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大出分科員 そういう理解でけっこうだというお話でございますから、わかったことにいたします。
念のために一言つけ加えておきますが、実は一昨年になりますか、十二月に衆議院の選挙、私
どもの選挙がありました。その前に横浜市長が割り切って、いまお話の品鶴線を早く解決する、
輸送力の増強をまずはかるというふうに割り切った。とたんにたいへんな騒ぎが起こりまして、横浜市庁舎の前には天幕が張られる、すわり込みが始まるという騒ぎ。その前を、私は候補者でございますから宣伝車に乗っかって通ったら、社会党の
大出さんが来たという騒ぎで車はとめられる、みんなに取り巻かれるで、飛鳥田と
大出先生同罪だというわけで、ひどい目にあったことがある。選挙のさなかで、候補者ですから菊の花をくっつけているのです。だがしかし、それでもこの際その方々を説得しても
輸送力増強といわれる品鶴線というものを何とか決着をつけるという意思を横浜市当局は市長以下持った。今日に至っている。これはたいへんな苦労なんですよ。なみなみならぬことです、市長も選挙をやる人間ですから。だからそういう割り切り方をしているのですから、ひとつあなた方のほうでいろいろな問題をかかえているのも知っていますけれ
ども、いまお話しのように品鶴線の決着がつけば、いまわかったとおっしゃった点は、そのときになって違いましたとおっしゃらぬように、お進めいただきますように念のために申し上げて次の問題に入ります。あまり突っ込み過ぎるとまたいろいろなところで足が出ますから……。
次の問題は、横浜の港で昨年の九月の十九日だと思いましたが、リベリアの船籍になっておりますエバレットという船がございまして、
国鉄の貨車で運んできたコンテナだと思いますけれ
ども、運んでまいりましたものを、その横浜の港で荷役作業をいたしまして、船に積みつけをするという経路で、品物はさらし粉でございます。ところがこのさらし粉が爆発をいたしまして、六人のとうとい人命が一瞬にしてなくなった大事故が実は起こりました。こんな事故は、実は横浜港湾の事故の中でも、ぼりばあ丸の事件なりいろいろなのがありましたが、いきなり六人がぽんと死んだという二とは、かつてないんであります。この問題をめぐりまして、これはあらためて実は私の委員会等で承りたいと思っておりますが、とりあえず申し上げておきたいのは二点ございます。
第一点は、あれだけの事故が起こったんだが、それ以後、必要な所管の官庁それぞれが、私に言わせればほとんど何ら手当てを加えようとしない。やるべきことをおやりになっていないという気がするのであります。しからば、同じような品物であと一体事故が起こったらどうなんだという問題がございます。防災協会にまかしておけばいいという筋合いではない、あるいは倉庫業者にまかしておけばいいという筋合いではない。同じ形態で
輸送する限りは同じことが起こる可能性を持っているわけであります。
なぜそういうことを言うかというと、二点でございますが、時間がありませんから簡単に申し上げます。いろいろな官庁のあらゆる危険品
取り扱いに関する規則や法律の中に、さらし粉は爆発をするものであるという規定をして危険品の
取り扱いをきめている規則もなければ、法律も何にもない。こういうばかなことがあっていいはずはないのであります。
指摘をいたします。おたくの関係には危険物船舶運送及び貯蔵規則というのがございます。この危険物船舶運送及び貯蔵規則、
昭和三十二年
運輸省令三十号、この中どこを見ましても、確かにさらし粉は規定をされておりますけれ
ども、さらし粉が爆発するということはどこにも書いてない。はだで触れれば荒れますよということですね、簡単に申し上げれば。その
程度のことしか危険品の分類が行なわれていないさらし粉、次亜塩素酸カルシウム、つまり危険品であるという認識がたいへんに甘い、という以上にない。ここにメーカーから始まりまして、
輸送業者、ここが全くさらし粉に対する爆発の危険というものを頭から持っていない。ところが結果的に爆発をして——労働省をきょうは呼んでおりませんか、労働省あたりの言い分は、倉庫業者が悪いなんというようなことを言う。とんでもない話でありまして、私の調べる限り、倉庫業者等には何の責任もない。なぜならば、そういうことを言う労働省の労働安全衛生法に基づきましても——これは四十七年の法律五十七号であります。調べた限り、さらし粉の危険物としての指定さえない。三番目に消防法、
昭和二十三年法律百八十六号、ここにもさらし粉が危険物であるという指定は何にもない。四番目に、
国鉄の
輸送にかかわる、つまり受付から始まる
国鉄の
輸送形態があります。申し込みがあり記入があって——これは運送状でありますが、見きわめをして、送り方をどうするかということをきめて、おたくのほうはいろいろ手続をおとりになるのですが、この中に船内荷役料金表、ここにありますが、ここでもさらし粉は丙なんです。準危険物なんです。手が荒れる、この
程度のことしか書いてない。
そうなると、神奈川県警の科学実験班が——ここにございますが、神奈川県警の科学捜査研究所で、直径二センチの円筒の上に、アルミ箔で包んだごく少量の高度さらし粉を置いて、五キロの鉄のかたまりを五十センチの高さから落としますと——実験をやった、今度の問題で。さらし粉は炎を上げてピーっと吹き上げる。爆発を起こす。どういう形でやってみても、この
程度の圧力が加わればすべてのさらし粉が爆発をする。そのデータが全部県警の科学捜査研究所で実験の結果明確になりました。これは明らかにされました。
それから防災協会その他が中心になりまして、ドラムかんに入っていたものを、これを百万トンばかり検査をした。そうしたところが、おおむねその六割は不実品、パスしない品目であるというので、荷姿その他も、ふたがあいている、へこんでいる。
輸送してくる途中で何らかの圧力がすでにさらし粉の入っているかんにかかっている。六割メーカーに返送されまして、荷姿を全部やり直す。つまりそういう状況でいままで運ばれていたのでありまして、幸いに爆発事故がなかったというにすぎない、こういうわけであります。だから倉庫業者の責任を問うなどというのは全くもってのほかでありまして、ただ知っていたのはメーカーだけであります。東南アジアに、メーカーは
日本曹達でございますが、大量に輸出しております。殺菌その他に一ぱい使っております。大量に輸出しておりますが、過去に二十数回事故が起こっている。いるが、それが海外で起こっているのでありますが、人命にかかわる
程度の事故になっていなかったというだけで、いままでこの問題が表に出ない。
私が二つ申し上げましたように、関係の省庁がさらし粉ないし高度さらし粉というものについての危険品の扱いについて、関係法規はいま私が述べたとおりあるのでありますから、とりあえずそれに手を触れる。そして応急的にこういうことをしておけということをはっきりさせる。日常なお運ばれているのでありますから、ほかの
貨物と混載をさしておるのでありますから。混載についてもたいへん問題があることが、この科学捜査の結果明らかになっている。
建設業と並んで
日本の国内で一番事故の多いといわれる港湾作業の面で、こういうことは許されぬ。私も十一年間港湾作業というものと取っ組んでまいりましたが、これではならない、こういう気がいたします。昨年の九月以来今日まで、科学捜査の結果が出てもほっておくというばかなことはない。ならば、一体どうするかという手をお考えいただきたい。
もう一点、倉庫について、内陸あるいは海浜倉庫というものの監督行政を一緒にされたのはもう数年前であります。皆さんが私の委員会へ法案をお出しになった。このときに、危険品倉庫というものを一体いかに考えるかという質問を私は長くいたしました。そのときに皆さんは私の意見に賛成をされて、危険品倉庫をつくるについては補助金を出すという行政措置をおとりになって、今日に至っている。だが、横浜の鈴江組倉庫が危険品倉庫というものをこしらえるからといって、申請したのは一件のはずであります。なぜもっと全国に——新しい科学的な産業
分野が開けましたから、
一般にわからない形のままでどんどん危険品が内外ともに入ってきているのだが、それが
一般倉庫に混在している。危険品
取り扱いという形の倉庫はない。大横浜で、一カ所しかないところへ今度一カ所できますから、二カ所になるだけであります。ないのであります。そういう形ではたしていいか。実はここに重大な問題があります。だから、倉庫業者の責任を問うなどということではなくて、メーカーは一体どう考えるのだという点、そうして
運輸省という官庁は、この危険品が山のようにそこらに混在をしている現実にどう対処するかという点——まあ冷凍倉庫をつくって、冷凍商品の流通を少し円滑になんというようなことを考えられておられるようでありますが、それどころではない。人の命にかかわる危険品についての倉庫そのものを、倉庫行政の面で一体どう考えるか。倉庫の検査その他を簡略にするということだけやっておられて、そういう点をほっぽらかしておくというばかなことはない。
あらためて承りますが、とりあえずいまの二点についてどうお考えになるか、きちっとお答えいただきたいと思います。