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板川分科員 私は、越谷市立病院の設立をめぐって地元
医師会との紛争等について、
厚生大臣、自治大臣にお伺いをいたしたいと思います。
私は、人口が日本一急増している埼玉県、その埼玉県内でさらに一番人口が急増しておる越谷市において、市立病院設立をめぐって市の
医師会と市当局との紛争があり、
国民の医療を担当する立場の
厚生大臣に伺いたいのでありますが、しかし与えられた時間が三十分間ですから、時間をむだにしないために、まず実情と問題の背景を
説明いたしたいと思います。
越谷市は、人口十八万人、つい十年前までは人口五万人の農村都市であったのでありますが、地下鉄で都心乗り入れが実現したために、東京都のベッドタウンとして急速に人口が増加して、また増加しつつあるのであります。人口が急増しましたが、
医療施設、開業医はふえないために、十万人
当たり医師の数が四十名弱にすぎません。日本の
平均が百十七人、二十万都市の
平均が百二十六人に比較いたしますと、三分の一にも足りないわけであります。また、そういった
状態でありますから、いわば日本一の医療過疎の町といっても過言ではございません。したがって、
医師不足のために、診療を受ける患者の家族は真冬でも朝四時から五時ごろ順番をとるために、診療所、開業医の屋外に立ち並び、その数が毎日百人をこえており、三時間待って三分の診療どころか、何時間待ってもこれはもうお断わりという事態が毎日続いておるのであります。
そこで、越谷市民はやむを得ず隣接の春日部市と草加市の市立病院にかかりに行きますので、春日部市立病院の患者の一〇%、草加の市立病院の患者の二五%が越谷市民であるという実情であります。春日部市では、市立病院の赤字が四十八年で一年間で二億七千万、累計四億六千万の赤字であるために、他市町村の患者が四五%を占めておるという実態であって、その赤字を春日部市民が
負担するのはもう限界にきた、よそもの患者はお断わり、こういうほかはないということを、そしてお断わりするということを近々
実施するやに新聞等で報道されておるのであります。
越谷市でも、激増する市民の健康を守るために、市立病院をつくるべく歴代の市長が努力して、市ではすでに
昭和四十三年、市立病院の敷地として一万坪を
確保し、
医師会の
協力を要請してまいりましたが、ここ数年間地元
医師会の執拗な反対で病院建設は進んでこなかったのであります。
地元
医師会の反対の理由は、
一つは、市立病院は開業医と競合するから、一般外来患者の診察を受け付けるべきではない。また
一つとして、市立病院は開業医が紹介した患者のみを扱い、専門病院として高度医療を担当すべきである。市がもしこれを認めないなら
医師会は市に一切
協力をしない。
医師会の
協力がなければ市立病院も開業ができない。かりに建物ができたとしても、日本
医師会の圧力によって
医師が派遣されないから、開業は不可能となるだろうという意味のことを主張しておるのであります。
医師会の反対運動は、市立病院の建設の具体化が進んできた三年前、それまでやってまいりました休日当番医制をやめ、休日は自由診療となり保険扱いをしない、こういうことになりました。同時に、救急医療の指定も県に返上してしまいました。
越谷市は四号国道と十六号国道が交差して交通事故が非常に多いのでありますが、そのため、この数年間患者がたらい回しにあって、とうとい生命を失った例は枚挙にいとまがない実態であります。また、規定の診療時間外は自由診療なら応ずるが保険扱いはしない、こういう医者が圧倒的に多い。自由診療の場合、保険による金額の数倍の診療費を取るといわれております。それは二月一日から診療費の大幅な値上げ後も依然として変わっていない
状態であります。これは市からの報告があります。
さらにこの三月から、
医師会は従来やってきた住民の集団予防接種をやめる。大臣の前にいま資料を出してありますが、この集団予防接種をやめるとちらしをもって一方的に宣言をいたしました。そして、神戸方式だと称して個別接種にすることをきめたのであります。ちらしをごらん願いたいと思います。
神戸市では国、市、公立病院、総合病院が四カ所もあります。市立診療所が十二カ所もあります。
公立医療機関が
整備をされており、その上、
医師の数が十万人
当たり百九十五人。これに比較いたしますと、越谷市は市立病院もない、
医師の数も十万人
当たり四十人弱日本一少ない医療過疎の越谷市で、神戸方式のように個別接種をやる方式をとれば、混乱は必至であるといえましょう。
医師会では意見が通らないからといって、市民に
当たりちらすという態度は私は好ましくないと思います。われわれも日本の医療制度には幾多の欠陥があることを承知しておりますが、しかし、越谷
医師会のように開業医による診療機関の絶対的な不足に目をふさいで、市立病院は紹介患者のみを受け付けよ、高度の専門病院とせよ、しからずんば
医師会は一切
協力しない、こういう考え方は医療の基本精神を無視しているといわざるを得ないのであります。
そこで、私は
厚生大臣にまず質問したいのでありますが、時間の関係もありますから、すでにメモは差し上げてあるわけですから、簡潔に御答弁を願いたいと思います。
第一は、
地方自治体は自治法第二条によって、地方自治の基本原則として公立病院を
整備し、住民の生命と健康を守る責任と義務があると思いますが、いかがでしょう。これは
厚生大臣に伺っておきます。