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1974-03-07 第72回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月七日(木曜日)    午前十時三分開議  出席分科員    主 査 上村千一郎君       荒舩清十郎君    櫻内 義雄君       中村 弘海君    石野 久男君       田中 武夫君    楢崎弥之助君       芳賀  貢君    安井 吉典君       諫山  博君    正森 成二君       松本 善明君    兼務 山中 吾郎君 兼務米内山義一郎君    兼務 横路 孝弘君 兼務 和田 貞夫君    兼務 津川 武一君 兼務 渡部 一郎君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中村 梅吉君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長         北海道開発庁         長官)     町村 金五君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      保利  茂君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      森山 欽司君  出席政府委員         総理府統計局長 川村 皓章君         警察庁警備局長 山本 鎮彦君         行政管理庁行政         管理局長    平井 廸郎君         行政管理庁行政         監察局長    大田 宗利君         北海道開発庁総         務監理官    秋吉 良雄君         北海道開発庁予         算課長     高瀬 昌明君         科学技術庁長官         官房長     片山 石郎君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         科学技術庁原子         力局長     牟田口道夫君         科学技術庁原子         力局次長    伊原 義徳君         科学技術庁原子         力局次長    生田 豊朗君         法務大臣官房長 香川 保一君         法務大臣官房会         計課長     住吉 君彦君         法務省民事局長 川島 一郎君         法務省矯正局長 長島  敦君         法務省保護局長 古川健次郎君         法務省入国管理         局長      影井 梅夫君         公安調査庁長官 川井 英良君         農林省構造改善         局次長     杉田 栄司君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君  分科員外出席者         内閣官房内閣調         査官      百瀬  涓君         内閣総理大臣官         房参事官    森  卓也君         行政管理庁行政         管理局統計主幹 増淵 亮夫君         行政管理庁行政         管理局管理官  正田 泰央君         経済企画庁総合         開発局開発計画         課長      箕輪  哲君         法務大臣官房人         事課長     前田  宏君         法務大臣官房営         繕課長     水原 敏博君         公安調査庁総務         部長      竹内  弘君         大蔵省主計局主         計官      猪瀬 節雄君         大蔵省関税局監         視課長     本多 行也君         文部省社会教育         局青少年教育課         長       川崎  繁君         厚生省薬務局審         議官      豊田 勤治君         農林省農林経済         局統計情報部長 吉岡  裕君         資源エネルギー         庁公益事業部火         力課長     伊藤 栄一君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  児玉 勝臣君         海上保安庁警備         救難部長    船谷 近夫君         労働大臣官房統         計情報部情報解         析課長     塩田  晋君         消防庁防災課長 藤江 弘一君         最高裁判所事務         総長      安村 和雄君         最高裁判所事務         総局総務局長  田宮 重男君         最高裁判所事務         総局人事局長  矢口 洪一君         最高裁判所事務         総局経理局長  大内 恒夫君 分科員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   中澤 茂一君     石野 久男君   楢崎弥之助君     大原  亨君   正森 成二君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   石野 久男君     安井 吉典君   大原  亨君     島田 琢郎君   松本 善明君     諫山  博君 同日  辞任         補欠選任   島田 琢郎君     板川 正吾君   安井 吉典君     芳賀  貢君   諫山  博君     米原  昶君 同日  辞任         補欠選任   板川 正吾君     楢崎弥之助君   芳賀  貢君     森井 忠良君   米原  昶君     庄司 幸助君 同日  辞任         補欠選任   森井 忠良君     中澤 茂一君   庄司 幸助君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     正森 成二君 同日  第二分科員山中吾郎君、米内山義一郎君、和田  貞夫君、第三分科員横路孝弘君、津川武一君及  び渡部一郎君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算総理府所管(防  衛庁及び環境庁関係を除く)並びに裁判所及び  法務省所管      ――――◇―――――
  2. 上村千一郎

    上村主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算中、総理府所管を議題といたします。警察庁行政管理庁北海道開発庁科学技術庁に関する事項について審査を進めます。  質疑の申し出がありますので順次これを許します。石野久男君。
  3. 石野久男

    石野分科員 きょうは時間もございませんし、科学技術庁関係で、特に先般来問題になっております分析化学研科学分析についての分析研におけるいろいろな問題に関連してお尋ねしたいのですが、先般私が委員会長官にいろいろとお聞きした際に、長官分析作業肩がわり要請を受けている理研放医研学働組合に対して、そういう問題に労働組合が介入する権利はないというようなことばを漏らしたために、組合側では非常にこのことを問題にしているような実情のように見受けられます。したがって、長官が意図しましたいわゆる分析研仕事委託がえするということの作業は、はたしてうまくいってるんだろうかどうだろうかということを私は懸念するのですが、その後どういうふうな状態でございますか。簡単でよろしゅうございますから、ひとつお教え願いたい。
  4. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 お答えいたします。  従来分析研が行なっておりました業務の肩がわりと申しますか、それはとりあえずのところと申しますか、理研放医研とそれに原研お願いするということで話し合いを進めておりましたところ、理研につきましては、原子力軍艦定期調査機器分析の分を主といたしまして、これを進めるべく三月一日に委託契約を行ないました。  理研におきましては、それが実際に近々着手できるように準備を進めておると聞いております。  放医研につきましては、原子力軍艦定期調査科学分析を中心といたしまして調査お願いいたしておりました。これは御承知のように国家機関科学技術庁付属機関でございますから、契約ということではございませんで、そういうことで準備を進めておるというぐあいに承知いたしております。  なお、原研につきましては、フォールアウト関係の、放射性降下物関係科学分析お願いいたしておりました。三月五日に委託契約を一応了して、いま準備を進めておると聞いております。
  5. 石野久男

    石野分科員 理研やあるいは原研に対してそれぞれ委託契約をなさったようですが、労働組合が、それぞれの事業体当局側委託契約をした問題についてまだいろいろ問題提起をしておるわけですけれども、それのほとんどは分析化研の轍をわれわれもまた踏んではいけないというそういう心配から出ております。というのは、やはり仕事はどんどんくるけれども、それをこなすだけの人的な準備もありませんし、あるいは作業体制をつくるような諸準備もないと、こういうようなことから、もしこのまま契約をして契約履行ができなければ、やはり分析化研と同じように摸造したデータを出さなければならぬような結果が出てくるんじゃないだろうかと、そういうようなことでは困るというのが労働組合の強い意見なんです。このことは大臣、率直に委託をされる科学技術庁としては考えるべきだろうと私は思います。     〔主査退席中村(弘)主査代理着席〕 このことを軽視してかかりますと、やはり日本分析化研が引き起こしたと同じような結果が出る可能性があると思います。だから私は、委託をするに当たって、科学技術庁のそうした基本的な考え方、特にその当面の労働組合の持っている問題点というものを正しくつかむことが非常に大事だと思いますので、その点についてはひとつ長官も十分やはり理解をすべきじゃないかというように私は思いますので、ひとつ長官意見だけをこの際聞いておきたいと思います。
  6. 森山欽司

    森山国務大臣 先生にいろいろ御心配していただきましてまことにありがたいのでございますが、御説のとおり非常にむずかしい問題がありまして、分析研で問題になりましたようなことを再び繰り返してはたいへんでございます。そういう意味で、労働組合ばかりでなく理事者、それから技術者のグループ、一般職員もいろいろな方々がそれぞれのお立場心配もしていただいておりますし、また御協力もしていただいておる。また御理解を得てない面についてはできるだけ説得をといいますか、わかっていただくように努力をしておる、また努力をせにゃならぬという点については全くその点は同感でございます。  ただ、先般、労働組合という形で問題を提起されましたから、まあいささか理屈っぽく、労働組合の本来的業務という、任務というような立場から、それは先生指摘のような論議はいたしましたけれども、私はそれらの方々の御理解も得べく努力すべきものである、またそういうふうにやっていきたいというふうに考えておる次第であります。
  7. 石野久男

    石野分科員 やはり当局者理解もそうだが、作業をする労働組合の十分な理解を得られないでは、仕事は、特に分析作業というものは技術を要するようでございますから、そのことを注意すべきであると思うのです。それについて、たとえばいま局長からの話だと、理研などでは三月一日から委託契約をして仕事をしておるようですが、この契約自体についてもやはり労働組合ではいろいろ問題を持っておるわけです。二月中に、まだ契約ができない前に、理研に対しては、契約前に半導体検出器波高分析器等測定器を先行発注しておりますけれども、これは科学技術庁指導してそういうようにしたのですか。
  8. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 恐縮でございますが、詳細承知いたしておりませんが、理研のほうの判断と申しますか、見通しに基づいて見積もり程度の非公式の打診はしておるかと考えております。
  9. 石野久男

    石野分科員 時間がありませんから、あとなにしません。これはやはり二月中にこういう先行契約のようなものを理研がこれらの機器購入のためにやっております。  それからなお、海上保安庁水路部から理研に対しては四十八年の四半期定期検査サンプルを、調査サンプルを二月の二十日前後に理研に送っております。これもやはり科学技術庁指導ですか。
  10. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 それは物理的に預かってもらいたいということだったそうでございまして、もし契約ができればお願いする、こういう形だそうでございます。
  11. 石野久男

    石野分科員 そうしたサンプル資料海上保安庁水路部理研に預かってくれというようなことで、契約ができなければもとへ戻しますというような、そういうことではこれはまずいと思うのです。これはまたあとで時間があるときにこまかく聞きたいんですが、こういうようなことがあると、当面作業をやる労働者技術者がおこるのはあたりまえです。科学技術庁がその仕事を頼む順序を、俗なことばでいうと、いろいろな順序方法がある、その仁義というものを全然わきまえないで、押しつけの委託をするというような体制をとっておる。理研労働組合なんか、こういうような問題について、ばかにするなという、一面非常に怒りが強く出てくるし、しかもこの仕事委託すれば、先ほど言ったように必ず無理が出てくる。その無理を今度は全部しょわされてしまうんだ。科学技術庁分析研に対する問題が起きたときに、分析研だけを責めておるけれども、むしろやはり無理な要請をするという科学技術庁態度そのものに対する責任感というものは全然ないじゃないかという強い不満が作業をやる技術者の中にあるわけです。こういう点についてはやはり科学技術庁としてはもっと責任を感じなくちゃいけないと私は思うのです。科学技術庁はその点についてはどういうふうに感じますか。
  12. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 分析研にかかわりますいろいろなことにつきましては、科学技術庁として深く反省し、かつ改めなければならないことが多かったと思いまするので、今後のいわゆる肩がわりと申しますか、それらを行ないますることにあたりましてはもちろんのこと、その後新しい分析専門機関を置くにあたりましては、分析研でそういういろいろな問題がありました点につきましては、十分過去の問題点をも考慮いたしまして、その辺はくれぐれもそういうことが繰り返されないようにということでわれわれはそれを第一に考えております。
  13. 石野久男

    石野分科員 この点はやはりこれは大臣仕事頼むのにはどんなところだっていままでやっておった仕事を急に変えようとすると、現場ではやはり作業会議をやったり、工程会議をやったりして、それが受けられるかどうかということをちゃんと現場実情を見ないで上から押しつけされてもこれはとても仕事はできるものじゃないし、もしまたそれをやろうとすれば、従前やっておった仕事を捨てなくちゃならないというような事情になる。理研だとか、あるいは放医研あるいはまた原研にしてもそうですが、いままでやっておった仕事にやらなくちゃならない責務があるからやっておるのであって、それを捨ててまでこの仕事をやれというようなことをいう理不尽なことをやってもいかぬし、またそんな権限は科学技術庁にないと思うのです。そうだとするならば、やはり現場作業の手順というようなものをしっかり考えた上で、肩がわり委託をするにしても何にしても、その手法をわきまえてやらなくちゃいけない。そういう指導をやはり大臣はすべきだと思うのです、委託作業をやるについては。そういうことについてはしっかりとひとつ体制固めを今後やってもらいたい。大臣の所信をひとつ聞いておきたい。
  14. 森山欽司

    森山国務大臣 こういう御案内のとおりの緊急事態でございますので、理研放医研格別御迷惑をおかけするわけでございます。そのことは理事者はもちろん技術者職員の諸君にいろいろ御迷惑をおかけするわけでございますから、臨時に第一・四半期程度をめどにしてお願いする仕事でございますので、御理解を願って、そしてしかも分析研でわれわれが経験いたしましたようなああいう事態を再び繰り返さないような形で格別協力お願いをいたしたいと、そういう心がまえでやってまいりたいと思います。  つきましては、先生もいろいろ御意見もおありになると思いますが、どうかひとつ、いろいろお考えになっている点につきましては、私どもも十分お話を承っていくと同時に、ひとつ格別の御協力をぜひお願いをいたしたい。事情先生案内のとおりの状況でございますので、重ねてお願いいたします。
  15. 石野久男

    石野分科員 事情はよくわかるけれども、無理な委託契約をすると、あるいはまたそこから同じような事故が出てくる危険がありますから、それは厳に慎まなければいけないと思うのです。  三月一日から実行されております各都道府県衛生研究所等で採取された海水並びに原子力軍艦寄港地における海水海底土及び海産物の核種分析測定調査委託する契約、この契約の中に、現場からいうとやはりたいへんな無理があるのです。こういう無理をしてはいかぬ。たとえばこの契約書の中では、いま理研に対しては三十八種類の検体委託をしておるわけです。ところが、労働組合理研の幹部との話では、どう考えてみても一カ月に三十八体の分析はやはり無理なんだ、最大限やっても三十五体だろう。一検体をやるについて大体半導体検出器だけでも八時間かかる。それからデータづくり分析をするについても四時間ないし五時間はかかる、こういうんです。そして現在これにかかっている作業者などの比率からいっても、とてもじゃない、三十八体はできるものじゃないんだ、そういうような実態だのに三十八体の委託をしいるという、こういう無理なことをやったんでは仕事はできっこないと思うのです。これはやはり可能性があるかどうかをもう一ぺん詰めて、もうすでに契約は行なわれているけれども、こういう契約内容については再検討すべきだと思うけれども、そういう用意はありますか。
  16. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 先生指摘のとおり、今回の委託がえと申しますか、それにつきましては、前に分析研で行なわれたような、起こったようなことは繰り返されないということが最大の願いでございまするけれども、ただいま御指摘の三十八検体につきましては、そのうちの一部分は、前処理だけということにどうしてもならざるを得ないものも出てくるかと考えまするけれども、一応国民の健康を、国民の安全を確保されていることの確認でございまするので、あとう限りすみやかにやりたいというのが主眼でございまするので、一応契約はこういうぐあいにいたしておるわけでございます。
  17. 石野久男

    石野分科員 国民の期待にこたえるのが念願でということですが、しかし、現場実態がそれに即応しないような契約ではいけませんから、これは、私はやはり技術的なことは十分わかりませんけれども、いま一度そういう問題で現場が不可能だというようなものを契約内容にしたのでは、これは契約違反ということでまた必ず問題が出てきます。で、契約を実行しようとすれば無理が出てくるんだから、こういうようなことはさしちゃいけないと思うんです。これはやはりもう一度再検討すべきだと、こういうように思います。     〔中村(弘)主査代理退席主査着席〕  それから、なおこの契約書の中には、分析法の問題について、この分析マニュアルは甲の定めるところによると、こういうことになっている。甲というのは科学技術庁ですね。その科学技術庁にはそういう分析法が現在持たれていないから、それは理研のそれでやってよろしいという話になっているそうですが、それは事実ですか。
  18. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、この分析方法につきましては、理化学研究所に非常に御専門の方がおられます。で、分析方法につきまして従来とも科学技術庁といたしましては、理化学研究所その他の御専門の方の知識をいろいろおかりいたしまして、分析方法などを定めることにいたしておりますので、そういう御専門の方の意見を十分お聞きして分析方法を定めたいと、こう考えております。
  19. 石野久男

    石野分科員 ということは、結局科学技術庁から分析法についての科学技術庁マニュアルを出していないということですね。
  20. 伊原義徳

    伊原政府委員 実態といたしまして、十分御専門の方と御相談をしてはっきりした分析方法を定めてお願いをすると、こういうことでございます。
  21. 石野久男

    石野分科員 いろいろ答弁のしかたはあるけれども、科学技術庁ではこういう分析法でやりなさいということを提示していないということだけははっきりしている。そこで分析の非常に重要な点は、あそこの研究所は独自の分析方法がある。理研はこうだ、放医研はこうだ、あるいは原研ではこうだというふうに、専門屋がいるから専門屋の独自なやり方データが出る。使った機械だとかなんか、あるいは方法によりましては、一つのものに対する研究分析の結果に相違が出てくる。こういうやはり統一のない分析の結果を国民信頼することはできませんよ。私は、これは科学技術庁としては全く大きな手落ちだと思うんです。こういうことは早急に改むるべきです。科学技術庁が各事業所にあるいは各民間会社分析を依頼するときには、一定分析法というものを明確にするということをやらない限り、そこから出た分析結果について国民信頼を置くことはできません。私は、理研との間に取りかわした契約書の中にある、当方の、甲の定めるところによるということが書かれておるならば、それを具体的に聞違いなくひとつやるような方法を早急にとるべきだと思います。そうでなければ分析結果に対してこれは信頼できない。私はそういうことについて早急にやはり手当てをすべきだと思いますが、大臣、こういうようなやり方は、やはり分析の結果に対する国民信頼はとても得られませんよ。権威者がおるんだからつて、権威者がみんなばらばらに統一されていないような結果が出てきたら、これはどうにもならぬじゃないですか。大臣指導は積極的にこういう点で信頼が得られるようにすべきであると思うが、大臣の見解をひとつ聞きたい。
  22. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま先生指摘の点につきまして、確かに分析方法が統一されておるということは非常に望ましいことでございますが、特にこの際具体的に申し上げますと、機器分析につきましては、いろいろ使用いたします機械性能等もございますので、完全に、各研究所のやることが一〇〇%全く機械的に同一であるということはなかなか実態上むずかしゅうございます。むしろ多少の相違というものを前提といたしまして、最終的に各研究機関での結果を総合評価をするその評価委員会というものを設けまして、そこで十分技術的に総合評価をして、先生指摘のございました結果がばらばら信頼が置けないというふうなことが絶対ないようにいたしたいと、こういうことでございます。
  23. 石野久男

    石野分科員 それは一つの、もちろん総合評価委員会というものをつくることはけっこうですが、委託をする仕事を頼む前に一つ分析方法一定の目安のようなものがあって、それによって各省がやるのとそれぞれの事業所ばらばらにやるのとでは、これは全然違うんです。指導のあり方というものはこういうことでは科学技術庁指導に対して国民信頼を置くことはできない。これは大臣総合評価委員会をつくるのはいいけれども、その前にやはり統一された分析法というものを科学技術庁は示すべきである。それだけはっきりしないことにはこれは信頼置けませんよ。簡単なことですから、大臣、その点について所見、聞かしてください。
  24. 森山欽司

    森山国務大臣 私の聞いている範囲ではマニュアルはある。しかしマニュアルの細則のようなさらにこまかい細部の点につきまして、いま先生の御指摘があったのではないかと思います。ですから、マニュアル自身はあるわけでございますから、なおその細則的なもので、ばらばらになっているというような点がありまするならば、これは検討してみなければいけませんので、研究をさしていただきます。
  25. 石野久男

    石野分科員 マニュアルがあるならば、それはやっぱり理研科学技術庁のものを示すべきです。そこの分析者にみな権威者が多いから、そこにお願いして、そこから出てきたものに、若干の差はあとで総合評価をしますなんて、そういうやり方科学技術庁らしくないやり方です。科学技術庁というのは、最も信憑性が国民に対して得られるような、そういうことをやはり管理監督し、指導するところだと思います。だからこの点は、大臣の答弁はありましたけれども、やはりもしマニュアルがあるんなら、徹底的に科学技術庁のものを中心としてやらすようにすべきだ。で、そのことについてそれぞれの委託を受けた事業体との間の話し合いをすべきである。そういうことをはっきりしてほしいと思う。
  26. 伊原義徳

    伊原政府委員 先ほど私のことばが足りませんで申しわけございませんでしたが、原子力軍艦放射能調査指針というものがございまして、その指針の中で一般的なマニュアルは示されておるわけでございます。その中の細部につきましての問題ということで、先ほど御説明申し上げましたわけでございます。
  27. 石野久男

    石野分科員 いずれにしてもマニュアルの問題については、これはやはり統一性を堅持しなければいけないと思います。あちらでもこちらでもばらばらで、しかもあとでまた総合評価するというような二度手間をかけなくてもいいようにするべきだということを、これは大臣に強く訴えておきたいと思うのです。
  28. 森山欽司

    森山国務大臣 御趣旨の線に沿って検討さしていただきます。
  29. 石野久男

    石野分科員 予算、この契約の中に、人件費の問題で五十万円が計上されております。この五十万円の人件費というのは大体との――これは一カ月分だと思いますが、科学技術庁としては、大体何人ぐらいで、どのぐらいの技術能力を持った人を予定しておりますか。これは仕事を一カ月間にこれだけのことをやろうとすれば、当然やはり重要なことなので、その点が一つ。  それからいま一つ、今度委託について科学技術庁と折衝に当たった高橋正春理事という方は、これは昨年の五月までは分析化研の監事という任務についておった方ですね。しかも捏造事件の出たのは四十七年分でございまするから、高橋さんは、この捏造問題、四十七年分のデータ捏造については、少なくとも監事という形で間接的には責任を持っている方なんです。そういう方がまたこういうようなところで折衝しておるところにも問題がある。こういう問題は、ひとつあとで、人事の問題ですけれども、検討すべきだろうと思いますから、その点についてもまた所見を聞かしてもらいたい。  時間がもうあと一分ぐらいしかないんですが、ひとつその間、いまの問題についてお答えを願いたい。
  30. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 人件費につきましては、正確な数字がちょっといま手元にございませんので、あとで御報告いたしますが、レベルと申しますか、先ほどのお尋ねの点は、技術補助員というものを予定いたしております。  それから先ほどの、理研の現在の高橋理事が当時分析研の監事であったんではなかろうか。たしかその時期に監事をしていたかと聞いておりまするけれども、今回の件につきましては、契約につきましては、高橋理事だけが担当としてやったわけではございませんで、その辺は高橋理事も一つの窓口の一端であったことはございまするけれども、総合的にいたしまして進めまして、先ほど申し上げました分析研の前のようなことにならないようにということは、まわりでも関係者が全部そういう気持ちでやったということでございます。
  31. 石野久男

    石野分科員 いまの補助員という問題についてもいろいろありますから、実際に仕事ができなければいけませんので、それで私は、大体どの程度の技術能力を持った人を目安に、そして何人ぐらいということでこの五十万が出たかということをお尋ねしたのです。いまわからなければですが、やはりこれは現場では非常に問題があります。どうでもいいというわけにはいきませんから。しかもみんな仕事は目一ぱい持っているので、こういうことについて、もう少し綿密に契約内容等についても当局はやはり考えていかないといけないということだけを申し上げておきたいと思うのです。  それから高橋君の問題等についても、私はやはり再び事故の起きないようにする、そういう科学技術庁としての配慮が必要だと思います。これは、長官に特にこの点には念を押しておきたいと思います。いかがですか。
  32. 森山欽司

    森山国務大臣 せっかくの御発言でございますから、よく事情調査して、検討いたしたいと思います。
  33. 上村千一郎

    上村主査 次に、米内山義一郎君。
  34. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 科学技術庁にお伺いしますが、東墓電力と東北電力の両社が、青森県の東通村というところに、それぞれ一千万キロワット、合わせて二千万キロワットの原子力発電を計画して、すでに一千ヘクタール近い用地を買収しております。その内容は、百万キロワットの原子炉を二十個建設するというのであります。これは私どもから考えると、現代における世界の常識を越えたものだと思うんです。そこで、こういうふうな原子力の乱開発とでもいうべき計画が、国の原子力長期計画に沿うているものか。こんな非常識なことが、国の政策とどういうふうな関係を持って進められているのかということに非常な疑問を持つのであります。この点をお尋ねしたいと思います。
  35. 牟田口道夫

    牟田口政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘の二千万キロワットということでございます。これは現在まだ会社の中でも検討中でございまして、正式に申請が出ておるわけではございません。したがいまして、当庁としては、まだそういうものを検討する段階にございませんけれども、またしたがって、そういう段階でございまするから、建設はだいぶ先のことであろうかと考えまするけれども、いまの原子力発電計画が即乱発計画ではないかということにつきましては、こちらの原子力長期計画に沿って推進していきますときの第一の問題点は、安全性の審査ということを厳重に考えていくということは、現在も将来も変わりないことと考えます。
  36. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 この地域の農地転用の許可をした農林省の言い分だと、許可した条件というのは、通産省の調査を根拠にして許可したというが、通産省はどの程度の調査をし、どういうふうな結果を出したのですか。通産省おいででしょうか。
  37. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 ただいま御指摘の東通村におきます東北電力、東京電力の原子力発電所立地の問題でございますが、電気事業者といたしましては、その供給力を確保するために、電力会社の責任において用地を取得しているわけでございますが、東通村につきましては、通産省の原子力発電立地調査ということで、地盤と風向風速、そういう問題の調査をいたしたことがございます。ですけれども、そういうことでの一応の調査はいたしましたが、ここの用地が確実に原子力発電所の建設のために役立つかどうかという問題は、これから具体的に電源開発調整審議会におきまして、その電源立地の必要性を審議してもらう。それからそのあとまた原子力委員会におきます安全審査、それから通産省におきます環境審査というのを通しまして、具体的に審議していくことになると思います。
  38. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 そこで、専門家のほうに、きわめて簡単な問題二つをお尋ねしたいと思います。  この二千万キロというものの当否は別問題として、かりに二千万キロというような巨大な原子力発電が運転開始されれば、どの程度の冷却水を必要とするか。専門家の書いたものを見ると、十万キロに対して秒当たり七トンないし八トン要るというのですが、二千万キロともなれば、相当な量だと思うのですが、常識的に、大体二千万キロというと、どのくらいの冷却水が必要か。そしてそれが大体何度ぐらい温度が上昇して排出されるのが通常であるかという点を……。
  39. 伊藤栄一

    ○伊藤説明員 最近の原子力発電所の例によりますと、大体八度C前後の温度上昇がございますが、その場合には二千万キロワットでございますと、毎秒千二百トン程度の排水が出ると考えております。
  40. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 それからもう一つ。原子炉の耐用年数というものは、二十年以内じゃないかと、こういわれています。耐用年数の切れたものはもう修理ができない。そうすると、それが古い墓場みたいになる。そうしてその次にまた新しいものをつくるといわれているのですが、いわゆる原子炉の二十も立地すると、将来はあの村全体が原子炉のゴーストタウンみたいになるんじゃないかといわれることをも聞くのですが、原子炉というものはそういうものですか。
  41. 伊原義徳

    伊原政府委員 現在世界的に実用化されております原子力発電施設につきましては、一般に、物理的な耐用年数と申しますか、寿命は三十年以上あるであろうといわれております。そこで、その三十数年後に一応耐用年数が尽きて、それから先がどうなるかということでございますが、原子力開発の歴史から見ますと、その使用目的を終わりました原子炉は解体をする。こういう例は世界各国に幾つかございます。まず燃料を取り出しまして、あと除洗と申しますか、放射性物質を洗い去りまして、それから施設を解体するわけでございます。この場合、一部分、たとえば圧力容器などにつきましては、完全に解体して外へ持ってまいりますことが少したいへんでございますので、その場に置いて、立ち入りをしないように十分監視し、あるいは放射能汚染のないように密封をするというふうなことを、現在の技術でも考えております。そういうふうにいたしますと、その既存の発電施設のすぐそばに隣接して、新しくまた発電施設をつくるということが可能でございます。  そういうふうなことでございますので、原子力施設が耐用年数を過ぎたあと、それがゴーストタウンになるというふうなおそれはないと考えられます。
  42. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 とにかく二千万キロ計画なんというのは、いまの段階では、幽霊みたいなものだと思います。これを中心に議論することもむだだと思いますので、これで質問を終わります。
  43. 上村千一郎

    上村主査 次に、楢崎弥之助君。
  44. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は、高浜入り干拓問題にからみまして起こった、一般住民の機動隊による暴行事件についてお伺いをしたいわけですが、と同時に、これほど住民の血を流してまで強行しなければならない高浜入り干拓とは一体何なのか、それを、時間が限られておりますから、時間の許す範囲で明らかにしていきたいと思うわけです。  そこで、まず、本年一月二十八日に、この暴行を受けた高野りんさんから告訴が行なわれた。告訴された人は、茨城県警本部長原仁、麻生警察署長柴田安定、それから茨城県警察機動隊員氏名不詳約七名。  被疑事実というのは、「昭和四十九年一月十一日午後四時三十分ころ、茨城県玉造町大字八木蒔字池下三五二番地の一道路上付近において高浜入干拓反対同盟員らが「干拓事業」着工に反対するため集団示威行進を行なっていた際、告訴人が、前記道路上付近を一人で通行しているのを発見するや、やにわに告訴人に襲いかかり、それぞれ所携のジュラルミン製たてでなぐりかかり転倒させた上、乱闘靴で全身を激しく十数回けりつけるなどの暴行を加え、もって約一カ月の入院治療を要する顔面挫傷、両側胸部挫傷、多発性肋骨骨折、右臀部挫傷、左足関節部挫傷、左血気胸の傷害を負わせ、前同日同時ころ、前記道路付近において、告訴人が何らの犯罪行為をも行なっていないことが明白であるにもかかわらず、その職権を乱用し、告訴人を逮捕し、さらに同日午後十一時過ぎごろの間まで約六時間半にわたり、告訴人を麻生警察署、石岡警察署留置場内に不法に監禁し、その間、前記麻生警察署内において、告訴人に竹ざおを持たせ、写真撮影をなさんとしたところ、告訴人がこれを拒否するや、告訴人のそばに竹ざおを持って立ち、無理やりそのわきに告訴人を立たせた上、写真撮影を行ない、よって、その職権を乱用し、人をして義務なきことを行なわしめたものである。被告訴人らの右(1)の行為は刑法百九十六、百九十五条の特別公務員暴行陵虐致死罪に、同(2)の行為は同法百九十四条の特別公務員職権濫用罪に、同(3)の行為は同法百九十三条の公務員職権濫用罪にそれぞれ該当すると思料されるので、ここに、厳重な処罰を求め告訴をなしたものである。」こういう告訴状が出ているわけです。  まず、この中にあります、麻生警察署内において、高野りんさんに竹ざおを持たして写真撮影をしようとした。で、高野さんがこれを拒否したので、今度は警察のほうが竹ざおを持って高野りんさんをそばに立たせて、無理やりに写真をとらした、こういう事実はありましたか。
  45. 山本鎮彦

    ○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。  高野りんという人を公務執行妨害、道交法違反の現行犯で逮捕いたしまして、署へ引致したわけでございますが、その証拠物件といたしまして、逮捕した際、高野りんの横に放置されてあった竹ざおをあわせて押収いたしまして、これが本人のものであるかどうかということを本人に尋ねたのでございますが、本人は一応否定をいたしました。しかし逮捕者としては、諸般の状況から、道路が四・五メートルしかない狭いところであり、逮捕時の状況その他から見て本人のものである疑いが濃いということで、一応の犯罪の証拠物件として、逮捕者がそのものを持って、本人のそばで一緒に写真撮影をしたということは事実でございます。
  46. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 最初は本人に持たせようとしたのでしょう。何で持たせようとしたのですか。そういうことができるんですか、事実関係がわからないのに。そういうことを強要して写真をとるなんという行為は、一体何ですか。
  47. 山本鎮彦

    ○山本(鎮)政府委員 本人のものでないかということで、本人に持たせようとしたわけですが、これは本人が拒否いたしたものでございますので、それは持たせなかったわけですが、逮捕者としては、その物件の放置されている状況、それと本人との関係、そういうものからして、本人の持っていたものの疑いが非常に強いということで、逮捕者が横に立って一緒に撮影したということでございます。
  48. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 しょうがないからそうしたのでしょう。当初その旗を持たせようとした行為がまずおかしいんですよ。何でそういうことをやるんですか。何の権限でそういうことをやるんですか。無理やり本人が竹ざおを持っていたということを写真にとろうとしたのでしょう。そうじゃないですか。
  49. 山本鎮彦

    ○山本(鎮)政府委員 そういう罪名で逮捕した場合、証拠物件としてあわせて写真を撮影するということは、普通の手続としてやっているわけでございますが、本人のものであるかどうかを確認したわけですが、本人がそうじゃないということであったので、一応本人に持たすという行為はやめたわけですが、しかし証拠物件であるという認定のもとに、写真を撮影したわけでございます。
  50. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 本人は暴行を受けて――あとで述べますけれども、告訴状にもあるとおりのひどいけがをしている。助骨も折れている、肺の中に血も入っている、そういう状態で苦痛を訴えたときに、どうして六時間も留置されたのですか。あしたになってみればわかるという警官のむごい言い方で、顧みられなかったのです。
  51. 山本鎮彦

    ○山本(鎮)政府委員 逮捕したときに暴行を加えたようなお話でございましたが、事実関係から申しますと、そういうことは、これまでの調べでは全くございません。結局、機動隊が、集団で違法なデモを行なっている者に対して、警告、制止をする。そして公安条例違反で指揮者を逮捕しよう。それに対して、投石ということで一団となって激しく抵抗するという形で、機動隊が集団的に公務執行妨害をすべてやっているという認定のもとに、逮捕しようと思って前進したとき、その一団がずっと逃げていったわけでございますが、そのあとに、高野りんという方がそこにうずくまっておったという状況であって、逮捕時に飛びかかって逮捕するとか、そういうようなことは一切いたしておりません。したがって、本人を麻生警察署に連れてきて、それからさらに石岡警察署に連れていって、その際話を聞いたときも、本人は、警察官に暴行を加えられたというようなことは一言も言っておりません。むしろ、学生たちに踏まれたことはある、こういうことを言っております。そして、もしけがをして痛むならば、すぐ医者を呼ぶから言いなさい、こう言ったところ、本人は、そういうことはない、こういうふうに言っております。したがって、そういうことであって医者を呼ばなかったわけでございまして、さらに、本人の氏名もわかりましたし、身柄の引き受け人も来るというし、女性であるし、かなりの年配者であるということで、当日十時半に石岡署で釈放した、こういう事実になっております。
  52. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 あとで明確にしますけれども、全然関係ない人ですよね。たまたま実家に帰って、通りかかって、その乱闘の状態を見て、それはだれだって、警官のあの乱闘の状態を見れば、やじの一つも飛ばしたくなりますよ、一般の人でも。だからといって、直ちに暴行を加え逮捕する。私も昭和三十一年、砂川のあの問題のときに告訴したのですけれども、警官隊から踏んずけられて、私の肋骨は、おかげで一月入院したんですよ。そしていまレントゲンをとっても、私の骨はこうなっているんですよ。私自身がその体験者です。警官が、機動隊がどういうことをやるか、どんなにあなたたちが抗弁しても、私は体験者ですよ。  そこで、それでは事実関係を聞いていきましょう。  高野さんの逮捕理由はどういう理由ですか。
  53. 山本鎮彦

    ○山本(鎮)政府委員 公務執行妨害と道路交通取締法違反でございます。
  54. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 どういう公務を妨害されたのですか。
  55. 山本鎮彦

    ○山本(鎮)政府委員 これは、極左暴力集団の人たち百二十名ぐらいが、この干拓事業に反対するということで、無届け、違法なデモを行なっている。そういう状況に対して、しばしば公安条例違反であるということで、警告、制止したにもかかわらず、相変わらずデモをした、そういうことで、指揮者、扇動者を逮捕しようということで前進しようとしたところ、その一団が激しく投石をする。しかもそれはあぜ道の一本道でございまして、ほかに見物人等はいないわけであって、その一団がすでに二時ごろから、そこらで行ったり来たりしているということで、全く一つのかたまりとして、すべての者が全体として激しい投石をするということでございますので、現場の指揮官としては、その集団全部が、要するに公安条例違反の逮捕、それから、道路一ぱいに来てすべての交通を途絶させてしまったということで、道交法違反の容疑ですべての者を逮捕する、そういうことで前進をした。そのあとに、そこにうずくまっておったということでございますので、やはりこの集団の中で一緒に行動したものであるという認定のもとに逮捕したということでございます。
  56. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 麻生署から石岡署へ転送した理由は何ですか。
  57. 山本鎮彦

    ○山本(鎮)政府委員 その当時七人逮捕されて、麻生署は非常に小さい署でございますので、なかなか調べがはかどらないというようなことを判断いたしまして、隣接の署へ移送したということでございます。
  58. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 一月二十八日に、国立水戸病院外科に入院中の高野さんのところに、刑事が二人行かれましたね。何のために、どういうことを言いに行かれたのですか。
  59. 山本鎮彦

    ○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。  当日はそういうことであって、十時半ごろ釈放して、詳しい調べはしていなかったわけでございますので、その後聞きますと、肋骨骨折ということで入院されておるという事情でしたので、しばらく時間がたちましたので、病院のほうへ行って、会って事情を聞きたいのだが、病状その他からしてよろしいか、だいじょうぶですかと聞いたところ、病院のほうで、けっこうである、こういわれて、一応いつごろ出頭して話を聞けるかどうかということを本人に聞きに行くために病院を訪問した、こういうふうに聞いております。
  60. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 先ほどの公務執行妨害の具体的事情ですが、道路でその種の衝突があった。道路ですから一般の人も歩きますね、歩いていかぬということはないのだから。たまたまそこに行き合わした一般の人が誤認逮捕をされるということもあり得るでしょう、そういうお考えだったら。どうですか。
  61. 山本鎮彦

    ○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。  その道路は非常に狭い道路であり、四・五メートルぐらいで、道一ぱいで、しかも両側はたんぼになっておるわけで、いろんな人がその状況では見物することもできないし、また通り抜けるということもできない。道一ぱいに広がって、全部遮断して、デモ隊が赤旗を持って竹ざおを使ってわっしょいわっしょいやっておりますので、そういうところにまぎれ込むということは、その当時二時ごろからそういうことをやっておった状況では、ちょっと考えられない。それから写真等もたくさんございますが、そういう写真から見ても、一般の人が通るような状況にはちょっと見受けられない、こういうふうに判断をされます。
  62. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 あなたはその現場を見てないのでしょう、どうですか。
  63. 山本鎮彦

    ○山本(鎮)政府委員 私は見ておりません。
  64. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ではここで、いずれこれは裁判になりまして証人として出られる方ですけれども、いまのところ名前はイニシアルで言っておきます。二、三証言をここで明らかにしておきたい。  まず第一番にK・Sという方ですが、これは主婦の方で三十二歳。あなたがいまおっしゃった道路わきに、自宅のある方です。ちょうど自宅の前でその衝突を見ておった。この人の証言です。  「機動隊とデモの人たちの衝突は三回ありました。私は道のそばで、機動隊に向かって「お客の車がこわれたらどうするのか」など叫んでいましたが、私の近く、工場の前でも、「機動隊は暴力をやめろ」と叫んでいる女の人がいました。あとでわかったんですが、その人が高野さんだったんですね。第二回と三回の(衝突の)間に、高野さんは踏切のほうに歩いていきました。機動隊は踏切のほうから進んできましたが、」逆に進んできたわけですね。「前の方の隊は高野さんをそのままやり過ごして進んできました。そのすぐあとからもう一つの隊がばらばらになりながら進んできましたが、そのうちの一人が急に高野さんを突き倒し、数人が取り囲んだので、私からは高野さんの姿は見えなくなりました。その場所は、家のそばの、踏切のほうにある花壇のところです。駐車場の横の道にいた学生たちが、」この学生たちは四、五十メートル離れておったそうです。「「その人は関係ないぞ、乱暴するな」とどなっていましたが、高野さんはしばらく立ち上がりませんでした。」これが証言です。つまり暴行を受けてから立ち上がれなかった。うずくまっておった。さっきあなたのおっしゃったのは、暴行を受けたあとの姿ですよ。「とにかく、機動隊の前の隊は何もせずに通り過ぎたのですから、衝突の最中巻き込まれたというのじゃありません。」「警察の言っていることは間違いです。」これがこの方の証言です。  次に、診断書が三枚出ております。ずっと病院を回られたわけですね。そして最後に国立水戸病院に行かれた。  最初は、塙病院というのでしょうか、そこに行かれて、左側胸部打撲症、左下肢、左腕打撲症、これが最初ですね。二カ月間の加療を要する。一月十一日。  その次が、家に帰られて、いよいよ悪くなって――私も経験かあるけれども、そのときはすぐ何ともないのですよ。だんだんあとで出てくるのですよ、この種の打撲症、挫傷は。それでおかしいから、今度は十四日に玉造の病院に行かれた。そしてレントゲンをとって初めてわかったのですね。それでさっきの告訴状にあるのと同じ診断を下された。そして、国立水戸病院に行きなさいということで、水戸病院に回ってこられた。そして国立水戸病院の外科の柴崎信悟という医師が、告訴状にあるのと同じ診断を下された。一カ月間の入院を要する。  次は、この柴崎医師の証言です。「高野さんのけがの状況は四つに分かれています。一つは顔の鼻根部挫傷で、入院当時、左目のほうにかけて皮下出血がありました。二つ目は両側胸部挫傷で、右第六助骨、左第六、七、八助骨、計四本が折れています。三つ目は右臀部挫傷、四つ目は左足関節部挫傷です。挫傷とは、鈍器、すなわちある程度まるみを帯びたものによる打撲です。左側三本の肋骨は、ある線でそろって折れています。何によって折れたかは、診察によって特定はできませんが、ある程度の長さを持ったものによる打撲であるといえます。骨が何キロの加重で折れるのかは知りませんが、まるい筒状のものですから、相当の強い力が加えられないと折れないと思います。折れた骨は内側にめり込み、ざらざらした折れ口が肺に接触し、息をするたびにこすれます。このため、胸膜損傷によって気胸」つまり肺に空気が入るわけですね。「気胸となり、血も一緒に出ているので診断名としては左血気胸といいます。高野さんの肺は、入院当時、約三分の二に収縮していました。」私も膿胸をやったことがありますけれども、気胸もやったことがある。空気が入れば肺は縮むのですね。「負傷の瞬間から息苦しくなり、相当痛みます。そのままでは歩行も困難です。処置としては、胸腔内にたまった血と水などを管で吸い取ればよいのですが、放置すれば致命的なものになり得ます。高野さんの話では、「痛くて痛くてたまらないから、病院に見せてくれ」と警察で言ったそうです。一月十一日(四時半ごろ)負傷して、十二日午前二時ごろ、おそらく釈放されてすぐでしょうが、近くの塙病院に行ったけれども、「たいしたことはない」と帰されたそうです。同日の午前十時ごろ、痛いからまた病院に行き、十三日に玉造の病院でレントゲン写真をとって判明、十四日にここに回されてきました。一月十四日に入院され、加療一カ月と診断しました。これは要入院期間のことであって、「全治」ということではありません。折れた骨は、多少内側に曲がったまま、膜ができてくっつくでしょう。後遺症のことは、現在の時点では言うことはできません。それは退院されたあとの問題です。その意味では、場合によっては「全治一生」ということもあり得るのです。入院時に高野さんから、そろった洋服を着た人たちからなぐられたと聞きました。それ以上は、本人が苦しんでいたので聞いておりません。」以上が柴崎医師の証言であります。つまり、警官の暴行によることは明らかである。  そこで、先ほど申し上げたとおり、誤認ということはあり得ると思うのですよ、神さまじゃない限り。それを強弁して、公務執行妨害など――本人は五十一歳ですよ、当時。たまたま弟さんの実家に行っての帰りにそういうことにあった。道である以上はあり得ますよ。それをあやまるならともかくも、開き直って、公務執行妨害、道交法違反、何ですか、これは。絶対に警察は確信がありますか。
  65. 山本鎮彦

    ○山本(鎮)政府委員 ただいまいろいろな証言の内容についてお話しいただきましたけれども、私どもも、現地の警察の当時の責任者、あるいは逮捕者、そういう者から詳しい事情について報告を受けておりますが、その内容については先ほど御説明したとおりでございまして、その間、本人を逮捕する際に、直接制圧的な行為を加えた事実は全くございません。したがって、警察官が暴行を加えたということは、われわれの調べでは、そういう事実は全く存在いたしておりません。  それから、いまのような罪名を適用した事情については、先ほど御説明申し上げましたような状況下においては、それは当然であるというふうに考えております。
  66. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 どうしてもあなたはそれを強弁しますか。この主婦は東京の方ですよ。そしてさっき言ったとおり、たまたま実家に帰られて、もちろん反対同盟のメンバーでもない。ただたまたま行き会わしたから、その衝突の状況を見て――それは先ほど言ったとおり、だれだって言いますよ。あの機動隊の暴力というものはひどいのだから、暴力をやめなさいというようなことは、それはだれだって言いますよ。これは何回聞いてもあなたはいまの答弁を繰り返すと思うから、いずれこれは裁判で決着がつくと思うのですね。  そこで大臣にお伺いしておきますが、いまのやりとりを聞かれて、大臣としてはどういう御見解でしょうか。ちゃんと診断書もそろっている。ほかにだれがこういう暴力をふるいますか。一列に並んだように肋骨が折れている。これはたてでやった以外にないんです。はっきりしておるじゃありませんか。
  67. 町村金五

    ○町村国務大臣 高野りんさんが負傷を負われたということは、私も警察当局からその後報告を聞いておったのでございます。まあ私としては、今日の警察が、そういった全く関係のない方に、機動隊が行動をする際に暴行を加えるというようなことは万ないと、私はまあ確信をいたしておるわけでございますが、いま楢崎委員の御指摘によりますると、警察当局がこれに対して説明をしておりますることと全く反する事柄で、そういった事態が起きたということを、はなはだ私は遺憾なことであると存じておるのでございますが、すでに事は裁判所に告訴をされておるということでございますので、その黒白はその場合明らかにされることであろう、こう考えるのでございますが、私どもは、平素機動隊は、治安維持のためにどうしてもやらなきゃならぬという場合には、警察権の厳正な執行を行なうということは当然であると考えておりまするが、ただその場合、関係のない者、無実の者に対して強制力を加えるというようなことは、絶対にあってはならないことだということは、これは当然の警察権執行の大原則でございますので、今日の警察としては、十分その点を守ってくれておるものと、かように私は信じておるのでございます。
  68. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 山本さん、警官だって悪いことをする人はおるでしょう。犯罪を犯す人もおる、誤認逮捕もいままであった。だから事態は明確だから、そんなに警官のやることはいつも正しいということは胸張って言われないでしょう。もう少し事態を見きわめて、これは誤認であったということがわかれば、謝罪をすればどうですか。そっちのほうが警察としての威信を増すことになるんです、私に言わせれば。事態は明白ですよ。どうでしょうかね。
  69. 山本鎮彦

    ○山本(鎮)政府委員 諸般の事情から、もし誤認であるとするならば、私は率直にここでおわびをいたしたいと思うのでございますが、いままで申し上げましたように、非常に詳しい報告も来ておりますし、諸般の情勢から見て、われわれとしては一応妥当な行為じゃないかというふうに考えておるわけでございますが、ただ、御本人からまだ詳しい事情を聞いておりませんのでからだが本復したらいろいろと事情を聞きたいということは、御本人にさらに繰り返していっておりますので、出頭してきて、詳しい事情を御説明いただければ、その間の経緯がはっきりするというふうに考えておるわけでございます。
  70. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これほどの重傷を負わして――重傷を負っていることは事実なんだ。それをしもなお、当然の行為である、公務の執行の妨害があった――全く私はけしからぬ態度だと思うのです。なぜこれほど機動隊がこのようなむちゃをやるのか。最近いわゆる住民運動に、学生運動ではなしに住民運動でも、機動隊のこの種の介入が非常に多くなった。これが私は特徴であると思うのですよ。じゃ一体なぜ、これほどまで気違いじみた暴行をしてまで、この高浜入り干拓事業を守らなければならないのか。時間がありませんから、私は指摘だけしておきます。  農林省、来ておられるでしょう。この干拓計画、一番最初は昭和二十八年七月ですね。まだ米がほしいころです。だんだん世の中が変わってきて、農政も変わってきた。いまや休耕させる、米づくりを減らすというような時代になってきた。今度はその目的を変えてきた。当初はその生産作物は米、大麦であったけれども、現在は蔬菜とかなま乳とか、酪農のことをいいだした。昔は二、三男対策のために干拓するんだといっておりながら、いまはそれは全然いわなくなった。そして昔は主食の農地造成をやるというのが目的だったけれども、いまは大規模機械化農業というふうに、目的をわざわざ変えてきたのですね。そして何ですか、一方においては田中総理は三十万ヘクタールの農地転用を打ち出しておる。そして水稲の生産調整をしながら、この高浜入りでは千二百ヘクタールの干拓、食糧自給を高める、全くこれは政策の矛盾じゃないかと私は思うのですよ。しかもあの玉造という町では、たんぼが三十四ヘクタール、畑が千四十四ヘクタール遊んでいる、休耕地になって、そのままにされているんですよ。それには手をつけないで、何でその干拓を急ぐのです。そっちのほうへ手をつけるのが先でしょう。茨城県全域では約二万ヘクタールの休耕地、これは全国で九位です。そういう遊んでいる農地を活用しようとしないで、どうしてこんなに無理してまで新規に農地造成をする必要があるんですか。漁業権の問題も起こってもめておる。いまや、かつて昔の時代には賛成だった人も、今日の事態において反対に回ってきておる人がどんどんふえておるのですね。玉造では半数以上がもう反対に回っておる。それからあなた方がいっておる酪農の問題だってそうでしょう。あなた方のプランによりますと、七・五ヘクタールの土地に五十一頭の乳牛を飼う。そのうちに搾乳牛は四十頭の計算でしょう。年間約二百トンなま乳をあげる。計画のときでは千二百万円の年収でしたけれども、乳価がキロ八十二円になっておりますから、千六百四十万円の粗収入があがることになっている。しかし一体六百万円と見込まれております経営費の内訳というのは全然不明ですね。そして飼料の点から考えると、これは専門家の試算によれば、二百トンのなま乳を出そうと思うと年間に約三百トン強の飼料を購入しなければならない。この飼料代だけで二千百万円かかりますよ。別の統計ではなま乳一キロに対する飼料代が約十五円と見積もられております。だから二百トンの乳量をあげるためには三千万円の飼料代がかかる。だからもう七・五ヘクタールで搾乳牛四十頭では、どんなにけっぱってみても飼料代が出るのがせいぜいなんです。そのほかにあれでしょう、機械化しなくちゃいけないから設備費が二千万円か三千万円かかる。そうすると金利だけで年二百万円近くかかってしまいます。これじゃやっていけるはずがないんですね。しかもそのほかに集合住宅の取得費あるいは農業機械化設備資金、ふん尿処理施設分担金、車両購入費そんなことを加算していきますと、借りた金は返せませんよ。もう目に見えておる、入れてみたら。では一体何のためにこれをするのか。結局、入っていった人がやがてやれなくなって離農する、それを待っている。そしてこれを茨城県内部の内陸工業地帯の中心団地にする。わかりきっているんですよ、筋道は。つまり大企業にやがて占有させる、そういうねらいであることは、いままでのほかの土地の経験からもわかっているのです。つまり大企業と癒着した国家権力の意思がここに動いているのですよ。そこで私は一つだけ最後に調査お願いしておきたい、いいですか。  最近、玉造町で玉造漁業協同組合所属の各地区の漁民が、干拓に伴う漁業補償金の配分かどうもおかしいということで、組合長と理事に対して漁業補償の配分計画、個人別の支払い明細、基礎資料の説明を求める公開質問状が出されておる、御存じですか。この公開質問状はただいま言いましたように漁業補償の配分計画書、各人別支払い明細書さらに算出の基礎資料を来たる二十八日までに公開し、説明せよ――これは二月のことです、といっておるが、いまだにそれが返答がないという状態のようであります。この漁業組合では二カ年にわたって総会が一ぺんも開かれていない。補償金の配分計画も組合員の議決を経ていない。そればかりか年間を通じて九十日以上漁業に従事しない者まで、つまり漁業組合員の資格がない人まで補償金を受け取った事実があるようであります。そしてこのほかにも漁業補償金の約一〇%を県漁連、霞ケ浦漁連、単協で天引きをしておる。さらに実際に漁業をしていない役場の職員までが補償金を受け取っておる。こういった非常に疑問点がある。で、補償の点をちょっと明確にしておきたいのですけれども、まず漁協が漁業権放棄の決議をしていったですね、これにも問題があるのです。さっき言ったとおり漁協の組合員としての、年間九十日漁業に携わっておるという資格を持たぬ人まで入れて、無理やり決議をしているので、これはまた別個に異議が出ておりますね、つまり漁協総会決議無効確認訴訟が出ておる。このインチキな総会の決議によって総額十二億一千五百万円の漁業補償協定が締結されておる。これは四十五年二月十八日であります。そして四十五年四月三十日にその補償金の一部の七億三千九百万円が県の漁連に支払われております。ところが反対派が三十八人あったためにこれを一応凍結をした。そして四十六年六月二日になって、その補償金をいつまでも凍結するのは会計法上疑問があるということで、反対派の漁民の三十三人――現在では三十一人ですけれども、それの四千三百万円を分離して、総額十一億七千二百万円の協定書に変更して凍結を解除いたしておる。そして四十七年二月九日、県漁連は高浜入干拓漁業被害対策委員会で補償金の組合別配分額を決定している。その先がいま言ったようないろんな疑問の配分になっておる。そこで、これは国の予算と関係するわけですから予算委員会の主題です。したがってこの漁業補償の配分計画書、各人別支払い明細書、さらに算出の基礎資料、これを当委員会に出していただきたい。あわせてこの配分状況を具体的にわかるような説明書を添えて当委員会に資料として出していただきたい、よろしゅうございますか。
  71. 上村千一郎

    上村主査 だいぶお約束の時間が延びておりますから、簡潔にお答えください。
  72. 杉田栄司

    ○杉田政府委員 簡単にお話し申し上げます。高浜入干拓事業に伴う漁業補償の支払い状況についての資料の御要求でございますが、漁業補償金の配分については、補償協定書におきまして県漁連及び霞ケ浦漁連が全責任をもって実施するという項がございまして、国はその個人別の配分等につきまして関与する立場にないわけでございます。これは各単協ごとに配分委員会をつくりまして、その配分委員会の決定に基づいて配分が公正に行なわれておるというふうに聞いております。したがいまして国としては各個人別の配分等につきまして関与しない、そういう協定になっておりますので、困難かというふうに思います。
  73. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それはだめです。おかしい点が配分上あるから、予算委員会に報告を求めるのは当然でしょう。どうでしょうか、主査。おかしいんだから。国の予算でしょう、どこの予算ですか。その配分状況の説明を求めるということがどうしてできないのですか。そんな協定は認められませんよ、もし協定をたてにとるのだったら。その対策委員会に報告させなさいよ。金がどういうふうに執行されておるか、予算委員会としてはわれわれは監視する責任があるのです。
  74. 杉田栄司

    ○杉田政府委員 特に玉造漁協の補償金の配分につきましては、茨城県のほうに監査請求が行なわれておりまして、そこで水協法に基づきまして立ち入り調査をするという要請が出ておりまして、茨城県としては組合員からの要請でもありますので、組合運営の指導として調査をするということを聞いております。そういう指導等が行なわれた際には、その内容を聞くことにしたいというふうに思っております。(楢崎分科員「報告しますか、当委員会に」と呼ぶ)その内容が県のほうから出てまいりましたら、報告いたします。
  75. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ではそれを約束しまして、終わります。
  76. 上村千一郎

    上村主査 次に、津川武一君。
  77. 津川武一

    津川分科員 日本原子力船事業団が原子力船「むつ」の定係港のバックグラウンドの調査をするために日本分析化学研究所に調査を依頼しましたが、この調査科学技術庁が事業団にすすめた調査でございますか。
  78. 伊原義徳

    伊原政府委員 原子力船事業団といたしまして定係港周辺の環境放射能調査が必要であると考えまして、その業務を委託いたしたものでございます。
  79. 津川武一

    津川分科員 科学技術庁は、原子力事業団からどこでどんな調査をすればいいかということを相談受けて、日本分析化学研究所を推薦したのでございますか。
  80. 伊原義徳

    伊原政府委員 その辺の事情をただいまつまびらかにいたしませんが、原子力船事業団が事業団の目的遂行のために必要と認めて委託したというふうに承知いたしております。
  81. 津川武一

    津川分科員 私も青森県庁を通じて、そのときの分析化学研究所が事業団に出した報告書を持っておりますが、科学技術庁原子力局はこの報告書に目を通しておりますか。
  82. 伊原義徳

    伊原政府委員 報告書につきましては、第一回から第八回までの報告書がございまして、担当課のほうで目を通しております。
  83. 津川武一

    津川分科員 報告書に目を通してみて問題はありませんでしたか。
  84. 伊原義徳

    伊原政府委員 内容につきまして、たとえば試料の採取年月日その他につきまして不備の点があることを認めまして、それにさらに、特に分析化学研究所の問題が起きましたので、至急分析化研にこの関係につきましても立ち入り調査をいたさせまして検討をいたしておる段階でございます。
  85. 津川武一

    津川分科員 私もこの報告書を検討してみたわけですが、報告書の中身、かなり問題があります。一つの問題は日付でございます。第二回目のカレイ、ナマコ、ホタテを採取した日は、事業団の報告によると四十四年十一月八日、分析化学研究所の書類によると四十四年十一月十四日、十一月八日、十一月十四日と違いが出ています。第八回目にカレイとホタテをとったのは、事業団の書類では四十七年十一月九日、分析化学研究所では四十七年十月十日、これは約一カ月の差が出ております。こういうふうに報告のズレがありますが、この点が目を通したとき見られましたか。
  86. 伊原義徳

    伊原政府委員 残念ながら、ただいま先生指摘のような間違いがございまして、この点について調査をいたしております。
  87. 津川武一

    津川分科員 長官、こんな状態なんです。こんな食い違いが出てくるわけです。私も科学者の一人です。科学的な研究、検討、調査、大事な結論を出すとすれば、採取された材料というもの、対象になる材料の検討が非常に重要なのですが、こういう状態にあることを長官はどんなふうに考えておりますか。
  88. 森山欽司

    森山国務大臣 きわめて重要なことだと思っております。
  89. 津川武一

    津川分科員 その次に、事業団が試料採取してから分析化学研究所にその試料が到達するまでにまた問題があるんです。第三回目でいうと、海水海底土、採取して分析化学研究所に到着するまで十四日間、プランクトンでは十八日、第六回目の海水海底土は二十六日、第八回目の海水海底土は二十日、カレイ、ホタテでは三十四日、プランクトンでは四十六日かかっております。私たち科学をやる人は、材料が新しいうちに分析するのが科学の常道であり、科学者の基本的な態度でございます。特に鉄の59は、その持っておる放射能は十四日で二〇%、五十日で半分減ってしまうのです。     〔主査退席中村(宏)主査代理着席分析の目的は、原子力船が稼働したときに湾内の生物、それからその付近に住んでおる国民にどんな影響を及ぼすかを調べる基本的な問題なんです。出て新しいうちに、一番放射能が多くあるときに調べなきゃならない、こういうことなんですが、この点はどんなに考えておりますか。
  90. 伊原義徳

    伊原政府委員 分析化研に、採取してから何日かかって送られたかという点につきまして、立ち入り調査その他で調べておりまして、一部分は国鉄スト等の影響があったことも聞いておりますが、しかし先生指摘のように、一般的に申しまして非常に時間がかかっておるケースがある。また一部は再採取して送ったという例もございますが、しかしいずれにいたしましても分析化研の業務のやり方、記録の整備等が非常に不備であったということはたいへん遺憾なことであると存じております。
  91. 津川武一

    津川分科員 そこでその採取した材料をとってから、分析化学研究所まで運ぶときの態度ですが、一回目から四回目までは事業団の職員が持参しております。持っていっております。五回目以後八回目までは客車便で送っております。その途中、客車便でどんなことが起きるのか。そこの中の温度がどうなのか。これが材料を決定的に変えていくわけですが、このことは御存じですか。これを何と思っておりますか。
  92. 伊原義徳

    伊原政府委員 御指摘のように、一部のものにつきましては直接職員が持参いたしましたし、一部のものにつきましては、たとえば日通等を通じまして、客車便で輸送したこともございますし、また貨車便で輸送したものもございます。これは試料の性質によりましてやはり適否があるかと思います。特にプランクトン等につきましては、できる限り早急に送るべきであると考えております。
  93. 津川武一

    津川分科員 問題はそのプランクトンなんですね。第八回目の調査、これは九月というまだ暑い時期です。海水は二十日間で届いておる。カレイ、ホタテは三十四日かかっている。問題のプランクトンは四十六日かかっているのです。このプランクトンは九月の貨車の中でどんなふうに変わっていくかということは、これは生物学の初歩です。これを四十六日もかけておるところに今度の問題があったわけですが、長官、いま思い出してみて、指摘されてみて、この点、今後どんなふうに考えます。
  94. 森山欽司

    森山国務大臣 きわめて専門的な事項でございますから、政府委員から答弁させます。
  95. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、異常に時間がかかっておりますので、分析化研データ整理上の問題もあるということで、分析化研について引き続き調査をいたしておりますが、残念ながらその試料の台帳が十分整備されておりませんために、はたして報告書に書かれておる数値が事実であるかどうか、確認をいたしかねております。
  96. 津川武一

    津川分科員 このとおりプランクトンを九月の暑いときに四十六日間も貨車で運んでおる、こういう調査は当てになりますか。科学技術庁としていかがでございますか。
  97. 伊原義徳

    伊原政府委員 先ほどの、時間がかかるために多少生理学的変化が起こるということと、放射能の減衰とはあるいは直接関係はないかと思いますが、しかし一般論といたしまして分析化学研究所の業務の信頼性がそこなわれたということは、残念ながら事実かと思います。
  98. 津川武一

    津川分科員 その次は測定点でございます。  ここに私は分析化学研究所の書類に従って定係港のある大湊湾を調べてみたんですが、Gという測定点が、次にA点というふうに記載されております。Hという測定点がその次にBという測定点に変わっております。そのBがH以外にもう一つあるわけです。したがって、B点が、HとBともう一つのBと三カ所あるわけです。それからJというのが、もう一つのところにJがあります。もう一ところのJが今度はCに変わっております。こういうのがこの研究所の報告なんです。これは一体どういうことなのか、私も理解できない。  そこで原子力船が稼働したとき、きまったところで調べて比較検討するのでなければ、どうしても問題の本質をつかめないので、国民責任を負えないんです。極論すると、はかったのか、はからないのか疑わしいわけなんですが、この測定地点がこんなに変わっておること、Bというところが三つもあるなどという、こういうことはどんなふうに考えておりますか。
  99. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま先生指摘の点につきましては、昭和四十四年に二つの地点においてサンプリングを始めまして、四十五年に三つの地点にふえたわけでございますが、四十六年に青森県、むつ市、原子力船開発事業団の三者の間で新たに環境保全連絡会議というのが設けられまして、その場でいままでのサンプリング地点を再整理いたしまして、そのときに測定点の呼び名を変えて整理をし直したということでございます。したがいまして、たいへん混乱を招くようなことで申しわけございませんが、測定点についての整理はできておるわけでございます。
  100. 津川武一

    津川分科員 私たち、ものを見るときに現状だけ見る、これも大事ですが、その現状がどんなふうに変わったか、変化を見なきゃならぬ。この変化を見るとすれば、B点が固定されたところでなきゃならないんだけれども、B点がこんな三回も変わって、これから原子力船が稼働したときにどのB点と比較するわけですか。
  101. 伊原義徳

    伊原政府委員 呼び名につきましての整理ということが行なわれましたために多少混乱を招いておるのは申しわけございませんけれども、測定点についての継続性というものは保たれておると考えております。
  102. 津川武一

    津川分科員 この点、後刻、分析化学研究所の人を出して、私たちもあなたも立ち会って、継続されているかどうかを検討してみたいと思いますが、記録によると違うところが同じ名前になっておるわけです。  もう一つの問題。採取地点が九カ所、あまりにも少ない。しかも大湊湾は御存じのとおりずっと海流が動いておる。もう一回回ってまたもとのところへくるとなれば、必要な湾内のところ、かなりの広い範囲にわたって調べるのが海流を見たとき、当然の結論だと思うんですか、この点、いままで分析化学研究所がきわめて狭い範囲の九地点を調べたことをどう思うか。これからもしやり直しするとすれば、湾内のかなり広い領域にわたってあの陸奥湾の現状からいうと――繰り返しますが、あの海流がずっと回ってまた同じところに返ってきております。こういう状態になると、広い範囲にわたって測定すべきだと思うのですが、この点はいかがでございますか。
  103. 伊原義徳

    伊原政府委員 原子力船「むつ」につきましては、設計並びに運航に万全を期しておりますので、万々一にも放射能汚染はないという前提でございますが、念のために環境放射能の測定をいたしておるわけでございまして、その意味で現在までの地点、地点の継続性も含めまして、現在までの地点の測定を続けてまいりたいと考えております。
  104. 津川武一

    津川分科員 原子力船が事故がたくさん起きて問題があることは、国際的な常識であります。科学技術庁がそんなふうな考え方だと国民の疑惑にこたえるわけにまいらないのです。重ねてやはり広い領域、広範囲にわたってやるべきだと思うのです。現実にこのことを心配しておる漁業関係者はあの入り口だけではだめだというのが基本的な認識でございます。事業団と科学技術庁国民が不信を持つ根拠が、この狭い領域で、しかも漁民の声を聞かないでやっているところに問題があったわけであります。  さらに質問を進めていきます。  今度は分析する試料のとり方でございますが、ここでは海藻を調べてないんです。陸奥湾がワカメ、コンブの産地で、私たちも非常においしいものとして食べています。海藻は係留生活をしておるので魚と違ってそこに動かない形でおりますので、環境放射能を調べるには欠かすことのできないものなんです。しかもこれからの変化を調べるとすれば、ほんとうにこれは大事なものが海藻なんです。特にあのホンダワラ、あれの濃縮係数は非常に高いので、このホンダワラもあの陸奥湾にあります、大湊湾にあります。これを調べることが何よりも必要だし、福井県の原子力発電所では指標生物として、問題を比較していく上において一番大事なものとしてこれを指定しているわけなんですが、なぜ海藻をお調べにならなかったのか、いかがでございますか。
  105. 伊原義徳

    伊原政府委員 一般論といたしまして、環境放射能測定の指標として何を選ぶかにつきましては、その地域の特殊性を考慮して定めることが妥当であると思われます。原子力船「むつ」の定係港周辺の環境放射能につきましては、先ほど申し上げましたように青森県むつ市と共同いたしましての協議会などにおきまして十分お打ち合わせもいたしまして、特にあの地域においては、海産生物としてはホタテその他最も重要な海産物について測定するのが適当であろう、こういうことでその試料をきめたわけでございます。
  106. 津川武一

    津川分科員 科学技術庁は、大湊湾にワカメだとかそういうもの、海藻があってあの周辺の人が食べておる。非常に好んで食べておる。コンブ、ワカメ、こういうものを食べておるということ、そして濃縮係数が非常に高いホンダワラがあるということ、これは御存じだったんですか。
  107. 伊原義徳

    伊原政府委員 原子力船事業団の調査によりますと、むつ市でとれますコンブ、ワカメ等の海藻類は四十七年度の漁獲高の約六%を占めておるということのようでございます。ただ原子力船事業団が調べましたところでは、これは主として太平洋側から漁獲されるものである、こういう調査結果になっております。
  108. 津川武一

    津川分科員 六%も出ているんですね。それからナマコ、これは陸奥湾がいまホタテの有名な産地でありますが、ホタテに劣らないほどナマコの産地なんです。皆さん青森県に行けばわかるでしょう。一番大きなごちそうはホタテとこのナマコ、そしてホヤ、特にナマコとホヤ、これはあの地方の名産品の一つになっている。私などはたくさんあのナマコを食べているが、このナマコを第一回目、二回目、三回目、五回目、六回目はやった。四回目、七回目、八回目の三回はやっていない。何でこういうふうないいかげんなことになったんでございましょう。
  109. 伊原義徳

    伊原政府委員 海産生物の試料採取につきましては、定期的、継続的に採取できることが一つの条件でございますが、残念ながら、ナマコにつきましては、先生指摘のように、その時点、すなわち第四回、第七回、第八回のそれぞれの時点におきまして、極力入手方努力をいたしましたけれども、その時期におきまして、ナマコがとれない、手に入らないということでございましたので、残念ながらそれの分析がいたしかねた、こういう実情でございます。
  110. 津川武一

    津川分科員 だいじょうぶですか、ナマコとれないなんて言って。陸奥湾でナマコとれないということはありますか。もっとも禁漁期はありますよ。禁漁期であっても、漁民はこういう大事な調査なら幾らでもとれる。そして網を入れるといつもひっかかってくるんだ、これがとれなかったというのはこれはどういうわけなんです。地域の実情にあると言っておりますが、これこそ地域の実情が一番大事なものはナマコだったわけです。これをとったりとらなかったり、こういうことなんですね。  時間もないようだから先に進めていきます。  分析内容でございます。第三回報告以来鉄59の検出限界、海底土からとった鉄59、それまでの十ピコキュリーから五百ピコキュリーと五十倍に変更されております。バックグラウンドにおける検出限界は、原子力施設が稼働し始めた場合の環境放射能汚染の度合いを調べるためにきわめて重要な科学的意味を持っておるのですが、この十から五百ピコキュリーに上げたこの理由は何でございます。
  111. 伊原義徳

    伊原政府委員 そのお答えをいたします前に、先ほどのをちょっと補足させていただきますが、ナマコにつきましては、先生指摘のように、あるいはある地域でとれたかもしれませんが、たまたまその試料採取地点におきましてどうしてもとれなかったというのが実情でございます。  それから、検出限界の問題につきましては、特に鉄の59につきまして、一般的に先生指摘のように半減期の短い核種でございますので、一般的に測定技術のほうの問題もいろいろあるかと思います。十ピコキュリーから五百に変わった点につきましては、原子力船事業団におきましても、分析化研に十分、いかなる理由でそれを変えたかということについて調査をいたしておる段階でございます。
  112. 津川武一

    津川分科員 十ピコキュリーははかれるが、今度は十でははかれないから五百、こういうふうに変えた。これは技術が進歩すれば、もっと小さな、一でも調べられる。技術が進歩していくにしたがって、はかる機器が悪くなったのか、密度が悪くなったのかという点が非常に問題になるわけです。しかも検出限界を一ピコキュリーにきめておって、第一回目には〇・二まではかれているんです。第四回には――これはストロンチウムですが、第一回目には〇・二まではかれている。第四回には〇・四まではかれた。今度は六回、七回、八回ははかれないという、もう検出限界以下だから。こういう態度になっているわけですが、いま調べてくるというから、それは調べてこなければ私も問題になりませんが、あまりにも雑な報告なんです。主査にお願いしますが、この委員会がやられているうちに、この分析化学研究所から、この根拠をとっていただきたい、こういうふうにお願いする次第ですが……。
  113. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 お聞きしておきます。
  114. 津川武一

    津川分科員 その次には、あまりにもひどい計算ミスがあるんです。六回目の全ベータ放射能測定値で、ホタテガイの灰分、これは皆さんのほうでは一・三ピコキュリーに出しております。これは単純な勘定で算術やるわけなんです。私もそのとおりに算術してみました。そしたら、〇・六七、研究所分析は一・三、何回計算してみても、〇・六七より出ないんです。こういう単純なる計算違いというものは、私では、分析責任ある態度なら、科学者というものでしたら、もう一回当たってみる。小学校の学生が作文書くときでももう一回やってみます。こういう誤りが出ているわけです。しかもこれが国民の運命を決定する。こういうことになるわけであります。  まあ、いろいろやってみますと、分析方法が途中で、単位の取り方が変わっているところなどがたくさんありまして、結局、このわずか二八ページの報告書の中に、私が数えてみると実に四十三カ所にのぼる誤り、疑点、不可解なところが出ております。このような報告書がバックグランド測定の基礎材料とならない、これはもちろんあたりまえであります。専門分析機関の報告書としては受け取るわけにもいかないし、報告書だ、研究書だというふうなことも言うこともできない。きわめて初歩的な知識さえあれば発見できる問題も、発見しないでおるわけであります。そこで、欠陥報告書によって長い間国民をごまかし続けてきた日本原子力船事業団の責任は非常に大きい、分析化学研究所の責任も非常に大きい。いま質疑を繰り返している間に明らかになったように、科学技術庁責任もかなり大きいと思います。  そこで、原票をくださいと私から頼みました。出しますという。だが、この質問を終わってから出します。質問には間に合わない、後刻出します、これが科学技術庁の態度なんですか。大臣、原票をすぐ分析化学研究所から取って、この委員会に出してくださいませんか。
  115. 伊原義徳

    伊原政府委員 測定原票と計算資料等につきまして、分析化学研究所のほうを立ち入り調査その他をいたしまして、入手方に努力したわけでございますが、はなはだけしからぬことには、分析化学研究所で四十七年度分までの原票が存在しない、こういうことが判明いたしました。これは、はなはだ問題であると思っております。  それからなお、先ほどの放射能調査の、いろいろ数値の誤りがあったということにつきましては、これはたいへん申しわけないことと思っておりますが、一般的に、環境放射能数値につきまして非常に低いレベルの値をはかっておりますので、先ほど先生のお話しのございました国民の健康と安全という点で、直ちに問題になるものではない。もちろんそうでありましても、計算ミスはまことに申しわけないことでございます。申しわけないことでございますので、今後こういうことは絶対ないように、新たな体制をもって進みたいと思っております。
  116. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 津川君に申し上げます。お約束の時間が過ぎております。
  117. 津川武一

    津川分科員 長官、原票がない、あるものはこの報告書だけ。その報告書にたくさんいま指摘したような問題があるわけですね。したがってこれは信用できない、これを当てにしては事業を進めてはならない、こう思いますが、この点長官の見解と、事ここに至った点で科学技術庁長官としてかなり責任があると思いますが、この責任についてどうなされるか、この二点を長官から明確に答えていただきます。
  118. 伊原義徳

    伊原政府委員 先生指摘のように、分析研の過去の報告書に疑義がございます点も考えまして、原子力船事業団といたしましては、緊急に最新の環境放射能データを知るためのサンプリングを数回いたしております。このサンプリングの分析結果が出てまいりますれば、最近の状況というものが十分正確に把握できると考えております。過去の数値がおおむね信頼できるかどうかにつきましても、緊急サンプリングの結果を待って考えたいと思っております。
  119. 森山欽司

    森山国務大臣 この前の原子力潜水艦の寄港の際の分析研究と同様の事態があるやに推定をされるわけでございます。そういう意味において、不破書記局長の御質問に対してお答えしたと同様に、遺憾の意を表さざるを得ません。  今後の問題といたしましては、最新の資料をとりまして、真面目な分析を行なうように指導してまいりたい、そういうつもりでございます。
  120. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 次に、安井吉典君。
  121. 安井吉典

    安井分科員 私は、いつも北海道出身であるという関係もありますし、この分科会で質問をさせていただいているわけでありますけれども、毎年大臣がかわるわけです。町村さんは何代目の北海道開発庁長官か、御存じですか。
  122. 町村金五

    ○町村国務大臣 三十七代でございます。
  123. 安井吉典

    安井分科員 いま大臣御存じなくて、耳打ちされてお答えをいただいたわけですが、私も実はいまちょっと前に調べていただいたら、三十七代目だということがわかりました。戦後二十数年の間に三十七人の大臣がかわったということで、私は北海道開発計画の一つ問題点があらわれているのではないかと思うわけでありますが、きょうはひとつ集中的に、北海道開発のいわゆる第三期計画の問題について伺いたいと思うのでありますが、その前に通産省の石油部長においでをいただいておりますので、いま問題になっている北海道物価、とりわけLPGの価格の問題について、ちょっと伺っておきたいと思います。  その問題につきましては、すでにこの国会の会期中、予算委員会においても通産大臣は、廃止いたしますということをしばしば言明されているわけであります。ところが、現実はなかなかそういっていないらしく、いまいずこも地方議会の最中でありますが、どこの市町村議会も全会一致で北海道価格廃止の決議をしています。いま北海道議会も、この問題に関連して非常にもめているようであります。ついこの間も北海道町村会の代表が、同じ問題の陳情書を持って私のところにもお見えになりました。大臣が幾度言明されましても、なかなかなくならないという現状はどうもおかしいと思うのですが、どうなっているのですか。
  124. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  LPGの北海道価格千五百円を内地並みにするという問題につきまして、私どもももともとあの価格は暫定価格であって、長く継続されるべきものではないというふうに考えておりまして、引き下げ指導を従来引き続きやってまいっていたわけでございます。今日まで遅延しておりますのは、まことに申しわけない次第でございますが、私どもとしましては、基本的にはこの格差をはずすことについて異論を持っているわけではございません。問題は、すでにそういう方針で私どもの出先でございます札幌通産局長並びに北海道庁のほうにも事務的な打ち合わせをし、相談を続けてまいっておるわけでございます。かつて標準価格を設定いたしました際に、道庁あて並びに札幌市長あてに出しました通達の中に暫定価格として千五百円ということを入れているわけでございますが、これをはずすことにつきましては、はずすだけであと価格が現地で千三百円並みに混乱なく実施できるのかどうか、あるいはこれから地元での取引の実態等を勘案して、これが千四百円あるいはその前後といった価格でないと流通が円滑にいかないという面があるのではないかという点もございまして、私どもとしましては、地元での本件のめどを早くつけてもらいたいということで、その連絡を実は待っている次第でございます。なお、私どもとしまして、いわゆるメーカー団体につきましても、各メーカー個々にやはり協力をしてもらわなければなりませんので、その面の指導を強力に現在あわせやっているわけでございます。いずれにいたしましても早急に結論を出したい、全力をあげて努力するつもりでございます。
  125. 安井吉典

    安井分科員 早急にというのはわかるんですけれども、大臣がああいうふうに幾度も幾度も言明されていながらなかなかできないというのはどうもおかしいのですがね。早急というのはいつごろまでなのか、そのめどを示していただかなければ私は不満が絶えないのではないか、こう思うのですが、どうですか。いつごろまでになくなりますか。はっきりおっしゃってください。
  126. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 問題は地元でのお話し合いを――積極的にいろいろ混乱が起きないような手だてをした上ではずすということが必要でございますので、その進展を強力に進めているわけでございますが、私どもとしましては、今日まで一週間単位で結論を出すようにということで、現地を督促をいたしておるわけでございます。混乱が地元で起きますと、やはり消費者に問題が及ぶわけでございますので、その点の手だてを、ただいま申しましたようなきわめて近い将来に結論を得て実施に移る段階にいたしたい、そういうような方向で現在努力をいたしておるところでございます。
  127. 安井吉典

    安井分科員 その一週間刻みとおっしゃる意味は、当面のところは一週間後にはなくすというふうなめどで進めつつある、こういうふうに取っていいわけですか。
  128. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 私としましては、そういう期間中にめどを得たいというふうに考えておるわけでございます。
  129. 安井吉典

    安井分科員 これは町村大臣にもお答えをいただきたいわけでありますが、北海道のことを一番知っておられるはずの町村長官でもあるし、閣議の中でもやはりきちっとしたかまえをおつけいただかなければならぬと思うのですが、どうですか。
  130. 町村金五

    ○町村国務大臣 御承知のように、北海道はまだいわゆる北海道価格と称するものが若干残っておるわけであります。この解消をはかるということは、北海道民にとりましてたいへん大事なことでございますので、過去におきましてはそういった努力がかなり実を結びまして、昔の北海道価格と称せられるものはかなり解消してしまったのでございますが、このたびまたLPGにつきまして同じような問題が起きてきた、私どもたいへん実は残念に思っておるのでありまして、あの価格をきめます場合におきましても、閣議にも通産大臣から御報告がございました。私どもは、それはぜひ取りやめていただかなければならぬというふうに申したのでございますけれども、諸般の事情どうしてもやむを得ないということで、しばらくの間これを認めざるを得ないという通産大臣の御意見に私どももやむなく実は従った、こういう事情がございますが、何としてもこれは早く解消していただくように、通産省の格段の御尽力を今後とも強く期待をしてまいりたい、こう考えております。
  131. 安井吉典

    安井分科員 戦後のあの狂乱時代なら、北海道物価というので、当時はずいぶん問題になったのですが、やっとこすっとこなくなったらまた狂乱インフレになって再現をしたということなのかもしれませんけれども、いまの世の中になって開発庁長官が三十七代目になってもいまだに北海道物価が出てくるというのは、どう考えてもおかしいのですよ。そういう点でさらに御努力を願いたいと思うわけであります。ややもすればこういうふうな北海道物価というような形での問題が起きそうな風土の中にある北海道。だからこそ北海道開発庁という役所も必要だし、北海道開発法というのもあるのかもしれませんけれども、私はそういう現実を踏まえて、ひとつ第三期計画の問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  その前に、経済企画庁からもお見えをいただいておりますが、新全国総合開発計画についての見直しその他が行なわれつつあるということでありますが、それはいかなる作業が行なわれており、また今後いかなる方針で進められようとしているのか、その点について初めに伺っておきたいわけであります。というのは、別な分科会におきまして、あるいは別な委員会におきまして、内田経済企画庁長官は経済社会基本計画についても、いかにもこれは現実離れをしているため、再検討をし、抜本改定をするということを言明をしております。早ければ五十年度にも新五カ年計画を発足させる方針だ、こういうことのようであります。これと新全総とは若干趣を異にすることはわかりますけれども、現在の作業状況、今後の見通しについてお聞かせをいただきたいと思います。
  132. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり昨年より総点検を実施しておりまして、これは巨大都市問題、都市問題、地方都市問題等八項目につきまして総点検を実施しております。そのうち都市問題巨大都市問題、土地問題につきましては昨年八月に中間報告案を審議会におはかりしてございます。その他の工業問題、地方都市問題、それから自然環境問題等につきましては、現在作業を進めておりまして、まだ審議会におはかりする段階には至っておりません。近くなるべく早い機会に取りまとめまして審議会におはかりしたいというように考えております。その総点検を進めております基本的な考え方は、環境問題につきまして特に反省すべき点がないかという観点から総点検を進めておるのが主要な柱でございます。  以上でございます。
  133. 安井吉典

    安井分科員 続いて伺いますけれども、私も直接の問題を担当している委員会の所属ではないので、問題点を把握し残しているかもしれませんけれども、今日のインフレや石油危機等の問題が非常に大きな見直しの要点にもなるのではないかと思うわけでありますが、いま伺いますと環境問題を非常に重視されている、これはわかりますけれども、改定の一つのめどにそういうようなものも相当強く作用しているのではないかと思うのですが、その点はどうですか。そしてまた、そのことが、当面の作業見通しを十分につけがたいために作業をおくらせている、こういうふうな報道もあるわけですがどうですか。
  134. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、昨年秋のオイルショックによりまして、相当将来の見通しが困難であるという事情がございます。そのために、総点検のうち非常に点検が行ないにくいものがあっておくれているという事情は御指摘のとおりでございます。
  135. 安井吉典

    安井分科員 なお、六十年目標の新全総の作成、二〇〇〇年目標の超長期計画の策定をするというスケジュールはどうなっていますか。
  136. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 新しい計画の策定につきましては、総点検の結果を踏まえながら、五十年中作成をめどに行ないたいというふうに考えております。  それから二〇〇〇年という超長期のものにつきましては、いわゆる計画というようなかっちりした形にはならないであろうとは考えますけれども、可能な限り見通した作業を来年度から行ないたいというように考えております。
  137. 安井吉典

    安井分科員 いま新全総の問題についてのいろいろな動きも知ることができたわけでありますが、北海道開発のいわゆる第三期計画の問題でございますが、四十九年度の開発予算は、総需要抑制の方針が反映されまして非常にきびしい様相になっています。四十八年度は前年度比二六・四%増でしたか、そういうふうな大幅な数字、これはいわゆる田中列島改造論でぶっ飛ばせという予算であったからそうなったんだろうと思いますが、それが手のひらをひっくり返すように総需要抑制で一・七%の増。ところが物価の状況を見れば、単価も当然上がってくるわけで、金額が同じだとすれば、単価の上がっただけ事業量そのものは減るわけですよ。私はおそらく二〇%あるいは三〇%くらいは四十八年度よりも四十九年度の事業量そのものが減るのじゃないかと思うのですが、予算はこのとおり国会に出されておりますけれども、事業量はどういうふうな数字をお持ちですか、その点ひとつ、これは監理官でけっこうです。
  138. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 御指摘のように開発予算は一・七%、しかも公共事業としての開発事業費は一・五%の伸びにとどまっております。  事業量といたしましては、先生指摘のように、四十七年度当初並み程度の規模ではないか、私どもそういう感覚でおります。
  139. 安井吉典

    安井分科員 私はそういうふうな事態におそらくなっているのではないかと思うものでありますが、そのゆえに現在の三期計画についても根本的な改定が必要になってくるのではないか。  時間が十分ありませんから私の考え方をまず申し上げますと、第一の考え方、これはもう従来から主張してきたとおり、生産第一主義の計画の内容を環境保全や社会福祉にももっと重点を置いた住民生活最優先の方向に向け変えていかなければならない。とりわけ第一次産業の方向にも、石炭や食糧などにももっともっとウエートを置いた方向にいかなければならぬという従来のわれわれの主張であります。そのゆえに見直さなければいかぬというのが第一点です。     〔中村(弘)主査代理退席主査着席〕  それから第二点は、いまも企画庁のほうとの話し合いになりました新しい状況をどう反映するかという問題です。それは一つには、物価高、インフレで資材や労賃が非常に上がっていく。既定の工事費では、つまり三期計画の中で一応想定していた工事予算では、事業量は、さっきの御答弁にもありますとおり当然ダウンしてしまう。したがって、目標計画そのものもこの際年度が延びるとか、あるいはもう少し増額を積極的にするとか、そうでなければ達成が不可能になるのではないか。特に道民所得についての見通しだとか、いわゆる経済見通しそのものもこういうふうな状況ですっかり変わってきはしないか。経済社会基本計画を経済企画庁長官が改定しなければいかぬというのもそのことだし、それから新全総がいま非常に行き悩んでいるのもそのことなんです。つまり、私は現在の状況の中で、量的にそういうふうな問題が起きはしないかということが一つです。  それからその二番目は、石油を中心とするエネルギー危機、これがもっと深まっていく。資源危機と言い直したほうがいいかもしれません。そういう中で、いままで想定していた北海道の経済、産業のあり方について、質的な再検討が必要ではないか。たとえば産業開発についても、省エネルギー、省資源型の方向へ、あるいは無公害型といいますかそういうような方向へ、石炭の見通しをはじめ資源の開発、食糧の確保増産、こういうところにもつとウエートを置いていく必要があるのではなかろうか。  つまり要約いたしますと、従来からのわれわれの主張が一つあります。その上に新しい要因があらわれてきて、そういう中で三期計画について質的にも見直し、量的にも見直す、そういう必要にいま迫られてきているのではないか、私としてこう思うのですが、その点は開発庁としてどうお考えですか。
  140. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 まず事務的に量的な点についての御答弁をさせていただきます。  先生指摘のように、事業量においては四十七年度並みということでございますが、幸いに四十六、四十七、四十八というのは、公共事業費としてはかなり伸びが高かったわけでございます。したがいまして、私どもの試算によりますと、この四年間を通じて平均伸び率を出しますと、額面では約二割の伸びになります。物価換算、デフレーターで是正をいたしましても一三%の伸びになります。  御案内のように、第三期総合開発計画の政府答申は八兆五千五百億でございまして、年率一三%程度見込んでおったわけでございますから、この四年間の現時点についての数字といたしましては支障がないような形でございます。  なお、物価問題につきましては、いわば異常事態でございまして、こういった異常事態が今後続くかどうか。本年は総需要の抑制ということでスローダウンしておりますが、その点も考えますと、支障なく遂行できるのではないか。量的な面でちょっと御答弁させていただきました。
  141. 町村金五

    ○町村国務大臣 最近におけるわが国の経済情勢というものが、まずエネルギーによって非常に大きな影響を受け、さらにはまた、公害発生ということをきわめて重視いたさなければならないというような、大きなわが国の経済社会情勢の変化というものが出てきておるわけでございます。したがって今後の北海道の開発を進めていく上におきましても、いま御指摘のございましたようなことは当然重視されていかなければならないということは申し上げるまでもございません。第三期総合開発計画を立てましたときにも、私どもはそういう点はある程度念頭に置いたつもりでございまして、たとえば第三期計画を政府が御決定をいただきました場合におきましても、この第三期計画というのは単なる従来のような経済発展だけではなくて、やはり道民の生活とそして生産と申しましょうか、産業というものが調和したようなそういう地域社会をつくるということを目的とするんだということを正面にうたっておりまするゆえんも、実はそういうところにあるわけでございます。したがって、そういう角度から考えてみますると、こういった大きなわが国全体の情勢の変化に即応いたしまして今後の北海道の開発もおのずからその線に沿って、重点をそこに置きながら進めていかなければならぬということは当然でございますし、またそういうふうになってまいるもの、かように私は考えておるのでございます。
  142. 安井吉典

    安井分科員 先ほど企画庁から伺いましたことでも明らかなように、経済社会基本計画やあるいは新全総もいま見直しの作業が始まっているわけでありますが、北海道開発計画にしてもそれと全く無関係ではなしにむしろ連動しているわけだと私は思うのですが、そういうフォローアップの作業はどう行なわれているのか、そのためのポイントは何に置いているのか、どれとどれの点に見直しの焦点を当てて作業をお進めになっているのか、その点を伺います。
  143. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 何せ御案内のように第三期総合開発計画は十年間の非常に長期にわたるものでございますから、社会経済情勢に即応いたしまして年度ごとについてはかなり弾力的な運用をやらなくちゃならない仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、しかしなかり三期計画の私どもの目標としては三点ございまして、先ほど長官からも申し上げましたように、北海道としての潜在的発展力を発揚するということが第一点。それから抜本的な国土利用の是正に資するということが第二点。第三点といたしましては、先生も御指摘になりましたように住民生活、つまり生産と生活が調和する豊かな地域社会の建設、この三つの柱で三期計画が目標づけられておるのでございます。したがいまして、それに即応するいろいろな面の細部の問題については、たとえば石炭の問題あるいは酪農の生産の伸び悩みの問題あるいは米の生産調整でかなり落ちておるというような細部の問題については、三期計画と予定しておりましたのとかなり食い違いを生じております。しかしながらこれらにつきましてはどのようにプッシュしていくかということについての見直しをやりまして、たとえば石炭につきましては、最近の事情もございますが、石炭火力発電所の建設であるとか、酪農につきましては御案内のように新酪農村の建設であるとか、そういった問題点として私ども取り組んでおるわけでございます。
  144. 安井吉典

    安井分科員 それはそのときそのときの思いつき的なものなんですか。それとも計画的な作業という形での取り組みなんですか。
  145. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 できるだけ計画的な作業としてやってまいりたいと思っております。
  146. 安井吉典

    安井分科員 昨年の後半に北海道財務局が、つまり大蔵省の出先機関が「本道経済の回顧と展望」という資料を出しておりますけれども、その中でも、開発計画は道民の均衡ある発展をはかる立場から抜本的に再検討すべきだ、同じ政府機関がこう言っているわけですよ。ですからそれぐらい問題点がどんどん出ているという状況であるだけに、この際やはりもう少し内容にわたって計画的に組織的に再検討していく、そういう作業が必要だと私は思います。いまいろいろ検討されているそうでありますが、その結果はいつごろ発表していただけますか。
  147. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 御案内のように地元の北海道におきましても、審議会等において点検小委員会というものを設けられて二年がかりで点検作業が進められておりますが、それらとも歩調を合わせつつ検討してまいりたいと思っております。
  148. 安井吉典

    安井分科員 発表される時期はいつごろですか。
  149. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 道のほうの作業といたしましては四十八、四十九、二年間ということで作業が進められております。それと歩調を合わせつつ見直し作業を進めるということでございます。
  150. 安井吉典

    安井分科員 そうすると二年後でなければ結論が出ないということになると私は思うのですが、しかし問題は北海道価格というのがいままだ出てきているということ。酪農が主力だといいながらもどんどん酪農をやめていく農民が出ている。僻地にはお医者さんの来手がない。総理大臣以上の月給を払わなければお医者さんがこない。そういうふうな社会的な状況もどんどんあらわれているわけです。そういう事態をそっちのけにして、いや、いま検討しております、二年間お待ちくださいというのでは、北海道開発法のほんとうの趣旨にも沿わないし、道民の現実の要望にも沿うものではないのではないかと私は思う。どうですか大臣、早急に結論を出し、そういう中から基本的なあるいは抜本的な改定の方向に向かう、こういう御意思はありませんか。
  151. 町村金五

    ○町村国務大臣 先ほども管理官からお答えを申し上げましたが、私ども第三期北海道総合開発計画というものは、先ほども申し上げたようなたいへん大きな目標を持っておるものでございまして、最近における経済社会情勢の変化は相当にございますけれども、その大きな目標にはそれほど変更を加えなければならぬという必要はないのではないか。ただお話がございましたように、経済の非常な変動によりまして多くの新しい問題が起きていることは事実でございます。したがってそういうようなものに対しましてこれからどういうような対策を講ずべきかということになりますれば、これはものによりましては国の予算で措置をするあるいは行政的な措置を講ずるあるいは民間における特別な努力を期待するといったようないろいろの角度からこれらの問題に対処する方法というものはおのずから出てこなければならぬはずでございますので、やはりそういう今後の開発計画自体の進め方というところに問題がございまして、いまいろいろ見直し作業等が行なわれておりますけれども、それは開発計画そのものの目標の改定というようなことではなくて、あの中に定められておりまするような計画が実際に合わないものあるいはもっと力を入れなければならないものというようなものをできるだけ実情に合うように見直していこうということではないか、私はそう判断をいたしておりますので、そういったものをどういうふうにしてこれから作業を進めあるいは結論が出ました場合にはこれをどういうふうに処理をしてまいるかということは、いまここで私の口から確たることをちょっと申し上げるのにはまだその段階に至っていないようでございますが、目標である三期計画そのものに特に改定を加えなければならぬという必要は私はないと思いますけれども、これを進める手段方法等におきましてはいろいろ時代に即応するように見直していく必要はあろう。その方法をどうするかということは今後のそういった関係方面の作業の進展の度合い等を見はからいながら対処させていただきたい、こう思っております。
  152. 安井吉典

    安井分科員 時間になりましたからもうこれでやめますが、当面の問題としていまある計画の中で、それの実行手段の方法において私がさっき主張したような方向にやっていただきたい。これは当面の問題であり、当然のことだと思います。しかし経済社会基本計画も一生懸命に改定しようとする、新全総も再検討しなければいかぬという、そういっている、そういうようなときに、こちらだけがゆう然とかまえているということでは、あと二年後でなければ結論が出ないというふうな、そういうかまえでは私はどうも困ると思う。田中列島改造論が出たときには、北海道庁もあるいは北海道開発庁も小踊りをして、列島改造論の先取りがわれわれの計画だ、こう言ったというふうに報ぜられており――ここにありますよ、新聞のスクラップも。しかしそれは全く破綻したじゃないですか。いまたいへんな事態が起きているわけですね。その事態を踏まえた対応というものを私ひとつ強く要求いたしまして終わります。
  153. 上村千一郎

    上村主査 次に、芳賀貢君。
  154. 芳賀貢

    芳賀分科員 町村長官にお尋ねいたします。  順序といたしまして、まず昭和四十八年度の公共事業の実施にあたりまして、昨年政府においては閣議決定をもって公共事業の繰り延べを再度にわたって方針として出されておるわけであります。これは四十八年度の北海道開発事業の実施の上においても非常に大事な問題でありますから、四十八年度の年度末にあたって、北海道の開発事業、ほとんどが公共事業でありますが、それがどの程度実際に繰り延べされておるか、それから内容等については大きく区分してどういうようになっておるか、まずその点について説明願います。
  155. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 積雪寒冷地につきましては、一般の八%の原則に対しまして四%の繰り延べが昨年の八月に決定になりまして、北海道の開発予算につきましては総額で百十九億の繰り延べがなされております。  このうち農業基盤関係費は二十六億の数字に相なっております。いかがいたしましょうか、それぞれ農業基盤、土地改良、農免についての数字をお答えいたしましょうか。
  156. 芳賀貢

    芳賀分科員 いや、時間がないから……。  そこでこの問題につきましては、昨年決算委員会において故人になられた愛知大蔵大臣並びに当時の江崎開発長官にただしたわけでありますが、その際、公共事業の繰り延べにあたっても北海道の持つ地理的あるいは季節的な制約というものはどうしてもこれは免れることはできないのであるからして、同じ繰り延べをする場合においても、北海道の持つ特徴的な制約条件というものを無視しての繰り延べは行なうべきでない、特にその中でも農業基盤整備関係については食糧問題等についてもいままでの方針を改めて、国内の食糧自給度を高めるというところに政策方向が向かっておるときであるからして、繰り延べの中においても特に北海道における農業基盤整備事業等については特別の事情を十分配慮してこれは予定どおり実行すべきでないか、この点については両大臣ともこれは了承しておるわけであります。そういう経過の中で、金額的には二十六億であるとしても基盤整備事業が一部繰り延べということはまことにこれは遺憾なことでありますが、これに対しては町村長官としてどう対処されますか。
  157. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 たいへんありがたい御指摘をいただいたわけでございますが、昨年の八月前後から非常に物価高騰、しかも資材不足というようなことが、悪条件が重なりまして、積雪寒冷地の特殊事情ということからいたしまして、北海道は全国八%に対して四%の繰り延べが行なわれるようになりました。私どもは北海道の特殊事情としての、たとえば圃場整備の夏季施行、こういう特殊事情がございます。特に先生は、そういったただいま御指摘になりましたことを決算委員会で御指摘ございました。したがいまして、そういったような特殊事情は、私どもは繰り延べをする場合でも事業別に十分いろいろ注意を払ってやる必要があるということでございまして、圃場整備事業につきましては夏季施行を特に考慮いたしまして、原則八%の半分の繰り延べというようなことで、そういった注意を払いつつ繰り延べた次第でございます。
  158. 芳賀貢

    芳賀分科員 そこで、この繰り延べ分については、これは年度がかわる場合にどう処理するかという問題ですね。繰り延べ分を四十九年度の予算に加算した形でこれを新年度実行するのか、年度末において繰り延べ分を不用の形で切り捨ててしまうのか、その点が不明になっておるわけだから……。
  159. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 私どもは当然四十九年度予算に加算して執行されるものだと思っております。
  160. 芳賀貢

    芳賀分科員 これは長官も留意してぜひそのとおり実行してもらいたいと思います。  それから次にお尋ねしたいのは、先ほど同僚の安井委員からも指摘がありましたが、第三期開発計画を策定しましてからことしで四年目の実施段階に入るわけでありますが、この四年間における国内外の経済事情あるいはまた社会事情というものは予想できない方向に転換しておるわけでありますから、十カ年の長期計画でありますが、計画実行の過程において大きな事情変化というものが現象的に生じた場合においては、ちゅうちょなくこれに対応する事業の実施方針というものをこれを修正する、是正するということは当然なことであるというふうに思うわけです。その中でも、特に北海道の計画の中で大事な点は資源問題ですね。大きく分けると、たとえば食糧資源にいたしましても、北海道の持つ農業生産の役割り、あるいは沿岸漁業を通じての食糧たん白資源の確保の問題にしても、あるいは森林資源の問題にしても、さらにまた地下資源の中でも石炭政策の問題と、これらはいままではとかく国の資源というものを非常に軽く評価をして、経済合理主義の上に立って、安い価格で購入できるものについては国の生産を圧縮してでも大量に輸入を行なって、そうして経済の高度成長をはかるという、そういう政策が長年の間自民党政府のもとに講ぜられてきたわけでありますが、昨年の石油危機を契機にいたしまして、世界先進国の中で日本が最も資源の乏しい国であるということを、政府はもちろん国民全体も強く認識をしたわけでありますから、その上に食糧問題にしても、日本だけが食糧の不足傾向が強まるというわけではなくて、世界的に将来にわたって、世界の人口の増加に見合った食糧の生産、供給ができないというこの決定的な見通しというものを考えた場合においては、やはり国内における農林水産業というものを十分拡大再生産の形に押し上げるということが当然第三期計画の中においても主要な柱でなければならぬと思うわけでありますが、残念ながら、三期計画立案の当時においてはこういう具体的な深刻な事態というものがあらわれてこなかったわけでありますから、こういう点についてはやはり根本的に資源問題に対する三期計画の修正といいますか、確立といいますか、そういう点について大臣から率直な見解を示してもらいたい。
  161. 町村金五

    ○町村国務大臣 最近におきますわが国の経済情勢から、特に食糧の自給度等を高めなければならぬという必要を全国的に国民が痛感をいたしてまいったことは、まさに御指摘のとおりだと考えます。  それで、北海道の第三期総合開発計画を立てるに際しましては、何と申しましても北海道は、あの計画を立てました当時、依然としていわゆる第一次産業が主体となっておる地帯であるということは申し上げるまでもございません。ことに、日本としては非常に今後需要がふえて、しかも不足するであろうという畜産酪農製品というようなものは、北海道以外にほとんどこれを生産する場所がないのであるから、北海道の役割りというものは非常に大きくなるに違いない。したがって、酪農につきましては、草地の改良から乳牛の生産等に至りますまでの間、実はあの総合開発計画の中ではかなりの力を入れるような方向で開発計画が繰り込まれておることは御承知のとおりでございますし、あるいはまた漁業の面についてもそのとおりでございます。ただ、一番私どもいま思いましてまことに残念だと思うことは、やはり石炭の問題でございます。当時の情勢からいたしますと、非常に安い石油が入ってまいる、いわゆるエネルギー革命と称して、ほとんど石炭というものが石油に圧倒されてしまうというような情勢にあったわけでございますので、私ども北海道側としては、何としてもこの石炭を維持したいものだということを強く念願しながらも、そういった情勢にはなかなか太刀打ちができないために、次第に閉山が続くというような情勢でございました。しかし、やはり私は、北海道としてはこの貴重な地下資源をできるだけ守りたいと申しましょうか、少なくとも維持をしたいということが、当時の開発計画を立てたときの考え方でございました。いま情勢は著しく変化をいたしまして、この石炭に対する見直しといったような問題が起きてはおるのでございますけれども、さて、しからば一体、見直したからといってすぐ石炭が昔のような隆盛を取り戻し得る情勢にあるかというと、なかなかこれはむずかしい問題が伏在いたしておることは申し上げるまでもございません。  いずれにいたしましても、やはり北海道は何と申しましても広大な地域で、しかもまだ未開発の資源、いま申し上げた鉱物資源ばかりじゃございません、漁業にしても農業にしてもまだ発展の可能性が相当にある、したがって、これを今後進めてまいることは国全体の発展に大きく寄与するものだ、かように私は考えておりますので、北海道の開発につきましては、特に今後そういったことに力点を置いて進めてまいるべきであり、またそういたさなければならぬのではないか、こう考えておるところでございます。
  162. 芳賀貢

    芳賀分科員 長期計画の問題については、これはいまから二十年前に時の吉田首相が、自由経済を基盤とした自民党政府のもとにおいて策定する経済計画等については、それ自身が実行の具体的な目標ではない。とにかく計画経済のもとにおいて政策を進めるのでないからして、長期計画といってもこれは単に五カ年、十年間にわたる指標的なものである。だから、あんまり自民党政府に対して長期計画がどうの、経済計画がどうのと言われても、その基盤が自由経済を基盤とした政府の経済計画であるので、それほど重大な関心を持って指摘されても、それに対してまともな答えはできませんと、こういう記憶があるわけです。  まあ町村さんも私もこの二十七年に国会に入った同期生ですから、だからそういう点から見ても、長期にわたって一党独裁的にいまの自民党が政権を担当しておるわけですからして、この北海道開発の三期計画であっても、それ自身にわれわれは最大の期待は寄せていないわけです。むしろ、毎年毎年の北海道の開発事業の実施というものが予算を裏づけにして進んでいく、その実績に対して五年計画、十年計画というものを、むしろ実行に対して歩調を合わせるという意味のいままでは修正であり、是正であったというふうに考えておるわけであります。それだけに、三期計画そのものにあまりに政府としてもこだわり過ぎる必要はないと思うのですよ。だから、毎年毎年の北海道の開発事業を忠実に実行する中において、やはり当初の方針を修正しながら進んでいかなければならぬわけでありますからして、そういう意味においてはあまりに計画にこだわり過ぎて、一年も二年も検討しなければ結論が出ませんというものではないと思うのですね。どうしたならば最大の効果というものを施策実行の中にあげることができるかということで、これからも努力すべきではないかと思うわけであります。  次に、食糧資源の今後の拡大の問題について大臣にお尋ねしますが、たとえば北海道の主要な生産物である酪農ですね。この酪農についても、全国で生乳の生産が約五百万トン、その中で北海道においては百四十万トンの生乳の生産が行なわれておるわけです。ところがこの百四十万トンを用途別に区分をいたしますと、八五%の約百二十万トンが乳製品の加工原料、残りの二十万トンが飲用乳として消費されておるわけです。そうなると、北海道で生産された生乳のほとんどが加工原料ということになる。これを生乳の価格面からいうと、いま飲用乳については生産者価格がキロ当たり八十円をこえているわけですね。それから加工原料の生乳価格は四十八年の保証価格が四十八円五十一銭、ですから一キロ当たりの生乳について三十円の価格上の格差があるわけです。そういたしますと、一頭の搾乳牛の年間平均量が五千キロですね、五千キロといたしますと、一キロ三十円の価格上の格差があるということになれば、これは十五万円ということになるわけです。同じ酪農を通じて生産に従事する、その生産された生乳が用途別によって販売されることによって、乳牛一頭について十五万円、二十頭なら三百万円ですね。こういう点が、結局は北海道の酪農というものを大きく抑圧するという最大の原因になっておるわけです。  甘味資源のてん菜にいたしましても、これも政府が毎年価格をきめるわけでありますが、昨年は原料価格が一トン当たり八千五百六十円、ところが同じ国内の甘味資源である沖繩のサトウキビあるいは奄美諸島のサトウキビについては、十一月決定によりますと、これはトン当たり一万円ということになるわけです。国内においても生産地域が異なる、あるいは生産されたものが用途別によって大きな価格の懸隔ができる。この一事を取り上げても、結局、現在法律を基礎にして政府が行政的にきめる農産物、畜産物の支持価格、保証価格というものは、すべて実勢にまかせた価格形成よりも、相当大幅に下回った価格で制約を受けているということになるわけです。町村さんも北海道の出身でもあるし、いまの内閣の閣僚の中では、あなたが一番北海道の実情に通じておるわけでありますから、こういう問題は、北海道開発庁というのは、国の公共事業の北海道分だけを所掌する役所であるという考えでなくて、田中内閣全体の中で展開される農業政策あるいは産業政策の実行にあたっては、北海道担当の大臣として、こういう大きな矛盾と欠陥というものを的確に指摘して、内閣全体の責任でこれを是正させるということにしなければ、いかに北海道が今後日本の食糧基地である、この基地を強化することによって国民生活に不安を与えない食糧の一大拡大生産を展開するといっても、結局、この矛盾を解明しない限り、北海道の生産農民が熱意を燃やして農業の生産に取り組むということはできないと思うわけです。特に加工原料乳の価格決定は、今月の末行なわれる。てん菜の価格については、来月の十日までに行なわれるということになっておるわけでありますから、これらの点について、具体的に大臣から見解を述べてもらいたいと思うのです。
  163. 町村金五

    ○町村国務大臣 北海道における畑作としては、酪農並びにいま御指摘のございましたてん菜が最も重要な農作物であることは申し上げるまでもございません。しかも御指摘がございましたように、北海道はその生産される牛乳の大部分が加工原料になっておる。いま御指摘もございましたように、飲用乳に比べてみますると価格が格段に安い。これが北海道の酪農というものは、草地その他の点において非常に恵まれた条件であるにかかわらず、一面不利な条件は、価格が非常に安いということが最大の弱点になっておることは御指摘のとおりでございます。  したがって私は、北海道の今後の酪農を発展させてまいりますのには、価格をもっと上げてもらうということが大事でございますし、そのためには、一面におきましてあれだけ生産されておりまする牛乳が、価格の高い本州における飲用牛乳としてもっと大量に搬出をされるということをぜひやらなければならない。その点は農林省、北海道ともに、かなり真剣に考えておるようでございまして、あるいは農縮牛乳等のプラントなども最近はつくるというような計画等も進んでおりますが、いずれにいたしましても北海道の良質の牛乳を大都市に持ってくるということは、私はどうしてもこれは早急にやらなければならない。やることによりまして北海道農民の所得も、いま御指摘のように格段の増大をはかるということが可能でございます。しかしそうは申しても、なかなか一挙にそういうわけにまいりますまい。やはり加工に回されるものは相当にあるわけでございますから、本年の加工乳の保証価格の値上げにつきましては、私どももひとつできるだけの努力をこれに払ってまいりたい、こう存じておるところでございます。  なおまた、てん菜につきましても、確かに農民に、ほんとうにてん菜に魅力を持たせてやるには、価格の点においてかなり低廉である。幸か不幸かわかりませんけれども、御承知のとおり外糖の価格が今度は非常に上がっておりまするので、今度この価格の問題につきましては、従来よりはやや、やりやすくなるというような点もございますが、その点は私どももひとつできるだけの努力もいたしてみたい、こう考えておるところでございます。
  164. 芳賀貢

    芳賀分科員 従来は国内の農産物、畜産物の価格形成については、国際価格を常に引き合いに出して、たとえば米は外米の値段が倍するとか乳製品がどうであるとか、そういうことで、国際価格水準から見た場合に日本の農畜産物の価格水準は非常に高い。だから今後の農業政策というものは、価格政策をあと回しにして、構造政策を中心に進めなければならぬというような考え方、あるいは御用学者等を動員して国際分業論を展開したという経過はありますが、いまになれば大臣が言われたとおり、もうすべての農畜産物の価格は、国内価格よりも外国価格のほうがむしろ上回っておるというのが実態であります。米にしても、大体トン当り七百ドルということになれば二十一万円。日本の米の場合には、昨年の政府価格が十七万一千円ですから、今度は外国の農産物が安いから上げることはできませんということは、もう全然これは抑制の武器にならぬわけですから、こういう点を政府の中においてぜひ北海道長官として、十分に積極的に対処してもらいたいと思います。  最後にもう一つ、北海道の農業の事実上柱である米作ですね、これについてももう過剰傾向が終わって、これからは不可避的に国内の米の生産を全面的に再開しなければならぬということにこれはなるわけでありますが、そういうことで、ことしの政府がすでに全国都道府県に割り当てをいたしました四十九年度の米の生産調整目標の数量、あるいは事前売り渡しの限度数量の割り当て等の結果を見ても、生産調整目標については、昨年よりもおおよそ七十万トン緩和されておるわけです。去年二百五万トン生産制限をしたのが、ことしは百三十五万トン、その中には夏季施行の十七万トンも入っておるわけですが、それほどオーバーに制限を緩和した。それに従ってことしは政府が買い入れる米の予約数量も、昨年よりは四十万トンふえまして、総体で八百六十万トンということになっておるわけであります。これは当然のことでありますが、ただ問題は北海道に対しましては、昨年度よりも生産調整の数量を七〇%以上ふやしておるわけです。大体十七万トン以上、北海道の生産制限数量というものを逆にこれはふやしておるわけです。したがって、政府の事前売り渡し限度数量についても、北海道については昨年よりもおおよそ十六万トン減額しておるわけです。全国的には生産調整を大幅に緩和をして、あと二年ぐらいで全面生産ということになるわけでありますが、その中で北海道だけを特別扱いにして、将来にわたって北海道の米生産をこの際抑制する。それを実績にして、これを転換させるというような考えというものは、これはいまだに根強く進められておると思うわけです。もともと田中首相が就任した場合において、北海道の米作を全部やめてくれれば内地府県においては米の生産調整をする必要がない、こういう無責任な発言をした人物がいまだに一国の政治の最高の座にすわっておるわけですが、こういう点は北海道開発の計画を進める、事業を進めるという場合において重大問題と思うのですね。北海道開発の公共事業の実行というものが決して終局の目的ではないと思うのですよ。公共事業を通じて社会資本を増大する、あるいは土地の基盤整備を行なうことによって初めて期待されるもろもろの産業活動というものが順調に進んで、そして所期の成果をあげるというところに公共事業の持つ意義と目的があるわけでございますからして、この点は町村長官としても十分な判断と重大な決意をもって北海道の農業を守るということ、これは単に北海道の地域性の上に立った問題ではないと思うのですよ。これは全国のこれからの人口、食糧政策を積極的に進める場合において、北海道の持つ農業あるいは第一次産業の盛衰というものがこれにかかっておるわけですからして、この点はぜひ責任のある答弁をしておいてもらいたい。
  165. 町村金五

    ○町村国務大臣 私が申し上げるまでもなく、すでに芳賀委員も御承知のように、北海道におきましては、農林省が目標として定めました生産調整の数量をはるかに凌駕しておる。すなわち昭和四十八年度におきましては、農林省は二十一万九千トン、それに対して北海道は五十二万二千トンという、いわば倍以上の生産調整が事実上行なわれた、こういうことでございます。そこで本年は、政府といたしましても、御承知のとおり、昨年に比べますと生産調整の数量を相当に減ずるということにいたしましたのに、北海道だけは今度は逆に生産調整の数量をふやしたという、一見まことに不可解なことをやったというふうなお感じはごもっともだと思います。ただし、御承知のように、それは前年が五十二万トンである。だから、三十七万トンにしても、まだまだ北海道の生産調整というものは三十七万トンをはるかに上回るのではないであろうか。全国的には、いま申し上げたように、米の生産数量というものを相当に伸ばす必要があるという諸般の判断から、比較的米の生産が可能であろうという地域のほうの生産調整の数量を減らそうというのがおそらく農林省の判断であったろうと私は思うのでありまして、それはそれなりに一応の理由があったと思いますけれども、しかし北海道の場合を考えてみますれば、生産調整をやっておりました農民にしてみますと、またひとつ今後米に戻りたい。転作が一体どの程度できたのか。一応、北海道は御承知のとおり九万五千ヘクタールの転作が行なわれたということにはなっておるわけでございますけれども、これとても一体本格的な転作なのかどうかということになりますれば、やはり最後には米に戻りたいというような農民も相当にいるに違いないと私は思うのでありまして、私はこの機会に、いわゆる北限地帯と申しましょうか、米をつくるに不適当な地域の生産はこの機会に他のほうに転作をしてもらうという大体の方針、しかし米どころは米としてさらに発展をしていっていただくという基本方針をとるべきだと思います。したがって、本年のところをごらんになりますと、実はたいへん目標がふえたということで、何か北海道農業の、ことに米作の将来非常に暗いような印象を確かに私どもも受けるのでありますけれども、しかし北海道で生産がふえるということになりますれば、当然政府の買い上げというものがふえることはあたりまえなのでありますから、この生産調整というものが北海道農民にいろいろの影響を与えたように感ぜられていささか心配をいたしておりますけれども、しかし農民は、また北海道の米どころは、米に戻ろうという機運も一面においてたいへん強いということも聞いておりますので、ぜひそういう方向に今後北海道農業が進むように私どももできるだけの努力をしてまいりたい、こう考えておるところであります。
  166. 芳賀貢

    芳賀分科員 この際保利行管庁長官にお尋ねいたします。  第一の点は、政府の行なっておる統計業務、統計行政に対して行政管理庁としてどのような監察を行なっておるか、主要な点について説明を願いたいと思います。
  167. 保利茂

    ○保利国務大臣 統計に関連いたします行政監察につきましては、昭和三十五年、四十一年、四十五年の三回にわたって実施しております。この監察は行政運営の簡素合理化を目的として実施したものでありますが、統計関係につきましては、不要な統計報告の廃止、統合、類似する統計報告等の簡素合理化を中心に行政監察を実施してきております。
  168. 芳賀貢

    芳賀分科員 本日は政府の各機関の統計担当の、行管では統計主幹、総理府の統計局、さらに農林省の統計情報部長、労働省の統計情報部長の各担当者に出席してもらっておるわけですが、時間の制約がありますので、具体的な点について申し上げたいと思います。  保利大臣は二十九年当時農林大臣をやっておられたわけで、私も記憶しておりますが、現在農林省は、農産物並びに畜産物についての生産費調査というものを規定に基づいて実行しておりまして、その結果というものは毎年定められた時期に生産費として公表されておることは御存じのとおりであります。そのことは、目的と効果をわれわれは期待しておるわけですが、ただ、この生産費調査を行なう作業の中で、当然生産に要した物財費であるとか、あるいは、結局は農家の自家労働ですね、小規模でありますけれども、みずから農業を経営して、その家族が農業労働に従事しておるわけでありますから、連続的な農業労働を行ないましても、雇用関係に置かれておりませんので、生産費を算定する場合の自家労働の賃金評価というものは結局は他産業のいずれかの労働賃金に依存しなければ生産費の計上ができないわけですね。そこまではいいわけですが、農林省の生産費計算の中の自家労働の評価については、現在においても農業の臨時日雇い労賃をもって農家の自家労働を評価するというこの手法が、保利さんの大臣時代からそのまま続いておるわけです。  二十年前と現在では農村における農業労働の構造も相当変化しておるわけでありまして、私どもしばしば農林水産委員会等を通じて、この農家の自家労働の賃金評価については、農業臨時日雇い労賃を採用するということは誤りではないか、結局、農業の自家労働というものは他産業の労働の様態と比較した場合において、それを常用労働と日雇い労働に大きく区分した場合の共通性、類似性というものはいずれにあるか、こういう基本的な点から解明していかなければ、日雇い労賃のほうが非常に賃金水準が低いから、生産費の結果というものを低い水準に求めるために、そういう低賃金を採用するということは、統計本来の目的にこれは反するものであるというような論議は長年の間しばしば行なってきておるわけでありますが、なかなかこれが農林省だけの内部的な問題として明快な結論が出ないわけですね。  それで、きょうはたまたま予算分科会の機会を活用いたしまして、とにかく行管を主体にして統計業務に関する適正な作業、特に政府として正しい農業の生産費の公表をするわけでありますから、どのような手法が最も適当であり、正確であるかという点について、ぜひ長官の所見を伺いたいわけであります。
  169. 保利茂

    ○保利国務大臣 昭和二十八年、二十九年当時、たまたま北海道冷害がございました。北海道農業、いな全国農業について終始一貫御心配をいただいておりました芳賀委員の御活躍のほどを想起いたしております。  ただいまの、農産物の生産費調査に自家労働力をどう評価すべきであるか、生産費調査にあたってどういうものをとるべきであるかということでありますが、結局は農業のために、農業経営のために臨時に雇い入れる、いわばそれは日雇いということになるのでございましょうが、実際に生産費がどれだけかかったかということを見るには、それが一番現実的であり、また合理的であろうか、そういうことで農業臨時雇いの黄金を生産費調査の自家労働力評価に当てております。  このことは、農産物価格をどうきめるかということとは、多少また違うわけでございます。農産物価格の設定は――生産費調査はそうである。同時にまた、農家経済、農業所得を確保していく上からどういう農業政策をとるべきであるかということは、おのずから別個に考えていくべきであろうと思いますが、生産費調査は現実に生産のために要した経費、それをよく合理的に現実的に合わしていくことが一番妥当じゃないかというようなことで、芳賀さんからも今日までずいぶん政府に対して御啓示もいただいてきておりますけれども、やはりどうも生産費調査となると、現行これまでやってきておるのが一番妥当じゃないかというような考えは、どうもそれ以上にいい名案が出てきていないということが現状だと思います。
  170. 芳賀貢

    芳賀分科員 実は農林省内部においても、保利大臣が言われたよりも問題の詰めが進んでおるわけです。それでどういうことになっておるかというと、まず農業の自家労働というものは小規模の経営であるが、とにかく事業としては、これは経営者である事業主がその経営の責任を持って、長年の経験のもとに仕事をしておる。そうして自家労働ということになれば、経営主も含めてその家族が期限を限定しないで毎日毎日農業の労働に参加しておるわけでありますから、その農業の経営の実態あるいは家族労働の実態というものは、これを他産業の労働の様態である常用労働と日雇い労働の二つの区分に対して、どの区分にこれが最も共通性があり、類似性があるかということになれば、これはもう常用労働と認めざるを得ないわけなんですよ。ここまでは農林省においても問題が煮詰まっておるわけです。  それでは日雇い臨時労賃でなくて、常用労賃の最も近似したものを生産費の自家労働の評価に用いたらいいのではないかということになると、そこから先が進まないのですよ。どうして是正ができないかというと、統計というものは非常に長期性をもって確率を求めるというところに一番大事な点がある。だから、理論的には農業の自家労働というものは常用労働に通ずるとしても、もう昔から何十年もその評価については、農業の臨時日雇い労賃でやってきておるので、そう言われても、なかなか常用労賃に変更することができかねます。ここでもう停とんをしているわけですね。  それでは農林大臣の権限の範囲で、その部分の変更ができないのか。できないとすれば、それは内閣の統計の基本的な事務を統括しておる担当があるとすれば、その段階でこれは調整をすべきではないかという点になりますと、それは農林大臣のもとでできるというのですね、変更については。できるのだったら、率直に認めて是正したらいいじゃないかということになると、先ほど言いましたとおり、もう何十年間臨時日雇い労賃でやっておるので、これを途中で変更するということはなかなかできがたい。ここで堂々めぐりをしておるわけでありますから、そうなれば、これは内閣の中でどこかで責任を持って、これらの調整等を行なうことのほうが問題の解決を進めることになるのではないかということで、きょうは行管長官をわずらわしたということになるわけです。
  171. 保利茂

    ○保利国務大臣 だんだん問題を詰めていただいておるようでございますから、そこで生産費調査を進めるにあたりましては、もちろん農林省と行管とで御相談の上で、それでよかろうということで調査を進めるわけでございますが、問題は、生産費の調査は、一番現実的なかつ客観的に妥当な調査目的を達することが大事でございますから、何もとらわれることはないと思うのでございます。それは実際、場合によれば、私の感じからいいますと、臨時的に雇い入れる賃金は高い、それはそうでございますよ、という場合もあるし、そうでない場合もございましょうし、いずれにいたしましても、どちらをとることが実際のすなおな生産費を出すために大事であるかということから判断すればいいんじゃございませんでしょうか。  過去に、何十年やってきたからそう一ぺんに変えられぬというような考え方にとらわれるよりも、すなおに生産費を実際にはじき出すためにどう扱っていくべきかということで私はやるべきだと思います。行政管理庁は、ひとつそういう考えでとりたいと思いますから、どうか農林省のほうでも十分お考えいただくように私のほうからもお願いをすることにいたします。
  172. 芳賀貢

    芳賀分科員 現実にはいま大臣が言われたとおり、たとえば政府が毎年きめる生産者米価につきましても、この場合には生産費所得補償方式の算定方式をとって、その場合の米生産に要した自家労働については、製造業の五人規模以上の平均労働賃金というものを米生産に要した自家労働に評価がえをしておるわけです。あるいは、今月の末にきめる加工原料の生乳の保証価格についても、これはちょっとやり方が違うわけでありますが、全国都道府県単位に生産された生乳の数量の中で、二分の一以上それが加工原料に使われておるという県だけを抜き出して、その道県のいわゆる地方労賃、ですから、その地方における製造業を中心にした平均的な労働賃金というものを基礎にして、それがたとえば現在は北海道外四県ぐらいしかもうないわけです。だから一道四県の地方労賃を、それをまた、複雑でありまして、一道四県の乳の生産量と、それから道県別の地方労賃の平均指数というものを加重平均する形で一定の労働黄金を求めて、そうして生乳の保証価格をきめる場合の自家労賃に当てはめておる。  だから現実に政府が行政価格をきめる場合には、決して農業の臨時労賃を用いているというものはないわけです。それを実行しようとしても、これは容認されない問題ですから、まあしかたなしに他産業でもなるたけ安い賃金が出てくるような形で運営はしておるわけですからして、そういう点から見れば、むしろ現実に合わせて、生産費の場合においても、当然この常用労賃というものの最も適当な賃金を自家労働に当てはめたほうがいいんじゃないかということになると思うわけです。これはまあ専門的な政府委員の皆さん来ておるわけですから、まず統括といいますか、統計主幹の見解はどうですか。
  173. 増淵亮夫

    ○増淵説明員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御質問のように、統計主幹の立場といたしましては、統計技術的に合理性があるかどうかという立場で、いろいろな指定統計なり承認統計の場合に審査をし対処しているわけでございますが、ただいまの例の場合に、やはり実際の生産費がどれだけかかったかというものを統計的につかむ角度から考えますると、畜産の場合にはいろいろな地域性という問題もございますし、また長年の時系列を考えた統計という角度もございまして、そういった角度から統計調査の面で生産費をつかむ上に労賃はどういうものを採用したらいいかということで、お話のようにいろいろございますわけでございます。  現在のところ、やはりその地域で、同じような事業に従事する臨時の日雇いの賃金を使うことが統計的にも合理的であり、また真実の生産費を把握する上で妥当ではないかというようなことでやっておるわけでございます。
  174. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは一とおり意見を尋ねることにして、次は総理府の統計局長から。
  175. 川村皓章

    ○川村政府委員 お答え申し上げます。  先生御存じのとおり、総理府の統計局は、国勢調査その他、国の基本的な調査の企画実施をいたしております。その意味で、私どもの持っております調査の中からは、先生のお答えに該当する直接的な比較というのは実は出てまいっておりませんので、その意味では直接的にお答えすることがなかなか困難かと存じます。  ただ一般的に申しますならば、いわば自家労働者をどう評価するか、これはまあ常用にするか日雇いにするかという評価の問題、これは直接的に他産業のどれと結ぶかというのは、技術的にはなかなか困難なことだろうと思います。したがって、やや間接的に申し上げるならば、やはり現実にその農家の百家労働者実態、これはおそらく相当な多様性を持っているだろうというふうに推測をいたしますが、その実態等に照らして、はたしてどうかという問題で判断すべきでなかろうかというふうに考えております。
  176. 芳賀貢

    芳賀分科員 次に、労働省の統計情報部長から意見を述べてもらいたいと思います。
  177. 塩田晋

    ○塩田説明員 労働省におきましては、各種の賃金の実態を調養いたしておりまして、毎月勤労統計調査、賃金構造基本調査、屋外職種別賃金調査等々、たくさんの賃金関係の調査を行なっておるところでございまして、これはあくまでもその質金の実態というものを明らかにして、これを客観的にお示しいたしまして、各方面の御利用を願うということを考えてやっておるところでございます。したがいまして、ただいまお話がございましたように、労働省の各種の黄金統計調査の結果が有効に利用されているということは非常に望ましいことであり、喜ばしいことと思っております。この調査は、やはり何といいましても、客観性を重視いたしまして、いかに精度を高めるかということを重視してやっておりますので、その利用がどのように行なわれておるかということについて、その利用のしかたが間違っておるとか、あるいはおかしいじゃないかということを統計をつくった者の立場から、とやかく申し上げるのはいかがかと思います。むしろ、すべきじゃないという考え方でございまして、大いに利用はしていただきたいわけでございますが、それについてとやかく申し上げる問題ではないというふうに考えております。  また、農業関係の労働につきましては、従来からのいきさつ、経緯もございまして、労働省ではその賃金の調査等を行なっておりません。農業を除くその他の関係の賃金実態を調べておるところでございます。したがって、先生指摘のような農業の自家労働がどういったものでもって評価されるべきかということは、従来労働省としては考えていなかったところでございますので、御了承いただきたいと思います。
  178. 芳賀貢

    芳賀分科員 なかなか各省慎重にかまえておるわけですが、問題は、元来農業の経営ですから、経営主においても決して直接報酬を受けておるわけではないですね。その経営者の家族の農業従事についても、決して賃金報酬を受けて農業に従事しておるわけではないわけですよ。そういう事業である農業の自営労働というものを、何らかの雇用労働者の貸金に当てはめること自体、これは無理なことはわかっておりますが、しかしその生産費を計上する関係上、どうしても農家が労働を投入した何十時間あるいは何日間の労働の価値というものを、やはり金額であらわさなければ生産費の結果というのは出てこないわけだから、そうなれば、最も農業の経営並びに労働に共通性のある、近似性のある労働の様態の中から何らかを抜き出して、それによって農家の自家労働の評価をやる以外に道はないと思うのです。  その場合、はたして農業の経営というものは、日雇い臨時労働の形で形成されておる、そういう経営体のものであるか、あるいは期限を付さないで長期永続的に、農業の経営は代々にわたって行なわれておるわけでありますからして、そうなれば常用的な農業の労働というふうにこれは通ずるではないか。この基礎が明確にならなくて、ただ農家が雇っておる日雇い労賃というのが一番手近で採用しやすいから、それでやるというようなことになると、基本が失われてしまうわけですね。  その点を私どもは重視しておるわけです。これはこの場で直ちに統一的な政府の見解が出ないとしても、私は、先ほど保利長官の言われた、とにかく現実に実態に最も適合する方法というものが発見されれば、従来の方法にこだわって、何十年も昔からこのことでやっておるので絶対に変えるわけにはいきませんというものではないというふうな、非常に高度な判断の発言をされましたので、まあ、その解釈というものは、われわれとしても有利に解釈するというわけじゃないが、当然これは行政運営の中において、統計業務においても、保利大臣の言われたようなことでいかなければならぬと考えておるが、私のいま言ったのが、これは間違いであれば、また反論してもらいたいし、まあ、きょうは農林省の統計部長も来ておりますが、何もこれは被告扱いにしてどうというわけじゃありません。ただ、関係各省におかれての統計業務というものは、やはり基本的には一貫性というものがなければ、統計の持つ純粋性と確実性というものを期待するわけにはいかぬですから、最初から何らかの政治的な意図をもって、農産物、畜産物の生産費を政治的な考えで低くするために統計というものを悪用するということであっては絶対にならぬと思うので、その点について、もう一度大臣から明快にしてもらいたいと思います。
  179. 保利茂

    ○保利国務大臣 農畜産物の生産費調査は、農畜産物を生産するためにどれだけの経費がかかったか、それをすなおに取り上げるということが大事だろう。したがって、芳賀委員の言われるように、押えるために、こういうとり方をしておるのじゃないのかというようなことが広く生産農民の方に受け取られるというようなことは、政府としてはそれは本意ではないと私は思います。  したがいまして、よりすなおに、より客観的に得る方法が見出されるならば、それは改めていかなければならぬと思いまするし、統計主幹とも話しておりますけれども、農林省でも農業政策を進められる上において非常に大事な基本的な問題でございますから、農林省でも十分研究されておるでしょうし、わが統計主幹のほうでも十分相談に応じて、よりすなおに、より客観的に事態を把握するように、この統計目的が達成せられるように、私どもとしてもつとめていかなければならぬ、こう考えております。
  180. 芳賀貢

    芳賀分科員 いまの大臣の答弁、まことに明快であるので、今後この実行面において期待していきたいと思います。  委員長から時間の注意がありましたが、もう一問だけ、別な問題ですが、それは、たびたび行政管理庁に対しても提起しておる問題でありますが、昭和四十六年の四月十三日に、衆議院農林水産委員会を通じまして、国有林野事業の作業員の取り扱いについて、という政府の統一見解が示されたわけでございます。この経過は省略いたしますが、この統一見解の全面実施については、もとより関係各省にまたがるところでありますが、特に行政管理庁において十分な指導性を発揮してこの問題の解決に取り組んでもらわなければ、なかなか前進が期待できないというような事情もありますので、この際、大臣から率直に、行管としての方針を示してもらいたいと思います。特にその中で、一昨年来懸案になっておる国有林野事業の中の常用作業員のうち機械要員、機械掛当の作業員が現在三百七十四名程度まだ定員内繰り入れが実現しておらない、つまり残人員ということになっておるわけでありますが、これは前の福田長官の時代にも直接数度会見いたしまして、鋭意実現に努力するという意思も受けておるわけでありますが、もう四十八年度も年度末間近でありますので、この際統一見解の全面的な促進についての問題と、もう一つは限定した問題でありますが、三百七十数名の機械要員の繰り入れについて、この二点について、本日は大臣から承っておきたいと思います。
  181. 保利茂

    ○保利国務大臣 先般も当委員会で湯山委員からそのお話がございました。国有林事業というもの、いま林野庁もたいへん苦労しておるようでございます。行政管理庁としては、その事情はよく理解をいたしておるつもりでございますから、全体としては、林野庁で確固とした方針をお立てになれば、十分行政管理庁としても協力的な御相談に応じていかなければならぬ、基本的にそう考えております。  それから、機械要員の定員化につきましては、四十四年ですか四十五年でございますか、一応きれいに片づいたようでございますけれども、その後、またいま御指摘のように、三百九十何名かの該当者があるようでございます。このことにつきましては、欠員の補充を優先的に定員に組み入れていくということで、できるだけ早く処理するという考えでございます。もう四十八年度も年度末に差しかかっておりますことでございますから、今年度どの程度の定員化ができますか、おそらく早急のうちに、四十八年度にどれだけの定員化ができますかということを申し上げられ得るだろうと思うのでございます。それをまた、私どもも期待をいたしておるわけであります。
  182. 芳賀貢

    芳賀分科員 その点について、いま大臣の言われた欠員補充の形で措置するということでなくて、もうすでに二千七百余名の機械要員の大部分は繰り入れが完了しておりまして、残りがいまの時点で三百七十四名ということになっておるわけです。これから欠員が出るたびに欠員補充の形で繰り入れするということでは、何年先にいくかわからぬわけです。だから、その二千七百余名のうちの繰り入れ残の人員が三百七十数名おるわけでありますから、これは当然いままでに全面的に解決しておらなければならぬのが、いろいろな事情があって延び延びになっておるわけですので、この点をよく大臣においても頭に入れておいて、そしてできるだけすみやかに、年度内に解決のめどがちゃんとつくように善処してもらいたいと思いますが、大事な点ですから、もう一度この点について答弁願います。
  183. 保利茂

    ○保利国務大臣 ちょっと芳賀さんのほうでも、あるいは私の勘違いかもしれませんが、お勘違いがあるのじゃないか、というのは、二千七百数十名の定員化をいたしましたときに、大体それですべて片づいたということであったわけですが、いま三百七十ないし三百九十と申しますのは、その後発生した同様の方でございます。これは林野庁と行政管理庁との間で相談してきまして、できるだけ早急に定員組み込みのほうに扱っていこう、そしてとにかく欠員補充の方式をもって組み込んでいくようにしようということで、いまなにしておりますが、さらに十分研究いたします。
  184. 芳賀貢

    芳賀分科員 私は、いまの大臣の言われた点を、そのまま了承というわけにはいかないわけだし、また了承できない理由もありますけれども、きょうは時間が制約されておるので、とにかく欠員補充というようななまぬるいやり方でなくて、積極的に十分に取り組んでもらいたいと思います。  終わります。
  185. 上村千一郎

    上村主査 午後二時三十分に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後二時六分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十一分開議
  186. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十九年度一般会計予算中、裁判所及び法務省所管を議題といたします。  まず、最高裁判所当局から説明を求めます。安村最高裁判所事務総長。
  187. 安村和雄

    ○安村最高裁判所長官代理者 昭和四十九年度裁判所所管予定経費要求額について説明申し上げます。  昭和四十九年度裁判所所管予定経費要求額の総額は、九百十四億四千四十一万円でありまして、これを前年度予算額八百九十二億二百五十九万六千円に比較いたしますと、差し引き二十二億三千七百八十一万四千円の増加となっております。これは、人件費において七十九億三千二十六万三千円、司法行政事務を行なうために必要な旅費、庁費等において五億二千八百五十万七千円が増加し、裁判費において三億三千六百三十四万六千円、裁判所の施設費において五十八億八千四百六十一万円が減少した結果であります。  次に、昭和四十九年度予定経費要求額のうち、おもな事項について説明申し上げます。  まず、人的機構の充実のための経費であります。  特殊損害賠償事件等の処理をはかるため、裁判所書記官二人、裁判所事務官十人の増員に要する経費として八百九十七万七千円、刑事長期未済事件の処理をはかるため、判事補二人、裁判所書記官二人、裁判所事務官四人の増員に要する経費として九百二十六万三千円、簡易裁判所の交通事件(道路交通法違反事件)の適正迅速な処理をはかるため、簡裁判事三人、裁判所書記官二人、裁判所事務官十二人の増員に要する経費として一千七百七十九万七千円、家庭裁判所における資質検査の強化をはかるため、家庭裁判所調査官五人の増員に要する経費として六百四十八万一千円、調停制度の改正及び拡充強化をはかるため、裁判所事務官五十六人の増員に要する経費として三千八百四十六万円、合計八千九十七万八千円を計上しております。  以上、昭和四十九年度の増員は、合計九十八人でありますが、他方、定員削減計画に基づく昭和四十九年度削減分として、裁判所事務官六十八人の減員を計上しておりますので、これを差し引きますと、三十人の定員増加となるわけであります。     〔中村(弘)主査代理退席主査着席〕  次は、裁判運営の能率化及び近代化に必要な経費であります。  庁用図書、図書館図書の充実をはかる等のため、裁判資料の整備に要する経費一億八千九百九十四万三千円、裁判事務の能率化をはかるため、検証用自動車等の整備に要する経費九千七百四十五万円を計上しております。  次は、裁判所施設の整備充実に必要な経費であります。  下級裁判所庁舎の新営、増築等に要する経費として、裁判所庁舎の新営及び増築(新規十七庁、継続十五庁)に必要な工事費及び事務費等六十二億三千七百八十五万一千円を計上しております。  次は、最高裁判所新庁舎関係経費であります。  最高裁判所新庁舎完成に伴い、新庁舎を維持管理するための経費として二億四千八百五十八万三千円、最高裁判所新庁舎への移転等に要する経費として五千七百八十六万八千円を計上しております。  次は、調停制度の改正及び拡充強化に必要な経費であります。  調停制度の改正に伴い調停委員の手当として十億二千四百四十四万六千円、調停室の整備等に要する経費として二億九千六百十四万円を計上しております。  次は、裁判費であります。  国選弁護人の報酬の増加に必要な経費として一億四千六百二十二万五千円を計上しております。  以上が、昭和四十九年度裁判所所管予定経費要求額の大要であります。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。     ―――――――――――――
  188. 上村千一郎

    上村主査 次に、法務省所管について、政府から説明を求めます。中村法務大臣
  189. 中村梅吉

    中村国務大臣 昭和四十九年度法務省所管予定経費要求の内容につきまして、大要を御説明申し上げます。  昭和四十九年度の予定経費要求額は一千七百六億八千三百四十六万四千円であります。前年度予算額千五百二十九億九千四百十七万七千円と比較しますと、百七十六億八千九百二十八万七千円の増額となっております。  増減の詳細は別途の資料により御承知を願いたいのでありますが、その内容を大別して御説明いたしますと、第一に、人件費関係の増百三十九億四千五百四十一万九千円であります。  これは、公務員給与ベースの改定等に伴う増額分、昇給等の原資としての職員基本給及び退職手当等の増額分がおもなものでありますが、そのほかに、副検事、法務事務官等七百五十三人の増員に要する人件費が含まれております。  ここで増員の内容について申し上げますと、交通事件、公安労働事件、暴力犯罪、公害犯罪等の増加に対処するとともに、公判審理の迅速化をはかるため、副検事五人、検察事務官百四十一人、登記事件、国の利害に関係のある争訟事件及び人権侵犯相談事件の増加に対処するため、法務事務官三百三十八人、刑務所における看守の勤務条件の改善と医療体制の充実をはかるため 看守百六十六人、看護士(婦)十六人、非行青少年対策を充実するため、少年鑑別所教官十六人、保護観察官二十二人、出入国審査業務の増加に対処するため、入国審査官十九人、入国警備官三人、暴力主義的破壊活動に対する調査機能を充実するため、公安調査官二十七人となっております。  他方、昭和四十六年の閣議決定に基づく定員削減計画(第二次)による昭和四十九年度削減分として六百三十三人が減員されることとなりますので、これを差し引きますと百二十人の定員増加となるのであります。  第二に、一般事務費の増三十七億三千四百三十七万二千円であります。これは、事務量の増加に伴って増額されたもののほか、積算単価の是正、職員の執務環境の整備改善及び保護司実費弁償金の単価引き上げに伴う増額分等であります。  次に、おもな事項の経費について概略を御説明いたします。  第一に、法務局、地方法務局において登記、供託、戸籍等の事務を処理するために要する経費として二十五億七千八百十九万八千円、第二に、検察庁において刑事事件を処理するための検察活動に直接要する経費として十二億五千百六十万七千円、第三に、拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院の被収容者の衣食、医療、作業等に要する経費として百三億八千三百五十四万九千円、第四に、保護観察に付された少年等を更生させるための補導援護に要する経費として二十億二千百六十四万七千円、第五に、出入国の審査、在日外国人の在留資格審査及び不法入国者等の護送、収容、送還等を行なうのに要する経費として二億三千三百四十五万五千円、なお、外国人登録法に基づき、在日外国人の登録及び指紋採取の事務を処理するために要する経費として五億九千百九十八万五千円、第六に、公安調査庁において処理する被壊活動防止のための調査活動等に要する経費として十三億七千百四万二千円、第七に、法務局、検察庁等の庁舎及び刑務所、少年院等の収容施設の新営整備に要する経費として七十二億四千七百四十五万六千円が計上されております。  最後に、当省主管歳入予算について一言御説明申し上げます。  昭和四十九年度法務省主管歳入予算額は六百四十四億一千百三十三万三千円でありまして、前年度予算額五百十億二千五百一万六千円と比較しますと、百三十四億六百三十一万七千円の増額となっております。  以上、法務省関係昭和四十九年度予算案について、その概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議を賜わりまするようお願い申し上げます。
  190. 上村千一郎

    上村主査 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  191. 上村千一郎

    上村主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。正森成二君。
  192. 正森成二

    ○正森分科員 最初に、法務大臣に伺います。  報道によりますと、政府は、四月二日から横浜市で開かれる第二回アジア卓球選手権大会参加者のうち、未承認国地域からの役員、選手団の入国問題、つまりカンボジア王国民族連合政府、南ベトナム臨時革命政府、PLO及びラオス愛国戦線等について検討されているようであります。また別の報道によりますと、国会での質問に対して、外務省の高島アジア局長が、スポーツの分野という性格だから、法務省から協議を求めてくれば善処したいということを言い、また大平外務大臣も高島アジア局長の述べた方向で考えるということを言うておられるようであります。これについて中村法務大臣はどういうようにお考えか、所信を承りたいと思います。
  193. 中村梅吉

    中村国務大臣 まだ入国申請書が出ておりません段階でございますので、申請書が出ました暁に関係各省と十分に協議いたしまして、検討いたしたい、かように考えております。
  194. 正森成二

    ○正森分科員 申請書が出た段階でお考えになるのは当然でございますけれども、すでに新聞でも報道されておりますし、おおよその心がまえというのは、あるべきはずであります。そしてこういうスポーツ関係というようなものについては、従来からもなるべく広く入国させるということでございましたし、私から言うまでもありませんが、アジアの卓球大会にからんでニクソン大統領の訪中が実現したというような歴史的経緯もありますから、もちろん申請書が出た段階で具体的に考えるということは当然でしょうが、心がまえとして前向きに善処されるのかどうか、あるいはどこかに問題点があるのか、そこらをもう少し具体的に答えてください。
  195. 中村梅吉

    中村国務大臣 御承知のとおり、南ベトナムの臨時革命政府にいたしましても、反対に南ベトナム地域には日本と国交のある国がありまして、その中のそういう一つの勢力でございます。カンボジアにつきましても、同様のかっこうになっておると思います。国の境界線が韓国と北朝鮮のようにはっきりしておって、国が別の場合は、これはスポーツでございますから、こだわりなく、できるだけ考慮するのはしかるべきであろうとは思いますけれども、そういうような特殊事情にある地域につきましては、なかなかその結論を出しにくいというのが現状でございます。したがって、いまの段階で申し上げかねるのでございますが、入管としましても、いろいろと苦慮しておるように聞いております。
  196. 正森成二

    ○正森分科員 依然として歯切れが悪いわけですが、入管の局長、来ておられますか。――局長から、これは技術的にも絶対に入国を許可できないというものではないと思いますし、組織委員会の飛鳥田会長から、外務省の考え方を歓迎するという意味のことを言うておりますし、一体この点について、どういうぐあいに事務当局としても前向きに考えるのか。一応答えていただきたい。
  197. 影井梅夫

    ○影井政府委員 ただいま大臣から御答弁いただきましたとおりに、アジア卓球連合という構想につきまして、私どもは御説明を承っております。しかしながら、いろいろ問題がある地域からの入国でございますので、私どもといたしましては、なお、いろいろな詳細につきまして、たとえばどういう方が見えるのであるか、それから日本に入国された後にどのような行動を計画しておいでになるのか、そういう点を十分に伺いました上で、判断を下すべき事項であろうと考えております。したがいまして、まだそういう点につきまして、全然私どものほうに御説明がないという状況でございますので、現在の段階におきましては、何とも申し上げかねるということでございます。
  198. 正森成二

    ○正森分科員 それでは、法務大臣にまだ具体的な説明あるいは申請書が出ていないということでありますが、心がまえとして、なるべく、スポーツ関係のことでございますから、外務省のほうともよく協議をして、前向きにもし入国を許可できるものであれば、ア卓球大会が成功するように考えてやりたいというお気持ちはおありかどうか。それを伺いたいと思います。
  199. 中村梅吉

    中村国務大臣 事柄がスポーツでございますから、スポーツということについては、特別の考えはいたしたいと思っておりますが、ただ、その人たちの立場がそういう立場にありますので、日本の国としても非常にむずかしいと思います。かつて南ベトナムの人が北ベトナムのような国籍で旅券申請をされてきた例があるようでございますが、どういう形になってくるのか、また日本に来てからスポーツの、卓球だけでなしに、どういうことがあるのかないのか、そういうことも十分に確かめて検討した上でないと、いまどうも前向きとかうしろ向きとか具体的に申し上げかねるような現状でございます。
  200. 正森成二

    ○正森分科員 それではまだ申請書が出ていないようですから、この程度にしておきますが、申請書が具体的に出た段階で、卓球以外の特定の目的を持つとも思われませんし、入国できるように法務省として、ぜひお考え願いたいというように要望しておきます。  次に、私の手元に各省から予算について復活要求の重点事項などについて自由民主党に説明に行かれた資料がありますが、できればこの担当者の方に出てきていただいて、私の手元にあります資料が各省からお出しになったものかどうかを確認していただきたいと思います。  まず第一に法務省、公安調査庁、内閣調査室、海上保安庁、それから大蔵省関税局、厚生省薬務局、消防庁、以上、私事前にお願いしておきましたが、この資料を見てください。――それではおそれ入りますが、法務省から順番に見ていただきましたから、おたくの省庁から自由民主党の法務部会あるいは治安対策特別委員会にそれぞれ出され、説明されたものかどうか、一言ずつここで説明してください。法務省、お願いします。
  201. 住吉君彦

    ○住吉政府委員 いま先生のお手元にございます資料に基づきまして、復活要求の大綱につきまして御説明をいたしました。
  202. 竹内弘

    ○竹内説明員 お示しのものは私どもで提出したものに相違ございません。
  203. 百瀬涓

    ○百瀬説明員 昨年の年末に自民党のほうに説明した資料でございます。
  204. 藤江弘一

    ○藤江説明員 お示しの資料によりまして、復活要求額等につきまして説明いたしました。
  205. 豊田勤治

    ○豊田説明員 麻薬関係の資料は、提出した資料でございます。
  206. 本多行也

    ○本多説明員 先ほど拝見した資料は、復活要求のときに説明資料として出したものでございます。
  207. 船谷近夫

    ○船谷説明員 お示しの資料で説明いたしました。
  208. 正森成二

    ○正森分科員 いま各省から肯定的な答弁がありましたように、法務省、それから公安調査庁、内閣調査室、消防庁、厚生省薬務局、海上保安庁、大蔵省関税局、それから言い忘れましたか、公安調査庁というように、いずれも自由民主党の治安対策特別委員会に、予算の復活のためにみずから文書を作成され、そうして説明に伺っておられるということであります。私は、自由民主党の治安対策特別委員会にこれらの省庁が書類を提出され、説明されるということも非常に問題であるというようには思いますけれども、これらはいずれも行政官庁でございますから、その必要性がある場合もあり得るというように思われる点もございます。  私は、それを肯定するものではありませんが、ただしかし、私が非常に問題にしなければならないと思いますのは、ここに同様の最高裁判所の資料があります。ここに最高裁判所の赤いまるじるしを押して、裁判所所管昭和四十九年度概算要求重点、それから昭和四十九年度予算復活要求重点事項、これは四十八年十二月二十四日午後三時現在ということで自由民主党の法務部会に出されました。さらに昭和四十九年度予算復活要求重点事項ということで、四十八年十二月二十七日に自由民主党の治安対策特別委員会に出されております。この資料を大内経理局長に見ていただいて、最高裁判所が作成され、提出されたものに間違いないかどうか、確認してください。
  209. 大内恒夫

    ○大内最高裁判所長官代理者 相違ございません。
  210. 正森成二

    ○正森分科員 そこで私は各省庁が自由民主党の法務部会なり治安対策特別委員会に資料を出し、説明に行くということは、いろいろ事情があって各省庁がかりになされるにしても、最高裁判所というところは、これはそういうことをすべき役所ではない。最高裁判所というところは、昭和四十五年に、あなたのほうの長官が言われたように、裁判所とか、裁判官というものは中身が公正であるだけでは足りないので、外形上も公正らしさがなければならないということを言って、やれ青法協はいけないの、はっきりした共産主義者はどうのこうのということを、耳目を注目されるようなことをおっしゃったばかりであります。  その最高裁判所が、人権を守るとりでである最高裁判所が、事もあろうに、いかに与党とはいえ一党派の治安対策特別委員会に資料を提出して予算の復活要求をなさるというのは、李下に冠、瓜田にくつということもいいますけれども、これはあってはならないことであるというように私は思います。そういうことをしておれば、予算がほしいから、やはり自由民主党の治安対策特別委員会に頭を下げ、あるいは顔色をうかがうというようなことがないとは言い切れない。かりにあなた方はなかったとしても、世間はそうは思わない。それこそ公正らしさを疑われることになります。あなた方はみずから言う以上、首尾一貫しなければなりません。  特に私が指摘したいのは、前に法務委員会でも言いましたが、財政法の十七条から十九条で、最高裁判所というところは、そういう制約を受けては司法権の独立を保つことができないから、予算書をみずから作成するだけでなしに、それが削減された場合には、政府は、もし最高裁の要求どおりにする場合には、ここに予算が別にありますよということをつけて国会へ提出することになっております。そういうことをあなた方はなさらないで、暮夜ひそかにか白昼堂々か知れないけれども、自由民主党の治安対策特別委員会にこういう資料を出して復活要求をする。これは姿勢として厳に慎しむべきことではありませんか。私は法務委員会でも申し上げて、そのときには治安対策特別委員会に提出された資料が最高裁判所のものであるということまでお認めにならなかった。きょうはお認めになりました。  そこで私は事務総長に伺いたいが、あなたはこの前伺ったときに、大切なことだから慎重に検討すると言われましたけれども、こういうようなことはおやめになったらいかがですか。法務省のほうが予算関係で事のついでに何とかというなら、これは法務省の責任です。しかし、最高裁判所がこういうように一政党の、しかも治安対策特別委員会に「予算復活要求重点事項」という書類を出して頼みにいくということは、これはやらないほうがいい、こう思いますが、いかがです。
  211. 大内恒夫

    ○大内最高裁判所長官代理者 事務総長からお答え申し上げますが、その前にちょっと私から簡単に事実関係について答弁申し上げたいと思います。  前回、法務委員会におきまして正森議員からこの件につきお尋ねがありました際に、私ちょうど別の委員会に出席をしておりました関係で、総務局長が答弁申し上げたわけでありますが、総務局長は予算の折衝の全過程について必ずしも十分承知しておりませんでしたので、非常に不十分な説明に相なりました。本日は、その書類の確認のためにいろいろお手数をわずらわし、かつ各省庁の方々にまでここにおいで願う結果になっておりますことを、まことに恐縮に存ずる次第であります。  ただいまお尋ねがございますように、裁判所といたしまして昭和四十九年度の予算折衝の最後の段階でございますけれども、自由民主党の治安対策特別委員会のお求めによりまして説明をいたしたことは事実でございます。また、先ほどお話がございましたように、法務部会からも要望がございまして説明をいたしたことも事実でございます。これは、先ほどお尋ねがございましたように、裁判所といたしまして財政法上認められております特殊の地位あるいは独立性といったことはもちろん私ども十分念頭に置きまして折衝いたしておるわけでございます。また、先ほどお話がございましたように、およそ裁判所として公正らしさを疑われるということがあってはならないことも当然である、かように考えております。私どもといたしまして、これは自由民主党だけではございませんけれども、予算につきいろいろお尋ねがございますれば、適宜お尋ねの点について説明をしなければならないというふうに考えて説明をしているわけでございまして、もちろん私どもといたしまして、二重予算の制度、裁判所の予算における立場というものは十分自覚してそれを貫く姿勢はもちろん今後とも堅持しなければならない、かように考えております。独立性をそれによって私どもが失うような姿勢はいままでもとったつもりもございませんし、今後もそういうことにつきましては一そう注意しなければならないことだ、かように考える次第でございます。とりあえず私からそれだけ御答弁申し上げます。
  212. 正森成二

    ○正森分科員 事務総長が答えられる前に私から経理局長に言っておきますが、いまの答弁にはもっともらしさがあるけれども、事実をごまかしている点がある。あなた方は共産党だけでなしに社会党、公明党のところへも行かれるが、それは常に内閣として予算が決定して、国会が開かれて予算委員会の総括などが行なわれる前に、説明に来られるのです、提出した予算はこれこれでございますと。ところが、これはそうじゃない。予算を獲得するために、まだきまらない段階で、よろしくお願いしますということで説明に行く。これは本質的に違うのです。われわれは、あなた方が国会で審議を受ける以上、提出し、そしてあなた方もこれでけっこうでございますといった予算について、その内容の明細を言える範囲でいろいろ聞くというのは当然だし、それは各党のところへ行っておられることも承知しております。  だが、私が出した資料はそうではない。予算がきまる前にこれを復活してほしいということで、時間がないから一々詳しく言わないけれども、やれ裁判官が今度の予算では五名しか出せなかったけれども、これでは三十数名ほしいというようにいっておられるわけでしょう。それはわれわれ野党のところに来られるのと本質的に違う。それを私は問題にしているのだということをはっきりさせておきたいと思います。  そこで事務総長に伺いますが、この前の法務委員会のときには資料そのものの成立を明確には認められませんでしたけれども、きょうは認められた。その上で私はもう一度伺いますけれども、こういうことはおやめになったほうがいいんではないですか。もしなさるなら、各党に、野党で力があろうがなかろうが、平等に説明するというようにされるか、あるいはいっそやめられるかということが最高裁判所として必要だと思いますが、もう一度、明確に答えてください。
  213. 安村和雄

    ○安村最高裁判所長官代理者 先日法務委員会のおりは、私も経理局長も決算委員会のほうに出ておりましたためにおくれて参りました。正森委員は総務局長と問答をかわしておいでの段階におくれて参ったわけであります。総務局長に聞きますと、二重予算に関係しての質疑であるということでありました。伺っておりますうちに、予算の要求に関係して政党関係に裁判所が行くのではないか、資料を出しているのじゃないかという質問であることがだんだんわかってまいりまして、その段階で正森委員は、事務総長もそろそろおわかりだろうから意見を求めるというのが前回の御質問でした。  それで私、総務局長と正森委員の問答の内容も承知いたしませんし、あるいはこれは経理局長に関係する事項であろうか、そこでお答えしましたことは、やはりこれは総務局長の問答も聞かなくてはならない、経理局長の話も聞かなくてはならない、そういう意味で、問題もいろいろあることでございますから、十分検討して慎重に対処したいというふうにお答えしたわけであります。  先ほど経理局長が申しましたように、私どもは二重予算制度という強力な制度は持っております。そういうものを背景にいたしまして予算の折衝もいたしますし、また、ときにはこれを使う覚悟も持っているわけであります。しかし内閣の閣議できまります過程においては、やはりいろいろと当局に説明もしなくてはならない、議員の求めがあれば御説明もして審議の円滑に資したいと思っております。しかし、裁判所が二重予算制度という強力な背景を持っておりますのに誤解を受けるような行動があってならないことはもちろんでございます。従来もそのつもりで対処してまいったのでありますが、今後とも十分気をつけて疑いを差しはさまれることがないように十分戒心して努力したいと思います。
  214. 正森成二

    ○正森分科員 いま事務総長が当局あるいは議員かち求めがあればというふうに言われました。まず治安対策特別委員会というのは当局ですか。あなたは自由民主党の治安対策特別委員会を当局だと思っておられるのですか、その点だけお答え願いたい。
  215. 安村和雄

    ○安村最高裁判所長官代理者 当局と申しますのは、予算の関係の大蔵省の方々のことを申しておるのでありまして、治安対策特別委員会のことではありません。
  216. 正森成二

    ○正森分科員 それでは、治安対策特別委員会を個々の議員だと思っておられるのですか。当局もしくは議員とおっしゃった。治安対策特別委員会はもちろん当局ではない。個々の議員でもありません。自由民主党の治安対策を見ているれっきとした組織体であります。そういうところに説明に行くのがいいのかどうかと言うておる。そして、もし議員に説明に行くというなら、これと同じようなものを、たとえ共産党であれ社会党であれ、十二月の二十日段階で要求すれば、あなた方はすべてのところに説明に来られるのかどうか、それをお伺いしたい。
  217. 安村和雄

    ○安村最高裁判所長官代理者 治安対策特別委員会は、自民党の中の一部会であると存じております。裁判所は治安官庁とは思いません。しかし裁判所は、憲法と法律とによって法律秩序の基礎をなしている機関である。自民党の治安対策特別委員会が、予算のことで私どもに説明してほしいということを申し出られるのは、治安機関ではないけれども、法律秩序の維持に関係がある官庁であるということで説明を求められるのであろうと思います。でありますから、説明を申し上げますのも、詳細なことは経理局長から何でしたら申し上げますけれども、ごく基本的な事項のみを報告するにとどめておるように聞いております。
  218. 正森成二

    ○正森分科員 安村さん、あなた最高裁判所長官の代理者として答えているのですよ。いまの答弁で、私よく聞いておったけれども、速記録を起こしてみてもいいけれども、自由民主党治安対策特別委員会を治安関係の当局ということで説明しているのでございますと、はっきりもう一度当局と言いましたよ。いいですか。いかに与党とはいえ、一つの政党の治安対策特別委員会が当局であるということを、国会の正式の場で一度ならず二度ならず言う。そういう姿勢をやっておって、どこに公正らしさがありますか。私はおかしいと思ったから、わざわざ当局じゃないでしょうと言ったら、当局ではございませんと初めに答弁しておいて、そしてまた答弁の中でもう一ぺん、治安対策特別委員会というのは治安関係をつかさどっている当局でございますということを言ったじゃないですか。あなた方は、一体司法権の独立ということについての誇りがあるのですか。三権分立の最高裁判所が、一政党の治安対策特別委員会を当局だと言い、そこに説明に行くのがあたりまえみたいなことを言う。そんなことでどうやって国民信頼を獲得することができますか。前、当局と言ったのはまだ許せる。私が違うでしょうと言ったのに、もう一ぺん言う。何ですか、その姿勢は。速記録を起こしてみなさい。
  219. 安村和雄

    ○安村最高裁判所長官代理者 もし当局ということばがありましたならば、それは私の言い間違いでございますから、取り消させていただきます。
  220. 正森成二

    ○正森分科員 言い間違いで済む問題じゃない。ふだんからそう思っているから、自民党の治安対策特別委員会は当局であって、そこに頼みに行かなければ予算が通らないということが腹の底までしみ通っているから、一度ならず二度ならず言うのですよ。そんなことでどうして国民信頼を獲得することができますか。厳に戒慎されることを私はこの席で要望しておきたいと思います。幾らそんなことを言っても、公正らしさなんて言っても、国民は決して司法権の独立を信頼しないでしょう。最高裁判所は自由民主党の治安対策特別委員会を当局と考え、従属しているものと考えるでしょう。そういうことであってはならぬから、わざわざあなたに弁明の機会を与えた。しかるにそういうことを確認するとは一体何事です。  次に、公安調査庁に伺いたい。私は、昭和四十九年度の予算委員会での資料として、公安調査庁における本庁並びに各調査局ごとの経費、及び最近三年間の本庁、各局ごとの調査費、各調査局職員の数を資料として請求いたしました。ところが、あなた方は、それに対して全く資料を提出されません。特に調査費については、四十九年度の予算の要求は幾らであるか、あるいは過去三年間全体として幾ら出したかということだけしか明らかにされておりません。なぜそういうことをされるのか。きょう私は再度、他の官庁を通じて、あなた方がもう少しまじめに資料を提出される意思はないかどうかということを伺いました。きょう昼ごろの庁内の会議で検討されたやに伺いますが、それも含めて答弁していただきたいと思います。
  221. 川井英良

    ○川井政府委員 当庁の調査活動費の配分額につきましては、従来も国会の場におきまして、あるいはまたその他の方法で、こまかい要求が出ているわけでございますけれども、私ども、特別な事情があるということで、こまかい具体的な局ごとの配分額につきましては説明をお許しいただくようにしてまいっているのでございます。特別の事情と申し上げますのは、ほかでもございませんが、当庁の行なっております調査活動は、もっぱら調査活動費の使い方あるいは使い道ということによって裏づけされておるわけでございますので、これを局ごとに公表いたしますと、当庁の行なっております調査活動の計画、たとえば調査の重点あるいはその方向というようなものにつきまして、調査の対象とされておる人たちの方面から見ますと、おおよそその計画の見当がつくおそれがあるわけでございます。そのようなことになりましては、当庁の調査活動の推進に支障を生じますので、そのような事情のもとに、こまかい局ごとの配分額につきましては御説明をお許しいただきたい、こういう姿勢をとっておるわけでございますので、御了承を得たいと思います。
  222. 正森成二

    ○正森分科員 川井さん、私が別のところから伺っているところでは、公安調査庁の本庁、八つの公安調査局、それから各都道府県にある地方公安調査局、こういう三ランクに分けてならば、出すことができるというように伺いましたが、それも出せないのですか。
  223. 川井英良

    ○川井政府委員 いろいろ検討いたしました結果、ただいま申し上げましたような支障の起きない限度におきまして御説明を申し上げなければならない、こういう結論になってまいりました。そこで、その限度というのは、いま御指摘になりましたように、本庁と地方機関との区分、地方機関におきましては、御承知の公安局と各県にあります地方公安局とに分かれておりますので、その公安局と地方局の全体とはどのくらいになっておるかという程度でございましたら、ただいま明らかにする用意がございます。
  224. 正森成二

    ○正森分科員 約束の時間が過ぎておりますので、ここで説明していただく時間がございませんから、あとで私まで提出していただきたいと思います。それを拝見しまして、あなた方の調査費というのは、私は前に法務委員会でも伺いましたが、非常に恣意的な使われ方をしておるというような点で、再度資料として要求するなり、法務委員会で申し上げたいと思います。  ただ、しかし、予算の点で参考までに申し上げますと、私のところに手紙が来ております。これはおそらく公安調査局に関係のある人からであろうと思われます。そこではこう書いてある。「年度末になると、予算が余っているために、名目をつけていろいろ使う。私のおる公安調査局でも、用のないのに出張して使っておる。たとえば二月十九日にもだれとだれとが特別出張の名目で近県のどこへ遊びに行っておる。自分の局内では競馬、競輪が盛んで、土曜日ともなると勤務中から出ていく。私のところの公安調査局ではないが、近くの公安調査局では芸者をあげた金を全部役所のつけで回しておる。」こういうように具体的に書いた投書が来ております。はっきりどの局だということを言ってもいいけれども、そうするとあなた方の喜ぶニュースソースがばれるから、それは言わないけれども、私のところへこういう手紙が来ている。だから聞いているのです。  時間が参りましたので、これでやめますけれども、そういうような点で、国民の血税ですから、こういう疑いを差しはさまれないように、出せる資料は出されることを要請して、私の質問は終わります。
  225. 上村千一郎

    上村主査 次に、和田貞夫君。
  226. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 法務大臣、大阪の刑務所が所在する地元の堺市長のほうから、文書で法務大臣あてに大阪刑務所の移転の要望書が来ておることは御存じですか。
  227. 中村梅吉

    中村国務大臣 来ておりますそうでございます。
  228. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 これは文書をもって昨年の五月に要望書を出しましたのが初めてでありますが、いままでも何回となく歴代の市長が入れかわり立ちかわりして、何とか大阪刑務所を他に移転をしてほしいという要望をやっておるわけです。議会も繰り返して要望決議をしたり市長に対して要望しておる、あるいは刑務所の周辺の住民の要求でもあるわけです。  そこで、それらの要望について法務省としては大阪刑務所の移転について検討をしておられるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  229. 長島敦

    ○長島政府委員 私どもの承知しております範囲におきまして、大阪刑務所の移転問題につきましてお話がございましたのが、昭和四十七年の一月の十八日に堺市の総合計画局長が矯正局においでになりまして、堺市の一部の住民の中から大阪刑務所を移転してほしいという旨の陳情があるのでお願いをしたいということがございました。これが最初でございます。     〔主査退席中村(弘)主査代理着席〕 その次に、昨年の三月二十二日に堺市長が私に会いにこられまして、やはり同様のお話がございました。それから昨年の六月の二十七日、堺市長が法務大臣あての要望書を持っておいでになりまして、私お目にかかっていろいろお話を承りました。そういうような経過でございまして、私ども当局といたしましては、大阪の刑務所の移転問題につきまして、地元から非常に要望があるということは十分に承知しておるところでございます。  この大阪刑務所の移転問題につきまして、もちろん私どもは検討を始めておるわけでございますが、非常にむずかしい問題がたくさんございます。この点は市長さんにもよく申し上げたところでございますが、施設の移転につきまして基本的な法務省の考え方といたしましては、地元からそういう御要請がございまして、その御要請内容が地元の開発、発展と申しますか、そういう見地から見ましてほんとうにもっともであるというふうに考えられます場合でございますと、まず地元のほうに適当な移転候補地をぜひ提示していただきたいということをお願いするわけでございます。お願いいたしました結果いろいろ予定の候補地等が出てまいりますと、地元とも御相談の上いろいろな角度からその適否を検討いたしまして、適地が見つかるということになりますと移転する、こういうような形でいままで施設の移転がなされたのがかなりの庁数にのぼっておるわけでございます。  この適地であるかどうかということを考えます場合に、私ども矯正当局といたしましては、従来やっておりましたその場所における矯正の処遇と申しますか犯罪者の改善更生と申しますか、そういうことが移転したために落ちると申しますか低下するということは、何としてでも避けなければならない。むしろ移転することによってそういう処遇がかえって一歩前進するというような積極的な意味を移転に持たせたいということは、私どもの立場としては当然のことでございます。そのほかに職員の問題がございまして、御承知のように、刑務所の職員というのはふだん恵まれない環境で非常にむずかしい仕事をやっております。非常に犠牲的にやっておりますが、こういう職員が非常に不便な場所へ移っていくというようなことなりますと、非常に士気が低下するというばかりではなくて、過去の例によりますと、そういうために多くの職員がやめていったという非常に悲惨な事態も起こっておるわけでございます。そういう点も十分に考慮に入れまして、処遇面で低下しないか、職員がそれで何とか納得してくれるのかどうかというような点が大きな要素でございます。  大阪の刑務所が特に移転問題でむずかしくございますのは、先生御承知だと思いますが、大阪刑務所は二千三百名という大定員をかかえた大刑務所でございます。御承知のように、中が四つの区画になっておりまして、実は四つの刑務所があそこで一カ所に集まっているというような形の刑務所でございます。職員定員も五百名をこえるという大定員でございまして、これを移すとなりますと普通の刑務所にいたしまして四カ庁分の刑務所が要るか、そうでなければ大阪刑務所のような大敷地が要るということになってくるわけでございまして、実は規模が大きく、収容者が多く、職員数が多いというところから非常な困難をかかえておる問題でございます。私ども、困難であるから放棄しているわけではございませんで、地元のほうから何とかして御協力をいただいて、適当な場所等について将来御相談が出てまいりますれば、前向きでそれを検討させていただきまして、御要望に沿いたいという気持ちだけは持っておるわけでございますけれども、現在までの状況はさようなことで、急速に解決することが困難な幾多の問題をかかえておるという実情を御説明申し上げたいと思います。
  230. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 地元のほうで移転先の候補地を物色する、そういうことがなければ困難だということに尽きる答弁なんですが、地元の堺市としてはすみずみ見渡しましても、どんなにさか立ちになりましても、堺市内で移転先を見つけるということはとっても及びもつきません。そうなってまいりますと、いまの御答弁の中でこれは前向きの姿で検討すると言われても、形式的な答弁であって、地元のほうで移転候補地がない限りにおいては移転できないのだ、しないのだ、こういうように受け取らざるを得ないわけなんですが、そうですが。
  231. 長島敦

    ○長島政府委員 ただいま申し上げましたのは、地元から何とか御協力を得てそういう提示がありますれば、過去の例にかんがみましても比較的早い機会に御要望に沿うことが可能であろうということを申し上げております。そういう意味で、その提示かなければ絶対に不可能だということを申し上げておるわけではございません。ただ非常な困難が伴うということを申し上げました。
  232. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 御案内のとおり、この刑務所が完成いたしましたのは昭和四年ですから、当時まだ堺の行政区域内に入っておらない大阪府泉北郡向井村ということで、付近はたんぼという中にぽつんとこの刑務所が浮かび上がっておったわけです。いまでは国鉄阪和線の玄関口堺駅から刑務所までの距離がわずか二百五十メートル、しかもこの刑務所を中心といたしまして半径一キロの円を描きますと、堺市の全体の面積が一万三千二百五十七ヘクタールでありますから、この刑務所の半径一キロの範囲にその面積の二%の三百十四ヘクタールになるわけです。ところがこの人口の密度というのは、その中に一万五千五百世帯、人口にいたしまして五万五千人、堺の総人口の一割に相当する人口が刑務所の周辺に密集しておる、こういう状態でありまして、昭和四年と比較いたしまして急激に変化を来たしておるところに、いまなおこの大阪刑務所があるわけです。しかも、私がいま申し上げましたように、地元でさか立ちをしても、移転先を見つけるということはとても不可能であります。  そうなってまいりますと、やはり地元ということよりも、やはりこの地域の開発状況というものを勘案して、他に移転先を法務省自体もみずからの手で見つけていくという、こういう努力が私は必要じゃないかと思うのですが、法務省としても、極力そういう移転先を見つけるための努力をする、そうしてこの地元の要望にこたえる、こういう考え方にお立ちになれないのかどうか、お答え願いたいと思います。
  233. 長島敦

    ○長島政府委員 ただいま御指摘のように、大阪だけでなくて、大都市に同じような問題が起こってきております。私どもも事情は十分に承知しております。したがいまして、この問題を解決いたしますためには、非常に大きな視野に立ちますと申しますか、全国的な規模で問題を考える以外にないという、いわば施設の適正配置ということを考えざるを得ないというふうに考えておりまして、その点の検討を始めておりますが、先ほど申し上げましたように、大阪刑務所が何ぶんにも大施設でございますので、その計画に乗せまして、うまく青写真と申しますか、かたまってまいりますまでには相当の期間がかかるというふうに考えております。しかし、そういう向きで、これは検討の対象の中へ入れて検討を進めてまいるつもりでございます。
  234. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 刑務所に勤務しておる職員、家族、いま御説明ありましたように、非常に御苦労なさっておられることは十分理解するわけなんですが、さりとて、この周辺の住民の要望あるいは地元の議会や市長の要望を無視するというわけにはいかないわけなんです。努力してもらいたいと思うのでございますが、具体的になぜそれだけ住民がやかましいことを言うのかというと、単にこの周辺地が大きな変化を来たしておるということだけでなくて、やはり御案内のとおり、たまには、受刑者が逃走するであろうということを知らすための警報サイレンが吹鳴するということがときたまあるわけなんです。そのことによって付近の住民が非常に恐怖におびえるということも一つでありますし、それからごく最近には、御案内のとおり大阪におきまして、刑務所の中で印刷をされました大学の受験の不正事件の原因、これもこの刑務所の中でつくった。こういうようなことも市民感情としてありますし、あるいは刑務所の敷地が実に、いま御説明ありましたように、四カ所分の刑務所を一堂に集めたぐらいの大規模でありまして、総敷地面積が実に三十二万八千五百一平米という大きな面積。ところが、それだけの総敷地面積でありますが、職員の官舎を建てておる部分あるいは庁舎を建てておる部分あるいは行刑区域内の面積を除きましても、なお行刑区域外にかなりの所有地があるわけです。その所有地が、従来は受刑者の職業補導といいますか、更生のためといいますか、農用地に使っておったわけです。最近では農用地に使っておらないという、これもまた情勢の変化を来たしておるわけです。あるいはこの刑務所では戦前はかなり凶悪犯の受刑者が入っておった。したがって、わりあい長期の受刑者が収容されておった。ところが、最近私のほうで仄聞いたしますと、非常に短期の受刑者が収容されておるというような、具体的には暴力団のたぐいが非常に多いわけです。仮出所の時期になりましたならば、長い服を着た姿の連中が市街地に並んで出迎えるという姿がたびたび、私自身もそれを目にすることがあるわけです。そういうようなところから、この刑務所の存在価値というものが、設置された時期から比べて、単に周囲の条件が異なったというだけでなくて、情勢の変化の中で、移転をしてもらったほうがいいというのが住民の強い声としてあがっておるわけなんです。そういうような点、皆さん方のほうで把握をしておるかどうかということなんですが、お伺いしたい。
  235. 長島敦

    ○長島政府委員 仰せのように、中に入っております収容者につきまして、一昨年から分類規程が少し変わりました関係から、ただいまあそこに主として入っておりますのは、やはり先生おっしゃいました長期の者が約六百名おりまして、残りはB級と申しておりますが、これは累犯者でございまして、初めてでない、二度目以上刑務所へ入ってくるというような者でございます。暴力団の関係は、そこの中の二〇%前後というふうに考えておりますが、そういう意味で、累犯者でございますけれども、一般の犯罪者もかなり入っておるということでございます。  施設の保安の面につきまして、いろいろ御心配をかけておるようでございますが、この警報が鳴ります場合の多くは、実は施設内で職員に対して反抗して暴行したとか、収容者同士がけんかをしたとかいうような事案が多うございまして、ここしばらくは逃走の企図もございませんので、そういう意味では秩序がよく保たれてまいっておるというふうに考えております。  外のあき地等につきまして、ただいま御承知のように、だんだんと食糧事情が悪くなって物価値上がりがございますので、できればそういう土地を利用して、収容者を使って農耕作業をまたやって、野菜をつくるという計画をいま立て始めてきておるわけでございます。  暴力団の出迎えその他で地元に御迷惑をかけておるということも、ときどき報告等を受けて承知しております。かような点は、まことに御迷惑をかけて申しわけないと思っておりますが、この大阪の刑務所につきまして、過去は地元の方にほんとうにあたたかい御理解をいただいて実は今日までまいっておるというふうに承知をしておりまして、それに対しては深く私どもも感謝をしておるわけでございますが、ただいま仰せのいろいろな事情がございまして、地元のほうでまた出ていただきたいとおっしゃる御希望も十分私どもわかっておりますので、何とか検討、努力を続けたいというふうに考えております。
  236. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 言えばまた農耕地に使うというようなことじゃ、どうも納得できないのですが、現実には、農耕地に使っておったところが農耕地に使っておらない。遊ばした土地がかなりある。こういうことが現実の姿なんです。  さらに加えて言うならば、刑務所の西側に、市の認定道路があります。ところが、この刑務所の敷地に面しているところは、これは依然としてあなたのほうの所管の用地になっておるわけです。敷地内になっておる。道路は認定いたしましたけれども、歩行者の安全のために、安全さくをつくったりあるいは歩道の部分を舗装しようと思いましても、これはあなた側の敷地であるためにいけないということで、それさえもできない。その部分だけができない。舗装もごく最近にできたわけですね。それまでなかなか舗装もできないというようなこと。現実の姿としては、この道路の部分になっておるのであるが、あなたのほうが、道路に認定するのになかなか首を縦に振らなかったというようなこともあるわけなんです。     〔中村(弘)主査代理退席主査着席〕  それから、加えて申し上げますならば、かつては農耕地に使っておったところ、実は昭和三十七年の七月二十二日に、大阪市内の都島区にありました大阪刑務所とは無関係の施設である少年鑑別所がこの敷地に移転してきておる。それは当然この刑務所の敷地である。いまは遊んでおるけれども、また農耕地にするんだ、あくまでも刑務所の行政目的のためにやるんだという、一貫してまた農耕地にするんだということを害われましたけれども、それ以外の行政目的に使われているという事実があるわけなんです。その点は一体、どういうお考えで鑑別所をここへ移すことにしたのですか。
  237. 長島敦

    ○長島政府委員 ちょっと、過去のことでございましたので手間どりまして失礼いたしました。当時のいきさつを聞きますと、当時、大阪鑑別所が都島区にございまして、建物が古くなりまして改築が必要になったわけでございますが、そのときに、大阪拘置所を都島区の中、現在ございますが、あそこへ持ってくるという話が起こりまして、都島区のほうでは、大阪拘置所と大阪鑑別所と二つを区内にかかえるのは困るということで、鑑別所はどうしても出ていってくれという区から要請がございまして、そのためにやむなく場所をさがしまして、当時大阪刑務所の農耕地でございました場所に鑑別所を移して建てた、こういうような経緯でございます。
  238. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 これはどうですか。これは大昔の話ですが、大正七年に着工したわけですから、大正五年ないし大正六年、あるいはその時分に用地を取得されておるのです。行政財産として、大阪刑務所の敷地用地として取得されておるはずだと思うんですが、それが行政目的を異にする大阪少年鑑別所をここに持ってくるということは、国有財産法の立場からいうならばこれは正当であったのか、合法であったのか、そうでなかったのか、その点はどうお考えですか。
  239. 長島敦

    ○長島政府委員 それは刑務所の用地というわけでございませんで、法務省所管の行政財産としての国有地ということになって取得されたもののようでございますので、矯正施設でございます鑑別所を持ってきても違反にならないということでございます。
  240. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 違反にならないということです、というんですが、それは行政財産を取得するときに、その行政目的というのは必ずあるはずですよ。そうでしょう。どこでもここでも法務省用地ということで買ってないでしょう。ここには法務省の何々法務局を建てるためにこの行政財産を取得する、ここには法務省所管の何々施設を設置するために、そういう行政目的のために用地を取得するということで、それぞれ用地取得のときに行政目的があるはずですよ。行政目的なしに行政財産を取得するはずがないでしょう。
  241. 水原敏博

    ○水原説明員 私から御説明させていただきます。  たいへん古いことでございますので、現在手元に資料はございませんけれども、先生指摘のとおり、あの土地は大阪刑務所を建設する、その用途に供するために取得したものであろうかと存じます。しかしながらその後に、先ほど矯正局長が答弁いたしましたとおり、都島区からの特別の要請がございまして、いろいろ用地を物色いたしました結果、他に適地がなかったと申しましょうか、いたし方なく、同じ法務省の施設でございます大阪刑務所の用地の一角、耕うん地がございましたので、地元の御了解をいただきまして、あそこに鑑別所を建てたといういきさつであるように聞いております。
  242. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 地元の御了解というのはだれですか。
  243. 水原敏博

    ○水原説明員 これも古いことでございますので、いま担当者に聞きましたが、地域の市御当局だと思います。
  244. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 地域の市当局は、同意をするはずがないんです。刑務所があるのに、その上、屋上屋を重ねて、また鑑別所を持ってくる。これは地域の住民が反対だった。けれども新しい用地を取得するということでなくて、あなたのほうの敷地の中でやるから、あれよあれよといっている間にできてしまった、これが実情なんです。先ほど御答弁ありましたように、行政目的を異にしておるのです。行政目的を異にした施設をつくるというようなことを、単に法務省の権限の範囲内の敷地であるからということで、ぼんぼん建てていかれたら、これはたまったものじゃないのです。そういうような、明らかに国有財産管理法の違反的な疑いのある鑑別所の移転です。そんなことをされ、法を守らなくちゃならないあなたのほうの立場でみずから法を破って、ただ要望があったから、求めるその敷地がなかったからこうしてしまったんだ。そんなようなことでいいわけですか、法務大臣どうですか。
  245. 中村梅吉

    中村国務大臣 刑務所と少年院とは、やはり同じ矯正局の所管でございまして、同じ一本に考えておりますので、やはりいろいろ場所等の関係で、こういうようなことになったと思います。
  246. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 国有財産管理法の違反でないと言われるのですか。国有財産管理法に違反をしておらないというように言われるのですか。
  247. 中村梅吉

    中村国務大臣 国有財産管理法の違反ではございません。
  248. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 国有財産管理法の違反でなくても、一部の用地を目的を変更したということであれば、それなりの手続をしておられるはずであろうと思うのです。手続は、何の手続をしておられるのですか。
  249. 水原敏博

    ○水原説明員 手元に正確な資料を持っておりませんのであれでございますが、これは先生指摘のとおり、大阪刑務所の所管の用地でございましたのを、大きく申しますなら法務省所管の土地でございますが、これを大阪少年鑑別所の用地に所管がえの手続をいたしまして、財務御当局の御承認をいただいておるはずだと思います。
  250. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 もしもいま言われるように所管がえの手続が終わっておるとするならば、そのときの資料をあとで見せていただきたいと思うのです。それでも、こんなことをぽかぽかやられてしまったら――敷地が遊んでおるのですから、あり余っておるのですから、それを地域の住民が非常に必配をして、だからこそ刑務所をよそへ持っていっていただきたい。これが移転してほしいという強い要望の一番大きな柱なんです。これからもなお、いま局長が御答弁される中で、さらに移転に努力する。それとは逆に、刑務所にかわるあなたのほうの所管の施設が、これからもどんどんどんどん来られたら、それに相反することになるわけです。なおそういうようなことをこれからも考えられるのですか。
  251. 長島敦

    ○長島政府委員 ただいま仰せのとおりな状況にあるということ、よく存じております。将来ほかの施設をここへ持ってくる考えは毛頭ございません。
  252. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 そうであってほしいと思いますが、せめて私は、言いましたら、いや、いま遊ばしているのはまた農耕地にするのだというのではなくて、むしろ、いま使っておらない土地があれば、その土地を付近の住民に開放する、あるいは付近の市のほうに払い下げるなり貸与するなりして、付近の住民の福祉のために使うというような考え方に立っていただけないですか。
  253. 長島敦

    ○長島政府委員 御趣旨よくわかりますので、できるかどうか検討いたします。
  254. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 時間がありませんので、締めくくりたいと思いますが、ひとつ、地域の情勢の変化ということと、それから、いま具体的に申し上げましたようないろいろな理由のために、付近の住民も何とかこの大阪刑務所を――ここに長い間お住まいの官舎に生活している方々に憎しみを持ってのことではなくて、それはそれとして、大阪刑務所がいまの位置に存在するということ、まことに当を得ておらない。  こういう状態でありますので、地域住民あるいは地元の議会、地元の市長の要望を早急に受け入れていただくよう、さらに深い理解のもとに、ひとつ御検討いただきたい、こういうことを最後に申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  255. 上村千一郎

    上村主査 次に、米内山義一郎君。
  256. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 法務大臣にお尋ねしたいと思うのですが、これはきわめて当然のことだと思うのですが、法律あるいはそれに基づいたところの政令、省令などというのは、これはだてや酔狂で制定されているものでないと思います。したがって、そういう法令等に基づいて行使する国民の権利ないしは義務は、公序良俗あるいは信義誠実の原則に従わなければならない。こういう原則は、単に民法の原則ではなくて、法治国家におけるきわめてあたりまえなことだと私は思う。したがって、こういうものの許可あるいはいろいろな認可等を申請する場合に、手続というものは非常に厳密を要すると思う。決してわがままかってが通るようなことであってはならぬ。しかもそれは、だれかには有利であっても他の大衆にきわめて不利を及ぼすようなことについては、非常に厳密でなければならぬと思うのですが、法務大臣としてそういう見解を、同意ができますか。
  257. 中村梅吉

    中村国務大臣 たいへんむずかしい御質問で……。  もちろん、法律、政令、省令等、制度ができておるものにつきましては、すべて厳格にそれが施行をさせ、しかも一般の住民や庶民に御迷惑のかからないようにする、あたりまえのことだと思います。
  258. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 きわめてあたりまえのことを最初に申し上げたのは、理由があるわけです。いま青森県には農地法上の重大な疑義のある許可ないしはそういうものがあるわけです。  その一つに、青森県の東通村というところに、東北電力と東京電力が、それぞれ百万キロの原子炉を十ずつ、合計二十立地する、こういう理由で農地法上の許可申請をしているわけです。それに許可を与えているわけです。しかも、この予算委員会分科会で今日まで明らかになったのは、科学技術庁は、そういうことは常識上も考えられないことだ、こういうふうな答弁をしておりますが、こういうふうに、やりもしない、可能性もないような、つまり架空、虚構の申請をした、それにこの行政官庁が許可を与えたということは、これは一体許可の効力があるものかどうか非常に疑わしい点がありますので、法律解釈と申しますか、法務省としての御見解を承りたいと思います。
  259. 香川保一

    ○香川政府委員 お尋ねの点は、申請当事者の一方が電力会社であるようでございますので、許可と申されるのは農地法五条の許可かと思います。本来、農地法五条の許可関係の事務は農林省の所管でございますので、私どもからお答え申し上げるのはいかがかと存じますが、しいて意見を申し上げますと、農地法の五条の許可は、御承知のとおり、農地を農地以外の目的に転用するための所有権移転の許可でございまして、その許可が有効か無効かという問題は、事実関係を全然存じておりませんので、具体的には申しかねますけれども、一般的、抽象的に申し上げますれば、この許可は行政処分でございますので、解釈上重大かつ明白な瑕疵があれば無効、そうでなければ取り消されるまでは有効だ、こういうふうになっておるわけでございます。具体的な事案を存じませんので、これ以上の答弁は申しかねます。
  260. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 ここで議論するつもりはないので、いずれこの問題は、国会法の手続に基づいて、文書で政府に見解を求めますから、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  261. 上村千一郎

    上村主査 次に、松本善明君。
  262. 松本善明

    松本(善)分科員 法務大臣に伺いますが、刑務所の移転問題というのが各地に起こっております。これは刑務所が設置をされましたが、やはり明治のことでありますとか、かなり古くからの時代であるから、いまあのころと時代が非常に変わっておるために、当然のことであろうと思いますが、移転問題が問題になっておる刑務所というのは、一体全国でいまどのくらいあるか、法務省の事務当局のほうからお答えいただきたいと思います。
  263. 長島敦

    ○長島政府委員 現在移転要請がございますのが、大ざっぱに申しまして約三十庁でございます。
  264. 松本善明

    松本(善)分科員 法務大臣に伺いたいのですが、三十庁も移転要求が出ておるということになりますと、これは国として、政府の政策として、刑務所の再配置というものをやはり全国的に考えなければならぬ時点にきておるのではないかと思いますが、この点についての大臣の御見解を伺いたいと思います。
  265. 中村梅吉

    中村国務大臣 この点はお説のとおりでございまして、矯正局の内部にもそういう研究の機関を設けまして、刑務所というものの移転運動が各所でありますので、どう対処していくか、目下検討をしておる段階でございます。
  266. 松本善明

    松本(善)分科員 中野の刑務所の問題について具体的に伺おうと思いますが、中野の刑務所は、明治の四十三年に市谷監獄が移転をしてきて、いまでは全く事情が変わってしまっておるわけです。戦後すぐ移転運動が起きまして、中野区議会で昭和二十九年に開放決議をしております。したがって、それからもうすでに二十年たっておる。二十年にわたって中野の区議会が決議をしておるし、それからこれは超党派の運動であります。すべての階層、すべての区民が要求していると言っていいと思うのですけれども、そういう状況で、各党の国会議員もそれぞれに運動しておるわけでありますが、こういう長期にわたってほとんどすべての区民が要望しておるという状態で、刑務所がそのままそこにあるという状態では、これは矯正という点から考えても適切でない、これはそういう状態のまま居すわるというわけにはいかない事態になってきておると思うのですけれども、そういうことについての法務大臣の見解を伺いたいと思います。
  267. 中村梅吉

    中村国務大臣 御指摘の中野刑務所につきましては、環境からいいましても、確かにもう適当ではない場所になっておると思います。地元から熱烈な移転運動があるということもよく理解をしておりますし、また起こるのも当然かと思います。かつてあそこに刑務所ができたころは全くの畑中でございまして、私どもも近辺子供でよく承知しておりますが、その当時とは状況が全く一変しておりますので、これはもう法務省としても、適当な移転先の適地があれば何とかしたいと思っておりますが、なかなか刑務所というのはどこへ行っても喜ばれない機関なものですから、移転適地がございませんので、地元に御迷惑をかけておるというのが現状でございます。
  268. 松本善明

    松本(善)分科員 中野は地域としては狭くて、都市化をしてきたために、地震なんかが起こりましたときの避難場所がなくて、渋谷の代々木公園まで行かなくちゃいけない、こういう実情で、区民の要望というのは非常に切実なわけです。いま法務大臣が言われましたように、適地があればということであって、中野の区議会の議員たちが超党派でいろいろなところへ行って、何とかならぬかということを全国的に動いたわけですけれども、しかし区議会の動きということではとても限度があって、適地をさがすというわけにはいかなくなってきているのですね。  で、私が最初に法務大臣に伺いましたように、国の施策として再配置を考えなければならぬ、それは法務大臣もそのとおりだというふうに言われた点は、住民の反対がもう超党派的に起こっているというようなところはやはり避けて、全国的に再配置を考える。国の責任で移転先も考える、あるいは廃止をするか、移転をするか、そういうことを国の責任、政府の責任で考えるべき時点にきているのじゃないか、こういうふうに考えておるのですが、その点についての法務大臣のお考えを伺いたいと思います。
  269. 中村梅吉

    中村国務大臣 確かにそうだと思います。ただ問題は、刑務所にはやはりそれに従事いたします看守その他人が相当おりますので、これらの人たちの生活なりあるいは子供の教育なりということも十分に当局としては考えてやらなければならない事情がありますので、どんな山の中でもいいというわけにもいきませんし、非常に適地をさがすのにむずかしいわけでございます。この問題も、ですから地元の要望もあり、法務省としても適当なところがあれば、それを実行に移したいという考えのもとに、矯正局の内部で研究グループをつくりまして、まあ行き先等についても全然なまけておるわけではありませんので、しかるべき地点があるかないか、そういうようなことについて努力をしておるというのが現在の段階でございます。
  270. 松本善明

    松本(善)分科員 職員の問題がちょっと出ましたけれども、確かに勤務をしている職員についての勤務条件が変わるわけですから、それについては適切な配慮がなさるべきであるということについては、私もそのように思います。思いますが、職員の勤務条件が変わるからという理由で、居すわるといいますか、移転は考えないというわけにはいかない。そういうふうにもしものを考えれば、本末転倒だと思うのですが、職員の勤務条件の問題につきましては、そういう従たる位置づけといいますか、本来は国の政策としてどこに刑務所を置くかということを中心に考えて、その上で職員の勤務条件その他についても考えるというふうに考慮すべきことではないかと思いますが、その点についての法務大臣の御見解を伺いたいと思います。
  271. 中村梅吉

    中村国務大臣 確かに、職員の勤務条件あるいは家庭の状況、こういうものを考慮しなければなりませんけれども、そればかり言っておるわけにまいりません。したがって、適当な場所さえ得られれば早く移転の実現をはかりたいというのが、私の代だけでなく歴代の法務大臣がそう考えておるところと思います。したがって、地元の方々の要望に対しましても、同じようなことを答えてきていると思いますが、なかなかそれが実らないというのが現状でございます。
  272. 松本善明

    松本(善)分科員 事務当局に伺いますが、現在中野刑務所にはとのような――収容状況ですね、刑務所への収容状況、それを御説明いただきたいと思います。
  273. 長島敦

    ○長島政府委員 ただいま現在ではございませんが、最近の資料によりまして、中野におります人数が、収容者が七百二十四名でございます。そこのうち約三百名以上が分類中の者でございまして、残りは実験処遇ないし、ここは刑務作業の特別の職業訓練施設でございますから、そのための受刑者、それから一部少数被告人が入っておるという状況でございます。
  274. 松本善明

    松本(善)分科員 既決については、これは既決の人たちは全国的な規模で、別に中野にいなければならぬというわけではないと思いますし、それから、私どもがこの間超党派の議員で中野刑務所を視察いたしまして、分類センターの機能その他も見ましたが、言うならば、職能別の分類といいますか、あの程度のことであるならば、ちょっとした気のきいた会社でも、何に適しているかということを振り分けるわけですから、あの程度の施設ならばあるんじゃないだろうか、これは必ずしも中野になくてはならぬということはないじゃないだろうか。これはあるいはほかの東京拘置所とかいろいろな近辺の拘置所でも可能だろうし、中野に、どうしてもあそこの場所に刑務所を置いておかなければならぬという理由はないんじゃないかというのが、その視察をした国会議員の一同の結論であったわけですけれども、どうしてもあの場所に刑務所がなければならぬという理由があるだろうか、その点についての御説明をいただきたいと思うのです。
  275. 長島敦

    ○長島政府委員 もっぱら中野刑務所の営んでおります機能という面から申しますと、あの特定の場所になければならないということではございませんで、現在中野が持っております職員、あるいはあそこが持っております設備その他、これがいまよりももっと発展したいいものになって、職員も、過去十数年間ああいう仕事に専念してまいりましたきわめてすぐれた職員でありますけれども、あれがそのまま維持できるというような条件がございますれば、処遇の面からだけ申しました場合には、あの場所でなければならないという理由はないと存じます。
  276. 松本善明

    松本(善)分科員 そうすると、分類センターを他に移転するということであれば、分類センターの移転場所がきまれば、中野の問題は解決するというふうに考えていいでしょうか。
  277. 長島敦

    ○長島政府委員 先ほど申し上げましたように、場所のいかんによりましては、ただいまかかえております貴重な職員がやめるというようなことになって、がたがたになるというおそれがございますし、一方、施設設備の面につきましても、いまの分類の営んでおります機能がもっと充実してできるというような施設ができるということであれば、これは差しつかえがなかろうということを申し上げたわけでございます。
  278. 松本善明

    松本(善)分科員 私の聞きますのは、分類センターがどこがいいかということについては、あとからもうちょっと議論をしたいと思うのですが、要するに分類センターの問題が解決すれば、中野の移転問題は解決するのかということであります。
  279. 長島敦

    ○長島政府委員 分類センターということばのとり方でございますけれども、あそこでやっております分類は、ただ刑のきまったものを、資質を分類しまして、どこの刑務所へ送ったらいいかということだけをやっておるのではございませんで、そのほかに、あそこで実験処遇をやっております。分類をいたしました結果、こういう分類をした分についてはどういう処遇をしたらどういう効果が出るかという、その処遇の実験をただいまやっております。あの機能はぜひ一緒に持っていきませんと、ただ分類だけしっぱなしということでは、分類の意味がないというふうに考えております。
  280. 松本善明

    松本(善)分科員 そうすると、分類センターとその処遇実験ができる場所をほかにつくることができるならば解決する、こういうことですね。
  281. 長島敦

    ○長島政府委員 仰せのとおりであります。
  282. 松本善明

    松本(善)分科員 そうすると、その分類センターと処遇実験をするという。しかし、それはそう大きな場所を必要とするものではないと私は思うのですが、これはたとえば東京拘置所とかあるいは群馬とか近辺のところに移転した場合には、できなくなりますか。
  283. 長島敦

    ○長島政府委員 先ほど申し上げましたように、現在の分類対象になりますのが三百から四百という数でございますが、そのほかに実験対象として百ないし二百ということで、大体七百前後の施設が――施設と申しますか、組織が要るのではないかというふうに見ております。そのような規模のものを、現在の職員を失わずに適当な場所に移せるかどうかという問題を、ただいま検討いたしております。
  284. 松本善明

    松本(善)分科員 法務大臣、移せるかどうかということで検討しておるという話なんですが、やはり私はそれではぐあいが悪いのじゃないだろうか。ほかになければ動かないのだという考えでいたのでは、これはやっぱりぐあいが悪いのじゃないだろうか。これは中野の区民みんなが要望している。それにもかかわらず、移る場所がないから残るのだという結論をかりに出した場合には、むしろそれは反社会的といっていいか、やはり矯正というようなことをやっておる仕事からいっても、やはりこれはぐあいが悪い。私は、ここは移転をしていく、適切な場所ではないという、先ほど法務大臣が言われた方向で、そして場所をさがすという検討でなければならぬと思うのですが、その点、ちょっと矯正局長の話が不明確なような感じがしましたので、大臣のほうからお答えいただきたいと思うのです。
  285. 中村梅吉

    中村国務大臣 確かに、反対運動の御意見はごもっともで、適当な場所ではないと思いますが、ただ、問題は、あそこにいればあそこの周辺が反対なさると同じように、行き先ということになりますと、やはりどこも同じような反対が起こりますものですから、それをさばいていくのは、とにかく並みたいていではない。このままでよろしいとは考えておりませんが、そういう難儀な立場に立っておるのが現在の法務省であって、しかしそれを、手をこまねいているのではなくて、目下熱心に検討しておるという状況でございます。
  286. 松本善明

    松本(善)分科員 どこへ持っていっても反対運動があるというわけでもなかろうと私は思うのです。全国的にものを見ますれば、場所によっては、刑務所であっても来てほしいという過疎県もあろうかと思うのです。だから全国的な再配置という問題が起こるのではないかと思うのですが、そういう点の検討をしていただけば、これは確かにやさしいこととは申しませんけれども、やはり道のある、みんな手詰まりで、どうにも中野に居すわる以外に結論はないということにはならぬ性質のものだろうと思うのですが、その点についてはいかがでございましょうか。
  287. 中村梅吉

    中村国務大臣 確かに、全国再配置といいますか、刑務所の所在について全面的に検討しませんと、すでに三十カ所もそれ以上も、移転運動の盛んなところがございまして、どうこれを処置するかについては、法務当局としましても、矯正局を中心に熱心に研究を続けなければならない、かように思っております。
  288. 松本善明

    松本(善)分科員 矯正局長、分類センターと処遇実験が必ず一つでなくちゃならぬということも、私はなかろう、こういう状況の中での、社会事情の中でのことですから、それはそれなりの方法というものを考え得るのじゃないだろうか。全く中野の刑務所と同じものをどこかにつくらないと、同じ条件のものをつくらないと移れないということになると、なかなかむずかしいかもしれないけれども、しかしそれはくふうのしどころであって、分類センターはどこへやる、それから既決ということであればどうする、処遇実験は一部どうすると、そういうように分けてものを考えることが不可能とは言えないと私は思うのです。そういう点では、矯正局長、どうでしょうか。
  289. 長島敦

    ○長島政府委員 仰せのとおり、たとえば一般の既決を分けるということは当然考え得ることでございます。処遇実験をやります分につきましては、これは分類の専門の技官と申しますか、職員と申しますか、それが分類をして、その分類したのに基づいて、こういう処遇をしたらいいのじゃないかというので、処遇の実験をやりまして、その結果、その分類が間違っているというと、また分類が進歩するというので、処遇と分類が実は一体不可分になる、そういうふうな運営をぜひやることによって、今後の矯正の改善、更生といいますか、そういう処遇が進歩すると、実は固く信じておりますので、この分だけは何としてでも一緒にできるという方向で打開したいと、いま努力しております。
  290. 松本善明

    松本(善)分科員 東京拘置所は相当広い敷地を持っているのですけれども、分類センターと処遇実験は、東京拘置所のところを考えるというぐあいにはいかないでしょうか。
  291. 長島敦

    ○長島政府委員 東京拘置所は、図面と申しますか、敷地の広さ等だけから見ますと、かなり余裕があるようにも見えるわけでございますが、特殊な施設でございまして、ときによって収容者の増減が著しくある場合がございます。そういう意味で、ある程度あそこに余裕をとらなければならないというむずかしい問題をかかえておりますが、そういう意味で、東京拘置所も含めまして、二、三の場所について、ただいま検討を進めておるわけでございますが、いろいろむずかしい点がございますので、鋭意解決に努力しておるという段階でございます。
  292. 松本善明

    松本(善)分科員 その二、三の場所というのは、どういうところでございましょうか。
  293. 長島敦

    ○長島政府委員 実はこれを申しますと、先ほど大臣からもお話がございましたように、いろいろと影響するところが大きくなりまして、途中で計画に支障が生ずるかもしれませんので、この段階では、ごかんべんいただきたいと思います。
  294. 松本善明

    松本(善)分科員 建物の高層化とか、そういうようなことによって解決をするということも考えられると思いますが、そういう点はいかがでしょう。
  295. 長島敦

    ○長島政府委員 これは営繕課の御所管だと思いますが、さようなことも考慮に入れて、検討いたしております。
  296. 松本善明

    松本(善)分科員 そういたしますと、いろいろ検討されているということは、最初に法務大臣から伺いましたが、これはやはりいつまでも長くかかって検討するという性質のものでもなかろうと思うのです。やはり期限を切ってといいますか、大体いつごろまでにめどをつけるという目標があってしかるべきかと思いますが、その計画はいつごろでき上がるという予定でございましょうか。
  297. 長島敦

    ○長島政府委員 たいへんまだ解決を要する多くの問題がございますので、この席で明確にいつまでと申すわけにはまいりませんが、全力を尽くしまして、できるだけすみやかにというふうに申し上げたいと存じます。
  298. 松本善明

    松本(善)分科員 矯正局長は、超党派の議員団が中野刑務所を視察しましたときに、一年を、年内をめどにしてやろうという趣旨のことを話されましたが、それはそのとおりですか。
  299. 長島敦

    ○長島政府委員 私個人の努力目標といたしております。
  300. 松本善明

    松本(善)分科員 法務大臣に伺いたいのですが、これはやはり単に矯正局長の個人の努力目標というようなことではぐあいが悪いと思うのです。移転するという方向は、そしてそれを国の責任でやっていこうということは、いまの法務大臣の御答弁でお伺いすることができたわけですけれども、やはり大臣としても、一定のめどをつけて、大体このときぐらいまでには結論をつけろということで、事務当局に命じらるべきではないかと思いますが、その点はいかがでございましょう。
  301. 中村梅吉

    中村国務大臣 矯正局長努力目標は、私も了解しておりまして、何とかそういうふうに運ぶように鞭撻中でございます。
  302. 松本善明

    松本(善)分科員 そうすると、矯正局長個人の努力目標とは言われたものの、法務大臣も了承して、法務省として、大体一年、年内にもめどをつけるようにということで、鞭撻しておるというふうに伺ってよろしゅうございましょうか。大臣から……。
  303. 中村梅吉

    中村国務大臣 さようでございます。
  304. 松本善明

    松本(善)分科員 それから、念のためでございますが、その年内をめどに出そうという結論ですね、それについては、先ほどもちょっと議論いたしましたが、中野刑務所が移転できるかどうかということではなくて、だから、結論によっては居すわるというような結論が出るということではなくて、移転するという方向でのめどを一年内につけるという方向で進んでおるのかどうか、これは先ほども出たのでございますが、念のための御質問ですが、大臣からお答えいただきたいと思います。
  305. 中村梅吉

    中村国務大臣 そういう方向に向かいまして努力を続けておるわけで、決してあそこに永久に居すわらざるを得ない、かように考えておるわけではございません。
  306. 松本善明

    松本(善)分科員 それから、計画のめどがそういうことということなんですが、やはり住民の希望にこたえるということになりますと、大体いつごろまでには中野刑務所がなくなるといいますか、その期待といいますか、それを持てるような方向が出ぬものだろうかということを、私どもは言っておるわけでございます。たとえばいついつまでに、大体どのくらいの間に、法務省としては移転してしまう。一年内に計画はできるという話ですが、大体どの程度のときには区民の希望がいれられるというような期待を持てるような話が、いまならぬものだろうか。そういうところまで、大臣としては、大体この程度のときにはなくなるような状態にすべきだというようなことで、御指示はいただけないだろうか、こう思いますが、いかがでしょう。
  307. 中村梅吉

    中村国務大臣 これはなかなかむずかしゅうございまして、もうあそこで永久にいいとは考えておりませんが、ただ、いま検討しておる目標がどうなるか、そういうような事態もありますので、地元住民にあまり期待を持たせてしまいますと、今度は期待はずれになって、こちらも責任がありますし、住民の方々にも失望させますから、どうもそういうことは目下申しかねるというのが現状でございます。
  308. 松本善明

    松本(善)分科員 ただ、そういう大臣の御答弁もあるわけですけれども、しかし何せもう二十年なんです。これが一年延びるたびごとに二十一年、二十二年となって、長期にわたって区民の全体の要望、総意が、言うならば踏みにじられているというか、無視されているという状態になっておるわけです。確かにいろいろ困難なことはあるけれども、しかし移転するという方向は出ておるわけですし、計画のめどは年内につけたいという話なんで、そういうふうになってきますと、次の段階は、ではいつまでに大体なくなる、それまでには何とかしていくという方向を目標にしていかないといけないんじゃないだろうか。特に全体の計画ということになりますと、これは三十のものを全部計画ができ上がらないと実行しないというようなことになっていきますと、これはなかなかむずかしい、相当先の話になっていくんじゃないだろうか。できるところから一つ一つでも解決をしていくということにしなければならぬのじゃないだろうか。ですから、私は早急になくなるという時期のめどもつけるという方向の御努力を願いたいと思うのですが、そういう方向で御努力いただけますでしょうか。
  309. 中村梅吉

    中村国務大臣 それは、地元の熱烈な要望として承っておきます。
  310. 松本善明

    松本(善)分科員 これは、私が質問いたしましたけれども、これはほんとうに中野の区民の超党派の要求でありまして、これは最初に申し上げましたように、国の政策として実行すべきことであると思いますので、法務大臣がさらに一そう事務当局を督励してやっていただけるように要望をして私の質問を終わりたいと思います。
  311. 上村千一郎

    上村主査 次に、横路孝弘君。
  312. 横路孝弘

    横路分科員 登記所の職員の問題について少しお尋ねをしたいと思います。  実は、ことしの一月に少し時間を見まして、北海道の地方の登記所に少し寄って、いろいろお話を聞いてきたわけです。ずいぶんたくさんの要求を、一人庁、二人庁という一人、二人の勤務の中で仕事をされながら持っているわけです。一つは業務量がやはり相当ふえている。北海道の新幹線の関係で、最近は仕事がさらにふえている、人がさっぱりふえないというような話とか、それから、登記官というのは責任が非常に重いわけですけれども、手当の関係そのほかも非常に待遇として不十分であるという問題。それから、ちょうど一月でございましたので、灯油が非常に上がっておって、お伺いをしてみても、非常に寒い中で仕事をされている。なぜかというと、何か渡切費という奇妙な制度があって、燃料費さえ十分に使うだけ予算がないというようなお話等を聞いてきたわけでありまして、そんな二、三の問題についてお尋ねをしてみたいと思います。  まず渡切費という問題なんですが、これは渡切費という名前が物語っているように、登記所において電灯代とか、最近ですとコピーそのほか。それから熱料費が皆さんのほうで基準をつくられて、それを渡して、それでともかくやりくりしなさいという、それだけ、そういう制度です。話を聞いてみて、初めはよくわからなかったんですけれども、二万円なら二万円というものを渡して、それでやりくりしなさい、あとは知らぬよ、こういうわけであります。法務省というところも、去年職安法違反の例の登記協会の問題もあったわけでありますけれども、話を聞いてみて、それはまるでやくざの親分が子分に金を渡すようなもので、あとは知らぬよ、かってにしなさいと、非常に前近代的なやり方じゃないか、ふしぎなお役所だと私は思うのですけれども、この渡切費というのは一体どういうことなんですか。
  313. 住吉君彦

    ○住吉政府委員 渡切費制度の概要について御説明申し上げます。  御案内のとおり、会計法の二十三条に、会計の便宜のため、特殊の経理を必要とする官署について渡切費を支給するということで、その規定を受けまして、予算決算及び会計令の五十九条で、郵便局、法務局、地方法務局の出張所、在外公館、この三つの機関の事務費の全部もしくは一部をまかなうために、これを主任の職員に渡し切りでやるということになっております。おそらくは、これは長い歴史を持った制度でございますが、登記所、法務局、地方法務局の出張所について申しますと、数も多いし、また少額の支出が数たくさんあるというところから、会計事務の省力化といいますか、あるいは便宜のために、そういう制度が設けられたものであろうと思います。決して、これだけでやりなさい、あとは知らぬぞという不親切な、やくざの親分的な感覚で、そういう制度ができたものではございません。
  314. 横路孝弘

    横路分科員 やくざのほうは、金が足りなくなったら親分にまたもらうんでしょうけれども、皆さんのほうは、どうもそういうことにはなっていないようでありまして、それはもちろん法律に基づいてやっていることではあろうかと思うのです。ただ、これはほかのほうだってだんだんなくしていって、いま残っているのは登記所の関係だけじゃありませんか。
  315. 住吉君彦

    ○住吉政府委員 先ほど申しましたように、郵便局それから在外公館がございます。
  316. 横路孝弘

    横路分科員 その実態を調べてみますと、四十七年度の渡切費を見てみると、北海道のケースですが、札幌法務局管内を見てみますと、たとえば後志管内の余市あたりで七千円、古平で六千円、倶知安あたりで一万五千円、留寿都あたりで六千円、蘭越あたりで四千円というような赤字が出ているわけですね。これは赤字が出た場合にはどういうことになるのですか。
  317. 住吉君彦

    ○住吉政府委員 実は御案内のことと存じますが、出張所の小人数庁、四人以下庁でございますけれども、そういうところでは、いわゆる職員をして宿日直勤務をさせることが不可能でございます。したがいまして、出張所の庁舎内に居住部分を設けまして、そこに家族ぐるみで生活をしていただいておるわけでございます。それはそれ相応の手当を払っておりますけれども、そういたしますと、いわゆる渡切費の本来支給対象となるべき公の経費と、出張所長の私生活に費やされる経費というものの区分がしかく明確にできないという若干の難点がございます。これは法務省としましては、渡切費支給庁の所長に、そこらの区分を明確にしてもらうとともに、それらの経費の帳づけを励行してもらっておりますので、そこに公私の混淆されるおそれは少ないかと思いますけれども、確かに昨今の物価事情から見まして決して十分であるとは思いません。思いませんが、四十八年度予算及び四十九年度予算案におきましても、大蔵当局もその間の事情を十分理解されまして、一〇%ずつ予算増をいただいておりますので、その範囲内でやりくりをし、また渡切費支給規程の対象外の経費につきましては、一般庁費をもってそれに充てる、このようにして、出張所長の個人的な負担はできるだけかからないように、最善の努力をしておるつもりでございます。
  318. 横路孝弘

    横路分科員 たとえば、大体一冬にどのくらい、いまですとほとんどもう全部灯油になっていますから、北海道ですと、ドラムかんが大体十本から十二、三本ぐらいです。去年あたりですと、値段が大体四千円から四千五百円ぐらい。そうすると、渡切費ということで、電灯料その他を含めても、大体渡っているのは三万ちょっとぐらいの金額ですよ。するともうそれだけの――事務室がありますね、それはもちろん住宅と一緒になっていますけれども、つまりその事務室のほうの燃料費だって、もうこの範囲じゃ、おさまらない。それが現実なんですね。ですから二人、三人おられると、所長さんの中には、もうちょっと温度を下げろみたいなことをうるさく言う人も中には出てくるだろうし、それはなにせ、かぶったら全部個人が負担するということになっているわけですから、どうしてもそうなるわけですね。だから、その辺のところを、皆さんのほうでどのくらいかかっているのかということをきちんとこれは掌握されているのですか。つまりそれは、決算はそれぞれ適当に渡し切りの中でということでおさまっているのでしょうけれども、そうじゃなくて、実際にどれだけかかっているのか。前に人事院のほうに措置要求が出て、もうだいぶ昔でありますけれども、そのときかなりこまかく調べて、相当これは足りないということで、昭和三十三年に、増額しなさいということがありましたけれども、だからそれを毎年きちんと調べられれば、赤字額だって掌握できるはずなんで、それは庁費のほうでやりくりといったって、実際にはそんなことにはなっていないわけです。渡し切りで、あとで文句を言ってくるようなのは、それは能力がないとかなんとか言って、皆さんのほうで、そういうことにはならないはずで、要求するほうもいないはずだと思うのですけれども、ただ回ってみると、どこでもこんな渡切費などという制度はやめてもらいたいというのが圧倒的に多いわけですね。それを皆さんのほうで、そういう中身を毎年きちんと掌握されているのかどうか、この辺はどうですか。
  319. 住吉君彦

    ○住吉政府委員 その支出金額の内容は、十分掌握しております。
  320. 横路孝弘

    横路分科員 それは、赤字部分は具体的に補てんしているのですか。
  321. 住吉君彦

    ○住吉政府委員 先ほどちょっと申し落としましたが、渡切費の支給区分でございますけれども、これは御案内のことと思いますが、四人以下の出張所につきまして、職員数と、それから当該出張所の所在する場所の寒冷地手当の支給区分、これに応じまして一庁当たりの年額が違います。おっしゃるように、北海道地区は寒冷地の最たるものでございますので、燃料費がかさむことも十分考慮し、また職員の頭数も十分考慮した上で、一庁当たりの渡し切りの単価を設定しております。  それから、先ほど申しましたように、若干公私の区分が不明確な面がございますので、資料は毎年収集しておりますけれども、そこらに若干割り切れないものが残っておるというのが実情でございます。したがいまして、毎年経常的に赤字になっておるという御指摘でございますが、必ずしも私はそうではないと思います。
  322. 横路孝弘

    横路分科員 それはほかのところは知らぬですけれども、北海道はそうなんですよ。たとえば四十八年度を調べてみると、十二月の段階ぐらいまでで、一月-三月の電灯代をちょっと除いてみましても、すでにこれは二十数の出張所を調べてみまして、合計でやはり二十万ぐらいの赤字になっていますね、特にこれは燃料費が上がっていますから。だから、ともかく地方の中で一人、二人で仕事をしておって、せめてそういうところに、渡し切りであとは知らぬよということじゃなくて、これぐらいの赤字はきちんと皆さんのほうで掌握されて、毎年毎年出たものは出たもので処理をするということにするか、それは非常にたいへんだろうと思うのです。それならば、同じ作業をするならきちんと予算を組んでやるということのほうがむしろいいんじゃないか。私は渡切費などというのは、大臣、ともかくみんな一人、二人で仕事をして苦労されているわけですよ。そして赤字が出ると、それは個人負担なわけですよ。特にこの四十八年度は、その赤字額というのは相当ふえています。当面この赤字に対しては、皆さんのほうできちんと実情を把握されて、それなりの処理をすると同時に、やはりもう渡切費制度などというのはやめたほうがいいんじゃないか、私はこう思うのですけれども、大臣いかがですか。
  323. 中村梅吉

    中村国務大臣 私はどうも事情にうといものですから、急には答えられませんが、確かに北海道のようなところは、この物価高のおりから非常に困難をしておるだろうと思います。したがいまして、今後会計課長を中心に、検討させたいと思います。
  324. 横路孝弘

    横路分科員 詳しくは申し上げませんが、ですから、中には、市町村のほうで見るに見かねて、少しガソリンを供給をしたり、いろいろな手当てをしているところがずいぶんたくさんあるのですよ。ですから皆さん方のほうは、そういうぐあいに市町村のほうは協力しながら、やめろなどというから、みんなおこり出すわけでありまして、ほんとうに北海道の市町村なんか、みんな書庫から建物の新築から、もう三百万、四百万のお金を出して、そういうものをきちんとみんな、法務省からは出してもらわないで、市町村でやっているわけですよ。本来みんな国がやることですよ。そうやって、これはほんとうにそばで見ていると気の毒だから、市町村がそういうことをするわけですね。大蔵省のほうもおられますね。担当の方はいませんか。一〇%上げたようですけれども、四十八年度見ると、一〇%以上、大体二〇%近い赤字なわけです。これはぜひ法務省のほうとも御相談されて、もう四十九年、五十年からは、やめてきちんとされたほうがいいんじゃないかというように私も考えるのですけれども、いかがですか。
  325. 猪瀬節雄

    ○猪瀬説明員 ただいまの御質問に対しましては、法務省における検討と相まちまして、十分に相談いたしたいと思っております。
  326. 横路孝弘

    横路分科員 じゃ、渡切費の問題はこの辺にして、次は要員の問題を。  行管にも非常に努力をしていただいて、それでも実増百八十名ということなんですが、北海道の場合二十一名で、札幌法務局管内が十三名ですか、配分の関係ですね。それでもそれだけじゃやはり非常にたいへんだというので、民事局長のほうに、札幌法務局長のほうから一月になって上申書が出て、これはたしか三十数名必要だという要求が出ていると思うのですけれども、それについて皆さん方どういう態度をおとりになったのでしょうか。
  327. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 お答えいたします。  札幌の法務局長からは、来ておりません。
  328. 横路孝弘

    横路分科員 一月七日付で民事局長あてに三十四名の要求――ともかく今度新幹線か通るということで、札幌周辺それから新幹線予定地域、苫小牧東部関発の関係で、業務量が非常に多くてたいへんだというので、まだ多くの人員が必要だという要求がたしか出ているはずですが、局長、御存じありませんか。
  329. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 私、記憶ございませんし、いま係の者に聞きましたところ、やはり記憶がないそうでございます。ただ、人員は別といたしまして、司法書士会のほうから、しかるべき増員をしてほしい、こういう要望が来ておるそうでございます。
  330. 横路孝弘

    横路分科員 民事局長が御存じないということになれば、これはどういうことなのか。私の聞いている範囲では、一月七日付で、法務局長のほうから、職員の増員方についてという要請が出ているはずでありますが、あとで調べて……。その中では、三十四名ぜひとも必要だ、こういうことが具体的に提起をされているはずであります。  そこで、ちょっと時間もありませんので進めていきたいのですが、組合の関係の要求が今回六千四百九名です。それから皆さん方のほうは千七百十一名、二カ年で三千四百幾らですか。そして今回百八十名。各行政官庁を見ておって、千七百名で百八十名という、この要求のほうがずさんな要求なのか、百八十というほうがばっさり切られたのか、どちらかだろうと思うのですけれども、調べて見て、皆さん方の要求方法自体も、非常に単純に業務量だけぱぱっと計算をされてぽんと出す、そういうやり方から抜け出ていないのじゃないかと思うのです。千七百名要求してたった百八十名というんじゃ、皆さん方は一体何をやっているのか、やはりこういうことになるわけですよ。これは一体どういう要求の方法をとっておられるのですか。
  331. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 お答えする前に、来年度の増員予定数でございますが、三百三十七名でございます。純増が百八十名。  それで、要求の方法でございますが、これはいろいろな方法が考えられるわけでございまして、従来は一人当たりの処理能力というものを考えまして、一人が一年間に何件登記事務を処理できるであろうか、それを基準にいたしまして、全国の登記事件を処理するに必要な人員が何名である、こういう計算をいたしておったわけであります。四十九年度の要求におきましては、これを少しこまかく分願いたしまして、二万件以上の登記所の場合と二万件以下の登記所の場合と、これを二つ分けまして、二万件以上の登記所の場合には、機械などいろいろ進歩したものを利用しておりますので、若干能率がよく処理できるであろうということで、その基準を二つに分けまして、それぞれについて人員を算出して、その合計数を全体の法務局の登記関係の増員数として計上したわけでございます。
  332. 横路孝弘

    横路分科員 私のほうでなぜそんな質問をしたかというと、つまり積み上げ方式じゃないわけです。それぞれの職場の実態調査をされて、そこでもって、ここはどのぐらい必要かということをあげていって数字を出すのじゃなくて、全体的にいままでおやりになっていたわけでしょう。非常に単純にばんと数字を出してやっておられたわけですね。ところがやはり現場へ行ってみると、そうじゃないのですね。それはやはりその地域によって、単なる登記事務以外の表に出てこない仕事だってずいぶんたくさんあるわけですよ。だから、その辺のところをもう少し私、皆さん方のほうできちんと現場のほうを掌握してもらいたいと思うのです。現場実態をですよ。それがどうも非常にずさんだから、行管のほうあたりにばっさりやられてしまう、こういうことになるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  333. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 確かに要求の方式はいろいろ考えられるわけでございますが、それぞれ一長一短ございまして、お尋ねのような方式というのも、長所もございますけれども、しかし一庁ごとの実情を明らかにするということはなかなかむずかしい面もございます。そういうことで、いずれにしても、そう大きな違いというのは出てこないのじゃないかということで、いままでの方式を、来年度の要求につきましては、先ほど申し上げましたようにちょっと改善を加えたわけでございますが、そういった方法でやっておるわけでございます。
  334. 横路孝弘

    横路分科員 私なぜそう言うかというと、やはり法務局あたりというのは、法務省の中ではどうもきちんととらえられていないのじゃないか。札幌あたりに法務局長さんがお見えになっても、皆さん方えらい方ばかりで、どうも現場実態を掌握するという努力に欠ける面があるように私思うのです。北海道あたりになりますと、あちらこちらの小さいところにたくさん登記所がございまして、それはたいへんな仕事なわけです。仕事の範囲というのも、表に数字で出てくるばかりじゃない、いろいろな問題があるわけです。その点も少しお尋ねしたいと思っているのです。ですから、それは単なる方法の問題じゃなくて、皆さん方がもうちょっと現場を把握されるということ、それはやはり足を運ばなければだめなんですよ。だからその人員の問題でも、要求する場合に、もうちょっとその辺をまじめにおやりになっていただきたい。どうもやはり検察中心でありますから、法務局の仕事というのは、私は非常に重要な仕事がたくさんあると思うのですけれども、いま登記所の問題だけ取り上げていますけれども、ほかの分野でも同じようなことが言える。ですから、やはりその辺のところをもう少し全国的にきちんと掌握を皆さん方自身がしてもらいたい、こういう気持ちから、いまの点、御質問しているのです。これはこの次、五十年の要求にあたって、私はその辺のところをもうちょっと法務省としてきちんと掌握をしていただきたい、実態調査をしてもらいたいと思うのですけれども、大臣、いかがですか。
  335. 中村梅吉

    中村国務大臣 局長がお答え申し上げましたように、一出張所ごとの積み上げというのが、なかなか実際問題として全国にまたがっておりますから、容易ではないのでありますが、今年度の要求につきましては、従来よりは方式を変えたようでありますけれども、なお御指摘のような点につきましては、できるだけ遺憾のないようにさらにさらに検討をさせたいと、かように思っております。
  336. 横路孝弘

    横路分科員 ちょっと調べてみても、たとえば登記官の過誤による国家賠償なんというのも、この十年間で十何件でしたか、十七、八件たしかあったはずです。それからまた、職権による更正登記なんというのも四十七年度で一万二千件ぐらいですか、これは表に出てきているもので、実質的にはこういう形をとらないで処理するのが相当たくさんあるわけです。登記官の過誤による国家賠償請求事件というのは、この十年間で十八件、金額にして三千七百万ということですね。中には、その登記官自身にある意味での責任をとらせる、つまり金を払わせるなんというようなケースもあったようでありますけれども、こういう実態を見ても、ともかく非常に苦労しているわけです。責任は非常に重いわけですね。一たんミスをすれば、いろんな責任をとらなければならない。そういう中で、非常にきびしい条件で働いているわけでありまして、さらにその中にたとえば特殊登記の業務ということで住居表示制度みたいなものによる仕事みたいなものもずいぶんふえて、窓口要員なんというのはいませんから、現実にその辺のところで作業が非常にふえている。あるいは地方税法による市町村通知なんというのも、あれはたしか十日以内なんということになっていますけれども、現実には二カ月、三カ月なんというのはざらでありまして、非常にこれもおくれているということになっているわけです。ですからそういうところを含めて、表に出てくる部分じゃなくて、そればかりじゃなくて、現実に仕事をしているその中身をぜひ調べていただきたいというように思うのです。その関係では、たとえばいま組合あたりでも問題にしているのは、登記法の十七条の地図の作成で、特に北海道の場合は公図もきちんとしたものでございませんから、連絡査定図でありまして、これについて国土調査そのほか、あるいは区画整理そのほかあるたびにそれに合わせて修正をするなんという作業が、これは膨大な作業になっているわけですね。ですからそういうあたりを私が言いたいのはきちんと調べて、そして皆さん方の要求をなさる、こういうことにしていただきたいというように思うのです。私が言う調査というのはその辺のところも含めてなんです。大臣、これはくどいようでありますけれども、各法務局にやればそれはできるわけですよ。地方ごとにそれぞれ掌握して、下からやはり要求を上げる、こういうシステムにしてもらいたいと思うのですが、大臣の見解を承りたい。
  337. 中村梅吉

    中村国務大臣 あるいは各地方の法務局ごとにその管内をこまかく把握することは容易ではありませんが、努力次第ではできないことはないようにも思います。いずれにいたしましても、いま御指摘の点につきましては重々検討いたしたいと思います。
  338. 横路孝弘

    横路分科員 最後に行政管理庁のほうにお尋ねしたいのですが、いまのきびしい状況の中で実働百八十ということで非常にお骨折りを願ったわけですけれども、それでも現状から見ますとほんとうに焼け石に水という感じなわけでありまして、数字で上がってくる部分じゃない仕事が実は非常にたくさんあるということを行政管理庁立場からもぜひひとつお調べいただいて、さらに努力をしてもらいたいというように思うのですけれども、最後にひとつ……。
  339. 正田泰央

    ○正田説明員 登記所の定員につきましては、毎年度法務省のほうでも最重点事項ということで御要求がございますし、私どものほうといたしましても社会情勢にかんがみまして、法務省の登記所の定員につきましては同じく重点事項ということで処理させていただいておりますが、一方定員抑制という重要な政府の方針もございますので、そういうことを勘案しながらやっている次第でございますが、先生が御指摘のいわば質的な問題と申しますか、たとえて申せば過誤の問題でありますとか更正の問題でございますとか労働過重の問題とかそういう点だろうと思いますが、そういう各事項につきまして一応十分に私どものほうでは現段階でわかる範囲で法務省から話は承っておりまして、その中で特に計数になじむと申しますか、そういうものについては十分考慮いたして査定いたしておりますが、今後とも十分留意させていただきたい、こう思っております。
  340. 横路孝弘

    横路分科員 終わります。
  341. 上村千一郎

    上村主査 次に、諫山博君。
  342. 諫山博

    諫山分科員 私は検察官適格審査会の民主的刷新という問題について質問します。  検察官適格審査会の民主化というのは、もちろん第一次的には審査会自体の仕事です。審査会の委員である私は、審査会の中でこの立場でがんばりたいと思います。しかし、検討してみますと、審査会自体では解決できない問題、総理府とか法務省にもっと検討していただきたいという問題が幾つかあります。この点に限って質問します。  私が審査会の委員になって一年ぐらいでありますが、実は私は二十年間弁護士の仕事をしていながら、検察官適格審査会がどういう仕事をしているかということをほとんど知りませんでした。同僚の弁護士に聞いてみましたら、たいていの弁護士がそういう審査会があることさえ知らないというのが実情です。第一線の弁護士が存在さえ知らないということ自体にたいへんな問題があると思います。検察官適格審査会に幾らか類似した制度としては裁判官訴追委員会があります。訴追委員会がどのくらいの事件を処理したのか最近の実情調査してみますと、昭和四十四年が百二十二件、四十五年が六百十二件、四十六年が百六十九件、四十七年が百二十四件、四十八年が百五十四件、相当数多く事件を受理し処理しているという数字が出ております。  そこで、検察官適格審査会が四十四年から四十八年にかけて何件ぐらい事件を受理し、何件ぐらい処理しているのか、法務省の前田人事課長に御説明願いたいと思います。
  343. 前田宏

    ○前田説明員 お尋ねの検察官適格審査会の四十四年以降の受理、処理状況でございますが、四十四年度の受理と申しますか、これは前年度の繰り越しを含めまして二十一件でございます。その後四十五年が八件、四十六年が八件、四十七年が六件、四十八年が十一件ということでございまして、一方処理のほうは四十四年一件、四十五年四件、四十六年十二件、四十七年十三件、四十八年同じく十三件、かような数字になっております。
  344. 諫山博

    諫山分科員 委員会の審査回数を裁判官訴追委員会について調査したのですが、訴追委員会の場合には、四十四年二十回、四十五年二十回、四十六年十四回、四十七年九回、四十八年十回、これは小委員会も含めた回数ですが、検察官適格審査会の場合には同じ年度で何回ぐらい開かれたでしょうか。
  345. 前田宏

    ○前田説明員 お尋ねの検察官適格審査会の開催回数でございますが、四十四年が一回、四十五年が四回、四十六年が一回、四十七年が一回、四十八年五回ということになっております。
  346. 諫山博

    諫山分科員 裁判官訴追の制度は相当活発に活用されているということが数字の上であらわれています。検察官適格審査会の活用というのは非常に少ないわけです。それではわが国の検察官に過去問題がなかったのかというと、決してそうではありません。たとえば松川事件の国家賠償裁判というのがありますが、あの判決の中では検察官の強制、誘導、政治的な意図に基づく誤った起訴、さまざまな、検察官としては許すことのできない問題点指摘されております。またたとえば、死刑から無罪に逆転した二俣事件とか八海事件とか、その他著名な冤罪事件を見ましても、検察官の誤りは明らかです。そういう古いところを持ち出すまでもなく、たとえば万引きをした検察官がいたとか、あるいは法務委員会でわが党の正森委員が追及したような大阪の三名の検察官の不正入居問題というような点も指摘されております。世間では、むしろ裁判官の不正よりか検察官の不正を取り上げることのほうが多いくらいです。しかし実際には、裁判官訴追の制度は相当活発に活用されているけれども、検察官適格審査会というのはあまり活用されていない。専門の弁護士でさえ、その存在さえ知らない人が多い。ここに私は一つの根本的な問題があるのではないかと思います。  そこで、法務大臣にお聞きします。たとえば検察審査会などについては、検察官の不起訴処分に不服がある者は積極的に申し立ててくださいというような広報活動が盛んにやられております。法務省の中の人権擁護機関についても広報活動がやられております。私は、これは国民の権利を救済するというたてまえからつくられた機関ですから、広報活動がやられ、国民が積極的に活用する機会をつくるのは当然だと思います。ところで検察官適格審査会については、そういう意味の国民に周知させる活動がやられているのかどうか。やられていないとすれば、なぜそれはやられていないのか。将来、もっとこれを国民に知ってもらう努力をする必要はないのか、こういう点で法務大臣の御意見をお聞きします。
  347. 中村梅吉

    中村国務大臣 検察官適格審査委員会というのは、制度ができまして内閣の付属機関としてあるわけでございますが、いま御指摘のようなPR活動をやっているかということでございます。それはどうも私の承知しているところではないように思います。はたしてそれがないのが悪いかよいか、いろいろ問題があろうと思いますが、政治全体の上から検討に値するかもしれません。     〔主査退席中村(弘)主査代理着席〕 ただ、裁判官訴追委員会のほうは、私も長い間委員長をやっておりましたが、あそこはどうも訴訟に負けたとか仮処分を却下されたとか、訴追すべからざる事案で訴追してくるものが非常に多いのです。それからもう一つは、世間にはけっこう訴訟狂というのがありまして、わずかな地境でもすぐ裁判を起こしてくる。そして、仮処分が却下されればそれに対して訴追をする、上訴する。上訴しても敗れると、また上訴の裁判をする。ものによっては、最高裁に上告したけれども、最高裁で棄却になると最高裁の判事全員を訴追してくるというような事案がたくさんございまして、件数は非常に多うございますけれども、厳密に審査いたしますと、取り上げるような事件というのはたまに出てくるということでございまして、したがって裁判官訴追委員会としても、訴追をした事案というものは前に三回ぐらいあるようでございますが、近年ほとんどございません。言うように、検察官適格審査委員会というもののあり方がどういうあり方が一番正しいのか、私もまだ十分知識を持っておりませんけれども、いまの制度でも公正に委員の人たちが各分野から選ばれておりまして、そこで十分に、二年おきですか三年おきですか、全部の検察官について適格を審査する、あるいは個々に訴えのあったものについては、その訴えを取り上げてやっておりますから、まあまあではないかと思いますけれども、あるいは政治全体の上から考えた場合にまだ欠陥があるかどうか、私ども、どうもお答えしかねるような現状でございます。十分に私としても検討してみたいと思います。
  348. 諫山博

    諫山分科員 きょうは裁判官訴追の制度を論議するつもりはありません。私は明らかに検察官に非行があったという事例として、松川事件とか二俣事件とかあるいは八海事件、そのほか万引き検事とかあるいは正森委員の指摘した問題というのを例示しました。そのほか私が個人的に知っているだけでも、たとえば三池争議のまっ最中に熊本地方検察庁の検事正が三井の会社からゴルフに招待される、そしてホテル代まで支払わせるといって大問題になりました。福岡の検察庁では、検事がから出張して旅費を浮かすというようなことで大問題になったことがあります。それでは、こういう明らかに検察官として不適格と思われる検事がいた場合に、検察官適格審査会が動いたかどうか、ここで職権に従って何らかの取り調べがなされ、何らかの処置がなされたのかどうか、いかがでしょうか。
  349. 前田宏

    ○前田説明員 ただいまお尋ねの中で出ました三池鉱山関係のケースでございますが、これにつきましてはたしか申し出がございまして、いろいろ事実上の調査をいたしている段階で、申し出を受けた当該検察官が辞職をしたというようなこともございまして、審査は打ち切りになったということになっておると思います。  それからもう一つ出張旅費のことで御指摘がございましたけれども、これはたしか検察官適格審査会としては取り上げられたことはないように思います。
  350. 諫山博

    諫山分科員 世間では、検察官の非行というのはマスコミなどでもしばしば問題になっております。ただ、これがほとんど検察官適格審査会で論議されていないというところに、私は一番大きな問題があると思うのです。検察庁法に従ってこの制度がつくられている以上、私はこれが検察官の行き過ぎをチェックするという役割りでもっと機能しなければならないと思います。検察官適格審査会の民主的な刷新というのは、これが大事だと思っています。  ところで、私が委員になって審査に参加して驚いたのは、昨年初めて私が取り扱った事件の中に、昭和四十四年に申し立てられる、昭和四十五年、四十六年に申し立てられていたというような事件が少なくなかったということです。申し立てられてずっと審議が継続されているというならまだわかりますが、審議がされないまま放置されていたというような事件が相当数あったことに驚いております。どうしてこういう事態が生まれていたのか、人事課長いかがでしょう。
  351. 前田宏

    ○前田説明員 ただいまお尋ねの、相当古い事件がそのままになっていたというような御指摘でございますが、当時のことを詳細に存じておりませんけれども、それ以前から相当件数もあったようでございまして、別にほうっておいたということではなくて、いろいろと審査会の御審査を受けますについて、事前に資料を整えるというようなこともございまして、その準備等で時間がかかっていたものもあるように承知しているわけでございます。なお、ただいま御指摘のように若干おくれているものもあったわけでございますが、審査会の御努力によりまして、相当古いものはすべて御審議が終わっておるという状況にございます。
  352. 諫山博

    諫山分科員 検察官適格審査会の審査が昨年まで非常におくれたというのは、私はそれなりの理由があると思います。促進するだけの十分な体制がとられていなかったということが原因の一つです。  そこで法務大臣にお聞きしますが、昭和四十八年検察官適格審査会に対してどのくらいの予算が組まれていたか御承知ですか。
  353. 中村梅吉

    中村国務大臣 これは総理府の予算でございますが、いま見ますと大体三十万ぐらいのようでございます。
  354. 諫山博

    諫山分科員 昭和四十五年度は十三万五千円、四十六年度は十五万三千円、四十七年度は十五万五千円、四十八年度は十八万二千円です。年間の政府の予算がこれだけですよ。これで検察官適格審査会がひんぱんに会議を開き慎重な調査をするというのはほとんど不可能だと思います。ことしは幾ら要求されていますか。総理府のほう幾らですか。
  355. 森卓也

    ○森説明員 私どものほうに計上いたしております予算は委員手当とそれから委員等旅費だけでございまして、あと庁費関係は法務省のほうに計上されておりますので、私どもで承知いたしております委員手当と委員等旅費は四十九年度の一応の積算は十八万五千円でございます。
  356. 諫山博

    諫山分科員 検察官適格審査会としては審査のために申し立て人を東京に呼んだり参考人を審査会に呼んで証言を求める、供述を求めるということが当然起こり得ると思います。こういう場合の費用はどこから出ることになりましょうか。ここまで予算が組まれているのかどうか、総理府、いかがですか。
  357. 森卓也

    ○森説明員 私どものほうは先ほど申し上げましたとおり委員の手当とそれから委員の旅費だけでございますので、その他の経費は法務省のほうに計上されているわけでございます。
  358. 諫山博

    諫山分科員 法務省の人事課長にお聞きしますが、証人とか本人を喚問するということは審査の手段として当然あり得ると思いますが、この場合の予算はどこからどういうふうにして出るのですか。
  359. 前田宏

    ○前田説明員 若干総理府のほうの御答弁と形の上で食い違ったようなことになって恐縮でございますが、法務省のほうに計上されておるということにつきましては、委員も御承知のとおり法務大臣官房がこの審査会の庶務を処理するということになっております関係で、いわゆる庁費系統の経費が法務省の全体の庁費の中に含まれておるということになるわけでございます。また、先ほど御指摘のような旅費はむしろ総理府のほうの先ほどの委員等手当の中でまかなえるのではないかというふうに思っておりますが、先ほどの金額はこれはまた総理府のことで総理府のほうからお答えがあるほうが適当かと思いますけれども、先ほど出ました数字はいわば審議会等の委員等手当のうちの検適関係の一応の内訳と申しますか、そういうことであるように承知しておるわけでございまして、委員等手当等は全体として相当額のものが計上されておるというふうに聞いております。
  360. 諫山博

    諫山分科員 裁判官を訴追する制度である訴追委員会については四十八年度の予算が約三千八百万円、検察官適格審査会については、類似したような制度でありながら、予算として計上されているのは十八万二千円、これが実態です。そして裁判官訴追委員会の場合には証人等旅費という独立した項目が出ております。つまり自由に証人喚問なんかやってそれに旅費が払える仕組みになっているわけですが、検察官適格審査会の予算ではそういうことの仕組みになっていません。もっとも検察官適格審査会自体が従来この予算を十分使いこなしてきていなかったという点には審査会自体の問題があると思っております。これは審査会として反省すべき点だと思いますが、それにしても検察庁法に基づいてつくられた一つの審査会が年間予算十八万二千円程度というのではあまりにも少な過ぎる。これでは本気に検察官適格審査会を活用しようとする立場ではないというふうに言われてもしかたないと思いますが、この点でさらに検討される余地はないのかどうか、総理府のほうにお聞きをします。
  361. 森卓也

    ○森説明員 先ほど申し上げました金額は積算の内訳でございまして、予算といたしましては各種審議会を一括して委員手当、委員等旅費を計上いたしておりますので、各審議会の間の委員手当あるいは委員等旅費の流用はその全体の限度額の中で自由でございますので、現実にもし法務省のほうから御要求があればその予算の範囲内では相当程度支出できると思います。
  362. 諫山博

    諫山分科員 検察官適格審査会令第八条というのがありますが、これを見ると法務大臣官房が審査会の庶務を処理するというふうに規定しています。実際は庶務を処理するというだけではなくて審査に必要な調査活動も法務省の人事課のほうで処理しているというのが実情です。しかし、検察官適格審査会というのは、検察官として適格であるのかないのか、こういうことを審査する機関です。検察官の人事権を持っている法務省の人事課が半面では検察官適格審査会の庶務も担当するというのは、たとえてみれば法務省が二足のわらじをはいているようなものではないか、これでは公正な事務の処理が疑われてもしかたがないのではないかという感じが私はしております。政令では法務大臣官房が審査会の庶務を処理するとなっていますが、ほんとうに検察官適格審査会が公正中立に運営されるためには、私は庶務は法務省から切り離して総理府が直轄するというのが正しいのではないかと思います。たとえば検察審査会の一切の仕事を法務省から切り離して裁判所がやっている。これと完全に同じではないでしょうが、検察官の人事権を握っている法務省ではなくて、総理府として直接この庶務を担当するのが公正中立という立場からいえば望ましいと思うわけですが、総理府はいかがでしょう。
  363. 森卓也

    ○森説明員 御指摘でございますが、私ども総理府には御承知のとおり十五条機関が非常にたくさんございまして、それぞれ全部の庶務を私どもでするということになりますと、現在の陣容ではいささか処理をし切れないという感じでございます。
  364. 諫山博

    諫山分科員 事は検察官適格審査会が公正中立に運営されるかどうかという問題ですから、事務処理の能力でこれを結論づけるというのは正しくないと思います。ほんとうに検察官適格審査会を民主的に刷新して有効に機能させようとするなら、そのための専任の職員も置く、そのくらいのことがあっていいのじゃないでしょうか。現に裁判官訴追委員会には十数人の専任の職員がいます。ところが検察官適格審査会にはそういう人は一人もいない。そして検察官の任免権を持っている人事課が庶務処理をしている。これではさっき言いましたように二足のわらじをはいているというそしりを免れないと思いますが、検討の余地はありませんか。総理府いかがですか。  総理府のほうからお答えがないようですから、法務大臣に説明をお願いします。これは単なる事務上の問題ではありませんから。
  365. 前田宏

    ○前田説明員 とりあえず事務当局から申し上げたいと思います。  ただいま委員の仰せのような問題点がないとは申せないかと思いますけれども、私ども庶務を処理するという立場に置かれておる者といたしましては、当然のことながら、審査会の審査というものは審査会自体の権限と責任において行なわれる事柄でございますし、また庶務という立場にあります以上、庶務をつかさどるという立場に徹しまして、いわば審査会の手足というような形で公正な立場努力をいたしておるつもりでございます。何らか不都合の点があるか、また人が不足のためにこの審査会の活動に支障を生じておるかということでございますが、いろいろと見方があろうかと思いますけれども、少なくとも、従来そのような具体的な問題というものは生じていなかったのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  366. 諫山博

    諫山分科員 事柄は制度の問題です。公正中立にやるつもりだというような議論だったら、制度論は要りません。幾ら公正中立にやっておるつもりでも、二足のわらじをはいておれば公正中立になり得ない場合がある。だから、行政的な組織として独立した機関をつくるという要請が出てくるわけです。ですから、公正中立にやるつもりだというのじゃなくて、外形から見ても公正中立が担保されるためには、やはり検察官の人事権を持つ法務省から切り離したほうが妥当ではないかという問題提起をしているわけです。総理府はどうですか。
  367. 森卓也

    ○森説明員 率直なところ、従来庶務が法務省のほうにまかされておりました関係で、御指摘のような点につきましては検討をいたしておりませんので、検察官の審査会の実情等も、御承知のとおり委員手当と日当旅費を、各種の審議会を横並びにいたしましてアンバランスの生じないようにということで、総理府のほうに予算が計上され、それ以外の庁費は実情に明るい法務省のほうに計上されておりましたので、そういう点についての検討は最近において検討いたしておりませんので、ちょっとこの席で直ちにお答えをするわけにはまいりません。
  368. 諫山博

    諫山分科員 私は、初めに、検察官適格審査会を民主的に刷新する必要がある、しかしその主たる仕事は検察官適格審査会自体の任務だということを申し上げました。しかし、いま私が指摘したような幾つかの問題は、やはり制度の問題であり、人の問題であり、金の問題であります。検察官適格審査会が幾ら民主的に充実しようと思っても、なかなかやれない問題が幾つもあるということを御理解願えたと思います。検察官適格審査会がほんとうに有効に機能するということは、いわゆる検察ファッショを予防する、検察官が間違った仕事をしないようにチェックするという意味では、非常に重要な問題です。きょうは突然の問題提起で、答弁の用意がなかった点もあったようですが、法務大臣も話を聞かれたし、また総理府の参事官の方も答弁に立たれておりますから、ぜひ新しい積極的な問題提起として以上の点を検討していただく、そして、検察官適格審査会がいままでのような有名無実のものではなくて、ほんとうに機能する組織につくりかえていくという点で御協力をいただくということをお願いして終わります。
  369. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 次に、山中吾郎君。
  370. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 中村法務大臣にお聞きしますが、BBS運動というのを聞いたことがありますか。
  371. 中村梅吉

    中村国務大臣 伺っております。
  372. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 こういう質問はおそらく私だけしかしないだろうと思うので、法務大臣もこういうBBSということばをあまり聞いていないのじゃないか、DDTと同じくらいに間違うんじゃないかと思ってお聞きしたのですが、かつて私岩手でBBS県連胆の会長をしたことがあるものですから、青年諸君の実態をよく知っておるので、ぜひ法務大臣以下、BBS運動を認識をされて、もう少しこの運動の発展のために予算も含んで協力を願いたい、こういう趣旨で問題を取り上げておるわけであります。  それで、現在のBBSの状況を法務省でとられておることについてひとつ御説明ください。
  373. 古川健次郎

    ○古川政府委員 お答えいたします。  BBS運動は、御承知のとおり、わが国では昭和二十二年ごろから始まりまして、全国的に広まっておるものでございます。現在、昨年八月の統計でございますが、会員数は約九千人となっております。組織といたしましては、一番末端の地区会が全国で五百三十八ございます。この地区BBS会が集まりまして、各都府県単位に連盟が組織されております。その上に全国を八ブロックに分けまして、各ブロックごとに地方連盟が組織されまして、その上に、これが集まりまして日本BBS連盟という組織ができております。これが組織でございます。  次に活動状況でございますが、BBS運動の活動といたしましては、大きく分けまして友だち活動、非行防止活動、研さん活動、この三つとなっております。  第一の友だち活動でございますが、これはBBS運動の中心ともいうべき最も重要な実践活動でございますが、保護観察に付された少年など非行少年のよき兄、姉となってその更生を援助する活動でございます。昭和四十八年八月一日現在で、BBS会員が、現在友だちとなっております少年の数は千三百四十四人となっております。  次に非行防止活動でございますが、この活動といたしましては、講演会、移動展示会、弁論大会、映画会等による少年保護思想の普及、それから環境的に悪い地域の子供会に対する協力、さらにサマースクール、キャンプあるいは水泳大会等の開催あるいはこれへの参加、こういうものがあります。昭和四十七年中における各都府県連盟が行なったこれら活動の数は、法務省で承知いたしておる分で、全国で百十三回、一県当たり平均二・二回となっております。  次に研さん活動でございますが、これはBBS会員の資質の向上をはかるため行なう研修会などでございまして、昭和四十七年度に行なわれた研さん活動について見ますと、都府県単位で全国で百七回、これは一県平均約二回となっております。地方単位では八ブロックごとでございますが、各地方組織ごとに年一回、中央研修は年二回開いております。これ以外に、先ほど申し上げました五百三十八の各地区の研修会、これは各地区で平均五、六回開かれておるというふうに聞いておりますので、やはり年に三千回から三千五百回くらい、かような状況でございます。
  374. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 そのとおりだと思うのでありますが、全国で四十七年十二月現在で八千九百四十四人のメンバーがある。大体約一万ですが、四十五年は九千八百二十三人であり、だんだんと減ってきている。これはやはり法務省でもむしろどんどんふえるように御指導願う必要があるのです。一方に十代の少年の犯罪がふえておりますから、いわゆるビッグ・ブラザー・アンド・シスター・ムーブメントという、きょうだい、友情という関係で、おとなが非行少年を上から指導するのではなくて、同じ年齢の者が友情で結びついて初めて非行少年も社会復帰できる大事な運動だと私は思うのです。年配の保護司が当たるよりは同年配のBBS青年諸君に当たらすということが非常に重要なんだ。だんだん減っているのですね。それから、これは非行少年対策だけでなくて、実は二十代の青年諸君が、現代のようなエゴイズムの世相の中で、そういう不幸な少年に対する愛情と奉仕のことを、いわゆる明確な、具体的な目的を持った青年組織なんですね。非常に貴重なものであると思うのです。だから、非行少年対策というのでなくて、現代の青年運動、青年組織という点からいっても非常に重要な問題なので、単なる司法行政の非行少年対策でなくて、青年運動である、ここに何か新しい価値観を持った青年運動の芽を育てていくという考え方に切りかえてもらいたい。そのために、文部省の社会教育局、来ているでしょう。中村法務大臣かつてまた文部大臣であるので、ちょうどいい機会だから、そういう認識のもとにお育て願いたいという趣旨で取り上げておるのであります。私が実際に接触しておる岩手のBBC諸君も、学生もあり、それから郵便局、貯金局というところにつとめておる諸君があり、一方に労働組合員である。同時に別にこういう運動の中に入っておる諸君がある。そういうメンバーは非常に明朗であり、暗い青少年に対する友だち活動をするために、逆に非常に明朗な雰囲気の中に、しかも具体的な目的を持っておる青年組織でありますから、その会員自身が自己の人間形成に非常に役に立っておる組織になっておる。私は重要な意義を認めておるわけなのであります。ところが遺憾なことには、どうもこれに対する予算は少しもない。まことに遺憾なんです。そういう認識を新たにして、来年度は予算措置についても真剣に考えてもらいたい。そこで、現在このBBS運動に対する予算はどうなっているか、お聞きしたいのです。     〔中村(弘)主査代理退席主査着席
  375. 古川健次郎

    ○古川政府委員 ただいまBBS活動に対する法務省の予算措置という御質問でございますが、本来BBS活動を行なうためには非常な金が要るわけでございまして、現在BBS活動を行なう経費としてのもとは、会員の会費でありますとか、あるいは市町村からの助成金でありますとか、あるいは寄付金等でまかなわれている状況でありまして、全国の都府県のBBS団体の昭和四十七年度の経理総額を見ましても、約一千万円ということになっております。  法務省のほうとしてはできるだけこれに対して援助していきたいということで、数年前はなかったのでございますが、まず、ごくわずかでありますけれども、四十五年に育成指導のための職員旅費が二十万ばかり入りました。それから、その年に、山中先生からやはり五年前の委員会で御指摘がございまして、もっと援助したらということで、さらに予算要求を行ないまして、次年度からは研修の資料費というのが八十万ばかりふえまして、約百万ということでやってまいっておるわけでございまして、現在御審議をいただいております昭和四十九年度予算といたしましては、総額百十六万が計上されております。これは先ほど申し上げました育成指導のための職員旅費と研修のための資料費ということでございます。今後ともこれにつきましてはさらに増額に努力したい、かように考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  376. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 全国のBBSが大体一千万ぐらいの予算で活動しておる、そしてそれに対する国の予算が百十六万。法務大臣、これは一千万の活動費として青年諸君があちらこちらに寄付を頼むのに頭を下げて集めて、研修会には半分自腹を切って行っている。二十代の青年諸君で、つとめながら自腹を切ってやらすようなことは、させたくないのです。ぜひ会員の活動の実費ぐらいは国の予算で計上してやるとか、あるいは法務省の末端の保護観察所、これは岩手の場合には非常に熱心によく指導されて敬意を表しているのでありますが、その指導旅費その他、BBSの運動費と申しますか、もう少し潤沢にしてやってもらいたい。それからその青年諸君と密接に接触しておる末端の保護観察所の職員も、ほんとうは一、二名ふやしてやったらいいのじゃないかと思うのですが、明確にその旅費を計上して要求してもらいたいと思うのです。おそらく司法行政の中で地域の一般の生活とかあるいは庶民と接触する接点はこれしかないのじゃないか。司法行政というのはどこか現実と離れた象牙の塔のような、一般地域の者も、一体保護観察所なんてどこにあるのだか、そういう法務省関係の出先機関はどこにあるのか知らないですね。しかし青年諸君が親しみをもって出入りをし、接触するというのは、そこだけなんです。これは将来の司法行政の民主的な発展のために大事な窓口である。その点を具体的にひとつ検討されて、予算を要求してもらいたい。少なくとも百七、八十万、国の予算の何兆円ということからいえば、公害の単位のPPM級の予算ではなくて、ひとつ思い切って少なくとも一千万ぐらいの計上をする、ひとつ要求をしてもらいたいと思うのです。法務大臣の御所見をお聞きしておきたい。
  377. 中村梅吉

    中村国務大臣 私どもとしましては、BBS活動に携わっていただいておる方々、ほんとうに奉仕の観念に徹して御活動いただいておる姿は、全く敬意を表します。これは御指摘をまつまでもなく、国のほうでもっと力を入れて、少なくとも世間からBBS運動に政府が力こぶしを入れているというかっこうだけでも、これは示すべきではないかというような気がいたしております。少年非行などについては、特に重大な時期でもあり、また将来国の前途のためにも大事なことでございますから、私としても今後認識を新たにいたしまして努力をいたしたい、かように思っております。
  378. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 なお、一万足らずのBBS会員をやはり全国にだんだんと拡大して十万くらいになるような拡張計画を立てて、それに伴った予算を計上されるようにしていただきたいと思うのです。大体現在の非行少年の数が二十一万くらいありますね、犯罪少年、虞犯少年、触法少年を含んで。そういうものを考えても、やはりそれに応ずるだけの会員の拡大をはかり、また学校その他から少年院に入らない子供であっても、委託をされて、一般の地域の少年と友だち関係を結んでいくという運動ですから、こういう青年組織が拡大することは、これは日本全体の青年運動に非常に意味があるので、そういう意味において拡大計画を立てて参加をしてもらいたいと思うのです。現状の全国の組織の状況を見ますと、関東地区全体で二千六百二人、近畿地方が千三百七十五人、四十七年十二月末現在中国がわずかに七百三十六人、九州が千三百七十人、東北が六百八十六人、北海道が四百人、四国が五百六人、合計五千九百四十四人なんですね。これはしたがって、各県に大体千名くらいの会員ができるように、各町村に何人かのそういう会員があることによって、私は地域の青年運動に非常に大きい意味を持つと思うので、その点も計画をされて、来年度ひとつ予算要求もしてもらいたい。よろしいですか。
  379. 古川健次郎

    ○古川政府委員 まさにただいま先生のおっしゃるとおりでございまして、こういう会員がふえればふえるほど、それだけ非行少年の防止に役立つことは申すまでもないところでありまして、われわれ法務省といたしましても鋭意努力をいたしておりまして、たとえば研修も従来一回でありました中央研修を二回にいたしまして、もうすでに約千百人の研修終了者がございます。そういういいリーダーのいるところは比較的――また山中先生のような方のおられる岩手県などは、東北では一番多いわけでございまして、そういういいリーダーの方、いい御理解のある方のところには非常に多いわけでありまして、そういう点、今後保護観察所を指導いたしまして、そういう方面に努力いたしたいと思いますし、また、予算面におきましても、できるだけ増額を要求いたしまして、先生の御趣旨に沿い、非行少年の防止に効果をあげたい、かように考えます。
  380. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 文部省おられますね。  青年運動というのが、終戦直後においては若干活発に動いたのであります。最近は何もない。私は地域青年団というのが、ほとんどたいした意味がない。やはり一つの具体的目的を持った青年組織、これは青年自身の人間形成にも大きな役に立ち、青年運動としては確かに一つの個性が生まれてくるし、いろいろな意味において意味があるのだが、無目的的というのか、地域青年組織は何百万あっても、これは何の意味もないと思うのですね。そういう意味においてやはり文部省の社会教育の対象としても、こういう具体的目的を持った青年組織は、皆さんのほうでもっと関心を持ってもらいたい。法務省関係の青年組織でありますから、おそらく文部省とは無関係であるし、司法行政にはやはり欠陥があるのです。地域とどうしても結びがたい、隔絶して何か敷居が高いという感じを長い間与えてきている。文部省のほうにはそれはないわけですから、こういう青年組織も文部省の社会教育の問題として密接に関係をつけてもらって協力をしてもらいたい、そしてもっと具体的目的を持った青年組織ですね、目的青年組織というものを検討されてはいかがかと思うのですが、どうでしょう。
  381. 川崎繁

    ○川崎説明員 お答えいたします。  いま山中先生指摘のとおり、最近の青年運動の一つの特徴といたしましては、はっきりとした目的を持って青年たちが組織をつくり、そして計画的な活動をしているというところに最近の青年運動の非常に特徴が見られると思います。したがいまして非常に多様な活動がたくさん行なわれるようになりました。そのような意味では、御指摘のBBS運動というものは非行少年の友だちとなりあるいは相談相手ともなって、青年が社会奉仕的に活動していく、きわめて明るい社会建設のために大きな寄与をしているものだと思います。したがいまして文部省といたしましても、こういう青年運動というものはきわめて望ましいものだと思っております。文部省といたしましてもBBSが加盟しております中央青少年団体連絡協議会という組織がございますが、そこに文部省は補助もいたしております関係で、ときどき主管課長として私も会合には出ておりますが、今後とも御指摘のような趣旨を十分生かしていきたい、かように思っております。
  382. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 全国BBSの連盟に補助をされておるように聞いたのですが、そうすると地方のBBS活動に対する助成なども文部省の予算で、やり方としてはできますか。
  383. 川崎繁

    ○川崎説明員 いま申し上げました文部省が補助をいたしております中央青少年団体連絡協議会といいますのは、全国的な青年の運動の組織を持っている団体が二十数団体入っておる連合の協議体でございます。文部省が補助しておりますものは、その協議体が行ないます、主として国際交流に関する事業につきまして補助いたしております。四十九年度予算におきましては約四千万円ほど計上さしていただいております。したがいましてBBSの全国組織に対して補助をしているというような意味ではございませんで、その連合組織の中で行なわれる共通の国際交流事業に対する補助でございます。
  384. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 その助成費を今度は内訳でBBS連盟に配布されることになっているということでしょうね。しかしそれを末端の研修室か何かに流すということは違法になるのですか、いいのですか。
  385. 川崎繁

    ○川崎説明員 四十九年度の補助の計画の中身といたしましては、BBSに関する運動につきましては補助の対象事業の中には入っておりません。これは中央青少年団体連絡協議会が内部で協議をいたしまして、そうして具体的には各団体の青年指導者等が東南アジアに行くとかあるいは東南アジアの青年団体の指導者を日本の青年団体が受け入れるとかそういった経費について補助をいたしておりますので、直接的には四十九年度、いままでもそうでございますけれども、特にBBS運動についてということでは補助は行なわれておりません。
  386. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 幸い中村法務大臣は元文部大臣ですから、何か青年運動に対する助成事業として文部省の予算にも計上できそうでありますから、その辺相談をされて、来年度の予算要求のときにはひとつ合同でいろいろ苦心をされるように要望しておきたいと思うのです。  最後に司法保護司ですが、末端にいきますと何か実費弁償みたいに月千四百円ずつぐらいだそうですが、いまの物価の暴騰からいきまして、そうすると年に一万か二万ですか。せめて年に五、六万渡すというふうなことぐらいは名誉のためにもしてやるべきだと思うのですが、それはいまのままではむしろ軽視、やらないほうがいいという感じがするのですね。やるならばもう少し考えるべきだ。その点は来年改善される御方針があるのかどうか聞いておきたいと思うのです。これはBBSの指導立場にある保護司でありますので、いろいろの会合のときには、BBS諸君の会合のときは保護司はいつも出席し、更正婦人会の幹部も来て、私はしょっちゅう接触しているのですが、そういう意味においてやはり配慮さるべきであろうと思うので、お聞きして、大体私の質問を終わりたいと思う。  なお、大蔵省の主計官はいつもおいでになっておられますか。――聞いておられると思いますが、実にわずかな予算の問題ですから、来年度については、国政の中でほとんど存在を知らない青年運動、おそらく私しかこういう問題をとり上げないと思うので、ひとつ主計官のほうも関心を持っていただいて、私は非常に有効な税金の使い方だと思うので、御要望しておきたいと思います。いまの答弁を聞いて終わりにいたします。
  387. 古川健次郎

    ○古川政府委員 保護司の活動に対してどういう報い方をするかという点、いろいろ問題があるわけであります。ただ金銭的な報い方をする、いわゆる保護司活動に対して報酬制を採用するかどうか、非常に従来問題となっておるわけであります。しかし保護司のほうは御承知のように社会奉仕の精神に基づきまして犯罪者の更正、保護、世論の啓発につとめる、地域社会の浄化をはかる、こういうことでございまして、そういう活動に対して保護司の方々もあまりその報酬を求めることをされません。したがって現状では予算上も報酬制をとることは困難でございまして、現在保護司法で定めております保護司の実費弁償金、こういうことでまかなっているわけでございます。  先ほど先生指摘のように一人一月めんどうを見て千数百円、この内容を今後できるだけ充実さしていく、こういう方向で現在考えております。
  388. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 まだ二分あるから一言だけ。  この種類はみなボランタリー運動でありますから、そのボランタリー運動というのを今度は国のほうから自発的な運動であるから援助しないのがたてまえであるという思想がずっとあって、それが少しもそれに対する助成その他をしないブレーキになっておる。しかし実際の生活をしておる者が犠牲を払って、ことにBBSなどにおいては決して豊かな家庭の青年ではないのですから、せめて実費弁償というようなことはしてやるのが正しいのであり、援助して支配せずという思想の上に立ってすることはボランタリー運動の内発的なエネルギーを阻止するものにはならない、それをひとつしっかりとお考え願って、予算の措置を考えてもらいたい。  以上で質問を終わりますが、最後に司法大臣の所見を聞いておきたいと思います。
  389. 中村梅吉

    中村国務大臣 きょうは山中先生、たいへん大事な問題をお取り上げいただきましたが、私ども常に考えておりますことは、保護司の活動とBBS運動、これはほんとうに車の両輪みたいなものでたいへん大事なことでございます。ただ、いま局長が申し上げましたように、一体奉仕の観念に徹してやっていただいている方々に報酬のような考え方がいいのか悪いのか、これは問題点があると思うのですが、ただ少なくとも実費ぐらいは、いろいろな活動をしたり、旅費とかその他、これは出すべきであるという考えを私ども持っておりまして、来年度予算編成にあたりましても大蔵省にだいぶ御無理を申し上げて御理解を願って、ようやく保護司の大会に出てくる旅費だけは持ってあげておる。自腹で遠くまで出てこいというようなこと、これは保護司がたまに集まって大会をやるということに対してもまことに申し訳ないことだからということで、やっとその旅費だけを認めていただいたようなわけでございますが、今後とも――法務省の中でも保護局というのは大事な仕事でありながら、どうもやはり検察とかほかのほうの業務のほうが重要視されておる傾向にありますので、保護局の仕事である保護司の活動、BBSの活動、こういうことにつきましてはお説のように私どもも今後ともひとつ努力をしてまいりたい、かように思っております。
  390. 上村千一郎

    上村主査 次に、渡部一郎君。
  391. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 私は神戸拘置所の移転問題について申し上げたいと存じます。  神戸拘置所は大正八年に神戸市生田区に開庁され、その後昭和二十一年、神戸刑務所が明石に移転したあと地である兵庫区菊水町に移転して現在に至っております。面積も四万七千三百三十八平方メートルという広大なものでございますが、実を申しまして神戸市におきましてたいへん困惑をいたしているわけであります。その困惑している理由が、法務省がいいとか悪いとかいう段階ならばまた議論のしようもありますし、法務省がけしからぬのならそれは抗議にいくことも可能なんですけれども、ここの土地が法務省の土地であり、適法に所有されており、また神戸市としてはこの地域が都市改造計画を推進していく上においてガンになっておりまして、移転の話がかなり前から地元でいわれておりまして、神戸市におきましては市議会に移転に関する委員会のようなものもできているわけであります。そこで何となく移転待ちのような気分もありまして、当該地域の周辺というものはだんだんと都市計画上の穴みたいになってまいりまして、道路にしましても下水にしましてもその他設備にしてもあまりいい地域ではなくなってきたわけであります。そこへ持ってまいりまして最近都市の私的な改造、私企業による改造が進んでまいりましたので、近隣にばか高いビルが建とうとしております。そうしますと拘置所の中がまる見えになるわけであります。相当大きなへいが建っているわけでありますが、それをはるかにオーバーするものがいま、多少控え目ではありますが、計画がある。私ども数々のそうした地元からの御要望も聞きまして何とも言いかねる状況に落ち込んできたわけであります。といいますのは、地元の人々の希望からいうならば、この地域をきれいにしていただいて、そして公園を含む市街地改造のモデル地帯にしたいという希望があることは、これはもうよく理解ができるわけでありますし、そして新しい住宅を含むしゃれた町づくりをして、きれいな、いい、住みよいところにしよう、品のいい町にしよう。兵庫区菊水町といっただけでも、ああ、あそこかといわれるようなのでないようなところにしたいという希望があるわけであります。ところが、ここから現に拘置所を追い出してしまって、では、拘置所の行く先はどうなるか、拘置所の業務に対してどうかといえば拘置所の皆さん方が仕事をするにあたって多少難問が出てくる。たとえば拘置所の職員に対する住む場所とかあるいは拘置所にいる人々を裁判所あるいは取り調べの際の移送に対しても多少問題が起こるだろうと言えるわけであります。そこで、広く言いますと神戸市民にとっては、これはどうもぐあいの悪い、言いにくい、そしてお願いするしかない問題に今日なっているわけであります。私もきょうはこの問題正面から取り上げてお願いをするわけでありますが、お互いに一〇〇%いいという解答はちょっとあり得ないだろうと私は思います。どこかで少しずつがまんをしなければならぬということも了解をいたしておりますが、神戸市が代替地として用意いたしました数地域がございまして、御検討もしていただいたようでありますし、これをひとつ何とか前向きに進めていただけないかというのが率直なお願いでございます。きょうは私の質疑応答というのは、むしろ私の陳情に属するお願いであると理解していただいていいんじゃないかと思うのです。この問題について、いままでの経緯等もございますでしょうし、そうしたことを伺いながら私の意見などを申し上げたいと思いまして、ここで質問したわけでございます。まずいままでの経緯から始めまして、ひとつ当局側のお考えを聞かしていただきたいと思っております。
  392. 長島敦

    ○長島政府委員 最初にいままでの経緯でございますが、私ども承知いたしますところでは昭和四十二年の十一月に神戸市の議会から当時の法務大臣等に対しまして移転に関する要望書が送られてきております。その後四十三年になりまして、神戸市から兵庫区の山田町片倉池付近の土地約四万平方メートルの御提示がございまして、当時市議会からも議員さんが移転について陳情に来られたわけでございますが、この候補地につきまして現地でいろいろ調査をいたしましたが、いろいろな点で不適地であるという結論に達したようでございます。その後神戸市のほうでは移転問題実行委員会等をつくられまして、実行委員長が四十七年の――一昨年の八月でございますか上京されまして、法務大臣、矯正局長に移転の陳情がございました。同じ年の十一月に神戸市から三カ所について移転候補地の提示がございました。第一が兵庫区の鵯越墓園の西、第二が垂水区のほうでございます。第三が兵庫区の山田町という三つの候補地の提示がございました。それで法務省といたしましては、当時さっそく矯正局長の総務課長さらには本日ここに出席しておられますが官房の営繕課長等が現地をいろいろ視察をいたしまして、その結果御提示を受けました場所の中では鵯越墓園の西の場所というのが一番適地であろうということになりまして、ただこれにつきましても、なおいろいろな問題がございましたので、そういう点を市の当局に申し上げまして、それ以来前向きで話し合いを続けてまいっておるという状況でございます。  実は現在一番問題になっております点は、現在の場所から鵯越墓園の西に移りますことによりまして、職員の生活環境がどうしても低下いたしまして、いろいろな周囲の環境等の事情もございまして、職員の中に相当強い移転の反対があるわけでございます。かつて別の刑務所の問題でございますが、職員間にかなり強い反対がありました場合に、やむなく中央で移転の方針をきめましてある程度強行したわけでございますけれども、その際に職員の中から相当多数のものがやめるというような事態も起こりまして、施設全体としての士気が非常に低下したという苦い経験を実は持っております。その点で、私どもも現地のほうで移転をしていただきたいとおっしゃる事由も十分にわかっておるつもりでおりますし、一方職員の反対という、またその気持ちも十分にわかるわけでございまして、何とかそこら辺をうまく調整をいま努力をしておりまして、希望としましては何とか円満にうまく――もちろん両方が十分に満足するというわけにもまいりません。何とかそこで痛み合うと申しますか、両方が理解し合って円満に片がつくように今後とも努力したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  393. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 いま御説明いただきまして、大体当局側の御意向もわかったわけでありますが、私のほうで申し上げるまでもないわけでありますが、移転をするべく用意された鵯越墓園西という地域に関しましては、神戸市の取り調べを行なう裁判所、検察庁等から車で約三十分ぐらいの距離でありまして、それほど遠いとも言えないかと存じます。また、この地域はいま開発中の地域でございまして、近々大公団住宅群あるいは市営住宅群ができるところであることも御承知いただけると存じます。また、この地域はそういうふうな設備がそろい次第、スーパーマーケットその他の設備もできますので、あるいは小学校、中学校等も整備もできることになっておりますから、これから先ではありますけれども、設備としては神戸市内の中でもかなりいい地域になる。むしろ良好な緑のある環境地帯になるのではないかと逆に考えておるわけであります。そうすると、むしろ私どもが当初心配しておりましたのは、そういうところに移って、今度は団地のほうから、変なのが横にあるじゃないかということで移転を迫られるんじゃないかというような心配もいたしておりまして、そういう配慮については、また地元においてそういうことが起こらないように、刑務所が見えないような団地の建て方というようなものについても十分配慮いたしたようでございますし、全部が全部ではございませんが、ほとんどその点についてもおそらく心配はないようにしたいとも述べております。したがって、現状においてすぐ移動するといたしましても、建て家を建てる時間帯等を考えますならば、生活等の便宜についてはかなり克服されるのではないか、こう思っておるわけでありまして、職員の方々の御心配も決してわからぬわけではないのでありますけれども、その点もお含み置きいただきまして、十分の御説得をお願いしたいと、われわれとしては思っておるわけでございます。ただし、私たちとしても強制するわけにいかぬ。どうしようもない。ひたすら事態がうまく円満に進行していくのを待っているしかないようなわけでありまして、神戸市をあげて努力していることも、超党派的に神戸市在住の市民あるいは各党派ともに共通して言えますことは、神戸市の職員の生活の便利について具体的な要求、たとえばスーパーマーケットについて心配があるというならば、それについての計画も展示したいという意向すら持っているわけでありますし、そういった点ももう少し明確にお述べいただいて、そうして具体的な折衝の中で開陳していただければ、さらに皆さま方が円満な解決をするに足りるような材料も提供できるのではないかというようにまで私たちは考えておるということもお含みをいただきたい。この点もお含みいただきまして、ぜひ御協力いただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  394. 長島敦

    ○長島政府委員 ただいまたいへんあたたかい御理解のあるおことばをいただいて感謝しております。ただいまのようなあたたかい御配慮がございまして、また、かりに先ほどの候補地に移ります場合に、先生も御指摘ございましたように、また移る先のほうでとかくまた反対の声も起こるような事態も予想されるわけでございますけれども、そういう場合にあたたかいお心でそういうのを解決していただきますとか、いろいろなまた御配慮をいただきますれば、私どももできる限りの努力をいたしまして、円満に解決したいというふうに考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  395. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 ただいまもお話は申し上げたとおりでありますが、局長から御答弁いただきましたので、もうお話は私としても尽きておるわけでございますが、この問題につきまして、大臣におかれましても十分の御検討、御指示をお願いをしたい。神戸市として、回答が出なくて閉口しておりまして、実をいいますと、その回答がいただけませんと、その地域の都市計画だけではなくて、新しい候補地のまわりの都市計画それ自体も全部いまとんざをいたしておりまして、そこへもってまいりまして、最近の諸物価の値上がり等をかぶっておりまして、都市計画推進上にも手も出ないと困惑をいたしておるような状況でございますから、何ぶんの御配慮をお願いしたい、こう思っておるわけであります。
  396. 中村梅吉

    中村国務大臣 お説の点につきましては、ほんとうに最善の努力をいたしますが、どうかひとつ今後とも地元でも御協力いただきまするようにお願い申し上げます。
  397. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 私はこの際、拘置所の職員の給与問題についてちょっとお伺いをしておきたいのでありますが、拘置所の職員の給与水準、あるいは官舎その他の設備等につきまして基準となるものは、今期予算においてどういうふうに考慮されておりますか、それをお伺いしておきたいと思います。
  398. 長島敦

    ○長島政府委員 給与のほうでございますが、給与は公安職の俸給表というのがございまして、警察官、刑務職員が同じ俸給表に乗っておるわけでございます。一般の公務員よりはそういう意味で優遇された俸給表ということになっております。  それで、拘置所の職員の中に、一番一線におります看守、この人たちは公安職の俸給表の下位のほうの俸給に属するわけでございますけれども、俸給の号俸の幅が相当ございますので、勤続年限が長くなりますと次第に号俸が高くなりまして、ある程度のレベルまで達するというふうになっております。それで、看守から看守部長というふうに昇進しまして、さらに副看守長、看守長というふうに上がってまいりますと、それに伴いまして俸給も上がるということでございます。毎年人事院の勧告がございまして、これら拘置所職員につきましては、こういう本来の俸給のほかに各種の手当等につきましても認められ、あるいは増額が得られてきておる点につきましては、私どもたいへん感謝しておるわけでございます。  宿舎の問題でございますが、こういった拘置所職員等の宿舎は拘置所に近接して建てられておりまして、常時いろんな事故等が起こりましたときに常にかけつけられるようにということで、近接して建てられております。そういう関係がございまして、これは無料宿舎ということになって、賃料を払わない無料の宿舎の中に居住するということになっております。  なお、被服等の貸与がございます等いろんな便益が与えられておりますが、何しろ昼夜勤と申しますか、夜中も勤務に服するということで、交代制勤務というふうに申しておりますけれども、土曜、日曜なく、夜も勤務するというような非常に過重な勤務でございますし、また、仕事内容自体も、犯罪者の矯正といいますか、そういうむずかしい仕事、しかも非常につらい困難な仕事をやっております。そういう意味で、できるだけ待遇改善については私どももなお努力をしなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  399. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 私はいま神戸のことばかりを申し上げまして恐縮なんですけれども、この拘置所あるいは留置場あるいは監獄ですね、こうしたものの設備について、大都市問題の過密とともに、そうした問題が全国各地にかなりあろうかとも思うわけであります。こうした問題全般に対するそういうのはかなり起こっておるものなのか、その対処に対してはどういう基本的な方向で臨まれるか、それもこの際聞かしていただきたいと思います。
  400. 長島敦

    ○長島政府委員 矯正施設の中には、ただいま、すでに相当古くなっておる施設もたくさんございます。そういう関係が一方ございますのと一方では、最近都市化が非常に進んでまいりまして、先ほど御指摘の神戸拘置所もその例でございますが、同じような状況のもとに移転を地元から要請されておりますような庁が、全国で三十数カ庁と記憶しておりますが、これらにつきましては、私どもの矯正局のほうにおきまして、そういう状況が全国的に波及しておりますので、一方ではそういう状況を踏まえまして、一方では犯罪者の矯正と申しますか、そういう面を少しでもいい施設でいい設備を持った、立地条件もいいというようなものをつくりたいということで、一歩大きな計画を始めておるわけでございます。そういった大きな計画の線に沿いまして、と申しますか、あるいは地元から特に緊急に移転していただきたいというような要望がございまして、代替地の提起があるという場合、しかもその代替地をいろいろ検討いたしまして、多少不便であってもこれは移転したほうがいいというような代替地の提起があります場合には、それは優先的に取り上げまして、御承知の特別会計という線に乗せまして整備をいたしております。近年、そういった特別会計に乗りまして現に整備中の施設は十数カ所というふうに理解しておるわけでございます。そういうふうな地元の御協力が得られますれば、その実現も比較的容易にいけるという状態でございます。
  401. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 いろいろお話を聞かしていただきましてありがとうございました。今後とも、この問題につきましてはひとつ精力的なお取り組みをお願いいたしまして、私の質問を終わりといたします。
  402. 上村千一郎

    上村主査 以上で、裁判所及び法務省所管の質疑は終了いたしました。  次回は、明八日午前十時、第一分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十八分散会