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小川(省)
分科員 時間が制約をされておりますので、事案の概要をまず申し上げて、そして質問に入りたいと思います。
高度経済成長期に入って以来、各自治体が競って工業団地の造成を行なって工場誘致をはかってきたことは、御
承知のとおりでございます。いまだに地方ではこの風潮が残っているわけであります。
これは群馬県太田市の、渡良瀬川の鉱毒公害をまともにかぶっている
地域に起こっておる問題であるだけに、深刻な問題でございます。太田市東方約二・五キロ、太田市大字只上、市場、植木野、富若、上小林という場所にまたがる約百七十一万平米、地権者四百四十九人に
関係をする太田東部工業団地造成についてでございます。市の都市計画の事業として、
昭和四十三年ごろから計画をされまして、その造成を群馬県の
企業局に委託をしたものでございます。
この種事業の通例として、まず説明会が行なわれ、四割還元
方式をとることとして、まるまる買い上げの場合には反当百十五万円、四割還元の者に対しては八十五万という買収価格で買収を始めたわけでございます。
昭和四十七年の七月八日、「正直者が馬鹿を見ない会」という会が発足をいたしました。私は、その発足を聞いたときに、ずいぶんおかしな名前もあるものだな
あと思ったのですが、調べてみると、実はこういう事実があるわけでございます。県と市の説明を聞いて
行政にすなおに協力した者が、四百四十九人の地権者中、約三百二十人ほどおりました。ところが、ごねていた一部の幹部といいますか、一部の中には、七割の還元を受けた者もおりということで、この会が実は結成をされたわけであります。その後調べてまいりますと、実は十割還元などという者もいるわけなんでありますけれ
ども、県の
企業局と市は、この
不満の打ち消しのために四十三万円を追加するということで提案をしてきたわけでございます。十三万円が農作補償、三十万は報償金という名目でございました。そしてまた還元についても、四十六年の十二月一日には還元をするとか、あるいは四十七年五月一日には返すとか、四十七年十二月一日には返すというふうなことで、延び延びになってまいったのでございます。そういう
不満が発生をいたしまして、爆発寸前になっておりまして——すでに爆発をしているわけでありますが、そういうことで実は県の
企業局等と交渉をしてきたわけでございます。
本日も、地方版によれば、県の
企業局が出て現地の
人たちと話し合いをしているそうでありますが、先ほどの電話では、この話し合いもまだつかないというふうな状態で、不公平がいまだにまかり通っているわけでございます。そういうことで、昨年の九月一日には、造成のために入ったブルドーザーの前に阻止のためにすわり込みを実施するというふうな事態まで発生をしているわけであります。現在の話を聞きますと、二十人
程度が十割還元を受けており、あるいはまた七割還元の者が数十人もおるという話であります。このような不公平な
行政がまかり通るとするならば、国や地方公共団体を問わず、
行政に対する協力など一切得られるはずはないと思うわけでございます。
自治省は当然、県や市に
指導をして公平に七割なら七割あるいはまた六割なら六割ということで、このような不公平な事態の発生しておる現状を是正をするために改正
指導を行なうべきだと考えるわけでございます。
そこで、まずお尋ねをいたしたいと思うわけでありますが、
大臣、
自治省は地方の団地造成事業等について、実は用地取得が非常に困難になってきたわけですが、いわゆる還元
方式というふうな
方式を、土地の取得のために
自治省として
指導をしてきたのかどうか、まずお尋ねをいたしたいと思うのであります。