運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-03-06 第72回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月六日(水曜日)     午後零時一分開議  出席分科員    主査 稻村左近四郎君       深谷 隆司君    細田 吉藏君       村田敬次郎君    阿部 昭吾君       芳賀  貢君   米内山義一郎君       岡本 富夫君    田中 昭二君    兼務 渡部 恒三君 兼務 井上 普方君    兼務 大原  亨君 兼務 金瀬 俊雄君    兼務 三谷 秀治君 兼務 坂口  力君    兼務 小宮 武喜君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君  出席政府委員         農林省畜産局長 澤邊  守君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸大臣官房会         計課長     杉浦 喬也君         運輸省海運局長 薗村 泰彦君         運輸省船舶局長 内田  守君         運輸省船員局長 住田 俊一君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       中村 大造君         運輸省航空局長 寺井 久美君         海上保安庁長官 佐原  亨君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      宮本 保孝君         大蔵省関税局監         視課長     本多 行也君         運輸省自動車局         整備部整備課長 浦野 力光君         日本国有鉄道総         裁       藤井松太郎君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         日本国有鉄道常         務理事     加賀谷徳治君         日本国有鉄道常         務理事     伊江 朝雄君         日本国有鉄道施         設局長     篠原 良男君     —————————————  分科員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   瀬戸山三男君     深谷 隆司君   阿部 昭吾君     芳賀  貢君   岡本 富夫君     田中 昭二君 同日  辞任         補欠選任   深谷 隆司君     瀬戸山三男君   芳賀  貢君    米内山義一郎君   田中 昭二君     岡本 富夫君 同日  辞任         補欠選任  米内山義一郎君     土井たか子君 同日  辞任         補欠選任   土井たか子君     阿部 昭吾君 同日  第二分科員井上普方君、小宮武喜君、第三分科  員渡部恒三君、大原亨君、三谷秀治君、坂口力  君及び第四分科員金瀬俊雄君が本分科兼務とな  った。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算運輸省所管  昭和四十九年度特別会計予算運輸省所管  昭和四十九年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算及び昭和四十九年度特別会計運輸省所管並びに昭和四十九年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  まず、説明を聴取いたします。徳永運輸大臣
  3. 徳永正利

    徳永国務大臣 昭和四十九年度予算大綱について、運輸省関係予算について御説明申し上げます。  初めに、予算の規模について申し上げます。  まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は八億九千九百五十五万円、歳出予算総額は、他省所管計上分四百三十二億四千百十五万円を含み六千三百五十七億二千四百五十六万三千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと、七百十二億四百九十一万四千円の増加となっており、一二・六%の増加率を示しております。  この内訳を見ますと、行政費では七百四十二億三千百九十七万八千円の増加公共事業費では三十億二千七百六万四千円の減少となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、木船再保険特別会計歳入歳出予算額は三億四千四百六十六万三千円であり、前年度に比較して九千四百五十八万五千円の減少となっております。  自動車損害賠償責任保険特別会計歳入歳出予算額は七千百四十三億九千百六十八万六千円であり、前年度に比較して一千三百五十八億四千九百七十七万六千円の増加となっております。  港湾整備特別会計歳入歳出予算額は一千八百六十三億五千二百六十五万七千円であり、前年度に比較して十一億六千三百四十三万三千円の増加となっております。  自動車検査登録特別会計歳入歳出予算額は百十四億八千九百二十九万八千円であり、前年度に比較して二十五億四千四十三万四千円の増加となっております。  空港整備特別会計歳入歳出予算額は六百九十九億三千四百五十万円であり、前年度に比較して二十三億一千五百四万九千円の増加となっております。  また、昭和四十九年度財政投融資計画中には、当省関係分として一兆六千四百九十八億円が予定されております。  昭和四十九年度予算におきましては、当省は、総需要抑制の方針にのっとり、鉄道港湾空港整備等長期計画進度調整をはかるとともに、公共輸送力確保対策物流対策安全公害対策等の諸施策重点を置いて運輸行政推進いたしたいと考えております。  第一に、全国新幹線鉄道等幹線鉄道網整備港湾整備五カ年計画及び空港整備五カ年計画は、進度調整し、事業重点的な推進をはかることとしております。  第二に、国民日常生活の足である公共輸送機関輸送力確保するため、地下鉄の整備ニュータウン鉄道建設等大都市交通対策を強力に推進するとともに、地方バス路線中小私鉄維持確保等地方交通対策を格段に強化するほか、主要交通拠点における物流施設整備等物流対策推進につとめることとしております。  第三に、交通機関の最も重要な使命である安全の確保をはかるため、自動車事故対策センターの助成、旅客船安全対策強化海上保安業務充実強化航空保安施設整備等陸、海、空各般にわたり、交通安全対策を強力に推進することとしております。  第四に、公害の防止と環境の保全をはかるとともに、台風、地震等自然災害による被害を最小限にとどめるため、航空機騒音対策自動車鉄道公害対策港湾環境改善対策海上公害対策等について強力に推進するとともに、海岸事業五カ年計画推進静止気象衛星業務整備地震火山対策強化等をはかることとしております。  以上のほか、海運船員造船対策観光レクリエーション対策等推進をはかる所存であります。  次に、日本国有鉄道について申し上げます。  新財政再建計画の第二年度である昭和四十九年度は、再建計画に従って工事費補助金等財政措置を予定どおり行なうとともに、物価安定のための緊急対策の一環として運賃改定の実施を六カ月延期することとし、これに対しましては、国の財政措置強化し、もって財政再建計画の円滑な遂行に支障のないよう予算を編成しております。  まず、損益勘定におきましては、日本国有鉄道工事費補助金九百五億円、財政再建債利子補給金三百六億円、特別利子補給金二百四十億円を含め、収入支出予算一兆八千五百七十六億円を計上しております。資本勘定におきましては、一般会計からの出資六百五十億円、財政投融資八千四百九十五億円を含め、収入支出予算一兆三千七十七億円を計上しております。工事勘定におきましては、収入支出予算七千三百四十八億円を計上いたしまして、山陽新幹線及び東北新幹線等建設大都市通勤輸送改善主要幹線輸送力増強保安及び公害対策強化、諸設備の合理化近代化等推進してまいりたいと考えております。  また、一般会計日本国有鉄道合理化促進特別交付金五億円を計上いたしまして、日本国有鉄道合理化施策促進をはかることといたしております。  なお、運輸省関係予算部門別重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十九年度運輸省予算説明及び昭和四十九年度日本国有鉄道予算説明によりましてご承知をお願いしたいと存じます。  以上をもちまして昭和四十九年度の運輸省関係予算についての御説明を終わります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 稻村佐近四郎

    稻村主査 以上をもちまして説明は終わりました。     —————————————
  5. 稻村佐近四郎

    稻村主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力賜わりますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行なわれますようお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  6. 芳賀貢

    芳賀分科員 この際運輸大臣並びに国鉄総裁にお尋ねいたします。  まず第一に、運輸交通政策面におきまして、最近の社会経済事情変化に基づいて、これに対応する政策変更あるいは国鉄としての輸送対策計画変更というものは、当然これはもう行なわれるべきだと思うわけであります。理由の一つとしては、昨年の石油危機が勃発いたしまして、結果的に石油関係の大幅な値上げ、高騰、この現象だけをとらえてみましても、結局運輸交通機関のこれはエネルギー源になるわけでありますから、結局これは当然輸送コストに大きな影響を持つわけであります。そういたしますと、全国的に生産される諸物資の、特に長距離輸送等については、コスト関係上、たとえばいままで相当大幅にトラック等中心とするそういう運輸機関に従来の国鉄貨物取り扱い実績が次第に移行しておったわけでありますが、今度は比較論からいうと、やはり国鉄輸送機関を利用した貨物長距離輸送というものは、輸送の的確とコストの面から見ても、国鉄輸送に対する依存度というものが社会経済事情変化によってどうしても増大するのではないか、こういう点は国民的な常識的な判断でありますが、これに対応して運輸省としても、あるいは国鉄としても、どういう具体的な政策上あるいは行政上の対応をするかというような点についてまずお尋ねいたします。
  7. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘の点は全く私、そのまま受け取っていかなければならぬと思います。それにつきましては、御指摘ございましたように長距離トラックにいままで依存しておったいろいろな物資を、省資源問題からも鉄道に切りかえていく、こういうことでなければなりませんし、それに対する受け入れも私どもも真剣に考えていかなければならぬと思いますが、さしあたりフレートライナー貨物列車のいままでの輸送余力を十分に活用する方向、あるいは拠点貨物のターミナルの設置とか、そういうものを整備いたしまして、御指摘のような線に沿って輸送体系というものをトラックから鉄道、こういう方向受け入れを今後進めてまいりたい、かように考えております。
  8. 藤井松太郎

    藤井説明員 大綱につきましてはただいま運輸大臣の御説明のとおりでございますが、御承知財政再建十カ年計画におきましても、重量貨物の中長距離に流れるというようなものは本来は国鉄がになうべきものでありましたが、それが諸種事情で必ずしもそうなっていないような面もございましたけれども、今回のエネルギーのショーテージというようなことに影響されまして本来の姿に返ってくるだろう。したがいまして運輸大臣がおっしゃいましたように、国鉄としては本来の使命に目ざめるとともに、そういったものを運び得る体制財政再建計画においても組まれておったのでございますが、これをより促進強化するという方向に向かって使命を達成したい、かように考えております。
  9. 芳賀貢

    芳賀分科員 ただいま大臣並びに総裁からきわめて抽象的な見解が示されましたが、具体的には、たとえば昨年、経済社会基本計画に基づく国鉄の五カ年計画あるいは十カ年計画を見ても、これは国鉄新幹線計画中心とした総体的な計画であって、結局はいままでの輸送実績等中心として、もう貨物輸送というものを全く放任する状態の中で、旅客優先の、しかも新幹線優先のそういう五カ年計画あるいは長期計画というものが策定されておるわけだ。これを根本的に改定するということでなければ、抽象的に、傾向はそうなるのでそれに全力を尽くしますといっても、計画そのものは、狂ったものをつくってあるわけだから、これは抜本的な訂正というものを行なわなければ基本的にはだめだと思うんですね。その点はどう考えておりますか。
  10. 秋富公正

    秋富政府委員 昨年御審議いただきました財政再建計画におきましても、国鉄貨物輸送ということにはきわめて重点を置いた次第でございます。すなわち複線電化といった旅客貨物に共通した以外におきまして、貨物のみにつきましても、十カ年間に一兆八千五百億という投資を計画いたしておるわけでございまして、これはただいま大臣が申しましたように、いわゆる国鉄貨物の中長距離大量輸送という特性を今後ますます生かしてまいりますために、拠点駅の整備あるいはフレートライナー増強、あるいは駅間の直行輸送、あるいはそれぞれの専用列車整備というような各般につきましての増強を考えておるわけでございます。  それから、ただいま御指摘のございました新幹線整備、これは同時に、従来の在来線は主として貨物輸送に転移できるわけでございまして、こういった意味から新幹線増強することは、在来線につきましてこれを貨物輸送あるいは通勤通学輸送に充てていくという計画でございまして、私たちとしましては、先生の御指摘貨物輸送増強ということにつきましては、今回の再建計画におきましても最も重点を置いた一つの事柄でございます。
  11. 芳賀貢

    芳賀分科員 そこで具体的に指摘しますが、たとえば北海道から東京を中心とした大消費地に対して、生産地から特に農林水産物資輸送する場合においても、一昨年あたりからだんだん国鉄貨物輸送というものは停滞現象になったわけなんです。ある場合には季節的な場合もありますが、最近は恒常的に貨物輸送というものは停滞しておる。滞貨しておる。これは国鉄においても否定できないと思うのです。こういう点については、特に生産地である現地においては相当の不満とか批判が出ておるわけですが、これに対して必ず国鉄当局あるいは政府においては、いや、これは最も大きな原因国鉄の職員である動力車労働組合国鉄労働組合ストライキ、あるいは順法闘争の結果としてこういう状態が生じておるということだけで、責任を転嫁しておるわけですね。それじゃストライキとか順法闘争がない場合には順調な輸送というものが確保できるかというと、そうではないんですね。本質的な滞貨あるいは輸送悪化原因というものがこれは当然あるわけです。それはやはり従来の五カ年計画あるいは長期計画における欠陥というものがそういう現象を生んでおるわけですからして、具体的に、とにかく産地において国鉄輸送施設を利用して新鮮なものを迅速に消費地に届けたいという期待にこたえるのが、これが国鉄の本来の使命だと思うんですよ。だからこの際率直に、たとえば北海道においてはどういうところに貨物輸送上の隘路あるいは欠陥があるかという点について、おもな点だけでいいですが、これはぜひ総裁から明らかにしてもらいたい。——総裁から言いなさいよ、こまかいところはあなたから……。
  12. 藤井松太郎

    藤井説明員 ただいまおしかりを受けた次第でありますが、私どもは必ずしも労働関係がうまくいってないからそういうことになっていると、こういう言いわけをするつもりはいささかもございませんが、昨年来ことしにかけまして、雪の関係がございましたり、それから北海道は御承知のように蒸気機関車ディーゼル機関車の入れかえの時期に来ておりますので、これが必ずしもスムーズにいかなかったというようなことがあって御指摘のような結果が生まれてきたというようなことがございまして、この点に関しましては極力努力を傾倒して、あるべき姿に持っていきたい、かように考えておりますが、なおその詳細に関しましては担当者からよく御説明申し上げます。
  13. 伊江朝雄

    伊江説明員 ただいま御指摘のとおりでございますが、一番ネックになっておるのは何だという端的なことでお答えを申し上げますと、一つには北海道という特殊な季節的な条件というものと、それから本土と海を隔てて渡っておる、青函連絡船を介在しまして貨物輸送をやっておる、この二点が一番大きな問題点だと思います。  そこで、まず現時点において、輸送が昨年来ずっと混乱をしてまいりました事情は何であるかと申しますと、先ほども先生から御指摘がございましたけれども、確かに労働組合ストライキあるいはサボ行為という問題もございました。それに伴うところの後遺症というものも、残っておった。それに、ただいま総裁がお答えしましたように、いまディーゼルを投入いたしまして蒸気機関車を置きかえるという計画をどんどん進めておりまして、各地の無煙化を進捗さしておりますが、この動力車の投入につきまして若干やはりエンジントラブルがあったというような事情がしばらく続いた。  それからもう一つには、御承知のとおり、倶知安あるいは北見地区の豪雪というものが続きまして、それで道内輸送停滞と、同時にまた、海峡の季節風あるいはふぶきその他によりまして青函運航回数が減った、こんなようなことから確かに御指摘のとおりの滞貨事情でございますが、これはこれからだんだんあたたかくもなりますし、それから先ほど申しました諸種の悪条件が逐次回復しつつございますので、先ほど来申し上げておりますとおり、中長距離貨物輸送使命の拡大ということに向かっては今後とも道内に特に注意をして対処してまいりたい、かように考えております。
  14. 芳賀貢

    芳賀分科員 きょうは時間が限定されておりますから、具体的な点は資料として、生産地帯である北海道国鉄に依存して輸送する希望の貨物の総数量ですね、これに対して現在国鉄の有する貨車輸送上の能力というものはどうなっておるか、それに対して季節的ないろいろな事情等によっての制約条件というものがマイナス要素に加わるわけですが、そういう点については具体的に正確な資料あとで、主査にお願いしますが、提出しておいてもらいたいと思います。  われわれが専門的な立場ではないが見ておりますと、とにかく北海道についても優等列車優先で、毎年春、秋のダイヤ改定が行なわれるわけであります。ですから、鉄道の動脈からだんだん分岐していくような線については列車運行回数が非常に制約される、あるいはまた、いままでの貨物取扱駅がどんどん合理化で集約されておるわけでありますから、特定の集約駅まで一たん輸送をしてそれから国鉄輸送路線に乗るということになるので、その間のロスが相当多い、非能率的な面があるということになるのではないかと私は考えておるわけです。それで特に北海道からの食料品輸送というものは、北海道食糧の基地であるというような位置づけも行なわれておるわけでありますが、そういう場合、特に食糧農産物等の場合においても生鮮食料品というものになれば必ず鮮度を保たなければならぬ、迅速に輸送しなければならぬ、そういう特殊の条件が伴うわけでありますが、昨年等においてもタマネギとかあるいはバレイショ等についても、相当現地において滞貨のために大事なそういう農産物が全く用をなさぬというような状態になっておるわけですから、こういう点は原因究明と同時に完全に国鉄においてそれらの物資輸送についても消化する、対応する、引き受けるというような、そうした具体的な計画というものを、これは明確に立てる必要があるのではないかと思うのです。それを明らかにすることによって、地方生産者あるいは国鉄貨物を委託する関係団体等においても、安心してやはりこれは国民国鉄を活用すべきであるというところにいくんじゃないかと思うのですよ。そういう点はどうですか。簡単でいいですから……。
  15. 伊江朝雄

    伊江説明員 おっしゃるとおりでございまして、一番問題になりますのはジャガイモタマネギでございます。残念ながら一月、二月は、ジャガイモについては計画の五〇%程度、それからタマネギについては五六%程度輸送でございました、先ほど申し上げましたような事情によりまして。今後は、特に三月でございますが、ホクレンあたりとよく相談いたしまして、出荷計画調整しつつ万全を期したいと思っております。ただ、ジャガイモ輸送につきまして非常に困っておりますのは、零下十度くらいになると凍ってしまうということで、荷主側の御要請で冷蔵庫を使ってほしい、つまり一定温輸送をやってほしい、こういう御要望がございまして、私どもコンテナあるいは有蓋貨車を用意したのでございますけれども荷主の御要望に合わないということで冷蔵車やりくり鮮魚列車やりくりとあわせてやっておりますものですから、その辺の調整を今後ともやってまいりたい、かように存じております。
  16. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは、ただいまのジャガイモあるいはタマネギ等のいわゆる生鮮食料品といわれる農産物資の実情についても、あとで一緒に資料として出してもらいたいと思うのです。  次にお尋ねしたいのは、これは前の磯崎総裁が副総裁時代から取り上げておった問題ですが、北海道で生産される生乳、これの国鉄施設を活用した長距離輸送の問題ですが、概括して申しますと、いま日本全国で一年間に生乳が約五百万トン生産されるわけです。五百万トンの乳が生産される。そのうち北海道が二八%の百四十万トン生産しておるわけです。その北海道の百四十万トンの用途別数量を申し上げますと、市乳で飲用する飲用向け生乳が大体全体の一五%、あとの八五%の数量というものは乳製品加工原料ということになっておるわけです。これは消費地生産地とのそういう距離的に遠隔の関係もあって、まことにこれは日本一おいしい良質な生乳が生産されるにもかかわらず、大消費地に供給することができない、そういう距離的な制約があるので、残念ながらほとんど大部分が乳製品原料にこれが使われておるわけです。これを打開するためには、やはり長距離輸送国鉄輸送施設を活用して完全に、たとえば牛乳列車ですね、そういう輸送編成をして、そうしてこれは毎日毎日計画的に一定量を持続的に供給するということが大事なわけですから、この問題を数年間煮詰めてきておるわけです。昨年も予算委員会を通じましてようやく国鉄当局においては生乳専用コンテナの建造をして、これを中心にして必要にこたえてそうして計画的な論送をしていく、そこまでは明らかになったわけですが、この際、もう一年間経過しておるわけですから現在のコンテナ中心とした専用生乳輸送施設がどの程度まで整備されておって、量的にはどういうような具体的な計画輸送に対応できるのかというような点とか、あるいは輸送費関係等もありますので、この際具体的な国鉄当局における準備の内容というものを説明してもらって、そのあとで、これはせっかく準備をしても、生産者あるいは政府関係では農林省において、それを十分積極的に活用するという体制が一方においてできなければ何もならぬわけですから、あと畜産局長のほうから供給面に対する具体的な説明をしてもらいたいと思います。
  17. 伊江朝雄

    伊江説明員 お答え申し上げます。  このなま牛乳専用冷蔵コンテナを、現在三十二個つくって持っております。それで、四十七年の十月から去年の十一月ごろまでの実績は、大体五トンコンテナで五百個ちょっと欠けます。それが実績でございます。今後の計画でございますが、実は先ほど申しましたように、輸送障害その他がございまして現在出荷はとまっております。しかし、三月になりましたら出荷要請をしたいと現地のほうも申しておられますので、それに対応する準備を進めておりますが、一番問題になりますのは、やはり輸送区間が長うございますので、大体牛乳の生鮮度からいいまして三日目輸送、つまり三日目には大消費地へ着くのだということが条件のように承っておりますので、現在、三日目輸送ということを原則にしてのライナー列車を育ててございまして、帯広からまっすぐ根室本線、室蘭本線を通りまして東京の隅田川に二十七時間五十分という超速度で到達しておるというような状況でございます。今後、御要望に応じましてコンテナの増便をしてまいりたいと思いますし、また、そういうことで現地の業界との御相談が現実に進んでおる、こういうことでございます。
  18. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 先ほど御指摘ございましたように北海道は酪農の基地で、牛乳生産の圧倒的シェアを占めるわけでございますが、加工原料乳の価格と市乳の価格が違いますので、できるだけ市乳化を促進するというのが酪農生産者のためにいいことはもちろんでございます。さらに、全国的な生乳、飲用乳の需給調整のバランスをとるということが望ましいことでございますので、御承知のようにホクレンと国鉄がかねて共同でいろいろ開発をされておるわけでありますが、先ほど先生指摘ございましたように、やはり敏速に運べるということと、定期的に必ず予定どおり着くということが先決になるのではないかというふうに思います。したがいまして、冷蔵コンテナにガス抜き装置をつけて試験をされてホクレンが一時使いましたけれども、いまのような点で問題がございまして、その後やめた。さらに昨年、一部につきまして札酪農業協同組合が同じコンテナを使いましたけれども、これも輸送事情等について問題があるということで、昨年九月以降やめておるわけでございます。われわれ聞いておりますところでは、東京まででございますが、国鉄を使う場合にはトラック輸送の場合の倍以上の時間がかかる、そういうことで、その辺が解決しないと国鉄を使った輸送促進できないのではないかというふうに思っておるわけでございます。  なお、御承知のように、農林省としましては特に飲用乳の足らない関西地区に対しまして北海道から長距離輸送をするということで濃縮乳の工場をつくり、大阪に送っているわけでございますが、これも国鉄を利用して輸送する場合とフェリーを利用する場合、これは大体運賃は同じようになっておりますけれども、やはり国鉄の場合のほうが若干時間がかかるというようなことがございまして、いまのところほとんどフェリーが利用されておるということでございますので、ただいま御指摘がありましたような点を何とか解決することによりまして、一般的に申し上げれば当然のことながら国鉄のほうが運賃は安くなる場合が多いわけでございまして、距離いかんにもよりますけれども、その点について条件整備していただきたいというふうに考えております。
  19. 芳賀貢

    芳賀分科員 この際、運輸大臣は内閣の一員ですから、政策的な面で申し上げますと、先ほど言ったとおり、一年間に全国で約五百万トンの生乳が生産されるわけですね。そのうち、用途別に見ると、五百万のうちの六〇%が飲用向けになっております。残りの四〇%が乳製品加工原料ということになっておる。価格面からいうと、乳製品加工原料生乳だけに対して、国が法律に基づいて価格の保証をやっておるわけです。そこで法律の、いわゆる行政価格によらない飲用乳の価格というものは、実勢価格で現在一キロ当たり八十二円程度で、これは生産者価格として取引がされておるのですね。それから加工原料乳については、毎年四月一日から一年間の保証価格を農林大臣が公表して実行するわけですが、現在実行されている価格は一キロ当たり四十八円五十一銭です。ですから、同じ生産された生乳の場合においても、一キロ当たりについておよそ三十二円程度の価格差があるわけです。同じ生乳で、用途が違うことによって一キロ当たりで三十二円程度の価格差があるわけです。ですから、地域的に言うと、北海道で生産される生乳の大部分は非常に価格条件の悪い加工原料乳ということになっているのです。この四十八円五十一銭という価格は、その価格で乳業会社に取引されるのでなくて、この価格のうちキロ当たり八円二銭は、いわゆる不足払いという形で政府から畜産事業団を通じて助成を行なうわけですからして、四十八円五十一銭よりもさらに八円二銭安いおよそ四十円程度が、全国の主要なる乳業会社が取引をする価格ということになるわけです。こういう点は、やはり日本の農業政策あるいは酪農政策または価格政策上重大な問題なんですけれども、残念ながら歴代の自民党内閣というのは、こういう大きな矛盾をかかえながら、結局この制度というものは大企業の利益擁護の形で運用されておるわけですから、せっかくの国の不足払いの支出も生産者には何らの恩恵を及ぼさぬということになるのと、もう一つは、政府行政価格のあるものは、農産物においても全部自由価格よりも価格が安いわけです、抑制しておるわけだから。こういう点については、三月の末にまた生乳の価格とか、あるいは豚肉を中心とした畜肉の価格というものを政府が決定するわけですから、所管が輸送屋の運輸大臣だからわしゃ知らぬということでなくて、こういう問題もあるということは、閣僚全部が常識的な問題として頭に入れておかぬとならぬと思うのです。そういう矛盾を打開する立場からも、もうヨーロッパ等においてはイギリスをはじめこういう国民食糧に必要な生乳輸送等については、一定距離以上の区間を輸送する場合においては国が何らかの形で直接、間接の輸送費の負担をして、そうして国民に対しては全国どこに居住しても低兼な価格で食料品の供給をするということをやっておるので、そういう政策面からもこの際、積極的に北海道において豊富な生乳が生産されておって、それがいろいろな障害で東京、大阪等の消費地国民に供給できないという問題があるわけだから、これを打開するのはやはり政府責任だと思うわけです。どうか重大な関心を持って、国鉄総裁においても、これはもう迅速に運輸政策の改革の中においてこういう問題も実行すべきであると考えますが、御所見はいかがですか。
  20. 徳永正利

    徳永国務大臣 私、ほんとうに申しわけないことでございましたが、牛乳価格、加工あるいは飲用にこれだけの開きが、こういうふうな内面的な要素を持っておるということを実は知りませんでした。申しわけないことだと思います。おっしゃるように北海道牛乳を、東京、大阪等に新鮮なものを運ぶ、しかも優秀なものを運ぶというのは、これはもう価格のいかんにかかわらず私ども責任でございますから、そういう点につきましては、鉄道はもとより海上輸送等についてもなお一段研究させてもらいます。私、御提言はいま二重まるをつけて必ずやってみます。できるだけやってみます。
  21. 芳賀貢

    芳賀分科員 総裁、何か御意見があれば……。
  22. 藤井松太郎

    藤井説明員 御所見に対しましては、その趣旨において大いに賛成で、私どものできることがあれば万全の努力をいたしたいと考えます。
  23. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて芳賀君の質疑は終了いたしました。  次に、米内山義一郎君。
  24. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 運輸省港湾局の関係にお尋ねします。  青森県のむつ小川原地域に大型の工業港湾をつくるということになっております。すでに運輸省ではその調査を進められておると存じております。そこで、調査のあらましと申しますか、大体どういう規模の港湾で、いつごろ着工していつごろ完成するのか、そのことを、まずあらましでけっこうです。今後調査というものはまだ続けられなければならないはずだと思いますが、現在の段階で、その調査の量を一〇〇とするならば、どの程度の段階まで調査が進められておるかということをお聞きしたい。
  25. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 先生のおっしゃいましたように、運輸省といたしましては、むつ小川原開発計画に伴いまして大型港湾建設するという方向での調査を実施しております。これは運輸省だけでございませんで、県と一緒になってやっているわけでございます。  御承知のように、むつ小川原開発計画につきましては、昭和四十七年に第一次基本計画を県が策定しておりまして、その中で鷹架沼とか尾駮沼を中心とする工業地帯をつくる。そしてそこに大型船の入港が可能な工業港を建設する構想である。これが県の構想でございまして、それに対しまして、政府といたしましてもその線に沿って各省が調査あるいは事業を進めるというような対処の方針を閣議で了解しているという次第でございます。  運輸省といたしましてはその後といいますか、それ以前からでもございますが、一応その地点における調査を実施しております。  その概要をちょっと申し上げますと、運輸省の調査は昭和三十九年ごろから始めておりまして、現在まで続いております。  調査費といたしましては、三十九年から四十三年ごろまでは百万ないし二百万、二百五十万という程度でございましたけれども、四十五年には一千万円、それから四十六年には二百万円、四十七年に五百万円、四十八年には八千万円という経緯でこの港湾の調査を直轄で進めております。それから並行いたしまして企画庁が中心になりますところの調査費がございまして、調査調整費といいますけれども、これにつきましては四十五年に六千三百六十二万九千円、四十六年には四千五百万四千円、四十七年には三千六百五十九万四千円、四十八年には一億一千二百五十八万四千円というような比較的大きな金額を調整費でいただいているわけでございます。そのほか、県の単独県費で四十五年から四十七年までにそれぞれ毎年五千万円程度の調査費を出しております。  これらの港湾関係の調査費の目的は、大体におきまして海象と申しましょうか、海の波であるとかあるいは水深であるとか、そういう海象調査、それから気象調査、これは風であるとかそういう気象の調査、そのほか土質の調査、それから地面のかたいところをボーリングなどいたしましてそういう調査をいたします。それから漂砂調査、漂砂がどうやって流れるか、それから普通は、一般の港をつくる場合には浅いところだけ、水深が二十メートル以内のところだけの調査でございますけれども、ここの部分につきましてはある程度思い切って深いところ、五十メートルとかそういうところの調査もしなければいけない、こういうことでございます。そのほか、もし海がよごれるとしたらどのように汚染が拡散していくかとか、こういう計算もしなくてはいけません。そのほか模型をつくりまして、模型実験もやっていく、このような調査を四十八年度までやっていたわけでございますが、これで当然完成するわけでございませんので、四十九年度、来年度におきましても調査を——今度は特に観測になると思いますが、観測を続けていきたいと思います。  それから先生のおっしゃいますように、全体を一〇〇としたらどの程度になるかという点はなかなかお答えしにくいのでございますけれども、いままでの調査の結果から判断いたしまして、港はここにつくり得るというような感じは持っているわけでございます。もちろん今後とも海象とか現地の情勢は常に把握していかなくてはいけないと思いますので調査は続けていく、このように考えております。
  26. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 私、なぜこういうわかり切ったことを御質問申し上げたかというと、実は港湾にあらまし予定されている地域に農林省関係の開拓パイロットの公共事業があったわけです。それはずっと継続されてきておったのでありますが、その中の一部分を県が昭和四十六年に、これが港湾に予定されている地域だから、この部分の農業公共事業は打ち切るという申請を農林省にしたわけです。そのとき、この港湾は四十七年には重要港湾の指定になる、それから四十八年には一部港湾建設工事に着工する予定だから農業の公共投資は二重投資になる、むだな無効投資になるからという事実があったわけです。私としては、常識上調査も済まないうちに港湾審議会に付議されるわけもないし、四十八年に着工になるはずもないと実は思っておったのですが、こういうふうな開発を進めるにあたって、こういう重要な一つのファクターというものがいろいろな形で公にうその宣伝をされるということは、これは将来港湾建設の上にも非常な地元民に対する不信といいますか、背信を招くことになる、そういう意味でお尋ねしたわけでありまして、よくわかりました。あとはもうこの関係の御質問はいたしません。その事情がわかればそれでけっこうです。  あと保安庁のほうに……。これは実は一週間ほど前に農林水産委員会で農林大臣にお尋ねしたことでありますが、青森県の北洋漁船が北洋でタラバガニをとった。そしてそれが九州の臼杵で海上保安庁に検挙された。三、四日前の新聞を見るとそれが送検になったというようなことを承知しておりますが、農林大臣は、そのことについて海上保安庁から何も報告を聞いておらないので答えられない、こういうお話でありました。そこで私は、すでに送検されたということでもありますし、その事実の問題をひとつお聞きしておきたいと思うのです。と申しますのは、この問題は、すでに現在進められておりますモスクワでの日ソ漁業交渉の中でも問題にされていると私は情報を受けております。非常に今後の日本の国際漁業に対して単純な問題ではないと思います。そこでお尋ねしたいことは、事実だけでけっこうです。どこからいつ何日に出航してどの海域にどういう航路をとって行った、それからこれは底びき船ですから、何日にどういう地点で網を入れたか、何回入れたか、そしてとれたけの漁獲——七十何トンと新聞にありますから、カニなどは尾数で計算できないでしょう。あるいはオヒョウもあったという話です。そういうふうな漁獲をあげてそして帰港するわけです。まっすぐに臼杵に行ったとは考えられない。どこへあげたらつかまらないだろうかということで歩いたはずなんですよ。そういうことは航海日誌あるいは漁労日誌等ではっきりしているわけでありましょうから、その点の概略をここでお尋ねしたいと思います。
  27. 佐原亨

    ○佐原政府委員 水産庁に連絡がないということでございますが、当庁で扱いますいろいろな密漁事件は年間非常にたくさんございますので、その一つ一つを水産庁に連絡はしていないと思います。本件もその一件であろうかと思います。  お尋ねの事実だけをお答えいたしますと、該当船は四十八年十一月二十三日八戸港を出港いたしまして——どういう航路を通って行ったか、ちょっとその経路は現在、私、つかんではおりませんが、同年の十二月三日から二十五日までの間、カムチャッカ半島の西方海域でまず操業をいたしました。それからさらに、十二月二十八日から三十日までの間は、今度は半島の反対側、カムチャッカ半島の東方海域に移動いたしまして、そこで操業をいたしまして、四十九年一月八日に大分県の臼杵港に入港しておる、こういう時日をたどっております。  それから、どのくらい操業したかということでございますが、全体で何回やったかはちょっと把握しておりませんけれども、投網回数は、概して申しますと一日に二、三回やっているという供述を得ております。  それから漁獲物の種類と数量でございますが、タラバガニ、アブラガニが約七十六トン、カレイ、スケトウダラ等が約八十トン、オヒョウが約一・八トンという事実を把握しております。
  28. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 以上でけっこうでございます。これ以上お尋ねすることはありません。
  29. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて米内山義一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、深谷隆司君。
  30. 深谷隆司

    深谷分科員 最近の新聞やテレビの報道によりますと、新幹線をめぐるトラブルが非常に多くなってきた。たとえば騒音公害とか、あるいはこれからできようとする東北新幹線、上越新幹線をめぐって、このルートでは困るとか、ここに駅をつくってくれとか、さまざまな問題が起こり、しかもそれがトラブルになっている。一体こういう原因はどこにあるとお考えか、まず伺いたい。
  31. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま新幹線建設につきまして、いろいろと各地で問題を起こしておることは先生指摘のとおりでございます。これにつきまして、まず地元におきましてはぜひ建設してくれという御要望が非常に強いわけでございますが、これを具体的に建設する際の問題について、いろいろと具体的に問題が出てくるわけでございます。現在、既存の東海道新幹線につきましては、これは私たち運輸省も、また国鉄当局も反省しておるわけでございますが、昭和三十九年に建設いたしましたときには、やはり安全ということと、それからスピードが速いということに非常に配慮したわけでございますが、当時は騒音だとかあるいは振動だとかいったいわゆる公害問題につきまして、十分の配慮をしてなかったという点につきましては私たちも反省しておるわけでございます。この点につきましては一昨年環境庁の勧告もございまして、現在国鉄におきましてはこの区間につきまして約八百億の予算も投入いたしまして、防音工事だとか、そういった音源対策工事を進めてきておりまして、これは大体四十八、四十九、五十年の三カ年で完成するわけでございますが、しかしそれによりましても、無道床鉄げた部分だとかあるいは地盤のきわめて軟弱な地帯におきましては必ずしも十分ではございませんので、さらに民家の防音工事、場合によりましては立ちのき補償といったようなことにつきましても、いま運輸省国鉄におきまして、鋭意具体的なその処理要領につきまして詰めておる段階でございます。
  32. 深谷隆司

    深谷分科員 いまあなたからはからずも、従来の新幹線をつくる場合に、たとえば安全性とかスピード性とか、そういうことばかりに力を入れておって、公害といったような問題についてはいささか配慮を欠いておったとおっしゃった。言いかえれば、地域住民に対する考え方というのは国鉄にない。国鉄は、たとえば日本列島の新幹線をつくる場合に、どこをどう走らすとか、どこに駅をつくるかとか、そういうことを技術面から、あるいは安全性やスピード性から、いわば机の上で線を引っぱっているんですよ。その地域にどういう影響をもたらすか、地域の住民が一体どういうことを要望しているのか、そういった面に非常に配慮が欠けておる。もっとはっきりいえば、国鉄は国家的な仕事をやるんだから、国の方針なんだから少しくらいの苦情があったってここに線路を通すのはあたりまえじゃないかといったような、いささか傲慢とも思えるような国鉄の姿勢に今日のトラブルの原因がある、私はこう考えるのですが、いかがでしょう。
  33. 秋富公正

    秋富政府委員 国鉄使命と申しますものは、やはり国家的に大きく見なければいけない、そういう面がございまして、たとえば新幹線でございますと、やはり曲線半径というようなものにつきましてもおのずからそこに制限があるということは事実でございます。また、やはりでき得る限りスピードを上げて主要駅を結ぶという新幹線使命というものもあるわけでございます。しかし、一方におきまして、やはり地元の住民の感情ということも、またこれは配慮に入れなければいけないことも御指摘のとおりかと思います。  今後の新幹線におきましても、駅の問題が出ましたが、そういった駅の既設の在来線の駅に併設するのがいいのか、あるいは全く離れた場所につくるべきかという問題が出てくるわけでございます。既存の駅に併置するということになりますと、やはり既存の市街地の中を入っていかなければいけないという問題が出てくるわけでございます。あるいは在来の駅と違うところにつくりますと、そこにアプローチをどうするかという問題が一方には出てくるわけでございます。こういった点におきまして、私たちは極力その地域地域におきます都市計画とマッチいたしまして、たとえば新幹線の両側に幅広く側道を設けまして道路と鉄道を併設をするとか、あるいは公園と緑地帯とかいったようなものと併置するとかいうような点につきまして、今後の新幹線につきましては、各地各地の都市計画との斉合性ということも十分配慮しながら進めてまいりたいと考えております。
  34. 深谷隆司

    深谷分科員 これから計画を実施しなければいけないのが東北新幹線、成田新幹線、上越新幹線、その他のこれからのものについてはそういう検討を与えるといったような言い方です。しかし、当面はこの三幹線が問題であるわけです。  たとえば、具体的に申し上げますけれども、四十六年の十月に新幹線のルート並びに駅が決定をいたしました。このときまでの経過をながめてみて、あなたたちは、地域の声を聞くという点について十分にやったとお考えになっておられるかどうか。
  35. 秋富公正

    秋富政府委員 東北、上越、成田三新幹線につきまして、いわゆる工事の実施計画運輸大臣が認可いたしたわけでございますが、それに先立ちましては、国鉄一つ計画をつくりまして認可申請を出したわけでございます。これにつきましては、その三線それぞれに非常にやはり駅の問題につきましても地元の要望が熾烈なものがあったことは事実でございます。各線区とも共通でございました。特に東北新幹線につきましても上越新幹線につきましても、各県におきまして、また各市におきまして駅の誘致運動と申しますものが非常に熾烈であったことは事実でございます。当時考えましたことは、やはり新幹線と申しますものは、その性格上おのずから駅間距離と申しますものには、在来線と違いまして制約があるわけでございます。これは東海道新幹線、山陽新幹線も共通しておるわけでございますが、大体駅間距離を三十キロということでつくってきたわけでございます。そのときに、同時に各地域におきますそれぞれの駅勢といいますもの、あるいは国鉄在来線あるいは他の交通機関との連絡、併合といったような問題、あるいは今後の都市計画あるいは地域計画といったようなことをいろいろと各方面から広く慎重に検討いたしまして、現在御承知のような駅も、工事実施計画の際に運輸大臣といたしまして認可した次第でございます。
  36. 深谷隆司

    深谷分科員 私は国家的な見地からあるいは広い範囲から、それから技術性の問題から安全性の問題から、後に時間があれば触れますけれども、そういう点から新幹線を検討するという考え方、これは当然だと思いますね。しかし、いまあなたが地域の意見も聞かなければいけない、これは大いに反省しておる、こうおっしゃったわけですから、その地域の声をどう聞いたかというのを、限られた時間ですから上野駅に限ってお尋ねをしたい、こう思うのです。  御承知のように、上野駅は九十年の歴史を持った日本の北の玄関口、利用者はたいへんな数です。どのくらいだと思いますか、いま現在利用者。
  37. 秋富公正

    秋富政府委員 四十七年度の実績でございますが、上野駅は乗降人員が一日に十七万六千名程度でございます。これは全国の駅で申しますと、新宿が一、池袋が二、東京が三、渋谷が四、大阪が五といったような順序からまいりますと、九番目の駅になります。
  38. 深谷隆司

    深谷分科員 いろいろな私鉄も含めた乗降客がいまの数字だとおっしゃるのですか。正確に答えてもらいたい。
  39. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま私が申しましたのは乗車人員でございますから、乗降となりますとおおむねその倍になると思います。
  40. 深谷隆司

    深谷分科員 私がここで申し上げたいのは、実はけさ来る前に上野の駅長に電話して、いわゆる乗りかえも含めた乗降客はどれだけかと聞いてきたのですよ。八十万と言っているのですよ。国鉄の皆さん方おえらい方が考える数字と現場の駅長と意見が違うというのはどういうわけですか。
  41. 秋富公正

    秋富政府委員 私がただいま申しましたものは国鉄のみで見たわけでございますので、そういう意味で、たとえば新宿でございますとこの際六十三万という数字でございますが、これは国鉄だけでございまして、いま先生がお話しのようないわゆるほかの交通機関の乗りかえ、そういったものを入れますと、いま駅長が申したような数字かと考えております。
  42. 深谷隆司

    深谷分科員 上野という問題東京駅という問題、新宿という問題を考える場合の利用客というのは、そういうあらゆる数も含めて上野駅に集中する、東京駅に集中する、そういう数で答えてもらいませんとかなり誤解を招きますから、よく御注意を願いたいと私は思うのです。  いずれにしても、九十年の歴史を持って、東北一帯から皆さんがいわば自分たちのふるさとの窓口として上野駅を使ってきたわけです。そして事業所、営業所は上野駅の周辺には膨大にあるわけなんです。そして四十四年から上野駅誘致の運動が始まっておりますけれども、現在二十四万をこえる署名が単に上野周辺の区だけじゃなくて、これを利用している人たちから集まってきているのですよ。こういうような地域の要請、沿線の要請、こういうものに対してどういうような説得なり協議なり地域の意見を聞くという点で、先ほどおっしゃられたから質問するわけですが、どういうふうにやってこられたのか。
  43. 秋富公正

    秋富政府委員 当時上野周辺の皆さま方から熾烈なそういった御要望があったことは、私も十分承知いたしております。東京都区内におきます駅をどこに設けるかということは非常に重要な問題でございまして、これにつきましては運輸省国鉄もいろいろな面から検討したわけでございますが、一つには、東北新幹線と申しますものは全国新幹線鉄道網の骨格をなすというものでございます。で、これは東海道新幹線とスルー運転をするということが、当時東北新幹線沿線の各地の皆さまからの熾烈な御要望であったわけでございます。  それから第二は、他の都市交通機関、地下鉄だとか私鉄だとかいったような交通機関との連絡の面からの利用者の利便の促進という見地から考えたわけでございます。  それからいま一つは、大きな問題でございますが、新幹線の駅をつくりますには相当な敷地を要するわけでございます。大体一万数千平米の用地を要するわけでございますが、この利用し得る用地をどうするかということが大都市におきましては非常に大きな問題でございます。で、この点につきまして、東京駅におきましては利用し得る国鉄用地が大体……。
  44. 深谷隆司

    深谷分科員 ちょっと。私の聞いているのは地域住民の声をどれだけ協議し、検討したかということを聞いているので、その技術問題については私あとで触れますから、聞いたことだけ答えてください。
  45. 秋富公正

    秋富政府委員 聞いたと申しますことは、私たちといたしましては、いまお話がございましたような多くの陳情書というふうなものは、国鉄運輸省承知いたしております。
  46. 深谷隆司

    深谷分科員 陳情書を受け取るだけが意見を聞くことじゃないですよ。こういうような構想がある、住民はどう考えるか、それについての議論をしたり協議をしたり、地域住民の声に耳を傾けるということを私は言っている。私は先ほどから、新幹線や並びに駅をつくるときに、住民の声だけ聞けとは言ってないんですよ。先ほど申し上げたように、国家的な見地とかあるいはその合理性だとかスピード性とか安全性とか、いろいろな面で検討しなければいけないが、そればかりで進んでいるきらいがあるから、地域住民の声を聞かなければいけないんじゃないですかと、こう言った。あなたはそのとおりだ、反省しております、地域住民の声は聞かなければいかぬと、こう言った。それじゃ具体的に上野の場合にはどうやって聞いたんですかと、こう聞いているわけですよ。
  47. 秋富公正

    秋富政府委員 私たちといたしましては、地元の声を聞くということは、やはり地元の公共団体の長から意見を聞くということでございます。
  48. 深谷隆司

    深谷分科員 それでは私、角度を変えて尋ねてみますが、この東北新幹線あるいは上越新幹線の線のルート、それから駅、こういうものについての具体的な、つまり詳細を検討し始めたのはいつだったですか。
  49. 内田隆滋

    内田説明員 四十六年の四月一日に整備計画が決定いたしまして、それから具体的な問題を検討いたしました。
  50. 深谷隆司

    深谷分科員 いま四月から具体的な検討に入ったとおっしゃいましたね。ところが、四十六年の四月二十二日分毎日新聞に、もう駅は東京駅にきまっているというようなすっぱ抜きの記事が出ているのですよ。そしてこの時点では、当時私は都会議員でありましたが、あなたは長にとおっしゃったが、都知事にも相談してないんですよ。それが証拠に、さらに六月の十九日には、常陸副知事が東京駅に集中するというのは困る、しかも東京に駅をつくる、東京に線が入ってくるというのに何の相談もない、けしからぬじゃありませんかと言って抗議に出かけているのですよ。長と相談したと、どうしてあなたおっしゃるのですか。
  51. 内田隆滋

    内田説明員 新幹線のルート並びに駅の決定、特に駅の決定につきましては、いわゆる地域同士の間のトラブルといいますか誘致合戦といいますか、そういうものが非常にあるあけでございます。したがって、われわれといたしましては公正な立場にある県知事の意見を聞くということで、各県とも内々意見を聞いております。  それから東京都につきましても、そういう意味では都の事務当局とは相談をいたしました。それで確かに都知事からそういう御回答をいただきまして、一点集中は困るということで、それに対しまして、いや、一点集中は考えておりません、東京と新宿という二点で考えておりますのでよろしくということで回答をいたしまして、東京都の事務当局といたしましてもそれでけっこうだということを、これは正式に御返事はいただいておりませんけれども、事務的にはそういうことになっております。
  52. 深谷隆司

    深谷分科員 私は当時の都議会の委員会でこれを問題にしているんですよ。そのときに都知事以下副知事も答えているんですよ。あなたのおっしゃるのと話は違うんだ。ここに同じく四十六年六月十九日の新聞の記事がありますが、要するに東京都に何の相談もなしにかってにいろんなことをきめている。この時点では東京駅ということがほぼきまったように喧伝されていたし、一流の新聞社もそう報道しておったんですよ。その報道が間違いだとおっしゃるのですか。新聞社が間違えた報道をしたとおっしゃるなら、これは重大なことですよ。そしてそういうことを踏まえて、六月の十八日に常陸副知事は国鉄に乗り込んでいっているんですよ。そしてそのときに集中は困ると言われた。あなたは分散を考えていますとこうおっしゃったが、当時の磯崎国鉄総裁の答えはそうではないんですよ。新幹線ターミナルの配置については現在検討中だが、決定にあたっては一応東京都の意見を聞きます、こう言っているんですよ。当時の国鉄総裁は、その時点では新宿などということはこれっばかりもにおわしていないんだ。話が違うじゃありませんか。
  53. 内田隆滋

    内田説明員 整備計画の決定にあたりましては、いわゆる東京から盛岡までということでございまして、どこに駅をつくるかというのはそれから正式に検討をいたすわけでございます。したがって先生のおっしゃられた時点では、新聞にそういうふうに書かれましても、運輸大臣の認可をいただいたときに初めて正式に決定になるわけでございまして、これは検討中の段階である。新聞報道がうそであるとは申しませんけれども、その段階では国鉄はターミナルについては検討中である。現に地方の駅等につきましては全然きまってないという実情でございまして、その時点で決定だというのは、新聞報道にどう出ているかわかりませんけれども、そういうことはございません。
  54. 深谷隆司

    深谷分科員 大臣にぜひ聞いていただきたいんですが、私は私に与えられた時間があと二分しかありませんから、これ以上質問を続けることは不可能なんです。そこで大臣に申し上げたいんですが、国鉄がこれから路線をつくる場合、国家的な視野や安全性や技術面から大いに検討されることは、これはもう当然なんです。私はそれまで住民の言うとおりにしろとは言ってないんですよ。それは住民エゴにつながりますからね。しかし、線路をどう引くか、駅をどうつけるかということはその地域の住民の死活問題なんですね。だからその声に耳を傾けて、地域住民にも血の通ったようなものを配慮に入れて計画を立ててほしい、こう言っているわけです。  ところが、いままでのお話を聞いてみると、上野の駅の問題についてはそういうような配慮はほとんどない。しかも住民に聞くんでは困るからということをおっしゃりながら、それじゃ長はどうかというと都知事にも相談をしていない、全く無視している。こういう状態のままで今日に及んでいるわけですね。  しかも、たとえば技術面でも私は議論があるんです。いままで国鉄が、われわれが陳情した場合にだめです、だめですと言ってきた具体的な例というのは、だめな例だけをあげているとしか思えない。たとえば不忍池に一大地下駅をつくることだって可能だし、在来線の一部を田端に回すことだって可能なんですよ。やろうと思う形でものごとを考えるか、だめですよという前提でものごとを考えるか、これは相当な議論の余地があると思うのです。  そこで、大臣の御意見を伺いたいのは、とにかくこういう問題が起こって、いま住民は工事を始めるならばすわり込みも辞さない。成田の二の舞いくらいやってみせるぞと意気込んでいるわけですよ。このままの状態ではとてもできない。そこで、たとえば公聴会のような形とか、あるいは東京都とか台東区とか、その他の関連の地域の代表とか、いろんな形で意見を交換して、認可がおりたものをもう一度ひっくり返すというのはなかなか困難かもしれませんが、しかしそういうような形で地域住民の声を吸い上げる、場合によってはわかってもらう、そういうような努力は必要ではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  55. 徳永正利

    徳永国務大臣 四十六年の十月十四日に認可しているようでございます。問題は、ここまでのいきさつがいまいろいろ問題になったわけでございますが、おっしゃるように、いろんな駅等については、地域住民としては重大な関心があるのは、これはひとり上野ばかりではなくて、いままでどこの駅だっていろんな問題、要望があり、それを調整しつつやっているわけでございます。決定されたものをいま直ちに、公聴会をいまから開き直すというようなことが適切であるかどうかということは、これはちょっと私は考えさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、私もこの陳情は聞いたことがございます。そのときにも、決定したことで非常に困難だ、非常に困難だが、何とか御了解を得なければならぬという程度のお話しかしておりませんけれども、いずれにしましても、やはり地域住民の皆さん方の御納得をいただくような方法をとりませんと、現実にものが動かぬということになるわけでございますから、その点については今後とも努力してまいりたいと思います。
  56. 深谷隆司

    深谷分科員 どうぞひとつ国鉄当局も、そのような大臣の趣旨を体してできるだけ御配慮ください。ありがとうございました。
  57. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて深谷君の質疑は終了いたしました。  次に、渡部恒三君。
  58. 渡部恒三

    渡部(恒)分科員 ただいま深谷代議士から、東北新幹線の上野駅設置について非常に熱心な質問があったのですが、東北新幹線沿線の地域住民にとっては、東京駅か上野駅かいうことに対する関心もたいへん深いのでありますが、それ以上に大きな関心は、一体予定どおり、計画どおり新幹線が東京に入ってくれるのかということなんです。これは、鉄道とは別ですが、かって美濃部東京都知事が、高速道路は東京都内に入れないという表明をしたことがあります。このくらい東北地方の人間の心をさかなでした発言はありませんでした。いわば日本という国は一つのからだである。そのからだの心臓が東京であるとするならば、東北地方あるいは北陸地方、九州といったものは手足であります。一体で動かなければならない、ところが東京都が地域エゴを主張して、自分らの都合だけしか考えない。それなら東京は東北の雪の深い地方の水を持ってきて暮らしているのじゃないか、奥会津の雪の深い地域から出た水からとれた電気で暮らしているじゃないか、それなら東北地方から東京に電気も送らない、米も送らなくていいのじゃないか、そういうような考え方が国内にあらわれてきたら日本の国というものは崩壊してしまう。都市も農村も一体である。お互いに助け合って生きていかなければならないのですが、ところがそういう表明があって、東北地方の人たちの心をさかなでしてしまった。その後、聞くところによると、東北新幹線も埼玉県周辺の用地買収が思うように進んでいないとか、あるいは地域の自治体の協力が得られないということで、計画どおり進まないんじゃないかというような、非常な心配を東北地方の者は持っておるのでありますが、この際大臣に、計画どおり必ず実現できるのか、またいまの都市周辺の用地買収等の進捗状態はどうなっているのか、明快にお聞かせをいただきたいのであります。
  59. 内田隆滋

    内田説明員 東北新幹線につきましては、先生指摘のとおり、埼玉以北におきましては非常に皆さんの協力を得まして順調に工事が進んでおります。問題は埼玉並びに東京都におきまして、これは主として新幹線による騒音公害の問題が主体でございますが、非常な反対がございますのは事実でございます。しかし、われわれといたしましては、決定につきましては、いま深谷先生から御指摘ございましたけれども、決定後われわれの方針なりあるいは工事の施行方法並びに地域の環境との調和というようなことにつきまして、十分な話し合いをして協議を進めている段階でございます。これは非常にたいへんな問題でございますが、われわれといたしましては話し合いがつきさえすれば、現在の段階において五十二年の春の新幹線の開業には間に合うというふうに考えております。今後ともそういう努力を続けてまいるつもりでございます。
  60. 渡部恒三

    渡部(恒)分科員 非常に困難な障害はあるが、計画どおり必ず用地買収をなしとげて、開通させられるというふうに解釈してよろしいですね。
  61. 内田隆滋

    内田説明員 そのとおりであります。
  62. 渡部恒三

    渡部(恒)分科員 いま深谷代議士から駅の問題があったのですけれども、東京台東区地区の国会議員の先生方も非常に心配され、深谷代議士あるいは山田久就代議士等、熱心にこの問題に取り組んでおられますが、きのう山田代議士から私こういう資料をもらってきたのです。東北上越新幹線上野駅誘致期成同盟会の人たちが、新幹線上野誘致に関する要請について、四十八年十二月八日に総理大臣に陳情を行なった。その際、総理大臣は——これはいろいろあれしてますが、要点だけにします。上野公園の地下を深く掘って利用するよう考えてみてはどうか、この場合都知事の反対が考えられるが、了解が求められると思う、列車のスピードは、東京−上野間は徐行でもよいのではないか、上野駅の立体的な利用を考えてみてはどうか、とにかく計画決定まで時間がかかるかもしれないが検討してみよう、こういうようなお答えをいただいておるということを聞いたのですが、こういう総理の意向というものをあなた方は考慮して、駅の決定に当たったのですか。
  63. 内田隆滋

    内田説明員 東京駅決定の理由は、先ほど監督局長からお話がございましたのでなにしますが、上野駅に駅をつくることにつきましては非常に広大な用地が要る。われわれとしては、なるべく国鉄用地の中でこういうようなものを解決していきたいという考えを持っておりましたので、そういうことで東京駅に決定をしたのが大きな理由でございます。これを上野駅でやるといたしますと、たとえば上野公園を全部、相当広大な面積をほじくり返す、これは工期が約二年ないし三年かかりますので、その間上野公園は全く使えないという状態になりますし、あるいはまた、それならば現在の上野駅と御徒町の間につくるといたしますと、これはもう御承知のように全く繁華街でございまして、この土地を相当程度いただくということになりますと、上野の町の発展というものに非常な阻害を来たすというような問題がございまして、事実問題としては不可能であるということがあることを考えまして、上野駅計画というものはあきらめたというのが実情でございます。
  64. 渡部恒三

    渡部(恒)分科員 時間が来てしまったのでたいへん残念ですが、これは東北六県の地域住民にとっては将来の生活設計にとってたいへん大きな問題ですから、しつこいようですが、最後に大臣からもう一言お答え願いたいのです。いま政府関係者から説明があったようにいろいろな困難な障害はあるが、計画どおり新幹線を開通させるというふうに私ども信じてよろしいですね。大臣のお答えをいただいて、終わりたいと思います。
  65. 徳永正利

    徳永国務大臣 総需要抑制の立場から予算等におきましても、当初御説明申し上げましたように、いろいろな制約が出てまいってきたわけでございます。したがいまして、いろいろな困難が一段と本年度におきましてもすでにあるわけでございますが、今後の経済の推移というものが一つ大きな問題になってまいりますけれども、今日の時点におきましては、いま国鉄からお話し申し上げましたように、たとえば、一ぺんに人間がかかっても仕事ができぬようなトンネルだとか橋だとかいうようなところを、今年そういうような抑制の段階でひとつやっていく、いろいろなくふうがあろうと思います。くふうがあろうと思いますが、いままでの予定どおりにこれを完成させるという熱意とそれから計画には、ただいまのところそういうことで進めておる次第でございます。
  66. 渡部恒三

    渡部(恒)分科員 ありがとうございました。
  67. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて渡部君の質疑は終了いたしました。  この際、午後二時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時三十三分休憩      ————◇—————    午後二時四十三分開議
  68. 稻村佐近四郎

    稻村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。三谷秀治君。
  69. 三谷秀治

    三谷分科員 国鉄総裁にお尋ねしたいと思いますが、時間がありませんから簡潔に要約してお尋ねしますので、お答えもそのようにお願いしたいと思います。  先に一つ事実関係につきましてお尋ねしたいのです。仙鉄局発行の「文芸年度賞入賞作品集」「せんてつ」が四十七年の三月三十一日に発行されました。職場に配布されました翌日、当局によって回収されました。それ以後十一月三日まで所在不明になっておる、こういう事実がありましたのは認められますか。
  70. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 ただいまの問題につきましては、そういう事実があったというふうに認められます。
  71. 三谷秀治

    三谷分科員 この「文芸年度賞入賞作品集」というのが発行されましてから一年四カ月経過しましても、入賞者にも選者にも掲載誌を渡していない、原稿も返却していない、これも間違いありませんか。
  72. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 そのとおりの事実になっております。
  73. 三谷秀治

    三谷分科員 小説の選者久保田正文氏でありますが、四十八年の七月二十六日に仙鉄局長あてに照会をされております。その内容は、作品の選考は終わったが、選評も入選作品も一年半にわたって発表の有無さえ知らされず、行くえ不明になっておる、言論、表現の自由に対する抑圧あるいは阻害の状況にある、そこで経過を報告してほしい、選評原稿を返してほしい、こういう趣旨のものであったわけでありますが、これも確認されておりますか。
  74. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 確かに選者からそういうお問い合わせがございまして、そのときに選評を書いた原稿も選者の希望どおりお返ししております。そのときに、ただいまお尋ねのありましたことにつきまして、私どものほうの考え方と申しますか、それは選者に局からこちらの事情説明した文書をお返ししているということでございます。
  75. 三谷秀治

    三谷分科員 これに対して八月六日に、仙鉄局総務部厚生課長今野晴夫氏から、管理上時期的に思わしくない点もあって、職員に配布しておりません、選評については従来から返していないが、特に要望があるので返却すると答えております。このことをいまおっしゃったわけですか。
  76. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 その事実につきましては、中間におきまして厚生課長、これはそういったレクリエーション関係の担当課長でございますから、口頭ではそういういきさつもあったかもしれませんが、私がただいま申しましたのは、仙台管理局としてのその選者の問い合わせに対する正式の返信としてそういうふうに言ってあるというふうに申し上げた次第であります。
  77. 三谷秀治

    三谷分科員 いまお尋ねしましたのは、返信としてこういう文書をお出しになっておりますかとお尋ねをしたわけであります。口頭ではありません。ここに文書があります。その内容はそういうものになっております。この点は間違いがあるわけですか。
  78. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 いまその内容につきましては、先生のお手元にあるそれはわかりませんが、こちらで御返信に書いて差し上げましたものの内容を申し上げますと、選者の御質問に対して、いろいろこういった現場に配布していない事情その他につきましてのいきさつの連絡に欠けておったという点については、一応謝罪の意を表しておりますし、それから選者から選評についての原稿を返してくれということに対しては、すぐにお返しいたしますというような大体内容の返事になっております。
  79. 三谷秀治

    三谷分科員 手紙の原文をここに持っておりますが、おっしゃるような内容と違います。これは管理上時期的に思わしくない点があって、職員に配布しておりません。そして、原稿につきましては、特に御要望がありましたので同封いたします。こういう内容になっております。  そこで、この回答は八月六日ですけれども、回答がたいへんおそくなりましたから、久保田氏は日本文芸家協会に経過を報告しました。選評原稿も入選作原稿も掲載誌もともに行くえ不明になっておる、全く抹殺された状態になっておる、明白に言論、表現の自由に関する抑圧、阻害であるとして提訴されております。そこで、日本文芸家協会が八月二十一日に、理事長山本健吉氏名で仙鉄局長鈴木秀昭氏あて詰問状を出しておる。  その内容というのは、選評は入選作品と一体として公表されるものとして執筆しておる、選者の識見を示すべき労作である、応募者もまた入選により公表を予定して応募したものである、仙鉄局が発行者であるとしましても、外部に選者を依頼して広く管内に作品を募集した以上は、企ては公的な性格を持っておるものである、当局の一方的な都合による処置は許されない、それをほしいままに公表を中止することは、選者——作者も含むわけでありますが、それに対する不信行為である。また選者、作者の言論、表現自由の権利の抑圧である。そこで依然として選評、入選作の発表をされました「せんてつ」を配布する意思はないか。今日まで配布しなかった理由は何か。今日まで一年半経過しまして各選者に掲載誌も配布していないことについて何の説明も連絡もしていない理由は何か。この三点を文芸家協会が仙鉄局長あてに質問をしております。これは間違いありませんか。
  80. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 その後文芸家協会からそういう質問が来ておることは事実でございます。それに対しましても、仙台の管理局長としてその問題についてお答えしているわけでございまして、原稿その他につきましては……(三谷分科員「いまお尋ねしたことだけ簡潔に言ってください。そのあとのほうはまたあとでお尋ねしますから」と呼ぶ)原稿返済の件につきましては、大体いつもの慣例に従って、一応選も終わり、その雑誌に掲載するというような形をとったあとでお返しする。また……(三谷分科員「そこはお尋ねしてないです。そういう文書が来ましたかと言っておるわけですから」と呼ぶ)ええ、来ております。
  81. 三谷秀治

    三谷分科員 そこで、これに対して仙鉄局が八月二十八日に総務部長井手正敬氏名で回答されております。その内容というのは、文芸年度作品集を配布していないのは、仙鉄部内の諸般の事情から見て配布が管理上時期的に思わしくないので配布していない、適当な時期に配布する、掲載誌はそのとき送る、こういうものでありました。これが仙鉄局長の回答でありましたが、これは間違いありませんか。
  82. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 回答の中にそういうものも含まれております。これは部内で意思の疎通をはかるための部内誌でございまして……。
  83. 三谷秀治

    三谷分科員 部内誌の性格を聞いておりません。そういう文書が来ましたかと言っているんです。聞かないことを言ってはだめです、時間がないのですから。
  84. 稻村佐近四郎

    稻村主査 加賀谷常務理事に申し上げます。的確簡潔にお答えください、持ち時間の制限がありますから。
  85. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 返答の中にそういうことも一部含まれたものを出しております。
  86. 三谷秀治

    三谷分科員 そういうものが含まれたんでなしに、全文がここにあります。その全文は、要約しますとこういう内容のものなんです。ほかには格別ありません。  それから、この経過を見まして運輸大臣国鉄総裁にお尋ねしたいのでありますが、この回答で事情が少しでも理解できるでしょうか。諸般の事情、管理上時期的に思わしくない——抽象にすきないわけです。配布しない理由がこの文章では少しも理解できない。しかも「せんてつ」のどの部分が思わしくないのか、どの部分が管理上思わしくないのか、そのことを一つも示していない。そういう抽象的な表現だけで文書が文芸家協会にも作者にも出されている。こういう返書というものが相手に対する侮辱であると思われないかどうか、お尋ねしたい。
  87. 藤井松太郎

    藤井説明員 雑誌「せんてつ」に関しましていろいろ問題を派生しているわけでございます。端的に申しまして「せんてつ」というのはレクリエーション雑誌であって、局が編集して職員にこれを配るという雑誌でございますが、たまたま御承知のように、不幸な事例なんでございますが、マル生運動というようなものが起こって、これをいかにして……(三谷分科員「マル生運動につきましてはあとでお尋ねします。いまの経過から見てこういう文章が失礼に当たりはせぬか、こう聞いたのです」と呼ぶ)必ずしも私は失礼だと思いません。
  88. 三谷秀治

    三谷分科員 大臣はどうですか。
  89. 徳永正利

    徳永国務大臣 私、いまのやりとりを聞いて、あまり前後の内容、当時の内容等がわかりませんもので、的確なお答えはいましかねますから、もう少しつまびらかになってからお答えさしていただきたいと思います。
  90. 三谷秀治

    三谷分科員 そこで、十月十八日に文芸家協会は国鉄総裁藤井松太郎氏に質問書を出しております。これは仙鉄局長の非礼きわまる態度に対して、理事会の決定に基づいて国鉄総裁自身に回答を求めたものであります。その内容は、国鉄は上記の責任をどう考えるか、上記の非礼を正当と考えるか、そういうものであります。これは確認できますでしょうか。  これに対して十一月八日に国鉄総裁藤井松太郎氏から日本文芸家協会理事長山本建吉氏あての回答がありました。その内容は、配布を取りやめたのは管理上の都合から一度見合わせたものであって、近々配布するどのことである、失礼をわび、御迷惑をわびる、こういう内容になっている。あなたは、文芸家協会が、この仙鉄局長の非礼に対してこれを指摘してあなたに回答を求めたものに対しては、非礼をわび、失礼をわびる、こうおっしゃっている。いま、いままでのいきさつを確認をしていただいて、これについてどうお考えかと言えば、それは何も非礼ではない、こうおっしゃっている。これは文書とあなたの答弁とどちらが真実なんですか。
  91. 藤井松太郎

    藤井説明員 その内容が適切じゃなくて押えるとか押えぬとかいうことになれば、この選者に対しましても御理解を得て、しかるべき後にそうするのが常識論であって、それを、いろいろな事情があって十分な手を尽くさなかったということは、はなはだ申しわけないのでおわび申し上げます、こういう意味でございます。
  92. 三谷秀治

    三谷分科員 そこでこの内容をなぜ配布しないかという質問に対しては、きわめて抽象的に、管理上の都合、こうおっしゃっている。そういうことでは事情がわからないから、非礼である、失礼である、こういう指摘もしているわけなんです。依然としてそこのところは触れないで、とにかくそれじゃ配布をするというお答えになっておりますけれども、その理由というものが一つも明らかになっていない。それから、なぜどの部分がそうなっているのか、それも文書の往復によりましては明らかでない。そこで、非礼であるといって文芸家協会があなたに対して直接質問状を出したわけなんです。それに対して、失礼をわび、御迷惑をわびるとおっしゃっておりますけれども、そうしますと、その理由につきまして明らかにしなかったことについてわびたわけではない、こういうわけですか。
  93. 藤井松太郎

    藤井説明員 当時、御承知だろうと思いますが、マル生運動のあと、後遺症の治療策に労組も私どもも一生懸命になっておった時代でございまして、そのときにそういう作品があらわれるということは、内部の機関誌である関係もあり、時期的に適当でないという判断をいたしましてそれを押えたということで、その内容がどうこうということは、この作者自身は十分御承知のはずでございますし、あえて言えば、選者にこういう事由でもって押えましたということを、懇切におわびしなかったということに対しましては遺憾であるからあとでおわび申し上げた、こういうことでございます。
  94. 三谷秀治

    三谷分科員 マル生運動が起きておった当時だから、管理上思わしくない、それならそのように明確におっしゃることが必要なわけです。そうしますと、あの「せんてつ」の中のどの部分が思わしくないのか、そのこともわかるわけであります。いままでの文書の往復によりましてはその点は少しも明白ではないわけです。  そこで、お聞きしますけれども、回収されましたときには印刷ミスという名目で回収されました。配布しました翌日回収されました。これは配布されまして回収するまでの間は一日ですけれども、この間に何かそういう判断の問題が新しく起きてきたのかどうか、これをお尋ねしたいと思います。
  95. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 ちょっと質問の意味が、一日で……。
  96. 三谷秀治

    三谷分科員 先に配ったのでしょう。そういう問題があれば初めから配らぬでいいわけですが、配ったわけですね。そして一日で回収された。それはなぜかと聞いている。
  97. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 できた雑誌につきまして、その時点においては現場に配布することが非常に適当でないという判断はしておったわけですが、多少手続の行き違いで、現場へ行ってしまったというようなものもあるわけで、それは初めからそういうつもりでございますので回収したということでございます。
  98. 三谷秀治

    三谷分科員 いまのお答えで明白なことは、この「せんてつ」の中にマル生運動を書いた文章が載っている。おそらく一位入選しました「いぬ」でしょう。これはマル生がストーリーになっている。そこで回収された。それを今日、文芸家協会の抗議によりまして一年七カ月ぶりに配布された。その配布されましたのはどういう判断によるものでしょうか。抗議があって社会問題になってきたから配布する、こういうことなんでしょうか。
  99. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 その時点におきまして、ただいま総裁も言いましたように、現場の事情一つの正常化というようなことで労使双方努力していた時代でございますので、その間に、われわれこの雑誌も管理上の都合でいろいろやっておるわけでございますから、せっかくそういったものがかえって双方に誤解を招くというようなことは芳しいことではないという判断でやったわけでございますが、その後落ちついてまいりました現場その他全体の事情からいたしまして、もう配布しても差しつかえないというような判断に基づいてやったということでございます。
  100. 三谷秀治

    三谷分科員 この文芸作品というものが特定な選者を選びまして、その選者の責任においてこれを選考する。その選考というものは、一つの企業や団体のいろいろな考え方とは別に、文学的な評価によってやっていくものであって、そもそも文芸とか芸術とかいうふうなものはそういうものなんですよね。あなた方は、久保田正文先生に選者を依頼されたのです。久保田さんに対する信望というものが応募作品というものになってあらわれてくるわけなんです。  そこで、この文芸作品の評価というものは、その作品の芸術性だとか、あるいは真理性にあるわけでありまして、それは読者みずからが判断する問題なんです。それを甘受する問題なんです。あらかじめ管理上の尺度でそれを評価したり、選別するという考え方は、これは翼賛文集をつくるだけのものであって、真理だとか真実を表現する文芸に値するものではないわけです。  あなた方は、そういう管理上どうとかこうとかいう考え方自体、そもそも文学とか芸術というものに対する厳正な評価ができない、そういう考え方をお持ちになっております。そういう考え方でいきますから、こういう言論や表現の統制めいたものが発生してくる。これにつきましてはどうお考えなんです。
  101. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 先生の御指摘の点はわかるのです。私どもも選者の選びました意思は全部尊重して、これは一等、二等というふうなのをつくるのですが、これが一番だというのには一番だという評価をして、それぞれのあれをやっておるわけです。  ただ、私どもとしましては、管理の足しにできる、広い意味でのレクリェーション的な、職員の意思疎通に使うというようなことでありますので、そういうものの配布の時期とかなんかにつきましては、これは管理局長の自由裁量においてやられるものであるというふうに私は思いますので、先生のおっしゃるように、選者に対するそういうかってな、恣意な判断をしたわけでもありませんし、それから書いた人について、これを外部へ発表してはいかぬとかなんとか、そういうような強制をしたわけでもございませんので、そういう点については何ら差しつかえないと私は思います。
  102. 三谷秀治

    三谷分科員 作品の素材にマル生が登場するのは国鉄労働者の場合当然のことなんです。現に同じ作品集の中に「発車オーライ」という佳作があります。この佳作を読みましても、ローカル線の小駅の六人の駅員のうち鉄労に二人、国労に二人、駅長、助役が非組合員である。駅長のむすこが動労である。国鉄の組織分裂の状況が背景として登場してくる。これは当然のことなんです。ただこの作品が、人間そのものの具象化が足りないために「いぬ」に及ばなかった、それだけのことです。ですから、マル生というものが国鉄労働者に対して重大なショックを与えている。七人も自殺者が出ている。そういう客観的な事実が存在します限り、それが国鉄労働者の文学作品にモチーフとしてあるいはストーリーとして登場するのは当然のことであって、募集する限りにおきましては、そういうものが登場しないというふうな考え方自体が間違っておるわけです。そのものがどういう背景をここに設定しましょうと、要するに登場します人間がどれだけ真理真実というものを具象化しているか、そこで文学作品の評価はきまってくるわけです。  ですから、あなた方のように、これが管理上どうだろうかこうだろうか、そういう考え方を持つこと自体が、文学、芸術というものに対する無理解を示している。だからこれは選者にはあやまったとおっしゃっている。作者にはどうなんですか。この雑誌を見ますと、いろいろなものを、百人近くの労働者がここに掲載をされている。この人たちは発表されることを予定して応募したのです。それが何の理由もわからないままで発表誌が行くえ不明になってしまう。おまけに原稿は、これは印刷配布というものは依頼者あるいは募集者に属しますけれども、特別に断わっていない限りは筆者に属するものです。これが行くえ不明になってしまう。そういうことが妥当だとお考えですか。
  103. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 その文芸の価値については私もよくわかりませんが、しかしまあ選者の選んだとおりの結論を尊重して扱っておるということは、いままで申し上げたことでおわかりだと思います。したがって、私どもとしましては、やはりこの機関誌をつくった目的からいたしまして、管理上の問題は考えなければならぬ。これは国鉄だけではなくていろいろな各種団体でこういうものがあると思うのです。そういう場合に、管理上どうしてもいままずいという判断は、これは私どものほうの責任においてやって何ら差しつかえない、こういうふうに考えます。
  104. 三谷秀治

    三谷分科員 レクリエーションとおっしゃっておりますが、この目的を読んで見ますと、職員及び家族を対象に文化教養の向上、健全な趣味の育成を目的とするとおっしゃっている。文化教養という語義は、あまり文化的でない官僚の管理上の思惑などで評価されたり判断されるものじゃない。それを非文化的というんだ。でありますから、このマル生運動がどうこうおっしゃっておりますけれども、このマル生運動というものは、たいへんな不当労働行為を行なって、たくさんの労働者を殺して世間の批判を浴びたから、磯崎総裁が世間に対して深々と頭を下げてあやまっている問題、そのあやまっている問題について、労働者かマル生運動にどういう判断を持とうと、肯定的な立場に立とうと、否定的な立場に立とうと、それは労働者個人個人の問題であって、その作者の主張を判断するのは読者なんだ。それをあなた方が途中でカットして、これは管理上よくないとか、自分たちの仕事をする上においてどうとかこうとかいうふうな判断をされますことは、文芸の公募という問題から考えてみますとたいへん間違ったことです。それなら公募されずに、井手君だとか今野君だとかが選考すればよろしい。外に選者を依頼して、一個の文芸作品としてものを募集している。これは入選してきている、それをあなた方が、選者を無視し、作者を無視して掲載誌を隠してしまう。原稿まで返さない。そういうことが許されていいことですか。
  105. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 当時の事情としましては、いまおっしゃった、こちらからもマル生問題とかなんとかという話がありましたが、しかしまあ全体としては、労使問題は常に、何といいますかいろいろな問題がありまして、労使ともに、双方で努力して正常ないい慣行をつくっていくということが必要なんでございまして、そういった点については、われわれ非常に気を使うということは御承知おき願いたいと思います。  なお、先生おっしゃるように、こちらのほうで選考してももちろんいいと思います。しかし、文芸作品というようなものも含まれておりますので、選考能力と申しますか、そういったものを権威あらしめるために、わざわざ部外の方をお願いして専門の方を使っているということだけでございまして、先生おっしゃったとおり、そういうふうな選考でもいいと私は思います。
  106. 三谷秀治

    三谷分科員 ですから、公募された限りは部内の選考とは事情が違う。部内で局長だとか部長が選考する場合の選考の基準がどういうものかは、これは労働者はちゃんとわかる。そうすれば、こんな小説書きはせぬ。つまり言論の一定の統制ができてしまう。ところが、選者を選んだものだから、進歩的な選者をきめてこれに選択さしたものですから、労働者は自由にみずからの見地に立って典型的な人間像を創造する、こういう努力をやってきたわけです。それに対して、発表誌を全部隠してしまう、原稿も返さない、こういう処置は明らかに言論や表現の阻害に当たりますよ。それで、この選者を選びますということは、あなた方がおっしゃっている、管理上どうとかこうとかという問題じゃなしに、もっと大きな社会的視野に立って判断をしているわけだ。ですから、そのための価値判断を識見の豊富な選者にやってもらう、その選者に対する信頼が創作意欲をつくっていくわけなんです。そうしますと、業務管理上の必要な文章というものは管理者が自由にお書きになったらよろしい。しかし、これは純粋の文芸作品集なんでしょう。文芸作品集にまであなた方の考え方を強制しようとするそういう態度が間違っている。  時間がありませんからいきますけれども、そこで総裁が文芸家協会に謝罪をされた。それで片がついたかというとそうじゃないでしょう。この一年八カ月にわたりまして、この仙鉄局の行為につきまして真実を明確にしていないという、一つこれはあります。それから反省をしておりません。文芸家協会という公的な組織から抗議がありましたから、世間の問題にもなってきたから、やむを得ず配布するということにすぎません。これが実態であるということは、いまの説明を聞きましても、文書の往復を見ましても、非常に明白な問題。抗議がなければ依然として配布していない。これは断言できる。しかも重大なことは、配布したといいましても、今後の応募作品に対して決定的な影響を与えておる。これからはこんなものを書いたらだめだぞということは関係労働者全部頭の中にしみ込んでおる。そこで拘束的な効果というものが、明らかにあなた方の意図されるようにおさめられておる。ここが問題なんですよ。重大な点です。それから、この作者、私はよく知りませんけれども、全国鉄コンクールへ参加する資格もどうなっているのか、これも保障されてはいない。  ですから問題は、こういう事件を起こしまして、総裁が文芸家協会にあやまって事が終わりだというふうなことだと少し足らぬのと違いますか。それは事件の直接の責任者の責任をひとつ明確にする問題があります。もう一つは、部内におきましても言論、表現の自由を保障するという態度、これはやっぱり明らかにする必要がある。そうして、こういうことを、おそらく公的費用をもって印刷、出版していると思いますけれども、こういうことを引き起こした責任について、国民に対しても明確な態度をとるべきだ、これが私のお尋ねしたい点なんです。これは大臣にも大体様子がおわかりだろうと思うから、御意見をお聞きしたいと思う。
  107. 徳永正利

    徳永国務大臣 私、その作品の内容等についてつまびらかにいたしませんけれども、いまの質疑応答を聞いておりまして、文学、芸術というものに対する理解の度合い、程度というものがどうであったかということも一つの問題になろうと思います。あるいはまた、最初、当時の混乱と申しますか、いろいろな問題のあった時点で起きたように拝聴したわけでございますが、こういうことのないように、最初から文書でやりとりやるなんてことに私は問題があると思うのです。もしそういう事態であるならば、よく関係者が集まって話し合うとか理解し合う、そういうようなことでなければならないだろうと思います。そういうようなところに第一歩のチョッキのボタンのかけ違いが出てきているような感じがするわけでございます。今後はそういうことのないような態度といいますか、話し合いの方向にいかなければならぬ、かように考える次第でございます。
  108. 三谷秀治

    三谷分科員 おっしゃるように、応募者にも状況について理解をさせる、あるいは作者にも了解を求めるというふうな手続でも踏んでおりますならばまだしも、応募者は全部ほったらかし、そして一切がっさい労作がなくなってしまう、選者にも一切ほったらかし、こういう不当なことが許されるものじゃありません。これにつきましては、国鉄総裁が文書で深くおわびすると言っておる。それで事が済んだようにお考えのようだけれども、そうじゃない。応募者に対して一体どうするのか、態度を検討される必要がある。  それから、こういう公費をもって行ないました事業につきまして、言論の妨害だとか阻止だとか、そういう疑いを持たれる行為をおかしたことにつきましては、国民に向かっても明確に謝罪をしてもらう、このことが私は必要だと思う。総裁の意見をお尋ねしたい。
  109. 藤井松太郎

    藤井説明員 いろいろな、あえて誤解というとお怒りになるだろうと思いますから、申しわけなく思いますけれども、われわれは、文芸とかなんとかがわれわれのやっている管理に常に優先するという御意見にはあまり賛成でない。したがいまして、官費でもって出版したようなものが、かりに芸術的にいかに優秀なものであっても、経営とかなんとかに背馳するような、時間的とか本質的にもありましょうけれども、ぼくらやはり管理者としては押えざるを得ないのだ。これはやはり先生と根本的に話が違うところでございますが、いずれにいたしましても、その作品の原稿も現時点においては作者に返しておるのであるし、作者もすでにほかの週刊誌なんかに発表されておるのであるし、かたがた国鉄におきましても、これを配布してみんなにやっておるということでございまして、どうも私は芸術なんかにもともと理解の低い男なんで、先生におしかりを受けておる本質があまりわからぬのです。まことに申しわけないですが……。
  110. 稻村佐近四郎

    稻村主査 三谷君に申し上げます。恐縮ですが、時間が……。
  111. 三谷秀治

    三谷分科員 もう時間がありませんから、一言だけ言うておきますけれども、言論の自由とか表現の自由なんとかいう問題は基本的な人権なんですよ。これはいろいろな管理上の問題、あるいはその他の問題に優先するものだ。そこが欠けておるから、あなたは理解ができなくなってしまっておる。それで管理上困るとおっしゃるけれども、困りやしませんよ。マル生については労働者はよく知っておる。ただ、マル生というものをモチーフにしただけのことであって、マル生という問題があって磯崎さんが深々とあやまっておることは明白なんだ。これを素材にしたからといって、それが管理上好ましくないなんて言うこと自体が、小役人根性なんだ。  時間がないからきょうはこれまでにしておきますけれども、あなたまだわからなければ、もう一ぺん普通の委員会に来てもらって、継続してもよろしいが、しかしそこのところは、あなた技術畑らしいけれども、もう少しそういう文化的な常識を身につけなくちゃだめですよ。
  112. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて三谷君の質疑は終了いたしました。  次に、田中昭二君。   〔主査退席、村田主査代理着席〕
  113. 田中昭二

    田中(昭)分科員 時間もたいへん制約されておりますから、端的に本題に入っていきますが、世界に誇る新幹線が三十九年に開通をして以来、国民経済と生活に与えてきましたプラスの効果もたいへん大きいものがありますし、路線が延びるにつれまして、年とともにマイナス面が増大してきました。いまやそのマイナス面がたいへん多くあらわれて、プラスの効果が色あせたものになっております。このマイナス面である新幹線公害は、一日に新幹線通過が二百本以上になり、健康、環境のはなはだしい侵害となっておるわけでありますが、列車の通過は一瞬だから問題ないといっておりますが、その一瞬も約七秒かかります。それが五分おきに長時間、いな一日じゅう列車の騒音、振動にあえば、おかしくならないほがどうかしている。この被害も、ただ騒音、振動だけでなく、日照、通風、採光、電波の妨害、家屋の損傷、不眠症、自律神経失調症、頭痛等の新幹線病にかかっておるなど、深刻な事態となっておるのであります。  そこで、この新幹線公害について少しお尋ねするわけでありますが、新幹線というものは国の経済成長上の面からも必要なものであり、交通機関発展上からも自然的な流れである、このように承知しております。今回の新幹線公害問題について、当初から建設計画では調査が不十分であったというように理解してよろしいか、また、これから建設するものに対しては事前に公害予測調査を行なっていかれるのかどうか、また、これらの対策、予算づけ等はどうなっておりますか、簡単にお答え願います。
  114. 藤井松太郎

    藤井説明員 先生指摘のように、東京−大阪というような新幹線計画時代には、この騒音がたぶん公害を起こすであろう、現在問題になっているほど起こすであろうということは、遺憾ながら、残念ながら私どもは考えなかったので、これは非常におわびをしなくちゃいかぬのでございますが、その実績をよく調べまして、これからつくるものに対しては、あらゆる技術を動員してこれを押えていこうという努力をいたしておりまして、事の性質上、一〇〇%どうだと言われても、にわかには困りますけれども、あらゆる技術を動員して押える手を講ずると同時に、金の面で申しましても、建設費の大体五%や六%はそういうものの防止のために使うというような方法でもって努力をいたしておりますが、まあ騒音公害を押えるというようなことは、これははなはだ申しづらいのですが、新しい技術の開発といったようなものを伴いまして、にわかにてきぱきいかぬことははなはだ申しわけなく存じておる次第でありまして、おわび申し上げます。
  115. 田中昭二

    田中(昭)分科員 この公害の調査において問題のあることですが、列車の車両のどの部分からどのくらいの音といいますか、エネルギー音を出しておるのか、このような基本的な調査さえまだできていないのではないか。こまかいデータがあって初めて対策がとられると思います。特に技術畑の総裁には十分おわかりいただいておると思います。昨年でございましたか、公害対策審議会が調査したところによりますと、線路の中心から約二十五メートルの地点まで八十五ホン以上に達しておる。そこで、東海道新幹線で、約半分近いくらいの地域、大体三百キロくらいになりますかね、そういう影響を受けるところは。そういうふうに測定されておるということは、抜本的な対策をもって臨まなければいけないことではないか、こう思うわけですが、このことについてはどのようにお考えですか。
  116. 藤井松太郎

    藤井説明員 騒音の発生源に関しましては、御承知のように足回りと申しますか機器から発生するということなんで、これにどの程度発生するだろうかというような調査も研究もいたしておりますし、かたがた足回りだけじゃなくて、いかなる線路の上を走ったらその音が大きくなるだろうかというような調査もいたしまして、現在のところわかっておりますのは、バラストの入っていない鉄げたの上を走った場合に非常に騒音が大きくて、八十五ホンとか九十ホンに近くなるというような、いわゆる音源ですね、音源をよく調べて、それを押えるためには、鉄げたその他の改良をやるとか、レールを長くして重くするとか、あらゆる手を講じておりますが、まあそれも、手を講じたから一〇〇%消えるというわけのものでもないので、いろいろ努力はしておりますけれども、そう効果は的確に出ていないというのが現在の実情じゃないかと思います。なお詳しくは担当者から御説明申し上げます。
  117. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いや、いいです。その努力をしておるですがね、三十九年以来いろいろ問題が起こって努力をされている。だけれども、この前、何日前でしたか数日前に、NHKで「新幹線と老人」というニュースがございましたが、私もあれを見まして、一体、日本の中には政治や行政なんかあるのだろうか。総裁大臣も見ていなければ見られたほうがいいと思うのです。やはりほんとうに努力して一生懸命やっているといいましても、その間にいろいろな苦しみですね、いまから先のわずかな人生のお年寄りですよ。このことは時間がございませんから省略しまして、あれはぜひ一ぺんよく実情を聞いてもらいたいですね。そういう聞く姿勢が基本的にないと、行政はどんなことをやっても一つも効果が出ないと私は思うのです。  大臣にまたお尋ねしますが、現在、新幹線、航空機、高速自動車道、こういう三つの騒音の公害源といわれるものがあるわけですが、これらは今後ますます大きな問題になってくると思います。この三つの交通機関が騒音のもとになっているわけですね。こういう騒音公害に本気に取り組む姿勢がなければならない。そのためには、こちらの提案みたいになりますが、そのためにはやはり具体的な技術、それに並行した経済的な裏づけ、そういう分野にわたる解決策を進める機関が何か必要ではなかろうか、私はこういうふうに思うわけでございますが、それは必ずしも何か受け入れ皿をつくってやればいいということじゃなくて、ほんとうに騒音公害に本気で取り組む、そういうものを何かつくるべきじゃなかろうかと思いますが、この点について、大臣、いかがお考えでございましょうか。
  118. 徳永正利

    徳永国務大臣 御提案、確かに一つの御提案だと思います。いま一番大きな問題は、私、連日騒音の問題で頭を痛め、胸を痛めているわけでありますが、航空機、これは大阪空港を中心としまして、日本の六十ある飛行場の中で百点の取れる飛行場というものはわずかに三つぐらいしかありません。環境庁の騒音基準から参りますと、程度の差こそあれ欠陥を持っているわけでございます。また、御指摘のように、新幹線も非常な後手に回ったことも、いま国鉄総裁がお話しになったとおりであります。これから先の問題につきましては、十分これに配慮してまいらなければなりません。また、自動車等につきましても、これは音源というよりも、音源以外のいろいろな公害の問題をまき散らしていくわけでございます。いろいろなところを規制しますと、ほかのものに問題が出てくるというようなことで、非常に悩み多き問題をいま交通機関ではかかえているわけでございます。いまそれぞれの立場で、それぞれの機関で地域の整備機構——これは山の中を走るならどんな大きな音を立てたって何にも問題がないわけでございますが、そういうわけにもまいりませんから、その地域を一体どういうふうに設定していくかという音源——道路のそばとか鉄道のそば、あるいは空港の周辺の地域整備の問題が一つあると思います。これはどうしてもやっていかなければならぬ問題でございます。  もう一つは、いま先生のおっしゃるのは音源対策だろうと思います。音源対策につきましては、自動車自動車のようにまたいろいろ研究機関でいまやっている最中でございます。飛行機につきましても、いま飛行機のエンジンというのは日本でできませんもので、いろいろな注文をつけてアメリカのエンジンを全部使っているわけでございますが、そういうものに騒音の問題等に注文をつけ——これは世界的な問題になっておりますから、いろいろな点で改善もされているわけでございます。あるいはまた、これには音源問題としてほかにもいろいろやっていかなければならぬ問題があると思います。  それからもう一つ、いま国鉄の問題でございますが、新幹線の騒音というのは国鉄プロパーの問題でございますから、国鉄におきましてもいま一生懸命にその対策を立てておるわけでございますが、その具体的なものにつきましては政府委員から答弁させたいと思います。
  119. 田中昭二

    田中(昭)分科員 では、もう一ぺん戻りまして、新幹線公害との関係での質問になりますが、九州も、博多まで今年度には開通の見込みの新幹線の状況で、現在工事もどんどん進められておりますが、九州に入りますと、北九州、福岡と続いております。いま一つの具体的な例を申し上げます。  博多の近くの区間で、やはり博多の近くになりますと市街地を通っていくわけですが、福岡市の東区というところに米田団地というのがございまして、そこのところの人たちがいままで国鉄さんにいろいろお願いもし、市当局も中に入ってもらっていろいろやったけれども、はっきり言えば、どうも住民無視だ。名古屋の新幹線公害の問題なども、いろいろ第三者的に聞いてみますと、これはほんとうに努力されているのに対して申しわけないのですけれども、基本は国鉄の姿勢が悪い。何べんいっても、勉強するとかどうだこうだと言って、被害を受けている者の立場になっての答えが一つも出ない。何年、何十年とかかる。新幹線も十年になろうとしておるわけですけれども、そういうことで、いまの福岡市の米田団地でも住民が立ち上がって、公害防止のための防音ドームをつくって、学者さんを呼んだりして勉強しているのです。こういう住民運動がありまして、地元の市も住民もその対策を重ねておるわけでございますけれども、この防音ドームというような問題は、技術的につくることについて全然問題はないそうですね。そうすると国鉄当局では、当局自体も国鉄自体もそうおっしゃっておりますし、私は、そういうものがあるならば、この米田団地地区については住民とも話し合いをして、そういうものを設置するような方向で、その中でまた、そのドームがどのくらいの効果があるのか、技術的にできるものであればそういうものから進めていくことが、いままでの国鉄の姿勢を取り戻すことになるんじゃなかろうか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  120. 内田隆滋

    内田説明員 米田の団地についていろいろといま問題があって、世間をお騒がせしておるわけでございますが、いま総裁が申しましたように、いわゆる音源対策というものにつきまして、東海道新幹線の例にかんがみまして相当の対策をいたしております。たとえば防音壁をやるとか吸音板を張るとか、あるいはレールの重量化をする、あるいはバラストの下にはゴムのマットを敷いて音を低くするというようなことをしております。これによりまして大体環境庁の基準には達するであろうというふうに考えておりますので、いまそういうようなドームをつくるというようなことは考えておりません。やはりドームをつくるとなりますと、日照権の問題とかあるいはテレビ障害の問題とか、また逆のいろいろの問題が出てまいりまして、これをやることは構造的にも相当問題がございますので、もしそういうことでだめだということであれば、いわゆる家屋に対する防音工事とかそういうような方法で処置をしてまいりたいというふうに考えております。  なお、米田団地の問題につきましては、幸いと申しますか、あれは市の市営アパートでございますので、市を中に入れまして、円満に解決ができるように目下努力中でございます。
  121. 田中昭二

    田中(昭)分科員 そういうことを言ったら、これはこういうことで何もできませんよ。やはりいまから私、そういう国鉄の基本的な姿勢をもう少し変えなければいけないということで、ぼくはいつも考えることなんですけれども、早急にはいかないでしょうし、時期を待たなければならないと思いますが、いまの防音ドームにしましても、ほかの問題が出てくるからだめだというようなことでは何にもできないということを言っておかなければならないわけですが、いずれにしろ、新幹線ができましたときにこれがさらに大きな問題にならないように、問題になったときには全部国鉄、国に責任があるということを私は言っておきたいのです。  次に、新駅の設置基準をお聞きしておきたいと思いますが、これも具体的に申し上げて、その問題に対してどうとらえていられるかだけお聞きしたいと思います。  福岡県の宗像郡福間町というところに東福間地区というのがございますが、ここも福岡、北九州、両市のベットタウンとして、そこに県公社、民間の団地がどんどん開発が進みまして、人口がどんどんふえておるわけでございますが、現在大体六千戸で二万二千人ぐらいの大団地になっておるわけでございますが、現在そこの人たちは、通勤通学にはバスにたよるしかないものですから、たいへん不便を感じて、東郷−福間間約六キロの間に駅をつくってください。——これは地元でも、町役場なり県も、当然つくってもらわなければ困る。用地もあけてあるわけです。これは、用地をあけてあることにつきましてはいろいろな事情もございますけれども、そういうことで、もう三十七年ごろからそういう要望が、国鉄側の態度でそのままになっておるわけでございますけれども、こういう住民の強い不便さを解消するための要望というのは、全然国鉄にはいれられないものなのか、また将来考えられるべきものだろうか、そういう点、お聞きしておきたいと思います。
  122. 伊江朝雄

    伊江説明員 お答え申し上げます。  まず、原則的に全然設置しないのかという御質問に対しましては、団地の造成あるいはまた私ども貨物駅の出荷の状況その他によりましては、事情変更に応じまして駅を設置することにいたしております。  具体的の御質問の福間地区につきましては私もよく存じておるわけでございますけれども、何しろいま鹿児島本線は、片道百八十三本、往復にいたしますとその倍でございますが、非常に列車回数の密なところでございます。したがいまして、新しい駅をつくるということ、つまり停車駅がふえるということになりますと、いまの輸送が非常にもたなくなるということでございまして、現状では困難だと存じます。しかし、御承知新幹線が開通いたします場合には、優等列車の大部分が新幹線に転化いたしますので、現在線の容量があいてまいると存じますので、その際に付近の団地の造成、それから入居状況その他を見ながら検討いたしたい、かように存じております。
  123. 田中昭二

    田中(昭)分科員 もう一つ、同じところの関係でこういう悩みと問題解決できないものがございます。東郷駅というのが鹿児島本線にございますが、その付近にたいへん宅地開発が進みまして、どんどん列車利用が多くなります。ところが、その東郷駅には現在のところ普通列車しか停車しない。ですから、北九州、福岡へそれぞれ通勤する人たち、やはり通勤する人が多いわけなんですから、どうしても快速列車を一本でもとめてください——同じ町の中にありますすく次の駅には七、八本の快速が停車しているわけです。まず、そういうたいへん利用度の多いことに対して、快速停車をさせるということはいかがなものでしょうか。
  124. 伊江朝雄

    伊江説明員 快速列車は御利用の多いところということで、特に通勤通学の御利用の多い駅に停車するというのが私どもの考え方でございますが、いまの御指摘の場所につきましては、先ほどの御質問にお答え申し上げましたとおり、やはり線路容量が一ぱいであるということでございますので、現状はとまらない状態ということになっておりますが、これにつきましても、新幹線の開通後の事情などをよく検討いたしまして対処したいと思っております。
  125. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いまの新幹線——全部新幹線ができればどうのというようなことをおっしゃいますけれども、私も、いまこの問題については、いろいろ地元との話し合いも聞いてきておるわけですが、まずその前に、大臣、聞いておいてもらいたいのですけれども、こういう団地とかいろいろなものができまして住民が多くなるということ、利用者が多くなるということについては、団地ができるときに、もうそういうことはわかるわけですね。そこで住民は、少々の距離はあっても、いま快速が走っているのだから、そこに移っても快速を利用して便利になるということで、その団地の入居が募集をされ、一切のものが整備されていく。そうすると、そういうものに国の施策一切が——鉄道も協力すべきだ。鉄道だけ協力しなければ、せっかくの住民のそういう希望もかなえられない、こういう基本的な問題があるわけですけれども、それはそれとしまして、いま東郷の快速停車のことにつきましては、私が聞いた範囲ではほかの理由があるのですね。  というのは、すぐ次に快速をとめる。それじゃ、そこの、いま何本かとまっている中の一本でもこっちに持ってくれば、これは住民もみんな喜ぶし、町もあげて賛成している。そういう状態でずっときながら、できない、新幹線と、こうなりますけれども、これはほかに理由がある、いろいろ私が現地で当たったところによりますと。  特に九州はローカル線も多うございますが、普通急行が、とまらなければならない駅を通過するのですよ。そういう事故が一番多かったのです。そうしますと、東郷駅にとめれば、また次の駅に何本かとまりますね。たとえば五本にすれば、そのうちの一本か東郷駅にとまれば——いままで先にとまっておったわけですから、それを一本だけとめると、そういう、いわゆる急行停車駅にとまらなければいかぬのが通過するような事故がふえるからだめだ。そういうことは物理的に、私も時間表まで繰りましていろいろ検討したのですけれども、どうもそういうこともあるらしい。そういうことを住民も知りますと、国鉄は、自分たちの事故といいますか、そういうことにならないために快速をとめないのだ、こういうこともあることもつけ加えておきます。  時間がございませんから次に移りますが、次の問題は、これはたいへんな問題も含まれておりますから、ひとつよく聞いておっていただきたいのです。  昨年七月、やはり福岡でございますが、この近郊にたいへんな集中豪雨がございました。そのときの被害については、もういままでにないような被害が出まして、数十人のとうとい人命もなくなったわけでございますが、そのときに、その損害があった地方国鉄の勝田線というのがありまして、終点が勝田駅というところでございますが、これがもう完全に機能をなくするまでにやられてしまいました。私も現地で救援活動にも参加しましたけれども、ほんとうに駅が全部埋まってしまって、そこにありました車両もそのまま立ち往生して、いままでの駅構内に何メートルという土砂が流れ込んでしまっている。そしてその線路のところが川みたいに、何といいますか土砂が埋まって、その上を水が流れるという悲惨な状態でありましたが、それがいまだもってそのままになっているのですよ。まあ、こまい町でございますから、復旧についてはたいへんいま苦労しておるわけでございますけれども、こういう状態は、私、最近現場に行ってみますと、その国鉄勝田線の勝田駅だけが水害当時のまま、それよりもひどい状況で、いまいわゆる雨ざらしというか手つかずになっておるわけです。そのほかのところは大体いろいろ手を加えられたところもありますけれども、私は、住民がいままで長い間、親しみを持って使ってきたその国鉄がそういう状態であるということも、これはたいへん問題ではなかろうか。  時間がございませんから、そのまま次の問題に一緒に入っていきますが、この付近にまだ行くえ不明者が一人そのままになっておりまして、いままで勝田駅というところをいろんな方法で捜索もしましたけれども、その捜索したところの範囲内では行くえ不明者が出てこない。そうしますと、いまだもって手をつけてないこの勝田駅付近に行くえ不明者がそのままになっておるのじゃなかろうかというような話も——これは話ですけれども、はっきり捜索したわけじゃございませんし、そのままになっておりますから。かわいい子どもですけれども、そういう人が行くえ不明になって、もう半年以上もそのままになっておる。その遺族の人の気持ちを考えれば、これはもう一日も早く国鉄のその部分、ひどい部分を何とかして復旧に努力してもらわなければいけない。その背景には、いま言うたようにとうとい人命が、そこにあるとは言えませんけれども、捜索してあった場合には、これはたいへんな問題になるというような心配があるわけですから、まあ全般的にそういう復旧がおくれておることにつきまして、一応当局の対策をお尋ねするわけであります。
  126. 篠原良男

    ○篠原説明員 お答え申し上げます。  先生の御承知のとおり、七月の三十日から三十一日の朝に未曽有の集中豪雨を受けまして、全線がやられましたのですが、あくる日にその宇美まで、それから二日の日には志免まで開通させまして、現在バス代行をやっておりますが、八月の十五日に地元の宇美町長から国鉄に、先ほど先生の御指摘のとおり、幼児の遺体捜索のために、現在の井田川をつけかえて捜索したい。当時警察及び消防署の判断では、旧井野川、昔の井野川の中に遺体がたぶんあるだろう、国鉄の構内ではなかろうということで、川を国鉄の構内のほうにつけかえまして、古い河川をいわゆる干からびさして底を捜索された。しかし、先生指摘のとおり、遺体が出なかったことは事実でございます。したがって、その後まだ町のほうと河川改修、復旧工事についての協議が整っておりませんが、もし先生が御指摘のとおり国鉄の構内にある可能性があるというように消防署なり警察が判断されるのでございましたら、河川をつけかえるなりあるいは現在の川幅を小さくしながら捜索するというような方法もできることと思いますので、その辺についての協議は十分前向きにしていきたい、かように考えております。  ただ、勝田の構内の河川改修、これは町河川でございまして、町河川の改修の話がつきませんと勝田の本復旧ができません。県河川のほうは県が二月末で全部完了いたしましたので、私のほうも三月からその応急復旧、護岸あるいは盛り土の復旧にかかる予定をしておりますが、勝田の構内に機まわり線がございますので、機まわり線を生かさないと全線開通ができませんので、その辺の協議は今後町と詰めていきたいがように考えております。
  127. 田中昭二

    田中(昭)分科員 あなたとは、災害のあったあとに、災害委員会でいろいろ話しました。そのときから一つも前進していないじゃありませんか。それをしいて指摘しようと思いませんけれども、そんな、町がやらないからとか、河川がどうとかこうとか、そんなことで済まされないですよというようなことも、私はそのとき言っておいたはずなんですよ。こういう問題は、大臣ひとつ特別命令でも出して、総裁もひとつやってもらうように、わずかなことですから、してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  128. 藤井松太郎

    藤井説明員 御指摘のように、仏さまの問題になると、これはすべてに優先いたしますので、私らのほうもできるだけのことをやって御協力いたしたい、かように考えます。  それから、荒廃したあれをいかにして復旧するかというようなことは、町の御当局その他の御意向も伺いながら、できるだけ早く復旧するという方向で進めたいと思います。
  129. 田中昭二

    田中(昭)分科員 もう時間がなくなったそうですから、大臣も同じことだろうと思いまして、次に移ります。  最後に、この新幹線の車両基地というのが福岡にできるわけでございますが、これがたいへんまたいろいろな問題が起こっているようでございますが、現地から出ております要望並びに、私、特に新幹線法が制定されますときに、そういうことにつきましていろいろ御質問をしましたが、そのときに、いまの車両基地の地元の町の要望事項は別にしまして、そこからたいへん重要文化財の出土品があるわけですが、こういうものは意義あるものでありますし、保存についてもりっぱに国鉄のほうでやっていただきたい、そうしなければ地元感情としては困る、こういうことを申し上げておりまして、それをよく相談をして検討しますということになっておりますから、その点を簡単に、関係の町から要望が出ておりますことにつきましては、簡単にお願いしたいと思います。
  130. 内田隆滋

    内田説明員 遺跡の問題につきましては、県の教育委員と十分相談いたしまして、現在、該当個所は二カ所遺跡がございますが、これの事前の発掘調査をやっていただいております。私のほうから一億五千万円、お金を県のほうにお出ししまして、調査を進めております。したがって、これは文化庁まで参るわけでございますが、それらの結論を待って仕事を進めていくということで万全を期していきたい、かように考えております。  それから、車両基地の問題につきましてはいろいろ地元に御迷惑をおかけしておりますが、これらの問題につきましても、十分地元が納得いくような線で御協議を進めておるわけでございます。  まず第一に、下水の問題がございます。新幹線は御承知のように貯留式でございまして、基地に参りましてからその汚物を処理するというシステムになっておりますので、どうしても完全な下水道がなければいけない。これにつきましては、たまたま県の下水道事業が進行中でございますので、この点に対しても時期を繰り上げまして、私のほうが分担金を出しまして工事を進めるように話を進めております。なお、その他の排水等につきましても町と御相談をいたしまして、必要な工事費は持つということで協議を進めております。  なお、御指摘の中に、車両基地の宿舎の問題がございます。那珂町に約八百戸を建てさせていただく、これらの問題につきましては、いわゆる教育施設の問題あるいは町の施設その他についていろいろと御要望が出ております。これらのものにつきましても、あの付近の前例もございますし、特に教育施設につきましては、われわれとしても十分町の御意見を聞いて、それ相応の分担金を持つということで、目下協議を進めておる段階でございます。
  131. 田中昭二

    田中(昭)分科員 最後に一言要望だけ……。  いま大臣お聞きのとおり、これはたいへんな問題がたくさんあると思います。特にいま那珂川町というところなんか、水を相当使いますから、水を供給できないじゃないかというお話が出ておるようですから、そういう点をよく踏まえて、町の要望をいれていただくようにお願いいたしまして、質問を終わります。
  132. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて田中君の質疑は終了いたしました。  次に、小宮武喜君。
  133. 小宮武喜

    小宮分科員 最初に、日本人船員の雇用対策について質問いたします。  最近、日本国籍船で、日の丸の旗を掲げながら日本人船員が乗っていないという船舶が急にふえておりますけれども、現在、このように、日本国籍船でありながら日本人船員が乗っていないという船がどれくらいありますか。
  134. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 ただいま先生から、日本船舶で外国人船員が乗り組んでいる船舶が何隻ぐらいあるか、こういう御質問でございますが、お答え申し上げます。  私ども運輸省で最近調べた数字で、昭和四十八年度の国別の船舶の貸し渡しの一覧がございます。これは推計でございますが、おおむね次のようになっております。まず全体で、タイムチャーターが三十二隻、それから裸用船が八十九隻、不明が六十、合計で百八十一隻でございまして、そのうち私どもの推計では、裸用船に出したものが約半数に近いのではなかろうか、かように考えております。
  135. 小宮武喜

    小宮分科員 こういうような傾向が年々増加していくという原因について、運輸省当局としてはどのように見ておられるのか、その点いかがですか。
  136. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 海運局からお答えいたします。  一般に、どうも日本船の人件費その他の諸経費の高騰がございまして、中小の船の国際競争力がだいぶ乏しくなったという結果、外国に船が売られたり、外国に貸し渡しをされたりという傾向があらわれてきているのではないかと私どもは考えております。
  137. 小宮武喜

    小宮分科員 こういうような傾向を、運輸省当局は好ましい状態だと考えておられますか。これは特に大臣から御答弁願いたい。
  138. 徳永正利

    徳永国務大臣 仕組み船とかあるいはチャーターバックとか、いろいろな船のつくり方ややり方があるそうでございますけれども、しかし、日本船主が外国人船員を雇用するということは、私は好ましい姿ではないと思います。
  139. 小宮武喜

    小宮分科員 この問題については、海運局と船員局では意見の相違があるやに承っておりますけれども、そのことには触れません。ただ、運航費を安くするということによってこういった傾向がふえていくということになれば、いま言われたように百八十一隻もそういう船がおるということになると、やはり日本人船員の職場がだんだん縮められていく。ただでさえ日本人船員は、技術の革新によって省力化がどんどん進んでいく、あるいは海外への売船、あるいは持に国際漁業悪化の影響を受けて、そのために非常に縮められていく。特に港湾の運送の技術革新によって大量のはしけが処分されるということもあり、昨年の港湾労働法の改正案も出ているわけです。そういうような中で、ただでさえも日本人船員が働く場所がだんだん狭められている上に、しかもいまのような、日本人船員が乗ってないような船がどんどんふえていくということになれば、これはやはりゆゆしき問題だと思うのですよ。だから、特に船員の直接の所管である運輸省として、今後具体的にこの問題についてどのような対策を立てられるのか、その点いかがですか。大臣がいいでしょう。
  140. 徳永正利

    徳永国務大臣 私は、売船の場合にはいろいろ労使間でお話し合いをして、そういうことのないような理解の上でいろいろ処置されている、こういうふうに聞いております。それはそれといたしまして、チャーターバックと申しますか、あるいは売船等につきましては、いろいろな諸経費の問題とかなんとかいうような原因があるようでございます。あるようでございますが、これはいろいろな考え方があると思いますけれども、私、先ほど申し上げましたように、決して日本船主が外国船員を雇用するという姿は好ましい姿ではない。したがいまして、こういう点について、それじゃ法律で縛ってしまうかというような問題もあろうかと思いますけれども、これもなかなか言うべくしてやれることじゃございませんし、できるだけ話し合いと指導によって、あるいはまた行政指導によってできるだけの善処を今後やっていきたい。こういう、お答えにもならぬような答えを申し上げて申しわけございませんけれども、いまの私の現状はそういうことでございます。
  141. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生のお話でございますけれども、ちょっと、私どものほうで私どもなりに整理したことがございますので、お聞き願いたいと思うのでございます。  先生いまおっしゃっておられますケースは、日本の船舶が外へ裸用船に出されまして、それで外国の船員を日本の籍のままで乗せてくるというケースを御指摘だと思います。確かにこれは問題が、日本船舶であるのに外国人の船員が雇用されておるということで、実はむずかしい点はございますけれども、問題はあろうと思うのです。ただ、それとは別に、仕組み船だとかチャーターバックだとかいわれますのは、これは外国の船でございまして、チャーターバック船と申しますのですと、日本船が一たん外国に売られてしまいまして、それで外国の船になっちゃった。それで、もちろん外国の船員を乗せてまいります。それを再びこっちで用船するというケースでございますし、それから仕組み船と申しますのは、初めから外国籍の船を、日本の船主と日本の船台をあっせんしたりいたしまして、それでいわゆる仕組みということでいろいろな形がございますけれども、そういうことで外国の船をつくったという場合でございます。したがって、チャーターバックとか仕組み船と申しますのはいずれも外国の船でございまして、これに外国の船員が乗っているというケースでございます。  先生指摘の場合は、実は裸用船に出されて、まだ日本の籍のままである船に外国人が乗っている、これが問題であるということでございますので、チャーターバック、仕組み船と、再雇用された日本の籍のままでの船員問題というのはちょっと違うケースだと思っております。
  142. 小宮武喜

    小宮分科員 私は、チャーターバック船とか仕組み船の問題は聞かぬでもわかっておるのです。ただ、私が問題にしておるのは、日本国籍船でありながら外国の船員が乗っておるということに、先ほどから申し上げたような問題を感じておるし、現在日本人船員は、大体普通二五%くらいの予備船員が四〇%までふえているでしょう。今後さらにふえるようになると、日本人の船員として登録されておる人が、もう半分くらいが結局仕事がなくなるということになる。この点、運輸省として日本人船員の雇用対策、生活保障の問題については、特に船員局としてはやはり十分な配慮をしてもらいたいと思うのです。  そこで、何か意見があれば言ってください。ないですか。
  143. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 おことばを返して申しわけないのですけれども、いま船員局長が、百八十隻ぐらい日本の船が外国に用船に出ているということを申し上げました。ただ、用船の話としては、外国からも日本の海運界が外国の用船をしてくる、日本の船もまた外国に出すというのは普通の話でございまして、この百八十隻の中に先生指摘のような、外国船員が乗っているケースが何隻あるかということはわかっていないので、外国へ用船に出ている船が全部で百八十隻あるという説明でございますので、ちょっとその点を誤解のないように、私から一言だけ申し上げさしていただきます。
  144. 小宮武喜

    小宮分科員 どうも海運局と船員局では、先ほど私が指摘したように、若干やはりニュアンスの相違があるのです。海運局のほうは、まあ言うてみればできるだけ運航費を安くするというほうにやはり立たざるを得ないし、船員局のほうは船員の雇用の問題を考えるし、そこにはやはり一致点がなかなか求めがたいという点を、われわれは従来の経緯から知っておるわけです。その点はそれでやむを得ないと思うのですが、そういった意味で、いままで言われておるようなことが運輸省当局としての統一見解という形で言ってもらわぬと、船員局長は黙っていてなかなか立たぬようだけれども海運局長だけ立っているようだけれども、そういうような意味では——これ以上その問題について言いませんけれども、やはり船員局としてはしっかりやってもらわぬと、ほんとうに船員の雇用の確保というのは非常にむずかしいんじゃないかというように考えますから、特に要望申し上げます。  何か所見があれば言ってください。
  145. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生おっしゃること、ごもっともでございまして、私どもは、決して海運局と意見の不調整ということはございませんで、絶えず緊密な連絡をもってやっておるわけでございます。また、今後のこういった政策船員政策、あるいはそういうものを含めて日本の海運政策をどうするかということにつきましては、先生承知のとおり海運造船合理化審議会がございまして、先般もその問題についてもいろいろ討議をされたわけでございまして、そういった問題につきましては鋭意有識者といろいろと検討いたしまして、今後そういう問題について大いに検討を進めていきたい、かように考えております。  それから、いま数字の問題は、決して海運局と調整ができてないということでなくて、私が申し上げたのは、百八十隻貸し渡しがある、そのうちの半数が裸用船である、すなわち、これは推計でございますが、約八十九隻あるということを申し上げたわけでございまして、決して海運局と意見が不一致であるということはございませんです。念のため申し上げたいと思います。
  146. 小宮武喜

    小宮分科員 昭和四十二年の三月十四日の閣議で、雇用対策基本計画というものが決定されております。その決定をする際、当時の早川労働大臣が、外国人労働者の受け入れ問題についてという発言を行なって、その発言が閣議の了解事項として決定されているんです。その発言の内容を読み返してみますと、求人難が強まるとともに産業界の一部に外国人労働者の受け入れ要望する声もあるが、わが国では依然として中高年齢層の就職問題があり、すべての労働者の能力が十分生かされておらず、西欧諸国とは雇用事情が異なるので、現段階においては外国人労働者を特に受け入れる必要はないと考えられる、という趣旨のものですね。この趣旨が現在も生きておりまして、四十七年の一月の閣議でも、沖繩海洋博の建設にあたって建設省より台湾人労務者の雇用をしたいという意見が出されたけれども、この閣議決定が再確認をされて、建設省の意見は退けられたという経緯もあるわけですが、この外国人労働者の受け入れという中に、いま言う、日本国籍の船でありながら外国人の船員が乗っておる、これは、閣議の了解事項の中には船員も含まれておるのかどうか、この点を明確にひとつお教え願いたいと思います。
  147. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、確かに昭和四十二年の三月十日に、外国人の労働力を受け入れないとする閣議了解があったことは事実でございます。これによりますると、この閣議了解は口頭了解でございまして、内容的には雇用対策法に基づきます雇用対策基本方針の策定に関連いたしまして早川労働大臣が発言された、こういうふうに聞いております。  もともと、この雇用対策法は船員を適用除外しております。したがいまして、形式的には、この閣議了解というものは船員に適用がないというふうに私どもは見解を持っておるのでございまするが、実質的には、その船員にありましても、需給あるいはその他の雇用状況あるいは特に日本人船員の雇用に問題が生ずる場合、こういったような場合におきましては、先生の御指摘のように、外国人の船員受け入れないことが妥当である、こういうふうに考えておる次第でございます。
  148. 小宮武喜

    小宮分科員 確認する意味で申し上げますけれども、この場合の閣議の了解事項の中には船員が含まれていないのですか。
  149. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 私どもが調べた範囲におきましては、いまお話しございましたように、雇用対策法が船員を適用除外といたしております。したがいまして、たてまえといたしまして、形式的には船員は適用がないというふうに解釈しております。ただし、いまお話ししましたように、実質的にはその精神にのっとって、そういう船員の需給その他の事情を十分勘案いたしまして適宜措置をとっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  150. 小宮武喜

    小宮分科員 この問題については、実を言えばきょうは労働省も呼ぶようにしておったのですが、来ていないようですから、この問題についてはほかにも問題がいろいろありますから、私、後日あらためて、今度は委員会でじっくり質問したいと思います。  次は、地元の問題なんですが、長崎港の港域線の問題について大蔵省、海上保安庁に質問したいと思うのです。  港則法によりますと、長崎港の港域線は、長崎市神ノ島観音崎から四郎ケ島西端を経て香焼島、蔭ノ尾島の長刀鼻を結ぶ線ということになっております。ところが一昨年、香焼島に三菱重工長崎造船所が百二十万トンの新造船ドック一基と、それから五十万トンの修繕用ドック一基を建造したことによって問題が発生してきたわけです。と申しますのは、三菱長崎造船がつくった香焼工場の北岸壁とドックとが、ちょうど港域線がまん中に来ておるわけです。したがって北岸壁のほうは不開港地になっておるし、ドックは開港地になってしまったわけです。  そこで問題になったのは、現在もなっておるのは、同じ工場内であって、しかも船が移動する場合に——普通の船の入出港ではなくて、ただ工事上、たとえば船を一日置いて移動する場合もあるし、あるいは三日置いて移動する場合もあるわけですが、そのたびに結局、北岸壁に行く場合は許可手数料を取られる、今度はドックに入るときはとん税、特別とん税が取られるというふうな問題が起きているのです。これも費用の問題はあります。たとえば二十六万トンのタンカーで、純トン大体十万トンくらいですから、三十六万で大体三百六十万円くらい、行ったり来たりで取られるのですね。だから、そういうような費用の問題もありますけれども、やはり短時間に移動をする場合に、一回一回、そのつど結局入出港の手続をしなければいかぬという問題が起きて、そのほうの繁雑さに、これは何とかならぬのかという声が関係者から出ているわけですけれども、なかなかむずかしい問題を含んでおるようでございます。  そこで、こういうような普通の一般の入出港ではなくて、ただ単なる工場内を移動する場合に、やはりいまの現行法の中ではなかなかむずかしいのですね、これの解決の方法は。この問題について、まずひとつ大蔵省から、こういうような問題が起きているのだけども、大蔵省としてはこれでいいのだ、それとも、それは何とかしなければならぬ、やはりこれは不都合なところがあるぞというように考えておられるかどうか、ひとつ大蔵省から答弁願いたい。
  151. 本多行也

    ○本多説明員 お答え申し上げます。  先生いま御指摘ございましたので、くどくどしい私ども説明は省略させていただきますけれども、実は難点となっておりますのは、地元の同意が得られない。すなわち、地元の漁業補償問題があります。この点につきましては、確かに関税法におきまして、原則としては港則法の港域を関税法の開港の港域とするということになっておるわけでありますが、大蔵省として独自に開港をきめることは、できないことはございません。しかし、従来のいきさつからいきますと、海のほうの関係の開港は百前後ございますが、ほとんどが港則法の港域に従っておる。それで、そういうこともありまして、よほど特別な事情がない限りは、そういう例外をつくることはいたしてないわけでございます。ましてや地元のそういう漁業補償問題がございますと、いわばドックの関係者は別でございますが、地元の漁民の同意を得てない、こういう形にも相なりますので、非常にむずかしい。先生指摘のように非常にむずかしい問題がございます。  ただ、一般的に申しますと、最近港湾行政その他非常に昔とは違った形の港湾、簡単に言いますとシーバース、そういうものがございまして、これはそういう対象が非常に発展しているというか、経済の要請に従って変わってきているわけでございますので、その点につきましては、従来と同じような考え方ではたしていいのであろうかということの検討をしなければいかぬということ、大蔵省の中でもそういう考え方が出ております。今後ともそういう考え方で、いわば経済の要請に従うということで検討してまいりたいと思っています。
  152. 小宮武喜

    小宮分科員 大蔵省がいま言われておることは、結局、港則法を改正しなさいということを言っておられる。だから、大蔵省としては、自分のほうでは検討する余地がないので検討したくないということで、運輸省のほうで港則法を改正してもらえればそれに準拠します、これがまあ大蔵省のこれまでの考え方ですがね。  それで、私は港則法の第一条を読んでみても、これはそういうふうな目的じゃないわけですな。「この法律は、港内における船舶交通の安全及び港内の整とんを図ることを目的とする。」ということで、港則法は、本来できた目的というものがここにあるわけですね。だから、その意味からすれば、これは、大蔵省は運輸省のほうで改正をしてもらって、それによりどころを求めていくというずるい考え方か知らぬけれども、そういうようなことでなくて、本来の目的はそうだと思うのです、この目的はこういうふうに理解しておるのですが、運輸省のほう、それに間違いないですね。ひとつこの問題についての所見があればお聞きしたいと思います。
  153. 佐原亨

    ○佐原政府委員 御指摘のとおり、とん税の賦課につきまして、港域内と港域外を移動することによりまして、われわれが考えましても非常に不合理な事態だと思います。それを解決する方法といたしましては、港則法の港域を広げることによって解決する方法が一つ、それから関税法の開港の港域の特例、これをやることによって解決する方法があると思います。先生おっしゃるように、港則法の法目的から申しますと、港内における船舶交通の安全、港内における秩序と申しますか、整理整とんを目的としたのが港則法でございまして、そういった見地からその港域をあるいは広げる必要がありますれば、当然われわれ検討するにやぶさかではございませんけれども、目下のところ長崎港におきましては、現在の港域でいまいったような観点からの問題点はございません。港長に対しても別に要望は出ておりませんし、港長自体もその必要性を認めていないような現状でございます。将来はどうか知りませんが、現時点におきましては、われわれは港則法に基づく港域を改正する意思は目下のところ持っておりません。ただ、先生のおっしゃいました入出港届けが一々わずらわしいではないかという点がございますが、これは実際の運用で便宜措置がとり得ると思いますので、そういった面ですでに簡素化がはかられておるものと、一応私、いまこの席ではそういうふうにお答えしておきます。帰ってまた検討いたしますけれども、この点がもし非常にふぐあいな点があれば、将来の課題として検討さしていただきたいと思いますが、現時点で港則法の法目的から申しまして、海上保安庁といたしましては港域を拡張する意思はないというのが正直なところでございます。
  154. 小宮武喜

    小宮分科員 いまの海上保安庁の言い分を聞きましても、やはり、大蔵省は港則法の改正を先にやりなさい、こういうふうに主張されておりますけれども、関税法第九十六条には、開港の港域は、政令で定めるものを除くほか、港則法に基づく港の区域により、政令で定めるところによる、こうなっていますね。したがって、港則法を改正しろという主張もわからぬでもないけれども、しかし、やはり大蔵省として独自の立場でこの問題は解決しようと思えばされるのではないかというふうに考えるのです。私の法解釈が誤りであれば別ですが、たとえば、本法の九十六条を受けて施行令の八十六条には、開港の港域を政令で定めることが規定されておって、それで別表第三にそれが具体的に示されているわけですね。そうであればまあ、しろうと考えですが、それは別表に追加することもできるのじゃないのか、あるいはとん税、特別とん税、それに税関関係の手数料の中で、何かそういった政令等によって何らかの措置ができるのじゃないか、こういうようにも考えるのですが、どうですか、大蔵省。やる気があれば、大蔵省はこの問題は解決できると思うのです。大蔵省、やる気がないものだからあんなことを言っている。
  155. 本多行也

    ○本多説明員 お答えを申し上げます。  やる気があるないの前に、役所のことですから、その判断が妥当であるかどうかということを判断をしなければいかぬわけですが、現に先生おっしゃるとおりに、別表に掲げているものがございます。それは七つございまして、そのうちの六つは港則法の港域より狭くしております。なぜ狭くしておるのかといいますと、たとえば港則法による港域というのがありますけれども、その中間は非常な浅瀬で船が来れないとか、あるいは全然外国貿易船は使わないとか、そういう理由でその六つは狭くしておるわけでございます。それから広くしておるのも一つございまして、これは関門港で、六連というところ、これも先生御存じだと思いますが、それは関門峡が非常に狭いということでそういう公共的な船待ちの場所でございまして、それから従来から使っていて漁業補償の問題もない、こういうことで、特に特例としてリストに載せたわけでございます。  おっしゃるとおりに、大蔵省独自の判断ではできます。ただし、この問題につきましては、先ほど申し上げたように、単に運輸省さんにおまえら、おまえらということじゃなくて、中でも十分検討したわけでございますが、いずれにしても漁業補償の壁にぶつかる。これは簡単に言いますと、開港いたしますと、船は開港であるから入ってくる。ひんぱんに入ってくる可能性もあります。その場合には漁業補償問題が必ず出てくるわけでございまして、いわば一企業が負うべき漁業補償問題が国に向けられてくる。これは非常にむずかしい問題でございまして、現在この長崎の港以外でも同様の話がございまして、漁業補償の問題が片づいたら開港いたしましょう、こういう話し合いになっているところもございます。これはなかなか地元の市長さんが熱心でございまして、一生懸命にやってくださるが、いまだに片づいていない。この問題もややそれに似たような問題だと私は思います。したがって、その一番の問題の漁業補償の問題をどうするかということをわれわれは考え、それで、たとえばその問題がなくなれば、おそらく大蔵省が独自にやるなり、運輸省のほうでもこれを港則法の港域を拡張するということになり、円満解決ということになると思いますが、その点についての非常にむずかしい点が一つあるということを御理解願いたいと思います。
  156. 小宮武喜

    小宮分科員 時間が来ましたのでこれでやめますけれども、いま大蔵省のほうでも言われたように、やはり港湾というものの形態が、いまのような急激な産業経済の発展によって昔と変わってきているという現実があるわけです。それはいま大蔵省のほうでも認めているわけですから、ここで大蔵省と私でやり合ってもこれは時間がたつばかりですから、そこでいま大蔵省が言ったように、いま港湾の実態はもう至るところで昔の実態と変わってきておるのですから、ここでこの際、やはりその港湾の実態というものを再度見直しをするということを、これは運輸省建設省も、そういった大蔵関係関係がおありでしょう、こういったことで、ひとつ全国的にもう一度、そういうのは長崎だけではなくて、たとえば徳山にもある、倉敷にも、いろいろな問題が起きておるわけですから、そういう問題をいまのようなままで放置するというわけにはまいりませんので、したがって、一ぺん見直しをぜひ各省共同でやってもらいたいと思うのです。その点について運輸大臣のほうから一言、所見があればひとつ聞いておきたいと思います。
  157. 徳永正利

    徳永国務大臣 確かに御指摘のような点があると思います。まあ、いままでのあれでも、出入りの船の問題等でいろいろ問題を起こしておるところがございます。そういう点につきましては、それぞれの港の特性がございますから、十分検討いたしまして、先生のいまおっしゃったことは、私も長崎に行ってよく承知しておりますが、十分検討、配慮させていただきたいと思います。
  158. 小宮武喜

    小宮分科員 それでは、質問をこれで終わります。
  159. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて小宮君の質疑は終了いたしました。  次に大原亨君。
  160. 大原亨

    大原分科員 私は、広島空港へのジェット機乗り入れの問題に関係いたしまして若干質問をいたします。  最初お尋ねするのですが、先般の大阪空港の判決の問題でありますが、大阪空港は、御承知のように昭和三十九年からジェット機の乗り入れをやったわけですね。三十八年以前には、公害問題が住民の間で起きていたかどうかということと、三十九年以降、判決を読んでみますと、難聴とか胃腸障害とか高血圧とか流産とかノイローゼなどというふうなのを判決文は指摘をいたしまして、その事実を認めて五十万円以下大体十万円以上ぐらいで、あとから入った人の三人ぐらいを除きまして、二百何人かに補償金を判決で出したわけだと思います。そういう補償金を受けた健康被害の対象の住民は、空港の滑走路から大体どのくらいの距離にある住民であるのか、どのくらいの距離の住民の人がこういう健康被害であるというふうに判決で救済措置が講ぜられたかという点をまずお聞きしておきたいと思います。
  161. 寺井久美

    ○寺井政府委員 どのくらいの距離に住んでいる人かという御質問でございますが、近いところは非常に空港の近くに住んでいらっしゃる方がございます。遠いところで、正確に距離をはかったわけではございませんけれども大体一キロ−二キロの間ぐらい、二キロ弱とわれわれは了解いたしております。
  162. 大原亨

    大原分科員 第一の質問は……。第一項の三十八年以前の……
  163. 寺井久美

    ○寺井政府委員 失礼しました。  ジェット機の入ります前につきましては、やはりそういう騒音問題ということについては、あまり大きな問題はなかったように了解いたしております。ジェット機が急速にふえました後において難聴その他の症状を訴えられる方々が相当出てまいっておりますけれども、判決の中でこの因果関係をはっきり認めたわけではないというふうに私ども理解いたしております。
  164. 大原亨

    大原分科員 大阪空港の滑走路の端から民家までの一番近いところの距離と、広島空港のは千八百メートルで小さいわけですけれども、その滑走路からの近い民家との比較についての資料がありましたらお答えいただきたいと思います。
  165. 寺井久美

    ○寺井政府委員 大阪の空港につきまして、滑走路が二本ございますけれども、勝部という部落はA滑走路のすぐわきにございますので、数百メートルといいますか、百メートル前後ではなかろうか。広島の場合、私ちょっと正確に計算いたしておりませんけれども、これも滑走路の末端からかなり近いところに現在住宅があるというふうに理解いたしております。
  166. 大原亨

    大原分科員 大阪空港の健康被害ですね、人格権の侵害というような文章が出ておりますが、大阪空港は、数百メートルあるいは百メートルから二キロぐらいまでの間に居住しておる人の二百数十名に対して補償金を認めるという判決ですね。広島でたとえば二キロの範囲ということになりますと、広島空港ではどのくらいの住民がいるでしょう。わかりますか。
  167. 寺井久美

    ○寺井政府委員 まことに申しわけございませんが、広島の場合二キロの範囲内にどのぐらいの方が住んでおられるか、現在のところ手持ちの資料がございませんので、追ってわかりましたら御報告させていただきたいと思います。
  168. 大原亨

    大原分科員 運輸大臣、大阪空港の判決は勝った負けたということではないと思うのですよ。時間でいうならば、公共性にウエートを置いたかのごとき判決があったわけですが、しかし、住民の被害については救済措置の必要を認めておるわけですから、被害が実在しているということだと思いますね。それは見解は間違いないわけですか。
  169. 徳永正利

    徳永国務大臣 私は、先生おっしゃいますように、いま現にそういうふうにして苦しんでいらっしゃる方が、法律的な見解は別といたしまして、これは裁判でいろいろな呼び方があるだろうと思いますし、結論が出たわけでございますが、私も裁判の内容についてはつまびらかにいたしておりませんけれども行政責任は、現にそういう問題で苦悩していらっしゃる方があるということでございますから、これは私は免れぬ、これに対して今後調査していかなければならない、除いていかなければならない、騒音に対して除去のために全力を尽くしていかなければならない、こういうことでございます。
  170. 大原亨

    大原分科員 それから、いままで私も一、二回ここでやったわけですけれども、広島空港のように、言うなれば町から十分ぐらいで、中心部から非常に便利はいいわけです、私ども乗る者、急ぐ場合には。しかし、それだけに至近距離が非常に騒音公害をもたらす、あるいは安全性に非常に不安をもたらす、こういうこともいなめないと思うのですが、大体日本の国内はもちろんですが、国際的にもああいう便利のいいところに空港があるというところがありますか、これはトンチ教室みたいな質問だけれども
  171. 寺井久美

    ○寺井政府委員 私、外国の空港をあまりつまびらかでございませんが、日本の空港の例を申し上げますと、非常に近いという便利な空港といたしましては、たとえば福岡の板付空港あるいは函館等は非常に近い空港であります。また、現在問題になっております大阪の伊丹空港、これも非常に便利な空港の一つであるというふうに考えます。
  172. 大原亨

    大原分科員 私は、世界各国で日本のように町のどまん中に飛行場があるところはないのじゃないかと思うのですよ。香港はどうなんですかね。香港にしましても特別のなにがあると思うのですが、もう日本のようなことはないと思うのですよ。  そこで、もう一つ別な観点で議論を進めていきたいと思うのですが、新幹線が四十九年に広島を通るわけですね。そういたしますと、大体五時間余りで広島と東京の駅が結ばれるということになりますね。そこで新幹線が通りますと、空港に対する影響というものはどういう影響が出てくるのか、こういう点について検討されたことがありますか。
  173. 寺井久美

    ○寺井政府委員 新幹線の影響につきましては、新幹線が東京−大阪に開通いたしました直後、これは航空の旅客に対して相当大きな影響を与えております。しかしながら、その後急速に航空旅客の需要が回復して現在のような状態になっております。岡山まで新幹線が開通したという場合に岡山−大阪というようなところは非常な影響を受けました。また、東京−名古屋というような区間も新幹線によって非常な影響を受けました。広島の例をとって考えてみますと、広島まで新幹線が開通いたしまして、その後福岡まで行くということでありますが、大阪−広島あるいは福岡−広島というような区間につきましてはやはり新幹線が圧倒的に強いのではないか、こういうふうに思われます。東京−広島につきましては、これは現在プロペラでございますけれども、非常にお客が多うございまして、なかなか飛行機に乗れないというような状態に現在なっております。月間平均で一万八千人から九千人程度旅客を東京−広島間で運んでおりますが、ジェットを使いますと、東京−広島間という区間につきましては、新幹線が開通いたしましてもかなりの需要があるであろうというふうに考えられます。それは東京−大阪という区間を見てみましても、やはり新幹線を利用されるお客のほかに航空機を利用される客が相当に多く、現在もう乗り切れないというような状態になっているという実態を考えますと、東京−広島間におきましても、やはりそういう事実が発生し得るというふうに考えております。
  174. 大原亨

    大原分科員 別の問題ですが、先般中央公害審議会が答申を出しましたね。それは広島空港の騒音問題との関係ではどういうことになりますか。
  175. 寺井久美

    ○寺井政府委員 中公審の答申に基づきまして環境庁が出しました告示によります環境基準、これを見てまいりますと、最終達成年次におきましての状態を見ますと、現在の三十六便、これはYSで三十六離発着をやっておりますが、この程度の離発着回数でございますと、WECPNL七五というのは飛行場の外に出ませんので、これは現在でも最終目的値である環境基準は守られておるというふうに考えます。  なお、将来ジェットを導入いたします場合に、便数によってこれはかなり違ってまいりますが、周辺に騒音の影響する地域が生ずる可能性がございます。そこで、これは環境基準に従って対策を講じる必要があろうかというふうに思っております。
  176. 大原亨

    大原分科員 それから大臣、前の知事も非常に慎重論でした。それからいまの知事も慎重論だと思います。宮沢知事も慎重論だと思いますが、従来やはり住民とか自治体の意見を無視してはジェット機の乗り入れば無理をしてやらぬ、こういうことの見解が運輸大臣からしばしば表明をされておるのです。この点については運輸大臣は、ジェット機乗り入れにつきましては、住民の間にかなりいままでの騒音公害の観点や電波障害、それともう一つは、安全性の問題で、広島の地形からして、乗り入れたり離陸する場合に非常に大きな影響を及ぼすという地形上の観点もあるし、あるいは風の向きも変わる、こういうことです。この点については運輸大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  177. 徳永正利

    徳永国務大臣 いま実は、ほんとのことを言うと、そっとメモが来たわけです。これは丹羽運輸大臣の時代というのですから、相当前の話だろうと思うのです。私は、前の話でもそうでございますが、最近特にこの騒音の問題というのはやかましくなりまして、毎日私は騒音で、ほんとに胸を打たれるような思いを連日続けているわけです。  そういうところからいたしまして、運輸大臣としまして、知事さんはもとより地元の了解が得られぬ限りジェット機をそういう地域に——私は広島の空港をよく知っておりますが、そういう地域に入れるべきじゃないというふうに考えております。
  178. 大原亨

    大原分科員 非常に明確な答弁でありますが、それで本年は予算上の措置は特別に何百億円もされておるわけではないと思うのです。  それから、たとえばいろいろな考え方があると思うのですが、全日空が岩国の乗り入れの申請をしているというふうにいわれておるわけです。バイパスができますと広島から三、四十分でばっと行くわけですけれども、これはいろいろな意見が出ているわけです。私は岩国がいいというふうに断定するわけでも何でもないわけですが、まあ町にスローガンを書いた立て看板がありますが、「せまい日本そんなに急いでどこへ行く」と書いてある。これはその下へサブタイトルで列島改造反対と書いてあればまだいいのですけれども、これは安全という観点からも、非常に私どもをうんそうだなと思わせる標語ですよね。これは田中総理には悪いけれどもね。  だから、そういうことでやはり発想をかえて、そして、たとえば飛行機の機種の改善とか、オートジャイロですっと上がったり下がったりできるようなことになれば、狭い日本でもある程度の利用価値はあると思うのですが、機種の改善とかそういうものなどについても必要な場合には考えるとかいうこと等を考えながら運輸大臣から御答弁があったわけでありますが、私はやはり場所やその他についても、いままでの考え方を離れて少し位置の選定等についても考えるべきではないかというふうに思いますが、大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  179. 徳永正利

    徳永国務大臣 その点につきましては大原先生と全く同感でございます。
  180. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて大原君の質疑は終了いたしました。  次に、金瀬俊雄君。
  181. 金瀬俊雄

    金瀬分科員 自動車関係の方あるいは道路関係の方、おいでになっていますか。  最初に、海上交通関係のことについて質問いたします。時間が非常に少ないので、要点をしぼってお尋ねしますので、回答も簡単でけっこうですので結論だけお願いします。  海上交通安全法が施行されてからちょうど七カ月過ぎるわけでございますが、この法案が通過するときに衆参両院で附帯条件というのが議決されていますが、この附帯条件について、運輸省の中で調査したりあるいは研究したり計画したり実施したということがあったら、例をあげて説明していただきたいと思います。
  182. 佐原亨

    ○佐原政府委員 私がお答えするのは適当かどうかちょっと疑問もございますが、知っておる範囲でお答えをさせていただきます。  衆議院のほうの附帯決議を例にとって一つ一つお答えをさせていただきたいと思いますが、まず、パイプラインの整備、その進展状況によって内海への巨大船舶を通航させるその歯どめを設けろという第一点でございますが、パイプラインの整備につきましては、これは港湾局のほうでいろいろ検討を始めておるはずでございますが、地元との関係でまだ実現の緒に至っていないという状況でございます。巨大船の内海の通航の制限でございますが、やはりたとえば東京湾の場合、あるいは瀬戸内でも同じでございますけれども、現に東京湾の奥に石油の精製施設があり、シーバースがある以上、やはりある程度のタンカーは入れざるを得ない、外海にシーバース、CTSあるいはパイプラインが整備した暁に、あるいは附帯決議におっしゃるような検討が具体化するのではなかろうかと思いますけれども、そういった外海の趨勢を見きわめながらやっていく、とりあえずはパイプラインの問題から解決していく必要があろうということで、これは港湾局のほうで検討をしておるはずでございます。  それから二番目に、将来指定航路において非常に船舶交通がふくそうして、漁船との両立がむずかしくなった場合はその補償問題を考えるという点でございますが、これはあくまでも将来でございまして、施行以来まだ一カ月もたっておりませんので、まだ現時点ではこれは具体化しておりません。  それから三番目の加害者不明の問題、いわゆる原因者不明のいろいろな当て逃げとか油の害の問題でございますが、これも前々から議論のあるところでございます。運輸省では官房を中心に検討しておるはずでございますが、非常にむずかしい法律的な問題がございまして、これもまだ具体的にここまでいっておると申し上げることができるかどうか、私の知り得た範囲ではまだお答えしかねるわけでございます。  四番目は、政令の改廃について関係者の意見を尊重しろということでございまして、これはすでに政省令ができておりまして、前長官のときでございますけれども関係者の意見を十分尊重してやったように私は伺っております。  それから五番目の旅客船の航行安全につきましては、海上交通安全法とは別かもしれませんけれども、昨年の瀬戸内の火災事件以来一連のフェリーの事故がございました。運輸省あげていろいろな対策を打ち出しておるはずでございます。  最後の漁業の問題は、これはちょっと水産庁の問題でございますので、私のほうからはお答えいたしかねます。  大体以上が附帯決議をめぐるその後の動きでございます。
  183. 金瀬俊雄

    金瀬分科員 いまの説明によりますと、そうたいして調査したり研究したり計画したりしているということは考えられないわけですね、附帯条件については。もう七カ月たっているわけだけれども、これは今後この附帯条件を生かすために何らかの措置を御検討願いたい、さように考えています。  それから、この法律が施行後七カ月たつわけですが、この三つの海域において操業しておる漁船と航行中の巨大船との間にトラブルがどのくらい起きたか。またこの法律ができた、いわゆる施行前と比較して事故が減ったかどうか。
  184. 佐原亨

    ○佐原政府委員 漁船と一般船舶との間にどのくらいトラブルができたかということは、ちょっといま手元に資料がございませんが、事故は明らかに減っておりまして、東京湾について申し上げますと、港外の衝突、乗り上げ、その他合計で申し上げますと四十六年度が五十九件、四十七年度が四十四件、四十八年度が四十三件、徐々にではございますが、事故は減少しております。漁船とのトラブルは目下のところ事務局も聞いていないということでございますので、あとでまた調査して報告さしていただきます。
  185. 金瀬俊雄

    金瀬分科員 それでは、それはあとで調査して報告してください。  それから、この法律の施行後、東京湾を航行している船あるいは東京湾のまわりにたくさんある臨海工場あるいはシーバース、そういうところから油が不法に投棄されたり、あるいは事故の発生によって油が流れ出したという被害の件数はどのくらいありますか。
  186. 佐原亨

    ○佐原政府委員 まことに申しわけございません。被害がどれだけあったかというのはちょっとございません。海上保安庁で発生を確認した件数で答えさせていただきたいと思いますが、東京湾で申しますと、昭和四十七年に油によるもの、油以外のもの、赤潮、合計いたしまして三百三十五件でございます。四十八年になりますと、それが二百四十五件に減っております。二年で計算いたしますと、そういうことでございます。
  187. 金瀬俊雄

    金瀬分科員 この法律が施行されてからわかりませんか。
  188. 佐原亨

    ○佐原政府委員 その統計は実はとっておりませんが、月別のであるいは出るかもしれませんので、それもまた後ほど御報告いたします。
  189. 金瀬俊雄

    金瀬分科員 これは法律の施行前と施行後のいろいろな検討はしなかったわけですね。
  190. 佐原亨

    ○佐原政府委員 申しわけございませんが、現段階では保安庁はやっておりません。御指摘によってさっそく帰ってから検討いたします。
  191. 金瀬俊雄

    金瀬分科員 千葉県の統計資料で申し上げますと、いま東京湾といっても、漁業を本格的にやっているのは千葉県だけなんです。神奈川、東京はほとんど終わっておりますから、千葉県の統計資料によりますと、油が不法に投棄されたり、あるいは事故によって流れたのがこの間に大体八十四件あるのです。ですから、かなりの事故の発生率じゃないかということが考えられるわけです。  それで、その中でこういうことになっているのですよ。これは海上保安庁のほうでたいへんお骨折りを願ったわけです。富津のみさきに、御存じのように、油がたくさん流れてきた事故がございますね。この事故のことについて、これは漁船と貨物船が起こした事故でなくて、貨物船同士の衝突事故なんで、漁船には罪も何もないわけですね。関係ない事故なんです。この事故でたいへんな被害が出ているわけですが、この事故について、富津のみさきに流入してきた油と事故の油との類似性とか——海上交通事故の責任者はどちらなのですか、あるいは今後の補償とか処理の見通しについてできるだけ詳しく説明してください。
  192. 佐原亨

    ○佐原政府委員 先生のただいまおっしゃいました事件は、おそらくことしの一月のねばだ丸と第八東洋丸の衝突事故であろうかと思います。衝突の原因等あるいは刑法上の捜査が目下続行中でございまして、近々大詰めに至るというふうに仄聞しております。まだ結論が私のところまでは参っておりませんので、どちらが悪いかというところまではちょっとお答えしかねるわけでございます。  衝突事故によって流出した油と富津のノリの養殖場に到着した油の因果関係につきましても、現在当庁の試験研究センターで分析中でございます。同じ油をたしか千葉県のほうでも採取いたしまして、並行的に分析をしておるやに聞いておりますので、いずれはその結果がはっきりするものと思います。現在のところは、まだ因果関係ははっきりしておりません。結論としてはっきりお答えする段階までは至っておりません。もし因果関係があれば、先生がおっしゃるような補償の問題に移っていく、このように考えております。
  193. 金瀬俊雄

    金瀬分科員 長官、千葉県の調査によると、これは千葉県ではすでに研究所へ調査を依頼したところが、きわめて類似性が高いという証明が出ているわけですよ。海上交通事故を起こした両方の会社に対して内容証明を出して、補償を急いでくれというようなことで出しておるようですが、これはなるべく早く海上保安庁でも千葉県側に資料を提供していただいて、補償がなるべく早く済むように御検討願いたい、さように要望いたします。  それからきのうのあさ午前六時ごろ、また油が富津へ流れ出たことを御存じですか。そのことについてちょっと説明してください。
  194. 佐原亨

    ○佐原政府委員 実は毎日毎日私どもオペレーション報告という作業を行ないまして、三管区のほうから非常に概括的な報告が届いております。ただ現象面だけを報告を受けておりますが、加害船——あるいは船ではないのかもしれませんが、そういった関係につきましてはこれから三管が調査を始めるわけでございます。詳細につきましてはまだ承知しておりません。
  195. 金瀬俊雄

    金瀬分科員 いま言ったように、毎日のように事故が起きる。油を不法に捨てるとかいろいろなことで海洋汚染が進んでくる。そのことについて、海上保安庁の人も数が少ないし、あるいは船が少ないとかいろいろなことで取り締まりがむずかしいという点もあろうと思いますが、このままだとだれが加害者であるかということが明確にならない事件が非常に多いんですよ。そのためにいつも漁民が泣き寝入りという事件になることが多いわけですよ。海上保安庁の方々には気の毒だと思いますが、ひとつ取り締まりを厳重にしていただきたいということと、もう一つは、船自身が、東京湾で油を流した場合どうなるかというようなことについて理解が非常に少ないのじゃないかと思うのです。そのことについての指導とかいうことについても、相当金がかかることと思いますが、指導をやっていただきたい、さようにお願いいたします。  それで、これは一つの例ですが、総理大臣官房の広報室から十一月に発表された中にこういうことが書いてあるのです。これは水産庁の管轄ですが、魚の汚染ということで、東京湾がこんなによごれてきたということで、魚の食べ方について世論調査をして統計をとった。その中に食べる量を減らしているという人が二九%いたというのですよ。油のにおいがして食べられない。その次は、産地や魚の種類によっては食べないという人。だから東京湾とか瀬戸内海とか熊本の水俣湾の魚は食べない。それが一五%いた。それから内臓やあぶら身を食べないようにしているというのが四%。魚は危険だから全く食べないというのが六%。これは内閣の統計ですよ。広報室で出している統計です。だからそういうことを考えると、海洋汚染の魚に及ぼす影響というのはきわめて大きいわけです。それだけに漁民に与える被害というのは深刻なものになってきつつあるということですから、その点についてはひとつ十分な御検討をお願いしたい、さように考えています。  それから、その次に港湾局の局長さんにひとつ質問いたしますが、京葉第二シーバースというのをいま建設しようとしているわけですよ。それで許可申請書がおたくのほうに出されているのじゃないかと思います。そのことについて私どもは非常に賛成だし、このことのほうが油の被害が少なくなるということで協力するつもりでおりますが、その中で非常に模範的なことがあるのです。これによると、京葉シーバースの会社は、どんな事故であろうとも、京葉シーバースに向かってきた船、京葉シーバースで油を揚げた帰り道の船が東京湾の中で起こした油の事故、あるいはその他の事故については、全部責任を持つという契約書を漁業組合に入れているのです。このことはたいへんいいことだと私どもは考えているのです。これは公文書ではっきり出していますよ。それで地元の人もたいへん喜んでいるわけですが、こういうふうにどこの会社でも同じようなことをやってくれれば、東京湾の汚染事故というのはなくなるわけです。たとえばこの前、明原丸事件を起こした川崎のエッソスタンダードあるいは東亜燃料のシーバース、あそこから流れ出たということがはっきりしているのに、補償金がなかなか払えないということになっています。これから先いずれにしても、東京湾の入り口から原料を運んできて、それからまた加工したものを積んで出ていく船、そうした船は、もちろん全部責任を持ってもらわなければいけませんが、その船をあけた会社なり工場なり施設が、京葉シーバースと同じように責任を持つような指導体制というのができれば、海上交通安全法を通過させるときの附帯決議にあることが実現するわけですが、こういうふうな指導方針がとれるかどうか。京葉シーバースと同じようなことがほかの既設のシーバース、新しくじゃなくて既設のものにも適用できるかどうか。あるいは臨海工業地帯の工場にそういう指導ができるかどうか。その点について御説明を願いたい。
  196. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 たいへん示唆に富んだお話だと思うのでございますが、私どももいろいろ参考にしていきたいと思います。ただ、いま先生のおっしゃいました京葉シーバース株式会社が、いろいろいま港湾管理者に対してお話を進めているようでございますけれども、その中の第三項というところに、京葉シーバースを仕向け地あるいは仕出し地とするような船舶が東京湾の中で航行中に善良な第三者に損害を与えた場合には、その京葉シーバース株式会社は直ちにその船舶所有者の賠償について尽力しましょう、このような念書を出してもよろしいというようなことをいま千葉県に申し出ている、これが実情でございます。また、漁業組合に対しましては、そのような線を覚え書きとして出してもいい——まだ個別の漁業組合とは話し合っていないようでございますけれども、そのような形の覚え書きとか念書を出してもよろしいという提案があったと聞いております。尽力するということは、たとえばその船が東京湾内で他の漁船等に被害を与えた場合に、その補償額を全部このシーバースが持つというところまではいっていないようでございまして、その間の船舶所有者なんかに対して誠意を持って仲立ちをして尽力する、こういう意味であると聞いている次第でございます。  私どもといたしましては、このような形で事故の処理がスムーズにいくということは非常にけっこうなことではないかと思っております。また、特に先生のお話からいろいろ感じますことは、新しい港をつくる場合に、一つ港湾区域であるとか、そういうところの漁業補償問題、漁業権の消滅みたいなものはわりあいにやっているわけなんですけれども、その港湾に至る船が——普通の入り会いのいろいろな漁船に新しく入ってくる船がぶつかったような場合、これは非常にトラブルが出ております。こういうような点につきまして、港湾建設をする側は、いまの示唆に富んだお話が将来たいへん参考になるのではないか。そういう点で私は勉強していきたいというように感じている次第でございます。  しかし根本的には、油問題とかそういう点で事故の起きた場合には、油濁補償制度の確立というような方向に行かなければいけない、やはりそちらのほうに進むべきではないかというように感じております。とにかくいろいろな点について勉強していきたい、こういうふうに感じた次第でございます。
  197. 金瀬俊雄

    金瀬分科員 この京葉シーバースの社長、小坂さんという人に私は会って話を聞いてみました。あなたのところはこういう文書を取りかわしているけれども、実際はどうなんだと聞きましたら、第二項にこういうことを書いてあるのです。「前項の損害金の算定については、県が別途に構成した損害調査委員会の決定にしたがいます。」と書いてありますが、何か被害が出た場合に、このくらいの被害だという、たとえばノリの場合、一億円ぐらいになるときまった場合、一億全部は払いません、しかし、査定した金額の八割とか六割とかを立てかえ払いをやって救済いたしましょう、あと残った金は裁判とかあるいは相手の会社との補償交渉がはっきりした場合に、自分のほうで取ってあげましょう、そうしてそういう賠償に応じない船は今後シーバースでは着けさせないし、使わせない、そこまで私のほうは責任を持つつもりでございます、そういうお話を聞かされまして、考え方としては非常にいいことだというふうに考えましたので、ひとつ今後新しいシーバースを計画する場合、あるいは既存のシーバースでもできるだけこの案が将来認められた場合はそれと同じような形でやってくれるように、ひとつ港湾局のほうで指導していただきたい、さように考えております。  それから、最後に大臣にお願いでございますが、東京湾の汚染というものは、いま言ったような事故の発生率から考えても非常にひどくなってきておるわけです。海が死の海となるということは、それだけ人間の滅亡が近づくのだということを何か学者が言っているのがありますが、ひとつ海をきれいにするように、思い切って港湾局とか海上保安庁とか、そうしたところに公害対策費という予算を組んでいただいて、ことしはどうか——すぐというわけにいきませんが、できるだけ予算をたくさん組むことによってやっていただきたい、海洋汚染防止につとめていただきたい、さように考えております。その点については、ひとつ大臣の特段の御配慮をお願い申し上げます。  それから、建設省の人はきょう来ておらないようでございますので、その点は省かしていただきまして、ひとつ自動車関係のことだけ、せっかく局長さんお見えになっておりますので質問さしていただきます。これは主として自動車の騒音公害についてだけお伺いします。  この発生源に対する対策が必要なわけですが、現行の道路運送車両法の保護基準あるいは環境基準は、環境庁の言う環境基準維持達成に対応する基準値になっているかどうかという問題です。簡単に言えば日本版のマスキー法を制定する必要を考えているかどうか、相当きついものをもっとやる気があるかどうかという考えですが、どうでしょう。
  198. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 自動車の騒音でございますか。
  199. 金瀬俊雄

    金瀬分科員 騒音です。
  200. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 自動車の騒音につきましては、実は昭和四十六年度から現在の規制を行なっておるわけでございます。それでこの規制値というものは、現在の段階では国際的な水準の規制をやっておるわけでございますけれども、しかしわが国の場合、立地条件、特に高速道路周辺の家屋の増加とかその他条件が異なりますために、最近自動車の騒音についてその苦情がふえてきておることは確かでございます。  私どもといたしましては、現在とりあえず考えておることといたしましては、昭和四十九年度におきまして、特に大型トラックと二輪車につきまして、現在の規制値をさらに強化する方向で現在鋭意準備中でございます。その他恒久的な方針といたしましては、現在環境庁において検討をいたしておる段階でございまして、われわれも十分協力いたしまして、さらに規制を強化する方向で検討してまいりたいと考えております。
  201. 金瀬俊雄

    金瀬分科員 実は局長、三月二日の朝日新聞に「大阪空港訴訟の判決 道路行政にも影響」ということで、道路行政とか自動車行政について今後環境対策を進める上に非常に裁判の結果が影響するということが書いてあるので、それについて質問するつもりで準備してきましたが、建設省の人がお見えになっていませんので、その点は道路行政とおたくの自動車行政と非常に関係があるので、ちょっと両方に聞かなければわからないことなんで恐縮ですが、自動車局長さん、ことしの一月に告示をされた五十年規制にはディーゼルエンジンを積載した大型バス、大型トラックは規制の対象外となっていますね。どうですか、これは。   〔村田主査代理退席、主査着席〕
  202. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 ただいま先生指摘の規制は、これは騒音規制ではなくて排出ガスの規制でございます。
  203. 金瀬俊雄

    金瀬分科員 これはどういうわけか、それをちょっと……。
  204. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 御指摘のようにガソリンディーゼルにつきましては、今回の五十年規制の対象には入っておりません。これにつきましては、四十九年度におきまして必要な規制措置を講じたい、こういうふうに考えております。
  205. 金瀬俊雄

    金瀬分科員 将来これは相当きつい規制はやりますか、いまのままなんですか。
  206. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 四十九年度から、現在実施いたしております四十八年規制に見合いますような規制を行なってまいりたいというふうに考えております。
  207. 金瀬俊雄

    金瀬分科員 では最後に自動車局長さん、これはどうなんですか。東京のような非常な過密都市では、自動車から出る騒音あるいは排気ガスだけでも非常に公害が広がっているわけですが、このまま進んでいくとたいへんな事態になるじゃないかと言われています。過密都市における自動車の走行台数を減らす、自動車の数を減らすということについて、具体的に自動車局長さんあるいは道路局長さん、そうしたところで相談したり、あるいは何か計画を立てたことがございますか。
  208. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 いわゆる過密都市における自動車の総量を規制すべきである、こういうふうな考え方はいろいろな観点から実は従来から取り上げられてきたわけでございまして、運輸省といたしましても、一つには、やはり大都市におけるいわゆる公共的な輸送機関の運行能率をあげるためからまいりましても、ある程度の総量規制というものが望ましいということで、そのためのいろいろな具体策というものも実は検討はいたしてきたわけでございます。その後昨年来のエネルギーの問題が起こりまして、また新しい観点からやはりそういう問題を真剣に取り上げなければいけないということになったわけでございますけれども、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、公共の輸送機関の運行効率をあげるためからまいりましても、そのような規制というものが何らかのかっこうで行なわれることが望ましい。ただ、その方法等につきましては、これはいろいろ関係するところ、関係省庁の合意が必要でございます。また、その方法につきましてもいろいろ問題がございます。これにつきましては、総理府が中心になりまして各省庁で意見交換を行なっておることは事実でございます。ただ、いつどのような方法でやるかということにつきましては、いまだ結論には到達していない、こういう状況でございます。
  209. 金瀬俊雄

    金瀬分科員 最後に御要望を申し上げまして、時間が参りましたので質問をやめますが、昭和四十五年の例をとってみると、環境庁調査ですが、東京湾の地域においては、炭化水素五七%、窒素酸化物の三九%、一酸化炭素の九三%、これは自動車から排出されるという統計が出ていますね。そうなってくると、首都圏における大気汚染とかあるいは騒音とか、そうした公害というのは、自動車が占めている比重が非常に高いということになるわけですよ。ですから、その点について今後自動車行政の中で十分な配慮をしていただいて、ひとつ人間の命と健康、生活環境を守るために特段の御努力を願うようにお願い申し上げまして、私の質問を打ち切らしていただきます。  どうもありがとうございました。
  210. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて金瀬君の質疑は終了いたしました。  次に、井上普方君。
  211. 井上普方

    井上(普)分科員 自動車局長さんおられるので、ちょっとついでに聞いておきましょう。  いま、東名と名神の高速道路で、国鉄ですか、高速自動車を走らしておるようです、国鉄ハイウエーというのを。これは私聞くところ、大きな赤字だと聞いておるのですが、その経営状況はどうなっておりますか。  それから、次にできてくる東北あるいは北陸の自動車道にもやはり走らす計画があるのですか、どうでございますか。これは自動車局長国鉄さんかわからぬので、運輸省だろうと思いますので聞きますが……。
  212. 伊江朝雄

    伊江説明員 ただいまの御質問は、東名、名神とハイウエーを走っております国鉄バスの御質問かと思いますが、現在の状況は、決算がまだ四十八年度は出ませんのでわかりませんけれども、四十七年度の状況は若干赤字になってまいっております。しかしながら、輸送力といたしましては相当な需要があるということでございますので、今後輸送改善をしながら、そうして経営上の赤字を消していきたい、かように考えております。
  213. 井上普方

    井上(普)分科員 どうもおかしいじゃないですか。需要があるというのはお客さんが多いということでしょう。お客さんが多くて赤字が出るというのは一体どうなんです。運賃が安過ぎるのですか、どうなんです。そこらあたり、もっとはっきり明らかにしてもらわぬと困りますな。
  214. 伊江朝雄

    伊江説明員 運賃の問題もございますが、やはり年々上がってまいります人件費の問題、それから車両も相当の走行キロでございますので、新製取りかえ、減価償却、こういったいわゆる資本経費と人件費というものがやはり年々上がってまいります。お客さまからちょうだいいたします運賃はそう極端には上がりませんので、やはり経営上としては若干赤字になっておる、こういう状況でございます。
  215. 井上普方

    井上(普)分科員 時間がございませんので、若干なんというのはどの程度か、ともかくいずれ文書でひとつ私のところまで持ってきていただきたいと思うのです。  それから、今度は自動車局長さんでしょうな。自動車整備です。整備につきまして、自動車整備工場というのを指定していますね、あれはどんな監督をしておるんですか、ちょっとお伺いしたいんです。
  216. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 整備工場につきましては、陸運局におきましてこれは定期的に監査をいたしまして、その質の向上、維持につきまして監督をいたしておるわけでございます。
  217. 井上普方

    井上(普)分科員 自動車の登録ナンバーというのは、エンジンだけにあるんですな、刻印は。そうでしょう。どこにあるんですか。何カ所打ってあるんですか。
  218. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 車種ナンバーは一カ所でございます。
  219. 井上普方

    井上(普)分科員 どこにやっておるんですか。
  220. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 フレームのところでございます。
  221. 井上普方

    井上(普)分科員 エンジンでしょう。どこだい、フレームなんていったって、私は英語はどうもわからぬで。
  222. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 恐縮でございますけれども整備課長をしてちょっと御答弁さしていただきたいと思います。
  223. 浦野力光

    ○浦野説明員 ではお答えいたします。  自動車につきましては、自動車の同一性の確認をするためには、自動車の車体、ボデーにメーカーで番号を打たしております。それからトラックやバスにつきましては、メインになる、床下のほうのメインの大きいけたになっております柱に打たしてあります。それから乗用車等につきましてはエンジンルーム内等の見やすいところに一カ所打たしております。それからエンジンにつきましては、これは排気量の関係がありますので、型式だけを表示さしております。
  224. 井上普方

    井上(普)分科員 型式って何だい。
  225. 浦野力光

    ○浦野説明員 A型のエンジンであるとかB型のエンジンであるとかいうような表示をいたしまして、それは諸元的に何ccであるということがわかるようにしてあるわけでございます。
  226. 井上普方

    井上(普)分科員 私は、実は奇々怪々なるうわさを聞いたんです。といいますのは、自動車が事故を起こしますね、がちゃんと。そうすると、うしろのほうがいだんだ場合と前がいたんだ場合とがございますね、自動車には。そうしますと、このごろは溶接技術が御承知のように五十万トンのタンカーでも電気溶接がぴっぴっとできるような世の中になっておりますので、前の部分とうしろの部分をくっつけてそのまま走らしておるという事実を私は聞いたのであります。聞いたことはありませんか。聞いたことがないとすると、あなた方のその陸運行政というものはいかにずさんなものかということがよくわかる。
  227. 浦野力光

    ○浦野説明員 自動車が事故を起こした場合に、フレームが非常にいたんだ場合は、特にフレーム部分が車体番号を打ったようなところがいたんでナンバーがわからなくなったというようなときには、陸運事務所に持ってこさせまして、新たに事務所で自動車を確認して番号を打つということをやっております。
  228. 井上普方

    井上(普)分科員 私、いま通産のところで聞いてきたんですが、中曽根さん言いよりましたが、役人より商売人のほうが頭がいいんだそうだ。だから、頭の部分とうしろの部分とががちゃんとなったのを、まん中で断ち切ってくっつけるという技術が実は開発せられておるんですよ。あなた方、そういうことがないと断言できますか。そういうような欠陥車が現在走っているんです。やっているところはどこだといいますと、やはり通産省指定の整備工場ですか、そこらあたりでやられておるという事実を私は聞いたのであります。目撃したわけじゃありません。こういうことが現在の溶接技術からするとできると思います。だから、製造したら刻印をもっとたくさん打つ必要があるのじゃないか、こう思うので私は聞いているのです。どうでございます。
  229. 浦野力光

    ○浦野説明員 一般的には私どもはないと存じておりますけれども、もしそういう事例があれば、そういう整備工場は監査できる体制にございますので、直ちに監査いたしまして調べ、処置いたしたいと思います。
  230. 井上普方

    井上(普)分科員 若いうちからそんなずるい国会答弁をするようでは困る。いいですか、年に一回しかあなた方は監査しないのでしょうが。盗人と浜の真砂は尽きることはないと昔からいわれておるから、頭だってあなた方役人より商売人のほうがいいということを、さっきも私、中曽根さんから聞いてきたところなんです。ないとは言えませんよ。それでは私が、この自動車はどうだと言ってやったときには、あなた方はどうします。自動車局長、ああいうような言いのがれの答弁をしているとそういうことになるのだ。私の言っていることを一つの忠告とすなおにひとつお聞きになって、そして欠陥自動車をいかに少なくするかということを真剣にお考えになるのがほんとうじゃございませんか。どうでございます。
  231. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 確かに先生のおっしゃいますとおりでございまして、万が一にもそういうふうな事態があれば、われわれとしては、これは非常にゆゆしきことであるというふうに思っております。したがいまして、私どもといたしましても、全力をあげましてそういう事態のないようにさらに厳重に監督をしなければなりませんし、また、そういうふうな事実がもしかりにあるといたしますれば、われわれとしては、それをできる限り調査いたしまして、その事実につきましては必要な処分をする、こういうふうにしたいと思います。
  232. 徳永正利

    徳永国務大臣 いま井上先生の御提言は、私、一つの御提言だと思います。前とうしろに打っておれば、中がちょん切れてもほかの自動車につなぐわけにいきませんから。私も、フレームというものがどういうものか、実はよく知りませんが、そういうことができるとなれば、番号といいますか、刻印といいますか、番号を前とうしろの両方に打つということは、確かに一つの御提言だと思って研究させます。
  233. 井上普方

    井上(普)分科員 私は事実聞いておるのです。二台だめになったけれども、一台刻印のところが安全であれば、一台だけはそれを使って一台廃車にすれば、一台浮いてくるわけです、二台事故を起こしても。こういう事実があるのです。わからないのは頭の悪いお役人だけだろうと思うのです、中曽根さんのことばを聞きますと。そういうような点も、小さいことのようでありますけれども欠陥自動車に横行されては交通事故で国民の生命はたまったものじゃないと思いますので、ひとつこの点、大臣のおっしゃるように、もう少し研究していただきたいと存ずるのであります。  いろいろと申し上げたいことがございますが、時間がございません。港湾局長さん、来られておるかな。言ってなかったので……。
  234. 稻村佐近四郎

    稻村主査 港湾局長、来ておりません。
  235. 井上普方

    井上(普)分科員 来られてなかったら、またあらためて違うところでやりましょう。  それから、国鉄さんが来られておるが、さっきおたくの何やら調査室長とかいう人が私のところに来まして、質問を聞かしてくれ聞かしてくれと言われて申したのですが、どうですか、石油危機の最中に、タンク車というのですか、タンク貨車というのですか、あれに積み込んだタンクが、日本各地、ともかくいなかの町にでんとすわっておって、われわれが、おい、隠退蔵物資じゃないかと言ったら、あくる日それが動いてしまったという事実がございます。私らが見てますと、まさか国鉄さんが、石油危機のときに石油会社のお先棒をかついでそういうような物資の退蔵をやったとは思いませんけれども、それを証明するためにも、物価特別委員会において質問あったかと思うのですが、タンク車の十一月、十二月の移動につきまして御調査になった経緯がございますか。あればその結果をひとつお知らせ願いたいのです。
  236. 伊江朝雄

    伊江説明員 具体的にタンク車がどこで積み荷の分を抑留されたかということの調査は、実はしておりません。
  237. 井上普方

    井上(普)分科員 これは国鉄の名誉のためにも、総裁、一度お調べになったらどうです。そういうことが現に軽井沢であった。軽井沢といったら、あの国鉄の大きなタンクが七台も八台もおることは、まず一年に一ぺんか二へんでしょう。しかも騰貴に向かった十一月にあの駅に七台がでんとすわっておる。事実あったのです。出光興産のマークがついたやつです。おそらく全国においてこういうことがたくさんあったに違いないと思うのです。国鉄さんにすれば、お客さんの言うとおりだから、右へ動かしてくれと言われたら、はいといって動かしたでしょう。しかしこれは国鉄の名誉のためにも調査をやっていただきたい。でございますので、十一月、十二月のあのまるいタンク車、タンク貨車というのですか、あれがどういう動き方をしておったか、全国的な御調査をひとつやっていただいて、あとで御報告していただきたいと思うのですが、どうでございますか。
  238. 藤井松太郎

    藤井説明員 御指摘のような事実があれば、国鉄としても非常に残念なことでございますので、お申し出のとおり、よく調査いたしまして御報告いたします。
  239. 井上普方

    井上(普)分科員 ついでにですが、運輸省というものは、貨物船が港に出入りするのを全部調べておるのでございましょう。
  240. 徳永正利

    徳永国務大臣 これは全部の港湾についてやっておるわけじゃございませんが、大体港長というのを配置しておるところは、そこで届け出があってやっておるわけでございます。
  241. 井上普方

    井上(普)分科員 そこで私は、いまさら、石油会社の売り惜しみ、あるいはまた便乗値上げ等々についてもう相当言われましたので、言うことは少ないのでございますけれども、タンカーの行くえというもの、運航状況というものを十分につかまなければ、石油危機に対しての対処のしかたはできなかったろうと思うのです。この間何か本を読んでおりますと、アメリカのメジャーが盛んにタンカーを買い上げして、そしてペルシャ湾とか、あるいはまたアラビヤ海に隠しておったというようなことが出まして、日本のタンカーの状況は一体どういうような状況だったろうかと興味を持った一員であります。しかし、あの当時、私も港湾労働者から聞きますと、ともかくかなりタンカーというのは日本に入った、にもかかわらず石油不足だというのは、どうも先生、これは話が合いませんぜということを労働者から聞いたことがございます。こういうようなのは政府はやはり一貫して状況をつかんでおく必要がなかったか、こう思うのですが、どうでございましょう。
  242. 徳永正利

    徳永国務大臣 実は私も運輸省の守備範囲でそれがやれると思いまして、一時そういう話が出たことがあります。タンカーが着いておるけれども、タンカーは一ぱい油を積んだまま外に控えている、こういう事実があるじゃないかというような話が出まして、これを調べろというので私運輸省に調べさせたことがございます。そのときには、タンクが一ぱいで陸揚げができぬというのじゃなくて、いろいろな船の順序やら岸壁につけるやりくりでそういう事実が二、三隻あったようでございますけれども、私が心配しておったようなことはなかったようでございます。そこで私は、油を押えるのは運輸省の守備範囲で全部チェックできるのではないか、そう思って研究さしてみたのでございます。ところがいろいろな点で、海上保安庁の守備の範囲とか、あるいは港湾管理者の守備の範囲とかいうようなことで、なかなか運輸省ではそれの全量を押えることができない、こういう報告を聞きまして、それじゃどこでできるのだ。これは税関では完ぺきにできるのだそうでございます。ああそうかということで実は終わったわけでございますけれども、私も一時、そういうことで運輸省で調べさせたいと思ったことがあるのは事実でございます。
  243. 井上普方

    井上(普)分科員 大臣もそう思ったのだから、われわれも、これは運輸省が握っているだろうと思うのも、これまた当然だろうと思うのです。そこに日本の行政機構の複雑さといいますか、官僚どもがわからなくしたところに原因があるんだろうと思うのです。しかし、いずれにしましても、運輸省もやはりわかるような仕組みにする必要があるんじゃないだろうかと私は思うのですが、大臣、今後は、税関だけでわかるんじゃなくて、連絡をとり合って、運輸省あるいは通産省も全部わかるというような仕組みにする必要があると思うのですが、どうでございましょう。
  244. 徳永正利

    徳永国務大臣 私もそういうような努力はしなければならぬと思います。仕組みを詳細によく存じませんので何ですが、私のほうでやれる範囲のことはやはりやって資料を提供するとか、提供し合うとかいうようなことは、私は大いにやらなければならぬと思います。
  245. 井上普方

    井上(普)分科員 どうも私は、このたびの石油問題を見ていますと、各省のセクショナリズムにともかくネックがあったんじゃなかろうか、このような感がしてならないのであります。これからもいろいろと問題が起こってくるときに、政府一体となって動けるような、あるいは調査ができるような体制がやはり必要だろうと思います。そのためには、仕組みとかなんとかいうような小さなことにこだわらずに、各省のなわ張りがどうだこうだということはなしに、わかるような体制にしていただきたいことを強く私は大臣要望しておきたいと思います。  それで、港湾局長がいませんので、詳しいことは私、申しません。大まかな話で、大臣並びに官房長ぐらいだったらわかるようなことを申しましょう。  実は昨年、公有水面埋立法という法律が成立いたしました。その際に非常に今度はきびしくなっております。港湾区域の中におきまして埋め立てする場合は、今度はその地元の県議会あるいは町村の同意を得る、関係者に対して公聴会を開かなければいかぬというように、事務は繁雑になっています。まあ役所にしましたら繁雑でございましょう。しかし、われわれからすると、民意というものを十分に聞いてやるような方向に実は改正いたしたのであります。これは運輸省建設省と両方の共管ということで公有水面埋立法を成立させました。私どもは反対であったのでありますが、成立いたしました。  その際に、前の新谷運輸大臣のときでありますが、どうもこの法律をやるとかけ込みの事業が行なわれるんじゃなかろうか、このように感じまして、かけ込み申請に対してはどうするんだということを強く私は質問いたしたのであります。そうすると、かけ込み申請と思われるものはすべて新法にのっとった方法をとらせるというのが、運輸省並びに建設省両方ともの御答弁でございました。ところが、その後しばらくしますと、私のところに高知市長から、実は高知湾の埋め立てについて港湾審議会にどうもかけ込み申請らしい、何とかしてくれという話がございました。やがてのこと見ておりますと、和歌山県のあれは田辺港ですか、あそこで問題を起こして乱闘騒ぎも起こったようであります。まさにかけ込み申請であります。  それで私は、この際に非常に残念に思っておるのでございますが、大臣が一たん約束したことは、これは守っていただかなければならぬと思うのでございます。大臣、このかけ込み申請のいままでの件数、去年の六月以降、港湾区域における公有水面埋め立ての申請の件数について、ひとつ御報告をしていただきたいと思うのですが、お約束していただけますか。
  246. 徳永正利

    徳永国務大臣 六月以降でございますね。御報
  247. 井上普方

    井上(普)分科員 時間もございませんのでもう一つお伺いしたいのですが、これは私の地元ではございませんですが、はなはだけしからぬ話を聞きますので、お伺いしたいのです。  これは高知市の高知湾の中です。やはり同じく運輸省港湾区域でございます。そこに今度は、公有水面埋め立てをするのはめんどうくさいということで、五千トンと一万トンのフェリーの岸壁をつくる。埋立法がうるさいということでしょう、今度はくいを打って浮きドックをつくるんだということで、公有水面埋立法の手続をとらなくていいという抜けをやろうといたしておるのであります。地元の高知市は大反対であります。ところが、この二月、県議会にこれを提案しようとしておるのでありますが、大臣どう考えられますか。その浮きドックの事業費は四十億、五十一年度完成の予定だそうでありますが、こういう事実を大臣は御存じでございましょうか。まあ、これは大臣は知らぬと思います。しかし、それらに対するあなたの基本的な考え方というものをひとつお知らせ願いたいと思います。
  248. 徳永正利

    徳永国務大臣 私、実はこの事実も知りませんし、申しわけございませんけれども、公有水面埋め立ての法律の内容についても残念ながら実はつまびらかにしておりませんもんで、その辺のことにつきまして、これがどういうふうないきさつになってこういう事態になってきたのか、あるいはこれの当、不適というのはおそらくいままでも議論されておるだろうと思いますが、いまそれに対する的確な見解というものは、申しわけございませんけれどもお許しいただきたいと思います。
  249. 井上普方

    井上(普)分科員 大臣、御無理ないと思います。私は、浮きドックをつくるという便法は、これはもう抜け道だと思うのです。やはり抜け道は抜け道として行政措置で押える必要があると私は思うのです。こうなるんでありましたならば、公有水面埋立法という法律をつくる必要もなかったんじゃなかろうかという感もなきにしもあらずであります。法律にはたくさんの抜け道がございます。中曽根さんの言うように、役人とかわれわれ頭の悪い連中が考えるよりも、商売人のほうが、商売人は頭がいいそうですから、抜け道を考えるのはなかなか達人であります。しかし、そういうような抜け道を考えた際には、ともかくこれを押えていくというのがやはり行政責任じゃなかろうか、このように思うのです。大臣、この問題を至急御調査いただいて御報告賜わりますようお願いいたすのですが、どうでございます。
  250. 徳永正利

    徳永国務大臣 調査いたしまして御連絡いたします。
  251. 井上普方

    井上(普)分科員 以上で終わります。
  252. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて井上君の質疑は終了いたしました。  次に、坂口力君。
  253. 坂口力

    坂口分科員 きょうはローカル線の問題につきましてひとつお伺いをしたいと思います。  いわゆる最近の都市のドーナツ化現象と申しますか、都市の近辺に非常に大きな団地等ができまして、その周囲からお通いになる方がだんだんとふえてきたというようなことがどこの都市でも起こっており、そのために、道路等が十分に整備ができなくて非常に交通渋滞を来たしておるというようなことが、間々あちこちに起こっている。そのほか、車の渋滞だけではなしに、その排気ガスによりますいわゆる大気汚染が大きな一つの問題になっておる、これも事実でございます。今国会にも大気汚染防止法の一部を改正する法律案が提出されようといたしておりますし、それから公害健康被害補償法の一部を改正する法律案が、自動車重量税の一部を公害健康被害補償協会に交付するということを定めて、今回これもまた提出をされているところでございます。このように自動車が、渋滞と、それから環境破壊、さらにまた最近のように石油危機というような問題も加わりまして、一つの行き詰まりに来ていることは事実でございます。こういった局面であらためてローカル線というものが見直されてきている、こう思うわけでございますが、運輸大臣、ひとつその辺どのようにお考えになっておりますか、御意見を賜わりたい。
  254. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘のように、大都市並びに小都市までお説のような公害等が広がってきつつあるのは事実でございます。したがいまして、道路の渋滞及び自動車公害というものが重なっていろいろな問題を起こしているわけでございますが、大量交通機関として鉄道を選択すべきか、あるいはまたそのほかの何か代替輸送機関を考えるべきかというようなことは、これから十分検討してまいらなければならないと思います。公害の少ない問題としてはモノレールもございましょう。あるいはまたバスをどういうふうな形で走らすかというようなことも、一つ公共輸送機関としては検討しなければならないことだと思います。また過疎地域に対する問題も当然大きな一環の対策としては出てこようと思いますが、そういう面において今後十分検討を続けるというよりも、対策を立ててまいりたいと思っております。
  255. 坂口力

    坂口分科員 今後の人口増加の問題を考えますと、さらに問題は深刻にならざるを得ないと思うわけでございます。特に工場からの排気ガス等が非常にひどいような都市、こういう都市におきましては、交通渋滞もさることながら、そこから出ます排気ガス等が非常に大きな問題になっていることも事実でございます。これはたいへんな問題であろうと思うわけであります。  田中総理大臣の日本列島改造論につきましては、その基本的な考え方につきましては批判のあるところでございますけれども、しかし、いま大臣のお話にもございましたように、農山村を新しい角度から再発見していこう、あるいはまた周辺の都市を新しい角度から再発見していこうという考え方については、また多くの賛成もあるのではないかと思うわけであります。ローカル線につきましては、赤字の問題でございますとか、あるいは乗務員の不足の問題でございますとか、いろいろな面でむずかしい局面も確かにございますが、単に目先のことだけを考えるということだけではなしに、将来の日本の大きな交通網ということを基本的に考えるならば、多少現在無理をしても残していかなければならないものというのは、これはやはり私鉄、国鉄を問わずあるのじゃないかと思うわけでございます。それにつきましては、大臣も御賛同いただけるのではないかと思うわけであります。  その一例としましてこういう問題がございます。これは三重県の四日市市から山間のほうに伸びております、これは近鉄線でございますが、伊勢八王子線というのがございます。この電車は、明治四十三年の十二月に、その地域のお茶ですとか、あるいは糸、こういったものを運搬するために、地元民の出資によりまして、文書によりますと、資本金十万円ぐらいで軽便鉄道として出発をしたものでございます。それ以後幾多の変遷を経まして、現在は近鉄の伊勢八王子線として運転をされているものであります。この沿線の四郷地区と申しますが、この四郷地区には最近大きな団地がたくさんできまして、そうして人口が昭和三十年ぐらいに比べますと最近では三倍ぐらいになっております。二、三年あとにはこれがまた二倍にふくれ上がろうというふうになっております。もしこの線路がなければ、その辺の住民にとりましてはこれは生活の足でございまして、たいへんな混乱を招くわけでございます。ところが、この線は線路が狭いというようなこともございまして、昭和四十年に突然会社側から廃線計画が出されたものでございます。しかし、いま申しましたようないろいろの状態がございまして、地元の人はどうしてもこれは残ってほしい。特に公害等でやかましい四日市のことでございますので、これをまたバスに変えると、一日百七十台ぐらいのバスを出さなければならぬ。そうしてまた非常に交通渋滞等もからみ合ってたいへんな問題になるので、何としてもこの生活の足を確保してほしいという大きな運動が今日まで繰り返されてまいりました。昨年の十一月、四十八年の十一月の交通量調査によりますと、一日に七千人からの人が乗っておりまして、おそらく七、八千人の人が、この短い線でございますが、これを利用していることになっております。  こういうふうな線につきましては、やはり地元の住民の立場も考え、そして国、県、市、そういったところも積極的に協力をして、こういう線は存続をされていくように努力を重ねるべきであるというふうに私どもは考えておりますが、一例を申し上げましたけれども、こういうふうな線の場合に、やはり積極的な前向きの姿勢で取り組んでいくべきだ、こういうふうに思いますが、大臣、いかがでございましょう。
  256. 秋富公正

    秋富政府委員 この八王子線につきましては、いろいろといきさつがございますことは、私もよく承知いたしております。ただこの線は、御指摘のように、ゲージが〇・七六メートルという軽便鉄道として今日まで至っておりまして、しかもその一部分につきましては、天白川と県道との間の堤防敷に敷設されておるということでございます。一方におきまして、ここに団地ができてまいりまして、廃止申請をいたしました当時と比べ、約十年の間に相当輸送量が伸びているということも事実でございます。  この八王子線の輸送増強ができるかどうかという問題でございますが、いま申しましたように、堤防敷に敷設されております関係で、施設の改良あるいは車両の大型化ということが非常に困難であるということも事実でございます。いかにしてこの問題を解決すべきか。道路も非常に発達はしてきておりますが、いろいろと問題があることもございます。そういった関係で、ことしの三月一日に四日市の交通対策懇談会と申しますものを、名古屋の陸運局と四日市の市長以下助役、それから地元の鉄道あるいはバス会社というものでつくったわけでございますが、さらにことしの四月に、今後の四日市全体の交通網についてどういうふうにしていくべきかということにつきまして、ただいま先生が御指摘のように、三重県と四日市、陸運局、それからいわゆる交通学者の方々、地元の鉄道あるいはバスの代表者、こういったような構成をもちまして陸上交通調査会といったようなものをつくりまして、広く全般的にいかに持っていくべきかということを検討していくという体制になっておりますので、そういった地元の方々の広い立場からいろいろと検討された結果も見守りながら、これにつきまして対処いたしたいと考えております。
  257. 坂口力

    坂口分科員 一つの前向きな方法ではないかというふうに私も考えます。しかしながら、この問題一つを考えましてもいろいろの問題はございますけれども、やはり地域住民の足というものを中心に考えますと、こういうローカル線というのは今後前向きに発展的に考えていかなければならないものであるというふうに思うわけであります。線路の幅が狭いとか、それから川沿いに走っているというような点も確かにございますが、しかし、線路の幅が狭いがゆえにスピードも出さずにゆっくりと走る、そういうためにこの六十年間ただの一度も事故もなく今日に来ているという、かえって幅の狭さが安全であるという結果にもなっているわけでございます。  しかし、いま申しましたように、周辺に多くの団地ができ、そうして人口がふえてくるということになりますと、この路線を利用する人というのは今後どんどんふえてくるであろうと思うわけです。この周辺部に幾つかの病院がありましたり、あるいは学校がございまして、その通学する人もたいへんに多いわけでございます。そういう人たちは、バスならバスということに切りかえられますと、時間が非常に狂いますので、やはりどうしても時間の正確な軌道の上を走る電車というものに強い熱望を示すというのも、これも無理からぬことであるというふうに思うわけでございます。  で、いろいろそういうふうな審議会のようなものをつくっていただいて、そこで検討をしていただくわけでございますが、しかし、その中でやはり中心に考えなければならないのは、そういう赤字だとか線路が狭いというような問題が出たからというて、それを廃線にするというような前提のもとにそういう審議会をつくるのではなしに、そういう審議会ができましたら、時代に即応した交通網をさらに前進させていくというような考え方のもとに、もしそれが狭ければ広くしていくような方針で国、県、市ともに協力をしてそれに応援をする、また、その奥にもっとたくさんの団地ができればさらに延長をするというような問題も含めて、私は積極的に取り組んでいただきたいと思うわけであります。  そういう意味で私は運輸大臣にお願いしたいのは、いま一例として申し上げましたような、特に私鉄のような立場から、赤字その他の理由で廃線の問題等が出てくることがあろうかと思いますけれども、しかしそれは、大きな目、また長い目で見ていただいて、住民の生活の足を確保していく方向にその行政指導というものをしていただくべきである、こう私は思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  258. 徳永正利

    徳永国務大臣 私は運輸行政の原則というものは、先生のおっしゃるような、そういうところになければならぬと思います。現状のこの八王子線がどういうことになっておるのかつまびらかにいたしませんけれども、まず乗りものは安全かどうかという安全の問題が一番大切だと思います。そういうようないろいろな観点から検討が続けられるだろうと思いますし、また鉄道というのは、御存じのように私も山口県のいなかの山の中の出身でございますが、実は軽便鉄道がはずされたわけなんです。鉄道に対する住民の郷愁というものは、それはもうただならぬものがあることも、私ももう身をもってほんとうによく知っておるわけでございます。まあしかし、郷愁ばかりにとらわれておるわけじゃございませんけれども、よりよい方向をこの委員会で見出していただきまして、いまおっしゃったような原則に従って、いまお説を聞きますと必ずしも過疎地帯でもないようで、一日に七千人の利用者があるということでございますから、必ずいい方向が出てくることを期待しておるわけでございます。
  259. 坂口力

    坂口分科員 地元四日市市の市会も、昨年この近鉄八王子線の存続についてという請願を満場一致で可決をいたしておりまして、どうしてもこれを残して、前向きにひとつ発展させてほしいという強い要望を示しておりますので、この点いま大臣がおっしゃった方向でひとつ積極的に御検討いただきたいと思うわけでございます。  時間がございませんので次の問題に移らせていただきますが、交通渋滞の問題で、国道あるいは県道というものと国鉄線とが交差をしていると申しますか、踏切でございますね、これがかなりございますが、一日のうちの回数そのものはそう多くなくても、非常にそれが交通渋滞の原因になっているところがございます。これはもう全国たくさんあるだろうと思います。特に、単に通過時に遮断機がおりるときだけではなしに、線路の入れかえ等の問題がございます。このためにそこでずいぶん時間がかかるというような点がございます。  これもあちこちいろいろあろうかと思いますが、一例として申し上げますと、私のほうに津市の近くに阿漕駅というのがございまして、これが百六十五号線という国道と交差をしているわけでございますが、これ一つを例にとってみましても、通りますのは一日に七十本くらいなものでございますが、ひどいときになりますと、遮断機がおりたままである時間が二十六分くらいのことがある。そうしますと、一本きりの国道なものですから、三キロも四キロもずっと続くわけですね。そういうようなことがありますので、私は、でき得ればそういうようなところは立体交差にするのが望ましいと思うわけでございますが、それも金のかかることでございますから、そう急にはできないと思うのです。これはしていただければけっこうでございますが……。  そこで次善の策としては、私鉄なんかでは、信号踏切と申しますか、青がついている間は一たん停車せずに行くことができるというような踏切がございます。そうでなければ一たん停車をして行かなければならぬ。だから、朝晩なんてよくこむときは、一たん停車をするのがだんだんたまって、ずっと続くわけですが、それをいわゆる信号踏切——正式な名前は私、存じませんが、その信号踏切というようなものができれば、朝晩非常に楽に行けるという問題がございます。これは可能かどうかということが一点。それからもう一つ貨車の入れかえ等の場所は、国道とか大きな県道等にまたがらない場所でおやりをいただけないか。それも積極的に取り組んでいただきたいと思うわけです。その点につきまして、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  260. 篠原良男

    ○篠原説明員 先生のお話は、交通信号機と俗に称しておりますが、これは公安委員会から国鉄に協議が来まして、それぞれの踏切のケースに応じて対処しております。本線といいますか、旅客列車が通る本線の踏切につきましては、踏切保安掛がいて、しかも単線ということに限られて現在協議が行なわれておりまして、全国で約三十カ所くらい本線についてはございます。あるいは臨港線、港へ行くような本線で、単線である。構内ですと、先生のおっしゃるように、入れかえがございまして、それから非常に線路の数が多い。そうしますと設備的にお金がかかりますので、そういうところは極力立体交差のほうに持っていこうというふうに考えております。  先生の御指摘は、紀勢線の踏切の久居街道踏切だと思います。阿漕の構内にございますが、現在一種手動で人がおりまして、幅員が七・二メートルで、先生指摘のとおり、鉄道の交通量は一日八十回でございます。そのうち入れかえが三十回、貨車の入れかえのために使用する時間が大体半分に近いほどございまして、非常に御迷惑をかけていることは事実でございます。一方、国道でございますので、道路のほうは、換算にいたしますと約十五万くらいの換算交通量がございまして、非常に車が渋滞していることは事実でございます。現実には、道路管理者といいますか、公安委員会のほうからまだ交通信号機について協議は来ておりません。と申しますのは、交通信号機というのは、列車が一ぺん停止してそこを通る、自動車は通っていいというのを側線の場合にはやっておりますが、本線の場合には、先ほど申し上げましたように、単線で、そして保安掛がいて、それで確認をして一たん停止しないで通るというのが三十カ所しかございません。構内で入れかえがございますが、本線が三本と側線が一本ございまして、非常に設備的に金がかかるというのでやっておりません。  その久居踏切につきましては、現段階では、貨物をどこか集約して移したいという計画国鉄は持っておりまして、近く地元と協議したいと思っております。したがって、新しい近代的な貨物設備をつくりまして、そちらにその辺の貨物を集約いたしまして新しい近代的な貨物センターをつくりますと、阿漕の駅の貨物は要らなくなるわけです。そうすると線路が一本要らなくなるのと回数が減ります。そしてこの踏切については、地元とは立体交差で処理をしたい。物理的な立体交差はできます。したがって、今後は立体交差で地元と協議をしていきたい、かように考えております。
  261. 坂口力

    坂口分科員 立体交差にしていただけば、これは一番いいわけでございますが、なかなか金の問題で早急に進まないということになれば、やはりいま申しましたような方法も一つの方法ではないかと思うわけでございます。そういう意味で、単線でないからあるいは困難だというような意見もあるかもわかりませんが、全国にそういう場所がまだたくさんあると思いますので、立体交差が早急にできないようなときには、そういう踏切信号みたいなものも積極的に取り入れるようなことをひとつお考えいただけないかと思うわけでございます。それから、そういった場所から貨車の入れかえ等をはずすというような問題をひとつ早急におやりをいただきたいと思いますが、この例の場合なんかは早急にやっていただけますか。
  262. 篠原良男

    ○篠原説明員 現在、天王寺の管理局が地元と今後貨物集約について協議することになっております。貨物駅の統廃合というのが非常にむずかしゅうございますので、逆に地元の御協力が得られれば、それだけ早く集約ができると思います。もう一つは立体交差、これは国道でございますので、国の補助が相当ございます。建設省の補助がございますので、今後建設省と話を詰めていきたいと思いますが、それまでの時点に交通信号機いうことは、本線が三本ある、こういうようなケースはございませんので、公安委員会と事務的には詰めていきますが、やはり保安というものが先行いたすと思います。保安度を確保できるというような技術開発ができれば話は別だと思いますが、公安委員会と詰めていくことはお約束いたします。
  263. 坂口力

    坂口分科員 全国的な問題でございますので、そういうふうなことも善後策として御検討いただきたいと思います。  それから、時間がございませんが、もう一点だけ申し上げたいと思います。それは、最初に申しましたのは私鉄としての一つのローカル線の問題でございますが、国鉄としてもローカル線がたくさんございます。赤字でかなり弱ってお見えになる線もあるわけでございますけれども、しかし大きな目で見ますと、いかに赤字であっても国鉄としてやはり維持していかなければならないものは多々あろうかと思うわけであります。  これも一つ例をあげて申しますと、伊勢湾と大阪湾を結ぶところに名松線というのがございます。これは中京地区と近畿地区とを結びます鉄道として重要な役割りを果たしておりますが、初め奈良県の桜井から三重県の松阪市に抜ける桜松線という名前で出発をいたしましたけれども、それが途中まででとまっておりまして、いま名松線という名前になっております。新しい地域を形づくっていくというためには、新しい角度からこういうふうな線路につきましては再検討しなければならない時期に来ているのではないかと思うわけでございます。最近、これをさらに前進させよう、所期の目的に沿って桜松線を完成させようという会も結成されたりもいたしておりますが、国鉄としては、ローカル線でございますが、しかし、開通すれば赤字も解消されるであろう、あるいはまた地域の大きな発展にも寄与するであろうというような線路については、どういうふうな態度でお取り組みになりますか、ひとつ御意見を賜わりたいと思います。
  264. 藤井松太郎

    藤井説明員 名松線の延長の議論でございますが、ひとり名松線に限らず、開通して非常に一般のお役に立つというようなことであれば、これは建設すべきものは議論の余地がないので、この線に関しましては、現在予定線になっておりますが、調査線にしたらどうだというような陳情もございまして、建設審議会といったようなものがございまして検討いたしておりますので、大体御趣旨に沿うような方向で検討を進めたい、かように思います。
  265. 坂口力

    坂口分科員 そういたしますと、時間がございませんのでこの一問で終わらせていただきますが、一応調査線ということで今後いままでよりは前進をしてお取り組みをいただくというふうに理解させていただいてよろしゅうございますか。
  266. 秋富公正

    秋富政府委員 これは、ただいま国鉄総裁も申しましたように、予定線から調査線にいたすためには鉄道建設審議会に運輸大臣といたしまして諮問しなければいけない事柄でございます。でございますが、運輸省といたしましては、現在建設いたしておりますAB線が約四十数線ございます。限られた予算でございますので、これにつきましては、重点的にただいま予算も配賦しその完成を進めておる段階でございます。本年も去る三月一日にも貫通したものもございますが、やはり投下資本の効率と申します点からまいりますと、現在手がけております線につきまして集中的にやっていく、重点化して進めていくというのが運輸省の方針でございます。  この桜松線につきましては、先生よく御承知のように、一部と申しますか、相当部分が近鉄の大阪線と並行しているということもあるわけでございます。運輸省といたしましては、今後のこの方面におきます地域の開発計画、あるいは道路その他との総合的な交通政策というような各般の面から、さらに調査を進めてまいりまして検討していきたいと思っております。いま直ちにこれを鉄道建設審議会にかけるという次第にはまだ至っておりません。
  267. 坂口力

    坂口分科員 それじゃ終わります。
  268. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて坂口君の質疑は終了いたしました。  次回は、明七日午前十時より開会し、引き続き運輸省所管を審査することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十一分散会