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竹本分科員 私は、いまの
計画の基本的な理念というもの自体に、確かに
方向を切りかえた面もあります、その点は評価しなければなりませんが、まだまだ非常に不十分だ、あるいは不徹底であるというふうに思いますが、時間もありませんので、私の考えておる本来の社会
経済の基本の
計画ということになれば、こういう点が十分盛り込まれなければならぬではないかという二、三の点を
指摘をしまして、大臣のお考えを伺って終わりにいたしたいと思うのです。
その
一つは、当然のことながら、福祉尊重ということを言われる。しかし、福祉を尊重するということは、これは全部の
考え方を変えるということなんですね。従来のGNP中心の成長政策プラスアルファというふうなかっこうで、プラス福祉というものがちょっと終わりのほうにくっついた。これでは福祉国家の
建設はぼくはできないと思うのですね。だから、あらゆる
経済政策、
産業構造、あるいは政治理念、政策の基本的なものすべてにわれわれの
考え方を変えるということがなければ、ほんとうの
意味の福祉国家はできないと思うけれ
ども、その点について、福祉ということばが出てきたり、あるいは福祉の
関係の
予算が若干ふえるというようなことが考えられておっても、ものの
考え方の根本がやはり従来の
考え方の延長線上にプラスアルファとしてくっついているだけではないか、プラスアルファではだめなんだ、ものの
考え方を変えるんだ、その点について非常に、私の言うのは理念的な問題ですけれ
ども、話が不徹底ではないか、取り上げ方が不徹底ではないか。
一つの例を申し上げますと、最近は貯金、預金の利子のスライド制などという問題も出てきておりますけれ
ども、
一つの問題は、金利水準等から考えてみても、世界で
日本の金利水準は、たとえばドイツのおそらく四倍くらい物価が上がっておる、時期によりますけれ
ども、この間までは四倍くらい上がったというときに、金利水準は逆にドイツの半分だというような
段階がだいぶあった。そういうことから考えてみても、まじめに貯金した人に目減りで大損をさせるというような
考え方も間違っておるし、何よりも低金利政策というのは、根本は高度成長
経済をささえた
一つの柱なんです。設備投資主導型の高度成長というのは、結局低金利政策、それから間接金融ということが中心でいままでやってきた。福祉国家を
建設するというときに、間接金融の問題にも低金利政策にもメスを入れようという
努力はどこにも見受けられないということでは、ほんとうの
意味の福祉国家の
建設は、
経済政策の面から見てもできないと思うのです。そういう点について福祉というのはプラスアルファではなくて、これから
考え方の根本を変えるということだけれ
どもどうか、これが
一つ。
次に、物価の安定の問題については、時間がありませんから申しませんが、もう
一つは省
エネルギーの問題、これも
一つの大きなこれからの問題で、七億五千万キロリットルを列島改造で考えておるような
段階とはまるきり違ってしまった。これから資源ナショナリズムというものはむしろ強くなる方の
心配があるということを考えると、これについても発想を変えなければいかぬという点をどういうふうに受けとめて今後の作業をやられるのか。
第三は食糧問題。私はいま食糧の問題はそれほど危機的な様相を示しておるとは思いませんけれ
ども、アメリカの基本政策というのは農産物の輸出でこれからは約百億ドルの黒字をかせいで、油の支払い代金の増加したものは全部そこでカバーしていこう、こういうことがアメリカの基本的な
経済政策になっておると思うのだが、それをまともにあおりを受けるのは
日本の農業であるが、そうでなくても農業政策が農政のない農業政策というようなことになっておるような問題で非常に重大な問題である。特にわれわれは食糧問題というのは、やはりナショナルセキュリティーの
一つの大きな柱という
考え方に立って非常に大きく考えなければならぬ。この問題がどの
程度のウエートを置かれているかというと、御
承知のように安いアメリカの小麦や安い外国のものを買ったほうがいいのだというような経団連のような
考え方が一時一世を風靡するかのごとき勢いであった。そういう点を考えると、やはり
基本計画の中にもそういう反映があると思うのですけれ
ども、これを抜本的に、やはり農業食糧問題というのはナショナルセキュリティーの一環であるということで考え直さなければならぬと思うがどうか。
最後に、もう
一つの問題は、私は、いま緊張緩和の時期だから国防をふやせとか四次防をやれとかいうようなことは言いません。しかしながら、国が存続している以上は、国の文字どおりのセキュリティーということについては考えなければならぬが、三次防であるか四次防であるかは一応別にして、この
基本計画というものは、そういう観点はほとんど抜けているのではないかと思うが、そういう点はいったいどうなのか。
以上、三、四点についての
考え方をどういうふうに受けとめて新しい
計画を練り直そうとされるか、承っておきたい。