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1974-03-09 第72回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月九日(土曜日)    午前十時開議  出席分科員    主査 上村千一郎君       櫻内 義雄君    田中 榮一君       中村 弘海君    紺野与次郎君       中島 武敏君    正森 成二君    兼務 多賀谷真稔君 兼務 八木 一男君    兼務 湯山  勇君 兼務 石田幸四郎君    兼務 鬼木 勝利君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      二階堂 進君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      小坂徳三郎君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長内閣総         理大臣官房審議         室長      亘理  彰君         内閣総理大臣官         房会計課長兼内         閣参事官    升本 達夫君         内閣総理大臣官         房総務審議官  佐々 成美君         総理府統計局長 川村 皓章君         青少年対策本部         次長      吉里 邦夫君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         警察庁長官官房         長       国島 文彦君         警察庁長官官房         会計課長    室城 庸之君         環境庁長官官房         長       信澤  清君         環境庁長官官房         会計課長    竹谷喜久雄君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         厚生省児童家庭         局長      翁 久次郎君         通商産業省産業         政策局長    小松勇五郎君         自治省財政局長 松浦  功君  分科員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         警察庁警備局参         事官      赤木 泰二君         法務省人権擁護         局総務課長   森   保君         大蔵省主計局主         計企画官    岩崎  隆君         大蔵省主計局主         計官      猪瀬 節雄君         大蔵省理財局国         有財産第一課長 村上 哲朗君         文部省社会教育         局審議官    説田 三郎君         厚生省社会局生         活課長     田川  明君         通商産業省立地         公害局保安課長 鎌田 吉郎君         建設省都市局都         市政策課長   豊蔵  一君         建設省道路局国         道第一課長   大島 哲男君         建設省住宅局住         宅総務課長   重元 良夫君         自治大臣官房参         事官      栗田 幸雄君     ————————————— 分科員の異動 三月九日  辞任         補欠選任   野田 卯一君     田中 榮一君   中澤 茂一君     田邊  誠君   正森 成二君     紺野与次郎君 同日  辞任         補欠選任   田中 榮一君     野田 卯一君   田邊  誠君     山田 芳治君   紺野与次郎君     田中美智子君 同日  辞任         補欠選任   山田 芳治君     吉田 法晴君   田中美智子君     増本 一彦君 同日  辞任         補欠選任   吉田 法晴君     山本 政弘君   増本 一彦君     中島 武敏君 同日  辞任         補欠選任   山本 政弘君     中澤 茂一君   中島 武敏君     正森 成二君 同日  第三分科員賀谷真稔君、八木一男君、石田幸  四郎君、第四分科員湯山勇君及び第五分科員鬼  木勝利君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算皇室費、国会、  裁判所、会計検査院、内閣総理府経済企画  庁を除く)及び法務省所管並びに他の分科会の  所管以外の事項  昭和四十九年度特別会計予算及び昭和四十九年  度政府関係機関予算中他の分科会所管以外の  事項      ————◇—————
  2. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算中、内閣及び総理府所管を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中榮一君。
  3. 田中榮一

    田中(榮)分科員 私はただいまから総理府関係土地並びに警察庁の今後の運営の方法につきまして、あるいはまた教育問題につきまして関連した問題でありまするので、若干質問さしていただきます。  私の質問することは直接国そのものには関係ないかもしれませんが、地元関係者といたしましてはきわめて重要なる教育問題と考えておりまするので、その含みでひとつ御質問いたしまするので何とぞ御回答願いたいと存じます。  私の質問せんとすることは、現在新宿若松町九十五番地に所在する総理府統計局に隣接する内閣総理大臣官房会計課長管理にかかわる警視庁第八、第九機動隊施設として使用認可を与えていまする土地及び建物施設につきまして質問をいたします。  この土地及び建物は旧陸軍化学学校施設でありまして、昭和二十二年より総理府統計局使用しておりましたが、昭和四十三年に現在の総理府第二庁舎が建設されまして、そこに実際の職員は移転されまして、しばらくこれがからっぽになっておったのであります。この残余土地利用につきましては、当時国家公務員福祉センターにやりたいという計画もあったのでありまするが、当時の社会情勢によりまして昭和四十四年五月十五日より二カ年の暫定期間によって警視庁の第八、第九機動隊の設置が認められまして、その後毎年五月十四日付で一年期間が更新されて今日に至っておるのでございます。  この土地につきましては、地元からもしばしば払い下げ陳情が提出されておったのでございます。  まず昭和四十年十月九日、新宿区長から保育用地として払い下げをしてもらいたいということ、それから四十一年九月十四日、同じく新宿区長から今度は児童遊園地が加わりまして保育所児童遊園地として利用したいから払い下げしてくれぬかということが提出されたのであります。それから昭和四十一年十月二十一日に新宿若松地区連合会よりこれは全体の払い下げ申請してまいったのであります。これはいずれも総理府関係のほうへ提出されておったんじゃないかと思います。さらに昭和四十二年一月二十日、同年九月五日の二回にわたりまして、やはり地元町会長PTAその他の住民陳情書が提出されたものと考えております。それから昭和四十四年一月二十三日になりまして、ここではっきり余丁小学校敷地として払い下げをしてもらえぬかという陳情があったのでございます。その時点からわが党の参議院議員安井謙氏並びにいまは亡くなりました新宿都議会議員自由民主党清水長雄君等が関連し、私どももその驥尾に付しまして何とか、余丁町小学が非常に困っておるので払い下げをしてくれぬだろうかという陳情をいたしたのでございます。  それから四十四年六月十五日になりまして国家公務員労働組合共闘会議よりも公務員の宿舎及びレクリエーションセンター用地として払い下げをしてくれぬかという申請がありました。それから昭和四十四年六月十七日になりまして、新宿区長から区立余丁小学校敷地として一万二千平方メートルを貸与または譲渡方申請がありました。この間におきまして自由民主党安井参議院議員等も相当強く要請をしておったようでございます。そこで昭和四十六年一月五日にはさらに新宿区長から今度は警視庁余丁小学校敷地として割愛してくれ、そういう陳情があり、同じく昭和四十八年二月五日にはやはり新宿区の助役等警視庁に参りまして、二千四百坪ほど割愛してくれぬかという陳情をいたしたのでございます。  そこでこの余丁小学校というのは、ただいま木造で非常に古い建物になっております。たまたまこの余丁小学校というのは都市計画の四号線の中に入っておりますが、この都市計画は、昭和二十一年三月二十六日、終戦直後にこの図面が引かれまして、ある意味におきましては全くまぼろしの道路計画のようでございまして、自来二十九年の歳月がたっておりまするが、いまだこれについて何らの御指示も何もなくして、したがいまして、この都市計画号路線の中に入っているすべての家屋所有者その他は改造もできずに非常に困っておるという状況でございます。したがって、この余丁小学校も、もしこの路線事業決定にもなるならば四〇%がこれに取られてしまうということで非常に憂慮しておる状況でございます。ただ計画決定昭和二十一年三月二十六日にされて約三十年間そのままになっておりまするので、まあ今後さらに何年かのうちにこれが事業決定されることはなかろうと思いまするが、ただ問題はその路線の中に入っておる関係上、これを鉄筋コンクリートにつくり直すことのできないという非常な悩みがあるのであります。この学校は約千二百五坪でございまして、本造建造物新宿区の小学校はほとんど全部がコンクリートに改造されておりまするが、いま都市計画路線の四号線のいわゆるまぼろしの路線の中に入っておる関係上、これを鉄筋コンクリート改造することもできない、そういう関係で、しかもこの学校新宿区の中でも最も小さな学校であり、そして幼稚園が並設されておるということで、私も現地について見たのでありまするが、わずか二百数十坪の校庭に五百名の児童が群がって遊戯をしておるという非常に危険な学校であり、またその木造物も非常に老朽いたしておりまして、万が一のときには非常にあぶないということで、児童危険防止の上からも、地元町会長はじめPTAその他学校関係者、あるいは区長教育長も心配いたしまして、何とか早くこれを改造できないかといろいろやっておったのでございまするが、そういう都市計画路線の中にありまするので、なかなか鉄筋コンクリート改造ができないというので今日になったのであります。  そこでただいま申し上げましたように、すでに昭和四十四年度以来もう六カ年になりまするが、この間余丁小学校敷地として何とかこれを利用さしてくれぬかということをしばしば大蔵省なり警視庁なりあるいは総理府のほうにお願いしておったのでありますが、なかなか実現がむずかしいのでございます。  特に昭和四十四年五月十五日付けをもちましていま総理府所管になっておりますこの統計局あと地が第八、第九の機動隊に二カ年の暫定期間使用が許され、それからただいま申しましたように毎年一年ずつ土地使用を許されておるのでございますが、私ども考えますと、一体機動隊というものはある意味においては公共の施設であり、国家施設じゃないかと思うんですが、そういうものが入る場合において、一体、総理府のほうで一年ずつ小刻みで期間を許されておるというのはどういう理由で許されておるのか、どうも私どもわからないのでありますが、その点について、どうして一年ずつぐらいに小刻みでやったものであるか、その辺の理由をひとつ説明していただきたいと思うのでありますが、いかがでしょう。
  4. 升本達夫

    升本政府委員 御指摘土地につきましては、おただしのとおり、昭和四十四年五月以降、統計局の新築の余地総理府会計課所管をいたしておるわけでございまして、おただしのとおり四十四年五月以降、当初二年間、引き続き一年ごとの更新で警視庁使用承認をいたしておるわけでございます。  なぜこのような形で使用さしておるのかというおただしでございますが、御承知のようにこの土地総理本府に所属の行政財産として会計課所管をいたしておりますので、本来の使用目的に比しますと若干異なった使用状態になりますので、その財産の性格上、一時使用と期限を切った形で使用承認を与えざるを得ないということで運用いたしてまいった次第でございます。
  5. 田中榮一

    田中(榮)分科員 私は次に総理府長官に御質問申し上げたいのですが、やはり順序がございますので、一応先に警察庁のほうへ御質問いたしまして、それに基づきまして長官のほうに御質問申し上げたいと思っております。  私は、警察庁——きょう官房長見えになっておると思うんですが、官房長一つお伺いしたいと思うのでございますが、現在の若松町九十五番地にありまする警視庁の第八機動隊、第九機動隊でありますが、これも私現地について実際に見てまいったのでございまするが、実は行ってみて実際驚いてしまったのであります。飯場小屋といったような感じであり、それからまたその中も非常に暗い。総理府統計局職員が二十二年から昭和四十三年まであんなところでよく事務をとっておったと、それすら非常に私はふしぎに思っていたのでありますが、幸いに統計局職員方々はそばに八階の近代的なビルができてそこへ移転されましたので、それはけっこうだったと思うんですが、四十四年五月十五日から第八、第九機動隊が入りまして、約八百名近い者があそこでいま生活をしておるわけです。あのような非常にまっ暗な木造のまるで飯場小屋みたいな中で生活をしておる。私は機動隊員健康管理の上から、また士気の上からいっても非常にまずいんじゃないかと思うんです。若い機動隊員に、どうだ君、ここへ両親に来てもらったかと言ったところが、ちょっといまのところ両親に来てもらうことを避けてます、というのはおそらく両親が来て、あの状況を見て非常に同情し、気の毒がる親の気持ちを察してここに来てもらいたくないというようなことを若い機動隊員が言っておるんです。将来の機動隊の位置というものはやはり都内の各所に一機動隊ずつ散在をして駐留することが一番治安確保の上からも私はいいんじゃないかと思うんです。複数の機動隊が一緒におるよりは、また機動隊長の訓練の方法、またその教育方針からいいましても、二つ機動隊が並列されておるということは機動隊長としても非常にやりにくいんじゃないかということでありますが、あの建物はあのまま今後も継続される意思であるのか、また同時にあれを近代的な高層ビル改造するというような予算大蔵省に要求されておるのかどうか、その辺をひとつお見通しをお聞かせ願いたいと思うのであります。
  6. 国島文彦

    国島政府委員 若松町にございます機動隊隊舎実情につきましては、ただいま御指摘のとおりあそこへ入りました経過からいたしまして、たいへん古いものを一時利用さしていただいた。当時、四十四年にその当時の情勢から緊急につくりましたという関係からやむを得ずあそこへ入ったわけでございますが、その老朽実情から隊員にはたいへんお気の毒だと私たちも思っており、ぜひ早急に新しい隊舎に建てかえるという計画はいたしておるわけでございます。すでに毎年隊舎の建設、これは国費でございますが、大蔵省へお願いしまして、第七まではできまして第八、第九をこの次にということでぜひ近代的な庁舎にしたいというふうに考えておる次第でございます。  また場所につきましてもあの若松町はたいへん場所もよろしいし、都心にありまして、また機動隊が職務執行する場合にも交通といいますか、都心の特に国のいろいろな重要防護対象の近くにもありますし、機動隊がその職務を遂行する上にたいへん足場のよいところでございますので、私どももいろいろむずかしい問題はございますが、ぜひ一個隊はあそこで早く新しいものに新築して、そして一個隊はもし都内しかるべき適当なところがございましたら、そこへ新しいものを建てるということでもよろしいんではないかというふうに考えて、各方面の方にお願いし折衝しておるという、そういう実情でございます。
  7. 田中榮一

    田中(榮)分科員 ただいま国島官房長お話を聞きますと、二つ機動隊のうち一つをどこかほかへ移駐さして、一つ機動隊をあそこへ残して近代的な高層ビルにしたい、そして隊員士気を鼓舞し、また健康管理にも遺憾ないようにしたいというお話、私はたいへんにけっこうなことだと思っております。  地元方々の意見を聞きますと、やはり機動隊があそこにおってくれることが非常に住民安心感を与え、非常に安心をして毎日暮らすことができるんだというようなことを皆さん言っていらっしゃいますので、どうかできるならば一機動隊はあそこに、近代的な設備の中に残して、他の機動隊はほかへ移駐する、その土地獲得に今後御努力を願いたいと思うのであります。  そこで総務長官にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、ただいま警察庁考えも一機動隊をあそこへ残して、そして一機動隊をどこかいいところがあるならば、そこへ移駐さしたらどうかということなんでございますが、そこでもし一機動隊だけが残って、あれを四階なり六階なりの建物にいたしますと、いまのあと地全部が五千百六十二坪ありまして、約一万七千平方メートルなんでございますが、私はそうなりますとそれだけの広い面積は必要ないんじゃないか。残余土地は、いままでも六、七年間も、地元の人々が幼ない子供のために余丁小学校敷地としてこれを移譲してくれぬかと、区長ももう何回も総理府にお願いしてございまするが、あるいは貸与あるいは移譲してもらいたい、譲渡してもらいたい、こういう希望があるのでございまするが、現在総理府所管国有財産になっておりますので、総務長官として、もしそういうことがありました場合において、国有財産でございまするから、もとの権限は大蔵省が握っておると思うのでありまするが、総理府長官としてその地元の期待、待望にこたえて、そういう面におきまして、これを貸与または譲渡することに御協力をいただけるものであるかどうか、その辺の長官としてのお気持ち、御意思を承っておきたいと思うのでございます。
  8. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  ただいまの余丁小学校実情等につきましては、私どもよく承知しております。総理府のあの土地につきましては、やはりこれを十分、利用方法等につきまして、現在の機動隊問題等を含めまして検討いたしまして、余地が残りましたらそれはひとつ大蔵省に一応返そうかと、そのときに私の気持ちといたしましては、やはり大蔵省に引き継ぐ場合に、そのあと地余丁町の小学校移転先として確保してほしいということを申し伝えるつもりでおるわけでございます。
  9. 田中榮一

    田中(榮)分科員 私は現在総理府小坂長官の前の長官、その前の長官と、何代も地元なりわれわれが陳情申し上げておるのでございまするので、もしいま機動隊が一部他へ移駐するような場合におきましては、総務長官としてぜひとも大蔵大臣のほうへ、余丁小学校に何とか入れるように——あるいは貸与でもけっこうですし、譲渡でもけっこうでございますし、あるいは場合によっては現在の余丁小学校敷地とその現在の国有財産を交換するとか、何とかいろんな方法があろうかと考えておりまするが、何とぞひとつ助言をしていただくようにぜひともお願い申し上げたいと存じます。  それからもう一つ長官にお願いいたしたいことは、いずれこの機動隊一つがあそこに移駐いたします。そうして近代的な鉄筋コンクリートビル改造されると思うのでございまするが、そうなりますると総理府の現在の管理財産として二年、三年、五年というような短期のなにで契約するよりは、やはりこれも一度大蔵省にお返しを願うか、あるいはもう直接、総理府所管警察庁所管に移していただくようなことを、大蔵大臣とよく、大蔵省側と御相談願ったらどうかと思うのでございまするが、その辺はいかがでございましょうか。
  10. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  むしろ利用方法が明確になりましたら、私は機動隊に関する部分は警視庁にひとつ移管といいますか、そうした方向をとりたいと思っております。
  11. 田中榮一

    田中(榮)分科員 そういう長官からのお答えをいただきまして、私も非常に安心いたしまするし、地元関係者も非常に安心し、また満足するのじゃないかと考えておりまするが、この機会に最後大蔵省村上国有財産第一課長見えになっておりますので、ちょっと村上君にお伺いしたいと思うのでありまするが、先ほどのこの問題を解決するには、どうしてもやはり大蔵省側におきまして一機動隊が移駐するどこか適当な都心に近いところで土地をごあっせん願わなければ、この問題は先行き進行がむずかしいんじゃないかと思うのでございますが、こういう点について大蔵省として、いずれ、いま国島官房長からもお話があったとおり、今後努力する、土地確保努力をするということを言っておられるのでありますが、そういう際にひとつぜひとも、いま私ども総務長官にも御質問したような、全体としての状況でございまするので、何とかひとつ大蔵省側としましても、この警察庁土地獲得努力に対して御協力をいただけるものであるかどうか、その辺についてひとつお考えをお答え願いたいと思うのでございます。
  12. 村上哲朗

    村上説明員 ただいまいろいろお話ございましたように、現在の第八、第九機動隊が非常に老朽化もしておりますし、手狭であるということで、警察庁のほうからかねてより私どものほうに、どこかいい適地はないかというお話がございまして、私どものほうでも鋭意そういう適地をさがしておるのでございますけれども、何せ機動隊を収容するような規模あるいは機動隊がおる必要がある立地条件と申しますか——都心に非常に近いとか、そういう条件を兼ね備えた国有地は現在のところ全くないような状況でございまして、今後さらに警察庁ともいろいろお打ち合わせをし、また各省の御協力も得て、現在あるいろいろの庁舎その他について立体化をするとか再配置をするとかいうことによって、何とか土地を浮き出させて、そういう適地を見つけたい、こういうふうに考えております。今後とも努力してまいりたいと思っております。
  13. 田中榮一

    田中(榮)分科員 最後に私はお願い申し上げたい、希望申し上げたいと思うのでありまするが、いまの大蔵省の第一課長のおっしゃるように、どこか適当なところに適地確保できるといたしますと、機動隊がそこへ移駐する、そしてそのあと住民多年の希望でございまする余丁小学校が移転されるということができますると、これは教育問題も解決するし、それから警備上の問題も解決するという、いわば一石二鳥の問題がここでみごと解決できる状況になるのでありまするので、どうか関係者方々の深き理解をもって本件解決のために御努力、御協力を賜わることをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。  どうもありがとうございました。
  14. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 次に、八木一男君。
  15. 八木一男

    八木(一)分科員 私は官房長官総務長官はじめ関係政府委員二つの問題について御質問をしたいと思っております。  その一つは、物価の狂乱時代国民生活をどう守るかという問題。もう一つは、いわゆる私どもの申し上げます解放行政政府のいわれます同和問題の解決の問題について御質問を申し上げたいと思います。  まず最初に、国民生活を守り確立する問題から入りたいと考えております。一問一答の時間が少のうございますから、私のすでに調べたことについては申し上げまして、官房長官また総務長官から主として御答弁をいただきたいと思います。  実は、昨年の十二月の十九日に四十九年度経済見通しと、それから予算編成方針の大綱がきまったわけであります。それから、本年の一月の二十一日に予算案確定、そして経済見通しも確定をいたしたわけであります。その間に、実は十二月の十九日から一月の二十一日までの間に、石油の輸入価格が上昇するだろうということで、経済見通しは卸売り物価であるとか、その他その関係の、産業的に関係のある部分あるいは貿易に関係のある部分は、見通しを変えられまして調整をせられて、そしてそれをもとに予算案を確定されたわけであります。  ところが、消費者物価もその間に急騰しておりますのに、その要素は修正の必要がないということで経済見通しを十二月十九日の状態から変えられないで、そしてそれをもとにした予算案を一月の二十一日に確定をされたわけであります。これは私どもから考えると、たいへん不当なことであると考えております。国民的な気持ちからいいますと、産業に関係のあるほうは変動の少ないという経済見通しを即刻変えて、それに対処するための政治姿勢を示した。ところが、国民生活関係のあるほうは、急に非常に変動があるのに、これは大したことがないという見通しのもとに経済見通しを変えられないで、そのまま予算案を確定をされたということは、国民生活の立場からすれば、たいへんそれを軽視したというふうに見ざるを得ないわけであります。  ところで、特にこの十二月十九日にきめられたときの経済見通しというのは、十一月の末に出ました消費者物価の全国平均指数、それをもとにして考えられたわけであります。その十一月の末に出たというものは、これは十月の全国平均が出ておるわけであります。十月の物価の全国水準そのものをもとにした経済見通し、それから予算編成大綱方針を変えられないで、一月の末になって、そのまま確定したということになると、狂乱物価がどんどん進むことを考えないで、その前の状態で見通しを立て、そして予算を組んだということになるわけであります。どうしてもこれはほんとうの政治の立場からすれば、経済見通しをその点で変えて、そして予算案を変えていかなければならないということであろうと思います。予算案を今度提出をし直すということについては、政府側はそういう態度をとっておられません。したがって、それについて与野党が相談をして、その予算案をそういう見通しのもとに変えなければならないということを主張しておりまするけれども、いまのところ内閣なり大蔵省はそういう態度をとっておられません。これは国民の負託にこたえることじゃございませんから、論戦を通じて予算案を修正をするという努力を、私どもは国会においてやってまいりたいと思います。  それはそれといたしまして、予算案を修正する、あるいはいまの予算案を国民の負託にこたえないで与党が多数で通してしまうという両方の場合が考えられます。いまの予算案が通った場合に、その予備費がいまの予算のままですと二千六百億円組まれておる。予備費というものはどういうふうに使用するかというのは、もうお互い政治家ですから論議をする時間は避けますけれども、この予備費というのが例年よりも多いのは、このような経済的な変動の時代で、それに敏速に対処する必要があるということで多くなっていると思うわけであります。  四十九年度予算がどういう形にしろ成立したあと、やはり物価の急騰が続くおそれが多分にございます。そのおそれが多分にございますが、それに対応するものとして、たとえば生活保護費とか、あるいは失対事業の賃金とか、そういうものが行政措置で即座に、毎月でも改定できる法律体制になっております。また法律体制がどうあっても毎月でも改定をしなければならない、物価が急騰した場合には。そういう政治の筋道であります。そのときの裏づけは、当然そのような予備費が十二分に活用されなければならない。ちびちびと来年の三月まで月割りで使うというようなことではなしに、四月、五月、六月に非常に急騰したなら、それに対処する。対処をして予備費がなくなったら補正予算を組んでちゃんとやるという態度でなければならないと思うわけであります。  その点について昨日、福田大蔵大臣質問をいたした。その場合に、それに対処をするという意思を表示されました。これはしかし大蔵省一存ではなしに、内閣で閣議ではかられる問題であります。そのような今後の物価の急騰に対して、ほんとうに国民生活を守るために臨機応変に、十月にすればいいということじゃなしに、必要があれば五月にこれを使う、あるいは六月に使う、そういう対処をするということがなければならないと思います。それが国民にこたえる道であろうと思います。そういう情勢のときに、内閣全体としてほんとうに敏速に国民のために対処をせられなければならないと思いますが、その点について内閣の中軸におられます官房長官から、内閣全体の積極的な姿勢をぜひお示しをいただきたいと思います。
  16. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 いまの八木先生が予備費等の問題について触れられましたその原則論につきましては、私はそのとおりであると思っております。四十八年度の予算におきましても、予備費から最大限出せるものを百三十億を生活防衛のために出しております。四十九年度の予算におきましても、予備費を相当とっておるというゆえんのものは、やはり弾力的に予備費の運用をはかりたい。もちろん災害その他緊急の仕事に支出するための予備費でありますが、そのほかにそういう弾力的な運用も考えて予備費が増額されておるものと理解をいたしております。その点は大蔵大臣が答弁なさったことと同じでございます。
  17. 八木一男

    八木(一)分科員 四十九年度の問題は、いま官房長官から御答弁になりました。大蔵大臣も御答弁になっていますし、ただ閣僚、国務大臣全部に申し上げてありませんので、ぜひその関係の深い——もちろん厚生大臣には鋭く申し上げてございますけれども、労働大臣はきょう午後また申し上げますけれども、ぜひそういう点で敏速に国民のために対応するという姿勢を進めていただきたいと思います。  さらに本年度の問題であります。一月の二十一日に皆さんは、官房長官総務長官も御一緒に出られたと思いますが、いわゆる労働団体とお会いになりました。労働団体自体の問題もありますけれども、それ以上にあのときの会談は、発言する時間なり体力なりの少ない、そしてそういう陳情をするというような旅費なども非常に少ない低所得者階層、そういう方々気持ちを代弁して、働く人たちの代表の方が低所得者階層のために政府にいろいろお話し合いをされたわけであります。  その結果、いわゆるある程度の対処をされる道を開かれました。この問の閣議で道を開かれました。それはけっこうであります。開かれたことはけっこうでありますが、その金額がはなはだ、それに対応するものとしては、もう問題にならないほど少ないわけです。たとえば一級地の生活保護の人の一人当たり二千円あるいは福祉年金で二千五百円という部分もあります。あるいは失対労働者には三日間の就労増加というようなことがございます。いろいろな方法でやっておられますけれども、総体にして非常に少ないわけであります。厚生大臣はその主たる担当者でございますから、せい一ぱい努力をしました、大蔵大臣も予備費をせい一ぱい出しましたと言われますけれども、これはそういういまのワク内での努力であって、国民の要求にこたえるものではないと思うわけです。  この前の予算委員会の、総括でなくて一般質問のときに数字を申し上げました。実はその中の一番中心的に、一番理論的にはっきりする部分でございますから、生活保護受給者の問題で、そのとき申し上げたわけであります。経済の見通しの中で、四十八年は五・五%消費者物価が上がるという経済見通しのもとに政策を立て、予算が組まれておったわけであります。  ところが、四月からすでにその予測以上に上がっております。それに対して、十月に五%上げた。それに対応したといわれており、またそういう説明を強弁をしておられるわけであります。ところが十月一日から生活保護費の五%を上げられたのは、決定をされたのは九月二十一日であります。九月二十一日は、九月の消費者物価指数の資料は出ておりません。したがって八月の末に出た消費者物価指数を参考にしてやられたわけであります。その八月のものは、全国水準七月のものであります。したがって、それで三月ずれておるわけであります。数字は確実ですから、お調べになる必要はありません。数字については伺いませんから、これは間違いなしに確実な数字ですから。  そういうことで、十月に上げられたときに、すでにずれているわけであります。七月の計算で一〇・八上がった。そして上がる予定が五・五であって、五%上げたから、一〇・五だから大体対応するというようなことを、厚生大臣はしょっちゅう言っておられるわけであります。一生懸命やりましたと言っておられます。昨日たいへんおしかりを申し上げました。その担当者がわかっていながら、そういうことで対応をされていないのを、対応しているというようなことは、政治不信につながるということで、おしかりを申し上げました。ですから、四、五、六、七、八、九と生活が詰まっておるわけであります。十月に五%上げたときも、その月もまたそれだけ詰まっておるわけであります。一〇・五以上上がっておるわけです。十一月も十二月も上がっておるわけです。  政府の今度、対応されたものの中心の生活保護の部分でいきますと、厚生大臣は二千円平均、一級地二千円平均。これは四級地になると千四百円というような額になってしまいますが、そういうふうに出されました。これは六%に当たる。一、二、三で一八%だから、ずいぶん対応したというようなことをぬけぬけとおっしゃるわけです。数字はむずかしゅうございますから、厚生大臣は、責任者がいうと、そうかいなと、これじゃ生活やりきれないでかなわないけれども政府のほうも一生懸命やってくれているらしいといっていて、生活がうまくいかないと政治不信につながるわけであります。  一八%というのは三カ月の総計。一月六%ということで、いま五・五しか上がらないときに、前に五上げたから一〇・五、今度上げたので一六・五ということになりますけれども、ことしの一番最近の数字で、全国の一月の平均が二三・一上がっております。東京は二四上がっております。そうなれば、それを全部厚生大臣の説明どおりやっても七・五ほど食い込んでいるわけです。最低生活が七・五ほど食い込むわけで、先日も生活保護費のことを申し上げました。犬の食事に対応しても、それより少ないようなものしか食べられないような状態、それがそれだけ減るというのは、からだの健康を害し、生命を害するおそれがあるわけです。それだけが今度のいわゆる私どもの言うインフレ福祉手当、皆さんはほかのことばを使っておられますが、それをやっても、それだけ食い込んでおるわけです。  それを一年間全部総計いたしますと、少なくとも生活保護世帯で、四人世帯だったら四万円以上の一時金を出さないと、これはつじつまが合いません。で、いま政府のほうは二千円で四人世帯だと八千円。たいへんな食い違いであります。予備費をぎりぎりに出したとおっしゃるけれども、そういう問題ではないわけです。ほんとうにしようと思ったら、四十八年度の補正予算案をつくったって出せるわけであります。これから四十八年度、間に合います。そのために補正予算案を政府が出されれば、これは両院ともに協力をして一週間くらいで上げるということになりましょう。やろうと思ったら、やる方法があるわけです。そのほかの方法で補正予算案という手続を踏まなくても、していただけば、ほかの方法でもけっこうであります。特に四十八年度は自然増収が多くて、何千億とその余りがくるという状態であります。  そういう状態で大蔵大臣、厚生大臣に徹底的に申し上げました。あれで済んだのではない。それを大きくするような努力が必要である。そのことが政治不信を回復する道である。私どもは野党で自民党と対決をしております。自民党が国民の不信を浴びて、あしたでも政権がなくなる。われわれが担当したいという気持ちは持っております。しかし、一日ということでそういうことはできませんでしょう。その間に国民生活が圧迫をされ、その間にほんとうに生活を圧迫されている人々の健康が害される、死にも通ずるような状態になるということであってはならないと思う。自民党内閣であっても、それに対応していただきたいと思うのです。そして何党ということじゃなしに、政治に対する国民の信頼を回復していただきたいと思う。それ以上に、信頼の問題じゃなしに、国民生活をいまほんとうに破壊しないように、破壊されたものを埋め合わすように、ぜひしていただきたいと思うのです。ぜひ、最近の閣議で、これは閣議をすぐに開いて、一週間に二回というような、そんなのんびりしたものじゃなしに、毎日でも開いて、この問題を討議されて、そしてその問題の、いまお話し合い中の春闘共闘その他労働組合との話し合いを煮詰められて、積極的にこの問題を対処をしていただきたいと思います。  各大臣全部、あらゆる機会に申し上げておりますが、内閣の床柱になっておられます官房長官から、これは総理大臣にも進言されまして、毎日その閣議を開いて、毎日交渉をして、話し合いをして、そしてその金額を国民の要望にこたえるように、即時にやっていただきたいと思います。これは四十八年度中に、ほんとうに国民の手に渡るように、いまよりもずっとたくさんのものが渡るようにしていただかなければならないと思います。その点についての最大の御努力をしていただく御決意をぜひ伺わしていただきたいと思うわけであります。
  18. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 先般、一般質問のときに、八木先生から情熱を込めて、ただいまの問題について、政府に対して、かくあるべきだという御主張、よく承りました。私もそのときに八木先生の熱意のあるところはよくわかります。それで閣議でも、このことを伝えろということでございましたから、八木先生がこういうことでございましたということは申し伝えてあります。が、そのことだけで毎日でも閣議を開け、こういう御主張をただいまなさったわけでございますが、毎日そのことだけで閣議を開くということは、まあ八木先生の御主張ではございますが、なかなかむずかしいと思いますが、しかし、おっしゃるとおり、こういう生活に悩んでおる人々の問題、物価に悩んでおる人々の問題は一党一派の問題じゃございません。国民のために党派を越えて、政府考えなければならぬ問題だと思っておりますから、なお、きょうの八木先生の御意見も十分踏まえまして、重ねて私が総理にもその趣旨を伝えたいと思っておりますが、ただ、まあ四十八年度、年度末間近に迫っております三月ですから、この三月までに補正予算を組んで、八木先生の御主張に対してこたえろと、こう言われても、なかなかそのことはむずかしいのではないかと思いますが、御主張、御熱意のあるところは、十分理解ができますから、私もまじめに先生の意見は内閣総理大臣にもお伝えいたすことをお約束申し上げます。
  19. 八木一男

    八木(一)分科員 積極的な御答弁を伺って、主観的にはうれしゅうございます。しかし、ほんとうに実際にやっていただかなければ、国民の要望にこたえることにならないと思います。ほんとうにやる気がおありになったら、これはできるんです。一番正式なところは補正予算を出される。そしたら、それについてだれも文句は言いません。それがなかなか、いろんなところで困難であるというならば、行政的な方法でけっこうであります。ありとあらゆる方法で、ほんとうに田中内閣がおやりになるという決意を持たれたら、これはできる、できます。野党もその点については最大限に協力をいたします。ぜひ御推進をしていただくように、さらに重ねて強く要請をいたしておきます。  さらにその問題について、同じ問題でございますが、総務長官からも皆さんでひとつ御推進をいただきたいと思うのです。総務長官からも、ひとつ積極的な御決意を伺っておきたいと思います。
  20. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  今度の春闘という形の中で提起されているということは、多少春闘問題を目前に現実に控えておりまして、政府としても、なかなかそれに対応しにくい点があることは率直に申し上げなければならぬと思いますが、私たちはいま八木委員の仰せられたとおり、こうした谷間の人々に対してインフレと申しますか、物価騰貴の中で、政治そのものが前向きに対処していくということについては、基本的に全く同じ意見を持っておるものでございます。
  21. 八木一男

    八木(一)分科員 総務長官に一番最後に申し上げましたように、ほんとうに実を結んでいただくように、最大限の御努力を願いたいと思います。お会いした国務大臣全部に私は強く要請をします。大蔵大臣も厚生大臣もその決意を披瀝をしまして、きょう午後労働大臣にその問題は申し上げます。  次に、その問題でもう一つそれに関連した問題で、両大臣に聞いておいていただきたいと思います。  生活保護者や失対労働者や原爆被害者や、あるいは難病者や身体障害者、それと同じような対処をしなければならない方々の問題については、いま生活保護を受けておられる方々を代表にして申し上げましたが、全部に通ずる問題である。  それからもう一つは、これはやはり通ずる問題でございますが、年金等のスライドという問題があります。  生活保護費や失対賃金は、これは行政措置で毎月でも変えられますから、当然スライドをそれに対応した状態になれば毎月でもせられるということは、また関係の大臣から確認をとっておりますが、年金制度というものがああいう仕組みになっておりますので、スライドがむずかしいということで、しなければならないけれども、できないというような答弁を厚生大臣がされるわけであります。これは厚生大臣の大きな間違いであります。  というのは、年金制度については賃金スライドと物価スライドという考え方がございます。政府は物価自動スライドをとられるけれども、何年間ごとに再改定をやって、賃金や生活水準の状況をその中に入れるというようなことになっておる。ただ、関係団体は賃金スライドに変えることを要求しておりますし、また厚生年金等で昔の賃金の読みかえという部分がありますから、そういう点でいろいろ論議があります。それを理由にしてすぐやれないということをおっしゃるわけであります。賃金の読みかえをやると、一人ずつ何百万人、非常にたくさんかかるから、事務的にどうしてもできないということが弁解の材料になっている。これはほんとうに政治に対処する姿勢じゃございません。  たとえば、四、五、六の物価が一、二、三に対して二〇%かりに上がったとします。そうしたら、それに対応した年金を二〇%上げなければ予定された生活がそれだけ食い込むわけであります。これはどうしても政治的に見てしなければならないことであります。それが事務的にできないとおっしゃるわけであります。事務的にできないはずはないわけであります。たとえば、二〇%上がれば前に予定された金額に一・二をかければ金額は出るわけです。教育の進んだ日本国民で一・二倍という掛け算のできないような国民はほとんどいないし、それができないような国家公務員がいるはずはないのです。ところが、それができないというわけであります。できないという理由は、賃金の読みかえ等の要求があって、それをやると一人一人やらなければならないから、何百万人で、どうしても四月に方法がきまってから、半年かかって十一月からじゃ間に合わない。いとも当然のように言うわけです。きのう、厚生省に非常に鋭く言っておきました。  その賃金の読みかえや、そういうような論議がある。それは論議を続けていって、そのときにやったらいい。当然やったらいい、そのときは。それまでの間に物価が急騰したときに、年金生活者の予定生活を守るためには短期間でスライドをやらなければならない。年金というものは三カ月に一ぺん支給されます。国民年金の福祉年金だけは残念ですけれども、四カ月に一ぺんですけれども。国民年金の拠出制年金、いま十年年金が始まっておりますけれども、それから厚生年金とか、そのほかの年金はみんな一年に四回であります。三カ月に一ぺん支払いをしておる。ですから、そのごとに支払うというのは事務的に関係ないわけです。ただ、一・二なり一・二五なりかけるということだけです。それができないはずはないわけです。その算術のことができないから、国民にとって必要であるけれどもできません、こんな情けない話はないと思う。それを厚生大臣は、年金局とか社会保険庁の人たちが、片っぽうの賃金読みかえを考えてできないといっているのを、その部分だけ、その理由は抜きにして、その部分だってできません。天下の、国権の最高機関の衆議院の予算委員会の総括で、できませんというようなことをおっしゃるわけです。一・二倍の計算ができない国民は一人もいない。それを対処しなきゃならないというなら、それはほんとうに対処することをやればできるわけであります。  そういうことがございますので、これは年金は——両大臣りっぱな政治家でございますけれども、ごちゃごちゃこまかい問題で、大事だけれども、なかなかむずかしいという感じを持っておられるでしょうけれども、そのむずかしいという感じを悪用して、したくないから、それは技術的にできないという理由で逃げようとしておる。それで何百万人という国民の予定生活が圧迫をされているということになる。こういうとんでもないことですから、厚生大臣にはきびしくおしかりを申し上げました。今後そういうような自分たちの怠慢のために、国民生活に対処しないというような国家公務員は配置転換をしてください。あなたは心を入れかえて、閣議でこの問題を再提起をして短期間の緊急スライドをするというふうにすべきだということを主張することを要求をいたしておきました。出ましたときに、厚生大臣が私の要求どおりじゃなくて、そんなことを言っているやつがいるから、やっぱりむずかしくてというようなことを言うとすれば、厚生大臣としては政治家の資格がありませんけれども、そういうおそれもなきにしもあらず、そのときは一・二の計算はできるじゃないかということを両大臣から主張をしていただきたいと思います。  そんななまけたことで国民の要望にこたえることができるか。いろんなむずかしい論議は一年論議をして、一年後にやったらよろしい。それまでに上げるものは上げておく。物価スライドでよろしい。その次に一年後に上げるときは、その差額でよろしい。だれが考えても、これはわかると思うのです。それを技術的にむずかしいというようなことで、とめているやり方がけしからぬ。それに乗っておった厚生大臣がけしからぬ。しかし改心をしておられるでありましょうから、ほんとうに心を持った政治家だったら、提起くらいはされるかもしれません。提起されたときに、それはやれという御主張をしていただきたい。提起をされないときには、そういう問題が出たが、どういうことになっているかということを、ひとつ国務大臣同士として御指摘を願いたい。この問題についてもひとつ閣議で十二分に御討議になって、国民の要望にこたえる。物価狂乱期にその点について緊急なスライドをやる。臨時立法でもよろしい、恒久立法でもよろしい。その方法は、実現をすれば私ども方法についてはいなやは申しません。それを緊急な三月ごとくらいのスライドをするということをぜひ官房長官、閣議の中で主導的に御推進を願いたいし、総務長官も労働団体と対応しておられる責任者の一人として、その気持ちにまともにこたえて問題を推進をするというお気持ちで御推進を願いたいと思います。  両大臣の御決意、積極的な御努力をひとつ伺わしていただきたいと思います。
  22. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 先般の一般質問のときにも全く同じような御主張を私も伺いまして、私は年金の問題等については非常にむずかしい問題でもありますから、よく承知はいたしておりません、ざっくばらんに申し上げまして。これはもう八木先生はその道の大家でございまして、非常に専門的にも詳しいわけでございますが、ここでこのことについて、とやかく私も先生に自分の考えを申し上げたくございません。  年金の問題は、財政的にも政治的にも非常に大きな問題であるということはよくわかります。したがって政府も、この問題を来年度中にでも新しい角度で検討したいという気持ちは持っておりますが、ただある数字の何倍以上、一・何倍とおっしゃいましたですね。そういう計算ができないということではないと私は思います。まあ、それだけでできないというのなら不見識だと思いますが、それだけの理由で厚生大臣ができないと言っているとは私も思いません。  しかし、先ほど申し上げましたとおり、年金の問題は財政的にも制度的にも非常にむずかしい大きな問題であるからして、慎重に先生の御主張を踏まえて検討するということは必要かと思います。私も先生の御意見を頭に入れて、なお厚生大臣ともよくひとつ勉強してみます。
  23. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  実はただいまの御指摘とはちょっと違うことのお答えになるかもしれませんが、われわれが決して現在の問題に背を向けてるものではないのでございまして、二月二十五日の早朝に、御出席の官房長官と厚生大臣と労働大臣と私の四人で、大河内一男先生と馬場啓之助先生と中川善之助先生、それぞれこうした問題についての政府の審議会の会長をやられ、また従来も非常に御努力をいただいている方々でございますが、このお三方に総理官邸に来ていただきまして、約二時間余にわたりまして、こうした問題についてのいろいろのお話も承ったし、またそのときにいろいろと政府側としての厚生大臣の御発言もございました。しかし大勢といたしましては、このような問題を、やはり現在のような時点の中ですぐ対応するということは多少むずかしい点があるから、できるだけ早期にいまのスライドの問題を具体的に取り上げていこうという、われわれの会合の合意ができておるわけでございます。  私は、やはりこうした非公式ではございましても、官房長官以下の閣僚が出て、専門家とのお話の中で煮詰めた問題でございますので、ただいま八木委員の御指摘のような形とは別でございますけれども努力を続けてまいるつもりでございます。
  24. 八木一男

    八木(一)分科員 大河内先生からその話は聞きました、社会保障制度審議会で政府からお話があったと。中川先生その他と、スライドというのは非常に大事な問題ですから、そういう権威者とも御相談になってやられること自体はけっこうだと思う。ただ、政治は学問とは違うわけです。いま、狂乱物価があるときにすぐに対処しなければならないわけです。学者的良心で何が一番いいだろうということは、これはいま社会保険審議会厚生年金部会で、去年の年金法審議の際に、実際のやり方についてはそこで聞いてくれということになって、それで聞いてみますと、厚生大臣が言っていますが、それが悪用されてブレーキにされておるわけです。それはこんなに狂乱物価にならないだろうと、去年程度の、去年の初めに予想された程度の物価の上がり下がりであろうということを推定して、それでそういう平常時においてスライドは何が一番いいかということを論議しよう、そういうことで去年約束になったことを、いまそういうところで、それを理由にして、そこの結論が五月に出る、それから事務的にやると半年かかるということを、できないという理由にしておられるわけです。これもおしかり申し上げておきました。  それはそれでいいんです。それから、大河内先生等と御相談になることはいいんです。どんどんやっていただきたい。これはやや恒久的な問題です。その中に緊急スライドがあっても、いまの間に合わないで、たとえば、再来年ぐらいにまたこの物価急騰があったときに、緊急スライド制は、大河内先生その他の御意見を伺って、いまから準備されておいたらいいと思う。それはそれでやっていただきたいと思う。  ところが、いまこれが上がっているんですからね。そんなもの協議をする、検討することでは間に合わないわけです。そのときには、政治家は国民のために勇断をふるわなければならない。それはいま、どれだけの金額を支給すると、金額はちゃんとわかっておるんですから、それに、たとえば一・二なり、一・二五をかければ数字はすぐ出るわけです。それを財政の問題を心配されるでしょう。財政の問題を心配されますけれども、それほど——それは大ぜいの人数ですから、そんなに少なくはありませんけれども、それほど心配される金額ではございません。これはまた、厚生年金であれば、修正積み立て金方式をとっておるわけでございますから、そこに財源があるわけです、金が。すぐ国庫支出をするというのは、いまの法律上では、そのうちの二割だけ、国からその支払い時に国庫負担をするということになりますから、法律だけでいけば、国庫負担はしなければならないことになりますから、それが全額が——前の予定されたところ、二〇という数字を申し上げましたが、それは一〇の場合もあります。そのときの財源はあるわけです、厚生年金の積み立て金に。うんとたくさん、十兆ほどある。支払い時の国庫負担が法律的に問題です。必要あれば、このときだけは基金のほうから払って、それからあと国庫負担を一年後に払うということだってできるわけです。ほんとにやる気ならどんどんできるわけです。数字のほうは一・二、一・二五あるいは一・一、そういうものをかければすぐ出るわけです。  やろうとすればできることは、やはりいま国民の生活に責任を持っている政治が対処をしなければならない。学者の方は恒久的ないい筋道を論議されるでしょう。しかし、その間にも生活が圧迫をされているんですからね。そういう点で私は申し上げているわけであります。いま総務長官のおっしゃるのは、それはそれで進めていただく。しかし、政府としては物価の上昇に関して緊急なスライド制をとるという意思をその方々にお伝えをいただきたいけれども、それ以上に、それとは関係なしに、それとは別に閣議で、いまのことを御論議を願いたいと思う。  それから、上がることばかり考えて、それじゃ困るというような考え方があるといけませんから申し上げます。  このスライド制は問題はありますけれども、いまのところ、上がったら上げる、下がったら下げることになっているわけです。野方図に政府負担がふえるということとお考えにならないようにしていただきたい。田中内閣がしっかりやって物価を安定させれば、それを発動しないで済むわけです。それがうまくいかないで物価が急騰したら、国民のために、どうしてもそれをやらなければならない責任があるわけです。ですから、何でも学者に聞かれることはよくありません。いまこんなときに、たとえば買い占めがある、学者にそれをとめるにはどうしたらいいでしょうと聞いておる前に、あの第五条を発動して、こうやるとか——やらなければならないのです。行政とか政治というのは即時やらなければならない。学者は学者で大事なことを伺うというのはいいけれども、そうではなしに、決断が必要であります。齋藤君はわかっておるはずです。わかっておるはずだけれども、いままでのありきたりのことを踏襲しようとする官僚機構の、ある意味ではいわゆるサボタージュ、めんどくさいんです、彼らは。そんなことで国民の生活が圧迫されたら、たまったものじゃない。ですから、ぼくは、年金局にも、社会保険庁にも熱心な人がいますし、去年、年金法を出したときにはずいぶん努力をしたことは認めております。しかし、この緊急なときに、それに対応できないような官僚機構ではいけない、対応できないような内閣ではいけない、対応できないような政治ではならないと思うのです。  どうか国民の政治に対する信頼を回復するために——いま官房長官は大体筋が通ったことをおっしゃいましたけれども、少し決意が弱い。総務長官はやや専門的に交渉されているんで、やや別なこととおっしゃったように、別なことをおっしゃった。そうではなしに、私の申し上げたことをずばりひとつ閣議で御討議を願いたい。そして、自民党も田中内閣も、国民のために負託にこたえるのだ、やれることはやろうという態度でこの問題を御推進をいただくことを強く両大臣に要請をいたしておきます。  さらに他の問題に入ります。  では次に、部落解放行政の問題について伺います。  先日の総括質問でも、田中内閣総理大臣をはじめ総務長官にも御質問申し上げましたし、官房長官は先年のときにお答えになって、ことしもよく聞いていただきました。田中内閣が前内閣より以上に積極的にこの問題に取り組まれるという決意を伺って、非常にその点は評価をいたしたいと考えております。  具体的にそれをしていただくためにぜひ御推進を願わなければならないことがあります。総務長官にこの前から、大体御答弁をいただいておりますから、少し重なりますが、あまり重ならないように申し上げます。  一つは、一斉の実態調査を早くしていただかなければならない。いま補完調査を進めるというのですが、それも十分に急速に進めていただくということであります。昭和四十七年の同和問題の閣僚協議会、これは何か二、三回しか開かれておりませんが、そのときの佐藤内閣最後の退陣の二日ほど前に開かれたときに、昭和四十六年の全国一斉調査による事業量というものを報告があったわけです。それが四千七百三十三億という数字であります。この数字がとんでもない少ない数字であるということを、ぜひ官房長官——総務長官御存じですけれども、ひとつ少ない理由をいま簡単に申し上げますから、聡明な頭で御記憶にとどめておいていただきたいと思います。  四千七百三十三億というと、一般的にいったら、えらい金だというように思いますけれども、とんでもない少ない金だ、問題にならない金だ。というのは、この調査のときに、なまけた府県があって、例をあげると、栃木県などは、同和問題に対処しなきゃならないのに、ひとつも事業は要りませんというような、しませんというような、ほんとにもう怠慢きわまる報告をしているわけです。これは一例です。ほかにもあります。愛知県などは対処しなければならない地区が三十何カ所あるのに五カ所しか報告をしてこない。全くもう実に怠慢な府県があるわけです。それから、府県でいま申し上げましたが、市町村だって、そういう例がございます。ですから、その事業量総体がそういうふうに非常に欠落がたくさんあるということです。  それからもう一つは、この問題は、四十六年というような少し前の時代に全体的にやられた同和対策事業をもとにして集計してある。その後こういう方法をやったら非常に有効である。たとえば——もうおくればせに、非常に内閣の姿勢は悪いと思っておりますけれども、たとえば、ことしは皆さんの御努力で大学の奨学金が入りました。そういうものの入ってない時代であります。そういう入ってない時代の事業量で総計している。だから、新しく有効で、しなければならないことが加わっておらないわけです。この点でまた全く不十分だということになります。  その次に、この四七三三というのは、実は国の負担だけではなくて、地方自治体の負担も重ねた、全部合わせた数字であります。ですから、国の負担はそれよりはるかに少ないということになります。  それからもう一つは、大事な土地代がほとんど入っていないということであります。ものをやるときに、土地がいま非常に高いから、金を一番食うのは土地であります。土地代が一つも入っていない。このままでは、土地代が入ってないから、ほかのものをやろうとしても、できないということがあるわけであります。  それから、その中の最も欠陥は、いささかの、六百九十億円ほどの農林漁業対策費というのが出ております。これは職業に、産業に少し関係がありますけれども、それ以外は住宅も含めますけれども、いわゆる環境改善費であります。環境改善というのは、住宅を建てたり、隣保館を建てたり、どぶを直したり、そういうようなことであります。ところが、この問題のほんとうの解決は、みんながちゃんとしたところに就職ができて、自分の能力と意欲を生かして、一生懸命に働く、そして社会にも貢献するし、自分も有意義な生活を送って、生活も確立をするということが根本でなければならない。その就職の機会均等を保障する政策は、ここに一つも入っておりません。  それからもう一つは、そのもとである、いま国民が全部学問を勉強するような時代になっております。同和地区の子供は高等学校へ入る率も少ない、ましてや大学に入る率も少ない。したがって能力と意欲を持ちながらそういうことができないんで、その能力と意欲に対応したような職場につきにくいということがあります。その教育の機会均等を保障するということが、やっぱり就職の機会均等につながるわけであります。非常に大事なことです。  もう一つはいま、そういう勤労者として働く方を多く確保しなければなりませんけれども、日本の産業構造上、農業、林業、漁業、あるいは零細な商工業というようなことに対応することが多いわけであります。農林漁業で六百九十億出ても、産業対策についても全くこれも不十分です。そのことを考えると、ほんとうにありとあらゆる意味で不十分なわけであります。それを埋めるために内閣総理府に要請しまして、いま補完調査をやっておられますけれども、四十二年に全国一斉調査をやった。それから四十六年に全国一斉調査をやった。五十年にはどんなことがあっても全国一斉調査をやらなければならない。いま四十九年度にかかる。これは補完調査をほんとうに熱心にやって、そういう実態を明らかにした上で、政策をしなければならない。それをやられて、それをもって——それから考えるのじゃなしに、やられたと同時に即時に完全な総合計画をつくって、即時に完全な財政確保をして、それを推進されなければならないと思います。それについて総務長官の積極的な御答弁をひとつ願いたいと思います。
  25. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 非常に八木委員はこの問題については指導的な役割りをしていただいて、私どもも非常にありがたいことだと存じております。ただいま御指摘の四十九年においては、現在やっております補完的な調査、十一県やっておりますが、それとは別にさらに精密な調査を四十九年度の予算をいただいて直ちに実施して、大体この精密な調査はただいま御指摘になりましたような、いろいろな問題がまだ残されているということをわれわれも意識していたすつもりでございまして、それを大体八月くらいまでにはなんとか実施をして十三県をまずサンプルをやりたいと思っております。その中には、もちろんただいま御指摘の非常に重要な問題は、教育の問題がございますし、あるいは就職の問題もあるし、またその他にも施設の問題というのもいろいろいございますから、そのような施設問題についても、ただいまの物価とのギャップとか、そうしたものを精密にはじき出してまいりたいと考えておりますが、これを、同和対策室を今度はつくらしていただいて、そこでまとめて、同時に同対協もさらに五年延長させていただいて、総理府設置法を改善させていただいて、両者相まって、これは非常な問題であるという認識はいささかも八木委員に私は劣っていると思いません。また総理府のメンバーの諸君も、各省の担当官も、私、会ってみますと非常に一生懸命やってくれております。そうした熱意を全部盛り上げて御期待に沿うように活動してまいりたいと考えております。
  26. 八木一男

    八木(一)分科員 実は官房長官、十一時から御退席したいと言っておられましたので、いま事前にお話をして全部意見を申し上げておきましたので、御退場願いましたが、総務長官、実はこれから申し上げることも、官房長官に全部申し上げてございますし、あと御説明をいたします。総務長官が主体の責任の大臣でございますから、御推進をいただきたいと思いますが、ぜひ内閣全体で強力に進めていただくようにお願いをしたいと思います。  その問題と、いまの調査を急速に進められるということでございますね、総務長官——それから五十年度には一斉調査をやっていただけますね。
  27. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 落としましたが、五十年にも実施したいという考えで進めてまいります。
  28. 八木一男

    八木(一)分科員 次に、もう一つは法律の問題であります。  同和対策事業特別措置法というのは、経過は御承知のとおり、そのときの内閣、佐藤内閣総理大臣が四十年の二月に、それを出すことをお約束になりました。いろんな過程を経て四年間ほどおくれたわけであります。その間に四十三年に自民党、社会党それから公明党、民社党の四党協議会、そういう協議会が二回ほどその前に持たれましたけれども、第二次四党協議会というのが持たれて、それが十数回いろいろ論議をして、それから各党国対委員長会談、副委員長会談になって、その大体の合意の上で政府のほうから閣法をお出しになって成立をし、その際に、その問題について確認事項もちゃんと協議をして、確認をして、そしていま施行されているわけなのであります。  これは総務長官、実はぜひお考えをいただきたいんですけれども、そのとき四党協議会に参画した各党の代表者も、それから国対の副委員長たちも、一生懸命考えましたけれども、何百年の問題で、あらゆる問題を含んでいる問題について対応することに、その当時としては知恵を出し尽くしたつもりであります。出し尽くしたけれども、各党の中の合意で、そのときから考えられたこともあったけれども、幾ぶんブレーキがかかった点もありますけれども、そのときの論議はとにかくとして、いま施行されてから足かけ約五年を過ぎている。この点が、ぐあいが悪かったという点がいま出てきているわけであります。それは当然変える、あるいはこの点をつけておいたほうがよかったという点は、当然論議をされなければならないと思います。  特別措置法は十年間のいま時限立法であります。後期に入ろうとするときに、欠陥があったり、あるいは不十分な点があった点は直すなり、つけ加えられる、そういうことの努力をみんなでしていかなければならないと思います。同和対策協議会が今度任期満了になりますけれども、たぶん総理府設置法の改正案が通過をして、継続するということになろうかと思いますが、その同和対策協議会でも御論議になると思いますが、政府自体もお考えになる、またその問題を推進している各党も考えていくということで、急速に、いま相当対処できる法律になっておりますが、それをよりよく対処できるように改正に向かって積極的な努力政府もやっていかなければならない、そう思うわけでございますが、主管官庁をあずかっておられる小坂さんとしては、その点の御努力をひとつ推進をしていただきたいと思います。
  29. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  この法律改正の問題の前に、われわれこの四十九年度にただいま申し上げたような同対室をつくったり、また精密な調査をやったり、いろいろの努力を積み重ねて、反省すべきものは反省してまいりたいと考えております。私はこの法律そのものの改正に全くうしろ向きではないのでございますが、しかしやることは、あまりやってなかったという反省もあるものですから、現行の法律の中でもさらに努力すれば十分満足のいける点もあるのではないかというふうにも考えておりまして、その点については決してうしろ向きではないが、もう少し努力をしながら推移を見守ってまいりたいというのが私の率直な心境でございます。
  30. 八木一男

    八木(一)分科員 半分ほど意見が同じで、半分ほどちょっとすれ違いがございます。法律改正は積極的に対処をしていくと、しかし法律改正は一ぺんにぱんぱんとできるわけではありませんから、それまでにいまの法律で活用できる、行政的な点をどんどん推進をしていくということでなければならないと思います。その点をぜひいま私が御答弁の前後に申し上げたことを受けとめられて、両面で積極的にひとつ対処をしていただきたいと思います。ひとつ積極的な努力を願いたいと思います。
  31. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいまの御意見は、私らも別にちっとも異存のないところでございますが、努力をしてまいりたいと思います。
  32. 八木一男

    八木(一)分科員 具体的な問題に移りますが、いま行政的な積極的な努力というと、確認事項の積極的な面はどんどん活用していくということ、それからややブレーキのかかった部分については、これを——法律ではありませんから、あらためて、たとえば私の質問に対して野田自治大臣が答えたこと、そういうことを新しいいまの、たとえば自治大臣なり総務長官に答え直していただけば、それは一ぺんに済むことで、そんな手続も何も要りません。そういうことで積極的に対処をしていただきたい。  時間が迫っておりますから、こっちから申し上げます。  昨年の七月に坪川総務長官に御説明をしまして、確認事項がほんとうに守られていない、ほんとうの意味で守られていないから、これはけしからぬではないかと言ったら、坪川総務長官は、そのとおりだ、内閣としてはそうやっていくつもりだ、しかし各省がその理解を故意に間違えたり、あるいは故意じゃなしにぼんやりして間違えたりして問題が進んでいないことは、断じてこれを直さしていくということであります。  その中の一つの例は、たとえば土地に対する国庫補助の問題であります。当時の福田大蔵大臣——きのう福田さんとも確認をしましたけれども、福田大蔵大臣と、同和対策をやるのに、いろんな建物が要る、そのときに先行取得も含めて土地の取得あるいは整地に対して国が対処しなければ、仏つくって魂を入れずということになる。その形容詞は言いませんでしたが、それが必要であるということの質問に対して、確認事項で、そのとおりであるということをお答えになって、そして、原則は補助である、しかし補助になじまないものについては起債をもってこれに充てるという確認事項の答弁でありました。ところが各役所がこれを、ほんとうにけしからぬことに、うしろ向きに無理に解釈をしている。先行取得も含めて土地の買収費、整地費等は補助になじまないから起債をもって充てると、全部起債のほうにすりかえてしまっているわけです。  坪川さんは、これは間違いだったということで、昨年の七月に社会労働委員会で、この国会の委員会で確認をして、直すという努力を確約をしておられますから、これは内閣の方針で、当然熱心な小坂総務長官はそのとおり御推進になられるものと、これを確認をしておきたいと思いますが、それについて金の問題がありますから、それで福田大蔵大臣に昨日確認をいたしました。福田大蔵大臣は、補助が本則だ、そしてなじまないものについては起債をもって充てる、そのとおりにいたします、それができてないことは、たいへん遺憾である、来年からはその要求があったら、それを受け入れますということを、明確に答弁をされました。  それを総務長官が御推進になっていただきたいのと、時間がありませんから端的にその関係の各省に申し上げますが、たとえば厚生省の隣保館は、上屋については国庫補助があって特別助成の条項があるけれども、その土地については要求もしていない、文部省の公民館も同じである、これはもうたいへん怠慢であります。ほんとうに国民に対して責任をとってもらわなければならないけれども、一応寛怒をするとして、来年はどんなことがあっても、そういうものに対する土地の国庫補助を要求なさるということでなければならない。大蔵省はそれを受け入れるということを昨日明確に答弁をしておられるわけであります。ひとつ総務長官の御答弁をあとで伺いますけれども、厚生省、それから文部省の担当官は、即時要求を必ずいたしますという御答弁を願いたいと思います。
  33. 田川明

    ○田川説明員 御指摘のとおり、四十九年度予算編成の過程におきましては、要求をいたしてございません。この問題につきましては、非常に重要な問題でございますので、さらに至急詰めまして、五十年度の予算要求について結論を出すように努力いたす考えでございます。
  34. 八木一男

    八木(一)分科員 隣保館の計画はあるのでしょう。その隣保館の計画についての土地の国庫補助について要求を出すという返事をなさい。それは幾らになるか、何カ所になるかは、これからあなた方がきめられたらいい。隣保館建設計画について、土地についての国庫補助の要求を出しますという答弁をなさい。それでなければ、あなたは内閣の方針と違うことを言うことになるのですよ。大蔵省は出してもらったら入れるといっている。そして坪川総務長官はそれをやると言っております。あなた方はなまけて出さないというなら あなた方は国家公務員の資格はありませんよ。五十年度において隣保館の敷地についての国庫補助の要求を出すという答弁をなさい。それでなければ直ちに辞表を出しなさい。
  35. 田川明

    ○田川説明員 隣保館の用地費につきましては、五十年度の予算要求におきまして要求を出すように努力いたします。
  36. 八木一男

    八木(一)分科員 いかぬ。努力とは何だ。出しますという返事でなければならぬのだ。内閣の方針だ。受け入れる大蔵省も了承しているんだ。努力をいたしますとは何だ。私はむちゃなことを言っているんじゃない。隣保館を百やれ、五千やって全部出せと言っているわけじゃない。隣保館を幾つやるかという計画はあなた方にまかしているわけだ。面積もまかしているわけだ。それで隣保館の計画についての土地の国庫補助についての要求を出しますという返事を要求しているわけだ。その返事ができなかったら、あした辞表を出してもらうように内閣に、そして厚生省にかけ合いますから。要求を出しますという返事をなさい。
  37. 田川明

    ○田川説明員 隣保館の用地費につきましては、五十年度予算の要求の際に用地費の要求をいたします。
  38. 八木一男

    八木(一)分科員 文部省、同じ答弁をなさい。
  39. 説田三郎

    ○説田説明員 四十九年度の予算要求に際しましては、先生御指摘のとおり、現在集会所の建物の補助金については予算要求いたしておりますけれども、用地費については要求いたしておりません。来年度につきましては、御趣旨に沿うようにやらしていただきます。
  40. 八木一男

    八木(一)分科員 沿うようにじゃない。御趣旨どおり要求を出しますという返事をなさい。変なクッションを置くんじゃない。要求を出しますと言うんだ。
  41. 説田三郎

    ○説田説明員 御趣旨に沿うように要求いたします。
  42. 八木一男

    八木(一)分科員 御趣旨どおりに要求を出しますと言いなさい。よけいなクッションを入れるものじゃない。
  43. 説田三郎

    ○説田説明員 御趣旨どおり要求いたします。
  44. 八木一男

    八木(一)分科員 そういうことで、これは代表的に文部省と厚生省に申しましたが、各省にまたがります。総務長官は各省を指導して、そのような要求を出されるようにひとつ努力をしていただきたいと思います。
  45. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 昨日の八木委員の質問に対する大蔵大臣の答弁はよく読みました。それで、五十年度はそうした方向で努力いたします。
  46. 八木一男

    八木(一)分科員 各官庁が要求を出すのです。大臣は努力でけっこうですが、各官庁は努力なんということばじゃ承知できない。いまはっきりあれですから……。  それから時間がありませんから、いろんな問題がありますが、もう一つ自治省との確認事項は、これはとんでもないマイナスになっているわけです。この点については総務長官とまたゆっくりお話をしますし、自治大臣ともお話をしますが、この確認事項の一番悪い点は何かというと、実は公営住宅、準公営住宅等家賃収入が入るものについては第十条の適用を除いてあるということになっておるわけです。ところが同和対策の公営住宅は当然低家賃でなければならない。その低家賃の収入はその公営住宅の修理代にも当たらないのです。それをただ家賃が入るから財政的に対処できるからといって、ほかのもののような第十条の適用をしない、起債に対して十分の八の元利補給をするということを削除をしているわけです。役所の中の観念理屈です。ほんのちょっとの修理代にも当たらないものが入るから、そのほうは手当てをしなくていい。だから地方自治体は重い負担をこうむっている。この問題に熱心なところは財政的に苦しむ、不熱心なところはそれを利用してなまけるということで、同和問題の完全解決がないわけです。  住宅は大切であります。教育、就職は大事だけれども、うちに帰って、両親が夜なべをしている、赤ん坊が泣いているところで一生懸合勉強しろといったって、できるものじゃない。だから奨学資金だけではなしに、復習をし、予習をし、さらに学習をするだけの住居を築かなければ、そういう問題の解決はできないわけです。そういう点をそのような観念的な、家賃が入るから地方自治体に対処できないというような、とんでもない理由でブレーキがかかる。これは直していかなければならない。これは直すために自治省にも大蔵省にも話しますが、総理府としては、その解決に最大の努力を急速に、迅速にやっていただく必要があろうと思います。  時間がありませんから、もう一つだけ申し上げて、両方の御答弁を積極的に伺いたい。  この問題は、市民的権利を確立をするために、そのように就職の機会均等、就学の機会均等、住宅問題、あるいは環境改善、あるいは産業対策、いろんなものをしていかなければなりません。それと同時に、世の中に差別するものがある。その間違いを正して、そういうことを一切払拭する。不幸にして差別を受けて、ほんとうに苦しい目、いやな目にあっている人たちには、これは不合理なものであるから、差別をした者が悪いのだ、差別を受けて苦しんでいる人は、胸を張って、社会が悪いのだ、おれたちは堂々とした人間だと、胸を張ってやっていけるように、そのような状態をつくっていかなければなりません。社会意識としての差別観念というものを払拭するために全部が努力をしなければならないし、政府、特に総理府はその最大の努力をせられなければならない。そのための努力はされている点もありますけれども、少のうございます。  ひとつ具体的な提案をいたしますが、同和対策事業特別措置法の制定された記念日なりあるいは秋の人権週間に、内閣総理大臣と言いたいですが、少なくとも内閣総理府総務長官が、テレビ等あるいは新聞等あるいは雑誌等すべてを通じて、その点の国民に対する広報をなさる、差別がなくなるための広報をなさる、そのことが必要であろうと思うのです。方法は一番いい方法におまかせしますけれども、特別措置法の記念日あるいは秋の人権週間に総務長官自体がおやりになる、なお田中総理大臣がさらに積極的であれば田中総理大臣自体が国民に訴えられる、そのことをやっていただくことが必要であろうと思う。先ほどの一つと、いまのことについて、ぜひ積極的な、やりますという御答弁を要請をいたします。
  47. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 前段の問題につきましては自治省とよく相談しまして、私はやはりそういうことについては前向きに取り組みたいと考えます。  それから後段の問題でございますが、やはりこういう事態がまだあるということは全く残念なことでございまして、人間の人権はだれでも平等であることはもう当然のことでございまして、機会をつかまえて積極的なPRを展開してまいりたいと考えております。
  48. 八木一男

    八木(一)分科員 いまの人権週間とか特別措置法のときとか、あるいは憲法記念日でもけっこうです、そのときに機会をとらまえて、総務長官自体が——総務長官にかわるものとしたら、総理大臣だけはかわっていただいてもけっこうです。総務長官または内閣総理大臣が国民に訴えられるということをぜひ実現していただきたいと思いますが、それについてひとつ。
  49. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ぜひ今年は計画に入れてみたいと考えます。
  50. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 次に、紺野与次郎君。
  51. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 新宿区の若松町にある総理府統計局所管国有地に対して、地元住民は歴史的にたいへん長く、昭和三十九年の八月、少年野球場の建設問題で、それから四十年十二月には保育所建設で、四十一年四月、九月には保育所児童遊園の建設で、国有地譲渡申請してきました。  ところが、四十二年九月から付近の区立余丁小学校木造校舎の改築計画が立案されましたが、ちょうど都市計画環状四号線が同校を縦断するということが判明したために、隣接地の民有地を買収することを検討して交渉を始めました。しかし、なかなかそれは手に入りません。それで四十三年十月に不調となりまして、その結果、地元若松町、余丁町、河田町の三人の町会長さん、余丁小学校PTAの会長さん、顧問、幼稚園のPTAの会長さんなどが連名で、新宿区の教育委員会に対して、この総理府統計局あと地、この国有地払い下げ陳情をしたわけであります。そのために山本新宿区長が四十四年一月二十三日に、この余丁小学校敷地として、わずか五十メートルそこから離れているにすぎない、同小学校の通学区域内にあるただ一つ適地として、この総理府統計局あと地一万二千平米の貸し付けまたは譲渡を要請したわけです。そして重ねて四十四年六月に、総理府総務長官に対して山本区長から同じように一万二千平米の貸し付けまたは譲渡を要請したわけです。  以上の事実について、総理府及び大蔵省は知っておられますか。確認できますかどうか、お答えを願いたいと思います。
  52. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  ただいまの余丁小学校の件につきましては、陳情を受けておることはよく承知しております。
  53. 村上哲朗

    村上説明員 ただいまのお話の件、総理府のほうから話は聞いております。事実等について、正確にはちょっと私、手元に持っておりませんけれども、そういう陳情が四十四年以来あるということは聞いております。
  54. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 ところで、この余丁小学校が非常にいま深刻な状態にあります。いまもって木造校舎であるということ、そしてここに現在四百八十二名の児童がおりますが、最近またふえております。十三学級、必要な教室は十四ないし十五の普通教室、特別教室は七教室必要だといわれております。ところが現在はどうかといいますと、特別教室一つをつぶして十三普通教室にし、そして特別教室は四つしかありません。敷地はわずか千百坪です。運動場は二百八十坪。冬は午前中日光が入らない。子供たちは日の当たるところをさがし求めて、そうしてそこにかたまるというような状況です。木造校舎のいたみがひどくて、雨も漏るし、床がきしむ、ゆがむというふうな状態でもある。しかも決定的なことは、環状四号線がここを縦断する結果、敷地の四〇%がつぶされるのです。しかもちょうどことし四十九年は、東京都の木造校舎の全部の鉄筋化を終わる年度に当たっております。ところがこういう状況でありますから、全くもうどうにもできないというふうなことであって、この現状というものは、われわれ絶対にこのままに見のがすことはできない限界点にきている。でありますから、もし四十九年でもうコンクリート化しなければならないのに依然として木造を続ける、もう一年間これを続けるというふうなことになったら、全く小学校も子供も踏んだりけったりというふうな状態になるのではないか。でありますから、このような小学校の存在というものは正常なものと思うかどうか。また、地元町会長PTAの会長さんたちが、五十メートル先のこのあと地に対して払い下げを申し入れたということはよくよくのことであって、このような親の情をも考え、こういったあと地払い下げを要求してきたということについては当然ではないかと思いますけれども、それについて警察庁、また総理府大蔵省方々から、こういう事態に対して一体どう思っているのか、お聞きしたいと思います。
  55. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 総理府といたしましては、あと地の今後の方針につきまして、早急に検討をいまやっておるわけでございますが、その検討の結果、余分なところが出ましたら、それを大蔵省に移管をしたいというふうに考えております。
  56. 国島文彦

    国島政府委員 余丁小学校実情については、私ども総理府等を通じていろいろと承っております。また、機動隊実情現地における状況についても、各方面にいろいろとお願いしまして、機動隊の職責が果たせるような形での措置をいろいろお願いしておる次第でございます。そういう双方の、私ども機動隊機動隊としてよくお願いし、また学校学校としていろいろ私どもも理解をしていくという、こういう立場で各方面の御協力をお願いしておる、こういう状況でございます。
  57. 村上哲朗

    村上説明員 現在この土地総理府所管になっておりまして、御案内のように機動隊が使っております。行政サイドでございますので、これは国の用にいま充てておるわけでございまして、これを国以外に払い下げるという問題につきましては、総理府においてこの財産を今後どうするかという結論が出てから、私どものほうに引き継いで対処していく、こういう考えております。
  58. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 地元のほうでこういう深刻な状態になっているときに、四十四年の五月にまさにその最中に突如として第八、第九警察機動隊がここにやってきました。そもそもそのときに総理府統計局警察庁の間でどういう契約が行なわれたのか。国有地はいま話しましたように地元のほうでは一万二千平米ほしいといってきた、それに対しまして全然無視されたわけでありますけれども、どういう契約にされたのですか。
  59. 升本達夫

    升本政府委員 当該土地につきましては四十四年の五月十五日より二カ年間を限りまして、警察庁に対しまして使用承認をいたしております。
  60. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 二年間契約をしたということは、住民の立場を無視して行なわれたわけでありますけれども、一体これは何のために二年間——この二年間の契約ということの根拠ですね、これは警察庁はどうなんですか。
  61. 国島文彦

    国島政府委員 私どもはまあ当時のいろいろな情勢から、機動隊を増強して首都の秩序維持に当たるということの必要性を考えまして、そして警視庁における機動隊増設をしたわけでありますが、その機動隊を置く場所ということは、これは非常に御案内のように重要なことで、機動隊の活動すべき対象の位置とか、あるいは一番重要な場所に対する距離的な問題、また機動隊でございますので常に機動力ということが生命であり、その機動力を発揮し得るような場所ということで、当時いまの総理府使用してない土地が非常に適地でございますので、当時の情勢からぜひそこへお願いしたいということで関係者に折衝したのでございますが、まあ私どもとしてはそこへぜひ機動隊隊舎を建てる土地として長く使用をお願いしたがったのでございますけれども総理府のほうもいろいろな事情もございまして、当面二年ということで、さらに必要なときは自後更新するという形にしてほしいということでございましたので……。
  62. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 それは四十五年の七〇年安保を目的として、二年間ここに入り込んできたのではないですか。
  63. 国島文彦

    国島政府委員 七〇年安保ももちろん一つ警備的な問題でございますし、当時その問題以外にもいろいろな警備事案がございまして、機動隊をふやして警視庁全体の警察の運用をはかるということが必要であった、こういうことから増設したわけでございます。
  64. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 二年間過ぎた、二年間の契約ということで、その二年間が終えてから毎年一年契約でこれを更新して、実際上無期限にこれを続けているのじゃないですか。これはそういう全く無期限状態でありまして、実際上無期限居残り、居すわり、無期限の居すわり、こういうやり方、居すわりの論理というのは、世間でよくいう強盗の居直りということばがありますね。ちょっと最初に入り込んであとはいつまでもいつまでも居すわってどかない。無限にその期限を継続しているというふうな状態ですね。これは全く非常識な、警察としてはやってはならないことを私はしていると思うのです。そういうふうな状態でありますけれども地元のほうは校舎のほうもいつつぶれるかわからない、コンクリート化の期限も四十九年度に来ているというふうな状態から見て、もうがまんのできない限界に来ていると思うんです。でありますから、そういう点でさらにこれを続けるつもりなのか、その目的は何か、なぜここをどくことはできないのか、この点について明確なお答えをしていただきたいと思います。
  65. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  総理府の現在の所有地になっておる国有財産でございますが、われわれといたしましては、現在余丁町の小学校の状態はよくわかっておるわけでございまして、一方ただいまの警察的な機動隊も現実に使用しておるわけで、こうしたものを調整したいと思っておるわけでございまして、この余丁小学校の状態を早く改善するという方向で、政府内部の意向の調整をはかることを現在やっておるわけでございます。
  66. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 警察庁のほうはどうですか。あくまでも居すわりを続けるつもりなのか、その目的は何か、そういうことはないのか、そこをはっきりさしてください。
  67. 国島文彦

    国島政府委員 私どもは都民の方々あるいは首都の安全秩序維持のために警察が活動しており、その必要性から機動隊をも設置しているということを、これはまあ申し上げるまでもないことでございます。したがってその機動隊が十分活躍し得る、目的とする都民の安全を守り得るために、やはり隊舎の位置ということは非常に重要なことで、その観点から当時あすこがあいていましたところをお願いした。あすこはそういう警察の仕事をするにおいて有効に行動し得る非常に適地でございますので、そういう観点からあそこをお願いしたわけであります。しかし当時はまあ早々の間でございますので、二個隊をあそこに置いていただきました。ほかに適地もございませんでしたので、あそこに二個隊を置きましたが、機動隊の立場としては一カ所に二個隊を置くということよりも、むしろ二個隊を別に、これもそれぞれ適地ということが前提でございますけれども、別に置くということのほうがより効率的であるということは申し上げるまでもございません。したがって私どもとしてはあそこの相当な広さがございますので、現在警察の立場から言わしていただきますと、あそこに一個隊ぜひ置いていただきたい。そうすればその余地学校も十分置けるのではないだろうか。これは警察だけの考えでございますが、そういうふうに近辺の方のことも十分しんしゃくといいますか、考慮に入れて、しかし警察は警察としての職責を十分責任をもって果たさなければならない、この立場をも考えながら各方面にお願いしている、そういう状況でございまして、もちろんこれは警察側の希望でございますが、いまあすこに二個隊ございますけれども、一個隊は将来もぜひ置いていただきたい、こういうふうに関係者の方にお願いを申し上げている、そういう実情でございます。
  68. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 最近田中首相も文部大臣も教育ということを非常に重視するということを口で言っております。しかし実際にやっていることはいま言いましたように、地元小学校がこういうもういつつぶれるかわからないような木造の中で、また環状四号線で四割も敷地が取られてしまうというふうな状態、しかもこの機動隊が来る前からすでに地域のほうでは大問題になって、そのことを要請しておるときに、それを排除して警察をまかり通したわけでありますけれども、実際にはあの近所には四機、五機がありますね。そこへまた機動隊をここに置くというのは明らかに過剰警備だと思う。過剰警備だ。そしてそれによってやはり都民を威嚇するような体制をずっととろう、こういうことだと思うのです。そういうことはこの教育尊重ということのたてまえと全くうらはらのものであって、本末転倒して実際は教育なんかはかまわぬ、機動隊をそこに置くことのほうが一番大切なんだという立場でやはりやっているのかどうか。やはりこの点は教育を尊重して、そうして地元余丁小学校の要望を入れるという立場にはっきり立ってもらえるのかどうか、この点重ねて……。
  69. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  われわれは教育の重要性は十分承知しておりますし、また私もあなたと同じように東京都の選出の代議士でございますから、やはり現在の教育の、小さい子供たちの問題については私も非常に重大な関心を持っておるし、それが余丁小学校のような状態というものは、決してそれはいいことではないことはよく承知しております。  それで先ほどから御答弁申し上げているように、あのあと地の問題については、現在の警備上の問題からの機動隊の問題と、それをどこまで——先ほども御答弁ございましたように二個隊ある中の一個隊をあそこに置くなら置くというようなこと、そうすれば余地が余る。余地の余ったものは、われわれはこれを大蔵省にお返しをする。しかしそのときにそのあと地利用については、私たちといたしましてはぜひこれを余丁小学校に、その方法については大蔵省にまかせますが、子供たちのためにその地積を活用してほしいという希望を伝えるつもりでございます。
  70. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 私はあそこにまだ機動隊が一個隊残るということには反対であり、小学校とそれを一緒にするということは教育上も両立しないというふうに地元がいうと思います。しかしいずれにせよ、そこに学校の用地を設定する、やらなければいけないというふうに、いまの総務長官の答弁で受け取っていいと思いますけれども、いつまでそれをやるか、だれの責任でそれを実現するのか、このことをはっきりお聞きしたいと思います。
  71. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 非常に明確にいつまでということがちょっと申し上げにくいのでありますが、われわれとしてはできるだけ早くやるということ、そしてそんなに時間はかからぬと私は現在考えております。ただ、もう一つ機動隊の現在おるものの一部が移転する先がなかなか適地がないというようなことで、その問題さえ解決すればこの問題は急転直下解決すると思います。
  72. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 ことしはもう五月十四日に期限が切れるのですね。またコンクリート化の完成も四十九年度です。ですからそういう点で、もう今年中にこの問題を解決して学校用地をあそこに設定するということをやはり明確に、期限を責任をもってやってもらいたいと思うのです。
  73. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 私の個人的な感覚といたしましては、小学生の五百人もの子供たちのことを考えれば早くやったほうがいいということは十分にわかっております。また紺野委員のただいまのお気持ちもよく私は理解できます。そのような方向の中で努力をいたしてまいります。
  74. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 実際にあの機動隊の中も視察しましたけれども、あの隊舎自身が、あれは旧軍時代からの施設ですね、やはりあの中には家族がやってきて何だと、こんなところにいるんじゃ早くおまえ帰ってこいというふうなことを家族に言われているという向きもありますけれども、こういうようなことで、いろいろの方面にこれは現状の打開というものはもう限界に来ていると思うのですね。そういう点で、ぜひ余丁小学校の問題について優先的にやはりあのあと地を一刻も早く提供するようにやってもらいたいということでありますが、なお総理府としては、そういうふうに機動隊が立ちのいた場合には直ちに大蔵省に戻して、用地を余丁町の人たちの要望にこたえるようにするように努力いたしますか、この点をひとつお聞きしておきたいと思います。
  75. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 先ほどから申し上げておるとおり、私はそのつもりでおります。
  76. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 大蔵省のほうに聞きますけれども総理府のほうから返還されてきましたならば、やはり優先的にそういうふうに地元に応ずるように努力いたしますか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  77. 村上哲朗

    村上説明員 かりにいま総理府から用途を廃止してわがほうに引き継がれますと、これは極力公共の用に充てるということで処分をすることになると思いますけれども、非常にいま国有地が払底をしておるという段階でございまして、慎重に処分したいと思います。その際学識経験者等で構成しております国有財産審議会等にかけて、地元の要望等もその中に織り込んで適切に対処してまいりたい、こう考えております。
  78. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 問題はいろいろあるでしょう、いろいろなことがね。しかしこの間も福田大蔵大臣にも聞きましたし、それから前の愛知大蔵大臣にも聞きましたが、やはり国有地の未利用地の活用にあたっては、やはり地元住民のこういう学校とかあるいは社会福祉施設とか、こういったことをやはり優先的に考えて処理することを第一とするということを言われているんですね。あなたはどれもこれもみんな平均に並べて、そして明確にいま言ったような歴史の重みというものを、それから現状の中の深刻なこういう事態というものを取り入れて、国会の場でも問題になっているようなそういう問題を十分に織り込んで、そうして積極的にその方向で努力するかどうか、これはやはり重要な問題なんです。あなた方がただ優等生の官僚答弁をすればいいような気持ちで、きのうもそういうようなことがありましたけれども、そういう点で、やはり積極的に、地元のそういう緊急のもう機の熟した、限界に来ているところの問題については優先的に考え努力をしますと、指導性をというよりも積極性を発揮してやってもらえるかどうか、この点を重ねて明確にしてもらいたい。
  79. 村上哲朗

    村上説明員 いま国有地のそういう処分につきましては、そういう地元の再開発とか、学校とか、そういう施設に優先的にやるということで、基本方針をきめてやっておりますので、この件につきましても、いまお話しのような余丁小学校の問題が非常に重要なポイントとしてあがっておりますので、当然審議会等においてこの件は大きなウエートをもって考慮されるということで、われわれもそういう方向で努力し、検討いたしたいと思います。
  80. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 最後に、総理府あと地の問題については、あそこの労働組合の皆さん方のほうからもいろんな要求が出ているのだと思いますけれども、こういう点についても十分な配慮をしてもらいたいと思いますけれども、これを最後にお聞きしたいと思います。
  81. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 国有地の問題につきまして、やはり国有地の処理の問題につきましては、地域の、あるいは地元方々の強い希望というものを優先的に取り上げるという基本的な方針でございます。そういう意味で、今度の余丁小学校の他は十分私もそのつもりで考えておりますし、また大蔵大臣ともお話を十分詰めていきたいと考えております。
  82. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 次に、湯山勇君。
  83. 湯山勇

    湯山分科員 私は同和対策につきましていろいろお尋ねいたしたいと思います。  すでに八木委員から先ほど御質問があったそうでございますから、重複を避けたいと思いますので、もし重複するようなことがあればひとつ御指摘をいただきたいと思います。なお長官にはいろいろ他の政府委員の方にお尋ねして、その所感をお聞きするというような形にさしていただきたいと思いますから、ひとつよろしくお願いします。  まず総理府の場合をお尋ねいたします。  この「同和対策の現況」というのは、私も十カ年計画の半ばを過ぎてぜひこういうものが必要だということを考えておりました。昨年これを出す必要があるのじゃないかということを御質問申し上げようと思っていましたが、そういう機会がなかったのですが、こういうものを出されたこと、非常にいいことであったし、また内容も非常によくできておりまして、ぜひうんと広い範囲に配付していただきたいと思うのです。どれくらいお刷りになって、いまどの程度にお配りになっておるか。
  84. 亘理彰

    ○亘理政府委員 お答え申し上げます。  初めての試みでございますが、全体として発行されましたのは二万部ほどでございます。そのうちで政府で買い上げましたのが約千五百部でございまして、これを地方公共団体その他必要な向きに配付いたしております。
  85. 湯山勇

    湯山分科員 政府部内では、たとえば農林省なら農林省ではどの単位くらいへ行っておりますか。
  86. 亘理彰

    ○亘理政府委員 個々の配付につきましては印刷局でやっておりますので、詳細調べまして別途先生のほうに御報告いたしたいと思います。
  87. 湯山勇

    湯山分科員 お願いですけれども、これはひとつ政府部内の各課へ行くくらい、ひとつぜひ出していただきたいというように思います。その理由あとで追ってだんだん明らかにしていきたいと思います。  法務省のほうにお尋ねいたします。この白書で見ますと、法務省でこの差別事件につきまして取り扱った件数が出ておりますが、四十五年の一万七千余り、四十六年の二万余り、四十七年は三万をこえるというように非常に件数が増加しております。それらについてはいろいろ文書で反省を促す勧告をやったとか、あるいは口頭説示をやったとか、それぞれの処理した内容が示されてありますが、これで排除措置が完全にできたというのがどれくらいあるのでしょうか。
  88. 森保

    ○森説明員 法務局関係で同和問題に対処いたしておりますのは、啓発という立場から力を入れてやっているわけでございますが、ただいま御指摘のような取り扱い件数は、これは同和地区におきまして法務局関係が取り扱いました人権相談の回数でございます。この人権相談というのは、法務局の窓口はいつでもだれでも開かれておるわけですが……。
  89. 湯山勇

    湯山分科員 それはよくわかっております。時間がありませんから、いまお尋ねしたことを答えてください。
  90. 森保

    ○森説明員 さようなわけで、この件数は差別事象全部ではございません。これは同和地区におきますところの土地、家屋の問題であるとか、そういうものも全部入っているわけでございますが、こういうような中から発掘いたしましたおもな事件を調べてみますと、昭和四十七年中に処理いたしましたおもな差別事象につながる人権侵犯事件は全部で三十八件、その内訳は説示をいたしましたものが二十六件、それから援助措置をいたしましたものが二件で、排除措置一件、その他九件、こういう内訳になっております。
  91. 湯山勇

    湯山分科員 いま承りまして、この内容はいろいろですけれども、人権に関するものでは結婚の問題、それから職場のいろいろなトラブルの問題、それから近所、隣からの差別事象、それから学校における差別事象というような順序だということがあげられておりますが、それもそのとおりだと思います。  そこで問題は、いまこの三万件の中の三十件ばかりが処理されたということでございますけれども、三万件というのも直接差別ではないのもありましょうけれども、いずれにしてもその地区の人権問題というのは非常に多い、三百万の地区住民の中の三万ですから約一%、国民全体に直せばずいぶん大きい数だと思います。まだこういうものが残っている。しかもいま説示とか勧告とかいろいろありますが、結局問題は、こういうことで足りるかどうかという問題です。いまこの白書にあげておられる内容も、非常に詳しく一件一件あげておられるのでよくわかります。それで見ましても、結婚問題なんかも説示しても聞かない、いろいろやったけれども、本人が聞かなければどうすることもできない、結局差別をした者が、それじゃこうしましょうと言わなければどうにもならないということになっておると思いますが、それはいかがでしょうか。
  92. 森保

    ○森説明員 御指摘のような点、まさに一つの問題点でございまして、私どももそれゆえにこの啓発活動のあり方、非常に苦心をいたしておるわけでございますが、やはり私どもは同和問題が全国民によって理解されてもらわなければなりませんので、忍耐強く差別事象解消のための心の啓発につとめていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  93. 湯山勇

    湯山分科員 この具体的な例をおあげになっておる一番多い結婚の問題、これなどは単に言って聞かして、聞かなければやむを得ないというものではなくて、差別を受けた人たちの中には自殺した人もあります。私もよく知っているので自殺の例もあります。家出の例もあるし、それからノイローゼになったのもあるし、それから職場をやめた、失業者の仲間に入るという非常に深刻なものがある。にもかかわらず、そういう差別をした者に対して、本人が聞かなければどうにもならないというようなことではたしていいかどうかという問題が一つ。そういう状態ですから、結局深刻な痛手を受けた者たちはそのふんまんの持っていき場所がない。法務局も、ただ言って聞かしたけれども、どうも聞かぬということで済まされるということだと、結局自分たちの力で排除しなければならないということから、ずっと昔のようにやはり糾弾しなければならない、自分たちの力で糾弾するというようなことにならざるを得ない、それが今日の姿であると思うのです、しかし、これはやむにやまれず糾弾をすれば、そのことで逆に地域の住民と離反する、あるいはそのことによって誤解を受ける、距離を拡大するというようなことも副次的に起こってくる、けれどもそうせざるを得ない、ここに私はこの問題の非常に大きな不備があるというように思います。これはやはりこの白書にも指摘されておりますけれども、差別に対するもっとはっきりした法的な規制、あるいは人権擁護に当たる人たちにある権限を与えるというようなことを背景にする必要があるのではないか。そうしなければ、いまのように言っても聞かなければもうやむを得ぬというだけでは、やはりこれはみずから差別を受けた者が団結をして、みずからの力で排除するということをやらざるを得ない、これは非常に大きな問題だと思うのですが、法務局のお考えはいかがでしょう。
  94. 森保

    ○森説明員 私どもといたしましては、啓発の立場から考えまして差別するほうも差別されるほうも、その二つながらが早くなくなるのが一番よろしいと思うのでありますが、遺憾ながら現在そうした差別事象の中にいろいろな問題が起こっております。しかし啓発ということを考えますと、この問題に対処する場合に、啓発をする側でも、あるいは差別する側、あるいは差別される側、そういうものがやはり力でもってやるということはどういたしましても十分な成果をあげることはできないというふうに考えております。一見迂遠なようでございますが、私どもは法務局の全力をあげまして、いろいろな方法で心の啓発につとめてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  95. 湯山勇

    湯山分科員 長官、いまのような状態で、実際には三万件もの人権相談に応じてずいぶん御苦労なさっておるけれども、これは強制力がありませんから、ただ一方聞きっぱなしという形で、逆にそのことが糾弾闘争というようなのを誘発する、非常にこのことは重大な問題だと思いますが、ひとつそのことについて何か法的な措置によって差別に対する規制をするというようなことを考えてもいいではないかというように私は思いますが、長官のお考えいかがでしょう。
  96. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 湯山委員のお考えも非常にせっぱ詰まったいろいろな現実を御承知の上での御発言だと考えますが、私はやはりそうした問題を法の強制の中で強制をしていくということはよほどの、最後最後の手段ではなかろうかというふうに考えております。私は、やはりそうした問題がなお今日残っておるということを非常に日本人として恥ずかしいことだという意識を持っておりまして、そうしたことを口にすることさえ恥ずかしいということ、そしてまたそういうことを口にすることは教養が足りないのだというような認識、そのような方向でぜひ全国民が、措置法にもございますように、日本人全体がこれを理解してこうした長い歴史的な問題に対処していく、そこがまた日本人自身の全体の一つの誇りでもあるようなそうした社会を一番私は理想と考えておるものでございます。
  97. 湯山勇

    湯山分科員 お気持ちはそうだし、私もそうなければならないと思いますけれども、一体このままでいいかどうかということについてはなおこれ措置法なり答申が出てすでにもう長い間になりますけれども、なかなかどうも前進しないということを考えましての私の意見でございますから、御検討いただきたいと思います。  それからそれだけじゃなくて、公務員によっての差別事件、事件というのか事象というか、そういうものが相当ございます。これは総理府のほうで掌握しておられるでしょうか。
  98. 亘理彰

    ○亘理政府委員 そういう問題が起こりました事件の数はただいま手元にその資料を持っておりませんけれども、そういう事件がしばしば起こっておるということは承知しております。これにつきましては啓蒙、教育、研修の問題が大事であるという考え努力してまいりたいと思っております。
  99. 湯山勇

    湯山分科員 啓蒙、教育、それは基本的に大事ですけれども、そういう人に対して特別な教育あるいは特別な訓戒、これはもう法律によっても公務員は特に義務づけられておるわけですから、その辺はしっかり掌握なさって、それぞれの責任者なり当人なりに対してもう二度とそういうことのないような措置をひとつぜひおとり願いたいと思うのです。これは各省にあるので、私の知っておる例もありますけれども、やはりこういうことも、公務員であってそういう差別事件を起こした、しかしそれに対して何ら役所として手が打たれないというようなことがまた糾弾の対象になるということもしばしばございますから、これは申し上げると時間をとりますから内容を省きます。ただ各省にあるということをひとつ、各省並びに公社それから地方自治体、こういうところにもしばしばあるということをひとつよく御認識いただきないと思うのです。  きょう特に申し上げたいし、取り上げたいのは、実は政府部内において、しかもそれは意識しているんじゃなくて、通常の業務を通常にやっていて、普通ならば別にどうということないことが実はやはり差別の拡大につながっている、そういうことが現にある。特に今度の予算委員会等で取り上げられた幾つかの問題、それらもやはり差別の拡大につながっている。これらについてはよほどしっかりした見識そして本人の自戒が必要だ。そういう役所の体制なりあるいは平常業務、平常にやっておるそこから出てくる問題を幾つか特徴的に取り上げてお伺いしたいと思うのです。  一般的にいえば、差別事象がなければそれで何にもしなくていいんだというような感じが非常に多くて、この間も神奈川県のある幹部ですけれども、こういう問題のときに、うちはもうそういう事象がないから差別はないのだというようなことを言って、そういったことがトラブルのもとになっておる、そういう事例さえあるわけです。そういうことを言った、言わないの証言からいろいろなのがございますけれども、そういうことだと困りますので、そういうことでないということを前提として申し上げますが、それは、一番まさかと思うのが警察庁です。警察庁はこの委員会に、予算委員会要求資料として「解同構成員による暴力事件の捜査状況と結果について」こういうものをお出しになりました。ずいぶんたくさんのそういう件数が具体的に——ただ幾らか配慮されておるなと思うのは、その被疑者側のほうは名前が出ておりません。それは確かに御配慮だと思いますけれども、しかしとにかくこれを出された。一体なぜこれをそのままお出しになったか、警察庁のほうから伺いたいと思うのです。
  100. 赤木泰二

    ○赤木説明員 先生ただいまお尋ねの資料は、昭和四十九年の一月二十八日、衆参両議院の予算委員会から、国会法百四条及び衆議院規則第五十六条、参議院規則第百八十一条に基づきまして資料提出要求がなされました。その要求項目に従いまして、事実に基づいてごく簡単にその概要を取りまとめて作成いたしまして、四十九年の一月三十一日に衆議院予算委員会に百部それから参議院予算委員会に百部、計二百部を提出したものでございまして、その提出部数の二百部以外には警察としては外部等に配布した事実は全くございません。
  101. 湯山勇

    湯山分科員 いまのような御答弁ですから、だれが考えても警察庁に手落ちがあるということは考えられないのですけれども、これを別のところで印刷して——これは公開ですからね。たれがどこで使ってもいいのでしょう。そこで、これが外部へ出て印刷して方々へまかれるということになると、明らかにこの連中はこんなに暴力をふるっておる、しかも警察庁が証明しておる、こういうふうに使われる。そうすると、これは何でもないことですけれども、やはり差別の拡大に利用されている。そこでもしこれにあるような配慮がなされれば、これはひとつ部外秘にしてもらいたいとかこれを他へ転載する、この資料を公開するというようなことはしないようにしてもらいたいという御配慮があってしかるべきだ。これなんか全く全然意図なくて、しかも国会の要求ですから忠実にお出しになった。しかし内容はその解同という団体の暴力事件というのでぱっと出て、しかもこうたくさん警察庁というのが出ますと、意図せざるところでもあるし、あるいはこう申し上げると驚かれるかもしれませんがそういうことになる。だから、そうなると、私はそれはやはり配慮が足りないのじゃないかという感じを持ちますが、いかがでしょう。
  102. 赤木泰二

    ○赤木説明員 先生のおっしゃる御趣旨は私どももよく了解いたしますが、ただ、ただいま御説明申し上げましたような成規の手続を経て御要求のありましたものについては、私どもといたしましては出さざるを得ないわけであります。ただ、その出し方等につきましては今後も慎重に考慮をしていきたいというふうに考えます。
  103. 湯山勇

    湯山分科員 趣旨がおわかりいただいて、慎重に考慮するということですから、その点は了解いたします。ぜひひとつそういう配慮もなさって、出さなければならないのですからそれはけっこうですけれども、そういう配慮をもっともっと慎重に願いたいと思うのです。  なお同時に、これを見ますと、いろいろ呼んで調べるというのがありますね。これもよくごらんいただきますと、それは告訴があったからというようなことで、呼ぶというのも、告訴があったのだから呼ぶのは当然だといえば当然ですけれども、やはり地区の人にとってみれば、大ぜいですから、むやみに呼ばれるということ自体がやはり偏見を拡大するということにつながるわけで、それらもやはりよく指導していただいて、現場に立ち合っておる例もたくさんあります。見ますと、現場を見ておられればそういう必要があるかないかというのはわかるわけです。警官が立ち会っておって現場にいたからよく事情はわかっておるということであればそれでいいわけですから、ことさらに、あるいはできるだけ呼んで調べるというようなことはなくする、これもやはり御配慮の一つだと思います。そういう点についてもひとつ慎重にやっていただきたいと思いますが、それもいかがでしょう。
  104. 赤木泰二

    ○赤木説明員 先生御承知のとおり私ども警察といたしましては、犯罪を認知した場合これを捜査しなければからない義務が刑事訴訟法で課せられておるわけでございますし、特に告訴告発を受理した場合には、終局的にそれが犯罪を構成するかいなかは格別といたしまして、すみやかに捜査を遂げて書類、証拠物を検察官に送付するということを義務づけられておるわけでございます。したがいましてそういった場合に、必要限度内で参考人の取り調べその他の所要の捜査を進めてまいらざるを得ないのでございまして、これも先生の御趣旨もよく私どももわかりますけれども、こういった私どもの警察の立場も御理解をいただきたいと思います。
  105. 湯山勇

    湯山分科員 それはよくわかるのです。それから、結論を出さなければならないということもわかります。ただ、御存じのようにいまのような場合の糾弾というのはかなり多数の場合が多いのです。これはおわかりですね。そうすると、警察によってはそこにおった人のほとんど全部順々に呼ぶ。それは捜査の遺漏なきを期するという点からいえばそうでしょうけれども、しかし必要最小限度にとどめて、そしてこれを呼んでも呼ばなくてもいいというような人まで呼ぶというようなことをしないように配慮をすべきではないかということですから、その点はいかがでしょう。
  106. 赤木泰二

    ○赤木説明員 御趣旨はよくわかりました。私どもも御趣旨のような立場で、ただいままでもそういった方向で努力をしてまいったつもりでございますが、今後ともそういう方向で努力はしたいと考えております。
  107. 湯山勇

    湯山分科員 それから、警察庁の次に、自治省にお尋ねいたします。  措置法によりまして、いろいろな事業が進められる。自治体の進めていく事業については特別交付税が配付になる。その特別交付税の場合は、ひもつきじゃありませんから、必ずしも国に準じて、自治体がそれを同和対策事業に使わなくてもいいということはよく存じておりますけれども、しかし、たとえば自治省へ行って、何県にはどういう積算で配分したか、あるいは県へ行って、どういう積算でどの町へ幾ら配分したか、あるいは町なり村なりに行って、その村なり町にきておるのはどういう積算になってどれだけのものがきたことになっているかというようなことについては、今日まで、公表はもちろんですけれども、聞きに行っても言わないということがたてまえになっていたように思います。私自身も幾つかの例を知っておりますが、これは特別交付税ですから、限定してそれに使うというものじゃないことはよく存じておりますし、また自治省の立場、県の立場としては、そう言っても別に悪いことじゃない、当然のことだということもわかりますけれども、しかしその当然のことが実はやはり問題を起こしている。と申しますのは、たとえば全国のそういう会合があるというときに、Aの村はぜひ出してやろう、お隣のBの村は出さないというようなときに、Aの村は出しておるのにBの村はなぜ出さないか、そういうようなのは国からちゃんときておるじゃないかというようなことでトラブルが起こって、そしてそのことでごたごたが起こる、いまのように。そうすると警察に言っていく、告訴する。そうするとそれがまた、何でもないようなことですけれども、やはりこういうものへ出てくるということになる。そこで、この点たてまえはよくわかりますけれども、しかしそのことが、いまのような差別の拡大につながる。特にいま同和対策事業というものはどこも非常によくやっておりますから、そういうトラブルがずいぶんたくさんあります。  そこでこの件に関しては、その積算の基礎は公表しなくてもいいのです。公表などしなくてもいいけれども、たとえばその自治体の議員とかあるいはその団体に関係している人とか、直接関係ある人が聞きにいった場合には、それぞれひとつ説明する。そしてうちの村があなたの旅費を出せないのはこういうわけですということが、納得のいくように話もできるというようなことにしておかないと、そのことはやはり非常に問題だと思います。そういう取り扱いはできないものかどうか、これを自治省からお答えいただきたいと思います。
  108. 栗田幸雄

    ○栗田説明員 お答えいたします。  特別交付税につきましては、いま先生御承知のように、一般財源でございまして、国庫補助金と違いまして、この事業に充てるという性格のものではございませんが、同和対策事業を推進しております県なり市町村の実態にかんがみまして、自治省でできるだけ特別交付税を配付するということでやってきているわけでございます。  ただいま御指摘のありました、特別交付税がどの程度いっているかわからないということによってトラブルが起こる、そういった問題につきましては、そういったトラブルが起らないように、いろいろな方法があろうかと思いますが、その方法をいろいろ検討いたしまして、そういったトラブルの起こらないようにひとつやっていきたい、このように考えております。
  109. 湯山勇

    湯山分科員 自治省のほうはたいへん明確な御答弁でございますので、ひとつ早急にそういう対策を講じていただきたいと思います。  それから、それとよく似た問題は建設省ですね。これは内容はよく御存じと思いますけれども、公営住宅、特に同和地区の住宅等については、公平にというか、これもこの予算委員会で問題になりまして、公平にやれというような意味の通達を出した、これはだれも異議のないところですけれども、特に同和地区の住宅については、これはだれでも入れるというものではなく、おのずから入る人の制約がある。しかし建設省のほうで出す通達というものは、そういう内容には触れられない。役所の側が差別するなどということは大問題ですから、とうていできない。そこで、これはどの役所にも共通に、同和問題の根本的解決を目標とする行政の方向としては、地区住民の自発的意思に基づく自主的運動と緊密な調和を保ち、地区の特殊性に即応した総合的な計画性をもって、諸施策を積極的に実施しなければならないということが示されております。つまりよその地区から移ってきてどの公営住宅へでも入れる人と、それから、その地域の住民である、もっと端的に言えば、今日まで差別を受けてきた、そういう歴史的、社会的な背景を負った人、持っている人、それは違うわけですから、そういう選別を市長なり町長なりがやるといったってできるものではありませんし、わかるものでもない。そこで、そういう地域の自発的な意思に基づく自主的な運動と緊密な連絡をとっていくという意味がそこにあるわけで、建設省の通達は、一般論としては悪いとは申しませんけれども、しかしそのことがいま適正を欠いてトラブルが起こって、それがまたこれへ出てくるというようなことであれば、これもやはり差別の拡大につながる。本来の同和行政というものの本質、この理解がまだ足りないということになりかねないので、今度のがそうだとは申しませんけれども、こういう点も、建設省の住宅局としては、現に問題になっているところもあるわけですから、ひとつ十分な御配慮を願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  110. 重元良夫

    ○重元説明員 公営住宅の入居につきましては、その基準等は法令で定めておりまして、その規定に適合することを必要としておるわけでございます。ただいまお話しのございました通達は、特定目的公営住宅という同和向け公営住宅以外のものを含めた特別の住宅について指導したものでございますので、特に同和向け公営住宅について特別の指導はしていないわけでございますが、要は住宅、公営住宅としましては要件に適合することが必要でございますけれども、同時に同和対策事業でございますので、同和対策事業特別措置法の精神あるいは同和対策審議会の答申の趣旨に沿いましてこれを尊重しまして、同和向け公営住宅の管理はなさるべきであるというふうに考えておりまして、今後もそういうふうにやっていきたいと思います。
  111. 湯山勇

    湯山分科員 建設省もたいへんよくおわかりいただいておるようですから、ひとつぜひいまおっしゃったような趣旨で、適切な指導を願いたいと思います。現にトラブルが起こっておる問題ですから、ひとつ遺憾のないように処理していただきたい。  建設省、自治省の方、けっこうです。  それから厚生省の翁局長ですね。以前にこの委員会で、細谷委員から大阪府の保育所の四十八年度の配分について質問がございましたが、これは御存じでしょうか。
  112. 翁久次郎

    ○翁政府委員 存じております。
  113. 湯山勇

    湯山分科員 細谷委員が指摘しましたのは、大阪府ではまあ何というのですか、一般向けというのですか、保育所が四十八年度はゼロであった。いまだかってそういうことはなかった。これは摂律市が、保育所の補助が足りないというのでこれを訴訟に持ち込んでおる。超過負担訴訟ですか、そういう訴訟を起こしておる。それに対する報復措置じゃないかということで、細谷委員は厚生省のほうへ質問したわけでした。これに対して、そういうことじゃないという答弁をしておられましたが、大阪府に限らず、全国でゼロという府県がどこかほかにもあるのですか。
  114. 翁久次郎

    ○翁政府委員 結果的には、大阪府だけでございます。
  115. 湯山勇

    湯山分科員 あれだけの人口をかかえて、そして日本での最大の過密地帯である大阪府に、一般向けの保育所の配分がゼロというのはだれが考えてもおかしい。ですが、まあそれはそれとします。それが報復措置であったかどうか、それも別です。  私が取り上げたいのは、局長が、これは朝日でしたか、毎日新聞に、この問題を取り上げまして、「保育所建設の国庫補助 大阪だけゼロ査定 超過負担訴訟へのイヤがらせ?」というので記事にしました。これに対して局長は、「大阪府からは補助率が高い同和向け保育所を優先的にしてくれという要望があった。同和向けを含めた総額としては他府県とバランスをとっている。」、こういう談話を発表したのか、聞かれておっしゃったのか、いずれにしても、そういう事実がございますか。内容はいかがですか。
  116. 翁久次郎

    ○翁政府委員 私が申しました多くのことの中の一部であることは、そのとおりでございます。
  117. 湯山勇

    湯山分科員 同和地域向けの保育所とそうでない地域の保育所とは質的に違っている。同じものでやりくりして、こっちをふやしたからこっちを減してもいい、そういう性質のものであるかどうか、これはどういうことでしょうか。
  118. 翁久次郎

    ○翁政府委員 お答えいたします。  従来から、厚生省が負担をしております保育所につきましては、同和、一般と区別したものの考え方はいたしておりません。各府県から申請のありました順位をまず尊重いたしまして、特に一言申し上げておきたいと思いますが、御承知のとおり、同和地区における保育所は補助率が高うございます。したがいまして、この場合も、大阪から申請の順位は九番目までが同和地区の保育所であった。それから、ことしから去年と異なります点は、保育所に対する国庫負担の単価が約二倍近く改善をいたしました。したがいまして、昨年は全国、総数では六百八十でございました。ことしは五百五十ということで、減ったわけでございます。さらに大阪府の場合は、昨年やはり当初で同和地区について九カ所国庫負担をいたしました。その後、四十七年度におきましては補正予算が組まれました。その分について各県に配当いたしまして、大阪府については五カ所追加をしたということでございまして、厚生省として、区別してものを考えるということについては、従来からもいたしておりませんでしたことを一言申し上げます。
  119. 湯山勇

    湯山分科員 それで厚生省のお考え、よくわかりました。それならやはり大阪府のほうで申請がそうなっておった。それが適当と判断した。つまり大阪府のほうの申請の順位がずっと上位が同和向けであったから、そうしたのだというのならば、それはそれでけっこうです。それならば誤解を生むこともありません。ただ問題は、同和向けを含めた総額としては、他府県とバランスがとれている、このことです。事実はそうかもしれませんけれども、これが新聞に出ますと、それだけ他の地区での要望も相当多かったと聞いておりますが、そのたくさんの過密地帯で困っておる父兄たちは、どういう感じを持つでしょうか。そういうことを考慮に入れて、これはお話しになりましたか。
  120. 翁久次郎

    ○翁政府委員 最初にも申し上げましたとおり、私が、たしか電話であったと思いますけれども、電話の照会にお答えした中身は、いま御指摘のあったようなことも含めて、全部申し上げたわけでございますが、結果として、その部分が載ったわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、そういうことをいま御指摘のあった談話として見ますと、一般の方がどういうように思うかということについては、たいへん遺憾に思いますし、できることならば、その誤解だけは何とかして解きたい、かように考えます。
  121. 湯山勇

    湯山分科員 言われることは、私も了解できないことはありませんし、またこういうふうな取り上げ方をされたことについて遺憾であるし、何とか、そういうことから起こることについては払拭の方法考えたいという御答弁でしたので、そうだと思いますけれども、またそうでなければならないと思いますけれども、これは実は新聞なんかへ出ますと非常に影響が大きいのです。  御参考までに申し上げますけれども、最近ある県のある高校で、入学試験問題にやはり差別につながるような問題が出ました。それで、出した担任の先生はすぐ辞表を出しました。校長さんも進退伺いを出して、そして上京して、どうしたらいいか、問題は全部回収した、答案用紙ですから。それからサンプルの問題は、二十幾つの中学に配った、すぐ回収します、というようなことも最近あったのです。それから簡単にいえば、林野庁でも似たようなことがありました。だいぶ前です。これも出た林政広報というのですか、それを全部回収して、それからその林政広報に林野庁長官が、こういう問題についてもっとみな勉強せい、ついては同和対策特別措置法を全文そのあとへ出して、みんなこの精神でやれというようなことをしました。それから、ある民放のテレビです。これはそのテレビの会社自体に問題があったのじゃなくて、そこで座談会をやった中にありました。しかし、これもやはり民放は責任を感じて、出てしまったものはしかたない、そのためにはそのためのキャンペーンを張ろうということで、ドキュメンタリーで、やはりこの問題を取り上げて出しております。よく御存じなのは、大内兵衛先生が「世界」へ、何でしたかね、学生騒動のころに、東大は特殊部落であるというような意味のことを書かれて、これも、大内先生さえこうだというので、その雑誌もできるだけ回収するし、そのあと続いて謝罪文を載せられるし、その問題を取り上げて、何回か論文をお出しになりました。これは非常に重大な問題なんです、新聞にこう出るとかテレビに出るとかいうのは。厚生省というところは、総理府がこういうことを担当する前は、この問題の担当省であったわけですから、特に厚生省からそういうことが出たということは、私も非常に残念ですし、ここで特に局長にこういうことを申し上げるのはまことに残念ですけれども、しかしこれはやはり何らかの事実をもって、そうでないということをお示し願うということしかなかろうと思います。ぜひそうしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  122. 翁久次郎

    ○翁政府委員 非常にお心のこもったおことばでございますし、私も全くそのとおりだと思います。何らかの方法で、誤解を解く努力をいたしたいと思っております。
  123. 湯山勇

    湯山分科員 もう時間もあまりなくなりましたが、総務長官、お聞きいただいてたいへん恐縮ですけれども政府部内で言っていけば、やはり配慮の足りないというような問題がずいぶん々ございます。それで、公務員の問題を一々あげていけば、これはとても、いまのような取り上げ方をしていけば半日ぐらいかかりそうなぐらいあります。まだまだ民間に、いま申し上げましたように相当数あるということだけじゃなくて、日本の同和行政を進めていくその政府の足元にさえも、しかもこれは、個人の不心得とかなんとかじゃなくて、当然でやっておって、しかもそうなっていくというような問題がまだそんなにあるということを考えますと、まだまだ完全解放という道は遠いというように思いますし、そういうときですから、総理府は一そう責任の重大さを考えていただいて、そして、対策協議会には、各省庁の事務次官がみんな入っておるわけですね。そうですね。ちょっと……。
  124. 亘理彰

    ○亘理政府委員 同和対策協議会には、関係省庁の事務次官が委員として参加しております。
  125. 湯山勇

    湯山分科員 そこで、長官にお願いしたいのですけれども、こういうふうに言っていけば、ただ遠いところにあるのじゃなくて、足元にずいぶんある。そこで厳重に、ほんとうに代理人じゃなくて、事務次官を——これは正規のメンバーですから、これを全部ほんとうに出席さして、そしていまいろいろ申し上げたこと等も御参考にしていただいて、本気でやらなければだめじゃないかということを、長官からひとつ十分話していただいて、各省庁ともに、もうひとつ本気でこの問題に取り組んでいただかなければ、まず政府部内にもいろいろそういう問題があるという状態では、とても指導はできないというように思いますので、ぜひそういうことを早急に運んでいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  126. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 湯山委員の非常に具体的な、事実をもっての御質問は、私も十分拝聴いたしました。また、その限りにおきましても、いろいろとまだ問題がわれわれの政府部内にもたくさんあるということが、あらためて強く認識されたわけでございます。この点は、委員の御質問、御意見に深く感謝を申し上げます。  われわれといたしましては、この問題は実に重大な問題であるということを繰り返し申しておるし、同時にまた、政府部内におきましても、それぞれのところで十分注意していくように、研修会等も、予算をいただいて、開いて努力をいたしておりますが、なおかつそれでも十分でないという事態もございます。  ただいま御指摘の同和対策協議会等も、国会の情勢が少し進みましたら、できるだけ早く開いて、ただいまの御質問の諸点等をよく伝えて、内部の同和問題に対する認識をさらに大きなものに育てるという努力をいたしたいと考えております。
  127. 湯山勇

    湯山分科員 大蔵省、お見えになっておりますか。——お聞きいただいて恐縮でしたか、これも、もっとたくさん政府部内の各課ぐらいに配らなければいかぬということがおわかりいただけたと思うのです。それから法務局のほうの人権擁護、これもいまの人であれだけ処理する、一万件ずつふえておるのですから、これではとてもやれないということもおわかりいただけたと思いますし、それから総理府のほうで、政府部内をいろいろ教育し、そういうことについてやっていくのにも、この問題に対してまだまだ予算が足りないということもよくおわかりいただけたと思います。  今後の長官の招集の会には、相澤次官に必ず出てもらって、あなたも一緒に出ていただいて、やはり大蔵省も財政面では本気でやらなければいかぬということをひとつぜひ伝えていただくし、そういう努力をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  128. 岩崎隆

    ○岩崎説明員 私ども、同和問題の重要性につきましては、かねて十分認識をいたしておるつもりでございます。いろいろ先生のお話を承りまして、なお一そう認識を深くしたわけでございますけれども、いろいろ御指摘予算の面につきましては、関係省とも十分よく相談をいたしまして、必要なものは予算計上いたすように鋭意努力をしてまいりたいというように考えております。また、上司にもその考え方をよく伝えるようにいたしたい、かように考えております。
  129. 湯山勇

    湯山分科員 じゃ、終わります。
  130. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 午後二時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後雰時五十九分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  131. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 休憩前に引き会議を開きます。  質疑を続けます。鬼木勝利君。
  132. 鬼木勝利

    ○鬼木分科員 私は総理府の問題でいろいろお尋ねしたいのですが、時間がわずか三十分しかございませんので、たくさんお聞きしたいこともございますけれども、青少年の問題について少々お尋ねをいたしたいと思うのでございます。  四十四年の十月二十四日に、当時の佐藤榮作総理大臣が、青少年問題審議会の会長茅誠司氏に諮問をいたしております。それに対して答申が出ておるわけでございますが、その答申に対して、総理府青少年対策本部がどういうふうにこれを受けて立たれたか、そういう点について順次お尋ねをいたしたいと思っておるわけでございます。大体、総理府青少年対策本部というのが設けてあるわけですが、本部長が総理大臣で副本部長が総務長官、こういうことになっておる。非常に大々的に、総理が本部長でしかも総務長官が副本部長というような、そういう組織はほかではあまり見られないようですが、一体どういうわけで、こういう対策本部というようなものをおつくりになったのか、まずこれを設置された理由から、幸いに長官、お見えになっておりますので、お尋ねをいたしたいと思うのでございます。それによって順次論旨を進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  133. 吉里邦夫

    ○吉里政府委員 恐縮ですが、私から事務的な御答弁を差し上げておきたいと思います。  私のほうの青少年対策本部がただいまの姿になりましたのは四十三年でございますが、その前に三つほどの変遷をたどっております。一番初めのころ、戦後間もなく、二十四、五年ごろ、青少年の不良化という問題がたいへんな問題に相なりまして、政府自体で取り組むために、青少年問題対策協議会というのがまずそのころできました。その後、二十八年ごろになりますと、中央にあります協議会の事務執行を円滑また効率あらしめるために、事務局が設置されまして、それがその後青少年局と相なりまして、先ほど申し上げたように、四十三年の六月に本部になったわけでございまして、この本部ができましたときの機構、組織といたしましては、青少年問題というのは各省の行政の調整でありますから、総理がまず本部長になりまして、直接は副本部長に長官がおなりになるということで、たばねをやるというような気持ちでできたやに聞いております。
  134. 鬼木勝利

    ○鬼木分科員 大体それはわかりますが、ほかにこういう対策本部というようなものが、これに似通ったものが別にあるわけでもないが、特にこれだけに、しかも対策本部の主たる任務として、第三節「機関」の規定によると思うのですが、「青少年対策本部」として、第十六条に「総理府の機関として、青少年対策本部を置く。」、そしてその所掌事務として「青少年の指導、育成、保護及び矯正に関する基本的かつ総合的な施策の樹立に関すること。」と、はっきり明記してある。しかもこれに対して総理が諮問をしましたのは、「青少年に関する行政施策の基本的な考え方について」、こういうことを諮問しておるのですよ。その諮問に対しては、四十七年の六月九日に答申がされておる。こういうことを考えてまいりますと、時間がないので詳しいことを申し上げられませんが、どうしてもこれは私は了解に苦しむのですね。はっきり「青少年の指導、育成、保護及び矯正」と書いてある。何がゆえに対策本部、そういうことをされるのか。じゃ、今日の学校教育も、これは学校教育じゃなくして、対策学校、こうつけなければいけない。全国の青少年を悪と見られておるのか。私はそうじゃないと思う。全国の青少年は、これは善良なる青年でございますよ。およそ学校教育も指導、保護、育成ですよ。その中にあるいは好ましからざる児童生徒がおるやもしれない。全国の青少年の中に好ましからざる非行青年がおることは事実だ。だから全国の青少年に対して対策とは、一体どういう意味でこういうものをつくられたのか。これは全国の青少年を侮辱するものであると私は思う。だから、ここにも「青少年の指導、育成、保護及び矯正」、こうやりてある。矯正というのはほんの一部ですよ。それに対策本部とぎょうぎょうしく、総理や総務長官が本部長や副本部長になっている。しかも答申が出たのに対して、その諮問は青少年に関する行政施策の基本的な考え方、施策の基本的なもの、非行青年に対する行政施策とは諮問していないのです、総理は。対策ということばは一体どこから出てきたのか。その点、総務長官の御見解を承りたい。
  135. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 対策というと、何か悪いことに対する対策というふうに考えられがちかもしれませんが、御承知のように、家庭には親もいるし、子供もおるわけです。また社会も、それの構成が、家庭を中心にして見るならば、おとなもいるし、子供もいる、青年もおるというふうに私は思う。おそらくこの対策ということばは、そのような意味ではもちろんないし、現在非行の青少年を取り締まるとか矯正するとか、そういうことよりもはるかに大ぜいの、鬼木委員の御指摘のとおり、善良な青年や、まじめに働く人たちがたくさんおるのです。むしろそれらの人々に対して、われわれは行政の中でもっと日を当てて、そしてもっとこれらの人々が、将来に日本の国民として、また市民として、りっぱな人になるようなお手助けをするということが、私は対策の基本であると考えております。  また同時に、こうした一つの家庭でも、親御さんがいると思うと、子供さんがおる。それを一律にやるわけにはいかないから、やはり各省では、それぞれいろいろな政策を持って対応しておりますけれども、場合によっては、そういう政策も大きく総合調整したほうがよりいいという場合もたくさんあるのではないか。おそらくこの青少年問題について、佐藤総理が諮問をされた時点においては、やはり日本が非常に経済的な成長を遂げているその前段階の時点でありまして、そこに同時に非行もあったでありましょうが、同時にまじめな青年もたくさんおった、こういう方々を、もっと国としては大切にしようというお気持ちであったと私は思います。  私は、いま副本部長といたしまして、鬼木委員の御指摘のとおり、りっぱなまじめないい青年を対象に、施策はもっと大胆に展開されてしかるべきという考えで当たりたいと考えております。
  136. 鬼木勝利

    ○鬼木分科員 まさに私の考えと、長官のお考えは一致しておると思いますが、そういう意味からいたしましても、この青少年対策本部だなんというのは、私はこれは最もよろしくないと思うのです。何か警視庁あたりに強盗殺人の捜査対策本部なんというのがよくあるようですが、あるいは災害で非常に困った場合に、災害対策本部というような、これでは青少年というものを最初から悪と見て、これに対する対策はどうすればいいかというような、そういう感じしか受けないのです、これは。名称が非常に不愉快なんです。だから、長官も私と気持ちが一緒ですけれども、そういうことになりますと、これは単に青少年のみならず、むしろ社会人のほうが悪いのが多いですよ。だったら、これは壮年対策本部というものをつくらなければいけない。ほんとうにみんな正直者のような、いいようなふうをしているけれども、ろくなことをやっていない。ですから、そういうものの対策本部もつくらなければいけない。だから、こういう対策本部だなんて、そんな妥当性を欠くようなことばを簡単に使うべきじゃない。青少年の教育指導推進本部というような、かりにたとえばそういうふうなことならば、私どももこれはいただけるけれども、こういうことは私は反対です。先ほども申しましたように、総理府の問題はいろいろありますので、また機会がございますから、その場合にもう一度これは申し上げたいと思うのですがね、これは最もよろしくないと私は思う。これは、いまので私は打ち切ったわけではありません。なおまた問題を残していきます。  答申に対して、対策本部がどういうことをやったか。青少年白書というのがおたくから出ておる。これを一べつしてみますと、これは作文としてはまことにけっこうですよ。文章としてはよくできております。だけれども何ら具体性がない。すこぶる抽象的に、当たりさわりなく、しかも同じような、言い古された陳腐なことがずっと並べてある。だからといって、私は新しがり屋じゃありませんけれども、これは作文としてはまことにりっぱです。よく書いてある。私も長年教育に携わりておりまして、しかも私の専攻は、私は文科出身です。旧制の中等学校において、昔の中学校小学校において、作文は私の担当でした。国語、漢文は私がやっておった。だから文章なら自信も持っておる。これを読んでみると、なるほどうまいことが書いてある。しかし何ら具体性がない。内容すこぶる空疎である。これで何が対策だ。対策本部だといいながら、対策は何もない。対策本部というならば、そういう策はこうすべきだ、これはこういうふうにやるべきだ、施設はこういう施設をつくるべきだ、そういう具体的な基本的なものがちゃんと書いてあるなら——そこに参事官が二人お見えになっておるが、何の参事官か、そんな文章の参事官なんかなら、あなた方よりもっとよく書く者を私は連れてきてあげる。総務長官は副本部長とかおっしゃっておるが、これで御満足なさっていると——これはむろんあなたのときに出たんじゃないので、これは四十八年版か、出ておる。総務長官もこれはごらんになりましたですか。これで御満足をなさっているということになるならば、これはちょっと問題ですよ。何も具体的なことが載っていない。時間が刻々迫ってくるけれどもあと予算面から私は申し上げてもいい。全然なっていない。予算面なんか見たってそうですよ。去年とことしのこれを比較した場合に、何も目新しい、この答申に向かっていやこのようにした、答申にはこのようにありますから、このようにやりました、なんというようなことは何もありはしない。わずかに青少年の性に関する意識調査費が去年はなかった。それがわずかに四百万ばかりついておる。それから、東南アジア青年の船の運航経費がある。これもわずかなもんだ。その次に青年国際交流世話機構調査研究費。これも調査研究費だ。何も具体性はありはしない。わずかにこの三つだけ。私、この間これを見せていただいて、ちょっとしるしをした。あと予算は、全部昨年の予算——ようございますか、二を三に変え、あるいは四を五に変え、六を七に変え、あるいは七を五に変える。ただ数字をいいかげんにちょこちょこと、点々と入れかえただけだ。数字の入れかえだ。こんなずさんな予算書なんか私は生まれて初めてです。昨年のをそのままここに写しておる。そのまま写したのじゃあんまりおかしいというので、二を三にしたり、三を四にしてちょこちょこと入れかえておる。これは総務長官も少ししっかりしてもらわぬと。だから、予算を多くとったから仕事ができる。、だからいいと私は申し上げているのじゃない。誤解せぬでくださいよ。いやしくも青少年教育——私は対策じゃない。教育です。次代の国家を背負って立つ、国家興隆のもとは青年にある。それに去年と同じような予算をただ並べただけで、そうして、答申によって一体何をやったのだ、こう申し上げたいのですよ。長官、どのようにお考えですか。
  137. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 委員の御発言のお気持ちもよくわかりますが、私はやっぱり一番根本的には、こういう社会的に広がりのある問題をやるときには、やはりそれ相応の行政機構が整備されていなくちゃいかぬ。しかし、これは日本の現在の行政関係の基本的な欠陥ではないかとも私は思いますが、またそれを直す努力をしなければいけないけれども、各省ばらばらで、それぞれの教育問題なり体育問題なり、あるいはまた厚生関係あるいは非行に対する取り締まり等、各省それぞれが、青少年という一つのワク組みはあるかないかは別としまして、それぞれ担当しておって、結局それぞれの中でいろいろな事業が行なわれておるわけであります。私はこの青少年対策ということのそうした本部をつくる意味は、そうしたばらばら行政をなるべく一元的に調整統合していくという大きな仕事があるし、また、その意味でも、審議会において、昨年来引き続いて本年度もまた——昨日茅審議会長にお目にかかったわけでありますが、ばらばら行政をどのようにして統合するのかという問題を最も重点的にやっていかないと、青少年問題そのものを浮き彫りにして政策として展開をしていくことには不十分である、というお考えであります。私もまた同じ考えを持っておるのでありまして、そのような認識のもとに、四十九年度の予算編成は鬼木委員の御指摘のような、ちょこちょこと多少手を入れたというような見方もあるかとも思いますが、しかし、これも次の青少年対策への本格的な取り組みへの一つのステップとして、十分にこの御審議をいただいておる予算を活用しながら、根本的には行政の一元的な運営というものをさらに政府の内部に浸透させていくということを考えて、行動してまいりたいと思っております。
  138. 吉里邦夫

    ○吉里政府委員 恐縮でございますが、補足をちょっとさせていただきます。  私どもの本部の予算は、先生御指摘のように調整官庁でございますので、御指摘のようなことでございますけれども、青少年育成の問題は、御存じのように、各省の予算をわれわれのほうが事前に調整をし、あるいはウエートを置きという形で、総合いたしておりますが、その観点から見ますと、数字だけ言いますと、約三〇%の各省の伸びを見ておりますので、合わせまして、今後われわれとしましても、各省庁のたばねあるいは調整の上におきまして、全体がより効果をあげるような努力をいたしたいと存じております。
  139. 鬼木勝利

    ○鬼木分科員 私も次長さんの御説明を聞きたいとも思っておりましたが、自発的に御説明がありましたので、一応承っておきますが、まだまだこれに対しては大いに私は論及いたしたいと思っております。  そこで、残り時間が少ないので、ほんとうになんでございますが、予算の問題あるいは答申に対する対策本部の、実際にどのようなことをおやりになるようになさっておるのか、そういうような点について、具体的に、これはきょうここで時間がございませんので、参事官の方もお二人うしろにお見えになっておるから、後日あらためて、この点について御説明を願いたい。  なおまた、基本的施策の樹立ということがあるけれども、第十六条に、基本的な施策の樹立と、ちゃんと載っているのです。ところがまだ樹立できていないのだから、おおよそ、これはこういう方向でいつごろこういうふうな計画を樹立します。こういう点はこういうふうにいたしますというようなことを、将来のビジョンでもいいから承りたいと思います。  なお、総理府の問題で、私は内閣委員会に所属いたしておりますので、内閣委員会のほうで、総理府の問題の場合に、あわせて御質問申し上げたいと思います。  それから一番大事なことは、青少年指導育成の中心になるのは自由時間の活用、つまり余暇の活用、自由時間を創造的に活用する、あるいは十分にこれを自主的に活用していく、そういうような施策がないのじゃないか。それも私ここにはっきりデータやら持ってきております。それが、非常にずれておる。いわゆるあなた方が使っていらっしゃる言葉である指向という、青少年がこういうことを望んでおる、指向しておる——実際はそうじゃない。非常にズレがある。ことにスポーツあるいはテレビ、ラジオ、こういう点において大きなズレがある。若い青年諸君がスポーツをやりたいと思っても、指向しても、事実上はそうやっていない。あるいは余暇にこういうことをやりたいと指向しておっても、それはできない。これは私は設備の不足、不備、こういうことに原因していると思う。だから非行少年の対策はほんの一部でありますけれども、先ほど長官もおっしゃったように、大部分は善良な青少年でありましょう。だが一部そういう非行少年に対する対策も考えなければならない。対策本部だなんというものは私は否定する。そんなことは絶対不賛成だ。だけれども、ほんの一部の非行少年の対策も考えなければならぬ。だから「及び矯正」とこれにも載っておる。だが、近ごろ薬用遊びをやるとか、つまりシンナー遊びやるとかいろんなこともあるが、それは結局対策本部だなんていって、何が対策だと言うんですよ。それに対する施設や設備の完備が不足している。だからそういうことになる。小人閑居して不善をなすと昔からちゃんとある。きまっている。古いことばだから——そうじゃない。温古知新だ。古きをたずねて新しきを知る。ですから不善をなさないように、それが対策です。ただ文書出すのが対策じゃないんだ。うしろのほうの参事官、よく聞いてください。よろしゅうございますか。あなた方のような専門家が一生懸命やって、そして何にも対策がない。施策もない。だから、そういうものが全部、志向していることと実際やっていることとが非常なズレがある。これは私は最もよろしくないと思う。そういうことこそ寸時もゆるがせにできないことなんですよね。
  140. 中村弘海

    中村(弘)主査 鬼木君に申し上げます。お約束の時間が過ぎております。
  141. 鬼木勝利

    ○鬼木分科員 わかりました。  そういうことですよね。ですから、この自由時間の活用ということに対してあなた方はどのように具体的にお示しになっておるか、やっていらっしゃるのか、予算面にはどういうように出ているか。遺憾ながら出ていない。これが私は一番中心だと思う、大事だと思う。保護育成ということも、これは大きな意味がここにあると思う。どうですか、長官でも次長でも参事官の方でもいいが一言、私にばかり一生懸命言わせてあなたたちはお客さんのようにしてうららかなながめだなというようなことで、それでは困るんですよ。何とか……。
  142. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいまの御指摘は一面きわめて核心を突いていると私は思います。私は総務長官に就任してまだ日が浅いわけでありますが、一人の民間人として今日まで青少年問題にはいろいろとタッチをしてきた体験から申しますと、やはりいま御指摘のように、余暇の時間を大切にすることが何よりも青少年に対するあたたかい思いやりであるということはよく理解できます。同時にまた、その余暇をどのように利用するかということ、たくさんのものの中から選択できるように用意していくのが、政治としても行政としても青少年に対する配慮ではないかと私はかねがね思っておったものでございまして、そのような考え方が今年度の予算の中には十分盛り込まれておらないという点は残念でございますが、来年度におきまして、また再来年度におきまして、特に予算面においてもそうしたいろいろのものの中から選択できるという条件を整備するということに重点を置いて今後施策を進めてまいりたいと考えております。
  143. 吉里邦夫

    ○吉里政府委員 長官が申し上げたとおりでございますが、事務当局の責任者としてうしろにおります参事官を含めましてお答えをいたしておきます。  私どもいろいろなことできめのこまかい行政をやろうと思って配慮をいたしておりますが、御指摘のような点がまだまだあるだろうと思いますので、御叱正の点よく心に銘じまして動きたいと存じます。  なお二つの点についてお答えを申し上げておきます。  一つは、いわゆる長期計画の問題でございますが、年度ごとの各省をわたりました総合的な一応の予算を裏づけにしました計画は、私のほうで事前にポイントをしながらまとめておりますが、問題は、長期的なビジョンに立ったロングプランをつくるべきであるということが御指摘でございますが、この点につきましても、先ほど長官が申し上げましたように、行政の仕組みとかあるいは施設の総合的な問題とかすでに取りかかっております。  それからいま一つ、自由時間の活用につきましては、これはわが本部の予算にはまさに小さなものしか出ておりませんけれども、たとえば文部省の体育の施設の長期計画あるいは厚生省の計画あるいは運輸、労働の計画等々が相補い合いまして効果があがるようにわれわれがやるのが役目だろうと思っておりますので、御了解を得たいと思っております。
  144. 鬼木勝利

    ○鬼木分科員 御答弁の内容、御説明は一応わかりました。先ほど委員長に申し上げましたとおり、これで私の質問は終わったわけではございません。資料も実はこんなに持ってきておるわけであります。お尋ねしたいのだが、遺憾ながら時間がございませんので、これはまた他日内閣委員会で総理府の問題があった場合にお尋ねをするということを申し上げておいて、きょうはこれで終わりたいと思います。  たいへんどうもありがとうございます。じゃこれで終わります。
  145. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 次に、多賀谷真稔君。
  146. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 今度の国会はまさに物価国会といわれるぐらい物価について集中審議がなされましたが、その中で、ことにやみカルテルを中心とする公正取引委員会の活動についていろいろ論議がかわされたわけですが、私は従来公正取引委員会がとってまいりました解釈の中で、共同行為、すなわち独禁法違反の共同行為をして価格を引き上げた場合において、独禁法違反として勧告をする、その勧告については、その協定を破棄せよというだけであって、価格の引き下げ命令は出し得ないのだ、こういうように解釈をされておるわけですが、これはきわめて消極的な解釈であって、私は現行法でも十分価格引き下げ命令ができる。率直に言いますと、従来の公取は、昭和二十八年独禁法が後退をいたしましてから、今日の段階に至る間、きわめて消極的な態度をとられた。だから引き下げ命令はできないのだ、こういうような解釈をとられておりますが、私はそうでない、現行法において明らかにできるではないか、こういうように考えておるわけです。すなわち私的独占禁止法の第七条の「事業者に対し、届出を命じ、又は当該行為の差止、営業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」「排除するために必要な措置を命ずること」の中で引き下げ命令はできるではないか。すなわち、協定前の価格に返せという命令がどうしてできないのか、こういうように疑問を持つものですが、これに対する公取の見解を明らかにしていただきたいと思います。
  147. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  確かに先生がおっしゃるとおり、独禁法第七条には「当該行為の差止、営業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」というふうに書いてございます。で、問題になりますのは、「これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置」というものの範囲でございますが、結論から先に申し上げますと、私どもの公取委員会としては、価格協定に対する排除措置として価格引き下げ命令はできないという、これが委員会の見解でございまして、現在も変わっておりません。法第七条にいう「違反する行為を排除するために必要な措置」と申しますのは、価格協定を排除して競争秩序を回復するために必要な措置というふうに解釈をいたしております。価格協定というのは、これを破棄させれば、原則として競争秩序が回復するということが予想されますので、価格引き下げ命令は「必要な措置」とは解されないのではないかということでございます。     〔中村(弘)主査代理退席、主査着席〕 つまり独禁法の三条を例にとりますと、三条の規定に違反する行為というのは、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、もしくは引き上げる等、相互にその事業活動を拘束して、一定の取引分野における競争を実質的に制限するということで、行為としましては、いわゆる共同行為、共同して対価を決定、維持、引き上げるという行為でございます。そういう協定行為、これを破棄させれば、原則として競争秩序というものが回復されるのでございまして、価格引き下げ命令というのはここにいう「必要な措置」の中には入らないのではないかというのが、公取の現在までの解釈でございます。  なお、引き下げ命令というのは、場合によりましては制裁的な性格を持つこともあり得るわけでございまして、そういう場合であればあるほど、なおさら必要な措置と解するのは困難ではなかろうか。これは技術的にも非常にむずかしい問題がございまして、たとえば勧告を出しまして審判で争ったような場合、二年、三年と審判がかかりまして、審決を出すという場合に、一体もとの価格に復帰しろということが、そのときの経済情勢から見て適当であるのかどうか。あるいはそれが無理であるとすれば、それじゃどの程度の価格引き下げを命じたらいいのか。それではかりに原状に回復させるとしても、その価格引き下げはどのくらいの期間それを守らせればいいのか。一日だけ引き下げさせて翌日からまたよろしいというのでは、何ら効果がないということにもなりますし、そのほかいろいろむずかしい技術的な問題もございます。これは現在、独占禁止法研究会で、法改正の問題を含めまして、価格引き下げ命令についての意見を検討中でございます。
  148. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 局長から、二点にわたって、現在公取がとっておる態度の説明がありました。いわば一つは、理論的な問題としてお述べになりました。第二は、効果の問題としてお述べになったのであります。  そこで、私は、独禁法というのは物価政策でないことも知っております。しかし、理論的にできるのではないか。すでに有力な学説の一、二ができることをいっているわけですから。これは慶応大学の正田さんの「独占禁止法」、一九七二年発行の書物です。これには「販売価格協定についてみれば、価格協定なかりせば生じなかったであろう販売価格の引き上げを排除することが違法行為の排除であり、競争秩序の回復であるといわなければならない。それゆえ価格協定が行なわれる以前の価格に戻すべきことが、排除措置命令の内容とされるべきことになる。」こういうようにいわれておる。ですから、私は、ここで一万円上げた、これは上げ過ぎておるから五千円にしろという権限は、公取にはないだろうと思います。しかし、一万円上げたからもとの協定以前の価格に返せという命令権はあるんじゃないか。命令は出し得るんじゃないか。ですから、その一万円上げたのをもとに返せということによって、効果のある場合もある。私はゼロとは言わないのです。理論的な解釈論とすぐ効果論が出るわけです。効果論をいうならば、この法律を改正したってできっこない。もう少し言うならば、要するに公取の仕事というのは、いわば独禁法の範囲というのは、競争秩序を回復するだけであって、価格引き下げなんということをいうんじゃないんだという議論を形式的に立てるならば、幾ら法律改正をして、あなた方が立法上の研究課題としておやりになっても、公取あるいは独禁法の本質論で否定をされるならば、それは立法技術としては不可能であろう。ですから、あなたのほうで今後独禁法の改正の要点として、価格引き下げ命令ができるのではないかとおっしゃるならば、私は現在でもできると思う。いまからの研究課題として、価格引き下げ命令を検討するとするならば、現行法でもできるじゃないか。ですから私は、今日の事態で、いままで伝統的にとってきた公取の態度を、やはりもう一回見直してみる必要があると思う。ことに公取という、独立機関とはいえ非常に微妙な関係、地位にあります機関は、とかくそのときの政治情勢に左右されやすい。また、経済情勢というのはそういうものなんですね。左右されてもいいわけなんですね、ある程度。ですから、これは今日の段階では、やはり現行法で引き下げ命令ができるではないか、私はこういうように主張したいのですけれども、もう一度御答弁を願いたい。
  149. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  現行法で引き下げ命令ができるという学説も、確かにございます。いま先生おっしゃったような正田先生の説、しかしそのほかの学者で、これはできないという説をとっている方も多いようでございます。公正取引委員会としましては、確かに先生おっしゃいましたとおり、昭和二十七、八年ごろから、地盤沈下と申しますか、意気ふるわざる一時期がございましたが、そのときからということでもなしに、これはやはり二十二年発足当時から、そういう解釈をとってきているわけでございまして、最近におきましては、物価がどんどん上がっていく、協定を破棄してもちっとも下がらないじゃないか、逆にむしろ上がっているものもある。これじゃ協定破棄の実効性、一体何のためにやっているかわからないというような世論なりの力がございまして、これは現行法でできなければ、独禁法を改正してでもやるべきじゃないかということで、現在研究会で検討しているわけでございます。いまの現行法でも確かにできるという説はございますけれども、いままでのところ、公正取引委員会としては、それは無理である、できないという解釈をとってきているわけでございまして、ただ、独占禁止法研究会では、現行法でできるかできないかという点も含めまして、改正につなげて検討しているわけでございます。しかし結論的に申しますと、どうも現行法では無理であるというのが私どもの解釈でございます。
  150. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 私も現行法でできないといわれる今村教授の説を読んでみました。しかし、今村さんの説でいけば、幾ら法律をいじってみてもできないようです。しかしまた考え方によっては、彼は立法上の問題としてはできないとは書いてないわけですから、立法的技術を要すればいいのじゃないか。そうするならばやっぱりできるということに、結論的にいうとなる。ですから、私は、いまからの改正問題と現行法の問題——改正でてきるくらいなら、現行法で理念的にできると思うのですよ。その効果の問題はちょっと別なんです。しかし現実にいまの状態で効果がある場合が非常に多いと思うのですよ。たとえばここでもとの価格に返せと、こう言うでしょう。すると、返さない。そうすると、なぜ返さないかということですね。審決になぜ違反するかという立証責任は当該会社にあるんじゃないですか。ですから、そこにおいて私は効果があると思うのですよ。会社が、いやそれは一回返しましたけれども、すぐ上がるのです。そうすると、なぜ上がったかということが外部から見たらわからぬわけですから、下げてないじゃないか、こう言えば、いや下げたのですがすぐ上げたのですと。そうすると、上げたということの立証をする責任が——当該企業に対して、公取は聞くことができると思うのです。そうすると、立証責任は会社が持たなければならぬ。そこでやはりそこに効果があらわれてくるのではないか、こういうように考えるわけですけれどもね。ですから、いままで伝統的にとっておったというけれども、ちょっと私はあまりに消極的過ぎたのじゃないか。こういうような情勢において公取としては今後はこういう解釈でいきますということが言えるじゃないか、しかも有力な学説は——正田さんだけではないです。明治大学の助教授の方、ちょっと名前を失念いたしましたけれども、その方も、結論的にはやはりできるのだ、こう言う。ですから、現行法でなぜできないかですね。ですから、公取としては今日の時点において、もう一度考え直す必要はないか、これをお尋ねいたしたい。
  151. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 まあ私ひとりの考え考え直すとかいうことは申し上げられませんけれども、先生のおっしゃることは、委員会には私ども十分伝えたいというふうに思います。  ただ、現行法でもそれは——私個人の考えを申し上げるのはどうかと思いますけれども、確かに有力な学者で一人ならずお二人までもそういうことをおっしゃっておりますので、必ずしもそれは絶対不可能であるということは、私個人としては考えないのでございますけれども、委員会としては、やはりこれはできないという考えを貫いておりますので、ただできないできないといっても、これは法律改正までどれくらいかかるかわかりませんし、改正しましても、先生おっしゃったような問題点があるわけでございますので、その点は、先生のお考えも十分私はわかりますので、私どもの委員会にもお伝えをしたいというふうに思います。
  152. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 そこで、例の裁判所に対する停止処分の申し立て命令の問題ですね。これが実は六十七条が半減をするわけですね。価格引き下げ命令がないという——価格引き下げ命令というとことばは悪いかもしれませんが、やみカルテル行為以前の価格に直せということができないとするならば、この六十七条の裁判所の停止命令という処分がいわば効果が半減する。ですから、せっかくこういうような緊急停止命令ができるようなシステムになっておるのだから、やはりこれを活用する意味においても行なうべきではないか、こういうように考えるわけですが、どうでしょうか。
  153. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 確かに六十七条には、裁判所に対する緊急停止命令の申し立ての中に、第三条の規定に違反する疑いのある行為をしているものに対し、というのがございます。しかし従来から公取は、第三条の、いわゆる特にカルテルにつきましては、これは無理ではないかということで、第十九条、不公正取引方法に関しましては緊急停止命令の申し立てをしたことはございますけれども、三条についてはいままでしたことはございませんし、いわゆる三条行為に対して緊急停止命令というのは、非常に無理ではないかという解釈でございまして、三条によってこれができれば、現行法でもやり得るということになるわけでございますが、その点は、いままでの公取の解釈としては、これは無理であるという解釈でございます。
  154. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 これはさらに論議を進めていきたい。ですから、正田さんは、やはり緊急停止命令の効果として、価格をもとに返せ、そういう勧告が出された、審決に従わないというような場合に、その間、緊急停止命令の申し立てをするということが公取によって行なわれることが必要である、こういうようにおっしゃっているわけですね。やはりこれは要するに七条の——もとの価格に引き下げることができるかどうかという、これが、決定が前提ですけれども、私はむしろ緊急停止命令というものの効果が半減する、こういうように考えるわけです。  そこで、時間があまりないので、いまから質問をするのはちょっと大きすぎるわけですけれども、行政指導と独禁法の関係について質問をいたしたいと思うのです。  まず、公取は行政指導に対してはどういう考え方を持っておるか、これをお聞かせ願いたい。
  155. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 行政指導といわゆるカルテル、特に価格カルテルとの関係について申し上げますが、一般論として申し上げますと、行政庁が、具体的な法律の根拠なしに、行政指導によって価格等を誘導するということは、事業者間にカルテル行為が伴いやすいということで、適当ではないというふうに考えております。すなわち、行政庁が行政指導によりまして価格の引き上げを認めたというような場合に、これは事業者間に話し合い、談合等の事実が全くないということであれば、それはいわゆる独禁法でいう共同行為ということにはならないわけでございますが、しかしそういうことは通常の場合あり得ない、実際問題としてはほとんどあり得ないので、カルテルの存在を認めざるを得ないであろうというふうに考えております。かりにもし、行政指導による価格設定という考え方を是認いたしますと、結局指導によるカルテルを容認するということになりまして、それではカルテルに対する独占禁止法の適用除外を規定している法律は要らないのじゃないか、不必要になるのじゃないかというふうに考えられます。ただ、行政庁が価格の引き下げを指導するというような場合は、これは応急措置として、行き過ぎた値上げを抑制する目的で行なわれるものであれば、あえてしゃくし定木の法律論をたてに反対する必要はないのじゃないかということでございます。これは筋からいうとおかしゅうございますけれども、便乗値上げを幾らかでも引き下げるという効果を有しており、一般消費者の利益にもつながるということであれば、筋論は筋論として、しいて反対はしない。これはうちの委員長が物特でも御答弁を申し上げているところでございます。
  156. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 実は、あるいは質問があったかと思いますけれども、例の密田石油連盟会長が本予算委員会で参考人として見えたときに、四十六年の石油の値上げのときのカルテルについて行政指導があったということをお述べになって、後に通産省に訂正をされましたね。これは今後の問題に残ると思いますが、法律論的に申し上げますと、やはり四月一日から、すなわち四十六年四月一日から実施をした石油の値上げについては、これは行政指導をしておるわけでしょう。これはちょっと局長が局が違ったから問題だと思いますが、法律論的にいうと、われわれの調査したところによると、二月二十二日共同行為、われわれからいうとやみカルテルをやったという話をした。そうしていよいよ実施のまぎわになって、三月一日から実施をした部分もありますが、四月一日から他の石油について実施をする前になって、公取が三月の十五日から——十五日、十六日ですか、あるいは十七日ですか、二日間にわたって手入れをしたというので、通産省が出てきて、そうして通産省が石油連盟の会長に四月一日からの値上げについて指示をしているんですね。それを石油連盟の会長は、各会員に連絡をして、そういうように実施をされた。これはやはり一つの行政指導が入ってきているカルテル、共同行為になる。これについて一体役所はどういうように考えておるのかですね。要するに、ある共同行為をしようとした、話し合いをした、しかし役所が入ってきて、こうしなさいといって最終的には役所の指示のような行為を共同で行なった。これは私はあのしょうゆの場合の公取が審決を下した場合、これとほとんど変わらないと思うのですね、事件としては。これは通産省、どういうように考えられておるのですか。
  157. 小松勇五郎

    ○小松政府委員 ただいま先生御指摘昭和四十六年の石油業界のいわゆるやみカルテル事件につきましては、私、残念ながら所管でございませんので詳しいことは存じ上げませんが、一般論として申しますれば、私どもいわゆる行政指導は通商産業省設置法第三条の二号に基づきます通商産業省の行政権に基づいて指導あるいは要請などを行ない、企業が個々の立場からそれに応ずるか応じないかをきめる。そのきめる場合には、通産省の要請の内容、つまり私どもは現在の場合で申しますれば、物価の引き下げに協力するように、ついては具体的に値上げは抑制してこの程度に押えてはいかがかということを個々に申しまして、個々の企業がそれを言うことを聞くか聞かないかはきめるというたてまえをとっておりますので、先ほど公取の事務局長からカルテルを生じやすいというお話がございましたが、そういうことは実態判断としては私どもはないというふうに考えております。かりにそれに籍口いたしまして横のカルテルなどをつくるようなことがございましたら、これは私どもの本意と全く反するわけでございまして、その場合には、積極的にそういうやみカルテルは摘発すべきものと考えております。
  158. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 その形態として最初から役所が個別企業に対して指導する場合、通説としてこれは独禁法違反ではないといわれていますね。次に事業主が共同して価格引き上げをやった、これはいわばやみカルテル。そのいわば中間ですね。要するに共同行為をしようとした、そこへ役所が入ってきた。そうして最終的には役所の意見を含めて共同行為をした。事実上この第三の場合が非常に多いわけですよ。またはこういうように、いままで審決判例集なんかを見ても、この問題が結局は一番大きな問題になるわけです。ですから、私はこの問題、すなわち野田醤油その他の価格決定の場合もそうでしょう。役所が入ってきておるわけですよ。ですから、先般の石油の四十六年の場合は、これは行政指導でなかったと言うけれども、実施の段階の直前に役所が入ってきておる。そうして石油連盟の会長に、当時は出光さんですが、連絡をして、石油連盟の会長が各会員に通知をした、そして、それで実施をされたということですからね。ですから一番問題は、法律論として、個別の企業に直接指示をするのではなくて、共同行為の行なわれようとしておるところに役所が入ってくる場合が一番法律的に問題なんですよ。これに対して通産省としてはどういうようにお考えであるか。
  159. 小松勇五郎

    ○小松政府委員 共同行為を行なうということは明らかに独禁法違反でございますから、その行なわれようとしておるということ自体もけしからぬことだと思います。役所が行政指導をいたします場合には、値段の据え置きの指導あるいは引き下げの指導、あるいはいま問題になっておりますような原油価格の高騰に伴って石油価格が上がろうとします場合に、その上げ幅を押えるような指導、こういうふうに物価抑制のための指導というのが趣旨でございまして、それに籍口して業界が、従来ムードがあったにしろなかったにしろ、横の協定を結ぶということにつきましては、私ども反対でございます。
  160. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 私は個別のいまの問題は触れません。それは総括の最後に当然社会党のほうから触れると思いますので、私は答弁を求めませんけれども、問題はここが一番問題です。  そこで最後、時間がありませんが、公取は、法律に明記をされている権限に基づく独禁法の除外規定以外は、やはりそういう行為のあった場合は役所が行政指導の形でタッチしたとしても独禁法違反である、こういう解釈を持っておるわけですね。
  161. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 いわゆる法律の具体的な根拠に基づかない行政指導によって業者間に横のカルテルがあれば、それはあくまで独禁法上問題である、こういう考えを持っております。
  162. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 その法律に基づかない根拠によってというのがちょっと問題です。通産省が通産省設置法の第三条に基づく権限でやっておると言うのですから、そこがちょっと問題なんですよ。ですから、もう少し言いますと、独禁法の排除規定であるとかあるいは通産大臣が個別法によって権限のある場合以外は、これは行政指導をした、それによってカルテルが行なわれた場合には認めない、こういうように解釈していいですか。
  163. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 はっきり申し上げますと、行政庁が特別の法律によらずに、各省設置法に基づく抽象的な監督指導権限によって価格を設定するあるいは指導した場合に、それによって共同行為が行なわれれば問題である、こういうことでございます。
  164. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 通産省、よろしいですか、それで。
  165. 小松勇五郎

    ○小松政府委員 公正取引委員会の御見解と私どもの見解とは、カルテル問題に関しましてはほとんど意見の相違がないように私は思います。ただ、実態認識といたしまして、公正取引委員会がおっしゃっておりますのは、おそらく行政庁の指導によって価格などにつきまして業界が横のカルテルを結ぶことは認めかたい、こういう御趣旨だろうと思います。私どもはまさにその点においては意見は一致しておるのでありますけれども、通産省設置法に基づきます権限に基づきまして、業界に個々に価格を引き上げないように要請をする、あるいは引き上げざるを得ない場合にも、ここまででとめろという要請をするということは、カルテルとは何の関係もない、もし出てくれば直ちに取り締まるべきである、こういうふうに実態判断の違いがございます。つまり、公正取引委員会のほうでは、行政指導によって価格について行政庁が云々することはやみカルテルを生じやすいということでございますが、私どもは、生じさせない、もし生じたら取り締まるべきであるという実態判断の相違でございます。
  166. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 時間がありませんが、いま大体変わりがありませんとおっしゃいましたが、その後段おっしゃったことがきわめて重要なんですよ。現実問題として、通産省と公取との意見の違いというのはそこにある。そうして黙示の協定といいますか、それは文書なんかはやりませんよ。しかし、役所が、たとえばある協会を通じて、こういうふうにやりなさい——その前にもうすでに協定の雰囲気もできておるし、あるいは協定をしておった場合もある。いよいよ実施の段階になって通産省が言った。そこで、じゃ、いままでの価格はちょっと変えましょうというので、ばっと一斉に実施をされた、そういう場合が問題です。ですから、共同の行為が行なわれておる場合には、私は、文書等でなくて、それは黙示の協定になるわけですから、事実認識の相違と言いますけれども、行政指導が入ってくる段階で、それはもう違うのじゃないですか。
  167. 小松勇五郎

    ○小松政府委員 昭和四十六年の事件は、すでに検察庁のほうで調べが済んでおると思いますので、私申し上げますことは、現在及び将来の問題について申し上げるわけでございますが、あくまでも、先ほど御説明いたしましたように、私ども、横の業界同士の話し合いということは認めない、そういう意味におきまして、公取と意見は一致しておる。ただ、行政指導があれば横のカルテルができやすいから反対とおっしゃるか、そういうものを起こさせないつもりであるから、せざるを得ない場合にはいたしますと言うか、その辺の違いかと思います。
  168. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 時間がありませんが、私は、かなり違うと認識しているのですよ。非常に違うと認識しておる。個別企業の指導ならいいと言っているのですよ。  そこで、これはきわめて大きい問題ですから、別の機会に譲りたい、かように思います。問題点だけを提起しておきたいと思います。
  169. 上村千一郎

    ○上村主査 次に、中島武敏君。
  170. 中島武敏

    中島分科員 私は、きょうは大都市の震災対策についてお聞きしたいと思っております。  六十九年周期説によりますと、もう非常に危険期が近づいてきておるわけでありまして、あと幾年もないというようなところに迫ってきておるわけです。そこで、これは言うまでもないことですけれども、都市住民の生命と財産を守るという問題は非常に重大な問題だと思うのです。そこで、最初に大都市の震災対策、防災対策について大臣の所見を伺いたいと思うのです。
  171. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 中島委員にお答えを申し上げます。  私は、いま委員がお触れになりましたように、人間の生命の問題、これは最も大事なことであるし、これはかけがえのない問題でございますので、生命を守るということが何より大事であるということを深く認識しております。同時に、大都市の防災の問題は、やはり現在のように密集しておる東京、大阪のような大都市におきまして、やはり可能性は十分にあるわけでございますから、こうしたむずかしい状態の大都市に対しては、特段の配慮をしながら防災の前進をはかってまいりたいと考えております。
  172. 中島武敏

    中島分科員 大都市が非常に大きな震災にいま襲われるということになりますと、現状のもとでは非常に大きなはかり知れない被害が生じることは言うまでもないと思うのです。これは非常に明白なことだというように思っております。そこで、一たん大震災に見舞われてから、そのあとその救援だとかあるいは復旧作業だとかいうことに力を入れるというのでは、これは非常におそいのですね。やはりどうしても、私は、大震災に襲われたという場合にも被害を最小限に食いとめる、そして住民の命、安全、そして財産、これをしっかり守っていく、そのことのために事前に万全の対策をとるという、ここのところが、この大震災対策、震災対策においては非常に重要な問題だと思っているのです。  それで、振り返って考えてみますと、伊勢湾台風というようなことがありました。ときには五千名の死者が出まして、五千億円の被害があったというように発表されておるわけであります。二千四百億円かけて名古屋港の復旧工事をやるとか、これは三年間もかかった。実はこのときに、国庫補助は八五%ですか、つけられるというようなことがあったわけであります。私は考えてみるのですけれども、これだけのお金、こういうものを事後に使うのではなくて、復旧だ、救援だというようなことに使うのではなくて、事前に使う、これは非常に生きたお金の使い方ではないか、また、対策というのはそういうふうになければならないのじゃないか。そういう意味で、予防ということに、事前に対策を講じるということに非常に力を入れるべきではないかというふうに私は思うのです。この点、大臣、どうでしょう。
  173. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 私も御指摘のとおりだと思います。事件が起こって、震災が苛烈な状態になってあと、幾ら手を尽くしても取り返しのつかぬことは、もう十分われわれも理解できることでございます。それで、結局、予防ということについては、われわれは今年度並びに来年度にかけまして、やはり地震の予知ということを、まず大都市の災害対策の一つの大きな柱に考えておるわけでございます。
  174. 中島武敏

    中島分科員 私は、政府が、災害対策基本法とかあるいはいろいろな災害関係の法律がたくさんありますが、これらを見ますと、どうも、事後のほうにはたいへん力が入っているのです。ところが、事前に対策を講じていくということにはなかなか力が入っておりませんね。これはお認めになるのじゃないかと思うのですが、私は、こういう点も、やはりほんとうに万全の対策をとっていくということのためには非常に必要じゃないだろうかというように思っているのです。いま大臣が地震の予知というお話をされましたが、予知をするというだけではなくて、具体的な対策をとれるように、やはり法の改正と申しますか、見直しというようなことなんかも必要なんじゃないかというように私は思っているのです。いかがでしょうか。
  175. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 やはり災害問題はいつ起こるかわからないことでありますから、一つのいつ起こるかわからないということに予算をかけるということも、現在の予算制度の中では非常に困難があることは、いい、悪いは別として、御理解いただけると思いますが、そういう中にありましても、やはりいま御指摘のとおり、予防、予知、そして事前に問題を取り上げていくという姿勢はこれはわれわれは現在の体制の中でも決して忘れておらないつもりでございます。
  176. 中島武敏

    中島分科員 地震が起きた場合にどこが一番大きな被害を受けるかということになりますと、やはり大都市であるということはこれは間違いのないことだと思うのです。先ほどから申し上げておりますように、その被害というのは非常にはかり知れないような大きな被害が起きるんじゃないか、これは言うまでもないと思うのですね。もう現状では明白だというふうに申して差しつかえないと思います。特に首都東京の場合どうかということを考えてみますと、この東京は地震には弱い構造になっていると思うのです。そういう点では、これは東京だけではありませんけれども、東京のことを考えてみても、この対策を強化するということは非常に重要なことだと思います。  そこで東京都のほうは、四十六年の十月に震災予防条例を制定して、そして四十七年の六月に震災対策本部を設置しました。例の白鬚地区など六つの防災拠点づくりというような計画を立てて現在進めているというところであります。  私はこの問題を考える場合に、大都市の防災対策のための都市改造事業、この事業は一般の普通の都市改造事業とははなはだしく違っていると思うのです。すべて耐火耐震ということを基準に置いてやらなければならぬわけですね。たとえば道路一つとって考えてみましても、やはり交通の重要度というようなことも必要でしょうけれども、しかし同時に避難のための道路であるとか、こういうことが大事になってきますし、それからまた、道路の構造自身も耐震、地震に耐えられるという、そういう構造にしなければならない。あるいはまた公園というような問題を考えてみましても、ちょっと普通の公園とは趣を異にすると思うのです。なぜならば、やはり避難のためにその公園を使うというようなことを考えれば、うんと面積も広く考えなければいけないというような問題も出てきます。あるいは学校とか病院というようなものを考えてみても、いざ地震ということ、それに対する対策ということを考えれば、どうしたって何というのでしょうか、いつ水道が出なくなってしまうかもしれない、そうだとすると、地下水のくみ上げを利用するというようなことも考えなければならない。その他あげれば私は切りがないと思うのですが、水道管一つだってこれは地震に耐えられるような水道管を、そういう構造の水道管をつくらなければならない。もう非常に、すべてのことがやはり耐火耐震というこれを基準にしてつくっていかなければならないことは明白だと思うのです。  そこで、東京都江東地区防災再開発計画が立案されておりますが、これは一兆円ぐらいかかる。ところが白鬚地区の場合では総事業費四百二十億円、現行制度で補助をするということになりますと九十六億円だ、こういうようにいわれているわけであります。そのことが非常に、どうしてもやらなければならない防災対策、大都市における防災対策、これの事業の進捗をやはりはばんでおるというふうに申し上げなければならぬと思うのです。そういう点で私は、非常にこういう事業に対しては特別の助成措置、もっとはっきりいえば補助率なんかも普通の事業と違うわけですから、いま申したように、もっと大きくかさ上げするというようなことが必要じゃないか。東京都では少なくとも三分の二ぐらいの国庫補助がつかないとどうにもならぬというようなことなんかもいっておりますけれども、どうでしょうか、私は普通の事業じゃない、しかも、これは成功させなければいかぬ、住民の安全、命を守る、財産を守るという観点に立てばほっておくことはできない、どうしてもやらなければならない事業、しかも、いま申し上げたような普通の事業とはずいぶん違うというこの点を考慮するならば、もっともっと補助率を上げるということが必要なんじゃないかと思うのです。どうでしょうか。
  177. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいまの御質問でございますが、私は、一つは震災と申しましても、まず地震でつぶれること、これにじょうぶな構造を持つ都市をつくるということは、いろいろな努力を積み重ねて不可能なことではないかもしれません。しかし、最も人間に打撃を与えるというか、人間の生命を奪うものは火災だと思うので、現時点においては都市の防災対策の基本を地震予知と同時に、そうした火災を未然に防いでいくということに最重点を置いているわけでございます。同時に、この火災予防ということは、火災が起こると、前の東京空襲のときに私自身が経験したのですが、息ができなくなって窒息するのです。それで死ぬわけであります。これは広いスペースがあろうがなかろうが、あれくらいの火力になりますると、もうほとんど酸素が全部火にとられる。私自身しみじみそのときにもうこれは死ぬだろうと思った体験もあります。そういう意味から申しましても、まず火災を起こさないということの対策がきわめて重要であると私は思っておりますし、そうした意味合いにおいて、都市の防災対策については、火災を起こさせないことに全力を傾けるべきだというふうにも思っております。  それから、江東のデルタ地帯のことでございますが、けさも朝日か何かに出ておったようでございますが、この四年間の問題というものは、ブランクに過ごしたということはたいへん残念なことだと思います。単に国庫の補助率が云々ということは、これはもちろん今後もよく検討しなければならぬことだと思いますが、実際問題として、住んでいる人間にここを立ちのいてくれということを説得し得るのは、私は自治体だと思うし、やはりこういう問題については自治体がもっと積極的に責任を持って、その地区に住んでいる住民方々協力を得るような努力をしてもらうことが何より大事なことではないか。私は、よしんば補助率が上がりましても、立ちのかないという人が大ぜいいたら、これはどうにもならないと思うのです。そうした意味でこの立ちのきをして、そこに自分たちだけじゃなしに、大ぜいの人たちの生命の安全を、そうした意味で自分らが動くことによって確保できるというような、そういうような気持ち住民方々に持っていただく、そうした説得は自治体にぜひ強力に進めていただく。そうなれば、よしんば工事の進捗が単に補助率というような問題だけでは私はないように考えておるものでございます。
  178. 中島武敏

    中島分科員 いま大臣が言われた問題については、私この次にいろいろまた質問をしたいと思っているところなんですが、補助率の問題についての御答弁はどうもはっきりしなかったのですが、どうでしょう。その点もう一度きちんとお答え願いたいのですが。
  179. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 現状の補助率の中でも、地方自治体がその地域住民の生命の安全を守るという熱意の中で説得をして、そうしてともかく動いてもらうなり、建てかえをさせてもらうなり、地籍をあけてもらうなり、そういう条件をまず整備してもらうことから始めたほうがより効果的ではないかと私は思っております。
  180. 中島武敏

    中島分科員 そういう条件が整えば補助率をもっとうんと上げようという、そういうお話でしょうか。
  181. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 そういう状況になれば、おそらく建設省あるいは自治省、そうした各省間においても、そういう問題を具体的に前に進める意欲も出ると思いますし、私もまた、そういう状態になればそうした補助率の引き上げというようなことも含めて、大都市における防災対策の推進をはかってまいりたいと思っております。
  182. 中島武敏

    中島分科員 大臣が先ほどから四年間ブランクだったのは残念だというようなお話であるとか、もっと自治体が責任を持たなければいけないとか、あるいはまた立ちのかない人がいたらどうにもならぬというようなお話だったのですが、私はこれは非常に残念な答弁だと思うのです。しかも、率直に申しますが、この防災事業、そのための都市改造ということは普通の事業とは違うわけであります。私はこれは非常に大事な問題の一つとして住民の納得を得るということがどうしても必要なことだと思うのです。住民のためにやろうとしている防災対策でありますから、当然住民の納得を前提としなければいかぬ、民主主義が大いに貫かれなければならないということを考えるわけであります。そうした場合には住民生活権あるいは営業権というようなものがしっかり守られなければいかぬ。そういうことを前提としてこの事業が推進されていかなければいけないと思うのです。そういう点では大臣の答弁は、自治体がもっと責任を持ってやる、それは当然であります。自治体はもっと積極的にやらなければいけない、それは当然だと思うのです。しかし、そのことが同時に住民を犠牲にするものであってはいかぬ。これは言うまでもないことだと思うのですけれども、そうだと思うのです。三年間か四年間かかったというのは、やはりそういうふうにして住民の納得を得るために努力をしてきたということに一番大きな理由があるわけでありまして、その点は大臣のお考え考え直していただかなければいけないのじゃないかというように思うのです。どうですか。
  183. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 私も、住民の皆さん方がそういう公共の問題のために自分の過去の生活というものを清算したり、あるいはまた他に移転したりというようなことを喜んでやっていただけるようなそうした気持ちを起こしていただくのには、やはり何と申しましてもその説得の熱意が最も大事だと思います。同時に、それに対して補償を差し上げていくということも当然考えなければならない。しかし、現在の補助率だけでにっちもさっちもいかないのだといって、それだけに問題をかぶせて、最も崇高なるべき説得の気持ちそのものが補助率が足りないからできないのだというようなことがもしあったとすれば、これは私は非常に残念なことだと思うので、決して私は地域の方々の経済的な負担、いろいろな問題を何らめんどう見ないでただやれということを申し上げているわけではございません。
  184. 中島武敏

    中島分科員 そこで、この防災拠点づくりあるいはこの対策ということに非常に長い年月を費やしながら、長いと申しますか、三年、足かけ四年になりましょうか、ようやっとこれが事業にも着手しようかという段階に東京都の場合には来ているわけであります。その過程の中でやはりいろいろ困難な問題を解決していかなければならない。東京都が熱意をもってやる。住民もまたこの問題についていろいろな議論を行なう。自分たちの要求も出す。同時に自分たちの要求も満たされながら、しかもりっぱな防災対策ができるというそういう方向に向かってたいへんな努力を積み重ねてきたわけであります。  そこで、非常にいろいろな要求と申しましょうか、住民の願いといいましょうか、そういうものがたくさん出たわけでありますが、一つは例の権利変換の問題があるわけであります。住みなれたところから新しいところへ移るのですから、これはもう等床交換を要求するというようなことが出てくるのは私当然の要求だと思うのです。しかも建物は、先ほども話がありましたように耐震あるいは耐火というそういう点を十分考慮しなければいけないから、どうしてもつくるものは費用がかさんでくるというのが実態であります。そこで、都市再開発法であるとか、あるいは今度政府のほうではこれの一部改正というものを出しておられますけれども、あるいはまた住宅地区改良法だとかいうのがありますが、これらの手法を駆使していろいろ進めようとしている。そこでひとつ伺いたいのですが、やはりほんとに零細な権利者の権利も住民の権利が十分守られるという保証がこの中にあるのでしょうか、この点はどんなふうにお考えになっておられるかお尋ねしたいのです。
  185. 豊蔵一

    ○豊蔵説明員 お答えいたします。  政府といたしましては、江東地区の防災再開発を含めまして、市街地再開発事業をなお一そう促進してまいりますために、今国会に都市再開発法の一部を改正する法律案を提案いたしまして、御審議いただくことになっておりますが、この改正案の中では、関係権利者に対する融資とか、固定資産税の減額、また保留床の優先譲渡等の優遇措置を講ずることといたしております。さらにまた、四十九年度の予算案におきましても、関係権利者に供給いたします公的賃貸住宅、いわゆる再開発住宅といっておりますが、こういうものに対する国庫補助制度を新設するとか、あるいはまた、特に東京の江東地区におきます防災再開発につきましては、防災性能を強化するための特別費用がかかりますが、そういったものにつきましても補助を行なうというような新たな措置を積極的に講じておるところでございます。
  186. 中島武敏

    中島分科員 いまの御答弁の中で一つ二つ伺っておきたいのですが、再開発住宅というのは一体幾ら予定されておりますか。それからもう一つは、江東の防災に対して特別な措置を行なうというお話があったのですが、どれくらいの予算を計上されておられるのですか。
  187. 豊蔵一

    ○豊蔵説明員 ただいま申し上げました再開発住宅といいますのは、住宅地区改良事業の予算ワクの中で運用することにいたしておりますが、私たちといたしましては、一応全体といたしまして約三百戸程度を計上いたしております。また、防災性能強化費につきましては、ただいまのところ積算のこまかい検討をやっておりますので、そういったような性能強化のための特別の増高費に対して、新しく補助対象に加えるという方針を一応きめておるという程度でございます。
  188. 中島武敏

    中島分科員 これは三百戸というお話ですが、確かにないよりは私いいと思うのです。しかし三百戸ではこれは少ないのじゃないのですか。あれだけの大きなところを対象にしてやっているわけです。その点ではもっとこれをふやす必要があるのじゃないかということを私は痛感しますね。それから新たに特別な措置をされたという問題、これももっと実体の中身を伺ってみませんと、どの程度のものであるかということはわかりませんけれども、私はもっともっとこれもふやすべきではないかと思うのです。そういう検討をぜひしていただきたいと思いますが、いかがです。
  189. 豊蔵一

    ○豊蔵説明員 ただいまお答えいたしましたのは、一応四十九年度の予算の中における積算の基礎ということでございますが、今後地区の再開発事業が順次円滑に進んでまいりますれば、年次を追いまして逐次増大していきたいというふうに考えております。
  190. 中島武敏

    中島分科員 前の質問に対する答えがまだ私はないと思うのですが、都市再開発法だとかあるいは今度の一部改正だとか住宅地区改良法だとか、私はこれでは、私のほうから意見を申し上げますと、住民の権利をきちんと保障して新しいところへ移ってもらうというのには不十分だと思うのです。あるいはなかなか困難を持っているというものだと思います。私はいまここで法律論争をやろうというのじゃないのです。その問題の一番大事な解決のしかたは何かというと、結局住民の負担が多くなるか、あるいはその負担に耐えられなければ出ていかなければならないということになってしまう。これを防ごうと思えば、やはりその自治体が施行者になってこれを実施する。ところが十分住民の権利を守ろうと思ったら、その場合にも自治体の負担というのは非常に大きくなってくるわけであります。特に先ほどから申しておるように、耐火耐震構造の建物をつくるということになれば、なおさらその面が大きくなるわけであります。私はこの問題を解決するためにはどうしても国のほうがもっと一体になって、よし、この事業については非常に重要な事業だからもっと見ようじゃないかというこれがありませんと、この問題はなかなか正しく解決されていかないという面を持っておるのです。私はそういうふうに思っておるのですが、いかがでしょうか。
  191. 豊蔵一

    ○豊蔵説明員 仰せのとおり、再開発を実施いたします場合には、地区の住民すなわち関係権利者に対するいろいろな特別な措置を講じながら、その地元方々の同意をいただいて円滑に進めることが重要であると思います。そういうことを踏まえまして、しかもまた現行の制度の中で許される範囲で、私どもといたしましては、今回の法律案の改正の内容あるいはまた特別な予算措置等をとってまいっておるわけでございます。したがいまして、そういうようなことでございますので、たとえば保留床のものにつきましても特別な措置を講じまして、住宅金融公庫の融資措置を拡大いたしまして必要な金額の九割までの融資を行なうとか、あるいはまた取得いたしました権利床につきまして固定資産税につきましては住宅は十年間三分の二の軽減措置をとる等の措置等も含めておるわけでございます。こういったようないろいろな対策と、さらに一般会計からの補助の充実というようなことと相まちまして、私たちは現在の段階では地元方々の御同意をいただいて円滑に仕事が進められるものと期待しているところでございます。
  192. 中島武敏

    中島分科員 住宅金融公庫の融資あるいは固定資産税の減免ということはこれは当然でありますけれども、しかしそれで問題が解決つくのか、住民の権利が十分守られるのかということになれば、もう時間があまりありませんので論じているひまもないのですけれども、私はこれは非常に不十分だと思うのです。やはり先ほど申し上げたような国の大きな助成措置というようなものがありませんと、この問題の解決と進捗をはかるという点ではどうしても困難にぶつかるということをはっきり申し上げたいと思うのです。大臣、これはよく聞いておいていただきたいのです。  それからもう一つの点なんですが、大都市には非常に危険物が充満しておるわけであります。私はやはりこの大都市における防災事業というものを積極的に進めるというためには、こういう危険物に対する規制の強化というようなことがあわせてはかられる必要があるというように思っております。たとえばこれは東京でもそうですが、ガス管一つとりましても非常に老朽管が多くて、事故も東京都だけでも年間二万件というようなガス漏れの事故が起きておるといわれておるわけであります。ですから、一たん地震ということになればこれは非常な重大な問題になってくる。そういう点ではやはりガス事業法一つ見ましても通産大臣が権限がある。私はこれなんか先ほど長官がいわれたようにこれをもっと自治体が責任をもってやれる、対策を講じていけるということのためにも知事に移したほうがいいんじゃないかというふうに思っておるのです。  それからまた、先ほどからも申してきましたが、消防法だとかあるいは高圧ガス取締法とか火薬類取締法だとかいろいろありますけれども、この地震というものに対してどう対処するかということを考えると、やはり危険物の施設、構造の耐震性を強めるというようなことであるとかあるいは危険物の周辺にはもっと広いあき地をとらなければいけないとか、そういう安全基準をつくる必要があるのじゃないかということを非常に痛切に感じるのです。避難広場の指定一つにしたって、そうでしょう。実際には知事に民有地を避難場所にする指定権限はないのです。だからこの問題を積極的に進めようということになれば、相当な知事に対する権限を委譲するとかあるいはもっと規制の基準をはっきりさせて強化するとかというようなことが必要だと思います。そういう点で、この辺はひとつ大臣の考えを聞かしていただきたいのです。
  193. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 政府内部にも閣僚ベースの中央防災会議を持っております。この防災問題ということは、特に現在の日本にとってはきわめて重要であることは中島委員の御指摘のとおりでございまして、昨今のように地震がくるであろうとこないであであろうとかいうようなことが国民の心を非常に動揺させておるような時期でございますので、さらにいまのような諸問題について、フランクな話し合いを防災会議でも各省交えて十分論じてみたいというふうに考えております。
  194. 中島武敏

    中島分科員 時間が過ぎておるようですから、一つだけ最後に大臣に質問して終わりたいと思うのです。  それは先ほどから申してきましたように、大震災に対する対策は特別な事業であります。特に弱い地盤にある、そしてまた対策を強めなければならないというようなところに対しては地域指定をしてそこに対する対策を強化することであるとか、あるいはまた緊急な防災事業の実施の手法についても、現在の法律の特例を設けなければならないとか、あるいはまた財政上の特別な措置、あるいはまたさっきも申しましたように、危険物に対する監督の権限の委譲あるいはまた規制の強化あるいはまたやむを得ずよそに出ていく人たちに対しては税金における減免措置とか、全体として非常に特別な措置というものを私は必要としていると思うのです。先ほどからるる申し上げてきたとおりであります。このことは、ほんとにやろうと思ったら、どうしても大都市防災特別措置法というような特別措置法を設けて、そして強めていく必要があると思うのです。そうでありませんと、ばらばらにあれこれのことを個別に対策を講じているというだけでは有効に進めることはできないと思います。  大臣に最後にお尋ねしたいのは、こういう大都市防災特別措置法というようなものをつくる必要があると思うのですが、どのように考えられるかということについてお尋ねして終わりたいと思うのです。
  195. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  大都市災害防止に関連しては措置要綱がすでに四十六年にきまっております。私らはこの要綱を現時点でもう一回見直して、そしていま、いろいろなところにいろいろな問題が起こっておることも事実でございますから、そうした時点を踏まえながら要綱そのものをもう一回よく見直して、できることをまずやる。そしてなおかつそれでもどうしてもいろいろな行政面のネックがあってどうにもならないという問題があるならば、その問題については特別な配慮をするということを具体的に進めていくほうが早いのではないかというふうに考えております。
  196. 中島武敏

    中島分科員 終わります。
  197. 上村千一郎

    ○上村主査 次に、石田幸四郎君。
  198. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 私は環境庁長官にお伺いいたします。連日たいへん御苦労さまでございます。  最近とみに騒音公害という問題が非常に大きな社会的な問題になっているわけでございます。大阪空港にまつわるああいった公害裁判の結果も出ましたけれども、さらにまた新幹線の問題につきましても、いわゆる国鉄当局がその対策としまして、八十五ホン以上の地域については買収を進めたい。それから八十ホンについてはいわゆる防音対策、各戸における防音対策をやりたいというようなことを発表いたしまして、これもまた非常に話題になったわけです。ある意味におきましては一つの大きな前進的な措置ではないか、こういうようなことを言われておるわけでございます。  本日私が長官に御質問申し上げることは、いわゆる関西−東京圏との幹線道路になっております名四国道におきます騒音、振動に対する問題でお伺いをするわけでございますが、まず新幹線のそういった今度出ました国鉄の対処のしかた、これが今後のいろいろな問題の参考にもなろうかと思いますので、一体どういう所見をお持ちであるか、まず最初にそれを伺っておきたいと思います。
  199. 三木武夫

    ○三木国務大臣 正式の決定までいっておるかどうかは別として、事前に私のほうへも考え方というものは国鉄当局から説明を聞いたわけであります。騒音対策の第一番は、道路にしても空港にしても新幹線にしても、立地の当初から騒音対策を頭に入れた立地ということが必要であって、あとでいろいろな騒音に対する苦情が出て、それに対する対応策というものを講じましても限度がありますから、これからは新幹線、高速道路あるいは新しい空港の場合に、いままではそういうことがあまり大きな問題として意識されておったかどうかということは多少疑問もありますから、そういうふうにすることが第一番だと思いますが、現にもうそういう走っておるような場合、その次善の策としては、やはり国鉄の考え方も、新幹線の両側に十五メートルないし二十メートルの緩衝地帯を置きたい。どうしても騒音対策上都合の悪いような地域は移転をして、騒音の被害からそういう形において騒音に対する対策を立てたいという考え方が基本になっておるようでありますが、現在、現にそういう新幹線が走っておるような地域としては、そういうふうな方法がとるべき一つ考え方だと思って、私は賛成をしておるわけでございます。防音壁という問題もございましょうが……。  そういうことでいま現に問題の起こっておる地域は、いま言ったような方法をとることが、現在考えられる一つ解決策であろうと考えておるわけでございます。
  200. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 私は、環境庁のお仕事といたしましては、従来ともすれば国会等におきましても、一つ一つの事例をとらえた狭義の環境整備という立場から論じられているケースがきわめて多いのじゃないかと思うのでございます。新幹線公害という問題を、次善の策としてああいうような国鉄の対策をとられるということについての環境庁の長官のいわゆる評価があったわけでございますけれども、あすこまで非常に問題が大きくなった場合に、当然ああいう対策もとっていかなければならないと私も思います。しかしながら、同時に、狭義のそういった都市環境、生活環境という問題ではなくして、もっと都市全体を考えた広義のそういう都市環境なり生活環境というものを考えてしかるべきではないだろうか。確かに国鉄当局は国の援助を受けてああいう対策を進めているわけでございますけれども、かりにこれが、たとえば両側二十メートルといっておりますけれども、両側にたとえば五十メートルぐらいの立地条件をつくって、そして、そういうところに、たとえば市営バスであるとかあるいはその他の私鉄のバスであるとか、そういうところの車庫が点在しておるわけでございますけれども、そういうものを転用してそういうところへ建てるとか、そういうふうにいたしますれば、当然今度は住宅用地という問題が、その転用によってあいたところへ考えられるというふうに、もしこれが積極的な姿勢で進められていくならば、都市全体という問題から考えて、いろいろないわゆる利用的な価値があるのではないだろうか。ただ国鉄だけが両側二十メートルの道路をつくって、公園にしようか道路にしようかという程度のことでは、また何か中途はんぱになりはしないだろうか。せっかくそこに多額の経費をかけても、ただそれだけの問題であるというようなことになって、また利用価値がお金をかけたわりには少ないのではないか。こういうようなことも実は私は思っているわけでございまして、これから特に都市におきましては非常に住宅用地というものは乏しくなっております。特に大阪あるいは東京なんかの場合を考えた場合、大阪あたりでも去年の計画はたしか一万戸の計画でございますね。それに対してわずか百十九戸しか建ってないわけです。名古屋あたりはわりと、まだ県全体に周辺に土地がありますものですから、年間三千数百戸は建っておりますのですけれども、やはり都市部におきますところの土地の高騰というような問題が出てまいりまして、だんだん建築がしにくくなってくる、こういうようなところも見受けられておるわけでございます。名古屋を一つのモデルケースと考えていただければいいわけでございますけれども、そういった意味での都市環境をつくる環境庁としての御方針というものが、もう少し明快にされるべきではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございますが、いかがでございましょうか。
  201. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私もそう考えるわけです。だから、先般も、大阪新空港の問題が出たときに、空港というようなものをつくるときに何か都市計画的に考えないと、ただそのときそのときで空港の敷地はとっても、その周辺にまた人家が現在密集してなくても、やがてまた密集するということになれば、それは問題を起こすわけですから、もう少し、空港という限られたものばかりでなしに周辺に対する都市計画的な配慮が要るのではないか。そういう点で建設省が、これは新幹線の場合でもあるいはまた高速道路の場合でも、いろいろとそういう考え方というものは取り入れらるべきものだと思いますが、空港の問題について問題が起こった直後であったですか、話をしたのですが、そういうふうに考えないと、日本のはもう何か計画的にでなしにやって、行き詰まってきたならば、そうして地元民の非常な不平不満というものがあって、そしてまたそこで対応策を講じていくということでは、抜本的な解決にはなりませんから、今後の場合にはやはり都市計画的な側面からものを考えないと、同じことをまた年限がたてば繰り返すことになって、考え方としては言われるとおりだと私も思います。
  202. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 それでは、具体的な問題といたしまして私、名四国道の問題を取り上げるわけでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、いわゆる東京経済圏と関西経済圏とを結ぶ大きなパイプになっておるわけでございますので、実はたいへんな自動車の騒音公害が出ておるわけでございます。大体一日平均して六万台から七万台、そのようにいわれておるわけでございますけれども、そういうような両経済圏のパイプでございますので、長距離トラックが非常に多いわけなんでございます。たとえば午前三時から四時の間におきます全車両の通行量というのは、七三%が大型長距離輸送トラック、こういうことになっているわけでございます。したがって、都市部にかかるところは夜中も寝られないというような非常に大きな問題が起こっておりまして、特に名古屋市南部は、御存じかと思いますけれども、名四国道にかかる分は若干坂もあるものですから、御存じのとおりディーゼルエンジンは坂は弱いものですから、そこでものすごい勢いでパワーを上げて走っていく、こういうことでございます。さらにまた名古屋市南部におきましては、長官も御存じのとおりいわゆる工業地帯でございますので、大気汚染によりますところの公害病の認定地域になっておりまして、この南区、港区が実は一番多いわけなんでございます。昨日も実は大分から引っ越した人からまた電話がまいりまして、医者は空気がいいところがいいから子供のために引っ越しなさい、こう言われていなかへ引っ込んだというのです。ところが当時は発作を起こしていなかった下の坊やがまた発作を起こして、これを何とか名古屋市で公害病の認定患者にしてくれないか、こういうような話が起こっているぐらいでございまして、そういうふうにダブルパンチを受けておるわけなんでございますね。私は、はったりでも何でもなく数値を申し上げるわけでございますが、名古屋市の公害対策局が行ないました名四国道の公害実態調査、こういうものがあるわけでございます。それによりますと、たとえば騒音の場合は、ある地点でございますけれども、平均値が昼間で七十四ホン、夜間は六十八ホン、朝方で七十三ホン、こういうことで、いずれも工業地帯での騒音基準を大幅にオーバーしておるわけでございます。その数値だけを見ますと、これは私も溜池のところでございますか、そういう騒音装置がありますからよく見ております。そう大きな数値のようには見えないのでございますけれども、これが昼間ならまだその他の雑音もありまして多少はまぎれることもあるのですけれども、夜間の騒音だけはどうにもならぬわけでございます。ここにも上村先生主査席にすわっていらっしゃるわけでございますけれども、たとえば先生なんかのところでも国道一号線でございますので、その地域はやはりたいへんな道路の自動車騒音というものがあるのでございます。名古屋の場合は、そういう公害地帯ということと相まってますますその程度がひどくなっているのでございます。実際問題ではどの程度車両の規制ができるかといいますと、愛知県警でもいろいろ計画はしているようでございますけれども、夜間のそういうような走行制限というようなことになりますと、これがまたたいへんなんでございますね。それこそ延々長蛇の列になってしまって、三車線のところを二車線にしようかというようなこともいわれております。おそらくこれでは、今度はますます排気ガスの問題が多くなってしまって処理ができぬのじゃないかと私ども非常に心配しておるわけでございます。これは建設省との関連はございましょうけれども、環境庁として基本的な、そういう道路から発生する騒音、振動、こういう問題に対する対策を明確にしていただかなければならぬのじゃないだろうか。これは東北に走る主要道路にいたしましても、全部今後そういう形で起こってくるわけでございますから、どういう形でこれを処理なさろうとしていらっしゃるのか、ここら辺をまず長官にお伺いをしたいわけでございます。
  203. 三木武夫

    ○三木国務大臣 排気ガスの問題もあるわけですが、排気ガス、騒音というのは各地に問題の地点があるわけで、排気ガスのほうはメーカー側の時期尚早という声もあったわけですけれども、日本の環境の汚染状態から考えてみて、どうしても昭和五十年からいわゆるマスキー法という法律を実施して排気ガスの九〇%をカットしようという、これは排気ガスの面における画期的な改善ができるものだと期待をしておるわけであります。ディーゼル自動車の排気ガスについても規制をいたしたいということで、許容限度というものを設定したいということでいま検討をいたしておるわけですが、騒音対策の中でいま石田委員も御指摘になったように、大型トラックというものが騒音対策上非常な問題を起こしておりますので、近く大型トラックあるいはオートバイもやはり問題でありますから、これについては早急に許容限度をいまよりも強化したい、また長期的に見ましては、長期的な観点から許容限度を制定したい。これは現在中央公害対策審議会に諮問をいたして審議を願っておるわけでありますが、とりあえずオートバイあるいは大型トラックに対しては、できるだけ早く許容限度を強化したい。そういう限度を強化すればそこにまた交通規制の問題が起こるかもしれませんが、そういう形で当面の対策を講じていきたい。われわれも名四国道の交通量が非常に多くて問題の個所であるということは承知をいたしておるのであります。去年の夏にも調査をいたしたわけですが、最近の情勢にかんがみて、私はもう一ぺん調査してみたらどうだということを言っておるわけでございます。そういうふうな音源といいますか、騒音の音源対策というものを講じますとともに、道路の改善であるとか、防音壁の設置であるとか、交通規制とか、道路交通環境対策というものを、建設省とも連絡をとらなければなりませんし、警察庁とも関係のあることですけれども関係省庁と協議をしてまいりたいと考えております。
  204. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 建設省がいらしていると思うのでございますけれども、この名四国道の騒音、振動等に対しては、いま具体的にはどういう考え方で進めていられますか。
  205. 大島哲男

    ○大島説明員 名四国道につきましては、地元からあるいはその他の団体から公害に対します対策の要望が出ておりまして、私ども道路管理者、それから公安委員会、地方の公共団体等、相寄りましていろいろ対策を検討しておるところでございます。建設省としていま考えておりますのは、振動に対しましては路面のフリクと申しますか、でこぼこが相当振動に響いていくということからいたしまして、路面のフリクの整正をきめこまかくやるということを一つ考えております。  それから、これは場所によると思いますけれども、防音壁の可能なところは防音壁を建てまして、騒音に対しては対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから抜本的な解決策といたしましては、いまの名四国道の南側に、名古屋港がございますが、名古屋港の上をオーバーする路線で新しい道路をつくりまして、これは相当な距離になりまして、大規模な道路になりますけれども、新しい道路をつくりまして、いまの名四国道からの通過車両をそちらに回していくというふうに考えまして、ここ数年来その調査をやっております。この新しい道路ができますれば、港湾地区にそういう騒音の大きな車を回し得るということで、名四国道のほうの対策に資したいというふうに考えております。
  206. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 これ以上のことは私も申し上げませんけれども、どうか環境庁といたしましても、確かにそれぞれの具体的な対策は各省庁でやっていただく以外にないのでございますけれども、常にこういった問題を洗い直しをすると同時に、各省庁と連絡をとり合って、実際に住民安心して住んでいけるように、ああいう極限の状態であっても、ある一定の時間だけは安眠ができるような状態を一日も早くおとりいただくようにお願いをいたしまして、私の質問は終わりにいたします。
  207. 上村千一郎

    ○上村主査 以上で内閣総理府ただし経済企画庁を除く所管の質疑は終了し、本分科会の質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  208. 上村千一郎

    ○上村主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十九年度一般会計予算中、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣総理府及び法務省所管並びに他の分科会所管以外の事項、なお、総理府につきましては、経済企画庁を除く所管昭和四十九年度特別会計予算及び昭和四十九年度政府関係機関予算中、他の分科会所管以外の事項に対する討論採決は予算委員会に譲ることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 上村千一郎

    ○上村主査 御異議なしと認め、さよう決しました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の熱心な御審議と格別の御協力によりまして、本日、ここに、本分科会の議事がすべて終了することになりましたことを深く感謝いたします。ありがとうございました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時十四分散会