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1974-03-05 第72回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和四十九年二月二十七日(水曜日) 委員会において、設置することに決した。 二月二十七日  本分科員委員長指名で、次の通り選任され  た。       荒舩清十郎君    上村千一郎君       北澤 直吉君    櫻内 義雄君       中村 弘海君    野田 卯一君       田中 武夫君    中澤 茂一君       楢崎弥之助君    寺前  巖君 二月二十七日  上村千一郎君が委員長指名で、主査選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和四十九年三月五日(火曜日)     午後一時六分開議  出席分科員    主査代理 中村 弘海君       荒舩清十郎君    北澤 直吉君       櫻内 義雄君    田中 武夫君       楢崎弥之助君    山口 鶴男君       寺前  巖君    正森 成二君    兼務 小林  進君 兼務 山本 政弘君  出席政府委員         内閣官房長官 大村 襄治君         内閣総理大臣官         房広報室長兼内         閣官房内閣広報         室長      斎藤 一郎君         警察庁長官官房         長       国島 文彦君         宮内庁次長   瓜生 順良君         皇室経済主管  野本 松彦君         防衛庁長官官房         長       丸山  昂君         防衛庁装備局長 山口 衛一君  分科員外出席者         衆議院事務総長 藤野 重信君         衆議院庶務部長 荒尾 正浩君         参議院事務総長 岸田  實君         参議院事務次長 植木 正張君         裁判官弾劾裁判         所事務局長   池田 英雄君         裁判官訴追委員         会事務局長   大迫 藤造君         国立国会図書館         長       宮坂 完孝君         大蔵大臣官房審         議官      磯辺 律男君         国税庁調査査察         部長      井辻 憲一君         会計検査院事務         総長      石川 達郎君         会計検査院事務         総局第二局長  柴崎 敏郎君     ————————————— 分科員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     寺前  巖君 三月四日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     山原健二郎君 同月五日  辞任         補欠選任   中澤 茂一君     山口 鶴男君   山原健二郎君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     中澤 茂一君   寺前  巖君     正森 成二君 同日  第二分科員山本政弘君及び第五分科員小林進君  が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算皇室費国会及  び会計検査院所管      ————◇—————
  2. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  上村主査所用のため、その指名により、私が主査職務を行ないます。本分科会は、皇室費国会、裁判所、会計検査院内閣総理府及び法務省並びに他の分科会所管以外の事項、なお、総理府につきましては経済企画庁を除く所管について審査を行なうことになっております。お手元に配付してございます日程に従って審査を進めたいと存じます。  まず、昭和四十九年度一般会計予算中、皇室費を議題とし、政府から説明を求めます。瓜生宮内庁次長
  3. 瓜生順良

    瓜生政府委員 昭和四十九年度における皇室費歳出予算について、その概要説明いたします。  皇室費昭和四十九年度における歳出予算要求額は、二十億一千四百十八万一千円でありまして、これを前年度予算額二十一億七千百四十二万六千円に比較いたしますと、一億五千七百二十四万五千円の減少となっております。  皇室費歳出予算計上いたしましたものは、内廷に必要な経費宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下、予定経費要求書の順に従って、事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費一億三千四百万円、宮廷に必要な経費十八億七十二万四千円、皇族に必要な経費七千九百四十五万七千円であります。  次に、その概要説明いたします。  内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額計上することになっておりますが、前年度比較して、二千二百万円の増加となっております。  これは内廷費定額一億一千二百万円を、本年度において一億三千四百万円に増額改定することを予定していることによるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。  宮廷に必要な経費は、内廷費及び皇族費以外の宮廷に必要な経費計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費二億三千四百三十八万二千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費十五億六千六百三十四万二千円でありまして、前年度比較して一億九千三百七十万二千円の減少となっております。  皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度比較して、一千四百四十五万七千円の増加となっております。  これは、内廷費と同様に、年額算定の基礎となる定額一千万円を、本年度において、一千二百十万円に増額改定することを予定していることなどによるものでありまして、増額改定に伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。  以上をもちまして、昭和四十九年度皇室費歳出予算計上額説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。
  4. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 以上で説明は終わりました。
  5. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 これより質疑に入ります。  この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜わりたいと存じます。なお、政府当局におかれましても、答弁はでき得る限り簡単明瞭にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。小林進君。
  6. 小林進

    小林(進)分科員 ともかく三十分でございますので、問題を切り詰めてお尋ねいたしますので、ひとつ要領よくお願いいたしたいと思いますが、まず第一間といたしましては、四十九年度予算の中で、いまも御説明のありましたとおり、一億三千四百万円が減少になっております。総額において、この減った理由は一体どこにあるのか、簡単にお聞かせを願いたいと思います。
  7. 瓜生順良

    瓜生政府委員 この減りました理由は、主として皇室用財産維持管理費の中の施設営繕経費が減っておるのであります。それは、この物価対策として、総需要抑制の線に沿って、財政政策上できるだけ節約をするというようなことで、そういう関係上、営繕で新しくやるというようなものを差し控えたということによるのがおもであります。
  8. 小林進

    小林(進)分科員 私は、いまちょっと数字を間違えましたが、四十八年度予算比較いたしまして一億五千七百万の減少でございます。前の数字を訂正いたします。  私は、営繕費等を主にして費用を節減されたということでございますが、この内容をまずお伺いいたしますと、宮廷費の中で招宴費がわずかに二百万円の増加でございます。これでよろしいのかどうか。交際費についても、わずか四百万円の増。そういうことで、私は、招宴費交際費内容をどういうところで区分をされておるのかは詳しくわかりませんが、いずれにいたしましても、両方ともその増額分がわずかです。  最近わが日本の諸外国との交流も深まってまいりました。確かに、承認をした国も年々ふえてまいりまするし、その国々の元首日本を訪れられる機会も多いのであります。そういうときには、日本象徴としての宮廷へ、やはり元首がごあいさつにおいでになる、天皇もお迎えになる、そういうことで、私は相当費用増額が必要であると見ているのでございまするけれども、このインフレ下において、少し増額の率が少な過ぎるではないかということが一つであります。  まあ政党によって、いろいろの考えがございましょうが、私は、天皇が国の象徴としておいでになる限りは、やはり外国使臣等をお迎えしても、あまり貧しいかっこうをお示しいただくことには反対であります。これは単に皇室だけではなくて、私は、外務省に対しても、私の哲学としてやかましく申し上げておる。国を出れば、公館とか大使館とかいうものは、その国を象徴するものなんだから、それはやはり日本一流国なら一流国に値するような大使館公邸を持ちなさい、日本は国の中では一流国だというけれども、よそを回ってみると、三流国、四流国の公館公邸しか持たないではないかという、あまりにも貧弱過ぎる。そういうところへ金を惜しんじゃいけない。私は、長く国会の中でその説を続けてまいりましたが、それは即やはり日本皇室、宮城にも私は同じ一つ哲学を持っている。外国に対して威容を示し、外国に対して、国のやはり象徴たる姿をきちっと示すためには、こんなところへみみっちい姿勢を示してもらいたくない。その意味においても、外国との交流が激しくなったら、必要な予算は大幅に請求なされたらいいじゃないかと私は考えておるのであります。それにしては、この招宴費交際費が少し増額の点が少な過ぎる。  また、かすかに聞くところによりますると、インフレのせいかどうか、外国使臣接待の場合のみじゃないのであります。国内においても、いろいろ宮中には定められた公式の行事がありまするが、そういう場合における経費使い方も、最近はみみっちくなったぞという、そういうことをしばしば耳にいたすのでありまして、決して私は好ましいことであるとは考えておりません。そういうことをあわせて、ひとつ御答弁をいただきたいと思うわけであります。
  9. 瓜生順良

    瓜生政府委員 まことに御理解深い御所見を承りまして感謝いたしますが、この予算の編成にあたりましては、先ほどもちょっと申しました、総需要抑制というようなそういう線もあり、そういう点も含みながら組んだわけでありまして、その招宴費なり交際費増額金額が少ないという点もございますが、これはいろいろの点をくふうをいたしまして、従来のいろいろの料理の内容を落としたりするようなことのないようにして、いわゆる先生がおっしゃいました、みみっちいことのないように、われわれ大いに努力いたしたいと思っておりますので、先生の御意見の意を体して、十分努力いたしたいと思います。
  10. 小林進

    小林(進)分科員 私も予算委員を数年やりましたり、予算の理事をしている関係上、国内における宮中の定められた行事にも、御招待あれば参加をさしていただいておるのでありまするが、あまり具体的な例を申し上げるのもなんでございますから、それは申し上げませんけれども、どうも最近少しみみっちいところがございます。まあひとつ、そういうことのないように、必要な経費は十分私は要求していただきたいと思います。  この際、諸外国の例と日本皇室の例の費用使い方等比較対照することも困難と思いますが、われわれのもって範とすべきものに英国王室があります。英国議会政治の国でございますが、何か若干どうも最近問題もあるやに聞いておりまするけれども、一体英国比較して、日本のこの公式の費用であります宮廷に必要な経費はどんなものでございますか。比較対照はむずかしいかもしれませんけれども、大ざっぱでよろしゅうございますが、何か感ずるところがあったら、ひとつ御説明をいただきたいと思うのであります。
  11. 瓜生順良

    瓜生政府委員 英国王室経費の立て方が、わが国の経費の立て方と非常に違っておるものでございますので、きちっとした比較がなかなかむずかしいのでございますが、英国の一九七二年の王室費というものを見ますと、これは九十八万ポンド、日本の金で六億八十万でありますが、これの中には、いまお話招宴費ですとか、その他いろいろ宮中での経費、それになお宮廷側近奉仕の人の俸給も入っております。宮内庁関係ですと、それは宮内庁費のほうにいっておるというようなことで、ちょっと違っておる点があります。  そういうことでございますが、なお英国王室関係を調べますと、いま申しましたような、そういう王室費の中に含まれる以外の公的な活動経費として、国内、国外の公的旅行費をはじめ、王宮や王族の殿邸王室ヨット王室航空機等維持管理費とか、宮廷の備品とか儀典の経費、そういうようなものが多様にわたっておりますが、そういうものは別途各省予算計上をされております。たとえてみますと、外務省でありますとか、それから建設省に当たるところに計上をされております。  これらの総額は、一九七一年十一月に発表になったのを見ますと、一九七一年度では、日本のお金で二十億三千万円に達しております。ちょうど、いまこちらのほうの宮廷費関係金額よりやや多いわけでありますが、そう違った金額でもないのであります。その点では、やや似ているというふうに思っております。そのほかに内給費ですとか、私的生活経費ですとか、年金というものがまた別途ございます。
  12. 小林進

    小林(進)分科員 なかなかこれは比較がむずかしいと思いますが、私は日本のこの予算を見まして、先ほど同僚の諸君とも笑ったんでありますが、この交際費一千八百六十万円、これは私ども集中審議で各商社企業の代表をここへ呼んで、三日間ばかり論議を重ねましたが、これは一流商社企業の社長さんの交際費から見たら、ものの数じゃないじゃないか、たいへんみみっちいものだなという笑い話しもしたんでございますし、またこれらの商社企業が自民党という政党へ献金なさるその献金の率から見ても、とてもこれはみみっちいものでございまして、お話にならない。それでやっていけるのかどうか知りませんけれども、仲間の話もそういうことがございまして、私ども、しかし、その内容を詳しく、どっちへお使いになるのかわかりませんけれども、あんまり遠慮なさらずに、ひとつ必要なものは、いま少しどんどん要求されたらいいではないかというのが、私の率直な気持ちであります。  なお、内廷費につきましても、わずかに一億三千四百万円、これは天皇家天皇を含めて七名の方の内廷費それはそこにおつとめになっている方々も全部含めた費用でございましょうけれども、これは私はたいしたものではないと思っております。皇族に至りましては、いまお話しのとおり一千二百十万円、秩父宮妃殿下お一人でございましょうから、一年間一千二百十万円でお暮らしになる。これは大きなお屋敷でございますけれども、それでやっていけるのかどうかというふうなことも、私ども内部はわかりません。けれども、それでいいのかなという感じも抱いたわけでございますが、そういう点をひとつほんの所見だけを申し述べて、これはお答えをいただき幸せんが、十分ひとつ御考慮をいただきたいと思います。  時間もありませんから、次の問題でお伺いいたしまするけれども、皇室経済法の第二条に、これは天皇国会議決を必要としない財産の授受に関する件が定められているわけでございますが、私はここで憲法論とかあるいは法律論をやろうというのではないのであります。あるいは天皇私人としての地位がどうだとか、あるいは天皇は無人格であるとか、あるいは天皇には税金も戸籍もないからとか、そういう法律論はまたあらためてやることにいたしまして、私は、天皇にもやっぱり自然人としての立場はなければならぬと思います。自然人でありますから。その点においては、われわれ人間と変わりがないんであります。  それでありまするから、もっと具体的にいえば、天皇も人の子として父親の立場もおありになるときもあるだろうし、またその子供さんに子供がおできになれば、おじいちゃまといっては、まあ俗語でございまするから、その点はひとつお許しいただくとして、孫もできるという立場もあるでしょうけれども、そういう場合に、やっぱり一般の父としての立場あるいはその孫に対するような立場というものは、これは何もこの中に出てこない。それは私人であるかは別として、自然人として、やはり相当に行動もしなければならぬだろうし、出資も出費も要るだろうけれども、その自由になる費用は一体幾らかというと、第二条に基づいて、一年間——何ですか現在九百九十万円、これで一体その親子愛情家族のその自然人としての立場を守っていけるのかどうか。  もっと具体的に言いますと、天皇の御家族というものは、天皇の同一家族のときはいいけれども、一回臣下へお嫁においでになりますと、これは縁が切れて、もう皇族メンバーでないわけですな。皇族でもなければ皇族メンバーでもない。そういうときには、俗のことばでいうと、臣下降嫁されたというのでございますか、いま私は最近のことばはわかりませんけれども、臣下降嫁をされた、そのときには一時金を持っていかれて、それで公式の上においては天皇家との縁切りであります。身分関係は、私はどうなるかわからない。私はまだわからない。一体われわれには、臣下になろうとどっちへいこうと、親子の情は同じでありまするから、私が死ねば、子供は平等に遺産相続権があるけれども、私は、天皇家一体遺産相続権があるのかどうかわからない。おそらくないのでしょうと思いますけれどもね。研究してみませんけれども。ないだろうけれども、しかし臣下降嫁をされたから、もはや親子の縁を切ったと、公式には天皇メンバーじゃないといったところで、自然人としたら、やはり天皇の子であることは間違いない。私はそれで間違いないと思いますが、そういうことも含めて、やはり私は、天皇天皇として、そういう自然人として、法律国会にあらわれないいろいろな場合において、必要な出資もあるだろうし、愛情の表現として使わなければならない費用もあると思います。そういうことがちっともどうもいまの中には見えていないじゃないですか。  私は、このインフレの世の中に、九百九十万円で一体やっていけるのかどうかという非常に疑問点を持っておるんでございますが、時間がないために、私はその前後の説明なくしゃべりましたけれども、まとめてひとつ御回答をいただきたいと思うわけであります。
  13. 瓜生順良

    瓜生政府委員 この皇室の賜与の制限の関係は、非常に窮屈なようにお思いだと思います。しかし、これは憲法の第八条から来ておりまして、憲法の第八条に「皇室財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜與することは、國会議決に基かなければならない。」というのがございまして、最初は相当こまかいのを国会に、この議案を出したことがあるようですが、それでは煩瑣だというので、皇室経済法で、一定の金額までは一々国会議決を要しないということで、いまでありますと、お受けになるのが三百三十万、賜与されるのが九百九十万と、この範囲でしたら国会議決は要らないというふうになっておるわけであります。ただ、この賜与の関係は、これは一般国民に対する関係で、まあ皇族同士の場合では適用はない、皇室内ですから。ただ、皇籍を離脱された方になりますと、一般国民というふうにもなられるわけでありますから、そういう点でむずかしい点はありますが、しかしながらいまおっしゃいますように、親御さんが子供に対する関係というものは、これは民法にも直系血族扶養の義務があるなんという、それと直接結びつくかどうか知りませんが、そういう関係で、ある程度のことはなされますけれども、しかしながらあまりのことはなされないというのが、現在の憲法からきておる法律のたてまえになっておるわけでございまして、そういう点が、われわれの中でお仕えしておってむずかしいなと思うことがございますけれども、そういう点はまあ将来の問題として許される範囲内においては、われわれも人情に沿った線で、こういう問題は運用したいと思っております。
  14. 小林進

    小林(進)分科員 まあ時間もありませんから、あまり具体的にも言いませんけれども、天皇さまも非常にお子さまが多くて、あるいは御長女の照宮さまがおなくなりになったとか、あるいは孝宮おいでになったとか、まあいろいろございますけれども、その人たち臣下におりれば一般国民でございますから、またそのお子さま方天皇にとってはかわいいお孫さんでしょうけれども、公式上は国民の一人でございますから、いまおっしゃった皇室費用だとか、その範囲からは全部のがれてしまうわけですから、そういうことも含めて、ひとつ皆さん方側近おいでになる方が万遺漏なきように、大いにひとつ気を使った行政をやっていただくように私のほうで希望いたしております。  経済問題はこの程度にいたしておきまして、ともかくあんまり具体的にものを言うことは好ましいことじゃございませんから、私はこれ以上はやめますけれども、いずれにしても、子であろうと孫であろうと、国民にとっては臣下ですし、国民であろうともやはり天皇にとって一番近親者でございますから、近親者にふさわしいような形が国民の前に映るように、ひとつ私は努力をしていただきたいと思います。  第二問として、もう時間もないから申し上げますが、いますぐ聞くわけにいきませんが、皇族と民衆との接触の問題です。これはやっぱり皆さん方側近の考え方によってずいぶん左右されると思うのでございますが、皇族政治に関与するということはこれは別といたしましても、公益事業とか、福祉事業などを通じて、あるいはスポーツとかを通じて、つとめて国民接触する機会はできるだけ持たれて、国民との間に近親感を醸成していくことが大切であると私は思うわけであります。思想信念は別にいたしましても、やはり明治天皇の昭憲皇太后ですか、らい病施設のためにたいへん御関心を寄せていただいたとか、あるいは古くは仁徳天皇が何とか貧しき人たちの煙を見て云々というようなことは、やはりそれは長く国民の胸に残るんです。こういうことは非常に好ましい感情として残る。そういうことは、やはり側近にいられる皆さん方が大いに気を使っていいことだと私は思うのであります。その意味において、現在、皇太子も含めまして、そういう皇族が何々という公共事業だとか、あるいは福祉事業の、あるいは名誉総裁だとか、あるいは名誉会長だとか、そういう職務といいますか、地位におつかれになって、そして社会一般国民との接触をはかられているというようなことが一体どれぐらいあるんでしょうか。どれぐらいなことに関係しておられるのか、それを実はお聞きしたいところでありますが、時間がなければ、あと書面でもよろしゅうございますが、ひとつお聞かせをいだきたいと思うんでございます。
  15. 瓜生順良

    瓜生政府委員 皇族の方が社会事業などの総裁をなさっているのは相当ございます。たとえば常陸宮さまですと肢体不自由児協会総裁とか、自然保護関係鳥類保護連盟総裁とか、そういうのをなさっているとか、他の秩父宮さまとか高松宮さまその他いろいろなさっております。なお皇后陛下日本赤十字の副総裁をなさっておる。他の皇族さんは日本赤十字の副総裁をなさっておる。いろいろございますが、なんでございまいましたら、たくさんありますから、あとから書面でお知らせいたします。
  16. 小林進

    小林(進)分科員 ぜひひとつ参考までにお知らせをいただきたいと思います。  あとは、これは希望も含めますけれども、時間がありませんから簡単に申し上げまするけれども、奈良県の高松塚の壁画の発見の例なんかの問題もございまして、歴史学的に重要な問題を提起しているものに、いわゆる陵墓発掘の問題があるわけでありますが、これは国民感情やら尊厳の問題やらいろいろからみますので、簡単にはまいらぬと思いまするけれども、やはり歴史的、学術的にひとつ価値あるものは、いまも言う尊厳や国民感情に反しないという程度で、できるだけ皆さん方側近の方々からもひとつ協力をいただく態勢が必要じゃないかと思いますが、これは私の希望として申し上げておきます。  五分しかありませんから、いかがでございましょう、希望をいれられるかどうか、一言でよろしゅうございますが。
  17. 瓜生順良

    瓜生政府委員 陵墓は皇室の御祖先の方のお墓でありまして、常にそこでお祭りも行なわれておるのでございますが、そうしたお墓を発掘するということについては、そうした方の静安を維持してお祭りしていくという点から見て、われわれとしてはちょっと同意いたしかねる点があります。その他いろんな古い古墳なんかで発掘がありますが、それはもう死んでいる墓と、文部省の文化財保護委員会でいっていますが、生きている墓というものは大事にすべきだというふうに考えておるわけであります。
  18. 小林進

    小林(進)分科員 まあ宮内庁としては、そういうお考えに立たれるのもやむを得ないと思っております。  最後に、私はもう五分もありませんからお伺いいたしますが、それは昭和の年号についてです。元号といいますか、元号についてお伺いいたしたい。それは元号が法的に確立されたのが明治になってからで、慶応四年、一八六八年の九月八日の改元の詔で、慶応から明治に改元した際、一世一元に定められた。しかし戦後、昭和二十二年一月十五日に公布された新皇室典範からは元号を皇室がきめるべきじゃないとして、元号に関する一切の規定は廃止をせられたわけでございますが、その意味において、昭和という元号は法的根拠を失ってしまったわけでございますが、これを一体このままにしていいかどうか。最近は西暦を使ったり、西暦と元号を併用したりしておりますが、しかしまだまだわが日本の戸籍法とか手形法とか不動産登記法などにおいては元号が用いられて、西暦は使われていない。ところが宮内庁でありますが、天皇外国元首に対する親書などは、昭和二十七年ごろまでは元号を使っていたが、その後は、今日は西暦をお使いになっているはずでございます。宮内庁自体がどうもまちまちの、そういう元号といいますか、西暦の使い分けをおやりになっているんでございまして、これはこのままでは好ましくないと思います。これは宮内庁が、いま申されましたように、おきめになるところではないけれども、やはりこの際宮内庁としての見解は承っておく必要があるんじゃないか。これは国会の問題でございまして、法制局ではありません。それは公式に立法府で法制化すべきであるという意見もありまするし、あるいは内閣の告示でいいじゃないかというふうな意見もあるようでございますが、いずれにしても実際に日常仕事をしておられる宮内庁としては、この問題についてどうお考えになっておるのか、この際承っておきたいと思うのでございます。
  19. 瓜生順良

    瓜生政府委員 元号問題は宮内庁の所管ではないのでございますが、宮内庁といたしましては、現在習律として、この昭和という年号を用いられておりまするから、国内的には昭和の年号を使っておりますが、外国に対しまするとそれでわかりにくい場合がありますので、国際的な西暦を使うというようなこともやっておるわけで、これは以前もそういうことがあったわけでございます。
  20. 小林進

    小林(進)分科員 これでちょうど時間が参りましたので私の質問を終わりますが、ともかく私どもの党の立場や思想信条においては、いまの宮内庁の皆さん方がお考えになっているところとたいへん違いがあると思います。あると思いますが、繰り返して申し上げますが、やはり象徴として、新憲法の上にも天皇地位が明確であり、外国に向かって国を代表される限りは、やはりそれに値するきちっとした、外国に向かって恥をかく、国内に向かってその品位を落とすような、そういうことのないように、天皇御自身はもちろん、皇族自身はもちろんでありますが、その周辺に対してもやはりこまかい意を用いて、そしてその地位にふさわしい形が整われるように、さらに一そう私は努力をしていただきたい。強く要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。
  21. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 これにて皇室費質疑は終了いたしました。     —————————————
  22. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 次に、昭和四十九年度一般会計予算中、国会所管を議題といたします。  まず、衆議院関係予算説明を求めます。藤野衆議院事務総長
  23. 藤野重信

    ○藤野事務総長 昭和四十九年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和四十九年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は、百八十九億二千六百五十五万七千円でありまして、これを前年度比較いたしますと、十億五千四百七十五万八千円の増加となっております。  次にその概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、百六十八億七百六十四万円を計上いたしております。この経費は、議員、議員秘書及び職員の給与に関する経費、旅費庁費、議案類印刷費、通信費等の事務費及び庁舎等の維持管理に必要な経費でありまして、前年度に比し九億四千七百七十七万一千円の増加となっております。増加したもののおもなものは、立法事務費の月額十万円を十二万円に、議員調査研究費の月額十万円を十二万円に、議会雑費の日額二千五百円を三千五百円に増額しております。  海外派遣に必要な外国旅費につきましては、一億四百八十七万二千円を計上いたしております。  議員秘書につきましては、十年以上の勤続者に対して支給しております勤続特別手当を、新たに五年以上の者に支給することとし、これに必要な経費計上いたしております。  第二は、列国議会同盟東京会議の開催に必要な経費として、会議運営費等本院分二億八千二百五十二万八千円を計上いたしております。  第三は、衆議院の施設整備に必要な経費といたしまして十八億二千九百三十八万九千円を計上いたしております。このうちのおもなものは、五十年三月完成予定の九段議員宿舎第二期工事分の建築費七億二千三百三十九万三千円、議員宿舎の整備に必要な経費一千六百四十八万一千円、第一議員会館の冷房用冷凍機の改修に必要な経費一億八千二十三万円、議員室の内装整備に必要な経費一億四百九十七万九千円、国会周辺整備に必要な不動産購入費として七億円等であります。  第四は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。  以上簡単でありますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  24. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 次に、参議院関係予算説明を求めます。岸田参議院事務総長
  25. 岸田實

    ○岸田参議院事務総長 昭和四十九年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和四十九年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は、百十八億八千二百五十八万四千円でありまして、これを前年度比較いたしますと、九億八千三百四十四万二千円の増加となっております。  次にその概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、百二億六百七十四万四千円を計上いたしております。この経費は、議員、議員秘書及び職員の給与に関する経費旅費、庁費、議案類印刷費、通信費等の事務費及び庁舎等の維持管理に必要な経費でありまして、前年度に比し七億七千四百七十二万一千円の増加となっております。増加したもののおもなものは、立法事務費の月額十万円を十二万円に、議員調査研究費の月額十万円を十二万円に、議会雑費の日額二千五百円を三千五百円に増額しております。  海外派遣に必要な外国旅費につきましては、六千七百六十二万六千円を計上いたしております。  議員秘書につきましては、十年以上の勤続者に対して支給しております勤続特別手当を、新たに五年以上の者に支給することとし、これに必要な経費計上いたしております。  第二は、列国議会同盟東京会議の開催に必要な経費として、会議運営費等本院分二億一千八百二万円を計上いたしております。  第三は、参議院の施設整備に必要な経費といたしまして十四億五千二百八十二万円を計上いたしております。このうちおもなものは、事務局庁舎新営費十二億四千九百二十一万円、議員宿舎新営の初年度工事費八千三十五万九千円及び議員会館空調設備の一部改修費四千九百九十六万八千円等であります。  第四は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上簡単でありますが、参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  26. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 次に、国立国会図書館関係予算説明を求めます。宮坂国立国会図書館長。
  27. 宮坂完孝

    ○宮坂国立国会図書館長 昭和四十九年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和四十九年度国会所管国立国会図書館関係歳出予算要求額は、三十四億二千五百六十六万五千円でありまして、これを前年度予算額三十一億一千五百八十七万一千円と比較いたしますと、三億九百七十九万四千円の増加となっております。  要求額を事項別に概略御説明申し上げますと、その第一は、国立国会図書館の管理運営に必要な経費でありまして、三十二億六千三百六十六万五千円を計上いたしております。  これは、職員の給与に関する経費、立法調査業務に要する経費図書の収集及び利用に要する経費、目録・書誌等の作成刊行に要する経費、図書の製本、印刷カードの作成・頒布に要する経費図書館間協力業務に要する経費並びに図書館業務の機械化に要する経費等でございます。  第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、一億四千七百六十八万三千円を計上いたしております。  第三は、国立国会図書館施設整備に必要な経費といたしまして、一千四百三十一万七千円を計上いたしております。  これは、身体障害者用施設改修及び非常放送設備に要する経費でございます。  以上、簡単でございますが、国立国会図書館関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  28. 中村弘海

  29. 大迫藤造

    ○大迫裁判官訴追委員会参事 昭和四十九年度国会所管裁判官訴追委員関係歳出予算要求額は、四千百九十一万六千円でありまして、これを前年度予算額三千八百六十四万六千円に比較いたしますと、三百二十七万円の増加となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうちおもなものは、職員給与関係経費増加によるものでございます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  30. 中村弘海

  31. 池田英雄

    ○池田裁判官弾劾裁判所参事 昭和四十九年度裁判官弾劾裁判関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和四十九年度国会所管裁判官弾劾裁判関係歳出予算要求額は、四千五百七十三万九千円でありまして、これを前年度予算額三千六百五十一万四千円に比較いたしますと、九百二十二万五千円の増加となっております。  この要求額は、当裁判所の裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費、事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費庁費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうち、おもなものは、庁舎移転関係経費及び職員給与関係経費増加によるものであります。  以上簡単でありますが、裁判官弾劾裁判歳出予算概要でございます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  32. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 以上で説明は終わりました。     —————————————
  33. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  34. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 本年の十月、IPU、列国議会同盟の総会がわが国で行なわれ、この国会を会場として世界各国の国会議員の方々がここに集まりまして、各面からの議論を行なうことになっておりますことは、たいへんけっこうなことではないかと思います。  そこでお尋ねをいたしたいのですが、従来、IPUの公用語は、英語、フランス語が公用語になっておることは承知しておるわけですが、これと並行いたしまして、ロシア語と日本語とが同時通訳の対象になっていることを私は承知いたしております。この際、私どもは、わが国で列国議会同盟の総会が行なわれますに際しまして、特に最近石油危機を迎えまして、アラブの国々との友好親善ということは、当面わが国の外交の重要な課題ではないかと思います。また、中南米の国々とわが国との関係というものもきわめて強いわけでありますから、当然、中南米の国々で使用されておりますスペイン語等もこの際同時通訳の対象にしていくということは、やはりアラブの国々あるいは中南米の国々との友好親善を進める意味で、きわめて重要な意義ある課題ではないかと思うのであります。この点、本年の列国議会同盟の総会にあたりまして、フランス語、英語、そしてロシア語、日本語のほかに、アラビア語並びにスペイン語を同時通訳の対象として、これらの国々との親善を深める措置をとることは、きわめて重要な問題ではないだろうか、かように思います。この点に対する事務総長の御見解を承っておきます。
  35. 藤野重信

    ○藤野事務総長 お答え申し上げます。  ただいまの御質問まことに同感でございまして、実は本年度予算を概算要求する時期は去年の夏ごろでございまして、まだその点につきましての確定的な御意見というものも当然私どものほうに参っておらなかったような次第でございまするが、この時世におきまして、私どもが、来年、まあ今年になりますが、東京会議を開く場合においては、そこらの辺も要望が方々から出る可能性を考えまして、一応私どもの心がまえといたしましては、従来の四チャンネルを六チャンネルの施設として、アラブ並びにスペイン、ただいまの御指摘の国の利用というか、施設に対する要望が具体化した場合に備えるべく準備を進めていたところでございます。まだ確定的なところまでには至っていないかと思いますが、おそらくは山口議員の御指摘のとおりの結果になるのではないかと私どもは存じております。
  36. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 この点は強く要請をいたしておきたいと思います。  それから次にお尋ねしたいのは、この国会の活用方法です。外国国会へ参りますと、たとえばイギリスの国会あるいはカナダの国会等、いわばその国の名所になっているわけですね。その国の国民の皆さんはもちろんでありますが、外国の旅行者もいずれもこれをたずねる。そういう意味ではまあその国の名所になっている。いわばその国の国民国会というものがきわめて近い関係にあるという感じを持つのであります。ところが、わが国の国会は、御案内のように鉄のあのようなさくに囲まれておりまして、もちろんこの国会の見学に数多くの方々が来られます、参観として来られる、けっこうでありますが、国会の開会中というものはおのずから一つの秩序が必要だろうと思うのですが、国会の閉会中等はもっと国会の構内に自由に国民の方々が来られて、そして、たとえば庭なども各県の木などが植えてありまして、そういう意味ではやがてりっぱな森にもなるだろうと思うのですが、そういう意味では、国会国民の間のかきねを取り除く、もっと国民の中にある国会、こういった姿を私はつくっていくことが必要ではないだろうかと思います。国会の閉会中などは、もっと思い切って国会国民に開放し、外国の観光客に開放してもけっこうだと思うのですが、そういう意味で、もっと国会というものが国民の親しみの対象になるという活用のしかたをお考えになったらいかがかという感じがいたすのであります。この点に対するお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  37. 藤野重信

    ○藤野事務総長 お答え申し上げます。  まことにごもっともな御意見でございます。実はそういう話も間々私ども聞いてまいったのでございますが、できるだけそういう方向で検討いたしたいと思っておることはもちろんでございますが、経過を申し上げますと、新しい国会が始まりましてもう二十数年になるわけでございますが、当初におきましてはもう自由に参観も許した、これは参観という観点からでございますが、許しておりましたが、その後二十七年か八年ごろになりまして、これは議員紹介でなければいけないというような議院運営委員会の御決定がございまして、そこで現在行なわれておりますような、参観はすべて議員の紹介によるということになったわけでございます。それはどういうことかと申しますと、結局、各国と比較にならないほど、日本のような場合には、バス事業といいますか、要するにバスの都内遊覧、それの、何というか、呼びものみたいなプログラムの中に入りまして、そのほうから、車掌が旗を立てて案内するというような形で続々と入ってきまして、従来はせいぜい数十名で、日平均参観者の数がきわめてわずかであったところが、そのころから発達してきたバス事業等が入りまして、一躍平均三千ぐらいの参観者になりまして、現在では、そういう意味では、議員紹介ということでそういうあれはないのですがそれでも、多いときには、三千はおろか、ときには一万ぐらいに達することがございまして、そうなりますと、ルートをこうきめてずっとぞろぞろ並んでいくわけですが、ほんとに議事堂内を通過するだけで、説明すればそこで渋滞が起きて混乱するということから、そういうことが規制されない限りはかなり無理な事情もあるんじゃないかという点を考慮いたしまして、実は御趣旨はごもっともと存じておりますが、まだ具体化する段階に至っておりませんが、閉会中、日曜日などには自由に入れるよう開放するというような観点からの検討は確かに必要であると私ども存じておりますので、これはひとつ検討させていただきたい、かように存じております。
  38. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 その点は検討いただくということでありますから、私どももまた議運の立場から十分御相談していきたいものだと思っております。要は、もっと国会国民との間の距離を狭めていく、国民に親しまれる国会ということをぜひともお考えをいただきたい、このことを強く要請をいたしておきます。  次に、国会に働いておられます職員の方々の問題、それからまた、国会議員秘書の問題につきまして、若干お尋ねをいたしたいと思うのです。  言うまでもなく、国会は、国権の最高機関、唯一の立法府ということになっております。そして国会議員のことにつきましては、憲法の中に詳細規定をされております。不逮捕特権とか、そういった他の国民には見られない権利の保障があることは十分承知をいたしているわけでありますが、同時に、国会国会議員だけで運営はできないと私は思うのですね。そこに働く国会事務局の職員があり、また、国会議員を補佐する秘書の諸君の活動というものが相まちまして国会活動というものが成り立っていると思うのです。そういう観点から考えますと、国会職員は、他の一般職の公務員とは異なりまして、特殊な任務なり、特殊な労働条件、勤務条件というものがあろうかと思います。したがって、そういうことから考えますと、他の一般職の公務員とは異なった勤務条件、労働条件というものを当然考えていいのじゃないか。そういう観点からこの国会職員の待遇あるいは国会議員の秘書の待遇というものを当然考えられていいのではないかと思います。したがって、他の一般職の公務員とはやはり違った立場で待遇なり配慮をしていくということがあってしかるべきではないかと私は思うのでありますが、その点のお考え方をまずお聞きしておきたいと思います。
  39. 藤野重信

    ○藤野事務総長 基本的に全く同感でございます。憲法で認められております国会の権威、国会議員の権威と、これを具体的に、何といいますか、手足となってその権威を実現する国会職員、それから国会議員の秘書という方々につきましては、やはりおっしゃるとおり、一般職の公務員とは別個に条件、待遇等を考え、できる限りその方向に持っていくべきだと私は考えております。
  40. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 たとえば定年の問題があります。もちろん、公務員には定年制というものがございません。しかし、現実には勧奨退職というような形で高齢者の方々がやめていくというのが、国家公務員、地方公務員を問わず、一つの例になっていると思います。国会職員の方の場合も同様だと聞いておりますが、しかし、その年齢というものは、当然、一般の公務員と現在も差があるようでありますが、ある程度高くてもけっこうではないか。やはり特殊な職務であるだけに、長い間の経験、国会ではよく慣例がどうだ、先例がどうだということが問題になるわけでありますから、したがいまして、勧奨年齢等についても、従来も一般職の方よりは若干高いのでありますが、これはやはり当然ではないだろうか。ある程度経験を積んだ方々で国会活動を補佐するということがあってしかるべきだと思いますが、その点のお考え方を聞きたいのが第一です。  第二は、一般職員の方々の昇給、昇格の問題であります。もちろん、自動車運転手さんのような技術職の方もあれば、あるいは衛視の方々もおられますし、ここでいまお仕事をしていただいております速記の方もおられるわけで、職種は多様にわたっているわけでありますが、しかし、一応何級何号という形で給与がきまっておると承知をいたしております。問題は、私は、国会の職員は行(二)の方はあるべきでない、すべて行(一)にすべきだというふうに考えておりますが、そのような形で努力をいただいておりますが、問題は、その各級の最高号俸のほうにたまりまして、そして最高号俸のほうへ参りますと、どうしても昇給間差額が悪くなるわけですね。昇給するのに期間がより必要だというようなことになりまして、一種の頭打ちと申しますか、そういうような状態がたいへん多いと聞いているのであります。この際、級別定数あるいは定員をふやす等々のことについて御配慮をいただいて、いま申し上げたような、各グレードの最高号俸にみんな集まって、そして頭打ちに近いような状態がたくさん続いておるというようなことは解消すべきじゃないか、私はかように思います。この点に対するお考え方はいかがでしょうか。
  41. 藤野重信

    ○藤野事務総長 第一点、勧奨退職の問題でございますが、おっしゃるとおり、国会職員につきましては、各省一般職の職員とずいぶん違った条件、事情がございます。したがいまして、私どもといたしましては、各省に比較しますとかなり高い年齢におきまして、具体的に申し上げますと、六十三歳に達した年度の終わりということでやっておりますが、これは比較的高い基準でございまして、それはもう当然だと考えております。ただ、六十過ぎますと身体的条件にはかなり著しい変化がありまして、中には、それ以上延ばすということも非常に無理があるという面もございますし、それからまた、新しい職員の新陳代謝という観点もありまして、勧奨退職の問題は慎重に考えなければならないと思いますが、特殊な事情のあることについては、おっしゃるとおりでございまして、少しでも合理的な線に持っていきたいという考えはもっておりますが、基本的には従来の慣行に従っていかざるを得ないのじゃないかと思っております。  次に、昇給、昇格に関連する頭打ちの問題でございますが、これもおっしゃるとおりでございます。私どもといたしましては、これにつきましては最大の努力をいたしまして、もとより、基準、規則その他でどの職種はどこまでという線が一応ございまして、そのために職員の中にはいつまでも足踏みをするという気の毒な方もおられる状況でございますので、これを克服すべく、定数の増加については毎年最大の努力を払ってまいっております。今回も、その点につきましては、各省に比較しては、数字で申し上げるのもどうかと思いますが、かなり大幅な有利な線で交渉をしてまいりました経過がございますので、その点御了承いただきたいと思います。
  42. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 さらに国会職員の方の問題につきましては、わが党の山本議員のほうからお尋ねがあろうかと思いますので、時間の関係もありますので、次に移らしていただきますが、秘書の問題であります。  国会議員につきましては憲法にたくさんの規定がございますが、国会議員の秘書に対して、一体法律上何の規定があるかと思って、国会法をずっと見たのでありますが、わずかに百三十二条に「議員の職務遂行の便に供するため、各議員に二人の秘書を付し、及び議員会館を設け事務室を提供する。」この規定があるだけであります。もちろん、別に、国会議員の秘書の給料等に関する法律等があることは承知をしておりますが、国会議員の秘書を置く、その身分は一体何かということにつきましては、この百三十二条ただ一条しかないわけであります。しかも、議員会館を設けるとか、事務室を提供するというような物件の問題と並んで書いてあるという状態であります。私はこれでは不十分ではないかという気がいたします。過去を振り返りますと、この規定昭和二十二年五月三日にできたそうでありまして、今日まですでに二十数年、三十年近い期間が経過をいたしておるわけであります。  そこで私はお尋ねしたいと思うのですが、国会職員につきましては国会職員法という法律がございます。この際、議員秘書に関する法律というような形で、この国会議員秘書の身分法というものをやはり制定すべきじゃないか。先ほど申し上げましたように、議員と、国会職員と、それから議員秘書、これによって国会活動というのは成り立っているわけでありますから、この国会職員の方々の処遇が、当然、他の公務員とは違って、ある程度特殊な勤務条件というものを配慮した扱いをすべきだということと並んで、私は、秘書に関するこの規定というものも考え直されたらいかがか、かように存じます。この点に対するお考えはいかがでしょうか。
  43. 藤野重信

    ○藤野事務総長 お答え申し上げます。  秘書に関しましては、国会職員法に類するような身分法規がないことは、おっしゃるとおりでございます。国会職員につきましては、御承知のように、国家公務員法で特別職としてあげてありまして、これに即応して国会職員法がもうすでに当初からできておることは、いま御指摘のとおりでございます。国会議員の秘書につきましても、公務員法上、国会職員と並んで特別職にランクすべく規定はあるのでございますが、これに即応する身分法がないという、この点も御指摘のとおりでございます。  実はかなり前でございますが、当時、いまから十五、六年前までは、議員秘書につきましては、健康保険もなければ厚生年金もない、退職金もなければ、いわば何にもない。そのころ議運の庶務小でおいでになった山口議員もすでに御承知と思いますが、そのころ先生方の御努力によりましてそれを一挙に解決しているということなんでございますが、その際に、なぜそこまで当然認められるべき健康保険その他のものが認められなかったかと申しますと、これはやはり関係当局に私どもが交渉した過程のことを申し上げれば、身分法がない、だれが監督者であるかということもはっきりしない、こういうようなことが前提となりまして、かなり議論がむずかしくなったという経験がございまして、私どもも、まず身分法をつくって、それからそういうものを他の法律に当てはめていくというのが順序ではないかと考えたことがございましたが、実益優先でございまして、そちらのほうが先になったようなありさまでございます。  ただ、そのときになぜ早急に身分法ができなかったかという一つ理由といたしまして、御承知と思いますが、国会議員の秘書の給料等支給規程に第六条というのがございまして、「国会議員が秘書を採用したときは、その氏名、生年月日、本籍、現住所、採用年月日及び受けるべき給料月額を採用の後二十日以内にその院の議長に届け出なければならない。」こういう規定がございまして、要するに、各議員の御自身の任命といいますか、それに基づく届け出の制度になっております関係で、それらの各個にいわば任命された秘書に対して、それをどう統括してどうこうするという身分法規の規定をつくる場合の非常な困難さということが前提としてございましたので、今日のように、ある程度勤務が定型化された場合において、また別の角度から検討すべきことではないかと存じております。
  44. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 これは秘書制度に関する調査会といいますか、一つの研究機関をつくりまして検討すべき課題ではないかと思います。問題提起だけをしておきたいと思います。  次に、もう時間もありませんからざっと聞きたいと思いますが、衆議院の場合は解散と同時に秘書の身分が失われるわけでありますが、しかし、現実には健康保険の関係等いろいろございまして、いろいろ実は議論もいたしました。この点はひとつ解散後の選挙における投票日の前日まで引き続いてその秘書の身分はあるんだという形で規定し直すことはできないか、国会法にそのような規定を設けることはできないかということを考えるわけです。そういたしますと、実は期末手当がどうであるとか、あるいは健康保険の関係がどうとかいう問題も一挙に解決をされる、この点ひとつお考え方をお示しをいただきたいと思います。  それからさらに、秘書の身分というものは、考えれば、きわめて不安定です。その国会議員が落選をすればそれでもう終わり、こういうことでありまして、したがいまして、退職手当も、やはり自己都合というようなことではなくて、いわば整理退職に類するような事情が多いのじゃないかと思うのです。したがいまして、退職手当の支給に際しましても、自己都合による退職というような形でなしに、できる限り整理退職、有利な退職手当の規定を当てはめるべきではないかというふうに思います。  それからさらに、昨年お話がございましたように、十年以上、本年はそれを改正いたしまして、五年以上の在勤者に対しまして勤続特別手当を支給するという措置をとっていただきました。当然これを健保の適用等にいたしまするならば、この手当も退職手当のいわば基礎俸給にするということが筋が通るのではないか、退職手当についても年金についても、そのように扱うことは一体どうだろうかということに対するお考えをお聞かせいただきたいと思うのです。  それから、年金につきましては、厚生年金と公務員の共済組合を併用したような形になっております。もちろん、十年ないし十五年未満についても年金の対象になるという有利な面があることは否定しないわけでありますが、しかし、額がいかにも劣悪であります。この際、公務員の共済組合の長期給付と同じ程度にこれを抜本的に改善をすべきではないか、かように思います。この点に対するお考え方をあわせてお聞かせいただきたいと思います。
  45. 藤野重信

    ○藤野事務総長 お答え申し上げます。  第一点、健康保険の関係で、選挙の際の、いわば秘書さんにとっては空白の時期に対する措置でございますが、これは事情は確かにごもっともの点と思います。それからまた、現在、本来秘書が仕えるべき御本人がいないときに、秘書というものがどういう身分であるかという法律的な事実もこれまた否定できないのでございまして、ここらあたりは、単に国会法律だけではなしに、健康保険法の規定の適用上何らかの特例措置ができるべく、やはり措置しなければならない問題じゃないかと思います。これにつきましては、早急にできるだけの検討を加えてみたいと思います。  次に、退職手当につきましての問題でございますが、議員さんがおやめになると、特に選挙という事情を踏まえますと、この点についてはもちろん自己の都合という要素は希薄になりまして、当然何らかの特別な整理退職に類する措置ということにすべきであろうと、かように考えます。現在でもかなりそういう観点から、普通の退職手当法の適用よりは優遇された規定を設けているはずでございますが、それらの点はなお検討いたしたいと思います。  次に、特別手当をいろいろな給付の俸給の基礎額にするという点、これは、申し上げますと、一般の職員の、一般職、特別職を通じて、本俸を基礎とするということになっております現在の基本的な方向にかなり矛盾いたしますので、この点はかなり困難があるのではないかと思いますが、なお研究させていただきます。  次に、年金が一般の公務員に比較しましてかなり少ないのじゃないか、額が少ないという問題であろうと思いますが、この点は、発足が非常におそいといいますか、発足してから、たとえば国家公務員のような場合は、恩給法の長い官吏の俸給というものを前提としてああいうふうになってきておりまするに対しまして、秘書の場合は、申し上げたように、こういう恩典の考え方がわりあい最近になって具体化してきたという結果から、当分の間かなり下回った額になる、これは掛け金の関係からくるのが主たる原因でございますが、将来にわたっては国家公務員の線には持っていかなければならない問題だと、私どもは検討を進めている次第でございます。
  46. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 時間ですからやめますが、やはり国会は、議員並びに国会職員、秘書の方々の活動によって成り立っている、そういう事情を十分踏まえた上で、十分ひとつ善処をいただくように要請いたしまして、質問を終わっておきます。
  47. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 次に、寺前巖君。
  48. 寺前巖

    寺前分科員 国権の最高機関は国会にある、当然のことですが、この国会が最高の機関としての権能を発揮するためには、一つは、国会の事務的機能が有効な働きをしなければならない、さらに、国会図書館が有効な機能を果たさなければならない、さらに、政府がこの有効な機能を発揮するために協力しなければならない、こういう諸関係があると思います。  私は、きょうは、三つの問題について、許された一時間の範囲内でお聞きをしたいと思います。第一番目の問題は、その国会の職員の果たしている役割りの問題です。第二番目は、国会図書館の機能の発展の方向の問題です。第三番目は、政府国会図書館に対する協力の問題であります。  まず第一に、国会の事務局の機能の問題ですが、去る二月二十一日に、内閣委員会においてある問題が発生をしました。それは視力障害者にとっては屈辱的な発言がされたという事件です。私のところに投書が来ました、その席におった議員はだれもそれについて感じなかったのか。私は、それで、それじゃその日の議事録を見てみようと思って、議事録を調べに行ったところが、議事録は、二十一日の日のことが三月の六日の日に初めて印刷ができて出てきますから、そのときに見てくださいということで、十日余りもかからないことにはその内容を理解することができない。これでは国会の機能を発展させる上で非常に重大な問題だと思います。そういう意味では、国会一つの機能である記録部の活動というのは重大だ。ところが、聞いてみたら、記録部の職員の皆さん、速記者の皆さんは、全体で百二十人ほどおられるようですが、昨年のあの長期にわたった国会、夜おそくまで集中的に審議をするという事態の中で、十六名という、一割以上の人が頸腕という障害を受けるという事態が発生している。一割以上の人にそういう事態が発生して、いまだにこれが公傷扱いを受けていない。国会の機能を発生させる上において非常に重要な役割りをしておられる記録部で活動しておる皆さん方に対して、このような扱いをいつまでも続けておくつもりなのか。即刻これらの方々に対して公傷として手厚くめんどうを見なかったならば、国会の機能を発展させることができないではないか。私はいろいろの理屈は抜きにして、ともかく現実にあの五月から七月段階に発生したこれらの事態に対して、これらの方々に対して手厚い態度でもって即刻公傷としての扱いをされるのかどうか、これを一点聞きたいと思います。  あわせて、そういう事態が一割以上の人に発生しておったら、当然のことながら、他の記録部の皆さん方に影響が及んでいます。この及んでいる事態を克服するというやり方としては、適切な状態にあるのかどうか。  さらにまた、将来に向かって、ほんとうに正確に迅速に仕事をしていただかなければならない速記者の皆さん方の養成について、いまのやり方でいいかどうか、これらの問題に対する見解を衆議院の事務総長からお聞きしたいと思います。
  49. 藤野重信

    ○藤野事務総長 お答え申し上げます。  頸肩腕症候群の患者の発生の問題、これは昨年の六、七月ごろに私どもの耳に入ったのでございますが、その当時、これはたいへん重大な問題であると私どもが直ちに認識したところでございまして、さっそくこれは手を打たなければならないという観点におきまして、直ちに医科大学のほうに連絡いたしまして、何とかこの問題を早急に調査してもらいたいということから、場合によってはプロジェクトチーム等を編成してこの問題に取っ組んでくれ、経費については幾らでもこっちで負担するからということを強力に要請しまして、その該当患者の職員の診断を開始していただいたわけです。  私どもといたしましては、医学的に問題が解ける場合においては、直ちに公務災害の認定をするつもりでございました。その後、そのころの検査では確定的な診断がございませんので、再び十一月の末において特別検診をお願いしていただきまして、その点についてさらに突っ込んだ検査を行なってもらった次第でございます。その結果につきましてはまだ確定的な診断が出ておりませんが、しかし、これは、おっしゃるとおり、公務と認定すべきものはすみやかに認定すべきであろうと私どもは考えまして、鋭意その点につきまして確定的な判断を待っている状況でございます。  それから第二点でございますが、そういう場合におきまして、何らかの措置、一般的な措置といたしましては、やはり原因が執務の繁忙ということでありますれば、人をふやすことがまず考えなければならぬことでございます。御承知のように、速記者の場合は、その養成に多大な条件が伴いますので、だれでもできるということではございません。それからまた、素質が非常に問題でありまして、優秀な人でなければならないという条件もございまして、私どものほうでは、一方では人員の増加、これは毎年増員してまいりまして、ことしは八名の増員を行なっております。それから養成所のほうにつきましても、これはできる限り優秀な人が多数応募でき、研修する機会を得させるべく、たとえばいままでになかった生徒の寮などもつくってやったり、研修費の増額等をはかって、少しでも応募する条件が満たされるようにと努力してまいったところであります。  それから、さしあたって、こういう分科会等が連続いたしますとまた一段と負担になる場合を予想いたしまして、臨時の職員を数名入れる、それからまた、場合によって、現在、研修生というのは、速記者養成所におきまして二カ年間の研修を終わって、さらに半年特別な訓練を受けている者でございますが、こういう人に補助的に来てもらって実務に携わってもらう、こういうような方法を講じて、とにかく、できる限り現在の職員に対する負担の過重を緩和すべく努力いたしておる次第でございます。
  50. 寺前巖

    寺前分科員 その十六名の人が発生している、私は、こういう方々に対して、二回もお医者さんにかけてまだ確定しないということで長々と延びているということに対して、遺憾に思うのです。問題は、本人の側に別に問題があるということを当局のほうで立証できないのだったら、あの集中的な事態の中で発生したという立場に立って、率直に認めるという態度をきめなかったら、いつまでもこのような医学論争みたいな形で延ばされたら、ほんとうにこの分野で仕事をしている人たちがいや気がさして、ほかの人たちが影響を受けていってごらんなさい。国会の機能に対して重大な障害を受けるじゃないですか。だから、再度、この問題については即刻結論を出すのかどうか、このことをひとつはっきりしてもらいたい。  第二番目に、いまのお話では、増員を八名した。しかし問題は、十六名の人が現にこの障害を受けてるんだ。補充したのは六名です。先ほど私は聞きました。研修生を九人入れているんだ。それじゃ両方合わしたところで十五名しかないじゃないか。いままでおった人よりも少ない数字になるじゃないか。私はこまかいことは言いません。いずれにしたって、現状よりも改善するという内容でないことは現状の姿だと思うんです。だから、現状をより改善する必要がある。そこで、私は、現状をより改善するためには、いままでの経験者をどんどんお願いをするということを、あなたたちも考えておられるだろうし、やってもらいたい。それだけではありません。問題は、将来にわたってこの分野の人たちの定数をふやさなかったら、七十二国会一つをとってみても、審議はますます広がっていってるんですから、国会審議がふえればふえるほど、この分野の人たちの定数そのものをふやさなければならぬ。ですから、国会全体の総定数の中で、ほかのところからちぎってきてそして定数をこっちに回すというんじゃなくして、思い切ってこの記録部の職員の定数というのは別途にもっと考える必要がある。この問題についてどうでしょう。  さらにまた、いまも養成の話が出ました。この養成の問題でも、聞いてみたら、一年生に入ってきたときに手当をもらうのは、五千円あるいは六千円という話が出ました。労働省がやっているところの職訓の手当の側から見るならば、明らかに少ない養成のしかたです。ほんとうに国会の機能を最大限に発揮させようとするならば、もっと手厚い訓練の予算を組まなければならないと思う。そういう意味では、一気にやれないんだったら、三カ年計画なり五カ年計画を立てて、この手当をもっと増額し、もっと増員して、この記録部を強化するという態度をおとりになる必要があるんではないか。これらについてお答えをいただきたいと思います。
  51. 藤野重信

    ○藤野事務総長 お答え申し上げます。  第一点でございますが、私どもは、やはり医学的な判断というものも、単なるその医師のその場の判断だけではなしに、従来の経過等を含んで相当の判断をするものと思っております。これがおくれていることにつきましては、さっそくにこれを推進いたしまして、できるだけ早い時期に判断をいたしたい、かように考えております。  第二点、定数増の問題でございますが、これは定数を今回八名増員いたしまして、そのほかに、臨時職員で当座に六人と、それから養成所の研修生の補助、応援を九人受ける、こういうことでございまして、これは定員をふやしたからといって、それに伴う人が得られなければ意味のないことでございますので、おっしゃるとおり、まあ長期といっても、最近のかなりの年度を見通して増員の計画を進めるべく努力いたしたいと思います。  次に、予算増でございますが、この点につきましても、おっしゃるとおり、これはこれでとまるべきものではないので、これからできるだけの努力をいたしたい、そして御心配の点を幾らかでも解消していきたいのが、私たちの率直な気持ちでございます。
  52. 寺前巖

    寺前分科員 さらにまた議運のほうで御検討いただくということにして、この問題はこれで終わっておきますが、あわせて図書館のほうにも、職員の問題について一、二お聞きをしたいと思うのです。  この間も私、国会図書館を見せていただいたわけですが、職員の待遇の問題は、どう見ても、やはり現業と一般的にいわれる人々の差というのはひどいと思うのです。  たとえばおたくのほうから出しておられる国立国会図書館月報の十月号を見ると、今度おやめになった横川兵吾さんという方の、やめる前の最後のことばだろうと思うのです。私、この本は非常に泣かされましたので、ちょっとここで紹介したいと思うのです、もうお読みだと思いますが。「ただ、ここで私の最後のささやかなお願いを許していただけるならば、監視の地位向上はもう大分前から問題にされながらも、現在なお決して満足すべき状態ではなく、いやそれどころか、不平不満のうっ積は覆うべくもないという点、これからの人のためにも改善向上のご努力をせつにお願いせずにはおられません。その差別格差は一体どのようになっているのか、むずかしいことはわかりませんが、二〇余年前、私達と一緒に机を並べお茶汲みもし拭き掃除もしたような方々が、主査、係長と相応の地位を得られているのに対し、監視なるが故に冷遇に甘んじなければならないという点、図書館創立以来二〇余年の歴史とともに生きてきた私なればこそ痛感されてならないのです。そしてそれはまた私が言わなければ誰が一体言えるのかという気もいたします。新館移動作業の時、上下を問わず作業衣一つになって打って一丸となったあの時の気持が、もし本当のものであるならば、監視の現在の待遇には誰もが首をかしげられることでしょう。私の最後の置みやげとして、これからの監視室のために、ご再考ご検討を切に願わずにはおられません。」おやめになった方が、このようなことをお書きになっております。私は、この監視の方々が一体どういうことになっているんだろうか、あるいはまた、あの地下にある機械室の営繕課の職場へ行ったときに、その営繕課の職員の人たちから、現業職員と事務職の違いのために、自分よりも半年おくれて入ってきた人で、同じ職場にいたころは、自分のほうがかわった人よりも一万五千円ほど収入が多かったのに、彼が今度は事務職へかわっていったら、彼のほうが年間九万円ほど多くなっているという問題も聞かされました。これらは私は、現在の現業と事務職のその職に応じての給与体系の不合理性が、こういう問題を現実に青年諸君たちの前に見せつけているのだ、そういうように思うのです。それから、いまの監視の方々の差別の結果の問題についても、そういうふうにいえると思います。で、事務職では幾ら悪い人でも十年で六等級になれるものを、この監視なるがゆえに三十二年かからなかったならば上の級へいけないという、この格づけの問題を提起しておられます。で、そういうことを考えると、私はこのいまの賃金体系を基本的に再検討してもらう必要があるのではないだろうか。  それともう一つは、たとえば、直接国会職員には関係ないか知りませんが、人事院規則の昇格基準というのを見ると、「勤務成績が特に良好である職員に対する前項第二号の規定の適用については、等級別資格基準表に定める必要経験年数又は必要在級年数に百分の八十以上百分の百未満の割合を乗じて得た年数をもつて、それぞれ同表の必要経験年数又は必要在級年数とすることができる。」、こういう一般の国家公務員の規定もあります。ところが聞いてみたら、技能職の諸君というのは、一人もこれの適用を受けたことがないという問題も提起されておる。私は何としても、こういう仕事によって差別されているという結果になっているこの体系に対して、真剣に考えていただきたいということをつくづく思うのですが、図書館長としてどういうふうにお考えになっているのかお聞きしたいと思うのです。
  53. 宮坂完孝

    ○宮坂国立国会図書館長 ただいま寺前先生が横川君の感想文をお読みくださいましての御質問でございますが、私もかねがね熟読いたしておるわけでございます。気持ちといたしましては、先生と私は相同じものでございまして、長年監視の、それこそ文字どおり下積みの仕事をやっていただいた方が退職いたしていくわけでございますので、そういう方々が満足をもって御退職いただけるように、私たちはつとめなければならないことを痛感いたしております。  先生のような、すでにこの点についての御理解の深い方に、私がくどくど申し上げる必要もございませんけれども、いま先生が、いみじくも抜本的改正をなさなければ真の解決は得られないのではないかというふうな御意見でございます。私ども、現場を取り扱っておるものでございますので、将来に思いをはせなければならないことは当然でございますが、いま現に与えられておる条件のもとに、最善の待遇をどうしたらできるかというふうなことに一番頭を向けておるわけでございまして、十年前先生方にお願い申し上げまして、行(二)から行(一)への移行を続けてまいりまして、図書館といたしましても七十六名行(一)へ入りました。しかしただ入っただけで、それの格付けその他昇格、昇進というのは満足にいっていないじゃないかというふうなおしかりを常に受けてまいりましたけれども、私どもといたしましては、そういうふうな制度の点を考慮いたしまして、できるだけこれらの職員についての優遇を考えておるわけでございます。公の席で申し上げるのもいかがかと思いますが、総定員のワクの問題等も考慮いたしまして、また特別昇給のワクの問題も、この面に重点的に与えております。どうしても現在では、定数のワクをちょうだいいたすということに重点があるわけでございまして、予算的におきまして、幹部総動員でワクの増設を大蔵省にお願い申し上げまして、先ほど藤野事務総長も申し上げましたが、他官庁に比較してはかなりいい率の定数を大蔵省からいただいておるわけでございますが、しかし私たちはそれだけで事足れりと思っておりません。将来とも十分努力いたしまして、御期待の何分の一かに沿う決心でございます。
  54. 寺前巖

    寺前分科員 下積みの形になっている人たちに対して、昨年もいろいろ御検討いただいたようですが、一段と現実的に、やれることは即刻やってもらうように、私はあえてもう一度希望申し上げて、この問題を終わりますが、ちょっとこの際にもう一言聞いておきたいことは、実は私、この間四階の図書館の分室へ行ったんですが、四階にはトイレがないんですな。トイレがないんですよ。あそこで働いている人たちは、三階におりてこなけりゃならない。ここのエレベーターはなかなか時間がかかりまして、さっといかないんですね。そして職員の人からするならば、三階におりてきても、大体議員さんが非常に動いているというところで、女子の職員の方々なんかは、トイレはぼくはやっぱり一つの問題だと思うのです。古い建物のことでもあるから、トイレの改造というのはむずかしい面もあるのかしれないけれども、四階にトイレがないというのは問題だと思う。  それから、さらに私は、一階のトイレを見ても、大体もともと女子が少なかったところだったからだろうと思うのですが、ほんとにトイレの問題について、いろいろ苦痛を女子の方々はしていられるんじゃないか。だからせめて、あの中央食堂の入り口、階段の横のところに二つトイレがある。二つあるのだから、どちらかを女子用にはっきりしたらどうなんだ。距離は別に離れているわけじゃないんだから。参議院のほうの側の、衆議院の側のと、お互いにどっちかが言い分があるのかもしらないけれども、同じあたりに二つもあったら、どちらかを女子のトイレにしたらどうなんだろうか。この際ちょっと御意見を聞きたいのですが、これはだれに聞いたらいいかさっぱりわからないので、適当に答えてください。
  55. 藤野重信

    ○藤野事務総長 お答え申し上げます。  ただいまの問題でございまするが、第一に、四階になぜトイレがないかということでございますが、これは、まあ当初からの設備として設けられなかった事情は存じませんが、現在そういう問題を私初めて伺いまして、これは早急に、可能かどうかということを検討いたさなければならないと思います。  第二点、下の一階の参議院側、衆議院側と、確かに小さなトイレが二つある、これのどちらかを女子にしたらいいじゃないかということでございますが、これは実は前に話がございまして、いろいろと御意見を伺ったところ、結果的には現状維持ということになりました。再検討を要する問題であろうと存じます。
  56. 寺前巖

    寺前分科員 じゃ、この問題はひとつよろしくお願いするとして、次に移ります。  国会図書館に対する地方図書館からの要望というのは非常に強いものがあります。ずいぶんいろいろ国会図書館が大きな役割りをしておられるということに対する感謝とともに、さらにまた大きな役割りを果たしてもらいたいという激励を含めて要望が出ております。この間も私はあるところで、堺の図書館長さんのお手紙を、関係する分野だけをちょっと読ましていただいたんです。ほんとうに国立国会図書館活動に対して、内容豊かにしてもらいたいという点で出ているんですが、その一つの要望は、こういうことが書いてありました。「昭和三十四年刊行の「日本統計総索引」等、出版」何とか——達筆で書かれているから、ちょっと読めないですな。「全国的にどうしても必要とされる刊行物を取り上げ、その続編を編集刊行していただきたい。」これは関係者にはおわかりの話なんでしょうな。私には達筆なんでよう読めぬですが。「また、「全国図書館類縁機関総覧」と呼び得るようなものは類書がありながら、編者の性格上、片寄りがあり、十分なものがない部門について、これらの総合化、補完化をなした新たなものを編集刊行せられたい。この面では、おそらく国会図書館が最も多くの情報を持っておられると考えるので、企画にあたっては広く各種の図書館に呼びかけ、協力を得て実施せられたい。また、ただいま刊行中の「全日本出版物総目録」「雑誌記事索引」等の逐次的刊行物は迅速な刊行に心がけられるよう要望するとともに、これらの基本的書誌類は、資料費の貧弱な地方公共図書館でも容易に入手できるよう、無料かもしくはきわめて低廉な価格とされたい。」、まあかなり国立国会図書館に対して、目録、書誌類の取り扱いについて、何とか配慮してもらいたいという声が各地にあるようです。この問題についてどういうふうに考えておられるのか、お聞きしたいと思う。
  57. 宮坂完孝

    ○宮坂国立国会図書館長 ただいま具体的な件につきまして、二、三あげられまして御質問でございまするが、大局的には、わが館が、書誌類、書誌目録類を刊行いたしまして、各図書館に配分いたしておるわけでございまして、この点につきましては、これが全国の図書館活動の基準をなすものでございまするので、われわれは、予算の許す範囲において、できるだけ多く、経費も少なくして、地方の御利用に向けておるわけでございまするが、こまかい点につきましては、いずれ書面をもってお手元へ差し上げるつもりでございまするが、大体地方の図書館で申しますと、都道府県立並びに指定都市立の図書館には、大部分のものが送付されております。また主要な研究所等もこれに加わっておりますが。そのほか先年、先生の御指摘になられました都道府県議会の図書室にも相当多種類の書誌類、目録類が送付されておるわけでございます。大学図書館につきましては、大学院を併設しておる大学には——最近ふえましたので、全部というわけにはまいりませんが、その大部分にも送付しておるわけでございまして、一応そういった基準、その書誌類の目的、使用の範囲、そういうものを勘案いたしまして、重点的に配付いたしておりますことは、これは当然でございます。  そういうふうにして、いろいろ努力はいたしておりますが、予算単価の問題だとか、あるいは予算総額の窮屈な点につきまして、御期待に沿い得ないのははなはだ残念でございますが、われわれとしては、この問題は十分なる覚悟をもちまして、将来その増刷なり増額を企図いたしまして、御期待に沿うように努力いたしたいと思います。なお、全国の主要な図書館でまだ配分がしてございませんければ、それらも十分調査いたしまして、御希望の向きをしんしゃくいたして、できるだけ多量にお送りいたしたい、こういう念願でございます。
  58. 寺前巖

    寺前分科員 積極的な図書館運動をやっておられるところには、特別な御配慮をひとつお願いをするということで、この問題は一応おいておきます。  それで、あわせてその際に出ている問題ですが、国会図書館に対してこういう本をお借りしたいということで、貸し出しの手続きをするんですね。これが煩瑣でかなわないという問題が出ているのです。一回問い合わせをやる、返事が来る、今度は借り出しをするところへお願いをする、二回やらなければならぬという問題が出ているのですね。だから、それを一回で済むように、手続きの簡素化はやってもらえないものだろうか。  それから、貸し出し期間が一カ月ということになっておる。ところが、このごろ、送り、返ってくるのに時間がかかるから、せっかくお借りしたものが一カ月ということでは少しぐあいが悪いという声が出てきている。さらにまた、冊数が十冊ということでは、もうちょっと借りたいというところがやっぱりあるのですね。ですから、私はこれらの問題は一々ごもっともな問題だと思うのですが、これらの問題については一体どういうようにお考えになっているのか、聞きたいと思う。
  59. 宮坂完孝

    ○宮坂国立国会図書館長 わが館が、図書館間協力の線に沿いまして、各図書館に御協力を申し上げておる最大の仕事といたしましては、図書館資料を各図書館にお送りいたしまして、御利用に供しておるわけでございまして、まあ国会関係、あるいはまた展示会、外国等はしばらく別といたしましても、国内の公共図書館、大学図書館等には数千冊お送りしておるわけでございますが、その手続の繁雑という点につきましては、いろいろ御意見も私たちは承っておりますが、その点について逐次われわれは改革をいたしておるわけでございまして、利用館となるお申し出の手続等につきましては、部内におきましても、これを簡素化いたしまして、閲覧部長単独でできるような制度にいたしました。  それからまた、個々に貸し出しいたすわけでございますが、館内におきましては大体四日間かかっておりますが、これらにつきましても十分検討の必要があるのじゃないかと、寄り寄り協議をいたしております。また途中の時間のかかる点につきましては、これは現在の郵便物の制度について、ときどき事故が起きますものでございまするが、これらの点につきましては、十分当局にお願いいたしまして、特に、お送り申し上げる小包郵便につきましては、大いに早く着けるようにというふうにお願い申し上げて、その改善に努力いたしたい、こう思っておりますが、先生御承知のとおり、この図書館間貸し出しの件につきましては、われわれといたしましては、われわれの館におきまして、閲覧業務もやっております。それからまた、各方面から御要望で競合いたすときもございます。そういう点を考えますと、いま図書館協力において数千冊、全部入れまして一万冊をこえる程度でございますので、あまり弊害は起きないのかと思いますが、将来これが発展いたしまして、冊数が増加してまいりますれば、これはなみなみならない問題が起きるのじゃないか。そして図書館の機能の問題にまでも発展していきはしないか。すなわち、そういう事態が招来いたしましたら、貸し出し専門の図書館もつくらなければならぬのじゃないかというふうに考えておりまして、外国の制度等も研究いたしております。それらの点におきましては、先生あたりにお気づきの点がございましたら、御指示をいただきたいと存じております。
  60. 寺前巖

    寺前分科員 よくいまのはわからなかったのですが、要するに往復の時間も考えると、一カ月というのはぐあい悪い。期間については十分考えてくれということと、現状においては十冊にこだわらずに、場合によっては配慮しましょうという態度をとってくれるのかどうか、この点ちょっとはっきりしておいてほしいと思う。
  61. 宮坂完孝

    ○宮坂国立国会図書館長 冊数の点につきましては、点数でございまして、一点ということによって十点ということ。それが先年五点から十点に相なったわけでございまするが、たとえば上下二冊、これが一点でございます。そういった点を配慮いたしまして、ただ単に冊数十冊というようなことにこだわってはやっておりません。これは常識的なことで、館員にも徹底いたしております。  それから、期間の点につきましては、ただいま申し上げましたとおり、郵送の事情もございますので、先方からの申し出がございますれば、あえて三十日にはこだわらぬつもりでございます。
  62. 寺前巖

    寺前分科員 あわせてですが、私は国会図書館が障害者にとってもやはり国会図書館でなければならぬと思うのです。たとえば、ろうあ者ですよ。ろうあ者の方々があそこに行って——いま監視の方々が、一般の人の相談に応じて、いろいろ案内をしてくれていますが、ろうあ者の皆さんでしたら、相談をしようにも相談がしにくい。ちょっと手話通訳をやれる人が一人おってくれたら、やはり御案内もできるということになるし、またせっかくの話についてもいろいろ相談できると思う。あるいは視力障害者にとっていうならば、一体視力障害者にとっての図書目録というのが日本にはないと思うのですよ。こういう図書目録をつくる。あるいはテープでもって図書目録を紹介するとか、何かそういうようなやり方はあると思うのです。いま車いすでさえも入れない状態のままです。私は障害者に対して、図書館が障害者向きの大きな役割りをするという転換を考える必要があるのじゃないだろうか。この点に対する館長の意見を聞きたいと思う。
  63. 宮坂完孝

    ○宮坂国立国会図書館長 身障者に対しましては、皆さんの福祉を増進させるために、大いに施策を施さなければならないことは当然でございますので、はなはだおくればせでございまするが、本年、四十九年度予算に六百十二万八千円という予算を認められまして、これは閲覧所の入り口のとびら及び第一閲覧室その他特殊の閲覧室等の主要な部分に、入り口に自動のとびらを設置いたします。それから二階の北側のところでございますが、あそこに、男女の手洗い所につきましては、身障者が御利用になられる特別な手洗い所を設置いたします。それから、閲覧入り口には電動車いす等も備えつける予定になっております。  こうした物的の設備につきましてはことしから始めるわけでございますが、逐年改善していきたいと存じております。また、ただいま先生お述べになりました身障者の方々につきましての点は、これは非常に人件費を伴うものでございまするが、われわれは前向きの姿勢でこういう難問題と取り組んでいかなければならないということを覚悟いたしております。たとえば、点字の目録をつくるというようなことは非常に難事業でございまして、早急にというわけにはまいりません。それから、ろうあ者の手話通訳者の養成等につきましては、これはそこらに例がございますが、よく研究いたしまして、これは別途の説もあるわけでございまするが、十分研究してやりたい。また盲人等につきましては、テープその他の点について御利用いただくというサービスをしていく。こういう諸般の準備につきましては、何と申しましても人を確保しなければならぬ。先生御承知のとおり、最近の事情で、われわれの人員増というものはあまり認められておりませんけれども、これらを十分大蔵省にお願いいたしまして、来年度は前向きの姿勢でやっていきたい、こう考えております。
  64. 寺前巖

    寺前分科員 さらに検討してもらうことにして、なお、科学技術資料の関係ですが、この間、図書館で、一体どういうふうになっているんだと行って調べてみなら、科学技術資料費が不足したため、昭和四十八年度分の外国雑誌が減らされているという事態が生まれるわけですね。科学技術資料に限りませんが、こういう雑誌というようなものが、継続的なものであるのにもかかわらず、これが途中で打ち切られたら、せっかくのものの値打ちがなくなってしまうという問題があるわけですね。だから、そういうことになると、ともかく、四十八年分が欠けるという事態が生まれていると私は思うのです。だから、こういう問題については、何はさておいても、切れるということのないように補充をするということは、国会の図書館をあずかる人にとって非常に重大な使命だ。その点について、これを必ず補充して、科学技術の資料は系統的に保存していくという仕事をするのかどうかを聞きたいと私は思うのです。
  65. 宮坂完孝

    ○宮坂国立国会図書館長 科学技術の資料、特に雑誌につきましては、ただいま先生お述べになりましたとおりでございまして、私もそのとおりと思います。継続的に入ってくる雑誌をやむなく途中で中断さすというようなことは、まことに残念なことでございまして、万難を排しても、これを継続していかなければならないというふうに考えておりますが、何と申しましても、この異常な物価高でございまして、四十四年を一〇〇といたしますれば、もう六〇%以上の値上がりも示しておるような実情でございますので、これらの点につきましては、大蔵省からも特段の御配慮はいただいております。他の資料と比較いたしますれば、科学技術資料費はその節約分も半分にやっていただいており、また増額等につきましても、他の資料よりも特段高い率で増額いたしておりますが、しかし、この現在の体制では満足のいくようなわけにはまいりませんけれども、その中でも、われわれはいろいろな手だてを尽くしまして、たとえば欠号のある雑誌等はこれを整理いたしまして、ただいま先生お述べになられました四百四十三種は一応打ち切りましたが、その後四十九年度分といたしましては、種々な方策をいたしまして、百七十六種を復活させておるわけでございまして、また四十八年度分に欠号になった部分につきましても、いろいろな手段を尽くしまして、これが補充につとめていきたい、こういうふうに努力いたしておりますが、今後におきましても、大蔵省の特段の御協力を得まして、万全を期したいと思っております。
  66. 寺前巖

    寺前分科員 副長官いますか。——昨年も官房副長官おいでをいただいて、政府が納本する義務がある、その納本の義務については全うされているのかどうかという問題について、私はここで指摘をしたわけです。それで、この一年間、その納本の義務が遂行されているのかどうか、副長官から御答弁をお願いしたいと思います。
  67. 大村襄治

    ○大村政府委員 お答えします。  昨年三月二日の予算委員会第一分科会で御質問のありました趣旨を受けまして、政府部内でさっそく検討を加え、政府刊行物普及協議会の議長である総理府広報室長から関係各省庁に対し、三月十三日付で、政府刊行物の各都道府県議会並びに図書館への送付について配慮されたいこと、国立国会図書館への官庁出版物の納入についても格段の努力をされたいことについて依頼を行なったところであります。各省におかれましては、この依頼に基づいてそれぞれ努力を傾注しており、国会図書館への官庁出版物の納入状況も改善されつつあると聞いておりますが、今後ともこの趣旨の徹底を引き続いてはかってまいりたいと考えております。
  68. 寺前巖

    寺前分科員 じゃ、図書館長に聞きますが、納本がはたしてうまくいっているのかどうかを見ようと思ったら、どういう本を各機関が出しているかという、刊行物の目録がなければわからぬでしょう、そうじゃないでしょうか。私は一体、刊行物の目録というのは各省が持っているのかどうか、いまの現状について図書館長にちょっとお聞きしたいと思うのです。納本の状況がはたしていいということが言えるのか言えないのか、わかるのかわからぬのか、どういうことになっているか、ちょっと聞きたいと思う。
  69. 宮坂完孝

    ○宮坂国立国会図書館長 ただいま先生がお述べになりました各官庁の出版目録、これが完全に出版されておりますれば、われわれとしては非常にそれをキャッチする手段があるわけでございまするが、いま各官庁では、それが出そろっておらぬところが多いわけでございまするが、ただ、それ以外にも、その館の蔵書目録とかあるいは新着蔵書とかいうようないろいろな形で出ておりますから、そういうものをちょうだいいたして、われわれは題目からも判断いたしまして、個別に各支部図書館にお願いしておる実情でございます。
  70. 寺前巖

    寺前分科員 私がこの間国会図書館で、刊行物目録を発行しているところの機関名を聞いてみたのです。そうしたら、国の機関で、刊行物目録を年刊版として出しているのは、文部省、大蔵省、通産省、総理府統計局、月刊版として出しているのが総理府政府刊行物月報、それから農林省、厚生省、郵政省、運輸省です。かろうじてこれらの国の機関が刊行物目録を出している。他の分野については刊行物目録が出ていない。だから、何としても重要なことは、刊行物目録をちゃんと出して、このように私のところでは出していますということを発表し、その本を納める、こういう体制に入らなければならないんじゃないかと私は思うのですが、図書館長はどう思います。
  71. 宮坂完孝

    ○宮坂国立国会図書館長 大まかな数字で恐縮でございますが、大体四十数機関でございますか、そのうちの半分が出ておる、ダブっておるところもございますが、二十三から二十五ぐらい出ておるというような現状でございますので、そういった出版目録を出していただかれれば非常にけっこうだと思っておりますが……。
  72. 寺前巖

    寺前分科員 官房副長官に昨年に引き続いて、納本の状況を改善するためには、私は、刊行物目録をきっちり出してもらって、きちんと国民の前に明らかにして、納本を進めてもらうということを一段と強化していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  73. 大村襄治

    ○大村政府委員 お答えします。  各省庁の刊行物につきましては、総理府広報室から毎月政府刊行物月報を作成配付するほか、大蔵省印刷局からも刊行物目録を発行しております。また各省庁の中には、独自に刊行物目録を作成している省庁あるいは蔵書目録、文書目録などを作成している省庁もあり、それぞれ努力をしているところでございますが、さらに御指摘の改善すべき点につきましては、今後関係省庁で検討させることといたしたいと存じます。
  74. 寺前巖

    寺前分科員 私は、特にこの刊行物目録を重視してもらわなければ、図書館へ行って、一体どういう本が出ているのだろうか、確実に納本されているのかどうかということを調べに行っても、調べようがないという実態に直面したわけです。たとえば、防衛庁お見えになっていますか。防衛庁の図書の状況なんです。この間私どもの党の松本議員が、防衛庁にあるところの支部図書館について、ぜひ見せていただきたいということをお願いしたわけです。そうしたら、どういう話になったのかよくわかりませんけれども、一週間たって連絡を入れたところが、長官の決裁がなければ見てもらうわけにいかぬということでおくれているということが、秘書さんを通じて入ってきたわけです。何でそういうことになるんだろうか、国会議員が気楽になぜ借りられないのだろうか、一体どうなっているんだろうか。第一点に、私はこれが疑問でかなわないのです。ですから、国立国会図書館長に、支部図書館についても、当然のことながら、国会議員に自由に見せるんでしょうねということをあえて第一問、聞きたいと思います。  次に、その防衛庁の出しているところの図書目録、この図書目録に基づいて、一体納本の状況はどうなっているのだろうかというのを、国立国会図書館のほうに調べていただきました。私はここに、手元に持っています。これを見ると、たとえば「陸上自衛隊公報」というのが昭和三十六年に納まっています。三十九年以後ずっと納まっています。ところが「航空自衛隊公報」というのが図書目録で四十七年、四十八年に出てくるのですが、それまではない。海上自衛隊の公報というのは図書目録に出てもこない。これは一体どういうことなんだろうか。あるところは公報がちゃんと載っているのに、あるところでは載ってもいない、載っているところでも、航空自衛隊は四十七年、四十八年納本されていない、こういう実情がこの調査結果を見ると出てくるわけです。特にこれは二枚の表で出ているのですが、防衛局第二課の「調査資料」というのは、図書目録に昭和三十三年から三十七年まで載っているが、以後図書目録から姿が消えている。海上幕僚監部調査部の「調査月報」というのは、三十五年から三十七年まで図書目録に載っているが、以後消えてしまっている。陸上自衛隊幹部学校の「幹部学校記事」というのが三十四年から四十四年まで載っていて、四十一年に消えて、四十二年、四十三年に出て、あと消えてしまう。「航空自衛隊幹部学校記事」というのが、同じく同じ学校から出ていますが、これが三十四年から四十三年までの図書目録に出ていて、消えてしまう。しかもこれらの本は一冊も国会図書館に入っていない。あげたらきりがないのですよ。あと二、三十ずらりと図書目録に載っている本が、一冊も納本されていない。図書目録に載っている本が国会図書館の中に届けられないということについては、一体納本の義務という問題についてどのように考えているのか。国会図書館長は、長期にわたって、図書目録に載っている過半数の防衛庁の図書が納本されていないことに対して、一体どのように責任を感じておられるのか、これを第二番目に聞きたいと思うのです。特に公報というものが、陸上は載っていて、航空は載っていて、海上は載っていないという事実。公報というものは納本の義務がないのかどうか。特にこの問題について、防衛庁の納本の義務問題について、図書館長としてどういうふうにお感じになっているのか、これを第二番目に聞き、公報の問題を聞きたいと思います。  引き続いて、警察庁です。警察庁は、ここでは今度は図書目録もないのですか。これはないようですね。どういうことになっているのだろうか。昭和四十年版までは、警察庁図書館の所蔵状況は、同庁の図書総合目録によってわかるということが書いてありますね。これは四十四年以来、どうも警察庁の図書館では蔵書目録が出されていないようですよ。しかも、目録に載っていずして納本されているという状況が、ここではたくさん出てきますし、従来出ておることが明確になっている本が、半数以上全然出てきません。たとえば「警察広報」というのは三十七年でストップ、「保安局報」というのが三十六年でストップ、「犯罪統計月報」というのが三十九年でストップ、それから「警察通信」というのが三十五年だけ、「教養時報」、警務局教養課のが三十七年以後なし、警務局教養課の「教養旬報」というのが三十八年以後なし、「図書目録」は四十四年以後なし、「刑事部報」というのが三十二年で終わり、「防犯資料」というのも三十二年で終わり。これは一体、警察庁というのは国会にちゃんとそういうものを出すというのがないのかどうか、これは私はどうもふしぎでならない。  だから、ここで第三番目に、関係の官房長から、この納本の義務問題はどう考えているのか。特に警察庁にはそれに加えて、この間国会で問題になりました海上自衛隊の訓育参考資料目録の中に、警察庁がつくったところの「共産主義運動と警察の立場」という本が、使命の自覚ということで、資料として全部隊に、関係のところに配られているけれども、警察庁が防衛庁のほうに渡しているものが、国会図書館に納本されていないということに対して、一体どういうことになっているのか、あわせて報告を願いたい。
  75. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 寺前君に申し上げますが、お約束の時間が参りましたので、簡潔にお願いします。
  76. 宮坂完孝

    ○宮坂国立国会図書館長 第一の問題でございますが、わが国会図書館は中央館といたしまして、また司法、行政の図書館は支部図書館といたしまして、一体となりまして、国会並びに議員にサービスを申し上げるのでございますので、われわれ国会図書館と同じように支部図書館も、先生方の御利用に万遺憾なきを期すべきである、私はそう考えております。そういう点につきまして、わが中央館と支部図書館の間に相互の貸し出し規則をつくっておりまして、それによりますと、先生方はお忙しくて、現地の、そこの支部図書館にお出ましをいただく手数を省く意味におきまして、この四階にある分館を御利用いただきまして、いままでそこから当該の支部図書館と交渉いたしまして、御利用に供する、こういう慣例になっておりますが、先生方がお時間がございまして現地の支部図書館にお見えになった場合は、われわれのほうといつも連絡会議を開いて、その間調整をとっておりますので、先生方に御不便をおかけするようなことはないと私は考えておりますが、先生いまお話しの、何かあるような御質問でございますれば、十分調査をいたしまして、将来とも御不便のかからぬように努力いたしていきたいと思っております。  それから次の件につきましては、これは当該の防衛庁、警察庁の御意見を伺わなければならないのでございますが、私どもといたしましては、納本していただく立場でございますので、その連絡方法といたしましては、支部図書館を経由してちょうだいいたすわけでございますので、当該の官庁の支部図書館にさえも納まっておらないのがあるのでございます。支部図書館に納まっておりますものは、われわれとしても遅滞なく御請求を申し上げて、中央館にも納本していただくというように努力いたしておるのでございますが、しかし、ただいま先生お述べになられました数々の点につきましては、われわれといたしましても、今後十分配慮いたしまして、納本の確実性を期していきたい、こう存じております。
  77. 寺前巖

    寺前分科員 公報……。
  78. 宮坂完孝

    ○宮坂国立国会図書館長 公報の点につきましては、これは出版物という点につきまして、図書、冊子等と法律に書いてございますが、過去いろいろな議論があるところでございまして、われわれはそういう法律論を戦わす前に、常識として、その庁の公的色彩のある書類は、いかなる形式におきましてもわれわれに納本していただく、こういう考え方でお願い申しております。ただし、公的色彩と申しましても、はなはだばくたるものでございますので、両方の連絡会議によりまして万全を期さなければならないと思っておりますが、いま公報につきまして、一、二の公報は入っておるが一つの公報は入っておらぬというようなことは、ちょっと私たちから御弁解申し上げるわけにはまいりませんけれども、将来ともに連絡をとりまして、御納本をいただくようにいたしたいと思っております。
  79. 丸山昂

    ○丸山政府委員 防衛庁のほうの公報の問題で、ただいま先生から御指摘ございましたように、陸上自衛隊、それから航空自衛隊の公報については一応図書館に納本があるけれども、海上自衛隊はないではないか、こういう御指摘でございます。私どものほうといたしまして、この公報の取り扱いでございますけれども、私どものほうの特殊性でございますか、一般にお知らせをするというような中身のものがない。要するに、公報と申しますのは、上部の機関から第一線部隊に周知徹底せしめるという趣旨で発行されるものでございまして、したがいまして、できるだけ図書目録にあげましたものにつきましては、中央図書館のほうに納本するようにやっておりますけれども、たまたま海上自衛隊が欠落になっておるという点につきましては、支部の図書館長がそういう判断をしておりました関係で、よく検討いたしたいというふうに考えております。別に特に他意はございません。  それから、いろいろ中途で目録から姿を消して出ないものがあるではないかという御指摘でございますけれども、これらは、実際にそういう発刊をやめたものもございます。したがいまして、目録の中から脱落をしておるという結果になっておるかと思うわけでございます。  それから、「警察の立場」という資料でございますが、これは、私どものほうは、官庁間連絡で警察庁のほうから若干部御割愛をいただきまして、御案内のように、執務資料として、教養資料の一部として使った、こういう経緯でございます。
  80. 国島文彦

    ○国島政府委員 国会図書館の警察庁支部の図書の整理あるいは目録の整備等につきまして、確かに現段階では若干不備な点がございます。なるべく急ぎまして、これを目録、内容ともに整備いたしまして、利用される方に利用しやすいようにしなければいけないというふうに、いまの現状を反省している次第でございますが、目録といいますか、警察庁で出版していてその後中断しているような図書がだいぶあるという御指摘でございます。これもよく調べて整備したいと思いますが、途中でやめたものあるいは一部いろいろな事案の内容その他編集上、外部へ出すのがいかがと思われるようなものがあって、その号数だけ取りやめたというのがもしあるかもしれないというふうにも考えておるわけでございますが、いずれにせよ、利用していただく方に明確に内容がわかるように、これから整備しなければならないと考えておる次第でございます。  次に、最後に御指摘がありました、またいま防衛庁からも答弁がありました「共産主義運動と警察の立場」というものは、これは十年前に当時の情勢その他いろいろなことから、共産主義運動というものについて、部内の一部の者の勉強のためにつくったものということで、執務の参考資料として、警察なりにつくったわけであります。なるべく各方面のお話を聞きまして、わかりやすく平易にというような立場から、また明確にというようなことも考え、そういうことで、中でごく一部使ったものでありますが、特に警察庁の刊行物としてつくったものでもございませんので、防衛庁のほうでは、防衛庁側の何か参考にということで、依頼を受けて若干向こうへお渡ししたという、こういう経緯はありますが、そういうことで、これは国会図書館のほうにも別に入ってはいない、そういう現状でございます。
  81. 寺前巖

    寺前分科員 お約束の時間が来ましたので、私はこれで終わりたいと思いますが、主査にお願いします。防衛庁、警察庁の刊行物を納入しなくなった個々の問題について、なぜそういうふうになっているのかということの報告を求めていただきたいということと、「共産主義運動と警察の立場」という刊行物が、自衛隊のほうに警察庁から回されている。この文書について提出をされることを要望して、私の質問は終わりたいと思います。
  82. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 ただいまの寺前巖君の要望に対しまして、善処いたします。  次に、山本政弘君。
  83. 山本政弘

    山本(政)分科員 寺前分科員とダブらないで、問題点を二つにしぼってお伺いいたしたいと思いますが、まずお伺いしたいのは、昭和四十四年のとき、昭和三十九年のとき、このときの速記者の数は幾らぐらいか。それからもう一つは、一日当たりの最高時間がどれくらいになっているのか、それをひとつ聞かしていただきたい。
  84. 藤野重信

    ○藤野事務総長 お答え申し上げます。  三十九年におきまして定数は百五十二人でございます。四十四年では百五十六人になっております。  それから一日の時間でございますが、平均速記時間というのは、三十九年、一八・四五と出ております。それから四十四年ではやはり一八・四七でございます。  以上でございます。
  85. 山本政弘

    山本(政)分科員 私のほうで把握した時間と、それから速記者の数が違うと思うと思うのですけれども、それでは、いま、四十九年、速記者の数は幾らでありますか。
  86. 藤野重信

    ○藤野事務総長 速記者の数は、定数で百六十二となっております。
  87. 山本政弘

    山本(政)分科員 百六十二という数字が全部埋まっているわけですね。  それでは、前国会の一日当たりの最高時間はどれくらいですか。
  88. 藤野重信

    ○藤野事務総長 お答え申し上げます。  前国会における、これは平均でございますが、二一・五六となっております。  以上でございます。
  89. 山本政弘

    山本(政)分科員 それではちょっとお伺いいたしますが、頸肩腕症候群というのが起こったのは、先ほどの総長お話によりますと、一つは仕事の量がふえたのだろうと思う、こういうお話でした。そうすると、仕事の量がふえたことに対して、人員の増というのはあったのか、なかったのか。イエス、ノーだけでいいんです。
  90. 藤野重信

    ○藤野事務総長 人員増は、逐次増加してまいっております。
  91. 山本政弘

    山本(政)分科員 頸肩腕症候群が起こったのは去年でしょう。去年はっきりとした形をとってきたわけですね。そうすると、あなたのおっしゃる逐次増員をしているというのは、私には少なくとも理解ができないのですけれども、頸肩腕症候群が起こったから、そのことに対して急激に人をふやすという措置はおとりにならなかったわけですね。
  92. 藤野重信

    ○藤野事務総長 御案内のとおり、速記職の職員の充足というものは簡単にまいりませんので、何といいますか、きわめて漸進的にならざるを得ないのでございます。しかしながら、本年は特にそういう事情を考慮いたしまして八名の増員を考えておる次第でございます。
  93. 山本政弘

    山本(政)分科員 長期計画をお立てになっておるのかどうか。そして、もし長期計画をお立てになっているとすれば、一体どういうふうに人間をおふやしになるつもりなのか。
  94. 藤野重信

    ○藤野事務総長 これは、御承知のとおり、私どものほうでは、私どものほうに設けております養成所を研修の機関といたしまして、この卒業生でなければ現在の本院における速記事務にたえ得るだけの素質のある者を見出せないような状況にございますので、その面における優秀な生徒の募集に重点を置いている次第でございます。
  95. 山本政弘

    山本(政)分科員 いまのは答弁にならぬと思うのですね。仕事の量がふえた、だから人をふやさなければならぬ、それならば一体どれだけふやすのか。先にいって仕事の量が減るという見込みがなくて、むしろ仕事の量というのはふえるだろうと思うのだけれども、そうすると、長期的な計画というのは一体どういうふうにお立てになっておるのか。むずかしいということじゃなくて、なるほど、速記者を養成するには二年か三年かかるでしょう、だから、そういうことを頭の中に入れながら、どれだけおふやしになるのかという計画というものはないのかあるのか、そのことを聞きたいのです。
  96. 藤野重信

    ○藤野事務総長 養成所は原則として定数が十五名前後でございまして、これはその成績によりまして、二年間の研修をやった後、さらに本院に採用でき得るという可能性のある者を数名選びまして本院に入れているような状況でございます。したがいまして、将来にわたって大多数、非常に大幅にと申しましても、そういう優秀な応募者の見通しというものを考えて計画をしていかなければならないのでございまして、私どもは、入る当初からできるだけ本院に採用し得るような優秀な生徒を養成すべく最大の努力をいたすことが、この速記職の充足に処していく最大最近の道だと、かように考えておる次第でございます。
  97. 山本政弘

    山本(政)分科員 つまり、先ほどのお話ですと、臨時の方を入れているというのでしょう。それから研修生の方も入れているというのでしょう。ところが、あなた方のほうでは、定数のワクは十五名だからということで押えておいでになるのじゃないか。それならなぜ定数をふやさないのですか。もっとふやせばいいじゃありませんか。そしてあなた方は優秀な者とおっしゃるけれども、もちろん私は皆さん優秀だと思いますよ。しかし、その中に臨時の方を入れているとか、それから研修生の人たちも入れている、こういう話があるわけでしょう。研修生というのは、少なくとも一人前ではないと思うのですよ。それで間に合わせているという実態があるならば、あなたのおっしゃることは筋が通らぬと私は思う。なぜ定数を三十名なり四十名なり、もっと、ふやすという手当てをなさらないのか。私がお聞きしたいことはそのことなんです。ふやす意思があるのだったら、一体どういうふうにしてふやすのか、そのことを聞きたいのですよ。
  98. 藤野重信

    ○藤野事務総長 まず、臨時と申し上げましたが、臨時も、経験者と申しますか、速記者養成所以外の経路から臨時を採っているのでございませんで、本院の職員であって何かの事情で早くやめた人を、方々手を配りまして、先ほどのお話のような早急な手当ての方法として考え、実行しておる次第でございます。  それからもう一点、ただいまのお話の、もう少し定数を増加したらどうかということでございますが、その点につきましても、私どもでは毎年試験を実施しておりまして、どのくらいの成績の者がどのくらいの能力を伸ばす可能性があるかということについては、ある程度の見通しを持っておりますから、そういう場合におきまして、たとえば十五人がこの年は二十人であった、二十人そういう者がいるということであれば、極力私どもはそういう増加を考えておりまして、その場合に必要な予算その他の措置については、私どもは緊急の措置といたしまして、できる限りのことをいたしたいと考えておる次第でございます。
  99. 山本政弘

    山本(政)分科員 つまり、私は、優秀であってほしいし、優秀であるということを疑わないのだけれども、テンポラリーに集めた人は、たとえ前にそういう経験者であったって、いま現役の人には及ばぬと思うのですね。それはもう事実だと思うのですよ。とするならば、そういう人たちを養成するということを腰を入れてやらなければならぬだろう、こう思うのです。そうすると、もう一度お伺いいたしますが、そういう人たちは、一体募集をしたときに志願者が多いのか少ないのか。あなた方が要求するだけの志願者が集まってくるのか来ないのか、まずその点をお伺いします。
  100. 藤野重信

    ○藤野事務総長 志願者は非常に多うございます。そして試験の結果、先ほども申し上げたとおり、ある数の者を採用しておるわけでございます。  それからもう一点は、私どもは十五人と申し上げましたが、現実にこちらに採用するのはまあ多くて七、八人、こういう状況でございます。その場合におきまして、全部が全部優秀であれば、もちろんそれだけの人員を採用すべく、できるだけの手を打ちたい、かように考えておりますが、不幸にして現在まで、どうしてもこちらに残さないで、惜しいけれども外へ出してしまう、そういう結果になりましたのが実情でございます。
  101. 山本政弘

    山本(政)分科員 ことしの、四十九年の四月の研修の予定者は九人だけれども、三十九年が四人、四十年が四人、四十一年が七人、四十二年が六人、四十三年が七人、四十四年に九人、四十五年、四十六年は六人、六人、こういうことで、採用者が私はたいへん少ないと思うんですね。もちろん優秀な人を採用することが必要であるということはわかりますが、それにしても、おっしゃるようにたくさんな志願者がおるということになれば、もう少しふやすことができるのじゃないだろうか。同時に、要するに、優秀な人を採用するために、施設とか、あるいは手当とか、そういうものが十分にいっているのか、積極的なそういう手当がなされているのかということを考えると、どうもそういうふうにはなされておらぬのではないだろうか、私はそんな感じがするわけです。  そこで、頸肩腕症候群というのがあったということで、これは荒尾さんも、たしか昨年十二月ですか、社会労働員会で答弁をなさっているわけです。私はそのときに出席をしておったわけでありますけれども、中村政府委員は頸肩腕症候群についてこういうことを言っています。「言うなれば疑わしきは公務上にするという態度で私はこの問題を処理してまいりたいと思っております。」こう言っているのです。もう一つ、荒尾さんも、すみやかにいろいろな措置を講じてまいりたい、こう思っておる、こう言っている。先ほどのお話を聞いておりますと、二回いろいろな検査をやった、こう言っているのですけれども、疑わしきは認定をするという態度を貫くのだとするならば、そういう人たちに対して、私はすみやかに認定をすべきだと思うのです。先ほどの御答弁では、まだ結果がわからない、こういうお話でした。結果がわからないということは、疑わしいということになりはせぬだろうか。つまり、仕事量が格段にふえたから、実は頸肩腕症候群の人たちが出てきたのじゃないか。とするならば、それを否定する何ものもないとするのだったら、私はいち早くそのことに対して認定をするのがあたりまえだと思うのですよ。それをなぜ認定なさらないのです。
  102. 藤野重信

    ○藤野事務総長 お答え申し上げます。  この問題が発生してからたいへん時間が経過したのでございますが、昨年の六、七月ごろに多数の患者が発生いたしましたということを聞きまして、先生もおっしゃるとおり、これは公務傷病じゃないかと、常識的に私どもも考えたところでございます。しかし、公務認定するについての条件をいろいろ検討いたしましたところ、この問題はかなり重大な認定を要するから、まず医学的な判定を求めるべきであろうということもございまして、とにかく職員の方々が各自にいろいろと心配して治療その他に当たっている、そういう状況ではいかぬ、とにかくすべて役所の側で引き受けて、それからまた、一般的な問題として、先ほども申し上げましたとおり、医学部の中でこういう専門の先生方に特にこの問題についてのプロジェクトチームをつくって集中的に検討してもらいたい、これは私もみずから病院にもかけ合いまして、そういう措置をとった次第でございます。そのときに重い者もいましたけれども、また時間の経過、静養の結果、なおる見通しの者もございます。そういうところ、漸次症状が消失した者がありまして、当初三十何人おりましたのが、十一月下旬の、八日間にわたる慈恵医科大学における精密検査の結果、なおその際において全快しないという意味で問題になる職員が十六名でございましたので、その点について、公務の起因ということについて最終的な認定をした上で公務の認定をしよう、こういうのがただいままでの経過でございます。  私も、疑わしきは認定すべきである、こういう見解については決して反対するものではございませんので、もう最後の段階でございますので、その点を究明した上で、そのうち何人が認定し得るかという問題もございますので、それを含めて、できるだけ早い機会に認定をいたしたい、かように考えている次第でございます。
  103. 山本政弘

    山本(政)分科員 六月、七月というのは、御承知のように二百八十日の長期国会がありましたね、そして審議の時間が深夜まで及んだこともあるだろうし、時間の総数からいえば三千四十八時間という時間が使われたわけであります。だから、そのときに出てきたわけですから、そして六、七月と検査をし、十一、十二月ですか、検査をしたというのですから、ぼくは、プロジェクトチームをつくっていろいろやることもいいだろうけれども、頸肩腕症候群にかかっておる人は毎日が苦痛だと思うのですよ。そうすると、いつを目標にそういう措置をおとりになるつもりなのか。ぼくは、ずるずるべったりにしてまた半年、また一年というのでは、気の毒だと思うのですよ。総長として、一体いっそのことに対してはっきりとした判断を下すのか。もちろんこれは医者のこともあるでしょうけれども、あなた方がそれをプッシュしていけばいいんですから、どの辺を一体目標になさるつもりなのか、それをはっきり聞かせてください。  それから、時間もありませんから、もう一つお伺いしたいことは、一体増員計画を長期的にお立てになるのかどうか、その点。この二つです。
  104. 藤野重信

    ○藤野事務総長 第一点でございます。私どもに公務の起因性を立証すべき結果が報告されれば、もちろん直ちに認定するつもりではありますが、ずるずるべったりその報告を待っているようなことはいたしません。はっきり申し上げます。  第二点は、増員は、先ほども申し上げたとおり、速記の養成所のいわば卒業生の充足の限度におきましては、たとえば、そのときに予算がないから、定員がないからということにならないように、これはいまからその点について十分措置していく覚悟を持っております。
  105. 山本政弘

    山本(政)分科員 総長、もうすでに八カ月に入っておるわけですよ。去年の六月にかかった人は八カ月目に入っておるわけです。ですから、あと三、四カ月すれば一年間ほうりっぱなしになるということを忘れないでほしいと思います。これはきちんとしてほしいとぼくは思いますよ。その点どうです。
  106. 藤野重信

    ○藤野事務総長 たいへん御心配を願いまして恐縮に存じております。その点は十分心得ておりますので、よろしくお願いします。
  107. 山本政弘

    山本(政)分科員 国会図書館に非常勤職員は何人おられますか。
  108. 宮坂完孝

    ○宮坂国立国会図書館長 非常勤職員と申しましても非常に種別があるのでございますが、ただいまは七十三名——時期によりまして、非常にピークのときもあるし、非常に少ないときもございますので、非常に変動はいたしておりますが、現在は七十三名でございます。
  109. 山本政弘

    山本(政)分科員 館長にちょっとお伺いいたしますけれども、これは総定員法にかかるわけですか。国会の図書館の定員というのは、要するにいわゆる総定員法というのですか、これにやっぱり制約されるわけですか。
  110. 宮坂完孝

    ○宮坂国立国会図書館長 政府の定員法には関係ございません。
  111. 山本政弘

    山本(政)分科員 そうすると、非常勤職員の中で、私がいただいた数字の中には、昭和四十八年の一月は六十三人、いまの段階では七十四人というふうになっておるようでありますけれども、この人たちが、十七名の人が月に二十日、四十一名の人が十八日、六名の人が十八日以下、こういうふうになっておりますが、特別の医師とか専門的な調査とかいうような、技術的な業務に携わるそういう人たちは別といたしまして、この人たちの日給というのが千八百五十円ぐらいだそうですね。そうしますと、館長にちょっとお伺いするのですよ。一日のアルバイト料が千八百五十円というのは、常識的にいって、つまり社会的通念からいって、あなた方は高いとお思いになるか、安いとお思いになるか。今日の物価狂乱の状態の中からいって、一体どういうふうにお考えになっておるか。
  112. 宮坂完孝

    ○宮坂国立国会図書館長 この点につきましては、大蔵省の統制に服しておるわけでございまして、各官庁並みのものはもらっておるわけでございます。しかしながら、これを会社等に比較いたしますと、会社等は、交通費とかいろいろな名目で別途出ておるようなものもございますので、ちょっと比較することはできないわけでございますが、官庁並みといたしますれば、決して低いということはないのでございます。狂乱の物価時代にどうかという御質問でございますけれども、私どもといたしましては、できるだけ大蔵省の御理解を得て、この点は努力して改善に資したいと考えております。
  113. 山本政弘

    山本(政)分科員 私も何人かの人から話を聞いたのですが、非常勤職員の人たちの仕事というのは、常勤職員の人たちとほとんど同じだという話を聞きました、やっている仕事が。これは非常勤の人にもお伺いし、常勤の人にもお伺いしたのですけれども、ほとんど違わないということですね。そうすると、二つ問題が出てくると思うのですよ。  一つは、先ほど冒頭に申し上げましたように、定員法というのが、館長のお考えによってもし増員ができるというのならば、私はすみやかにその増員ということを大蔵省——大蔵省の方がおられれば私は質問しますが、速急にそういうことをやらなければうそだと思うのですよ。長い人は七年も八年も非常勤で使われているわけでしょう。そういう人がおるはずです。そういう人たちを七年も八年も非常勤で使っているという気持ちが私はわからぬのですよ、なぜそういうふうなことをやっているのか。  それからもう一つは、いま申し上げたように、七年とか六年とか五年とか四年とかいう人たちがおる。その人たちに対して、給与というものがいま申し上げたような金額でいいかどうかということも、これはたいへん問題になると思うのですよ。あなたはいま官庁のということをおっしゃったけれども、社会的な通念からいったら、千八百五十円というのはたいへん安い金額ですよ。時間一日に直してごらんなさい。幾らになりますか。八時間として二百二十五円ですか、そんなアルバイトの賃金なんて、どこにいったっていまありませんよ。だから、増員問題について、非常勤の賃金の問題について、時間がもう五分になったそうでありますから、どういう措置をおとりになるのか、そのことを聞かしていただきたいのです。ちゃんと定員のワクに入れるように最大限の努力をなさるおつもりなのか、賃金に関しては、もう少しアップをすることをお考えになるかどうかは、あなたがきちんとおやりになれば、大蔵省はいまのような状況の中で理解はできるはずですよ。しかも、繰り返し申し上げますけれども、四年以上、少なくとも三年以上つとめた人たちに対して何も措置をとらないで、しかも七年以上の人がおるというのでしょう。ぼくは、あなた方の、要するにそういう神経を疑いますよ。非常勤でそのまま置いておいていいのかどうかということですね。首をおかしげになっているけれども、あなたは館長だから首をおかしげになるのかもわかりませんけれども、働いている人たちの身になってごらんなさいよ。七年間身分が安定しないままに千八百五十円で働かせる、そういうことを私は、いまの通念からいったら、そんなことはできないはずだと思いますよ。ですから、あなたのお考えを聞かしていただきたいのです。お考え次第によっては再答弁お願いします。
  114. 宮坂完孝

    ○宮坂国立国会図書館長 最初の定員増の問題につきましては、私どもはここ数年非常な努力をもちまして、その増員方を大蔵省に要求してまいりました。去年も十七名増員を要求いたしまして、調査局、収書、整理、編さん、各重点的にお願い申し上げました。財政の変化に伴いまして一名も増員を認められなかったのでございまするが、われわれは今年だけでなしに、次の年もまたその次の年も増員をいたして、われわれの事務量の増加に対処していきたい。こう決心をいたしておるわけでございます。何ぶんの御後援をいただきたいと存じます。  それから、非常勤の職員の点につきましては、現在働いていただいている人たちにつきましては、適格者がおりますれば、秋ごろ実施いたします採用試験に応募していただくというように指導いたしておりますので、私たちはそういう適格者はどんどん常員の職員として採用するにやぶさかではありません。  それから長年勤務しておるという点につきましては、特殊な人でございまして、非常勤の勤務が適しておる方でございますので、特に極端な例を申し上げますれば、非常な高齢の人で、しかも整理等に卓抜な人である。もう普通の勤務は終わった方でありまして、その方がいま非常勤で勤務しておる。しかし、先生がお述べになられました趣旨の人もおるのでございまするから、その間の事情を取り計らいまして、万全を期したいと思っております。
  115. 山本政弘

    山本(政)分科員 これで終わりますけれども、少なくとも二年以上ずっとつとめておるとか、あるいは一年半、一年以上つとめておる。それがずっとこうやっておるということは、少なくともテンポラリーじゃないですね。ですから、もう要するにアルバイトという性格からは私は離れておると思うのですよ。ということは、つまり少なくとも一年以上ずっとつとめておる人たちに対しては、その人たちは要するに恒常的な勤務をしておる、仕事の性格からいって。そうすると、当然私は定員の中に含めていいと思うのですよ。だけれども、それをおやりになっていないというところに、もちろん予算関係があるかもわかりませんけれども、しかし私は、仕事の性格から、いま申し上げたように恒常的な仕事をやっているというふうに理解をするならば、そういう人たちは定員法のワクに入っておらぬ、その適用を受けないということになるのならば、あなた方のほうで、やはりそういうことに対して正規に職員として職場を与えていくということがあたりまえだと思うのですね。ですから、そういう点について、ひとつぜひ最大限の力を尽くしていただきたいと思うのです。これは私のほうからお願いをいたします。どうもありがとうございました。
  116. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 以上をもちまして国会所管質疑は終了いたしました。     —————————————
  117. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 次に、昭和四十九年度一般会計予算会計検査院所管を議題とし、会計検査院当局から説明を求めます。石川会計検査院事務総長
  118. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 昭和四十九年度会計検査院所管歳出予算につきまして説明申し上げます。  昭和四十九年度会計検査院所管一般会計歳出予算の要求額は、四十一億五百六十万八千円でございまして、これは、会計検査院が、日本憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づきまして、会計検査を行なうために必要な経費でございます。  いま、要求額のおもなものについて申し上げますと、職員の俸給、給与、手当等といたしまして三十六億二千百七十万六千円を計上いたしましたが、これは総額の八八%に当たっております。  これらのうちには、会計検査の充実をはかるため、技術専門官一人及び調査官十一人を増置する経費も含まれております。  次に、旅費といたしまして二億七千六百五十五万二千円を計上いたしましたが、このうちおもなものは、会計実地検査旅費が二億六千二百二十八万四千円、外国旅費が七百十二万一千円でございます。  次に、施設整備費といたしまして四千二百二十八万六千円を計上いたしましたが、このうちおもなものは、書庫棟専用エレベーター新設工事費でございます。  次に、ただいま申し上げました昭和四十九年度歳出予算要求額四十一億五百六十万八千円を前年度予算額三十六億六千三百三十二万五千円に比較いたしますと、一二%に当たります四億四千二百二十八万三千円の増加となっておりますが、その内訳について申し上げますと、職員の俸給、給与、手当等におきまして三億九千六百九十九万二千円、旅費におきまして二千百三十万六千円、その他におきまして二千三百九十八万五千円となっております。  以上、はなはだ簡単でございますが、昭和四十九年度会計検査院所管一般会計歳出予算要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  119. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 以上で説明は終わりました。     —————————————
  120. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 質疑の申し出がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。
  121. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 国会における告発によって会計検査院が検査をし、不当事項と指摘して不当利得を吐き出さした例はどのくらいあるのですか。
  122. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 最近におきましては、ちょっとそのような事例は、いま記憶にございません。
  123. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 最近においてはあるんじゃないですか。
  124. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 四十七年度検査報告に記載いたしました防衛庁のボルト類のほかにはございません。
  125. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 では、珍しいケースということになったわけでありますけれども、この「四十七年度決算検査報告」ですね、この二六ページ、防衛庁の項でありますが、いわゆる私が国会において取り上げました東京螺子、ネジの会社です。この報告を見ますと、この二七ページに、説明のところで「この物品は、F−4EJ航空機等に使用するボルト、リベット」と書いてあります。「F−4EJ航空機等」という「等」は、どういうものが含まれておりますか。
  126. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 「等」はF104の分でございます。
  127. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それだけでございますか、検査されたのは。
  128. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 本件につきましては、それだけでございます。
  129. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは後ほどその「等」についてお伺いをするといたしまして、まず確認をしておきたいと思うのですけれども、防衛庁来ておられますね。  防衛庁が物品を調達する場合には、調達物品等の予定価格の算定基準に関する訓令、昭和三十七年防衛庁訓令第三十五号の第七十七条から第八十条により原価計算をすれば、結果として現在の利益率は五%ないし六%となると思いますが、どうですか。
  130. 山口衛一

    山口政府委員 いまの問題にありますネジ、ボルト等に関しまして計算をしてみましたところ、大体五ないし六というふうに考えておりますが、全製品につきまして、ちょっとここで、平均ということは申し上げることはできませんが、ただいま先生御指摘のその訓令によりますと、最高限としまして大体一〇%というような規定もございます。ただ、一〇%になるようなものはほとんどございません。そういうふうに考えております。
  131. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 さらに、通常、防衛産業はこの利益率をオーバーする利益を出した場合は、その超過利益の分を防衛庁に返還しなければならないようになっておる。すなわち、概算契約の場合は、契約金額の確定に関する特約条項というものがありまして、利益制限条項つきの確定契約の場合は、利益制限に関する確定条項に基づいて、基準利益、すなわちさっき申し上げた五%あるいは六%をオーバーした超過利得は、防衛庁に返済しなければならない。特約条項がついていない場合でも、大体利益率は五%ないし六%になるように契約価格は確定されるはずであります。防衛産業は、特約条項に基づきまして、防衛庁に対して原価計算実施手続の承認を受ける。次に、実際原価計算書等を作成して、その証拠書類とともに原価報告を防衛庁に提出しなければならない。防衛庁は、調達実施本部の原価計算課員を、原価監査官として防衛産業に派遣し、原価計算が適正に行なわれたかどうかを厳重に監査することになっておると思いますが、間違いありませんか。
  132. 山口衛一

    山口政府委員 先生のただいま御指摘なすったとおりでございます。
  133. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この二七ページに、加工費率あるいは総利益率等を乗ずるということばがありますが、この加工費率あるいは総利益率はどういう数字になっておるのですか。
  134. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 だいぶ検査の内容に関することでございますので、担当局長から答弁することをお許しいただきたいと存じます。
  135. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 お答えいたします。  加工費率は千八百四十円でございます。それから総利益率で〇・一七一七五でございます。
  136. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 会計検査院としては、防衛庁の装備品の場合、特にこの東京螺子の場合、どのくらいの利益率が適正だとお考えになっていらっしゃいますか。
  137. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 私どものほうでは、五%程度ということで検査報告の計算もいたしております。
  138. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 検査院は、原価を査定される場合に、借り入れ金利を原価に入れることを認めておられますか。
  139. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 防衛庁の方針がそのようになっておりますので、私どもでもそれに従って計算をいたしております。
  140. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この点についてはどのように思われますか。防衛庁はそういう方針をとっておるということですが、これは予算委員会でも明確にしたところでありますけれども、通常、金利は原価に入れない、装備品だけが原価に入れられておる、金利をですね。この点についてどう思われますか。
  141. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 これにつきましては、いろいろと学説もあるようでございまして、私どもではその点決しかねまして、計算上は防衛庁の計算に従った、このようなわけでございます。
  142. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 大蔵省としては、通常、原価に金利を入れない、そういう方針をとっております。国のほうの原価計算の場合に、それを審査なさる場合に、ある官庁においては金利を入れるのを認める、ある官庁においては認めない、そういうばらばらであっては困ると思うのですが、どうでしょうか。
  143. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 ただいまのお尋ねにつきましては、どうも明確なお答えができかねますので、まことに申しわけありませんけれども、さいぜん申し上げたように、いろいろの学説等もあるということで決しかねたというところをおくみ取りいただきたいと思います。
  144. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 防衛庁以外の官庁のその種の検査をされる場合には、どういう方針をとられておるのですか。
  145. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 たいへんお答えがおくれて恐縮でございますが、まあ私の所管でございませんので、ほかのことをよく存じませんけれども、いま聞いたところによりますと、その点は必ずしも一様でない、このようなことでございます。
  146. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 主査にお願いをしておきます。  お聞きのとおりで、原価の適正さを判断する場合に、金利を入れるか入れないかがばらばらになっておる、御答弁のとおりです。これをひとつ大蔵省なりあるいは政府として、統一ある見解を示していただきたい。これを保留事項として、主査のほうで御処理をいただきたいと思います。適当なときに、つまり分科会が一応終わったあとの報告なりあろうと思いますから、そのときに統一見解を示されますように、ひとつお願いをいたします。
  147. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 了承いたしました。
  148. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは、その点は保留をいたします。  防衛庁にお尋ねしますが、この報告書で指摘されております、四十六年度に改定した航空機用国産標準部品価格表、これは再改正をなさいましたか。
  149. 山口衛一

    山口政府委員 ただいま御指摘のありました四十六年度価格表と称する標準部品の価格表でございますが、これにつきましては、昨年の二月七日の、当時の防衛庁長官の御答弁にありますとおり、昨年の二月七日をもちまして、四十六年度価格表は適用を停止いたしました。直ちにその四年前の四十二年度価格表というものを適用することにしました。その節御答弁いたしましたとおり、できるだけ早く新しいプライスリストをつくるということを申し上げましたとおり、昨年の十一月に新価格表を作成いたしまして、それまでの間、四十二年度価格表というものを適用しておるということになっております。
  150. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 一応東京螺子の問題に入る前段で、ネジの占める位置と申しますか、それを明確にしておきたいのです。  ネジの会社は全国で約六千社、そのうち防衛庁調達に入札の資格のある会社は六社である。すなわち東京螺子、名古屋螺子、山科精工所、尾張精密製作所、寺内製作所、タツミ製作所、このタツミ製作所というのは最初入ってなかったんです。ここに防衛庁から天下り人事があって入るようになったのですね、これも問題ですけれども、このネジ業界の最大メーカーが東京螺子であります。ネジ類は防衛需要の九〇%以上を東京螺子が占めておるのであります。今度は東京螺子について見るならば、東京螺子の全契約高に占める防衛需要の比率は約五〇%でありますけれども、四次防が発動してから大体八〇%になっておるはずであります。それほど東京螺子の防衛産業に占める位置は非常に高いわけです。  そこでこの報告書に移りますけれども、東京螺子に検査に行ったら、この集計票がなかった。そこで検査院としては、原始伝票記載の加工工数等に基づいていろいろと計算をされて、不当事項を出されたわけであります。とすれば、この東京螺子の原始伝票は間違っていないという判断に立たれてのことであろうと思いますが、そうですか。
  151. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 検査報告にも掲記いたしましたとおり、東京螺子関係のネジ類は、品目にいたしましてもたくさんございます。しかし私どもといたしましては、調査の段階におきまして、東京螺子が独占的に製造しているもの、そしてこの価格改定の際にあたってその螺子の比率を適用した、これは四系列でございますけれども、それにしぼりまして、その原価の調査を、原始伝票等に当たりまして、いたしたわけでございます。その限りにおきましては、これらの原始伝票と、それから調本で基礎価額として計算をした金額との間に、現実の問題として開差が生じました。これは掲記いたしましたとおり、二八%から六〇%という非常に大きな開差が生じたわけでございます。  それで、実は調本が原価調査を四十七年にいたしましたときのやり方、方法でございますが、これが品目を予告いたしまして、その予告した品目のうちの部分だけについて一部原価調査を実施した、こういう事態に相なっております。  そこで、それらの調本で原価調査を実際にやられた品目についても、原始伝票に当たりまして、私ども調査をいたしましたけれども、これらの原始伝票については、その結果の基礎額との間で開差を生じなかった、こういう事態でございます。  そこで、はなはだことばはあるいは過ぎるかとも思いますけれども、予告をした品目についてだけ一致をする、こういう一つの事態がございます。また一方、予告外の品目について私どもが調査した結果では開差が出ている、こういう事態になっておりますので、そこら辺の状況判断からいたしますと、先生ただいまおっしゃったように、予告した品目に関しての原始伝票がはたして正しいものであったかどうかということについては、私どもも疑念を抱いているわけでございますが、正規の原始伝票が現在ございませんので、その点についての確認を私どもとしては得るに至らなかったというのが、検査の結果でございます。
  152. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 大体デリケートな御答弁でありますが、私が国会で指摘した点をもう一度ここで申し上げておきます。  四十六年十一月に決定された東京螺子のプライスリスト、つまりコストテーブルですね、原価内訳表ですか、これは過去の実績を三倍から四倍に水増し改ざんされた疑いがあると指摘をいたしまして、写真まで添えて、それから証拠資料まで添えて問題にしたのです。改ざんされた時期は四十四年一月から四十五年十二月まで二年間分、改ざん作業をした年月は四十六年五月から四十六年六月にかけて約一月、改ざんされた書類は製造命令書、作業表の材料費、加工時間、加工時間当たり加工費などであります。  で、写真を提出して見せたのですけれども、改ざんの方法は、製品の取りかかりの時間とか、完成日時などをスタンプするタイムスタンプをちゃんと置いてやっているのですね。どういう人たちが改ざんしたかというと、航機部長を先頭にして、航機部の営業部員が行なった疑いがある。改ざん作業をした場所は藤沢工場本館二階小会議室、そこまで私は明確にしたのです。だから、これはもう改ざんされたということは、確信を私は持っておるわけで、この会社の元原価計算課長もあとでそれを証言いたしておる。だから、もしこの原価伝票に誤りありとすれば、会計検査院の検査も私は十分ではないと指摘せざるを得ないのですね。いま、一部について疑いのある点も、と御答弁になったから、私は確かに前もって言ったやつはうまく合っているけれども、じゃ、予告しないやつを見てみると間違いがあるといういまの御答弁で、私はもうこれは間違いないと思うのですね。  そこで、もう少し私はこれは徹底して調査を——一罰百戒ということばもありますけれども、東京螺子にはお気の毒ですが、これは徹底してやらないと、防衛産業というのはほんとうにでたらめな価格を出しておるのですね。これはほかの品物だったら、テレビでいろいろコマーシャル——銭かけてコマーシャルやって、競争をやっているんですよ。テレビで軍艦の宣伝とかタンクのコマーシャル、出たことありますか。ないでしょう。つくれば売れるんだから、そのまま。宣伝なんかする必要ないのです、随意契約で。だから、これは私はもうとにかく徹底してこれをお調べをいただかぬと、これくらいじゃ、私はなまぬるいんじゃないかと思うのですよ。たとえば、この東京螺子の原価計算表ございますけれども、航空機に関しては、航空機のネジに関してはすごい利益率ですよ。そして、輛機部ですね、航空機以外のやつは赤字が非常に多いのです。ということは、つまり平和産業の赤字分を、防衛産業、防衛用の防衛庁納めの品物で、何とかこの会社はやっている。だから、こういう経営のあり方はよくないのじゃないか。もう少し健全に経営をすべきである、健全化すべきであるというような観点から、私は一つはこれを取り上げたわけなんですよ。  そこで、結局集計表がないということがここに指摘されておりますね。集計表がないはずですよ。原始伝票を改ざんしておるのですから、集計表までつくるひまがなかったと、私は推察せざるを得ないのですね。だから、集計表がなかった。  そこで、ここで私はちょっと防衛庁のほうにお伺いしますが、この萱場工業というのは防衛庁とどういう関係がありますか。ありますか、受注関係で。
  153. 山口衛一

    山口政府委員 ただいまちょっと思いつきませんが、確言できません。
  154. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この東京螺子の原価表を見ますと、ひどいんですね。萱場工業、これは四十六年三月三十一日の発表のやつですけれども、東京螺子の会社別損益表ですよ。これでいくと、萱場工業の総原価率は七〇・二%、島津製作所は五九・二%ですね。五九・二%というと、四割もうかっておるということになる。四〇%の利益です。石川島播磨、これは一番ずさんです。石川島播磨のやつは、東京螺子はすごくもうかっているのです。六七・六%。それから防衛庁に直接納めておるので七五・九%でしょう。四十五年九月から四十六年三月までの分ですけれども、これなんか直接納めておるのだ。二五%の利益率でしょう。その石川島播磨、特にひどいというのは、四十五年四月から四十五年九月までの分を見ても、さっき言った萱場工業が六六・二%、日本飛行機が七三・五%、石川島播磨が六〇・二%です。石川島播磨と受注が関係あるでしょう。だから、会計検査院に私はちょっとお伺いしたいのだけれども、東京螺子のネジの関係が狂ってくれば、それを納めておる、たとえば石川島にネジを納めた、石川島で受注しておる防衛庁関係の価格にも狂いが生ずる。狂いが生じますよ。いまちょっと明らかにしておきますけれども、航空機の生産価格に占めるネジ類の価格の比率は約五%です。非常にこれは大きいですよ。だから、小さいネジといってばかにできぬのですよ。ネジばかりだから、機械は。ネジ巻くということがあるでしょう。これ、ネジがなかったらばらばらになって飛行機も飛びませんがね。そういう点については一体どういうお考えを持っておられるか、聞いておきたいと思う。
  155. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 私ども検査報告に掲記いたしましたのは、東京螺子が直接調本に納めた分に限って掲記をいたしたわけでございますけれども、当然ただいま先生からお話のありましたとおり、これらのネジ類を防衛庁関係の機体とかエンジン等の製造会社、それらに納めて、それを防衛庁が機体なりエンジンとしてその会社から調達をしている、こういう事例は多々ございますので、それらの関係につきましても、東京螺子のこの価格の差異というものが必ず影響するはずでございます。  そこで、その点につきましては、検査報告の掲記とは別に検査を進めまして、調本との間で再三その調査の打ち合わせも現在いたしておりますが、これはまだ固まった金額ではございませんので、ほんの概算で申し上げますけれども、現段階におきましては、それらのプライム各社分についての差額七千六百万程度が一応概算として計算されております。これらについての措置、これについても調本と協議をいたしているところでございます。
  156. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この際、防衛庁産業のそういう面の総洗いをひとつ会計検査院ぜひやっていただきたい。われわれも協力するにやぶさかではありません。特に石川島播磨というのは、さっき言ったように、四割ももうけて入れているネジをそのままうのみで使っているわけでしょう。これなんかも私はたいへんおかしいと思うのです。  それから、これは私が指摘したから会計検査院も踏み込まれたと思いますけれども、四十一年ごろからずっと持っているのですよ。四十一年から四十五年まで見てごらんなさい。全部これは発表してもよろしゅうございますけれども、全部利益率三〇%、四〇%ですよ。これはいまさらどうしようもないでしょう、過ぎ去った昔のことで。だから、こういうミスがあったことは確実ですから、厳格にやってもらいたい。それはよろしゅうございますね、総洗いするということは。
  157. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 検査報告に掲記いたしました事案につきましても、これも一昨年の十一月でございますか、先生御指摘の貴重な御発言を端緒としてまとめたわけでございますが、その検査の結果につきましては、いろいろ御趣旨に沿わない面も多々あろうかと思います。ただ非常にむずかしい検査でございまして、原始伝票の改ざんの事実とかいうことになりますと、これはなかなか灰色というような感触は得ましても、最終的に黒だという断定も実はできかねたというような次第もあったようでございます。いろいろほかに御指摘もございましたので、今後の検査の指針として、調査をさせるように担当者に申し伝えたいと存じます。
  158. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 大蔵省にお伺いしますが、私はこの問題を四十七年の暮れ、それから四十八年の春に二度取り上げておるのですね。四十七年の暮れ、たしか植木大蔵大臣のときだったと思いますけれども、こういう指摘をしたのですよ。東京螺子の有価証券報告書に関する疑惑についてという調査申請が大蔵大臣になされているはずである、それについて調査をされましたかと聞いたらば、調査しました、別に不都合な点はありませんという御答弁でした。ところが不都合な点があったのは、会計検査院からはっきり出されているわけでしょう。一体これはどうなるのですか。
  159. 磯辺律男

    ○磯辺説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、確かにそういった東京螺子についての、特にいろいろと経理面に粉飾があるというふうな情報を得まして、大蔵省といたしましては、関東財務局で調査をさせて、その結果につきましては、当時の植木大蔵大臣から御答弁したとおりでございますが、ただ財務局で有価証券報告書につきまして審査いたしますときは、どうしても当該有価証券報告書を監査いたしました公認会計士につきまして、監査の内容等につきましていろいろと調査をいたすわけで、いわば間接的な調査になるわけでございます。  そういったこともあろうかと思いますけれども、その当時の調査におきましては、先生の御指摘になりましたような原始伝票を改ざんしたというような事実、それは遺憾ながらつかめてなかったということが事実でございます。ただ、会計検査院のほうでそういった御指摘がございましたので、大蔵省といたしましてはもう一度その点について調査をいたしてみたい、かように考えております。
  160. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 主査にお願いします。  私に対する四十七年暮れの大蔵大臣の答弁は訂正されなければならない。いま再調査をするということですから、この点についての報告も、ひとつさっきの分と合わせて、分科会が全部終わった段階で御報告をいただきたい。  さらに国税庁にお伺いをいたします。国税庁に対しても、私は同じように、東京螺子の決算報告書の不審点についてという調査申請が出されているはずである。この点はどうなったかと聞いたら、やっぱり植木さん同じことを言ったんですよ。別に問題ありません。これはどうなりますか。
  161. 井辻憲一

    井辻説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の件につきましては、四十七年国会で御指摘になりましたとおりでございましたので、それに基づきまして、私どもといたしましては、その後実地調査をいたしました。厳正な課税処理をすでに了しておるということでございます。  具体的内容につきましては、個々の問題にわたりますので申し上げかねますが、適正な課税処理をすでに了しております。  なお、今後とも必要が出てまいりましたならば、さらに調査をいたす所存でございます。
  162. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これもお聞きのとおりですね。だから私は、大蔵大臣はかわったけれども、大蔵大臣から、しかと答弁の御訂正をお願いしたい。四十七年暮れの答弁は間違っておりましたから、それを同じように分科会が終わった段階で取り消しが行なわれるように、主査のほうで御配慮いただきたい。
  163. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 わかりました。
  164. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 以上で終わります。
  165. 中村弘海

    中村(弘)主査代理 以上で会計検査院所管質疑は終了いたしました。  次回は、明六日午前十時より開会し、内閣総理府並びに同所管中、環境庁に関する事項について審査を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十五分散会