようにコストプッシュが人為的に加えられたのではないか、あるいは加えられる可能性を除くことは、これは食糧政策として農林大臣なり農林省でおやりになることだと思います。これは、私が言わなくてもおわかりのことだと思いますけれども、いまの物価高、インフレの高騰が、つくられた要素があったことは、この間からの国会の審議等で明らかになりました。もしこの物価高、インフレが、食糧問題に関連をして、買い占めあるいは価格の高騰ということになりますならばたいへんな事態になることは、これは倉石農林大臣は、その経験からしても御存じのはずであります。ですから、この砂糖の問題は、食品の一切の基礎になりますだけに、現にチョコレートやキャラメルや、出回っておりますお菓子はたいへん高くなっております。私も最近、子供のために買おうとしてびっくりいたしました。去年まで二十円、三十円であったものが五十円、五十円であったものがもう百円をこしております。ですから、この食品の問題は、砂糖ではございますけれどもたいへん重大な問題だと思って、農業政策、食糧政策としてお尋ねをしておるわけであります。  その中で私が知り得ましたもので、昨年の暮れに、十月ごろからですが、生産が規制をされた、生産が控えられたという事実がございますが、これらの点については御存じでしょうか。農林省お尋ねいたします。
  85. 池田正範

    ○池田政府委員 おそらく、御指摘になられました点は、昨年の八月−九月が、対前月に比べて、製糖会社の生産が減っておるということを御指摘になったことだろうと思います。それは確かにそのとおりでございまして、八月−九月の生産は減っておるわけでございますけれども、これは何も去年に限ったことではございませんで、たとえば四十一年から四十八年までの月別の季節変動をとってみますと、大体二月、五月、九月というのは、全体としての生産を落とす時期でございます。二月は年に一度の設備のクリーニングをしなければならぬということと、全体に売れ行きが正月を越えると落ちるということでございますし、また五月は、ある意味では花見どきを過ぎたという一つの落ち込み時期、それからその間の夏場というのは、御承知のように清涼飲料を含めて、非常に砂糖の出盛る時期でございます。そして九月に一服をする、これはもう常時そういう形になっておるのでございます。  ただ問題は、それからあと価格が上がったじゃないかということにお結びつけになっておられるのだと思います。  その点につきましては、確かに、去年は国際砂糖協定の破綻といったような形が増幅を呼んだ原因になったことは事実でございますけれども、これは単に生産だけでなくて、むしろ出荷をごらんになるとわかるのですけれども、昨年の八月と九月の出荷を一昨年に比べてみますと、生産量におきましては、九月の十九万三千トンという四十七年の生産量に対して、四十八年が十七万七千トンというふうに落ちておるのでございますけれども、出荷量のほうは、四十七年の十八万四千トンに対しまして、四十八年が十九万四千トンというふうに、出荷量自体は逆にふえておるわけでございます。十−十二月の平均をこれからとってみますと、生産量は六十一万九千トンに対して四十八年が六十八万七千トン、それから出荷量は四十七年が六十三万四千トンに対して七十二万四千トン。出荷量は非常に大きく上回っておるわけでございまして、十−十二月全体を見ますと、生産量も出荷量も、ともに上回っているという結果が現実に出ておるわけでございます。  問題は、過去における全体の糖価の水準というものが、七−八月の水準においてかなり低かった。したがって、その市況を回復するために、その砂糖メーカーが故意にしぼったのではないか、こういうことにつながる批判が間々あるわけでございますけれども、しぼるならば、生産をしぼって、同時に出荷量をしぼらなければ意味がないわけでございまして、生産をしぼっておいて出荷をしておったんでは、これはいわゆる意図には反するということになるわけでございます。  そういう意味で、私どもとしましては、特にこの時点において出荷をしぼらなかったということから考えれば、御指摘のようなことは、必ずしも明確ではなかったというふうに思うわけでございます。
  86. 吉田法晴

    吉田分科員 時間がなくなりつつございますので、最後に、公正取引委員会事務局長さんにおいでいただいておりますからお尋ねいたしたいと思います。  時間がございませんから、農林省との間に事態を明らかにすることができませんでしたが、先ほど申し上げますように、製糖工場が、株の所有その他経営が商社の系列下に入りつつあります。これは具体的な事実をあげる間はございませんけれども、お調べいただければおわかりのとおり。それからさらに、販売圏を商社がほとんど握りました。そこで市場操作は随時にできると思います。その結果が、いままで赤字続きの製糖会社が軒並みに黒字に転化をした。ですから、百億に近い赤字をカバーして、百億をこす利益をあげたということになりますが、その反面には糖価が上がってきた。そして、いま生産制限について否定をされましたけれども、蔵出しがふえているではないかというお話がございましたが、私が聞く限りでは、四十八年の十月からことしの三月までのこの下半期にガイドポストを前期よりも九万トン減らすということを業界できめたといわれております。  それから、これは新聞記事を拾ったところでありますけれども、明治製菓その他で、三十円のチョコレートの製造をやめて、需要の多い百円以上のチョコレートをつくることにした。そして、現に町に出てこのお菓子を買われますと、そのお菓子の急激な上昇にびっくりされるだろうと思います。先般、羽田でお菓子を買おうとしましたら、昨年は五十円しておったチョコレートが、正札がついていないで、渡すときに百三十円という正札をつけながら渡してくれた。昨年は五十円であったチョコレートが、ことしのいま百三十円になっておるという現実がございます。  それで九州で、門司の大日本製糖の工場と明治製糖戸畑工場とをいわば一緒にした形で、会社は別に西日本製糖という会社をつくりますけれども、新鋭工場をつくって、行く行くは、糖業界で行なわれておりますような古い工場のスクラップが行なわれるといわれる。それから、九州製糖が三井物産に系列化して、ここも新鋭工場をつくるという計画があるやに聞いております。そうすると、工場の中で、会社の中で合理化も進められますが、人員もどんどん減らしてこられます。同時に、糖業界における寡占が、おまけに販売網における寡占化が自由な市場の操作につながる。そこで昨年からも、この砂糖がなくなるということは、主婦が騒ぎ回って走り回らなければならぬという状態は、つくられた状態ではないか。関西の大手の製菓会社、お菓子問屋に尋ねますと、お菓子屋が不自由をした例はないようであります。伝えられるところによりますと、中には、製菓会社に早目に手当てをしておきなさいという忠告もあったという話であります、どこからなされたということは明らかにしませんでしたけれども。  そこで私は、公正取引委員会として、この事態を看過できないことではないか。農林行政の点からいっても、このつくられた物価の引き上げ、それから買い占め等々に食糧問題がからむならば、これは暴動にもなりかねぬということを先ほど申し上げましたけれども、この事態は、砂糖に関しますメーカーの寡占、あるいは販売網の独占と、それからあらわれております糖価なり、あるいはお菓子の値段については、公取委員会として厳重な監視をし、あるいは調査等、今後の努力が必要だと考えますが、どういすように考えられますかということを承りたい。
  87. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 砂糖業界の寡占化とおっしゃいましたけれども、確かに商社がメーカーの株を持っているという事実はございます。大手商社で申しますと、三菱商事、三井物産、丸紅、伊藤忠、住友、日商岩井というのが、多いところでは製糖会社の株を一〇〇%持っているところもございますし、少ないところでは一・六%、いろいろございますけれども、特にそれによって現在寡占化が進行している、あるいは系列化が特別進行しているという事実はまだつかんでおりませんが、しかし、寡占の問題につきましては、独占体制下における価格形成のあり方というものについては、かねてから検討しておりますし、さらに、商社のいわゆる系列化の促進、流通支配のために系列化を促進していくという事態については、今後さらに検討をするということになっております。  それから、価格の点につきましては、これはカルテルがあるかどうかというようなことは、具体的事件にかかわる問題でございますので、申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、そういう点についても、これが違反事件になるかどうか、これは別にいたしまして、端緒として検討してまいりたいというふうに思っております。
  88. 吉田法晴

    吉田分科員 チョコレートの問題は……。
  89. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 チョコレートの問題も含めまして……。
  90. 湊徹郎

    ○湊主査 これにて吉田法晴君の質疑は終了いたしました。  次に、横路孝弘君。
  91. 横路孝弘

    横路分科員 北海道で昨年、新幹線農地買い占め事件というのが発覚をしたわけです。これは農地法違反の事実ですけれども、昨年の七月十三日に函館中央署が土地ブローカーを逮捕したことがきっかけになりまして、事件がどんどん広がって、この最終処分が本年の三月の四日に函館地方検察庁から発表されたわけですけれども、法務省のほうに、まず最初にこの事件の経過について御報告をお願いをしたい。
  92. 根來泰周

    根來説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のように、函館地方検察庁では、去年の七月から本年の一月にかけまして、御指摘の農地法違反の事件を函館中央署等から受理いたしまして、これを捜査して、処分したといういきさつでございます。
  93. 横路孝弘

    横路分科員 それは被疑者は、個人では何人、法人では幾つございますか。
  94. 根來泰周

    根來説明員 被疑者は全部で七十八名でございまして、法人はそのうち四社でございます。あとは個人でございます。
  95. 横路孝弘

    横路分科員 その処分は、どういうぐあいになりましたか。
  96. 根來泰周

    根來説明員 このうち二十名につきましては、略式請求で裁判所に起訴しております。それから五十八名につきましては、不起訴の処分をいたしております。
  97. 横路孝弘

    横路分科員 法人の関係はどうなっていますか。
  98. 根來泰周

    根來説明員 法人の関係は、一名を略式請求いたしまして、三名については、不起訴処分にいたしております。
  99. 横路孝弘

    横路分科員 そこで、私、いまお尋ねしたいのは、その不起訴処分、これはその中には、起訴猶予のもあれば、嫌疑不十分で落としたのもあるだろうというように思うわけでありますけれども、国土緑化株式会社というのがございますね。  これは、本社が東京の千代田区の二番町にございまして、昭和四十五年に設立をされた会社で、会社の責任者は岩佐陽一郎という人、取締役の中には永野重雄さんも入っておられるようでありますけれども、この国土緑化株式会社、これは農林省のほうにお尋ねしたいのですが、この場所は北海道の駒ケ岳のふもと一帯、大沼公園の周辺でございますけれども、この大沼一帯にどの程度の土地を全体として買ったのか、そのうち農地はどのくらいだったのか、お答えをいただきたいと思います。
  100. 大山一生

    ○大山政府委員 道庁のほうの報告によりますと、国土緑化株式会社が買いました土地、これは農家から直接買った土地は約十二ヘクタールでございます。そのうち農地が九ヘクタール、こういうことでございます。それからその会社が、といいますか、同会社が農家から直接売買の予約をしたということでございます。  それから次に、その会社が他の会社からいわば仮登記を譲り受けたもの、これが約二十五ヘクタール、うち農地が十四ヘクタールというふうに報告を受けております。
  101. 横路孝弘

    横路分科員 それは渡島管内の七飯町、それから大野町だけじゃないでしょうか、いまの数字は。ほかも全部含めていますか。
  102. 大山一生

    ○大山政府委員 七飯町関係でございます。
  103. 横路孝弘

    横路分科員 ここは七飯町ばかりじゃなくて、実はその周辺一帯、まだまだたくさん買っておるわけでありまして、全体で大体百万坪、こういわれておるわけでありますが、この国土緑化株式会社については、処分はどういうことになっておりますか、法務省。
  104. 根來泰周

    根來説明員 不起訴処分にしております。
  105. 横路孝弘

    横路分科員 その不起訴処分内容は、どういうことですか。起訴猶予ですか、嫌疑不十分ですか。
  106. 根來泰周

    根來説明員 国土緑化株式会社に関与している事件と申しますのは、農地法の九十四条に基づきまして、両罰規定で、国土緑化株式会社が被疑者ということで取り調べの対象となったわけでございますが、結局、この国土緑化の従業員が、農地を道知事の許可を受けないで買った、こういうことでございますけれども、この事実は二つの類型に分かれるわけでございまして、一つの類型は、起訴猶予ということでございまして、一つの類型は、犯罪の嫌疑が不十分、言いますならば、裁判所に提起するだけの証拠が不十分であった、こういう処分になっております。
  107. 横路孝弘

    横路分科員 その起訴猶予のほうの内容ですけれども、私のほうで聞いている範囲では、照井房次郎という人外十六名から買いました農地が、これは農地と非農地を合わせて、金額は大体七億程度の金額で、これは土地の範囲はどのくらいでしょうか、起訴猶予のほうは、面積は。
  108. 根來泰周

    根來説明員 函館地検からの報告によりますと、農地の面積は六十二万平方メートルということになっておりまして、非農地を合わせて大体六億七千万程度であるということになっております。
  109. 横路孝弘

    横路分科員 それが起訴猶予のほうですね。
  110. 根來泰周

    根來説明員 そうでございます。
  111. 横路孝弘

    横路分科員 つまり、起訴猶予というのは、犯罪の事実はあったけれども、いろいろな事情を考慮して起訴はしないという処分だと思うのですけれども、これはどういうことで起訴猶予にしたのか、その辺の事情をひとつ御説明を願いたい。
  112. 根來泰周

    根來説明員 ただいま御指摘のように、この事実は、証拠関係では犯罪というのは十分認められるけれども、起訴猶予にした事情と申しますと、一口に申し上げますと、結局、ただいま御指摘の国土緑化株式会社というのが、北海道地区で乳牛の飼育を目的とする牧畜業を営むという計画を立てました。ところが、この国土緑化株式会社は株式会社組織でございますので、農業生産法人の適格性を欠くということから、農業生産法人の設立を、一方では準備しておったわけでございますけれども、その設立までのつなぎということで、一応、その地区の農民の方々から、国土緑化株式会社が農地を買い受けまして、そして、生産法人が設立した暁には、知事の許可をもらって、生産法人のほうにその農地を提供するというような、言うなれば、一時つなぎの便法であったというような趣旨が認められましたので、そういうふうないろいろな事情を考慮いたしまして、起訴猶予処分に付したという報告を受けております。
  113. 横路孝弘

    横路分科員 その農業生産法人でありますけれども、これは登記は、みなみ北海道農事有限会社というのが昨年の六月十三日でしたか、一応仮登記になっているのですけれども、支庁の関係で、これはいつ申請があって、いつ許可したのか、その辺の事実経過を、農林省のほうでどうですか。
  114. 大山一生

    ○大山政府委員 道庁からの報告によりますと、申請の日にちはわかりませんけれども……。(横路分科員「受付」と呼ぶ)ちょっと受付の日はわかりませんけれども、許可の日は、四十八年十一月二十九日になっております。
  115. 横路孝弘

    横路分科員 これは申請は四十八年九月二十八日です。つまり、事件が明るみに出てからあとなんです。そして受付は十一月十四日で、許可のほうが十一月二十九日ですね。つまり、これはごまかしなんですよ。  このみなみ北海道農事有限会社というのは、登記を見てみますと、全部、幹部は国土緑化株式会社の幹部です。たとえば取締役の小山田日出夫という人がいますが、これは国土緑化のほうの函館支店長になっていますし、嵐健治、横内伝造、みんなそうなんです。  法務省のほうにちょっとお尋ねしたいのですが、警察が内偵を始めたのはいつごろからですか。
  116. 根來泰周

    根來説明員 警察が内偵した時期はつまびらかでございません。
  117. 横路孝弘

    横路分科員 新聞の報道によると、春からということになっておるわけです。そして、最初に逮捕したのは七月の十三日ということになっていますね。このみなみ北海道農事有限会社を中心として生産法人をつくったのは、ですから事件が発覚したあとなんですよ。何でこんなものを認可したのですか。犯罪隠蔽に、私は、これは行政機関が手をかしたことになると思うのです。
  118. 大山一生

    ○大山政府委員 生産法人、これは法律の目的から申し上げましても、一定の要件を満たしている場合には、これを認めて、そして規模の拡大といいますか、こういうことに寄与するということで、農地法上できているわけでございますけれども、要件がございまして、一つは、事業に関する要件といたしまして、農業、あるいはこれに付帯する業務に限る。それから、構成員につきましては、すべてその法人に、農地等の所有権あるいは使用貸借権を移転し、あるいは設定しているものか、あるいはその法人の常時従事者である。それから、役員については、役員の過半数がその法人に使用収益権を移転したものであり、かつ、その法人の常時従事者であること、こういうふうな要件があるわけでございまして、道庁の報告によりますれば、この条件に該当しているということで許可したというふうに、報告を受けております。
  119. 横路孝弘

    横路分科員 実は、この問題で処分を受けた人の中で、告発といいますか、非常に内容に不満であるということで、警察なり何なりに書類を提出している人がいるわけです。  それはどういうことかといいますと、七飯町のこの大量の農地買い占めは、非常にうやむやに処理されてしまった。結果的に、政治的配慮をしたのではないかというようなことで、るるいろいろ述べているわけでありますが、私のほうで調べてみると、やはりこれは簡単な問題じゃない、実は、バックにいろいろ大きな問題があるわけであります。  法務省のほうにお尋ねをいたしますけれども、この国土緑化が、これだけの大きな資金を用意をして土地を買うということは、そんな資金力もないわけでありまして、このバックについては、捜査されたのか、されなかったのか、それはどうですか。
  120. 根來泰周

    根來説明員 函館地検からの報告によりますと、そういう資金の出所等についても捜査いたしたと聞いております。
  121. 横路孝弘

    横路分科員 その捜査の内容は、どういうことですか。どういう事実が明らかにされましたか。
  122. 根來泰周

    根來説明員 ある銀行から融資を受けたというふうに報告を受けております。
  123. 横路孝弘

    横路分科員 銀行が融資するにあたって、そのある銀行だけではなくて、いろいろな大手の商社が関与しているでしょう。その点については、どうですか。
  124. 根來泰周

    根來説明員 そういう事実もあったと聞いております。
  125. 横路孝弘

    横路分科員 ところが、この事件では、その辺のところは、全然これは被疑者にはなってないわけですね。私のほうで調べた範囲では、その大手の商社というのは、三菱商事であります。銀行というのは、三菱信託銀行です。三菱商事と、これの開発部門を担当している三菱開発株式会社、これが国土緑化株式会社と四十七年の十二月二十八日に、北海道南部大沼地区の開発に関する基本協定書及び覚書及びそれに基づく金銭消費貸借契約書というのを締結をしているわけですけれども、その事実について、法務省のほうは御存じでしょうか。
  126. 根來泰周

    根來説明員 先生の御指摘の資料と検察庁が証拠物ということで所持しておった物件とは、同一であるかどうかはつまびらかでございませんけれども、大体御指摘のような事実関係は、検察庁としては把握しておったようでございます。
  127. 横路孝弘

    横路分科員 そこで私、一つふしぎに思うのは、これらの契約書を見てみると、三菱商事と三菱開発株式会社は、この国土緑化株式会社に対して二十億の貸し付けをしているわけであります。ところが、この貸し付けには利子を付さない。そして、その貸し付けの内容は、いま事件として問題になった土地を買うことと、売買代金として約二十億の金を貸し付けるということになっているわけであります。  三菱開発株式会社の会社の目的を見ると、先ほど皆さん方がお話しになりました、つまり起訴猶予にした理由は何か、それは農業生産法人で肉牛を買うのだ、こういうことであります。ところが、金を渡しているほうとの間の契約書そのほか覚書を見ると、あるいはその金銭消費貸借契約書を見ると、全然そんなことではなくて、これはむしろホームステッド計画といいますか、健康都市づくりといいますか、牧場や農場を持った別荘地づくりなんですね。これは駒ケ岳という山のふもと、大沼公園のそばでありまして、非常にながめがいい、そこに牛を少し放した牧場や農場も持った別荘地をつくって、そして新幹線でふあっとやって来よう、こういう計画になっているわけですよ。  そうすると、この農業生産法人というのは、全くのカモフラージュ、つまり事件が発覚してからあとでこういうものをでっち上げているわけです。そして、そのでっち上げたほうの目的は肉牛だ、こういっているわけであります。ところが、その会社が、三菱そのほかの、これはダミーですけれども、そちらのほうからの契約書そのほかを見ると、そうではなくて、観光開発なんですね。これは大体この三菱開発株式会社の定款を見たって、この目的のところを見てみると、やることは何かといえば、都市開発観光開発と不動産売買、こういうことになっているのですよ。  だから、そこのところを私はもうちょっとはっきりさせてもらいたい。つまり、当然この三菱商事なり三菱開発なり、あるいは、それを承知して金を貨した三菱信託なりも、これはやはり共犯関係を構成しませんか。この辺はどうでしょうか。
  128. 根來泰周

    根來説明員 御指摘の点についても、現地に問い合わせましたところ、つまびらかな点は申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いろいろ証拠的に無理な点があるというようなことで立件に至らなかった、こういうふうに聞いております。
  129. 横路孝弘

    横路分科員 いま私ども指摘をした四十七年十二月二十八日付の書類、これは同じかどうかわからない、こういうお話でございました。では法務省のほうでというわけにはいきません。まさか指揮権を発動させよということを求めるわけにはいかぬが、皆さんのほうで、最高検のほうに、もうちょっとその関係の事実関係を、いま私が指摘をいたしました基本協定書、覚書並びに金銭消費貸借契約書といわれるものについて調べられて——この会社の目的からいっても、これは観光開発なんですよ。そして、土地の売買代金として渡しているわけです。だから利息はつけてないわけです。利息をつけない売買代金として渡したということなら、これはダミーとして使ったということですね。そして、そのダミーの国土緑化のほうは起訴猶予処分にしている。そうすると、少なくとも、その起訴猶予になったというのは何かというと、先ほどお話ししたように、農業生産法人なるものをでっち上げた。事件が発覚したあとでもってでっち上げて、そしてそれを渡島支庁が認めてしまった。行政のほうで認めてしまったということで、先ほどの法務省のほうの御答弁のように起訴猶予処分、こういうことであります。ですから、この背景を調べれば、一番大もとで動かしたものは、三菱商事であり三菱開発であり、さらに、そのことを承知をして金を貸した三菱信託銀行だと思うのですね。  ですから、その法務省のほうで持っている証拠と一緒かどうかわからないというお話でありましたから、その辺のところをもうちょっと確認をされて、最高検のほうと打ち合わせをしてもらいたいと思うのですが、これは全然被疑者にも何にもなってないわけですよ。どうですか、法務省。
  130. 根來泰周

    根來説明員 先ほど申し上げましたように、函館地検では、この事件については最終処分を終えておるわけでございます。そして、その最終処分をしたときの判断の資料になったものはどういうものであったか、あるいは、さらにどういう判断のもとにしたかというつまびらかな点は、私ども存じておりませんけれども、ただいま先生の御指摘のあった事実関係並びに意見については、最高検のほうに申し伝えたい、こういうふうに思いますので、御了解をいただきたいと思います。
  131. 横路孝弘

    横路分科員 ともかく、三菱商事の関係と三菱開発の関係、三菱信託銀行の関係は、これは被疑者にはなってないわけですよ。だから、何も処分対象になっていないわけでありますから、これからやろうと思えば、これまたやれるわけであります。その辺をぜひやってもらいたいというように思いますので、ひとつお調べを願って、御報告を願いたいと思います。  それともう一つ農林省のほうでありますけれども、時間がありませんので、いま私のほうでお話を申し上げたように、この四十七年の十二月十八日に北海道南部大沼地区の開発に関する基本協定書、覚書、金銭消費貸借契約書というのを締結したわけです。これらの書類を見ると、いまつくられている農業生産法人なるものは、全く当初の趣旨と違う。つまり証拠隠滅のものとしてつくられたと私は断定せざるを得ないわけであります。  そこでこれは農林大臣のほうにそれらの基本協定書並びに覚書、金銭消費貸借契約書というものを各企業から提出を求めて、それを皆さんのほうで検討されて、この農業生産法人について、もう一度検討してもらいたい。ともかくあの一帯、観光開発に非常に適しているということで、もうめちゃくちゃになっているんですよ。新幹線が北海道を通るということを決定されて、もうあちらでもこちらでも農業委員会の関係の事件が、登記所も巻き込んで、贈収賄事件から農地法違反事件から、たくさん起きているのが、いまの北海道の南部一帯の現状なんですよ。ですから、ぜひ農林大臣のほうでその辺のところを皆さんとして確かめられて、そして御報告を願いたいというように考えますけれども農林大臣、いかがですか。
  132. 大山一生

    ○大山政府委員 現在、道のほうからの報告によりますと、生産法人としての適格性は欠けてない、つまり生産法人としての形式的要件において何ら欠けるところはない、こういう報告が来ているわけでございます。  なお、検討はいたしますけれども、生産法人につきましては、いわば条件というのが非常に厳格でございます。したがって、将来その資格が欠けてくるというようなことになりますと、農地法に基づいてまた告示をし、そして要件を回復させ、できない場合においては返還させるなり、あるいは買収という措置を講ずることになっておりますので、今後とも、この生産法人の要件についての監督は十分にしてまいりたい、こういうふうに考えるわけであります。
  133. 横路孝弘

    横路分科員 ですから、その生産法人がつくられた背景を私、皆さま方にお話ししたわけですよ。三菱商事と三菱開発と国土緑化株式会社、そしてその国土緑化株式会社がつくったのが、いまあなたがお答えになっている生産法人なんです。そしてその大もとの計画はホームステッド計画ということで、この生産法人は肉牛ということでしょう。ところが、最初は違うんですよ。三社の間の契約の内容は、健康都市づくりというようなことで、農場も持ち、牧場も持ち、結局は、何かといったら別荘地なんです。分譲地なんです。だから、そこら辺のところは、皆さんのほうで三菱商事、三菱開発と当たって、その基本協定書並びに覚書並びに金銭消費貸借契約書というものをごらんになれば一目瞭然でわかりますから、それをまず皆さん方のほうで取り寄せられて検討してください。そして報告をしてください。そのことを私、求めているわけであります。
  134. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 最近、農外資本で土地を取得される傾向があるようでありますが、ところによりましては、このような情勢は、農業の健全な発展にも多大の影響を及ぼすことでございますので、私どもといたしましては、農林地に対する権利取得等に関する情報をなるべく早く、的確につかむように努力しておるのでありますが、私どもとしては、やはり優良農地はどこまでも確保して生産を進めていかなければならないという立場で、いまのお話は初めて承ったことでありますので、十分調査してみたいと思います。
  135. 横路孝弘

    横路分科員 報告してくださいね。よろしいですか。
  136. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 わかりましたら、お知らせをいたします。
  137. 横路孝弘

    横路分科員 もう一つ、大蔵省の方、来られていますか。——その金銭消費貸借契約書の中にこういう項目があるわけです。「三菱商事株式会社及び三菱開発株式会社が三菱信託銀行との間に締結する特定金銭信託契約に基き、三菱信託銀行と国土緑化株式会社との間に貸付契約が締結されたときは、国土緑化株式会社はその借入金を以って本貸付金を返済するものとする」こういう契約があるのです。この特定金銭信託契約、これは私のほうで前に銀行局のほうにお尋ねしましたら、それはできるだけしないようにという内部指導を行なっているというお話がございましたけれども、これはどういうことなんでしょうか。
  138. 清水汪

    ○清水説明員 ただいま先生の御指摘になりました点につきましては、つい最近、銀行局のほうからその種の御説明をしたように私、聞いております。  その意味につきまして、ちょっと補足させていただきたいのでございますが、特定金銭信託につきましては、特にそれが方法として不都合があるとか、制度として問題があるからという意味で問題になっているわけではございません。これは信託銀行の各種の受託業務の中の一つとして位置づけられております。ただ、これはややこまかいことになって恐縮でございますが、たとえば貸付信託とか、いわゆる合同運用の普通の指定金銭信託でございますと、その配当率という、まあ預金でいえば利子に当たるものでございますが、これにつきまして、ある程度の金利体系上の位置づけを与えまして、全体の金融秩序の維持がはかられているということでございますが、この特定金銭信託とか、あるいは指定単独金銭信託もございますが、これらにつきましては、そういう金利体系上の位置づけが必ずしもできるというような性格のものでございません。したがいまして、場合によりましては、金融機関の競争の一つの道具になりやすくて、したがって、高い利回りのものでこの特定金銭信託を利用する、そして資金吸収をはかるというようなことが起きがちでございますので、私どものほうは、過去、長きにわたりまして、こういうものは、あまりそういうふうに業容拡大のために、高い利回りで募集するというようなことは慎むように、そういう意味で、主として金融秩序の観点から、節度をもってやるようにという指導はいたしてございます。
  139. 横路孝弘

    横路分科員 特にこの場合問題なのは、この契約書の中に出てくるわけでありますから、信託銀行のほうも、もちろん当然承知をしてやったわけであります。しかも、その資金は、農地を買うのに使われる。刑事事件にまで発展をして、農地法違反ということで、先ほどお聞きになっていたような処分者を出しているわけでありますから、これはひとつ、三菱信託銀行のほうにこの契約の内容——つまりやはり何をやっても、ともかく銀行だけはこういうことをやってもうけておるわけですよ。そんな意味では、この間の事情を、大蔵省の立場でひとつお調べ願って、これもまた御報告を願いたいというように思いますけれども、よろしゅうございますか。
  140. 清水汪

    ○清水説明員 御要求の点につきましては、銀行につきまして、もちろん調査をいたします。  ただ、私どものほうが調査いたします観点は、どうしても銀行の融資、あるいはいま信託でございますから、信託の管理者の立場としての運用の問題として調査はいたしたいと思います。  それから、なお補足させていただきますが、一般に土地に関する金融機関の融資につきましては、御案内かと思いますが、昨年来、全体としての抑制もやっておりまして、さらに、最近では、その実績につきまして追跡調査もいたしておるところでございます。
  141. 横路孝弘

    横路分科員 この契約は四十七年の十二月で、たしかあれが出たのは四十八年の一月三十日くらいだったと思うのでありますけれども、いずれにしても、この資金が、現実の問題としてたくさんの刑事事件を生んでいるわけです。その辺のところを、いま銀行の融資の問題についてもいろいろと問題にされている現状であるだけに、ひとつ、この間の経緯と内容について調査されて報告をしてもらいたい、よろしゅうございますね。——では、時間が来たようでありますから、終わります。
  142. 湊徹郎

    ○湊主査 これにて横路孝弘君の質疑は終了いたしました。  この際、午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  143. 湊徹郎

    ○湊主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。東中光雄君。
  144. 東中光雄

    東中分科員 私はきょうは中央競馬会のことについてお聞きしたいと思うのでありますが、わが党としましてはギャンブルを肯定する立場ではございません。しかし、いま直ちに一切の競馬を中止せいというふうに言うのも適切ではないと思っています。御承知のように、東京、大阪では市長がギャンブルを廃止するということを言った場合には、これを積極的に支持して実現のために努力しておるわけでありますが、わが党の競馬に対する当面の方針としては、現在起こっているさまざまの否定的なあるいは不健全な諸問題、たとえば競馬のために家庭不和が起こらないようにすることとか、周辺住民の被害、競馬公害をなくするとか、あるいは暴力団との結びつきを断ち切り、八百長その他を一掃する処置を講じながら、競馬存廃の具体的な決定は、自治体がその実情や住民の意思を入れて自主的にきめていくべきものだ、こう思っておるわけでありますが、中央競馬につきましてはずいぶんいろいろ問題があると思っています。それで将来はギャンブル性を伴わぬような健全なスポーツとして発展させる方向をとって、競走力のある馬をつくって、その実力を馬場で競い合う、そういう競馬自体はこれは否定する必要はないと思っていますが、こういう立場でいまの中央競馬会の状態を見てみまして、私は非常に矛盾が集中しているように思うわけであります。  それで最近の競馬の状態でいえば、一レースで馬券の売り上げ、勝ち馬投票券の売り上げが百億円をこすのもあるようでありますし、昭和三十五年の一年間の売り上げが二百九十一億円であったものが、昭和四十七年の決算を見ますと四千九百四十六億円まで上がっています。四十八年度の予算では六千二百二十三億円、四十九年度は六千六百四十九億、これはどんどん急上昇をしておるわけでありますが、こうしたいわゆる勝ち馬投票券の投票の規模がどういうふうになると見通しを持っていらっしゃるのか。四十九年度の見通しでは昨年よりも約四百億余りふえるという見通しでありますが、その点をまずお聞きしたいと思います。
  145. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいま御指摘がございましたように、最近競馬ファンの数も非常にふえておりまして、売り上げも年々増大しておるわけでございますが、われわれ最近の傾向を見てみますと、約二割ずつくらい売り上げがふえている状況でございますので、このような傾向がなおしばらく続くのではないかというように見ております。
  146. 東中光雄

    東中分科員 二割ずつの上昇ということになればずいぶん額が大きくなっていくわけでありますが、ギャンブル収入になるわけですけれども、そのうち大部分が庶民の投票といいますか、馬券の買い入れといいますか、庶民の金であります。その二五%が払い戻し返還金のほかに使われておる。一〇%が国庫納付金であり、中央競馬関係費が一五%になっているわけですけれども、上がってくれば上がってくるほど中央競馬関係の収入がそれに比例して上がってまいります。  年間剰余金は四十九年度ではどれくらいを予想されておるのですか。
  147. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 おおむね九百億前後ではないかというふうに推定をいたしております。
  148. 東中光雄

    東中分科員 中央競馬会でその剰余金を、これは残しておくということになりますが、どれくらいの金を特別積み立て金として残しておられるわけですか。
  149. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 いまのお答えをいたします前に、先ほどお答えしたことで九百億と申しましたが、剰余金は四百億でございます。四十八年度の推定が四百億でございますので、訂正をさせていただきたいと思います。  なお剰余金の二分の一は特別積み立て金として積み立てるということになっておりますが、積み立て金は現在までに七百九億円——四十七年度末でございますが、七百九億円になっております。
  150. 東中光雄

    東中分科員 四十七年末ですか。
  151. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 四十七年度末です。
  152. 東中光雄

    東中分科員 四十八年度がさらに二百億くらいになるという推定をやられておるわけですから、農林省からいただいた資料ではもう年度が済んだわけでありますけれども、二百八億九千万円という推定をされておりますので、そうすると、すでに九百億になるわけですね。  特別積み立て金というのは目的を持った積み立て金ですか。何のための積み立て金なんでしょう。
  153. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 資本準備金的な性格のものでございます。
  154. 東中光雄

    東中分科員 競馬は法律で十二カ所ときまっているわけで、全額国の資金、約四十九億で、競馬場はもうきまっているわけです。九百億といえば大金ですし、先ほど言われた二割ずつの上昇率ということになっていけば、来年は千百億をこす、千二百億近くになる。その次は千五百億ぐらいになる。こういうテンポになるわけですね。競馬の施設は初めから法定されてきまっておって、資本準備金といってもまさに要らぬ金になるわけですね。具体的な目的は何にもない金が中央競馬会にどんどん蓄積されていく。こういう中で、これもギャンブルのいわばテラ銭が中央競馬会という特殊法人の中でどんどんためられていく。このままでいいのかどうか。これはいまの体制自体を検討し直さなければいかぬ、そういう時期に来ているんじゃないか。少なくともいままでの体系からいってもそういうふうに思うわけですが、施設は同じ施設であって、三十五年と現在と比べて実に二十倍以上の収入増になっているわけですね。こういう事態でありますが、農林大臣、これは直接、農林大臣がいろいろ任命をされ、認可をされるわけですから、どうお考えでしょうか。
  155. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私の聞いたところでは開催費の助成それから施設の整備、そういうところの準備にしておる、こういうふうに聞いております。
  156. 東中光雄

    東中分科員 大臣、事業実施の状態を見ますと、競馬場のスタンドの改修とか、あるいはトレーニングセンターの建設とかいうのが事業計画を見るとあります。大体これもずいぶん不必要なことをやっていらっしゃるのじゃないか、あまりにもぜいたく過ぎるのじゃないかという非難がいろいろ出ていますけれども、それを使っておる範囲というのは、私のいただいておる資料でいけば、工事関係でいえば、四十八年度約三十億余りですね。それから四十七年度は十億足らずであります。その一方では二百億、さらに次は二百数十億というふうに、これは剰余金なんです。開催の経費は全部落として、それ自体に問題はありますけれども、そのほかに剰余金としてそれだけ金が残っていくという事態なんですよ。これは普通の国民の感覚から見たら全く異常な事態、ちょうどそれと同額が第二国庫納付金という形で入っていくということになっているわけです。いま言われたのは、事業計画からいってもとてもじゃないが、それじゃ説明にならないと思うのですけれども、検討し直されるというようなことはお考えでございませんか。とにかくためておくということですか。
  157. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいま施設の整備に二十数億というお話でございます。四十八年度予算におきましても二百二十九億くらいの営繕費を予算で組んでおりますが、施設の整備には年々多額の経費を使っておりますので、そのような財源としても特別積立金を使っておるわけであります。
  158. 東中光雄

    東中分科員 では、その二百何億というのはどこに使っているのですか。
  159. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 厩舎、スタンド等の施設の整備に使っております。
  160. 東中光雄

    東中分科員 競馬会がスタンドを変えたと思ったら、もうじきまた建設し直す、あるいは厩舎にしても、いまつくられつつあるという厩舎の場合は、美浦トレセン、一馬房一千万以上にもつく。予算からいえば、そうなりますね。競馬場がふえるのじゃないのです。既設の競馬場の保存だけなんですね。そうすると、剰余金、特別積立金をそういうところへ全部使っていっている、こういうことになるわけですか。
  161. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 先ほどもお答えしましたように、競馬ファンが非常に増大しておりますし、それに伴いましてファンサービスという意味からも施設の整備には努力をしなければならないと思います。そういう意味で、ただいまお話のございました特別積立金につきましても主として施設の整備に使っておるという現状でございます。
  162. 東中光雄

    東中分科員 日本中央競馬会定款によりますと、剰余金は「すべてこれを特別積立金として積立てるものとする。」こうなっております。たとえば四十七年度の決算を見たら、日本中央競馬会剰余金処分計算書、当期末処分利益余剰金ということで当期純利益が二百五十九億六千万何がし、こうなっている。それが七百億円になっている。今度の決算が終われば九百億になる。それを今度はどんどんそういう建築費なんかに使っていく。また、たとえば理事の入る部屋はわざわざじゅうたんを敷くとか、何かそういうことも伝えられている。中央競馬会というのは全く妙な方向へ行っている。競馬ファンがふえてギャンブルのテラ銭がばく大な金になって、そういう方向に使われているということについて、これは検討し直す必要があるのじゃないですか。
  163. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 損益計算上剰余金が出た場合、それを積み立てるわけでございますが、それを固定資産に使うということは特に禁止されているわけでもございませんので、そのような形でファンサービスという意味の、主として競馬関係の各種の施設の整備をしているわけでございますので、特に問題はないというふうに考えております。
  164. 東中光雄

    東中分科員 昭和三十五年段階でやっておった競馬もいまの競馬も同じ競馬場なんですね。施設は法律上きまっている十二で、変わっていないわけです。ところが剰余金というのはものすごくふえている。これが違法だと私はいま言っているのじゃないのです。改修費が二十数倍にふえていく、こういうことでいいのかどうか。一方では家庭不和が起こる、そうして投入をしたその金をそういう方向で、ふえればふえるだけ使っていくという形になっていることが問題だということを言っておるわけであります。  もう一つ、同じ問題に基因するわけでありますけれども、賞金の問題があります。時間がないので急ぎますが、昭和三十五年当時の賞金は約十二億円だった。昭和四十五年になるとすでに百六十七億円に上がっておる。ところがそれから今日までわずか四年でありますけれども、四十九年度の予算では三百九十五億七千二百九十八万円。出走馬一頭当たりでいいますと、昭和四十五年で四百二十三万四千円であった。ところが今度の四十九年度の予算で計算をしてみますと、それが九百八十九万円。これも昭和三十五年と比べますと、三十四倍に上がっているわけです。こういうふうに上がることによって競走馬についての投機が始まり出した。大商社が入っていくというふうな事態になっている。これについて農林省としては、このままやはり馬主協会と中央競馬会との間の取りきめに基づいて、大体同じ率で上昇さしていくというお考えなのかどうか、これをお聞きしたい。
  165. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 中央競馬会におきます賞金の額につきましては、昭和三十三年ごろ中央競馬会と馬主協会との間の取りきめがございまして、売り上げ高の六%ということになっておりますが、その後売り上げ高の増加に伴いまして、できるだけ賞金の総額の率を適正にするということでいろいろ検討を加え、現在は三・九五%ぐらいになっております。現在の賞金の体系につきましては、金額の問題、あるいは本賞のほかにいろいろな賞がありまして、複雑な体系になっておりまして、賞金という点から見て明確でないというような内容もございますので、現在農林大臣の私的な諮問機関として競馬懇談会というのを設けまして、競馬会般の問題につきまして、基本的な事項について調査検討をわずらわしております。さらに専門委員会をつくりまして、現在具体的な問題を詰めておりますけれども、そういう中におきましてもこの賞金問題につきまして種々検討をしていただいておりますので、その検討を待ちまして適正な賞金体系を確立するようにしてまいりたいと思っています。
  166. 東中光雄

    東中分科員 いま言われた懇談会ですが、ここが中間報告を出しているわけですけれども、そこで指摘しておるのを見れば、四十五年度の出走馬一頭当たりの賞金額が四百二十三万四千円だ。これは諸外国と比べても高い。これが競馬の運営上、公正確保という点から見ても好ましくないし、生産馬価格の全体をつり上げていくという点からいっても好ましくないということをはっきり書いておるわけですね。検討中でなくて好ましくないと書いてある。それが一頭当たり四百二十三万。ところが今度の予算を分析してみれば九百八十九万、倍以上にふえるわけです。諮問機関の検討をわずらわしておるといって、中間的に出ている結論からいって、さらにそれが倍以上にもなっている。そういう中でいま言ったような輸入馬がふえる。そういう中で中小の生産者が非常な圧迫を受ける、こういう事態になっている。この四十九年度の予算は、いまあなたの言われたそういう農林大臣の諮問機関の報告の趣旨から言っても、四十五年度でさえすでに好ましくないとはっきり言っておるものを、倍以上にもしておるということについては、一体どう考えているのですか。
  167. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 賞金額は四十八年は二百六十億という決算額になっておるわけでございますが、四十九年度は三百五十九億の予算を計上しておるわけでございます。それで、ただいま御指摘のございました懇談会の中間答申が出ました。四十八年の三月に中間報告が出まして、ただいま賞金問題につきましても御指摘があるわけでございますが、それを受けまして、現在他の問題とあわせまして、専門委員会におきまして個別に順次各事項について検討をいたしておりますので、その検討の結果を待って、先ほど申しましたように、賞金の体系の是正をはかってまいりたいというように考えております。
  168. 東中光雄

    東中分科員 私の言っているのは、検討中だからといって中間答申で指摘している一頭当たり四百二十三万という分を四十九年度の予算では九百八十九万に上げているじゃないかということを言っているのですよ。検討中だから上げないでそのままにしています、下げることはしていませんというならわかるけれども、現に好ましくないと言っていることについて倍に上がっているじゃないか。計算してごらんなさい、出走馬四千頭ですから、三百九十五億七千二百九十八万を四千で割ったら九百八十九万じゃないですか。中間報告で指摘しているのは四百二十三万でも世界で例がないほど高いと言っているじゃないですか。
  169. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 四十五年との比較で言っておられるのかと思いますが、四十五年は決算額におきまして百九十六億、四十九年が三百五十九億ということで、総額におきまして二倍まではいっておりませんが、上がっておるわけでございますが、一般物価の上昇ということもありますので、現在検討中であります専門委員会の結論を待って、全体の体系は適正にしてまいりたいと思っております。四十九年度はまだ検討の結果が終わっておりませんので、そのような予算になっているわけであります。
  170. 東中光雄

    東中分科員 一頭当たりのことを言っているのですよ。中間報告には一頭当たりについて四十五年で四百二十三万だ、これは「諸外国の実例に比しても著しく均衡を失している」と言っているのですよ。その著しく均衡を失しているのに対して、同じ一頭当たりで計算すれば、四十九年度は九百八十九万にもなっている。これが投機を呼んでいるという事態で、一体農林省は専門委員会で検討していると言うけれども農林大臣の諮問機関が答申してきたことについて全く無視しているじゃないですか。
  171. 三井嗣郎

    ○三井説明員 ただいまの件につきまして補足して御説明させていただきます。  競馬賞金額そのものにつきましては、ただいまの先生の御指摘ございました二倍という数字につきましては、若干私どもの四十五年との対比計算、計算のしかたもございましょうけれども、まあ二倍まで達してないように思いますけれども、私どもの競馬懇談会で指摘いたしておりますことは、賞金の水準の問題につきましても全般として六%というような売り上げ額との相関による方式、これがいろいろ検討を要するということと、いわゆる賞金の姿と申しますか、特に賞金のいわば最低賞金、初めて出走した馬なりまだ勝っていない馬などの賞金などを最低賞金といわば考えまして、これらにつきましてあまり上がるというようなことは問題がある。こういうような考え方を背景にいたしまして中間報告が行なわれているというふうに理解いたしております。したがいまして、全般といたしまして、賞金額そのものは馬主だけではございませんで、厩舎関係者の生活などもこれに関連をいたしておりますし、私どもといたしましては賞金そのものはそういう関係の方々の生活の問題と、それからいまひとつは賞金の——なるべく優秀な馬というような観点もございまして、競走馬のいわば育成とかそういうコストも上がっております。この辺も勘案いたしまして、諸般の物価その他等も勘案いたしますと、水準そのものにつきましては……(東中分科員「そんなことは聞いておらぬ、時間をとることばかり言うな」と呼ぶ)内容をいろいろ検討していく必要がある、こういう考え方もございまして、なお技術的な問題につきまして十分今後専門委員会で検討してまいりたい、こういうことを考えている次第でございます。
  172. 東中光雄

    東中分科員 あなたはかってなことを言ってはいかぬですよ。中間報告自体そんなことは書いてないじゃないですか。賞金体系をどうするかということを言っているのじゃなくて、ここでは一頭当たりの額が四百二十三万で高過ぎる。著しく均衡を失する状態になっておるということを言っているわけでしょう。それがさらにふえている。現に馬の投機がふえている。外国からの輸入も自由化になってから投機がどんどんふえている。馬が多くなり過ぎてしかたがない状態が起こっているじゃないですか。厩舎で馬が入らないということで問題になっているのはたくさんあるわけです。  時間がありませんから、いま中央競馬会を相手に、昨年の十二月鈴木俊二という家畜商の方が裁判を起こしている事件があります。鈴木氏のこの訴訟の中での個々の具体的なことをいまここでやるのは、裁判所と違いますから適切でないと思いますけれども、この鈴木氏が五年間家畜商をやっておって、そして早急に入厩させなければならない競争馬十一頭、入厩さすことができないという事態が起こっている。これは動かしがたい事実ですね。こういう事態が起こっているのは、馬がうんと多くなった、厩舎が少なくなった、需給関係が変わってきたというところから起こっておることは、これはもう間違いない事実であります。そういう中で調教師が厩舎を独占しているという制度がいまとられています。調教師が入厩権を独占している状態で、中小生産者や小さな馬主たちは調教師に金を払わなければ、やみ金を渡さなければ預託契約ができない、入厩ができない、したがって出場ができない、こういう事態になっている。ずいぶんこれは競馬界では大きな問題になっています。それで、こういう預託契約をするについて入厩権利金をとること自体を農林省としては認めておられるのかおられないのか、まずその点をお聞きしたいと思います。
  173. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 調教師がその地位を利用しまして競争馬の預託を受ける場合、入厩権利金のようなものを取っておるといううわさがございまして、われわれとしても調査をしておるわけでございますが、なかなか事柄の性質上、現在そのような事実が確実にあったかどうかというところまで、私のほうでも具体的な事実は明らかにし得ない状況でございますが、いずれにいたしましても、そのような権利金のようなものを取るということは不当でございますので、農林省といたしましては、中央競馬会等を指導いたしまして、そういうことのないように予防的な措置も厳にとるように指導しておるところであります。
  174. 東中光雄

    東中分科員 もしそういうことがあれば、現に取っている分ですが、これは返還させるというふうに指導、処置される考えですか。あるいはもう取ってしまったやつはそのままでよろしいという考えですか。どうでしょう。
  175. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 私どもは、現在取っておるという事態をまだ把握しておりませんので、その内容がもしわかりますれば、そのときにどのような措置をとるかは十分検討したいと思います。
  176. 東中光雄

    東中分科員 取ってはいかぬことを不当に取っておるということはお認めになる。しかし、もしそういうことがあれば返させるように指導するという態度はとらない、まだそこまではきめていない、こういううやむやにしたような態度で臨んでいらっしゃるということになるわけですか。当然不当だということがはっきりすれば、返すか返さぬかは別として、農林省の態度としては返させるようにするということになるんじゃないですか。どうなんでしょう。
  177. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 私もやや歯切れの悪い答弁をしておりますけれども、実態をよく見きわめましてから、方向としては先生のおっしゃるようなことで指導すべきだと思いますが、具体的な実態は把握しておりませんので、具体的なことを申し上げるのを差し控えたわけでございます。
  178. 東中光雄

    東中分科員 返還させるような方向でやるべきだと思うということでありますが、ところが、いま調査はしているけれども事実がつかめないという趣旨のことを言われている。うわさがあるということを言われている。うわさでなくて実際にあるということで、いまここに資料を持ってきています。ずいぶん、関西、栗東関係で大体最近では一頭当たり五十万から百万になった。関東のほうは、私直接調査をしておりませんけれども、大石武一さんが会長をやっていらっしゃる日本軽種馬協会のあの機関紙を見ても、百万から二百万というふうにうわさされておるというふうに書かれていますが、これは事柄の性質上、農林省、競馬会としては、不当だといわれておる金を、それでも払わなければいかぬ、取られている人からいえばですよ。これは調教を調教師に頼んでおるわけですから。そうして預託金以外のものを取ったらいかぬのに、わかっておって出さざるを得ぬという非常に弱い立場にいまいるわけですね。だから、頼んでおる馬についてこれだけ出しましたということを発表できないことは明白ですよ。それを言うたら元も子もなくなるわけですから。だから調査をするといっても言えないわけですね。もともとこういうやみ金というか不当な金というのは証拠を残すような形ではやらない。現にそうなっていない。事実はあっても言えないという立場にある。しかも不当だということをいわれておる。これに対してどういう調査をされて、どういうふうに対処しようとされておるのか。私の計算では、大体四千頭の馬があって、かりに四分の一の一千頭が——これは大きな牧場とかそれから財界とか政界の有力者がバックにいるとかそういうのは取りませんからね。やられるのは中小ばかりですから。だから、四分の一と見ても百万と踏めば、年間一頭当たり百万とすれば年間十億になるわけですね。それだけほんのわずかな零細な生産者なんかがやみ金を取られておるということになるわけです。これは吐き出さすということが非常に重要、なことだと思うのですが、うわさだといわれているけれども調査をしていると言われるけれども、どういう調査をされているのですか。
  179. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 中央競馬会並びにわれわれの畜産局の担当の課のほうで現地におもむきまして、厩舎の関係者からいろいろ調査をしておるわけでございますが、確かに先生おっしゃいましたように、事の性質上なかなかほんとうのことを言ってもらえないということもございまして、現在のところ具体的な事実を明らかにする段階に至っておらないのは非常に残念だと思いますが、さらに実情把握につきまして調査を進めまして、もしそういうことがありますれば、公共施設を借りておって権利金を取るということは絶対許しがたいことでございますので、中央競馬会が調教師の免許試験を毎年一年更新でやっておりますので、そういう機会、あるいは馬房の貸し付け等につきましてそういう事実が明らかになれば、制裁的な措置を講ずる。更新を認めないとかあるいは貸し付け馬房数を減らすとか、実情に応じまして制裁措置も講ずるように指導してまいりたいと思います。
  180. 東中光雄

    東中分科員 私は取っておる事実があるかないかということを農林省としてつかむかつかまないかという問題は、だれが取ったか、だれがだれから幾ら取ったかということがわからなくても調査できるわけですね。あなたのほうは個々の具体的なものが出ないからうわさだ、こう言っちゃうのです。そうじゃなくて、私の推定では年間十億ほど小生産者から取っておることになる。そうして調教師の人たちは何々御殿といわれるような家がずっと並んでいる、こういう事態になっている。これはもうみんなそう言っていますわね。栗東の周辺に行ったら何とか御殿、名前は個人的にはあげませんけれども、そうなっているという事態がある。しかし調教師の収入というのはもうきわめて明白に出てくるわけですわね、そういうやみ金をのければ。ただ、具体的にだれそれのということを厩舎関係者に聞いたところで、やみ金を取ったということを自白するような人はいないし、出した人は言えない立場におる。  だから私はここで一つ提案をしたいのですけれども、こういう事態が起こっている。個々の人の調べをやったってこれは出てくる性質のものではない。だからこそ非常に陰惨な不公正な競馬会になっていくわけです。だから馬主は登録されてわかっているわけですから、馬もわかっているわけですから、全く秘密を守って、馬の名前も言わない、調教師も言わない、厩舎も言わない、特定しないで、私はことし何頭について、出したか出さぬか、幾ら出したかということだけの調査農林省でやれば、個々の責任は追及できなくても、出ていることだけはわかるということになるわけですね。それはうわさだと言っているんじゃなくて、そういう調査ならこれは事実が出てくる。出してない人が出したという返事をわざわざするわけもないし、それから匿名ですから、非常に限られた範囲の人なんですから、そういう調査をして、全体としての実態はどうなのかということを調べてみることをやられるかやられないか、どうでしょう。
  181. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 御意見参考にして検討したいと思います。
  182. 東中光雄

    東中分科員 あなた方、農林省も競馬会の職員も調査に行っておる。その調査の結果何にも出てこない、うわさばかりだということでは調査したことにならぬですわね。調査の成果は一つもあがっていないわけです。だから具体的にそういうことをやってみる。  私は、これが起こってきておる事態は二つあると思うのです。先ほど言った投機なんかが始まり、丸紅なんかの商社が先頭になって出てきている。そういう中で競走馬が多過ぎるようになってきた、需給関係が逆転したということが一つです。それから厩舎自体が調教師にまかされている。一カ月三百円とか六百円ぐらいで貸与して、その貸与を受けた調教師が今度はそういうやみ金を取っているということなんですから、これはやみ金を取っているという全体の事実が明らかになれば、当然厩舎は直接調教師にまかすべきじゃなくて、あなた方のほう、競馬会のほうで直接責任を持つというふうに体制を切りかえなければいかぬのじゃないか。調教師制度あるいは調教師が厩舎を独占している制度そのものについて検討されるかどうかです。その点をお聞きしたい。
  183. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 馬房につきましては、貸し付けを受けました調教師が管理をしているわけでございまして、これの監督は中央競馬会におきましていたしておるわけでございますが、さらに一そう監督を強化する方向で十分検討したいと思います。
  184. 東中光雄

    東中分科員 調教師が権利金を取っていることについては、私、先ほど言った具体的な数字がここにあるわけです。これは人の名前は言えないけれども具体的な数字がある。これは状況証拠としていえば取っていることはもう明白だという状態で、ただ具体的にわからぬというだけだから、私が先ほど言ったような調査方法をとれば、取っているか取っていないかということだけは完全にわかる。取っておれば、これは調教師が馬房を独占をしているというところから来ているんだ。それ以外に来ようがないわけですからね。調教師だけが馬房の貸与を競馬会から受けているという、そういう制度そのものについて検討する、考えるという姿勢に立たぬわけですか。立たなかったら、調査はやらない、実効のあがらない調査ばかりやって、そしてそういう状態をそのまま残しているということになってきます。その点いかがでしょう。
  185. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 調教師以外に馬房を貸すということにつきましては、まあ調教師はいまいろいろ問題がある点はございますけれども、一定の資格を持って、しかも試験を合格したという人以外はなれないわけでございますので、そのような調教師に限って現在貸し付けをしているというのは競馬の公正確保という点からの必要性があってやっておることでございますので、調教師以外ほかの者にも貸すということには問題があるのではないかと思います。
  186. 東中光雄

    東中分科員 もう一点、調教師について聞いておきますが、調教師が馬の売買をやる、仲介をやるということば許されているのか許されていないのかですね。その点いかがでしょうか。
  187. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 家畜の売買は家畜商法によりまして規制をされておりまして、都道府県知事の家畜商の免許を受けた者以外はだめでございますので、調教師も家畜商の免許を受ければ売買ができるということになりますけれども、ただ、いまの厩舎制度との関連もございますので、農林省といたしましては、調教師が家畜商の資格を取って売買をすることのないように指導をいたしております。
  188. 東中光雄

    東中分科員 現在、調教師で家畜商の認可を取っている人いますか。
  189. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 現在免許を持っている人はおりません。
  190. 東中光雄

    東中分科員 ということは、現在の調教師が家畜商と同じような馬の売買に継続反復して介入するということは、これは家畜商法違反で二年以下の懲役になる。これは犯罪行為ですね。もしそういうことをやっておれば、禁錮以上の刑に処せられた人は欠格になりますから、そういう犯罪行為をやった人は調教師でなくなるわけですね。そういう性質のものだと思うのです。  ところが現状は調教師が馬を買い、そして転売し、あるいは調教師が売買に立ち会い、手数料を取るというのは、これはもう一般化していますよ。私この間、日高の友人に直接聞いてみたのです。みんなそうやっていますよと言う。これはもう常識になっているんですね。しかも先ほど言った鈴木さんがあっちこっちから、だれから買いましたか、だれに売りましたか、あるいはだれのあっせんで買いましたかというアンケートをとった。みな自分の名前を入れて一個人の鈴木さんに返事をしてきておる中で、調教師に幾らで売りました、調教師から買いましたということがずっと出てきます。もう一般化しておるわけですね。  こういうことになるのはなぜなんだ。馬主は入厩できなかったら競走馬を買ったところで出場できないわけですから、そして入厩させるかどうかというのは結局調教師がいま決定権を持っている。そこから出てきているわけですね。しかもそれは調教師の資格を法律上なくしていくようなそういう事態、これを一般化してやっているという状態で農林省がそういうことはないはずだなんてひとり言っておったって、これは通用しませんよ。その点についてはどう思いますか。
  191. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 馬主が競走馬を買うような場合に、馬の資質なり能力を評価する場合、長年の経験を持っております調教師の援助を受けたいということで調教師がそれに関与する場合があるわけでございますが、先ほど言いましたように他にそういう馬の評価のできるような人はそうおりませんので、事実上調教師の技術供与を受けざるを得ないという実情もございますので、全く売買に——売買をすることは、先ほど来申し上げておりますように家畜商法に違反をする場合が多いことはもちろんのこと、厩舎制度の先ほど来御指摘のあるような点についての適正化をはかるために好ましくないのでやらないようにいたしておりますが、しかし、いま言いましたように、援助を求めるという実情も全く否定できない点がございますので、その技術を供与する場合に家畜商法違反にならないように、調教師の競走馬の取引への関与の基準といいますか限界といいますか、そういう点について具体的な指導をごく最近いたしております。
  192. 東中光雄

    東中分科員 あなた、何を言っているのですか。私ここに、これは馬の名前も入っています、それから馬主の名前も書いてある。そして、下記の愛馬はだれから購入いたしましたか、コウメイチドリ号ということで問い合わせているのに対して、調教師から買ったというところにまるをしてある、価格は一千万。カンマーシャイン号はどうか、何々調教師から買った、価格は五百万、全部そういう回答。これこそ全く任意のはがきを出して、そしていまの馬主からそういう返事が来ている。ずっと全部ある。調教師が相談に乗っておる。それはそういう個人的なことをとやかく言っているのではないのですよ。こういうことがたくさんあるということについて、じゃ中央競馬会なり農林省なりは、これはもう否定される、ないと言われるのかあるいはわからぬと言われるのか。あなたのいま言われているようなそういう相談のことをぼくは問題にしているのじゃないのですから。どうですか。
  193. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 そういううわさは聞いておりますけれども、実情は具体的には把握しておりませんが、そういううわさがあるおそれがございますので、先ほど申しましたように、中央競馬会を通じて売買に対する関与の基準を具体的にきめまして、最近指導をいたしておるわけであります。
  194. 東中光雄

    東中分科員 そういう事実があるかどうかということについて調査をされたことがあるのか、どういう調査をしたのか、その点いかがですか。
  195. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 総合的な調査は特にいたしておりませんけれども、個別に、いま言いましたような問題なりうわさが出た場合に調査をいたしております。
  196. 東中光雄

    東中分科員 それに非常に問題を感じて告発事件も現に起こっておって、そして私人が調査をしてもこういう形で出てくるという状態で、農林省は総合的に調査したこともない。事は、これをやっておるということになれば、調教師の欠格事由になるわけでしょう。調教師を免許したのは中央競馬会なんですよ。その免許を出した中央競馬会が、調教師の資格がなくなるかどうか、しかもそれが個々のだれかというんじゃなくて一般化しているという状態の中で、それについて総合的な調査もしてない、全く野放しということになるじゃないですか。そして介入のしかたについて指導する、基準を設ける。これは一体調教師の試験というのは何のための試験かということになるわけです。第一その調教師の試験というのは、私もいろいろ調べてみましたけれども、試験内容については発表を控えたいというのが課長の話だった、項目は言うけれども。しかし身体検査なんか現に数年間、私ここに数字を持ってきてますけれども、六年余り中風で入院して半身不随で全然外に出られない人、こういう人も毎年試験をやって、身体についての試験もやって、そして調教師として更新しているということになっている。学力試験をやると書いてある。規則できまっている。学力試験はその内容は発表できない。しかも調教師の中には新聞も読めない人がいる、こういう事態になっている。馬の調教というのは馬のトレーニングをやることでしょう。実際は入院しておっても、字が読めなくても、それはかまわない。厩舎の経営をやっている人になっている。これがいま実情でしょう。そうして厩舎をわずか月三百円か六百円ぐらいで借りて、それで権利を取って、百万も二百万も権利を取って、そうしてそこに入れる馬の売買をやる、どういう事態でこの競馬界というのは動いている。調査したけれども具体的なことはわからないということでそのままほうってあるというのが現状ですよ。そして競馬ファンはどんどんふえてくる。その金はものすごくふえてくる。それは特別積み立て金だといって積み立てている。これはまさにひどい状態になっている、こういわざるを得ぬわけですが、厩舎の独占の問題、それから調教師試験か私いま言ったような結果——これは何々調教師と名前をあげるのは個人的なことですからやめますけれども、だれはいつから入院したきりだ、その間に試験があったことになって調教師として更新されている。おかしいですよ。厩舎経営になっている、こういう実情について抜本的に考え直すということをやられますか、どうですか。
  197. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 厩舎制度あるいは調教師についていろいろ御批判がある点はわれわれも十分承知しておりますので、先ほど来申し上げております競馬懇談会の検討の中にも重要な項目として入っておりますので、今後外部から批判を受けないように、適正化について十分抜本的に検討いたしまして、懇談会の結果を待って順次実施に移していきたいと思います。
  198. 東中光雄

    東中分科員 きょう私に朝早朝から電話がかかってきまして、名前を言わぬ人です。新聞見たら、東中がきょう質問すると出ていたけれども、もう全く行き詰まっておりますのでしっかりやってください、テレビには出ないんですか、そういう質問が、激励ともつかぬのがきました。ほんとうに切実なんですね。馬主の人たちあるいは小生産者、それからファンの人たちから見ても、そういう実情になっている。調教師の権限がそういう形でもって、実際上権限になっているわけですね。しかもその厩舎の中でほんとうの飼育をやっているいわゆる馬丁さん、これは非常にひどい状態になっている。  私、ここでひとつ聞いておきたいのですが、馬丁さんの就業規則を見ました。これは全く全人格的支配といってもいい、こんな就業規則がよくまかり通っておるんだなと思うようなことが書いてある。たとえば就業規則の中に「同僚と互に相扶け合い礼儀を尊び調教師または、その指名を受け、これに代ってその職務を行う者の指示に従わなくてはならない。」こんなことを労働者の労働条件をきめる条件の中へ入れていくというのは全く、礼儀だとか助け合いだとかあるいは「明朗発らつたる態度をもって就業」しなければならぬとか、あるいは「馬の発病等急を要する場合は、何時にても出勤すること。」こんな就業規則というのはありゃせぬですね、どこの世界に行ったってないですよ。全く前近代的だ。  特に馬丁ということばですね。これは車夫、馬丁のたぐいといって明治時代の差別的なことばですよ。このころは女工といった。しかしいまは女工なんていう人はだれもいませんよ。労働者を女工だとか車夫、馬丁だとか……。ところが、いまなおこの競馬会では、法規上「馬丁」ということばを使っている。これはもう当然かえなければいかぬ。この馬丁ということばに沿うような就業規則になっているわけですね。だから調教師自体について考えることとあわせて、馬丁の名前をかえることも含めて最後にお聞きしておきたいと思います。
  199. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 馬丁という名称は旧法以来現行法に引き継がれて法律にございますけれども、現段階において適当なことばではないと思います。したがいまして、現在われわれのほうでも、中央競馬会でも、厩務員ということばを使っております。機会がございますれば改正をしたいと思います。  労働条件、就業規則の問題につきましては、これは中央競馬会といいますよりは調教師会のほうで模範例などをつくりまして、それに基づいて調教師がきめておるものでございますけれども、ただいまお読みいただきましたようなかなり古めかしい規定でございますので、これらにつきましても、将来厩務員の人格というような角度からもそれを含めまして十分検討して指導してまいりたいと思います。
  200. 東中光雄

    東中分科員 時間がありませんから質問を終わりますが、はっきりした調査をしてもらって、あとほかの委員会で追及していきたい、こう思います。  終わります。
  201. 湊徹郎

    ○湊主査 これにて東中光雄君の質疑は終了いたしました。  次に、林孝矩君。
  202. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 私はまず最初にイチゴの萎黄病対策についてお伺いいたしたいと思います。  最近の国民生活の中でイチゴの需要量というものは急激に伸びておるわけであります。そういう意味では食卓にもカロリー源の吸収にも重大な役割りを持っているわけでありますが、最近このイチゴに萎黄病というものがはやり出した。これは全国の生産者が誠意を込めてつくったイチゴが枯れていくということで、非常に大きな反響を呼び、またイチゴ生産者にとってはたいへん心配な、不安な材料の一つになっておるわけであります。私はここに一つの具体的な例を申し上げまして、その対策についてお伺いする次第でございます。  私の調査いたしましたのは奈良県でございますが、奈良県におけるイチゴの栽培状況を見ますと、八百六十九ヘクタールの栽培面積を有しておるわけであります。収穫量においても一万五千百トン、全国でも代表的な主産地になっておるわけであります。さらに農産物の粗生産額に占めるイチゴの位置、ウエートというものは、米、鶏卵に続く重要な位置になっておるわけです。そういうところでこの萎黄病というものが発生して、そしてこれが年々ふえているわけですね。  被害状況を見ますと、苗床面積に対して四十七年が三四%、四十八年が四五%、こういう形で年々増加しておる。生産者は零細企業も農家もたくさんありますもので、非常に打撃を受けて、何とか一日も早くこうした心配がないように萎黄病に対する当面の対策、さらに抜本的な解決を望みたい、そういう声が強いわけでございます。大臣にこの写真をちょっと見てもらって、これは萎黄病の写真ですが、こういう形で枯れていくわけです。  質問に入りますが、この萎黄病に対する試験研究の現況というものはどういうふうになっておるかということをまず最初にお伺いしたいと思います。
  203. 小山義夫

    ○小山(義)政府委員 イチゴの萎黄病はわが国では比較的最近に岡山、奈良、愛知の各県で発生が確認をされたものでございます。現在ではただいま御指摘のように各県に相当広く発生しております。この病気に対する試験研究は国の総合助成の対象として昭和四十六年から岡山県の農業試験場で行なっております。また、あわせまして奈良県、愛知県の各県の試験場においても研究が進められております。現在なお試験研究は継続中でございますけれども、いまの段階で判明をいたしておることを申し上げますと、まず病原菌でございますが、これはフザリウム・オキシスポルムという糸条菌の一種でございます。この点は確認をされております。それから伝染の経路については、一つ土壌から根を通じてイチゴに入るという経路がございます。もう一つは親株がこの菌に汚染をされておりますときにはランナー、いわゆるつるを通じて新しい芽にもこの菌がうつっていく、まあ二つの伝染の経路がございます。したがいまして、まず親株に菌がついてないものを使うということが防除の防ぐための第一でございます。それからまた無菌の苗を使いましても土壌がこの菌に汚染をされているときにはやはり感染をするということがございますので、土もきれいでなくちゃいけないという両方の要件が必要になってくるわけであります。  そこで土壌の消毒についてはどういう薬剤がいいかということをいろいろ比較試験をいたしておりますが、土壌の一番有効な薬剤としましてはクロルピクリンが一番有効であるということになっております。またこれは糸条菌といいますかカビの一種でございますから、気温が高くなると非常に症状が激しくなる、それから秋、十月の中ごろ過ぎるとおさまるというふうなことがございますので、苗床段階で土壌の消毒を徹底的にやるというふうなことがわかっております。  なお、この病気にはイチゴの品種によって相当抵抗性に差異がございます。宝交わせとかダナーとかいった品種はこの病気には全く弱いですけれども、ワンダーのような品種はかなり抵抗性を持っておるというふうなことがあります。なお、これからいろいろ試験研究で解明しなければならない問題が残っておりますが、現段階で判明いたしておりますことを大まかに申し上げますと、そういうことでございます。
  204. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 次に、この萎黄病に対する防除指導はどのようになっておるかお伺いしたいと思います。
  205. 松元威雄

    松元政府委員 いまお話しのようにイチゴほ萎黄病、これは各地に発生しておるわけでございまして、その防除方法でございますが、一つは無病の親株を確保するということ、それから二番目に採苗床、育苗床の土壌消毒を行なう、三番目に、発病株は早期に抜き取って焼却をする、四番目に、イチゴ以外の苗を本病罹病地以外から導入する、こういったいろいろな方法があるわけでございますが、これらの方法につきまして、農家が適切な防除を行なうということによりまして、一般的には防除効果が期待できるわけでございます。  ただ、その場合に、適切な防除の指導が必要でございまして、そこで本病の防除指導といたしましては、ほかの一般病害虫もそうでございますが、県の病害虫防除基準というのがございますが、それなどに防除法を記載する、そして農家の方々に理解していただくようにするということ、さらに、これも国と県と一緒になってやっている事業でございますが、病害虫の発生予察事業というのがございます。それからまた病害虫の防除組織もいろいろ整備をいたしております。そういうことで適確に発生を予察いたしまして、それから組織的に防除を進めていくということによりまして、被害発生の防止をはかるということにつきまして、指導をいたしておる次第でございます。
  206. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 防除指導の事業概略を説明してください。
  207. 松元威雄

    松元政府委員 これはイチゴ萎黄病だけというふうに特記しているわけではございませんが、全体といたしまして、大きく申しますと、病害虫の発生予察事業というのがございます。  この中には、一つには、職員を設置しまして、それは県の試験場等におりますが、職員を国の補助によって設置いたします。そういう職員の設置費補助、それから予察の事業がございまして、その人たちが今度は発生予察をするということでございまして、その中で、野菜につきましての発生予察事業もそのうちに含まれておるわけでございますが、そういった発生予察の職員の設置、それによります発生予察事業というので、これは従来ずっとそういう事業をやっております。  それからもう一つは、防除組織でございまして、いまのは発生を予察する、同時に、発生が起こりましたら、それを適確に防除する。その場合、個々ばらばらの防除ではうまくまいりませんから、あらかじめ防除組織を整備いたしまして、たとえばその中には病害虫の防除所というのがございますが、その中に防除員を置くというようなことをいたしまして組織を整備する、そのために所要の予算を年々計上いたしておるわけでございます。
  208. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 もう一点、予算の裏づけを、当面緊急問題でありますので、明確に答弁をしていただきたいと思います。
  209. 松元威雄

    松元政府委員 これはイチゴの萎黄病というふうに特掲いたしておるわけではございませんので、全体でございますものですから、金額はそういう意味で多くなるわけでございますが、発生予察職員の設置費につきましては、四十九年度要求といたしまして約三億でございます。それから発生予察事業といたしましては約二億三千万円でございます。そのうち、野菜の病害虫発生予察の実験事業費といたしますと、その事業費全体の中で約三千九百万でございます。それから病害虫の防除組織の整備につきましては、約三億二千万円でございます。ただし、繰り返して恐縮でございますが、これは野菜あるいはイチゴというふうに特掲をいたしておりません。全体の病害虫の発生予察、あるいは防除組織整備並びに指導のための費用でございますから、金額は多目になるわけでございます。
  210. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 イチゴに対しての裏づけは出ておりますか。
  211. 松元威雄

    松元政府委員 これは繰り返して恐縮でございますが、人につきましても、これはイチゴの人というふうに必ずしも特記されておりませんものですから、実績をフォローいたしまして区分するかどうかでございますが、この中でイチゴだけの人間が幾ら、イチゴだけの事業は幾らというふうにちょっと区分いたしかねます。
  212. 池田正範

    ○池田政府委員 ただいまの御質問と関連をいたしますので、私のほうの関係を便宜お答え申し上げますが、ただいま先生指摘のように、防除対策につきましては、一方では、当然発生予察というのが出てまいります。一方では、病気にかかってない苗をしっかり確保するということが、また大事な問題だと思います。その意味で、基本的には、萎黄病におかされていない健全な苗を確保するということのための対応を早急にしなければいかぬ、こういうことが重点になりまして、いわゆる組織培養法等による無病苗というものの育成をするというための予算を実は準備をいたしまして、御審議をお願いいたしております予算の中で、実はこれが含まれておるわけでございます。  その大体の内容は、原々種の生産施設といたしまして、これは県の試験場に原々種生産施設をつくる、これは一カ所千八百万くらいの規模のものを全国で三県ほどつくりたいということで、実は中身を計算いたしておりますが、これは原々種のほうでございます。さらに、今度は農協等でこの原々種のほうから原種に移さなければなりませんので、これに対応するものとして原種苗の増殖圃をつくる予算、これを五百六十万円程度のものを三県、そして一県当たりでは約四カ所程度のものを増殖圃として設ける。こういうふうなことで、全体といたしまして、約五千万円程度の予算を計上させていただいて、御審議をわずらわしておるところでございます。
  213. 松元威雄

    松元政府委員 ただいま申しましたとおり、人間、事業につきましては特記はいたしておりませんものでございますから、全体の病害虫発生予察事業、全体の補助資金の一環といたして、区分はできかねる次第でございます。
  214. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 いま池田局長のほうからお話がありましたが、結局、私の指摘を総括して申し上げますと、こうした萎黄病による被害、これが年々増加して四割から五割、約半数が被害にかかっていく、こういうものに対する当面緊急の措置としての対策というものがまずなければならないということ、それから、それで抜本的な解決ができるのかという問題が、その次に出てくるわけでありますが、それに対しての対策というものが、いま池田局長からの話ではないのではないか、そのように思うわけでありますが、そういうふうに解釈していいかどうかという点が一点。  奈良県の場合、最初に指摘いたしましたように、現在の全国のイチゴ生産の中で占める位置が非常に大きいという現状と、また、イチゴ生産に対する力強い行政というものが今日まで行なわれてきましたし、また、県の農業全般を考えてみましても、非常にイチゴの生産に力を入れておるという県でございます。  したがいまして、こうした萎黄病の解決と同時に、抜本的に、先ほど御説明のありました品種、無菌の苗によるところのイチゴ栽培というものに対しても、当然のこととして、私は、奈良県において考えられていかなければならないのではないか、そのように思うわけでありますが、その点に対する見解を明確にしていただきたいと思うわけであります。  この二点についてお伺いをいたします。
  215. 池田正範

    ○池田政府委員 私だけの分野ではございませんので、便宜お答えさせていただきますが、まず最初の当面対策及び基本対策の問題については、もう先生の御見解のとおり、私どももそういうふうに思います。  それから、あとの問題でございますが、これはいま申し上げましたように、現在予算を御審議願っておる最中でございまして、結論が出ていない、それがどこへいくかという形については、いささか少し時期が早過ぎるという感じが、事務的にはいたします。  ただ、いま御指摘の奈良県、これは御指摘のとおり、非常に昔からの重要な県でございますから、そこいらは、予算の実行にあたっては、十分やはり対象に入れて、十分検討していかなければいかぬところだろうというふうに私どもも考えております。
  216. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 大臣に最後にお伺いしますが、これは全国的に今後やはり大臣が一生懸命予算の獲得という面からも、あるいは農業行政という面からも考えられて、これから三カ所だけではなしに、もっと積極的に取り組んでいかれるということが肝要ではないか、私はそう思うわけでありますが、大臣はどのような見解を持っておられますか。
  217. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 お話のございましたイチゴは、国民生活の中で、今日はもう欠くことのできない大事なものであります。こういうものが、ウイルス等におかされて減収するということは、私どもにとりましてもたいへん困ることでありますから、いま政府委員が申しておりますように、無病苗を育成してそれを配布するとか、あらゆることを講じて、その維持拡大をはかってまいるつもりでございます。予算が審議の結果成立いたしましたら、具体的な県の選定につきましては、それぞれの地方の状況を十分勘案いたしまして、私の手元できめてまいりたいと思いますが、なお、そういうような地域がだんだん多くなっていくことを私は希望いたしておる次第であります。
  218. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 それでは、イチゴの問題はこれだけにしておきます。  次に、魚卵の伝染病に関する質問を数点したいと思います。  実は、生きた魚の血を破壊する出血性敗血症という伝染病なんですが、マスの卵を輸入して、ふ化して川に放流したその中に伝染病の原体が入っておって、それが他の魚に与える影響、そしてその放流された河川全体を汚染するということで問題になったわけであります。  いろいろ調べてみますと、魚、あるいはそうした卵、そういうものを日本に輸入する場合に、検疫体制が全然できていない。全くフリーパスの状態で入ってくるわけです。この病原体が日本に入りまして、そして魚に伝染をしていきますと、たとえば、せっかく放流した魚が当初考えておったとおりの収穫につながっていかなかったり、あるいは、他の魚をそこに放流した場合に、伝染して魚が全滅してしまう。非常にそうした影響力というものがある。これに対する研究、あるいは、どうしてそれを防除するかということは、これは今後の問題として考えても非常に重大だ。  なぜかならば、家畜の輸入だとか、あるいは植物の輸入、そういうものに対しては、家畜の場合は家畜伝染病予防法という法律があり、植物の場合は植物防疫法というものが適用されてチェックされるわけです。ところが、こうした魚卵、魚等についてはそうした検疫体制がない。こういうことではやはり片手落ちである、私はそのように思います。  したがいまして、こういう魚卵を輸入して、ふ化して放流するというような場合の伝染病の危険性というもの、こういう問題に対して、やはり何らかの措置を講じていかなければならないのではないか、こういうふうに考えるわけです。まず、その点に対する見解をお伺いしたいと思います。
  219. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございましたように、魚の卵、あるいは魚の種苗等を輸入する場合におきまして防疫の問題が非常に重大じゃないか、そのとおりでございます。  そこで、現在どういうことをやっておるかと申しますと、国及び都道府県等の公的機関が輸入する場合には、輸出国の関係研究機関に対して、無病証明の添付を求めております。さらに、池に放す前にフラン剤による消毒等を行なっておりまして、民間の養殖業者に対しましても、輸入した卵とか種苗については、同様な薬剤による消毒を放流の前にするようにということを指導しております。しかしながら、正式な検疫といいますか、防疫機関はございません。  そこで、これまでのところは、最近ウナギの種苗の輸入が非常にふえておりますけれども、魚卵の輸入というものも、それほど大きなものではございませんが、今後非常にこれが拡大する可能性もございますので、農林省といたしましては、まず第一に、病原に関する研究の促進、それから診断技術者の養成、これも新しい分野でございまして、診断技術者が必ずしも十分いないということもございまして、これは四十八年度から予算を取ってやっておりますが、診断技術者の養成、それから伝染病については、今後国際協定等で無病証明をつけるようなものにするか、あるいは、輸入の場合の検疫制度まで設けるという点につきましても対策を検討しなければならぬ。これは新しい問題でございますが、今後の水産業にとっては、非常に重大な問題だというふうにわれわれも認識している次第でございます。
  220. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 それで、先ほど私が少し指摘しました、たとえばフランスから輸入されたマスの卵の場合、この件については、水産庁は御存じでしょうか。
  221. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 この件につきましては、私どもも新聞報道を見まして、すぐ、特に奈良県においてはすでに四十七、八年ごろに放流されたというようなことが出ておりますので、県庁に照会いたしましたところ、県は、そのようなことは聞いていない、それから関係の漁業団体等にも照会いたしましたが、そのようなことは聞いていないということで、新聞報道によりますと、日本疑似餌釣連盟というところがやったというふうに出ておりますので、そこにも照会しなければならぬと思っておりますが、県と漁業団体は、そのことは聞いていないというふうに聞いております。
  222. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 それで、先ほど答弁のあった国際協定の問題、あるいは技術者養成、また防疫制度の確立、そうしたいろいろな対策がいま考えられておるということでありますが、こういう国際協定あるいは防疫体制の確立、あるいは技術者の養成、いろいろあると思いますが、いま、農林省のほうでこういうことをやりたいという段階の話のように私は受け取ったわけです。  しかし、こういうものに対して、もうすでにできておる国だってあるわけですね。日本から逆に輸出する場合は、無病証明書というものをつけなければならないという国もあるわけでして、そういう面から考えますと、これはやはり早急にこうしたものに対する制度化、あるいは体制というものを確立する必要があるんではないか、こういうふうに考えるわけです。  したがいまして、その具体的な日程といいますか、あるいはめど、そういうものをこの際はっきりとして、そしてこういう問題の解消ということをはかっていかなければならない、そう考えるわけでありますが、そういう点に関しては、明確な、あるいは具体的なそういう計画農林省のほうでは持たれておるのかどうか。持たれておるとしたならば、その内容について、具体的に答弁を願いたいと思います。
  223. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、この問題は、世界的にも新しい問題でございます。  そこで、今日までのところ、魚卵あるいは種苗の輸入について本格的な検疫制度を採用している国は、まだございません。アメリカ、カナダの場合には、主要な疾病について、輸出国の無病証明の添付を求めておりますが、本格的な検疫制度ができているところは、世界的にまだないわけでございます。  そこで、日本のような非常に大きな水産業国の場合には、この問題は、まず進んでやらなければならぬという問題でございますので、水産庁といたしましては、四十九年度におきまして、これらの対策の推進をはかるために検討会をつくりまして、魚病の予防、診断、治療等に関する問題あるいは法制的にいかなる措置をとったらいいかというようなことを至急検討して、すみやかに成案を得たいというふうに考えておる次第でございます。
  224. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 時間が来ましたから、最後に、大臣の決意を伺って、終わりたいと思います。
  225. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ただいま水産庁長官がお答えしましたように、わが国では、水産漁業というのは、非常に大事な部門でありますし、まだ未解決の問題もございますので、ただいま御報告申し上げましたように、熱心に取り組んでまいりたい、こう思います。
  226. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 終わります。
  227. 湊徹郎

    ○湊主査 これにて林孝矩君の質疑は終了いたしました。  次に、兒玉末男君。
  228. 兒玉末男

    兒玉分科員 私は、最近の農政の中で、一番問題として重視されております飼料と畜産の関係、さらに園芸作物等の件についてお伺いしたいと思います。  まず、農林大臣にお伺いしたいのでございますけれども、先般、中央におきましても、また私の出身県でございます宮崎県におきましても、去る二十日、当面の重大な危機を迎えている畜産関係の危機突破の大会が招集されております。     〔主査退席、湯山主査代理着席〕 県の場合は、肉用牛あるいは酪農牛、養豚、養鶏等を含め、約八万七千戸の畜産農家がございますが、この集会を通して感じますことは、特に今日ほど配合飼料の値上げ、それに石油危機に伴うところの石油製品等の便乗値上げにより、さらに加えて土地買い占めなど、いわゆる畜産農民の前途は全く暗たんたる状況であり、まさに、今日のこの危機というものは、あげてその責任は、政府の農政に対するところの無策にある、さらにまた、飼料高騰をはじめ、輸入畜産物の増加、あるいは公害防止等を含めて、今後の畜産の前途には何らの希望も持てない、現状のままではわれわれ畜産農家は死を待つより以外にない、こういうような、まさに深刻な叫びが出ております。こういう情勢を控えて、特に当面の高騰する飼料、すでに三月で五回目の値上げが予想されております。  こういうふうな畜産農家の危機、飼料高騰等の重大な事情に対して、大臣としては、どのような対策を考えようとするのか、以下、具体的にまた質問しますが、まず大臣の御所見を承りたいと存じます。
  229. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 お話しのございましたとおりに、私どももさまざまに心痛いたしておる次第でありますが、飼料の値上がりにつきましては、もう昨年来の傾向でございました。そこで、昨年は御存じのように非常に努力をいたしまして、この値上げをしないで済むようにやってまいりましたが、最近また、いわゆる石油の規制等も加わってまいりまして、船賃の高騰、それからまた、為替関係もございまして、輸入物資がさらに高騰してまいったというふうなことでございます。  そこで、畜産農家におかれては、その畜産品のコストが上がってくるわけでございますから、非常にお困りなことはわかっているわけであります。  御存じのように、加工原料乳保証価格、それから豚肉の安定価格につきましては、畜産振興審議会にはかりまして、これらの畜産物の再生産を確保するというために、この間この審議会の懇談会を開きまして、一日、熱心に御討議を願い、大体の御意見は出ていますが、法律に定めた正確な審議会も十一日から開きまして、ここで十分御審議の上にその答申を得て、価格の改定もしなければならぬのでありますが、私どもといたしましては、できるだけ輸入品のコストダウンのためにあらゆる努力をいたしますと同時に、やはり酪農、畜産、これらの方々が安心してやっていかれるための助成策等、いままでもさまざまやってまいりましたけれども、そういう合理化、またコストダウンによって仕事を広げていただけるような施策も講じてまいるつもりであります。  いよいよこの価格決定にあたりましては、ただいままでの環境を十分織り込んだ価格決定がなされなければ、翌日への生産意欲を阻害するわけでありますから、そういうことについては、最善の努力をしてまいりたい、このように思っておるわけであります。
  230. 兒玉末男

    兒玉分科員 これは担当局長でもけっこうでございますが、今回農協中央会が畜産関係のそれぞれの価格引き上げを要求しているようであります。もちろん、私たちはその要求は当然だと思うわけでありますが、問題は、この価格引き上げに対して、加工原料乳が八二・三%、それから豚肉関係が安定基準価格を四九・五%、鶏卵等については、液卵公社の買い上げが四一・六%、こういう大幅な価格の引き上げが出ておるようでございますが、これに対して、農林省の方針としては、コスト高の吸収も、財政的な措置よりも消費者負担に重点を置く、こういうふうな意味のことが報道されておりまするが、これでは、私は、やはり今後の物価高とのイタチごっこであり、しかも消費者と生産農民、こういう関係におきまして、ほんとうの価格政策でないじゃないか、このような点につきまして、一体、このようないわゆる消費者負担ということが前面に出ていることは、きわめて理解に苦しむところであり、しかも、今日のこのようないわゆる飼料の高騰の最大の原因は、冒頭申し上げましたような政府の農政に対する見通し、政策の無為無策、こういう点が最大の原因である以上は、当然、政府の責任においてこれを解消すべきだと思うのですが、いかがでございますか。
  231. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 近くきめるべき原料乳の保証価格、豚肉の安定価格の決定に際しまして、最近の環境の変化を十分織り込んで決定をしたいという旨の大臣からのお答えがございましたが、今回の配合飼料の値上がりの要因を見てみますと、海外要因、それから石油削減問題から発生しておる要因が非常に大きいわけでございまして、農家の経営によって吸収可能な余地というのは非常に少ない。もちろん、経営の合理化にも努力しなければいけないと思いますけれども、非常に少ないということ、さらに、最近の飼料穀物の国際的な需給なり価格を見ておりますと、どうも短期的なものではなくして、かなり数年間続くのではないか。そのときどきの価格変動はもちろんございますけれども、基調として、今後、昔に返るように、相当低下するという見込みはなかなか持ちがたいという意味で、長期的な要因に基づくものである、こういうように理解をしておるわけでございます。  そのように考えますと、昨年二回にわたってやりましたような値上がり分に対する補てんというようなことによる農家負担の軽減というのも、限界があるというように考えておりますので、基本的には、畜産物の価格にコストの上昇要因を織り込んでいくということ以外に方法はないのではないかというふうに考えます。もちろん、流通段階等におきまして、食肉その他、なお合理化すべき点がございますので、先般も私のほうで、牛肉につきまして、卸価格が下がっておるにかかわらず、小売り価格の下がり方が少ないということで、関係業界を指導いたしまして、百グラム当たり二、三十円の値下げのところまではいっておりますけれども、そういう流通段階のマージンの適正化、あるいは合理化ということもやりながら、消費者負担はできるだけ少なくしながら、しかしながら基本的には、経営の成り立つような畜産物の価格形成をするということによって解決をしていく以外に方法はないのではないかというふうに考えております。
  232. 兒玉末男

    兒玉分科員 私は、いま局長の答弁は非常に不満であります。少なくとも、今日の飼料高の原因を招いたいままでの歴史的な背景というものを考えずして、外的要因で高くなったからやむを得ない、この考えは私はいただけません。少なくとも十年ほど前は、いわゆる飼料のもとをなす小麦なり大麦等の国内生産でも、昭和三十五年当時では四百万トンの生産があったと私は思うわけです。ところが、現在それが一割以下に減っておる。そういうことも、やはり飼料作物に対するところの政府の積極的な長期の展望がないというところに、私は原因があろうと思うわけであります。  私がいままで見た資料によりますと、たとえば非常に耕地面積の少ないイタリア等においては、トウモロコシにおいても年間五百万トンの生産があり、イギリス等におきましても、同じように大麦等が七百万トンも生産されている。こういう点から考えます場合に、飼料穀物としての自給体制について、もう少し政府は長期の展望と、積極的な国内産に対するところの手を打つべきではないかと考えるわけでございますが、これらの点について、どういうふうな見解をお持ちなのか、お伺いしたい。
  233. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 飼料穀物の今後の見通しが、先ほど申しましたように、昔に返って、非常に安定、しかも低廉だということは、なかなか期待できないという、そのような前提に立ちますと、やはり国内で飼料の自給体制を強化拡充していくということが必要になるわけでございます。  その意味で、飼料作物につきまして、四十九年度予算にも計上しておりますように、緊急に生産奨励対策を講ずることによりまして、飼料作物の国内における生産の増加をはかってまいる。さらに、飼料穀物につきましては、麦の緊急生産振興対策の一環といたしまして、飼料用の大麦を中心といたしました麦類につきましても、今後、国内の生産をできるだけはかっていくという考えで、来年度の予算も計上しておるわけでございます。  なお、御指摘のございましたトウモロコシとか、あるいはコウリャンというものにつきまして、国内で増産できないかという点、われわれも検討はしておるわけでございます。また、実験事業も、一部の県において予算措置も講じてやっておるわけでございますが、やはり内外の生産性の格差、単収の格差というものは、他の作物以上に大きいわけでございまして、これをいま直ちに国内におきまして全面的に生産を拡大するということについては、なお慎重に検討をすべき問題が多い。先ほど申しました麦は、これは裏作でございますので、他に競合作物がそれほどございません。ただトウモロコシ、コウリャンとなりますと、表作でございますので、水田を利用するといたしますと、稲作なり野菜作その他、かなり有利な作物との競合という問題もございまして、なかなか、いま直ちに生産の拡大方針を打ち出すというところまでには、なお慎重な検討を要するのではないかというように考えております。
  234. 兒玉末男

    兒玉分科員 もう一点、飼料に関してお伺いしますが、ことしから米の生産調整、あるいは減反、休耕関係については補償金が打ち切られるということになっているやに聞いております。そういたします場合に、当然、このような休耕田なり、あるいは休耕畑地に対しては、いままでの補償にかわるべき、いまも申し上げましたような、こういうようないわゆる休耕地に対して、当然飼料作物としての増産体制ということを考えますならば、いま一段と前向きの姿勢で取り組むことができるのじゃないか。同時に、現在全国的に休耕地、休田がどの程度の面積を有しているのか、また、昨年休耕生産調整に使った予算はどの程度あるのか。これを含めて、私はこの際、特に畜産の危機に対応する対策として、これを全面的に改革する必要があるのじゃないか。こういうふうな観点から、この休耕田あるいは調整あるいは転作、これらの対策について、どういうふうな構想を持っておるのか、お伺いしたい。
  235. 松元威雄

    松元政府委員 御承知のとおり、四十九年度におきましては、内外の食糧需給の動向にかんがみまして、いわゆる生産調整目標数と申しますかにつきまして、ゆとりを持たしてきめて、したがって数量も減ったわけでございますし、同時に、休耕奨励制度もやめたわけでございます。したがいまして、残りは転作に持っていく、いわゆる休耕を含めた生産調整ではなくて、稲作転換というかっこうで進めていくということでございます。  その場合に、従来のいわゆる休耕奨励金相当分の面積は、したがって、一部はもちろんかなり水田に向かうわけでございます。それから転作に向かう分もございます。しかし、全体といたしまして減るわけでございますから、従来あった休耕田のうち、一部は水田に向かいます。また転作に向かうものもございますし、それから、一部は転用その他、不作付で残る部分もございます。そうして、従来の休耕及び転換を含めましたいわゆる生産調整奨励補助金、これは全体の面積が減るわけでございますから、それによって、いわば前年より減る金額といたしますと、従来は、稲作転換と、それから休耕合わせまして生産調整を行なったわけでございますから、その金額に対しまして、四十九年度は転換だけでございますから、金額といたしますと、約六百五十億程度は減少いたします。
  236. 兒玉末男

    兒玉分科員 では、大臣にお伺いしたいわけですが、いま御報告ありましたように、かなり生産調整や転作関係予算が、昨年よりも減るということでありますが、私は、やはりそういう点からも、今日の畜産の危機というものは、重大な事態を示しておると思う。そういう点から、積極的な取り組みを要望したい。  同時に、私が大臣にお伺いしたいことは、何といいましても、畜産価格が必要以上に高ければいいということじゃなくして、酪農にしても、あるいは養鶏農家にしても、和牛農家にしても、安定した価格で生産に意欲が出る、安定した価格体制というものがきわめて必要だと思うわけでございますが、特に、今日の生産農民のこの非常な不安に対して、大臣としての御見解を承りたいと思います。
  237. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 農林省が発表いたしております五十七年までの長期見通しにおきましても、酪農、畜産関係は大いに力を入れなければならない作目の一つであります。したがって、そういうことを幾ら希望いたしましても、やはりこれを生産する方が、その意欲を持っていただくようにしむけてあげなければ不可能なことでありますので、経済情勢その他、現状をちゃんと把握いたしまして、安心してやっていただけるような価格体系をつくってまいるつもりでおります。
  238. 兒玉末男

    兒玉分科員 時間がございませんので、畜産関係で、まだ四、五点聞きたい点がありますが、次に果樹園芸の関係で、特にミカンの関係でございますが、私の県もミカンの生産県でございまして、ここ四、五年、相当生産が伸びておりまするが、去年、一昨年ともに非常な豊作でありまして、現在でも相当の手持ちを持っておりますが、このミカン関係につきまして、特に生産の増大に対するところの価格対策あるいは需給関係の拡大、あるいは流通を含めたところのいわゆる加工関係、さらにまた、特に輸送関係において、遠距離に対するところの、いわゆる最南端である関係で、東京なり北海道なり、あるいは阪神なり、相当運賃の価格の中に占める比重が高い、そういう点から、勢いそのしわ寄せが生産農民にかかってくる、こういう点から、また今年も表年といわれておることで、ミカン生産農家に対するところの農林省の的確なるところの指導、対策に大きな期待を持っておるわけでございますが、いま申し上げましたようなこのような需給関係、価格関係、輸送関係、さらにまた加工工場等の対策、これらの点について御見解を承りたい。
  239. 松元威雄

    松元政府委員 御質問がいろいろ論点を含んでおりますから、答弁を整理して申し上げますと、まず基本的には、四十九年度のミカンの需給問題、これは御指摘のように、ミカンの生産量は、四十七年、いわゆる異常な大豊作で異常な量になった、したがいまして、需要が必ずしも即応しなかったので、価格も低落しまして非常に問題があったという四十七年の経験がございますし、さらに四十八年も、いわゆる裏年ではございますが、生産量は予想以上に多かった、こういうことでございまして、したがいまして、これは基本的には、両年とも気象条件に恵まれまして二年連続豊作になったというわけでございますが、しかし、基本的には植栽面積がふえておりますし、さらにその中の成園面積がふえておりますから、ミカンの生産量は増大するということは間違いないわけでございまして、四十九年産は、したがって、作柄いかんにもよりますが、これは表年でございますから、かなりの生産増加が予想されるわけでございます。  したがいまして、四十九年産ミカンの需給対策、これを十分にいたしませんと、またまた四十七年の問題を繰り返してはならぬということで、過去の経験にも徴しまして、生産、流通、加工、各般の面にわたって施策の充実をはかっておるわけでございますが、その要点を申し上げますと、まず、生産面でございますが、これは先ほどいわゆる表、裏ということもございましたが、結局、要は隔年結果を防止いたしまして、需要に見合った安定した生産を推進するということが基本でございまして、年によって表、裏で生産量ががらっと違うということはいかぬわけでございますから、そういった隔年結果を防止するということで、そのためには、薬剤、摘果等を中心といたしまして、適正な摘果の推進指導を行なう必要があろう。特に四十九年は、このままでまいりますと、天候にもよりますが、非常な生産増が予想されますから、的確に適正な摘果の推進指導をしなければならぬ。そのために推進協議会でございますとか、あるいは摘果の現地展示圃でございますとか、そういうことを行ないまするウンシュウミカン生産安定事業というのを四十九年度予算に、いま御審議願っております予算に新たに要求をいたしているわけでございまして、こういうものを運用いたしまして、摘果の適正な実施を期してまいりたい。それからまた、最近、隔年結果が著しくございますが、その原因といたしまして、密植栽培園の間伐のおくれも、一つの原因ではなかろうかと思われますので、計画的な間伐の推進についても指導してまいりたい。さらにまた、ミカンが大量生産になりますから、そのためには、基本的には需要の拡大が必要でございます。したがって、そのためには、ミカンの品質の向上が重要でございますので、不良系統から優良系統への更新をはかることが必要でございまして、そのため、主産地にミカンの共同育苗圃を設置する、そういった事業も新たに実施することで予算要求をいたしております。  こういうふうに、生産面におきましては、摘果を中心といたしまする生産安定事業、それからまた優良品種への切りかえということで、共同育苗圃というようなことを、従来の予算に加えましてやっている次第でございます。  それから第二でございますが、いまのは生産面でございますが、次に流通面といたしまして、今度は、ものができましたら、需要の動向に即応いたしまして、計画的出荷を進める必要があるわけでございます。そのため、従来からも県、生産者団体、市場関係者等、これを招集いたしまして、時期別、市場別の出荷調整の協議を行なってきたわけでございますが、四十九年度からは、さらに年明け、特に三月以降の出荷割合をふやす必要があろう。全体をならしまして、長期にミカンを消費していただくということで、消費期間を拡大するためのウンシュウミカン長期貯蔵施設を新しく設置する、そうして計画出荷の一そうの推進をはかる、こういうことも考えているわけでございます。  さらにまた、加工におきましては、加工仕向け量が非常にふえる。これは四十七年もそうでございますし、四十八年もそうだったわけでございますが、さらに四十九年は、生産の増加に対応したりして、加工仕向け量を大幅にふやさなければならぬ、それによって需要に対応していくという必要がございますから、従来もジュース工場に対しまして、民間で自力でやっているもののほかに、国の助成によりまして工場を建設してまいったわけでございますが、これをさらに大幅に増加するというので、従来までの助成工場の実績は七工場でございますが、それを予算上、さらに十工場ふやしたい。さらに実行上の措置も含めまして、十三工場程度はふやせるのじゃなかろうかと思いますが、そういうふうに大幅にふやす、そのために予算も非常に拡充いたしておりますが、そういうことで加工工場をふやして需要に対応していく。それからまた、同時にジュースの一そうの消費拡大をはかるために、これは四十八年度も一カ所設置いたしたわけでございますが、引き続きまして、大消費地に冷蔵果汁の製造、配送を行なう施設もさらに増設をしてまいる。それからまた、こういった施設の設置のほかに、加工原料用の果実価格安定対策を強化するために、果汁原料用果実の対象数量を大幅にふやすということも措置いたしておりまして、それからまた、中央加工原料用果実価格安定基金協会におきまして、従来から消費宣伝事業等をやっておりますが、それをさらに引き続いて実施していくというふうに考えておるわけでございまして、以上のように生産、流通、加工各方面にわたりまして、既存の予算に加えまして、いろいろ新しい予算も御要求申し上げているわけでございますが、これらを有効適切に活用し、かつ、従来の経験も踏まえ、特に本年度、これからの天候状況も十分留意しながら、適時適切に対処してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それからまた、もう一つございました。地域によりまして、特に輸送問題等ございますこれに御指摘のとおりでございますが、いわば基本的には、各地域で立地条件があるわけでございます。確かに、市場から遠いところは運賃がかさむ点で不利な面もございますが、同時にまた、その他の面もございますし、それからまた品質問題、生産の合理化問題、それからまた、特に地元に、いまのような事情でございますと、果汁工場がない場合にはよけい不利になるということもございますから、そういう果汁工場の設置等もするということで、各般の面で生産体制、共同出荷体制を整備いたしまして、そういったハンディキャップを克服するようにいたすということで、全体としまして、所得の確保をはかるようにしていかなければならないのじゃなかろうかというふうに考えている次第でございます。
  240. 兒玉末男

    兒玉分科員 もう時間がありませんので、ミカン関係についても、ひとつ今後生産農民の意欲が減退しないように、特にいま申し上げたような点の積極的な取り組みに格段の御努力を要望いたします。  最後に、これはなたね関係の食料油脂に関係する点でございますが、現在自由化されておりますが、今後の農林省の方針によりますと、同じ交付金を出している大豆につきましては、約六十キロ当たり二千五百円の生産奨励金を出す、こういうふうなことが報道されておるようでございますが、では、なたねも同じような状態にありながら、なぜこれに対する振興対策は積極的に取り組まれないのかというのが第一点。  第二点は、御承知のように、なたね等のいわゆる原油の輸入については、トン当たり一万七千円という高率の関税が課せられている。ところが、同じ原料でも、なたねそのもの、あるいはかす等については全く無税である。これは同じなたねの関係から見ても、私は、この高率関税制度というものをこの際廃止すべきではないのか、あるいは大手の場合は別として、特に戦後二十数年間、なたね生産農家の育成と同時に、この育成に大きな貢献をしましたいわゆる山手の山工場関係の中小企業のこのような関係が輸入する分については、特別な措置を講ずべきではないのか。  第三点といたしましては、特に現在のなたねの購入制度につきまして、特に私は入札制度等が、交付金との関係からいろいろ制約はあろうかと存じますが、この国内産のなたねの取引等についての制度について、いわゆる随意契約なりあるいは競争入札、これらの点で、問題は生産意欲の向上、あるいは、なたね生産の増強、こういうことと中小関係の製油企業等の育成、こういう両面を兼ねた立場からの対策がきわめて必要ではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございますが、以上、三つに大別して御質問申し上げましたが、特に関税関係は大蔵の所管であろうかと存じますが、以上、三点について見解を承りたい。
  241. 松元威雄

    松元政府委員 御指摘のように、なたねはかつてばかなりのウエートを持っておりましたが、年々減少してまいったわけでございまして、これにはいろいろな事由があったわけでございますが、いまは非常に減少いたしておるわけでございます。したがって、この生産の増大をはからなければならぬということはそうでございますが、ただ、その場合に、大豆となたねと区別して、片や、生産奨励補助金を出しているのに、なぜこちらは出さなかったかということにつきましては、大豆、なたねは、もちろんこれは油糧資源としては共通でございますが、大豆は、それ以外にたん白資源という意味を持っておりまして、特に先般来の大豆問題これは食品としてのたん白問題が非常に大きな問題になりまして、その点に着目して大豆の増産を今後はかっていこう。したがいまして、油糧資源としての大豆、これは非常に大きくなりますが、そこまではなかなかカバーするのはむずかしい、まず食品としての大豆をふやしていこうということに着目いたしまして、生産奨励補助金を出すということを予算要求いたしている次第でございますが、そこでしからば、なたねにつきましては、今後何もしないのか。やはりなたねにつきましても、非常に減りまして、また減った原因もございますから、生産振興は、正直に申しまして、非常にむずかしい問題はございますが、ただ、これにつきましても、現在かなり地域的にいろいろ違いまして、相当の面積が残っている主産県がございます。そこで、この主産県を中心といたしまして、生産改善技術の展示、あるいはまた、需要者等を含めました生産改善の推進協議会、こういうことをやって、まず相当残っております地域を中心で始めていく、その結果を見ながら、また次の対策の展開も検討しなければならないということで、さしあたり、四十九年度予算におきましては、そういうかっこうの予算要求をいたしておりまして、そういうことで、現在残っている主産地を中心に、じみちに今後の生産振興の努力を重ねていっていただきたいということでございます。  それから順番は三番目の質問でございますが、現在のなたねの交付金の交付方法といたしまして、取引方法につきまして、全国調整団体が集めましたものを売る場合に、一般競争入札というのを原則としている、これはそのとおりでございますが、その趣旨と申しますと、やはり全国団体が集荷、保管、販売をいたすものでございますから、それを有利、かつ公正な販売となりますと、たてまえとしますと、やはり一般競争入札ということにならざるを得ないわけでございます。ただその場合に、御指摘のように、なたねの場合には、企業と結びついて、むしろそのほうがうまく流通が行なわれるという実態もございます。そこで、ただ中小企業の保護というだけじゃございませんで、それと結びつけまして、安定した需要を育成していく、いわば生産者と、それから搾油業者が結びつきまして安定した取引が行なわれるということに資するものでございますれば、そういう面で、ひとつ随意契約ということについても何か方法を考えてみたいということで、目下検討いたしている、そういう趣旨でございます。
  242. 海原公輝

    ○海原説明員 お答え申し上げます。  先生承知のとおり、食用植物油につきましては、四十六年六月に輸入の自由化をしたわけでございます。四十七年の四月には関税をキロ当たり三円引き下げておるわけでございます。それを受けまして、輸入の実態を見ますと、非常に急激に増加しておりますので、これ以上関税を引き下げますことは、製油業界に対する影響、並びに植物性の油脂並びに油かすの安定的な供給を阻害するおそれがあるということで、困難ではないか、かように考えておるわけでございます。
  243. 兒玉末男

    兒玉分科員 なたねの原料とか、かすに関税を……。
  244. 海原公輝

    ○海原説明員 なたねの原料につきまして無税にしておりますのは、これを搾油いたしまして、いわゆる粗油をつくり、同時に油かすをつくっているわけでございます。この油かすにつきましては、これまたきわめて重要な品目でございまして、肥料等にも使われるわけでございます。その辺のことを考えますと、いきなり粗油へいきますと、油かすをとるという過程がドロップするというようなこともございまして、なたねに関しては無税でございますが、粗油につきましては、キロ十七円かかっておる、かような実態でございます。
  245. 兒玉末男

    兒玉分科員 委員長、時間が来ましたので、これで終わります。
  246. 湯山勇

    湯山主査代理 これにて兒玉末男君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。     〔湯山主査代理退席、主査着席〕
  247. 上原康助

    上原分科員 すでに多くの方々から御質問があったと思うのですが、昨年来続いております石油危機によって、国際、国内経済が非常に悪化をしてきております。インフレ、物価問題、そういう中で石油危機の次は食糧危機じゃないのか、わが国の農業の基本政策を大きく転換すべき段階にきているという意見が強くなってきております。  従来の国内において生産される農畜産物の価格というのが国際価格よりも割高である、あるいは消費者に対してコストのインパクトになるというようなことなともあって、農業国際分業論とかいろいろな面が出たんですが、しかし、最近の二、三の例を見ましても、国内の農畜産物価格よりも国際の価格がむしろ高くなる傾向にある面も出てきております。そこで、こういったことなどを考えて、農畜産物の国内自給率というものを大きく高めていくべきだという意見が、先ほど申し上げましたように非常に強くなっている。  したがって、政府の農業の政策そのものも根本的に練り直して、食糧の自給度の問題をどうしていくかという方向づけをやるべきだというふうに考えるわけですが、そういった農業政策の基本に対して、今後どうなさろうとしているのか、御見解を賜わりたいと思います。
  248. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 あらゆる機会に政府も申し上げておるのでありますが、今日のような状況でございますので、よけいに自給度を高めるということのために、最大の努力をいたしておるわけでございます。
  249. 上原康助

    上原分科員 それは、具体的にはどういうふうになるわけですか。
  250. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 五十七年度を目当てに長期の見通しを農林省は先年発表いたしておりますが、米、野菜、くだもの等は、これはもう御存じのとおり、あと、必要であるけれども足りないもの、つまり飼料関係、先ほど来ここでもしばしばお話がありました小麦、大麦等、四麦あわせてそうであります。それから砂糖などもその一種であります。私ども、これらの自給度を高めるために、予算措置その他振興方策を講じまして、自給度を高めてまいるということであります。
  251. 上原康助

    上原分科員 そこで、いまお話の中にも出てきたわけでありますが、きょうはわずかの時間ですから、一つの問題に大かたしぼってお尋ねをしたいのですが、砂糖の問題なのです。  これは、お米にしても、日本はようやくお米だけは国内自給でいまやっているわけですが、アメリカのカリフォルニア米あるいはタイの米を見ても、昭和四十六年度の価格よりも二倍、三倍にはね上ってきているわけですね。これとても、将来不安があるのじゃないかということさえいわれております。特に砂糖の問題については、これまで沖繩や奄美のいわゆる甘蔗糖の生産者価格のきめ方などについても、政府にもいろいろ御要望申し上げましたし、また、四十八年度産については、それなりに政府努力してきたわけですが、なかなか農民の方々が要求する生産費所得補償方式というものが出されていない。政府がおきめになったトン当り八千七百円、しかも、それはブリックスの十九度以上のもので、下限もございます。そして、あとは生産奨励金ということで、千三百円を政治加算といいますか、やって、ようやく一万円台に乗せてきているわけですが、現在の原糖の場合に、いわゆるロンドン市場における国際相場というものが、昨年の九月段階ではトン当り九十五ポンドだったのが、十一月に国際砂糖協定が破棄されて以降はすぐ百十ポンドになる。そして今年に入ってからは二百ポンドをこすというような異常な暴騰ぶりを示して、そういう過程で、政府も従来の関税の減免措題をせざるを得なかったわけですね、二月の中旬以降ですか。そういうことを考えた場合に、もう一度サトウキビに対する、いわゆる国内のビート等を含めて、生産者の保護対策、価格支持ということを真剣にお考えにならなければいけないと思うのですね。  いま大臣も、砂糖も含めて、自給度を高めていくように、予算の措置あるいは政策の転換をやっていかれるという御答弁でしたが、いわゆる国内における砂糖あるいはビートの自給をどう高めていくのか、あるいは価格問題はどうしていこうとしておられるのか、この点についても、ひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  252. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いまお話のございましたように、奄美大島それから沖繩の甘蔗糖につきましては、もう上原さんよく御存じのとおりでありますが、まあ沖繩のような地域では、ことに台風常襲地といわれておりますので、やはり作物としても、長い間考えた結果、トウキビならだいじょうぶだろうということと、もう一つはパイナップル、パイナップルにしてもサトウキビにしても、これは外国との競争ということになりますと、御存じのような状態であります。  私は沖繩の農協の人々にもしょっちゅう言っているのでありますが、まあその当時は占領中でもありましたが、やはりキビ畑をほとんど手を入れておいでにならなかった。これはほかに現金所得のある地域も、仕事もあったのでありましょうが、そこで、近く復帰したら、やはり政府は基盤整備等努力をして、この沖繩の農産物の増産をはかるつもりだから、もう少し身を入れてやってもらいたいということを、私は各地でお話しをしたようなわけでありますが、これからもそのことは大事だと思うのです。  やはりもうとうに御存じのように、いま日本全体の砂糖の価格をきめますときに、やはり一番保護政策をとらなければ間に合わないのは、沖繩と奄美の甘蔗糖、それから北海道のてん菜もそうでありますけれども、やはりこれらについては、農林省は最大の努力をして、そうして含糖分もできるだけ多くできるように、まあ地味の関係もありましょうからそうあれでもないでしょうが、そういうことにも努力をしなければならぬし、沖繩の砂糖経営者、これはやはりもう少し合理的にやって、価格の引き合うようにするというふうなことも大事なことではないかと思うのであります。それらのことを並行してやっていただいて、初めて成功するわけでありまして、そこで、そういうことについては、われわれも全力をあげてやるつもりで決意をいたしておりますので、特にそういうことの生産振興地域ということで力を入れておるわけでありますが、いま御指摘にありましたように、海外から輸入いたします砂糖も、きのう、きょうはだいぶ下がったようですけれども、最近とみに上昇をいたしておる、そういう関係もありますので、砂糖につきましては、なかなかむずかしいと思いますけれども、生産者がやはりこれをつくることが楽しみであるというふうに思っていただくような方法をできるだけ講じたいと思いますので、地元の方々をもうまく指導していただくようにお願いいたしたいと思います。
  253. 上原康助

    上原分科員 大臣も沖繩にはかなりお詳しい方ですので、ある程度御理解をしていただいてる面もあると思うのですが、やはり農業問題というのは、これはキビ作農民だけに限りませんが、先ほど兒玉先生お話にもありましたように、農民に生産意欲をどう持たすかということだと思うのですね。意欲を持たすには、農民の方々が御苦労してつくる生産物、畜産物というものが、いわゆるその労苦に報いる価格でなければいけない、それが、先だと思うのですね。従来は生産性を高めないから価格を上げられないのだ、基盤整備だ、あるいは省力化、機械化ということで、鶏が先か卵が先かというような論議で今日までやってきたわけですね。しかし、そういう状態は脱して、国際価格を見ても、国内の農産、畜産物の価格というものが、いろいろいまの国際情勢、経済情勢の中での一時的な変化というようなこともあるかもしれませんが、長期的に見ても、砂糖を一つ例にとって見ても、東南アジアなり世界の需要というものがだんだん高くなってきているわけですね。そういった長期見通しを考えた場合には、やはり国内で生産できる農作物については政府がそういう方向への政策転換、保護財政措置というものをやっていただかないと、農民の方々もやはり農業では食っていけないということになりかねないですね。もし、いま大臣がおっしゃるように、今後もっと積極的に努力をしていただくということであるならば具体的にお尋ねをしたいんですが、今回、四十八年のいわゆる原料価格の算定基礎なんですが、先ほど私が申し上げましたような八千七百円という価格がはじき出されている。その数字の根拠は一体どうなっているのか。たとえば労賃はどのくらい見たのか、物財費はどのくらい見たのか、これをぜひ明らかにしていただきたいと思うのですよ。  いま一点。おそらく皆さんが、政府の試算でも九千三百八十八円という数字が出たはずなんですね。これよりも六百八十八円も値切った価格しか告示をしていないわけです、八千七百円というのは。なぜそういうふうになるのか、その点明確にしていただきたいと思うのです。
  254. 池田正範

    ○池田政府委員 御指摘のとおり、前年産のサトウキビの値段につきましては最低生産者価格が八千七百円、それに一千三百円の奨励金、こういうことできめたわけでございますが、いま御指摘のございました生産費は、これは私どもが四十五、四十六、四十七年産の生産費について、四十八年にかりに評価がえをいたしました場合の推定値として試算をしたものの平均値でございまして、これが九千三百八十八円、こういうことに相なるわけでございます。ただこれらを評価がえをいたします前に、このパリティ価格をきめました際におけるその時期の考慮すべき生産費というのはまだこれは出てくる前でございます。その後におきますところのいろいろなデータの動きというふうなものを含めまして、いま御指摘がありましたような形になってきておるわけでございます。  いずれにしましても、その間におきますところのいろいろな条件変化というものが大きいわけでございますので、したがって、私どもといたしましては、それらにも十分対応できるような形を片一方で踏まえながら、片一方ではあくまでもやはり生産者価格は工業生産、工業材料としての価格である性格を払拭するわけにはいかないわけでございますから、その両方を踏まえつつ、なお農民に生産意欲というものを失わせないようなそういう価格であるということが理想的であろうというふうに考えまして、前年産の価格をああいうような形できめた次第でございます。
  255. 上原康助

    上原分科員 どうもそれは納得しかねるんですよ。みずから試算した数字よりも低く押える。これまで、これは前にも議論しましたが、ずっと押えてきたわけです。パリティ指数の数字をとっても、皆さんがはじいた数字です。告示価格というのは全部押えてきた。今度もまた六百八十八円値切っている。そのうちの労賃は幾らぐらいを見込んだのですか。
  256. 池田正範

    ○池田政府委員 労賃、何というふうに形で積み上げた計算ではございませんで、御承知のようにサトウキビの生産者価格はこれはパリティ価格、これを基準にいたしましてその他の実情を勘案してきめるということでございますから、したがって、きまりました結果の中に幾ら労賃が積み重ねられているかという形で計算されたものでないことは御承知のとおりでございます。
  257. 上原康助

    上原分科員 局長、もうそういう答弁はちょっと良心的に少しおかしいと御自分でも思ってそういう御答弁をなさるんだと思うのですが、キビを生産する場合に、七割方は労賃だというのは皆さんの出している報告書にも明らかにされているわけでしょう。生産費をきめる場合に、働いている農民の方々の一日の労賃がおおよそ幾らであるという算定がなくして価格がはじける、そんなあれはないと思うのですよ。だからそこに私たちはパリティ指数の数値のとり方、四百品目や五百近い品目をいろいろはじいて数値を出してこうなりましたといって、これは専門家の研究材料としてはいいかもしれませんが、それはストレートに農民は理解できませんよ。少なくとも皆さんがはじいた数字でさえも九千三百八十八円であれば、告示する価格はそれを下回っちゃいかぬと思うのですね、常識としても。大臣、そうお思いになりませんか。  じゃいま本土でも、お米の場合の農民の労賃は幾らを計算してなさっているのですか。あるいは北海道のビートの場合。
  258. 池田正範

    ○池田政府委員 米価につきましては、これは御承知のように算出の根拠が違ってまいりますが、ビートにつきましては、このサトウキビと同じようにパリティ価格を基準として競合作物その他経済事情を十分参酌して再生産を考慮してきめなさいということがたてまえでございますので、本質的にはその考え方は変わっていないわけでございます。  それから米価の場合には、これは一応家族労働評価につきましては、都市労賃にこれを置きかえて計算をしておるわけでございますので、これはいわゆるパリティの方式をとっておりますただいま申し上げた二つの作物とは違うたてまえをとっておるわけでございます。
  259. 上原康助

    上原分科員 大体幾らの労賃を見積もったかは御答弁できないということですか。これを明らかにしていただかないと、八千七百円だとかあるいは九千三百八十八円だというような数値の根拠というのはわからなくなるのじゃないですか。そういうことじゃますますおかしいのじゃないですか。まあ、きょうそういったこまごましたところまでの時間ありませんので……。そこがいまのキビ価格のきめ方にみんなが不信を持っている、不満を持っている大きな要素の一つだと思うのですよね。  本来は一万三千円にしてもらいたい、あれだけの、千名以上の陳情団、奄美の皆さんを含めて、鹿児島の皆さんを含めて、大挙陳情団なり要請行動をやってようやく一万円台というようなことも出たのですが、本来ならば、やはり生産者米価をきめるように、生産費所得補償方式という方向を打ち出さないといかないのじゃないですか、これは。そういうお考えは大臣、ないのかどうか。先ほど前段で申し上げましたように、砂糖を甘いからといって、そう甘く見ちゃそれはいけませんよ。甘い砂糖がなめられなくなる時代がいまの状態じゃくるかもしれない。非常に何か楽観しておられるようですがね。  国際価格を見ても、いま四万一千五百円の関税をかけても、かりに二百ポンドの相場で輸入をするという場合には、それには国際的に燃料の値上げというもの、石油の値上げということがあるわけでしょう。いままで輸入されておった分は別としても、三月以降の砂糖の消費価格というのは、一キロ幾らぐらいになるとお考えですか。もっと上がると思いますよ。二百ポンドと仮定をした場合には、輸入価格はトン当たり十四万から十五万ぐらいになるということですよね。これは四十六年度の二万七千円の相場に比較すると実に五、六倍の上昇率ということになるわけですよ。  じゃ、現在の国内産はどうかといいますと、北海道が十一万四千円、奄美の甘蔗糖が十二万二千七百円ですか、沖繩が十一万二千円、もう明らかに、皆さんは国内相場は高いんだから消費者にも負担をかけるからということでやってきたんだが、十四、五万になりますと、現在の国内生産の砂糖の価格というものは、こういう面からずっと下回るのですよね。これからしても、もっと根本的にこの問題については、政府として政策転換をやるべきだし、生産費所得補償方式ということをお考えになる。一足飛びにそこに行けないということであっても、少なくともそれを加味した価格というものが生まれてこなければいけないと思うのですが、大臣、これは六百八十八円皆さん値切ったわけですから、それを増加するということと、将来、四十九年度の生産については、所得補償方式を取り入れる方向で価格をきめていく。沖繩に対していろいろ悪いこともなさってこられたんだから、一つぐらいいいことやってください、この際農林大臣として。それだけの御決意があるかどうか、ひとつ決意を伺っておきたいと思うのです。
  260. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御承知のように、米と違いまして砂糖については、生産費というのはあとでわかるわけです。  そこで、しかしおっしゃるお気持ちはよくわかります。私どもはこれの需給度を実際高めたいと思っているのです。それにはその再生産を確保できるような楽しみを持っていただくことも考えなければなりませんので、そういうことで需給度を高める方針のもとに砂糖に対しては対処をいたしてまいりたい、こうは思っておりますが、米と違いまして、生産費補償方式というのはいま考えてはおりません。
  261. 上原康助

    上原分科員 いまこの時点ではお考えになっておらなくても、次の四十九年度の生産式をきめるまでは、まだかなり距離があるわけです。将来も全然お考えになるお気持ちはないのですか。
  262. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 米は御存じのように、ああいうシステムでやることになっておりますが、他の作物は、物価の傾向等を考えてみれば、パリティ計算というのは少しも間違っていないのじゃないか。それはいろいろ理屈はあるかもしれません。しかし、さっきおっしゃったように、たくさんのデータをとって今日時点において計算をしてやっているのでありますから、先のことについてはいろいろな情勢の変化もありましょうが、要するにその結論としては、需給度を高められるように最善の努力をしてまいりたい。そのためには、必要な農業施策を逐次やってまいる。それに呼応するようにひとつ地元においても御協力願いたい、こう言っているのであります。
  263. 上原康助

    上原分科員 何もおことばを返す気持ちはないのですが、理屈をこねているのはそっちのほうなんです。農林省のほうなんです。労賃は幾らですかと言ったって、それもわからないというのでは……。なぜ八千七百円という数字が出たのか、労賃は幾らなのか、物財費は幾らなのか、データはどういう根拠で大体八千七百円というのが出てきたのかということをお尋ねしているのです。  これまで協力できる面は協力しなかったつもりでもございません。特にこういった農業問題については、もっとわれわれも基盤整備の問題なり、あるいは株出しがいけないからということだけれども、株出しを多くやるということは、結局、数字を見てもわかるように、夏植え、春植えをすればそれだけ費用がかかるからでしょう。手入れをしなければいけないし、労賃もかかる。だから、それに見合うような価格の決定じゃないと、株出しばけしからぬと言ったって、そうは農民のほうはいかないわけですよ。そういった悪循環を繰り返しておっては、沖繩農業はもとより、国内の砂糖需給の問題ということも、いま大臣がおっしゃるような方向で解決できないという懸念もしますので、この問題については、所得補償方式に準ずる価格のきめ方というものを、この際真剣にお考えになっていただきたいということなんです。その点ぜひ、できないというようなことでなくして、確かにこういう物価上昇下ではパリティがいいというような意見もあるようですが、しかし実際からいうと、これは生産費所得補償方式をきちっととることが、農民にとっては一番いいわけです。  なぜならば、労賃問題が、皆さんは数字を出しませんが、いま大体高校生のアルバイトで四千円から五千円です、沖繩は。これは本土だって、そう変わりはないと思うのですね。お米の場合、四千円台に来ているわけでしょう。米をつくる農民とサトウキビつくる農民が八時間働いて、それに対する再生産費というものに対しては、そんなに差があってはいかぬと思うのです、同じ労働条件として。そういった基本的なことをこの際、サトウキビやビートに対しても是正をしていく方針だけはぜひ出していただきたいと思います。強くその点要求したいし、またそれに対するお答えもいただきたいと思うのです。  そこで、あと一点ですが、奨励金の問題ですが、これは本来からいうと、いわゆる基礎価格に繰り入れるべきだと思うのです。千三百円の政治加算金的なものをやるということでなくして、あくまで基礎単価に入れるべきだ。将来もそういう方向をとるのか、基礎単価に組み入れていくお考えがあるのかという点。  もう一つは、今回のキビの生産量が、台風がなかったということと適度に雨量があったというようなことなどもあって、当初の生産量の見込みよりも十五万ないし二十万トンぐらい上回るんじゃないかということがいわれているわけですね。そこで、そういたしますと、生産奨励金の予算というものが、一千二百万から一千五百万ぐらいあと増加をしなければいかぬ。これに対しては問題はないとは思うんですが、そういった措置をとるのかどうか、その点もあわせてお答えをいただきたいと思います。
  264. 池田正範

    ○池田政府委員 それでは私のほうからお答え申し上げます。  あとのほうのサトウキビの生産量の増加の問題でございますが、これにつきましては、確かに御指摘のようにいま台風もなくて、だいぶ作柄もよいようでございますから、あるいは出てくるのかもしれませんが、まだ正式には地元から私どもとしては要請を聞いておりません。しかし、かりに要請がございましたことを前提にしてお答え申し上げますと、そういう場合には、これはいずれにいたしましても、農家にあらかじめ約束された金が行き渡らぬというふうなことがあっては非常に困りますので、その辺については政府としては最善の力を尽くして、そういう農家の期待を裏切ることのないように措置をいたしたいというふうに考えております。  それから、前者のほうのサトウキビの価格の水準は、ほかの農作物をつくる場合と全く同じでなければならぬ、これはなかなかむずかしい問題でございまして、同じ農家でつくっております農作物の中にも、それぞれやはり労賃で評価いたしますと差が出てくることは、ある程度はやむを得ないのではないかというふうに考えます。ただ極端に、特定の地域でそれしかできない地域農民が、それなるがゆえに非常に低い水準に甘んじなければならぬということは、これはないと私も思います。その意味からいたしますと、これは何らかの形で、とにかく総合的にそこに働く農民の所得というものが維持されていくことが望ましいことは、言うまでもないことでございます。  ただ、先ほどから申し上げておりますように、とは申しましても、こういう国際的な作物でございますし、工業製品の原材料でございます。したがって私どもとしては、あくまでもやはり片一方では増産をしていただくという意味での奨励金の構成と、片一方では望ましき原材料の価格としての水準というものを兼ね合わせた形でいきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  265. 上原康助

    上原分科員 時間が来ましたので、最後に大臣のほうから……。確かに従来、私は政府の沖繩のサトウキビに対する考え方のいろいろなあれがあったと思うんですね。ことばは悪いかもしれませんが、軽視をしてきた。あんなサトウキビつくるよりは、ほかの作物をつくったのがいいんだ。しかし、今日の国際情勢を長期に見た場合に、国内需給度を高めていくということと同時に、キビ作に対する政府の理解とそれに伴う財政的な措置ということがない限り、これはいけないと思いますので、ぜひひとつ沖繩を理解する大臣の一人として、財政的にも、いまさっき言いました価格も六百八十八円値切ったんだから、それに対しては何らかの財政措置もやっていくということを含めて、もう一度大臣の所見をお伺いをして、質問を終えたいと思います。
  266. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 沖繩は、日本にとっても大事なところでありますし、私個人にとりましてもたいへん好きなところであります。ことに砂糖とパイナップルについては、非常に関心を持っておる一人でございますので、沖繩農業発展のために、なお一生懸命でやりたいと思っております。
  267. 湊徹郎

    ○湊主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、高田富之君。
  268. 高田富之

    高田分科員 蚕糸問題とそれから野菜の価格の問題につきまして、二、三お伺いしたいと思います。  最初に、蚕糸業の問題でございますが、御承知のとおり、最近におきまして、諸物価暴騰の中で、生糸だけはたいへんな暴落をいたしたままになっておるわけでありまして、最近の相場の動きなどを見ますと、横浜、神戸の取引所におきまして、六十日余りの立ち会いのうち二十日間ぐらい、ストップ高、ストップ安というようなことがあって、こういうことはかつてあまり例を見ないわけでございますが、こういうふうに相場が非常に大きく変動しているということを、何とかもう少し安定させなければならぬと思うのであります。これはもう古くて新しい問題でございますけれども、取引所に対しまして、最近のようなああいうフレの大きな相場づくりということに対して、政府としては何らかの規制措置なりを講じたか、あるいは講じなければならぬとお考えになっておりますか、まず最初にその点をお伺いします。
  269. 松元威雄

    松元政府委員 御指摘のとおり、昨年春以来の生糸価格の変動は、非常に大きいものがございます。その前の四十七年、これは需要も順調でございまして、糸価は安定的に上昇しておる。ところが、四十八年に入りまして非常に過熱をした。過熱し過ぎまして、その後は下がった。そして大体一万五千円というものが、過熱対策で一万三千円に下がった。それ以後千円前後をめぐって動いている。その間ストップ高、ストップ安とあった。  確かに、このような動きの中には、一つには、生糸の実勢というものが前年に比べてかなり上回ったという実勢はあったと思うわけでございますが、そういう生糸の需給をめぐりまして、またいろいろな思惑と申しますか、そういうものが働いたということも否定できない事情でございまして、さらに最近は、それに金融事情も関係しているなど、いろいろ複雑な要因があったわけでございます。  そこで、相場の異常変動に対しましては、特に高値を抑制いたしますために、取引行為についても若干の改善をいたしたわけでございます。基本的には、本来であれば、取引所を通じて正常な価格が形成されるはずでございますが、そういった異常変動を防止するように、従来も取引所の取引のしかたについて若干の改善はしたわけでございますが、今後も、あまりにも異常な変動をして実勢を見失わせるという事態になりますればいけませんので、さらにその点について改善の検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  270. 高田富之

    高田分科員 いずれにしましても、たいへんな生糸安でございまして、ただいま製糸家は非常な採算割れにおちいっておるわけであります。何とかしてこの窮状を打開しなければならぬということで、ずいぶんいろいろなことをやっておるようでございますけれども、その一つに、最近事業団に対しまして、五千俵ぐらいのさらに追加買い上げをしたらどうかというようなことが、業界からも主張されておったわけでございます。  もっとも、この点については、製糸と養蚕の間に多少意見の相違もあったやに聞いておりますけれども、しかし、私ども考えますと、一万円ぐらいじゃとても採算割れでどうにもならぬというようなことであります場合に、操短等もやっておるようですが、こういうときこそ事業団というものを有効に活用いたしまして、その機能によって安定がはかられるということが、一番本来あるべき姿だと思うので、五千俵ぐらい追加買い上げしたらいいんじゃないかというような案は、首肯できる案のように思うのですけれども、これについてはどんなふうにお考えでありましたか、また、何か措置をされたのかどうか。
  271. 松元威雄

    松元政府委員 御指摘のように、事業団の機能の活用という要望もございましたわけでございますが、何ぶん、先ほども申し上げましたが、ことしの変動は非常に大きいわけでございます。その中に、一つには、いわば需給の実勢というのがレベルとして変わったんじゃないかという問題と、それ以外に異常な要因がからみついたんじゃなかろうか。  そういたしまして、若干これは理屈っぽく申し上げて恐縮でございますが、従来の基準価格というのは御承知のように八千円でございまして、いまの価格はそれをはるかに上回っている。したがって、そういうことの関連から見ますと、少し上がり過ぎという見方もあり得るわけでございます。要は、しからばいまの実勢からいって、八千円の水準がいいかどうかという議論がもちろん根底にございます。ございますけれども、そういう現在の制度、その上で考えました場合に、安定させることは必要でございますが、その手段方法として、事業団の短期保管、あれを使うことばどこまでよろしいか。あれにつきましても、一時は、昨年の十月でございましたか、一千俵を二千俵に拡大いたしまして、少しの安定需給をはかったわけでございますが、それをあまり大幅に拡大いたしますと、短期保管の制度そのものを逸脱するおそれがあるわけでございまして、そういった生糸の需給の本来の実勢、さらにその変動、その中における事業団の短期の役割りというものを考え合わせまして、これはまた、民間におきます自主的な価格安定の努力と相まって考えなければならぬと思っておりますが、当面は、いまの事情から、短期保管のワクを大幅に拡大するということはむずかしかろうというふうに考えているわけでございます。
  272. 高田富之

    高田分科員 そんなような御意向であって、やむを得ずでありましょうか、製糸団体のほうで、取引所から当限のものを数千俵も買ったということを聞いておるわけであります。自主的にといいますけれども、養蚕団体なり製糸団体というものが、取引所へ行って現物を買って値段を上げるというようなことをやるということは、どうもいかがかと思うのですね。そういうときこそ、やはり事業団のようなものを活用いたしまして、そうして生産に不安なからしめていくというためのあれは事業団だと思うのです。  ただいま八千円であって、それより上回っているというようなお話でございますけれども、どうも情勢が非常に大きく変わっちゃっておりますから、合繊などを見ますと、昨年の二倍にも三倍にもなっちゃっておる中で、生糸だけが昨年の暴騰時の五割も下へ行っちゃっているというような状況ですから、原料繭を買ったときの採算でいいますと、たいへんな赤字だろうと思うのです。  ですから、こういうときには、何らかの方法で価格を安定させて、そうもうけさせる必要はないにしましても、生産が維持できる程度のことはしなければならぬ。そのための事業団としての役割りを、何とかもう少し機能させる方法を考えなければならぬのじゃないかと思うのですがね。制度はあってもあまり役に立たぬ、繭糸価格安定法というのはもともとあってなきがごときものになっちゃっているわけですが、しかし、少なくとも中間安定という考え方が出た以上は、相当自主的にこれが伸縮自在に活用できて、そうしてそのときそのときの適正な、これならかろうじてでも生産ば維持できるというようなところで安定させるような中間安定機能を持たせないと、ばあんとひどく落っこっちゃってから買いに出る制度だけはありますけれども、そんなようなものはほとんど制度として活用する余地はないわけですからね。  だから今日のような事態のときに、どうも養蚕団体が——これはちょっとお聞きしたいてすが、最近聞いたのですが、養蚕団体のほうで、金を何か中金かどこかから借りて、製糸団体に貨してやる。そうして取引所へ行って一万俵なら一万俵生糸を買わせる。そうして値段を安定させる。その買った生糸を担保に入れる。養蚕団体が貨した形じゃありますけれども、実際は養蚕団体が市場へ行って糸を買っているのと同じことなんですね。そんなところまで行っちゃったら、これは農協というものの本来の使命逸脱もはなはだしいような感じがいたしますし、現にそんな話を聞いているのですが、いま私の申しました、養蚕団体が金を借りてきて製糸団体に貨してやる、それで市場から生糸を買ってくる、そいつを担保に入れるというような、そういうことはいまやっておるのですか。やっておるような話を聞いているのですが、政府はどの程度把握しておられるのか、これに対してどんなお考えを持っているのか、ちょっと聞きたいと思うのです。
  273. 松元威雄

    松元政府委員 そのやり方の詳細な手続と申しますか、それについては、私も熟知はいたしておりませんが、ただ、蚕糸業関係者、すなわち養蚕関係とそれから製糸関係、これがお互いに協力をいたしまして、特に現在資金事情が非常に苦しいものでございますから、協力いたしまして、それぞれの方法で資金調達をいたしまして、糸価安定をはかっているという事実は私も聞いております。ただ、その場合の手段、方法がどうかということにつきまして詳細に知悉いたしておりませんが、いずれにいたしましても、養蚕団体が農協としての本来の範囲を越えてやることはいかがか。要は程度問題だろうと存じておりますが、そんたくいたしまするに、糸価の低落に対しまして、いわばやむにやまれず自衛手段が出たということだと存じますが、その数量いかんによりましては、本来の趣旨を逸脱するおそれもあり得るわけでございまして、それを見定めまして、関係業界の動きを見ているということでございます。
  274. 高田富之

    高田分科員 しかし、これはなかなか重要なことだと思うのでありまして、私もあまり確実なところを知りておるわけではございませんが、聞くところによりますと、蚕糸新聞か何かに出たらしいんですが、融資するお金が、農林中金二十億、長野県養連五十億、全養連三十億、合計百億というようなことが出たというのですが、政府はこの事実を知っておりますか。
  275. 松元威雄

    松元政府委員 いろいろな手段で資金調達をはかっているということは知っておりますが、具体的な方法及び金額までについては私はまだ十分承知いたしておりません。
  276. 高田富之

    高田分科員 現在まででもすでに数千俵の生糸を製糸団体では清算取引で買っておるわけです。当限で買っておるわけです。その上さらに、こういうふうなことで膨大なものを、また数千俵あるいは一万俵というようなものを市場へ行って買ってくるということですね。しかも養蚕団体が金を借りて貨してやるような形になるんでしょうから、これは知らないとかなんとか、ノータッチというわけにはいかないだろうと思うのです。相当重大だと思うのです。こんなことをやっていって失敗したらたいへんなことになってしまうので、これは法律的にはどうですか。農協法に違反とかなんとかいうことにはなりませんか。
  277. 松元威雄

    松元政府委員 それは先ほど申し上げましたが、量のいかんによろうかと思います。本来、農協、養蚕団体といたしましても糸価の安定ということは養蚕のために必要なことでございます。したがいまして、ある程度金額を調達いたしまして、そういった糸価安定をはかるということは許される。要は、程度があまり範囲を越しますると疑問が出てくるということでございます。私申し上げましたことは、おっしゃるとおり、いろんな手段、方法を講じまして、養蚕関係者それから製糸関係者全体合わせまして、蚕糸業関係者がいわば糸価安定に努力しているということは私も承知いたしておりますが、若干私、歯切れの悪いことを申し上げましたのは、先ほどちょっと申したわけでございますが、現在の安定制度、それからその場合の安定価格水準、それからいまの糸価の動向、その糸価の動向の中にも本来の需給実勢と、それからまたいろいろな思惑と申しますか、功利と申しますか、いろいろなものがからみ合っているわけでございます。そういったものがなかなかきれいに整理できていない。したがいまして、全体の中でなかなかてきぱきやりにくい点もございまして、そういうことで、本来の糸価の安定水準を見定めながら、近く四十九生糸年度に適用します価格もきめることでございますから、そういうことを考慮しながら運営してまいりたい、そういうことを申し上げたわけでございます。
  278. 高田富之

    高田分科員 程度の問題とかなんとかおっしゃいますけれども、いまも私がちょっと聞いた数字を申し上げたわけですけれども、こういうところまで突っ走りつつあるということはたいへんな事態だと思うのですね。一方に制度がありながら、その制度のほうは機能しないでいる。これでは非常に困ると思うのです。また危険だと思いますね。ですから、やはりそういうことは行政指導の立場からも綿密に検討されて、事業団の運営などについてももう一ぺん考え直して、もう少し伸縮自在に、たよりになる機関にしなければ、あるけれどもたよりにならぬというのでは困ると思うのですよ。その点をひとつ強く要望しておきたいと思います。  それから、さっきちょっと触れたのですが、事業団で五千俵追加買い上げをしろといったときに、養蚕団体がちょっと意見が違うような話を聞きましたが、これは何か基準糸価を一万円以上にしてもらいたいという強い要望を持っておるのですね。そのときに、いま五千俵も追加買い上げさせておくと、そのほうが通らなくなるのじゃないかというようなことを心配していたらしいのでございますが、しかし私はそれとこれとはやっぱり別問題だと思うのであります。  だから、事業団というものを伸縮自在に活用して、当面の危機をある程度緩和するためにやろうという趣旨からいえば、五千俵ぐらいのものを追加買い上げるということは至当なような気が私はいたします。それとはまた別に、これからきめる基準糸価というものは、何しろこれだけ物価が上がってしまっているのですから、生産費も相当上がってしまっていますから、八千円が一万円になっても、ちっともふしぎはないと思うので、少なくとも一万円以上ぐらいの要求はのんでもらう必要があるのじゃないか、これとは別にね。これはこんなに買ってしまったのだからというようなことでなく、別にしたほうがいいのじゃないかと思う。その点についてのお考えはどうですか。
  279. 松元威雄

    松元政府委員 ちょっと先ほど来の私の答弁の補足とも関連するわけでございますが、私さっき安定と申しましたのは、現在の制度は、先生よく御存じのとおり、最高、最低と中間安定とございまして、そのほかにさらに短期保管というのがあるわけでございます。したがいまして、短期保管というのは文字どおり短期的な措置でございまして、それをあまり大幅に拡充いたしますと、本来の最高、最低、中間安定とまた別の制度をつくるようにもとられかねないということがございまして、ああいったことを申し上げたわけでございますが、それはまた基準価格のいかんとも関連する問題でございます。  そこで、いま御指摘の問題は、全養連の理由のいかんは、こちらとしてもそんたくするしかないわけでございますが、ただ、おそらく考えまするに、基準糸価をいかにしてきめるかという問題これはもちろん基本は生産費でございますが、それと同時に、やはりその場合、糸価の実勢というものも大いに関連があるわけでございます。しからばその実勢をいかに把握するか。いまのように変動の大きい時期でございますと、いろいろな見方がされ得るわけでございます。そこで、そういうことをおもんばかっただろうと思いますが、基本的にはやはり現在ございます生糸の生産費基準ということが一つと、それから糸価の実勢というものを見合わせまして、適正な価格をきめていかなければならぬというふうに考えているわけでございます。
  280. 高田富之

    高田分科員 あまり時間がございませんから一つのことにあまりこだわっていられないのですが、それから同時に、これだけ糸価安定問題について自主的ないろいろな努力もされているというようなときに、問題は輸入のほうなんですが、見通しはいかがですか。最近のうちに相当数量の輸入があるということを非常に心配されておりますが、輸入数量についての当面の見通しはいかがですか。
  281. 松元威雄

    松元政府委員 これは御案内のように、四十七年度は非常に輸入が多かったわけでございますが、四十八年度は暦年で見ましても前年より減っておりますし、今後も、生糸年度で見ましても減るというように思われるわけでございますが、要は、確かに糸価の動向に輸入量が非常に関係するわけでございます。現在のように全体の三割が輸入であるという場合には、輸入量のいかんが非常に影響する。その輸入が無秩序に行なわれますと、確かに大きな影響がございますし、現下の状態ではこれを秩序立って輸入していただかなければならぬ。これはたてまえは輸入は自由化でございますから、そのもとで秩序立った輸入をしていただくように、国内の糸価に対しても悪影響を及ぼさないように輸入をしていただくということで、政府といたしましても関係業者関係にいろいろ指導いたしておりますが、民間におきましても、そういう心がまえで、国内の糸価に悪影響を与えないように、秩序ある輸入を行なうということを基本といたしましていろいろやっておられるようでございますが、政府といたしましてもこれに対しまして必要な指導、調整ということを行ないまして、輸入の節度化をはかってまいりたいというふうに思っております。
  282. 高田富之

    高田分科員 中国の場合でいいますと、ああいうふうに向こうは国営でございますから、非常に秩序立ってやるわけですが、こちらのほうがめちゃくちゃでどうにもならぬという状態なんで、幸い相手がそういう計画性を持ったあれですから、こちらもそれに対応できるようなシステムを何とか早急につくり上げまして、いまのような御指導がそのままぱっと実際に反映できるようにしませんと、いまはそういう気持ちでおりましても、全然それが通じないというのでは困るわけなんですが、何らか具体的な方法をお考えですか。
  283. 松元威雄

    松元政府委員 制度といたしましては、異常な低落の場合には蚕糸事業の一元輸入制度がございますが、これはまだ発動したことがないわけでございます。ただ、あれを発動するような異常な事態にならない場合でも、もっと秩序ある輸入ができないか、おそらくポイントはそこだろうと存ずるわけでございます。そういたしますと、御案内のように従来はこれは民間ベースで大体行なわれておりましたし、政府の関与は非常に少なかったわけでございます。そこで政府の関与をもっと加えまして、民間だけに放任するのじゃなくて、政府の関与も含めてやっていきたい。  ただ、その場合従来の経緯にかんがみまして、なかなかやり方につきましては、私もいろいろ検討しておりますが、現段階でこういうやり方とまできまっておりませんので、民間におけるそういった従来の経緯、今後のやり方も見合わせまして、一緒になって方法を検討してまいりたいと思っております。
  284. 高田富之

    高田分科員 それでは時間がなくなりますから、ただいま私が指摘しましたのは取引所をあのままでいいか、何らかの方法を講じなければいかぬじゃないか、それから事業団をもう少し機能的に動かすような改善を考えなければならぬ時期じゃないかというようなこと、それから基準糸価を適正に上げなければならぬというようなこと、それからいまの秩序ある輸入ができるようにする組織的なことも必要だろうと思います、ばらばらで大ぜいやっておるわけですから。そういうことについて具体策を講じなければならぬということ、これは当面真剣に考えないといけないと思うのです。  それで、おそらくいまのようなことでいきますと、一般的に高級絹織物の売れ行きが、デパートなどを見ましても最近だいぶ落ちてきていますね。そうしますと、絹製品の国内需要があまり伸びないか減っていくという情勢へもってきて、製糸団体が何千俵か買った、また今度さらに養蚕が金を貸してやってまた何千俵も買ったというようなことで、事業団にもある。それから繭もだいぶあるそうですからね、操短もやっておるわけですから。そうするとごっそり持っちゃっているのですね。それで金を借りて大量の物を持っているわけですから、これはいつか吐き出さなければならぬ。その時期が、ちょうど夏秋蚕ごろかなんかにどんと出たら大暴落じゃないかと思うのですよ。いまでさえ落ちよう落ちようとしているのを、無理やりいろいろなことをやってかろうじて一万円にささえているわけですね。これがそんなにかかえ込んだものが持ち切れなくなってぼかんと出ますと、ことしはたいへんなことになるのじゃないかと思うのです。  私は何といっても日本では米と絹だと思うのですよ。これぐらいは何とか自給したほうがいいのじゃないかと思うのです。またやろうと思えばやれると思うのでありまして、これをこのまま崩壊に持っていくのはあまりに能のない話だと思うのであります。へたをすると崩壊の一途をたどるのじゃないかと思うのです。ですから、ぜひここらで蚕糸業、生糸というものにつきまして、養蚕というものにつきましても、相当抜本的な思い切った取り組みをしていかないと危機が迫っているような感じがいたします。その点を特に強く申し上げたいと思うのですが、主要蚕糸県からお出になっております大臣からも一言お考えをお聞きしたいと思うのです。
  285. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 高田さんのおっしゃること全く同感でございまして、私どもはただいま御指摘のような点について十分研究してみたいと思っております。
  286. 高田富之

    高田分科員 それでは一つだけ、野菜なんですけれども、御承知のように、ことしの一月初めでしたか、私の住んでおります深谷地方を中心に、あれは東京に対します出荷量では全国一といってもいいような産地でございますが、一日ストライキというのが期せずしてあったようなところでございます。最近の石油危機からこっちたいへんな苦境にあるわけであります。これはおそらく深谷だけではないので、全国の野菜づくりは非常な危機にあると思います。特に資材類が非常に暴騰しておるわけでありまして、去年に比べまして、ものによっては五倍ぐらい上がっちゃった。平均しましても二倍とか三倍にみな上がっているというふうな状況で、これは値段のほうは下がっておらないのですね。年末ごろに暴騰いたしまして、その後幾らか下がったものもあるのでしょうが、全般的にはむしろ上がっているというようなことでありまして、非常に生産費が膨張しておるのです。  相場のほうは毎日のように大きな変動がございまして、高いときには相当いい値になって、消費者の方は非常にお困りになるときがあるわけですが、そのときは出荷量が少ないわけですから、農家としましては非常に四苦八苦でございます。ちょっと暴落しますと元値をみな割ってしまう、材料代も出ないというような状況でありまして、これでは大事な首都近郊の野菜づくりというものが、安定的に供給どころか、だんだん減っていって、いま現に野菜づくりの農家がやめていく傾向にある非常に憂うべき傾向なんですね。前途まっ暗なんですよ。  そこで、いまこれらの人たちの異口同音に言っておりますことは、指定産地、指定野菜に関しては何とかもう少し安定した供給ができるように、生産が安定してやれるように、それには言うまでもなく価格の安定なんですけれども東京都と産地とが何か特約をいたしまして、一、二のものによっては、また地方によっては試験的に特約販売みたいなことをやっているところがあるそうです。しかし、必ずしも成功しているかどうかよくわかりませんが、何かひとつくふうをして、この周辺の指定産地、指定野菜については価格の安定を期するということについて、いまでも多少の制度は御承知のとおりありますけれども、あれは正直言って農民が喜んでおらないです。掛け金が高くて、もらうときはほんとうのスズメの涙でというので、お義理に入って、なるべくつくっている量を少なくごまかして入って当面を糊塗するようなことをやっているわけですが、これでは何ともしようがないので、ひとつこの価格安定制度をもう少し強化する。そのためには、相当国費も投入しなければやれぬとは思いますけれども、それをやらなければならぬと思うのです。  非常に大事な近郊野菜の生産でございますから、何よりも優先して価格安定措置の強化、いまやっておりますのは、過去三年間の平均市場価格というようなものを基準にして、それを大きく割った場合に若干のものが来るというような制度ですけれども、そういうことでなくて、やはりこれも先ほど来いろいろお話がございましたが、今日のように生産費が膨大に上がりますようなときは、そのときの生産費というものを基準にとりまして、それをある程度割るというようなときには、すぐに補てんができて生産が継続できるという安心感を与えるということが私は必要だと思うのでありますが、その点について、指定産地の指定野菜に関する価格安定について、もっとこれを抜本的に強化するということについて御検討をなすっておりますかどうですか。
  287. 池田正範

    ○池田政府委員 指定産地につきましては、現在まで約七百三十八カ所ほど全国で指定いたしておりますが、これは大いに拡充をしていこうというので、来年度は八百七十八カ所までこれをふやす。また対象になっております品目につきましても、従来よりも品目をふやしまして、十四品目にふやすというふうに対象及び指定産地等の中身を広げてまいりますことを現在考えておるわけでございますが、それらを含めまして、さらに対象数量全体といたしましても、従来の約七十四万トン前後のものを百万トン程度まで対象数量をふやす。それから野菜の協会によりますところの補てん率、これも四月−十月の計画出荷分については、キャベツ等について従来の八割から一〇〇%の補てん率に上げる、あるいは従来最低保証として趨勢値価格の五〇%を足切りにしておりましたけれども、それを場合によっては選択の四〇%まで下げるといったような一連のことを、実は現在御審議をお願いしておりますところの来年度の予算の中に組み込んでおるわけでございまして、価格安定制度だけでも、全般を通じまして前年度よりも二七%増の約五十一億弱の金がお願いしてあるわけでございます。私どもといたしましては、こういった中身を全般的によくしてまいりますことと同時に、やはりいま先生指摘の保証基準額というものの中身を改善していくことも一つ方法であろう、こういうふうに現在考えておるわけでございます。  と申しますのは、現在の保証基準額の考え方といいますのは、これは御案内のように、昭和三十六年から四十七年までの十一年間の趨勢値価格、これを三年間の移動平均でとって出しておるわけでございます。したがいまして、過去を振り返ってみますと、そこに実現されておりますところの趨勢値価格というのは、当然そこでは生産費もまかなってきたということで、やや長期的にとりますというと生産費もまかない得るものであったのだ。それがもしまかなえないものならその趨勢値を切れてしまってつくらなくなってしまう、こういうことになるわけでありますけれども、これはあくまでも大数観察それからやや長期の問題である。そうしますというと、いま御指摘のような、最近のように非常に生産資材が高くなる、こういうことになりますというと、そういう趨勢値価格だけではやや不足するということもございますので、そこで生産資材とか包装資材とか出荷運送費といったような最近の値上がりというふうなものを農村物賃の中から引き出しまして、これをある程度上積みをするという形で趨勢値を上げることによって全体の保障基準というものを少し上げようじゃないか、こういうことを現在政府部内において検討中でございまして、できますれば、なるべくこれを実現することによりまして先生の御指示の方向にも沿った中身のあるものにしていきたい、こう考えておる次第でございます。
  288. 高田富之

    高田分科員 ぜひひとつ農民が喜べるような、安心して掛け金ができるような制度に直していただきたいということを強くお願いいたしまして、時間が来ましたのでこれで終わります。
  289. 湊徹郎

    ○湊主査 これにて高田富之君の質疑は終了いたしました。  次に、高橋繁君。
  290. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 私は、水産資源の保護それから零細漁民の生活確保、そうした問題と関連して質問いたします。きょうは農林大臣もおりますので、ひとつとくと聞いていただきたいこともありますし、また水産資源の保護という面で政府がとっておる施策というものについて私も質問をしてみたい。  そこで、最近漁場の喪失やあるいは漁場の環境の悪化、そういうところから水産資源というものが減少傾向にある、多彩な需要に十分対処し得ない状態にあるというのは政府が言っていることです。そこで、水産資源の保護という面で、まず最初、水産庁なり農林大臣でもけっこうですけれども、一体どのように考えておるのか、お聞かせを願いたい。
  291. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 水産資源保護に対する国の基本的姿勢はどうかといった意味の御質問かと思います。御案内のように、自然環境の中で生育する魚類等を採捕する産業でございます漁業の安定的な発展をはかるためには、資源の保護が必要であるということは申すまでもないところでございます。したがいまして、あまり生産性の高い漁具とかあるいは漁法を使いますと、その資源が壊滅してしまうというようなこともございます。そこで、そういったことを避ける意味でも、漁具、漁法についても水産資源保護法等を適切に運用いたしまして、資源保護上問題の生ずることがないようにつとめてきているわけでございます。もちろん漁業者でございますから、そこに泳いでいる魚をどうしてもとりたいというようなこともございまして、多少乱獲的な傾向がないわけではございませんけれども、われわれといたしましては、そういったことを極力避けるためにも、現在の水産資源保護法等を運用いたしまして適切な措置をとってやってまいっておるところでございます。  それからさらに、近年、先ほど先生から御指摘がございましたけれども、臨海地帯の都市化、工業化等に伴う埋め立てによりまして、干がた、工場の減少等により稚魚の生育状況が悪化する傾向がございます。したがいまして、そういった点から、従来にも増して稚魚の生育場等を守るため、沿岸漁場の総合的かつ計画的な整備開発を積極的に進めると同時に、水産資源の増大をはかるために、いわゆる栽培漁業の全国的展開をはかって再生産を維持していくというような必要があるわけでございまして、そうした点につきましても、資源の維持増大と同時に漁場の整備にもつとめてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  292. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 政府が出している「四十八年度において沿岸漁業等について講じようとする施策」という中に、これは五〇ページあるのですが、水産資源の保護という面は、一ページのたった八行ですよね。しかも何をやっているかといえば、水産資源保護協会に一千何万かの補助だけです。助成だけです。あと都道府県に五千万、それだけですよ。しかも水産資源保護協会は一千何百万かの補助をもらって一億五千万の予算でやっておる。その予算はどこから持ってくるか。これは下から金を集めて、受託事業が最大の事業です。あるいは会費を取ってやっているというところから見ても、いまあなたがおっしゃった政府が積極的にほんとうに水産資源保護ということをやっているとは私は非常に理解しがたい。どうですか、その点、そういう施策で、積極的な施策をやっていると言えますか。その点についてどうですか。
  293. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 水産資源の保護のために啓蒙事業が必要なことは申すまでもございません。したがいまして、現在水産資源保護協会に対しまして補助金を出して啓蒙事業をやってもらっておるわけでございますが、その額が少ないのではないかという点はあるいは御指摘のとおりかもしれませんけれども、水産資源の保護というのは、単に啓蒙事業以外に現実の漁業活動を通じて水産資源の保護をはかっていかなければならぬという面が大きいわけでございます。  そこで、先ほど御答弁申し上げましたことは、漁業自体についてやはり資源保護を考えながらやらなければいかぬということで行政を運営しているわけでございまして、啓蒙について私どもといたしましてもなお今後予算をふやすような努力をして、国民に対して資源保護の必要性の啓蒙はもちろん必要でございますが、それだけではなしに、やはり漁業活動を通じて水産資源を保護していくということのほうも非常に重要なわけでございます。
  294. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 最近の農林省の施策は、主としてとる漁業からつくる漁業、これが主眼ですね。それだけではたして多彩な需要に十分対処し得るものであるかどうかということですね。それよりも、日本は四面海で囲まれた、この日本の国にあって、自然からあるその資源の保護というものについてもっと積極的に施策を講じなければならない。それもあっていいはずなんですね。ただ、資源保護協会に補助を出しているだけで、それに対する政府の施策というものは先ほど申し上げたようにただ補助する、助成をするということだけで、わずか七行か八行で終わっているところに私は問題があると思うのだ。もっとこの資源の保護という問題について施策を講じなければならない。この点についてはとくとひとつ研究してもらいたいのです。  そこで私は、この水産資源の保護という面で具体的な例を引きながら質問をいたしますので、お答えをいただきたいと思うのですが、特に静岡県の駿河湾あるいは神奈川、三重、和歌山と全国太平洋岸にわたっていまハマチの養殖が奨励をされて進んでおります。ところがハマチの稚魚をとるということ、これは全国的に行なわれておるのですが、このハマチの稚魚採捕、これが水産資源の保護と大きく関係していることの実態を知ってもらいたいと思うのです。その辺については認識はお持ちですか。
  295. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 ハマチの稚魚をとるためのまき網漁業が釣り漁業等と漁業調整上問題を起こしていることは承知しております。
  296. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 問題を生じていると言いますが、どのような問題を具体的に生じていると御存じですか。
  297. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 小型の底引きあるいはまき網等の網漁業につきましては、県が漁業調整規則を定めまして、操業の区域あるいは操業の期間等をきめて許可をしておるわけでございます。そこでハマチの稚魚をとるためにそういった漁業がその区域あるいは期間に違反すると申しますか、違反して操業してそれが釣り漁業に影響を与えているということがあるということは私どもは耳にしておるわけでございます。
  298. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 だから、あるということは、それは県か何かの報告で聞いておると思う。実態は御存じないでしょう。どうですか。
  299. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 私どもは国全体の水産行政について責任を持っておるわけでございますから、そうした問題につきましても、常に県とかあるいは水産庁の出先機関を通じましていろいろ事情を聞いております。ただおまえが目で見たかといわれますと、私は目で見てないということが正直な答弁だと思います。
  300. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 私はそこら辺にやはり問題があろうと思うのです。確かに県の許認可事項になっております。じゃ県がその認可された事項に従って指導監督をしているかといえば、これはほとんどしていない。何が原因しているかというと——ちゃんときまりはあるのでよ。船舶は総トン数五トン未満、馬力は四十五馬力ですか、四十五馬力ですか、そういうこと。それから網はどうの、あるいは期間は五月十五日から七月二十五日まで、操業中は県が認めた標識を掲げなければならない、ハマチは養殖用の種苗に供するもの以外は一切販売してはならない、網の全長は九十メートル以内、目合いは二センチメートル以下とちゃんときまっておるのですが、これをほとんど実施をしていないのが状況です。  どういう結果が生ずるかというと、大体稚魚というものはモの中に入ります。そのモは波に乗って流れる、プランクトンに従って流れていくのです。そのモの中には、特に駿河湾は、これは独得の海で御存じと思いますが、いろんな魚族が多いのですが、そのいろんな魚族もろとも、五月十五日じゃなくて五月に入る早々、五月前から、しかもきめられた網じゃなくて、でかい二百メートルも三百メートルも長い網を持ってきて、もう一ぺんにとってしまうのです。そしてその中からハマチの稚魚だけ出して、最初は残った稚魚は市場に出して売っておった。それがやかましくなったものだからそれを売るのをやめて捨ててしまう。捨てればどうなるかといえば、ちょうど親から離れた赤ん坊のように他の稚魚は全部死滅するのです。そしてほかのもののえさになっていく。  小学校を卒業して海に入ってきた漁師は一番海を知っておる。だからその期間を制限しろとかハマチの稚魚をとってはいけないといっているのじゃないのです。そのきまったことだけを守ってくれさえすれば漁師たちは助かる。メダイは一年間で一・五キロになるのですからね。ハマチは御存じのように一キロのを一個とるには七キロのえさが要るのです。ほっとけば駿河湾等は魚族というものはまだまだ繁殖する。ただ養殖沿岸漁業の振興というところだけに重きを置いておるものですから、実際のこういう漁師の声を県も聞こうとしないのだ。だから私、国会で取り上げるのです。  そういう点をほんとうに水産庁あるいはあなた方が知っていただいて——いま魚族の資源の確保という問題は、ただ養殖漁場をやるだけじゃなくて、こうした漁師の気持ちもわかってもらって、その期限というもの、その許可認可事項を厳格に守ってほしい、こういう陳情はこの前水産庁にも出されているのです。県にも何回も言っているのだ。ところがハマチの養殖業者はみな地元でいえば県会議員であるとかそういうことで、なかなか耳を傾けようとしないのです。零細漁民は、何とかしてほしい、このままにしておけば生活に困る、全国で一、二カ所や三カ所やそこらは、ほんとうにレジャーでも沖合いで釣り糸をたれて魚が釣れる場所があってもいいじゃないですか。それがいま枯渇しようとしているのです。そういう現実のあることを知っていただきたい。ただ県からはおそらく全部とった稚魚は放してますよ、その報告だけ聞いていたのでは、私は、水産資源の保護、零細漁民の保護ということにはならないと思う。この辺はどうお考えなのか。まあその辺の実態を知らなかったでしょうけれども、これに対する考えはどうですか。
  301. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 私は先生のおっしゃることが非常によくわかるわけでございます。と申しますのは、今後の日本の水産業を維持していくためには、やはり資源というものを維持していかなければ水産業は成り立たないわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、日本漁業の永続的な発展のためには資源の保護をやらなければならない。そこでいろいろ漁業調整上の規則等をつくりまして漁業に規制をかけてやっているわけでございます。それが完全に守られない面があるというのは、また私どもの非常な悩みでございます。  そこで、これをどうするかということになりますと、その場合一つ問題になりますのは、一方網でとっている漁業者、これに向かって、海の中に泳いでいる魚を、おまえとってはいかぬということを徹底的に教育するのには、これはまたたいへんな問題がそこにあるわけでございます。そこでそれをどうやるかということになりますと、それが漁業取り締まり、しかし取り締まりでは限界がございます。したがいまして、国民と申しますか、あるいはもっと狭くいえば漁業者の中にそういった資源保護の重要性というものを十分に認識させていかなければ、日本漁業の前途に非常に影響があるということは、もう先生の御指摘を待つまでもなく私どもが水産行政をやっている場合の最大の悩みでございます。  そこで取り締まりの強化というようなことになるわけでございますが、私は、取り締まりは幾ら全部やってみても完全にできるものではない、そこはやはりそういった漁業者の資源保護に対する精神を養成していってやっていかなければならぬと思いますが、漁業というのはやはり営業としてやっているわけでございますから、そこに非常にむずかしい問題があるということが現実でございます。したがいまして、私はもう先生のおっしゃることは非常によくわかっておりまして、それがまた私ども水産庁の行政をやっておるものの大きな悩みでもあるわけでございます。
  302. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 そうなると、いわゆる一本釣りの零細漁民の願いといいますか希望といいますか、あるいは生活権の確保というものは得られないというふうに感じておりますけれども、それを一体どうするかというところに問題がある。だから最初質問したように、水産資源の保護という面に対する政府の施策なり考えというものが、そういう点でまだまだ浅いのじゃないかということを指摘したわけですよ。ただ、いまの説明でありますと、非常にむずかしいが、よくわかる。よくわかったら一体これをどうするかという——取り締まりだけでは解決つかないとすれば、そうした県に対する指導なりあるいは何なりを、それじゃいままで実際おやりになっているのですか。
  303. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 静岡県のまき網と一本釣りとの多少のトラブルの問題につきましては、私どもといたしまして、静岡県に取り締まってくれということを強く要望しております。さらに静岡県といたしましては、海上保安部の協力等も得まして——静岡県自体の取り締まり船に非常に限界があるわけでございます。そこで海上保安部等の協力を得て取り締まっている。その結果、漁期前の違反というものはほとんどなくなった。ただ、漁期後にまだ多少違反があるようでございますが、なおこの点はそういうことのないように静岡県を指導しながら改善をはかっていかなければならぬ、こう思っております。
  304. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 では、海上保安庁は一体何件取り締まったのですか。御存じですか。
  305. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 私ども承知しておりますところは、海上保安部の船が三隻、もちろんこれは全シーズンではございません。一定期間でございますが、静岡県の取り締まりに協力してくれたというふうに聞いております。
  306. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 実際は皆無といっていいのですよ。海上保安庁がほんとうに取り締まってくれたらまだいいのです。ところが、私も実情を知っておりますが、ほとんど取り締まっていないというのが現実です。海上保安庁に聞きましたところが、海上保安庁も忙しくてなかなかそういったところに目が届きません、こう言っているのです。海上保安庁に頼まれている、そういう答弁だけのやりとりじゃなくて、どうせ答えておれば三十分たって終わるからというように、実際それだけでは済まされない問題であると思うのですよ。そういうように、じょうずに言えば、これで終わりますよ。ああそうですかと、知らない人なら聞いて帰りますが、私は知っているのですから、そんな答えでは漁師も納得できない、私はこう思うのです。事実漁期前にとってないという証拠は、ただ静岡県からの報告だけでしょう。そうじゃないですか。
  307. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 県からの報告でございます。
  308. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 県が間違っているのだから、県が間違っている報告を聞いて、ありませんという答えはごまかしにすぎない。しかも、船も網も漁期も全部違反している事実は御存じですね。
  309. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 全部違反しているとは思っておりませんが、違反の事実があるということは承知しております。
  310. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 全部でなければ何と何が違反しているのですか。
  311. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 期間について一番違反件数が多いということでございます。
  312. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 船と網については違反しておらないという認識ですか。
  313. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 船と網については違反がない、県からそのような報告を受けております。
  314. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 私はここではっきり申し上げておきます。事実違反があるのです。行ってみなさい。どういう船を使っているか、どういう網を使っているか。私が言いたいのは、ここまで来た以上は頼みとするところはやはり農林省、水産庁しかない。だから言っているのです。漁民は一体どこへ泣きついたらいいのか。県へ行っても、もう二年も三年も行っても一向に解決してくれない。せめて水産庁へ来たらやってくれるだろうというのが漁民の願いです。それが県と同じような答えをしておって何で納得できるか、こう言いたい。  もう少し認識を新たにして、ほんとうに水産資源を確保するという点から、確かに養殖漁業をやることも一つの方策でしょう。一番海を知っている漁師が言うのですから間違いないと思う。その漁師の声なき声を聞いて、水産資源の確保という点については十分な認識と理解と、また監視をやっていただきたい。  農林大臣どうですか。私の話を聞いて間違いですか。あるいは大臣としてどういうようにお考えですか。無理な話ですか。
  315. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 たいへん参考になりました。そこで、水産資源の保護につきましては、いま水産庁長官がお答えいたしておりましたように、前々から努力はしておるのでありますが、より一そうこの点に努力をいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  316. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 水産庁としてひとつまとめて、いま私がいろいろ話したことに対して、水産資源の保護と漁師の生活権確保、零細漁民を守るということについて、お考えを聞かしてください。
  317. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 ただいま先生から御指摘がございました資源保護と違反の問題というのは、これは水産行政の非常にむずかしい問題でございます。私どももそれに真剣に取り組んでおりますが、実際ある面については乱獲的な現象がないわけではございません。資源を保護していかなければ漁業の将来というものはないわけでございます。そこで私どもといたしましても、常々そういうつもりで仕事に取り組んでおります。なお静岡県の具体的なケースにつきましては、県にさらに照会いたしまして、私ども、必要があれば係官等を派遣いたしまして実態の調査をしてみてもいいと思っておりますが、そういったふうで資源保護については努力したいと思います。  なお、零細漁民の保護につきましては、現在沿岸漁業についていろいろ構造改善その他を進めております。日本漁業の将来ということを考えました場合には、非常にきびしい状況に直面しておりまして、われわれといたしましては、沿岸漁業、沖合い漁業の振興をはからなければ、動物たん白質としての水産物の利用ということにこと欠くことになってはいかぬと考えております。したがいまして、沿岸漁業につきましては構造改善を進めると同時に、零細な方々にも漁業近代化資金とかその他の制度が利用できるように、もう一歩努力したいということを考えているところでございます。
  318. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 ひとつ格段の努力と施策をお願いしたいと思います。ということは、日本の沿岸で、先ほど申し上げたように釣り糸をたれてつれる漁業、日本の国民のレジャーという面から見ても、そういうところがあってしかるべきではないか。ただ近代化といって、全国には何万といらっしゃるそうした一本釣りの業者がほんとうに危機に瀕しているということはいま申し上げたとおりですから、どうかそのつもりでこの問題については今後見のがすことなく、私もまた続けて水産庁にお願いし、状況を見守っていきたいと思いますので、よろしく御指導のほどをお願いいたします。  以上です。
  319. 湊徹郎

    ○湊主査 これにて高橋繁君の質疑は終了いたしました。  次に、芳賀貢君。
  320. 芳賀貢

    芳賀分科員 農林大臣お尋ねいたします。  本日は、国連において国連の資源問題特別総会が開かれておるわけでありますが、わが国においても、資源問題については、石油危機の勃発以来、先進国の中で最も資源の不足国として国家的弱点が国民全体にもきびしく認識されておるわけであります。したがって、資源問題は、これからの人口、食糧問題にも重大な関係を持っておりますし、食糧についても自給率が四〇%台になっておるわけでありますから、食糧政策の最大の命題は、政府の責任において自給率をすみやかに高めるという施策が最も重要だと思うのです。いままでの農産物の低価格政策あるいは海外依存の政策によって、日本の農業の生産実態というものは全く崩壊に瀕しておるわけでありますから、これを立て直すということは容易ならぬ決意が必要だと思うわけであります。  ですから、回復の最も効果的な政策手段としては、法律に基づいて政府がきめる、ことしの米をはじめ農産物、畜産物の価格決定については、従来と違った積極的な方針に基づいて、特に農林大臣としては責任者でありますから、十分な取り組みをしてもらいたいと思うわけです。その点についてまず所見を伺います。
  321. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 政府が関与いたしております行政価格、かなりたくさんございますことは御存じのとおりでありますが、たてまえといたしましては、やはりいまお話しのような自給率を高めること、自給率を高めますにはやはり生産意欲を減退させてはだめだ、こういうことが基本になるわけでありますが、近く決定することになっております乳価、豚価等につきましても、やはりそれに要する生産資材がかなり高騰いたしておりますこと、それから現状の経済状況等を勘案いたしまして、それぞれの政府の機関であります、たとえば乳価で申せば畜産振興審議会、これは例年より早く十一日に開会することにいたしまして、十分それらの御意見も徴しながら、再生産の確保できるような体系をつくってまいりたい、こう思っておるわけであります。
  322. 芳賀貢

    芳賀分科員 時間が限定されておるので率直に尋ねますが、いま大臣の言われた今年度の加工原料乳の保証価格決定について、昨年は前年度に対しましてキロ当たり三円三銭、指数で六%余引き上げでありまして、近年では相当上昇したことになっておるが、これはまあ実際は据え置きと同様であります。そこで、昨年の政府原案がそのまま決定したわけですが、それとあわせて、畜産振興事業団を通じて四十億円のつかみ金が四十八年、四十九年を通じて支出されるわけでありまして、これは政府側の宣伝によると、四十八年度乳価についてはキロ当たり大体二円程度の上積みになるという、そういう説明であります。  もう一つは、昨年十一月からことしの三月までの間、加工原料乳の乳価対策としておおよそ十五億円、これは乳価に換算しますとキロ当たり三円程度ということになるわけでありますから、保証価格のほかに、期間は違いますけれども、おおよそ五円の特別支出が行なわれておるわけであります。この五円というものを実際は保証価格の中に加算すべきものであるにかかわらず、根拠あいまいなつかみ金で終わっておるわけでありますから、当然四十九年度の乳価決定にあたっては、四十八円五十一銭の保証価格に五円なるものを加算した価格を基準として今年度の価格計算に当たるべきではないか、こういう意見が非常に強いわけですが、これに対しては農林大臣としてどう考えていますか。
  323. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私どものほうから諮問をいたすわけでございますから、それに必要な資料をいま鋭意検討しておる最中でございます。そういうものを提出いたしまして、十分御審議の上に答申を得て決定をいたしたい、こう思っております。
  324. 芳賀貢

    芳賀分科員 十一日に畜審を招集しておることは承知しています。だから、その際四十八年保証価格というものを基礎にして検討してもらうと思うわけですから、それに実際の政府機関の支出である五円というものを加算したものが現実的に基本乳価であるということについての説明は、政府として畜産審議会に行なうという意味ですね。
  325. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 そういうことよりも、新しいデータを基礎にいたしまして、諮問をいたすつもりでおります。
  326. 芳賀貢

    芳賀分科員 次にお尋ねしたい点は、生乳の販売価格の場合は用途別によって非常に価格差が多いわけです。同じ酪農家が生産した生乳でありましても、これを用途別に二分して販売する場合も実例としてあるわけです。たとえば飲用向けの生乳の価格は現在、四十八年度を通じておおよそキロ当たり八十二円で生産者が手取りをしておるわけです。これは何ら政府が価格補償もしないし、特別の価格負担もしておらぬ、実勢によって形成された生乳の価格ということになるわけです。これに対して政府の責任においてきめる保証乳価、加工原料乳、この中には四十八年度はキロ当たり八円二銭政府が不足払いをしておるわけです。だから政府の保証価格と飲用乳の取引価格というものはキロ当たりについて三十二円、これは格差があるわけです。三十二円ですよ。しかも加工乳を指定生産者団体が集乳をして乳業者に供給する場合には、八円二銭の不足払いを差し引いた価格で供給するわけでありますからして、乳業会社が買い受ける加工原料乳はキロ当たり四十円四十九銭ということになっておるわけなんです。同じ生乳を飲用向けで会社が買えば八十二円、加工乳と銘打って買えばその半値以下の四十円四十九銭ということになるわけで、会社が受け入れてしまえばこれは用途別も何もない、一体の生乳ということになるわけであります。  だから現実においては、政府の保証乳価にしても、あるいは四月十日にきめるてん菜の価格にしても、その他政府が行政価格できめる価格というものは、いまの狂騰する物価の事情や、あるいは他産業の労働賃金の傾向と比較した場合において、この政府が定める行政価格というものはすべて法律の目的と反して、価格を押えるというところだけに権限を発揮したと言ってもこれは差しつかえないわけであります。そこで、ことしはキロ当たり三十二円にも及ぶ用途別乳価の格差というものをまず根本的に是正する、均衡あるものにする。一物一価の原則にのっとったそういう価格形成をするということが非常に大事と思いますが、その点はどのように配慮していますか、大臣から率直にお答え願いたいと思います。
  327. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 専門家に向かってお答えするのもいかがかと思いますが、あの加工原料乳はああいうやり方、片ほうの市乳のほうは自由でございますので、そこで価格は当然開きがあるのは当然なことだと思っております。
  328. 芳賀貢

    芳賀分科員 そこで、無理に法律で押えておる加工原料乳の価格決定を、いきなりいまの法律を廃止しろとは言いませんが、これは違うのだからやむを得ぬということであれば、このような狂乱物価の時代においては、この加工原料乳の不足払いの法律というものを一年ないし二年これを眠らせるということになれば、加工原料乳についても往年のように実勢価格によって取引をするということになるわけです。現行法ができる前は、用途が違いましても、これは混合乳価という形で平均的な価格形成が行なわれたわけでありますからして、この法律を全面廃止とは言わぬが、一両年これを眠らせる、法律の作用をさせないということも、これはできないわけではないと思うのですね。そういう場合には一体加工原料乳の取引価格はどうなるかということについて検討したことがありますか、大臣
  329. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 事務当局が検討いたしておりますから、事務当局からお答えいたします。
  330. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 加工原料乳の価格と市乳の価格は、現在の法律では別の価格形成のあり方をすることになっておりますので、確かに御指摘のように格差が漸次拡大をしてまいっておるわけでございますが、現在の需給事情から見まして、確かに加工原料乳についての不足払いの制度を全廃しろという御意見も一部にはございます。反面、市乳についても全面的に不足払いを適用しろというような御意見もありますので、にわかに、はずした場合どの程度だということについて的確に推定することは困難でございますけれども、やはり現行法の考え方は、市乳につきましては、需給の実勢によって決定される価格で適正な価格がつくられる。ただ、加工原料乳の場合は、地域的な需給の問題等もございまして、また乳製品の価格を安定しなければならないという面から見まして、現在の、生産費を基礎にいたしまして物価修正をして政府が価格補償をするというやり方をやっておるわけでございますので、いまこの制度を直ちに眠らして、はたして適正な価格が形成されるかという点については非常に問題が多いと思います。
  331. 芳賀貢

    芳賀分科員 私が大臣に聞いたのは、現行法を試みに一年ないし二年眠らせるということになれば、法律が作用しないわけだから、そういう場合は、いままでのような飲用乳との価格差三十何円という、そういう異状な状態というものは是正されるのではないか、その点についてどういう検討をしておるかということを聞いておるので、局長の答弁というのは当を得ないじゃないですか。時間だけを食い込んで、空費するだけでしょう。前の畜産局長でいまは官房長の大河原君、どうですか。これは一体どうなるか。法律を眠らした場合と、無理やりまた低乳価でやる場合と、どう変わると思いますか、官房長。
  332. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 もう時間がないようですから簡単にお答えいたしますが、法律を眠らせるというふうなことを全然考えておりません。
  333. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは、不均衡を是正するということが、今年の加工原料乳の価格決定には重要な前提の課題であるということを強く指摘しておきます。  次に、四月十日になると、甘味資源のてん菜の基準取引価格を政府がきめるということになるわけです。これも法律を逆用して毎年低い価格できめておるわけです。去年の決定は前年度に比べてわずか四%しか上がっていないのですよ。米麦等は一五%上がっておるが、てん菜の基準価格はわずかに四%だ。そういうことをやるものですからして、ことしはトン当たり一万五千円の価格を実現してくれなければ、てん菜の耕作面積が二〇%ぐらい減るかもしれぬという、そういう気流が流れておるわけであります。これは価格問題だけで面積を左右するわけではありませんが、そういう実情であります。  そこで、去年はてん菜の原料価格はトン当たり八千五百六十円、それを基礎にした政府買い入れ糖価がトン当たり十一万四千円ですね。そうして現在の国内における砂糖の小売り価格は百八十六円で政府が指導価格を実施しておるわけです。だから、原料価格、政府買い入れ、売り渡し価格、あるいは小売り価格に対する指導性の発揮という一連のつながりがあるわけですからして、原料問題だけをどうというわけにはまいりませんが、たとえば、生産者の要求するトン一万五千円の原料価格という場合は、それを基礎にした買い入れ価格というものは一体幾らになるか、そして砂糖の小売り価格というものがどうなるというこの一連の価格の連関について、農林省として検討してあれば説明願いたいと思います。これは局長でいいです。
  334. 池田正範

    ○池田政府委員 てん菜糖の現在の市場価格から逆算して支払える価格の水準ということであろうと思いますが、現在、市場価格水準として一応指導の目標にしておりますのが百八十六円、これは小袋の上白、こういうことでございますので、したがって、この百八十六円を中間経費等参酌してもとに直します。そうしますと、その間の中間経費は、これはいろいろと格差がございまして一本で出ませんけれども、最近では、この秋口に二十五、六円、最近では三十円前後というのが非常に多いわけでございますが、そういうふうなものを全部差し引きましてもとに直しますと、大体百五十五、六円から百六十円前後というふうな形になるわけでございます。そこで、その後実は、先生も御承知のように、原糖のプレミアムとか、あるいはそのプレミアムを調達するための金利の値上がりとか、あるいは副資材の値上がりとかそれらの問題が非常に複雑にかみ合って実は出てきておるわけでございます。  したがって、それらを含めて、一体現在の段階で卸売り価格が幾らであるかということを正確に出そうといたしますと、どうしてもこれは、三月末の決算期を待って、一応その決算期に基づいた価格をベースにしてこれを有価証券報告書等のチェックによってきめなければいかぬ、その一番最近にきめたものは、これも先生承知のように、昨年の三月にきめた百三十六円九十銭、それをさらに一部訂正をいたしまして、九月末におきまして、これを十一社のうち九月の決算のありました九社をとりまして計算をいたしますと、いま申し上げましたようなその後の諸要素を除いて百三十七円十三銭、こういうのが二つ出ているわけでございますけれども、それ以降については残念ながら出ていないわけでございます。したがいまして、いま先生のおっしゃることは当然でございますけれども、いまの段階で直ちにいまの百八十六円という指導価格、ほんとうは百八十六円だけじゃだめなんでして、現実に流れておる砂糖全体に見合うところの原価でなければいけないと思いますけれども、それを出そうといたしますと、どうしても決算を待ってでないというと、いま御質問の趣意に沿うようなものが出てこないというのが現状でございます。  ただ、かりに今後の国内市況というものがロンドンの相場等を基準にして動くということに一応関連づけて考えるということにいたしますと、最近は非常に暴落をいたしておりまして、二百ポンド前後にまで落ちてきておりますけれども、それらに見合って、一体どの程度の原料の支払い可能性のある価格が出てくるかということになりますと、一万二千円をちょっと上回る程度のところが算術的には出てまいるわけでございます。しかし、これはあくまでも算術でございまして、今後の市況その他につきましても大きく変動いたしますので、いま少しく様子を見ないと価格の水準は決定しかねるというのが現実でございます。
  335. 芳賀貢

    芳賀分科員 いま局長の言われたのは、せんじ詰めればトン当たり一万二千円程度ということですか。
  336. 池田正範

    ○池田政府委員 国際的なロンドン相場というものから一応算術的に機械平均いたしますと一万二千円ぐらいになります。しかし、これはあくまでも機械計算でございまして、そのことと、さっき先生のおっしゃったような国内価格から積み上げていって支払える原価というものを出すためには、どうしても中間的な会社の決算というものを十分つかんでからでなければ出ませんので、したがって、それはお答えになりませんので、一応いま出すと直ちに言えとおっしゃれば、これしかない。それを出すとすると、機械的にはその程度。しかし、これはいま上がったり下がったりの最中でございますから、参考値になるかならないかという程度のものであろうかと御了解いただければありがたいと思います。
  337. 芳賀貢

    芳賀分科員 結局、市価逆算で糖業者の利益を優先的に確保した残りを原料価格に直せばトン当たり一万二千円程度になる、そう局長が言ったというふうなことで、次にお尋ねします。  これは林野庁の関係になるわけですが、四十六年の四月十三日に政府の統一見解が出されまして、これはもうすでに大臣も当時農林大臣在任中の問題ですからおわかりと思いますが、いまの国有林事業には、常用作業員と定期作業員を合わせて三万一千人の基幹労働者が、これは日給制という劣悪な地位で、国の公務員としての立場で営々として努力しておるわけであります。ですから、この貴重な、大事な基幹労働力に平等な処遇を与えるということになれば、身分を常勤制に移行させるということは当然なことになるので、これに対する政府の統一見解というものが四十六年の四月十三日に出されておるわけです。この問題は、おそらく倉石農林大臣としてもこの席で直ちに全面的に常勤化ということを言明するだけの気魄がないかもしれませんが、その中で重要な点は、現在林野庁の国有林事業におきましてもだんだん機械化が拡大されまして、この機械作業についての機械作業員、機械要員というものが以前に比べると相当人的に増加しておるわけなんです。そういう中において機械要員だけを取り上げてみましても、林野庁長官の説明によりましても昨年現在で三百七十四名いまだ定員内に繰り入れが実行できない、こういう事情があるわけであります。これについては昨年以来、時の櫻内農林大臣にいたしましても、あるいは当時の愛知大蔵大臣あるいは時の福田行政管理庁長官等、政府の統一見解に参加しておる各省の閣僚におかれても、この分だけは四十八年度完了を目途に繰り入れに努力するということを言明されておるわけでありまして、もうすでに四十八年度も終わりに近づいておるわけでありますから、きょうの場合は、この常用、定期の三万一千名の常勤化という問題はいま結論が出ないとしても、機械要員の年度内繰り入れの問題については、この際倉石農林大臣から明確にしておいてもらいたいと思います。
  338. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 最初のほうのお話につきましては、政府の統一見解はございましたけれども、国家公務員全体のことにも関するのでまだ結論が出ておりませんが、私どもといたしましては、林政審議会の中の労働部会等で林政関係の労働条件については研究をしてもらっておるわけでございます。  それから、機械要員の問題でありますが、このことにつきましては前々から林野庁におきましてもいろいろ努力をいたしておりますので、逐次改善の方向に向かっておると思いますが、なおこれは林野庁自身がそういう気持ちで努力をいたしておるわけでありますので、その辺をひとつ御推察願いたいと思います。
  339. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは、当事者能力のある長官、あなたから。(倉石国務大臣「当事者能力はこっちにもある」と呼ぶ)いや、あなたにもあるし、林野庁長官としてもあるのじゃないですか。大臣に遠慮しないではっきり言っていただきたい。
  340. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 ただいま具体的に関係省庁と詰めております。御承知のように、定員削減問題がございますので、四十九年四月一日になりますと約三百三十人ぐらい定員オーバーの見込みが現在あるわけでございます。しかも一方、六十歳以上の職員が約二百三十人ございまして、そういった難問をかかえておりますので、できるだけ調整定員等お願いしまして、できるだけ年度内に解決の方向に向かって進みたいと思っております。先般内閣委員会でもその点御指摘を受けまして、できるだけ早期に解決するように目下鋭意努力中でございます。
  341. 芳賀貢

    芳賀分科員 最後になりますが、大臣、先ほど私が特に資源問題を取り上げたのは、食糧にしても自給率四〇%、木材自給についても年間一億立方メートルの木材を必要とするわけであって、それに対して国内の生産、供給がやはり四〇%台しか供給ができないという状態ですから、ちょうど食糧についても木材資源についても極端に供給力が低下しておるわけです。だから、森林にしても食糧にしても、石油とか鉱物資源と違って、政治のよろしきを得れば、政策実行の努力いかんによっては、資源を培養して自給率を相当高度に引き上げることは可能な問題になるわけです。そういう中において拡大生産に向かうということになれば、農業の生産あるいは林業の生産についても、基本となる労働力というものが十分な労働意欲を発揮して生産に取り組まなければ成果をあげることはできないと思うのですよ。  それを単に欠員を待って補充するというような形で、今回は三百七十四名の繰り入れができるとしても、全体の角度から見た場合に、三十年も日給制の定員外に置かれて、農林大臣の表彰状だけもらって人生を終わったというようなことでは、これはまことに人道的に見ても政府の無能、無責任を指摘せざるを得ない状態ですからして、やはり農林省当局の誤りによって必要な定員を確保できなかったというところに大きな過失と原因があるわけでありますからして、こういう点はすみやかに反省、検討を加えて、国の公共企業体として国民の山を守るということになれば、どうしても必要な基幹労働力というものは定員の中で確保するということで、ぜひ農林大臣努力すべきであるというふうに考えるわけです。この点だけ大臣から率直な答弁をしてもらってきょうは終わりたいと思います。
  342. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 職員に一生懸命でやってもらわなければ何でも能率はあがらぬのでございますから、そういう点ではおっしゃること、よく理解できます。
  343. 湊徹郎

    ○湊主査 これにて芳賀貢君の質疑は終了いたしました。  次に、小沢貞孝君。
  344. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 土曜日のおそくまで、お疲れのところどうも御苦労さまです。  大臣にも聞かなければいけないが、先に事務当局にお尋ねをしたいと思うわけです。  いまの質問者は、インフレの時代の加工原料乳の引き上げ、紙資源の買い上げ価格引き上げ等々でありましたが、私は蚕糸業関係で、近くきめられるであろう基準糸価、月曜日に一万人近く集まって全国大会をやろうという前夜であります。この問題についてお尋ねをしたいと思います。  そこで最初に、事務当局に、昭和四十八生糸年度は四十八年六月から四十九年五月までですな。基準糸価八千円と、こういうようにきまっているわけであります。ところが、繭糸価格安定法第五条によると、「標準生糸の安定下位価格及び安定上位価格は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合において特に必要があるときは、変更することができる。」こういうようになっておるわけであります。昭和四十八生糸年度において八千円の基準価格をきめたその標準になるというか、その資料をとった年度は、前年度ですから昭和四十七年度だと思います。そうすると、いまから考えると、四十七、四十八、四十九と三年もたって、最近の情勢は、著しい変動が生じた、こういうように考えるわけであります。したがって、あさっての大会は昭和四十九生糸年度で基準糸価一万円と、こういうんだが、私はその一歩手前の、いま現にことしの五月までやっている昭和四十八生糸年度の八千円はこの「著しい変動が生じ」ということになると思うんだが、これをすみやかに改定する意思はないか。していただきたいと思う。どうでしょう。
  345. 松元威雄

    松元政府委員 御指摘のとおり、四十八生糸年度の価格は、四十七年の繭の生産費、それから生糸の加工製造経費を基準としてきめたものであるわけでございます。  そこで、その後の需要の変動と申した場合に、問題は二つあるのではなかろうか。一つは、基準が生産費でございますから、生産要因における変化、それからもう一つは、生糸をめぐる需給事情の問題。この二つがあるという御指摘かとも存じますが、前段につきましては、もちろん四十八年の生産費は現在調査中でございますが、これに直につながります繭の価格というものはすでに取引を完了いたしているわけでございます。したがいまして、問題になりますのはおそらくその後の需給事情の問題ではなかろうかというふうに思うわけでございます。  需給事情につきましては、御指摘のとおり、四十八年に入りましてから生糸の価格は非常な変動をいたしておるわけでございます。これは四十七年が生糸の需要が堅調でございまして、いわば価格も堅調に推移したわけでございますが、四十八年に入りますと、それを少し度を越しまして、いわば過熱ぎみになって、一時は一万五千円という相場が出現した。その後漸次鎮静しまして、一万三千円、最近は一万円をめぐって上下しているという状況でございますが、非常に変動要因が大きい。したがいまして、この中から的確に需給の実勢を把握するのはなかなか困難でございます。大体において、需給の実勢から見ますと、やはり前年度八千円の水準は低いとは思われますが、この変動を的確につかまえるのは困難である、そういうことで、需給事情を注意しているわけでございます。したがって、四十九生糸年度に適用すべき基準糸価というのを近くきめる段階でございますので、この段階になりましていま直ちに変えるということはいかがかと思っておりまして、そういうことで、現在基準を改定するという考えはございません。
  346. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 年度途中で変えるのが何か三つ四つあると思いました。葉たばこ審議会、あれは途中において著しい経済変動か何かの場合には変えているわけであります。この法律も、「物価その他の経済事情に著しい変動が生じ」たという場合には、法律の命ずるところに従って事務当局はやるのが私は当然ではないか、こう思います。  今月のいつから四十九生糸年度に適用される基準糸価をきめようとするかは知らないが、それはそれで、四十九年度は四十九年六月以降のものもきめていただくと同時に、まだ今月は三月であります。三、四、五と三カ月四十八生糸年度が残っておるわけであります。法律に忠実な事務当局は、四十八生糸年度に適用されるものも改定をし、四十九生糸年度に適用されるものも審議会にかけなければいけない。これは事務的にそうなるはずだと思うわけです。そうでなければこの法律に忠実でない、こういうようにいわざるを得ないわけであります。現に葉たばこ審議会もそうであります。途中でやっているわけであります。ほかに二、三そういうのがあるわけであります。繭糸価格だけはどうしてそういうことができないか。
  347. 松元威雄

    松元政府委員 若干理屈めいて恐縮でございますが、一つは、そういった事情変更が大きい場合に改定することができるわけでございまして、そこは判断の問題になるわけでございます。  そこで私、前段申し上げましたのは、その場合、養蚕農家に直結いたします繭の価格の問題と生糸の問題、二つ申し上げたわけでございまして、繭に関しましてはすでに取引が完了いたしているわけでございます。したがいまして、基準価格の改定が直に養蚕農家にはつながってこない。つながるのは今後の問題でございます。  もう一つは、生糸の問題がございます。これにつきましては、おっしゃるとおり非常に変動が激しいわけでございますが、この変動を的確に把握するのがなかなか困難である。したがいまして、現段階でそれを的確に把握いたしまして変えるということよりも、四十九生糸年度で適用すべき価格をきめるほうが時期の関係からいって適当ではなかろうか、そういう判断をいたしているわけでございます。
  348. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 繭は実際には取引されてしまって実効はないんだと、こうおっしゃるわけです。ところが違うわけです。これから四十八生糸年度のものを経済の変動があったんだからこういうように改定するという意気込みを当局側が示すことは、来年の増産なり来年の取り組みに影響があるわけです。そういうことだから、過去のもので実効がないという意味じゃない。来年取り組むのに重要な影響があるという意味で言っているわけです。
  349. 松元威雄

    松元政府委員 そのためにまさに近く四十九生糸年度で適用すべき基準価格をきめるわけでございますから、これが適正に、養蚕農家の意欲を振興させるような額にきまりますれば、養蚕農家は安心できるわけでございます。そういう意味でそれをきめるのだというふうに申し上げたわけでございます。
  350. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 押し問答をやっていてもしかたがありませんから、四十九生糸年度における基準糸価をきめる審議会はいつ開きますか。
  351. 松元威雄

    松元政府委員 これは原則的には基準糸価は三月中にきめる。もちろん事情がございますれば四月以降に延ばすこともできるわけでございますが、従来の慣例から三月中にきめるわけでございますから、そういうことを目途として目下作業中でございまして、したがって何日にきめるということまではまだきめておりません。
  352. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 四十九生糸年度の基準糸価をきめる場合には、生産費その他いろいろの要素は去年の十一月ごろまでの指数を取り入れられるわけですか。そうすると、石油ショック以来十一月、十二月、一月、二月、一般に報道されているように、生産資材その他は毎月対前年比三割以上の高騰であります。ところが、取り入れられる月は去年の十月ですか、十一月までですか。
  353. 松元威雄

    松元政府委員 十月まででございます。
  354. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 そうすると、大事な十一、十二、一月、一番高騰をしたこの時期のいろいろの要素というものは四十九生糸年度の基準糸価をきめるその算出の要素の中に入ってこない、こういうようになるわけです。  そこでもう一つ、しからばさっき言う「著しい変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合に」、当然もうこういうことはいまわかっているわけですから、そういうものをどういうように反映をしてきめるか、このことをお尋ねしたいわけです。
  355. 松元威雄

    松元政府委員 基準糸価を決定します場合には、従来から前年度調査の生産費を基準として決定しているわけでございます。したがいまして、今回申し上げますと、四十七年の十一月から四十八年の十月まで、この一年間の生産費をベースにきめている。このやり方は従来からそういうルールになっているわけでございまして、それは価格決定時点ないし適用年度への物価補正を行なっていないわけでございますが、従来からこうやっておりましたのは、十月でございますから三月に通常きめますから、その間の期間が短い、接近している、こういう事情から従来そういう扱いをしていたわけでございます。  御指摘のとおり、十一月以後特に物価変動が大きいわけでございます。そこで、従来のような物価事情でございますれば前年の生産費をそのままということで、物価が安定しておりますればそれでまずまずということで、長年そういう扱いをしてきたわけでございました。この物価修正のしかたは農産物価格のきめ方によって、物によって違っておりますが、生糸はそういう扱いをしてきた。そこで、通常の価格動向でございますればまずまずそれでいいと思いますが、最近は確かに非常に物価が変動いたしております。したがいまして、年度内改定の問題とは別問題といたしまして、四十九生糸年度に適用すべき生糸価格をきめます場合には、この物価の上昇の取り扱いは十分検討しなければならぬ問題と存じておりまして、現在それについていろいろ検討を加えて作業している過程でございます。
  356. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 簡単にいえば、いまおっしゃるように、前年度の四十七年十一月から四十八年十月のベースでやっているが、十一、十二、一、二とたいへんな物価騰貴だから具体的にその要素を考慮、勘案してきめる、こういうように理解していいわけですな。
  357. 松元威雄

    松元政府委員 ちょっと言い方があれかも存じませんが、従来はそういう扱いはなかった。したがって、いわば従来の扱いを変えるわけでございます。したがいまして、それについては変えることになるわけでございますが、これは慎重な検討が要るわけでございます。ただ、いま申しましたとおり大幅な上昇でございますから、これは従来のルールというだけではなかなか済まないので、そういうことも十分検討を加えなければならぬのじゃないか、そういう心がまえでございます。
  358. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 それではそういうようにひとつやっていただきたい、十分その後の物価騰貴を考慮してやっていただきたい、こう思います。  大臣お尋ねをしたいのだが、いままでのこの法律、従来の蚕糸業、繭糸価格等の法律は、日本の輸出、国内価格それから繭糸価格、こういう要素でみんな法律も何もできておったと思います。ところが、昭和四十年と四十一年を境に輸出国ではなくて輸入国に転換してきたわけであります。ことしあたりは国内生産三十二万俵、輸入十四万俵、いわば二対一であります。だから今度は、行政あるいはいろいろ農林省で指導という場合に、輸入、国内価格、繭糸価格、こういう要素で逆に考えていろいろの行政をやっていかなければいけない、こういうように考えるわけであります。  いま繭糸価格の問題で一番大きい問題は、やっぱり輸入によって乱高下があることによって生産が安定的に伸びていかない、こういう問題であります。昔はもう蚕糸局時分からそうであります、輸出の問題と国内の生糸の値段の問題繭の問題とこういうことばかりであった。今度は輸入という問題とこの生糸の国内価格、それから繭糸価格とこういう立場でもってやっていかなければいけない、こういうことになろうと思います。聞くところによれば、世界じゅうで七十二万俵前後のものを日本は四十万俵から五十万俵ですから、これは世界の六割だか七割というものは日本の問題であるわけであります。したがって、この輸入秩序というものを十分考えなければならないと思います。こういう問題について、これは原則的な問題だけでよろしい、どういうようにやっていこうとしているか、そういう点についてお答えをいただきたいと思うわけです。
  359. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 お説のように、最近もう輸出はほとんどございません。輸入の問題でございますが、輸入先も中華人民共和国と韓国。韓国は最近あまりふるっておりませんことは御承知のとおりです。そこでやっぱりうまく輸入を調整することを考えませんと国内糸価及び繭価に大きな影響を持ってくることは御存じのとおりでありますが、御承知のように、最近はこれは自由価でありますからなかなかそこのところにむずかしさがあると思います。しかし、そういう条件のもとに立って、私どもといたしましては輸入が適正に行なわれるようにわれわれとしても努力をしなければならない、こういうことで、現実に申し上げますならば、いまのような問題、先ほどもお話があったのでありますが、現在のような場合に多く輸入をされるということになりますと打撃を受けるのはこちら側であります。そういうことについての調整等について有効適切な手段がないか、こういうことで私どもといたしましては努力をいたしておるわけであります。
  360. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 これは輸入のことは非常に重要な問題だと思いますので、いま大臣の御答弁にあったように輸入によって国内価格が振り回されないように、きょうは抽象的なことだけしか申し上げませんが、善処をお願いをしたいと思います。  そこで、ちょっとお尋ねをしたいのですが、これは質問に通告してありませんでしたが、横浜輸出生糸信用保証基金協会、神戸輸出生糸信用保証基金協会、これは政府が三千万、それから横浜の場合は神奈川県や横浜市が千五百万ずつ、それから生糸問屋が一千万、こう聞いておりますが、こういう出資で基金七千万であるわけであります。  私はこれはつまびらかではありませんが、いま大臣の言われたように輸入に対して秩序ある問題を考えなければならないので、輸出時代にいろいろやったこういう基金というものは、今度は逆に輸入に対して秩序あるような基金に中身を直さなければいけないのじゃないか、こう思います。現実にはどうなっているか知りませんが、これはひとつ原則的な御答弁だけで、あと、輸出生糸信用保証基金協会、神戸と横浜のものについて、これは委員長に要求しますが、過去三年間の業務報告書、それから昭和四十九年度の事業計画、こういうものについて資料を出していただきたいと思います。前者の原則的な、何をやっているか、御答弁をいただきたいと思います。
  361. 湊徹郎

    ○湊主査 資料の点もあわせて、松元局長
  362. 松元威雄

    松元政府委員 資料の点は、提出いたします。  それとまたこの業務でございますが、確かに当初は輸出中心でございましたが、いまは問屋金融の信用保証、輸出問屋のその国内取引も含めまして金融に対する信用保証業務をいたしております。
  363. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 これは資料をもらってから——輸出がないというのに、輸出問屋は信用を一生懸命やっているわけですね。まあいい、それはあとで資料をいただいてから、ひとつあらためて御質問をいたしたいと思います。  それと同じように、農林省に眠っている公益法人がたくさんあるわけであります。これは大臣、初めてかもしれませんが、名前を聞けばなるほど、日本農村調査会、日本物産振興会、農村問題調査会、農村資源開発協会、農漁村協会、日本開拓協会、たくさんあるわけです。これは農林省からの資料によれば、二十二法人が何にもしないで寝ているわけです。場合によれば、そういう法人の名前を持っているから、そこの会長さんか何か悪いことしているかもしれません。そこまで、まだ私は追及してありませんが、この眠っている、何にもしていない法人をどういうようにして整理をしようとするか。なお、現状をひとつお聞きしたいと思うわけです。事務当局でいいです。
  364. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  休眠法人の取り扱いにつきましては、すでに一昨年問題になりまして、各省統一的に、休眠法人についての調査とこれに対する取り扱いということについて、適切な措置を講ずるよう努力中でございますが、農林省におきましても、公益法人のうちの事業活動を長期間行なっていないか、全く実施していないようなものにつきましては、その代表者に対しまして、事業の再開または解散の意思を確認いたしまして、再開の見込みのない法人については解散するよう指導しておるところでございます。  現に、四十七年度におきましても、漁業知識普及会その他四法人につきまして解散を指導しておりますが、なおそのほか時間の関係ございますので、具体的に一々申し上げませんが、他の法人につきましても解散指導中のものはございます。
  365. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 時間がないから、私は要望しておきます。何しろ、補助金を出したこともある法人もあるわけであります。おそらく金を出した法人もあるだろうと思います。ところが、聞くところによると、どこへ電話かけてもたずねてもわけがわからない。こういうことで、役員やあいと呼んでもわからないそうであります。一体どういうようにして解散させるか。いままでの活動、金を出した実態、そういうものをひとつ二十二法人について、資料を出していただきたい。委員長からお願いをしたいと思います。それで次に進みます。
  366. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 これら二十二法人の実態についての資料等については、後刻提出いたします。
  367. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 同じようなことですが、全国養蚕信用基金協会、こういうのがあるのです。これは最近は何にもしていませんから、大臣も忘れておられるかもしれませんが、一体これ、基本財産はいま幾らあって、何をやっているか、そういうことを、これは事務当局からでいいです。
  368. 松元威雄

    松元政府委員 いまの御指摘の協会でございますが、これは昭和三十一年に三十四都府県の養蚕農業協同組合連合会、一部経済連を含んでおりますが、それと全国養蚕農業協同組合連合会の三十五団体の寄付金と、国の補助金を合わせまして設立した財団法人でございます。基本財産は九千万円でございます。  この事業でございますが、この事業は養蚕農協連等の寄付行為者が、養蚕用資材の購入に要する資金及び繭糸価格安定法に基づく乾繭共同保管に要する資金を系統金融機関から借り入れます場合に、その債務を保証し、農協系統金融の円滑化をはかることによって、養蚕農家の経営の安定に資するということを目的としているわけでございます。  そこで、これに基づきます事業といたしましては、昭和三十三年に岩手、宮城群馬、長野、埼玉、この五県で行なわれました乾繭の共同保管に対しまして、一億二千七百万円程度の債務保証を行ないましたし、さらに昭和三十二年、昭和三十三年の二カ年にわたりまして、埼玉県養蚕農協連の肥料購入資金につきまして、債務保証を行なったという実績があるわけでございます。それ以降につきましては、これは繭糸価格安定法に基づきまする乾繭共同保管ということをいたしませんでも、糸価の安定がはかられたという実態がございますものでございますから、この本来業務のほうはあまりいたしておりませんが、いわば付帯業務といたしまして、日本蚕繭事業団の委託によりまする蚕糸金融実態調査事業というような調査事業をいたしておりまして、この付帯事業以外は繭糸価格の取引が比較的順調であったために、先ほどのような事業は実施しない、いわば付帯業務を実施しているという実態でございます。しかし、農林大臣の所管に属する公益法人の設立及び監督に関する規則第六条に定める事業概況報告書、これは毎年提出されております。
  369. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 これも時間がないのであまり詳しくはあれできませんが、まずこれも資料を要求しておきます。  大体いま聞くと、昭和三十二年、三十三年に本来の業務をやっただけ、この二十年近く、十六年も前に少しやったことがあるだけ、あとは要するに何もやっていないわけであります。いま御答弁になったとおりであります。そしてまた、これが設立されたような乾繭共同保管というような問題が今後私は起ころうはずはない、もっとほかの方法でやらなければいけない、こういうように考えます。したがってこういうものは、無用な長物ではないか、国の金やその他の金が九千万も出ているわけであります。これもまたもっと有効な方向に使えるような方途を考えなければならない、こういうものも整理をすべき一つであろう、私はこういうように考えるわけであります。大臣どうでしょうか。
  370. 松元威雄

    松元政府委員 ちょっと補足して答弁させていただきたいのでございますが、御指摘のとおり、いまの繭糸価格取引の実態からしまして、乾繭共同保管の本来の業務はその後はやっておりませんが、ただ潜在的に見ますれば、乾繭共同保管という事業はなおあり得るわけでございます。と申しますことは、これは繭糸価格安定法の中にもうたわれておりまして、そういうことはある。ただ現実の実態が、現在までは取引が順調だったから稼働はしなかったけれども、潜在的にはまだ必要性は残っている、こう思っているわけでございまして、その間付帯業務をやっている、こういう趣旨でございます。
  371. 湊徹郎

    ○湊主査 あわせて、資料の点も答弁願います。
  372. 松元威雄

    松元政府委員 したがいまして、この資料は提出いたします。
  373. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 ちょっとその資料は、いまから五年ほど前からの業務報告書及び昭和四十九年度における事業計画書、これをひとつ出していただきたいと思います。
  374. 松元威雄

    松元政府委員 さよう承知いたしました。
  375. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 大臣の答弁はないのですか。
  376. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 さっき官房長からお答えいたしましたように、そういうような関係団体の調査いたしまして、御報告いたします。
  377. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 調査して無用な長物は解散をさせる、こういうことをさっきからたくさんあるのを言っているわけです。
  378. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 政府におきましては、そういうようなものを整理するようにということが決定しておるわけでありますので、よく調べまして、その方針を尊重したいと思います。
  379. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 時間がもう来てしまいましたので、あとはひとつ食品流通局、トマトのことで昨年も質問いたしました。それで十町歩ばかりのモデル圃場に対して、補助金を出してやっていただけるような体制をつくってもらって、ありがたいわけであります。だが、これについてお尋ねをしたいわけですが、予算を見ると二分の一補助というのでなくて三分の一補助、しかも実際の八割に対して三分の一補助ということになると、三、八、二四%、実質的にはそういうことになるわけであります。これは府県をきちっと指導をして、国が三分の一を出すならば、府県においても三分の一出す、こういうような指導を徹底していただかなければならないと思うのですが、そういう点についてはどうでしょうか。
  380. 池田正範

    ○池田政府委員 ただいま御指摘の事業は、加工用トマトの緊急生産対策事業のことについての御質問であろうというふうに思いますが、これにつきましては、確かに、基幹的な生産管理機械についてのみ二分の一、すなわち定植機とか収穫機とか、そういう大型のものについてだけ二分の一、こういうことになっておるわけでございます。その他のものにつきましては三分の一でございますけれども、これにつきましては、当然、国と県とがそれぞれ負担し合う上で成り立つわけでございますから、地元におきましても、相応の地元負担をきちんとやってもらうという体制で進みたいと考えております。
  381. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 振興事業費というのが、この前の自由化のときに、国が約三億、業者が一億を出して、いま残っているのは二、三億あるわけであります。これがあまり有効な使い道になっていないわけであります。  ひとつ研究をしていただきたいが、トマトを買い入れる場合に、農家から農協を経由してメーカーまで来るわけであります。最近のこの高金利であります。たいへんな金利になるわけであります。だから、この金利の利子補給なり、これを何か保証してやるなり、この二億数千万が遊んでいるわけでありますから、そういうことにこれが使えないものだろうか、この使途の研究をお願いしたしと思します。  要望をして質問を終わります。
  382. 湊徹郎

    ○湊主査 これにて小沢貞孝君の質疑は終了いたしました。  ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  383. 湊徹郎

    ○湊主査 速記を始めてください。  次に、湯山勇君。
  384. 湯山勇

    湯山分科員 私は、次のような諸点について、お尋ねいたしたいと思います。  その第一点は、山林、農地等の面積が、機関によって把握がまちまち、たとえば土地台帳の面積と自治体が握っている面積、それから農林省把握しておる面積それらは必ずしも一致していない。そこで、近代国家としては、それらのものをしっかりした一本のものを持つべきだ。それについては、特に土地に関係の深い農林省がイニシアをとって、関係各省と調整して、かなり長期計画になると思いますけれども、そういう作業をやるべきではないかということです。  第二点は、消費者米価の引き上げが本年の十月から行なわれることになっておりますが、これは諸条件が決定した時点とはたいへん違っております。家計の安定という条件も違っておりますし、その他、まあ一年もたって上げるというようなことは、前例もあまりないことで、いろいろな点がありますから、十月から九・八%上げるということは、全く意味のないことなんで、むしろこれは白紙に返すべきではないかという点です。  それから第三点は、農林省のほうでお考えになっている消費者米価の、指導価格というんですか、各府県知事にやらせるということにはいろいろ問題がある。そこで、これはもしおやりになるという計画ならば、私はそうしないほうがいいんじゃないかということをお尋ねしたい。  それから第四番目は、四十九年度からの米の生産調整は、これはいまやめるといっても、かなかなできないことでしょうが、少なくとも五十年度には、生産調整をやめるべきじゃないかという点です。  それから第五番目は、国際的な米、小麦等の値上がり、それによって、言い方は適切ではないかもしれませんけれども、財政負担によって、かなり外国農家に上積みしている、二重小麦価格がむしろ外国へ上積みしているような形になっていますから、それはやはり国内のほうへ回して、増産をはかるべきではないかというような諸点についてお尋ねいたします。  これは、農林大臣は御用がおありのようですから、ひとつそれらの点については、こまかいあやもございますから、あと局長その他からよく聞いていただいて、よく検討しますという御答弁をいただければけっこうでございます。
  385. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 どうもありがとうございます。  土地の問題、これは御指摘のように、大事な問題だと思います。ただしかし、御承知のように、それぞれ役所によって所管しておる面が違っておりますし、それからまた、実際の話といたしましては、たとえば森林にいたしましても、実測と帳簿面積とが開いておるといったようなこと、さまざまの困難な問題は、御推察のとおりあると思いますが、しかし、大事なことでありますので、先般の予算委員会においては、官房長官が、政府としてもこういうことを重視してやるべきであると答弁しておりますし、御存じのように、農林関係はわりあいにそういうことを把握していると思いますけれども、この点は、私ども部内においても鋭意研究を進めてまいるつもりでございます。  それから、消費者米価のことでございますが、まだずっと先のことでもございますし、経済の動きもいろいろあると思います。ただいまは九月末まで現状を維持するということの方針は、変えるという方針は持っておりません。  それから、五十年度からの生産調整のお話がございました。これはまだ別に相談もいたしておりませんけれども、いまのような国際的な食糧問題のやかましく論ぜられておりますようなことをも念頭に置きまして、昨年の二百五万トンから来年は百三十五万トンに減少いたしておることも御存じでありますが、私どもといたしましては、また、その中で一番気にしておりますのは、休耕地等の取り扱いでございまして、そういうようなこともしばしばお話しのございますように、草をはやしておかれるということはよくないことだ、これはできるだけ早く転作してもらいたいということも考えておりますし、それからまた、休耕地に対してこれからどうするかというような意識調査につきましても、農民の意識の傾向というのは大体把握できますので、さまざま勘案いたしまして、大事な食糧問題でありますので、そういう方向で対処してまいりたいと思っております。  それから、輸入小麦でございますが、現在のような状態が、はたして恒常的に続くものであろうかということも考えてみなければならぬと思いますけれども、いずれにいたしましても、現在におきましては、御指摘のように、輸入価格が国内産に比較してほとんどとんとんであるという状態、こういうことからかんがみまして、私どもは、多少の生産費の補助はいたしましても、国内で生産し得るような体制を整備してまいりたい、こういうことで、ことしから手始めにああいうことをやっております。こういう考え方でございます。
  386. 湯山勇

    湯山分科員 けっこうでございます。どうぞ大臣もう……。  じゃ、大体、問題点は全部大臣が御答弁されましたので、聞くことがなくなったような形になりましたが、若干だめを詰めてお尋ねいたしたいと思います。  第一点の、山林農地の面積ですけれども、たとえば、林野庁長官お尋ねいたしますが、国有林の面積というのは大体把握しておられる、土地台帳ではどれくらいになっておるかというようなことがおわかりでしょうか。
  387. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 国有林の面積は、現在、林野庁所管の分を申し上げますと八百二万八千ヘクタール、かようになっているわけでございます。これは境界画定をいたしまして、そのあと全部実測によって把握いたしております。それに基づきまして、国有林では台帳を使っておるわけでございます。
  388. 湯山勇

    湯山分科員 登記に使う土地台帳ですね。つまり昔、土地台帳に記入した面積、古いやつです。これは、おそらくわからないだろうと思います。それから農地のほうも統計情報部長さん、農地も、土地台帳面積では幾らというようなことはおわかりにならないでしょう。それから、市町村の役場で一応の資料を持っております。これもどれだけになっているかというのは、おわかりにならないだろうと思うのですが、いかがでしょうか。
  389. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 私どもは土地台帳そのものあるいは市町村の持っておりますおそらく固定資産税の台帳だと存じますが、そのものの統計なり何なりというものは把握をしておりません。ただ、農林省としまして、農業政策を立てますために必要な耕地面積につきましては、耕地面積調査を実施いたしておりまして、必要な標本調査によって、かなりしっかりした田畑別の調査を持っております。
  390. 湯山勇

    湯山分科員 こういうことをお尋ねするのは、実は、台帳面積と、それから実際の面積との間のズレから最近いろいろな問題が起こっております。  それはどういうことかといいますと、ある年とった女の人が持っていた山林ですけれども、それを悪い人がいて、その登記面積だけ残して、あと行くえ不明にしたわけです。だから、実際は実測すると、たとえば二十ヘクタールある、しかし台帳面積は五ヘクタールになっている。そこで、あなたのところは五ヘクタールだよと言って、実際五ヘクタールを大体残して、あとが行くえ不明になって、そのおばあさんも、自分のうちの山に行こうと思うのに道もわからなくなったし、それから目じるしもなくなったというようなことを訴えてきたのがありました。  それから、しばしばある例では、どこの何番地というので、それは、たとえば五十坪なら五十坪になっている。実際は七十坪ある。そういうときに、売り買いのときに、どこの何番地の五十坪を売る。それで買ったほうは、そうじゃなくて、実際の七十坪のほうを台帳どおり買ったと思っている。一方は実測の五十坪で、二十坪をめぐってのトラブルが、これもありました。訴訟になりました。  そういうこともありますし、それから、いろいろな場合、近代国家で、どこが幾らというのが、これが基準だというものがないというのも、いろいろな点でこれは不合理ですし、そこで、こういうものを一ぺんこういう機会にやったらどうか。いつかやらなければならないんですから、明治の時代のものをそのまま使っておって、そういう問題を起こす。まだいま生きている年寄りがいるからいいようなものの、これ、何代かしたら、それさえわからなくなるというようなことになりかねないので、ひとつ、いまの機会に、計画的にそういうのを各省と連絡して、何だったら、農林省が中心にならなければなりませんから、そういうことを提起して、やり始めて何年計画かで完成するということをやっていただくということを申し上げたいわけです。  大臣もああいう御答弁でございましたから、私のお伺いした意図はそういうところにありますので、ぜひ進めていただきたいと思います。  それで林野庁長官は、もうあとお聞きすることございませんから、どうぞ御随意に……。  それからあと、なるべく皆さんに御迷惑をかけないように伺っていきたいと思いますが、いま申し上げたことではないんですけれども、先ほどからの御質問でこの点だけお聞きしておきたいと思いますのは、農蚕園芸局長さん、昨年、今年度で四カ所の、ミカン対策でジュース工場をつくることになりました。これはたぶんこういうミカン過剰の状態というのは続くから、二年というけれども、早くやって、今年産のミカンに間に合うようにぜひ早く仕上げていただきたいということをしばしば申し上げてきたんですが、進捗状況、どんな状況でしょうか。
  391. 松元威雄

    松元政府委員 従来は二年継続事業でございましたわけでございまして、したがって、四十八年度に着手したものは四十九年度に完了する。それで、それ以外に、四十九年度新規分につきましても、うち四工場は、従来のルールを変えまして、単年でやろうということで、したがいまして、四十九年度におきましては、前年の継続分の完了と、それから四十九年に着手して、しかも四十九年に終わるものを四カ所含めまして、十カ所増設になるというふうにいたしておりまして、それ以外、実は実行措置でも、もう少しふやそうと思っておりまして、それを間に合うように完成させようということで、目下、その具体的な運営につきまして県と詰めておりまして、間に合うようにやらせたいと思っております。
  392. 湯山勇

    湯山分科員 と申しますのは、資材その他の値上がりで、八億円の予算のものが二十億ぐらいかかるというようなことで、これだと、ひょっとすると二カ年で完成は困難ではないかというようなことも心配するものですから、いまだいじょうぶということでしたら、ひとつぜひそういう線で進めていただくということをお願いしたいと思うのです。
  393. 松元威雄

    松元政府委員 御指摘のとおり事業費の増高はございます。したがって、それにつきましては、かなり融資に依存しなければならないということで、融資につきましても、県信連あるいは中金も含めまして資金の確保をはかる、そういうことで個別に県と当たっておりまして、目下のところ、県はそれでやるといっておりますから、まずだいじょうぶと思っております。
  394. 湯山勇

    湯山分科員 それじゃ、あと食糧庁長官、麦も食糧庁長官でいいですね。——じゃ食糧庁長官おっていただいて、あと、どうぞお忙しい方は……。  消費者米価の引き上げ、これはいま大臣は、とにかくそのまま置いておくという御答弁でしたけれども、おそらくいまのような決定で、もう十月といえば本年産米が出るころですし、何百万トンかば政府も買い上げている。消費者米価決定の条件である家計の安定を旨として決定するという、その家計費の状態も、いまの経済情勢では大きく変わってくると思います。だから、実際は本年十月からの消費者米価というのは、家計の実態に合っていないものであって、それまでの間に本年産米の生産者米価もきまるということになりますと、しかも本年産米の米価は一体どうなるかというと、生産者のほうは、ちょっと長官がびっくりするぐらいな要求をするということですから、昨年のようなことでは、とうてい済まないというようなことを考えますと、この九・八%というのは、実際は何の意味もない数値になってしまう。それじゃ、じゃまにもならないのなら、置いておいたらいいじゃないかということもありますけれども、これは同じような扱いですけれども、鉄道運賃とは違うわけです。鉄道運賃の場合は、買いだめということは行なわれない。けれども、米の場合は買いだめの対象になります。  そうすると、生産者米価が値上がりした、それから四十九年度の作柄もそう出てくる。そうなってくると、しかも新米も百万トンか二百万トン出るということになれば、それはまず情勢として、押えるなら、もうそれ以後も消費者米価を押えるという経済情勢なのか、上げるなら、やはりこんなことでは済まないということが考えられます。すると、また直ちにやらないといかぬことになる。そういうことを考えると、鉄道運賃なら寝ころばしておくのもいいでしょうけれども、それが買いだめ等を誘発する、新米へ買いが殺到するとか、そういうことになると、かえって混乱させるということになりますので、意味のないものなら、この際いさぎよくこれは白紙に戻すということを——いまやらなくても、生産者米価決定の段階で、それと関連して、また消費者米価もきめなければならないということもあるし、長官も同時決定が理想だということをお考えなんですから。そうすると、生産者米価は六月にきめた、消費者米価は、それに対応するものは、生きておるのはこれだ、それまでは論議もできないし、手もつけられないというのもおかしい話です。だから、大臣は形式的にああおっしゃったけれども、実質的な討議をすれば、だれが考えても、鉄道運賃と違うのだということと、きめる基本が違っておりますし、いまのような条件をからみ合わせていけば、私は白紙に戻すべきだということを主張したいのですが、長官、どうですか。
  395. 三善信二

    三善政府委員 政府売り渡し価格の問題でありますけれども、もうこれは先生承知のように、一応きまっておりますし、ただ四月から半年間延ばしたということで、米審にもそういうことはおはかりしておるわけでございます。私ども事務当局としては、当然、これは既定方針どおりにやりたいということを考えているわけです。  生産者米価のお話がございましたけれども、これは今後の話でございまして、まあ九月の時点で米価の価格体系のあり方というものを考えなければなりませんので、そういうことで、そういう時点で、また総合的に考えていかざるを得ないと思っております。事務的には、既定方針どおりに、これは十月から上げていくということでやっていきたいと思っております。
  396. 湯山勇

    湯山分科員 大臣がああ言っておられるのですから、いまの御答弁もやむを得ないと思いますけれども、この九・八は、決定は十一月段階での決定ですから、大方一年たっておるわけです。こういう例は、いままでにもなかったと思いますので、それで、もしいまの作柄が悪くて、買いだめというような現象が起これば非常に責任は重いし、それから、農林省のほうでは、そういうことはないとおっしゃるでしょうけれども、自主流通米をつくるときに、標準価格米を六〇%はいつでも店頭で買えるようにしておく、したがって、自主流通米がはね上がるようなことはないということを、たしかお約束しておったはずですけれども、それなら今度のような問題は起こらなかったはずです。しかし、それもその当時はそういうことでしたが、実際は思うようになっていない。そこで今度は、各府県で知事に頼んで自主流通米の支持価格をきめようというようなことですが、これも知事に委嘱するのならば、農林省が直接やられたほうがいい。  地方の米の動き、それから米価の実勢というものは、食糧事務所がみんな握っています。ですから、やはり責任のある農林大臣がきめる、あるいは農林省が指導するという形のほうが、実際にも合う。そうしませんと、知事がきめましても、かなり米は動いています。標準価格米でも、それをつくるために、四国へ北海道の米もきておりますし、青森の米も入っている。これは御存じのとおりです。そうなってくると、へたすると、知事がそれじゃ少し高くきめよう、知事として指導しようというところへ米が殺到して、需給事情によりますけれども、需給事情が悪いとき、あるいはいい米がほしい場合、そういうときに、知事の操作だけでは、やはり問題が起こることがあると思うのです。  ですから、それは、知事で営業停止をする権利はほかの条項でもありますけれども、それは知事よりも、むしろ農林大臣が持っておって、全国的な情勢を見て、そして統計情報部もあるし、直接食糧を管理している食糧事務所も各県から末端にあるわけですから、それを通じて、やはり責任を持って政府がやることが、管理しておるという責任も果せるということになると思いますので、私はこれはおやめになったほうがいいと思うのですが、どうでしょう。
  397. 三善信二

    三善政府委員 四十七年の四月、物統令の適用を廃止いたしましたときに、必ず標準価格米は店頭に常置しておくということで指導してきたわけでございます。現在でもそれはほとんど守られております。ただ、その時点で消費者の購入量に占める標準価格米のウエートは大体四〇%ぐらいだったと思います。その後、三五%ぐらいになっておりますが、原料の非銘柄米は現在も十分ございますし、その点は私どもだいじょうぶだ、こう思っております。  やはりいまおっしゃいましたように、米の指導価格を都道府県知事にきめてもらうという趣旨は、いま米の小売り価格というのは、ほかのものに比べたら非常に安定している。こういう感じでおります。ただ一部、御承知のように、昨年の国会のときでございましたか、三千円以上で売っているとか、そういう何か事例もあったようでございますけれども、いまはそういうこともございませんし、自主流通米の上米、中米、政府米の中米、そういったものでも大体安定しているんじゃないかと思っております。ただ便乗値上げとか、あるいは不当に格上げして売るとか、そういうのがなきにしもあらず、今後の情勢を踏まえまして、そういう極端なのを押えていこうという趣旨でございますので、何も画一的に価格をきめてやっていこうという意味ではございません。  それと、どうして都道府県知事にこれをやってもらったほうがいいかと申しますと、御承知のように、消費県の東京、大阪と、東北その他の生産県とは、やはり米の小売り価格の実態というのはおのずから違うのが当然でございまして、おのずからその県の一つの慣行といいますか、そういうこともでき上がっておりますし、そこで画一的に食糧庁がこれをやるということは、かえって円滑な流通を阻害するし、また、地元の県内の農民の方、あるいは消費者の方の感情にも合わないというようなこともございまして、自治省なんかでも私ども相談をしまして、これはやはり都道府県知事がやったほうがよろしいというふうなこともありましたし、また米審の懇談会を開きまして、委員の方々にいろいろ御相談してみたのです。やはりそういう自主性を重んじて、指導価格をきめていったほうがよろしいというような御意見が大多数でございましたし、そういうことで、一律的に画一にきめないで、都道府県の実態に応じて——もともと安定をしている価格でございますから、標準価格米以外の精米について、そういう知事が一つの指導価格をきめていくようにしているという実態でございます。
  398. 湯山勇

    湯山分科員 県の実情に応じた消費者米価というのは、従来もやっておったのですよ。生産県、消費県、それから中間までとってやっておられたので、これは県単位できめるというのなら、まさに、いま自治体にまかさなくてもいいんじゃないかということもあると思います。もちろん、農林省と協議してきめるというのですから、その指導はあるでしょうけれども、それなら、やはりそれだけ出先を持っているのですから、そういうことを皆さん御存じできめたのかどうかちょっと疑問ですすけれども、ずいぶんやっています。今度なんかでも、実際によく米の流通を掌握しておるのは、その県の食糧事務所です。それは県よりもずいぶんしっかり持っています。  ですから、そういうことを考えてみると、必ずしもそうしなくてもいいし、それから食糧事務所の人たちも、自分の仕事もできて、また仕事に張りも出るわけで、倉庫を調べるのをおまわりさんの先導をして行けというのと違って、喜んでやるわけです。これはひとつ御検討願いたいと思います。それから最後に、最近では、アメリカの小麦は幾らくらいですか。それから国内のが幾らで、その差が幾らになっておるか、トン当たり。
  399. 三善信二

    三善政府委員 先ほどのあれでちょっと追加して補足して……。  都道府県知事がきめることになっておりますが、いま先生もおっしゃいましたように、これは食糧庁が準則をつくりまして、十分協議をしてやっていきますので、変なアンバランスとか、そういうものがないように私ども十分それば指導してまいりたい、指導価格の問題は、そういうふうに考えております。  それから外国の小麦でございますが、現在大体、ブッシェルにしますと六ドルちょっとでございますね。FOBがそうでございますから、それを輸入諸掛り等を全部含めまして、円で申し上げますと、まあトン当たり七万九千円から八万一千円ぐらい、それは上下しております、最近の相場でいきますと。それから、国内の麦の買い入れ価格は、たしか、トン当たり七万四千円ちょっとじゃなかったかと思います。正確な数字は、ちょっとあとでまた……。(湯山分科員「売り渡しは」と呼ぶ)輸入麦の売り渡し価格は、全銘柄平均で、小麦でトン当たり四万六千六百二十八円、それから先ほど申し上げました輸入価格ですね。これは四十九年一月、最近はちょっとまたふれていますが、一月の価格で、政府の買い付け価格が八万一千四百七十九円、大体トン当たり二百七十一ドル六十セント、為替レート三百円で計算しますとそういうふうになります。
  400. 湯山勇

    湯山分科員 そこで、大体輸入価格がトン当たり八万円として、払い下げ価格が四万六千円ということにすれば、トン当たり三万四千円の差がある。それだけはアメリカの農家へ出しているというような形ですね、考え方によれば。一般会計から振り込んだものの持ち出しが、結局外国へ行っておるという形です。これはなるべく国内へ持っていくというので、ことしの二千円の補給金、奨励金、それでもいいのですけれども、この割合でいけば、もっと出せるのじゃないかというようにも思いますし、そうやって国内生産を伸ばしていくということに一そうひとつ力をいれていただきたい、入れるべきではないかということで、これは大臣も大体肯定したような御答弁ですから、まあ長官のところでそういう点、大いにがんばっていただいて、特に予算委員会でも指摘したのですが、ことしのようだと、途中の査定段階であんなに半分にして出したりすると、農家は非常に不信感を持って新聞にもでかでか書かれますから、そうじゃなくて、気持ちよく出すような、受け入れられるような、生産意欲を盛り立てるような出し方をして、ひとつぜひやっていただきたいと思います。
  401. 三善信二

    三善政府委員 先ほどの国内麦でございますが、大体政府買い入れ価格トン当たり七万四千円と申し上げましたが、これに契約奨励金がつきますし、それから、御承知のように、いま先生おっしゃいました二千円の奨励金、そういうのをつけますと、トン当たり約十一万円くらいになりますね。そうなりますと、いま一番外国の麦が高いといっても、まだまだ国内のそれよりも低いということになります。  それから今後の見通しの問題もございますけれども、いまが一番高いのじゃないか、アメリカでも新穀が出回っていけば、七月以降でございますが、価格はもっと下がるのじゃなかろうかというようなことも、いろいろ情報を集めてはおります。  いずれにしましても、やはり国内でできるだけその奨励をして、できるものはやっていくという、そういう基本的な考え方には変わりありません。
  402. 湯山勇

    湯山分科員 では、終わります。
  403. 湊徹郎

    ○湊主査 これにて湯山勇君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、本分科会所属の経済企画庁所管、農林省所管及び通商産業省所管に対する質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  404. 湊徹郎

    ○湊主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十九年度一般会計予算中、経済企画庁所管、農林省所管及び通商産業省所管、並びに昭和四十九年度特別会計予算中、農林省所管及び通商産業省所管に対する討論採決は、先例によりまして、予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  405. 湊徹郎

    ○湊主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて。本分科会の議事は全部終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の格段なる御協力によりまして、本分科会の議事を無事終了することができましたことを、ここに厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。     午後六時二十一分散会