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1974-03-06 第72回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十九年三月六日(水曜日) 午前十時三分
開議
出席分科員
主査
湊 徹郎君
植木庚
子郎君
笹山茂太郎
君 羽田 孜君
松浦周太郎
君 松岡 松平君
井上
泉君
岡田
春夫
君
金瀬
俊雄
君
野坂
浩賢
君
松浦
利尚
君
湯山
勇君
高橋
繁君 林
孝矩
君 小平 忠君
兼務
井上
普方君
兼務
土井たか子
君
兼務
楢崎弥之助
君
兼務
荒木
宏君
兼務
梅田
勝君
兼務
瀬崎
博義
君
兼務
岡本
富夫
君
兼務
田中
昭二
君
出席国務大臣
通商産業大臣
中曽根康弘
君
出席政府委員
公正取引委員会
事務局長
吉田
文剛
君
経済企画庁長官
官房参事官
有松 晃君
通商産業審議官
森口 八郎君
通商産業大臣官
房長
増田 実君
通商産業大臣官
房会計課長
大永 勇作君
通商産業省立地
公害局長
林 信太郎君
通商産業省基礎
産業局長
飯塚 史郎君
通商産業省機械
情報産業局長
齋藤 太一君
通商産業省生活
産業局長
橋本 利一君
資源エネルギー
庁長官
山形
栄治君
資源エネルギー
庁石油部長
熊谷 善二君
資源エネルギー
庁公益事業部長
岸田 文武君
中小企業庁長官
外山 弘君
分科員外
の
出席者
経済企画庁長官
官房参事官
仲田 嘉夫君
環境庁大気保全
局企画課長
山崎 圭君
大蔵省銀行局
総
務課長
米山 武政君
林野庁指導部長
松形
祐堯君
水産庁研究開発
部長
松下 友成君
通商産業省生活
産業局繊維製品
課長
田口健次郎
君
通商産業省生活
産業局紙業課長
村岡 茂生君
資源エネルギー
庁長官官房鉱業
課長
斎藤 顕君
建設省計画局建
設振興課長
高
比良和雄
君
—————————————
分科員
の異動 三月六日
分科員
正
示啓次郎
君は、
委員長
の
指名
で第三分 科に
所属
を変更された。 同日 第三
分科員植木庚子郎
君は、
委員長
の
指名
で本
分科
に
所属
を変更された。 同日
辞任
補欠選任
岡田
春夫
君
松浦
利尚
君
湯山
勇君
井上
泉君
矢野
絢也君
林
孝矩
君 同日
辞任
補欠選任
井上
泉君
湯山
勇君
松浦
利尚
君
野坂
浩賢
君 林
孝矩
君
沖本
泰幸
君 同日
辞任
補欠選任
野坂
浩賢
君
金瀬
俊雄
君
沖本
泰幸
君
渡部
一郎
君 同日
辞任
補欠選任
金瀬
俊雄
君
岡田
春夫
君
渡部
一郎
君
松尾
信人
君 同日
辞任
補欠選任
松尾
信人
君
高橋
繁君 同日
辞任
補欠選任
高橋
繁君
矢野
絢也君
同日 第一
分科員楢崎弥之助
君、
荒木宏
君、
梅田勝
君、
瀬崎博義
君、第二
分科員井上普方
君、第五
分科員土井たか子
君、
岡本富夫
君及び
田中昭二
君が本
分科兼務
となった。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
昭和
四十九年度
一般会計予算
中
通商産業省所管
昭和
四十九年度
特別会計予算
中
通商産業省所管
————◇—————
湊徹郎
1
○
湊主査
これより
予算委員会
第四
分科会
を開会いたします。
昭和
四十九年度
一般会計予算
及び
昭和
四十九年度
特別会計予算
中、
通商産業省所管
を議題といたします。 まず、
政府
から
説明
を求めます。
通産大臣中曽根康弘
君。
中曽根康弘
2
○
中曽根国務大臣
昭和
四十九年度の
通商産業省関係予算案
及び
財政投融資計画
について御
説明
申し上げます。 詳細につきましては、お配りいたしております「
昭和
四十九年度
通商産業省予算案等
について」をごらんいただくようお願いいたしまして、概略御
説明
申し上げます。 まず、
昭和
四十九年度の
通商産業省
の
一般会計予定経費要求額
は、二千五百五十二億一千四百万円でありまして、前年度当初
予算
に対し、四百五十億二百万円、二一・四%増となっております。 次に、
重点事項別
に
予算
の
内容
を御
説明
申し上げます。 第一に、
物価
の安定と
消費生活
の
充実
につきましては、対前年度比四〇・九%増の十八億六千八百万円を計上しております。まず、
主要基礎資材等需給安定策
、
流通合理化促進対策
、
消費生活改善対策等
の
充実
をはかるとともに、
繊維産業
の新しい
構造改善対策
を行なうこととし、このための
経費
として六億六千三百万円を計上するとともに、
中小企業振興事業団
への
出資
の中で九十一億一千三百万円をこれに充てることとしております。 また、わが国の
伝統的工芸品産業
の
振興
をはかるための
経費
一億一千八百万円を計上しております。 第二に、無
公害社会
の
建設
と
環境保全
の
推進
につきましては、対前年度比五四・九%増の三十三億九千八百万円を計上しております。 まず、
重要技術研究開発費補助
のうちに新たに
窒素酸化物対策技術ワク
六億円を計上しております。 また、
産業公害総合事前調査
、
資源再生利用技術システム開発等
の
拡充
をはかるとともに、
発電所立地
に伴う
環境審査等
を新たに行なうこととしております。 さらに、故紙の
有効利用
を
推進
するための
経費
一億七千百万円を計上しております。 また、
休廃止鉱山等鉱害対策
につきましては、十二億九千六百万円と、大幅に
拡充
するとともに、
金属鉱業
の
坑廃水対策等調査費
を新たに計上しております。 第三に、
中小企業対策
につきましては、対前年度比二六・六%増の八百二億一千百万円を計上しまして、
施策全般
にわたり
充実
をはかっております。 中でも、四十八年度に創設された小
企業経営改善資金
につきましては、
貸し付け規模
を三百億円から一千二百億円に拡大し、また、
貸し付け条件
の
改善
を行なうこととしており、このために必要な
予算
百四億八千四百万円を計上しております。 また
小規模事業対策
を大幅に
拡充
し、百十二億二千三百万円を計上しております。 さらに、
中小企業振興事業団
の
事業運営
につきましては、四百十四億四百万円を計上するとともに、商工組合中央金庫につきましては、五十億円の
出資金
を計上しております。 第四に、
資源エネルギー
の
安定供給
の
確保
につきましては、二百二十四億七千六百万円を計上しております。 まず、省
資源省エネルギー広報費
、
石油需給適正化法
の
施行費
を計上するとともに、
金属鉱床精密地質構造調査
の
補助率引き上げ
を行ない、また、新たに
地熱発電開発
のための
精密調査費
を二億八千二百万円計上しております。さらに、原子万につきましては、
核燃料サイクル事業
の
調査費
一億百万円を計上し、また、
水資源
につきましては、
造水促進対策費
三億七千四百万円を計上しております。 第五に、
国民福祉
のための
産業活動
の
調整
につきましては、百八億一千三百万円を計上しております。まず、
企業行動
の
適正化
をはかるための
調査研究
を実施するとともに、
製品安全性確保対策
、
特定化学品安全確保等対策
を
充実
することとしております。 また、
工業
再
配置促進対策
の
拡充
をはかるため九十八億九千万円を計上するとともに、
工場環境整備促進対策費
として二億五千二百万円を計上しております。 第六に、
高度産業社会
の
創造
につきましては、九百四十億九千九百万円を計上しております。 まず、
電子計算機産業等振興対策費
として百九十六億五千五百万円、
次期民間輸送機
の
開発事業費
として二十一億二百万円を計上しております。 次に、西暦二〇〇〇年を目途に
太陽エネルギー
、
地熱等
の無
公害
の新
エネルギー
を開発する
サンシャイン計画
を発足することとし、二十二億七千万円を計上しております。 さらに、
沖繩国際海洋博覧会
につきましては、
準備
に万全を期すべく百九十七億二百万円を計上しております。 第七に、
国際協調
による
世界経済
への
貢献
につきましては、百六十三億七千二百万円を計上しております。 まず、
日本貿易振興会
に対する
補助
を七十一億二千五百万円に増額しております。
経済協力
につきましては、まず、
発展途上国
の要請に応じた
中小企業
の
海外投資
を
推進
するため十一億一千七百万円を計上しております。 また、
発展途上国産品
の
開発輸入
を促進するため、これに関連したインフラストラクチュアの
整備
などに二十三億七千五百万円を計上しております。 以上の
一般会計
のほか、
特別会計
といたしまして、
アルコール専売事業特別会計
は、
歳入
百四十三億三千三百万円、
歳出
百四十一億四千七百万円、
輸出保険特別会計
は
歳入歳出
六百十九億一千三百万円、
機械類信用保険特別会計
は
歳入歳出
二十二億六千二百万円を計上しております。なお、
輸出保険特別会計
につきましては、
為替変動保険
を創設することとしております。 また、
石炭
及び
石油対策特別会計
につきましては、
歳入歳出
とも
他省所管分
を含めまして、一千四百七十五億八千百万円を計上しております。 このうち、
石油対策分
は、三百三十六億五千四百万円を計上し、
石油開発公団
の
機能
の
拡充
、
探鉱投融資規模
の
拡充等
を行なうこととしております。 また、
石炭対策
につきましては、一千百三十九億二千七百万円を計上して、第五次
石炭対策
の
推進
をはかるとともに、新たに
産炭地石炭火力発電所
の
建設
、
石炭ガス化技術
の
開発等
を行なうことといたしております。 さらに、
発電所立地
を促進するため、
電源開発促進税
を財源とする
電源開発促進対策特別会計
を創設することとし、
発電用施設等
の所在する
市町村
及び
周辺市町村
に
公共用施設
を設置するための費用の
交付等
を行なうこととし、
歳入歳出
とも百一億円を計上しております。 引き続きまして、
昭和
四十九年度の
通商産業省関係
の
財政投融資計画
につきまして御
説明
申し上げます。 総額は、二兆四千三百二十八億円でありまして、前年度当初
計画
二兆一千四百四十一億円に比べ一三・五%の
伸び
となっております。 この
伸び率
は、
財政投融資計画
全体の
伸び率
一四・四%を下回っておりますが、
新規項目
を中心に
資金
の
重点的配分
をはかることにより
通商産業政策
の新しい目標に沿った
施策
を実施し得るものと
考え
ております。 四十九年度
計画
における
新規政策
及び
重点施策
の
概要
は、次のとおりであります。 第一に、
物価
の安定と
消費生活
の
充実
につきましては、
日本開発銀行
の
流通近代化ワク
の
充実
をはかるほか、
中小企業金融公庫
、
国民
金融
公庫についても流通近代化貸し付け、
製品安全性貸し付け等
の
充実
をはかるとともに、新たに
伝統的工芸品産業
を
振興
するため、
所要
の
融資
を行なうこととしております。 さらに、
繊維産業
の新
構造改善対策
に関連して、
日本開発銀行
に
新規融資ワク
を設けるほか、
中小企業振興事業団
からも
融資
を行なうこととしております。 第二に、無
公害社会
の
建設
と
環境保全
の
推進
につきましては、
日本開発銀行
の
公害防止ワク
の
資金量
を
充実
する一方、水銀汚染問題を抜本的に解決するため苛性ソーダの
製法転換
を早急に実施することとし、
日本開発銀行
及び
北海道東北開発公庫
から合計四百六億円を
特利
で
融資
することとしております。 さらに、四十八年度より実施されております
金属鉱業事業団
からの
金属鉱害防止貸し付け
につきましては、前年度の二倍の二十二億円を
確保
しております。 第三に、
中小企業対策
の全面的な展開でございますが、
政府関係中小企業金融
三
機関
の
普通貸し付け規模
につきましては、四十八年度当初
計画
に対し二一%増の二兆二百三十三億円を
確保
する一方、
沖繩振興開発金融公庫
についても百六十億円(四十八年度百四十六億円)の
中小企業等資金ワク
を
確保
することとしております。 このほか、
一般会計
についてすでに御
説明
申し上げましたとおり、小
企業経営改善資金融資制度
につきましては、
貸し付け規模
の
拡充
、
貸し付け条件
の
改善
をはかることとしております。 第四に、
資源エネルギー
の
安定供給
の
確保
でございますが、まず、
石油
につきましては、今日の
石油危機等
の
事態
にかんがみ、
石油
の
探鉱開発
の
積極的推進
を行なうため、
石油開発公団
の
機能
を
拡充
するとともに、
探鉱投融資規模
の
大幅拡充
(四十八年度三百七十七億円から四十九年度八百億円)、
融資金利
の引き下げと
弾力化等
を行なう一方、
日本開発銀行
から
特利
による
融資
を行なうこととしております。 次に、
石炭
につきましては、
産炭地域振興
のため、
国土総合開発公団
において、引き続き
進出企業
に対する
融資
、
土地造成等
の
事業
を
推進
することとしております。 次に、
鉱物資源開発
につきましては、
金属鉱業事業団
の業務に関し新たに
海外探鉱プロジェクト
のうちの大
規模プロジェクト
に対する
出資機能
の
付与等
を行なうこととしております。 第五に、
国民福祉
のための
産業活動
の
調整
につきましては、
工業
の適正な再
配置
をはかるため、
国土総合開発公団
の
工業
再
配置部門
について七百億円の
事業規模
を
確保
するとともに、
日本開発銀行等
からも
工場
の移転に伴う
資金
について引き続き
融資
を行なうこととしております。 第六に、
高度産業社会
の
創造
につきましては、
電子計算機産業
の
自由化対策
の一環として、
日本開発銀行
の
日本
電子計算機に対する
電算機購入資金融資
の
拡充
を行なうこととしております。 また、
沖繩海洋博覧会
の
開催準備
を促進するため、これに関連する
宿泊施設等
を
建設
する
事業者
に対し
沖繩振興開発金融公庫
から
所要
の
融資
を行なうこととしております。 第七に、
国際協調
による
世界経済
への
貢献
につきましては、
日本
輸出入銀行の
貸し付け規模
を七千九百億円と拡大するとともに、特に
輸入
及び
海外投資
のための
融資
につきましては、
資源エネルギー
の
確保等
の観点から、三千百五十億円と前年度比三五・二%増の
資金量
を
確保
しているほか、新たに、
国際収支事情等
に対処して弾力的な
資金運用
をはかるため
調整費
として六百億円を計上しております。 以上をもちまして、
通商産業省関係予算案
及び
財政投融資計画
についてその
概要
を御
説明
申し上げました。 何とぞよろしく御
審議
のほど、お願いいたします。
湊徹郎
3
○
湊主査
以上をもって、
通商産業省所管
についての
説明
は終わりました。
—————————————
湊徹郎
4
○
湊主査
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
林孝矩
君。
林孝矩
5
○林(孝)
分科員
私は、
石油製品
の
値上げ
に関する問題について
質疑
をいたしたいと思います。
田中総理
が、五日の閣議後に開かれた
石油関係閣僚会議
で、
石油製品
の
値上げ
時期について、
通産省
の
早期値上げ
の主張は聞いておくが、すぐに、いつ
値上げ
するときめるわけにはいかない、そのように、
中曽根通産大臣
の
早期値上げ
の方針に待ったをかけたという
報道
が昨日あり、きょうの
報道
では、さらに、その待ったということもゆらぎ始めているのではないかというような
推測記事
等々、この
石油製品
の
値上げ
に関する問題が、いま非常に重大な関心となって
国民
の中にあるわけであります。しかし、一部、そうした
内容
が
報道機関
によって
報道
されているだけであって、いま
国会
に対して、
国民
に対しての
説明
というものは今日までございません。 そこで私は、この
予算分科会
を通して
通産大臣
に、
大臣
の
早期値上げ案
というものはいかなる
内容
のものなのか、その点に関して明らかにしていただきたい。その点をまずお伺いする次第であります。
中曽根康弘
6
○
中曽根国務大臣
この問題は、目下
自民党
並びに
内閣内部
におきましていろいろ慎重に検討している
段階
でありまして、まだここで御
報告
を申し上げるまでに成熟していないのを遺憾に存ずる次第でございます。 大体、
石油
の
値段
は、十二月の
水準
と一月以降の
水準
で、
原油価格
におきまして一万円強の
落差
が出て、いま
日本
としては、
物価政策
に協力する
意味
におきまして、また、暮れにかけての
石油産業
の
便乗利益
と思われるものを吐き出させる、そういう
意味
もありまして、十二月の
水準
で凍結しておるわけであります。 ところが、十二月に最後にストックとして残った旧
石油
が次第に枯渇して、高い
石油
がどんどん入ってきて、それがもう使用されて、ほとんど全部それに切りかわっているのが
現状
であります。したがって、凍結しておりますから、
石油企業
におきましては、いろいろ
落差
はございますけれども、すでにかなり
赤字
が出てきておるという
現状
であります。 これに対して、
財政投融資
や
金融
で
措置
するか、あるいは、
価格上昇
を認めて適正な
企業
が行なえるようにするかという
問題点
。それから、イギリスやフランスやドイツのような
外国
は、すでに一月中旬から二月下旬にかけて、ほとんど八千円から一万一千円ぐらい
値上げ
をしておる。私の聞いた範囲では、
値上げ
しないのは、
日本
とベルギーだけであります。そういう面から、
日本
の六〇%以上の
石油
を
供給
しているいわゆるメジャーズが、
供給
すればするだけ損が出るところへはどうしても
供給
を渋りがちで、結局、
供給
すればもうかるほうへ
石油
を
供給
していく、これは
経済
の論理であります。 そういう面から、
日本
に対する
供給
に不安がつきまとってきておりまして、その点も、われわれとしては大いに心痛しなければならぬ
事態
に立ち至りつつあります。
外国
からの
石油供給
が削減されて、そのために、また
国民
に
心理的パニック
を起こして、
物価騒動
みたいなものを起こすということは、再び繰り返してはならぬ、私はそういう確信を持っておるわけであります。 そういうこととか、あるいは
民族糸
の
会社
と
外資系
の
会社
では
企業力
が非常に違っておりまして、
民族系
の
会社
は、
原油
について、これは大体
DDオイル等
を買ってきておりますから、
キロリットル
四千円以上の高い
原油
を買ってきておる。そういう面から、
企業採算
から見ますと、
民族系
がまず非常な困難に遭遇して、
外資系
は余力があるという状態が、ある
時点
にはできるわけです。そうした場合に、
日本
の
経済自主性
を強めるために
民族系
を育成してきたわが
政府
の努力というものは、
政策
のいかんによっては、水泡に帰するということも心配せざるを得ない
段階
であります。 もう
一つ
考え
なければならぬことは、
公害
問題でございまして、
ローサルファ
の
石油
は
値段
が高いわけです。たとえば
ミナス
の
原油
は、この一月の
時点
において、たしかバーレル十ドル八十セントでありましたけれども、最近私が聞いた
情報
では、十二ドル前後に
値上げ
してきたということであります。十ドル八十セントでもかなり高いのが、そう上がってくると、十二月
水準
で凍結されておると、そういう高い
原油
を買ってくる
会社
は、さらに
赤字
が累積して損が大きくつくわけであります。必然的に
ローサルファ
の
石油
を購入することをやめて、安い、
サルファ
の強いものを買ってくるという傾向が発生せざるを得ないということも心配すべき点です。これは
公害
問題上、ゆゆしい問題が出てまいります。そういうような諸般の点を
考え
てみて、
石油
の
値段
を
調整
せざるを得ない
事態
にいまきておると思います。 しかし、この問題は
物価政策
にも影響するところでありますから、もはや一
通産省
の問題ではないのであって、
内閣
全体あるいは
自民党
全体——まあ
責任政党
としていま政権を担当している
自民党
全体、
内閣
全体の
責任
において、大局的に処理すべき問題になっておるのでございます。そういう
意味
において、各般の慎重な検討をお願いしておるというのが
現状
でございます。
林孝矩
7
○林(孝)
分科員
国民
の立場に立って
考え
るときに、私はこのように思うわけであります。それは、いま
通産大臣
から
石油値上げ
に関する
条件
というものについてお話がございました。ところが、
一つ
は、今日まで
通産省
は、
山下次官
の発言にもあったように、
石油業界
の
やらずぶったくり商法
というものを批判しつつ、そして
通産大臣
も、
予算審議
の過程において、同じく、
石油業界
の
便乗値上げ
、
超過利潤
についてきびしい態度で臨むと表明されてきたわけであります。そういう経過を
国民
はいろんなマスメディアを通して知っておる。そういう中でいま急に再
値上げ
という動きがある。こういうことに対して
国民
の気持ちは非常に唐突な感じを抱いていることも事実であります。 そういうことを
考え
るときに、いまいろんな
条件
を話されましたけれども、
値上げ
をしなければならないということに対して、
国民
に対する
納得
を得られるようなことを
通産省
はやってきたかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
中曽根康弘
8
○
中曽根国務大臣
いろいろないまのような
事態
につきましては、
国会
におきましても私は御
説明
申し上げましたし、また、
新聞報道関係
につきましても、
記者会見
その他の機会に申し上げてきたところでございます。できるだけ
国民
の広い御
理解
を得て、そうしてこの問題を円滑に解決するように、今後とも努力してまいりたいと思っております。
国民感情
としては、昨年の暮れにかけて、
石油産業
が
便乗値上げ
をした、あるいはもうけた、そういう
不信感
が非常に強いおりから、やはり
国民感情
に合うような
政策措置
をとらなければならぬと確信しております。この点につきましては、
予算委員会
でも御答弁申し上げましたが、もちろん、昨年暮れにかけましてもうけた
便乗利益
は全部吐き出させる、それからさらに、三月期の決算は、無配ないし減配を
石油産業
は行なうことが適当であると思う。それから
役員賞与等
についても自粛をする、それから
内部留保
もできるだけ吐き出して、そして
国民
の皆さんが、なるほど
石油産業
も出血して、それだけつとめたかということを
理解
できるような
措置
をやってもらうことが正しいと思っております。 ただ、われわれは
自由経済
をやっておりますから、そういうことを強制することはできませんけれども、そういう
考え
が正しいと私は思って、
石油産業
に対してそういう
指導
をいたしたい、そういうふうに
考え
ております。
林孝矩
9
○林(孝)
分科員
それでは伺いますが、たとえば、その
石油製品値上げ
の
条件
の中に、
大臣
が触れられておりました九ドル
原油
の問題です。
大臣
の話によりますと、一月二十日ごろから九ドル
原油
が
輸入
されておる。そして、その高い油によって、
通産省
の推定によりますと、一日約八十億円の
コストアップ
になる、こういうことが伝えられておるわけであります。これは、一月二十日以前の
原油
の備蓄が全然ゼロの
時点
である、そういう仮定に立った話でなければ
納得
できない。
大臣
は、いま、
国民
の
納得
ということ、
理解
という問題をあげられましたが、この点に対する
大臣
の
考え
方はどうなのか。
国民
が
納得
できるかどうか。それから、二月二十日の
予算委員会
で
通産大臣
は、いま
会社ごと
にどの油を
幾ら
で引き取っているか、それが
会社ごと
に全部で
幾ら
になるか、全部当たっている、そのように答弁されているわけであります。 私はこの際、その
実態
を各
企業別
に
報告
を願いたい。これがなければ、
石油製品
を
値上げ
するという
一つ
の理由になっておりますところの高い油の
実態
というもの、こういうものに対して
国民
は
納得
できない。明確にしていただきたいと思います。
山形栄治
10
○
山形政府委員
お答え申し上げます。 いま先生のおっしゃいますように、古い油がある間はその古い油でやるべきであるというお
考え
は、
国民感情
としても、非常に当然のことだと私は思うわけでございます。 十二月末のいわゆる古い油の在庫というのが約五十日分あったわけでございまして、中東からの航海日数を
考え
ますと、一月二十日ごろから新しい油が入るわけでございますが、古い油の在庫日数を換算しますと、三月十日ごろまでは古い油が使えるということに相なるわけでございます。逆算からいたしますと、古い油は三月十日ごろまでしかないわけでございます。それ以降は新しい油に相なるということでございます。ただし、各
企業
の決算の在庫評価のしかたは、いろいろなやり方をやっておりまして、古い油が全部なくなって、それから新しい油で計算するということで在庫評価をしている
会社
は、
日本
の場合にはほとんどございませんで、
日本
の大部分の
会社
は、いわゆる平均法というかっこうで在庫評価をいたしておるわけでございます。これは世界的にいいましても、メジャー系というのは、むしろあと入れ、先出し法ということで、古い油よりは新しい油のところで計算する。これは上がりますとすぐ上がりますが、下がるときはすぐ下がるというような方法もとっておるわけでございますが、しかし、われわれといたしましては、あくまで古い油をなるたけ使い果たして、それから新しい油に入るということを計算するほうが
国民感情
であろうと思います。 われわれの
考え
方といたしましては、現在通関統計によりまして、到着ベースで、中東から
日本
に入るまで二十日、それからインドネシア等の東南アジアからは十日で入るという前提のもとで通関統計を分析いたしますと、十二月の
日本
に入りました油の総平均が四ドル四十五セントでございます。これはバーレルでございます。これをCIFの
キロリットル
当たりの円に直しますと、八千八百四十円に相なるわけでございます。これが二月
段階
におきましては、バーレル当たりほぼ十ドルになっておりまして、
キロリットル
当たり円で一万九千五百円ぐらいに相なっておるわけでございます。したがいまして、
キロリットル
当たりを円で申し上げますと、十二月に比較しまして、大体一万円ないし一万ちょっとこえたぐらいの高い計算に相なるわけでございます。 われわれといたしましては、こういうことを踏まえ、いま御質問にございましたように、関係
会社
の一船別の詳細な分析をいたしておるわけでございますが、いま申し上げましたように、これを集合計いたしました数字は、そういうことでございまして、これの決算のしかたはまた別でございますが、実際に入っております入着ベースの油は、そういう高い油になっておるわけでございます。
中曽根康弘
11
○
中曽根国務大臣
いまの答弁に補足いたしまして、
石油
会社
の仮決算、これは
石油
会社
が言ってきた、査定していない数字を試みに申し上げますと、
民族系
四社におきまして、十月から三月末においてどうなるかというと、千百七十四億五千九百万円の
赤字
になる。それから
外資系
八社、メジャー系八社が六百六十四億一千三百万円の
赤字
になる。それから、その中間にあるのは一社で三百六十五億の
赤字
になる。いずれもこれは
赤字
でございますが、
民族糸
と
外資系
によって、これで、かなりの力が違うということがわかります。 これは
会社
から申し出さした数字を無査定で申し上げたのでございますから、これはもちろん査定しなければなりませんけれども、一応
一つ
の参考資料として申し上げる次第であります。
林孝矩
12
○林(孝)
分科員
いま無査定という話がございました。これは非常に重大なことでありまして、先ほど
エネルギー
庁長官
のほうからの話は、いわゆる油を
輸入
するという
段階
での話であります。その
輸入
された油が製品となっていくわけでありますが、その過程において、古い油と新しい油という問題が起こってくるわけなんです。その
実態
というものを正確に掌握するというのが、去る二月二十日の
予算委員会
における
通産大臣
の答弁ではなかったのか、私はそのように思うわけであります。
通産大臣
の答弁は、
会社
別にということを言われて、そして、どの種類の油を
幾ら
で引き取って、そして
会社
がいま持っているのは
幾ら
になるのか、いわゆる備蓄の
実態
、これも全部当たっているのだという
通産大臣
の答弁であった。これは、なさなければならないと思います。
企業
からの
報告
というものを
通産省
が受けて、そして
赤字
はこれだけだ、いまもう古い油はないのだ、新しい油を買っているからとんでもない状態になってきた、だから
値上げ
をしなければならない、こういうふうな発想そのものが、非常に問題じゃないか。 実際、先日来、
物価
集中
審議
のときに参考人で来た
石油業界
の代表の人たちが、あの
質疑
の中でどのように話をされておったかという一部始終を議事録で見てみると、よくわかります。入ってくることはわかる。その量はどれくらいかわかる。ところが、それから先のことについては、社長の立場にある人でも、わかりませんと言って、はっきりと答えておった参考人もおったわけであります。 そういう備蓄の
実態
というもの、これをどういう形で調査をされておるのか。私は、
企業別
にそうした
実態
をはっきりと掌握をしなければ、いま、ほんとうに
値上げ
が必要なのかという点について、さらにあとでも質問いたしますが、非常に
納得
できない、そういう感じを持っているわけです。これは
国民
の声だと私は思います。 したがって、
通産省
はいまどういう調査をされておるのか。調査したというならば、その
実態
を
企業別
に、はっきりさしてもらいたい。古い油、新しい油というものをそう簡単に
考え
てもらって、
赤字
が多いから
値上げ
するというのでは、
国民
は
納得
できない、このように思うわけであります。
山形栄治
13
○
山形政府委員
まず、油の
値段
の問題でございます。 これは御存じだと思いますが、いわゆるインボイスを出しまして、通関をいたすわけでございますが、税関におきまして、これがまずチェックされるわけでございます。実績といたしましては、われわれは、このインボイス統計といいますか、通関統計を一船ごとに全部チェックいたしております。 なお、今後の
原油
の見通しにつきましては、一部には、若干下がるというサウジアラビア等の見方もございますけれども、また一部には、すでにメジャー系等から、現在の
輸入
価格は仮仕切りでやっておりまして、その追徴分が、すでに予備通告的に出てきているのもあるわけで、これは非常に数は少ないわけであります。 それから、先ほど
大臣
からお話がございましたように、インドネシアの
ミナス
原油
等につきましては、近くこれを大幅に
値上げ
するという動きもあるわけでございますが、われわれといたしましては、
物価政策
上の観点も踏まえまして、現在の
段階
で、一応
輸入
価格というものは、これ以上の
値上げ
は見込まないということにいたしておるわけでございます。 そういう
意味
で、現
時点
におきますインボイスのチェックを税関当局とも相談いたしまして、これを確認いたしておるのが
一つ
でございます。これは各社別にやっております。 ただ、これを各社全部出すということは、どこの地域から、いつどんなものを入れているかというのは、これは
企業
の秘密的な要素が非常に強いものでございますので、これをわれわれは全体でつかみ、加重平均いたしまして、先ほど来申し上げましたようなチェックを行なって、
原油
の
輸入
価格をはじいているわけでございます。 それから各社別の備蓄でございますが、これも各社別からわれわれは
報告
を受けまして、これを月ごとにフォローして、
供給
目標的にも、十二月末の備蓄が、
原油
で二十四・五日分、製品、半製品が二十九・三日分、合計五十三・八日分、一月末は、同じく
原油
が二十四・二日分、製品、半製品で二十八・二日分、合計五十二・四日分、それから二月末が
原油
で二十三・九日分、製品、半製品で二十六・六日分、合計五十・五日分、これは各社の集計でございますが、当然に、この前提といたしましては、各社の在庫の把握を前提にしての集計をいたしておるわけでございます。
林孝矩
14
○林(孝)
分科員
私に与えられた時間がありませんので、要約してさらに質問を続けていきますが、いまの
企業
からの
報告
に対して、
実態
調査をやられましたか。
山形栄治
15
○
山形政府委員
輸入
価格につきましては、先ほど言いましたように、(林(孝)
分科員
「
輸入
じゃなしに、備蓄のほうです」と呼ぶ)証拠書類がありますので、それでチェックいたしておるわけでございますが、備蓄につきましては、大がかりな実地調査につきましては、年に一回、
通産省
の在庫統計に基づいてやっておるわけでございます。それがいわゆる原票といいますか、でございまして、それに応じて毎月の
報告
を受けて、現場には行っておりませんですけれども、それでフォローしておるわけでございます。 なお、従来
日本
は備蓄の増強
政策
をとっておりましたので、この備蓄の設備の増強につきましては、開銀の
融資
なり、また運転
資金
につきまして
石油
公団の手当て等も行なっておりますので、そういう物的な設備の把握につきましては、そういう
政策
のうらはらということで、われわれのほうは非常に明確にこれをつかんでおるわけでございますが、日々の備蓄はどのくらいかということは、先生の御質問のとおり、現場へ行っての実地調査はいたしておりません。
林孝矩
16
○林(孝)
分科員
私はいまの答弁を聞きまして、あまりにも
値上げ
の根拠が薄弱である。
国民感情
からして、そういうふうな
実態
を調査しないで、いまどうして
値上げ
をしなければならないのかということを
国民
に
納得
させられるのか。はなはだ残念に思うし、また、そうした
通産省
の姿勢そのものは私は問題だと思う。全く
国民
の感情とは遊離した、そういう姿勢ですよ。備蓄の
実態
というものが、今
国会
の
予算委員会
において重大な問題になったわけであります。最近の決算の
報告
というものを見ますと、
石油業界
の黒字というものが大々的に
報道
されております。そして、昨年末からのいわゆる
石油
パニックというこういう問題を通して、業者が
便乗値上げ
をした、
超過利潤
を得た、こういうことに対しても、
予算委員会
において
審議
をされてきたわけであります。そして、
原油
の値上がりが
石油製品
にどういう形で
便乗値上げ
をされてきたかという具体的なデータをもって、そして
実態
調査の上に立って質問したのは、わが政党でございます。 このように、この
石油
の問題に対して、ほんとうに
国民
生活に与える影響が東天である、
国民
の生活を防衛する上からも、そこまで突っ込んだ議論というもの、
審議
というものを
予算委員会
はやってきたわけであります。その中で浮き彫りにされてきたのが、いわゆる
石油業界
の
便乗値上げ
、
超過利潤
というものであったわけですね。そして、そのときに
通産大臣
はこのような答弁をされております。 「
石油
関係の
企業
は、昨年十一月、十二月の
値上げ
等につきまして非常に
国民
からの疑惑を受け、公取からの調査も受けておるわけでありますから、これらの疑惑を
国民
の前に解明して、そうして
納得
する状態にしなければ、
値上げ
することは非常にむずかしい。行政的にも、われわれとしては慎重にしなければならぬところであると思っております。したがって、昨年の十一月、十二月におけるもうけというものを全部吐き出させる、そうして
石油
会社
も
国民
と同じように苦労し、努力して、同じような苦労を味わっているということを
国民
に
納得
させなければ
国民
は許さないだろう、」まさしく
大臣
の答弁のとおりであると私は思うわけです。その
国民
が
納得
できる状態と、重ねて
大臣
がおっしゃっておることは、
石油業界
が昨年末来
便乗値上げ
をし、そして不当
超過利潤
を得た、それを吐き出すということが、
国民
の
納得
を得ることである、そのように
大臣
が
考え
られておったんだ、私はそのように思うわけであります。であるならば、
納得
させる状態をはたしてつくり出したかどうかということが問題になるわけであります。 これだけを全部吐き出したということを
納得
させるためには、またそれが真実であるかどうかということを議論しなければなりません。そういう状態、背景というものをつくり出していくために
通産省
はこういうふうにやりました、これで
国民
も
納得
してもらえるはずですというくらいのことをやってきたのかどうか。それを全然
国民
に示さないで、そして
便乗値上げ
という問題に対して、吐き出しも完全にぬぐい去れないまま新しい
値上げ
の問題が起こっておる。これでは、
大臣
が答弁された趣旨とは全然逆方向に進んでいるわけでありますし、また
国民
も
納得
できない。この
便乗値上げ
で得た黒字を吐き出すという問題と、それから新しい
原油
が値上がりしておるから、
企業
が非常に
赤字
をかかえるようになっていくという問題とは、これははっきり分けなければならない問題だと私は思うわけであります。でなければ
国民
は
納得
できない。それを、二つを相殺して、ずるずると
値上げ
の方向に持っていこうということでは、
納得
できないのです。 もう
一つ
は、これは重大な問題でありますけれども、
便乗値上げ
で不当利潤を
企業
が得ているときに、この原因によってどれだけ諸
物価
が値上がりしたか、そのことによって、
国民
はどれだけ混乱した生活、不安定な生活に追いやられたか。その状態のまま現在に来て、さらに
値上げ
の問題が起こっておる。このときに、新たに
国民
に与える影響、
国民
生活に与える影響というものは、想像もつかないような狂乱状態におちいるのではないか、このように憂えるわけであります。 そうなってきますと、今度は、
政府
によってつくられた
石油
危機という問題を指摘せざるを得ない。こういう状態を
通産大臣
はほんとうに感じて、
石油
行政を適正、かつ
国民
の
納得
する状態にしていかなければならない。そうでなければ、
大臣
の
予算委員会
での答弁は、全く政治的な発言ということになりますよ。どうでしょうか。
中曽根康弘
17
○
中曽根国務大臣
全くあなたと同じ気持ちでやっております。それをいかに行政的に反映させ、そういう結果を出すかということで鋭意努力しておるわけです。吐き出すということは、いま申し上げた計算上からもはっきりしておりますけれども、三月期の決算が出てくるのは五月ころになりますが、三月期の仮決算というのは、三月の下旬くらいにはわかるだろうと思います。そういうものも明らかにしたいと思っておりますし、それから、いま申し上げましたような
石油企業
の自粛
措置
につきましても明らかにしていきたい、そう思うわけであります。
林孝矩
18
○林(孝)
分科員
いまの答弁では
納得
ができません。それならば、
石油製品
の
値上げ
という問題、いまそうした動きをするべきではないと思います。 私の時間が来ましたからこれで終わりますが、この問題に対して
考え
直さなければならない問題がもっともっとたくさんある。
石油
行政全般に対する行政
指導
の問題だとか、あるいは法的根拠限界、そうした問題に対してもやらなければなりませんし、いろいろございますが、きょうはまずその第一点として、
石油製品
の
値上げ
の問題を、
国民
的立場から
通産大臣
に指摘をいたしまして、あとの問題は、また他の委員に譲りまして、私はこれで終わりたいと思います。
湊徹郎
19
○
湊主査
これにて
林孝矩
君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
松浦
利尚
君。
松浦利尚
20
○
松浦
(利)
分科員
私は、時間が三十分でありますから、あまり意見を言わずに、
政府
の姿勢をただしたいと存じます。 いま林委員からも指摘がありました九ドル
原油
輸入
に伴う新価格体系、この問題は短時間で結論の出るものではありませんから、別の機会にこの問題についてやらせていただきたいと思います。 ただ、新価格体系に移るときに一番大切なことは、
国民
のコンセンサスだと思うのです。いま林委員からも指摘されたように、通産行政が、ほんとうに
国民
の立場に立って、姿勢が正しいかどうかということが、その基本になると私は思うのでありますが、その
国民
的なコンセンサスを得るための努力というものを、
通産大臣
としてはどのようにされようとしておられるのか、その抱負をまずお聞かせいただきたいと思います。
中曽根康弘
21
○
中曽根国務大臣
基本は、やはり
通産省
自体のやり方が、
国民
的公正を求めて誠実にこれを実行していく、そういうわがほうの主体的な態度を明らかにすること、それを実行することが大事であると思います。 それと同時に、現在の
石油
事情というものを、
国民
の皆さま方にできるだけ広く御
理解
願うように周知徹底させる、そして
国民
の御
納得
を得る。その上に立って、どういう
措置
をしたらいいでしょうか、われわれはこういう
考え
を持っております、そういうことで
国民
の批判を受け、また各政党の批判を受ける。いま
松浦
さんが御質問しているのも、そういう批判の
一つ
であるとわれわれは謙虚に承りたいと思っております。そういうような過程を経て、合理的な処置を決定していきたいと思っております。
松浦利尚
22
○
松浦
(利)
分科員
率直に申し上げて、いま、
国民
は
通産省
を擁護する立場にないと私は思いますね。
予算委員会
で、参考人等を通じて通産行政そのものもいろいろと批判をされてきたと思うのでありますが、そういった
意味
では、私は、いま
国民
の中で不満を持っておる灯油の問題に限定をして、一体こういう
指導
が正しかったのかどうかということについて、
エネルギー
庁長官
もおられますから、長官が事務的なことをされたはずでありますから、長官の過去の
指導
経過等も踏まえて、具体的にお聞かせをいただきたいと思うのです。 その第一点は、四十九年一月十四日に
通商産業省
資源エネルギー
庁が、「一般消費者に販売される灯油及び液化
石油
ガスの標準価格の設定及び
指導
について、」
指導
通達をされておるわけであります。 これは一体どこに
指導
通達されたのか、どこに出した文書なのかを明らかにしていただきたいと思うのです。
山形栄治
23
○
山形政府委員
これは御存じのとおり、実際の標準価格の実施その他につきましての権限を、都道府県、
市町村
に委任しておるわけでございますので、その実施が円滑にはかられるようにということのための通達でございまして、都道府県及び
市町村
に出したものでございます。
松浦利尚
24
○
松浦
(利)
分科員
そうしますと、都道府県並びに
市町村
に出したこの通達が
石油
業者の手に渡っておるということは、どういうことになるのですか。その
内容
が、すべて事前に
石油
を扱う業者にわかっておるということは、一体どこでそういうことになるのですか。都道府県、
市町村
を
指導
したはずの通達文書が相手側にすでにもうわかっておる、これは一体どこから漏れると思っておられますか。そういうことはないと思われますか。
山形栄治
25
○
山形政府委員
私のほうから業界、業者にあれするようなことは、絶対いたしておりません。どういう経路でそれが渡ったのか、私はわからないのでございますけれども、しかし、これは各業者ということでなく、通牒というものは、都道府県及び
市町村
に出したものでございますが、関係の、たとえば
国会
の先生、及び一般的なそのほかの
通産省
内部の者等には、監視及び実施の運営基準でございますので、これは秘密にする必要もないということで、そういう向きには当然これをお渡ししておるわけでございますが、私のほうから個々の業者に対して、これを積極的に配ったというようなことは絶対ございません。
松浦利尚
26
○
松浦
(利)
分科員
私は、積極的に配ったと言ってはおらないのです。これが事前になぜ業界に漏れるかということですね。
通産省
が業界にやったと、私は指摘しておるのじゃない。一体、これはどこに出した通達なのか。漏れるはずがないのだな。
指導
監督するところだけが必要な文書なんだ。それが事前に業界に知れておる。しかも、事前に業界がこの通達を知って操作しておる。 かりにそういう事実があったら、あなたはどう思われますか。そういう行政は、通産行政として正しかったと思われますか。そういう事実が現にあったら、正しかったと思われますか。どうですか。
山形栄治
27
○
山形政府委員
この
指導
通達の裏をかくようなことをするということは、もう許しがたいことでございまして、われわれはそういうことを一番おそれておったわけでございますが、府県、
市町村
等との連絡におきましても、その後この
指導
通達につきまして、いろいろとこまかい解釈等の問題もございましたけれども、現
段階
におきましては、都道府県、
市町村
には周知徹底がはかられております。裏をかくというようなことは、今後も絶対にないようにいたしたいと思います。
松浦利尚
28
○
松浦
(利)
分科員
具体的な事実を指摘したいと思うのですね。 これは、参考人で伊藤忠の社長を
予算委員会
に呼んだときに、その経過
措置
として、二月二十八日に、伊藤忠商事の
エネルギー
本
部長
、常務取締役の金井さん、この方は
通産省
の局長をしておられた方です。この方が私に対して、「関係
会社
伊藤忠燃料(株)の民生用灯油のご質問に関する件」として、私文書でございますが、回答文書を正式に寄せられた。この中にこういうことが書いてある。「その後四十九年一月十八日から民生用灯油の小売標準価格を設定するにあたり、一月十四日附の
通産省
の通達の
説明
文中に、……三百八十円のモデル計算においては、小売仕入価格は、二百六十〜二百八十円程度を想定し、……という表現がありましたので、一リットル当り十五円五十銭を上回るものは十五円五十銭に改訂値下げいたしました。」改定値下げしたのは、二百七十九円だ。二百六十円から二百八十円の最高値の二百八十円に近い二百七十九円をとった。なぜとったかというと、この通達でとりましたという文書なんです。明らかにこの文書がいっておるということでしょう。これがなければそんなことはわからないし、そういう表現はされておらないはずです。それが、こういうことが表現されておるということは、明らかに
通産省
自身の通達文書が
石油業界
に漏れておるということでしょう。 こういうことに対して、
国民
は、
通産省
はたいへん癒着しておると言うのだ。しかも、たいへん迷惑をしたのは、
国民
なんですよ。だから
国民
が
通産省
を信用しないのですよ。 そういう事実について、長官認めるでしょう、ここに書いてあるのだから。書いてあること自体については、これとの関連以外の何ものでもないと認めざるを得ないでしょう。どうですか。
山形栄治
29
○
山形政府委員
伊藤忠の金井常務のその文書は、私は見たことがございませんが、至急その辺を確かめたいと思いますが、いま先生の御指摘のとおり、この
指導
通達が関係の業者の手に渡り、それがいま先生がお読み上げになったようないき方で悪用されたということは、非常に遺憾だと私は思います。至急に
実態
を調べたいと思います。
松浦利尚
30
○
松浦
(利)
分科員
大臣
、こんな小さなところは、おそらく
通産大臣
はお気づきにならないと思う。ただ
エネルギー
庁が通達を出したことに了解をする程度だと思うのですね。しかし、実際には、この通達が業界にわかるように流されたと
国民
がとっても、私は決して言い過ぎじゃないと思うのですよ、現実にそういう文書があるわけだから。こういうところに通産行政のずさんさがある。逆に言うと、この間で、ひとつ高いところでもやったらどうか、適当にうまくやりなさい、こういうふうに、事実そういうことを言っておるのじゃないけれども、結果的に、そういうことをやらすような文書に終わってしまっておるという事実は、明らかなんですよ。 こういう業界の
指導
のあり方、こういう標準価格設定にあたっての
通産省
の
指導
のあり方、こういう点について、ひとつ明確に、
国民
に対して、正しかったのかどうか、間違っておればどういうふうに直していこうとするのか、そういう点を、やはりこの際、
大臣
のほうから明確にお答えいただきたいと思う。
中曽根康弘
31
○
中曽根国務大臣
エネルギー
庁長官
が申し上げましたとおり、やはり文書の流通経路あるいは保管というものは、その文書の性質に従って、適正に、かつ適確に行なわれるべきであると思っております。 われわれは
物価
の引き下げのために全力を尽くしておるのでありますから、そういう目的を達成するために、今後ともいろいろ注意していきたいと思います。
松浦利尚
32
○
松浦
(利)
分科員
それで
大臣
、この伊藤忠の
エネルギー
本
部長
に
通産省
の局長が天下っておるという事実が、逆に言うと、わかってはならない文書が事前にわかる、そういうこともあるのじゃないですか。同じかまのめしを食ったのが常務でおるんだから、聞いてきたら、ひとつこの分だけ教えておこう、そういう気持ちも通産官僚の中に働くのがあるのじゃないですか。やはり、
通産省
からそういう職域に行くなとは言わないけれども、そういう天下りをすることが、逆に言うと通産行政と
企業
とを癒着させる、そういう疑惑を
国民
に与えると思うのですよ。たまたま金井さんという人は、元
通産省
の繊維局長だった人ですね。
大臣
、こういう点についてあなたの御感想はどうですか。
中曽根康弘
33
○
中曽根国務大臣
公務員もやはり
国民
の一人でありますから、法律、規則の許す範囲内において、再就職の権利と自由は持っておらなければなりません。 大体、役人をやめるときは、ちょうど子供が大学を出るとか、結婚するときで、やはり生活の問題も
考え
なければならぬ。われわれとしても、同じ
国民
ですから、そういう面については、われわれも
考え
なければならぬと思いますが、それはやはり法律、規則の許す範囲内でやるべきである。 ただ問題は、そういうことがあったからといって、癒着とか誤解を受けるようなことがあってはならぬ。私は、
通産省
がそういう文書を渡したということばないと確信いたしております。おそらくいろいろな方面からそういうものが流れたり、その文書自体が、機密にして、省内だけに保管しておいた文書じゃなくて、
所要
の向きには配った文書でありますから、そういうものが流れていくとか、見せてもらうとかということはあり得る。全部
通産省
の
責任
であると言われても、ちょっと迷惑だと思います。 ただ、しかし、いまのように
通産省
出身の人間が、たまたまそういうような誤解を受けるような手紙を書いたということは、遺憾なことでありまして、これは役人のディシプリンとしても、またOBのディシプリンとしても、われわれとしては戒めていかなければならぬと思います。
松浦利尚
34
○
松浦
(利)
分科員
この際、
大臣
に要望しておきますが、このことが一事が万事だとは私は思いませんけれども、この際はっきりしておるわけでありますから、この金井常務が、どこからこういう文書を入手したのか、その点を私は明らかにしてもらいたいと思います。 そして、その入手経路に従って、このことが
国民
にたいへんな迷惑を与えておるわけでありますから、これについては、
通産省
として明確な処置をとっていただきたい。今後二度とこういうことが起こらないように明確にしてもらいたい、この点について、お答えいただきたいと思います。
山形栄治
35
○
山形政府委員
ただいまの御趣旨に沿いまして、早急に
実態
を調査いたします。 なお、これを機会に、そういう誤解を受けるようなことが起きませんように、もう一回、庁内はもちろんのこと、
通産省
内全体で、その辺の取り扱いにつきましても検討いたしたいと思います。
松浦利尚
36
○
松浦
(利)
分科員
いや、私は、そのことがまた通産行政の秘密行政に結ぶことを言っておるわけじゃない。利益を得るものにこういう文書が流れないようにやってもらいたいということでありますから、その点はひとつ間違わないようにお願いをしておきたいと思うのです。 そこで、これは
大臣
に私はぜひお答えをいただきたいと思うのでありますが、昨年の灯油ですね。 せっかく
通産省
が一生懸命、九月末現在で、十三社平均で一万二千八百円という灯油の元売り価格をきめた。小売り末端価格は三百八十円できめた。ところが、その
段階
において、卸については野放しにしてしまったために、小売り価格がたいへん混乱をしておるのです。 そのことは、同じように金井さんがそういうことを言っておられる。この人はどういうことを言ったかといいますと、「四十八年十一月下旬に
通産省
より民生用灯油の
指導
価格が示されました。これによりますと、小売業者の店頭渡し価格十八リットル当り三百八十円と、元売業者の仕切価格を九月の価格に据置く、の二点のみで、中間卸売業者から小売業者への卸価格についての指示がありませんでしたので、当時の取引価格から見て上限一リットル当り十六円程度が妥当であろうと、伊藤忠燃料の現地店が判断」したんだ。元売りがきまっておって、小売りがきまっておって、流通は
一つ
も変更しておらないのに、中間の卸がきまっておらないから、適当に上げろといって、十八リットル当たり二百六十一円の価格を二百八十八円にぽんと上げたわけですよ。それも
通産省
の
指導
が、卸価格をきめておらなかったからやった、こう言っておるのですよ。 確かに、卸売り価格が複雑であることは事実ですよ。しかし、複雑であっても、流通機構というのは、複雑は複雑なりに、短絡なものは短絡なりに変わるはずはないのですよ。全然変わるはずはない。それをあたかも変わるように想定をしたところに、通産行政の失敗があったと思うのです。従来の卸ルートの価格を維持しなさいという
指導
が
一つ
入っておれば、こういうばかげた回答はしておらないはずだ。逆に言うと、この金井さんは、
通産省
の
指導
の裏側をやったわけですよ。こういう
指導
のあり方も、実は
国民
の批判を受けておるのですよ。たいへんな批判を受けておる。急ぐということはわかりますよ。急ぐけれども、ほんとうに
国民
の立場、消費者の立場に立つなら、もっときめこまかくやるべきじゃなかったか。複雑だろうが何だろうが、流通機構というのは、もう末端においてはその流れ以外にないわけなんです。 だから、中間の卸も変えてはならないという一項が入っておれば、
指導
する側も
指導
がしやすかったと思うのですね。これも、私は灯油価格の
指導
のまずさだと思う。直接指揮をされた長官、こういう点については、反省しておられますか。
山形栄治
37
○
山形政府委員
いま先生の御指摘のとおり、卸のところは触れなかったわけでございますが、当時、市場に灯油価格の高騰等もございまして、いまこれも御指摘ございましたが、非常に急ぎましたのが、
一つ
の大きな理由であったわけでございます。 御存じだと思いますが、民生用灯油の流通におきましては、特約店が二万四千軒、それから薪炭問屋という問屋さんが二千二百ぐらいございまして、その下に小売りが三万六千七百、それからまた薪炭の小売りが六万ということになっておるわけでございます。この問屋もまた一次問屋、二次問屋というふうに分かれておりまして、非常にその流通経路が複雑であったわけでございます。 したがって、早急の間で、元売りの凍結と小売りの
指導
価格の設定ということに踏み切ったわけでございますが、いま先生の御指摘のようなこともございましたので、先般、先ほど来出ておりました通牒におきましては、卸
段階
はリットル当たり十四円五十銭ということを、各都道府県及び
市町村
に対しまして、一応の
指導
のめどということで通牒をいたしたわけでございます。現在その線で末端におきましては
指導
が行なわれておるわけでございまして、御指摘のとおり、制度の発足にあたりましては、若干その辺のきめのこまかさが欠けておりましたことを私は認め、反省いたしておるわけでございます。
松浦利尚
38
○
松浦
(利)
分科員
それで、複雑であるということはさっきから言っておるように、私が申し上げたとおりです。しかし、末端の薪炭であろうと何であろうと、もう流通は一定しておる。複雑な流通は複雑な流通なりに変わらない。短絡的なものは短絡的に流通は変わらないのですよ。それを、あたかもまた新しい流通に変わるだろうと発想したところに、卸売り価格をきめなかった最大の原因があるのでしょう。流通は、末端のほうは全然変わっておらないわけなんだから。一次問屋、二次問屋を通してきたものは、一次問屋、二次問屋を通してもらうわけですよ。だから、そういう点では反省をされたので、私はこれ以上ここでは申し上げません。 そこで、私は
大臣
にこの際お願いをしておきたいと思う。 それはシェルが扱う灯油についての
問題点
です。四十八年十二月十八日に十八リットル当たり三百四十二円だったのです。ところが、四十八年十二月二十三日に十八リットル当たり三百九十六円、四十九年一月一日に四百五十円、こういうふうにきめてきたのです。これを扱ったところは、東京シェルパック株式
会社
。シェルの直売店ですね、代理店。これもやはり伊藤忠燃料と同じことだと思うのですよ。元売りと小売りが凍結されておる
段階
で、価格がこんなに三べんも移動するわけですからね。しかも、四十八年十二月十八日付のこれでは、四十九年一月一日より一リットル二十五円にいたします、配達料込み、こういうふうに書いたチラシが全家庭に行ったのだそうです。そこで、たくさんの何万軒という小売り業者があることは事実です。 しかし問題は、元売り十三社から出ていくものについて、一体中間卸はどうだったかということを、移動があったのかどうかということを早急に調査してもらいたい。そして、ほんとうに
通産省
が期待をしたような
指導
に従っておったのか、それとも、通達の裏側をやったのか、そういう点が、
国民
にとっては非常にわからないのです。その点を、おもなものだけでも、すぐ流通をチェックして、卸売り価格の移動がその間あったものはあったように発表させる。そしてそれが通達に従っておらなかったものは
国民
に還元させる、そういう具体的な処置をとらないと、私は
国民
から通産行政の信頼をかちとることはむずかしいと思うし、現に、いつの日か、新価格体系に移行するというそのことも、
国民
のコンセンサスを得ることは非常にむずかしいと思うのです。 そういう作業を、たいへんむずかしい作業ではありますけれども、
国民
の立場に立ってやろうという意思があるのかないのか。これは
政策
的な
意味
もありますから、ひとつ、
通産大臣
からお答えいただきたいと思うのです。
中曽根康弘
39
○
中曽根国務大臣
全部やるということは、とても膨大な仕事ですから、サンプリングみたいにしてやってみたいと思います。
松浦利尚
40
○
松浦
(利)
分科員
そのやられた結果については、
国民
に発表していただけますか。
中曽根康弘
41
○
中曽根国務大臣
結果がわかり次第、
報告
いたします。
松浦利尚
42
○
松浦
(利)
分科員
それでは、もう時間がなくなりますから、簡単に、最後の問題に触れさしていただきます。 その
一つ
は、実は、紙の
値段
が非常に変化をして、なかなかつかみにくいという状況です。進学児童が、あるいは進学した子供さんが雑誌社と雑誌の契約をする場合に——実は、これは事前に
通産省
のほうにも調査をお願いしておきましたから、正確に御返事いただけると思うのでありますが、小学館、これは
一つ
の例であります。小学館だけがこうやっておるという
意味
じゃありませんよ。これは小学館を
一つ
の例として申し上げるのですが、四十八年に定価が二百九十円、一年分の予約が三千四百八十円だったわけです。だから二百九十円の十二カ月分の三千四百八十円を納めておった。ところが、四十九年の四月号から月当たり単価三百円、一年分が四千三百円という
値段
なんですね。ですから、十二カ月にすると三千六百円でいいはずなんですが、紙の値上がりその他で、七百円よけいに契約者からもらう、こういうことになっておるのですね。さらに、途中で
物価
の変動等があった場合には、追徴金をもらいます、もっと上がったときには、追徴金をもらいますよ、
値段
が下がることはないですが、かりに下がったときには、よけいもらった分は払い戻しますよ——この分はいいのですね。この契約は、変動があったときの操作ですからいい。 ただ問題は、この予約をとるために、たいへんりっぱな景品をただで提供するわけです。その
一つ
は、特製アルバムといって、りっぱなアルバムを契約した者にくれる。そして、交通災害保険の十万円のものをつけてくれる。ところが、この小学館の本を買おうとする人、あるいはそういう年間契約をしようとする人は、子供さんの教養の足し、あるいは学校の
補助
的なものとして年間契約をする。その場合に、価格の移動があることよりも——もし価格の移動などがかりに発生するとすれば、こんなりっぱな景品は要らぬ。この景品だけでも相当な
値段
ですからね。こんな景品は要らぬ、そういうふうなやり方をしてもらえぬだろうかという希望が、実は消費者のほうから出されておるのです。これからおそらくこういう形態というのは、たいへん出てくると思います。現に、大きなものでは、住宅ローン等を通じての住宅
建設
等で、請負契約の単価の関係の問題でトラブルが起こっていますね。そういったトラブルのもとになるという危険性があるのではないかという危惧を私はしておる。 こういうものについて、
通産省
としては、これからどういうふうに
指導
されようとするのか、もう時間がありませんから、その点だけをひとつお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
森口八郎
43
○森口
政府
委員 御指摘のとおり、小学館におきましては、現在年間予約ということで、四十九年度のものにつきましては、四千三百円ということで年間予約をとっております。これは、やはり用紙の事情が不安定でございますので、そういうような点で、若干の余裕をとったというように申しております。 それから、第二の御指摘の点の景品でございます。景品につきましては、先に金を消費者に納入してもらうということの見返りとして、景品を出しておるというように言っておりますが、先生御指摘のように、実質的に
値段
を下げるとか、そういうような方法はないかどうかという
考え
方もあるわけでございますが、雑誌界の慣行もいろいろございまして、実は同じようなO社におきましては、やはり年間予約をしておりまして、四千六百円ということでやっておりますが、これも万年筆というようなものを、年間購読者についてサービスをいたしておるということでございます。 いずれにいたしましても、この年間購読料は、毎月の定価の合計額を年間購読料としてもらうということで、年間購読料を先にいただくということの見返りとして、まあこういうサービスをしておるということでございますが、先生の御指摘のように、実質的に概算価格に反映することができるかどうかということについて、さらに、もう少し出版社側とよく話し合って、
指導
してまいりたいというように
考え
ます。
松浦利尚
44
○
松浦
(利)
分科員
大臣
、いまちょっと所用で離席されておりましたが、いま話がありました。 しかし、問題は、これからすべての問題についてこういう傾向があらわれてくると思うのです。非常に価格が不安定だ、特に新価格体系に移行する前ですから、非常に不安定なもので年間契約をするという形が、あらゆる分野で出てくると思いますね。そういった問題については、ただ年間契約の賞品だから、景品だからという解釈だけでは、こういう時代には問題の解決にならないと思うのです。早急に、
通産省
としてこういう年間契約に対する
指導
方針、
指導
のあり方、こういったものについては、ぴしっとした方針を
国民
の前に示していただきたい。その点についてのお約束を
大臣
からしていただきたいと思うのです。
中曽根康弘
45
○
中曽根国務大臣
雑誌のような文化的材というものは、やはりかなり創意くふうと、それから質的については、バラエティに富んだものがうんと出ることが私は望ましいと思うのです。そういうようなものについて、あまりがたぴしやり過ぎると、やはり統制的なにおいも強くなってきて、ひいては、やはり
国民
の教養や教育の面で、長い時間かけると悪い結果が出てくる、そういう危険性があります。だからできるだけそういう
内容
その他については創意くふうをこらして、バラエティーに富んだものにしていくことが私はいいと思いまして、干渉や何かということはできるだけ避けたい。文化的所在についてはそういう基本方針を私は持っております。 ただ、しかし、こういう
物価
がいろいろ動揺するときに、
便乗値上げ
であるとか、この機会にもうけようとか、そういうことは許してはならない。しかし、景品とかそういうものについて、子供は非常に好奇心を持っていますからね。だから、私らの子供のころは、幼年倶楽部とか少年倶楽部というのがあって、あなたも買ったと思いますが、景品が楽しみで買ったというところもあるわけですよ。そういう子供の夢もまた
考え
てあげなければならぬ。だから、この辺はそのさじかげんが非常にむずかしいところですけれども、しかし、父兄にそういう
意味
で迷惑をかけないように、
便乗値上げ
とかその姿勢や何かが商業利益を目的にして行なわれないような注意はしていきたいと思います。
松浦利尚
46
○
松浦
(利)
分科員
大臣
の言われた後段は賛成ですが、前段は、私は
内容
のことを言っておるのじゃないので、ちょっと意見の相違、食い違いがありましたけれども、いずれにしても、私はこういった景品、価格の不安定なものを年間契約させるという、そういう行為が、逆に言うと、後段の
便乗値上げ
とかあるいは契約の不履行の問題等のトラブル、こういったものに発展する危険性が多分にある、かように思います。したがって、くどいようですが、
通産省
の
指導
体制を確立されるように希望だけ申し上げて、これは後刻また質問させていただくことにいたしまして、質問を終わります。
湊徹郎
47
○
湊主査
これにて
松浦
利尚
君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
梅田勝
君。
梅田勝
48
○
梅田
分科員
日本
共産党・革新共同の
梅田勝
でございます。
政府
の通産行政につきまして質問をいたしたいと思います。 現在、わが国の
中小企業
は、大
企業
がつくり出しました
石油
や資材の不足、価格高騰によりまして、その経営はきわめて困難な状況に追い込まれております。 〔
主査
退席、羽田
主査
代理着席〕 また、加えまして、最近の高金利、
金融
引き締めによりまして、
中小企業
の倒産はふえるばかりでございます。 しかるに、
昭和
四十九年度の
予算
案における
中小企業対策
費は千二十億八千三百万円、非常にわずかでございます。全
予算
のわずか〇・五九%でございます。ところが、
日本
独占資本の海外進出には手厚く
予算
を組み、
一般会計
における
経済協力
費は千六百五十九億八千万円と、
中小企業対策
費の一・六倍の
予算
を組みまして、
特別会計
や
財政投融資
を含めますと、約一兆三千億円に近い巨額に達しているのであります。御承知のように、
日本
は発達した資本主義国ではありますが、同時に、中小、零細
企業
がきわめて多く存在しているのがその特徴であり、その
中小企業
に対する国家
予算
がこのようにきわめて小なく、大
企業
に手厚いというのは、差別待遇もよいところでありまして、絶対私どもは容認することができないのであります。 私は、このような深刻な危機に直面をしている
中小企業
の問題、中でも伝統工芸、伝統産業といわれる、国の保護、育成を必要とされている中小零細
企業
がかかえている若干の問題につきまして、
政府
の
改善
策を要求し、
中小企業
の悩みを少しでも解決するために、具体的に質問をいたしたいと思います。 まず第一に取り上げたい問題は、歩引き撤廃の問題でございます。
通産省
にお伺いいたしますが、京都は御承知のように西陣織りや京友禅あるいは丹後ちりめん、こういう
日本
の
国民
がひとしく愛して着用いたします着物の原材料を生産する産地でございます。そういう
繊維産業
が盛んでございます。しかし、この産業は、近代的な
工場
も若干はございますが、大部分が零細
企業
であります。ところが、これらの産地における取引におきましては、いまなお歩引き制度が根強く残っております。御承知のように、歩引きとは、代金決済の際問屋が業者に対し強制的に一定率を割り引いて支払う行為であり、これは取引成立の際に行ないますいわゆる値引きとは質的に異なるものでございます。このような前時代的な制度は一掃されなければならないと思いますが、近年この歩引きは、業者の自主的運動によりましてある時期は減少したのでございますが、最近また不況で復活をしてまいりまして、特に零細な業者になればなるほど、これはほとんど復活しておるのでございます。歩引きという名称にかわりまして、反引きあるいは協賛引き、販売促進引き、宣伝引き、金利引き、仕入れ利息引き、保険料引き、こういうさまざまな名称によりまして、事実上歩引きが行なわれておるというのが特徴的でございます。 まず、こういう状態に対して、
通産省
といたしましてはどういう対策を持っておられるか、御所見を承りたいと思います。
田口健次郎
49
○田口
説明
員 御
説明
申し上げます。 御指摘なさいましたとおり、西陣、丹後等のいわゆる絹、人絹の着尺産地の一部におきましては、いわゆる歩引き等と称せられます慣習があるというふうに聞いております。これは相場の変動に対しまして損失補てんをするとか、あるいは臨時出費に対する積み立て金だとかいったような性格を持つというふうにいわれておるようでございますけれども、契約の中には定められておらない、決済のときに歩引きが行なわれているといった明朗でない面があるように聞いております。
通産省
といたしましても、新しい繊維
工業
の構造
改善
の中で、取引
条件
の
改善
について重点的に検討していきたい。その一環としてこの問題につきましても、実情を調査いたしまして、より公平な
条件
で取引が行なわれるよう業界を
指導
してまいりたいというふうに
考え
ております。
梅田勝
50
○
梅田
分科員
いろいろ
通産省
はそのようにおっしゃっておりますが、実際は、京都におきましては、歩引きというものが、先ほど申し上げましたように事実として復活しているのですね。たとえば、西陣の織物
工業
組合の関係におきましても、産地問屋の場合には、年間を通じまして二分程度の歩引きというものが行なわれております。あるいは友禅の関係でございますが、友禅の協同組合の調べによりましても、歩引きは一%からひどいのになりますと一〇%というのも行なわれておるわけでございます。このような歩引きは、明らかに独禁法の第二条第七項の不公正な取引方法、これに該当するということは明らかであり、独禁法の第十九条によって明確に禁止されておるものであります。また、下請代金支払遅延等防止法、これによりましても、その第四条第一項第三号によりましても明確に禁止されております。御承知のように、そこには下請
事業者
の責めに帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずることは、親
事業者
の順守すべき事項として歩引きは禁止される、これは当然だと思うわけであります。そして私どもはこういった問題につきましては、
通産省
に対しまして一貫してきびしく要求をしてきたわけであります。昨年の
予算委員会
の
分科会
におきましても、わが党の谷口善太郎議員がこの問題を質問いたしております。そのときに
高橋
公取
委員長
は、全体としてはこれはもうやめさせていただきたい、こうおっしゃっております。しかし具体的な
措置
になりますと、公取の権限だけでできないことはありませんけれども、しかし直ちに排除するという法的
措置
はとらずに、いわば行政
指導
でやっていく、かように言っておられたわけであります。 そこで、
通産省
のほうで
調整
規程で自主的にやめるように
指導
するとおっしゃっておりますが、
昭和
四十五年に九月三十日付の取引
条件
適正化
委員会の
通産省
企業
局長あての文書ですね。「取引
条件
の
適正化
の
推進
について」という文書でありますが、その中で「小幅呉服の取引
条件
適正化
指針」というものを出されて、そして「本商品の取引に特徴的な「歩引き」については廃止すべきである。」かように出されたことが過去にあったわけでありますが、これ以後私どもは具体的にどのような
措置
をしたかということを聞き及んでおらないわけです。一体どういう
指導
をされたのか、具体的にお答えを願いたいと思います。
田口健次郎
51
○田口
説明
員 御指摘のように取引
条件
の
適正化
指針におきまして、歩引きについては廃止すべきであるということで行政
指導
はしてきておりますけれども、最近景気の下降とともに一部でまた歩引きが復活しておるということは遺憾に存じております。
梅田勝
52
○
梅田
分科員
それでは結局何もしてないじゃないですか。
通産大臣
、いまお聞きになりましたように、これは早くから問題になって、
昭和
四十五年には、
通産省
はそういう通達でもお出しになって厳重にやるとおっしゃっても、実際はもうどんどん復活しておる。今日の大
企業
のいわゆる悪徳商法がまかり通っておる状況のもとでは、三月危機といわれておりますが、ほんとうに零細
企業
というものは非常に困っておるわけであります。どうですか、そういうことは許さないという
指導
を強力にやられる御決意はございませんか。
中曽根康弘
53
○
中曽根国務大臣
契約の自由ということがいまの
自由経済
の基本にありまして、それはやはり尊重していかなければなりませんけれども、独禁法の精神から見て、優者が劣者に対して強制する、そういうことが事実上行なわれるということは、これは好ましくありません。この事件がそういう事件に該当するか——たぶん該当する性格を持っておるような感じがいたします。したがいまして
実態
をもう一回よく見きわめて、もしそういうものであるならば厳重に取り締まるようにしたいと思います。
梅田勝
54
○
梅田
分科員
それではそのように厳重にやっていただくということを確認をいたしまして、この際
公正取引委員会
はこういった問題について調査をして、法的にも厳重な
措置
をするということをお約束していただけませんか。それからいろいろ名称を変えて、協賛引きやとか宣伝引きやとかいろいろなことを言いますね。そういうことの名称のいかんにかかわらず、そういうことは一切認めないということで厳重にやるということのお約束をいただけますか。
吉田文剛
55
○吉田(文)
政府
委員 歩引きの問題につきましては、これは古くからある慣行と申しますか、そういうふうにいわれておりますが、確かにうちの公取
委員長
が昨年の三月五日の
分科会
で、全体としてはこれは自粛を願ったほうがいい、しかしこれを個々の問題として、一体独禁法にすぐ触れるかどうか、これは個々的に見ていかなければならないし、非常にむずかしい点もある。いわゆる正当な理由があるかないかというような点で、公取としてもなかなかそこまで目が届かない、むしろ全体として自粛を願ったほうがいいのじゃないかという趣旨の答弁をしておられるわけでございますが、公取といたしましても、これは下請法に明らかに触れるものもございます。つまり製造委託というようなことをやっております場合は、先ほど先生のおっしゃいましたような四条三号の不当減額というのに触れるおそれがあるわけでございます。過去におきましても、四十五年度七件、四十六年度十二件、四十七年度六件の
指導
を、これは大阪事務所管内でございますが、
指導
してやめさしております。それからまた最近でございますが、京都市内にある繊維の卸売り業者四十五社の下請
事業者
に対する調査を実施いたしまして、これは書面によってまずやったわけでございますが、調査期間は四十八年の十月から十二月までの三カ月間。調査をいたしました下請
事業者
は三百九十六業者でございます。一応、書面による調査の結果としましては、歩引きをしている親
事業者
十二社ということが判明したわけでございますが、いま申し上げました十二社につきまして、ただいま大阪地方事務所でさらに
実態
調査をやっております。その結果によりまして
措置
をしていきたいというふうに思います。 それから、下請に入らない、いわゆる一般の売買関係の優越した地位の乱用に当たるかどうかという問題、これが一般指定の十の「自己の取引上の地位が相手方に対して優越していることを利用して、正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な
条件
で取引すること。」に該当するかどうかということでございますが、これは個々的にケースを見まして、はたして正常な商慣習に照らして不当な不利益な
条件
で取引しているかどうかを見きわめていかないといけないと思いますが、これについても前向きに検討していきたい。ただ、人手の関係もございまして全部に目が届くかどうかという問題はございます。結論的にはやはり全体としてこれはやめていただいたほうがいいのじゃないかというふうに
考え
ております。
梅田勝
56
○
梅田
分科員
そんななまぬるいことを言っておったら業者はおこりますよ。大体京都でもどこでもそうですけれども、生産機業者は、ここはものをつくるだけですよ。それは流通に乗せるためには大きな商社、産地問屋、そういうところを通過しなければ品物は乗っていかない、そういう仕組みであることは百も承知だと思うのです。それを彼らは利用して、つまり独禁法の第二条第七項第五号「自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。」まさにそういう立場で歩引きというものを押しつけているわけです。 具体的に商社の名前はあげませんけれども、例をあげますと、たとえばここに年商四億円ぐらいしているかなり大きい機業、生産
工場
、それが歩引きが年に二%あるというのですよ。八百万円はまるまる取られておる。それからまたある機業では、手形の場合だったら二%、現金の場合だったら九%取られている。これは具体的実例ですよ。そういうものがあるわけでありますから、
公正取引委員会
としては厳重にそこは規制する、法的手段を使うということをしっかり約束していただかないと、業者はおこりますよ。もう一度御答弁ください。
吉田文剛
57
○吉田(文)
政府
委員 おことばを返すようでございますが、先ほど先生おっしゃいました二条七項の五号でございますか、これは指定がないと動かない規定でございまして、私が先ほど申し上げましたこれの具体化が一般指定の十で「正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な
条件
で取引する」ということでございますので、これに該当するかどうかという問題でございます。しかし、先生おっしゃいましたように、これは積極的に私どもとしては取り組んでまいりたいというふうに
考え
ます。
梅田勝
58
○
梅田
分科員
きわめてなまぬるい答弁で、ほんとうに承知ならぬわけでありますけれども、この問題とあわせて、最近の不況化が進行する中で下請加
工業
者の間で重大な問題になっておりますのは、加工賃の手形サイトが非常に長いという問題でございます。西陣でも友禅でもあるいは丹後ちりめんにおきましても、大体百五十日から百八十日という非常に長い手形が出されております。その上、こういう零細なところでは、製品を納めてから、それから手形を実際に振り出していただくまでの間がまたかかるということで、これまた二十日から三十日くらいからかかっておるわけであります。そうなりますと、非常に長期寝かしておかなければならないという点で
資金
繰りが非常にきびしい、こういう状況でございます。 もともと私は
考え
ますのに、こういう委託加工でありましても、これは基本的に賃労働の性格を持っていると思います。そうしますと、はっきりした賃労働ということになりますと、これは労基法の第二十四条第一項によりますと「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」という条項に触れるということは、もう明白でございます。ところが、性格があいまいだということで、そこのところは従来なおざりにされてきた。しかし、零細な
企業
であればあるほど、実際は労働者と何ら変わらない生産の仕事の形態をしておるということを勘案するならば、このような手形による、また長期の手形というものは零細業者いじめになるのではないか、かように思います。そこで、下請代金支払遅延等防止法の二条の二第一項によりますと、「六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において」支払うことを親
事業者
に義務づけております。こういう趣旨からいきますと、当然かように長期にわたる手形というものは規制されなければならぬと思うわけでありますが、こういうような状況に対して
改善
すべく
施策
をお持ちかどうかお伺いしたいと思います。
吉田文剛
59
○吉田(文)
政府
委員 代金の支払いを現金にかえて手形で払う場合の規定は、下請法の第四条の第二項「親
事業者
は、下請
事業者
に対し製造委託又は修理委託をした場合は、次の各号に掲げる行為をすることによって、下請
事業者
の利益を不当に害してはならない。」というので、その第二号「下請代金の支払につき、当該下請代金の支払期日までに一般の」——「支払期日までに」というのは六十日ということです。「一般の
金融
機関
による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付する」、つまり六十日の期間内に割り引き困難な手形を交付することによって、下請業者の利益を不当に害してはならないという規定がございます。私どもとしては、これによってやっているわけでございます。繊維につきましては、九十日という標準サイトを内部的にきめておりまして、それをこえるものについては
指導
によって直させております。
梅田勝
60
○
梅田
分科員
通産省
も実際にいま言われていますけれども、事実はそうではないわけですね。あなた、そういうふうに言うけれども、実際行ってごらんなさいよ。長い長い手形を出しているのだから、ひどいときになればお産手形とかなんとかいろいろ言うていますけれども、実情はそうなんですよ。
通産省
どうやっているのですか。
田口健次郎
61
○田口
説明
員 絹、人絹の着尺につきましていろいろ流通過程を見ますと、いろいろ例がございますけれども、大体機屋さんが糸を買って自分で染めて、デザインをして製品を賢い継ぎ商のところに持っていく。買い継ぎ商がそれを預かっておって西陣なりあるいは東京の堀留なりの岡屋さんに売る。売れたときに代金を機屋さんに払う。その際に、先ほど御指摘ございました歩引きの問題でございますとかあるいは手形サイトの問題でございますとか、こういう問題が出てくるというふうに
考え
ております。 そこで、独占禁止法なりあるいは下請代金支払遅延等防止法なり違反に当たるものは、調査の上取り締まるべきことは当然でございます。取り締まりたいと思います。ただ、下請という定義に当てはまるのかどうか、法律違反ということがいえるのかどうか。しかし、力関係を
考え
てみますと、機屋さんのお立場が弱くていわゆる取引
条件
が適正妥当とはいえないのじゃないか、こういった領域の問題が非常にあるのじゃないかというふうに私ども
考え
ておるわけでございます。 そこで、今
国会
にお出ししてございます特定繊維
工業
構造
改善
臨時
措置
法の一部を改正する法律案でございますけれども、これもたとえば三条におきまして、繊維
工業
の構造
改善
のための基本指針の大きな柱の
一つ
として、「取引関係の
改善
に関する事項」というものを入れまして、同じくまた第八条におきまして、こういったことについて
指導
、助言をする。それから、一応取引
改善
協議会といったようなものもつくる。それから中小零細の方々のいわゆる取引
条件
を強くするために、運転
資金
のあっせん等も極力してまいりたいということで、新しいといいますか今度の改正後の構造
改善
におきましては、取引問題の
改善
ということに非常に力を入れてまいりたいというふうに
考え
ております。
梅田勝
62
○
梅田
分科員
要するにいろいろの
施策
を講じて、とにかくこういう違法行為については厳重に取り締まるということを確認させていただきたいと思います。 そこで、時間がなくなりましたので最後の質問をさせていただきたいと思いますが、現在、
国会
には五党共同提案によりまして、伝統産業の
振興
に関する法律案が出ておりますが、伝統産業の保護育成は重要な問題でございます。いまその中で、商社を中心とした伝統
繊維産業
における韓国への技術輸出と製品の逆
輸入
の問題、これがきわめて重大になってきております。すでに大島つむぎは大きな打撃を受けておりますし、西陣や友禅におきましても影響は小さくないのであります。低賃金によります安値とともに、きわめて類似製品をつくり出しているために、業者の不安は大きいのでございます。 そこで、まず
通産省
にお伺いいたしますが、韓国への技術輸出あるいは製品の逆
輸入
の
実態
、どのようにつかんでおられますか、簡単にお答え願いたいと思います。
田口健次郎
63
○田口
説明
員 韓国産のいわゆる西陣織りと類似の織物の
輸入
についてでございますけれども、これは現在のところ通関統計によって見ますと、韓国からの絹織物の
輸入
量、絹織物全体として見ますと、
日本
の全体の絹織物
輸入
量の中の韓国からの割合というのが約二〇%を占めております。その韓国からの絹織物の
輸入
の中で、西陣という実は統計上のカテゴリーがないわけでございますが、西陣織りが含まれると思われます紋織りの分類について見ますと、韓国からの
輸入
絹織物の中の約七%、もう少し具体的に申しますと、昨四十八年一−十一月の期間で申しますと、六・八%が紋織りというふうになっておりまして、西陣がこれに含まれる。入っておりますけれども、数量的には国内に与える影響はそれほど大きくはないのではないだろうかというふうに
考え
ております。
梅田勝
64
○
梅田
分科員
しかしながら大蔵省の貿易統計によりますと、
昭和
四十七年度の韓国からの絹織物は通関実績におきまして金額で百二十七億円、これは非常に大きな額でありまして、そういう関係産地は実際脅威を受けておるわけであります。こういう
事態
に対処してやはり適切な対策を講ずるということは、中小、零細
企業
の経営の不安に対する必要なことだと思うわけです。 そこで、韓国で実際つくりながら
日本
へ逆
輸入
して、そしてそれに対して西陣織り等の表示をするということは、これは明らかに不当表示の取り締まり法規である不正競争防止法、これに触れると思うのですが、どうですか。
吉田文剛
65
○吉田(文)
政府
委員 不正競争防止法ではなくて、不当景品類及び不当表示防止法でございます。それで、
外国
製品を国産品と見誤りやすいような表示をしたりあるいは国産品を
外国
製品と見間違うような表示をしたものについての規制でございますが、これは景品表示法の第四条第三号の規定に基づきまして、
昭和
四十八年の十月十六日に「商品の原産国に関する不当な表示」を指定いたしまして、本年の五月一日から施行されることになっております。織物につきましては先染め、これは糸を染めてあとで織る先染めの場合は、製織された国が原産国であるというふうに
考え
ております。 いま申し上げました告示の中で、
外国
製品につきましては「その商品の原産国以外の国の国名、地名、」あといろいろございますが、地名が表示されていて、「その商品がその原産国で生産されたものであることを一般消費者が判別することが困難であると認められるもの」を不当な表示として指定をしているわけでございます。したがって、いま先生おっしゃった場合のように、
外国
製品に
日本
の地名を表示している場合であって、その
外国
製品の原産国が判別できるようにされていない場合、これは不当な表示として規制されることになるわけでございます。
梅田勝
66
○
梅田
分科員
私が先ほど申し上げたのは、不正競争防止法の第一条の第一項第一号、それから第三号、この関係でいきましても当然取り締まりの対象になり得る。なぜならば、原産地の誤認を生ぜしめる行為というものはちゃんと規制の対象になっておるわけですね。だから、西陣のものを韓国でつくって、そして西陣のものであるかのようにやるということは原産地を誤認せしめる行為ということになって、この法律でも取り締まれるということを私は言っているんだ。あなたの言っている不当景品類及び不当表示防止法、これでももちろん先ほど言うたように取り締まりをしなければならぬし、あなたの言われたようにいよいよ五月一日から施行になる告示ですね、この「商品の原産国に関する不当な表示」というものをようやく出されたわけでありますけれども、しかしこういうものを出すまでもなく、この不正競争防止法というのは
昭和
九年につくられた法律なんですよ。そしてこれに違反したら、第五条の罰則規定があって「商品又ハ其ノ広告ニ其ノ商品ノ原産地、品質、
内容
、製造方法、用途又ハ数量ニ付誤認ヲ生ゼシムル虚偽ノ表示ヲ為シタル者」は「三年以下ノ懲役又ハ二十万円以下ノ罰金ニ処ス」というのがあるわけですから、これを使ってばっと告発したらそういうことは未然に防げるということを申し上げているわけです。 まあしかし、時間がありませんので、
外国
製品と非常にはっきりしているものについては、西陣織りあるいは大鳥つむぎ、丹後ちりめん、京友禅というような名称は禁止されるということでございますね。これ、はっきり確認してよろしゅうございますか。あとのことだけちょっと答えてください。
吉田文剛
67
○吉田(文)
政府
委員 不正競争防止法は、これは
通産省
の所管でございます。うちの所管ではございませんので、先ほどそう申し上げたわけです。 それから、あとはそのとおりでございます。
梅田勝
68
○
梅田
分科員
そうしたら
通産省
はどうですか。
大臣
、いかがでございますか。
森口八郎
69
○森口
政府
委員 不正競争防止法は、被害を受けた者の申告によって罰せられる法律であって、官庁が取り締まる法律ではないというように了解をいたしております。したがって、被害を受けた者が裁判所に救済を求める制度であるというように私どもは一般的に了解いたしております。
梅田勝
70
○
梅田
分科員
そうしたら、実際に地域の方々が、その零細
企業
が、そういう大商社が向こうが賃金が安いというのでどんどんどんどん出して逆にやってくるというようなやり方に対して告発をしたら、
通産省
はそれを支持しますか。
森口八郎
71
○森口
政府
委員
通産省
に訴えるべき問題ではなしに裁判所に救済を求めるというふうに了解をいたしております。
梅田勝
72
○
梅田
分科員
それはわかっていますよ、あなたに聞かなくても。
国民
が、零細
企業
がそういうことで要求を突きつけてきたときには、
政府
として、
通産省
として、あなた方の言うていることはもっともだ、この法律違反のことが起こっておる、これに対してもっときびしく行政
指導
をやるというぐらい言うていいじゃないですか。
森口八郎
73
○森口
政府
委員 そういうような不当な表示の問題がありますれば、当然
通産省
としてそういうものに対して
指導
し得るところでありますれば
指導
いたす所存であります。
梅田勝
74
○
梅田
分科員
告発をやることができるのですよ。
政府
の行政として、そういう法律違反のことが起こったら、これはもう民事裁判ではなしに刑事裁判できるんだから、告発もできるんだから、行政
指導
の当局として、けしからぬということで告発するですか。どうです。それぐらいの決意がなかったら、悪徳商社なんか取り締まれませんよ。
森口八郎
75
○森口
政府
委員
実態
によりまして告発はできると思います。
梅田勝
76
○
梅田
分科員
大臣
、とにかく零細
企業
は困っているわけですから、そういう点についてきびしい行政
指導
をやるというお約束いただけませんか。
中曽根康弘
77
○
中曽根国務大臣
実態
に応じてきびしい取り締まりをやりたいと思います。
梅田勝
78
○
梅田
分科員
最後に公取の方にもう一度お伺いして質問を終わりますが、そういう
外国
製品とそれから国内産の区別が、類似製品でなかなか見分けにくいという状況があるわけでありますから、その国内産の実際の銘柄、それの産地のものについては適当に行政
指導
していただきまして、繊維の場合にはその一端に表示を織り込むとかいうことをやって区別をするというようなことをお
考え
ではないですか。どうですか。
吉田文剛
79
○吉田(文)
政府
委員 現在繊維につきましてはまだ——それは大体私どものほうでは公正競争規約というものを
指導
によってつくらしまして、その中にそういうことを織り込ませるというのが景表法のたてまえでございますので、現在まだそういうことはやっておりませんけれども、この点については前向きにひとつ
指導
してまいりたい、考慮してまいりたいというふうに
考え
ます。
田口健次郎
80
○田口
説明
員 御
説明
申し上げます。 実は、国内に入りましてから取り締まるということをいたしますよりは、
日本
に非常にまぎらわしい表示の
外国
産のものが入ってこないということにするのが一番大切なことだと思います。 そこで、関税法の第七十一条に、原産地につきまして直接、間接に偽った表示をする、あるいは誤認を生じさせる表示がなされているといった
外国
貨物につきましては
輸入
を許可しないという規定がございます。それで、御所管は大蔵省でございますけれども、大蔵省関税局と協議いたしまして、近くこの関税法七十一条によりまして、原産地について誤認を生じさせやすい表示が付されている貨物については
輸入
禁止の
措置
をとるということといたしておりますので、実効があがると思います。
梅田勝
81
○
梅田
分科員
前向きに公取もやると言われておりますし、近く
通産省
もそういう点について
輸入
禁止も含む厳重な
措置
をとるということを言われておりますので、その実行を期待をいたしまして、私の質問を終わります。
羽田孜
82
○羽田
主査
代理 これにて
梅田勝
君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
田中昭二
君。
田中昭二
83
○
田中
(昭)
分科員
時間もたいへん制約されておりますから端的にお尋ねしますので、ひとつ要領よくお答えいただきたいと思うのです。 まず、
通産省
で、三月の
石油
輸入
量でございますが、
石油
事情の好転見込みということから電力の消費規制を大幅に緩和する方針を一応出されたわけでございますが、実際にその成果を見ましたところ、今度の電力規制を見ると、基本的にはあまり変わっていないようでございます。最初に打ち出されました方針とはだいぶん違ってきているわけですが、何かこれは見込み違いがあったのでしょうか。いかがでしょう。
岸田文武
84
○岸田
政府
委員 三月以降の電力の使用制限につきましては、前提となりますわが国をめぐる
石油供給
事情がなお流動的でございまして、その動向を慎重に見守る必要がございます。したがいまして、基本的には従来の基本方針を堅持しながら規制を続けることにいたしております。ただ当面、御承知のような
物価
高騰の問題がございまして、これを解消するために物資
供給
の増加をはかる必要があるという見地から、これらの
物価
対策に必要な電力についてはその使用制限率について緩和をはかるというような方針をとったわけでございます。なお、ネオンサイン等につきまして、従来は全面的な制限を行なっておりましたが、時間制限に切りかえる等の
措置
もあわせて実施をいたしました。 以上でございます。
田中昭二
85
○
田中
(昭)
分科員
このことはまたあとでお聞きします。 次に移りますが、そこで端的にお伺いいたしますが、電力規制を、電気
事業
法二十七条を発動して使用の規制を行なおうとしておりますが、実際電気はあるのですかないのですか。
岸田文武
86
○岸田
政府
委員 ただいまの電気の
供給
の形態を見ますと、その
供給
総量の約八〇%が
石油
火力に依存をいたしております。それ以外は水力及び原子力が若干ございます。私ども電気
供給
の立場からいたしますと、一番基本的には油の動向ということがいまの
供給
構造からして問題でございます。油の
供給
の面につきましては、
石油
担当部局とも打ち合わせしながら極力量の
確保
をはかるという方向でいっておりますが、それにしても、私どもが自由に使えると予想される場合の数量にはまだ満たない
現状
でございまして、それを前提として先ほどのような規制を実施しておる次第でございます。
田中昭二
87
○
田中
(昭)
分科員
そんな自由に使えるとかなんとか抽象的なことを聞いているんじゃないのです。簡単に、あるかないかということを聞いたのです。今後答弁を注意してください。 電力事情は、打ち出した方針のように好転しているのではないでしょうかね、おたくが出されたのですから。その見通し、いま聞いたようなものですけれども、もう少しお聞かせ願いたいと思います。
岸田文武
88
○岸田
政府
委員
石油
危機が到来する以前に四十九年三月の想定といたしまして、需要電力量は二百九十六億キロワットアワー、対前年
伸び
一〇%を前提といたしておりました。その際必要とされる
石油
の量は、おおむね五百六十七万
キロリットル
を想定をいたしておったわけでございます。しかしながら三月の電力用の
石油供給
量約五百二十六万
キロリットル
でございまして、これを前提といたしますと、需要電力量が二百七十八億キロワットアワー、対前年
伸び率
三・五%になるものと予想されております。
田中昭二
89
○
田中
(昭)
分科員
そこで、今回のこの規制は一五%、一〇%、五%、ゼロと、こういう四つの区分で緩和処置が出たわけですが、ここで私お断わりしておきますが、私は決して業界の代表の立場ではないのです。このことによりまして生活にたいへん困っておる庶民の気持ちを心に入れながらいまからお尋ねします。 すなわち、先ほどの三月の緩和処置でございますが、この中で、ネオン関係については十キロワット以下は夜六時から九時までは緩和することになっておりますね。これは一体何を根拠にこういう規制をしたのですか。
岸田文武
90
○岸田
政府
委員 ネオンサインは、電力
供給
量からいたしますと非常に少量でございます。ただし、事の性質上からしまして非常に目立ちやすいものである。また、物資の
供給
のように
物価
に影響するという面がないわけでございます。以上のような
考え
から、今年一月十六日に電力に関する法的な規制を発足させます際に、まずそういった部門については率先的に制限を行なおうという
考え
方で実施をいたしました。しかしながら反面、業界の
実態
を見てみますと、大部分が、零細
企業
であるというような事情もございまして、ネオン等の製造業者あるいはその下請にある各種の、零細業者、これらの
実態
を見ておりますと、このような全面的な制限をあまり長く続けることは、これらの業界への影響ということもあわせて
考え
なければならない。このような
考え
方に立ちまして、三月の規制において若干の緩和をはかったという経緯になっております。
田中昭二
91
○
田中
(昭)
分科員
ほんとうに何を根拠にしたかと私聞いたのですが、よく
理解
できないですね。そういうことでばたばたやられたら、零細
企業
はそれこそみんな死ななければならないですよ。
大臣
、この辺ひとつ零細業者の立場に立っていろいろいまからまた御判断いただきたいと思います。この十キロワット以上を禁止したのですが、その結果、全国的にその業者の八〇%以上、実際はもう一〇〇%の人がダウン、一〇〇%ダウンに近い
現状
なんですよ。十キロワットにしたことが、零細
企業
を助けることにならないのです。ないよりもいいでしょうけれどもね。御存じのようにこの業界は昨年から全面的に仕事がないのです。とまっておるのです。関係者にとってはもうこれは死活の問題なんです。これが
政府
の総需要抑制の一環策としていま言われたようにただ何となくいけないからという、そのはなやかなネオンを消すことによって節電ムードを盛り上げる効果をねらっていることは、それはわかりますよ。一番目につきますしね。しかし、いまそちらからおっしゃったように、全国のネオンの電力消費量というものは、全電力消費量の〇・〇六八%です。そういうふうに私は聞いております。簡単に、ネオンなどを消せばいいというような、それでその規制によって受けるダメージは、他の電気業界と違いまして一〇〇%ですよ。実際消えているのですから。仕事がないのです。この規制で全国二万五千人の従業員、家族を入れますと約十万人、さらに関連産業、下請業者まで入れますと、その数は約三十万人の人が生活を奪われておるのです。こういう状態は、ある人は、天災よりもひどい、人災だ。そうですよね、
大臣
。食えなくなるのですから。どうでしょうか。そこで、そういう当同の規制が私は対策としてはたいへん不十分であるということもつけ加えて、ひとつ
大臣
の御見解をいただきたい。
中曽根康弘
92
○
中曽根国務大臣
ネオン業者につきましては、ほんとうにお気の毒であると思っております。われわれとしても、一番電力の
政策
について直撃を受けておるお気の毒な業界でございますから、できるだけの
措置
をして前途に光明が出るように今後も継続して努力していきたいと思っております。ただ、この規制を始めるときに諸
外国
が全部ネオンを消しまして非常に暗くいたしました。その当時の
国民
世論はネオンとマイカーが
日本
はひど過ぎる、銀座を見ろ、そういうことを非常に強く指摘されまして、各政党からも、自局党はもとよりそういう非常に激しい声がありまして、やはり精神的引き締めの
一つ
のシンボルとしてもそういう面もやらなきゃいけないというので、実はネオン業者にはお気の毒でございましたけれども、やらざるを得なかったのであります。しかしそれに対するいろいろな諸般の手当ては、われわれとしては今後とも誠心誠意努力してやっていきたいと思っております。
田中昭二
93
○
田中
(昭)
分科員
ことばでこう言って
大臣
がここでおっしゃると、たいへん気の毒な人たちに対してお
考え
を持ってやることはわかるのですけれども、実際ネオンが消えたのは去年の十月の終わりからでございまして、そういう資源庁のほうから連絡があって、そこでそういう状態。それから
外国
の例ではそうだというようなことをおっしゃいますけれども、それはわかると言うのですよ。それをやるならば、それの対応策をまず
考え
て、そしてやるべきじゃないかというのが一点です。これはいまお答えが私あまり
納得
できませんが……。ですから私は天災よりもひどい、人災だ、言うことは少しオーバーかもしれませんが、
現状
はそういうことを
理解
しなければいけない。 そこで、いまのこれに対する処置ですけれども、簡単にいえば特別
融資
の二十億、それといま言った何にもならぬような規制をさらに緩和したということ。この二十億の
金融
処置も、ほんとうは私から申し上げる前に皆さんがあたたかい行政の手を差し伸べなければならないのです。私が申し上げる前に、ことしになって初めてそういう
融資
の処置の通達を出した。通達は出ておるけれども現場に全然そういうものは来ておらない。
大臣
そうなんですよ。私、大蔵委員会でこの問題を
大臣
に来てもらって聞いてもらいたいと思っておったのですが、御都合であれでしたけれども、その点十分お聞きになったと思います。 もう少し状況を申し上げますが、昨年十二月でこの人たちはもう注文が全然だめなんです。十二月で平常時の三七%、ですからもう七割近いダウンです。ことしの一月から三月までの見込みは大体
計画
も含めてですけれども、九〇%に近い落ち込みです。仕事がなくなってしまっているのです。三月で若干何にもならぬような規制が緩和されたと言いますが、こういうことは、先ほど
大臣
もおっしゃったようにムードがたいへんだということで、そこで各産業界も四月から新年度の屋外広告をネオンからポスターボードに切りかえる、こういうことをやってネオンの増設、新設の
予算
は全然組んでいないのです。組まないですよ、それは。そういうわずかな電力の節電をして、いかにも節電しているというような態度を示したいんですからね。大
企業
なんかは特にそうなんです。悪徳商法をいま追及されているときに、うちはこうやってやっていますよと、そういうふうに言いたがる。そういう状況の中で
大臣
、少々の
融資
があったとしましても、これは電力の事情が好転しない限り、また
経済
事情がよくならない限り、仕事はなくなってしまって見通しが立たないのです。今後のそのような暗い見通しの業界に対して、
政府
のいわゆるほんとうにきめのこまかいものが足りない、心ない行政処置の犠牲になっておるのがこの人たちなんです。そこで二十七条の適用にあたっては大体この点を
考え
て処置をされたのかどうか、もう一ぺん聞きます。
岸田文武
94
○岸田
政府
委員 昨年十月以降、電力の自主的な消費規制が進行いたしました。その間にありまして、ネオンが当面問題になりました。私どもとしても、ネオン業界のこれからの行き方をどうすべきかというようなことを部内でいろいろ検討いたしておりまして、たまたま昨年の暮れでございますか、ネオン業界の方から非常に影響が大きい、今後の救済策について抜本的な方策を立ててほしいという要望がございました。私どももそれを受けまして、具体的な
金融
対策の詰めを行なっておったところでございます。先ほど申し上げましたように一月十六日から法的制限が施行されましたのを追いかけまして、二十四日に
中小企業金融公庫
外
政府
関係
金融
機関
に対しまして、特段の
融資
に関する配慮を要請をいたしました。それに続きまして、
中小企業
三
機関
に対する特別の
融資
制度を発足させたことは、先ほど御指摘のとおりでございます。さらにまた、
政府
関係
金融
機関
になじみのない零細業者の立場も
考え
まして、民間
金融
機関
に対しても特別に低利の
融資
を行なうよう要請をした次第でございます。これらの
措置
につきましては、通産局の認定等も順調に進んでおりまして、現実の
融資
も順調に行なわれるものと思っております。 ただ、以上のような当面の
金融
対策と並びまして、長期的にネオン業界のあり方いかんということは、私どもも所管業種といたしまして今後十分
考え
ていかなければならない問題を持っておるように思います。先ほど御指摘のございましたように今後の広告媒体としてネオンをどう
考え
るかという点について、特に大
企業
等を中心としていろいろ議論がかわされておる、こういった実情からいたしますと、これからネオン業界がどう進んでいくべきかということにつきまして、もっとざっくばらんに業界と話し合いをいたしまして、できるだけの手を講じていくということが私どもの役目であろうと思っております。
田中昭二
95
○
田中
(昭)
分科員
追い打ちをかけるようで申しわけないのですけれども、
大臣
、これは実情をもう一回私申し上げるのですけれども、そういう規制をするという話、節電というようなことが出てから、昨年十月ごろからこれははっきりしています。十月の二十八日ですか。資源庁のほうからその節電のやり方を検討中というようなことが業界のほうに電話連絡があって、去年だけでも十数回ですよ。関係の方と何べんも会って話し合って、その間に
大臣
もお会いになっているようです。一月明けてからも十数回です。そういうときにいまおっしゃったようなことが手を打たれてないということを、ひとつ
大臣
もおわかりいただけるでしょうか。
一つ
一つ
申し上げていいですよ。だれがどう言ったかを。
中曽根康弘
96
○
中曽根国務大臣
この問題と屋内広告灯の問題はいろいろお話もあり、私も非常に心配をして、私から直接関係部局に対して手厚い対策を講ずるように、それから関係業者に会って要望をよく聞いてその要望を満たすように、またこちらの事情も
説明
を申し上げるようにと指示して、その
報告
も聞いておりましたが、大体関係業者の皆さん方と
納得
の上でいろいろ
政策
を進めるようにやらしてきたつもりです。まだいろいろ御不満があれば十分お聞きいたしまして、できるだけその願いをかなえるようにしながらやっていきたいと思っております。
田中昭二
97
○
田中
(昭)
分科員
そうおっしゃいますけれども、このことについてはいろいろな新聞
報道
等にも、この業界がたいへん零細であるために、実力のある
大臣
であるあなたなり大蔵
大臣
等に陳情しても全然受け付けられなかった。いろいろなその間の事情もありますけれども、いまの大胆のことばをひとつそのまま信用してもう少し、この二十七条の発動ということがいかに弱い人をいじめるかということが現実として起こってきているわけですから、その辺のことを詰めておきたいと思います。 この電気
事業
法の二十七条の適用にあたって、電気使用制限規則第三条——一月の第二次規制では事実上全面禁止ですね、これまで。三月の規制では少々の緩和をされておる。定められた法に従い仕事をしておる
事業者
ですから、こういうことが発動されるということは、そういうことになります。そういう人が一時的にも禁止されるというからには、それの裏づけとして当然
金融
処置、それもたいへんおくれたのですけれどもそういうことと同時に、私はここで何らかの補償といいますか、いわゆる禁止するのですから、二十七条で。この禁止も新聞等で
報道
されるように一〇%とか一五%、そういう問題じゃないのですから。一〇〇%近いダウンを受ける。そういう人たちに対しては何か補償とか救済
措置
もきちっとしておかなければ、私はたいへんこの行政の立場からもさらに心配なことが起こるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
岸田文武
98
○岸田
政府
委員 当面の
金融
措置
以外に転業のために必要な
融資
制度を
考え
るべきではないか、あるいは補償を考慮してほしいとか、さまざまな要求は私ども承っております。ただ私どもとしては、これから電力規制がどの程度まで続くかということは、いまの
段階
では予断を許さない状況でございますし、またネオンサイン業界自体差しあたって転業をはかるというようなところまで追い込むまでもなく、いわばいまの規制の運用によって自主的にカバーしていきたい、その間必要があれば
融資
で応援をしていくというのが基本的な方向ではないかと思っております。
田中昭二
99
○
田中
(昭)
分科員
それじゃ全然切り捨てごめんで、生活もできないようになった人はそのままで行くんですか。法律で禁止した業態を行
政府
はそのままほっておくんですか。いままでのわが国のなまぬるい行政の中でも、法律で禁止したものに対してはちゃんと補償しているじゃありませんか。
大臣
、そうでしょう。お米でも、都合によって減反させられた場合には補償金出るでしょう、そのほかのお塩でも。これは当然人間として実際自分がそのものでめしを食っておった、それが
政府
の方針によってできなくなった、どうしますか。それじゃあ片方にはそういう
政府
が法律によって禁止した
事業
に補償金なり
補助
金を出す、片方は全然出さない、こういう不公平は私は許されない。
大臣
、いかがでしょうか。
岸田文武
100
○岸田
政府
委員 私も、法律の
内容
はよく存じませんけれども、一般的な形としては、所有権を、財産権を奪うというような形になりましたときに補償の問題が出てくるかというふうに思われます。ただし今回の場合におきましては、いわば営業は続けられ得る体制にございますので、法律上補償を要するというふうに判定することは困難ではないか。むしろ
融資
等による実質的な応援ということによってカバーするという方向で
考え
ていきたいと思っております。
田中昭二
101
○
田中
(昭)
分科員
大臣
、お聞きします。これは少し実情を——いま所有権が云々なんか言いますけれども、米の減反
政策
の補償金は、米の所有権がなくなったから補償したんですか。業者は仕事が少しできなくなったというんじゃないでしょう。年間二、三百万円の、下請けなんかいったらかわいそうなものですよ。あのネオン管を曲げまして、手でやって、一人か二人でやって数百万の水揚げしかあげないで、利益が百万か百五十万かあって、税金でも相当納めている実情の人を知っていますよ。その人がいま食えないで、自殺寸前ですよ。それのよってきたところは、電気
事業
法二十七条じゃないですか。それに対してあくまでも補償など
考え
ないという態度ですか、
通産省
は。いかがでしょう、
大臣
。
中曽根康弘
102
○
中曽根国務大臣
やはり法律の命ずるところによらないと公金を出すというわけにはまいらないので、いまのような場合はまことにお気の毒でありますけれども、補償ということはむずかしいんではないかと思います。したがいまして、それ以外のあらゆる方法によりまして、援護
措置
を講じていきたいと思います。
田中昭二
103
○
田中
(昭)
分科員
法律つくればいいじゃないですか。ほかの禁止したものに対しては補償金を出しているのだから、法律をつくればいいじゃないですか。つくるべきじゃないですか。いかがですか。
岸田文武
104
○岸田
政府
委員 結局問題は、ネオン業界がただいまどういう状況にあり、これからどういう方向に進もうとしているのかという中身をよく詰めまして、その影響の程度によって救済策を講じていくということであろうかと思います。その
意味
におきまして、先ほども申しましたようにネオン業界と当面の対策については一応の手がかりができたわけでございますが、長期的な対策を含めまして私ども勉強いたしたいと思います。
田中昭二
105
○
田中
(昭)
分科員
そういうことを言うのだったら、だんだん姿勢が後退しておるのですね。そうでしょう、
大臣
。私のことばがちょっと悪いかもしれませんけれども、ほかは法律をつくって出しているのだけれどもこれは法律がないから出せない。それじゃその二十七条の禁止の法律もはずせばいいじゃないですか。実情をいまからよく検討するなんといいますけれども、何月何日にあなたたちがどういう資料をとってどういうことを話しておるか、日にちと
責任
者を申し上げましょうか。全部ありますよ。そういうことを言わなければならなくなりますよ。決算書、納税の資力の調査、抽出して詳しい話を聞いているじゃないですか。いまの
大臣
も含めてそういう御答弁は、ほんとうにそういう姿勢で今後この法律によって規制なり禁止なりしていくということについては、これは今後も起こり得ることでありますから、徹底的に論議しなければいけないと思います。 ただ、限られたわずかな時間でございますから、それじゃもう
一つ
別な面から申し上げましょう。いま私は零細業者の立場に立って申し上げたわけですけれども、その反面を
考え
てみますと、この節電を
政府
が音頭をとってやっているときに、九電力の中でも一番大きな電力
会社
は、いままでにない電力を食う温水器をどんどん生産、販売している。ネオンなんかに比べれば、この温水器というものはたいへんな量を食う機械です。そういうものを、大
企業
の電力
会社
だけにその製造を許して販売さしておる。また家電業界でもそうでしょう。トップメーカーでこのたび悪徳商法でやられた、その人たちのやっている生産の
実態
は、ものすごい電力を食う電熱器を大増産して、
便乗値上げ
に乗ってさらにその販売をあおっておるじゃないですか。そういう面での電力を使うことを
考え
れば、いまのネオン業界のこととうらはらじゃないですか。全然逆じゃないですか。なり規制をすべきところをゆるめておって、あたたかい手を差し伸べなければならないところをほったらかしにしている。そういうことでいいでしょうか。最後に
大臣
のお答えを聞いて終わります。
中曽根康弘
106
○
中曽根国務大臣
この問題につきましては非常にお気の毒な事情でもありますから、関係業界とさらにいろいろ懇談を重ねまして、御要望に沿ってできるだけ努力をいたします。
羽田孜
107
○羽田
主査
代理 これにて
田中昭二
君の
質疑
は終了いたしました。 この際、午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時二十九分休憩 ————◇————— 午後一時八分
開議
湊徹郎
108
○
湊主査
休憩前に引き続き
会議
を開きます。
質疑
を続けます。
楢崎弥之助
君。
楢崎弥之助
109
○楢崎
分科員
まず冒頭に、去る二十三日の一般質問で私は
通産省
に調査をお願いしておったのですが、例のペンタゴンから
日本
の約三十社に発注をやっておる。各社について私は一覧表を差し上げて調査をお願いしておったですが、その調査はどうなっておりましょうか。
中曽根康弘
110
○
中曽根国務大臣
あの文書をいただきまして、いま各
会社ごと
に調べております。何ぶん
会社
の数が非常に多いものでございますから、もう少しお待ち願いたいと思います。
楢崎弥之助
111
○楢崎
分科員
文部省のほうは、昨日できたようであります。明日の
分科会
で明らかにしてもらいたいと思っているのですけれども、通産関係は数が確かに多うございますから……。そこで、わかっただけでも、ひとつ、委員会でなくてもいいですからお知らせをいただくと、たいへん整理がしやすいと思いますので、お願いしておきます。 それでは質問に入りたいと思いますが、例の密田石連会長発言の問題であります。この問題の本格的な論議は、いずれ総括その他でやることになりますが、きょうは時間が限られておりますので、事実関係だけちょっと確かめておきたいと思うわけです。 公取のほうにお伺いをいたしますが、四十六年の例の石連のやみ価格カルテル、現在審判係属中でございますけれども、これの争点はどういう点であるか、簡単明瞭にひとつお願いをします。
吉田文剛
112
○吉田(文)
政府
委員 争点でございますが、
昭和
四十六年の二月二十二日の会合、これは石連の営業委員会、ここで価格の決定をしたということになっておりますが、その二月二十二日の会合は、
石油
連盟の営業委員会ではなくて、有志の会合であり、決定ではなくて、意見交換をしただけであるという点が第一点。 第二点は、四十六年の三月の下旬ないし四月の二十二日に
通産省
の
指導
を受け、それから後は、それに従って値を上げておるので、二月の決定に従っているのではないという点でございます。
楢崎弥之助
113
○楢崎
分科員
それは抗弁書のような形で、はっきり出されておるわけですか。
吉田文剛
114
○吉田(文)
政府
委員
準備
書面とか最終意見陳述とかいう形で、この
内容
が出ております。
楢崎弥之助
115
○楢崎
分科員
二十六日の集中
審議
の際に、密田氏が本件について答弁をされたわけですが、あの答弁は、公取としては、事実と違うことを答弁していると思っておられますか。
吉田文剛
116
○吉田(文)
政府
委員 私、直接その席に出て聞いておりませんので、どういうふうな答弁をされたか直接のあれではございませんけれども、このときに、もし密田氏が二月二十二日の決定の前に
通産省
の
指導
があったというふうに答えられたとすれば、それは事実と違うということでございます。
楢崎弥之助
117
○楢崎
分科員
いや、そういうことは密田さん言っていないのですよ。 それでは
通産大臣
にお伺いしますが、いかなる理由で謝罪文を密田会長に出させられたんですか。
中曽根康弘
118
○
中曽根国務大臣
これは、
通産省
の見解と異なる間違った発言を
国会
の答弁でしまして、世の中に非常に誤解を与えております。
通産省
としても、行政が公正であったという、無実の罪を公にする必要がありますので、石連会長に対して、事実と違うということを私が言って、君らのほうでそれを調べて、もし違っているなら、是正
措置
を講じてもらいたい。これは
通産省
という官庁としての名誉を維持するために、また社会からも誤解を受けないために、当然の行為であると思っております。
楢崎弥之助
119
○楢崎
分科員
密田答弁のどこが謝罪に値するのですか。
中曽根康弘
120
○
中曽根国務大臣
謝罪というようなことばは、私は言いませんでしたけれども、あの答弁の中で、価格カルテルについて、
通産省
の行政
指導
があったというような答弁をしたところであると思います。
楢崎弥之助
121
○楢崎
分科員
大臣
は、議事録で密田答弁を確かめられましたか。
中曽根康弘
122
○
中曽根国務大臣
あの答弁を速記録で早速書かせてきまして、それを私は見ました。
楢崎弥之助
123
○楢崎
分科員
ほんとうですか。——失礼ですが、それはどなたが議事課に行って筆写されましたか。
中曽根康弘
124
○
中曽根国務大臣
「
楢崎弥之助
氏
質疑
応答、カルテル
指導
」ということで、大体サマリーを私のところへ持ってきまして、それによって私は読んだところであります。 「楢崎氏「過去四回の公取の勧告を受けたにもかかわらずカルテルを行なっている。特に」云云。密田「
石油業界
としてはカルテルとは思わない。行政
指導
によるものである。」楢崎氏「価格についてのMITIの行政
指導
があったのか」 密田「あった」(議場騒然とする) 熊谷「
指導
は行なっていない」」こういうことでございます。
楢崎弥之助
125
○楢崎
分科員
それは、いつ筆写されましたか。
山形栄治
126
○
山形政府委員
ちょっとはっきりしないところがございますけれども、これは非常に大きな問題でございますので、先生の御質問の趣旨が全新聞に出ておりました、その全新聞を全部読み合わせまして、一応これをサマライズいたしたわけでございます。
楢崎弥之助
127
○楢崎
分科員
それでは、いまの
大臣
の御答弁は違いますね。議事課に行かれて筆写をされたものではない。各社の新聞を全部読まれて、それをサマライズした、そういうことですね。
中曽根康弘
128
○
中曽根国務大臣
私は議事課へ行ってとってきたものだと思って、誤解しておりました。訂正いたします。
楢崎弥之助
129
○楢崎
分科員
私はどうしてこれを重視するかというと、密田答弁をまず正確に見る必要がありますよ、謝罪されるなら。それを確かめないで、新聞の——新聞は紙面が限られておるから全部は書けませんし、また、若干わかりやすく書くときもあるでしょう。だから、それは不正確な部分があると思うのですね。だから私は、あの密田答弁はちっとも間違ってないと思っているのです。日にちのことを全然触れてないのですよ。公取の
事務局長
も聞いておってください。 さっき、もし四十六年二月二十二日以前に
通産省
の
指導
があったと答弁されたとすれば、それは事実と反するということですが、日にちは全然言ってないのです。だから、間違いの個所はないのです。だから、どこが間違いかと私は聞いておるのです。 あの答弁のどこが間違いで、そして謝罪を求められたのか。新聞の印象が悪いから謝罪を求められたのですか。
中曽根康弘
130
○
中曽根国務大臣
あの当時、熊谷
石油
部長
は委員会に出ておりまして、密田答弁も聞き、自分もそれは間違っていると答えておるわけで、その
報告
を私聞きまして、直接関係している者が言っておるものですから、これは是正しなければならぬ、しかし、念のために持ってこい、そう言って、このサマライズを持ってこさせたものであります。 それから、どこが違反しているかという点については、私らの
考え
では、二月二十二日についてはもちろん関与していない。それから四月二十二日に行政
指導
はした。価格を一々どうするかというようなことについては、油種別にはもちろん言っていない。それで、OAPECの
値上げ
に対して自粛せよ、そして、これはみんなで泣け、消費者にできるだけ迷惑をかけるな、そういう
意味
で、公益を守るために、公権力の発動としていまのようなことを
会社
に対して、
企業
に対して直接やった。 それで、社会党の先生方が問題になさるのは、三月の末にそれを当時の密田石連会長に言ったではないかという点が
一つ
問題のようでありますけれども、あれは
通産省
は、
石油
会社
が
考え
ているように全部上げることは認めない、いずれこれは
通産省
としての
考え
を明らかにする、そして、大体方向としてはこういう方向であるということを、まあ石連というのは、
石油
会社
の連絡
機関
でありますから、そういうわれわれの
考え
、インテンションをまず言って、そして正式の行政
指導
というものはあらためて各社別にやるが、そういう
考え
を持っているぞということを、それに対するわれわれとしての
考え
方をあらかじめ石連に伝えて、知らせた、そういう伝達として石連会長というものを使った、そういうふうにわれわれは解釈しているところであります。
楢崎弥之助
131
○楢崎
分科員
石油
部長
が来られておりましたね。 あの密田答弁のどこが事実と違うのですか。
熊谷善二
132
○熊谷
政府
委員 私はこの間の楢崎先生の御質問にお答えいたしましたのは、あの四十六年のやみカルテル事件につきまして、
通産省
がカルテルを
指導
したということがあるかどうかという御質問がございました。カルテルは
指導
いたしておりません、ということを申し上げたわけでございます。 密田会長があの席で
通産省
の
指導
によったということは、私はカルテルを
指導
したということに
理解
いたしまして、これは、そういう事実はありませんということをあの席で申し上げたわけであります。
楢崎弥之助
133
○楢崎
分科員
それで密田さんを呼ばれて、密田さんは、あの答弁のどこが間違っておったと言いました。
山形栄治
134
○
山形政府委員
密田会長といたしましては、いろいろと自分の表現もまずかったということをまず言っておりましたわけでございますが、四十六年二月二十二日、
石油
連盟営業委員会におきまして、価格引き上げのカルテルを行なったとして公取から勧告され、目下審判中の問題、その問題に関しまして、自分の表現で、
通産省
の行政
指導
によってこれが行なわれたとするごとき印象を与える答弁をしたことは、私の陳述に不十分な点があり、真意が伝わらなかったことを非常に恐縮いたしておる、上記二月二十二日の審判にかかっておるカルテルの件に関しては、
通産省
が何ら関与いたしておりませんということを、はっきり表明いたしまして、いわゆる陳謝の意を表したわけでございます。
楢崎弥之助
135
○楢崎
分科員
私は、
石油
部長
お聞きのとおり、あのとき二度念を押したのです。そして、あなたも議事録は読んでない。 人間の記憶というものは、そう正確ではないんですよ。私どもは、だからもう一ぺん議事課に行って、私は確かめたんです、わが党。あなたの聞いた印象だけで、
大臣
に
報告
する。しかも、
エネルギー
庁は、新聞の寄せ集めでサマライズして、それを
大臣
に
報告
する。非常に私は不正確であると思うのですね。正確に覚えていますか、あなた。あのときにどういう答弁したか、語句まで。私はあれはちっとも間違いでないと思うのですね。つまり、密田会長の
通産省
との関係の印象は、その印象のとおりあの人は正直に答弁しているのです。 そして、これは公取の審判開始決定書でありますけれども、この四十六年事件、この中で問題は、会合をやった、それだけじゃないんですよ。いいですか、問題になっているのは。ちょっと読みましょうか。「会員元売業者は、前記決定に基づき、それぞれ
石油製品
の
値上げ
額を定め、これを取引の相手方に通知し、所定の期日から、おおむね
石油製品
の販売価格を引き上げている。」。実行行為をむしろ問題にしているのですね。そして実行行為、二月二十二日は、かりにおっしゃるとおり関係がなかったとしても、三月下旬、内示をされておりますね。そしてその内示の
内容
は、まさに社会党が発表したとおりです。だから、その引き上げに、実行行為に加担された。われわれが指摘しておるとおりなんですね。 そこで、これは本格的にやります、論争は。事実だけ確かめたいから。それで、議事録をもとにしないで、相手を呼びつけて、そして
国会
の外で取り消させるというのは、私は、ちょっとこれは中曽根
大臣
にも似合わない軽はずみな行為ではなかったかと思うのですね。 しかも、私はもう
一つ
残念に思うのは、ここは、いわゆる審判において問題になっている個所ですね。しかも、聞くところによると、もう双方の言い分の調査は済んで、あとは審決を待つだけになっている。はたして密田会長が言っているのがあやまちかどうかは、これは審決がきめる
一つ
の
問題点
でしょう。その審決が下される前に、その
通産省
の
指導
が問題になっているのに、石連会長を呼びつけて謝罪をさせるという行為は、私はこれは公取の審決に対する挑戦であろうと思うのですね。審決が出る前に、そういうふうに一方的に、密田会長の言っていることが間違っていると言ってきめつける。そうして、もう
一つ
、もし密田さんの答弁に誤りありとすれば、これは参考人招致の中で出てきたことばだから、謝罪文を書かせるということよりも、まず
通産大臣
は、
国会
でもう一ぺん機会を設けて、訂正するところがあったら訂正しなさいという
指導
をむしろなさるべきではなかったでしょうかね。
中曽根康弘
136
○
中曽根国務大臣
その辺は、野党の楢崎さんと、
政府
当局の
責任
を持っている私らとの立場の相違があると思います。やはり、国家の行政
機関
として行政を公正に行なう
責任
の衝にある者は、われわれが間違った答弁をしたと、そう思ったときに、それが、
国民
に対して非常な悪い、間違った印象を与えるということは、これは行政
機関
としても是正することが大事であろうと思います。そういうものはできるだけ早く、間違ったものは間違ったものとして明らかにするということが、国の行政
機関
の仕事である。それをほうっておくということは、かえって誤解を深めるばかりで疑惑を深めるばかりである、そう私は思いました。 私は、密田氏の
通産省
がカルテルに参画したというような印象のおことばは間違っている、そう思っておりますから、それは改めなければならぬ、そう思っておるわけであります。
楢崎弥之助
137
○楢崎
分科員
さっきから言っているように、議事録、いまだかつて読まれていないのでしょう。だから、間違っているかどうかも、議事録を中心に明確になさってないのに、間違っているという判断を下されたのは、軽率ではないかということを私は最初に申し上げている。
中曽根康弘
138
○
中曽根国務大臣
しかし、その場で立ち会っていた、そしてまた答弁もした本人が
報告
してきておることでございますから、私はそれを信用する立場にあるわけであります。もちろん、議事録を確かめるということは大切なことであるかもしれません。しかし、現に立ち会って、そばで聞いた者の実証性というものは、また尊重すべき要素である、そう私は思います。
楢崎弥之助
139
○楢崎
分科員
私が意地の悪い言い方をしたら、あなた、いまから言ってごらんなさい、私が議事録を持ってですね。繰り返せますか、密田さんが言ったとおりに。非常にあの答弁というのは含みのある答弁です。あなたは印象だけで言っているのでしょう。
大臣
に
報告
したのでしょう。私は頭が悪いから、私は質問の当事者だけれども、ちゃんと議事課に行って写さしてもらった。それで確かめているのです。あなた、それだけの自信があるのですか。そんな不正確な印象だけで
報告
してはだめですよ、あなた。
責任
持ちますか。
熊谷善二
140
○熊谷
政府
委員 私はあの席におりまして、その事実につきましては
大臣
に御
報告
申し上げたわけで、いま
大臣
のおっしゃったとおりでございます。その後、議事録の点も担当のところでさらに検討いたしまして、
内容
につきましては、私どもの
理解
に間違いはなかったと
考え
ております。
楢崎弥之助
141
○楢崎
分科員
あなた、いつ議事録を点検しましたか。
熊谷善二
142
○熊谷
政府
委員 日にちは正確に覚えておりませんが、あと、議事録につきましても検討をいたしたわけでございます。
楢崎弥之助
143
○楢崎
分科員
違うですよ。あなた、だめですよ、私は議事課に行って確かめているのだから。 いつ、だれが、何時に筆写してきたですか。はっきりしてください。もしそれがうそだったら、どうします。ちゃんと議事課は、だれが、いつ、どの点で議事録を見に来たと、ちゃんと名簿があるのですよ。私は確かめている。はっきり言いなさい。
熊谷善二
144
○熊谷
政府
委員 私の
理解
が間違っているかもしれませんので、その点、お許しいただきたいと思います。 ただ、先ほど
大臣
からもお話がございましたように、当日、密田会長と会見されましたときに、密田会長の真意というものを
大臣
からお聞きになったと思いますし、その点につきまして……(楢崎
分科員
「私の問いに答えてください。議事録の点を答えてください。」と呼ぶ)議事録の点については、取り消しをさせていただきます。
楢崎弥之助
145
○楢崎
分科員
政府
委員室の人が行っていますよ。行っているのは、あなたの、その当時の
大臣
はだれであったかという私の質問に対して、あなたがどう答えたか、
田中
さんと、あのとき答えましたね、そのくだりだけを見に行きました。私はちゃんと聞いているのです。そのほかのことは見てないのです。だから、あなたは
報告
できるはずがない。そんなでたらめ言っちゃだめですよ、あなた。それははっきりしてください。
熊谷善二
146
○熊谷
政府
委員 私の誤解でございました。その点、おわびいたします。
楢崎弥之助
147
○楢崎
分科員
つまり、いまはっきりしたことは、いまだ議事録をだれも読んでいない、そして、印象によって
大臣
に
報告
し、
大臣
は、部下のことですから、まあ信憑性があると思われたのはやむを得ないかもしれない、軽率さはあっても。それをもとにして、
国会
で答弁されたことを
国会
の外で取り消させ、謝罪文まで出させるのは間違いじゃないかということを私はさっきから言っておるのです。正確な議事録を見もしないで印象だけ。時間がないから、私はこの問題をいずれ総括かどこかでやりたいと思いますけれども、この点はひとつ明確になったと私は思うのですね。それで、院外で間違いだときめつけて、印象だけできめつけて、そして謝罪文まで出す——
大臣
、謝罪文は出たのですか。出させたのですか。
中曽根康弘
148
○
中曽根国務大臣
ともかく、私は
国会
の発言を聞いてみると、
通産省
が、あたかもやみカルテルに参画したような印象を世間に与えておる、それは間違いであると思う、あなたの見解はどうか知らぬが、もう一回当時の状況を調べてみて、もし間違っておるならば、是正する
措置
を講じてもらいたい、そういう発言をいたしました。
楢崎弥之助
149
○楢崎
分科員
何か文書を出させなかったのですか。それに対する釈明文か何か。世の中では謝罪文となっていますが。
中曽根康弘
150
○
中曽根国務大臣
それに対してこれが出てきたわけです。いまのが……
楢崎弥之助
151
○楢崎
分科員
いまの——。では、それを資料としてひとつ出していただけますか、その文書は。
中曽根康弘
152
○
中曽根国務大臣
いいですよ。
楢崎弥之助
153
○楢崎
分科員
ではお願いをしておきます。 この問題は、先ほどから言っておりますように、いずれ継続する問題ですから。 次に、
石油
危機のときに、いわゆる
情報
不足のためにつくられた危機ということが盛んにいわれた。
情報
というのは大切なものです。 で、つい最近のメジャーの
供給
削減の問題が、中曽根
大臣
の発言も一、二点訂正されたようでありますが、結局どういうことだったのですか。
中曽根康弘
154
○
中曽根国務大臣
私は、昨日の朝の
記者会見
におきまして、朝の新聞に出ておる、二五%メジャーズが削減するというのはどういう事情だ、ほんとうか、そういう質問を私、受けたと思います。それに対して私は、はっきりはしないが、たしか、
山形
長官から、立ち話でそれに類することは聞いておる、二五%という数字かと言うから、いや二五%ということはさだかでないが、まあそんな見当だったというような記憶があると。それから何社だったという話がありましたから、これはメジャーは一、二社じゃなかったかと思うという、記憶がさだかでないということを前提にして、いまのような答弁を申し上げたということです。 それで、それを答弁するについて、私の中に、
日本
の
石油
会社
はメジャーズとは長期
安定供給
契約をやっているわけです。ところが、その長期
安定供給
契約に対して、削減した数量でいま送られてきておる。それが一〇%であり、一五%であると、そういうようなことをかねがね聞いておりましたから、その事実をそれは
意味
していると、
一つ
は
考え
ておりました。それからもう
一つ
は、エクソンからやはり
石油
部長
に対して、三月からたしか一五%カットする、そして、これは十日ごとにチェックし直しますと、そういうような話があったということを、同じく
山形
長官から耳にしておったと思うのです。 そういうことが頭にありましたから、そういうことを総合して、さだかな話ではないが、ということで、以上のような話をしたわけでございます。
楢崎弥之助
155
○楢崎
分科員
ちょっと確かめておきたいが、これはやはり、
情報
というのは正確でなくてはいけませんよ。すでに
大臣
がおっしゃったことを、ばっともう大きく、二五%削減かというようなことが最初載ったりして、非常に影響するところが大きいのですが、その
情報
を与えた
エネルギー
長官は、その
情報
はだれから得られたのですか。
山形栄治
156
○
山形政府委員
最初に申し上げておきますが、昨日の新聞に出ましたのは、われわれの知らないところでございまして、これはどこからニュースソースがあったのか、それは私は全然知らないわけでございます。 私は、熊谷
部長
のところにエクソンのほうから、いま
大臣
が申し上げましたように、三月の国内の生産、出荷につきまして、こういう状況、大幅な
赤字
に直面している
現状
にかんがみまして、製品、ひいては
原油
の
供給
も押えなければいかぬということを、おととい実は聞いたわけでございます。で、
大臣
にそのことは御連絡を申し上げたわけでございます。
楢崎弥之助
157
○楢崎
分科員
だれから聞かれたのか。
山形栄治
158
○
山形政府委員
それはうちの
石油
部長
がエッソ
石油
の
責任
者から聞いたわけでございます。
楢崎弥之助
159
○楢崎
分科員
それはいつ聞かれたのですか。
熊谷善二
160
○熊谷
政府
委員 三月四日、月曜日でございます。
楢崎弥之助
161
○楢崎
分科員
エッソの副社長は、三月四日にそういうことを言ったのを否定しておりますね。
熊谷善二
162
○熊谷
政府
委員 メジャー、エッソなり、あるいはその他
外資系
の
企業
との関係におきましては、私どもも
情報
収集という観点もございまして、先方との間の話を聞くことがございます。私は、いまああして出ておりますように、エッソ
石油
の内部者からその話を聞いたことは事実でございます。
楢崎弥之助
163
○楢崎
分科員
四日に話をしたというのは、否定をしていますよ。最近のことではないと言っていますよ。どうもあなたのあれは不正確ですね。はっきりしてくださいよ。いつ聞いたのです。
熊谷善二
164
○熊谷
政府
委員 エッソの副社長である八城さんは、私にそういう連絡をいたしておるわけですが
楢崎弥之助
165
○楢崎
分科員
いつです。
熊谷善二
166
○熊谷
政府
委員 これは三月四日にそういう連絡がございました。
楢崎弥之助
167
○楢崎
分科員
否定しているじゃないの。
熊谷善二
168
○熊谷
政府
委員 その否定は新聞の関係で出ておるかと思いますが、エッソとしては、その事実はその後否定をしているはずでございます。つまり、事実があったことは認めているはずでございます。
楢崎弥之助
169
○楢崎
分科員
じゃあ四日の日に聞かれたというわけですか、会われたんですか。
熊谷善二
170
○熊谷
政府
委員 電話での話でございます。
楢崎弥之助
171
○楢崎
分科員
間違いないですね。何回も念を押しますが、四日に間違いないですね。
熊谷善二
172
○熊谷
政府
委員 間違いございません。
楢崎弥之助
173
○楢崎
分科員
どうもいまの
情報
源のあれは、たぐってみると、どうもあやふやなんですね。
大臣
が部下を御信頼になるのは当然だと思うけれども、どうも
情報
源が不確かで、あいまいで、そしてそれを聞かれて
大臣
がすぐ表に出される、こういうことが、いわゆるつくられた危機というふうになってくるのですよね。それで
値上げ
をしたいものだから、わざとそんなことを言っているんじゃないかというような憶測まで飛ぶようになるんじゃないかという気がするのですがね。だから、私はその辺は、ほんとうにしっかりしてもらわぬと困ると思うのです。 もう時間がありませんから、午前中も出たようでありますけれども、二点だけ
大臣
に聞いておきたいと思うのですが、
一つ
は、いずれ
値上げ
せんならぬだろうその時期について、
田中総理
は慎重であるということは新聞の報ずるとおりであります。
通産大臣
としては、その時期をいつごろと
考え
ておられるのか、まずそれは
通産大臣
としての
考え
でけっこうです。それが
一つ
。 それから油種ごとにお
考え
になるのかどうか。たとえばガソリンとか灯油とか、すぐ影響するわけでしょうが、そういう点の
値上げ
の問題はどのように処置なさるおつもりであるのか。
中曽根康弘
174
○
中曽根国務大臣
時期については、なかなかデリケートな問題でもあり、売り惜しみや、またストックが出るという危険性もなきにしもあらずでありまして、これらはすべて党との
調整
及び
内閣
総理
大臣
の決断等にかかっておることで、
通産省
以上の、もっと大きな
内閣
全体、
自民党
全体の問題としてこれは検討してきめていただきたいと
考え
ております。 それからもう一点は何でございましたか。
楢崎弥之助
175
○楢崎
分科員
油種ごとに……。
中曽根康弘
176
○
中曽根国務大臣
そのきめ方につきましても、同じようであります。時期、幅、それから
内容
、これらはすべて
自民党
との
調整
及び総理
大臣
のお
考え
等、そういうことによってきまると思います。
楢崎弥之助
177
○楢崎
分科員
非常に
国民
は関心を持っているのですね。この点で、せんだっても新聞も
報道
しておりましたけれども、
物価
鎮静策として、
通産大臣
は、
石油
の
供給
がもし緩和できたら緩和して、そのことによって
物価
を鎮静したほうがいい、大蔵
大臣
は、いや、そうではなくて、やはり
供給
は制限したままで、総需要抑制ということで
物価
を下げたほうがいいという
考え
方の違いが新聞で
報道
されておったようでありますが、その点はどうですか。
中曽根康弘
178
○
中曽根国務大臣
たいした差はありません。両方とも上州生まれでありますから、片っ方は明治で片っ方は大正だという差はありますから、若干フィーリングの差はあるかと思います。しかし、われわれのほうは、できるだけ生活関連物資あるいは
国民
経済
上緊要物資、こういうものはふやしたほうがいい、やはりいろいろ議論はあっても、物を豊富にしておくということが、
物価
を鎮静させる一番ポイントだ、これが不足するという気配が出るとパニックが起こる、そういう面から見て、できるだけ豊富にそろえさせる、特に生活関連物資や重要基礎資材はそうである。そういう
考え
に立って、その辺についてはできるだけ増配をする。その点については大蔵
大臣
も同感である……。
楢崎弥之助
179
○楢崎
分科員
どこが違うのですか。
中曽根康弘
180
○
中曽根国務大臣
違う点は、締めるほうをもう少しふやせと、そういうわけで、たとえば自動車のようなものは、われわれは少し増配するほうに入れようと思ったわけです。しかし、自動車とか、あと一、二、家電、そういうようなものは、大蔵省その他の意見も入れて一五%に残しておいた、そういう差であります。
楢崎弥之助
181
○楢崎
分科員
これでやめますが、引き続いて例の行政
指導
の問題をやりたいと思います。 それから、実はネオン業者の問題についてお伺いしたがったのでありますけれども、時間がありませんから、文書で出しますから、ひとつ文書で御回答をいただきたい。 それじゃ、これで終わります。
湊徹郎
182
○
湊主査
これにて
楢崎弥之助
君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
野坂
浩賢
君。
野坂浩賢
183
○
野坂
分科員
それでは、いまも楢崎委員のほうからお話がございましたが、
石油
の
値上げ
の問題が昨日新聞で、あるいはきょうの新聞でも報じられております。いま
通産大臣
がお話しになりましたように、この
値上げ
問題につきましては、非常に閣内でも慎重に討議をするという姿であります。 そこで、
通産大臣
にお尋ねをしたいと思いますが、いまお話がありましたあなたと大蔵
大臣
との関係で、若干のフィーリングの相違はあるけれども、大勢に影響はないというお話がございました。昨日の夕刊の中に、福田大蔵
大臣
が、
物価
抑制という観点を第一に
考え
なければならぬ、
石油
を
値上げ
しても、他の
物価
の抑制がうまくやれるように目張りをしなければならぬ、こういう発言が新聞に載っております。したがって、
通産大臣
としては
石油値上げ
問題、そういう問題につきましては、慎重に、いまのお話でありますが、総理の決断なり、あるいは
責任政党
といいますか、
自民党
とも相談をするということでございますが、他の
物価
についての抑制策でありますが、その中で本委員会でも
予算委員会
でも
内容
が明らかにされ、補強されました調査官等の設置によって、
物価
抑制策が具体的にどのように進んできたのか、あるいは、その実効ですね。今日までの実効が、通産の関係のもので、調査官によって大要どの程度の実効があったか明らかにしていただきたい、こう思います。
中曽根康弘
184
○
中曽根国務大臣
国会
で問題になりました五条調査はかなり進行しておりまして、たしか私の記憶では、きょうかあしたくらい
報告
が私のところに来ることになっておりますが、三十カ所以上やったろうと思います。しかし、いわゆる売り惜しみ、買い占めに該当するようなものは非常に少なかった、たしか、そういうような
報告
であったと思います。 それから、
物価
抑制のためには、通産関係では一番大きな仕事をやっていたのは設備投資の抑制でありまして、これは去年の秋からことしの春にかけて、大体三千五百億円程度の設備投資の抑制をやって、特に自動車そのほか、
エネルギー
多消費産業についてきびしくやってきたところです。この設備投資の抑制は、今後もある程度続けなければいかぬ、そう思っておりまして、その方面から需要がかなり削減されてきておることは事実であります。そういうような面から、次第に
物価
は需要よりも
供給
面がふえつつあって、鎮静しつつある。それからもう
一つ
は、
石油
の
値段
を凍結しておりますから、そういう
意味
で、次第に物が多くなり、かつお金がしぼられて来、要するに、金が少なくなって物がふえれば
物価
は下がるわけでありますから、そういう方向に極力
通産省
としても協力して進めてきたところであります。
野坂浩賢
185
○
野坂
分科員
私は、時間もありませんから、きわめて庶民があずかっておる問題、特に、ことしの四月は新入学の機会でもありますし、そういう点にしぼってお尋ねしたいと思っておるのです。
石油
危機から今日まで、金が少なくなり物が豊富になれば安くなる、こういうことは理論的にはわかりますが、このとおり実行されておるかどうか、そういう動きが
経済
界の中にあるかどうかという点については疑問なしとはしない。確かに疑問があります。 だから、私が申し上げますように、町には
便乗値上げ
というものがはんらんをしておると言っても過言でないと思います。そのことは、
通産大臣
はお認めになるでしょうか。
中曽根康弘
186
○
中曽根国務大臣
かつてありました。いまでもそういう残滓はあるかもしれません。しかし、極力それを起こさないようにいま努力しているところであります。
野坂浩賢
187
○
野坂
分科員
学用品につきまして、
大臣
から業者をお呼びになって、一〇%程度あるいは二〇%下げろという話があって、それからの
措置
はどのようになっておりますか。
中曽根康弘
188
○
中曽根国務大臣
学用品につきましては、
国会
でも御指摘がございましたが、その前から、私は、一月にイラン、イラクへ行く前から、学用品の問題はたいへんな問題だから行政
指導
をきびしくやるようにと言って、文部省と連絡をとって私の留守中に仕上げしておけ、そういう指示をして、関係
責任
者が文部省とも連絡をとって、まず第一にノート、それから上がり始めてきたクレヨン、それからランドセル、それから学校の机、それからズックのくつ、こういうものについて一々
指導
いたしまして、上げられたものをある程度引き下げた、そういう効果があると思います。 具体的に申し上げますと、クレヨン、クレパスは二月一日に
指導
いたしましたが、クレヨン十二色細巻きが二〇%引き下げ、以下二〇%ないし一〇%、一四%程度の引き下げをやらしております。 それから運動ぐつについては二月一日、小中学生用の運動ぐつ、ビニール前ゴムぐつ、バレーシューズ、アップシューズの無地スタンダードものについて、現行小売り価格の二〇%の値下げを
指導
いたしました。その結果、二月中、下旬から値引きが実施されております。 それから学習帳、ノートについて、二月八日、A5判学習帳九十円というのを六十五円ないし七十円に下げさせる、それから6号(B5判)ノート百十円を七十五円ないし八十円に、6号ノート百四十円を九十五円ないし百十円にやらせまして、末端では二月十二日から値下げが実施されておる。 学習用スチール机、二月八日、全品目について、在庫品も含め、現行小売り価格の一〇%を引き下げるように
指導
して、二月十五日から実施されております。 それから学校教育用ざら紙、これは一月三十一日、学校教育用に優先
確保
をはかるべく業界を
指導
して、学校長または教育委員会等からの申し込みに対して、各都道府県に所在する幹事卸商から低廉
供給
すべくあっせん体制を確立した。それで価格は千枚七百二十円プラス運賃、一月三十一日からこれは実施されております。 なお、二月四日から八日まで、
日本
百貨店協会、
日本
チェーンストア協会、
日本
セルフサービス協会、
日本
ボランタリー・チェーン協会等に対して、学用品の仕入れ価格の値下がりを直ちに小売り価格に反映させるよう
指導
し、二月十日以降、
準備
の整ったところから順次実施に移されている、こういう状態であります。
野坂浩賢
189
○
野坂
分科員
それと同じようなことになりますが、この間、二月十五日以降といいますから、私は買いにいったのです。みんなシールが上に張ってありまして、これをはぎますと、こういうところがあります。百八十円が二百五十円でいまだに売られております。鉛筆は三百六十円ですが、これは二百四十円。歩いてみられたらまだ
幾ら
でもあるのですが、これ以上買ってもしようがないですから……。おっしゃるように、絵の具等も五十円というふうにありますが、これをはぎますと三十円。みんなあるのです。三十円が十五円。全部ですよ。これはどういうふうに
指導
されたのか。 それで聞きますと、こう言っておるのです。たとえばトンボ鉛筆というのがありますが、「当該セットは旧価格による仕切を適用させて頂きますので、何とぞよろしく」ということが最後に書いてあって、だから、もうけさせてやるから新価格で販売せよ、こういうことが書いてある。ちゃんと株式
会社
の本社から出ておる。そのあと、あなたがおっしゃるようなことがあるかと言っても、現場では知らない。全部ありますよ。どこでもあります。これは東京を歩かれても大阪を歩かれても、どこを歩かれてもそうです。
準備
ができたところから進んでいると言っていらっしゃいますけれども、全然進んでいない。私が歩けば、これもこれもあります。まだ部屋にはたくさんありますが、まだ全部シールが張ってありますよ。そのままで売られておる。だから、あなたがおっしゃるように効果はあがっていない。学生なんかが買うレコード等に至りましては、全部ですよ。あなたがおっしゃるようなことには
一つ
もなっていない。それは
大臣
、歩いてごらんになりましたか。だから、新価格のシールをちゃんと入れて送ってあるのです、こういうふうに張れと。張れといって得意先に回っております。それをはいでない。 だから、百貨店等でも学習机が一〇%なり二〇%下げられて、それは消費者に返すと言っておりますけれども、調査官等が六百人もできて具体的に調査をした、そういう実効はあるとおっしゃるけれども、庶民生活にとって実効があるとはいえません。ひとつもあがっておるような効果はないように思う。その点はどのようにお
考え
ですか。
中曽根康弘
190
○
中曽根国務大臣
調査官は、いま倉庫の五条調査を全部手配してやっておりますから、おそらくそっちへ手が回らないのだろうと思います。いまの点は、実地について、ひとつ調べてみます。
野坂浩賢
191
○
野坂
分科員
現物がありますから、調べられぬでも、全部ただで差し上げます。だから、よく調査をしてもらって——子供たちは現実にもう入るのですから、学用品を買わなければならぬ。それを調査をするというようななまぬるいことではなしに、
中曽根通産大臣
らしく、もっとてきぱきと処理してもらいたい。話し合いができて、文書を出して
指導
ができて、二月十日ごろから実施をしておるといっても、きのう歩いてみてもこの状態。そんなもので実施ができていない。しかも、通達は
値上げ
のときには各本社から流されて、得意先あてに全部入っておるのです。なぜこういうふうなものが入っておるかというと、こういうことが来たからシールをかえましたと言っている。みんな来ておるんじゃないですか、価格改定シール在中というかっこうで。それを張ったままにして売られておる。だから、
通産省
の行政
指導
も十分にやられておるというのは、私が知る範囲ではうそだ、こう言わざるを得ないわけです。不徹底だとおっしゃるかもしれませんが、早急に、もう四月一日からは入学期を迎えるわけですから、全国的に徹底をしてもらいたい、こういうことをひとつ申し上げておきたいと思うわけです。 それから、
通産大臣
は、おっしゃるように、価格の下げを具体的にやられるわけですから、二〇%でもやられる。そうしますと、大手の
企業
の皆さんは非常に原価の公開というのをいやがっていらっしゃいますけれども、この間通りました
国民
生活安定法案の三条を見ましても、いわゆる標準価格とは何ぞやということになりますと、仕入れ価格なり
輸入
価格、それに適正な利潤をプラスをしたものが標準価格だということになれば、通産なり、あるいは皆さんは、その原価というものは知る権利がありますし、また、皆さんが知るということになれば、即、
国民
の代表でありますから、
国民
もそれを知っていくということになれば、ものごとがはっきりしてくると思うわけです。こういうものでも、十八円のものが五十円になったり、二十四円の絵の具が五十円になったりしておる。こういう
実態
では、われわれとしても
納得
ができない点がたくさんあるわけです。 町を歩いてみますと、みんなそう言うのです。だから、そういう点については、原価を公開をさせていくということが、私は、いま
物価
安定なり悪徳業者を排除するためにも必要ではなかろうか、こう思うのです。その点については、やらせ得ますか、あなたのお力ならばできると思うのですが……。
中曽根康弘
192
○
中曽根国務大臣
なかなかむずかしいと思います。 これは
企業
によって千差万別でもあり、また、原価を公開して規制するという形になると所得
政策
につながる。その中の労務賃が
幾ら
だ、そういう関係にもなります。そういういわゆる統制
経済
のはしりみたいな影響も与える危険性もあります。そういう面と、やはり
企業
の
一つ
の経営上のいろいろ秘密やら、そういうものもあるだろうと思います。したがって、公開することはむずかしいですけれども、われわれが内部でそれを立ち入って見きわめて、妥当であるかどうかチェックすることは、やる必要もあり、やれると思います。
野坂浩賢
193
○
野坂
分科員
この安定法案には「
輸入
価格又は仕入価格に標準的な販売費用及び利潤を加えて得た額、」こういうふうに書いてありますね。そうしますと、しろうとがこの法律を見ますと、原価にいろいろなものをかけて出すんだ、これが標準価格だ。通産のほうは、そういうことを詳しくチェックができるわけですか。業者の言うとおりになる可能性があるんじゃないでしょうか、言うなれば、くろうととしろうとの関係ですから。
中曽根康弘
194
○
中曽根国務大臣
標準価格をつくるときの思想は、原価計算を厳格にやってやるという思想ではなくして、上がりそうだという前に、前の安定的な
値段
というものを基準にして、それで、なたでぶった切るように押えておく、そういう
意味
で、灯油でもLPGでも、上がる前に千三百円とか三百八十円で押えた。前の安定的な
値段
というものが
一つ
の基準になっておるので、必ずしも正確な原価ではない。正確な原価の場合には、相当な人間と時間がかかる。それでは間に合わぬ。そういう場合に、標準価格という思想が出たので、これが物統令によるマル公的な価格とちょっと違うところであります。
野坂浩賢
195
○
野坂
分科員
この標準価格が出ましてから、こういうどこの——たくさんありますがね、私がもらってきたのは。このごろは
政府
ににらまれると思って、下のほうの名前は書かないんですね、切って送ってくるのです。それで、全部標準価格ということばを最近使っておるのです、こういう学用品でも。この標準価格というのは、あなたがおっしゃるこの問題とは違っておるわけですね。すべて標準価格ということばが入っております、標準価格はこうですよと。だから、その原価計算をするんではなしに「製品価格改訂のお願い」というようなことで、上がったから「標準価格を改訂せざるを得ない情勢となり何分とも事情ご賢察の上ご諒承賜ります様」こういう標準価格ということばが、どの商品にも使われ出したという点については、どうお
考え
ですか。
中曽根康弘
196
○
中曽根国務大臣
標準価格でないものを標準価格という名前を使うことは間違いであると思いますので、直さなければいかぬと思います。
野坂浩賢
197
○
野坂
分科員
それは業界等に
指導
されるわけですか。
中曽根康弘
198
○
中曽根国務大臣
どの業界でそういうことがありますか、お知らせいただけば直させます。
野坂浩賢
199
○
野坂
分科員
これはあげます。あなたがいまおっしゃったノートにもあります。 それでは、時間がありませんから、公取の方、おいででしょうか。ごく簡単に質問だけをいたします。 これも委員会等で問題になっておりますが、洗剤等は——再販制度の問題ですね。再販価格の問題でたくさん消費者団体が、再販価格を廃止をさせよという声があったことはよく御存じのとおりであります。それにこたえて、各業界は、再販価格の存続の意義というものをあなたのほうに出していますね。その後にあなたのほうから、十月の十八日ですか、再販制度の改正についての文書が流されておりますね。 この再販について、当初業界は、メーカーも問屋も小売り商も消費者も、非常にメリットがあるという、そういう見解を述べておりますね。それであなたのほうは、不当廉売防止のことを含めて、この通達を流されておる。特にその中で、いいということを言いながら、それらの業界、たとえばライオンとかサンスターは、自己の利益を拡大するためにこの再販制度をおりた。しかも、それは利潤をさらにということでおりて、直ちに
値上げ
をしておる、こういうことは御案内のとおりです。それで、悪用したといっても私はいいと思いますが、そう思われますか。
吉田文剛
200
○吉田(文)
政府
委員 再販制度、再販の指定が、これは石けん、洗剤、化粧品、医薬品等にございます。商品として指定してございますが、それについて、従来まで契約を結んでいたものが、明らかに
値上げ
のためと認められることのために契約をやめていく、その後で
値上げ
をしておるというのは、これはまさに再販制度を悪用した、非常にけしからぬことというふうに思います。
野坂浩賢
201
○
野坂
分科員
悪用しておるという事実はお認めになったわけですから、これについての処置等は、行政官庁ともいろいろと連絡をされたと思いますが、どういう結末がこの人たちには下ったわけですか。
吉田文剛
202
○吉田(文)
政府
委員 再販契約を廃止した商品につきましては、これは一カ月以内に廃止届けというものが参ります。廃止届けが参って、そのあとで関係各省庁に連絡して、これは再販から離れますと、私どものほうで
指導
ができないものですから、それで値下げ方を
指導
していただいております。
野坂浩賢
203
○
野坂
分科員
そのことを受けて、通産では具体的にそれらの業者をお呼びになったと思いますが、どういう
措置
をされて、それについて警告なり注意をされたと思いますが、そしてその効果は、具体的に今日どのように進行しておるか。
飯塚史郎
204
○飯塚
政府
委員 公取のほうから御答弁がございましたが、合成洗剤、石けん、歯みがき、化粧品等につきまして、昨年末からことしの初めにかけまして、再販を取り下げて、
値上げ
をしたケースが非常に多いわけでございますけれども、私ども、個々の業界の実情につきまして、事情を聴取して調べましたところ、やはり過大な
値上げ
がかなりあるという認定をいたしまして、
大臣
からの御指示によりまして、二月の十三日に、化粧品及び石けんメーカーを
通産省
に呼びまして、それから十四日には洗剤メーカーを呼びまして、十五日には歯みがきメーカーを呼びまして、再販取り下げの機会に
値上げ
をしたもの、並びに昨年の末からことしの初めにかけまして大幅な
値上げ
をしたものにつきまして、極力値上がり前の状態に戻すように努力をしてもらいたい、それから、原料の値上がりその他のいろんな事情もあるわけでございますが、特に
値上げ
幅が二〇%をこえる異常な大幅
値上げ
のものについては、これを重点的に価格引き下げをやる必要があると
考え
まして、二〇%以上
値上げ
をしたものについては、これを二〇%以内に圧縮するようにということを非常に強く要請をいたしたわけでございます。その結果を、それぞれの業界に対しまして、一週間以内に、
通産省
に対して、検討の結果を
報告
してもらいたいということを申し上げたわけであります。 現在までのところ、ほぼ回答が出そろっておりますが、それによりますと、合成洗剤につきまして、ごく特殊な用途に使うものを除きましては、二〇%以内の
値上げ
幅の中に全部おさめてまいったわけでございます。それから石けんにつきましては、実はこれは五割、六割、七割というふうな大幅な
値上げ
もあったわけでございます。牛脂あるいはヤシ油というような原料が主原料でございますが、これの
値上げ
が、昨年の六月以降非常に大幅だったわけでございますので、どうも現下の事情を検討してみますと、極力圧縮といいましても、そう大幅な圧縮というのは困難だという事情も私どもはわかりますが、これは大体
値上げ
は四割以内のところにみんなおさめてきたわけでございます。なお、化粧品につきましては、非常に数が多うございますけれども、これにつきましても、かなりの品目のものにつきまして二〇%以内に圧縮をしてきたわけでございます。歯みがきにつきましても大体そうでございます。 それから、特に化粧品につきましては、実は先般の各社
値上げ
の際に、化粧品の五大メーカーというのは
値上げ
をいたしておらないわけでございますけれども、これは将来化粧品の名前を変えたりなんかする際に
値上げ
をするという危険性もないわけではございませんので、この五大メーカーに対しましても、私のほうからマークアップというような名目で
値上げ
をするようなことのないようにということを強く
指導
した次第でございます。
野坂浩賢
205
○
野坂
分科員
時間がもうありません。したがって、いま御答弁をいただいたわけですが、それらの交渉の経過と、今日、町を歩いてみて、先ほど私が——もっとよけい持ってくればよかったのですが、行き届いておるかどうかは非常に疑問がありますよ。疑問がありますから、それらにつきましても、十分効果があがっておるかどうかを、資料として提出をしていただきたい、これをお願いしておきます。 あとまだ二分ありますから、公取にお願いをしておきますが、この十月十九日に、再販の制度の改正を出されておりますね。化粧品は千円以下のもの、あるいは練り歯みがき、石けん、洗剤、それから医薬品は五十四品目のうちの二十三品目をやる、こういうふうにおっしゃっておりますが、その後どのようになり、具体的にどのような推移になっておるのか。また、あなたの
考え
方は、いつこれを具体的に実施をするのか、お聞きをしておきたい。見通しもあわせてお願いします。
吉田文剛
206
○吉田(文)
政府
委員 昨年の十月十九日の告示改正で、先生おっしゃいましたとおり、化粧品は一容器当たり千円をこえるものは指定を取り消す、それから医薬品五十四品目のうち二十八品目を取り消す、それから石けん、洗剤、歯みがきにつきましては、指定を取り消す、これは実施はことしの九月一日からということになっております。その後はそのまま推移しておりますが、今後の問題としましては、昨年の八月二十九日に発表いたしましたとおり、再販制度というものは、
段階
的に縮小、廃止に持っていきたいという方針でございます。これはまだいつかということはきまっておりません。
野坂浩賢
207
○
野坂
分科員
いつかということはわかりませんが、
段階
的に廃止をする。見通しとしては、最終年度はどの程度にあなた方はお
考え
ですか。
計画
を立てるのなら、その年度等についても当然検討されたと思うのです。
吉田文剛
208
○吉田(文)
政府
委員 それはまだ私どもの委員会での決定はございません。
委員長
も
国会
で答弁されておりますように、いますぐということではなくて、先、いつまでということではなくて、廃止の方向に持っていきたいということを申しておりますので、いま、いつまでということはちょっときまっておりません。
野坂浩賢
209
○
野坂
分科員
方針としては、廃止の方向である、しかし年次別にはわからない、こういうことですか。
吉田文剛
210
○吉田(文)
政府
委員 おっしゃるとおりでございます。
野坂浩賢
211
○
野坂
分科員
それでは、いずれまた質問をさせていただくことにしまして、これで終わります。
湊徹郎
212
○
湊主査
これにて
野坂
浩賢
君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
瀬崎博義
君。
瀬崎博義
213
○
瀬崎
分科員
私自身が
中小企業
の経営者の一人といたしまして、現実に中小零細
企業
の困っている状態を
政府
に反映し、やる気があれば可能な
金融
面での対策を求めたいと思います。 〔
主査
退席、羽田
主査
代理着席〕 一般的にいって、大
企業
の繁栄とは対照的に、中小零細
企業
は、どんな
経済
状態のもとでも、常に不安定な経営をしいられていることは、御存じのとおりであります。特に、毎年三、四月になりますと、決算期、決済期、納税期が重なって、危機が叫ばれるわけであります。それに加えて、ことしの場合は、昨年十一月来のつくられた
石油
危機と大
企業
の
便乗値上げ
がつくり出しました異常な
経済
状態によって、中小零細
企業
の困難は、想像を絶するものがあるわけなんです。 それは第一に、原材料、卸
物価
の急騰によって、だれでもわかることですが、運転
資金
の増大を招きました。特に、年末需要に備え、無理な仕入れを承知でせざるを得ないこと、取引先の大
企業
の圧力で現金支払い率をふやさざるを得なかった事情などから、この急増に要した運転
資金
は、
金融
機関
からの三カ月程度の短期の借り入れ、手形借り入れにたよらざるを得ないような事情にあったわけであります。三月下旬というのは、そのちょうど返済時期に当たってまいります。 第二には、年末に急増いたしました支払いを手形支払いの増加で切り抜けた
企業
もあるわけなんですが、私ども、もちろんずいぶんと手形の発行高をふやしたわけでありますが、これらの手形サイトが九十日ないし百二十日中心になっておりますから、これの決済時期もまた三月、四月に集中してくるわけであります。 第三に、中小零細
企業
は、各地方自治体の行なっております制度
融資
、特に年末
融資
に殺到いたしました。この年末
融資
の返済期も、御承知のとおり大体三月下旬になっているわけであります。 第四に、こうした事情の三月、四月を迎えまして、実質的な売り上げ、つまり、いやおうなしに値上がりしてふくれあがった売り上げ金額ではなしに、数量です、その落ち込みがなく、また売り掛け金が順調に回収されるという事情があれば、ある程度決済
資金
は
改善
がつくわけでありますが、御承知のとおり、建築
建設
業などを筆頭にいたしまして、実質的な売り上げというのは落ち込んでいるわけであります。また、一部では大
企業
の
値上げ
予告が早くから行なわれたことや、また一種のおどかしもありまして、いやおうなしにかかえ込んだ高値在庫、これを持っている
企業
もあるわけです。さらに、倒産の急増による信用不安も手伝いまして、通常の営業の方法、つまり営業取引の中から必要な決済
資金
を
確保
するということがむずかしいという逆の事情が生まれてきておるわけです。 第五に、そこで今度は
金融
機関
のほうなんですが、年末の短期借り入れの書きかえ継続とか、あるいは銀行独自の
融資
で自治体の年末
融資
の返済に対応するというふうな態度が
金融
機関
でとられるならば、これまたやりくりがつくのでありますが、逆に、書きかえに応じないとか、制度
融資
は一たん返済しろ、こういうふうな態度に銀行のほうが出てきているわけです。こういう状態は、
政府
としても十分調査もされ、認識をしておられるとは思うのですが、以上のようなことしの三、四月の特別苦しい中小零細
企業
の状態というものはお認めになりますか。
外山弘
214
○外山
政府
委員 今回の
中小企業
を取り巻く環境の
金融
情勢、物資情勢に関する状況の把握につきましては、私どもも非常に慎重に念を入れて見てまいりましたが、ただいま御指摘のような
事態
、つまり手形の決済期の問題、あるいは総需要抑制の結果からくる需要の減退の問題、そういった点が特にこの三月、四月を中心にして、業種によってはかなり強く出てくるのではないかというふうな懸念を私どもも持っております。したがいまして、それに対応するような
措置
を実は先般もとったわけでございまして、一般的に申しますと、いま御指摘のような事情の推移を注意深く見守っているというのが
現状
でございます。
瀬崎博義
215
○
瀬崎
分科員
昨日
通産省
がお出しになった、いま言っておられる緊急対策がはたしてそういう深い認識の上に立ったものかどうかはこれから論ずるところといたしまして、もう
一つ
加えておきたいことがあるわけです。 それば狂乱
物価
のもとで、それでなくても低
水準
にあります
中小企業
労働者の大幅賃上げの問題です。これが当面やはり
中小企業
にとっては急務になっているわけで、中小の経営者も、
物価
高騰、インフレの共通の被害者といたしまして何とかこの労働者の要求にはこたえたい、財源捻出に頭をひねっているわけであります。大
企業
の場合は、もう
国会
でも明らかにされているとおり、文字どおりこの
石油
危機に便乗して大もうけしたわけであります。蓄積があります。ところが、その犠牲になった
中小企業
は結局財源を何らかの借り入れに依存せざるを得ない状態に立ち至っております。また、家族だけで
一つ
の
事業
に打ち込んでいる小零細
企業
の場合には、自分たちの生活費の高騰を所得によってではなしに、これはどんぶり勘定になっている場合が多いですからはっきりと区分けはできませんが、
資金
繰り、つまり借金の中から生み出しているような場合が多いわけであります。これにいまおっしゃった
政府
の総需要抑制なるものが、全
国民
的に見れば、
日本
列島改造関連の
事業
は温存しながら下水道
事業
などの生活関連とかあるいは
国民福祉
のほうがカットされている。これが、
中小企業
の置かれている立場で見れば、大
企業
の仕事や製品のはけ口は保証されているけれども、中小零細
企業
の仕事が大きく奪われているという、こういう結果も生み出しております。ですから、そういう
意味
では
中小企業
は減産
資金
的な、あるいは営業縮小
資金
的な、こういうものの借り入れの必要にもいま迫られております。 ですから、以上申し上げておりますような
融資
の必要性は全く一時的な潤滑油にすぎないこと、これはわかり切っているのではありますが、といって、当面それがなければ
中小企業
の営業は焼けついてしまう、こういう状態なんです。まさにせっぱ詰まっております。 こういう
意味
で、私は先ほど、特に例年にない苦況にあることを認識していただいておりますか、それに見合った対策をとっていらっしゃいますか、こうお聞きしたわけなんですが、いま申し上げましたような状態に照らして、
政府
がとっている緊急対策が十分であるとお
考え
ですか。
外山弘
216
○外山
政府
委員 先ほども申し上げましたように、手形の問題、あるいは需要の減退の問題、あるいは賃上げの問題、こういった現象がいつもとは違って中小零細
企業
に対して大きな影響を与える情勢にあるということは、もう御指摘のとおりだと思います。私自身もいままで一月、二月、慎重に見てまいりましたけれども、やはり三月は一、二月に比べると問題の多い月であるというふうな判断から、とりあえず三月用に追加をお願いしたわけでございますが、問題はさらに御指摘のような事情は四月以降にも注意深く見守らなければならない状況の変化だろうと思います。したがいまして今後も、四月以降も含めまして、いろいろな先ほど御指摘のような事情も含めて、よく
中小企業
の業種別の
実態
、全体だけではなくて個々にやはりいろいろ問題が起きておるわけでございますから、そういう点はよく見詰めながら適時適切な
措置
を四月以降も十分対応してとってやきたい、こう
考え
ている次第でございます。
瀬崎博義
217
○
瀬崎
分科員
中小企業
庁としては、従前とは違った困難な状態、特別な事情のもとに
中小企業
が置かれ、したがって特別な対策を今後とも必要とするということはお認めになったわけですね。 現実に業者はどういう状態でこれをしのいでいるかと申しますと、
一つ
は、一応業者がいろいろと団結して運動も起こしまして、地方自治体によっては、
経済
変動緊急対策
資金
的なものを新設いたしまして、これで対処しているという面があります。しかし、これは
資金量
から見ればきわめて少ない部分だと思います。 二つには、これは最も好ましくない傾向でありますが、町の
金融
業者が繁盛する。つまり高利貸しへのかけ込みがふえ、この高利金利は狂乱
物価
以上の高騰をいま示しているわけです。 三つ目には、やはり一番多い道でありますが、市中銀行へ借り入れをふやすべくお百度を踏んでいるという状態なんです。ですから、この市中銀行に対しての
政府
の
指導
がどうであるかということも、今日の
中小企業
の
金融
には大きな影響を及ぼすわけでありますが、具体的に、この緊急対策に書いてあるようなより一そう円滑をはかるという、こんな抽象論ではなしに、具体的に
中小企業
向け貸し出しの基本方針、あるいは基準等について
政府
は銀行にどういうふうな指示、
指導
をしていらっしゃいますか。
米山武政
218
○米山
説明
員
金融
が非常に逼迫しておる際に、そのままほっておきますと、どうしても弱い
中小企業
がしわ寄せになるという懸念がございますので、そういう際には相当強力に
指導
いたしております。特に年末には各
金融
機関
に対しまして、引き締め下にもかかわらず、前年以上に
融資
するように、これは全体として三兆近いワクを年末には
確保
するようにという
指導
をした事例がございます。現在のところ一応相当強い引き締めをしておりますので、市中銀行は非常に
資金
繰りが苦しくなっておりますが、その中でもできるだけ
中小企業
に対するシェアを落とすことのないようにというふうに
指導
しております。
瀬崎博義
219
○
瀬崎
分科員
いまの御答弁でいきますと、年末とは違った三、四月独特のきびしい状況に
中小企業
が置かれているという事情の反映によって新しく
指導
を加えたという事実はなさそうですね。銀行の状態はまずきょうは論じませんが、表面金利がおおむね
中小企業
に対して年一〇%をこえ、高いところになりますと十二、三%を示しております。これに保証料が多くの場合は追加されるという状態、さらに実質的な拘束預金、主たるものは歩積みと両建てでありますが、これが増加いたしまして、いまおっしゃっているのとは全く反対の現象、つまりわれわれ業者側から見るならば預貸率がきわめて悪化してきているのであります。これは事実であります。さらに銀行へ手形割引をお願いに行きますと、銘柄選別が非常に強化されまして、持っていった手形がそのまま受け取られるということはまれであります。これら拘束預金と手形割引における選別問題、こういう点については十分な御認識を持っていらっしゃいますか。
米山武政
220
○米山
説明
員 ただいまの歩積み両建ての問題でございますが、この点につきましては、先生御指摘のとおり、
金融
がつまってきますと、どうしてもこの歩積み両建てが増加するという傾向が従来ございました。私どもは、御承知のように三十九年にきびしい自粛の通達を出しておりまして、これは五月と十一月には拘束預金の
現状
について
報告
をとることにしております。この
報告
によりますと、この十一月には半年前の五月に比べましてさらに減少して、引き続き減少の傾向をたどっております。しかしながら、私どもはこの銀行の
報告
をそのままうのみにするわけではございませんで、銀行検査の際には必ずその支店ごとに歩積み両建てだけを特別に検査するということを行なっておりまして、それによりますと、やはり
報告
どおりではございませんで、なかなかきれいごとを言っているようなところを
実態
を調べてみますとそうでないような事実がございまして、そうした事実を検査で見つけますと、その銀行の全支店に対しまして再調査をするというふうにしてこれを減らすように努力しております。現在確かに
報告
は全貸し付けに対して八%程度の拘束預金と、こういうことになっておりますが、これは
実態
はもう少し多いというふうに認識しておりまして、この
実態
検査のつど厳重にその辺を調査しております。 それから、いまの手形の銘柄の件でございますが、銘柄選択、こういうことでございますが、
中小企業
についてはこの際なるべくそのシェアを落とさないようにというふうに努力するようにしておりますが、やはり非常に悪い手形はともかく、いま申しましたようにこういう引き締め下でもできるだけ
中小企業
に配意するようにという
指導
をしておりますので、この際従来と比べて特にきびしくなったというふうには私どもは
考え
ておりません。
瀬崎博義
221
○
瀬崎
分科員
八%という数字をあえてここであげられていること自身がやっていらっしゃる調査がまゆつばものであるということを示していると思うのです。私のようにれっきとした共産党の
国会
議員が経営をやっている
企業
ですら、とても八%どころの預貸率ではないわけなんです、銀行側はずいぶん遠慮していると思いますが。私たちも常識的な線で対応しておりますが、同時に個々の支店ごとに調査をして具体的に
指導
しているとおっしゃいましたが、じゃ過去その
指導
にひっかかった銀行の名前をあげていただけますか。
米山武政
222
○米山
説明
員 ただいまの八%の問題について、ちょっと簡単に……(
瀬崎
分科員
「その問題はいいです」と呼ぶ)現在銀行を調査する場合に、大体支店の二割ぐらいを検査することにしております。その中で大体五支店ぐらいは歩積み両建てを中心に検査する、こういうことにしております。 なお、その具体的な名前につきましては、検査の問題でございますので、ちょっと名前は申し上げられません。
瀬崎博義
223
○
瀬崎
分科員
検査の問題じゃないのです。具体的に行政
指導
したというのですから、その行政
指導
した銀行の名前だけ言ってください。これは一種のそういう悪徳商法をやっているわけですから明らかにする必要があるでしょう。でないとまた
国会
に呼ばなければならぬことが起こるじゃないですか。
米山武政
224
○米山
説明
員 検査は年間に相当やるわけでございます。いまのは検査の過程でそういうことをしているということでございます。大体四十七年度には八十行やっております。
瀬崎博義
225
○
瀬崎
分科員
検査を何ぼしたかを問題にしておるのではなくて、実際に
政府
が調査した結果発見した歩積み両建てに対して、どの銀行をどのように具体的に
指導
したのか、これを聞いているんですが、言えませんか。それだから実際にはあとを断たないわけです。 とかくのうわさのあります関西糸のある相互銀行で次のようなケースがありました。
資金
を借りた業者自身の要請で、私も実際にその支店に行きまして事情をつぶさに調べました。驚きました。一昨年十一月二十八日クリーニング業のAさんは、この相互銀行の支店で十八年返済、年利九%の住宅ローン二千万円を借りたわけであります。借り入れの四日後の十二月二日には借り入れ諸
経費
等建築契約金として支払う六百五十万円を除いた一千三百四十九万二千二百円を全額定期預金に銀行はとってしまっているのです。強い立場の貸す側の銀行のおそらく貸し出し
条件
の
一つ
だったと思われるのです。 建築資材高騰の昨年の状況は御承知のとおりです。建築業者から支払いをせき立てられましたために、Aさんは二百万円とか三百万円とかの定期預金を今度は担保にして、もう一度銀行から借りて払う羽目になったわけです。昨年五月一日五百五十万円だけの定期預金は払い戻しされましたが、残りの七百九十九万二千二百円は十一月三十日期日の定期預金として留保されたのであります。そこでまた定期担保でAさんは支払い必要金額を借り入れることになりました。まさに二重に借りているかっこうなんですね。 十一月三十日になりました。ぜひ定期預金全額払い戻すようにとAさんは支店長に懇請をされたわけであります。そのころはちょうど建築単価の高騰が極に達し、第一建築資材そのものの
確保
が現金を持っていてもむずかしいという状況でした。契約どおりの支払い
条件
で工事の進捗するはずがありません。ところが、支店長は銀行の方針ということで十一月三十日の定期満期日に、それまで定期担保で借り入れになっていた三百五十万のみを相殺して預金から落とし、残額の元利とも四百六十万八千二百三円なるものを再び今年二月二十八日期日の定期預金にしてしまったのであります。 これについて私が立ち会って話を聞いている限りでは、Aさんと銀行との了解は全くなかった模様であり、少なくとも私のただしたところでは預金証書は本人にわたっておりません。預金証書の預り証も銀行は発行しておりません。担保の差し入れ証もありません。また、先ほどおっしゃった十一月五日に発行する拘束預金通知書についても発行したという確言は銀行からありませんでした。 いまずいぶんと綿密な調査をしているようなお話だったけれども、具体的には銀行名を発表なさらなかった。そういうことだから、事実こういう
金融
難の時代になると、こういう全く反社会的行為としか思えないような事例が起こってくるのです。ひとつ
政府
の正式な見解として、こういう事実に対してどう対処されるのか、見解を聞かしていただきたいのです。
米山武政
226
○米山
説明
員 いまのお話まことに申しわけないことであると思います。特に私どもの
指導
ではいまの点で二点非常に問題の点がございます。第一点は貸し付けに当たって即時にそこで担保等を設定したり、即時にそこで貸し付けを預金に一部を振りかえることは絶対してはいけない。これは即時両建てといいまして、私ども最もいけないとしていることです。先生の御指摘には、そこがどうもあったようでございます。これは非常に遺憾なことだと思います。 それからその次は、歩積み両建ての場合も、やむを得ない歩積み両建てがあるわけでございます。ただ、先生の申されましたように、そういう場合には必ず本人にその旨を、両建て、そういうものはしているんだ、こういう目的で拘束しているんだということを必ず相手に通知し、それ以外のものはいつでも自由に引き出してけっこうです、こういう通知をしているはずになっております。いまの先生のお話ですと、拘束はしているという通知が来ていないということは、これはいつでも引き出せる。こういうことになっているにもかかわらず引き出しさせないというのは、これは私どもの
指導
に違反をしているわけでございます。そういう例は非常に少ないと思いますが、事実がありましたら、厳重にそういう点をなくするように
指導
したいと思います。
瀬崎博義
227
○
瀬崎
分科員
事実は少ないがと言われたところに問題があるので、こんなものはたまたま一例として出てくるわけで、それが出てくる背景には、相当悪徳ぶりをその体質として持っている銀行というものがあるわけなんです。 私があえていま銀行名と支店名をあげなかったのは、当日支店長が不在であって、次長と担当者としては一応何らかの埋め合わせを
考え
なければならないと言っております。これは決して担当者の
責任
でないと思うから、そういう
意味
で名前を明らかにしていないことと、私どもが大体において敬遠している、とかくのうわさのある、しかも相当広範囲に営業区域を持った関西系の相互銀行なんです。調べる気があれば、これだけのお話をしておけばどこの銀行かわかるはずなんです。ですから、そういう
意味
では、
政府
側の調査が誠意あるものであるのかどうか、これの試金石としても私はこの際は名前をあげないでおきたいと思います。ひとつその調査の結果と
指導
のお手並みを十分に拝見したいと思うのです。 さて、五月、十一月に一応両建て等について調査をしているとおっしゃいましたが、これは発表はいつでありますか。
米山武政
228
○米山
説明
員 五月、十一月に全国の銀行から財務局を経由して本省へ参りますので多少時間がかかりますが、大体五月の分は七月初め、十一月の分は一月初めにはまとまっておりますので、特に積極的に発表はしておりませんが、数字はいつでも御
報告
できるようになっております。
瀬崎博義
229
○
瀬崎
分科員
通産省
にもその通知は来ていると思うのですが、通知をその時期に受け取って、それは何らかの役に立てておりますか。
通産省
の立場から、意見を言うべきことは言っておりますか。
外山弘
230
○外山
政府
委員 通知と申しますか、資料としてはいただいております。そうしてやはり、その
内容
によってはさらに大蔵省あるいは
公正取引委員会
、両方に対していろいろ私どものお願いを申し上げる機会は常にございます。
瀬崎博義
231
○
瀬崎
分科員
時間がないからはしょりますが、いまのお話からいってもわかるように、おそらく抽象的な
報告
で、あまり実際の
中小企業
政策
、
金融
政策
に役立つものとは私は思えない。必要なことは、銀行という、つまり表玄関からの調査だけでは、これはきれいに飾ってありますから、大体ぼろは出にくいと思うのです、むしろ金を借りているほう、お台所のほう、
中小企業
者がどんなに両建てあるいは歩積みで四苦八苦しているかをなまに聞いていただく必要がやはりあろうかと思います。 この点では、いろんな業者団体等に自主的な調査等も依頼されまして、そういうことと、いまやられている銀行調査などを突き合わせられることが非常に必要であろう。これはひとつどちらの省がということではなしに、
政府
としてお
考え
をいただきたい点であり、これは中曽根
大臣
にお伺いしたいのです。両建て歩積みをほんとうになくするために、ひとつ業者側から実情をよく
報告
を受けるというふうなことも
考え
ていただけないかということであります。
中曽根康弘
232
○
中曽根国務大臣
その点は
中小企業
庁等を中心にしていままでも調べておりまして、私はその
報告
をかつて聞いたことがありますが、いま
金融
逼迫がこれから出てくるというおりでございますから、なお一そう努力いたしたいと思います。
瀬崎博義
233
○
瀬崎
分科員
たいへん抽象的ですが、やむを得ません。 特に、たとえば三月末になると、われわれのところへは支店長あたりがやってこられまして、月内に手形を割り引いて、月末はひとつ預金に置いていただけませんか、こういうあいさつがあるのです。これはなかなか断われないものなんです、借りる立場からいえば。そういう点では、具体的には行政
指導
だけで片づかない問題もあって、その方法というのはやはり
政府
系の
金融
機関
を中心とした制度
融資
の
拡充
になってくると思うのです。 さて、今度一定の
資金量
を
政府
系三行に追加されたようでありますが、去年の円フロートが行なわれた場合の三行に対する貸し出しワクの増加と比べて、どういうふうな関係にありますか。
外山弘
234
○外山
政府
委員 昨年のたしか三月の半ばだったかと思いますが、ドル・ショックに対する対応策として三百二十億の追加ワクを設定したかと思います。
瀬崎博義
235
○
瀬崎
分科員
三行全部でそんなに少なかったですか。
外山弘
236
○外山
政府
委員
政府
系三
機関
に対する貸し出し増加として、三月の
時点
で
措置
した点はそれだけだったと思います。
瀬崎博義
237
○
瀬崎
分科員
それとことしと、つまり資材の高騰とかインフレの状況を勘案して、さっきからいろいろ述べてまいりました深刻な状況を加えて、はたして五百億で、いま
国民
金融
公庫等にたまっている
融資
申し込みが第一はけるのかどうか、また、新年度に移るまでの間、つなげるのかどうか、この点については中曽根
大臣
にお聞きしたいのです。 昨年十月、大津で開かれました
中小企業
団体中央会の大会で、そのときは年末
融資
についてでありましたが、
大臣
は、私にまかしておけ、ずいぶん大みえを切っていらっしゃったように思うのですね。その
大臣
にしては、この苦しい年度末の対処
資金
として五百億円、私はどうもみみっちい感じがするし、また同時に、四月に相当
資金
が必要であることも見込まれるわけですから、四十九年度分についても相当やはり上期に繰り上げて貸し出せるような配慮が必要なんじゃないかと思うのです。その点についてのお
考え
も聞いておきたいと思うのです。
中曽根康弘
238
○
中曽根国務大臣
昨年の秋、大津でやりましたときに私は演説いたしましたが、そのときはたしか年末のことで、三千四百二十億円でしたか、かなり思い切った
融資
ワクを大蔵省と談判して設定しまして、十分ではないけれどもまあまあというラインを言って、皆さま御了承してくだすったと思います。 年度末になりましてとりあえず五百五億やりましたが、また、新年度にもなりましたら、その情勢によりましていまお話しのように繰り上げということも
考え
ていいと思っております。
瀬崎博義
239
○
瀬崎
分科員
新年度につなぐに、さらに不足があるというふうな状態は、年度内においての追加ということも
考え
ていらっしゃいますか。
中曽根康弘
240
○
中曽根国務大臣
年度内はむずかしいと思うのです。すでに五百五億やっておりまして、それで四月から新年度に入りますから、新年度の情勢等を見きわめまして
措置
したいと
考え
ます。
瀬崎博義
241
○
瀬崎
分科員
最後に、特に業者の数の面で最も多く利用されている
国民
金融
公庫について、一応これは内部の
指導
の面だと思うのですが、三百万が限度になっている無担保
融資
ですね、これを、保証協会が無担保で保証する限度五百万円と同じように引き上げる必要がある。なぜなら、増加運転
資金
を必要としている中小業者に担保余力がないということ、さらには
国民
金融
公庫でも受け取り手形担保の
融資
を認めてほしいこと、これは先ほど言いましたように、市中銀行が選別するからであります。同時に、経営悪化
企業
の返済猶予
措置
を昨日付の緊急対策でうたっておられますが、これだけではだめなんです。加えて、これにとりあえずの倒産防止の緊急
融資
がくっつかないと、せっかく返済猶予をしても、
企業
の立ち直りをささえることはできないわけです。その
意味
で、別ワクで緊急
融資
制度を国金の中にも設けるべきではないか、私たちはこういうふうに思うわけなんですが、こういう点で、ひとつ
政府
のほうで実行する気がないかどうかお尋ねをしておきたいと思います。
外山弘
242
○外山
政府
委員 まず第一点の無担保貸し付けの問題は、今回
中小企業
信用保険法の改正法律案といたしまして、三百万を五百万に上げることを
内容
とした御
審議
をお願いしているわけでございます。したがいまして、それが通過いたしますと、いま御指摘の
問題点
は五百万までできるというかっこうになるわけでございます。 それから、
国民
金融
公庫に別ワクを設けてやったらどうかという御指摘でございますが、今回は、やはり緊急に必要な運転
資金
の
確保
ということで、とりあえず三月に
国民
金融
公庫に二百五十億のワクを設定したわけでございます。他の
機関
に比べて
国民
金融
公庫に特別の配慮をしたつもりでございますが、やはりできるだけ多くの人にそういった緊急救済の
措置
が行くようにということも
一つ
の配慮でございまして、別ワクということではなくて、債務償還の猶予が必要なものについてはそれを具体的に
指導
するように、それから新たな貸し付けとしまして、限度のワク内でその二百五十億が有効に使われるということをもう
一つ
指示したわけでございまして、別ワクで同じ人に集中して
融資
が行くというふうなことについてはいまのところ
考え
ておりません。 第二番目の受け取り手形担保の問題につきましては、まだ今後検討さしていただきますが、なかなかむずかしい問題ではないかと思います。
瀬崎博義
243
○
瀬崎
分科員
ぜひこれは、行くところまで行きついている
中小企業
の救済策として、受け取り手形を
国民
金融
公庫でも一定担保とみなすような制度を検討してほしいと思うのです。同時に、
融資
はあくまで潤滑油でありまして、これが即
中小企業
の経営を健全にするすべてではありません。その点では、資材の高騰とかあるいは大
企業
製品の暴騰、こういうことこそ
中小企業
にとって一番困る問題であります。こういう点で、すでに
政府
も悪徳商法と認められている大
企業
の悪徳ぶりをほんとうに規制していただいて、そのことでほんとうの
意味
での
中小企業
の繁栄を守るように
政府
に要請して、私の質問を終わりたいと思います。
羽田孜
244
○羽田
主査
代理 これにて
瀬崎博義
君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
金瀬
俊雄
君。
金瀬俊雄
245
○
金瀬
分科員
私は主として通産行政について御質問いたしますが、与えられた時間が三十分でございますので、要点のみ質問いたします。答弁は簡単でけっこうでございますので、結論だけお願いいたします。 東京湾の京葉
工業
地帯で最近大きな
工場
災害が続いて起きています。このことについては御存じのことと思います。 チッソ
石油
化学千葉
工場
、丸善
石油
千葉製油所、出光興産千葉製油所、宇部興産千葉
工場
等でございますが、特にチッソ
石油
化学五井
工場
は続いて二度の爆発事故を起こしております。私はこのことに関連いたしまして質問申し上げます。 チッソの二度目の事故について、
通産省
が千葉県側とともに現場の調査をきわめて慎重に厳重に行なったようでございますが、事故の原因がどうであったか、前の事故と関連して、そのことについていま発表できるとしたらそれを発表していただきたいと思います。
林信太郎
246
○林(信)
政府
委員 ただいま御指摘のとおり、チッソにつきましては、昨年の十月八日たいへんな事故がございました。さらにこの二月十四日に再度事故を起こしておりまして、たいへん遺憾なことと存じております。 二回目の事故の原因につきましては、千葉県と私のほうの通産局並びに学識経験者数名によりまして、目下検討中でございますが、ただいま現在でわかっておりますところは、チッソのアセトアルデヒドの反応塔におきます触媒を再生処理する工程で、酸素を注入する装置がございます。その装置の中に逆どめ弁がございますが、その逆どめ弁の不良からガスが逆流をして、それが酸素と化合いたしましてああいった高度の熱を出す、それでパイプが破裂する、一名の火傷を出すというふうな経過をたどっております。いまの
段階
ではその程度でございまして、引き続きもっと的確な、周到な調査、原因究明を進めたいと
考え
ております。
金瀬俊雄
247
○
金瀬
分科員
操業再開の問題ですが、これはいまお話がございました、原因がはっきりつかめて、その上で重ねて
改善
対策とかいろいろな
調査研究
が済んだ上で許可するのか、あるいはすぐ許可するのか。私どもとしますと、少なくとも地元の人たちに将来不安の念を起こさせないようにいろいろと配慮してほしいということでございますが、いまあなたのほうで
考え
ている再開の見通し、あるいはこの爆発による
企業
責任
というものをどういうふうにとらせるのか、そういうことについて御
説明
願います。
林信太郎
248
○林(信)
政府
委員 ただいま申し上げましたような、原因が、使いました触媒の再生処理を酸素注入によって加速的に行なおうという工程で起きた事故でございます。実はこの工程は、本来もともと設計されましたときにはなかったものでございまして、その後、ただいま申しましたような工程の迅速化という見地からつけられたものでございます。したがいまして、関係者が寄りましてその原因、特にだれが原因かというような問題は別といたしまして、技術的な原因のプロセスといたしましては、その酸素の工程を撤去いたしまして本来もともとの設計で操業する分には差しつかえないという判断で関係者は一致いたしております。そういう判断に基づきまして、三月四日付で知事の名前ですでに再開を許可いたしております。
企業
責任
につきましては、ただいま、そのもともとの部分に付加いたしました触媒迅速処理装置の設計あるいはその扱い方等をもっと検討してから、
責任
の所在を明らかにしてまいりたいというふうに
考え
ております。
金瀬俊雄
249
○
金瀬
分科員
このチッソの
工場
の近くの住民が、たび重なる爆発とかあるいは
公害
とか、いろいろなことで集団移転をしたいということを強く希望しまして、いま地元の市とか県とか国に対して陳情をしておるわけですが、これに対します
通産省
の対策についてお伺いをしたいと思います。
林信太郎
250
○林(信)
政府
委員 ただいま先生の御指摘のように、付近に百七戸の民家がございます。たいへん不安な状態に置かれているということは早くから私どもも承知いたしております。この問題を抜本的に解決いたしますためには、
一つ
は、
企業
側に保安距離を十分とらせるという
措置
ではなかろうかと思っております。したがいまして、昨年すでに、現在の省令できめられております二十メートル以上という距離を、新増設の場合には二百メートル以上、それから既存の
工場
の場合には民家との距離において、少なくとも百五十メートル程度という
指導
方針を明確に打ち出しております。この線で関係の未達の
企業
を鋭意行政
指導
いたしておりまして、それに従って、すでに着手をした
工場
も出ておるような状況でございます。抜本的に、なおこういった暫定行政
指導
でなくて、規則でどうするかという問題は、現在高圧ガス
審議
会において検討中でございまして、ここ数カ月のうちに科学的な公正な結論が期待されるところでございます。 問題は、地元におきましてただいま先生御指摘のような不安がございます。
工場
外の問題は、現在の高圧ガス取締法によりますと知事の権限になっております。したがいまして
工場
外の問題は、高圧ガス取締法では法域外になっております。一般的な知事の仕事の範囲内の問題としてすでに扱われておりまして、現在の問題につきましては、地元の希望に従いまして土地区画整理
事業
という形で、現実に千葉県庁のほうで市と一体になって具体的に進めておられる状況でございます。移転の地籍の測量だとか代替地の選定だとか、あるいは暫定的な居住先の選定といったような問題が進んでおります。私どもといたしましても、化学
工場
の周辺の住民の方々の不安解消には常に重大な関心を持っておりまして、自治体及び
建設
省に対しまして、積極的にそういった意向が早く実現するように働きかけてまいっておりますし、さらに
企業
に対しましても、地元と融和するという見地から、極力協力するように現在までも、さらに今後とも
指導
する所存でやっております。こういう方法でチッソのケースにつきましても、千葉県庁それから
建設
省に対して協力要請をしてまいった状況でございます。
金瀬俊雄
251
○
金瀬
分科員
こうした事故を起こした場合、
工場
側、事故を起こしたほうの側は、端的にいうと加害者ですね。そうすると、そこに住んでいた住民というのは被害者になるわけです。こうした場合、移転費用とかそれにかかる費用というのは加害者が出すというのが、これは事故発生源であるし当然だと思います。そういうような
考え
方は
通産省
にありませんか、加害者が出すべきであると……。
林信太郎
252
○林(信)
政府
委員 爆発あるいは火災によります付近住民の方々に対します加害の態様でございますが、家が焼けたとかそれからそれが直接原因でけがをしたというふうな分につきましては、明らかに加害者でございますから、一〇〇%の
責任
が
企業
側にございます。ただ非常に心理的に不安を与えたということだけでもって、この移転費用を
企業
が全部見るというふうな形のものではないと
考え
ております。 一般に、化学
工場
の周辺に
工場
設置と前後して、あるいはその後におきまして、人家が立て込むというケースがかなり全国で見られるわけでございます。そういった状況が、したがって爆発を契機にして不安問題が起きるというふうなケースもございますが、そういう場合は通常、県あるいは
市町村
等自治体においてどうするかというふうに問題を扱っておられまして、その際に、
企業
も地元と融和していくという見地から、可能な限り協力申し上げるというふうな形でございます。私どもも、そういう形における強力な行政
指導
をいたしておる状況でございます。
金瀬俊雄
253
○
金瀬
分科員
熊本の知事が来て、三木環境
庁長官
とチッソのことについて話し合って、チッソは金がないから国で立てかえてやるということをはっきりと新聞で発表になっている。これはそうですか。
林信太郎
254
○林(信)
政府
委員 いまの先生御指摘の問題は、熊本のチッソの水俣湾しゅんせつ問題にからむ問題かと思っております。(
金瀬
分科員
「ヘドロ処理だ」と呼ぶ)はい。この問題は、実は環境庁が所掌してやっております。私どものほうはまた聞きでしか存じ上げておりませんが、三木長官が最近見えました地元の漁民の陳情団に対しました御返事といたしましては、三月中にこの知事と会って決着をつけるというふうな形でお答えになったというふうに聞いております。
金瀬俊雄
255
○
金瀬
分科員
これ、同じチッソ、同じ
工場
ですよ。千葉のチッソ
工場
も熊本のチッソの
工場
も同じ
会社
ですよ。一方は水銀を出す、要するに国でめんどうを見るというんでしょう。一方は全部県や市費でやれ、これはおかしいじゃないの。同じ
工場
ですよ、経営者は同じだ。ですから、これは移り住んできたんじゃなくて、昔からここへいるところへ、移り住んできたのはチッソのほうだ。住民が移り住んできたんじゃない、チッソが移り住んできたんだという。あなたのお
考え
はたいへんおかしいよ、そういうことでいうならば。そう思いませんか。
林信太郎
256
○林(信)
政府
委員 水俣湾しゅんせつに伴います費用につきましては、県なり国がかわってめんどうを見るというふうな話があったというふうに、ただいま先生のお話ございましたが、私どもはそういうふうに聞いておりません。
金瀬俊雄
257
○
金瀬
分科員
これはチッソが払うのが当然だけれども、チッソに金がないので国が立てかえるとはっきり発表していますよ。立てかえじゃないの、テレビでもちゃんと言っている。
林信太郎
258
○林(信)
政府
委員 その問題は、私ども所掌外のことでございますが、私どもが事務的に向こうの事務方から聞いておりますところでは、そういうふうには聞いておりません。
金瀬俊雄
259
○
金瀬
分科員
新聞にはこう書いてありますよ。三木長官と沢田知事が会って、それで工事は県がやるけれども港湾局に委託してやる。それで費用はチッソの
工場
で出す。その出す間のめんどうは国で見るといっている。そういうふうにはっきりいっているよ。
林信太郎
260
○林(信)
政府
委員 現在のチッソの経理状況からいたしますと、期間の収支からいいましても
赤字
でございます。さらに五井
工場
がかせぎ手でございますが、これが爆発で長くとまっておるというふうなことから、なお一そう悪い。したがいまして、現在の
金融
の仕組みからいたしますと、しゅんせつの費用をチッソが出し得る状態だとは
考え
られません。そこで、しゅんせつに伴います費用の
責任
は主たる原因者である——あるいは唯一かもわかりませんが、主たる原因者であるチッソが負担すべきものである。これには主として負担すべきものであり、その根拠法規としては費用負担法あるいはその他の関係の
公害
諸法規があろうかと思われます。問題は、ただいま先生が御指摘のように、金がないので一時国もしくは県が立てかえるということでございますと、私は、そういう
情報
はいま先生から初めて伺ったのですが、もしそういうことだといたしますと、それは
融資
になるわけでございます。したがいまして、チッソの
責任
を国が立てかえたことにはならなくて、振りかえで受けたことになりませんで、つなぎの
融資
のめんどうを見たということかと思います。化学
工場
におきますそういった
融資
はやはりございまして、出光の
工場
の爆発を契機といたしまして、周辺に四十数戸の民家がございます。この移転問題が再び起こりまして、地元の市が中心になりましてその移転をはかる。その際、
公害
防止
事業
団あるいは
建設
省の緩衝緑地促進の助成費といったようなものを援用してそれを進める、こういうケースはございます。
金瀬俊雄
261
○
金瀬
分科員
あなたの話を聞いていると、環境庁の話とあなたのほうの話が、同じ
政府
でたいへん食い違っているのですよ。総理
大臣
は同じだと思うけれども、非常に食い違っている。片方は確かに立てかえですよ。あなたは金がないと言っているけれども、興銀がついている。 〔羽田
主査
代理退席、
主査
着席〕 興銀が千葉のチッソに金を貸すときに、どういう貸し方をしているとか、貸した金をどういうふうに運転しているとか、土地売買でどういうふうなことをチッソがやっているとか、興銀の下請けである不動産屋がどういうことをやっているかということは、あらためて
国会
で問題にしようと思うけれども、あなたのそういう
考え
方はおかしいと思うんだ、これは明らかに
企業
責任
だ。あなたの話を聞いていると、県と市が
責任
があるような話だよ。爆発した。そして近所の人がおつかなくていられなくなった。きょうの新聞にも出ている。五千世帯の人が要求すると書いてある。チッソから出てくるいろんな廃棄物でトタン屋根がみんな腐っちゃったと書いてある。はっきりきょう書いてある。そういう状況まで出ているんだよ。爆発だけでなくて
公害
も出ているし、大気汚染とかいろんなことが出ている。昔から住んでいる人は漁師ですよ。きょうの新聞にちゃんと書いてある。屋根にさわっているじゃないの。そういう状況であるから、これは当然加害者であるものが負担すべきなんですよ。加害者であるものが負担すべきであって、千葉県とか市は被害者でしょう。あなたの話だと、被害者が被害者に出すような話ですよ。それはチッソ擁護であって、住民追い出しと同じことだと思うのです、あなたの話を聞いていると。チッソという
工場
をあなた方は守る、住民を追い出すことを市とか県に強制するような話だ。これについては、時間がないので、あとでまた論議したいと思いますが、あなた方も環境庁その他と、熊本県と千葉県と同じ
会社
ですから、どういうふうに取り扱うべきかということについては十分検討してほしいと思います。 それから、先ほどあなたのほうから話があった、私が質問しようと思ったら、保安距離の問題について二十メートルということでいままでやってきたわけですね。今度は、新しい施設については二百メートル、それから既存のものについても百五十メートルになるように
指導
する、これは間違いございませんね。
林信太郎
262
○林(信)
政府
委員 すでにこの行政
指導
方針は昨年秋に方針をきめまして、実行に入っております。問題は、これは省令できめるべき事項でございます。具体的に省令でどうきめるかという問題につきましては、ただいま申し上げましたとおり、高圧ガス
審議
会において検討中でございます。
金瀬俊雄
263
○
金瀬
分科員
これは
昭和
二十六年に制定したのですね。そうすると、終戦直後ですね。そうすると、新鋭
工場
とかコンビナートとかいう
工場
のなかったころですよね。そうでしょう。全然なかったころでしょう。そうすると、その間ずいぶん爆発事故とかいろんなことがあった。いままで何で二十年間もこの法律を改正しなかったのか。怠慢と言わざるを得ないのですよ。いままでの二十メートルの法律では、竹やりで戦車に向かうような法律だ。そうでしょう。おかしいと思うけれども、いままでどうしてやらなかったのか、改正しなかったのか、その点についてお伺いいたします。
林信太郎
264
○林(信)
政府
委員 高圧ガス取締法の制定は、ただいま御指摘のとおり、
昭和
二十六年でございます。
日本
に
石油
化学コンビナートができました第一号が
昭和
三十三年でございます。したがいまして、それ以前の法律に基づく保安距離ではないか、したがいまして、コンビナートのような規模が大きくなりまして危険が累積化してくるようなものを規制する距離ではないという御指摘でございますが、実はコンビナートというものにつきましての安定的な保安の見解がなかなか定まりません。特に、当初は御案内のようにほとんど導入技術でございました。したがいまして、自主的な保安規則を別途通牒によって定めまして、それに従って実行していく、こういう形をとったわけでございます。 結果として申し上げますと、省令規則が二十メートル以上というふうな形にはなっておりますけれども、事実は百メートル以上あるいは千数百メートルというふうな形になっております。ただし、昨年の夏、秋にかけましての大きな事故を契機にいたしまして、とりあえず少しでも実体的な解決をはかろうということで、省令によらないで、行政
指導
という形で、この保安規則を、ただいま申し上げましたように、エチレンセンターの場合でございますが、新増設が二百メートル、既存のものは民家との距離で約百五十メートルというふうな方針をきめて、実行に入ったわけでございます。 いずれにいたしましても、保安距離問題は、
企業
が付近住民に対して、
企業
サイドとして、爆風圧とかあるいは輻射熱等々で災害を与えないためにきわめて重要な問題でございますので、目下そういう趣旨に即して、科学的に中立的に公正な結論を出すべく
審議
会で検討願っておる状況でございます。
金瀬俊雄
265
○
金瀬
分科員
保安距離の問題は、なるべく早い機会にひとつ法制化して出していただきたい、さように強く要望いたします。 それから、これはほんの小さい問題ですが、コンビナートを形成する大型プラントの許可手数料、
工場
の許可手数料ですね、これは九千円ですか。これは間違いありませんか。
林信太郎
266
○林(信)
政府
委員 御指摘のとおりでございます。
金瀬俊雄
267
○
金瀬
分科員
そうすると、LPガスの小さな販売店の開設手数料というのがあるのですが、これが一万一千円ですよ。そうなってくると、これは問題は小さいことですが、こういう小さいことまで大
企業
と
通産省
が癒着しているということの
一つ
の証明になるわけだ。ほんの小さいLPガスの許可が一万一千円ですよ。チッソのような大きなコンビナートが九千円、非常に矛盾しているというふうに思われますが、これについてはどうですか。
林信太郎
268
○林(信)
政府
委員 手数料問題につきましては、いろいろな
段階
で手数料がかかっておりまして、
事業
許可、あるいは製造設備の完成検査、あるいは販売所の開設にあたりましての許可等々、いろいろな
段階
がございます。したがいまして、同じ
段階
で比べてみないとなかなか、はたして差別的であるかどうか、公正かどうかということは判断がつきかねるわけでございます。 ただいま御指摘のLPガスの販売店の場合でございますが、これは法律で最高一
事業
当たり四万円になっております。高圧ガスでは六千五百円、これは法定の上限でございます。したがいまして、この法定された上限で比べますと先生の御指摘のとおりでございますが、実際は販売所ごとに手数料をとるというふうな形になっておりまして、それで比べてみますと、これは政令できめるわけでございますが、LPガスの場合は六千円、それから高圧ガスの場合には五千円というふうな形になっております。 それから、手数料のきめ方がアンバランスでございますが、このアンバランスは、一がいに
中小企業
に片寄って重いというような形ではございませんで、実は製造設備の完成検査という次元で比べてみますと、高圧ガスは四千円でございますが、ガスが七万円、電気が十万円というふうな形になっております。むしろただいま検討しております高圧ガス取締法の保安体制等々の扱い方の
改善
点といたしまして、この手数料につきましても、御指摘のようなアンバランスが見られますので、改めたいというふうに
考え
ております。
金瀬俊雄
269
○
金瀬
分科員
これはこういう大型のコンビナート
工場
の中間検査なんか、無料になっているのですよ。いろいろこまかく出していくと、明らかに不公正だということがわかるですよ。それから自動車が一番高いですよ。自動車の車検は十万円以上かかっていますよ。自動車の車検が、保険とかいろいろな手数料を加えると十一万円で、
工場
が九千円というのは、これはいかにもおかしいというふうに一般の人は感じますので、この点については十分御検討をお願いしたいと思います。 それから、時間がありませんので、最後にもう
一つ
、東京湾の袖ケ浦地区に東京瓦斯がLNG基地をつくっていますね。この基地の安全性についてお伺いしますが、一昨年ですか昨年ですか、ニューヨークで大きな爆発事故が起きたわけですね。これは御存じだと思いますが、管轄違いますか。ニューヨークで大きな爆発事故が起きたのを知っていますか、わかりませんか。
岸田文武
270
○岸田
政府
委員 一昨年、御指摘のような事故があったと聞いておりますので、私ども調査団を派遣いたしております。
金瀬俊雄
271
○
金瀬
分科員
大きな事故が起きた。いま袖ケ浦地区にたくさんガスが入ってきている、そういうことで、地元の人がチッソが爆発してから、あのガスタンクが爆発したらどうなるのだということで非常に心配しているわけですよ。だからあの安全性について絶対だいじょうぶならだいじょうぶ——あそこの油は地元で使ってないのです。全部東京に運ばれてきているのですよ。今度は海底を通して東京に揚げる、根岸に揚げるとか、あるいは陸上を通って全部東京都にきているのですよ。千葉県で使っているガスじゃないのですよ。東京で使うガスのために千葉県側が被害だけ受ける、おかしいじゃないかという地元の人の声もありますので、この安全性についてだいじょうぶなのかどうかということをはっきりひとつ伺いたい。
岸田文武
272
○岸田
政府
委員 いま袖ケ浦地区ではLNGのタンクがすでに三基稼働中でございます。なおそれに加えまして二基が
建設
中でございます。またその基地を中心といたしましてLNGの輸送導管の
建設
が進められておりまして、一部稼働中という状況でございます。これらの施設につきましては安全性ということを特に私ども留意をいたしまして、ガス
事業
法に基づく各種の検査を実施いたしておるところでございます。具体的
内容
は、ガス
事業
法によります技術基準に適合しているかどうか、あるいは主任技術者の選任あるいは保安規程の確認、これらの手段を通じて安全性の
確保
に留意をしておるところでございます。
金瀬俊雄
273
○
金瀬
分科員
時間がありませんので最後に
大臣
に質問いたしますが、千葉県の火力発電所はほとんどガス発電に切りかえる
準備
が進んでおるし、ほとんどまた終わっておるわけですが、約九百万キロが全部終わりますとガス発電になるわけですが、その
意味
におきましては
通産省
の努力あるいは
企業
の努力によって
公害
が少なくなる、亜硫酸ガスなりあるいは窒素酸化物が少なくなるということについては敬意を表する次第ですが、この場合に、資源
確保
という
意味
でガスが十分
確保
できるのかどうなのか、そのことについて、
大臣
は世界各国を回ってガス資源なり
石油
資源の
確保
のために努力されたようですが、このガス資源の
確保
ということについてはどうなのか、御
説明
願いたいと思います。
岸田文武
274
○岸田
政府
委員 いま御指摘のように、無
公害
という見地あるいは資源の多様化という観点あるいはカロリーの見地から、ガス
事業
及び電気
事業
につきましてLNG化の
計画
が進められております。これらの資源の
確保
につきましては、たとえば東京瓦斯の場合でございますとブルネイのLNG、これらにつきまして長期契約を結んでおりますし、また今後の問題につきましては、ダス島のLNGの導入
計画
もかなり現実化してまいっております。このように、これから逐次LNG化を進めていくために必要な原料の
確保
につきましては、長期契約の形で現地と話し合いを進めながら安定的な
供給
が
確保
できるような
準備
をいたしております。
金瀬俊雄
275
○
金瀬
分科員
この中で
田中総理
がインドネシアに行ったときに、
政府
が窓口になってガスを
日本
の国に
輸入
するということをきめてきましたね。それは御存じですか。その点についてどうですか。
山形栄治
276
○
山形政府委員
インドネシアのLNGの導入につきましては、御指摘のとおり先般総理がインドネシア訪問の際に調印をしてきたわけでございます。
金瀬俊雄
277
○
金瀬
分科員
そのガスはどういう形で入るかわかりませんが、地域的に見て一部分だけにそのガスが入るようになっていますね。それは御存じですか。
山形栄治
278
○
山形政府委員
お答え申し上げます。 このインドネシアのLNGは、インドネシア側からいたしましても、長期に一定数量の
確保
というのが向こうの
条件
に相なっておりまして、先般来引き取りにつきましては関西電力、中部電力、大阪瓦斯、九州電力、新
日本
製鉄等が一応長期的にこれを引き取るという前提で、年間大体七百五十万トンだったと思いますが、長期的な契約の前提で話を進めたわけでございまして、その
意味
で先生の御質問に応じているかどうかわかりませんが、一応長期引き取りの相手をきめながら具体的な
計画
を進めているという次第でございます。
金瀬俊雄
279
○
金瀬
分科員
このガスはどういうわけで関西だけに持っていって関東のほうに持ってこないかということを質問したいわけですが、別に
政府
のほうにいま発表できない事情があればけっこうですが、これは
政府
が窓口になってやるとすれば、一地域に限定したような
輸入
のしかたとか、あるいはそれの利用のしかたということについては相当疑問があるということを言っている人が多いのです。だからその点については、時間が参りましたのでここでお答えくださらなくてもけっこうです。あとで文書でなぜ
輸入
のしかたが一方的に偏しているかということについて御
説明
いただきたいと思っております。この点は文書でけっこうです。 時間が参りましたのでこれで打ち切ります。
湊徹郎
280
○
湊主査
これにて
金瀬
俊雄
君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
土井たか子
君。
土井たか子
281
○土井
分科員
私がここに持ってまいりましたのはトイレットペーパーの包装袋でございます。ひとつ参考までに持ってきてみました。この包装袋にはJISマークがございます。
通産大臣
、ひとつごらんいただいてまずお聞きしたいことがあるのです。 この包装袋には百十四ミリ掛ける六十五メートル、四ロール、二枚重ね三二・五メートルとございますが、このトイレットペーパーはいま
幾ら
で売られていることが
通産大臣
のお立場からするとよいとお
考え
でありますか。
中曽根康弘
282
○
中曽根国務大臣
たしかあれは二つあって、二百二十円と二百四十円と二つきめたと思いますが、それは二百四十円の口じゃないかと思います。
土井たか子
283
○土井
分科員
これは二百四十円です。やはり二百四十円で売っている店でこれは買い求めたわけでございます。 ところで
通産大臣
お伺いしたいのですが、これが百十四ミリじゃなくて百七ミリであって、六十五メートルじゃなくて六十一メートルである場合は
値段
は
幾ら
になるでしょう。
橋本利一
284
○橋本(利)
政府
委員 ただいま先生が御指摘になりましたように、標準品目としては六十五メートルのものをとっておるわけでございます。したがいまして六十一メートルというのは標準価格違反でございます。
土井たか子
285
○土井
分科員
この標準価格が出まして、それからあといろいろな問題が渦巻いているわけですが、特に消費者の立場からしますと、ここに表示してあるとおりの中身であるかどうか、それからさらにやはり何といっても問題になるのは価格でございますから、価格というものがほんとうに小売りの店先で守られているかどうかというのは関心の的なんですね。それで消費者がそれぞれ手分けをして、あれこれ調べるということがいまあっちこっちでございます。特に自治体でも、このことに対して熱心に取り組んでおられるところはかなり詳しくいろいろな具体的な事例に当たりながら調べておられます。兵庫県に生活科学センターというのがございます。
通産大臣
も御承知だと思いますが、ここで過日、これは二月の一日に標準価格が出て以後、トイレットペーパーの中身をいろいろと現物に当たって調べるという作業が進んでいるのです。その中で
一つ
判明をしていることをきょうは申し上げて、
通産省
とされてはこういう問題に対してどのように今後お
考え
になるかをひとつお聞かせいただきたいのです。よろしゅうございますね。 それで、大体兵庫県下の店について調べをいたしまして、一般小売り店、スーパーに当たってみたところ、大体二十点を抽出してまいりましてそうして調べました結果、ここに書いてあるのが五十五メートルという場合、五十五メートルあるかどうかというのを現物に出たって調べてみたのです。五十五メートルと書いてあるのが六十メートルあったら、これは大歓迎であります。五十五メートルをこえること、
幾ら
こえたってこれは大歓迎なんですが、調べてみて五十五メートルの表示に達しない、つまり五十一メートルくらいしかないというのまで含めて、中身がこの表示とは違う。それもよい
意味
で違っていればいま申し上げたとおりいいのですよ。表示に偽りがあるということがはっきり言い切れるのが二十点のうちの五点。全体からするとこれは二五%です。たいへんに私はこれは大きな数字だと思うのですよ。こういうことが事実具体的になっているのです。判明しているのですが、こういう問題に対してはどういうふうにお
考え
になりますか。
橋本利一
286
○橋本(利)
政府
委員 きわめて遺憾なことと思います。したがいまして、さらに監視を強化すると同時に、何度かにわたって一斉調査を実施する。その結果不届きなものがありました場合には、厳重に警告すると同時に、その店舗名等の公表を
考え
ております。
土井たか子
287
○土井
分科員
いまこういうトイレットペーパーなんかはメーカーで製造して、そして卸元から小売りに行くまでの流通過程を通じて消費者の手に渡る。その間、表示に偽りあるかないかというのはどこでどういうふうにお調べになるのですか。
橋本利一
288
○橋本(利)
政府
委員 現在も
計画
いたしておるわけでございますが、試買テストなるものを実施したい。現在
計画
中のものは、この三月の八日から十二日にかけまして全国の通産局を使いまして、トイレットペーパーについてはそれぞれ三十点、ちり紙については十点、これは抜き取り、急襲的に試買いたしまして、関係
機関
と申しますか、工検あるいは
消費生活
センターその他の権威のある信頼の置ける公共
機関
にテストを依頼いたしたいと思っております。
土井たか子
289
○土井
分科員
全国でトイレットペーパーを製造しているメーカーというのは大体三百十六社くらいですね。大手は十四社くらいでしょう。
橋本利一
290
○橋本(利)
政府
委員 ちり紙を含めまして大体全国で二百社程度かと思います。そのうち大手筋は御指摘のありましたように十社前後と記憶いたしております。
土井たか子
291
○土井
分科員
ならば、それはメーカーの
段階
で、それくらいの数ならば調べがつくのじゃないでしょうか。いままで標準価格というのをお出しになったのは、これは
通産省
の行政
措置
としてなされているわけですから、やはり標準価格ということをお出しになる場合の標準品に適合しているかどうかということに対してのお調べは
責任
がある問題なんですよね。それが何としり抜けであるということだと思います、いまも申し上げた事例というのは。 それだけでなしに、なおかつ、これはあげていきますといろいろ出ますよ。標準価格にきめられる際に目安重量というのがございましょう。目安重量というのも調べてみますと、目安に足りなかったというのが同じく二十点中六点もございます。それからJISマークが付してあるわけでございますから、JIS規格に合っていなければ困るのですね。このJIS規格というのは、これははっきり規格の中身がきまっているわけでありまして、長さ、幅、坪量、張りの強さ、吸水度、白色度等等あるわけですね。これについても少し検査を進めてみますと、二十点のうち半分以上がJISマークを付しながらJIS規格に合わないという事実があります。大きいですよ。こうなってまいりますと、これは消費者の立場からすると、JIS規格というのは信用マークでございますから、したがいまして、JIS規格があるものとないものと同じ価格で売っている場合には、JISマークのついているほうに手は参ります。そういうことからしますと、いま申し上げたような事例からすれば、一体何のためのJIS規格かということにもなってくるわけでありまして、いま先ほど申し上げた表示のメートルに足りない中身を売っていたということについては、申しわけございませんとおっしゃって、即刻やはり全国に網を張ってお調べになる模様ではありますけれども、もう
一つ
、それと同時にJIS規格について、いま現にどういうふうなこれに対しての検査がなされているのかということもあわせてお聞かせいただきたいのです。
橋本利一
292
○橋本(利)
政府
委員 幾つか御指摘になったわけでございますから、順を追ってお答えいたします。 初めに流通
段階
のみならず、メーカーに立ち入って表示を調査したらどうかという御趣旨でございます。そういう方法も
一つ
の方法かと思います。ただ、そういった
段階
で調べる以上に、流通
段階
で表示を誤って出しておる、こういった場合のほうが消費者に対する影響度が高いと
考え
ますので、先ほどお答えしたようなことで十分に監視を続けてまいりたい、かように
考え
ます。 それから第二点の重量の不足の点につきましては、これは先ほど先生も御指摘になりましたJISの問題といたしましては、長さ、重量あるいは吸水度、白色度といろいろな規格を書くことになっております。しかし、今回トイレットペーパーとちり紙につきまして標準価格を設定するにあたりましては、いわゆるそういった紙の性格としてエセンシャルなもの、本質的なものをJIS規格の中から取り出しまして、その代表的な品種を選び、標準価格を設定いたした、かようなことになっておりますが、それに関連いたしまして、重量につきましては、県並びに府県当局に対する
指導
通達の中に目安量も書いてございますので、それに従って
指導
監督をさせる、こういう手はずになっております。 それからJISについての問題でございますが、御指摘のようにJISにつきましては
工業
標準化法、別の法体系がございまして、その法律に基づきまして、わが省の
工業
技術院で随時立ち入り検査あるいは試買検査等をやることにいたしておりますし、かたがたJISにつきましては、表示許可
工場
制度をとっておりますので、悪質なものについては表示許可を取り消すといったような厳罰主義をもっても臨み得る体制になっておりますし、その方向で
工業
技術院当局が行政に当たっておると私は信じております。
土井たか子
293
○土井
分科員
この重量の問題については、通達で各府県に対して行政
指導
をなすったというお答えでございますか。行政
指導
を受けられた自治体のほうは、重量検査をやって、重量が合わなかった節は、これに対して何らかの
措置
を講ずる権限ございますか。ないと思うのですよ。それは、重量というものはこういうふうにきめられておりますというだけの
意味
しかないと思うのです。それをもって県のほうはどうこうしろといったって、権限がないのですから、何とも
意味
のない行政
指導
だと思うのですね。
通産省
のほうからもう少しこういうふうな点についてやはり抜本的に標準価格をおきめになる、これは行政
責任
があるわけですから、また現にもうおきめになった行政
責任
があるわけですからね。あとそれは価格の問題は言うまでもありませんが、価格をきめるに際して中身を問題にしておきめになっているわけですから、中身がそれに適合しているかどうかということに対しての監視、監督は十分にされなければこれは困るのです。全然この辺がなされてなかったということの一語に尽きると私は思う。したがいまして、この点についての、これからどういうふうにこの問題に対して対処なさるのであるかということをもう一たびお伺いしたい。
橋本利一
294
○橋本(利)
政府
委員 御指摘のとおり重量につきましては
指導
通達事項にいたしておりますので、直ちに処分という問題にはならないかと思います。ただし、そういった事例がある場合におきましては、本省等に連絡の上その氏名を公表する、あるいは他の店よりもひんぱんに立ち入り調査をするといったようなことで社会制裁的な立場でもって対処していきたいと
考え
ておりますし、かたがた先ほど申し上げました試買テストによりましてそういった
実態
を把握してまいりたいと
考え
ております。
土井たか子
295
○土井
分科員
これは試買テスト、サンプル抽出テスト等々いろいろございましょうが、これに対してどういうふうな機構を通じてどれだけの人員がどれだけの
予算
でお当たりになるということでありますか。
村岡茂生
296
○村岡
説明
員 試買テスト、一般論で申し上げますと、
通産省
の消費
経済
課というところに
予算
をプールしておりますが、年度間でほぼ四千万円程度の
予算
を持っております。試買テストの実行方法でございますが、いろいろなやり方がございますが、そのおもなやり方を申し上げますと、各通産局の職員がメーカーその他に黙った形で抜き打ち的に小売り店に買いに行きまして、それを資料として予定された数だけ買い集めます。それを
工業
品検査所あるいはその他の公共的な検査
機関
においてテストをいたします。そのテスト結果の事後
措置
でございますが、これはすべて公表をいたすとともに、必要がありますれば当該製品の回収その他の
措置
を命じております。
土井たか子
297
○土井
分科員
なかなかここでの御答弁は巧みなんですがね。実際問題なかなか
機能
的に動かないところが問題なんですよ。そこへもってきて御答弁では確かによい御答弁を私たち聞くわけでありますが、実際問題それが消費者の立場からすると自分たちの生活にじかに響くような動き方をしないところが問題なんですね。今回、いままでにない画期的なそれはやり方だというふうに
通産省
としては自負されるやり方であるかどうか、その辺いかがです。
橋本利一
298
○橋本(利)
政府
委員 画期的なものとして自負するかどうかということは別といたしまして、いままでにも試買テストというものは実施しております。ただ、今日の情勢というのは過去の、当時に比べましてきわめてシビアな状況にございますし、また御指摘のように消費者も非常に
物価
高に悩んでおるわけでございます。したがいまして、従来も採用した試買テストではございますが、この回特にそういった消費者サイドに立って試買テストの趣旨が十分に生かされるように、またそれが行政経験に反映されるように覚悟を新たにして対処いたしたいと
考え
ております。
土井たか子
299
○土井
分科員
いままでにも実行されてきた試買テストをおやりになるわけでしょう。いままでにもなさっていた中で、いま、先ほどから私が申し上げたような事例が現にあるわけですから、いままでと同じようなやり方じゃだめだということがここで申し上げることができると思うのです。そこで、今回思い切ったやり方でひとつやっていただかなければ困るわけですが、
通産大臣
、もしその結果これは不良品と申し上げていいと思いますよ、表示に合わない、まあ表示からいうと不当表示ということになると思うのですがね、そういう製品というものが具体的にあがってまいりますと、それに対しての
措置
をどうおとりになります。
中曽根康弘
300
○
中曽根国務大臣
これはそれ相応の品物による制裁
措置
を講じなければならぬと思います。情勢によってはJISマークをはずさせるとか、また情勢によっては
会社
を呼び出してしかりつけてその矯正を命ずるとか、また情勢によっては不当にもうけた金を返させるとか、いろいろその場合その場合に応じてやる必要があると思います。
土井たか子
301
○土井
分科員
まだまだそれは標準価格というものをおきめになった立場からすると、どうもそれば手ぬるいということが私たちからすると言えると思うのですが、ただしかし、現にこれはトイレットペーパーでも表示に違反した中身を標準価格を守っておりますという顔をして売られておるという事実があるわけですから、消費者からすると、よほどこういうことに対して調べようということでないと気がつかない問題ですよ。しかし、これは小さなことのようであって、大きな目で見てまいりますると、いまの標準価格そのものが一体どういうふうな問題をいま消費者の生活の中に呼び起こしていったかということを物語る氷山の一角だと思うのです。現に何種類とあるトイレットペーパーの中に標準価格をわずか二つ設定なすったわけですね、二百二十円と二百四十円という。この二百二十円と二百四十円という標準価格に合致していればよいということで、中身は合致していない商品を売るということになってくれば、これはそういう点からすれば、私はいわば実質的な
便乗値上げ
だと思うのです。実質的な
意味
の
便乗値上げ
だと思うのですよ。したがいまして、単にJISマークをはずすとか、メーカーを呼びつけてきつくおしかりになるとかいうふうなことじゃどうも済まないのじゃないか。やはりこれについては手きびしい
措置
を講じられる必要があると思いますけれども、こういう問題については、標準価格について
責任
をおとりになる
通産大臣
なんでありますから、どのようにお
考え
かということをお聞かせいただきたいです。
中曽根康弘
302
○
中曽根国務大臣
やはり何個それを売ったか調べて、そうしてその分だけ利益は出ているのですから、それを何かの形によって吐き出させる、消費者に還元することが非常にむずかしい場合には、今度ば五メートルも十メートルも長い商品をつくらせて、そうして同じ
値段
で売れ、そういうコンペンセーションをやれ、そういうことも
考え
られると思います。
土井たか子
303
○土井
分科員
そういうふうな
措置
を講じられた場合には、ひとつ消費者にもはっきりわかるような方法もあわせて
考え
ていただかないと困ります。それは
通産大臣
と業者との間でそういうふうに
措置
をいたしましたということだけを聞かされて、さようでございますかでどうも済まないように思いますから、ひとつはっきり消費者の目にあざやかにわかるようにそういう善後
措置
というものを明示していただきたいと思いますね。それにはいろいろな方法があろうと思いますが、ひとつそのことを申し上げたいと思います。 さて、この標準価格の問題なんですが、
通産省
のほうが公表をなすっているところによりますと、この標準価格というものは、まず標準的な製造コストを積算して、そうしてメーカー出し値をきめて、これに卸と小売りの流通マージンを加えて算定なすったというふうに
理解
いたしておりますが、これに偽りございませんですね。
橋本利一
304
○橋本(利)
政府
委員 およその線御指摘のとおりでございます。
土井たか子
305
○土井
分科員
そこでこういうことによって閣議でいろいろ了解をされ、そうして決定をされたのは一体いつでございました。
橋本利一
306
○橋本(利)
政府
委員 一月の二十五日と記憶いたしております。
土井たか子
307
○土井
分科員
それは一月二十五日というのは閣議で正式に決定された日ですか、内定をした日ですか、いずれでございます。
橋本利一
308
○橋本(利)
政府
委員 ちょっといま手元に数字を持ち合わせませんが、閣議決定になった日と記憶いたしております。
土井たか子
309
○土井
分科員
そうしてその閣議決定を二十五日になすって、二月一日からこれを実施するということで公にされた。そのときに、全国にある小売りの方々は、必ずその線でやっていけますというふうに
考え
られていたとお
考え
ですか、いかがですか。
橋本利一
310
○橋本(利)
政府
委員 それ以前に高く仕入れたものについては自信がなかったろうかと思いますが、今回の標準価格決定にあたりまして、当方といたしましても、メーカー出し値等の計算もいたしております。そういった価格で出る限りにおいては、小売り商でもその価格を順守し得るものと
考え
ております。
土井たか子
311
○土井
分科員
ある新聞社が全国にわたって小売り店についてこの調査をしてみたのです。アンケート方式で調査をしてみたわけですね。そうしますと、全国まんべんなく四十七小売り店にこれは無差別で抽出して当たってみた結果、そのうちの十三が、守れない。中にははっきり、困難だ。もう
一つ
いくと、もう売らないというのまであるのですよ。これはたいへん大きな問題です。二百二十円、二百四十円は守れないときっぱり言っているのから、もう売りませんというのまであるんです。こういうふうな事情について、こういう標準価格をおきめになってからあと、
実態
をどの程度調査なすっているか、お聞かせいただきたいのです。
橋本利一
312
○橋本(利)
政府
委員 ただいま申し上げましたように、十三軒の人たちが、守れない、あるいは困難、あるいは販売しないといったような感想を漏らしておりますのは、その以前に、故紙等の値上がりから、メーカー出し値あるいは最終卸価格が非常に上がっておる。その上がっておる価格を頭に置いて判断なされたのではなかろうかと思います。 当方といたしましては、先生御承知のとおり、小売り価格だけを標準価格として設定いたしたわけでございますが、反面、そういった小売り価格が標準価格の線で守り得るように、メーカー出し値あるいは最終卸価格等についても
指導
いたしております。 具体的に申し上げますと、小売り業者が標準価格で十分販売し得るように、少なくとも最終価格の一五%のマージンが第一線の小売り商によって
確保
されるように、卸売り等も
指導
いたしておるわけでございます。そういったところから、その後、現実に小売り商について、守れるか、守れないかといった調査は個別にはなしておりませんが、先日、二月二十五日にも、全国一斉調査をやっておりまして、これは小売り店のみならず量販店も含めまして、価格なり表示等の順守状況について調査いたしておるわけでございます。一部違反しておる者もございましたが、そういった者に対しては強力に行政
指導
いたした結果、現在ではそういった人たちも標準価格を順守しておるもの、かように
考え
ております。
土井たか子
313
○土井
分科員
これはもう全国的な現象なんです。ちょうど一月二十五日に閣議で正式決定がなされる以前、私、先ほど質問の中で、
通産省
が標準価格を出される前に、積算基礎としてどういうことを置かれていたかということをお尋ねし、確認をしましたね。その過程の中で、標準的な製造コストというのを積算してメーカー出し値をおきめになるくらいの
段階
のころからであろうとおぼしき時期から、小売り店に対しては、卸元からおろされるトイレットペーパーの値がずっと高くなっていっているわけです。ある東京の小売り店の方は、一パック四ロール二百八十円で品物を持ってきたと思ったら、数日後にはもう三百円、メーカー出し値が上がっているとしても、問屋の卸値のつけ方はでたらめ過ぎやしないかという発言がございます。また私自身のところにも電話やはがきや手紙のたぐいが小売りの方から参りましたが、私、ここにきょうは参考までに
一つ
手紙を持ってまいりました。そこでどういうことを言われているかというのを少し原文に即応して御披露したいと思うのですよ。 トイレットペーパーが十一月からパニック状態になってから我々小売業者は消費者が望まれる量も
確保
できず、入荷しても少々で、しかも卸価格(原価)が暴騰し)「この
値段
ではお客さんに気の毒で売られへんわ」なんて卸業者に文句をつけても「メーカーが上げてくるもん仕方おまへんわ。よろしかったらもって帰りまっさ」という売手市場の状態で売ってもらった状況でした。 一月に入りようやく紙製品の需給が落着したかと思うと入荷のたびに卸価格が上り、中旬以降になるとうそのように注文もしないのに入荷があり、丁度一月二十五日と記憶しているんですがNHKテレビでトイレットペーパーの標準価格決定というニュースを聞いて、はじめて最近入った紙類の価格(標準価格より高い原価)は「どないなるんやろ」と茶の間で主人が申しておりました。
考え
て見ますと標準価格決定というニュースが紙製品メーカーないしは一次卸問屋ぐらいは前もってわかっていたように思うのです。だから中旬以降から発注もしないのに配送されてしかも現金拂いです。 あすから標準価格実施という一月三十一日に一月中に入荷した価格が標準価格より高いので問屋に連絡すると「しょうまへんな、メーカーにも話してますがどないなるやわからしまへん、みな損してでも標準価格で売っとくなはれ、こっちもかないまへんわ」という回答であぜんとしたわけです。 せめて標準価格までの差額(原価で販売)を問屋ないしはメーカーでもってくれてもよいと思うのは無茶でしょうか。全部引取ってくれといってもそうはいかないということで、メーカ一、問屋はそれなりに利益を上げていますが、我々末端の業者だけが原価で販売するならまだしも
赤字
(一個四十五円から百三十円)で販売するということが
納得
がいかないのです。 店に来られるお客さんも一月から始まった標準価格が「安うなりましたなあ」と喜こんでもらっていますがこちらは多く売る程
赤字
です。 こういうことが書いてあるんですよ。これは小売りの方が損をしないように売ろうとすると、消費者は高い値のトイレットペーパーを買わなければなりません。きめられたとおりの価格で小売りが売ろうとすると小売りに
赤字
のしわ寄せがまいります。一体この間はだれがこの
赤字
を補てんするということになるのか。これはこの一軒だけじゃございませんで、実はこれはもう消費者とじかに結びついている零細な小売り業者の方々からの声であります。ひとつこの点についてどういうふうに
措置
されるかということをお尋ねいたします。
橋本利一
314
○橋本(利)
政府
委員 ただいま御指摘になった中で、昨年末にはさような
事態
も遺憾ながらあったかと思います。と申しますのは、色上だとか模造といったいわゆる故紙でございますが、これが二倍から三倍と非常に高くなってまいりました。その結果、製品も高くなる。われわれがこういったトイレットペーパーにつきまして標準価格の設定を急いだというのも、そういった製品高をできるだけ早く押えたいといった気持ちから作業をやったわけでございますが、昨年の暮れには御指摘のようなことがあったと思います。 ただ、二番目の問題といたしまして、注文もしないのにメーカーのほうからあるいは卸問屋のほうから小売り店に対していわゆる押し込み販売をしてきたといったようなケースも私たち耳にいたしております。あるいは、高値で仕入れたために小売り店がお困りであろうということも耳にいたしております。そのそれぞれにつきまして、たとえば注文もしないのに押し込み販売してきたものにつきましては、ケース・バイ・ケースに
値段
を下げさせて返済させるように
指導
いたしております。それから、押し込みと申しますか、注文をした結果入ってきておった。ところが、二十五日以降二月一日の標準価格実施
時点
までの間に高値で仕入れてしまったといった小売り店につきましても、これは一般的に申し上げますと、商業取引でございますから、当事者間で話し合いをすべきだという理屈もあるかと思います。ただ、特に小規模零細な小売り店については、そういった口頭だけの話では解決がつかない、さようなこともございましたので、私たちといたしましては、卸問屋あるいはメーカーに対しまして、そういった高値で仕入れた零細小売り店の立場に立って、その応分の負担を自分たちでもいたしなさい、かようなことで
指導
をいたしたわけであります。
一つ
例を申し上げますと、これはある一部でございますが、一月の二十一日から一月の三十日まで発送したものにつきましては、一月二十一日にさかのぼりまして、標準価格ベースでの仕入れ価格に改めさせる、さような
指導
をいたしておりますので、そういった対象になった小売り店については、先生御指摘のような問題は一応私たちとしては解決しておるものと思っておりました。ただ、まだそういった対策の対象に入っていない人たちに対しましても、今後ともそういった方向で
指導
してまいりたいと
考え
ております。
土井たか子
315
○土井
分科員
ずいぶん漏れているのがあるのですね、現にこういう声でございますから。いま業者に対して
指導
なすったということでございますが、いままでどういうふうなお話し合いで
指導
なすったんでしょうか、それとも通達の形式をもって
指導
なすったんでしょうか。
村岡茂生
316
○村岡
説明
員 具体的には和紙の連合会の役員とそれから各地域の代表者を
通産省
に招致いたしまして、こういう問題が発生している、ついては、先ほど局長が申し上げましたように、メーカー及び卸問屋相携えて、零細な小売り店だけでございますが、その在庫損というものを救済してほしいということを要望したわけでございます。したがいまして、通達、つまり文書による指示ではございませんでした。
土井たか子
317
○土井
分科員
どうも口約束というのはとかく忘れられがちでございまして、特に紳士協定というのは、紳士によって結ばれた場合には守られるんですけれども、紳士でない人によって紳士協定が結ばれても、これは
意味
をなさないのであります。したがいまして、そういう点から申しますと、やはり口約束とかそれから御相談の上でということでは、徹底しないと思うのですよ。いままだ、こういうふうな手紙を出したり、はがきでいろいろ通告をしたり、それから
通産省
のほうも直にこういふうな申し入れを電話で何件となくお受けになっているはずでありますが、こういうことをおっしゃる方々は全体の中の一部であります。そういう点を
考え
ますと、やはり徹底した行政
指導
というのはなされるべきじゃないでしょうか。その点からしますと、いかがでございましょう、少なくとも文書通達というのは——いろいろ形式が好きなお互い特性を持っているようでありますから、そういう点からしますと、こういうことがあるのにという客観的な証拠ともなるようなものをひとつはっきりさせていただきたいという
意味
も込めまして、この節、そういうことに対して要望したいと思うのです。
橋本利一
318
○橋本(利)
政府
委員 通達による指示等も含めまして、できるだけ周知徹底の方法を前向きに検討いたしたいと
考え
ます。
土井たか子
319
○土井
分科員
どうもこれは役所用語らしいので、検討、検討というのが次々に出てくるわけですが、この節、するのならすると、はっきりお答えいただいて、私終わりにしたいと思います。
橋本利一
320
○橋本(利)
政府
委員 通達いたします。
土井たか子
321
○土井
分科員
はい、けっこうです。 終わります。
湊徹郎
322
○
湊主査
これにて
土井たか子
君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
岡本富夫
君。
岡本富夫
323
○
岡本
分科員
最初に
通産大臣
に、
石油
価格の問題について、
石油
価格が上がるといろいろな物資に反映するのじゃないかということですが、端的に申し上げますと、
石油
価格の抑制は、
原油
が上がってきておるというわけで、大体めどとしていつまで可能なのか、
通産省
としての意見を伺いたい。
中曽根康弘
324
○
中曽根国務大臣
この点はけさも御答弁申し上げましたが、なかなか影響も大きく、かつ、いま
内閣
及び
自民党
内部において
調整
中の問題でございますので、いつということをここで明言することは非常にむずかしいと思います。
岡本富夫
325
○
岡本
分科員
そこで、この
石油
価格について、
原油
はどのぐらいの程度のところを想定しておるのか。要するに入札でいままでのあれを見ていますと、十一ドルで入札したとかあるいはまた八ドルでしたとか、いろいろありますけれども、私は、アメリカの代替燃料ですか、オイルシェール、こういうようなのが大体八ドル見当で採算が合うということでありますから、そんなにむちゃくちゃに
原油
は上がらないのではないかという
考え
ですが、
原油
を大体どのくらいのところに想定したコストをきめる
考え
をしておるのか、これについてひとつ……。
山形栄治
326
○
山形政府委員
原油
の価格につきましては、御存じのとおり、一月以降高い油が入っておるわけでございまして、これをわれわれとしましては通関の統計によりましてチェックし、かつ、一船ごとに、仕向け地といいますか、船積み地別に、油別に、これを現在集計いたしておるわけでございますが、二月の
段階
で大体バーレル当たり九ドル五十から十ドル程度の実績が確認されておるわけでございます。 いまお話しのオイルシェール等につきましては、先生御指摘のとおり、非常に技術開発が進みまして、一応のカロリー換算等をやりますと、一説によりますと八ドル五十とか十ドルというような話もございまして、それが油とのバランスの点であるということもよくいわれておるわけでございますが、何ぶんにもまだ世界的に技術開発もそう進んでおりません。それから、オイルサンド及びタールサンドにつきましては、この処理したあとの残滓の問題等、油に比較しまして、いわゆる
エネルギー
としての効率の面で劣る点もあるわけでございまして、現
時点
においては、そういう開発が進んでない
段階
でございますので、私のほうの見方といたしましても、油がやはり当面は
エネルギー
の大宗であるという
考え
方に立っておるわけでございます。
岡本富夫
327
○
岡本
分科員
これは新聞で報ぜられたのでありますけれども、いま
日本
の
石油
業者が八ドル台で入札をするように申し込んでおりますね。かりに九ドルから十ドルというようなところを想定した場合、それより安い
原油
が入った場合は価格を下げさすことができるのか。この点についてひとつ念を押しておきたいと思います。
山形栄治
328
○
山形政府委員
いま先生のお話に出ましたのは、おそらくクウェートの入札の問題かと思うわけでございますが、産油国はいわゆるDDオイルの入札をとっておりますが、ごく最近まではこれが十七ドルとか、場合によっては二十二ドルという高値が出ておったことは事実でございます。ごく最近、非常に画期的なことといたしまして、クウェートで
日本
及び西欧諸国の入札が九ドルぐらいの入札値が出て、現在再入札中ということに相なっておりますが、もちろんこういうかっこうでの今後の油の価格の低下というのは、当然に油全体の価格の低下に関係するわけでございます。 ここで
一つ
申し上げておきたいのは、われわれがよく言います八ドル程度の油といいますのは、中近東の
サルファ
の高い油でございまして、
日本
では
公害
対策も含めてインドネシア等から約二割近い、非常に低
サルファ
の油を入れておるわけでございますが、この
値段
は現
時点
におきましても十ドル八十セントでございます。近くこれが十二ドル程度に上がるという通報等があるわけでございます。
日本
に入ります油というのは、こういう油を全部加重平均いたしまして、先ほど私が申し上げました価格形成が行なわれておるわけでございまして、現在九ドル五十ないし十ドルぐらいの
日本
に人君の油の価格に相なっておるわけでございます。
岡本富夫
329
○
岡本
分科員
これは
通産大臣
に特に要求しておきますけれども、
原油
は、いまのところはいろいろなことがあると思いますけれども、将来こういったアメリカの代替燃料というものができますれば、私はそんなに世界的に高くならないんじゃないかということも
考え
られるわけです。したがって、
原油
が下がればコストをダウンさせていくというような
指導
が必要であろうと私思います。したがって、価格決定にあたりましても、ただ
石油
業者が高いものを買ってきたから高くするんだというのじゃなくて、安く買えるように努力さしていく、それが
日本
の
物価
対策であろうと私は思うのです。これは要求しておきます。 次に、今度は廃油ですね。どんどん仕入れるばかりでなくて廃油の活用というものが私は大事であろうと思うのです。私の調査によりますと、大体、これは神戸の石商の調査でありますけれども、ガソリンスタンドが神戸市内で千六百軒ある。一軒当たり一カ月約六百リットルから千リットルの廃油が出る。そうしますと、これをよく見ますと、兵庫県のガソリンスタンドだけでも大体三千軒あります。六百リットルを掛けますと一カ月千八百キロになり、膨大なものになるわけです。 それから、これはガソリンスタンドでも出るのですけれども、エンジンを洗ったり、そういう洗い油といいますか、洗い油にはケロシンなどを使っておるわけでありますけれども、これが自動車のサービス
工場
、マツダ、トヨタ等、大手二百三十二軒では五百リットルから六百リットル出る。小型では三百七十軒で三百リットルから三百五十リットル出る。兵庫県の場合を見ますと、大型で千二百三十軒、小型の自動車サービス
工場
が二千二百二十軒でありますから、大体一カ月合算して六千
キロリットル
から一万
キロリットル
。それからその他の
工場
で相当出ているわけですけれども、この廃油がいまどうなっているかと申しますと、ガソリンスタンドあるいは
工場
ではそれをためておいて、前は集配屋がいましてそれをお金を出して買っていったというのです。最近では一回三千円ぐらい出して集めてもらっておる。その集めた廃油はどうしているかというと、神戸市内では妙賀山という焼却場に持っていって焼いているというのですね。私はこんなもったいないことはないと思うのですよ。もしもこれを全部集めて火力発電所に持っていきまして、全部の三日分出たとしますと、それだけ電力を削減しなくてもいいんじゃないか。これについては、どうしたらいいかと申しますと、各地方自治体にこういった廃油を集める場所をつくって、ここへ捨てなさいというようにすれば、みんなそこに捨てに来る。各地方自治体の適当な場所にこういう廃液捨て場の
建設
を提唱する
考え
はないか、ひとつお聞きしたいのですが、いかがですか。
山形栄治
330
○
山形政府委員
いま先生の御指摘のとおり、廃油につきましては、従来、大体三つのグループから廃油が出てくるわけでございまして、
一つ
は油の輸送のタンカーのときのバラスト、ビルジ等の廃油類、それから製油所のタンクの底のスラッジ、これがわりあいに大きなわけでございます。それから自動車の潤滑油の廃油、これはガソリンスタンドで処理することに相なっておるわけでございますが、確かに先生の御指摘のとおり、いま非常にむだに焼却等にされておるわけでございます。現在われわれといたしましても、各地の
石油
の販売組合等と連絡をとりまして、この再生利用について話を進めておるわけでございますが、その前提といたしまして、公共団体に集配場所といいますかそういうようなものが適切にありますれば、こういう業務も非常に円滑に進められるんじゃないかと思いますので、全石商とも相談し、各府県、
市町村
とも相談をしながら、そういう方向で前向きに
考え
ていきたいと思うわけでございます。
岡本富夫
331
○
岡本
分科員
大臣
、これは
エネルギー
庁だけでは無理だと思うのですよ。
通産省
として
建設
省あるいは各地方自治体にも呼びかけて——いま全然ないのです。わが国はこういった廃油を利用して有限な資源の再利用ができるようにしなければならない、そういうときが来たのではないかというように私は
考え
ておるわけですが、
大臣
の
考え
方をお聞きしたい。
中曽根康弘
332
○
中曽根国務大臣
資源の利用に関する非常に適切な御助言をいただきまして、まことにありがたく思う次第です。御助言の筋に沿いまして、廃油の活用について、地方自治体その他とも連携をとって活用してみたいと思います。
岡本富夫
333
○
岡本
分科員
提案はそのくらいにしておきまして、
物価
の狂乱あるいはまた
石油
のこういった不足の問題も出ておりますけれども、忘れてはならぬのは、私は人の命を大切にするところの
公害
対策であろうと思うのです。これは
公害
対策委員会であるいはまた環境庁にお伺いすればいいわけでありますけれども、なぜ私、当
分科会
でこの問題を取り上げたかと申しますと、環境庁は実施
機関
でない。そのためにどうしても適切な
指導
あるいはまた適切な対策ができない。
調整
機関
のようでありますから、あるいは勧告したりするぐらいなものでありますから、どうしても
通産大臣
に一ぺん出てきてもらってということなんですが、なかなかあなたも来てくれない。それで、ひとつきょうはこの問題を取り上げていきたいと思うのですが、
通産大臣
はこの
公害
対策についてどういう決意を持っておるのか、まずお聞きしたい。
中曽根康弘
334
○
中曽根国務大臣
私は就任の当初から、無
公害社会
の
建設
ということを通産行政の大きな目標の
一つ
に入れまして、その目標に向かって一生懸命努力しておるところでございます。
岡本富夫
335
○
岡本
分科員
実は私、昨年の
公害
委員会で取り上げましたのは、あまりにもひどいので取り上げたわけですが、これは兵庫県の伊丹のダイハツ
工業
、自動車
工場
です。この自動車の
工場
が何をやっているかと申しますと、エンジンなんかの鋳物をやっているわけですね。鋳物
工場
です。この
工場
から約四メートルぐらいの道をはさんで、この辺はずっと住宅地帯であります。 いまここに
大臣
に一ぺん見てもらおうと思って持ってきたのですが、これは四十八年の十一月九日に集じんした粉じんですね。これは四十八年の十一月二十一日の粉じん。この
工場
が操業をしてない休みの日ですと、こういう粉じんは出ないわけです。こういうことになっているわけです。この地域の人は、約二十年間これに苦しんでいるわけです。 そして、どういうことを訴えているかと申しますと、粉じんの中には、種々な
公害
病の原因となる有害物資が相当含まれておる。これはまだ分析はしていないわけでありますけれども、この
工場
の建て屋から盛んにこういう粉じんが朝から晩まで出てくる。そして、この地域の家の中にガス状態になって入ってくるわけです。バケツに水をくんで表に置いておきますと、この粉じんが数分間で一ぱいたまる。のどが痛くてしかたがない。日曜日、この
工場
が操業しない日はほっとする。午前八時半から猛烈な悪臭とともに、この付近の住宅に襲いかかるような状態です。これについて、あまり時間がありませんから、ぼくは前の委員会の論議については差し控えますけれども、あまりにもひどいので、
公害
委員会でぼくはこれを取り上げました。
大臣
、これは日曜日の全然操業してないときにはきれいなんですね。操業しているときは、ずっとこういうようになる。だから、排煙脱硫装置だとか、いろいろなことをいいましても機械の一部から出てくるのじゃなくして、
工場
全体からもうもうと出てくるわけですね。それで私は、一ぺん調査してもらいたいということを、実はあなたのほうの当時出てもらった方に話をしました。行きますということになっておったのですが、いまだに何の音さたもないということです。 こういうようなことについて、ひとつ、
大臣
はお聞きになったのかどうか、一ぺんあなたから答弁していただきたい。
齋藤太一
336
○齋藤(太)
政府
委員 ダイハツ
工業
の伊丹
工場
の
公害
問題につきましては、昨年の十二月下旬の本院の
公害
対策特別委員会におきまして
岡本
先生から御指摘もございましたので、私どもとしましては、直ちに
会社
の
責任
者を
通産省
に呼びまして、実情を詳細に聴取いたしますとともに、地域住民に
納得
の得られるような適切な
公害
対策を早急に立案をして、それを県当局並びに市当局に御
説明
をして、直ちに実施に移すように
会社
に指示したのであります。この指示に基づきまして、
会社
のほうでは、二月の六日に、伊丹
工場
環境保全
対策
計画
というものをつくりまして、二月六日に兵庫県と伊丹市に提出をいたしました。現在、県並びに市で並行してその
内容
を御
審議
願っておるところでございまして、県、市の御了承を得次第、工事の実施に移したい、こういう予定でおります。 なお、現地調査の件につきましては、御指摘のように、まだ担当官が現地に参っておりませんけれども、なるべく早く担当官を派遣いたしまして、実情を調査いたしたい、かように
考え
ております。
岡本富夫
337
○
岡本
分科員
公害
対策基本法には「国は、
国民
の健康を保護し、及び生活環境を保全する使命を有することにかんがみ、」ちゃんと、こういう使命があるということが明らかになっておるわけです。そして環境基準も、きょうは環境庁からも来ておりますけれども、時間がありませんからそこまで言う必要はありませんが、環境基準もはるかにオーバーしているのです。しかも、この付近の人が、毎日毎日朝から晩まで、こうして煙、粉じん、悪臭、これと戦っているわけですよ。それに、非常にやり方が手ぬるい、このことを私は指摘せざるを得ないわけであります。 これは、
通産省
がどうしても
企業
寄りだという姿勢が、いままでも盛んに巷間伝えられたところでありますけれども、あなたのほうから、ただ兵庫県あるいは県あるいは市に依頼しておるだけではなくして、県や市というのは、この
会社
に対しては非常に弱いのです。しかも、こういった一流の大きな
会社
に対しては非常に弱い。ですから、実施
機関
であるところの
通産省
の
指導
力というものは非常に大きいわけですから、
大臣
、あなた、先ほども
公害
対策について、私は
公害
のない世の中をつくる、要するに、国をつくることに対しては非常に力を入れているのだと言いますけれども、これは約二十年、こんなに苦しんでいる。それで、私が指摘したから、そういうふうにやってありますという先ほどの答弁がありましたけれども、ほんとうならば、この付近がこんなに困っているのですから、ちょっとでも行って、そして
指導
して——私は、この
工場
を全部密閉しまして、そして少しも出ないようにするのは、おそらく不可能であろうと思うのです。四メートルくらいの道路ですからね。そこで鋳物をやるわけですから、ああします、こうしますという
会社
のそういったあれが適切であるかどうかということは、おそらく私は適切でないと思うのですよ。その間に住民はずっと困っている。それが、結局訴訟だとか、あるいは住民運動だとか、いろいろなものにひっかかって、世の中がおかしくなってくる。住民運動が悪いというのではありませんけれども、しかも、いつも私たち、この
国会
でいろいろと論議をし、要求もし、やっているわけですけれども、たとえば航空問題にしましても、私四十二年から相当やかましく言ってきた。しかし、住民がああして訴訟をやったりして、初めて
政府
は腰を上げるというんでしょう。そうなったころにはおかしなものになっているわけですね。
国会
議員なんか要らぬじゃないかというわけです。だから私は、この点についてわれわれがここで発言し、また答えてもらったことは実施していただかなければならぬ。住民の皆さんがやかましく言うて、裁判に訴えたり住民運動をして、ああいう旗を立ててあばれて、初めてそれから実施するというようなことでは、これは
国会
議員要らないですよ。
政府
と住民だけでいいじゃないですか。それでは議会制民主主義も何もかもこわれてしまうのではないですか。私はこの点を非常に指摘しなければならない、だから、現在の民主主義というのは、全然世の中がおかしくなってしまう。この点について、私はきびしく反省を求めたいと思います。
大臣
、それについていかがですか。
中曽根康弘
338
○
中曽根国務大臣
いまお話を承っておりますと、相当ひどいように私も感ぜられます。いろいろ聞いてみますと、地元におきまして、
会社
及び地方団体等で対策は講じておるようでありますけれども、しかし、じんぜん日を延ばすことは許しませんから、至急係官を派遣いたしまして、休みの目じゃなくて操業中、これを知らせないで、ぱっと行ってみて、
実態
を把握して、そうしていま
計画
していることが適切であるか、さらに、もっとやる必要があるか、そういう点を詰めさせて、至急解決するようにいたしたいと思います。
岡本富夫
339
○
岡本
分科員
大臣
の前向きな答弁は了としますけれども、
大臣
、向こうへ行って、向こうの
計画
が適切であるかどうか、こう仰せられますけれども、現実に、この
工場
の全部におおいをかけてしまうとか、不可能なようなことを
計画
するのであれば私はよろしいんですけれども、ただ一部の脱硫装置とか、あるいはまた排煙装置、煙突の部分、そんなことでは、この
工場
自体が、そこのいまちょっと見ると、向こうに映っているように粉じんにおおわれている、こういうふうになるわけですから、相当な
考え
方でなければならないし、また対策がなければならない。できれば私は、こういう
工場
は、この住宅の中になくして、どこかへ移転をしていく、そこまで強い
指導
でなければ、私はほんとうの根本的な対策にならないと思うのです。それに対しては、それは防止
事業
団から
融資
をするとか、いろいろ必要であろうかと思いますけれども、そこまでの強い姿勢で、ぜひひとつ対策を立ててもらいたい。ずいぶん何べんもやかましく言うたけれども、いままで全然できていないのですから、おまけとしてやかましく言うておきます。
齋藤太一
340
○齋藤(太)
政府
委員 このダイハツの伊丹
工場
は、過去数年、毎年一億円以上の
公害
防止投資をいたしまして努力はいたしておったようでありますけれども、先生御指摘のように、まだ不十分な面があったようでございます。 今回は抜本的な対策ということで、三つあります
工場
の中の第二、第三
工場
につきましては、完全密閉式にいたしまして、
工場
全体を密閉をして、
工場
の粉じんを
工場
の一部から全部抜きとる、建物自体は、全部開放式をやめまして密閉してしまう、こういうふうな抜本的な
公害
防止対策を立てておりますので、これが実現すれば、
公害
防止上はたいへん効果があるんじゃないかというふうに
考え
ます。
岡本富夫
341
○
岡本
分科員
それ以外に悪臭、それから何かというと、いまあなたの答えを聞いていると、いかにもまともにきちっとやっているように言われますけれども、フェノールですか、あるいはこういうような薬品をだいぶ使っているわけですよ。ですから、そういった対策も重ねてよく検討をして、そしてこの付近の住民を完全に救っていく。最初
大臣
が答えたような、そういう姿勢で検討して、一日も早く、できれば移転に持っていく。こんなところで鋳物
工場
なんかやるのは大体間違っておるわけですから、ひとつそこまでの強い行政
指導
を要求いたしまして、きょうは時間ですから終わります。
湊徹郎
342
○
湊主査
これにて
岡本富夫
君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
井上
普方君。
井上普方
343
○
井上
(普)
分科員
中曽根
大臣
は、私が十二月にお伺いいたしました際、
物価
問題については、ひとつ
自由経済
社会を守るために価値ある挑戦をやるのだと、まことに華麗なるおことばを駆使されまして御答弁になったのであります。その華麗なる挑戦の結果どうなっておるか、ひとつお伺いいたしたいと存ずるのであります。特に私は、その際にも小型丸鋼について質問をいたしました。ところが、その小型丸鋼につきましては、依然としてどうも価値ある挑戦の戦果があらわれておらないような結果と思いますが、いかがでございますか。
中曽根康弘
344
○
中曽根国務大臣
われわれは大いに努力いたしましたが、われわれの努力にもかかわらず、十分なる成果があがっていないことをまことに遺憾に存じます。 われわれの
考え
の基本は、やはり価格のメカニズム、あるいは市場
機能
、そういうものを生かしながら
自由経済
の長所を善用しつつ、それによって物資をできるだけ豊富にしておく。物資が豊富であるということが、
心理的パニック
を起こさない一番の要因である、そういう
考え
に立ちまして、できるだけ物資を豊富にするという基本的観点から、あまりぎしぎしした統制はやらない。あまりきびしくぎしぎしした統制をやり過ぎますと、物資は必ず影をひそめてしまう。役人よりも商人のほうが頭がいいですから、必ず裏をかかれてしまう。これはわれわれが戦時統制
経済
で痛感したところであります。そういうような面から、また、われわれの
経済
政策
に対する基本理念からいたしましても、また緊急の間に合う
政策
をやるという面からいたしましても、やはり統制
経済
をやるとなると、
通産省
だけでも五千人くらい全国に人間を動員しなければできないし、それをやるだけの人間もいないし、また、それが結果がいいかというと、必ずしもうまくいかぬ。結局、
経済
警察をやるとか税務署が直接出動するというような、陰険な険悪なやり方に堕するという危険性がある。そういう面から、必ずしも万全ではないけれども、人間の善意を信じて、できるだけ物資を豊富にしておくほうがよろしい。多少そごがあって、われわれがしかられても、それでも物資が豊富であったほうがいいのだ、そういう
考え
に基づきまして、いろいろ諸般の
政策
をやり、必要な基幹部分については、
政府
が、ある程度自由を拘束しながら規制していくという方策をやってきたわけです。 しかし、裏をかかれた部面がかなりありまして、御迷惑をおかけした点は、はなはだ遺憾でございますが、しかし、物資はやはり出てきていると思うのです。その点については、いま出てきている
現状
を見れば、ある
意味
においては、われわれの目的は部分的に達成されている、そう思います。
井上普方
345
○
井上
(普)
分科員
その価値ある挑戦も、どうも戦果はあまりあがらなかったようであります。 ただいま
大臣
は、商売人のほうが役人よりも頭がいい、こうおっしゃいましたけれども、まあ価値ある挑戦なんというおことばを自由に駆使される政治家中曽根さんというのは、ことばだけはあらゆる人種よりもすぐれておると思うのです。ここらあたりに政治家に対する不信も出てくるのじゃなかろうかと思いますので、ことばは、ひとつなるべく素朴なことばをお使いになっていただくようにお願いしたいと思います。 そこで、小型丸鋼ですが、この価格の動向につきましては、
大臣
御存じでございますね。十二月にあなたにお伺いしました際には、小型丸鋼は昨年一年、特に九月からはものすごい高騰をしておる、これに対してチェックしなければいかぬ、たしか、
大臣
はこう言われたと思うのです。ところが、さっぱりその効果があらわれていない。一体、どこに原因があるとお
考え
になりますか。
中曽根康弘
346
○
中曽根国務大臣
丸棒は、しかし最近は下がってまいりまして、かつては十一万円という
値段
がついたことがありますが、現在は七万円台に落ちているのではないかと思います。最近は
建設
業も非常に不振で、総需要のカットがきいておりますから、たしか七万七千円とか七万五千円台に落ちてきているように記憶しております。
井上普方
347
○
井上
(普)
分科員
どうも
大臣
の御記憶は間違いではございますまいか。
中曽根康弘
348
○
中曽根国務大臣
間違いないです、丸棒は。
井上普方
349
○
井上
(普)
分科員
小型丸鋼ですよ、十九ミリの場合。少し下がってはおりますけれども、
大臣
の言うような
値段
に私はなっていないと思うのです。
中曽根康弘
350
○
中曽根国務大臣
いや、七万円台に落ちましたよ。
井上普方
351
○
井上
(普)
分科員
それでは、あとでその状況を私の資料とまた突き合わせたいと思いますので、ひとつお願いいたしたいと思います。 しかしながら、いずれにいたしましても、この丸棒に対しましては、何か手をお打ちになったのですか、
政府
としては。
中曽根康弘
352
○
中曽根国務大臣
それはあっせん所をつくりまして、そして中小土建その他についてはあっせんをやった。それから緊急増産をやってもらった。特に銑鉄の手当てをしてあげた。丸棒が上がった
一つ
の原因は、銑鉄が非常に高くなったという要素もあるわけです。そういう面もありまして、緊急増産がきいてきた。もう
一つ
は、総需要カットによって需要が減ってきた。そういう相乗効果が生まれてきたように思います。
井上普方
353
○
井上
(普)
分科員
その資料を見まして、いずれまたあらためて機会を得たいと思います。 それでは、続いて建築資材について、私は特にきょうお伺いをしたいと思います。 ビニールの電線の場合、四十五年から比べますと三倍以上になっているのですが、この事実は御存じで、いかなる
措置
をとられておるのか。ついでに申し上げます。ビニールそれから塩化ビニール管、こういうものはいかがでございましょうか。それからまた木材製品というのは——製材の製品はおそらく
通産省
の所管内ではなかろうかと思うのですが、ここらあたりに対する対策はどういうようにしてやられておられるか、ひとつお伺いしたいと思うのです。
中曽根康弘
354
○
中曽根国務大臣
塩ビ電線も昨年の夏、非常に暴騰いたしまして、御迷惑をおかけいたしましたが、これも増産につとめてまいりまして、かなりの思い切った増産をやってもらいました。したがって、塩ビ電線も正常化してきたはずであります。 それから塩化ビニールのパイプ類もこれはなかなかしぶといもので、一番下がりのしにくいものでありました。それから、たしかこれはカルテルなんかがあったと思います。そういういろいろな情勢もありまして、これも最近は横ばいから下がり目にきているのではないかと思います。
井上普方
355
○
井上
(普)
分科員
ビニール電線なんかは、
大臣
、去年の夏といいますよりも、むしろ十月以降ではございませんか。
中曽根康弘
356
○
中曽根国務大臣
十月以降下がってきた。
井上普方
357
○
井上
(普)
分科員
十月、高くなったのですよ。
中曽根康弘
358
○
中曽根国務大臣
下がってきたのです、暮れ近くからずっと。十月で一番高かったですね。
井上普方
359
○
井上
(普)
分科員
あなたのおっしゃるのは——ビニール電線は、私の持っておる資料によりますと、去年の八月には、比率にいたしますと二三八という指数を出しております。ところが、十二月になりますと二九七という指数を示しております。一月になりますと三〇一という指数を示しておるのであります。あるいはまた塩化ビニール管などを見てみますと、去年の八月では一四四という指数であり、十一月は一八九になり、十二月には一九三になり、ことしの一月では二三八という指数になっておるのであります。これは、私は
建設
省が出しております
建設
月報から抜き出した資料なのであります。
通産省
の資料と違うのでありましたら、同じ
政府
の出された資料におきまして違ってくるので、非常に問題はあると思うのですが、いかがでございましょう。
増田実
360
○増田
政府
委員 最新の資料がございませんであれですが、塩ビ電線につきましては、メートル当たりの私の手元の資料で見ますと、八月が百十円、それから十月に八十円に下がりまして、それから十二月に九十円、一月にまた下がりまして八十五円、その後、二月の数字がちょっと手元にございませんが、そういう経緯を示しております。
井上普方
361
○
井上
(普)
分科員
私の
建設
月報の資料と
通産省
の出されておる資料と、えらい違うようでございます。しかし、私らが末端の電線屋さんなんかに聞いてみますと、やはり高くなっておるという話を聞いておる。それは、あなたのほうはメーカー渡しの
値段
なんですか。どうなんです。
増田実
362
○増田
政府
委員 メーカーの出荷
値段
です。
井上普方
363
○
井上
(普)
分科員
しかし、私のほうは、
建設
月報は末端の価格なんです。 ここらあたり、
大臣
、どう
考え
たらいいでしょうか。もう下がってくると
考え
ていいでしょうか。
中曽根康弘
364
○
中曽根国務大臣
よく調べてみます。 しかし、末端価格も、かつて、昨年の夏から秋にかけて非常に騒がれたような
事態
は、いまのところ、われわれのところには
建設
業者等からも入ってきておりません。ですから漸次鎮静にきているのだろうと思っております。特に、最近は総需要カットで
建設
関係の仕事がなくなってきておりまして、そういう面も響いてきておるのではないか。かえって中小土建の倒産をいま心配しておるという状態になってきていると思います。
井上普方
365
○
井上
(普)
分科員
中小企業
の倒産の危険があることは私も存じております。総需要抑制の効果も徐々にあらわれつつあることも私も認めます。しかしながら依然として高い。
大臣
、これは見ていただいてもよろしゅうございます。これは
建設
月報からのあれでございます。末端の価格がそのように依然として高いということは、私は問題があるのではなかろうか、このように思うのであります。 そこで、
大臣
はいま、生産者の価格は下がってきたと仰せられますから、その効果があらわれることを私は期待いたすものであります。 材木はどうでございましょう。あるいはセメントはどうでございましょう。
中曽根康弘
366
○
中曽根国務大臣
材木も弱含みですね。材木は下がってきつつあるようです。ただ、ベニヤは、去年の秋から見ると高いようです。それ以外は大体横ばい、ないし下がりぎみです。これはやはり総需要のカットと、
建設
関係が鎮静してきているということ。それからセメントは、一、二月は高うございました。しかし、三月の半ばごろから、もう需要がだんだん少なくなってきて順次ゆるんでくるだろう、そう思っております。いままでは高かったのは事実でありますけれども、順次ゆるんでくる。これは増産がずっときいてきているところと、需要が減ってきている、両面が出てきていると思います。
井上普方
367
○
井上
(普)
分科員
弱含みであると申しますが、それは去年の十一月、十二月に比べて弱含みであり、去年の夏相場なんかと材木を比べますと、依然として高い
水準
にあることは御承知のとおりだろうと思うのです。これに対して、総需要抑制があるから、ほっておけば需給関係で自然に下がるのだという
考え
方は、私はいかがかなものだろうかと思うのですが、どうでございますか。
中曽根康弘
368
○
中曽根国務大臣
やはり値を下げるということは、一面においては金をしぼるということ、一面においては物をふやすということ、両方がうまくいけば、値が自然に下がってくる。そこで、いま総需要カットで金を減らしておる。それから増産については、木材等についても農林省でいろいろ努力をされて、そして、特に総需要カットということがやはり非常にきいてきて、横ばいないし弱含みの方向に動いてきているのだろうと思います。
井上普方
369
○
井上
(普)
分科員
それは
大臣
、すべてがいま需給関係だけで動いておるのであれば、去年の末のようなパニック状況は、私は起こらなかったと思います。実際問題として、
供給
のほうは十分に生産がなされておるにもかかわらず、片方においては、末端におきましては、物の不足を来たすというような状況が生まれてきたことは御承知のとおりです。 そこで私は、やはり一番必要なのは心理的な影響だろうと思うのです。あるいはまた、政治に対する信頼というものがあって初めて、需給関係というようなことが大きく
物価
に作用するのじゃなかろうか、このように思うのであります。 しかし、この木材にいたしましても、見てみますというと、これはやはり、
大臣
いま御安心になるような指数を示しておらぬのじゃございませんでしょうか。といいますのは、製材の場合、角材は四十七年の一月を一〇〇といたしますと、ことしでは杉の角材一五六。四十八年の末におきましては、いかにも一六六という数字でございましたけれども、現在では一五六、五割六分だけの値上がりを二年間にいたしておるのであります。しかもその値上がりの状況は、杉の角材の場合なんかを見てみますというと、依然として、上がっておるのは、四十八年の八月以降上がっておるのでありまして、どういうメカニズムがといいますよりは、ここらにも、私は流通機構に対するメスを入れる必要があるのじゃなかろうかと思うのです。
中曽根康弘
370
○
中曽根国務大臣
先生からいただいたこの資料を見ましても、たとえば木材の場合は、杉の正角が基準になっていますが、杉の正角が四十八年一月、去年の一月は立米七万一千円ですね。それがことしの二月上旬は五万六千円、指数にして二二五から一七八に落ちていますね。(
井上
(普)
分科員
「
大臣
、それは違う」と呼ぶ)この数字を見ますと、そうなっております。
井上普方
371
○
井上
(普)
分科員
数字はそうなっています。しかし、これは御承知のように、おととし
田中
内閣
が出現いたしまして、列島改造論によるところの景気のブームによって起こったのが十二月、一月、そして去年の二月ごろまで続いた指数じゃございませんか。
中曽根康弘
372
○
中曽根国務大臣
それにしても、杉の正角の
値段
は、九月が五万七千円、十月が五万六千円、十一月が五万五千円、十二月が五万二千円、一月が五万七千円で上がって、二月が五万六千円、大体横ばいないし弱含みの方向に動いておると思います。
井上普方
373
○
井上
(普)
分科員
しかし、いずれにいたしましても、杉の角材にいたしましても、四十七年の一月と比べますと五割増しになっておるわけです。それは中曽根さんのおっしゃるように、
調整
インフレを導入する必要があるというのであれば、効果はあらわれておるでしょう。しかしながら、家を建てたいという庶民大衆の願いからいたしますというと、建築資材がこのように五割も二年間に上がることによって、庶民大衆は非常に苦しんでおるわけなんであります。ここらあたりを
考え
ていただかなければならぬと私は思います。どうでございましょう。
中曽根康弘
374
○
中曽根国務大臣
確かに、これは高
水準
の安定であるわけでありまして、もっと低
水準
に持っていかなければ、庶民の皆さまには耐えられないことであるとよく感じます。そういう
意味
において、さらに引き下げをやらなければならぬと思っております。
井上普方
375
○
井上
(普)
分科員
その引き下げようとする努力です。どういうようにやられるのか。ここらあたりが、私は通産行政の今後の使命だろうと思うのです。ただ需給関係にまかしておけばいいというような問題ではないのではないか、私はこのように思うのですが……。
中曽根康弘
376
○
中曽根国務大臣
大蔵
大臣
が、かつて、いま価格じゃなくて相場だ、こういうことを言ったことがあります。かりに相場であるなら、必ず相場というものは戻るものです。それで相場的なものは、いまや総需要のカット及び鎮静によって大体戻りつつある。価格に返りつつある。価格とは何ぞや。そうなると、それは原価プラス利潤、それに、そのときの需給関係がプラスアルファとして作用していく、これが
自由経済
下における価格というものだろうと思うのです。 そういうような
機能
を生かしながら順次下げていくということにしますと、
一つ
は、需給関係によって、いまのプラスアルファを減らしていく、それからもう
一つ
は、全般的な原価プラス利潤の、原価の部分を減らしていく努力をしなければいかぬ。これには、外材である場合には、
輸入
価格であるとか、国内においては、電力代であるとか労賃であるとか、いろいろな利子であるとか、そういう部面を全面的に下げるように努力していく、そういう総合的な努力が必要であろうと思います。
井上普方
377
○
井上
(普)
分科員
大臣
のお話は、いま大蔵
大臣
の、価格じゃなくて相場だというお話でございますが、私の党の中にも、現在の状況は、インフレ
経済
じゃなくて、ギャンブル
経済
だと言った人もあります。しかし、それを起こしたのは一体何なのかということなんですね、問題は。やはり政治に対する信頼を失ったがためではなかろうかと私どもには感じられるのであります。そこで、華麗なことばをお慎しみになって、素朴なことばによって、
国民
を
納得
せしめるような方向に通産行政を進めていただくことを強く、要求いたしておきたいと思います。 続いて、時間がございませんので、私、ちょっと問題のあるものを一、二申し上げて、今後の通産行政の
指導
に資していただきたいと思うのでございます。 まず、過疎地帯が現出いたしまして、そして過疎地帯におきましては、児童数あるいは中学校の生徒数も少なくなったということのために、学校なんかやめようじゃないかということで、廃校にしておるところがたくさんございます。そういたしますと、その廃校の学校の敷地と建物をねらいまして、そしてあとからもうけをねらいます。しかし、その過疎地帯の人々は、善意をもって、このような過疎地帯においては、雇用を増大すれば過疎地帯は解消するのだといって、
企業
にその小学校、中学校を安く提供して
事業
を始めるというケースは、山村至るところに見られる現象でございます。ところが、その小学校、中学校におきまして
事業
を進めておる連中が、自分の都合によって、突如としてその
事業
を停止し、その土地を売っ払ってしまうというようなことが現に起こっております。山村あるいは過疎地帯の住民、あるいは町村当局の善意というものを踏みにじったケースがたくさんあらわれておるのであります。 私は、徳島県におきまして、板野町の船井電機というのにこれを見るのでありますが、これは不動産を取得しましても、親
会社
が全部登記をしておる。そして
会社
を運営しながら、労働争議があったというためのみと私は思うのでございますが、これはいろいろ議論があるところでございましょう。いずれにしましても、倒産を突如としてやった。そして親
会社
はその学校の敷地を安く手に入れたまま持っておるというケースがあらわれておるのですが、これらに対して、公共建物を
企業
に渡すこと自体にも、
一つ
問題はあったと思うのですが、ともかく、町村当局にいたしますれば、非常な善意でもって、労働力を、稼働人口をふやそうという善意からあらわれたと思うのです。ところが、そういうようなことをやるわけなんですが、これらに対して、通産行政としては、何らかの手は打てませんか。
中曽根康弘
378
○
中曽根国務大臣
徳島船井電機の解散については、いろいろいま調書を拝見しておるところでございますが、解散については、ドルショックの原因で採算が悪化したとか、労使協調がうまくなくなったとか、不当労働行為の申し立てがあって、そういうために経営がぎくしゃくしてきた、そういうことから解散に至ったようであります。県議会においても、四十七年十二月に問題になって、退職者の転職あっせん等に留意する旨の答弁が理事者からあったようであります。また、組合側から徳島地裁に四十七年十二月に仮処分の申請が出されて、現在審理中の山であります。 これは労使関係のことでもあり、われわれとしても、あまり中に介入することは適当でない事件でありますが、ともかく過疎地帯に——これは県からも誘致を受けて設立された
会社
のようでありますが、この設立の趣旨に反して閉鎖されるということは、非常に遺憾なことでありまして、こういうことがないように、われわれとしても積極的に
指導
したいと思います。このことは、もうすでにあった事件でありますから、まことにやむを得ないところでありますが、新しい問題については、できるだけ早目にわれわれとしてはこういう問題をキャッチしまして、県当局と連絡を密にして、あっせんしたり、そのほかの処置によって、操業継続、あるいは逮捕者が出ないように、今後努力してまいりたいと思います。
井上普方
379
○
井上
(普)
分科員
その御答弁でありましたら、まことにもっともと思います。しかしながら、中学校を、ともかくそういうようなところに譲って——その敷地それ自体も、この船井電機という
会社
じゃなくて、親
会社
の船井という電機屋さんがやはり依然として大阪にあるのですが、それが持っておる、こういうケースなんです。 言いかえますというと、ともかく金目になるものはみんな親
会社
が最初から
確保
しておいた。そして雇用関係がぎくしゃくしたとか、あるいはまた、ドルショックとかなんとかいいますけれども、実際は徳島県には船井電機の同じ資本で同じにつくっておるのが三つほどあるのです。依然としてそのあとの二つは
事業
を継続いたしておりますので、ドルショックなどということは言い得ないのであります。とするならば、労使間のぎくしゃく関係ということが大きな原因になるでしょう、
会社
側の言い分からしますというと。そのために、その土地に住んでおる労働者というものも職を奪われてしまう、あるいはまた中学校の敷地も、解散しますというと、自然にその敷地はそのまま親
会社
のほうに全部行ってしまうということなんであります。これは、済んだことだからしようがないといって済まされる問題ではないと私は思います。農村の、あるいは山村の善意のある町村当局がやった仕事に対して、先ほどの
大臣
の、商売人は頭がいいから、役人の
考え
つかぬことを結局やるんだということば一言で済む問題じゃないと私は思うのです。これはやはり
考え
なければならない問題ではなかろうかと思うのですが、
大臣
、いかがでございます。
中曽根康弘
380
○
中曽根国務大臣
やはり船井電機の問題は、県があっせんして誘致してできて、そういう小学校なんかのめんどうまで見ているという話でありますから、これはやはり県がその問題について立ち入って、種々さらにあっせんをつとめることが望ましい。われわれ
通産省
が労使関係まで入っていくということは適当ではない、そう思います。
井上普方
381
○
井上
(普)
分科員
県はもちろんやっておりますけれども、どうもらちがあかない。そこで、過疎地帯に
工場
を持っていくということは、通産行政のいま大きな題目の
一つ
ではありますまいか。 そういうような点からいたしますならば——
田中
さんの列島改造論もそこから出てきたのではなかろうかと私は思うのですが、そういうような点からいたしますと、やはり通産行政として、一歩ふん切る必要があるのじゃなかろうかと思うのでございます。 もう時間が参りましたのでこの程度にいたしますが、いずれ、あらためてこの問題につきましては、
大臣
の所信をひとつ聞いてみたいと思う次第でございます。 終わります。
湊徹郎
382
○
湊主査
これにて
井上
普方君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
井上
泉君。
井上泉
383
○
井上
(泉)
分科員
いまほど、
国民
が政治に期待を寄せておることはないと思いますが、とりわけ、
国民
生活の大半を扱っておられます
通産省
の行政に対しての
国民
の政治への期待というもの、そういうものを背負って立っておられるいわゆる大物である
通産大臣
が、
国民
の期待にこたえられるような行政が進められるかどうか、そういうことを今日までの
国会
の
審議
を通じて見てみますというと、何かしら、そういう
国民
の期待にこたえる強いものが感じられずに、まあそのときそのときの状態を糊塗する中で経過をしておる、こういうふうに
考え
られてならないわけであります。 そういう点から、
通産大臣
に期待をする
国民
の一人として、私は幾つかを質問したいと思いますけれども、わずか半時間でありますから、多くを申し上げる時間はありません。端的に申し上げまして、幾つか指摘をいたしたいと思いますが、いま
井上
普方君の質問に対して、総需要抑制の効果が非常にあらわれてきた。なるほど、いま鉄筋も下がっております。セメントも安くなっております。あるいはまた、その他の
建設
資材も安くなっておりますけれども、これは二月から三月へ入っての状態であって、一番使ったところの昨年末の状態というものは、まさに狂乱の
物価
状態で困ったわけであります。 だから、総需要抑制の一番の犠牲になった層は、どういう
企業
が一番犠牲になっておるのか、そのことを
通産大臣
はどう把握をしておるのか、その見解を承りたいと思います。
中曽根康弘
384
○
中曽根国務大臣
最大の犠牲者は、いわゆる
国民
大衆、特に恩給生活者とか、あるいは身障者とか老人であるとか、そういう方々であると思います。それから商売の関係から見ますというと、第一線の零細
企業
者、こういうところに圧力が来た。しかし、わりあいに問屋とか、小売り関係でも流通関係の方面にはかなり現金が滞留しておる、こういう要素もあるようであります。
井上泉
385
○
井上
(泉)
分科員
確かにその点は同感でありますけれども、流通関係を除いて、一番総需要抑制の中であおりを受けておるのは、けさの新聞にも載っておるのですが、三月は倒産が記録的に出はしないか、その倒産の大半は中小
建設
業者だ、こういうことがいわれておるわけでありますが、そういうふうな認識はしておられるのでしょうか。
中曽根康弘
386
○
中曽根国務大臣
先ほど
井上
さんにもお答えしましたとおり、よく認識し、かつ心配をしております。
井上泉
387
○
井上
(泉)
分科員
それでは、その認識をし、心配しておることを行政の面でどういうふうにされようとしておるのか、その点。
外山弘
388
○外山
政府
委員 先ほどもお話がございましたように、今回の
経済
環境の
中小企業
への影響というのは、かなり跛行性はございますけれども、御指摘のように、
建設
業等を中心といたしまして、かなりの影響が早目に出てくるような感じがいたします。したがいまして、すでに年末にいたしました
財政投融資
のワクの増加ということのほかに、今回はいつもと違って、年度末に対してもそういうことに対する配慮を
金融
上やるべきであろうというふうな判断に立ちまして、つい最近も三月用に年度末
融資
の増加を行なったわけでございます。さらに今後四月、五月、六月と、
事態
の推移によりましては、総需要抑制の効果がいろいろな面に出てくると思います。その辺の状況をよくにらみながら、今後の情勢にも適宜、適切に対処してまいりたい、こういうふうに
考え
ている次第でございます。
井上泉
389
○
井上
(泉)
分科員
融資
という問題についての配慮もさることながら、やはり零細な
中小企業
者、特に
建設
業の関係者というものは、雇用しておる労働者に仕事をあてがうことができない、そういう状態の中に置かれておる。つまり、金詰まりもあるし、労務対策もあるし、いわば
中小企業
建設
業者というものは八方ふさがりの状態にあると言っても過言ではないと思いますが、その点について、
建設
省からおいでになっておると思いますが、
建設
業者の一番の元締めである
建設
省としては、どういうふうな対策を立てておるのか。
高比良和雄
390
○高比良
説明
員 お答えいたします。 第一に、公共工事の繰り延べ等によります中小
建設
業者の受ける影響をできるだけ緩和するために、
一つ
として、大型公共工事を極力押えつつ、公共工事への依存度が高い地域に対しましては、できる限り
事業
量の
確保
につとめるとともに、工事発注にあたりまして、極力
中小企業
のワクを
確保
するようにつとめるほか、協同
企業
体等の組織化を
推進
いたしまして、工事の共同受注の
推進
につとめてまいりたいと思います。 それから、
建設
資材価格高騰等の影響の緩和をはかるために、公共工事の請負契約につきまして、第一にスライド条項の適用、第二に発注単価の
適正化
、第三に前金払い制度の積極的活用等につとめております。 さらに、中小
建設
業者の受注減による運転
資金
不足対策といたしまして、先ほども
中小企業庁長官
のほうから御答弁がありましたように、
政府
は、
建設
業を含む
中小企業
向けの年度末
融資
として、昨日
政府関係中小企業金融
三
機関
からの貸し出しワクとして五百億円の追加を決定いたしました。閣議に
報告
されたわけでございますが、これらの
資金
の十分な活用をはかっていきたいと思います。 それから、中小
建設
業者の信用力を補完するための信用保証協会による債務保証の積極的活用をはかるようつとめておりますし、また、一般市中
金融
機関
に対しましても、特別の
融資
を行なうよう、要望をしておるところでございます。
井上泉
391
○
井上
(泉)
分科員
対策として、そのことがそのまま素直に行なわれれば非常にけっこうだと思うわけですけれども、現実の姿というものは、そう素直に行なわれないのが普通であります。
建設
省所管の仕事をやるような業者というものは、地方でも案外強いのです。これはもう御案内だと思うわけですが、ところが、
建設
省の仕事もやれない、つまり、地方自治体に関係する仕事等に従事しておる業者というものは、比較的弱いわけです。そういうふうな弱い業者が多数依存しておる地方公共団体の仕事というものに対しても、総需要抑制の形で、
建設
省としては早期発注を差し控えるという方針で臨んでおるのかどうか、そのことをお伺いします。
高比良和雄
392
○高比良
説明
員 ただいまのは
補助
事業
の関係だと思いますが、これにつきましても、先ほどお答えいたしましたように、大型公共工事を極力押えつつ、公共工事への依存度が高い地域に対しまして、できる限り
事業
量の
確保
につとめるという趣旨につきましては、直轄、
補助
を問わず、そういう比較的小さい工専というものを優先してやっていきたい、そういう趣旨でございます。
井上泉
393
○
井上
(泉)
分科員
優先してやっていきたいというのは、早期発注という形で工事の施行はやっていきたい、こういうことですか。
高比良和雄
394
○高比良
説明
員 おっしゃるとおりでございます。
井上泉
395
○
井上
(泉)
分科員
建設
事業
というものは、単に橋をつくる、道をつくるという仕事だけではなしに、その仕事に関連をしたいろいろな業者が仕事というものにくっついておるわけでありますので、これが総需要抑制の形で、
中小企業
者は受注するものが少なくなってくる、あるいはとだえるということになると、それに関連する業者というものもたいへんな痛手になるわけです。 そこで、
中小企業対策
と一口にいっても、私は、
通産省
の窓口だけでは、とても対策というものは打ち立てることができないと思います。 一例をあげて
建設
関係のことを申し上げたのですが、きょうの新聞に、栃木県では、
政府
の総需要抑制の
政策
と相反するかもしれないけれども、公共
事業
を早期発注して一零細な
中小企業
者の倒産を防ぐ、こういうことが書いてあったのですが、こういう行為というものは、ほめてしかるべきであるのか、あるいは、
建設
省としては苦虫であるのか、あるいはまた、苦虫でもなければほめもしないが、まあそのまま黙過するのか、どうですか。
高比良和雄
396
○高比良
説明
員 現在、具体的な発注のしかたにつきましては、
建設
省におきまして検討しているところでございますが、やはり姿勢といたしましては、先ほども申し上げましたように、大型の工事を極力押え、できる限りそういう依存度の商い地域に対して
事業
量の
確保
につとめるという趣旨でございますので、新聞の意図が、私、はっきり存知しておりませんけれども、もしそういう趣旨であれば、われわれの趣旨と同じではないかと思うわけでございます。
井上泉
397
○
井上
(泉)
分科員
建設
省の趣旨と同じであると
理解
をするならば、私は、このことで地方の公共団体は非常に悩んでおると思います。これは「栃木県は五日、県議会本
会議
で県内の中小
建設
業者を救済するため、四十九年度の公共
事業
のうち中小業者向けはできるだけ四、五月に早期発注する方針を明らかにした。」それで、いろいろ書いてあるわけですけれども、こういうことは、
中小企業
に対する対策という面からも、いまあなたもけっこうだと言われたのですが、私はよいことは各府県にやらせたらいいと思うのです、
建設
省の言うことは、地方自治体はよく聞くわけですから。そういうふうな通達を
建設
省は出すつもりはないですか。栃木県のようにやれというふうに……。
高比良和雄
398
○高比良
説明
員 通達につきましては、私、一
課長
でございますので、はっきりお答え申し上げられませんけれども、一応そういう方向で検討しておるわけでございます。 したがいまして、どういう意思の決定になりますか、はっきりと通達という形が出るかどうかは、ちょっといまの
段階
では申し上げられませんけれども、先ほど申し上げましたような大型公共工事を極力押えながら、依存度の高いところにつきましては、できる限り
事業
量の
確保
につとめたいというふうな趣旨につきましては、変わりはございません。
井上泉
399
○
井上
(泉)
分科員
中小企業庁長官
にお尋ねするわけですが、お尋ねというよりも、むしろ見解をお聞きしたいのですけれども、いま私が
建設
省の
課長
に御質問申し上げておるように、
中小企業
者対策というものは広いのだから、私はとても
通産省
のワクだけではできないと思います。 それで、そういう点についての一例として、たとえば
建設
業の中の
中小企業
者、これに対する対策としては、それを早期発注さして救済する。
資金
の借り入れをしようといったって、現実に、銀行では選別
融資
という形で、
建設
業者は貸し出しの対象としてはなかなかむずかしいのです。だから、仕事をあてがうことによって、業者の
経済
的な苦痛を救済することができるし、あるいはそこで働いておる労働者に安心感を与えることができると思うのですが、そういう点について、他の省庁の監督下にある
中小企業対策
というものについて、どうお
考え
になっておるのか、承っておきたい。
外山弘
400
○外山
政府
委員 一口に
中小企業
と申しましても、業種、業態、非常に多様でございます。また、御指摘のように、
通産省
で所管している業種もございますれば、他省の所管している業種もあるわけでございます。 私どもといたしましては、
中小企業
に対する一般的な不利の補正対策、
振興
対策ということを打ち出すと同時に、業種、業態に即して、その業種に固有の問題を
中小企業対策
の点からとらえて、いろいろ要望を申し上げるし、また、その対策を要請するということもやっておるわけでございます。その点は、通産本省にある業種と、他省にある業種とは別に区別はございません。それから、逆にまた、私どもに各省からもいろいろお願いに来られますし、本省の業種についても同じように
考え
ておるわけでございまして、これはいま申しましたような
考え
方で、
中小企業
庁といたしましては、
中小企業
業極の全部にわたりまして、一般的な対策と個々の業種に対応する
振興
策というものを、私どもとしては常時進めてまいりたい、こう
考え
ておる次第でございます。
井上泉
401
○
井上
(泉)
分科員
悪徳業者が、これは
建設
業に限らず、すべてに当てはまるわけですけれども、悪徳業者が得をし、そうして悪徳業者を取り締まるために、善良な業者が苦しむということのないような対策というものは、忘れてはならないことであろうと私は思います。 そこで、もう
一つ
中小企業庁長官
にお尋ねをしておきますが、商工会とか商工
会議
所で経営
指導
員という方が現在約五千二百人おる。そして四十九年度はこれを一千十八人増員する、こういうことになっておるわけですが、やはり専門的な面とかいうような
意味
において、たとえば
建設
業者に対する経営
指導
員とかというようなものもこの中に含まれておるのですか。
外山弘
402
○外山
政府
委員 小規模
企業
者に対しての
振興
策といたしまして、経営
改善
指導
ということは、非常に基本的、かつ大事な仕事だと思っておりますし、その面で、いまも御指摘のように、人数もどんどんふやしていくということをやっておるわけでございます。同時に、その量の拡大ももちろん大事でございますが、質の点でも非常に大事だと思いまして、いろいろな点でその点の
充実
もはかるようにつとめておるわけでございます。 しかし、いまおっしゃいましたような小規模
企業
と申しましても、業種、業態、非常に多様でございます。したがいまして、はたして専門家の経営
指導
員がそれに合った、バランスのとれたあり方をしているかということになりますと、今後もそういう点にはつとめてまいらなければいかぬと思いますが、やはり一般的な経営
改善
指導
ということについての人が多い。そして特殊専門にわたるような知識を兼ね備えているという人はやはり少ないだろうと思います。業種、業態がいろいろあるわけでございますから、質の
充実
の一環として、いま御指摘のような点についても、今後努力をしていかなければいかぬと思います。
井上泉
403
○
井上
(泉)
分科員
ややもすれば、こういう経営
指導
員が官僚的になって、業者の相談を、身近な、あたたかい温情のある態度で相談を受けるとかということではなしに、非常に冷たい、きびしい、冷酷な態度で接せられるということもよく聞くわけでありますが、せっかくこういう
指導
員が五千二百人もおり、今度六千人になるわけでありますから、六千人の経営
指導
員というものが、質がほんとうに高くなっていきまするならば、これは昨年年末からのあの
物価
の大動乱の状態の中においても、もっと使命を果たすものがあったと思うのですけれども、そういう面における経営
指導
員の使命というものが、私は全くうかがい知ることができなかったので、非常に残念に思うわけです。やはり
中小企業
に対する
指導
、育成をしていくところの
一つ
の核的な存在に経営
指導
員というものを
考え
ていただきたいと私は思うわけですが、それについての
大臣
の見解を承りたいと思います。
外山弘
404
○外山
政府
委員 経営
指導
員が重要であることは、私も先ほど申し上げましたとおりでございまして、ただいま御指摘のように、単なる個別
企業
の経営
指導
だけにとどまらず、そういう人たちの置かれている状況を通じて、
施策
に対する意見を述べるとか、あるいは地域の
振興
全体をはかるとか、そういった面にやはり
中小企業
政策
のきめのこまかい施行といいますか、発展と申しますか、そういった点に役立つような経営
指導
員が一人でもよけいにふえてくるということが、私どもの期待でございます。また、
実態
の把握につきましても、非常に大事な使命を持っておると思います。両面合わせまして、経営
指導
員には今後も大いに期待をしてまいりたい、またそういうふうな
充実
を、人間の上でもはかってまいりたい、こう
考え
る次第でございます。
井上泉
405
○
井上
(泉)
分科員
私が
大臣
に質問したことは、
大臣
はやはり政治
責任
がございますから、私は
大臣
にお答えを願いたいと思います。 いまの私の質問は事務的な問題でなしに、やはり
指導
員をどう位置づけるかという
政策
的なものもあるので、
大臣
を特に
指名
をしてお願いをしたわけです。
大臣
、どうですか。
中曽根康弘
406
○
中曽根国務大臣
経営
指導
員は、非常に重要な役目を持っておると思います。いままで、ややもすればこの役目柄が軽視されて、待遇におきましても、
機能
におきましても十分でなかったことを、われわれは今回改めようとしておるわけであります。
中小企業
、零細
企業
に対して血の通うような
指導
をし、税務においても
金融
においても、あるいは経営方針においても、やはりほんとうにたよりになるような
指導
をする者として経営
指導
員というものを
考え
ておるわけでありますが、それが何か、書記みたいな仕事になっているということは、非常に間違った使い方でありまして、講習会とか、そのほか諸般の
政策
を通じて
改善
していきたいと思います。
井上泉
407
○
井上
(泉)
分科員
それでは次に、いま
石油
の価格の問題が連日新聞をにぎわしておるわけですが、これの価格がだいぶ先になるとか、あるいはもう今月の中旬だとか、こういうふうな話がされておりますが、大体、きょうの新聞に載っておる、たとえば九千百円前後、こういうことを予想した場合には、
通産省
がさきに試算をしておりまする
原油
輸入
価格上昇
に伴う各産業の
価格上昇
率の試算、この試算では大体十ドル当たりに見ておるわけですけれども、九千百円ということになると、だいぶ十ドルを切ることになるわけですが、かりに九千百円ということになれば、
原油
の価格値上がりのはね返り分というものは、あなたのほうの役所でつくった試算とは、そうたいして試算を上回るということはない、こう
理解
をしておっていいでしょうか。
中曽根康弘
408
○
中曽根国務大臣
原油
の価格問題は非常にデリケートな問題で、どうどうというふうな数字がかりに出ますと、すぐ売り惜しみや買い占めがはやったり、思わぬ影響を内外に与える要素がありますので、これはきわめて慎重にやっておるところでございます。まだ党あるいは
内閣
が未
調整
で、どういうふうになるか決定しておる
段階
ではございません。したがって、この問題については発言を留保させていただきたいと思います。
井上泉
409
○
井上
(泉)
分科員
それでは、
石油
の価格の問題についてはさておくといたしまして、
石油
基地というものが、これからの
日本
にこれ以上まだ必要とお
考え
になっておるのかどうか、その点、ひとつ
大臣
の御見解を承りたいと思います。
中曽根康弘
410
○
中曽根国務大臣
もちろん必要であります。
井上泉
411
○
井上
(泉)
分科員
必要ということは、どの程度まで必要とお
考え
になっておるのか。現在の保有量、現在のいわば備蓄できる量と、そして安定的な
一つ
の備蓄量、そういうようなものを
考え
て、現在のものと、率でいえば何%ぐらいのものが必要だ、もっとふやさなければいかぬ、こうお
考え
になっておるのか。
中曽根康弘
412
○
中曽根国務大臣
次の
段階
は九十日分のストックを持てるようにしたい、そういう次の
段階
を
考え
ております。
井上泉
413
○
井上
(泉)
分科員
現在が六十日で、九十日ということは五割増し、こういうことになるのですか。
山形栄治
414
○
山形政府委員
CTSにつきましては、いま
大臣
のお話ししたことと本質は同じでございますけれども、CTSは、
日本
では現在まだ非常に数少ないわけでございます。これは日石の喜入基地、それから沖繩のターミナルというものが主たるものでございますが、このCTSというのは、もちろん備蓄の能力があると同時に、輸送コストの大幅低下等が可能でございますし、それから船舶交通の緩和等にも非常に寄与するものでございます。したがいまして、今後
日本
においては、やはり
石油
がまだ相当程度必要でございますので、そういう合理化的な要素も含めまして、適正にこのCTSの
建設
を進めていくのが必要であろうかと私は思うわけであります。先生の御質問のとおり、どのくらいの程度が必要であるかという計量的なものはちょっとむずかしいのでございますけれども、
日本
におきまして今後CTSは着実に
伸び
るべきであると
考え
ておるわけでございます。しかし、この場合、一番大事なことは、地元との
調整
及び
公害
対策との調和という問題が大前提でございますので、そういう要請が確認された
段階
を前提にいたしましてこのCTSの
建設
を進めるべきである、こう
考え
る次第でございます。
井上泉
415
○
井上
(泉)
分科員
備蓄量をふやすためにCTSが必要である、こういうふうに
理解
をするわけですけれども、
石油
の消費量というものは、これは総需要抑制の中では、
石油
を押えれば、全体がずっと押えられるから一番手っ取り早いと思うわけですが、
経済
の成長の速度を押えても福祉
政策
を優先さすということを
考え
るならば、
石油
の消費量というものは、四十八年度からそうふえるというふうに
考え
なくてもよいのではないかと思うのですが、その点について、
大臣
、どうですか。
中曽根康弘
416
○
中曽根国務大臣
四十九年がことしの会計年度でございますが、やはり
石油
を無限大に入れるという思想から、省資源、省
エネルギー
へ転換し、また、かなりの備蓄を持つ、そういう思想に転換していきたいと思っております。 したがって、四十九年度における
石油
の
輸入
量というようなものも、一応二億七千万トンと
考え
ておるのでありますが、若干これは異同があるだろうと思います。いずれにせよ、われわれとしては、これだけの思い切った総需要の抑制をやっておるわけでございまして、それらはまた
石油
の需要にも非常に響いてくるところで、そういうような面からも、ある
意味
において省資源、省
エネルギー
へ前進していくモメントにもしたいと
考え
ておるわけです。
井上泉
417
○
井上
(泉)
分科員
その二億七千万トン、これは四十九年度にそれを想定されておる、予定されておる。四十八年度に比較して、今年度は、四十九年度はどれだけ
輸入
量はふやすというおつもりですか。私は勉強していないのでわからぬのですが……。
中曽根康弘
418
○
中曽根国務大臣
大体四十八年度は二億八千九百万トン程度ではないかと一応予想しております。したがって、今年度よりは一応減る、そういう思想、数字になっておるわけです。
井上泉
419
○
井上
(泉)
分科員
昨年よりは減る、そして将来においても、省
エネルギー
の問題を
考え
て、
石油
の消費量は大体押えていく、こういう傾向の中で、備蓄をするためにCTSをつくる、こういうことに論理は帰着すると思うのですが、これは
山形
長官、そうなんですか。
山形栄治
420
○
山形政府委員
先ほども申し上げましたとおり、現在、いわゆる
輸入
原油
は直接にそれぞれの製油所のタンクに入るわけでございます。このCTSというのは、それを一括大量に入れまして、それを小さな船でまた輸送する、こういうものでございまして、われわれといたしましては、そういう流通面、輸送面、それからもちろん備蓄面のそういう効果を
考え
まして、CTSの
建設
は着実に
伸び
るのが、
日本
経済
にとって有効であろう、こういう
考え
方であります。
井上泉
421
○
井上
(泉)
分科員
それでは、流通面、輸送面、そういうような面で、もっとCTSが重視をされなければいかんということで、たとえ
石油
の
輸入
量が減っても必要である、こういう論理の落ちつきになったわけですが、そこで私は、そういうとき、長官が、地元の反対とか、いろいろな地元の
理解
、協力というような話をされたんですが、たとえば、何回か問題になるわけですけれども、高知県の宿毛湾の
石油
基地構想というものは、まだ
通産省
は構想の中に描いておるのですか、それとも、これはもうあきらめておるのですか。
山形栄治
422
○
山形政府委員
いまお話の出ました宿毛湾のCTS
計画
につきましては、目下地元とのコンセンサスが得られておらないということでございます。 私の感じといたしましては、この地元とのコンセンサスが完全にできない以上は、この
計画
の着工というのは、それはおかしいじゃないか、あくまで前提としては、地元との
調整
、環境との
調整
というのがはかられるべきである、こう
考え
ております。
井上泉
423
○
井上
(泉)
分科員
地元との
調整
が得られれば、ことばを返せば、やる、こういうことになるわけでしょう。 それなら、地元というものに対して、これに
通産省
なり、あるいはしかるべき
石油
会社
等がいろいろな形で働きかけをするということはあり得ると
考え
ていいですか、地元との意見の調和をはかるために。
山形栄治
424
○
山形政府委員
これはあくまで、いまのCTS
計画
を持っております
企業
と、その具体的なる
計画
に即した地元との
調整
がはかられるべきでありまして、われわれのほうで地元説得とかいうことをするつもりはございません。
井上泉
425
○
井上
(泉)
分科員
それは、
企業
が出て行くならば、別にどうこうわれわれが容喙すべきことではないという、これは
一つ
の理屈としては成り立つわけです。成り立つわけですけれども、やはりあれだけ強い住民の反対の意思があって、それでそれが立ち消えになって、やっとやれやれこれからこのところを漁業基地として、また観光地として開発をはかっていこうとする中で、その背後に
石油
資本がCTSを設けようというような幻想のようなものをちらつかすと、住民としては非常に惑うわけですが、そこら辺を
通産省
は、もうそんなことをするな、宿毛湾はだめだぞ、こういう
指導
はできないものであるかどうか、これをひとつ
大臣
の見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
中曽根康弘
426
○
中曽根国務大臣
CTSができるだけ適正量でできることをわれわれは希望しておりますから、宿毛湾につきましても、地元と完全に御了解願ってCTSができることを希望しております。
湊徹郎
427
○
湊主査
これにて
井上
泉君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
荒木宏
君。
荒木宏
428
○
荒木
分科員
いま火力発電所の
建設
に伴って
公害
防止、
環境保全
が各地で問題になっておりますけれども、私は関西電力の多奈川第二火力発電所の場合を例にとりまして、新しい
工場
建設
に伴う
公害
防止、
環境保全
、こういったことについて
通産大臣
にお尋ねしたいと思います。 この点については、すでに電気
事業
法にその規定がありますし、また、先般のいわゆる四日市判決で裁判所の判断も示されておりますが、この関西電力の多奈川第二火力発電所についても、候補地の決定にあたって、
企業
はもちろんですけれども、国としても
公害
防止また環境の保全について、事前に慎重な総合的な調査、検討をする責務があるというふうに
考え
ておりますが、
大臣
のお
考え
はいかがでしょう。
中曽根康弘
429
○
中曽根国務大臣
政府
としては、電源開発の重要性にかんがみまして、水力、火力、原子力の発電
政策
を積極的に
推進
したいと
考え
ております。しかし、これらはやはり
公害
問題等に対して適切な処理を行ない、かつ、住民の皆さんの御協力を得るという体系でなされることが適当である、そう
考え
て、多奈川第二発暗所の問題についても、いま推移を見守り、いろいろ調査をしておるところでございます。
荒木宏
430
○
荒木
分科員
まず、健康被害の点でありますけれども、環境庁にお伺いしますが、一応
企業
側で予定地としております大阪府泉南郡岬町の健康被害状況の進行については、どのようになっておりますか。
山崎圭
431
○山崎
説明
員 たいへん申しわけございませんが、直接の担当者がおりませんので、至急調査をいたしまして、御回答申し上げたいと思います。
荒木宏
432
○
荒木
分科員
四十七年の六月に大阪府のほうで調査をいたしました結果では、慢性気管支炎の有症率が六・六%ということになっております。これは近隣の府下の他の
市町村
と比べても、有症率が訂正数値でほかよりも商い状況であります。たとえていいますと、守口市ではこれが四・七%、あるいは吹田市では六・四%、こういったようなことであります。しかも歴年の経過を見ますと、三十七年から四十一年までの大阪市を中心とする調査、その当時に比べて二・三%有症率が高くなっていることが推定される、こういうふうな結果が出ております。したがって、この
企業
側で当該予定をしております地域の、いま申し上げた有症率、それからその推移、さらには広域的な有症率に対する調査、検討、これが当然考慮されなければならぬと思うのでありますけれども、
大臣
のお
考え
はいかがでありますか。
中曽根康弘
433
○
中曽根国務大臣
住民の健康保持ということは非常に大事なことでありまして、できるだけ広範囲にわたって住民の健康を管理し、かつ被害がないような
措置
を講ずることが適切であると思います。
荒木宏
434
○
荒木
分科員
環境汚染の点でありますが、たとえて申しますと、府下の光化学スモッグの発令回数も年を追ってふえております。四十七年と四十八年の対比で申しますと、これが予報
段階
で三十一回から四十八回、注意報の
段階
では十八回から二十六回、そして被害者の数も千六百人から約三千百人というふうにふえてきておるのであります。こういった環境汚染の状況とその進行の程度、これももちろん候補地の決定にあたって考慮、検討されなければならぬ要素だと思いますが、
大臣
のお
考え
はいかがですか。
中曽根康弘
435
○
中曽根国務大臣
一つ
の要素ではあります。
荒木宏
436
○
荒木
分科員
汚染物質の点でありますけれども、これは申すまでもなくさまざまな排出物質があります。しかし、中でもいまいろいろ注目されておりますのが窒素酸化物であります。この点について、環境庁のほうではどのような
現状
を把握しておられますか、お答えをいただきたい。
山崎圭
437
○山崎
説明
員 現在大阪湾地区全体の中に占めます、特にこの立地が予定されております近辺の泉大津という測定局が一番近いところにございますが、二酸化窒素の数値といたしまして、〇・〇二八PPMということが四十七年度の年間平均値として、私ども調査の結果としてとらえております数字でございます。
荒木宏
438
○
荒木
分科員
それは国の環境基準からしてどうなんでしょうか。
山崎圭
439
○山崎
説明
員 二酸化窒素としての国の環境基準は一日平均値で〇・〇二、これを年間平均値にいたしますと、いろいろな見方がございますが、九八%値をとりますと、〇・〇一が相当する、かように
考え
ておるわけでございます。
荒木宏
440
○
荒木
分科員
ですから、どうなんですか。
山崎圭
441
○山崎
説明
員 したがいまして、年間平均値が環境基準では一応〇・〇一に相当すると
考え
ておりますので、この大阪湾の南にございます泉大津の測定局では〇・〇二八という年間平均値が測定されております。
荒木宏
442
○
荒木
分科員
だから、基準を越えているんじゃありませんか。
山崎圭
443
○山崎
説明
員 おっしゃるとおりでございます。
荒木宏
444
○
荒木
分科員
いま泉大津という地域の測定結果について御
報告
があり、これが環境基準を越えている、こういう御
報告
があったわけですけれども、問題の当該予定地であります岬町にもやはり二酸化窒素の測定装置がありまして、これが自治体の手によって測定をされ、その結果が
報道
されておるわけですけれども、この点については環境庁はどうごらんになっていますか。
山崎圭
445
○山崎
説明
員 その点については、現在データがございませんのでお答えできないのでございます。
荒木宏
446
○
荒木
分科員
では、環境庁のほうで、泉大津よりもさらに予定地に近い当該の地域で自治体が実施しておる数値を把握していただいて、これもまた同じように環境基準の点から越えているかどうかの点の御
報告
をいただけますか。
山崎圭
447
○山崎
説明
員 御
報告
申し上げたいと思います。
荒木宏
448
○
荒木
分科員
その正式な
報告
はあらためて別の機会にいただくといたしまして、いま新聞で
報道
されております数値、それからまた私のほうで自治体のほうからいただきました数値によりますと、当該予定地では、たとえば昨年の九月には〇・〇三、十月には〇・〇三六、十一月には〇・〇二三、いずれも単位はPPMでありますが、先ほど環境庁のほうでおっしゃった国の基準をオーバーしておるわけであります。 ですから、こういった
現状
も踏まえて、候補地の決定にあたっては汚染物質の排出状況を考慮、検討すべきであるというふうに
考え
ますが、
大臣
のお
考え
はいかがですか。
岸田文武
449
○岸田
政府
委員 お説のとおり、発電所の
建設
にあたっては、
公害
のない発電所の
建設
ということが私どもの目標でございまして、それを実現するために、いまの汚染状況はいかがであるか、あるいはこれから
建設
される発電所について
公害
防止のためにいかなる施設なり努力が予定されておるか、これらを慎重に見た上で判断すべきものと思っております。
荒木宏
450
○
荒木
分科員
なお、この地域には第一火力発電所がすでに十数年間稼働中でありますが、その温排水によりまして漁業に対する影響が取りざたされておるわけであります。水産庁に伺いますけれども、この温排水による現在の被害状況、これはいかがでありましょうか。
松下友成
451
○松下
説明
員 多奈川の第一発電所につきましては、私どもまだ状況を把握しておりません。
荒木宏
452
○
荒木
分科員
これからさらに従来の既設発電所の六倍にものぼろうかという大きな規模の
建設
が取りざたされておるわけでありますから、既設の第一火力の温排水による影響も調査をしていただいて、その結果を検討されるべきだ、こういうふうに思うのでありますが、まずその点を調査して御
報告
をいただけるかどうか、水産庁に伺いたいと思います。
松下友成
453
○松下
説明
員 調査につきましては、従来関係の府県の水産試験場その他の
機関
に調査をお願いしまして、水産庁といたしましては、そういった調査の企画立案、それから結果の取りまとめの評価といったものにつきまして助言、
指導
するたてまえをとっておりますので、いま先生の御指摘の点、そのように関係府県に
指導
してまいりたいというふうに思っております。
荒木宏
454
○
荒木
分科員
それでは
報告
もいただけるわけですね。
松下友成
455
○松下
説明
員 大阪府のほうの
報告
が参りましたら検討いたしまして、御
報告
申し上げたいと思います。
荒木宏
456
○
荒木
分科員
いま健康被害、環境汚染、汚染物質、さらには漁業被害等について伺ってきたわけですけれども、これらの諸点について検討する場合に、私はその地域の広域的な影響というものは非常に重要だと思うのです。この予定地周辺につきましては、
政府
もよく御存じのように、和歌山共同火力発電所がありまして、これは三十万キロワットです。海南の火力発電所は二百十万キロワットであります。そして従来第一がある上に、今度は大規模な第二火力発電所が予定をされている。しかも、北のほうには堺泉北臨海
工業
地帯があるわけであります。 そういう点から
考え
ますと、先ほど来お尋ねをいたしました幾つかの要素について候補地決定の前に考慮、検討する必要があるということはお認めいただいたと思いますが、そのほかに、汚染源と汚染状況との関係、さらに汚染と被害との関係、また歴年の傾向と循環系としての総合的な検討、こういったようなことが必要だというふうに思いますが、
通産省
のほうのこれに対する御意見を伺いたいと思います。
岸田文武
457
○岸田
政府
委員 多奈川第二火力発電所は、申請されたのがたしか四十五年十月であったかと思いますが、その後その前提となっております
公害
防止対策について、大阪府の
公害
対策
審議
会を中心として数次にわたって検討が加えられ、それらの結論を受けて四十八年八月でございますか、当初六十万キロワット発電機四台という
計画
を持っておりましたのを、当面六十万キロワット二台という形に改め、それに対応いたしまして
公害
防止対策についてもさらに強化をするという
措置
が打ち出されました。この改定された
公害
対策につきまして、さらに大阪府を中心にしていろいろ検討が続けられておる。一応中間的な答申が出されましたが、それをさらにいろいろ検討が続けられておるというふうに聞いておるところでございます。私どもといたしましては、これらの大阪府を中心とする
公害
対策の検討の結果を見守りながら、同時に私ども自身といたしましても、国の立場における
公害
防止対策の検討を並行して進める必要があるだろうと
考え
ております。この
考え
方に立ちまして、昨年秋以来
通産省
の中に設けております環境顧問審査会の学識経験者の意見を聞きながら、私どももいま鋭意検討を続けている過程でございます。
荒木宏
458
○
荒木
分科員
そこでお約束をいただきたいのでありますが、いま申し上げました幾つかの点、これらの点について慎重な総合的検討を経た後に候補地を決定する、このことをお約束いただきたいのでありますが、いかがでしょうか。
岸田文武
459
○岸田
政府
委員 発電所の
建設
に際しましては、事前の手続といたしまして、
経済
企画庁に設けられております電源開発
調整
審議
会の議を経ることになっております。その電源開発
調整
審議
会におきましては、従来から事前に都道府県知事の意見を求めるという手続を用意をいたしております。私どもはこのような形で都道府県知事の意見の固まるのを待ちながら、同時に私どもとしても先ほど申し上げました環境審査を極力進めてまいりまして、それらの意見の固まりました
段階
で電源開発
調整
審議
会に付議するという形で進めてまいりたいと思っております。
荒木宏
460
○
荒木
分科員
いま手順について二つのことをおっしゃったのですが、知事の同意、これは一応自治体の問題としてあとでお尋ねいたしますが、国の態度として、私がいままで申し上げた幾つかの点について、事前の慎重な調査、検討を経た後に候補地を決定する、このことはお約束をいただけますか。
岸田文武
461
○岸田
政府
委員 先ほど御指摘になりました、たとえば温排水の影響であるとか窒素酸化物の防止対策であるとか地域の環境
条件
、これら御指摘になりました諸問題につきましては、私どもも十分勉強いたします。
荒木宏
462
○
荒木
分科員
勉強はもちろんしていただかなければならぬわけであります。そのことはまた当然のことであります。いま申し上げておりますのは、候補地の決定にあたり、その調査、検討が十分なされたその後に初めて候補地がきまる、これが事の道理だと思うのですが、いかがですか。
岸田文武
463
○岸田
政府
委員 候補地の決定自体は、いわば電力
会社
が行なうことでございますが、私どもはそれを現実の形で電気裏業法なりあるいは電源開発促進法に乗せる
段階
で、いま御指摘のような研究
問題点
を詰めました上で進めてまいりたいと思います。
荒木宏
464
○
荒木
分科員
いま電源開発
調整
審議
会の議題に乗せるなりというふうにおっしゃったのですけれども、私はそこの過程のことを言っているのですよ。実務上の
段階
として、電源開発
調整
審議
会が開かれる前に幹事会というのがありますね。その幹事会で候補地というものがきめられる。もちろん
企業
側のいう候補地とこれは
意味
が違いましょう。私の伺っているのは国の行政サイドの問題でありますから、国として、
通産省
として候補地をおきめになる、そしてそれを幹事会に提示をなさる、幹事会できまって
審議
会の議案になる、こういう手順でありますが、
通産省
として幹事会に持っていく前にいままでの検討を全部終わるべきだ、その上で
通産省
として幹事会に持ち出すべきだ、このことを言っておるわけであります。このことのお約束はいただけますか。
岸田文武
465
○岸田
政府
委員 これは
経済
企画庁のほうでその辺の進め方をまとめておられますが、実際の手続といたしましては、一番最初に各省の連絡会がございます。各省連絡会ではいま問題となる候補地点はどんなところであるのかということで、わりあい幅広く候補地点が検討対象になるわけでございますが、その中である程度各省の意見が固まったものが幹事会にあげられる。さらにその審査を経た上でほんとうの
審議
会にかかるという段取りを経ておるわけでございます。したがいまして、連絡会の
段階
はわりあいに自由にいろいろな発電所の問題か討議されますが、幹事会の
段階
ではスクリーンをして進めるというたてまえになっております。
荒木宏
466
○
荒木
分科員
尋ねたことにお答えをいただきたいのですが、私は経過のそういうプロセスを伺っておるのじゃないのです。幹事会に臨むのは、
通産省
もその一人になっているわけでしょう。いいですか、
通産省
の幹再会に臨む態度として、これだけ問題になっておる環境の問題、
公害
の問題、いま幾つかあげた要素の検討を終わって、よろしいということになって初めて
通産省
としてはこれが候補地として適当でありますという態度をとるべきだ、こう言っておるわけであります。
岸田文武
467
○岸田
政府
委員 従来から大体御意見のような形で運営をいたしておったようでございますし、今後ともそのようにいたしたいと思っております。繰り返しますが、事前に私どもの環境面でのチェックを終わった後に幹事会へ付議するということにいたしたいと思います。
荒木宏
468
○
荒木
分科員
それでは確認をさせていただきますが、当該地域の健康被害、それから環境汚染、汚染物質の排出状況、さらに漁業被害の状況、汚染源と汚染状況の関係、汚染と被害の因果関係、そしてそれについてのたとえば和歌山県、奈良県を含む広域的な検討、そうして歴年の傾向と循環系としての総合的検討、以上のことを申し上げてきたわけであります。検討を終わった
段階
で初めて幹事会にかけるというのは、いま申し上げた事項が当然含まれると思いますが、これは確認させていただいてよろしゅうございますね。——答弁を求めたのは
通産省
であります。
岸田文武
469
○岸田
政府
委員 先ほど申し上げましたように、連絡会及び幹事会は、関係各省がそれぞれの所掌事務の範囲内で検討した結果を持ち寄って討議をするということになっております。したがいまして、先ほど御指摘の
問題点
につきましては、それぞれの所管官省ごとに調査が進められ、その結果を連絡会で討議をして進め方をきめていきたいと思っております。
荒木宏
470
○
荒木
分科員
通産省
の態度を伺っているのですよ。環境顧問審査会なるものがある、こうあなたはおっしゃっております。その環境審査の中で、
通産省
としてこれらのことは当然検討なさるべきでしょう。だって
大臣
は、その点も
公害
という点で検討する、こうおっしゃっておるのですから。他の省庁のことはあとで伺いますから、あなたの所管しておられる
通産省
の態度を伺っているのです。幹事会にいく前に態度をきめるでしょう。これらのことを全部検討して、それが終わって幹事会に初めて候補地として出す、このことをひとつはっきりとおっしゃっていただきたい。
岸田文武
471
○岸田
政府
委員 私どもの環境顧問審査会では、ボイラーの廃ガスの環境に与える影響、それから温排水の環境に与える影響、騒音による影響等を中心として検討をいたしております。いまお話にございました中で漁業被害等の問題は、別途補償の問題として処理すべきものではないかという感じがいたします。私ども先ほど申し上げましたような点につきまして、審査をした上で進めるということはお約束いたします。
荒木宏
472
○
荒木
分科員
私が申し上げた確認をする諸要素は、これは
通産省
で調査、検討するんでしょう。するかしないか、それを言ってください。
岸田文武
473
○岸田
政府
委員 御指摘の問題の中で健康被害の問題、これはいわば過去の発電所ないしその他の施設の結果として生じた事項でございまして、発電所の新しい
建設
の問題とは切り離して
考え
るべきではないかというふうに思います。それから他の一般的な既汚染の状況、これらにつきましては、事前に私どもとしてチェックした上で判断をいたしたいと思います。
荒木宏
474
○
荒木
分科員
そうすると、健康被害の点だけは
通産省
は調査、検討の対象には入れない、そのほかの環境汚染、汚染物質の排出状況、以下繰り返しは省略いたしますけれども、私が列挙をした要素は、調査、検討を終わってから幹事会にかける、これは間違いないですね。
岸田文武
475
○岸田
政府
委員 もう一度列挙の範囲を復習してみませんと正確なお答えになるかどうかわかりませんが、健康被害の問題、それから漁業被害の問題、それから……
荒木宏
476
○
荒木
分科員
それじゃ一問一答でいきますから、イエスかノーか言ってください。 環境汚染の状況は調査しますね、もちろん。
岸田文武
477
○岸田
政府
委員 調査いたします。
荒木宏
478
○
荒木
分科員
汚染物質の排出状況、これも調査しますね。
岸田文武
479
○岸田
政府
委員 調査をいたします。
荒木宏
480
○
荒木
分科員
それから汚染源と汚染状況の関係、これももちろん検討しますね。
岸田文武
481
○岸田
政府
委員 そのようにいたします。
荒木宏
482
○
荒木
分科員
汚染と被害の因果関係、これも調査しますね。
岸田文武
483
○岸田
政府
委員 それはすでに生じた被害の問題であれば、これは別問題ではないかと思います。
荒木宏
484
○
荒木
分科員
そこで、そういった調査、検討がどのようになされたか、そのことについて広く民主的な保証を担保する、こういった
意味
で調査結果を検討して、候補地を決定するという前に御
報告
いただきたいと思いますが、よろしいですね。
岸田文武
485
○岸田
政府
委員 私どもの所見を取りまとめて御
報告
させていただきます。
荒木宏
486
○
荒木
分科員
それでは、その御
報告
をいただくまでは、
通産省
としての候補地決定には至らないということを確認をさせていただいて、いま
通産省
が所管でないと言われた健康被害状況、それから汚染と被害の因果関係、この点について、環境庁としてこの幹事会に臨む前に態度決定をするにあたり十分調査、検討する、こういうお約束はいただけますか。
山崎圭
487
○山崎
説明
員 直接の担当でございませんので、明確なお答えは保留させていただきますけれども、一般的に申し上げまして、当該
企業
の立地によりまして、それの汚染の寄与、こういうものの中には当然にいままでのさような問題が背景になって含まれているということは申し上げられる、かように思うのでございます。 ただ、具体的に過去の健康被害の状況そのものは、もちろん私ども
考え
てまいりますけれども、直接この分野につながるかどうか、それはお答えを保留させていただきたいと思うのです。
荒木宏
488
○
荒木
分科員
しかし、皆さんは環境を守るという立場で仕事をなすっているのでしょう。そこへさらに汚染源がもう
一つ
大きなものがよけい追加されようとする。だとすれば、
環境保全
、そして健康保全の上からどのような影響があるかということを調査することは当然の責務じゃありませんか。そのことをお認めになるのなら、幹事会に臨む前に環境庁として調査をして、そしてその結果を
報告
する、こういうお約束をしていただきたい。
山崎圭
489
○山崎
説明
員 結局、私どもの大気汚染から申し上げますと、大気につきましての環境基準が、人の健康を守る上で維持することが望ましい基準と定められておりますので、環境基準と直接のリンクを持っての調査、検討は当然のことだろうと思っておるわけでございます。
荒木宏
490
○
荒木
分科員
いま違反しているとあなたおっしゃったんだから……。
山崎圭
491
○山崎
説明
員 そういうことの関連におきまして、過去の被害状況もその限りにおいては当然に調査の対象になる、かように
考え
ております。
荒木宏
492
○
荒木
分科員
報告
していただけますね。
山崎圭
493
○山崎
説明
員 ちょっと所管外ではございますが、持ち帰り、そのような方向で検討させていただきたいと思います。
荒木宏
494
○
荒木
分科員
経済
企画庁に伺います。 この
審議
会は企画庁の所管でありますが、幹事会でいろいろ
審議
会の事前のお繕立てをなさる場合に——いま
通産省
はお約束をいただきました。環境庁もお約束をいただきました。水産庁もお約束をいただいた。その態度を確認し、かつ
国会
に
報告
をされておるということを確認をした上で幹事会で候補地の決定をする、こういうことをひとつお約束をいただきたい。
仲田嘉夫
495
○仲田
説明
員 私どもは従来より、電源開発
調整
審議
会を開くにあたりましては関係各省の意見を十分に伺いまして、それぞれの分野の
問題点
を摘出し、そこでいろいろ問題を煮詰めた上で幹事会にかけるということにいたしておりますので、今後ともその辺慎重にやってまいりたいと思います。
荒木宏
496
○
荒木
分科員
最後に
大臣
にお伺いをいたします。 まず
一つ
は、先ほど質問を保留しました地方自治体の意向でございます。地方自治体、この場合は大阪府知事、大阪府議会でありますが、その同意があるまでは候補地決定をしない、このお約束をひとついただきたい。 それからもう
一つ
は、単に多奈川第二火力発電所の問題だけじゃなくて、こういった火力発電所あるいは汚染が問題になっておる新しい
工場
の
建設
、稼働については、先ほど来申し上げておりますような同じ態度、方向で処理をする、こういったことを御確認いただきたいと思います。
中曽根康弘
497
○
中曽根国務大臣
環境の
確保
に関する地方自治体の意向というものは、極力尊重いたすべきものと
考え
ます。 なお、そのほかの地点につきましても、環境を破壊しないように、住民の健康被害を与えないように最大限の注意をして行なうべきものと
考え
ます。
荒木宏
498
○
荒木
分科員
いま
大臣
が総括的におっしゃいましたが、関係各所管の省庁ではいまお約束いただいたことを必ず守っていただくということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
湊徹郎
499
○
湊主査
これにて
荒木宏
君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
高橋
繁君。
高橋繁
500
○
高橋
(繁)
分科員
私は、採石の問題について質問をいたしたいと思います。 この採石の問題については、あまりいままで問題になっていなかったんではないかと思いますが、
日本
全国の採石の現場を調べてまいりますと、現在七千九百八十二カ所という膨大な採石の現場になっておる。これを見てもおわかりのように、
日本
全国がたいへんに禿頭病的な存在になっておる。そのほかにまだ砂利の発掘であるとか陸砂利、山砂利、そのほか土砂の採掘、これは法的にはありません。そうしたことを数えますと、全く
日本
全土が掘られているといっても過言ではないと思います。そうした採石について至るところでかなりの紛争も起きておりますし、あるいは災害も起きておる。 そういうことで、この採石に関する
通産省
の一切の
責任
は、都道府県に四十六年から移管をされた。しかしながら、採石法の第一条にもありますように、この採石に関して
通産省
としての
責任
というものはどの程度感じておるのか、またどのように
考え
ておるのか、まずそれから
通産大臣
にお伺いいたしたいと思います。
山形栄治
501
○
山形政府委員
採石法は、いま先生のお話しのとおり、四十六年に改正されまして、都道府県の権限に相なったわけでございます。御存じだと思いますが、採石につきましてはいろいろな問題が起こる可能性が多いわけでございます。したがいまして、採石の採取
計画
につきまして都道府県知事の認可を、まず認可制にこれをいたしまして、公共の福祉に反すると認める場合には、法律の三十三条によりましてこれを認可してはならないということをはっきりとさしておるわけでございます。なお、その後におきましても、都道府県知事といたしましては変更命令を出すこと、また災害防止
措置
を命ずること等が法律上に明記されておるわけでございます。われわれといたしましては、常時都道府県と担当官
会議
も定時的に開いておりますし、具体的な紛争の発生にあたりましては、地元の通産局の
機能
も活用いたしまして、法律に規定されております目的が達成されますように行動をとるように、本省と通産局と県と三者が協力してこれに当たるような体制をとっておるわけでございます。
高橋繁
502
○
高橋
(繁)
分科員
確かにお答えはりっぱでありますが、実際問題として七千九百カ所の現場を一体一々チェックできますか、いまの体制で。あなたはちゃんとチェックしてやっておると言いますけれども、実際チェックしてやっておりますかどうか、その点。
山形栄治
503
○
山形政府委員
先生のいま御指摘のとおり、採石の許可を持っておりますところは非常に数も多いわけでございます。われわれといたしましては、これを全部常時見るということは非常に無理であるわけでございますが、問題の発生しておりますところは数もおのずから限られておりまして、そういうところにつきましては原則として県が月に一回その現場を立ち回る。そしてなお必要がございましたら、土木事務所が、もうちょっと数多く、たとえば月に二、三回現場を見回るというような
措置
をいたしておるわけでございます。
高橋繁
504
○
高橋
(繁)
分科員
時間がないかち簡潔にお答えください。 そこで、三十三条の四に従って、いままでの採石現場で一体全体公共の福祉に反すると認めたときに認可をしてならないとか中止をしたという事例がありますか。
斎藤顕
505
○斎藤
説明
員 そういう事例は数多くございます。手元にその具体的な資料は持ち合わしておりませんけれども、具体的に採掘停止命令等を出したことはございます。
高橋繁
506
○
高橋
(繁)
分科員
実際にありますか。
斎藤顕
507
○斎藤
説明
員 ございます。
高橋繁
508
○
高橋
(繁)
分科員
あればまたあとで資料をいただくことにして、この採石が七千九百カ所、需要に伴って、これはこの前もちょっと質問しましたが、だんだんふえる可能性があります。川砂利がなくなってきていると同時にこの採石というものはますますふえつつある。ということになりますと、今後の採石の認可の問題でたいへん問題になる点が出てまいりますので、
一つ
の例を引きながら質問を進めてまいりたいと思います。 まず第一に——きょう農林省は来ておりますか。——保安林の解除の問題で、これは最終的には農林
大臣
の認可ということになると思いますが、これは間違いないですか。
松形祐堯
509
○
松形
説明
員 農林
大臣
の権限におきまして解除いたしますものと、県知事に委任いたしておりますものと、二種類ございます。
高橋繁
510
○
高橋
(繁)
分科員
全国にもそういう例がありますが、静岡県の大久保山という場所は実は大正元年に保安林に指定されておった。ところが、
昭和
三十八年にこの保安林の解除の申請が出ておる。この保安林の指定の目的は、土砂の防備ですね、いわゆる土砂の流出の防備という目的で保安林に指定された目的の個所である。ところが、この解除の理由がその指定理由の消滅ということになっておる。確かに解除の理由はそうであるけれども、この場所が採石の現場になるということで解除が出されたということは、私は間違いない事実であると思うのですが、その辺のチェックというものは実際問題として農林省としてはやっているのかどうかということですね。
松形祐堯
511
○
松形
説明
員 ただいま御指摘の場所は、沼津市の獅子浜の保安林ではないかと思っておりますが、御指摘のとおりに当保安林は大正元年に指定いたしております。解除申請が出てまいりまして、二回に分けて保安林を解除いたしておりまして、三十八年の八月と十一月に、二回に分けまして約五・五ヘクタール程度の解除をいたしたわけでございます。その解除理由といたしますと、御指摘のように指定理由の消滅ということでございまして、私その場所を具体的に知っているわけではございませんけれども、書類上から見ますと、県道に面しまして落石の危険があるために指定された土砂の流出防備保安林でございまして、土石の採取を行ないましてのり面が
整備
されて危険防止ができるというようなことで、指定理由の消滅ということで解除いたしたような次第でございます。
高橋繁
512
○
高橋
(繁)
分科員
片方の十一月の解除の申請の理由は、そういう理由が何もないのです。ところが、事実土砂の流出というものは当時あった。これは私も知っています。そこでその次の解除の理由は、土石の採取を行ない、のり面を別図のとおり整理して石積みをして危害の防止をするということがありますが、そんな事実は
一つ
もありません。それを目的にして採石をじゃんじゃんやってさらに危険を及ぼしておる。その下には民家もありますよ。県道もあって、夏などはレクリエーションで、レジャーでものすごい込み方です。そういう場所を保安林解除されて採石がどんどん行なわれている。私はここに非常に問題があると思う。 ただ県から申請を出せば、ノー文句で、現場をチェックしないで書面で許可してしまう。これはこれから採石の場合あるいはゴルフ場の場合、かなりたくさん出てくると思うのです。私はそうした保安林の解除の問題に今後非常に問題を残すということを言いたいのです。ですから、採石の業を営む場合あるいはその場所で採石をするという場合に、それがはっきりわかった場合は、今後そうした保安林の解除ということを一体やるのかどうかということをお聞きいたしたい。
松形祐堯
513
○
松形
説明
員 ただいま御指摘のように、山砂利等を採取いたします場合、保安林を解除する場合とこれが普通林である場合と二つあろうかと思います。保安林の場合につきましては、ただいま御指摘のものは
昭和
三十八年と十年以上前でございまして、一応現在の
実態
と合わない面もあろうかと思いますけれども、私どもこういう保安林の解除につきましては、今後とも慎重に対処してまいりたいというふうに
考え
ております。その場合、きわめて重要性の高い保安林につきましては原則としては解除しない。しかし、当然必要な場合がございますので、その場合にいたしましても、なるべくその土地をはずれまして、もっと保安林の
機能
の低いところでそれをやっていただくように
指導
いたしますと同時に、必要最小限の面積にいたしたいということを
指導
いたしております。 なお、採石のために被害を下方に及ぼすというような場合には、それの被害の及ばないような代替施設をつくるということを
条件
といたしまして
指導
してまいりたい、かように
考え
ておるわけでございます。
高橋繁
514
○
高橋
(繁)
分科員
そうしますと、いままでのような大久保山に見られるような採石の場合には認可をしないということで確認してよろしいですか。
松形祐堯
515
○
松形
説明
員 ケース・バイ・ケースと私、思っておりますけれども、非常に人家が多いとかあるいは下を国道が走っている、県道が走っているというような重要な意義を持った保安林の場合は、なるべく、私どもは原則としてでもこれを厳重に取り締まってまいりたい、かように
考え
ております。
高橋繁
516
○
高橋
(繁)
分科員
そういういま言ったような問題があるわけですね。 そこで、当時は
通産省
の認可の案件であったと思うのですが、
通産省
として、そういう採石の認可申請が出てきた場合には、私はそこまで
考え
て許可をしたんじゃなかったのだろうと思うのですが、その辺はどうなんですか。そこまで
考え
て採石の認可をいたしたのですか。
斎藤顕
517
○斎藤
説明
員 この採石場は、
昭和
四十一年東京通産局に届け出るという行為によりまして採石業務を開始いたしております。四十一年のことでございまして、その後採石のいろいろな
公害
であるとかあるいは災害問題等発生いたしまして、監督の強化ということが必要になってまいりました。法改正等に伴って徐々に
改善
しておる
現状
でございます。
高橋繁
518
○
高橋
(繁)
分科員
いまのような場合、認可の場合には、保安林であるという場所については、今後は厳重にチェックいたしますか。
斎藤顕
519
○斎藤
説明
員 そういう方針で、具体的に許可にあたってはチェックいたしております。
高橋繁
520
○
高橋
(繁)
分科員
いまは都道府県の許認可の事項になっております。ところが、最終的には
通産省
もこれには
責任
を持って
指導
もし、福祉の向上のためにこの採石業務をやるということになりますが、四十八年六月六日のこの大久保山採取
計画
認可申請書の中には、実は解除になっていない保安林があるわけですよ。この件については一体どのように
考え
ておるか、農林省に最初にお答えしてもらえますか。
松形祐堯
521
○
松形
説明
員 ただいまの
昭和
四十八年の作業許可ということで行使いたしておりまして、二つの
会社
がございまして、双葉
建設
、作業許可面積が二ヘクタール、日付はちょっと違っておりますけれども、四十八年でございますが、松庫海事というのに作業許可面積約〇・九ヘクタール、こういうことになっておるわけでございます。
高橋繁
522
○
高橋
(繁)
分科員
それはなっておるということはわかりますけれども、その認可書の中に保安林で解除になっていない部分があった場合に、一体この認可は農林省としては黙って見のがすのか、これでいいのか、そういう点を聞きたいのです。
松形祐堯
523
○
松形
説明
員 作業許可という制度は、森林法の三十四条の二項にございまして、一時軽易な形質変更で作業いたしまして、作業が終わりますと復旧いたしまして森林にするということを前提として作業許可をする、こういうたてまえになっておりまして、現実にこの場所が森林にならないということでありますと、当然保安林解除手続をすべきである、こういうように
理解
をいたします。
高橋繁
524
○
高橋
(繁)
分科員
通産省
にお聞きしますが、いま農林省の見解はそのとおりでありますが、これは県の
段階
でありますので、
通産省
は
指導
すべき立場としてこの問題についてはどういうように
考え
ていますか。
斎藤顕
525
○斎藤
説明
員
計画
の認可にあたりまして、そのような保安林の解除等の法的手続がとられておらない場合には、許可をすべきでないというふうに
考え
ております。
高橋繁
526
○
高橋
(繁)
分科員
時間がありませんから次に進みます。 次に、採石方法についてお伺いをいたしたいのでありますが、この採石方法は、いわゆる採石の基準というものが、
指導
要綱がたしか
通産省
から出されていると思います。一体全体この採掘の方法がそうした基準どおりに行なわれておるか。全国四カ所くらい私、調べましたが、ほとんどなされていないというのが
現状
です。この
現状
はどう把握しておりますか。
斎藤顕
527
○斎藤
説明
員 法律が変わりました三年前、許可が都道府県に移行いたしました際に、私ども採掘の技術基準をつくりまして、監督の立場にある県の技術向上ということと、認可の基準ということの参考に資するために、そのような基準を設けたわけでございますが、逐次
改善
されておると思います。現場の状況が逐次
改善
されたということは、災害発生件数ということで把握するのが
一つ
の方法だと思いますが、災害発生件数は逐年たいへんな減少を示しております。
高橋繁
528
○
高橋
(繁)
分科員
災害発生件数が減っているということは、何も
通産省
や県がチェックを厳重にしたからではないと私は確認します。これは住民が騒いだから、住民がこの問題について関心を持ってきているから災害が少なくなってきている。たとえば一番多いところで香川の三百四十カ所。それじゃ一体三百四十カ所のチェックをすることができますかどうか。たとえば静岡県に例をとりますと、砂防課の庶務係が兼任でやっております。長野ではこれも同じであります。調査管理係が他の業務と
兼務
をしてやっております。広島では専門官が置いてありますが、これも人数はきわめて少ない。そうした人数の中で、そうした採石基準がせっかく
通産省
で定めてあるにもかかわらず、その基準というものが守られていない。それをチェックする職員というものはきわめて少ない。それで災害が減ったという理由には私はならないと思うのです。 ただ、この
報告
書を見ると、確かにベンチカット方式でやりますとか、角度は六十度以内となっておりますが、現場に行ってみれば全然違うのです。六十度どころかかえって百度ぐらいになっておる。ベンチカット方式も守られておらない。そこで災害が起きているのです。都道府県の許認可になったからといって、都道府県にただまかせきりで、
通産省
がもっと厳重なチェックをこれにしないところに問題があるというふうに感じますが、その辺いかがですか。
斎藤顕
529
○斎藤
説明
員 災害の発生と職員の数等の関係につきましては、先ほど私どもの
資源エネルギー
庁長官
がお答え申し上げたとおりでございます。 なお、現場の状況が守られているかどうかということにつきましては、地元からいろいろな問題がありましたときには、県と
通産省
と一緒に検査をするというふうに、できるだけ機会をとらえまして現場の
改善
を、
通産省
の経験もあるいは県に伝えまして、できる限りの努力をしておるのが
現状
でございます。
高橋繁
530
○
高橋
(繁)
分科員
現場のチェックの問題で、これは実際立ち入り検査も県の職員あるいは
通産省
の方々がしているわけです。ところがこの立ち入り検査を見ると、全部
計画
どおりなされているというような
報告
が来ておるわけですね。これを見ればおわかりになりますが、そのように間違って虚偽の
報告
をしておるところに私は問題があると思う。それで問題がない、
計画
どおりやられている。あるいは
通産省
のほうは県から
報告
をとる。その
報告
書はまさしく事故なくやっている、間違いなく
計画
どおり進められているという
報告
だけ見て、よしとしているところに私は問題があろうかと思うのです。この点についての厳重な今後のチェックを望むわけですが、今後の決意というかそうした
考え
等について、できれば
通産大臣
からお聞かせを願いたい。
中曽根康弘
531
○
中曽根国務大臣
最近
日本
の各地において採石の現場がふえておりますけれども、一面においては自然の破壊、それから住民の生活の保護という面から、われわれとしては深甚の注意をもって見守り、かつ保護しなければならぬところが多々あるように思います。私の県にもずいぶんあります、群馬県ですから。そういうことからいたしまして、法規、行政規則を厳格に守って、採石の行為というものが自然を破壊しないように、また住民の生活に被害を与えないように、私たちとしてはくれぐれも心がけて監督しなければならぬと思っております
高橋繁
532
○
高橋
(繁)
分科員
私は今後の採石等全部ひっくるめて質問しておるわけですが、あそこの個所は、このように写真がありますけれども、このうしろに富士山があるわけです。この写真は全世界に富士のすばらしい景色を紹介されておる。その百四十一メートルの山がなくなるんですよ。しかもこの下には民家があるし県道がありますし、しかも富士山を背景にした駿河湾の最大の景色の場所なんです。これがなくなっていく。しかもこちらの住家のあるところはハッパの振動で現在土砂が落ちて、しかもそちらの側の山は木が枯れつつある。ということは、あの採石の基準にありますように、頂上で、隣のこちら側の山との間は五メートル以上ですか、それは何ら守られておらない。ていさい的に網をかけてありますけれども、そんなものは何の用にも立たない。そこに住んでおる住民というものは毎日不安な生活をしておる。一時あぶないということで避難しました。ところが、避難したけれども、生活上非常に都合が悪いということで心配ながらまた戻ってきておる。その
企業
との間で避難のうちをつくってありますけれども、実際問題としてそんなものは住めるうちじゃないですね。そういう自然の問題かららいって
一つ
。 それから、この山があることによって、江浦港というのは最良の自然港なんですね。山のこちらにある港というのは避難港なんです。その避難港が、この山がなくなることによって気象
条件
がまるきり変わるということが予想つくわけであります。特に沼津は、五十年の測候所の記録から見ると、五十年間で南西の風が約六〇%、もろにこの風がこの自然港へ、もうすでにそこにつないである船の綱が切れたとかいろいろ出ておりますが、これが完全になくなりますと港としての
機能
もたいへんな問題になってくる。付近の住民は不安にかられておる。だけれども、そうした問題が何
一つ
解決をされていない。 これから住民の期成同盟会も結成されてやっていくようでありますが、そうした採石の問題、これは採石の中でも特例だと思うんですね。そうした場所について、今後あと処理をどうするとか何年間で打ち切るとか——これは採石業者にとって一番いいところです。山からけっころがしてすぐ海ですから、船が待っておるのです。その船にのっければ、こんな業者にとって最良の場所はない。そういうことを
考え
ますと、住民の怒りというものはたいへん強いわけです。 一例を私、大久保山にとって申し上げましたが、これは明らかに人災であるということがはっきり言えます。これから雨季に入りまして、鉄砲水等あった場合、集中豪雨等があった場合はくずれていくことは当然です。そういうことを
考え
た場合に、今後の採石に関しての厳重なもう一度の総点検なりチェックをぜひやらなければならない、こう思いますが、
通産省
の
考え
をお聞きします。
斎藤顕
533
○斎藤
説明
員 大久保山の採石場では反対期成同盟と当事者の
事業者
との間で、四十六年十二月に採石
事業
に伴う諸問題についての協定を締結しております。なお、この協定の範囲内で沼津市のあっせんを受けまして、地元住民の了解する範囲内において操業を続けていくということを県は認可の基本的態度としております。 先生御指摘のように、ここはすでに採掘されました状態におきまして、むしろ安定したところまで山を下げるべきか、あるいはこういうふうな状態の中でそのまま作業を中止すべきかというふうなことが議論の中心になっておるわけでございますが、それも現在地元住民代表と沼津市長さんとのあっせんによりまして、県がそれらにつきましても近く技術的な判定を下すことになっております。 なお、気象
条件
の問題でございますが、過去の気象
条件
の追跡と、もし必要であるならば採石業者に風洞実験等もいたさせまして、それらによって確実なデータが得られた後に初めて認可ということに踏み切るというふうな
考え
も県としては持っておるようでございます。私どももそれは妥当な
考え
であるというふうに思っております。 なお、この地域について厳重な巡回検査をこの際やるべきでないかというふうな御指摘の点は全く同感でございまして、近く
通産省
も県と一緒になりまして、再度巡回いたしまして、必要な
問題点
がございましたら県を通じて厳重に監督させ、あるいは場合によりましては一部
事業
の変更等もいたさせるつもりでございます。
高橋繁
534
○
高橋
(繁)
分科員
時間がありませんから……。とにかく私一番心配なのは、災害の防止ですね。住家があるのです。民家がその下に毎日不安な生活をしておる。確かに協定書はありますが、その協定書も読んでみれば問題もあるようです。ほんとうにあそこに住んでいる人の声を聞かれて——私は決して一
企業
をつぶすとかそういう
考え
ではありません。ただ、あの人たちが毎日安定し安心した生活ができるように特段の監督を強く要求いたしまして、終わります。
湊徹郎
535
○
湊主査
これにて
高橋
繁君の
質疑
は終了いたしました。 次回は、明七日木曜日午前十時より開会いたしまして、引き続き
通商産業省所管
の
予算
について
質疑
を行なうこととし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時三十七分散会