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-
○荒舩
委員長 これより
会議を開きます。
まず、
理事の
補欠選任についておはかりいたします。
委員の
異動によりまして、現在、
理事が一名欠員となっております。その
補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、
委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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○荒舩
委員長 御異議なしと認めます。よって、
山田太郎君を
理事に指名いたします。
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○澁谷
委員 自由民主党としては、証人として喚問することに反対であります。以下、私は、自由民主党を代表して、その反対の理由を申し述べます。
第一に、国会は国権の最高機関たる唯一の立法府として国政を審議し、法治国家の基本である法律を制定することを任務とするものであります。したがって、国会の国政調査権は、この本来の機能を遂行するための補完的権利であって、その行使には、条理上一定の限界と制約があると解釈すべきものと考えるのであります。法に違反した者についての事実の究明と制裁は、当然裁判所の仕事であり、脱税に対する事実の究明と措置は、当然税務行政の仕事であります。
この種の事案について、一々関係者を証人として喚問し、その事実を究明することは、本来、国会の性格と機能になじまないものというべきであると考えるのであります。
第二は、基本的人権の尊重は、戦争の放棄と並ぶ新憲法の基本原則であります。国会といえども、この点については、最大の配慮を払わなければなりません。
また、憲法第三十八条第一項は、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」と定めており、新刑事訴訟法はこの規定を受けて、刑事被告人に、いわゆる黙秘権を認めております。議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律は、
昭和二十二年、占領軍の指示によりつくられたという事情もあり、証人が、自己に不利益な陳述または企業の秘密の発表を拒否する自由をほとんど認められておりません。虚偽の陳述をなした証人については、三月以上十年以下の懲役を科せられるというきびしい条件のもとで証人を喚問することは、いわゆる人民裁判的弊害をもたらす危険性をはらんでおり、本来、国民の人権を守るべき国会としては、証人の喚問については、きわめて慎重な態度で臨むことが妥当であると考えるからであります。
-
-
○
田中(武)
委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま
委員長より提案のありました、
石油連盟会長
密田博孝君外十名を証人として喚問することに賛成、参考人とすることに反対の討論を、簡単に申し述べます。
この件に関しましては、今日まで幾たびとなく論議を重ねてまいりましたので、多くは申し上げませんが、去る四日、総理の出席を求め質問いたしましたときにも申し上げましたが、三日間にわたる物価集中審議において、物不足、便乗値上げ等のからくり、悪徳商社の実態、大企業や業界と行政との癒着、さらに企業の社会的責任、その倫理性の欠如などが明らかにされたが、その審議の中で、幾つかの重要な点において、これらの人たちは、忘れました、申し上げられないなどと、故意に事実を隠したり、あるいはうその答弁を公然と行なったのであります。
ことに、国会における発言を、後日、通産大臣に対して取り消したり、質問者個々に説明させてくれと面会を強要して回ったりした、このことは、断じて許すことができません。
これら一連の行為は、いま問題となっておる石油やみカルテルが、通産省と実は共謀の結果であること、自分たちの悪徳商法を何とか取りつくろおうとしておるものであることも、また明白であります。
政府・与党は、先ほどの澁谷君の討論中にもありましたが、証人喚問に対し、基本的人権とか、人民裁判であるとか、国会の調査権と黙秘権との関係及びその限界などを理由にあげているが、実は、これ以上追及されると、政府・与党とこれら大企業や業界との関係が、国民の前により一そう明らかにされることをおそれてのことであります。
これらの人たちを証人として喚問し、いまだ明らかにされていない点や、さらに深く追及することにより、なお隠された面を知りたいということは、いまや天の声、地の声であり、国民の国会に対する大きな期待でもあります。
いまこそ国会は、この国民の期待と政治に対する国民の信頼にこたえるためにも、また、国会及び当
委員会の権威と、国民から負託されたわれわれの責務を果たし、なお、進んで事の真相を究明するために、党派を越えてこれらの人たちを証人として喚問することは、国民の代弁者たるわれわれ国
会議員に課せられた当然の責務であります。
私は、これらの人たちを証人として喚問することを、重ねて強く要求して、討論を終わります。
-
-
○林(百)
委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいまの
委員長の発議に対し、大企業の代表を証言法に基づき当
委員会に証人として喚問すべきであるとの態度を、重ねて表明するものであります。
その理由は、第一に、先般行なわれた物価集中審議において、今日のインフレ、物価狂乱の根源は、大企業、大商社が人為的に物不足をつくり出し、これによって不当に物価をつり上げてきたことにあることが明らかとなりました。このような不当な方法で国民から奪ってきた利得は、国民に還元するのが当然であり、そのためには、不当利得のからくりを徹底的に解明することが必要であります。
ところが、大企業や大商社の代表は、参考人という何ら強制力を受けない立場を利用して、肝心な原価はおろか、やみカルテルの内容や経過についても、それぞれ企業の秘密とか、また目下刑事事犯の嫌疑で取り調べ中であることなどを理由として、頑強に供述や資料の提出を拒否しているのであります。
しかし、彼らの言う企業の秘密とは、国民の前に明らかにすることのできない、不当なからくりによるばく大な利益の隠蔽の口実にほかなりません。また、刑事事犯の取り調べ中などは、何ら理由になりません。
加うるに、今日、再び石油製品の値上げが政府・与党によって承認されそうになっているときに、国民生活にとって新たな事態が発生しつつあります。
このように、国民生活が危機に瀕しているときに、国会が大企業、大商社の不当な利得にメスを入れ、原価ややみカルテル等の実態を明らかにするため、憲法によって保障されている国政調査権を行使し、証言法に基づき証人として喚問することは、国民に対する厳粛な責務であります。
第二に、物価集中審議において
密田石油連盟会長らの供述によって、石油業界の間で協定されたやみカルテル、及び昨年十一月ごろからの生産制限は、通産省の行政指導のもとに行なわれたかの疑いが、きわめて濃厚になってまいりました。このことは、かねてから業界と行政との癒着について国民が抱いていた疑惑を一そう深めるものであり、国民にとって見のがすことのできない問題であります。
国政全般について調査すべき責務を負っている国会としては、関係者の偽りのない証言を引き出して、徹底的に真相を明らかにしなければなりません。そのためには、証人として喚問するのは当然であります。
第三に、自民党の諸君は、証人喚問に反対する理由として、国会の国政調査権は、単に立法に必要な付随的な機能であるということを主張しておりますが、これは、大多数の国民の生活を守ることを忘れて、一握りの独占資本家の利益を守る立場に立つ者の憲法解釈といわなければなりません。
憲法制定直後、国会は、国政調査権を立法の補助的権能などという立場をとらず、国権の最高機関としての、国会に不可欠の国政の監督機能としてとらえ、積極的に隠退蔵物資を摘発し、不当な財産取引を暴露して活躍してきたことは、われわれの記憶に明らかなところであります。
したがって、この事態の中で、国政調査権を制限することによって、国民生活破壊の根源にメスを入れることをためらうことは、なりふりかまわず大企業を擁護することでありまして、初めから物価問題を積極的に解決する意思がないと断ぜざるを得ません。憲法が保障する証人喚問権を実効あらしめるためにも、この際、証人喚問を行なうべきであります。これを否定することは、明らかに憲法をじゅうりんすることになるのであります。
最後に、自民党の諸君、ことに首脳部は、当初は、証人が必要なときは、自民党がつぶれてもやるとか、さしあたり、参考人として出席を拒否したり、うそをついた場合には、証人にすればよいなどと言っていたにもかかわらず、だれの目にもますますそれが必要になった現在、党の方針として絶対に応じられないとか、首をかけても証人喚問はさせないなどと言っております。
さらに、集中審議では人民裁判の一面が出た、証人喚問になれば、人民裁判の色がもっと濃くなるなどと居直っているが、これは悪徳商法で反社会的な行為を積み重ねてきた事実の全貌が、国民の前に明らかにされることをおそれ、政府・自民党と財界の癒着の暴露をおそれ、これを隠蔽するための口実にすぎないと断ぜざるを得ません。強行採決を幾度か重ねてきた自民党が、この問題についてこのような慎重な態度をとる理由は、国民にとっては明らかであります。
わが党は、あくまでも証人として、最低一日以上の喚問を、
委員長が述べられました関係人を喚問することを強く要求いたしまして、討論を終わります。
-
-
○
山田(太)
委員 私は、公明党を代表して、ただいま
委員長よりおはかりがありました、大企業の代表者十一名を国会に招致する資格について、あくまでも証人として喚問することに賛成、参考人とすることに反対いたします。
以下、その具体的理由を簡単に申し上げます。
まず、第一に申し上げたいことは、証人として喚問するのでなければ、大企業のもうけ第一主義の悪徳商法の実態を徹底して解明することができない。したがって、物価安定に資することにはならないということであります。
さきに、大企業の代表者を参考人として招致して行なった物価集中審議は、それなりの成果をあげ得たことは事実でありますが、十分とはいえません。
なぜならば、大企業の代表者は参考人としての立場で、責任のがれの抽象的、かつあいまいな発言を繰り返し、具体的な資料を突きつけられても、会社の責任者として当然知っていなければならないことであっても、調査するという程度の答弁しかしなかったのであります。
物価集中審議で取り上げられた数多くの悪徳商法の事実関係を明らかにし、狂乱物価を鎮静し、引き下げるためにも、この際、証人として喚問するべきであると思うのであります。
第二には、資料要求により提出してはきたが、核心をはずした不誠意の資料であったり、中にはいまだに、遅延届けは出ているものの、提出さえしてこないところもある状態であります。
証人喚問ならば、こういうことは、おそらくやできないはずであります。
次に、第三の理由は、証人喚問が国民の大多数の要望であるということであります。
政府・自民党がさきに行なった、本
委員会における大企業の代表者を参考人とする不当な強行採決に、国民の多くが不満を明らかにし、物価集中審議にもの足りなさを感じていることは事実であります。
現在もまた、証人喚問に反対し、参考人なら賛成という国民はおそらく皆無にひとしいでありましょう。もし、ここで再び前回と同じように、参考人として招致し、物価問題の核心をぼかすというようなことがあれば、それこそ政治不信を高めるものだといわなければなりません。
私は、あくまで証人喚問を要求するものでありますが、政府・自民党さえも、当初は、みずから証人喚問を口にし、その後も、参考人で不十分なら証人に切りかえるという主張をしてきたこともあることを思うならば、四野党の主張と同じく、証人喚問とすることに賛成すべきであると思うのであります。
以上で終わります。
-
-
○
小平(忠)
委員 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま
委員長から提案されました、証人、参考人喚問に関しましては、私は、
石油連盟会長
密田君以下十一名の企業代表を、証人として喚問することに賛成の意見を明らかにするものであります。
従来、国会における国政審議あるいは調査権という立場から、この種の問題に関しましては、通常参考人として出席を求めて足りることは、これは常識とされております。憲法で定めまする、司法、行政、立法の三権分立の精神からいたしましても、国会におきましては、なるべくこの種の問題は参考人として出席を求めて、国政審議、国会調査の任務を果たすことが適切であろうと思うのであります。
しかし、今日の狂乱物価、異常な物価の狂騰に対処する国会の責務は、あくまでも国権の最高機関として国民の負託にこたえる意味からも、われわれはこの際、参考人という立場においては、十分なる目的を達成し得ないということから、当初から民社党は、証人として喚問すべきことを主張してまいりました。
しかし、これは与野党の合意のもとでなければならない見地から、去る二月二十五日から三日間行なわれました集中審議の結果、国民の前に、参考人という立場においてはその目的を達成し得ないことが明確となりました。
したがって、あの二十三名の参考人中、ただいま
委員長が指摘されました
密田石連会長以下の十一名の者に関しましては、この際、証人として出席を求めて、この物価問題に対する集中論議を行ない、国民の負託にこたえるべきであるということを明確にいたしまして、私の討論を終わります。
-
○荒舩
委員長 これにて各党の発言は終了いたしました。
ただいまの各党の御意見を伺いますと、証人として出頭を求むべしとの御意見と、参考人として出頭を求むべしとの御意見に分かれておりますので、まず、この点について採決心たします。
先ほど申し上げました十一名を、証人として出頭を求めるに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
-
○荒舩
委員長 起立少数。よって、証人として出頭を求めないことに決しました。
次に、おはかりいたします。
これらの方々を参考人として出席を求めることとし、まず、
石油連盟会長
密田博孝君、
昭和石油株式会社社長永山時雄君及び
日商岩井株式会社社長辻
良雄君の三名は、本日午後に出席を求め、意見を聴取することとし、その他の方々の出頭、日時等につきましては、
理事会において協議の上、
委員長に御一任願いたいと思いますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
-
-
○荒舩
委員長 去る五日から審査を行なってまいりました分科会の審査は、一昨日、九日をもって全部終了いたしました。
この際、分科会主査より、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。
まず、第一分科会主査
上村千一郎君。
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○上村
委員 第一分科会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
本分科会の審査の対象は、
昭和四十九年度総予算中皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府のうち経済企画庁を除く分、法務省所管及び他の分科会の所管以外の事項でありまして、去る三月五日より九日まで慎重に審査をいたしました。
審査は、各省庁当局より予算の説明を聴取した後に質疑を行ないました。
質疑者の数は、延べ五十五名、質疑時間は三十一時間四十一分に及びましたが、各分科員の協力を得まして、円滑に審査が行なわれました。
質疑の内容は、きわめて広範多岐にわたっておりますので、その詳細につきましては、
会議録に譲ることとし、ここではその数点について報告することにとどめます。
まず、皇室費については、憲法上象徴たる天皇とその家族にふさわしい内廷費等のあり方、国会の関係では、国会図書館への政府刊行物の納本状況、議員秘書及び国会職員の処遇問題等、会計検査院の関係では、F四EJ航空機用初度部品ボルト等の不当契約問題について質疑が行なわれました。
なお、不当契約問題については、契約の相手方である東京螺子製作所の有価証券報告書に不正な事実はなかったとする、四十七年暮れの当時の大蔵大臣の答弁は、今日では明らかに間違いであるとの指摘がなされており、また、政府が、物品調達にあたって、企業の原価計算の合理性を求める場合、計算の基礎に金利を認めるべきなのかいなかの統一見解を明らかにするよう求められております。
次に、内閣、総理府の関係におきましては、物価の急騰に伴う生活保護者、年金生活者等に対する救済措置、同和対策事業の積極的な推進とその進め方について配慮されるべき問題点、今後の北海道開発の方策、青少年の余暇、自由時間の活用、独禁法における価格引き下げ命令及び行政指導と価格カルテルとの関係、大都市の防災対策等について質疑が行なわれました。
また、環境庁関係につきましては、三年間の時限立法として成立し、すでに五カ月を経過した瀬戸内海環境保全臨時措置法について、目的とした排水の汚濁負荷量の制限や、公有水面の埋め立て規制についてどのような措置がとられたのか。また、三年後の総合的な計画に基づく瀬戸内海の環境保全は、特別立法に基づいて行なうのかとの質問に対し、政府より、汚濁負荷量の限度については、公害対策審議会の答申を受け、すでに関係府県に通知した。公有水面の埋め立て規制については、現在専門部会で論議している、できるだけ早期に決定したい。また、将来、恒久的な内海全体の環境保全のためには、特別立法も必要と考える旨の答弁がなされました。
さらに、都市部では公害病患者は増大しているのではないか、指定地域を拡大し、要件としての居住年限を緩和していくべきではないか、また、現行四種類の公害疾病の指定も広げていくべきではないのかとの質問に対し、政府より、九月一日からスタートする公害健康被害者法に合わせて、できるだけ実態に即して合理化したい。指定疾病についても、中央公害対策審議会にはかって、追加の必要な疾病があればできる限り取り上げたい旨の答弁がなされました。
その他、沖繩における自然環境の保護、特に牧港補給基地の海洋汚染の防止、大阪国際空港の騒音被害対策の推進、千葉県の京葉臨海工業地帯を中心とする環境汚染の実情と対策、水俣湾のヘドロのしゅんせつ事業の推進と水俣病患者の認定業務の促進、国立公園等の自然環境の保全、合成洗剤の河川汚染と今後の対策等について質疑が行なわれたのであります。
また、科学技術庁関係におきましては、日本原子力船事業団が、原子力船「むつ」の母港大湊湾周辺の環境放射能調査について、日本分析化学研究所に委託してまいったのでありますが、その調査報告のずさんな測定や手抜きが追及されたのであります。これに対し政府より、
米原潜に関する場合と同様、遺憾の意を表せざるを得ない。現在、緊急サンプリング調査を実施中であり、データの信頼性を取り戻したいとの答弁がなされました。
さらに、日本分析研から理研、原研、放医研に放射能の各種分析調査を委託がえするにあたっては、科学技術庁は、その体制の整備等について、慎重かつ責任を明確にすべきであるとの質問に対し、政府より、分析研の轍を踏まないよう、慎重を期したい旨の答弁がなされなした。
また、防衛庁関係におきましては、主要装備品の高騰により、四十八年度予算のうち、海上自衛隊の艦船でまだ発注されていないものがあるのではないか、また、このままでは、四次防は、当初予定の四兆六千三百億円を上回らざるを得ないのではないかとの質問に対し、政府より、資材、人件費の高騰により、艦船の調達は困難になっているが、一部変更を加えても発注するように努力したい。また、当初の四次防計画は、自衛官のベースアップ等を除いているものであり、このベースアップ、資材の値上がりを考えると五兆円台に達するであろう。四次防後の計画については、単年度で予算化しても、長期の展望に影響を与えない人件費などと、長期の装備計画とを区別して提示するといった方法を研究中である旨の答弁がありました。
さらに、FXの機種選定作業はどのように進めるのか、六千億商戦などといわれているが、国民の疑惑を招くようなことがあってはならないと考えるがどうかとの質問に対し、政府より、いずれFXについては検討を始めなければならない時期に来ているが、かつてのロッキード、グラマンのような売り込み商戦は好ましくないので、西独のように、商社を通ぜず国が直接購入するというあり方についても検討したい。とにかく、ルールをしいて、国民の疑惑を招かないようにしたいとする趣旨の答弁がなされました。
その他、自衛隊の教育方針、特に訓育参考資料問題、兵器の進歩に伴うナイキ、ホークの有効性、沖繩軍用地の地籍調査とその確定方法、人口過密地帯における米軍基地、自衛隊基地の返還及び移転問題、駐留軍労務者の離職対策、北富士演習場の補償問題等に関し質疑が行なわれました。
次に、法務省及び裁判所の関係におきましては、予算編成時における最高裁の裁判所予算要求のあり方、検察官適格審査会制度の活用、登記所の渡し切り費の改善と職員の増員等処遇問題、人口過密地帯の刑務所、拘置所の移転問題、BBS運動の育成及び助成等に関し質疑が行なわれたのであります。
質疑終了後、分科会の討論、採決は本
委員会に譲ることに決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○藤井
委員 第二分科会の審査の経過及び結果を御報告いたします。
第二分科会の審査対象は、
昭和四十九年度総予算中外務省、大蔵省及び文部省所管のものでありまして、去る三月五日より九日までの五日間、慎重に審査いたしました。
まず、各省ごとに予算の説明を聴取した後、質疑を行ないました。質疑者は延べ六十二名、質疑時間は約三十六時間余に及び、いずれも貴重な質疑応答で、分科員各位の御協力により円滑に審議を進めることができました。
その詳細は
会議録でごらん願うこととし、ここでは簡単にその概要を報告することといたします。
最初に、外務省関係では、アラブ外交について、今回、三木副総理をはじめ、中曽根通産大臣、小坂特使がそれぞれアラブ諸国を歴訪し、これらの国々で経済協力を約してきたが、その実施状況はどうなっているか、また、三特使の成果をどう見るかとの趣旨の質疑がありました。
これに対し政府は、スエズ運河の拡張計画、電気通信施設、製油所の建設など大型プロジェクトについては、相手国の受け入れ体制もあり、未定のものもあるが、商品援助、技術協力、円借款など比較的短期間で早期に可能なものは、本年度予算並びに協力基金、輸銀などの資金をもって解決していく旨の説明があり、また、三特使の成果はきわめて良好で、評価されているとの答弁がありました。
さらに、日ソ漁業交渉については、資源の安定供給をはかるための努力と、領海に関する国際海洋法
会議との関係及び日ソ平和条約との思惑を懸念する旨の質疑がありました。
これに対し政府は、漁業代表団の目的は、漁獲の長期安定化の確保であり、漁獲量、区域、船団等の点について、従来の線を貫く考えであり、今夏の海洋法
会議のことは念頭に置くとしても、平和条約は漁業交渉と区別して考える旨の答弁がありました。
以上のほか、日中航空協定、日韓大陸だな協定、海外経済協力のあり方、東南アジア諸国関係の外務省予算、ベトナム和平協定とベトナム援助、外務省の情報収集機能、在外邦人の子女教育、金大中氏事件、沖繩基地の返還、開発途上国に対する医療援助、列国議会同盟並びにアジア卓球大会への未承認国の関係者の入国取り扱い等々、多くの点について質疑が行なわれました。
次に、大蔵省関係では、石油危機に直面したわが国として、外貨手持ち高が、昨年二月の百九十億ドルから二月末現在百十九億ドルに減少していることは、今後の物資輸入の面で心配はないか、外貨の適正量をどう見るか、また、今後の経済のあり方をどう見ているか、さらに、今日の金融引き締めの効果をどう評価するか等の質疑がありました。
これに対し政府は、昨年の外貨量の増大に対しては、外貨減らし政策により国際収支の均衡をはかってきたが、昨年末以来、外貨の流出抑制策をとり、これによって、その効果が多少二月末の外貨量に影響してきたのではないかと考える。また、外貨の適正量については、むずかしい問題であるが、今日のように各国間の信用供与が可能になっているとき、輸入をまかなえる額という程度に考えている。
また、今後の経済のあり方としては、多消費型の経済体制を改め、たとえば、現在の石油輸入量二億六千万キロリットルを
昭和四十九年度は基礎として調達を考えているが、将来この量が増加するとしても、従来の経済社会基本計画を含む長期計画等を根本的に改変して、省資源型の政策を進めるべきであり、当面は物価抑制の見地から、石油製品価格の値上げについても慎重に対処しながら、短期決戦で臨みたい考えである。
さらに、金融引き締めの効果について、二月の卸売り物価は横ばい傾向にあり、また、一時は日銀券の発行高が二七%台であったものが、この二月には二〇%程度に減少する等、その効果は順調にあらわれている、しかしながら、経済市況が定着するまでは引き締めを続ける。その強度については、中小企業等に対する影響を考慮しつつ、弾力的に考えていくつもりである、旨の答弁がありました。
そのほか、国際通貨と国際金融のあり方、四十九年度予算の修正、拘束預金と独禁法、電算機業界への助成のあり方、総合商社の資金調達、土地開発公社に対する融資規制と税制措置、土地融資のあり方、国有財産の活用と管理、ネズミ講の利殖方式とその対策、酒類販売店の許認可、農産物資の価格問題、民主商工会員に対する税務職員の接遇問題、同族会社に対する税法上の措置、政府金融機関の融資事業のあり方等々、広範多岐にわたって熱心な質疑が行なわれました。
最後に、文部省関係についてであります。
近年、情報科学、情報社会などといわれているが、物中心の生産社会において、無形のものの価値が見直されてきた。それと同時に、一方において過去の暗記力にたよる教育からコンピューター等を駆使した情報の処理をする技術の必要性が高まっている。このような中にあって、学校さえ出ればとの考えを改め、今日の陳腐化した学校教育を洗い直す必要がある。また教育者自身の再教育を含めて、教育のあり方を考え直す時期ではないかとの趣旨の質疑がありました。
これに対し政府は、最近の傾向が高学歴社会の実現ということで、知的水準の高さを誇ることになっているが、必ずしもその質的内容は十分でない、生涯教育という観点からも、大学院等が社会人をも対象とした大学として発展する方途を考慮するとともに、一方、コンピューター等による情報処理技術者の確保のため、
昭和五十五年までに五十万人ぐらいの養成を目途とし、これら知識に必要な学科を学校教育の中に広く採用し、文部省自体にも専門家の確保を行ない、今日の情報化社会に対応できるよう努力したい旨の答弁がありました。
また、今日の学校教育に占める私学の重要性にかんがみ、私学助成の位置づけをどのように考えるか、さらに、教職員の処遇、入学金、授業料の格差、ひいては教育の格差学校経営のあり方等についてどのように考えているかとの趣旨の質疑がありました。
これに対し政府は、私学助成について、
昭和四十五年からの五カ年計画が一応終わったので、文部大臣の私的諮問機関である私学振興方策懇談会において、本年六月ごろまでに結論を得るようつとめている。
また、
昭和六十一年度で同一年齢の大学進学率について四〇%を確保し、国立の比率上昇をはかり、医科・歯科部門のごとく経費増大を必要とする部門については、従来七年目からの助成であったものを、四十九年度予算から初年度より助成することとし、重点的な配分を考慮している。
さらに、財政資金は一次的には私学が持つものであって、特色のある学校としての建学の精神をもって経営に当たるべきではないかとの趣旨の答弁がありました。
以上のほか、義務教育学校の教員給与の財源措置、高校、幼維園教職員等の給与改善、大学紛争と医科大学のあり方、留学生の受け入れ体制、小中学校等の統合問題、人口急増地域等の学校建設費、学校給食問題、教員免許と憲法履修問題、米国防総省による大学研究諸機関への研究委託、高校の採点のしかた、国有財産の管理、僻地教育、林間学校のあり方、学校用具に対する文部省の指導価格、医療担当者の安定供給のための抜本対策、姫路城、塚原古墳、西の浜貝塚等文化財保護に関する問題、留守家庭児童対策、大阪市立大学医学部への入学問題、国立競技場の運営のあり方等について、種々論議が行なわれました。
かくて、質疑終了後、分科会の討論採決は、本
委員会に譲ることに決定した次第であります。
以上、御報告いたします。(拍手)
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○渡辺(栄)
委員 第三分科会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
本分科会の審査の対象は、
昭和四十九年度
一般会計予算及び
昭和四十九年度
特別会計予算中厚生省、労働省及び自治省所管のものであります。
〔
委員長退席、櫻内
委員長代理着席〕
審査は、自治省、厚生省、労働省の順に、去る五日から九日まで五日間にわたって慎重に行なわれ、各省当局から所管予算の説明を聴取した後、質疑を行ないました。
質疑者の数は延べ六十四名、質疑時間は約三十六時間に及びましたが、分科員各位の協力を得まして、円滑に審査が行なわれました。
質疑応答の内容は、きわめて広範多岐にわたっておりますので、その詳細につきましては
会議録に譲ることといたしまして、ここでは、その概要を簡単に申し上げます。
まず、自治省関係におきましては、東京都特別区の区長公選、身体障害者の在宅投票制度の復活、中央選挙管理会
委員長の選任、地方事務官制度の廃止、離島の物価対策、地方公共団体の公共用土地取得難、超過負担の解消、老人医療無料化等による地方公共団体の負担増、地方債計画、中小企業高度化事業及び町内会の集会所建設に対する地方債の発行、大都市財源の充実、出かせぎ者の課税軽減、豪雪地帯対策、人口急増地帯の財政措置、地方公営交通事業対策、同和対策事業の推進、工業団地の造成と運営、消防設備の検討等の諸問題について質疑応答がありました。
これらの諸問題のうち地方債について、四十九年度の一般公共事業に対する起債ワクは千六十七億円で、前年度に比べて約三分の一に減っており、また起債充当率も下がっている。そのため地方公共団体では、その負担が増大し、非常に困っているが、これにどのように対策するつもりか、また、中小企業の高度化事業に対して起債を認めてはどうかとの趣旨の質疑に対しまして、政府から、一般公共事業債の発行予定額は、地方債計画上、減額しているが、地方税や地方交付税などの一般財源の伸びが相当に見込み得るので、事業遂行には支障ないものと思われる。起債充当率を六割から二割に下げるので、地方公共団体の一般財源の負担は増加する。しかし、その落差については、基準財政需要額算定上、単位費用の積み増しなどを行なうが、港湾などの特殊のところに事業が片寄る場合は、あるいは財政措置が不十分だということが起こり得るかもしれないが、そのときは、個々の団体ごとに事情を聞いて、起債充当率に若干弾力性を持たせる運用をしたい。また、中小企業高度化事業の起債については、中小企業の高度化事業に対する意欲が増大しており、都道府県の負担も増加しているので、中小企業庁ともよく協議の上、一定の方式のもとで起債を認めるつもりである旨の答弁がありました。
また、身体障害者の在宅投票制度を復活すべきではないかという趣旨の質疑に対しまして、政府から、身体障害者の在宅投票制度は、かって実施されていたときもあるが、選挙の公正を欠く弊害が出て廃止されたいきさつもある。しかし、この制度は必要であるので、選挙の公正が確保され、政党間の話し合いがつくならば成案を得て、できるだけ今回の参議院議員選挙に間に合わせたい旨の答弁がありました。
次に、厚生省関係におきましては、年金の再計算とスライドのタイムラグ、通算年金、国民健康保険財政、診療報酬の改定、診療報酬支払い基金の審査方法、薬価基準、中医協の再開、物価急騰に伴う社会的弱者救済の緊急特別措置、生活保護の基準引き上げと級地区分の是正、公立病院の設立と財政措置、僻地医療対策、豪雪地帯の診療確保、看護婦不足対策、医薬品の値上がり、難病対策、ハンセン氏病対策、原爆被爆者対策、心身障害児者対策、母子、父子家庭対策、保育所の整備、老人対策、地方事務官制度の廃止、アイヌ民族の援護、戦没者の遺骨収納等の諸問題について質疑応答がありました。
これらの諸問題のうち、生活保護基準の級地区分について、生活保護基準は、現在、一級地から四級地まで格差がつけられているが、最近は、町村も大都市も物価上昇の影響は同じである。この際、少なくとも四級地を廃止してはどうかとの趣旨の質疑に対しまして、政府から、級地区分の是正は、生活保護の基本にかかわる問題である、現行の級地区分においては、級地間格差が九%であり、一級地を一〇〇とすれば四級地は七三である、今日では、交通事情等も変わっているので改めなければならないと思う。そこで、級地間格差の九%が妥当か、一級地から四級地までの区分が妥当か、学者や関係審議会の意見を十分に聞いて慎重に検討し、四十九年度中に決着をつけたい旨の答弁がありました。
また、国民健康保険の市町村保険者の財政難について、その対策がただされましたが、これに対しまして、政府は、市町村の国保財政は、老人医療無料化、高額療養費の支給、さらに診療報酬の改定によって苦しくなり、予断を許さない状態である。したがって、現在の国庫負担の率を上げるため努力するが、四十九年度は、市町村保険財政の健全化をはかるため臨時の定額補助として、臨時財政調整交付金三百五十億円を計上している。今後の国民健康保険財政については、四十八年度から実施した高額療養費支給の状況がどうなるかを見定めた上で対策を考えたい。なお、臨時財政調整交付金については、単年度で終わらせるということでなく、五十年度予算において安定した財政措置としたい旨の答弁がありました。
最後に、労働省関係におきましては、国民春闘に対する政府の姿勢、公共企業体等労働者のストライキ権及び処分実損の回復、企業内の労働基準法違反、実質賃金の低下、未組織労働者賃金と最低賃金、失対賃金の引き上げ、失対事業の事業費単価の引き上げ、雇用の二重構造、引き揚げ者の就職対策、雇用保険法案の問題点、林業における労災保険料率、中小企業退職金共済制度の欠陥、白ろう病等の職業病の認定、同和対策事業の推進、企業内保育施設の設置、公共機関の業務委託の実態、病院給食の委託、公団、事業団等への天下り人事、未成年タレントの就業実態等の諸問題について質疑応答がありました。
これらの諸問題のうち、失業対策事業について、特定開就、緊就、産炭地開就の諸事業においては、資材費や労務費が上昇しているが、事業費単価を大幅に引き上げるべきではないかとの趣旨の質疑に対しまして、政府から、炭鉱離職者緊急就労対策事業等の四十九年度予算単価については、資材費等が上昇している状況等をも考慮して所要額を計上している。また、これらの事業は、一般の公共事業とは異なって、いずれも失業者に就労の場を与える事業であることに留意し、就労ワクを確保しつつ事業の継続実施をはかることが必要である。したがって、事業の実施にあたっては、事業費単価に見合った事業費目の選定を行なうなど、事業の円滑な継続実施が確保できるよう、関係事業主体等を指導してまいりたい旨の答弁がありました。
かくて、質疑終了後、分科会の討論、採決は、本
委員会に譲ることに決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)
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○湊
委員 第四分科会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
本分科会の審査の対象は、
昭和四十九年度総予算中、経済企画庁、農林省及び通商産業省の所管分であります。
審査は、去る三月五日から一昨九日まで五日間にわたって慎重に行なわれ、各省庁当局から所管予算の説明を聴取した後、質疑を行ないました。
その間、質疑者は延べ六十五名、質疑時間は約三十七時間に及びましたが、各分科員の御協力により、円満に審査が行なわれました。
質疑の内容は、きわめて広範多岐にわたりますので、その詳細は
会議録に譲ることといたしまして、ここでは簡単に要点のみ申し上げます。
まず、経済企画庁所管について申し上げます。
政府の経済見通しは、数字的な結論が与えられているにすぎないので、政府の内外経済情勢の分析判断とその受けとめ方を詳しく提示するように、発表形式を改定すべきであるとの質疑に対し、政府は、現在の経済見通し中の経済運営の基本的態度は、あまりにもあじけない面もあるので、経済指導の方向、経済運営のポイント等を入れて、系統的、計画的なものを出すように検討してみたいとの答弁がありました。
また、情報化時代に対処し、社会保障、交通、公害、物価対策等に、高度の立場から総合的な行政を行なうためにも、行政の情報化が必要ではないかとの質疑に対し、政府から、人口増加に伴い人間の意欲が多様化し、過密社会化の傾向が高まるので、人類の幸福を達成するためにも、それに対応する情報化組織の充実が必要となり、情報化の主導性を民間企業にのみまかすべきではないとの答弁がありました。
以上のほか、財政の長期計画策定の必要性と経済社会基本計画の見直し、経済見通しの改定の必要性と生活困窮者に対する一時金、経済企画庁への民間企業からの出向職員、原油価格とメジャーの供給削減、原油の輸入見通しと電力の需給、上下水道等水資源開発、砂糖の上限価格の現状維持と糖価安定策、沖繩県における物価対策と地籍調査、むつ
小川原開発、酒田共同火力の建設と公害対策等の諸問題について質疑が行なわれました。
次に、通商産業省所管関係では、石炭産業の振興策について、昨年十二月に総合エネルギー調査会の中間答申があったが、現下のエネルギー情勢の変化に対応するため、総合エネルギー調査会の本答申の前に、石炭鉱業審議会に諮問し、早急に石炭の見直し策を推進すべきであるとの質疑に対し、政府より、産業のセキュリティーの立場からも、石油、原子力、石炭等各エネルギーのバランスを総合的にとる必要があり、総合エネルギー対策の中で石炭の再評価を期待し、本年六月にも石炭鉱業審議会の中間答申を得たい旨の答弁がありました。
また、中小企業金融について、年度末の三月から五月にかけて、中小企業経営は楽観を許されない状態に立ち至ると予想されるが、政府関係三機関の特別融資ワク等はどうなっているかとの質疑に対し、政府から、中小建設業、自動車の下請、繊維、機械の一部に金詰まりの状態があらわれており、三月一カ月で五百億円の緊急融資を行なうほか、四月以降については、三機関の融資ワクの繰り上げ、追加融資等も考えなければならず、四−六月にかけては、特に慎重に事態の推移を見る必要がある旨の答弁がありました。
以上のほか、原油及び石油製品の値上げ幅と時期、石油の備蓄量、石油の流通機構、廃油利用、石油対策での政府関係機関の情報のおくれ、灯油の価格指導と業者の事前察知、本
委員会における
密田石連会長の発言と通産省への文書提出の経緯、宿毛湾のCTS、石炭緊急対策での日本社会党の申し入れ内容、石炭の需要確保策、石炭特会の財源、産炭地域の公共事業と補助率、炭鉱労働者の賃金等労働条件、閉山炭鉱の再建と常磐共同火力の石炭需要、長崎県松島の石炭火力の建設、石炭専焼火力の建設と原発の安全性、関電多奈川第二発電所の建設と公害対策、電力規制とネオン業界対策、商社活動の規制、物価抑制の効果、再販指定品目の指定をはずした後の値上げ、トイレットペーパーの標準価格と規格不足品、伊豆七島の物価、学用品の値下げ指導、紙の価格体系と流通機構、雑誌の予約と景品サービス、官公需の印刷価格、医薬品の物質特許化と資本自由化、中小企業省の設置、中小企業の歩積み両建て、中小繊維業者の歩引き、手形割引期限、韓国からの西陣織り等の逆輸入、建築単価の値上げ、経営指導員の職務、公営ギャンブルの廃止と地方財政、砕石の許認可と環境保全、過疎地への進出企業、工業技術院の試作電算機の使用とパターン情報システムの開発、チッソ五井工場の事故と住民の移転、ダイハツ伊丹工場の粉じん公害、洞海湾のしゅんせつ公害等の諸問題について質疑がありました。
最後に、農林省所管について申し上げます。
最近、飼料価格の高騰により、畜産農家の経堂は極度に悪化し、畜産業の将来が危ぶまれつつあるが、四十九年度の畜産物価格の決定に際し、政府はこの事態をどのような認識で受けとめ、これに対処しようとしておるのかとの質疑に対し、政府より、飼料価格の値上がりは、海外要因、石油の高騰が主因となっているので、農家の経営努力で解消できる性格のものではなく、この事態は数年間、長期的に続くと思われるので、結局は価格に織り込んでいく以外に方法はない。今月十一日から畜産振興審議会が開かれるので、その意見を聞いて、月末までに価格をきめる予定であるが、その際には、流通段階のマージンの適正化等も考えながら、酪農農家が将来に希望を持ち、経営が安定できるような価格にしたいとの答弁がありました。
林野関係では、木材の価格安定策としての備蓄効果はどうか、また、大手商社系列の木材取引会社が小売り業務まで進出しようとしているが、中小木材小売り業者の保護のためにも、大手商社に小売りをさせないように指導すべきではないかとの質疑に対し、政府より、木材の価格安定策は、備蓄だけで対処できるものではないが、備蓄については、四十九年度の合板、角材から、将来はそれ以外の樹種についても拡大していきたいとし、また、大手資本の木材小売りについては、卸売り段階までにとどめるようにし、小売りへの進出ができないように見守る必要があるが、同時に、中小小売り業者に対しても、協業化等による経営体質の強化策をはかる必要があるとの答弁がありました。
以上のほか、農村工業導入法の効果、農地法の運用、農地林野等の登記面積と実面積差の解消策、高浜入干拓、南北海道の土地開発と農地法違反事件、千葉県の農用地内の土地開発、食糧の自給率、本年十月の消費者米価の値上げ見直し、カドミウム汚染米対策、加工原料乳と市乳の価格差等畜産物価格対策と畜産農家への融資、中央競馬会の剰余金、賞金、調教師問題、農機具販売会社の契約不履行と農民の被害、肥料価格と商社の便乗値上げ、糖価水準と指導価格、てん菜糖価格、サトウキビ価格の算定根拠、なたね油の奨励金、指定野菜価格の安定策、トマト振興の補助金、イチゴの萎黄病対策、卸売り市場外での売買と価格操作、卸売り市場の福利厚生施設、蚕糸、生糸価格の安定策と関係団体の整理、林野特会の黒字、森林の乱開発規制、キノコの原木価格、林業労働者の定員化等労働力の確保策、林業労働者のレイノー病対策、漁船用の石油価格、水産資源保護と零細漁民対策、漁卵等の検疫対策、有明海の水銀汚染と漁業補償等の諸問題について質疑がありました。
なお、当面の畜産対策、特に畜産農家に対する特別融資及び既債務中のもので返済期限が来たものに対する返済期限の延長等について、予算案の採決までに、政府の態度を明らかにせよとの発言がありましたことを、特に申し上げておきます。
かくて、一昨九日質疑を終了し、討論、採決は、先例により本
委員会に譲ることといたした次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○稻村(左)
委員 第五分科会の審査の経過及び結果を御報告いたします。
第五分科会の審査の対象は、
昭和四十九年度総予算中、運輸省、郵政省及び建設省の所管でありまして、去る三月五日より九日まで慎重に審査を行ないました。
まず、各省ごとに予算の説明を聴取した後、質疑を行ないました。
質疑者は延べ六十七名、質疑時間は約三十五時間に及びましたが、各分科員の協力を得まして、円滑に審査が行なわれました。
質疑の内容は、きわれて広範多岐にわたっておりますので、その詳細につきましては、
会議録に譲ることとし、ここでは、簡単にその概要を報告することにとどめます。
まず、運輸省関係について申し上げます。
国鉄関係については、貨物輸送に対し、自動車に過大な期待をかけ過ぎるのではないかとの質疑に対し、貨物輸送の近代化を行ない、拠点から拠点への拠点輸送、またコンテナ化などをはかり、時間の短縮をするとともに、到着日時の明確化に努力していきたい旨の答弁がありました。
自動車の騒音公害について、騒音防止のため日本版マスキー法の設置を考えてはどうかとの質疑に対し、
昭和四十六年制定の騒音防止の規制は国際的水準にあるが、四十九年度から大型トラックと二輪車について規制強化をしたい。また、全体的規制についても強化していきたいので、現在検討中である旨の答弁がありました。
その他、なま乳の長距離輸送、むつ
小川原開発における大型港湾の建設、東北新幹線計画、新幹線の騒音公害、チャーターバック船の規制、海上交通安全法、事故車のつなぎ合せによる欠陥自動車、ローカル線への新型車両の配備、北茨城における流通港湾の建設、苫小牧東部開発、排気ガス減少装置、自家用倉庫の調査の必要性、さらし粉の危険物指定、私鉄バスの経営悪化、国鉄の黄害問題、沖繩におけるバスの一元化、北海道新幹線計画、大型航空機の安全性、タクシー、ハイヤーの暫定料金、新東京国際空港の石油パイプライン、マイカーの規制、内部疾患者の国鉄運賃の割引きなどの諸問題について質疑応答がありました。
次に、郵政省関係では、大阪空港の深夜便の禁止に伴う郵便対策について質疑があり、これに対し、早朝の航空機を使用して郵便サービスの低下にならぬよう配慮しているが、今後、さらに検討していきたい旨の答弁がありました。
〔櫻内
委員長代理退席、
委員長着席〕
福祉用電話の実用化の見通しについて質疑があり、これに対し、身体障害者用の電話開発を最優先に研究している。すでに、盲人用のダイヤル盤、盲人用の交換機は開発され、使用されている。また、難聴用の電話、老人用の緊急電話については、現在開発中である旨の答弁がありました。
実験用放送衛星の必要性についての質疑に対し、世界各国においても開発計画が急激に進み、わが国としても静止軌道等の確保が必要であり、また、難視聴の解消、増大する放送需要をさばくのに必要である。衛星の管理、運用については、国際
会議の場で慎重に討議していきたい旨の答弁がありました。
その他、郵便局外務員の調整手当、電話交換台の改善、電話帳の配付、ILOの最終勧告と実損回復、精神薄弱者に対するNHK受信料の免除、沖繩における電話設置状況、年賀はがきの再検討などの諸問題について質疑応答がありました。
最後に、建設省関係では、水資源開発が公害補償の増大や、用地取得の困難性から地方財政を圧迫し困難になっているので、新規の水資源開発は国が行ない、必要に応じ地方公共団体に供給すべきでないか。また、ダム建設は、水源地域住民の犠牲の上になされており、住民に対する補償が必要ではないかとの質疑に対し、国としては広域的、長期的な水資源開発を考えている。各地方公共団体により水資源の単価が違うので財政を圧迫しているのだから、解決策は国が一括して水資源を開発するとか、管理方法などについて研究し、単価の統一化を進めていきたい。また、ダム建設の補償については、地域住民の犠牲なしにダム建設ができなくなっていることは確かなので、建設省内に損失補償制度研究会を設置して、補償基準などについて検討中である旨の答弁がありました。
河川敷ゴルフ場について、公共利用のために第二次解放をしたらどうか、また河川敷ゴルフ場のパブリック化、さらに、三月で占有期間の切れるものがあるが、占有期間を短縮できないのかとの質疑に対し、解放しても具体的計画のない地域をどうするかの問題もあるが、できれば解放の方向に持っていきたい。パブリック化については、現在交渉しているが、いつまでにすると確認されているものはない。また、占有期間の短縮については、一年に短縮する旨の答弁がありました。
その他、建設業界の下請制度、建築資材へのスライド制の適用、区画整
理事業法の再検討、償還が終了した有料道路の解放、団地サービスにおける共益費問題、公団住宅の建設と幼稚園の必要性、大都市における防災対策、六十年度における水の需要と供給計画、古都保存と鉱業採掘権、都市の中小河川の改修、下水道事業の住民負担の軽減策、日照権問題などの諸問題について質疑応答がありました。
質疑終了後、分科会の討論、採決は本
委員会に譲ることに決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○
阿部(昭)
委員 政府は、わが国の土地の実態を把握していない。そこで私は、前の総括質問の際に、総理に対して、特に上場会社の保有土地の実態について報告を求めたのであります。これに対して総理は、上場会社の保有土地という限定なら、有価証券報告書もあることでもあり、すみやかに誠意をもって調査をして報告する、こういう御答弁があったのであります。
それ以後、二月十五日ごろだと思いましたが、報告が参りました。その報告書は、建設大臣が、まことに申しわけないと言っておわびをしながら持ってまいった報告書であります。上場会社に対してアンケート調査を行ない、その中で、わずか三百数十社の皆さんが土地を持っております、こういう報告が出てきておるのであります。少なくとも総理大臣が、有価証券報告書もあることだし、誠意をもって直ちにと、こう言われた報告がこのていたらくなのであります。
これは、登記の関係は法務省が持っていらっしゃる。不動産取得税は自治省、固定資産税も自治省であります。あるいは大蔵省では、いま申し上げました有価証券報告書もあり、あるいは金融その他の面からも土地の実態を把握する手だてはあるはずである。こういう関係の各省連合して調査をするならば、現在の日本の土地の動向、農地については農林省が完全に把握をしておるし、こういう点から考えますと、土地の実態把握ができないなどということはあり得ないのである。
私がいま申し上げましたような、関係の各省連合して土地の実態把握をすみやかに行なう、このことについての総理大臣の見解を、あらためてお聞きをしておきたい。
-
○
田中内閣総理大臣 土地の実態調査を、政府としては的確に行ないたいということで、鋭意引き続いて行なっておるわけでございます。この間お出ししましたのは、とにかく中間報告であっても、いずれにしても、いっときも早く国会の御審議に間に合うようにということで、建設省でまとめましたものをお出ししたわけでございますが、これからも引き続いて、土地の実態調査はやってまいりたいということでございます。
しかし、いま御指摘になりましたように、確かに自治省、それから大蔵省、いろいろな立場でもって実態調査が可能でありますが、それは相当時間がかかるものであるということだけは、ひとつ理解をしていただきたい。一年間に移動する土地の移動件数は二百万件をこしておるわけであります。そういう状態から見まして、正確なものを何月何日付ということで出すということになると、これは、各省でやっている白書の何倍というものが対象になるわけでございます。
ですから、これを上場会社というものに限ってまず第一段階やろう、しかも四十七年、四十八年、俗にいう企業の手元流動性が過大になったために投資したようなもの、また、自家用のものとして使わないで転売の用に供する、そういう目的で取得したというものをひとつ明確にしたい、こういうことを第一段階の目的としたわけでございます。
しかし、私は、建設省からも事情を聴取したわけでありますが、これは自家用というと、いずれ工場を移転するつもりでございます、いずれ社宅をつくる予定でございます、また、分譲住宅をつくって社員にこれを分譲するということで、もっと的確な方針を示して、二年だったら二年以内に、自社の用に供する計画以外のものは、全部他に転用可能なものというような限界をきめて調査を行なうということでなければならない、こういうことで、引き続き各省に指示をいたしておるわけでございます。
あなたがいま述べられたとおり、これは法務省から自治省から、すべてのものを各企業別に集計をするということになると、半年、一年かかります。かかるだけではなく、膨大もない、相当な人員、機構を要するわけでございます。法務省にあるもの全部、登記所にあるもの全部届けるということになれば、これはできないことではございませんが、これを集計するということになると、相当な問題もある。
しかし、あなたが御指摘になったように、土地政策を立てるときに、土地の実態を把握しておらないで立てられるわけがない。これはもうそのとおりであります。ですから、そういう意味で、この土地問題に対する実態調査を引き続いて政府は行なってまいりたいと考えます。
-
○荒舩
委員長 お約束の時間が過ぎました。お約束の時間は五分でございます。どうぞ御了承願います。——それじゃどうぞ。
-
○
阿部(昭)
委員 すでに当
委員会においても明らかにされておりますように、大企業や大商社の土地買い占め、あるいは、先ほどの主査報告の中にも出ましたように、
田中さんの与党の自民党代議士が優良農地をどんどん買い占めておる、こういう問題も当
委員会で指摘をされております。あるいはゴルフ場だけでも、もう十五万ヘクタールにも達しておる。この中で総理は、三十万ヘクタールの農用地転用などということを言われる。現状の土地というのは、上場会社が買っておるというだけじゃない。全部子会社やダミーという段階にたいへんたくさんの土地が握られておるのであります。
したがって、この土地の実態を明らかにしなければいけない。いま、情勢はこのとおりでありますが、じっと息をのんで、ダミーの段階や子会社の段階でプールされておる土地がたくさんある。しかも、今度の政治献金の中では、自民党に対する不動産業界の政治献金は数十倍になる、こういうことが新聞で伝えられている。私どもは、それなるがゆえに、この土地の実態を明らかにして、再び地価騰貴の大きな流れを引き起こすようなことのないようにしておかなければいけない、こういう意味での実態調査を、そういう観点から速急に進められるよう要求をいたしまして、私の質問を終わります。
-
-
○
阿部(助)
委員 たいへん時間の制約がありますので、私、二つの問題を保留してあるのでありますが、場合によれば一点だけでとどめたいと思います。
私は、ただいま審議中の四十九年度予算案の性格を明らかにするために、先般、本
委員会において
福田大蔵大臣に御質問をいたしました。しかし信念には変わりはない、こうおっしゃるけれどもまだ明確でない点が多い。さらにまた国民大衆も、この予算案の性格がどういうものなのか、これからどう生活設計を立てるのかという点で不明確であります。最近、あなたの行なった言説を引いて質問したが、もう少しその点を明確にするために、私は次の三点について、まず
福田大蔵大臣に御答弁を願いたいのであります。
その第一は、
福田大蔵大臣の経済運営の基本的理念、これを国民にわかりやすく、あなた自身が洗い直す必要を力説しておられるところの新全総、経済社会発展計画、これと比較する形で明らかにしていただきたいのであります。特に
福田大蔵大臣は、物価狂乱あるいは公害、資源問題、国際収支、ひいては国際関係の悪化は、この高度成長政策に内蔵している矛盾であるかのような御意向を明らかにしておるだけに、この第一の点をまず明確にしていただきたい。
第二は、四十九年度予算案の性格について。あなたは
昭和元禄には戻らない、こうおっしゃっておる。これは、高度成長政府は再現しないということ、この予算案は高度成長政策の否定、
福田理念の実現の第一歩としての基本的予算なのか、それとも、高度成長はまたやるけれども、いま客観情勢の動向を見ながら、ちょっと雨宿りをしておる、暫定的な意味を持つ予算なのか、そこを明確にしていただきたい。
第三に、執行の問題であります。予算の執行については、本予算案そのものがいろいろな矛盾をはらんでおると私は思うのであります。たとえば隠し財源の問題、あるいは財投関係に留保された問題、本四架橋、これもぴしゃりとやめたわけでもなし、調査費をつけるというようなことで、いつこれが走り出すかわからない、いつ高度成長政策に切りかわるかわからない内容を何がしか含んでおると思うのであります。参議院選挙を前にして、再びこれらの内蔵しておる矛盾がスイッチとなって転換をするのか、政治圧力を排してでも、安定成長のため財政執行を守り抜くのかどうか、
福田大蔵大臣の決意のほどを、この三点をお伺いしたいと思います。
-
○
福田国務大臣 まず第一は、財政運営の基本理念、こういうことでございますが、これは、財政方針演説でも明らかにしておるところといささかも変わりはございませんです。つまり財政、予算の目的は、健全な社会を形成するというところにあるのでありまして、経済成長それ自体を目的とするのではない、成長の成果を、財政を通じてさような福祉、健全社会建設のために使うのだ、こういうことでございます。
それから第二の、
昭和四十九年度予算はどういう性格かということにつきましては、これも財政演説で明らかにしておりますが、まず、当面のこの混乱を収束する、そして新しいわが国の歩みへの道を開く、こういうことでございます。その新しい歩みというのは、これは混乱前のような高度成長政策への復元ということであってはならない。物価の問題、国際収支の問題、資源の問題、環境の問題、そういうものを踏まえて、それとの調和をはかる、すなわち安定成長への道でなければならぬ、そういうことでございます。
それから第三に、予算の執行についての決意いかん、こういうことでありますが、いま、わが国は非常な事態に当面をいたしておる、こういうふうに思います。したがいまして、この執行にあたって政治圧力がある、そういうようなことにつきましては、毛頭考えておりません。いかなるそういうような働きかけがありましても、当面するこの非常事態を何として切り抜けるか、これは一党一派の問題じゃない、そういうふうにかたく考えております。
-
○
阿部(助)
委員 総理、ただいま
福田大蔵大臣は、新しい道、安定成長の道を走るこれは基本的な予算である、こう明確におっしゃっておるわけです。そして、いままでのような高度成長には戻ってはならないし、戻らないのだ、こういう決意を述べておられるわけであります。
そこで、総理にお伺いをいたしますけれども、いままで繰り返し繰り返しわが党をはじめ同僚議員が、総理の大公約である列島改造論に関する質問を行なったのでありますけれども、どうも総理は、うまいこと言を左右にして、ほんとうの国民の疑問にはお答えになっておらないのではないか。そこで私は、総理に、基本的に新全総を大幅に手直しをして、安定成長の道を進むのかどうか、それとも新全総、いわゆるあなたのおっしゃる改造論の骨格を堅持したままこれからまた進まれようとするのか、そこをお答え願いたいと思います。
-
○
田中内閣総理大臣 安定成長路線を守らなければならぬということは、これはどこででももう不変のものでなければなりません。とにかく、
昭和二十年からの敗戦経済でどうにもならないような状態だったときには、これは国民に職を与えるとか、生産性を上げなければならないとか、また国際収支を充実させなければならないとかいうことで、ある意味で傾斜生産ということで、生産に重点を置かなければならなかったということは当然でございますが、しかし、その後もあえて高度成長、超高度成長を目途としたものではなかったわけでございますが、二十九年から三十九年まで十カ年一〇・四%、三十五年から四十五年まで平均一一・一%といえば、他国に比べてみても高いということでございます。そこへ、これだけの国際的な物価問題も出てまいりました。石油問題も出てきたわけでございますから、おのずから制約を受けることは当然でございます。また、土台もできたわけでございますから、国際的な視野の中で資源問題一つとらえてみても、安定的な成長を続けなければならない、企図しなければならぬということは当然でございます。
ただ、経済社会発展計画や国土総合開発や、そういうものがイコール高度成長だという議論には、どうもはなはだ首肯できないということでございます。
これは狭い日本でございますから、狭いところでもって集中することをそのまま是認すれば、これは悪性インフレーションにもなりますし、地価も上がるし、水も不足するし、電力もどうにもならぬし、公害もどうにもならなくなりますが、しかし、狭いながらもこの日本全体を俯瞰的、鳥瞰的に見て、そして長期的視野のもとに、堅実な国土の総合的な利用を行なうということは、これはもう高度成長とは何ら関係のないことでございます。
それを一挙にやろうとすれば、それは景気を刺激したり、いろいろな波動を起こすということでございますから、そこらはひとつお互いに新潟県人でございますが、東京に居ついてしまって、新潟はかまわぬでいいんだというようなことでうまくいくわけはないじゃありませんか。そういうところはよく考えましょうやね。
-
○
阿部(助)
委員 どうも新潟県人でごまかされたんじゃ困るのでありまして、総理はどうも、いままでのお答えもそうですし、いまもそうですが、この狭い日本でこれだけの人間がおるんです、これでいいんですかみたいなお話をされるけれども、それはあなたの書いたこの本の、自分の都合のいいところだけつまみ食いしておるのではないですか。改造論、こうおっしゃるならば、それなりの体系というものがおありなんだ。私が読んだところ、それはどうかといえば、第一に、これは高度成長を目的にしておる。成長率が、これでは一〇%という、あるいはまた新全総では七・五とかいうけれども、その一〇%とか七・五%という量や率の問題ではないのであります。改造論を支配する理念を私はお伺いをしておるわけであります。
第二は、苫小牧から志布志湾まで全国に大規模プロジェクトを興し、それを結ぶための高速道路一万キロ、新幹線九千キロ、こういう公共事業を興す、そして、このような成長した産業に要する石油の量は、四十六年基準の四倍、七億五千万キロリットル、粗鋼は二倍の二億トンに達する。数字をあげれば、あなたは得意ですから私も幾らあげてもいいのですけれども、こういう数字はとにかくとして、この新全総といい、経済社会発展計画といい、これらが一貫した思想として、これがいわゆる高度成長といわれてきたんじゃないですか。これ自体を直すことなしに、この予算が安定成長への予算だとか、いろいろな情勢があるからまた変わるのだと言われれば、あなたたちが国民に価値観の転換を求めた、一体これはどういうことなんです。何のために価値観の転換を求めておるのです。あなたは、これからはいままでのような高度成長はだめなんだ、安定成長へ移るのだ、だから価値観の転換を求めたのでしょう。それに従って、地方自治体もそれなりの方針を立てざるを得ないだろうし、国民もまたそれなりの生活設計をせざるを得ないのでありまして、そこに、価値観の転換を求めるならば、どういう方針であなたたちが臨むのか。
そこで私は、この今年の予算、この性格が、安定成長へ向かう基本的な政策としての第一年目を踏み出した、
福田さんはそうおっしゃっておる。それとも、あなたは、いまぼかしたような形で、狭い国土でもってこれだけおって、このままでいいのですかみたいな話をされても、また、いまは客観情勢が物価だ、公害だというあれがあるから、ちょっと雨宿りするけれども、晴れ間を見てはまた高度成長に突っ走るとすれば、国民に価値観の転換を求めること自体、それは無理なんじゃないですか。新潟県人同士だから、私は特に懇切に質問を申し上げているわけです。
-
○
田中内閣総理大臣 あなたも、理解をしないでそういう質問をしておられるとは思いません。それは、現在の状態は、国際的に石油問題、また国際的な食糧問題、人口問題、また公害問題等で、相当な制約が急激に現出をしてきておることは事実でございます。そういう意味で、好むと好まざるとにかかわらず、全世界の各国がこれらの事象に対して影響を受けておるわけでございます。
ですから、こういう事態で長期的安定化に対して見通しが持てないときに、これから十年間、十五年間というものを、数字でもっていま直ちにどうしなさいということは無理なんです。これは、石油というものが、将来的にはどうなるということもあるでしょう。同時に、石油は燃料としてではなく、またエネルギーとしては、原子力発電やその他のものがどのように国際的に開発をされるか、日本もどのように開発計画を立てるかということによって違ってまいります。
それから、いままでの重化学工業中心のものを、付加価値の高い、いわゆる知識集約的な産業にしなければならぬ。言うなれば、イギリス型産業から西ドイツを越した、スイスのようなそういうものを指向しながら、日本の産業転換を進めていくべきであろう。そうでないと、基礎資材から、すべての原材料を海外に仰がなければならない日本の特性から見て、そういう状態にだんだんと移行しなければならないということになります。そうすると、ある意味においては、作業量は小さくなっても付加価値が高くなるので、国民総生産や国民所得が増大するということもあり得ます。
そういう意味で、いままでの重化学中心であったものを前提として、そのままの成長を続けていこうということを考えておるわけではないのです。ですから、製鉄工場でも一次工程のものは、できればだんだんと原料の供給地域に移らなければならない。しかし、二次製品を入れて、二次加工を日本で行なうということは、現に急速に行なわれつつあるわけでございます。
そういう意味で……(
阿部(助)
委員「時間がないです」と呼ぶ)だから、時間がないということは、もう何回も言われるのですが、答えていることを御理解にならないで、また再び三たび御質問になるので、それで、これは一声で答えろといったって、実際無理なんです。
ですから、そういう意味で、いまの予算というものが、少なくとも安定成長を望んでいるものである。それだけでないでしょう。内容は、いままでは生産にウエートを置いておったものを、財政や金融というものを、社会保障の長期計画をつくって、これのウエートをだんだんそこに移していきましょうという、第一年次、第二年次の予算であるということでありますから、中身、質が違うわけです。量的な面からだけを御指摘になるわけにはまいらないわけでございまして、これは、私たちが考えておるものは、国際的波動を十分見ながら、国際的推移も十分注視をしながら、日本に適合した、国民生活を中心とした生活重点的な政策に転換をし、方向転換をしてまいります、こういうことでございます。
あなたは、私の一つの論である列島改造論などを、いつまでもお持ちにならないでいいのです。そうでなく、予算の内容を十分見ていただけば、政府が企図することを御理解いただけると思うのです。
-
○
阿部(助)
委員 私は、この本をそれほど問題にしておるわけではない。あなたの思想を問題にしておる。同時に、政府が閣議決定をしておるところの新全総、このものを手直しをし、いま
福田大蔵大臣の言ったような安定成長の道、あなたもいまちょっとおっしゃったけれども、そういう方向にいくとすれば、あなたは政治の転換をせざるを得ないのです。その転換もしないで、国民にだけ価値観の転換を求めておるのは、一体どういうことなんだ。それをあなたは、いろいろとごまかすような言い方をされるけれども、国民は困るでしょう。
そうして、これから安定成長に向かうとすれば、地方自治体は自治体なりに、その国の方針に従った安定成長への計画を立てなければいかぬ。いままでは、六十年には、新全総という形で大きな高度成長の目標を持っておる。経済社会発展計画は、それに従って中期的なこの路線をきめてあるのですよ。このきめた路線を変更することなしに、今度の予算が、基本的な安定成長の道を歩む第一歩と言われてみても、国民には理解ができない。
だから私は、経済担当の大蔵大臣の意向、総理大臣の御意向、この間に、どうも国民はわからないものがある。はっきりすればいいのは、あなたが新全総を手直しをし、そうしてこれから、あなたがおっしゃったような、福祉型の安定成長の道を進むのだと言うならば、その手直しが私はまず先だと思うのですが、いかがです。
-
○
田中内閣総理大臣 閣内不統一は全くありません。
あなたは、いま公になっておる経済社会基本計画をそのまま書きかえろ、こういうことを言っておられるわけですな。これは五十二年までの五年間のものでして、これは日本じゅうの斯界の有力な学識経験者が集まって、知恵をしぼってつくり上げたものでございます。しかし、それには年次計画が立ててございますが、しかし、この年次計画というものは、石油というものの変化もございましたし、国際的な物価要因もあったわけでございますから、その年次計画にはこだわらず、来年度の予算編成をちゃんと行なって御審議をいただいておるわけでございます。政府は、ちゃんと事態に対処しておるわけでございます。ですから、いま、この間きめたばかりの、前国会できめて国会にお示しをした
昭和五十二年までを目途とした年率九%余の経済社会基本計画、これを五%、四%に直さなければいかぬ、そんな性急にお考えになる必要はないのですよ。
それで、あの線に沿って、少なくとも経済社会基本計画の中の社会保障の長期計画だけはきめたいのです。いま作業をしておるのです。そして、年率が五カ年間にわたって九%にならないで、七・五%になろうが七%になった場合でも、社会保障長期計画の数字だけは小さくしたくないというぐらいの熱意は持ってやっているのですから、そういうことをお考えになるときには、何も、
昭和五十二年展望に出された経済社会基本計画の数字を直さなければ国民が納得できない、それは私も納得できません。
-
○
阿部(助)
委員 時間のようでありますから、私は、いま
委員長にむしろお願いをしたいのですけれども、いま総理大臣のお話を聞くと、中期計画も直さなくたっていいんだというお話なんです。そうすれば、
福田さんは、ことしの予算はこれから安定成長へ向かう第一年目の基本的な予算だ、こうおっしゃっておられる。総理は、ことしはこの長期計画は直さなくともいいとすれば、価値転換を求めたりしておるあたり、ことしの予算は、物価等の客観情勢を踏まえた暫定的な縮小制約予算であって、また高度成長へ走る暫定予算の性格を持っておる、こうおっしゃる。これは明らかに矛盾であります。
私は、やはり内閣は意思統一をはっきりして、来年度の予算案の性格を明確にしてこの
委員会に臨まれるよう、
委員長からの御処置をお願い申し上げます。
-
-
○楢崎
委員 去る七日の総括質問、それから
理事会において、川重の
長谷川取締役が参りまして同じような答弁をしたのですが、つまり、作成本人は平野美木という人である。その方は、
昭和三十三年当時、私一人で計算書をつくってみたことはある、会社の命令でもなく会社としての計画でもないので、部下も使わず、だれもこれを手伝っていない、あんな程度のものは私一人でできます。もう古いものなので私の手元にはない。そういう答弁を、総括質問でも政府は答弁しておる。
理事会においては川重の
長谷川取締役も言った。この答弁、政府は信憑性を持ってやられたかどうか、それをお伺いしておきます。
-
○
山中国務大臣
昭和四十年の政府統一見解がおることでありますから、したがって、私どもは、装備
局長を中心にその具体的な事実について詳しく調査をいたしまして、その方向において誤っていない、ただいま述べられたとおりである、そう思います。
-
-
○
山中国務大臣 私が、直接会う必要はないと考えました。
-
○楢崎
委員 平野美木氏の経歴を調べていますか。平野美木氏は、ちょっと経歴を言いましょうか。
昭和十二年東大船舶工学科卒業、川崎重工入社、特殊艦艇研究室基本計画課長、潜水艦部次長、同
部長、艦艇営業
部長、船舶技術開発
部長、海洋機器開発
部長を歴任された。そして
昭和四十六年に東海大の海洋学部教授になられて現在に至っている。東海大学の講座は、大学院においては、海上作業台法、建造工作法、船舶強度設計法、船舶艤装設計法、特殊船舶設計法、そういうものである。学部における講座は、船舶設計法なのであります。全部船体関係である。どこをさがしてみても原子力関係の論文も見当たらない。
それが、一人で、だれの手伝いもなくやったという。それにどうして信憑性がありますか。この内容を長官、御存じか。この原潜用の動力装置の計画計算書の内容を御存じですか。もし平野さんが、自分でだれの応援もなく一人でやったというのなら、私はここで平野さんに一つずつ聞いてみましょうか。絶対に答えられませんよ、この内容は。それでも間違いないと言い張りますか。
-
○
山中国務大臣 お聞きになりたかったらお呼びになって、国会で御相談になって聞かれてけっこうだと思うのです。
私は、民間の技術者が、
昭和三十三年ごろにそういうものを研究してみた、しかし、それだけの話であったということを信用しておるわけでありますし、また、
昭和四十年以降は、政府は、そういうことも含めて、一切政府としては、原子力基本法の第二条に基づいた姿勢をとっていくことを統一見解を出しているわけでありますから、政府の姿勢において、何ら変更の加えられる要素もなければ、影響もないものでありますし、私が、その中まで調べる必要はない、そう思います。
-
○楢崎
委員 全然政府は調べる必要がないということですか。そうですか。承っておきましょう。これはまっかなうそであります。平野美木氏は関係ない。
当時川重には、技術研究所原子力研究室というものがあった。これの室長は
田中正三という方であります。現在常務をされておる。その下に永広武信、
田中良吉、
田中義久という三名の方がこの研究室におられた。これは川重が出した資料であります。少なくともこれを見る限り、どなたに聞かれてもけっこうです。原子力技術者が三名要りますよ。
どういう関係の人が要るかというと、まず熱計算をする必要がある。それから炉心計算、核計算です。三番目に、熱あるいは中性子の遮蔽計算をする人が必要である。最低この三名は必要です。この
田中正三室長のもとに三名がプロジェクトを組んでこれをつくったのです。
田中正三氏は熱計算を受け持った。
田中良吉氏が核計算、炉心計算を受け持った。
田中義久氏が熱、中性子遮蔽計算を受け持った。これが事実であります。政府は全く企業の言いなりの答弁をここでしておる、確かめもしないで。
しかも、これは確かに
昭和三十三年五月の計算書である。いまさら古いもの、そういう問題じゃないのです。逆に、いまから十六年前に、すでにこの原子動力装置が計画計算を完了したというところに問題があるし、今日に引き継がれておるというところに重要な問題があるのです。
そこで、これは川重の
長谷川さんも
理事会に来てうそを言っておる。
理事会はみんなだまされておる。一体これをどう取り扱われますか、
委員長のお考えを聞きたいと思います。
-
-
○
山中国務大臣 防衛庁が委託研究費を出して委託したものでもなければ、私どものほうが公式、非公式にも頼んだとでもなく、また相談をしたことでもなく、かりにそのような事実が一研究者の手によってなされたからといって、政府としては
昭和四十年の統一見解どおり、そのようなことは全く関知しないことであるということでありますから、政府がうそを言っているとかなんとかということでもありませんし、政府がこれに対して誠意があるとかないという問題の次元のほかの問題であると思うのです。
-
○楢崎
委員 委員長、この取り扱いについてどうされますか。
理事会自身もだまされておる。
-
○荒舩
委員長 だまされておるかだまされておらないか、私は科学的知識がございませんからわかりません。さよう答えます。
-
○楢崎
委員 じゃ、どうされるのか。事実と違うのですから。
-
○荒舩
委員長 どうされるかされないかは、わからないことは、どう研究してもわかりません。
-
○楢崎
委員 しかし、当
委員会で、虚偽の答弁を会社から聞いて、それを報告なさったのですよ、ここで。どうするのですか。
-
○荒舩
委員長 私はうそをついておりませんから、どうぞひとつ……。わかりません。
-
○楢崎
委員 その間に質問を続けます、時間がございませんから。
それでは、現在に関係ない、あるいは政府は関係ないというおことばですが、
科学技術庁長官にお伺いします。
原子力商船の「むつ」がいまできておりますが、二番目の第二船を計画されておりますか。
-
○森山国務大臣 民間で第二船の研究会をやったということは聞いております。
-
-
○森山国務大臣 新聞で、原子力第二船をつくろうという集まりがあったということを聞きまして、具体的にどこの関係者であったか、私、記憶いたしておりません。いまさっそく調査させます。
-
○楢崎
委員 同時に調べてください、その間に。同じく第二船用の船舶炉開発計画があるかどうか、それも一緒にお願いします。
-
○森山国務大臣 私の知っている範囲内におきましては、この第二船の問題を民間の団体で検討しているということは、新聞記事で読みましたが、政府の仕事として、この問題に取り組んでいるとは聞いておりません。
-
○楢崎
委員 日本造船研究協会、これには政府予算と関係がある団体が加入しておりますね。全然関係ございませんか。
-
○森山国務大臣 科学技術庁としては関係しておりません。第一船の「むつ」問題がまだ解決しておりませんし、第二船の問題までまだ頭が回らない状況でございます。
-
○楢崎
委員 そういう答弁ではだめですよ。何ですか、いまの答弁は。日本造船研究協会と全然関係ありませんか。政府予算と関係のある団体が加入しておるじゃありませんか。何を言っておるのです。
-
○森山国務大臣 科学技術庁は関係ありません。
-
○楢崎
委員 総理にお伺いします。
科学技術庁は関係ないそうでありますが、予算の補助なり、あるいは予算から出資しておる、そういう団体がこれに加入しておったら、政府は全然関係ありませんか。
-
○
田中内閣総理大臣 政府が予算をそのために計上し、そのために支出を予定し、支出をしておるということがあれば政府が関係がある、あたりまえでございます。しかし、政府が出資をしておる企業とか、政府と関係のある団体というようなものが、その団体の資格で、政府の意思や政府の予算や政府の委託や、そういうものと全く関係なく任意に他の研究を行なっても、政府がこれに関係がないというのは当然であります。
-
○楢崎
委員 じゃ、民間だったら何やってもいいということですね、いまの御答弁だと。
-
○
田中内閣総理大臣 それは反社会的な行為でない限り、それは自由であります。特に学問的な問題は、これは自由であることはもう当然であります。私たちがきらいな、全くきらいなそういう学問が、大学の先生においてもどんどんと自由に勉強されておる、これは当然のことであります。これはもう学問の自由であって、こういうものは全く関係ありません。
-
○楢崎
委員 そんなに開き直られる必要ないのです。いまから言いますから、あわてないで、答弁はゆっくりしてください。いいですか。
この日本造船研究協会、これは原子力関係の事業団も入っておる。ここで原子力商船の第二船用の研究に入っている。しかも船舶炉開発計画、これも行なわれておる。それに川重も参画しておるわけですね。しかもここでは——総理、いまから先です。その動力炉・核燃料開発事業団も入って、原子力発電用のウラン濃縮用遠心分離器の開発及び試作研究、これをいまやっておるわけですね。これは御案内のとおり、すぐプルトニウム、できるのですよ。その気になれば核兵器はすぐ開発研究できるのです。すぐできるのですよ。
それで私は、先ほどの結論はどうなったか知りませんが、なぜ川重がこんなにうそをつかなければならないか、政府よりも、むしろ川重のほうが事の重大性を認識しておるからうそを言っているんだと思います。そこで、この取り扱いは
理事会にまかせますけれども、同時にお調べ願いたいことがある。
この日本造船研究協会、この中に原子力船
委員会というものがあります。その下に原子力船第七研究部会というのがあります。そこで船舶用一体型加圧水炉の概念設計に関する試験研究をやっておる。これが一体どういうものか、ひとつ報告を後ほどでいいからやってもらいたい。
以上、要望して、先ほどの点は保留をして質問を終わります。
-
○荒舩
委員長 楢崎君から発言がありました先ほどの件は、
理事会で研究をいたします。
これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。
岡田春夫君。
-
○
岡田(春)
委員 この前の私の質問に関連をして、若干の資料その他をお出しいただく問題について留保いたしてありますので、この点からお伺いをいたしてまいりたいと思います。
まず第一点は、
山中防衛庁長官にお伺いをいたしたいと思いますが、私、この間の質問にあたりまして、速記録をその後拝見をいたしました。速記録によりますと、ここに写してございますが、ベーシック・ドクトリンについて、私は資料としてベーシック・ドクトリンを提出をしていただきたい。これに対して
防衛庁長官は、速記録のとおり読みますが、「だから、全員に配れとかなんとか言われるわけですから、したがって、改ざんも何もいたしませんから、コピーした資料をお出しいたします。それでよろしいじゃないですか。」こういうようにあなたは言われている。それならば、このコピーした資料というものが、今日全員に配付をされておりますかどうですか。
委員長、これをお伺いしたい。
-
○荒舩
委員長 岡田君にお答えします。
要求者に配付されたようでございまして、全員には来ておりません。
-
○
岡田(春)
委員 それはこの速記録をごらんいただいたらわかりますが、私だけではだめです。全員に配付しなさい、こう言ったら、全員に配付しますと言って、いま言ったようにコピーしたものを配付します、このように
防衛庁長官がはっきり答弁をしている。
なぜ配付しないのですか。
防衛庁長官、答えなさい。
-
○
山中国務大臣 私は速記録のとおり申しましたが、その後、
理事会等の御相談で、全員に配るには時間がかかるということで、さしあたり
岡田さんには差し上げなければならぬということで、それは皆さんの御相談の際に間に合ったはずであります。
-
○
岡田(春)
委員 理事会で相談なんかしてませんよ。これは
委員長の問題ではないのですよ。私はわざわざ、全員に配付しますかと念を押したら、
山中防衛庁長官は、全員に配付します、コピーした資料を出せばいいのでしょう、こうまで言っているのじゃないですか。
全部出しなさい、全部。全員に配付するという約束ができますか。あなたはこう言ったのだから、もう一度言いなさい。
-
○
山中国務大臣 そう大した問題じゃありません。あなたに一部出したら、それが何ぼコピーされても同じですから、したがって、時間さえいただければ、予算
委員会の
理事各位なり、あるいはまた、全員とおっしゃるなら全員にお配りしてもけっこうでございます。
-
○
岡田(春)
委員 あれからもう何日たっているのですか。三週間以上もたっているじゃありませんか。
それでは私、続いて申し上げますが、このコピーには改ざんはない、こう長官は断言されたが、間違いありませんか。
-
○
山中国務大臣 ルートは別にして、英文のほうはけっこうであるという御了承を得て、日本文に関する限りは改ざんする必要はないのです、アメリカでも公表されている資料なんですから。私どもの持っておりまするものをそのとおりコピーして、お出しいたしてございます。
-
○
岡田(春)
委員 いま、みずからはしなくも答えている。英文はついてない。私は、英文をつけてないことなんか、了解なんかしませんよ。いつ了解したのですか。しかも、この英文はつけなければならないようになっている。このコピーの前文の4の(1)にこう書いてある。「原文との対比による研究に資するため、この訓練資料の原本「米空軍ベイシック・ドクトリン」(AFM一−一、一九七一年九月二十八日版)を添付する。」と書いてある。なぜ英文をつけない。これを直しているだけではない。日本文だって直しているじゃないか。この中に配付区分があるはずだ。自衛隊の中に対する配付区分というのが二ページにわたって書いてある。その部分は削ってあるじゃないか。コピーして、改ざんはしませんと言って、これは何ですか。明らかに改ざんしているじゃないか。どうするんです。
-
○
山中国務大臣 改ざんはいたしておりません。英文については時間がかかるということで、英文はよろしいということを、だれが……(
岡田委員「私は言わない」と呼ぶ)あなたが言われたのかどうか知りませんが、予算
委員会としてはそういうことであるということでございましたので、日本文を提出したわけであります。
それから、あなたの御要求の中にも、配付先を言えとか、配付先もコピーして出せという話はありませんで、あなたがおっしゃったのは、明らかに米軍のべーシック・ドクトリンというものを配っておるじゃないか、それを原文どおり出せということでありましたから、それに応じたのでありまして、配付先がほしいとおっしゃれば、それを隠す必要はないわけであります。
-
○
岡田(春)
委員 そんな言いのがれみたいなことは、あなた、
防衛庁長官ともあろう者が言いなさんなよ。あなた自身、原文を見せましょうと言って、原文をここまで持ってきたじゃないか。原文を見せましょうと言ったから、私は、それよりも、全員に配付するために、コピーして全員に出しなさいと言ったんじゃないですか。原文それ自体には配付区分がついているじゃないか。はっきりしているじゃないか。なぜ配付区分をつけないのですか。私は何のために配付区分までつけなさいよなどと言う必要がありますか。これを出してくださいと言ったら、それをつけたまま配付するのがあたりまえじゃありませんか。英文だって、ここまで書いてあるのは、英文をつけて出すのはあたりまえじゃないですか。私の了解も得ないで英文をかってにつけないで、そして、それはいいとだれかが言いました。そんなことではあなた、理由にならぬじゃないですか。資料は出すということを、
山中防衛庁長官がはっきり言っているじゃないか。だめですよ、そういうことは。
-
○荒舩
委員長 岡田君に申し上げます。
なるべく早い機会に、可及的すみやかに全員に印刷して……
-
-
○荒舩
委員長 英文でもフランス語でも、あるものはみんな書きますよ。それで出すようにいたさせます。
-
-
○荒舩
委員長 なるべく早い機会に、ということです。
-
○
岡田(春)
委員 なるべくといったって、予算が済んでしまったらだめですよ。
-
○荒舩
委員長 予算はまだ残っています。なるべく早い機会に、可及的すみやかにいたします。
-
-
○荒舩
委員長 委員長におまかせ願いたいと思います。やりますから。
-
○
岡田(春)
委員 それでは、時間がたいへん制限されておりますので、次はクラの問題に入ります。
この間、私、質問いたしました問題の中で、外務省が、秘密資料があって、この秘密資料は、この間私の手元に提出をされました。「クラ地区(南タイ)運河建設計画について」、こういう秘密資料でございます。私がこれを出しましてから、秘密の格づけを若干下げたようでございますが、ともかく秘密資料には間違いございません。
これによりますと、この秘密資料の日付は、昨年の十一月二十一日付です。この一七ページには「今後本計画が具体的進展を見る場合、資金手当等の関係からも、わが国に対し資金協力要請等の具体的アプローチがあることは十分予想される。」「しかも現在の計画通り、五〇−一〇〇万トン級のタンカーの通航が可能となれば、運河の通航料を考慮しても、原油の輸送コストの大幅な節約が期待される等のメリットが考えられるところ、前向きに検討するに値するものと考えられる。」このように書いてある。また「わが国としても、多大の関心をもって、本計画の今後の推移を注視すべきであろう。」と、外務省ははっきりいっている。これは秘密文書の中のそのままを引用したのであります。文書はここにございます。
先日私が質問したのに対して、
田中総理大臣をはじめ大平外務大臣、中曽根通産大臣らは異口同音に、政府としては、これは関係がない、関知はしておらないと言われておりましたけれども、この資料を見ると、明らかに前向きに検討しろということまで書いてある。しかも、大体この資料が出されたということそれ自体に、あなた、検討しているということを裏書きしているんじゃありませんか。私は、この前申し上げた五分冊の六百ページの資料を全部検討いたしました。外務省で書かれている、秘密文書の中に書かれていることは、大体において正確です。あれを見ておらなければこれは書けないはずです。しかも、積極的に関心を示して、「前向きに検討するに値する」とまでいっている。とするならば、
田中総理は、この前、これに対してはわれわれはあまり関知しておらない、政府としては関知をしておらないと答えておられる。そうじゃない。こういうはっきりした事実が出てきておる。
これに対して
田中総理、こういう事実があるのを踏んまえて、ここで政府としては、はっきりした答弁を出しておいていただかなければなりません。政府の見解を、総理大臣は代表してお答えいただきたい。
-
○
田中内閣総理大臣 クラ地峡に関しては、そういう計画があるということは、私も承知をいたしております。おりますが、まだ研究段階であり、どういう方法がいいのかということに対してさだかに結論が出ている問題じゃありません。しかも、核爆発という工法もあるし、それなら安いけれども、しかしそれはまだ学問的にもいろんな問題がある。それから、いまのシンガポールやその他の問題等もあって、国際的な問題もあるので、これらが実現をする段階ということになるには相当な時間がかかるだろう。
それと、ここでもってあなた、お互いに親しい長いあれですけれども、どうも立場が違うとそういうもののお考えになるのかな。これは承知しておられるのだろうけれども、これはひとつ明確にしておきたいと思うのですが、政府がそういう書類を持っておるからこの事案に関係しておるというふうに断定されることは誤りですよ。第一、あたりまえなことなんですよ、それは。政府が、外務省が、国際的にどこに運河計画がある、どこに何があると勉強しておらなかったら、それこそ外務省の責めを果たせないことであって、あたりまえのことなんですよ。防衛庁は、世界じゅうで戦略的にどういうものを研究しておるということを、全部勉強しておるというのは、あたりまえのことなんですよ。それをしなかったら、国益を守れないと思うのですよ。それに参加をすることを決定しておるとか、参加をしたり金を出したり、そういうことになれば、それは政府が関係をするということでございますが、いろいろな情報を集めて、南米ではこういう計画がある、いまスエズは倍にする計画があります、クラ地峡にはそういう計画があるというようなものを外務省が勉強しておらなかったら、あなたに怠慢ということでやられますけれども、勉強したからといって、政府は関係しておるということを一々断定されたら、政府は何もしないほうがいいのかということになるので、そこらはひとつ明確にして——御質問は自由ですが、政府が何か違法な行為をやっているように、そういう雰囲気でもってお話しになることは、はなはだ国益を守るゆえんでないと思いますから、明確にしておきます。
-
○
岡田(春)
委員 あなた、勉強されるのはいいですよ。資料もつくられるのはいいですよ。それじゃなぜここへ、水爆を使うことは、日本の政府としては賛成できないと書いてないのです。そこまでなぜ勉強しないのだ。そのことも何も書いてないじゃないか。あなた、そういうこともやらないで、勉強するのは何でもいいなんて、そんな話がありますか。
-
-
○
岡田(春)
委員 あなた、見てないでしょう。これ読んでないでしょう。
-
-
-
-
○
岡田(春)
委員 読まなかったらわからないですよ。
-
○
田中内閣総理大臣 それはいま言ったでしょう。言ったでしょう、皆さん。だから、工法は、掘さく機を使う場合もあるし、水でもって、自然流下でもって海峡をつくる法等もあるし、いろいろあるのですよ。
-
-
○
田中内閣総理大臣 その中で、その運河の最も経済性を得た特徴は、核爆発によって海峡の爆破を行なえば安くなるということが、いま世銀などでもって議題になっている、一つの研究分野になっておるということを外務省がとらえて、その文書にしているんだけであって、これに対して、政府が金を出します、それに対して賛成です、こう言ったら、それは問題がそこから起こるのであって、追及を受けるわけですが、いま外国からきたものをそのままタイプをしたからといって、これには反対だというただし書きをつけなければあなたのところへも出せないというような、政府はそんな不自由なものじゃないと思うのです。
-
○
岡田(春)
委員 あなた、まだ全部読んでないというお話だから、よくお読みください。そしたらわかりますから……。いまの答弁程度では私は納得いたしません。
そこで、その次に申し上げますが、ここに持ってきましたが、ちょっとお許しください。
-
-
○
岡田(春)
委員 一九七三年四月十八日付、タイ国内務大臣P・チャルサシアラより駐タイアメリカ大使レオナード・アンガーあての公文書です。この公文書の中には、「本調査の諸結果は、運河港湾複合体についての政策立案に用いられることになるから、最終提案に先立って公平な権威者によって吟味されることが望ましい。運河の設計、建設に関して、アメリカ軍技術部隊が、世界の他のどの機関よりも多くの知識と経験を持っていることは周知のとおりであり、昨年ワシントンで公式討議が行なわれたとき、同技術部隊としては、公式要請があれば、その検討を行なう用意があると表明していることを申し添える。」いまのは、私、英文を和文として翻訳をして言いました。これを見ても、アメリカの軍隊がこのクラ運河の水爆をやる、こういうことが事実として明らかになっております。公文書で明らかでございます。
この事実は、外務大臣、お調べになっておわかりだろうと思いますが、いかがですか。
-
○大平国務大臣 そういうことは承知いたしておりません。
-
○
岡田(春)
委員 あれからずいぶんたっているのに、そういうこともお調べになってないのですか。それこそあなた、
田中総理の言うように、調べてないということを私は追及するのですよ。いいですか、そういう事実から見ても、勉強してないことが明らかになった。わかりましたか。私は時間がありませんから、この程度にします。
最後に
委員長に、もうあと三分ありますから言いますが、
委員長に一点だけ伺っておきたいことがある。
それは、私はこの問題について、証人の喚問として六人の人を要求したのでございますけれども、しかし、
委員長をはじめ、
理事会の皆さんの勧告がございましたので、その中で、とりあえず日商岩井の直接当事者である
高橋勇蔵氏ら三名の
理事会に対する出席を求めました。これは了解を与えました。ところが、この要求をした
高橋勇蔵氏がその当日になって参りませんで、しかも私に何らの了解も求めないで、日商岩井の辻
良雄という人が代人として出てまいりました。辻
良雄という人はどういう人か、私はことさらここでは申しませんが、末輩の
高橋勇蔵氏の代理人にこの人が出られる、差しかえて出席をさせるということを認めまして、国会までこの人が来たわけでございます。
私はこういうことは認めるわけにはまいりません。しかし、こういうことを私の了解なしに行なったのは、これは
委員会の事務局がやったのですか。
委員長の指示に基づいてこれはやったのですか。
まだもう一つ。しかもその代人の出席理由について——
委員長、もうちょっとお聞きください。かわりの者、辻
良雄という、まあ社長だろうと思うのですが、この人が出るのについて、なぜ
高橋が出ないのだと聞いたら、病気で寝込んでいるという。これは
委員会の事務局からの話でした。ところが、私が調べたところによると、この人はその当日もたいへん健康で、同会社に出勤もしているそうでございます。
一体これはどういうわけなんでしょう。その後において、
高橋勇蔵氏は間もなくして、この予算
委員会が終わるまで、長期の中東方面出張に行っております。こういうことは、まさに国会軽視もはなはだしいといわなければならない。しかも、
委員会の事務局がこういう事実を認めたのだということならば、私は
委員会の事務局に対して、
委員長の責任をあえて問わなければならない。
こういう点を含めて、
委員長は全体をお考えになっておられるでしょうから、ひとつ、はっきりした御答弁をいただいておきたいと思います。
-
○荒舩
委員長 岡田君の質問でございますが、健康であるかどうだかということを、私はよく念を押して聞いておりませんし、またその後、私は私立探偵じゃございませんから、そんなに一々、どこの会社のだれが何しているかということを調べておりません。調べておりませんが、ひとつ、
理事会でよく研究いたしまして、事務局が悪いとか悪くないとか、そういうことはないと思いますから……。
-
○
岡田(春)
委員 それじゃちょっと一言。
それじゃ
委員長の責任でそれは解決させますね。
-
○荒舩
委員長 そんなことは、一々私は責任をとりませんよ。
-
-
-
○
野間委員 私は、伊藤忠商事の問題について、さらに質問を続けたいと思います。
通産大臣御承知のとおり、一月八日付の流通システム室長からのいわゆる極秘文書、これについて、その真正について確認を求めたわけですけれども、その後、これが真正に作成されたものであるということの確認を求められたのかどうか、この点からお伺いしたいと思います。
-
○中曽根国務大臣 二月二十日の衆議院予算
委員会において
野間議員から、伊藤忠商事が、政府の在庫調査に先立って、在庫の分散、隠匿を指示した文書を社内で配付している旨の質問がありました。これに対して、私から、これは調べてみるということを申し上げました。
通産省は、同日夕方、伊藤忠商事の瀬島副社長を呼び、当該文書の提出を求めるとともに、事情を聴取しました。その結果、国会質問で出された文書は真正なものであることを確認し、そのような文書が社内で配付された以上、現在でも買い占め、売り惜しみの疑いがあるものと判断して、翌日、二月二十一日、伊藤忠商事本社に買い占め等防止法第五条第一項に基づいて立ち入り検査を行ない、瀬島副社長、小谷野流通システム室長等に質問するとともに、二月二十三日土曜日までに、同法に基づいて、同社の業務に関する報告を提出するように指示いたしました。
-
○
野間委員 総理にお伺いするわけですけれども、ちょっといま席をはずされましたけれども、新聞とかマスコミあるいはその他で、伊藤忠商事のいわゆる極秘文書、商品在庫の分散化とかあるいはCIマークの張りかえ等を指示した文書、これはすでに御承知のとおりだと思います。昨年の秋から暮れにかけて、物不足あるいは物価急騰と、ほんとうに国民の暮らしが破壊された、こういう中で堂々と、白昼公然とこういう文書が流されておる。こういう実態が、いまの通産大臣の報告でも、これは真正に作成されたものであるということが明らかになったわけでありますけれども、この点についての会社の責任はもちろんのこと、こういうものを白昼公然と流すようなことを許すという政府の責任も、これまた私は重大だと思うのです。
これらについて、総理はどのようにお考えになっておるのか、御見解を聞かしていただきたいと思います。
-
○
田中内閣総理大臣 これはとにかく、企業の社会性という立場から考えて、ほめられるようなものではない、こういうことは申すまでもありません。
それで、一部の人たちがやったのだということを言っても、やはりその企業を主宰する人々というものの責めは免れるわけにはいかぬだろうという気持ちもします。同時に、社会的だけではなく、たくさんの株主があるわけですから、この株主も、自分が株主であるという会社がこんなことをやっているのかという感じは、これはもうやはりおもしろくないと思うのです。
まあ、商道徳というものがこういう状態になっているのかということに対しては、やはりはなはだ遺憾だと思います。(「政府の責任だ」と呼ぶ者あり)政府の責任——何でも政府の責任と言いすすが、車がころんでも人がぶつかっても政府の責任だ、そこらはやはり限界を持たなければいけませんよ。政府がちゃんと、私企業じゃなく、少なくとも、とにかく法律によって定めた価格に対して、違法なことをしてやったとかいうことであれば別ですが、これは道徳的な問題なんです。
だから、言うなれば、道徳教育をやらなければいかぬということはわかりますよ。ほんとですよ。そういうところに、こういう社会現象が起こっているのです。そういうまじめな問題を政府は痛感しておりますけれども、そうじゃなくて……(
野間委員「簡単にしてください。時間がありませんから」と呼ぶ)簡単と言ったって、あなたが聞いたようなことに対しては、ほんとうのことを言えば、いけませんよ。それは政府はまじめにこういう問題を考えていますよ。ですから、ちゃんと社長も呼び、警告も発し、いろいろなことをやっておりますが、それは、日本じゅうの企業のやったことが、すべて全部政府の責任だということじゃなく、お互いに日本の商道徳というものは、昔もいまも将来もあるんですよ。そういう中において企業が社会的責任を果たすということに対しては、それはすべての国民がそういう見方でもってものを見、私は、今度の問題などに対しては、やはりそういう指摘をされる商社などは、国民の評価をうんと受けると思うんです。そういうことであって、これはただ政府の責任を追及すれば事足れりということで解決すべき問題じゃないと思うのです。
-
○
野間委員 そうじゃないんですよ。昨年の四月三日に、通産省は、例の買い占め、売り惜しみが問題化したときから追跡して、生活関連物資については、少なくともそういう疑惑を持たれないように調査する、こういうことを言いながら、今日まで、要するにパニック状態が起こるまでやらなかった。しかも、その中でも商社独自の調査をなされていなかった。私はこの点の責任追及をしておるのです。政府のそういう態度だからこそ、白昼公然と、こういうような文書を流して、こういう画策をするということが起こるわけです。この点について、政府の責任がないとは私は言わせません。
なお、時間の関係で進みますけれども、しかもこのことが、一月六日付の瀬島さんという副社長の厳重示達を受けて、それを具体化して流されたものである。このことは、一月八日付の文書で明らかに出ておるわけです。一月六日付の文書を私はここに所持しております。当
委員会に出せと言っておりますけれども、いまだ出ておらない状態であります。
そこで、私が申し上げたいのは、その後、いま総理も言われたけれども、二十一日に五条調査をやって、あるいは警告書を発した、こういう事実を私はマスコミを通じて聞いておりますが、しかし、一月六日にこういう文書を出して、二月二十一日に強制調査をされた。その間約四十五日間あるのです。二十一日に強制調査をやられた、その後の調査の経過も聞いております。しかしながら、たとえば調査した個所は二十四カ所である。品目も限られておる。しかも、関連会社も、伊藤忠燃料・住金化工の二社に限られておる。私は、このように四十五日間も時間がある中で——このような文書を出す企業であれば、当然に伝票のごまかしとか、あるいはCIマークの張りかえ、これは大がかりな体制でなければできないことなんです。こういう事実についてたんねんに調べたかどうか。これはまだ調査の報告も出てないのです。
その点、通産大臣、いつ報告を出されるのか、あるいは伝票のごまかしとかあるいはCIマークの張りかえ、こういう大がかりなことについて、これが事実判明するように調べたことがあるのかどうか、この点、返事を願いたいと思います。
-
○中曽根国務大臣 通産省では二月二十五日から三月六日の間に、本省及び地方通産局の価格調査官延べ百二十八人を動員して、支店、倉庫、油槽所等二十四カ所に対して、買占め等防止法第五条に基づく立ち入り検査を実施しました。
その際のチェックポイントは、伊藤忠から提出された資料の信憑性、現状における買い占め、売り惜しみの事実の有無のチェックのための、立ち入り検査日における当該倉庫の在庫量、在庫分散の有無のチェックのため、問題となった文書が配付された日以降二週間、一月七日から十九日までの間の当該倉庫等からの出庫の状況、それからCIマークのつけかえ等の事実をチェックするために、CIマークを削り取った木箱の有無等、実はこれらを調べたわけであります。大体今週中にそのすべての総まとめができますから、できましたらお知らせいたしますが、私が聞いた範囲では、CIマークをはぎ取ったりつけかえしたという事実はなかったと、その直後聞いております。
-
○
野間委員 それじゃ最後に、先ほど総理が、この問題の責任の所在を明らかにするようにと私が求めたら、道徳教育まで持ち出された。そうでなければ切りがつかないような苦しい総理の弁解だと私は思うのです。決してそうじゃないのです。
ところで、このような商社の実態については、総理もすでに御承知のとおりだと思うのです。これについては、私は、政府の金融機関の融資の規制とか、あるいは中小企業の分野に仕事を持ち込んできて、そしてこれらを圧迫する。たとえば養鶏とかあるいはクリーニングとかラーメンなんか、みんなそうだと思うのです。これらについても規制しなければならぬ。あるいは株式保有、あるいは片方では貸し付け金、商社金融といわれております高利貸しのようなことをやりまして、そしてこのような生活を破壊するようなことをやっておる。こういう実態を踏まえたときに、何らかの規制をしなければならぬ。これは当然いまの世論だと思うのです。
この時期にあたって、商社に対して、今後政府はどういう施策をとるのか、具体的にお聞かせ願いたいと思うのです。これは具体的に、国民がみんなが納得するようにお答え願いたい。商社と政府がなれ合いしておる、癒着しておると人は言います。私たちも、その言うことは、これは一理あると思うのです。これについて、き然とした態度をとる、私はこの姿勢を強くここで言明していただきたい、このことを最後に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
-
○
田中内閣総理大臣 商社と政府とのなれ合いは全くありません。明確にいたしておきます。
しかし、商社というものが急激に伸びてきたということに対しては、これがいろいろな事態を起こしておるという認識は強く持っております。それは自由経済というもとでテンポの早い、戦後足かけ三十年間、まあ、あの事態においても、海外から入るもの、原材料、海外に対する輸出、開発、ほとんどすべてを商社にゆだねておったわけであります。これは制度上の問題もあります。ですから、中近東に対する問題など、政府がもっと政府ベースの問題としてやるべきだったという指摘もあるわけですが、石油問題が起こるまでは商社がこの窓口になっておって、自由活動の範囲でもってみなまかなわれておったというような問題から、まだ政府がコントロールしなければならなかったじゃないかというような問題もありますので、商社の過去における功績は功績、また現状を一体どう認識するか、将来どうするかという問題に対しては、やはり国民的課題だと思っております。
ですから、戦後、財閥解体が行なわれ、経済力集中排除法が強行されたわけであります。それで、農地解放とか、その他同じようなものが行なわれたわけでありますが、形の変わった経済力集中が行なわれておる、その一つの形態が商社だということは、学問的にも私はやはり否定できない面があると思います。
そういう意味で、やはり金融とか、それから株式保有、それからまるがかえの子会社、ダミーの問題、金融制度の問題、それから企業としての株式の保有の問題、——アメリカなどでは、一つの会社に対しては何%しか持ってはいかぬ。日本でも銀行その他は一〇%しか持ってはいかぬ。特に放送会社やそういうものの株式、新聞社の株式などは、一〇%をこしてはならないというようなものも自然に行なわれておるわけであります。また、法制上でもあのように明確にしておるものもあります。
そういう意味で、商社法をつくるというふうに、すぐ端的にものを取り上げるには、問題がまた複雑過ぎると思いますが、やはりパーマネントから宿屋からホテルからラーメン屋までというと、これはやはり問題がないとは言えないわけです。ですから、社会的な情勢を待ちながら、やはり実態の究明、実態の把握ということをまずやっていかなければならぬだろうということは考えております。
-
○
野間委員 それじゃ通産大臣、報告書を出していただいたら、あと、私はそれを引き続いて追及するということを申し添えて、終わります。
-
○荒舩
委員長 これにて
野間君の質疑は終了いたしました。
午後一時十五分より再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時四十六分休憩
————◇—————
午後一時十七分
開議
-
-
○楢崎
委員 まず冒頭に、四十六年の石連の独禁法違反事件についてお伺いをしたいと思いますが、その前に、公取
委員長のほうに確かめておきたいのですけれども、現在明らかにいたしておりますとおり、これは審判中である。その被審人と審査官の主張の争点はどこであるか、それを明確にしておきたいと思うのです。
まず、被審人の主張でございますが、以下述べることは、ただいま申し上げたとおり、
昭和四十六年の石油連盟の価格協定事件と通産省の行政指導との関係に焦点を合わせて、確認をしたいと思います。被審人、つまり石連のほうでありますが、被審人の主張は、まず、指導の時期につきまして、
昭和四十六年三月下旬、通産省担当審
議官及び課長から、当時の石連会長でありました出光計助氏に指示の内示があった。次に、
昭和四十六年四月二十二日、石連営業
委員会において通産省担当課長から正式指導があった。次に、指導の要旨は、原油コストアップ分の全額をユーザーに転嫁することは適当でないので、製品換算キロリットル当たり二百三十五円を業界が負担し、同八百六十円をユーザーに転嫁するのはやむを得ない。各社の事情に合わして行動するように。これが通産省指導の要旨である。
総括として、石連側の主張は、いま申し上げた指導に従ってそれから以降の価格を設定しており、石連の決定に基づき値上げしているのではない、これが石連の主張であります。これに対して、審査官のほうの主張は、まず、行政指導は、法律上の強制権限に基づくものではなく、単なる指導にとどまり、具体的な裏づけもない。次に、行政指導以前に、各社は本件決定、つまり二月二十二日石連営業
委員会の値上げ決定に基づいて値上げをしておる。しかも、それから以後も、本件決定を破棄し、値上げ申し入れを撤回した事実はない。
大体、要約しますと、以上の点が争点になっておる。それでよろしゅうございますか。公取
委員長の御見解を承りたい。
-
○
高橋(俊)政府
委員 ただいまの件は、私ども
公正取引委員会としては、発言にたいへん微妙な点がございますので、御容赦願います。
と申しますのは、三十八条によりまして——この審判中の事件はまだ結審に至っておりません。近く審決が出ると思いますが、審決が出るまでの間は、まだ結審ということになりません。それで、その間は、事件について、事実の有無、法令の適用について意見を公表してはならぬ、こういうふうになっております。
しかし、いま私が答え得ることとしては、もちろん
昭和四十六年二月二十二日の価格協定、そして、実施は三月一日からガソリン、四月以降はその他の油種について値上げをする、こういうことでございましたので、六月の終わりになりまして、それに対して勧告をし、それが不応諾になっている、応諾されなかったということでございますから、当然、被審人からは異議があるわけでございまして、詳しくそれを申し述べますことは、私は控えなければなりませんが、要するに、こちらの指摘した事実に対して、それは真実でない。大きく分けますれば、二月二十二日の価格協定の事実はなかったということです。それからもう一つが、いまお話ありました、その後行政指導によって価格がきめられたのであるから、自分たちのそういうやみカルテル事件は、そこで終わったのであるというふうな異議が最初からございましたので、審判を開始した。こういうことだけ申し上げまして、詳しい事情につきましては、実は述べることができませんので、被審人からお承りになることはかまいませんけれども、その点は、この場ではごかんべん願いたい。
-
○楢崎
委員 じゃ、微妙ですから、お答えになれないことをしいてお願いしようとも思いませんが、この点はどうでしょうか。
本件に関する通産省の行政指導なるものは、法律上の強制権限に基づいたものではないという認識を持っておられると思うのですが、その点は、どうでしょうか。
-
○
高橋(俊)政府
委員 これは、一般原則論として、
公正取引委員会としての見解を申し上げます。
そもそも、一般的に行政指導による価格というものは、法律による価格設定とは違いまして、それは本来の意味の価格設定にはならないと考えます。指導でございますから、これは法律によらなければ、私どもは価格設定ということはない。たとえば、これ以上で売ってはならないという上限をきめる場合も、公共料金のごとく、この値よりも上でも下でもいけないという決定の方法もございますが、いずれにしても、これは法律に基づくものでなければならない。
したがいまして、行政指導による価格というものは、それは一応の要請でありまして、これによって価格をきめるのは事業者自身であるというふうに解しますので、行政指導というものは、法律による価格設定とは異なるものである、こう考えます。
-
○楢崎
委員 では、現在いろいろ新聞に報道されておりますとおり、あるいは与党の関係機関で論議されておる、これからの原油価格の値上げに伴う石油製品等の値上げに対する通産省の行政指導なるものがあるとすれば、それはどういうことになりますか。
-
○
高橋(俊)政府
委員 その辺は、私どももいろいろ実は実情をお聞きしておるのです。ですが、何ゆえに標準価格によることができず、行政指導ならばできるということになるのか、その辺、まだわかりません。
しかし、要するに、法律論といたしまして、標準価格というものが、現に設定できることになっておる。そうでなくて、行政指導に従うことは、たとえば、これは行政指導が介入したらやみカルテルは消えてしまうのかという問題になりますから、それと同じに申します。したがって、行政指導によって、勧告以前に価格がかりに改定されたといたしましても、それでやみカルテルが消えてしまうんだということになれば、およそ法律上適用除外をきめなければ独禁法の適用を免れないという原則がはっきりしておりまして、それに対して、行政指導でそういうものは消えてしまうんだということになることは、たいへんな矛盾でございますので、私ども公取
委員会の立場としては、ぜひとも法律によって価格を設定していただきたいという気持ちを持っておりますが、いろいろ政治的な配慮その他もございますので、私どもとしては、意見は意見として申し上げるという立場でございまして、どういうふうになるかについては、政府のほうできめられることでございますが、しかし、場合によっては、私どもは、あくまでそれに対してはたいへん迷惑である、困る、法律上も、私どもの立場としては困る問題を提起する、こういう見解を捨てるわけにはまいりません。
-
○楢崎
委員 たいへん微妙なところであります。
重ねていまの点、もう一点だけお伺いをいたしておきます。そうすると、やがて行なわれると予想される石油製品の値上げについて、いま公取
委員長の見解としては、たとえば法律に基づいた指導、すなわち、生活関連二法と申しておりますけれども、石油関係法も含めて、この法律にある標準価格ならばいいけれども、それに基づかない、いわゆる行政指導による価格の値上げの誘導というものは、独禁法上たいへん問題がある、そのように理解してよろしゅうございますか。
-
○
高橋(俊)政府
委員 全くそのとおりでございます。
-
○楢崎
委員 たいへん明快であります。
いま、通産省の価格に対する行政指導なり、これが問題になっておるこの段階において、予想される石油値上げについての通産省の指導なるものは、いわゆる試金石になろう、このように思うわけです。
そこで、
密田会長にお伺いをいたします。何回も御苦労さまでした。
会長は、二十八日の日に中曽根通産大臣とお会いになったという報道を目にしました。お会いになる前に、会長は、自分がなさいました二十六日の集中審議における本件関係の答弁を、議事録で確かめられましたか。
-
-
○楢崎
委員 議事録は、その段階では出ておりませんが、何によって詳細に読まれましたか。
-
○
密田参考人 いま錯覚いたしました。そのときにはまだ読んでおりませんでした。
-
○楢崎
委員 田中総理も答弁の中でおっしゃったのですけれども、参考人の皆さん方は国会におなれになれないから、また、あるいは私どもの質問のしかたがきつい面もあるかもしれませんが、こういう雰囲気の中では、なかなかうまく答弁ができない、あるいは若干意に合わない答弁をなさるということも間々あると思います。だから、そういう雰囲気だから、自分が何を言ったかということを、まず議事録で明確に確かめられる必要があったのではないでしょうか。どうでしょうか。
-
○
密田参考人 そのとおりでございますが、ただ、二十六日に私が申し上げました行政指導に関する真意と、それからその翌日新聞にいろいろの記事が出ました、それを読みまして感じましたことが、これはたいへん、どう申しますか、私が秩序よく、あるいはもっと正確に申し上げておればこんなこともなかったのではないか。それで、たいへんこれは問題が問題でありますだけに、通産省に対しまして御迷惑をかけたのでは、というふうに判断いたしました。それで担当のエネルギー庁にいろいろお話に参りました結果、ああいう措置をとったわけでございます。
-
○楢崎
委員 私が分科会において中曽根通産大臣に確かめましたときも、二十八日の段階で、中曽根通産大臣も議事録を読んでいない。じゃ何によって
密田さんを呼びつけられたんですかと聞いたら、新聞報道をサマライズして、それによって、けしからぬということで呼んだ、まあこういうことのようであります。
つまり、全くおかしな話でございまして、一体、国会で何を言ったかということが、それが確かめられもせずに、双方とも遺憾であったの、けしからぬのというやりとりをやられて、そして、おまけに
密田会長、文書まで中曽根大臣に出されておるんですね。全く、これは私どもとしては不可解千万であります。(「そういうことがなれ合いなんだよ」と呼ぶ者あり)だから、私はそういうところを見て、全く、いまも不規則発言がありましたけれども、通産省と石油業界の癒着の中におけるサル芝居だと、残念ながら思わざるを得ないのです。
重ねてお伺いをいたしますが、審判開始決定は四十六年七月二十八日であります。石連のほうから、公取
委員会に対して、八月三十一日に提出されました石連の公取に対する答弁書と、二十六日の会長の御答弁はどこが違っておるのですか、どこが違っておりましたか。
-
○
密田参考人 二十六日の答弁の中で、私は、議事録を読みますと、行政指導、こういうことばを何回か繰り返しております。(楢崎
委員「議事録を読まれてないのでしょう。読んでいないとおっしゃった」と呼ぶ)それはその後でございます。議事録を読みまして以後です。行政指導という字が、ことばを何回か繰り返しておりますが、その行政指導というその日時なり内容なりを、もう少し正確に二十六日に申し上げるべきであった。これが、やはりいろいろ混乱を起こした一番大きな原因であったように考えるわけでございます。それで、同日、石田
委員の同じような御質問がございましたが、そのときには、行政指導は四月二十二日の行政指導であります、こういうことを明確に申しておりますけれども、楢崎先生の場合には、そこまで明確に申さなかったのが、最
大原因でなかったか、こう考えるわけでございます。
-
○楢崎
委員 二十八日の段階では、議事録はまだお読みになっていないのですから、公取に、審判開始にあたって出されました石連の答弁書と国会の会長の答弁、どこが違うかはおわかりにならなかったはずでしょう。そうではないのですか、議事録を読んでおられないのですから。あとでは読まれたでしょう、いまできておりますから。その段階では読まれていない。そうすると、正式に出された答弁書と国会の答弁が食い違っておるかどうかわからずに、中曽根通産大臣にあやまられたのですか。
-
○
密田参考人 二十七日の新聞の記事を読みますと、いかにも二月二十二日のことをさしたかのごとくに私は受け取ったものでございますから、したがいまして、その食い違いが、これは歴然と出たなという感じを受けたわけでございます。
したがいまして、通産大臣に出しました文書に明記いたしましたように、真意を十分伝えることができなかったので、たいへん御迷惑をかけました、その点を陳謝いたします、そういう旨を出したわけでございます。
-
○楢崎
委員 中曽根通産大臣は、どの部分の取り消しを要求されたのですか。
-
○
密田参考人 四十六年の二月二十二日の会合は、行政指導とは無関係であるということを明確にすべきだ、こういうふうに言われました。
-
○楢崎
委員 会長の私に対する答弁は、全然答弁書と違うことはおっしゃっていないのです。答弁書のままをおっしゃっているのです。日にちのことも、別に言われていませんね、これでは。だから、ちっともあなたはあやまられる必要はなかったのです。いいですか、あやまられる必要はなかったのです。
特に会長、あのとき私から二度か三度、重大な問題ですから、念を押した質問をしましたときに、最終的に、会長はメモを持ってここでお読みになりました。そのメモは、公取委に出された答弁書の中の一節であろう、このように思います。そのくだりは重大ですから読んでおきます。「この際の被審判人の主張に関する判断といたして、被審判人、つまり連盟の主張をこういうふうに申しております。」以下が読まれたところです。「「仮りに本件決定が行なわれたとしても、その後、通商産業省から被審判人及び会員元売業者に対し原油値上りのうち、一バーレル当り十セント相当分(製品換算一キロリットル当り二百三十五円)は、石油業界が吸収することとし、石油製品の販売価格の引上げは全油種平均一キロリットル当り八百六十円を限度とするよう行政指導が行なわれ、会員元売業者もそれぞれこれに従って石油製品の販売価格を引上げているのであるから、本件決定に基づく違法状態は、本件審判開始決定以前において既に消滅したものである。」したがって価格協定もしておりません、こういう主張でございます。」全く正確に会長としてはお答えになっている。何をあやまる必要があるのですか。中曽根大臣は、何をあやまれと言ったのですか。新聞の書き方に行政指導ということが大きく出たから、通産省はびっくりぎょうてんしたのかもしれません。しかし、行政指導ということばは、答弁書の中にもそこが争点になっておるのですね。当然ではありませんか、新聞がそこを強調するのは、二月二十二日のやみカルテル協議に通産省が介入したということは、会長は一言もおっしゃっていないのです。
だから、まぼろしにおびえたというか、むしろそういうふうに通産省があわてたということは、うしろ暗いところがあるからではないでしょうか。また、いかにも不安げに行かれた会長も会長であると思うのですね。その辺について、何であやまられたのか、どうも私どもには納得できない。もう一度御見解を承っておきたいと思います。
-
○
密田参考人 繰り返すようでありますけれども、あの新聞記事を読みまして、二月二十二日の会合に行政指導があったかのごとき印象を、一般的に新聞から国民は受けたのではないか——そういう意味で私は二十六日に申し上げたのではなかったのです。したがって、真意が伝わらぬ、このように考えました。したがいまして、かりに、それが原因で、たいへん混乱が起こり、かつまた、通産省に迷惑がかかるようでは、これはたいへんなことだ、こう考えましたので、いろいろお話しに参り、また、たいへん強い意向を役所がお持ちのようでございましたので、ああいう方法をとったわけでございます。
-
○楢崎
委員 大体雰囲気はわかってきたようです。
通産省が圧力をかけて、わざわざ謝罪文まで出させた。まさにそうではありませんか。別に事実と違ったことを言っていないのに、何のために謝罪文まで出させられたのですか。会長は、それに対して、心中快からぬものがあったろうと思いますよ、拝察するところ。謝罪文までどうして出させたか。どうしてあなたは抵抗なさいませんでしたか。これは謝罪文でしょう。深く陳謝いたします——なぜ、この謝罪文提出要求に対して抵抗なさいませんでしたか。
-
○
密田参考人 真実私は、たいへん御迷惑をかけた、こう思いましたので、その書類を出したわけであります。(「何も迷惑をかけていないじゃないか」と呼ぶ者あり)
-
○楢崎
委員 先ほどの答弁とちょっとニュアンスが違ったようですね。通産省が強い意向を持っておったから陳謝文を出したと、さっきはお答えのようでございました。もう雰囲気はわかっておりますから、これ以上は、その点は追及をいたしません。
そうすると、国会の答弁を、別にあなたは取り消されてはいないわけですね、部分的にも全然。どうでしょうか。
-
○
密田参考人 先ほど申しましたように、私は、あの答弁をいたしましたときには、別に偽りの答弁その他をする気持ちは毛頭ございませんでした。ただ、たいへん不備な、不正確な、こういう答弁であったということは、ただいま考えておりまして、その意味におきまして、たいへん皆さんに混乱なり御迷惑をかけたことを陳謝いたします。
-
○楢崎
委員 だれにも迷惑をかけていないのです。だれも受けていないのです。通産省がびっくりぎょうてんして、あわてているだけの話です。みずからうしろ暗いところがあるからです。
それで、もう一つお伺いしますが、国会における答弁、特に御案内のとおり、参考人か証人かでもめて、やっと参考人に落ちついて集中審議が行なわれました。だから、私どもとしては、証人の証言に匹敵する重みを皆さん方の答弁に期待したわけです。だから、国会における答弁というのは、私は重要である、このように思っておりますし、会長もまた、そう思われて答弁なさっていらっしゃると思います。
そこで、院の外における二十八日のあのような行動をとられるのだったら、まず国会に、もう一ぺんみずから予算
委員長に要請されて、お出向きになって、この場で取り消しなり、あるいは不十分な点があれば補足する、そのようになさるのが、理の当然ではないでしょうか。
-
○
密田参考人 仰せのとおりでございます。そういうことをやりませんでしたのは、たいへん私の至らないところでございます。
ただ、この経過なり、あるいは、通産省にとりました措置につきましては、できるだけ早く
委員長にも御連絡せなくちゃならぬ、こういうふうに考えましたが、いろいろ手を尽くしましたけれども、お目にかかる時間がございませんでした。したがいまして、たいへん失礼だとは考えましたけれども、夜おそくなって、ようやく電話でお話をする機会がございましたので……(楢崎
委員「いつのですか」と呼ぶ)二十八日の夜でございます。その経過あるいは陳謝、それだけは、電話でお伝えした次第でございます。
-
○楢崎
委員 次に申し上げようと思ったことを、いま言われたわけです。
まさに本末転倒であります。(「それはそうだ」と呼ぶ者あり)わが予算
委員長は、政府・与党出身の
委員長でございますけれども、国会全体の権威からすれば、この予算
委員会を代表する権威者であります。通産大臣にいろいろあの種のお断わりを言われるというようなことの前に、予算
委員長に対して、何はともあれお会いになって、実情をお話しになるのが当然ではないでしょうか。そのあとに、必要があれば、通産大臣とお会いになるのもいいでしょう。通産大臣に先に会われたということ。連絡がとれなかったら、通産大臣と会うことを、あとにすればいいのです。
そういう点が、国会を軽視されておるのではないだろうか。国会における発言というものを、どのようにお考えになっておるのであろうか、このように私どもは思わざるを得ないのです。その点はどうでしょうか。
-
○
密田参考人 いま先生のおっしゃるとおりでございます。
-
○楢崎
委員 それで、補充になりたい点は、二月二十二日の
会議には通産省は関係ないということだけですね。
-
○
密田参考人 それともう一つは、議事録では、私の発言といたしまして、「これは行政指導による価格である、」それから、そのあとで、もう一度繰り返しまして「業界の価格協定ではなくて行政指導による価格決定である、」こういうふうに繰り返して申しております。
もっと正確に申し上げますと、これは、行政指導によって各社がそれぞれきめた価格である、正確にはそう申すべきであったと思います。
-
○楢崎
委員 しからば、三月の末に通産省の担当審
議官及び課長から、出光計助前石連会長に、まず指示の内示があった。その内容は、先ほど申し上げたとおりのその金額だ、それは間違いありませんね。
-
○
密田参考人 二十六日にはその事実は存じませんでしたが、あとで聞くところによりますと、いまのお話のような事実があったと思います。
これは、私はその当事者でないものですから、それが公式のものであるかどうか、あるいは、内示はどういうようなニュアンスで行なわれましたか、これはよく承知いたしませんけれども、いずれにしても、三月の末に内示があったことは事実のようでございます。
-
○楢崎
委員 二十六日の質問の際に、石油
部長は、横の連絡はしない、縦にやっておるという意味のお答えをなさったのでありますけれども、それは事実に反するわけですね。この三月末に、出光さんは石連の会長であります。つまり石連に連絡したのであって、個々のメーカーに連絡したんじゃない、業者に連絡したんじゃないのです、通産省は。事実もまたそれを裏づけております。石連会長に連絡をし、出光石連会長は、直ちにその内示の内容を電話で各業者に知らせております。そうしてまた、事実関係から見ても、特にガソリンのごときは、三月から値上げになっておりますね。そうして、四月から実際に値上げになっておる。つまり、この公取の勧告は、単に二月二十二日の協議だけを問題にしておるのではありません。「事実」というところに、二月二十二日の協議のことからまず述べられて、そうして、実際に「それぞれ石油製品の値上げ額を定め、これを取引の相手方に通知し、所定の期日から、おおむね石油製品の販売価格を引き上げている。」これが全部の事実関係です。これを指摘しておる。また、われわれが調べたところによると、まさに、実際の値上げもそのとおりになっている。したがって、二月二十二日決定に基づく値上げの一連の実行行為に、三月末から——たとえ二月二十二日に通産省は関係ないとしても、三月末から四月にかけて、やみカルテルによる値上げの実行行為に、通産省が行政指導という名のもとに加担したことは明白な事実であります。どんなに分析しても、それは間違いありません。しかも、公取が勧告をいたしております一連の事実が、またそのことを裏づけておる。
全体的に考えるならば、つまり値上げという実行行為を中心にして考えるならば、通産省の行政指導がその途中で加わったことは明白であると思いますが、その点、間違いありませんか。
-
○
密田参考人 先ほど申し上げましたように、三月末の内示の内容、あるいは性質、どうも私、正確にお話しすることはできないのでありますが、その当時はまだ、従前に比べますと、たいへん異常なメジャーの値上げでございましたので、もっと値上げ額を、交渉の結果下げることができないのかどうか、こういったようなことで、連盟で数人の交渉
委員会をつくりまして、メジャーといろいろ話ししていたことは、これは記憶がございます。したがいまして、そういう不確定な要素がありましたので、まだ四月の二十二日のような正式の行政指導の線までにはいかなかったのではないかと思います。
それともう一つは、先生の御指摘になりました、もうすでに各社が値段を、価格をきめて実行しておるではないか、これとその内示との関係でございますけれども、私は最初から、連盟といたしまして、二月の二十二日は協定行為ではない、これは情報交換をやったにすぎないのだ、こういうことで争っておりますので、そういう主張をいたしておりますので、そういう実行段階に入ったかどうかということについても、いま審判中の問題だ、こう考えております。
-
○楢崎
委員 そうしますと、いよいよ事態は明白になりました。
つまり、やみカルテルのいわゆる値上げのその指導は、完全に通産省の行政指導で行なわれた、これが独禁法違反に問われておるのはけしからぬ、行政指導を受けておるんだから。そういうことに、いまの御答弁でいきますと、大体の結論としてなりますね、いよいよ。
そこで、ちょっと時間がありませんからまとめてお伺いしておきます。
通産省のこの場合の行政指導は、どのような法的な裏づけによってなされましたか。
-
○山形政府
委員 お答え申し上げます。
当時の情勢は、御承知のとおり非常に値上げが予想されておりましたので、当時の宮澤通産大臣からこれを指導したわけでございまして、石油業法に基づくものであるというほうが、私は確かだと思いますが、並行して設置法の権限も当然にこれに関係するものであると思います。
-
○楢崎
委員 指摘だけいたしておきます、以下の議論は、総括質問でまた同僚の議員がなさると思いますので。
石油業法は関係ないのです。石油業法の何条ですか。三条の四項ですか、あるいは十条の二項ですか。そういう手続をあなた方はしてないはずです。でたらめ言ってはいけませんよ。
それからもう一つ指摘をしておきます。
田中通産大臣になったのは、四十六年七月五日である。だから、
田中通産大臣が関係ないとは言われない。破棄勧告を受けたのは七月六日である、審判開始決定は七月二十八日、石連が答弁書を提出したのは八月三十一日、第一回の審判が行なわれたのは九月の九日、
田中通産大臣の時代であります。宮澤通産大臣から当然事務引き継ぎを受けておるわけであります。もしそれに
田中通産大臣が異議があるならば、変わっておるはずである。異議がないところを見れば、宮澤通産大臣とその責任は同列である。
この点については総括質問に譲りたいと思いますが、なお、この通産省の行政指導について非常に具体的な事例がありますので、同僚の
大出議員と交代をいたします。
-
○荒舩
委員長 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。
大出俊君。
-
○
大出委員 私、いまここに四つ五つ資料を持っているわけでありますが、たいへん時間が短いわけでございますから、事実確認から入りたいのでありますが、まず一つは、家庭用プロパンガスをめぐりまして、十二月の中曽根通産大臣談話、これは十二月十三日でありますが、この談話で十二月の十七日以降、千三百円でプロパンガスの、これは十キロボンベでありますが、末端価格を凍結をする、こういう、まあ言うならば、これは凍結のための通産大臣の談話が出た。ところが、その一日前の十六日にプロパンガスの値上げを、卸売りをやっております関係会社がいたしております。それが一つでございます。
もう一つは、末端価格千三百円をきめるにあたりまして、通産省が通達を流しました。各県にやらしたわけでありますが、神奈川県における神奈川県プロパンガス協会、神奈川県プロパンガス商工組合、この二つの
会議を開かせまして、県の商工部の担当の係長が出席をして、千三百円高値張りつけの一律の料金表を提示をいたしまして、民間の業者の
会議できめさせております。これはたいへん問題がございます。したがって、これは秘密議事録でありますが、マル秘とここに判が押してございますけれども、この秘密議事録によりますと、一番最後に「尚この表は独禁法の関係上外部に洩らさぬようにし、」こういうふうに、わざわざ県の役人から念を押している、そこまで実はここに注意書きが書いてあります。
この両方の関係について、通産省、
資源エネルギー庁を含めまして、明らかにいたしたいのであります。
第一の点は、日商岩井の辻社長さんに承りたいのでありますが、おたくに日商岩井瓦斯株式会社という会社がございますでしょうね。
-
○辻参考人 ございます。
-
○
大出委員 この日商岩井瓦斯株式会社はプロパンガスを扱っておられます。
そこで、私、いまここに持っております資料によりますと、十二月一日から十五日まで店頭渡し四十八円、基地渡し(引取り)四十五円、配送センター四十六円、これは一キロ当たり単価でございます。それから十二月十六日から十二月末日まで、店頭渡し五十八円、基地渡し(引き取り)五十五円、配送センター五十六円、上記の価格にてお願い申し上げます。日商岩井瓦斯株式会社、所長阿久津芳彦、阿久津さんの判こがここに押してあります。何々プロパンガス協同組合殿、
昭和四十八年十二月渡しLPG価格、こういうことでございます。つまり、十二月十六日から一キロ当たりの単価を十円引き上げたわけでございます。家庭用のガスは通常十キロボンベでございますから、百円ここで上げたわけでございます。
もう一点、
資源エネルギー庁の石油
部長さんに承りましたら、エネルギー庁が出しております
昭和四十九年一月十四日の新しい安定法が通りましてからの通達、先ほど例にあげました中曽根通産大臣の昨年十二月十三日の談話、まず、この相関関係は、法律が通っていないから、談話、これを出して押えた、凍結をした、末端千三百円、それをこの通達で、法律が通ったから追認をした、こういう相関関係にあります。
そこで、この通達では末端の業者、つまり小売り業者に対しては配達料を認めていないのであります。配達料、これは認めない。千三百円には配達料が含まれている。また、商慣行としてメーター貸し付け料、ボンベ貸し付け料を徴収している場合があるが、千三百円には、容器、メーターにかかわる費用がすでに織り込まれている。したがって、千三百円に加えて、メーター貸し付け料、ボンベ貸し付け料を徴収することのないよう指導されたい、こうなっている。これを例にあげて、これは小売り業者はいまたいへんなひどい目にあっているわけでございます。にっちもさっちもいかない。消費者はもちろんのことでございます。そこで、まん中の卸に、個々の配達料を別に取るという筋合いのものではないはずだと思うがと聞きましたら、もちろん卸価格にも配達料は含まれております、こういうお答えでございました。
ところが、日商岩井瓦斯株式会社の四十九年一月十日「配送センター料金改定のお願」つまり配送費、輸送費、運搬費であります。この値上げのお願い、これを見ますと、四十九年一月一日よりの配送料一キログラム当たり十三円といたしますと書いてある。四十八年十二月末までは一キログラム当たり八円である、こう書いてあります。時間がありませんから、この文章は読み上げません。そうすると、取ってはならないはずの配送料を取っているのみならず、一月一日からこれをまた五円上げた。十キロで五十円であります。
この文書について、まずもって御確認をいただきたいのでありますが、
委員長、これをちょっとお見せしておきたいのですが、よろしゅうございますか。
-
-
○
大出委員 おまけに、この用紙は、日商岩井さん自体の用紙でございます。この価格を書いてありますのは、
日商岩井株式会社という用紙を使っておいでになります。お認めいただけますか。
-
○辻参考人 私どもの子会社の日商岩井瓦斯株式会社の用紙に間違いないと思います。
-
○
大出委員 私、けさほど電話をおたくの本社に入れまして、日商岩井瓦斯株式会社でありますが、十一月の価格はどうなっておりましたか、と言って聞いてみました。責任者の方がお出になりまして、大体、店頭渡しで三十八円前後でございましたと言っております。そうしますと、ここでもう一つ、この前よりもう一ぺん値上げした実績があったわけであります。十一月は店頭渡し三十八円前後であった。いま差し上げましたおたくの書類の写しによりますと、十二月一日に、あるいは十一月中に上げたのかもしれませんが、十円上げている。さらに十二月の十六日にまた十円上げている。しかもこの十六日は、あたかも中曽根通産大臣が談話を出して、十七日から千三百円に末端価格を凍結するというその前の日であります。これをお認めになるならば、これは明らかに、これを称してかけ込み値上げというのじゃないですか。あるいは、十三日に凍結の談話が出る、十七日から凍結だ。ちょっとぐあいが悪いというので、先取りでお上げになったのじゃないですか。この文書をいろいろ見ますと、この中に石油の値上げ等が理由になっております。実はプロパンガスは、輸入価格はトン当たり二十五ドル、エネルギー庁に聞きましたら二十ドル、二十二ドル、二十三ドル、FOB価格だと、こう言う。私が調べたら二十五ドル。二十五ドルならば、トンですから、十キロボンベFOBで計算いたしますと、何とわずかに七十五円。七十五円のものを千三百円という高値安定できめるという通産省も通産省だけれども、これが一月から、かりにガルフあたりが言っておりましたように七十ドルに上がったとしたって、これはFOBでいって二百十円という原価です。これはいずれにしても千三百円にするということ自体おかしい。
もう一点、この談話を踏襲したといわれるこの通達の中で、新法に基づいて、生活安定法に基づきまして、法的義務の発生というところに、法三条と四条を使っております。そして、標準価格が、小売り業者の末端販売価格として千三百円ときめられた場合に、それで売れるように、小売り業者のみならず、卸売り業者も、さらにさかのぼっては生産者、輸入元、元売り業者、ここも千三百円の標準価格に照らして妥当な価格で販売を行なうよう法に基づいて要請されている、こう念を押しています。だとすると、何で一体、十七日に千三百円ときめることがわかっているのに、前の日の十六日にお上げになったのですか。消費者の立場からいってもけしからぬ。末端は千三百円で小売り業者は押えられるのですから、メーターの貸し賃も取れなくなる、容器の貸し賃も取れなくなる。たいへんなことになっている。まん中の卸売り業者だけどうしてそう値上げをされたのですか。理由を承りたい。
-
○辻参考人 御指摘の事実があるとすれば、全くこれはわれわれの監督不行き届きで、申しわけのない点でございます。
-
○
大出委員 私もどうも、各社の社長さん相手にあまりやりとりしたことがありませんから、気をつけて話そうとは思っているのですが、どうもいまのように言われると、それだけで事済む筋合いかと、一言言いたくなるわけでありますが、時間がありません。
どうかひとつ、それはお認めになったのですから、しかも、そのとおりであれば、たいへん相済まぬというお話でありますから、深追いを避けますけれども、あと、一体どういう責任をおとりくださるかという点は、お調べの上、明らかにしていただきたいのであります。でございませんと、頭の千三百円は押えられる、まん中の卸は上げられる、メーター料金がとれなくなる、容器料も取れなくなる。容器料というものは、二カ月目から百円取っているのですよ、十キロボンベで。それに配達料金もだめになった。これでは末端の店舗が死んでしまいます。千三百も神奈川にあります。だから通産大臣に抗議文まで出ています。平気で、メーカーから元売りからまん中の卸までみんな上げてしまったのじゃどうにもなりゃせぬ。だから、末端の小売り屋さんがつい足を出す、消費者がひどい目にあう、こういうことになるのであります。責任を明らかにしていただきたいのであります。
〔
委員長退席、井原
委員長代理着席〕
次に、この値上げは、実はもう一つ、神奈川県のプロパンガス商工組合の機関紙が流している文章であります。この中に、ただ単に皆さんが上げただけじゃないと、はっきり書いてある。エネ庁は、つまり通産省の
資源エネルギー庁であります。エネ庁は、十キロ五百五十円ないし五百九十円の間で売りなさいと皆さんのほうに申し入れをしている。卸業者の団体に申し入れをしている。エネルギー庁がそういう申し入れをしたとすれば、重大な問題です。なぜならば、先ほど提示をいたしておりますこの資料に、十二月十五日までは店頭渡し一キロ四十八円、十キロボンベで四百八十円、これを五百五十円から五百九十円にしろと申し入れた、申し入れに従って十二月十六日に上げたのだということになりますと、これはまさに
資源エネルギー庁が一枚かんで、卸の方々の値上げを認めてあげた、こういうことになる。そうして片や、末端の小売り業者に対しては——私は
資源エネルギー庁の石油
部長さんに直接ひざ詰めで聞いてみた。法律もできたことでございますから、各県に、これは実は産気率ということばを使うのですが、産気率とは十キロ千三百円でございますが、四十八年に法律ができておりまして、メーターで売らなければいかぬように義務づけている。だからメーターの貸し賃を取っているのですが、通産省は通達も出している。それを百八十度変わって、取ってはいかぬ、こういうのですが、産気率というものは、目方、これを立方に直す、温度によって体積が変わります。したがいまして、十キロ千三百円、十キロのときに八度なら八度という標準気温で何立方あるかという計算をして、これを逆算をして一立方当たりの金額を出す、これが産気率の計算であります。そして、千三百円割る四・四、これは産気率ろ号であります。これは四・四立米であります。だから一立米が二百九十五円四十五銭、こういう数字になるのであります。それからい号で言いますと、い号というのは一般で、ろ号というのは沖繩でありますが、い号でいきますと、千三百円割る四・七立米、一立米二百七十六円五十九銭が出てきております。これで一立米からずうっと料金表をつくってきめちゃっている、マル秘で。だからマル秘と書いてある。千三百円高値張りつけであります。これを商工部にやらしたという。きめさした、こうおっしゃる。だから、しかたがないから、県の商工部は担当の係長を業界の会合に派遣して、県から提示をさした。
ここに問題が三つあります。一つは、今度の生活安定法という法律は、私は
公正取引委員会の
吉田事務局長に承ってみた。行政官庁は、私的独占禁止法のワク外だけれども、だが、もし一律に千三百円で張りつけるとすれば、今度の法律の標準価格は、そこから上へいってはいけませんという法律であって、下にならなければいかぬ、高値安定、張りつけというのは、いまの法律に抵触をする、これが一つ。また、県であっても国であっても、官庁が一律に張りつけの料金をきめるなどということをすべきものでは本来ない。三番目、私的な商売人の方々の会合に出してきめさせた。きめたその行為は、価格協定である。だからこそ、この秘密議事録の一番最後に「尚この表は独禁法の関係上外部に洩らさぬようにし、只末端取締担当者の虎の巻に利用するものである旨小島副班長より通告のあったものである。」小島副班長とは、県民生活安定本部エネルギー班小島副班長、県商工部の担当係長であります。出席をいたしております。そして「本件については事務局作成のマル秘料金表を提出すること。」こうなっている。だから、この料金表には全部マル秘の判が押してある。これではまるっきり、末端のほうに対しては、エネルギー庁が県を指導して、やみ協定をさせている。高値張りつけ、高値安定、これでは標準価格の意味がない。確かに独禁法に抵触をさせている。
これはたいへんな問題で、こうなると、これは業界も
資源エネルギー庁も、どっちがどうだかさっぱりわかりゃせぬ。一律高値安定、上限をとった料金をつくってやっている。つくらしてやっている。これでは、まさに話にならぬ筋合いでありまして、この辺、ひとつ
資源エネルギー庁から一括答弁を聞いておきましょう。
-
○熊谷政府
委員 お答え申し上げます。
第一点の、十キロボンベ千三百円ということで標準価格をきめておりまして、これに対しまして、メーター制の場合に、この十キロボンベの千三百円をどのように適用するかという問題につきましては、ただいま先生が御指摘の産気率の計算方法を参考にして、権限を委任いたしました各府県でこれを定めるように、通達を出しているわけでございます。
この産気率は、先生御指摘のように、温度それから組成によりまして変わりますので、私どもとしましては、理論産気率——これは東京工業試験所において検査いたしまして、実験をいたしました理論産気率をもとにいたしまして、これを参考に、府県できめていただくというふうにお願いしているわけでございます。この価格につきましては、温度それから組成等によりましてアップするという点もございまして、私も、この点につきましては、各府県と現在この産気率の適用の問題につきまして、調査、打ち合わせを続けておるところでございます。
それから第二の問題の、卸価格につきまして、五百五十円、五百九十円という問題につきましての会合に出た云々の点につきましては、私は事実については承知をいたしておりませんが、それぞれ各府県におきまして、私どもが通牒において、卸売り価格につきましては、末端小売りへの影響等もございますので、五百五十ないし五百九十の価格で行なわれるように指導するようにいたしておりますので、この会合はそういった指導をそこで行なったものであろうか、かように考えております。以上でございます。
-
○
大出委員 それじゃ、これはまるっきり、五百五十から五百九十にしろというならば——これは卸価格でございます。先ほど私が述べましたように、通産省が指導をして、いいですか、店頭渡し四十八円、基地渡し四十五円、配送センター四十六円、キロ当たり単価、これはあなたのほうが五十五円、ここからこの五十九円、つまり十キロでいえば五百五十円から五百九十円、こういう指導をしたというならば、これは会社のほうが、ああ、それは通産省がおっしゃるのだから、いま私のほうは四十五円、四十六円、四十八円で売っていますけれども、五十五円、五十六円、五十八円に値上げします。だから正当な理由になってしまう。それじゃあなた方が指導して上げさせたんじゃないですか、卸価格を。一体何をやっているんですか、あなた方は。そして末端価格の千三百のほうは、まさにこれは独禁法違反じゃないですか。だから、心配して、県段階ではカッコの中に入れて、「尚この表は独禁法の関係上外部に洩らさぬように」なんてわざわざ書いている。一体これは何だ。いまあなたは、県の商工部を指導してやらしたと言ったじゃないですか。卸業界のほうには、わざわざ、四百円段階で売っているやつを、五百五十円から五百九十円にしろと指導したと言う、会合に出たかどうかは別として、と言う。そうして、末端のほうには、一律に千三百円と料金表をつくらして上限に張りつけて出さしている。あぶない綱渡りを県の役人になぜさすのですか。そして一方では、去年わざわざメーター制料金でなければ売ってはいけませんよと言っておる。神奈川は六〇%メーター制ですよ。だからこそ、貸しメーターのメーター料金を取っていい、容器についても二カ月目から百円取っていいとあなた方は指導した。この通達で、それは千三百円に含まれていますから認めない、末端の配達料は認めない。認めないはずですよ、卸は上げることを認めているんだから、あなたのほうは。
これはもう話にも何もならぬ。みんなあなた方認めてしまったんじゃ、話にならぬじゃないですか。認めてしまったんじゃ、あなた方は癒着も癒着、一体どっちが業界なんですか。だから、石油部精製流通課なんというのは、昨年、あなた、業界と一緒になって、みんな課ぐるみの汚職じゃないですか。内閣
委員会で、私は、中曽根さんが苦心惨たんして言うから、エネルギー問題は重要だと思って、大機構改革、
資源エネルギー庁設置を認めたんだ。とたんに石油業界との癒着で、課ぐるみ汚職じゃないですか。いままた、一体何ですか。話にも何もならぬ。あなた方お認めになったのだ、言うことはない。
-
○井原
委員長代理 これにて
大出君の質議は終了いたしました。
小林進君。
-
○
小林(進)
委員 私に与えられた残された時間は、もうわずかしかないのでありますから、これはどうも命拾いしている人がいるかもしれませんけれども、そうはいきませんので、ちょっとお尋ねしますが、
昭和石油の永山社長にお伺いいたします。
二月の二十六日の私の質問に対して、あなたは、ほとんど否定をされたり、あるいは年をとったからもの忘れをしたなどというような、人を食った答弁をされたり、あるいは中には、帰ってから調べて御答弁をしましょうなどということで言われたんでございますが、それからだいぶ時日も経過をいたしましたので、十分反復再考されて、反省を願うところは反省をされたのではないかと思います。どうでしょう。時間もないんでありまするから率直に申し上げますが、私の二月二十六日の質問であります。
繰り返し申しますが、私は、人的証拠も物的証拠も、神かけて、ちゃんとしたものを持って、私は一言の間違いもなく御質問を申し上げたのでありまするが、その私の質問をここでお認めになりますかどうか。もうあなたも、私の質問を何と何を質問したかはよく御承知のはずでございまするから、それを率直にここでお認めになれば、限られた時間でございまするので、私はそのまま質問を打ち切りたいと思います。いかがでございましょう。
-
○永山参考人 お答えを申し上げます。
前回、私に対しまして
小林先生から御質問のありましたおもな点は、二つの問題があったかと記憶いたします。
第一の問題は、一月に
昭和石油が石油製品の値上げをしたという問題でございます。それから第二の問題は、二月の十四日に、通産省から、灯油価格についての
昭和石油からの報告について疑義の指摘があったろう、こういう二つの問題であったかと考えますが、それでよろしゅうございましょうか。——それではお答えを申し上げます。
一月の値上げの問題でございますが、これは
小林先生御指摘の、通産大臣の十二月二十四日の談話が二十五日の新聞に載っておりました。当時、私は十分の記憶を持っておりませんでしたので、明確な答弁を申し上げられなかった点は、はなはだ申しわけない、かように存じておりますが、調べましたら、確かに二十五日の新聞に掲載をされておるのでございます。この通産大臣談話は、ちょうど大臣談話の出ました二十四日の前日の二十三日に、OPEC、産油国が一月一日から大幅な原油の値上げをするということの宣言をいたしたのでございまして、それに対応して通産大臣の談話が出まして、そしてこの一月一日からの大幅値上げに対応した石油製品の値上げはしないように、こういう趣旨だと、私どもは理解をいたしております。
それで、私のほうのこの石油製品の値上げは、大体産油国の宣告というようなことだけでは値上げはいたさないのでございまして、われわれが買っております、たとえばシェルから、現実に、いつから幾ら幾ら値上げをするという通告が参りまして、初めて値上げをするのでございまして、したがって、私どもの一月の値上げは、大臣談話で押えておりまするその値上げの趣旨とは違うのでございます。(
小林(進)
委員「上げたならば上げたと言えばいいのですよ。」と呼ぶ)私どもの値上げは、第一の理由は、私どもの特約店の間にもいろいろアンバランス、ばらつきがございまして、そのばらつきの是正をするということでございます。それから第二は、市況とわれわれのほうの仕切り価格とは格差がございますので、その格差を縮める意味におきまして値上げをする、この二つの点から出発をいたしたのでございますが、
小林先生御指摘のように、どうも物価騰貴の状況、それから、それに対するわれわれの社会的な責任というようなものを深く反省をいたしまして、私ども社内の役員会で決定をいたしまして、これを十二月の価格水準に戻すということにいたすことにいたしました。
なお、先ほど申し上げました理由の一つに、この特約店相互間のばらつき、アンバランスの問題がございまして、不当に安値と申しますか、他の特約店に比べて非常な安値で売っているもの、これにつきましては、やはり公平の立場から、ばらつきの是正はいたしておきたい、かように考えますので、原則としては、十二月の水準に戻しますが、その部分は、ある程度残してまいりたい、かように考えます。
-
○
小林(進)
委員 私は、そんなOPECの値上げだとか、通産大臣の談話なんて聞いているのじゃないのだ。それは、二十四日に談話をもって指導をしたということは、この前も、ちゃんと山形君があなたの前に言っているじゃないですか。二月二十六日に言っているのだ。あらためてあなたから、通産大臣の指導まで聞く必要はない。上げたか上げないかを聞いている。あなたは、あのとき上げないと言った。いまの答弁は何です。上げたということを一言も言わないで、それを訂正した、訂正した——訂正したからには、上げたから訂正したのでしょう。なぜ、上げたということを言わない。だから、余分なことは言わなくてよろしい。
では、私はいま一回申し上げますが、十一月一日、ハイオクタンガソリン一キロリットル三千円の値上げ、レギュラーガソリン同じく三千円の値上げ、十一月十六日、今度は軽油一キロリットル五百円の値上げ、A重油同じく千円の値上げ、それから十一月二十五日、ハイオクタンガソリン一キロリットル七千円の値上げ、レギュラーガソリン同じく一キロリットル七千円の値上げ、今度は次の日の十一月二十六日、工業用灯油一キロリットル四千七百円の値上げ、軽油一キロリットル六千円の値上げ、A重油一キロリットル五千円の値上げ。あなたは、この十一月二十六日の値上げだけはあのときお認めになった。これだけは値上げをしたような記憶があるというようなことで、お認めになった。次が今度は十二月二十四日の通産大臣の指導を無視して、そして十二月の二十八日に値上げをされて、一月一日から実施されたのが、ハイオクタンガソリン一キロリットル二千七百円、レギュラーガソリンの値上げは一キロリットル千七百円、工業用の灯油一キロリットル千円、軽油が千円、A重油が千円。この一月一日の値上げについては、あなたのところに便乗いたしまして、実はほかの企業も値上げをしたのです。したけれども、この通産大臣の指導に刃向かっちゃ悪いというので、一方はあわてて取り消して、途中でやめた。
しかし、あなたのところだけは、ともかく通産大臣の指導はないことにしよう、書類で出したのじゃゼネラル石油の二の舞いでやられるから、これは全部電話連絡でやろうというかたい指導をやられて、そして値上げをされた。いいですか。それをやったかやらないか。あなたはいま値下げをしたという話をしたが、あんまり世論が大きいし、ゼネラル石油さんをはじめ、この便乗値上げと先取り屋が非難を受けたものでありますから、これはたまらぬということで、一月三十一日にA重油だけ一キロリットル五百円の値下げをしている。いいですか。そして、二月十二日には同じく軽油を一キロリットル五百円だけ値下げをしている。同じくA重油を五百円。これはぐっと便乗値上げしたところの十二月に何も返っていないじゃないですか。下げたのは、一月三十一日と二月十二日だけだ。これがうそかほんとうか、言ってくれるように。
なお聞きますが、一体、永山さん、あなたのうしろにいるの、どなたですか。武田君でしょう、あなた。そうじゃないか。武田販売第一
部長じゃないかね。まああとで質問するが、間違いないでしょう。(永山参考人「武田ではございません」と呼ぶ)ああそう、それでなければいいですけれども、この私の一連の値上げと値下げ数字が、うそか間違っているかを、イエスかノーかで答えてくれというのですよ。
-
○永山参考人 ただいま詳細にお話のございました値上げにつきましては、私は一々は記憶をいたしておりません。
ただ、原油の値上げに伴いまして、石油製品の値上げを各社行なっておるのでございまして、これは品物の性質上、大体どこの社も同じような水準のところに上げて売っておるのございまして、決して私のほうだけ特別に値上げをしているということはないんでございます。
なお、先生御指摘の二月に、ある程度価格調整をして引き下げたことは事実でございます。これは、先ほど申し上げましたように、一月値上げの趣旨が、市況と、われわれのほうの仕切りとの価格是正をいたしましたので、その価格是正の行き過ぎその他の問題を顧みまして、ある程度下げるべきものは下げるということにいたしたのでございます。
-
○
小林(進)
委員 これは皆さんもお聞きのとおりです。二月二十六日には、一月二十六日だけは値上げをいたしましたけれども、二月二十八日には値上げをいたしておりませんと言った。今度は、値上げをいたしましたけれども、これこれの理由で、そのかわり一月三十一日と二月十二日は値下げをいたしましたと、値下げの話だけ盛んにしている。五百円の値下げです。これがいかに国会を軽視し、大衆を無視しているかは、この答弁でわかりますでしょう、皆さん。これほど明らかじゃないですか、あなた。しかも、私は言うが、同じ二月二十八日、一月一日から値上げをしますと言うておるいま一つの石油業者は、三菱石油なんです。これも私はみんなつかんでいる。しかし、三菱は値上げを通達したものの、これはたいへんだというので、世論に恥じて、その後にそれをすぐ撤回してしまった。だから一片の良心があった。まだ一片の良心もないのは、残っているのは、
昭和石油だけだ。
委員長、もう時間がありませんからいま一分……。
あなたの言った二月十四日です。その二月十四日、通産省エネルギー庁から、いわゆる
昭和石油で出した資料は間違いがあるぞという指摘を受けた。あなた、指摘じゃなくて、説明を求められたと言われたが、これは間違いない。あなたも認められた。ところが、十五日から十八日にかけて、いま言う販売第一
部長の武田君、エネルギー計数
部長の町田君等がいわゆる指導を受けて、そして、いままで存在していたその会社の正直ないわゆる統計資料を、全部、通産省へ提出した資料に合わせるようなうその資料をつくるための作業をやって、その作業ができ上がると、十九日夜間、粛々として裁断機を動かして、その正しい資料を全部裁断をしてしまったというこの事実であります。
これをお認めになるか、イエスかノーかでお答えをいただきたい。
-
○永山参考人 ただいまお話のございました二月十四日に、われわれのほうが一月十二日に出しました九月と十二月との灯油の比較の報告に基づきまして、質問のありましたことは事実でございます。それで、それを詳細に説明をいたしまして、通産省の了解をいただいたのでございます。
それから、ただいまお話しの資料を改ざんをしたという事実は、全くございません。
なお、御指摘の二月十九日にその資料を裁断機にかけて消滅をはかっただろうという点でございますが、二月十九日には、そうした資料を裁断をした記録はございません。
-
○
小林(進)
委員 これはもう時間が参りましたから、私は繰り返して同じことを申し上げませんが、私のほうには人的証拠も物的証拠もあるのでございまするから……。
そこで一つ、最後に私はあなたに申し上げる。いいですか。これはもうあなたに、私は
委員長を通じて、あなたとその武田販売
部長と町田エネルギー計数
部長の三人をこの国会に証人にひとりおいでをいただいて、そうして、いわゆる良心に従ってうそを言わないという宣誓をしていただいて、そして証言をいただこう、それ以外にはこの問題を明白にすることは困難だ、永山さんの社長の経歴と御性格からながめて、非常に困難だ、こういうことを私は
委員長にお願いをしたのでありまするが、今度は、
委員長は別にいたしまして、あなたに直接お尋ねしますが、あなたも良心を持って、責任を持ってお答えになるならば、証人としてここへおいでくださることに私は異議はないと思いますが、おいでいただけるかどうか。むしろ、あなたの言うことにうそがないならば、積極的にわれわれの主張に応じておいでいただいて、国民の前にその立場を明確にされることが、企業の立場からも業界の立場からも、私はそれはとるべき節だと思いますが、おいでいただけるかどうか、あなたの御所見だけを伺っておきましょう。
-
○永山参考人 お答えをいたします。
私は、国会のほうで御指名がございますれば、伺います。
-
○
小林(進)
委員 残念ながら時間が参りました。これで終わりますが、いずれこの問題は、あらためてまたあなたと対決することにいたしましょう。私は、あなたの企業や、あなたのまた経歴やその他も、あらゆる手を通じていま調査をいたしておりまするので、また後日、あらためて会見をすることをば、お互いに楽しみにして、本日はこれで幕を引くことにいたしましょう。
-
-
○
増本委員 私は、まず石連の
密田会長にお尋ねをしたいと思うのです。
あなたは去る二月二十六日の予算
委員会での私の質問に答えて、石連にも元売り会社の間にも、軽油部会とか海上部会というものはあるかないかわからない、こういうように答弁なすっています。そこで、もう一度確認をしたいと思います。石連や元売り会社の間に、このような部会がつくられていることをはっきりと認めますかどうですか、明確な御答弁をいただきたいと思います。
-
○
密田参考人 前回お答えいたしましたとおりに、石連の組織といたしましては、そういう部会はございません。
-
○
増本委員 それでは、元売り会社の間に海上部会とか軽油部会という部会があると私は考えているのですが、その点はいかがですか。
-
○
密田参考人 元売り間にそういう部会があるかどうか、私はよく承知いたしません。
ただ、この前も答弁いたしましたように、石油連盟に緊急対策本部というものをつくりました。それには業種別、あるいは用途別にいろいろな部会をつくっております。
-
○
増本委員 あなたのほうでいまおっしゃった部会をつくったのは、いつですか。それをはっきりさしてください。
-
-
○
増本委員 石油危機以降の十二月十日ですね。
私はあなたの答弁に深い疑惑を持って、きょうの日までいろいろ調査活動をやりました。その中で、ようやく手元に一つの資料を手に入れることができたのです。
これは
昭和四十八年の七月二十七日付で富士興産株式会社が自分の
福岡支店、東京支店、大阪支店、名古屋営業所、静岡営業所、広島営業所、大分営業所、仙台営業所、高松営業所、札幌営業所、釧路営業所、横浜営業所、こういう営業所に「八月一日より海上重油値上げ実施について確認の件」という表題で「七月二十六日午後二時より全石商
会議室でかもめ会セントラルと農林漁業部会
理事と協議し、意見交換を行いましたので、その内容を報告致します。」こういうように書いてある文書。特に前文で問題になるのは、この「八月一日より海上重油値上げ実施について確認」の問題については「各分野において末端指示価格を設定しシェアーの凍結を前提にかもめ会(元売会社の海上部会)、農林漁業部会(全石商、地元石商)、全漁連、日鰹連」日本鰹鮪漁業協同組合連合会のことです。「との連携プレーで市況是正に取り組んでいることは、御承知の通りです。」というように書いてある。しかもこのかもめ会と農林漁業部会の
理事との意見交換では、まずかもめ会から、つまり元売りの本社のセントラルですね。ここできめた価格政策というものを説明している。読みますと、「七月より実施予定の中間留分値上げは、例の通産行政指導により一ヶ月遅れとなったが、原油価格は待ったなしに、六月一日、七月一日、八月一日と連続的値上げが行なわれ、元売会社としても一日たりとも値上げ転嫁を遅れさすわけにはゆかない。各系列毎に仕切価格アップは八月一日より行なわれるであろう。」そして「末端価格是正についての阻害要因を撤廃することについては、元売会社一致団結して解決することを約束する。」こういうことまで言っている。これは私のところには関係ないというような顔をしないでください。
こういう価格政策を農林漁業部会に説明をして、そのあと、全石商の農林漁業部会から各地の報告を受けている。その中で、東北の
理事が報告したところによると「七月中に塩釜、石巻地区は最低一万二千五百円目標で市況是正に取り組んでいるが、三つの阻害要因により実勢一万二千円から一万二千二百円中心で推移するも、値引き要求が出て影響を受けている。七月三十一日東北地区の部会開催により問題点を検討して八月一万三千五百円目標で活動する。」
ここで指摘している三つの阻害要因として、まず第一に「本年四月より大協系
竹内油業が石巻に新規進出し、安値攻勢により地元販売店のシェアー侵害をした。納入単価一万八百円から一万一千円の安値は明らかである上、大協仙台支店は自所管轄でない為、知らぬ存ぜぬとの態度で険悪な状態であり、市況是正の意欲をなくしている。七月三十一日大協本社、大協東京支店、
竹内油業より責任者が現地会合に出席し、解決案(既存ディーラーの補償問題
竹内油業の撤退、他)を協議予定。」こういうように出ている。
ここで明らかなことは、前回も私は海上部会の幹事会社に会長の大協石油も加わっているんだ、こういうように指摘しましたね。そして去年の十一月の七日に、日石の
会議室でやはり密談をやっておるという事実まで指摘しました。あなたは、そのときでも、そういうものは知らないと言ったけれども、はっきりとこの中に阻害要因の一つとして、大協が、あなたの系列の
竹内油業問題で会合をやるんだということまで指摘されているじゃありませんか。これでもあなたは、元売り会社の中に、このようなかもめ会という元売り会社の部会がないというようにおっしゃいますか。はっきり答えてください。
-
○
密田参考人 いま先生の御指摘の根拠になっております富士興産は、これは石油連盟の会員ではございません。したがいまして、富士興産がどういう行動をとられますか、これはわれわれにはどうもよくわからないところでございます。
それから、先ほど申し上げましたように、石油連盟の組織の部会といたしましては、そういうものはないというふうに申し上げておるわけでありますし、それから、元売り間におきまして、いろいろな油種の市況対策、あるいはいまのお話の中に出てきましたように、全石商、そこらとの連絡をいろいろ市況対策としてとる必要もございましょう。したがいまして、たとえば今度の緊急対策のときにたいへんボンド重油が当初不足いたしましたり、A重油対策だとか、そういうことで明らかなように、油種別にそういったような総体の需給をどういうふうに考えるべきだとか、あるいは軽油あるいは灯油を増産せなくては、なかなか末端の需要にはバランスがとれないだろうとか、そういう話し合いをすることは、これは予測にかたくないわけでございますが、元売り間でどういうお話をやっておりますか、これは連盟会長としての私はよく承知せないことでございますし、また、いま御指摘の中に出てまいりました大協石油自体の問題も、これは末端の支店管轄、そういったような問題でございますので、私自身は、直接的には承知いたしておりませんでした。
-
○
増本委員 この文書は、あだやおろそかの文書ではないのです。四十八年七月二十七日、この富士興産の取締役で販売
部長をやっている石井陸男とこの販売部の総括課の課長の春日という人が「販売部連絡事項」としてこういう文書を部内に出したわけです。その中で、あなたはいま、大協の支店の管轄の問題だと言ったけれども、仙台支店が協力をしないので、七月三十一日、大協本社もこの
竹内油業の問題で現地に行って、そこで協議をするということになっているじゃないですか。支店の問題じゃないですよ。支店でこういうカルテルのことをやっておる。そのこと自体も問題だけれども、それ以上に、本社も加わってやっているということは明らかじゃありませんか。それをあなたは知らないと言って、それで責任がとれますか。しかもあなたは、この油種別の需給関係について、それぞれ相談するということはあるかもしれないという趣旨のことをいまおっしゃったけれども、私が指摘したのは、需給の量の問題じゃありませんね。
竹内油業が一万八百円から一万一千円の安値で売っている、そして大協の仙台支店も協力をしない、だから値くずれして困る、これが一万三千五百円の目標にいく阻害要因になっているのだ、これは、元売り会社が一致団結して、それぞれの系列会社にそういう阻害要因を取り除くように、そういうことをはっきりと確認している事項じゃありませんか。
まだあるのですよ、あなたに関係している部分は。愛知県からの
理事はこう言っておるのですよ。「従来より価格安定しており水産関係は問題ない。名古屋港の内航貨物船(平水船)の小型向価格は通常一万五千円の価格に対し、大協系コウア商事が依然として一万二千円前後で行っている。その上、地元で各種会合を開くも全く出席してもらえず協力的でないので、元売指導を徹底してほしい。大協石油本社は協力を確約。」こう出ていますよ。本社が明らかにかんでいるじゃありませんか。そして、かもめ会の中にあなたの会社が参加しているということもはっきりしているじゃありませんか。
これでもまだあなたは、このような部会が元売り会社を中心にして、しかも、石連にも入っていない、こういう富士興産なども巻き込んで、石油の値くずれを押えるために必死のカルテル行為をやっている、そのことが問題なんですね。これでもまだ事実をはっきりとお認めになりませんか。どうですか。
-
○
密田参考人 いまお話しの
竹内油業というのは、私も名前を承知しておりますが、これは東京支店の管轄の店であったと思います。したがいまして、本社へ何か話があったかもしれませんが、そういうたてまえからいきますれば、東京支店が所管すべきものでございます。
それから、あとのお話の愛知県の問題、これはやはり、当然名古屋支店の問題でございます。どういう関係で本社との交渉があったか、その辺は私、承知いたしておりませんので、また調べまして御報告いたします。
-
○
増本委員 あなたは、本社の担当の
部長が、七月三十一日のこの全石商との会合に出ている、このこと自身が重大な問題だと思いませんか。しかも、値くずれを押えるために価格の協定をやり、それに違反するものに対しては、系列を通じて価格を引き上げる、そういう操作を業界全体でやっておるわけですね。あなたは石連の会長ですからね、ほかの石連加盟の元売り会社が、どういうことをやっているかということも一、二紹介しておきましょう。これは石連の会長としても、元売り会社がこういうカルテル行為をやることなく、法律を守って商売をやる、そういう面での社会的な責任も、石連としては当然お持ちだと思うからです。
東北の阻害要因の二番目としてあげているのは、「丸善系北日本石油の販売先「泰林産業」向の価格が安値の為、所属船以外の販売価格に支障をきたしている。」だから、これも丸善が協力をして責任をもって処置をしろ、こういう意見が出ている。
さらに、
三浦三崎の
理事が、ちょうどマグロが水銀汚染の問題で、水揚げ高も二〇%から三〇%減少するという重大な打撃を受けて、だからいま、この八月から値上げをするのは待って、九月、十月の時期におくらせたほうがいいという意見を出したときに、シェル石油が、そういうことをする必要がない、「日鰹連の価格指導は責任を持つので、率先して販売業者より八月値上げ実施をしてほしい」こういうようなことを言ってハッパまでかけている。
大阪では、「一般商船の価格は元売会社が折衝している大手商船に関連するので早急に七−九月価格を決めてほしい、」「大手商船の結論が出ないから、何もしないというのでなく」大手商船の価格が安いから中小企業の価格が上げられない、だから、「逆に言えば、中小の一般商船価格が安値であると大手商船の是正に障害となる。先方業者間の資材部門の連絡は密なので尚更影響がある。」こう言って、中小企業の船主の値上げをやれということまで言っているわけですね。
ここで明らかなのは、石連に加盟している元売り会社や、そしてそれだけではなくて石油の販売業者、これには石商に加盟しているものもそうでないものも全部組み入れて、そうして膨大な組織のカルテル行為をやっている、こういうことになるのじゃありませんか。これはさきに、二月の五日に四つのカルテルの破棄勧告がありましたね、そのうちの一つにも入っている内容なんですよ。
〔井原
委員長代理退席、
委員長着席〕
あなたにもう一度伺いますが、こういう事態のもとで、はっきりとお認めになるべきじゃありませんか。ちゃんと元売りの中に、かもめ会という本社関係のセントラルがあり、そして地方にもその支部がある。これはもう、この事実ではっきりしているのじゃないですか。いかがですか、もう一度確認の答弁を求めます。
-
○
密田参考人 これは農林漁業用でありますとか、あるいはバス、トラックでありますとか、それは先生が御指摘になったようないろいろ動きがあるかもしれませんが、これは、私は価格問題か必ずしも中心にやっているというふうには考えないわけであります。やはりいろいろな、市況対審でありますとか、情報収集でありますとか、そういうものについての動きも当然あるわけでありまして、御指摘の、私はどうも、どういうグループでどういう動きをしておるか、こういったようなのは詳細、正確に承知いたしませんので、したがって、そのままここでお認めするというわけにはいかないと思います。
-
○
増本委員 公取
委員長、いまのやりとりはお聞きだったと思うのです。
もしこういう事実があったとしたら、これは明らかなカルテルであると思いますがね。そして、その事実を
公正取引委員会はキャッチしておったのか、そしてまた、そうでなければこれについてどういう処置をとるか、その点を簡潔にひとつ答えてください。
-
○
高橋(俊)政府
委員 いまのお話は、日にちの点から私とも見まして、三番目の事実として——破棄勧告は、念のため申しますが、最後の事実だけ破棄勧告しております。途中のことは、四回は事実を述べております。
その三番目の問題を申しますと、これは八月からの価格の引き上げ決定につきましては、四十八年の五月十四日の会合で、四十八年の七月からの販売価格を、六月に比べてこれだけ上げるというふうなことをきめた。その後、六月下旬にまた会合をやりまして、これを八月から実施することに修正決定した、その事実に該当するものと思います。金額もわかっております。
それから、アウトサイダーに対する云々の問題は、私のほうの追跡では取り上げておりません。
-
○
増本委員 しかも、この文書の結論は、「需給バランス、局地的値上げ阻害要因はあるが、石連(元売)、石商(販売店)は協力して八月よりの価格是正に積極的に取り組む。」こういうようになっている。石連、石商も加わり、全石商も加わって、そしてこういうことをやってきた。これはもうあなた知っているんだ。
委員長、この事態をはっきりさせるために、ひとつ
密田会長と、この文書を作成した富士興産の取締役販売
部長石井陸男の証人喚問を要求しますので、ひとつ
理事会で十分協議して決定してください。
-
○荒舩
委員長 先ほどこの
委員会で、参考人か証人かで議決したのですが……。
-
○
増本委員 委員長、それは承知しています。しかし、ここまで具体的な事実が明らかになった新しい段階での問題ですので、ひとつ御協議ください。
時間がありませんので、次に、
昭和石油の社長さんに伺います。
これは、先ほど
小林委員からも質問がありましたけれども、私は、他党の
委員さんが質問された問題でも、あなたがうそをついている限りは、どうしてもその事実を許すことができないのです。
そこで、はっきりさせたいのですが、いままであなたがお認めになったのは、一つは十一月十六日に軽油五百円、A重油千円の値上げをした。十一月二十五、二十六日にガソリン七千円、工業用灯油四千七百円、軽油六千円、A重油五千円、これの値上げをした。それからもう一つは、十二月二十四日、通産大臣が、OPECの一月以降の原油価格の値上げに便乗した値上げをせず、自粛せよという声明を出した、これも承知している。この三つだけはお認めになったわけですね。いかがですか、一言で答えてください。
-
○永山参考人 個別の、ただいま御指摘の、油の値上げの期日なり値幅の問題は、私は正確には承知いたしておりませんが、十二月二十四日の大臣声明の問題は、確かに承知いたしております。
-
○
増本委員 そこで、あなたは一月からの石油製品の値上げはしていない、こういうことになるんですかいかがですか。
-
○永山参考人 一月に、値上げをしたことは事実でございます。
-
-
○永山参考人 先ほど申し上げましたように、価格の引き上げの幅は、実ははっきりいたさないのでございます。その値上げの趣旨が、先刻申し上げましたように、業者間の、われわれのほうの特約店相互間のアンバランスを調整をしたということが一つ、それから他の元売りさんの市況との格差是正をある程度したということでございまして、したがって、ものにより、それから特約店によりそれぞれ値幅が違うのでございまして、一律に申し上げかねるのでございます。
-
○
増本委員 通産省、熊谷さん、あなたにお伺いしたいのですが、二月十四日に昭石が事情説明を求められて、あなたのほうでいろいろ聞いたということでしたね。それはあなたのほうでは、どういうことを問題としてお聞きになったのですか。
-
○熊谷政府
委員 お答えいたします。
二月十四日でございましたかどうか、日付は確かではございませんが、たしか私が報告を受けておりますのは、各社から個々に提出を求めまして、現在、新しい価格によります値上げの査定を私ども行政ベースでいたしておりますが、その基礎になります、各社がこの一月末から二月の初めにかけまして入着いたしました輸入原油のインボイスの価格を調査いたしておりまして、その価格、インボイスにつきましての事情を聴取いたしたわけでございます。
-
○
増本委員 ちょっとそこにいてください。そのとき販売価格、元売りの仕切り価格ですね、これについてはどうでしたか。
-
○熊谷政府
委員 お答えいたします。
元売り価格につきましては、私ども、石油業法によります仕切り価格の届け出を受けておりますので、各月におきまして出てきた仕切り価格につきましての事情を聞くことがございます。
-
-
○熊谷政府
委員 二月十四日の時点であったかどうかわかりませんが、その近辺では、事情を聞いていることと存じます。
-
○
増本委員 その内容ですが、それはどういう点が問題になったんですか。
-
○熊谷政府
委員 私が承知しております範囲では、ただいま先生御指摘の元売り仕切り価格につきましては、一月に入りまして
昭和石油の元売り仕切り価格が、たしかガソリンの部類であったかと思いますが、若干上がっている部分がございますので、その事情について聴取をいたしたかと存じます。
それからもう一点、先ほど申しましたインボイスの点につきましては、これも、現在まで暫定価格として入ってきております輸入価格、これは今後変更することあるべしという条件づきでメジャーから価格が通知されておりますので、その価格が変更することがあるということで、その辺の事情も聴取をしたということかと存じます。
-
○
増本委員 元売りの仕切り価格、昭石の場合のですね、これについては、この二月十四日付の段階でその資料の提出があったのかどうか、あるいは、あったとすればどういう内容のものか、そしてまた、それ以降の日付での資料の提出はあったのかどうか、この点はいかがですか。
-
○熊谷政府
委員 お答えいたします。
仕切り価格につきましては、先ほど申し上げましたように、私ども毎月とっておりますので、その届け出がありました段階で、また、その後ヒヤリングというような形におきまして事情を聴取することはございますので、いま十四日という日付の点については、ちょっと確認はいたしかねますが、各社のそういった仕切り価格の実情につきましては、事情を聴取いたしております。したがいまして、数字その他は、その段階で確認をいたしておるわけでございます。
-
○
増本委員 昭石の問題については、永山さん、一つの疑惑は、この二月十四日に調査を受けて、そのときに、その以前に通産省に届け出ていた報告の価格の数字が事実に反している。それで報告に合わせるように、会社部内の資料を改ざんしたかどうかという、ここが問題なんですね。
それで、私は先に通産省に確かめますけれども、ここに
昭和石油の通産省が調査をし説明を求めたこの二月十四日に、計数管理部が作成したヒタチコウユ、フジセキユ、イハシという三つの特約店に対する販売数量と仕切り価格の資料があるのですよ。この種の資料を通産省のほうはお持ちかどうか、まず確認したいと思います。あるいは、それに関連する数値を皆さんのほうでつかんでいるかどうか、この点の確認を求めたいと思います。
-
-
○永山参考人 私のほうの資料だと思います。
-
○熊谷政府
委員 すべてにわたりまして、こういう資料は徴取はいたしていないと存じますが、
昭和石油に関しまして、この資料を持っているかどうかにつきましては、私は、確認をまだいたしておりません。
-
○
増本委員 あなたのほうで、この種の資料を通産省に出しましたか。
-
○永山参考人 私のほうからは、出しておりません。
-
○
増本委員 そこで、まず、あなたのところにあるこの計数管理部が持っている資料と、それから通産省に仕切り価格が出されている資料、これと私の持っているこれとを突き合わせれば、改ざんしたのかどうかという事実ははっきりするのですよ。コンピューターから、いままでの記録を全部抜き出して新たに差し込んだこの作業が、十五日から十九日までにやられたかどうかということが問題になっている。実際にやられているんだ。天はやっぱり正義に味方したんだ。全部改ざんしたと思ったけれども、一部だけコピーがあった。どうですか、私と通産省とあなたと立ち会って確認しませんか。いかがですか。
-
○永山参考人 資料の確認をいたすことはけっこうでございますが、ただ、御理解を願いたいことは、コンピューターは、これは私のほうの会社ばかりでなくすべて、非常にインプットの間違いその他がございまして、しょっちゅう調整の問題、修正の問題はあるのでございます。しかも、価格に関する表はいろいろの種類の表がございまして、これのみではございません。同じ特約店につきましてもいろいろの資料がございますので、その点も御理解をいただきたいと思います。
この表は、とにかく私のほうからは出しておらないようでございます。
-
○
増本委員 通産省はどうですか。あなたの手持ちの資料と、これと、会社の出す資料と……。会社は、これはコンピューターの中に入っているものだ。暗記さしているものですよ。これを三者で突き合わせれば、数字がでたらめで、あとからつくられたものかどうかということもはっきりするのです。いかがですか。
-
○熊谷政府
委員 お答えいたします。
個別の資料につきましては、
理事会のほうで御決定いただけますならば、私のほうで持っております仕切り価格につきましては、検討をいたしたいと存じます。
-
○
増本委員 理事会のほうで決定があれば出すと言っています。
委員長において、しかるべくひとつ前向きに善処をお願いしたい。
-
○荒舩
委員長 前向きもうしろ向きもありませんが、よく聞こえないんだ。もう一ぺんやってください。どういうことなんだ。もそもそして聞こえない。
-
○熊谷政府
委員 お答えいたします。
ただいまの資料でございますが、御指摘の元売り仕切り価格が、昭石の仕切り価格がどういう価格であるかという点につきましては、私のほうで、資料要求がございましたら、お届けするというふうにいたしたいと存じます。
-
○
増本委員 これは石油会社が、先ほど指摘したカルテルによって先取り値上げをやったり、あるいは、こうして資料までも改ざんして先取り値上げをした上で証拠を隠蔽したり、あるいは、合理化するために別の資料をつくる、そして改ざんする、こういう不当なことをやっている問題であります。
これは物価問題にきわめて重大な問題であると思いますから、
委員長において、いま政府も資料を出すと言っていますし、そして
昭和石油からもこの資料をきちっと出させて、そして厳密に確認のできる機会をつくっていただきたいと思います。
私に与えられた時間も来ましたので、これで終わりますが、もはやこういうカルテルなどの行為をやっている事態では、これは大企業である皆さん方の企業が、ほんとうに社会的な責任を全うするどころか、不正不当なことの積み重ねをやっているということが明らかであると思います。その点を強く指弾しまして、私の質問を終わります。
-
-
○
坂井委員 最初に、辻参考人にお伺いいたしたいと思いますが、わが国で一億の国民が食っていくためには、その国内消費と、そして支払い用の輸出品、そのために実に九七%以上の原料あるいは材料等々、そうした基礎的な資源を海外に求めなければならぬ。したがって、その限りにおいては、これはわが国の最も基本的な条件でもありますし、特性でもあろうと思います。この条件を満足させるために商社の存在が必要である、私は、まずそういう前提に立ちます。
しかし、私が先般指摘いたしましたことは、商社のつまりマイナス面であります。このマイナス面を指摘したということは、とりもなおさず、また一面において、それは商社のそうした資源の確保、この活動がわが国国民経済にいかに大きな役割りを果たしているか、そのことを評価するに私はやぶさかではありません。ただ、そうしたことから、一部がいけない、その一部をとらまえて全体を否定する、そういう立場は私はとりません。しかしながら、いま申しましたように、商社の活動が正常な軌道に乗りまして、それが国民経済のために、より効率的に、そしてりっぱに活動するためには、どうしてもやはりマイナス点をここに指摘いたしまして、それを是正して、本来あるべき商社の姿に立に戻らさなければならない、そういう意図で実はお尋ねをいたしたわけであります。
その際、辻社長にお願いをいたしました私の要求資料がございます。つまり、このマイナス点の一つといたしまして、前回私は、あなたに、あなたの社のブレークダウンリストをお示しいたしまして、そこには価格操作ないしは利益操作が行なわれたことは歴然である、こういう事実を指摘いたしました。この関係書類の提出をお願いしたわけでございますが、今日に至るもいまだに提出をしていただけません。いかなる理由によってでありましょうか、まずお答えをいただきたいと思います。
-
○辻参考人 提出すべき書類につきましては、たしか、
理事会のほうに御相談申し上げまして、お指図を待っておることになっておると思うのですが……。
それにつきまして、ちょっと御返事がおくれましたけれども、三月の八日に手紙を差し上げまして、調査の範囲が海外にも及びますので、十日ほど御猶予をお願いしたい、こういうことでお待ちを願っておるわけでございます。
-
○
坂井委員 ここにその理由書をいただいております。いま申されたとおりと思いますが、私は、これについては、はなはだ異論がございます。
その前に、ブレークダウンリストをあなたにお見せいたしまして、書いてある事実について、この場で確認をしていただいたわけでありますが、その後も十分に検討されたと思いますが、この事実については御確認いただけるでしょうか。
-
○辻参考人 先日お示しをいただきました資料の原本が、実は見当たりません。それで、その原本をほかの資料によって推定いたしたのでございますが、これは、先生にお伺いするわけなんですが、それは
昭和四十八年一月二十五日、グレイスハーバー港出港で、四十八年二月十一日に新潟港に着きました麗峰丸積み分と推定いたしますが、いかがでございましょう、この前の資料は。
-
○
坂井委員 お尋ねしている要旨をちょっとかわされているように思うのですが、原本が見当たらないとおっしゃる。
じゃ、もう一回質問の角度を変えますが、ブレークダウンリストは、おたくの社で使用していらっしゃると思いますが、いかがでございますか。
-
○辻参考人 使用いたしております。
それで、ちょっと私のほうからの御返事をさしていただきますが、そういう推定に、もしこれが間違っておらなければ、そのまま私のほうで事実関係の確認ができるわけでございますが、いかがでございましょう。
-
○
坂井委員 私の質問にお答えいただきたいと思いますが、使用されていらっしゃるということでございますが、いつごろから使用されていらっしゃるのでしょうか。いつごろからブレークダウンリストをお使いになっていらっしゃるのでしょうか。
-
○辻参考人 正確なことは、ただいますぐにはお答えできませんが、四十六年中ごろだろう、こういうことでございます。
-
○
坂井委員 現在どうなっておるでしょうか。そして、もしおわかりでしたら、概数でけっこうでございますが、何枚ぐらいおありなんでしょうか。
-
○辻参考人 現在もつくっております。それで、月大体四、五十枚くらいあるように申しております。
-
○
坂井委員 では、お尋ねいたします。
あなたに見ていただいたリストに、はっきりと百五十ドル上のせ、こう書かれてありました。ごらんいただいたとおりでありますが、社内の同じリストをお調べになれば、すぐわかることだと私は思います。たくさん数がある。お答えいただきたい。
-
○辻参考人 その点につきましては、私が拝見しました麗峰丸につきましては記載はしてございますが、これは、いわゆる上のせはいたしておりません。しかし、類似のケースといたしまして四通、これはできれば後ほど計上の理由を説明させていただきたいと思いますが、四通ばかりございます。
-
○
坂井委員 上のせされておりませんと、あなたたはいまおっしゃいました。私は、上のせされておるという事実、それをあなたの社のブレークダウンリストによってこの場で御確認いただいたことでございます。
原本がないとおっしゃいました。しからば、あなたの社においては、このブレークダウンリストをどのように取り扱いをされていらっしゃいますか。このブレークダウンリストの取り扱い。原本はないとおっしゃいました。どこかへ送られておりますね。
-
○辻参考人 ファイリングシステムによりまして、ロッカーに入れております。
-
○
坂井委員 本社で作成されたブレークダウンリストの原本のコピーが送られたところがある。それをおっしゃっていただきたい、こういう質問であります。
-
○辻参考人 ブレークダウンリストの内容について、私、否定しておるのじゃございませんので、したがいまして、いま御指摘になった麗峰丸には百五十ドル上のせと書いてありますが、これには上のせしておりません。しかしほかに、こういう事後処理をするために五つほどそういうケースがございます。ですから、上のせといいますとちょっと問題ございますが、百五十ドル追加計上したという事実はございます。
-
○
坂井委員 私は、何も麗峰丸に限って申し上げているのではありません。あの際、あなたの社が特に使われておるチャーター船、使用船、それは並べて申し上げたはずであります。その中の一つとして、百五十ドル上のせされたものがあるということの事実を指摘したまでのことでありまして、麗峰丸のことにそれほどこだわる必要はないのではないかと私は思います。
同時に、もしそのことを御確認しようとされるのならば、コピーの送られた先があるでしょうということを、私、お尋ねしておるわけであります。幾つかのところに送られているはずでありますが、いかがでございますか。
-
○辻参考人 確かに送ってあるはずでございます。
-
-
○辻参考人 大阪、名古屋、
福岡、ポートランドオフィス、バンクーバーとなっております。
-
○
坂井委員 お答えになったとおりだと思います。
そこで、いまの五カ所を御調査になったでしょうか。
-
○辻参考人 ちょっといま御質問が……。
-
○
坂井委員 私が質問の際に指摘し、御確認いただきました百五十ドル上のせというものがあったということを指摘いたしたわけでございますが、同じようなものが、いまの五カ所にコピーとして送られておる。そのコピーの中に、この五カ所に百五十ドル上のせを証明するようなコピーがあったかどうか、御調査されたかどうかということを伺っておるわけであります。
-
○辻参考人 書類の確認につきましては、非常に粗雑で申しわけございません。当然、御指摘のとおりコピーが送ってあるものとすれば、そのそれぞれについて確認を求めるべきでございました。
-
○
坂井委員 まだお調べになっていらっしゃらないということでしょうか。
-
○辻参考人 調査の指示はいたしております。それに対して、まだ返答が参っておりません。
-
○
坂井委員 たいへんのんびりしていらっしゃるようでございますが、では、その問題はもう一回あとでお願いするといたしまして、もっとたくさんあなたの本社のほうにこのブレークダウンリストがある。私はFASと次にFアンドL、つまり最初のFASは積み地船側渡しの価格で、次に書かれているFアンドLは船運賃及び積み込み料である。この間に四ドルないし十五ドルという上のせも行なわれておるという点についても指摘をいたしました。これはあなたの社にたくさんこのブレークダウンリストが、原本があるはずであります。いかがでございましょうか。
-
○辻参考人 ございます。それと同時に、御指摘のように、当初四ドル、それから十五ドルのほうが記載されてございます。
-
○
坂井委員 私が指摘いたしましたことについて、事実であったということを御確認いただいたと思います。
これはまさに、原価にある種の額を上のせをする、そこで出てきた原価というものは、まさに仮装された原価であります。その原価をもって国内に持ち込む、販売をする、つまり販売価格の高騰ということに結びつく、少なくともそうした性格の原価に対する上のせ、水増しのものであります。それが四ドルないし十五ドルあるという事実については、ただいま御確認をいただきました。
なお、百五十ドル等の上のせもあったということについての事実も、麗峰丸という点ではなかったということで、何かお答えをそらそうとされているようでございますが、ほかにあったということについては、お認めいただけると思いますが、いかがでございますか。
-
○辻参考人 お認めいたします。
-
○
坂井委員 ちょっと聞き取れませんが、もう少し正確におっしゃっていただきたい。
-
○辻参考人 他のケースにおきまして、百五十ドル加算したということは、お認めいたします。
-
○
坂井委員 それでは重ねてお尋ねいたしますが、すでに国税局には提出をされたようであります。国会の場におきまして、私はこの事実を、日商岩井本社のブレークダウンリスト、そのものをもってここに指摘をいたしました。
そこで、四ドルないし十五ドル及び百五十ドルの上のせは明らかにされておったということを、いま辻社長はお認めになりました。にもかかわらず、要求した資料につきましては国会に提出をされません。一方、国税局にはすでに提出をした。
なぜ、われわれがこのように根拠がある、しかも、責任を持ってここにその事実を指摘したことに対しまして、資料の提出をいただけないのでしょうか。提出できないのか、あるいはしないのか、いずれでありましょうか、理由を明らかにしていただきたいと思います。
-
○辻参考人
理事会のほうで御要求があれば、提出いたします。
実は、私があさってから五日ほど旅行することになっております。それで、書類の提出も、私が一応目を通してからと、こう思いましたので、少し長くなりますが、十日御猶予を願いたい、こういうふうに、これは社内事情でございますが、私のほうでお願いしたわけなんです。
-
○荒舩
委員長 ちょっとお待ちください。そうすると、八日の日の日付で、その資料の提出は十日ばかし待ってもらいたいという手紙が来ているようですが、すぐ出せるのですか、出せませんか、どうですか。すぐ出せますか。いつごろ出せますか。
-
○辻参考人 書類の提出だけで済むのであれば、あすは……。
-
○荒舩
委員長 あまり無理して、またあしたになっても……。はっきりしてください。どうですか、そこに事務局がいるのでしょう。
-
○辻参考人 十四日に提出できます。
-
○荒舩
委員長 坂井弘一君に申し上げますが、十四日までに出すそうですが、それでよろしゅうございますか。
-
○
坂井委員 はい、それでけっこうでございますが、ただ、私はこの書類はいますぐにでも出せる書類だと思うのです。それを要求しておりながら、なぜ出せないのでしょうかということで申し上げたわけでありますが、何もこれからわざわざつくらなければならないというような書類ではない。
ただ、このことが、このブレークダウンリストによって明らかに価格操作がされたということが、私の指摘したことが事実であるかどうか、これがはっきりする。しかも、辻社長はその事実をお認めになっていらっしゃる。ならば、これは要求どおりすみやかに出されるのがしかるべきであって、今日までなお出されないということは、何か意図がある、そうとしか受け取りようがないわけでありまして、十四日に出されるということでございますので、それまでお待ちいたしたいと思います。
そこで、辻参考人にお伺いいたしますが、その際、あなたは、そのような価格操作あるいは利益操作等による不当利得がありとするならば、これは還元すべきである、こういうことをここで明言されていらっしゃいます。
いま事実をお認めになりました。具体的に、どのような形で還元されるように御検討されているのでしょうか、お尋ねいたしたいと思います。
-
○辻参考人 先ほどもちょっと触れかけましたが、上のせというこの追加金額の性質が、どういう性質のものかということにつきまして、いろいろと問題もあったものでございます。
この点につきましては、説明すると長くなりますが、実は、この送金が妥当なものであるかどうかということにつきまして、国税局のほうではなお御調査願っております。われわれとしてはその御決定に従うわけでございますが、少なくとも、当時の取引関係から見ますと、確かに輸入商として相当の利潤を得たということも間違いございません。
それで、こういう時節になりまして、これをどういうふうに社会に還元するかということにつきましては、目下、鋭意検討中でございます。何らかはっきりした形で社会還元をしたい、かように考えております。
-
○
坂井委員 還元するという前提に立ちまして御検討されていらっしゃるようでありますから、それ以上に、この問題に対して具体的にお尋ねする時間のゆとりがございません。
ただ、ここで一つ申し上げておきたいと思いますことは、この一連の質問、お伺いする中で、やはり商社が今日非常に巨大化した、そして独占的な系列化というものがどんどん進行しつつある。そういう中で、価格形成の構造上の実態というものが、やはり系統的に、かつ論理的に解明されてこそ、初めてそこに物価安定への方策が見出せると思う。つまり、そうした意味合いにおきましても、このような原価の上のせというものが、価格形成上どういう影響を持つかという点についてここに解明をして、それを物価安定政策の上に反映させなければならない、私はこういう意図を持ってお尋ねしてまいったことでございます。
なお、この際でございますので、私は二、三申し上げておきたいと思いますが、まず、アメリカのオリンピア半島で地元のキーテンバー社から立木を買い付けた。そのときの売買契約書、取引の経過、損益、在庫数一覧表、これを国税局に提出を求められ、提出をされていると思いますが、されたかどうか、それだけ確認をしておきたいと思います。
-
○辻参考人 キーテンバーにつきましては、説明はしたそうですが、書類の提出につきましては、ちょっと担当の者もつまびらかにいたしておりません。
-
○
坂井委員 あらためて明らかにしたいと思いますが、キーテンバー社は、日商岩井のダミー会社ともっぱらいわれていますね。
なお、IRナイン、これはインディアン財産区ですが、この伐採権を取得した年月日、価格、伐採の状況に関する書類、こういうものを、アメリカ材の基地でありますところの日商岩井のアメリカのポートランド支店、これはワシントン州であります。あるいは日商岩井のカナダのバンクーバー支店、これから取り寄せるよう国税局からやはり指示を受けていらっしゃるようであります。なお、カナダから原木を積んで日本へ入港した日商岩井のチャーター船松原丸、これは日本郵船所属でありますが、これに関する交換テレックス、これらの提出も求められた。つまりこうした一連の、いま申しましたようなことが解明されますと——あなたの社だけのことを私は言っているのでは決してありません。ただ、一つの具体的事実として、木材がいかにこの物価高騰への大きな引き金になったか、また、そうした木材の不当な商行為によって、商社がきわめて悪らつな、もうけにもうけるあくどいもうけ方をしたか、違法行為までやってもうけた、これが物価つり上げへの大きな引き金になった、そのことを解明しなければならないと思うから、一例を申し上げたわけであります。いまのような点についても、私は日をあらためてまた解明をいたしたいと思いますが、いまは、ただ問題の提起にとどめておきたいと思います。
そうした形が、これも商社の不当な利得というものが、最終的には物価高という形で国民にその犠牲をしいておる、このことを、私は、いかに強弁しようとも許されない行為である、ただもうければよろしいということではなくて、このような行為こそ糾弾しなければならないというわけで申し上げたわけであります。
このことにつきましては、すでにトーメンあるいは丸紅しかりであります。かつまた三菱、三井、住友、これらにおいても同じような形が行なわれたということにつきまして、私は、まず重大な警告をここで発しておきたいと思います。
これは日商岩井さんにお願いいたしますが、さらに
委員長にお願いいたしますが、取締役会の議事録、あるいは、あるならば常務会の議事録、それから更正通知書、この提出を本
委員会に求めたいと思いますが、お取り計らいをお願いいたしたいと思います。
-
○荒舩
委員長 ちょっと申し上げますが、これは会社のことであって本
委員会の問題ではないと思いますので、私は、これを要求することはできません。
-
○
坂井委員 では、私のほうから、その点については資料を整えたいと思います。
最後に、
密田参考人に一言お尋ねしたいのですが、四十六年二月二十二日の営業
委員会は、単なる情報を交換したにすぎないと、こう石田質問にお答えになっていらっしゃいますが、間違いございませんか。一言でけっこうであります。
-
○
密田参考人 お答えします。
これは営業
委員会ではございません。元売り各社が原油値上げについての情報交換のために集まった会でございます。したがって、石油連盟では開催いたしておらないわけでございます。で、集まりました名簿は、もうすでにお出ししてあるはずでございます。
-
○
坂井委員 現在、審判係属中でございますけれども、石連では、それは被審人の決定に基づくものではない、つまり石連の決定に基づくものではない旨を主張されているようであります。これはみずからの意思ではないんだということになるわけですが、それを裏返して言えば、だれかの意中によったんだ。つまり通産省の意思だと、こういうことでございますか。
-
○
密田参考人 そういうふうには考えておりません。各社が自由意思によって、この新しい原油値上げにどう対処するか、こういった事柄をいろいろ検討したことだと考えております。
-
○
坂井委員 たいへんおかしな答弁ですが、私、時間が参りましたので、これ以上申し上げられませんが、ただその際に、被審人の決定に基づくものではないということを盛んにおっしゃっておる。つまり、通産省の行政指導がここに介入したんだと受け取らざるを得ないことは、実態に照らしても、先ほどの質問にもございましたが、言い得る、私はこう解釈をいたしております。この通産省の決定というのは、二月二十二日の時点である。四月二十二日の行政指導をさしておるのではありません。そういう点についても、具体的な事実関係につきましては、ずいぶんそれを実証するものがあります。
したがって、通産省の指導によるかどうかということにつきましては、これは明らかに通産当局と石連の癒着関係において行なわれたといわざるを得ないということを最後に一言申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
-
-
○
小沢(貞)
委員 通産省と、それから
昭和石油さんと、石油連盟にお尋ねしたいわけですが、指定統計でもって月の初めの在庫、それから月のうちの受け入れ、月間の出荷、月間消費、月間在庫、こういうものを通産省へ報告することになっておるわけであります。これについて、先日も新聞に出ておりますけれども「石油危機に直面したことから、最近では石油連盟が同庁の」——
資源エネルギー庁のことであります。「同庁の資料づくりを肩代りしていたのは公然の秘密で、石連の若手職員の間には「これでは通産省の統計係ではないか」との不満さえつぶやかれていた。」こういうように新聞にも出ておるわけであります。これは各社持ち回りで、関係者が集まって集計をしてやっておった、こういうことでございます。
このことについて、その事実はあるか、通産省それから
昭和石油、石連、こういう順序でお答えをいただきたいと思います。
-
○山形政府
委員 お答え申し上げます。
石油連盟は、いわゆる石油業界、元売りを中心にした事業者団体でございまして、資料を収集、整理いたしておるものでございます。
われわれといたしまして、率直に反省いたしておるわけでございますけれども、石油危機の起こりましたとき、非常に手不足のせいもございまして、事実の数字の収集等につきまして、石連からこれを求め、また、これをいわゆるそろばんを入れてもらうようなことを頼んだことは確かでございます。ただ、いわゆる政策的な問題につきましては、当然のことながら、全然タッチをさしておりません。ただ、過去に一時的にもそういうことがございまして、その点は深く反省し、今後、そういうことのないようにいたしたいと考えておるわけでございます。
-
○永山参考人 お答えをいたします。
規則で出すべき資料は、統計は出しておりますが、肩がわりして各社持ち回りでやっておるというようなことはないと思っております。
-
○
密田参考人 ただいま長官からお話がありましたことと関連するのですが、石油連盟としましては、過去のいろいろな資料がたくさんございます。したがいまして、エネルギー庁としてたいへんお急ぎになる場合には、その資料を活用いたしまして、お手伝いすることもございます。あるいはまた、われわれの資料を、作業を、エネルギー庁が活用されることも、いままであったわけでございます。
-
○
小沢(貞)
委員 あとからだんだん数字を申し上げますが、これが実は重大な結果をもたらしたわけであります。
統計法第二条あるいは第三条によって、石油製品需給動態統計調査規則、こういうものができておるわけであります。その規則第五条には、先ほど私が申し上げた月初の在庫それから受け入れ、出荷、消費、月末在庫、こういうものを明確に、通産省の指定する調査票を配付してそれを提出する、こういうようになっておるわけであります。規則の第七条には集計の方法も、通産
局長は、受理したものを整理審査して、大臣に提出する、こういうようになっております。それから第七条の二項には、大臣は、受理した調査票を審査集計する、こういうことになっておるわけですが、過去のあるときにはとは言わせません。これは各社、業者が持ち回りでこの集計をしてきたわけであります。そういう結果、実は重大なことが起こってまいりました。
たとえば、ある社のものは月初の在庫五十万トン、今月の輸入二百万トン、処理百万トン、在庫百五十万、こういたします。ところが、精製のワクをきめられるから、製造量をなるべく少なくして報告をして、そして余裕を残して、そしてやみというか、横流しをして、こういう意図をもって、こういうことをやるわけであります。在庫の月初の五十はしようがない、そのまま、輸入二百というのを百八十に減らせと、こうやるわけであります。それから、処理百を百二十にふやしたならばふやした、こうやって、処理は百にして在庫を百五十なら百五十、こういうことを一定にさせるようにするわけであります。改ざんをして、実際が輸入二百のものを百八十、処理百のものを百二十、在庫百五十のものを百三十、こういうようにして在庫を直すと、たまには在庫は通産省で調査に来るから、そういうように直せないから、輸入を減らすわけであります。だから、各メーカーはこういうように言っているわけであります。集計したものを集めて出すという、それは単なる集計の事務なんだが、そうでない。通産省へ出すもののことをメーキング、つくると言うのです。資料づくり、メーキングまたはマルM、こう言っているわけであります。
こういうことをやった結果、どういうことになってきたか、もう単刀直截に数字を申し上げます。これは政府で出した資料であります。それからこれは指定統計で出された資料であります。これはもう明らかに政府で出した資料であります。この統計を私のほうでわかりやすく集計をしました。ちょっと読み上げますから、
資源エネルギー庁長官、石油二社の方は見ていただきたい。これは政府で出した資料であります。
石油輸入実績の差異、まず通関統計、
昭和四十五年度二億五百二十六万キロリットルであります。これは通関統計で、これは避けることのできない、これは絶対に間違いない数字だと思います。ところが、次にあるのは指定統計であります。通産省の調査統計部で出したものであります。二億四百八十七万二千キロリットル、その差は約三十八万八千キロリットルであります。十万トンのタンカーだとするならば、四隻ばかりこれはどこかへ行ってしまったわけであります。その時代にはまだたいへん少なかったわけであります。ところが、
昭和四十六年度になると、通関実績は二億二千六百九十八万五千キロリットルであります。ところが、指定統計でいま集計したものを見ると、二億二千四百三十七万九千キロリットルであります。その間二百六十万六千キロリットル指定統計のほうが少ないわけであります。通産省で出した統計のほうが少ないわけであります。
昭和四十七年度になると、通関の統計は二億五千六百八十三万二千キロリットル、指定統計のほうは二億四千六百九万八千キロリットル、これは実に一千七十三万四千キロリットル、指定統計、通産統計のほうが少ないわけであります。これは十万トンのタンカーであるならば、約百七隻分に相当するわけであります。
このからくりはどういうことかというと、先ほど申し上げたように、月初の在庫、月末の在庫これだけは押えておいて、輸入のものだけは消してしまえ、一隻消してしまうわけであります。そうして、間違ったうその統計を出しているわけであります。そういう結果に基づくものであります。通産省、どうでしょう。
-
○山形政府
委員 いま先生のお話のとおり、通関統計と指定統計は、大体通常、通関統計のほうが多く出るわけでございます。
これは三つ理由がございまして、通産省の調査統計部でやっております指定統計は、事業所単位でこれを行なっておるわけでございます。非常に多くの事業所があるわけでございますが、行政目的から、一事業者単位で行なっております。したがって、従来、本店扱いというのが、ときどき脱落するというのが一つでございます。
それからもう一つは、各社の油をタンクに在庫いたしますときに、自分のところの系列のタンクが一っぱいでございますと、いわゆるタンクの貸し借りが行なわれるわけでございますが、これがどちらからも、いわゆる通報、報告されませんで、この間の脱落が一つあるわけでございます。
それからもう一つは、現在日本にCTSが二つ、場所で言いますと三つあるわけでございますが、このCTSに入れたものを、CTSの側からの報告、それから事業所側の報告が、とにかく脱落が多いわけでございます。いま先生の御指摘のとおり、数量の問題が非常に問題でございますので、われわれといたしましては、通関統計と指定統計の違い、それからもう一つ、非常に重要なことは、通関統計が通産統計よりも、船が入りましてから手続をして、四、五日決済がおくれるわけでございますので、月の単位でとりますと、若干これが食い違うわけでございます。
ちなみに、九月の通関統計は二千三百二十三万キロリットルであったわけでございますが、通産統計のほうが二千五百五十三万五千と、二百三十万ぐらい通産統計のほうが多かったわけでございます。そのかわり十月に入りますと、通産統計が二千五百三万キロリットルであったわけでございますが、通関統計、大蔵省統計のほうは二千七百二万というふうに、ここで百九十九万九千、通関統計が最近では多かった。多い月と少ない月が、十月ですと、ほぼ相殺勘定に相なっておりますけれども、定性的に通産統計のほうが、統計の性質上、若干低く出るのは私は認めざるを得ないと思うわけでございます。
-
○
小沢(貞)
委員 資源エネルギー庁長官にお尋ねしますが、四十七年四月ごろから備蓄体制に入って、備蓄しているものに対して増加分の融資の増額をする、こういう措置をやってきているはずであります。したがってわれわれは、通産省が調査をして、月末の在庫量、したがって翌月の月初の在庫量、こういうものについてはそう違いはない、こう思います。いま長官の言われた二、三の事業場その他で、若干のズレはあるかと思います。
いま長官の言われるように、確かに四十八年九月にはそういう現象がありました。しかし、四十八年一月から十月をずっと集計をしてみますと、先ほど申し上げたように、通関統計は二億四千三十一万一千キロリットル、指定統計のほうは二億三千七百八十万七千キロリットル、
昭和四十八年に入っても二百五十万四千キロリットル違うわけであります。月末と月初のわずかの差でなくて、ずっと長い間見て、そういうことを言っているわけであります。したがって、通産省は融資を出しているわけだから、月末、月初の在庫というものは、ちゃんと確実に押えているわけであります。
そういうことになるならば、この中で、船が何隻か消されたような統計しか通産省には出ておらない、こういうことであります。どうでしょう。
-
○山形政府
委員 私のほうといたしましては、いま各社の各積み出し港別の一船ごとの通告を、十日おきにこれを把握いたしております。最近の動きでございますと、若干、二月から三月への繰り越しというのが起こったり何かしておりますが、現在では一船ごとにこれをチェックし、かつ、大蔵省の通関当局といいますか、税関当局とも一船ごとにこれを打ち合わせ、チェックをいたしておるわけでございまして、いま先生御指摘の、入ってきたものをあとで消すというようなことは、起こり得ないのではないかと私は考えておるわけでございます。
-
○
小沢(貞)
委員 具体的に、備蓄に対して融資をするとは、どういう数字をもとにしてやりましたか。この通関統計です。
-
○山形政府
委員 現在、備蓄につきましては、五十一年度末に各社とも六十日の備蓄を持つということで、たしか四十七年からこの制度が始まりまして、タンクの建設資金につきまして、開銀の融資それから、いまはちょっとさま変わりになってまいりましたけれども、従来はいわゆる在庫がだんだん積み増されたわけでございますので、その積み増し分につきまする運転資金に関する石油開発公団からの一種の……(
小沢(貞)
委員「よけいなことはいい、どの資料に基づいて融資をしておるかとということだ」と呼ぶ)それは、先ほど先生御指摘のとおり、それぞれ各社の在庫量の前月の実績を確認いたしまして、それに基づく増加分に対する運転資金の融資でございます。
-
○
小沢(貞)
委員 これ、融資をする際の統計には、通産統計は正しいとして認め、先ほど来言うように、業者にこの統計をまかしておいたがために、実際に入ってきた船が消されてしまっている。ひどいときには一千七十三万トン、十万トンのタンカーなら百七隻分、こういうものが消されておるわけです。そして、各社が指定統計をこういうようにごまかして報告していて、生産調整を行ない、その割り当てワクに不満の会社がやみの生産を行なって、その分を小さくして報告している。こういうことをやってこういうデータの上に立っていろいろのことをやってきたのが、そもそも石油行政の誤りではなかったか、どうだろう。
-
○山形政府
委員 ちょっと私、先ほど知識がなかったわけでございますが、四十七年度の問題は、確かに先生の御指摘のとおり一千万近くあるわけでございますが、これは非常に形式的に、沖繩の返還がたしか六月だったと思いますが、ございまして、沖繩が形式上、統計上は日本に入るわけでございますが、通関統計のほうは、これをその時点において入れたわけでございます。これは詳細は私、わかりませんが、通産省の調査統計部のほうの四十七年度の指定統計の場合には、この沖繩分が、たしか六百五十万キロリットルぐらいございますのを、これ加算しないで、実は統計の継続性ということでやっておることでございまして、その分はむしろ足して通関統計と比較するのが筋であろうかと思います。
-
○
小沢(貞)
委員 各社持ち回りで、こういうことをやっていた事実を認めますか。
-
○永山参考人 そのようなことは、いたしていないと思っております。
-
○
小沢(貞)
委員 通産省はやらしておって、反省をいたしておりますと言う、
昭和石油の社長はやっておらないと言う。どっちが正しいんですか。
-
○荒舩
委員長 密田参考人、いまの問題、どうですか。
-
○
密田参考人 私も、詳しいことはここで申し上げかねますけれども、どうも、先生のおっしゃった、いまの各社がそれぞれ何か分担をきめて持ち回りでやったというふうには、いままで考えておらなかったわけでございます。それは石連で、先ほど申しましたように、いままでいろいろ通産の仕事のお手伝い、作業をやったことがございます。これはそのとおりでございますが、そのときに、各社がだれか、主任と申しますか、当番と申しますか、そういう意味の作業のお手伝いはしたことがございますけれども、単独で各社が持ち回りでやったという事実は、どうもなかったような記憶でございます。
-
-
○永山参考人 私の知識が不十分でございましたけれども、各社がそれぞれ人を出し合って、そして各社がそれぞれ交互に場所を提供し合って、この集計の手伝いをしているという事実はあるようでございます。
-
○
小沢(貞)
委員 昭和石油の社長にお尋ねしますが、業務部の、いまの担当は何をやっているか知りませんが、丹治龍二という人は、いつごろ通産省からおたくに入りましたか。
-
○永山参考人 正確な日にちは覚えておりませんが、半年くらい前ではないかと思っております。
-
○
小沢(貞)
委員 残念ながら時間がございませんが、たとえばその丹治龍二という人は、つい最近まで通産省でLPGの輸入の認可の原案をつくる立場にいたわけであります。そして、彼が
昭和石油へ行くときに、これはいわばおみやげであります。LPGの割り当てをちゃんともらっている、こういう事実もあるわけです。
こういうことは、通産省と業界との癒着をそのまま端的に物語っておると思います。先ほどの統計といい、こういう事実といい、両者の癒着が今日の問題を起こした、こういうように考えます。
以上申し上げて、質問を終わります。
-
○荒舩
委員長 これにて
小沢君の質疑は終了いたしました。
以上で、物価問題に関する質疑は終了いたしました。
参考人各位には、御多用中にもかかわらず、御出席をいただきまして、御苦労さまでございました。
委員会を代表して、お礼を申し上げます。退席願ってけっこうでございます。
—————————————
-
○荒舩
委員長 これより締めくくり総括質疑を行ないます。
小林進君。
-
○
小林(進)
委員 私は、はからざりき、朝テレビを見ましたが、小
野田元少尉がついに発見されまして、無事帰還の見通しもついたようであります。これについては、
田中総理大臣がフィリピン大統領に対し、大平外務大臣が同じくフィリピンの外相に対し、それぞれ感謝の電文を打たれたということを承りました。これは、まことに時宜に適した処置だと存じます。私は、この小
野田元少尉が無事発見されたことを喜ぶとともに、この間、多額の国費を使いましたが、それはそれなりに非常によかったと、すなおに考えておるのでございますが、私はこれから総理に御質問したいということは、そのことではないのでありまして、小
野田さんが見つかったということについて、国民の八割なり、あるいは七割なりの国民は確かに喜んでいると思います。だがしかし、その陰には、何割かわかりませんけれども、非常に複雑な感情でいる国民もいるということを、この際考えていただかなければならないということを申し上げたいのでございます。
その極端の例を申し上げますれば、今朝の新聞ですけれども、一昨年の十月まで小
野田さんと一緒にいた小塚金七さんが、現地の警察官に射殺をされた。そのおとうさんの小塚直吉さん、八十二歳です。また、おかあさんも御健在のようでありますけれども、小
野田さんが無事発見されたという情報を持って新聞記者が訪れたら、だれにも会いたくない、そのままそっとしておいてくれと言って、戸を締めて面会を謝絶をされた。確かにこういう人もおられるわけであります。戦争の傷あとは、まさに、戦い済んで三十年でございますが、まだ行くえ不明になって所在の明らかでない旧軍人が各地におるのであります。厚生省その他関係者は、あきの箱を一つつくって、これは遺族でございます、あなたのせがれさんは、あなたのきょうだいは、ブーゲンビルのどこかでなくなられました、以下、これで捜索は打ち切りますという意味のから箱はずいぶん届いておりますけれども、しかし肉親としては、そのから箱一つもらっても気休めにはならない。まだどこかに生きているんじゃないか、こう言って陰ぜんを据えて、朝晩その生存を信じ切っているというそういう遺族は、私は、数で何百とか何千とか何万とは言いませんけれども、現実にあるのであります。そういう方々は、この国民的な喜びも、非常に複雑な気持ちでその報道を見ておられる。それが一つであります。
なお私は、この際総理に特に申し上げたいことは、戦争は侵略戦争であり、間違った戦争であったということを、サンフランシスコの講和条約の前で日本は世界に向かって宣言をいたしました。そして、条約を結んでいただいたのでありますが、その侵略戦争の犠牲といっては何でありますけれども、いわゆる戦時中閉鎖社会において、特に終戦の直後等は、国家が支給すべき食べものもない、着るものもないという状況下に、食を求めて彷徨しているという悲惨な軍人や軍属がたくさんいたことは、いまさら説明の要はありません。その人たちが指定の職場を離れたということで軍法
会議にかけられて、いわゆる戦時軍刑法の対象になって処罰をされた人たちがおります。その処罰をされた人は、総理大臣は、もう済んだものだとお考えになるかもしれませんけれども、まだその処罰は生きておって、たとえていえば、三年以上の、当時の軍刑法にやられた者は軍人恩給もつきません。名誉も回復しておりません。また、その遺族はまだ遺族年金ももらえない、あるいは旧戦時軍事刑法でやられて三年以下であっても、逃亡したために、逃亡罪という罪で——逃亡したのじゃない、食を求めてさすらっていたのもいるかもしれませんけれども、その人たちは、曹長の地位から一等兵に降等されたというようなままで放置されている者もおるのでありまして、私の手元にあるこの資料だけでも、旧陸軍の軍法
会議にかけられて処刑をされ、または死刑になった者が二万と八百七十七名であります。これは官の報告であります。旧海軍において一万四千百六十四名であります。これも政府側の統計でありまするから、私は、内輪に見積もっても、正確なものであるとは信じられませんが、このとおりであります。その中には、いわゆる併合罪であります。戦争に敗けたときには、生きて虜囚のはずかしめを受けるな、これは総理大臣も軍隊に行かれましたから、よく御存じだと思います。捕虜になることは、一番不名誉なんだから、断じて捕虜になるなといって、みんな教育をせられたから、戦争に敗けたとき捕虜になっちゃたいへんだというので、逃亡をして、そしてつかまった人たちが、戦争が済んでも軍刑法で処罰を受けている。ところが、逃げるとき裸で逃げるわけにはいきませんから、軍服を着て逃げます。手りゅう弾を持って逃げます。そうすると、一般刑法の併合罪、陸軍刑法と一般刑法との両方の併合罪だという、こういう罪に問われて、いまなお不名誉のまま投げ出されている、こういう人たちもたくさんいるのであります。逃亡と窃盗、逃亡と横領、逃亡と詐欺、これみんな、何しろ裸で逃げまわるわけにはいきませんから。で、そういう状況は、実はまあ横井庄一さんの例を出して悪いですけれども、横井さんも、生きて虜囚のはずかしめを受けず、おまえ捕虜になることは相ならぬぞと言われたから、私は捕虜になっちゃいかぬというその気持ち一心で、二十八年間穴の中にもぐっていたと、横井さんは手記の中で言っていられる。ところが、二十八年たって帰ってきてみたら、捕虜になるな、捕虜になるなと言っていた東條大将以下が、みんなマッカーサーの捕虜になって、そしてぬくぬくとして戦争後の豊かな生活を送っている。われわれ下士官、兵だけは、教えのとおり捕虜にならないために逃げたら、逃亡罪でやられたり併合罪でやられたりして、いまなお遺族はその名誉も復活しない状態で泣きぬれている人たちが、いま申し上げました数字のごとくある。
そういう人たちは、いま小
野田さんのこの発見と帰還を、一方で喜びながらも、割り切れない複雑な気持ちでながめていられる、こういう人たちが多いということを、ひとつ、総理に私はこの際率直に申し上げておきます。
そこで私は、厚生大臣もいられますが、厚生大臣にしばしば言いました。総理のところへ持っていかぬでも、これは管轄大臣でよかろう。君、小
野田少尉に何億の金を使う、横井さん捜索のために何億の国費を使う、けっこうだ。人間の命はとうといんだからけっこうだが、しかし、君の足元で処理しなければならない問題がまだまだころがっているのではないか。いま私が申し上げた問題というのは、これは足元の問題であります。足元でこういう処理すべき問題をそのまま放置をしておいて、はなやかに新聞やジャーナリストの表面だけをにぎわして、厚生省は人道省だなんていわれるようにして、課長以下、先頭になってフィリピンに行って、二カ月も三カ月も駐とんしているというその形は、行政の公平という面から見て、私は好ましいこととは考えられない。もっとものごとを公平に処置するという行政の方策をとってもらえないかということは、たびたび私は叫んできたのでありますが、あらためて、この機会でありまするから、総理に申し上げるのでございまするけれども、総理のほうで、適確にひとつこの問題に御処置をいただきたいと思います。
-
○
田中内閣総理大臣 小
野田元少尉の生還ということを機会にして、いろいろな問題が提起をされるということは、私も理解をいたします。
特に、国民の中には、明暗を異にする層が存在することも十分理解できます。まあ、こういう歴史の中の一こまとして、長い民族の歴史の中にこれをプラスの面で生かすべく、お互いが精進を続けるというきっかけにしなければならないだろうとしみじみたる思いであります。
この問題を契機にして、旧陸軍刑法でもって処刑をされ、また処罰を受けた者についての救済措置に対する御発言がございましたが、二つか三つの問題を提起されたわけです。
一つは、陸軍刑法そのもの、同じような罪を犯した者でも、その後は何でもないじゃないか。どうも新しい憲法の精神から見ても、すべての者を、罪がなかった、いわゆる俗にいう占領軍最高司令官命令違反というような同じようなケースで処理できないかという問題が一つあります。それからもう一つは、それができないにしても、何らかの立法措置その他によって、その後できた制度、またいうと、戦前、戦中、戦後引き続いて行なわれておる遺族年金その他、何も悪いことをしておらないその家族や子弟まで、その恩恵を受けられないということに対する救済の方法はないか、こういう問題、二つにしぼられるわけでありますが、これは外国の法律に抵触したわけではありませんので、過去に存在した法律によって処罰を受けた——これは当否はあります。
これは、いまのように最高裁の判決を受けておりませんし、旧陸軍刑法は、一審制度であって、直ちに刑の執行が行なわれたということでありますので、確かにいろいろな問題を提起していることは事実でございます。ございますが、これは、その後生きておる方々に対しては、復権が行なわれております。復権が行なわれておりますといえば、その後の状態において、公民権も復活をし、また議員にもなっているわけでありますし、なれるわけですし、また、その後の功績によって勲章の叙勲の対象にもなっております。
ただ、その前のものを全部なかったことにできないか、いわゆる旧陸軍刑法の処罰は、これはなかったことにできないかということ、これはお互いに十分考えたことでありますが、しかし、法律論としてそれは不可能であるということが、法律学問的にも、現実的にはそれは不可能であるということでございます。しかし、中には、復権と同じように、西郷隆盛は国賊としておったけれども、しかしそれは、明治の勅諚においてこれは全部ゼロになったじゃないか、しかも叙勲の恩典に浴したじゃないか、それがいまの制度の中でできないはずはない、こういうようないろいろな立法論として、長い過去において戦後議論をせられてきたことも承知をいたしております。
まあ、これらの問題に対して、学問的にも、制度上も結論を出すということが、いまにわかにできるものだとは考えません。残っているものは、戦時において同じような経過、逃亡したりいろいろな者でも、帰ってくればもう処罰の対象にもならず、十分な恩給の支給も受けておるじゃないか、そういう者との権衡上の問題もあるので、何らかの立法措置等において、陸軍刑法の罪によって処断をされた者に対して、不利益な面を救済できないかという問題が、一番の現実問題として残っていると思うのです。
いままでの制度ではそれも不可ということになっておりますが、しかし、小
野田元少尉の生還などでは、そういう問題を具体的に提起をした一つの例であることは事実であります。そういう問題としては、私、いまここで、にわかにあなたに対して明確な答弁はできません。できませんが、しかし、御提示の問題に対して、あらゆる階層の専門家の意見を徴したり勉強してもらったり、政府でも、あらゆる角度から、救済措置が可能なのか不可能なのかというような問題を含めて、真摯な態度で勉強をしてまいるということだけで、御理解をいただきたい。
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○
小林(進)
委員 まあ総理は、この問題について、実はそこまで問題を御理解いただいているとは思わなかったのでありますが、だいぶ詳しくやはりこの問題について御理解をいただいておるようでありますから、私は、もうこの問題はこれ以上申し上げませんが、最後の、真摯な気持ちで研究をしながら問題の処理に向かいたいという、そのお気持ちをちょうだいいたしまして、戦後処理はなるべくきれいにいくように、公平の原則に立って、均衡の原則に立って、どうぞひとつ御処置をいただきたいと思います。これは私の希望であります。この問題はなまなましい問題でございますから、これはまた、若干期日が来ますまでこのままにしておきまして、第二問に移りたいと思います。
これは、いま一番問題になっております石油製品の再値上げの問題についてでございますが、第一番目としては、一体、実施期日はいつおやりになるのかということでございまして、今朝等の新聞紙の報ずるところでは、もう今週末にも値上げをおやりになるかというふうな報道が行なわれておりますが、一体いつおやりになるのか、総理の裁断待ちというふうにいわれておりますので、総理の御真意を承りたいと思います。
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○
田中内閣総理大臣 もうすでに、国内に搬入せられておる石油の売り渡し価格が上がっておることは事実でございます。上がっておりますし、これを押えるという法的な権限はありません。また、これを押えるとすれば、それに対応する予算措置、法制措置もできておらないわけでございますから押えるわけにはまいりません。まいりませんが、しかし現に、物価問題が国民生活最大の問題であるということも、国民的課題でございます。そういうことに対して国民の理解と協力を得ながら、とにかく物価の抑制を行ないながら、妥当な結論を出さなければならないということで、民間石油業界の理解を求めておるわけであります。しかし、各国でも一万一千円も上がっておるということに対して、すでに一万円上げ、九千円上げ、九千五百円上げというような例もありますし、これはいつまでもこのままにしておくということになれば、国民の税金をもってこれを補てんするのか、法律をもってどうするのかということを考えざる限り、これはむやみやたらに延ばせるものではないことは、申すまでもないことでございます。
ただ、物価問題、同時に石油という問題が起こっただけでもあのような混乱が起こったわけです。まあ、石油が倍近い価格にもなるということになればどのように影響するのかという、各般の問題にさだかにメスを入れてでないと、政府としては、責任ある立場として、これに踏み切って、ここまでは上げてもらってもやむを得ませんと思います、こうはなかなか申し上げかねるわけであります。じゃ、政府は法律もないんだから、そんなこと言っているのなら上げますよ、こういうことも、一部新聞に散見されますが、これは国民の前に、国民的課題として、業界も非常にがまんをしてもらっておるわけであります。ですから、一日延ばしにできるものではありません。また、一日延ばしにして、プラスの面だけあるとも私は考えておりません。
ただ、ほんとうに石油が上がっても、物価は最小限に少なくとも押え切れるというような各般の施策、俗に目張りといっておりますが、目張りに対する諸般の施策を十分考究をした後、適切なる石油価格というものを定めたいということを考えておりまして、いま政府部内でも、各省あげて徹夜で作業いたしておりますし、そんなに一日おそく引っぱって、それだけメリットのあるものでもないと思うのです。
〔
委員長退席、井原
委員長代理着席〕
ですから、タイムリーに、しかも自信を持って国民に対して、石油が上がっても、各国に比べて日本のいわゆる生活必需物資は、こういう状態で押えられると思いますというような前提条件が具備し次第、石油に対する政府の基本的な考えを明らかにしなければならない、こう考えておるわけでございまして、まあ長く引っぱり得るものではないわけです。
ただ、石油が上がると、すぐ電力はどうなるんだ、電力が上がったら、セメントや鉄鋼はどうなるんだという問題等、非常に広範な問題がございますので、業界の、たいへん御苦労だと思いますが、協力を得つつ、せっかく勉強中でありますので、こういう問題に対しては、可及的すみやかに結論は出すべきものである。それは一省一局の責任ではなく、政府全体として、国会に責任を負えるような体制でなければいかぬということで、民間団体の協力をもとにして、いま鋭意作業を進めておるわけでございます。
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○
小林(進)
委員 総理は、企業、業界に対して非常に理解のあるようなお話をなさいましたが、その点は、国民の側からも、われわれ野党の側からでもすなおにちょうだいするわけにはいきません。やはり、この物価値上げの元凶の主要なる部分をなしているものは、石油業界であり、石油企業であるという考えは、いま国民の根に深く、根強く植えつけられておりますし、その怒りもまだ鎮静をいたしておりません。その中で、通産省が中心になって石油値上げの作業をどんどんお進めになっている。やはり、正体見たり、これは企業との癒着はもう現実だなという感じは、非常に強いのであります。
最近は、関係の大蔵省あるいは経済企画庁等にも値上げの問題を持ち込んで、そこで数字的な打ち合わせをおやりになっているということでございますので、時間があれば、大蔵大臣、経企長官にもお尋ねしたいと思っておるのでありまするけれども、それに対して、二月四日の政府側と業界の代表との懇談会において、総理は、二月、三月中には物価の値上げはしないということを、これは総理の公約でありますか、申し合わせというのでありますか、ともかくそういうことが話し合われた。でありまするから、国民は、三月中には、石油の価格も含めて値上げはないものという信頼をおいたのでございまするけれども、最近は、この石油値上げに対して一番消極的であったという総理自体も、心境が変わってきて、どうも、先ほど申し上げましたように、今週末にでも、総理の談話等を通じて、内閣の責任においてこれが発表されるのではないかという空気が濃厚になってきたのでございます。
総理のその心境の変化は、一体どこから生まれたのか。あるいは、現在の経済的な環境は別といたしまして、春闘の空気は、物価に対する国民の怒りを代表いたしまして、日に激烈化をしてきております。そういう空気の中で総理がこの石油の価格に踏み切られることは、一体どういう影響があるか。いま一つは、これは、われわれの側ではありませんが、政府の側から考えても、七月には参議院選挙が行なわれる。まさに、保革逆転するかどうか、天下分け目の戦いが行なわれるのでありまするが、それも私は、この三月の石油値上げというものが、たいへん大きく影響してくる、こういう面も総理の胸の中に去来しているのではないかと思いますが、それも含めて、ひとつ偽らざる心境を承っておきたいと思うのであります。
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○
田中内閣総理大臣 経済界との懇談会のときには、真摯な討議を行なったわけでございますが、これは何がなんでもすべてを上げない、こういう申し合わせじゃないわけであります。これは便乗値上げその他が指摘をせられておったときでありますので、業者が独自で、どんな場合があっても上げてもらっては困りますよ。しかし、石油問題もあるじゃないですか。あっても、政府との間に、届け出をやるとか、意思の疎通を十分はかって、内容も全部出してみて、それで、これを押え切ったら、税金でも補てんをしなければならぬのか、税金で補てんをすることがいいのか、いや、それは応益負担でもってやってもらったほうが、国民のために最終的には利益になるのか、そういう判断も待たずして、いままでのようにやられては困りますよ。ある意味では、少し石油が高くなりそうだということで中間マージンまで上げたというのが、事実じゃありませんか、そういう事態を再び繰り返しては相なりませんよと、こういうことでございますが、ここらはひとつすなおにお考えいただきたい。これは角をためて牛を殺すということになって、バスもハイヤーも動かなくなってしまうということであれば、国民生活自体をおかすことになるわけでありますので、そういうことを言っているわけではないということは、ひとつ御理解をいただきたいということでございます。
それからもう一つ、石油問題、新聞に報道しておるのは読んでいますが、私の腹がまだ全然きまってもおらないのに腹ができておるというのは、自分の戒名を見ているようでして、小
野田さんが自分の位はいを見るようなことでございまして、私は、いろいろな見方があるんだな、こういう考えでおりますが、私はまだこまかく報告を受けておりません。これは、少なくとも経済企画庁や農林省や厚生省、いろいろな省庁で連絡をして、農林物資に対してはこういう状態になる、それから国民の足はこうして確保できる、財政負担もなくて済むのか、また日銀の特融をやらなければいかぬのか、場合によっては税制上の改正案を出さなければいかぬのか、商法の特例法の御審議を願わなければならぬのか、そういう問題を全部広範に詰めて、そうして閣議の決定に持ち込んでほしい、こういうことを言っているわけでございまして、私自身は、いまほんとうにすなおに各省の意見を十分に聞いて判断を求めたい、こういう考えを持っているわけですから、まだ、いつということは申し上げられませんが、いま申し上げたとおり、業界が言うと、便乗値上げというような事前値上げは三百億にも満たないものだ、二百三十億ともいい二百六十億ともいい、三百億ともいう、ラウンドにして三百億。通産省は四、五百億はあるでしょう、野党の皆さんは千百億くらいある、こう言っているわけです。野党の皆さんの言うことを千百億としても、一日八十億ずつとして、三十日引っぱれば二千四百億赤字になっているわけですから、そうすると千百億を除いても、もう罰は——罰というわけはありませんよ、法律はないのですから。しかし、ちょっと値上げをしたためにえらい押えられておる、こういう事実は十分あるわけですから、これは国民も理解がいただける状態にはあると思うのです。
だから、そういう意味で、これからも石油の供給量が減るのかふえるのか、それが少なくとも価格は上がるのか下がるのか、上がった場合は、とにかく何とかおくれて少しずつ上げるにしても、下がったときには、直ちにこれの決定価格を下げられるようなそういう体制まできめてでなければスタートできないのです。今度は非常に慎重なんです。
そういう意味で、政府が慎重であるために、業界は、熱いトタン屋根の上などというんではなくて、もう油でもっていられておるような状態である、こういうことも承知はいたしておりますが、ただ意地になって延ばしておるというんではなくて、確実な目張りが具体的にどうできるかということを、日夜各省で詰めておるのが実態である、こういうことであります。
あなたはいま、国民的な気持ちになって、国民もそう思っているし、なかなかものわかりのいい、理解ある政治家としての御発言もいただきましたが、参議院選挙を前にして、にもかかわらず価格を是正しなければならないとしたならば、これはもう公のための公益を守る真にやむを得ざる処置、こうなんだなぁと、ひとつ御理解を賜われればはなはだ幸甚でございます。
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○
小林(進)
委員 私は通産大臣にお伺いいたしたいのでございますが、ともかく、いま通産省が値上げのための作業の原案をおつくりになって、あるいは一キロリットル九千百円台等の原案をおつくりになっているということでございますが、いま国民が知りたいのは、それほど値上げをしないための赤字——いま総理は、一日八十億というようなお話をなさいましたが、それほど赤字なのならば、そこにくるまでの黒字もあるだろう。いま総理は、それぞれ二百億なり四百億なり、野党は千百億と言っているじゃないかというお話がございましたが、通産省は、赤字だ、赤字だから値上げを早く進めなければならないということで、昼夜の分かちない作業を進めていらっしゃるならば、その前に、今日までに至る黒字の実態も正確にもうおつかみになっているんだろうから、赤字と黒字両方を客観的につかんだ実態を、ひとつ明らかに教えていただきたい。これが通産大臣に対する質問であります。
-
○中曽根国務大臣 元来、石油企業というものは、薄利多売で、収益性の少ないものでございました。
過去三年ぐらいを見てみますと、一般の産業界、企業が五%ないし四%ぐらいの利益をあげておる、利潤をあげておるのに対して、石油企業は一・六%とか、せいぜい二%ぐらいの利益をあげておった。したがいまして、配当もそうよくはなかったというのが現状で、中には、外資系でいいのもございますけれども、概して民族系はよくないというのが一般的通性でございました。
それで、昨年のいわゆる下半期の石油危機に際して通産省が大体大づかみにつかんだところでは、これは大づかみということで、正確な数字でないという前提で申し上げたいと思いますが、まず五、六百億利益をあげたのではないかとわれわれは踏んでおります。それで、その後十二月における元売り仕切り価格がキロリットル一万四千何百円という数字でございますが、一月以降はそれが二・二八倍に原油価格は上がりました。それで外国の例を申し上げますと、一月十一日以降二月下旬までに、イギリスもフランスもドイツもイタリアもみんな八千円から一万一千円ぐらい上げております。日本の場合は、十二月末における原油の貯油量、製品及び原油のいわゆるストックを見ますと、たしか五十七日分ぐらいあったんではないかという記憶がございます。そうすると、ストックで一月以降もそれが使われる、それが終わるときに、完全に新しい石油が使われる、高い石油になる。それまでは両方が混交いたしますから、いままではバーレル四ドル三十セントといわれるものが、五ドルになり六ドルになり、最終的にはそれが十ドル近くになる、だんだん上がっていくわけでございます。それで大体はじいてみますと、今日の時点におきましては、全部いまや赤字になっていると見ていいと思います。
その中で、たしか二月の初旬の数字におきまして石油企業の赤字がどの程度であるかといいますと、民族系四社の例を見ますと、概算千三百億程度のものであったのではないかと記憶がございます。それに対して外資系八社が約六百億程度の赤字、これを見ましても、いかに民族系が負担が多いかということがわかります。この理由は、大体外資系はメジャーズから安定供給で石油を入れておりまして、この油は低い、値が安いわけです。民族糸は、いわゆるDDオイルという、産油国の政府が売り出したのをやはり買わなければならぬというので、入札で入れておるものですから、キロリットルにして四千円ぐらい高い原油を買っておる。したがって、原油価格が非常に開いてきております等々の理由によりまして、民族系に非常に負担がきておるというのが現状でございます。
-
○
小林(進)
委員 第一、通産大臣の御答弁を承って私ども納得できないのは、赤字のほうの計算はばかに詳しくいらしゃいますけれども、黒字のほうは概算五、六百億円だという大づかみの勘定しか持っておいでにならない。これが国民みんなの通産省に対する不満なんですよ。赤字の計算よりも黒字の計算をもっとしてもらわなければ困る。
だから、国民は見ておりますでしょう。たとえていえば、話は繰り返しになるかもしれませんが、四十八年九月期の決算期におけるこのものすごい石油業界のもうけというものは、まさに、これは爆発的だといわれる、繊維が一番もうけて、半期七・七倍の利益をあげておる。石油は前期に比較して四・四倍、もうけの第二は石油だといっておる。これはまだ国民の頭の中に深く吸い込まれておるのですよ。これは九月の決算期だ。ここには三月の決算はまだきておりませんけれどもね。そこへもってきて、どこの企業も、年末になれば、年末闘争等を通じて、労働組合は年末のボーナスをもらっているのでありますが、石油業界だけでございましょう、その年末や年度末の期末の賞与のほかに、みんなこれはいわゆる特別の賞与をもらっておる。石油各社が特別手当を出しておる。総評の幹部の諸君も話しておるけれども、総評傘下でも、こういう年末や年度末の間に、四十九年の一月とか二月の間に石油企業の各社だけがこういう手当を出しておるなんということは、総評の長い戦いの中でも経験したことがないと言っておるのです。
私は、時間もありませんけれども、これをみんな申し上げましょうか。そうして各社は出しておいて、そして、世間体もあるんだから、外部にはこの特別手当を出したことを内緒にしておいてくれということを、組合の諸君に企業側から申し込んだり、あるいは他の労働組合では、組合としては特に要求していないのに、こういう特別手当をくれたんだ、油不足で大きくもうけたためだろうと思われると言って、組合の諸君もあっけにとられている。また、某社は、会社側はこれを社外秘にしてほしいと言ってきたけれども、組合では、そんなことは筋が立たないからと言って、それを社外秘にするのを断わって、私どもこれを発表するんですがと言って、組合の諸君の談話も出ている。一社や二社じゃないんですよ。そういうようなことが、この石油の不足、つくられたる不足だ、その中で国民の怒りが心頭に発しているときに、あの総評傘下の労働組合も経験したことがない、年末のボーナスでもなければ夏期ボーナスでもない、何かわけのわからない一時金が一月か二月にぼんぼん出ているというのでございましょう。それが三月期も迎えないのに、これからまた石油が赤字で、いまあなたのおっしゃるように、やれ民族系が千三百億円だ、やれ国際資本のほうが六百億円の赤字だなんて言われたところで、国民は一体まじめにその説明を受け取ることができましょうか。
大臣、石油企業以外に、こういう特別賞与の出た企業は、一体ほかにございますか。
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○中曽根国務大臣 たしか、十二月から一月にかけまして、石油企業三十社の中で約十三社が、そういうように、いわゆる大入り袋らしきものを出したようです。これは調査いたしまして、各社が幾ら出したという調査もちゃんとできております。ほかの社でそういう例があったかどうか、私、まだつまびらかにいたしておりません。
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○
小林(進)
委員 通産大臣は三十社とおっしゃいましたけれども、三十社というのは、吹けば飛ぶような中小企業の商社が出しているのではない。これはみんな、わが日本に出入する年間二億七、八千万トンの大半のものを扱っている石油企業だけです。こういう人たちが、これほどはなやかなことをやっておきながら、赤字だと言われたところで、それは私ども信じ切れるものではないから、そこで通産省にお尋ねするのは、まあまあ値上げ値上げと、赤字でお騒ぎになる前に、たとえていえば、あるいは中には特定の赤字会社もあるじゃないか、あるいはその救済策として、つなぎの融資とか、あるいは税制上の優遇とか、まあ商法改正などという処置は急場に間に合いませんけれども、そういうことも考えられているのかどうか。値上げは最後でいいと私どもは思う。そのほか、三月中に開かれる石油の輸出機構、OPEC、これはけさの新聞によりますというと、なかなか問題が複雑で、この
会議も開かれそうもないようでありますが、それらの動向をながめたり、また、他の基礎資材や生産関連にその値上げが一体どう影響していくかということ等も考えて、さらに打つべき手はないのか。従来の見通し、石油は一体下がるのか上がるのかということも、いろいろの要素が加わってくると思いますが、しかし、そういうこともみんな研究されておるのかどうか。通産省は、そういうことをおいて、何とか値上げ値上げの先頭になっておやりになっている。その姿勢がいかにもわれわれは納得できない。
これは国民代表の声でございますから、この点もお答えをいただきたいと思います。
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○中曽根国務大臣 われわれも値上げはできるだけ回避したい、そういう考えで進んでまいりました。内閣も同様でございます。ところが、石油は非常な国際性を持っておる企業でございまして、外国がすでにみんな上げておる情勢で、日本が上げないでいまの情勢が続くということになると、日本に約七〇%の石油を供給しているいわゆるメジャーズという外国石油企業が、損をする日本に石油を供給するのを減らして、もうかるほうへどんどん持っていく、そういう気配が、必ずしもないとは限らぬ情勢が出てきたわけでございます。
外国の石油企業にしてみれば、指令一本で、この船はあっちへ持って行け、この船はヨーロッパへ持って行け、指令一本で何億という赤字が出たり黒字が出たりするところでございますから、そういう誘惑にかられるということは、当然考えられることであります。
そういう気配が出てきましたので、日本のインフレをおさめるためにも、これはできるだけ物資を豊かにしておく必要がある。もし石油がまた極度に不足するということが出てくれば、また心理的パニックが出てくる。そういうことが出てきてから手を打ってもおそい、そういうことが、まず一番頭にあるわけであります。だから、必要最小限度の石油というものは安定的に供給されるという、国民に対する安心感を与えておくということが、為政者としていま非常に重要になってきたと思うのであります。この十一月、十二月、正月にかけての石油パニックのわれわれのやり不足のところをもう一回繰り返してはならぬという反省が非常にあるわけでございます。
それから第二番目は、外国がみんな石油を上げたところに、日本だけが押えておくというと、ただでさえ日本の輸出に対する疑惑が出てきておるところであります。だから、日本は、輸出を促進するために、国家が補助金を与えてダンピングをやるのではないか、こういういわれなき批判が外国から出てくることもわれわれは考慮しなければなりません。これは石油が持っておる非常な国際性からきておる点でございます。
そういう点も考えてみまして、ある程度必要最小限やむを得ないところは、国民の御理解を願って、ぎりぎりのところはひとつ御協力願おうというのが、通産当局の意見で、そのためには、まず去年下半期に便乗値上げでもうけたものは、全部吐き出させる。約五、六百億と推定しています。業界は二、三百億といっておりますが、われわれは五、六百億であると精査をいましております。
それから第三番目には、石油企業が三月決算において黒字を出すべきでない。したがって、これは当然減配ないしは無配にいくべきである。それから重役賞与その他は自粛して、国民の皆さんに対して、過去の行ないに対する反省をまた現実に実証して見せるべきである。それからさらに、内部留保も、従業員の退職引当金のようなものは残す必要があるけれども、それ以外のものは、土地を売るとか不動産を売るとかいうところまでやっても、もう鼻血も出ないという情勢を国民の皆さんの前にお見せする。その上で、やはりこれだけは必要だということをお見せしよう。
ただ、三月決算というのは、五月にならぬと出てこないわけです。そういうわけですから、三月はまあ仮決算ということで、適当な時期にそういう実態を国民の皆さんにお示しして、そして御理解を願うというやり方で進めたいと思っておるわけでございます。
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○
小林(進)
委員 外国の値上げの例をもって、だから日本も値上げをしなければならないという説には、私はまだ了解を得るわけにはまいりません。
いま国民が一番おそれていることは、石油のパニックとおっしゃったけれども、あのパニックはいわゆるつくられたものであるということが明らかになった。ふたをあけてみたら、石油は不足だ、二割も二割五分も不足だ、半分もなくなると、通産省が先頭になって国民にうその宣伝をして歩いた。そして、国民自身が、まさに一億国民が敗戦のときのような動乱の中に巻き込まれて、その通産省の宣伝のために死んでいった、自殺していった者も、現実に犠牲者は出ている。ところが、ふたをあけてみたら、何ですか、ちっとも不足していない。一昨年よりはむしろ去年の輸入量が多い。正確な数字は忘れましたけれども、二億七、八千万キロリットルも入ってきている。非常に豊富だということがわかった。つくられたパニックであった。つくられた不足であった。
その通産省を踊らせた元凶はだれだ。通産省自体が、独自の資料を持っていない。調査網を持っていない。石油連盟を中心とする企業の偽りの宣伝なんだ。うその宣伝をそのままのまさせて一億国民を踊らせた。いままた値上げをするというそのときも、石油の原価が二・二八倍になった。やれ十ドルになったというけれども、その資料はどこから出たんだという疑念が通産省にあるんだ。またつくられたパニックと同じような手を、夢よもう一度で、いわゆる通産省と企業の癒着です。通産省は、これまた企業の先頭になって、ある石油がないというあの手を出して、もうかっているものも、もうからないもうからない、これほどの赤字があるんだというその先棒をかついで、また国民を二度この大きな値上げのために苦しめようとしているのか。その手は食わぬぞというのが、実は国民の怒りの声なんですよ。
そこで、私は先ほどから言うように、そんなに赤字だ赤字だというならば、赤字になる前に、黒字になっている実態もなぜ正確につかまないか。黒字のほうになったら、企業は二、三百億円だという、通産省は五、六百億円だという、野党のほうは一千百億円だという。何にも実態をつかんでいないじゃないですか。それじゃ、通産省は企業のお手先だと言ったところで、それを否定する根拠が一体どこにあるのかというのが、われわれが実はあなたに問いたい根拠なんです。いいですか。
そこで、私はさらに申し上げますが、一体値上げ幅は幾らにするのか、まず値上げ幅からひとつ聞いてまいりましょう。時間もなんでありますから聞きますけれども、何か、通産省は、けさの新聞では、一キロリットル九千百円台を考えておられるが、自民党の関係者は、参議院選挙もあることだから八千円ぐらいにひとつ押えようじゃないかという動きもあるかのように聞いておりますが、一体その値上げの幅と基礎をどこからお出しになったのか、まず、それからお聞かせを願いたいと思うのであります。
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○中曽根国務大臣 まず、原油の値段をどう押えているかということでございますが、これは少なくともいままで過去にわかった分は、すべて税関で、原油が通過するときに、ミナスの原油、あるいはアラビアンライト、みんな品物別に値段をそのとき申告して、税関がそれを検証してやるわけです。それで全部チェックしておりまして、大体どの会社に、総原価にして幾らの石油が入っているかということを押えて、そして十一月、十二月あるいは一月等において、幾らでそれが売られたかという計算をして、差額幾らもうけたかというのをつかんでおるわけであります。ですから、各会社別にどの程度もうけたかということも、実はつかんでおります。
そういうことで通産省が把握したのは、約六百億円という数字であります。これがいままで税関を通ってきたものにつきましては、全部やっておるわけであります。したがって、いま石油の原価が幾らしているかということは、一応税関を通った分については、把握しております。そして、各会社ごとに、いつまでその古い油が続いているか、いつから新しい油に、総平均法で計算しておりますけれども、移行しつつあるかという水準を見て、そして、総原価における元売り価格というものを全部はじき出してやっておるわけであります。
そこで、大体どの程度の値段にしたら、六百億の利益を全部吐き出し、それから不動産その他まで売り、重役賞与も辞退し、あるいは、さらに減配ないし無配までやらせるという水準を、いまいろいろ検討しておるというのが実情であります。しかし、幾らにするかということは、これは国民経済全般の基準になることでありまして、非常に重要な問題でございますから、各省間に、いまのように合理的に、純経済理論的に詰めをやらしておりまして、いま幾らだということを申し上げることは、なかなかデリケートなときでございますから、通産省の試算の数字も、公式には差し控えさせていただきたいと思います。
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○
小林(進)
委員 私は、通産大臣が、いわゆる通関を通じてその数量をとらえ、価格をとらえ、それをまた輸入をした企業が、その通関のときの価格をどれくらいに卸値にして、どれだけもうけて、どれだけ利益をあげているかということを詳しく調べているとおっしゃったが、それぐらい数量や価格を、通関を通じてお調べになっていたら、あれほど豊富に入った石油が、日本にはこれほどなくて、一億の国民が総踊らされて、死の苦しみを味わうような、ああいう石油騒動は起こらなくて済んだと思うのだ。
なぜあれが起こったか。われわれの調査によれば、通産省は何にもやらない。いわゆる石油連盟や石油の企業からストレートでくるその資料だけを集積をして、そして合計をとって、それを通産省の資料にして、その上に乗っかったからこそ、そういう踊らされた、いわゆるつくられたこのパニックのためにみんなが泣かなければならなかった。明らかでございましょう。そうじゃないのですか。
これは、いつから一体通産大臣はそういう正確に石油連盟や企業の手を離れて、通産省独自のそういう調査をするようにおやりになったのか、私はそれをひとつ承っておきたいのであります。
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○中曽根国務大臣 昨年末の事態は、はなはだ遺憾な事態でございましたが、あの当時は、日本だけでなくて、世界じゅうが騒然と騒いで、あわてた時代でございます。
それで、御存じのように、十月六日に中近東戦争が起きて、そして、たしか十六日か十七日からアラブのほうが石油制限をするということを言って、最初は五%ということでございました。それが十一月に入って、たしか十一月の四日であったと記憶していますが、二五%、それから毎月十二月以降さらに五%ずつ制限を歩増ししていくということが、OAPECの筋として公表されてきたわけであります。おそらく、アラブがOAPECとしてそういうことを言ってきたものでございますから、これはやられるに違いないと思って、それに対応する身がまえを各国政府がみんなやったわけでありまして、そこで世界じゅうが非常に大きなリアクションに入ったわけです。ただ、ドイツとかヨーロッパの国々で石炭を持っている国、あるいは天然ガスを使用している国、アメリカのように燃料が自給自足に近い国は、それほど大きな影響はございませんけれども、日本のように、ほとんどの、エネルギーのうち七十数%を石油に依存しているという国にあっては、非常に反応度は強いわけであります。それが日本に特に強く出てまいりまして、あの当座は、通産省の規制がゆるい、なぜそんなのったりのったりやっているか、もっと早く、きびしく規制をして、二〇%やれというのが、ジャーナリズムにおきましても、あるいはこの国会の中におきましても、そういう強い議論をわれわれは受けたのであります。これはもう与野党を通じて、そういう非常に心痛した事態があの当時出てきたので、われわれは悪意をもってそういうようなことを絶対やったのではございません。
そして、十二月になりまして、そういう方向でいくと、これは二、三月になったらたいへんな事態になるということから、キッシンジャー氏が日本へ参りましたときにも、私らは、いつまでもアメリカが日本に油を供給しないというような状態ならば、独自の行動をとらざるを得ぬというところまで私たちをして言わしむるという、そういう緊急な事態にまで立ち至ったわけです。そして、あらゆる外交的な努力を尽くしまして、三木さんにも中近東にも行っていただくというような非常手段まで講じまして、十二月になってようやく、日本は友好国として扱われる、そういうことになりまして、それから石油の供給がふえてきた。
それで、十二月におきましては、十二月は、初めは一六%減ぐらいだろうと一応計算しておりました。これは入荷状況を見てそう申し上げたのです。石油会社のほうは二二、三%と当時言ってきたわけでございます。しかし、われわれのほうは、非常に慎重に見守りながら一六%であると考えておりましたが、十二月二十日、この国会で石油二法を御審議願っているあの時点になりますと、これは二〇%程度までやらねばならぬだろうというふうにわれわれも判断せざるを得ぬ事態になりました。しかし、その二十日ごろから入着状況を各船ごとに調べてみますと、二十五日ぐらいになりまして、かなりこれは入りつつある、そういうわけで、もう少しこれはしばらく見たほうがいいという考えに立って、初め正月元日から二〇%の電力及び石油の規制をするというのを、正月は延ばして、そして一月十六日から電力について一五%、石油はそれでも一〇%ということで、延ばして様子を見たというのが、あのときの情勢でございます。
この十二月の初旬、中旬、下旬におけるOAPECの動向と世界の反応と、日本国内における石油の需給状況というものは、いまから考えると冷静に考えられますが、あの当座の状況を見ると、通産省は手ぬるい、もっとびしびし規制しろということを、新聞でも何でも書かれ、野党からも御叱責を受けたというような情勢なのでございまして、これはいまから申すと弁解じみて聞こえますが、実はわれわれとしても、必死になって対処しておった次第なのであります。
-
○
小林(進)
委員 私も時間がありませんし、まだほかの質問を用意しておりますので、この石油だけで時間をとるわけにいかないのですが、どうもまだ、通産大臣の御答弁には満足できないのであります。
ただ一つ、私はちょうだいいたしますのは、いわば三月期の決算期であります。決算期には無配にせい、いままだ四割もやったり、たいへんな景気で、含み財産なんというものは、留保している財産なんというものは、ばく大にあるような企業はたくさんあります。そういうものを無配にしたり、留保せられているような準備金や手当金を全部吐き出させる、それだけは私は賛成であります。それは必ずやっていただいて、国民が納得するように、全部パーパーと裸にしてもらいたい、これほど悪いことをやった企業でありまするから。
これはどの国といわぬけれども、社会主義国家なんかに行ったら、こういう悪いことをした企業なんというものは、これは死刑ですよ。あなたも法科出、私も法科出だ。人を一人殺したなんというものは、被害法域はたった一人だ、そんなのは。小さな問題のようですけれども、社会主義国家なんかへ行くと、被害法域の大きさによって、罪は重いのだから、一億国民を全部被害者にしたこの罪悪などという、この経済犯罪などというものは、極悪非道としてこれは死刑になるんだ。死刑なんというものじゃない。これはつるし首だ、つるし上げにしちゃうんだ。これは日本は自由主義国家でありがたい。自民党が天下をとっておいでになりますから、こういう悪いことをした石油企業なんというものは、あるものもないと言って、不安、動揺を与えて、そして人間を自殺に追い込んだりしたのでありまするから、被害法域なんというものはばく大な、はかり知れない天下罪悪人なんだけれども、あなた、それを弁護しているような話ばかりしておいでになるから、私もおもしろくないのでありまするけれども、弁護しちゃいけない。
だから、そういうものは、私はそれで結論を言うが、それくらい全部利益を吐き出して、無配にもするというのなら、その実態をながめてから値上げしたらどうですか。だから、三月の決算期の前に値上げをするなんて、まだわれわれは、彼らは黒字を吐き出すか、吐き出さないか、まだみんな方々で財産を隠しているのじゃないか、三月の決算期の始末に困って、こうやってないしょにしてくれやと言って、その特別の賞与などをみな与えて、利益の処理に困っているのだというのが、国民感情です。それをまだ決算期の来ないうちに、もう赤字だ赤字だ、千三百億円の赤字だ、八百億円の赤字だ、早く値上げをしなくちゃならぬといって、昼夜の分かちなく値上げの作業を通産省がしているなんというから、われわれは痛くない腹も探らざるを得ない。あなたは人格、識見りっぱですから、そんなことを言っちゃ失礼でありまするけれども、これは通産大臣やると、たまたまこれまた政治献金がばさりばさりと行くのじゃないかなどという、そういうしがない恨みどもの風評も出てくるというのも——そういうことをあなた、きちっとやはりやってもらわなくちゃいかぬ。ほんとうにあの山下通産次官、おまえたちは悪者だと言ったら、その悪者退治を徹底的にやって、なるほど気持ちのすくほど通産省やったわい、なるほど裸にしたわい、そのあとに、しかし正直な者はめんどうを見よう、まあ特別金融もしてやろう、特別めんどうも見てやろう、その他中小企業の特別保護もしてやろうという、こういう形ならば、国民も納得する。
なぜ一体その手段がとれないのか。あなたは外国の例、外国の例とおっしゃいますけれども、外国の例は日本の例にならない。外国には、こんな時局に便乗して悪いことをやる企業はいませんから、だから、外国も物価が上がっている、総理もおっしゃった。これは世界的な物価値上げだとおっしゃるけれども、世界の物価の値上げと日本の物価の値上げは違うじゃないですか。一年間に卸売り物価は四〇%近くも上がったり、三四%、五%ですか知りませんが、総理が御就任になってからもう四〇%近く上がりました。それから消費者物価が三〇%も上がったなんて、そんな例が世界のどこにありますか。これは日本だけの特有のインフレだ。それをつくり上げた元凶に、こういう悪者どもといってはなんでありまするけれども、石油企業なり石油業界なんというものが大きなファクターをなしておるのでありまするから、それをやっぱり明確にしてもらわなければ了承できない。そのためには、私は具体的に言いますけれども、今度値上げをするための値上げの算定基準というものを明らかにしていただきたい。いいですか。企業はそれを言っているんですよ。これは私がしゃべったんでは質問にならないんです。みんなにしゃべるなしゃべるなと言われるのでありまするけれども、時間がないからしゃべらざるを得ないのでありまするが、あなたは、科学的にみんな輸入価格をとらえていると言っているのですけれども、われわれは人を介して通産省に行ってもらった。いま通産省は値上げすると言っているけれども、一体、その資料はどこから持ってきたんだと言ったら、いや、これは石油連盟からの資料だよという返事がはね返ってきた。さもありなんと私は考えた。あなたは、国会の答弁の場所では、何か特有の調査機関や資料収集機関を設けて、通産省独自で、ちゃんとみんな卸値から輸入価格を調べていらっしゃるようなことを言っていますけれども、人を介して通産省の官僚に聞くと、いや、これはみんな石油連盟からの資料なんだ。これでは、どろぼうになわをつけて人を縛らせるようなもんじゃありませんか。今度は企業のところに行って、石油連盟の資料は正確かと言ったら、とんでもありません、われわれ企業は、石油連盟に決して正確な数字出せませんよ。たとえていえば、自分たちが輸入した量の五%なり六%なり、ちゃんと減らして石油連盟に報告しますよ。だから、あそこから出てくる数字なんか、企業の実態を正しくとらえた数字ではありません。そういううそ、キツネとタヌキのだまし合いで出た、それに乗っかって、またこれ値上げをしようなんて、国民は命が幾つあってもたまりませんよ。
だから、そこら辺をいま少し通産行政の上に責任を持つためには、私が先ほどから言っているように、値上げ幅の算定の基準は何か。いわゆるもととなるスタンダードの数字をきちっととらえてもらわなくちゃならぬと私は言っている。これは新聞ですが、あなたはうそだとおっしゃればいいけれども、新聞の報道によれば、「値上げの基準となる価格は四十八年度上期の各社平均をもとにその後の原油価格事情を厳しく査定して決める作業を進めている。」みんなやっぱりこれ各企業の資料がもとです。うそでまとめたものが資料の根底です、スタンダードになる。これが困ると私は言うのです。これでは国民はたまらない。各企業によっては、輸入してくる石油も会社も違うでしょうし、値段もみな違うのでしょうから、それは困難だろうけれども、それはきちっととらえて、どこどこの資料を使い、独自の調査の上に立って、正確なひとつ値上げをしていただきたいというのが結論でありまするけれども、どうですか、大臣。
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○中曽根国務大臣 それは一番大事なポイントでございますが、大体石油連盟にはそういう資料はないのです。持っているものは、大体企業が独自に持っておって、これは外へは出さないというのが、そういうものです。しかし通産省としては、一方においては、税関を通過するときの値段を全部調べておる、それから、一面においては企業からも報告を徴しておる。調べて、両方突き合わせればわかるわけであります。そういう形によりまして、その根拠を、基礎を一番明らかにして、その上に立ってすべてのいろんな計算をやっておるので、国民の皆さま方には信頼していただける数字を基礎にしてやっておるつもりでございます。
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○
小林(進)
委員 予定の時間が過ぎましたから、私は残念ながら、石油からよそへ問題を移しますけれども、その基礎資料だけは、大臣、ひとつほんとうに国民が信頼するようなきちっとしたものをつくっていただきたいと思います。そうして、その基礎資料に基づいて、まず黒字で幾らもうけたか、概算五百億だの六百億だの言わぬで、われわれもちゃんと科学的な基礎資料をもって最低一千百億円もうけているという数字を出しているんですから。企業は二、三百億円といっている。そこら辺はまずきちっと出して、その赤字の数字を出す前に、黒字でどれだけもうけたかというのを出していただいて、そして、願わくは三月の決算期をちゃんと認めて、そこで吐き出すものは吐き出してから値上げをするという、その順序をどうしてもやっていただきたいということをくどくお願いを申し上げます。
同時に、これは簡単でよろしゅうございますが、他の物価への波及の防止策、上げた場合の防止策通産省ではメーカー、卸、小売りの三段階で、二百の品目を値上げ抑制の理由とするということを言われておりますが、そういう具体策、石油の元値を上げておいて、それは一体可能なのかどうかこれもことばだけの問題に終わるのではないか、考えますが、御自信がおありになりますかどうか。
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○中曽根国務大臣 この点は、総理からも一番聴くわれわれが指摘されて、日夜努力しておるところでございまして、もし将来、石油の価格を上げるというような場合には、元売り仕切り価格、それから大体重要な油種別の価格を行政指導価格としてこれを公にして、そしてそれを守らせる、そういうことをやるつもりでおります。
そして、その行政指導価格に基づいて、いろいろな原料品その他のものができてくるわけでございますけれども、これは原則として、通産省の指導以上の価格は認めない、あるいは凍結しておく、もし将来必要やむを得ざるもので、どうしても上げなければならぬというものが出た場合には、事前届け出で審査をして、そして、特に限定したもののみについてこれは認める。自由に、かってにやらせない、そういう方向でいま行政指導を進めております。石油については、油種別にそういうことをやりまして、それがはね返って、ほかの物資にいく場合にもいまのようなことをやり、さらに、末端価格につきましては、これはいま通産省関係では大体四十品目ぐらい、子供の用品とか医療品とか、そのほかに至るまでやっておりますけれども、これも値上げを抑制する、現状でやってもらう、そういうことで、プライスリーダーとなるのはデパートとスーパーであります。デパート協会及びスーパーの協会について私も直接お願いもし、協力しますということを約束してもらっており、さらに、小売り店その他につきましても、商工
会議所や商工会やそのほかの団体について、同じようにいま協力を要請しておるわけでございます。
それと同時に、一番大事なことは監視体制であります。この点については、国会からも非常に御指摘がございまして、われわれも遺憾な点がございました。
そこで、今回は監視体制について通産省としては万全の策を講じようというので、いま相当な人間を動員してそちらをやろう、この際は、こういうときだから、物価を上げさせないというところに通産行政の主点を置いて、国会のほうで忙しいかもしれぬけれども、できるだけ大ぜいの人間を街頭へほうり出そう、そういうわけで、特許庁からも工業技術院からも事務屋を出せというので、相当数の人間を巡察隊みたいにしながら、関係各省と連絡をとって物価を監視するという体制をつくり上げ、これは各省庁とも同じように、かつ、地方団体とも連携をして、遺漏なき体制をつくろうと思っていまやっておる最中でございます。
-
○
小林(進)
委員 私は、まだこの石油問題については、非常に多くの質問を実は持っております。
たとえて言えば、指導価格とおっしゃったが、これを凍結する、やむを得ないときには、事前の届け出をするということは、これは別なことばで言えば、価格の管理であります。もっと別なことばで言えば、統制であります。こういう自由主義経済の基本を忘れて統制経済に入った、入った場合に、それが一体短期で終わるのか長期で終わるのか、一たん統制に入れば、なかなかそれはもとへ戻らない。それが長期でいった場合には、一体日本の経済体制はどうなるかという基本的な問題もあります。また、あなたは指導価格とおっしゃったが、その指導価格も、指導するからには政治の介入だが、そのときにどこで一体落ちつくか。それは標準価格の問題と同じでありまして、おそらく高いところで統制的に価格がきめられる。いま若干鉄棒等も下がっておりましょう。あるいは小型の鉄棒やセメントなどがいま値くずれを起こしておるけれども、こういう業者は、政府が介入して価格を統制してくれることによって、指導価格をきめていくことによって、むしろ救われるというようなことも考えられる。あるいは一定の価格を維持して、そして管理体制を続けていくためには、どうしてもわれわれの一番警戒しなければならぬ所得政策に道は通ずる。いろいろの問題が考えられるのでございまして、私はそれをもここでひとつ突きとめてみたかったのでありまするけれども、残念ながら時間がありませんが、繰り返して申し上げます。
石油の製品の価格は絶対にひとつ——絶対やるなというわけにはまいりません。慎重に加うるに慎重に、延ばし得るものは一日でも二日でも延ばす、最低限、ひとつ各石油メーカーの企業の決算の実態をながめてから、国民の納得する形の上で値上げの処置をとる方向へ行っていただきたい、これを強く要望いたします。
同時に、油種の問題であります。これも時間がありませんから、かけ足で申し上げます。いわゆる油であります。油は、私は専門家じゃありませんが、御承知のとおり油種は一つだ。トッパーという常圧蒸留塔に原油を入れるのであります。重さによってガソリンが出たり、ナフサが出たり、その下へ重油のCがたまるということで、これは加工も何も要らない。一貫作業でできてくる。そのでき上がったものが、価格の点においてはたいへんな開きがありますな。そうでありましょう。たいへんな開きがある。ガソリンに至っては、四十八年八月の私の統計ですけれども、一キロリットル一万七千円、得率においては一〇・八%であります。これは重油のCが約四〇%くらいでき上がるのでありますけれども、もとは一緒にできちゃうんですね。加工料なんか何も要らない。そういう中で、ガソリンと軽油だけは税金をおかけになる。ガソリンにはいわゆる税金を一キロリットル二万八千七百円もおつけになりますから、たいへんこれは高いものになっちゃうし、軽油には一キロリットル一万五千円、これは地方税でございますけれども、税金をおかけになっている。だから、元値を高く売る上に税金をふっかけるから、ガソリンは重油から見ると八倍も九倍も高い値段になってきている。石油の値段は、同じ製造で同じ条件であるガソリンとナフサでも、片一方は一キロリットル一万七千円、片一方は八千五百円、ナフサのほうは値段は半分もいかないという形、しかもこれには税金がかからないから非常に安い。そうして、軽油などといって、農家や農業団体なんかに必要なものには、こうやって一キロリットルに一万五千円も税金をふんだくって高いものを使わせるということで、石油の価格は全部つくられたものです。原料も一つ、製品も一つ、製法も一つ、それがこれくらいつくられた価格の変動の大きいものはない。この際、石油の各種の価格、油種の価格というものをいま一度洗い直して、根本から考えてもらう必要があるのではないか。これが一つです。これにもし御答弁があれば、御答弁をちょうだいいたします。
いま一つの問題は、これは総理大臣がおやりになったのでありますが、目的税で、ガソリンの消費税でありますが、いま一年間に一兆五千億円くらい入ってくる。これが道路のために使われておりますけれども、もはや経済成長政策をやめて、福祉経済——あとで質問申し上げましょうけれども、特に国民の格差をなくする、公平な分配をする、政治は正しく公平でなくちゃならぬなどとうまいことを言われているけれども、このインフレのために、国民各層における差というものはたいへん開いてしまっている。戦後最大の開きでしょう、このインフレの経済下の中における国民生活、所得の差、生活環境は。このでこぼこをどう直すかというために、ガソリン税から浮かび上がってくる一兆五千億近くの金を、低所得者や気の毒な人々の環境整備のためにお使いになるという勇気ある福祉政策をおやりになる考えがあるか。これは総理にお聞きいたしましょうか。
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○中曽根国務大臣 まず油種別の価格でございますが、プロパンガスあるいは灯油のように家庭に密着しているものについては、これは現状の価格を維持させるようにわれわれは考えていきたいと思います。そのほか、バスであるとか漁船であるとかビニールハウスであるとか、そういうもので使われるA重油あるいは軽油というものについては、政策的配慮を行なって、ウエートの加重を考えていくべきである、そういうように考えておりまして、これらにつきましても、運輸省なりあるいは厚生省なり農林省、そのほかの関係各省の意見を十分聞いて、合理的な基準点をつくり出そうと思っておるわけであります。
-
○
田中内閣総理大臣 ガソリン税を目的税としておりますが、これを社会保障費に転換したらどうか。これは、社会保障というのは、先ほども申し述べましたとおり、社会保障長期計画をつくりまして、これは最重点の施策として十分推進をしてまいりますということでございまして、ガソリン税をこれに振り向けるということは、全く考えておりません。これはガソリン税でなくとも、国民の税金で国民が十分理解をするということでありますので、これはもう当然やらなければならぬことである。
まあガソリン税というのは、
昭和二十八年、道路三法、現行道路法及び有料道路法、道路整備の財源等に関する法律、しかもこの道路整備の財源等に関する法律は、全く超党派で、与野党でもってこれは議員立法でやったものでございます。私が、当時提案者の代表でございましたが、このため、当時年間二百億であった道路費用が五カ年間十九兆五千億、約二、三百倍になったわけでございます。そのために、道路は超高度成長というようなものではない、そのために経済成長も行なわれ、国の国際競争力も培養され、国際収支も改善をされ、国民所得も大きくなり、同時に社会保障が拡大できるような素地ができておるわけでございます。
ですから、お互い、これは新潟県は雪国でございますが、道路をつくらなかったら、これはもう生きていられなくなっちゃって、格差はどんどん開くわけでございます。これは雪の降るところが全国に四九・五%あるわけでございますから、そういうことで、道路は生活の根幹であって、これがもうほんとうに物価の、いわゆる流通経費がどうなるかということが、物価のもとであります。私はヨーロッパに行ったときに、アウトバーン政策をやったときに、あなたの有料道路制度というものと、ガソリン税を目的税にするということを採用しておればこんなにはならなかったということでございまして、アウトバーン政策から鉄道政策に転換をする、そうして俗にいういまのトン税によるものを、近距離は自動車に、中距離は鉄道に、長距離は海運にという全く応益負担の
大原則を、二十年たった今日、西ドイツもとらなければならぬ、こういうことでありますので、私は、この制度というものは、ある意味においては世界に誇るべき制度であって、応益負担の原則を貫くものであって、無料公開の原則に立った道路に有料道路制度が採用されたということと軌を一にするものであって、これをいまやめるのではなく、トン税を賦課していって、やはり道路をつくるのは走る人だ、こういうことでなければならないというふうに考えておりまして、変更する意思はありません。
-
○
小林(進)
委員 実は私は、きょうは問題の中心を物価の不公平の問題に置くつもりでいたのでありますが、どうも石油で時間をとって、すっかり質問の計画が狂ったのであります。
これはもうかけ足で、ほんのさわりだけを申し上げますけれども、実はこの予算の審議の当初において、総理はこういうことを言われている。政府は、正直者がばかをみないよう、社会的公正を確保し、企業が不当な行為によって過大な利益を得た者に対しては、法の適正な運用をもって対処する、こういうことで、社会的公正ということをこのたびのモットーにして国民に公約されました。「今日の試練を克服して、協調と連帯の新時代を切り開いていくことは必ずできる」、こう確約をされました。大蔵大臣、あなたはこれを受けて、新しい社会の展望として、物と金とエゴの支配する社会は、過去のものとならなければならない。社会の公正と連帯の中で、みずからの生きる喜びを感ずるような、人間主義にあふれた社会を建設しなければならない、こうおっしゃいました。
経済企画庁長官、パイを大きくすることを先決とする生産第一主義から、社会各層間の分配の公正を、政治の優先目標とする段階にいまは来ている、こう言われた。
三人ともみんなうまいこと、総理のことばを受けて言われたけれども、いま総括締めくくりになって、もはや最後というときに、一体どのような公平な財政と政治がこの四十九年度の予算の中にあらわれておりますか。あらわれておると一体確信せられますか。残念ながら、ないです。むしろ格差は拡大していくばかりであります。きょうのあさの新聞に出ておりました貯蓄五十万円も目減り、勤労大衆が一年間かかって二百有余万円の平均貯金、この勤労者の貯金も、消費者物価の上昇によって、一年間で実質的に五十万円も目減りをしてしまった。ますます格差は拡大していくばかりでありますが、私はこの資料を全部集めてきた。これは全然活用する余地はありませんけれども、最後に私は申し上げる。
大蔵大臣、あなたは一体この租税特別措置による減収額試算の中に、いわゆる四十四年、あなたが大蔵大臣のときにおつくりになったあの土地税の特別措置であります。一〇%、一五%、二〇%です。来年、五十年の末まで持っていくという、あれが実はこの不公平を生む根本をなしているとわれわれは一様に判断しているのであります。土地を売りやすくする、土地を買いやすくする、そして庶民のために、土地を持たせるためにこの法律は絶対必要だというあなたの怪弁につられてやってしまったのですけれども、その後の効果が一体あらわれたですかな。そのために、たいへん不公平だけは生まれたけれども、庶民の夢とする土地は庶民の手には渡らない。みんな大企業の手に渡ってしまった。あるいは特殊の大きなもののところへ渡っていって、それが税の不公平の根本的な原因となっているのでありますが、効果があったとお考えになりますかどうか、大蔵大臣にお尋ねをしたい。
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○
福田国務大臣 効果があったかどうかということになりますと、効果があったというふうに考えております。
つまり、当時の情勢では、住宅問題が非常に大事である、ところが、地主は譲渡益が総合課税されるということにおびえて、なかなか売りしぶる。売る場合におきましても、総合課税を小さくするというために、こま切れで売るというような状態であったわけであります。そこで、長期保有土地につきましては、定率の分離課税にいたしましょう、こういうことにいたしたわけでございますが、その効果がありまして、かなりの土地が放出されたのです。
ただ問題が一つあるのは、その放出された土地、これが大企業等、あるいはその他の金持ちによりまして、投機目的というようなことで買い取られておる、こういう問題があるわけであります。その辺を是正しなければならぬ、こういうふうに考えまして、昨年四月の税制におきまして、法人につきましても、法人がそういうような状況で取得した土地を売り払う場合の課税を強化する、こういうことにいたしたわけであります。
そこで、そういう体制で今日きておるのですが、この税制をどうするかということを、税制調査会でも今回大いに議論をした。ところが、税制調査会では、確かにこれは所得税課税、そういうところから見て、これは異例の措置である、しかしながら、土地放出ということは、これは非常に重大なことである、したがって、この土地税制は、今日この時点で改正すべきものではないというきわめて明快なる結論を出しておるわけなんです。そこで、いまこの税制は踏襲、本年度はこれを改正しないということにいたしましたが、いずれにいたしましても、来年、
昭和五十年度には時限立法のその時限が来るわけなんです。でありますから、それまでの間に十分検討いたしまして、次の通常国会には社会環境の変化等考えて、この税をどうするかということについて具体案を御審議願いたい、そういう心組みをいたしております。
-
○
小林(進)
委員 もういかにも時間がないのが残念でございますけれども、ここには東京都だけの所得階層別税負担率があるのであります。四十七年でありますけれども、現行のいわゆる分離賦課方式と総合課税方式を比較してみますと、ともかくこの資産税、特に土地でありますが、土地の分離課税に基づいて、三千万円から四千万円の人は、これは現に納めている実際の形で出したのでありますが、たった三〇%でよろしい。総合課税ならば六四%を取られるべき人が三〇%、これは東京都の実績を表にしたのであります。そこで、四千万円から五千万円でありますと、総合課税では六七・六%の税金を取られるべき人が、七割近く取られるべき人が、この分離課税のために、いわゆる土地税制のために二七・五%です。うんと土地を譲渡すればするほど、金が入れば入るほど税金が安くなってくるのだ。これはありがたいものでございましょう。これはみんなあなたのおかげでございまして、五千万円から一億円になる人たちは、本来は総合所得税では七二・八%、七三%々税金で納めなければならぬ。それはそうでしょう、これは五千万円から一億ですから。七二・八%納めてもまだ手元にたくさん残るにもかかわらず、この土地税制の特別税法のために二九・四%でよろしい。あとは全部、ぼかすかふところに入る。それで一億円以上の人はといえば、総合所得税でいえば八五・九%税務署に納めなければならぬものを二三・一%、だんだんよけい金が入れば入るほど税金が安くなって笑いがとまらないほどです。その土地税制のために、いまわが日本の金持ちの様相が全部変っちゃって、一億円以上の高額所得者は、まず百人のうち九十何人が土地成り金だ。そうでございましょう。松下幸之助だとかなんとかという少数の人たちが、一番目か八番目か十番目の成り金の部類に入るだけで、九十何人は全部土地を譲渡した人たちだ。あなたがおやりになった四十五年には、宮城県の何とかという人が、一人で三十九億円のお金を入れた。たった一〇%、そのうちの一割だけ税金を納めていれば、あとはもう三十六億円くらいは自分のふところに入ってしまう。その子供を合わせて六十四億円くらいあなたの土地税のために残った、こういう不公平が生じている。
いますぐこれをやめて、いまこの寒空に泣いている、この春闘で泣いている、不公平で泣いているこの人たちのために、ちょっとこれを改正すればいいのです。来年おやりになるやつをことしからやめたと一言言えば、それでぽかっと——一年間で売買される土地の量は、大体十兆円というのが大かたのものの見方であります。経済白書でも六兆円だと見ておりますが、その十兆用の土地が売ったり買われたりされている。その所得を普通並みの税金にまかせれば、いま低所得者や、このインフレのために一番困っているこの人たちの要求が全部通るじゃないですか。低所得者に対するインフレ手当、あるいはスライドの問題、あるいはたった三万円というこのつなぎ資金の問題、これは全部おさまるじゃありませんか。この悪法、これは悪法です、こんなものは。金持ちだけにこれほど優遇をしてやる必要なんか何もない。十兆円も土地を売って、八兆円もふところに入れてぬくぬくとしている者を何で一体保護していかなければならぬのか。しかも、庶民の手には金が一つも入らないのでありますから、せめて、ほんとうに世の中のインフレに基づく不公平を直すというならば、私は数多くは言わない。あなたが大蔵大臣のときに、四十四年からおやりになりまして六年間、五十年の末にこれは終って、また改正をされるといまおっしゃったこの法律を一年間早めて、ことしこれを廃止してくれれば、これは一億国民の中の低所得者や生活保護者や年金生活者はみな助かるのでありますから、これをひとつやっていただいて、せめて泣いている国民に最後の笑いを与えてもらうわけにはいかないかと思うのでございますが、いかがでございますか。
-
○
福田国務大臣
小林さんは、いとも簡単に、これを廃止したら税収がたいへんあがるのではあるまいかというふうにおっしゃいますが、そうはいかないのです。
と申しますのは、土地の売買が今日盛んに行なわれている。これは先祖代々というか、ずいぶん古いときから持っておったその土地を、いままでの税制でありますれば、これを売買したときに総合課税がかけられる、そういうようなことでなかなか売らないのです。生活に困られて売りましょうという場合におきましても、こま切れの売り方しかいたさない、そういう傾向があるわけなんです。
そこで、この分離課税方式が採用されたということになるわけでございますが、今日、これを直ちに廃止する、こういうことになると、そういう長期に保有した人が土地の売り急ぎをいたさない、こういうことに相なりますので、したがって、そこからの税収というものは、これを見ることができない、こういうことになり、したがって、これを他のいろいろ福祉諸施設に使うという議論も成り立ち得ざることになる、かように考えております。
-
○
小林(進)
委員 どうも大臣は、確かに土地を放す面だけを見ていられる。しかし、その放した土地がだれのところにいくのか。その土地の税金をまけて、そのために土地を売りやすくするという目的は、庶民の住宅困窮者の中に、いわゆるサラリーマンや庶民に土地を持たせようという、いわばあなたのおっしゃる切り売りが実は目的であった。ところが、売りやすくしてしまったら、いまも言うように、大きな土地持ちは土地を放したけれども、一方にそれを買っていくのはみな大法人なんです。こうしてこれが投機の対象になって、この
田中内閣、
田中インフレといわれるこの原因は、これがもとになってしまった。そして、大企業は、いわゆる投機の対象で土地の買いあさりをやっちゃった。先ほどから言っておりますように、土地は、一年間に約十兆円売買をされるだろうというのでありまするけれども、それを、さっきも聞いているのでありまするが、なぜ一体この租税特別措置による減収試算表の中にお入れにならないかと言うのですよ。総合所得ならば、一年間で当然得べかりしその租税を、この特別措置によることによって、国がどれだけそれをまけてやったかという数字は、他の少額貯蓄の利子の非課税等々と一緒に、私はこの大蔵省の報告の中に出てこなければならぬと思う。これをつとめて隠しておられるということは、やはり公平の原則を踏みにじって、そういう大企業や大法人や大きな土地持ちだけ、特殊な人たちを擁護しよう、そういう基本的な考えがあるのではないか。
この特別措置に基づいて、庶民のしあわせを守るという方向にひとつもこの法律が生きていない、これを私は申し上げているのでございまして、そういうような目的をはずれて、大衆の生活に奉仕しないようなこういう悪法は、一日も早く私は廃止されたらいいのではないかと言うのでありますが、総理大臣、だから、そのために私はあなたの演説も言ったのです。大蔵大臣の演説も言ったのです。その演説を生かしてください。特殊の金持ちだけに恩典を与えるよつな方策はひとつやめていただきたいと思いますが、大蔵大臣、なぜこの中にこの特別措置に基づく減収をお入れにならなかったのでありますか。
-
○
福田国務大臣 それは特別措置による減収という問題ではなくて、増収がうんと出てくるのです。そういう問題なんです。しかも、その増収がどういうふうな額になるかということは、きわめてこれは計算困難でございます。したがって、他の特別措置とちょっと違いまして、計算表には入れておりませんが、減収じゃない、増収、多大の増収になっている、こういうふうに見ております。
-
○
小林(進)
委員 それでは、一年間の総合所得税をかけたら得べかりし土地譲渡の所得は、どれぐらいになりましょうか。概算でよろしゅうございます。
-
○
福田国務大臣 もしこの特別税制がなかりせば、あなたが盛んに話しておられましたような大量の土地の売買というような事態は起こらなかった、こういうふうに見ております。
-
○
小林(進)
委員 私に与えられた時間が参りました。私は、まだこの問題も半分で終わらなければならない。まだ、あと三分あるそうですが、実は行政と企業の癒着の問題であります。
これは一つは、企業から各省、特に通産省、企画庁等に対する出向の問題、そして重要な国策の中心部に参画している。それが一つ、いま一つは、企業への天下りであります。この問題を是正してもらわなければなりません。国民がこのインフレと物価高で泣いているときに、いかに政党と企業が結びついているかということが国民の前に明らかになりました。同時に、今度は政府、官僚であります。これがどう癒着をしているかということに国民はようやく気がついて、これじゃわれわれは救われないと言ったのであります。特に、いま問題になっております石油、私はついに石油のために与えられた時間をたいへん費やしましたけれども、どんなにこの石油企業と結びついて天下り人事が行なわれているかということを、時間もありませんから、私はここで読み上げます。
通産官僚の石油業界天下り一覧表であります。共同石油社長森誓夫、元鉱山
局長。専務生駒勇、大阪通産
局長。次はシェル石油取締役倉八正、
特許庁長官。モービル石油常務岸田静夫、官房審
議官。
昭和石油、これは一番悪いやつでありますが、社長永山時雄、
官房長、繊維
局長。取締役(兼)倉八正、
特許庁長官。大協石油常務式田敬、日銀政策
委員。キグナス石油取締役星野省也、広報課長。太陽石油専務松下昌衛、軍需省技官。常務古賀五百里、大阪通産局鉱山
部長。取締役薦田幸雄、四国通産局厚生課長。九州石油社長伊藤繁樹、
特許庁長官。アラビア石油副社長大慈弥嘉久、通産省事務次官。あんまりたくさんいるから舌も回らないぐらいだ。専務鼠入
武夫、技官。常務竹田達夫、官房審
議官。日本石油化学社長今井善衛、事務次官。もう名前は省略いたしまして、東燃石油には副社長一名。東亜石油には常務二名。
昭和四日市石油には社長一名。西部石油には副社長一、常務一、相談役一。東邦石油、社長一。アジア石油、常務一。関西石油、常務一。南西石油、社長一。日本海石油、専務一。富士興産、社長、取締役おのおの一。ブリヂストン液化ガス、副社長一。アブダビ石油、取締役一。イラン石油、常務一。インドネシア石油資源開発、社長、常務一。海外石油開発、常務一。ジャパンインドネシアオイル、副社長一、取締役一。シーアイエネルギーカイハツ、常務一。石油資源開発、常務一、取締役一。帝人、常務・石油開発事業本
部長。帝国石油、専務一。まさに舌が回らぬぐらい、これだけ通産省から石油業界に天下りしているのであります。これが全部通産省と企業のパイフ役をつとめている。
これぐらい言って、まだ企業と行政との癒着がないと言われますか。一体、こんなことで国民は石油行政に信頼が置けますか。私は舌が回ればもっと言いたいくらいだ。数え上げれば際限なしということばが通ずるくらい、石油業界と行政というものが、数において質において密着しておる。こんなことで一体国民の信頼が置けるか。国家公務員の民間企業への天下りに対しては、まさに国民は怒りをもってこれをながめているのでございます。
時間が参りましたのでやめますが、これは人事院からも全部資料をもらっています。人事院は天下りを押えるだけの力がないです。だから、国家公務員法百三条の第二項は死んで、第三項だけで全部人事院規則にこれを依存して、そして企業家に圧力を加えて、いいかげんな者を全部天下りさして、課長以上の本省の官僚を一年間に百五十人前後、百四十人から百七十人ずつ各企業に天下りをやらせている。こんなことでは、国民は行政に対して信頼を置けません。こんなことはもう人事院から取り上げて、総務長官のところに全省の役人の天下りを一本化して、総理府が統括してこれをやるというふうに人事院も改組して、行政の姿勢を正すために、総理の勇気ある御奮闘を私はお願いして、私の質問を終わりたいと思うのであります。
総理、ひとつ御答弁をお願いいたします。
-
○
田中内閣総理大臣 小林さん、いろいろ御指摘になりましたけれども、行政に携わっておる官吏が、その職にあるときに業界との間でいろいろな問題が起これば、公務員法の適用を受けるということでありまして、これは厳に慎まなければならぬこと、綱紀は厳正に保たるべきであることは申すまでもない。
ところが、天下りということが間々問題になります。しかも、国民的な立場において、確かに、いままで行政の職にあった者が民間に再就職をするということになりますと、何か天下りがあり、癒着があるというようなすなおな気持ちはわかりますけれども、しかし、実際問題としてそう解すべきではない。また、実際癒着があったり、いろいろな便宜をはかってはならない。これはもう申すまでもないのです。そうでないと、行政機構に就職した者は、一体どこへ再就職するのか。
ですから、根本の問題になって、行政機構に入ったら一生食べていって再就職できるような体制ができない限り……(発言する者あり)いや、そんなことないです。これは、とにかく、官吏といえども、ちゃんと憲法で身分は保障されておるのでありまして、そういう意味においては、いわゆる癒着があったりいろいろな利害関係があった場合に、厳に慎まなければならぬけれども……
〔発言する者あり〕
-
-
○
田中内閣総理大臣 通産省というところは、日本の産業全部所管しておるわけであります。産業以外に再就職をするといってもできないことであります。ですから、官吏の身分の問題と、再就職をしないでいいような身分の保障と、その後の問題から制度上の問題もあります。
〔発言する者あり〕
-
-
○
田中内閣総理大臣 ですから、現在においては、行政裁判を行なうという議論もあるにもかかわらず、人事院の規則によって、その衝にあたった者は、二年間現実的には就職ができない。五十から五十五を過ぎた人が二年間就職ができないということは、人生においてもたいへんな問題を惹起しているわけです。
そういう問題もあることを十分考えながら、この問題をすなおに考えていただかないと、とにかく官吏の職にあった者がどこへも就職できないということがあってはならないわけでありますから、これはやはり、三権の中で行政職というものをどうするのか、制度上の問題とあわせて考えなければならぬ問題でございまして、いま私は、これを総務長官の所管にするというよりも、人事院の中で厳正に行なわれるということが正しい、こう遺憾ながら信じております。
-
○
小林(進)
委員 その措置については、私も、実は原案をもって総理に肉薄するつもりでありますが、時間がありませんから、残念ながら後日を期して、きょうはこれで質問を終わることにいたします。
-
-
○楢崎
委員 二点についてお伺いをします。
第一点は、先ほどの参考人招致のときに公取
委員長から御答弁をいただいたのですが、近く予想される石油製品の値上げについて、通産省が法律に基づかない行政指導をする場合は、独禁法との関係が非常に微妙になるという御答弁がありました。つまり、生活二法関係の標準価格なりあるいは特別立法なりがあれば別として、それなしに、権限に基づかない行政指導は、独禁法上問題があるという御答弁でございましたが、そういう場合は、行政指導を受けた対象、つまり企業や業界だけが独禁法違反の対象になるのか、それとも、通産省、通産大臣も独禁法違反の対象になり得るのかどうか、この点だけ、まず第一番にお伺いします。
-
○
高橋(俊)政府
委員 簡単にお答えいたします。
私が先ほど申しましたことは、法律によらなければ、価格の上限を設定したり、価格そのものは決定できない。それで、行政指導による価格の評定というのはないわけである。
そうしますと、一見、行政指導でやるのがなれ合いで、カルテルの共犯というふうに解する向きもあるかもしれませんが、私どもの解釈は、カルテルを行なうのは事業者である、これは法律に明記してあります。事業者が共同して対価を決定する、これが価格カルテルでございます。
それで、公共の利益に反するというもう一つの要件がございますが、これはさほど重要ではありません。明らかに公共の利益に沿うものとだれもが認めるような場合には、違法性はないであろうというふうな程度に解します。
それで、監督官庁が指導を行ないまして、その監督官庁にはいろいろなほかの問題は生ずるでしょうけれども、責任問題はありましても、独禁法上の共犯その他のあれはないということになります。事業者自身の行為、その事業者が横の連携なくしてきめることができれば別です。横の連携がないという仮定の原理をとれば別ですが、そうでなくて、通常、行政指導によって横の連携がとられた場合はカルテルとして認められることが十分あり得る、しかし官庁はない、こういうふうに解釈します。
-
○楢崎
委員 ただいまの問題は、明日、わが党の
田中理事がさらに問題を煮詰めることになっておりますから、次の問題に移ります。
時間がありませんから、問題点だけを指摘をしておきたいと思いますが、実は、聞くところによると、明日防衛庁の大西参事官が運輸省の技術
部長のところに行って、懸案の日本の東の玄関口、鹿島灘の上空に自衛隊の訓練空域を設ける、その話がいよいよ煮詰まりそうな情勢であります。
委員長、ちょっと総理にこれをお渡ししたいのですが。——それで、いま総理にお渡しをいたしましたが、御案内のとおり、F空域、E1空域、E2空域。F空域は三万一千フィート以上、それからE2、E1空域は、これはアンリミット、制限がない。
もし、これがそのまま、お手元にあります図のとおり設定されますならば、これは国際線、つまりグアム航路、ホノルル航路、アンカレッジ航路は全部ひっかかることになります。そして、われわれが国会で審議をいたしまして、あの雫石の事故を契機として、航空交通安全緊急対策要綱をつくったわけです。これによると、「空港の空域並びに航空路の空域及びジェットルートの空域と自衛隊機の訓練空域及び試験空域は完全に分離することとし、後者の空域設定については、
防衛庁長官と運輸大臣が協議してこれを公示するものとする。」完全に分離するということを約束したわけであります。
もし、これがこのまま設定されますと、どんな問題が起こるかというと、一つは、この高度制限の問題が民間機は当然出てくる。特に、三万九千ぐらいで入ってきた国際線の飛行機は、急降下して
羽田に入らなければならぬようになります。私は、たいへん危険があると思う。
それから、今度はOTR3というものがありますね。E2に引っかかっているでしょう。これを廃止するというんだ。これも、その完全分離から軍事優先のほうになってしまう。
それからさらに、ホールディング・パターンといって、空中待機しますね。飛行機が錯綜しているときには待機しますね。あれができなくなるのですね、それが設定されると。たとえばホールディング・パターンの場合は三段階あります。一万四千フィート以下、それから一万四千から二万八千フィートまで、さらに二万九千フィート以上ですね。そうすると、いまいった二段目の一万四千から二万八千フィートの間のホールディングの場合は、回る広さがその一万四千フィートの場合の二倍になる。さらに、その二万九千フィート以上のホールディングの場合は、第一番目の一万四千フィートの場合よりも三倍の広さがホールディング・パターンとして要るのですね。空中待機が全然できなくなりますよ。
それで、これは安全対策要綱から見てもたいへんな問題であるし、また、安全対策要綱自体にも欠陥があったのですね。たとえば、雷雲とかあるいは乱気流とかいうときに、緊急避難の空域を大体やはり設けて、それを自衛隊の空域から分離させるという問題も必要なんですけれども、それは欠落しているわけです。あらゆる点から考えて、これはこのとおり設定されたら、特に国際線の場合は外国のパイロットが多いので、ややこしいあれになると、私はなれないと思うのですね。このまま設定されたら、たいへんな事故が起こる可能性がある。起こってからではおそいのですね。この種のことは、どんなに慎重にしても慎重にし過ぎることはない。
したがって、昨年の四十八年九月五日、運航課からこういう討議資料が出ておりますね。「自衛隊、米軍要求の訓練空域について」これにはどういうことが書いてあるかというと、一つ、これらの訓練空域の設定は、成田空港の洋上ルートに大きな影響を与えるため、いままで成田開港後のルート構成を勘案して作業を進めてきた。二、しかし、成田空航の開港は、当面そのめどがつかないと思われるので、開港前の状態、すなわち現行ルート構成のもとで設定すべきであると判断される。三、ただし、これは成田開港時には変更があり得ることを前提条件とし、そのための確認事項を局と防衛庁との間でとりかわす。四、米軍の要求しておるV空域は自衛隊のF空域、E空域と重複するため特に設定せず、米軍はF空域、E空域を自衛隊と共同使用するものとする。米軍までもそこで共同使用するのです。私はこれはたいへんな問題だと思いますから、先ほど申し上げたとおり慎重を期さなければならない。また、実際に管制をやっている管制官の意見もあるでしょう。
そこで、特に総理にお願いをしたいのは、もう協定が、運輸省と防衛庁と協定捺印することになっているのですね。それではもうおそいですね。だから、いよいよある程度の煮詰めができたら、国会には交通安全特別
委員会もありますし、そういった場でぜひ慎重な審議をする機会を与えていただきたい。そして十分な討論を国会でもさしていただいて、安全対策要綱はわれわれ国会でやったのですから、ぜひそれを総理にお願いしたい。その保証をお願いしたい。これは国会の承認事項というようなかたいことは言いません。しかし、実質的に国会が承認し得るような形の審議の機会を、協定調印の前に与えていただきたい。総理の御意見を承っておきます。
-
○
山中国務大臣 私も、あした大西君が運輸省に行って、そういうものをきめてくるという話は聞いておりません。
第一、私が承認しなければ運輸大臣との間で話が詰まらぬわけでありますし、双方たびたび意見の交換をし合っていることは事実です。
しかし、一昨年の航空交通安全緊急対策要綱の実際上の担当作成者は私でありますから、民航優先、したがって、そのジェットルートその他についても、自衛隊機は、原則として海上を演習空域に使う、したがって、その回廊を設けた回廊以外には飛んじゃならぬとか、いろいろなたくさんのものをつくりました。したがって、それに照合して、私が
防衛庁長官になったからといって、その方針を変更し、いまあなたが言われたようなものを最終的に合意するようなことはございませんで、やはり緊急対策要綱に沿う運輸省のお立場の民航を優先さして、その間隙に私たちの演習空域が設定されるようにお願いをし、折衝をするということでありまして、まだ総理に上げるような段階でもありませんし、私が決裁する段階でもありません。
事実関係を申し甲げておきます。
-
○
田中内閣総理大臣 いま
防衛庁長官が、所管大臣として、責任をもってお答えできるようにいたしますということを申しておりますから、それで御理解いただきたいと思います。
訓練空域が必要であるということも事実でございます。しかし、いままでいろいろ事故が起こったという例に徴して、民間の航行安全ということを原則にして、訓練空域との調和をはかるという原則は立てられておるわけでございますから、そのような原則が破られ、危険が伴うような訓練空域の設定ということに対しては、しごく慎重でなければならないことは言うをまちません。
ですから、どの程度事務当局で進んでおるのか、調印といわれましたが、私もどういう事態か承知をいたしておりませんが、
防衛庁長官そのものが、いま承知をいたしておりませんということですし、そこには運輸大臣も同席しておるわけでございますから、この発言があった限り、両大臣の間で十分な話し合いが行なわれるということでございますし、この場における議論も十分承知しておるわけでありますので、これが決定に対しては、遺憾なきを期してまいりたいと思います。
そしてまた、御要求があれば、その過程においても、また決定後においても、いかなる場合においても御審議は当然のことでございますし、これが安全性が確保できるという大前提が確保されるということでなければ、調印が行なわれようが協定ができようが、万全の上にも万全の体制をとるということで御理解をいただきたい。
-
-
-
○
金子(満)
委員 私は、まず日本分析化学研究所事件と、これに関連する一連の問題について質問をしたいと思います。
御承知のように、この事件は一研究所、あるいはまた、だれかの一部のミスであった、こういうような性質の事件ではありません。これはわが国の科学技術行政の根幹に触れる重大な問題だ、このように考えています。
日がたつに従って、その及ぼす影響は非常に広範にわたってきています。分析化学は、政府、地方公共団体などの委託を受けて、原子力潜水艦の放射能はもちろんのこと、原子力発電あるいはまた公害、しかもその公害は、全国で三十数県にわたっているわけであります。その公害の測定も、多くの場合ここでやってまいりました。社会的、政治的に大きな問題になった重大な公害や、あるいは魚介類の水銀汚染もここでやったわけであります。
ここで、最初に総理に伺いたいのでありますが、わが党の不破議員の質問に対して、二月二十五日に一応回答がありました。これは念のために伺っておくわけでありますが、この回答は、政府の統一した見解だ、このように理解してよろしいかどうか、最初にお聞きしたいと思います。
-
○森山国務大臣 政府の見解でございます。
-
○
金子(満)
委員 「
内閣総理大臣に対する質問四項目に対する政府見解」これが出ております。四項目に対しては一応答えた形はとってありますけれども、そしてまた、その中で若干の部分はお認めになっている。しかし、全体から言えることは、分析化学の測定データの捏造の問題を、なるべく小さく小さく見せかけようという意図が露骨にあらわれていると私は思うのです。もちろん、これを作成したのは、いま総理にかわって森山長官が答えたのですから、科学技術庁だと思いますけれども、この問題の本質がどこにあるかという点について、非常に認識不足である。極端に言えば、反省をしていない、こういうことすら言っても言い過ぎではないと思います。
たとえば、この中に次のようなことがあります。「今回の日本分析化学研究所の不正事件が放射能調査体制について、国民の疑惑を招くにいたったことは、まことに遺憾である。」これは一応認めています。次です。「しかし、
昭和四十三年以降原子力軍艦寄港に伴う異常放射能は検出されておらず、周辺住民の安全に問題はないと考える。」とある。
ここで長官に伺いたいわけですが、一体、何を根拠にして安全と考えるのか。この問題は考え方の問題を聞いているのではないのです。事実かいなかという問題を聞いているのです。あなたが考えただけでは、国民はだれも納得しないのです。その根拠になったものを伺いたいと思います。
-
○森山国務大臣 「
昭和四十三年以降原子力軍艦寄港に伴う異常放射能は検出されておらず、周辺住民の安全に問題はないと考える。」ということにつきましては、技術的な問題でございますから、そのゆえんを、政府
委員から答弁いたさせます。
-
○伊原政府
委員 お答えいたします。
その回答の意味いたしますところは、
昭和四十三年度におきまして佐世保港におきます異常放射能事件というものがございましたが、そのときは、異常放射能について、それの原因がいかなるものであったかということが、専門家の調査の結果も明白にはならず、疑義はあったわけでございます。
しかし、その後各港、横須賀、佐世保、さらに復帰後の沖繩におきまして核種の測定システム、具体的に申しますと、モニタリングポスト、モニタリングポイント、それからモニタリングボートによります測定、あるいはその後の核種の分析結果、その中で、異常測定値につきましては、すべてその異常が放射能雨によるものである、あるいはその他のレーダーによるものである、そういうことがすべて確認されておりますので、そういう意味で、確認されない異常放射能は出ていない、こういう意味でございます。
したがいまして、異常値というものの原因がすべて判明しておりまして、原子力潜水艦によるものではないということははっきりいたしておる。しかも、海上保安庁によります定期調査によりまして、港におきまする放射性核種の蓄積状態も明白になっておりますし、これは単位といたしまして、ピコキュリーという非常に微量単位、一億分の一という単位のものではかっておるというほどの微量のものでございます。
したがいまして、いろいろの仮定を設けまして、その蓄積されたものが人体に取り入れられるという仮定をいたしまして計算をいたしましても、人体への影響が、国際放射線防護
委員会の定めます値に比べて四けた程度低い。したがいまして、これは行政的な判断といたしまして、国民の健康と安全には直接の関係がない、国民の健康と安全は確保されておる、こう考える次第でございます。
-
○
金子(満)
委員 いまの御答弁でありますが、六八年のソードフィッシュ号のときの問題で、放射性物質は検出されたが、これはよくわからなかった、どこが原因かわからなかったということを言いながら、同じ答弁の中で、これは原潜のものとは認められない、こういうお話であります。
こういう点から考えてみて、海底土を分析していたのは分析化学である。その分析化学が測定データを捏造しておった。しかも一回や二回じゃない。かなり長期にわたってやっておった。科学技術庁は、そのつど、報告されてくるものについてチェックをしておらなかったということは、発見できなかったのですから明白であります。
それからまた、いまモニタリング体制の問題が言われました。ポイントとポストとボートの問題が言われました。それが完全であるかどうかということについても、これはいろいろ、あとで申し上げますが、問題があります。こういう中で分析化学の測定データが捏造されておる。そうしてまた、測定機能それ自身も不備である。こういう中で、考えるということだけで出されてみても、繰り返しになりますけれども、これはだれも納得できないと思うのです。
ですから、その点について、いつこの考えるという答えを出されたのか、この点をもう一度伺いたいと思います。
-
○森山国務大臣 政府の見解は二月二十五日付でございますから、その時点においてこういう結論を出した次第であります。
-
○
金子(満)
委員 そうしますと、放射能の測定は、空中、海水そして海底土、この三つをやるということは、これはだれでも知っているわけであります。特に海底土については、厳密に蓄積されたデータによって行なわれるということは、もう常識になっておる。特に原潜の場合、この海底土をこれまで専門に五つの分野にわたって、つまり核種にわたって測定し、これを分析してきたのが、御承知の分析化学であります。その資料は具体的にお調べになったのですか。
-
○伊原政府
委員 お答えいたします。
分析化学研究所の資料につきましては、特に
昭和四十七年度の結果につきまして十分に検討をいたしまして、前回
科学技術庁長官が御報告申し上げましたような不正があるということを確認いたしております。しかしながら、それ以前の、四十六年度以前につきまして、これも十分検討はいたしましたけれども、実は残念ながら、四十六年度以前につきましては、すでに昨年の六、七月ごろに原簿が廃棄処分になっておるということを、本年一月末の立ち入り検査の結果発見をいたしまして、これはまことにけしからぬことでございますけれども、廃棄処分になっておりますために、四十六年度以前につきまして、十分な検討ができかねておるというのが実情でございます。
-
○
金子(満)
委員 それでは、四十七年度は測定データが捏造されておってわからぬ、四十六年以前は、全部資料が焼却されておって、これもわからない。すると、何を基準にして、政府の統一見解では、四十三年以降でありますから、さかのぼって安全だと考えるのですか。こういう判断を、何を基準にやったのですか。
-
○伊原政府
委員 御説明いたします。
原子力潜水艦の寄港に際しましての放射能監視体制は、先ほど御説明申し上げましたように、現地におきますモニタリングポスト、ポイント、モニタリングボート、これのシステム、それと、さらには海上保安庁あるいは日本分析化学研究所におきます核種分析、これの全体の組み合わさった総合的なシステムとして働いておるわけでございます。残念ながら、今回の御指摘によりまして、日本分析化学研究所のデータは信頼性が著しくそこなわれたというのは事実でございますが、しかし、全体的に有機的な体系を持ったいわゆる多重防護的なシステム、有機的なシステムになっておりますので、その一部の信頼性が失われましても、全体的な体系として、この信頼性がそこなわれることはないというのが、基本的な考え方でございます。
特に、分析化学研究所の測定しておりました一番中心でございます核種分析の中の指標核種につきましては、海上保安庁におきまして従来から定期的に分析をいたしております。この海上保安庁の分析と申しますのは、非常に信頼度の高いものでございます。
そのようなところから考えまして、全体的なシステムとして考えました場合に、国民の健康と安全に影響を及ぼすような事実はなかった、こう考えておる次第でございます。
-
○
金子(満)
委員 事実を正確に答えてもらわぬと困るのです。海底土の核種分析、五つの種目にわたってこれを分析し、測定するのが日本分析化学であったことは、あなたも御承知のとおりですよ。そして、多重防護ということをよく言われるのです。そのたびに海上保安庁の水路部の話が出るのです。海上保安庁の水路部は、核種分析の中で二つしかやってないのです。それはセシウム一三七とコバルト六〇である。しかもこれは補助的なものである。その補助的なものが海上保安庁の水路部から出てきても、日本分析化学から出てきたそのデータと突き合わせたことは、あなた一回もないでしょう。ありますか。そういうような補助的なものを、これは信頼の置けるものでありますから安心できると考える、こういうような結論をいいかげんな形で出されることは困ると思うのです。そんなに信頼できるものであるのかどうなのかというのは、実際を調査してみれば明確にわかることなんです。
こういう点で、とにかく四十六年以前は全部燃やしちゃった。だからあなた方は見ていないはずです。あなたがびっくりするぐらい燃やされてしまったのですから、見ているはずがないのです。そして四十七年はほとんどが捏造ですよ。そういうものを、今度はさかのぼって、四十三年から検出されておらなかったから安全だと言うのは、それだけの機能がなくて、捏造であって、科学技術庁に報告されたもの、それには検出がなかった、そういうことで判断をしたのかどうなのか、それはきわめて科学的な判断じゃないのですね。
こういうような点ですから、この問題は明確に根本から洗い直す、安全かどうかという問題についてもあらためて科学的に調査をする、こういうことをやらなきゃならぬと思うのですが、これは長官、どうですか。
-
○伊原政府
委員 お答えいたします。
先ほど先生の御指摘の二つの核種は、海上保安庁で分析しておりますのは、セリウム一四四とコバルト六〇でございますが、これにつきまして、海上保安庁の分析は、補助的なものであるという御指摘がございましたが、これは補助的なものではなくて、分析化学研究所と同等のものでございます。
なお、海上保安庁の分析につきまして、理化学研究所におきましてこれをクロスチェックをいたしたことがございます。その際に判明いたしましたことは、海上保安庁の分析は非常に精度が高い、信頼が置ける、こういう結果が出ております。
さらに、先ほど御説明いたしました異常放射能が検出されていないと申します意味は、各港におきます測定器におきまして、平常測定値の三倍以上の測定が行なわれました場合にこれを異常と考えまして、それ以上の場合に原因の究明をするということでございます。その異常放射能は、三倍以上が測定されたことは何回かございますが、それはすべてその原因が、原子力潜水艦でないということが判明いたしております。そういう意味におきまして、異常放射能が認められたことがない、こういう意味でございます。
-
○
金子(満)
委員 その問題ですが、私は横須賀を現地調査しました。この点あとで申し上げますが、モニタリング体制でポストにしろ、ポイントにしろ、いま配備されている位置からは、原潜が爆発でも起こさない限りは大体測定はできないのです。これはあとで言いますが、異常値を測定することはできません。そういうものをあなた方が根拠にして安全だと考える。しかも、海上保安庁の水路部の測定データは非常に信頼性が高い。
それでは、日本分析化学の問題はどうなんだ。科学技術庁が公害の問題まで含めて、ほとんどあそこに照会してやって、みんな分析をやってもらったわけですよ。そうしますと、そこから出てくる五つの核種分析についての結果と、水路部の出されたそのデータとは、当然ここでクロスしなきゃならぬのです。それをチェックしなきゃならぬのです。そういうことをやっていなかっただろうということを、先ほど私は質問しましたが、その点については答えていないのです。この点はどうなんです。
-
○伊原政府
委員 お答えいたします。
海上保安庁からの資料は、四半期ごとに測定はされるわけでございますが、報告をされますのは、一年に一回まとめて報告をされております。分析化学研究所の報告は、年度の中間に中間報告が出てまいりまして、年度末に年度末の全体報告が出てまいるわけでございます。科学技術庁といたしましては、これらの報告書を検討いたしまして、特に異常値が出た場合につきまして、十分な両者の突き合わせをやるというようなことで、いままでいわゆるクロスチェックと申しますか、その検討をしてきておった次第でございます。
-
○
金子(満)
委員 安全性を考えるという域を出ていないのです。したがって、これはもう少し質問を進めたいと思います。その上でまた指摘をいたします。
四十六年以前の日本分析化学の資料、原票、計算書、その他はすでに焼却をされている。これは国会の答弁でも出ておるわけですが、びっくりしたという表現があるくらい燃やされていたわけですね。ところが、ほかの官庁、たとえば気象庁などは、十年も五十年も前の天候まで全部わかるぐらい資料がとってある。これは常識ですよ。五十年前に地震があったとか、台風がどうなったとか、みんな資料があるのです。ところが、国民の生命、健康に直接影響する原子力潜水艦の放射能の測定の原票や計算書が、あなた方の知らない間に燃やされていたなんということは、これは非常に重大だと思う。私どもの赤旗の記者が直接千葉
理事に会いました。そして二月の初めに聞いたところが、次のように答えているのです。
「データを焼いてなくても途中の計算書を焼けばなんにもならない。」じゃないか、こういう質問に対して、千葉
理事は、「計算書や伝票を」これは原票のことです。「私どもで勝手に焼却できない。いつとは決まっていないが、六月ごろに監査があり、許しがなければ燃やすわけにはいかないものだ。」「では監督官庁の責任か。」「とにかく許しがなければ焼却できない。」と言っているわけです。私はこっちのほうがほんとうだと思うのです。政府の委託を受けてやっているその仕事を、その資料の一番基礎になるものですから、これを科学技術庁のだれでも関係のないところで突如焼却するなんということは、あり得ようはずがないと私は思うのです。
こういう点について、ひとつ長官、あるいは関係の次官でもけっこうですから、答えていただきたいと思うのです。
-
○伊原政府
委員 お答えいたします。
ただいま先生の御指摘の点につきまして、私どもも、千葉
理事を呼びまして数回にわたって事情を聞いております。そのときに千葉が申しますのは、これは委託、受託の関係の契約であるので、受委託の行為が完了したときに、それ以後については資料保持の義務がないと解したということでございます。
しかしながら、先生御指摘のように、この種の資料につきましては、契約関係とは別といたしまして、当然研究者にとっては貴重な資料でございますから、そういうものが長年にわたって保管されるというのは、これは常識でございます。科学技術庁といたしましても、そういう常識を破ってそういうものが廃棄されたということを聞きまして、たいへんふしぎに思い、その理由を問い詰めたわけでございますが、関係者の供述に必ずしも一致点がございませんで、はなはだ残念ながら、その廃棄があったという事実と、それから契約関係が終了したあとであるので、向こうの判断で焼却した、こういう関係者の供述を聞いたにとどまった次第でございます。
-
○
金子(満)
委員 分析化学が、データは捏造する、汚職はやる。そういう基礎資料を保管しておくということは、一般の家庭だって、三年や五年家計簿ぐらいとっておくのですから。しかも、科学者がこういうようなことをやるはずがないと思うのです。やるには理由があると思うのです。それはだれが考えても証拠隠滅なんです。汚職のあと燃やしたのでしょう。しかも科学技術庁は、いまその原票を持っていないのでしょう。持っていますか。
-
○伊原政府
委員 報告書をいただきますときに、その原票までは提出を命じておりませんので、残念ながら、私どもは原票は持っておりません。
-
○
金子(満)
委員 だから、原票がなくて報告だけもらっているから、右から左へすっとチェックもしないでいってしまうのです。燃やされた、焼却したということすら、あなた方は今度初めてわかったのです。残念だけれども、これがわが国の政府の科学技術の行政の実態なんです。どんなに抗弁しても、これは隠しようもないのです。世界のどこの国にこんなところがありますか。全く科学的じゃないのです。こういう責任は明らかにしなければならぬと思うのです。隠せば事が済む、こういう問題は、国会の議論の中で、うまく答弁をすり抜ければ、あとは人が忘れてくれるだろうなんて、とんでもないですよ。ですから、こういう点については、私は、科学技術庁としては、根本的な反省を加えなければならぬ、そう思うのです。
ついでに聞いておきますが、たとえば不破議員が二月一日に関係資料の要求をいたしました。なかなか出ない。わずかのものが出ました。そうしたら、先ほどこんなに出てくるのです。さっき出てきました。これもまだ一部です。特に四十七年度分についてはなかなか出ない。内容は、別に秘密の文書でも何でもありません。私どもの議員がこれまで行って見さしてもらった文書です。しかも、私どもが要求した資料というのは、当然国民に知らせなければならない性質のものだ。秘密文書でも何でもない。ところが、この問題が国会で出た以後は、ぴたっと、からを閉ざしてしまって出てこない。
なぜ出さないのか、この点について長官から伺いたいと思います。
-
○森山国務大臣 分析化学研究所の問題につきまして、改ざんが行なわれたということはなぜか、また、四十六年度について、その証憑書類を焼却したということはなぜか、これは私どもにとって全く不可解であります。
しかし、ここで私どもは、科学技術庁の指示に基づいて原票を焼却したということはないと確信をいたしておるわけでございます。いま、四十六年度以前の証憑書類を、私どもの指示で焼却したように受け取れる御発言がございましたが、直ちにもって私どもは、そのようであるというふうには考えておりません。
それから、文書の要求を科学技術庁にしたが、なぜ出さぬかというお話でございます。実は、一月二十九日に不破
委員からの御質疑がございました。その前、一月の二十四日ごろ、日本共産党、あるいは共産党の関係の議員の方であろうと思いますが、書類の御要求があったようであります。内輪の話を申し上げてまことに恐縮でございますが、官庁の文書というのは、野党にあれ与党にあれ、これを出します際には、それぞれ十分チェックして出すべきものであると考えております。現に、各省の中には、私どもの立場で資料要求いたしましても、一々チェックして出しておられるところがあるわけでございまして、科学技術庁はその点非常にルーズでございまして、日本共産党の方に差し上げました書類につきまして、当時私はそういう事実があったということを全く聞かされておらないというような状況で二十九日を迎えたわけでございますから、やはりどういう点をいろいろ御関心を持っておられるかということを承知する上においても、これからは慎重にしていかなければいかぬ。これは野党だけではございません、与党の場合もやはり同様であろうというふうに考えておる次第でございます。
それで、出し方が悪いではないかということでございますが、これは予算
委員の
理事の方々の間で御相談になられて、その結果、今回のような結論になったわけでございますから、どうかひとつ御了承願いたいと思います。
-
○
金子(満)
委員 資料の提出はあとで申し上げますが、ここで私どもが横須賀と佐世保を現地調査いたしました「横須賀、佐世保両港における
米原子力軍艦の放射能監視体制——現地調査結果とその問題点——」、これは議員団の名前で、すでに二階堂
官房長官それから
科学技術庁長官には差し上げてあります。ごらんになったと思いますから、こまかい点は省略して、特に放射能の監視体制の問題について質問したいと思います。
その前に、政府はよくアメリカのやっていることについて支持を与えるわけで、アメリカが安全だと言ったから安全だというのは、これまでもよく聞かれることばであります。まず、アメリカで、アメリカの軍港の中にアメリカの原子力潜水艦が寄港するところがたくさんございます。そして、きわめて厳密に調査をしています。アメリカ政府の環境保護庁が、米国内の原潜が寄港する港、たとえばニューロンドンであるとか、ポーツマスであるとか、パールハーバーであるとか、その他を全部厳密に毎年検査をしています。
そういう中で、これから申し上げるのは、一九七二年にこの環境保護庁が発行した「放射能調査リポート」の中から、パールハーバーの調査の結果であります。
私が申し上げるまでもなく、科学技術庁は、アメリカでアメリカの政府が、原子力潜水艦が寄港した港についてどのような検査をやっているか、この点は先般私が森山長官に会ったときに聞いたら、全然知りませんでした。たいへん遺憾だと思うのですが、このパールハーバーでは、二平方キロの区画の中、これは一番入るわけですが、これを網の目のようにして、この中から八十三カ所も海底からいろいろの物質を取り上げてサンプル々とって、これを分析しているのです。その結果は、先ほどピコキュリーの話がありましたが、私もそれがどういうものであるかという点は具体的には存じませんけれども、四万から四十万ピコキュリー出るのです。しかもこのパールハーバーでは、ちょうどドックのようなところに入るわけでありますが、ここのところが一番高いのです。そういう状態が出ておる。しかも、一覧表がありますが、アメリカに入っているすべての港でよごれていないところは一つもない。同じ原子力潜水艦が寄港しているところです。アメリカはそのくらいやっておるのです。毎年やっています。
日本では、
科学技術庁長官のことばをかりれば、どういう表現をしていいかわかりませんけれども、六三年以降は全然検出されていなくて、安全であると考えるというのですから、これはもう質問のしようもない。こういう状態で、アメリカでこういう調査をしていることを、科学技術庁はつかんでおるのですか、どうですか。
-
○森山国務大臣 先般
金子委員御来庁のおり、きわめて詳細なる御調査の結果のお話を承りました。しかし、私は、この種問題の専門的な知識、技術的知識を欠きますから、私自身は、このアメリカの調査についてよく知らないという御返事を申し上げました。
しかし、大臣である私がそういう技術的な知識を欠いておったからといって、科学技術庁として必ずしもそういうことを承知しないでやっておるということではございません。やはり専門家の立場においてこれらの問題は検討しておると思いますので、専門技術者である政府
委員からお答えをさせます。
-
○
金子(満)
委員 ここに一つありますから、これを上げます。これを見てもらうとわかりますけれども、長官が専門家でなければ、私だって専門家じゃないんです。しかし、そういうのを見ればすぐわかるのです、これはだれが見たって、よく調査をしている、よくここまでやっておるということはわかりますよ。
ところが、日本ではその点でどうかということでいま聞いたら、やっぱりやってないことは、現地を調査してみればはっきりわかるんです。
横須賀港はモニタリングポストが四カ所あります。原潜が一番入るのは第六ドックです。そうして第八、第九の岸壁に着くのが次であります。先ほども伊原次長が言われる、モニタリングポストがあるから、ポストがあるからと言うのです。四つ確かにあるけれども、一番第六ドックに近いところにあるそのポストですら、数百メートル離れておるのです。一番遠いところは、海上保安庁の基地の中にありますよ。これが第四ポストですよ。その第六ドックまで千五百メートルも離れているのです。どのような科学者の意見を聞いても、このモニタリングポストの機能は、大体どのくらいのところの範囲に異常があればキャッチできるのかというと、数十メートルであります。これは一体どういうことだ。それこそ、ほんとうに原潜が爆発でもしない限り、異常放射能をキャッチすることは不可能なんですよ。これは現地に行った科学者や、そういう方々もみんな認めているわけです。
こういうような状態でありますから、私はここでひとつ具体的な問題でお聞きもし、その処置を聞きたいのですが、とにかく、いま横須賀、佐世保も大体同じであります。検出能力の限界外のところにいつも入るのですから、ここで次の一つの点を申し上げますから、これができるかできないか。これはやってもらわなければ困るわけですよ。
まず検出の機能をよく考えて、必要なモニタリングポストの数をふやす、これが一つですよ。いまの四つで異常値なんかキャッチできないのですから。これが一つですね。
次には、原潜が停泊する場所があるわけです。それがモニタリングポストのないところ。ないところに入ったのでは、これは全然問題にならないのですから、そのモニタリングポストを配置してある、配備してあるところ以外には入れない、こういうことについてアメリカ側と交渉する。そうして日米間の取りきめがない限り、われわれは、よく政府が言う万全の措置にならないわけですから、まずモニタリングポストの配備の問題について、これがその二です。
それから、特に取りつける場所は第六ドックの中ですよ。それと、岸壁に取りつけなければならぬ。アメリカの基地の中に取りつけるということであります。
その三つの点について、見解を聞きたいと思います。
-
○伊原政府
委員 お答えいたします。
ただいまの御指摘の点の前に、アメリカの事情を少し御説明いたしたいと思いますが、先生御指摘のように、七二年の資料によりまして私どもの調べておりますところでは、米国の主要十二港及びそれ以外の米国の港並びに外国の港、それにつきましての資料がございます。合計で三千百ほどの検体が調べられております。
先ほど御指摘のパールハーバーにつきましては、三百五十一試料が三千ピコキュリー・パー・キログラム、キログラム当たり三千ピコキュリー以下と出ております。それから一つが三千から三万というところへ出ております。それからいま一つ、三万から三十万というところはゼロ、こういう結果になっております。
アメリカのやっておりますのは、三千ピコキュリー以下は問題にしない。それから三千から三万、三万から三十万と、それぞれの意味があるわけでございますが、特にアメリカで問題にいたしまして、この限界をこえれば、さらに詳細な環境放射能測定をやるという値は、三十万ピコキュリーでございます。海底土一キログラム当たり三十万ピコキュリーをこえまして、それが多数認められたときに初めて港の調査をやり直す、こういうことで実施いたしております。
なお、これは四半期ごとの定期調査でございまして、日本の港におきますようなモニタリングポストなど、あるいはモニタリングボートなどは用いておりません。四半期ごとの定期調査でございます。この三十万ピコキュリーという値に対しまして、わが国の海底土で検出されますものは数十ピコキュリー、したがいまして、一万分の一ぐらいの精度のところを、日本の科学者の能力によりまして測定をしておるわけでございます。したがいまして、アメリカ軍の調査は、日本とは非常にけた違いに上のところをやっておるという実情を御報告いたします。
それから、先ほど御指摘の、検出機能から考えまして、モニタリングポストの数をふやすべきではないか、こういう御指摘でございますが、モニタリングポストの設置の目的は、一般的なバックグラウンドと申しますか、一般的な環境放射能の水準を常時監視するというのが第一目的でございまして、さらに、この水準が長期的にどのように変動するかということを確認いたします。副次的に、大量の放射性物質放出があったときに感知するということは、一つの可能性としてはございますが、それを感知するために設けられたものではございませんで、全体のシステムとして、一般的な環境放射能レベルを知るということが目的でございます。また、モニタリングポイントにおきましては、長期的な集積線量を知る。さらに、モニタリングボートにおきまして原子力潜水艦が寄港したときの状況を知る。こういうふうに、現地の港におきますシステムが有機的なつながりを持って設けられておるわけでございます。
したがいまして、私どもいろいろ専門家にも御意見をお聞きしておりますけれども、モニタリングポストの配置と申しますものが、その港の地形なり気象、海象その他の全体の条件を考慮いたしまして、全体像がつかめるという配置をいたしておりますので、直接、船のすぐそばにそれを設ける、また数多く設けるという必要がないと申しますか、そういう性質のものではない、こういうことでございます。
したがいまして、御指摘の第二点、停泊場所を、モニタリングポストのそばに停泊させるべきであるという御指摘、あるいはモニタリングポストの取りつけ場所を第六ドックの中に取りつけるべきであるという御意見、これは御意見として十分承りますが、モニタリングポストの設置の目的から考えまして、むしろ全体的な、一般的な環境放射能レベルを知るというところに重点がございますので、ただいまのような配備で、機器の点検その他を十分に実施していきたいと思っております。
-
○
金子(満)
委員 たいへん重大な答弁だと思うのですね。
一般的な環境放射能を測定するためにモニタリングポストが備えつけてある。これは一体どういうことなんですか。原潜が寄港したときに、どういうことになるかを調べるために取りつけたのじゃないですか。ところが、地形がどうの、あれがこうのと言うけれども、原潜のその放射能を測定するためには、できるだけ原潜の入るところ、その至近距離に装置するということ、これは常識でだれでもわかりますよ。こういう点を全然はぐらかして、アメリカが三十万ピコキュリーだ。それはそうでしょう。アメリカでは魚を食べやしないのですよ。日本では魚が重要なたん白源なんだから。だれが考えたって、魚がそれを食べればどんどん濃縮することは、わかり切っているのです。
そういうことで、アメリカのあれは、これはお返ししておきますが、とにかく原源が入ったときの、その放射能の異常をキャッチするためのポストなんです。ポイントのことを私は聞いてないし、まだ船のことは聞いてないのです、ボートのことは。このポストをふやさなければだめなんだ、そうして、一番近いところに備えつけなければだめなんだということを申し上げているのです。そうしたら、御意見としては聞いておくが、こういうことで、千五百メートルも向こうにいるのに、こっちでやって、十メートルぐらいのところしかキャッチできないような機能では、これはだめだということははっきりしておるのですから、こういう点で、これを検討するのはいいけれども、これをふやす、そうして原潜が寄港するその地点に近いところに設置する、しかも、この問題では日米間で交渉して詰める、この点ぐらいできなければ、国民の健康、生命に責任を持つ政府の態度とはいえない。アメリカですらそれほど具体的にやっているのに。この点どうですか、もう一度聞きたいと思うのです。
-
○伊原政府
委員 お答えいたします。
モニタリングポストの件につきまして、まず一般的なバックグラウンドをなぜ測定するかと申しますと、日米間の約束におきまして、米国潜水艦は、一般的な環境バックグラウンドに対して計測可能なような変化を及ぼさない、こういう約束をいたしておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、一般的なバックグラウンドを十分調査いたしまして、アメリカ側がそれに計測可能な変化をもたらしておらないかどうかということを、十分検討するということでございます。
それから、米国の実施状況につきましては、先ほど申し上げましたように、四半期ごとの海底土調査だけでございまして、モニタリングポストとかモニタリングボートはございません。
-
○
金子(満)
委員 質問だけに答えてもらわないと、時間がたいへんもったいないので……。
ポストは、原子力潜水艦の異常放射能が出た場合に測定するためにあるのですか、それとも、一般的な環境放射能を測定するためにあるのですかどうなんですか。
-
○伊原政府
委員 お答えいたします。
モニタリングポストは、全体のシステムの中の一環といたしまして、その主目的は、一般的な環境バックグウランドの測定と、その変動を見る、主目的はそういうことになっております。
-
○
金子(満)
委員 そうすると、原潜の放射能が測定できない地点にあっても、それでいいということになるのですか。
-
○伊原政府
委員 お答えいたします。
先ほど申し上げましたように、主目的は、全体のバックグラウンドの測定である。たまたまそこで異常放射能の検出があり得るかもしれませんが、それは主目的ではございませんで、全体のシステムとして、それが十分監視できるようになっておると考えております。
-
○
金子(満)
委員 そうしますと、ポストは、原潜の放射能を測定するということが全然できないとは言いません。第六ドックに入ったものが、冷却水を二万トンもどかっと出して、それがそのままずっと直線に移動して十メートル以内に入れば、それは測定できるでしょう。そうでなければ、いまの地点では測定できないということを、あなたお認めになるでしょう。いまの地点に四カ所あります。この四カ所では、第六ドックに入った、あるいは第八、第九の岸壁に接岸した場合には、異常放射能は測定できないということは、あなたも科学者ならお認めになるでしょう。どうですか、それは。
-
○伊原政府
委員 お答えいたします。
非常に大規模な事故がありましたときは別といたしまして、いわゆる原子力潜水艦からの一次冷却水の放出の可能性につきましては、現在のモニタリングポストが、直ちにそれを必ず捕捉できるということになっておりませんし、それがその目的でもございませんので、一般的なバックグラウンドの測定、こういうことになっております。
-
○
金子(満)
委員 これではっきりしましたよ。つまり、おまじないなんです。あれは市民対策だと、科学技術庁の方だって言っている人がいるのですから。おまじない、市民対策だ、ここでキャッチできるのだと。しかし、いま言われるように、爆発事故でも起きない限りは、現在の地点では測定できないということです。
しかし、私が要求しているのは、それが測定できる地点まで持っていきなさいと言っているのです。数をふやせと言っているのです。
その点について、そういう方向で努力するとかしないとか、これは一言で答えてください。
〔井原
委員長代理退席、
委員長着席〕
-
○伊原政府
委員 お答えいたします。
全体のシステムとして、有機的なつながりのもとに、全体をもちまして原子力潜水艦からの異常を検知する、こういうことに現在の体制がなっております。そういう現地の港におきます体制全体のシステムとしては、専門家の意見も十分聞きました上で、原子力
委員会の定めました指針大綱に基づいて実施しておるわけでございまして、現在の体制に、さらに、多少不十分な点はもちろん、たとえば機器の増強などは行ないますけれども、現在のシステムをもちまして、国民の健康と安全は十分確保できると考えております。
-
○
金子(満)
委員 あなた、しつこいようだけれども、原潜の放射能はこのポストではキャッチできないということを、あなた自身が認めているのですよ。ところがそのポストは、いいですか、一般の市民に対して、国民に対しては、これで異常放射能が出た場合にはキャッチできるという宣伝を、あなた方はしているのですよ。こういうときに、それが測定できる地点まで持っていけ、数をふやしなさいということは、あたりまえじゃないですか。なぜ努力できないと言うのです。——あなたはいいですよ。
こういう点で長官、どうですか。これはしろうとだってわかることなんですから、答えてください。
-
○森山国務大臣 技術的には、伊原次長の言うとおりの考え方でいっておるわけでございます。
-
○
金子(満)
委員 これは、総理大臣に聞いたほうが早いですよ。
これは総理、もうはっきり、ポストが原子力潜水艦の放射能をキャッチできない位置にあるのです、これは認めているのですから。ですから、異常放射能をキャッチする、しかも多重防護だということも言っているのですから、その至近距離で測定できるように努力するということぐらいは——。これはもう総理でなければだめですよ、全然答弁が出ていないのですから。
-
○
田中内閣総理大臣 いまも政府当局からお答えしましたように、モニタリングポストそのものは四カ所しかない。しかし、これは原潜だけではなく、常時の監視も行なっておりますということであります。それで、日米間の協定は、それらの機器に反応を及ぼすような被害は与えないということになっておりますから、これは四つの個所、そのままでいい。
ただ、実際に原潜が入った場合に、そこにモニタリングポストを新しく設定するということをあなたはいま求めておるわけですが、それは原潜が入ってくるときに、その至近距離において、入る前の海底土の採取とか海水の採取を行なっておく、それで入ってきたときに至近距離において同じく行なう、これがまた出ていったときに、出港後、泥土を採取するというようなことをやれば、これはいいことであります。だから、これはポストの増設そのものでなくとも、原潜が入ってきたときには、そういう至近距離において、時間を限って試験体を確保して、そして異常性のあるなしを確認するということは、これはもうやることは可能であるし、やることが望ましいということは、私も理解できます。
これは、現在までの状態においては、海上保安庁がやっていると思っておったのです。海上保安庁及び地方の自治体との共同で、そういう泥土の採取とか海水の採取とかをやっておるというふうに私は理解しておったわけでありますが、いま御指摘のような事情であるならば、そういう、より国民の健康、安全ということに対して十分検討する余地はあると思います。(
金子(満)
委員「ポストをふやすこと」と呼ぶ)ポストというものを、四つを五つにしろ、またポストがあるところでなければ原潜を入れてはいかぬということも一つの考え方ですし、原潜が入ったときに、入った至近距離を確実に検査をするということもあり得るわけですから、いろいろな問題、国民の健康と安全の問題ですから、こういう問題に対しては十分の検討をいたしたい、こう思います。
-
○
金子(満)
委員 やはり総理のほうが一歩進んだ考えを出すのですね。ですから、あなた方のほうがもっと積極的に総理に意見を出すぐらいでなければだめなんですよ。しろうとに指摘されても、何とかこう、からを閉ざしてやっていく、こういう姿勢では、だれもが納得しないのです。
ですから総理、いまあなたがおっしゃるように、入ったところの至近路離でそれが採取できるようにする、それからポストも四つがすべてじゃない、万全じゃないんですから、このことも含めて検討するというように理解してよろしいですね、検討することは。
-
○
田中内閣総理大臣 原潜入港時の万全確保の対策でございますから、あらゆる角度から検討を進めるということで理解していただいてけっこうです。
-
○
金子(満)
委員 次にボートの問題です。
これは、ボートは、あなた方も御承知であろうと思いますが、船が寄港したときには一日一回だけ、所定のコースだけ回ることになっております。そしてドックの中には入れません。ドックに入ってしまうと全部とびらを閉ざすわけですから、入れない。それから、いかに接近しても、大体五十メートルがせいぜいだ。私は、ドックの入口くらいまで行ければ、かなりまだいろいろなものが測定できるという可能性もあると思うのです。
そして、ここで一つ問題になるのは、ドックの中の調査ができるようなしかけをつくらなければならない。これは先ほども伊原次長が、いろいろアメリカのことを言っておるわけでありますが、パールハーバーでもドックの中が一番よごれているのですから、この中を見なければどうしようもないんです。しかも、横須賀の第六ドックの下はどろがないんですね。ですから、どろを取る場合には、そこからずっと二百メートルから三百メートル外へ出なければ取れないのです。そういうような状態をも考慮して、ひとつドックの中に入っていける、こういう状況をつくり出すことが一つと、それから、一日一回所定のコースだけではなくて、二十四時間連続監視ができるような体制をとること、これはまず要求しておきます。
次に、一緒に聞きますが、横須賀と佐世保にはモニタリングボートがあるのです。ところが、沖繩のホワイト・ビーチにはないんです。しかも、沖繩のホワイト・ビーチには、空中と海水を測定するモニタリングポストもないんです。そうしてホワイトビーチでは、原子力潜水艦が来たときには、漁船をチャーターして、小さな漁船に乗ってバケツに海水をくんで検査をしているのです。これはとんでもないことだと思うのですね。沖繩は本土並み返還だということがずいぶん叫ばれてきたのです。この問題を見ても、全然本土並みじゃないんです。原子力潜水艦の異常放射能の有無を調べるのに、漁船でバケツだったら、これは話になりませんよ。B29に竹やりより悪いです、原子力時代に原始時代のやり方をとっているのですから。
こういう点に私どもが考えをめぐらせば、確かにホワイト・ビーチに対する体制というものは、万全どころの話じゃないんです。この点については、少なくとも本土並みにはすべきだ。どんなに金がかかるか知りませんが、たいしたことはないと思うのです。
この点、どうですか。二つの点についてお聞きしたい。
-
○伊原政府
委員 お答えいたします。
政府
委員の答弁が不手ぎわでございまして、総理にまで御答弁をわずらわし、たいへん申しわけございませんが、総理が申し上げたのは、至近距離での試料採取は、モニタリングボートにおきまして採水をする、さらに入港のときには、船のそばに参りまして、船のすぐそばから一日一回採水をする、こういうふうなことで、総理から御説明がございましたように、至近距離での試料は採取をいたしております。
それから、ドックの件でございますが、ドックの中は、これはモニタリングボートの操縦性その他から申しまして、安全性の観点から、特に中に入ることに問題もあるということで、ドックの出口で採泥、採水をすることによってドックの中の状況は十分把握できる、こう考えております。
それから、二十四時間連続監視の問題でございますが、もし万一、原予力潜水艦から冷却水が出たといたしましても、これは出た瞬間に雲散霧消するものではございませんで、一日から三日くらいかけてだんだんと拡散していくというのが、専門家の御理解でございますので、最低一日一回ということで、現在の指針大綱ができております。したがいまして、もちろん異常がありました場合は、一日一回の数をふやすということは当然考えなければいかぬわけでございますが、現在、原子力
委員会の定めております指針大綱で運営をいたしておるということでございます。
それから、沖繩の問題につきましては、御指摘のように専門のモニタリングボートがなくて、借り上げの船に計器を積み込んでやっておるのは事実でございます。これは沖繩と申しますよりも、あのホワイト・ビーチのございます中城湾、あの湾の地形が非常に特殊であるということによるものでございまして、非常に外に開いた、太平洋に開いた広い海でございます。したがいまして、横須賀、佐世保のように内に閉じた湾とは非常に状況が違うということがまずございます。それから、沖繩の場合には、過去に十回、原子力潜水艦が復帰後入っておりますが、そのうちピアに着きましたのが二回だけでございまして、八回は沖泊まりであります。沖泊まりという特殊性、それから非常に時間が短い、数十分、こういうふうな特殊性もあるわけでございます。
それで、沖繩復帰のときに際しまして、科学技術庁としてもいろいろ検討いたしまして、さらに専門家の御意見も聞きまして、とりあえず船を借りてモニタリングをするということ、それからそのモニタリングポストにつきましても、空間線量は常時はかる、水中につきましては、モニタリンカーを活用いたしまして測定をする、こういうふうに現在の体制をつくったわけでございます。
-
○
金子(満)
委員 あなたが専門家の意見ということを言うだろうと私はずっと思っていたのです。沖繩へきても言うだろうと思っていたのです。そうして地形の話をするだろうと思っていた。
あなたはどの専門家に聞きましたか。名前をここへ出してごらんなさい。
-
○伊原政府
委員 お答えいたします。
原子力局で指針大綱をきめます場合に、五名の専門家に委嘱をいたしまして、各方面、各分野からの十分な意見をお伺いしております。
-
○
金子(満)
委員 科学技術庁は原子力軍艦放射能調査専門家
会議というのを持ち、委嘱しています。いま五名と言ったけれども、四名ですよ。オブザーバーが五名います。五名のオブザーバーのうち三名は、有名になった日本分析化学研究所から来ているのです。いいですか。四名のその専門家の中で、たとえば岡野真治さんがいます。佐伯誠道さんがいます。どうせあなたがそういうだろうと思って、私は聞いてきたのですよ。岡野さんは、船は要らないなどといったことは、地形のことで言ったなんということは一回もありません。これはきょうここで言ってもらってけっこうだということで、私は了解をいただいてきたのです。佐伯先生は、ホワイト・ビーチでは接岸するということだったけれども、最近は全然接岸しないで、沖に泊まっておる、すぐそこの見えるところの沖に泊まっておる、だから船が必要なんだ、波も確かに高い、船がなければできないのだ、横須賀や佐世保よりももっと大きな船でなければできないということを言っているのです。
こういうことを言っているのを、あなたが聞いた専門家というのは——本来、科学技術庁で委嘱をしている原子力軍艦放射能調査専門家
会議、ここに聞くべきじゃないですか。その話だと思うのですよ。そういうことでごまかしては、これはえらいことになるんですよ。しかも、あなたは、今月の九日に予算の第一分科会で、沖繩選出のわが党の瀬長議員の質問に答えて、地形の問題とか、専門家から聞いたけれども、いまのままでいいという意味のお答えをしたでしょう。重大問題だと思うのですよ。波が荒いならば荒いだけに、何でそういう設備をしないんです。
あなた、そのことを長官にいいましたかね。長官だって、私はろくに知らないと思うのですよ。総理だってその事態を正確につかんでいるような状況になっていないと思うのです。こういうところに科学技術庁の問題があるんですよ。資料を渡しただけだから、だらしがないと言うんじゃないのです。議員に資料を渡すことは、何も怠慢じゃないのです。あたりまえじゃないですか。秘密の文書じゃないんだから、一々長官の許可を得なくても出るんですよ。こういうのはあたりまえのことだ。
ところが、あなた方はあたりまえのことをやっていないのです。沖繩は戦後二十七年間もアメリカの直接占領下にあった。そうして軍事基地の中にあった。たくさんの犠牲を受けていることはだれだって知っているのですよ。しかも、この原子力潜水艦が寄港する場合にすら、地形がどうのとか、専門家がどうのと言う。名前を言えないでしょう、あなた。うそ言っちゃいけないですよ。これはっきりさせなさい、そこを。
-
○伊原政府
委員 お答えいたします。
先ほど私が申し上げた専門家は五名でございまして、岡野、浜田、この二人が理化学研究所の研究員でございます。それから渡辺、佐伯、これが放射能医学総合研究所の職員でございます。それから宮永、これが日本原子力研究所の職員でございます。この五名を持ちまして専門家
会議ができております。それから、先ほど御指摘のございましたオブザーバーと申しますのは、これはそういう制度はございません。ただ、あるいはたまたま日本分析科学研究所の測定結果の評価というものを、この五名の専門家がおやりになりますときには、説明者として専門家
会議に出席したことは、あるいはあるかと存じております。
それで、専門家の沖繩復帰に伴いますときの御検討の結果は、とりあえずは船を借りて、それに測定器を積み込んで測定をする、こういうことになったわけでございます。
-
○
金子(満)
委員 私は、あなたがそういうことを言うだろうということを、先ほど申し上げたとおりに予測して具体的に聞いてきたんです。そんなことは言ってはいないのですよ。船を入れなくていいなんということは言っていません。この中の二人が言っていないのですから。ですから、あなたがそういうことを言うんなら、長官も同じようなことに口を合わせるかもしれないんです。しかし、沖繩県民がこれに納得しますか。横須賀にもある、佐世保にもあるということでしょう。船もある。ポストもある。沖繩のホワイト・ビーチに何があるんですか。漁船をチャーターして、バケツで水をくんでいるようなこんな原始的なやり方が、あなた、通ると思っているのですか。
もうあなたには聞かないから、総理、こういう状態ですよ。あなたが首班をやっている内閣の中の科学技術庁は、こういう状態だ。沖繩県民の前にこれが出せますか。原子力潜水艦の放射能がどうかということについて、こんな小さいボートができないはずがないですよ。GNPがどうこう言って、そしてこれだけの予算を盛っていて、それが一つくらいできないはずはないのです。
これは総理、ひとつここのところは総理の見解で答えてもらいたいと思うのです。これをしなかったら、沖繩県民は納得しないですよ。あたりまえじゃないですか。それが本土並みというのですか。——長官、いいですよ。これはもう総理でなければ答えが出ないのだから。
-
○森山国務大臣 原子力軍艦の寄港に伴う放射能調査につきましては、先ほど来お話をいたしておりますごとく、原子力軍艦放射能調査指針大綱というものに基づいて行なっております。すなわち、モニタリングポストによりましては、いろいろ御意見がございますが、一般的放射能水準の測定を行なう、モニタリングポイントによっては、周辺住民の被曝集積線量の把握を行なっている、モニタリングボートによって、湾内の一般的放射能水準を把握するとともに、原子力軍艦周辺をはじめ、湾内における異常を把握することにいたしておることは、御承知のとおりでございます。全部を総合して一つのシステムとしてやっておるわけでございますから、一つ一つのポストとか、一つ一つのポイントとか、そういうことでなく、全体としてひとつお考えを願えればと思っております。
しかし、沖繩の問題につきましては、先生からの御指摘もございますし、機器の増強につきましては、今後十分心がけてまいりたいというふうに考えておる次第であります。
-
○
金子(満)
委員 これは総理、私は重大な問題だと思うのですよ。
復帰してまだそうたくさん日がたっていないのです。本土並みということを沖繩の人たちだって思っているのです。ここの極端な差ですよ。一体、これはどういうことなんです。検討するじゃ済まないのですよ。長官がこの問題についてしろうとかどうか、私はそういうことを言っているのじゃないのです。だれが見たって、横須賀にも配備されており、佐世保にも配備されておる、しかもホワイト・ビーチにはない。こういうようなこと言って、何百億円もかかるのでしたら別ですよ。これが何でできないのです、そういう方向で努力するぐらいのことが、何で言えないのです。これは総理大臣、たいへんなことですよ。ひとつどうぞ……。
-
○
田中内閣総理大臣 沖繩のみならず全国土において、原子力潜水艦が入港するということに対しては、国民に不安なからしめるためにあらゆる努力をしなければならないということは、これは行政府の責任だと考えております。まあボートが必要であるか、また特定の調査点の設置が必要であるかというような問題をあわせまして、十分国民の理解が得られるように、安全性の確保のためには努力を続けてまいります。
-
○
金子(満)
委員 わかりました。では、そういう方向でぜひ実現するようにしてほしいと思います。これは沖繩県民の共通の願いでもあると思うのです。
そこで、この問題の最後に、国立の総合的な分析機関を設置する問題についてお尋ねしたいのです。
政府の見解の中にでも、これは検討するということがあるのですが、いつまで検討する、検討するという科学技術庁のことばでは、だれも納得しないわけで、いま検討がどの辺までいっているのか、これを短く答えてください。
-
○森山国務大臣 新しい分析センターにつきましては、東京大学の浜口教授を中心に、目下具体化の方向に向かって相談をいたしておるところでございます。
-
○
金子(満)
委員 その浜口教授に相談しているということは、国立の総合的な分析機関をつくるということについてですか。
-
○森山国務大臣 当面の問題といたしまして、国立というような、いわゆる国の付置組織としてやるか、あるいは認可法人としてやるかという問題になりますれば、現在のところは、当面財団法人等の形で発足をいたしまして、適当な時期に認可法人その他の方向に切りかえてまいりたい。いずれにいたしましても、当面の放射能分析の仕事に取りかかることが大事でございますから、国が責任を持って当たる、こういう意味でございます。
-
○
金子(満)
委員 このような国立の総合的な分折機関をつくるということについて言えば、今回の分析化学のあの事件、それを見て、これは原子力潜水艦の放射能だけでなくて、原子力発電所の問題もここで取り扱っておった。全国の多くの公害の測定もここでやり、分析をしておった。それがパンクしたことだけは事実なんですから、こういう中で、いま一時的にここの分析化学がだめになったから、今度は横すべりして、肩がわりしてどこかの研究所にそれをまかせよう、そういうような一時しのぎはもうだめだ。それぞれの委託をしようと皆さん考えている、科学技術庁が考えている先も、みんないま手一ぱいの仕事を持っていることは当然ですよ。そこにいままで分析化学がやっていたようなことをみんな押しつけるなんということは、とうていできないのです。やるほうが無理なんです。そんなことをやれば、また同じことになるんです、もしやったとすれば。だから、私は国立の分析機関をつくるべきだ。そのことも含めて検討すると、政府の見解で出ているんですから。
その場合は、速度の問題があるんです。早くやらなければだめなんです。検討する検討すると、この問題が出てからもう一カ月以上たっている。検討ばかりしているんでは、これは休んでいると同じなんです。東大の浜口さんにお聞きになったというけれども、私は、そういう点では、何で学術
会議に聞かないんだと言うんです。どうして聞けないんですか。学術
会議には日本学術
会議法という法律がある。これに基づいて公的に選出をされている。しかも、日本の科学者の権威ある組織として、内外にこれを代表するとなっている。しかも、その中には、特に専門科学者の検討を要する重要事項については、諮問できると書いてあるんですよ。なぜ諮問しないんですか。そうして同時に、それは東大の浜口先生であれ、民間の研究機関の中で働いている科学者であれ、広くそういう人たちの意見を、科学技術庁として公式にオープンで求めなければだめですよ。いろいろこそこそやって、検討していますという話ばかりしておったんでは、事が実らないんですから、そういうことを大胆に公然とやりながら、同時に私は、予算措置も必要になってくる時期があると思うのです。そのことについて長官、どうですか。
-
○森山国務大臣 従来の日本分析化学研究所のやっておりました仕事について、その仕事を担当する次の機関のことに言及いたしました際に、共産党の不破
委員は、そんなの、一年でできるわけないじゃないか、やはり応急的に、かつ恒久的にそう考えていかなければ、なかなかできないじゃないかというお話がございました。私どもも全くそのとおり思っておりまして、応急措置といたしましては、科学技術庁の関係機関でございます理化学研究所並びに付置機関でありますところの放射線医学総合研究所、いずれもこの種の仕事、分析の仕事も一部やっており、またやる力もあるわけでございますから、とにかく本家の科学技術庁がここまで困っておるわけでございますから、暫時助けてもらえないかということで、いまお願いをいたしておるわけでございますので、どうか先生からも、ひとつ格別のお力添えをお願いしたいと思う次第でございます。
学者の意見を広く聞くということは、私は賛成でございますが、学者の意見を広く聞くということと、直ちにもって日本学術
会議というふうにイコールで考えることは考えておりません。いまもうすでに学術
会議の会員諸君の若干の方々にはお話をしておる、こう考えております。
-
○
金子(満)
委員 学術
会議、私はそこだけに聞けと言っているのじゃないのです。ですから、専門家の意見、衆知を集めなければだめなんだということを言っているのです。だから学術
会議にも公式に諮問をする。これは法律できまっているのですから、できるのですから、それもする、民間のその他の研究機関にも相談をする、このことを言っているので、学術
会議にできないかできるか、ここのところだけ一つ聞きたい。
それから、もう一つは体制の問題で、これはあとになりましたけれども、横須賀も佐世保もホワイト・ビーチも、この原潜の放射能問題を専門に扱う専任の調査員が科学技術庁には一人もいないのですね。船が入ってくると、ボストンバッグ持って前の晩に行って泊まっていてやるのです。これは実際現地へ行った人たちももう手をあげているのです。ですから私は、専任の調査員をつくるということは、当然必要だと思います。この二つについて。
-
○森山国務大臣 アメリカの原子力潜水艦の入港の問題につきまして、さらに改善したらいいという方向がございますれば、また先生は、そのうちの若干について御指摘があったように思いますが、それらの点につきましては、真剣に取り組んでまいりたいというふうに考えております。(
金子(満)
委員「科学技術庁は学術
会議にどうするのですか、やらないのですか、やるのですか」と呼ぶ)
学術
会議に意見を聞けということにつきましては、先生の御意見としてお伺いをいたしておきます。
-
○
金子(満)
委員 専任の調査員を置くという点についてはどうですか。
-
○森山国務大臣 検討をさしていただきます。
-
○
金子(満)
委員 とにかく総理、御承知のとおりですよ。みんな不備なんです。ですから、これは氷山の一角で、私は、科学技術庁については、それこそ政府の責任で、どういうところに欠陥があるかをほんとうに明らかにしていかなければならぬ問題だと思う。この点を指摘して、努力するということですから、いまここで答えられなければしかたがないですよ。しかたがないから次に移ります。
先般、三月七日ですか、新聞によりますと、アメリカの大使館の筋から、日本側の受け入れ体制が整うまでは、当分の間原子力潜水艦の寄港は見合わせるというようなことが出ておりました。この点について外務大臣、正式にはアメリカから何かありましたか。
-
○大平国務大臣 本
委員会で御報告申し上げましたとおり、監視体制につきましての不備が指摘されて、その改変が科学技術庁を中心に考えられておるという事実は、アメリカに通報いたしてあります。しかしながら、それが終わるまで原潜の入港を差し控えるという通報には接しておりません。
-
○
金子(満)
委員 それでは外務大臣、私のほうから、こういうようにすべきであるということを申し上げたいと思うのです。
いずれにしても、原子力潜水艦の問題については、万全の監視体制ができるまで入港を中止するように、日本政府としてアメリカ政府に、正式に、公式に申し入れをする、このことをやることが必要だと思います。その点はどうですか。
-
○大平国務大臣 いま申し上げましたとおり、わが国のやっておりまする監視体制改変について、科学技術庁を中心にこれを急いでおるという事実は通報をいたしてあるわけでございまして、アメリカ側には、それについて理解をいただいておると思うのでありますが、こちらから、あなたの言われるように積極的に、改変が終わるまで入港を差し控えてもらいたいというような申し入れをするつもりはありません。
-
○
金子(満)
委員 何で申し入れしないのですか。その理由を聞かしてください。
-
○大平国務大臣 それは、
金子さんもよく御承知のとおり、原潜問題につきましては、アメリカ側としてわが国に入港する権限をお持ちなんであります。われわれはそれをとめる立場にはないわけでございます。
ただ、われわれといたしまして、国民がその安全性について危惧の念をお持ちであるということでございますので、その安全性の確保につきましては、この原潜入港問題が起きましてから念を入れまして、日米間に口上書をかわし、覚書をかわしまして、その完ぺきを期し、過去百四回にわたりまして入港がございましたけれども、問題なく推移いたしてきておるわけでございます。
また今日、それでは監視体制の不備が指摘されたからといって、政府の見解にもありましたように、直ちにこれをもちまして、今日の監視体制をもっていたしましては安全性の保証ができないというように、政府が断案を下したわけではないのでございまして、われわれは、原潜につきましての安全性につきましては、政府の見解にも示されておりますとおり、懸念を別段持っていないわけでございまして、せっかく改変手続をやっておりますのは、念には念を入れてやろうという政府の誠意のあらわれでございまして、それあるがゆえに、それまで原潜の入港は差し控えていただきたいということを申し入れるつもりもございませんし、もしそれを申し入れましても、そのこと自体は、一つの政治的なアクションとして、安保条約を制約するものとは思えません。
-
○
金子(満)
委員 科学技術庁は不備があることを認めている。これは、政府自身が認めていることは、統一見解で最初に私が総理に聞いたのも、そういう意味があったわけです。不備があるということを認めている以上、万全の措置ができるまでと、これはアメリカがどういう態度をとるかは別な話ですが、日本の政府は日本国民の政府ということでありますから、当然アメリカ側に対しても、万全の措置ができるまでは入港を中止してほしい、この申し入れ、意思表示は当然行なうべきだと思うのです。
大平さんは懸念がないと言うけれども、政府は懸念を持っているからやってきたんですから、この点は、ちょっと考え方が私は違うと思うのです。これは大平さんらしくないですよ。日本国民が心配している。佐世保の市長も横須賀の市議会も、みんな、整うまでは、万全の措置がとれるまでは入れないでほしいということをきめたり、要求したりしているのですよ。知事もそうですから。こういう中で、アメリカ側にこういう日本政府の意思を伝えるということは、最小限できる。ただ黙って待っているということでは、これはあまりにも卑屈だし、あまりにもアメリカに従属して、アメリカにはものが言えないのだ、こういうことになると思うのです。
ですから、やるかやらないか、最後の答えだけをひとつ聞きたいと思います。
-
○大平国務大臣 でございますから、監視体制の改変を急いでおるという事実は、アメリカ側に通報いたしておりますし、科学技術庁から新たな御報告がございますならば、的確に先方に伝えることはいたしたいと考えておりますけれども、ただいま言われますように、それまで差し控えてもらいたいということを、ただいまの段階でアメリカに申し入れるというつもりは、私はありません。
-
○
金子(満)
委員 私は、当然要求すべきであるということを申し上げて、次に移りたいと思います。
この項で、日本分析化学研究所に関していろいろの問題が起こっているわけですから、その関係資料をそれぞれの省に要求したいと思うのです。
時間がありませんから、これは短いけれども、読みません。これはあとで提出いたしますから、しかるべく取り計らっていただきたいと思います。
その内容は、原子力軍艦の関係と、原子力発電所関係の資料と、公害関係の資料であります。三木さんにおいで願っているので、全国の三十二の都府県、ここにまたがって公害の問題で分析化学が取り扱っているわけです。この資料を、あとで要求いたしますので、環境庁としてもぜひ出していただきたい、このようにお願いしたいと思うのです。
時間がありませんから、次に、石油価格の問題に関して短い質問をしたいと思います。
国会で、石油危機に便乗した悪徳商法というのは、総理の口からも出たわけでありますが、こういう中で、いま石油の問題で、新たに原油の値上がりから、再び石油製品の値上げの問題が出ています。幅と時期についてはまだいろいろ議論があるようでありますが、そういう中で、通産行政の面でのいろいろの不十分さだけではなくて、非常なまずさということも、予算
委員会の審議などを通じて明らかになってきていると思うのです。ここで再び石油製品の値上げが行なわれるということであれば、これは物価全体にわたっての値上げを激発することになるだろう、これはもう簡単に想像ができることであります。また、このことが国民生活を圧迫し、日本の経済全体にも悪影響を及ぼすということも想像できるわけです。
ここで
福田大蔵大臣に質問したいのですが、政府は、原油が上がるのだからしかたがない、打つ手がないということでなくて、ここで何か手を打つ必要があると私は思うのです。きょう私ども共産党は、当面の緊急政策を発表いたしましたが、その中の一つに新たな提案をしております。この一つの提案を申し上げて、見解を伺いたいのです。
つまり、石油関係の諸税を廃止または大幅に軽減して、値上がりの影響を極力押えるということを検討し、実行してほしい。御承知のように、四十九年度予算で、石油関係の諸税を総額にすると、一兆四百五億円になっています。これをもし廃止すれば、これは私の計算でありますけれども、約四千円近くの価格を引き下げることができます。半分減税したとすれば二千円近くの価格の引き下げということ、上げずに済むということができるわけです。
もしこういう方法がとられるならば、第一には、国民生活を守っていく、とにかく物価の抑制という立場から見ても、これは非常に効果的だと思うのです。しかも、この税金の大幅な軽減あるいは全廃ということは、国民の大多数から歓迎されることだ、私はこのように思います。第二番目には、アラブの石油産油国からも歓迎されると私は思うのです。輸入の外交交渉も大きく一歩前進するだろう、こういうことも考えられます。それは、これまでアラブの諸国のいろいろの人たちの意見からもうかがわれるところでありますが、たとえばOPECは、七三年十二月以前の産油国政府収入は、関税、消費税など先進国政府の石油諸税、バーレル当たり七ドル五十三セント、これは西欧諸国の平均でありますが、これを大幅に下回っている、こういうことを指摘している。同時に、先般来日したサウジアラビアのナーゼル企画
庁長官も、石油価格引き下げを考えるなら、消費国政府がかけている石油関係の課税引き下げから検討すべきだ、こういう意味のことを言っております。こうし心中で、私はアラブの石油産油国との関係も一歩前進する、こういう点でも利点があると思う。それからまた、横暴をきわめているメジャーに対しても、強力な交渉をしていく上でも力になる、こういうように考えておるわけであります。
全体として、そういう中で、これとあわせて石油製品の価格体系を改める、消費者や中小企業、そして公共交通機関などに安く提供できるようにする、こういうことが必要だと思うのですが、大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。
-
○
福田国務大臣 この際、ガソリン税その他の石油関連諸税をやめるとか、あるいはその他の財政措置を講じまして、石油価格の引き上げをとめたらどうだという説は、よく聞きます。
私もいろいろとそういう点について考えておりますが、いま石油関連諸税をやめて、そして石油価格の引き上げを、それだけ停止するという考え方をとりますと、さて、石油関連諸税をやめた、そのかわり財源を一体どうするか、まずそういう問題があるのです。
金子さんがどういう御提案をされるか、まだ伺っておりませんけれども、一体それをどうするか、そういうことを考えると、これはそう簡単な問題でもない。
それから、諸外国の事情を調べてみましても、これは、もうみんなガソリン等にかなりの負担をかけておりまして、わが国は、そういう諸外国の状況に比べると、ガソリンその他の石油関係に対する負担はそう重いほうには属しない、そういう状態でございます。諸外国が、これからどういう動きをしますかということを見ましても、どうも税を撤廃するというような動きも、私は見ておりませんです。
そういういろいろなことを考えまして、ガソリン税その他、石油関連諸税を撤廃する、その財源を一体どういうものに求めるか、非常に重大な問題でございまして、私はただいまのところ、そういう措置をとる考えは持っておりませんです。
-
○
金子(満)
委員 狂乱の物価上昇ということばをつくったのは
福田さんでありますから、そう言われるように、昨年秋以来の経済の状態というのはきびしいものだ、これはだれもわかります。こういうときには、やはり大胆にわれわれ検討すべきものは検討する、それをしなければならぬと思うのです。
財源の問題については、特権的な減免税というものが、法人税や所得税、そういう点でも大幅にやられておることは御承知のとおりです。私どもがそれを計算してみても、法人税と所得税の減免、これをやめただけで一兆九千百六十四億円、こういうものが所得税のほうで出るし、それからまた、法人税のほうの減免をやめると一兆七千百六十九億円、合わせると三兆七千億円をこえます。この半分でも、それ以下でも、もしこれをやめることができれば、一兆四百何億円ですから、それで補充がつく、こういうことでもできるわけで、そういう点で財源措置はあるということを申し上げておきたいと思うのです。
さらにもう一言、そのことを含めて大蔵大臣に伺いたいのですが、メジャーの問題です。メジャーがキロリットル当たり二千円から三千数百円利益を得ているということは、一般でもいわれていることですが、これを減らさせなければならぬということです。減らさせれば、それだけ日本で石油製品の価格を引き上げることを減らすことになるわけですが、メジャーについては、政府も、そしてまた日本では、何かこれを聖域視している。手のつけられないところだみたいに見る見方があるのじゃないか。政府がそういうことを考えているかどうか知りませんけれども、やはりメジャーに対しては、強力な対策をとらなければならない。とにかくメジャーがどれだけ日本に入れるかも彼らがかってにきめる。値段もかってにする。値段を上げなけれが供給を減らすぞなんという問題まで起こってくるんですね。
こういうことについて、私は二つの問題があると思うのです。メジャーが石油供給を左右したり、便乗値上げでばく大なもうけをしている実態を究明して、メジャに抗議くらいしなければならぬ、こういう点が一つです。
もう一つは、メジャーと企業との輸入契約の問題、これをオープンにする、公開することが必要だと思うのです。メジャーと取引している企業に対して、新しく政府は、契約を公開させる立場から原油の輸入契約の基準をつくる、それからまた、輸入供給の基準をつくる、これを基礎にして強力な行政指導をしていく、これが必要だと思うのです。それからもう一つは、独占禁止法を改正して、メジャーをはじめ多国籍企業の不当な価格政策とか、日本の経済を撹乱するというようなことについては、政府としてもこれを取り締まっていく、こういうような方策を講ずべきだ、このように思うのですが、その点について最後に伺いたいと思います。
-
○
福田国務大臣 メジャーの実態の問題輸入契約の公開の問題、独占禁止法に例外を設け、メジャーにこれを適用すべし、こういうような御意見でございますが、わが大蔵省といたしましては、メジャーといえども、決してこれを聖域視するというような考えは持っておりませんです。具体的なことにつきましては、これは通産省がお答えすることであります。
-
○中曽根国務大臣 やはり契約の自由というものがありますから、その契約の自由に対して政府が干渉がましいことをすることは、国際商品である石油の正常な輸入というものについて、支障が起こる可能性もなきにしもあらずです。日本の現状というものを見ますと、やはり当分の間、石油は大事な資源でありまして、そう一方的に、産油国が国有化をやっているように、権力を振り回して強引にやるということは、国際的秩序の面からもいささかどうかとも思われます。
しかし、契約やその他が著しく不当であって、国益を害している、世界的水準から見て、たとえばフランスの場合、ドイツの場合、イタリアの場合、そういうようなことから見て、国益を著しく害しているというおそれがあるような場合には、われわれとしても警告を発するなり、あるいは行政指導をするということも考えていいと思います。
-
○
金子(満)
委員 メジャーに対する通産大臣の、やはりそういう姿勢が、別の意味ではメジャーの横暴を許す結果にもなっていると思う。やはり発言をすべきところは堂々と発言して、行なうべき交渉はする、日本の立場を明確に述べて、相手が横暴であれば、それに抗議をするということは当然だと思うのです。この点を申し上げておきたいと思います。
最後の質問に移りたいと思いますが、政治資金の問題です。
この政治資金の問題については、もうすでに新聞紙上などでも報道されているわけでありますが、自由民主党は国民協会を通じて、大企業からばく大な政治献金を受けている、こういうことがいわれているわけであります。そしてまた、いま自民党をささえる資金源が大企業である、そうして自由民主党と大企業の間には、共通の利害関係があって、深く癒着しているのだ、こういうことは、もういろいろの、新聞ばかりでなくて、ある意味では国民の常識にすらなっていると思うのです。
こういう中で、総理であり、自由民主党の総裁である
田中首相にお伺いしたいのですが、この際、大企業からの政治献金を受け入れないという態度表明をする用意があるかどうか。これは政治資金規正法に関係なく、それぞれの党の自決権に基づいてやれることでありますから、その点、最初に一言伺いたいと思うのです
-
○
田中内閣総理大臣 大企業といえども、企業の一つでございますし、個人企業といえども、社会的活動をしておる状態において政治資金を拠出するということは、これは、もう国民の根本的な権利であります。
そういう意味で政治献金を、自由民主党の、その先ではございますが、国民協会を通じて会員としての会費納入、また政党に対する資金の拠出というものを、断わるという考え方はありません。ありませんだけではなく、そういうものを受けても、企業との癒着などは全くありません。そういうことはごうも考えておりません。
-
○
金子(満)
委員 これまでも、国会の答弁で総理がしばしば言うことでありますが、受けるほうは受動的である、出すほうは自発的である、こういうことを言われてきたわけです。そういうことの中で、そうではないんじゃないかということが考えられる点もあるわけです。
それは、六月三十日付で二つ出ていますが、一つは、経団連の植村甲午郎さんはじめ五名の名前で、「国民協会経常会費の増額方ご協力ご依頼について」という文書が出されています。これは、「自民党および国民協会では、党活動を支える標記経常会費の増額の件につき検討を重ね、私ども世話人に対し何分の援助・協力方を要請してまいりました。この要請をうけて、去る四月二十五日、」去年の四月二十五日でございますが、「各業界代表者にご参集いただき、自民党首脳より党財政の現状と、今後経常収入の増加を図り活発な党活動を展開する体制の強化案について説明をきき、あわせてこれに対する経済界の協力方についてご相談申し上げました。」ということで、国民協会の会費総額を二倍半程度増額させていただくようにお願いする、国民協会が近く参上すると思いますが、よろしくという意味のことが書いてあります。これを受けてかどうか存じませんが、同じ日付で、「自由民主党におきましては、最近における内外諸情勢の深刻化にともない、これに対処する党体制を一段と強化する」ということで、「当協会の経常会費の増額を要望してまいりました。このため当協会は、経済団体連合会にたいし、ご斡旋方をお願いいたしましたところ、最近にいたり、ご回答をいただきましたが、それによりますと、貴社には左記金額をお願いすることになっております。」というので、あなたの企業にはどうというのが、財団法人国民協会の会長名で出ております。
それは、国民協会が自発的に出すものを受動的に受けるということでなくて、自由民主党のほうから出されているということがここでわかるわけでありますが、それだけでなくて、私はここで、いま非常に大事な問題として指摘をし、これは善処しなければならぬということで質問をするわけです。
それは、非常事態改善対策資金と称して、国民協会が会費以外の臨時の政治献金を、業者団体を通じて中小企業にまで要請をし、強要しているという問題であります。
ここにその文書があるわけでありますが、日本合板工業組合というのがあります。昨年十一月に加盟企業に対して一定の割り当てを行なっている。その中で、近畿・四国合板工業組合が、傘下のちょうど三十社に対して割り当てを行なっています。それは均等割りとして二〇%、生産割りとして八〇%。近畿・四国合板工業組合が四千四百万円、全国総額は二億円ということで、最高は約六百万円から最低は約四十万円の割り当てをしているわけであります。しかも、その中の企業の大部分は中小企業だ。その中小企業の中には、従業員の数からいっても百名以下がたくさんあります。資本金も二百五十万円とか一千万円とか、たいへんなところですが、そういう状態で割り当てが行なわれ、督促がされておる。
この中で、一つの手紙が参りました。これは名前は申し上げませんけれども、そして長いから、私は要約して関係のところだけ読みたいと思うのです。「不破哲三先生殿 拝啓 平素国事奮闘下され有難う御座います。私は小企業の合板工場に勤める者であります。この間も社長のなげきを見て気の毒になり一筆したためた次第です。先々月(十二月)、日本合板工業組合連合会(本部東京)所属の近畿・四国合板工業組合より、自民党国民協会献金表が強制的に割当られました。社長は大反対していますが、業会の村八分にされては困ると云うので泣き泣き払い込みました。業会でも三割位の反対者がいる様子ですが、支払ねば毎日の様に組合から催促され、のけものにされます。自民党の支持者でもないものが、自分の心をいつわって献金する事は針の上に座る思いですと云っています。(中略)書きもらしましたが、近畿四国合板工業組合に加入しないと、資材(原木、のり、刃物)が入手できませんので、仕方なしに加入しているのが現状です。(原材料の買付のじゃまをする。)、(後略)」こういう手紙が来ているのです。
私はことばは悪いけれども、こういうやり方は、悪代官さながらのやり方だと思うのです。いま中小企業がどういう状態に置かれているかということを考えれば、これは政治家であれば、ほとんどわからない人はないと思うのです。総理の言う自発性に基づくものでないことは明らかですよ。
総理はこういうやり方はいいのか悪いのか、政治家としてひとつお答え願いたいと思うのです。
-
○
田中内閣総理大臣 私は、いま御指摘の事案に対しては、承知をいたしておりません。おりませんが、そのような御指摘がございました以上——国民協会というのは、自民党とは直接関係はございませんし、財界の機関としてつくられておるわけでございますが、その国民協会から相当な政治基金の拠出を受けているということもまた事実でございます。ですから、国民協会が、いま御指摘になられたような、会費にしても、また政治基金の拠出にしても、心から賛意を表しておらない者に対して割り当てが行なわれておるというような事実がありとせば、これは、もうその間の事情は、私から党側に申し伝えます。それで党側から、国民協会に対して、どのような事情において行なわれたものかということをただし、また、そのようなことが将来行なわれないようにという希望は十分述べたいと考えます。
お手紙でございますから、もし差しつかえがなければ、お示しいただければ、私のほうで——ありがとうございました。こういうような事実、もしありとせば、これは全然出していただかないでいいわけでございますから、これは、ひとつ国民皆さまに対して、ここでもって私も明確に申し上げておきます。
国民協会に、私も幹事長などをやっておるときに、会費を拡大するとか、いろいろなことは話をしたり、国民協会を育成強化しなければならないというような話はいたしておりましても、いま御指摘になったように、そういうものを払い込みたくないのですか、泣く泣く払っております——泣く泣く払っていただくようでございますと、自民党や国民協会が受ける何倍も票の上でも損をするわけでございますので、そんなことを私が考えるほど、りこうでない人間でもないわけでありますから、そこらはひとつ十分御理解をいただきたい。
-
○
金子(満)
委員 総理が言われましたが、これは政治的にも、道徳的にも非常に間違った行為だということは明白だと思うのです。こういうことは、その同じ合板の中の——東京の中にもあるのです、全国にこの組織があるわけですから。九割が中小企業です。こういう点では、これは産業については、通産省も指導責任があるわけですから、しかも法によって認められたそういう業者の組織ですから、こういう点についても、ひとつ注意をしていただきたいと思います。
それでは、この政治資金の問題については、これは非常に重大な問題であり、どこから政治資金を仰ぐかということは、その党の性格をあらわすものであり、その党がどういう立場のものの代表であるかということも明らかにしているものだ、私はこういう点で、この問題についての質問をやめますが、いま指摘したようなことがほかにないということは断言できません。そういう点は、総理もおっしゃったわけですが、こういうものはやらないように、自由民主党の総裁である総理のほうからも、国民協会にそれを申し述べるということですから、この点をひとつ申し上げて、私の質問を終わり、林議員のほうから一言発言があります。
-
○荒舩
委員長 林百郎君から、関連して発言の申し入れがあります。
金子君の持ち時間の範囲においてこれを許します。
-
○林(百)
委員 関連質問ではありませんが、関連の発言をさしていただきたいと思います。
ただいま
金子議員の質疑中に採用いたしました、本年二月五日の不破議員の当
委員会における日本分析化学研究所の捏造データの問題に関連いたしまして、
内閣総理大臣に不破議員から四項目の質問を念のために書面でいたしました。
これは念のために申し上げますと、一つは、「原子力軍艦放射能調査体制の再確立について」以下三項目であります。もうわかっているから申し上げません。これに対して、政府から、書面によって見解が出ておりますので、この見解を
会議録に参照掲載されますよう、
委員長に要請をする次第でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
-
○荒舩
委員長 ただいま、林君から申し出のありました件につきましては、これを
会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○荒舩
委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
これにて
金子君の質疑は終了いたしました。
次回は、明十二日午前十時より開会いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後八時二十四分散会
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