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1974-03-09 第72回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月九日(土曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 稻村左近四郎君       細田 吉藏君    村田敬次郎君       阿部 昭吾君    小林  進君       林  百郎君    兼務 岩垂寿喜男君 兼務 大出  俊君    兼務 太田 一夫君 兼務 佐野  進君    兼務 田邊  誠君 兼務 八木 一男君    兼務 山田 芳治君 兼務 田中美智子君    兼務 津金 佑近君 兼務 中島 武敏君    兼務 増本 一彦君 兼務 松本 忠助君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀岡 高夫君  出席政府委員         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設大臣官房会         計課長     森田 松仁君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省道路局長 菊池 三男君         建設省住宅局長 沢田 光英君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省財政局長 松浦  功君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      藤仲 貞一君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      斎藤  顕君         自治大臣官房参         事官      栗田 幸雄君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     川口 京村君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     平出 三郎君     ————————————— 分科員の異動 三月九日  辞任         補欠選任   岡本 富夫君     鬼木 勝利君 同日  辞任         補欠選任   鬼木 勝利君     岡本 富夫君 同日  第一分科員田邊誠君、山田芳治君、田中美智子  君、中島武敏君、増本一彦君、第二分科員佐野  進君、第三分科員岩垂寿喜男君、大出俊君、八  木一男君、津金佑近君、松本忠助君及び第四分  科員太田一夫君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算運輸省郵政省  及び建設省所管  昭和四十九年度特別会計予算運輸省郵政省  及び建設省所管  昭和四十九年度政府関係機関予算運輸省及び  郵政省所管      ————◇—————
  2. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算及び昭和四十九年度特別会計予算建設省所管を議題といたします。  質疑に先立ち分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜わりますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく、簡潔に行なわれますようお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田邊誠君。
  3. 田邊誠

    田邊分科員 日本における水の需要は年々歳々非常に多くなってきておるわけですが、この広域利水調査第二次報告書によりましても、昭和四十五年における生活用水工業用水農業用水、合計をいたしまして一年間に七百九十三億トン余であるといわれておりますが、これが昭和六十年には千百六十億トンに達するだろう、こういう状態でありますけれども、今日から見て約五〇%の増加が見込まれるわけであります。したがって、われわれとしてはこの水需要見通しを的確につかんで今後に対処することが望まれるわけでございますが、もちろんこれには、経済状態、あるいは産業分布状態生活の様式の問題等いろいろな要素が重なってくることはいなめない事実であります。しかし、あとで質問の中に入るかと思いますけれども従前、水を治める治山治水という面については第一次から第四次というように計画はありますけれども、この利水計画が非常に計画性がなかった、こういわれておるのですが、今後の水需要見通しという面に立って見た場合に、これに対するところの、使用が一体どのくらいの状態になるのか、それに対するところ供給計画は一体どうなのかということを適確見通してみなければならぬだろう、私はこう思うわけであります。一応これに対して供給計画はどのくらいかということが立てられておると思いますけれども、大まかに言いまして、昭和六十年次におけるところ水需要見通しと、それに基づいたところ供給計画というのは、一体どのくらいの計画になっておるのか、そしてまたそのバランスがどうなのかということについてお伺いしたいと思います。
  4. 松村賢吉

    松村政府委員 お答え申し上げます。  昭和六〇年の水の需要見通し、また供給計画というお話でございますが、先生お話にも出ましたように、建設省といたしましては、広域利水調査の第二次報告というものを昨年出しております。この調査はなるほど調査でございまして、いわゆるそれの見通しでございますが、その需給につきましては、オーソライズした計画というものは、実は全国的なものとしてははっきりしたものはございません。ございませんが、主要な水系についての水の需給、これは水資源開発基本計画というようなことで五つの水系についてはできております。そういうようなことで、われわれのほうといたしましては、この供給のほうの計画につきましても、また治水事業五カ年計画というようなものの中においても、そのプロジェクトとしては計上いたしまして計画を立てておるわけでございます。  こういうことから見通しを立てますと、先ほど先生が申されましたように、昭和六十年段階におきましては、新規に必要とする水の量、これが毎年約四百億トンございます。それに対して供給の可能な量、これを算定いたしますと約四百六十五億トンということになりまして、全国的にはバランスがとれるということになるわけでございます。  ところが、御承知のように水は各地域に非常に限定されますので、関東地区とか、近畿地区とか、こういうところにおきましては非常に水が不足するところが出てくる。たとえば関東地区におきましては、全体で約十八億トンぐらいの水の不足ということになります。これをさらに細分いたしまして北関東地区南関東地区に分けますと、この南関東地区、これは東京、埼玉、千葉、神奈川の一都三県でございますけれども、この地区におきましては約二十億トンの不足ということが生じます。また近畿地区近畿地区の中の特に京阪神地区、これでは約十二億トンというような不足が生ずる。こういうような状態で、これに対しましては、やはり水資源開発をさらに検討するとともに、水の有効利用というようなもの、それから人口、産業の分散、こういうようなことも考えていかなくちゃならぬというふうに考えておる次第でございます。
  5. 田邊誠

    田邊分科員 いま局長から御答弁がありまして、私はこれは、従前のいわば計画を推し進めて言いますといまのような状態になるというふうに思うのです。特に首都圏近畿圏はどうしても水が不足である、こういう前提に立って話が進められておると思うのですが、私は、その前提をもう少し考え直さなければいかぬのじゃないか、こういう気がいたします。なぜならば、石油危機がうたわれてきまして、石油有限資源だ、こういうことをいわれましたけれども、水は日本においては非常に豊富だという話があるのですけれども、私はやはり、水は有限資源であるという考え方、もし無限であるとすればその無限化するような考え方というものに立たなければならぬと思うのです。ところが、海水の淡水化にいたしましても、なかなかそうコスト面でもって思うようにいかぬ、こういう現状でありますから、やはり有限であるという認識の上に立った水の使用、こういったものを考えなければならぬ時代に来ているんじゃないかと思うのです。それが第一。  それから第二は、いま局長も言われましたけれども都市過密化をこのままにしておいて、それでもって都市に水が必要であるから供給しなければならぬ、こういう考え方も改めなければいけないんじゃないかと私は思うのです。やはり平均化されたいわゆる生活状態、あるいは産業分布状態、こういったものを考えた上に立ってこれを処理していくということが必要ではないかと思うのです。  それから第三番目に必要なことは、この必要な水を供給する際に、河川への依存度が非常に高い、約九〇%も河川に依存する、こういう状態というものが続いてきておる。これもわれわれは考えなければいかぬ。確かに日本河川が多い。そしてまたその河川が非常に急流が多い。したがって、その上に立ってこの水を利用する場合には一体どうするかということになれば、いわばダムをつくりあるいは湖沼を利用するというようなかっこうに必然的になってくるわけですけれども、しかしこれらの考え方も、もうちょっとわれわれとしては発想を転換しなければならぬという時代に来ているんじゃないかと思うのです。  ちょっと三つばかり申し上げました。大臣、あなたもそういった点では、現在までのいわば考え方というものをそのまま押し延ばしていく、こういう考え方ではいけないんじゃないかという私の考え方に対してどう考えておられましょうか。
  6. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 もう仰せの御意見に対しては私も全面的に賛成でございます。特に、ある意味においては無限ともいえるかもしれません、雨の続く限り。そういう意味においては、エネルギーとして使ってまいる、また水として使ってまいる意味においては無限性を持つかもしれませんけれども、しかし、降雨量というものは有限、一年間に降る降雨量というものはある一定以上に期待できないという統計上のあれもあるわけでありますから、日本国土に降った雨、地下水、こういうものを考えました場合には、ある意味においてはやはり有限性として取り扱っていかなければいかぬということだろうと思います。そういう意味におきましては、できるだけこの国土に存在する間にこれを利用するという立場をわれわれは考えなければならないという御指摘は、もう私、全く賛成でございます。  それから、二番目の過密化、一面において過疎化という問題と同時に存在する現実の政治上の問題でございます。これは東京、大阪、三大都市圏、いろいろな面でこの過密化が社会問題政治問題、経済問題の根源になっておるわけでありますから、これらの過密化を解消するということで私どもいろいろと苦心をいたしておるわけでございます。  水の問題に対しましても、先ほど局長からも御説明申し上げましたとおり、地域によってまだ将来十分豊富に期待できるという地区もあるわけでございますから、そういう水という問題も頭に入れた国土の均衡ある発展ということも、これは今後の建設行政の中で基本的な問題としてぜひ考えていかなければならない、こう思っておりますし、河川への依存度河川以外に真水をどういうふうなことで供給してまいるか、利用していくかという問題は、私、専門家じゃございませんのでよくわかりませんけれども、ただ海に流しっぱなしということは非常にもったいないという感じがいたすわけでございます。そういう意味における利用をもっと考えろというのが田邉委員のお気持ちじゃないかと拝察するわけでありますが、そういう意味において、私どもとしても新たな観点から検討をし、いままでも霞ヶ浦等の水の利用ということも考えておるゆえんもそこにあるわけでございますので、三つの点は全く田邉委員考えと私は一致すると申し上げてけっこうでございます。
  7. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、特に都市圏水需要の中で、工業用水と一がいにいっていますけれども、厳密に分けますと、事務所用水営業用水あるいは雑用水、いろんな用水に分けられるかと思うのです。消火用水なんかもございますが。その割合が非常にふえてきているわけですね。いわば一般家庭で用いるところの飲み水、それを主体にしたところ生活用水、こういったものが比率としては非常に少なくなっている。これは毎年、私いろいろと質問しているのですから、こまかくは御答弁いただかなくてもけっこうなんですが、若干最近鈍化をしてきている。事務所冷却用水なんかも回転率が高まってきたというようなこともありますけれども、総体で見た場合にはそういうものが多いのですね。たとえば自動車洗車のために要する水とか、言うなれば、われわれとしては飲み水と分けていろいろ水源なりあるいは質なりを考えてもいいんじゃないかという、こういう需要が非常に多くなっているのですね。そのために、逆をいえば一般家庭の水が不足をする。そしてまた、全体的に見れば都市用水不足をするから、それに対して一体どういう供給計画を立てるか、こういういわば悪循環という形がとられていると思うのです。ですから、一がいにはすぐ規制をすることは困難であるとしても、この辺に対しては私は、当然研究をし検討し何らかの成案を得ていくべきときにきているのじゃないかというふうに思うのです。われわれ自動車を使ってあれを洗いますけれども、あの洗車ども膨大な水が必要でありまして、そういった面におけるところ対策というものも、これはばかにならぬというふうに思っておるわけでございまして、都市で使うところのいわゆる家庭用水工業用水比率を、われわれとしては従前のような三分の二程度まで家庭用水をふやすということにはなかなかいかぬにしても、フィフティー・フィフティーくらいのところまで持っていくためには、そういう対策というものが新しく考慮されてしかるべきじゃないかというふうに私は思うのですけれども、これは何か御研究がございますか。
  8. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 実は田邊先生から非常に私どもも心配しておる点を御指摘いただいたわけでありますが、御承知のようにことしは非常に雨が降らないということで、ことしの水最需要期にはどうなるのだろうかとたいへん心配しておるわけであります。そういう際に、一律に水道使用制限というようなことでいいんだろうかという疑問を、実は私いままで持っておったわけでありまして、たまたまいま御指摘いただいたわけでありますが、そういう面については、ほんとうに目の前の問題として、ある意味においては検討をしなければならぬのではないか。また長期、将来においては、いま御指摘のうちにありましたように、飲み水ほどの水質を保全しなくても使える水もあり得るわけでございますので、そういうのに対する、たとえば下水処理で三次浄化してほんとうにいい水にして川に流すということが公害立法で今後期待されているわけでありますから、そういう水を工業用水なり何なりにまた再使用できないかという問題もあろうかと思います。そういう意味も含めまして緊急にことしの問題としてそういう事態になったときにはどうすべきかということと、それから長期の問題と分けて検討さしていただきます。
  9. 田邊誠

    田邊分科員 つけ加える点がありますか。
  10. 松村賢吉

    松村政府委員 大臣の言われたとおりでございますが、問題はその点につきまして技術的に非常にむずかしい点はございます。もちろん、ただいまの都市用水のうちのビル用水等で非常にたくさん使っているということにつきましては、これは使用器具の問題もございまして、こういう点の検討も十分必要かと思いますし、また回収水利用ということも積極的に考える。また飲料水雑用水とを分けたいわゆる中水道と申しますか、そういうような計画等も、ある面においては必要な面も出てくる。こういうようなものを総合的に考えるわけでございますが、これはもちろん建設省所管のみではできない問題で、通産関係の問題もありますし、厚生関係の問題もありますし、各省連絡を密にして積極的に進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 田邊誠

    田邊分科員 私は大臣から非常に明確な答弁があったと思うのです。これをひとつ推進してもらう意味で、いま局長が言いましたけれども、必ずしも建設省ばかりじゃできませんでしょうから、何らかプロジェクトチームなりつくりまして、私ども東京におりまして、毎年夏場における飲料水ですね、宿舎においても困るというような状態でございますから、これは当然都市圏人たちはそういった面に対するいろいろな対策を待望しておるのじゃないかと思うので、ぜひひとつ積極的な施策を講じてもらいたい、このように思います。  そこで、私がいまそういうことを申し上げるのは、いわばそれらの都市に対するところの水の需要抑制といいましょうか、そういったものの適正な使用、こういったものがあって初めて私は河川等によるところ水供給計画、そしてまた水資源開発、こういったものが可能になってくると思うのです。私の県もいわば水資源開発対象になる県でございまして、都市に対する供給源でありますが、私は、昨年の水源地域対策特別措置法というものも、いわば水源地域人たちに対する金銭的な補償だけでなくて、生活再建地域経済再建等も含めてやるということが盛られておって、これはそういった面では一歩足を踏み込んだ形になっておりますが、しかし一面においては、いま言った前提が確立されでなければ、常に犠牲になるのは山奥の人間であったり河川の源の住民であったりする。こういう立場は、私はこれから先なかなかとれないと思うのですよ。そういう面に立って、いま私が申し上げたようなことを十分ひとつ考えてもらいたいと思っているわけです。  それから、もう一つ付言してお伺いしておきたいのは、最近は何といっても物価高、物不足といわれる中でもって、政府は総需要抑制を打ち出しておる。特に電力の面において、いわばコストの問題、そしてまた火力発電所問題等、これが大きく浮かび上がってきております。やはりこれは通産に関係することですけれども皆さん方のほうでは、多目的ダムの中で発電の問題も含めて実は考えていらっしゃるわけですが、火力発電所じゃいかぬぞ、もう一度その重点水力に移すべきである、こういうような意見があるやに聞いておるわけですけれども、私はこれらもやはり、ただ単に石油ショック等でもってその場をしのぐという意味でもってそういった思いつきをするのではなくて、これから先のいわば水資源開発、その中の一環として行なわれるところ発電電力使用等も、もちろんこれから先は問題になってくるわけです。電力値上げ等もいわれているときでありまするから、それらの問題も含めて、一体これに対してはどういう考え方に立って対処するかということを、現在の総需要抑制という立場も含めてお考えがあれば承っておきたい。
  12. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 消費者水供給をする地帯のことを十分やはり考えると同時に、またこれらの水行政を担当するわれわれ自身が、供給地気持ちというものを基本にして需要の方策を考えこれを実施してまいる、水は非常に貴重なものであるという意識のもとに諸計画を立て実施をしていかなければならないという田邉委員の御指摘、私ども十分心に体してやっていきたいと思います。  それから、石油問題以来、水、水力というものがある意味においていろいろまた見直されたということは、私は、たいへん国民にとってはしあわせなことだった、こういう気もいたすわけであります。石油問題でもありませんと、私どもダム建設に際しまして、電力会社に積極的に実は申し入れをいたしましても、コストが高いからということで協力して水力発電をするという傾向が非常にダウンをしてきたということは、これは確かに事実でございます。たまたまこういう情勢になりまして、やはり開発し得るエネルギーはできるだけ最高度に水力発電として活用してまいらなければならないという気持ちでおりまするし、また、いかなる小河川であっても、そういう小電力発電ということでありましても、できるだけこれを活用するような方向でダムの今後の建設ということを進めていきたい。それにつきましては、通産とさらに密接に連携をとりまして積極的に進めてまいりたいと考えております。
  13. 田邊誠

    田邊分科員 ちょっと私の考え方大臣意見と違う点もありますが、時間もございませんからその点は省略をいたしまして、首都圏の水不足に対して、われわれはどういうふうな対処のしかたをするかということについては、ひとつまた機会をあらためてお伺いしたいと思いますが、特にその重点になるのは、河川にたよる場合、利根川水系でありまするが、これは過去にずいぶんたくさんのダムをつくってこられたわけですけれども利根川が何といってもその点ではまだ重要なウエートを占めておる、こういわれておるのですが、その中で、例の群馬県の沼田地域における岩本ダム沼田ダムといわれるものは、実は長い間の問題でございましたが、ようやく昨年金丸大臣から、沼田ダムは六十年まではつくらないというお話がありました。毎年大臣がかわるたびに実はいろいろと言い方が変わってきているのですけれども、これはたいへんな大きな犠牲を受けるところですから、私はまたあとでちょっとお伺いしますけれども利根川水系でもほかにいろいろなダム考えていらっしゃるようですけれども、それとは質量ともに違うわけでありまして、これはつくるべきでないという観点でもって政府の所信がようやく固まってきたという認識をするわけでありまして、根本さんは、北関東に百万都市をつくる、そしてダムをつくったら地元も納得するではないか。西村さんは、利根川水系ばかりでは気の毒だから信濃川から分水して持ってきたらどうかと言ったり、それから木村さんも、沼田ダムはつくるべきだという意見をちょっと吐いてみたら、一週間後に、いや絶対つくらぬ、こう言ってみたりしまして、いろいろと意見が変わってきているのですが、しかし金丸建設大臣は、木村大臣沼田ダムはとてもむずかしいという意見を踏まえて、沼田ダムはつくらない、こう明言したわけでありまして、これはことしは聞く必要はないかと思うのですけれども、この点は、前金丸大臣あるいは木村大臣が後半に言いましたように、沼田ダムはこれはつくるべきではない、つくらないという政府の方針は変わっておりませんね。
  14. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 前大臣からの引き継ぎ事項でも、この問題は特に金丸大臣から引き継ぎがございましたので、私も前大臣考え方を踏襲して進めてまいりたいと思っております。
  15. 田邊誠

    田邊分科員 ちょっとその進めてまいりたいというのがあれですが、これははっきりもうつくらぬという考え方でよろしゅうございますか。
  16. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 さようでございます。
  17. 田邊誠

    田邊分科員 大臣からつくらないという明確な御答弁がありましたので、私はそれを踏まえて、その上に立って今後の水需給については考えてもらいたい。ただしかし、その利根川水系は有力なダム建設対象地であるというので、沼田はいま言った形でもってつくらないという考え方ですけれども、これに代替のダム考えていらっしゃるということですが、ちょっとその考え方局長から明らかにしてください。簡単でいいですよ。どことどこをやっているのか、予備調査なり実施調査なり。
  18. 松村賢吉

    松村政府委員 実施調査につきましては、新たに奈良俣ダムでございますね、利根川最上流の。これにこれからかかります。それから群馬県営としましての桐生川のダム、これは渡良瀬ですけれども、これをつくります。それからあと予備調査地点でございますが、実は個所数にしまして相当の個所、この実施調査を入れまして十四カ地点ほどの予備調査を実は考えておりますのですが、この一つ一つの名前につきましては、実はまだ現地に立ち入っての調査という段階ではなくて、図面上のいろいろな予備的な調査をやっております段階でございますので、まだ地元の了解その他の点もありますので、ダム地点をいまどこと言うことはちょっと差しつかえございますので、この点はひとつ御容赦願いたいと思います。
  19. 田邊誠

    田邊分科員 ひとつ十分今後もその点は地元の意向も踏まえ、そしてまた全体の水の需要供給計画の上に立って慎重な御配慮をいただきたいというふうに思います。  いろいろな質問がございますけれども、時間でございますから、以上で終わります。
  20. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて田邊君の質疑は終了いたしました。  次に、山田芳治君。
  21. 山田芳治

    山田(芳)分科員 最初に道路局長さんに道路局関係についてお伺いをしたいと思うのですが、国道のナンバ−百台のいわゆる旧二級国道といわれるものは、直轄の場合と、府県に委託をして補助で行なっている場合と、両面の工事のしかたをしているわけでありますが、直轄にするものと、そうでないで県に委託をするというものとの基準はどこにあるのか、まずお答えをいただきたいと思います。
  22. 菊池三男

    ○菊池政府委員 国道をやります場合に、国でみずからやっておりますものと、県に委託をするのではなくて、そのかわりに県がみずから施工いたしまして、それに対して補助をしておるというのと、二通りございます。非常に大きく分けますと、もと一級国道と二級国道とございましたが、大体もと一級は全部直轄でやっております。それから、もと二級国道の中でも、たとえば両県の県境にまたがるものとか、あるいは非常に重要な技術的にむずかしい工事とか、あるいは前からの継続の関係、そういうようなことでそれを直轄でやるというのがございますけれども、もと二級国道の大半は補助工事ということで、県知事がみずから施工しておるというのが実態でございます。
  23. 山田芳治

    山田(芳)分科員 京都の百七十五号線、すなわち由良川の左岸ですね。福知山から大江町までは直轄でやられたわけでありますが、大江町から舞鶴までの区間は補助でやっている。工事の内容も同じなら、同じ路線でありながら、大江までは直轄でおやりになるが、大江から舞鶴までは補助でやるというようになっているわけですが、いまの基準から言うと、同じ路線であり、同じような由良川の左岸のがけっぷちの非常に工事の困難なところであるという点で、地元の人はなぜ直轄でできないのであろうかということに非常に疑問を持っているのですが、その点はどんなものでしょうか。
  24. 菊池三男

    ○菊池政府委員 先ほど申し上げましたのは原則論でございます。いまの場合に、同じ路線で片方が直轄で片方が補助というのがたくさんございます。これは、先ほど申しましたように、工事の規模の難易、あるいは本来補助工事でやるのがたてまえでありますけれども、補助工事でやっていたのでは非常に残額も多いし時間がかかる。たとえば、補助工事だったら十年もかかる、ところが片方の直轄のほうはもうほとんど終わりに近づいているということになりますと、これまた少し直轄区間を延ばしまして同じような時期に終わるというようなバランスをとることもございます。ただここの場合は、地元の御意向はなぜ直轄でできないのかということでございますけれども、私どものほうも、そういう県のほうの補助工事と直轄事業とあわせて進めて、同じようなペースで進めていきたいというふうに考えているものですから、積極的な取り上げ方にはなっておりません。
  25. 山田芳治

    山田(芳)分科員 それは、同じようなテンポで進むならば、そういう地元の疑問は何ら起こらないわけです。やはり直轄のほうが早いわけですよ。ですから、地元としてはなぜ直轄でやってもらえないのかということを非常にふしぎに思うし、われわれもそれは説明に困るということになるので、百七十五号については、ここで急に持ち出したことですから、私もあまり深く追及しませんから、ひとつ直轄でやっていただきたいというふうに思います。  それからもう一つは百七十六号、いわゆる与謝峠というのがございます。これは、いま局長が言われた、工事もきわめて困難でもあるし、また時間的に言えば、十年どころか補助でやれば何十年かかるかわからない。これを早急に取り上げてやっていただきたいというふうに思いますので、具体的でなくてもいいですから、ひとつ方向を明確にお聞かせいただきたいと思います。
  26. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいま国道の整備の目標は、もと一級国道はほとんど完了しておりますが、もと二級国道につきましても、昭和五十二年度までにはおおむね完了したいと考えております。非常にむずかしい場所、それから最近国道に昇格になりましてまだほとんどいままで手をつけていなかったところ、これは五十二年度までは非常にむずかしゅうございますけれども、そういう意味では昭和五十二年度までには概成したいということで鋭意やってまいります。したがいまして、いまの百七十六号の直轄部分にいたしましても、大体そういうのに問に合わせてやりたいというふうに考えておるわけでございます。
  27. 山田芳治

    山田(芳)分科員 百七十五号の与謝峠をトンネルで抜くというのは技術的に非常に困難なので、十分検討して直轄でやっていただくようにまずお願いしておきます。  それから次は、これは補助なのでありますけれども、京都の丹後半島というところは、最近は京阪神地方から、夏になると優に一万台の車がわずか二車線、六メートルぐらいの道路に集中をしておる。しかも古い道を舗装したという形で、人家が密集をしている中をそれだけの車が通る。いわゆる丹後一周道路といわれる宮津−網野−久美浜線という府道なんでありますけれども、これなどは、まさに府道とはいいながら、いま言いましたように、夏のシーズンになると京阪神地域から大量に人が、丹後半島の民宿並びに海水浴あるいはレクリエーションに殺到するわけであります。地元の住民は、人が来てくれることに不平は言いませんけれども、自分たちが買いものをするのも命がけというような状態になっております。そこで、補助工事でありますから、いろいろな点を早急に相当の予算をかけて直してやっていただかないと、ほんとうに人命問題に及ぶというふうに地元人たちは悲鳴をあげている実情であります。  まず第一は、丹後町という町がございますが、そこの間人などに至っては、町並みのまんまん中を府道が通っておって、しかもいま言いましたように、夏期になると一万台も自動車が通る、これではとてもいかぬというので、何とかバイパスをつくってほしいというのでありますが、なかなかこのスピードアップができない。またそういう山のところを掘さくしてつけた道路でありますので、トンネルをもう少し掘ってやっていただかないと、今度は非常に勾配がきつくてエンストを起こしたりするというようなことで、非常に交通が渋滞をするということで、丹後町の隣の伊根町の蒲入というところに頂上のトンネルというのがあるのですが、これも非常に技術的にむずかしいわけでありますけれども、そこらあたりを掘さくしてもらわぬと、この丹後半島一周の道路が現実的な効用がない、あるいは地域住民の命にもかかわるというような状態になっております。こういう点についてあらかじめお話を申し上げておいたのですが、どういうお考えか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
  28. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまの主要地方道、宮津−網野−久美浜線、これは先生お話のとおり夏場はたいへん混雑いたします。そこで私どもも、これの重要性から相当改良、整備を進めておるつもりでございます。ちょっとほかと比較してみますと、この場所は改良がもう八五%ぐらい終わっておる。それから舗装が、これは現状のままやったのもございますけれども、九〇%くらい終わっております。これは、一般主要地方道ですと大体七二、三%でございますので、それから見ますと私は相当進んでいると思います。しかしまだこれでは足りないということで、実はただいまのお話の間人というところでございますが、これにつきましては、やはり町の中を通っておりますので、バイパスを早急につくる必要があろうかと思います。これは調査もだいぶ進みましたので、できるだけ早く着工するという計画になっております。  それからもう一つの蒲入トンネル、これはルートが非常にむずかしゅうございまして、どういう形でやるか、いま県のほうで鋭意調査中でございます。それによって、トンネルが要るのか、あるいはないのか、ルートがきまりませんとまだ着工できませんけれども、これも県のほうで鋭意調査を進めておりますので、その結果を見て早急にこれも着工しなければいけないと思います。しかし、いずれにいたしましても間人のほうが先に着工ということになろうかと思います。
  29. 山田芳治

    山田(芳)分科員 間人はもうすでに用地買収に入っておりますから、早急に来年から工事をぜひお願いしたいというのと、頂上トンネルというか、蒲入トンネルは早急に設計をつくって見通しを立てていただきたい。  もう一点、これは直轄部分でありますが、京都と奈良の間の国道二十四号線は途中でとまっているのですね。これは一体どういうふうにお考えになっておるか。もし御存じならば、やはり京都地内で終わらないで早急に奈良まで広げていただかないと、いまの新しい二十四号線のバイパスをつくらなければ京都−奈良間というのはどうにもならない状態でありますので、この点ひとつ先の見通しがもしおわかりでしたらちょっと……。
  30. 菊池三男

    ○菊池政府委員 二十四号線につきましては、いまお話しのように途中一部分できたところがございます。まだそこのところの工事を続けてやっております。しかしいまの計画では、一応途中で打ち切りということであって、問題はそれから奈良に至る道路の計画を進めることだろうと思います。これはただいま調査をどんどん進めております。やはりそれはすぐつながなければいけないだろうということでございますけれども、非常に人家もあるところでございますし、仕事そのものは難航するのではないかという気がしますけれども、京奈道路として調査はどんどん進めております。
  31. 山田芳治

    山田(芳)分科員 二十四号は地元では用地については十分協力をすると言っておりますが、途中で切れた道路という、こんな主要幹線では意味がありませんので、早急にやっていただきたい。以上で道路関係は終わります。どうぞよろしく。  次は、河川の関係でございますが、京都の最大の河川といえばもちろん淀川でありますけれども、いわゆる太平洋岸ベルト地帯、その方面に注いでいる川というのは従来から相当強く政府において取り上げられるわけでありますが、日本海岸に注ぐ川というものはどうも取り上げ方が不十分である。とりわけ近畿地方といわれる最も日本でも文化の進んでいる地点において、そこを貫流をしている由良川、これは万葉の時代から非常に有名な舟運に利用した川でありますが、その由良川がいまだに原始河川のままで堤防がないというのでありますから、われわれからいうと奇異な感じがしてしかたがない。特に被害地域である綾部市から下流、これが非常に改修が不十分であるということで、洪水が起こるたびごとに綾部市の市民、下流の舞鶴、大江——福知山は最近非常によくなりましたけれども、それ以外は非常に困っておる。ある意味においては、堤防のないところが遊水地帯になって、下流の災害が増大するのを防いでいるのではないかとさえ考えられるようになっているわけであります。そこで綾部市民は二万人の署名を集めて、何とか由良川の早期改修——いま言いましたように、まだ堤防がないのでありますから、堤防の線をまず早くつくってほしい、どういうふうな線にするかをつくっていただきたいということをいま言うておるわけでございます。もちろん下流の問題がありますので、非常にむずかしいわけでありますが、由良川改修の法線の早期決定をしてほしい。それから改修を両岸同時にしてやってほしいということを強く要求をして、すでに建設大臣にも二万人の署名を集めて持っていっているという状況でありますが、由良川の改修計画というものは一体どうなっているかということでありますが、非常にむずかしいのでなかなか立たないというようなお話も伺っています。私自身が地建の局長にも何べんもお会し、河川局にも何べんも足を運んでおりますけれども、なかなかむずかしいということでありますが、この点をひとつお伺いしたい。  それから、時間の関係もありますので、もう一つ同じく日本海側に注ぐところの野田川という川がございます。この野田川も、百年河清を待つということばがそのまま当たるように、昭和四十七年七月に豪雨があり九月に台風があったときには、何とぞの地域の冠水が二百時間に及んだというような状態でございまして、この野田川の治水というものは非常に大きい。なぜこれがむずかしいかというと、勾配が非常にゆるやかである、だから出水時になかなか流れないということであります。したがって、それを改修するためには河床を掘り下げるという必要があるのとともに、国鉄や私鉄の鉄橋や国道、府道、町道の橋梁も、全部掘さくをするために橋脚を補強したりかけ直したりしなければならぬ。また、いま言ったように、非常に滞水が長いという関係、それから千五百分の一という勾配でありますから、非常にゆるい勾配であるので、ポンプアップも必要である。それがまたできていないというような点がありまして、道路のかけかえ、橋梁のかけかえ、いま言った鉄道のかけかえ、それから揚水ポンプの設置というような問題が必要になっておりますけれども、そういう点があるのでなかなか進展をしない。しかも配賦される予算が年間わずか二、三千万円程度であるというようなことでは、まさに百年河清を待つという形で地域の住民はほんとうに困っておるのですが、この由良川と野田川、ともに日本海に注ぐ、しかも改修が地域の住民がきわめて熱望しているにかかわらず進んでいないという点について、ひとつ河川局長の御意見を承りたいと思います。
  32. 松村賢吉

    松村政府委員 由良川につきましては、ただいま山田先生から御指摘のございましたとおりの現状でございます。この河川は、京都府において日本海側に注ぐ最大の河川でございます。しかしこの河川につきましては、非常に流路が長い、しかしそのまわりに発展している地域が非常に狭いのが長く続いておるわけでございます。それで河川計画上からいきますと非常に改修のむずかしい河川であるということでございます。  そこで、現在の計画といたしましては、まず上流にできております大野ダムにおきます高水調節、こういう結果を待ちまして、綾部、福知山、等の主要の地区につきましては、築堤、掘さくを行ないまして河積を増大いたします。そして洪水の安全流過をはかる。それから下流部につきましては、掘さくを拡幅いたしまして主要な地区に築堤、護岸を施工いたしまして、逐次河道の疎通能力の増大をはかって洪水の被害を軽減しようというふうにつとめてきているわけでございます。しかしながら、現在のところ、全体に対する進捗というものはまだ非常に進んでいないという実情でございます。端的に申しまして、まだ全体の計画というものはもちろんはっきりできておりませんが、おおよその目安につきましては、全体の約一〇%あまりの進捗度ということでございます。福知山及び綾部、これの主要な市街地部分につきましても、築堤等は大体完成に近づいておる状況でございますが、その周辺までなかなか手が回っていない。したがいまして、ただいまお話しのございました綾部の下流地区でございますね、この辺、確かに私どものほうも緊急にやらなければならないということは痛感しておるわけでございますけれども、なかなかまだそこまで手が回らないということでございます。しかし、これの計画等につきましてもいま大至急検討しておりますので、早急にこれの法線等の決定もいたしたいと考えて進めております。また予算につきましても、来年度につきましては、総需要抑制というような立場から全体の予算非常に苦しい中でありますが、そういう中では重点的にやっていきたいということで、できるだけ進めたいと思っております。  また次に、野田川の件につきましてでございますけれども、野田川につきましても、山田先生指摘のように、非常にこの河川を改修するのに付帯工事が多い。鉄道もありましょうし、道路橋もございます。あるいは揚水関係もございますが、こういうような付帯工事が非常に多いということで、三十九年から中小河川としまして着工しているわけでございますけれども、付帯工事の工事ということで現在まで追われてきているわけでございます。まだ付帯工事の部分が残っておりますので、四十九年度につきましても二橋のつけかえを行なう予定でございますが、これが終わりますとこの河川の工事は、河川工事といたしましては掘さくが主体になりまして、築堤は一部補強をするということで計画しているわけでございますので、付帯工事が終わりますと工事が早急に進むということで、これにつきましても、由良川と同じく、これは特に中小河川でございますので、前年度に比べましては予算を相当大幅に増強したいというふうに考えております。何とかこれを早く竣工させたいと考えております。
  33. 山田芳治

    山田(芳)分科員 町道の堂谷橋、弓の木橋というのを野田川の関係ではぜひかけていただきたいのと、来年度においては機械揚水施設をあげていただきたいということをひとつこの際申し上げておきたいと思いますが、由良川については、やはり地域住民としては、法線を早く決定してほしい、そして安心させてくれということが強いので、ひとつこの点は、地建の局長なり何なりを現地に派遣をして、もう少し親切に、どういうふうな改修計画であるかという地元の住民が納得できるような手だてを、四十九年の予算が決定をされる段階においてはやっていただきたい。そうしないと地域の住民が非常に困っておるという点だけ申し上げて、その点、御協力いただけるかどうか、ひとつお伺いして終わりたい。
  34. 松村賢吉

    松村政府委員 現地等十分指導いたしまして、できるだけ早急にその措置ができるように考えたいと思います。
  35. 山田芳治

    山田(芳)分科員 地元の説明もよくひとつ……。
  36. 松村賢吉

    松村政府委員 含めまして……。
  37. 山田芳治

    山田(芳)分科員 最後の質問に入りますが、これは古都保存法と資源エネルギー庁との関係の問題であります。  京都の金閣寺の裏に鷹峰鉱山がございます。この鉱山はすでに昭和四十年に鉱業権が設定をされておるのでありますが、鉱山の鉱石はマンガンと珪石でございます。埋蔵量が昭和四十六年当時見積もったので約十億をこえるというくらいの鉱山なのでありますが、戦争中もこれは掘っておったのであります。これの所有権者が昭和四十一年に、ぜひひとつマンガン、珪石を掘りたいということで施業案を通産局に出しました。もちろんこの珪石、マンガンは露天掘りでありますので、露天掘りの施業案を出したのであります。ところが、昭和四十一年という年にはいわゆる古都保存法が成立をしましたので、施業案を出したところが、通産局においては、あるいは古都保存法の所管である京都市においては、古都保存法ができたからちょっと待ってくれというままで五年くらいほったらかしてあったわけであります。しかし、鉱業権を持っている人からいえば、五年もほっておかれては困るというので、また昭和四十六年にあらためて施業案を通産局に出したのであります。ところが、その当時はもうすでに古都保存法の地域になっておりました。いろいろと関係者が話し合っているうちに、これは買い上げると言ってみたり、あるいは買い上げないと言ってみたり、それで時間を空費して、すでに昭和四十一年から昭和四十九年の本年まで約八年になるのでありますが、一体これについてどういうふうに当局はお考えになるかということがさっぱりわからない。と申しますのは、私自身も、通産局へ行って一体これはどうなんだと聞き、また建設省都市局のほうに聞くと、その意見が違うのであります。  どういうふうに意見が違うかというと、古都保存法の第九条を読みますと、他の法律によって許可されたものは損失補てんはしないというけれども、他の法律によってしないものについては、古都保存法でチェックをする場合には、それによって生じた損失、損害は賠償し補てんをすると書いてある。だから、採掘の施業案が鉱業法によるところの条件にさえ合っておれば許可すべきなのにかかわらず、通産局長は、いやこれは古都保存法がかかっているところだから、古都保存法の許可がなければ施業案を許可しない、こう言うわけですね。ところが、古都保存法の立場からいえば、他の法律で許可されるようなものを古都保存法でチェックをする場合には損失の補てんなりをすることがあり得ると九条に書いてある。そうなれば、鉱業権のほうだけは鉱業権プロパー、オンリーで許可をすべきであって、それをもって古都保存法の市役所にいってやれば、それは古都保存法上適当でないというならば、それの損害なり損失を補てんをしてそれをやめさせるということでしかるべき措置がとられてしかるべきなのであるが、両方とも、そっちが許可しなければしません、こっちが許可しなければしないというふうに両省庁の法律の解釈が違って、実に八年もほっておかれているということは非常に遺憾なことである。特にいま資源問題というものはきわめて重要な問題になっている段階において、この法律解釈はひとつ建設者と資源庁とで打ち合わせをしてくれということを何べんも言うているんですけれども、していただいておらないということは非常に怠慢だと思うのだが、この点についてひとつ明確な回答をいただきたいと思います。どなたですか、担当のほうでお願いしたい。
  38. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 本件の施業案の申請は、先生のただいま御指摘のとおり大阪通産局に提出されました。しかし、この場合古都保存法の指定地域になっておりますので、鉱業権者に対しましては、同条による許可を得てこなければ施業案の認可はできませんよということを申しまして返付いたしました。  なお、私ども施業案を認可する場合どういうふうな運用方針を立てておるかということにつきまして、ちょっと触れさしていただきますと、通産局長は、その内容が的確であることはもちろんでございますけれども、他の法令によって土石類の採取であるとか鉱物の掘採等の行為を制限している場合には、環境保全の必要性にかんがみて、他の法令による行為の制限が解除されるかどうかを所管官庁と協議いたしまして、もしその解除がされない場合には、これは環境保全に対する対処方針としまして認可をしないという方針をとっておりますために、現在そのような形でなお施業案認可ができないという形になっておるわけでございます。
  39. 山田芳治

    山田(芳)分科員 建設省のほうは、ほかのほうで許可をしてくれたものを持ってこなければ、古都保存法の九条、あれの損失補てんなり何なりにならないんだという言い方をしておられるのですが、この点はどうなんですか。食い違っていると思うのですが……。
  40. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 本件は、古都保存法の行政の立場から申せば、本来は、鉱業権はありましても施業案の認可を受けていない、つまり採掘権のない立場で特別保存地区の採掘をしたいという許可申請が出されましても、本来施行権限がないのにどうかとは思います。したがって、従来はそういうことでお答えしておったようでございますけれども、確かに先生のおっしゃるように、お互いにどちらが先だといっておりましても解決つきませんので、私としましては、かりに施業案の認可のないままで、あえて古都保存法に基づく土石の採取の許可申請が出てくれば受理して、具体的な採掘方法、それから法律及び政令に基づく許可基準に該当するかどうか、たぶん露天掘りということであれば許可できないことになると思いますが、そういうことを判断いたしまして、許可なり不許可の処分をするように指導いたしたいと思います。
  41. 山田芳治

    山田(芳)分科員 ちょっと一言最後に……。  大臣、いまお聞きになったとおりで、九年間も両方のなわ張り争いで、私のところへ持ってきてくれた。この人は兵庫県の人なんです。京都の人じゃないんですが、私のところへ来たので、こうやって国会でも問題を取り上げることができるのです。そうでなかったら、まだいつまでもこういうことですね。これではかわいそうだと思うのです。いま吉田局長さんおっしゃったように、これは露天掘りなんですよ。ですから、これはとても認められないところなんで、京都市も何べんも、買い上げる買い上げると口で言うておるのだけれども、それも動いておらない。あまり時間がありませんから申しません。こういう状態であるということを大臣ひとつお含みおき願って、局長にもあるいは資源エネルギー庁においても、うまくこの問題が早急に解決するようにしてやらないと、住民の願いというものがさっぱり動かないということになるので、この点ひとつお願いして、局長何か答えがあるようですから……。
  42. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 ただいま申し上げましたのは、どちらが先だといっておったのでは一つも進みませんから、施業案の認可がなくても受理して、許可なり不許可の処分をするように、そういう事務手続を進めるように指導しようということでございますが、そのために生じました損失につきましてはどういう補償になるのか。私の考えでは、施業案の認可がなされてない、つまり鉱業権が働かないようになっている場合に損失があるとはちょっと思えないわけでございまして、損失補償の問題の御質問でしたら、ちょっとそのように補足さしていただきたいと思います。
  43. 山田芳治

    山田(芳)分科員 最後にちょっとだけ、それはおかしいので……。  いま通産局のほうは、古都保存法で許可さえすればいいというけれども、古都保存法は、それを許可しない場合、通常の形でやって損失が出れば当然補償すると九条に書いてあるのですよ。だから、それをたてにとって鉱山の採掘許可をしないというのは私はおかしいと思うけれども、そういう運用だ、こうおっしゃるなら両方話し合って、これはいずれまた別の機会で伺いますけれども、しかし、これではちょっと住民は困ると思うのですよ。大臣のお考えを……。
  44. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 主権者である国民をしあわせにしようということで、立法の立場にあるわれわれも、国家公務員法に基づく公務員の諸君も、そういう問題を速急に解決して生活に不安なからしめるというのが基本であります。私も聞いておって、九年間もそういうことで解決していないということははなはだ遺憾でございますから、速急に両省と話し合って解決の方向に進めなければならないと思いますので、そのように指導いたします。
  45. 山田芳治

    山田(芳)分科員 では大臣、よろしくお願いいたします。
  46. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて山田君の質疑は終了いたしました。  次に大出俊君の質疑に入るのでありますが、本日は、同君の質疑に対し、参考人として日本住宅公団総裁南部哲也君、日本住宅公団理事川口京村君及び日本道路公団理事平出三郎君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。  大出俊君。
  47. 大出俊

    大出分科員 きょうはお忙しいところを南部さん、川口さん、平出さん、お見えをいただきまして恐縮でございます。ちょっと声わずらいをいたしておりましてお聞きづらい点があると思うのですが、お許しいただきたいと思います。実は分科会の性格上、地元のことが中心になって恐縮なんですが、どこにもあることでございますので、そういう意味でひとつお答えをいただきたいと思うのです。  一つは道路公団にかかわる問題でございまして、こちらのほうは、まあ私から少しお話し申し上げれば大体結論が出るだろうと思うのであります。もう一つの住宅公団にかかわる問題は、これは南部総裁、たいへんお忙しいところをお運びいただきましたが、総裁の御判断、また亀岡大臣の御判断をいただきませんと決着のつけにくい問題だという気がいたします。時間があれば河川の問題を一つ申し上げたいのでありますが、そう時間がかからぬと思いますほうから申し上げます。  事の次第は、昭和四十九年の二月十三日、横浜市の保土ケ谷区和田町というところで横浜新道の工事が三年ばかり行なわれておりまして、ここで、ガード下でございますけれども、死亡事故が起こりました。仏向小学校という小学校に通っている  一年生の方がなくなりました。これは新道工事をやるについて、この道路下に占用許可をして許可料を取っておりましたカクタス交通というハイヤー・タクシーの会社がありました。この占用契約を三十八年四月一日から四十七年三月三十一日まで結ばれて、ここで切りました。切っておりますから、明らかに道路公団に全くの管理責任がある、こういうふうになります。中身は、それはかってに鉄条網を切ってカクタスが使用したというようなことが途中にあったりしますけれども、これは契約をしておりませんから、明らかに管理権は道路公団の側にある。間違いのないところであります。ここでかつてカクタスが使っておりましたときに掘りましたマンホールがありまして、まわりの防壁が、私が行って見た限りでは、ベニヤを突っぱったような、子供がだれでもはいれる。直接承ってみましたら、鉄条網を張ってはいれなくしたんだけれども、カクタス交通がことしになってから切ったんだというのであります。現実にははいれるようになっていることは間違いない。子供が入って、落ちて死んだ、こういうことであります。防壁がきちっとしておってはいれぬようになっておればこの事故は起こらない。つまりその意味では人災でございましょう。そこで地元の仏向小学校のPTAか立ち上がりまして——というのは、カクタス交通に行ったら、おれのところは返したんだから責任がないという。この地域に横浜市会副議長を二期もおやりになって、社会党市議団の幹事長を長くやっておられる大久保栄太郎という市会議員がおいでになります。彼を中心にPTAの方々が相談をした。そして代表が公団横浜新道管理事務所長手塚俊孝さんのところに会いに行って所見をただした。まず第一は、この件について公団側がこのような書類を突きつけられようとは思っていなかったというのが開口一番の回答であります。二番が、マンホールはカクタスがつくったものであり、所有者の責任であるはずである、わがほうに責任はない。三番目、それ以上あまり責任を問われるなら公団側は裁判にかけてもよいと考えている。四番目に、文書回答をくれといったら、文書回答はできない。それでも申し入れ書を受け取って、五日に回答をもらう、こういう申し入れはしてある。文書で来るか口頭で来るか、それはわからぬという。これは、時のやりとりを大久保市会議員みずからが、PTA会長以下と相談をして、立ち会った人全部の口述をとって書いた文書であります。片や、皆さんに来ていただいてお話を聞くと、二日にPTAの会長さんのほうに、回答を少し延ばしてくれ、無連絡ではないという話でありまして、かつまた、占用契約がなくなったのでありますから、当然管理権が公団にあったことをお認めであります。だいぶ現場の話と違ったお話を私はいただいております。それだけに答えは簡単であろうという気がするのでありますが、簡単に申し上げれば、なくなった子供さんの御両親もいる、なくなった子供さん自身のこともある、どちらからもその不幸に対して何ともおっしゃっていない、お見えになってもいない、世の中どうも筋が通らぬという気が私はするのでありまして、しかも裁判にかけてもいいなどということを、自分のところで三年もかかって道路をつくって近所に迷惑をかけておいて、そこへ防壁その他の不手ぎわがあってカクタスと公団の間に何があっても、第三者に関係ない。管理権の争いだとか云々だとかいうようなことがあってもそれは関係ない。ならば、公団の工事なんだから、どけたのだから、公団がカクタスとものを相談をしてきちっとそれは被害者に対してものを言うべきであって、それがいかなる被害に対する手当てをするかはこれはまた別の問題。筋道がそうだと私は思う。これを放任をしておく、裁判にかけてもなどということをいやしくも言うようなことがあってはならぬという気がするのです。本来なら直接話をして片をつけたいのですが、どうしてもここでやってくれ、どうにもならなければならなくてもいい、百万べん言いたいことを先生から言いまくってくれというのがPTA会長さん以下の言い分でございまして、何とも腹に据えかねるとがっかしておりますので実は取り上げたわけであります。お答えいただきます。
  48. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまの先生お話、私も伺いましてまことにごもっともなことだと思い、たいへん申しわけなく思っております。いまのカクタスの占用も切れておりますので、やはりこれは道路公団が管理者であることは事実でございます。したがいまして、その間に不法に使われたという事態があったにいたしましても、やはりそういう事故があればさっそくに出向いていろいろやるべきだったというふうに私どものほうもそう思います。またその点について公団のほうにも十分注意いたしまして、公団のほうも全くそれは間違いだったということを反省しておりますので、今後はできるだけこれを誠意をもって解決に当たるように公団に指示しております。
  49. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 やはり管理不十分から人命をそこなうような事故に至らしめたということは、これはもう私ども管理指導の立場にある者の責任でございまして、こういう面、私も建設大臣に就任したその日から、かねがね、建設省の職員はもちろん関係公団の職員に、これは国民が主権者なんだから主権者に対して法律の定めるところに従ってきちんとした仕事をしなさい、あたたかい気持ちをもって奉仕の精神でやりなさいと機会を見てやかましく言うてきておるところでございます。裁判にかけてもというような前憲法の意識と申しますか、何か行政権を持った者、執行権を持った者が特別上にあるという意識が働くからそういうことばが出てくるのでありまして、これは事非常に重要な意義を含むと私は感ずるわけであります。したがいまして、今後も本省はもちろん公団職員に対しましても、そういう気持ちで接していけば今後——いろいろと住民運動なんかが起こってくるゆえんもたどっていってみますと、やはり同じようなところにあるような感じがいたすわけであります。したがいまして、ほんとうにこの少年を死に至らしめたという管理不十分の点は私どもの責任でございます。道路公団においてもその気持ちを十分理解しておるようでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  50. 大出俊

    大出分科員 恐縮でございますが、平出さんせっかくお見えいただきましたので、皆さんのおこっている一番の根底にあるものは、子供さんがなくなられたけれども公団からもカクタスからもだれも来もしないというのはきわめて非人道的なことではないか、事の理非曲直はともかくとして、管理権はどっちかにあることは間違いないのだから、少なくとも契約があったとしても両方からたいへん御迷惑をかけたぐらいのことはあってもいいじゃないか、にもかかわらず、行ったら裁判をと言われたんじゃPTAは立つ瀬がないというわけです。だからPTAあげて建設大臣ところにどなり込みたいという話も実は出てくるのでございまして、どうかひとつこれが感情問題にこじれませんように、こういうことで地域にいろんな問題を起こすことは、大臣がいままさにずばりおっしゃられましたが、私も同感であってはならぬことでありますので、そういう意味でぜひひとつ早急のお手配をいただけますように重ねて申し上げまして、ひとつ一言御答弁いただいて、大臣からも御答弁がありましたから決着にしたいと思います。
  51. 平出三郎

    ○平出参考人 まことに先生の御指摘をいただきましたとおりでございまして、何とも申しわけなく存じております。直ちに早急に弔意を表させていただきまして、お話し合いに入りたいと存じております。なお現地の所長が不穏当な言辞がありましたとすれば、私どもの指導が至らない点でございまして、これまた深く反省しておるところでございます。
  52. 大出俊

    大出分科員 これは速記みたいなことでございまして間違いない。中身は本人の大久保さん自身で書いておりますから間違いないと思いますからお調べをいただきまして、別に責任を云々ということを好んで申し上げているわけではないのでございますから、ことばのはずみであればそれで理解はできるわけでありますから、そこらはひとつ慎重に御配慮願いますように……。  きょうはたいへんありがとうございました。  それから二番目の問題でございますが、実は南部さんとはきのうやきょうではございません。かつまた、私がちょいちょい住宅公団問題を取り上げました時期に、国会でという前にひとつ連絡をいただければできる限りのことはいたしますのでという御注意をいただきましたから、実は何年か御遠慮しまして、神大寺の公団の大騒ぎがあったりいろいろありましたが、苦労もしましたがたいていまとめてきたつもりなのですけれども、こればっかりはまとまらぬ事情がございます。なぜならば、税金問題等につきまして神奈川県との関係もあるのであります。そこで、最近皆さんのほうのおやりになったやり方が、私どうも納得のいたしかねることがありますので実は取り上げる気になったというわけであります。これは時間がありませんから、おわかりになっている方々でございましょうから、事を簡単に申し上げます。  新聞はたくさん取り上げておりますが、これは朝日新聞であります。題して「公団モタモタ登録税十倍」、大きな活字でございます。「高くて払えぬ 住民、差額補償を要求」というので、中身は公団の悪口を一ぱい書いてあるのです。何をやってるんだ、そこらのインチキ不動産屋じゃあるまいしということなのです。これは地元の神奈川新聞なんかでも取り上げているようでございます。事の起こりは、横浜の磯子区というところに洋光台という団地——マンモス団地でありますが、公団がつくることを計画された。それで払い込み債券の形でやってまいりまして、四十四年七月に譲渡契約がしてある。新聞はそう報じているわけであります。入居したのは四十五年十一月が最初であります。事の経緯は、この土地を売るにあたってリーフレットを配っておりますが、このリーフレットには、仮換地のままで譲渡契約を結んで、だから登記は換地が終わってからですよというようなことは書いてない。だからみんな知らずに契約をして入ってきているわけであります。ところが契約書の第一条には書いてある。こういうわけでありますが、地域の方はなかなかそこまで気がつきはしないので、リーフレットを見て応募した人はそのまま考えているわけであります。そこで、これは公団が土地を先に六割ぐらい買っておいて、区画整理に入って権利調整をしながら仮換地をして、亀岡建設大臣の認可があって公示をして、初めて登記ができる、土地はこういう手続であります。だから家は先に建っちゃっているわけです。  二つの問題がありますのは、この区画整理審議会で権利調整になかなか手間どったというようなことが理由で、四十八年の末までに登記ができませんで年を越えた。三年ごとの地価の評価がえがございましたので、したがって登録税がたいへんに上がってしまった。ここには十倍と書いてありますが、これはまだ直接聞いてみませんからわかりませんが、四十四年の計算でいけば五万幾らであると思っていたところが、昨年十月三十日、五十八万四千百円の請求が来た。これは久保義雄さんという方でありますが、だからこの新聞は十倍とこういうのでありましょう。まあ私が調べた限りでは、それほどはないというふうに思います。少し違いが新聞にあるように思いますが、私の調べた限りは、四十七年が坪当たり五万六千円、四十八年が坪当たり七万九千円。一戸当たり三十坪でございますから、評価額の千分の五十という方式をとるとすれば、四十七年の計算でいけば三十坪で十六万八千円になる。評価がえ後の四十八年になりますと、これが二十三万七千円になる。六万九千円の差が出てくる。つまり六万九千円損をするということになるのだろう、これは私の計算ですが、と思うのであります。それにしてもたいへんな数の住宅でございまして、九百戸くらい、特別住宅、普通住宅、二つに分かれておりますが、戸数がたいへん多うございます。片方の土地建物、ひっついているほうでない、つまり団地形式になりまして、土地は等分に分割して取得をするという形のほう、これが普通住宅でございましょう。あとが、土地だけ売った買ったというところ。これは二つに分かれているのでありますけれども、土地だけのほうが、大体二割くらい残して、あとは登記は、しょうがない、高い金を払ってしたようであります。ところが片方の土地と建物とこうついているほうは、こちら側のほうは八割が実はまだ未登記のままであります。これは文書で質問書を出しているわけであります。ところがこの質問書に対して、四十七年の八月に登記ができる予定である、明確な回答を公団側から実はしているのであります。予定だから変わることはあるといっても——四十七年になってから質問をしているのに、文書を出しているのに、文書回答を四十七年の八月に登記ができると出しているのですね。こういうことになっているわけですね。     〔主査退席、村田主査代理着席〕 したがって、これは確かに、もたもた公団といわれるような責任が公団の中にはある。実はこれは住民にたいへんな被害を与えている。ところが、そのやりとりの中で何と言っているかというと、皆さんが、登録税が評価がえがあって上がったからといって、いつまでも登記をしないとおっしゃるなら、そこらの不動産業者ならばほかに売ってしまいますよ——何もそこらのインチキ不動産屋に頼んで応募したのじゃない、天下の公団だから応募したわけでありますから、そこらの不動産屋なら、あなた方登記まだできないというならばどこかに売ってしまいます、それはないだろうと私は思うわけであります。  もう一点、問題があります。それは土地建物同時取得ならば、県税である不動産取得税との関係におきまして評価額の三%が土地建物ともにかかります。そして百五十万の基礎控除がございます。ところが、これは同時取得のはずで入ったわけでありますが、もたもたおくれて土地の登記ができなかった。これは公団の理由によるのですが、公団側は区画整理審議会の事務が進まなかったと言うのだが、しかし、それも主催は公団がやっているから、公団側の責任。だから同時取得にならない、となると基礎控除がなくなる。百五十万円の三%でございますから、これだけで四万五千円高くなってしまう。これが神奈川県との間の話がつけば、同時取得の形なんですから、これは。公の官庁が仕事をして、ある事情があってこうなったということでありますから、入った側は同時取得で入っているわけでありますから、そうみなすことができない筋合いではない。私も県にものを言ってありますけれども、このくらいのことはとりあえずやって誠意を示して、さて話し合いをするというならわかるのだけれども、このほうも幾ら指摘してもやろうとしない。私が県にものを言いました時点では、まだ公団から何の話もない。再度念を押しましたが、そのときにまだ話がないという。そういう話は私はないと思うのです、これは。また四万五千円この上に取られたのではたまったものじゃない。  そこで、私の部屋に御両所に来ていただいて、いろいろ話を詰めて、さて持って帰ってそっちでまとめてくれ、ポイントはこうだから、回答しないのは公団の皆さんといたしましてよろしくないでしょう、というようなことになってお帰りになった。どうもこれは話の詰め方が、聞いてみると全く不親切なんですね。不親切なはずなんです。四十九年三月五日に文書をばんと交渉中に送りつけまして、これを見ると、三月十日までに登記手続をしない方、これについては当分登記の手続はしませんよというわけです。公団側からものを言うまで登記は受け付けません、三月十日までにおやりにならなければ、ということです。片方の話は、県税との関係の一括取得の話も、これも努力するとおっしゃって、何の回答もない。私にもない。そのままにしておいて、私があれだけ皆さんにお話ししているのだから、御両所に聞き合わせたのだから、一言くらいあったっていい。何も言わぬでおいて、県にまで私行って何べんも話しているのに、いきなり三月十日で打ち切りだとこう言われる。あとは当分の間、こっちからものを言うまでだめですよという。そうでなければおどかしですよ。それでこの中に、「登録免許税額が昭和四十九年度の不動産価額により算出されますので、同納付書記載の税額が変更される可能性があること。」なんてつけ加えられている。まだまだ上がりますよとこういうわけ。念のために聞いておきたいのですが、これも上がるかどうか、あわせて確たる御答弁をいただきたいのです。これはおどかしですよ。ここに地元の自治会が紙に書いてよこしておりますけれども、話の最中にまたまたおどかされたというわけ。  これはどうも私はふに落ちない。だから、これはやはりこういうことになった責任の所在をまずはっきりしていただきたい。公団にあるならある、はっきりしていただきたい。その上で、これだけの被害を一体どうお考えになるかをはっきりしていただきたい。そして一括同時取得の形で入っているのですから、その意味では県税である不動産の課税について、皆さん方が国という立場で責任を負ってこれは処理を願いたい。この上にまた四万何千円取られるばかなことはないのであります。そんなことになってくるならば、これは公団のこの住宅に入らぬでもいいわけでありますから、そこらのところを明らかにしていただきたいのであります。  時間がございませんから一括申し上げました。
  53. 川口京村

    ○川口参考人 私のほうからお答えいたします。  不動産登録税と不動産取得税と二つに分かれておりますのですが、登録税につきましては、四十八年の一月一日に評価がえがございまして、高くなったということは確かでございます。先ほど先生があげられました新聞紙上の数字がございますけれども、あれはちょっと大きく出ておりまして、私どもで計算いたしましたところ、評価がえによりますところの負担増というのは大体五万六千円からでございます。それでいま問題になっております八百戸の特別分譲住宅——普通分譲住宅のほうは八三%登記しております。それから特別分譲住宅が、今日ただいまで約二十数%申し出てきておりますが、まだ八〇%近く残っております。この分が大体五万六千円から六万円くらいの差でございます。(大出分科員「私のさっきの計算くらいでしょう」と呼ぶ)そういうところです。これは登録税と不動産取得税合わせましてそれだけの差になっております。  ここは地区画整理事業でございまして、洋光台の事業が非常に広範な地域にわたっておりまして、区画整理事業の本登記が終了するまでに公団サイドだけではなかなか事務が進められなかった、ということは非常に権利関係がふくそうしておりまして、その間譲り受け人の皆さんに対しまして、当初公団が予定しておりましたよりも本登記の手続がおくれましたのですが、これはまことにやむを得ざるものがあるとわれわれは考えているわけです。そういう点で、分譲を受けられた方にはわれわれとしてはよく御説明したつもりでおりますのですが、その間、文書のやりとりその他で意が尽くせなかったことは残念に思います。  それから先ほど先生が申されましたこの文書でございますけれども、実はこの文書につきましては、われわれはおどかしをかけるとかそういうことは毛頭ないのでございます。それは地元の自治会さんのほうには関東支所を通じてよく御説明してあるというふうに私ども聞いております。  それから、この三月十日で打ち切りといいますのは、これは全く事務手続上の問題でございまして、年度末つまり三月三十一日までに登記を完了するといたしますと、これは窓口が非常に狭くなっておりまして、事務手続上十日ぐらいに締め切りませんと、それ以後お持ちになりましても、事実上、事務手続上年度内には終わりそうもないということです。それでそういうお断わりをしたわけでございます。年度が変わりますと四十九年度になりますので、四十八から四十九に変更するだけではなしに、書類を全部やりかえなければならない、そういう点から約一月ぐらい事務上の期間が要るわけです。そこで五月ごろ受け付けるということになっておるわけです。この登記事務手続は全部嘱託登記でございまして、譲り受け人の方から金額を持ってきていただければ公団のほうで全部登記するようになっておりますので、その間約一月かかるというところから、五月ごろまた受け付ける予定で、あらためてお知らせいたしますということです。  それから、さっき御指摘になりました登録免許税が変更される可能性があるということ、これは原則としては変更はないとわれわれ思っております。ただ従来の経験から、微調整がときどきあるわけです。これは公団のこういう登記をやっておりまして、そういう経験をしておりますので、ですから譲り受け人の皆さまに渡してある数字とほとんど差はないと思うのですけれども、若干の金額がふえる、おそらく百円単位だろうと思いますけれども、そういうことがありまして、金額が違うではないかというようなことがありますとぐあいが悪いものですから申し上げておりますが、原則としては変わらないと思いますが、そういう、税を計算する上で微調整が往々にしてあるものですから、そのことをお断わりしたつもりであるのでございまして、これが四十八年一月一日のような大幅な評価がえがあるというふうには考えておりませんです。そういう意味でございます。
  54. 大出俊

    大出分科員 大体、私は文書を持っているのですよ。書いてある文章を読んでごらんなさい。あなただって、自分で読めばわかるじゃないですか。これじゃ、受け取った側から見ればどうなりますか。できなくなりますよ、こっちから通知するまでだめです、とちゃんと書いてある。それで、四十九年五月ごろの予定、こっちから通知するのは。いまから五月といえば、まだ何カ月かあるじゃないですか。そこへもってきて、下記の理由によってという、理由の第三というところに、これが最後なんですが、こんなに大きく書いてあります。「登録免許税額が昭和四十九年度の不動産価額により算出されますので、同納付書記載の税額が変更される可能性があること。」微調整とも書いてなければ——私だってそんなことは知らなくはないですよ。住民だってそんなことはみんな知っている。原則としてはないけれどもと、それも書いてないじゃないですか。こういうような、やり合っているところへいきなりぽーんと突きつけられれば——いきなり郵送でしょう、夢にも思っていない。いままでの経過がみんなそうだ。そういうやり方というのは、これは公団だからいいようなもののほかの不動産屋ならこんなの売っちゃいますよ、なんというようなことを平気で言う人がある、皆さんの中に。そういうことを言えば感情がこじれますよ。あなた方、遺憾だと言うけれども、あなた方が回答しているんじゃないですか、四十七年八月ごろに登記ができますと。予定と書いてあるけれども、いやしくも役所がいうのですから、皆さんそう受け取るじゃないですか。正式に回答文書を出してください。これは四十七年八月に登記ができる予定である、四十九年ですよ、いま。そうでしょう。それをあなたのほうに責任がないようなことを言っちゃいけませんですよ。個々に、それならば事情を克明に書いたものを流したらいい。何にもないじゃないですか。五項目の要求書を出したって、あなた方のほうは返事も出さない。皆さん来たときに、私が集まっていただいて、そこで話をした。そうしたら、情報を流したというのです。その情報が回答のつもりだったと答える。その情報は五項目に触れてないのです。そうなると、私が話してから、じゃこの五項目について回答いたします。一々そういうことじゃ、これはあなた、公団の責任、国の責任はどこかに行っちゃうじゃないですか。一番最初入っているのは四十五年に入っているんですよ。四十八年の末までったって、四十五年に入っている。そういうことは新聞が確かに書くとおりなんだ。これはやっぱり大臣、私は、この点についてはもう少し誠意をもって皆さんがおやりいただかぬと、それは普通住宅のほうはまだ幾らかゆとりのある方が多い。片方は団地式になっているんですから。みんな金を借りて入っている。建物を担保にしなければならぬのですよ、みんな。しかも同時取得のつもりなんですよ。そこらが、二つの税金のあとのほうでまた取られる。あなた方は県との間で話をしようとしない。私が皆さんを呼んで話したときには、県と話をつけたいと思うということを言っておられる。そういう形じゃ——私か自治会の会合に行くからといって呼んでお話をした。県との話をつけたいと思っていると言っておいて、向こうに話をしておいた、それをおやりになろうとしない。そういう不誠意なことじゃ、これはやっぱり住民運動は拡大いたしますよ、神奈川新聞等を背景にして。だから私は取り上げた。これは時間がないから簡単に言っているんですけれども大臣と南部さん、きょうお見えいただいたんですけれども、ひとつ御両所のところで、やはりこれは一つの運動になっていますから、政治的な解決をはかる、いかような努力も私はするつもりでおりますけれども、早くまとめてあげたい。サラリーマンの方々がやっと一番低い条件の住宅を求めて、それだけに金を集めているわけですね、一生懸命自分として。それがたいへんな税金がふえる。家計にとっては痛いんです、どっち向いても楽じゃないですから。給料高くはないんですから。だからそういう点等を考えて、あと四万何千円またよけいな金を払う必要はないんであって、そこらの努力はしていただかぬと、私は県にも話しているのに、それを皆さんのほうで何にもしないということはないと思うんで、大臣、いかがですか、これは。
  55. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 自分の思っていたよりも高かったけれども、とにもかくにも家が持てたということで最終的に喜んでもらえるということを期待して、私ども住宅政策に一生懸命取り組んでいるわけであります。それがただいまお聞きするように、当初の説明不足ということもありましょうか、また、先ほど申し上げたような、とにかく、めんどくさいからという気持ちはなかったんだろうと思いますけれども、そういう気持ちが若干働いたんでしょうか、とにもかくにも、終わりになって喜んでもらえないで、何だと、こういうことでは、これから私大臣として住宅政策を大きく四十九年度進めていこうというにあたりまして、特に宅地を大規模に開発して分譲していこうというようなときにこういう問題が起きないという保証がないわけであります。これは大きな問題であります。住宅政策の一環としてこれは早くきまりをつけなければ公団も困りましょうから、私ども建設省といたしましても、これはもう、この問題はこの問題として、速急にまとめられる、現行法の中でまとめられるだけの努力はすぐさせますし、また将来の問題としても、これは税法上現行法でいいかどうかということもあわせて検討していきたいと、こう思います。
  56. 大出俊

    大出分科員 南部さん、すみません、一言ひとつ……。
  57. 南部哲也

    ○南部参考人 ふだんいろいろと先生に中に入っていただきましてお世話になっておりながら、たいへんどうも、こちらの親切味が足りないために別分の住居しておられる皆さん方との間に意思疎通を欠くということでまた御心配をいただくということで、たいへん恐縮に存じております。特に不動産取得税の問題、これはこれからの問題でございますので、これはせっかく先生から県のほうにお話があるということで、こちらから一切話がないということはまことにもって不都合な話だと思います。先生の今日の御質問に対しまして、部下をよく督励いたしまして、双方話がうまくいくように、感情的な行き違いがないように努力いたしたいと思います。
  58. 大出俊

    大出分科員 私は、実はここへ持ち出さぬでまとめたかったんですよ。だから自治会の会合にまで、わざわざ私、夜の八時過ぎに出かけていって三時間も話している。事の経緯はこまかく話している、皆さんから聞いたから。皆さんの代弁をしているわけですよ。舌足らずの面もあったように私も思うと、会って聞いてみたらこうだったと、そこでせめて県税との調整をはかって、そこらをひとつ前提にして、まあここまで努力をしたんだからということで話を詰めたいと思っていたわけです。だから県の東京事務所長をいきなり呼んで、だれだれにこういうように話しておいてくれ、あとから知事にも話すからといって話をしてある。そのことは皆さんにも言ってある。しかし、皆さんのほうからがちんと県に言わないのに、それ以上私のほうでといったって、それは中に入りようがないですよ。そうでしょう。だからそこらのところは、私の足元の神奈川県なんですから、津田さんと話ができないわけでもない。それは皆さんのほうだってそれなりに努力はしていただかぬと、どうでしょうかと事務的に聞いた程度のかりに話をされても意味ない。だからやっぱりそこのところはぼくらも努力をするつもりでいるんですから、大臣のおっしゃったり、南部さんおっしゃられるように、これは早く片づけたい。新聞がまたまた取り上げるということになると、公団用地確保だって一々もめるんですから。ぜひひとつそれは早くまとめるように御尽力願いたい。重ねてお願いをいたします。よろしゅうございますね。それじゃひとつ……。
  59. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて大出俊君の質疑は終了  いたしました。  次に、太田一夫君。
  60. 太田一夫

    太田分科員 私は、東海道一号線にバイパス計画というものをお立てになりました建設省にお尋ねをするわけですが、いま一号線東京−大阪間において、バイパスのないのは愛知県の豊橋から名古屋の近郊の豊明市に至る間であります。六十キロほどでありますが、そこの間のバイパスの計画は一体どうなっているのか。承るところによりますというと、建設省として、一部豊明から知立市の区域に対しまして路線の決定をいたして、何か工事に着手されたようでありますが、その他一向に建設省としての動きがありません。一体この名古屋ー豊橋間の国道一号線バイパス計画は、建設省としてはどのようにお立てになっておるのか、お尋ねをしたいと思います。
  61. 菊池三男

    ○菊池政府委員 国道一号線の愛知県内の分につきましては、現在までは現国道を四車線化にしたいということで、鋭意拡幅工事を進めてきております。大体七〇%くらい終わったところかと思います。しかしながら、まだそれでは十分ではございませんし、拡幅した四車線だけの交通では足りないということでバイパス計画を持っております。これはいま先生言われましたように、豊橋から知立へ向けて名四国道とつながるというような考え方のルートも持っております。これをずっと調査しておりまして、大体調査の成果も出ましたし、早急にやるべきであるということから、一部その道路の区間に工事の着工という段階に至ったわけでございます。
  62. 太田一夫

    太田分科員 四車線、現道拡幅をするということで、それは確かに四車線の努力を強調されておりますね。しかし、四車線になったところで一向に交通の難所が解消されたわけではございませんが、さらにそれに加えて非常に沿道の住民の中から、商売ができない、住むに耐えられない、こういうことで、騒音それから排気ガスそれから交通渋帯というようなことで住民の一号線に対する怨嗟というものは非常に大きいものがある。この間も建設省の地方出先機関である担当者がおいでになって市民の代表ともお会いになりまして、何とかこの対策は講ずる、それにはバイパス計画はあるんだとこう言う。調査中だとおっしゃるけれども、一向に建設省の動きというものは見られなくて、逆に地方の市町村とか県の動きにいまとまっておりますね。だからこれは県や市町村に調査を委任されていらっしゃるのですか。
  63. 菊池三男

    ○菊池政府委員 調査は、実はこれまだバイパスが国道という認定がございませんので、一号線がこみますので、一号線のバイパスというものは、それがどこを通るべきかという意味調査昭和四十年からやっておったわけでございます。  それで最終的には、いま通称名豊バイパスということばを使っておりますけれども、豊橋から豊明に至り、そして名四国道につながるそのルートを国道のバイパスとしてやるべきではないだろうかということでおりますが、現に着工しておりますのは知立の部分と、それからもう一つ豊橋市に属します部分、これをまず着工したい。それからまた、この工事をやりますにつきましては、やはり都市計画決定というものをすべきであろうということで、これは現在安城市あるいは豊橋市の部分につきましても、都市計画決定を早くきめたいということで現在手続をとっておるところでございます。そこで、そういう計画決定がきまり、そこに道路ができるということになれば、これはもう鋭意今度は建設を促進するということになろうかと思います。  いずれにいたしましても、こういう大きなバイパスによりまして交通の処理をしたい、そうしてこれが将来名古屋の湾岸道路というものとの結びつきによりまして交通処理をしたいというふうに考えております。
  64. 太田一夫

    太田分科員 局長専門家にそんなことを言うてははなはだ恐縮でありますが、バイパスということになれば、なるべく短絡するようにルートというものは決定さるべきものでしょう。ところが名豊道路というのは、ふしぎなことになべづるのように底が下がっておりますね。何であんな下げたのですか。なぜUの字にしなくて、もっと底を上げて距離を短くすることをなさらなかったのか。
  65. 菊池三男

    ○菊池政府委員 現在の一号線に沿わしてやること、これはバイパスとしては通常でございます。それから離したと言われますけれども、たとえば岡崎なら岡崎という市にとりましては、確かにいまの一号線より南のほうにたれ下がっておりますが、一号線全体として大きく考えますと、立地その他から、これはルートをきめますときにも、現在の道路の海側を通るか山側を通るか、いろいろ考え方がございまして、その調査の結果、海側のほうがいいということで、いま私どもきめております。ただ、その離れ方が大きいという点は若干ございますけれども、これはやはりほかのバイパスでも、地形あるいは土地利用というようなことからこういうふうな立地をせざるを得ないというところもございますので、岡崎からは離れますけれども、国道一号線という全体のところから見れば、やはりこれは局部的に離れるところがあってもやむを得ないかと考えております。
  66. 太田一夫

    太田分科員 局部的に離れるどころの騒ぎじゃなくて、全然バイパスじゃない。もしバイパスとするならば、蒲郡市内の地区における、なお相当調査に苦労していらっしゃるようでありますが、あのいろいろな準備の立ちおくれというものは急がなければならぬ。  しかし、これをつくるべきでないというのも暴論でございましょうから、そこで、もうちょっと具体的な御意向を承っておきますが、知立市を離れますと安城市に入りますね。安城市から西尾市に入っていくわけですが、安城市と西尾市の境の付近に農村地区があります。その和泉地区というところですが、そこの地区に八斗蒔という市営住宅の建設されたところがある。分壤住宅でございましたか、そこの八斗蒔住宅地の子供の遊び場のそばを横切ってルートが決定されようとして、現在市役所で縦覧に供されております。十一日までに異議ある者は申し立てろというのですね。あさってまでです。寝耳に水という人もありますが、あらかじめそのルートのことについて研究しておる人たちの間から非常に異議が出まして、大体住民は勤労者が中心となっておりますが、商売やっているんじゃない、住宅地として八斗蒔に住むことになった約七十世帯というのは、その南西側にある程度の高架で名豊道路が通りますと、窓をあけて風を入れたい夏場には、風に乗って騒音と同時にほこり、排気ガス等が舞い込むという状態になる、だからそれは困るというのです。別に、道路を絶対的につくってもらっては困るという反対運動ではないが、居住条件が大きくそこなわれるから困ったことだ、何とかその辺の配慮はならぬものかというのですが、その後、いろいろな意向というのが公式に安城市議会と愛知県の県議会に出されたのですが、ともにその請願は不採択になっておるのです。これは建設省の関係なのだから建設省に言ってくれというのが、言うなら当事者の話だと思うのです、考え方だと思うのです。そこで、そういう反対の意向に対して顧慮するものがあるだろうか。私がいまお伺いしたいのは、何か配慮するものがあるのか。だめだ、だめだと市議会は不採択にする、県議会も見向きもしない、やがて知事はそのルートを都市計画で決定しようという公示をなさるでしょう。そうなると、その住民の意思というものはそこで日の目を見るときがないわけですね。これは建設省としてどうお考えになりますか。
  67. 菊池三男

    ○菊池政府委員 これは一つの土地計画の問題でございます。したがいまして、これは当然県なり市なりの意向ということも大切だと思います。その請願に対して、何か不採択になったということも聞いております。その理由が、やはりこのルートというものを見ると、ここが一番全体的には被害が少ないんじゃないかというようなこととか、あるいはいままでの土地改良事業等の関連でここを通るのもやむを得ないのじゃないか、また、環境問題につきましても、何か市のほうでいろいろ対策を講じる考え方もあるので、環境問題については善処するというようなことで、この計画はどうしてもそのまま認めていきたいということによる不採択だというふうに聞いております。  建設省のほうの考えといたしましては、そういう地元の県、市なりの御意向、あるいはまた今度工事をやるほうの施工者という側に立ちましては、一番心配になり問題になるのは環境問題でございます。したがいまして、この団地のそばに道路が通れば、その影響が皆無というとうそになりますけれども、できるだけその被害がその住居地域に及ばないような形で、そういうようなことをいろいろ取り入れながら、環境基準に合致した道路をつくるというようなことで地元の方とお話し合いをして、そうして仕事を進めていきたいというような考え方でおります。
  68. 太田一夫

    太田分科員 ルートの合理性からそのルートを変更することができないということになれば、言うならば航空写真か何かで見て、ここにやればいいだろうときめたことは、住民が何と言おうとかんと言おうと知ったことじゃないというようなことで全部退けられることになりますね。現在、東北新幹線でも埼玉県地内においてそれが上に出るか下に出るか、どうするかこうするか大騒ぎであるし、東京都内でもいろいろ主要道路を建設するのに住民の反対があって変更したり、いろいろ折衝なさったこともありますが、もの言うなかれ、住民はものを言っちゃいけない、きまったことに対しては公共性のほうが優先だなんというようなことで押しつけるというのが建設省の意図じゃないでしょう。それはどうなんですか。
  69. 菊池三男

    ○菊池政府委員 これは通路をつくりますと、どうしてもそのつくった道路による影響ということは出てまいります。しかし、そういう影響があるからといって、それでは道路はつくらないかということになりますと、やはり必要な場所にはどうしても道路はつくらなければならないと思います。そういうことでそういう矛盾したことになるわけですが、その矛盾を解決するのはやはり、そのかわり環境基準に沿った——特定の地元の方に被害を押しつけるということがないような形で、ただしこれはある程度受忍の範囲はがまんをしていただかなければならないと思いますけれども、そういうようなことを考え、いろいろ環境の対策をやりながら工事を進めていくのだということが、いまの私ども考え方でございます。
  70. 太田一夫

    太田分科員 局長、道路の経過地をきめるのは地方であって、工事をやるのは建設省だというような言い方にちょっと聞こえますが、そんなものじゃないでしょう。ルートの決定にあなたのほうが関与せぬはずはないです。それはあなた、ルートをきめるのは建設省に大きな責任があると思うのですが、その点はいかがですか。
  71. 菊池三男

    ○菊池政府委員 私はそういうつもりで申し上げたのではないのでありますけれども、ルートは、国道のバイパスでございますからこれは建設省が直轄でやりますので、建設省のほうの責任でルートをきめるわけでございます。  ただその場合に、やり方として、普通の直接建設省で買収をして工事を進めていきます場合と、こういうふうな都市計画地域の場合には計画決定ということをやりまして、これは建設省だけではなく、県、市、あるいは地元、あるいは学識経験者も入ったそういう審議会によって道路がここにできるということをオーソライズしていく、そういう形をとっておりますので、ルートそのものの責任は建設省でございます。したがいまして、ルートをきめた責任、それからそれの工事をいたします責任を、そういうような形で環境とマッチした道路づくりということで考えていきたいというふうに申し上げたわけでございます。
  72. 太田一夫

    太田分科員 まあ理屈はそういうことでありましょうけれども、具体的には地方の市町村なりあるいは県なりがあなたのほうと相談をしながら、ここをこうしてああしてということになっているわけです。だから最初私が申し上げたように、なべづる型バイパスというようなものはよほどの事情がない限りないのです。なぜそんなに南に引っぱったか。バイパスはなるべく短絡線であるべきだと思う。どっちみち、それは旧道のほうが曲がっておって、まあ曲がっておる場合には片方のバイパスはまっすぐ直線になるでしょうけれども、現在の一号線が大体において直線でございますから、そのバイパスがなべづる型になることは否定しませんけれども、大きく下がっておりますからね、あれはひどいと思うのですよ。まあ、それはいいでしょう、それが地域の発展になるとみんなが言うんならいいと思うのですよ。  そこで、いまあなたのほうは、環境基準に合致した——環境基準と言いますか、最近は、大阪空港に見られるがごとく、名古屋の新幹線の騒音等のいろいろな訴訟問題に見られるがごとく、住民は公共性と居住性という問題について、住む権利というものにつきまして、なかなか黙っておりませんですね。ですからいま、これからおやりになる道路に住民が七十人反対しておる人がかりにあるとして、その住宅を、こんな小さなのはどうでもいいよというようなことでは私は済まされないと思うので、環境基準もさることながら、その人たち気持ちをさかなでするようなことは、私は絶対やめてもらいたいと思う。聞く耳は持たぬという態度はね。  そこで自治省にお尋ねをいたしますが、地方自治の本旨に基づいて地方自治法がつくられておる。地方自治の本旨とは何だということは、憲法にも明らかに書いてありませんが、住民自治でございますから、住民の意思というものは実に大事だ、住民は神さまだ、それでなければ地方自治というものは成り立たぬと私は思うのです。そこで、こういうように東海道一号線のバイパスとなれば、通過交通が実に多いのでありますから、そこで通過交通によって騒音と公害をまき散らされる住宅の人たちが耐えられない気持ちはよくわかる。その人たちが市議会なり県議会なりに請願したところがお取り上げにならなかった。しかし、いまの建設省の道路局長さんのお話じゃありませんが、住民に被害の押しつけはしないし、なるべく善処をしていきたいということをおっしゃっていらっしゃいますから、その意味においては何か方法もあるであろうと思いますが、一体自治省としては、住民全体の反対じゃない、部分的地域の住民の反対運動というものはどう行政的に扱っていこうと考えていらっしゃるか、この点をひとつお答えを願いたい。
  73. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 地方自治が、基本的には住民の意思に基づくことは先生のおっしゃるとおりでございます。いま問題になっております事業というのは国の事業でございますから、この事業そのものが地方自治の事業ではございませんが、およそ国の事業あるいは地方自治体の事業といえども、最終的には国民、住民のためにその公益を増進する目的をもってなされるものでございますから、その地域地域にいろいろな問題は生じましょうけれども、できるだけその地域の住民の意向はくみ上げ、よく言い分は聞いてやるという態度は、国にしろ地方団体にしろ、これは共通したものであろう。そういう意味では、一地域の、全体から言えば少数の方の意見も、それは十分に聞いてあげてほしいとは考えております。ただ、およそ全体の公益のためにやる事業が一人も反対もないという状態までいくということは、通常はもちろん考えられないわけでございます。そこはいろいろな方の御意見は十分聞いて、できるだけのことはしてあげつつ、ある程度の段階では踏み切らざるを得ない。これは国にも地方団体にもよくあることでございますが、それは地域の利益と全体の利益というのをどこで均衡させるかという、個々の事業、事業についてそれぞれ行政主体が責任を持って判断を下していただいて、その判断を下した以上、今度はその実現に邁進する、これは行政に取り組む者の国、地方自治体を通じてのあり方であろう、かように考えておる次第でございます。
  74. 太田一夫

    太田分科員 重ねてお尋ねをいたしますが、住民のいろいろな意見というものは、泣き寝入りにはさせない、これが自治省の自治法上の考え方でございますか。
  75. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これは自治省あるいは自治法上というよりも、行政全体を通じて、行政を行なう責任のある者が考えるべきことであろう。完全な意味で無視する、泣き寝入りされるということは決していいことではございませんし、それ自体の事業がスムーズには進まない。聞くことは十分聞いてあげる、しかし最後には大きな利益と部分的な利益の調和をどこで踏み切るかを自分の責任で考えるということでございましょう。これは地方自治法というよりも行政全体の姿勢だと存じます。
  76. 太田一夫

    太田分科員 よくわかりました。そういうことですね。泣き寝入りさせるということはない、これは建設省もそうでしょうね。  亀岡さん、大臣にお尋ねをいたしますが、これからそういうところは、例は幾つかあると思うのです。いまこの問題でも八斗蒔というところだけを取り上げておりますけれども、それは八斗蒔の人たちがきちっとした請願書とかいろんなものをつくりまして、それぞれの機関に出してきましたから内容が明らかになっているのであって、その他、陰にひなたにいろいろ意見を言っておる人たちは最近続出をしておるようでございます。しかし、それはいろいろな人たちがなだめたり説得したりしておるようでございますが、せっかくのいい交通路の建設というような公共性を持つ道路の建設についても、住民の意思のじゅうりんがあっては、それはやはり仏つくって魂入れずのたぐいだと思うのであります。したがって、局長のおっしゃったことは、ルートというものは合理性を持ってきめられるという点から言いますと、何か図上にルートがきめられますと、ほとんどそれが変更できない。けれども、何かそこに住民の意思をさかなでしたり泣き寝入りさせたり踏みつけたりするということのないような配慮、対策があってしかるべきだと思いますが、そういうふうにお考えでしょうか。
  77. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 太田先生の御指摘のとおりでありまして、やはり住民意識というものが非常に最近高まってきておりますし、これは非常にけっこうなことだと私は思うわけであります。日本国憲法並びに法律に示されたルールの範囲内で、自分の生きるがための主張を正しく行なうということは国民としての当然の権利でありますから、したがいまして、納得するまでやはりいろいろ話し合うという場が当然あってしかるべきであります。いつも例に持ち出すわけですけれども、三年半以上も話し合いがつかなかった問題ですら、やはりいろいろお互いに知恵を出し合って、そして話し合いを意欲的に行なってまいりますれば、問題の解決点、一致点が見出されるという例も少なくはないわけであります。そういう意味におきまして、太田先生の心配されておる住民の正しい意識というものが無視されてしまうというようなことはあってはならないことであります。  ただ、ここで申し上げたいと思いますことは、路線を決定する際には無意識に地図の上でするわけじゃございませんで、その地図の上に路線をかくまでに、やはりいろいろその地方の実情なりそういうものをあらゆる点から一応検討いたしまして、実は線を引いておるわけでございます。また、これは建設省独自で引いているわけでもございませんで、市町村なりあるいは県なりの意向等もやはり聞きまして進めておることでございますので、この点は、地図の上にここが一番近くて便利がいいからという式でやっておるわけでないこともひとつ御理解いただきたいと思うわけであります。
  78. 太田一夫

    太田分科員 道路局長、しからばいろいろ環境基準その他からいきまして、何かそういう場合、すぐそばを、南西に高架道路が通るというときに、その住宅並びに住民に対してなし得る具体的な手段というのは何か例がありますか、何かお考えでしょうか。
  79. 菊池三男

    ○菊池政府委員 具体的な例ということになりますと、これはいろいろな道路の交通の状態あるいは地形あるいはまわりの環境の状態によって違いますので、ちょっと具体的に事例をあげることはできませんけれども、ただいま大臣お話し申し上げましたように、長年かかってもめておったものも解決をしている例がございます。その場合は、たまたまこれはシェルター方式でございましたけれども、シェルター方式にすることもあり、あるいは高架方式にすることもあり、あるいはいま私ども考えております、通過交通を主体としたこういう道路ができる場合には、生活環境と道路環境を分離したいというために、従来の道路の両側に、たとえば十メートルずつぐらい用地をとりまして、そこに防音壁を建てる、そしてその壁はたいへん見ばが悪いものでございますが、そのまわりに緑の木を植えるということによって、緑もでき、そして音もそこでさえぎられるというような形のことも積極的にやろうということを考えております。この地区につきましてもそういうようなこともいろいろ考えられるわけでございますが、これはまた地元の方の御意見も、必ずどれがいいということではなくて、それぞれこういうほうがいい、ああいうほうがいいという問題がございます。いろいろな方々の考え方が違いますので、そういうことにつきましては具体的に、これは施工の段階で相談を申し上げたいと思いますし、そういうようなことも私ども現に考えておるわけでございます。
  80. 太田一夫

    太田分科員 時間がなくなりましたから、最後に一つお尋ねしますが、これは建設省のいろいろな機構の問題、組織の問題でありますが、豊橋工事事務所というのがありまして、豊川並びに豊川放水路、矢作川という三河川を管轄していらっしゃるように思うのであります。ところが、豊川並びに豊川放水路というのはそばでありますからこれはけっこうでございましょうが、天井川として非常に有名な矢作川というのははるかに四十キロ離れたところにあるのでありまして、合理性がない。だからこの事務所の機能を分割いたしまして、矢作川工事事務所というものをひとつ矢作川のどこか近くに持ってきて、矢作川の治水に当たるべきだ、並びに関連する河川の枝川の治水にも当たるべきだと思いますが、これについてどんなものでしょう。
  81. 松村賢吉

    松村政府委員 矢作川の改修につきましては、実は昭和三十九年七月まで単独の工事事務所があったわけでございます。ところが三十九年に、時の河野大臣のときだと思いますが、全国の事務の統合と申しますか、組織の大改廃をやりまして、これは事業量の増大に伴って、人員の増はなかなか伴いません。そういうような関係から合理化する関係上、事務所の統廃合を行なったわけでございます。その際に、まあ豊橋工事事務所に合併して一つになったということでございます。しかし岡崎市、安城市には出張所をつくっておりまして、河川の管理等は行なっており、また地域住民の窓口業務を行なわしているわけでございますので、今後ともこのほうの面におきまして出張所を活用するということにおきまして、私どもとしては地域住民に御迷惑はかけないように最善の努力をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  82. 太田一夫

    太田分科員 局長、三十九年七月まで置いておいたのを統廃合した、人が足らなくなった、仕事はおっしゃるとおりどんどんふえてきたんですよ。矢作川というのは、私は別の普通の河川だったらあまりとやかくのことは申しませんが、天井川であるし、それに関連する枝川のほうにもこの間なかなか大きな被害が出ておりますので、今度またさらに百年に一回でなくて、百五十年に一回の大洪水にも耐えるような新たなる改修工事も計画に入れるとかなんとかいう話もあることでありますから、これは人が足らぬとかなんとかいうことじゃなしに、人が足らなければ何とかほかのほうから回してもいいじゃありませんか。目の前にその河川を見ながらやるというぐらいの気がまえを持った組織をお考えになるべきだと思う。これはいまのところは二出張所なんです。出張所なんというのはろくな権限がありませんよ。あなたのおっしゃるようなら、地域の治水に、その当該河川の治水に絶対機動性を欠くようなことのないように出張所に大幅に権限を委譲するとおっしゃればけっこうだが、そうじゃないでしょう。権限委譲をなさいますか。もしそれができないならば、それをどうするかということについては根本的に一ぺん再検討してほしいと思うのです。
  83. 松村賢吉

    松村政府委員 先生のおっしゃることも一々理があるわけでございますが、私どものほうとしては、全体の定数の中におきまして事業をやっていかなければならぬということで、この矢作川につきましてのみ特例というわけにはなかなかいかないわけでございます。全国の河川あるいは中部地建の担当する河川、こういう中の繁閑の度を勘案いたしましてこういうことになっておるわけでございますが、われわれといたしましても、年々事業量の変遷というものは各河川にございます。そういう中におきまして新しく工事事務所が設置できるというときになりましたら、これは新しく設置するということも考えられると思います。しかし、四十九年度、来年度の話といたしましてはなかなかまだそこまでの余裕はございませんし、われわれといたしましては、やはり出張所の活用ということ、また、権限の委譲ということにつきましては問題が全国的に波及いたしますが、その運用におきましてできるだけ窓口業務、その他また仕事の迅速化等につきまして御迷惑をかけないように最善の努力をしていきたいと考えております。
  84. 太田一夫

    太田分科員 終わりますが、大臣いまお聞きのとおり、これは建設省の仕事のやり方の問題でありまして、特に河川などという問題は、いざとなったときにたいへんな災害が起きることでありますから、いまの局長お話のごとくに権限委譲はむずかしいという話もありますが、場合によっては権限委譲をして、思い切った力を与えていただくことが治水の前進になるんではなかろうかという気もします。いますぐというわけにいかぬとおっしゃるならそれもしかたがないことでございましょうが、基本的にひとつお考えくださるように要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  85. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて太田一夫君の質疑は終了いたしました。  次に、田中美智子君。
  86. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 人口二百万の名古屋市のどまん中に、かたかなの「サ」の字を書くような形で高速道路をつくる計画が進められておりますけれども、これについて質問いたします。  この「サ」の字の計画というのは、いま非常に大きな住民の反対運動が進められていることは大臣もよく御存じだと思いますけれども、そもそもこれは四十六年度から始められたというふうに思うのですけれども、振り返ってみますと、ちょうど池田内閣の高度成長政策が始まったころからこの計画がなされたというふうに市民はいま聞いているわけです。しかし、実際に市民がこれを知りましたのは昭和四十五年ぐらい、それまでの間というのはうわさとして聞いていたものですから、鏡池線という住宅が密集している、学校のある住宅地のまん中に、道も何もないところに家を全部踏みつぶして高速道路をつくるというような計画、ここは四十三年度あたりから市民が反対運動を始めていたわけですけれども、その「サ」の字全体を含めますと、反対運動というのは四十六年ごろから始められておるわけです。  これはなぜかということは大臣もよく御存じだと思いますけれども、この計画を市民がはっきり知りましたのが四十五年です。そして四十五年七月に公聴会を開くということで募集をしたときに、市民が四十人申し込みました。しかし、そのうちの十八名しか選ばれなかったわけですけれども、四十名全員が反対の立場をとったわけです。それで桑原知事さんがびっくりなさって、二名賛成の市民を選び、知事指定ということで二人出るということで、二十名の公述人が出席したわけです。  それから二カ月後にこの計画が市民に縦覧され、そして間もなく、ほんとうにすぐですね、審議会ではほんとうに非公開のような形で承認され、そしてそれを建設大臣が認可する。そして知事決定。市民が知ってからわずか二カ月半の間にこの計画がなされたわけです。  それから市民が驚きまして、反対運動があちこちに野火のように広がっていったわけですけれども、初めは部分的に、自分の家だけが立ちのくのはいやだというふうな運動からばらばらにやっていたわけですけれども、最近ではこれが日に日に大きくなるというふうな市民運動に発展し、反対市民会議というものができて、ほとんどの沿線住民、いままで賛成ところまでが最近また入ってくるということで、全部がこの反対市民会議に結集するようになったわけです。この市民会議は、その住民だけでなくて、労働組合やいろいろな組織の団体などまでが反対運動に参加する、市民会議に参加するというふうな形に現時点できているわけです。  こうした市民運動の反対というのは非常に大きく、市議会をもゆさぶっているわけですね。それで市議会にもこの反響が出まして、賛成の議員が反対に移っていくというふうな形でずいぶん変わってきております。そういう中で工事は四十七年度も進められております。まだピアが六十何本ですか立ったという、ほんとに工事としては一歩足を踏み出したところですけれども、四十八年度に、御承知のように市会は全員一致、これを進める中心であった自民党の議員も凍結ということに賛成をしまして、一応四十八年度、この予算を凍結して検討しようということになりまして、昨年の八月ですけれども、市長の諮問機関のような専門委員をつくられたわけです。これがわずか半年でしたけれども調査報告が昨年の十二月に出されたわけです。この専門委員というのは六名の反対と六名の賛成の専門学者、そういう方を集めてつくったわけです。そして実際にこの十二名が何回も会合しまして審議し、研究し、調査をして出された報告というものの結果を見ますと、簡単に申しますと三対九ということで、反対側の方が——いままでの賛成の方が、これは一時検討すべきで、これはどうもよくないんではないかというふうになられたという結果が出たわけです。これはいま非常に名古屋市民にとっては大きな問題になっておりますし、市議会もこの専門委員の報告を非常に重視しているわけです。こういうふうな中で、この反対市民会議の中の全くしろうとであった方たちがこの長い反対運動の中であちこちを調査し、外国まで見てくるというふうなことをして、しろうとが全く専門家顔負けのような深い知識を持ち、単なる自分の家ではなく名古屋市全体のことを考える、愛知県全体のことを考える、最近では天下国家を論じ、世界の高速道路の問題をも論ずるような方たちがこの反対運動から出ている、そういう時点での専門委員会の報告、これについて建設大臣の御意見をお伺いしたいというふうに、これを尊重するのか、これをどういうふうな、こういう新しい状態というものをどう見ていらっしゃるかということをお聞きしたいと思います。
  87. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 民意を尊重することは当然のことであります。しかし、先ほどお話のありました名古屋市民二百万の福祉ということも、私どもとしては考えなければならぬわけであります。そういうことで道路率の特に低いといわれております——当初旧市内では名古屋はたいへん都市計画がうまく進んだというところもあったわけでありますが、人口がふえてまいりますにつれまして道路の占有率といいますか非常に低いということで、やはり市民の福祉を阻害しておるということでいろいろ検討された結果、名古屋都市高速道路という発想がなされ、これが計画され、実施に入ったことは、田中先生も御承知のとおりでございます。ただ、その際、住民が、最近特に住環境という問題それから公害防止といういわゆる人間尊重という世論が高まってきております中で、この社会、公共のためという公共的な要求と、それから市民一人一人のいわゆる生活権というものとの調整をどうとっていくかということが一番大事じゃないか、こう思っておるわけであります。したがいまして、建設省といたしましては、地元の県並びに市においてもいろいろ御苦心なさっておられるわけでありますので、建設省といたしましても、県並びに市との緊密な連絡の上で、両方の要請がかなえられるような点はどこにあるのかということをまず見つけていかなければいかぬのじゃないか、こう思って、一面、やはりいろいろ道路交通の渋帯というような面もあるわけでありますので、そういう点も考えて、できれば早く話し合いをつけて工事の再開というふうに持っていきたいものだなという気持ちでおるわけであります。
  88. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 そうしますと、私の質問に対してだけなるたけ、これはさんざん論議されているものですから、質問に対してだけ簡単に答えていただきたいのですけれども、この専門委員の報告についてこれをどう尊重していただけるかという質問をしているのであって、福祉がどうのこうのということを私はいま言っているわけではないわけです。そのことと、それからいまのおことばの中に、非常に私は心外に思うことですけれども、高速道路をつくることがなぜ名古屋市民の福祉に関係するのか、日本の国民の福祉に貢献するのかという問題、それから道路の占有率が非常に低い、こういうふうに言われましたけれども、やはりそれはデーターをもってきっちり確かなことを言っていただきたい。これはいま、少なく見ましても名古屋と東京、大阪とは変わっておりません、一三%というふうにいわれておるわけです。これはロサンゼルスの例を見ましても、道路の占有率を広くすればなにがとまり、交通がよくなるという考え方は非常に世界的な問題として考え直されている時点にあるわけです。ロサンゼルスでは、もう市街地の六〇%、道路と高速道路とそれから駐車場も入れて六〇%になっているわけです。それでもまだ全く解決しないどころか、もっと足らない、町じゅう道路にしなければならないというようなところで、これは世界のほうが反省期に入っているわけですね。  そのときに、まだ名古屋だけが道路の占有率が低いなどというふうなおことばが大臣から出るということは、これはとても心外なことだというふうに思います。もう一度、専門委員会の報告というものをどのようにお考えになるか、発想の転換というのはないのか、少しでもそういう動きはないのかということを大臣にお聞きしたい、大臣のお心をお聞きしたいわけです、具体的な計画ではなくて。
  89. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私まだ三対九のその専門委員の主張に、答申になった内容といいますか、実は承知しておりませんので、勉強した上でお答えしたいと思います。
  90. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 これは非常に心外なことです。これは昨年名古屋の市民会議の代表の方たちと大臣はお会いになっているわけです。その時点で、これは十二月の十七日です。このときに大臣は、建設省考えを上からかぶせることはしないというふうに言われているわけですね。いまもおっしゃったように、民意をよく聞くというふうに言っていらっしゃるわけですね。この陳情も盛んにしているわけですね。ですから、この報告が出るときには、もう名古屋市民というのは、八月から十二月の段階というのは、それこそ手に汗を握るつもりでこの報告を待っていたわけですね。これは市議会もそうです。県もそれはどういうのが出るのか心配で、いま県は進める方向をとっていますけれども、見ていたわけです。こういう状態が愛知県という大きな、愛知県だけを見ましても、五百万の人口のある愛知県の市民が手に汗握るつもりでこの報告を見ていたのに、その報告が十二月の十日になされているわけですね。それから三カ月以上四カ月近く、三カ月以上になるのに大臣がそれを見ていないということはどういうことでしょうか。それについて見ていないということは、名古屋市民にやはりあやまっていただきたいと思うのです。さっそくにこれを見て中身を読んでいただきたい、それをはっきりお答え願いたいと思います。
  91. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 抽象的な話は聞いております。しかし、専門的に答申がなされている、詳細なことは私聞いておりませんので、その抽象的な話に対しましては、もうもちろん民意を尊重しなければならないということを先ほど申し上げたのも——この前陳情を受けました際に、詳しい専門的なことは私はよくわからぬけれども、とにかく住民の意思を無視して強行するというようなことはいたしませんということばで、その専門委員会の方々の三対九に対する答えとしたつもりでございます。現在もそのあれは変わりございません。ただ、詳しいところは、専門的なことにつきましては道路局長のほうから答弁させます、こういうつもりで申し上げたわけであります。
  92. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまの専門委員の意見をどう考えるかということでございます。私は全部読んでおります。その専門委員のどなたも、今後の環境問題を重視してやれとか、あるいは総合交通的な考え方に立ちなさい、あるいは自動車抑制考える必要があるというようなことを、皆さん、これは全員の方が基本的な考え方としてとられ、それから具体的にこの公社のやります高速道路について賛成の方、反対の方とおられたわけでございます。私はやはりその考え方に対して、賛成の方の考え方もわかります。また、反対の考えのお方の御意見もわかります。しかしこれは、だからどうかということよりは、反対の方の問題があるとすれば、それに対してどう対処すればよいかということを私ども考えていかなければいけないと思います。実はその前にこの高速道路が、やはり大臣が言われましたように、非常に二百万市民の福祉になるということ、これは私どももやはりそう思っております。ただ、簡単にということでございますので、あまり詳しく申し上げる時間がないので残念でございますけれども、やはり名古屋の市内の交通処理のためには、私どもはこの高速道路だけが唯一の手段とは考えておりません。二環と称しておりますけれども、名古屋の市内を回ります環状道路の整備、これは早急にやりたい。それからまた同時に、湾岸道路を通しまして、通過交通はもう市内には入れないということで環状道路でとめ、あるいは湾岸道路で通過してもらうというようなことをあわせやり、またほんとうの市内の交通につきましては、やはり現在名古屋市内に目的を持って来る方が圧倒的に多いので、どうしてももう少し道路率をふやさなければならないということで、道路率が低いのは事実でございます。そういう意味で、これを立体的につくらなければならないだろう。そしてこれも高速道路という意味ではなくて、たまたま信号もないし、すっと通れますので、下の道路から見ればそれは高速でありますけれども、いわゆる通過交通を主体としたための高速道路をつくるという目的ではないのでございます。
  93. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 専門委員のことについてお話がありましたけれども、その中に反対の方も含めて、いまおっしゃった環境について考えろというふうに言っているということはお読みになっていらっしゃるわけですね。これについてはどうお考えになるのですか。
  94. 菊池三男

    ○菊池政府委員 この環境の問題につきましては、特に都市内の道路の場合には非常に重要でございます。一般道路の場合ですとバイパスにすればいいというような。……(田中(美)分科員「簡単に聞いたことに答えてください。「サ」の高速道路についての環境だけについて聞いているわけです」と呼ぶ)ですから、そのまわりのことから申し上げたわけなんですけれども、その「サ」の字そのものにつきましてもやはり環境問題が起こることは必至でございます。そういう問題に対しては、これがいまの環境よりその高速道路ができたために悪くなるということには絶対にしたくない。それからまた、現在あるところでも、場所によりましては環境の基準を越えているところがございます。そういうようなところはやはり何らかの手当てもし、そういうような形でつくっていくというようなことも具体的な問題としては考えていかなければいけないと思います。また、それ以外に勾配をゆるくするとかあるいはリングを一方通行にするとか、具体的にはいろいろな——あるいは先ほどお話が出ました鏡池、そういうところにつきましてはある程度地下というような考え方もございますし、具体的にはその場所に応じた形で計画を立てていくべきであろうというふうに考えております。
  95. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 いま、もう一部分着工しているわけですからね。その中で具体的にということは、もっと具体的に言っていただかなければわからないわけですけれども、いまより悪くしない、こういうふうに言われますけれども東京にしたって大阪にしたって、前よりもはるかに悪くなった事例があるから、どういうふうに悪くならないのかということ、これが一番の問題で、いま市民運動の反対はここから出発しているわけでしょう。天下国家、世界を論じているのは、そのあとに視野が広くなったということであって、この出発は、この高速道路のまわりがいまよりは悪くならないという保障が全くないから、それよりかはるかに悪くなるという事例しか日本国じゅうにないわけです。大阪だって高槻線にしたって武庫川にしたって、いまこれはほとんど廃止状態になっていますね。東京のいまの渋滞、それから排気ガスの問題、あなたがおっしゃるような福祉というのは交通が便利になるということかもしれませんけれども、これは決してよくなっていない。これの極端な例が、さっき話したロサンゼルスの例ですね。そういうことで環境もますます悪くなっている。そしてこれは名四国道でさえ要町、それから弥次衛町、あそこなどでは、騒音にしても振動にしても排気ガスにしても、全部基準を上回っているわけですね。これさえいま国はどうしようもないのでしょう。お手あげになっているんじゃないですか。こういう状態が放置されている中で、国民がいまより悪くならないという保障がどこにあるのですか。いまでさえいろいろな意味の公害があるのですから、よくしなければならないのに、これが悪くならないという保障はないから、だから反対しているのじゃないですか。高速道路自体というものに対してはだれも反対していません。道路が必要だということも反対はしていないわけです。しかし、これのつくり方の中にたくさん問題がある、つくる場所にも問題がある。それは一番国民の健康が守られないというところからきているわけでございます。あなたはその報告書をお読みになられて御存じだと思いますけれども、これは名古屋大学の水野教授が言われているように、都市というのは本来人間の生きる場であるということを言っているわけです。こういう観点から、もう一度発想の転換というものが要るんじゃないかということが、名古屋市民だけでなく、日本国民、世界の大都市都市計画の中に出てきているから、いまこの質問をしているわけなんです。ですから、その中で一体環境がいまより悪くならないという保障が、単に具体的にいろいろ考えています、いろいろ考えていますでは、これはどうしても国民は納得しないし、民意を聞いているという結果のお答えとは思えないわけですね。大臣は、この環境、公害についてどうお考えになりますか。
  96. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そういう公害を防止しようということで公害十三法をつくりまして、いろいろ基準をつくっておるわけです。御承知のとおり、自動車なんかの排気ガスの問題につきましても、世界で一番排気ガスの少ない車を生産するという努力も一面ではしているわけであります。それと同時に、音に対する規制、こういう問題も、実は法律によってきちんともうできておるわけであります。ですから、そういう法律で定められた——先ほど一番先に私申し上げたわけでございますけれども、法律のきめられた範囲内に、音でありますとか排気ガスでありますとか、そういうものが運営されていくような道路づくりということをしなければならない、そのために全力をあげなければいかぬということは、もうしょっちゅう申しておるところであります。  一例を申し上げますと、住宅のどまん中を走る烏山のあそこは、三年半も実は住民と道路公団の間において話し合いがなされて、最終的にはお互いに納得した上で工事にかかれたわけなんでありますけれども、やはりお互いに話し合いをする、もう絶対反対ということで、いろいろ住民の方々も研究をされるわけでありますから、知恵を出して、また公社のほうでも知恵を出して、そして最小限に食いとめる方法がないかどうかということは、もう名古屋の道路公社におきましてもずいぶん研究は進めておるわけでございますので、お互いにイスカの口のすれ違いみたいなところがないようにしていかなければならぬな、こんな感じがするわけです。
  97. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 そうすると、具体的には名古屋の「サ」の字の場合の環境というのは、いままでの計画からどれくらい前進していらっしゃるのでしょうか、一言お答え願います。
  98. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ちょっと御質問の趣旨が、いままでの道路よりどの程度前進しているか、「サ」の字がどの程度前進したかという、「サ」の字の何でございましょうか。
  99. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 初めは高速道路も全然——新幹線と同じですね。ばあっとつくる予定だったのが、いま六メートルぐらいとかいうような話が出ておりますね。そういうふうな意味で全く住民のことを考えないというとあれかもしれませんけれども、われわれから見ると考えていないと思えるのですけれどもね。町のまん中にばあっとつくっておる。この間何にも緩衝地帯もなしの計画ですね。それで千五百億の計画でなされたわけですね。その以後どれぐらい進展しているかということを具体的に……。
  100. 菊池三男

    ○菊池政府委員 先ほど構造のお話は申し上げました。これもその後具体的に進展したことでございます。たとえば地下にするとか、先ほど言ったリングの一方通行というような考え方、それからそのほかにも、たとえば私どもはいま要町のことを考えておりますけれども、あそこは名四国道の上に高速道路が乗るわけでございます。そういうようなときには、あそこはそうでなくても現在非常に環境基準も高いから、何とか、たとえば緑地帯というようなものを横にとりまして、これまた追加買収あるいはまた都市計画の変更になりますので、これはまだ私ども考え方で、地元の方にとってはいろいろまた問題があると思います。そういうようなこともあわせやらなければならないであろう。しかし、これはいま公社なりあるいは市なり県なりが地元の方といろいろ打ち合わせをしている段階からそういう問題が煮詰まってくると思いますのでいそういう煮詰まってくるのを受けて私どものほうは進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
  101. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 いまいろいろ構造のことも言われましたけれども、緑地帯のことなど出て、結局公社や市でも六メートルぐらいの緑地帯をつくるとかという話が出ております。それから六メートルとか十メートルとか、そういう話が出ておるわけですね。しかし、これはいま私がなぜ——私は発想の転換をしてほしいと思っているわけです。そういう点をもう一度考えていただきたいというふうに思いますのは、たとえばドイツのアウトバーンあたりでは、もう四十年前から四十メートルということが法律できめられているわけですね。その間には人家を建てないということをいっているわけです。これは古いときに、もはや四十メートルですね。それがい日本では、皆さんの立てた計画は一メートルもない。そうして住民のこういう長い間の反対の中でやっと六メートルなんということが話し合いの中で出てきてる。それが十メートルだなんというような話をしている。もうドイツでは四十年前に四十メートルという、話にならないほど大きい数を置いているわけですね、その時点で。現在アメリカなどでは、二百メートルという間には建築、広告の禁止というものが、これは連邦道路法というものできちっときめられているわけです。そういうふうにしてもまだロサンゼルスのようなあやまちができる。これは一度つくってしまったらこわすのはたいへんなことですから、やめたというわけにいかないわけですね。だから私はいま言っているわけです。日本の未来、名古屋市の未来というものが全く暗黒になるからということを言っているわけです。こまかいことはいろいろいままで言われています。何しろあれが全部できてしまいますと、名古屋市全体が五十ホンになるということを言っているわけですね。五十ホンといえば、住宅街の最大の基準すれすれの線ですね。これが全部なるわけですからね。これは部分的にはもっとひどくなるわけですけれども。  そういうふうなことだとか、また学校がいまの計画のままでいきますと、もう高速道路に直面する学校というのは二十三校出るわけなんです。これはもう人数が約三万の児童にかかるわけですね。これは五百メートル以内の学校というので調べますと、百五十校近くなりまして、学校の約四〇%がこの高速道路の被害を受ける中に入るわけなんですね。ですから、グリーンベルトを一メートルふやすと五メートルふやすなんという、こんなこそくなことでは、これはくちばしが入れ違っていると、こういうふうに大臣が言いますけれども、絶対反対、何が何でも反対と言っているんではないのですよ。アメリカでさえ二百メートルと、こういっているわけでしょう、現在。それさえだめになってきてるんだから、建設の時点でこれをもう一度考えろ、発想の転換をしてほしい、こう言ってるわけです。学校がこんなにぶつかるし、病院を数えたら際限ありませんね。そういうことをいま言っているわけです。ですから、建設大臣に——建設大臣は、何でも悪いものを建てれば建設大臣ということではないと思うのですね。やはり建てるということは、都市計画をきちっとして建てるのが大臣だと思うのです。だからこそ、やはりいま世界が反省している時期であり、また名古屋市が反省してきている。だから国も反省をして、ここで発想の転換を——いますぐ取りやめろと私は言っていません。そういう観点から、もう一度ものを考え直してほしいということを言っているわけです。建ててしまったらもう取り返しがつかないことになるから、この発想の転換をお願いしているわけです。  それで、もう時間が参りましたので、あと最後に言っておきたいと思うことが一つあります。愛知の県警、警察の交通のおまわりさんは非常に熱心に交通のことをやっていただいてるわけです。こういうところからの資料というのを見ますと、名古屋市の交通の七〇%はマイカー。そうして公営交通と車依存というのは、大体東京、大阪は公営が六でマイカーが四なんです。名古屋の場合これが反対になってるのです。公営が四で車が六になってるのです。これをどうして解決するか。国民の、いまあなたがおっしゃった福祉というので解決するかというので、愛知県警が出しているのです。実際に取り締まったおまわりさんの報告なんです。これでは、約一万人の人を公共交通に切りかえればこれは直ると言っているのです。あなたのおっしゃる福祉は直ると言っているのです。そしてバスを百四十三・五台、公営のバスをつくれば、これはマイカーも減らせるし、一万人の人を公営交通に引っぱることができる。これである程度——ある程度ですけれども、解決できるということを県警は言っているわけですね。こういう報告はたくさん来ているわけですからね。こういうことを見落とさないでいただきたいと思うわけです。  いま、これについて昨年の一月十日から名古屋の交通の混雑について、これもやはり愛知県警が大幅な駐車禁止を始めたわけですね。そのとき市民は何と言っているかというと、これはこういうことを言っているんですね。バケツで水をかき出しているかと思えば、片方ではホースで水を注ぎ込んでいると、こう言っているんですね。これは政策がそういう政策をとっているんですよ。豊田は近いですし、車はばんばんばんばん道路に関係なく売る、どんどんつくる、そういう高度成長政策でもってホースで水をぶちまけている。国民一般大衆の中で語り伝えられたこのことば、何となく出てきたことばというのは、実にすばらしい名言があるというふうに私は思うのですけれども、まさにあなた方のやっていらっしゃることは、バケツで水をかき出しているかと思えば片方で水道で水を突っ込んでいるのだ。いまは世界の動きというものは、交通量かふえても道路はつくらない——生活道路は別ですよ、高速道路はつくらない、道路があっても車を通さないというところから、発想の転換をすべきじゃないかというようなことが出てきているわけです。それでいま私は、きょうの質問で強く言っているわけです。  それで、いますぐ建設大臣にお願いしたいことですけれども、住民の納得をしない、住民の上にかぶせることはしないと、この間、市民会議でおっしゃったことというのは間違いないかということをお聞きすることと、もう一つは、いまの話し合いについて市とも県とも、それから市会、市民、そういう方たちの話し合いに対して建設省は決してうしろから圧力をかけない、かけるどころか建設省も積極的にその話し合いの中に入っていく、決してプッシュはしない、建設のプッシュはしないということですね。もう一つは、もし自治体が、自治体というのは名古屋市ですよ。名古屋市の市会が、これは反対という決議をし市長と一致した、こういう決定がなされたときに、それを建設大臣は承認するかしないか、この点をお聞きしたい。  この三つについてお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  102. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 たいへんお疑いのようなんで私まことに残念なんですね。(田中(美)分科員「疑っているのじゃないのです」と呼ぶ)いまのようなことをやればこれは自由民主党は票が減るわけですから、やはりわれわれも政権の政党政治をやっております以上は、住民のためにならないようなことはもう絶対にやりたくない。しかし、与党として行政を担当している場合には、そういう場面が出てくる可能性も持っておるわけです。しかし、そういう出てきた場合においても、できるだけ住民の福祉をそこなうことなくという配慮をしてまいることは、これはもう当然でありますから、先生が心配されているような、市や県がまだきめもしないうちに建設省がもう田中内閣ブルドーザーだからということで、ばりばりばりばりやっちゃうなんということは絶対にいたしません。その点は私、責任を持ってお答えを申し上げておきます。(田中(美)分科員「プッシュもしないということですね」と呼ぶ)もういまのお答えにすべて尽きると思うんですね。それはもう憲法上、地方自治体というものがきちんと示されておるわけでありますから、そんな圧力を加えたら名古屋の選挙で負けて、またその上で保革逆転というようなことになっちゃったらたいへんですから、そういうことはもう絶対にいたしません。
  103. 田中美智子

    ○田中(美)分科員 わかりました。この新聞を御存じだと思いますけれども、これは一月二十五日の名古屋の中日新聞で全国に出たようですけれども、自由民主党の「ハイウェーをつくるより、暮らしを大切にします。自由民主党」という、こういうりっぱな広告がだいぶ、何百万かのお金がかかられたと思いますけれども出された。この中日新聞というのは、地方紙では朝日を上回っている唯一の新聞です。愛知県じゅうくまなくいっているわけですね。名古屋市民はこれをみんな見ております。これを裏切らないように、「ハイウェーをつくるより、暮らしを大切に」と、大根の絵の中に書いてあるわけですから、これは大臣しっかりと、自民党の票か減らないようにしっかりとこれは絶対に守っていただきたいというふうに思います。  きょうの質問を終わります。
  104. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて田中美智子君の質疑は終了いたしました。  次に、松本忠助君。
  105. 松本忠助

    松本(忠)分科員 まず最初に、地盤沈下の問題を伺いたいと思うわけでございます。  御専門の方々でございますから十分御承知のことと思いますけれども東京都の東部地帯、すなわち隅田川以東地域、それから北区から板橋区へかけまして流れております新河岸川の沿岸は、荒川や利根川の河口に発達したところの沖積三角州でございます。その面積は、東京都区部の三分の一に当たりますところの百八十平方キロメートルございます。この地域が非常に地盤が軟弱でございます。そうしたために、これは工業用あるいは建築物用の地下水のくみ上げによって地盤沈下が進み、最も激しいところでは、古い記録でございますが、大正七年以降で約四・五メートルの沈下を見たというようなことが記録に歴然としております。しかも、この東部低地帯の七〇%に当たりますところの百二十四平方キロメートルは、東京湾の満潮面のときにはその以下になってまいりまして、その範囲が年々拡大する傾向にございます。このために東京都は堤防護岸あるいは水門等の整備を行ないまして、この地域の水害防止につとめておるわけでございます。  しかし、地盤沈下が堤防、護岸に及ぼすところの影響というものは、直ちに地域住民の安全につながる問題、特に地震の発生に際しましては、これらの河川管理施設の安全をはかることは焦眉の急であろうと思います。こうしたことについては、建設大臣として私の意見に全く同感であろうとは思いますけれども、国といたしましては、いかなる方針のもとに堤防、護岸、水門等の整備に当たっておられるのか。まずこの国の基本的な方針を大臣から伺いたいわけでございます。
  106. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 江東地区並びに大阪の尼崎地区、それから新潟の信濃川周辺、これが地盤沈下の最も激しいところということで、昭和二十九年、三十年ごろ、実は私もこの周辺の地盤沈下対策をどうしたらいいかということでこの三地区を実地に歩いたことがございます。あのときも江東地区に行ってびっくりしたわけですが、ポンプ、このポンプがこの辺に来て——普通ポンプというのはこの辺でくむやつなんですが、もうくめないという現場も実は見ておるわけであります。それ以来、政府も全力をあげてあの防潮堤と申しますか、あれの建設をやりまして、とりあえず海水の暴入を防ぐということと、それから地下水のくみ上げを禁止するというきびしい措置を講じ、さらに水門等の設置も積極的にいたしておるわけでございます。  しかし、もし地震が来たなら、あるいは相当な大きな予期しないような地震による津波というような問題等があった際のこの地区に対する防災措置というものがいまで十分かということになりますと、これからもやらなければならぬ問題がたくさんあるわけであります。そういう問題につきましては、具体的には局長から申し上げますが、お気持ちとしては、四十九年度におきましても積極的に予算措置を講じまして、その防災対策が進むように、特に江東地区の、いわゆる建築面からする防災措置というような面等につきましても、積極的な予算措置を講ずる努力をしてきた次第でございます。
  107. 松本忠助

    松本(忠)分科員 基本的な大臣のお考えはよくわかります。御承知のとおりに、東京都のいわゆる東部低地帯というこの中で、特に江東地区、墨田区、江東区、こういう二つの区を代表的にあげてみると、これは隅田川と荒川にはさまれたところのいわゆる平たんな地域でございます。ここには御承知のように中小企業、零細企業、こういう方々のいわゆる工場、商店、住宅というものがほぼ全域にわたって混在しております。生活環境は必ずしも良好といえないところでございます。また、城北地区といわれておりますいわゆる北区、板橋区、こちらのほうは、高い台地のほうから低地に移行してきた、こういうところでございまして、そして新河岸川というものにかけての地域でございます。この地域も、先ほど申し上げました江東地区と並ぶところの中小企業地帯、住宅、工場、こういうものが広範囲にわたって混在しておるわけでございます。  これからの地域の住民を対象といたしまして、河川防災に関しまして、四十七年の八月から九月にかけて東京都が意識調査を行なったことがございます。この意識調査によりますと、水害の危険感を常に感じている者がどれぐらいあったかというと一一・四%ございました。台風のたびに心配するという者が三〇・三%、少し危険と思う者が二六・八%、危険を感じないというのは三〇・九%、こういうふうな結果が出たわけでございます。これを見ましても、住民の三分の二というものは危険感を大なり小なり持っているわけでございます。また、地盤沈下を気にしているものはどうかということを調べますと、地域全体の八一%を占めております。この内訳は、非常に気になるというのが三五・三%、少し気になるというのが四五・七%、合計いたしまして八一%でございます。この地域の住民にとりまして、水害の危険感、それから地盤沈下について重大な関心を持っていることがこの意識調査の上ではっきりとしたわけでございます。  これを裏書きするように、最近の十年間、すなわち昭和三十八年から四十七年までを対比して調査をしましても、いわゆるゼロメートル地帯といわれるところが十四平方キロメートルから三十一・五平方キロメートルに拡大をしております。満潮時において水面の下になるというところが八十五平方キロメートルから先ほども申し上げました百二十四平方キロメートルになっておりまして、東京都区部の面積の五分の一、要するに二割がこれに該当しているわけでございます。  このような常に水害が非常に危険である不安である、こういう中において生活している住民の気持ちというものは十分大臣も御承知とは思いますけれども、こういう人たちに対して、どのように対処し民生の安定をはかられるか、これが政治の要諦であると私は思いますので、この点に対する大臣の見解を重ねてお願いするわけでございます。
  108. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 もう松本先生指摘気持ちと一緒でございます。最大の努力をしなければならないということで、四十九年度予算編成にあたってもそういう措置を講ずるべく努力をいたしているわけであります。
  109. 松本忠助

    松本(忠)分科員 非常に大臣は御理解をしていらっしゃるわけでございます。  そこで、問題を私がこれから提起するのは岩渕水門の問題なんでございます。これは、御承知と思いますけれども、重大な問題でございますので、おそらくもう前任の大臣からお引き継ぎがあったことと思うわけでございますが、一昨年、要するに四十七年の三月十八日に、当時の川崎河川局長さんに伺ったことがございます。北区の志茂町の岩渕水門というところがございます。そこの辺では二メートル三十センチ沈下したというこういう記録、これは河川局長の川崎さんが答弁をなさっております。また、最近沈下の状態というものがようやくとどまったといいますか、停止したといいますか、こういうようになっているようでございます。それも東京都の土木技術研究所の調査によりまして、大体最近沈下の停止を見ることができた、昔のようなどんどん沈下していくということがなくなったというようなことを聞いているわけで、たいへんその点についてはほっとするような気持ちではございます。しかしまた一面、埼玉県の側のほうですね、こちらも非常に沈下していることは、これは埼玉県でも重大な関心を持っているわけであります。荒川沿岸の川口市におきましても憂慮すべき事態が起きております。特に、これは先般私も見てまいりましたが、川口市の緑町、あるいは川口市の在家中堀、こういうところから、さらに上流の戸田市のほう、特に下戸田というところでございますが、こういう方面にかけても、こういう傾向が見られているわけでございます。  こうした地盤沈下の状況については十分の御認識があろうと思いますけれども、この地盤沈下の状況が具体的にあらわれてきたのが、先ほど申し上げました岩渕水門であろうと思うわけでございます。この岩渕水門の状況については、もう大臣も十分御存じだと思いますが、私はここに写真を一枚持っております。これは四十七年に私が写した写真でございます。これは御承知と思いますけれども、下流の方向からながめられるようになっておりまして、岩渕水門の上からとったわけでございます。スケールをあてておりますが、六十五センチ、当時亀裂を生じまして、昔は、いわゆるこれは水門のそでと申しますか、これがずっと平らになっておった。しかもこういう間隔はなかった。ひとつこれを大臣に見ていただきたいのです。これは昔平らだった、これが割れてしまった。六十五センチぱっくり口を開いている。それが現状です。  この問題は、私が、西村建設大臣の当時にもすでに申し上げた。その後、地元の人間を連れまして、これはたぶん、現在の建設委員長であります木村建設大臣のときにも申し上げたことがあるわけです。この事実をごらんになると、びっくりするわけですね。これは確かに、荒川の埼玉県側と東京都のほうの地盤沈下の様相が平均でないからがたがついちゃって、ぱっくりあいたわけですね。そういう点は、十分御承知なんですから、ぜひひとつ早い時期に改修すべきじゃないかということを、私さんざん申し上げているわけであります。  御承知のように、田中内閣になってから大臣もかわられておりますけれども、いずれにしましても、田中内閣が建設行政というものに対して非常に熱意を示していることは、私もよくわかります。言うならば、木村武雄さん、金丸信前建設大臣、そして現在の亀岡大臣まで、いずれも有能な方々が建設大臣になられて、そしてやっておられるわけであります。こうした観点から見まして、ぜひともこの岩渕水門の改修というものを早くすべきじゃないかということを私は訴えたいわけです。これが万が一のことがございますと、江東地区六十五万、城北地区の九十万、合計百五十五万という方々の生命、財産に大きな影響を及ぼすわけでございます。こうした点から、是が非でも岩渕水門の早期改修の点について、大臣としての責任ある御答弁を願いたい、このように思うわけです。
  110. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 資料によりますと、地盤沈下は大体落ちついたようでございます。いままでものすごい勢いで、大正十三年から昭和四十六年の間、最小のところで一・七七メートル、最大のところで二・三三メートルという地盤沈下があったわけです。四十六年から四十七年の間は五センチメートル、それが四十七年から四十八年の間では五ミリメートルということで、大体地盤沈下のあれが落ちついてきておる。これに伴いまして建設省といたしましても、昭和四十七年度におきましては縦横断測量、模型実験、あるいは四十八年にも模型実験、ボーリング、水理計算、予備設計、実施設計というようなことの予算をとって、対策を講じておるわけでございます。  そこで、四十七年からいま申し上げたようないろいろな実験、研究を重ねてきておりますが、近く結論が出る見込みでございますので、それに基づきまして、昭和四十九年度に詳細な設計を行なうように進めておるわけであります。水門本体の本格的改築工事は昭和五十年度から着手の予定で、その完成までにはおおむね四年くらいの期間が必要と考えられるわけでございます。四年というと、私も専門家じゃございませんけれども、できるだけ早く完成させたいなという気持ちであることを申し添えます。
  111. 松本忠助

    松本(忠)分科員 大臣の御答弁で一応了とするわけでございます。しかし、この地域の住民は、この岩渕水門の実態を知っているわけですね。それだけに、これが万が一のことがあったときはどうなるかということを、非常にわれわれに訴えるわけです。私もこの問題については、昭和三十九年以来この調査をしまして、しばしば国会で取り上げ、そしてまた対処を願っておるわけですが、いまのお話のように、四十九年度から詳細な設計に入る、そしてさらに五十年度着工、五十四年完成、こういう一つの目安が立ったということは、私どもも非常に了とするわけでございますが、是が非でもこの問題について十分な御配慮をして、一刻も早くやっていただきたいということを重ねてお願いをします。  それから、次に都会における中小河川の整備事業について伺いたいわけでございます。これも東京都を例にとってお尋ねするわけでございますが、中小河川の改修事業というのは、時間雨量三十ミリ計画でございますと、昭和四十八年度以降は九十キロメートルを残すところまででき上がった、七三%まで完成した、残りが二七%になっている、こういうふうな記録を、私ども東京都のほうで調べております。これを改修する事業費というものが千百億、こういうふうに試算されてあるわけでありますけれども、千百億というものが調達され、そして一気にできるということはなかなかむずかしいことだとは思います。一方、時間雨量三十ミリでなく、五十ミリとしてみますと、わずかに七%しか改修事業はできておりません。九三%というものは、五十ミリという雨が降った場合には完全にお手あげの状態になるわけであります。五十ミリの場合の改修事業というものは、わずかに七%しかできておらぬわけであります。こういうふうなことを考えましたときに、五十ミリという降雨量が絶対にないということは言えません。きわめて憂慮すべき状態だと思うわけです。  そこで、私は予算面からこれを伺いたいわけですが、東京都の四十八年度におきますところの中小河川関係の公共事業費というものは、総額五十一億四千八百万円でございます。その内訳は、中小河川分が三十七億一千二百万円、小規模河川分が四億百万円、局部改良が一億六千五百万円、都市の小河川分が八億七千万円、合計で五十一億四千八百万円でございます。ところが、補助率というものは非常に低いわけですね。御承知のわけでございますけれども、中小河川の分は、大規模工事が四分の三、一級河川が三分の二、二級河川が二分の一、小規模河川につきまして、一級河川が一種の場合が三分の二、二種が十分の四、局部改良工事は三分の一、都市河川の分も三分の一というような補助率でございます。  私、ここで大臣の見解を伺いたいのは、この補助率を引き上げるということについて大臣はどうお考えになるか、この点をひとつ。まあ大臣はこまかいことになりますと御無理と思います。河川局長でもけっこうでございますが、補助率の引き上げという問題についてどういうふうにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  112. 松村賢吉

    松村政府委員 われわれといたしましては、補助率というものについてはできるだけ増大しまして、地方公共団体の負担を軽くしていきたいという考え方は根底にはございます。ただし、総予算のワクがございます。それで、残された事業は、先ほど先生が申されましたように膨大なものになる。これを何とかして一年も早くやりたいという気持ちもあるわけです。したがいまして、事業の進展ということも非常に考えなくてはならない、この中間に立ちまして調和をとっていくのが一つの考え方でございます。そういう観点から、現在の補助率がきめてあるわけでございます。特にこのうち都市河川というのがございます。これなんかは補助率は低くなっておるわけでございますが、やはり地方公共団体でも財政的能力のあるところについてはできるだけ公共団体の負担というものをしていただきまして、事業費を伸ばして、全国的に見まして、やはり全国で必要なところは伸びていくような方向に持っていきたいということからきめておるわけでございまして、今後とも全体の観点としての補助率の検討ということはいたしますけれども、いまの限界のある財政状態では、なかなか一部の補助率を上げていくということは非常に困難な状態でございます。
  113. 松本忠助

    松本(忠)分科員 これは確かにいま局長の言われるように、早急にこれを改定するということは困難かもしれません。しかし、やはり私どもはこういう中小河川の問題、これを投げやりにしておくということは、どうしてもこれは地域住民、人口のたくさん密集しているところ、そういうところの問題については特に私は一考をわずらわしたい。全国一律の補助率を直すというようなことでなくて、やはり東京というような特殊事情というものを考えて、ぜひともこの問題についても私どもは特例を設ける必要があるんじゃないか、こういうふうなことを考えているわけです。東京都のようなところの中小河川の改修については特例を設けるべきじゃないか、こういうふうに考えるわけです。  それというのも、実情を十分御存じとは思うのでありますけれども、特に私どもが日常目にしておりますいわゆる東部低地帯における中小河川、新河岸川と石神井川の整備事業、これを見ましても、新河岸川のごときは、昭和三十三年に荒川の決壊がありまして、このときもたいへんな被害を出した。四十四年の豪雨によるときのはんらん、この被害もたいへんなものでございました。現在その新河岸川の上流地点には、これは大臣も十分御存じと思いますけれども、高島平という住宅団地が開発されました。この住宅団地の周辺に一般民家も非常に建ち並んでまいりました。トラックターミナル、あるいは都の青果市場、紙の流通センター、こういうものができました。昔とは面影を一変しているわけでございます。しかし、ここにおけるところの新河岸川の護岸整備というものが全くなされていないわけです。これは一ぺんごらんになるとよくおわかりになる。全然護岸なんていうものじゃないわけです。土手という形態もないわけです。一面、新河岸川の左岸のほうは荒川との境が堤防になっておりますので、こちらはまあ安心でございますけれども、この右岸、要するに高島平の側に面したほうの荒廃は、もう目をおおうものがございます。  現在新河岸川は、全長九キロメートルありますが、この下流の四・五キロメートルのほうは高潮対策でやっておりますし、上流のほうは四・五キロメートルは中小河川整備事業で行なっているわけですが、なかなか工事が進捗しない。住民にとって不安な毎日を送っているわけです。  それから、もう一方の石神井川につきましても、全長二十四キロメートルのうち改修されたのはわずか六キロメートル、残り十八キロというものは、これは練馬区が十二キロ、多摩地区が六キロでございますが、いまだに工事の手つかずの状態でございます。  こうしたことを考えましたときに、結局国でもう少し補助をしてくれたら、こういうふうに思うわけでございます。  東京都全体の四十六年度の実績を見ましても、この中小河川の事業の百十七億のうち二十四億が国の負担、残り九十三億が都の負担でございます。四十七年度について見ましても、百五十二億のうち国の支出が三十三億、残り百十九億が都の負担でございます。四十八年度は未確定でございますけれども、大体百七十六億のうち三十一億が国の負担で、残り百四十五億というものが都の支出であります。そういう傾向を見てみますと、国の負担が四十六年度二十四億、四十七年度三十三億、四十八年度三十一億と大差がないわけです。都のほうはどうかというと、九十三億、百十九億、百四十五億というように逐年増加しているわけでございます。  そこで、四十九年度の国全体の中小河川改修の補助については一体どのように数字的にお考えになっているのか、この点をひとつ河川局長に伺いたいわけです。
  114. 松村賢吉

    松村政府委員 中小河川の改修につきましては、先生の御指摘のような点もございます。そして、特にこの中小河川の改修というものは、国といたしましても力を入れてきているわけでございますが、四十九年度予算は、御承知のように非常に公共事業費圧縮の方針で組まれている。したがいまして、この治水事業全体につきましてもやはりその線に沿って、ある程度の削減と申しますか、圧縮になっております。大体全体といたしましては対前年度同額程度でございます。特にそのうち河川事業だけを取り上げますと、実を申しますと前年より少し下がっております。  それで、そのうちの中小河川はどうなっているかといいますと、四十八年度の治水事業河川改修費の分、要するに治水事業河川改修費の補助、中小というのは中小河川だけではなくて小規模河川みんな含めての話でございますが、河川改修費の補助事業、これが千五百八十八億七千六百万円でございまして、それに対しまして四十九年度の治水事業河川改修費補助が千五百九十一億五千六百万円ということになっております。対前年度ほぼ同額でございますが、ごくわずかながら上がっておるということでございます。
  115. 松本忠助

    松本(忠)分科員 いまのは全体の河川ということで中小河川まで含んでの問題でございましょうが、そのうち、要するに国費でやる分は幾らぐらいになっておりますか。前年度は、そしてまた四十九年度は、国費で負担する分が幾らなのか。結局、その残りというものは地方の公共団体全部でやらなければならないわけですし、東京都はそのうちの何%かになるわけでございますが、ひとつ全体の国費で負担する分は幾らか。
  116. 松村賢吉

    松村政府委員 四十九年度、国費で八百七十五億五千三百万円でございます。前年度の予算額が八百七十五億四千万円、これも対前年度ほぼ同額でございます。
  117. 松本忠助

    松本(忠)分科員 わかりました。一応ほかのものと比べてみて、この河川事業というものがほぼ前年並みにやっているということについては、私も理解できます。しかし、この河川全体の中で特に私が申し上げたいのは中小河川の問題なのです。特に都会における中小河川の問題、こういうものに対してやはり政府として十分考慮を払わなければならぬじゃないかと思います。  よくいわれます治水というこの問題は、国民生活安定のため、要するに国土保全の基盤だと私も思います。御承知の首都東京、人口と産業の過密、過度集中によりまして急激な都市化をもたらしたことは認めないわけにはいきません。しかし、特にこの中小河川の流域における開発というものと河川整備の関係が著しく均衡を欠いていると思うわけです。住民が常に水害の脅威にさらされ、そしていまはごみの捨て場となってしまった中小河川、汚水の放流される場所となってしまった中小河川ほんとうに環境の悪化に悩まされているのが都会の中小河川の状況でございます。したがいまして、こういう問題に対して何としても早いところ改修を進めて豊かな住みよい環境をつくる、こういうことが緊急の問題ではないかと思うわけでございます。  ただいまお伺いしてみますと、四十八年度と四十九年度の実績を比べてみますと、前年に比べまして増減がない、若干ふえているくらいだ、こういうふうなお話でありましたので、ほかの事業から比べれば、確かに河川の改修という問題に対して建設省の払っている努力はわかりますけれども、先ほど申し上げましたけれども、特に中小河川でも都会地の中を流れる中小河川、こういうものに対する補助というものに特例を設ける考えがあるかないか、この点を最後に大臣にお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  なお、大臣にひとつこの中小河川問題についての御認識をあらためて伺っておきたいわけでありますが、同時に特別の特例といいますか、都会地における中小河川の改修工事に対するいわゆる特例の補助というものを開く、こういうふうな考えがあるかないか、この点もひとつあわせてお答えを願いたいと思うわけであります。
  118. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 河川の改修整備、これは全国的に見ましてもゆるがせにできない建設行政基本でございますので、私といたしましても、総需要抑制の中でも、前年よりも減らされちゃたいへんということで、まことにきびしい中ではございましたけれども、御審議いただいているような線にやっと落ちつけることができたということでございます。  中小河川、先ほど来のお話伺いまして、特に都市における中小河川の問題については、たいへん重要なことはわかるわけでございます。しかし、先ほど局長からも申し上げましたように、全国的に、やはり非常に負担能力の少ない自治体も実は中小河川をたくさん抱えておることは、松本先生も万々御承知ところでございます。したがいまして、都市における中小河川に限って特例を設けるというような考え方は、いまのところ考えておりません。ただ、私としては全般的に、国全体として治水の計画がこれで十分という考えは持っておりません。できれば見直しを河川、治水についてはしてみたいなという意欲も持っておるわけでございますので、そういう際に考慮をしたらどうかなという感じを持っておるわけでございます。
  119. 松本忠助

    松本(忠)分科員 大臣のお気持ち、十分私も理解できます。どうかひとつ、せいぜいこの問題について御検討していただいて、十分の御配慮をしていただきたいことを重ねてお願いいたしまして、質問を終わります。
  120. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて松本忠助君の質疑は終了いたしました。  次に、佐野進君。
  121. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は、建設大臣並びに関係局長に、いまの質問に関連することでございますが、江東地域の防災拠点の建設について質問をしてみたいと思います。  まず最初に、大臣、いままで質問が続けられておったわけでございますが、また私は、あの点を最初からやり直す必要がないと思いますが、防災拠点の問題は、今日、地震周期説等々に関連いたしまして、あるいは去年の暮れからことしの正月にかけて「日本列島沈没」という映画が大ヒットをしたといわれるほど、国民的関心を招いておるわけでございます。したがって、これに対する対策は緊急を要するとこう思うわけでございますが、この拠点開発の目標としてのこの江東地域についての認識、そして緊急性ということの立場から、一体いつごろまでにこの地域の再開発を行なおうとしておるのか、原則的な面についてひとつお答えを願いたいと思います。
  122. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 御指摘の江東地区、これはゼロメートル地帯をたくさん含んでおりまして、そのほか住宅、工場等が存在しておりますとか、非常に過密な住宅配置になっておりまして、おっしゃるように災害とか、特に震災等に対しまして非常に危険な区域であります。また生活環境も非常に悪くなっている、こういう地帯であります。かねてから東京都当局におかれましても、また建設省におきましても、この地区の抜本的な再開発によって地区民全体の災害に対する安全性並びに環境の改善ということをはかることが急務であると考えてきたところでございます。したがいまして、江東地区の再開発の目標といえば、何をおいてもそういう災害の対策、災害発生時の危険を最小限にとどめるような配慮、そのための再開発であろうと考えます。  問題は、非常に緊急なわけでありまして、というのは、事業にかかりましても、事業の性格上相当長期にわたるわけでありますから、できるだけ早くこの着工に至らなければならない、こういうことでありまして、また、行なわれる対策も、再開発事業を核として防災拠点をつくるということと避難道路を整備するというようなことが柱になり、その他内水対策とかその他のもろもろの防災対策というものが総合的に講ぜられていくということにならなきゃならないと思います。  東京都でも、全体で六つの大きな拠点をつくる計画をすでに立てておられまして、特に急ぐ地区並びに地元の体制も整いつつある、いわばそういう機運が盛り上がっているような地区を皮切りに、逐次その六拠点全体に及ぼしていこうということでございまして、まだ調査中の個所もございますし、あるいは素案を発表したという段階個所もありますので、すべてがいつまでに完成するかというめどはなかなか立ちにくいわけでありますが、とにかく急いでやらなきゃならないというつもりで、東京都と密接に連絡をとりつつ私どもやらしていただいているわけでございます。
  123. 佐野進

    佐野(進)分科員 大臣、いま局長答弁したように、この地域の持つ特殊性は、いわゆる再開発というものを離れた特殊な事情下にあるわけであります。しかもその持つ意味は、防災拠点としてこれを建設するということは、防災的に、この地域がたびたびの災害によって数十万の人の命がそのたびごとに失われている、今日このまま放置し、一たび過去のような災害が襲来した場合においては、それ以上の被害が発生するであろうと予想されているところであります。したがって、この地域に対する施策の対象、そしてまた考え方、こういうものは、一般的再開発と必然的に異なる立場に立って取り組まなければならないと思うのですが、大臣の見解をお伺いしたいと思うのです。
  124. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 お気持ち、十分わかるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、とにもかくにもこの江東地区、とりあえず四十九年度をどうするというようなことで今日に至っておるわけでございます。やはりこれは、法律だけつくりましても、現実的に法律が遊んでしまっている例も、実は、この防災とは違いますけれども、あるわけであります。やはり自治体との協力なしではこれはもう進まぬわけでございますので、そういう面、やはり東京都とも緊密なる連絡のもとにこの事業は進めなければならないわけでございますので、今回国会に提案することにいたしております再開発法の修正案の中にも、今日まで国会でいろいろ江東地区なり何なりで指摘を受けました点を改正点として提案をいたしておりまするし、また、四十九年度の予算においてもその点を考えて進めてまいっておりますので、私としては、いまの時点において特別立法をするという考えはいたしておりません。
  125. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は、それは最後に質問したいと思っておりますので、その点についての見解をいま聞いておるわけじゃないのです。いま私の聞いておるのは、この地域の持つ特殊的な事情下においてこの地域対象にして施策を講ずる際、一般的条件の中において論ずるより、特別の条件として想定して対策と取り組む必要があるのじゃないか、その点についての見解を原則的な立場で聞いておるわけです。
  126. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 確かにこの地帯はゼロメートル地帯という特殊地帯でございまして、しかも地盤も脆弱、地震に対しても弱い、また海水に対しても非常な弱点を持っておるという地帯でございますから、特別な立場から対策を講じていかなければならないということはよく理解できます。したがいまして、そういうことをも含んで、実は現行法の改正によってその特別の措置もできるようにという配慮をいたしたつもりでもございまするし、また予算措置でも、江東地区の防災という立場から予算計上もいたしておるということも、御理解いただきたいわけでございます。
  127. 佐野進

    佐野(進)分科員 建設当局がこの問題について積極的に取り組みつつあるということについては、私もよく事情を知っておるわけであります。したがって、その点について不足であるとかどうとかいうことではないわけでありまするけれども、ただ、問題は、その熱意と行動との中に越えなければならない障害があるわけです。したがって、その障害を越えることについて、これは建設当局も、東京都の当局も、そしてまた地元の当局も、あるいは住民も、それぞれ一体となった形の中でこの問題に取り組まざる限り、解決ははかり得ないわけであります。  過日、衆議院の災害対策特別委員会が現地へ参りまして、つぶさに地上ないし空の上から現地を調査し、さらに関係当局との意見交換を行ない、住民の声を聞いてきたわけであります。私もそこに参加しながらその実情をつぶさに調査をしてまいった一人として、いま質問を申し上げておるわけでございますけれども、これらの問題に対して、結果的に越えるべき大きな障害は何かということについて、きょう大臣に質問をしながら結論を出していきたいという立場で、私は質問を申し上げておるわけです。  そこで、大臣に御質問を申し上げたいわけでありますが、歴代建設大臣は、坪川大臣以来、この問題に対しては親しく現地に足を運んで、実情を調査しながら積極的な取り組みの見解を常に表明してきておられるわけでありますが、大臣は、この現地を調査する意思があるかないか、あるいはまた、これらについて、歴代大臣に比較して積極的に取り組む決意であるかどうか、この点についてこの際、ひとつお答えを願いたいと思います。
  128. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 前にもお答えしたわけでございますが、私、実は昭和二十九年、三十年、三十一年ごろ、江東地区の異常なる地盤沈下という問題、それから天然ガスを掘った新潟地区の地盤沈下、それから尼崎地区の地盤沈下、これが異常事態に入ったことは御承知のとおりでございまして、これに対する対策をどうするかということで、全国知事会が中心になりまして関係知事さん方が寄って会議を持ちまして、私、その事務局長を手伝えと言われて、実はこの辺をすみからすみまで歩いております。もう現在防潮堤がきちんとできておりますが、あの当時の対策として、東京都並びに建設省政府が一体となってとりあえずあの防潮堤ができたわけでございまして、その意味におきましては、私はこの地区のことは、もういままでどの大臣よりもよく知っているつもりでございます。したがいまして、就任いたしましてからも、この問題はどうなっているのかということを一番先に話を聞いたくらいでございまして、その点は、これからあらためて現地を見るチャンスに恵まれれば、ぜひ見たいとも思っております。もうだいぶ前のことでありますから……。  しかし、大体事務当局からの説明を聞いておりまして、ははあ、あの辺はこうなっておるな、この辺はやはりもう満潮時には水面以下になっているなという推測は十分つくわけでございます。したがいまして、こういう地点に対する対策というものは積極的に進めないとこれはたいへんなことになるということで、事務当局に対しましても、東京都との緊密な連絡のもとに、この防災拠点の構想が一日も早くスタートするようにということで指示をいたしておるわけでございます。
  129. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は、大臣調査され、熱意を持っているということについては理解するわけですが、しかし、その後における状況の変化はきわめて激しいものがあるのです。したがって、この状況の変化の一つ一つの具体的な例を申し上げる時間がございませんから省略いたしますが、大臣行ってみられれば、相当その状況の変化があったということについて一驚をされると思うのであります。しかし、この間、この事業がすでに着手されてから数年たっておるわけです。したがって、この間におけるところの状況の変化がまた、計画前と異なった意味において大きな変貌を来たしておるわけでございます。したがって、この問題について大臣が熱意を有するというのなら、都内ですから、何時間もかからないわけですから、行くということをきょうこの場所で言明してくださるということは、東京都当局のその事業に対する激励をする意味においても非常に大きな意味を持つと思うのでございますが、この点、事務当局の顔を見ないで、ひとつの私の顔を見て、行くなら行く、行かないなら行かない、こういう答弁をしてください。
  130. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 事務当局の顔を見ているわけじゃございません。私の行動は私がきめますから、その点は御心配なく。  まあ、国会の情勢、日程ともかみ合わせまして、できるだけ早い機会に江東地区の、まあ法律の御審議も願うわけでありますから、実地の調査をいたしたいと考えております。
  131. 佐野進

    佐野(進)分科員 そこで、この事業が非常に重要であり、かつ、関係方面がすべてこの事業の早期完成を願っている、にもかかわらず非常におくれている。きょうの新聞の切り抜きを持ってまいったわけでありますが、ある新聞には「遅いぞ!都の防災事業」として、江東デルタ地域において、いつ地震があるかという住民の不安が日に日に強まっている。にもかかわらず、構想が四年前にでき上がっているにもかかわらず、まだ何ら着工をするということの最終案が整っていない、したがって、気持ちはあせれども、この問題に対してどうしていいのかわからないという不安が日一日と強まっている、こういうようなことがいわれておるわけであります。  そこで、その大きな障害になる原因といたしましては、何としてもこの計画地域の案に対して財政的な裏づけがはっきりされるかどうかというところに一つの問題点があろうと思うのであります。先ほど大臣は、新規予算の中においてもこの面に特別の配慮を加えたと言われておるわけでございますが、都当局もその点については、知事答弁の中で再三、この面について積極的に取り組むと言われながら、具体的に着工でき得ない最大のネックは、その予算上における措置が都の財政、国の財政との関連の中で行き詰まっているという点が多く見られるわけでありますが、この点について政府当局は、一地域の問題としてでなく、東京全体の中に、いや日本の国全体の中においてこれを解決しなければならない課題であるという前向きの観点から積極的な取り組みをしていかなければならない、こう考えるわけであります。したがって、これに対する事業費の増額がどの程度本年度予算において行なわれ、今後都当局の要求に対してどのような腹づもりをもって対応されようとしておるのか、この点について御答弁をいただきたいと思うのです。
  132. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 この防災拠点の事業を含みまして再開発事業につきましては、現在人が住み、営業し、活動しておられるところを根本的につくりかえる事業でありますから、それらの現におられる方々の新しい、改造後の生活設計というものの見通しがなければならないということは当然でありまして、そういう観点から国も、最近の予算におきまして非常に力を入れるようにしてまいりました。たとえば、従前の再開発事業に対しましては、その中で生み出される都市計画の街路の一定幅員以上のものにつきまして、これを対象とした道路費としての補助がわずかにあったわけであります。それと、防災拠点の場合には中に広く避難緑地をとる関係で、その避難緑地を都市公園として、都市公園の予算を導入するというのにとどまっていたわけでありますが、四十八年度予算、さらに四十九年度予算と二カ年かけまして、新たに一般会計からもろもろのきめこまかな補助を新設することにいたしました。それは、たとえば調査、設計、計画費であるとか、あるいは土地整備費、いわゆるクリアランスの費用であるとか、それから共同施設整備費、さらに四十九年度の予算では、この江東地区の防災拠点に特に限りまして、防災性能強化費という特殊基礎工事費、これを新たに補助対象に加えたというわけでございます。そのほか借家権者あるいは零細な権利者が新しく賃貸住宅、公的な賃貸住宅に入居したいという人のために、再開発住宅という、これは収入制限を撤廃いたしました一種の公営住宅でありますが、そういう予算も今回御提案しているわけでありまして、私ども、この種の事業を進めるには、そういった国庫補助を含む公費負担を合理的な範囲では極力拡充するということがまず大事だということは認識しておりますし、さらにそのほかに融資の措置とか、できる限りの減税、こういったものが次第にそろってきておりますので、まあ一両年前に比べれば格段にその内容は充実した、東京都知事さんからの去年の予算要求における要望もおおむねかなえた予算に編成できておるのではないか、こう考えております。
  133. 佐野進

    佐野(進)分科員 したがって、この予算増額は、もちろんいま言われましたような対策を強化する形の中で、一つの障害を克服していかなければならぬのでございますが、これらについてはひとつ将来とも積極的な取り組みの中で対策を講じていく、こういうような意味合いにおいて大臣の見解をひとつお聞かせ願っておきたいと思うのです。
  134. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 お説のとおりでございまして、七月になりますと五十年度の予算編成に入るわけでございます。そういたしましたならば、全力をあげて、今年芽を出したもろもろの施策がさらにぐんと、一般の予算の伸び率以上に伸ばすことができまして、工事の促進をはかりますとともに、先ほど申し上げましたように、やはり自治体との協力というものが非常に大事でありますので、こういう面につきましては事務当局をよく督励いたしまして、東京都との連絡というものをよくして、事業がほんとうに住民の安心感を得て、今後の事業推進に地元住民の協力も得られるように配慮をしていきたいと考えております。
  135. 佐野進

    佐野(進)分科員 次に都市局長に御質問申し上げますが、この問題の進展のためのいま一つの障害、いわゆる地元住民の協力をどのようにして得るか。すなわち、いま反対運動が各所に燃え上がっているわけであります。しかし、これらの反対運動の方々の御意見を聞くと、防災拠点をつくる、再開発をする、このことについては反対はないわけであります。ただ、このつくり方、進め方に反対がある、賛成しかねるところがある、したがって反対だ、こういうような見解が聞かれるわけであります。これの事業実施主体である東京都も、それらの面については積極的に努力をしておるようでございまするけれども、私どもから見ればまだまだ足りない点がたくさんあるわけでございます。しかし、これは建設当局が直接の責任でございませんので、私はここでこの点について深く質問をしようとは思いませんが、ただ、考えられることかどうか、ぜひひとつ考えてもらいたいということは、この種問題、特に地域全体にわたる広範なる再開発事業を推進する場合には、あらかじめ指導方針として、地域住民がこの計画に参加し得るような——そういうようないわゆる反対が基本的にない地域の中におけるところの公共事業を進める、こういう問題の場合には、あらかじめ住民参加方式によって事業を進めるという、そういう指導方針が立てられれば、東京都における事業が、事業計画の発表ないし事業の進展に対して国の方針としてこれこれであるというようなことがつけ加えられれば、地域住民の反対とかあるいは不安とか、そういう問題が非常に大きく解消されるのではないかと思うのでありまするが、これら事業遂行に対しての建設当局としての、いま私が申し上げましたような見解に対して積極的に取り組み、指導していく、そういうお気持ちがあるかどうか、この際、お伺いしておきたいと思うのであります。
  136. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 先ほど申し上げましたように、再開発事業は非常に重要かつ緊急でございますが、たくさんの人がその中にいろいろな立場生活し、活動をしておられるわけでありまして、この人たちの現実の生活、それが再開発後どういうふうになっていくかという見通しなしに話し合いが進むはずもないし、また話し合いなしに事業を強行するということが事実上できないことは当然であります。私どももそういう方向で十分その将来計画、将来設計を打ち合わせしながら、わからないことはお教えもし、また要望も聞いて進めていくという基本的態度がぜひとも必要だと思います。幸い東京都におかれましては、開発計画の進んでいる地区などでは、すでに地区住民との間の共同の協議会等も持たれ、基本的な設計に至るまで相談しながら進めておられるようであります。まあそういうこともあって次第に話が煮詰まってきたということでありますので、今後ともそういった基本的態度を忘れずに進めていきたいと思います。
  137. 佐野進

    佐野(進)分科員 そこで私は、さっき大臣お話しになりました問題に入るわけでありますが、今日、いわゆるこの関連する法律といたしましては都市開発法、道路整備緊急措置法、都市公園法、住宅地区改良法など、一般法によって措置されておるわけでございまするが、東京都のほうにおきましても、これらにつきましては特別法を制定してこれらの問題に対処していただきたい、たとえば緊急防災事業促進特別措置法というような法律によって対処してもらいたいという要望も出ておるわけであります。これらの要望が、結果的に言うならば、広範なる地域、膨大なる予算、そして多くの人たち対象にするところの事業を遂行する場合、一般法の積み重ねの中においては解決でき得ない障害に次から次へと逢着する。したがって、それらの問題を乗り越えて解決していくためには、特別措置法の制定によって対処していくことが最も効率的ではないか、こういうような考え方に立たざるを得ないと思うのであります。私も、都議会、区議会というような関係を長くやってきた経験上、各種反対運動に参加いたしてまいったわけでございますが、結果的にその人たちの反対に至る経過は、事業としての本質を理解しながらも、みずからの生活圏をどうするのか、付近環境との中においてみずからどうなるのかという不安が、結果的に反対運動という形の中で表現されていく、これがいままでの例であろうと思うのであります。したがって、それらの問題を一気に解決するということが不可能であることは、私もよく承知しておるわけでありますが、これらの広範の地域の中における取り組み、そういうものにする場合、政府が背景にあって全面的にこの問題の処理に対処するのだ、そういうことが、しかも国会において法律としてそれが措置されたということになると、住民の不安感が除去され、事業がたいへん円滑に推進される、こういうことになるのではないかと考えるわけであります。特に、私どもがこの前調査に行きました際において、関係住民の方々はあげて、最終的には特別立法してくれというところに結びをつけているわけであります。いわゆる都よりも国だという考え方があるのかもしれませんけれども、それだけでない、せっぱ詰まった一つの願いを込めた要求があると思うのであります。したがって、大臣は、いまここですぐ特別法をつくるということは、今次国会の今日の状況からしてそれは不可能でありますが、十分前向きに検討されて対処されようとするお気持ちがあるのかどうかという点について、ひとつ御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  138. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私の考え方は先ほど申し上げましたとおりでございます。先ほど申し上げましたように、七月に大蔵と——一応八月三十一日までに五十年度の予算要求を出すわけでございます。そういう際に、先ほど申し上げたように一がんばりして、さらに地元の住民の方々、東京都等とも、私はもっと納得いくまで勉強をいたしまして結論を出したい、こう思っております。
  139. 佐野進

    佐野(進)分科員 それでは、時間が来たようでございますから、要望を申し上げて質問を終わりたいと思うのであります。  この問題は、先ほど来申し上げておりますように、単に地域エゴだとかあるいは住民エゴとかそういう問題でなくして、この東京の中でもし発生したらという想定のもとに、各種のデータもそろえ、かついろいろ論議をされている問題であります。そういうような問題について、これは国も都も、そしてわれわれも、力を合わせて解決しなければならぬ責任があると思うのであります。そういう意味におきまして、建設当局におかれては、先ほど来御説明申し上げました趣旨をひとつ御理解いただきまして、積極的に取り組んでいただくことを大臣都市局長はじめ建設当局に強くお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  140. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて佐野進君の質疑は終了いたしました。  次に、岩垂寿喜男君。
  141. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 私は、建設省が管理するいわば一級河川における河川敷の占用問題について伺いたいと思うのであります。  最初に、これは河川局長でけっこうですが、直轄管理区間における企業の占有するゴルフ場、あるいはそれは練習場もぜひ含めていただきたいと思うのですが、その面積を伺いたいと思います。
  142. 松村賢吉

    松村政府委員 全国の一級河川のゴルフ場の総面積でございますが、六十四カ所ございまして、千七百三十七ヘクタールになっております。
  143. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 千七百三十七ヘクタールというと、たしか港区の大きさと同じような広さだろうと思うのであります。非常に広い面積が排他的に実は占有されているわけであります。河川が公共用物であり、あまつさえ、失われた自然や緑というものが東京の都民やあるいは神奈川の県民のものに開放されるべきであるということが要求されるようになってから、かなり久しい歳月がたっているわけであります。しかし現実は、実は開放計画が必ずしも早いテンポでは進んでいないと、率直に申し上げなければならぬと思うのであります。  そこで、建設省昭和四十年の十二月に河川敷地占用許可準則というものをつくりました。この準則をつくった背景と建設省考え方を、ぜひこの際承っておきたいと思うのであります。とりわけ、都市における河川の敷地占用の特例というものを設けまして、その中でこの河川敷についてのいわば立場というものを建設省は明らかに示してあるはずでありますので、その点についての見解を承っておきたいと思います。
  144. 松村賢吉

    松村政府委員 河川敷の占用準則をつくりました背景と申しますか、これは河川の敷地の占用ということにつきまして、終戦後いろいろと、この使い方は非常に乱れてきていたわけでございます。それの取り締まりその他につきましてもなかなか統一がつかないような状態になっていたという一般的な背景がございまして、これをまとめなければならぬということが当然あったわけでございます。それと相関連いたしますが、また一方には、例のオリンピックを契機にいたしまして体育振興に関する非常な機運が上がってきて、河川敷地の占用を許可する場合に、その公共用物ある性格にかんがみまして、公園、広場あるいは運動場等に優先的に行なうものとして、広く国民一般の利用に資したらどうかという意見が非常に強くなってきておりました。また、都市周辺の河川の敷地の占用につきましては、特にそういうような要望が強く出てきているわけでございます。  こららをいろいろ受けまして、昭和四十年の五月の衆議院の決算委員会に、こういう決議が出ております。「都市周辺の河川については、河川管理者において、河川敷地を国民運動場その他一般公共の利用に供せられるよう速やかに整備すべきである。」というような決議が出ております。  また一方、河川全体につきまして、河川法の改正の機運というものが非常に出ておりました。昭和四十年の三月一日に、建設大臣の諮問機関であります河川審議会に対しまして、河川敷地の利用の適正化をはかるべきであると考えるが、その占用許可の方針はいかにあるべきかということについて建設大臣が諮問いたしまして、昭和四十年の十二月二十三日付で、この新河川法の制定に伴いまして、建設事務次官から都道府県知事に河川敷地の占用許可についての通達が、先ほど申し上げました河川審議会の答申に基づいて出されたわけでございます。  それで、この中におきまして、特に都市河川につきましてはこの準則の中におきまして、「公園、緑地等が不足している都市内の河川又はその近傍に存する河川の敷地で、一般公衆の自由なる利用を増進するため必要があると認められるものについては、公園、緑地及び広場並びに一般公衆の用に供する運動場のためにする占用に限って許可するものとする。」というように、特に特例が設けられております。こういうような準則及び特例におきまして一建設省といたしましては河川敷地、特に都市周辺の都市河川河川敷地、これはこういう一般公共の用に供します運動場あるいは公園緑地、こういうものを主体に占用を限定してきているわけでございます。また、すでに許可したものにつきましても、これの用に切りかえるべく逐次進めてきているわけでございます。
  145. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 念のために伺いますが、準則の第九のところの、いま河川局長が御朗読をいただいた文章、つまり、「公園、緑地及び広場並びに一般公衆の用に供する運動場のためにする占用に限って許可するものとする。」というふうに実はなっているわけであります。  これは実は大臣に伺いたいと思うのですけれども、いま局長から御答弁がありましたように、四十年の十二月二十三日に瀬戸山建設大臣が談話を出して、そして準則に基づいて、これに適合しない占有地を一部公園などに開放してきた経過が実はあります。これは多摩川、江戸川、それから荒川の三河川の一部なんですけれども、いまでは御存じのとおりに、都市公園法で住民一人当たりは公園緑地を三平米とろうじゃないかということに実は成っている。現実には東京の二十三区では一・一五平米しかない、大阪でもおそらく一・五八平米しかない、こういう状態であるわけでありますから、緑の豊かな都市づくりを、あるいは公園を整備していくという立場から考えてみても、この辺で、ぜひひとつ建設大臣が第二次開放計画を設定して、ここで集中的に河川敷の民間、特に衆の利用のための開放計画をお立てになる、そういう立場を明らかにするつもりはないかどうか、承っておきたいと思います。
  146. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 できればそういう方向に持っていきたいという気もいたします。しかし、一々具体的に検討してまいりますと、結局公園等の計画あるいは公共団体で運動場にするというような具体的な計画のない地域をどうするかということで、実は私、迷っているわけなんです。と申しますのは、公園にします、運動場にしますといっても、これは相当自治体の負担になるものですから、そういう面についての具体的な計画というものがございませんと、口でていさいのいいことを言ってみても、草ぼうぼうになっちゃって、河川管理上マイナスになるということもやはり一応考えるものでありますから、できればそういう点をきちんとして、そういう計画のある点についてはもう返還させるというふうに持っていきたい、こう思っておるわけであります。
  147. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 第一次開放計画が終わったのは四十三年ですよね、それからきょうまで六年たっているのです。努力します、努力しますといって六年たっちゃっているわけですよ、大臣。それは草ぼうぼうという心配はありますけれども、いろいろな方法で自治体がやっていくといっているのです。ただ、問題は、りっぱな公園をつくれといえば、それはいろいろな問題が出るかもしれません。しかし、たとえば多摩川にしてもどこにしても、芝生の上に寝っころがって、子供を連れていってピクニックをやるというようなことを考える場合には、そんなりっぱな公園は要らないのですよ。だから、りっぱな公園ができるまでの間は開放できぬということは、これはいささか私にとっては詭弁に思えるのです。     〔村田主査代理退席、主査着席〕 やはり民間の企業が使っているというこの既成事実を擁護していく、こういう考え方建設省はどうもこの六年間終始しているのではないか、こういうふうに言わざるを得ないので、その点についてもう一ぺんきちんとした態度を明らかにしてほしいと思います。
  148. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 局長から答えます。
  149. 松村賢吉

    松村政府委員 河川は公共用物として公共の空間を確保して都市住民によりよき生活環境を与えること、これは河川の水を流す治水のほかに、そういうような使命があると考えておるわけです。  それで、特に都市河川については、公園、緑地等の不足している、これは緊急の整備が必要であろうと考えます。それで河川は、当然これに大きな役割りを占めなければならぬということをわれわれとしては当然考えているわけでございます。それで第一次の開放計画もそういう線に沿ってきておるわけでございますけれども、実を申しますと、この開放におきまして、一部については開放した部分がなかなかうまく利用されてない点も、ごくわずかではありますが残っている。また新たに開放する場合に、それの利用計画、これはりっぱなものとは申しません。りっぱなものとは申しませんけれども、やはりこれが利用されないで、ゴルフ場でやっていたときよりもまずいというか、環境上の問題としますと、こういうことはあまり好ましいことではない。それでわれわれといたしましては、こういうような公園計画、これは地方自治体等でもいろいろ立てておりますけれども、こういうものと相連絡しまして、この開放を、第二次開放と申しますか、さらに進めていきたいという基本方針でいるわけでございます。
  150. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 それでは、地方自治体が開放された地域をきちんとするというプログラムを提示すれば、第二次開放をかなり広範にやっていくことができるというふうに理解してようございますか。
  151. 松村賢吉

    松村政府委員 各河川におきまして事情が違うと思いますけれども、その河川の特性に応じまして、地方自治体と十分話し合って開放を進めていく所存でございます。
  152. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 この機会にゴルフ場の問題にしぼって質問をいたしたいと思います。  多摩川と荒川と江戸川についてのゴルフ場の件数と面積をあげていただきたいと思います。それから、できるならばその名前をあげていただきたいと思います。
  153. 松村賢吉

    松村政府委員 多摩川、荒川上下流、それから江戸川のゴルフ場の面積でございますが、多摩川では五十六万四千九百八十二平方メートル、それから荒川、これは上下流合わせまして、実はこの上のほうには都市河川でない部分もございますが、これを入れまして七百二十二万九千四十二平方メートル、江戸川が三十七万五百二十平方メートルでございます。  なお、個所数といたしまして、多摩川が六カ所でございます。荒川が十三カ所、江戸川が三カ所。なお、名前につきましては、個々に調べればわかりますが、まず多摩川につきまして申し上げます。六カ所の内訳を申しますと、ゴルフ練習場がそのうち三つございまして、六郷ゴルフクラブ、東京急行電鉄の練習場、それから東京多摩川ゴルフ練習場、それからゴルフコースといたしまして多摩川ゴルフコース、東急ゴルフクラブ、川崎パブリックコース、この六つでございます。それから荒川の十三のゴルフ場を申し上げますと、これは足立区がやっております都民ゴルフ、それから川口カントリー倶楽部、浮間ゴルフリンクス、赤羽カントリークラブ、それから戸田ゴルフ、朝霞パブリックゴルフ場、浦和ゴルフ場、錦ヶ原ゴルフ場、大宮カントリークラブ、川越グリンクロス、大宮国際カントリー、初雁カントリー、熊谷ゴルフ、以上が荒川でございまして、次に江戸川につきましては、葛飾区営ゴルフ練習場、松戸ゴルフクラブ、江戸川ラインゴルフでございます。
  154. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 河川敷、いまたくさん使われているわけですけれども、これは実は全国のことを言いたいのですけれども、特徴的に関東というか多摩川、江戸川、荒川の三つについて質問をしているわけですが、河川敷の占用料の問題についてやはり言わなければならないのです。占用料というのは、建設省の行政指導のもとで都道府県知事がきめるわけでありますけれども、たいへん安いのです。私はびっくりしたのです。それは、東京都は千平米で九千四百八円であります。これは昭和四十七年の三月二十八日改定であります。神奈川県は一平米で七円であります。これは昭和四十年から九年間、四十年の四月二十日からきょうまで、実は一ぺんも変わっていないのであります。埼玉県も四円五十銭で、これは昭和四十五年四月一日からであります。千葉県のごときは三円なんです、平米当たり、年間ですよ。それが四十年の十一月二十六日から改定になっていないのであります。大阪府は十八円で、これは昭和四十八年四月一日から改定になっております。もう一度申し上げますと、神奈川県と千葉県については昭和四十年から一ぺんも改定されないで、年間一平米七円、千葉県が何と三円なのであります。これはこれでいいのかどうかということを実は伺いたいのであります。  と申しますのは、実は私は川崎の、特に多摩川の河川敷の問題について調べてみました。ゴルフ場でどのくらいもうかっているのだろうかと見当をつけてみたのです。そうしますと、東急ゴルフ場というのは、昨年一年、四十八年で十二万四千人の利用者があったわけです、これはたまを打つわけですけれども。ここで値段を言いますと、入場料が四十円で、利用税が六十円、それからアプローチが三百円で、一箱たまを打つときに二百円ですから六百円なんです。そのうち税金の六十円というやつを引いても、おそらく十二万四千人の利用者なんですから、七、八千万円の売り上げがあるわけであります。そのうち占用料は、二万一千平米ですからたった十四万円なんですね。年間に十四万円。これはちょっとひどいものだと思うのです。  それからもう一つ、これは東急ゴルフクラブというコースのほうを調べてみました。数字は昭和四十六年度の数字しかありません。その後三年たっていますが、だんだんこれはふえる一方ですから、減りはしないわけであります。約七万人弱の利用者であります。そして、お金はどのくらい取られるかといいますと、使用料一日で大体全部含めて、一番安くて二千五百円、そのうち娯楽施設利用税というのが四百円ですから、二千百円企業は一人から取るわけであります。それを七万人と見ても一億五千万円という売り上げがあるわけであります。それに対して占用料はちょっとひどくて、二十万平米ですから年間で百四十万円。一億五千万円の売り上げ、もちろん芝を植えますと、人件費含めて一千万ぐらいかかるかもしれません。ちょっと専門的に聞いてみましたけれども、それにしてもべらぼうな利益だと私は思うのです。こういう状態を実は長い間放置したままきょうまで来ているわけです。こういうことでいいのかどうか、このことをまず伺っておきたいし、それから、荒川について言えば、川口カントリー、浮間ゴルフリンクス、赤羽カントリークラブなどの、メンバー制のクラブの会員の数及び会員権の値段、相場などについて、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  155. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 好ましいことではないと考えます。しかし、いままで申し上げてきましたように、やむを得ない措置としてとられてきたわけでございますので、先ほど申し上げましたように、できるだけ公共のため、国民のためになるような使い方に指導していくべきである、こう考えますので、検討していきたいと思います。
  156. 松村賢吉

    松村政府委員 占用料金の問題でございますけれども、この料金の額そのものは先生のおっしゃるとおり非常に安いということでございますが、これにつきましては、実は占用料金は各都道府県がきめておりまして、私どものほうは直接あれしているわけではございません。それで、実は四十五年の三月二十四日に河川局長名で各都道府県知事にあてまして、土地占用料等の適正化の通達を出したわけでございます。そこで四十五年以降改正が幾つかできておるというわけでございますが、われわれといたしましてもこの占用料につきましては、確かに安いのではないかという感覚はもちろんございますし、それについての適正な指導、これは十分考えて各都道府県等を指導していきたいというふうに考えております。それから、先ほど申されましたメンバー制のクラブのメンバー、これはちょっと資料をここに持っておりませんので、後ほど調べて御報告申し上げます。
  157. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 一番最後の質問は、ぜひきょう聞きたかったのですけれども、資料がなければしかたがありませんので、ぜひ資料をいただきたいと思います。  全国で六十四カ所、千七百三十八ヘクタール、このゴルフ場がこういう安い占用料で、しかも排他的な占用を続けているわけであります。ですから、これは何とかしなければいかぬと思うのです。この前、昨年の暮れの参議院の決算委員会で大臣も答えています。もうすでに返ったところもあるのだ、だから政治は公平を失してはいかぬ、だから開放させていくのだ、こういうことを言っていらっしゃるわけですから、これはまああとで質問をいたしますが、こういう状態のもとで多摩川のゴルフ場だけは実はパブリックになったのです。江戸川の葛飾、あるいは荒川の足立というような、ある意味で公共的というか地方自治体が低料金の大衆利用をやっていくという、ささやかな門戸開放の努力はあるわけでありますが、こういう状態なんです。河川敷は公共のものなんですから、民間の営利のためにいつまでも利用されるということが問題だということも、いま大臣の答えをいただいたわけですから、建設省はせめて河川敷のゴルフ場はすべてパブリックか公営のものにする、そういうふうに指導すべきだと思うのです。この私の提案についてどのようにお考えになっているか、そして現実にメンバー制のゴルフ場をパブリックに開放する努力をなさるべきだと思うし、やっている、やることが当然だと思うが、どことどことどこをいつごろまでにパブリックにするという、そのプログラムをお聞かせいただきたいと思います。
  158. 松村賢吉

    松村政府委員 私からちょっと先に事務的にお答え申し上げます。  結論を申し上げますと、先生のおっしゃるとおりでございまして、既占用のゴルフ場、これは旧河川時代すでに都府県知事が許可したものでございまして、都市河川について新しく許可したものは実はないのでございますが、その後継続して使用しているのが実態でございます。われわれは、直接大臣管理にゆだねられてからは行政指導を強化しまして、パブリック化というものを含めまして、先ほどお話しございましたように、多摩川関係のものにつきましてはこれをパブリックに切りかえをしておるわけでございます。したがいまして、残ったものにつきましても極力パブリック化というような指導をしておるわけでございますが、急激になかなかむずかしい面もございます。したがいまして、われわれといたしましては、当面の問題といたしましてはやはりその料金につきまして安くするということ、しかも一般の大衆に開放すると申しますか、そういうものを一週間当たり一、二回やるというような措置を現にとっておるわけでございますけれども、こういう面も強化して、目的といたしましてはパブリック化するようにつとめていきたいというふうに思っております。
  159. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 パブリック化するようにつとめていくのでなしに、パブリック化は一番重要である、その上に立って努力していただきたいと思うのです。そういうふうに理解していいてすね。——現実にいま、たとえばパブリック化の問題について交渉している個所はどことどこですか。どこどこのゴルフ場についてパブリック化の努力をしているか、その名前を明らかにしていただきたい、できればその期限も。
  160. 松村賢吉

    松村政府委員 先ほどからお話し申し上げてありますように、そのうちパブリック化したものもすでにあるわけでございますが、残りのものにつきましても、現実問題といたしましてはパブリック化すべく慫慂し、交渉しているわけでございます。  ただ、いつまでということにつきましては、まだ現在確定しておるものはございません。したがいまして、この占用期間の問題がございますが、この期間につきましても、われわれといたしましては当初は三年の許可期限ということになっていたわけでございますけれども、現在これを二年に短縮して期限をつけております。また、さらにこれの短縮化というものにつきましても現在いろいろ検討いたしまして、実現する方向で持っていっております。
  161. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 パブリック化の問題は、河川敷にあるものはできるだけすみやかにパブリック化するように努力するというふうにさっきもおっしゃったので、大臣、この点はぜひその努力をあなたとしてお約束をいただきたいと思うのであります。
  162. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 承知いたしました。
  163. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 多摩川も荒川も、そして江戸川も、実は占用許可期限がこの三月三十一日で全部来て  いるのです、大臣。三月三十一日が期限なんです。私はこの機会に、この期限を更新しないで、ここで開放していただきたいということを強く要求をしたいと思うのであります。  実は、私はこの東急ゴルフ場というところの近隣に居住をしています。これは一昨年の五月でありますが、近所の多摩川の河川敷のゴルフコースでゴルフボールが頭に当たりまして、中学校の一年生がちょうど一年半くらい眠り続けるという昏睡状態が続いていまして、九月十二日の午前十一時になくなりました。こういう事故でなくなったのはこれだけですけれども、けが人がずいぶん出ているわけであります。特に河川敷のゴルフ場というのは、たまがそれて飛んでくる、そういう状態で、この子供は解剖の結果、死因は脳軟化症でありました。明らかにゴルフのそれだということもはっきりしているわけであります。しかも、これは建設省自身が御調査をいただいた数字ですけれども、一昨年四十七年の六月十六日に調査したことによれば、多摩川の河川敷には一日六万人の人たちが遊びに出ているわけであります。こういう人たちのために、私は、この期限が来たゴルフ場を契約を更新しないで、市民あるいは都民に返還すべきだと思うけれども、この点について見解を承りたいと思います。
  164. 松村賢吉

    松村政府委員 先ほどからたびたび申し上げておるところでございますが、確かに期限がこの三月末に切れるわけでございます。しかし、そのあとの開放計画、それが地方自治体の話等におきまして、いますぐ実現するものは少ないわけでございますが、これに対しましてわれわれといたしましては、その期限の次の期限を短くするというようなことで、これを早急に実現するように努力したいというふうに考えておるわけでございます。  なお、ただいまゴルフ場による事故というお話ございました。この事故につきましては、これは河川敷云々に限らず、絶対いかぬことでございますので、この点は、河川敷地を占用させておるほうの立場からいたしまして、厳重に監督いたします。またその危険をなくするような措置も考えておりますし、またその部分を改良することによって一部開放するというような手段も考えていきたいと思っておる次第でございます。
  165. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 いま三月三十一日を前にして、地方自治体の受け入れ体制がないからことしはという話がありました。しかし、これは、開放したいのだけれども、自治体にどうかひとつ準備をしてほしいということを言わなければ、自治体はそのことを前提にして、あるいは予測をして、開放をする予算的な措置をとることはできないのであります。そうした意味では、せめて一年くらい前に建設省の腹というものを自治体に示さなければ、予算措置もとれないし、とれなければまたことしもだめだ、そんなことを繰り返して六年間きちゃったんですよ。率直に申し上げて私は、これは無責任だというんです。  そこで伺いたいが、いま三月三十一日の問題がそうだとすれば、占用期間の更新にあたっては、社会情勢が動いているわけですから、三月三十一日の切れかえに際しては、今度は二年じゃなくて、局長、一年の契約にするとはっきり言えますか。建設省がやる気になればできるのです。大臣、その点もしあなたが答弁していただければ……。
  166. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 一年でやります。
  167. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 やりますか。一年契約にしますね。
  168. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 一年でします。
  169. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 わかりました。そうしたらその間にぜひそのプログラムを自治体と相談をして、早期の開放を全般的に御考慮いただきたいと私は思うわけであります。  時間がございませんので、最後に一つだけ質問をいたします。私はいまゴルフ場だけ質問してきましたが、実はグランドのこと、運動場のことも含めて伺いたかったのです。というのは、これも民間、特に問題になっている大企業、大商社を中心にして、実は多摩川なんかの場合の占有が多いのです。これは私ども、運動場をたとえば週に一ぺんとか二へんとか民間に、あるいはいろいろな団体、青少年クラブだとか、そういうところが使えるようにという要求をしてきまして、まあ一週間に一ぺんないし二へんは、これもパブリックというか、オープンにするようになりました。だから大臣、これはぜひ最後に御答弁をいただきたいのですが、そういう民間の企業が使っている運動場、これもたとえば週二回のところは三回ないし四回、企業が——占有じゃなくて占領ですよ、これは。占領じゃなくて、一般の市民に開放する、運動場も野球場として、あるいはテニスコートとして、そういうふうに約束をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  170. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 当然のことでありまして、企業が河川敷をその企業自体だけで独占使用するということは、これはもう国民感情としては許されませんので、できるだけ、少なくとも週三回くらいはもう一般に開放してもらうように強力に折衝します。
  171. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 もう時間ですからこれで終わりますが、いま私が申しましたとおりに、もう通達を何べんか出し、そして何べんか答弁はしてくるんだけれども、さっぱり具体的な仕事が進まぬわけでございます。大臣がどうかひとつ決意を新たにして、そしていま私に約束をいただいたこと、パブリック化のこと、それから一年の契約更新のこと、運動場開放のこと、そして河川敷の占用料の安いこの状態、これらの問題について改善の措置をとるよう、いまの御答弁を信頼して、質問を終わります。
  172. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて岩垂君の質疑は終了いたしました。  次に、増本一彦君。
  173. 増本一彦

    増本分科員 私に与えられている時間は三十分ですので、ひとつ下水道問題についてお伺いしますので簡潔に御答弁いただきたいと思います。  まず大臣にお伺いしたいのですが、来年度の下水道事業費というのは、今年度と比べると二二%くらい事業費そのものの予算は上がっていますけれども、しかしそれでも建設省の要求した額から見るとその五八%、千八百八十四億円というこういう状態。しかも補助率の引き上げをやったわけですが、住民の要求というのは、何といっても人口急増地域を中心にして下水道の整備ということを非常に痛切に望んでいる。これは大臣もよく御承知だと思います。こういう状態のもとでは補助率の引き上げや、それから資材のコストの値上げによって、かえって四十八年度と比べても事業量が一そう減ることになる。予算の措置を見ましても一一%ぐらい減っているわけです。こういう窮屈な状態のもとで住民の要求にこたえていくためには、まず予算の配分の基準を明確にしてやらなければならぬという問題が最初にあると思うのです。この点で明確な配分基準はどういうふうになさるおつもりなのか、この点をまずはっきりさせていただきたいと思います。
  174. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 御指摘のように、四十九年度予算は総需要抑制の中で大幅な補助率アップを実現したものですから、事業量としてはむしろ前年を下回ることとなりました。しかし、補助率をアップして地方財政が今後の下水道事業の伸びに対応できるようにしておくということはきわめて重要と考えて、私どももそれに非常に力を入れたわけでございます。そういう点で明年度の事業量を伸ばすことができなかったということはやむを得ないところであると考えます。問題は、その事業費をどのように配分するかでございますが、やはり近年の公害対策とか水質対策ということを考えますと、私どもとしては公害防止計画の策定地域であるとか、あるいは水質環境基準が定められて、一定期間内にそれを達せなければならないというふうに目標が定められているようなところの水質保全のための下水道というものに最も重点を置かなければならないと考えます。しかしながら、反面、市街地の中で毎年のように浸水に見舞われているというところもありますから、そういうところは水質と離れた問題としても浸水防止のために必要な下水道、これまた欠かすことができないと考えます。
  175. 増本一彦

    増本分科員 総需要抑制ということをおっしゃるけれども、今日のこういう異常な経済状態にしたのは、これは国民じゃありませんね。四十八年の推計でも下水道の普及率というのは総人口の二一%ぐらい、これを四次計画で実は五〇%まで引き上げようとしたんだけれども、それが今度ストップになってしまったわけです。しかし、地域住民の立場からしますと、これはもうどこでも下水があふれて、吸い込み式の井戸を掘ってバキュームカーで吸い上げてもらうというようなことまでやって、あらゆる苦労をして、昨年よりも事業量が減ったのはやむを得ないとおっしゃるけれども、そうじゃなくて、せめてこの時期だったら昨年並みの事業量を確保するということを出発点にしなければ、やはり住民の要求にほんとうに真剣にこたえるということにはならないと思うのです。  そこで、これはもうぜひ大臣に御答弁いただきたいのですが、予算案はもう政府案できまっちゃった、しかしこういう深刻ないまの下水道状態を見ますと、その事業量をせめて昨年並みに確保していくということで、やはり所管大臣として一そうの努力というものが私は必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  176. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど来局長から申し上げたとおりでございますが、二二%の予算的伸びはいたしたものの、補助率アップということで事業量が減ったという形になったわけでありまして、国民の要望から見ますと、非常にきびしい批判を受けることを覚悟しながらこういう決断を下したわけであります。しかし、ことしは五カ年計画も一緒に、こういう決心でおったわけでありますが、これも実現できなかったわけでございまして、この面については五十年度においてはぜひ——補助率アップをまず果たしておいて、あと総ワクを国民の要求にこたえられるような形にしていきたいというのは私の気持ちでございます。  増本先生のおっしゃられるように、少なくとも前年並みくらいの仕事がやれるようにしなければ市町村自体は納得せぬぞという御指摘でございますが、私もその気持ちは十分わかります。しかし、四十九年度で事業を完成するようなところについては私はあるいはそういう行き方をしなければならぬなという気持ちもありますけれども、やはり今後二年なり三年なり継続事業になりますので、四十九年度はがまんしていただいても、五十年度の経済を落ちつけた以後における措置によってそれを取り返していくという——こういうことを言うと、来年、再来年のことを言うと鬼が笑うと言われるかもしれませんけれども、私としては真剣にそういう気持ちで四十九年度予算に対処をし、また配分もそういう気持ちでやっていきたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  177. 増本一彦

    増本分科員 建設省所管では公共事業費は非常に大きな部分を占めているわけですね。やはり予算の今日の段階での使い方というのは不要不急なものはできるだけ押え、緊急なものに重点的に使っていくということであろうと思うのです。だから、そういう点では高速道路とか専用自動車道、そういうものの計画皆さん方のお金の配分の中に入っているわけですから、そういうものをむしろ振りかえて下水道のほうに回していくような手だてが——そのワクはきまっていても、そこでもう一段の大臣の努力というものがあってしかるべきではなかったのかということを私は強く感ずるわけです。いま、きめられたワクの中での重点配分についての一定の決意をお示しになりましたけれども、しかしこのところは、大臣も自治体や住民の要求の切実さというのはおわかりになっているであろうと思いますので、もう一段の努力を私は強く要求したいと思います。  時間がありませんので次に移ります。  特に深刻なのは人口急増地域だと思います。この人口急増地域の下水道での問題点というのは、大ざっぱに整理すると大体三つあると思うのですよ。一つは地方財政の負担が非常に重くなって補助率の一定の引き上げがはかられたけれども、しかし建設大臣の告示で、工事の管から補助対象に至るまで、かなり縛りがきついという問題があるわけですね。そのために超過負担の問題がこの下水道の問題でも深刻になっている、これが一つの問題です。もう一つの問題は受益者負担ですね。三番目は、そういういまの状態のもとで、下水道の整備計画がおくれている。そのために、住民サイドでは、私設の下水道組合をつくって、そして住民が寄り寄り集まって下水の処理をしなければならないというような自衛組織まで、現実に急増地域では起きているのですね。この問題をやはり適切に解決していくということが非常に重要だと思うのです。  最初に伺いたいのは、地方財政の問題ですけれども、今度事業量をしぼった。そして資材高というようなことで、実質的には前年と比べても二〇%から三〇%ぐらい実際には事業量が減ってしまうだろうという、こういう状態のもとで、しかも地方自治体は地方債にずっとたよってきているわけですね。今回国庫補助率の引き上げを理由に、前年度と比べても四百八十九億円も地方債のワクを減らしているのですね。そうすると、もとで縛られ、そして地方自治体は資金を集める上でも縛りがきいてきてしまっている、この問題を、これは自治省とも関連する問題ですけれども、ここいらの縛りをはずして、やはり資金調達が、一定の限度では地方自治体が自由にできる余地というものも、私は改善の方向として考えなければならないのではないかというように思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  178. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 明年度予算は国庫補助率を非常に高めましたために、いわば補助裏の所要経費が減少いたしまして、ために明年度の地方債計画は、下水道については減少しているわけであります。しかしながら、起債の充当率そのものは前年度よりもさらに改善されまして、たとえば公共下水道の補助裏につきましては、現行三分の二を四分の三に引き上げる、単独事業も〇・九にする、流域下水道の補助裏も四分の三にする等のかなりの改善がはかられまして、絶対額としては減りましたけれども、これは五十年度以降下水道全体がまた伸びていくときには地方負担もふえるわけでございまして、この新しい充当率が適用されることになって、国庫補助金の増額と相まちまして、今後の地方負担、実質現金負担というものは相当改善されていると思います。地方債そのものをワクを減らして自由にということは、戦後長年の地方債のあり方で、自治省の所管にわたると思います。私どもとしてもこの程度まで改善されていけば、またよほどの大幅な事業量の伸びが将来出てこない限り、まずまず地方財政面では問題は相当解決したんではないか、こう考えます。
  179. 増本一彦

    増本分科員 補助裏のいわゆる地方債の問題ですけれども、事業量が一一%も減らされ、しかもコスト高だ、しかも住民からのいろいろな要求が自治体にはあって、自治体としても一定のプランを持って下水道計画を促進しなくちゃならぬ、こういう問題があるわけですね。だから、一一%減らされている分は、自治体としてはせめてそこまではやりたいという気持ちもあるわけです。このときに、補助がつかないから地方債もだめだということでなしに、五十年度から皆さんはそれを促進しようというお考えをお持ちだったら、補助はないけれども、しかし先に、施越し工事と同じような形でこの地方債のワクだけは広げておくような、そういう点での自治省との折衡、協力というものもむしろ進んでおやりになる必要があるのではないかというように考えるのですが、その点はいかがですか。
  180. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 施越しの問題は、これは例年もある程度施越しを認めまして、この分を翌年度措置しているということでございまして、今年度もこれの運用を個々のケースに即して配慮いたしたいと思いますが、何と申しましてもこの経済事情を改善するということも非常に重要でございまして、その辺よくにらみ合わせまして、弊害の出ないような形で、特に急ぐところについては十分配慮するようにしたいと思います。
  181. 増本一彦

    増本分科員 ところで、もう一つの問題は、下水道施行令による大臣告示で、補助対象の縛りがある。ここのところも一つ地方自治体の負担を大きくしている原因があるわけですね。時間がありませんので詳しい説明は省略しますけれども、これを実情に合わせていくような改定ということをお考えになるべきだと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  182. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 下水道の国庫補助は、排水面積、管渠の大きさ等によりまして、本管のパイプと末端パイプというふうに分けまして、本管部分を補助対象にし、それに一定の補助率をかけて国費が支出されていくという仕組みでありまして、残る部分は補助対象にならず、起債によって大部分の経費をまかないつつ進めていく、こういう仕組みでございます。補助対象範囲を拡大するということも、それを拡大すれば地方財政としては補助率アップと同様な効果があることは御指摘のとおりでございますが、何ぶんにも非常な補助率アップをことし実現いたしましたので、なお当面はこの補助率アップを基礎に次の事業、当面の事業を進めていくということにいたして、補助対象範囲そのものをこの際大きく変えるということは、この際はむしろ控えたらどうか、こういうふうに考えます。遠い将来の話としてはまたいろいろ考え方もあろうかと思います。
  183. 増本一彦

    増本分科員 何もかも将来ということで、生活関連の基盤の整備という、ここのところ重点の置きどころということが、これはいまの御答弁ではまだまだだという感じを私は持つわけです。  時間がありませんから次に移りますが、受益者負担の問題ですけれども、これはいろいろ地方自治体、そして関連の住民の一番苦労するところであることは政府のほうもよく御承知だと思うのです。一つは、皆さん方の指導として、大口の利用者には一般の住民よりもより重い負担を優先的にかけていく、そして住民の負担を減らしていくという上でのこの行政指導というものを、きちっといまこそやるべきではないかというように思うのです。都市計画法の七十五条でも、著しく利益を受ける者への負担を強化しろということが書いてあるわけですね。これを地でいく、きちっとした指導というものをはっきりやる必要がある。  それからもう一つは、国のほうで全面的に終末処理場なら終末処理場だけでもきちっと国庫負担でやるのだということをきめれば、その分だけ総体的に受益者負担の分が率としても減ってきて、住民の負担を軽くするということができるわけですね。だから、これは補助対象としてというよりも、一〇〇%の補助をこの終末処理場に国庫負担をしてつけさせる、流域下水道の場合も公共下水道の場合もそういうようなことを含めてきちっとやって、住民の負担部分をそういう面からも軽減していくという措置を考えるべきではないかというように思うのですが、この二つの点について、ひとつ御見解を伺いたいと思います。
  184. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 私どもも、特に水質の悪い下水を排出するものなどを考えますと、そのために相当の経費もかかるわけでございますし、公平の観念からも、そういった特定排出者に対しましては、一般の小口のそう悪質でない排水をするだけの人と比べまして差がつくのは至当ではないか、こう考えます。私どもは、そのために下水道使用料というものに格差をつけて、そういう特定のものに対しましては、いわば水質使用料というような意味合いで施設の建設費の償却費分も加えたような額、これを負担してもらう、一方、一般の方々には維持管理費相当額をめどとした使用料にとどめる、こういうようなことであるべきだと思って、そういう方向で指導したいと思います。なかなか実際にはまだ差をつけて実行しているところは少のうございますが、漸次そういう方向に持っていきたい。  それから補助対象事業費の取り上げ方の問題でございますが、確かに終末処理場などは事業費もかさみますし、巨大な事業になりますから、極力補助対象の範囲に加えるということでやっておりますが、さらに終末処理場の本体施設以外のものにつきましても、できれば逐次補助対象範囲に加えて、環境整備の面でも遺憾のないように持っていきたい、こう思います。
  185. 増本一彦

    増本分科員 下水道の料金だけでなくて、つくっていく段階での受益者負担の問題として、もう最初から——あと、できれば使うわけですから、そういう大企業、大工場、こういうところの負担を重くしていく、そして住民の負担を軽くしていくということで、工事のスタートのときから、もっと強力な指導というものを私はすべきだというように思うのです。  あと、私設の下水道組合というのを、いま人口急増地域で、しかもまた流域下水道が下のほうからずっと上がってくる、もうどうにもやりきれないという状態の中で、それまでのつなぎの間、各住民が自主的につくっているのですよ。たとえば、東京近辺でいいますと神奈川県の相模原市ですが、ここは一年に人口が三万人もふえるところです。いま私設の下水道組合は組合数で七十六、加入世帯が九千六十三です。排水面積が二万六千八百七十九ですね。ここでの問題は、住民が七万円から十六万円負担をして、多いところですと五十万、百万近い負担をして下水道の管だけつなげていって、最後のところに深い穴を掘りまして、そうして月に二、三回市からバキュームカーに来てもらってくみあげてもらうというようなやり方をしているわけです。これは国の下水道計画の明白な立ちおくれから住民が自衛的にそうせざるを得ない、そうでないと自分たちの生活環境を守れないというところから来ているわけですね。ですから、これをいま公共下水道や流域下水道の事業を進めていくということになると、この私設下水道が不要になってくる。住民は私設の下水道をつくるときにばく大な金をかけ、そして今度下水道ができ上がってきたときには、それを取りこわして、なおかつ受益者負担金まで払わなければならないという状態、そこで地方自治体も、ないお金をいろいろくめんして順次買い上げをやっているのですが、これも地方財政に大きな負担になっている。だからお金のない地方自治体は買い上げもできないという状態です。こういう問題についても、これの買い上げの資金を国のほうで援助していく、そして公共下水道の促進を、あるいは流域下水道の促進もはかっていくという立場をはっきりさせるべきであるというように思うのですが、ぜひひとつこの私設下水道の買い上げについての財政的な国庫補助という問題についても前向きな検討をお願いしたいのですが、いかがでしょうか。ひとつ大臣から御答弁願います。
  186. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 まあ、公共下水道を地方自治体が国庫補助を得て進めていくというのが本来の姿でございまして、そういうものが諸般の事情でおくれて、待ちかねてそういう私設の排水施設にたよざらるを得ないということをいま伺いました次第でございます。全国的に下水道需要というものがほうはいとして出てきたものですから、非常に立ちおくれておる下水道が、年々相当の事業費の伸びでやってきましたけれども、なお追いつかない状態で、そういうことになっているのだと思います。これは何とか早急な事業化に踏み切って、そのような個人の事業として行なわれることの必要のないように持っていかなければなりませんが、ただいま端的に御質問がありました、私で設置した施設の買い上げ資金を国でも援助する考えがあるかどうかという点の御質問につきましては、ここですぐお答えもいたしかねますが、その施設のできぐあい、それが公的な下水道にすぐ使えるようなものであればそれを活用するという方法も、私見でございますが、考えられるかといまとっさに思いましたけれども、いま、その辺の実態をよく見ませんと、公共下水道としては使えないというものでありました場合には、この買い上げ費を国から補助するということはなかなか困難ではないかと思います。
  187. 増本一彦

    増本分科員 しかし、これはあなたも認めるように、国の下水道計画とその実施の立ちおくれで、住民がやむにやまれぬ状態でやっているわけですよ。だから前向きの検討は十分できるはずだと思うのですね。これは一つの政治的な判断ですから、大臣からひとつ、もう一度答弁をお願いしたいと思うのです。
  188. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 まあ、政治的な判断であることには間違いないと思いますけれども、しかし、市町村なり自治体にどういう相談をされてやられたのか、どういう指導を受けてつくられたものか、そういう点がはっきりいたしませんと、その問題に対する具体的なあれは申し上げかねますけれども、全般的に申しまして、やはりできれば市町村が中心になって住民の福祉施設をつくってまいるということが筋道ではないかと思うわけでございます。そういう意味合いにおきまして、国から補助金を出すということは私もちょっと無理ではないか、こう考えます。
  189. 増本一彦

    増本分科員 時間がありませんのであれですが、しかし、まず、実態は建設省のほうでも調査して正確につかんでください、自治体からいろいろ報告を求めたりして。自治体はこの問題でも悩んでいる。しかも、いま大臣が言われたけれども、住民福祉の施設は自治体が中心になってやらなければいかぬ。そのとおりだけれども、事、公共下水道については、国も補助金を出し責任を持ってやるお仕事ですよね。それの立ちおくれの結果、住民がこういうことをしなければならないという事態になっているわけですから、そこのところは十分にくんで事を進めていただきたいと思います。  最後に、昨年の十月に私が、いわゆる上水道水源の水質汚濁を防止するために、水源地域の公共下水道あるいは流域下水道等を早急に国や県の負担でつくるようにすべきだということで、当時の下水道課長と環境庁長官から前向きの答弁があったのですけれども、今度の予算を見ますと、そういう水源地域の湖沼についての下水道建設に関する調査費が若干計上されているようであります。これを調査すると同時に、早急に上水道水源の水質汚濁を防止し、そしてこれはそれぞれの県民、国民のいわば水道の水がめですから、これをきちんと保全していくということのために努力をすべきであるというように思うのですが、その点はいかがですか。
  190. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 従来、都市計画事業としての下水道にのみ国庫補助が行なわれてきたわけでございまして、明年度もそのとおりでございますが、特に明年度予算では、農山村地域とか内陸の湖の周辺のいわば非都市地域につきましても、下水道の整備のためのモデル的な調査を行なっていきたいということで予算要求をいたしまして、一部国の直轄調査費として認められたところでございまして、今後こういうものを活用いたしまして、いわば上流部における下水道整備のあり方を研究いたしたいと思います。
  191. 増本一彦

    増本分科員 神奈川県民六百五十万の水がめ、相模湖、津久井湖、城山ダム、ここもひどいよごれの状態ですが、そういう水がめをかかえている町というのは、年間の一般会計でも五、六億から十億という……。
  192. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 増本君に申し上げます。たいへん恐縮ですが、時間が過ぎておりますから御協力を願います。
  193. 増本一彦

    増本分科員 そういう貧困な状態ですから、ぜひひとつその点については十分留意して下水道建設の促進をはかっていただきたい、このことを強く要望しまして、質問を終わります。
  194. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて増本君の質疑は終了いたしました。  次に、八木一男君。
  195. 八木一男

    ○八木(一)分科員 建設大臣はじめ関係政府委員の方に、建設行政の中の同和対策事業に関連する問題について御質問をしたいと思います。  政府の同和対策に対する対処は非常に不十分でございますが、その中で建設省がある程度の努力をされたことを私どもは存じているわけでございます。四十九年度の新年度予算で前よりも前進を見ているところを私も知っておりますけれども大臣または局長から一応御説明をいただきたいと思います。
  196. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 こまい数字でございますので、局長から申し上げます。
  197. 沢田光英

    ○沢田政府委員 私ども、住宅対策の中でもこの同和事業につきましては、簡単に申しますれば全力投球をしてやっておる次第でございます。今回の予算に関しましても、私どももかなり効果をあげたというふうに考えておりますが、まだまだ不十分な点もあるとは重々承知しております。そこで、どういうことが予算の内容かということについて御説明を申し上げたいと思います。  公営住宅あるいは改良住宅、こういうものにつきましては全体に戸数が縮んでおりますが、この中で同和住宅に関しましては、いずれも十分に配慮ができる、御希望に十分沿えるという戸数が用意されてございます。それから同様に住宅改修につきましても、あるいは昨年発足いたしました宅地取得の話につきましても、予算といたしましては、単価等が伸びてやりよくなって、数量も十分とってございます。一つ申し上げますことは、皆さんの熱望が非常にありました住宅の新築融資、これは宅地とかあるいは改修融資と同じように二%の低利融資を行なうという話でございますが、これは最高限度で三百五十万程度のものが本年度から大蔵省によって認められました。私どもはたいへん喜んでおる次第でございます。これの実施に関しましては、初めてなことでございますから十分に用意をしていきたい、かように考えております。  それから実は昨年、先生にも御質問を受けて、いわゆる二種住宅は三分の二補助で同和の特目になっておるけれども、しかしやや一種より小さいじゃないか、それについては同様に引き上げるべきだというふうな話でございます。今年度、公営住宅につきましては、全体の問題といたしまして非常に大きな面積増がまずございます。それで、大体二室でございましたものが半数ぐらいは三室になるだろう、こういう一般情勢でございます。その中でもこの同和向けにつきましては、私どもは大蔵省にお願いをいたしまして、一種並みにできるという予算を組んでおります。したがいまして、昨年度先生から言われました問題は、一応そういうふうなことでかっこうがついておる。大体そういうふうなことが新しい事業としての私どもの戦果と申しますか、そういうことで、まだまだ足りないと思いますが、そういうことを実現したわけでございます。
  198. 八木一男

    ○八木(一)分科員 いま御説明になりましたように、多くの人たちの要望をいれて四十九年度も具体的にある程度問題が進んでいるようでございまして、その点、評価をさしていただきたいと思います。大臣やまた局長や関係者の方々の御努力を多といたしたいと思いますが、この住宅の問題は非常に大切な問題でございますので、これは、全般に政府の同和対策事業に対する施策がたいへん不十分である中で建設省がある程度の成果をあげられたということでございまして、総体を全部進めるためには、なお決意を強くしてやっていただく必要があろうと思います。  特に、この解放行政の中心課題は何といっても就職の機会均等、就学の機会均等ということになっておりますが、それと並んで居住という問題がいま非常に大きな問題でございまして、またその居住の問題が二つの問題につながるわけでございます。たとえば小さな部屋で両親が夜なべをしていて、それで小さな弟妹が騒いでいるというところでは、小学校、中学校あるいは高等学校の生徒が勉強しようと思ってもできない。そのために能力と意欲を持ちながら学力がつきにくい。そのことがまた就職の条件に影響するということになりますので、総合的に見たらある意味では住宅が一番大切ではないかと思うわけであります。どうかそういう意味で、部落の完全解放、政府のいわれる同和問題の完全解決を遂行する上で住宅の問題が非常に大切でございますので、なお一そう格段の御推進を要請したいと思いますが、ひとつ亀岡建設大臣から積極的な御決意のほどを伺っておきたいと思います。
  199. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 住宅が非常に大事であるという御指摘、まことにそのとおりでございまして、私も建設大臣として住宅政策を一般的に最重要課題として取り組ましていただいておるわけでございます。特に同和地区に対する住宅の問題等につきましては、ただいま局長から申し上げましたように、日ごろ諸先生方から御指摘いただきました点をできるだけ実現するということで努力をいたしておるわけでございますが、五十年度予算編成ももう七月に迫っておりますので、また御指摘いただいたような問題についてはさらに努力をしていきたいと考えております。
  200. 八木一男

    ○八木(一)分科員 自治省は来ておられますね。実は大臣にぜひ御理解をいただきたいのですが、住民の住宅の要望が非常に強い。自治体もそれに対応しようとしておられる。ところが住宅というのは、土地にしても住宅にしても非常に金がかかりますので、国が十二分の対処をしなければ問題が停とんをするわけでございます。熱心な自治体は財政的に非常に苦しくなる。それからそれをおそれて不熱心な自治体は問題を推進しないというような非常に難関があるわけであります。  その難関の一つは、同和対策事業特別措置法をつくったときに、一つ至らない点があったわけでございます。これは政府提案でございますけれども、その間各党で話し合って、しかもその折衝の衝に当たった私としては重大な責任を感じているわけであります。その確認事項ということで運行にあたっているわけでございますが、その確認事項の総体の一番の確認事項は、当時の床次総務長官が、同対審答申を実現するために同和対策事業特別措置法をつくるのである、その意味で特別措置法を積極的に活用していくという総体的な一番柱になる確認事項がございますから、これをほんとうに活用すれば全部解決がつくわけでございます。ところがその各省別の確認事項にとらわれて問題が解決をしていないわけなんです。  その問題は、野田自治大臣答弁に関係があるわけでございますが、その特別措置法の第十条といいますのは、一つは同和対策事業に対して国庫負担を三分の二する、残りの補助裏については起債をもってこれに充てる、そしてその起債を充てたものについては元利償還金の十分の八を普通交付税でこれを交付する、交付税不交付団体については、同率で特別交付税をもってこれに対処するということになっておるわけであります。そこで、私どもは全部これを指定すべきであるというふうに主張したのでありますが、公営企業、それからまた準公営企業など、そういうものについてはそれを除いて適用したいというような変な確認事項になっているわけです。「公営企業、準公営企業など、その事業収入を当該地方債の元利償還金に充てることができる事業に対する地方債を除き、国庫負担金または補助金を得て行なった事業に対する地方債を指定する考えである」というふうに言っているわけであります。これは確認事項でございますけれども、実は法律の内容じゃございませんから、それを実は自治大臣がこの点だけ、いまなら町村さんが、「除き」というのは取っ払って全部指定するとおっしゃっていただければ一ぺんに片づく問題で、法律的も何もないわけです。しかもこれをつくっていろいろな相談をしたのはだいぶ前でございまして、各党とも一生懸命考えたわけでございます。自治体でどういう案ができるかわからないという中で隘路ができないように一生懸命考えてつくったのですが、現実にこれがブレーキになっている以上、この確認事項の中の一つだけのまずい点を取っ払うということが政治の姿勢でなければならないと思うわけであります。  特に建設省は、同和対策の住宅をたくさんつくるように国も援助してやっていきたい、ところがこのことがブレーキになって、地方自治体が苦しんでいて問題が進まない点があるという点を一番よく御認識であります。それについて建設省のほうは、自治省、あるいはまた大蔵省も関係があるかもしれませんが、そういうところに対処するようにいろいろ交渉していられるのですが、自治省また大蔵省が紋切り解釈でなかなか首を縦に振らないので、これは非常に困っているわけであります。建設省はさらにこれを推進していただきたいのですが、自治省がその考え方を一番早く直していただかなければならない。自治省は、当然自治体のいまの状態を一番よく知悉をし、それに対応する責任を持っておるわけでございますが、先日自治省にこれを追及をいたしました。そのことが認識されながら、そういう政治にほんとうにすぐに対応されるような姿勢がはなはだ乏しいわけであります。この問題を追及をいたしましたら、ただいま建設省とその問題の解決にあたって相談をしておりますからというのがその答弁でございました。どういう相談が行なわれておるか、私もちょっとわからないのでございますが、もっともっと具体的な役に立つ相談が行なわれておるのか、あるいはまたいいかげんな相談のもとであるかよくわかりませんので、いま自治省も来ていただいておりますが、どういう相談が行なわれているか、建設省と自治省のほうから伺いたい。これは非常に具体的な問題でございますから、住宅局長と、それから自治省の担当官でけっこうでございます。
  201. 沢田光英

    ○沢田政府委員 この十条適用の問題は、私どもの事業では、公営住宅では、上もの、建物の補助裏の問題と土地の問題がございます。土地の問題につきましては三分の二引き上げられた特交で見ていただいております。上ものの補助裏につきましては、これが十条適用にもされていない、こういうかっこうでございまして、改良につきましては、上ものにつきましては同様でございます。土地につきましても同様でございます。さらに地区を清掃といいますか、除去したりあるいは下ものを整備する地区整備費、これにつきましては十条適用になっておる次第でございます。  私ども事業主体の様子を見ておりますと、やはり財政的に非常に困られておる。もちろん単価の足りない点は私ども十分考え直さなければいかぬ問題がございますけれども、それから先もやはり相当困っておるという実情をしょっちゅう訴えられております。そこで私どもも、これは事務局ベースでございますけれども、自治省さんのほうとお打ち合わせをしているわけでございますが、これも財政上その他の、先ほど先生がおっしゃったようないきさつがございまして、お互いに努力はしているわけでございますが、なかなか進んでおらないというのが実情でございます。
  202. 八木一男

    ○八木(一)分科員 自治省の担当官、何か建設省と御相談になっているという、これは松浦財政局長答弁でございましたけれども、どういうふうな意味の相談をしているか。
  203. 栗田幸雄

    ○栗田説明員 お答え申し上げます。  現在の地方財政法によりますと、公営住宅につきましては家賃収入でペイするという考え方が一つありまして、そういった観点から、公営住宅の建設に要する経費につきましては、普通交付税の基準財政収入額に算入しないという規定がございます。したがいまして、そういった規定との関連で考えますと、現在同和向け住宅につきまして非常に低家賃しか取れないといったような実態がございまして、そういった家賃について国が補助するとか、そういった一つの制度と申しますか、そういうものが必要ではなかろうかというようなことで、そういうような方向もひとつ検討してみるべきではなかろうかというようなこと。方法はいろいろあろうかと思いますが、そういったようなことで建設省検討をお願いしているということでございます。
  204. 八木一男

    ○八木(一)分科員 建設省、そういうことでよろしゅうございますか。
  205. 沢田光英

    ○沢田政府委員 確かにそういうお話もございますが、家賃補助の話というものは非常に基本的な制度の話でございまして、こういうふうに非常に物が上がっていきますと、家賃と負担力との間にだんだん乖離ができてくるということで、やはりいままでの補助してあとの残りの原価ではじいていくという原価採算といいますか、原価主義の家賃はどうもこの社会情勢にぐあいが悪くなってきておるという問題が、あらゆる住宅の制度に起こってきております。そこで私どものほうは、住宅宅地審議会に、この問題、家賃制度はいかにあるかということを諮問してございます。それで中間的には、そういうものを埋めるといいますか、収入にスライドした家賃を取ってあとは何らかの形で埋める、こういう方法も考えてみるべきだという中間答申が出まして、それに従って家賃体系が変われば政策の体系が全部変わってまいりますので、それではその体系はどうすべきかということでいまものすごく精力的に詰めておりまして、おそらくこれの報告がこの夏までには出てくるんじゃないか。これによっていままでの公営住宅、公団住宅あるいは公庫住宅という体制が一挙に抜本的に変わるだろうと思いますが、そういう問題として扱っておるわけでございまして、したがって、それによります法律改正がそれに続いてくるということで、たいへん大ごとでございまして、急には間に合わない、しかしそういう方向であることだけは間違いない、こういうことであります。
  206. 八木一男

    ○八木(一)分科員 この前の町村自治大臣や、いま見えられた自治省の松浦財政局長答弁の内容で想像したものとはどうも違うようであります。そんなものではこの解決になりません。いま宅地住宅何とか審議会に諮問をしておられるということですが、いまの問題をちょっと離れますけれども、そこでぜひ要望しておきたいのですが、そこの審議会は同和問題の本質を知らないと思います。それで一般的に応能の家賃にするか何とかにするかというようなことを審議されると思います。そうすると、それだけの認識で審議をされて結論を出されて——役所はもっとよく知っておられるから、審議会の答申に一〇〇%縛られるということはないでしょうけれども、縛られがちでございますので、その住宅の中に同和対策の住宅がある、この問題については同和対策協議会に並行して聞くとか、そういうことをぜひやっていただきたい。そうでないと、その審議会のために変なことになるといけませんので、それをひとつ要請をしておきたいと思います。  それから本質の問題に入りますけれども、この前は町村自治大臣は同和問題をあまり御存じないので、そちらのほうに深くいく時間がなかったわけでございますが、いま財政局長と栗田君と来ておられますので、ほんとうに第十条の問題については強く反省をしてやっていただかなければならないと思います。  自治省は自治体の苦しみを一番知っている。それを解決をしなければならない責任があるわけです。大蔵省と自治省の論争のために自治体が置き去りにされるということは許されません。したがって自治省としては、それに対処する第十条の適用ということは、法律条文の解釈では、適用してはいけないということはありません。ですから自治省は第十条の適用をどんどんやる。総体的にですよ。先ほど住宅局長の言われた問題です。自治省は全部第十条の適用をやる。しかし本則的には、政府の認める同和対策事業を全部指定して、三分の二の国庫負担があって、補助裏の起債があって、それに十条適用が本質でございますから、それは全部が国の認める同和対策事業になるようにやらなければいかぬということは、自治省として大蔵省なり各現業官庁に強烈にやっていただく必要があろう。しかし、それが実現しない間は、いまの国庫負担の補助裏の問題だけではなしに、全般的に第十条適用、これを推進していただく必要があるということを肝に銘じておいていただきたいと思うのです。ただし、この前も時間がありませんでしたから、地方行政委員会等に行ってこの問題は自治大臣や財政局長に詰めたいと思いますが、そのときに明快に対処できるように急速に準備をしておいていただきたいと思います。  それからいまの具体的な問題であります。これは実はその当時の建設大臣も苦労されましたし、それから総務長官と秋田自治大臣が話し合いをされまして、この公営住宅の土地について十条の適用の問題を推進しましたら、それに対応するために特別交付税で二分の一の対処をする、それが昨年変わって三分の二になった。それは前進であります。ところが第十条というのは十分の八であります。したがって、これは土地というものと住宅というものを切り離した考え方でやっておられる。住宅のほうは上屋家賃が入るという考え方で土地にそれをやられたはずでございますから、そうなれば第十条の十分の八の適用をやられることが当然だろうと思う。これは自治省としては断じて急速に踏み切ってもらわなければならない。  それからもう一つ、上屋について三分の二の国庫負担がありますが、残りの補助裏三分の一についてこれに十条の適用がない。その理由については家賃が入るからという。過誤でありましたけれども、非常につまらぬことであります。家賃というのは、同和対策の家賃が低いものでなければならないことは、もう多く論議をするところじゃありません。これは低いものにしておかなければならない。その低い家賃は家の修理代にも当たらないわけであります。修理代にも当たらないものを、家を建てることの三分の二の国庫負担があっても残りの三分の一を全部まかない得るものと認定すること自体が間違いであります。そういうことをやっておるから、それだけの分が地方自治体に猛烈な財政的なしわ寄せになっておるわけであります。へ理屈でほかのものと同じように考えてこういうことを対処するのはいけないので、上屋のほう、上の建物の補助裏についても十条適用をせられなければならない。  この問題をこの間指摘を申し上げましたけれども、それについては建設省と話し合って対処したいといわれました。ほんとうの対処をされるならいいですけれども、いまのお話を両方から伺うと、全般的な問題から家賃補助というような問題では、これはもう十年河清を待つようなものであります。同和対策事業特別措置法はもう半分過ぎました。この五年間で完全に解決しなければならない。住宅は非常に不足をしておるという問題でありますから、そんな審議会の答申を待っているわけにいきません。また待っても、そういうような答申の方向では具体的な成果が出るということにもなりません。ですから、少なくともいますぐ全般に適用しなければならないけれども、いまのこの時点の問題としては、とにかく公営住宅の土地についての三分の二の特交の補助を、一般交付税でやってもらいたいけれども、特交でもよろしい、至急に十分の八にする。上屋のほうの補助裏については、やはり十分の八の適用をするということをやってもらわなければならない。自治省にひとつ強い決意と積極的な御答弁を願いたいと思います。
  207. 松浦功

    ○松浦政府委員 御承知のように公営住宅につきましては、地方財政法の中に交付税には入れないのだという規定がございます。そういった事態もございますので、私ども建設省とも協議してと申し上げましたのは、公営住宅の種類の中で全く別のものだという形に、同和対策事業という観点から住宅を扱っていただけるならば公営住宅というワク内に入らない、そうなれば十条の適用ができるだろうという考え方で申し上げておるわけでございまして、現行法のもとでは八木先生の御要望に、法律がございますので沿い得ないと考えております。
  208. 八木一男

    ○八木(一)分科員 現行法の規定がきっちりそう書いてあるのですか。規定に基づいた政令か規則ではないですか。
  209. 松浦功

    ○松浦政府委員 法律そのものに明確に規定をしてございます。
  210. 八木一男

    ○八木(一)分科員 その条文を言ってください——じゃ時間がありませんから、よろしいです。それならばその法律は公営住宅法ですか。
  211. 松浦功

    ○松浦政府委員 地方財政法です。
  212. 八木一男

    ○八木(一)分科員 地方財政法のその点の改正案を至急に準備をしてこの国会に提出をしてください。  それから、もしいま、自治省の言われるように、公営住宅のほうでその解釈を変えるとか、あるいは規定を変えるとか、政令を変えるとか、あるいは法律を変えなければならないのかもしれませんが、規定のことはあとで伺いますけれども、そっちで対処していただいてもいい。どっちでもその制約をしているものを取っ払って、それができるようにしていただきたいと思います。ひとつ建設省のお答えを伺いたいと思います。
  213. 沢田光英

    ○沢田政府委員 どちらでやるか、どちらでやるのが適当か、これは私どもがいままで打ち合わせてきた問題の延長上にあると思います。したがいまして、私ども今後精力的に打ち合わせをしたいと思います。
  214. 八木一男

    ○八木(一)分科員 建設大臣にお伺いをいたします。  いま非常にややこしい問題ですけれども質疑応答の中で、問題点がどこにあったか、聡明な大臣ですから御理解をいただいたと思います。これはしなければならないものを、そういう規定に縛られたり運用に縛られたりしてそれが対処されないで、熱心な地方公共団体が財政的に苦しんでおる。あるいはまた、それをおそれて不熱心な地方公共団体が同和対策事業の建設をおくらしているという問題になるわけです。これは断じて変えていかなければならない問題であります。それをひとつ建設省と自治省、あるいは大蔵省も参加しなければならない場合もあると思いますが変えていく、至急に変えて対処できるように、ひとつ建設大臣、国務大臣として積極的な御努力をお願いをいたしたい。
  215. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 局長から申し上げたとおりでございます。きわめて事務的な問題じゃないかという感じがいたします。そういう意味合いにおきまして、三省で精力的に話し合いをして結論を得たい、こう思います。
  216. 八木一男

    ○八木(一)分科員 積極的な御答弁でけっこうでありますが、事務的な問題ですけれども、その事務を解決することによって大きな政治問題が解決をする。そういう政治問題は非常に大きな問題だ。そして、変えて突破口を開く問題はちょっとしたことで直るわけであります。ぜひそれはやっていただきたいと思います。  自治省の松浦君や栗田君に要請をしておきますが、さらに、この場にいらっしゃいませんけれども町村自治大臣にも強い要請をいたします、地方行政委員会その他で。しかし、その準備をされるのは局長、参事官ということになろうと思います。いま建設大臣が強い決意を示されました。それに従って住宅局長もやられますが、自治省も建設省と相まって、あるいは両方とも他省よりも自分の省のほうが解決に努力をしているのだということでやっていただきたい。自治省がそういう決意で敏速に急速に対処されるように強く要求をするわけでございますが、ひとつ積極的な御答弁局長から伺いたい。
  217. 松浦功

    ○松浦政府委員 事務当局同士でよく詰めて、結論を出すようにいたしたいと思います。
  218. 八木一男

    ○八木(一)分科員 事務的にはたいへん簡単で、政治的には非常に重大な問題でございますので、どうか建設大臣、また関係の各政府委員がいまお約束をいただきましたように、敏速にこの問題に対処をされまして、住民の要望に、また自治体の願いにこたえていただきますように強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  219. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて八木君の質疑は終了いたしました。  次に、津金佑近君。
  220. 津金佑近

    津金分科員 私は、いわゆる日照権の問題について若干の質問を行ないたいと思います。  政府も御承知のように、いわゆる日照問題をめぐる紛争というものは、この数年間、年を追って激増の一途をたどっております。この背景には、政府によって進められました高度経済成長政策によって都市過密化がますますひどくなってきている、そういう状況の中で、これに便乗して悪質なマンション業者が住民を無視したやり方でこうした建築を強行する、こういう問題がたくさんあるわけでありますが、この日照問題が特にこれだけ大きな問題になってきているゆえんは、これは単に日照問題に限った問題ではないということであります。御承知のように、日照をはじめとして、いわゆる通風、風害、電波障害、騒音、プライバシー侵害、眺望妨害、交通渋帯、上下水道の破壊など、全面的な生活、住宅環境の破壊につながる問題になっておる。したがって、今日この問題が大きな社会問題になっている理由があるというふうに考えるわけであります。東京都の例を一つとってみましても、たとえば昭和四十五年の日照紛争というものはわずか二百十八件でありましたが、四十七年にはこれが千六百五十一件に拡大をし、四十八年度にはさらに二千四百四件、こういう状況になってきているわけであります。  私は、最初にまず建設大臣に、こうした実情をどのように考えておられるのか、そしてこうした重大な社会問題になっておる日照並びにそういう生活環境の保持という問題についてどのように考えておられるのか、基本的な認識及びお考えをまずお伺いいたしたい、こういうように考えるわけであります。
  221. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 健康で文化的な生活が確保されるように、環境の向上保全の諸施策を実施する責任がわれわれにありますことは御指摘のとおりでございまして、ただいまお話のありました日照権の問題にいたしましても、最近とみに件数が多くなってきておることは私も承知いたしておるわけでありまして、これらの日照問題をはじめとするいわゆる生活環境をよりよくしてまいるということのためには、私どもとしても各層、各界の意見を聞きまして、実は今度の国会にも建築基準法の提案をお願いをして、少なくともこの日照権という問題について一つの方向と法律的な根拠を与えて、そうして住民間のいわゆる生活権の確保の問題に資していきたいということで、きのう閣議で実は了承を得ましたので、近く国会に提案する運びにいたしたいと思っておるわけであります。
  222. 津金佑近

    津金分科員 政府は、この問題を重視し、これに対して万全の対策を立てる上で今日この日照問題の実態を正確に把握するということは、その当然の出発点になるというふうに思うわけでありますが、そのことと関連してちょっとお聞きしておきたいことは、昭和四十七年三月の衆議院建設委員会においてわが党の浦井委員がこの問題に関連し質問をした際に、今日いわゆる日照ゼロというふうな住宅が一体どのくらいあるのか、東京都ではどのくらいかという問題の質問をしたときに、当時たしか答弁されたのは沢田さんだと思いますが、この段階ではないが、住宅統計調査の中に組み入れてこれを調べたいということをあなたはお答えになっていますが、その後二年たった今日、この問題についてどういう結果になっておるか、わかっていたらお答えをいただきたいと思います。
  223. 沢田光英

    ○沢田政府委員 住宅統計調査の項目の中にそれを入れていま統計を出しておる、こういうことでございます。  ただ、私どもといたしましてはそのほかにもいろいろ調査をしておりまして、今度の法改正に際しまして審議会で御審議いただいたわけでございますが、その場合にいろいろ基準をきめるときのために、いろいろな地区で、大都市の中でございますが、日照の状態がどうなのかというふうなことを何カ所かやってございます。具体的な数字はございますが、たとえば第一種住居専用地域になるようなある場所におきましては、非常に環境のいいところで三時間確保しているのが七割でございます。四時間になりますと五割程度になります。さらにずっと住居混合のような地域になりますと、その率が、もう三時間確保できるというものが二割とか、そういうものになってくる、こういうふうな資料は別に私どもやっております。(津金分科員「ゼロ地域はどうした」と呼ぶ)ゼロはちょっといまのところ私、資料を持っておりません。
  224. 津金佑近

    津金分科員 それは資料がないということで、調べればわかっている、わかっているがあなたはいま持っていない、こういうことですか。それともやってないわけですか。
  225. 沢田光英

    ○沢田政府委員 ゼロだけを抜きにしてやるという、いま申し上げましたのはそういうやり方でやったものではございませんで、大体その地域が、たとえば三時間なり四時間なりあるいは二時間なりという基準が今度できておりますから、その辺のところを見当を最初につけまして、一体そういう率がどのくらいなのかという定量的な調査でございますから、ゼロが幾らかというのは私のいま申し上げました調査からは出てまいりません。
  226. 津金佑近

    津金分科員 私は、今日の日照問題の実態を正確に把握する上において、やはりそれも必要な問題ではないかというふうに思います。やはり日照ゼロになるという人が一番必死になって日照を守るために運動をするわけですから、一番被害の多いところの実態を正確に把握するということが私は必要ではないかと思います。二年たって、まだその点が明らかになっていないというのは、私はやや怠慢ではなかろうかと思いますが、それはやはり、必ずそういう全般的な調査の中で問題をはっきりさせ、責任あるお答えをしていただきたい、このことを重ねて申し上げておきたいと思います。  それで、そのことと関連をいたしまして、今日わが国において、この日照の問題がこれだけ重大な社会問題になるということはもう多くを語る必要がありませんが、わが国の独自のいろんな社会的、歴史的条件によって、こういう問題がクローズアップをされてきている。たとえば日本が置かれている地理的あるいは気候的な条件、それからわが国における伝統的な生活様式、それから日本においては特に公共の緑地帯が非常に少ない、こういうふうな条件によって、特に日本において日照問題を生活の上で欠くことのできない資源としてこれが要求されておることは事実でありますが、この日照というのは、一般の社会人だけではなくて、特に老人、乳幼児、病人等にとっては、これは健康維持のために不可欠なものであることは皆さんもお認めになっているところであると思うのです。そういう意味で、私どもはこの日照問題を考え基本的な考え方として、一般的に日照というものは必要なものである、こういうことだけではなくて、やはり人は平等に日照を受ける権利を持っている、そして、この日照というものは人工的な手段によって代替することの不可能なものである、したがって、この日照というものは、単にそれを奪われたことに対する損害賠償だけではなくて、この日照の妨害に対してこれを排除することを求めることができる、そういう基本的な住民の権利——いま建設大臣も言われた健康にして文化的な生活を営む上で欠くことのできない権利、そういうものとしてしっかり認識するということが、この問題を考え基本的な原点として私は必要ではなかろうかというふうに考えるわけであります。あなたも御承知のように、昭和四十七年六月二十七日の最高裁第三小法廷の判決においても、日照は損害賠償の請求を行ない得るものであり、明らかに法的擁護の対象になり得る権利としてこれは認められておるわけでありますから、そういう基本的な認識に立ってこうした問題に対処される、そういう基本的姿勢を政府としてお持ちになっているかどうか、まずその辺をひとつお伺いしておきたいと思います。
  227. 沢田光英

    ○沢田政府委員 日照は、わが国の特性も交えまして、非常に元来重要なものだというふうなことは私も同感でございます。それから、都市の問題にいたしましても、日照に代表されますが、冒頭言われましたように、そのほかの環境事項の代表的な指数になるというふうに考えます。そこで、その大切な日照を平等に皆さんで享受をするというふうなことはたいへん大切なことだというふうなことは、これも私はそう考えております。しかし、これが権利としてどうかという話は、私ども立場としては、今回の改正に際しましてもそういう基本点では出発してございません。それはいわゆる権利として認められるか認められないか、日照権の問題というものは法曹界でいろいろと議論もされております。それからまた、判例によっても逐次そういうものがどうなるかというかっこうのものでございまして、私どもはそういう立場でなしに、先ほど申しました前提に立って、この過密なり何なりの都市、この中で平等に日照の益を享受できるというふうな状態を現出しなければならない、そうでなければ日照問題というのは当然また激化するわけでございますから、そこで町づくり、将来子供にいい町を、いい環境を残していくためにも、やはりそういう観点から日照の問題をとらえまして、町づくりのルール、こういうふうな意味で日照の問題にも寄与するし、あるいはそのほかの環境も造成していく、かような立場から今回基準をきめましたが、それも陰の排出量というふうなことで、いわゆる建物と建物の間の陰のようなものを指標にとりまして、その関係をどうするか、その間に空地ができるあるいはオープンスペースがとれる、そういうふうなことによりまして、将来いい町ができていくというような考え方に立ちまして、審議会の答申を得まして、審議会もさような考え方で私どもに答申をしていただいたわけでございます。そういう考え方に立っておるわけでございまして、日照権の確認、そういうふうな観点から私ども対処をしていないわけでございます。
  228. 津金佑近

    津金分科員 私は、日照というものが、あなたもお認めになるように、人間が生きていく上に欠くことのできないものであり、わが国のそういう生活様式の中からそれが特に要求されているという状況の中では、これは私は、憲法二十五条によって示された健康にして文化的な生活を営む上で、当然国民が要求してしかるべきものだというふうに思うのです。そういう点をはっきりさせないで、もちろんわれわれも今日のこの日本国土の中で、狭い土地を効果的に利用する、こういう問題が必要でないということを言っているわけではない。もちろん適切な土地の高度利用ということは必要だということはわれわれも考えるわけです。しかし、従来政府考え方は、今日このように日照問題が重大な社会問題になり、このようにむしろ激増の一途をたどっているという現実をもたらしたのは、いままでの政府のこの問題に対する対策、たとえばこの三、四年間の、この問題に対して国会で行なわれた論戦における建設大臣その他政府側の答弁を聞いても、やはり土地の高度利用ということに対してはたいへん積極的であるが、そのことによってもたらされる日照保護ということについては、率直に言ってきわめて消極的だった、こういうふうに私は言わざるを得ないというふうに思うのです。こういう姿勢が、今日日照問題をこのような形で重大な社会問題にまでしてしまった施策の立ちおくれの根底にある、私はこういうふうに考えざるを得ないわけです。その最たるものは、昨年の国会において田中首相がやはりこの日照問題に対して答弁をされた中で、東京都が高度指定をやりましたね、そのことの問題に関して田中総理が、高度制限を行なうなんていうことであれば実際どうにもならぬのだ、だから、いままでは高さを制限しておったものを、むしろ低さを制限するようなものにしなければならぬ、こういう意味答弁をしておるわけでありますけれども、こういう考え方では今後日照問題を正しく解決することはできないというふうに思うわけです。  そこで、これは昨年における総理の答弁でありますから、大臣にこの際お伺いしておきますけれども、やはりいまでもこういうふうにむしろ低さを制限することのほうが必要なんだ、こういう認識を持っておられるのか、それから、持っておられるとすれば、一体どういう地域にこういう考え方を当てはめようとされておるのか、それとも今日日照紛争の激増の中で、やはりこういう考え方は適当でないということできっぱりとこういう考え方を否定されて、日照保護という立場に立ってこれからの施策を進められようとしておるのか、この辺のところをひとつ、大臣の忌憚のないお考えをお伺いしたいと思います。
  229. 沢田光英

    ○沢田政府委員 私ども政府全体といたしまして、いままで、これからもそうでございますけれども、もちろん足らぬ点はあったと思うのでございますが、考え方といたしますと、やはり高度利用だけで進んでいるということではございませんで、やはりある程度といいますか、高度利用はもちろん考えなくちゃならぬ部面の一つでございますけれども、しかし、その中でやはり都市住民の環境というものは守っていかなければいけない、そのときにやはり平等に日照を受けるとか、あるいは緑を平等に楽しむとか、そういう意味で両者がバランスをとる、そういうところ都市の一番いい姿があるわけでございますから、都市の土地利用、こういふうなものをどうするかということでございまして、先生の御指摘のいわゆる低さを制限する地域というのも、いまの都市計画の制度の中にございます。これは主として商業地域のような業務地だと思います。住宅に関するようなところは、この高度利用地域地区ということには大体あまりなっておりません。そこで低さを制限するというのはそういうところでございまして、高度利用を当然社会的な要請からすべきで、社会のコンセンサスを得てすべきところだと思います。さらに、同じかさのもので建物があるといたしますれば、それを立体化いたしますれば、これは周囲にオープンスペースが出てくる、日照問題にもいい影響が出てくる、同じかさでございます。ですから、平屋であるのを、たとえば十戸あるものが、それが寄り集まって十階建てになれば同じ人口が収容されますが、おのおのの日の当たらない庭ということでなしに、オープンスペースが出てくる。そういうことから、この過密の中でどうやっていわゆる日照等の資源を公平に享受するか、こういうことで都市の姿はやはり立体化しなければいけないというふうに考えております。ただし、やはり都市の土地利用の中に、低層でいい住環境を保持しなければいかぬ土地利用もございます。それから立体化していい環境を保持するような住居地域もつくらなければいけないということで、二種住居専用地域のようなものが四十五年に生まれたわけでございますが、そのように、要するに高度利用だけではなしに、もちろん環境ということをむしろ重く考えた高度利用というふうなことで、今回この日照の基準に関しましてもそのような考え方が根底になっておるわけでございます。
  230. 津金佑近

    津金分科員 先ほど大臣答弁の中で、今度の国会に建築基準法の改正案を出すという意味のことを言われました。この点についてはやがて建設委員会その他で論議をされますから、細目につきましてはその機会にじっくりやりたいというふうに思いますが、この際二、三の点についてだけちょっと伺っておきたいというふうに思います。  これは当然建築審議会の答申に沿って検討され、立案されたものであろうというふうに思うわけでありますが、たとえば建築審議会の答申に比べてやや変わっている点がありますね。たとえば、今度の建築審議会の答申の中では、建築規制基準というものを五種に分類して、そして、これをどの用途地域へ当てはめるかということについては、やはり住民といろいろ協議するような余地が残されていたように思うのですが、今度はこれを三つに非常に画一的に分けられて、そして出されました。なぜこういう処置をとられたのかという問題。  それからもう一つ、あわせて言いますが、これは例の建築協定の問題について、いわゆる全員同意制を改めて三分の二ないしは四分の三の同意によってこれを生かせるようにするという、建築審議会ではいわば目玉的なものとしてこれは大いに宣伝されたわけでありますけれども、これが事実上もとに戻ってしまう、私はこれでは建築協定というのは事実上絵にかいたもちに終わる公算が非常に大きい。やはりこの辺のところに、私は、いろいろなことを言われても、実際日照保護に関する政府のややうしろ向き的な姿勢を感ずるわけでございますが、この辺、二点ですね、この際、ちょっとその点だけお伺いしておきます。あとこまかいことはまたあらためてやります。
  231. 沢田光英

    ○沢田政府委員 まず第一点でございますが、私どもは答申の表、内容というものは全部いただいて制度の中に入れたというふうに考えております。ということは、五種類の中、三種類ということでございますが、それは標準的なものを三種類に選んだということでございまして、あとは公共団体、自治体の判断でそれを上下に動かせる、かようなかっこうでこの全部を活用する……(津金分科員「それは弾力条項ですか」と呼ぶ)法文の中にございます。そういう意味で、私どもはこれをそのままいただいております。ただ、それを住民の意思でなしに、地域地区に合わせてかけたというところでございますが、御存じのように、都市計画地域地区の決定に際しましては非常に時間がかかります。何年という時間がかかります。この問題はやはり至急手を打って、紛争を一日も早く減少させるということが一つの目的でございます。そこで私どもは、住民の方々に全部きめていただくというふうなことよりも、まず最初、私ども地域地区にかぶせまして一つのルールをとにかく早く現出したい、かようなために、私どもはいまの地域地区に合わせてこれを選ぶ、ただし、いま申しましたように、地方公共団体の中で弾力的な運用というものができるような幅をはかるということでございます。  第二点の建築協定でございますが、私ども政府部内でも非常ないろいろな議論が行なわれて、私どもはこの答申の線、こういうことをぜひ実現したいという気も十分ございます。しかし、やはり何と申しましても私ども、この答申でございます四分の三の同意で、いま全員同意であるものが四分の三同意というふうなことが先生のおっしゃることだと思いますが、四分の一の方の問題があります。いまはなぜそういうことかと申しますと、いま全員同意でございますと、その中に同意しない方があるとすれば、そこの地域はゲリマンダーで協定を結ばなければいけない、かようなかっこうになります。そこで、その地域としてはちゃんとした形にするために四分の三ということをやったわけでございますけれども、しかし、やはりその四分の一を押えるというようなことになりますと、いわゆる公的な規範ということになるということでございまして、いわゆる財産権の問題にもつながっていく問題だ、ところが社会といたしましてはまだまだそこまで、そういう議論ももちろんございますけれども、熟成していないというような判断が最終的に行なわれました。そこで私どもは、全員同意というふうな話は、これはそのままにするということが一つと、ただし、それじゃ建築協定に対して進めるような方策はしなかったのかということでございますが、幾つかできる限りの努力はしてございます。それは一つは、法案の内容にも入りますけれども、いま土地所有者、賃借人、こういうもの全員の合意でございますが、土地所有者にいわゆる関係のない協定につきましては、土地所有者の同意は要らずに賃借人の同意だけでいいというふうなこととか、あるいは共有のときはそれを一人と考えて、その共有の中での多数決でいける、いまだと、共有だと共有全部の人にわたる同意が必要だ、こういうふうな点は非常にいろいろと考えまして、努力はそこまでした、それでかなり協定は結びやすくなった、ただし全員同意はそのままでございます。こういうふうな経過で全員同意になっておるわけでございます。
  232. 津金佑近

    津金分科員 いまの問題については、たとえば財産権の侵害というふうなあれもありましたけれども、広い意味でいえば、一種住専地域をつくって、十メートル以上の建物を建ててはいかぬということだって、これは広い意味でいえば財産権の侵害になるわけであって、問題は、さっき言った基本的見地からどう判断するかという問題で、この点はわれわれとしては納得できない問題です。ただ、これをきょうあまりこまごまとしたことは、先ほど言った趣旨からやらないことにしたいと思いますが、いずれにしても、御承知のように、年々日照紛争は激増しておりますが、あなた方のお考えとしては、今度のこの新しい建築基準法の改正で日照紛急はかなり解決できるという確たる確信をお持ちですか。これは簡単でいいですから……。
  233. 沢田光英

    ○沢田政府委員 すでに内容を御存じだと思いますが、住居系の地域にまず限っております。それからもう一つは、中高層建築物、いわゆる三階以上、こういうことに限っておりまして、現在最もきびしい状態を呈しておりますところに手を打っておるわけでございまして、この範囲内で相当な解決がつくというふうに考えております。
  234. 津金佑近

    津金分科員 まあいまのお話では、いわゆる住居地域に限って打った手だというような話でありますが、最近の東京なんかの場合でもそうでありますが、最近の日照紛争の特徴というものを見てみますると、最近の特徴というものはむしろ住居地域、商業地帯あるいは準工業地域、こういう地域における紛争というものが非常に激増してきているというところに最近の東京における日照紛争の特徴があるわけです。あなたも御承知だと思いますが、たとえば東京都の首都整備局が扱ったデータを見てみましても、一昨年の八月から一年間の統計を見ても、七百七十六件の日照紛争の中で住専地域は二十五件、住居地域が二百七十六件、商業地域が三百四十一件、準工業地域が百二十四件、工業地域十件、住居と商業地域だけで約その八〇%を占める、こういう状況が最近の非常に大きな特徴になっておるわけであります。私は、やはりさっき言いましたように、日照というものは国民が、住民が生きていく上でなくてはならぬものなんです。したがって、今日のような都市の状況というものが進められ、そして現在進められてきたような形の建設行政というものが進められ、そして日照というものが人間の生活に不可欠な基本的な権利であるということはますますこれから強調されていくと思うのです。そうである限り、いかに上から地域の用途をきめたところで、やはりいろいろな地域から日照に対する強い要求が起こり、そしてこうした紛争が拡大していくということは避けられないんじゃないかというふうに私は考えるわけですね。そしてそういう地域にいる住民の人たちが日照の権利を要求することは、私はちっとも不当ではないと思う。人間として当然のことですよ。そういうふうな点を考えてみると、あなたのおっしゃったように、第一種、第二種については、もう詳しく言いませんけれども、いままでの住民の声、運動の一つの成果なども反映して、確かに幾つかの改良を盛り込まれておられるということはわれわれもそれは認めますけれども、むしろ紛争が非常に激発している、いま一番解決しなければならぬと思われているこういう住居地域、商業地域の問題解決というものは結果的には全く放棄されている。むしろ今度の建築基準法は、こういう形で改正されることによってそれ以外のところは日照を剥奪してもかまわぬのだ、もう文句も言えぬのだという形で、法の名においてそういう地域における日照の剥奪を結果としてはむしろ合法化していくというふうになるのではないかということを非常に憂えるわけであります。  そういう点で、たとえば一つの例を申し上げると、これは建設大臣も御承知と思いますが、参考のために見ておいていただきたいのですが、これは台東区の用途地域の地図です。これは全部商業地域です。台東区というのはこういう状況になっているわけです。全部まっかっかですよ。ここはもう日照ゼロでもかまわぬのだ、極端なことをいえば。そういうふうなことにもなりかねないんですね、こういう状況は。こういう形ではたして今日の都会における重要な問題が正しく解決され得るだろうか、はたして日照紛争というものが合理的に解決されていくであろうか。そういう点についてどのようにお考えになっているか、お考えを聞かせていただきたい。
  235. 沢田光英

    ○沢田政府委員 日照紛争は非常に大きな社会問題になって一日も早くこれに着手しなければいけない、こういう意味で、そういう緊急性から今回の問題はある程度問題をしぼって出したわけでございますけれども、ただ、その中にも先生おっしゃるようなこともいろいろ盛り込まれております。たとえば、いま先生が商業地域と言われましたけれども、これは大体大部分路線商業でございます。この数の中で一番多いわけでございますから、路線商業で一番問題が発生している。路線商業というのは、通りの一側とか二側だけが商業地域になる、その裏は住居地域だ、かようなことでございますので、当然高いものが商業地域で建てば裏側で問題が起こるということでございまして、この点は今度の基準の中では配慮してございます。影を落とすほうに、そちらに入れば、それが法律的にこちらを制約するというかっこうに、地域を越えた場合にはそうなっております。  それから準工業地域の話もございますが、いままでの例を見ましてこれにも建築審議会が判断をして、必要とあればそこもこの基準がかぶせられるというふうな運用になってございます。したがいまして、緊急とはいいながら、できる限りの改良の手当てをしておる、こういう基本的な態度でございます。  それから基本的な解決になるかという問題でございますが、私どもはいい町を子孫に残したいという考えから、終局的にはこれは再開発というふうにつながるわけでございますが、現実こういうものは急速に進みません。その間行政的にどういうふうな手を打って誘導していくかということでございますが、一つの原理はやはり用途の純化ということにあろうかと思います。でございますから、現在準工業地域、住居地域等は各種の用途があります。したがいまして、利用からいっても、高い建物も低い建物もあって、そこいらで問題が出てくる、こういうふうな話でございますが、これをやはり商業地域なら商業機能にできるだけ純化をする。そういたしますれば、そこの間の摩擦がなくなる。急にそういうことをやってもできません。将来そういう町の姿にしていくということを目標にして私どもはやっておるわけでございまして、私どもといたしましては純化の方向ということがまず手でございまして、その純化された中で一体どういう町ができていくのかということが、今度の表の中でもございますように、一種住専、二種住専、あるいはいま申し上げました住居、準工、その辺までいきますが、その中での形態規制というものをやって環境をよくしていこう、こういう考え方でおるわけでございます。
  236. 津金佑近

    津金分科員 あなたそうおっしゃいますけれども、実際商業地域というふうに規定しても、そこには現に住民が住んでおり、それは実際的に住宅地としての機能を果たしておるというところがあるわけですね、一々こまかいこと言いませんけれども。したがって、そういうところにおいてもやはり日照というものが当然その住民の強い要求として望まれるということは、これは私は当然のことではないかというふうに考えるわけです。  そこで、あなたはいろいろ手を打っておられる、いままでの状況の中ではこうした地域においては、結果的に手を打っておられると言いますけれども、少なくとも法的な面でのこうした地域における日照保護に関する明確な保障というものははっきりされてないわけですね。したがって、ここでマンション業者なんかもどんどん建てる。それからいろいろな工事が起こる。そこで、ここでどんどん日照紛争が激増してきている。むしろ都心部にいろいろ日照紛争の焦点が移ってきている。東京都の調査を見ても、台東区だとか中央区だとか港区だとか、都心部にむしろそういう問題が多くなってきているというところにいまの特徴があるわけですね。したがって、ここに対してやはりどういう手を打つかということがはっきりしなければ、問題の解決にはならないのではないかというふうに私は思うのです。  そこで、ひとつお伺いしておきたいわけですけれども、たとえばあなたも御承知のように、昭和四十八年の一月に例の恵比寿マンション事件に関する判決というものが東京地裁から出されまして、これは日照のみならず、いわゆる天空権というものを認める、あるいは日照エネルギーというものを認める。そうして工事の差しとめだけではなくて、工事の不当な部分の取りこわしの権利を住民に対して認める、こういう判決が出た。これはいわゆる住居用地域ですね、恵比寿の事件は。こういう状況です。言うならばここは建築基準法に認められた合法建築として工事が進められたにもかかわらず、事態の全体的な判断の中から裁判所がこういう一つの方向というもを出した。しかも、これは言うなれば、環状六号線内部のいわば都心部に当たる地域でこういう方向が明確に出されたということです。  それから、時間があまりありませんからついでに進めますが、昭和四十八年九月二十二日のいわゆる江戸川における日本鉄工マンションの判決、これは工業地域です。これは工業地域においても必要な日照を守るためにマンションのうち一定部分を削除し、さらに設計変更を認める、こういうふうな方向を出していることは御承知だと思うのです。  さらにまた、最近においては、ことしに入りましてからも世田谷区の二百四十六号線沿いの三軒茶屋マンション事件に際しても、十五階建てを十階建てにこれを削り、しかも八百万円の供託金を積む、こういう方向が出された。これは商業地域です。言うならば、こういう地域においてもやはり日照というものは適切な形で保護されなければならないということが裁判所の一つの公正な結論として出されたということは、この地域における日照問題の解決、またひいては日照問題全体の解決にとって重要な一つの方向を示唆しているというふうに私は考えるわけです。これは言いかえれば、住民の日照なり天空なり通風なり、こういう快適な生活環境というものはやはり金銭にはかえられない基本的な権利であり、これが不当に奪われる場合は、たとえそれが合法建築であっても禁止されなければならぬ、こういう判断を裁判所が示したものであって、私は非常に重要な内容を示唆していると思うのです。私は、やはりこういう事実をあなた方が謙虚に受けとめられて、こういう方向をさらに前進させる方向で、こういう建築基準法その他日照保持に関する必要な施策を打っていかれることが必要ではないかというふうに考えるわけでございますが、こうした問題に関する基本的なお考えはいかがでしょう。
  237. 沢田光英

    ○沢田政府委員 日照問題は、いま起こっていますのはほとんど合法建築による日照問題でございます。まあ判例はどんどん流動しております。そして確かにおっしゃるようなエネルギー的な考え方、あるいは三軒茶屋のように複合の日照のようなものも考えに入れるとか、あるいは将来建つべき、改築すべき建物を想定して判決をしておる、こういうふうな問題、いろいろ新しい面がずいぶん出てきております。今回、私どものほうも複合日照の問題は取り入れてございます。大体こういう公法のたぐいというものは、これは規範でございますから、判例の蓄積によってできてくる、こういうことでございますが、私どもそういう意味ではできるだけのものはこれに取り込んでやっている。ただし、それはいまの緊急性から申しますと、私どもの選んだ範囲というのは、住居地域であり、それから中高層建築物の問題、こういうふうに判断をして、できる限りの問題は取り込んだつもりでございます。
  238. 津金佑近

    津金分科員 できる限り取り込んだつもりであるというふうにいまあなたは言われます。しかし、現実は、そういう地域において日照紛争がますます激化してきているということも、またこれは疑えない事実なんですね。そして私は、こういう傾向はますます強くなると思うのです。これに対して、おまえ、そんなことを言うのは不当だということは絶対できないと思うのですね。  そこで、さっきからあなたは、この日照というものを権利という問題としてはとらえないということを盛んに主張されておりますけれども、いずれにしても、日照というものが国民生活に欠くことのできないものであり、そういうことを求める住民の意識なり運動というものがこれからむしろ高まってくるということは、傾向として避けられないことですよ。そしてまた裁判所それ自体も、あなたの言うようにいろいろな裁判の判決はあるかもしれないが、そういう中で、一つの裁判所の考え方基本的方向というものは、こういう地域においても日照というものをきちっと保持していく、そのために取りこわしの権利すら住民に与えていく、そういう方向に向かって進んでいっているのが今日の一つの大きな流れだというふうに判断するわけです。そういう点をあなたのほうは十分正しく認識をされて、こうした地域も含む日照の確保ということに関する思い切った処置をとらなければ、やはり問題は解決しない。あなたはこういうものが減っていくと言われますが、私は減らないと思いますね。こればかりやっているわけにいきませんけれども、そういう点について、一つの重要な問題点だというふうに思います。そういう点で、局長お答えになるのはけっこうですが、この点については一つの重要な問題点ですから、大臣からも基本的なお考えを伺っておきたいと思います。
  239. 沢田光英

    ○沢田政府委員 ちょっと先に……。  私どもがある範囲の施策をしたそのほかにつきましていろいろ問題がある、そこに問題のあることも知っておりますし、それからその方たちに日照が大事だということは、最初に申し上げましたように間違いございません。ただし、私どもが公法として取り上げられる範囲というのは、とりあえずこうしたということでございます。それ以外の地区にはやはり相隣関係の問題がございまして、その中で判例として積み上がってくる、かようなことで、私どもはいままで出た判例の中で公法として取り込めるものをどこまでにするかということで、審議会の答申も得ておるわけでございます。そういう意味で最大限に取り込んでおるというふうに申し上げたわけでございます。
  240. 津金佑近

    津金分科員 建設大臣、こういう判例は、あなたもいろいろ研究されたと思いますけれども、これは一つの住民の、大きな世論の反映でもあると思います。そういうものを尊重しながらこういう点に対して、今後具体的な施策を打っていかれる、そういう立場にお立ちになって処理されるかどうか、いまの点に含めてお答えいただきたいと思います。
  241. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 津金君のお気持ち、私どもも十分理解できるわけであります。したがいまして、昭和四十六年の七月から二カ年半にわたりまして、斯界の専門家、権威者によって審議会を構成して、そこで十分検討をいただいた線に沿って、今回日照という問題を建築基準法の改正という形において取り上げたわけでございます。したがいまして、私どもとしては、現段階においてはほんとうに思い切った措置として提案を——まだ提案してない。あしたかあさってになると思います。今国会で十分ひとつ御審議いただいて、よりいいものに国会のほうでしていただくということになれば、これは政府としても聞かざるを得ないのじゃないかという感じを持っておるわけであります。しかし、私どもとしては、とにかく現段階においては最善の方途と信じて提案を申し上げることにいたしているわけでございます。
  242. 津金佑近

    津金分科員 大臣は確信を持ってと言われておりますけれども、私はこれではやはり必ず問題は残る、こういうふうに思っております。その今度出される建築基準法の具体的な問題については、またしかるべきときに少し具体的にじっくりやりたいというふうに思います。  私は、いまの問題と関連をしまして、今日この日照問題の解決のために、各地方自治体が、現在の建築基準法とそれから日照を求める住民の熾烈な要求との間に、言うなれば板ばさみみたいになって、これを何とかしなければならぬというところから、今日のそういう限られた条件の中で幾つかの積極的施策として、いわゆる指導要綱なるものを出して、この問題の解決のためにいろいろ努力しているということは、よく御存じのところだというふうに思うわけであります。この指導要綱も、地域住民の非常な大きな要望にこたえて、東京都におきましても二十三区内で約十六区において、こういう指導要綱が、その中身はいろいろ多様でありますけれども、行なわれておるし、それから都下においては約二十市、いまさらに二市が検討中だそうでありますが、そういうところにずっと広がってきているというふうに考えるわけであります。  そういうことの中で、その内容は各区において多少の違いもありますが、一つ共通的に出されている問題は、建築計画の事前公開を義務づけるということがかなり普遍的に取り上げられております。これは、日照紛争というのは皆さんも御承知のように、地域住民というのはどういう建物を建てるかということはわからないわけです。そして手続だけどんどんやられる。いまの手続も、大体手続の上でそれが合法的であればだんだん確認をおろすという方向になっているわけですから、住民は突如として自分の隣にくい打ちが始まったというのでびっくりして聞いてみたら、でかい建物が建って日照が全部奪われるというので紛争が起こるというケースが、実際問題としては非常に多いわけですね。言うなれば、もう最初からそこで対立が激化して、紛争がこじれていくというケースが非常に多いわけです。そういうものを解決する方法として、東京都では、建築計画の事前公開ということをさして住民とのコンセンサスを得る場を与えるという方針をとっている。これもいま東京都では全区的に行なわれておりますが、やはりこれは一つの方向だと私は思います。こういう方向を全国的に正しく適用し、必要とあらば法改正その他にも織り込んでこうした処置をとっていくべきではないかと考えるわけでありますが、この点はいかがですか。
  243. 沢田光英

    ○沢田政府委員 事前公開制は今回の法律改正には取り入れてございません。もちろんこの前の四十五年の基準法の改正に際しましてはそういう問題はやはり同じく出ました。その手当てとして建築図書を閲覧ができる、そういう制度が入ってございます。その範囲内でいまのところはやっていくわけでございますけれども、その際にもいろいろとプライバシー問題、財産権問題、こういうものがいろいろ議論された末、そういう制度がとられておるわけでございます。ただ、指導要綱などでいろいろやっておりますけれども、中にそういう内容があるわけでございますが、やはり社会のルールとしてむしろ家を建てるほうは、昔でございますればちゃんとしたあいさつをしておる。そういう意味では、私は社会の習慣として当然あるべきことだと思います。ただ、それを法律的に取り上げるかどうかということはいままでの私どもの制度で一ぱいだ、こういうかっこうになっておる次第でございます。
  244. 津金佑近

    津金分科員 現実にあなたの言うふうにあいさつがあるのがあるべき姿だと言われるけれども、そのあるべき姿がないところに非常に事態が紛糾している原因があるわけです。これは閲覧といいますけれども地域住民はいつ建つかわからない。突如として建つことがわかって紛争が起こるわけでありますから、いつ建てられるか全くわからない可能性のものをさがすために一々区役所まで行って閲覧をするほど住民はひまじゃないのですよ。そういう意味で私は、この事前公開という方向は一つの積極的な要因ではなかろうかというふうに思いますが、いまのお話では、なぜそういう方向をこの際取り入れなかったかということについての理由がよくわかりませんが、いずれにしても、やはりこういうものを取り入れる方向でもう一度検討をされたいということを私は強く要望したいと思いますが、御検討される用意はありますか。
  245. 沢田光英

    ○沢田政府委員 ただいま提出しております法案の中にそういうのはございません。したがいまして、直ちにそれを検討するということはございません。現在の制度で十分活用がはかれるというような気がしております。公法上の問題あるいは基準法のいわゆる性格からいきましても、事前公開というふうなことは私どもは今回とらなかったわけでございます。
  246. 津金佑近

    津金分科員 非常にいまの点は不満でありますが、その問題からもう一つ先へ進みたいと思います。  指導要綱のもう一つの共通点は、これはいわゆる住民との協議あるいは住民との同意、こういうふうな問題が指導要綱における一つの特徴的な内容として出されてきているわけであります。内容についても若干の違いはあるようでありますけれども、いま東京都それから東京都近郊の都市において、または全国でもある程度の都市においてこうした方向がずっと採用をされております。これは地域社会の主人公である住民の意思を尊重し、住民に十分納得される建設行政を進めるという意味において、やはり一つの積極的な意図、内容を持つものである。こういうことを反映して、東京都では、御承知のように日当たり条例というものに対する直接請求の運動が起こり、これは現在都議会においていろいろ審議されているということも御承知だと思いますが、こうした方向についてどう考えられるのか、ちょっと基本的なお考えをまず伺いたいと思います。     〔主査退席、細田主査代理着席〕
  247. 沢田光英

    ○沢田政府委員 やはり公開制の問題と同じような方向の問題だと思いますが、同意というふうなことは片や建てるほうの財産権の問題がございます。これは憲法の問題までいくかもしれません。そういうふうなことでございますが、もちろんまわりの人との融和、コンセンサスを得るというようなことは社会習慣上やれれば非常にいいことでございます。やはり私法の相隣関係の中では、当然そういうことが法律でなくてもこれは非常にいいことだというふうに感じておりますが、公法上の規制といたしましては、先ほどと同様な理由で私どもは今回の提案には入ってございません。(津金分科員「先ほどと同様の理由というのはどういう理由ですか」と呼ぶ)先ほどの理由とは、例の事前公開制の話でございます。(津金分科員「このことに関してこれは適当でないという理由をもうちょっと具体的に言ってください」と呼ぶ)
  248. 細田吉藏

    ○細田主査代理 発言を求めてください。  住宅局長
  249. 沢田光英

    ○沢田政府委員 それはやはりいま申し上げましたように、自分の財産の上に財産権を行使するという際に、これが隣の人の同意が公法上必ず必要だということは、いまの私どもの公法に対する考え方、少なくとも私の考え方もそうでございますが、そこの上では非常に無理だというふうに考えておる次第でございます。
  250. 津金佑近

    津金分科員 あなたはそうおっしゃいますけれども、私はこの問題について幾つか東京都内あるいは東京都下あるいは東京近郊で、こういう、言うなれば同意条項というものを採用して実施をしている自治体の実態というものをかなりいろいろ調べてみました。こういうものを採用したことによって、あなたの言う財産権の侵害だとか、さらにはまた、健全な都市行政に対して重大な支障を来たして、われわれとしては絶対採用しなければならぬと思うが、そのような実害というものが生まれているかどうか、そういうような問題についてわれわれのほうでかなりいろいろ調査をしてみました。     〔細田主査代理退席、主査着席〕 しかし、結果は残念ながらあなたの言うふうなことにはなっていないのです。こういう方向を指向して、そして自治体が積極的な指導をしているところでは明らかに紛争件数というものは減ってきている。  それから、これが非常に積極的な面は、建築業者のほうでもあまりむちゃくちゃなことを言わなくなるのですよ。一方的に押し通そうということが非常にできなくなりますから。やはり住民の立場というものを考え、住民と合意に達しられるような建築計画というものをおのずから考えて、そしてコンセンサスが得やすいような計画というものがやはり事前に検討されるような状況になってきているのです。それからまた、住民の側も——こういうことを言いますと、同意できないというようなことになると、もうこれから高い建築物は一つも建たなくなるのじゃないかというふうなことを非常に心配される方もおられますけれども、それはやや被害妄想的な発想であって、やはりそういう形で問題がきちっと出されれば、住民のほうもそれに対して現実的な、かつ合理的な対応をしているというのが共通の事態です。むしろ相談もなくて、いきなりくい打ちかなんかが始まって紛争が起こるというところほどこじれて問題が解決しないというのが現実なのです。  それからさらに、そういうことの中で、公共施設というものがこのことによって建たない、そのことによって地方自治体の行政に重大な支障を来たしたというふうな例があるか、これも重視して調べましたけれども、こういう例は大体基本的にないというのが自治体の返事でございます。むしろほんとうにその町に必要な、住民も納得し、みんなも支持できるようなそういう建築物が結果としては合理的に建設されている。結果としては紛争も少なく、そのことが順調にいっておるというのがやはりこういうところの一つの積極的な面なのですね。こういう点をもっとあなたのほうも事実に即して調べて、やはりそういう方向をむしろ強められていくということがどうしても必要ではないかというふうに私は思うのです。そうして今日の実態を見る場合に、やはり日照基準を数値であらわすということ自体いろいろな議論があるでしょう。その議論はもうここでは言いません。しかし、そのまま一つの方法として言われておるわけだけれども、私はこれは、やはりそのときの条件によっていろいろ状況も違うし、相対的なものだと思う。しかし、これからも建設行政を進めていく上でむしろ絶対的に必要なのは、住民とよく話し合う——住民との納得の上でそういうものを進めるということは、これは将来私は絶対に必要な要件になるというふうに思います。このことは、現に道路の問題を見ても、大きな住宅の問題、マンションその他の例を見ても、事実上住民の同意なしには、納得なしにはやはり建設が進まないというのがむしろ現実の条件になっているわけです、実態は。そうして、むしろ解決のパターンというのは、いろいろな形があり得るけれども、その基礎にあるのは、住民とよく話し合って、そうしてやはり住民の納得の上にそういったものが進められていく、そのことが結果として解決を早くし、建設も促進する結果になっている。これが現実の姿ではないかと思うのです。  このことについては、建設大臣、あなたは着任早々、私もあなたと相談しましたけれども、たとえば世田谷の烏山の中央高速道路の問題の解決も、そういう方向でいったから合理的な解決の方法が出たということについて、あなた自身もそのことは体験として認識されていることじゃないかと思うのですね。そういう意味で、この問題を解決する一つの考え方として、やはり住民との協議、そして住民との納得の上でこの問題を解決する基礎をここに置くということが、この種の問題を解決する上で最も重要なポイントになるというふうに私は考えるわけでありますけれども基本的にこういう考え方についてあなたはどう思うか。こういう方向を今後のあなたの建設行政基本にされる、そういうお考えはありませんか。
  251. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私は、一言で言えば、やはり信頼関係だと思うのです。立法をする国会、行政の府に責任に任じておりますわれわれ、それぞれ職責があるわけでございますので、その職責を十分国民から信頼してもらう、また信頼してもらえるような行政を行なってまいらなければならないわけであります。私は、一言で言えば信頼関係であると思うのです。同じ日本人が目くじら立てて対立し合ってどうにもならないということ自体が、どっちかにやはり反省しなくちゃならぬ点があるのではないか。これはあくまで誠意を尽くして、技術の最高水準をいくような検討を進めて、話し合いをしていくことによって、納得のいく一致点というものがある程度見出されてくるのじゃないかと私は思うのです。また、その努力をしないで、権力だけによって、行政権だけによって事を進めるということは、もうこれからやろうと思ってもなかなかやれるものじゃない。それだけ国民の意識、国民の教育水準も高まっておるわけでございますので、津金君のおっしゃる気持ちも、私はよくわかるわけであります。私もその気持ちでずっと就任以来 建設大臣としての判こを押しておるつもりでございます。
  252. 津金佑近

    津金分科員 時間がもう終わったそうでありますからこれで終わりますけれども、いま建設大臣が、これからの建設行政は、権力によって一方的に押しつけようとしても押しつけることはできないのだということを言われましたが、これは、私の知っているところ、歴代建設大臣の中では最も進歩的な認識でありまして、そういう認識建設大臣がはっきり今後の行政の上で持たれるということは、私はたいへんいいことだというふうに思うわけです。しかし、私の気持ちを理解してくれると言うが、私の気持ちというのは、これはいま日照問題でいろいろ苦しんでおる関係国民の切実な要求なんですね。  そこで、あなたも言われたように、確かに話し合えばそこでおのずから道が開かれる、それは信頼関係だ、こういうふうに言われましたけれども、私は、やはり一つの行政なりそれから法律なりそういうことの中に、そういうものを明確に打ち出していくということが必要ではないかということを強調しているわけです。したがって、やはりその同意の問題については、いま政府側の答弁ではなかなか賛同しがたいという御意見がありましたが、私は百歩譲って、少なくともこうした中高層建築を進めていく上で住民との協議、住民との話し合いをしないで、いきなり一方的に合法建築だということでどんどん進めていく、こういうやり方というものはやはりやめて、そして必ず住民との協議ですね、これをして、その中から住民とのコンセンサスをはかっていくということを最低限やるべきではないかというふうに私は考えますが、この点に関する大臣基本的なお考えをひとつ聞いて、私の質問を終わります。
  253. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 津金君の気持ち、よくわかります。かといって、私どもとしてはやはり行政上の責任を持っておるわけでありますので、プライバシーを持つ個人のものまで公開にしなければならないかというような点については、私自身もまだ釈然としたものを持つまでに至っておりませんし、まあ私どもといたしましては現時点において、御提案申し上げようとしております建築基準法の改正案につきましては、建設省として最善の案ということで御提案申し上げておるわけでございますので、ひとつその点御了承をいただきたいと思います。  もちろん、住民の意向に沿って今後の行政を進めていかなければならない、これは当然のことであります。しかし、それでは一々関係住民を集めて協議をするかということになりますと、これは議会というものが市にもあり都にもあり国にもあるわけでありますので、そういうところで十分審議は、住民の意思というものは反映させていける、私はこう考えますので、気持ちはわかりますけれども、一々協議をするということまでは私は考えておらないわけであります。
  254. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて津金君の質疑は終了いたしました。  次に中島武敏君の質疑に入るのでありますが、本日は、同君の質疑に対し、参考人として日本住宅公団総裁南部哲也君及び日本住宅公団理事川口京村君の両氏が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。  中島武敏君。
  255. 中島武敏

    中島分科員 私は、非常に短い時間でたくさんのことをお聞きしたいと思っております。そこで、私も質問は簡潔に行ないますが、ひとつ御答弁も簡潔にすることをあらかじめお願い申し上げておきたいと思います。  公団住宅の団地を建設するという場合に、多くの自治体がたいへん難色を示しております。その最大の理由の一つは、関連公共施設、公益施設、環境整備施設の負担の問題であります。  そこでお尋ねしたいのですが、関連公共施設の用地費と建築費ですね、これの公団と自治体の負担割合は現状どれくらいになっているか、お尋ねしたいと思います。
  256. 南部哲也

    ○南部参考人 私のほうの関連公共施設の負担の問題でございますが、実はこれにつきましては政府間に五省協定というものがございまして、関係省庁の間で、次官の間で協議したものというものが原則になっております。たとえば小中学校の用地につきましては原価のみに半額、それから団地内と団地外を大体分けまして、団地内につきましては、街路でありましても、あるいは下水道でありましても、上水道でありましても、すべてこれは全額公団負担。ただ団地外に、地域外から来るものでございます、これは大体二分の一負担ということが、大体その主要な骨子でございます。
  257. 中島武敏

    中島分科員 大体において二分の一、これはケース・バイ・ケースでいろいろ実際にはあると思うのですが、そういう関連公共施設が家賃の中に占める割合はどれぐらいになっておりますでしょうか。
  258. 川口京村

    ○川口参考人 割合は、団地ごとにいろいろ差がありますけれども、たとえば四十八年度の家賃を見ますと、大体二千円ぐらいというふうに考えております。割合、ちょっといま資料ございませんですけれども、その程度でございます。
  259. 中島武敏

    中島分科員 この問題ですが、自治体がこの種のものを全部負担するということは、冒頭申し上げたように、非常に財政が困難だ。またこれを、公団がこの分を負担するというふうにすれば、結局家賃にはね返ってしまうということになるわけです。そこで、この点は、国のほうでその分だけでも負担をするというような施策をとるという、そういうお考えはありませんか。
  260. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 新たな団地をつくりますときに、関連公共・公益施設の負担が一時に地方公共団体の負担になってまいりますので、この問題は、先ほど総裁がお答えになりましたように、五省協定という形で処理してきたのでございます。五省協定の形は立てかえ制度でございます。  そこで、今回四十九年度の予算におきましては、公団につきましては、従来の立てかえ制度をさらに拡充強化することにいたしまして、従来三年程度、あるいは二十年の長期割賦という形でありました立てかえ制度を、大体十年ぐらいの据え置き期間と、それから二十年の長期割賦ということにいたしました上に、その十年の据え置き期間中の利子は別途利子補給金という形で、これを別途の補給を国がするという形をとることにいたしたのでございます。したがいまして、できましたらすぐ地方公共団体に移しかえるのでございますけれども、十年間の利子は、十年前のかかった建設コストを基礎にして譲渡し、それ以後は利子はつきますけれども、そういうことになりますと、そこに人口が定着するまでの間十年という間は、相当程度救済になると考えておる次第でございます。
  261. 中島武敏

    中島分科員 それはわかるのですけれども、さらにそれをもっと国のほうで負担をするというような考え方はないかということをお尋ねしているわけなんです。先ほどのお話で二千円程度になるというお話がございましたが、やはりいま公団団地の家賃が非常に高くなっております。そういう点で、さらにもっとこれを強化して、国のほうで負担する考えはないかということをお尋ねしたいわけなんです。
  262. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 去る四十七年の七月十二日における衆議院の建設委員会の議決にもありますように、大規模な団地開発をやりますと地方財政が非常に圧迫される、この軽減についてのいろいろな提言がなされております。今回その一環としてそういう制度を新たに開いたのでございますが、私は、もちろん一定規模以上のものになりますけれども、この制度が相当の効果をあげ得るものと思っておりまして、なおこのほかに、たとえば道路であるとかあるいは河川、学校その他につきましての補助率のアップというようなものは、漸次改善措置をとってきてまいっております。これらを合わせて、この十年間の立てかえ制度及びその十年間の利子は一切持つという制度に加えて、今後実態に合わせながらそういう人口急増地帯における補助率あるいは起債というような面を充実していけば、私は、いまの点は大幅に改善されるのじゃないか、今回の措置は相当思い切った措置だと考えている次第でございます。
  263. 中島武敏

    中島分科員 次に、私は共益費の問題についてお尋ねしたいと思うのです。  これは団地の共用部分の維持、運営、一定水準の住宅環境を維持するために必要な費用と、こういうふうにされておりますが、この中には街灯とかあるいは砂場の砂であるとか、あるいは給排水施設の維持管理費であるとか、団地外の住民に対しては自治体が負担をするという、そういう形で行なわれているものがあります。  これは団地によって多少の違いがありましょうが、板橋区の高島平団地の場合には共益費の約三分の一を占めております。それで、公団の団地住民に、公団に居住しているというだけで、税金はほかの一般住民と同じように払い、そして一方で共益費を取られている、こういうことになっているわけであります。そういう点では、見方によってはこの団地住民にとっては二重負担になっている、こういうかっこうであります。この点、この二重負担という点を解消するというお気持ちはありませんか。
  264. 川口京村

    ○川口参考人 団地の中には、いま先生の言われましたとおり、そういうものもまじっている団地がございます。これは、団地を建設するときに、いろいろ地方自治体によっては、その周囲のレベルと団地の中のレベルの差がございます。そういう点から、団地の中のことは公団で全部まかなってほしいという御要望がありまして、建設当初はどうしても共益費でまかなわざるを得ないというものがあるわけです。ただ、周囲の状況がレベルが上がってまいりまして、街灯とか、それからたとえば汚水処理場が公共下水道につながるとかいうことになれば、当然そういう負担はなくなるわけです。それで砂場の補助とか街灯の補助、そういうものを地元の公共団体に出していただくように極力努力しているわけでございまして、住民の方も努力しておられるわけでございます。そういうものが補助が得られれば、当然共益費は下げるようにしております。また現に、そういうことで下げた団地も相当ございます。  以上でございます。
  265. 中島武敏

    中島分科員 私は、これは一がいに、地方自治体が負担するべきだとばかりはいえないと思うのですね。そうじゃなくて、やはり公団が負担するということも考えなければならない。しかし、地方自治体か公団かといいましても、さっきもちょっと申したのですが、公団が負担するという場合には、これはどうしても家賃にはね返ってしまうといういまの仕組みであります。そこで、地方自治体のほうはどうかということになりますと、地方自治体のほうもまた財政困難でたいへんだということであります。そこで私、思いますのは、やはりこの際、こういうものは思い切ってひとつ国が負担をするというような、こういう措置に進むことはできないものかということであります。その辺はどういうふうにお考えになりますか。
  266. 沢田光英

    ○沢田政府委員 結局いまのところは、いわゆる家賃にしましても共益費にしましても、実際かかったものをいただく、ことに家賃のほうは原価から償却計算をいたしまして、それではじいておるわけでございます。そこで、その家賃が高ければ、国民の、こちらの対象といたしますものよりも大きく上がった場合には、一体そのギャップをどうするか、家賃、共益費に限らず、そういう問題があるわけでございまして、最近のような土地あるいは建築費の値上がりから、原価計算コストでは家賃その他が非常に問題があるというふうな問題意識がございまして、そこで傾斜家賃制度等で下げておるわけでございますが、恒久的な考え方といたしますれば、これはやはりそういう家賃その他の考え方というものを考えていかなければいけない、こういうふうなことになっておりまして、いわゆる住宅宅地審議会に、そういうもののあり方というのはどうしたらいいかという諮問をいたしまして、収入に応じたような考え方もあるという答申をいただきまして、あと、じゃ具体的にどうするかということをまた審議会でいろいろと御議論を願っておって、早い時期に結論が出る、こういうふうなかっこうになっております。  基本的にはそのようなことでございますが、共益費というものは、やはり皆さんがその利益を受けます共有部分の費用というものは、草をむしったり、あるいは街灯——街灯がなければ困りますから、そういうふうな費用は、やはりいまの段階では、それを享受されるほうの方が結果的には負担するということがいまのルールでございまして、ただし、先ほど申しました基本的な負担力との問題でございますれば、そういうふうな方向で現在審議中でございます。
  267. 中島武敏

    中島分科員 この共益費の運用の問題についてお尋ねしたいんですが、多くの団地で、共益費の運用についていろいろの問題が起きている。私は、この問題の一番基本は、団地の住人が納得する方法というようなものをとる必要があると思うのです。そういう点では公団としてはどんな方法をとっておられるか、お尋ねしたいと思うのです。
  268. 川口京村

    ○川口参考人 現在、共益費について、幾つかの団地で確かに問題が起きております。これは全国的に見直すとほとんど問題はないんでございますけれども、共益費につきましては、われわれとしては、その年度の、どういうふうに使うか、幾らかかるかということを、自治会などを通じまして、住んでおられる方に十分に説明はしておるつもりでございます。それから、年度が終わりましたならば、この年度はこういうふうな使いましたという、これはまあ三月は無理ですけれども、年度を越した時点になりますが、使途について御説明しているわけでございます。そういう点でよく御理解なり御納得をいただくように努力しているつもりではおるのでございます。
  269. 中島武敏

    中島分科員 そういう説明は、確かにおっしゃるように、団地の方々に対してやられているんです。ところが、それでもなおかついろいろ意見が出てくるというのが実情なんです。つまり、私はこの問題を解決するためには——これがその予定表なんですけれども、これでは非常に大まか過ぎて、どうなっているのかという具体的な中身はわからない。もっと積算の根拠を明らかにするというようなことをやれば団地住民は納得するんじゃないかと思うのです。そういう点で積算の根拠を公表するという気はありませんか。
  270. 川口京村

    ○川口参考人 住民の方がよく要求されるのは積算単価なんでございます。この積算単価というのは、実はこれは公団のほうの予定価格に相当するものでございまして、これはもうどうあっても、われわれとしては説明できないわけです。ですから、大まかとは申しますけれども、各項目にわたって総額なり回数なり、たとえば植栽の回数なり清掃の回数なりやっておりますので、一回についておおむね幾らということは、計算すればわかるのではないかと思います。ただ、積算の基礎の単価につきましては公団の会計事務細則に、この予定価格というのは、かりに入札した場合に、入札が終わってでも公表してはならないとなっておりまして、これは国の場合その他私どものような公共機関においては、どうしても公表できないわけです。その旨をよく御説明いたしまして、御納得をいただくようにつとめておる次第でございます。
  271. 中島武敏

    中島分科員 すべてが入札制度でやっておられるわけではありませんね。委託業務の場合もあるわけですね。これは公表できないという理由は当然私はないと思うのです。それから、入札の場合でも落札した——それは予定価格については公表、もちろんできないでしょう。それはあたりまえのことなんですけれども、しかし、もう落札した契約価格は、これは公表しても一向差しつかえない問題じゃないかというふうに思っているんです。どうですか。
  272. 川口京村

    ○川口参考人 ですから、そういうものが積み重なって共益費の決算になるわけです。ですから、かりに当初その当該団地に植栽について幾ら幾ら予定した、しかしながら年度を終わってみますとこれは幾ら幾らであったということで、一つ一つのあれについては公表いたしませんですけれども、決算について十分説明をして御納得いただくようにして、そういうことでやっております。
  273. 中島武敏

    中島分科員 その大まかな数字は、それは発表されておるのは私は存じておりました。先ほどからもお話があった。その上でなおいろいろ問題が起きてきておる。その問題の起きてきておる所在をさぐれば、私がいま言ったように、それぞれの単価についてすべてを公表できないということはないじゃないかということを私は言っているのですよ。問題をまたもとに戻してしまっちゃいかぬですよ。いかがです、それは。
  274. 川口京村

    ○川口参考人 もとへ戻しておるわけではございませんでして、当初予定したのがこれだけかかったということで、これは大まかな数字というよりも決算の数字でございますから、予定は確かに大まかな数字かもしれません。しかし、相当各項目にわたって、たとえば汚水処理場に幾ら、街灯に幾ら、それから給水に幾ら、植栽に幾ら、あるいは芝生の手入れに幾らということで、われわれとしてはできる限り詳細に説明しているつもりでございます。ただ、そういう点で、お求めになる方と意見の違いが生じていることは、われわれも認識しているわけですけれども、ただ、これ以上詳しくと言われましても、事やはり仕事の単価にわたる問題については、やはり公団としては公表できないということでございます。
  275. 中島武敏

    中島分科員 私は、それは、団地の住民とほんとうによくしっくりといくということが非常に大事だという観点に立てば、公表できない、公表できないという一点ばりでなくて、もっとそういう点の要求も満たすべきじゃないかというように思うわけであります。  次に、共益費の繰り越し金の問題についてお尋ねしたいのですけれども、これも高島平団地の場合ですが、四十八年度に五千九百万円繰り越されておる。それは当年度収入予定額に対して四四%を占めております。それから四十九年度は五千九百三十万円、これは四七%に当たります。四十七年度の実績においては三千九百万円、二七%に当たります。率直に言いますと、これは共益費の先取りじゃないか、こういうふうな感じを私は受けるわけであります。それで、団地自治会の人たちお話によりますと、今度高島平の場合には九十円ぐらい下げようじゃないか、こういう話を公団のほうでされておるようでありますが、しかし、これだけ膨大な繰り越し金をつくらなければ、そういうやり方をとらなければもっと下げることはできる、三百円くらい下げることはできるという計算になるわけであります。この辺、大きな繰り越し金をなぜつくらなければならないのか。それをやめてもっと適切なものを組んで、そうして共益費を下げるというふうにするべきではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  276. 川口京村

    ○川口参考人 いま例にあげられました高島平団地につきましては、確かに私どもも繰り越し金は多いと思います。  ただ、繰り越し金を全然なくすということにはどうしてもいかないわけです。それで、現在全国平均で申し上げますと、大体繰り越し金が、当該年度に集まりました共益費の総額からいきますと、第一年度あるいは第二年度ぐらいはおおむね二〇%から二五%になるわけです。そのぐらいの繰り越しはどうしても必要になるわけです。と申しますのは、共益費の計算にあたりましては、おおむね三カ年を見通していただいておるわけでございます。その中には毎年やらないこと、たとえば植栽の剪定などは三年に一ぺん、あるいは芝生の目地の土入れとか何年かに一ぺんというのがあるわけです。その点で、毎年支出される共益費というのは必ずしも一定しておらないわけです。そういうことから、初年度あるいは二年度等においては、大体全国平均、先ほど申し上げましたようなパーセントで繰り越しがございます。  高島平団地についてやや多いのは、私ども気がついておりまして、今後の物価の見通しその他から、現在地元の自治会に提示しておりますような値下げを協議中なんでございます。  何でこの高島平の場合これだけ狂ったかといいますと、あそこは公団でもかつてない高密度な一万戸ぐらいの団地でございまして、当初計画のときにやや見通しが甘かったのではないかということは反省しております。そういうことでございます。
  277. 中島武敏

    中島分科員 共益費問題についてもう一つだけお伺いしたいのですが、共益費で、まあ高島平の場合でいえば、もう一億円をこえるものを住民は出しておるわけです。ところが、これの利子が計上されてないのですね。これは一体どういうわけでございますか。私は、これは計上して居住者に還元するのが当然のことだと思うのです。公団の方は、この話をしますと、共益費は収入金であるという答弁をされるのです。いまもあなた、そういうふうに言われようとされておるかどうかそれは知りませんけれども、私はこれは全く筋が違っていると思うのですね。そういう点で明快な答弁をいただきたい。
  278. 川口京村

    ○川口参考人 どうも先生のほうから先にお答えが出たようでございますけれども、私ども、これはやはり公団の収入金でございまして、これはもう家賃、分譲代金その他につきましても同じように内部の利息でございまして、これをさらに団地に還元するということは、現在の経理制度からは考えておらないわけでございます。これは預かり金か収入金かという論争が常に行なわれておるわけでございますけれども、公団といたしましては、あくまでも収入金であるというふうに考えておりますので、そういう収入金についてはその利息を還元するという考え方には立てないわけでございます。
  279. 中島武敏

    中島分科員 いまのお答えは納得できないです。みんなで出して、そして共用部分について使うものなんですね。その金の利子なんですから、それは収入金だとかいろいろ言っても、当然それはみんなに還元される、これが私はたてまえでなければならないと思うのです。そういう点では、いま御答弁ありましたけれども、もう一度再考願いたいと思います。  この利子の問題とか、あるいは先ほどの単価を公表しないとかいうような問題の中に、率直に言いますと、私が思いますのは、きついことばかもしれませんが、公団が民主主義的でなくて官僚的だ、こういうことを感ずるわけであります。団地の住民とほんとうにしっくりいくというためには、もっとこういう点について改善をしていくということが必要じゃないかというように思うわけであります。  なお引き続き、もう一つ御質問したいのですが、それは保育園の問題であります。公団団地における保育園問題です。団地住民にとっては保育園が足りないという問題はまことに深刻な問題であります。これも高島平団地の二、三丁目の賃貸住宅の場合であります。板橋区がいろいろ調査をやりました。そうしましたらどういう結果が出たか。これは四十八年八月一日現在ですが、保育を必要とする児童は九百四十二名。ところが、措置されているものはわずか五百九十名であります。入れない人は三百五十二名いる。まあ保育園にして三つの保育園分ということになるわけであります。しかも、いま年に千八百人ずつ生まれている。月に直しますと百五十人以上生まれているのです。そこでこれは非常に大問題です。それから五十年一月一日の推計を行なっておりますが、これでは千二百二十一名が保育を要する児童になるだろうということを推計しておるわけであります。  これはもう十二の保育園が必要だということになるのです。現在六つしかこれに対して保育園がない。どうしてももっともっと保育園をつくらなければいけない。ところが、区のほうはこの計画はゼロであります。いままでいろいろやってきたけれども、現在のところ、これに対して有効な計画を持つことができないでいる。なぜこういう問題が起きてくるか、ここが私は非常に大事なところだと思うのです。入れものだけつくれば、あとは自治体の負担でやるんだ、あるいは住民の負担でやるんだ、ここに私は最大の問題があるというふうに思うわけであります。そういう点では、政府の住宅政策という点からいってももっと改善しなければいけないのじゃないかと、はっきり申し上げたいと思うわけであります。  板橋区では四十八年十月三十日付で公団総裁に対して、高島平団地保育問題解決のための協力方についてという要請書を出しておられますが、これに対して公団はまだお答えになっていらっしゃらないようであります。この中で要求されている保育園の敷地を無償提供すべきだという要望をしておりますけれども、これなんかはやはり率直に答えていただきたい問題でありますし、そうすべきではないかというふうに私は思うのですが、いかがですか。
  280. 南部哲也

    ○南部参考人 高島平の計画につきまして、実はわれわれとして一番反省をしなければいけないと思っておるのがいまの保育園の問題でございます。これはあれだけ多くの共かせぎが出るということを実は想像しておらなかった。こういう点で区のほうにもたいへん御迷惑をかけました。そういう点でその後区といろいろお話し合いをいたしまして、緊急の手を打てるだけ打つということにしております。  それから保育園の用地そのものは相当確保してございます。ただ、実は区のほうで、お話しのように保育園というものができればいいというのではなくて、そこの保母さんの手当てができないというような問題がさらにございます。そんなようなことで、なかなか区のほうの予算においても、保母さんの募集が思うようにいかないということで進まないという問題もございますので、十分区のほうと話をいたしまして善処していきたいと思っております。
  281. 中島武敏

    中島分科員 北区の豊島五丁目団地というのがありますが、ここは保育所は二カ所しかないのです。ところが、人口にして一万一千人住んでいる。毎月百名以上生まれている。それで、これはもうおかあさんたちは困り抜いているのです。高島平と同じであります。そこで、私は大臣にお尋ねしたいのですけれども、こういう公団住宅をつくるという場合に、保育所というものは最初から計画の中に組み入れておくというような措置をとるべきではないかと思うのですが、どうですか。
  282. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 仰せのとおりでございます。そこで、いままで住宅政策を推進した過程におきましていろいろな体験をいたしておるわけでございます。それらを土台といたしまして、宅開公団の法案を今国会に提案を申し上げておるわけでありますが、その中におきましては、地方自治体の超過負担軽減ということを積極的に考えますとともに、やはり公共施設がいままででも非常に——寝るところさえつくればいいじゃないかといったような意識、それから先ほども田中委員でしたかのお話にもあったわけですが、やはりそこで生活をして、子供を育てて、子供を教育して、せめて子供たちが大学に行くくらいまでそこで成長ができるというところでなければならないということを感じまして、宅開公団法案をつくるにあたりましては、そういういわゆるつとめ人だけの団地ということになりますと、いま申されたように、もう子供さんが一ぺんに生まれてくるということになるわけでありますから、やはり一つの団地の中には若い女性もおり、独身の女性もおり、青年もおり、また結婚したばかりの家族もおり、また、つとめて五年、十年、あるいはもう退職間ぎわの方もおり、退職した方もおる、そういう形での団地というものを考えていかなければいかぬのじゃないかということを、実は事務当局に指示をいたしまして、そういう面を十分考慮した上での住宅団地というものを今後建設すべきである、そうして、そこで安心して生活をし、子供の教育をし、家庭だんらんの生活をエンジョイしていくことができるようなふうに持っていかなければならぬのではないかということを、実はきびしく申しておるわけであります。御指摘いただいた点、全くそのとおりでございます。
  283. 中島武敏

    中島分科員 高島平の団地ですが、ここにはまだ計画がきまっていない土地があるんですね。これに対して住民のほうからずいぶん熱心に要望がありまして、私も、これはいまの保育園問題なんかを解決をするという上からいって、ぜひこたえていただきたいというふう思っているのです。単に保育園だけではなくて、児童館をつくるとか、あるいは学童クラブをつくるとか、幼稚園をつくるとか、図書館をつくるとか、老人センターもありませんからそういうものをつくるとか、集会室もつくるとか、団地がほんとうに住みよいところになっていく、入ってみてよかった、こういうふうなことのできる余地というものがあるならば、そういうふうに全部持っていく必要があるのではないか。その点では計画がまだきまっていない土地がありますので、ここはぜひ団地の住民が要望していることをいれて、住みよい団地にしていただきたいということを思うわけであります。この点について、総裁もよく御存じのはずでありますので、ひとつ御返事をいただきたい、これが一つであります。  時間が経過しておりますので、たいへん恐縮でありますけれども、ちょっとお許しをいただいて、なお一、二だけ簡潔に申しますから、お答えも簡潔にいただけばけっこうです。  団地の管理体制の問題についてなんですが、管理主任の受け持ち区域が非常に広くなりまして、現在三千戸に一人というような状態になってきている。このことで住民が非常に不便をしている。これなんかもきちんと改善しなければならない問題じゃないか。あるいはまた、団地の集会所の中にもっと電話などをつけるとかいうようにして、サービスをもっと向上させるというようなことであるとか、あるいは団地で、先ほどから申し上げておりますように、住民としっくりいくということのためには、自治会なんかが果たす役割りも大きいわけでありますから、そういう自治会の事務所をきちんと認めるとかいうようなさまざまな問題があります。こういう問題についてどういうふうに考えられるかということについてお答えを願って、私の質問を終わりにしたいと思うのです。
  284. 南部哲也

    ○南部参考人 高島平の一・七ヘクタールの空地でございますが、これはまさに将来どのような事態が起きるかという、われわれのやってきた計画のうちで足りないものをここで充足しようということで確保してあるわけでございます。したがいまして、この使途につきましては、いまおっしゃるように、住民の方々はもちろんでございますが、区のほうにも非常に意見がございます。そこで、現在のところは区役所のほうと、これをどういうふうに運用していくか、どういう建物をつくるか、どういう施設をつくるかということを協議中でございます。それによって、団地のみでなくて地区全体のために非常に有意義な施設にしていきたいというのがわれわれの念願でございます。  それから、いろいろな問題につきまして至らない点はいろいろあろうと思います。これは各団地団地によって全部違いますが、これらの点についてもできるだけのことはしていきたい。確かに、管理主任も三千戸に一人というようなことではどうにもならぬじゃないかという御指摘でございますが、私のほうも政府機関でございますので、御承知のように毎年人員の削減がございますので、なかなか増員もできません。そういう問題もございますし、できるだけのことはやっていきたいということで、実は大営業所主義に従来の営業所を切りかえていって、そうしてできるだけ管理主任の数を浮かそうというようなこともいろいろ検討しております。いろいろ至らない点につきましては、各自治会とも毎四半期、十分話し合って逐次改善していくということにいたしていきたいと思っている次第でございます。
  285. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて中島君の質疑は終了いたしました。  これにて昭和四十九年度一般会計予算及び特別会計予算建設省所管に関する質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、本分科会所属の運輸省所管郵政省所管及び建設省所管に対する質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  286. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十九年度一般会計予算及び昭和四十九年度特別会計予算運輸省郵政省及び建設省所管、並びに昭和四十九年度政府関係機関予算日本国有鉄道及び日本電信電話公社関係に対する討論採決は、先例によりまして予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  287. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の格段の御協力によりまして、本分科会の議事が終了することができましたことを厚く御礼申し上げます。  これにて第五分科会を散会いたします。     午後五時十六分散会