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1974-03-06 第72回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月六日(水曜日)     午前十時一分開議  出席分科員    主査 上村千一郎君       櫻内 義雄君    中村 弘海君       野田 卯一君    田中 武夫君       楢崎弥之助君    村山 喜一君       森井 忠良君    和田 貞夫君       中路 雅弘君    兼務 上原 康助君 兼務 大原  亨君    兼務 中村  茂君 兼務 福岡 義登君    兼務 近江巳記夫君 兼務 沖本 泰幸君    兼務 瀬野栄次郎君 兼務 山田 太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      小坂徳三郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長内閣総         理大臣官房審議         室長      亘理  彰君         人事院事務総局         管理局長    真田 善一君         内閣総理大臣官         房会計課長兼内         閣参事官    升本 達夫君         総理府恩給局長         事務代理    菅野 弘夫君         警察庁長官官房         長       国島 文彦君         警察庁長官官房         会計課長    室城 庸之君         宮内庁次長   瓜生 順良君         行政管理庁長官         官房会計課長  加地 夏雄君         北海道開発庁総         務監理官    秋吉 良雄君         北海道開発庁予         算課長     高瀬 昌明君         科学技術庁長官         官房会計課長  高須 儼明君         環境政務次官  藤本 孝雄君         環境庁長官官房         長       信澤  清君         環境庁長官官房         審議官     橋本 道夫君         環境庁長官官房         会計課長    竹谷喜久雄君         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁自然保護         局長      江間 時彦君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         環境庁水質保全         局長      森  整治君         沖繩開発庁総務         局経理課長   和田 善一君         厚生省環境衛生         局長      石丸 隆治君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君  分科員以外の出席者         外務省アメリカ         局外務参事官  角谷  清君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     志賀  学君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    山中 正美君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         運輸省海運局総         務課長     犬井 圭介君         運輸省港湾局機         材課公害対策室         長       加藤 勝則君         運輸省航空局飛         行場部長    隅  健三君         海上保安庁警備         救難部長    船谷 近夫君         建設省河川局河         川計画課長   飯塚 敏夫君         建設省住宅局市         街地建築課長  救仁郷 斉君     ————————————— 分科員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   中澤 茂一君     和田 貞夫君   楢崎弥之助君     村山 喜一君   正森 成二君     梅田  勝君 同日  辞任         補欠選任   村山 喜一君     森井 忠良君   和田 貞夫君     中澤 茂一君   梅田  勝君     金子 満広君 同日  辞任         補欠選任   森井 忠良君     楢崎弥之助君   金子 満広君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   中路 雅弘君     瀬崎 博義君 同日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     荒木  宏君 同日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     正森 成二君 同日  第二分科員上原康助君、中村茂君、福岡義登  君、第三分科員大原亨君、近江巳記夫君、瀬野  栄次郎君、山田太郎君及び第四分科員沖本泰幸  君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算内閣所管及び総  理府所管経済企画庁を除く)      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    上村主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算中、内閣総理府、ただし、経済企画庁を除く所管を議題とし、政府から説明を求めます。小坂総理府総務長官
  3. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 昭和四十九年度歳出予算要求額を御説明申し上げます。  内閣所管昭和四十九年度における歳出予算要求額は、六十一億三千百九十一万二千円でありまして、これを前年度歳出予算額五十二億一千七百九十三万四千円に比較いたしますと、九億一千三百九十七万八千円の増額となっております。  次に、総理府所管昭和四十九年度における歳出予算要求額は、二兆三千九百六十五億二千二百六十二万一千円でありまして、これを前年度歳出予算額二兆一千百五十三億四千五百九十九万七千円に比較いたしますと、二千八百十一億七千六百六十二万四千円の増額となっております。  このうち、経済企画庁に関する歳出予算要求額については、他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外の経費について、予定経費要求書の順に従っておもなるものを申し上げますと、総理本府に必要な経費五千五百十億三千九百七十九万一千円、警察庁に必要な経費七百四十八億三千九百七十五万七千円、行政管理庁に必要な経費九十億六千二百五十九万一千円、北海道開発庁に必要な経費三千百九十二億九千四百三十一万二千円、防衛本庁に必要な経費九千八百五十三億六千九十八万八千円、防衛施設庁に必要な経費一千七十五億八千六百六十九万四千円、科学技術庁に必要な経費一千三百三十三億四千十三万五千円、環境庁に必要な経費百五士四億七千六百九十六万円、沖繩開発庁に必要な経費七百六十二億七千六百五十六万五千円、国土総合開発庁に必要な経費一千六十三億四千五百五十八万九千円等であります。  次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。  総理本府に必要な経費は、総理本一般行政及び恩給支給等のための経費でありまして、前年度に比較して一千五十四億七千四百一万六千円の増額となっております。  警察庁に必要な経費は、警察庁及びその付属機関並びに地方機関経費及び都道府県警察補助のための経費でありまして、前年度に比較して七十億九千三百五十八万六千円の増額となっております。  行政管理庁に必要な経費は、行政管理庁所掌一般事務処理費都道府県に配置されている統計専任職員費国連アジア統計研修の実施に対する協力及び行政情報処理調査研究等のための経費でありまして、前年度に比較して六億三千八百八万九千円の増額となっております。  北海道開発庁に必要な経費は、北海道における土地改良農用地開発漁港住宅、林道、造林等事業経費及び治山治水道路整備港湾整備等事業に充てるための財源の各特別会計への繰り入れ金等経費でありまして、前年度に比較して三十二億八千六百二十三万九千円の増額となっております。  防衛本庁に必要な経費ば、陸上、海上、航空各自衛隊の運営、武器車両及び航空機等の購入並びに艦船の建造等のための経費でありまして、前年度に比較して八百七十六億一千七十五万八千円の増額となっております。  防衛施設庁に必要な経費は、防衛施設周辺地域生活環境等整備をはかることにより、関係住民生活の安定、福祉の向上に寄与するための経費並びに駐留軍施設整理統合推進及び基地従業員対策充実等のための経費でありまして、前年度に比較して二百六十四億四千二百五十万六千円の増額となっております。  科学技術庁に必要な経費は、原子力開発国民生活に密接に関連する科学技術振興宇宙開発海洋開発推進研究開発一般推進及び科学技術振興基盤整備等のための経費でありまして、前年度に比較して二百五十二億三千八百十三万五千円の増額となっております。  環境庁に必要な経費は、大気水質土壌等に関する公害規制基準の強化、公害監視設備整備公害健康被害の補償、公害防止事業団の助成、公害防止等に関する調査研究等公害対策に必要な経費及び自然公園等維持管理交付公債による特定民有地買い上げ、自然公園等施設整備鳥獣保護等自然環境保護整備対策のための経費でありまして、前年度に比較して四十五億三千九百四十九万六千円の増額となっております。  沖繩開発庁に必要な経費は、沖繩における教育振興保健衛生対策農業振興に要する経費並びに沖繩開発事業に要する海岸、漁港住宅環境衛生施設都市計画土地改良造林等事業経費及び治水治山道路整備港湾整備空港整備事業に充てるための財源の各特別会計への繰り入れ金等経費でありまして、前年度に比較して八十一億一千九百二十八万円の増額となっております。  国土総合開発庁に必要な経費は、国土総合開発公団に対する出資、土地利用規制地価公示、防災のための集団移転促進事業国土調査大都市圏整備過疎地域振興対策豪雪地帯対策及び振興山村開発、小笠原諸島の復興事業、離島及び奄美群島振興開発事業農村総合整備計画の策定、水資源開発事業並びに国土総合開発調整等のための経費でありまして、前年度に比較して七十四億六千三百十二万八千円の増額となっております。  また、以上のほかに継続費として、防衛本庁において二百八十七億六千五百三万一千円、国庫債務負担行為として、総理本府において二百十八万四千円、警察庁において四億八千八百五十一万二千円、北海道開発庁において三十二億五千六百三十七万七千円、防衛本庁において二千三百七十七億八千六十八万八千円、防衛施設庁において八十六億七千一万二千円、科学技術庁において六百三十一億一千五十二万一千円、沖繩開発庁において百三十九億四千九百二万八千円を計上いたしております。  以上をもって、昭和四十九年度内閣及び総理府所管歳出予算要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。
  4. 上村千一郎

    上村主査 これにて説明ば終わりました。     —————————————
  5. 上村千一郎

    上村主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
  6. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 私はこの機会宮内庁に対しまして、英断をお願いすることを要望しながら、大阪の堺に仁徳陵があるわけですが、この仁徳陵外堀が最近は非常にきたなくなりまして、付近地住民にとってはこの外堀が蚊とハエ発生源になっておるというような、それくらいにひどくよごれておるわけでございますので、この外堀の問題につきまして提言をしながら、宮内庁の見解を明らかにしていただきたいと思うわけであります。  いま申し上げましたように、仁徳陵のあります堺市が、仁徳陵を含めまして、都市計画公園として大仙公園をいま計画しておる、その計画区域内に仁徳陵が含まれておるわけです。もちろん皇室財産のことでもありますので、公園計画決定区域外になっております。しかし公園整備事業が進むにつれまして、よごれたこの外堀を含む仁徳陵が次第に浮き彫りにされつつあるというのが現状であります。  さらに仁徳陵中心とした周囲現況をこの機会に話しておきたいと思うのですが、仁徳陵はその周囲が二キロ五百、面積が約十四万坪に及ぶ日本最大の陵であるわけですが、この外堀には、かつてはコイフナ、こういう魚が生息しておった時代もございます。まあ少なくともいまから二十年ぐらい前までは、まだコイフナという魚類が生息しておったわけです。しかし現在は公園計画区域内になりましたので、旅館営業の許可が規制されておるのですが、それ以前にこの陵の周辺旅館、連れ込みホテル、これが林立いたしましたり、あるいは民家が立ち並んでまいりまして、これらの排水外堀に注がれて、いま申し上げましたように、外堀が非常に汚毒化しているということになるわけです。この陵の南側、陵の正面に当たるところですが、都市計画道路、出島−百舌鳥線というのが通っております。府の事業としてこの道路拡幅工事がここ三年の間に行なわれたんですが、陵の外堀堤防といいますか、土手といいますか、これをよけて工事をしなくてはならないために、この陵の正面中心とした前面の部分だけが非常に変形した道路になっておる。これも宮内庁事業施行者話し合いの中で行なわれたと思いますが、陵に手をつけてもらったら困るという宮内庁の意向があったために、このような変形された道路部分ができておることだと思うのです。さらにその反対側の陵の北側に、横切っておる府道、堺−河内長野線というのがございます。この沿線にも陵の一部、陵の外堀の一部が突起しておる。その部分がいまもなお、せっかくこの道路歩道工事しようと思いましても、その部分だけが歩道が切れておる。こういう状態が現存しておる。これもやはりおそらく宮内庁事業施行者との間に話し合いが持たれたことだと思いますが、やはり前段と同じようにその部分工事ができなかった結果、このようになっておるというように承っておるわけであります。  さらにこの陵の東側地元の堺市で、先ほど申し上げましたように、民家が最近非常に立ち並んでまいりましたので、家庭排水処理のための下水工事計画しておるわけですが、この陵の周囲を走っている旧道が、自動車が通れるか通れないかというようなきわめて狭い道路であるために、この工事にもこと欠くというような状態が現在あるというのです。これがいま陵を中心とした周辺現況であります。  そこでこのような状態の中で、実は終戦直後でありますが、昭和二十一年、その当時の市長でありました山口さんが、宮内庁に対しまして、仁徳陵公園にしてもらって市民に開放してもらいたいという要望を出されておるわけですが、その当時、これがいれられなかったわけであります。  そこでお聞きしたいのは、まず第一点といたしまして、宮内庁が陵墓を管理するのであれば、このようなよごれた外観的にも非常に見苦しい、しかも蚊やハエ発生源になっておるこの外堀を徹底的に清掃して、浄化につとめて、そのような工事を行なって、常に手入れをして維持管理をやっていく、そして陵の周辺公園計画がどんどん進んでいっておるわけですから、公園敷地整備されつつあるわけですから、それと相まって公園周辺整備に似合うような措置を施すべきじゃないか、こういうように思うわけですが、それが一向手がつけられておらないというのが実情であるわけです。この点についてひとつ宮内庁の根本的な考え方、さらにはこれをどういうように処理をされようというように考えておられるのか、ひとつお聞きしたいと思う。
  7. 瓜生順良

    瓜生政府委員 いまお尋ねの仁徳天皇御陵関係でありますが、特に外堀浄化のことについてでございまするが、この仁徳天皇御陵のお堀につきましては、そこへ従来から農業用水が入っておりまして、そこへたまって、またそれが外へ出てかんがい用水にもなるというような作用を以前はいたしておりましたのですが、その周辺が非常に開発されて住宅がたくさんできまして、一方農業のほうはほとんどあの付近はなくなってきております。したがって、この農業用水の流れていたところへ住宅なんかからの下水が流れ込んで、それがこの御陵のお堀に入ってくるというようなふうに最近変化をしてきました。そのためにお堀の水がきたなくなってきたわけでありますが、これに対しましては、御陵としては被害者の立場でありますが、地元の堺市にいろいろお願いいたしまして、下水関係なんかが入ってこない、またそれに対しての浄化を何か考えてほしいということを常にお願いいたしております。堺市といたしましては、昭和四十七年度から十五カ年計画というので、この堺市全体の下水計画を立てられ、その一環として仁徳天皇御陵周辺下水改善もはかってきておられるのでありまして、四十七年から始まっておりまして、御陵北側のほうの汚水の関係は一応——一応でございますけれども工事ができまして、ある程度よくなりました。東側のほうの関係はまだ未完成でありますが、未完成でも臨時の措置ということで、その間はきたない水が入るときには水門を閉じて入れない、それで雨がたくさん降ってきれいな水になった場合には水門を開くというような措置をとって幾らか改善をされてきたわけで、その結果、いま先生がおっしゃいましたように、いっときコイフナもすまないという実情がありましたけれども、昨年あたりからは正面のお堀にはコイフナ生息をいたしておるというように、まあ改善はされてきております。しかしながら、まだ完全とは申されません。堺市の下水道のほうの計画もまだ途中でございますので、これが全部完成いたしますと、ずっとよくなるものと思っております。  なお宮内庁自体といたしましては、その御陵の兆域、こちらのほうで所管している部分についての工事ということではなくて、その外側のほうの工事になるものですから、先ほど申しましたように、市のほうにお願いしてそういうふうにし、市とされましては、先ほど先生おっしゃいましたように、あの付近はひとつ公園計画もありますからきれいにしたいという御計画もありますので、その御計画ともあわせ、一般衛生関係からの下水道管理という点から御協力いただいて、これがだいぶよくなりましたが、完成すればずっとよくなると思います。  なお宮内庁自体といたしまして、この水のほうの工事関係はちょっといたしかねるわけでありますが、公園地域ともマッチするようにという関係は、御陵の樹林の林相整備、あそこは木がございまして、この整備には十分力を入れてきておるつもりでございまして、予算関係ですと、まあ三百数十万の程度でございますが、毎年かけて、最近整備をいたしております。それでなお今後も  一そうこの整備については力を入れたいと思っておる次第でございます。
  8. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 先ほども申し上げましたように、この陵の外堀土手といいますか、堤防といいますか、公共道路計画して工事をする場合も、これば一部だれでも入らせないというような状態で、例をあげましたように、道路が非常に変形した部分ができたり、あるいは歩道が途中でちょん切られたりしている部分が出ているというくらいなんですがね。いま次長言われておりますのは、ただ地元の堺市が周辺下水計画をやっておるんだからこれはよくなる。それは周辺はよくなりますけれども、一たん悪水が注がれた外堀の中というものはどうにもこうにもならぬですよ。外堀を何とかどろあげをしたり堀自体改修するというような、こういうところまで徹底した工事をやらないと、これは外観から見ても実際を見ても依然として蚊やハエ生息——魚生息するんじゃなくて、蚊やハエ発生源になるということはもう食いとめることができないわけですね。それで宮内庁自体、その外堀改修して付近住民のそういう環境改善のために協力する、こういう考え方がないんですか。
  9. 瓜生順良

    瓜生政府委員 この外堀関係について、先ほど、周辺下水道関係がよくなりますと、入ってくるきたない水がなくなって、きれいな水だけ入ってくるようになりますれば、外堀の水はきれいになるということを申し上げたわけでありますが、なおそこのしゅんせつの関係、つまりこのたまっておるどろをしゅんせつするというような関係、これは全般の御陵についてそれぞれやっておりますけれども、仁徳天皇御陵については、なお一そう実情調査いたしまして、そういうことをできるだけ早くやるように努力したいと思いますが、事情をひとつ調べまして、一そうひとつ努力したいと思っています。
  10. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 いま実情調査されるということをお聞きしたんですが、これはぜひとも調査してもらわないと、周囲下水工事ができたから、きれいな水が昔のように入ってくるというような、そういう条件は全然ないですよ。先ほど言われたように、あの付近というのは、もう農地がなくなって従来の農業水路というのは、もう下水になっていっているわけですね。だからたとえその付近地住民家庭排水下水道に流すことにいたしましても、従来から堀に注がれておる水路というのは、いままでのようなきれいな水が流れているんじゃなくて、もうその水路の上手、下手というのはやはり宅地化しておるわけですから、家庭排水なりあるいは道路排水なり流れ込んで、これば従来のようなことにはもう決してならない、そういう実情をやはり確かめてもらいたいと思いますし、それからいままで流れ込んだどろですね、これはもうかなりたまっております。二十年前は、先ほど申し上げたように、魚も泳いでおるし、土手の上を歩きましたら顔も映っておった。まあいま見たら、もうどろ川、どぶ川、どろ堀という、そういう姿なんです。だからこれはもう抜本的な改修工事、ただどろあげということじゃなくて、土手改修も含めて抜本的な工事をやるというようなことでないと、付近地公園整備計画ともつり合いがとれない、こういう状態であるということを私はさらにこの際強調しておきたいと思うんですが、そういうところからいうと、いままで言われたように宮内庁の持っておられるような予算では、とてもそんな工事ができるような内容じゃないわけなんです。そういう点、もしも宮内庁のほうで、私がいま申し上げているような、根本的に外堀改修するというようなことがありましたら、これは総理府予算措置等御配慮いただけるかどうか、総務長官ひとつ。
  11. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  和田委員からたいへんに詳細な、しかも具体的なお話がございまして、たいへんありがとうございました。いま宮内庁のほうからは、調査をするということでございますが、私もその調査を非常に期待しておりますし、またその結果が、堺市の下水道工事等に関連して、それが促進できるものであるならば、そうしたものとの関連を、関係省庁とよく話し合ってみたいというふうに考えております。
  12. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 それでは、せっかく調査される際に、もう一歩進めていただいて、この陵の中まで市民が入っていくという、そういうことじゃなくて、この堀はこう三重になっているわけで、外堀というのは比較的幅も広いわけですので、むしろこの公園敷地の中にある陵の外堀というのは、道路に面しておる、そういうこの陵の外堀堤防を遊歩道に使ったり、あるいはこの外堀市民に開放して、ボートを浮かすことができるとかというような点を含めて、この際、この公園整備事業計画の中に含めて、この機会外堀を抜本的に改修する、そしてこの公園整備計画一環として事業化に踏み切り、協力をしていくというようなところまで英断をしてもらえないかどうかということを、ひとつこの機会にあわせてお聞きしておきたいと思う。
  13. 瓜生順良

    瓜生政府委員 御陵整備、特に付近の緑化計画とマッチするようにという点は、従来も努力しておったつもりですけれども、今後も一そう努力したいと思いますが、ただ御陵でありますので、御陵そのものを公園にして、お堀にボートを浮かべるというようなことは、やはり御陵の性質上どうかと思いますし、特に、世界的な一つの有名な御陵でございますので、御陵としての昔からの姿はやはりそのまま残していく、一方文化財的な意味もございますから、そういう点はあまり変更しないほうがいいというふうに考えているのでございまするけれども、しかし、根本の点でそういうことを腹に含みながら、付近の緑化計画とマッチするように、なお市民の方があそこでいまも散歩をよくしておられるようではございまするけれども、そういうような点とマッチするような、何かいい計画がないかどうかということは、さらにひとつ研究してもらいたいと思います。
  14. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 私は念のために申し上げておきますが、この陵をつぶしてしまえということじゃないわけですからね。陵の形態というのは、そのままもちろん文化財として維持していくということの必要性があるということはよく存じております。ただあまりにも規模が大きい陵でありますし、しかも他の陵墓と比べましたならば比較にならない面積ですし、堀も三重にあるということで、一番外の外堀——たとえば、そこの皇居の周辺で、堀にボートを浮かしているところがありますね。ああいうような例もあることですから、ひとつこの機会に、たまたまこの公園の区域内なんですから、区域内にある陵の外堀公園整備計画にひとつ入れて、あるいは入れなくても、宮内庁公園整備計画協力する意味で、せっかくその調査をしてもらえるのであれば、調査をした結果、なるほどそうしたほうがよかろうということであれば、過去の経緯にこだわらないで、この際、英断をしていただく、こういうようにひとつ踏み切ってもらいたいと思うのです。くどいようですが、調査の結果、そういうような英断をしてもらいたいということを、私は強く希望するわけなんですが、どうですか。
  15. 瓜生順良

    瓜生政府委員 先ほども申し上げましたように、御陵の性格として、御陵としての尊厳を保持するという点もございまするし、一面また文化財としての十分保存ということも考えるという、そういう線に沿って、できる範囲のことがあれば、それをやるというふうなことを研究してみたいと思いますので、そのあたりの基本の点は、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
  16. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 冒頭申し上げましたこの陵の北側を横断している道路ですね。先ほど申し上げましたように、少しこの外堀土手道路に出っぱっているために——わずかの部分です、それもついでに見ていただきたいのですが、そこだけが歩道が切れているのです。そうすると、市民感情として、歩道を歩いてきたところが、陵の少し出っぱったところがあるために、歩道が切れて、車道を歩いて、また歩道に乗り移って歩いていくという、じゃまになるという、こういう市民感情もやっぱり起こってくるわけですね。わずかな部分なんです。調査の結果、それもひとつ見ていただいて、歩道が継げるようにしてもらいたいと思うのですが、その点はどうですか。
  17. 瓜生順良

    瓜生政府委員 この御陵北側道路の問題、何年か前にそういうことがございまして、その際、この御陵のいわゆる兆域地を削るということは、やはりこれはもとの姿をこわすことになるものですから、そうでないようにということを申し上げて、たしか少し迂回をした道をつくられたことを聞いたことがございます。いま先生のおっしゃいますのは、その道とは違うのかもしれませんけれども、御陵の姿はこわさないでおかないといけないと思いますので、ほかのいろんな重要文化財についても、文化庁あたりでいろいろ御指導になっておって、これに似たような例も聞いておりますが、そういう場合、道路をちょっと曲げてつけてもらうということがよくあるようですが、仁徳天皇御陵についてもそういう一般の法則と違わないこととして、姿は変えない、兆域を削るというようなことはしないということで、御協力できる場合には御協力する、付属地のようなところですと、場合によるとそれを一部削ったりしていることもございますけれども、兆域そのものはやはり削らないほうがいい、こう思っておりますので、なおそういう点も調査をいたしてみたいと思います。
  18. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 時間が参りましたのでやめたいと思いますが、ほとんど要望事項になったと思いますが、せっかく調査に踏み切っていただくという御意向でございますので、早急に地元関係府、市と打ち合わせしていただいて、御調査願いまして、付近地住民に迷惑をかけないように、あるいはせっかく公園整備事業が進んでおるわけでありますから、おくれをとらないように、善処方をひとつ強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  19. 上村千一郎

    上村主査 次に、大原亨君。
  20. 大原亨

    大原分科員 恩給局の恩給法の関係ですが、日本の公的な年金の中で、障害年金というそれぞれの制度の中に、所得保障があるわけですが、それは恩給局が、総理府が主管をしている恩給法の解釈というものが基礎になっておる、こういう意味で、集中的に質問したいわけですが、特にその中で、私が質問いたしますのは、この障害者年金というのは、外科的な症状、両眼、両手、両足あるいはいろんな機能障害、こういうふうなものがはっきりしている場合は、これはそれぞれ項症に分けてランクづけがしてあるわけでありますが、きょう私が主として質問をいたしたいのは、内科的な疾患についての取り扱いの基準に関する問題です。特に戦後昭和三十二年に初めてできてまいりました原爆被爆者の医療に関する法律、あるいは特別措置に関する法律、二つの法律がございますが、その中から、言われておるところの原爆症、そういうものの扱い方についての基準はどうか、こういう点を質問したいと思うわけです。  それで、恩給局長のほうから御答弁いただけばいいわけですが、軍人恩給、文官恩給、それから戦傷病者戦没者遺族等援護法、あるいは共済あるいは厚生、国民年金、こういうふうなそれぞれの年金には障害年金の制度があるわけですが、恩給法でいう障害者というのは、具体的にはどういう定義をいたしておるのですか。これは全体の、他の障害年金の基礎になると思いますが、そういうふうに理解してよろしいのか、理解が足りないのか、そういう点、いかがでしょう。
  21. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 お答え申し上げます。  恩給関係の傷病でございますけれども、これは先生御存じのように、恩給法の本法と、それから、いろいろなその後にできました恩給改正法、たとえば昭和二十八年の百五十五号等がございますけれども、そういうものによりまして、その本文に抽象的な規定がございますけれども、具体的には別表で、たとえば恩給法の別表の第一号表ノ二というのがございますけれども、そういうところで、項症なりあるいは款症なり、恩給法のことばで申しますと、増加恩給、あるいは傷病年金でございますけれども、そういうものの状態の程度を定めているわけでございます。  それから、ほかの各種の法律におけるものの基準になるかどうかということにつきましては、これは私からお答えするのもどうかと思いますけれども、それぞれの法律におきまして、たとえばその障害の程度が恩給法に定めているところによるのだというようなことが書いてございます法律については、まさに基準になるのだというふうに思っております。
  22. 大原亨

    大原分科員 それぞれの公的年金の制度別の障害者の範囲は違うわけですから、そのものずばり右へならえしてはいないわけですね。いないわけですが、たとえば戦傷病者戦没者遺族等援護法で軍属や準軍属等に適用されておる障害年金ば、恩給法を引用しているわけだと思います。  そこで、障害年金——障害というのは固定的な機能障害を、それぞれいまのお話の別表でランクづけをしておる、こういうことは明確なわけですが、それ以外に、内科的な疾患についてのランクばどういうふうな基準でいたしておるのですか。
  23. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 先生言われましたように、外科的なものにつきましては、わりあいにわかりやすいわけでございまして、先ほどあげましたような別表等につきましても、これはかなり詳細に基準が定められているわけでございます。内科的なものにつきましては、いま申し上げましたような別表にも内科的なものにつきましても、ある程度の基準はあるわけでございます。もっとも、内科的な基準と申しますのは非常に千差万別でございますので、たいへんむずかしいという本来の性質があるわけでございますので、その基準はなかなか外科のようにはっきりと、たとえば親指がない、あるいは中指がないというふうにはなかなか書けないわけでございますので、かなり抽象的な文言で書かれている部分が多うございます。それも従来は、そういう現在別表に入っておりますような内科的な基準と申しますのも、やはりその性質がむずかしいということだと思いますけれども、この程度のものも、なかなか入っておらなかったわけでございますけれども、四十四年の法改正によりまして、ある程度の基準が定められたわけでございます。恩給局の内科的疾患に対する認定と申しますのは、ここに書いてございますそれぞれの基準によりまして、その基準がぴったりと当てはまらない、あるいは書いてない項等におきましては、これも別表のうしろのほうに、そういう傷病に該当しない傷病恩給の項症というものは右に準じてやるのだということで、そこら辺は、ほかの項症等に書かれているもの等を参考にいたしながら、程度をきめてまいっておるわけでございます。
  24. 大原亨

    大原分科員 昭和四十四年に一部修正ということですが、そうすると恩給局次長は、私これはずばりと言うのですが、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の第八条では「前条第一項の規定により医療の給付を受けようとする者は、あらかじめ、当該負傷又は疾病が原子爆弾の傷害作用に起因する旨の厚生大臣の認定を受けなければならない。」こういうふうにありまして、認定を受けた者は特別被爆者として扱われまして、そして特にまたその中で、医療の給付だけでなしに特別手当の給付を受けるわけですが、これは別にいたしまして、そういう原子爆弾の傷害作用に起因をするということの認定を受けた疾病は、たとえばいわゆる援護法や恩給や公的な共済年金等の障害者の対象となる——これはまず第一のものですが、障害者の対象となる、こういうふうに考えてよろしいですか。
  25. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 原爆の関係でございますけれども、もちろん先ほど申し上げました別表は、それぞれの原因がどうであるということを規定しているわけではございませんで、その症状がどういう状態になっているかということを規定しているわけでございます。したがいまして、原爆被爆者で傷病を受けられた方々につきましても、いろいろな障害があるわけでございまして、もちろん外科的な症状を呈している方もございますし、内科的な症状を呈している方もたくさんあるわけでございます。その中で、いま御質問ございましたのは、原爆医療法のほうの関係で、医療給付を受ける等のことに関しまして、厚生大臣の認定があられた方のことだと思いますけれども、もちろん法律が違いますので、直接それがイコールではございませんけれども、原爆の関係で何らかの障害があるということは、厚生大臣が御認定になったわけでございますので、恩給局といたしましては、それが公務に起因するものかどうかということが一点でございますし、それから先ほど申しました、たいへんむずかしゅうございますけれども、程度の問題もあるわけでございますが、それらを総合して認定をいたしますけれども、その原爆によって障害があり、それが原爆が起因であるということに関しましては、厚生大臣の認定というものを十分に尊重されなければいけませんので、恩給局といたしましても、そういうことにつきましては、従来からも十分に尊重してやってまいるという態度でおります。
  26. 大原亨

    大原分科員 もちろん、この現在の法律からいえば、恩給——軍人や文官の恩給法、それから、戦傷病者戦没者遺族等援護法の軍属と準軍属、あるいは共済関係恩給を引き継いだものというふうな、戦時共済その他ありますね。そういう場合に、障害が公務であるという認定をされて障害年金が出るわけです。ですから、その場合と一緒に私がいま問題にしているのは、たとえば原子爆弾被爆者援護法というのをつくるという場合に、やっぱりその原爆によって傷害を受けたという認定をしなければならぬという法律をつくらなければならぬ。その際にはやっぱりその範囲というものがこの考量の対象になるということで、現在ある現行法と立法論からの議論をしているわけです。  そこで、いまのお話のように、原子爆弾の傷害作用というのは放射能の傷害が一つあるわけです。これは後遺症があるわけです、放射能の後遺症が。それは公害なんかについても後遺症があります。しかし放射能の後遺症というのは、いろいろな意味において広範かつ深刻です。それから、爆風とか熱線という、爆風、熱線、放射能という三つの点の傷害作用があるわけです。それが残ってくるわけですね。障害年金の対象になるかどうかという議論をしているわけです。  そこで、私は、申し上げたように、まず第一の問題は傷害作用に起因するということで認定患者になる人があるわけですね。これは医療法の問題ですからカテゴリーが違います。しかしそれは尊重してやるんだということなのです。昭和三十二年に原爆被爆者医療法ができましてから、認定患者ば四千名から五千名の間をずっとほとんど動かないで固定をしておるわけです。だんだんふえたり、ある場合には死んだりいたしますから、人数においては増減がありますが、四千名余あるわけです。四千名と五千名の間にある。症状は固定をしておるわけですが、たとえばこの認定、いわゆる被爆者の認定患者といわれておる、起因するという因果関係が厚生大臣に明確に判定をされたもの、そういうものの疾病はどういうものであるかということを恩給局は知っておりますか。その範囲はどういうものであるかということを知っておりますか。たとえばどういう病気であるかということを知っておりますか。
  27. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 お答えを申し上げます。  原爆医療法の関係等につきまして、専門ではございませんけれども、私たちも傷病年金を給する場合の重要な一つの指針となるものでございますので、いろいろ勉強させていただいておりますけれども、たとえば肝臓機能であるとか、あるいは造血機能であるとか、あるいは厚生省令によって定められました細胞増殖機能障害、内分泌腺の機能障害、脳血管障害、循環器機能障害、じん臓機能障害、それから水晶体の混濁による機能障害というようなものが、その代表的なものではないかというふうに承知いたしています。
  28. 大原亨

    大原分科員 たとえば原爆症といわれる場合に、よく白血病ということがいわれますね。放射能の影響によって白血病になる人が多いわけですが、これは認定患者になりますね。これはどこの障害ですか。
  29. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 造血機能の障害になるというふうに思います。
  30. 大原亨

    大原分科員 それから、肺ガンとか胃ガンはどういう機能障害なんですか。
  31. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 細胞増殖機能障害というものに当たると思います。
  32. 大原亨

    大原分科員 それでもたとえば白内障というのが認定患者の中にあるわけですね。白内障というのは水晶体の障害だと思いますね。これは外科的な症状ですから、特項症、項症、款症というこのランクに組み入れることがわりあいできやすい。しかしプラスアルファがあるかもしれません、これは、原爆症の場合には。だからその程度についてプラスアルファで考えていかなければならぬかもしれない。これは白内障ということになると視力が衰えてまいりますから、〇・幾らということでランクがつけられるでしょう。白血病ということになりますと、表面上はよくわからない。わからないけれども、これは白血球のいわゆるガンだといわれておるのですね。これは現在の医療法では治療してなおらないと、こういうふうにいわれております。進行をチェックするということしかないというふうにいわれておりますね。白血病とか肺ガンとか、それと最近いろいろ議論いたしまして、胃ガンも放射能を受けた人は多発する傾向にあるから、起因するというふうに被爆者については認定いたしまして、ガンも当時の原爆——これは公務との関係で議論してもよろしいです、新しい立法のほうは別にして。それが原因で、原爆が原因で肺ガンになった、ガンになった、白血病になった、こういう場合は、どういうふうに障害補償の障害年金にランクされるのですか、具体的にひとつ。どういう観点で、どういうランクづけがされるのですか、あるいは実際にされておりますか。
  33. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 具体的なそのランクづけと申しますか、項症の認定でございますけれども、これは先ほど一番最初に申し上げましたように、原子爆弾による障害だけではなくて、内部疾患に対しましては、たいへんむずかしい点がございますけれども、先ほど読み上げましたような別表の程度に応じまして、それぞれのランクづけをいたしております。その場合に、たとえばいま御質問の原爆関係の、しかも内部疾患でございますと、先ほどの造血機能なり、あるいは肝機能なり、その他のいろいろな障害があるわけでございますけれども、私たちが実際に格づけをいたしておりますのは、恩給診断書を出していただきますときに、こういうものを書いてくださいということで、都道府県なりあるいは各病院なりにお示しをしているものがございまして、それは原爆の症状を総合的に判定いたします場合に、たとえば爆心からの距離でございますとか、あるいは遮蔽物の関係でございますとか、そういうものも書いていただいておりますけれども、そのほかに、症状の関係につきましては、先生もおあげになりましたように、熱症の関係あるいは外傷の関係あるいは放射能症の関係等につきまして、たとえば放射能症につきましては、血液の変化でありますとか、屎尿の状態でございますとか、あるいはその中でも末梢血液像あるいは骨髄血液像などの所見等を書いていただくということにいたしておりますので、それらを総合いたしまして、先ほどの別表とにらみ合わせて、具体的な格づけをいたしておるわけでございます。
  34. 大原亨

    大原分科員 白血病や肺ガンについて、たとえば具体的にランクづけをしたのがあるか、大体どの程度のところにランクをしているか、こういうことがあれば、あらかじめ調べてもらいたい、こういうふうに私は要求をしておいたはずでありますが、これはたとえば白血病の場合でしたら、どういうランクづけをした例がございますか。白血病ば障害年金の対象になっておりますか。
  35. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 どういうところにランクづけをしているかということでございますけれども、これは最初にお断わりしましたように、恩給の場合には、原因別の統計と申しますか、そういうものがございませんで、恩給法そのものがそうなっているように、出てきました症状をそれぞれ分析いたしまして、それぞれの具体的な認定をいたしておるわけでございますので、どれだけのものが、具体的にどういうものがどうだというのが、そうすぐに出てまいりませんので、あるいは先生の御意思に沿わないかもしれませんけれども、一応昨日私たちが調べました点を申し上げますと、現在原爆被爆者で、恩給の申請をされて恩給を受けておられるという方の数は詳細にはわからないのでございますけれども、これは先生御存じのように、五年以上たった障害につきましては、恩給審査会というものを通してやりますので、その恩給審査会のほうの名簿を急遽調べまして集計をいたしたものでございますけれども、これによりますと、大体昭和二十八年以降のケースでございますけれども、百七十九件ございました。その百七十九件の中に、どういう程度のものがどうかというのは、ちょっと一つ一つを調べておりませんのでわかりませんけれども、その中には増加恩給を給する程度のものもございますし、あるいは傷病年金である款症のものもございます。いま白血病のことでございますけれども、先ほど先生が言われました、白内障等で目が失明状態に近くなったというもの等につきましては、これは一項になっているものがございますので、おそらくそれはほとんど失明状態に近かったものだと思います。これは先ほど申しましたように、傷病名の名簿だけで見ておるものですから、詳細に当たったものではございません。しかし、そういうものは一項に格づけをされております。  それから、白血病につきましても、これも詳細に全部当たっているわけではございませんけれども、たとえば従来の経過なり、あるいは出てまいりました恩給診断書の検査成績、あるいは恩給診断書に一緒につけられましたそのときの一般的な病気の状態、そういうものを総合いたしまして、五項に格づけをしたというのもあったように記憶いたしております。あと詳細に何が何項というのまで調べる余裕がございませんけれども、いま一、二先生が言われましたのに沿う例としては、そういうものがあるわけでございます。
  36. 大原亨

    大原分科員 これは所得保障か何かはっきりしてないんですが、原爆被爆者特別措置法では、認定患者の場合には特別手当というのが出るわけです。それから、性格はまあぼやかしてあるわけですが、つまり特別被爆者の中で一定の疾病の人には、関連疾病というのを指定しておりまして、その人には健康管理手当が出ます。一定の条件にはですね。これはたとえば五千円、今度は六千円になるとか、その程度は出ます。これは所得保障か何かは別です。これは公務とかなんとかに関係ありません。そこでたとえば、いま私が言ったのは認定患者ですが、私も医者が専門でないからよくわからないけれども、たとえば肝臓機能障害とか、ずっと並べてあるのですね。たとえば認定患者でない特別被爆者についても、増血機能障害、肝臓機能障害、細胞増殖機能障害というふうに、内分泌腺機能障害、脳血管機能障害、循環器機能障害、じん臓機能障害、水晶体による視機能障害、こういうふうなのがありますね。あるんだが、その中身がどの程度でどういうふうなものかということが私はわからぬ。わからぬが、そういうものも対象になるというふうに考えてよろしいか。
  37. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 先生がおっしゃったとおりでございます。
  38. 大原亨

    大原分科員 そうしますと、こういうふうに理解してよろしいか。この法律は昭和三十二年にできたのだから、遺族援護法はその前にできておる。軍人恩給等も文官恩給等も、戦時共済等も共済年金等も前にできておる。三十二年の前にできておる。したがって、三十二年のそういう制度を待って認定被爆者、特別被爆者の制度があったわけですから、昭和二十年の八月六日の広島、九日の長崎と、こういうふうに原爆の被害を受けてうんと年数がたっておりましても、そういうことについての制度上の証明がなされた場合には、傷病年金の、障害年金の対象として当然に認定の対象になるというふうに考えてよろしいかどうか。
  39. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 その傷病が公務に基づくものであり、程度が、先ほど申しましたような法律に基づく程度がございますれば、当然傷病恩給または遺族恩給が給されると思います。
  40. 大原亨

    大原分科員 そこで、私は要望しておきます。つまり外科的な機能障害の場合にははっきりいたしますが、そうでない内科的な機能障害、特に放射能の後遺症、こういうふうな場合には、やはり身体の細胞に致命的な影響を与えるというふうにいわれるし、学説としては遺伝の議論も出ておるわけで——これは断定的な議論でありませんが、遺伝の議論もあるわけですから、事はきわめて深刻ですから、内科的な症患についての、それらの問題を含めた適用の基準というものを、いままでの実例を考え、あるいはきょう議論いたしましたことを考えて、そして実際に適用する場合についての方針については、私は洗い直してもらいたい、当時の情勢、第二次大戦の戦前の情勢とば違うわけですから、普通の常識とは違うわけですから、そういうことをぴしっとしてもらいたい、それを要望しておきますが、いかがでしょう。
  41. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 原爆関係の障害につきましては、医学的にまだ未解明の分野等があるわけでございまして、やかましいことばで言いますと、傷病恩給の場合には、公務の執行とそれから現在の症状の程度というものに相当因果関係がなければならぬという原則で審査に当たっておりますけれども、原爆関係につきましては、もちろんそういう原則を踏まえながら、未解明の分野が多いわけでございますので、先ほど申しましたような厚生大臣の認定等も十分に参考にしながら、原爆被爆者の置かれております状態を十分忘れないで、いままでもやってきたつもりでございますけれども、今後とも認定に当たってまいりたいというふうに思います。
  42. 大原亨

    大原分科員 これで終わります。  総務長官、あなたは幅広い担当だから、なかなか一つだけ勉強するわけにいかぬですが、一つは、私は、この機会に申し上げておくのですが、東京にも東京空襲があるわけです。広島、長崎はもちろんですが、空襲やその他によりまして、被害を受けた人がおるわけです。これがかなり最近問題になっておるわけですね。いままでもずっとなったんです。問題は、いままでの議論とは別ですが、戦闘員と非戦闘員を分けて、国家権力との関係恩給とか援護法の適用をしてきたわけです、いままで日本は。他の被害者というのは、これはたとえば隣組でも何でも、言うなればこれは自主的にやった、自分の財産を防衛するためにやったんだということで非戦闘員を戦闘に動員したということがわかると戦犯で追及されるということもありまして、資料を破棄いたしましてやったことを、私はずっとこの数年来追跡をしてきたわけです。閣議決定や勅令等を全部洗いざらい出してきました。政府が封印をしておった閣議決定もありまして、官房長官の認印で出したこともあります。四、五年前です。これは新聞の報道をやりましたら、いついつ勅令が出た、閣議決定が出た、義勇隊の方針が出たとか、あるいは総動員体制が出たとかいうふうな——これは、私は千編一律に恩給法の適用とか援護法の適用とかいうんじゃないのですが、戦闘員と非戦闘員を分けてやるということは、終戦のどたんばの実情からいいますと、これは全く理屈に合わぬと、これは法制局も一部認めておりますが、私の議論、認めておるんですが、それは年金という形か一時金という形かは別にしまして、財産上の被害については、被害者の問題等があるのですが、権力関係がないのがあるのですけれども、財産上の問題は別にいたしまして、財産上はだれもみんな戦争中は被害を受けているのですから。しかし人命にかかわる問題について、あるいは健康障害等については、私はやっぱりある時期では見直してみなければならぬことがあるのではないかということを思っております。私は、そのことを、問題があるということを大まかに指摘をしておきますから、総務長官はせっかく関心を持って御研究をしていただきたい。もし、答弁でもあれば——それはやりましょうと言って、あなたが答弁をするんだったら、それはいいわけだが、あればやってもらいたい、なければよろしい。
  43. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいまのお話でございますが、そういう強い御要望のあったことをよく踏まえて、考えてまいりたいと思っております。
  44. 上村千一郎

    上村主査 次は、沖本泰幸君。
  45. 沖本泰幸

    沖本分科員 私は、同和対策問題につきまして、問題をしぼって御質問したいと思います。  今年度の予算書の概要から見ますと、相当増額されたように見えるわけですけれども、この法律ができました根本は、全党一致でこの同和問題を解決すると、こういうことになっておるわけでございます。そして、前期を終わって、あと後期に移る、こういうことになってきているわけですけれども、長官は同和問題に対してどういう御認識を持っていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  46. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 同和問題は、私は二百年、三百年来の歴史的、社会的な問題であるという認識を持っております。したがいまして、こうした問題が今日なおあるということは、きわめてこれは重大なことであるし、したがいまして、その解決のためには、全国民が十分な理解を持ってこの問題に当たらなければならない。同時にまた、これは政府といたしましても、そうした全国民のこの問題に対する理解を深める方向、そしてまた、政府の行政措置の中では、できるだけのことをしてこの問題の解決の前進をはかるという、大きな使命があると私は考えております。
  47. 沖本泰幸

    沖本分科員 同和問題という課題でとらえていくと、いろんな御意見が出てくるわけです。そこで、この特別措置法をつくりますとき、私も参画しておったわけでございますが、結局国と地方自治体とがともにこの問題をすべて解決すると、こういう基本的な目的のために、この時限立法ができたわけでございます。同時に、この法律ができたということは、日本の国の中に差別があるということを認めたということにもなるわけです。人々の差別という問題は、大体、心ない人の心の中にある問題であって、教育の程度が高まっていけば、そういうものはなくなるんだと、そういう考え方に立っておったわけですけれども、そういうことではなくて、この法律ができたということは、現実にそういうことでなく、あるということになったわけですね。そして心と物の関係から、国と地方自治体とで、この問題を十年間で解決すると、こういうことで発足したわけです。そして五年を経過したということになるわけです。しかし、まあ心の中、奥底のほうに残っているだろう、あるんじゃないかと、こう思われておった問題が、ただこれは心の中だけの問題だ、こう思っておったのが、さて結婚とか就職とかあるいは住宅の選定とか、こういうことになってくると表面化してくる。そして、たとえば結婚ということになると、本人同士はよく理解し合っていってるのに、周囲の人たちから問題が大きくなっていって、大きな悲劇を生んでくるというような事態が多くあるわけです。そういう問題をとらえていきますと、半分たったけれども、何も前に向かって進んでいないということになるわけです。と同時に、この法律ができましたので——下水もなければ水道もなければ、便所は共同便所であって、軒は傾いて、破れほうだいの中で、差別をされて、出ていっても、もとのところへ帰ってくる、そして非常に極端な生活をしいられておる、そういう問題が同和地帯にまだずっとあるわけです。そして、その中の部分的なものだけが特に日の目を見て、そしてよくなっているけれども、全体に向かって底上げができていったということには、形の上ではならないわけなんですね。これは物の面が伴っていないということが大きな関係を持っておるわけですけれども、こういう点について見ますと、はたしてあと五年で一体何ができるんだろう、どういう結果が得られるんだろうか、この十年がたったあとで、はたして初めの法律が意図したところのことが、一〇〇%でなくても、七〇%なり八〇%なり目的が達成できるのかできないのかということを考えてみると、全くできないんじゃないだろうか、そのまま残るんじゃないだろうかというふうに、私たちは危惧するわけですけれども、そういう点について、前期が終わったわけですから、あと五年で何を置いていくかというためには、初めの五年でどういう効果があったかということが大事なことだと思うわけですけれども、その点について、総理府はもちろんのこと、総理府がこの問題の窓口になっているわけですから、また、今度は同和対策室もつくったわけですし、そういう観点から、各省とも足並みをそろえながら、五年たった現在、振り返ってみて、いかなる効果を得ておるだろうか、実効があっただろうかというものが出てこなければおかしいと私は思うのですけれども、その点について、総理府のほうではどういう点をおまとめになっていらっしゃるか、お答え願いたいと思うのです。
  48. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 物的と申しますか、物のほうの計画は、私はわりあいにそれでも進んだのじゃないかというふうに考えます。金額にして千二百億円ぐらいの投資が現実に行なわれたことでございますし、また予算措置等につきましても、いろいろと国会の御協力をいただいて進めてきたと思います。ただ問題は、やはり基本的な人権の問題でございますと同時に、いま御指摘のような、現実にそういう事態もあるというわけでございますので、問題はこれからはもっと心の問題を中心に、国民的理解と国民的な協力と申しますか、そうしたものを色濃く出していかなければならない。物的の面だって、それはまだまだ足りない点がたくさんあるという御指摘は十分わかります。しかし、それ以上にもっとおくれているのが心の問題ではないかと私は考えておりまして、それではそうした面をどのように進めるか、非常につかみにくい問題、心の奥底にある問題でございますから、よけいまたつかみにくいわけでございますが、そのために、今年度はぜひ、前回三度やりましたいわゆる物的面を中心にしたような調査でなしに、もっと精密な調査をやって、現実に社会生活の中におけるいろいろな問題点を特に中心にして、調査をいたしたいと考えております。また同時に、この五カ年で一応の大きな成果をあげました審議会も、今後さらに五カ年間続けてやらしていただきたいということを、総理府の設置法の改正の中で今回お願いしておるわけでございますが、そうしたような人まかせといってはいささか問題でございますが、われわれといたしましては、この大きな日本人社会の問題ということで、真正面からひとつこの問題を取り上げて取っ組んでみたいという意欲を持っておるわけでございます。
  49. 沖本泰幸

    沖本分科員 私は毎年同和問題に関して御質問をずっと続けておるわけですけれども、各大臣についてお伺いしてみましても、全然おざなりのお答えがはね返ってくるだけで、実際に、いま長官がおっしゃったような問題を十分把握してお答えになっていらっしゃるということはないわけなんですね。  この間10チャンネルとNHKが、この問題を一時間番組で、二日にわたって両方からテレビ放送をやっておりましたけれども、ただ同じような問題点を同じような角度からとらえながら、テレビでずっとやっておったわけです。長官も基本的人権ということをおっしゃっておりますけれども、ほんとうの人権とは何なんだろうか、あるいは差別とはどういうものなんだろうかという問題ですね。おかあさんが子供を道連れに自殺してしまう。子供の人権はどうなるんだろうかというふうな、まだ日本の国の中にいろいろと残っておる古いものの考え方の中から、人権とは、すべてのものに人権がきちっとあるわけで、たとえきのう、きょう生まれた子であろうと何であろうと、すべてに同じ人権を認めていった内容のものが国民全般に重大視されていかなければならないのだと、そういう中から、差別というものがいかなる形で出てくるかということについて考えていかなければならないし、ものを起こしていかなければならないと、こういうふうに私は考えるわけです。  ですから、たとえば、大臣の御答弁の中でも、まあまあこの程度のことをやってきましたとか——各大臣が、いままでの質問をした中で、まあ足りないながらも何とかやってきましたとか、あるいは総理府調査の結果を待ってやっていきますとかいうような、見ていると、法律ができたので、法律に従ってお茶濁し程度にやっていっている、あるいはこういうことをやってやっているんだと、あるいはほどほどにやってるんだとか、どうにかまあやってきたんだとか、こういう形で、権力者が高い立場に立ってものを考えて、そしてものを施していると、こういうふうな形の同和対策であったのでは、これはもうその辺から差別が生まれているということになってくるわけです。そういう点、やっぱり根本的な差別の底に立って、同じ立場から問題を掘り起こしながら対策を立てていくということでなければ、どうしてもいつまでたってもこの問題は解決してこないし、国民全般が、人権なりあるいは人権に伴う差別なりというものを、広い立場からしっかりつかんでいくような内容のものが生まれてこなければならないわけです。法律ができたから、日本の片すみでいつの間にかそうっとこういう問題が片づいてしまったということであったのでは、これは何にもならないと考えるわけでありますけれども、こういう問題につきまして、非常にむずかしい問題を投げかけたとは思いますけれども、大臣は窓口大臣として、ほかの各省に対し、こういう面についてどういうお考えでこれを片づけていこうとお考えになっていらっしゃるか、対策を立てようとお考えになっているか、その点をお伺いしたいと思います。
  50. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 沖本委員がいま御指摘になりました考え、私は全く同じだと思います。基本的な人権といったって、それが社会的な生活の中ではやはり人間の自由の問題であるし、それが住居、結婚いろいろな問題で非常に妨げられ制限を受けているというその事態は、やはりわれわれから見れば許せないことなんでありますが、しかし現実としてはそういうことがあるということが、先般のテレビ放送等も私ゆっくり拝見いたしておりましたが、ございました。やはりそういうような問題を、それではどこからほごすかということになると、やはりこれには、基本的にはいま委員の仰せられたような気持ち、私も全く同じでございますが、やりたいと思います。しかし、それをどこから手をつけていったら一番いいのかということについては、やはりいままでとは違った調査をしなければならぬ。それで今度は精密調査というものを、ある地区に多少限定いたしますが、それを徹底的にやりまして、そこから出てくる実際の生活面の問題までわれわれがとらえて、特にそういう点を重視して、今後の対策の推進をはかっていきたい。もちろん、物的ないろいろな投資とかあるいは地方財政に対する援助とか、そうしたものは従来とはもちろん変わらずまいりますけれども、もう一つそこに何かなければならぬという考えで、対処してまいりたいと考えております。
  51. 沖本泰幸

    沖本分科員 それと、またもう一つ起きているのは、逆差別という問題がいまたくさん起こっているわけですね。結局法律ができたのですから、その法律に従いまして、差別を受けている地域の人たちは、それに対する要求を国なりあるいは地方自治体に向かってやってくるのは当然であり、またその要求に従って、要求を満たすだけのことは、法律をつくったわけですから、満たしていかなければならないのが、これは責務だとこう考えるわけです。そういう点において、結局実施するのは地方自治体ということになりますから、地方自治体に要求が重なっていく。そうすると、テレビの中でもいっておられましたけれども、強い要求をしていけば、そこのところだけは実現してくる、あるいは改善されていく、よくなっていくということになるわけですね。いままでの状態が、もう人間が生活できるようなものでないような生活状態あるいは地域的な状況の中にあるわけですから、それがよくなっていくということになると、ぼろぼろの傾いた家がなくなり、道路ができ、水道ができ、高い鉄筋の建物ができていき、保育所ができていき、いろんなものができていく。そうすると、できてないところと、できたところとの差があまりにも大き過ぎるということが生まれてくるわけですね。そして、できてないところはより強い要求をしてくるということになるわけです。地方自治体のほうでは、その問題に対して国のほうからの十分な物の面のあれがないものですから、当然一般会計の中から出していく。そうすると、一般会計から出しましたといって、ほかのことができませんという問題なり話なりが出てくると、なぜ同和の人たちだけがよくなるんだ、よくしてもらうんだという問題が出てくるわけです。また、それを誇張しておっしゃる方も、お役人の中にはいらっしゃるわけです。十分なことができないのは、こっちへこう使いましたからというふうな話が出たり、そういうことからいろんな複雑な問題が生まれてきているということは事実あるわけですね。  こういう問題を考えてみますと、これはやはり国なり地方自治体の責任において、そういう問題を起こさせないような何らかの措置を講じていかなければならないと思いますし、同和地域以外の方々が、そういう目で見ていくということは、そこにまたより差別を生んでくる、憎しみを生んでくる、こういうことになっていって、認識よりも、むしろ逆に憎しみを持ったりするような問題が生まれてくるということになるわけです。これはもう現実に起きてきておるわけですから、こういう問題について、各省に対し、あるいは地方自治体に対して、どういう形で今後解決をはかっていかれるか、この点についてお伺いしたいと思うのです。
  52. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 御指摘のようなことが多少起こっておるやに聞いておりますが、しかし私は、やはり地域住民全般の自治体であるし、また、とりわけこの問題については長い歴史的な問題であるから、その問題を早く解決していこうという意図も、私はこれは否定してはならないと思います。  いずれにしましても、バランスのある、しかも前向きの姿勢ということになりますと、やはり私は、物的な金を、あるいは施設を、右へやったり左へやったりすることだけでは、とてもだめだと思うのです。先ほどから私申し上げておるように、一番基本には、自由、基本的人権というものを守るのだという気持ちをやはり自治体がそれぞれ持つこと、また政府もそれを強く持つこと、そうした心の中での、われわれの心がまえそのものの確立ということが、当然これは行政にも影響を持つはずでありますし、同時にまたそうしたことが、地域における、地方における、あるいは自治体の内部におけるいろいろな配分問題等にも私はいい成果につながっていくのではなかろうかと考えております。通達とかそうした通り一ぺんのものでなしに、もう少し心の問題としての認識を深めるべきであるということを、まずわれわれの今度新しくつくります同和対策室では特にその点を重視しながら、各自治体との話し合いを進めてまいりたいというふうに考えております。
  53. 沖本泰幸

    沖本分科員 そこでやはり長官にお伺いしたいわけですけれども、前期は終わったわけですから、あと後期で、はたして所期の成果が得られるかどうかという展望、そういうものの具体的なあり方というものを、やはり出していただく必要があるのじゃないかということですね。前年にもいろいろ御質問したときにもお答えが出たのですが、結局各省のほうは総理府調査を待って具体案をつくっていく、こういうお答えが多かったわけですが、総理府調査が終わってでき上がった。ところが、それに対して具体的なものはなくて、ただ予算の上にちらっと見えているにすぎないわけですね。そういう点を考えていきますと、窓口の長官は、いまのようなお答えを出されるかわかりませんけれども、各省別になってくると違ったものが出てくるということになるわけですから、そういう点はちゃんと足並みがそろって、十分対策が得られるという方向でしていただかなければならないのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。  同時に、地方自治体で問題が起きたときには、その問題を軸にしてじっくり差別を考えてみる。そしてその問題を隠したり、あるいはむしろそこから紛争を起こさせるということではなくて、真剣にそういう問題をとらえながら、そこから問題解決に向かって、地域住民の人たちにも十分いまおっしゃった人権なり何なりを考えていってもらって解決していき、同じ認識に立つような形でこの問題が前へ向いて進んでいくようにしていただかなければならないと思うわけです。十年という時限立法ですから、この十年の終わり目には、国民全体が基本的人権なり差別なりというものを十分認識していくようでなければならないと思うのです。アメリカの黒人問題というようなものではないわけなんです。いわゆる戸籍は同じであり、同じ民族であり、回し血が流れておる中で差別をしていくという問題、これはもうほんとうに真剣に考えなければならない問題だと考えます。  そういうことで、長官にお願いしたいことは、前期が終わったわけですから、後期に向かって、これから同和対策室が活動を始めるのだと思いますけれども、やはり目標としまして、早い時期に、これから先何をやるべきかという点についての方向づけを総理府のほうから出していただくということが大事だと思いますけれども、その点やっていただけますでしょうか。
  54. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいままでのいろいろな計画は必ずしも当てずっぽうではないように私、思うのです。これはむしろたいへん失礼な御答弁になって恐縮でございますが、非常にまじめに私はやっておったと思います。ただその成果というものが、目に見えて非常にはっきりとつかみ上げるほどりっぱに出たということは、まだ申し上げられないと思います。  私は、やはりこれからの方針というものは、先ほど申し上げましたように、もう少し実態に触れた調査をほんとうにしなければだめだということ、同時に、それに対応する各地方自治体の動きそのものも、もっと合理的な線で、全地域住民に公平ということを中心に動いてもらわなくてはならない。それにはやはりこの問題に対しての事実認識といいますか、実態把握というものが明確になされて、初めて行政も自信が持てるわけでございますから、そうしたことを可能ならしめるような調査というものをぜひ早急に実施して、そして関心を持たれる大ぜいの方々の御期待に沿った努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  55. 沖本泰幸

    沖本分科員 長官の御答弁でまだ釈然とするものはないわけなんですけれども、これはまあしかたがないと考えております。何ぶんにも時限立法という点に思いをいたしていただいて、この法律の目的とするところを十分果たせるような対策をつくっていただきたい、こういうことを要望いたしまして、質問を終わります。
  56. 上村千一郎

    上村主査 次に、福岡義登君。
  57. 福岡義登

    福岡分科員 私は、同和対策事業の超過負担問題についてお伺いをしたいと思うのであります。  建設省にも大蔵省にもお伺いしたいのでありますが、まず初めに長官にお伺いしたいと思いますのは、同和対策事業を行なう場合に、国の補助が三分の二でありまして、地方自治体の負担が三分の一になっておるわけでありますが、この地方自治体の三分の一につきましては全額起債が認められることになっておるのでありまして、したがって当該年度における地方自治体の一般財源の持ち出しはないというたてまえになっておると思うのでありますが、そのとおり考えて間違いございませんか。
  58. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 措置法の第七条にございますとおり、われわれ運営をいたしております。
  59. 福岡義登

    福岡分科員 ところが実際は、そうはなっていないわけであります。たてまえと現実が相当異なっておるという点を指摘せざるを得ないのでありますが、抽象的な議論よりも具体例をと思いまして、ここに二つほど例を持ってきておるわけであります。  これは広島県の三次市の例なんでありますが、一つは住宅地区の改良事業で、落岩小集落事業であります。これの予算額その他は省略するといたしまして、現実にどういうことになっておるかといいますと、国の補助率が五二%しかないわけであります。したがって起債のほうも二六%にしかならない。最終的に市が一般財源として持ち出しておりますものが二二%になるわけであります。これを金額に直しますと、市の一般財源、つまり持ち出し部分が二千五百九十三万六千円ということになるわけであります。  それからもう一つの例は、同じ住宅地区改良事業なんでありますが、これは同和事業で補助率が五六%でしかない。以下、起債あるいは市の一般財源も前者と大同小異であります。初めのたてまえ、補助要綱に照らしてみますと、大幅に差があるわけであります。この事実を建設省も大蔵省も御存じだと思うのでありますが、一体どのように考えられておるのか、見解を聞かしていただきたいと思います。
  60. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 お答えいたします。  本来こういった改良事業、特に同和対策の改良事業につきましては、そういった地方自治体の財政負担をかけないというのがたてまえでございます。ところが、従来、残念ながら超過負担というものが生じていたことは御存じのとおりでございます。  そこで、四十七年度に大蔵省と一緒に地方の全国的な実態調査をいたしまして、その結果、一一%の超過負担があるという結論を得まして、これを四十八年度、四十九年度の両年で、二カ年で解消するということで単価改定を進めてきたわけでございます。ところが、御承知のように四十八年度におきまして、異常な単価アップがございました。このために地方自治体が非常に困ったわけでございますが、それに対処いたしまして、六月、十月という二回にわたりまして、四十八年度の当初予算から単価を引き上げました。三三%でございます。ところが、さらにまた年末から建築費が高騰してまいりましたために、三月一日付で一月一日から、さらにそれを一〇%引き上げるということにいたしております。  四十九年度におきましては、最初に申し上げました従来の超過負担のほかに、最近の値上がり状況を考慮いたしまして、四十八年度の当初単価に対しましては、規模増を含めまして、一戸当たりにいたしますと、六二・三%増の予算を組んである次第でございます。  以上でございます。
  61. 福岡義登

    福岡分科員 財政当局の大蔵省の見解は、あとに回していただきまして、なお四十九年度どうなるかということ、これもあとに回すとしまして、いまお話がありました六月、十月に二三%の改定をされた、一月に一〇%の改定をされる、合計三三%ということになるわけですね。しかしこれは資材の高騰に見合うものだと思うのであります。ですから、先ほど例示をいたしました補助率なり一般財源の割合というもの、あるいは起債の割合というものは変わってないと思うのですが、どうですか。
  62. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 地方自治体におきましては、補助の金額が幾らかというよりも、実際にたとえば改良住宅を建てられる予算を組む結果になります。したがいまして、国のほうで標準建設費を上げまして補助金を上げるということは、当然地方自治体の財政の中で、そのパーセントが上がることになるのじゃないかというように考えております。
  63. 福岡義登

    福岡分科員 くどくは申し上げませんが、現実に地方自治体の一般財源の持ち出し部分が相当たくさんあるということだけは事実だと思うのですね。四十九年度六二・三%ということをおっしゃったのですが、これも資材の高騰その他によりますと、根本的な問題が解決をしまして、市の負担、一般財源は持ち出さなくてもいいということには私はならぬと思うのですね。どうもこの四十七年度において調査をされたときに、超過負担が一一%あるという結果が出たとおっしゃるのですが、これはまあ全然信用しないと申し上げるわけではないのですけれども、相当実態と調査の結果の間に差が出ておることだけは間違いないと思うのですね。  この辺をどうするかということでありますが、一つは、四十八年度分について資材高騰部分は改定するとおっしゃるけれども、いわゆる補助基準額の再検討というものはやられる形勢にないと私は聞いておるのですが、さっきおっしゃった三回にわたる四十八年度の改定、相当のパーセンテージにはなっておりますけれども、資材の高騰ですべてを食われてしまう。ですから、初めに申し上げました市の持ち出し財源というのは、何ら救済されないというように思うのだが、もう年度末近くなっておるのでありますが、この四十八年度における補助改定というものは、いまおっしゃったもの以外にもう考える余地はないかどうか。できれば、これは考えてもらわなければならぬ問題なんですけれども、一般財源の持ち出しが二〇%をこえてある。しかも一件について二千数百万というようなことは、小さい市あるいは町村にとりましては、相当大きな負担になると思うのです。  そういう点にかんがみまして、資材高騰部分は当然といたしましても、もう一つの補助基準額について四十八年度対策を立てるべきだと思うが、一体これはどう考えられますか。これは長官の御見解もあとでつけ加えていただきたいと思うのですが……。
  64. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 お答えいたします。  まず最初の、四十七年度の実態調査の一一%というのが、実態と合わないではないかというような御指摘がございましたが、実はこれは平米当たりの単価の超過負担でございます。このほかに、特に同和事業につきましては家族数の多いというようなことから、規模を標準の規模よりも大きいものをつくらざるを得ないという実態がございました。したがいまして、それを両方含めまして超過負担というものが生じていたわけでございます。したがいまして、四十九年度におきましては、一挙に規模も五平米ふやすというような措置を講じまして、その面からの超過負担も解消するようにいたしております。  それから四十八年度につきましては、そういった御指摘の単価改定は、資材の高騰だけでなくて、労務費等も含めまして全般的にやっております。それと同時に、そういった補助基本額を根本的に改定するということで行なっております。  そういうことで、少なくとも私どもとしましては、四十八年度に当初予定しておりました地方財政負担というものの比率は、変わらないような形で運営してまいりたいというように考えておりますが、御指摘のように、それでは全然超過負担はないのかとおっしゃいますと、四十八年度では、やはり若干残さざるを得ないというように考えております。その点につきましては、私どももできるだけ、たとえば児童遊園なり、いろんな施設について従来補助の採択をしていなかった分も含めまして、できるだけそういうようなものを採択し直すことによって、地方公共団体の財政負担を四十八年度においても、できるだけ軽くしていきたいというような作業を進めるつもりでおります。
  65. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 私どもといたしましても、いま建設省から御答弁申し上げたような線、十分であるかないかは、さらによく検討いたしますが、たてまえは実質的に地方自治体の負担が六%程度だというたてまえでございますし、この面について最近の諸物価の値上がり等々から見て、各自治体はいろいろな面で超過負担で苦しんでいることもよくわかります。そうした問題の解消に今後努力をしてまいりたいと考えております。
  66. 福岡義登

    福岡分科員 先ほど、規模を拡大する要望に基づく超過負担もある、こうおっしゃったのですが、これも否定をしないのですが、しかしそうばかりもいえない面がある。たとえば不良住宅の除去費の補助率を見ましても、これは五六%しかなってないのです。これは規模に関係ないですよね、不良住宅の除去費でありますから。ですから、規模を拡大してもらいたいという要求に基づく超過負担が全然ないとは私は思いませんが、しかしいま申し上げましたように、全然規模とは関係のない不良住宅の除去費について見ましても五六%しかいってない。本来なれば、六三%から四%いかなければならぬところが、そういう実態である。だから、あくまでも財政補助基準額というものが低いのだという認識はしてもらわなければならぬと思う。  そこで、一つの要望は、四十八年度についてはお話があったように、三回にわたって物価上昇に見合う改定はなされましたが、もう一回技術的に可能かどうかという問題点もあるでしょうが、相当大きな超過負担になっておる事実にかんがみまして、その対策を四十八年度についても検討をしてもらいたいということを強く要望しておきたいと思います。  それから、問題は四十九年度であります。四十九年度も六二・三%アップしたとおっしゃいますが、ただいまもお話がありましたように、結果的に超過負担が全然ないかということになると、若干は残るのじゃないかというお話があったわけです。ですから、そういうことであってはならぬと思います。さっき沖本委員も指摘しておりましたように、この特別措置法は十年の時限立法で、この十年以内に問題の解決をやろうというわけであります。こういう状態では、地方財政の超過負担があるということは、結果的に同和対策事業をおくらせるということもあるわけですから、特別措置法に基づいて適切な対策を立てていただきたいということを、強く四十九年度についても要望しておきたいと思います。  そこで、もう一つお伺いをしておきたいと思いますのは、四十九年度におきまして総需要を抑制するということから、公共事業が抑制されておるわけであります。いま四十九年度予算審議過程でありますから、明確にはこれは言えない事情にあると思うのですが、景気の情勢いかんによっては、四十九年度の公共事業についても繰り延べをせざるを得ぬ場合があるということが一部いわれておるわけです。しかし、予算審議の段階で、政府として、それを言明することは不可能だと思うのですが、もしそういうことになった場合におきましても、同和対策事業あるいはその他の福祉関係もそうでありますが、決して繰り延べの対象にはならないと私は思うのでありますが、長官、そのように考えて間違いないでしょうか。
  67. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 私もそのように考えております。
  68. 福岡義登

    福岡分科員 それでは、以上で私の質問を終わります。
  69. 上村千一郎

    上村主査 この際、午後零時三十分まで休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ————◇—————     午後零時三十二分開議
  70. 上村千一郎

    上村主査 休懇前に引き続き会議を開きます。  総理府所管中、環境庁に関する事項について審査を進めます。  まず、政府から説明を求めます。三木環境庁長官
  71. 三木武夫

    ○三木国務大臣 昭和四十九年度の環境庁関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十九年度総理府所管一般会計歳出予算のうち、環境庁予算の額は百五十四億七千六百九十六万円であり、これを前年度の予算額百九億三千七百四十六万四千円と比較すると、増加額は四十五億三千九百四十九万六千円であり、その増加率は四一・五%であります。  このほか、建設省所管予算として、国立公害研究所及び公害研修所の施設整備に必要な経費が計上されており、これらを加えた、昭和四十九年度の環境庁関係予算の総額は百八十億一千七百万四千円であり、前年度に比し、五十億一千三百六十八万八千円の増額となっております。  この予算案の詳細につきましては、別に配布いたしました「昭和四十九年度総理府所管一般会計環境庁予算案についての説明」のとおりでございますので、分科員各位のお許しを得て、説明を省略させていただきたく存じます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  72. 上村千一郎

    上村主査 この際、おはかりいたします。  ただいま三木環境庁長官から申し出がありました環境庁関係予算の残余の説明は省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 上村千一郎

    上村主査 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————     〔三木国務大臣の説明を省略した部分〕  次に、予算の主要な項目について御説明いたします。  第一に、公害対策について申し上げます。  まず、大気汚染等防止対策及び水質汚濁防止対策については、環境基準の設定及び各種規制基準の強化を引き続き計画的に推進するほか、新たに大気汚染物質に関して、いわゆる総量規制を昭和五十年度以降逐次実施していくため、必要な調査等を行なうこととしており、また、蓄積性汚染、自動車公害、振動、悪臭並びに航空機及び新幹線の騒音についての対策を確立するための調査を行なう等、六億九千二百十一万円を計上しております。  このほか、地盤沈下及び廃棄物対策費として六千五百二十一万円、土壌汚染防止及び農薬対策費として一億四千八百三十八万円をそれぞれ計上するなど、公害規制を強化する等のための経費として、総額九億五百七十一万円を計上しているところであります。  次に、公害監視設備整備費については、新たに都道府県整備する水質調査船について助成を行なうこととする等、地方公共団体の監視測定体制を充実整備することを重点として、十三億四千百五十九万円を計上しており、前年度に比し、二億五千七百四十六万円の増額となっております。  環境保全企画調整等経費については、いわゆる環境アセスメントの実施を促進するとともに、環境保全長期計画策定のため、必要な基礎調査を行なう経費として四千百七十七万円。  また、公害防止計画については、新たに八地域において必要な基礎調査を実施するため、三千百四十万円をそれぞれ計上しているところであります。  次に、公害健康被害補償対策のため必要な経費として、十八億八千五百七十九万円を計上し、第七十一特別国会において成立した公害健康被害補償法の施行に万全を期することとしております。  公害防止事業団については、その事業規模を八百二十億円に拡大することとし、これに伴う事務費等の助成費として、十五億九千七十四万円を計上しております。  公害防止等に関する調査研究の推進のための経費については、科学的な調査及び試験研究を一そう促進するため、総額三十六億六千三万円を計上しております。  このうち、国立試験研究機関等の公害防止等試験研究費として、二十五億四千百二十七万円を環境庁において一括計上し、各省庁の試験研究機関等における試験研究の総合的推進をはかることとしております。  また、光化学スモッグに関する調査研究費一億八千二百万円、化学物質の審査判定のための基礎調査研究費六千万円、水質汚濁に係る総量規制導入のための調査研究費九千六百万円など公害による健康被害、大気汚染、水質汚濁および自然環境保全等に関する調査研究費として、七億三千八百七十六万円を計上し、必要な調査研究を進めることとしているほか、環境保全総合調査研究促進調整費として三億八千万円を計上し、関係省庁所管する各種の環境保全に関連する調査研究の総合的な調整をはかることとしております。  さらに、昭和四十八年度中に発足させることとしている国立公害研究所に必要な経費として五億六千二百八十五万円、公害研修所に必要な経費として一億九千二百八十九万円を計上し、それぞれ前年度に比し、大幅な予算増額をはかっているところであります。  以上、公害対策費の総額は、百二億一千二百八十二万円であり、前年度に比し、三十七億八千五十六万円の増額となっております。  第二に、自然環境保護整備対策について申し上げます。  まず、自然公園等維持管理費については、国立公園内の環境保全に要する経費に対する補助を大幅に拡充することとしているほか、九州自然歩道整備するための調査を行なう等、施策を出そう強化することとし、三億四千七百七十四万円を計上しております。  また、交付公債による民有地の買い上げ制度については、その事業費総額を六十億円と予定し、このために必要な経費として、四億八千百十五万円を計上しております。  鳥獣保護については、渡り鳥の保護対策を確立するため、新たに湖沼の調査を行なうこととしている等、一億四千五百六十一万円を計上しているところであります。  さらに、国立公園等の整備をはかるため必要な施設整備費として、二十二億九千八百五十七万円を計上しております。  以上のほか、自然環境保全対策費として六千九百十六万円を計上しておりますので、自然環境保護整備対策費の総額は、三十三億四千二百二十四万円であります。  なお、このほか、建設省所管予算として、国立公害研究所の施設整備のため三十四億五千六百二十三万円、公害研修所の施設整備費として八千三百八十一万円が、それぞれ計上されております。  また、国立公害研究所の施設整備に係る官庁営繕の国庫債務負担行為として、新たに二十一億三千万円が予定されております。  以上をもちまして、昭和四十九年度の環境庁関係予算案の御説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  74. 上村千一郎

    上村主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
  75. 大原亨

    大原分科員 私は、瀬戸内海環境保全臨時措置法通過後の、この法律の執行について若干問題をしぼりまして質問いたします。  この法律は、議員立法として超党派的にできたわけですが、これは環境庁長官が三木長官でなければできなかったかもしれない。まあそういう面においては、三木長官の背後の御努力があったろうと思います。しかし、これは三年間の臨時立法であって、その三年の間に何をするかということが実は問題であります。したがって、先般も予算委員会で御質問いたしたわけですが、やはり、三年の間に名実ともに総量規制のマスタープランをやる、それから下水道やヘドロのしゅんせつを含めて基本的な総合計画をつくって、瀬戸内海をよみがえらせる、こういうことでありますが、私が第一に御質問を申し上げたい点は、やはり三年の間にマスタープランをつくるわけですけれども、それはどういう場所において、あるいはどういうスケジュールでおつくりになるのか。少なくとも二年目か、あるいは三年目ですかね、昭和五十年にはその計画ができなければならぬと思うわけですね、提案しなければならないのじゃないか。昭和五十年ですか、その段取りはどういうふうになりますか。大まかな点をひとつお答えいただきたいと思います。
  76. 三木武夫

    ○三木国務大臣 この基本計画は三年以内につくらなければならぬというわけであります。それは自然の環境、景観、水質の保全等を頭に入れた基本計画になるわけでございます。それで御承知のように汚染負荷量二分の一のカット、各県の負荷量の割り当てを終えたわけでございます。そうしてやはり総量規制に持っていかなければならぬわけです。その持っていくについて、これは毎年汚濁の状態というものを、これから調査をしていくわけであります。そしてまた、特定施設については許可制になっておりますから、そこでこれは将来工場立地というものの規制にも通ずるわけであります。また埋め立ての基本方針も、これは近くきめたいと思っております。  そういうふうなことで、やはり総量規制に持っていくためには、いろいろな施策を進めていく、一方においてこういうものを固めていきながら、水質汚濁防止法の改正もいたさなければならぬわけでありますから、結局はこの瀬戸内海全体をきれいにするためには総量規制でないと、濃度規制だけではだめでありますから、そういうことへ持っていくために、諸般の、この法律で目標としておることを達成できるような基本計画を、そういう調査とにらみ合わしてつくりあげていきたい、こう考えておる次第でございます。
  77. 大原亨

    大原分科員 この法律は三年間の、いうなれば当面直ちに処理できることについては処理しよう、こういう時限立法。その処理事業を通じて、仕事を通じて、いまのように公害防止の基本計画、瀬戸内海の十一府県全体にまたがる総合的な基本計画をつくろう、こういうことなのですね。これはあらためて議論するので時間をとりたくないのですが、その際には総合的な公害防止計画を策定することでよろしいのか、あるいは水質汚濁防止法というような個別立法でやる場合もあるし、あるいは全体の問題があるわけですから、やはり総量規制を含む総合的な特別立法にするのか、計画の策定をやるのか、あるいは現行の基本法に基づく計画の策定をやるのか、あるいは特別立法をやるのか、こういう点ですね、技術上の問題もありますけれども、いかがでしょう。
  78. 三木武夫

    ○三木国務大臣 水質汚濁防止法の改正で、この問題をやっていきたいと考えておる次第でございます。
  79. 大原亨

    大原分科員 そういたしますと、たとえば現在たまっておる、海底にあるヘドロのしゅんせつとか、埋め立ての規制とかいうふうなものも、この水質汚濁防止法でできましょうか、これはできないのじゃないですか。
  80. 森整治

    ○森(整)政府委員 こまかくはまだ詰めておりませんけれども、底質の除去も必要だと思いますし、埋め立てにつきましても御指摘の問題がございます。ただ埋め立ての問題につきましては、いまの基本方針、要するに瀬戸内海の特殊性を公有水面埋立法の運用の問題として一応はめ込めればいいのではないかというふうに、いまのところ考えております。  それから先ほどの底質の除去につきまして、何か別に法律的に措置すべき点があれば別でございますけれども、現に各地でいろいろの底質の除去が進められておりまして、むしろ費用負担も別途に定められた法律でやっておるわけでございますから、特にその問題につきまして、なお検討をいたしますけれども、必要がある場合は、その手当てをどういうふうにするかというふうな問題も出てまいりますけれども、いまのところ水質汚濁防止法の改正で総量規制の法的根拠を持ってやってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  81. 大原亨

    大原分科員 水質汚濁防止法を改正をして総量規制をやりながら、たとえば下水道整備計画、流域下水道整備計画、あるいはヘドロのしゅんせつ、あるいは景観を汚染するような工場の規制、そういうものは、たとえば瀬戸内海の広域の公害防止計画というふうなものをつくるわけですか、水質汚濁防止法以外の問題については、埋め立ての問題等含めて。それを総合的にやって、具体的に瀬戸内海をきれいにするということでなければいかぬわけでしょう。
  82. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘の問題よくわかるのでございますけれども、瀬戸内海以外でも、たとえば東京湾なり伊勢湾なり、いろいろな閉鎖性水域で、やはり瀬戸内と同じ問題が出てまいっております。そういう問題を含めた水質汚濁防止法の改正によりまして、総量規制というのは、まずそういう法的根拠というのが必要ではないかと別途判断をしておるわけでございます。  いま御指摘の問題につきまして、あるいは自然公園法で手当てをしていくか、それぞれの法律があるわけでございますから、それと、その地域立法的なものを、どういうふうに調和させるか、こういうふうにしたいという方針をまだきめておりませんけれども、必要であれば、地域立法の措置をとることも考えてまいりたいというふうに思います。
  83. 大原亨

    大原分科員 その場合には四十八年から出発したわけですが、四十九年、五十年、五十一年にかけて三カ年間が経過するわけですね。五十一年の何月何日ですか、これは時限立法ですけれども、その前の五十年か五十一年には、国会には、そういう方針をきめて出さなければならぬということで、これはかなり前から準備しないといけないのじゃないか。これはもちろん実施の過程で準備をするということになるでしょうが、他の内湾地域とのバランスの問題もあります。ありますけれども、瀬戸内海はやはり重化学工業のコンビナートはありますし、そういう国土全体の総合計画との関係もあるわけですし、列島改造は別にいたしまして新全総との関係もあるわけですから、その見直しもしなければならぬ、こういうことになりますね。ですから、それは末端の具体的な環境保全という観点で、ずっと拡大をしていくわけですから、これはかなり大きな問題ですから、私は特別立法が要るのではないかと思います。  それでは、どの地域も全部特別立法をやるのかという議論になりますが、その議論は、水質汚濁防止法の総量規制という観点でやるにしましても、瀬戸内海については、私は特別立法、これは十カ年なら十カ年間の臨時立法になるかもしれぬが、そういうものが要るのではないか、こう思いますが感じとしていかがでしょう。そういう体制ができなければ、結局三年間が過ぎてしまうし、この法律が生かして活用されない、こういうことになるのではないかと思います。
  84. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私も大原さんと同じような意見で、これはやっぱり瀬戸内海の特殊性がありますからね。まあ共通の問題もたくさんあるけれども、ああいう自然の景勝としては、あれだけのスケールを持ったものは他にありませんからね。そういう点でやはり特別立法というものは、まあ暫定的な法律でありますから、その後においては何らかの、やはり瀬戸内海を全体として総合的に環境保全するための特別立法が必要だと考えております。したがって、そういうものも検討を、これは御指摘のようにまぎわにならないで、前もって検討いたすことにいたします。
  85. 大原亨

    大原分科員 これは臨時措置法の十三条の埋め立て規制の問題で、かなり立法過程で議論した問題ですね、この埋め立て規制の問題は。これは基準は審議会においてつくるということになりますが、この基準はいつごろできますか。
  86. 森整治

    ○森(整)政府委員 十二月の第一回の審議会で諮問いたしまして、その後企画部会を設けまして三回議論をいたしました。それから専門委員会をこれから開いて、さらに細部を詰めるということでやっておりますが、当初から三月一ぱいに基本方針を出していただきたいということで、審議会並びに企画部会の委員の方々には特にお願いをしておったのですが、いまの進行状況から申しますと、若干それが延びざるを得ないのではないかというふうに思っておりますが、できるだけ早いほうがけっこうだと思います。委員会の審議なり調査の進みぐあいにもよりますが、できれば一月おくれぐらいには、まとめていただきたいというふうに努力をしてみたいと思っております。
  87. 大原亨

    大原分科員 今度できております審議会の中には、まあ学識経験者の専門部会的なものもありますが、現在の審議会には企画部会というのがあるわけですね。学識経験者十三名でこの企画部会をやっておりますが、審議会に設ける専門委員会との関係はどうなりますか。これはいつできますか。
  88. 森整治

    ○森(整)政府委員 企画部会で、専門委員会で議論をしていただくという事項を先月の二十二日に一応取りまとめました。そこで専門委員会に、具体的に数字的データを含めて詰めていただくということにしておりまして、十五日に開くことにしておりますが、その後できましたデータを含めて、もう一回企画部会で議論をして、それで結論を出していく、こういうふうに考えておるわけでございます。
  89. 大原亨

    大原分科員 審議会の全体会議は、やっぱり知事さんや市長さんや、その他総論賛成だが、各論反対というような南北問題等があるわけですね。だから企画部会等でこれを運営されるということはいいし、専門委員会も設けて、専門的な知識を中心に、やはり利害関係を調整していくということは、ぜひとも大切なことですから、これはすみやかに体制を整備して、優秀な学識経験者を入れてもらいたいと思います。  そこでこの臨時措置法によりまして、工場の排水の規制を水質と水の量の面からいたすわけであります。それでCODの割り当てを先般発表されたわけですが、具体的な問題で議論しなければ、よくわからないので申し上げるのですが、たとえば広島は四十七年調査によると、一日百トンでありましたが、これがまあ五十六トンになりまして五六%になる。山口は三百五十八トンでありましたが、百二十七トンになって三五・五%になる、こういうことです。  これはパルプや食品化学の汚染負荷量をたくさん排出する、そういう企業との関係であるわけですが、私が質問したいのは、その結果としていつも問題になっておりましたが、広島県の大竹——私も現地調査しまして、大竹と、それから山陽パルプがある岩国、これとの間において、たとえば県境で端的に出るのですが、大体同じような規制の基準で排水口におけるCODの排出の規制がなされるのか。結果としては、その問題については不公平はないか、こういう点を御質問いたします。
  90. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生御指摘の例から申しますと、まあレーヨン関係のパルプが非常に汚濁の負荷量が多いと思います。その関係で山口の割り当て量が非常に少なくなったという結果になったわけでございますけれども、まあクラフトパルプのほうがまだレーヨンよりは濃度が少ない、汚濁量が少ないということで、その辺の若干の違いはあろうかと思います。  おそらく先生御指摘の問題は、今後上のせ基準をやっていく場合に、各業種間で県の基準が変わってくることがあるかないかということがあると思うのでございますが、率直に申しまして、ともかく現在一致しておりますところからスタートするわけでございます。割り当ての問題につきましても、実は折衝過程でございますけれども、県は特に申し上げませんけれども、やはり紙関係でも中小企業をたくさん持ったところのいわゆる巻き返しが相当ございまして、そういう場合にむしろほかの大企業の業種にそういうものをある程度までかぶっていただくというようなことも、やむを得ない措置として県を指導した経過もございます。  そういう経過がございますけれども、やはり各県の県間でアンバランスが出るということは、確かに望ましくはないというふうにわれわれも判断をいたしております。別途原単位調査というので生産量、業種別にどのくらいの負荷量を出していくかということを、いま調査しております。そういう調査を進めながら、瀬戸内海に関しましては各県の連絡会をしばしば持ちまして、なるたけアンバランスが出ないような方法をとるように、できる限りわれわれとしても指導をしていくということで、この三年間やってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  91. 大原亨

    大原分科員 三年後に、いま御指摘になりましたレーヨンパルプとクラフトパルプで大竹と岩国の間は差があるわけですね。パルプで汚染負荷量の排出について差があるわけですね。たとえば山陽パルプは三年間にはどのくらいになるか。それから大竹市のほうにある大竹紙業や日本紙業、これはクラフトパルプですね。クラフトパルプの排出のところは汚染負荷量の排出がどのくらいになりますか。
  92. 森整治

    ○森(整)政府委員 現在、県で——県といいますよりも、水質汚濁防止法で目標として定めておりますことから申し上げますと、山陽国策バルブのほうは、将来の水質といたしまして五十一年、一二〇PPMを目標に県が上のせをしておると思います。それから広島県側の日本紙業と大竹紙業につきましては、七〇PPMを目標にしていくということと了解をしております。
  93. 大原亨

    大原分科員 従来環境基準というのがございましたね。A、B、Cということで、きれいなところからA、B、Cということになりますが、岩国のほうは海岸線から千メートル、それから広島県側の大竹のほうは五百メートル、こういうことになって、この範囲はC海域ということですね。そうすると岩国のほう、山口県側から広島県側へ流れてくると、結局山口県側の汚染源が広島の海域をきたなくする、こういう声があったわけですね。環境基準についても、やはり排水口のCOD規制と一緒に改めていくわけですか。
  94. 森整治

    ○森(整)政府委員 実は瀬戸内海保全法の法律が制定されまして以後、施行によりまして負荷量の割り当てがきまるということで県際水域の環境基準の当てはめにつきまして、見直しなり当てはめを留保しているところがございます。その一つがいま先生の御指摘のございました点でございまして、割り当て量がきまりましたわけでございますから、早急にこの環境基準の調整は行ないたいというふうに考えております。
  95. 大原亨

    大原分科員 CODの汚染負荷量を瀬戸内海全域で二分の一にするということで臨時立法をやったということは、この法律の規制といたしましては具体的な一つの成果であると思うわけです。そこで問題は、これは各事業所別に、工場別に割り当てをいたしますね、CODの汚染負荷量を。それを割り当てるのはいつであって、その割り当てを守っているのを追跡する方法はどういう方法をとるのか。これは守らない企業があった場合には、これについてはどうするのか、こういう点についてお答えいただきたい。
  96. 森整治

    ○森(整)政府委員 これは上のせ基準を各県で、各条例で見直しなりを行なっていただくことが一つでございます。  それからもう一つは、法律の施行によりまして、従来届け出事項にされておりました特定施設が自動的に許可制に切りかわっております。新しいものは許可を必要とする、その中身に排水量の変更につきましても今後許可を要する、そういうことでございまして、水質と水量、両方の面からその排水口の監視を行ないまして、それに違反をした場合には罰則の規定がございます。そういうことを通じまして、その担保措置として監視をしてまいるということで考えておるわけでございます。
  97. 大原亨

    大原分科員 あれば水質汚濁防止法による上のせ条例の規定があるわけですね。それに違反した場合における水質汚濁防止法の罰則ですね、そういうことですか。
  98. 森整治

    ○森(整)政府委員 五条の今後特定施設の許可のほうは、二十四条で「一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。」という規定がございます。それが一つでございます。  それから水質の問題につきましては、先生御指摘の水質汚濁防止法の規定に該当する罰則になるわけでございます。
  99. 大原亨

    大原分科員 現実にこれを進めていく際には、零細事業所の排出数については規制はないわけですね。これは野放しですか。
  100. 森整治

    ○森(整)政府委員 中小企業という定義がございませんけれども、五十トン未満につきましては除外をするということになっております。
  101. 大原亨

    大原分科員 五十トン未満、たとえば広島県なら広島県、山口県なら山口県で五十トン未満の事業所の行なうウエートはどのくらいあるのですか、わかりませんか。
  102. 森整治

    ○森(整)政府委員 いまちょっと手元に数字がないのでございますけれども、非常に少ない、一割以下というふうに判断をいたしております。
  103. 大原亨

    大原分科員 常時排水口から規定以内のCODを排出するということが間違いなく守られているかどうかというのは、どこが監視をする責任を持っておるのですか。
  104. 森整治

    ○森(整)政府委員 原則として県でございまして、あと政令の委任都市がございます。そこが責任を持って監視体制をとるということになっております。
  105. 大原亨

    大原分科員 海上保安庁はどうなっておりますか。
  106. 森整治

    ○森(整)政府委員 もちろん直接の責任は県、政令市でございますけれども、海上保安庁は、パトロールをしながら、もちろん違反が明らかになった場合に、それをいろいろ指導してまいるということをやっておるわけでございます。
  107. 大原亨

    大原分科員 警察も海上保安庁もあるかもしれませんね、第二義的には。  そこで、これはまだ質問すればきりがないわけですが、時間が参りましたから協力したいのですが、これを進めていく際に、たとえば県がやるといいまして、県が監視をしていくわけですが、それは抜き打ち的にやるのですか。たくさんの事業所があるわけですが、保健所の監視官がやるのですか、実際には各県庁のだれがやるのですか、どういうかっこうでやるのですか。私どもは一定規模以上は自動測定器をつけたらどうかという議論をしたことがあるわけです。量と質についての自動測定器があるはずだから、それを、やはり水というものは一つの重要な資源であるから、これをそういうふうにしなければ、事実上暗夜にぱっと流したりいろんなこと、脱法的なこと等含めて、だんだんとこれはルーズになっていくのではないかということを指摘をしたことがあるのですが、その点はとうですか。
  108. 森整治

    ○森(整)政府委員 非常に重要な問題でございますが、一般的な水域につきましては、いろいろ監視機器を備えつけまして、それを自動的にある程度まで測定をしていくという体制をとっておりますが、直接排水口から出ます問題につきましては、公害部局、もちろん保健所も入ると思いますが、公害部局が直接責任を持って、あるいは公害センター、そういうものが巡回しながら、むしろ定期的に監視をするということになっております。  御指摘の非常に重要な問題につきましては、ただいまいろいろ調査研究を進めておる段階でございまして、その際に、むしろCODは時間がかかるという問題がございます。そこで、いわゆる酸素の要求量そのものを焼いてすぐはかるといういわゆるTOD、それからCOをはかるTOCということ、要するに瞬間的に水質がはかれると同時に量もあわせてはかれる、両方併用して連続して自動的にはかれるという機器の調査を進めまして、十何社ぐらいいろいろ研究を進めておるのです。ただ、残念ながらこれというのがまだできておりません。  そこで、たとえば東京都あたりは、排水量を押えるのを設置させる、それと質との両方から攻めていく、いまこういうやり方に入っているようでございますけれども、いずれにしましても、両方自動的にはかれるという機械の開発を急いで、それができますれば、設置を義務づけるということによりまして自動的にその問題が解消できるのではないかというふうに考えて、そのほうにいろいろ努力してまいりたいというふうに考えております。
  109. 大原亨

    大原分科員 これが非常に大切な点ですよ。正直者がばかをみないように、そういう点については、すみやかにだれが見ても、この法律が守られているという形にこれを整備していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  110. 上村千一郎

    上村主査 次に、中村茂君。
  111. 中村茂

    中村(茂)分科員 最近、自然公園内に縦貫道路の建設が非常に多く問題になってきていますが、特に長野県のビーナスライン美ケ原線について長官の御意見などをお聞きし、若干の私の意見も申し上げたい、こういうことで若干の時間お願いいたしたいというように思います。  まず最初に、このビーナスライン美ヶ原線の経過について確認しておきたいというふうに思いますが、私の承知している範囲では、現在長野県のビーナスラインというのは和田峠まで開通している。そして和田峠から扉峠まで現在工事中であります。問題は、この扉峠から美ケ原の頂上までのルートについて、いまから四年前ですけれども、前の大石長官と長野県の西沢知事でいろいろ話し合った結果、自然破壊になるということで再検討する、こういう話になってずっときたわけですけれども、四十七年の十二月にいままでの線から新しいルートに変更して環境庁に提出した、こういうふうに経過がなっているというふうに思うわけであります。したがって、そういう経過が確認できるかどうかお尋ねします。
  112. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私もそのように聞いております。
  113. 中村茂

    中村(茂)分科員 そこで、ずっと前からいくと期間は長くなるわけですけれども、新しいルート変更になってからも一年以上になっているわけでありますし、非常に審議の状況がおくれてきているのじゃないかという印象を私は強く受けているわけであります。というのは、やはりこれと同じに問題になったのは、北海道の大雪、それから新潟の妙高、こういうところが問題になってきたわけですけれども、それぞれ方向が定められて片づいてきている。この美ケ原線については、まだどういう審議状況になっているか、またどういう状態になっているか、現在の状況と将来の見通しなどについて長官にお尋ねしたい、こういうふうに思います。
  114. 江間時彦

    ○江間政府委員 お答えいたします。  先生がお尋ねになります案件につきましては、四十八年の六月にほんの少し審議がなされておりますけれども、実質的には四十八年の七月と九月に自然環境保全審議会の自然公園部会で、諮問に対する審議としてではなしに、事実上の審議として二回ほどの審議が行なわれております。ただ、その後諸種の案件が出てまいりました関係もありまして、審議会におきます審議は現在中断いたしております。
  115. 中村茂

    中村(茂)分科員 これは事前審査ということではないかというふうに思うわけですけれども、どの程度にその事前審査が二回ほど進められたか、もう少しこまかく御説明願いたいというふうに思います。
  116. 江間時彦

    ○江間政府委員 お答えいたします。  四十八年の七月二十四日に行なわれましたときには、いろいろな道路問題の一般案件の説明がございまして、そのときに、次回長野県からビーナスラインの説明を聞くということが了承されまして、四十八年の九月二十一日に長野県からビーナスラインの概要についての説明がございまして、若干の質疑応答が重ねられたというところでございます。
  117. 中村茂

    中村(茂)分科員 それでは、中断されているわけですけれども、今後どの程度に進めていこうという考え方があるのか。事前審査ということですから、諮問を得るまでのこの審議会の審議というものは、いつごろどういうふうにお考えになっているか、そこら辺のところの見通しについてひとつ。
  118. 江間時彦

    ○江間政府委員 この問題はどの程度審議されるかは、基本的には審議会御自身の問題ではございますが、おそらくしばらく中断しておりましたのは、他の案件がかなりたくさんあったからというようなことでございますので、そのうちにやはりこれについての審議は継続して行なわれるだろう。ただ、問題の性質が非常にむずかしいものでございますので、かなり回数を重ねないと、審議会におきましても最終的な御意向が出ないのではないかというふうに考えております。
  119. 中村茂

    中村(茂)分科員 そこで、若干意見を申し上げながら、見解をただしてみたいというふうに思うわけですけれども、先ほども経過について確認しましたように、扉峠から新しく変更されたルートというのは、前の線よりも相当山すそに下がっていますけれども、やはりルートをどんなに変えてみても、ビーナスラインで和田峠まで来ていて、そこから頂上まで通ずるように全開通にするということになると、相当広範囲な、言えば霧ケ峰、美ケ原高原一帯の貫通道路ができるわけで、どういうふうにルートを若干変更してみても、自然破壊、この面については全然変わりないわけでありまして、特に二、三点申し上げておきたいというふうに思いますのは、これが全開すると約六十九万台の車が一年間に入る、こういうふうにいわれているわけであります。  そうすると、それだけ人が入るということで、ごみ、屎尿処理、それからすそ野一帯にあれだけの道路が通るわけでありますから、水源涵養の問題、そういう汚染の問題が起きてまいります。それから観光会社、それから土地不動産、商社などによって、その付近一帯の土地の買い占めがすでに相当行なわれてきております。ということは、道路をつくって自然を破壊する、その第二次の自然破壊として、別荘乱開発等を通じてその地域一帯が相当自然が荒らされる、こういう状態が出てまいっております。特にその変更したルートのすぐ下に武石村というところがあるわけですけれども、そこなどに至っては、そこに続く山一つそっくり、二千六百七十二万平米というような膨大な土地がすでに伊藤忠商事によって買われて、そこのところへ今度は新しい変更されたルートがきたら、そこへ通ずるようにちゃんと準備して別荘開発の準備をしておる。これはいま申し上げましたように、これだけの面積というものは非常に広いわけでありまして、それは特に広いところを指摘したわけですけれども、小さいところからこの地域一帯がそういう状態が起きてきている。これはビーナスラインが和田峠まできて、現在工事中の扉峠まできている。それではまだ美ヶ原との全通にならないわけであります。そうなると両側から入ってきますから——入る量も少なくなってまいりますし、自然を守るという立場から見ればそれでも困るわけですけれども、まだまだ相当自然を守っていくことができるわけでありますが、そこのところが今度全部通るということになると、先ほど申し上げましたように、霧ケ峰といういまビーナスラインが通っている山全体と、それから美ケ原が全部その道路によって縦貫し、つながるわけであります。もうはかり知れない自然破壊というものを、いま御審議願っている道路が開通するかどうかということについて非常に危惧しているわけであります。  それから、そういうことに関連していま学者が相当調査を進めておりますけれども、変更されたルートがやはり自然を相当大幅に破壊するし、そういう調査が相当進んでおりますから、その面についても膨大な資料がありますので、後ほどまた提出したい、こういうふうに思います。     〔主査退席、中村(弘)主査代理着席〕  それともう一つ、どうしても理解できないのは、この地元の了解をまだ完全に得ていないということであります。それは、このビーナスラインの特にいま問題になっている美ケ原線について問題になってきたときに、これを自然破壊から守っていこうということで、全県下にこれを守る会がいまできていまして、いままでつくったものが、自然破壊するということで急に変更になった。急に変更になったということからでしょうか、地元の了解が全然とられていない。こういう中でやはりいろいろ進められていくということになると、これはたいへんなことになるのではないか。ですから、先ほどもお話ありましたように、これは途中まで引いてきて、しかもルートが変更になって、なお多くの問題をかかえているわけですけれども、特に自然を守っていくという立場に立つ環境庁としては、いろいろなそういう問題がありましょうけれども、やはり自然を守るという立場でもっと科学的な調査を専門家等に頼んでして、科学的な立場からやはり自然を守る、こういうことで審議を進めていただきたい、こういうふうに私は思うわけであります。長官の御所見をひとつ承りたい。
  120. 三木武夫

    ○三木国務大臣 自然公園の中における道路建設というのは、私は慎重論者なんです。拙速主義をとらない。それはなぜかといえば、一たん破壊されたならば、あとへ戻ってこない。したがって、よく専門家などの検討を経て、そういう検討の後でなければ——一日、二日を争う問題ではないと思っておるわけです。これはそういう自然の環境というものに、みなやはり接したいということでたくさんの人が行くわけです。あまり自動車が入り過ぎて自然の環境を破壊したら、あとに残るものは自然の環境でなしに自動車の雑踏だけが残るというようなことになれば、これは自動車道路をつくったという意味も失なわれるわけにもなるわけですから、美ケ原、いわゆるビーナスラインについてもよく、自然環境保全審議会の専門家がおりますから、専門家の意見を徴しているわけです。それから、環境庁の職員もしばしば現地に派遣しまして、現地の地元の意見、それも徴しておるわけでありますから、いま御指摘のように、いろんな検討をした後でなければ、これに対して環境庁としての見解を述べるようなことはしない、こう考えております。
  121. 中村茂

    中村(茂)分科員 まあ慎重論者ということで慎重に取り扱うということでありますから、そのようにひとつお願いしたい、こういうふうに思います。  そこで、その地域の状況を長官の頭の中に入れていただいておく意味で二、三点だけちょっと申し上げておきたいというふうに思いますけれども、この美ケ原の頂上一帯、それからそこに続いている茶臼山というのがあるわけですけれども、この東山すそ野は氷河時代からの自然林というふうにいわれている全国にも珍しい自然林がずっとあるわけです。  一番初めのルートというのは、そのまん中を突っ走るということだったのですけれども、今度変更されても、そのすそ野の下のほうを少し突っ切っていく。やはりこの自然林に相当な影響が出てくるわけであります。それからこのところ一帯にクマ、イノシシ、キツネ、ニホンシカ——このニホンシカは特に天然記念物に指定されておりますけれども、これば本州ではこの地域特有の、他の地域には見られない生息地帯と、こういうふうにいわれているところであります。  すでに新しいルートがつく和田線というのがあるわけですけれども、そこにつけて、和田線から、松本のほうからのぼってくる線へつなげるというのが新しい線であります。この和田線というのは自衛隊が開いた道路でありまして、その頂上のほうにはオオシラビソ、これは天然記念物の木でありますけれども、これがすでにもう枯れ始めてきている。それと、すそ野のほう一帯に通るわけでありますから、特に学者の調査によりますと、地下水の変化というものが一帯に起きてくるだろう、こういうことが非常に大きく危惧されて、やはり治山治水の問題が検討されなければならない、こういうふうにいわれております。  それから、やはり頂上からずっと一帯ば景勝の地でもありますし、高山植物一帯のところで、新しいルートから行く山本小屋というところがありますが、その付近まで含めて美ヶ原の聖域というふうにいわれて、自然を愛するものはだれもここへは車を入れたくない。したがって、それくらいは徒歩で自然を観賞したり自然を愛して行きたい、こういうふうに古くから言われてきたところであります。  やはりそういう自然を愛するものにとっては非常に大事なところでもありますし、非常に困難な問題だと思いますけれども、先ほど言われましたようにひとつ慎重にやっていただきたいということを最後にお願いいたしまして終わりたいと思います。
  122. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 次に、中路雅弘君。
  123. 中路雅弘

    中路分科員 きょうの朝刊を見ますと、各新聞に出ていますけれども、私の居住地であります川崎で昨夜新しく二人の公害病認定患者が死亡されたという記事が出ています。昭和四十五年一月に公害病認定制度を発足さしてから、昨夜の二名を含めますと百八十三名の公害病認定患者が、川崎市だけで見てもなくなっているわけであります。昨年四十八年二十七名で、同じ時期で見ますと、ことしはすでに倍になっている。ちょっど二倍になっているわけですけれども、全国でも認定患者だけでも一万をこえる公害病で苦しむ方があるわけです。しかし実際ば、公害、亜硫酸ガスその他で苦しむ人たちはこの何倍かになる。氷山の一角にしかすぎないと思うのです。  この公害病認定患者の問題、認定地域の問題について幾つか具体的にお聞きをしたいのですが、最初に、具体的な質問をする前に、こういう公害病認定患者の中でも死亡する方が相次いでいますし、私も、正月から毎日、新聞記事を見るたびに、間近にこういう患者の人たちの死亡記事が続いていまして、川崎市としても公害防止条例を新しく四十七年にきめるとか、あるいは企業の協力を得まして公害対策協力財団をつくりまして、二億円の基金をプールして患者の医療保障のための負担をさしているわけですが、ぜひともこの状況の中で、一そう国が、行政的な面でも予算の面でも強い施策が必要になっている、対策が必要になったと思いますが、最初に一言長官にこの問題について御意見をお伺いしてから具体的な問題で御質問したいと思います。
  124. 三木武夫

    ○三木国務大臣 公害病の方々に対する救済の措置というものが必ずしも十分でなかったわけでありますから、御承知のように公害による健康被害補償法という法律が国会を通過いたしまして、相当な部分が政令にゆだねられておったので、いま政令について検討を加えておるわけですが、九月の一日から新しい補償法の施行をいたしたいと思っておりますから、そうなれば、この地域の指定についても拡大していきたいということで、公害病患者の方々に対するいろいろな意味の補償が従来とは違って充実をされていくものだと思っております。しかし、根本は、そういう公害を事前に防止するという施策が積極的に進められなければなりませんが、不幸にして公害病にかかられた人々に対するいろいろな補償措置というものは、その新しい法律によって、今後できるだけ徹底を期していきたいと考えておる次第でございます。
  125. 中路雅弘

    中路分科員 幾つか具体的にお聞きしていきたいのですが、川崎市の、国が公害病の認定地域として指定していますところに隣接しているのですが、幸区ですね、これは市が四十七年六月から独自に指定地域にしまして、対策を進めているわけです。現在、認定患者が、ことしの一月二十二日付で見ましても、この区だけで二百六十八名おります。それから、四十七年の六月から昨年末までの市の独自の支出——医療費医療手当費等を見ますと、一般会計と企業が持っている特別会計を入れまして、三千五百万以上の金を市が負担をしているわけです。この幸区の認定地域の指定については、市のほうが国にたびたび認定地域の指定拡大を要請をしてきたわけですが、この問題がどういう現状にあるのかということを一言最初にお聞きしたいと思います。
  126. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 地域の指定でございますが、私ども、現在、川崎市を含めまして、全国七つの地域におきまして必要な調査を実施しているところでございます。これは四十八年度でございますし、さらに来年度も指定のための調査を実施していきたい、こう思っているわけでございます。それで川崎市の場合には、すでに環境大気調査、呼吸器疾患の問診調査、これが終了いたしまして、いま受診率の調査をしているような段階でございます。このような各種の調査の結果を見まして、さらにまた、過去におきます大気汚染の状況等の資料もあわせまして十分解析をしてまいりたいと思っておるわけでございます。  それで問題は、どういうような基準で今後調査を行ない、さらにまた地域を指定していくかということでございまして、この点につきましては、現在は特別な基準というものを持っておりません。したがって、この辺につきまして、十分合理的なものを基準として得たいと思っておりまして、近く中央公害対策審議会でその辺の御議論をしていただく、こういう段階でございます。したがって、川崎の場合も、調査が終わりまして、その解析結果をもとにしまして、ただいま申し上げましたような指定基準に照らし、指定すべきであるという場合には、できるだけ早く指定してまいりたいと思っておりますが、そのような合理的な基準を今後煮詰めていくという作業が若干時間がかかろうかと思うわけでございます。
  127. 中路雅弘

    中路分科員 いま幸区については調査が進行しているというお話ですが、基準がまだはっきり——これから検討するというお話で、私も、幸区について数年のデータを調べてみましたけれども、亜硫酸ガスの濃度の問題で見ますと、四十八年度はいままでよりも幾らかよくなってきています。これは先ほどお話ししましたように、全体として、市、国もそうですが、協力してきた。そういう中で、この数年、公害規制と対策が強化された中で、少しずつですが、青空が取り戻されてきているという現状ですが、しかし患者で見ると、患者発生は拡大していっているという状態ですから、現在の数値だけを中心にして検討するということになると、十分実態にそぐわないのじゃないか。私は、この数年の汚染の状態や、あるいは現在の有床率あるいは受診率ですね、こういったものを十分検討していただいて、この基準の問題についても検討していただきたいということをお願いしたいわけですが、先ほども少しお触れになりましたけれども、この点についても、もう少し御見解をお願いしたいと思います。
  128. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 川崎だけでなしに、ほかの現在調査をしています地域の中にも、現在の汚染レベルは必ずしも高くない、ところが過去において非常に高濃度の汚染があった地域があるわけでございます。こういったところにつきましては、調査を開始するにあたりましても、過去のデータを出してもらうように要請してまいって、それで調査に踏み切っているわけでございますし、調査期間中でもいろいろと得られるものがございましたら、十分過去のデータを見せていただきまして、いま先生、御指摘の考えに立って判断をしてまいりたい、こう思っております。
  129. 中路雅弘

    中路分科員 先ほど長官が、九月から発足する補償法と、それに基づいた政令についていろいろ検討されるというお話がありましたので、それと関連して、いろいろ幾つかの意見や要望を述べたいと思うのですが、時間がないので、医師会等の資料そのものは、私はきょうここで取り上げませんが、一つは疾病の指定ですが、現在、大気汚染による公害病の認定には、四つ指定をされています。しかし、実際の医師会等の調査ですね、これを見ますと、最近では、これはほかの地域もそうだと思いますが、大気汚染地域では、目とか鼻、のどなどに急性疾病が非常に多発している。特にこれが低学年の子供、圧倒的に小学生なんかには多いということで、特に学業を持っておる子供は、そう簡単に転地療養というものもできませんし、多くの子供が苦しみながら病院に通っているということですから、実際には、これが硫黄酸化物大気汚染の関連で併発して起きている病気だということは、医師の診断でも明らかですから、公害による身体被害、特に子供のこういうものについては、できる限り救済するという立場で、疾病の指定についてあらためて検討をしていただいて、現在は四種類、気管交ぜんそく、肺気腫などの四種類ですけれども、この発足と関連して、現在の四種類のまま一応スタートをされるのか。その際に、こういった問題についても、十分検討していかれるのか。その点も一言お聞きしたい。
  130. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 疾病の種類につきまして、これまでも御議論があったところでございまして、私どもとしましても、専門家による検討をお願いしてまいったわけでございますが、現在のところ四疾病以外のものは取り上げるに至っていないわけでございます。ただ、補償法という新しい画期的な法律ができるわけでございますから、この際、さらに指定疾病として取り上げるべきものがあれば、できるだけ取り入れていきたいという考え方ではあるわけでございまして、今後、その辺の御議論を中央公害対策審議会の中で専門的にお願いしたいと思っております。  ただ、制度発足の九月当初の問題としましては、実際問題として、そこまで指定の疾病をふやすまでには至らないと思いますが、その後、できるだけすみやかな機会に、もし追加すべきものがあれば追加をしていきたい、そのための努力をしたい、こう考えております。
  131. 中路雅弘

    中路分科員 いまの審議会等で検討をできるだけ早くしていただくということで、特に私、きょうは資料では述べませんけれども、先ほどお話ししました低学年の子供の問題ですね、これはやはり特別に検討していただいて、取り上げていただく必要がある。先ほど言いましたように、子供の場合に転地もできませんけれども、また、これをめんどう見る親がたいへんなんですね。職業を持っている親が休まなければいけないとか、いろいろ家庭経済にも影響しますから、この点については特に要望しておきたいと思います。  それから、公害病患者の現行救済法との関係で、幾つか具体例で一つずつ聞いていきたいのですが、これはすでに環境庁では結論を出されている問題だと思いますけれども、もう一度確認しておきたいんです。公害病認定患者の指定地域外への転出の場合、三年で失効というのがありますが、特に肺気腫などの病気は現状ではなおる見通しはないわけですし、引き続く認定が必要ですが、川崎でも何名かこういうケースがすでに出てきています。新制度の発足まで一応環境庁ではこれを延ばすというお考えのようですけれども、他の各省との調整も必要だろうと思いますが、これはいまどういうことになっているのか。公害の委員会の議事録を見ますと、環境庁では、そのことで八月まで延ばすということははっきり御答弁されていますけれども、政府の中全体でこの問題、結論が出ているのかどうか、お聞きしたいと思います。
  132. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 私ども、ただいま御指摘になりました告示を出す場合には、新しい制度が新年度早々に発足できるという前提に立っていたわけでございます。ただ、それが実際問題としまして九月に延びましたので、当然四十九年度の三月三十一日までとするとしてあるのを訂正していく、訂正の告示を出すと、こういうことで現在考えておりまして、これにつきましては、別段私ども、関係省庁にも異論はない、こう考えております。
  133. 中路雅弘

    中路分科員 もう一つ、通勤労働者の認定基準。現在では居住三年、それで通勤労働者五年という制限がありますが、これは具体例で質問が来たんです。二年十一カ月その認定地域に住んでいて、あと一カ月で三年になるわけですけれども、今度は認定地域外へ転出した。通勤はその認定地域の工場へ通勤しているわけですが、こういう場合はあとまた五年になるんですか、それとも換算になるんですか。
  134. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 健康被害補償法では、現在の特別措置法に比べまして、ただいまのような期間をとります場合、非常に認定されるほうに有利なようないろいろな仕組みをつくったわけでございまして、いま御指摘のような換算も一つその中に入っておるわけでございます。したがいまして、当然川崎なら川崎市に一定の時期住みまして、さらに川崎市以外に転出したあと川崎市の工場等に通勤したという場合には、それぞれ通算して計算する、こういうことになるわけでございますが、それをどういうような期間にするか、あるいは通算方式をとるか、この点につきましては、さらに検討していきたいと思っております。たてまえはそういうことになっております。
  135. 中路雅弘

    中路分科員 換算でやられるということは間違いないわけですね、どういう換算にするかということをこれから検討されると。  それから、認定の条件の期間の問題ですが、これも具体例で一つあげますと、同じ川崎市ですが、認定地域外に四年ほど住んでいた方ですが、逆に今度は認定地域に居住が移る。移るときに、そのときは長男が三歳で、長女が産まれたというケースですが、認定地域へ移ってもう直後から二人の子供が非常なひどいぜんそく性の気管支炎になった。医者に見てもらって、下の長女のほうは三歳未満ですから公害病認定を受けたわけですね。しかし、長男のほうは三年以上という居住の制限があるものですから認定を受けられない。あと三年待たなければいけない。しかし、実際の病状は、長男のほうが非常に病状も悪化してひどい状態ですから、認定を受けた下の子供さんが診療費補償で酸素吸入器も買ったわけですけれども、それを実際に兄貴のほうが使って手当てもしているということで、実庭的にも経済主体もたいへんなんですが、この認定条件の期間に非常に矛盾があるじゃないか、この家庭からも意見が出ているわけです。今度の補償法と関連した政令の中で、こういう年限の問題についてあらためて見直して検討するということは、ぜひ私は必要ではないかと思うのですが、この点はいまはどのような検討をやられておるのですか。
  136. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 まあ前提としまして、慢性気管支炎のような非特異的疾患にあって、制度的割り切りとして居住要件あるいは通勤の要件、これが必要だということは、これはやむを得ない要件でございますが、ただ、それができるだけ実態に即しました合理的なものになるように今後努力してまいりたいと思っております。したがって、現在のところは、三年あるいは六カ月というのがそのまま適用されるわけでございますが、新しい法律のもとにおきましてこういうような年限をどう定めるべきかということにつきましては、今後、中央公害対策審議会で医学の専門分野の方に十分御検討願って、九月の発足に間に合わしたい、こう思っておるわけでございます。
  137. 中路雅弘

    中路分科員 じゃ、これは九月の発足までにあらためて検討するということですね。明らかに矛盾があるわけですね、非常に割り切った期間をいまきめていますから。いまの、具体的でありましたけれども、こういった問題を年限をまたきめるということ自身にも、こういうきめ方にほんとうに合理的なものがあるかどうかということも含めて、医者の中でもいろいろ意見も出ているところですから、十分検討をしていただきたいと思います。  それから転地保養の問題ですが、認定患者の皆さんの話を聞きますと、やはり転地保養というのは非常に効果があるということを皆さんが言っています。川崎市では市が、みどり山荘とか青空学園、いろいろ保養所、診療所をつくっているわけですが、この市の診療所、保養所に、公害病認定患者が使用する場合は補助金を出しているわけです。たとえば千八百円のところを千三百円にするとか、自治体がいろいろめんどうを見、補助をしているわけですが、国においても社会福祉事業のこういう問題を対象として、たとえば社会保険、年金保険などの公共施設、国民宿舎などの利用について、公害病認定患者などのこの使用について、健康福祉事業の対象としていろいろ補助をするというようなことが、新しい今度の補償法の中で検討をされる必要があると思うのですが、この転地保養についての、まあ先ほど長官は、今度の補償法でいままで以上にいろいろの公害病患者についての施策が強化されるというお話がありましたけれども、具体的に、たとえばこの転地保養についてどういうお考えで進められておるか。
  138. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 私どもは、先生御指摘の公害保健福祉事業、これは新しい試みでございますので、今後大いに力を入れたいと思っておるわけでございます。ただ、どういうものを今後やっていくかということにつきましては、現在地方の要望等も聞いておるわけでございまして、それで最も要望の高いものから、しかも効果のあるものから順次実施してまいりたいと思っているわけでございます。  ただいま先生おっしゃいました転地保養と申しますか、これにつきましても、無期限のものはできないと思いますが、何らかの条件をつけまして実施できるものから実施してまいる、こういうぐあいにまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  139. 中路雅弘

    中路分科員 少なくともいまの自治体がいろいろやっている仕事ですね。こういった点については十分国のほうでも福祉事業の対象として検討をしていただきたいと思うわけです。  いまの転地保養の問題もそうですが、たとえば川崎市でやっているのは住居の移転ですね。認定地域から少し空気のいいところへ移る、これは転地保養よりももっと効果があるわけですし、移転するには、財政的にも十分そういう力がないという方が多いわけですが、たとえば公営住宅の入居について、認定患者について優先的に一定のワクを設けるとか、あるいは移転についての一部の補助をするとかいうことも検討し、またやっておるところもあるわけですが、先ほどの転地保養についての問題とあわせて、こういった点についても、各自治体が、すでに幾りかの自治体が行なっている事業、こういったものをやはり保健福祉事業の対象としてやる事業として優先的にというお話がありましたけれども、いまの、少なくともすでに自治体が実施している事業等については十分検討していただきたいと考えます。一言、もう少しその点について……。
  140. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 原則としまして、先生御指摘のような自治体でやっていますのをできるだけ優先して取り上げるという姿勢は、私ども当然とりたいと思っております。ただ、この公害保健福祉事業は、企業が二分の一、それから国と自治体がそれぞれ四分の一ずつ、こういう形で行なう事業でございますので、ただいま御指摘になりましたような住居の移転ということになりますれば、こういうものよりもむしろ企業負担中心の形で処理していく、もちろん公営住宅の確保その他の運用上の問題はあろうかと思いますが、考え方としましては公害保健福祉事業というものには、ややなじみにくいのじゃなかろうか、こう思いますが、なお今後検討いたしたいと思います。
  141. 中路雅弘

    中路分科員 もう一つ、児童補償手当の問題ですが、今度の新しい補償法の第三十九条に、児童の障害の程度に応じて支給するとなっています。先ほど例をあげましたけれども、公害病患者の中で、特にやはり学生ですね、発育、学業最中の学生については、これは生涯にかかわり影響する問題ですからもまた、学校があれば転地保養の機会も少ない、親の苦労もたいへんなんです、転地したときの出費もありますし。その点で、この障害の程度に応じて支給するということがありますが、この認定児童については、単に健康被害で扱えない内容を持っていますから、私はできるだけ多くの、すべての児童がこの補償の対象にされるようにしていく必要があると思います。程度に応じて支給するということになっていますが、あまり段階を設けるのじゃなくて、これは私の意見ですけれども、重度、軽度の二種類、特に親の手のかかるひどい状態とそうでないぐらいに分けて、児童補償手当については、できるだけすべての児童にその給付がされるように検討さるべきじゃないかと考えるわけですが、この三十九条のお考え方について、もう少し具体的にお聞きしたい。
  142. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 児童補償手当は、法律にございますように、政令で定める年齢に達しないもの、これは私ども十五歳を考えておりますが、であって「指定疾病による障害の、程度が政令で定める障害の程度に該当するもの」ということになっていますので、児童全部というわけにまいりませんが、一定の障害の程度に達しました方には、この障害のクラス分けはできるだけ少なくして給付してまいりたい。いま先生二階級と申されましたが、私ども二ないし三程度、こういうぐあしに考えておりまして、これは中央公害対策審議会の審議を経まして最終的には決定してまいりたい、こう思っております。
  143. 中路雅弘

    中路分科員 時間が来ましたので、最後に、これは長官にお聞きしたいのですが、先ほどお話しのように、九月から健康被害補償制度が発足するわけです。この九月まで公害被害者、認定患者は現行の救済法でいくわけですね。しかし、いま非常にわずかな医療手当、そういう補償の中で、たいへんな物価上昇、生活の困難な中にいるわけですが、この九月までの予想される異常な物価高騰、こういう中でそのまま九月まで放置される、新法が九月から発足するからということ、この点も認定患者の生活その他について非常に困難をもたらすわけですから、私は九月から新法が実施されるからということで、そのスタートにすべて待つのではなくて、やはりここで公害病認定患者の問題について真剣に考えるとすれば、このような特別異常な状態の時期ですから、何らかの手当なり臨時の処置が必要ではないかというふうに考えるわけです。この点について、時間もありませんので長官に一言最後にお考えをお聞きしたいと思います。
  144. 三木武夫

    ○三木国務大臣 去年の十月に医療の手当を引き上げたわけですが、こういう物価の異常な値上がりの中に、苦しいと思いますが、九月ですから、その間は去年の値上げで、また、その途中でという考え方は持っていないわけですが、これは今後の検討にゆだねたいと考えます。     〔中村(弘)主査代理退席、主査着席〕
  145. 中路雅弘

    中路分科員 時間なのでこれで終わりますが、一つだけ最後に、これは環境庁が直接のあれではないのですが、大臣がおられますから。  厚生省との調整も必要だと思いますが、生活保護者の場合に、今度の補償法、お話ですと平均賃金の八割ぐらい出るそうですが、生活保護費を収入認定に入れますと引かれるわけですから、生活にまた相当影響するわけですね。この点については収入認定に入れないということで、厚生省をはじめとした関係の省庁とも一度検討していただきたいというふうに考えるわけですが、時間が来ましたので、終わりに一言この点についても……。
  146. 三木武夫

    ○三木国務大臣 厚生省でも、いまお話しの件は検討をしておる最中でございます。
  147. 中路雅弘

    中路分科員 では終わります。
  148. 上村千一郎

    上村主査 次に、村山喜一君。
  149. 村山喜一

    村山(喜)分科員 三木長官に初めにお尋ねいたしますが、きのうの夕刊には、東京都が五十一年からCOとSO2の総量規制を実施するということを決定いたしたようでございまして、その内容は、国の新しい環境基準に合わせようというものだ。ところが、これは二月の中旬でございますが、石油の危機ということで電力会社やあるいは工場に対します石油の供給が、大口使用の分についてはカットされました。それは予定をしている数量よりも一五%カットという形の中で行なわれたわけでございますが、そのときに、気象状況にもよりますけれども、東京都内の大気汚染の状態は、それにもかかわらずかえってどうも悪くなっている、こういうような記事が出まして、きょうも東京都の公害局の大気監視課のほうに電話連絡をしてみましたら、横ばいの状態から幾らかふえている、こういうような話を聞いたわけでございます。そういうような点から今度この総量規制という形で踏み切ったのだろうと思いますが、なぜそういうような石油危機の中で硫黄酸化物や窒素酸化物が濃度が上がったんだろうか。私はこのことがふしぎでならないわけでございますが、これはやはり原因をいろいろ考えてみますと、工場がどこかでか重油を仕入れまして増産をしているのではないだろうか。あるいは昨年の十一月通産省が石油対策の一環ということで原油のなまだきや灯油やナフサの混焼を全廃を決定いたしましたので、その関係からきているのではなかろうかともいろいろ考えるわけでございますが、そういうように石油がカットさせているにもかかわらず、しかも官公庁やあるいは個人の家庭の消費というようなものは消費節約に協力をしておりますから、そちらのほうが汚染源であるということは想定はできないわけでございます。そういう状況をまことに不可解な状態だと私考えるわけですけれども、大臣は一体それをどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、ちょっとこの際お聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  150. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私も石油の危機ということで石油の供給が削減させたということで、環境上においては、環境保全の上からいえば、これはもっときれいにならなければならぬというふうに考えておるわけですから、あの新聞記事は私もどうしたんだろうかということで係の者にもあれはよく調査をしてもらいたいということを言ったわけです。気象条件等もあるわけですが、これはいま呼んでおりますから、調査を指示したわけですけれども、その結果は後刻説明をいたすことにいたします。
  151. 村山喜一

    村山(喜)分科員 まあ浮遊物は七割に減ったけれども、そういうようなCOやSO2やあるいはNO2につきましては減っていない。どうもふしぎでならないわけでございまして、それがかりに横ばいであるとしても、何らかそこには考えなければならないものがあるんじゃないか。したがいまして、私はそういう角度から、きょうは残りました時間、大臣に質問をしてみたいと思うのです。  これを大臣、見ていただきたいのですが……。  つくられた物不足だという中で洗剤のパニックが生まれました。メーカーは通産省の生産指示に基づきまして増産にやっきになりました。そしていまようやく品不足が解消をしたという段階に差しかかってきたようでございます。ところが販売価格は二割上がってしまっております。そこで洗剤だけについて私は原価計算を調べてみますと、これは洗剤だけつくっておった場合には、やはり赤字になるということがわかりました、いまの段階においては。そこで内容は何が赤字になってきているかということなんですが、調べてみると、やはり原材料の値上がり、これが一番大きいようでございます。そこで、それを二割の価格が上がった段階で標準価格を設定されて、それに合わせてやろうということでございますが、この問題は、一月の生産実績はあとで報告してもらいたいと思いますけれども、もっと立場を変えたものから問題をながめる必要があるのじゃないかという気がしてなりません。  そこで、この合成洗剤の安全性の問題環境汚染の問題をこの際取り上げて考えておく必要があるという意味から、政府としてはあのパニックの段階の中で当然もっと国民を指導されなければならなかったのではないかということを私は考えるのです。これから先そういう品物が出回ってきた段階の中で、所管の大臣である公害担当の立場から三木長官は閣議等においてもっと話をされるべきではないだろうかと思うのです。  いまそこに出してあります、大臣の一番左側にありますのが非イオン系の洗剤でございます。あとの残りは陰イオン糸の洗剤が二つあるわけです。その中を見てみますと、ニュービーズというその製品は、洗濯機三十リットルの中に五十グラム入れなさい、これが標準量でございます、と書いてある。それから全温度チアーは、これは四十二グラム入れなさいと書いてある。それからそこにジャンボという非イオン系の洗剤がございますが、これは十三グラムで足りると書いてあります。  そこでこれを使ってみたのですが、十三グラムではたしてきれいになるのか。いわゆる洗浄力はどうなのかということを検討してみると、それでけっこう足りるわけでございます。ところが、はたしてその五十グラムなり、あるいは四十二グラムぐらいを使わなければ、ほんとうに効果がないのかということになってきますと、これはどうも怪しげなのでございます。  そこで私は、そういう立場から——去年、国内における生産量が七十万トンある。ことしは、いまのペースでいくならば一月が七万二、三千トンでございますから、その使いぶりでいくと八十万トンぐらいの洗剤を生産しなければ間に合わない。それがほとんど陰イオン糸の合成洗剤でございまして、それが川の中に流れ込み、あるいは沼の中に流れ込み、そして海の中に流れ込んでいく。この問題をそういう水質汚染の問題なり環境安全の問題から、もう少しものをとらえる角度が違った立場で行政指導がされるべきではなかったのだろうかという気がしてなりませんが、大臣は閣議あたりでそういうようなことをおっしゃったことがあるのでしょうか。
  152. 三木武夫

    ○三木国務大臣 合成洗剤の問題は、私は閣議で問題を出したということではないわけですが、ときどきいろいろな側面から問題になるわけであります。人によったら、合成洗剤の中にある毒性というものを問題にして、手が荒れてきたり、あるいは催奇形性といいますか医学上人間の身体にいろいろの影響を与える場合がある、そういうことを指摘する学者もあるわけであります。その点については、閣議で話題になったときも、十分に厚生省で検討を加えるということになっておるわけですが、私どものほうとしては、合成洗剤がなかなか分解しにくい、これが川に流れてきてもあわ立って分解しないという、これを分解しやすいような、ハードからソフトヘの切りかえというもの、これはわれわれとしても強く要請をしたわけですが、いまは大体それはソフトに一〇〇%切りかえていったというふうに報告を受けておるわけでございます。  もう一つわれわれが問題にするのま、富栄養化の問題であります。ビルダーの中に燐が入っているわけですが、これは三次処理してもどうしても残るというようなこと、この燐の使用というものを減らさなければいけないということで、いまモデル的にやって、いま二二%ぐらい燐が含まれておるようですが、せめて一五%ぐらいに減らせないかという指導を行なって、このための試験的なモデル工場などもつくって、それを促進するように通産省に対しても強く要請をいたしておるわけでございます。だから、われわれが問題にしておるのは、いま言ったような非分解性と、そして燐の含有量が多いということからくる、赤潮なんかの原因にもなっておる富栄養性というものを取り上げておるわけであります。石けんに変えたらどうだという説もありますけれども、これは牛脂などの原料の問題も非常に問題があるわけでございますし、いま言ったような点から環境保全の面からの改良を加えていきたいというのがわれわれの考え方でございます。
  153. 村山喜一

    村山(喜)分科員 大臣の御所見ばわかりましたが、いまもっと私、具体的に問題を追及してまいりますので、あとで御所見をいただきたいと思います。  中性洗剤につきましては、厚生省は、四十八年の四月に使い方を誤らなければ安全だという発表をいたしました。新しい洗剤の成分規格と使用基準を告示をいたしまして、手の荒れる人には合成洗剤と同時に脂肪酸系の洗剤を販売をさせるという措置をとったわけでございます。ところが、五月になりますと、東京都は学校給食や病院給食の野菜、くだもの洗いに洗剤を使用しないように通達を流したわけでございまして、そういうことから去年ば脂肪酸系の洗剤を使うべきだという運動も起こったわけでございますが、洗剤不足の前にどこかにその運動も吹き飛んでしまった、そういう状況になっております。  そこで科学技術庁は、ソフト系の洗剤のLASにつきまして、皮膚吸収によるところの胎児への影響とかあるいは皮膚障害について、また洗剤の洗浄効果と残留性について、事務当局から聞きますと、二千七百八十六万八千円の予算を確保しまして、これを厚生省や国立衛生研究所、労働衛生研究所、それに残留農薬研究所等に配分をして研究の委託を行なっている。その結果は、厚生省関係の分については、この三月で一応結論が一部分については出るように聞いております。そこで、四十九年度の予算の中で台所用洗剤につきましては厚生省が慢性毒性の試験を継続をして行なっておる、こういうふうに聞いているわけでございます。ところが、われわれが問題にしているのは単に中性洗剤だけではないのでありまして、合成洗剤の中における洗たく用洗剤、弱アルカリ性の洗剤というものがもたらすそういうような皮膚疾患の問題なり、あるいは先ほど大臣がおっしゃいました環境汚染の問題なり、そういうようなものをやはり総合的に検討を加えていかなければならないんだ、私はそういうふうに考えているわけでございまして、ところが、この毒性試験等はいわゆる台所用品の中性洗剤の試験というものをやっているわけでございまして、それは主成分であるところの界面活性剤だけについて試験を行なっている。そのほかのものについては、合成洗剤の中に入っている、先ほどおっしゃいましたトリポリ燐酸ソーダ、いわゆるビルダーでございますが、あるいはそのほか性能向上剤として酵母であるとか、あるいは螢光燐酸等を使っておりますが、そういうような性能向上剤等についての試験というものは行なわれていないわけでございます。  そこで、私はそういう立場から、じゃ厚生省が告示をいたしました成分規格というものが今日の事態において、はたしてその批判に耐えられるものであるかどうかということについて疑問を感じている点がありますので、その点を厚生省の事務当局にただしますが、大臣もひとつ聞いておっていただきたいと思うのです。  それは、成分規格の第三項ですか、アニオン系の界面活性剤の生分解度は八五%以上、こういうふうに規定をされておりますが、これは間違いございませんね、厚生省。
  154. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 ただいま先生御指摘のアニオン系界面活性剤の生分解度は八五%以上とする、こういうふうに規定されております。
  155. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこで、それはLASの分解速度というものとの関係があるわけですが、これの分解速度はどの時間帯でとらえておいでになるのですか。
  156. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 ちょっと私のほうでもはっきりいたしませんが、従来からこの規格はJISの試験を使っている、そういうふうにきめていると聞いております。
  157. 村山喜一

    村山(喜)分科員 その八五%以上ということをきめられてはいるんですが、時間帯の中における微生物による分解率の問題については触れられていないわけです。これは実際的に実験をやってみますと、河川やあるいは水の中で、いわゆるこの分解率は二十四時間たちまして二六%の生分解率でございます。そこで、三日たちましてやっと五〇%。八五%に達するのは二十九日目にならなければその分解率に達しません。一カ月たちまして八七・四%の分解率しかない、こういう形になっておるわけです。これはある試験場における研究の結果でございます。そうなると、日本の河川は急流系の河川でございまして、いわゆる生分解を受けないで海の中に入っていくということにならざるを得ない。そういうふうに私は見ざるを得ないわけでございますし、先ほど大臣がおっしゃいました第三次の下水処理をいたしますと、八〇%から九〇%にトリポリ燐酸ソーダの場合には向上させることができますが、このLASの場合には一カ月もかかる。そういうことになりますと、非常に問題がこれに付随して波及してくるということを指摘せざるを得ないのですが、そういうふうに私が申し上げることは間違っておりますか。
  158. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 先生御指摘のように、日本の河川は非常に急流でございまして、上流から下流までへの滞留時間というものが非常に短いわけでございますので、ただいま先生御指摘のように、非常に分解に長時間を要するものにつきましては、河川への汚濁の影響というものが当然考えられると思います。
  159. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そのほかに、私は使用基準の中でも問題があると思っております。こういうような問題を考えてみますと、厚生省が去年の四月二十六日に告示をいたしました、こういうふうにやれば安全性が保たれるというものにつきましても、毒性の問題はいざ知らず、環境汚染の問題については、まだ依然として未解決である。このことを大臣よく御認識をいただきたいと思うのであります。  合成洗剤もいまハード系のものからソフト系のものに変わってまいりました。しかし、フラスコの中を見ていただければおわかりになりますように、下のほうに沈でんをいたしております。下水処理については、まだたしか一八%ぐらいの下水道の普及率しかない日本です。それが急流の河川の状態の中から海の中に微生物による分解を受けない形の中で集積される。このLASという成分は魚に対してABSの四倍から五倍の毒性があるということがアメリカの漁業協会の会報等を見ますと出ているわけでございます。赤潮の発生の問題もございますし、そういうような問題を考えてきますと、一体このような状態の中ではたしていいんだろうかという気がしてなりません。  そこで、河川局の河川計画課長ですか、お見えでございますが、一級河川の水質現況の報告書を私は見てみました。これによりますと、湖沼の富栄養化がずいぶん進行をしている。そして一〇%以上のBODの存在が九%以上もあるという状態が発表されておりますが、いまの河川の状況について、この状態が進んでいく場合にはどういうふうになっていくと見ておられるのですか。
  160. 飯塚敏夫

    ○飯塚説明員 建設省の河川局におきましては、健康項目あるいは環境項目等につきまして各都道府県公害担当部局等と調整をはかりまして、河川区域内における水質調査を行なっているわけでございます。特に建設省直轄におきましては、一級河川の直轄管理区間につきまして、私どもその水質測定につきまして分担をしているわけでございますがもその状況につきましては毎年水質現況調査報告書というようなもので発表しております。その中では、主としてBODを中心といたしまして、代表的に全体の流れを説明しておりますが、特に先ほど先生御指摘の湖沼等におきましては、富栄養化の問題がその対策上非常に重要な問題であるというような認識に立っております。私ども水資源の立場から見ました場合に、霞ヶ浦とかあるいは琵琶湖等を含めまして、それぞれ下流地域住民の水道用水、生活用水のかてである富栄養化に対しましては、重要な問題という認識のもとに、関係行政機関あるいは地方行政機関等と緊密な連絡をとりまして、今後も引き続き測定を充実させるとともに、その解決に向かって善処してまいりたいと思っております。
  161. 村山喜一

    村山(喜)分科員 時間がありませんので、最後に大臣から御所見をいただきたいと思いますが、去年の七月三十一日に、参議院の公明党の峯山昭範君からの質問に対して政府の答弁書が出ております。その内容を見てみますと、適量使用量の表示を義務づけているんだ。トリポリ燐酸塩の代替品を開発中である。燐酸塩の含有率を減少させる方向で研究中である。先ほど大臣おっしゃったとおりであります。そのほか答弁が出ておりますが、いま、トリポリ燐酸ソーダをビルダーとして使って、それがよけいに入っているものほど値段が高いのです。値段が百円ぐらい高うございます。  日本の国は、御承知のように軟水でございまして、アメリカの場合には硬水でございます。ヨーロッパもそうです。この硬水にはトリポリ燐酸ソーダがきわめて有効な働きを来たすわけでございますが、日本の場合には軟水だということを考えますと、中には三二%も入れているところがあるのです。そうして百円も高いわけです。そういうような状態の中でそれが水の富栄養化状態を引き起こし、環境汚染をつくり出している。このことを見ますと、洗たく用洗剤等についても、もう少し政府は的確な指導をされるべきではないだろうか。ところが、製造会社、メーカーにいわせると、それはノーハウの問題でございますから、その成分を明らかにすることはできません、こういうことでかたくなに断わっております。しかし、そういう時代ではないんじゃないだろうか。水質汚濁の原因になり、そして魚に対する影響から人間の飲む水に対する影響の度合いまで、環境汚染の原因になり、瀬戸内海あたりの赤潮から湖沼におけるところのモの繁殖により魚の生息状態が変わろうとしておるこのときに、合成洗剤の中で比較的低泡性の、皮膚障害を起こさない非イオン系の洗剤というものにも目を向けて、こういうようなものについても、もっと洗剤メーカーが研究をしていくという方向に国が悪酒をしていく、奨励をしていくということは環境汚染を防ぐ立場から、またこんなに石油関連の物資が不足をしているときに、もっと合理的な洗剤の使い方を政府が率先して指導するということは省資源エネルギー政策の上からも正しいし、国民の健康を守る上からも正しいと思うのでありますが、いまそこに並べてありますフラスコの中のそれをごらんいただきながら、ひとつ大臣の御所見をいただきたいのでございます。
  162. 三木武夫

    ○三木国務大臣 環境問題を振り返ってみますと、大気の場合は改善の余地が見られるのですが、どうも水質の汚濁の面は大気のような状態よりも、横ばいよりも悪くなっておる河川もあるというわけなんです。したがって、一つにはやはり下水道の施設というものを拡充していくということが根本になると思います。今年もああいう公共事業の抑制ということで、最初思い切ってこれからは下水道の年にしたい、そういうことが補助率の改善で全体の工事というものはそう進みませんでした。それは根本ですが、御指摘の合成洗剤の場合もこれだけやはりいろいろな、健康の面からいっても、いままた御指摘のような環境の問題からいっても、あるいは省資源といいますかそういう問題からいっても、関係各省でもう少しこの問題に対して総合的な検討を加える必要が私もあると思います。この問題は関係省等にも相談をして検討を加えることにしていきたいと考えます。
  163. 春日斉

    ○春日政府委員 いわゆる石油危機以降、かえって東京都におきます大気、ことに硫黄酸化物にかかわります大気汚染状況が悪くなったという発表が東京都からございました。ただいまその理由につきまして、東京都においても検討中でございますが、一つは工場の稼働日数が考えられた以上に減らなかったとか、あるいは低硫黄重油の流通過程に混乱があったとか、あるいは工業用の灯油等が普通の重油に切りかわったとか、いろいろ推定されておるようでございますが、一そう検討を東京都とともに加えてまいるつもりでございます。
  164. 上村千一郎

  165. 山田太郎

    山田(太)分科員 きょうはわずかな時間の中で数点の問題についてお伺いしたいと思います。  そこでまず、いまは物価の問題に少々陰に隠れたような感じがなきにしもあらずというような公害の問題あるいは自然環境保護の問題整備等々の問題でございますが、これは物価に劣らず重要な問題だと思います。ことに副総理であられる三木さんが環境庁長官をやっていらっしゃることですから、その点は万遺漏はないことと存じております。  そこで、まず国立公園の問題についてお伺いしてまいりたいと思います。そこで端的に申し上げます。ことばが足らない点がもしありましたら、その点はまず御容赦を願います。  一昨年、四十七年でございますが、行管より指摘を受けた環境庁関係の事例、これは新聞にも大きく報道されたことでもございますし、長官も当然その事例は御存じのことと思いますが、それに対して長官として、ことに国立公園の問題について、そのほかの問題についても指示なさっていると思いますが、しかしどのような指示をなさり、どのような方針のもとに処置をなさっておるか、この点をまず長官にお伺いしておきたいと思います。同時にその根本方針というものを長官から伺っておきたいと思います。
  166. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私も決算委員会に出まして、国立公園の特定地区内におけるゴルフ場の建設は、私の在任中は認めないという発言をしたわけであります。それは国立公園の中の半分は民有地ですからね。したがって、その開発は全然認めないというわけにはいかないわけですけれども、しかしその開発をするにしても、自然環境の保全というものについては、一たん破壊すればあとに戻らぬわけですから、この保全をはかるということを前提にして開発を考えるようにしていきたいということでやっておるわけです。しかし自然環境保全ということは、開発の意欲というものは強いわけですから、自然環境保全のためには現行法だけでは、やはり不十分ということで自然環境保全法というものも生まれまして、自然環境の保全ということに対して従来の自然公園法よりも規制も数段ときびしくなっておりますし、これから地域指定も行なうわけですが、そして開発の規制も一段ときびしくできることになっておりますから、こういうことで決算委員会でいろいろ御指摘になったようなことにこたえていきたいと考えておる次第でございます。
  167. 山田太郎

    山田(太)分科員 具体的な事例ですね。その問題について私の調査した範囲内で、先ほどの基本方針、根本方針はいま長官がお述べになったことで、当然ということばは適当ではありませんけれども、より一そう努力していただきたいことばもちろんでございますが、先ほど質問申し上げた具体的な事例でございますね。きょうは少々こまかいことに入りますけれども、その点はまず御容赦を願いますが、調べた範囲内では、まだその点についての、長官の指示があったには違いないと思うのでございますが、その事後処置がなされていない面もあるようでございます。時間が少ないですから簡単でけっこうですから、その点をちょっと簡単に述べてみていただきたいと思います。そしてその次に具体的な問題に移っていきたいと思っております。
  168. 江間時彦

    ○江間政府委員 先生が具体的に御指摘になっていらっしゃる事項は、行管から指摘事項としまして出ております石鎚スカイラインの話もその中の一つかと思います。これにつきましては県といろいろ相談いたしまして、県のほうでは専門家の助言を得まして……。
  169. 山田太郎

    山田(太)分科員 それはいいです。ぼくが質問申し上げたのは、国立公園関係で違反事例が指摘されていますね。そうしてそのうち自然公園関係が三十五カ所、その中でも内訳は国立公園が十八カ所あるわけです。その十八カ所に対して環境庁として当然処置をしなければならぬ。それが十分措置されてない面があるわけです。その点は把握なさってますか、どうですか。
  170. 江間時彦

    ○江間政府委員 本日手元に資料を持ってきておりませんで、総合的にお答えするのをちょっと猶予させていただきたいと思います。
  171. 山田太郎

    山田(太)分科員 簡単でいいです。何カ所についてはこうやった、何カ所は残っているというふうに……。
  172. 江間時彦

    ○江間政府委員 その点についてのお答えは、もうしばらく時間をいただきまして、早急にすぐお答えいたしますが、ちょっと時間をいただきたいと思います。
  173. 山田太郎

    山田(太)分科員 私が国立公園の問題について質問するということは御承知のはずです。また、当然環境庁としてこの事後措置についてば十分なる措置がなされていなければならぬはずでございます。この点は長官にもことに要請し、要望申し上げておきたいと思います。  そこで、時間がありませんから、これは私の選挙区の問題じゃありません。選挙区の問題は避けております。数カ所ございます。そこで、同じ国立公園の中で、これは具体的にわたって恐縮でございますが、先ほど申し上げたとおりです。岡山県の倉敷市児島の由加というところでございますが、そこで相当前から違反事実、すなわち乱開発でございますが、その乱開発が発見されておりながら、地元の有力者であるということではないと思いますけれども、措置が非常におくれておる。相当地元で問題になっておりまして、これは特別の写真ではないんでございますけれども、一応長官にも……。  それが、四十六年から乱開発されたまま現在に至るまで放置されている。しかも人によっては、同じ場所じゃございませんけれども告発を受けながら、有力者であるということじゃないとは思いますけれども、それがそのまま放置されておるということは、法の公平の原則からいいましても、また地元民の感情からいいましても、これは行政の、ことに環境庁行政の公平さを疑われるという問題にも発展しておるのが現実でございます。その点について、具体的な問題で恐縮ですけれども、現在までの状況は、こればあらかた知っております。と同時に、これからどのように処置するかという点は明言しておいていただきたいと思います。
  174. 江間時彦

    ○江間政府委員 先生がいまお示しになりましたような写真の状態でございまして、われわれの調べましたところでは、大体一・五ヘクタールにわたり土地の形状の変更を許可を受けずにやったというのが実情でございます。われわれといたしましては、発見した直後に行為の中止を指示いたしております。そして、あと地の崩壊を防止するために排水設備をすぐ設けるように指示をしておりますが、遺憾ながら現在のところ、まだそれが履行されていないということでございます。
  175. 山田太郎

    山田(太)分科員 現在に至るまで遺憾ながら何ら措置がされてない状態でございますというところまではわかりましたが、これからどうしようというんですか。現在のままほっておくわけですか。これをどうしようというんですか、あるいはいつまでにこれをどうしようというんですか。やはり法のもとの公平というものがないと真の自然環境は守ることはできませんよ。その辺について御明答をいただいておきたいと思います。
  176. 江間時彦

    ○江間政府委員 問題は二つあると思います。まず一つは、原状回復を早急に行なわせる。たとえば、のり面を安定させることであるとか、あるいは擁壁の工事をやるとか、あるいは排水施設をやるというようなことは早急にやらせる。もちろん緑化もやらせるということだと思います。いま一つは、このような違反をやったことに対する処分を考えるという、この二つの方向で考えてまいりたいと思います。
  177. 山田太郎

    山田(太)分科員 ぼくが言ったことをひとつ聞いてもらいたい。告発を好むわけじゃありませんよ。だけれども、片一方は同じ時期ではないとはいえども告発しながら、片一方は告発しない。だからこの事件を告発しなさいと言っているように勘違いされては困る。しかし、やはり公平でなければならぬから、措置を早くしなければならないのじゃないですか。人を罪に落とすのを私は好むわけじゃないから、そう申し上げておるのです。しかし、いつごろまでには、いまのような措置をどのようにするかということを——措置としてはこれとこれと二つありますというだけでは、答弁にならぬじゃないですか。
  178. 江間時彦

    ○江間政府委員 県と相談いたしまして、早急に原状復帰につきましては強制的な措置をとろうかとも考えております。
  179. 山田太郎

    山田(太)分科員 多少不満なところもあります、早急なんということばは非常に範囲が広いことばでございますから。しかし何月までというふうなことも御無理かとも思いますから、その点はひとつ事実上早急に処置してもらいたいと思います。  それからもう一つは、これも具体的な問題でございますが、これは大きい問題です。いわゆる大山隠岐国立公園、この大山地域で大がかりな土地の取得がなされておるのは、大臣も御存じのことと思います。ここに一ヘクタール以上の分だけの名簿がございます。大きいのは有名なのもこの中にあります。昭和電工だとか日本パルプだとか、あるいは京阪電鉄だとか出光興産だとかその他とにかく十六件、合計六百ヘクタール——これはもちろん区域外も少々ございます。これはほんのちょっとです。ここには地図も用意しております。もっと詳しい地図も用意しておりますが、こういうふうな土地の取得あるいは取得しようとしている企業の開発予定地の表でございます。これは鳥取県から取り寄せたものです。こういう問題について、一昨年の国体のときでございましたが、これも問題になったことでございますが、許可なく樹木の伐採なり、あるいはその後も——具体的な事例をそうこまかくあげませんが、やはり違反事実があるようでございます。ことに、このような大きな開発力を持っている業者というのは多数ありますが、この点については公園法の歯どめがあるとはいえども、あるいはその他の法の歯どめがあるとはいえども、現状においてその監視、監督といいますか、それがなかなかできかねておる状態のように見受けます。これは、中国地方において国立公園だけでも三つございますね。御存じのように瀬戸内海国立公園あるいは大山隠岐国立公園あるいは山陰海岸国立公園と、そのように全国の中においても、われわれにとってはことに大事な国立公園だと存じておりますが、それが乱開発されるようなことがあっては相ならぬと思うわけでございますが、これに対しての特別の措置というものをなさっておるかどうか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  180. 江間時彦

    ○江間政府委員 先生が御指摘になりましたように、確かにこの地域には大体十六件ばかり今後の開発が予想されるものがございまして、かなり大手業者の、しかも分譲別荘になるのではあるまいかと思われるような地域でございます。このうち具体的に分譲地造成の申請をしてきたのは、まだいまのところ一件しかございません。地域といたしましては特別地域一種、二種、その他普通地域とまちまちでございますけれども、われわれといたしましては、この地域が乱開発に流れるおそれがあるということは注目いたしております。また地元に幸いにしてわれわれの出先である公園事務所もございます。特に厳重に注目して遺漏のないように措置していきたいと思っておるところでございます。
  181. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで要請なり要望をしておきたいのでございますが、先ほど申し上げたように公平な処置をされなければいけないということは、これは当然のことでございます。そこで土地の人々の話を聞きますと、いわゆる民有林所有者ですね、やはり税金を払うだけで収入が少ないので、どうしても手放さなければならないのが実情であると言うております。これも生活のことを考えれば無理からぬことと思いますけれども、そこでやはり国有地をふやすか、これが一つ。あるいは基金等を設けさせて県有地にする、そしてこれは鳥取県だけに関することではないことも当然ですが、それに対して当然起債等ということも考えられますが、そういう措置を講じて公有地にするように努力していくとか、これが二つ。あるいは県なら県と賃貸契約を結んでそれの利子補給をしてやるとかそういうふうな、以上三つ申し上げたわけでございますが、そのような措置を講じていくということが必要じゃないかということがひっくるめて第一点。  それからもう一つは、どうしても監視員の人が少ないですね。場所が広いところで、どうしてもやられそうなところというのは重点的にはやっていらっしゃるようでございますが、何せ人がいない。したがって民間の山岳会とかいう民間の団体がパトロールしているわけです。何とかして守ろうとしているわけですけれども、何せ権限がないわけですね。したがって、やはり県への委託業務として監視体制というものを充実するという方向を考えざるを得ないんじゃなかろうかという、大きく分けて二点。  第一点については、こまかく内訳を三つ申し上げました。そういう点についてのお考えといいますか、それは長官にお伺いするのも無理かと思います。少し具体的ですけれども、しかしまず長官に、こまかいところまで立ち入らなくてもいいですから、長官から答弁いただいて、それから局長から簡単に具体的な面で……。
  182. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いま御指摘になった実際監視員でも予算の場合にも相当ふやそうと思ったんですが、なかなかこの予算の圧縮の時期でそうもいきませんでしたが、そういう監視体制なども非常に手薄である。したがって今後ばいろいろやはり県などと、いま御指摘のような地方公共団体の協力を得ないとなかなか環境庁だけで手に負えるものでもありませんから、地方公共団体の協力も得て、そしてこの環境保全というものに対してはいろいろ積極的にやらないと、非常にやはり環境の破壊というものは、なかなか防ぎ切れぬものがあると思います。そういう点で、われわれとしても今後いままでの施策を一段と積極化していきたいと考えております。  詳細は政府委員からお答えいたします。
  183. 江間時彦

    ○江間政府委員 簡単にお答えいたしますと、現在われわれ現行制度のもとでも公有地を広くするという方策はとっているつもりでございます。具体的には年間六十億ほどの予算を持っておりまして重要な地域については買い上げる余地がございます。また、この内容につきましては、土地買い上げの特別な検討会をいま持っておりまして、この問題の抜本的な解決をはかろうというふうに努力している最中でございます。  それから監視機構の問題でございますか……。
  184. 山田太郎

    山田(太)分科員 基金の問題と、それからもう一つは賃貸契約、そういうことを考えたらどうか。
  185. 江間時彦

    ○江間政府委員 基金の問題あるいは賃貸契約の問題も、やはり国立公園制度の根幹に触れる問題でございますし、あるいはまた土地買い上げ問題とも関連ある問題でございますから、やはり一括してそういう場で検討してまいるという性質のものだろうと思います。  それから監視機構の問題でございますが、現在これにつきましては、われわれ末端に管理事務所を持っておりますが、もちろんこれだけでは十分でございませんし、また県の中にもこの種の行政に携わる人をできるだけ多く設置させるように努力いたしております。またわれわれのほうといたしましても、現在ボランティア活動も大いに奨励しておるわけでございます。
  186. 山田太郎

    山田(太)分科員 いまの局長の御答弁は、いわゆるその中で検討すべき問題だと思いますという御答弁ですが、私の申し上げているのは、もちろんその中でやろうがどこでやろうが、そういうことを前向きに考えたらどうだろうか。基金の問題あるいは賃貸契約、その点を長官に御要望申し上げておきますので、御答弁は時間がありませんので、御要望申し上げておきます。  そこで、もうあとわずかでございますが、海上保安庁の長官見えていますか。——警備救難部長が見えているわけですね。これは簡単に一言だけお伺いしておきたいと思うのですが、油濁の問題です。ことに瀬戸内海の油濁の問題でございますが、瀬戸内海だけでも油濁によって大きな被害を受けているのは御存じだと思うのですが、どれくらいの被害を受け、そのうち原因不明のものがどのくらいあるか、これを簡単にひとつ答えていただきたいと思います。——時間がないですから、申し上げましょう。  まず瀬戸内海だけでも四十七年に五十七件、そうして一億二千六百万の漁業被害が出ております。  そこで、海上保安庁からいただいた資料でございますが、四十七年、四十八年で油によるものが、四十七年が八百七十四件、四十八年が八百四十八件、そうして発生原因について不明のものが四十七年には四百二件、それから四十八年には三百六十七件、この不明というものは、簡単にどういう内容ですか、これとこれとこれということを教えてもらいたい。
  187. 船谷近夫

    ○船谷説明員 海上保安庁としましてはできるだけの監視をやっておりますが、飛行機あるいは船艇で油を発見するわけですけれども、たとえば海難による場合は相当にわかりますし、そしてまた油を流しながら船が通っておる場合、それを現認する場合にはその原因者がわかるわけでございますが、たとえば早朝に飛行機が飛んだ場合に、流れておる油、それは相当にわれわれといたしましては極力追及いたします。が、どうしても追及し切れない面というのが原因者の不明の油になっておるわけでございます。
  188. 山田太郎

    山田(太)分科員 ということは、この原因不明の場合は、やはり零細な漁民は泣き寝入りになるわけですね。漁場の清掃はもちろん県がやってはくれますが、これは全部といってもいいほど泣き寝入りになるわけです。現状では泣き寝入りです。そこで、水産庁としても今年度は予算も組んで、そして何とか措置しようというふうなことをやっておられるのは非常にいいことだと思います。しかし金額は非常に少ないし、とてもじゃない、管理費程度のもので、これはこれからまだまだ発展すべきものだと思います。  そこで、せっかく来ていただいておりながら、お尋ねしないのは恐縮でございますけれども、私のほうからまず意見だけ先に申し上げて、そして意見といいますか要望といいますか、お答えをいただいて質問を終わりたいと思います。  そこで、まず水産庁のほうはこれはもうようわかっております。海運局の方も来ていただいておりますが、油でいえば捨て逃げですね。それから海上保安庁の立場でも当て逃げというのがあります。船の当て逃げ。そういうふうなものについて、これは全くそのままとはいえないけれども、自動車の損害賠償保険の制度がございますが、こういう自動車の損害賠償保険法に類したものがいま現在まだ船にはないわけです。この自動車損害賠償保険法においては、これは人に関するときには、ひき逃げなり当て逃げなりというものば国のほうで補償ば受けることができるようになっております。ところが船の場合は、同じようなこういう保険制度がないわけです。したがって、当て逃げで人が受けた場合も含めて、もう一歩広げて油の捨て逃げというふうな場合も、やはり原因者不明のまま泣き寝入りするのは零細漁民の方々ばかりでございますから、そういう点も考慮し、場所は公の海でありますし、そういう点から考えて、自動車保険法に類するようなものを船でもつくるべきではなかろうか、またつくるべきであると思うわけですが、その点についてのお考えを聞いておきたいと思います。
  189. 犬井圭介

    ○犬井説明員 お答え申し上げます。  自動車の場合は責任問題につきまして自動車事故全体について自賠責制度がつくられておりまして、その一環として当て逃げについても補償制度がつくられているということでございます。ところが海運につきましては、油濁の問題について全般的な補償制度なり保険制度というものがまだ確立されておりません。現在運輸省では一九六九年の油濁損害についての民事責任に関する条約と、それからこれを補充する一九七一年の基金の条約というのを国内法化すべく検討中でございます。こういう制度ができますと、油濁損害についての補償制度というのが確立されるわけでございます。別に原因者不明の油濁問題につきましては現在水産庁、環境庁中心にして検討中でございます。運輸省も積極的にこれに参加しております。  いま先生のおっしゃいました自賠責制度における当て逃げ補償と同じようなものを海運について適用するかどうかという問題につきましても、そういう各省間の研究の場における一つの可能性として検討してまいりたいというふうに思っております。
  190. 山田太郎

    山田(太)分科員 これで、時間がまいりましたので、質問を終わりますが、長官に一言だけ。いま前向きの御答弁がございました。また、より一そう前向きに早く措置してもらいたいと思うのですが、この点については順番を追って質問申し上げなかったので、長官としては十分腹に入りかねたかとも思います。これは時間の関係でございます。  そこで現在環境庁、運輸省、通産省あるいは水産庁で連絡会議を開いて、いまおっしゃった国内法の法制化あるいはそれにかわるべきものをどうするか、どう制度化するかという検討を続けていらっしゃるようですが、いま現在ますます油濁がひどくなって、ことに瀬戸内海において私はその惨状をつぶさにこの目にしております。たちまち食うに困る状況になっている人もたくさんおるわけですから、それに対する救済の問題も含めて、この対策を早くしてもらえるよう、ひとつ長官から御答弁を一言いただいて、質問を終わりたいと思います。
  191. 三木武夫

    ○三木国務大臣 対策を促進するように努力をいたします。
  192. 上村千一郎

    上村主査 この際、江間自然保護局長から発言を求めておりますので、これを許します。
  193. 江間時彦

    ○江間政府委員 先ほどの先生の御質問で行管の指摘事項についての処理、お答え漏れておりましたのでお答えいたします。  行管から指摘されました案件は、国立公園について十八件、国定公園について十三件、合計三十一件あったかと思いますが、その後の処置につきましては、中止命令を出しましたのが十五件、それから原状回復命令を出しましたのが九件、立ちのきをさしたものが一件、その他軽微であるために行政指導で解決をつけたものが六件、そういう内訳になっております。
  194. 山田太郎

    山田(太)分科員 じゃ、一言だけ。その点は知っております。ところが、それがきちっとできていないわけです。その点を御注意申し上げて、質問を終わります。
  195. 上村千一郎

    上村主査 次に、上原康助君。
  196. 上原康助

    上原分科員 環境保全の問題は最近とみに国民の関心事であると同時に、また大きな社会的、政治的な問題になっているわけですが、自然環境保全といいましても非常に範囲が広うございますので、きょうは私は特に沖繩自然環境保全の問題と、それとの関連で基地被害、まあ基地公害という方もいらっしゃるのですが、私は基地から発生する被害といいますか災害というのは、公害ということにはならぬのじゃないか、むしろ被害じゃないかという気がいたしますので、そういう主張をしたいと思うのです。限られた時間ですから、二、三点にしぼって問題点をお尋ねして政府の御見解を賜わりたいのです。  御承知のように、沖繩で来年の七月に開催予定されております海洋博に向けて、いろんな道路工事やらその他関連工事が進められております。そういう開発と環境の保全をどう調和するかというのは、単に沖繩だけのことじゃないと思うのですが、大型プロジェクトが一度にどっと集中をしていく中で、自然環境が大いに破壊をされている現状は免れません。したがって、沖繩の文化財保護委員会とかあるいは有識者の皆さんが沖繩自然環境保全という立場から、文化と自然を守る十人委員のアピールなどというものも出されております。海岸の汚染の問題あるいはサンゴの保護の問題などいろいろございますが、こういう破壊されつつある沖繩環境保全といいますか、保護に対して、これはもちろん政府だけの立場でやれとは私は主張しませんが、県なり各自治体のやるべきこともあろうかと思います。しかし、復帰をした現段階において、沖繩の文化財なり自然保護という立場で、政府としても十分実態をおつかみになって県なりに行政指導をする、あるいはまた助言、協力を求めるという姿勢もなければいけないと思うのです。そういう点など、いま政府のお立場でどのように進めようとしておられるのか、自然環境保全に対する基本姿勢をまず承って、具体的な問題に入らせていただきたいと思います。
  197. 江間時彦

    ○江間政府委員 先生がおっしゃいましたように、沖繩海洋博との関連で、美しい沖繩の自然が破壊されるおそれというものは十分ございます。したがいまして、われわれ沖繩海洋博の企画につきましても、できるだけ内部的に入ってまいりまして、過度な開発が行なわれないように、自然が破壊されないように積極的な発言をやっておる最中でございます。また、そのほか沖繩一般的な自然保護の問題でございますが、沖繩は非常にすぐれた自然に恵まれておりますし、また海中公園のりっぱな候補地もございますし、またこの利用につきましても、自然をそこなうことなく観光資源地としてどう活用していくかということも考えなければならぬと思っております。
  198. 上原康助

    上原分科員 いま一般論でお答えいただいたのですが、十人委員のアピールなどを見ますと、やはり政府の権威者を派遣して実態を一緒につかんでくれ、その上で開発と自然保護の調和をどうするのかをやるべきだという主張が強いし、そういう面の要望については政府もおわかりいただいていると思うのですが、そういう御計画なり方針というものはお持ちじゃないのですか。
  199. 江間時彦

    ○江間政府委員 われわれといたしましては、必要のつど必要な人を派遣しておるつもりでございますし、また今後も必要でございましたならば、十分なことを考えてまいりたいと思っております。
  200. 上原康助

    上原分科員 それでは具体的な件で、いわゆる基地被害についての問題も非常に大きいわけですね。むしろこの基本から発生する、あるいは基地の存在によって住民に及ぼしている被害というものが広範囲にわたっている。昨年環境庁調査団を派遣をして幾つかの基地を実態調査したということを伺っております。その調査団の調査の結果どうだったのかの報告なりは全然発表されておりません。どのように調査をし、基地被害、基地の公害というものをつかんでおられるのか、その点明らかにしていただきたいと思います。
  201. 森整治

    ○森(整)政府委員 たてまえといたしまして、基地の問題につきましては、われわれは一応質問状をまず出しまして、それに対する回答を米軍側からもらう、そのもらった点について、なお必要があれば調査を行なうというのが原則でございます。  沖繩につきましては、海兵隊の関係につきまして、むしろ向こうで調査能力がないという事情もあったわけでございまして、環境庁の職員を中心にいたしまして環境の調査を実施いたしました。昨年の五月と七月の二回にわたりまして、沖繩の海兵隊の施設につきまして調査を実施したわけでございます。それから十月と十一月の二回にわたりまして嘉手納の飛行場につきまして現地調査を行ない、排水等のサンプリングを行なったわけでございます。  前者の海兵隊の施設につきましては、実はわれわれいろいろ調査しまして、一つの問題にぶつかりました。そのことはどういうことかといいますと、排水に関して申しますと、日本とアメリカの実情が違うということもありましょうが、アメリカ的なやり方で排水処理をしておる。たとえて申しますと、非常に簡単な例なんですが、屎尿処理生活用水を一応一緒に合流させまして、それをまとめてそこで腐敗をさせまして、そういう処理をして流してくる、こういうような問題がございます。そこでわれわれといたしまして、国内法の中でいろいろつかまえております施設のどの施設と見るのかという問題がまずございます。それと、それが適正に管理され、運営されていれば、どの程度の負荷量になるのかというような評価の問題もございます。そういう問題で実は検討を加えておったわけでございまして、そういうことのために結論についての答えがなかなか出なかったという事情がございます。  それから嘉手納につきましては、これは現在調査の分析の結果を取りまとめてそれから評価を行なうという段階でございます。  あと陸軍等の施設につきましては、向こうから出しました回答に対しまして、こちらもいろいろその結果を取りまとめて、現在その数値等の解析を行なっているというのが現状でございまして、一番最初に入りました海兵隊関係につきましては、なるべく早くその結果を米軍に申し入れまして、改善を要するという点につきましては、その措置をとっていただくということで処理してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  202. 上原康助

    上原分科員 質問を出して、それの回答に問題があればまた調査するんだというお答えですが、具体的にたとえば牧港の兵たん補給地区の場合に、基地から排出される油やその他の汚物で相当海岸一帯が汚染されているということが浦添市の調査の結果その他でも具体的に明らかになっているわけですね。きわめて重大視しなければいけないのは、カドミウムあるいは鉛、そういったものさえも基準をオーバーする数値というものが検出をされたということもあるわけですよ。そのほかの基地も、相当公害をたれ流しているという事実がこれまで出てきているわけです。政府は立ち人り調査は実際にできないわけですか。全地域にわたって四十八年度中に調査をしたいというのは、沖繩調査団の現地の記者会見などでも、これまで明らかにされてきたと思うのですね。一体そうできないネックは何なのかという点をもっと明らかにしていただきたいと思うのです。  それと、時間が限られておりますので、二、三点ずつまとめてお尋ねをしたいのですが、政府環境庁調査団も牧港兵たん補給地区のいわゆる汚染源、そういった汚染をしている事実を調査をしたいということで立ち入りをしたいというのを申し入れた。しかし、それが軍側の意向によって拒否といいますか、受け入れられなかったというふうに承っております。その原因は一体なぜなのか、そこらについても明確にしていただきたいと思います。
  203. 森整治

    ○森(整)政府委員 先ほどちょっと漏らしましたけれども、海軍の施設につきまして、現にすでに昨年に佐世保の調査に行っております。あと、横須賀の基地にも立ち入り調査をする予定でおります。したがいまして、必要な調査を行なうということについては、われわれとしては何も遠慮を少しもいたしておらないつもりでございます。  それから牧港の問題につきましては、これは質問状を出して、いろいろ回答をもらっている最中のできごとであったというふうに記憶をいたしております。したがいまして合同委員会が設けられて、そこで調査が行なわれたわけでございます。その後の質問状に対する回答の結果によりまして、われわれとしては特にさらに立ち入って調査をする必要というのを現在のところ考えておらないということでございます。
  204. 上原康助

    上原分科員 そういたしますと、牧港補給基地のいわゆる汚染源といいますか、基地から排出される物質によって海岸やその他の汚染というものは、さほど問題でないという立場でとらえていらっしゃるわけですか。     〔主査退席、中村(弘)主査代理着席〕 人身に影響がないというとらえ方をしているわけですか。
  205. 森整治

    ○森(整)政府委員 われわれが承知をいたしておりますのは、調査の結果、合同委員会で改善対策として取りまとめが行なわれたと聞いております。それで、先生ももちろん御承知と思いますので省略をいたしますけれども、その対策を講じ、また講じられれば、一応その改善の目的が達成されるというふうに考えておりますが、なお、さらに特に御指摘の問題があれば、またその必要があれば、われわれとして調査を惜しまないというつもりでございます。
  206. 上原康助

    上原分科員 四十八年九月六日付で、沖繩県庁、県側といわゆるアメリカ側の代表からなる環境汚染合同調査委員会というものが設置をされて、それ以前に設置をされていますが、いま言った日付で報告書が発表されていると思うのです。それについては政府は知っていらっしゃるのですか。その報告は受けたのですか。
  207. 森整治

    ○森(整)政府委員 承知をいたしております。
  208. 上原康助

    上原分科員 では、さきの御答弁では、問題があればさらに調査をしたい。その調査報告を見ても問題はないということですか。
  209. 森整治

    ○森(整)政府委員 改善の対策が講じられれば、それで問題がないといいますか、改善の対策が講ぜられれば原因がなくなるというふうに判断をしたわけであります。
  210. 上原康助

    上原分科員 それは少しおかしいですよ。確かに、対策を講ずれば、排出をする汚染は防げるでしょう。しかし、すでに汚染されたところの処理については全然なされていないわけでしょう。きょうは時間がありませんから具体的な面は触れられませんが、相当、環境基準を上回る物質等が発見されているわけでしょう。この中でもいろいろ指摘されているわけですよ、カドミウム、鉛とか。これが人体に影響ないということはいえないと思うのです。では、なぜこの報告書は明らかにできないのですか。それはアメリカ側が明らかにしては困るということですか。それとも、県側が明らかにしてもらいたくないということなのか。そこらもはっきりさしていただきたいと思うのです。
  211. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘の問題につきましては、至急、要するに改善措置を講ずる上、それは必要があればもちろん公表してもさしつかえないというふうに私どもは考えております。
  212. 上原康助

    上原分科員 私が承っていることは、いわゆるこの合同委員会を設立をする場合に、資料の公表については日本政府及び米国代表双方の承諾を得ることになっているのですね。日本政府の承諾というものがなかなか得にくい面もある、それが事実なのか、ぜひ明らかにせねばしかないのです。この報告書は相当問題がありますよ。私はあまり科学的なことはわかりません。わかりませんが、いまあなたが答弁するようなしろものではないんだよ、これは。実際に八カ所に及んで場所を定めていろいろ調査をしているわけでしょう。そして二、三点あげてみても、たとえば「ステーション十一の流水は鉛及びカドミウム化合物によって汚染されている。全ステーションにおけるCOD、BODは有機汚染を示すものとして現行基準をばるかにこえている。」こういう報告書になっているわけですよ。ですから、ただその排出をする、たれ流しをする、その部署だけの対策を講じても、すでに汚染をされている海岸やその一帯の処理というものはどうするのか、全然不明確なのです。そこをやるのがやはり環境庁のお仕事なんじゃないですか。ヘドロは取り除いたのでしょう。一体、牧港一帯の海岸からとるであろう魚や貝というものはほんとうに食用にしても十分なのか。これだけのことではないんだ。いろいろ原子力の放射能の問題などもたくさんありますが、そういう基地被害の実態というものをもう少し権威ある立場で安全性というものを明らかにしないと、疑惑を招くだけだと思うのですね。このいわゆる運営の内容なりいろいろな報告書を見て、もしも、日米両政府の合意を得て発表することになっている、その合意が得られないで、このものが秘密にされているということであるならば、私は重大な問題だと思うのです。その点、明らかにしていただきたいと思います。
  213. 森整治

    ○森(整)政府委員 私ども別に調査結果、その後それに基づいてとるべき措置、あるいはわれわれが質問をいたしましたことに対する回答、それに対して不満の点があれば、さらに申し入れを行なうということについて何ら遠慮はしておりません。ただ全体の調査を、先ほど申し上げましたように、まず海兵隊の分から逐次取りまとめをいたしまして、それを全部まとめて公表するか、御要望があれば、そのつど、それを先に公表していくかという手順の問題として考えておるわけでございます。隠したりするつもりは毛頭ございません。  それから、過去の蓄積された汚染問題があるではないかという御指摘でございますが、なお調査をいたしまして、必要とあれば、結果公表の際にあわせてその措置もどうするか、必要ないかあるかということも、あわせて発表いたしたいと思っております。
  214. 上原康助

    上原分科員 これは大臣にぜひ御答弁いただきたいし、またそのように処置していただきたいのですが、いま、いろいろ基地被害について質問書を出したり、調査をした、まだ分析途中であってということですが、どういう質問をし、どういう回答が米側からあったのか、また政府が分析をした結果はどうなっているのか、ぜひ明らかにしていただきたいと思うのです。そうせぬと、ベールに包まれた基地の中の実態というものをますます疑惑を持たす結果になります。その点をぜひ公表をするようにしていただきたいし、資料としても、委員長にお願いをしておきたいのですが、提出をするように求めたいと思います。  時間がありませんので、これと関連いたしまして、そういたしますと、国内関係法規というものは、軍事基地の施設、区域にも及ぶわけですね。特に大臣御案内のように、大阪国際空港の騒音訴訟の判決などもあります。私自身も中身は不満な点もあるわけですが、基地にもあの考え方というものは及ぶ。特に嘉手納の飛行場から発生する爆音なんか百ホンをこす数値というものは、政府調査によっても明らかにされているわけですね。いかにひどいかは今日までいろいろ言ってきましたので、そういった国内の公害関係法規というものは基地内にも及ぶのだ。その基準を上回るもの、あるいは基準を満たしていないものについては、米軍基地といえども政府の立場で行政指導なり罰則も加えていくのだ、政府はそういう姿勢で基地に対してもやるというお考えなのか、これも明確にしていただきたいと思います。
  215. 三木武夫

    ○三木国務大臣 前段の沖繩の方々が環境問題に不安を感ずるということは理解ができることでありますから、上原委員の言われるように、できる限り資料は一般の人たちに周知できるような方法をとることにいたします。  後段の問題については条約関係もありますから、外務省が答弁をいたすことにいたします。
  216. 角谷清

    ○角谷説明員 お答え申し上げます。  国内法が米軍の基地に適用があるかというような御質問であったかと思いますが、国内法は、米軍の公の行動に関しましては、そのまま適用があるということは申せないわけでございます。ただ地位協定十六条にもございますように、米軍の義務といたしまして国内法を尊重するということ、これは明らかになっておるわけでございます。したがいまして、環境に関連いたしまする国内法も、そのままでは米軍に適用するということは法律的には申し上げかねるわけでございますけれども、しかしながら、この環境問題の重要性というものは絶えずアメリカ側に申しておりますので、米軍といたしましても十分知っておりまして、実体的にはこれを尊重するという立場であると、われわれは思っておるわけでございます。  それから、もしお許しいただければ、先ほどの牧港の件について外務省が了解しておりますところをちょっと申し上げたいと思うのでございますけれども、牧港は他の十九基地の中の一つとして四十七年の十二月でございましたか、日本側環境庁のほうから調査表というものを先方に送りまして、その結果が、たしか四月でございますか、あったと伺っておるわけでございます。  ただ、これとは別に四十八年の五月三十日ですか、現地のメープルズ米軍司令官と屋良知事の会談がございまして、その結果、米軍と沖繩県の合同で環境汚染の調査を行なうということになりまして、その結果があるいは先ほど先生の御指摘になった調査報告という形であらわれたものと私は了解しております。この結果は環境庁のほうで御調査の上、問題があれば、いずれ中央でなり何なりで御検討になるというように了解いたしておる次第でございます。
  217. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私から補足しておいたほうがいいと思うのですが、基地は管理権はアメリカが持っておるのですけれども、環境の基準に対してはアメリカも守る、こう言っておるわけで、協力をする。いままでもいろんな場合に協力の姿勢を示しておりまして、日本の国内法を尊重するということになっておるわけでありますから、環境の保全については、われわれとしても協力をしてもらいたいという立場に立って、米側と今後とも折衝をいたす方針でございます。
  218. 上原康助

    上原分科員 時間が来ましたので、もう終わらざるを得ませんが、三木長官にしては、いまの御発言は非常に後退しているのです。外務省にまかしておったのでは、こんなものはできない。ほんとういって外務省の答弁を聞きたくないほど、いろんな面で外務省のやり方に私は不満を持っている。  復帰前に私は環境問題を取り上げて、当時大石さんが環境庁長官をしておられたころも、この基地公害の問題を取り上げたのです。私の質問に対して、こういう答弁をはっきりしておられるのです。四十七年の三月二十四日のこの予算分科会ですが、「本土復帰後は、公害対策中心はやはりわれわれが担当しなければなりません。そういう意味で、基地といえども日本の法律を守るように、規制を守るように十分に行政的に仕事をする考えでおります。それは単独にやりますか、あるいは防衛庁を通じますか、あるいは外務省を通じますか、これはもう少し検討しなければなりませんけれども、いずれにしても積極的に環境を保全するために努力いたす考えでございます。」復帰すれば環境問題については環境庁がやるんだということを、かつての大臣が言っておられるのです。  こういうことですから、私は、大臣が一ぺん責任ある答弁をした以上は、それを行政の中で生かすというのが政治だと思うのです。だんだん後退してきて、いろんな疑惑というものがたまってきている。これじゃいかないと思いますので、いまの環境問題については、皆さんが御調査した内容をぜひ明らかにすると同時に、アメリカに対しても、きびしい注文をつけるべきだと思うのです。その決意をもう一度お伺いして、きょうは牧港の例しか申し上げませんでしたが、原潜の汚染の問題なども、いろいろ資料を調べてみますと、非常にひどい面がある。そういう問題も逐次明らかにしていきたいわけですが、ベールに隠されている基地に対しては、かつて外務大臣もなされ、副総理の地位でもあられるわけですから、もう日本政府も日本国民もアメリカにはあまり遠慮する必要はないんじゃないか。何で、アメリカの基地があるがゆえに爆弾が落っこちてみたり破裂してみたり、これまで被害を受けなければいかないのかという、その怒りに立って環境問題もやっていただくように強く要求して、答弁を求めて終わりたいと思います。
  219. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いま読み上げられました大石長官のその方針ともいささかも後退をしておりません。日本の国内法、しかも環境保全という、人間の生命、健康にも関係を持つ環境の保全でありますから、これはわれわれは国内法の立場に立って、アメリカに対しても日本の国内法を尊重するように、強く今後アメリカとの間にも折衝をいたす所存でございます。何もアメリカに対してこの問題で方針が後退ということは、いささかもないということを申し上げておきます。
  220. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 次に、森井忠良君。
  221. 森井忠良

    森井分科員 私は、まず昨年の忘れもしません九月の二十六日の衆議院の本会議で本格的にきまりました瀬戸内海環境保全臨時措置法、御案内のとおり十一月からいよいよ施行になっておりますが、まずこの問題についてお伺いをしたいと思います。  申し上げるまでもなく、これは三年間の時限立法であります。したがいましてその三年間に、環境庁としては基本的な方針を樹立されて、文字通り死の海と化しつつある瀬戸内海を生き返らせる、そういう段取りになっておるわけであります。これはざっと二千万人といわれております沿岸の住民あるいは九万人に及ぶ漁民、非常にたくさんの国民から期待をされておるわけであります。しかし、そうは言いますものの、全く新しい法律でありまして、環境庁としても事務手続の整備その他お骨折りがあったのではないかということも理解をしておるわけであります。そこで、まず初めに、すでに五カ月に余って日にちが経過をしておるわけでありますが、おもな作業について一体どの程度進んでおるのか、事務当局からお伺いをしたいと思います。
  222. 森整治

    ○森(整)政府委員 十一月二日に施行になりまして、第一回の審議会を十二月の末に開きました。その際、各府県に、要するに二分の一カットするその各府県の割り当て量はいかがにすべきかというのが一つ。それから、埋め立ての基本方針、瀬戸内海の特殊性にかんがみまして、その配慮すべき基本方針につきまして諮問をいたしました。本年に入りまして一月末、負荷量の各府県の割り当てにつきまして答申をいただきまして、それを各府県に通達いたしました。それから埋め立ての方針につきましては、部会を設けまして、それについて数回論議をし、専門委員会に具体的な数字の問題を詰めていただくということを行なっておる段階でございます。
  223. 森井忠良

    森井分科員 そうすると、CODの割り当てについては、すでに済んでいる、いまそれぞれの府県段階で条例をつくるための——おそらくそれぞれ改正になるわけでしょうけれども、現在進められておるということなんですね。環境庁の見通しとしては、それぞれの府県にいわゆる上のせ基準が条例としてそろうのはいつごろになるのか、早いところはもうすでにやっているでしょうけれども、その辺について明らかにしてもらいたい。
  224. 森整治

    ○森(整)政府委員 県によって若干事情が異なっておりますけれども、従来開かれました連絡会議では、大体六月を目途に改正を行なうようにという指導をしておるわけでございます。
  225. 森井忠良

    森井分科員 私どもが仄聞をしておりますのは、現実にこの汚濁負荷量の割り当てをする場合に、どうしてもたてまえと本音が違うと申しますか、知事会議その他でも出ておりますように、開発の先進県だ、後進県だという形でいろいろ問題があったように聞いておるわけです。それと関係があるのかないのかわかりませんけれども、条例め改正作業につきましても、早いところとおそいところでは、現にたとえば私の選挙区でございます広島県あたりは、もうすでに県会に提案する運びになっておる。おそいところは、いま六月とおっしゃいましたが、九月というところもあるのじゃないでしょうか。それで私が心配しますのは、やはり早いところとおそいところ、いずれ三年という期限があるわけですけれども、やはり環境庁としては、用意ドンとまではいかなくても、ある程度作業の進め方等について積極的な指導をされる必要があるのじゃないかということが一つ。それから二つ目は、実際に汚濁負荷量を割り当てされるとき、スムーズに気持ちよくそれぞれ関係府県がのんだのかどうなのか、この点も明らかにしてもらいたいと思います。
  226. 森整治

    ○森(整)政府委員 第一点の問題でございますが、いずれ三年後には各府県に割り当てられました負荷量に合わせなければいけないということでございますが、ただ法律の規定にございますように、段階的に減らしていくというのが一応のたてまえになっておるわけであります。一番最後にまとめて全部下げるというのは、実際問題として非常にむずかしかろうと思います。法律に定められた原則で逐次下げていくということで指導をいたしたいというふうに考えております。また、現にそういう指導をいたしております。  それから第二点の問題でございますが、ニュアンスとして、そういう問題は確かにございました。約半分くらいの県が、一応の考え方としましては、一番きつい基準に合わせて基準をつくったわけでございます。そういう関係もございまして、若干の折衝というものはございました。ございましたけれども、その点はやはり県の内部の実際今後指導していかれる立場の問題として、まあわれわれが押っつけた、押っつけないというよりも、今後は県がそれをもらったものを各企業に配分していくということでございますから、その辺のいろんな折衝があった、そういう過程があったということは否定できないし、またそれが一つの前進になっているというふうにわれわれは理解しているわけでございます。
  227. 森井忠良

    森井分科員 私が特にしつこく聞くのは、幾ら割り当てをいたしましても、条例で上のせ基準をつくりましても、しんからこの瀬戸内海環境保全法の趣旨を理解し、それを進めていくという立場でなければ、これはざる法にひとしい、そういう感じがしてならぬわけです。したがって、割り当てをきめただけでは、ほんとうはいけないのでして、たとえば監視体制の問題であるとかその他たくさんあると思うわけでありますが、そう言っては何でありますが、その場合に受け入れる側の府県知事なり市長さんというものは、いままで実際問題として、たとえば公共投資だけでもおそらく一兆円をこしておるでしょう。その八割五分くらいは、いわゆる生産基盤の整備という形に向けられてきたと思う。おれのところは投資をしておるじゃないかという気分がまだ依然として抜けておらない。これはあとで申し上げますけれども、そうしますと本気で守ってもらうためには、議論があって、そしていま完全に了解してもらったということですけれども、割り当てをきめるだけで実際に環境庁に手足がないわけでありますから、第一線で瀬戸内海をきれいにしてもらうということになると、やはり府県の仕事にならざるを得ないだろう。そういう判断に立つならば、私は単に汚濁負荷量をきめて、これでもう環境庁の仕事は終わりというのは、まあそうじゃないと思いますけれども、やはり問題があるのじゃないかという感じがしてならないわけであります。  たとえば、これは次の質問になるわけでありますが、埋め立てについて申し上げてみますと、私どもの聞いております範囲で、埋め立て行為そのもの、特に民間ということもありますけれども、いわゆる地方公共団体が依然として埋め立てをやめようとしておらない。もう瀬戸内海の自浄作用一つとってみても、埋め立ての害悪というのは私が申し上げるまでもないと思うわけです。ところが、この法律ができた後でも依然として積極的な姿勢にある府県がある、そういうふうに思うわけです。先に聞いておきたいのですが、埋め立てについての作業はどうなっていますか。
  228. 森整治

    ○森(整)政府委員 先ほど申しましたように、部会で議論をいたしまして専門委員会を十五日に開いてということで進めております。当初三月末までに基本方針を出していただくということでお願いをしておりましたけれども、若干おくれる見通しでございますが、いずれにいたしましても、早く具体性を持った方針を出していただくということで作業を進めておるわけでございます。
  229. 森井忠良

    森井分科員 環境庁考え方は白紙ですか。たとえばこの法律ができるときは、各党それぞれ若干のニュアンスの違いはありましたが、私ども社会党のように絶対認めないという立場もありましたし、あるいは自由民主党の皆さんの場合でも原則として認めないという立場であったように私ども記憶しておるわけであります。で、部会でおはかりをしておりますというだけで、どちらへ向いてもよろしゅうございますという立場なのか、この点大臣いかがでしょうか。
  230. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは環境保全のためにはもう抑制をする。埋め立てをして、いろんな用途もございますから、絶対にいかぬというわけにはいきませんけれども、埋め立ては極力抑制するというのが環境庁の方針でございます。
  231. 森井忠良

    森井分科員 そうしますと、いま部会で検討しておるのは白紙だけれども、大臣としては、いま答弁にございましたような立場でお臨みになる、こういうふうに理解をいたします。  そこで、瀬戸内海環境保全法の中で埋め立ての占めるウエートといいますか、これは私は高いものがあると思うわけですね。目的は、もうくどいようでありますが、瀬戸内海の海をもとどおりきれいにするということでありますから、埋め立てそのものが瀬戸内海の浄化作用に大きく障害になっておるということにつきましては、あらためて申し上げるまでもないわけでありますが、具体的にたとえば関西電力が姫路に計画しております天然ガスの火力発電所、これは兵庫県は認める方針でおる。あるいはこれは私の選挙区でありますが、竹原市周辺に中国電力が火力発電所を、これも海面を埋め立ててつくろうとしておる。和歌山県では下津港の港湾計画の中で六百二十五万平方メートルという大きな埋め立てが計画されており、すでに港湾審議会でパスをしておるというふうに聞いておるわけです。さらに、これは新聞の記事でありますから正確ではありませんけれども、愛媛県の白石知事は、西条やあるいは長浜の埋め立て計画というものは予定どおり実施をするという言明をしていらっしゃる。  こういうふうに具体的な例で申し上げますと、いま環境庁が先ほどの答弁のように部会で何かやっていらっしゃる間に、同じような構成メンバーの瀬戸内海の沿岸の府県知事がどんどん埋め立てについて前に進んでおるという立場なんですね。これでは先ほど申し上げましたように、仏つくって魂入れずで、実際には、残念でありますけれどもなしくずしに事実上いままでと全く変わらない瀬戸内海というものになるんじゃないか、この点を憂えるわけです。大臣いかがでしょうか。
  232. 三木武夫

    ○三木国務大臣 基本方針をきめますが、大きい埋め立てについてはいま折衝中ですけれども、環境庁がこれに関与したほうがいいということで、いまこの問題は折衝をいたしておる次第でございます。
  233. 森井忠良

    森井分科員 公有水面埋立法の改正が昨年ありまして、当然環境庁の発言力というのは大きくなったということについて私は理解をした上で、いま御質問申し上げたわけです。そこで手続からいけば、公有水面埋立法がありまして一定の免許基準があるわけでありますから、それに上のせをして先ほどの審議会で方針を出した上で、両方相あわせて瀬戸内海の埋め立てを考えるという現在までの時点の情勢だと思うのです。そうしますと、いま部会で作業中ですと、先ほど申し上げましたように、もう五カ月たっておる、三年間の時限立法の中で。それはともかくとしまして、いまから方針をつくりますという形なんでしょう。私はそれなら、いま大臣の答弁もありましたけれども、方針ができるまでは一切計画に待ったをかける、これだけの姿勢が環境庁にほしいと思うのです。大臣、いかがでしょうか。
  234. 三木武夫

    ○三木国務大臣 基本方針が、いずれにしてもこれは長期にわたって埋め立てというものに対する一つの規制を行なうわけでありますから、基本方針の作成を督促することが私は一番現実的だと思いますので、これを三月中にといっておったのですが、延びるかもしれぬというわけですが、できるだけ早く基本方針を決定するように努力いたします。
  235. 森井忠良

    森井分科員 それじゃ事務当局にお伺いするのですけれども、いつごろこの部会の結論が出、最終的に瀬戸内海環境保全審議会の結論が出るのですか。
  236. 森整治

    ○森(整)政府委員 三月ということで考えておったわけでございますが、若干延びざるを得ないと思っております。ただ、大臣から御答弁申し上げましたように、ともかく早くいたしませんと、先生御指摘のようにいいか悪いかということはともかくとして、いろいろ港湾の整備だとか、端的に申しますと、たとえば徳山湾のヘドロをどうするとかそういう問題も現にあるわけであります。急いで方針をきめませんと手がつかないという状況でございますので、ともかく早く結論を出して支障のないようにしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  237. 森井忠良

    森井分科員 若干無理な質問かと思いますが、めどとしてはいつですか。早くというのは、日本語はいろいろ複雑でありまして、私はいつまででも待てるような表現になると思うので、めどを明確にしてもらいたい。
  238. 森整治

    ○森(整)政府委員 これは専門委員会で検討いたしましたものをもう一回企画部会でクリアーしないといけないと思います。率直に申しまして、あまりしゃべりませんけれども、先生御指摘のように埋め立てはもう認めるべきでないというのと、そうはいかないという意見がございました。そういうのをともかく数字的に詰めてみるということでおろすわけであります。したがいまして、もう一回企画部会でまた大激論があると思います。そういうことを考えますと、非常に慎重な答えにならざるを得ないのでございますけれども、私どもとしましては、三月がだめなら四月ということで、ともかくお願いをしておるというのが現状でございます。
  239. 森井忠良

    森井分科員 とかくこの問題は、法律はできたが、ほんとうに実施をする場合にはむずかしいという認識を私は持っておるわけです。だからこそ埋め立てについて、それなら時期はともかくとして、先ほど大臣の答弁がありましたけれども、やはり埋め立てに対して、環境庁としてきちっとした態度を持つべきである。魚がよくつくといわれます水深十メートル以下のいわゆるモ場になるところ、そういったところはほとんどないのですよ、そう言っても過言でないくらい。もう埋めて安くつくところは、ほとんど企業で埋められておる。もう数字は申し上げませんけれども、そういう状態でしょう。ですから企画部会その他でも、先ほど私が指摘をしたように、利害が対立しておると私は思うのです。そうしますと、白紙で環境庁が形式的に審議会にかけるというやり方は、ずいぶん後退したものである。先ほどの大臣の答弁を私は高く評価いたしますけれども、やはり埋め立てを基本的に認めないということをここで確認できますか。その点だけ明確にしていただいて、私は次の質問に移りたいと思うのです。
  240. 三木武夫

    ○三木国務大臣 認めないという確約はできませんが、それはいま言ったようにいろいろな用途があって、認めないということを確約することは事実上できないと思いますが、極力抑制をする方針で、これからの基本方針の策定については、そういう方針のもとに、いろいろな審議会にかけるということでございます。
  241. 森井忠良

    森井分科員 若干不満でありますけれども、環境庁の努力をこれから期待したいと思います。  関連したような質問でありますが、次の質問をしたいと思います。  大臣、これは失礼でありますけれども、去年の六月ごろの新聞であります。ずいぶん切り抜きがあります。つまり去年の六月に、例の水産庁が全国の十三都道府県、十四水域にわたりまして汚染調査を、精密調査をいたしました。そしてあれだけ大々的に世の中をにぎわしました。文字どおり、魚を生産しております漁民も、それからそれを消費しております国民も、これは戦々恐々となった問題であります。去年は御案内のとおり、最初物不足から始まりまして、商品投機防止法、そのあとで今度はいま申し上げました魚介類の汚染という問題が大問題になりました。  いま、たまたま世の中が変わっておりまして、そういう意味では、要するに物不足あるいは物価高、これが時の焦点になりました。どちらかというと、去年のあの大問題を起こしました水産動植物の汚染の問題については、率直に申し上げまして、忘れられた感がある。三木長官その者も、去年は時の人でございましたが、ことしは油で時の人にはおなりになりましたが、肝心の本職のほうは、しばらく留守になったように思うわけです。しかしこれは非常に深刻な問題であることは間違いありません。  去年、ああいうふうに公害の健康被害の補償法案をお出しになりまして、初めての法律ですが、できました。しかし、いま申し上げましたような漁民の生活の被害あるいは財産被害、そういったものについては、ついに、去年あれだけ大騒ぎをいたしましたにもかかわりませず、実りませんでした。三木長官は去年の二月二十七日の衆議院の公害対策特別委員会におきまして、わが党の阿部未喜男委員から、いまこれだけ深刻な漁業被害がある、健康被害については長官のほうでお答えだけれども、一体物の被害はどうしてくれるのだ、こういう問題が出てまいりまして、長官は、極端に申し上げますと、一ぺんに二つはできない、まず健康被害からやっていこうではないか、四十九年度は——御記憶は新ただと思いますので、議事録を読み上げるまでもございませんが、四十九年度は、ぜひ今度は物の被害に手をつけたい、そういうふうに言明をしていらっしゃるわけであります。私は首を長くして待っておりました。いわゆる物の被害に対する措置も、昨年に続きまして、三木長官ヒットを打たれるのではないかと思っておりましたら、ことしは例の健康のほうの一部改正案が出ただけで、そのままさたやみであります。一体これはどうなっているのでしょうか。
  242. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いわゆる生業補償という問題でありますが、これは実際にいろいろな被害を受けて、そして漁業者などにしても非常な損害をこうむっておるわけでありますから、これは捨ておけないという感じであります。何か健康の被害に対する補償法が軌道に乗れば、どうしてもやはり生業補償の問題に手をつけざるを得ないというこの考えは、私も変わっていないわけです。ただ、しかし、あの法律の中に、生業補償も何とか入る方法はないかと思いましたけれども、しかし健康と生業というものは非常にやはり本質的に違いがあるものですから、どうしてもこれは水産庁、農林省を中心として、この問題は立法化をしてもらわなければ、生業被害の態様というものが非常に複雑になっておりますし、ことにまた赤潮のような場合は、原因者というものもなかなか究明しにくいものがありまして、どうしてもこれはやはり立法化しなければならぬという必要から、いろいろ水銀の問題が問題になったときにも、しばしば連絡会議があったものですから、そこで農林省にこの問題は研究をしてもらって、至急にこの問題を立法化をしてもらいたいということを強く要請いたしまして、当時の櫻内農林大臣であったと思いますが、農林省のほうとしてもその必要を感ずるから、至急に研究をいたしますということで、現に研究は続いておると承知いたしておるわけでございますから、何かいろいろな困難はあっても、ああいう水銀の問題などが起こってきたときに、そのときはいろいろの過渡的な処置で処置はいたしましたけれども、やはり漁民の人の経営の安定ということから考えたら、そういう立法化が必要と思いますので、さらに、私も予算委員会等で発言したことはよく覚えておるわけであり、農林省を督促することによって、責任を果たしたいと考えておる次第でございます。
  243. 森井忠良

    森井分科員 御存じであると思うわけでありますが、三木大臣は、阿部委員の質問に答えられまして、最後は、まず第一段階としては健康被害である、具体的に四十九年度にはすでに研究に着手をするということばが使ってあるわけであります。いまのお話ですと、若干、げたを農林省に預けられたような感じがありまして、きわめて不満であります。これは、大臣、こういう問題をはらんでおります。たとえば瀬戸内海で申し上げますと、岩国あるいは徳山、岡山県の水島、その他たくさんありますけれども、それぞれいわゆる加害者としての企業が明らかになりました。漁民は当然そこへ押しかけていきました。そして補償の要求をいたしました。何がしかの休業補償なりその他の補償をもらって当座は落着をしておるわけであります。ところが、広島県のようにたまたま水銀なりPCBなりを排出する企業は県内にはなかった。ところが瀬戸内海は一つでありますから、水銀、PCBの汚染については、もう御承知のとおり魚価が暴落をするという問題が出てまいりました。被害は全く同じであるにもかかわらず、その県内に加害企業がないというふうな場合には、漁民は、法律的にはともかくとして、実態としては広島県から山口県の県庁へ行ったところで、あるいは該当の企業へ行ったところで、あなた方はよその県の方ですという形で、ほとんど取り合ってくれない、こういう実情があるわけであります。それから、公害の補償ということになりますと、当然因果関係の問題が出てまいります。これも明確でないというようなこともありましょう。かてて加えて赤潮という問題があるわけであります。漁民はあれだけ甚大な被害を受けながら、言うなればつけを回すところがない。去年もほんとうに落胆をした一年が過ぎたわけであります。まあもう一年待て、三木長官がことしは必ずつくってくれるということで今日まで推移いたしました。いまの長官の答弁では、先ほど申し上げました瀬戸内海だけでも九万人の漁民がおりますけれども、いまきわめて落胆をしていると思いますので、再度長官から前向きな御答弁をいただきたい、このように思うわけです。
  244. 三木武夫

    ○三木国務大臣 四十九年度から研究に着手するということをここで申したわけですが、それは四十九年度に、前から水銀の問題が起こったときから必要だと考えまして、これはただ、げたを農林省に預けたというわけではないわけで、私もそういう答弁をしておるわけですから、責任は感じておるわけでありますから、農林省を中心として、この問題をひとつ立法化するために、私も責任をもって農林省等を督促して、なるべく早く実現を見るようにいたしたいと思うのでございます。  ただ赤潮の場合は、家庭用下水なども——いま先刻の質問の中にも、合成洗剤などからくる富栄養化という問題が問題になったわけであります。そういう問題もありまして、因果関係の証明はやはり非常にむずかしい問題がある。こういうので簡単にいかない面もございますけれども、しかし漁民の方々の非常な不安があるわけでありますから、何とかこれを救済する方法がないかということは真剣に検討をいたします。
  245. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 ただいま大臣から申されましたことをちょっと補足いたしますが、私どもは、農林省が中心になるわけでございますけれども、具体的に救済措置がとられますように、いろいろな点で努力をしておるわけでございます。先般のつなぎ融資の特別立法のことはともかくとしまして、来年度の予算におきましても、一つは赤潮による漁業被害対策としまして、漁業共済制度の中に赤潮特約の制度を設けまして、共済掛け金につきまして国が三分の二、県が三分の一を負担する、こういう制度が設けられております。また、原因不明の油濁被害につきましても、これを民法法人の基金を設置しまして実施に移すということで、関係の運営費の一部を国の補助予算として計上されておりまして、金額は約四千万になるわけでございます。こういうことで、法律はまだ出す段階でございませんけれども、個別的に対応策をとると同時に、基本的な今後の考え方の整理等も、私どものほうでもいたしているような状況でございます。
  246. 森井忠良

    森井分科員 そんなら一言。いま大臣は、健康被害の補償法と同じように——いまあなたがおっしゃった施策はわかるけれども、それよりもさらに前向きに、赤潮であるとかあるいは発生原因のわからない水銀、PCB等の汚染であるとか、そういったものについては国が責任を持って措置をしていく、農林省その他と話し合いをする、考え方としては健康補償と同じようにやっていくという立場で、大臣から答弁があったわけですよ。これで尽きておると思うのでありまして、いまあなたが言われたような問題について、これは当然政府としてやらなければなりませんが、たとえば共済制度一つとってみましても、もちろん国費の足し分はあったとしても、これは保険と同じですよ。そうではなくて、先ほど申し上げましたようなきびしい現実からして、政府が責任を持ってその措置をするという立場で御検討願いたいと思うのです。時間が来ましたので終わりますが、来年またあらためてこの問題については御質問したいと思います。  以上です。ありがとうございました。
  247. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 次に、近江巳記夫君。
  248. 近江巳記夫

    ○近江分科員 二月の二十七日の大阪国際空港騒音訴訟の判決を契機に、環境庁としてもいろいろお考えになっていらっしゃると思うのですけれども、そうした問題について、まずお伺いしたいと思います。この大阪国際空港周辺におきます航空機によります騒音あるいは大気汚染などの公害につきまして、環境庁はどういう見解をお持ちか、それをお聞きしたいと思うのですが、この判決におきましても、非常に深刻な状態である、また園の行政というものが非常に立ちおくれているということは、指摘しておるわけですね。そういう意味におきまして、環境庁として、非常にひどいと思っていらっしゃるのか。あるいはこの大気汚染の問題にしましても、非常に窒素酸化物も多いわけでありますし、いろいろな事実がやはり次々出てきているわけです。こういう点におきまして、基本的にどのようにお考えであるか。
  249. 三木武夫

    ○三木国務大臣 判決が下りましたときにも私は申し上げたのですが、大阪の国際空港は、これはもう環境条件としたら日本の中で一番きびしい飛行場であるわけでありますから、この判決がおりたという、これを契機にして騒音対策というものを積極的に推進していきたい。そのために翌々日すぐ関係閣僚に寄ってもらって、そして各省でこの判決にこたえていこうではないか、そういうことで、各省がいろいろ検討する問題がたくさんありますから、関係各省でいろいろ相談をして、いま検討をいたしておる最中であります。したがって、あそこの飛行場に対しては、環境の上からいって非常に深刻な問題をかかえておる飛行場であるという認識を持っておるものでございます。
  250. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それから、昨年の十二月に環境庁が告示をもって発表されました環境基準の中に示されております、空港の類別による基準の達成期間のうち、大阪空港の十年というのがありますね。この判決を契機に、私はどうしてもやはり短縮すべきだ、このように思うのですが、どのようにお考えですか。
  251. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはたいへんにきびしい環境基準であって、今日の航空機の技術からしたら不可能といえる基準であります。それは御承知のように、五年後に八十五WECPNLでありますが、それの次に持っていこうという環境基準は七十でありますから、今日そういうふうな騒音の華準というものは、いま飛んでおる飛行機のもとにおいてはなかなか達成できない基準であります。したがって、われわれは、航空機のエンジンの改良というものを世界各国が競い合ってやっておるわけでありますが、その技術開発について相当大きな期待をかけておるわけであります。日本はエンジンをつくっていないわけですから、各国の技術開発に期待をかけるほかないわけでありますから、現在は不可能なことを環境基準としてきめるということは、環境基準というものの性質からしても好ましいことではないということで、十年をこえてできるだけ早くというような表現をとったわけでありますが、しかし、これからエンジシの開発の状態等もにらみ合わせて、できれば早くそういう目標を達成することが好ましいことは言うまでもないわけでありますから、そういう技術開発等にらみ合わせて、そういうことをきめたけれども、これを早めることはみなが歓迎することでありますから、できるだけ早めるような条件が生まれてくれば、早めることに対しては進んでそういうふうにやりたいと考えておる次第でございます。
  252. 近江巳記夫

    ○近江分科員 この大気汚染の問題確かに現地におりますと、航空機の排気ガスというものは、私たちのはだでそれはもう感じるわけです、その臭気といい、またその濃度といい。そういう点におきまして、特に勝部地区等におきまして、大臣も御承知のように、特に子供に鼻血が非常に多いわけであります。それから、特に婦人であるとか病人ですね。一日じゅう在室しておる人などは、非常に頭痛を訴えておるわけです。そして、今回の裁判でそういう点どういう取り上げ方をするかと非常に期待もしておったわけですが、因果関係がはっきりしないということで退けたわけですけれども、これは裁判で云々ではなく、環境庁としても当然大至急調査をすべきだと思うのです。そういう点で、どのようにお考えか。また、その時期はいつごろとお考えになっていらっしゃるか、中身をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  253. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私も、子供の鼻血のことがテレビに出て、ああいう非常にひどい症状があるのかということに対して、これは何とかしなければならぬという感を持ったわけです。そういう人たちに対しては、原因というものに対して、一体どういうところからそういうことになったのか、至急に臨床的に調査をするような手配をいたしたいと考えております。
  254. 近江巳記夫

    ○近江分科員 大臣がおっしゃったように、至急にやっていただきたいと思います。  それから、長官と運輸大臣の発言で非常に食い違うことが一つあるわけですね。それは減便の問題です。長官は、代替機関、新幹線があるから減便しなければいかぬ。ただ運輸大臣のほうは、エアバスを乗り入れる。それのかわりに減便をしようというようなニュアンスが非常に強いわけです。あくまでも環境庁長官として非常に深刻に受けとめておるということをおっしゃっておるわけですし、私は即刻減便すべきであると思いますし、裁判では、九時以降じゃなくして現状の十時ということを言っておるわけでありますが、裁判に関係なく、少なくとも普通人であれば、夜九時以後はほんとうに安息が必要なんですよ。そういう点も含めまして、環境庁長官、副総理でありますし、長官のそういう決意というものは、私は実現できると思うのです。そういう点、非常に食い違いがあるように思いますし、即刻減便をしていただきたいし、夜九時以後は国際線の関係もあるかもしらぬけれども、それは関係国ともよく話し合われて、九時以降通さない、そういう措置も早急におとりになっていただきたいと思うのです。その辺について、ひとつ伺いたいと思います。
  255. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私も、やはり騒音対策は音源対策が一番根本になるわけでありますから、思い切って減便をしてもらいたい、そのときに、新幹線もあることだよと言ったわけですが、減便をするときにはどういう措置をとるかということは、具体的には運輸省に検討してもらいたいということでありまして、エアバスがいかぬとかいいとか、そういうことには触れていないわけであります。エアバスというものは、騒音対策上、相当騒音の低減になることは事実でありますから、運輸省としてはエアバスを考えておったようでありますが、パリの事故等もあって、これは地元の納得も要ることでございましょうが、とにかく方法論というものに対して、われわれ環境庁の立場からすれば、何にしなさいということを申す立場にもないわけでありますから、便数を思い切って減らしてもらいたいということを、運輸省に対して強く要請したわけでございます。運輸省に研究をしてもらいたい。この間の関係閣僚会議でも、思い切って減便をしたい、それで運輸省としていろんな方法論を考えてみようということでございます。  また、夜九時からの飛行は、これはとめてしまうということはできませんが、日本航空などでも、九時以後の飛行機はタイムテーブルを変えようという動きもあるようですし、全体としての減便をする場合に、なるべく夜は静かであることが望ましいことは言うまでもないわけでありますから、全体としての時間表のときに、そういうことも頭に入れて検討してもらいたい。ただしかし、九時以後は絶対に飛ぶなというようなことは、現状において無理だと思います。
  256. 近江巳記夫

    ○近江分科員 きょうは飛行場部長もお見えになっていらっしゃるわけですが、三木長官から、思い切って減便をせよということを運輸省は言われておるわけですね。それに対してはどういう具体的な煮詰めをやったのですか。
  257. 隅健三

    ○隅説明員 お答えをいたします。  判決が下ります前に、二月二十日でございますか、訴訟団の方がお見えになりまして、運輸大臣の権限でできることならば、九時から十時までの減便について誠意をもってこれを示せという、非常に強いお話がございました。われわれはこの点についても、いろいろ検討いたしました。判決において、一応九時から十時までの差しとめは出ませんでございましたが、大臣といたしましては、判決とは別に、大阪空港離発着の便数をできるだけ減らす方法を至急に検討するように、もちろん、先ほど環境庁長官がおっしゃいましたように、エアバスの導入も一応考えまして、全体の時間帯について検討を行なっております。なお具体的には日本航空、全日空に対しまして、ダイヤ編成会議というのがございまして、定期三社を中心にいたしまして、私のほうからも、各時間帯について、その調整を検討を命じておるところでございます。
  258. 近江巳記夫

    ○近江分科員 飛行場部長の話を聞いていますと、やはりエアバスの導入ということが出てくるわけですね。エアバスにつきましては、この間のパリにおきますあの大惨事を思いますと、あれは森の中へ落ちて、地上での被害者はなかったわけです、もちろん森林はめちゃくちゃになっておりますけれども。しかし、もしもあの惨事が大阪空港周辺の百七十万住民の上で起きたということを考えました場合、これはたいへんなことですね。そういう点におきまして、そういう現在の騒音なり大気汚染の被害は言うまでもなく、常に不安で皆おそれおののいておるわけです。そういう点におきまして、このエアバスの導入につきましては、四十七年八月三十一日、運輸省航空局飛行場部騒音対策課長が、大阪国際空港騒音対策協議会会長あてにはっきりと公式文書で出しておるわけです。「ワイドボデー航空機購入について、今回ホノルルにおいて行なわれる田中総理、ニクソン大統領会談において対米貿易収支黒字是正のための緊急措置としてワイドボデー航空機の購入促進についてある程度の合意がなされる模様である。運輸省としては、騒音等を極力減少させつつ航空需要の増加に対処するよう国内線の大型ジェット化を昭和四十九年度以降漸進的に実現させる考えであるが、大阪国際空港についてのワイドボデー機の乗入れについては同空港周辺住民の理解がない場合は行なわないという従来の方針は今回のホノルル会談の合意によりいささかも変更されるものではないので念のためご連絡する。」はっきり出ておるわけですね。ですから、地元住民の納得がなければ絶対乗り入れることはできない、これは少なくとも政府の公式文書ですから。  それからさらに、そういう安全性の問題につきまして、他国以上に、三木長官もおっしゃったように、世界各国でもあれだけの密集地はないわけですね。ですから、世界各国以上にそういうきびしい基準と態度でもって安全性の問題に臨まなければいかぬ。この点がまだまだ、そういう安全性の問題等につきましても解明されておりませんし、こういう公式の約束もあるわけですね。そういう点だおいて、この導入問題についてどのように思っておられるか、ひとつこの場でお聞きしたいと思います。
  259. 隅健三

    ○隅説明員 パリで事故に起こしましたのは、先生御存じのとおり、ダグラスのDC10型でございます。今回全日空が大阪と申しますか、日本で飛ばすために購入いたしましたロッキード一〇一一、日本航空はボーイング747SRでございますが、この安全性につきましては、いままでも細心の経験と科学を用いまして、九万九千九百九十九分の一といわれるくらい過失のない構造に、フェールセーフシステムと申しますか、二重、三重の安全を担保できる装置をしておりますけれども、しかし、いずれにいたしましても、これは機械でございまして、これを操縦する人間というものがそこにおるわけでございます。われわれ運輸省といたしましては、乗員の養成、これは質、量ともに、各エアラインにおいて、これの養成それから整備の万全、それから検査の励行というようなことで、安全性を確保いたしたいと思っております。  また、パリのような事故が大阪で起きた場合にということも、われわれといたしましては常に考えてはおりますけれども、地元の消防署あたりと消火救難協定その他の問題について打ち合わせは行なっております絶対にこれは起こしてはならないということで、万全の対策を進めていきたいと思います。  なお、このエアバスを大阪に乗り入れるにつきましては、音源対策といたしまして、低騒音の航空機を便数を減らして入れるということが、やはり騒音対策の第一歩であろうかと考えておりますけれども、先生御指摘のように、私のほうから十一市協の会長あてに書面も出しておりますし、いままでの大臣が、地元の皆さまに対しても、地元の御理解が得られなければ強行しないということを言明はいたしております。しかし、われわれといたしましても、騒音対策といたしまして、あらゆる機会に、またあらゆるデータとあらゆる数字あるいは調査をお示しいたしまして、地元の皆さまの御理解が得られるように最善の努力をしていきたいと思いますけれども、御理解が得られない段階において、エアバスを大阪に強行乗り入れをするということは考えておりません。
  260. 近江巳記夫

    ○近江分科員 先ほど三木長官は、エアバスを入れなくても新幹線等のいわゆる代替のものがあるから、減便をするべきである、こういう意向でおられるわけであります。運輸省としては、そういう地元の納得が得られない限り強行の乗り入ればしないということをおっしゃっているわけですが、エアバスをのけて——いわゆるこれだけ音源対策として住民が困っておるわけでありますから、当然その減便をすべきだ。だから、エアバスをのけて、まず誠意をもって、運輸省としては臨むべきである、このように思うのですが、それはお考えになっておられますね。
  261. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私、エアバスはやめてということは言っていないのです。エアバスを使うべきだとか使うべきでないとか、そういう方法論には触れていないわけです。その方法論は運輸省に考えてもらいたいということで、エアバスは一切使ってはいけぬというような、そういうことは、私の言う内容の中には触れていないわけですから、誤解を与えてはいけませんので、申し上げておきます。
  262. 隅健三

    ○隅説明員 ただいま先生の御質問は、エアバスを導入しないで、運輸省としては大阪離発着の便数の制限をするつもりがあるかどうかということだと存じますが、現在におきましても、三月ダイヤを組みましたときに、一月、二月のあの油の不足のときに、われわれといたしましては、ある程度の便数をカットしたわけでございますが、これはエアラインのほうから、ちょうど三月、四月になりますと需要期にもなってまいりまして、ぜひこれを復活したいという申請がございましたけれども、大臣はこの復活を認めませんで、減便のままで三月ダイヤを編成いたしました。  なお、先ほどもお答えいたしましたように、各便、一便一便につきまして、ダイヤ編成会議において検討をいたしておるところでございますので、しばらく時間をかしていただきたいというふうに存ずるわけでございます。
  263. 近江巳記夫

    ○近江分科員 今後、いわゆるエアバスの問題を考えずに、このエネルギー危機で減便してきた、これをさらに減便していく、この努力はお続けになりますね。もう一度確認しておきます。
  264. 隅健三

    ○隅説明員 言いわけがましくて恐縮でございますけれども、やはり輸送需要が非常に強いということは、われわれも一方では存じております。やはり代替の輸送機関がございます。ことに新幹線が東京−大阪を走っております。こういう東京−大阪便については、さらにこの検討を続けていきたいというふうに考えております。
  265. 近江巳記夫

    ○近江分科員 減便を今後考えていくかという私の質問に対して、今後検討していくということでありますから、減便をさらに検討していく、こういうことですね。  それで、きょうは時間が非常に限られておりまして、あとわずかしかないわけであります。それで簡潔にお伺いしたいと思いますが、また、簡潔に答えてもらいたいと思うのですけれども、空港周辺におきます民家の防音の対象の件数は、四十九年度は何戸と見ていらっしゃるわけですか。
  266. 隅健三

    ○隅説明員 四十九年度の民家の防音工事は千戸でございまして、なお四十八年度が三百戸でございます。
  267. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それから民家、防音の実施範囲はWECPNLの八十五以上の区域ということを聞いておりますけれども、これは全戸数、この範囲の中には何戸あるわけですか。
  268. 隅健三

    ○隅説明員 私どもの作成いたしましたコンターは、これは目下環境庁、地方公共団体、ことに十一市協を中心にいたしまして、協議をいたしておる段階でございますが、私どもの作成いたしましたコンターによって推計をいたしました場合、約三万三千世帯になるのではないかというふうに考えております。
  269. 近江巳記夫

    ○近江分科員 環境庁から出しております環境基準の五年の目標値は、WECPNL八十五以上の区域で、いわゆる達成しなければならぬわけですね。そうしますと、この五年間でこれだけやるわけでしょう。そうすると、三万三千戸以上もあって一千戸と、これは必ず達成しますか、どういう見通しでやっておるのですか。
  270. 隅健三

    ○隅説明員 お答えいたします。  民家の防音工事といたしましては、わが国では非常にその例が少ない。それから工事の仕様が、日本の家屋は千差万別でございまして、一定した標準をつくりにくい。それから工事の施工にあたりましても、一軒ごとの工事規模が小さいわりに非常に手間を食います。こういうことで、一般工事のように、予算さえあれば相当の工事量がこなせるというものではございませんで、やはりこれにはなれが必要かと存じます。そのために、当初は対象軒数をある程度しぼりまして、そして防音工事の実績というものを積み上げまして、このような工事になれて、その次からは飛躍的に数を増加していくというふうな考え方で、当初四十八年三百、四十九年千戸というふうにした次第でございます。
  271. 近江巳記夫

    ○近江分科員 もう時間がありませんから、まとめて聞いていきますが、民家防音の補助率は七十五%ということを聞いておるわけですが、航空会社にしても、この空港設置者である国が加害者であるのに、二五%をなぜ住民が持たなければならぬかという問題が一つあるわけです。これについてはどう考えておるかということ。  それから二つ目は、最近の異常な狂乱物価のために、周辺の公公共団体が学校の防音工事やっていく上におきまして、地元負担がもう異常に増加しておるわけです。たいへんな圧迫を受けております。そういうことで、補助単価等を当然現状に合わしたものにすべきじゃないか、これは極力というよりも絶対やるべき問題であります。この点についてはどう考えておるか、これが二点であります。  それから、地方公共団体の非常に負担になっておりますのは、共同利用施設の整備の問題でありますけれども、これはまあ用地の確保と施設の建築の二つの支出が伴うわけですが、用地等につきましては、これはもう全然ないわけですね。それで非常に補助額も少ない。  以上三点につきまして、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  272. 隅健三

    ○隅説明員 民家の防音工事予算上は七五%でございまして、その二五%を個人に負担をさせるのかという御質問でございます。  われわれといたしましては残りのパーセントと申しますか、二五%については、できる限り住民福祉の立場から地方公共団体の補助をお願いをし、また期待をしているわけでございます。またわれわれといたしましても、その地方公共団体の財政に対する補てんということもさらに検討すべき問題であるということは十分認識をいたしております。  なお、学校防音工事が現在では狂乱物価と申しますか、非常に諸物価の高騰のおり、地元負担が非常に過負担になっているのではないかという御質問でございます。われわれといたしましては、学校の防音工事は、騒音防止に必要な費用はすべて助成するということが原則でございまして、この方針で助成を行なっておりますけれども、ただ最近の諸物価の高騰から、年度途中契約額の変更等がございまして、財政負担がかさんでおるということを地方公共団体から苦情をいただいております。われわれといたしましては、今後地方公共団体に過負担を生じないように、何らかの指導を強力に行ないたいというふうに考えております。  また、最後に、共同利用施設に対する用地補助がない、あるいはこれは補助額を低額にしてある、このために地元地方公共団体の負担が多いのではないかという御質問でございますが、われわれは、用地につきましてもいろいろの問題がございますので、これを前向きに検討をいたしていきたいと思っておりますが、この補助額を定める場合には、学校等の建築構造と大体同程度の建築を行なうものとして積算をして、その三分の二を計上したわけでございます。先ほど申しましたように、物価の上昇に伴いまして、この点補助額の改定というものは、やはり行なう必要があるというふうに考えております。
  273. 近江巳記夫

    ○近江分科員 もう時間がありませんから、あと一問だけで終わりますが、テレビの受信料の問題でありますけれども、これはどこで線を引くのか知りませんが、隣はもう全然減免措置がない、隣は減免措置がある、こういうむちゃくちゃなことをやっているわけです。ですから、当然この地域の拡大については誠意をもってやらなければいかぬと思うのです。今後の方針につきましてどのようにお考えか、これを最後に承って、終わりたいと思います。
  274. 隅健三

    ○隅説明員 テレビについては、われわれといたしまして、大体いままで航空機の騒音で聞こえないということで行なってまいりましたテレビの難視対策、これは見るほうで非常に画面がゆらぐという問題もございます。これはやはり放送局と空港との位置関係で、非常に見にくいところが生ずるのも事実でございます。これには航空公害防止協会から、フリッカー防止装置のアンテナを無料でつけさせていただいております。  なお、テレビの受信障害の対策の範囲の拡大につきましては、その要求が非常に強いということも十分存じておりますので、この点、範囲の決定基準、助成方法等十分検討の上、昭和五十年度以降におきまして、抜本的と申しますか、相当進んだ方法に改善をしていただきたいというふうに考えております。
  275. 近江巳記夫

    ○近江分科員 いまの答弁で、相当進んだ抜本的なということをおっしゃっていますが、それはどういうことなんですか、もっと具体的に聞かしてくださいよ。そんな抽象論じゃだめです。
  276. 隅健三

    ○隅説明員 これにつきましては、第三次空港整備五カ年計画で、財源対策というものをわれわれは新しく取り入れるわけでございまして、もちろんこれは原因者負担あるいは受益者負担の原則をさらに貫いていきたい、そういたしまして、その出ます財源によりまして、諸般にわたりまして対策を講じていく、その中に、テレビといたしましての具体的な方法はまだ十分検討はいたしておりませんけれども、もちろんこの対策の中には、テレビの受信障害対策というものを入れるつもりにして、考えていきたいと思っております。
  277. 近江巳記夫

    ○近江分科員 これで終わります。
  278. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 次に瀬野栄次郎君。
  279. 瀬野栄次郎

    瀬野分科員 環境庁のあっせんで、熊本県水俣湾の水銀ヘドロ処理について、三木環境庁長官、徳永運輸相、沢田熊本県知事は、二月四日東京霞ヶ関の総理府内で三者会談を開き、事業主体や費用負担問題等について話し合い、その結果、水俣湾ヘドロ処理問題に関する政府と熊本県の基礎的合意事項として合意されたことは、すでに新聞で報道されておりまして、私も一応の評価をするわけでありますが、この合意事項の中には、まだまだ重要な問題が今後残されております。よって、この基本的合意事項を、当委員会で冒頭明確にしていただくために、まず明らかにしていただきたいのであります。
  280. 三木武夫

    ○三木国務大臣 瀬野さんの御指摘のように、去る四日に熊本県知事、運輸大臣と私とで三人で会談をいたしました結果、運輸大臣とともに、そういう打ち合わせをいたしました結果、こういうことに合意に達したわけでございます。一、熊本県が工事の実施主体となるが、工事の技術的困難性、事業規模等を勘案して、運輸省は熊本県からの要請に応じ、主たる工事の施行を受託する。二、関係者よりなる技術検討会を設けて、早急に具体的工事計画を策定する。三、熊本県は早急に漁業権者等関係者との話し合いに入る。四、本事業の施行にあたり、熊本県知事の県に過重な財政負担をかけないようにとの要望に対して、国として十分配慮すべく努力するという、この四点について合意を達成したわけでございます。     〔中村(弘)主査代理退席、主査着席〕
  281. 瀬野栄次郎

    瀬野分科員 そこで、運輸省にお伺いしますけれども、この工事実施主体については、地元では逆委託方式といっておりますけれども、これは異例のことだと思うわけです。すなわち、事業主体は熊本県とするが、本工事の技術的困難性、事業規模等を勘案して、主たる工事の施行を運輸省に委託する、こういうことでございますが、運輸省としては、この点は十分委託を受けてやる、こういうことで確認しておられるのですか。
  282. 加藤勝則

    ○加藤説明員 国は、港湾管理者などからの依頼を受けて工事を受託できることになっております。運輸省としましては、熊本県からの要請がありましたので、この事業が技術的にむずかしいということと、事業規模などを勘案しまして、主たる工事を受託して施行することとしております。
  283. 瀬野栄次郎

    瀬野分科員 そこで、この委託にあたって、先般朝食会のときにも私いろいろと当局に意見、注文を申し上げておったのですが、工事を施行するとなれば、当然本省直轄の人を現地へ派遣するということになる、第四港湾建設局からも当然行く、こういうことでございますけれども、いつからどのくらいの規模でやる考えで内々検討しておられますか、その点を明らかにしてください。
  284. 加藤勝則

    ○加藤説明員 運輸省としましても、一日も早く着工したいというふうに考えておりまして、その準備を急いでおるわけでございますが、これを港湾公害防止対策事業として実施することになりますので、熊本県が実施計画を策定し、それからそれに基づきまして事業者負担額をきめる。そして、さらに自治大臣の指定を受けてやるということが必要でございます。こういった準備を、いま運輸省が熊本県を全面的に応援しまして作業中でございますけれども、こういった準備が整ってから、国と県が受託契約を結んで事業を実施するということになるわけでございます。
  285. 瀬野栄次郎

    瀬野分科員 三木環境庁長官にお尋ねしますけれども、このヘドロ処理の工法についてですが、これがまず一つの問題でございますけれども、二次公害を起こさないヘドロ処理工法等を検討するために、地元学識経験者をはじめ、環境庁、運輸省、第四港湾建設局、熊本県の担当職員によって構成するということでありますが、技術検討委員会を設ける、そして検討を行なって早急に具体的工事の策定に入る、こういうふうに理解しているのですけれども、いつごろ技術検討委員会を発足させるのか、その点、長官からお答えいただきたいと思います。
  286. 三木武夫

    ○三木国務大臣 三月中と考えております。
  287. 瀬野栄次郎

    瀬野分科員 そこでこれはあとでまた関連してお尋ねしますけれども、事業の施行に要する費用というのが、県ではたいへん問題になっております。本事業の施行に要する費用は、漁業補償も含めて、ばく大な費用になるわけです。県に過重なる財政負担を与えぬよう考慮する、こういうことでございますが、御承知のように、公共事業費であれば、国と県が折半ということでありますけれども、今回の場合は、原因者負担ということで、負担がかなりチッソのほうにかかるということは当然であります。  そこで、それにしても、県は最大の心配とされているのが、この費用負担の問題でございます。この問題は、今回のいわゆる合意事項の中でも、依然あいまいな形で残されております。県に過重な負担がかかりますと、県は財政上もたいへん困難な状態にありますので、この辺について、今回の合意事項の中でも明らかにされておりませんけれども、最も重大な問題でありますので、どういうふうに県に最大の心配を与えないように考えておられるのか、この費用の負担の問題について、三木環境庁長官から答弁いただきたいと思います。
  288. 三木武夫

    ○三木国務大臣 費用の負担については、費用負担法によって負担の区分がくめられるわけでありますが、きめられた場合においては、PPPの原則を貫きたいと考えておるわけでございます。そういうことにおいて、熊本県は財政的にそう豊かな県でもありませんし、この上に非常に過重な負担をかけるということはできない相談でありますので、できる限り過重な負担はかけないように配慮をいたしたいと考えております。
  289. 瀬野栄次郎

    瀬野分科員 そこで、環境庁長官、先般来から当局といろいろ折衝してまいりましたが、環境庁は自治省、大蔵省と協議して、費用の負担のこともいろいろと検討を進めているということを伺っております。すなわち、県に対しては、特別交付金等の何らかの措置を講じていかねばならぬということのようでありますが、この点についてはどうお考えでいま進めておられるのか、どういうところまでいっているか、明らかにしていただきたいのです。
  290. 三木武夫

    ○三木国務大臣 この点については、熊本県と自治省との話し合いにゆだねてある次第でございます。
  291. 瀬野栄次郎

    瀬野分科員 熊本県と自治省との関係にゆだねてあるということでございますけれども、環境庁としても十分配慮をしていただかなければなりませんが、この特別交付金は十分考えられますか。こういった対策が講ぜられる可能性が十分あるかどうか、その点の見通しをさらに伺いたいのです。
  292. 三木武夫

    ○三木国務大臣 自治省もこのヘドロの処理というものは、どうしてもやらなければならぬ仕事でありますので、この事業の遂行に対しては非常な理解を示しておることは事実でございます。
  293. 瀬野栄次郎

    瀬野分科員 環境庁としても、ぜひひとつ自治省に特別交付金の配慮をするように、働きをさらに強くお願いしたいと思います。  さて、そこで原因者負担のチッソ側でありますけれども、このチッソ側は、御存じのように、現在認定患者のいろいろな補償についての支出済み額が七百二人に対して百三十三億、漁業の補償に三十六億、医療その他に四億、合計百七十三億があり、さらに、その他認定申請のもの等を含めますと百数十億がおそらく考えられるのじゃないか、こういうふうにわれわれは推定しております。会社が倒産するとたいへんな問題になってくるし、県のほうの負担能力も限度がありまして、県財政がかなり圧迫を受けるということになってはたいへんであります。長官もこの点は十分御存じでありますが、認定、補償、こういったものにチッソが金を相当使います関係から、今回のヘドロ処理の問題で負担能力がどこまであるかというのがたいへん地元でも心配されております。チッソの負担能力がないとなれば、全然ないことはないのですけれども、負担能力に限度があるとすれば、県がかぶることになる。そうしたらたいへんだということで、自治、大蔵省には、そういうことにならぬように十分県には対策をとる、窮地に追い込まれないようにするということが、しばしば申されておりますけれども、それについてもチッソに対して政府資金を何らかの形で融資するというようなことも当然考えなければ、チッソそのものも相当無理するのではないか、私はこういうように思います。かといって、倒産したのでは、また地元の皆さんもたいへん心配であるわけです。  そこで政府は、かねがね企業に対しての融資は、設備投資の融資等はやっておられますけれども、その基本姿勢を転換をして公害防止面にも融資したらどうか、こういうふうにわれわれは思っておるのですけれども、こういったことについて十分お考えの用意があるのか、どういう見解をお持ちであるか、この機会に明らかにしていただきたい。
  294. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはまあ工法が決定をして、どれくらいの期間でやるかということが、そして総額がきまるわけですね。またその配分もきめなければならぬ。そういう場合に、いま御指摘のようにチッソが患者に対する支払いも相当な多額になっておりますし、相当苦しいとは思いますけれども、しかし何かそれに対して会社自身としても責任があるわけですから、どのようにして責任を果たすかということについては会社も十分に考えてもらいたいと思うし、また私のほうでも、いよいよこれを具体化していくわけですから、会社との間にもひとつこの分担金の支払いに対しては相談をしたいと思っておるわけでございます。
  295. 瀬野栄次郎

    瀬野分科員 この席でいろいろ答弁しにくい問題もあろうかと思いますけれども、こういったことが地元では一番心配になっております。要するに、この費用負担の問題です。そういったことで、会社側に対しても、また県の財政を圧迫しないように十分配慮する、窮地には追い込まないようにするということは、しばしばいわれておりますので、今後進める上においては、これらの問題について最大の配慮を払っていただいて、慎重にひとつ進めていただくように重ねてお願いをする次第であります。  そこで運輸省にさらにお伺いしますけれども、運輸省、環境庁、県は技術検討委員会で工事の具体的な計画を煮詰めた上、費用総額をきめることにしておられるようでありますが、これはもう当然だと思います。そこで私たちがさらに心配するのは、水俣湾というのは潮の干満の差がものすごく激しいわけです。それでヘドロ処理工事のむずかしい場所であるということは、すでに御承知であろうし、われわれもそういうように認識しております。運輸省の港湾局でも、計画を立てるための事前調査は、当然これはもう早急に始めていただかなければなりませんけれども、かなりこれがおくれるような心配をしておるのですけれども、これはもうすぐにでもこの調査が始められるかどうか、いつごろを目標に考えておられるか、ひとつこの席で明らかにしていただきたいと思うのです。
  296. 加藤勝則

    ○加藤説明員 先生御指摘のとおり非常に技術的にむずかしい問題でございます。しかも汚泥の処理にあたりましては、二次公害を防止することが不可欠の要件でございますので、十分安全な工法をとりたいと考えております。しかし、この調査も受託工事としまして実施することになりますので、先ほど申し上げましたように、熊本県が実施計画を策定し、事業者負担額をきめ、自治大臣指定を受けたあとで、国と県が受託契約を結んで事業が実施できるということになります。
  297. 瀬野栄次郎

    瀬野分科員 運輸省にさらに聞きますけれども、ヘドロを処理したあと港湾の機能を失わせてはならぬと思うのですけれども、水俣湾の整備とか拡充ということについて、これはもう十分検討委員会で考えてやってもらうことになると思いますが、その点はどういうふうにお考えでありますか。
  298. 加藤勝則

    ○加藤説明員 この汚泥処理計画とあわせまして港湾の将来計画も十分考えまして、それを両方あわせた総合的な港湾計画というものをつくることにいたしております。したがいまして熊本県としましては、技術検討委員会のほかに港湾の計画のほうの委員会もつくることを検討中であるというふうに聞いております。
  299. 瀬野栄次郎

    瀬野分科員 この問題について、三木環境庁長官にきょうは限られた時間でお尋ねしておりますけれども、もうここでいまさら申し上げるまでもなく、十分環境庁長官もわかっておられるわけですが、私が残念に思うことは、三木長官もしばしば、また政府側も地元には四十八年度内着工と約束しながら実施時期が大幅におくれてきている、いわゆる四十八年度着工といいながら実施時期が今日までおくれてきていまして、もう三月も余すところわずかになってまいりました。まさに約束違反、けしからぬと私は言いたいわけです。  四十八年の五月九日には三木環境庁長官は水俣に来られまして、新聞でも地元は大々的に報道されました。まさに地獄に仏というような気持ちで皆さん迎えたわけです。その節坂本フジエさん宅で上村智子さんを抱き上げて環境庁長官はずいぶんと水俣ヘドロ対策その他水俣病患者対策についてあたたかいことばを述べられた。また県民も感激をしたわけです。さらに四十八年十月十八日は選挙対策の途次とはいいながら、三木環境庁長官、加藤労働大臣もともに来られて記者会見をして、熊本県民の前に年度内着工の決意を述べられた。私もこのことについては、四十八年六月二十三日、建設等五委員会の連合審査で三木長官に質問した際も第四・四半期に着工する、さらに四十八年六月二十六日、本会議で田中総理に緊急質問した際にも、田中首相は年度内着工を行なう、こういったことで言明をしております。ところが先ほど申しましたように、実施時期が大幅におくれてきている。今回検討委員会をつくって県に全部負わせるようなことを言っておられますけれども、この財政負担が十分であれば、県はあえてこれを受けて、しかも本省からの人員の派遣あるいはまた第四港湾建設局からの派遣等を受けてやることにはやぶさかではないと思いますけれども、財源の問題が一番問題であります。そういったことをいかにも県に負わせるようなかっこうで今日まで、まさに県と国とが譲り合っているようなかっこうでまいってきております。  今回こういった基本的な事項についての合意ができましたので、一歩前進した、こういうふうに思うのですけれども、この基本原則一致で三木長官は工事実施の前提条件が整ったとしておられますけれども、地元漁民の最大の関心事は、何といっても工事がいつ始まるかということの確約がないことが一番心配であります。いままでの経緯から見て、さらに今回の合意事項等見ましても、冒頭申しましたように、いろいろな問題点をたくさん含んでおります。今後着々と解決するにしても、もうすでに第四・四半期も日がわずかになってまいりました。いつ工事を開始されるめどで今後環境庁長官としては、これらを進てめいくための指導または推進をはかっていかれるのか。あれだけ世界を騒がせ、注目された水俣の処理にあたって、ずいぶん色あせてきつつあります。こういったことを考えましたときに、心配でなりません。これに対する三木環境庁長官の考えを明らかにして、県民の不安を除いてもらいたい、このことを強くお願いする次第です。どうですか。
  300. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私も二回水俣にも参りまして、いろいろな発言をいたしておるわけであります、責任を感じて……。患者の問題は御承知のように一応片づいた——片づいたというか、原則的には患者救済の問題は一応の軌道に乗ったわけで、私の頭にあったのはヘドロの処理で、実際に本年度においてもある程度の予算は盛っておるわけであります。何とかしてこれは年度内着工に持っていかなければならぬ。工事主体というものが、これだけの複雑なしかも困難な、大規模な仕事でありますから、運輸省と熊本県との間でなかなか話がつかない。私は、熊本県へ行くということを言ったわけであります。二月の末でも行こうと思って、そういうことを決意をした。ここから始めてこないと、だれが一体工事の主体になるのかもきまらなければ、ものは前進しませんから、そういうことを言ったわけですが、それが一つの促進する結果にもなったのでしょう、私が熊本県に行かなくて、そういう話し合いがついたわけでありますから。  いま私の考えておることは三月中に、いま言っておったような大体の基本設計といいますか、基本計画といいますか、それをきめまして、ボーリングもしなければならぬですから、四月ごろからボーリングに入って、そしてボーリングを終え次第、いよいよ本工事に入るぐらいの速度でこれはやってもらいたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  301. 瀬野栄次郎

    瀬野分科員 三木環境庁長官は、四月ころボーリングをやって、ボーリングを終わり次第、本工事に入るということでございますが、いまとなっては、これは年度内着工したい、こうおっしゃるけれども、見通しとしてはたいへん日にちがなくなってきた。少なくとも年度内着工のその目標は変えることなく、ひとつ今後各省の指導並びに熊本県に対するいろいろな対策を立てていただくと同時に、いま申されたように、四月の初めには着工できるように促進をぜひはかってもらいたい。これを重ねてお願いしておきます。  さらにヘドロ処理問題に続いて公害病認定問題、これがまたたいへんな問題でございます。関係者の方も十分御存じだと思いますけれども、公害病認定については、水俣病認定申請数が二月八日現在で六百七十名、鹿児島県がこのほかに七十六名おります。現在の認定申請者が二千八十三人もいる状況です。水俣病認定審査会のペースが、現在二カ月に一回行なわれておりまして、二日連続行なわれておりますが、八十人程度で、これを月に直しますと結局四十人の認定、こうなります。こういったペースでいきますと、二カ月で八十人というような率でいけば、結局いまの数ですと四年から五年かかる。しかも最近は毎月新たに約五十人ぐらいの認定申請が出てきている現状でございます。  こうなると、まだ年数がかかるということが考えられて、認定申請者も心配しておりますし、当局もたいへんな心配を重ねて今日に及んでおります。認定の認と否の決定が最近非常におくれつつある。ペースを上げなければなりませんけれども、問題は、検診のペースを上げるためにはいろいろな手当てをしなければならぬ。実情は、限られた専門の医師すなわち熊本大学医学部の医師が中心になってやっておりまして、現状ではなかなかこれ以上の認定を上げるということは、むずかしい状態にあります。新たな医師の確保とか他県の水俣病関係の専門医師の確保、こういったことが行なわれないと、なかなか困難でありますけれども、いいかげんな医師であると、今度は認定ができるかどうか疑問でもあるし、審査会で判定できる診断書を書けるという人でなければならないということで、いろいろ条件がついておるので、これまた確保が困難な問題があります。  熊本県は、熊大だけではなかなかはかどらぬということもございまして、いろいろとこれらの問題について当局にもお願いをしておるところでありますが、最近では水俣病発生初期で判断がむずかしくて、審査対象がなかなかむずかしいケースがふえつつございます。また頭をひねるような方、時間がかかって結論が出ないような患者が最近多くなってきているのも実情でございます。  四十八年十月、公害健康被害補償法が成立して、ことし九月ないし十月施行ということで、従来は医療救済法で行なってきましたが、この法律では生活保障も含めるということで給付内容がふえてきておりまして、認定患者へのランクづけが必要になってきた。すなわち患者の数はふえる、ランクづけは行なわれる、医者は不足ということで、たいへんな問題になってきて、地元では非常に心配をしておる。そこへ持ってきて、今度は認定患者が死亡の場合は遺族の補償をせねばならぬという問題がある。すなわち水俣病が起因かどうか審査をするという問題が大きく浮かび上がってきております。また、審査会も仕事がだんだんふえてきまして、水俣病の認否判断がむずかしくなる。なぜかと言いますと、初期の人が多くなってきた。さらには新法律の途中で病状の変更も出てくる。また病態に応じてランクづけが必要、さらには死因の審査も加わる。いろいろ時間の関係ではしょって申し上げましたが、こういうようなことで、水俣病の認定促進の方策を検討するために水俣病認定業務促進検討委員会が二月二十二日にようやく発足した。熊本県の沢田知事と城戸環境庁企画調整局長が同日、全委員すなわち十八人に対して連名で委嘱をしておりますが、これは水俣湾のヘドロ処理以上に重要な問題でございます。  そこで私は、現在二千八十三人も二月二十二日現在で認定申請患者がおりますが、これらの認定作業をいまのペースでいくと、先ほど言いましたように五年以上かかる。これではたいへんである。三木環境庁長官はこれらの問題を、しばしばわれわれも申し入れ、要請をしたところでありますが、重大問題として考えておられるか、どういう認識をしておられるのか、その点をひとつ明らかに御答弁いただきたいと思うのです。
  302. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 ただいまの水俣病患者の認定の関係でございますが、これはいま御指摘ございましたように、非常に困難な問題がございます。ただ、どこに困難性があるかと申しますと、やはり認定そのものよりも、その前提となります検診業務、特に精密検査の業務が非常にむずかしいわけでございまして、こういう問題点を取り上げまして、この打開のために現在、いま御指摘になりましたような検討委員会を発足させまして、三月一日に第一回の会合を開いたわけでございます。大体四月の中旬ぐらいをめどにしまして、今後の方向づけをしていきたいと思っているわけでございます。  と申しますのは、一面におきまして現在各大学等も、九州地区全体に健康診断のほうに先生方は従事していただいておりまして、この第三次健診がほぼそのころには終わる時期になるわけでございまして、いろいろ今後精密検診業務等に各大学あるいは国立病院等に協力していただきます場合にも、その時期をめどにするのが一番よかろうということで急遽発足したものでございまして、今後いま御指摘のような問題点それぞれについて、何かいい案がないかということで大いに努力して解決点を見出していきたい、こう思っております。
  303. 瀬野栄次郎

    瀬野分科員 時間も参ったようですが、急いでちょっと二、三問、簡単な問題ですから、お尋ねします。  県としては、法律の精神からも、せめて申請を一年半以内には認定できるようにしたいということです。われわれもそういうふうに考えております。これらについてどういうふうに考えておられるか。  そのためには、相当ベースを上げなければならぬ。そのために今回発足した検討委員会に委嘱していただいて、われわれはずいぶん期待をかけておるわけですが、認定促進の方策について、今後いろいろと検討が進められると思うのですけれども、ここにわれわれいろいろ考えておるのは、現在一つしかない認定審査会を複数の設置にするという問題、もう一つは水俣病研究を強化するための熊大医学部の教官や学生の定員増をやるということも当然考えられると思うのですが、これについてはどうですか。お答えいただきたい。
  304. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 複数設置の問題は、前にも提案があったことがございますが、実は審査会自身の運営がむずかしくて、複数をつくらなければいかぬという問題ではなしに、むしろ精密検査の能力が足りないということでございますので、そのときも見合わせたような経緯になっているわけでございます。あくまでこれは審査会二つをということではなくて、審査会の中の運用問題として、もしそういうことが必要になった場合には、検討していけるというふうに思っておるわけでございます。  大学の教官の定数増ということでございますが、これは文部省の問題でございますので、私ども、もしそういう気持ちがございますれば、文部省にも伝えたいと思っておりますが、従来、必ずしも、それに対しては積極的でなかったと私は聞いております。
  305. 瀬野栄次郎

    瀬野分科員 きのう通告する際に、文部省とも十分協議して答弁するようにと言ったのですが、ぜひこれは文部省とも協議をして進めてもらいたいと思います。  そこで、先ほどの問題で、三月一日に水俣病認定業務促進検討委員会が初会合を開いて、次回は二十七日、おそらく三、四回開いて結論を出すということになるかと思いますが、これまで熊本だけで行なってきた認定審査業務に対して、九州一円の専門家や国立大学のスタッフなど、熊大以外のメンバーも認定検診の業務促進のために協力してもらいたい、かように思うのです。これに対するわれわれの期待は大きいわけです。と同時に、検診の方法については、現在の熊大が行なっている方式を踏襲するということで十分検討の対象にしてもらいたい、こういうふうに思うのですが、この点、確認のために御答弁をいただきたいと思うのです。
  306. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 熊大方式というのはどういうものか、よくわかりませんが、従来熊大がいろいろ十分研究もされましたし、御協力いただいたわけでございますが、私どもとしましては、当然、熊大のそういう貴重な経験、御協力を母体にしまして、さらに先ほど先生御指摘のような、より能率化の方法があるかどうかということを検討してまいりたいと思っております。もちろん、能率的にやるという場合におきましても、十分精密検査を行なった上でやるということは大前提でございますから、その点はあわせて申し添えておきたいと思います。
  307. 瀬野栄次郎

    瀬野分科員 最後に、三木環境庁長官、いまいろいろ論議してまいりましたが、きょうは限られた時間なので、十分時間がとれませんけれども、いまのような認定状況でたいへんな問題五年以上かかるということで、いろいろ方法はあるわけですが、ひとつ環境庁長官ば、精力的に水俣病認定業務促進のために最大の努力を払ってもらいたい。これに対する長官の決意と所信を承って、私の質問を終わりたいと思うのです。
  308. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私もこの認定業務が非常におくれていることに対して、何かいい方法はないかという問題で、いろいろな検診のセンター、こういうものを設けまして——検診というのは、ただ普通のお医者さんというわけにはいかない特殊な疾患であるということで、促進に努力しておるのですけれども、いま御指摘のような、患者の人たちの認定がおくれておることは事実でありますから、今後できる限りこれを促進するように努力をいたしたいと思っております。
  309. 瀬野栄次郎

    瀬野分科員 以上で終わります。
  310. 上村千一郎

    上村主査 次に、楢崎弥之助君。
  311. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 わが党の石橋書記長が取り上げました、昨年十一月十三日、石油審議会の認可と申しますか、十四社十六製油所の増設許可の問題、さらに昨年十二月二十七日、千葉の京葉臨海進出の企業から申請のあったうちから、十一社について一挙に千葉県が認可する、こういう動きに対して、三木長官は副総理でもありますので、いまの総需要抑制、そして公共事業を繰り延べる、民間設備もなるたけ押えていくというこの方針、さらに開発よりも環境保全優先という観点から副総理として、こういう動きをどのようにお考えでしょうか。私は、政府の方針に反すると思うのですけれども、どうでしょうか。
  312. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは楢崎委員も御承知のように、この委員会でも問題になりまして、一ぺんに十四の製油所、これの増設、新設を認めるということは行き過ぎじゃないかという御議論があって、通産省としても、審議会では通ったけれども、これをいよいよ実施に移すときには、極力抑制をするということを申しておったので、実際の場合においては、抑制されるものと考えております。
  313. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ちょっとお伺いしますが、昨年十一月十三日の許可の分ですね、審議会を通った分、このうち瀬戸内保全法と関連のある増設は幾つありますか。
  314. 森整治

    ○森(整)政府委員 大分が二つと兵庫、それから山口、四件でございます。
  315. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 つまり丸善石油、出光興産、九州石油、日本石油精製、それだけですね。これは通産省から御相談がありましたか。
  316. 森整治

    ○森(整)政府委員 正式には協議を受けておりません。
  317. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 通産省は、なぜ協議をしなかったのですか。当然、瀬戸内保全法にひっかかる企業の増設でしょう、製油所の増設ですから。なぜ協議しなかったのですか。瀬戸内保全法があるのを知らなかったのですか、どうなんですか。——通産省に聞いているのです。
  318. 上村千一郎

    上村主査 通産省——来るまでの間に、もし何かあったら、お願いします。
  319. 森整治

    ○森(整)政府委員 石油審議会と瀬戸内海の関係でございますけれども、いま私どもが承知しておる限りでは、この四つの問題につきましては、まず埋め立ての問題は伴わないというふうに聞いております。  それからあと、もし問題になるとすれば、特定施設の許可制の問題がございます。これにつきましては、当然許可にかかるわけでございまして、その段階で、当然、許可するかしないかという問題は、全体の汚濁負荷量の割り当てが行なわれておりまして、それぞれの県の許される範囲内でしか認められないというふうに承知をしておるわけでございまして、その関係でどういうふうな事情になりますか、その段階での許可申請があった場合、われわれとしては、それに応じた県の判断で処理をしていく、こういうふうに理解しておるわけでございます。
  320. 上村千一郎

    上村主査 楢崎委員の質問に対して、通産側、だれか答弁ができる人……。
  321. 山中正美

    ○山中説明員 お答えいたします。私は、直接石油のほうを担当しておるわけではございませんので、あるいは間違っているところもあるかもしれませんので、御了承いただきたいと思います。  石油審議会自体は、石油の供給のバランスをとるということがその目的でありまして、そういう意味で五十三年度の石油の需給状況というのを判断いたしまして、一応許可の答申をやっている関係になっております。  そういうことで答申を受けまして、いよいよ許可する段階は、先ほど先生御指摘のように、瀬戸内法の適用を当然受けるわけでございまして、現在の瀬戸内法の体系におきましては、当然環境アセスメントということを実施しなければ、特定施設の設置が不可能でございますから、当然環境に対するインパクトというのは、その時点で厳密な判断が下される、こういうふうに理解しております。
  322. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 通産省から石油審議会に、これこれこういう案ですと出したのでしょう。何も、石油審議会が原案なしでやるわけではないんで、通産省が諮問するのですから、通産省が原案出したのでしょう。これだけは許可すべきものと思うかどうか知らぬけれどもですよ。そうでしょう。では、なぜその前に協議をしないのですか。
  323. 山中正美

    ○山中説明員 一応石油の需給状況ということを判断いたしまして、諮問した結果でございます。そういう意味で、一応その設置がきまりました暁には、当然設置の際にといいますか、つまり現実に稼働する前、特定施設を設置する前に、厳密な瀬戸内法に関する環境アセスメントがない限りは当然着工が許可にならないわけですから、その際十分なチェックがなされる、こういうふうに考えております。
  324. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この十四社ですが、今回のやみカルテルで告発を受けていないところを指摘してください。
  325. 上村千一郎

    上村主査 担当になっておるのか、なっていないのか、はっきり……。
  326. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 あとでいいです。  こういう問題が新しく加わってきたわけです。この千葉県の分、これについても私は同時にお答え願いたいのです。告発を受けているものがある。それから勧告を受けているものがある。すでに、副総理も御案内のとおり、われわれは三日間集中審議をしました。特に石油化学のごときは、公取から注意文書を出されて——何回も独禁法違反事件を繰り返すから注意文書を出した。それに対して、もうこれからいたしませんという念書を出して、しかもその後一年間また繰り返し、勧告、受諾、また繰り返す、勧告、受諾、五回やっているのです。普通だったら天道さまの下を歩けませんよ、こういう破廉恥な、恥知らずの企業というのは。  しかも、独禁法のいまの足らないところですけれども、カルテル行為を破棄させるだけですね。それと、価格を引き下げるというあれはないものだから、やり得ということになる。何の制裁もない。だから、こういうときにこそ、私はやはり生産制限なんかを——カルテルをやっておるのだから。それに一方では増設でしょう。これは矛盾しますよ。こういう点も考慮して、一つの制裁的な意味からも、こういうものは許可すべきではないと私は思うのですが、どうでしょうか。
  327. 三木武夫

    ○三木国務大臣 石油審議会、通産省は石油の需給関係というものをにらんでやったわけでしょうが、石油の将来というものも相当きびしくなってくる、総需要抑制という見地からしても、こういうものの審議会における決定は、慎重であるべきだと思います。
  328. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 千葉県が昨年十二月二十七日に許可した中で、通産省が許可しなければならない増設は、どれとどれですか。
  329. 山中正美

    ○山中説明員 石油関係の会社でございます。
  330. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 どれとどれですか。
  331. 山中正美

    ○山中説明員 出光興産、丸善石油でございます。
  332. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は、この京葉臨海進出企業の問題をお聞きするということは、もう何回も申し上げているのですがね。それ二つだけですか。極東石油と富士石油は、かってに増設できるのですか。
  333. 山中正美

    ○山中説明員 どうも失礼いたしました。いまのは、最近いわゆる脱硫施設として認可したものでありまして、極東石油その他はその前の審議会で認可されたものであります。どうも失礼いたしました。
  334. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は、これらの一連の動きは、どうも石油危機ということで、公害問題が免罪にされるということは断じて許されないと思うのですね。  そこでいま、千葉県下の問題に入りますけれども、まず千葉県がどんなに環境汚染の状態にあるかということを確認してみたいのですね。まず、四十八年十二月、環境庁発表の「日本の大気汚染状況」、これによりますと、千葉県の汚染状況は、まずSO2、硫黄酸化物の点は、四十八年五月の閣議了解事項として告示されました環境基準に照らしてみると、七十三測定点中、不合格が四十六地点もあるのですね。環境基準の約三倍から四倍の汚染度です。これが四十七年度の状況ですよ、二年前。それからNOx、窒素酸化物、これはやはりいまの、昨年五月の告示の環境基準からいいますと、全部の測定点が、基準の約三倍から四倍の汚染度を示しております。しかも基準をはるかにオーバーしておるわけですね。それから浮遊粒子状物質、これは大気中にいろいろな浮遊しているこまかい粒子状の物質ですよ。これも環境基準を大幅にオーバーしております。それから光化学スモッグ、これも非常に出現の回数が多くて住民を不安におとしいれております。これはNOxと関係があるわけですね。  それから今度は水質汚濁の問題これも瀬戸内海よりもひどいんですね、広さ、密度から勘案すると。しかもタンカーがふくそうしておる。  そしてまた、千葉市の地先の川崎製鉄千葉製鉄所の後背地を中心としております大気汚染によるぜんそくが、あるいはぜんそくを含めた呼吸器病患者が、ことしの一月現在で千葉市の認定しただけで三百五十五人。そのうちなくなられた方が十人ですね。これは千葉市の調査です。これは四十七年度、それから現在の一部ですよ。これは環境庁が出されたやつですから間違いありませんね、こういう状況であるということは。
  335. 春日斉

    ○春日政府委員 ただいま御指摘になられましたように、当地域の大気汚染の状況は、硫黄酸化物でございますと、まあ年々改善はされてきておりまして、四十五年度から継続測定を行なっている測定局で見ますると、四十七年度においては、いわゆる旧環境基準ば達成しておるわけでございますが、新環境基準についてみると、御指摘のようにまだまだかなりのオーバーが見られるということでございます。窒素酸化物につきましては、四十六年度から連続測定しております局について見ますると、四十七年度における二酸化窒素の測定結果は、やはり環境基準をかなりオーバーしている、こういうことでございます。
  336. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 さらに、この三月までにおそらく東電の火力増設、鉄鋼あるいは石油精製、まだ残っておりますね。石油化学もある。この増設計画が軒並みに来ているわけですね。しかも、どうも同意をされる可能性が状況としては強いわけです。そこで通産省と千葉県が共同で実施されました、昨年十二月に発表されました例の京葉地区大気汚染予測結果の中間報告、この資料によると、五十二年までの新増設計画予定の企業は、どれを見ても、いわゆる資源多消費型ですね。電力は四十七年に比べると約二倍、おたくでつくられた資料ですよ、鉄鋼が約一・五倍、石油精製が一・五倍、石油化学、これはエチレン設備ですけれども、三倍。四十七年度に比べてこういうものすごい計画ですね。  このようなことを千葉県は強行しようとしておるのですけれども、通産省のほうから見た将来の企業の企業の生産規模なり、つまり産業立地政策ですね、あるいは環境保全という立場から見て、こういうやり方が妥当と一体通産省は考えておられるかどうか、これをお伺いしてみたいと思うのです。
  337. 志賀学

    ○志賀説明員 お答えいたします。  先生のお尋ね、あるいは工業再配置との関係でどう思うかというようなお尋ねも含むのではないかと思いますので、私から御説明いたしますけれども、工業再配置計画、これは再配置法に基づきまして、つくることになっておるわけでございまして、四十七年の十月末に再配置促進法が施行された後、同年の十一月に骨子案をまとめまして、工場立地及び工業用水審議会というところにはかったわけでございます。  その後、先生御案内のように、この再配置計画というのは昭和六十年度を目標とする計画ということで考えておるわけでございますけれども、その後まあ長期の見通しというものがたいへんむずかしい情勢になってきておりますこと、あるいは全国総合開発計画の見直し作業との調整、そういったことがございまして策定が延びておるわけでございます。ただ、私どもが従来作業の過程でいろいろ検討を進めておるわけでございますけれども、確かに省資源あるいは省エネルギーといったような産業構造に変えていかなければならないということで、私どももいろいろ検討しておるわけでございますが、ただやはり昭和六十年までの私どもの現在の感じでは、ただいま先生がおっしゃいましたような、いわゆる基幹資源型の産業の需要というものは、やはり相当伸びると見るべきではないかというような状況になっております。  私ども、工業再配置という観点から申しますと、確かにその誘導地域にできるだけ工場の立地を変えていくということが望ましいわけでございますけれども、他方、いわゆる基幹資源型の産業の場合に、その立地条件というのが非常に限定されるわけでございます。かつ、その……(楢崎分科員「要点だけでいい。」と呼ぶ)はい。かつ、その新しい立地基盤を整備するのに、かなり長期間が要るというようなことでございまして、そういう意味から申しますと、ある中期的な需要に対応していく必要があるという意味で必要な工事であって、環境面において十分な対策が講じられるというような場合で、かつ地元もそういうことで了解をされるというような場合には、誘導地域以外の地域に立地していくこともやむを得ないというようなことで考えておるわけでございます。
  338. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 何を言っていられるのか、私、さっぱりわからないのですけれどもね。つまり、この再配置促進法が成立したのが、施行は四十七年十月だけれども、できたのは六月でしょう。そうして三条では工業再配置計画をつくるということになっておる。一年半もたっております。いつ、これはつくるのですか。
  339. 志賀学

    ○志賀説明員 現在、鋭意その作業を進めているわけでございまして、それをできるだけ早い時期につくりたいというふうに思っております。
  340. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ちょっと待ってください。そんな答弁は通らないのですよ、もはや国会では。めどを言ってください。
  341. 志賀学

    ○志賀説明員 これは関連するところが非常に多面にわたります。エネルギーの見通しであるとか、あるいは産業構造の見通しをどうするかとか非常に多面にわたる問題でございまして、そういう意味で私、ただいまそのはっきりとしためどを申し上げにくい状況でございます。  ただ、いずれにいたしましても、私の心づもりといたしましては、ことしの半ばごろまでにはつくりたいというふうに存じております。
  342. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 課長さんでしょう。(志賀説明員「はい」と呼ぶ)一番仕事の中心ですわね。だから、あなたの見通しは、わりかし作業としては正確ではなかろうかと思うのですけれども……。  そうすると、ことしの半ばごろということになると、いまそれができない前に、そういう工業再配置計画とは無関係に、フリーパスで、こういう工場がどんどんつくられていくことについて、それは地元がいいと言えばいい、そういうことでは私はいけないと思うのです。あなた方が考えておられる工場再配置計画の中で、一体京葉地帯はどういう位置づけになるという見通しですか。
  343. 志賀学

    ○志賀説明員 お答えいたします。  工業再配置促進法上は、日本全体を移転促進地域と、誘導地域と、それからそのいずれでもない白地地域というふうに分けておるわけでございますが、京葉工業地帯は白地地域でございます。工業再配置計画をつくる場合に、私ども現在一応頭の中に置いておりますのは、先生御質問のような京葉工業地帯というところまでおりた形ではなくて、もう少しマクロ的な、たとえば地域につきましても、日本を幾つかのブロックに分けて、あるべき姿というようなものを描いていきたいというふうに考えております。
  344. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いまのようなお考えであれば、どうも工業立地政策というのはばくたるものでして、まさに工業立地政策の不在を浮き彫りにしたような感じを私ども受けるんです。大臣じゃありませんから、これ以上その点はあれしませんけれども……。  そこで、問題の京葉地区大気汚染予測でございますけれども、この報告書は、いわゆる硫黄酸化物、SOxでしか将来予測を分析しておられませんね。今後の問題はむしろNOx、窒素酸化物のほうではないでしょうかね。これは触れられていないけれども、間違いありませんね。
  345. 山中正美

    ○山中説明員 先生御指摘のとおり、NOxのいわゆる汚染予測というのは、現在非常に未開拓の分野でございまして、そういう意味で、われわれ別の予算で一応汚染予測というものは検討しておりますけれども、この京葉地区の移転調査の中間報告には、一応困難だということだけを指摘してあるだけでございます。
  346. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いまの御答弁のとおりでして、むしろこれが問題ですよね。しかも中間報告が出た段階で、それに依拠して千葉県は許可をしておる。こういう点も千葉県の許可のしかたにはたいへん問題があると私は思うんですよ。そこ、で、むしろ最終報告をまってその判断を下すように、通産省はどうして指導しなかったのですか。
  347. 山中正美

    ○山中説明員 この事前調査の性格の問題にもなってくるわけでございますけれども、千葉県とは、SOxの問題につきましては相当突っ込んだ議論をやりましたし、SOxの事前調査の結果、これはもちろん一〇〇%確実だというものではございませんけれども、私ども相当の自信を持った予測でございます。  NOxにつきましては、現在の排出総量あるいは将来各企業が発生を予測する数量というのを一応計算いたしまして、その中で、現在千葉県といいますか京葉工業地帯の中で一番着地濃度といいますか環境濃度が高い辰巳というところがございますけれども、それが〇・〇六六PPMというのを現在持っておりまして、それを対象にいたしまして、千葉県がいろいろ判断していったのではないか、そういうふうに一応理解しております。ただ、その中間報告にもございますように、NOxにつきましてはわれわれとしてもなお自信はない。ただ、千葉県の判断自体もそう誤ってはいないのじゃないか、こういうふうに判断しております。
  348. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 何が誤っていないのですか。
  349. 山中正美

    ○山中説明員 〇・〇六六PPMを〇・〇二ないし中間目標値である〇・〇四PPMに下げるという考え方それ自体、総量を全部カットしていこうという考え方に立って、いろいろ千葉県は行政指導しているようでございますけれども、その点については、現在汚染予測の手段がない以上は、そういう手段をとらざるを得ないのではないか、こういうふうに判断しておるということでございます。
  350. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 長官、お聞きのとおり、つまり窒素酸化物、NOxについては全然めどが立っていない。そういう中でこういう新増設が進められる。四十七年度の汚染状況はさっきも言ったとおりですよ。そこで環境保全の面から、また公害病指定地域にしようと環境庁はお考えなんでしょう。どうですか。
  351. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 現在健康被害補償法の体系で、指定地域をできるだけふやしていきたい、こう考えておりますので、そのための準備調査をしております。全国で七カ所やっておりまして、千葉につきましてもそういうような調査を現在いたしておる段階でございます。その調査結果によって、指定するかしないか決定しよう、こう思っております。
  352. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 先ほども言いましたとおり、東京湾の大気汚染問題で注目しなければならないのは、SOxよりもむしろ光化学スモッグの被害だと思うんですね。それで、その原因物質としてのNOx、窒素酸化物、これの対策だ、このような位置づけをする必要があるのじゃないかと私は思うのです。それで、いまもちょっと御答弁がありましたけれども、通産省の調査では、五十二年までの新増設計画によるNOxの排出量、これは四十七年度に比べて約一・五倍の排出量に達するわけですね。このままでいけば、それはたいへんなおそろしい汚染になると思うのですけれども、しかもそのNOxの排除対策はまだ信頼の置ける防除対策技術ができていない。これでいいんでしょうか。
  353. 山中正美

    ○山中説明員 企業がいわゆる脱硝装置あるいはその他何もつけない場合には、先生御指摘のように一・五倍になるわけでございますけれども、われわれといたしましては、〇・〇二PPMという五年ないし八年後の環境基準を守るためには、現状のNOxの総排出量を少なくとも七〇%カットしていく、こういう方策で、千葉県と共同して企業を指導していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  354. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 NOxの基準は御存じでしょう。今度数字で言ってみましょうか。おたくの資料ですよ。四十七年度のNOxの排出量、これは時間当たり約九千五百立方メートルですね。これは結局環境基準の二・五倍の汚染度。そうすると、環境基準達成のためには、単純計算してみましても、NOxの排出量を約三千八百まで落とさなければならない。ところが、おたくの報告書によりますと、五十二年度の企業の新増設によるNOxの排出量は、私の計算によると約一万四千立方メートルになる。そうすると、さっき言った三千八百の今度三・五倍になりますよ。間違いありませんね。
  355. 山中正美

    ○山中説明員 御指摘のとおりでございまして、現状の九千四百をその三分の一以下にするように、増設を含めまして三分の一にするということで企業を指導していきたい、そういうふうに私ども考えております。
  356. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 しかし、そうなってないじゃないですか。そうなってないでしょう。
  357. 山中正美

    ○山中説明員 私どもの中間報告書は、企業の出してきた原案を記録してとりまして、中間報告の中では非常にむずかしい問題であるという指摘にとどめているわけでございます。だから、実際は千葉県と共同いたしまして今後新増設その他の際には当然現状を非常に落っことしていく、いわゆる既存と新設と合わせても現状以下にして押え込んでいくという方針で対処していきたいと考えておるわけでございます。
  358. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これは環境庁でもどちらでもいいですけれども、NOx対策について千葉県に具体的にどういう行政指導をしているのですか。環境庁でもけっこうです。
  359. 春日斉

    ○春日政府委員 先生の御指摘のように、千葉県は大気汚染の著しい千葉臨港工業地域において十数社の設備の増設に同意したと伝えられているわけでございますが、環境庁といたしましては、大気汚染物質についての環境基準を達成するため、排出基準を定めて都道府県知事により規制を行なわしめているわけでございますから、一般論として申せば、現在環境基準を大幅に上回っているような地域においては、汚染物質の増加の可能性がある工場の新増設については、公害防止対策を十分に講ぜしめるなど慎重な取り扱いをすることが望ましいと考えております。
  360. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私、そういう一般論を聞いておらぬのですよ。あたりまえの話でしてね。NOxの問題を聞いておるのです、千葉県にNOx対策についてどういう指導をなさいましたかと。ただ、少しでも減らせ、そういうことだけですか。
  361. 春日斉

    ○春日政府委員 二酸化窒素に係る環境基準については、原則として五年以内に達成することとしてございます。また、五年以内に達成することは困難と認めた地域については、五年以内に中間目標をつくって八年以内に環境基準を達成することと定めておるわけでございます。  環境庁といたしましては、昨年来関係都道府県から二酸化窒素にかかわる大気汚染の現状、発生源の状況について説明を受けてまいりました。千葉県についても同様でございます。そして八年達成地域とする必要があるかどうかの判断は、当該地域の汚染の実態、発生源の状況、それからその汚染への寄与、発生源に適用し得る防除技術の状況あるいは技術開発の見通し、こういうものについて十分検討を加えた上で行なうことといたしておるわけでございまして、千葉臨海工業地域においても現在検討中でございますが、おそらく千葉県の場合、すべて五年地域で達成できない地域も出てくる、かような立場に立って現在作業を進めておるわけでございます。
  362. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 環境庁はそういう見通しですか。五十二年というのは、昨年七月三日の総理大臣が指定した公害防止計画策定の基本方針でしょうが、じゃ五十二年までには達成するめどはないわけですね、いまの御答弁だと。昨年あるいは三月に増設をまた許可するのでしょうけれども、そういう動きから見てです。
  363. 春日斉

    ○春日政府委員 ただいま申し上げましたように、原則として窒素酸化物の環境基準を達成するのは全国五年ということでございますが、千葉臨海工業地域についてすべて五年で達成できるとは限らない、若干の地域では八年地域も出てくるであろう、かような見通しを持っておるわけでございます。
  364. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この増設の十一社のNOx改善内容を見ますと、現状よりはやや改善されることになっているということは見られます。しかし、その十一社の合計を見てごらんなさい。約二千三百立方メートルでしょう。これにそのほかの既設分の約四十工場の排出量が加わりますから、これはとてもじゃないがNOxの環境基準達成ということは、むしろ望まれない、私はそう思いますが、どうでしょうか。
  365. 山中正美

    ○山中説明員 先生御指摘の分は、今度千葉の公害防止協定を結びました十一社についての一応五十年時点の削減量だ、こういうふうに理解しておりますが、われわれ現在脱硝につきましては、通産省自身においても補助金を出し、あるいは研究組合を大手の業種等についてはつくらせる等々で非常な努力を重ねているわけでございますし、一方、いわゆる燃料の改善あるいは燃焼方式の改善、先ほどの十一社ももっぱら燃焼方式の改善をとっているわけでございますけれども、そういうふうな対策が徐々に実を結んでまいりまして、少なくとも、先ほど大気保全局長からも御説明がありましたように、環境基準の達成期間の中にはぜひとも押し込んでいきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  366. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 こういう点、全くたよりない話でして、だからむしろ環境庁は、千葉県に対して断固たる態度で今度の増設計画の同意を撤回させるべきだと思うのですね。これはめちゃくちゃですよ。めどないですよ、どんなにおっしゃっても。私は再検討を指示すべきであると思いますけれども、環境庁の立場としては、どうでしょうかね。再検討しなさいという指示、できないですか。
  367. 春日斉

    ○春日政府委員 現在のところ、再検討を命ずる段階ではないと考えております。
  368. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 どうしてですか。
  369. 春日斉

    ○春日政府委員 大気保全局が中心になりまして、千葉県が昨年の十二月末に許可をいたしました十一工場の新設について直ちに撤回しろ、こういう強い発言をする立場には現在のところない、こういうことでございます。
  370. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 環境庁、もう少ししっかりしてもらいたいと思うのですよ。まだ問題があるのですよ。この京葉地域は公害対策基本法十九条の規定による公害防止計画策定地域になっている。間違いないですね。
  371. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 これはすでに公害防止計画第一次地域として認可された地域でございますが、これがさらに時期が経過しましたら、その見直しも含めまして地域を広めて、現在防止計画の策定を指示している、こういう段階でございます。
  372. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そしてこの基本方針というのは、こういうことが加えられているんじゃないですか。この方針を受けて千葉県は公害防止計画の原案をつくり、内閣総理大臣の承認を求めなければならない。間違いないですね。まさに現在その作業中、間違いないですね。
  373. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 私とも、この千葉と一緒に指示しております五次地域と申しておりますが、この地域については、できるだけ早くというところで、大体三月末をめどに提出を要請いたしております。ただ、現地の作業が県によっても若干の差異がございますが、三月末まではちょっと無理だというような状況のところもあるようでございまして、いま督促をしておる段階でございます。
  374. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 全くこの作業中ですよ。何であわててこんなに増設許可をしなければいかぬのでしょうね、千葉県は。いま作業中でしょう。だから結局こういう千葉県のやり方というのは、いままで申し上げた基本方針と相いれないやり方じゃないですか。その点はどうでしょうか。
  375. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 私ども基本的に考えますと、防止計画の策定を待って動いてもらうというのが一番望ましいと思います。ただ、さっき大気局長が申し上げましたのは、そういう立地あるいは増設、こういうものにつきまして環境庁として法的な権限を持っていない、こういうことを申し上げたのだと思います。
  376. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いずれにしましても、非常に無理をして急いでおるということは、長官もお感じであろうと思うのですね。だから、法的なチェックのしかたは環境庁にないというお話ですけれども、何とかそこを通産省と話し合われて、この千葉県の行き方に私はチェックをすべきではなかろうかと思うのですが、最終的に長官のお考えをお伺いしたいのです。  私は最初からいろいろな点を申し上げました。総需要抑制の点、民間設備投資の抑制の点、それから環境保全よりも開発を優先にしておる点、独禁法違反を繰り返しておる会社がこういう増設を申請しておる点、そしてこの公害問題、あらゆる点から見て私は納得できないのですよ。最終的に長官の、また副総理としてのお考えを聞いておきたいと思うのです。
  377. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いまのやりとりを聞いていますと、やはり防止計画がちゃんとできてすることが好ましいとは思いますが、しかし環境庁として——役所というのは、やはり権限というものが根拠になっておるわけです。しかし、こういう相当汚染の進んでいる地域というものは、権限というのではなくして、今後工場立地というものは権限の上でどうこうということはなかなか困難がありますが、もう少し通産省と環境庁との連絡をよくするような方法をこれからひとつ考えてみたいと思います。
  378. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 最後にしますが、三木長官、副総理でもあるし、閣議で通産大臣ともお話できるのでしょう。そういうまさにおっしゃったとおり、これは権限を越えた問題であろうと思うのですね。どうも、そんなに急いでやらなければならない理由がどこにあるのか。その他全体的に見ても、総需要抑制の観点からも非常に矛盾しておる問題だし、ぜひ通産大臣と話をされて、まあ慎重にやるということではあるけれども、千葉県にほんとうに再検討を、通産省あたりから、これこそ行政指導すべきですよ。やみカルテルの行政指導するのじゃなしに、こういうときにこそ行政指導するのですよ。それを最後にお願いをして、私の質問を終わります。
  379. 上村千一郎

    上村主査 松村精製流通課長、先ほどの楢崎さんの質問のは、聞いておいた……。
  380. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 昨年の十一月十三日の石油審議会で認可した十四社、それから昨年十二月二十七日千葉県が許可したこの新増設の分で、独禁法の関係で告発をされているもの、勧告を受けているもの、これを把握していますかというようなことを聞いたのです。
  381. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  昨年許可をいたしました総量が百十三万バーレルでございますけれども、その中で、いま先生からお話のございました十三社元売りの関係でございますが、これは告発を受けましたのが十三社の元売りでございまして、精製会社は入っていないわけでございますが、関係の精製会社まで計算に入れますと、八十六万五千バーレルと、大体八割程度というふうに把握いたしております。  また、先生からお話のございました東京湾でございますが、東京湾につきましては、今回は許可がなされていないわけでございます。
  382. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そんなこと聞いていないのですよ。カルテル違反で勧告を受けているもの、告発を受けている分を、把握していますかと言っている。この十一月十三日の分と、千葉県の十二月二十七日の分です。
  383. 松村克之

    ○松村説明員 いま私が申し上げましたのは、許可をいたしました百十三万バーレルの中に……(楢崎分科員「そういうことを聞いておるのではない、会社を聞いているのですよ、告発を受けた、あるいは勧告を受けた」と呼ぶ)告発を受けました会社については把握いたしております。会社の名前については把握いたしております。  審議会の答申をいただいた会社でございますが、日本石油精製という会社がございます。これは日本石油の子会社でございます。  それから東亜燃料工業という会社がございます。これは関係がないわけでございます。  それから、昭和石油、これは関係がございます。  東北石油、これは関係がございません。  次に、日本鉱業でございますが、これは共同石油グループということになっております。  それからアジア石油、これは同じく共同石油グループということになっております。  次に、東亜石油、これも共同石油グループということでございます。  また、鹿島石油、これも共同石油のグループでございます。  それから丸善石油がございます。  それから出光興産があるわけでございます。  次に、九州石油がございます。  それから、富士興産、これは関係がございません。  それから日本海石油、これも関係がないわけでございます。  それから、日向燃料工業、これは新しい会社でございまして、これは関係がございません。  以上でございます。(楢崎分科員「千葉県は」と呼ぶ)  千葉県については、今回の設備の答申の中には千葉県関係は入っていないわけでございます。
  384. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 出光石油化学は、勧告を受けてないですか。
  385. 松村克之

    ○松村説明員 私がいま申し上げましたのは、石油精製について申し上げたわけでございまして、出光石油化学の——石油化学関係については、私ちょっと把握いたしておりません。
  386. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 もうやめますけれども、長官の時間があるから……。お聞きのとおりですよ。ほとんど全部ひっかかっているのです。しかも、どうも通産省というのはあれだけ石油業界と仲がいいのに、勧告を受けておるのを把握していないというのですね。もうとにかく話になりませんよ。きちっと締めてください、長官。最後にそれ言って、もうあいそもくそもないですよ、ほんとうに。  終わります。
  387. 上村千一郎

    上村主査 次回は、明七日午前十時第一分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十分散会